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1954-03-12 第19回国会 参議院 農林委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十二日(金曜日)    午後二時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            清澤 俊英君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            鈴木  一君   衆議院議員    綱島 正興君   政府委員    農林政務次官  平野 三郎君    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省畜産局長 大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局経済課長   中西 一郎君    農林省農林経済    局経済課    野尻 春海君    通商産業省企業    局商務課長   宮沢 鉄蔵君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人の出頭に関する件 ○肥料取締法の一部を改正する法律案  (衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件  (昭和二十九年度農林関係予算の衆  議院における修正に関する件)  (商品取引所法改正案と農産物に  関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。  先刻の理事の打合会で、今週から来週にかけましての議事日程案を作成いたしましたので、この日程表でやりますることを御了承願いたいと思います。考え方は、肥料関係法案衆議院のほうの審査が大分進行して参りましたので、今週から来週にかけましては、肥料関係法案に重点を置いて行きたいという考え方であります。なお、本日の日程中、米価の減収加算の件と大豆の件は、農林大臣食糧庁長官が出席できませんので、これは今後の日程に適時振替えてやつて行きたいと存じます。そういう関係で、時間がありますれば十九日予定の家畜の飼料の件を便宜追加して行きたいと存じすす。   —————————————
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、お諮りをいたしますが、先日江田委員から御要求のありました糖業に関する件についての参考人から意見を聞く件につきましては、その人選及び意見を聞きまする日時は、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  次に、肥料取締法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案は去る三月十日、衆議院議員綱島正興君外二十四名によつて提出せられ、即時予備審査のため当委員に付託せられたのであります。先ず提案者から提案理由説明を求めます。
  6. 綱島正興

    衆議院議員綱島正興君) 只今議題と相成りました肥料取締法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申上げます。  現在、肥料生産及び流通に関しましては、肥料取締法に基き、肥料の規格の公定、登録等取締が実施されておりますが、申すまでもなく、その取締は飽くまで肥料の品質の保全及びその公正な取引確保という法の目的を達成するため、必要な最小限度にとどまるべきものであり、又その取締の態様も、肥料生産流通又は消費実態に応じておのずから差異があるべきであると考える次第であります。今、ここに御審議を仰ごうとしておりまする肥料取締法の一部を改正する法律案も、右の趣旨に副うて、単位農業協同組合又は個人生産する配合肥料に関し、その登録生産流通又は消費実態に即応させようとするものであります。  御承知通り、近時配合肥料普及に伴いまして、部落等単位とする共同配合単位農業協同組合等の行う小規模な肥料配合事業も漸次普及して参る機運にありますが、配合肥料の性格からしまして、単に大地域一律の配合形態をとるよりも、各小地域ごとにそれぞれ施肥基準を設定し、土壌に適応した配合肥料を供給することが、施肥改善上合理的であると信ずるものであけます。併しながら、現行肥料取締法におきましては、農民がみずから行う共同配合は別としまして、単位農業協同組合個人等の行う小規模な配合事業につきましても、すべて農林大臣登録を受けなければならないことになつております。このような煩瑣な手続は、折角醸成されつつある合理的な小規模配合事業普及機運に支障を与えるものと申さなければなりません。右の事情に鑑み、この際現行法を改正し、単位農業協同組合個人等の行う小規模な配合事業につきましては、都道府県知事登録を受ければ足りるものとしようとするものであります。このことは又施肥改善上、各地方実態に即応した配合肥料生産を促進し、以て食糧確保国民経済的要請に即応するものであると信ずるのであります。  以上が本法案を提案する理由であります。何とぞ御審議上速かに御賛同あらんことを希望する次第であります。
  7. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本法案審査は後日に譲ります。   —————————————
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 続きまして、昭和二十九年度予算修正の件に入りたいと存じます。過般衆議院におきまして、昭和二十九年度予算政府原案修正されたのでありますが、これが修正のうち、農林関係のものについて、この際農林当局から説明を聞きまして、質疑に入りたいと存じます。
  9. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 今回の衆議院におきまする予算修正につきましては、先般本委員会から御要望がございましたので、その節申上げましたように、保守三党のかたがたにお集まりを頂きまして、政府側希望を申述べたわけであります。農林省としては私が代表して出まして、特にその際、本委員会から蚕糸総額五千万円の分についてはできるだけ個々の農家に行くように、ただ人件費だけで終らないようにという御要望がございましたので、その点をよく申伝えまして御善処方を願つたわけでございます。最初は、実は全額を蚕糸技術指導員補助に当てるというような空気でございましたけれども、本委員会から特に強い御要望があるということを申伝えました結果、参議院の農林委員会の御要望の件を加味いたしまして案をお定め頂いたようなわけでございます。その他詳細につきましては 会計課長から御説明を申上げることにいたします。
  10. 増田盛

    政府委員増田盛君) それでは只今、から三党修正によります内容を簡単に御説明いたします。お手許に「昭和二十九年度予算についての衆議院における農林関係予算修正の概略」という簡単な印刷物が差上げてありますので、それに基きまして要点をお話申上げたいと思います。  先ず一頁でありますが、ここに総額五十億の中におきまして、食糧増産対策費等といたしまして十五億二千九百万円、これの項目が出ておりますが、一応広義の食糧増産対策に十四億七千九百万円、それから蚕糸業振興費五千万円、合せまして追加修正されたわけでございます。そこで二のところに内訳がそれぞれあるわけでございますが、終りのほうにこの十五億二千九百万円のうち、土地改良開拓等経費農林省所管総理府所管に分れますので、それぞれの金額が書いてあるわけでございますが、北海道はこのうち二億二千九百万、農林省所管は十二億四千九百万、かように相成るわけでございます。そのほかに蚕糸業振興費の五千万円が修正追加されたのでございます。  二頁目をあけて頂きますと、二頁、目は、これは予算書修正点でございまして、只今申上げました事項組織別項別に出してございます。そのうちで農林省所管というのが一番最初に出ておりまして、終りのほうに総理府所管二つに分けてございますが、この組織農林本省種畜牧場に分れてございまして、それぞれ農林本省経費、それから種畜牧場経費、これに五千万円の追加でございますが、それを合せまして、全体を合せますと農林省所管合計は、政府原案がそこに書いてございます千三十七億二千万円でございましたのですが、今回の修正によりまして、千五十億一千九百万ということに相成つたわけでございます。  それからその詳細に関しましては、三頁以下に相当こまごまと書いておるわけでございますが、主だつた点だけ申上げますと、一番金額の大きいものは、土地改良事業開拓事業中心にした経費でございまして、このほかに御承知通り耕地整備事業として、二十九年度予算から新らしい項目が出て来まして、これに分類して、三頁の左のほうに、土地改良事業耕地整備事業開拓事業というふうにそれぞれ区分してございまして、それが内地北海道というふうに分れているわけでございます。内地北海道の比率に関しましても、従来の一定の率がございますので、その率によりまして、それぞれ所管が違いますので、それぞれ分けてあるようなわけでございます。土地改良事業耕地整備事業開拓事業の細目に関しましては、実は従来の予算上の政府原案をいろいろ検討いたしまして、その点で多少経費の不足と思われる点を更に修正追加されてございまして、この欄を見て頂ければおわかり明けると思うのでございます。それから相当詳しい表が、実は五頁以下に食糧増産対策費としての内訳として出ているわけでございますが、只今申上げました土地改良開拓等経費を除きますと、生活改善普及事業、それから種畜牧場経費、それに蚕糸業振興費、それぞれ五千万円ずつ附いてございますので、そのほうを御説明申上げます。  六頁を御覧頂きます。六頁には、生活改善普及事業に必要な経費五千万円ございますが、これは主といたしまして、生活改善専門技術員並び改良普及員増員に当てまして、それに附随いたしまして、旅費庁費或いは若干自転車等経費が必要でございますので、それを計上したということになつております。その増員関係もこの表の中に出ているわけでございますが、先ず左のほうの区分に人件費というのがございます。そこに専門技術員が、政府原案によりますと四十六人でございますが、修正追加によりまして四十六人殖えまして、合せまして九十二人になるというふうにこの表に書いてございます。なお改良普及員は、現在が政府原案千二十二人、これは二十八年度そのままでございます。ここ二年以来変りがない数字でございまして、千二十二人、これが五百四十六人の増員となりまして、併せまして千五百六十八人、こういうことになつてございます。予算関係で、備考にございます通り。そのうち大十人の人員は一年間まるまるの経費を組まないで、十一カ月ということになつております。なおそのほか旅費庁費巡回指導施設費補助金等に関しましては、先ほど申上げました通り、必要なる経費を計上した次第でございます。ここで問題となつておりました、政府原案補助率切下に関しましては、今回の修正に関しましては触れないで、政府原案のまま二分の一の補助率ということに相成つております。  それから紙を一枚めくつて頂きまして七頁でございますが、種畜牧場に必要な経費、これは畜産振興経費でございます。これも五千万円でございます。国の種畜牧場に現在改良増殖のための種畜が不足しておりますので、これに対しまして、政府原案にありましたものに加えまして、乳用種牛、それから種豚、それから種鶏、この三種類の家畜を外国から購入するわけでございます。そこで乳用種牛のほうは、政府原案によりますとジヤージー種の購入だけが計上されておつたのでありますが、アメリカからホルスタイン種の優秀なものを更に買いなさい、こういうことなので、その費用が大部分を占めております。そのほかに種豚、これはイギリスからの輸入でございます。種鶏は大体アメリカ、こういうことになつております。この経費輸送費を合せまして五千万と、かように相成つております。  それから次の頁の八頁でございますが、蚕糸振興経費五千万円でございますが、先ほど政務次官の御説明にもありました通り二つ項目に分けておりまして、一つ蚕業技術指導所設置費補助金、それからもう一つ養蚕経営改善特別指導施設費補助金、この二つ項目に分れておりまして、五千万円を、一方では二千八百余万円、一方は二千月余万円に分けてございます。最初蚕業技術指導所でございますが、これは県の職員でございます。県庁の蚕業技術指導所職員増員するということで予算を計上してございます。この表にあります通り政府原案は七百九十八人でございます。それを更に三百五十二人を増加いたしまして、合せまして千百五十人にします。こういうわけでございます。この点に関しまして、実はいろいろ議論があつたように承わつておるのでありますが、特に蚕糸関係技術普及の体制は、農業一般と違いまして、県の職員中心にあるわけでございますが、その下が団体技術職員ということで組合わされておりまして、この団体技術職員をどうするかという問題がいろいろ議論されたようでございます。結局私どもに対しまして示された案は、団体補助職員関係は、政府原案にあります通り補助率の四分の一切下によつて相当増員をしたのであります。大体千人ほどの増員をしたのでありますが、それで大体いいのじやないか、従いまして、この五千万円は蚕業技術指導所職員を殖やすということで県の職員のほうの増員に使われたわけでございます。従いまして現在県のほうで二百八十カ所の指導所が設置されておりますが、これを若干箇所数も殖やす、それから一カ所当りの人員も殖やすというここでございます。更にもう一方の経営改善のほうの経費二千百万円につきましては、これはすでに御存じ通りでございまして、二十九年度政府原案で新らしく試みられました模範的な養蚕組合を設置して行く、これに対する助成金が現在七百組合限度として認められておるわけでございますが、これを更に三百組合殖やす、こういうことが二千百万円ということになつております。  簡単でございますが、以上を以て御説明終ります。
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御質問ありませんか。
  12. 上林忠次

    上林忠次君 指導員関係相当殖えまして結構なことと思いますが、生活改善指導員を殖やされる前に、現在の一般農業改良指導員の数がだんだん縮減されるというような状況に現在あるのですが、そのほうのことはどういう工合にされるつもりですか、そのほうが我々としては優先的にやつてもらいたい。現在すでに農業改良普及員の数は少いので末端まで行つておりません。二、三カ町村に一人というようなことで、末端の各町村までは行つていない、地についた指導ができないというような現状でありますが、御存じのように去年までは三分の二の補助があつた。これが二分の一に今度減る。これは補助金等臨時特例法案が出ておりますが、これが実施されるならば三分の二の補助が二分の一になるということになりますと、自然にこれが地方財政の窮屈な現状から考えますと、人数を減して行くことは、現在でもすでに末端まで指導が徹底しないというようなこの指導員の陣営をますます弱体化するというようなことで、先ずこれこそ手を着けなくちやいかんじやないか。勿論養蚕指導員強化、その他生活改善普及員強化も結構でありますが、それより先に問題があるじやないか。どうしてこういうことが行われなかつたのか、そのときの状況をお聞きしたいと思います。
  13. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) お話通り農業改良普及員を更に充実を図りたいというふうに政府は考えておるわけでございまするが、諸般の状況上、全般的にむしろ減員をするというような方向にあるわけで、ただ農業改良普及員等につきましては、その重要性に鑑み、これを据置くことにいたしたわけであります。ただ補助率が別途御審議を願つておりまする法案によつて減ることになるわけでありまするが、そういう考えでおりまするが、今回の三党修正におきましては、この生活改善普及員増員すべきであるという意見が非常に強くございまして、これが特に昨年十二月十五日に衆議院の本会議において食生活改善に関する決議が採択せられましたわけでありますが、そういうような点からいつて特に本年は食生活改善が必要である、こういうような立場から、むしろ保守三党間におきまして、こういうふうにせよという指図で、それによつてつておるわけであります。
  14. 上林忠次

    上林忠次君 それでは現在の農業改良普及員、このほうの人員につきましては今回の行政整理対象にするのかどうか、現在の陣容から考えて、これをもつと強化しなくちやならんという方向政府は考えておられるのか、今回の行政整理にはやはりこれが欠けておるというようなことになつておりますか、そこらの整理方向方針はどういう工合なつておりますか。
  15. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 今回の行政整理に当りましても、この農業改良普及員については全然手を着けない、こういう方針でございます。
  16. 上林忠次

    上林忠次君 手を着けないと言いましても、今回の出ようとする法案のようなああいう方向で行きますと、結局地方財政関係から実態は減つて来る、陣容は弱化するということはもう明らかな現状でありますが、これのつつかい棒が必要じやないか。先ほど申しますような、今回の生活改善普及員増員よりも、そのほうが先じやないか。
  17. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 農業改良普及員につきましては、今回別途御審議頂いておりまする法案によつて補助率を三分の二から二分の一に切下げることに政府はいたしておりまするが、併しその地方負担分については現行平衡交付金制度地方財政交付金によつて賄う、こういうことにいたしておるわけでありますから、富裕府県分につきましては約四千万円程度減るというふうになりまするけれども、大したいわゆる変動はないのではないかというふうに考えておるわけでありますが、特にまあ地方において、これに藉口してこれの減員を図るということがあつてはならないと思いますので、政府から厳重な通達を都道府県知事に発しまして、そうして農業改良普及事業の貫徹を図るように指導に努めるつもりでございます。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 一点だけ伺いたいのですが、この修正によつて食糧増産費の中で特に土地改良事業予算増額を見たのですが、ここまで増額を見ますと、いわゆる政府が二十九年度土地改良について原則として新規事業を認めないということになると思いますが、この原則として新規事業を認めないというこの原則は多少緩和してもいいんじやないか、又緩和されるのかどうか、これを一つつておきたいと思います。
  19. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 新規事業を採択するかどうかということは、これは農林関係ばかりでなしに、本年度政府としては公共事業全般亘つて一切の新規計画はしない、こういう基本方針を維持いたしているわけでございまして、これは大蔵大臣から本会議の際申上げた通りで、その点は変つてはおらんわけでございます。ただ単年度で完成し得るものであるというようなものについては、これは又例外でありまするし、又新規事業としてはやらないけれども、調査その他については若干考慮いたしたいと思います。かように考えておるわけでございます。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 原則は変らないでしようけれども、要するにここまで予算増額されますと、この原則に多少のゆとりを以て考えていいんじやないか、そういう含み増額されたんじやないか、こう思うのですが、その点は政府のほうではどういうふうにこの修正を受取つておられますか。
  21. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 先般申上げましたように、三党の予算修正協議会政府から私が出まして、その点も実は私からもお尋ねをいたしたわけでございます。そのとき、まあ三党間では新規についても若干の余裕を認めるべきである、こういうようなお話がございまして、そういう気持政府に申入れるといつたようなお話がございましたが、別段公式のものにはなつておりませんので、政府としては、先ほども申上げましたような原則論を申上げる以外にないわけでありまするが、そういうお気持があつたということは聞いておるわけでございます。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 三党の予算修正含みは、今政務次官説明のように新規事業も必要欠くべからざるものは多少認めたらいいんじやないか、これが修正内容であるとすれば、これを修正して、それを政府が呑んだ以上は、執行の上においてそういうふうな含み執行すべきである、又そうする政府に責任がある、こう私は思うのですが、三党の希望というものは政府は呑んだわけですね。予算上呑んだと同時に執行上の運用においてもその方針を呑んだと、こういうことですね。
  23. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 今申上げましたことは三党の懇談会におけるときの話でありまして、予算衆議院を通過いたしまする場合においての公式のと申しまするか、委員長報告であるとか、或いは附帯決議とかいうようなことは全然ないわけでございまして、実は私も政府としては、そういうお気持があれば、やはり何らかそういう意思表示を正式に願いたいということを申上げたわけでございまするが、そういうことはなかつたわけでございます。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 そういう意思表示がなかつたということは、それは三党がそういう希望を取消したということでなくて、懇談会か何かの席でそれを以心伝心でそういうものを政府受取つた、こういうことで、そこで先ほど政務次官の言われるように、原則は変えないけれども多少そこに含みを持たなければならん、こういうふうに受取つておられる、こういうことに解釈していいのですね。
  25. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実は懇談会の際には、そういうような話合もあつたのでございまするが、政府が頂戴いたしておりまするところの昭和二十九年度予算に関する衆議院党共同修正に対する了解事項として頂いておりまするものにはむしろ反対でありまして、歳出につきましては「各事業事業対象補助率及び新規事業実施設計費を含む。)の採否は、政府原案どおりとすること。」というようなふうになつておるわけでございます。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 それはもうそういうふうに紋切型におつしやらないで、そうはなつておるけれども、要するに気持の問題です。運用に当つて気持は一体その原則は変えないけれども、その原則に多少ゆとりを持つた気持をお持ちになるかどうか、こういうことなんです。
  27. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 政府といたしましては、そういう希望は持ちまするけれども、本年度新規事業は採択しない、こういう方針を堅持しておるわけでございます。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 原則としてですね。
  29. 雨森常夫

    雨森常夫君 土地改良事業のごとき、今度の法律改正によらなくても、補助率を低下するもの、これらについてまあ二十九年度予算大蔵省編成方針は、補助率を一律にずつと下げて行くという方針であるようでありますが、農林省では現在大蔵省とその点について折角折衝中のようにも聞いておるのでありますが、この点どういうふうになつておりますか。
  30. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 土地改良、特に小規模土地改良補助率につきましては、お話のように大蔵省においては若干これを改訂するような意向で目下折衝いたしておりますが、この三党修正の際にも補助率は成るべく現行通りにすべきである、こういうような気持の表現もございましたし、その後国会側におかれてもいろいろ御要望がございまして、只今折衝いたしておりますが、大体において農林省希望がほぼ達成せられるという見通しでございます。
  31. 重政庸徳

    重政庸徳君 新規事業のことで、新規事業を二十九年度はしては相成らんということは、今までの継続している事業は重点的に施行するということが建前でこういうことになつたのだろうと思います。そうすると、これは重点的に施行する上において、それは数字の上で多少は支障はあつても大体において支障がないということになれば私は新規事業に着手すべきだろうと思う。政務次官はどうお考えですか、ただ机上で本当の細かい数字を拾つて、ほかのほうに多少少し流れると、これは重点的でないんだという考えを持つて解釈せられるか、或いはもう少し広い視野に立つて解釈せられるか。
  32. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 新規事業につきましては、御承知通り最近の事業は徒らに手が拡がつていずれも未完成の状態になつているというような傾向があるわけでございます。まあ国営、県営などでも三百以上になつておると存じまするが、その完成は極く僅かでありまして、毎年々々完成するものよりも新規に始めるもののほうが遥かに多いというようなことで、これらが累積をしてかような状態になつておると存じますので、やはり新規にやたらに手を拡げるよりも、継続中のものを速かに完成するということが望ましいというふうに私は考えております。
  33. 重政庸徳

    重政庸徳君 それは机上の理窟で、私が前に御質問いたしました場合に、多少そういう意味を加味して御質問したと私は考えておる。大体三回か、四回に亘つてこの土地改良、食糧予算増額なつたので、これを総体的に総計して見ると、二十八年度予算に変らざる予算が出て来ておる。そうすると、政務次官新規事業にどのくらい農林省最初に金を要しているか御承知ですか、新規事業を従来通りやれば、二十九年度にどのくらいな金が新規事業に流れるか。
  34. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 詳細の数字は記憶いたしておりませんが、新規事業に要する初年度予算というものは極く僅かであると存じます。従つて政府方針によつては、予算はむしろ昨年度よりも若干殖えておるくらいでありまするから、やろうと思えばこれは何でもなくできると思つておりますが、そういうふうにやつて行きますると、次年度から多額の経費を要することになりますので、結局継続中のものが非常に長期に亘るような結果になる、かように思つております。
  35. 重政庸徳

    重政庸徳君 それはただ机上で言われるだけで、それなら継続事業を完了してしまわねば新規事業を始めないと、そういうお考えでおられるか、それをはつきり一つ気持を御説明して頂きたい。
  36. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) もとより継続中のものを完成してしまつて、それからやるというようなことでは、一般の要望でありまする食糧増産が達成されないわけでありまして、やはり毎年毎年新規をやつて行くべきであるという基本的な考え方には変りございませんが、ただ近年余り継続中のものが累積しておるというようなことになつておりますから、本年度一年ぐらいは一時休止する、一体みするということでいいのじやないかと思つております。
  37. 重政庸徳

    重政庸徳君 これを一年やめたからと言うて古い継続事業が急速にこの金で片付くという性質のものじやない。で、農林省は来年度においては、ここ一年は止むを得ないと、こういう結果になつたのだが、来年度からは新規事業をやつて行くというお考えと了承してよろしいですか。
  38. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 勿論三十年度からは大々的に又新規事業を再開いたしたいという気持は持つております。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 関連して……。話は戻りますけれども、今の専門家の重政さんの御質問に対する御答弁を聞いていると、何か二十九年度は絶対に新規事業一つも認めないというふうな印象を我々受けるのですが、そうじやないのでしよう。当初から、増額される前からどこまでも原則として新規事業を認めない、緊急止むを得ざるものは例外とする、これが当初からの政府方針だつたと思うのです。そこに更に土地改良予算追加せられて、三党でも新規事業について余りそう厳格過ぎてはいかんのじやないかという気持があるのであつて、でありますから、一つも認めないと、こういうことじやなくて、ただ原則として認めない。緊急止むを得ざるものは例外としてこれは認めるにやぶさかでない、こういうような方針なんでしよう。そういう点をはつきりしてもらいたいのです。
  40. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 政府といたしましては、本年度新規事業につきましては、当初閣議に出ました原案は、昭和二十九年度新規事業原則としてこれは行わないというふうになつておりましたが、閣議の協議の結果これを変更いたしまして、新規計画は一切これを行わないというふうにいたしたわけでございます。そうしてこの原稿を大蔵大臣が国会において発言をいたしたわけであります。従いまして原則としてというような字句を入れますると、例外が認められる虞れがある、一切の例外を認めないという意味におきまして原則としてということをも排しまして、新規事業は勿論、新規の計画についても一切行わないということにいたしたのでございます。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 それは私たちも三党によく私はもう一遍真相を聞いてみようと思いますけれども、政務次官がそこまで言い切られるだけの私は三党間の打合せができていないと思いますがね。又私は素人でありますけれども、一応原則であつて一つも認めない、水の流れのように、一年間でも……。僅か一年間でも新規事業をストツプして三十年から一遍にやる。そこに土地改良に非常に私は大きな支障が起ると思うのですよ。これは政務次官はそうおつしやいますけれども、改めて私ももう少しあなたのほうの自由党なり、改進党なり、その他に私は聞きまして、それは修正した側の、三党の私は予算修正の精神と非常な大きな懸隔があると思うのですが、現にあなたのほうの事務当局はそう受取つておりませんよ。農林省の改良局のほうはそう受取つておりませんよ。改良局長はどういうふうに言われるか知らんけれども、現に只今のところあなたのほうの事務当局は、そういうふうな原則でも何でもない、とにかく一切認めない、理窟を抜きにして認めない、こういうふうには受取つていないのです。私はもう少し内部連絡をされて、又政党間にも、三党間にももう少し連絡をされたらいいと、こう思います。どこまでも平野さんのおつしやることは三党の了解事項である、同時に政府方針である、こういうことに間違いありませんか。
  42. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 三党間におきまして、先ほど申上げましたように、懇談会ではそういう気持の発言がございましたし、又与党のほうから政府に対する申入等も二十九年度新規事業については若干は考慮すべきであるというようなことも聞いておりますけれども、政府部内におきましては基本方針を何ら変更するというところには至つておりませんので、農林省という立場から申しますると、大蔵省とこの点で折衝いたしておりまするが、まだ結論が出ていないと、こういう段階であります。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 しつこいようですけれども、そうすると、三党からそういう希望があつたけれども、その希望はきつぱり政府としては断わつた、そして政府政府のあの当初の方針通りで行くんだと、こういうことできつぱり断わつた、こういうことですね。
  44. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 三党のほうからは、先ほど申上げましたように、これは国会の決議の際に、別に委員長報告におきましても附帯決議等も何もなかつたわけで、ただ了解事項として政府のほうにこの印刷物を頂いておりますが、ここにございまするが、これには先ほど申上げましたように、政府原案通りとすべきであるということに、むしろそういうふうになつておるわけです。
  45. 河野謙三

    河野謙三君 了解は付いておるんですね。そうすると、了解は付いておるんですね。新規事業は絶対やらないという最終の了解は付いておるんですか。
  46. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 了解と言いますか、向うから三党間において了解事項としておきめになつて、そうしてかように印刷物を頂戴いたしておるわけであります。その中には政府原案通りとすべきであると書いてあるわけでありまするから、政府としてはこれに従わなければならんというふうに考えております。
  47. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 新規事業は一切やらんというのですが、実は北海道において道営灌漑で継続事業で今年でき上るところがあるのですが、それ以下の小規模の土地改良等は、これは今年漸くでき上るんだが、今年新規にできるということになつておつたそうですが、ここで新規事業の切捨ということになりますと、あとの造田その他小さい灌漑溝などを造ることができない。折角水がそこまで来たんだけれども造田ができないということが言われておるのでであります。これも実は灌漑溝の幹線のほうは継続事業であるけれども、その他の今小規模のほうは新規事業だけれども継続事業的性格を持つ、それでなければならん。折角水が頭まで来ておるけれども駄目だ、こういうふうなのは一つ継続事業として認めてもらうような方法はないか。そういたしますならば、それだけの折角国費をかけて、灌漑溝を作つて、それ以下の造田或いは小さい灌漑排水溝というようなことができなければ、元の金が死んでしまう。実に不経済極まるお話なんでありまして、何かそこに考慮の余地がないでしようか、その点伺います。
  48. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 小規模事業などについて、単年度で完成するものは認められておるのでありますので、そういう場合におきましては、単年度完成のものならば認めると存じます。ただ継続事業に附随すると申しましても、性格として新規ということになりまするならば、単年度でない場合においては、原則として認められないことになつておるわけでございます。
  49. 上林忠次

    上林忠次君 元に帰りましては、先ほどの改良普及員の問題でありますが、これは特殊なものは富裕県に対しては減つているけれども、そのほかの県に対しては地方税の交付が行つている。その分は紐付にするというお話ですが、そういうことはできますか。
  50. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 紐付ということになれば補助金で行くのが一番すつきりするわけでして、やはりこの法律上強制をする紐付というわけには参らないと存ずるわけでございます。ただ行政指導をして、農業改良普及事業については極力これを推進するように指導すると、こういう程度に考えておるわけでございます。
  51. 上林忠次

    上林忠次君 富裕県の分はどうなさいますつもりでありますか。現在大体地方財政予算を組んでおる最中ですが、相当各府県では減している。政府補助が出るから県でも減すということで、ぽんぽん切つていますが、聞いておりますと、富裕県に対しては、そういう紐付を匂わせるということもできないということになりますと、これは弱体化するということは目に見えているので、これで農林省いいんですか。いずれ特別委員会でこれはやることで深くは御質問しませんけれども、どういうふうに考えておりますか、富裕県の分に対しては……。
  52. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これはやはり各地方々々の農業改良普及事業に対する認識と熱意の問題にあると存じます。すべての補助制度に行くということ、いわゆる紐付をするということは、むしろ地方自治の建前からするならば逆行するわけでありまして、各地方においては、むしろできるだけ地方自治の精神から言つて地方々々の自由意思によつて或る程度行政運用ができるようにしてくれという要望も多々あるわけでございます。従つてこの事業が躍進するか、或いは後退するかということは、やはりそれぞれ地方々々の認識と熱意にかかつておるというように考えておるのであります。
  53. 重政庸徳

    重政庸徳君 非常にくどいようだけれども、はつきりして下さい。最初に新事業を二十九年度にはやらないということは、やはり国営で、或いは県営でやるとか、大きい長年かかる新事業をやらないということと私は考えるのであります。で、今北さんからも質問がありましたように、実際に新らしくやるものは、一切それはやらんようにお考えになるのは非常に支障を来たす。そうして又政府の二十九年度予算を最も有利に、而して増産をするという趣旨にかなわんことになる。だから国営並びに県営等、いわゆる大きい事業で、数年を要する事業の新事業をやらんというように解釈してよろしいですか、そこを一つ伺いたい。
  54. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 御趣旨のような点は、私どものほうとしましては、個人の見解として申上げるならば同感でありまして、極力そういうように、なお今折衝をいたしておるわけでございます。特に小規模等については、やはりまあ或る程度弾力性を持つことが妥当であるということで、御意見のように努力をいたすつもりでございます。
  55. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 先ほどの続きですが、短年月に完成するものの継続事業としては、新らしいものでも認める、小規模の土地改良等においては……。そういう話で、その点はわかつたのですが、ただ北海道は非常に地域が広いものですから、そこで今年の分としては完成するけれども、来年度分として継続される分に対して、更に次のところから同じように問題が起つて来ると思う。そこで全部完成するということで、小規模のものが全部完成じやないが、一部ずつ完成して行くというものに対しては、どんな工合にお考え下さつているのですか。
  56. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これはもういろいろの場合があると存ずるわけで、まあ特殊の例を申上げますならば、一方において建設省の土砂の排除作業が行われておりますと、その土砂を一方のほうの土地へ入れれば干拓ができるとかいうような場合などもあるわけなんでございます。こういうものは計画としては新規になるけれども、併しながら新規だからやらないということになれば、その土砂を逆に又遠くの海のほうへ持つてつて捨てなければならないということになるわけなんですけれども、そういうような場合においては、これは二十九年度においてやつてもいいじやないかということを、個々の場合々々について今大蔵省と折衝いたしているわけでございます。例えばお話しの案件なども、そういう特殊の例外でございまして、当然これは新規事業とは申しながら、速かにやるほうがよろしいという意見になると存ずるわけのものでございますから、そういう場合につきましては、個々のケースケースとして考えたいと存じます。
  57. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 その問題はその程度にしまして、次の種畜の輸入のことでお伺いしてみたいと思うのですが、ジヤージーの輸入はこれは当然ですが、ホルスタインの輸入ですね、この問題につきまして、どういう程度の乳量であり、脂肪率であり、又体型等もどういうものをお入れになるというようなお考えがあるのでありましようか。実は去年北海道でブリーダーの連中が、実は暫らくアメリカから牛を入れなかつたから、それで昨年何だか八百万円ほど皆で集めてアメリカへ買いに行つた。で、宇都宮さんというこのホルスタイン協会の会長をしている人ですが、三カ月に亘つて向うで調べた。調べたけれども、どうしても北海道の牛よりいいものが向うで見付からない。そういういうような関係から、実は折角行つたけれども、ただ帰ろうかというくらいの程度まで行つたが、折角来たのだからというので実は二頭買つて来たのが事実なんです。けれどもどうも満足しないと言つて、今後もうアメリカ種牛買いに行くのはもう無駄だ、こういうふうな話を聞かされているのですが、そこで私はどんな体型で、どんな乳量或いは脂肪率のものであるか、本当に日本から買いに行かなければならないようなものであるかどうかという、昨年のそうした経験を聞いた上に、無駄に外国に、ただ舶来熱だけで外国に金を捨てちやいかんというふうに考えますので、実はその点を伺つてみたいと思うのであります。
  58. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 私はこれは当初政府原案としては、原案と申しましても、三党間で御修正になるということで、政府のほうから原案出せということで実は出しましたときは、牛だけ考えておつたのでございますが、三党間の協定、特に日本自由党の河野一郎氏からの強い要望がございまして、牛以外のものも入れようということで、従つて山羊、豚、鶏という工合にいたしたわけでございます。これは極く少ないものでございますから、ほぼきまつていると存じますが、畜産局長を呼びにやつておりますので、畜産局長が参りまして御説明申上げます。
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) あとで畜産局長が資料の関係でも見えますから、そのときに……。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 関連して……。私はどうも地獄耳というか、変なことばかり耳に入るので、ちよつと政務次官に、畜産局長が来るまでに……、むしろ来ないうちのほうがいい、この家畜の輸入ということになると、畜産局につきまとつているダニのような牛や豚輸入専門の業者がいるのだな。これに非常にしてやられているということを我々は耳にする。名前は忘れましたがね。でありますから、折角この緊縮財政の折から、これだけの国費を使つて種豚なり種鶏なり、その他を輸入するという以上は、その点について輸入に当つてそういう業者に徒らなる搾取をされないように、政務次官十分この点のことを調査の上一つ御考慮頂きたい、こう思います。これは畜産局長が今見えましたけれども、改めて言う必要はありませんから、その点は特に頭に置いて頂きたいと思います。
  61. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) お話通り、この乳牛などが非常に高いもので、一頭牡におきましては四百万円というような金額になるわけで、これはやはりお話のように、これを買うために、調査に行く費用であるとか、或いは輸送に要する費用等が莫大にかかるわけでありまして、この間のやり方をよほど厳正にやらなければならんと思つております。御意見を尊重いたしまして、十分注意して適正にやりたいと思つております。
  62. 河野謙三

    河野謙三君 大体業者を引張つて行かなければ牛のいい悪いも選別が付かんような、そんな畜産局なんかないほうがいいのだ。従つてそれだけの自信がないならば私はこういうことはやめたほうがいいと思う。又今後も引続きそういうような業者によつて実態は輸入業務を行うのだというようなことであるならば、今北先生もおつしやつたようなことに私はなると思う。でありますから、予算をとつたからと言つて、この執行に当つては十分そういう方面の考慮を払つて頂くことを特に私は要望いたします。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 この畜産ですね。入れましたやつは大体民間へ払下げてしまうのですか、飼育料が見えませんがね。
  64. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 乳牛につきましては、現在五牧場で原々種を飼育しておりますので、今回導入いたしますものにつきましては、牡は四頭でありまして、四牧場に一頭ずつ、それから牝が十頭でありまして、五牧場に二頭ずつ入れるという計画になつております。これは民間に払下するのじやなしに、牧場で原々種といたしましてブリーデイングの用に供する種畜、基礎畜ということに相成るわけでございます。
  65. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私はこの間の農林委員会においてもそうだし、それから決算委員会においも、農林省関係土地改良事業に不正事実がよくある。まあこういうような実情で以て、この委員会でも聞きましたしするのですが、その一つの原因が、やはり地元負担という問題が大きく響いておつたわけなのです。で、この地元負担というのは、御存じのように大体農林省の従来の何からいたしますというと、地元負担分の八割までは融資をする。で、その地元負担分の二割だけが全く地元の負担だというのが、これが限度のように承わつているわけなのです。今回の三派修正の申合せを見ますというと、この食糧増産費の増加による地元負担分の融資分はこれは見ないということになつているのですが、従つて今までの予算で組まれておつた融資の額では不足して来るのじやないか。で、不足しなんで、融資を見なんでそれをやり繰りでやるということになると、どつかへ無理が又行くのじやないか、そういつた問題について農林省のほうは何か特別なお考えがおありかどうか、承わりたい。
  66. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実は三派修正のときの、先ほど申しました懇談会におきまして、政府側としてはお話のように、こういうふうに一般会計をおいじりになるということになれば、当然融資の面におきましても、やはり若干の修正が必要である。又地方財政関係から言いましても、地方の負担分について特別の考慮が必要である、そういうことが全然考えられておらん修正でありまするから、甚だ片手落ちである。従つてお話土地改良などの分につきましては、当然農林漁業金融公庫に対する出資金の増加を必要とする旨を要望いたしたわけでありまするが、三派の御修正についてはそういうことをまあ考えずにおやりになつたというようなことで、又あのときとしては、もう今更どうもこれ以上やりようはないというようなことで、政府で何とかせよといつたことになつたわけでございます。政府としては非常に困つており、又特に住宅公庫とか、或いは国民金庫のほうに出資が増加になつたわけでありまするが、農林関係については何らその点が入れられなかつたということは甚だ遺憾至極に存ずるわけでございます。従つてまあ止むを得ませんので、取りあえず農林中央金庫等の資金の融通等の方法を考えまして、できるだけまあ折角増額になりました予算の円滑な運用を期したい、こう思つておるのであります。
  67. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 それはまあ三派修正でそういうふうにきまり、まあ今政務次官の御苦労のあるところはよくわかるのでございますが、こういつた場合に、従来最も融資を希望しておるようなところは、中金はなかなか出さないのです、さつき申上げたように……。そこで農林省のほうも、そういうやつは蹴つた、それから中金も蹴つたということになると、事業執行の面で非常に難渋するのじやないかと思うのですけれども、特にその点は農林省としても中金に適当な御指導をなすつて、そうしてそういつた事業の蹉跌を起さないように、一つ御便宜というか、御努力を払つて頂きたい。これを私希望申上げまして私の質問を終ります。
  68. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私から……。さつきの新規事業の点でいろいろ御意見を聞いておると、北さんの言われたような、例えば用水の幹線は完成した、当然それにくつつく今度は小規模の、幹線から水を引張らなければ、これは有終の効果を挙げ得ないわけで、ですからそういう用水に直接関連する小規模の土地改良というものは、実態的には継続事業と言いますか、用水のこれは最終の効果を挙げる事業であるので、こういうものはむしろ形式上も新規事業と見ないで、幹線にこれは当然連関する、延長的な継続事業だというような解釈がされんと、折角の今度は国営で用水の幹線が完成された、それに関連する小規模なやつが行きませんと、これは今までの設備なり、投資が死んでしまうのですね。ですから重政さんあたりの御質問で、短時日に完成するもので小規模なものは認めると、こういうことになつているのですが、今直接に、今までできた施設を生かすものは、これは実態的な、延長的な継続事業と見て、これは当然やらんと、途中で効果をストツプさせるのじやないかと思うのですが、この点もう一遍一つはつきりした御答弁をして頂きたい。
  69. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 全くお話通りに考えますわけで、先ほども申上げましたように、そういう点でなお今折衝いたしておるわけでございます。極力一つ御趣旨に副うように努力いたしたいと思います。
  70. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) やはりそういうものでも、観念上は新規事業と、こう見て折衝されるわけですか。当然これは面接完全にもう附属するものとして、形式上は新規事業と、こういうことで折衝される、こういうわけですか。
  71. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これはやはりいわゆる役所の仕事はすべて形式主義になつておりまするので、今実質的には継続するものであつても、形が新規事業ということになりまするというと、やはりその原則工合が悪いということになるわけでございまして、まあ大蔵省的観念で申しまするならば、実質的の継続事業ならば、計画のときにすでに継続として取上げられるべきじやなかつたか。こういうことになりまするわけで、この点まあ非常に苦しいところがあるわけでございますが、実際にそういう計画というものは、人間のやることですから、完全なものではないわけであつて、いろいろまあ変更する場合もあるし、そこに実情に副うようにしなければならん点があるわけでありまするから、そういう点も考慮に入れまして、実質的に支障を来たさないように善処いたしたいと思います。
  72. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今の問題ですが、先ほど河野委員からもお話があつたように、原則としてというようなところまでは一つ声明される中へ入れておかれればいい。併し原則としてと書いたから、無理やりに何でもかんでも原則として入れてくれというのじやなくて、さつき言つたような関連した性質のものが、ただ新規事業ということになつているために形式的に駄目になつてしまうというようなことがないようにするためにも、一つ原則としてと、こういう言葉を入れてもらうことが必要じやないか、こう思うのであります。如何でしよう。
  73. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これはまあ国会の劈頭におきまする政府の施政方針において、特に原則としてというような字句を入れると、いろいろ又例外の議論が起るというようなことを考慮いたしまして、殊更に原則としてという字句を排除して、そうして一切認めないということをきめたわけで、非常に強い政府の決意で以て進んでおるわけでございますので、非常にその点御要望の問題については困難性が実はあると存ずるわけでございます。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 人間の社会に絶対という言葉はないのですよ。必ず例外というものがある。だから原則ということにしておかなければ私は動きがとれないと思うのだ。さもなければ、原則として、運用する人がその原則をきつく扱うか、ゆるく扱うかの問題はあるけれども、そういうわけで例外を認めない、いわゆる絶対という言葉をお使いになつてもしようがない。お互いの社会に絶対というようなことはありませんよ、そんなことは……。でありますから、現に先ほど特に用心深く平野個人としてはと言われたけれども、あなた自身の個人気持はやはり我々と一致しているでしよう。でありますから、私はあなた個人でありますけれども、我々の気持と一致しているから、あなたの政治力を信頼して私は引下つたのだが、これは一つ私は……、得てすると自繩自縛になりますよ、いろいろな例外の問題が出て来るからでありますから、私は今ここで政務次官個人としてなんて言わなくたつて、私は政務次官の責任において、原則として処理する、こういうことは私は言われてちつともおかしくないと思うのだね。ただ施政方針や何かには、その言葉を用心深く使わなくてそれでいいですよ。いいけれども、担当の農林大臣なり、政務次官としては、どこまでも原則としてこれは扱うということで私はいいんじやないかと思うのですがね。これは甚だくどいですけれども、私はむしろあなた自体がここでそうはつきり言われて自繩自縛になつて、今度は逆に例外が出て来る。必ず出て来ますよ。そのときに我々は、平野さん、あなたこの間こう言つたが、もう出ているじやないか、こういうわけならおれのほうもやつたらいいじやないかと、こういうことになりますよ。これは必ず紛糾の種ですよ。これはもう農林委員会は超党派の内輪の会でありますから、丁度本会議で総理大臣が施政方針演説をやるように、そう固苦しいことを言わないで、ちよつとその本当のところを言つて下さい。
  75. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止
  76. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  77. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 先ほど畜産局長から今年輸入する種牛の量について御説明があつたのですが、これはお伺いしなくてもここに書いてあるのでわかつているのですが、その質は一体どんなものを入れられるつもりであるのか。
  78. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 今、北委員からお話がありましたが、実は私技術者でありませんので詳しいことはわかりませんが、原々種といたしまして県の種畜牧場なり、或いは民間の適当な団体等に対しまする払下げする原々種として資格のある、仔畜を生む能力のある牛を買つて来る、現在まで牝畜につきましては、強く外国から入れたいという要望を持つておりまするが、現在まで予算の都合上で認めるということにならなかつたのであります。壮畜につきましては現在まで終戦以来三頭ほど入れておりますが、そのほかいずれも内地産のものは資格に劣る点もありますので、この際是非十分なる資格を持つた牡畜と牝畜を入れたい、かように考えております。これにつきましては畜産局の技師が購買官としてアメリカに行きまして選定をして来るということになります。
  79. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 先ほどあなたのお出でになる前にここでちよつと話したのですが、ちよつとダブるようになりますが、去年北海道のホルスタイン協会の宇都宮氏が北海道に是非一ついい種類の牛を入れなければならない。官庁で入れるものはどうもあまりいいものが来ないからというわけで、わざわざ大きな金を持つてアメリカに行きまして、昔向うにおつた人ですから向うのことはわかつておりますが、各牧場を詳しく見たけれども、どうしてもいいものがないというのですね、そこでやめて帰ろうと思つたけれども、折角大きな金を持つて行つたのだからして二頭買つて来た、これは事実なんです。けれどもあまり期待するようなものではない。こういう工合で、今後はアメリカ種牛を買いに行くべきじやないという結論を出しているのです。そこで今まで実はアメリカから大分牛が来ましたが、終戦後ララの贈り物なんというものが来ましたけれども、これは誰も種の付け手がない、それから種畜場にも入りましたけれども、あまり能力のいいものでないから、むしろ国内のものをつけたらいいという工合で、余り繁昌しておらん、ただ料金が非常に安いからというのでそつちへ行つてるのもありますけれども、極くいい牛にはそういうものはかけておらん、そういうような状況なつておるのでありますが、実は北海道の牛は私が申上げるまでもなく御承知のことと思いますが、大部歴史も古うございます。それから又初めの頃に思い切つて金をかけて種牛を入れたものですから、非常に種類が種牛ばかりではなしに、牝牛もいいものがあつた、こういうことかも知れませんが、いいものが北海道に繁殖し、それを系統繁殖によつて淘汰しまして非常にいいものができておる。現に飛び抜けたものは別として、乳重七十五石以上、脂肪量が一千ポンドとか、一千百ポンドという世界記録のものがどんどん出ておる。それは今年は世界第二位になつたとか、第三位になつたとか、そういうような状況ホルスタイン種は進んでおる。そこへ持つて来て折角予算があるからというので、余り希望もしないのに、より以下の種類の牛に余り金をかける必要はないじやないか、そこでこれなら大丈夫だという見通しがあるのかどうか、それもなしに何でも予算が通つたからそれを入れる、こういう行き方ではいけない、こう思うのです。そういう点について見通しがあるのかないのか、その点をお伺いしたい。
  80. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 北海道におきましては、乳牛が相当進んでおるということにつきましては私どもも了承しておるわけであります。政府といたしましては、昨年二十八年中に乳牛を一頭新冠の牧場に繋養いたしまして飼育しております。これは非常に日本においても最も素質のいいものを配されております。そのほかの四頭につきましては内地の牧場に配置するつもりでありますが、私どもが聞及んでおりますところでは、アメリカのほうにおきましては購買ができないというようなことは、アメリカに参りました連中から聞いておりません。ただ北委員お話になりました北海道の場合におきますと、そういう御意見もちよつと承わつたのでありますが、私どもの技術者のほうは大丈夫だと申しております。牝畜につきましては殆んど購売したことがありませんが、アメリカでは十分容易に買入れることができると思つています。
  81. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これはこの程度でよろしうございますね……。それでは予算修正の点につきましてはこの程度にいたします。   —————————————
  82. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 続きまして、商品取引所法の一部を改正する法律案、この法案議題にいたします。本法律案は去る三月六日、閣報第七十七号を以て政府から参議院先議を以て提出せられ、即日通商産業委員会に付託せられ目下審議中のものでありますが、商品取引所のうち農林物資に関するものは農林省所管なつておりまして、従つて法案は当委員会には深い関係があり、又最近の砂糖その他の取引上から見て参りますと、取引所の機能につきましてもいろいろな非難もあることと考えられますので、本日は先ず本改正案につきまして政府当局から説明を開き、質疑を行い、次いで当委員会の措置を協議願いたいと思います。先ず通商産業省の商務課長宮沢君から説明を願います。
  83. 宮沢鉄蔵

    説明員(宮沢鉄蔵君) 商品取引所法の一部を改正する法律案内容でございますが、最初にどういう点に着目いたしましてこの法律案の改正が規定されたかということを御説明申上げますと、この法律は、昭和二十五年法律第二百三十九号というものが施行されたわけでありますが、それから約三年を経過いたし、その間に設立されました商品取引所も二十を算えるに至つたのでありますが、そのうち通産省関係は八、農林省関係が十二ありまして、商品取引所の公共的機能と性格とに鑑みまして、且つ又現行法施行後の経験にも徴しまして、商品取引所の設立を許可制にすると共に、その運営の合理化を図るため、現行制度に適正な改善を加える必要を痛感するに至つたのであります。本改正法律案は、右の趣旨から、それぞれ必要な事項の改正について立法化するために提出したものであります。  その内容について御説明いたしますと、第一は、商品取引所の設立を許可制に改めたことであります。現行法は、自由設立を建前として登録制をとつているのでありますが、商品取引所の公共的機能と性格とに鑑みまして、投機市場化する虞れがあつたり、その他健全な発達を期待できないような取引所の設立を拒否できるような体制をとることが必要と考えられるからであります。  第二は、定款の変更及び業務規程のうち重要事項の変更については、主務大臣の認可を要することとしたことであります。現行法では、これらの変更は単なる届出で足りることになつておりますが、このような体制は、公正な相場の形成、過当投機の防止又は委託者の保護に遺憾ないようにする見地からは不十分且つ不適当と考えられますので、この点を改善しようとするものであります。  第三は、商品取引所の運営の合理化を図るために必要な制度の改善を行うことといたしたことでありまして、その主な点を申し上げますと、  一、会員信認金、仲買保証金及び売買証拠金に充用することができる有価証券の範囲を拡張したこと。  二、議決権及び役員の選挙権については、定款の定めるところにより、書面又は代理人による行使を認めることとしたこと。  三、取引所は、売買取引の公正を確保し、又は委託者を保護するため特に必要があるときは、二以上の商品市場において、又は他の取引所において売買取引する会員又は商品仲買人の純資産額の最低額を定款で定めるところにより加重することができるものとしたこと。  四、持分を承継して会員となつた相続人又は受遺者は、被承継人の未決済の売買取引にかかる権利義務を承継するものとすると共に、脱退した商品仲買人でも脱退前にした委託にかかる未決済の売買取引の決済を結了できるようにしたこと。  五、会員の脱退の予告の最低期間については、現行法では六十日となつているのを三十日と短縮したこと。であります。  以上三点のほか、本法律案におきましては、今次改正を機会に、他の法律との均衡を考慮しまして、罰金及び過料の額を引上げると共に、その他所要の条文整備を行うことにいたした次第であります。これが本法律案内容でございます。
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは私から一つ一言質問したいのですが、取引所の機能から見て行つて、供給力に弾力性がない物資について、こういうものについて取引所というものが本来の機能を発揚できるかどうか、そういう点について政府の見解はどうか。これは一例を挙げれば、例えば最近問題になつておる砂糖というようなものを想定して行くというと、これはまあ外貨その他で供給量というものがはつきりしてしまうのですね。まあ時期的には或る程度の変動があると思いまするが、そういう供給量は外貨面からもはつきりしてしまう。こういうものを適正な価格を発見するというような取引所の機能というものでいいかどうか。要するに供給力がはつきりわかつておる、限定されておるものについて取引所という機構が果して積極的な存在理由があるかどうかという点、これは基本的な考え方ですが。
  85. 中西一郎

    説明員(中西一郎君) その点は砂糖のみならず、外貨が皆窮屈になつて来るというと、あらゆる上場商品について起つて来る可能性はあると思うのです。ただ現在の段階ではできるだけ供給力を確保して行くというふうに考えて外貨の折衝その他やつておりますが、万一外貨が十分付かないで、その場合に委員長のおつしやつたような事態に陥るというときの取引所の機能は何だろうか。私のほうも研究しておりますが、少くとも今のような先物の限月の長い取引、そういうものは意味がなくなつて来るかもわからない。そうしますと、二月とか、或いは三月とか制限した範囲内の取引についての相場の形成というものに限定されて行くのじやないか。事実上そういうふうになりますと、現物の市場化して来るのじやないか。やはり現物についての価格形成という面からは取引所の機能を尊重し、残して行かなければならん面もあるのじやないかと、そういうふうに考えております。
  86. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこで今私の質問せんとするところが一部お答えがあつたのですが、この前のこの法律案ができるときにも、たしか私どもが出て行つて代表質問したのですが、例えば米は統制中であるから問題ないのですが、例えば米以外の麦とか、雑穀とかいうようなものでも、これはまあ生活必需品であるわけです。まあ砂糖もそうだと思うのですが、そういうようなものを要するに清算取引を認めるということは差当つて私はやつぱり投機取引をむしろ誘致する危険性があるので、取引所のできることは結構だけれども、差当りは現物取引ということに重点を置いて参りたい。実は速記録をまだ調べてないのですが、それに対して当時の政府当局からは大体そういう趣旨で運用して参りたいという答弁があつたと思うのですが、併し最近の取引所のでき方を見ておると、やはりこういう生活必需品、食糧等についてもやはり清算取引を認めておるということは前の政府の答弁と多少違つておるような感じもするのですが、今経済課長の答弁のように、できるだけ現物取引という方向指導して行きたいというような観念があるかどうか。これは特に最近の外貨の困難性から政府の期待する物価引下と逆な現象が各物資について起つておるのです。これはまあ大きな需給関係から来ているとは思うのですが、一部にはやはり私は取引所の機能というものも、例えば一般の株が面白くないので砂糖の取引に集中したというようなことも一つの原因ではないか。ですからやはり全体の外貨なり、或いは耐乏生活という窮窟な経済環境の中において、取引所をどうするかという考え方は当然私は或る程度変改されていいのじやないかと、こう思うのですが、その点はどうなんですか、これはむしろ通産省の意見を聞きたいのですが。
  87. 宮沢鉄蔵

    説明員(宮沢鉄蔵君) お答え申上げます。この法律ができましたときの答弁、私も覚えていないのでございますが、最近やはり取引所に非常に投機資金が集まつておるのじやないかという声があちらこちらの新聞紙上を賑わして来ておるのでございます。農林物資につきましては、私のほうでお答えする限りでないのでございますが、通産物資について見てみますると、現物価格、現物価格と申しますか、現物取引における値段と、それから先物、定期市場におきます値段と比較いたしました場合、定期市場におきまする値段が現物価格を遊離して動いておるということになりますと、まさに過当投機が行われておるということになるわけでございますけれども、現在までのところそういうような徴候は見られないのでございます。例えば大体の傾向を見ますると、高い高いと言われておりますようなときには取引所の価格はそれより或る程度低いところで動いておる。それから非常に安い安いと、こう言われておるときには取引所の価格はそれより若干高いところに動いておるというのが私たちのほうで今まで担当しておる物資についての値段の動きでございまして、従いまして取引所で過当投機が行われておる、取引所があるために非常に投機が不当に行われておるというようなことはないというふうに考えております。ただ何と申しましても日本の現在の取引所は、その規模がいずれの場合におきましても決して十分大きい段階にはなつておりませんので、従いまして、そういう過当投機の行われる危険性はやはり包蔵しておるというふうに考えておるのでございまして、従いまして取引所の運営につきましては、こういう供用品の範囲の拡大とか、或いは証拠金の徴収の率の増加だとか、そういうようないろいろ取引所に固有のテクニツクにつきましては、いろいろ指導いたしまして過当投機が行われないようには指導しておるわけであります。ただそれにいたしましても、やはり取引所は何といたしましても最近の需要によつて売買が行われますので、必要のないところに取引所がどんどんできるということになりますと、実際の実情を無視した取引所ができ、且つ相場の高値だけを対象とするような不健全な取引所ができるということは非常に好ましくないところであろう。現在の法律の建前は、とにかく一定の数の発起人が集まつて申請さえすれば政府のほうは阻止できないということになつておりますので、どんどん不健全な取引所ができるような態勢になつている。その点は先ずこの際は抑制できるような態勢を布こうじやないか。且つ又その取引所の設立されましたあとは、定款にいたしましても、業務規定にいたしましても、全く自由に改廃できるようになつているので、そういう態勢はこういう公共的な色彩の強い機関としては非常に不適当だ。それでそういうような重要事項につきましては、やはり政府のほうでも責任を分担するような態勢をとるべきではないだろうかというのが今度の改正法案一つの主眼になつているのでございまして、只今の質問に対するお答えとしてぴたりと合つたお答えかどうかわかりませんけれども、そういうような気持で……。
  88. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それから私も取引所のことは素人なんですが、投機市場化するということを防ぐのは、現在のところではどういうような方法が考えられるのですか。
  89. 宮沢鉄蔵

    説明員(宮沢鉄蔵君) 一つには、例えば供用品の範囲の拡大ということが考えられるのであります。これはどうも私のほうの所管の例で申訳けありませんが、例えば綿糸を例にとりますと、現在は二十番手の綿糸というのが供用品になつているのであります。そうすると綿糸の生産というのは、二十番手なら二十番手の生産というのは、そのうちの三分の一くらいだろうと思います。その二十番手のものしか取引所の受渡しに供用できないのでございます。その受渡しするところの対象が非常に少ないということになりますと、非常に少ないものを対象として非常にたくさん取引をされますと、非常にそこに過当投機が行われまして、現物がない場合には非常に値段が上る可能性が出て来るわけでございます。従いまして過当投機が行われる可能性が非常に濃厚だということになりますと、受渡供用品の範囲の拡大ということをやるわけであります。例えば二十番手のほかに三十番手を持つて来てもよろしい。或いは四十番手を持つて来てもよろしい。そうすると、そこの対象が非常に拡がるわけでございます。従いまして買占めを策した人間がおつたといたしまして、それに対して渡るものが非常に範囲が拡がるということになりますと、どうしても不当に値段が釣上るということが抑制されるということでございます。その受渡供用品の範囲の拡大というのが第一点でございます。第二の点は、売買証拠金の増徴ということでございます。それは取引所で取引いたしますときには、現実におきましては大体一割ぐらい、それから委託者が注文いたします場合には大体二割ぐらいの証拠金を積むことになつております。百万円の取引をする場合であれば十万円乃至二十万円積むのでございまして、その証拠金の率を引上げるのでございます。極端な場合を予想して、六カ月先に百万円のものを買う場合現在百万円積まねばならん。そうすると、現在誰もやる者がいなくなる。従いまして取引所といたしましては、取引を売買するものがいなくなつて困るわけであります。いずれにいたしましても、現在一割、一割五分、二割、そういう率を殖やすということになると、本当に必要なものはともかく、単にちよつと今上りそうだからやつてみようかというような人には非常に魅力がなくなるわけでありまして、従つて過当投機抑制の方策として売買証拠金の増徴ということ、それに関連して委託者については委託証拠金の率の引上ということが第二の方策として考えられるわけであります。それからもう一つは、非常に直接的な手段でありますが、取引所で以て売りと買いとが立つておりますが、一人の買いにつきましては、売買数量の差引の残玉と申しますか、例えば買いが一千万円、売りが二百万ということにいたしますと、一千万円から二百万引いた八百万が残玉ということになりますが、この残玉を制限するのでございます。大阪三品取引所を例にとりますと、一会員につきましては、売買数量の差引残高が一限月について三千梱となつておりますが、これを例えば強化することになると、二千梱か、一千梱とするとかして、一人が売買する数量を抑えて行くわけでございます。そうすると一人や二人の人間のために非常に相場が不当に動くというようなことが制限をされるわけであります。そういつた方策が取引所としてとられる過当投機抑制の手段でございます。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 豊橋、前橋の乾繭取引所がここに出ておりますが、大体全国では繭の取引は市場取引をやらないで協定取引をやつているようですが、どんな形になつてやつているんですか。
  91. 野尻春海

    説明員(野尻春海君) 生繭につきましては、お仰せの通り、農協とそれから製糸家との団体の供用による販売をやつておりますが、これは製糸家に渡りまして乾繭いたしました乾繭についての取引でございます。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 農民が乾繭した場合じやないのですねこの取引は……。
  93. 野尻春海

    説明員(野尻春海君) 製糸家が乾繭した場合であります。
  94. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) もう一つ改正の第一点ですが、許可制にすることについては私は反対はしないのですが、取引所のできた数とすれば、そう大して多くはないのですね、二、三十ぐらい。既設の二十についてやはり投機市場化する虞れが非常にあるとか、或いはどうも自由設立では弊害が多いという具体的な事例が現に出ている。数としては非常に少いような感じがするのですが、許可制にすることについてはこういう性格から反対はしないのだけれども、それなら初めからそう大して古い法律じやないので、当初からそんなことは私は予想し得たと思うのです。えらい理窟めいたことかも知れませんが、こういうことはどうなんですか。
  95. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは通産省からお答えしたほうがいいかと思いますが、これは許可制にしたほうがいいか、登録制にしたほうがいいか、法の建前でございまするが、私の聞いているところでは、占領政策にやつぱり関係がございまして、登録ということでなければ向うが認めなかつたといういきさつもあつたようでございます。それから現在設立されておりますものについては、勿論登録したものを改めて許可によつてふるいにかけるということをいたさないつもりでございます。むしろ今後の問題といたしましてこういう許可制にしたらどうか。それから私の聞いている範囲におきまして、農林省関係でもまだ正式に審査しておりませんが、必ずしも適当でないと認められるものについて、設立の登録がありそうなのが、申請がありそうなのが、通産省におかれてもそういうのが一、二あつたように聞いておりますので、こういう機構が必要じやないか、かように考えております。
  96. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからもう一つは、えらい端的な質問になるのですが、どうも今度砂糖なんかの価格高騰なんかの例から見て行くと、監督官庁の、農林省とか、通産省あたりの取引所に対する観念の仕方と言いますか、更には指導監督と言いますか、そういう関係が、これは私はもと役所におつたのですが、概して統制経済の中で訓練された人が多いのです。こういう取引所機能についてはどうも少し指導なり、監督の仕方がちよつと足りないような感じがするのですが、これは質問ではないので、むしろ感じを申上げることになるかも知れませんが……。ですから、やはりこういう改正をされることは結構だと思うのですが、そういう点についていま少し身を入れて頂きたいという気持があるのですが、これは答弁を要求しないので、感じを申上げたわけです。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 このあれは何ですか、大体清算取引をやつている取引所ということになりますか、現物取引をしている取引所になりますか。例えば秋葉原の青果市場だとか、或いは築地の市場であるとか、芝浦の屠殺市場だとかいうようなものは、殆んどこれができれば許可登録が要ることになりますか、こういうものは……。
  98. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君)  築地だとか、ああいうところの卸売市場は中央卸売市場法という別の法律がございます。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 これじやないのですね。
  100. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これではありません。又屠殺のほうは全く違う建前になつております。
  101. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこの問題はこの程度にいたしまして、今後の扱い方につきましては又別途御相談をいたしたいと思います。  なお案件がありまするが、本日はこれで散会いたします。    午後四時十一分散会