運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-11-10 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 十月二十二日委員石川清一君及び清澤 俊英辞任につき、その補欠として菊 田七平君及び木下源吾君を議長におい て指名した。 十月二十五日委員木下源吾辞任につ き、その補欠として清澤俊英君を議長 において指名した。 本日委員菊田七平君辞任につき、その 補欠として石川清一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            石川 清一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済   局農業保険課長  久宗  高君    農林省農林経済   局統計調査部長  野田哲五郎君    農林省農林経済    局統計調査部作    物統計課長   原  政司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農業災害補償制度改正の件)  (玉糸価格安定の件)  (稲作等の作況に関する件) ○派遣議員報告昭和二十九年四月及び五月における  凍霜害等被害農家に対する資金の  融通に関する特別推置法の一部を改  正する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  最初に、農業災害補償制度改正の件を議題にいたします。本件は前回の委員会におきまして問題とする予定でありましたが、時間の都合によつて今回まで延期されていたものであります。本件につきまして、去る五月十四日、当委員会から農林大臣に申入の次第もありまして、農林当局から中間報告について発言を求められておりまするから、この際お聞取りを願いたいと存じます。農業保険課長久宗君から御説明を申上げます。
  3. 久宗高

    説明員久宗高君) 農業災害補償制度改正に関する件ということで、五月十四日にこちらの委員会の御決定がございまして、衆議院のほうも時を同じういたしまして同じく改正に関する件がきまりました。それに基きまして七月の中頃でございましたが、第一回の会合を開催いたしたわけでございます。協議会におきましては、最初に国会の衆参両院関係のかたから詳しくそれぞれの院の御案につきまして御説明を頂きまして、直ちに審議に入つたのでございますが、現行制度の詳細な御説明が先行すべきだということで、第一回の集まりは極く詳細に現行制度の組立てと更に現実の運用面につきましての御説明をいたしたのでございますが、その結果、審議方法といたしましては、一応二つに分けて進行しようということになつたわけでございます。一つ制度設計と申しますか、全体の補償の行き方を、衆議院のほうでは保険補償とを切離せといつたような御意見が強く出ておりましたし、参議院のほうにおかれましては、むしろ仕組は現行のままで内容をもう少し詳細に検討したらよかろうといつたようなお考えが出ておりましたので、そういつた問題を含めまして、一つ制度設計並びに補償内容に関する問題ということで、更にもう一つは、そういつた内容を今度は運用いたします場合にどういう組織でやるか、団体のあり方といつたような問題も含めまして組織の問題、こう二つに分けまして、それぞれ幹事を、議事の整理という意味でお願いいたしまして、直ちに分科会に入つたわけでございます。設計に関する理事会は八月に第一回が開かれまして、この際特に問題になりました問題は、補償保険を分けることの可否という問題につきましてやや詳細に御検討が行われたわけでありますが、必ずしも十分な結論を得ないままに一応問題点洗つただけで終つたわけであります。従いまして、それに引続いて開かれました組織部会におきましては、補償内容がまだ確定いたしませんので、それに関連する組織の問題につきまして十分突込んだ検討ができなかつたわけでございますが、一方現状におきます運営面にいろいろ御指摘頂きましたような各種難点が出ておりますので、そういつた問題につきましてやや詳しく検討いたしますと同時に、もう一つの問題といたしまして、衆参両院とも損害評価の問題につきまして非常に詳細な御検討を頂きました結果、特に統計調査部との関連を重視して処理するようにというような御意見でございましたので、統計調査部資料というものがどの程度にこちらで利用できるものかどうか。特に両院とも町村段階までの資料統計調査部作つて、そこで何らか調整する方法がいいんじやないかという御意見でございましたので、町村段階までの数字をどの程度出せるかといつたような問題につきまして、詳細に統計調査部のほうから、そのためにどの程度資料が要るか、或いはどの程度資料が得られるかというような問題につきましてお話があつたわけでございます。  以上二回の分科会におきまして問題点をやや詳細に洗つたのでございまして、その結果といたしまして、第二回の総会を九月に入りましてから開きまして、その間幹事会におきまして検討いたしました問題を一応取りまとめてみるような作業をいたしてみたわけでございます。併しこの場合におきましても、結局補償内容が非常に建て方によりまして金額に大きく響いて参りますので、私ども事務当局といたしましても、どの程度金額になるものか、試算いたします場合に各種前提がございまして、なかなか容易にその数字が出し切れませんので、その結果補償保険といつたような問題もそのまま極く概数で検討するという程度にとどまつたわけでございます。その後問題が非常に広範囲に亘つておりますので、いろいろ論議の過程で出ました問題をもう一回一応整理してみようというお話がございまして、その整理いたしましたものをテキストにいたしまして第三回の委員会を開いたわけでございます。今日まで第三回の委員会までしか開かれておりませんので、その中間報告といたしまして、第三回の委員会で主として問題になりました事項にそれまでの論議が要約されておりますので、それを中心にお話してみたいと思つております。参議院のほうの農林委員会におきましては、制度改正に関する件のうちで、中間的に審議の経過並びにその結果について累次委員会報告せよというお話がございましたので、丁度やや中間的に一部につきまして結論が出かかつておりますので、その問題点を御紹介いたしたいと思います。  お手許に横書のもので「農業災害補償制度改正に関する問題点整理」九月二十日という二枚刷りのものが配られておりますので、これを読みながら問題点を申上げまして、別に一枚刷りで「農業災害補償制度協力会進行状況」というところで、これまでに一応きまつたものを整理してございますので、これと関連いたしまして御説明いたします。  先ず第一に問題になりますのは、引受単位でございますが、これにつきましては「a現行一筆共済の基礎は反別であり、且つその収量区分の幅が大きいため、当該農産物価格の五割を填補する建前となつているが、実際の填補額は三割強にすぎない。」、「bこの点は一筆共済建前石建俵建)に改めれば修正することができるが、「補償の場合と内容」の合理化という点からみると一筆共済に伴う問題は依然として残る。」、「c引受単位農家単位とすれば、「補償の場合と内容」の合理化は一歩進め得るとしても、農家全体からみると一筆共済に比較し補償を受け得る機会が減少し、料率の個別化の限界との関連制度に対する農家不満が強まる虞れがある。」、「d低被害地については掛金負担軽減を図る措置として引受単位部落とすることも考えられるが、個々農家について「補償の場合と内容」の適確性を如何にして確保するかについては問題が残る。」、これが引受に関する問題なんでございますが、御承知通り、現在は、仮に私が五筆田を持つておりますと、一筆ごと共済関係が成立いたしまして、それが政府の再保険にまで直接繋がつて来るというやり方をとつておるのであります。これにつきまして、先年、二十七年度から農家単位にしたらどうかということで実験をさせて頂いておるわけでありますが、まだ農家単位にいたしました場合の実験が二十七年と二十八年のデーターしか出ておりませんで、御承知通り二十七年は非常に災害が少なかつた年でございますし、二十八年は超異常の災害がございましたので、両極端の資料が出ておりますが、これによつてまだ確定的に農家単位可否といつたような問題につきまして決定的な意見が出しにくいというような難点があるわけであります。そこで協議会におきましても、その引受単位につきましてもいろいろ議論が出たわけでございます。一筆で行く場合には、ここにちよつと書きましたように、現在全村の場合に、価格の五割ということを目途にいたしておりますが、被害程度に応じまして、支払いの割合が変つて参りますので、それに過去におきましては不幸にしてインフレの関連もございまして、補償内容が実際には五割を割つてしまうというような点がありますので、こういうような点は仮に一筆共済にいたしましても現在は反当幾らというようなやり方をとつておりますので、これをそういうことではなしに、いわば石建にすると申しますか、容量建にすればそういつた難点が相当改められるわけでありますが、併し丁度一筆か、農単かという問題で議論されましたように、結局一筆の場合には広く薄くばら撒く恰好になるわけでございます。農家単位にいたしますと、いわば厚く深く出すことになりますが、ここにも指摘いたしましたように、結局まあもらう機会が非常に少くなる、やられたときにはどさつともらうということになるわけでありますが、もらう機会が比較的少くなりますので、現在でもいろいろ掛捨てといつたような問題でやかましい問題があります際に、その難点がなかなか解消できない、特にあとで申しますように、現在の掛金は村まで下ろしておりますけれども個々の筆までは到底下ろせませんので、同じ村の中でも被害の多い少いによりまして、いろいろ御不満があるわけであります。こういうような点を考えに併せて参りますと、なかなか一筆農単という問題も割切りにくい問題があるわけでございます。こういうところで問題点があるということで、引受単位を一応現行通り一筆共済で、而も反当幾らというやり方をやつて行くか、或いは石建に直してしまうか、或いは農家単位方式というようなやり方に変えて行くかといつたような問題が論議されたわけでございます。このdはちよつと考え方を違えまして、いつそ思い切つて或る所におきましては部落単位部落単位で一括して受けるというような行き方も一つ方法ではないだろうか、これは別の意味から申しますと、現状におきましても、いろいろ各種政策が、補償制度も勿論その一環をなしておるわけでありますが、部落のところで、いはば立往生するわけでありまして、部落の内部まで非常に立入りにくいというような問題がありまして、現在のように私どものような制度の下に個々農家を対象にして、而も一筆ごと制度を組立てるということになりますと、ゆがみが直接上まで響きますので、或る種の部落につきましては、部落は一括して引受けて、部落内の問題は部落自身に任したらどうかという問題も考えられるのでございます。そういう問題も一応お出しして議論してみたわけでありますが、それが農家引受単位についての論議であります。  次に損害評価の問題でありますが、「損害評価については極力引受単位に近いところで信頼し得る統計資料を得ることが望ましいが、現状ではそれが郡単位となる。市町村単位統計を得ることは得られた統計精度及びそれに要する経費の点に難点がある。」、これは」(別紙参照)」ということになつておりまして、統計調査部のほうからどの程度のもので、どのくらいの費用がかかるかということが、仮に町村がやるとするとどうなるかという問題が出るわけです。「b損害評価現状は、下から積上げたものを、農林省県単位に見解を示し、これに準拠して最終的調整を図る建前になつているが、これを原則として統計数字が得られる段階最終決定とする建前に改めることが望ましい。」、損害評価につきましては、いろいろ難点がございまして、これがうまく行つていないのでありますが、根本的にはこの前もお話いたしましたように、私どものほうで何割の被害というものを考えまする場合に、当然基準数量というものがあるわけでありますが、これが実際農家考えておられるような、大体、田はどれくらいとれるといつた感じで打つておられる反収と大幅に食違うわけであります。これは一つには供出の影響その他もございまして、いわば基準数量が実際よりも低く設定される場合が多いのであります。従いまして、基準の低いものでありますから、農家が仮に三石とれるというふうに思つておられる場合に、共産が二石五斗というふうな場合があるわけでありまして、仮に二右一斗くらいとれた場合に、農家で三石を標準にして三割以上の被害なつたからもらえるかとお考えになる場合にも、この制度では二石五斗を基準にして参りますので、三割以上の被害にはならんということで、基準数字がどうしてもその制度との関連で実際より低目になります結果、それが損害評価の場合に非常に抵抗になつて現われて来る、それがむしろ一番難点になつて来る問題でありますが、この点は如何ともしがたいのでここでは触れておりませんが、ただ評価をいたします場合に、何らかの客観的な資料検討できるようにという強い御意見がございまして、町村段階作報資料を得て、それと照し合せて、そこですつかりきまつておる、上に行きましてから判つたり或いは殖やしたりということのないようにしろという御意見でございました。私どもそれができれば一番よろしいと思いまして、統計のほうにもいろいろ作業をお願いしたわけでありますが、「別紙1」に詳しく出ておりますような、町村段階で何らか利用し得る統計を得ようといたしますと、厖大な人員と金がかかりますし、又その統計精度そのものにつきましても、統計自体としてはいいものができましても、それを共済のほうの一筆被害の査定に使うということになりますと、若干の大きなギヤツプが出まして、非常に高い低いという点に難点があるわけであります。いろいろここに集めて議論をしてみますと、現状におきましては、せいぜい郡段階資料は或る程度信頼の置けるものが、これに使つてもそう間違いのないものができるというお話が出ておるわけであります。従いまして、この場合に補償制度のほうといたしましては、そういうような客観資料が得られる一番下の段階のところに末端での組合評価決定がなされるところと一致させるというようなことが必要じやないだろうかという点、これを検討してみたわけでございます。これによりまして末端団体区域といつたものも、勿論これだけによつてきめるのは妥当ではないと思いますが、一つ目途が出て来るわけでございます。町村段階のままにしておくか、市町村のところに持つて行くか、郡単位組合にするかといつた問題の判定の一つの根拠にもなつて来ようというわけでございます。  3は、共済団体、主として末端団体区域の問題でございます。「a現状では農業共済組合経営規模が小さく運営面に困難がある組合が多く、これの適正規模への引上げについては強い要請がある。」、「bこの場合それを何処に求めるかについては、合併後の市町村、郡又は市といつた区域考えられるが、経営合理化職員の身分安定、事務能率化という見地からは郡又は市単位が優れている上に、損害評価を郡又は市単位統計数字に依つて最後決定とすることにすれば、組合段階損害評価がフアイナルとなり、損害評価に伴う制度運用上の難点を解消することが可能となる。」、「c反面組合区域を郡又は市とすることについては、それが農民の自主的集団を超えていること、他の一般行政単位との不一致による末端行政総合化阻害要因となることの問題が残る。したがつて組合区域を郡又は市とする場合には末端町村又は農協との関係等について何等かの調整措置が必要となる。」、「d郡又は市の単位とすると農家との人格的結合が稀薄化するから、この点の調整には部落組織の活用が考えられ、これを事業設計の中に組み入れるため、引受単位共済金額部落別選択掛金率部落別決定が必要となる。同時にこの部落までの個別化によつて現行制度が「共済」に依つて生んでいる難点の多くの緩和を期待できる。(共済金額選択等個人とすることは極めて望ましいことであるが、現状事務処理能力をもつては実施困難である。)これは末端組合単位をどうするかという問題でございますが、現状は御承知通り、現在の市町村区域原則として置いておるわけでございまして、実情を申し上げますと、大体七割から八割までが協同組合一緒なんであります。事務所も一緒になつておりますし、組合長も兼務という場合が多いわけでございます。その他若干のパーセントがございますが、町村長が兼務しておる、或いは町村の中に職場をおいておるといつたものがございます。独立の組合は極めて少いわけでございます。こういう実情でございますが、aに書きましたように、現在の経営規模でございますと、勿論危険の分散という意味も殆んど持ちませんし、又運営面から申しましても、二名の職員を以てこの仕事をやつておりますので、実際問題として、この複雑な仕事末端組合仕事も二名の職員のところで、その能力によつて実際上限界に来てしまうのでございます。事実末端のいろいろの実情を調べてみますと、非常に事務もこなせてない、或いは組合単位事業が停頓しているといつた事実も出ているので、これは何らかの処置が必要ですが、そういう点から少くとも現在の規模ではまずい、そこでbのように新市町村区域に併せて行つたらよいという考え方と、思い切つて郡単位或いは郡、市の単位というものを考えてみたらどうか、こういつたような御議論がいろいろの角度からなされたわけでございます。実情を申上げますと、末端職員の最近の状況を見ますと、年に約二、三割交替するということでございまして、給与も非常にまずい、又仕事が非常に複雑でございまして、損害評価関連して板挾みになるということから、なかなか安定しない、始終変つてしまうわけでございまして、こういうことではこの仕事としても非常に困りますので、何らかの組合単位というものも明確な形にしたいという問題と、いずれにいたしましても、損害評価組合単位できめておりますので、きめる場合にここできめるという段階に何らか参照のとき客観的な資料があるという点が望ましいという点から申しますと、郡単位に客観的な作報資料が出る、それとの関連で総額を決定するというような方法がとり得るならば、そこを損害評価最終段階といたしまして、それと末端組合を一致させるというような点、これが一つの大きなポイントになると思うわけでございます。そういうふうな点が非常に論議されまして、ここに掲げましたような末端組合の問題、ここに問題を集中して見たわけでございます。又同時に現在御承知通り掛金の率にいたしましても、或いは共済金額、つまりやられました場合にどのくらいもらうかという金をきめるのも、全部村単位で大体きめておるわけでございます、ところが村の単位ではその中の個々部落の相違、殊に個々個人農家関係というものが村単位に平均化されてしまいます結果、いろいろな御不満がございますので、何とかこの機会にもう少し個々農家にまで制度内容が具体的に結びつきますようにして参りたい、例えば共済金額をどこまで個人に選ばせるかどうかといつたような問題、或いは掛金の率にいたしましても村一本できめないで、できるならば村の中でも部落によつて違いますので、部落まで下ろして見たらどうだろうか、こういうふうな点、これが検討一つの要素になつて来ておるわけでございます。  それから第四の問題は、災害填補の体系でございますが、「この点については1通常災害異常災害について補償方式を変えるかどうか、2その場合通常災害異常災害を如何に分離するか、3補償について個人間、地域間の均衡をどのように考えるか、4掛金の国庫と農家負担割合を如何に調整するか等の点が残つているが、現実的には補償内容の充実、農家負担軽減国家財政との調整等の点から上述の諸点を吟味の上結論を得る必要がある。」、別紙2といたしまして資料が載せてございますが、ここへこう抽象的に掲げましたのは、御承知通り衆議院のほうにおきまして、補償保険とに分けてしまへという御議論が出ておりまして、そういうものが前提になりまして全体系ができているわけでございます。ここに通常とか、異常とか書いてございますが、大体通常と申しますのは、県単位に危険の分散のできる程度災害とお考えになつて頂ければいいと思います。そういうようなものは団体がみずから保険しよう。それでそういう県単位で危険の分散ができないような災害は、ここで申します異常災害でございますが、それは現在政府が再保険特別会計で再保険しているわけでございますが、こういうようなものは全部国の補償という形をとつてしまへという建前を通しまして衆議院案はできておりますので、補償保険を切離すという問題が出ているわけでございますが、これはいろいろ数字的に検討し、又理論的に検討して見ますと、なかなか明確に分けにくいのでございます。又仮に補償というような問題を正面切つて出しました場合には、いろいろな法律問題も出て参りますので、これについては随分議論をしたのでございますが、どうも割切れないままに一応数字的にどういうことになるか検討して見ようという程度作業しかまだできておらないわけでございます。ただこれを若し割切るといたしますと、1、2、3、4と掲げました問題につきまして、一々一応結論を得ないとならんという問題も出て来たわけでございます。  それから次が防災事業関係でございますが、これは衆議院の案のほうに防災事業共済にやらしたらどうか、勿論薬品とか、その他の取扱は協同組合でなさるわけでございますが、実際の防災活動というものは共済団体で一元化したらどうか、丁度これは問題の任意共済との関連におきましてそういう論議が出ておつたわけでございますが、これにつきましては「共済団体の行う防災活動自体の性格の検討。」という問題と、「行政庁の行う「防除計画」及び補助金との関連。」といつたような問題を検討したいということになつております。  それから6の任意共済のことにつきましては、建物共済については、別紙3にいろいろ一元化との関連におきまして問題になる事項を出しておつたわけでございますが、これをここに掲げまして、別紙のほうに移したわけでございます。  以上申上げましたのは問題点の大略でございまして、これにつきまして第三回の委員会で一応大体みんなの最大の公約数と申しますか、御意見のまとまつたところを整理して見ようじやないかということでお話いたしましたものが、この一枚刷の「第三回会議まで」という一枚に出ておりますものでございます。これを申上げますと、Aといたしまして「一応結論を得た事項」といたしまして、農作物共済につきましては、引受につきましてはさつき申上げましたような問題がございますが、一応この段階としては一筆石建で行こう、容量建で行こう、現在の反当というような考え方をやめまして一筆容量建できめて行こう、つまり何石とれる、何石補償してくれというような行き方にしようということでございます。勿論この場合農家単位の問題を結論をつけちやつたわけではございませんで、これはこれですでに実験に入つておりますが、まだ結論は得られないから実験は並行してやつて行くという考え方でございます。  次の共済金額、即ちやられた場合にどのくらいもらうかという問題でございますが、これは現在は村単位にきめておるわけでございます。村単位に例えば二石以上の村であれば幾らというふうにきめておるわけであります。これを村単位ではなくて石当りに定めまして、共済に付する額は農家ごとに四段階の選択制をとろう、つまりやられた場合にどのくらいもらうかということにつきましては、ここにちよつと例が書いてございますが、10、7、5、3というようなことで農家ごとにきめる。自分の田はしよつちゆうやられるから掛金は勿論高くなるけれども、やられた場合に相当フルに金が来ないと困るというかたはこの10を選ぶわけであります。逆に自分は殆んど災害を受けないというようなかたは、やられる機会も少いし、やられても大したことがないという場合には、例えば一番下の3というものを選ぶ。勿論それに従つて掛金も安くなるわけでございます。その代りやられたときは、本来もらえるものの十分の三しかもらえない。掛金とのバランスによりましてそういうことになるわけでございます。そういうことを農家別に選択してみようという点、これはやかましく申しますと、一筆ごとにきめなきやならんのでございますが、そういうことでなしに一応農家単位に、農家ごとにきめるこれは現状との違いは、現在は村ごとに誰もかも一応村単位幾らときめておりますので、もつと農家との結びつきをはつきりいたします点を重点におきまして、農家ごとにきめるというふうにしようじやないかということであります。  それから次が掛金の率でございますが、これも現状は村までしかきまつておりません。村ごとに変えておるわけでございますが、それじやまずいので部落まで下してきめよう。この部落とは何ぞやということになりますが、これは現実面じやございませんで、村どまりになつておりますものを、村の中で災害の様相に応じましてもう少し細かに割つてみよう、その一応の考え方といたしまして、例えば部落ごとというようなものも考えられるという意味でございます。ただこれはあとで研究してみますと、なかなか部落ごとに個別に乗率をきめるということは困難でございまして、むしろ個人に割つてしまつたほうがやりいいのじやないかといつたような問題が出ております。  それから損害評価でございますが、いろいろ議論がございましたが、一応郡段階数字がせいぜいのところだろう、町村までということは現段階ではむずかしかろうということから、とにかく郡段階において統計調査部調査を整備する、それを利用いたしまして、末端から参りました損害評価を策定いたします場合に郡段階でもうおしまい、それ以上でいじるようなことのないような、そこで済ませるような方法をとりたいというところに大体の御意見が一致したように考えます。  それから次の共済団体区域でございますが、末端区域につきましては、これもいろいろ議論がございましたが、一応損害評価との関連とか、職員の身分保障とか、そういつたような問題をいろいろ考えまして、区域としては郡又は市とすることが適当じやないだろうかというところに大多数の御意見が出たわけでございますが、少数意見といたしまして、これはとても実際問題としては運用困難である、むしろ新市町村区域と一致させるようなことがいいのじやないかというような御意見もございまして、そういう意見もあるので、そういう意見も含んでもう少し検討したらどうだろうかということで、大多数の御意見は大体都市ということになつておりますが、更に検討を残しておるわけでございます。  それからもう一つの問題は、現在は末端組合につきまして一割の共済責任というものを持たしておりますが、これは実は有名無実でございまして、保険設計から申しましても、その一割が完全に果し得るものとは理論的にも言えないのであります。而もそれがありますためにいろいろな弊害を生じますので、むしろはつきり末端組合には共済責任は持たせないで、全額を上に保険するということにしたほうがいいのじやないかという御意見、これも大多数の御意見がここに集中いたしたようでございまして、それから公的色彩を強化する、これは当然のことでございますがこれについての具体案が政府からたくさん出ておりますので、そういつたような方向で考えたらよかろう、これは一応結論を得た事項でございまして、そのほかにもう少しぼやつとした問題といたしまして論議になりましたのはBでございまして、損害填補の限度、つまり現在の三割以上の被害ということになつておりますが、それを二割まで下げて見たらどうか、二割以上の被害は見るということにしたらどうかという御意見も出たわけでございますが、これはまあ評価の技術士の問題と、補償すべき必要性ということから相当問題点がございますので、もう少し検討してみようということでございます。フアイナルな意見にはなつておりません。それから損害評価について書いてございますが、これは極く技術的なことで、末端統計調査部の細部の資料まで使うかどうかというような問題が残つたのでございます。それから中央の問題があるわけでございまして、現在中央にいろいろ共済基金でありますとか、共済協会といつたようなものがございまして、或いは保険特別会計といつたようなものをもつと単純化しようというような御意見が出ておつたのでございますが、中央の問題につきましては、実はいろいろ他の問題とも関連いたしますので、相当むずかしい問題なのでございますが、今までの論議の過程では、主として本当の末端問題に非常に問題があるということで、末端問題に問題を集中いたしましたので、比較的中央の問題については余りまだデイスカツシヨンする間ができておらないわけでございますが、そういうことで、これもまだ留保という形で結論を出しておらないのでございます。  それから今日まで一応資料その他にお出しいたしましたけれども、まだ本格的に議論は全然していないものの中に例の任意共済の問題がございます。建物共済をどうすべきかという問題、それから別に菜種とか大豆なんかの取扱い、そういつた問題をどうするか。又共済団体の行う防除の問題をどうするかという問題、それから蚕繭共済について、衆議院のほうにおきましては、桑葉共済にしたらどうかという御意見もございますが、これもまだ全然十分に議論はいたしておりませんが、家畜共済、それから連合会の不足金の問題、こういつた幾つかの問題がございます。これは今日までの段階ではこれに関する資料の御要求がございまして、資料は提供しておるわけでございますが、協議会といたしまして、まだ必ずしもこれについての論議はいたしていないわけでございます。  極く大体の今までの経過を申上げますと以上のようなことでございまして、これまでの関係整理いたしまして、更に三十年度の予算の問題も迫つておりますし、今月の二十日過ぎにこれらの問題を更に整理いたしまして、大さな相当長い見通しの問題と、当面の問題と、すぐ準備すべき問題というふうに仕分けまして、第四回の会議を持ちたいと考えておるわけであります。今日までずつと協議会議論をして参つた場合にいつも問題になりました点は、この統計調査部との関連なのでございますが、これの具体的の郡段階で仮に査定を最終的にやつてしまうというような場合の細かい事務の打合せの問題も実は残つておりまして、又このAの中で一応結論を得た事項という中にも、論理的な考えでこうなりましても、実際運用いたします場合にできるかどうかという問題、事務的に相当細かく当つてみないとわからない問題がございますので、丁度三回目の会議が終りましたあと暫らく時間を頂きまして、現在役所といたしましては、こういつた事項末端が的確に処理し得るかどうか、又これに手をつける時期の問題、いつからどういつた恰好でやるかどうかというようなことにつきまして、多少時間を頂きまして詳細に当つておるわけでありまして、そういつた問題を含めまして、第四回の会議によつて中間的な結論を得て作業にかかりたいというように考えておるわけでございます。  大体以上のような傾向になつております。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の中間報告関連いたしまして御質疑がありますれば御発言を頂きます。
  5. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今までの取りまとまつた結論的なものではありますが、重要な事柄であつて、このままにしてはどうかと思うような節もありますので、一応保険課長としての考え方について私はお聞きしたいと思います。  先ず、共済団体の問題が郡又は市とかいうような結論に到達したというのでありますが、そういうことになりますると、先ず、未だ論議していない事項であります任意共済の建物の問題或いは共済団体の行う防除とか、或いは家畜共済とか、いろいろ論議されておらんのでありますが、これらの事務分量というものを勘案してみた場合に、私は第十九国会において改正法律案が通つた。あの協同組合の一部改正法律案のうち、この法律案を通すときにも私らは議員提出議案ではありましたが、同じ農民の団体でありながら、共済団体と農業協同組合法による協同組合団体とが相剋摩擦をするようなことであつてはならない。農林省としてもはつきり何とかこの線についても十分線を引いて、将来禍根を残さんようにして欲しいということを言つておいたのであります。元来が任意共済というようなものはかなりの事務分量があるわけであります。今郡市単位協同組合にして町村組合組織をなおするというような片輪者になつてしまつた場合において、成るほど職員だけは或る程度置くかも知れませんが、末端における町村の役員というものは各部落ごとに散在しておるわけです。従つてこれらの人たちが、早く言えばかなりの役割を果して共済事業というものと、或いは協同組合とのいろいろな関係調整されて農村における一つの運営が行われておる。単にこの法律だけによつて運営されておるのではない、これはもう農村生活をしておるものには十分によくわかつておるわけです。これもまだ任意共済等の、いろいろな人たちの行わない、論議されていないものを研究しないでおいて、ここで共済団体というものを郡市にしてしまうということは、これは私は共済組合の農民から喜ばれるような制度、それから又農民に喜ばれる農業災害補償法にしてもらいたいという我々の念願というものとかなりかけ離れた線に行つてしまうのではないかと心配するものですが、先ず第一に、保険課長として、この農業協同組合法による共済事業というものと、農業災害補償法による任意共済の問題とどういうふうにして行くつもりであるか。これはもう農業協同組合のほうに任してしまうというような考えの下に末端組合というものの事務分量というものを、こういうふうな組織外にするということであるかどうかを先ず第一にお尋ねしたいと思います。
  6. 久宗高

    説明員久宗高君) 事務分量の問題、任意共済お話も出たのでありますが、この任意共済についての関係協同組合関係の修正がございましたのですが、これは現行制度といたしましては、監督の規定が欠けておりますので変えたものと了解しておるわけであります。従いまして、根本的に申上げれば、結局任意共済の問題はここで留保になつておりますけれども、やはり農業災害と申しますか、特に風水害関係の問題をどう取扱うかといつたような問題がやはり一つの大きな論点になるだろうというふうに思うわけであります。これにつきましては、どう処理すべきかという問題につきましては、この別紙の三のところに非常に困難な問題でございますので、その後仮に一元化という問題が出ておりますので、それに伴つて行政的に処理いたそうといたしますと、どういう法律問題が起るか、又どういう経済問題が起るかという問題を詳細に書いてございますので、これをお読み下されば御了解願えるものと思つております。ただ事務の分量の問題につきましては、勿論郡市の組合と申しますと、非常に現在の町村から離れて飛び上るというふうに当然お考えになると思いまして、そういう意味共済関係団体におきましても、この問題を非常にやかましく論議しているわけでございますが、考え方といたしましては、農民から離してしまうということではなくて、さつきもちよつと申しましたように、現状組合末端の二名の職員、而もそれも給与も極めて不安定な、身分関係の非常に不安定な形で、而も厖大な事務にそこで関係しなければならんということはまずいのではないか、もう少し事務単位としましても人数を揃えまして、仮に机上の処理で済ませるものはまとめて処理してしまうとか、もつと農家にタツチできるような時間的余裕なり身分の安定、そういつたようなことも具体的に考えてみたいということが相当大きな骨子になりまして、郡市の問題を出しておるわけでございます。又結局現在の運営にいたしましても、結局部落の代表のところにいろんなことをお願いして、その上に乗つかつて仕事をしておるわけでございますが、そういつた関係をもう少し制度的にはつきりしたらどうだろうかということも考慮に入れて、郡市の問題を出しておるわけでございますが、これも結局事務費をどの程度国がどういう形で見るかといつたような具体的問題と関連いたしますので、こういつた条件を全部揃えてみました上で、又補償内容もきまつたところで、おのずからきまつて参るものと思うのでございます。お説の通り、やはりこの段階で割切つてしまうべきではないというふうに私は考えております。
  7. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この建物共済についても甚だどうも明確な答弁ではありませんが、併しこれはまだ法律として出たわけでございませんから、私は強く云々する必要もございませんが、この一筆石建とする、これは至極我々として希望するところであります。又農家の希望によつて段階共済金額を定める、これも極めて妥当なやり方であると私は考えます。ところが現在のように、一市町村区域に一律の共済金額掛金率でありまするから事務分量は極めて簡単なんです。ところが今度は一農家の希望によつてことごとく掛金も迷えば共済金額も違う、そうして石建とすることでありますから非常に複雑になるわけです。従つて事務分量というものは非常に複雑化を来たして来て、こういうことが農村の部落というても、部落の人たちに任せると言つたところで、それは部落の人たちは皆今日は細分化されて、一家の主人公であつても何でも毎日出て十二時間なり、十四時間の過激な労働をした人がこういうことをするということはとてもできるものではない。従つて非常に農家としては希望に副うことでありますが、一面においては事務分量は専門的な人が相当おらなければ実際にはできないというにもかかわらず、これを町村段階は、まあ早い話がコストが高くなつて、実際に保険金をもらう場合には極めて僅かな金額しかくれないから、事務費に莫大な費用がかかつて来て困る、こういう面を緩和するという面から見ると、これは事務費がより以上にかかつて来るということになるわけです。私は郡段階にするというても、現行市町村合併の現状は、栃木県のごときは、河内郡なんというものは殆んど北と南にもう十里も離れたところに飛び離れて僅かに残つておる。足利郡のごときも、これ又足利市を中心に合併され、北と南に分離されておる。どういう連繋もなくなつてしまうというような現状でありますから、将来の地方事務所というようなものは、各郡の地方事務所や或いは郡というものの行政区域というものを、これは相当考えなければならないであろうと私は考えておるのです。そういうようなところに郡市を単位としてやるというような基本的な考え方をまとめて行くということは、現実の共済の実際を担当しておる人たちの目から見た場合においては、これはもう妥当性を欠く、実際には困る。非常に農民としての希望の線に沿つては来たが、事務分量においては相当に殖えて来たにもかかわらず、これを郡市に一括してそうして広汎な地域の管理をする。而も職員は僅かな人である。そうして役員というものが今までは一カ村に少くも二十数名の役員がおり、総代が又三十五名以上の総代が各村にばら撒かれて、各部落にまでばら撒かれておる。そこで事務というものを、僅かな人間でも、いろいろ頼んで、総代だからとか、或いは役員だからこれはやつて下さいというようなことで、事務というものは何か始末をつけ加えて来たのであるが、そういうものがいなくなつてしまう。それで果してやれるかどうかということを私は甚だ危惧の念を抱かざるを得ない。それで保険課長としてはこういうことを是認しておるのかどうか、一つ心境をお尋ねしておきたい。
  8. 久宗高

    説明員久宗高君) 御指導のような点は確かにあるわけでございまして、その点は先ほども申上げましたように、ここまでの問題の整理のあとで、もう少し厳密にやれるかどうかの問題を当つてみたいということで時間的の余裕を頂いておるわけでございます。ただ事務的に処理できるかどうかという問題につきましては、これは共済団体の内部におきましても、連合会のかたの意見或いは支部の関係のかたの意見末端の役員のかたの意見職員のかたの意見、それぞれ皆違うわけでございまして、それぞれ又御尤もな点があるわけでございますが、ただここで考えておりますのは、勿論制度内容が更に末端に伸びて参りますので、実際の実務は確かに殖えるわけでございますが、一方現状考えました場合に、まあ村単位のいろいろな施策になつております結果、残念でございますが、農家の人の関心が非常に組合運営についても薄いわけでございます。それを共済金額を個別に御選択願うといつたような形で個々農家との結び付を考えて行くことによりまして、今までの消極的な、組合に対する組合員の援助と申しますか、或いは場合によつては抵抗まで出ておるところがあるわけでございますが、そういつた問題を質的に解決することによりまして、もう少し違つた事務の協力関係というものもできて来るのではないかというように考えております。もう一つは、二名という問題で限定されまして、それが一切合財やらなければならんという問題を、もう少し事務組織のある、又分担もはつきりいたしました恰好で、而も現状におきましては全く組合事務所で事務に忙殺されまして釘付けにされておつたのが、もつと部落なり、農家の庭先まで入つていろいろ御指導するといつたような形も考え得ると思いますので、そういつた問題も織り込みまして考えてみたいと思つておるわけでございます。ただ御指摘のような点が全然不安なしと言えないのでございます。当然そういう問題もございますので、それも含めまして検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  9. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この共済掛金率政府農家割合、それから現在は三割二、三分の補償しか政府はしておりませんが、これを五割まで引上げた場合において、どのくらいな金額政府負担となりますか、それから農家政府掛金率の改訂をする必要が私はあると思うのでありますが、それについてはどういうふうに論議されましたか、お伺いいたします。
  10. 久宗高

    説明員久宗高君) 実はその点が一番困りまして、いろいろな前提を置かないと数字作業ができないので、第一回、第二回の会議におきましては数字は申上げなかつたのでありますが、とにかく骨子だけでもいいから大体の見当を立ててみろというお話がございまして、一応いろいろの推定を加えまして、例えば農家が選択した場合どの程度のところを選択するだろうかといつたような極めて困難な問題もあるわけでございます。そういつたことを全部織り込みまして一応数字にしましたものが、別紙2というので参考に差上げてあるわけでございます。これの中にいろいろなケースがございまして、例えば今石建にして七割まで補償するかどうかといつたような問題もあるわけでございますし、又二割で切るか、三割以上にするかといつたような問題もございますが、一応そういうふうな推定を置きまして、あらゆるケースを一応数字に現わしたものが、この二枚刷りの中に出ておるわけでございます。これをさつと御覧になりましても、現状の国庫負担なり、農家負担を相当大幅に上廻りますので、その点この数字を御覧になつて協議会でももう少し検討しようということで、今この数字を縦、横に更に詳細に整理いたしまして検討しておるわけでございます。まあ概略申しますと、相当大幅に国庫負担、更に農家負担の増ということを織り込みませんと、例えば最高七割とか、或いは実損害の補償をするといつたようなことは相当困難じやないだろうか、この石建にすること自体でも相当大幅に違つて来るわけであります。そういう点もございますので、今その点につきましてはまだ結論が得られておらないのが実情でございます。
  11. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それは何ですか、すつかり計算はできておるのですか、ここへ出ておるのは計算したやつですか。
  12. 久宗高

    説明員久宗高君) 具体的な、村から、下からずつと積上げたものは勿論できないわけでございます。大体平均的にこの程度を選ぶだろうといつたような推定によりまして、全国の客観的な数字を推定いたしましたものをここに掲げておるわけであります。これ以上の作業は実は実施しませんと出ないわけでありますので、ただこれでいろいろなケースをもつと詳細に当つてみるという作業だけしかできないわけであります。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 第三回会議までの経過の説明を伺つたのですが、このうち一応の結論を得たということで報告されておるうちに、共済団体は郡又は市とする、こういうことが結論付けられておりますけれども、これは私はこういうふうに簡単に結論付けることは、現実に対する調査がまだ私は少し足りないのじやないかという感じがいたします。それは具体的に申しますと、例えば合併による新らしい市町村共済の実態というものを調べて御覧になると、ここいらの現実的な一つ目途がつくと思う。これは机上ではいろいろなことが言われますけれども、実際この共済事務を円滑に運営して、そうしてここで掲げておるように経営合理化をして、而も事務能率化するということは、なかなかこれは簡単なことではないと思う。で、持に郡市単位にするということに、こういうように大きな飛躍をして来ますと、先ほどの佐藤委員からも意見があつたように、町村という行政単位或いは農協という経済組織との関連において、今までの共済プロパーの不足がかなり大きく補われておつたのですが、この点の結び付きというものが、これは分断をされるという一つ組織から起つて来るマイナスがあると思う。ですからこの調整をどういうふうにして行くかということも、これは非常に大きな事務運営上の問題になつて来ると思う。で、ここいらが現実の問題として私非常に大事な心づかいを要する点ではないかと思うのですが、これについて一番判断をする参考の資料としては、合併後の新町村共済組合というものの現状を少し代表的に調べて御覧になると、或る程度の見通しがつくのではないか。私も一、二の事例を知つています。例えばそのうちのこれは私の所属する市ですけれども、これは一町七カ村で新らしい市が形成されて、そうしてそれを区域とする共済組合というものができたのですが、何か実際の運営は非常に形の上ではよさそうに見えるけれども、実際の運営面ではなかなかむずかしさが起つております。例えば損害の評価とか、掛金の徴収だとか、こういう極めて現実の問題になつて来ると、やはりどうも一つのユニツトというものがあると思うのですね。ですから画一的に郡又は市を最終の単位とするというふうな結論をつける前に、もう少しやはりそういつた新らしい町村合併後の共済組合運営に対する実例等を一つ仔細に調べて頂いて、それによつて一つ適正規模というか、そういつたこれから改正して行こうとする一つ適正規模への判断をされても、私は決して遅くないと思う。ですからこの点についてはなお一応の第三回まで結論が得られたと、こう言つておりますが、特に末端組合区域の問題というものは、及ぼすところが非常に大きい問題であります。共済事業運営へのこれは私はやはり一つのポイントだと思うのです。もう少しこれは十分検討して、それから最も適当とする方法をきめられるほうが将来のために私は過ちがないと考えるのですが、この点についての更に現実的な調査研究を私は要望しておきます。
  14. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今問題になつております農業災害補償制度改正については一応中間報告を伺つたのでありますが、この問題は極めて困難な問題でありまするし、極めて重要な問題であります。当委員会におきましても、先に特に小委員会を設けまして検討をいたしまして得ました結論農林大臣に通達して善処を求め、政府におけるこれが取扱いについては重大な関心を払つているところであります。今回の中間報告については今日初めて伺つたことでもあり、且つ時間の制約もあつて十分に審議を尽すことができませんのでありまするし、まだ重要な幾多の問題が残されております今日は一応伺い置くという程度でありまして、十分な審議は更に後日に譲ることにいたしたらと存じますが、先刻までの質疑にもありました通り、例えば単位組合区域の取扱い等につきましても、すでにいろいろな批判が起つているようでもありますので、政府におきましても一段と慎重に研究をいたされまして、速かに適当な結論を得られることを希望いたしておきます。  本件は今日はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、本件の取扱いは更に後日に譲ることにいたします。   —————————————
  16. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、玉糸価格安定の件を議題にいたします。  本件は前回の委員会において御審議を願う予定でありましたが、時間の関係上延期されていたのであります。この件につきましては、当委員会におきましてすでに数回に亘つて問題となり、政庁の善処を求め、農林当局においても極力努力せられ、過般の委員会における懇談の結果によつて更に作業が進められたようでありますので、本日は引続いて懇談によつてその後の状況について農林当局と話合をいたし、今後の措置について更に協議を願うことにいたしたいと存じますが、さような取計らいをいたすことにつきまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでありますので、懇談の形を以て本件の取扱いを進めて参りたいと思います。速記を中止して下さい。    午前十一時四十四分速記中止    —————・—————    午後零時三十八分速記開始
  18. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  只今議題になつております玉糸価格安定の件につきましては、先刻来懇談の形を通じまして農林当局が今日まで対処して来られました経過の御報告がございました。遺憾ながら当委員会決定が未だ実現を見ておらない、又見る具体的な方向にも進ででおらんということは非常に遺憾に存じますわけでありますが、昭和三十年度の予算との関連もあるわけでありますので、本件の取扱いにつきましては早急に取進めを必要と考えるのであります。つきましては、農林大臣に対しまして本件の取扱上強力に関係当局との折衝を取進められるような要請をすべきであり、更に必要に応じましては、先刻の懇談で明らかになりましたような諸点につきまして、財政関係当局にもその蒙を啓きまするような行動をも必要と考えますので、委員の皆様の中から適当なかたにお願いをいたしまして、農林当局、大蔵当局等との懇談の機会を得まして、本件の解決の歩を進めて参りたい。その経過に徴しまして更に正式委員会に取上げまして問題の解決を図るようにいたしないと思います。そういうふうな取運びにいたすことにいたしました。本日の審議はこの程度にいたしたいと思います。  ここで暫らく休憩をいたしまして、午後は一時四十分から再開をいたします。暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    —————・—————    午後二時十二分開会
  19. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を再開いたします。  先ず最初派遣議員調査報告の件を議題にいたします。台風第十五号の被害状況及び地盤沈下の実情調査のため、先般重政委員と私の二人が愛媛県に派遣せられましたので、只今からこれが調査の結果を重政委員を煩わしまして御報告することにいたします。
  20. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 只今議題となりました愛媛県における台風十五号による被害状況及び地盤沈下の実情に関する現地調査の結果についてその概要を御報告申上げます。  私と森委員長とは安楽城専門員を帯同して本月三日東京を出発、途中、江田委員の御勧奨もありましたので、この機会に国営児島湾干拓地の第六区における台風の被害状況調査し、更に帰途を利用して香川県における台風の被害状況及び老朽溜池の現況を調査して六日帰京することにいたしたのであります。極めて短期間のうちに主目的である愛媛県における調査は勿論、そのほかにも能う限り広く実情調査し、併せて被災者の慰問、激励に努めることにいたした次第であります。  日程は、四日に岡山駅長室において岡山県当局から児島湾干拓地台風被害の一般状況説明を聞き、直ちに児島湾干拓第六区及び第七区に赴き、台風十二号及び十五号の被害状況の現地調査を行い、五日は愛媛県庁において県当局から調査事項に関する一般情勢を聴取した後、道後地帯を経て田野村及び丹原町に至り、周桑郡を中心としていわゆる道前穀倉地帯の台風被害状況、続いて西条市禎瑞の地盤沈下状況、更に新居浜市及び土居町における堤防決壊による稲作被害及び地盤沈下の状況等を視察し、六日は香川県庁において県当局から台風十二号及び十五号の被害の一般状況説明を聞き、直ちに平池の老朽溜池の状況を視察したのであります。  先ず台風の被害について申上げますと、愛媛県等におきましては、六、七月の豪雨及び台風五号等の被害も少くはないようでありますが、併し特に問題となつておりますのは、九月十三、四日の台風十二号と、九月二十六日の台風十五号による被害でありまして、地域によつて趣きを異にしてはおりますが、台風十二号によつて相当荒されたところに、台風十五号によつて災害決定的、致命的なものとなされたといわれるようであります。  愛媛県におきましては、昭和二十九年、災害被害として六、七月豪雨による人的被害、死亡一名、重傷二名、家屋被害四千二百九十戸、物的被害十三億九千三百万円、台風五号による人的被害死亡五名、重傷一名、軽傷九名、家屋被害六千九十四戸、物的被害十億一千四百万円、台風十二号によるもの、人的被害死亡一名、行方不明三名、重傷十一名、軽傷六十四名、家屋被害四万三千七百七十一戸、物的被害八十億円余、台風十五号による人的被害死亡八名、行方不明五名、重傷六十名、軽傷二百八十七名、家屋被害四万三百戸物的被害八十五億二千五百万円、そのうち土木工作物十二億余円、耕地関係約二億二千万円、林務関係三千万円、農作物関係約三十四億円、畜産関係一千六百万円余、蚕糸関係約一千二百万円、水産関係約七億円、一般建築物約二十九億三千万円と報告されております。  香川県におきましては、台風十二号及び十五号について、水稲の減収約十九万八千石、約十九億三千万円、その他果樹約一億五千万円、特用作物約一億二千万円、蔬菜約三千三百万円の被害と伝えられております。又児島湾干拓三地区における台風被害は、岡山県の報告によれば、台風十一号によるもの家庭の被害住宅半壊十二戸、作業場全壊一戸、納屋の全壊、半壊、大破、計十戸、金額四十五万一千円、水稲の被害一万七千三百九十九石の減収、台風十五号によるもの家屋の被害、住宅全壊、半壊、計二十四戸、納屋全壊、半壊、計二十七戸、畜舎倉庫全壊十一戸、全額約九百七十万円余、水稲の被害二千九百万石と見込まれております。  以上の被害に関して、これを水稲について見ますと、水稲の品種別作付面積は、各地を通じて晩稲が大部分でありまして、総面積の九〇%、或いはそれ以上を占め、台風十二号のときは、晩稲はあたかも出穂開花の時期に当り、ために穂ズレの結果白穂を生じ、続いて台風十五号によつて倒伏を招きあまつさえ「うんか」の発生を伴い、更にフエン現象、潮風、高潮、これは地盤沈下によつて促進された傾向が多いようでございます。或いは堤防の決壊による海水の侵入等、いろいろな災害が、或いは単独に、或いは重なり合つて起り、誠に殴る蹴るの災害を受け、被害は以外に重大なものとなつたと言われております。かような災害に対処して、各地におきましては、これが救済及び復旧のため速かに適切な対策が確立されることが強く要望され、いろいろな事項について熱心な陳情が行われたのでございます。  而してこれら対策として陳情せられた事項は、去る十月二十二日当委員会から政府に中入れられました申入事項におおむね包括されているようでありますので、ここにこれを重複するの煩を避け、ひたすらこれら申入事項の貫徹を希う次第でありますが、今回現地において見聞する間に特に注意を引きました二、三の問題について感想を簡単に申上げたいと存じます。  第一は、本年度稲作に対する病害虫の防除に関する問題であります。今年の稲作は当初の天候が不順で、病害虫の異常な発生の兆が濃厚でありましたために、先に当委員会におきましても、これが防除対策の確立を政府に迫り、過般の閣議決定のような措置が講ぜられるに至つたのであります。然るに本年の稲作の病害虫の防除に対する農家の関心と努力は大いに高まつて、愛媛県においても少くも三回は農薬の撒布が実行され、顕著な成果があげられ、更に今回の災害に当つて重ねて薬剤の撒布が行われたと言われております。そうだといたしますと、先般政府がとつた措置による農薬に対する補助は、かかる農家の犠牲と努力に比べますと甚だ軽少なものでありまして、補助率などはぐつと下ることになるのであります。従いまして、病害虫の防除に対する国の補助は、先般の措置を以て事終れりとされることは許されないのでありまして、今回の台風の災害に対処して新らしい検討が加えられるべきであると考えられます。更に病害虫防除に対して、かような努力と犠牲が払われたこと、そしてかかる丹精の下に育成せられた稲が無残な災害を受けたことは、差当つては今回の災害対策として、進んでは今後の農業対策として、或いは米価対策として十分な考慮が払われなければならないと思うのであります。  第二は、災害復旧に対する国の補助についてであります。この問題については、すでにいろいろな問題が提供され、いろいろな批判が行われているのでありまして、これらの批判に対しては当局は十分に耳を傾け、是正すべきは率直に且つ速かにこれを是正しなければならないと考えられるのでありますが、特に復旧工事に当つて、徒らに原形復旧にとらわれることなく、補強改良工事について進歩的な考え方が持たるべきであると考えられるのであります。過去において構築せられた施設が災害を受け、これを単に原形に復旧せしめるだけでは、それは重ねて災害が約束されているようようなものであります。そこで最新の科学技術に照らして最も効果的な工事が施されることが必要であり、且つ望まれるところであります。然るに徒らに現行規定を盾にとり、或いは工事に素人である例えば財務当局のごときものの干渉や容喙によつて、いわゆる原形復旧に固執し、補強改良工事が軽視或いは抑制せられるがようなことについては大いに汚職を要することと考えられます。かような苦情はしばしば耳にすることでありまして、災害復旧工事の実施方法については十分な検討を加え、その改善を図り、速かにこれを最も妥当にして且つ効率的たらしめることの必要が痛感せられるのであります。これはあとに述べる地盤沈下の対応工事についても同様であると考えられます。  第三は、本年産米の品質とその規格についてであります。今回視察いたしました地方は、農林十八号のような晩生種の栽培地帯でありまして、かかる地帯では水稲の出穂開花期に台風十二号の厄を受け、開花を終つた頃台風十五号による風速三十五メートルを超える暴風によつて倒伏を来たし、毛状の見ばえ、特にホリドールを撒いたところは草出来が見事で毛状がよく見られるのでありますが、その見ばえにかかわらず、鎌入れを行い調製をいたしますと、死米や青米が多く、米の品質が甚だしく劣つているようでありまして、そもそもの不作によつて減収である上に品質の低下によつて合格米は更に一層減収するであろうと言われております。  私どもの視察いたしました愛媛県の田野村は道前穀倉地帯に位し、この地帯の米はかつては周米として声価が高かつたのでありますが、そこの一農家について見ますと、昨年の反収二石六斗に対し、本年は一石一斗二升三合で、このうち現在の規格による合格米は一石に満たないこととなるであろうと言われおります。籾摺歩合も平年は五五%くらいであるが、本年は四二%以下であると言つておりました。愛媛県では、出向いた当時未だ供出割当が下までおりておらなかつたのでありますが、供出割当の決定に当つて、かような品質の低下による減収が適正に見込まれていないならば、その割当は不可能を強いることになります。そこで供出割当に当つては、今までの行きがかりにとらわれることなく、かような実情に即応して十分な考慮を払つて、その適正が期せられなければならないのであります。そして政府が供出のどれだけでも多いことを望むならば、政府実情に即してみずから進んで六等級を設け、これを買上の対象としなければならないと思うのでございます。只今農村から六等級の設定が要請されているゆえんは、供出にできるだけ協力しようとする農家の悲願に由来するものであるというべきであることを当局は銘記して善処すべきであると考えられます。  第四は、救農土木事業についてでありますが、愛媛県において述べられたところによりますと、政府においては救農土木事業の対象地帯を北海道と東北地方のみに限定するように考えられていると仄聞いたしておるのでありますが、これはこれらの地方のみに限定せず、本県にも及ぼしてもらいたい。今回の政府災害対策は冷害対策に片寄り過ぎておるように見受けられるが、台風対策についても遺憾なきを期してもらいたいと要望せられていたことを申上げておきます。  第五は、児島湾干拓地に見ました被災開拓者の救済についてでありますが、この地方に参りまして、古い昔の干拓地の稲のできばえを見ますと、現在営々の努力が払われております今の干拓地も、やがてはこれら昔の干拓地に見るような豊かな稔りを収めることができるであろうことが現実を以て立証されているのであります。従つて今の干拓地開拓の育成に払われる努力の成果は確実に期待することができるものと考えられるのでございます。ところが今度の台風による干拓地の被害は予想外に甚大であると言われ、入植以来五カ年に亘りあらゆる悪条件を克服し、漸く本年の稲作に大きな期待が寄せられていた際でありますので、誠に遺憾に存ぜられます。先に当委員会におきましては、開拓地の復旧及び救済に対しては特に手厚い措置を講ずるように政府に対して申入れてあるのでありまして、その実現を期待しているわけでありますが、当面する問題は、被災者に対して食糧の補給を図り、且つ開拓地においては農業災害補償制度が適用せられていない現状においては、これに代るべき措置として、差当つては営農資金を特別緊急に融通すると共に、被災者に対して、昨年の災害の例にならつて、種子代、肥料代等の営農費に対して、できるだけ高率な国庫補助が要望せられ、又すでに借入れてあります開拓者営農資金についても、災害営農資金に準じてその償還期限の延長が要請せられております。更に開拓地について強く要請せられておりましたところは、海岸堤防の即時復旧及び補強と堤防管理の徹底についてであります。児島湾干拓地の海岸堤防の管理については、現在国の管理におかれているのではありますが、併し何らの予算的措置が講ぜられていないそうでありまして、然りとせば甚だしい手抜かりであると言わなければならないと考えます。  次に、地盤沈下について申上げます。地盤沈下の問題のいきさつにつきましては、各位のすでに御承知のことと存じますから、ここでその重複を避けることにいたしますが、その後この問題の推移は、これを愛媛県について見ますと、対策事業費として総額約十億五千万円を必要とするのに対して、昭和二十八年度までに施行済の事業費は約三億三千万円余でありまして、未だ約七億二千万円が未着工のまま残されているのであります。又これを香川県について見ますと、総事業費約四億二千万円余を必要とするそうでありまして、そのうち、昭和二十九年度までに完了或いは完了見込のもの約一億円、残り三億円が未着手のまま残され、そのうち緊急施行を要するものが約二億八千万円に達すると言われております。かような状態でありまして、これがため、毎年農作の不能或いは減収に伴う国の損失は、けだし少からざるものがあると考えられます。特に毎年台風時において異常な高潮の災害に脅かされておるのであります。かような事情に鑑みまして、これが改良工事の速かなる施行が切望せられております。  次に、この機会に老朽溜池のことについて一言申上げておきたいと存じます。この問題につきましては、過般の委員会におきまして、先に異常災害による稲作作況等の問題について、兵庫県に出張せられました佐藤、江田及び岸、お三人の委員からも報告せられたのでありますが、香川県におきましても、灌漑面積の七一%が溜池に依存しており、溜池の数は約一万九千カ所に達し、これら溜池は古くは数百年以前の築造にかかり、堤体が老朽し、漏水が甚だしく、決壊寸前にあるものが相当数に上つている状況であります。若し万が一にもこれが決壊するようなことがあれば、美田は一朝にして荒野に変ずるばかりでなく、これが附近に居住する人畜に及ぼす危険を思うとき、実に心胆を寒からしめるものがありまして、これが改良のため速かに確固たる措置が確立されることが切に要望されているのであります。  最後に、災害地の除塩作業について申上げます。昨二十八年の大災害においては、御承知通り政府災害復旧の一部として除塩作業を認め、主として近畿地方に施行いたしましたが、聞くところによれば、大蔵省は近畿地方を視察して、本年度、中、四国の災害についてはその必要を認めないとか聞き及びましたが、これは全く誤まれるも甚だしいもので、近畿地方は昨年は災害後たまたま降雨の連続でありまして、降雨のため除塩を或いは必要としない地区があつたかも知れません。併し瀬戸内海沿岸は日本で最も降雨量の少い地帯で、塩田の盛んなる状態を見ても了解でき得るところでございます。瀬戸内海沿岸災害地に除塩作業を認めないということは、全く素人の見解で、私どもはこれを是認することはできません。大蔵省は速かに過ちを改むべきであると強く要望せられております。  以上調査の概要を述べまして御報告といたします。なお、現地において提供を受けました資料は、別に取りまとめて回覧に付し、御高覧に供することにいたしましたから御覧をお願い申上げます。
  21. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは愛媛県を中心とする調査報告は以上といたしまして、次の問題に移ります。   —————————————
  22. 森八三一

    委員長(森八三一君) 昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を故正する法律案を議題といたします。  本法律案は、御承知のようないきさつによつて継続審査となつておるのでありまするが、この法律案の取扱方につきまして、前回の委員会において御協議を願い、その結果、本法律案内容は当初の趣旨に従つて、本年六月までの茨城県等における雹害及び北海道における凍霜害までに限定して、最近の国会の劈頭において修正議決することとし、その修正案の作成を委員長に一任せられましたので、只今お手元にお配りいたしておきましたように作成いたしましたので、本日は速記を止めて、懇談によつてこの正修案について御審議を願うことにいたしたいと存じます。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  23. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  それでは只今御懇談頂きました昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、以下朗読を申上げまするようなことに一応内定おきを願い最近の国会のとき、改めて本法律案委員会に付議して御審議を願い、修正議決を願うことにいたしたいと存じますので、さよう御了承置きを願います。    昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案   昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第一条の改正規定を次のように改める。   第一条中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に改める。   第二条第一項の改正規定を次のように改める。   第二条第一項中「四月及び五月」を「四月、五月及び六月」に、「同年五月」を「同年五月及び六月」に、同条第二項中「昭和二十九年九月三十日」を「昭和三十年一月三十一日」に改める。   本則に次の改正規定を加える。   第四条第一項中「四億五千万円」を「六億五千万円」に改める。   附則第二項中『「昭和二十九年四月、五月及び六月における凍霜害等被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法」に』の下に『、「昭和二十九年九月三十日」を「昭和三十年一月三十一日」に』を加える。
  24. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 勿論この案にかれこれ言うのじやないが、この案はこれでいいのですがね、ところが今この改正する修正案を内定するのは、これは金がきまつたから今内定しておくということです。我々は実際今度の議会のいろいろのことを観察すると、国家の災害の営農資金も実は早く内定してもらいたい。これを内定せんということは、当然金がきまらんから、まだ金がきまらんから今度の二十九年度の災害の分はまだそこまでに至らんということか。若しそうであつたら、これはいろいろのことを考えると速かにこれは内定してもらいたいのですが、どういうことですか。
  25. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  26. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。只今の重政委員会の御発言につきましては、明日、七月以降における台風を中心とする災害等に関連いたしましては十分御審議を願うことになつておりますので、その審議の経過に鑑みまして、更に御協議を願うことにいたしたいと思います。   —————————————
  27. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続きまして、江田委員から農林統計関係について発言の要求がございますので、この際御発言を頂きたいと思います。
  28. 江田三郎

    ○江田三郎君 本年の作況について、この前の委員会で私ちよつと質問しましたが、その後十月十五日現在の数字が出て来ました。なおこの数字を見まして私として納得が行きませんので若干質問いたしますが、統計調査部長は、統計調査統計調査で独自なものであつて、米の割当であるとか、或いは農業共済のほうとは関係がないようなことを言われるのですが、現実にはそうではなくて、やはりここへ出される数字がそれぞれ統計調査のほうで希望しておられようと、おられまいと各方面に使われて行くわけでして、この数字というものは現実的にも非常に大きな意味を持つておるわけです。そこでこの前あなたからお聞きしましたのは、例えば北海道の作況を見て来た、或いは自分の郷里のほうの作況を見た、ところがそういう現実に私どもが作況を見ると、これは素人であるし、見る範囲も限られておりますから、それが必ずしも私正しいとは思いませんけれども、少くとも私の見た範囲から判断するというと、九月十五日現在の統計調査数字というものは、これは過大に失しているということを申上げましたところが、いや、それはその後における被害があるわけで、減収の条件があるわけで、それを差引いて行くのだから、最終的には実際の収穫と一致するはずであるという御答弁がありましたが、どうもこの十五日現在の数字を見ますと、その点言われたこととは大分まだ違つて、私としては納得できかねるわけです。それで十月十五日というと大体北海道などは収穫が終つたと思うのですが、その後北海道が米について六〇%になるということは到底考えられないのですが、更に北海道は別にいたしましても、西日本のほうでも、只今も重政委員から愛媛の視察の報告がありましたが、これによつても台風によつて死米、青米が非常に多くて品質が低下しておる、籾摺り歩合は平均の五五%が四二%程度だといつておりますが、私どもが実際に西日本で村に入つてみても、これは農民自身がびつくりするほど鎌入れ不足を来たして、店箕にかけるというと籾が飛んでしまう。そういう条件があつて籾が飛んで行つて而もその残つたやつが籾摺り歩合が非常に悪いという問題が出て来ておるのですが、この報告は十月十五日ですから、その後においてまとまつた災害ということになれば、恐らく「うんか」ぐらいしかないと思うのです。そこでこれからまあ「うんか」を引いたものが実収ということになつて来るはずですが、そうすると、もう殆んどこれは「うんか」の害というものは、そう大きな問題じやございませんから、地域的にはまとまつた被害がありましても、全体とすれば、そう大きなものでなくて、この十月十五日現在というものが大体実収を現わしておると見なきやならんのですが、到底こういうような実収はあり得ないものとしか思えない。で、あなたのほうではこれについて本当に自信を持つておるかどうか。勿論自信のないものを発表したとはおつしやりますまいけれども、そういう点一つ統計調査部の御見解を承わりたいと思うのです。
  29. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 十月十五日の作況につきましては、たしかお手許に資料を差上げておるかと思いますが、その資料の十三頁から実は調査方法というものを御説明申上げておるのでございます。御存じのように、北から南に亘りまして、大分作業の進行には差異があるのでありますが、それらを通しまして、作況調査圃の調査と、それから標本筆の調査と、気象感応試験と、現地見廻り調査と、この四本の調査を実行いたしまして、それから結論的な数字を出しておるわけでございます。北海道の方面におきましては、すでに殆んど収穫が終つておりますので、標本筆の調査というものの実測が殆んど入つて来ておるというような実状でございます。その他の地域におきましては、まだ立毛状態でありますので、北海道における調査のように進んではおりませんけれども、その段階といたしましては、できるだけ精密に調べたわけでございます。それで、例えば作況調査圃におきましては、十月十五日現在の調査項目といたしまして、穗数、籾数、稔実級数、それから生穗重、こういうところまで調べております。早場地帯におきましては、更に一歩進みまして、乾燥籾重というものも入つておるわけでございます。それから標本筆につきましては、生穗重というところまで一般に参りませんけれども、北海道あたりにおきましては、殆んど最終的な段階まで進んでおるわけでございます。で、いろいろ御意見もありますけれども、私どもとしましては、その段階におきましてなし得る最善の方式をとつて努力したわけでありまして、その後の気象の変化というものが顕著でない限り、この数字につきましては十分自信を持つてお答えできると、かように思つておる次第でございます。なお北海道につきまして御指摘の点を申上げますと……。
  30. 江田三郎

    ○江田三郎君 北海道はあとでよろしい。あとでやりますから……。で十分自信があるということですが、まあ北海道のことは後廻しにして、私は自分が一番よく見た岡山のことについて聞きますが、この前私お尋ねしたのは、粒数というものに余り重きを置き過ぎて、台風によつてこれらの粒数というものが本当にどこまで実を結ぶか、完全に稔実するかということについて統計調査のほうの見方が甘かつたんじやないかということをお尋ねしたわけですが、それについてはあらゆる最高の知識を持つてつておるのだから間違いないのだと、こうおつしやつたわけです。併し現実に私らが田圃へ行つて見て、調製しているところを見ると明らかにあなた方の見方というものは違つたとしか思えない。そこで一体この十月十五日というと、十月の初旬の冷温という問題がありましたが、これはもうすでに十月十九日だから済んでいるわけです。そうすると、これから引くものはあと「うんか」の問題だけなのかどうかということです。「うんか」もまあここで若干出ておりますが、恐らく十月十五日以降に岡山あたりで減収になる条件といつたら「うんか」ぐらいしか私はないと思うのです。そこでそうするというと、ここへ百六十六万石というのが出ていますが、そこから何ぼ引いたところでたかが知れているわけですが、そういうことについてあなたのほうで今自信を持つておられるとおつしやいましたが、これから「うんか」だけ引いたもので実際にとれるという本当に確信がございますか。若しそれが非常な食違いを来たしたということになると、これは一つの責任問題になりますよ。そこで或いはそうでなくてこの九月十五日なり、十月十五日なりはまだ台風の被害を受けた籾が不完全なものが多い。その点について最初の見方が甘かつた。今後それが減るだろうという条件があるのなら、それなら別ですけれども、併しそれならそう確信を持つた、今のような答弁にはならんと思うのです。今のような確信を持つた答弁をせられるなら、百六十六万右から大体それ以降の「うんか」を引いたものでとまるという本当に確信がございますか。
  31. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) この最終の数字につきましては、十月十五日現在におきまして推計いたすのでありますから、若干の相違はできるかと思つております。その相違の主なるものといたしまして私ども考えておりますのは、ほぼ十月いつぱいにおきましては低温、なかんずく寡照、こういうものが相当影響して来ると思うのでありますが、この段階におきましてそれを十分織込むということはできないのでありまして、この段階におきまする数字として出しておるわけであります。かような意味におきまして私が先ほど申上げました、将来において絶対に狂いがないということを申上げたようでありますが、この点につきましては表現が誠に行過ぎであつたと思う次第でございます。
  32. 江田三郎

    ○江田三郎君 十月下旬の資料が出ていませんけれども、大体ここで中国については、広島等は気温と日照がグラフになつて出ているわけであります。而も十五日まではこれにもちやんと織込み済なんです。その後の日照とか、温度とか言つたつて、そう私は大したものではないと思う。その点は私の見るところでは、あなた方が台風を受けた籾の稔実というものを見誤つていると私はそう思う。現に重政さんのさつきの報告を聞いても、平年において籾摺り歩合が五五%あるのが今年は四二%しかないという愛媛の報告が出ている。これもどこまでの根拠かということになると議論がありますけれども、とにかく籾摺り歩合が非常に悪いことははつきりしている。その点から言つて、ここで五五から四二というと一三%違いますけれども、果して一三%違うかどうかということはもつと研究してみなければなりませんが、この一点でももう違つている。それから一体それまでに唐箕にかけてみて籾が飛んでしまうというものはどこへ行つても見られるのです。そういうものをあなたのほうでは、例えば岡山について言うと十二号と十五号の台風被害というものは十三万八千石、約十四万石と見ておられるのですね。約十四万石というと、県の全体の数字から言つて一割に足りませんが、今の籾摺り歩合だけでも違うのですよ。そうなつて飛んでいる。そのことからいうと大変なこれは違いになつて、これは十二号台風、十五号台風というものはそういう数字においてうんと違うと思う。それでもあなたのほうでは十二号台風、十五号台風というこの被害の出し方については自信がありますか。或いはそのときに稔実歩合について少し楽観に過ぎたという感じは今いたしておりませんか。私は議論はわかりませんが、併し村をずつと歩いて見て、各地を歩いて見て、一週間かかつて各地を自動車でずつと歩いて廻つて、至るところで調製しているところを現実に見た。私が見たところから言うと、あなたのほうではいろいろな統計調査方法について何やかやいろいろなむずかしいことをたくさん書いてありますけれども、そこまで人手を使つて精密なことは私はやりませんけれども、併し私個人の見た感じから言うと、明らかにあなたのほうのやり方が間違つているとしか思えない。
  33. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 稔実歩合につきましては、私どものほうといたしまして、作況調査につきましては、これは光を当てまして透視いたして判定いたしておりますので、この点についての狂いはないものと思つております。併しその稔実の内容の充実さというようなことになりますと、その後の気象によつて相当大きな影響を受けて来るわけでありまして、まあ唐箕で飛ぶものと残るものの区別につきましては間違いはないと思つております。なおそれらの点につきまして作報課長から一つ詳細に答えさせて頂きたいと思います。
  34. 江田三郎

    ○江田三郎君 まああなたのほうで唐箕で選り分けることをやつておられますけれども、ああいうやり方と現実に農家がやるやり方が違うということは御承知でしよう。あなたのほうでやるやり方でなしに、現実に農家が田圃の中でやつているあのやり方を見て御覧なさい。どれだけのものがこちらに飛んでしまつているか。実験室の答えでは駄目なんですからな。あなたは怪訝な顔をなさるかも知れませんけれども、併しどう考えても十月十五日以降の被害というものが大した数ではない。そうすると百六十六万右が出れば、恐らく何ぼ引いても六万石減ることはないと思う。そういう条件はないと思う。六万石も、その半分の三万石もこれ以上減るということはないと思う。理論的に言つてもないと思う。そういうあなた本当に確信があるのならば、若し最初数字が、百六十六万石から三万石引いたのではなしに、百六十万石台をずつと割つて、百五十万石にずつと近い数字が出たときにどういう責任を負いますか。今年こそ統計調査に対するむしろ旗を立てますよ。我々は今まで統計調査というものは本当になければならん制度だと思つて、むしろこの統計調査の存立、拡充のために主張して来ましたけれども、若し今あなたがこういうものを出されて、これが確信があるということを最後まで言い切るならば、今からはつきり申上げておきますよ、恐らく統計調査の生命を存立を決定付けられるような形になるでしよう。そこで今の課長の答えを聞きましよう。
  35. 原政司

    説明員(原政司君) 只今江田先生のお話になりました点でございますが、実は十月十五日以降の変化の予測につきましては非常にむずかしい点が多々ございます。申上げるまでもございませんが、例えて申しますると、昨年の東北地方の例をとりましても、何と申しますか、粒が充実いたしまして最終的な段階に近ずく間際、と言つては言葉が過ぎますけれども、かなり後期の段階におきまして非常に粒の充実と言いますか、期待以上の肥大を見たのでございまして、又そういうことは逆に申上げますというと、只今先生の御指摘の西日本につきましては、私らといたしましても十月以降の、特に十月上旬の低温もございますが、その以降におきましても必ずしも、条件は良好ではございません。さような情勢でございまするので、実収につきましては、やはり私らといたしましては末端調査を努めて綿密にやりまして、その結果によりまして改めて御報告をいたす、さようにさして頂きたいと思つております。私といたしましては、技術的に申上げましても、この粒の肥大と言いまするか、充実という点につきましては、只今の研究と言いますか、学問の技術水準を以ていたしましては、極めて的確に予測できるという段階には遺憾ながら到達いたしておりません。むしろやはり結果的にこれを把握するということに勢い重点が参りまするので、こうした十五日以降の変化につきましては、只今申上げましたように努めて厳正に、間違いのないように調査をいたしたのであります。
  36. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は農村を廻つたと言いましたが、廻つた中に要所々々およそ十人以上の作報職員に会つてその人たちに聞いてみた。その人たちの率直な発言からすると、自分たちの稔実に対する見方が甘かつたということをその諸君たちは言つておりました。併し一旦こういうものが出て来ると、私が虞れるのは、こういうデーターが一遍出ると、それにとらわれて本当のことが出にくいことになるのではないか。現地の諸君だつてそう見方が違つてつて、我々に個人的には言えましても、併し上のはうへ出す報告書ということになると、やはり辻褄が合わなければならん。そこで無理をするというようなことがありはしないかというようなことを考えるわけであります。それを心配するわけなんです。特に部長のさつきのような非常に確信ありげなことを本部のほうで考えておられるとすれば、その危険性は非常に多いわけです。勿論毎年あなた方の数字と農業委員会なり県の数字とが違うということは、又何故違うかということも想像できますけれども、今年の西日本の作況については、私は一つ今こういう数字を発表されたからといつて、それにとらわれないで本当の実態をつかむために最終の努力をしてもらいたいということを希望しておきます。北海道のことについても私は納得できませんけれども、これは北海道の石川さんなり、松浦さんなりおられますから、私は申しませんけれども、余り確信ありげなことばつかりはおつしやつて頂かんほうがいいと思うのです。
  37. 松浦定義

    ○松浦定義君 前回の御報告のときに私ちよつと指摘したのですが、実は北海道の割当と非常に関連があるということで指摘をされた。まだ十分なものではない。必ずしも割当と……この数字によつて割当というものは決定されていないのだ、いろいろな諸条件が入つてこれはやつておるというお話つたので、そのときに大体その割当から私が申上げましたことは、当時九月十五日現在で七十だ、併しその後において台風被害があつたので十六万石くらい減つておるのです。大体六四、五%くらいのところで割当がきまつておる。その代り三十五万石の義務供出に超過供出努力目標が十五万石入る、こういうお話であつたのです。ところが最近実際の面が出て参りましたので聞きますというと、供出の面におきましては当時三十五万石はどうしてもこれは受けられないということでいろいろやつた結果、最近のあれを聞きますと、二十八万石くらいで話合がつくようだということを私は聞いておるのです。そうしますと、今日の発表で見ますと六〇%と言いますから、大体その当時の七〇から六〇になるまでの間におきまして、最初約十六万石くらい減つて六四になる。その後又十三万石くらいの減収だということを実は聞いておる。そうしますと、それが六〇ということになれば数字の上で大体そういうことは考えられますけれども、実際のまあ現状で出て来る供出の面から見ますと、恐らく三十万石というものは受けられないというふうにまあ道側では言つておるということを聞いておるのですが、そういうふうに、どうもここの調査と現実に出て来る数字、而もその現実に出て来る数字というものは食糧庁なら食糧庁が当面これに対して了解を得ておる数字になると、こう思うのですが、こういう形で私はまあ食糧統計調査というものが進められますと、結果的にあとに残るのは、さつき申上げましたように、これに基いていろいろ冷害或いは災害に対する資金枠の獲得とか、或いは又その後に残る課税の面とか、そういうものだけは非常に不利な条件が残つてしまうということになるのですが、この六〇%というものは、今私が申上げましたように、先の十六万石の減収に更にまあ十三万石くらいの減収であるものか、そういう点はこういう数字でこの六〇%というものが出されたか、これを一応お伺いしたいのです。
  38. 原政司

    説明員(原政司君) 只今のお話でございますが、先ほど野田部長からも御説明申上げましたように、西日本と違いまして北海道は収穫の時期はずつと早うございますので、私らといたしまして、只今御指摘の北海道として六〇%という数字を出しました手続は、標本筆と申しますか、件意に無作為に抽出いたしました一事務所で申しますると、全国平均的に申しますると千四百くらいになるとお思いますが、そこにきまする刈取りをやり、刈取りましたものを一定の乾燥をいたし、それから一定の機械を以て調製をやつて参るわけでございますが、その調製、乾燥等につきましては、まだ今後の問題が残つておりますが、一応刈取りまして、その生の穗重を調査いたしまして、それから可能な限り実収高との間に狂いを見ないようにと考えまして、たくさんある標本筆のうちから更に無作為に若干の標本筆を抽出しまして、そこで乾燥をし、更に脱穀調製をいたしまして、その割合を以て全体からこれくらいの実収高になるだろうということを予測をいたしまして、只今申上げました六〇%という、道全体といたしましては六〇%という答えを出したわけでございます。
  39. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ先ほどから繰返してそういうお話ですが、この標本筆というものを十月十五日現在で一応刈り取りは完了したと、こういうお話なんです。それはまあ北海道は広いから平均よりも数も多いと思うのですが、それだけになかなか数字をまとめるにも相当苦慮はされておると思いますけれども、十月十五日と言いますと、私どもまあ江田委員が来られて廻つたのが十日、十一日です。そうすると、あと三日か四日ですつかり標本筆の刈取りが終つたということになりますと、一般農家ではところどころ何とか種子にほしいなあというところが刈取りに着手しておつただけでありまして、全然刈取りに着手していないという地区がたくさんあつたわけなんです。そういうときにその刈取りを完了された、而も今年はこの数字の中にもありますように、特に冷害の関係から十五日から二十日間くらいは遅れておる。普通ならば遅れておるというような時期に、すでにこの標本筆だけ刈取つてしまつたということから見ますと、やはり乾燥とか、いろいろな面について先ほど江田委員が指摘されたように相当無理な私は歩留りというか、調査方法が進められておるのじやないか、ただ標本筆のものだけが、そんなに進んでおるというものじやない、これは指定して部落の誰かを指定されておるのですから、試験場のあれとは違うのです。そういう意味外れそのものだけが十五日現在に刈取りを終つてしまつておるということは、どうもその特定な農家に指定をしてやつておる、その特定の農家の中の特定の圃場に対して一応そういう基準を出されたとしか考えられないので、そういうものでありますと、今までの行き方からして、やはりこれは相当優秀な農家が指定されておる。そういう農家については今までの過去の例もありますから、いろいろの面で協力的な立場をとつておりますから、相当そういう面につきましては、一般農家の標本として好ましくないような調査方法に応じているのではないかという嫌いが相当あると思う。こういうような年に、そういう標本筆だけが特に畸型なときに、例年と同じような完全な調査で行なつて自信のあるようなものがとれているかどうか、こういう点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  40. 原政司

    説明員(原政司君) 只今のお話でございますが、北海道といたしまして一番米どころと申しますか、作付面積のたくさんございます私のほうで申上げますと、札幌事務所につきましては、先ほど私が申上げました坪刈りをいたしましたというわけは、私の承知しておりますものは大体千三百七十筆くらいやつております。それから只今のお話にございましたが、特定の農家を選んでということでございますが、私のほうでは農家とは全く標本筆の抽出は無関係でございまして、要するに田圃が抽出の単位になるわけでございますから、特定な農家が選ばれ、そのほうの特定な田圃が当るというのとは実情は違つております点を御了承頂ければ有難いと思います。ただ先ほども申上げましたように、千三百数筆を刈取りをいたしましたが、調製、乾燥にいたしましても一定にする必要がございまするし、又脱穀、それから籾摺或いはその後の選別にいたしましても、これは相当何と申しますか、時間が要しまするし、又一定の操作をいたしませんというと、そこにいろいろのやる人によつての狂い、或いは年次間の狂い等も出ますので、これは目下進行中でございます。先ほど私が申上げましたのは、努めてこういう年でございますから、例年でございますれば、刈取つたものから更に副次抽象と私たちは申しておりますが、若干のものを抜き出しまして、これも任意に抜き出すわけでございますが、さような調査は従来はやつておりませんが、本年は特に北海道は作柄異変でございますので、さようなことを加味いたしまして、先ほども申上げました通りの最終的な結論に努めて近いものを出したいということでやつたのでございます。従いまして、今後全筆の処理が進みますれば、そこに若干の相違が出て参ることはこれは避けがたいことだと考えております。
  41. 松浦定義

    ○松浦定義君 今私はこれは思い違いをしておつたかも知らんけれども、標本筆というものは特定の農家というものではないのだ、ただ農家を対象にしないで圃場を対象にしているということなんですが、そうしますと、あなたのほうでどこの村のどこで、どの辺でやろうということで、勝手にその圃場を千何カ所というものを指定して、それによつてやられるのですか。
  42. 原政司

    説明員(原政司君) 只今のお話通りでございまして、要するに筆、耕地カードと申しますか、筆別の私どもは全部リストを持つておりますから、それから誰が調査に当りましても、特定の人の田圃を特定に抜いたりすることは厳に避けたいという趣旨から、その筆別のカードでランダムに標本筆を何番ということをきめるのでありまして、このように任意に抽出された筆を現地に参りまして探し当てて、当然その農家のかたに御了解を得て刈らして頂くということにしております。
  43. 松浦定義

    ○松浦定義君 併しそういうことは普通の年なら大体まぐれ当りと言いますか、当ると思うのですが、こういうような年にやれば作物別におきまして非常に甲乙もある、或いはその地帯によつても非常に差があるというようなときに、恐らくそんなにうまく当るとは思わんのですが、やはりここには誰も従来と同じようなケースでやつても間違いはないのだというようなお考えでおやりになつておると思いますが、過去におきまして、そういうようなことをやはり或る程度改善しなければならんというようなことはなかつたのですか。やはり従来の方針を着々として進めて行く自信を持つておやりになつておるのですか、この点はどうですか。
  44. 原政司

    説明員(原政司君) 只今先生の御指摘の点でございますが、これは実は私のような未熟な技術者では、何と言いますか、きちんとした学問的なお答えをいたしかねるわけでございますが、過去の問題にもお融れでございますから、一つだけ申させて頂きますと、過去におきまして、やはり北海道におかれましても、今年ほどではございませんでも、相当不作の年もございましたし、又「いもち」等が出ましたような年もございます。さような年につきましても、又そういう特定の年だけではございませんで、毎年やつておりますが、先ほど申上げたようなことで、筆の抽出をいたしまして、刈取りをし、俵装いたしました結果といたしましては、統計調査といたしましては実績制度と私どもでは申しておりますが、その設計と実際の結果がどういうようにうまく行つたか、行かなかつたかという検討はたえず行なつております。その結果からいたしまして、このくらいの標本をこういう割合で配つておけばどれくらいの誤差率になるだろうということを見当付けてやつておりますので、只今先生の御指摘のような、何と言いますか、無鉄砲というのではなくて、私どもといたしましては、ほぼこれで実態はつかめておるのじやなかろうか、こう思つております。
  45. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ大体農林省としてはそういうふうに自信を持つて過去からやつておられるのでしようが、そういうことは農家が果して納得するかどうかということなんです。自分の圃場がときたまそれが当つて、そこを借りて、そこを刈らしてくれ、いやだということは言えないので、刈つてはもらいましようが、そのことが中心になつて今年のこの部落なり、或いは村なりの数字がこういうことになつてつたということになりますと、非常にその農家としては責任を感ずると私は思うのです。自分のやつたことではありませんでも、そういうやり方に対して協力をしたと言いますか、非常に責任を感ずると思うのですよ。そういうようなことを、例えば同じような系統で道庁なり、その他の機関がやるのはいいですけれども、やはり道庁なり、その他の機関は現実のままの中から調べたものについてそういう数字を盛上げて行く。従つて、そこにいろいろ食違いはあるということも事実御指摘できるわけですが、やはり現実というものも私は見てやらないと、こういう場合に農家が納得しないということになつて、例えばあつてもそれに協力しないというような面も出て来ると思います。そういう面で、もう少しその調査方法等も、実際の農家も納得するような、つまりその圃場にしましても、例えば一筆でも相当大きなあれもありますから、どこでやるかということは自由だと思います。南に近いところでやるところもありましようし、或いは丁度いいところでとるということもありましようが、同じ筆の中でも全部を刈るわけじやありませんから、一坪なり二坪なり特定の小規模な坪数だろうと思いますから、やはり農家というものは自分の圃場のどの位置で刈つたということについての責任を相当私は感ずると思うので、今のお話ですと、従来のやり方で間違いないというような自信を持つておられるようですけれども、私どもが現実に見た場合、或いは今までそういう道庁なり或いは県庁なりから持つて来る数字との食違いはそういうところから出て来るのではないか。こういう点はよほど実際農家が納得するような調査方法を相当取入れてもらわなければいつまで経つてもこういう問題については納得しないのではないか。従つて先ほど江田委員の指摘されたように、将来におけるやはり調査機関に対する農民側から見る目というものは決して好感を持たないような結果になるであろうと思いますから。こういう点について十分一つ御研究を願いたいと思います。
  46. 原政司

    説明員(原政司君) 只今大変御注意を頂きまして、できるだけ内容の充実整備を図つて参りたいと思います。ただ一つだけお断わりと申しますか、補足をさして頂きたいと思いまするのは、先ほど何と言いますか、無作為にと言いますか、ランダムに農家の圃場を抽出いたしまして、勿論その農家にお断わり申上げて刈らして頂くということを申上げましたが、只今の私らの人手と経費等から申上げますると、その当りました部落なり、或いは村ということにつきましては、恐らく代表性があるとか、ないとかということになりますれば、これは非常にない村もたくさんございます。要するに只今の私らの人手と経費とからやらして頂いておりまする統計の目標は、札幌でございますれば、札幌事務所といたしまして統計の目標精度を一%以内にとどめたい、一%に努めていたしたいという設計でございますから、それを個々農家の田圃或いは個人の村、個々部落というものに絞りまして推断いたしますると、そこには確かに御指摘のように農家のかたの実態と離れた田圃が抽出されることもございます。これは只今の標本統計をとつておりまする限り、どうしてもつきまとつて参りまするが、その欠陥を補いまするためには、先ほど私が申上げましたように、更にたくさんの標本をとりまして、できるならば村ごとの推計、村ごとに一%とか、或いは三%というような、そういう推計ができるような態勢をとつて参りますれば、農家のかた、或いは道庁におかれまして、村別のいろいろと御計画をお立て下さいますのに、非常にぴつたり来るようになりはしないか、さように私らといたしましても念願しておりますが、先ほど申上げました通り、只今の陣容といたしましては、県推計ということになつております点を御了承願えれば辛いだと存じます。
  47. 江田三郎

    ○江田三郎君 最後にもう一つ聞きますが、これは最終の発表はずつと先になるわけですが、その間に何回か中間発表をされるようなことがございますかどうか。というのは、本年の臨時国会が開かれれば災害対策というものが相当大きな問題になりますが、その災害対策に当つて、一体米の収穫は幾らあるのか、或いは雑穀が幾らあるのかということが災害対策を大いに左右する要素になるわけです。今年も大体一般新聞の社説あたりを見てみましても、豊作なのに、或いは豊作に近い作況なのに供出をかれこれ言つているのは、これは来年の地方選挙を控えて、知事なり或いはその他の諸君が選挙対策としてかれこれ言つている要素が非常に多いというような受取り方をしておるようです。若しそういう印象を与えておるままで災害対策等を論ずるということになると、これ又地方選挙のための災害対策じやないかというようなことと同じような印象を与えると思うのでして、私は何も日本国中全部の作況のことをかれこれ言つているのじやありませんが、少くとも西日本の作況の見方、十二号、十五号の被害の見方、それから北海道の見方については、ここに出された数字というものは相当変つて来なければ現実と適合しないということを信じておるわけでして、若しその数字が非常に変つて来るということになると、それを元にして又災害対策を考えなければならんのですが、今後中間発表等をなさるようにはなつていますか、なつていませんか。
  48. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 只今刈取りの進行に並行いたしまして坪刈を実施中でありますが、これの調査方法としましては、やはり乾燥から脱穀調製までいたしますので、相当の時間を要するわけでございます。従つてこれらを全国的に取りまとめるといたしますれば、どうしても発表が従来規定してありますように十二月の二十五日ということになるわけでございまして、その中間に一つ調査を入れるというようなことが技術的にいたしかねるような状態でございますので、中間的に調査するということは只今考えていないわけでございます。で、作況の変化につきましては御指摘もありましたし、私のはうからも御説明いたしましたように、十月のそういうものが相当影響を及ぼしておりまして、殊に西日本におきましてはさような影響が出て来るんじやないかということを心配しておるわけでありますが、その結果につきましては、やはり十二月の二十五日前後の発表を待つて頂きたい、かように申上げておるわけであります。
  49. 江田三郎

    ○江田三郎君 十二月二十五日になつて発表されるというのでは、私はとにかくこの数字は相当動くものと信じておりますから、そうなつて来ると実情に副わん災害対策等が生れて来るのじやないかということを心配するのです。公式のきまつた発表は発表として、その中途において求められれば速報的なもので中間的に、これは公式な発表でなくても中間的な情勢報告というようなものが求められればやる御用意がございますか。
  50. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) それは只今御説明いたしましたように、非常に作業が何と申しますか、時期的に異つたものが今並行的に進んでおりますので、或る時点で切りたいというような場合に、極く全体の状況を睨むということができませんので、やはり十二月の二十五日まで待つて頂いて、全体の数字が固まつて来るまで待つて頂きたいと思つております。その中間におきましては、すべて作業が進んだものもあるし、遅れたものもあるというようなことがございまして、なかなか正確な数字がつかめないかと思いますので、その点御了承頂きたいと思います。
  51. 江田三郎

    ○江田三郎君 そういうことになると、さつき言われましたように、あなたのほうでこの数字というものがそう動くものじやないという非常な確信を待つておられればそれでいいわけですが、例えば現実に収穫皆無になつ農家の飯米を払下げるというような問題があるわけです。そうすると、すぐに作況指数が何パーセント以下のところでなければ援農措置はとらんというようなことを大蔵省あたりで言うわけです。その一つの例を以て見ても、作況がどうだというようなことは非常に災害対策に影響して来るわけです。それも重ねて申しますけれども、あなたのほうの数字が本当にこれで確信があるのだと言うなら、私はそれで例年通りつてもらえばいいと思うのです。ところが現地を廻り、現地で統計調査職員の人の率直な意見あたりを聞いてみると、若し強いて作為が加われば別ですけれども、そうでない限りにおいては、その数字が相当動くということを考えるので、そこでその後の十月の十五日以降の条件によつてこの数字が或る程度大幅に動くとすれば、それはやつぱり災害対策を取上げておるときまでに間に合うように出してもらわんと、全く何のことやら訳のわからんことになりますので、その点もう一遍考慮せられる用意はございませんか。
  52. 原政司

    説明員(原政司君) 江田先生の只今のお話につきまして、私から技術的な事情をちよつと申さして頂きたいと存じます。先ほど野田部長がちよつと申上げましたように、或いは北海道の場合について私が申上げました通り、只今の私らの調査といたしましては、県を一本として推計をするという建前をとつてやらして頂いておりますので、従いまして、早稲はもうすでに刈つてしまつた、或いは中稲は終つたと言いましても、結局は最終のものに引きずられて参るということになりまして、調査筆と言いますが、標本等の資料がすべて調整をされて出て参りませんと、全体の推計割算ができないというような事情にございまして、まあ大ざつぱに申上げますと、田圃で刈りましてから乾燥をし、それから一定の操作によりまして籾摺り或いはその他の選別をして参りますのに、ほぼ現在の能力を以ていたしましては、一月はそういう現場作業的なものにかかる実情にございます。それからそれを全体推計計算をいたしまして、それから中央に報告をして頂くということになりまするので、只今の私らの実情を率直に申さして頂きますならば、先ほどの野田部長が申しました通り、中間で御報告を申上げるということが非常にむずかしい実情にございます。
  53. 江田三郎

    ○江田三郎君 あなたのほうで考えておられることをいつも私印象を受けるのは、統計調査というものは統計調査で、これはほかのことに対しては何も関係ないのだ、統計調査は独自で存在し、統計調査というものは真直ぐな道を歩いているのだ、ほかのことには関係ないのだというような考え方を持つておられるのじやないかと思うのですが、併し現実にはあなた方がそれをどう使う意図があろうとなかるまいと、統計調査数字というものはいろんな角度から、これは現実の施策面に使われて来るわけです。そこで我々としては非常に迷惑をするわけです。それで実際技術的にそういうことができないということを言われますけれども、例えば地方で割当会議をやります場合に県ならば県で割当をやる場合には、統計調査は十月十五日にやつたから、その後のことは知りませんとは言いませんよ。そのときには統計調査のほうで、やはり仮に十一月の十日に割当会議をやるということになれば、そのときには十月十五日の数字はこうですけれども、その後の統計調査によるところではこうだということを非公式にでも、これは県と協力関係でやつていますね。これは否定されんと思う。そういうようなことが全体としてはできませんかね。国の場合には人が迷惑しても何でもかまわん。おれのほうはおれのほうで独自の道を行くのだというようなことでおやりになりますか。
  54. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 統計につきましては、私どもも非常な国費、人間を頂いておりまして、この資料があらゆる機会に利用して頂けるということを願つておるわけでございます。ただいろいろ御利用になるほうにおきまして、時間的な関係がございますので、私ども調査の進行とマツチしないというようなことが起りまして、そのたびごとに私どもとしては誠に申訳ないと、かように思うのでございますが、只今のような調査の方式をとつておりますと、やはり一定の時期、一定の時期にまとまつて行くというようなことになりまして、その中間においての数字が作り得ないというような状況でございますので、どうかその点をお酌み頂きたいと思うのであります。なお食糧の場合におきまして、九月十五日現在の作況を二つの材料として割当を進められたようでありますけれども、その後の状況によつて補正するというようなこともできておるのでありまして、どうかそういうようになりますときにおきまして、将来における財政等も考慮して幅を持つて考え頂ければ非常に幸いだと思うのであります。
  55. 江田三郎

    ○江田三郎君 我々は幅を持つて考えようと思つても、大蔵省あたりはそういうことは考えませんからな。成るべく金を少く出すように、そういう面でものを考えて行くものですから、なかなか世の中というものは今のあなたの説明のようには行きませんから、できんというならしようがない。しようがないけれども、ただ途中においてあなた方が稔実等について甘い見通しを持たれたために、現実にそぐわん数字が出て、そのために農民が迷惑することがあるということだけは十分お考えになつて頂きたいと思う。
  56. 松浦定義

    ○松浦定義君 今のお話ですと、十二月の二十五日には最後の発表ができる。それまでには大体中間的なそういうことができない。こういうようなお話ですが、そうしますと、特にこれは北海道あたりは皆無のところもあるし、恐らくこの数字はまあ当らないと私は思うので、五分作未満のものが殆んどだと思う。そうしますと、共済金の支払なんか、すでに農林大臣なんかは年内に必ず支払うといつておるのに、この調査ではやつぱり実態に副うような調査が恐らく私は進まないのではないかと思うのです。そうしますと、問題が起るところは概算払とか云々ということで相当引延ばされてしまう。こういうことになるので、やはりこの二十五日というようなことでは、このような調査は動かさんというようなことでは、非常にこの問題が私解決つかないと思うのですが、こういう点については、やはりこの調査調査、併し又別にやはり農林省としてはこの統計調査部数字を使うよりほかに使い途がないのですが、こういう点については必ず私ども意見と相当の食違いがあると思うのですが、こういう場合においてもやはり修正をするとか、或いは又途中からそういう実態が明らかになつた場合には、中間的にでも、その都度まあ農林委員会なら農林委員会、その他その対策に必要な資料を出すということはできないのですか、どうなんですか。これを見ますと、北海道は六〇でありますけれども、すぐ続いて宮崎の七七、高知の七八というような七〇台もあるし、或いは八〇台、九〇以下というところではどうしても飯米を必要とする農家もたくさん出て来て、江田委員の指摘された点は必ず問題となると思うのですが、こういうことが進められないような災害対策或いは冷害対策では、すでに短い期間で立法化しようと狙つておるときには間に合わんと思うのですがね。恐らく十一月末までには結論を出さなければならない。衆議院あたりでは恐らくここ一週間くらいには結論を出したいというふうに委員会では意気込んでおるようですが、そういう場合に、この資料というものの提供がこれより動かんということになりますと、非常に我々としては困りますから、必要に応じてやはりいつでもあとの、ほかの資料を出すというくらいの一つの熱意だけは持つてもらわなければいかんと思うのですが、こういつた場合に一律一体に今の方針で、人がないから調査ができないというような方針でお過しになるようなお考えですか、どうですか、その点は。……
  57. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 実は只今鋭意その後の状況を調べているわけでございます。それがこの最終の段階になつて参りますと、相当現場作業に時間を要するということになりますので、まあ身動きできないというような境地に陥つているわけでございます。このいろいろ国会で御討議になります場合におきまして、その一々の的確な資料を差上げたい、提出したいと思いますのは、私どももまあ日頃念願とするところでありますが、只今まで、今までは一カ月置きに大体調査を出しておりますし、まあこのたび最終の推定実収高というのは約二カ月近くになるわけでありますが、そういう非常に細かい刻みで、実は私のほうとしては努力しているわけでございます。それで今後まあ動くということにつきましては、先ほど江田先生からも御注意がありましたが、私どもは従来の数字にとらわれることなく、実際に即して行きたいと、こういう気持を持つているのでありますが、まあ今までのあれから見まして、甚だしくまあ政策の方向に大影響のあるというような数字の違いはないのではないかと、かように思つているのです。
  58. 江田三郎

    ○江田三郎君 それがそう行かんというのだ。
  59. 石川清一

    石川清一君 遅くなりましたが、今までの政府の答弁を通じて私は質問したいのでありますが、非常にこの資料が重要視されて、おらゆる面で利用されている上に立つて御答弁されているのでありますが、併し、極めて私は常識的に調査が進められているけれども、科学的に立つているというような建前を立てておられるようでありますが、若しおつしやるように、科学的に立つてこの数字を扱われるという立場を私はまあ肯定しまして、この数字のいい、悪い、或いは正当、正当でないということは別として、この数字に基く親切さを私は持つているかどうかという点をお伺いしたいのであります。先ず北海道の六〇%というこの数字を見た場合に、この量を中心にきめられる六〇%というものの質でありますが、この質について本年の収穫をして見た農家が非常に驚きの声を上げております、検査に合格するような米がないと……。非常に未熟な穗が多い。そうしますというと、この数字の六〇というものを肯定しても、実際食用した場合或いは市場に出した場合の価値というものは六〇%のものが七〇%、七割、或いは八割、或いはもつと以下というような商品価値しかない、こういうようなものが出て参つておりまして、等外でも政府に買うてもらわなければ肥料代も払えない、こういうような声も出ているようであります。科学的に立つてこの数字を扱われている場合には、市場に出ているいわゆる政府に買上げられている米の等級や、或いはその他日時のズレ等をやはり注意をされていると私は思います。従つて一応六〇%という収穫を見て、この内容が三等が大体何割で何パーセントか、四等が、何パーセント、等外が何パーセントだろうという予想の上に私は立つておられると思います。従つてそういう予想に反した場合には、それぞれ科学的な良心に基いて、国会の要求に応じて私はそういうような意見或いは変化を発表する何というか、親切が当然あつて然るべきだと思います。従つてこの資料を守り続けるだというような科学者の立揚から、この資料に基く変化が、国の食糧政策や、或いは農家の生活に大きな影響のあるという事実を、出廻るいろいろなその他の状況を発表する親切さがやはりあるのが科学者の正しい途だと思うのでありますが、そういうようなことが今後委員会等で尋ねられた場合に、お答えをする親切さを持つているかどうかお伺いをいたします。
  60. 原政司

    説明員(原政司君) 私から事情を……。只今の石川先生の質問につきまして申させて頂きたいと思いますが、只今先生の御指摘のように、私らといたしましても及ぶ限りのことはいたしまして、できるならばもつと頻繁に刻々先生方に実情の御報告をいたしたいのでございます。併し先ほど私も申上げました通り、只今の推計と申しますか、やらして頂いておりますことが、北海道でございますれば、四事務所ごとの推計でございますので、その部分的なデーターをいろいろ申上げまして、それが全体との関係が違いました場合にいろいろ御迷惑をかけることもございます。従いまして、その内容の性質から見まして、中間的にいろいろ申上げることは却つて御迷惑をかけることも起りますので、できるならば避けさせて頂きたい、かように感じているわけでございます。
  61. 石川清一

    石川清一君 それじややはり十二月の発表まで、この数字で頬かぶりをして、見ざる聞かざるという態度をとることが一番農民にも国会にも親切であると確信されていると了承してよろしいのでありますか。
  62. 原政司

    説明員(原政司君) 別に頬かぶりということでございませんので、実情につきましては只今申上げた通りでありまして、私らといたしましては、いわば機械みたいなものでございますから、御迷惑をかけるようなことをしたくない、併しできるだけの努力はいたしておりますが、只今の段階では、いささか、どうも先生の御希望と申しますか御要求に副いかねるようなことになつております点を非常に遺憾に思つております。
  63. 江田三郎

    ○江田三郎君 ちよつと官房長にお尋ねしますが、統計調査のほうでは十二月二十五日までは求められても中間的なものは速報的なものは出さん、こういうことなんですが、そうすると、私は繰返して言いますけれども、日本国中のことはわからんけれども、私の見たところではこれで相当違う部面があると思うのです。そこで現に米の延納措置ということについて、大蔵省では作況九〇%以下の県でなければそういうことはできんということを言つたということを聞くわけです。そうすると、統計調査部長の言うような、国の施策の大きな方向に云々ということは或いはないかもわかりませんけれども、そういうデリケートなところで適用をされないところができたり、適用される条件にありながら適用されないというような問題が出て来ると思うのです。而も農民の場合にはときには大きなこともやつて行かなければならんけれども、農民の生活ということを考えたら細かいことを気をつけて行かなければならんのです。そこで官房長のほうでは、今後災害対策を立てるに当つて統計調査から出ているものだけを元にして災害対策をお考えになりますか。それともそれを修正と言うたら権威にかかわるから、又叱られましようが、修正とは申しまんが、現実に適用させるために適当な情報等でお考えになりますか、その点はどうですか。
  64. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは昨年度も同じ問題が起つたのでありまして、勿論統計調査部のやつが一つ基準になります。併しそれのみによるということは到底できませんから、府県の調べ、或いはいろいろの問題がありまして、去年は積寒法による町村の振興計画というのが出ております。県のデーターとか、或いは供米の町村別の割当の数字、そういうものが先ほどから議論になつている統計調査部では大局的なつかみ方をしており、それの細目はどうしてもそういうものに頼らざるを得ないものですから、一つの大きい数字統計調査部のやつを基本にしますけれども、府県の統計その他の統計参照しまして実情をできるだけ反映させて行く。去年もそういうふうにやりました。今年もやはりそういうふうにやらざるを得ないというふうに考えております。
  65. 石川清一

    石川清一君 官房長はやはり、状況によつて、変化に対応して考慮を加えるものである、こういうお考えを示されました。そこで機械的に動いておられる統計調査部にお尋ねしますが、全国一律に、一〇〇%の生産を上げているところも、七七%の生産の予想のところも、六〇%だと言われているところも同じような方式で、特に本年調査上考慮されたものがありましたかどうか、それをお伺いします。
  66. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) これは同じ方式で実施しておりますが、その立地条件が違いますので、標本筆の割当というようなことにつきましては、これは実情に即してやつているわけでありますが、手続の法則と申しますか、手続きにつきましては、これは全部同じ方式でやつている次第でございます。
  67. 石川清一

    石川清一君 それでは全部、基礎的なものは一応地域的に違つているけれども、手続は全部同じで、特に台風が来たり或いは冷害が来たからといつて、そういうような状況をつぶさに心得て、その基礎的なものに変化を与えて手続をずつと進めるというようなことは今までにありましたか、どうですか。
  68. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 一方におきましては、作柄及び収量の調査を実施いたしますと共に、被害につきましては大きな被害が出て参りますと、そのたびにその被害調査を進めているわけでございます。
  69. 石川清一

    石川清一君 その被害状況町村或いは県庁等のいろいろな報告を基礎にして調査に出るのでありますか、それとも常に被害状況調査に廻つてつて、そういう政治的と言いますか、状況を受付けずに独自でそれぞれの情報網或いは調査網を以ておやりになつているか、その点をお伺いしたい。
  70. 原政司

    説明員(原政司君) 私からお答えいたしたいと存じますが、先ほど野田部長からお答えいたしました点に一つだけ補足しておきたいと思いますが、被害が起りました或いは災害が起りました場合におきましては、何と申しますか、少数標本調査の骨子といたしましては、できるだけ似通つた田圃だけを集めました場合には、少い数で正確に結果が推計されるという性質を持つておりますが、災害等起りますと非常に田圃間の害もできますし、いろいろそこに違いが出て参りますから、そういう際は被害階層というものを設けまして、そこの出来に応じた標本を増して参るということをやつております点を補足いたしたいと思います。
  71. 石川清一

    石川清一君 災害の場合には、町村内における農業委員等も全体の情勢を把握するのには、相当大きな町村では一週間も十日もかかる。従つて一人や二人の統計調査員が全体を自分の目でつかむということは、これは絶対困難だと思います。従つてそういうような状況が勘案されると私は存じておりますが、その間において絶対確信があるというような形で、ほかの意見に耳を藉さずに、統計調査員だけが独自で全般を見る、その上に立つて何と申しますか、抽出する標準田をとつておる、こういうように言い切るのでありますかどうか、お尋ねをします。
  72. 原政司

    説明員(原政司君) 只今の御質問でございますが、私らといたしましても、只今御指摘のように、村役場或いは農業団体その他一般農家の方々の御情報或いは御調査の結果につきましては、絶えず御連絡を頂き、又こちらからその状況をお聞かせ願うというふうに努力をしております。但しその結果を私らのほうに直ちにそれを取込むというのではございませんで、それは先ほど申上げましたように、標本調査をいたします際に、いろいろさようなつぶさな状況を拝聴いたしまして、できるだけ似通つた地域、似通つた地域をグループにいたしまして、そこから調査筆を、調査すベき筆を無作為に抽出して参る、そこで損傷、傷の程度がどうであるか、それから稲の全体の姿がどうであるかという点をつぶさに計量的に調査いたしまして、それから減収量はどれくらいであろうかということを見立てるわけでございます。そういうような調査個々の場所について出しましたものを県全体として推計して参る、従いまして個々の、先ほど申上げましたが、個々の村、個々部落ということの調査ではございませんので、その辺に多少食違いが起ることもあろうかと存じまするが、さようにいたしております。
  73. 石川清一

    石川清一君 それではやはり統計調査部関係職員町村の農業団体或いは行政機関の協力の上に立つてでなければ、そういう非常時、災害時には成功を期し得ない。こういうように了承してよろしいのですか。
  74. 原政司

    説明員(原政司君) 只今の先生のお言葉で十分だとは存じますが、要するに調査の或る部分につきまして絶大な御協力を願つておる、かようなことでございます。
  75. 田中啓一

    ○田中啓一君 ちよつと官房長にお伺いしたいのですが、実は蛇足みたいな質問なんですが、先ほど江田さんの御質問の中に、災害対策を講じて行く、そこで被害程度に応じて県の割当なんというものを積み重ね、予算でやつて行かなければならんので、それが十月十五日と十二月二十五日との間に大なる変化をするだろう、その途中にやるということは非常に困難なので、余りどうも十月十五日のこの報告というものに役所がもたれ過ぎて来るので非常に困るのだというお話で、これは御尤もなんですが、私は災害対策の一つの要素として、例の営農資金の低利貸付金をやるというような場合には、実は岐阜県のごときものは九五とここに出ております。そんなところは大抵いいんじやないかというふうに一応なると思いますけれども、併し村へ行つて見ると、その村全体が半作にもならんという村が実はある、そういう部分は広範囲に亘らなかつたから、県全体としてはそれは九〇とか九五に出るのは当り前だと思いますが、それでその村の中でも何軒かの農家というものは殆んど収穫皆無というような目に会つておるわけであります。だから営農資金のごときものはやはり個々農家を標準として、この程度災害を受けたものには貸してやるのだということにして頂かんと工合が悪いのじやないかというふうに思いますが、まあいずれ農林省原案をお作りになるでありましようから、そういうような御配慮の下に練られておりますか、どうですかということを一つお話願いたいと思います。
  76. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) お話通りでありまして、営農資金の分はできるだけ早くやる。ただ先ほど統計調査部のほうは大分責められておりましたが、統計調査部では絶えず今の趣旨のやつをやつておるわけであります。ですから私は府県の情報等をとると言つておりますけれども統計調査部の中で現実にブレイク・ダウンして、各県別を入れてやつておる、その情報も同時にあるから、その部分の情報が或る程度確信を以てここはこう出るけれども、多少きついとか、ここはこう出るけれども甘かつた、こういうことが言えるのでありまして、統計調査部として正式に発表せいということになれば、先ほど来お話のように、これはきちつと、先ほど責められたように抜き差しならんようになりますから、裏のデーターとしては、私ども統計調査部から絶えずその問題があるごとに、例えばこの表はこう出るけれども、こう言つているぞ、どうなんだということで、こういうことで責めて、いや、この県ではああ言つているけれども、そんなことはないのだ、この県ではもともとこうなんだということはあるわけですけれども、その点お含みおき願いたいと思います。ただもう一つ補助金関係で、或いは飯米の関係で言えば、大蔵省の主張は被害程度が大きければ県の負担から、一段的の議論になるが、軽微だから県でみたらいいじやないか、こういう議論でありまして、その限界をどこへ置くかということは予算の技術上の問題になつて来て、はつきり統計調査部だけの数字できちつとやるというわけには行かないと思います。
  77. 田中啓一

    ○田中啓一君 もう一つ、これも蛇足みたいなものでありますが、十二月二十五日現在のいわゆる実収高の調査でありますが、これは農林省数字を発表される段階になりますのはいつ頃になりますか、今年の予定は……。
  78. 原政司

    説明員(原政司君) 十二月二十五日と今予定しておりますが、先ほど来のお話もございますから、できるだけ督励いたしまして、五日でも一週間でも可能ならば早くしたいと思つておりますが、ただ先ほど申上げましたように、技術的に繰上げ得る可能性というものが非常に只今のところ少いのじやないかと思つております。
  79. 田中啓一

    ○田中啓一君 私は誤解していると思います。これは実収高ではないのでございますか。
  80. 原政司

    説明員(原政司君) 実収高です。実収高を十二月二十五日に……。
  81. 田中啓一

    ○田中啓一君 そういう予定なんでございますね。
  82. 原政司

    説明員(原政司君) そうでございます。
  83. 森八三一

    委員長(森八三一君) なお本日の予定は昭和三十年度予算につきまして官房長から説明を求め、質疑を願うことになつておりましたが、すでに時間も相当経過いたしておりますので、予算の問題は最終の日に廻しまして、本日はこれを以て散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十八分散