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1954-10-20 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十日(水曜日)    午前十時五十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            宮本 邦彦君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            石川 清一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   委員外議員            北 勝太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 加藤鐐五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林政務次官  羽田武嗣郎君    農林省農林経済    局金融課長   松岡  亮君    農林省農林経済   局統計調査部長  野田哲五郎君    農林省農林経済    局統計調査部作    物統計課長   原  政司君    農林省農地局長 平川  守君    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       大塚 常治君    農林省農業改良    局農産課長   岩永 達夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告農林政策に関する調査の件  (台風による被害及び冷害並びにそ  の対策の件)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  昨日懇談の際に御了解を頂きました、議員北勝太郎君から本日の委員会で発言を求められておりますので、これを許可することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認めますので、さよう取計らいをいたします。   ―――――――――――――
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最初に、派遣議員調査報告の件を議題にいたします。  先般台風被害調査のため、第一班は静岡県に松永委員及び鈴木委員を、第二班は大分宮崎及び鹿児島県に宮本委員及び岸委員を、第三班として冷害調査のため北海道に江田委員の御出張を煩わしたのでありまして、各委員におかれましては、極めて御多忙中格別の御足労を頂きましたことにつきまして厚く感謝をいたします。只今から順次御報告を願うことにいたします。最初に、第一班松永委員の御報告をお願いいたします。
  5. 松永義雄

    松永義雄君 静岡台風被害調査の結果を御報告申上げます。  去る九月二十八、二十九の両日に亘りまして、鈴木強委員と二人で視察した参りました静岡県における台風第十四号の被害状況等につきまして御報告申上げます。  台風第十四号は、静岡県におきましては九月十八日夕刻、熊野灘、遠州灘を経まして二十時半頃御前崎上陸、駿河湾、伊豆半島の中央部を横断して相模湾に抜けたのであります。この台風はすでに御承知の通り本土に接したときは大分衰えて参りまして、御前崎通過の頃は中心示度九百七十ミリバール、瞬間最大風速二十四メートル、最大風速二十二メートルであつたのでありますが、満潮時であつたことと、山間部四百ミリ以上、平地二百ミリ以上に及ぶ豪雨に見舞われたために被害は非常に大きくなつたのでありまして、殊に静岡県は河川が殆んど大井川でありますため、各所で氾濫を起したのであります。  又台風通過直後の二、三時間の間に温度が二度も上昇し、且つ湿度が九五%から六五%程度に急落いたしたため、たまたまその時刻に冠水していたものとか、屋敷等の蔭になつていたものを除きまして、開花期又は乳熟期にあつた中稲のうち遅いもの及び晩稲の大部分がフエイン現象を起し、白穂と化してしまつたのであります。  県当局の示しました農林関係被害額について申上げますと、施設関係では農地九千四百万円、農業用施設六億二千二百万円、林業施設二億四千万円、計九億六千二百万円に上つているのであります。なお農業用施設六億二千二百万円のうち九九%までは小規模災害でありまして、特に中小河川氾濫の著しかつたことが影響しているのであります。  農作物関係では稲の被害が特に大きく、水田五万六千町歩のうち白穂一万五千町歩冠浸水一万八千町歩潮風害八千町歩、倒伏二千八百町歩流失埋没百三十二町歩と実に七割八分の水田被害を受け、減収量二十五万八千石、県全体として二割強の減収と見積られているのであります。又畑作につきましては冠浸水七千町歩潮風害五千町歩流失埋没六百八十九町歩と、全畑面積の約二割が被害をこうむり、被害額六億八千七百万円と見積られているのであります。かくのごとく諸施設のみならず、農作物、殊に稲の被害が大きかつたことはその殆んどが昨年の第十三号台風被害を受けた地域でありますので、被災農家の打撃は非常に大きいように見受けられたのであります。  二十八日現地に参りました我々は先ず県庁で一般的な説明を聞いた後悔岸沿い浜松向つたのでありまして、途中大井川右岸の志太郡吉田町、掛川南方小笠大坂村、天龍川左岸磐田井通村で名郡の実情を聞いたのであります。翌日は浜松を出て再び天龍川左岸に戻り、磐田今井村、周智郡山梨町を経て二俣線沿い天龍川を横切り、浜名湖北辺の引佐郡気賀町に行き、三方が原を南下し、浜松長上地区を経て浜松に戻つたのでありまして、静岡西部穀倉地帯海岸から山麓までつぶさに視察して参つたのであります。これらの地帯収量の多い晩生種を多作する遅場地帯でありまして、海岸附近潮風等又は冠浸水その他が冠浸水又は白穂の害を受けていると言つても過言ではないほどの惨状であつたのであります。これは磐田今井村の農家の主婦の言葉でありますが、「堤防の決壊を防ぐために徹夜の警戒に当り、漸く持ちこたえて一夜が明けたら稲は一面の白穂なつており、昨年に続く災害でどうしてやつてよいか思案にくれています。」という言葉被災農家の実感を如実に現わしているのではないかと思うのであります。  このフエイン現象による白穂静岡県においては昭和二十二年に始まり、昭和二十三年のアイオン台風及び昨年の第十三号台風の際に大発生したとのことでありまして、県当局でも過去において取りあえず早生種に転換するよう強く指導したことがあるのでありますが、反当り一俵程度収量に差がある上、台風が来ないこともあり、又来る時期も一定していないため普及しなかつたのであります。私どもとしましては被害の広汎な点に鑑み、十分な試験研究行なつて的確な防除手段を樹立する必要を痛感した次第であります。  なお又小笠郡原田村という山村のごときは洪水のため多くの橋梁道路が破壊され未だに交通が杜絶しており、小笠大坂村へ我々が参りましたときは他の町村の代表者から、「ここへ代表者が参集できないほどの被害を受けている旨」の説明があつたのであります。  以上が被害の大要でありますが、  最後現地要望について申上げますと、現地のすべての関係者から強く要望されましたことは、主として被災農家に対する応急措置でありまして、一、昭和二十九年産米供出割当量減免。二、長期低利営農資金の融通。三、昭和二十八年風水害による特例売渡米麦代金延納。四、昭和二十八年風水害による営農資金の一カ年据置及び一カ年延納。五、病虫害防除用農薬購入費高率補助。六、雑穀、蔬菜類種子確保購入費補助。七、農業災害補償法による保険金早期交付。八、被災農家に対する課税の減免。九、昭和二十九年産米検査規格引下げ等であります。  一方施設関係では、一、災害復旧早期実施。二、災害復旧費全額国庫負担。三、十万円以下の小規模災害に対する助成。四、起債の枠の拡大及び特別地方交付税交付等要望があり、又中小河川流失橋梁に対する対策についても強い要望がありました。なお又農業協同組合関係では被災農協損害に対して助成されたいという要望がありました。  以上が今回の現地調査の概要でありますが、十五号台風農作物相当被害を与えておりまして、その後の県の調査によりますと、九月三十日現在で、稲の減収量三十万三千石、蔬菜、甘藷、工芸作物その他畑作物被害は十億三千八百万円に上つているということであります。  現地に参りました私どもとしましては、昨年に引続く災害であり、又昨年同様の広汎且つ深刻な被害を受けている点に鑑み、適当な対策を樹立すべきであるということを痛感した次第であります。  以上御報告いたします。
  6. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続きまして第二班宮本委員の御報告をお願いいたします。
  7. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 九州地区台風被害による災害地視察報告を申述べます。  岸委員と私は去る十月十日から十六日の間に亘り、台風五号、台風十三号、台風十二号、台風十五号の主な被害県である大分宮崎鹿児島県の各県災害地に出張し、災害状況調査いたして参りました。以下簡単にこの状況を御報告申上げます。なお詳細は文書を以て御報告申上げますから、それを御覧頂きたいと思います。  先ず台風状況を一括して御説明申上げます。台風五号は八月十八日鹿児戸阿久根附近上陸いたしまして、中心示度は九百四十ミリバール、中心附近最大風速五十メートルの強度を以て大分、熊本県境山脈を越え、宮崎県西臼杵郡を通り豊豫海峡へ抜けて通過いたしました台風でございます。本台風による降雨量は、宮崎大分境重岡観測所におきましては十九日の日雨量が四百八十七ミリ、十七日よりの連続三日間の雨量が九百八十四ミリとなつております。  それから続いて九月七日来襲いたしました台風十三号は、鹿児島志布志附近上陸いたしまして中心示度は九百五十三ミリバール、中心附近最大風速四十メートルの強度のものでありました。同台風は同県の西部をかすめ、宮崎西部山岳地帯を北上し、大分附近にて北東海上に去つたものでありまして、降雨量日雨量が三百数十ミリに達しております。  続いて参りました十二号台風は九月十三日に参りましたものでございまして、これは史上稀有の大台風と言われるものでございました。即ち中心示度は九百五十五ミリバール、中心附近最大風速は四十メートルで、半径五百キロ以内は二十五メートルという風速を持つた大規模な台風でございました。五月十三日鹿児島開聞岳附近上陸いたしまして、宮崎西部山脈地帯を北上し、大分西部より周防灘へ抜けたものでございます。本台風上陸速度が非常に遅れまして、そのため降雨時間か長引いたような関係もあり、宮崎山間部一ノ瀬川上流、大河内、椎葉地方には千二百ミリを超える豪雨を降らせております。  続いて参りました台風は九月二十一日に参りました十五号台風でございまして、これは鹿児高薩摩半島南部上陸し、鹿児島市を通過し、宮崎市、延岡附近通り豊後水道に抜けておるのでございます。本台風中心示度九百七十五ミリバール、最大風速は五十メートルというものでありましたが、比較的速度が速く、十二号台風に比べまして、風害はありましたけれども降雨量は比較的少く二百七十二ミリ程度でありました。  以上が九州各県を襲いました本年の台風でございますが、本年の台風頻度は平年の倍以上という頻度を示しております。而もその台風農作物丁度成長期成熟期と殆んど一致いたしており、各作物の重要な時期に相次いで、殆んど同じようなルートを通過したということがこの地方の、特に農作物に壊滅的な被害を与えたという特徴を持つております。  又宮崎県の西部地方は春以来の降雨続きでございまして、これは全国的な現象でございましたけれども、そういつたために非常に地盤が緩んでおりました。そこへ特に十二号台風という千二百ミリを超えるような豪雨が相次いだ台風の中に混つて参りましたために、数百年も被害を受けたことのないというような構造物まで今回は流失破壊してしまつたというような珍らしい大惨状を呈しておるところでございまして、今日なお宮崎県の山間地帯の各村は交通が杜絶の状態でございます。  各県の視察いたしました重要な状況を以下簡単に視察の順序に従いまして御報告申上げたいと思います。  先ず私どもは十一日大分県に参りまして県庁にて副知事さん初め関係各位から災害概況その他を聞きました。大分県の災害災害救助法発動を見るようなものが三十一カ市町村に亘りまして、罹災者総数は十八万六千五百五十七人、死者行方不明者を出しまして二十九名、建物流失、全、半壊、浸水等三万四千二百十六戸、被害総額が百二十三億九千三百万円というような巨額に上つておりまして、そのうちでも特に農作物被害は六十六億一千八百二十八万円、こういうような額に達しておるのでございます。で、海岸施設は、中津方面海岸施設は、高潮と暴風雨によりまして相当干拓堤塘或い道路、護岸というようなものが破壊いたしておりますけれども、最も大きな被害は何といつて農作物被害でございまして、特に大分附近大分穀倉地帯と言われるところの水田が殆んど白穂状態を呈しておつたわけでございます。私ども農事試験場に参りまして、場長よりそのときの気象状況或いは各種の資料を見せてもらいましてフエイン現象というものの状態をつぶさに知ることができたのであります。従いまして、一等被害の大きいそのフエイン現象径路を私ども視察して参つたのでございますが、このフエイン現象は昨年と覚えておりますが、私が静岡で拝見いたしましたフエイン現象は、海のほうより吹いて来た風によつてつた白穂現象でございましたが、この今回の大分県のフエイン現象は、逆に国境山脈のほうから吹き下ろした風がフエイン現象を起しておつた。丁度夜間でございまして急に乾風が山から吹き下ろして海のほうに抜けて行つた、従いましてこの径路沿つた平地、特に高台、高いところの、障害物支障物のないとところの耕地の稲穂は殆んど真つ白になつてしまつて、而もこの数度に亘る強風のために稲作は裂傷が甚だしく、又分蘗してあとから出たような穂もたくさんございましたけれども、これらもこの裂傷のために恐らく結実は不可能じやないかというような説明を承わつて参りました。折々門地とか、或いは立木等のところは、これはその被害を免かれておるのでございまして、私ども今後災害地方耕地に対しましては単に従来のような考え方でなく、こういつたフエイン現象といつたようなものに対しても何らかの対策を講じなければならないというような印象を受けたのでございます。  次に私ども宮崎県に参りました。  先ず延岡市の市役所に至りまして、市役所の各関係官又県の関係官からその地方災害状況をつぶさに拝聴いたしたのでありますが、延岡市の附近を流れますところの五ケ瀬川、祝子川、渋川等はいずれも大氾濫をいたしました河川でございまして、この実情を、私ども延岡市、北方村、南方村等の惨害地、或いは荒廃地、こういつたひどい水害被害を受けておる地方を拝見いたしまして今度の雨量が先ほど申しました千三百ミリを突破するというような、稀有の大洪水によるという被害が直接の原因であつたということをよく知つたのでございます。その一例を申上げますというと、五ケ瀬川の沿岸でございますが、延岡市の中を流れております五ケ瀬川堤防建設省造つた堤防でございまして非常に立派な堤防でございます。堤高が七メートルくらいございまして堅牢にできておりますが、今回の水害ではこの堅牢な堤防をなお一メートル以上も洪水が来ておりまして殆んど堤防というものは水を、今回の洪水に関する限り水を防ぐ堤防ではなかつたという感じを受けたのでございます。従いましてこの五ケ瀬川の両岸は広い所でも一里、狭い所は半道くらいな、もつと狭い所は四、五百メートルしかございませんが、こういつた間に河川耕地とがあるのでございますが、山から山が完全に河川なつてしまつたというような状態でございます。従いましてあらゆる平地耕地というものは完全に冠水いたしましてその惨状は誠にひどいものでございました。ただこの堤塘につきまして私どもが見ました結果堤塘は普通の堤塘でございましたために必ずどこか決壊しておる。そしてその決壊した堤塘の前後は水田埋没流失の災厄に会つておる、どうせ冠水するなら提塘の決壊しないような施設が技術的には可能なのでありますが、この地方建設省堤防にはそういう施設がなかつたということが耕地被害を一層大きくいたしまして、たださえ困難な農家災害耕地復旧という重圧が加わつておるような気がいたしましたわけでございます。  なお、私どもはここにおいて非常に不可解なことを農民から聞いて参りましたのでございますが、この上流に九電のダムがございます。発電所ダムがございます。このダムの扉が十三日の午後八時頃、五ケ瀬川洪水が最高に達したそうでございますが、その日の同じ日の午俊一時頃上流水力発電所門扉が開放されたのであります。従いましてこの開放されたダム内の水量延岡市まで達するに二時間ばかりかかるそうでございますが、午後一時に開放したと、それから継続して洪水が流れて参るわけでございますから、少くとも三時、四時という頃はダム開扉によるところの水が到達した時間でございます。これに引続いて、増水がし、その増水が満潮時の、午後八時頃満潮時になつたそうでございますが、その満潮時に丁度遭遇した、午後八時頃が最大洪水になつたというような関係になるわけでございまして、こういつた発電所門扉操作というようなことは単に水力発電電力関係においてこれが取締らるべきものではないと、今後は災害の軽減のために十分にこういつたものの操作も考えなければならないというような気がいたしましたわけでございます。但し延岡の今回の災害水量洪水量を見ますというと、単に発電所門扉開扉した、開放というようなことの影響は割合に少かつたのじやないかという気もいたしたくらい大きな洪水量があつたのでございまして、こういう点からいたしますというと、本地方は大きな台風が参りますときには必ず災害があるという災害常習地というような気も私どもいたしましたわけでございまして、こういうところに対しては何らかの私ども特殊な考え方、農政的な特殊な考え方がなされなければならないというような気がいたしました。で、なお延岡市近郊を見まして、それから南に下つたわけでございますが、私どもの通過いたしました海岸地帯には、その外なお塩害をこうむつたところ、又は風害をこうむつたところがずつと宮崎まで続いておりました。  次いで私ども宮崎県庁に参りまして、県の首脳部、副知事さん初め各位から宮崎県の災害状況を承わりました。宮崎県では今度の台風による災害の主なものとしては、死者行方不明者が六十七名というような大きな数を出しており、建物のうちでも流出破壊等が五万七千百二十棟、耕地流出埋没、冠水というものが三万三千百四十二町歩被害総額が三百十七億三千三百九十六万円、農地災害だけでも百七十八億八十四万円、農作物被害は九十六億九千六百八十一万円、林業被害が比較的多くございましてこれは施設災害を含めて三十二億六千七百六万円、災害救助法発動市町村数が六十八カ市町村に及んでおるという説明県庁にて聞きましたのち、私ども大淀川の流域に沿いまして、都城のほうの現地視察をいたして参つたのでございますが、綾北川綾南川の附近で以て耕地災害のひどい所を見て参りました。綾北川綾南川という二河川の今度の災害地を見ますというと、建設省堤防が約三分の二ぐらいできております。その三分の二できております建設省堤防附近は何ら被害をこうむつておりませんけれども、まだ未完成地帯の三分の一のところから洪水が逆流して参りまして、この地帯耕地を潰しておる。こういつた折角大きな金をかけて建設省工事をやり、中途半端な工事のままでこれを放置して置くということは、国家的に非常に大きな損害である、やはり工事というものはできるだけ早く完成するのが大事だということを、私ども現実災害状況と睨み合せて感じて参つたことでございます。又私ども都城市に参ります途中、あの途中の地帯一帯特殊土壌であるシラス土壌地帯通つたのでありますが、今回の台風が大きな雨を持つて来たということのために、このシラス土壌特殊性である崩壊が道の両脇に、隅々に崩壊地点を見ることができたのでございまして、あの地帯特殊土壌であるシラス、コラ、ボラというような、ああいうところの施設は如何に必要であるかということを痛感いたしたのでございます。なお私ども都城に参りまして、過般特殊土壌地帯法律案によりまして、ほんの一部分でございますが、国の助成により施工いたしました個所を見て参りました。これは非常に効果がございまして、すぐその脇のシラス工専地帯の所は非常に大きな崩壊をしておるのに、対策事業を施行いたしまして芝がついた場所は、今度の豪雨に会いましても、何らの被害をこうむつておらず、而もその影響下流のその渓谷の耕地を完全に守つておるという立派な成績を挙げておることを見て参つたのでございまして、如何にこの耕地災害に対する土地改良事業の根本的な施設が重要な使命を果しておるかということをつぶさに知つたわけでございます。  それから私ども都城周辺一等大きい災害地と言われる所を見て参りました。ここで私はもう一度水力電気の問題を取上げなければならないのでございますが、実は都城一帯平地は数カ村に亘りまして完全に水没状態なつてしまいました。低い所は二メーター乃至三メーターぐらいな水没地帯になり、河川堤防の上を一メーター以上も洪水が溢水しているのであります。この原因都城盆地の最後を扼しておるところの、大淀川狭窄部轟ダムという発電堰堤がございまして、その発電堰堤電力のほうでは非常に効率のいい発電所だそうでございます。建設当時は、これは県と地元との水利協定によりまして、年々土砂排除水門を開いて、河川堆積土砂を払うことになつておりまして、建設当初はずつとその土砂排除の作業が継続されておつたそうでございます。その頃は比較的耕地洪水被害というものは少かつたということでございますが、轟ダム下流排砂門を持たないところの新らしい発電所ができて以来、轟ダム排砂門というものはずつと排砂作用行なつたことがない、門扉を開いたことがないということでございます。従いましてこの大淀川の河床はどんどん隆起し、今日は非常な隆起を示しております。従いましてこの上流地帯は、この轟ダム排砂門をいじらなくなつてから、今日まで年々実は相当被害面積を出しておつたのだそうでございます。昨年のように災害に殆んど関係のなかつたというような年でさえも、この一部分の数百町歩の田圃が実は被害を受けておつたのでございまして、これが長い間の慣行になり、つい農民はずるずるにまあ引きずられてしまつたというような形が、今日の大災害をもたらした大きな理由になつております。で、私どもが参りましたときに、やはりこの問題で農民が非常に何といいますか、いろいろ協議したり、或いは多少期成同盟会というようなものの動きがあり、このダムの問題については、相当考えさせられる問題を皆語つておりました。特に私、ここに不愉快なことを申上げますが、農民は従来その惨害を知りつつ幾らかの見舞金、こういう形で以て実は発電会社から少し金をとつている。そのためにこれはもうしようがないのだというような考え方も、農民の中にはあるようでございまして、こういつたことが今回の災害を大きくし、日本の農業の一つの癌をなすような水利の統制を破壊している原因作つたということは、私ども誠に残念だと思うのでございまして、この点は農林委員会においても、今後も一つ御研究を願いたいと思う問題でございます。で、都城附近災害は、これは非常に大きい災害でございますが、詳細はいずれ書面でなにいたしますので、このくらいで次に移りたいと存じます。  都城から私ども鹿児島県の囎唹郡のほうに陸地を自動車で走つたのでございます。この区間は殆んど高台地でございまして、やはりシラス或いはボラといつた桜島或いは霧島の火山灰、土壌地帯でございまして、非常に高いところでございます。従いましてこの地帯は大部分が畑作でございまして、この畑作は今回の台風状況が先ほども申しましたように第五号台風から第十五号台風まで次々に来た、従いまして初めの播種したそばその他をやられてしまつたときにすぐ又播種する、又すぐそれがやられる、ひどいところは三回目のそばも収穫皆無というような状況のところがございました。で一般に鹿児島県の災害台風の原則である、台風が参りますというとその右側は雨が多いけれども、左側は風だけであるというようなその状況がよく現われておりまして、今回の台風の通路が大体鹿児島県の東寄りを通つて行つた。従いまして鹿児島県全体としては風害がひどかつたけれども水害は比較的軽かつたというような関係もありいたしまして、この高台地の畑作は殆んど壊滅状態であつたというようなところを実は見て参りました。  次いで私どもは志布志、それから有明湾に、この有明湾は鹿児島県の有明湾でございますが、この沿岸の、海岸を見て参りましたが、これは大きな風力を持つてつたために海岸津浪、即ち高潮の状態と風力とが一緒になりまして海岸を非常に荒らしております。  なお谷山の干拓堤塘は本回も又災害を受けて決壊したそうでございますが、時間がございませんでその干拓堤塘は見て参りませんでした。沿岸の各地で以て非常な潮害その他の惨害を拝見いたしまして御同情申上げて来たわけでございます。鹿児島県の災害状況を極く数字を大まかに申上げますというと、総額は、被害総額が八十三億一千四百三十二万円、そのうち七十八億九千七百八十二万円というものが、これが農業関係災害であるというくらい実は農業農作物被害が激甚でございました。  以上が極く簡単に申上げました各県の私ども視察いたしました感想でございますが、各県ともこの災害には非常に難渋いたしておりまして各県の災害対策要望事項を拝見いたしますというと、又各県の実情を承わりますというと、第一番に各県が心配されておる問題はこの復旧に関する事項でございまして、復旧には応急復旧費の繋ぎ融資の問題、これが従来とかく円滑を欠きましたために復旧が進捗しない、それから又復旧費の地元負担分の是非全額を起債でやつてもらいたい。この水害関係の地元というものは単に施設が破壊されたばかりでなく、農作物がもつとひどくやられているような状態でありまして、地元には起債能力というものは全くございません。又その上農民は飯米にも欠いております関係で以て一部分の起債の認可というようなことでは到底復旧はなし得ないものでございまして、これらの事情は当然私ども考えて差上げなければならない問題だと思つております。  それから又今回の特にひどい災害被害地は累年の災害でございます関係上、何とかして国庫補助の引上げをお願いしたいというような要望が非常に強うございました。  又農林営農関係の金融といたしましては、営農資金の融通と、この利子補給を非常に要望しておりました。これは当然なことであつて、私ども昨年の例にならいまして是非これは実施して差上げたいというような気がいたしました。  それから又前年度も災害をこうむつておりますもので、この借入金の償還延期、これはもう本年は是非とも認めて上げなければならないじやないかというようなことも感じました。  それからそのほか農手の枠の拡大とか、或いは時期の繰上げ、それから種子の今申しましたように、そばは三回播いて三回とも駄目だつたというような、そういつた一つの例でございますが状況でございまして、是非これらの種子に対しても全額の補助をお願いしたい。  それから又特に、この被害地には飯米がございません。従いまして飯米の払下げ、農薬の問題の補助金、こういつたものを是非お願いしたい。  それから又農業共済に対しましては、これは先ほど松永先生のお話もありましたように、どうか一つ早く出してくれ、特に概算払いを一つやつて欲しいというような御要望が非常に強うございました。  以上は農林関係要望事項でございますが、その他の関係要望事項はこの際省略させて頂きたいと思います。  以上が極く私の視察して参りました簡単な御報告でございますが、これらに対しまして私どもは十分当委員会におきましても御考慮願いまして、この災害復旧を速かに達成するように、又災害地農民の中に私ども参りましたときももはや呆然自失というような形の、少しも手がつけられない、どうしたらいいかというようなところをしばしば拝見して参りましたので、こういつた人たちに勇気を与えるためにも、早急にこの問題は解決する必要があるのではないかということを痛感いたして参りました。  簡単でございますが、私の御報告を終ります。
  8. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続きまして第三班、江田委員の御報告をお願いいたします。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 北海道の現地調査報告を申上げます。  第三班は、私と自由党からお一人行つて頂くことになつておりましたが、差支えのためお見えございませんで、北海道出身の松浦、北、石川の三議員の応援を得まして十月四日から一週間、道内の冷害風害状況視察して参りました。  すでに八月十五日の農林省の作況指数によりますと北海道は水稲が八一、陸稲四一でありまして、今年も冷害であるということは承知しておりましたが、その後十五号台風があり、又冷害被害も統計調査部の数字を遥かに超えておりまして、全道に亘つて大変な被害を受けておるということを現地に行つて見て初めて知つてびつくりしたような状態でございます。丁度私どもが北海道へ参りました当日の現地の新聞は、政府や衆参両院の視察団がいずれも洞爺丸事件と、岩内の大火事のほうへばかり向つて農作物農家被害にそつぽを向けているところの漫画を出しておりましたが、全くその通りで、中央の諸新聞も農業被害については一行も書いていなかつたので、これまでその実情が知られていなかつたのであります。  函館から汽車で北上して行きますと、沿道の防風林は中ほどから折れたり、又は根こそぎ倒されております。又倒壊した家や吹き飛ばされた屋根が点々と見られ、殆んどすべての家が多かれ少かれ被害を受けて応急修理を急いでおりました。殊に余市を中心としますところの広いりんご地帯は美しい四十年以上の樹齢のりんごの木がたくさん倒れておりますし、りんごの実は一つも残らないほど振い落されて、まだそのままになつておつたのであります。十月三日現在の北海道庁の発表によりますと、調査がまだ終つていない林業施設関係被害を除きまして十五号台風被害は四百六十億円に上り、災害救助法発動した地域は、八市百十四カ町村に及びまして、全市町村の三分の一に亘つており、この点から見ましても、被害の総額から見ましても、先年の十勝沖の震災の三倍の被害ということになります。  今年は北海道農業は実に多難の年でありまして、五月には風雪害があり、六月には霜害と病虫害があり、七月になるというと低温が続き、そのために二十日乃至二十五日作況が遅れておつたのであります。そこへ以て来て九月二十六日、二十七日に亘るところの風速、三、四十メーターの十五号台風となりましたので、比較的完熟に近かつた早生稲も風によつて脱粒いたしまして、反当り二斗も三斗も籾が落ちてしまつておる。それから中生なり晩生の稲は茎や葉が枯れ凋んで、実入りがとまつしまつたのであります。従つて冷害による一般農作物被害が非常に大きく、二百九十八億円と推計されておりましたところへ十五号台風で更に農業関係が九十九億の被害が加わつておりますので、誠に大変な被害でございます。そのうち最も大きいのは水稲でございます。そのほか大小豆、菜豆、デントコーン、果樹、蔬菜等いずれも冷害に加えて、台風被害が重なりまして、本年の作物は曾つて見ざる凶作に陥つておるのであります。道庁の十月一日現在の調査によりますと、これら農作物のほかに家畜一千万円、農業倉庫等の共同利用施設が三千六百万円、畜舎、サイロ、納屋等個人施設被害が二十一億を超え、農業関係の総被害は合計三百九十八億に達しておりまして、北海道農業にとりまして誠に大変な事態が来ておるのであります。更に先ほど申しました調査未了の林業施設関係被害もこれに加わつて行くわけであります。私どもは取りあえず現地被害実情調査し、道内を一廻りした後に改めて道庁で対策なり御要望なりを聞くということにいたしまして、直ちに現地へ向いまして、十月五日の午後札幌を出まして、北海道の穀倉地帯である石狩、空知、上川の平原を見て歩きました。先ず東に向いまして広島村、長沼村の水田地帯を走り、北上して幌向村を経て栗沢町から岩見沢に抜けたのであります。この間一望千里の水田は平年なら刈取りが終つている十月五日というのに、まだどの田も全然刈つてないのでありまして、水田に入つて見るというと、空穂が直立いたしまして、下のほうに若干の固い籾がついておりますけれども、皆青米で稔実が停止しておりました。早生稲は先ほど申しましたように脱粒が甚だしく一平方尺百五十粒に達していたと言いますから、大変なものでございます。又延々数キロに亘りまして一直線に植えられた開田当時のポプラの防風林が一面に倒れており、この点から見ましても、四、五十年来未曾有の台風であつたことを示しております。そのほか農家の半壊、全壊、学校、神社或いは寺院の被害も甚だしく、農協の事務所や倉庫、加工場等の被害も目を引きました。岩見沢から美唄に参りましたが、この地帯被害は著しく、海岸から十五キロもあるこの地方台風による潮風の害があるということも注目されます。沿道の電線はまだ復旧しておりませず、脱穀調製までにこれが間に合うのかどうかということも案ぜられておりました。上川、空知、八万町歩穀倉地帯の水稲が恐らくは私どもの見方では四分作以下ではないかと見られるのでありまして、来年の種子に困る、穀倉地帯ですらも来年の種子に困るという状態なつてしまつたことは、この地帯が単作農業であるだけに、誠に泣くに泣けない気持と思われました。同夜石狩、上川の代表者や、空知管内の市町村長さんが、殆んど全員滝川町の役場に集まつて来られまして、それぞれ実情なり御要望なりを説明されたわけでございますが、管内の市町村長さんがこのように全員集まられたことは曾つてないということでございました。それだけ如何に被害がひどいものかということを又物語つているものと思うのであります。  翌六日は早朝から江部乙に近いりんご園の被害状況視察しまして、赤平、芦別を経まして富良野町に行き、山部、東山等の各町村を歩いて参りました。丁度この日はひどい霜でございましたが、来年の種子を確保するために青立ちの稲を焼いて燻煙をして霜害を予防している農民の諸君の真剣な姿に、私どもは誠に胸を打たれるものがございました。大豆や小豆にいたしましても二つ、三つの莢が実が入つておる程度でありまして、そのほかは青い莢のままに霜にやられておりましたし、この地方の有力な作物である亜麻の工場もひどい風害を受けて、倉庫など多くの建物を壊されておりました。  翌七日は帯広市に行きまして舐菜糖工場の本社を訪れ、北方農業の安全畑作物である舐菜の増産について意見を交換いたしました。舐菜は酪農と結びつきまして北方農業を、根を下ろした安定性のあるものにする重要作物であるだけでなく、年間八十万トンの外国砂糖を輸入する我が国としましては、積極的に奨励すべきものであるということは説明の要がございませんが、これを昨年も一部しか買上げなかつた、本年も全量買上はしないのじやないかという噂が伝わりまして、この地帯農民諸君に不安の念を与えていることを、私どもは誠に遺憾に思つた次第でございます。十勝は北海道の満州といわれる畑作中心の大平原でございますが、ここにも風害は著しく、至る所に風倒木が見られましたが、特に水田稲作は哀れをとどめまして、青立ちのまま霜に会つて白くなつてすすきの穂のようにさわさわと鳴つており、収穫は全くないようでございました。問題はこの広大な畑の単作地帯被害でございます。帯広を南下し川西、大正、更別の諸村を経て大樹町に至りまして、ここで広尾郡下の町村長や農業団体の方々から被害実情要望をお聞きしたのであります。  この釧路、十勝管内の畑作被害は面積が広大であるだけに大変なものでありまして、去年も凶作であつた関係上、全く再生産資金に困つており、農手を初め各種の融資を受けておる負債は一戸当り二十万円といわれ、いずれも旧債の支払延期と今年の再生産資金の手配を強く要望しておられました。畑作の多くは商品作物であり、勢い投機的になるわけでございまして、収穫の危険を冒して増産品種の栽培に集中する傾向があり、被害をそのために一層深刻にしているようでございます。例えば大豆の増産品種である「十勝長葉」等が一様に収穫皆無になつている実情から見ましても、連続して二年の凶作でもございまして、今後いろいろ考慮すべき問題があることを痛感するのでございます。現地においては雑穀も農業共済の対象に入れるようにという要望が強かつたのでありますが、これを農業共済に入れるかどうかということは今後慎重な検討を要することでありまして、直ちに結論は出んと思いますが、問題はいわゆる北方畑作農業に国が確たる方針がないということでございます。そのために投機的な経営に走つて被害を一層大きくしているという点は、この際北方農業が如何にあるべきかということにつきまして私ども慎重に検討を要するものと考えます。更に忠類、幕別の町村を経て池田町に参りましたが、水稲の被害は特に甚だしく、全く収穫皆無でございます。来年種子の確保が大きな問題となつておるのであります。  八日は北見市の農業会館で網走管内の各市町村の実情を聴取し、対策について協議いたしました。この地区はすでに台風までに完全な冷害被害をこうむり、再生産資金は勿論、生計資金にも困つておりました。北見市を南下して訓子府置戸に下り、更に留辺蘂、相内の町村を経て再び北見に帰つて端野村から美幌町に出て女満別を経て網走市までの沿道を調査して参りましたが、ここでも水稲は全く収穫皆無で、大豆、小豆等も青立ちとなつております。被害の深刻さに全く目をみはつたものでございます。収入を失つたばかりでなく家畜の飼料をどうするかということも問題になつておりまして、国有林の風倒木や薪炭林の払下げと共に国有林の下草野草を無料で刈取らして欲しいという要望がどこでもございましたが、地元の営林署では独立採算制の立場もあつてなかなか要求を容れてくれないということを聞きました。二年続いての凶作の際でもあり、入植以来何年になるのか知りませんが、ほんの掘立小屋のようなところでこの北の大自然と闘つておる諸君の姿を見ますときに、林野当局としても弾力性を持つた温味のある方針をとつてもらいたいということを痛感いたしましたが、これはその後聞きますというと、林野庁においてもさような要望を取入れられたようにお聞きしております。  九日の朝夜行で札幌に着きまして、道庁で今次台風冷害被害等の総合対策について説明を聞き、それから後志管内の塩谷、余市の果樹地帯被害調査し、大江、小沢村を経て倶知安に至り、ここで倶知安の支庁で後志、胆振、檜山、渡島各管内の被害実情を聞き、管内町村長、農業団体、農民代表のかたがたからいろいろ要望を聞いたのでございまして、北海道の全部に亘りまして大体私ども実情を見て参りまして、結局お伺いできず、資料でも拝見できなかつたのは、全道十一支庁のうちで、宗谷と留萠と日高だけで、そのほかはことごとく資料や現地調査によつて実情を見て参つた次第でございます。  これを要するに十五号台風によつて決定的となつた北海道の冷害被害は予想以上に大きいのでございまして、農林省の統計調査部の報告によりますというと、九月十五日の現在、即ち十五号台風以前の稲の作況指数を水稲を七〇としておりましたが、私どもはこの数字に大きな疑問を持つものでございます。台風被害につきましてはその後出ておりますので、まだ私正確に計算をして見ませんが、台風被害はたしか十六、七万石という工合に見ておられますが、それを差引いたものがこの九月十五日現在にあるということは到底考えられないのでございまして、その点札幌で統計調査の係官と問答いたしましたが要領を得ませんが、本年は北海道に限らず統計調査部の数字は私どもの見るところによるというと粒数にとらわれまして、これが果して完全な米になるかどうかについて十分の検討が行われていないのじやないかという感じを持つものでございまして、これは後ほど統計調査部のかたがたからよくお聞きしたいと思つております。このため差当つて明年の種籾の確保、雑穀の種子の手当が必要となつておるのでございまして、冷害に耐え得るようなよい種子を現物で押えて配付すると共に、特に水田につきましては温床等保温苗代につきまして画期的な奨励方法をとらん限りは、何にいたしましても要望される種籾が十分に集まらないということが予想されるのでございまして、何か温床苗代等につきまして画期的な奨励方策のない限りは、自然条件の如何にかかわらず来年もみじめな作柄になるのではないかということを心配するのでございます。その他再生産資金、生活資金の融資や救農事業の実施或いは食糧の原価払下等一連の冷害凶作対策の処置を早急に講ずる必要があると思いますが、これらの処置や対策につきまましては、現地からすでに要請書が本委員会宛に出ておるようでございますからして、時間の関係上そういう点は省略いたしますが、何といたしましてもこれらの要望に副い得るためには、法律改正や或いは立法措置、予算措置が必要になりますので、早期に臨時国会を開けというのが、どこへ行つても強い要望なつておりましたことを附加えておきます。  なお農災法によるところの保険金の早期支払ということは、これ又どこでも聞かされることでありまして、これがやがて冬を迎える北海道農民の唯一の自己資金となりますので、この点は即刻解決をつけなければならんと考えて参りました。  現地は先ほどの報告によりましてもすでに雪が降つているようでございまして、入植当時に建てた家が、年を重ねるに従つて立派になるというのでなしに、現地へ行つてみるというと、入植当時の家が年々壊れるままになり風害に荒らされておる。つまり農民の窮状がそれだけ加わつておるということがはつきりと見受けられまして、先に冷害と未曾有の十五号台風で荒らされておる北海道の諸君に対しまして、ただ人間だけでなしに、家畜の飼料もなくて、家畜も飢えるかもわからんという北海道に対しましては、私どもは時期を失せず早急にいろいろ要望されておるような対策を行わなければならんということを痛感いたしましたと共に、特にそれと並行いたしまして、今後北方農業というものはどうあるべきかということにつきまして、根本的な検討を加える必要があるということを感じて参りました。  簡単に御報告いたします。
  10. 森八三一

    委員長(森八三一君) 以上を以て現地調査報告を終ります。   ―――――――――――――
  11. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際台風被害及び冷害並びにその対策の件を議題にいたします。本年も北海道においては深刻な冷風害に見舞われ、更に全土に亘つて数次の台風の襲来を受け、少からぬ被害をこうむり、誠に遺憾に存じます。これが救済及び復旧に対しましては、遺憾なき措置を期待しておるのであります。当委員会におきましては、前回の委員会におきましてこの問題を取上げたのでありますが、更にこれらの問題についてその後の事情が明らかになつたものについて、この際政府当局から、その被害状況及びこれが対策等について説明を聴取いたしたいと存じます。  最初災害対策担当加藤国務大臣から、状況の御報告を頂きたいと思います。
  12. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) この場合一言御挨拶を兼ねまして、今回の災害の概要について御報告を申上げたいと存じます。  我が国は地理上の関係よりいたしまして、毎年台風等の天災による被害をこうむつておりまして、公共施設だけでも年々数百億から千数百億円の災害を見ておりますることは、誠に遺憾の極みであります。これに対しまする抜本的対策といたしましては、治山治水対策を完全にする必要があることを信じますが、差当つて災害対策を緊急に実施して、民生の安定と、国力の回復を図ることが現下の喫緊事であろうと存ずるのであります。  本年八月の第五号台風以降、第十五号台風まで、台風の連続発生を見まして、政府はそれぞれ各省において善処をいたして参つたのでありまするが、十五号台風、並びに深刻なる冷害災害報告や、調査が進むにつれまして、被害がかなり甚大であることがわかりましたので、各方面の要望もあり、政府といたしましては、その対策の連絡調整機関といたしまして、今回十五号台風等、災害連絡本部の設置をきめたことは御承知の通りであります、只今までのところ報告被害額は、総計が約千五百億円で、この中には農作物被害を含んでおりません。そのうち公共事業関係は、約八百億円であり、このうち特に緊急復旧を要するものについては、関係の道府県に、いわゆる繋ぎ融資を出しておりまするが、本部発足以来は、去る十四日、北海道と二十県に、七億一千万円、十五日に岩内の火災復興のために北海道に一千万円の繋ぎ融資を決定いたした次第であります。これまですでに出しておりまする五億五千五百万円に加えまして、会計十二億七千五百万円の繋ぎ融資を出しておるわけであります。なお今後計数整理の結果を待ちまして、相当額の繋ぎ融資をする必要があろうと考えておる次第であります。  なお繋ぎ融資とは別に、災害救助法による救助費の国庫負担額の概算払いといたしまして、北海道に約一億三千万円予備費から支出を決定したほか、近く被害甚大の府県に対しましても、同様の措置をとりたいと考えておる次第であります。  被害のあつた農林漁業者、中小企業者の立上るための対策は、当然必要であるので、これについては只今政府部内において検討中でございます。私といたしましては本部長をお受けいたしました以上、誠心誠意対策に努力いたしたいと考えておるので、皆様の御協力をお願いする次第でございます。
  13. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続きまして、羽田農林政務次官から、農林関係被害対策につきまして御説明を願うことにいたします。
  14. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 本日は大臣がお訪ねいたしまして、詳細に御報告を申上げるはずでございますが、丁度米の供出割当の知事会議が昨日に引続いて目下開会をいたしておりますために、私より代りまして申上げたいと存ずるのであります。  農林省といたしましては、今回の本年度の北海道の冷害、それから第五号台風以後の重なる台風被害に対しましては、非常に重大に考えまして、大臣といたしましても、九州、並びに北海道に、現地を親しく調査いたしまして、なお係官をそれぞれ派しまして、県の報告、或いは農林省出先の者を督励をいたしまして、被害調査対策を願つておるような次第であります。  そこでお手許に配付を申上げました二十九年度災害……、冷害を含んでおりまするが、この対策の要綱につきまして御説明をいたして、御了解を得たいと思うのであります。これは去る十六日の日に農林省として決定をいたしまして、加藤対策本部長のお手許まで提出をいたし、同時に又内面的に大蔵省とも予算の折衝を開始をいたした、こういうような状態でございます。  先ず第一に「公共施設災害復旧は、三、五、二の復旧率により速かに着手するものとし、早急にこれに必要な繋ぎ融資の予備費の支出をする」。というのがございますが、御承知のように、三、五、二の問題については、昨年も大分問題になりましたが、何とか三、五、二の復旧の割合でやつて行きたいと、こう存じまして、目下大蔵省と折衝を続けておるような状態でございます。それから早急に必要な繋ぎ融資を予備金より支出する問題でございまするが、各県から正確に出て参りましたるこの被害の額を農林省が十分検討いたしまたしものは、まだ五号台風だけでございまして、それ以後のものは今月の二十日頃、ですから本日を期しまして各県から数字が申達をされるというような状態なつておりまして、まあ繋ぎ融資の五号台風に対しましては、大蔵省との話合いで、一億円くらいが大体きまりつつあるような、固まりつつあるような状態であります。それから次の第二の、農林水産業の施設(漁船、漁具を含む)の被害については、農林漁業金融公庫の融資によるものとし、これに必要な資金を確保するため投融資節約の中止、農林中金に対する肩替りの見送り、増資等を行うこと。」この農林水産業の施設の内容は、言うまでもなく協同組合の倉庫とか、建物とか、或いはこの養殖の施設とか、先ほどの畜舎、或いはサイロ、或いは農舎、それに漁船、漁具等を含んでおりますが、こういう農林、水産の施設被害に対しましては、農林金融公庫の融資によつてやろう、融資による方針でございまして、これに必要な資金を確保するために投融資節約の中止、本年度の四月になりまして皆さんの御協賛を得ました予算を、更に五分乃至一割くらいを節約をいたしましたことは、御承知の通りでございまするが、そのために予定したものより約十億の節約になつておりまするが、この節約を中止をいたしまして、やはり資金源として確保したい、こういう考え方で進んでおるのでございます。それから農林中金に対する肩替りの見送り、増資等をいたしまして施設資金の確保を図りまして融資の資金を確保したい、こういう方向でおる次第でございます。「なお公庫融資の増額により、なお資金が不足するときは三に準ずる立法措置を講ずること。」という項がございまするが、右の公庫の融資の増額で、なお賄えないという場合においては、やはり系統金融機関から融資をさせるようにいたしたい。そのためにはどうしても立法措置をいたしまして利子の補給、損失の補償というような途を講じなければならない、こう考えておるのであります。それから「開拓(魚田開発を含む。)者住宅等入植施設復旧については補助の特別措置を講ずること。」開拓者はまだ入植間もないかたがたでございまして、貯えもございませんし、関係縁者も少いのでございまするから、こういうかたの住宅の災害に対しましては特に助成を申上げなければいかん、こういうような考え方で、この住宅災害復旧については助成をしようという方向で大蔵省に折衝を進めておるような次第でございます。  それから第三の、「被害農林水産業者の経営資金については、利子補給、損失補償(補償率は引上げる。)等の立法措置を講じ、系統金融機関から融資を行わせること。」これがため「必要により農林債券の資金運用部引受枠(来年度)を増大する等の措置を講ずること。」の項でございまするが、これは先ほどの施設資金に対しまして、今度は営農資金というべきものでありまするが、農林と水産がありまするから経営資金と、まあ大きく経営資金というておる次第でございまするが、この農林の営農資金、水産の経常資金につきましては、利子補給系統機関から融資をする方針の下にそのために利子の補給、損失の補償というような処置を講じたい、こう考えて、このためには立法措置が必要になつて参ると存ずるのでございます。で、この補償率を引上げると申すのは、やつぱり開拓者に対しまして、開拓者並びに岩内の火災でやられた人たちに対しまして、従来の補償率の四割を六割程度にまで引上げまして、そうしてこれらのお気の毒なかたがたに対する又立ち直りの力を与えるように措置して行きたい、こういう考え方でおるのでございます。これがため必要なる農林債券の資金運用部引受枠を増大する処置をとりまして、そして資金の潤沢を期して行きたい、こう存じておるのでございます。「前年に引続き被害甚大な地域の開拓者に対する右の融資については、三年以上の据置期間を設ける等特別措置を講ずることとし、これがため必要な資金について財政措置を講ずること。」去年も冷害に会い、或いは災吾に会い、今度今年も又というような被害甚大なる地域の開拓者資金に対する融資については、この営農資金が従来据置というものがなかつたのでありまするが、何か三年以上の据置期間を設けるような特別な方途を講じまして、そうしてこれらの力の弱い同胞に対する処置を講じて行かなきやならんというふうに考えておるのでございます。それから「二十八年災害に関する特別措置法により融通を受けた農林漁業者で再び災害を受けたものについては、本年度償還分について延期しうるごとく措置すること。」これは昨年の災害の特別法によると、本年並びに来年二カ年で融資のものを返す、償還をするということになつておりまするが、引続いて又今年もやられたというような次第でございまするので、これを一年間延期をいたしまして、三年で今年の分を元金をもう一年延ばして来年、再来年というように三年に延期をいたしたい、こう存じておるのでございます。それから四は「被害農家の食糧不足するものに対しては、政府手持主要食糧を払下げ、代金延納等の特別措置を講ずること。」これは昨年度も実施いたしまして非常に農家の安心を受けたのでございまするが、これもこのたび又このたびの災害に対しましては同様に処置をいたして、政府のものを無担保で、無利子で以て現物をお貸しいたすという特別措置を講じて行きたい、こう存じておるのでございます。  それから第五は「被害農家が水陸稲、雑穀種子等不足のため再生産に支障を来たすものについては、特別の措置を講ずること。」従来の例によりまして稲の、只今江田さんからも御心配がありましたが、種子につきましては、稲の種子については十割の補助をいたしたい、こう考えております。それから雑穀については開拓者については三分の二、なお北海道については二分の一の補助をいたすような方途を講じたい、こういうふうに考えましておる次第でございます。なお種子、籾その他の集荷につきましては万遺憾なきを食糧庁においても期しておるような次第でございます。それから第六、「農業災害の甚大なる地域については、実情に応じて救農土木事業、開墾作業等を実施すること。」農家の農産物がとれないのでございまするから、ここに何とか金銭収入の途を得まして生活の途をつけなければならんという意味におきまして、甚大なる地域については実情に応じまして救農土木事業をやりたい。大体の予定はこれは今のところで二十八億ぐらいの予定をいたしております。北海道については十四億九千万円ぐらいのものを予定をいたしておるのでございまするが、これは内容は土地改良とか開発事業とか或いは林道、こういうような事業をいたしまして金銭収入の途を得ると共に、今後の営農に大なるプラスをなすようにという考え方で進んでおるような次第でございます。  それから七は「災害に伴う異常発生の病害虫防除については、特別の措置を講ずること。」ということにいたしております。それから八は「冷害の甚だしい地域については、耕地防風林を設置すること。」をいたしておるのでございます。それから第九は「冷害の甚だしい地域については、水稲健苗育成、及び耕土培養事業を実施すると共に水温上昇施設の設置を図ること。」この保温折衷苗代或いは保温の温床苗代、こういうようなものが冷害対策とし又多収穫の対策といたしましては、もう成績がわかつておるところでございますしいたしますので、こういう北海道、それから青森地方冷害地に対しましては、特にこの施策を進めて行き、及び耕土培養事業をいたして行く。そうして今後の土地改良に資して行きたい、こういう考え方でございます。又温水溜地の施設の設置を図るように推進をいたして行こう、こういう考え方でおる次第でございます。  第十の「国有林の風倒木処理等のため特別の措置を講ずると共に国有林野事業において極力被害農家の労力を吸収すること。」今度の国有林の中で風倒木は北海道において五千万石もやられました。それから内地におきまして五百万石もやられたようなわけでありまして、非常な被害を国有林としても受けておるのでございます。こういうような処理につきましては、被害農家の金銭収入の途を得るという考え方で、農家の協力、労力によつてこういうものの処理をいたすことに努力いたそう、こういうふうにいたして一面に救農土木と言いますか、救農の事業としてやつて行きたい、こういうふうに存じておる次第でございます。それから第十一の「林業者に対する伐採調整資金の増額の措置を講ずること。」森林法による老齢林を切りたいというようなかたが、どうしても冷害が続いたりいたしますとますます多いのじやないか、こう考えておりまするが、昨年は二十五億円の伐採調整資金がございましたが、本年は二十一億円の予算になつております。そこでこういう冷害或いは台風被害、こういうようなことでこれを増額をいたして、もう少し本年度の予算の増額をいたしたい、こういう考え方で進んでおるのでございます。大体三億二千万円くらいを一つ増額したいという希望を持つておるのでございます。それから十二の「農業災害補償法及び漁船損害補償法による保険金については速かに本払い又は概算払いを行うこと。」先ほどどなたからかお話がございましたのですが、この農業災害並びに漁船の損害補償法による保険金についてはできるだけ本払いを早くやりたいと思いますが、ただ放つて置きますと又来年にもなつてしまつて目的を達しませんので、できるだけ各府県にも、町村にも督励をいたすと共に、若し本払いのできないものに対しては概算払いの途を講じまして関係者の自己資金の造成を期したい、こう考えておるのでございまして、目下各地方庁に対してその督励をいたしておるような次第でございます。被害数字を出すことを督励しておるような状況でございます。それから「漁船災害保険の義務加入制度の対象を現行二十トンを百トンまで引上げるよう法的措置を講ずること。」これはこの十九国会で御承知のように補助金の整理の法律において百トンを切下げて二十トンにいたしましたが、やはり今回の災害に会いまして、やはり百トンまで引上げるように法の改正をして義務加入を百トンまでさせるというふうにいたして行きたい、こう考えておるのでございます。  それから十三の「冷害による災害の甚大な地域については、薪炭林の特別払下げを行うと共に炭がま設置の国庫補助を行うこと。」これは昨年もいたしたのでございまするが、薪炭林に対しては国有林の計画伐採以外に新らしくそれを殖やしまして払下げを行う、又炭がまに対しましては北海道にだけ今度はやりたい、こう考えておりますが、まあ予定としては八百七十基ぐらいの一つ補助をいたしたい、こういうふうな考え方で進んでおるのでございます。それから十四の「畜産の飼料確保のため、特別措置を講ずること。」先ほども江田さんからの御指摘にありましたように、今年北海道あたりにおいては飼料まで不作である、とれない、殊に熊笹が六十年の花が咲いて枯れてしまうというような状態でございまして、誠にこの畜産業にとつては由々しい状態にございますので、こういう飼料の確保のために来年の飼料の種を一部補助をしたい、こういう考え方でおります。青豆とか、飼料用のとうもろこし、レツド・クローバー等の種子に対する国庫補助をしたい、こういう考え方でおるのでございます。それから先ほど北海道を御視察江田さんの御報告にもありましたが、国有林の下草の、営林署が従来の考え方で野草もないときに如何にもむごたらしい役人根性であるというお叱りを受けましたが、実は自由党の政調会のほうで視察をいたしました報告がありましてすぐに林野庁長官からこれを第一線の営林署に通達をいたしまして、今年は一束幾らというようなことでなく、只で以てどんどん草を元気のあるうちに刈らせるという措置を敏速に講じているような次第でございまして、その点は御安心を頂きたいと存ずるのでございます。  それから第十五は「供出割当の適正と公平、災害対策適正迅速を期するため災害時における農作物被害調査施設を整備拡充すること。」これについては随分御非難もございますが、何しろ年々行政整理のときには槍玉に上つて非常に不安な地位におりますし、人員整理を相当しているというような状況でございますので、こういう災害になりまして速かに数字を出して、そうしてどんどんと対策を練るというような場合にはやはり人員の整理ということが相当大きな影響があるのでございましてやはり或る程度の適正な、余り贅沢なことは申しませんが、或る程度の稼働力を持つようなふうに統計調査部の施設を整備拡充するというようなことがやはりこういう年になるとやや痛切に感じられますので、こういうこともできるだけ今後に備えて行きたい、こういう考えを持つてこの項を挙げた次第でございます。十六は「農業気象観測及び試験研究の充実化を図ること。」これは農業気象観測といつて別に農林省の系統機関において観測所を設けるという意味じやございませんので、気象台に十分連絡をいたしまして、過去におけるところの気象のデータをどんどんもらいまして、そうして冷害の予測というようなものの資料にいたして行きたい。それから又災害試験研究施設を充実をいたして、そうして冷害のあつた場合においても最小限にこれを食い止める、或いはこれを予知して対策を講ずるようなふうに持つて行きたい、こういういわば恒久的な災害対策と申しますか、そういうふうなことをいたして行きたい、こう存じているのでございます。それから十七の「麦類の緊急増産を図ること。」というような以上の十七点を、項目を差当りまして農林省としては決定をいたしまして、対策本部に提出をいたしてその実現を期したいと考えておりますが、なお又これに漏れている点につきましては又新たに検討をいたして本部のほうに出して大蔵省とも十分な連絡をいたしまして予算の措置も講じて行きたい、こういうふうに考えている次第でございます。  以上大綱につきまして御了承を頂きたいと存ずる次第でございます。
  15. 森八三一

    委員長(森八三一君) 先刻御報告を頂きました調査報告並びに加藤国務大臣の御報告及び羽田政務次官から農林省の対策についてその大綱の御説明がありました。以上の点に関しまして御質疑のかたは順次御発言を願いたいと思います。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 私はまあ先ず第一に加藤本部長に大ざつばなことをお伺いしたいのですが、今度の連絡本部というのは十五号台風等ということになつておりますが、これは十五号台風に重点を置かれるという意味でございますか。それとも十五号台風被害と同じように大きな、これは全国的ではございませんけれども、部分的に被害を受けているところの冷害或いは十五号以前の台風の甚大な被害、この点も含むということなんでございますか。その点はどうなんでございますか。
  17. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) これは丁度十五号台風がありまして、その災害がひどかつたのでありますが故に、名前は十五号台風等と、こういう名を付けましたが、その以前の冷害その他の台風についても当然これで処置するという所存でございます。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ対策はまだはつきりしないと思うのですが、只今農林省のほうから連絡本部のほうへ出しておられる対策を見ましても、この中には立法措置を講じなければならんという問題がたくさんあるわけです。農林省のこの対策を全部連絡本部でお取上げになるか、或いは又更にこれに附加えるものがあるか、いずれにいたしましたところで立法措置に待たなければならん問題がたくさんあるわけであります。従つて臨時国会を開かなければここに挙げられている対策というものは実を結ばんことになりますが、臨時国会についてはどういうようにお考えでございますか。
  19. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 特別立法をせなければならん問題があるかも知れませんと思います。併しながら昨年の災害におきましてもいろいろ実地を調査いたしましたし、又いろいろ検討を加える間におきましても大概二カ月くらい、早くても二カ月くらいの時日は要することでございまして、いずれ政府としても臨時国会を開くことになつておりますが故に、台風を中心として今急にここ僅かの間に開くということはどうかと、こう考えておりまして、通常国会前に臨時国会が要求もありますので、そのときでよかろうと、こう考えております。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 今回の災害が、私が申上げるまでもなく、一番ひどい影響を受けたのは北海道です。雪の北海道がどういうものかということはこれ又私が申上げるまでもないと思うのです。例えばここに今農林省から出されたような対策が実施されたとしましても、もうすでに雪がひどく積つてからきまつたんでは何もできんというような、又雪が融けるまで待たなきやならんというような問題が数々あると思うのですが、今の加藤さんのお話ではいろんな対策に二カ月くらい要すると、こういうことですが、その二カ月くらい要して、それから臨時国会をやるという間に、折角やつてもらつたところで雪で役に立たんという問題をどういう工合にやつて行かれますか。或いはこの被害実情がはつきりしたならば政府として、昨年度もこういう措置がありましたからして、それに準ずる措置をとるとして、取りあえず一応臨時に繋ぎ融資等を出して急場の間に合うような措置をとられるということになりますか。その点どうでしよう。
  21. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 御尤もでございます。二カ月間放つて置くということはできることではございませんから、只今も繋ぎ融資を出しておりまするが、緊急な措置は或いは予備費もございます、又実行予算の上におきまして節約したものもございまするが故に、とにかく本年緊急の措置だけは繋ぎ融資その他予備費をそちらへ廻せばそれによつて緊急の措置はとれるだろうと、かように思つております。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 この繋ぎ資金の問題、先ほどの加藤さんのお話の中にも災害対策を緊急に実施すると、それから緊急を要するものについては繋ぎの融資を出したい、又現に出しておると、こういうことでございましたが、併し実情は私必ずしもそうなつていないように思うのです。例えばこの台風五号の災害につきまして、今の農林省の報告を聞きましても、まだ検討中であつて繋ぎ資金が出ていない。これらの中には或いは海岸堤防がございます、或いは大きな川の中の井堰の問題がございます。そんなものは、これはたとえ十日も放つて置くわけに行かんのでありまして取りあえず地元としてはこれを手を付けなきやならない。然るにそれが今なお八月の五号台風の繋ぎ融資が出ていないというような実情だと、今本部長のほうでおつしやいましても我々として一体それがどこまで実現の可能性があるのか、非常にこの点を心配するわけなんでありますが、そういう点は金はあるんだということをおつしやいましたが、そのある金というのは、これは時機を失しないように、北海道については雪の前、あるいは北海道以外の府県につきましても時機を失しないような繋ぎ融資が本当にできるのでございますか。大蔵省との話合いがついておるのでしようか、その点どうですか。
  23. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今後できるだけ速かに決定いたしまして実行いたしたいと思つております。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 それでこの繋ぎ融資を出すとしましても一つの基準というものが必要になつて来ると思いますが、農林関係については農林省のほうから御説明のあつたものがあなたのほうへ出ておるということですが、この農林省が対策要綱として出しておるものには私どもにはまだこれにはたくさん抜けておるものがあると思いますが、取りあえずこういう対策要綱につきましてはあなたのほうではこれを妥当なものとお考えになつておりますか、又被害状況が昨年と似たようなものにつきましては昨年と似たような措置をとるのが妥当だとお考えになつておりますか、その点はどうですか。
  25. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今農林省から対策要綱の御説明がありまして、昨日これを頂戴いたしましたので、今大蔵省と折衝いたしておるような次第でございます。殊に対策のことにつきましては昨年の実例もありますが故に、今回は昨年のようなことなく、できるだけ速かに実行いたしたいと、こう思つております。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 その速かに実行したいということは有難いのですが、例えば復旧復旧率につきましても、或いはそれに伴うところのいろいろな補助金の率につきましても、その他の特別措置の問題につきましても、昨年いろいろ特別措置が行われたわけでありますが、本年の当面いたしました災害につきましても今農林省で要望するような特別措置を必要とお考えになつておりますか。
  27. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 昨年議員提出で公共土木施設等につきまして特別立法が制定されたのでありまするが、そういう公共土木施設等に対するごとき特別措置の問題につきましては、もう一応実際問題として、先刻も申しましたように、実地について検討をし、然るのちに考えたいと思つておりまして、昨年のごとく必ずしも、例えば、公共土木災害復旧の国庫負担法を改正するかどうかということは、もう一応よく検討いたしたいと、こう思つておるのでございます。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 公共施設復旧について検討したいということですから、検討ですから、その内容はわかりませんが、その他の融資の問題、これは営農資金もありますし、いろいろ施設復旧の問題もありますし、いろいろそういうことにつきまして特別な措置が昨年行われ、本年もこの農林省の対策要綱にはそういうものが出ておるわけですが、そういうものにつきましては、これはもう当然行われるものとお考えになつておるわけですか。
  29. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) これは昨年の例もありますように、又只今もこれを考究いたしておりますが故に、融資などの問題はそれぞれの金融機関を通じまして枠を設けるとか、或いは、先刻もお話がありましたように、利子を引下げするとかいうことは速かにやりたいと思つております。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ御検討中と思いますが、ただ私ども心配いたしますことは、例えば農林省からはこういうような対策要綱が出た。これは新聞その他を通じまして広く流れるわけであります。災害を受けた諸君としましては一体何をやつてくれるんだということを何よりも耳を大きくして待つておるわけですが、この対策要綱というものは、これはすぐに流れて行つて、ああこれだけのことはやつてくれるんだという期待を持つわけですが、ところが対策本部、連絡本部のほうか或いは大蔵省の関係あたりで、折角こういうものが出ておつても、それが行われないということになると、そのときの失望というものは、これは非常に深刻なものになつて来て、折角立ち上ろうとするところの気がまえを挫いてしまうと思うのです。私どもとしましては速かに臨時国会を開いてはつきりとした決定がなければならんと思いますが、併し臨時国会が早く開かれんということなら、大体政府のほうでは、この農林関係対策にいたしましてもその他の対策にいたしましても、来たるべき臨時国会にはほぼこの程度対策をやるのだということを早くきめて頂くことが、この罹災者にとりましても、或いは又融資等を行われるにしましても、一つの基準がはつきりして来るわけですが、大よその連絡本部として政府全体としての対策が固まつて来るのはいつ頃の見通しでやつておられるのですか。
  31. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今先刻も申上げましたように、繋ぎ融資その他緊急な措置はとつております。私も近く実際を見て参りまして、その間一面において私が来なくても事務的に解決するような問題は漸次解決いたしまして、できるだけこの趣意によりたいと思いますが、併し一面大蔵省としては全体の国家財政の上より見ましていろいろ意見もあることであろうと思います。私としてはできるだけこの要望に副うように努力いたして行きたいと思います。
  32. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ御質問したいことがありますが、加藤さん時間がないようですから、私はそれだけにして、あとで農林省に対しましては又ほかのおかたの加藤さんへの御質問が済んでからお聞きしますが、とにかく私たちとしてお願いしたいのは、これはもう一日も早く臨時国会を開いてもらつてはつきりしたものをきめて頂きたいということなんですが、仮にそれが早急に行かんという場合でも、只今も申しましたように、政府としては来たる国会にはこれこれのことは提案するのだ、そのことだけでも一つ早急にきめて頂かんというと、何にいたしましても、災害の中心が北海道である、雪の北海道であるということを私どもとしては十分考えんと、折角あなたがたがお骨折下さつて立派なことをおきめ下さつても、これはもう時期をはずれて何にもならんことになると思いますが、その点は重ねてお願いしておきます。
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際申上げますが、加藤国務大臣は午後先約の行事がある模様でありますので、御質疑は農林関係のことはあとにいたしまして対策本部長に集中してお願いをいたしたいと思います。
  34. 松浦定義

    ○松浦定義君 先ほど本部長の御挨拶の中に、大体今度の十五号台風被害は一千五百億である、併し農作物は別であるというお話ですが、この農作物についての本部長として総額を把握される時期というものは大体どの頃を予定されておるのか。今大体おわかりになつておつても今日の段階ではまだここへ載せる段階になつていないのか、この点をちよつとお伺いいたします。
  35. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今明日中には大体わかると思います。
  36. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体今明日中にわかるとすれば、大体の被害の額というものは、これは農林省のほうから御報告がなければわからんと思うのですが、いずれにいたしましても、先ほどから各委員報告等の中から見ましても相当額になるであろう、私ども推定するところでは恐らくこの千五百億の半分くらいには当然なると、こう予想いたしておるのですが、そうしますと、相当昨年の水害その他の対策と余り大差ないような被害だと、こう思うので、先ほど江田委員が御指摘になりましたような、当然これは立法措置を講じなければならないと思うので、くどいようでありますけれども、これが立法措置につきましては調査の結果まだ二カ月ぐらいを要するであろうというような今のお話でありますと、これは非常に現在のいろいろな情勢から行きますと、必ずしも私どもの希望するような時期に適当な立法が講ぜられるとは考えていない。従つてその間には当然融資の繋ぎ資金で以て充てるとは申されますけれども、結論的に言つて時期を失してしまつて繋ぎ融資程度のもので全体の対策にはならないというような結果になるのじやないかと、まあこういうことを非常に恐れておるわけでありますので、後ほど農林政務次官からいろいろこの詳細な要綱についてお伺いいたしたいと思うのですが、今お聞きしましても、この要綱なるものが単なる農林省案であるといつたような印象しか私ども受けられないと思うのです。従つてこれは大蔵省に対してどの程度まで農林省も、或いは又本部長としても努力をされるかということについては、只今のお話では相当の御決意を以て努力されるようでありますけれども、昨年の冷害或いは水害、こうした災害対策につきましては、救農国会を即座に開いて、この実施についてはまあ万全を期せられたと、併し今回は多少小さくても内容につきましては同じであるというような意味からいつても、どうも昨年の施策と本年の施策は余り私はかけ離れたような考え方のように思いますので、この点につきまして、一つ近く本部長も北海道その他を御視察になるということを聞いておりますから、恐らくおいでになりますならばなお一層のこの問題について強い決意を持たれると思いますが、行かれる前にやはり私どもとしましても、委員会として相当本問題については農林省に対しての要求も相当せなきやならんと思いますが、要は大蔵省の決意如何と思いますので、こういう点を本部長は特に十分その態度を御表明願つておいて、更に又御調査の結果、お帰りになつたらその点を急速に一つ実現して頂きたい、まあこういうふうに考えております。特に私が心配いたしておりますのは、実は本年の四月、五月におきますところの凍霜害に対するところの法律が参議院のほうで継続審議になつておりますので、これらに附加えまして今度の問題を法律的にこれを修正しようということになりますと、非常に問題が大きい関係から、この点の解決が私はむずかしい、こう思いますので、こういう点につきましてもこれはこれとして別に私はすべきであると、こう思うのでありますが、例えば、先ほど江田委員の御指摘になりましたように、五号台風から以後のものについて、今回の本部長としての態度を御決定なさるのか、或いは又今問題になつておりまする四月、五月におきまするところの、まだ一部審議継続になつておりますものも併せて今度の冷害或いはその他の災害に含んでおやりになるというふうにお考えになりますか、この点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  37. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今も申しましたように十五号台風等とありまして、ほかの冷害、その以前のものを軽く見ておるような感じを或いは名称で与えるかも知れませんが、そういうわけではございません。同等に見てこの連絡調整をいたしたいと、こう思つています。
  38. 松浦定義

    ○松浦定義君 もう一点だけちよつと、そういたしますと、恐らく立法措置を講ずる点の問題が相当あると思いますが、臨時国会は今まで聞いておりますところによりますと、十一月の末からつとめて短期間であるというふうに聞いておるのでありますが、その短期間の場合も従来と違いまして、いろいろのまあ情勢が加わつて参りまするので、大臣としては、本部長としては立法措置を講ずるまでに準備はいたしておきましても劈頭に必ずこれを通過せしめるというまでの御決意は当然持つておられると思われるのですが、この点について一つ改めて御見解を承わつておきたいと思います。
  39. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 臨時国会の日にちはまだ政府においてきまつておりませんが、大体十一月のしまいあたりであろうと、こう思つております。それは、従いまして短期間であるかどうかということもまだ何もきまつておりませんけれども、できるだけ速かに提案いたしまして、その実現を見るように努力いたしたいと思つております。
  40. 北勝太郎

    委員外議員(北勝太郎君) 加藤大臣お忙しいらしいようですが、この際一点だけ承わつておきたいと思います。  北海道は雪空をかかえまして非常に急を要するものがありますので、まあ取りあえず北海道に十七億だけ応急資金を政府から貸してもらいたいと申込んでおるようでありますが、そういうようなものに対して御意思があるかないか、又あるとすればどういう方法でおやりになるか、その点一つ聞かして頂きたいと思います。
  41. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今朝ほども陳情を承わりまして、それだけ御要求通り大蔵省が承認するかどうかわかりませんが、私ももう少し検討をいたしまして大蔵省と折衝いたすつもりでおります。
  42. 石川清一

    ○石川清一君 私も繋ぎ融資について今日までとられた態度と、これからのことについて一つの問題を明らかにして御質疑をしたいと思いますが、今度の繋ぎ資金のうちの一千万というのは、これは岩内の区画整理に伴う費用と存じておりますが、建設省の計画局が三千万要求したうちの一千万が繋ぎ融資と出たのではないか、この以外に連絡本部で大蔵省に要求をした金額或いはそういうものが今までにあるかどうか、北海道の特に災害に対してあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  43. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今度の一千万円は御承知のごとく都市計画の繋ぎ融資として出しましたのでありまして、ただまだ交渉したとか何とかいう、とにかくあれだけ出したのでありまして、住宅の問題も冬に迫つておりまして、誠に狭いところへ、学校へみんな集団に入つておるように聞いておりますが、繋ぎ融資の必要はありといたしますれば更に話合いをいたしたいと思つております。
  44. 石川清一

    ○石川清一君 次に緊急として、特に北海道はもうすでに雪が降つておるところもあるのでありますが、次に緊急として、繋ぎ融資を対策本部が中心になつて大蔵省に折衝しようとするのは何であるか。その点お尋ねいたします。
  45. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今朝ほど北海道のほうから陳情がありましたものですから、今ここへ来る前に陳情を承わりましたものですから、例えば今の住宅のごときは緊急止むを得ざるものであろう、こう思つております。その他いろいろあるでありましようが、今暫らく見て研究してから大蔵省に要求いたしたいと思つております。
  46. 石川清一

    ○石川清一君 承わるところによりますと、二十一日、明日確かに北海道に御視察に参られるということを承わりました。若しおいでになるといたしますればその以前に今晩にでも、特に今日、或いは昨日からの陳情につきまして繋ぎ融資を一応きめてから行かなければならない問題があると思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
  47. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 大蔵省との話合いがつきますれば実施いたします。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 これは私今の石川委員なり北委員と加藤さんとの問答を聞いておりましてどうも少し頼りなくなつて来たのですが、先ほど陳情を聞いたのでこれから検討する言つてももう大体北海道のこの災害というものは起きてから随分時間がたつてその間に恐らく地元からは十七億という話は初めてにいたしましたところでたびたびいろいろ陳情を持つて来ておると思うのです。又これは加藤さんのほうももう実情はあらましのことは大体御承知なさつてどうしなければならないかということもほぼ、早急に手を打たなければならないのは何かということもわかつておると思うのですが、それが初めて先ほど聞いたのだというようなことでは、今後一体どうなるものかということを非常に心配をするのでして、まあこれはあなたも警察を一時やられましたが、警察とは違つて人に喜ばれることですから少しは腰を入れて頂かんと、そんなことでは一体いつになつたら何ができるのか非常に不安を持たざるを得ん。少くとも明日北海道に行くのだつたら何か土産を持つて行かなければ行きにくいのではないのですか、どうですか。(笑声)
  49. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私の答弁の仕方が如何にも冷淡なように聞えるかも知れませんが、これは表現の仕方がまずうございまして御了承願います。北海道の繋ぎ融資にいたしましても、最初三千万円出したのでありますが、これは如何にも少いように感じました。併しまあこれは端的にここで申しますと、陳情は盛んにございましたが、基礎付けたる何がなかつたものですから取りあえずこちらから進んで三千万円を出したような次第でございます。今日陳情を聞いたといつて今まで放任しておつたわけではないのでありまするが、今日具体的にいろいろ陳情がありましたものですから、それで今日もこれから折衝をいたしまして、私が参りますまでには何らか或る程度の実現性を期することにして行きたいと、こう思つております。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 まあ大きな期待を持つております。(笑声)
  51. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 冷淡に放任しておるわけではないのでありますから右のような次第でございますので、悪しからず願います。
  52. 松浦定義

    ○松浦定義君 あとからまあいろいろ政務次官等にお伺いする場合のあれになると思うのですが、この間農林大臣が北海道を調査されて帰られて、必らず即刻閣議にこれを報告して云々というようなお話がありましたが、無論これはまあ本部長にはその事情等はお話になつていると思うのですが、そういう点は十分お聞きになつておりますかどうか、この点だけ一つ伺つておきます。
  53. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 昨日の閣議におきまして農林大臣から詳細なる実情の御報告もあり、且つ又いろいろの御要求の点もあつたのでありまして承わつております。
  54. 森八三一

    委員長(森八三一君) まだ加藤国務大臣に御質疑は相当あろうと思いますが、大臣はすでに午後のスケジユールもきまつておるようでありますし、時間も十三時を廻つたようでありますので、午前中の委員会はこの程度で休憩にいたしまして、更に午後二時からこの問題の継続審査を願うことにいたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十五分開会
  55. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休憩前に続きまして会議を開きます。  午前中審議いたしました台風被害及び冷害並びにその対策の件を議題にいたします。羽田政務次官は用務のため出席が遅れる旨でありますが、後刻出席されると存じます。只今農林関係で出席されておりますのは野田統計調査部長、松岡金融課長、大塚災害復旧課長、岩永農産課長であります。なお、野田統計調査部長は供米関係知事会議のほうにも出席を要請されておる趣きでありますので、三時過ぎには或いは退席されることになるかと思いますので、統計調査のほうに御質問のかたはそういうようなお含みで御発言を願いますれば非常に結構かと存じます。質疑のかたは引続き御発言を願います。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 私、統計調査部長が時間をお急ぎのようですから、統計調査部長にお尋ねしますが、先ほど北海道の現地調査報告にもちよつと触れたわけですが、九月十五日現在というものを北海道を七〇とみても、その後の十五号台風被害がおよそ十六万石ということになりますと、指数にして六〇ちよつと超す程度になるだろうと思いますが、少くとも私ども現地を廻りまして、これは私一人が廻るんでなしに、他の同僚議員とも一緒に廻りましたものは、もとより統計調査部のような機構を以て細かに調べたというほどではございませんが、私どもの大ざつぱに受ける印象としては、到底あの作況が六〇以上になるということは考えられないわけです。そこで札幌で統計調査部の出先のお方に説明を聞きましたけれども、どうも納得が行かなかつたのですが、申すまでもなくこの作況の統計調査部の報告というものは、これは今後の災害対策に重大な影響を及ぼす、災害対策だけでなしに米の供出割当につきましてももとより重大な影響を及ぼすのですが、更に統計調査部のほうで米だけでなしに雑穀等をどう見ておられるかということも、これ又私どもとして非常な関心を持たなければならないことなんです。とにかくその中で一つ公表されました九月十五日現在七〇%、その後十六万石の被害を受けたという、米については我々としてはどうしても納得できませんので、一体どういうようなことでそういう数字をお出しになつておるか、お聞きしたいのです。或いはこの十五号台風以降において、霜その他の関係でまだあの数字は減るということがあるのならそれもお聞きしたいと思います。まあともかく一応何でああいうことになるのかお開きしたいのです。なお私附加えておきますけれども、これは北海道でそういう印象を受けたというだけでなしに、他の地方、例えば私は郷里が岡山ですから、岡山の稲も先だつて来見て参りましたけれども、とても統計調査部の報告のようなものには見受けられないのでして、特に岡山の稲を見ましても非常に青い米が多い。或いは十分に稔実していないものが多い。成るほど粒数は多いようでございますけれども、併し一体完全な米としてどれだけあるかということになりますと、統計調査部の見方というものと相当離れておるように見受けられますので、先ずその中で一番はつきりしておる北海道の問題についてどういう出し方をされたかを聞きたい。
  57. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 北海道につきましては、御存じのように我々としましては札幌事務所ほか三事務所、合計四事務所を持つておりまして、それぞれで調査推計をいたしておるわけでございます。その九月十五日現在におきまして事務所別に見ますると、札幌事務所管内におきまして七五の指数を示しております。北見事務所管内におきまして五の指数を出しておるのでございます。函館事務所におきまして七一、帯広におきまして三八、これを総計いたしまして七〇という数字を出したわけでございます。これは九月十五日現在におきますところの作況調査圃から株をとりまして、一株一株について分析的に調べました結果を面積に掛けましてウエートをつけて出した数字でございます。かような九月十五日の時期でございますから、この作況収量を構成します要因の中ではつきりとわかつておりますのは、やはり坪当りの粒数ということになると思います。そのほか我々といたしましては稔実歩合或いは屑米歩合或いは千粒重というような点を構成要素として考えておりまして、それらにつきましては、試験場におきます気象感応試験のデーター或いは例年のデーターを主として判定したわけでございます。ここにさような九月十五日から将来の収穫時に向つての総計でございますので、気象条件の推移というものにつきましては、おのずからまあ推定をいたさざるを得ないわけでございまして、それは一応平年並に経過するという前提の下に立つたわけでございます。その後台風十五号が参りました関係で、一応の数字といたしましては、台風十五号の被害数字をそのまま引いておるというような状態でございますが、かように九月十五日の時限で調べましたものから、ただ被害だけを引いて行くということは非常に無理があると思つております。私どもとしましては、やはりいろいろ問題がある点でございますので、これは臨時々々に作況を追つて行くということができれば非常に幸いだと思いますけれども、現在の情勢ではそれが不可能でありますので、十月十五日現在におきまして、それらのその後の気象の推移、なかんずく台風影響冷害と競合いたしまして起きました問題等がはつきりすると思つております。それは私どものほうで最終的にでき上りますと直ちに公表する予定にしておりますが、大体十一月の一日前後であると思つております。これに只今事務所別の指数を申上げましたごとく、北見と帯広もこれにつきましては決定的に行かないという数字が出ておるわけであります。問題は十五万六千町歩の北海道の作付面積の中で十二万町歩というのがいわゆる札幌管区に属しておるのでございまして、ここの趨勢がこの北海道全体の作況を左右するということができるかと思つております。この九月十五日現在から今日まですでに満一カ月を経過しておるのでございまして、その間の推移につきましては、今度十一月一日前後に公表する指数で御覧頂きたいと実は思うわけでございます。台風十五号の北海道におきます被害につきましては、極めて過小であるというような現地からの御意見を聞いたのでございますけれども、これにつきましても、大体作況調査圃並びに臨時に設けました被害調査圃から幾株かを取りまして、それに被害がどういうふうに現われでおるかということを分析的に調査して出て来たわけでございます。殊にこの現地のかた等の話合で我々の点と若干の考え方の違いを来たしておりますのは、現実の問題としましては台風十五号の通過を契機に、がたつと作況が落ちたというお話でございますが、我々としましては風害調査は主として白穂とか、或いは脱粒、倒伏或いは籾ずれというような外形的なものを風害の中に入れまして、それと関連して来ました冷害現象につきましては、これは冷害の範疇において調査すべきであるという、かような仕組になつておりますので、その点が十五号の被害報告には入つて来てないかと思われるのであります。我々も北海道の作況の推移につきましては非常に関心と心配を持つておりまして、いろいろ情報としては聞いておりますが、冷害の進行は、冷害相当進行しつつあるというふうに聞いておる次第でございます。それからその他の府県におきます作況の問題でございますが、御存じのように、今年は非常に気象の激変と申しますか、気象の状態の推移が例年と違いまして、七月までの状態におきましては一体どうなることかと心配したような状態でございましたが、七月の下旬乃至はその下旬の後半あたりから一般的に天候が回復しまして、八月は平年並或いは九月に入りますと、平年を若干越した高温になるということで非常に作況が回復して参つたのでございます。これらの点はすでに八月十五日の作況の場合にも出ておるのでありますが、九月十五日の作況におきましても、台風なかりせばということを考えますと、いわゆる平年収量をかなり上廻つた県が相当たくさん出て来たわけでございます。これらの状態が一貫して現われておりますのは北海道と東北の一部でございまして、これはお手許に差上げました旬別気象表を御覧頂きましても、いつも北海道とそれから東北の一部は赤字が出ておるというような状況でございまして、御判別頂けるかと思います。このような非常に平年と違いました気象の推移をいたしておりますので、私のほうにおきましては、一方において調査に十分の注意をいたしますと共に、絶えずこの気象感応試験におきます推移というものを見守つて来ておるのでございまして、この両者から判定して参つたのでございます。これもまあさような点からいいまして特に作物統計課長としては苦心されたのでありますが、非常に高度に農学的な技術を活用してかような判定をして行つたわけでございます。  なお、最後に雑穀の問題でございますが、これはまだ最終的な数字ではございませんけれども、一応一昨日程度までに台風第五号以下十五号までの雑穀、蔬菜工芸作物、果樹というようなものの被害を取りまとめておりますので、この総括表は明日になればできるかと思つておりますので、お届けいたしたいと思います。なお北海道におきます雑穀の状態につきまして、これは十月一日の定期報告でございますが、大豆と小豆と「とうもろこし」について申上げてみたいと思います。帯広管内におきましては大豆が六〇、小豆が五一、「とうもろこし」が七二というような指数を出しております。それから北見の管内におきましては、大豆が二六、小豆が一四、「とうもろこし」が三七、それから札幌の管内におきましては大豆が七四、小直が七一、「とうもろこし」が七七、それから函館の管内におきましては大豆が四二、小豆が三四、「とうもろこし」が四七というような数字を出しております。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 今北海道の稲作は、これは九月十五日現在の公表数字から十五号台風被害数字を引いたものが現在の作況というだけでなくして、その他のデーターが加わつて十月十五日現在の数字が追つて出るということになりますと、私どもその数字を見なければどうということは言えないのでありますが、ただ今もおつしやいました農学の最高の知識を集められてあなたのほうはやつておられますが、私どもは農学について誠に貧困な知識しかないのですが、その貧困な知識を以てしてみると、どうも今まであなた方の出しておられる数字というものが納得が行かないのでありまして、特にこの報告書にもありますように、北海道は出穂で十五日から二十日程度遅れた。十五日から二十日程度遅れて、途中で台風に会えば更に葉も傷めば茎も傷むでしようし、その生育が遅れて来る、そういうものが或いは粒はあつても米になるのかどうかということは、これはよほどむずかしい問題であつて、或いは過去においてそういうような経験をたびたび積まれておつて、データーが集まつておるというならはつきりした答えが出るかも知れませんが、私は必ずしもそうでないと思うのでして、その点について今後十月十五日現在がどう出るかということを私どもとしては注目してみたいと思うのです。それから只今の雑穀の問題についても十月一日現在に帯広管内の大豆が大体六〇%、とにかく種子についても、種子をどこからとろうかということを大騒ぎしておるあの帯広管内を見て廻つた印象から見て参りますと、六〇%あるように到底思えないのでありまして、それから十月一日現在の青米でも何でも実が入つておるのは六〇%というのはわかります。併しながら、実が入つておるのが完全な粒になるということではありますまいから、帯広管内で大豆を作つている、ここに大豆を作つている松浦君がおられますから、松浦君に聞いたほうがはつきりすると思うのですが、私はどうも統計調査に現われている数字については疑問に思うのでありまして、従来府県の数字或いは農業委員会の数字、それと統計調査の数字、これに食い違いがあるのは知つております。なぜ食い違いが出て来るかも知つております。併し今年は少しズレがひどいのではないか。子供のときから小児麻痺をやつたような稲ですから、そういう稲か、異常気象の中ばかりでやつた稲ですから、それで最後にどれだけ完全な粒がとれるかということについて、あなた方が最高の知識を傾注されてやつていてもちよつと食い違いがありはしないか、例えば現実に私岡山に行つて試験ずりをやつたものをみて、その粒数の貧弱さ、その粒数の数をみて、とてもあなたの言われるような数字でないということを言わざるを得ないのです。ここに出ておる数字は中間だけのもので、最終のものではございませんから、今かれこれ言うのは当を欠いておると思うのですが、とにかく統計調査のほうで慎重にやつて頂きたいと思うのです。私どもは統計調査の必要ということは認めております。今後も統計調査の機構を拡充しなければならんということも認めます。併し同時にこれが統計調査の数字というものが耕作農民に与える影響は大きいのでありまして、科学的に間違いのないことをおやりになつておられるならどこがやつてもよろしいけれども、まあ最終の決定はあるけれども、中間において多少間違つた印象を与えるというようなものが出て来ますと、農政面にいろいろ重大な影響を及ぼしますので、これは慎重を期して頂きたいと思うのです。統計調査のことはそのくらいにしておきまして、あとほかのかたに聞きますが、これはいずれ統計調査については、ほかのかたからも質問があると思いますから、それが終つてから他のかたにお伺いします。
  59. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 統計調査部長にちよつと伺いたいのですが、九月十五日現在、水稲の被害状況と先般御発表になりました八月十五日の水稲被害状況、この比較を出してみたのですが、只今江田委員から慎重を期してやつてもらいたいというお話があつたのですが、私も少し統計について疑問があるのですが、第一点に伺いたいのは、八月十五日現在で平年度の比較、八月十五日現在では平年を二十四年、二十六年、二十七年、二十八年の四カ年でやつていた。九月十五日になりますと、二十四年から二十八年まで全部の五カ年平均をやつている。平年が非常に狂つて来たのです。例えば病害におきましては、従前の発表によりますと、平年が三十万六千町歩ということになつている。今度は平年が病害では四十二万七千町歩なつている。先般来農薬の問題で、異常発生の分について農薬の補助をやつたのだと承知していたのです。それが補助の計算をやる場合にどれが平年になるのか、八月十五日と違つたことになつておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  60. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 只今お尋ねの件でございますが、八月十五日の平年は、平年における八月十五日の数字を平均したものでございまして、九月十五日になりますと、又九月十五日現在の数を平均したものでございまして、調査時点を同じくして比較するという方式をとつております。従いまして、昭和二十八年なら二十八年をとりましても八月十五日現在、九月十五日現在、十月十五日現在、最終の推定実収高ということになりますと、ベースになります平年値というのはずつと違つて来るわけでございます。その点を一つ御了承頂きたいと思います。年次につきましては、二十四年から二十八年までの五カ年間をとつておると思います。いずれも……。
  61. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私のお伺いしたのは、九月十五日現在で発表になつたのは、二十四年から二十八年の五カ年平均ということがここに註に書いてあるが、八月十五日の発表のは二十四年、二十六年、二十七年、二十八年の四カ年平均とする、二十五年を抜かして書いているから、こういう違いになつていると私は思うのです。その点を明確にしておく必要があると思うのです。
  62. 原政司

    説明員(原政司君) 只今の御質問の点にお答えいたします。溝口先生がおつしやるように平均年次が八月十五日と九月十五日と違つておりますが、私が聞いております限りでは、二十五年には何か調査上の何と言いますか、失敗と申上げたほうがいいと思いますけれども、実は不完備な点がございまして、平均年次に入れることが適切を欠くというような当時の事情があつたようでございまして、別にそれを作為を以て抜いたということではございませんで、先生御指摘のように、両年次に違いのございますことを非常に遺憾といたします。
  63. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 それは私は重大な問題だと思いますが、病害の農薬の補助は異常発生の分について、やはりその異常発生の分は、平年というものはいつを基準にとつてつておるのか、二十五年が不完全だからそれを八月十五日のときには平年から除いてある。九月十五日のときにはそれを修正したかどうか知らんが、とにかくそれを入れて平年の基礎にしておる。病害は八月十五日のときは三十万町歩の平年があつて、今度は九月十五日には四十二万七千町歩なつておる、本年はその上に異常発生した分を補助するということにここにも書いてある。そうすると、十何方町歩というものは補助金の対象から差引くようなことになるのじやないかと思うのですが、それはどういうふうに取扱うわけですか。
  64. 原政司

    説明員(原政司君) 農薬補助の場合におきまして平年をどういうふうにおとりになりますか、それは主管局のかたもいらつしやいますから、そちらから御説明頂けるかと存じますが、只今の平年が十二万町歩ズレるというお話でございますが、先ほど野田部長からも御説明を申上げましたように、病虫害全体といたしましては、例えば時点が収穫期に近付くに従いまして漸次拡大して参るというか、そういう事情にございまするので、仮に同じ五カ年が完備しておりましても、五カ年平均というのが各時点につきまして完備しておりましても、さような比較が出て参る、つまりあとのほうほどベースが高いということが一般的にはございまするので、さような点を御了承頂きたいと存じます。
  65. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 時期のズレで数字が違うのは、これはよくわかると思いますが、私はこれ以上質問はいたしませんが、やはり結果としてなぜ片方は五カ年であり、片方は四年でやつたのか、そしてそれは一カ年、二十五年のときの不完備の点があつたから前には抜いたのだが、今度はそれを修正して入れたのか、何とかその点をはつきりしておかんとあとで疑問が出るのじやないかというように考えますが、もう一応これは考慮なさつて頂きたいと思います。  それから江田委員から先ほど北海道の作況について納得が行かない点があるような御質問があつたのでございますが、私はこの表の上から見まして、どういう取扱をされたかお伺いしておきたいと思うのですが、九月十五日現在の北海道の作況の被害状況を見まして、冷害が非常に多くなつておる。北海道の十五万五千町歩ぐらいの水稲の面積に対して、十三万三千町歩という冷害があつて、約九十七万石の冷害があるようなふうになつておる、これは非常に大きいのでございます。それとこの表には出ていないその他十四号、十五号の被害が双方合せると六十万石ぐらい出るのであります。この冷害と、それから十二号以前の風水害が若干あるのでございますが、そういうことを含めまして、北海道の本年の減収は総体で百七十万石以上になつておるのじやないか。そうすると、全体で十五万町歩で二億にしても三百万石とれたのが百七、八十万石の減収とこの数字ではなると思うのですが、そうすると、作況は三割ぐらいになつてしまうというような結果になるのですが、冷害を受けたのは十三万町歩で九十万石、一反歩で七斗ぐらい減収に平均なつておるのじやないか。それをあとで十四号、十五号が来たときにみんな倒れたりしてしまつた減収とはどういうふうにダブつて行くのか。もう初めに冷害を受けたやつは一応差引いた勘定で、これは要するに結実時期に非常に寒かつたからこれは保護できなかつた、そういうものを想定して九十七万石というのが出ておると思う。それは別として、あとで六十四万石、十四号、十五号という計算を出したのがダブつておるのか、そこはどういう勘定をするのか、やり方を明確に説明をして頂きたいと思います。
  66. 原政司

    説明員(原政司君) 只今の御質問の点でございますが、被害調査につきましては、特に減収量の基準につきましては二つの何と言いますか、とり方がございまして御承知のように農業共済におきましては、基準反収と言いますか、平年反収に対しまして現実にとりました収量との差額を以ちまして減収量というような解釈をしておられまするし、又その他病虫害防除或いは金融等の場合につきましては、そういう平年反収ということにとらわれませんで、現にその植物体が何らかの障害を或いは受けない場合におきましては、ほぼこのぐらいのものがとれるであろうと考えられまする収量からの減収分というような、いわゆる被害なかりせばとり得べかりし収量というふうに申しておりまするが、さようなものからの減収分という出し方がございまして、以上二つの減収量に対しまして出し方があるわけでございます。統計調査といたしましては、只今申上げましたほうの構想を採用しておりまして、北海道の本年の稲の状況その他から御覧頂きますというと、若し気候その他に順調に恵まれておりまするならば、条件或いはその後の出穂状況等を見ますれば或る程度の期待もできる。併し現実には江田先生その他からも御指摘がございましたように、出穂遅延もございまするし、又現に稔実の悪さ等もございますので、そういうような点を考慮いたしまするというと、被害量といたしましては相当の大きな数量に相成るわけでございます。従いまして、溝口先生のお話の北海道の水稲平年収量約三百万石からそれを引きましたものが直ちに作況になる。作況になると言いますか、現にとれる収量というものは実は調査の基準になつておらない点を御報告申上げます。
  67. 松浦定義

    ○松浦定義君 九月十五日現在の北海道のあれが七〇%ということについては、先ほど江田委員が御指摘になつた通りなんですが、その後の台風被害減収量が十六万石、その十六万石が減収することによつて何%ぐらいに落ちるか、その点ちよつとお聞きしたい。
  68. 原政司

    説明員(原政司君) 機械的に差引きまして収量を出すことが必ずしも適切じやないということにつきましては、野田部長から御説明申上げました通りでありますが、只今の御質問の十六万石が幾らに相当するだろうかという点につきましては、北海道の全体といたしましての水稲の平年収量は三百二万五千石でございます。仮にそれで割つて頂きますれば五・四五と、きちんと割つてみないといけませんが、五・四五%ぐらいに相当するものと存じますが、それは平年収量で割つたほうでございます。
  69. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、大体今米の割当の折衝をやつておられるようですが、その基準というものはやつぱり大体六四%程度のものを考えておやりになつておるのか、それとも又別に七〇%というものを基準にして折衝をやつておられるのか、この点はどういうような数字になつておるのですか。
  70. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 食糧庁の関係ですから正確ではないと思いますけれども、大体全国的な方式としまして九月十五日から被害を引きました部分でありますから六四、五というところを一応目安にして話が進んでおると思います。
  71. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあその点をお聞きしただけでも私は大体北海道だけでも非常な差がある、これは全国的に大きな問題になるということは私は当然だと思うのですが、そのことは今別にその所管が違いますので、割当云々ということは申上げませんが、大体そういう数字で供出にも影響し、或いは又いろいろ問題になりまするように、保険金の支払等につきましても、これはまあ早期に支払うということが先ほどの要綱の中にもあつたのですが、そういうことがこういう数字の決定しない場合にはそれが実現できないということになつてしまうと思うので、そういう点はこれはもう別な面から私どもはお聞きしなければならんと思いますが、いずれにいたしましても、米の問題についてもそういうような非常に現実とかけ離れた数字をまだ依然として農林省としては持つておらなければならないと、これはいろいろ調査の方法とか、いろいろの点について問題はあると思いますけれども、少くとも現段階におきましては、私どもは先般江田委員と共に廻りました結果においても、四〇%以上を上廻るということは絶対にないというふうに見て来ておるわけなのですが、今のように六四%と四〇%との食い違いというものをそう簡単に割切るわけに行かない。そうしますと、その間において非常な問題が起るということになりまして、収穫があるところについては融資の問題も或いは十分に行かない。或いは又救農工事にしましても当然そういう問題が関係して来ると思いますから、いずれにいたしましても、こういう基準になる統計調査部の数字というものは急速に一つ適正な数字を出してもらわなければいけないと、私はこういうふうに思うのです。従つて十一月一日現在で、十月十五日現在の、最終段階になりましようが、これを発表するということになりますが、少くとも十月十五日現在を以ていたしましても、今私どもが考えておるような数字には当然ならないと、こう思うのでございますので、この点は十分現地の事情を今すぐ急速に一つ督励されまして、十分な一つ資料を早く出して頂きたいと思うのであります。なお、畑作地帯の問題で、先ほど江田委員の質問に対してお答えになりました十月一日現在の大小豆、「とうきび」等の数字を話されましたが、少くとも今年は五月以上六月にも霜害があり、或いは七月近くにも雹害があつたというような、そういう異例な地帯でありますから、非常にまあ水稲と同じように畑作地帯においても作況が遅れておる。従つて十月一日現在、例えば大豆なり小豆なりの作況というものが恐らく六〇%になるということは私どもは考えられないのですが、統計調査のほうではその降霜の時期とか、そういうものについてはどういうふうにお考えになつておるのでありますか。私どもも自分でも農業をやつておりますからわかりますが、もういつの場合でも九月二十日前後には霜が来るのですが、それを十月一日の現在で先ず遅れた大豆なり小豆なりについてもなお霜が来ないような形で、而も遅れていない形の数字のように私どもは見受けるのですが、こういう点はどういうような調査の方法でこういうふうな数字をお出しになつておるか、お伺いしたいと思います。
  72. 原政司

    説明員(原政司君) 只今のお話でございますが、先ほど野田部長から帯広事務所管内と申上げましたので、多少名称の点で誤解がありはしないかと存じますが、実は私のほうの統計調査事務所の管区から申上げますると、帯広事務所の中にはいわゆる帯広界隈の十勝平野或いは釧路と、それからそのほかに日高、あの辺が大分つております。で、水稲の例を仮に申上げまするというと、北見につきましては、先ほど申上げました通り、水稲としては九月十五日現在で五%の作況、対平年比といたしまして……。その場合にやはり十勝並びに釧路につきましては六%ということを私らとしても当時判定しておつたのでございますが、その場合におきましても、日高のほうは六五%というふうに大分御事情が違うように承知しております。さように非常に、いわゆる名前が帯広事務所となつておりまするので、多分に誤解を受けやすいということをかねがね憂えておりますが、さような事情にございますことをあらかじめ御了承を頂ければ非常に有難いと存じます。なおお尋ねの霜等につきましては、実は各測候所或いは観測所にございまする平年の初霜日、或いは過去数年間の初霜日というものを私のほうでも取寄せておりまするし、又現地におきましてもさような点を考慮いたしまして、九月十五日といたしましては、霜がいつ参りまするか、なかなか判定は困難でございまするので、平年の初霜日といたしましては、例示的に申上げますると、札幌といたしましては十月の五日、或いは旭川といたしましては十月の四日、それから今のお尋ねの帯広につきましては、平年の初霜日は九月三十日ということになつてございます。釧路につきましては十月の四日、さようなそれぞれの観測所或いは気象台の過去の平年値がございますので、さような日を以ちまして初霜日と一応予定して、当時といたしましては作柄の判定を練らして頂いたのでございます。
  73. 松浦定義

    ○松浦定義君 帯広の管区が日高或いは根室と広汎に亘つておるというので、水稲につきましては日高の中へ入りますと多少食違いがあると思いますが、雑穀等につきましては恐らく釧路、根室のような水稲の少しもない所、こういう所の面積が相当入りますので、恐らくこの数字が非常に私は変つて来ると思わんわけでありまして、今お話のように、特に私が申上げました降霜の時期というものに相当私はズレがある。こういう点で、この調査のパーセンテージは、私はどうも納得が行かないわけなんですが、いずれにいたしましても、その後五日、六日、七日のまあ降霜というものは非常に今までにないあれでありますので、特にこの大豆のうち十勝長葉、北見長葉というものは、全耕作面積の大体六割を占めておる。そうしますと、恐らく今度出て来る数字が、私はこういう数字ではないと思いますけれども、少くともまあ三〇%以下になる。むしろ地帯によつてはもう皆無という所がありますので、こういう点で今度十一月一日に発表される点について私どもは十分見ましてから、更にその次の対策は立てなければならん、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、そういうふうに非常に一貫して関係が深い統計調査の発表につきましては、いろいろ問題が関連してありますから、少くとも十一月の一日の発表前に大体の予想した数字がとられまして、そうして全体の対策に、これが速かに軌道に乗るようにして頂きたいことを、特に私の希望といたしまして質問を一応打切りたいと思います。
  74. 石川清一

    ○石川清一君 北海道の作況の数字についてお尋ねしますが、今お話ありましたように四つの事務所の出張所の数字が明らかになりました。九月十五日現在では北見五%というのは、北見の中にも早稲、中手、晩稲、直播、温床と、こういうように分れております。そのうちのもう九七、八%というものは見込みがなくて、僅かに温床の早稲種に見込みをおいた数字でないかと、こういうように想像する。そうしますというと、札幌管内の七五%と予定されておるこの数字には、いわゆる晩生種を播いて収穫皆無のところもありますし、現に相当ある。そうしますと、このうちで一〇〇%とれるという予定をしておる早稲種もあると思うのでありますが、この七五の内訳を早稲、中手、晩稲、温床、直播と、こういうように分けて調査されておるかどうかお伺いいたします。
  75. 原政司

    説明員(原政司君) 只今の御質問でございますが、御承知のことかと存じますが、私らのほうといたしましても、先生の御指摘のように、できますることならばさようなふうに細かく仕分けましてそれぞれ別に皆様に御報告を申上げるというふうにいたしたいということを念願としておりますが、只今の陣容を以ちましては、さようなこともできかねまするので、只今御指摘になりましたような品種或いは栽培法という点につきましては、本年も特に北海道或いは東北等につきましては、相当昨年の冷害のあとを受けまして栽培法、品種等の関係も変革いたしておりますから、詳細にその状況調査いたしまして、さような状況の上で全体を代表し得るようにと努めまして、九月十五日の段階の作況調査につきましては、作況調査圃と私どものほうで申しておりまするが、農家の田圃を約二百カ所ばかり選定いたしまして、その選定につきましては、只今申上げましたように御指摘のもろもろの点がそれぞれのウエイトとして並行圧縮的に入るようにという選定をいたしまして、その結果から全体を推計して参ると、かように努力をいたしておるのでございます。
  76. 石川清一

    ○石川清一君 先ほど江田委員から調査の結果について御質疑があつたのでありますが、その中で明らかになつたように、私どもも同行しまして九月の五日から十日過ぎまで見て参りましたが、その中で早稲の種すら刈つてない、九月の五日目頃にまだ早稲の種さえ刈つてない、こういうような所が全部でありました。そのことは早稲種もまだ完熟していないんだと、こういうことであります。こういうような九月の初めの現況の中で我々はずつと調査をしたんでありますが、そういう点から見ますというと、北見或いは十勝等は先ほどおつしやるようにもう零よりももつと以下なんだと、こういうような状況に私らも見て参りましたし、統計調査部のほうも見ておる。そのことは単に十勝或いは北見ばかりでなく、上川或いはその他の山間地帯にもそれがはつきり現われておりますし、直播の晩生種も同じような状況である。或いは又石狩の泥炭地のように土地が肥沃であつたり、或いは多肥栽培をした所も同じように現われております。それは北見と十勝と何ら変りない。一反二斗もあるか、こういうようなものが何百町歩もこう広く亘つておるのであります。その十五日頃には恐らくこういうものが出て来ておるのじやないか、私はそういうふうに感じるのでありますが、そういうようなことが九月の二十日に出たのには、二千円の早場米奨励金がある。九月の三十日に千二百円、十月十五日に六百円、こういうふうに減つて行くのを知つていながら出せない、登熟していない、こういうような状況、これが実態であります。而もこれをめぐつて今割当がその統計調査部の調査を基礎にして行われようとしておる。而も調査部は十月十五日現在の結果を十一月一日発表されるまで手を拱いて待つておるというような御意思でありますか。事実、部長や東京の課長、責任者、高位にある人は、いわゆる重要なメンバーの人は現地を御覧になつたかどうか。又今私が申上げたことが本当かどうか、これは嘘だと、こういうふうにお感じになるか、一つ御意見を承わりたい。
  77. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) この食糧の割当の関係につきしましては、これは実はどういう基準でやつておるか正確には知らないわけでありますが、私のほうの資料が重要な資料になつておるということは、これは間違いなかろうかと思つております。さような意味におきまして我々としましても、刻々の作況というものをつかむことができれば一番適当であると思うし、又さように努力しなければならんと思つておりますけれども、問題が非常に輻湊いたしまして、それぞれの時期に臨時の調査を入れることが非常に困難でございましたので、我々としては次の機会に、即ち十月十五日の作況におきまして、さような点は明らかにしたい、かように思つた次第でございます。従つて我々の調査と食糧の供出との間には、これは密接な関係のあることは疑うことができないのでありますけれども、直結したわけではございませんので、我々としましてはその食糧供出だけにとらわれないで、一定時点、一定時点の作況というものを正確につかんで行こうと努めておるわけでございます。丁度いよいよ明らかな問題になつて来ました頃には、十月十五日の調査が進行の段階に入つて参りまして、それに上塗りでやつて行きますと非常に混乱すると思いましたので、誠に現地実情からは離れるわけでありますが、十一月一日の公表まで待つて頂きたいと、かように思つておるわけであります。
  78. 石川清一

    ○石川清一君 そうしますと、やはり農林省のほうでは今までの基準を変える確たるデーターが出て来ない限り現在のそれにとらわれるんだ、死守するんだ、こういう立場をやはり堅持されておるのでございますか。
  79. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 統計調査部といたしましては、さような考え方を持ちまして、ただ趨勢としましては冷害が進行しつつあるということを考えておるわけでございます。
  80. 江田三郎

    江田三郎君 併しちよつとそれね、部長さん迷惑な話ですな。わしのほうはこつち向いて真つすぐ行つておるのだから、ほかのものとは関係がないと言うてもそのほかのほうは食糧庁のあんたの歩き方をじつと見て農民のほうへ何かして持つて来るんですな。これは途中の数字であつて、まだ冷害は進行中だなんと言われたところで、今あんたのところで出しておる九月十五日だ、台風十五号だというのでわつさもつさ向うでやつておるんですよ。それは機構がそこまで行つていなければ仕方がない。迷惑な話でして、その点はもう少し何とかならんですかな。特に少数の何県かの府県が残つておるようですけれども、私はやはり全国の知事が折合うときに、そう少数の県が理由もなしにめちやくちやにがんばることはしないと思うのですよ。がんばるにはがんばるだけの理由があるわけで、どうも今までのあんたのお話を聞いてみるというと、九月十五日現在だ台風十五号だけ出したんだ、九月十五日から台風十五号を差引いたのが最終的の集計ではないのだということだけは言われるけれども、併しそんなら別な答え、どうだというお答えはないのですからね。これはもう少し考えてもらわないと迷惑します。
  81. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 只今の点を衝かれますと、実は私どもも非常に苦しいわけでございますが、ただ統計調査部といたしまして正確な数字を出す義務を持つておりますので、それを出しますには相当の時間を要する。従つて中間的ないろいろな数字を腰だめで出すということは如何かと思いまして避けておるわけであります。従つて食糧庁に対しましては、とにかくこういう冷害が進行しておる。その点については供出割当上十分考慮されたいということは統計調査部として申入れしております。なお、私ら統計調査部といたしまして、食糧庁がこの数字のみを使つているかどうかということについては知悉していないわけでありますが、たびたびの会合におきまする食糧庁の話におきましては、これを一つの参考資料とはするけれども、いろんな事情を考慮して割当てるということを言つているわけでございまして、その間食糧庁におきましても、十分こういう時差と申しますかによる矛盾につきましては考慮しているかと思うのでございます。
  82. 石川清一

    ○石川清一君 冷害が進行中だというけれども、もう霜が降つて、雪が降つて冷害はもう終つてまつているのです。あなたのところの書類が進行中だけなんですよ。書類の整備が進行中でもう冷害は終つている。雪が降るし、霜がすつかり来てもう終つてしまつたのですよ。
  83. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) その点は全くおつしやる通りでありますけれども、どうも現在のあれとしまして、それに適応するだけの迅速性を持たないことを非常に遺憾とするわけでございます。
  84. 松浦定義

    ○松浦定義君 私ちよつとこの際はつきりお伺いしておきたいのですけれども、先ほどから申上げましたように、いろいろなこれが基準になつて施策が講ぜられる、従つてどもが進めようとする問題と必ず食い違いがあるということはこの通りでありますけれども、結果的に見ましてはやはり農民なり或いは被災関係の町村が非常に迷惑をする、そこで十一月一日現在に十月十五日の報告をされるかと思いますが、それは最終段階だろうと思うのです。それと今これから進めようとすることとが、必ずここで問題になると思うので、その場合にそのときの数字というものに絶対こだわつて、これはもう直すことはできないんだ、こういうふうに言われるのか。やはりその場合いろいろな方法があるのです。現地調査とか、いろいろな形で再調査の面もあるのですが、そういうような融通性というものが全然ないということになりますと、私ども今ただ単なるこの数字でやるということは非常に危険なことなんで、責任を回避するわけじやありませんけれども、もう少しじつと待つているより仕方がないということになると思うのですが、この数字というものは絶対的なものだというふうにお考えになつて、あとは何か臨時的にそつちでその数字にとらわれないで便法を講じられたほうがいいのじやないかというふうに考えられるのか、何か別に今申上げましたように、現地で絶対に、今お話のように二百カ所の調査基準補助というものを持つておるというお話ですが、その補助を、必ずしも私は適正な補助でないという場合があれば、別な補助で以てそれに該当するような調査を進めることができるかどうかというふうなことにつきまして、一つお伺いしておきたいと思うのですが、こういう点はどうなんです。絶対動かされない十五日現在のものであるかどうかということを一つ念のためにお伺いしておきます。
  85. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 今度の十月十五日の調査におきましては、私どもは予想収穫高、十二月二十五日には推定実収高というものをやりまして、二十五日が最終的に本年の稲作の統計が終りということにしておるわけでございます。十月十五日の作況につきましては、これは九月十五日までと変えまして、今まで二百筆の作況調査でやつておりましたのを、今度は千四百筆ぐらいの標本筆に切替えるわけでございます。そこの実測値が出て参りまして、これが設計上大体全体を代表し得ると思うところに、これは無作為に設置されたものでございまして、それが十分代表し得ると思つております。かようにして出て来ました結果につきましては、統計調査部としては、これは変えることはできないと思つております。ただいろいろ問題があります場合に、再調査の余裕というものがありますれば、それはいろいろやつた事例もございますけれども、今日私どもとしましては、その調査を以て変えない数字で行きたい数字である、かように考えておるわけでございます。この数字が如何なる場合におきましても農家の実際勘定と離れて来るとか、或いは県の出されます数字と離れて来るというようなことがあるのでございまして、このギヤツプにつきましては非常に私どもも苦慮するところでございます。ただ我々といたしましては、現在統計上標本推計の方式をとつておりまして、それによつて出て来ました数値をそのまま出して行きたい、かように思つております。行政上の問題といたしましては、我々の統計の立て方といろいろ別の問題がございます。例えば面積におきましては私どもは標本の推計からいたしまして、これだけだと、こういうことを言つておりますけれども、村の行政上におきましては、やはり何と言つても台帳面積というようなものが基礎にならざるを得ない、そういうような食い違いが相当あるのでございまして、この点につきましては、やはり大筋のところは動かないといたしましても、行政上の措置といたしましては相当考慮さるべきものではないかと思つております。
  86. 松浦定義

    ○松浦定義君 今お伺いをいたしますと、十月十五日現在は絶対動かされない数字だ、これが適正なら動かす必要はないと思いますが、恐らく今見ただけでも適正だとは考えられないと思うのですが、出て来る数字が適正かも知れませんから、私はそこまで申上げることはどうかと思うのですが、十二月末が最終段階になるということは、誰が見たつてそのとき出て来る数字は最終段階だと思いますが、十月十五日の数字が動かせない数字だと仮定しておやりになるとすると、先ほど申上げましたようにいろいろな施策に影響して来る。特に私は本年は、去年も一昨年もといつた工合に非常に災害が重なつた農家におきましては、共済金の支払等が当然年内、少くとも昨年は十二月二十五日乃至六日でしたが、今年は十一月いつぱいくらいに全額支払をしてもらわなければやつて行けない地帯ができる。そういう場合に申告書類が当然できて来るにかかわらず、十月十五日現在という数字が適正でなかつたために今回やれないというような結果になりますと、これは非常な問題になると思うのですが、そういう点については、一つ今そういうふうな機構であるから、そうはおつしやられるとしましても、やはり現実というものはそういうわけではありませんから、一つ十分今度農林大臣も、いろいろ先ほど本部長にも聞きましたところ、要求等もたくさん開いたというようなお話でございましたから、恐らく我々の期待以上の大きな要求をされておるものと思いますから、とにかくそういうような問題が私どもとして進められるように一つやつて頂かないというと、先ほどお話になりましたように、例えば十勝なり北見なり、その他各県にもありますが、収穫皆無のところですらやはりそういうことが進められない。府県の数字だけにこだわつてまつて、そういうような町村段階、特殊地帯の段階までそういうことが処理されないということになると非常に私は困ると思いますから、こういう点については十分特段な今後の数字のまとめ方につきましても、適正ということは十分努力はして頂かなければならんけれども、速かにそういう数字が出るように是非お願いしたいと思います。
  87. 石川清一

    ○石川清一君 この間札幌でも調査部の人が細かい話をしたのですけれども、何か少く発表したらお叱りを受けるような印象を受ける。だから多く発表しておいて……、多くということは、完全に稔るような計算をしておいてするのは、あとで天候のせいにできるけれども、少く見込んでおいて、多くなつたら首になるので、何かはつきり大きく出さなければいかんというような、恐しいような印象を受けたのですが、何かそういう通牒を出しておるのではないですか。
  88. 原政司

    説明員(原政司君) そういうことは部長からあとで申上げますが、絶対にございません。ただこういう点だけを、私から技術的にちよつとだけ只今の御質問につきまして補足さして頂きたいのでございますが、札幌管区を例にとつて申上げますると、先ほど野田部長が申上げましたように、九月十五日といたしましては、全体の籾数が実測の結果判明いたしましたが、それは過去四年くらいの実測値と比べますると、九%くらいアップなんです。併したびたび御指摘もございまするように、又当時といたしましても相当出穂は遅延をしておりまするから、さような点も考慮いたしまして、いわゆる稔実歩合と称するものにつきましては二割くらいは下るだろう、当時といたしましても、更にさようにいたしますれば全体としては八七、八%の指数が出て参りますが、併し江田先生から御指摘がございましたように、仮に平年の霜を予定いたしましても、出穂の遅延ということを予定いたしますれば更に米自体が貧弱になるということも考慮しなければならないだろうということから、札幌事務所につきましては七五という段階を当時推されたのであります。当時といたしましては、八月いつぱいは、七月、六月とずつと通して北海道だけは異常天候、低温がぶつ通しましたが、九月になりますというと、北海道も内地と同様に足並みを揃えまして、かなり高温になつて参りまして、特に九月の中旬は三、四度を平年より上廻るという情勢も当時続いておつたのでありまして、気象感応試験の粒の発育当時といたしましても、当時といたしましては、出穂遅延を相当程度に取り戻しているというような実情にあつたのであります。さような好天候がいつまで続くかは予測いたしかねますので、当時といたしましては、九月十五日以降は一応平年ベースで行くだろうということを勘定に入れまして、先ほど部長からも申上げましたような、当時の作柄を予定いたしたのでございます。その後の変化につきましては御指摘の通りでございます。
  89. 石川清一

    ○石川清一君 北海道庁の資料を頂いたのでありますが、これは十月一日で四九%生産を見込んでいる、その後七日の日には四四%、更に最近の農業委員会は三〇%台、こういうようなことを曾つて農業委員が歩いて見た結果言うているのでありますが、こういうようなことは、数字は統計調査部から見たらこれはナンセンスだと、そういうように今もお考えになつておりますか、どうですか、お伺いします。
  90. 原政司

    説明員(原政司君) 私らとしては、只今のお話につきまして別にどうこう申上げる実は学識もございませんので甚だ恐縮でございますが、ただ私らといたしましては、補足さして頂きたい点といたしましては、平年ベースの出し方にいろいろ各地、各機関で相違があるように承知しております。私らといたしましては、御承知のことと存じますが、昭和五年からの趨勢値を出しまして、その趨勢値について特に統計学的に豊凶の幅、つまり偏差の大きい特定年次、豊作、凶作の特定年次を除きまして、それから査定をいたしました趨勢値反収というものをベースに置いておりますので、実際の何と申しまするか、農家のかたのお気持或いはその他の機関のおやりになつているものと、実はベースがまま違う点がよくございまして、只今先生からお話し下さいましたような点につきましては、ちよつと私といたしましてもどうこうという意見を申上げることはできないような次第でございます。
  91. 江田三郎

    江田三郎君 それからちよつと最後にもう一つ……。これは北海道だけじやないのですが、我々が今何しているのは、そこでちよつと中国のことなんかも、これを見ると中国地方は「田植は平年よりやや早目に行われ、活着は並であつた。」、そうして「本田における初期生育はおおむね順調であり、特に七月下旬以降好天候が持続したため生育は良好で、穂数、籾数は平年よりやや多い。」というようになつて、極めて順調のように書いてあるのですね。ところが私ども八月ですか、当委員会から兵庫、岡山等に視察に参りましたが、あそこの、姫路の統計事務所でしような、あそこの所長が言つているのは、この分檗は多いけれども草丈が低いんだ。分檗が多くて草丈が低いというのは、従来の経験から行くと、この山陽地区においては不作型だと、山陰ではそういうのが豊作型なんだと、こういうことを、言つてつたのです。そこで我々は非常に心配しておつたわけですが、そういうことはこの報告を見ると一つも触れてなくて、もうこの田植は早くて、初期の生育は順調で、穂数と粒数は平年よりやや多いというように、誠に立派に書いてあるけれども、どうもそういう点が私ども納得が行かないわけなんです。それで台風影響を受けたと言つても、平年ならばまあ私のところのお祭りは今月の十七日です。十七日はもうその辺は本当に黄金色をしているのです。それが今年はそうじやない、青い稲が多いのです。青くて、これが一体その田の中でどれだけが本当の実になるかわからんような稲が立つておるのです。そういうことを私らは農学の専門家じやないからわかりませんけれども、どうもそういう点について北海道だけでなしに、全国的に今年のあなた方の見方というものは完全に稔実するのかどうかということについて大きな誤まりをおかしているのじやないか、この北海道の問題に又戻りますというと、その後九月十五日以降において冷害は進行するのだということを言われますけれども、併し平年霜が何日に来る、この稲は出穂が何日遅れているのだ。そうしてその間に台風十五号で又稲が傷んでいるのだということになれば、稲を見ただけでこの稲は最終的にはつきり実を結ぶかどうかということはわかるはずなんです。霜が平年より早く来るというのならば冷害が進行するということは言えますけれども、霜が平年並に来ると稲は冷害が進行するはずはないのです。あなた方が途中における見方を誤まつておるということになるのです。大体あなた方はどこへ行つても吊し上げられる係だから、ここでも吊し上げますけれども、併しこの吊し上げは僕らは何もこの農業委員会の言うことをそのままそうだとは言いません、県知事が言うことをそのままそうだとは言いません。併し今年はあなた方のほうが見方を少し誤まつておらんか、而もそれによつて今後の冷害対策なり、その他のものがきまつて行くのだ、影響するところは大きいですよ。ただ米の供出割当だけじやないのですね。そうして今これから我々が真剣に取組もうとする問題が、みんなあなた方が出されたデーターというものが基礎になつて来るのです。まして作報の問題についても、十勝管内というのがどこまでどうかということは帯広管内の管轄区は私は知りませんでしたけれども、併しそれにしても十月一日現在にあの帯広管内で、日高も入るということはわかりましたけれども、大豆が六〇%なんて全くナンセンスなんです。そんなことだつたらば我々は冷害対策とか何とかやかましく言いませんよ。その点はまあ少しよく考えて頂かんと、今までだつても作報は農民の敵だと言われちや困ると思うのです。農民の受ける印象は、あなた方は何と言われても、米の割当というのは作報の数字でやるのだということを、そういう印象を持つておるのですね。事実又あなた方が出されたこの資料というものが予算に大きなウエイトを持つているのですから、まあどこでも吊し上げられるのだから、又やられたと思わんで、よう考えて下さいよ。
  92. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 只今の御意見につきましては、私ども前々から十分慎重に考慮しておるところでございますが、従つてこの数字を出しますごとに日夜過ちなからんことを実は期しておるわけでございます。今後の問題につきましても十分慎重を期して参りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  93. 森八三一

    委員長(森八三一君) 政務次官に御質問が当然おありになるわけでありますので、出席を督促いたしておりますが、まだ他出中でありまして出席を見るに至つておりません。先刻申上げましたように、金融課長、災害復旧課長、農産課長等も出席でありますので、そういう方面に事務的にお質しになることがありますれば、この際御発言を頂きたいと思います。
  94. 江田三郎

    江田三郎君 私はいろんなことを聞く前に、この委員会で政府の委員なり、或いは説明員の言われたことはどこまで責任を持つてもらえるかということを先ず質しておかなければならんのでして、例えばこの対策要綱の第一におけるところの災害復旧のつなぎ融資の問題でも、これは農林省じやございませんけれど、たしか九月頃の委員会でつなぎ融資を出さん、今年は出しておらんというので、溝口さんがこれを問題にされて、大蔵省の主計局次長に来てもらつて、そのときにどうするのだということを聞いたわけです。ところがそのときには、六、七月と順を逐うて、査定が済み次第ちやんとつなぎ融資を出します、そういう答えをはつきりしたわけなんです。ところがさつきの政務次官の報告を聞いておりますというと、つなぎ融資というものは、まだ五号台風が目下折衝中である。というわけで、何をしておつたかわけのわからんというような状態なんです。そういうような、まあ農林省のほうは良心的な答弁をされるだろうと思いますけれども、これは大蔵省なんで、ちよつと空弁慶みたいになりますけれども、そういうようなことでは、この委員会で何を言うたところであほらしうて、これは演説会の練習をしておるようなものだということになりますけれども、そうでなしに、一つ腹をきめてやつてもらわなければならんと思いますが、そうして先ず第一に聞きますが、今まで農林省のほうは公共施設災害については査定が遅れたから、原次長が講じていないためにこういうことになつたというているが、そういうことになつたのですか。そうでなしに、査定が終つて向うへ出しても大蔵省が一向やらんということはどうなんですか。そういうことがはつきりしないと、今後政務次官がうまいことを言つてももうストップして何もならん。この点はつきりして下さい。
  95. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) つなぎ融資に関しましては、実は昨年までは、府県から集まりました報告を私のほうで取りまとめて、大蔵省へ提出いたすことによりまして自動的につなぎ融資が出たのであります。従いまして、その間に査定とか、調書とかいうようなものは一切なく、被害報告だけで出ましたので、割合に去年までは早く行つたわけであります。併しながら、そうした誠に失礼ではありますが、多少不確定な数、不確実な数を元にしてつなぎ融資を出しましたところ、これは或る町村の事例でありますが、折角貴重なつなぎ融資を郵便貯金にして使われていなかつたという事例が後に発見されたのです。それで大蔵省は今年は飽くまでも一地区々々々を見た上で、本当につなぎ融資が要るのかどうか、そういうことを見きわめた上でなければ出せないというようなことを言い出したのであります。併しながら、私どもとしましては、この点につきまして建設省は割合に大蔵省の言うことを呑みまして、それでは一地区々々々、かなり正確な資料を提出しますから、至急出すように取計らつてくれというようなことを申しましたが、私のほうは建設省に比べまして被災対象の地区が非常に大きいのでありまして、又つなぎ融資の性格から言つて、そうした十分な調査をいたしますと、時期的に間に合わないというような面もありますので、前年度通りの規定に基いて出してくれるようにという折衝をしておつたのであります。建設省におきましては、大蔵省の言うことを聞きまして、その方針通りの書類を作りましたが、私のほうとしましては、まあそれは結構ではあるけれども、非常に時間もかかるし、件数が多いことから困難であるので、前年通りにしてくれということを申上げまして、その間時間を非常に空費しておつたわけであります。併しどうしても大蔵省のほうで言うことを聞いてくれませんので、止むを得ず大蔵省の言うような方針に近い、而も又建設省よりは非常にラフな資料ではありますけれども、これは件数が多いという宿命からそうならざるを得ないのでありますが、それを整えてつなぎ融資の申請をすることに今年度から制度が変つたわけであります。従いまして、これを府県に流し、府県からその書類が上つて来るのは、五号台風は非常に遅れておつたのでありますけれども、五号台風につきましては審査も終え、大蔵省内部の作業に移つたわけであります。で、又それ以降の十五号台風までは本日が府県から上つて来ます締切日であります。先ほど本省へ電話をかけましたところが、まだ全国的な集計がとれていないということなんで、もう二、三日は遅れると思いますが、この点につきましても、書類ができ次第成るべく早くということで交渉しておりますが、それ以降のものについても本月中には出す予定である、こういうような回答を大蔵省から得ております。本年つなぎ融資が遅れましたことについては、私どもの不手際であつたことも事実でありますけれども、制度が変つた、その変り方について事務的に大蔵と私のほうと論争をしておつたと言いますか、そうしたことに時間を空費して今日まで出なかつたことを深くお詫びする次第であります。
  96. 江田三郎

    江田三郎君 まあそういうふうに論争による不可抗力による事務怠慢ということになりますと、これはちよつとしようがないということになりますが、併しこれは現地のほうは迷惑な話でして、こういうようなことが例えば農林省関係の干拓地の堤防があるかもわからない、或いは井堰があるかもわからない、そういうようなものはこれは十日も二十日も放つておくべき性質のものではないので、すぐにやらなければならんわけだ。やるなと言つてもやらなければどうにも土地の人は生きて行けんわけですから、それを今言つたような理由で遅らされるということは非常に困るわけですが、然らば一体五号台風までの分は、これは切り離して即刻にでも大蔵省と折衝して出されるように考えるかどうかということ、それから今後の十五号までの分は、これは今日が締切日で書類が上つて来るということですが、おおよその見通しとしては、あなたのほうの作業がいつ頃終り、大蔵省との交渉はいつ頃までになさろうと言うのですか。
  97. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 五号台風につきましては、先ほど申上げましたように全部審査が終りまして、大蔵省も計数が出たのであります。併しながら、これは先ほど政務次官からもありましたように、全部で僅か一億でありまして、これを十数府県で分けるのだと思いますが、そういたしますと、一千万円以上の府県が原案では僅か三県ぐらいにしかなつておらないのであります。それで大蔵省といたしましては、まあ一千万円以上の地区については出してもいいが、それ以下のものについては次の十五号台風までまとめて一括して出したらどうか、こういうような事務的な連絡がございました。まあそれでは困る、たとえ小額でも速かに出して頂きたいということを本日午後又申入れに行つておりますが、そのときに十五号まで一括して出すにしても、本月内には必ず出すからというようなことを向うも言つておりましたですから、仮に大体事務的にきまつた線のものが直ちに出ないにいたしましても、本月中には十五号まで一括して出せる、こういうふうに考えております。
  98. 江田三郎

    江田三郎君 大蔵省というような所は大きな金を扱いつけておるから、小さな金なんというのはどうせ一括でいいじやないか、こう言いますけれども、併しこれが被害を受けておる末端に行くと、その小さな金で苦しんでいるのだから、小さな金でも切離して、きまつたものから先にやるというのが、私は政治に血が通つていると思うのです。もつとその点は、あなた方はどうせ大蔵省と違つて現地からやんやん言われるので、よく事情がわかつているでありましようから、これはきまつたところから処理して頂きたいのです。そこでお伺いしますが、然らばそういうときの、今後の問題になりますが、復旧率はここに三、五、二とありますが、三、五、二ということについては、現在までの大蔵省との話合では確信がございますか。
  99. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) つなぎ資金が如何に小額でもというお話は誠に御尤で、仰せの通りでございまして、私どもは大蔵省の言い分に屈服したのでなくて、如何に小額でも速かに出してくれという折衝をいたしております。それから三、五、二の年度割で復旧できますようにというのは、私ども災害の年来の主張でありまして、常にこういう要求をいたしております。又これは要求といたしましては鉄則のようなものでございますが、何分にも大蔵当局といたしましては、全般的な財政の見地から予算をつけますので、未だ曾つて初年度三〇%相当額を頂いたことは殆んどない。二十七年度の災害は全般的な額が少なかつたので、三〇に近い二七、八来ると思いますが、そのくらい出た経験がございますが、それ以降につきましては、私どもの要求額に対して三〇%ついたことは殆んどございません。
  100. 江田三郎

    江田三郎君 そう初めからあつさり投げられたのでは、こつちも質問する根気がなくなつてしまうのでありまして、もう少し、今だ曾つて三、五、二でやつてくれたことはないと言わずに、少し張りのある答弁をお願いしたいと思うのです。まあ併しこれはしつかりやつてもらわなければ困るわけです。  金融課長が見えておりますので、金融課長にお尋ねしますが、一体農林関係の今度の問題について、金融公庫の融資によるということが書いてありますが、どのくらいな金を予定されているのですか。
  101. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 本年の災害に対しまする金融措置といたしましては、先ほど政務次官から御説明がございました要綱の二にあります施設災害に対する融資、もう一つは三に書いてありますところの農林漁業者の経営資金、農業者の場合は営農資金でございますが、これに対する融資、この二つがございます。この二つのほうの施設災害に対する融資につきましては、大体都道府県の報告が出揃つているのでございますが、その内容は非常にあいまいで、例えば漁船につきましては、これは沈没したものもあり、大破したものもあるわけでございますが、それらの区別の内容の報告が出て参つております。従つて厳密な、どれくらいの融資額が必要かということは、まあ厳密には出せないのでありますが、それを放つておきますと措置が遅れますので、一応推定に基きまして、大体六十億ぐらいの融資ができるのではないか、このような計算をいたしまして大蔵省と話合を始めたのでございます。それから三番目の経営資金につきましても、先ほど来お話がありましたように、特に北海道の災害につきましても、統計調査部の最終的な調査も終つていない状況でございます。その点につきましては、やはり道の報告などを勘案いたしまして一応机上で推定をいたしました数字を以て台風及び冷害に必要な資金といたしまして、大体九十億程度を推定いたしましてこれも大蔵省と話合を始めておる状況でございます。
  102. 江田三郎

    江田三郎君 只今の六十億或いは九十億という数字は、これは北海道だけでなしに全国の数字でございますか、どちらも……。
  103. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 全国でございます。但し今も申上げました通り推定いたしましたので、今後かなりの異動はあるものと考えております。
  104. 江田三郎

    江田三郎君 それでその資金に対しまして、農林漁業金融公庫から投融資節約の中止とか、いろいろなことを書いてありますし、三のほうは系統金融機関からということが書いてありますが、それをもつと詳細に、大体どういう計画かということをお聞きしたい。
  105. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 農林漁業金融公庫の施設災害に対する復旧資金のほうの原資につきましては、大体本年度当初予定いたしておりまする農林漁業金融公庫の融資の総額は二百二十五億でございます。そのうち本年の六月に財政投融資の節約という問題が出まして、十億程度を節約として保留いたしました。それから当初計画の二百二十五億の中には二十五億円の回収金が予定してございました。これが大体その後の状況によりますると、年度に回収金の全体が四十五億円程度になる見込みでございます。これはつまり二十億円の回収金の増加が見込まれるわけでございます。これらの節約とか、回収金の増加とかというようなものは、それを全部この災害に廻せない事情もございますが、一部は災害のほうへ向けることは可能でございます。これによつて不足いたしますものは、一般会計からの出資又は資金運用部からの借入を行いたい、かように考えておるのでございます。次に、経営資金のほうに対しまして、農林中央金庫及びその系統金融機関において融資をいたすわけでございますが、その原資につきましては、これは昨年の大災害によりまして四百八十五億の災害に対する融資をいたしておりますので、本年は実に資金繰りが困難であつたのでございます。この事情が来年以降にも相当影響をいたしまして、資金繰りは相当に窮屈な状態を続けるかと思います。これに対しまして、来年度以降考えられまする、長期の資金源といたしましては、農林債券の発行が第一でございます。この農林債券は大体平均三年程度に運用できる資金を調達するわけでございますが、これに若干の貯金の増加、増加が全部長期に運用できるわけではございませんが、その一部は使える、かように考えまして、大体この程度の資金は調達できるものと現在は見込んでおります。但し只今も申上げましたように、農林債券の発行につきましては、その半分程度は資金運用部で引受けてもらうわけでございますが、その枠を若干増大する必要があるのではないか、このように考えまして、この要綱にその措置を必要とすることを書いてもらつておるような次第であります。
  106. 江田三郎

    江田三郎君 第二のほうの施設の融資でございますが、これは今の説明によりますと、大体新らしく出て来るのは節約の中止の十億と過年度の回収金のプラスが二十億、合せて三十億ということになりますが、この三十億を今の説明で行きますと、全部が全部というわけに行かん事情もあるということでしたが、どういう事情があるのか。それからこの三十億以外のものはあとプラス三十数億ですね、これは大蔵省との話合は付いておるのかどうか、その点どうですか。
  107. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今の回収金の全部を災害のほうに振り向けられない事情と申しますのは、例えばこの前の国会におきまして予算の修正がございまして、食糧増産対策費が増額になつております。これに見合う農林漁業金融公庫のほうの土地改良の資金は、それに伴つて増額になつていなかつたのでございます。これは早晩その点を改めてもらつて増額する必要があるわけでございますが、それらに向ける分が若干ございます。そのほかに昨年の災害に対する復旧資金につきまして、その後どうしても増加しなければならんというようなものもございまして、回収金の全部を使えないという事情になつておるのでございます。で、次に増資一般会計からの出資の増加或いは資金運用部からの借入につきましては目下折衝中でございまして、これはもらえるというところにはまだ至つておりません。
  108. 江田三郎

    江田三郎君 三のほうもまだ目下折衝中というだけですか。
  109. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) さようでございます。なおそれらの数字につきましても若干異動がある見込みでございまして最終決定まてには少し時間がかかるかと存じます。
  110. 松浦定義

    ○松浦定義君 ちよつと今のに関連しておるのですが、三の問題で、経営資金の問題なんですが、これは昨年もいろいろ問題があつたのですが、今年は特に先ほど江田委員報告の中にありましたように、北海道で余市を中心とした果樹園が莫大な被害を受けた、こういうことなんですが、この果樹に対する対策ですね、この問題がまあ非常に今日は必要だということを痛切に私ども見ておるわけですが、昨年も随分この問題があつたのですが、なかなか簡単にこの問題が実現しなかつた。今年の対策としてはこの果樹対策としてこれも同様含んでおるのかどうか、一般農業対策としてのこの点はどうですか、一つお伺いいたします。
  111. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 北海道には「りんご」等の落果等、大分果樹の被害があつたようでございまして、先ほどの経営資金の措置につきましては果樹も対象にいたしますようにいたしております。なおこの数字につきましては非常に調査結果が遅れておりまして、一応暫定的な数字を取上げておりますが、これが殖えるような場合には更に増額したい、かように考えております。
  112. 松浦定義

    ○松浦定義君 それからこの住宅関係ですが、まあ開拓者の住宅について特別な措置を講じられようとしておるこの要綱について、私どもは全面的に賛成なんですが、既存農家といいますか、そうした農家におきましても、今度の十五号台風では北海道ばかりでなく全国的に相当被害をこうむつておる。でありますから、これらに対しましても同様な措置を講じてもらわなきやいかんと思うのですが、これについてはなかなか今これという方法は今日までとれていなかつたのでずが、特に住宅金融公庫等を利用するということが非常にまあ手取り早い施策だと思うのです。ところがこれはやつぱり指定町村になつておらないというと、この融資は受けられないのでありますが、実は一昨々年の十勝沖震災のときに別枠で公庫を通じて融資した例があるわけなんです。一般のものに対して迷惑をかけない。これこれこれこれのものだけは公庫を通じて資金を殖やして、これをやるということで非常に助つたのですが、今度全部が全部でないのですが、どうしてもこれによらなければならないというような、一般農家に対しても、こういうような住宅に対する施策はお考えになつておるかどうか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  113. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 開拓者住宅の問題につきまして私から申上げるのは適切でないかと存じますが、これについては農林省としても先ず補助をすることを考えておるのでございます。で、その他の部分につきましては融資という問題がございますが、これは極めて事務的な話になりまして大変恐縮でございますが、現在のところまあ役所の所管も違いますが、農林漁業金融公庫の対象としての資金になつていないのでございます。農林漁業金融公庫の対象にしてございます資金は、農舎、畜舎と、農業に、直接生産に関係しておりまする構造物、そういうものを対象にいたしておりまして、これにつきましては今度の措置において相当考えておるのでございまして、まだ大蔵省と話がついたわけではございませんが、一応我々といたしましては、まだ話がつかないところでございますが、特に北海道につきましては積雪も迫つておりまするので、取りあえず、額は別といたしまして貸出しに応ずるようにということを農林漁業金融公庫のほうに指示をいたしております。住宅関係につきましては、これはやはり住宅金融公庫或いは公営住宅というような関係で、建設省等のほうに交渉を要する問題ではないかと考えております。
  114. 松浦定義

    ○松浦定義君 それからほかの問題もありますけれども、特に私が感じた点でお伺いしておきますが、営農資金の貸付の制度と言いますか、この点についていろいろ問題が今日でもあるわけですが、この要綱を見ても、系統金融機関から融資を行わせるということになつておつて、恐らく昨年までのあれですと、農村の場合は農業協同組合がこの受入の対象になつておる。そこで実は最近の各町村における農業協同組合の情勢はよくおわかりだと思うのですが、相当赤字を持つておる組合がある。従つてその非組合員ですね、非組合員であつてもやはりこうした災害には相当打撃を受けておるというので、どうしても融資をしてもらわなければいけない、又やらなければいけないのですが、そのためにその組合に加入をしていない、或いは加入することを非常に躊躇しておるというような農家相当あるわけなんです。そういう農家に対しては融資が行われないというのが、今の制度から言うとそういうことになつておつて、昨年もその問題で問題を起しておる町村もあるわけなんですが、そういう問題については別途方法を講じて、やはり同様な処置にあずかれるようにせなければならんと思うのですが、こういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。こういう事実が今日まで農林省として問題になつていなかつたかどうか、こういう点も併せて一つお伺いいたします。
  115. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今御指摘になりました点は、昨年の例に見ましてしばしばそういう事実があつたのでございます。これに対しましては、一々農林省まで上つて来て解決する必要のある場合もあるのでありますが、県限りで解決された例も相当ございます。制度といたしましても実は必ずしも系統の金融機関でなければならないということにはなつていないのでございます。それは市中銀行でも、信用金庫でも、いずれの金融機関でも知事が指定した場合には差支えないことになつているのでございますけれども、実際問題としてなかなかこの頃の金詰りでございますから出してくれません。そういう場合には県のほうで一時財政預託をいたしまして、市中銀行から融資した例もございます。又最初から引受けてやつてくれた銀行もございまするが、そのようなことも不可能でございます場合には、系統と申しますか、農協におきまして員外貸付の方法をとるということによつて救済された例もございます。大体そのような措置をとつてつておるのでございます。
  116. 松浦定義

    ○松浦定義君 昨年の決定のときに私どもは、例えば二百二十億ですか、これの配分についてはやはり農林中金を通じて府県信連が単協を通ずる、こういうことになつておつたものですから、一応員外貸付という制度があるかどうか知らんけれども、なかなか組合員にすら貸し得ないくらいの小額なものですから、員外に対しては当然それは第二義的なものになつてしまうということで、そういうことは形の上ではあるかも知れないけれども、実際の上では行われていなかつたわけです。私どもの当初の考え方は、やはり中金を通ずるにいたしましても、末端段階に行つてそういうことであれば、その額は別に例えば村長なり町長なりが十分その意味を含めて、市中銀行を通じてその額を貸付けるように責任を持たせるというようなことでないというと、その額だけ別に中央で分けて、これはまあ市中銀行を通ずるのだということも、それはできるかも知れませんけれども、去年はそういうことがなかつたわけです。例えば二百二十億というものは絶対にこれでいいのだとしてやつた結果が、結果的にそういうことになつておりますから、今年は特に、昨年もそういうような冷害、又今年も冷害ということになりますと、なお更二重、三重の貸付をしなければならんし、受けなければならんということになるから、相当厳選した貸付方法が行われると思うので、そういう場合には末端にそういうことを考慮せよと言つてもなかなかでき得ない。でありますから、本年の場合はやはり中央からその資金の配分に当つては、例えばその一割なら一割に該当するものであるならば、もうすでにここで分けてしまつて、市中銀行を通ずるとか、或いは中金を通じましても、その意図を十分考慮してやるというような方法をとらなければならん。尤も原則的なことは農業協同組合の全員加入ということが正しいので、そういうことでないのに対しては何か理由があるから、できるだけ加入することは私は当然だと思う。ところが先ほど申上げましたように、何かの都合で赤字を一戸当り三万も五万も十万もといつた負担のあるようなところで入ろうとしないようなものがある場合には、これは特例としてそういう基本線ばかり押し付けるわけには行かない。でありますから、私はそういう点について何かそういう町村に対して心配がないように一つやつてもらわなければならんと思うのですが、そういう点については何か方法を以てやられるような意思があるかどうか、この点併せて一つお伺いしておきたいと思います。
  117. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 原則的に申しますと、只今ちよつとお話のありましたように、農協を使つて融資いたしますのは一番農家実情もわかつておりますし、又農家といたしましても、借りやすいという点から言いまして、農協から融資されるのが望ましいと考えておりますが、市中銀行のほう或いは信用金庫等は平素農村に対する余りサービスもやつておりませんし、農業実情等も知つておりませんので、必らずしもそれらを通すことは適切であるとは考えていないのでございますが、止むを得ない場合におきましては十分都道府県と相談いたしまして、昨年も都道府県において市中銀行を通す額をきめた場合がございますけれども、そういうような措置も取るように十分相談いたして参りたいと思います。
  118. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 私が政務次官並びに農地局長に質問したいと思うが、時間がないのでじつと待つているんですが、今日何かあるのですか。何か資料を整えて来るとか何とかいう通知を受けたのですが。
  119. 森八三一

    委員長(森八三一君) 政務次官は再三要請をいたしております。只今衆議院の委員会のほうで答弁中だそうでありますので、それが終ればすぐ来るという連絡でございます。それから農地局長も午前中は来ておりましたのですが、午後要請をいたしておりますが、これ又衆議院の委員会で今質疑が行われていて、向うが終り次第来るという連絡がとれております。  今の松浦委員の質問に関連いたしまして私も一つお伺いいたしたいと思いますが、営農資金の問題は、北海道を初めとして昨年も非常に災害をこうむり、合せて本年も災害をこうむつたという地域がまあ殆んど大部分であると思うのでありますが、そういう場合は系統機関を通じて融資を行うといたしましても、最末端の責任を負うべき町村の農業協同組合等が、そういうような被災者に貸出をして真に回収が順調に行くかどうかということについては、かなり経営者の立場に立てば危惧を持たざるを得ない、こう思います。そこでこの立法措置を講ずるという利子補給、損失補償のことは当然国会の議を経なければならんことでありますので、そういうことが具体的に決定を見ませんと、ただこういうことをやるんだと申しましても、前段申上げましたような実情からして、具体的行動というものは進行しないというような危険が多分にあると思います。恐らくこういうような立法措置が、政府で国会のほうに付議されて参りますれば問題なく解決をすることであると思いますが、そういうようなことを含めて何か特別の含みのある指示をされるのかどうか、そういうことがなければ実際上はこれは動かないというふうに思いますので、その点が一つ。それから先ほど申上げましたように、二十八年度災害をこうむつた人が再び二十九年度災害をこうむつたので、今後の経営資金にも事を欠くというような極めて気の毒な農林漁業者でありますから、昨年度の特別措置法による融資の償還が困難であるということはこれは申すまでもありません。そこでこの第三項の一番おしまいに延期し得るごとく措置をするということでありますが、この点については、これは又立法措置を要するのではないかというふうに思いますが、若しその立法措置を講ぜずとすれば、どういう手続きをされるのか、立法措置を必要とすれば償還期限は迫つておりますので、その間適当な臨機の措置を講ずることについて大蔵当局との話合が付いているのかどうかということが第二点。第三点は、第二項のほうの六十億というおおむね融資額が見当が付いているとすれば、これ又公庫の原案を増資することについての立法措置を必要とすると思いますが、先刻お話のように、取りあえず投融資の節約額十億円、それから回収の予算以上に進行いたしました二十億円中、取りあえず振向け得る金額というような公庫の現在の資金繰りの中で始末し得るもので、当面特に漁船を喪失してしまつたような緊急復旧を要するものの手当はつくというお見込なのかどうか、その点はどうなつておるのか、以上三点をお伺いいたしたいと思います。
  120. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今お話のございましたように、経営資金の融資につきましては、利子補給、特に損失補償につきまして立法の処置を必要とするわけでございまして、これにつきましてはいずれ法案の御検討を願わなければならんと存じておりまするが、それまでの間に、それが法律が成立いたしますまでの間放つておくことは、長くなつては災害対策といたしましての効果も減殺いたされまするし、気の毒な方々のお役にも立たなくなるかと思いまするので、実は今年の六月に北海道、東北に起りました凍霜害の場合に、法律の改正案がこの参議院の農林委員会においてなお継続審査中でございまして、成立いたしていないのでございますが、暫定措置といたしまして各県当局と相談いたしまして、政府といたしましては農林省と大蔵省との話合で、便宜各県当局と話合の上それぞれ法律が成立いたしましたものと同様の措置をとることにいたしまして、すでに実施いたしたのでございます。なお一方におきまして系統金融機関のほうに対しましても、農林省からそのような措置をとるから協力してほしいということを申入れまして実行いたしたわけでございます。この例と同じように今回も措置しては如何かと考えておる次第でございます。次に、昨年度の災害に対しまして融資されました資金が本年から償還になるわけでございますが、毎年分別償還されて参りますが、これにつきましては二通りございまして、我々といたしまして目下考えておりますのは、昨年行いました大部分の資金は五年償還、五年の分割償還になつておるのでございます。その五分の一に相当するものが本年償還になるわけでございますが、これにつきましては今年の償還分を来年以降に廻す、猶予したい、こういうように考えておるのでございます。従つて五年の期間において償還されまするのでありまするから、これについては法律上の装置が要らないのではないか、予算上の措置だけでよろしいのではないかと、かように考えておるのでございます。で、昨年行われましたもう一つの部分、これは割合少いのでございますが、二年の償還期のものがございます。これは本年償還と来年の償還と二つに分かれるのでございますが、本年の償還分を来年に廻すのでは来年の償還が非常に困難になるわけでございまして、これについては一年の償還期の延長を必要とするのではないか、これについては立法上、つまり昨年の災害で借りた金は償還期を一年延期するという法律上の措置が必要となつて参ると考えております。なおこの償還の猶予につきましては、私どもといたしましては、大体大蔵省も了承するものと考えておるのでございます。従いまして、これも大蔵省との話合が成立し次第、実行上の措置に移りたいと、かように考えておる次第でございます。それから農林漁業金融公庫から融資いたす予定の施設資金について、どんどん現在の回収金などを引当てに貸してはどうかという委員長のお言葉でございまするが、回収金は年度内に二十億殖える見込でございまして、只今すぐ回収金が二十億全部耳を揃えてあるというわけではないのでございまして、従つて急ぐものにつきましては、今まであります五、六億の回収金の増と、それからその他の部分をやりくりをいたしまして出すわけでございます。で、漁船等につきましても緊急を要するものもあるかと思いますが、先ほど申しました農舎、畜舎等、北海道の積雪以前に必要とするものにつきましては、すでに貸出をやるようにということを指示したのでございます。漁船等につきましても、急ぐものがございますならばそういう措置をとりたいのでございますが、これはこの第二項に書いてございますが、なお公庫融資の増額によつてなお資金が不足するときは三に準ずる立法措置を講ずること、公庫の原資がどうしても出資或いは借入によつて全部を賄うことが困難な場合は、場合によつては特別措置法による融資に切替えることも考えております。その一つに漁船があるのでございます。従つて漁船につきましては公庫で行くか、特別措置法で行くか、これは今後の交渉の結果によつてきめられる見込みでございまして、その点が今後問題として残つておるわけでございます。併しどうしても急ぐような場合は、これは系統の資金で一時つなぐという方法が考えられるかと存じます。
  121. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 災害対策要綱の二の終りのほうに書いてある開拓者住宅等の復旧については補助の特別措置を講ずるということですが、これは具体的にはどういう用意があるのですか。
  122. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) これは農地局の所管でございまして、どうも詳細なことにつきましては、ちよつと私から申上げかねるのでございます。
  123. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではこれは後の機会に改めて質問することにして、九の冷害の甚だしい地域には水稲健苗育成等々の施設の設置を図ると、こういうことがありますが、農産課長がお見えになつておりますから、これは保温折衷苗代等に対する助成の措置は、昭和三十年度においても従来に継続をして実施される用意はあるのかどうか。それからなお必要資材の供給は、御承知の通り四月上旬までに農家の手許に届かなければその効果が期待できないので、これをやるとしてもそういつた用意がなされておるのかどうか。それから更に第三には、今年度補正予算編成等の機会がある場合には、この措置に関する補助金を昨年度と同様に昭和二十九年度の補正予算に、これは是非計上すれば以上の要望に副い得ると思うので、これらについての用意はなされておるかどうか、これらの三点についてお伺いしたいと思います。
  124. 岩永達夫

    説明員(岩永達夫君) 健苗育成につきましては二十九年度予算に計上してございませんために、明年度に実施するものについては何も予算的措置が現在ないわけであります。で、昨年は冷害の直後におきまして予備金で今年度設置した分が決定いたしまして、今年春も非常にスムーズに計画が実施されまして非常に効果を挙げておりまして、私どもといたしましては、明年度実施の分は是非とも今年の補正の機会に出したいと考えておる次第であります。ここに今回冷害の甚だしい地域についてもということで健苗育成をここへ持出しましたのは、北海道と青森県、岩手県の三県が冷害がひどいということで、三県分だけ一応考えようということになりまして、そういうふうな予算要求を今後大蔵省といたしたいと思つております。従いまして、補正の機会があれば是非とも明年度分を出すつもりでおります。
  125. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと関連して……。補正の機会があれば明年度分を出すつもりでおるというのですが、それは例えば北海道について言えばどのくらいな面積を考えておられるのか。これは私が申すまでもなく、あなたのほうでよく知つておられると思いますが、私どもの見るところでは、今年の種籾の手配というものは、ここに殊勝な何か立派なことを書いてありますけれども、実際には非常に困難なんじやないかと思うのです。例えば空知や上川の種を北見や何かへ持つて来たところで仕方がありますまいし、そういう点でもう種籾が贅沢に、直播等が物理的にできないという状態になると思うのでして、よほど温床苗代等の措置を十分しないと、これはもうどうもこうも種籾不足で困つてしまうんじやないかと思うのですが、そういう点について種籾の先ず手配の面からは自信があるのかどうか。私どもの考えでは絶対不足だと思いますが、そういうことをカバーするためにはこの温床苗代等を全体のどのくらいのパーセントまで持つて行こうとしておるのか、その点はどうでしようか。
  126. 岩永達夫

    説明員(岩永達夫君) 只今種籾のお話と保温折衷苗代の関係の御質問でございますが、種籾につきましては、今年植付以来の悪天候が北海道は続きましたために、非常に明年度の種籾の確保ということにつきましては、早くから北海道庁と打合せをいたしまして、種籾確保について北海道庁に万全の手配をして頂くようにお願いしておつた次第であります。特に今年は北海道では稲の「ひめはもぐりばえ」が出まして、補植を随分行いましたためになかなか一枚の田圃というものは一種の品種で埋められていません。いろんな品種が入つてモザイクのような形になつておる関係もございまして、いよいよ最後のどたん場で種籾を探してもいい種籾がないから、早くからいい種籾というものを手配して十分品種の問題も関連してやつて頂くようにお願いしている次第であります。併しながら、北見のような所は非常に殆んどないという状況でありますし、上川、空知の早稲を北見に持つて行きましても中手に過ぎないわけでありまして、恐らく北見の早稲というものは極く僅かしかないものであろうと思うのであります。で、そういう点から極力早く手配は道庁へお願いしておるわけでありまして、北海道庁からこれだけの種籾を買いたいという数字を頂戴いたしましたので、即刻食糧庁と打合せいたしまして、買上の枠はその数字で北海道へ下して頂くように現在いたしております。併し実際問題として、来年思うように早稲があるかということになりますと非常に危険性があると思います。従つて明後年の稲作も天候如何によつては又冷害にならんとは限らないと思います。で、苗代のほうは大体従来から北海道で冷温床は三百万坪で、一応その数字を使つておりますが、保温折衷苗代のほうは昨年より若干殖えて要求することになると思つております。
  127. 森八三一

    委員長(森八三一君) 政務次官及び平川農地局長出席されましたので御報告申上げます。
  128. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 政務次官にちよつとお尋ねしたいのですが、これは午前中に農林省の二十九年災害対策要綱というものが配られたのであります。これは政務次官の常識を以て、まだ研究しておらんということでなしに、普通の常識でお答えになつて頂けばそれでいいのであります。実は開拓地は農業災害保険がついておらない。而も開拓地といえども、私ら知つておる範囲においては何百町歩というものが昨年は周囲の既耕地に負けない供出もしておる。今年も正に衝天の意気でおつたところが、あの災害農作物が全滅してしまうというような状況が生じて来ておる。ところが開拓地であるために農業災害保険に加入が不可能である。これは入りたいと思うても四年、五年の経過を見ねば入れない。こういう実情なつておるのであります。これに対して何かの措置を農林省はとられる私は必要があると思うのでありますが、政務次官は常識の立場においてどうお考えになりますか。
  129. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 只今の御質問でございますが、どうしても開拓地には農業共済がないということで、来年度はこれに代るべき制度を作るべく予算を要求しようと三十年度の予算には考えておりますが、差当つての問題については一年延ばしまして、今年返すべきものをもうあと二年延ばすというようにいたして、それでやつて行こう、こういうことで、今のところは共済に代るべきものはございませんので、先ほども午前中にも申上げましたように、住宅その他につきましては、普通の古い農家と違つた特段の措置を講じまして、総合的に開拓地農家の、何と言いますか、この被害に対する立上りの途を講ずるような、総合的に考えて、ほかよりも特に厚くしよう、こういうようなことで総合的にしてやつて行こうという考え方でおります。
  130. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは机上の説明では一応それが素人には通るかもわかりませんが、実際問題とすると、この開拓融資の資金を、枠を拡大して貸付けるのはこれは当り前のことで、そういう制度がすでにある。これは実は昨年の災害において非常に問題になつた。そうして農林省もこれは何とかせねばならんというお考えであつたので、今の御回答では三十年度には何とか制度を拡充するというお考えでやや満足いたしたのでありますが、併しながら、ただ住宅に対する助成及び開拓融資を増額するというだけでは、私はこれは普通のことでありまして決して昨年度から問題になつておるそれを多少でも補足したということにはならん。もう少し中間的措置としてこれはやらねばならん。非常にお気の毒だというお考えならば、本年度それができるまで間に合わねば中間的措置を講ずることが私は至当だと思う。昨年もいろいろやりまして、結局ごたごたとただそういう御答弁のみで、そうして籾種の代価を何か普通のところよりは安うしたとか、無償でやつたとか何とかいう多少でもそういう措置が講ぜられたように私は記憶しておるのですが、もう少し何かそれまでの中間的措置を講ずべきだろうと思う。実はこの要綱をちよつと見まして、昨年相当問題になつたが、その問題がちよつともこれは載つておらなかつたものですから、これはちよつと余り農林省として親切心がないのではないかというような考えがしてお尋ねしたのであります。これは中間的措置として何か私は考えてもらわねばならん、私はこう思う。どうお考えになりますか。農地局長でも……でもじやない、農地局長のほうが詳しい。昨年以来のこの問題について詳しい農地局長にお尋ねいたします。
  131. 平川守

    説明員(平川守君) 実はお話の点については我々も非常に心配をしておりまして、共済の制度に実際問題として入れない。昨年も実は大蔵当局に対しましては、これに代るべき制度の予算を、要求したわけでありますが、最後にとうとうものにならずにしまつたような恰好になりました。ただこれは中間的措置と申しましても、どうしても法律も要ることでありますし、予算も持ちませんと単に資金繰りの程度では解決がつかない。そういう関係でこれは制度としてはやはり三十年度の本予算で是非実現をしたいと思つておるのであります。差当りの本年の災害の問題といたしましては、結局今一番問題になつておりますのは、やはり明年につなぐ関係上、昨年の災害と、又今年重なつて来たというような所において、昨年の借入金の返済もできないということが一番差迫つておりますので、これを延期するということと、更に今年の災害に対する融資金については、過去の融資金の返済期まで三カ年くらいの据置期間を置いて、これによつて本年の災害に対する乗切りをいたしたい。そのほか家屋でありますとか、或いは種子代のことについて若干一般農家よりも手厚くするというようなことは昨年通りやりたいと思つております。これは金額的に見ましてもそう大きな問題ではございません。やはり主たる問題としては資金を十分に与えるということと、それの返済について余裕を十分に持たせるということに今年の問題としては主力を置いてやる、来年度の本予算において先ほどの共済制度に代るべきものを考えたい、かように考えております。
  132. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは実際問題として農林省として最近しばしば災害が起るために、こういう問題が大きくなるので、手落ちと言うていいか、考えがここまで及ばなかつたので、こういうまあ非常に気の毒な部分が生じて来たので、実際問題として開拓農民から言わしむれば、私が今申上げましたように、供出も十分やつておる、規定の通りにやつておる、こういうことになると、実際ただそういう制度の手落ちで非常な苦しい損失を招く。なお開拓者といたしますと、非農家とは生活の安定の度も違いますし、非常な衝撃を受けておるのであります。実例を申しますというと、岡山県の児島湾の六区という九百町歩の地区は、六百町歩からの植付をやつて、もうすでに三年前からやつて、昨年などは既耕地よりもようできて豊年祝いもやつて、供出も堂々とやつているというような農家があすこに二百以上移住しておるでしよう。これが一粒もとれない、潮のために一粒もとれないというような状況なつておる。これは何か、そればつかりもならんが、種籾はただでやるとか、利子を安うするとか、何とか一つ特別に取扱つてもらわねば私は納得の行かん部分が生ずるだろう。勿論供出もやつておらん、何もやつておらんというようなのとは状況が違うのですから、何か一つお考えになつて頂きたいと思うのであります。
  133. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記止めて下さい。    〔速記中止〕
  134. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記始めて下さい。  それでは明日非常に問題が山積しておりますので、正十時に開会をするようにいたしたいと思いますので、さようお含みを頂きまして御出席をお願いいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後五時散会