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1954-09-21 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十一日(火曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            松浦 定義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林大臣官房会    計課長     武田 誠三君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    局経済課長   大和田啓気君    農林省農林経済    局肥料課長   林田悠紀夫君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (肥料価格の件)  (農業用電力料金の件)  (昭和三十年度農林関係予算の件)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  最初肥料価格の件を議題にいたします。臨時肥料需給安定法に基き、かねて肥料審議会において硫安最高販売価格審議せられ、すでに秋肥の季節にかかわらず未だ決定を見ておりません。速かな決定要望されておりますので、今日は政府諮問案及びこれが審議経過について政府当局から説明を聴取することにいたしたいと存じます。つきましては、先ず政府から御説明を頂きたいと存じます。
  3. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 硫安公定価格に関しまする経過でございまするが、概略御説明をいたします。  硫安公定価格につきましては、八月の二十三日に肥料審議会政府案諮問いたしまして、その諮問案はお配りしてございますると思いまするが、「かます」当り価格を八百二十八円、こういたしまして、これに限月格差を十円上下に付け得るようにするというのが諮問原案でございます。この八百二十八円の算定の基礎でございますが、これにつきましては、二十八会計年度の各会社工場原価実績を各会社から提出を求め、これにつきまして各会社実務担当者から説明を聴取し、その後に通産農林両省の係官がおのおの工場に出向きまして、実績の適正かどうかという点について更に確かめたのでございます。そこでこの原価一覧表基礎といたしまして、二十九肥料年度原価推定をいたすことにいたしまして、各工場別推定をいたし、これに利潤を加えまして、それから平均をとつたのでございまして、この平均のとり方といたしましては、合成硫安国内需要量に見合う合成硫安といたしまして百四十八万七千トンとなりまするので、この数量を賄い得られる工場原価の安いほうから積み上げまして、この百四十八万七千トンの範囲内で加重平均をいたしたのであります。それが先ほど申上げました八百二十八円という「かます」当り価格でございます。これにつきましてその後十回ほどに亘りまして審議会でいろいろ御審議願つたのであります。これにつきまして結局生産者側消費者側からいろいろ意見が出ましたのでございますが、その意見を申上げます。先ずメーカー側から申上げますと、原案に対しまして、硫安生産業者としての立場から原案に対しての値上に関する申請が出ております。その一つ償却の問題でございますが、償却原案では実績償却率をとつております。従いまして、法人税法との関係から言いまして当然控除の対象になるそれを一〇〇%といたしますれば、実績率は必ずしも一〇〇%に至らない会社工場がございまするけれども、先ほどの諮問案ではそういう実績の率をとつたのでございますが、これは実績をとるのは酷ではないか、当然これは一〇〇%の償却認むべきではないかという意味でございます。それによりまして、若しも一〇〇%の償却を認めるとすれば三円二十四銭の「かます」当りの値上げになります。それから利潤でございますが、利潤配当一割五分、社内留保はその九割ということで八百二十八円を算出をしたのでありまするが、一割五分と申しまするのは、これは硫安企業その他の一般配当率の最近の傾向、それから金利の水準並びに農家経済状況等を見まして一割五分、それに社内留保をその九割と、こういうふうに査定をいたしまして原案作つたのでございますが、この点につきまして社内留保配当率同率にしてもらいたい、社内留保配当率同率にするということによりまして利潤が殖えるわけでございますが、それが二円七十六銭でございます。それから金利でございますが、金利もこれは実績をとるということでございます。私ども必ずしも実績をとらなかつたのでございますが、全体の経営資本の回転から見まして、一般金利あり方から見まして、それを硫安経営資本に割切つたというような計算とつたわけでございますが、生産業者としては実績をとつてもらいたい、特に建設仮勘定に属する利子についてはコストを見なかつたのでありますが、それを見るべきではなかつたか、こういう議論から金利について実績をとるという必要がございまして、これをとれば十五円の値上になるのであります。それから包装費でございますが、「かます」の中になお内袋を使うものがございます。「かます」の性質によつて内袋を使わないと目減りが甚しいといつたようなものも或る程度ございますので、一部内袋を使つておるようでございまするが、その内袋コストを見込め、こういう問題がございました。これを若し見込めば五円十八銭、尤も生産業者としてはこの内袋の費用は、これはサービスという当局の意向に従うことも考えられるというような意見があつたのでありますが、それらを合計しますというと、二十六円十八銭、内袋サービスということで考えると二十一円、この値上の要求が出たのであります。それからこれに対しまして消費者側意見でございますが、一つ運賃でございます。工場から着駅オン・レールまでの運賃、これが全購連等が取扱つたものの実績を見ると相当開きがあります。そこでその運賃を全購連の実績等を勘案して避くべきであるという輸送の合理化を見込むという意味運賃値下が「かます」当り四円五十銭。それから入れ目でございますが、入れ目は千分の十コストとして原案では認めてあつたのでありますが、これは削除すべきではないか、入れ目をするならばサービスというふうに理解すべきであるという趣旨かと思いますが、この入れ目を削除すると「かます」当り六円、それから一般管理費でありますが、一般管理につきましては、原則として硫安販売高をその会社取扱つている販売価格に対する割合で以て算出をいたして、基礎実績をとつておるのであります。会社によりまして一般管理費が非常に違うのでありますが、これに対しましてトン当り千円を超えるものは超える部分を削除する、査定をする、こういう意見がございました。トン当り千円を超える部分を縮減するということでありますると、一般管理費が「かます」当り三円五十七銭減るということになります。それから利潤でありますが、利潤は先ほど申上げましたように二割五分、社内留保はその九割、これに対しまして配当率を一割二分とする、社内留保をその九割、こういうふうにしろという御主炭がございました。これによりますると「かます」当り十円四十四銭、以上を合計しますと値下すべきものが三十四円五十一銭、かように相成るのであります。  なお具体的な数字算出が困難なのでいたしませんでしたが、尿素を作ります場合に、硫安製造過程から出る炭酸ガスを利用いたしますが、この廃ガスの利用、それから回収硫安合成硫安よりは当然値が低いだろう、こういつた意味からそういう点も割引して考えるべきではないかという御主張があつたのであります。原案に対しまして、生産者側消費者側から今申しましたようなそれぞれの御主張がございまして、なお、その後話合を進めておるのであります。だんだんと話合が近付いておるようでありまするけれども、まだ結論に達しないと、かような状況であります。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の概況の説明に関連いたしまして御質疑のかたは発言を願います。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 今の説明にお尋ねをする前に、この審議会でその中途から国会議員オブザーバーとして参加させたというように聞いているわけですが、その経過というものをちよつと先にお聞きしておきたいと思います。なお、これは委員長のほうでその経過について御承知のことがあれば委員長からもお聞きしておきたいと思います。
  6. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 私知つている範囲で申しますが、御承知通り審議会構成員のうち学識経験者に属するかた五人が正式に任命せられないままにいろいろ御諮問をし、答申を願つているという状況にあつたのであります。この五人のまだ任命されていない向きは需給安定法国会で御審議願つた経緯に鑑みまして主として国会代表者として国会に席を持つておられるかたを任命する、こういうふうにまあおのずからなつてつたのであります。先般の国会でそういう手続が了しておればよかつたのでございますけれども、ああいう何と申しまするか国会状況であつたものでございまするので、我々の事務上の遅延と共に正式に任命ができなかつた、で、今日に至つているのであります。従つてどもといたしましては、取りあえずそういう五人の欠員のままに発足しても法律制度の運用としては止むを得ないのではないかというふうに考えておつたのでありますが、各党或いは衆議院等の御要望によりまして、正式には成るほどそれは任命はできないであろう、併し何らか便宜措置というものはこれはあるはずだと、そういう便宜措置で以て何とかやれんものかというような御要望がございましたので、特に硫安価格の問題も重要な問題でございまするので、そういう審議のときには或いはそういつた便宜措置をとることが妥当ではないかというふうに考えられていましたので、五人を各党の推薦されるかたから取りあえずオブザーバーと申しますか、そういう恰好で出席して御意見開陳を願うと、こういうことになつたのであります。簡単でございますが、経過を申上げますと、さようなことであります。
  7. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今肥料審議会に関しまする国会側オブザーバーの件につきましては、私にも御質問があつたのでありますから承知をいたしておりまする、又私としてとりました態度について御報告を申上げたいと思います。  江田委員からお話がありましたように、衆議院農林委員会で、規則に基く国会側の予定される五名の委員任命を見ておらない姿のままに重要な硫安最高価格審議が進められておるということは妥当ではないというような趣旨に基きまして、オブザーバーというような意味でも結構だから、然るべき国会代表者出席せしめて意見を聴取せられたいという決議が行われ、政府にその要望提出をせられたのであります。政府はその決議を受けまして、衆議院農林委員会のほうのその趣旨を採択して意見を聴取することにいたしたいから、適当に人選をして報告をされたいというような趣旨回答をされた模様であります。たまたま衆議院におきましては通産委員会が開かれておりましたので、必ずしも肥料最高価格決定農林委員会だけの関係ではないというような趣旨からしまして、衆議院通産委員会も同様の決定をいたしまして政府申入をいたした模様であります。そこで政府部内におきましては更に審議の結果、農林委員会申入を受けたので通産委員会申入をも受けなければならんというようなことになりまして、通産委員会関係からも五名の然るべき方々出席を求めて意見を聞くということに決定を見まして、十名の諸君の出席を得てオブザーバーという資格意見開陳を求めるということに決定を見たということでありました。このことはその当時どういう資格かはつきりいたしませんが、衆議院自由党の副幹事長である小峰代議士から、そういうような決定をしたので参議院側としては了承をしてくれという意味でありましたのか、或いはその十名の方々の属しておられまする政党緑風会を除く他の各会派の人々であつたということでありますので、緑風会が除外をされておるということに対する了解を求めるという意味であつたのか、その点は極めて不明確でありますが、そういうような通知に接したのであります。で、私は参考意見を聞くということでありましても、事は国会代表してということでありますれば、当然参議院側にも正式に協議があつて然るべきであると思うのに、参議院側に対しましては、何らの協議なしに取進められておるという事態に対しては、了解をするとか、納得をするわけには参りませんということを回答すると同時に、この審議会所管経済審議庁であります。経済審議庁政務次官にその取扱いについて極めて遺憾である。若し参考意見を聴取するというようなことが取運ばれるといたしましても、二院制度の建前を十分考慮せられて、不公平なそしりを受けないように手続をされたいという希望を開陳いたしておきましたところが、その後更に衆議院側各党で、協議の結果と存じますが、十名と一応内定して報告がございましたことが変更せられまして、更に五名ということに話が変つて参つたのであります。その結論が出ました当時に、農林政務次官通産政務次官が来られまして、これも参議院農林委員長という立場で訪問せられたのか、或いは緑風会関係者という立場で訪問せられたのか、その辺は極めて不明確ではございましたが、政府部内で協議の結果、国会代表として五名の参考者の御出席を願うことに決定をいたしました。その決定をするにきましては、衆参両院の各会派所属員数合計して、その合計員数に対る算術計算で五名というものを計算をいたしました。その結果は、自由党が三でありましたか、それから左右両派がそれぞれ一名でありましたかと記憶いたしますが、そういう数になりますので、自由党から一名辞退をして、改進党を一名附加えて五名ということに決定をいたしましたという報告がありました。その際私は両院委員数合計して割出しをしたというような前例は過去においてもございませんし、二院制度本質から考えましても、そういうような数字計算をするというこは極めて妥当を欠くというように考えられまするので、どういう立場でございましても、そういうことを了承をし、納得をするというわけには参りません。併し政府の責任でおやりになるということでありますれば、問題はおのずから別個の問題として究明されるのでありまして、一応お伺いをいたしておきますという回答をいたしまして今日に及んでおるというのが、私の承知をいたしておりまする実情でございます。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 これは経済審議庁のほうの所管ということになるわけですか。
  9. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 審議会は構成的に経済審議庁附属機関ということであります。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 最初衆議院農林委員会オブザーバーを入れるようにという決議をしたのは、農林省宛にそういう決議が出されたように私聞いておりますが、そうでございますか。
  11. 小倉武一

    説明員小倉武一君) たしか農林通産といつたような関係大臣を列記してあつたように思います。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 そういういろいろ途中で紆餘曲折がありますが、その経過並びに最終的な、今委員長がおつしやつたような決定に至るまで農林省としてはこれは関与しておられるわけですか。
  13. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 農林省といいますか、我々関係者関係いたしております
  14. 江田三郎

    江田三郎君 今の委員長報告になりました国会衆参両院を通じての議員数から割出して、そして一つが譲歩して他へ廻す、而もその結果は緑風会というものは全然これに出ていない、こういうやり方を、関与せられた農林省としても妥当として認められたわけですか。
  15. 小倉武一

    説明員小倉武一君) その辺の関係は私個人としてよく承知しておりません。正直なところ、私どもとしては必しもそういう措置は適当ではなかつたのじやないかと思いまするけれども、五人という制約から或いは止むを得なかつた措置ではないかというふうに外から見ておつて思います。五人を各党のうちにどういうふうに割当てるかということは、実は私ども範囲を超えた仕事になつておりまして、そして政務次官がなされたので、今、委員長からお話のようなことであつたんだろうと思いますが、そうであつたのかどうか、又その辺にどういう考慮が巡らされてそうなつたのであるか、詳細は存じません。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 これは局長にお尋ねしてもそれ以上に進まんと思う。ただ農林省としても関与しておられるというお答えだから私お尋ねしただけのものであつて、大体私どもとして学識経験者五名を欠いたままで発足したこと、これも問題だと思います。これにもいろいろ問題がありますけれども、更に中途においてオブザーバーというものを入れる、然らばオブザーバーというものは、どういう権限を持つておるのか、成るほどオブザーバーというものは決議には参加しないでしよう。併しながら、こういう審議会というものが議会というものが最終的な決議に参加するかしないかということよりも、その中途において審議に関してどういう発言をするかということが非常に大きなウエイトを持つておると思うのです。従つてオブザーバーというものが、ただ座つておるというものでなく、相当国会代表ということであれば、或いは各党代表ということであれば、いろいろな角度から発言されておると思うのでして、それがどちらに片寄つた発言であるか、或いは中正だと言われるか知らないが、私中正ということはないと思う。どちらかに片寄つておると思う。消費者生産者というように分れておつて、どちらかへ片寄つた発言だと思うのですが、そういうことは軽々しく参加せしめるべきではないと思うのでして、それを参加させたということも問題になりますし、それから参加させる経過において、最終的には只今のような自由党二名、左右社会党一名、改進党一名ということになりましたけれども、その間には或いは衆議院農林委員だけを入れるのだとか、或いは衆議院農林委員通産委員を十名入れるんだとかいうような経過を辿つて、最終的に只今委員長の言われたようなところまでに行く間に、一体参議院というものをどう考えているか、或いは緑風会というようなものは無視していいのか、オブザーバーという以上五名でなければならんというような制約一つもない。そういう点について突き進んで行きますと、我々として非常に納得しがたいものがあるわけなんです。これは主管の経済審議庁長官なり、或いは農林通産大臣、又は政務次官にお開きしなければ答えは求められないと思いますから、私はまあ今はそれだけにしておきますけれども、ただ局長のほうでも、こういうやり方は私どもとして非常に遺憾である、恐らくこれは私だけの気持じやないと思うのです。委員長の先ほどの報告をお聞きしましても、委員長としても非常に遺憾な措置として考えておられるようでありまして、これは委員長の所属される緑風会としての立場から考えても妙なことであるし、又参議院農林委員会として考えても、こういうやり方というものは将来に大変な悪例を残すことであるし、又現在の審議会の進行においていろいろ面白からざる問題が起きて来る。十分にその点を政府首脳部のほうへ御連絡願いたいと思います。そこで私は若し今の問題についてほかの人の御意見があれば先にやつてもらつて、それから資料のほうへ入りたいと思います。
  17. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今江田委員発言に関連いたしまして、私も承知をいたしておりまする限りの御報告を申上げたわけですが、肥料審議会学識経験者七名という法律規定中、国会側からとるべき予定になつておりまする五名が任命を見ずして肥料審議会の議が進められて参つた。それに関連して衆議院農林委員会からは最初に問題が提起せられ、結論的には国会代表というような姿で五名のオブザーバーが定められまして審議会出席し、意見を述べておるということでありますが、その五名の決定が、御報告申上げましたように真に国会代表という姿ではない状態の下に取定められた。而も衆参両院の各会派別所属員数合計して、その合計に対する五名を数の按分の上からきめられたというような経過であるわけでありまして、私が御報告いたしましたように、各種の委員会審議会等に対する委員の選定について、そういうような過去における取定めの実績もありませんし、二院制度本質上、極めて妥当を欠く措置であり、遺憾であるという意を表明いたしておきまして今日に及んでおるわけでありますが、この問題に関連して何か御発言がありますれば御発言を頂きたいと思います。
  18. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 その名前はわかつているのですか、決定された人の名前……。
  19. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 自由党から松野頼三さん、福田一さん、改進党の金子與重郎さん、それから社会党左派芳賀貢さん、右派の川俣清音さん。
  20. 松浦定義

    松浦定義君 大体今お話を聞いておりますと、非常に私どものほうはこれは遺憾だと思います。この法案そのもの審議が相当長期に亘つてこれは検討した結果でありまして、もうこの結論はやはりかかつて審議会に委ねる。併しながら、その審議会委員の選出のあり方にしても、消費者側或いは生産者側学識経験者、一人なりとも数の如何によつて随分この法律の趣意が曲げられるのじやないかというまで議論をした問題なんで、特に我々としては、国会から出されるということについてはいろいろ会派の問題はあるけれども会派の中でも人の問題によつて相当左右される問題でもあるので、その人の議員以外の置かれている立場というものが相当そういうことによつて影響力もあるということで、まあ国会の承認を得るとか何とかいうことでなくても、あらかじめやはり決定される前には、やはり両院関係委員会農林通産はこれはもう承知しておるべきだと思うのです。ところが今のような状態で全然知らない、而も結果的に見ますと政党代表ということ、これはまあ国会のほうから行けば、これは政党代表私は必ずしも否定はしませんが、勝手にちよつと一名こつちからそつちへ譲ろうかというような、そういう闇取引的なことができるということは、例えばその出た人を見ましても、決してその委員として恥しからん人なんです、譲り受けた人でも……。今名前を聞きますと、そういうような重要な人が出られないようなことを最初から考えている政府の選び方というものもおかしいと思うのです。だからそういう意味で、それは先ほどの江田さんのお話じやないけれども、ここでどうこうということじやありませんけれども、我々としては、こういうことはもうむしろ審議過程から行つた結論としてはやはり了承できない。而も衆参両院の数を根拠にしたならば、一人や二人は、率から行けばやはり五人のうちにせいぜい一人は間違いないが、できれば性質上から二人ぐらいは参議院のほうからも出すべきである。参議院のほうから人を出さないで各派だけでやるというのだつたらば、全く私は有名無実だ。法律的に衆議院が優先しているのは、法律審議に対して優先しているだけで、結果の内容については何も衆議院が優先しているものじやない。いい意見が出れば参議院の案でもどんどん修正さるべきはずのものだから、政党的な数だけ利用して、内容は何もとらないということじや私は非常に遺憾でありますので、これはまあ農林大臣でも、そういう関係大臣でも来たときには、私はこれはむしろもう一回撤回してもらつて、入替えるべきだ、そうして十分検討した結果そういう闇取引的な、それがあつたから、それじや都合が悪いから一人譲ろうというようなことだつたならば、私は緑風会に譲つてもらつても一向差支えないと思うのです。そういう意味で、私はそういう点については今後の問題として十分一つ我々委員会としても検討したい、こういう考えでおるということを申上げておきます。
  21. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 農林省で以て従来もたくさん審議会がありますがね、衆議院からだけ出て参議院から出なかつたという前例がありますか。
  22. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 私も詳しく存じませんが、恐らくなかろうと思います。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 だが、この問題は局長とやり合つたつて仕方がないでしようから、明日農林大臣出席されるときに、やはり経済審議庁の長官も呼んで頂きたい。
  24. 森八三一

    委員長(森八三一君) そう取計らいをいたします。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 そこでこの資料についてお尋ねいたしますが、まあ実際問題として、私どもこうやつて数字が出て来たところで、工場の実態というものが細かにわかるわけではないのでして、ただ与えられた資料を与えられた資料として眺めて、それで疑問とするところをお尋ねしなければならんのですが、二十八年度の実績というものを元にして、それに農林通産当局で手を加えて行かれたということですが、その実績の中でどういう点が修正されて二十九年度の生産費となつたわけですか。主たる問題点はどこだつたわけですか。
  26. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 第一点は、生産計画の問題でございまして、二十九肥料年度の需給計画がきまりましたが、その基礎になりました生産計画の工場別数量をとるということが一点であります。従いまして、操業度の変り方によつて単価が変つて参るという修正をしなければなりません。その場合に操業度によつて修正を要する固定的な原価要素が何であるか、又その固定的な部分の割合をどう見るかというものでございます。それをきめまして操業度による単価の修正をいたします。それから原材料費でございますが、これについては原単位につきまして実績報告を徴しておりますが、これについて報告の結果認められる操業状況、且つ二十九年度に計画しておりまする合理化状況、こういつた操業状況を織込んで原単位を修正するということがございます。それから主要単価でございますが、原料炭或いはコークス、硫化鉱或いは電力、こういつたものの主要単価につきましては、原則として最近の購入単価、四月から六月までの購入単価を調べまして、このうちの比較的安い単価をとつておるのであります。それから次は労務費でございますが、これは現在実施している賃金ベースを基礎にして労務費を算定するということであります。従いまして、これまですでにベース・アツプがあつたものにつきましてはそれをベースにしておる、こういうわけでございます。それから償却でございますが、これは先ほどお話いたしましたように実績率をとつておるのでありますが、なおこの資産再評価に関する関係がございます。これにつきましては、第二次の再評価の限度価額について八〇%に達していないものは八〇%までは認める。八〇%を超えているものは実績の評価、これを基礎にしておるのであります。次は、操業条件の変更でございますが、肥料形態の変つた、特に尿素設備の稼働でありますとか、或いは硫燐安の新らしい稼働であるとか、こういつた肥料形態の変更が硫安の単価に及ぼす影響を考慮いたしたのであります。それから入れ目でございますが、これは先ほどお話したように千分の十をとるということにいたしております。それから包装費でございますが、これは先ほども原料単価のときに申上げましたが、四—六月の平均単価をとるということでございますけれども、「かます」は季節的な価格変動がございますので、この四—六月の購入単価を季節的な変動で以て修正をしておるのであります。それから運賃でございますが、運賃につきましては実績基礎といたしておりますが、ただ硫安が若干減る工業につきましては、減るのは最も遠い所に運ぶのが減るという想定をいたしまして、運賃実績単価よりは減らすといつたような措置をとります。それから一般管理費といつたようなものにつきましては、先ほども申しましたように、主として本社費でございますが、これは販売高によつて三十八年度の実績を按分する、こういう措置をとつております。金利利潤でございますが、これは実績ということではございませんで、役所のほうで一種の特別の計算をいたしまして算出いたしております。その仕方といたしましては、硫安の生産販売に必要とする経営資本を先ず算出する、それからその経営資本の回転率を求める。それから経営資本に対する利子率を算出する。同じく又利潤率を算定するという操作を経まして原価に附加すべき利子率と利潤率を算出する、こういうやり方をいたしております。それから利子の単価では一割、利潤につきましては配当は一割五分、社内留保配当の一割、こういつたものは必ずしも実績ではございません。実績よりはむしろ低目にいたしておるのであります。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 今のお話を聞きますと、要するに実績を新らしい角度からいろいろ修正をされて行かれたということになりますが、そうしますと、二十八年度の実績として報告されておる数字は、これは実績を正直に現わしておる数字と、その前提に立つておやりになつておるわけですか。
  28. 小倉武一

    説明員小倉武一君) さようでございます。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 なかなか税務署でも、銀行へ行きましても、どこへ行きましても、会社報告する実績をそのまま実績にはとらないようだと思うのですが、農林省なり通産省なりは、この肥料会社実績報告を正しいものとしてお認めになるということは見上げたものだと思うのです。そこでそうなると、私はちよつと疑問があるのですが、例えば加重平均関係はないところでしようが、総原価が二万六千七百五十三円とか、二万六千八百三十九円とかという数字が出ます。そういう会社がPが何であるか、Qが何であるかはわかりませんけれども、少くとも現在の会社が、これらの会社がいずれも無配当会社ではないわけで、相当な一般のこの産業から見て恵まれた配当をやつていると思うのですが、二万六千円の総原価で、それで税金を払い、配当を払つて行くということは、とても考えられないのですけれども、一体どういうようなやりくりでそんなことができるとお考えになつたわけですか。
  30. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 具体的にはいろいろ会社工場によりまして事情があろうと思いますが、硫安について考えられますことは、そういうことがあり得るのでありまして、一つは、硫安部門は非常にウエイトが少い会社がございます。甚しいものになりますと、一%乃至二%程度の販売高における比率しか占めていないような会社がございます。そういうことが一つ。従いまして、その他の製造部門においての利潤ということがむしろ考えられるのであつて硫安がその会社配当といつたようなことについてさほどの影響を及ぼさないというのがございます。もう一つは、これは会社の経営上は如何かと思いますけれども償却は必ずしも先ほど申しましたように一〇〇%やつていない、五割か六割、七割といつた程度しかやつていないといつたようなのもございまして、そういうまあ二つが主たる理由であろうと思います。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 今二十八年度の実績の中のPとQなんというものは、減価償却について言うと、Pが千三十六円、Qが千二百八十一円という数字で、比較的償却は高いのじやないかと思うのです。それから硫安部門では非常にウエイトが少くて、ほかの部門で儲けているのだというようなことですけれども、それなら二十九年度の生産費一覧表を付けるときに、なぜにPやQにまで硫安原価に更に税金なり利潤を見られた数字を出して行かれるのか。これはたまたまPとQというのは一番極端なところを見たから、それは加重平均には関係がないのだというようなことがあるかもわかりませんけれども、併しこれは私は政府当局のほうで、この表を作成される一つの基本原則というものを疑問にするわけです。若し局長の御説明通りなら、PやQについては硫安部門については税金も或いは利潤も一切出て来ないような二十九年度の生産費ということになるのじやないかと思うのです。
  32. 小倉武一

    説明員小倉武一君) PやQは一例としてお挙げになつたのでございますが、丁度これなどは硫安の生産量が非常に少い。他のA、B、Cとして挙げておる要素から見ると非常に少い部門に属しまするし、又その工場における硫安のウエイトを見ましても非常にウエイトの少い部類に属しておるのであります。それから利潤、税金の問題でございますが、利潤、税金の問題をどういうふうに加算するかということにつきましては、いろいろ仕方があると思いますが、全体の加重平均をとつてその上に、全体と申しましても、まあ国内の需要度と申しますか、必要度でありますが、その加重平均をとつて、その上に所要の配当社内留保、税金、こういうものを加算する行き方があるかと思いますが、ここでとりましたのは、法案のときに御審議を願つたと思いますが、一応生産費には税金や配当も加えて考えておるということもございましたので、一応個別に、各工場別に所定の配当を認め、社内留保を認め、従つて又それに必要な税金を加算するとすれば工場別トン当り原価はどうなるであろうかということを二十九年度について算定いたしたのでございます。勿論実際問題としては、御指摘のように、下のほうに位する工場につきましては、いわば単なる試算に過ぎないのであります。のみならず、全体といたしましても、その利潤のほうは工場別に今申しましたようなことで附加えて行けばどうなるかという一種の仮定に基く計算でございまして、平均をいたしてみますれば、出た八百二十八円というものによつて一割五分の利潤が十分認められるというものは最初から五つまでの工場に過ぎない、こういう結果に相成るのであります。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 私はこのPやQというのは、PやQを直接問題にしておるのではなしに、建前の問題を言つておるわけです。そこで今若し局長の言われるように、最初から利潤あたりが正しく出て来るのは、最初から五つぐらいだと、こう言われても、ずつと出て来て、それが恐らく、その中には加重平均に影響する、Fから以下どの程度までが加重平均に影響するのか、具体的に知りませんけれども、影響するところが必ずあると思います。そうしますというと、そういう正しく考えたら利潤が一割五分出ないものを一割五分の利潤が出るものとしてF以下にも付けて行かれるということは、これはやつぱり加重平均で八百二十八円というものが出たのは少し無理があるのではないか。それから兼業部門での、どちらが兼業かわからんようなところもあると思うのですけれども、そういうときに、一般管理費販売高によつて按分されると言われますけれども、例えば硫安が非常にウエイトが小さくて、他の薬品等が非常に儲かつておるという場合に、一般管理費をただ販売高によつてだけ按分されるということが正しいのかどうか、恐らく具体的にですよ、例えば、一つの交際費を使うんだと言つたところで、儲かるところの薬のほうに使つて、儲からないところの三万円というところの交際費というのは余り使わないのじやないかと思います。販売高がどの程度のウエイトを持つておるのか知りませんけれども、必ずしも一般管理費の配分というものは、その工場でできる製品の販売高で按分するというような行き方では当を得ていないのではないか、更に一般管理費という中にあなた方は実績というものをそのままお認めになるということですが、安定法の審議をしている際に一つデーターとしてもらいましたが、或る会社では一億円からの交際費を使つておる。そういうようなのは、資料をもらいまして、そういうような交際費というものはこれは実績としてそのままお認めになつたということに今までの御説明からはなつて来ますが、我々が考えましたら、明らかに不当な経費の支出だと思いますが、そんなことはあなた方のほうでチエツクはされなかつたわけですか、なお我々から今までの法案審議過程に、いろいろ生産費を問題にされたときに各種のデーターが出て参りましたが、それらについても更に突込んで行くというと非常に曖昧な点が出て来た。そこでそれをそのまま鵜呑みにすることはできないというのが委員会の全体の結論であつたと思うのですが、それをあなた方のほうではそつくり実績実績として認めて、ただ操業度の変更であるとか、その他一つの建前に基く実績の修正だけをやられたという態度がどうも妥当ではないように考えるのですが、その点はどうお考えになりますか。
  34. 小倉武一

    説明員小倉武一君) いろいろお尋ねでございましたが、一般管理費の配付のやり方販売高の比例によつてやることは必ずしも妥当ではないのではないかという御趣旨が第一点でございましたが、一般管理費をどういうふうに配付するかということはむずかしい問題でございましようが、普通は今回いたしましたように、販売高実績比例で以て按分するということが普通のやり方でございます。それが理論的にどの程度の妥当性を持つているかどうかとなりますと、これはいろいろ問題もあろうかと思いますが、実は配付の仕方が非常にむずかしい、ほかに方法がないではないかと、まあこういつたような止むを得ない措置として一般にそういうやり方がとられているのでけないかと、こういうふうに思います。それから交際費その他に関連いたしましての問題でございますが、先般の国会で御提出いたしましたのは、会社から硫安関係についての交際費ということで、どういうふうに仕訳をしたのか知りませんが、提出したのでございます。私ども一般管理費の中味について一つ査定をするということはいたしませんでしたけれども、先ほど出しましたような販売高によつて配付するという仕方によりまして、その点はこの前御配付いたしました会社の交際費の硫安にかかつて来るものというのとは若干違つておるのであります。それからこのP、Qの問題に関連してのお話でございますが、これは御質問の趣旨もP、Qというのを一つの例としてお話になりましたのでありますから、それで結構なんでございますが、このA、B、C、Dのおのおのにつきまして利潤をどうするかという問題につきましては、先ほど申しましたように計算の約束でございまして、一応全部に平均的な利潤を加算してそれを又平均するというやり方と、利潤はあと廻しにして、先ず利潤抜きのコストで以て平均して出たものに所定の利潤を加えて行く、いずれが適当かどうかということは必ずしも一概には言えないと思います。こういうやり方をいたしましたのは、たしかこの参議院農林委員会だろうと思いますが、通産大臣から生産費というものはそういつたような利潤も入れて考えて行きたいんだ、行くんだという御説明がありましたので、そういう趣旨から言いますれば、一つ一つ工場原価利潤を加えて、そうしてトン当りのいわゆる生産費というようなものを出して、それをまあ全体のどこでとるかということのほうが適当ではないか、かようなことでありまして、特別そのほうがいいという実際上或いは理論上の理由はないと思います。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 利潤を生産費に加えるということは、通産大臣はそうおつしやつておられましたが、仮にそういうことになつても同じような加え方というのが妥当かどうかということを私は言うわけで、このままでは適正に出るのだ、そうすると、Fから以下は仮に加えるとしてももう少し少いものを加えて行かなければ仕方ないのじやないか。例えば税金につきましても、どうしても合点行かないのはどういう出し方であるのか知りませんけれども、税金というのがトン当りの税金が一審安いところは五百幾らであつて、高いところは千八百幾らに出て来る、これは一体なぜそんなことになるのか、而も千八百とか、千二百とかでPとかQとかは非常に税金が高いのですが、これが三万一千円とか、三万九千円とかいうことになれば、これは明らかに赤字です、どんなことしたつて赤字です、肥料に関する限りは赤字です。赤字のもののほうが適正にやつて一割五分以上の配当が出るところよりも税金が高いなんというようなことは、この数字を見る限りでは合点行かんわけなんです。そういう点について同じく税金と利潤というものを個々に出すとしても、これは出し方に一律でない出し方というものが必要なんじやないかということを私は言つておるわけです。
  36. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 御質問の趣旨がよくわからないのでありますけれども、生産能率のいい、合理化が進歩しておる優秀な工場ほど利潤が高くなるということはこれは当然でございまして、公定価格の場合にも勿論結果的にはそういうものになるようにしなければならない、併しそのことと個別の計算をいたします場合に、利潤を同一に見るか、或いは変えて見るかということとは別問題なのではないかと思います。全体の計算をいたします場合に、個々にはやはり同じ利潤を認めるという建前で、そういう約束で計算をしてみるというのが妥当ではないか。価格を出す前からAの工場利潤が幾ら、Bの工場利潤が幾らというふうに違えてみるということは、不可能ではないかも知れませんが、ちよつと計算ができにくいのであります。利潤というものはむしろ価格が決まつてから幾らというふうに出ますので、計算をいたしますれば一応一律に率をきめて、それを平均するなり、加重平均するなりすることによつてできる価格、その価格原価を引合せてみれば、先ほど積算したところの利潤などとは違つたものが銘々の工場に付いて来る、或る工場は特別な利潤が認められるということに結果的にはなりますし、或る工場につきましては利潤が殆んど認められない、こういつたようなことに近い工場が出て来るというふうなことになるのは、止むを得ない措置ではないかというふうに考えるのであります。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 利潤の点が仮にそうであつたつて、税金なんかは今言つたように一番最終のものなんかは千八百七十五円というような出方をするわけで、而もCあたりでも五百九十九円というようなことになるのが、Qになると千八百七十五円、こういう数字というものはどう考えても合点が行かんわけですが、要はそういうようなことをあなた方のほうでは税金なり、或いは利潤なりについて一つの画一的な建前に基いて計算をされるのだろうと思うのです。そこでその画一的な建前に基いて計算される。そうして実績についてもそのまま認められるということは、本当の生産費の実態に触れていないのじやないかということを私は疑問に思うわけなんです。結局あなた方も何もわからんので、ただ建前をいじくつてみて修正するというだけであつて会社から出されたものについては、そつくりそのまま呑んでおられる。先ほどの交際費の問題でも、これがどういうふうに一般管理費の中で配分されてみたところで、とにかく一億円の交際費を使うということは、少なくとも今の企業の、特に硫安のような国家資金を通して合理化をする企業としては非常に不健全です。農民からみたら、これは憤激の的です。そんなものも実績だからというのでただ販売高によつて配分されるというだけであつて、一応この交際費というものは、交際費として認めて行かれるというやり方一つつてみても、生産費のどこが妥当であるかということはほほかぶりをされて、ただ建前を変えてみてやつておられるだけであつて、これでは本当の生産費というものは出ていないのではないかということをお尋ねしたいわけなんです。そこで例えば生産者消費者との意見の違いをみましても、運賃のように四円五十銭も違うというようなデータが出て来る。これは消費者のほうは恐らく全購連の実績から出したのでしよう。片方は会社実績から出したのでしよう。どちらも実績だというのです。そのどちらが実績だというときに、一体あなた方は今の建前から行きますると、会社の出した実績はそのまま認めていいんだということになると、もはや新らしい実績だといつて数字を出したところで、それを取上げる余地がなくなつてしまいます。そういう点について、もつと実績そのものについて、これは内容を仔細に検討する余地が残つておるのじやないか。それができなくなつて実績は鵜呑みにして、そして画一的な計算をして、そして建前だけを変えて、いろいろ操業度とか、何とかいうことだけを、極めてイージー・ゴーイングにやつておられるのじややないかと思うのです。それから更に根本問題としては生産計画そのものについて、我々としてはここに挙げられたような生産数量が果して妥当なのかどうかということに疑問を持つわけです。昨年の実績、本年の実績昭和二十八年度の実績或いは二十七年度の実績から見て、その後硫安工業というものは相当合理化がされ、設備の拡充がされていると思うのです。或いは時に電力事情が特殊な事情であつたという説明があるかも知れません。それだけでなしに、もつと実績というものは、今後の生産計画というものは上つて来なければならないはずだと思うのですけれども、これが上つて来ないようなら、これは何のために合理化資金なんか注ぎこんでおるのか、その意味がわからないわけです。若しこの数字が変つて来ると、全体としての数字というものは非常に単価が変つて来るわけですから、そういう点について非常に生産数量なんかについて、何を基礎にしてやるようになつておるのか、我々からみると非常に内輪の数字を出しておられるのじやないか、つまりそこに利潤の含みが残つておる。生産者立場から言えば利潤の含みが残つておる。そういう印象を受けるのですが、その点はどうですか。
  38. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 一般管理費或いは税金等、或いは生産数量等からみまして、的確に原価計算をしておるかどうかということが疑わしいではないかという御指摘でございます。一般管理費は先ほど申上げましたように、会社が出しました実績会計年度トン当り部分と、私どもが新らしく配付いたしました二十九年度の生産費一覧表を御比較になつて頂けば、先ほどの結果というものは若干査定しているということになつているのであります。どの項目をどうというように査定しているのではありません。配付の仕方を変えるということによつて、結果として縮減しているのであります。それから税金の点でございますが、これは利潤を一割五分、社内留保をその九割ということにすれば、当然それに伴つて必要な税金が計算されますので、それを計上したに過ぎないのであります。或いは配当、税金を引つくるめての利潤というものが各工場等によつて相当開きがございますのは、自己資本と他人資本との関係が相当違うということからさようになつているように思われます。それから生産の計画でございます。これは御指摘のようにこの年度は電力事情に恵まれたのであります。それと比較してもアンモニア全体といたしましては昨年の実績よりも若干上廻つた計画になつております。この点につきましては、硫安の需給計画を定めます場合に、審議会等におきましてもいろいろ御質疑願つたのであります。それ以上の計画を立てるということは却つて不健全であり、無理であるといつたような結論に相成つたのであります。従いまして、あの需給計画で決定になりましたものを原価計算でも基礎にいたしているのであります。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 私ばかりやつてもいけませんが、もう一点お尋ねしておきたいのでありますが、とにかく我々としては、あなた方がこうやつて数字を出されたけれども、その数字というものをあなた方のようにこれが合理的なものだと考えることができない。それはもう一年経てばはつきりわかるわけです。今のあなた方の説明から行きますというと、AからEまでの五社が一割五分の配当ができる、あとは一割五分の配当はできないことになるはずですが、恐らく次の決算期になつて、これらのFから以下の会社がどういう配当率を出すか、勿論その中には指摘されましたような硫安部門が非常に小さく、他のものが大きなところもありますよ。ありますけれども、このFから以下が具体的にどの会社を指すか知りませんが、この硫安を主とする会社でも、これでは当然一割五分以上の配当ができないはずなのに、必らずこれらの会社が一割五分以上の配当をするということだけは、これは間違いない。そういう数字が出たときには、この数字は誤まりだつたということになるわけです。それが総生産量の変化から来るのか、或いは個々の数字の動きから来るのかどちらかは知りませんが、少くとも我々今まで硫安工業の業績から見て、そこから逆に考えて行つて、こういう数字ではこれは常識で我々は納得できない。農民にしましたところで、こんなものを一体何ぼになるのかということはわかりません、わかりませんけれども、併し配当が何ぼしているということだけはこれはわかる。そこから問題を考えて行く以外に途はない。そういう考え方をして行くというと、如何にこれが妥当なようにおつしやつたところで、一年後において会社の決算がなされて行くというと、これは一つの机の上の数字だつたということになるのが落ちじやないかと思うのです。さような点についてどうお考えになつているかということが一点、それからもう一つお尋ねしておきたいのは、ここで八百二十八円が幾らにきまるか、それは私どもわかりません。審議会でどういう結論が出るか知りませんが、その際どういうような価格が出るにしたところで、農林省としては末端の農民が入手する価格についてはどう考えておられるのか、そういう審議会決定されるものにおよそどの程度のものを加えたものが末端で入手される価格になつて来るのか、最近の末端での価格というものは九百二十円も三十円もしておりますが、若しこの審議会でどういう価格決定されても、末端での価格というものが非常に高かつたならば、農民から言うと何のことかわからなくなつて来るわけでして、あなた方のほうではこの末端までの経費というものをどういうようにお考えになつているか、又あなた方が具体的に考えられたものとかけ離れた数字で末端農民に販売をしているようなことが行われる場合には、どういう措置をとられるのか、それを合わして聞きたいと思う。
  40. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 二十九年度の生産費としまして想定いたしたものを前提にいたしまして、利潤お話従つて配当お話が出たのでありますが、結果的にはこれと違つたものになるだろうという御予想でございますが、或いはそういうことになるかも知れません。そういうことになるかと思われるというお説につきましては、一つは御指摘のように生産数量が違つて参る、例えば電力の事情等によりまして生産数量が相当に上廻つて来るということが一つの要素であります。もう一つは電解が向上する、想定以上に電解がよくなる、合理化されるということがございますれば、これも価格が安くなる、従つて配当率がよくなる。もう一つは個々の単価の見込みが違つたようになつて来る。単価が見込みよりも更に二十九年度において下つて来るということでございますれば、そういつたようなことも予想されるのでございます。併しながら、この単価の問題につきましては、石炭、硫化鉱等はなかなかここで見込んだほど下らないのだろうというのが、むしろ通産省或いは通産大臣のお見込みのようであります。又労賃につきましても、現在までのベース・アツプしか見込んでおりませんので、今後の労賃の引上り、上り工合ということは、これは当然予測をされるのでありますが、これは見込んでおらないのであります。電力も上るということはあり得ても下るということはなさそうな状況でございまするので、単価の問題についてより有利なコストになるだろうということは予想がされないのでございます。従いまして、残るのは御指摘の生産計画と電解の向上ということだろうと思います。生産計画につきましては、先ほどのお話をしましたところで御了承願いたいのでありますが、これはまあ電力といつたような事情によりますので、或いはこれは違つた結果になるということもあり得るかも知れません。このことは別段否定するつもりじやございませんが、一応合理的に想定できるものとしての想定でございますので、その点は御了承願いたいと思います。電解の向上でございますが、これも現在までの工場施設、近く完成する見込みのものといつたようなものにつきましては、もうすでに見込んでおるのでございます。あとは個々のメーカーの工場の創意、工夫によりまして或いは向上するといつたようなことは、これは相当あり得るということは考えられるのでございますが、これをあらかじめ予測いたしまして、その合理化を想定するということは、これは著るしく困難であるばかりでなくて、又酷である。資金的な裏付も相当確実であり、設備がいつ完成するというようなことが見込まれるものにつきましては計上すべきかと思いますけれども、そうでないものについてはどうかと存ずるのであります。それから末端の価格の問題でございますが、御指摘のように、肥料によりましては生産者或いは元売業者の価格に比しまして、末端の消費者の入手価格がどうかと思われるほど高過ぎるものもございましたし、又現に必ずしもあらゆる肥料が理想的に参らないのでありますが、硫安につきましては、現在まで生産者の売価と消費者の入手価格の間に不合理な値開きがあるということは最近はございません。併し今後あり得ないという保証は必ずしもないのでありまして、そういう点につきましては、一応私といたしましては生産者価格が、今度公定価格がきまりますので、これに必要な卸、小売の利潤に運搬賃といつたようなものを加えた一種の最終価格を想定いたしまして、これに著しく、著しくと申しますと語弊がありますが、これを或る程度上廻るような地方が出て参りますれば、これはその地方に硫安の需給が円滑でないという証左でもございまするので、これはメーカー或いは全購連等を指導いたしまして、出荷に適切を期するという措置を講じたいと思いまするし、なお又調整、補充という制度の趣旨もございまして、そういう場合には調整補充の数量を放出するといつた措置を考えたいと存じております。調整、補充の放出の仕方につきましては、これはなお価格決定いたしますれば、審議会にお諮りいたしまして或る程度の方針みたいなものをきめたい、かように存じております。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと一点だけ……。その最後の若し不当と思われるような価格があればそれぞれの扱う団体と協議をしてということですが、今あなた方のほうでお考えになつておるのは、着駅オン・レールから積下しとか、小運搬とか、金利とかいうものを考えて、最終の農民へ渡す価格というものの差額というものはどの程度を以て適当とお考えになつていますか、勿論所によつて違います。
  42. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 一概には申せませんと思いますが、元売の段階で五円程度、それから卸のところで十円乃至十五円でございます。それから小売のところで四、五十円といつたところではないかと思います。
  43. 江田三郎

    江田三郎君 トータルで幾らですか、小運搬まで加えて……。
  44. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 低目に見ますれば五十五円、それから六十円、六十五円、そういつた程度と思います。
  45. 江田三郎

    江田三郎君 それを超えるようなときには適切な措置をおとりになりますか。
  46. 小倉武一

    説明員小倉武一君) そういうつもりでおります。
  47. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 生産費の内容をさつきお話承わりましたが、生産計画に基いて操業度、単価、一般労務費、それから管理費等について検討なされたように承わつたのでありますが、労務費は生産費のうちで一割五、六分程度以上入つて、非常に生産費としては重要な項目だと考えるのでありますが、先ほどの説明を伺いますと、現在のベースでやつている。そして今後においてはベース・アツプは考えていないというような御説明でございますが、硫安の給与のベースが、現在のベースが適当なのかどうかということと、二十八年度と二十九年度を比較いたしますと、一トン当りについて各社違いますが、労務費が三%程度ベース・アツプしている。なおQは三割二分も上つておる。Pは一割五分も上つておるというような事情になつておりますが、今の内容等についてどの程度斟酌されるか伺いたいと思います。なお私の承知しておる範囲で一応申上げておきたいんですが、硫安の労務者の給与ベースは製造工業等に対して、本年一月きまつたベースでは、製造工業は約一万四千円、硫安工場は一万八千六百円ということになつて、三割四分程度上昇している。なお類似の化学工業は一万六千六百円、それに対しても一割以上給与べースが高い。殆んど全産業のうちで一番私は高いのじやないかと考える。なお本年の夏季手当についても、百九十八社の夏季手当の調査によると、昨年に比べて四割七分程度上つている、全国一だ。肥料の生産したものが食糧増産に結び付いて行き、そうして米価の点においては農家の労賃というものは二百八十円にしか行つていない、非常に不公平があるのを、同じ食糧増産に必要な硫安については労務費が六百円以上になつておるということは、私は非常に均衡を失しているんじやないかと思う。労務費の点については十分に審議をして頂く必要があると思うのですが、その点について、農林省はどういうふうにお考えか承わりたいと思います。
  48. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 労務費につきましては、御指摘のように他の産業と比べましても、硫安平均賃金は比較的高い点は御指摘のようでございます。と申しましても、実績よりも下げて原価を見るというわけにも参りません。私どもといたしましては、最近までのベースをとりまして、今後のベース・アツプは見込まない、勿論それを否定するわけではございませんが、そういうことはあり得ると思いますけれども、それは企業の合理化といつたようなことによつて吸収する範囲に止めてもらうというのが原価計算上の建前でございます。それから労務費が上りまして、なお一労働者当りの生産量が増しまして、いわゆる労働生産性が増すということでありますれば、その点も或る程度問題が片付くのであります。実績によりまするというと、そういう点も或る程度改善されておるようでございまして、年々の工場一労働者当りの生産量というものは漸次改善されておるようでございます。御指摘の食糧増産といつたような点と比べまして、そういう労働者に認められる労働報酬と硫安の労働者の平均賃金とは相当開きがあるという御指摘でございますが、それも御指摘の通りと存じますけれども、今申しましたような点で、実際支払つておる賃金、これが相当近い将来に合理化されまして生産性が上るということでございますれば、おのずからトン当りの生産費も下るのでございますが、必ずしも只今の生産の基礎といたしましては著しい改善をすぐ見込むというような点が参りませんので、お示ししたようなことに相成つたのであります。
  49. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 二十八年度と二十九年度の一トン当りに対する労務費が三%以上、約三〇%ぐらいこの数字では各社とも上つておるんです。それで当然労働生産性を上げるなら、そうしてベース・アツプもしない、人数も同じで生産量だけ上げるなら、これは一トン当りは下つていいんじやないかと考えますが。
  50. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これは御指摘のように、春の労働問題のときにベースが上り、その影響がそのまま今回の原価に反映をしておるのであります。その割に労働の生産性が上つていない、かようなことの結果、御指摘のように約三%労務費が上つておる、こういうことであります。
  51. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 経済局長説明私はつきりいたしませんが、できるだけ検討して頂きたい。なお附加えて申上げますが、給与ベースについては類似産業の化学工業等に対して一割以上硫安工場は高いのであります。四百何十万かの労務者の中の四万人程度の統計で全国で一番高いのであります。パルプに次いでの企業ベースなんです。そうして労働時間については一般の産業は百八十二時間働いているのを、硫安工場においては百七十一時間というので、給与は非常に高くて労働時間はほかから比較して一割も低いというようなことはこれは納得が行かない、給与が高いのはこれはいいと思いますが、もつと労働時間もこれは上つて差支えないのじやないか、そういうことにすれば、二十九年度の生産費について労務費というものは現在のベースを下げなくても二十八年度と同じでも済むのじやないか、而もそれが生産費の中の一割五分から二割も労務費というものが上つている重要な要素だと考えるので、今の局長説明では納得の行かん点があるが、その点についてもう一度説明を承わりたい。
  52. 小倉武一

    説明員小倉武一君) お示しのように、なお私どもも十分研究をし、検討したいと思いますが、硫安工業の特殊性として、それが労賃に及ぼす影響として考えられますのは、電力の利用の関係上、深夜業をするといつたようなことがやはり一つの賃金部面に対する影響として現われているのじやないかと思います。御指摘のように併し全般として賃金水準が他の産業部門に比べて上位にあるということは御指摘の通りであります。これが果して適当かどうか、この労働生産性を引上げ得ないかどうかという点については十分今後も検討したいと、かように存じております。
  53. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 只今私の申上げたことで労務費が三%から三〇%くらいに上つているというやつは、電力の供給規定が変つて、深夜業をやるから労働時間も百七十一時間であるのが、もつと深夜業で上つているのだというようなことが一つの要素で労務費が上つているような御説明ですが、それでいいのですか。
  54. 小倉武一

    説明員小倉武一君) そういう趣旨ではございませんので、他の産業の比較で申上げたのでございます。二十八年度と二十九年度との比較の労務費の値上り、これは先ほど申上げましたように、主としてこの春の賃金のベース・アツプ、それが反映しているのでありまして、そのベース・アツプ程度のものを打消すほど二十九年度における労働生産性が上らない、こういうことであります。
  55. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 この前の肥料需給安定法で以てコスト調査というものを実はやるようになつたですね、そこでそのコスト調査を現に農林省通産省もやつておられることと思うのですが、これはいつ頃大体これならばという数字の調査ができますか。或いはこの数字がそういう数字であるかどうかということを第一問として伺いたい。
  56. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 法律に基きまして調査いたしましたものがお配りされていると思いますが、二十八会計年度の生産費の調べでありまして、法律ができる前からでございまするが、いろいろ準備をいたしまして、法律に基く報告として報告を徴し、それをなおいろいろ事情を聴取し、現状を見るということによつて、できるだけ正確なものにするということに努めた結果できましたのがこの実績原価一覧表、これでございます。
  57. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 この頂いた二十八年度の実績の調査、これは将来もつとよくなる数字か、取りあえずはこのくらいな調査しかできなかつたという数字か、どつちかそれを承わつておきたい。
  58. 小倉武一

    説明員小倉武一君) この原価計算につきましては、いろいろ方式もございましようし、約束もございまして、どのやり方によつてやるかということによつても結果はおのずから違つて来るのでありますが、ここでいたしておりますのは実績原価でございます。これは我々の主観と申しまするか、そういうものが入らない、実際どれだけかかつたかということであります。それとてもいろいろ計算の仕方から見ますると違つて出て来ると思いますが、これはあの法律に基きまする省令で以ちまして原価計算の要綱を作りまして、その要綱通りに各社から報告を求めるというその報告基礎にして作つたものであります。こういう実績原価計算から、いきなり価格をきめるべき年の原価を想定するということがいいかどうかということについては、いろいろ御議論もございましようと思います。又或いは原価計算につきまして、実績のほかにいろいろの標準原価と申しまするか、そういつたものを一つつてみてはどうかというような御意見もございましようが、まあその点はなお研究いたしまするといたしましても、今回価格形成の基礎といたしましたのは、只今申しました通り、二十八会計年度実績基礎にいたしまして、この基礎の上に二十九肥料年度の想定原価はどうなるだろうかということを想定いたしまして、それを価格決定基礎にした、かような手続をとつたのであります。
  59. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 実はまだこの資料詳しく読んでおりません。従つてこの前の需給安定法審議しておるときに、通産省、それから農林省方々から、この程度の資料しか得られないのだ、生産費のコストというようなものを、中へ入つて厳重に調べるところの権限がないから自分たちの責任は負えないのだというような数字が、実はそういう条件付きの資料を大分頂いているのです。そういう資料と今度のこの資料とが大きな開きが合つているかどうか、実はまだ照し合してはないのだけれども、大差なかつたのですか。どこか非常に特色があつて、こういうところが非常に大きく違つておつたというような点はおありでございますか。
  60. 小倉武一

    説明員小倉武一君) この前たしか開銀の融資の問題に関連いたしまして、通産省のほうで想定いたしました原価というものと今回の原価との比較のお話でございますが、この前出したものと今回のものとは若干違いがあるように思います。どこがどう違つたかということはちよつと申上げにくいのでありますが、必要がございますれば課長のほうから申上げます。この前のは、たしかお断わりしたように、個々の細かい計算を通じてそれを積上げてやつたのでございまするので、大まかな想定でございますので、役所としても十分な自信がないという前提で提出したのでありますが、今回提出いたしました原価につきましては、これはこの細かい内訳、詳細な資料がございまするので、見方がどういうという問題はあろうかと思いますが、特に想定原価になりますると、先ほど江田委員からもお話しのように実績に大体よつたもの、或いはその実績もいろいろとり方もあるといつたようなことで、見方についてはいろいろ見解がおありかと思いまするけれども実績としてお出ししたものについては詳細な細かい内容が付いておりますので、その点については原価とは性質が非常に違つておる、かように存ずるのであります。
  61. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今、局長の御説明で以て、この前の想定のコストよりは大分内容が性格的に違つて来ておるということを言われて、これを法律で作つた効果はそれではあつたということに一応なるのだと思うのです。けれども実際問題としてまだ不慣れではないかと私ども思うのです。そういつた不慣れな資料がここへ来たのではないか、この資料も私ども考えれば、まだあの法律を作つた趣旨の結果から生まれた資料としてはまだ不慣れではないか、而もそういつた不慣れな資料が肥料審議会にかかつた。そうして肥料審議会は、先ほどもお話があつたように、審議会のメンバーとして最も大事なメンバーではないかと思う学識経験者というものがオブザーバーというような形で審議会が暫定的に進められておる。これは止むを得ない事情だと思うから、その点は私どもよくわかるのですが、ただその結果として今度の肥料価格決定されるということではないかと思う。そうすると、一度或るこういつた資料により、又そういう過程を踏んで決定された価格というものは、将来日本のずつと肥料価格の何と言いますか、スタートになるのではないか。この問題については私は相当大きな問題ではないかというような気がされるのです。そうかといつて、恐らく肥料価格決定は急がなければならんという事情は今日あるわけです。そういつたときに、今度決定される価格が将来の価格のスタートになる価格と考えられるかどうか。何かそういうスタートになつちや困るんだという私ども気があるのですが、そういう何か対策というか、そういう考えがおありになるかどうか、その将来に対する肥料価格という紐付きの関係をどういうふうに考えておいでになるか、局長の御意見ちよつと承わりたいと思います。
  62. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 今回の価格決定によりまして、例えば三十肥料年度価格につきまして、実質上いろいろな意味において影響を与えやしないかという御指摘でございますが、勿論そういうことは心理的な問題としてもあり得ることでございまするので、絶対ないということを申上げるわけには参らないと存じますが、次の肥料年度の問題といたしましては、やはり別にもう一回新らしく原価計算会社から提出願い、又それに基いて新らしい年度の原価を想定するということに相成るのであります。勿論前年度に拠出した原価と新らしく提出した原価といつたものが如実に比較できる可能性がございまして、年を重ねれば更に実績原価のつかみ方も正確になるだろうと思いまするし、又想定をいたしまする場合に、想定した結果と実績との比較もできまするので、更に精細に正確な原価ができる。例えば今回の計算の仕方に若干の欠陥があつたというふうなことを仮定いたしましても、そういうことは年を重ねればもつと是正できるというふうに考えます。そういう意味においては年数を重ねるということによつて非常にむしろ改善されるというふうに存じます。八百二十八円という「かます」当り価格が次の年度の価格にまで影響を及ぼすということは、できるだけないように一つしたいと、かように思つております。
  63. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題となつておりまする肥料価格の件は、極めて重要な問題でありまして、まだ審議を十分尽さなければならん余地があると思いますが、本日はこの程度にいたしたいと存じます。
  64. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと一点だけ……。この法律による国際価格及び具体的に言えば米麦価、これとの斟酌というものはどういうように出ているのですか。
  65. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 法律もございまするように、生産費を基準といたしまして今御指摘のようなものを参酌してきめる、かようになつておるのであります。先ず第一は、生産費というのはどういうふうにとるかという問題であります。これは只今御指摘のような事情を斟酌いたしまして、国内需要量に調整保留分を加えた合計をとるということによつて合理化を促進し、国際価格に近付ける、なお農家が要望するようなできるだけ低い価格に定める、こういう趣旨をとつておるのであります。もう一つは、個々の原価を積み上げます場合に、原価の要素は先ほど申上げたようなことでありますが、最後に利潤をどう見るかということは必ずしも実績のみにより得ませんので、現在の経済事情或いは一般利潤率、或いは農家の経済の余剰の最近の動向、こういうものを見まして、硫安工業等の実績よりはむしろ低目に、実績は二割或いは一割五分、一割七分、こういつたことでありますが、それを一割五分に圧縮しまして、社内留保も又大体配当と同じ率の一〇〇%、利潤配当が一割五分でありますれば、社内留保の率も一割五分程度が実績であつたのでありますが、それも九割に圧縮する、こういつたようなことで斟酌をいたしております。
  66. 江田三郎

    江田三郎君 その後今度は米価がどうきまるか、内定しておるようですが、この新らしい米価に基いて更に新らしい米価というものが斟酌する条件というものになりませんか、どうお考えになつておりますか、新らしく斟酌すべき条件になるかならんか。
  67. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 新らしいこの米価というものと切離しまして考えますと、問題が非常にむずかしいのでありまして、むしろパリテイ計算或いは生産費等をみましても、肥料の価格を支払い得られるように農産物の価格を形成するということが建前であるべきでございますが、ただそういうことで全般的に訂正された農産物の価格従つて又農家の所得という点から見て、購入物資の価格が結果的に妥当であつたかどうかというようなことを再び硫安価格の場合にもみようではないか、そういう趣旨がこの法案の趣旨であろうと思うのであります。で、新らしい米価ということをすぐそのまま今回の硫安価格に斟酌するということは考えていないのであります。
  68. 松永義雄

    ○松永義雄君 外国の硫安が非常に安いということなんですが、ドイツの硫安と日本の硫安とどれくらい違うのですか。
  69. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 最近の韓国での特需のものはFOB六十ドルでございます。なお台湾向けの長期契約の二十五万トン余りのものは五十八ドル四十セントということであります。それからその他のヨーロツパ諸国の国内価格はそれぞれある思いますが、国内価格は最近の資料がございませんのでありますが、西独の一種の公定価格と思いますが、それは五十六ドルになつております。これは昨年の資料であります。昨年の価格でありますが、五十六ドルであります。いずれにいたしましても、今回の政府諮問案にありまする価格と比べますと、なお相当に下値であります。なお韓国の六十ドル、これは或る程度接近をしておる価格になつております。
  70. 松永義雄

    ○松永義雄君 そういう安い外国の硫安を日本に輸入するわけには行かないでしようか。
  71. 小倉武一

    説明員小倉武一君) これはまあ需給安定法を御審議願う節から、そういういろいろ御意見があつたのでございますが、国内価格合理化を進めて、その前提の上で公定価格ということでできるだけ国際価格に近付けて行くということで政策が一応決定されておりますので、いきなり海外の硫安を入れまして、そうして国内価格を抑制するという措置はとらないのであります。もう一つは数量、硫安が国際価格といつたようなことが言われますけれども、小麦或いは綿花といつたような意味の国際商品には必ずしもなつておりません。必要な量が或る程度いつでも入つて来るというのでございませんので、恐らく日本が相当まとまつたものを買うということでありますれば、日本の現在の国内価格で入つて来るかどうかということは保証しがたいのでございます。時により場合により非常に安いものが勿論ございますけれども、必要なときにいつ何時でも安い物が入つて来るという事情にございませんので、そういうことから行きましても、実際問題としてなかなか困難ではないかと、かように存じます。
  72. 松永義雄

    ○松永義雄君 硫安合理化ができてから外国の硫安の輸入も考えられて行くのですが、逆に外国の硫安でも輸入して、そうして日本の合理化を刺戟する必要があるのじやないですか。資本家が自分の儲けばかりに一生懸命になつて、果して産業合理化を強化して行くかどうか疑われるですが、少しくらいは外国の硫安を入れて日本の硫安メーカーを刺戟する方法をとつてみたらいいと思うのです。そういう点に関する農林省の考え方……。
  73. 小倉武一

    説明員小倉武一君) 先ほどお答えをいたしましたように、そういうことを以ちまして硫安合理化を促進し、又価格の低下を期するという方策も確かにこれはあり得ると思いますが、只今成立いたしておりまする硫安に関する二法律趣旨はそういうことではなくて、やはり国内の硫安工業を育成し、これを合理化することによりまして、国際価格にさや寄せをして行く。而も国内の需要に見合うものにして、価格を下げるばかりでなくて、なお国外についての供給、輸出の振興も図ろうと、こういう趣旨でございますので、外安を輸入して合理化を図る、こういうドラステイツクな方法はとらないというのが両法律趣旨でございますので、只今のところそういつた措置は考えておらないのであります。
  74. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 先ほど申上げました今度の調査の性格的に前の資料と大分変つておるという、その変つておる分だけ、これを見ればわかるのだけれどもちよつと何ですが、時間を五分ぐらいでお話できるならば、数字かなんかでちよつとお話頂きたいと思います。時間がかかればいいのですが、又の機会にでも……。
  75. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ず数字の上で申上げたいと存じまするが、例えばE工場でございますが、このE工場の、この前開発銀に提出いたしました資料によりますると二万一千五百七十七円ということが総原価になつております。それで今回私たちの作りました生産費が、生産原価が二万九百円ということになつております。それからその次に、A工場について申上げますると、開発銀行の場合が二万五百四十六円になつております。それで今回のは一万八百八十八円ということになつております。それからH工場でありまするが、H工場のこの前のが二万一千七百五十二円でありますが、今回のが二万八百八十六円ということになつております。それから0工場でありまするが、この前のが二万二千二百八十二円でありましたが、今回は二万三千五百四十九円、これは逆に殖えております。それでこの殖えたのにつきましては、労務費の殖え方が、この0工場は非常に生産数量が少いものでありまするから、その当時から比べますると、労務費の殖え方、それが主に違つて来ておるわけであります。それで開発銀行に出した場合の個々の項目と、今回調査いたしました個々の項目の原価要素の内訳でございまするが、その方法につきましては大差はないわけであります。ただ今回のが、先ほど局長から申しましたように、原料費を、石炭にしましても、コークスにしましても最近の一番安い実績で押えているとか、或いは硫化鉱にしましても、そういうふうな方法をとつておりますし、その他特に変えましたのは、この補助部門の配付の問題とか、或いはその他の一般管理費とか、経費の配付の問題が特に変つてつておりまして、そういうふうな点で差異が出て来ておるということになつております。
  76. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題の肥料価格の件につきましては、なお問題が残つておると思いますが、本日はこの程度にいたしたいと思います。  なお、本日いろいろ資料としてお手許に配付いたしました年度別の生産費一覧表は、秘の取扱をすべく手続を怠つておりましたので、そういうことのお取扱いを頂きたいと思います。  なお、この際造林促進法案の件についてはお諮りをいたしたいと思います。本件につきましては、前国会の末期に六月十一日、日本林業協会から先にお配りいたしましたような法律案の草案を添えて、造林促進法の制定について要望がありましたので、これが取扱上の参考に資するため、六月十四日付、文書を以て林野庁長官の意見が求められましたところ、去る八月二十八日、只今お手許にお配りいたしましておきましたような回答がありましたので、本日はこの回答について林野庁長官の説明を聞き、併せてこの機会に林野政策の推進を図ることにいたしたいと存じておりましたが、本日林野庁長官から、部内において具体的に検討中であり、次回の委員会まで延ばしてもらいたいとの申出がありましたので、本件につきましては次回の委員会まで延ばすことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、さよう決定をいたします。  ここで暫らく休憩いたします。午後は二時から再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩    —————・—————    午後二時三十三分開会
  78. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。  農業用電力料金の件を議題にいたします。電力料金の値上が問題になりまして以来、私どもはその不当を指摘して政府の善処を求めて来ましたが、それにもかかわらず、結局において値上げされることになつたようでありまして、甚だ遺憾とするところであります。而もこの措置が、特に私どもが問題にしておりまする農事用電力及び肥料製造用電力の料金に及ぼす影響が非常に憂慮されておりますので、本日はこれらの事情を究明して政府の善処を求めることにいたしたいと存じます。先ず、通産当局及び農林当局から、電力料金、特に農事用及び肥料製造用電力料金に関する政府の方針について説明を求め、引続いてこの問題の取扱方につきまして協議を願いたいと存じます。通産省の公益事業局長から先ず御説明を願います。
  79. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 農業に関係を及ぼしまする電気料金につきましては、かねてより各方面のいろいろの御要望がございまして、できるだけその趣旨に副うように今回の改訂案を作つたつもりでございますが、先ず肥料用電力でございますけれども、それに先立ちまして、今回の料金改訂のあらましの趣旨を申上げますと、一応下期の、下期と申しますのは十月から来年の三月まででありますが、三月までの料金ベースというものを据置くと、こういう前提の下にスタートしたわけであります。その考え方は、現在では夏から冬に入りますときに、ものによつてでございますが、若干料金の上るところがございます。そこで冬に入りまして上つたときのベースというものをつかまえまして、一応今年の下期の料金というものは全体としては上げない。但し現在九電力会社相互間におきましては、電源開発の進捗の度合その他によりまして、すでに相当の原価上のアンバランスが生じております。そこで全体としての料金収入は現在の料金ベースそのままに抑えますけれども、各社間の調整はどうしてもやらざるを得ないということで、従つて会社によりましては現行ベース以上に上るところもあるし、又下るところもあると、こういうようなことになるわけであります。それから同時に料金制度全般を改訂いたしまして、現在まで行なつております大口に対しまする割当制度、これを廃止して、料金規程によつて一目瞭然に自分の使います電気の料金というものがわかるようにしたい、こういうような構想の下に、一番その理想的な形は電気料金の一本化ということでございますが、御承知のように、現在におきましては第一段料金という安い料金と、第二段料金という高い料金と二つございまして、二段料金制をとつておりますが、それを一本にしてしまうということが一番理想でございます。ところが一挙に一本にするということにつきましては、需給の関係から言つても、そう急に参らないというところがあります。又今まで安いほうと高いほうの電気の値段というものが非常に開いておりますので、それを一本化いたしますというと、その中間にどうしても収まらざるを得ない。そういたしますというと、今まで安い料金を主として使えたというような需用家というのは非常に値上りが大きくなる。無論逆に高い料金が相当入つておるものは安くなりますが、その間の変動が少し大き過ぎるというようなことも考えまして、一部の地区、と申しますのは東北と北陸でございますが、この二つの地区を除きましては、やはり二段料金制を残しておく、ただその幅は従来より若干狭めまして、そこで一段料金で使います電気の量というものは従来は割当で行つておりましたのが、過去の実績その他によつて自動的に、公平に算出できるような方式を作つたわけであります。そういつたような料金制度の改訂をいたしまして、その二つの見地から今度の新らしい料金に基きまして、各需用家が一応推算をいたしました結果というものが非常に影響の大きく出るようなところが出ましたり、又逆なところも出るというようなことで、その出て来る影響はまちまちになるということでございます。それからいま一点は、今年の下期料金のベースを据置くということをいたしますと、それだけではいわゆる電気料金の原価主義というものから考えました場合には、電力会社の採算というものは全然成立ちません。電力会社の採算、原価主義というものにマツチさせますためには、更に一年間の原価とその収支を考えざるを得ないのであります。従つて一応下期料金というものを頭におきますけれども原価計算との関連上、来年の上期を入れまして、十月以降一カ年間というものの原価を推算いたしまして、それに対しまして収入を計算するわけでございますが、その収入が来年の上期におきましても、今の冬料金のままのベースで行つた場合には、大体年間の原価に対しましてペイする、こういうふうな結論になつております。従つて一応来年の上期というものを、今のままの姿であるとすれば、原価主義から言つても、又料金制度から言つても、今のままの形で行ける、こういうことになるわけでありますが、併し半面におきまして夏料金というものは、つまり上期の料金というものは全体的に言いますというと、冬に比べまして少し安いのでありますから、このままで行けば来年の上期はかなり大きく響くところが出て来るわけであります。そこで政府のほうの約束といたしましては、来年の上期に入るまで、つまり来年の三月までに更に電力会社原価を引下げ得るように企業努力も大いに強く要請いたしますると同時に、政府としましても金利の引下或いは諸税の軽減、こういうような措置を強力にとりまして、来年の上期におきまして、比較的にも値上りにならないようにしたい、こういうふうな考え方でございます。その結果といたしまして、一年間を考えます場合には、来年の四月以降というものは一応条件附と申しますか、未確定なものを含んでいるという前提で申上げざるを得ないのでございますが、仮に本年下期のベースに対しまして、租税、金利その他につきまして原価の低減に関します措置が何もとられなかつたという場合にはこうなる、こういうふうな想定で年間の影響を見ざるを得ない。そうした場合にはどうなるかというふうなことで一応算定いたしますというと、全般的に言いまして、本年下期ベースは据置くとはいうものの、全体的に言つて年間では一割一分程度の値上りになるというふうな結果になつて来ます。これがそれぞれの需用家に対しましては、又別々な非常に違つた形が現われまして、今まで比較的高い料金まで食い込んでおらないところの需用家というものは非常に高くなるし、又非常に高い料金を余計に払つておつたところに対しましては安くなる、非常にまちまちになるわけでございます。これが又産業別にもまちまちになるわけでございますが、その一般的な影響は別といたしまして、特に肥料用の電力及び農事用につきましては、その影響を極力小さくするようにということで考えたのでございます。先ず肥料に関しましては、一般の影響率というものは年間を考えましてもそういう程度でございますが、肥料の場合におきましては、現在割当等におきまして相当優遇されておりまして、つまり一段安いほうの料金で使いまする電力量を、ほかの需用に比べまして比較的多量にもらつております。従つて現在の生産状況におきましては、殆んど高い電気が入つておらんというふうな実情でございますが、従つてこれが一般の方式で行きますというと、どうしても或る程度の二段料金が入りますので、従来の実績に比べましてかなりな大幅な値上りをするという結果になる、そこで少くともこれを一般の値上率以上には上げないようにということを考えております。その方法といたしましては、御承知かも知れませんが、いわゆる特約料金制度というものをこしらえまして、これは肥料のように、いわゆる負荷調整ができる需用におきましては、電気が一般に余計使われるときにその電気の使用を差控えまして、余つた電気をできるだけ使うというような作業上の工夫をいたしますことによりまして、電気としましても非常に安い電気をそこへ供給できる、その安い電気と、それから若干高いほうの電気と噛み合せましてその影響をできるだけ殺す、こういうふうな方法を講じました。これはいずれも各地区、各工場別にそれぞれの実情に合いました電気の使い方に応じて協定をしなければならんので、それがどの程度かということは今後の折衝問題であります。ただ目標といたしましては、私どもの強く言つておりますのは、一般率以上には絶対に上げない。それ以下にするように負荷調整を考える、こういうようにいたしております。従つてこれは結果におきましては一般率より上ることは勿論ありません。むしろ下目に、どの程度下廻るかわかりませんが、下目にきまるのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。それから農事用の電力でありますが、特に灌漑排水に関しましては従来も非常にこの関係につきましては比較的優遇をしておつたことになつておるのであります。いわゆるこの電力料金に対しましては需用料金と申しまして、契約電力に対します料金と、それから実際に使つて電力量、つまり電力量料金、この二つがございますが、初めの電力料金に対しまして農事用につきましては二割引をいたしております。それだけ一般のものよりも現在でも安くなつているわけでありますが、先ほど申しましたような一般原則を当てはめますと、これがかなり高率になるわけであります。何割というふうな値上りになるところも出て来るわけでありますが、それを完全にゼロにするということにいたしますと、割引方をもう殆んど料金制度上形をなさないという程度まで持つて行かなければなりません。殊にそういうふうにゼロまで抑えるということは、或る一つの方式で以てやる以上は現在よりマイナスになるところもあるというふうなことで、料金制度上は技術的にも非常にむずかしい。又一面から申しましても、要するに電力発電原価の高騰というものは電源開発の進捗に伴つて行われるところでありますので、或る程度は当然需用のほうにおきましても、その増加分につきましては負担をして頂いていいのじやないか、こういう考え方も当然出て来るわけでございますが、ともかくもこれに対します影響率をできるだけ小さくいたしますために、非常に大幅な割引制度を今回設けたわけでございます。これは地区によつて違いますけれども、先ほど申しました電力料金に対しましては大体三割引をいたし、多いところは三割五分、それから今までありませんでした電力量に対する割引制度を置きまして、これを低いところで三割、高いところでは六割というふうな大幅な値引をいたしまして、そこでこの値上り率を極力軽微ならしめるようにするというふうなことをいたしまして、これによりまして全面的に調査はいたしておりません。これは全体の収入を見て平均はどうだということを見れば一番簡単でありましようが、我々のほうとしましては一番地区別に件数の多い需用というものをとりまして、それでモデル・ケースとしての影響を調べてみたのでありますが、それによりましてみますというと、下るところも勿論ございます。若干上るところもございます。全体的に見まして大体年間二、三%程度の値上りになるというふうな結果が現われております。最高のところで五%、こういうふうな数字が出ております。それ以上になるところはないと思います。この程度であれば一応御協力を願えるのじやないかというふうに考えたわけであります。尤もこの推算の前提には、今回制度の改正に伴いまして、このほかに更に不使用時の割引というものを強化いたしております。例えばどういう契約になつているか存じませんけれども、仮に一年契約でいたしておりまして使わない月につきましても、これまででも若干の使用料をとつておりますが、それに対する割引率を更に従来よりも強化いたしておりますから、使わない月に対しまして不使用というような趣旨で契約をはつきりされますというと、従来より一層その点で値引になるということもありますので、こういう点も十分運用よろしきを得れば一応ここで三%というふうな率が出ておりましても、或いは更に下るということも起り得るわけでありまして、その点は私のほうで計算できませんので出しておりませんけれども、そういうふうな点も含みとしてまだ残つておる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  80. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 只今の公益事業局長の御説明を多少補足する意味で、農林省で今まで農事用電力なり、或いは肥料製造用電力料金の値上につきましてやりましたことを御説明申上げたいと思います。  電力料金の値上の問題が起りましたときから、通産省の事務当局お話合をいたしまして、極力農業生産にマイナスになることがないように、農事用電力及び肥料用電力の料金の改訂についてはお取計らい願いたいということを申上げておつたわけですけれども、丁度九月一日でありますか、衆議院農林委員会のほうで決議がございまして、電力料金の値上が農産物の価格に及ぼす影響が著るしいので据置くべきであるということが決議されたわけでありますので、それを基準にいたしまして農事用電力料金について据置をして欲しいということを基礎として折衝を続けて参つたのであります。併し今回発表になりました電力料金によりますと、只今説明がありましたけれども、灌漑排水につきましては約三%乃至五%、これは基準のとり方によつて多少の相違があるわけでございますけれども、それだけの値上りになるようでございます。又脱穀調製につきましては約七%程度の値上りとなるようでございます。尤もこの料金は農林省からの申入に基きまして、通産省におかれてもいろいろ御苦心もあつたようでございまして、平均値上率約一割一分に比べますれば多少低いわけでございまして、例えば灌漑排水について申しますと、一般の料金に比較して、電力会社によつて違いますけれども、三割乃至六割程度の割引をされたようでございます。まあ私たちといたしましては、実はこの値上りは農業生産を守る建前から言つて残念でございまして、今回はこれだけで一応認可をされてきまつたようでございますけれども、近い将来において、この改訂について努力いたしたいというように考えておるわけでございます。ただ、今申上げました料金以外の点につきましても、実はでき得る限り農事用電力の利用について、農民の負担を少なくするために折衝いたしております。今後も折衝をいたすつもりでございますけれども只今通産事務当局と大体話合がつきました点を申上げますると、一つは、農事用料金の中に、東北、北陸に限つて新らしく電気温床用の枠を設けまして、この料金は一般料金に比べまして、約二割乃至三割方引下げてあります。それから第二といたしましては、これもさつき公益事業局長からお話がありましたけれども、灌漑排水の料金を一般料金と先ず切離して、別建料金にいたしましたことと、それから更に契約期間中でも全然電気を使用いたしません場合には、従来は基本料金の四割を割引いていたわけでありますけれども、それを五割割引くということに大体事務的に話合いがついておるわけであります。
  81. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今通産農林当局説明に対しまして、御質疑のあるかたは御発言を頂きます。
  82. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は灌漑排水用の電力料金について質問いたしたいと思います。御承知通り灌漑排水用の電力料金については、従来電力料金の改正の都度論議されていたのでございます。その間通産当局においては、灌漑排水用については特段の考慮を払つて割引制度をやつておられたのでございますが、従来の実績から言いますと、この考慮を払われたにもかかわらず、灌漑排水用の電力料金は非常に値上になつておるのでございます。二十一年から二十七年までの間に毎年電力料金が値上になつたのでございますが、一般の電力料金の値上率は大体三十倍になつておるのでございますが、灌漑排水用の電力料金については、値上りに対して三割引くとか、基本料金について、不使用の期間は只今お話にあつたようにもつと一層の割引をするとか言つておりましたが、実績から言いますと、大体五十倍になつておると思うのです。地区によつて違うと思いますが、もつと非常に上つておる地区があるのであります。そこで本年の一月、電力料金の値上の問題が出ました当時から、又灌漑排水についてはいろいろ論議されていたのでありますが、その頃におきましては、各電力会社から値上の申請が出たのが一割四分程度の申請かと考えております。それに対して、二月十日参議院通産委員会におきまして、西川委員が灌漑排水用電力についての質問をしておるのでございます。その質問の要旨によりますと、通産省側で発表している電力料金の値上は一割四分であるけれども、それは灌漑排水用によれば全日平均で四割の値上になる。地区によると二倍にも値上りになるのであるから、こういうものについては絶対反対というような意見を述べられたのであります。その当時出席していました北陸電力の副社長の西さんの説明によりますと、北陸電力では農業用は一割二分の勘定をしている。だから西川委員の言われるような事実は自分のところではわからないのだ。もつと計算した上に書類にして提出するということの答弁をしているわけでありますが、その後電気事業連合会からの書類で、通産委員会に発表せられたところによりますと、電気料金の改訂に伴つて、灌漑排水用の電気は全国平均で五キロワツトの場合は三割四分になる。百キロワツトの場合は三割五分になる。五百キロワツトの場合は三割の値上率になるという文書を出していたのであります。初めは一割二分に農業用はやつているが、個々に調べてみますと、三割から三割五分になつているのだ、これは使用状況等によつてそれぞれ変るのだろうが、成るべく安い料金にするように考えたいというようなふうな回答であつたのであります。公益事業局長は、この委員会等においても、灌漑排水用の電力については十分に考慮したいが、値上を全くしないわけに行かない、できるだけ抑えようというようなことを言つておられた。今度発表せられたのによりますと、只今の御説明によると、非常に灌漑排水については考慮した、全国平均でおよそ三%の値上の程度だということでございます。一月頃電力会社の申請で、全国平均が四割にもなり、二倍にもなるようなことは非常に困るというようなことで聴聞会等においても意見をそれぞれ発表していたのでございますが、お示しのように、全国平均が一割一分程度のところへ灌漑排水用は三%だというような書類をお出しになると、その程度までやつて頂いたのならいいのじやないかというような考え方も出ると思います。併しその内容についてもう少し説明を伺わないと困ると思いますが、先ほど申しましたように、電力会社が一月のときに発表しているときには、農事用は一割二分なんです。それによつて、いや使用状況からいうと四割にも上る、二倍にもなるのがある、もう少し検討してみたいというと、三割五分上つていましたという答弁になつた。今度三%が全国平均なんです。場所によると最高は五%なんだ。通産省ではその程度ならこれは止むを得ない、私個人とすれば、これはその程度ならば止むを得ない場合もあるかも知れないけれども農林省から通産省へは再三に亘つて申入をして、現在料金程度以上に上げては困るのだということも申入れておると思う。農業用から言えば、この際どうしても電力料金については、現料金で抑えて行きたいという希望は当然農業側としてはあるはずだと思うのですが、ただ問題は全国平均で三%値上りがそのままかどうか。先ほどの御説明によりますと、各地区においてモデル・ケースをとつたのだということなんです。全国で二万三、四千カ所、三十万馬力ぐらいを灌漑用でやつていると思いますが、どの程度のモデル・ケースをとつたかという問題なんです。例えばここへお示しになりましたが、関西電力が原単位は各社実績によつて一ヵ月当りのキロワットアワーを出すというと、七十時間近く、恐らく関西電力においては三万数千キロを使つている。三、四千カ所やつているのですが、三、四千カ所の灌漑排水用の電気を一カ月に七十時間使つている。七十時間使うというような灌漑排水用の電気は殆んど私はないと思う。常識で考えましても、灌漑時期に、七月、八月の灌漑時期におきまして、一日に十八時間運転して二十日間運転したと仮定すると三百六十時間になる。それは普通なんですよ、三百六十時間、五百時間、七百時間というのは……、どういうモデル・ケースだ。今度の料金の上り方が、先ほどの御説明のように基本料金は上つたけれども、大体七割くらいしたというならまあ同じなんだ。料金でなくて関西電力のようなのは、今までは一キロワツトアワー当り二円くらいなのが、今度は割引はされたけれども二円四十銭になつている。それを七十時間で計算するか、三百六十時間くらいのいわゆる普通の時間で計算するのか、それじや根本的に変つて来るじやないか。それから七十時間でやれば今度のように上つても一〇五%しか上らないのが、これを三百五、六十時間にしますと約二割八分以上上つている。全国平均は先ほどお話があつたんですが、全国平均で一割一分くらいの上りようだというが、新聞で発表されたところによりますと、一般の電力は全国平均で一割二分五厘、殖えておる。そのうちの関西電力は一〇五・五%という値上率なんでございます。関西電力に限つて今申上げたように普通の灌漑排水用の時間で行くというと二割八分くらいになる。一般の率で五%くらいの値上りに対するのに、灌漑用だけは特に優遇したのだというのが二割八分も平均して上るというのは、これはどうしても農業側から私は納得ができない。而もこれは認可をしてしまつた。事務的に農林省は今まで数回に亘つて電力料金は現状で抑えてもらいたいというようなことを言うたが、最終の交渉が一体あつたのかなかつたのか、一方的にそういうことを通産省でおきめになつて、そうして二割八分も電力料金が上つてしまつたというのでは、それではこれから個々の場合で契約をして行くことになると思うが、併しそうなつたら私は大変な問題が出て来ると思う。どうしてこういうことになつたのか、その辺の経過をもう一遍お聞きしたいと思います。
  83. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 只今の御疑問の点、大変御尤もでございます。先ず最後の点でございますが、この点の御疑念を解きたいと思いますが、先ず関西の七十とありますのは、キロワツト当りに使います一カ月のキロワツトアワー、つまり量が七十キロワツトアワーという想定でございます。従つてそれを別の言葉で言いますると、七十時間使う。月に七十時間使うというのがこの七十。従つて五キロワツトの場合は三百五十キロワツトアワー、一千キロの場合は七万キロワツトアワーとなります。それから初めの点でございますが、これもなかなか御尤もな御質問でございまして、成るほど当初一割四分四厘のときに四割上るというような説もあり、それからその後たまたま北陸電力に対しての質問の際に一割二分程度という回答があり、その後更に連合会から今のような数字が出た。それでその通り経過を辿つております。これはどういうわけでそういうふうになつておるかと申しますと、大体一割四分の場合には五割内外上るというように、一応正確な数字は別といたしましても、そういう程度は感じが一応いたすわけであります。ところがこれは全国的に一つの傾向をまあつかんだ場合でありまして、個々のケースをとつてみますといろいろ違うわけです。従つて需用家のほうにおきましては、一応料金表で計算いたしますというと、相当に上る。一割四分と言いながら三割も五割も、或いは二倍にもなるというような声も非常に強く出まして、半面、率の小さいところは、そう大きな声にならんのは当然でございますが、従つてそういうふうな比較的上り方の大きいところであつて、いわゆる需用家の声として代表されるのもこれは一応止むを得ないと思います。それで北陸電力の場合は、そのときたまたま出ておりましたのが、社長か副社長かちよつと忘れましたけれどもとつさの質問に対して、まあ大体自分の感じではこの程度のものと思う。まあ一割二分という数字の根拠はどこか私は存じませんけれども、そういうようなケースも恐らくあると思うのです。又地区によつて上り方の大きいところと小さいところもあると思いますが、そういうことで自分のつかんでおるところを申上げたのじやないか。併し大局的に申しまして、あの場合三割から五割上るということは大体異論のなかつたところでございます。我々もそうも考えた、かたがた先ほどお話のように七割にも、二倍にもなるようなところもございまして、それでは困るということで、当初私どもが考えましたのは、少くとも今まで優遇はしておつたと言え、ほかの一般の値上り率に比べましてそれ以上に大幅に上るということは困る。だからいわゆる電気の、原価式という電力の料金の制度上の建前からだけ申しますというと、止むを得ないということになりますけれども、その点を多少考慮を加えまして、少くとも一般率以上にならないようにしようじやないかということで、ここまで随分無理をいたしまして下げて参つたわけでございます。それで一般の率というものを当時いろいろ数字が違つておりますが、最初に、今お話になりました一割四分四厘という数字は、これは少し話が込み入りますけれども、現在石炭条項というようなものがございまして、石炭の値下り分を、大口に対してでございますけれども、割引いたしております。従つて石炭の割引をしている分だけは電気事業者としては手取りが少くなるわけでございますが、その少い手取りのものと、それから新らしい料金による収入とを比べました場合に、二割四分四厘でなく、もう少し余計になるわけでございます。その現実の姿というものを見た場合には、一割七分一厘というのが一割四分四厘に対する実際の値上り率であつたわけでございます。それで通産省のほうで査定いたしましたときに、中間的に一割四分四厘を六分八厘まで下げるというふうな案が一時出たことがございました。それから更にそれを四分六厘にしたというようなことがございました。二段に分けまして査定をいたしたわけでございますが、六分八厘のときがたしか一般の、これは今のように石炭費のやつを考え合せまして実際の幅を見ますと、一割四、五分じやなかつたと思いますが、そういうふうなことになります。それから四分六厘の場合が一割一、二分というような数字になるわけでございます。ところが今度きまつておりますものは、年間に直しますというと四分六厘べースで査定をいたしました。ところが半期実施がずれましたために、来年上期までの原価査定する、そういたしますと、来年上期が更に又新らしい発電所ができますために、それが上がるという関係で四分六厘がそのまま行きませんで、五分九厘ぐらいまで上つたわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうことの結果、当初一割七分一厘というものが一割四、五分になり、更に一割二分になり、今度の場合におきましても全国平均では一割九分あまりということになつておるわけでございます。そういうふうに、だんだんに査定によりまして全体の平均の影響率というものが違つておりますが、そこで当初は先ず一般の程度で一割五、六分見当まで抑えられていいのじやないかということで、そういう案を作つてみたことがございます。それから更に全体の査定が下りましたので、今回におきましては、それを更に一割二、三分というところまで抑えたわけでございますが、その間いろんな各方面からの御要望もあり、殊に衆議院におきます決議もございまして、もう一層大幅に、とにかく何でもいいからむやみに下げようという強硬手段をとりまして、只今申しましたような数字に落着けたわけでございます。従つてこの数字が唐突として出たのではなくて、そういうふうな経緯をたどつてここまで、そうでたらめな数字でないということが第一におわかりになると思います。それからこの係数のとり方でございますけれども、今の時間数はおわかりになつたと思いますが、ここで例といたしまして、五キロワツトの契約の場合或いは百キロ、四百キロ、千キロという四種類のケースに分けまして、それで地区別に五キロワツト契約の場合にはどのくらい使うのが一番件数値として多いかというまあ平均的なものを一つのレートとしてとりまして出したわけでございます。従つてこの出ております百三とか四とかいう数字が、これがもう絶対の平均値だとは私思いませんけれども、これより或いは少し上廻る場合があるかも知れません。又相当下るのもあるかも知れませんが、大体この辺のところが一番大きな件数ではないかというところで抑えておりまして、今までのような、こういうふうな使い方をしますというと、大体こういうことになります。こういうふうな使い方をするということが従来の実績から言うと一番普通だというふうに考えておりますから、この一〇三とか一〇五とかいうような数字が、今後の実績におきまして、この前の場合と同じように非常に大きくこれが変動するということはないのであります。勿論個々の場合に何か特殊の事情がある場合にはそれはあると思いますけれども、そういうことは別にいたしまして、この大数的な数字というものは今度は私どもは自信を持つて言えます。過去におきまして全体がそういう三十倍のときには五十倍になつたというような例は或いはあるかも知れませんけれども、これは過去におきまして使つておりましたその実績というものがどういうような査定であり、それからその後現在使つている使い方はどういうものであるかというような動き方によりまして、一般平均と違つた恰好になるところがあるわけであります。これは過去の実績が古ければ古いほど、そういうような開きが大きくなるわけでありますが、今日までは大体昭和三十六年頃の実績をとりまして、それをベースにして実際の割当てなどを算定いたしておるわけでありますが、今回はベースを二十七年と八年とこの二カ年、最近の二カ年に引寄せられておりまして、その結果実績上も無理のない基準数字が出ます。又全体的に言つていろいろなケースを考え合せて大体間違いなかろうというようなところできめたレートでございますので、今回のレートというものは若干の幅はあるかも知れませんけれども、大局的には大した誤まりがないのじやないか、こういうふうに考える次第であります。それから第二点の出力の開発につきましては、これはもう私どもとしてもできるだけ尊重しなければならんと思います。又農林省としても、立場上最後まで、若干上つても困るという事情は御尤もでありますけれども、一方我々の立場を申さして頂きますというと、電気料金はこれはいろいろなことで、差当つては一応値上するという恰好になつておりますけれども、結局原価が或る程度出力開発の進捗に伴つて上るということは否定できない現状でございます。そうなりますと、それを今回抑えまして、更に将来の値上りを抑えますためには相当大幅な減税その他の措置を行わなければならん。それができなければ、それを税金関係の将来負担軽減の見込のあるようなケースを除きました発電原価というものは、これは当然上るのであります。そういうような傾向にある場合に、或るものだけは飽くまで、いつまでも据置くということになりますと、一般のものとの開きがますます大きくなりまして、まあ逆に言えば、極端に言えば一と十というような、ゼロとXというような違いになると、これはちよつと料金とも言えないような形になりますし、先ほどもちよつと申上げましたように、やはり出力開発の全般的な負担増というものは、如何なる事情におきましても或る程度はこれは負担して頂くのが至当ではないか、こういう考え方からいたしまして、いわゆる一般の個別原価という原則には停りますが、できるだけ大幅な値引きはいたしますが、まあ若干のそこで値上りというものが出て来ても、これは一つ辛抱して頂けるのじやないか、私ども立場としてはこういうふうに考えざるを得なかつたのであります。
  84. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 いろいろ御説明がありましたが、私先ほど申しましたように、若干の値上りならば個人的には止むを得ないじやないかというような発表をせられて、全国平均で三%だというようなことを出しておられるけれども、そうして今、局長説明では、関西電力では一カ月に七十時間が数千カ所のモデル・ケースだ、そういうことはこの農業をお知りにならんかたの言うことだ。数千カ所の灌漑排水用のポンプが、二毛作をやつているところでも三昼夜一カ月に運転しないというようなポンプは恐らく私はないと思う。そんな前提でやつておるからこういう間違いが出て来る。北海道の実績というのは百キロのやつは五百十時間、これは大体そんなふうに使つておるのがあると思つております。五百十時間で平均して考えても三百六十時間ぐらいは当然使つておるのです。今度の値上の標準が電力料金のほうが冬料金と夏料金と一本にしたから非常に上つておる。関西電力の電力料金は四割くらい割引になつたけれどもつておるのです。それで以て一キロワツト時には七十時間であるのか、三百六十時間であるのかでは非常な違いが出て来るから、こういう問題が出て来るのです。だから非常に努力はして優遇はしておるというけれども、先ほど申したように三百五、六十時間使つておるところの実例から言うと、二十一年から五十倍にもなつておる。一般の値上率の約三十倍になるのが五十倍に実績でなつておる。本当に大部分がそうですよ。若し局長の言われるように、関西電力は七十時間数千カ所みんなそうなつておるということなら、これはもう黙つていてもよいと思うのですが、恐らく二割七、八分みな上つておると思う、一般のほうは……。関西電力は五五%くらい、灌漑排水用だけが三割八分も上つたということになれば、これはもう百姓一揆が起ると思う。今度は大体五キロが五%上る。それから千キロのやつは一%上つておる。この範囲ならばよいというお見込なら、これ以上になるようなことだつたら決算したときにバツク・ペーしてもらうというようなことがないと、これは問題になる。又来年普通の二割上る、三割上るというときに、灌漑排水用以上の問題が非常に問題になる。実績なつたら恐らく私は二割以上の実績になると思う。そこで七十時間というのは一体どういうところから出して来たのか、それをお伺いしたいと思います。
  85. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) これはその地区におきまして例えば五キロワツト契約をしておる。それを何カ月でやるか、一年の場合もあろうし、六カ月の場合もあろうが、その契約の例えば半年の場合には半年間の全体の使用時間というものを六で割つたというのが七十時間、百四十時間という数字でございます。従つてその場合に一番余計使うときが二、三カ月あとの一カ月は使うことは使うが、そう使わないというふうに出しましたから、使用のピークにおいてはこれがもつと殖えるということは当然言えると思います。そういうような趣旨で選択しましたので、私どものあれの選択には間違いがあるかも知れませんが、併し別に考えました場合に、こういうふうに例えば七十時間使つた場合には従来と比べてどうなるかという想定をいたしております。それが殖えたから、それでは値上り率が大きくなるかというような性質のものではありませんので、やはり過去の実績をそれから今度使う使い方と、この二つがからみ合いまして実際の支払料金が出ますので、一応値上り率を算定するときには過去に幾ら使つた、それと同じだけ使えばどうなるかということが考えられます。若しそういうように過去と同じようなものを使えば、七十時間の場合にはこうなる、それが或いは殖える、或いは減つたという場合におきましては、それぞれ過去の実績がございますが、それに対しまして同じような時間を便つた場合には率というものは若干変つて来ると思います。その代り幅というものが先ほど申した通りそう大きなものではない。それは先ほどの値引率で申上げたように、需要料金においても電力料金においても三割くらい引いておる。又アワー料金に対しては三割から六割、平均五割くらい引いておるというような、大体三分の一乃至二分の一くらいになるというような割引の仕方でありますから、それだけ割引してなお且つそれが五割から上るということはこれは当然考えられません。つまり全体の率というものが、例えば関西においては百を幾らも超えないということになる。ほかの所でも一番大きい所で年間としましても一割六、七分でありますから、それに対しましてこれだけ値引をして、更にこれが三割くらい上がるということは、先ず常識的にも考えなければならんと用いますが、併しながら、個々のケースにはいろいろあると思います。ただ少くとも大数的に換算いたしました場合に、ここに出ておりますような、パーセンテイジが非常に大幅に違うというようなことは、先ずないというふうに我々としては実は確信を持つております。
  86. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 御説明承わりましたが、どうも納得が行かないですから、一度私は資料を要求したいと思います。この七十時間のモデル・ケースだと言いますが、一方は五百十時間なんていうのがあるのです。常識的に考えても、ああいう三百五、六十時間も使つている。それが排水カ所は一律に関西は七十時間だということは、一体どういう抽出調査をなさつたか。それは七十時間あればこの通りだと言うけれども、そういうものは実際に比べると、私は少いと思います。農林省は、一体大和田さんが、それは専門にするものじやないけれども、ポンプは、夏旱魃の時でもポンプを使つて三昼夜つければいいのだ、そんなポンプが日本中にあるのかどうか、こういう表で納得なさるのかどうか、その点もう一遍お伺いしておきたい。もつと普通にある場合があると思います。私がさつき申上げたように、普通に使つているのは、十八時間一日に使つて二十日間やれば三百六十時間というふうになるのです。三十日やれば五百四十時間というようなことで、その程度が普通なんだ。普通の場合で行けば、それは二割八分ぐらいの値上率になつてしまう。これは農林省が、若しその農業上のほうの観点からポンプの使用時間を最少は五十時間、百時間、二百時間、三百時間、五百時間というふうに切つて、五キロ、百キロ、四百キロ、千キロとやつた場合に、一体平均はどうなるのか、で、そのうちでどの部分が大部分だというような資料も作つて頂きたいわけです。農業の実際に合うようなものを出して、こういうふうになるのだということにならないと、私は農民は納得しないと思う。それについて農林省のお考えを承わりたい。なおもう一点、先ほど大和田さんのお話の、できるだけ近い機会に改訂をするように通産省とも交渉したいというふうなお話であります。それからこの電力料金の改訂の基本要綱では、四月以後は電力会社側の企業努力、税及び金利負担の軽減等の措置によつて再検討をするということになつていますが、税を減らすとか、金利を減らして、そうして料金を又抑えるのだというようなことは、これはその通りできる、だから今は止むを得ないからそのままにしておけというように、この灌漑排水をやつている人たちにそういうことを言つて納得してもらうことができるのかどうか、その点両方からお伺いしたいと思います。
  87. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私先ほどの灌漑排水電力料金が三%乃至五%と申上げましたのは、通産省の資料を、まあ七十時間ということでおはじきになつておりますけれども、私のほうで試算をいたしましたのは、もう少し時間数を殖やしましてあるのでございますが、それによりますと、平均五%ぐらいになるようでございます。これはまだ正確なデーターとしてお示しいたすほど準備はいたしておりません。御指摘になりました資料は、できるだけ早く作りますけれども、その際通産省の資料によりますと三%で、基準の時間を、使用時間をもう少し長くいたしまして試算をいたしますと、平均五%ぐらいになるわけでございますけれども、その際でも、御指摘のように関西電力についてはかなりの値上になるわけでございます。それからまあできるだけ早い機会に農業用電力の料金の改訂について通産省と折衝いたしますということを先ほど申上げましたけれども只今通産省といたしましては認可いたしたばかりでございますので、すぐにそれに応ずるということにはまだなつておらないわけでございます。
  88. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 来年の四月までに、税制その他の措置によつて更にその後の値上りを防止するということは条件になつておりますが、これは今後の折衝問題にかかります。それでどの程度これが実現するか、これからの問題でございますが、仮にそれが或る程度実現いたしました場合に、一律に現在の料金表をそれに応じて下げるということがいいのか、それとも今の料金表そのものを検討いたしまして、少し高過ぎるところへそれを埋めて行くというふうにすべきか、恐らくまああとの方法をとるべきだと、つまり現在の料金表の修正という意味で、今度改めて出直しをするのが適当じやないだろうかと思うのであります。その場合におきまして、一番私どもが今気になつておりますのは電燈でございますが、電燈はほかのものに比べて夏冬の料金差が一番大きい。それが冬料金のまま料金が夏もとられるということになりますと、非常に大幅な影響になりますので、先ず電燈というものを先にもう少し下げるようにしなきやならん、そういう感じもあるわけでございますが、その際にその他のもののいろいろな事情もございましよう。又こういう灌漑排水につきましてもどうするかという問題でございますが、ほかのものと考えました場合には、ほかのものがうんと下るということになれば勿論灌漑排水も下りますけれども、ほんの少しばかりの程度だということになりますと、今のような方向にその財源を向けまして、ここまでなかなか持つて来れないのじやないかという感じがいたします。併し私どもは一応こういうふうな見通しの下に、灌漑排水用電力料金というものを作つておりますが、それが前提なり何なりが非常に誤まつた、そのために結果においては我我の予想通りにならない、つまり制度上に欠陥があるのだということになりますれば、それを許します範囲においてその字句を修正するということもいたさなければならないと思います。結局四月以降の問題は、それ以後のどの程度までできるかという問題で、又それぞれの面の実情に応じまして、今の料金制度をできるだけ公正になるように調整する、こういうことになると思います。
  89. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 大和田さんの御説明で、全国平均が、農林省のほうで算定せられたところ全国平均が五%くらい値上りになるだろう、そこが又非常に私間違いの元だと思います。通産省では三%値上り、それからまあこの程度ならばいいだろうというように一般的に考えられている。農林省のほうでやると少し値上りなんだが、五%程度だろうということになると、それでもいいじやないかというように考えられるのは、そういう考え方が私間違つていると思います。算術平均するとそうなるのです。ところがそれはなぜそうなるかというと、先ほど私が申しましたように、非常に普遍的に使つているようなのは関西電力で、私もよく勘定したのでは百キロの電力の勘定で、五百時間使う場合、それは二割八分値上になるのであります。千キロの場合で五百時間使う場合には、関西電力で八%の値上になるのであります。ほかのほうも勘定してありますが、そういうのを関西電力、それから東北、北海道、北陸というようなのを全部算術平均すると五%くらいになる場合も出て来るのだが、関西電力で百キロ使つて五百時間使つた人は現在よりか二割八分、現実に契約すると上つてしまうのです。そういう例が非常にたくさん私は出て来るから、先ほどから申上げているのです。それで四月以後になつてつてみたら大分上つているやつは又考え直すというような……、三十万馬力のうちで、もうすでに二毛作をやらなきやいけないやつは十万馬力もある。そして今灌漑排水用の電力は皆夏料金でやつているから、こういうものをやると、結局もう契約し直して二毛作をやるのは、電力料金は北陸、中国、関西というようなところへ行くと二割八分上るような場合が出て来る。若しできれば、それは関西電力では五・五%が一般の値上り率だということを言つておられるならば、それを最高くらいに考えて、それ以上になるものはこれで抑えるのだというような、運用部面か何かとして、両省で協議をせられて、この規則の運用をきめて頂くと、明日に迫つている二毛作なんかをやる人に、二毛作をやれやれといつておりながら電力料金は二割八分上つてしまつたのだというのでは、何を政府はやつているのだということになる。この点については五・五%しか関西電力は上らんからといつて、それは止むを得ないのだ、それよりも優遇しているのは二割八分上るということはどうしてもおかしい。だから最高は五・五%で頭打ちにするのだということなら、まあ止むを得ないのじやないかという場合もあると思います。そういう取扱いについて中島さん何かお考えが……、来年まで止むを得ないのだということじやどうも納得することができない。
  90. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 率が需用家によつて非常に違つて来るということ、例えば二割八分というような値上りを昨日と同じような電力を使つても見たというような事情が仮に出て来た場合において、それだけをつかまえてどうするということがいいか悪いか、これは別問題でありますが、このレートをきめました場合には、要するに全体的にいつて全国平均的な程度の値上りしかないという考え方で私たち電力料金の収入を予想しているわけであります。従つてその中で非常に高いやつもあれば低いやつもある。併し平均はせいぜいこの程度で収まるというのが狙いでございますので、仮に一割よりも二割というのが我々の予想よりも余計出て、それが而も多数であつたという場合におきましては、収入が電力会社としては非常に殖える。こういうことであります。従つてどもが初めに見通していたことが非常に悪く間違いであつたためにそういうようなことになりますから、若しそういうふうなことがありました場合には、これはやつぱり制度上扱いを考え直すということもこれは必要であろうかと思います。たまたま一つ二つ個別なものが出て来たけれども、実際大体そんなことは初めの狙いがどうであつたという場合におきましては、これは特殊事情で、過去において安く使い過ぎておつたというような恰好にもなりますので、それまで一々修正はできませんけれども、大勢といたしまして非常に当初の見込み違いになつておるというような場合におきましては、これはその場合におきましてとるべき手段は残されておると思います。
  91. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 余り申上げませんが、それは中島さんの今の御説明ですけれども、大抵のものは二割八分上るので、五%しか上らんというようなものは一つか二つしか私はないと思う。そこをお考え直しにならんと、いつまでいうてもこれはきりがつかんと思う。そういうことでどうしても話がつかないならば、関西電力数千カ所のうちで七十時間を使つているのはどことどこの地区なんだということをお示し願つたほうが早い。大部分三百何十時間使つている。そうしてこれは契約すれば二割から二割八分上つてしまうということは、私は常識で考えたつてそうだと思います。これを見ると一律に一〇五%になつている、成るほど時間を四十時間にしたり七十時間にしたりしている、計算があとから見ますと……。みんな一〇五%にするのに中部は四十時間になつている。四十時間の運転をするのが数千カ所皆同じだということは私は常識でもそんなことは考えられない。もう少し農業のほうのことを考えて頂きたい。非常に努力しておられるということは、それは多とするところなんですけれども農林省は現在の料金でやつて行くという申入をしているところへ、こういうのをきめてしまつて、四十時間が全国平均だ、そういうようなことは農林省と一体お打合せになつたのかどうか。農林省ではそれでいいと引下つていられるのかどうかという点なんです。これは是非とももう一遍御検討になつて頂きたい。それは先ほど私申したようにもつと時間的にカーブを作つてみたらどうです。五十時間、百時間、二百時間、三百時間、五百時間というふうなものにしてカーブを作つてみたら、どこが最大公約数になるのだということが一遍でわかる。そういうことをされずに、こういうもので世間をごまかして、一〇五%でこれでいいのだということでは百姓一揆が起る。それを御承知でこのままやつて行かれるつもりかどうか。私はもう一遍運営の方法について、どういうふうにお考えになつているかお伺いしておきたいと思う。
  92. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 私はモデル・ケースとしてこういうようなものをつかんだのだということを申しましたが、大体地区別に五キロワットの場合はどの程度違うというようなことを、これは電気事業者で大体過去について直ぐ出せますので、それの一番多いところをつかまえまして、これをとつたわけであります。若しその計算の根拠が間違つているということであれば、もともと間違いを前提としてきめたものでありますから、何らかの方法をとらなければなりませんが、我々少くとも現在まではそう間違つた数字ではないと思つておりますけれども、若し今後又調査をいたしまして非常な誤まりがあれば、そのときに又訂正いたしたいと考えます。
  93. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は電気のことにつきましてはずぶの素人でありますから、この改訂料金率だけ見たのでは何が何だかわからないわけです。先に溝口委員から資料を要求されましたが、併せまして、私はその資料には旧料率によつて幾ら幾らである、新料率では幾ら幾らである。そうして値上りは何パーセントになつているかというような、素人にもわかるような資料にして頂きたいと思います。次に、私がお聞きしたいのは、農村で使う電気は、まあ自分のうちの電灯は別でございますが、脱穀調製用にいたしましても、或いは灌漑排水にいたしましても、夏の豊水期の時期に使つているわけなんです。従つて今日まで農村用の電気は非常に格安であつた。ところが今回は冬季の渇水時に使うところの諸雑費の計算に電気料金を入れて、そうして夏使つたものでも何でも一料率として値上をする、こういうお話を聞いておりますけれども、これは農民として甚だ納得できないところであります。夏の豊水期の時代に、電気が余つている時代に我々農民は使つているのです。然るにかかわらず冬の渇水時の、使わないその料金を農民に押付けるということは甚だ解せないところでありまして、通産省としてはどういうふうにお考えになつておりますか、又この問題についてどういうふうな承認を与えたのか、私はお開きしたいのであります。
  94. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) おつしやる通りに、大体農事用電力は豊水期に使う。そこで従来もそういう趣旨で割引をいたしておりましたが、今回はその幅を非常に大きくしたわけであります。先ほど申しましたが、電力料金というのはそれぞれの需用に対しまして供給するための原価がどうなるかという、いわゆる個別原価主義をとりますから、そこで政策的に値引きをするということは、この原則から言いますと悖るわけでございますが、特に農事用を考えます場合には、特に豊水期に使うという点に着目いたしまして値引きするわけであります。それから従来と違いまして、今度のような大幅の値引きをいたします場合には、単に豊水期電力の値引きという一応筋の通つた原価主義というものは相当崩れてしまつて、この点は我々としては非常に残念でございますが、その程度まで踏切つておりますが、そうやつてレートを作りますが、その際にこれは冬料金でありまして、夏に対しましてもそれをやるのは何だというお話でありますが、農事用電力に対しましては冬料金を定めて、冬料金が上らないからというて納まつているのは、これは全然無意味であります。これに対しましては年間の話をいたしているのでありまして、つまり来年の夏まで現行のままで行きました場合に、その影響はどうなるかという年間のベースを考えまして、それの全体の値上り率というものと、それから農事用の関係がどうなるか、この両方を比べておるわけであります。それを両方比べますというと、灌漑用にいたしましても、或いは脱穀調製にいたしましても、いずれも一般率よりは低いということになつておりますから、特に冬をつかまえて夏に使う農事用にその負担をかけたということは決してないだろうと思います。
  95. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 先ほど肥料用電力のことにつきまして、これは不需用時の電力だから、これは従来聞いておるのは、例えば特種な専用電力であるというようなものは個々に折衝されてきめておられるように承わつておるのですが、今度もそういう方式でおやりになるのじやないかというような気がするのでありますが、それの一番安い電力というものは一体どのくらいになつているのか、承わりたいのはそれが一点。それからもう一つの点は、農事用電力、こういうお話で今まで来て、そのうちで、又もう一つは灌漑排水用、こういう枠で以てお話になつておる、私どももう少しそういうような、例えば肥料用電力が個々の折衝で行けるというようなケースまでおろしておいでになるならば、農事用電力ももう少し個々のケースまでおろすべきじやないか。と申しますことは、灌漑排水と、こうおつしやるけれども、灌漑用の電力と排水用の電力とはまるつきり性質が違つておるのです。排水用電力と申上げれば、大体夏でもまあ四、五十ミリ以上の雨の降つたときでなければ決して排水用電力というものは必要でないのです。そうしますと、恐らく水力事情としては非常な豊水期ということですね。それがフルに発電所が動いておるというときなんです。私は農事用だから灌漑排水一本でいいという考え方はまだ勉強が足りないのじやないか。逆を申上げれば、排水用の電力というものは施設コストに対して、例えば送電線とか何とかというものに対して、これだけの電力料金でいいんじやないかというぐらいにさえ私どもは考えております。そういう点が灌漑排水用一本で以て考えられているというところに、非常に私ども何かまだ農事用電力に対して御勉強が足りないのじやないかという気が多分にされるのですが、これはお調べになつて頂けばよいわけです。どこでも、極端な場合でも三十ミリ以下ぐらいの雨では排水用電力は使われたためしがございません。その問題が一点。それから私そういうふうに深く入つて頂くことは今日も当然必要な時代なんです。それでもう少し電力料金というものに対して、先ほどは非常に御勉強して頂いたということを極力おつしやつているので、その御努力は私どもにはよくわかりますけれども、電力料金の体制が崩れるというようなお話があつたので……、元来電力料金というものはこういう形態で行くべきだという一つの方式がなければいけない。その方式というものは、今申上げたように電力需用の関係がこれは非常にむずかしいのじやないかと思います。そのむずかしい線から割出して来た一つの方式ならば、これは或る程度納得しなければならん。これは御存じのように米価というものは釘付けになつておる。だからこの釘付けになつておる米価から割出して電力料金がどうこうというのはこれは筋違いじやないか、これはもつと大きな政治問題だと思う。けれども、折角そこまで行かれた考え方が灌漑排水一本で考えられているというところに私は大きな矛盾がある。これは排水用電力の総量を申上げれば恐らく相当大きな、例えば昭和電工の川崎工場というようなところは電力量よりもつと大きくなるはずだと思うのです。そういう大きなグロスを、そういう大きな量を灌漑排水というもの一本で以て簡単に考えられておるところに私ども又割切れないところがある。それからそういうことから考えますというと、私先ほどのお話にあつた石炭料金です。石炭会社に対する電力料金の値引率も実は承わりたい。これは逆を申上げれば、石炭山に送る料金なんというものはこれは闇料金なんです、はつきり申上げて……。こんな闇料金をやつて、この闇料金のマイナスを一般の電力料金に振当てるなんということは、これはよほど考えなければならん。なぜかというと、石炭に非常な安い率をかけるということは、火力との関係がなければよいのです。火力との関係があるのではないかと私は思うのです。当然これは政策としてなければならん。そうすると、こういう政策問題が絡んで行つたというときには、これはよほど私は究明しなければならん問題が残つておるんじやないか。そういう闇料金というようなものを、私は悪い言葉で申上げている、これは一種の闇料金だと私は申上げる。なぜかというと、石炭もこれは一つの企業体なんです。電力も一つの企業体なんです。これは国営じやないんです、両方共……。そういう企業体同士の関係において特に安くするということは、これはよく考えなければならん問題である。そういうことをこういうふうに考えて参りますというと、電力料金のデイスカツシヨンというものはよく筋を通して、そうしてはつきり説明して頂かんことには私は納得せんじやないか。で、先ほどから承わつておりますというと、折衝というお言葉を盛んに使つておられる。その折衝という意味は、これは通産省としては農林省との折衝の問題かも知れない。それが折衝がつけば認可する、こういうお話なのか、これは折衝の問題だということは、電力会社と需用者との折衝のお話であるか。そういつた場合に納得が行かんければ、折衝が成立たなければ、これはしようがないんだとなれば、これは折衝じやないのです。はつきり申上げて折衝ということは納得が行かなければ成立たないということなんで、これは別な機関に諮つて何とかするというときに初めて折衝という言葉があるので、電気料金が決定してしまつたということを聞かなければ、このままで線を切つてしまうんだということであれば折衝じやないと思うのですが、私そういうふうに解釈するのですが、この折衝が成立つまでは暫定方式で以て送電されるおつもりか、又電線を切つてしまわれるおつもりか、恐らく農村としては相当問題のあるところはかなり強固だと思うのです。そこらの問題も実は承わつておきたいと思うのです。私のお尋ねは取りあえずそれだけ……。
  96. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 最初の点でございますが、灌漑排水、これは用途が違うことはまさにその通りであります。ただ私ども承知しておりますのでは、排水用の電力と申しましても、地区によりましては年百年中湿地排水というものでやつておらなければならんところがあります。そういうところほど灌漑排水の電力の影響につきましてはやかましいわけでありますが、従つて我々初めは、これはすべて季節的な問題くらいに考えておりましたけれども、そういうふうにむしろ排水につきましては常時使うというこが、量としても多いということがございまして一括してやつたのです。(「もう少し大きな声でやつてもらいたい。聞こえない、こつちは」と呼ぶ者あり)それで若し今のように、お話通りに灌漑用と排水用と区別したほうがよろしいというようなことであれば、これは又今後研究の結果、そういうようなことも考えられると思いますが、現在のところそういうような考え方で一括しております。それから石炭の関係でございますが、これは石炭鉱業に対しまして割引しているというのではなくて、電力会社が使つております石炭が一般の市場の市価の値下りによつてつておる、そういう場合には電力料金をそれだけ割引する、これは計算の方式がございますから……。それから又逆に上つた場合にはそれだけ上るという条件が現在の料金規定の中にあります。そういうのが今度の新らしい制度では割引、割増制度をやめるということでございまして、石炭業者に対してだけ何か特別な措置をとつているということではないのであります。それから折衝という言葉を私は農事用については申上げなかつたと思いますが、先ほど申上げましたのは、恐らく特約料金について今折衝中である、これは特約料金は先ず電力会社と需用家との間で電気をどういうふうな使い方をするということを協定をいたしまして、そこで子の使い方に即した電力料金が出るわけでございます。その折衝をいたしておりますが、その折衝の基本となることは、全体的にこの電気についてはこういう種類の電気料金は幾ら、それからこういうものは幾ら、例えば常時、特殊と、或いは期間常時というような種別によつて電気料金がきまつて来るわけでございます。その枠をはみ出すことはございませんが、それではいつどれだけどの電気を何時間使うと、こういうようなロード・カーブの協定をするわけであります。これは我々のほうで一つの型を示すわけにも行きませんから、仮に工場なら工場の実際の稼動に適したような形において作る。それによつて電力会社は契約をするわけでございますが、工場としてはできるだけ自分の都合のいいようにロード・カーブを書きたい。ところが電気会社のほうから言いますと、全般的な需用に応えなければなりませんので、やはりそれに応じ得る限度がございます。その限度の枠内で両者折衝をいたしまして、こういう使い方をするということがきまりました場合に、それで契約ができるわけでございますが、併しこれも一般の料金表によらないものでございますから、これを実施する場合には通産省のほうで認可することになつております。認可する場合にはそういう使い方が適当であるかどうか、又電気事業者に対しましても、そういうような需用があるのかどうかということを十分に審査をいたしまして、全般的に差支えないときに認可するということになつておりますので、特約において折衝しても、最終的には認可になる。それ以外のものにつきましては、折衝ということはむしろ我々と例えば大蔵省との間に税金に関しまして軽減措置についての折衝をするというようなことはございますが、この料金制度そのものの適用につきまして特に折衝ということはなくて、ただ我々としましては、このきまりました制度が実施されます過程を十分見まして、それで非常な無理があれば更に又今後の改訂に備えると、こういうような意味で監査をいたしますけれども、その間の折衡ということは、この料金の制度の適用ということで言えばきまつたもので実施をすると、こういうことになると思います。
  97. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今お話を承われば、折衝ということは例えば需用者のほうのロード・カーブだとか、そういうふうなものをまあいろいろ御研究になる、そういうような実は余地があるということなんですね、それで私が先ほど申上げたことは、ちよつと局長の何か御答弁が、これは私は本当を言うと専門家なんですよ。灌漑排水は局長よりは大分私のほうが詳しいのです。で、灌漑排水の量的なものから申上げますというと、今、局長は常時排水する電力というもののほうが大分多いような御説明だつたが、丁度これは逆なんでございます。これは何と言つても排水用の電力というのは、御存じのように少くとも大口が数少くある、小口であるのは今お話のように常時排水されておるものにあるんだ、量的に申上げれば排水というのはその常時使われていないものにあるのです。従つて私がさつき申上げたような問題が、根本的な問題が一つそこへ残つておるのです。これはさつきロード・カーブに、よつて電気の供給面に支障があるかないかというようなものでさえも、折衡によつて電気会社のほうは料金を特別料金をおきめになつておられるのです。ところがその折衝の余地のないところの、もつと簡単にわかつている常識的に豊水期だけしか使わないというその排水電力を灌漑排水という一括した項目で、折衝の糸口にも入らないようなところで以て一括してやつておいでになるということに対しては、これは非常に不親切じやないかとということなんです、私どもが申上げるのは……。だからこういう問題に対して、まかり間違えばロード・カーブで以て電気会社が困るかも知れんというようなものさえ折衝して安くしておいでになるのに、もつと簡単に、そんなことは絶対にないというようなものに対して折衝の余地はございませんかということを私は申上げる、こういうことなんでございますがね。
  98. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) その点は、例えば特殊電力を例にとつて申しますが、これが一番安い電気でございます。若しお話通りに水が出たときにこれは排水すればいいんだ、だからたまたま特殊の出る時期と、それから排水しなければならん時期とマッチするということであれば、その排水用の電力については特殊の契約をすればそれでいいわけなんです。つまり特殊電力が出たとき、電力会社に都合のいい水が出たときだけ、それが排水しなければならん時期にぴつたり合えば差支えない、但しこれにはやはり専用線がどうとか、電圧がどうだとか、そういつたような問題がありますが、そういつたような技術的な条件さえ具備いたしておりますれば、そういう特殊契約の電力ができないことはないと思います。そういうケースは比較的少いのじやないかと思いますが、そういつたような条件が満足される場合には、灌漑排水についてこういう料金制度であるけれども、そういう特殊契約を排除することはないと思います。
  99. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 排除することはないというようなお話なんですが、折衝によつて……、通産省のほうはこれは通産省直接折衝するのじやないのです。恐らく折衝ということになると電力会社に折衝になる、そのときに通産省はこの折衝はやらなければいけんのだということを押して頂けますか。
  100. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) これは特殊の契約をできる条件さえ満しておれば、勿論その場合応援いたします。
  101. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 応援をする……。
  102. 松浦定義

    松浦定義君 ちよつと私根本的な問題でお聞きしたいのですが、今度の電力料金の値上は国民生活に相当影響すると私は思うのです。従つて二十九年度の予算編成のときには、政府は恐らくこういうことはしないだろう、又いずれそういうことを、やるとすれば、必ず一兆円予算は崩れるのだというふうに随分私どももその当時は申上げたのですが、その後政府はやはりあらゆる面で、特にまあ鉄道運賃或いはその他そうした公共性を持つたものについては随分遠慮なしに上げておるわけなんですが、そういう一般的なものについてもその通りでありますが、特に今度の電気料金は農業用については今御指摘になつておるように相当影響力がある。従つて今度の値上によつて旧の料金とどのくらいの差があるか、それを一つお話願いたいのです。
  103. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 先ほど申上げました通り、下期は現行の料金ベースを据置くということになつておりますが、併し個別に見ますと、各社別の原価の相違がある、その問の電気料金差を調整しておりますので地区別によつて違います。仮に来年の上期まで現行通りといたしまして、年間の延べをとりますと、全体的に見まして一割一分余り現状に比べて上がる、こういうことになつております。
  104. 松浦定義

    松浦定義君 金額によつてそれをちよつとお示しになることはできませんか、大体の見当は……。
  105. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 年間の総括原価が大体二千億ちよつと出ておりますが、それから現在のままの料金で行きますというと千八百億余り、つまり二百億足らずのものが現状の収入では不足だ、それを上げなければならんということになりますから、新らしい料金制度は二千億の原価に合せまして年間はじいております。大体二百億足らずであると思います。
  106. 松浦定義

    松浦定義君 そしてその農業関係はどのくらいになつておりますか。
  107. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 農事関係のものだけとつて実はそれを計算しておりませんから、全体の負担度というものはちよつと今のところわかりかねます。
  108. 松浦定義

    松浦定義君 そこで二百億といえば、まあえらい簡単に言われますけれども、恐らく現在いろいろ農業災害か、その他の問題で二百億というような予算を計上するような問題になりましたら、それはなかなか簡単に国会においても承認ができないようなものだと思うのですが、そうしたものを全然政府のほうでは承認をされてしまうというようなことになりますと、それについて相当影響力はあるということは先ほど申上げた通りだと思いますが、特に私はこのことによつて農機具とか、或いは肥料等が相当値上りをするだろう、それで一割一分の値上によつて農機具や肥料等に及ぼす影響というものは、大体の見通しとしては、来年度のあれになると思うのですけれども、予算は立てておられますか、どうですか。
  109. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) これは的確であるかどうかはわかりませんが、肥料に関しましては、先ほど申しましたように、少くとも平均率以上にならないように、その範囲内でできるだけさような特約の交渉をいたしております。それから農機具関係、これは恐らく小口電力になると思いますが、大体平均的に申しますと一割ぐらいかと思います。仮に一割上つたといたしまして、農機具製造用の電力というものは、それの何%に当りますか、恐らくは五、六%程度じやないかと思いますが、電力料金が農機具の製品に対しまして与える影響というものは極く軽微なものじやないか、従つて我々全体的に考えまして、中には非常に大きく響くところがございますが、一般的には今回の料金改訂というものが、各種の製品が値上けしなければならんほど大きく響くことはなかろう、こういうふうな見通しをつけております。
  110. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 先ほどの質問に関連して資料を要求したいのですが、あとでもいいですよ。実は今度の料金改訂の数字だけはここに頂いておる。私どもはこの数字はどういう根拠によつてはじいたかというその算定方式ですね、その算定方式は恐らくおありになると思うのですが、その算定方式の元になるところのものをやはり添えて頂きたいのです。例えば電力カーブは年間通じてこうなつている、それから火力をここへ挿んで幾ら何する、そうして、まあこのカーブはあるのですが、よくそこらの専門雑誌なんか見ますと、しよつちゆう出て来ますが、あのカーブでも結構です。そうしますというと、今申上げたような個々のケースというものがどういうふうに当嵌つておるかということが一見してわかるわけなんです。そうしますというと、私ども先ほど申しましたように、ケースによつては電力の料金というものはちつとも関係ないようなケースで電力を使つておるというものが農事用にはあるのです。例えばそこらの湿地帯にあるところの二千馬力というような排水機は、これはもうふだんはそんなものを運転することは絶対にないのです。これは一年に恐らく十日ぐらいしか運転しないと思う。そういうものを運転するときには恐らくとんでもない高いカーブのとききりしか運転しておりません。こんなものは実際只みたいな料金で社会奉仕にやつて頂いても差支えないものなんです。それが今日まで細かくデイスカツシヨンされていないものだから、だから農事用電力問題といつて一括して問題がうるさくなつている、そういうものを個々のケースを考えて頂ければ、これは農事用電力問題というものはもう少し緩和されるのです。そこでそういうような資料ですね、電力の年間通じての大体の傾向というものはわかつているのだから、そういう資料を添えてお願いしたい。それから又先ほど溝口さんの御質問があつたのだが、これなどもこれはどういう算出基礎か、皆さんのほうの基礎さえ私のほうで拝見すれば、皆さんのほうの誤謬というものはそこで以てはつきり私どもはこれは違つているのだということは御想談できるのです。資料のないところで以て大つかみな話をしているもんだから、いつまで議論しておつても駄目なんで、そういつた一つ算出基礎というか、そういうものの資料を、少くとも今日ここで議論になりましたようなものは資料で以て解明されるというような御資料をお願いしたい、これは料金はこれでは駄目なんです、はつきり言うと……。料金は参考資料として出して頂きたい。算出の根拠です。それを一つお出し頂きたい、これだけお願いしておきます、
  111. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 只今の資料はできるだけ作りたいと思いますが、ただ例えばこの料金のベースになるような原価の内訳とか、それから需給計画とかいうようなものはございます。ところが今のカーブでございますけれども、これはどうもやはり各社別に、或いは時期別に、或いは場合によつては地区別にというふうに非常に細かいことになりますので、これを資料として皆さんにお配りいたすほどのものを作るということはちよつと大変でございますので、この点はちよつと別に考えさして頂きたいと思います。
  112. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私の今申上げたことは、まあ一例をとれば排水の問題だけでいいです。そうすると、この排水の問題における豊水時の使用ということは、これは全国共通の問題です。だから各地区ごとにお出し頂かなくても一地区をお出し頂けばはつきりわかることなんです。どうぞ一つ資料をお願いいたします。
  113. 松永義雄

    ○松永義雄君 新聞を見ると、電気料の値上一割一分、それから割当量の如何によつて硫安価格にどういう影響が及んで来るか。
  114. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) これはちよつと私のほうで推算するのは少し行き過ぎでございますので、いたしておりませんが、我々のほうで考えておりますのは、一般の値上り率以上に硫安用の電気がならないようにということが一つでございます。それから一応私どもが聞いておりますのは、硫安用の電力というのは、コストの中で電解法の場合は大体二割二分、それからガス法の場合は六%、こういうことを聞いておりますが、実際にこれを適用した場合に、ほかの硫安用のコスト関係もございましようから、電気の値上りというものがどういうふうに響くかということが、ちよつと私どものほうでは見当がつけにくいのであります。
  115. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは新聞に書いてありますから御承知通りですが、割当量が五%くらい減る、そうすると、それだけ機械の操作が減るということになるのでありますから、能率が上らなくなる。それだけ原価に響いて来る。それが幾らくという記事が載つておる。更に電気料が一割一分上る、これは十月から上るのですか、そうすると、この先硫安価格に大きな影響が来るということは常識上想定される。細かい数字は別として硫安価格の値上、値上というのはコストが上るか上らないか、実際市場価格が上つて来るか上つて来ないか、どちらですか、子供らしい質問ですが、それをちよつとお伺いしたい。
  116. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 減るという話は、私どものほうは硫安に関しましては全体の使用し得る電力の数量は、これからの一年間殖えるという計算になります。これは当然に供給力が殖えますので、全体の量として殖えます。それで従来は同じ量を使いましても、その中で普通のほかの産業でありましたら、いわゆる標準電力という安いものと、それから追加料金という高いものと、両方噛み合しておりましたが、硫安は殆んど標準の一本で、安いほうで行く、今度の場合は普通で行きますというと両方の噛み合せになりますから、標準分が減つて高いものが殖えるという結果に放つておけばなる。それをしないために特約によつて、これは別の料金を作るというのが、今の折衝中と申上げておる特約の内容でありますが、併しいずれにいたしましても運転用に使い得ます電力の量というものは、これは前年に比べて決して減ることはございません。
  117. 松永義雄

    ○松永義雄君 それでは今肥料の価格について問題になつていますが、その最高価格の算定、それなら生産量というものは上つて来るのじやないでしようか。そのために電気量が必要になつて来て、その必要のある程度に割当が平行しないということになるということはないですか。
  118. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) つまり来年度と申しますか、今年の十月以降一カ年間に使い得る電力量というものは、これは特約の場合に併せて協定するわけでございますが、その電力量の合計が来年度の肥料の生産計画に合うか合わんかという点は、これは問題があるかと思います。これはまだ決定いたしておりませんから、それで少い場合には殖やさなければならない問題だと思います。
  119. 松永義雄

    ○松永義雄君 電気料の値上と肥料の最高価格と言いますか、どういう関係になつて来るか、農林省のお考えはどうなんですか。
  120. 小倉武一

    説明員小倉武一君) このたび審議会で御審議つております硫安価格は、今回の問題になつておりまする電気料の値上の問題は考慮してございません。
  121. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではお諮りいたします。只今議題になつております電気料金の値上の問題は、国全体の経済の基盤を非常に大きく動かして参りまする関係に立ちますので、今回の措置は非常に遺憾に考えるのであります。殊に経済力の極めて小さな日本の農業経営を考えまする場合、今回の農事用電力料金や、肥料製造用電力料金が相当な上昇を見ますることは極めて憂慮すべき問題でありますので、この際政府に更に再考を求めまするような然るべき申入をすることについて、委員会で御審議を頂きたい準備もいたしておつたのでありまするが、溝口委員宮本委員等の御要求に基きまする資料の提出を待つて、更に詳細に審議を尽しまして、その上で私ども委員会が然るべき措置をとるということにいたしまして、本日はこの問題はこの程度にいたしまして、更に資料の提出を待つて詳細を極めて頂くということにいたしたいと思いますが、如何でしよう。
  122. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先ほどお願いしました資料、明日中に出して頂きたいと思います。
  123. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  124. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。  それでは只今議題になつております電気料金に関しまする問題につきましては、溝口委員から要求のございました資料を明日中にお出し頂きまして、その資料に基きまして、更に再度御審議を頂きまして、その上で本委員会の態度を御協議頂くことにいたします。本日はこの程度にいたしたいと思います。
  125. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続きまして昭和三十年度農林関係予算の件を議題にいたします。昭和三十年度農林関係予算につきましては、農林省においてすでに方針を決定して大蔵省に要求せられたようでありますから、今日はその内容について、農林当局から説明を聴取いたしたいと存じます。
  126. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) それでは只今議題になりました農林省関係の三十年度の予算の要求について御説明いたします。来年度の予算を組みまするにつきましては、大体次のような点を重要視いたしまして組んだのであります。先ず第一に、食糧の自給度の向上でありますが、これにつきましては、米麦等の主食は勿論、畜産関係、水産関係等の増産につきましても、従来の施策をより総合的に考慮することにいたしたのであります。大体三十二年度を目標にいたしまして、一方においては食糧の増産計画を進めると共に、他方特殊農産物の増産を図りまして、生糸その他輸出の増進を図りまして、輸入の食糧その他農林関係の必要物資の輸入はできるだけ輸出農産物の獲得した外貨を以て賄うというような目標を作つたのであります。従いまして、第二点としては、農産物の輸出につきまして、それぞれ品種別に目標を立てまして一つ一つ取上げて行く、こういうふうなことにいたしました。第三には、食糧を、主食を米だけに依存するというのを、更にそのほかの作物にも頼らなければ自給度の向上はできないのでありまして、食生活の改善につきましても規模を拡大する。学童給食にまで範囲を拡大すると同時に、マーガリン等も給食したいと、こういうふうなことを考えました。その次には、食糧の輸入についてできるだけ米の輸入を節減するということを考えました。第四といたしましては、デフレ政策がだんだん進行して行くのでありまして、農産物の価格をできるだけ消費者の生活に悪影響を及ぼさないようにした一方の考慮がありますので、農業生産資材の低廉な確保について考慮をめぐらしたい。更に、昨年来急激に世界の農産物の供給が多くなりまして、自給が楽になりましたので、海外農産物の価格が非常に落ちて来ております。従いまして、食糧の輸入補給金等も二十九年度に組みました九十億の予算が殆んど大部分が不用で済むのじやないかというふうな見通しも出ておるのであります。そうしますと、農産物の価格の安定のために米麦等、現在価格支持をやつておりますほかに、更に価格支持の制度も考えなければならんものが出て来るのじやないか、そういう点も考慮に入れております。更に一兆円予算の関係がありますので、財政投融資のみでは十分食糧増産計画を遂行することが困難でありますので、外資の導入というような点も考慮に入れて予算を組んでおります。そのほか治山治水事業でありますとか、或いは流通機構の整備強化、特に生鮮食料品のための中央卸売市場の改善等についても考慮をめぐらしました。更に第六番目には、御承知のように終戦後の、農産物を作れば必ず金になるというふうな状況が、先ほど来申上げますような農産物の需給の好転から、だんだん農村の現金収入というものも減つて来て、最近では農業外収入が経営規模の小さい農家においては、例えば五反未満の農家においては七〇%以上が農業外収入という状況農家経済調査から出ておりますが、それらもだんだん少くなつて来るということになりますので、農家の生活或いは経営に、資金繰りで相当困難を来たすというふうな面が、一方において農村の購買力が非常に大きいという声にもかかわらず一面において出て来ておりますので、それらを考慮しまして土地担保金融等の制度等につきましても三十年度は是非制度を確立いたしたい。更に次三男対策といたしまして、産業開発青年隊であるとか、移民の拡大等につきましても相当の予算を要求いたしたいと、こういうふうに考えております。そのほか前回の国会で成立しました農業団体の再建整備という問題につきましても、どうしても農村の組織を更に強化いたさなければ農業経営の安定は期せられないというふうな見地から、これらについても考慮をめぐらしたつもりであります。そこで予算の全体を申上げますと、お手許に配付いたしております二枚目の一番下の欄を見て頂きますと、一般会計の分であります。即ち二十九年度予算額では五百三十一億が、三十年度の只今大蔵省に出しておるのでは六百六十五億いとうふうになつております。次に公共事業の関係を見て頂きますと、最後の紙であります。二十九年度要求額は災害を含めまして五百七十九億でありますが、三十年度としては千五百八十六億を要求いたしたのであります。これは先ほど申上げましたように、食糧増産計画、或いは治山治水の関係、或いは災害復旧等の費用が相当ふくれておるのであります。これを合計いたしますと、二十九年度の予算の最後の決定、これは補正等も全部織り込んでみますと、農林省関係の予算は千二百六億になつておるのであります。農林、漁業、北海道の分を含んでおるのであります。それに対しまして、只今申上げました予算の要求額は二千二百五十億程度になるかと思います。更にこのほかに要求額の落ちておりますのは、農林、漁業金融公庫の出資金を見ておりませんので、これが二百九十億乃至三百億ありますので、それを合しますと要求が二千五百億余りになると思います。これを以ちまして大蔵省に説明を開始いたしておるのであります。なお只今お配りいたしております表に、各局別の総額等、その中で従来ある制度に比べて新らしいもの、或いは説明を要するものを摘要で書いておりますが、なお数カ所まだ最後的の結論が出ていないところがありますので、数字はまだかなり変ることをあらかじめ御了承おき願いたいのであります。  概括的な説明を先ず申上げて、主な項目につきまして会計課長から御説明申上げたいと思います。
  127. 武田誠三

    説明員(武田誠三君) 私から主な項目だけ御説明を申上げます。大体この摘要に書いてございます順序に従つて概要を御説明いたします。  最初一般会計でございますが、一般会計の中の官房関係の予算といたしましては、(1)に書いてございます小団地開発整備促進施設実施というものを本年新らしく予算要求をいたしております。これは昨年の冷害に伴いまして、冷害地域等に行いましたものをまあ平常化して行くというふうな考え方のものでございますが、土地改良事業或いは林道、牧道等、極めて小規模なもので、現在補助の対象等になつておりませんものを、そういう小規模な土地改良事業が相当あると考えられます山村方面に対しまして、総合的にその村でどういう事業をやつたら一番効果があるかということを判定いたしまして、各町村別に二百五十万円くらいの事業費ということを前提といたしまして実施をいたして参りたいというものでございます。それからその次の総合施設助成費、これは従来からやつております共同施設その他につきまして総合助成をやつておりますが、これを三カ年計画で全部完了いたしたいという考え方から、本年は対象町村数を非常に殖やしておりますので、昨年二十九年度に比べて金額が約三倍余りになつておるわけでございます。  それからその次に農林経済局の関係でございますが、これは例の農業団体法が改正になりましたので、それに伴いまして農業委員会に対します補助金その他を計上いたしたわけでございます。それから農業共済保険実施費が百九十六億計上されてございますが、これは実は今度米価が新らしく決定になりましたので、それに基きまして計算いたしますと更に変つた数字になつて来ると存じます。約十数億これよりも所要額が殖えて来ると思いますが、一応二十八年産米の価格をベースにいたしまして計上いたしております。内容的には特に御説明をいたすこともないと思いますが、従来通りのものを考えております。ただ基金の関保で、現在二十五億でございますが、これを三十五億にいたしたいということで、そのための繰入金十億を見込んでおります。それからなおこれにつきましては、只今国会のほうで御審議を頂いております共済制度が新らしく変りますれば、それに基きまして全部組替をいたすことに相成ると思います。  それから統計調査部につきましては特に申上げることもございませんが、ただ一つ、共済制度の変革と申しますかの変動に伴いまして、現在統計の被害関係その他の調査が県単位で原則として行われておりますが、これを郡単位にまでおろして行くということのために経費が相当額増額に相成つております。  それから農地局の関係でございますが、最初に農業移民の関係は、これは現在対象国がブラジルその他で三カ国でありますが、これを六カ国に拡張いたしまして、送り出します戸数も、二十九年度六百戸でありますが、千八百戸予定をいたしております。それからなお又来年度からは単身移民を七百五十名ほど予定をいたしております。これに伴いましての経費の増でございます。それからその次の開拓融資保証協会出資、これは御承知の開拓融資保証協会に対します出資を、現在の資金の保証の額、限度等から行きまして、この程度どうしても殖やさなければならないということから計上をいたしたものでございます。それから開拓者資金融通特別会計への出資十七億でございますが、これは現在の開拓者資金の融通につきまして、主として家畜その他の導入を更に大規模にやつて参りたいということの考え方に主として基きまして、出資の増額を予定をいたしておるのでございます。それから次に農村建設青年隊でございますが、これは一万名の計画を立てまして、それに伴いまして必要な訓練費並びに機械の購入費といつたものを計上をいたしたわけでございます。  その次に農業改良局の関係でございますが、これは大体従来やつております事業をそのまま、何と申しますか、規模を大きくいたした関係から経費の増額になつておるものが大部分でございます。主要食糧種子対策等食糧生産確保、これは新らしい事業としては特にございませんが、この中には例の水稲健苗育成費が約六億五千万円ほど含まれております。それから耕土培養対策、特殊土壌対策、西南地方における水田生産力増強対策、これらはいずれも従来の対象面積を殖やして行くということの関係から経費の増になつております。それから病害虫発生予察はおおむね従来の通りでございますが、その次の植物防疫でございますが、これにつきましては従来の考え方を多少改めまして、共同防除につきましては、「うんか」、二化めい虫等、病害虫が特に常習的に発生をいたします地域に限定をいたしまして、そこに重点的に防除をやつて行こう、こういう考え方から、それらの地域を対象といたしまして共同防除費の補助を行なつて行きたい。それから農薬の備蓄制度を一方で考えて参りたい、こういうことのための経費でございます。それから農業研究運営調査、これは地方の農事試験場に対します試験研究費の補助であります。それからその次の畜産振興と書いてございますのは、これは経費は少うございますが、新らしい経費でありまして、これは国の種畜牧場並びに特定県の種畜牧場におきまして、乳牛並びに役牛の餌と、それから乳の分泌量或いはいろいろ耕耘の力の出し方といつたものの関連を調べまして、最も適当な飼料標準というものを見出して参りたいということのための試験費でございます。それから九番、十番は、農業改良普及事業、生活改善普及事業で、いずれも従来と同じような考え方に基くものでございます。ただ経費が嵩んでおりますのは、これの活動を促進いたしますために、オートバイ、バイクモーターといつたものの設備をいたしたいということの考えに基くものでございます。  それからその次に畜産局の関係でございますが、最初の北海道畜産振興、これは従来の考え方に基きまして、北海道の畜産を振興いたしますために機械の導入等を図るための費用でございます。本年度は新らしく飼料作物のルーサンの導入を考えております。それから家畜の改定増殖、これも従来と同じ考え方で、種牛、種馬等の購入費でございます。それから集約酪農地区の設定でございますが、これは本年度四地区を新たに設定をいたしましたが、来年度は更に五地区を新たに設定をいたしたいという考え方でございます。それから四番目の草資源の造成改良でありますが、これは八番目にあります集約酪農地域内草地改良と関連がございますが、従来の高度集約牧野がこれが集約酪農地域におきましても、それ以外の地域におきましても実施されておつたのでありますが、そのうちの今度の酪農振興法によつて指定をいたします集約酪農地域以外の地域に対します草資源の造成改良を、この四の項目で従来通りほぼ同じスケールで行なつて参りたい。それから酪農振興法で指定になりました集約酪農地域につきましては特に機械力を更に導入をいたしまして、八にございますような八億八千万円程度の経費を以て、これらの地帯の草地改良を集約的にやつて参りたい、かように考えておるのであります。なおこの八の対象になりますところは、酪農振興法で百地区の集約酪農地区の指定がある予定でございますが、このうち本年中に三十地区が指定されますので、その三十地区と、明年指定されます七十地区のうち前半に指定をされます二十地区、合計五十地区を対象といたしまして計上をいたしてございます。それから自給飼料の増産は従来通りの採種圃の拡張でございます。それから有畜営農の確立、これは例の利子補給の金でございます。それから七番目の酪農振興、これは酪農振興法に基きまして必要な経費の計上をいたしたものでございます。その次の蚕糸局の関係でございますが、蚕糸局の最初の生糸の需要増進、この関係はニューヨークの生糸の事務所におきます主として宣伝費を内容としたものでございます。現地におきまして、アメリカにおきます生糸需要を促進させて参りますために、現地における各種の需要の調査並びに需要喚起のための宣伝費というものが主な内容でございます。それから養蚕振興対策でございますが、これも従来とほぼ同じ内容のもので、ただスケールが大きくなつたものでありますが、なお本年新らしく入れておりますのは、これは従来昨年の予算で落ちたものでありますが、桑畑の改植を目的といたしまして、改植をいたしますために必要な苗木に対して補助金を出して参りたいというものが入つております。それから蚕糸の技術改良につきましては、これも従来とおおむね同じ考え方に基くものでございます。  それから食糧庁関係での食生活改善費でございますが、これは従来学童給食の費用といたしまして、給食用の小麦につきましては、原麦の二分の一を政府で負担いたしまして安く売つてつたのでありますが、これを小麦粉の二分の一、加工費の二分の一も更に国で負担するようにしたらどうかということの考え方が一つと、更にパン食を普及して参りますためにマーガリンの学童給食を実施して参りたいということのために、マーガリンの半額補助という構想で計上いたしたものでございます。  それからその次に林野庁の関係でございますが、保安林整備計画実施は、保安林整備に関します法律に基きまして今後保安林を着々と整備をいたして参らなければならないわけでありますが、そのための基本的な調査並びに計画の樹立のために必要な経費でございます。それから森林計画に関しまする経費は、これはまあ従来通りのものでただ単価の増等によるものであります。それから林業改良普及等につきましては、これは農業改良普及と同様に大事な仕事でございますが、現在地方職員の数も足りませんので、そういつた職員増も含めまして経費の増額を要求いたしているのであります。それから四番目の森林病害虫の駆除は、これは従来も松食虫その他病害虫等でございますが、新たに宮崎方面で非常に大発生をいたしております「すぎのたまばえ」の駆除、それからこちらの確か福島かと思いましたが桐に付きます「おおきんかめむし」の駆除というものを新たに附加えております。  それから水産庁関係につきましては、従来の方針通りの減船整理、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へという方針に基きまして、小型、中型漁船の減船整理をいたして参りますと共に、沿岸並びに内水面の水産増殖施設を増強いたして参りたい。それから三番目の融資保証保険特別会計の出資は、これは中小漁業に対します融資保証がだんだん多額に上つて参りまして、それに伴つての出資増の要求でございます。それから四番目の漁船漁具の損害補償につきましては、新たに搭載漁具の新規保険を実施するということと、従来二十トン未満の漁船だけが義務加入でありましたのを百トンまで拡げて行くという目的のためのものでございます。  それから公共事業の関係につきましては、先ず食糧増産の関係につきましての経費を組みますときの考え方でございますが、これは先ほど官房長からも申されましたように、食糧増産に非常な重点をおいたわけでございますが、この土地改良事業、公共事業費によります食糧増産経費といたしましては、この財政投資によりまして二百万石、それから融資によりまして三十万石、合計二百三十万の増産を図つて参りたい、その考え方は人口増加によります所要量の増加と、それから土地の壊廃或いは施設の老朽化によります減産見込数量、この両者を合わせますと二百三十万石をこの増産経費によつてつて参りたい、こういう考え方に基いたのであります。即ち輸入数量を現在以上に殖やさないということを一つの前提におきまして計上をいたして参つたのでございます。で、なお先ほど御説明をいたしました農業改良局関係の経費で増産数量が六、七十万石見込まれるのでありますが、これは更に輸入を減らして行くという方向において考えられるかと思います。大体そういう考えの下に食糧増産に関係をいたします経費としては六百六十五億を計上いたしました。そのほかに防災関係で六十六億、それから災害につきましては、二十八年災がご承知のように非常にまあ大きな災害を受けているのでありますが、これにつきましては三十年度で予定の八〇%を完行をするということを目途にいたしまして計上をいたしました。これが公共事業費の中では非常に大きく、まあ前年比では、ここにございますように二百六十億ぐらいの増額になつて参るのであります。それから林業関係につきましては、これは治産治水十カ年計画というものに基礎を置きまして計上をいたしました。それから漁港につきましても、従来の計画に基きましてそのまま数字を伸ばして計上いたしたわけでございます。  大体簡単でございますが、以上でございます。
  128. 森八三一

    委員長(森八三一君) お諮りいたします。只今説明を頂きました昭和三十年度の予算要求につきましては、いろいろ御質疑等もあろうと思いますが、なお今日議題に予定いたしておりました最近の台風の状況に関する報告並びに開発工事促進臨時措置法案に関しまするその後の情勢等を聴取することになつておりますが、他の会議で官房長お急ぎのようでございまするし、明日午後生糸検査所の視察ということもございましたが、申上げまするように重要な審議が残つておりますので、そのことを取りやめて、明日の午後に只今申上げましたような諸般の問題を審議するということにいたしまして、説明を聴取して、御研究を願うということにして、本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではそういうことにいたしまして、明日は午前十時に、農林大臣、大蔵関係出席でございますので、どうぞ十時に正確に開会できまするように御出席をお願いいたします。  今日はこれを以て散会いたします。    午後五時二分散会