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1954-09-20 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十日(月曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 九月十八日委員松浦定義辞任につ き、その補欠として、鈴木一君を議長 において指名した。 本日委員鈴木一辞任につき、その補 欠として松浦定義君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            重政 庸徳君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局経済課長   大和田啓気君    農林省農業改良    局総務課長   庄野五一郎君    農林省畜産局長 大坪 藤市君    農林省畜産経済    課長      昌谷  孝君    食糧庁総務部企    画課長     中西 一郎君    食糧庁総務部検    査課長     松岡寅治郎君    食糧庁業務第一    部需給課長   大口 駿一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (昭和二十九年産米価に関する件)  (昭和二十八年産米追加払いに関す  る件)  (昭和二十九年産米管理方法に関す  る件)  (米穀の需給及び松査に関する件)  (乳価に関する件)  (稲作病害虫防除徹底に関する件)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  昭年二十九年産米価格の件及び昭和二十九年産米管理方法の件を一括して議題にいたします。  これらの問題につきましては、すでに委員会におきましてたびたび問題となつたのでありまするが、本日重ねてこれを問題といたしまして、政府方針が内定したようでありますから、先ず政府方針について説明を聴取し、質疑を願い、続いて本件の取扱い方につきまして御協議を頂きたいと存じます。食糧庁長官出席を求めておつたのでありますが、病気のために出席不能という次第であり、更に総務部長出張不在の旨でありますので、企画課長中西君が出席いたしておりますので、先ず政府方針につきまして御説明を頂きます。
  3. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 二十九年産米価につきまして、現在までの経緯と将来の段取りを申上げたいと思います。  先週の十六日に米価審議会懇談会を持ちまして、いろいろ討議を願つてつたのでございますが、その夕刻になりまして、大蔵大臣農林大臣の間で妥協ができて一つ結論が導き出されました。なお今後二十四日と二十五日に開かれます米価審議会審議を経まして、その後に正式の閣議決定ということになる段取りになります。で、今まで内定しております線を申上げますと、基本価格につきましては、従前通り計算方式を採用いたしまして、玄米石当り三等の裸でありますが、八千九百二十円といたしております。八千九百二十円の算出の基礎でありますが、これは八月のパリテイ一二〇・〇四というものを基礎にいたしまして、それに基きましてパリテイ価格を七千五百七十一円と計算しております。このほかに従来通り特別加算を五百四十五円いたしております。五百四十五円の内訳は、第一には資本財投下量基準年昭和二十五年及び二十六年の平均に対して増加しておる分が一三・七四%あるわけです。その分が経営部門における特別加算根拠になつております。第二の点は、都市農村との消費水準の開きが基準年次である昭和二十五、六年に比べてどうなつておるかということを見たんでありますが、資料の関係昭和二十八年の七月から二十九年の五月までの消費水準のギヤツプを調べました。それによりますと、都市のほうが農村よりも三・七%消費水準はより向上しておつたわけでございます。それが第二の修正点であります。その二つの修正点を含めまして五百四十五円の特別加算なつたわけであります。で、本年はそのほかに基本価格といたしまして、昨年の産米で新たに附加えられました供出完遂奨励金の八百円に概当する分でありますが、これを八百円まるまる基本価格としてパリテイ価格特別加算に更に八百円をプラスする、そういう計算方式をとつております。その結果合計が八千九百十六円になるわけですが、それを切上げまして八千九百二十円というふうに、先ほど申上げた基本価格になつておるわけであります。で、この供出完遂奨励金の八百円というものの性格について、従来のパリテイ方式がすでに昨年産米価を決定するとき以来崩れておるのではないかというような議論があり、我々も過渡的な価格形成方式としてやむを得ないものと考えておるわけですが、何と申しましても米価パリテイ方式だけでは満足し得られないというふうな現状、これは統制を外してみて需給価格がどうなるかということの推定にも基くわけですが、その推定の困難さにもかかわらず、外せば相当高くなるということは誰でも容認しておるところだろうと思うわけです。そういう意味でこの八百円というものを需給価格に近付けるための措置という意味で、まるまる加算したということになつております。  基本価格は以上のようにしてきめたわけですが、早期供出奨励金は、本年の特殊性と申しますか、昨年が非常な特殊性を持つてつて、今年が平年に戻りつつある、まあそういうような観点もあつて集荷の目的に副うためにはどのくらいの早期供出奨励金が必要かということに論点が集中されたのでありますが、結果といたしましては、早期供出奨励金期別単価を定めますけれども、全体として金額なり、数量なりで制限を設けることはいたさない、そういうことで、出れば出るほど早期供出奨励金農民に渡るというふうな体制を今年も続けるということになつております。で、現在の計算では約千九百万石くらい出るんじやないか、十一月末で切つておりますが、千九百万石くらい出るんじやないか。それによつていろんな計算がありますが、最小限度七十一億程度は支出されるんではないか。ちなみに昨年はああいう凶作の減収加算が付いたというような事情もございまして、早期供出奨励金単価が二十七年度に比べて約三割の増を一律にいたしております。併し今年はそういうことをしないで平年ベース単価を直した、こういう経緯になつておるわけであります。  超過供出奨励金でございますが、超過供出奨励金は昨年は二千七百円としておりました。その際の考え方超過供出になります石当り価格を裸で一万四百円と考えておりまして、基本価格が七千七百円でございましたので、その差額である二千七百円というものを超過供出単価といたしたわけでございます。で、本年も超過供出玄米石当り単価はやはり一万四百円といたしまして、基本価格が八千九百二十円となつておりますので、その差額の千四百八十円というものを超過供出奨励金としたわけでございます。  以上が基本的な価格を構成する部分でございますが、そのほかに前年と変つております点は、等級間格差を少し変えました。非常に計算が複雑なんですが、二十五年以来、各等級間の実額を変えないで今日まで至つております。で、これは政治問題に属することですが、商品のありのままの価値を格差に表現したらどうかという意見もあり、又地方格差をうんとつめて農民の保護を考えたらどうかというような意見もあり、苦慮しておつたんでございますが、ともかく基本価格が累年上つて来て、本年は特に八百円の加算などがあつて殖えるわけですが、そういうようなときに、いつまでも数年前の格差を据え驚いておくということも如何かと思われるので、現在までの据置期間が約四カ年であります。二十五年から二十八年まで据え置かれてあつたわけですが、その間の平均価格に対して本年の基本価格が約二割二分上つておるわけです。四年間を一〇〇として二十九年産が一二二となるわけです。そういう意味で二割二分八厘それぞれの格差を開こうじやないか。そういたしますと、等級間格差が九十六円になります。前年産は七十八円でありましたが、本年産は九十六円になつたわけでございます。なお包装代も従来の計算方式を少し変えてあります。これは実質的には殆んど意味がないと思うのですが、麦の実績などを見ますと、古俵の使われ方が非常に多いということで、若し古俵が一割五分なり、二割なりというふうに大幅に使われるとすれば、包装代加重平均は百七十五円になるであろう、そういうふうに推定いたしております。前年は百八十五円でございましたから、十円低く見積つておるわけです。併しこの場合に御注意願いたいのは、包装の複式にしましても一重にしましても、絶対額についてはそれを値下げすることはいたしません。供出されるされ方が古俵が多く使われるとすれば百七十五円だという単なる推定に過ぎないので、出方如何によつてはこれが百八十五円にも、場合によつては百九十五円になるかもわからない、そういう推定数字でございます。  以上のようにして全体の構想ができたわけであります。ただ、誤解のないように附言さして頂きたいのですが、新聞などによりますと、九千五百五十何円とかいうようなことを言つております。あれは御存じのように全国を平均して計画通り供出超過供出があつたらどうなるか、こういうふうな単なる試算のものでありますが、それが世論にアツピールするものかどうか、新聞が皆そういうふうに書いております。それについて申上げますと、早場が先ほど申上げましたように最小限度七十一億と見ております。ところが全体の供出量を現在のところでは二千六百万石というふうに考えておりますので、その二千六百万石を石当りに直しますと、それが二百七十三円になるわけです。又超過供出は二千六百万石の中の五百万石と、一応価格算定上そういうふうにおいております。従つて千四百八十円という超過供出奨励金の五百万倍を二千六百万で割つた、そういう計算超過供出奨励金分石当り二百八十五円になるわけです。それを基本価格と全部合せまして九千四百七十八円に三等の裸がなるであろう、これは推定であります。現実には供出数量なり、義務数量なりは来月予定されております知事会議等できまることでございますので、今こういう推定をすることは殆んど意味がないかと思いますが、最近昨年産についての実績が云云されておりますので、参考までに申上げたわけです。ちなみに昨年産実績を申上げますと、基本価格は八千五百円であります。そしてそれに早場奨励金が七百七円、これは百四十四億も出ております。超過供出奨励金石当り五百九十六円になります。これは義務供出が千四百万石というふりに非常に低位になりましたために、こういうふうに超過の分が多額に出て来るわけです。それを全部合せますと九千八百三円、これが昨年の実績であります。なおごの実績と申上げました中には減収加算の五百十五円は含んでおりません。それを含めますと一万三百五十八円になる、そういうことになつております。ただ昨年と対比します場合に、我々も非常に注意をしなきやいかんと思つておりますことは、昨年の減収減収加算が五百五十五円付きましたほかに、義務供出量が非常に低位なつたということ、これで恐らく四十億程度政府財政負担して超過供出奨励金を余計に払つております。なお先ほど申上げたように、早場奨励金単価を平年ベースに比べて三割アツプした。これ考え併せますと、相当金額が去年の特殊性に基いて支払われている。そういうものを差引いて本年と比べるのがいいかどうか、これは一律には行かないので、成るべくそういうことを差控えたいと思つておりますが、比べて見て本年はそれほど低くはないという印象を事務的には持つておるわけでございます。そういうふうにして内定しておりますが、あと問題は消費者格価を上げないということも、それに合せて内定しておるわけでございます。従つて現在の十キロ当りと七百六十五円という精米の配給価格を引上げませんと、生産者に対しては包装込石当り何もかも入れまして九千二百円しか実は払えないことになつておるわけです。それが今申上げたように試算では九千五百五十七円というふうになるわけで、この間の三百五十七円分と言いますのは、二千六百万石にしますと約九十三億円になりまして、この九十三億円は食糧管理特別会計の中の経費の節減とか、或いは原材料用に少し高く売るというふうな形で、片方で稼ぎながら生産者のほうに差上げる、まあそういうふうな仕組になつておるわけでございます。なお、この財源に関心しまして一言附加えておく必要があると思うのですが、長く問題でありましたバツク・ペイも、石当り二百五円で総額四十二億円を早急に支払うようにいたしたい、これも内定いたしました。二百五円という計算は、お聞きになつたことかと思いますが、パリテイ計算での本来バツク・ペイせらるべき金額は二百三十二円であります。で、この二百三十二円という金額の中に、昨年の基礎になつております七千七百円をきめましたときに、七千六百七十五円から二十五円実は切上げをしておる、そういうふうな問題、それから五百五十工円という減収加算がありましたときに五百五十三円を三円切上げた、甚だみみつちい話でありますが、そういう切上分を二百三十二円から二十七円引きまして二百五円、これも義務供出だけに限つたらどうかというようなな見があつたわけですが、集荷対策という意味からも、又かねての公約という意味からも、農林省主張通りに全供出量について支払おうということにきまつたわけでございます。  なお、先ほど委員長お話がありました本年の集荷対策ということでございますが、これにつきましては、価格計算基礎として二千六百万石の集荷、そのうち五百万石の超過供出というふうに単純に現在の段階では考えております。  もう一つの問題として、例の予約制の問題がございましたが、この問題は九月の中旬に割当会議ができれば個人に割当が降りて行くのは十一月中に脇りて行くであろう、そのときに予約制を併用しようというような事務的な段取りでございました。ところが現実には十月の中頃に割当会議というふうに一カ月遅れましたので、そういうような観点予約制度は本年は残念ながら採用はできない。他方完了後の自由販売とか、いろいろなことがそこここで論ぜられておりますがまだ農林省といたしましては、そういうことについては何ら決定的な態度をきめておりません。むしろ平年通りつて行くという態勢をここ当分は続けて行く、そういうふうにきまつておるわけでございます。  それから申落しましたが、早期供出奨励金単価でございますが、これは期間を本年は特殊な事情で少し例年と変えております。特別早期供出督励期限特期といたしまして九月二十日という日を限つております。本日であります。これは石当り二千円ときめております。これは数日前にすでに公表済みで末端まで周知徹底いたしております。第一期が九月三十日、これを千二百円といたしております。これは端境期の需給操作上、どうしてもこの期限がほしいという本年特別の措置でございます。第二期が十月十五日までが六百円、第三期が十一月一日、これは十月末日が日曜日なので一日ずらしてありますが、第三期が十一月一日で三百円、第四期が十一月末日で二百円。重ねて申しますが、数量及び金額については制限は行わないということになつております。なお、これも御参考までに申上げますが、二千六百万石という数字は、内地米消費県で十日程度生産県で十五日程度維持し得る数字でございます。  簡単でございますが、以上概略の御説明を終ります。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今説明に対しまして質疑のある方は順次御発言を頂きます。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 今の説明の中で、早期供出奨励金のほうの大体石当り二百八十五円になるというのは、一期、二期、三期、四期、それぞれどういう数字を予想されておるわけですか。
  6. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 早期供出奨励金は最低七十一億円と申上げましたが、七十一億を二千六百万石で割りまして、その単価を出すと二百七十三円になるわけです。二百八十五円と申しましたのは、超過供出奨励金千四百八十円を超過数量の五百万石に掛けまして、その総金額を二千六百万石で割つたと、そういう計算になつております。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 二百八十五と二百七十三と私の数字の挙げ方が間違つてつたわけですが、いずれにしろ、ただ予想される総額を予想される総供出量早場米供出量で割つたというだけであつて、何月になるという推定は別にしていないわけですか。
  8. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今おつしやつた通りでございます。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 この価格を内定するに当つて、まあ私ども新聞を通じて見ておるというと、要するに新らしい財政負担をしないというところに大蔵省方針があつたようですし又結果を見るというと、やはりそういうことになつているように思うのですが、その点大体大蔵省農林省も同じ方針でやつて来られたわけですか。
  10. 中西一郎

    説明員中西一郎君) まあ農林省といたしましては、価格構成論のほうが先に立ちまして、価格構成論をいろいろ議論いたしましたわけですが、大蔵省としては当然財源問題に関心を持ち、一般会計負担はいやだと、こういう建前をずつと続けておりました。幸い食管会計の中で全部賄い得るという結論なつたからまあよかつたわけですが、そうでなければ輸入補給金分一般会計に残ります九十億とかというものにも手を付けざるを得なかつたのじやないかというふうに考えておりますが、ともかく結果としてはそういうことをしなくて済んだということになつたわけでございます。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 まあ農林省としては、結果としてそういうことになつたということで、それをまあ別な言葉で言えば農林省としては財源如何は問題でないと、飽くまで理論的な立場に立つて米価を内定したのであると、こういうことになりますか。
  12. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 先ほどまあ個別に内容を分けて御説明いたしましたが、一応従来の考え方を踏襲してやつたこと自体については、パリテイ方式がまあ今日合理的根拠を失いつつあるじやないかといういろいろ御批判もあると思いますが、一つ一つ見れば一応農林省価格構成論いうのがここで実現されておるというふうに考えております。その場合に我々も財源計算、これは非常に込み入つた計算で私自身よくつまびらかにしておりませんが、当初予想されたよりも予期しない財源もあつたりいたしまして、うまく収まり得た、我々は計算いたします前には、いわゆる食管含み資産と言われておりますものは成るべく手を付けないで、食管会計健全性を維持したいという意向も持つておりましたが、大蔵省のほうでは一般会計に手を付けるなりいたしますと、デフレ政策にひびが入るというような心配もあつて、その問題としては折合いが付かなかつたわけです。価格問題で結論を得て、その結果財源的にはうまく食管だけで片が付いた、そういう経緯になつております。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 まあ経緯は別にして、農林省としては財源の問題ということは、これは関知せざるところである。そうして従来の価格構成建前に基いてやつたのだということだけでいいですか、そう解釈して……。或いは従来の価格構成を貫くのに財源関係から大きな制約を受けて、農林省としても従来のものを或る程度譲歩、或いは変更せざるを得なかつたということなんですか、どうですか。
  14. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今、江田委員の問題にしておられます点が、比較的明確に例として挙げられますのは早期供出奨励金であります。早期供出奨励金は先ほども申上げたように、前年度は百四十四億支出いたしております。これは計画よりも期限内に数量がたくさん出たためにそうなつたのでございますが、更に単価を平年の三割も上げておつたということにも基いております。我々は本年の産米集荷に当つて、やはり早期供出奨励金というものを出すからには、この制度の本質から申しますと、何と言つても多ければ多いほどいいという性格を持つているので、とめどが実はないわけでありますが、その点につきましては、確かに江田さんのおつしやつたように多ければ多いほどいいと言つて農林省が頑張り続けておりますと、一般会計の問題にも当然響いて来るわけでありますが、一応最小限度七十一億円見当ということで計画化いたしましたために、それならばあとどれだけ伸びるか、これははつきりはいたしませんが、一応財政的には食管の中で済まし得るのじやないか、そういう見通しがついているわけでございます。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 単に早場米奨励金だけでなしに、それから超過供出奨励金早場米奨励金減収加算、それぞれ違つて来ているわけですが、減収加算の問題についても今後一体どういうような収量になるかということは、まだ十二号台風なり、十四号台風のはつきりしたデーターもわからんわけですから、これはちよつとつかみにくいのですが、これは一つ私はつきりして頂きたいと思いますのですが、農林省としては、重ねてくどいようですが申しますが、財源ということは問題にしないのだ。たまたま結果において財源から来る大蔵省主張辻棲が合つたけれども、それは少しも問題にしないのであつて、従来の価格構成建前というものを、これを踏襲して行つたのだということは間違いないのですか。
  16. 中西一郎

    説明員中西一郎君) おつしやる通りであります。ただ事務的には、我々の段階ですが、我々の段階で話しますときには、向うのほうと我々のほうとざつくばらんにやりまして、大体どのくらい金が要りそうだというようなこと、更に一般会計に果してそれだけの余裕があるのかないのか、食管の中に余裕があるのかないのか、そういうことを心配しながら事務は進めましたが、結論としてはうまく収まつた、こういうことです。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 それがそういうことではつきりするならば、そこから私どもとしてはいろいろ価格構成のあなた方の建前について貸間をして行かなければならんのですが、ちよつとその前にお尋ねしますけれども、現在のところ農林省としては今年の収量をどの程度に見ておられるわけですか。又先般の予想収量というものがあるのでありますけれども、併しこれは二回の台風或いは三回かもわかりませんが、そういうもので相当動いて来ているし、又この台風影響というものも、今後いろいろな附随的な影響も出て来るわけで相当変つて来ると思います。そういうものがあつてつて来て平年に近い収益というものが、平年よりも相当下廻る収量であるという場合には、それならは減収加算なり、或いは目標集荷を達成するために、早場米奨励金なり、超過供出奨励金等についても、今ここで内定したものとは変つたものが出て来る可能性もあるわけです。そこでそういうような収量というものはどの程度にあなた方は見ておられるのですか、又それがどの程度なつたら減収加算等々の、今私が言つたようなものを変更しなければならんとお考えになつておりますか。
  18. 中西一郎

    説明員中西一郎君) お話通り十四号、十二号等相次いで台風がございまして、その影響は当然減収に響いて来るだろうと思います。ただ正式の報告としましては、我々のところでは八月十五日現在の統計調査部作況指数しかまだ実は握つておりません。あれはすでに御存じ通りだろうと思いますか、近く行います知事会議までには新らしい数字が出て来るはずでございます。これは十二号も十四号も含めてその結果か判然とするはずでございます。その場合にどの程度ならば減収加算の問題が起るかということでございますが、減収加算方式から推定いたしますと、平年反収についての標準誤差率の範囲内では減収加算を付さない、そういう約束になつておるはずでございます。その標準誤差率は昨年度は四・九%だつたかと思いますが、約五%を上、下にとるわけでございます。従つて平年収量が全部で六千五百万石といたしますと、その十五%ずつですから、約三百万石強が上下に標準誤差の範囲として羅かれまして、従つて加減をしますと六千百万石なり、六千二百万石なり、その辺の線になると思いますが、それ以下に収量が下つたというときに減収加算の問題が現実に問題となつて財政負担をどうするか、食管の会計がもうないならば、一般会計全体で何とかせねばならん、そういうような問題に発展するわけでございます。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 この収量というものはわかりませんけれども、仮に私どもはそういうことがあり得ると思うのですが、この標準誤差率を五%下つた場合には、減収加算、又減収加算だけでなしに、こういう収量が減つたための集荷を目標数字に達成するために必要な早場米或いは超過供出奨励金等について特別な措置をおとりになりますか、農林省として価格構成建前というものは従来のものを堅持しているということになれは、当然そうならなければならんと思いますが、それは確約できますか。
  20. 中西一郎

    説明員中西一郎君) またそういう現実の事態に入つておりませんので何とも申上げかねますが、相当ひどい減収ということかありますならば、他方やはり集荷をいたしまして配給を続けて行くことがデフレの基本線を崩さないために重要な方策であるという認識には変りはないので、場合によつては先生のおつしやつたような応急措置を講じなければならないかと思いますが、現在の段階ではまだ何とも考えていないわけでございます。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 近頃は仮定の質問に対しては答えられませんというのがはやるのですけれども、これは政治家だけに任して、余り事務的にはお使いにならんでやつて硬きたいと思うのでありまして、従来の価格構成建前を崩さんということであるならば、これはあなたは確認されたわけです。たまたま今回の問題について、財源の問題について結果において大蔵省の新らしい財源を使わないということに一枚したということであつて、従来の価格構成の理論というものは変えていないのだということになれば、今まできまつておるところの標準誤差率以上の減収があつた場合には、事務的に必然的に只今申しましたような措置がとられなければならんわけです。若しそうでなくして、あなたのほうがこの新らしい財源を求めることはいけないという、大蔵省と同じ建前に基いてこの米価を内定されておるのなら別問題ですけれども、そうでないならば、私は事務的には必然的にこうしなければならんということになると思うのですか、場合によつてではなしに必然じやないかと思うのですけれども、どうでしよう。
  22. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 私の若干の聞き違いがあつたわけですが、減収加算を付けなければならんという事態が発生した場合には、もうすでに昨年の減収加算で約百十億の食管の負担増があつたわけです。相当金額の負担増があるということでありますれば、それは食管の中ではすでに賄い切れないので、一般会計に負担してもらわなければしようがないだろう、そういうふうに思います。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 だから一般会計に負担するとか、しないとかいうその財政問題は、あなたのはうは関知せざるところとして私のはうはそれでいい。要するに農林省、食糧庁としては標準誤差以上の減収があつた場合には減収加算等の措置を必ずとらなければならんと私は思うわけです。少くとも価格構成に対する建前を変えていないというならそうせざるを得んと思うのですが、それはその通りですかということだけをお聞きしているわけです。
  24. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 江田委員のおつしやる通りでございます。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 だからその問題は今後新らしく出て来る問題なのです。それから私はもう一つお聞きしたいのは、今度の米価の改訂による財源というものを食管会計の中からいろいろ出しておられる。九十三億ですか、この内容を一つ説明願いたい。
  26. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 実はこの点に関しましては、若干不適任の譏りを免れないのですが、御要望もございますので、私の頭に入つておることで且つ絶対に誤まりがないと信じます範囲内で御説明したいと思うのですが、実はこの財源計算をいたします場合に、繰越の利益とか、或いは本年度内に発生します商品売却による利益、そういうものをずつと上積重ねて行くわけですが、他方本年産米価をきめたような場合の損失要因、これが更にバツク・ペイなどを含めて相当ある、それをバランスいたしまして、果して本年産米価食管の中で賄えるかどうかということを検算いたさなければならんわけです。事実上そのようにして計算したのでありますが、先ず第一には昭和二十八年度末に食糧管理特別会計が持越して行きました繰越益というのがございます。それは約七十七億でございます。それから第二番に、外麦による利益というのがございます。これはどういうものかと申しますと、本年は、本年といますより年度初めには輸入しました小麦で外麦のほうが値段が安いという関係から、食糧管理特別会計の中に差益が残るであろうということが、二十五億円ほど当初予想しておりました。ところが外麦の値下りが予想よりも甚だしかつたということで、小麦による利益が大は九十一億円程度に上るわけでございます。他方大麦では一般会計から輸入補給金を繰入れなければならないというふうに考えておつたのが、これが繰入れなくて済んで逆に一億円ほど利益を生ずる、そういうふうにいたしまして、麦関係で九十二億円の利益が出ると考えられたわけです。ところが米につきましては、相変らず外国の米のほうが高いために米では約三十九億も赤字になります。それで九十二億という麦の利益が三十九億を消しますと、五十三億の利益が食管の中に残るわけでございます。それが第二番目に発生する外麦の利益としての五十三億円でございます。第三番目には、こらはいろいろな品目がたくさんあるのですが、年度内に九十三億の利益が出るんじやないか、これは委託加工いたしまして委託加工賃を支払うわけですが、これを予算より安く値切つて、ざつくばらんに申しますと、値切つてやるということとか、或いは現在の配給段階で以て延納を認めておりますが、この延納の場合の延納金利の収入が相当多額に上る。委託加工の節約で約七億、延納の金利が約十八億、その程度の増収になるのじやないか、これは雑収入として考えております。なお原材料等の売却ですが、これは新聞にもその内訓が出たりしておりますが、米とそれから大麦などを合せまして約三十七億、原材料の米とそれから原材料の大麦、合せて二十七億、そのほか経費の節減、これは現在糧券を発行して金利を払つておるわけでありますが、国庫余裕金などを多額にもらいますと金利負担が減る、そういうような関係もあつて、又ロスをできるだけ少くするというふうに、現実に努力に努めて成るべく節減するというふうにやつて約二十億の節減見込みを立てております。そういうふうにいたしまして、あとこれは配給マージンの関係ですが、調整費というのがありますが、その調整費の回収が約二十一億、合計しますと全部で九十三億程度に二十九年度内の、これは利益という言葉は当らないかと思いますが、ともかく資産の部に残るものとしてそれだけ出るわけです。以上の三つ、即ち繰越益金の七十七億、外麦の益五十三億、年度内に発生します九十三億、その全体が財源として考えられるわけでございます。他方それを消して行きますいろいろな要因があるわけであります。先ず第一に、外米を買いましてこれのロスが、特に黄変米などの問題なんかでロスが発生するだろう、それが約九億、それから二十八年産米を実はこれは災害対策として安売りなどの措置を講じましたので、それがずつと尾を引いて引つかかつているのが二十四億、それから澱粉とかのいわゆる農産物価格安定法に基くものが約一億、それからバツク・ペイが四十二億、それから二十九年産の麦ですけれども、ああいう形で政府が今非常な量を抱えておりますが、それを販売いたしますときに恐らく四十四億円程度の赤字になるのではないかと考えておりますが、その分、それから史に昨年の産麦で本年に持込みました古麦に格差を付けましたために約九億、それで全部で百三十億くらいになるだろうと思います。それに対しまして最後に赤字要因としてありますのは、二十九年産米の先ほど申上げました価格を決定することによつて九十三億円の赤字要因がある。以上が損益の推定の概要でございます。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 そういうことになりますと、食管会計としては従来の繰越益の七十七億というのはこれはゼロになりますね。今後今育つたようなプラス要因、マイナス要因というものがその通り実現されるかどうかわかりませんが、或いは若し政府のほうで減収加算を要せざる作況だというふうにしましても、例えば早場米奨励金が今の枠内で済むやらどうやら、これはわからないことで、そういう点からして、今言われましたような数字が果して現実にその通り行くかどうかということについては非常に危いと思うのですが。そうなりますと、七十七億の繰越益があつたものが将来においてはマイナスになるという、そういう可能性もあるわけですね。
  28. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 七十七億はこれは決算の締めくくりをいたしますと、まだ若干動くと思いますが、そう大きい変りはないと思います。今おつしやつたお話は恐らく全体の要素の中でどの分がこれだけの利益が出なかつたり、或いはそういつた見込をしておる分がこれで見込んだ分より多かつたりした場合に一体どう考えるかというお舌かと思いますが、その点につきましては、やはり価格決定の当初の見込と、大体食糧管理という厖大な資産を抱えてやつておりますので、残念ながら相当大きな開きが毎年出て来るわけです。従つて年度末になつて違いがありますれば、この場合商品が多ければインベントリーフアイナンスの問題が起るでしようけれども、商品がよくはけて売却代金が入つておれば、或いはそういうことはしなくても済む。いずれにいたしましても、一月か三月頃になりまして本年の集荷状況なども見合つた上で、年度末に如何に越して行くかという対策が、例年のことですが、必要になつて来る。そのときにどう措置するかということに考えております。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 そのときにどう措置されるにしたところで要するにマイナスが起る状態であるならば、それを起さないようにするという程度措置しか期待できないだろうと思うのですが、繰越益が七十七億あるのだから、次の食管の会計年度においてもその程度の繰越益を食管に残すというようなことにはならんじやないかと思うのですが、そうなつた場合に、今度今年の米価でなく、来年の米価の決定に当つては、今年はたまたまこういうような今きめられた米価を我々は満足なものだと思いません。非常に不満なものでありますが、それにいたしましても繰越益の七十ヒ億、その他予想せざる外麦利益というようなものを以て当てられたわけですが、そうなつたときに、来年こういうものがなかつた場合には来年の米価決定はどうなるのか。そこで私がお尋ねしておきたいのは、そういうところから考えるというと、新財源に手を付けない、二重価格をとらないという形での米価決定というものは、あなた方はその方針じやないと言われておるわけです。飽くまで従来の価格構成に基いているということですけれども大蔵省の言うような新財源を求めない、二重価格も設定しないという行き方で行けば、来年の米価決定というものは忽ちこれは大きな破綻を来たすことになるわけで、そういう点からしますというと、今年の米価に不満な生産農民としては、来年度についてより大きな不安を今から投げかけられておるということになると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  30. 中西一郎

    説明員中西一郎君) おつしやる通りに二十八年度末の繰越益というものは、確かに本年度発生しますいろいろな雑損で落ちてしまいます。これは来年度には恐らく繰越はないものだろうと思います。ただあとのほうで申上げました外麦の利益ですが、この分は来年産麦をどの程度価格で買つてどの程度価格で国内に売り繋ぐかということにも関連しますが、やはり輸入の小麦では相当の利益が出て食管の中に溜りまして、それを元にして米の補給金を出したり、或いは麦の二重価格財源にしたりすることになるのだろうと思います。それはそれで麦の利益と麦の損で両落ちになるのじやないかと思いますが、最後に申上げました二十九年度内の諸利益、これは延納金利の問題とか、委託加工の問題とか、これらは或いは原材料の調整費、経費節減、これらは来年度もやはり発生し得る利益である、そういうふうに考えております。たまたまここで非常に厳密に一致した数字を申上げたのですが、利益のほうで諸利益が九十三億、それから二十九年度産米が九十三億というふうにバランスした金額を申上げておりますが、この程度は来年も発生するのじやないか、従つて本年きめました価格を横這いさせて行くことは来年も可能である、そういうふうに考えております。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 その点は九十三億の内容について、これは本年だけでなしに来年も実現性があると言われますけれども、私どもこれは非常にまだ不安定なものが多いと思うわけですし、それからバツク・ペイの問題なんか来年どうなるかわかりませんが、ともかく純越益の七十七億というものはこれはただ麦でどうとか、何とかいうことじやない、食管の繰越益です。その食管の繰越益七十七億をここで使い果してしまうという行き方は、将来一つ食管財政としても不健全であるし、又新らしい含みがそこにないということからして、来年度の米価決定に当つてはより以上我々は下安を持たなければならないということに間違いがない。そこで私はそれに関連してお尋ねしておきたいのは、この輸入補給金というものが相当残つたわけですが、これた本年度米価決定或いは食管財源として用いるということについては、あなた方はどうお考えになつておりますか。
  32. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 食糧輸入補給金というのは相当金額大蔵省のほうに残ります。数字で申上げますと、一般会計昭和二十九年度予算として組まれました九十億円はまるまる大蔵省に残るわけでございます。そのほかに二十八年度の予算で繰越明許で繰越されておりますのが約六十八億ほどございます。その繰越明許の六十八億のうち清算のため食糧管理特別会計が約三十五億ほどだつたと思いますが、受入れられるはずでございます。繰越明許の中で従つて三十三億の金が残るわけでございます。従つてその三十三億と九十億との合計百二十三億という財源大蔵省に残る結果になつております。財源としてどちらを優先すべきかというふうに考えました場合に、食管の会計の中でやりくりができ、而もやりくりそのものが反デフレ的でないということでありますならば、やはり食管のほうで自然に消して行くということが、これは財政事情も逼迫しておるという一般情勢からして極く自然のことじやないか、且つそれでそういうふうになつたのだと考えますが、財源が足りなかつた場合には我々としては繰越明許の分とか、或いは九十億の分の全部でなくても、その一部とかを食管に繰入れるということを考えておつたわけですが、そういう必要がなくなつたわけです。ただ問題として申上げておきたいのですが、輸入食糧補給金として受入れるかどうかということについては技術的な問題がございます。それは輸入食糧補給金として繰入れます場合には、現在の予算の建方が食糧管理特別会計に金が繰入れられるわけですが、輸入食糧の補給金でなしに、食糧管理特別会計の一般的な赤字を消すために繰入れるということになりますと、そういう項を立てなければいかんので、これは補正予算が要るわけになります。幸いにしていずれもやれないようになつておるわけですが、将来の問題として食管財源が足りないという場合には補給金に入れるのか、項を立てて補正予算を組むのかということが問題になる可能性があるわけであります。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 あなた方はややもするとデフレを崩しちやいかんということをよく言われるのですが、私はデフレという言葉に少し魔術にかかつておられるのじやないかと思うのでして、従つてデフレというけれども、実際どこがデフレになつているのか、最近一応不渡手形が多くなつたとか、いろいろな問題がありましたが、最近の経済状態を見ますると、むしろ将来において撒布超過が予想されるのじやないかということからして、必ずしも掛け声通りのデフレというものは出るか出ないかわからんと思いますが、若し残つている百二十三偏というものが将来、今内定されたところの米価で行かないで、新らしいもつと変つた米価ということになつて、それで使われるということになるなら別問題ですが、そうでなしに考えて行つた場合には、その百二十三億というものは新らしい方向へ使われるという場合、それから食管の財政を非常に不健全ならしめる繰越益をゼロにするような、或いはマイナスが起るかもわからん状態にしておいて、この百二十三億というものを全然新らしい方向へ使つて行くという場合と、それから食管というものは或る程度健全財政でなければならんのだ、将来食糧管理には予測せざるということが起るかわからん、而もそのときに金がないからと言つて国民の食糧の問題を放つておくわけに行かんという点から見ると、どうしたところで食管財政というものは余裕を持つておらなければ非常に危険だと思うのですが、従つて私は繰越益の七十七億に全部手を付けずにどうこうということは別の問題にして、或る程度のものはちやんと残しておかなければ、食管の実際の運営にあなた方自身が危惧の念を持たれるのじやないかと思うのですが、そういう心配をされることはございませんか。それからこの補給金を一説によるというと、これは輸入米だけに関するものだ、従つて、これは社会保障費的な意味を持つたものであつて内地米価格の調整あたりに使うべきものじやないというような説もありますけれども、私はそれも違つていると思うのですよ。単純な社会保障費的なものではなしに、飽くまで国民の食糧全体と関連してできたものであつて、現に今やつたやりくりの中でも、厳密に言えば麦のものが米に使われたり、米のものが麦に使われたり、いろいろ出ておるわけですから、当然この百二十三億の補給金の残というものはまるまるでなくても、一般会計のほうへ繰入れらるべきものだと思うのですが、それに対して農林省はどういう主張をせられたのか、大蔵省ではそういうことについて、どうお考えになつておるのか、又農林省としてはそういう主張をされたことがないのかどうか、その点はどうでしようか。
  34. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 農林省としましては、実は財務当局のふところ関係も察するわけでございます。そういう関係で、食管の中を先ず可能な限り洗い出して、それによつて財源を賄う、なおそれで足りない分は、若し理窟がつくならば、輸入食糧補給金ということで繰入れてもらう、それでも理窟がつかないというときには項を設けて、補正予算を組むという態勢で繰入れる、そういうふうに筋道としては考え、且つ主張したわけでございます。まあ先ほども申上げましたが、早場奨励金金額は、多ければ多いほどいいという、我々としては集荷政策上非常に切実な気持がありますので、これは恐らく理論的でないかもわかりませんが、二十七年の実績程度を、これは百十四億ぐらいです。百十四億ぐらいを見込めないかというふうにも考えた時期がございました。そういたしますと、七十一億円との差が四十三億円もあるわけです。その四十三億円も更に出すということになりますと、御承知のように、手を付けなきやいかなかつたわけでございますが、幸い頭打ちはしない、一応最小限度七十一億だけれども、支払いについては頭打ちはしないというような考えでの七十一億円ときまつたために、差当り一般会計に手を付けないで済むのじやないかということで、一般会計のほうには手を付けなかつたというわけでございます。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 私はまあちよつと事務的にお聞きしているので、そこから先どうすべきではなかろうかという問題については、改めて農林大臣等お見えになつたときにお尋ねしたいと思うのですが、もう一つお尋ねしておきたいのは、今あなた方のほうでは、本年の産米生産費をどの程度に見ておられるか。
  36. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 実は生産計算は毎年問題になりますが、現在のところ二十九年産米推定生産費というものは非常な困難がございまして、十分確信のある計算ができておりません。二十八年産米についてのデーターは目下米価審議会もございますし、非常に詳細に吟味中でございます。これは御存じのような、平均生産費しか出ないわけですが、昭和二十六年に米価審議会の専門委員会審議して頂きました、いわゆる三案のうちのC案というのがございますが、これは限界生産費を主張した案ですが、且つこの項目の中では、自家労賃部門を都市の一般製造工業の労賃によつて引直したらどうかという、そういうような御意見の案ですが、それによる案も実は試算してやりかかつております。これは確定しておりませんので、甚だ何ですが、それで本年を推計しますと、恐らく一万五千円くらいになるのではないかと思つております。石当り石当り一万五千円としますと、最近農業団体では別のことを主張しておるのですが……。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 もう一遍ちよつと今の……。
  38. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 本年の推算は一万五千円、限界生産費で、都市労賃並の農村のほうの生産評価をするという計算によると、恐らく一万五千円だと思います。これは数字が動いておる最中ですから、その程度でお聞き流し願いたいと思います。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 そこから先になると、これはちよつとあなたに質問するのは無理なことになるのですが、これはわかりません。推算限界生産費だつて、いろいろ見方もあるし、一万五千円が妥当であるかどうか、こんなものは一万五千円も確定でないのだし、いろいろ問題がありますが、実際問題としてこういうような数字が出る、そして指導連あたりでやつて一万二千五百円というような生産費が出る、そういうときに、従来の価格構成の理論と価格構成の立場を崩さなかつたのだと言われても、実質的には新聞等が取上げる九千五百五十七円という計算の仕方がいいか悪いかは別問題にしましても、昨年に比べて相当に下廻るという米価、そういう米価で、片方においては現在の政治そのものに対して、大きな汚職事件にしても、曖昧模糊として葬むられてしまうというときに、知事会議でどういう答えを出す、知事会議よりも生産農民が、あなた方に内定された米価に対してどういう立場をとるだろうということをお考えになつた場合に、これで事務当局としては、二千六百万石の集荷というものは押して行ける自信がございますか。
  40. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 非常な難問なんでございますが、価格を構成する、それぞれについては、一応事務的にはこれで行けるであろうという考えの下にできております。ただそれを累計いたして、いろんな推計をいたした場合に、去年に比べて少いじやないかというような感じの出ることは事大であります。他方去年の実績というものから、凶作の特殊性で引かされた分を出して行くと、やはり九千五、六百円程度になるということも、計算でそういうふうになるのです。ただ自信があるかどうかとおつしやられますと、甚だお答えがしにくいのですが、本日から各府県の作況なり集荷の可能程度というものを本日から聞き始めます。約二十日間に亘つて聞くわけですが、その間にすでに米価も決定しておりますし、どのくらい出して頂けるかということの見当も、十月中旬の知事会議までには事務的に腹ずもりができるだろう、そういうふうに考える次第でございます。なお、これは参考までに、御質問なかつたのですが、今の一万五千円で計算しますと米価の分だけで千五百億くらい要ります。計算間違いはないと思いますが、約千五百億円の財源が要ります。且つ限界生産費方式そのものにもいろいろな問題があるかと思うのですが、ざつと計算しますと千五百億円の財源がどこからか必要だ、そういうことです。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 そこから先にいろいろ問題があるわけですが、いずれ予定して行きますと、二十二日に大臣初め食糧庁長官食糧庁長官はそれまでには病気も治られることと思いますから、そのとき質問したいと思います。
  42. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 ちよつと事務的なお尋ねですが、早場米奨励金は昨年と比較してどういうふうな違いになつておりますか、時期的にお願いいたします。
  43. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 時期的に申上げますが、昨年は第一期が十月十五日でございます。それまでの単価が千三百円です。第二期は十月の三十一日、その単価が九百円、第三期は十一月の二十日、その単価が六百五十円、第四期が十二月の十日、その単価が四百円でございます。
  44. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 本年の早場米奨励金の期日と金額と睨合せてみまするというと、非常に大きな開きがあると思うのですが、この点につきましては、いずれ大臣が参りましたときに強く私は要求したいと思いますが、大体本年の作況は前期において非常に曇天続きの低温であつた従つて全国的稲作の作況は遅れておるわけです。大体において私はこれは全国的に甘い得ると思うのですが、二週間くらい平均遅れておるのではないか、そういうときに折角の早場米奨励金をここに九月末云々ということを仮に出しておいてみたところで実際の農家手取りにはならない。又事実皆遅れておりますから、如何に奨励金を付けてみたところで、到底私は実際に七十一億の早場米奨励金というものが実情に適しないものだと考えております。これはいずれ全国の作況等も発表になりましようが、それらとも睨合せまして大臣に強く要求したいと考えておりますから、あらかじめ御承知置き願いたいと思います。
  45. 松永義雄

    ○松永義雄君 財政上の赤字を補填するために食管の特別会計においても売却の利益を見込んである、その利益は外麦を買つて儲けた、こういうことですが、その点ちよつと詳しくお話願いたいのです。
  46. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 外麦の売却による利益と申しますのは、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、濠洲、それぞれ麦の生産国で輸出価格が非常に低下して来ました。現在では日本の内地でできます麦の値段よりも相当下廻つております。それを相当多量に輸入しておりますのですが、そのまま外麦を市中に流しますと、内麦に対して非常な圧迫になるということで、麦生産農家の保護ということも考え合せて適当な価格、と申しますと、内妻と外麦の中間的な価格というものを作つて政府が売渡しておるわけでございます。従つて外麦については買つた値段で売つてなくて、買つた値段よりも少し高目に売つておる、そういう関係で外麦そのものについては利益が発生します。ところが内麦は政府が売つております価格では円内の麦作農民から買つてないので、麦作農民からは若干高目に買つておる、そのために食管の会計の中で赤字が発生する。そこで外麦による利益と内麦による赤字とで消し合つておる、そういうのが血管の会計の中の操作の実態であります。
  47. 松永義雄

    ○松永義雄君 その外麦は小麦であつたように、さつきそういうお話があつたのですが、これは小麦協定による輸入小麦で儲かつておるのですか、又はかに何かもう少しコマーシアルで輸入しておる小麦があつて、それが著しく安いために販売利益を生じておる、そういう意味ですか、その点をちよつと伺いたい。
  48. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今具体的に小麦協定、それから非小麦協定或いは過剰農産物処理、それぞれの価格がどうなつておるか実はつまびらかにしませんが、外麦全体として相当な値下りになつております。それは一般に売出される、これは小麦協定に入つておりませんが、アルゼンチンにいたしましても、そういうところの小麦もすでに相当安い、本年も引続いて安いのじやないか、そういう見通しを持つております。
  49. 松永義雄

    ○松永義雄君 あなたのおつしやつたそれは安いというのは、日本で言うと二十八予算年度の輸入小麦について言われるのですか、二十九年度はどういうふうな見通しになるか。
  50. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 二十九会計年度、更に現在の問題としましては新米穀年度を見通しての考え方でございます。
  51. 松永義雄

    ○松永義雄君 次にお米のことを聞きたいのですが、お米もえらく下つて来ておる、こういう話です。中共米は一トン百六十二ドルですか、それで日本へ到着しまして行当りどれくらいの値段になるのか、今即答願えなければ、あとで計算して頂いて、昼からでも結構です。それから加州米ですね。ああいうものは値下りを来たすのか、或いはウルグアイであるとか、何とか新聞に出ておりますが、えらく安いようですが、それが大体CIFというのが、農林省の手許に届いた値段というものは一体幾らになるか。内地米消費者価格とどういうことになるのか、こういう点をお昼からでもよろしうございますから、お答え願いたい。
  52. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 只今の資料詳しく調製しましてお届けいたしますが、輸出国によつては現在のドメステイツクCIFを割つて、より安いアライヴアルを示しておるものが相当ございます。併し全体として見れば二十九会計年度なり、三十米穀年度をずつと見通しまして、やはり米については何がしかの、四、五十億程度の輸入食糧補給金というものは全体としてはやはり必要であろう、輸出国の如何により、又そのときの商談の如何により相当安いものも出て来る可能性は多分にある、そういうように考えております。
  53. 松永義雄

    ○松永義雄君 この点はあとで詳しい資料を頂いて、そうして小麦がそういうふうに安くなつて来て儲かつておるという工合に、米の輸入価格もいずれは安くなるでしようが、それは一体どういうふうにこれを処理して行くかという疑問が出て来るのですが、消費者米価はどうなつて来るかということも考えられるので、そういう資料を一つ御提出願いたいと思います。
  54. 森八三一

    委員長(森八三一君) 私からも一点お伺いいたしますが、二十八年産米に完遂奨励金の八百円が支給せられたという経緯は、御承知のように米価一千円をアツプすべきだという主張がだんだん究明せられた結果、三党間の話合がまとまつて奨励金という姿をとる限りにおいては税に関係を持たせないというような形もとれるのであるというような意味から、八百円の奨励金ということに落着いたと承知をいたしております。その八百円がそのまま今回の八千九百二十円の基本米価に加えられますると、当然基本米価ということになれば所得の対象になる、その場合に税の関係を差引いたしますと実質的には一体どうなるか、計算ができたら一つお話願いたい。
  55. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 実は我々もこの計算をいたした上での加算ということを実は考えようということで苦慮いたしたのでありますが、農家の全体としての、例えば全農家を一戸というふうに考えた場合の税金額というのは非常に僅かになつておるし、それが各層別に引いた場合にどういう効果を持つのか、実は八百円というものが免税なり、減税なりにならない場合の効果の測定は事務的に不可能でございまして、実は主税局なんかともいろいろ打合せをいたしましたのですが、この点については全くよりどころがなかつたわけです。それで止むを得ずこのまま八百円として入れたわけです。ただその場合に考えて頂きたいのは、昨年は義務供出分だけに八百円行つておりました。従つて全体の供出が昨年は二千六十万石ぐらいになつておりましたが、二千六十万石分にこの八百円を割りかけますと、大体石当り五百六十円程度です。その程度が至当だろう。今年はまるまる八百円を付けた、そこにも計算上の差がありますが、税金の面では技術的に困難であるというほかに、今年は完遂しても、しなくともこれだけ出すというふうな趣旨の差というものはあるのであります。
  56. 森八三一

    委員長(森八三一君) それからその次にお伺いしたいのは、昨年は超過供出奨励金が二千七百円であり、本年はこれを千四百八十円に一応策定をしておる。そのゆえんは一万四百円というものから基本米価の八千九百二十円を差引いたのだというような御説明であつたのですが、そうしますと、超過供出奨励金というものの性格は一体どういうふうにお考えになるのか、その点千四百八十円と決定された場合の態度はどうであつたかをお伺いいたします。
  57. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 超過供出奨励金がそもそもできまして、相当な年月になるわけですが、二十七年産のときから一つの原則ができまして、それは今申上げておりますいわゆる一万四百円でございます。で、この一万四百円というのは、前年の闇価格を参酌して、その程度のところで闇価格と競争をなし得るという線できめたわけです。その後物価の若干の上昇などいろいろな変遷があつて、現在では闇価格の全体平均が恐らく一万三千円から四千円の間にあると思うのです。そういう意味でして、全国ベースで闇価格と競争をするという建前から行きますと、千四百八十円では到底足らないということになるのですが、主要米産村で集荷目的を達成するために必要な最小限度としては、一万四百円程度あるならば行ける、こういう観点に立つて、一万四百円というのを超過供出される米の価格として定めまして、基本価格差額だけを奨励金として追加する、そういうふうにしておるわけでございます。従つて一万四百円というのは、昭和二十七年からずつと変つておりません。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 それは、今のに関連しますが、今の説明通りとしますと、完遂奨励金がどうなるのですか。去年の場合には完遂奨励金を含まざるものが七千七百円ですね。
  59. 中西一郎

    説明員中西一郎君) そうです。
  60. 江田三郎

    江田三郎君 今年は完遂奨励金を含んだものが八千九百二十円ですね。完遂奨励金というものを今度は所在地を、原籍を変えたことになるのですか。
  61. 中西一郎

    説明員中西一郎君) ちよつと御質問の趣旨が何ですが、完遂奨励金は、去年は千四百万石分に支払われたわけでございます。で、今年は二千六百万石と考えておりますが、それに全部出そうということで、そこに趣旨の変更があるわけでございます。奨励金を成るべく整理して、基本価格に入れろというような一般的な輿論もございましたし、義務供出を完了した人だけに八百円出すというようなことも、末端事務でも非常に複雑であるし、そういう経緯に鑑みての繰入れです。
  62. 江田三郎

    江田三郎君 仮にそうしましても、建前ちよつと違つたかも知れませんけれども、実質的には二千六百万石と千四百万石の違いになつて従つて昨年の八百円というものは、石当に直すと五百五十円になるということになれば、そうすると、今年の八千九百二十円から五百五十円を引いたものを、一万四百円から引かなければならんということになりませんか。
  63. 中西一郎

    説明員中西一郎君) その点に変更があつたわけです。従つて八百円をぽんと入れて基本価格ができ上つてしまつたものですから、基本価格と一万四千円の差額は、超過供出奨励金になる。原籍を変えたという……。
  64. 江田三郎

    江田三郎君 だからそれは扱い方が変じやないかということなのです。去年は完遂奨励金というものが全然ないもので七千七百円というものを一万四百円から引いた。今年はパリテイ価格特別加算に完遂奨励金を加えたものを一万四百円から引いておる。そこで同じ八百円でも、去年は一部分に出し、今年は全部へ出すのだということになるならば、その一部分というのを文章で書けば原籍が違うことになりますけれども、これは実質的に計算するというと、石当りでは五百五十円になる、そうでしよう。八百円というものをもらつた米ともらわん米とあり、全体の供出量で割るというと、八百円というものは大体五百五十円になる、そうするというと、その五百五十円というものだけ今年の千四百八十円に加えなければ計算が合わんじやないかということなんです。
  65. 中西一郎

    説明員中西一郎君) ちよつと理解がしにくいのですが、要するに完遂奨励金義務供出分だけ払つてつたの基本価格の中へ入れてしまつたために、超過供出奨励金と言いますのは超過の分にしか出ないわけですが、その場合の基本価格にも八百円というのは含まれてしまつておるわけです。従つて一万四百円と基本価格との差額超過供出奨励金になります。併しそういう意味では先生の御疑問は恐らくこういうことだと思うのですが、私が義務供出分だけに超過供出完遂奨励金というのは、要するに義務分だけに払つてつた、これは形式上正にそうなんです。併し超過の分になりますと、完遂奨励金を除いた七千七百円というベース超過供出遥励金をもらつてつたわけですから、何と言いますか、超過供出をした農民は義務分の供出において完遂奨励金をもらい、且つ超過供出奨励金の中で完遂奨励金と同額分をその中でももらつてつた、実体的にはそういうことなんです。御質問の趣旨に答えになつたかどうかわかりませんが……。
  66. 江田三郎

    江田三郎君 だから一つ問題を単純にして考えてみて下さい。去年の一万四百円マイナス七千七百円という七千七百円は、パリテイ米価七千二百四十五円とそれから特別加算の四百三十円ですね、それから今年若しパリテイ米価の七千五百七十一円と特別加算の五百四十五円というもので行けば八千九百二十円にはならんで、八千百二十円ということになるわけです。そこで一万四百円との差額を去年と同じ建前で行くと、八千百二十円だけ引けば、一万四百円から八千百二十円だけ引けばいいじやないか。ところが今年は八千百二十円に八百円加えたものを引いておられる。それは従来とは完遂奨励金の扱いが違つたのだから、そうなるのだと言われるけれども、併し去年は八百円でも実際農家の平均手取りから見るというと、これが出る部分と出ん部分とありましたけれども平均手取りから見るというと五百五十円でとつたことになるのだから、少くともその程度だけは今年は八百円から引いてから、八百円マイナス五百五十円イコール二百五十円というものを今年の完遂奨励金として一万四百円から引くときに、そういう計算をしなければ勘定が合わんのじやないかということです。
  67. 中西一郎

    説明員中西一郎君) その点は先ほどちよつと申上げましたように、昨年も今年も超過供出の米の単価というものは石当り一万四百円でございます。従つて去年は基本価格の七千七百円、完遂奨励金を含まない分を引いたわけです。今年は完遂奨励金基本価格に入れましたために、出て来た基本価格の八千九百二十円というものを引いてその差額奨励金とした。従つて奨励金の乗減が一定ですから我々の考えでいいのだと思うのですけれども、二重に払うわけじやないのです。昨年も今年も二重に払つておるわけじやないのです。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 これはあとでよくやつてみますけれども、要するに一万四百円というものがこの主要産地の闇価格である。それから基本米価というものを引いたものが超過供出奨励金ということになるなら、その出し方は或る場合には完遂奨励金というものを去年のように抜きにし、今年の場合は完遂奨励金を入れて、その差額を出すというやり方は少し違いはしないかと私は思いますけれども、あとでよく算術してみます。
  69. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、只今議題になつておりまする昭和二十九年産米価格及び昭和三十九年産米管理方式の説明につきましては、いずれ明後日農林大臣出席もありますので、更にその際に詳細を極めて頂くことにいたしまして、本日はこの程度にいたしたいと思います。   —————————————
  70. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和二十八年産米バツク・ペイの問題でありますが、これは只今中西企画課長から二百五円という内定をした趣きの発表がありました。先回の当委員会におきましては、昭和二十九年産米価格を切離しまして、八月三十一日までに決定実施をされたいということを全会一致で議決をいたしまして、関係大臣に申入がされたのであります。その申入に対する一部の報告は只今つたのでありますが、八月三十一日までに実施されたいという点につきましては、すでにその申入期間も経過をいたしておるのでありますが、内定をみておる二百五円というものの可否は別にいたしまして、実施に対しまする政府の態度につきまして御説明を頂きまして御質疑を頂きたいと思いますが、先ず実施の態度につきまして御説明を願いたいと思います。
  71. 中西一郎

    説明員中西一郎君) バツク・ペイそのものにつきましては、先ほど若干触れましたが、それの支払いの態度というお尋ねでございます。これにつきましてはまだ十分な審議はしておりませんが、その出ました約四十億強という金を最も有効に使つて頂くことを、これは食糧庁としてでなしに、農林省全体として何かいい方法はないかということは事務的に検討を進めております。その趣旨といたしますところは、甚だ支払いも遅れて、いつもお盆の時期になるというのに支払いが遅れて農民の各位には甚だ申訳なかつたのですが、農業協同組合の再建整備の問題がかたがたあり、又他方今年は補助金が出ましたが、病虫害の防除関係の農薬の資金も毎年相当要る、そういうようなことがあるので、勿論これは政府が強制的にやるわけでございませんが、末端のほうで協同組合と農民各位との間で了解がつけば、その金を出資に振替えるなり、或いはその金を農薬の基金にするなりについて、農業団体のほうでどうお考えになつておるか、若しそういうふうなお気持があるならやつて下さるのがまあ望ましい、そういう程度の話合を現在やつておる、それがどうなりますか、まだ明確な見通しがつきませんが、まあ従来相当な金額が末端で消えてなくなつてしまうというふうな噂もあるので、成るべく有効に使うように、行政指導だけはそう強制的でなしにやつてつたらどうか、そういうふうに部内で相談が進んでおるわけでございます。
  72. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本件につきましても、いずれ明後日の大臣出席の際に、更に今後の扱い方等を究めて頂くことにいたしまして、本日は事務的な説明を求める程度にいたしたいと思います。  午前中の会議はこの程度にいたしまして暫時休憩をいたしたいと思います。午後は一時半から再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後二時五分開会
  73. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは休憩前に引続きまして会議を再開いたします。  最初に米穀の検査の件を議題にいたします。本件につきましては、かねて江田委員から国内産米が絶対に不足しておるという現実に即応いたしまして、米穀の検査は、商品価値の向上よりはむしろ量産を主眼としてそのやり方を改むべきではないかというような趣旨の、又佐藤委員からは、米俵の重量不足に伴いまして、内容である米の量目の増加が余儀なくされておるというような現状において、これを是正すべきであるとの趣旨の御質問がありました。すでに当委員会におきまして、前後一、二回問題になりました。本日の委員会におきまして農林当局の確答を求めることになつてつたのであります。この際その後における農林当局の本件に関する措置について報告を求めたいと存じますが、念のため江田委員から、前回御発言のございました要旨について、いま一度お述べを頂きますことが適当かと存じますので、要旨を御説明頂きたいと存じます。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 まあ要旨だけ述べてもいいのですけれども、少し同じことになりますけれども、違つた角度から若干要旨を述べる前にお尋ねをしておきたいと思います。それは本年の内定された米価によつて等級間の格差というものは一体どういうことになるのか、それから政府が払下をするときの価格というものは、消費者価格でなしに、加工業者のほうはこれはどうなるのですか、これを先ずお聞きしておきたい。
  75. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) お答えいたします。検査の格差につきましては、まだ今基本米価がきまつたばかりでありまして、企画課で一応研究いたしておりますが、基本米価といたしまして、昨年と今年との開きは一・二二%くらいのところを従来の格差にかけて出したらどうかということを企画課のほうで研究いたしておりますが、まだ内部でもはつきりきまつておりません。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 その点はわかりましたが、従来の米の買上価格と、それから払下価格とはどうなつておりますか。
  77. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 昨年度の政府の買入価格を二等の裸で申しますると、俵当りで申しますと、玄米三等が三千二百八十円となつておりまして、売却のほうにおきましては、これは上位等級と下位等級と分れておりまして、上位は一、二、三等で下位は四等というふうに分れておりますが、上位では四千五十円というふうになつております。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 生産者価格というのは三等を元にして四等、五等といろいろ格差をつけておる。それを今度売る場合やはり同じ格差でやられるのですか、どうなのですか。
  79. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 一、二、三等を上位とし、四等を下位としまして二つに分けてやつております。一、二、三等はもう格差なしに、やつております。
  80. 江田三郎

    江田三郎君 下位でも上位でもよろしいが、それは全国皆どの米も一律ですか。
  81. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) どの米も一本になつております。
  82. 江田三郎

    江田三郎君 例えば同じような四等米といつても産地によつて払下価格が迷うということはありませんか。
  83. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 同じことになつております。運賃その他いろいろ加算すべきものはありますけれども、米そのものとしては全国一本になつております。
  84. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、同じように四等米といつても産地によつていろいろ違つた歩留があると思うのですが、そういう歩留りの違いということは政府の払下価格には関係ありませんか。
  85. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 歩留りは北のほうの北海道とか、或いは御承知のように昔の自由取引時代の特別の銘柄の愛知、三重、岡山、広島、香川というような五県ものというようなものにつきましては、搗粘度は一%以上違いますけれども、これは今のところ全国一本になつております。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 産地によつて払下の価格が違うということを我々は聞かされているのですが、それは私の誤解なんですか。
  87. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 違いといますのは米そのものの元の価格でございますか
  88. 江田三郎

    江田三郎君 歩留りによつて同じ四等米といつても、例えは今言つた五県ものの四等と、それから新潟なり北海道あたりの四等は、加工業者に払下げられる場合の価格が違うというように聞いておりますが、そうじやないですか。
  89. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 東京なら東京に持つて参りましても、どこの米ということなしに、もう全部一つになりまして、政府としては東京におきましても各産地別にその価格を変えるという手数はとても大変でして、現在としては一本で、北海道の米も、新潟の米も、愛知、岡山の米も一本になつております。
  90. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、今もあなたのお認めになつておるように、歩留りは実際問題として違う、そうなるというと、その歩留りの高いものをとつた業者は得をするし、歩留りの低いものを政府からもらつた業者は損をするという表現はおかしいのですけれども、得をすることがないということになるわけでしようか。
  91. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 側々の業者になりますと、どの俵が行くかということによりまして、そこにやはり損益が出て来ると思いますが、それを個々に、年間にいろいろ米が参りますものですから、それで一応プールして売つておりますけれども、個々の場合を一々検討いたしますれば、よい米が行つた場合と悪い米が行つた場合と歩留りが違いますから、やはりそこに差ができると思います。
  92. 江田三郎

    江田三郎君 個々の業者ということでなしに、今言われたような自由経済時代の銘柄の高かつた米を扱う、政府のほうで集荷された所と、それを払下げる所といろいろじぐざぐになつていますけれども、例えば新潟の米屋さんに皇室米が行くということはあり得ない、或いは岡山や香川あたりへそう北海道や新潟の米が来るということもないわけでしよう、そうすると、地域的に大体歩留りの高い米を主として扱うという地帯と歩留りの低い米を主として扱うという地帯があるわけで、それが全然同じ価格だということになると、その間に業者の受けるマージンというものは違つたものが出て来るわけですが、それはもうそれでいいというようなお考えになつているわけですか。
  93. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 業者のマージンにつきましては、運送途中の便利、とか、いろいろ問題がありまして、その点については欠減もいろいろ考えたりしておりますから、米そのものとしては一本で売つておりますか、具体的な場合にどの程度の運送上の欠減を認めるか、或いは梅雨を越しまして米が目減りしている場合には、それをどの程度考えるかということにつきましては、後ほどすぐに需給課長が参りますから、需給課長がその詳しい資料を打つていると思いますから、なお詳しくお答えできると思いますが、米そのものとしては、全国的に先はど申しましたように上位分と下位分との二つに分けて一本に売つております。
  94. 江田三郎

    江田三郎君 あなたが運賃だとか、それから梅雨を越しての目減りであるとか、そんなことを言つておられる中に、今私が言つている問題が出て来ると思うので、需給課長が来られてからもつと詳しいことを今の点についてはお聞きしたいと思いますが、検査そのものについて我々が申上げたいことは、今年の収量というものが最初予想されたような収量に仮になつても、需給関係というものは非常に窮屈なわけで、一方に黄変米の問題が起きており、黄変米というものが科学的にこれがどの程度含有されたら害があるかどうかということはなかなか答えが出ないと思う。仮に厚生省なり、農林省のほうで一つのこれが答えだというものを出したところで、一体国民がそれを納得するかどうかということになると、これは非常な困難な問題であつて、今の政府のやることはおおよそいいことをやつておらんということから、たとえ大臣が食つて見たところで、何をして見たところで、多少とも黄変米の混つている米というものに対しては今後も国民の間から強い配給拒否というような声が出て来ると思う。そうなつたときに一体どうやつて需給関係をうまくやつて行くか、勿論輸入米にしたところで厳密に黄変米のない米を探せばあるでしようが、併しそんなものは数は知れているし、値段は高いのだし、結局生産地の十五日、消費地の十日というものがどういう数字に多少変りましても、これを本当に内地米及び準内地米でやつて行こうかということになると、又これは減らすわけに行かんと思う。片方で黄変米の問題かあれは、せめてこれだけのものは安心して心える米というものを確保して行かなければならんわけですから、そこになつて来ると、どうしてもこの内地米収量を一石でも多くするということに重点がなければならんと思う。その点今の検査の制度というものが、あなた方は戦前の規格よりはうんと下げてあるのだと日われますけれども、農家にとつてはやはりこれは非常に相も変らずきびしいという印象を受けるわけで、そうして等外米なんかも相当に出ているわけですが、併し実際に消費者が何を食つているかということになると、いい加減な検査で四等米は四等米として食膳に上るのでなしに、いろいろなものと混ぜ合わされて来るわけで、その点から言えば我々の考えはもつと検査の程度を緩和して、今検査にかからんで落されるものを少しでもたくさん吸い上げるような基準をおくのが妥当なんじやないか、そうして一石でも内地米生産量、生産量というよりも、内地米が商品として廻つて来る、供出として出て来るところの米を殖やして行かなければならんのじやないかということを考えるわけなんですが、そういう点をあなた方のほうでどういうようにお考えになるか。或いはそういう検査の程度をいじくつてみたところで、もう絶対にプラスは出て来ないんだというようにお考えになつておるかどうかということなんです。それからもう一つの問題は、どうもあなたはそうでないと言われますけれども、私の理解する範囲では、同じ四等といつたところで、三等といつたところで、産地によつて払下の価格は違うと理解している。そういうこともそういう方向へ行くなら、これは銘柄設定の方法で行かなければならん。そうでなければ生産者をだましたことになると思うのです。安い価格でとつておいて、政府だけが払下のときに高く売つておれば生産者をだましたことになるわけです。そういう方向へ行くというなら銘柄設定の方法で行かなければならん。そうでない、この米も一律に扱つておるんだというなら、そうして実際に米屋で等外米も四等米もいろいろな形で混ぜられて家庭へ配つておるんだということを考えれば、これは検査の程度というものを、もつと消費者が食べておる実態から逆に考えてうんと落すと同時に、標準というものも、そう大してありもしない三等なんというものを標準にしないで、もつと違う標準を立てなければいかんのじやないかという考え方なんです。そういうことについての御意見を承わりたいと思います。
  95. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 只今江田先生のおつしやる通り、現在の段階といたしまして、生産地十五日、消費地十日という配給量を確保するには、ちよつと計算いたしましても二千六百万石くらいはどうしても確保しなければならん、現状としては一俵でも政府は欲しいという状況でありまして、それがためには校正規格を緩和したらどうかというお話でございますが、私もその政府の検査だけの立場からこれを判断いたしますれば、現在の検査等級は、特に一等という余り出ない等級はこれは廃止してもいいんじやないか。それと、それからその代りに銘柄を設定して、そうしてよい米はよく買つてやる、こういう方法が検査の現在の政府の受入検査、買入検査という先地からいたしますれば至当でないか、これは市内でも検査の面からそういう主張は数年来続けておりますが、そのためには先ほど申上げました通り、売却価格についても等級別に売つてくれということを我々は検査の面から従来主張しておりますのですが、何にせよ食糧事務所の人手も足りませんし、非常に売却に当ります手数が混雑いたしますために、こういうように上位、下位というように分けて一応売つておるわけでありまして、先生のおつしやることは我々は尤もと思います。
  96. 江田三郎

    江田三郎君 尤もと思われてしもうては困るのです。そう思われただけではどうにもなりはしないので、その下位というのは皆一本になるのですか。
  97. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 今ちよつと需給課長が参りますから……、一、二三等……。
  98. 江田三郎

    江田三郎君 いや、需給課長に改めてお尋ねしますが、生産者からの買上価格というものはわかりますが、政府の売る価格というものはどういう工合になつておるかということをお聞きします。それからその売る場合に同じく三等といい、四等といつても、歩留りから考えて、それが一律の値段でない場合がありはしないかというこの二つをお尋ねしたいと思います。
  99. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) お答えいたします。只今内地米政府の売却価格等級別の区別をつけておりません。現在のところは一本価格で大体売却をいたしております。それから等級の区別ば売却をいたします場合に、でき得る限り上位等級と下位等級平均に売却をいたすようにいたすために、倉庫におきましては区別をして保管をするというようなことをいたしておりまして、成るべく平均に売るようにいたしております。従いまして、上位等級と下位等級との歩留り差というものは、平均に売却するということを前提として計算をされておると承知いたしております。
  100. 江田三郎

    江田三郎君 等外なんかはどうです。
  101. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 只今申上げましたのは、一等から五等までのことでありまして、等外米につきましては価格は別にきめております。
  102. 江田三郎

    江田三郎君 この五等までのものが等級別なしに一本で行くといつても、必ずしもなかなか平均はとれんのじやないかと思うのでして、払下げる土地によつて或る所では非常に歩留りのいい米ばかりが払下げられる場合がある。特に梅雨を越したりして歩留りの悪い米が主に扱われる所があると思うのでありますが、そういうことはもう何ら考慮されずに、一本の価格でやるわけですか。
  103. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 政府が販売業者に販売をいたします、価格をきめます場合には、その各四十六県の全部、地理的条件その他が違いますので、卸売業者並びに小売販売業者の販売のマージンというものは異つておりますので、政府から販売業者に売渡す場合の価格につきましては、四十六通りきまつておるわけであります。その計算をいたします場合に、前提となります歩留りというものは、全国必ずしも一律ではないわけでありまして、県によつて、米の質によつて歩留りが若干異なつた計算をされておるわけであります。
  104. 江田三郎

    江田三郎君 県によつて四十六通りの値段が出て、県によつて歩留りの違いを元にして値段が変つておるということになると、これは生産者から買うやり方とは違うわけですね。生産者から買う場合には、三等なら三等というもの一本の価格であつて、ところが今の政府からこれを卸売業者なり、その他へ売渡す場合には進つておるわけですね。そうなんですね。
  105. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 今おつしやつた通りであります。
  106. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、その売渡す場合には、一体どこが基準になつておりますか。少くともですね、我々から考えるというと、まあ三千二百八十円なら三千二百八十円で一律に買うておられる。ところが政府のほうがこれを払下げる場合には、歩留りのいいところはこれより若干高まつた値段に、或いは全体が高まるやつが三千一百八十円よりかずつとこういう工合に高まるのか、こう交叉して高まるところもあり、低まるところもあるということになるのか、どつちか知りませんけれども生産農民から言うと、或る地帯の生産農民政府に余分にマージンがとられておる。或る地帯の生産農民政府から余分にもらつておる、こういう関係が起きるわけですね。
  107. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 実は私も価格のほうは直接所管をいたしておりませんので、細かいところは実はお答えいたしかねるわけでありますが、売却価格考え方と、それから売却の場合に努めて平均化して売るという実態については、先ほど申上げた通りでありまして、すべて平均の荒説をいたしておりますので、個々の場合におきましては、江田委員長がおつしやいましたようなケースが起り得ると思いますが、それ以上の細かいことにつきましては、実は私直接所管をいたしておりませんので、調査をいたしたいと思います。
  108. 江田三郎

    江田三郎君 少くともその四十六府県の払下価格が違うという場合に、運賃という問題もあるけれども、先ほどのお話では、歩留りというものが大きな要素になつておるということになると、これは政府みずからが一つの、まあ実質的に産地銘柄というものを認めているということに私なると思うのですが、そこで政府のやり方というものは、そういう産地銘柄を将来認めて、この産地銘柄を認めて行くということは、同時にもう一歩突込んで行くというと、純粋な商品生産という方向になるのじやないかと思うのですが、そういう方向へ持つて行こうとしているのか、それなら今やつておられることが、産地銘柄というものを認めるやり方をしているのなら、今の、所によつて値段が違うというのは、これは私間違つていると思うのです。ところがそうでなしに、産地銘柄を認めるという方向へ行かんで、ともかくも供出される絶対量を殖やさなければならんという方向へ行こうとするのか、どつちかということですね。供出へ廻る絶対量を殖やさなければならんということで行くのなら、そんならば横布の規格というものを、もつと変えて行つたらどうかということが問題になると思う。現に今の話を聞きましても、払下価格というものは一等も五等も要するに平均的な突込み価格になるのだということになるのなら、それに対応して検査の規格というものも考えて行つたほうが合理的だと思うのです。厄介なことをして一等だ、二等だと、ありはしないのですけれども、そういうものを作つたところで、売るときは一本だということになるのなら、而もそのときにはいろいろ業者の、精米所ではいろいろな米が入つて来ると思います。それなら初めから生産者から買取るときにも、いろいろな米の入つたのを率直にお買いになつたらいいのじやないか。妙なところに妙なマージンをおやりになる必要はないじやないか、こういうことなんです。そこで検査課長の言うように、お前の言うところは尤もだということじや困るのでありまして、尤もなら一体どうしてくれるのだ、今年の検査の規格というものをお変えになつて、そうして今の三等建で何とかいうことでなしに一本の検査にして、それで今の価格が何ぼに決定されるか知りませんけれども、それでぽんと簡単にやられたほうがいいのじやないか、その点どうお考えになりますかということです。
  109. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 現在の検査が、いわゆる商品検査と政府の買入検査との両面の性質を持つておりまして、本当に政府が一斗でも欲しい。戦後のあの混乱時代のように、ああいう時代でありますと、殆んど米は一等、二等ばかりで、尤も等級も一、二、三等と三等級しかありませんでしたが殆んど全部一、二等、こういうのですが、それが次第々々に、まあ少し商品検査的な色彩が戦後社会情勢が落ち着いて来るに従つて、そういう色彩が次第次第に加味されて参りまして、商品検査という面が検査法の下におきまして、次第々々に加味されて参りまして、現在のお話のように、現在一等というものは殆んどありませんが、これを一等にいたしましても、農家といたしましては米の品質をよくして出すよりは、早く出して、千円や二千円の早場供出奨励金をもらつたほうが得だ、或いは最後に参りますと、米をよくするよりは、少しでも超過供出して量を増して、そして超過供出奨励金をもらつたほうが得だというような、僅か六十円なり百円ぐらいの価格差を問題にしない。こういうような農家の現在の管理制度建前が、そういうように奨励金のほうに非常に重きを置いた価格の建て方になつておるものですから、それで検査と規格に非常にその点にギヤツプが出て参りまして、こういう五段階、一等、二等、三等、四等、五等、等外と、こういうような六つにも分ける現状は、実際の検査から言えば、江田先生のおつしやる通り整理したらよいじやないかということになると思います。ですが内部におきましても、そういう等級をすべて一階級にしたほうがよいという議論も内部では皆認めております。大体これは米価決定の場合に、米価が政治問題で大きく取上げられて参りまして、現在の等級を整理いたしますと、従来からずつと論じて来ております米の計算と申しますか、米価基礎数字が全部狂つて参りますから、その面から押されて、ここ二、三年来等級は整理したほうがよいということはわかつておりながら、整理できずに今まで来ておりました。来年度は何か考えにやいかんということは内部でも申しておるような状況であります。
  110. 江田三郎

    江田三郎君 米価のほうに大きな影響が来て、やり替えなければならんというような説明をされますけれども、それは米価ということでなしに、私どもから言うと、今の検査制度というものは誠に巧妙な農民収奪のやり方だと思うのです。一方では等級をきびしくやつて、そして厳重にやつて行く、それを今度は販売業者へ売渡す場合には、等級ということは関係なしに一本の米価で行く、そしてできもしない三等裸というものを楯にして米価を決定する、そういうやり方は、これは全く生産農民というものをばかにしておる話なんです。問題は私は米価を云々するという問題ではなくて、あなた方、あなた方と言つては悪いですが、米価を決定する、或いはこういう制度を決定される人々の考え方の問題だと思うのですよ。今のやり方だつたら、これは全く農民というものはばかにされてしまつておる、えらいむずかしいことを言われても、払下のときは平均して一本で売るんだ、それなら初めから一本の検査規格を作つて、そして検査をしたらいいということは当然言えると思います。一方では商品生産のごとくやつて、その商品生産も、銘柄設定ということも徹底したもので行かんで、中途半端な商品生産をやつて、片方で売る場合、本当の商品としての売り方ではないのですよ、何等あつてもそれを平均して売るんだというような売り方で、商品としての売り方ではないと思うのです。これじやばかを見ておるのは農民だけということになるので、来年からということでなしに、今年お考えになつたらどうですか。
  111. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 今年の米価等級別の比率で織込んで、その結果でああいう、やつときまつたものですから、いま今年この規格を変えるということは非常にむずかしいのではないかと思います。
  112. 江田三郎

    江田三郎君 毎年そういうことを言つているのです。来年から何とかと言つて、そのうちにだんだん百姓も往生するだろうと思うのですが、なかなかそんなものではないです。まあちつと……。
  113. 松浦定義

    松浦定義君 私はちよつと不勉強だつたから、いま聞いて意外に思つておるのですが、生産者のほうへは一等から五等まで、そうしてそれを払下する場合には、ごつちやで払下げてしまう、而もその場合には、四十六通りにもしていろいろやるとしましても、やはり例えば販売業者というものは、一等米であろうと、或いは四等米であろうと、持つて来たものをそのとき、そのときとして入つた量によつてそのときに売つてしまう。そうすると、私は非常に今これを聞いて成るほどと思つたのですが、或る人が買いに行くというと、非常に悪い米ばかり当る、ところが特定の人にはいい米が当るということは、これは当然やれることなんです。それは価格が同じなんだから一向差支えないわけですが、こういうことでは、折角農家がその年にできたものをできるだけ高く売ろうとして、僅かの価格差があることによつて、一級ずつ上げようということで厳選した。ところがそのことが却つて、精白して払下げると大衆のためにならないで、そういう結果に配給されてしまう。そういうことで非常にこれはいい制度ではないのです。そこでまあ戦争中にもありましたし、非常に量を多く集めようというときには、むしろ合格と格外といつたくらいにやつてしまつて、そういうことで生産者に比較的多く出させるという制度のほうが、今の払下の実態から言えば、或いは国民に配給する事実から言えば合致するのではないか、何のために農家だけを一生懸命で厳選し、そして今申上げましたような形で配給せなければならないものであるかということ。それからもう一つは、三等を基準にするということは、これは確かに一等から五等までという数字の上から言えば非常に公平だと用うのですが、その年によつて生産の実態というものは、三等が中心になるようなものが非常に多くを占めるかも知れんし、或いは四等が多くを占めるかも知れん。その年の実態によつて検査を、今、江田委員が申されたように、品質によつて、或いはその主をなすものに対して基本的な等級基礎にするというなら、これはわかるのですが、多くはそうではないと思うのです。過去のあれによつてそうされてしまうのですから、なかなかその年に変更することができないということになつてしまう。そういう意味から考えますと、私はこれは非常に合理的なあれではないと思う。従つて本年あたりもそうですが、昨年あたりに相当悪かつたということから、むしろ四等が非常に多い。これは農家にしてみればやはり四等が基準になるべきであるにかかわらず、三等が基準になるということで価格が多少上げられても、労多くして結果的には何もないということになるので、こういう点は十分一つ研究しなければいかんと思うのですが、又今までにそうしたことについて何ら矛盾を感じていられなかつたかどうかということ。それからもう一つ政府のほうでは精白で買入れるというのはあるのかないのか、そういう点を一つお聞きしたいと思うのです。
  114. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 今の矛盾を感じないかというお話は、これは実にいろいろな面でたくさん矛盾を感じておりますのですが、なかなかいろいろな複雑な供出の面或いは配給の面、米価等いろいろな面につきまして、これが取上という案は見つからんものですから、一応現状のほうでやつて来ておるわけであります。それから後段の白米で買つておるものは相当あります。
  115. 松浦定義

    松浦定義君 まあ矛盾は相当感じておる、それを直すことはなかなか面倒だと、こういうようなお話でありますけれども、併しこれは私は面倒だと言つてつてはなかなかいつまでたつても改正にならないので、これは徹底的に……、こういうように毎年々々凶作型でなかなか増産されないというときには、農家は好んで悪いものをとろうとは思つておらないのだから、やはりとれたものは全部貰うというのがこの割当制度の責任上から言えば重要なことだと思うので、農家について、四等なり五等なり多少低位のものをとつたものはやはり収量も少いのですから、経済的には必ずその効展だけしか報いられないということでありますから、何も五等のものを非常にたくさん出したからといつて、二等、三等を出す農家といさかいが起るようなことは私は絶対にないと思うので、ただ政府のほうだけがそういうような非常に安易な方式によつて矛盾を感じながらやられるということよりも、むしろ結果は私は農家本位の検査方式を十分一つ採用されるのが至当ではないかというふうに思うのです。それから今の白米のほうでお買いになつておるというのは、そういう場合にはやはり検査は無論白米のあれだと思うのですが、今のようなお話で行きますと、生産者はやはり白米で納めたほうがいいということになると思うのですが、全部がそういう結果になつても、政府としては決してそれに大して固執しない、或いはもうそういう意味から却つてそのことが生産者を有利にするのなら希望するといつたようなお考えがあるのかどうか、この点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  116. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 精米で買いますものは、特にその産地で飼料用の「ぬか」が欲しいとか、いろいろな事情がありまして、各県の希望がありまして、これもこつちの配給という問題と絡みまして、一定の枠に県と相談してきめるわけであります。無制限では食糧庁といたしましても配給に差支えると思います。
  117. 松浦定義

    松浦定義君 まあお互いにそれはいろいろ特定県に対しては非常に面倒な点も出て来ましようししますけれども、やはり県の自給程度のものだけは、その県によつて生産者本位に、多少の輸送の問題はありましても、やはり生産者の飼料の点等いろいろ考えたり、或いは今のような価格の点で、何とかそういう点でバランスのとれるようなことを考えたら、その県の需要量ぐらいの程度は認めるということが、その意味から言えば至当ではないかと思うのですが、その点ではどうなんですか。
  118. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 只今の精米としての政府の買入につきましては、県とお打合せの上私のほうで限度を作つておりますが、これは精米の貯蔵その他玄米に比較をいたしまして傷みやすいという問題もございますので、県外に長距離に輸送するような米につきましては、努めて精白を避けたいというような考えがございますので、今お尋ねのありましたように、県内で自給するようなものにつきましては精米でやつたらどうかとお尋ねでありますが、実際に県といろいろ数字をお打合せいたします場合においては、その点を考慮して現在数字をきめておるわけでありまして、非常に制限をしておるということではないのであります。
  119. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今の問題で、県と打合せをして枠をきめておると、それは食管法のどういう規定に根拠を置いてそういう措置がとられるのか、操作上長期の保管をする場合には、白米で困ることもわかります。長距離輸送をする場合にも困るということはわかりますが、食糧買入は白米でもよろしいし、玄米でもよろしいという原則があると、その原則を県と打合せをして適当の枠をきめるというのは、どういう規定に根拠を求めてそういう枠をおきめになるのか。
  120. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 只今の県とお打合せをして枠をきめると申しておりますのは、実際運用上そういうふうにいたしておるのでありまして、法的に申しますれば、精米で供出をしても玄米で供出をしても差支えないわけでありまするので、精米の数等について県とお打合をしてきめておりますのは、法的な根拠はないのであります。
  121. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、生産者が精米で供出をするためには、精米能力等の関係上自然供出時期が遅れる、遅れますれば早期供出奨励金等の恩典にもあずかれない。あずかれなくても飼料としての「ぬか」が欲しいというようなことのために白米で供出を要求する場合には、法律的、規定的には無制限に認めらるべきであるという結論に達するわけでありますが、そういうことになつた場合に、これは当然容認せられると理解していいのかどうか。
  122. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 従来は県とお話合をいたしまして、食糧庁の需給操作その他の関係も県に了解を得てして頂いて御協力を願つておるわけでありまして、只今申上げました通り、法律的にはこれを強制するという根拠はございませんので、努めて県並びに生産者事情を十分お聞きした上で無理のない数字をきめておるわけでありまして、若しこれが精米供出を無制限にやらしてもらいたいという要求が仮にありましたとすれば、それを法律的に拒否するという根拠がないということで拒否はできないと思うのであります。
  123. 松浦定義

    松浦定義君 只今お話ですと、やはり或る程度話合によつてはそれは決定するという幅のあるお話ですが、そうしますと、先ほどお話のありましたように、輸送上或いは又保管上というお話があつたのですが、輸送上については私は何も玄であろうと精白であろうと何ら変りはないと思う。ただ保管上ということになりますと、これは確かに私はその点は十分考えなければならんと思うのですから、これはあえてはそこまでは言いませんが、そういうことの最大限はやはり早場米だろうと思うのです。早場米であれば、これは当然保管上の問題なんかは何ら考慮する必要がないので、早場米に限つては特に精米でやるというようなことで、やはり一つそこで生産者に対して、先ほど申上げましたような或る程度の有利なことをお認めになることのほうが非常にいいのではないか。これはやはり飼料問題などが非常に大きく影響いたしますので、その点ではやはりいろいろ工場設備等もありますけれども、そういうことがきまつておればどういう方法でもとれると思う。それからもう一つは、政府のほうで精白した場合は一等から五等まで一本価格である。そうして買上の場合はそれはやはり一等から五等まで段階をつけて買うのですか。
  124. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 精米は一等と二等と二つに分れておりまして、それで買入れます。
  125. 松浦定義

    松浦定義君 一等と二等との差はどのくらいなんですか。
  126. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 俵当り百円になつております。
  127. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、玄の場合は五等まで買う。そうして白にした場合は一等と二等と二つに分けるというのですが、やはり玄の四等、五等が非常にたくさんあつても、それは二等には入るわけですね。
  128. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 大体精米は二等には入ります。
  129. 松浦定義

    松浦定義君 そうしたらなお更私は、政府は先ほど申上げましたように農民を搾取していると思うです。そういう意味で私はこれは特に政府のほうは一つ早場米だけは精白でやる、だから飼料の点については一つ十分地元で考慮してそのほうにやつてもらいたい。更に又価格の点につきましても、そういう四等、五等のようなものが非常に多いので、農家としては選別する場合にも非常に困つているのですから、せめて早場米くらいは白で買つてやる、そういうふうに一つ急速に……、これなら私は何も検査の規格の点を改めるとか、何とかいうことじやないのですから、今年只今からでも実施できると思うのですが、若しそういうような要求が非常に多い場合でも、早場米についてもなお輸送とか、或いは保管とかいうことで、政府としては従来の方針に変えるといことには何か難点があるか、そういう点についてはどうお考えになつておりますか。
  130. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 早場米につきましては、貯蔵期間も短いわけでありますので、従来の方針と申しましても、早場米について精米供出を認めたらどうかというお尋ねに対しましては、若し早場米についてそういう御要求があれば、実際に数字をお打合せいたしますときに御意見を十分尊重いたしまして実施をいたしたいと考えております。
  131. 松浦定義

    松浦定義君 大体それで私は了解を得たのですが、ただ私は価格の決定と、それから基準等級の問題なんですが、今のように白にすれば四等だろうが、五等だろうが、二等になつてしまうというのであれば、玄の場合は三等だと言つても、その年端非常に三等以上が少いにかかわらずこだわる必要ははいので、その年はやはり四等とするというふうに、私は十二分にそのときの作況を睨み合せて基準等級を変更されてもいいと思うのですが、そういう点ではやはりどういう根拠で玄の場合だけ三等だというふうにこだわられるのか、そういう点は何かそれに対して根拠があるんですか。
  132. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 玄で五等まであつて、そうして精米で一、二等しかないと申しますのは、玄の四等、五等という下等級はそれだけ搗き減りが多いわけでして、できた品物は余り差異がないものですから、一、二等という三つに分けてありますけれども、そのでき工合は大分違うわけでありますから、それで玄米を五等級に分けてあつて、そうして精米を一、二等に分けてあるというような、そういう理由でございまして、そういう早場米を白米でというお話は、産地に割に早場期間に出せるだけの精米技術があるか、摘精能力があるかどうか非常に問題なのであります。
  133. 松浦定義

    松浦定義君 いや、それは政府が今までそういうことを知らしめないで、何でもかでもそのままで出せ出せといつて、こつちの思う通り都合よくやるというような方針だからそうであると思うので、そういうふうに早場米に関してはそうだというのなら、これは簡単な施設なんですから幾らでもやれますし、県内の移動ならお互にそうした長距離輸送でなくても、隣町村或いは隣市までくらいならトラツク輸送でもどんどんできて、十分供出の期日までに間に合うのですから、そういうことには何も私はこだわる必要はないと思うのです。
  134. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今検査の問題について聞いておりますと、いよいよ私はこの農林省の検査のやり方というものが非農民的な感を深くするものであります。これは農林省というものは農民の見方であるということで、みんな農民としては農林省に、何が何でもあらゆる面を農民の問題として取上げて押しかけて来ているわけですが、にもかかわらず農林省農民の味方じやないのだ、あれは消費者なり或いは業者の味方であるのだというようなことであつては私は相成らんと思う。先ず只今の精米の問題にしても、農家としては「ぬか」をとりたい、是非一つ白米で以て供出したいという場合においては、農協あたりはわざわざ精米機を取付けて農家のために非常な便益を図つておるような協同組合もあります。それは何によつてできたかというと、ひところ非常に食糧の不足した時代において、精米所は農家が頼みに行つて精米してもらうというときに、底のほうに自然に米が溜まつているような施設をどこの精米所でもやつたものです。これであそこの精米所はどうも白米の歩留まりが非常に少い、よほどとられてしまつた、あそこはいいというようなことで、そつちこつち歩いて、とどのつまりどういうことをしたかというと、どうせ米をとられてしまう、一俵持つてつて二升も三升もとられてしまうのだつたら、共同して精米機を購入すれば「ぬか」もとれるし、それから又白米も場合によれば供出もできるのだから、そうしようじやないかというので、全国至るところに共同で以て精米機を購入している百姓がたくさんあると私は思うのです。それが何に原因しているかというと、今言つたようなところから出て来ておるわけなんです。それともう一つは「ぬか」が欲しいというところにある。それにもかかわらず、法律によらずして何でも採作の上において、例えば精米機を備え付けておるところの協同組合では白米で供出したいと言つても白米の割当を容易に許可しない。少くとも法律によつてこういつたような措置は私は考えてもらわなければならないと思う。それが何によるかというと、結局は業者の手によつてこれが操作される。又白米の問題についても九四%に搗き上げる、実際には九五%から九六%くらいにしか搗き上げておりません。それを検査官は肉眼鑑定ですからどうのこうのと言えやしません。これで以て配給しておる。場合よればおしろいを付けて、そうして配給しておる。私はこれを第一にお聞きしたのは、包装の貫目を一貫五百目に規定しておる。併しこの前も私は席上で言つたのですが、確たる答弁を聞いておりませんから申上げるのすが、一貫五百目の外装の重量で実際には俵は九百目以上は計算しません。そうすると、両方ぼつちを付けて、繩目を付けて、これで一貫五百目になるかと言うと絶対になりつこありません。両方のぼつちは八十目か九十目ですから、どう計算しても縄がそんなに大量になりつこありませんから、一貫三百目の俵という計算です。そしてでき上りは十七貫五百目で検査をしておる。そうすると、米の量というものを「わら」の代を米で補つておるということになる。どうしても五合から、中には一升くらい入れなければ十七貫五百になりません。それで今度は配給するときに、精白のときはどうなるかというと、一方において九四%の搗き上げを九五%か、九六%くらいで搗き上げて、百姓から五合なり一升なり余計に入つたものをこれ又儲けておる。闇米はひとり百姓ばかりやつておるのではない。検査が実際は農家を助けるための検査ではなくて、いわゆる業者を助けるための検査であるとい多感を私は深くするのであります。この今の外装の重量の問題につきまして確たる御答弁を願いたいと思います。
  135. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 包装一貫五百としておる、こういうお話でありましたが、これは俵をあけて正味重量を一々計ることができないものですから、その土地における平均の俵の目方を一応とりまして、それで皆掛重量として検査いたしておりまして、佐藤先生のおつしやるように、そういう入れ目をするということは絶対に禁じておりまして、六十キロあればそれで十分でありまして、昔からありました目越しとかいうものにつきましては、通牒を出しましてよほど指導しておりますが、若し先生のおつしやるような事実がありますれば、よくこちらの趣旨が徹底するようにいたしたいと思います。
  136. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それは検査課長としてはそういうふうなことを言われるのはいたし方ないことだろうと私も同情を申上げます。併しながら、実際に地方の検査官なんというものは、私は栃木県ですが、どこの県でも恐らく内容が間違いなく六十キロあつたところで、絶対に十七貫五百以上の貫数でなければとらない、尤も計り方もいろいろありますけれども、いずれにいたしましても実際にはとらないのです。これは一つ公式に公文書で以て地方へも流してくれれば徹底的に農民にも普及し、又検査官にも申上げますけれども、そうでない限り栃木県あたりは絶対これが非常な……、例えば私のほうでは百俵くらい供出するものは一カ村に二十戸や三十戸あるわけです。百俵供出すればもう五斗違つてしまうのです。少くも五斗違います。だから俵を買うのを非常に嫌う、自分の家で編まないということてもかなわん、俵の手間賃くらいではとても合わん、そういうところから冬になるともう一生県命俵編みをする。そうして成るべく目方の多いように俵を作ろうとするのだが、九百目以上はやれん、こういうことでは検査課長の指導方針というものとかなりに隔たりがありますので、どうか一つ検査課長がそういう御意向ならば公文書で流して頂きたいと思います。なお今日までのやり方を聞いておりますと、とかく農家本位ではなくして配給本位でやる、今の精米の問題でもそうだし、又等級の問題でもそうです。こういうことはやはり生産者農民でありますし、且つ又最も大切な食糧政策の元でありますから、今日のような人口は一方において毎年百万以上も殖えており、そうして耕地は逆に年年三万町歩くらいも工場や住宅に減つて行くというような現状においては、食糧増産というものが日本の最大の重大なる政策問題でなければならない。にもかかわらず、米価の問題にしても今のような検査の方法にしても、とにかく農民本位ではないということは甚だ遺憾なことでございますから、どうか今後は各委員もいろいろ意見が出たようでありますから、農民の立場から農林省は十分に御勘考下さることを切にお願いいたしまして私は終ります。
  137. 松浦定義

    松浦定義君 今お話の正味十六貫に間違いないのですが、やはり正味十六貫と同時に皆掛十七貫五百というあれはちやんと記入するようになつておるのじやないですか。
  138. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) その土地土地の俵の重さによつて二重俵もありましようし、複式もありますし、或いは「かます」もありますし、そういうので各地使うものが違いますので、使うものの質によりまして重さ軽さもあるものですから、その土地々々の平均重量、これで皆掛重量を考えております。
  139. 松浦定義

    松浦定義君 そうすると、今の佐藤委員のような質問は出ないはずなんですけれども、やはりそういう何が出て来るということになると、その平均というものの査定をどこでおやりになるか我々ちよつとわからんのですけれども、その査定の基準がやはり誤まつておるのじやないですか、そういう場合にやはりその査定には何か例えば食糧事務関係だけでおやりになるのか、或いは生産者の機関とか、代表とかいうものも出てきめるのですか、どういうふうになつておるのですか。
  140. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 俵の重さにつきましては事務所できめております。各府県にあります食糧事務所できめておりまして、米の品質その他につきましては、生産者の代表すべて立会いまして検査の標準をきめますけれども、俵の重さにつきましては食糧事務所だけでやつております。
  141. 松浦定義

    松浦定義君 私はそこに問題が出て来ると思いますので、米の品質の問題については或る程度差支えないと思うのですが、俵の問題についてはやはり生産者の立会といつた事前の了解を得ておやりになるならば、今のようなお話も私は平気なんですから、多少その場合によつてどうしても十分俵に対して基準まで行かない場合には、中味というものが今、佐藤委員の言われたように少し無理のかかるようなこともあると思うのですが、そういう点を一つ十分今後両者の話合いでやるというようにやつたもらわないと、いつまでたつても解決できないと思うのです。
  142. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は需給課長と検査課長がお見えになつておりますから、極く簡単なことを二つばかりお伺いいたします。需給課長は外米のほうの需給計画にも関係しており、検査課長は外米のほうの検査にも関係をしておると思いますが、実は私この間タイに行つてタイの現地の人からこういうことを向きました。これは或いはお答えは要らんかも知れませんが、参考までに申上げておきます、あそこの検査の桜井君というのが言つておりましたが、日本タイ米の買付の場合の検査が厳重過ぎるために、どうも検査に不合格のものが余計出ておる。そうすると、その不合格の米を英国が狙つてつて皆買つてつてしまう。日本の検査が相当程度が高いらしいのです。従つて外米の買付に非常に難渋するということを言つておりました。その先はこれは公開の席だから私申上げません。それからもう一つ需給課長に聞いておいて頂きたいことは、やはり私現地で以てストアを見て参りました。ところがあそこのストアはそんなによい倉庫ではございません。これは全く私から見ればバラツクでございます。相当たくさん川のヘリにありますけれども、大部分のストアはバラツクです。従つて私は品質は悪くなる度が多いのじやないか、やはりタイは一年中米の生産があるそうですが、タイ全体から見るというと、米の出る割合はやはり雨季、乾季があるから一時に出るそうです。従つて買付を一度にやればいい米が余計買える、それを日本では何か予算の関係か何か、ずつとこつちの需給計画か何か知らないが、一度に米の出るときに買付が十分できない。従つて悪い米が来てしまうのではないか。それからもう一つは、これはタイでは一本価格で以て検査の基準がきまつておるのですが、従つてよい米に悪いものを混ぜてそうして検査のすれすれの所に皆持つて行くのだそうです。この点私検査という意味では考えなければならない問題ではないか。なお、今申上げた結論を少し申上げると、現地とこつちの検査の基準、方針と言いますか、その度が米の需給関係からちぐはぐに行つておるような気がするのです。買付のほうは買付のほう、それから検査のほうは検査のほう、従つて現地の人は非常に困難されておるように思う。そういう点について何か三浦君が言つておりましたが、両君自身がそういうことを正直に認めておりましたから、これは私は答は要りませんが、御参考までに申上げておきます。
  143. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最後にもう一遍くどいようですが、確認しておきたいと思いますが、食糧の配給操作上白米が一時に多量に供出をされるということは避くべきであつて、考えなければならんと思いますが、酪農とか、養鶏などの有畜農業を一面には急速に振興して行かなければならん。その要請に応えるために農家では真剣に努力をしていると思います。その重要な資源として「ぬか」を要求する。この要求も尤もなことであるわけでありますので、その要求を満たしつつ、政府の食糧配給に支障を来たさないような供用数量、時期等の打合せさえ完了すれば、要求が一〇〇%満たされるように白米供出を認めるべきである、こう用いますが、法律的にはそれを容認せざるを得ないということになつておると思うが、そういうふうに理解してよろしいのかどうか、それでは非常に困るので、何か別に規定を無視し、法律を離れて措置をしようとお考えになつているのか、その点一つもう一遍確認しておきたいと思います。
  144. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 法律的な根拠は、先ほどもお答えをいたしました通りありません。法律的にはこれは拒否し得ないと思います。配給上の都合並びに政府の米の管理の都合上、いろいろこちらの希望なり、又県側の希望なりをお聞きして、お打合せして参つておる次第でありますが、若し将来県側が、たつての強い御要望があれば十分御要望を検討いたしまして、配給の都合と、それから現地の飼料の問題との調整を図つて参りたいと思つております。   —————————————
  145. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは検査の問題につきましてはこの程度にいたしまして、次に米穀需給の件を議題にいたします。  本件につきましては、前回の委員会において、食糧庁総務部長から一応の説明を聴取したのでありますが、当時提供せられた資料に行き違いがありまして、提供せられました資料は、昭和二十九米穀年度、前年度のものであつたのでありますが、説明は今年八月以降十月までの説明でありました。又黄変米に対する措置も未定でありまして、なお今年の作況も不明の状況でありましたなど、未だ明確を欠いたところがありましたので、今日は資料を整備して頂きまして、改めて説明を求め、本年端境期における米穀の需給状況を明らかにいたしたいと存じます。  つきましては、新らしい資料に基きまして、この際食糧庁の説明を願うことにいたします。
  146. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 資料につきまして行き違いがございまして、お詫びを申上げます。資料として提供さして項きました八月から十月までの需給計画の表に基きまして、端境期におきましての米国の儒教状況についての見通しを申上げたいと思います。  二十九米穀年度は御承知の通り内地米供出が非常に不振でございまして、外米の大量な輸入によつて漸く補いますと同時に、端境期におきまして二十九年産米を相当多量に早期に確保いたしまして、これを端境期のいわゆる早食い数字として計画をいたしますことによりまして端境期を乗切る計画を作つてつたのであります。表にございますように、二十九年産米を十六万一千九百トン、需要の欄の二十九年三米のところであります。これがいわゆる新米の早食いの数字であります。新米の早食いの見通しについて現在我我の持つております見通しといたしましては、昨今の台風の被害などで最終的な二十九年産米の作況につきましては、現在のところまだ正確には把握できない次第でありますが、幸いにいたしまして早場地帯におきましては台風その他の被害もそれほど大きな被害を受けておらないようでありますので、本年の作況の見通しからいたしまして、ここに計上いたしております十六万一千九百トン、これは例年おおむね十三、四万トン程度の早食いで推移をいたしておつたのでありますが、今年は特に早場米奨励金期限等も九月二十日に一応早場期限を設定する等の措置を講じまして、努めて早期に確保いたします努力をいたしておりますので、この計画通りの早食いの達成につきましては、現在のところ十分可能であるというふうな見通しをつけております。又鉄道関係の輸送につきましても、すでに一月前に鉄道当局と精密なる運送計画を策定をいたして協力を願つておりますので、輸送面におきましても、この数量の達成は現在のところ可能であるというふうに考えております。  それから外米の買付状況でありますが、この表に計上をいたしております外米は、すでに殆んど計画通り到着をいたしておりますので、この表に書いてありますところの八月以降の買入並びに入港に記載をいたしております外米の数量というものにつきましても、すでに確保の見通しがついておるわけであります。  それから内地米のこの表を作りまして以降の買入でありますが、この表を作りました当時、即ち七月末の二十八年産米供出実績は二千四十二万二千石でありまして、現在私どものほうで集計をいたしております最終の八月末の数字は二千五十六万三千石というふうに殖えておりますので、差引きいたしまして約十四万石、即ち三万トン以上のものがこの表を作りました以降に供給力として増加計上せられておるような次第でありますので、内地米につきましても、供給の面につきましては計画に支障はないというふうに考えておるわけであります。  次に、最近問題になつております黄変米の在庫のために端境期の状況がどういうふうになるかということについて御説明申上げますと、この計画によりまして十一月一日の持越し、即ち年度最後の持越量は準内地米と外米と合せますと、十五万五千トンの持越量を予定をいたしておるのであります。最近までに厚生省のほうから検査の結果通報を受けまして、黄変菌の混入をいたしておりますものにつきましては一応配給を見合わしておりますが、その数量は先般国会に御報告を申上げましたときから若干数量が殖えまして、現在は約十一万トン程度の在庫量になつておるのであります。黄変米の問題につきましては、現在厚生省といたしましても、この配給の基準その他につきましては学者の意見を徴する等の努力を続けられておるのでありますが、食糧庁といたしましては、現在のところ厚生省から黄変菌の混入ありというふうた通報が参りましたものにつきましては配給を見合わしまして、それ以外のもので配給のやり繰りをいたしておるのであります。従いまして、地方によりましては若干の国内の外米運送を行なつたり、或いは内地米を一時繰上げて配給をする等の措置をとらざるを得ないかも知れないのでありますが、年度末の持越量が約十五万トンの予定でありますので、混在のところでは端境期までの配給に支障がある状態は考えられないのであります。  それから主食用の需要量の状況でありますが、この表に計上いたしております主食需要量と申しますのは、大体五月末日までの主食の売却の傾向、配給辞退の傾向等を根拠にいたしまして作つておるのでありますが、現在私どものほうでは事務的に全国の食糧事務所を個々に招致いたしまして、その後の売却の傾向なり、配給辞退の傾向等を聴取中でありますので、いずれ一、二週間の間に数字的な集計が終ると思うのでありますが、その状況から判断をいたしますと、年度末の持越量十五万トンというものは更に数万トンの増加を来たす予定でございますので、それから判断をいたしましても、又内地米がこの表以上に約三万トン以上も供出をされたというような状況から判断をいたしまして、端境川におきますところの需給につきましては、配給に何ら支障がないというふうに考えておるのであります。  それから三十米穀年度の需給につきましては、現在まだ作況その他も取終的にきまつておりませんし、又供出割当につきましても最終的な数字が固まつておりませんので、現在のところまだ計画としては用意をいたしておらないのでありますが、端境期までの新米の確保その他につきましては、すでに大体の見通しを持つておりますので、本年の十月末までの配給につきましては、只今申上げました通り殆んど支障がないというふうに考えておるわけであります。
  147. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 一つだけ追加して申上げておきます。タイで現地で開いたところが、タイでは黄変米というやつは別に気にしていないようでした。もうタイ人はむしろ古米を日本と同じように量が殖えると、こういう意味で以て一般の国民はやはり古米のほうを好んで食べておる。従つて黄変米というようなものも別に問題にはなつていないそうです。ただこういうことが、タイの政府としては御存じのように米の収入というものが大きな財源になつておるのです。従つてタイ米の大きな需要者である日本で以て黄変米の問題が起つているということに対して相当シリヤスになつております。それでタイでは是非早く黄変米というものの原因、対策、そういうようなことを究明したい。タイではそういうものを研究したことがないのだそうです。従つて日本の衛生関係の専門家或いは医師、そういつた人たちの御協力を得て、タイ自身としてもこの問題は真剣に考えたい、是非日本でそういう問題が発見されたんだから、日本で一つ技術的な面で以て協力してくれ、できれば日タイ共同の研究所というようなものを作りたいということを出先の大使館を通じてこちらへ御要求があつているそうです。未だに日本から御回答がないのだが、一つ私のほうは誠意を以てやるということを言つておるそうでございますから、この点については少くとも私ども早く何らかの手をお打ちになることが、タイの誤解を防ぐ意味においても効果があるのじやないか。タイでは今どつちかと言いますと、この黄変米の問題に対して二つの考え方があるようです。今言つたようなまじめな考え方と、もう一つは、最近タイの米はインドあたりの米が増産されて来たものだから急に弱くなつて来ている、この際日本は悪宣伝を大いにやつてタイの米を叩き、或いは政治的に動いているのじやないかというような説が、相当タイでは巷間には信頼されて流布されております。これは日本が東南貿易といつても正常な国交を結んでおる国はタイしかないのです。そういつた時代に無用な誤解で以て国交を邪魔するというようなことかあつちやいけないのじやないか。そういう意味において、できるだけ早く暫定的な御回答でも御交渉でもなさるほうがいいんじやないかということを私感付いたものですから、一言附加えて申上げておきます。
  148. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 只今のタイ側のほうから大使館を通じまして要望がありました問題につきましては、取りあえず現在のこちらの黄変米のいろいろ試験データー並びに検査方法等につきまして、厚生省に依頼をいたしまして、作成をして送るように手配をいたしております。それからなお現地に黄変米その他につきまして専門の学者を以て編成をいたしました調査団を派遣するということにつきましては、厚生省並びに農林省両省で共同いたしまして計画をいたしまして、所要の予算措置等につきましては現在大蔵省と折衝中でございます。
  149. 岸良一

    ○岸良一君 黄変米の問題は、いつ頃厚生省で見当つくのですか、使用するということはどういう方法でやられるのですか。
  150. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 厚生省では先ず第一として至急人体に対する許容限度だけでも二カ月ぐらいの間に何とか一応の結論を得たいというので、各大学、研究所の方々に今研究を委託してやつておりますのですが、学者の方々のお話では、或いはその研究用のラツテやマウスなどの動物を育てるさえも二ケ月かかるから、とてもそれは半年や一年では出ないということを学者の方々は言つておられますけれども、一応その結果を持ち寄つて、この二十五日以後に一回集まつて今までの実験の結果を話合つて、そうして二カ月間にできるかどうかということをいま一回検討しようと、こういうことになつております。
  151. 岸良一

    ○岸良一君 そう長い間かかるというと、黄変米の状態というものは進行するのじやないですか、それとも現状のままとどまつていますか。
  152. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 黄変米は現在のような外国米の水分十三、四%と、それから内地の気候ですと繁殖しないのじやないか、現状にとどまつているのじやないかという学者の意見です。
  153. 岸良一

    ○岸良一君 若し利用できないということになつたときにはどういうふうな処分をされますか。
  154. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 従来黄変米は昨年度に主食として配給できないものにつきましては、混入程度の強弱によりましていろいろ用途を変えておりますが、菓子、味噌、アルコール原料或いは染色用等のいろいろな用途に廻しておるわけでありますが、今年のように大量なものにつきまして、これを若し処分いたしますとしますれば、いずれ学者の正式な結論等を待ちまして、或いは再搗精をして、描き直しをして混入率を落して差支えないものができれば、或いは主食として配給するとか、いろいろな処分をいたさなければならないと思つております。現在主食用の許容限度そのものがまだ厚生省のほうでも公式に未確定なような状態になつておりますので、処分の考え方につきましても、現在まだ細かい計上を作つておらないのであります。
  155. 岸良一

    ○岸良一君 ちよつとこの表ですね。只今お話のあつた正規の主食の需要、これは五月末までの調べだが、その後の経過から言うと、需要というものは減つておるという話ですが、それは内地米が減つているのですか、輸入米が減つているのですか。
  156. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 外米が減つておるのでありまして、先ほどちよつと御説明が足りなかつたので補足さして頂きたいと思いますが、大体外米の配給辞退が十一月から五月まで、即ち実績をつかんでおりますまでの外米の配辞退が約二〇%であつたのであります。併しながら、例年配給辞退の傾向と申しますのは、端境期に向つてだんだん減つて参る傾向がありますので、この五月の実績基礎にいたしまして、私どものほうでは六月以降十月までの配給辞退の傾向というものが相当減るのではないかというふうに推定をいたしたのでありますが、それがおおむね上半期と同じ程度の配給辞退として済むのではないかというふうな差が出て参つておるということで申上げたわけであります。主として殖えておりますのは外米についてであります。
  157. 岸良一

    ○岸良一君 殖えておるのは外米ですか。
  158. 大口駿一

    説明員(大口駿一君) 配給辞退がです。
  159. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言がございませんければ、本件はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思います。   —————————————
  160. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、乳価の件を議題にいたします。  最近におきます乳価の低落に対処して、過般の当委員会におきましても本件が問題となつたのでありますが、その後乳価は依然落調を示しております。更にその乳代が相当長期の手形決済というようなことで、金融の面にもいろいろの問題を惹起いたしておるのでありまして、第十九回国会において成立いたしました酪農振興法に対する期待は裏切られたとして当面する重要な農政問題となつております。そこで本日は重ねてこの件を問題にいたしまして、これらの事情を究明いたしまして、これが対策を促すことにいたしたいと存じます。つきましては、先ず農林当局から乳価の推移及び現況並びに政府におきますその対策等について説明を聴取し、続いて本件の取扱いにつきまして協議をいたしたいと存じます。つきましては先ず農林当局の事情を御説明を求めたいと存じます。
  161. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 最近の乳価の動きにつきましては、先日当委員会のお示しによりまして、お手許に資料が差上げてあるかと存じますが、一応その資料の御説明から始めたいと存じます。で、私どものほうで県別の乳価について調べておりますのは、各府県からの報告によりまして、毎月市乳原料と乳製品原料につきまして、実際の支払乳価の報告を求めておりますが、七月までの結果が提出いたしました資料に出ております。それによりますと、市乳、原料乳につきまして全国平均で申しますと、一番下の欄に書いてございますような一升当りの乳価は、一月の五十九円五十銭、それが御覧のような経緯を辿つておりまして、市乳については需要期に向つております関係がありますので、三月、四月という時期ほどではございませんが、七月で六十三円六十三銭、そういう平均を示しております。一方乳製品原料乳のほうにつきましては、やはり全国平均で、調査の報告の出ておらん県がありますので、十分な資料とは申しかねますけれども、一応報告の出ております県につきまして取りますと、ご覧のように一月以降やはり三月、四月を山といたしまして、六、七と下つております。それからなお先ほど委員長お話にもございましたような、各県の極く最近の乳価の引下申入れの状況でございますが、これにつきましては資料で御覧頂きますように、全指連の各系統機関を通じての照会の数字を持つておりますので、それをここへ出した次第てございます。黄初の二枚の紙で出しましたのは、府県から実際に市販された乳価として報告を受けたものであります。それから最後の紙に出ておりますのは、原料乳価格として今年の二月以降、五月、七月それから八月末というふうな経緯で、今問題になつておりますいわゆる四十二円とか、そういつた線が出ております状況、買手側からの申入状況がこういうふうであるということでございます。前回の当委員会におきまして、七月頃までの情勢を中心にして、一応状況の推移を御説明いたした次第でございますが、量的な統計といたしましては、統計調査部のほうが毎月の牛乳、乳型品の生産量を調査いたしております。最近四月までしかまとまつておりませんので、極く最近の動きについてはもう暫らく統計的な数字としては、はつきりした数字がつかめておりませんけれども、四月までの全体の牛乳の殖え方と申しますか、増産の模様は前回申上げましたように、昨年の同期に比較しまして約三割乃至四割というような数字を示しております。一方需要のほうの伸びが東京都の市乳の例で申しましても、今年の夏は去年の夏に比較いたしまして、約二割程度しか殖えておらんというような状況で、そういつた需給関係の不均衡と申しますか、或いは昨年の秋以来の供給の不足が俄かにここで供給の過剰というような形で現われて参つておる。で、それに引きつれて市価が値下りし、その市価の値下りが、農家からの買上価格の値下げということにこの四月、五月以降急速に出て参つた、そういう状況でございます。  一応事情としてはそういうことでございますが、私どもは目下のところ、各県のそういつた実情につきましての数字なり、統計調査部の最近の数字を更に詳細に承知するということを先ず第一着に心がけてやつておりますが、何分今の持つております数字がそういうことで、それから推して最近の傾向を推察しておる、そういう事情でございます。
  162. 岸良一

    ○岸良一君 いろいろ御説明はありましたが、最近の四十円に値下げした、或いは四十二円の価格というものは、農林省でいろいろ御調査なつ生産費、或いは統計調査部であつても、或いは畜産局であつても、それから見てこの下げ方は妥当であるとお考えになつておりますか。
  163. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 只今経済課長が七月までの乳価の推移につきまして御説明を申上げたのでありますが、その後私どものほうの資料といたしましては的確に数字を取りまとめたものは現在ありません。ただ各地からの情報或いはいろいろな調査の結果、買手側と申しますか、工場側のほうで、こういう値段にしてほしいという値段をいろいろの方面から取寄せました集計が一番最後の紙に書いてあります価格であるのであります。それによりまするというと、只今岸先生からお話がありましたように、四十円或いは四十二円というような数字があるようでありますが、この数字につきましては、勿論私どもといたしましては先手買手の両方の協議によつて乳価はきまりますので、必らずしもこの線に落着くとは考えておりませんが、併しながら、まあそういう四十三円という価格につきましては、これは必らずしも現在の状態からいたしまして妥当なものじやないのじやなかろうかと、一応考えておるのであります。勿論統計調査部のほうで生産費の調査をいたしております。併しながら、調査対象が非常に少く、又それに携わつておる職員も経費も少いのでありまして、昭和二十七年、八年と調査いたしておりますが、その数字は、勿論これは乳牛を飼育いたしております農家によりまして非常に生産費の誤差が強いようでありますが、いずれにいたしましても四十円というような数字よりも平均いたしますというと相当高い値段、つまり五十円見当ぐらいのものが推算され得るような価格じやないかというような、一応の二十八年あたりの生産調査ではそういうような数字が、極くラフと申しますか、正確度の強いものじやないことは勿論でありますが、さような数字が出ておるのであります。私どもといたしましても、四十円というような数字はたとえ非常に立地条件に恵まれましたところにおきましても、なお農家にとりましては相当これは苦しい価格じやないかというふうに考えておるわけであります。
  164. 岸良一

    ○岸良一君 乳及び乳製品が安くなつておるということは、私は全体としては結構だと思うのです。ただ、今問題になつておる悩みは、まだそれに対する全体の姿勢が整わないうちにこういうことがされたということに非常な問題がある。今おつしやつたような生産費の問題にしても、中間における各種の経費の問題にしても、少しも正確に調べたものはない、これは生産するほうの側についてもやはりそれだけの用意がなかつたということも甘えるのでありますが、その中間の経費等についてもお調べというものは役所にもなかつた、又関係者も発表しておらない。こういうことはむずかしい問題でありますから、問題を解決するにはよほど努力して頂かなければならんと思うのでありますが、局長がそうおつしやられる、今の価格は妥当じやないというお考えであるならば、これに対して積極的に私は現状を完全に示し得るようなことについて、でき得るだけの措置をして頂く必要もあると思いますが、これらに対して畜産局としてお考えがあつたらお聞かせ願いたいと思います。
  165. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 公正な価格で取引をしてもらう一つの要件は、生産費が幾らであるかということを確実に把握することが大事だと思うのであります。この点につきましては、国会等においても強く御要望に相成つておりまして、私どものほうといたしましても、統計調査部のほうにできるだけ広管囲に、且つ正確な生産費の調査を実行してもらうようにお願いをいたしておるのであります。なお畜産局といたしましても、各県にできるだけの材料を持寄つて、各県別の生産費をつかんで来るようにということを、通牒等を以ちまして要望いたしておるのであります。勿論取引価格でありまするから、生産費一本ではこれはきまらないと思うのでありまするが、とにかく一つの資料といたしまして生産費の調査ということに重点を置いて参りたいと、かように考えておるのであります。なお取引等につきましては、文書契約を結びましたものについての紛争が起きました場合には、酪農振興法によりまして取引業者の、取引をいたしまする双方の一方から調停斡旋の申出がありました場合には、府県が斡旋委員を指名いたしまして斡旋をさせるということになつておりまするが、現在のところまだ文書契約が締結されていないようでありまして、その準備中であるようでありまして、酪農振興法に基きまする正規の斡旋は困難でありまするが、先般通牒を出しまして、文書契約、現に締結していないものにつきましても、乳代等について紛争が起きた場合には県で積極的に斡旋に乗出すようにという通牒を出しておるのであります。
  166. 岸良一

    ○岸良一君 それで現在各地で起きておる紛争で、まあ妥結になつたものがたくさんありますか、妥結の現状はどうですか。
  167. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 先般静岡県下当事者の一方から県庁のほうに正式に酪農振興法に基く斡旋ではありませんが、その前提行為としての斡旋の申出があつたということを聞いております。ただ県庁といたしましては、価格等の問題点についてまだ双方の両当事者間において話が、あらゆる問題について、何と申しまするか、終局に至らしめるような論議を起していない。もう少し御相談になつた上で持つて来て頂きたいというようなことで、一応まあ両当事者を納めたというような話を聞いておりまするが、正式に持込んでその斡旋委員の斡旋によつて妥結をしたということは、具体的にはそれ以外には話は現在のところ聞いておりません。従つてこの乳価の問題につきましても、一応ここにありまするような数字を各業者と申しまするか、相手方、一方の買入側から申込みをやつております、それを取巻いて双方でいろいろ協議の段階じやなかろうか、かように考えておるのであります。
  168. 岸良一

    ○岸良一君 私はその各地でもやもやしている問題について通牒を出されたことは非常に結構だと思いますが、更に進んで積極的に今のようなその酪農振興法による成文の契約がなくても、早急に調停に乗出して、そうして世話をして頂くということが現在必要じやないかと思います。私も福島等に参りまして、福島等においては現に乗出して畜産課長自身が調停に入つて、そうして現在の価格プラス・アルフアで或る程度の話がついたということを聞いております。まあそういう面で私はこの際畜産局に積極的に私はやつて頂くことが必要だろうと思います。酪農審議会もまだできませんし、大きな問題を持込んで来ることはできませんが、それよりも早目にそういう手を打つて頂くことが必要じやないかと思います。先般の農林委員会のときに、局長はおいでになりませんでしたけれども、私はこの際にむしろ進んで四大メーカーなり、又市乳の問題については東京の卸小売のものを集めて、そうして現在の状況を話して、現在の値下げに対する緩和の方法についての協力方を相談をしたらどうかということを申上げたのでありますが、私はそれが必要だと思つております。恐らくこれが長引けば処理業者も非常に困つた状態になる。そうすると、遂にはこれを投げようといつたような状態になると思う。ところがほかのものと違いまして非常に腐りやすい品物であるし、処置を誤まつたらこれはえらいことになる。そういうような事態を発生せしめないように、お互いが酪農振興に対して協力の態勢を作るような気持を起させるような努力を農林省のほうでやつて頂くことが必要じやないかと思います。それに対しての局長の見解を承わりたいと思います。
  169. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 乳価の協定の問題につきましては、現在までの段階といたしましては、買入側と申しまするか、それが或る建値を立てて生産者のほうに持込んだような段階であるのでありまして、いずれ地方庁におきまして、これは知事さんにも話して置いた次第でありますが、知事さん一つ先頭に立つて指導してもらいたいということを話しておりますが、この点につきましては相当大きな問題でありますので、全国的な問題として、中央から何と申しまするか、斡旋委員の協力を求めるといつたような格好になつておりますので、この問題はいずれ中央に帰つて来る問題じやないかとも考えております。只今意見のように、四大メーカーを呼ぶことにつきましては私どもとしてはいささかもやぶさかでないし、又是非そうせなければならないと考えておるのでありますが、暫らく地方の情勢を、見ておるというような段階にあるわけであります。
  170. 松浦定義

    松浦定義君 今いろいろ御説明があつたのですが、例えば酪振法を政府が提案して両院でそれを決定するまでには相当いろいろな意見がありまして、特に我々どちらかと言えば、生産者側に立つというような批判を受けながらも、而もその内容については、或いは業者の擁護のためじやないかというような指摘を実はしたのであります。ところが内容についてはそうでないというような、政府においても相当自信のあるような答弁があつたことだし、あの法律はこの段階においては一歩前進だというようなことで一応承知したわけです。ところがその当時はまあ酪農家も生産者としても、この法律によつて将来酪農というものは大いに前進するのだということで、特に生産者としてはまだそれが決定されないにもかかわらず、いろいろな立場でその資金の都合等をして相当乳牛をできる限りにおいて手に入れた。而も乳価のほうは御承知の通りに、当時はもう毎日のように三円、五円というように各会社が買いあさりをした、それによつて非常に酪農民も力をつけておつたのですが、法律が通つてしまつたとたんに乳価がどんどんと下り出した。私は五月の二十七、八日に通つたと思つておりましたが、この法律が通つたのは……、それを今聞きますと、文書交渉のそういう段階にもないし、審議会も全然発足をいたしていないというようなことでは、これは今のお話のように、知事にそういう協力をいろいろ要請されたにしても、法律に根拠のないものについては、なかなか知事さんとしてもおいそれと調停に乗出しても、今のような形ではその調停というものは面倒だと思う。そこで私がお願いしたいのは、五月の末に通つた酪振法に対して政府は今日までどういうような進め方をしておられたか。特に指定地域というものはいろいろ各方面で運動しているようでありますが、それらについてもまあ現在政府としては何カ所ぐらいいつ頃までに指定するのか。そういうことがはつきりして参りますると、今の価格段階におきましても交渉に入れるわけだと思うのでありますが、すでに先ほどから申上げましたように、ひどい所では十五、六円から二十円も下げている。私は最近北海道でいろいろ聞いて参つたのですが、あの審議の過程においては、北海道等は相当生産者が出資をしているというようなことで、私どもとしても余り強くこれについて意見を差挾まなかつたのですが、通つてしまうと、やはりそうでない。他社がやはり競争して上げるときには上げる、下げるときにはやはり下げなければやれない、併し生産者から見ると自分たちの工場がそういうようなほかの工場に追従して上げたり下げたり、そういう不安定なことをしなければならんかという相当強い意見も出ておる、そこですでに製品は四十円を割つておるといつたような意見も出ておるので、それじやとてもどうにもならんというので、すでにどんどん乳牛を手離しておる、而もその入れた牛は二十万なり、三十万なりといつたような莫大な価格を出しておるし、相当負債になつておる。そうかといつて一方工場側にしてみますと、やはりその当時は相当政府も力を入れるようでありましたので、買つたが、併し今日になつてみるというとストツクも相当出ている、それに対する資金の裏付けも余り誠意がない、売れないものは仕方がないから買えないのだということにもなれば、これもまあ生産者としては止むを得んと思う、河野委員がその当時言つておりましたように、酪農家は冷蔵庫を持たない氷屋さんだといつたような適切な表現をしておつたのですが、その通りだと私は思うのですが、そういう点について、酪農振興法なんかについて政府としては今日までお考えになつたこと、更に又こういうような事態になつておるにかかわらず、その法律が適用されない、例えば価格の交渉等についても或いは資金の裏付等についても、その段階が進められないという根拠はとういうところにあるか、一つ先ずこの点を御説明願いたいと思います。
  171. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 酪農振興法を先般国会で成立させて頂いたのでありますが、それから局といたしましては直ちに政令並びに省令の準備に着手いたしまして、先般省令並びに政令、これに伴います次官通牒と局長通牒を出しまして、一応本法施行に関しまする実際上の手続は完了いたしたのでありますが、ただ酪農審議会の点でありまするが、これは予備費が成立いたしませんと審議会の政令が制定できないというような事情があるのであります。本日も大蔵省に参りましてその折衝をして参つたのでありまするが、近く一応勿論額としては小額な金額でありまするが、大蔵省でなかなかその点を呑込まなくて今日まで延引いたしたのでありますが、近く大体予備費の成立の見通しがつきましたので、予備費が成立いたしますれば、直ちに審議会令を制定いたしまして審議委員の任命をいたしたい、かように考えておるのであります。我々といたしましては、審議会というものが遅れるというような事情がありましたので、本法を成立津せまする場合に、酪農関係の業者に非公式でありまするが十七名のかたを委員に任命いたしまして、いろいろ酪農振興法につきましてのお打合せをいたしたのであります。法律が通過いたしましてからも二回ほど非公式な、これは法律に基く審議会でありませんけれども、それに代るものとして二回ほど会議を開催いたしたのでありますが、今度予備費が成立いたしますれば正式の審議会として運営して参りたいとかように考えておるのであります。  それから集約酪農地域の指定の問題でありまするが、只今の御意見通り、各地から地域の指定のお申込があつております。ただ現在までのところ正式に法律に準拠いたしました申請というのは数府県しか参つておりません。これまでおおむねいわゆる陳情と申しまするか、法律に基かない申出があつたのでありまして、ぼつぼつと法律に基きまする申請が出ておりまするので、目下それを検討いたしておるのであります。ただ私どもとしてここで考えておりまするのは、二十九年度予算で集約酪農地域指定に伴ういろいろな予算を計上することが極めて困難でありまするので、何地区を指定するかという問題につきましては、三十年度予算の見通しをほぼ付けてからがいいのじやなかろうか、と申しまするのは、その見通しなくやたらに数多く指定いたしましても、実の伴わない指定というものが生れて参ることに相成るのであります。いやしくも集約酪農地域として指定いたしました以上は、法律の狙つておりまするようないわゆる集約酪農地域としての牛乳の生産費その他合理的な酪農地域を建設し得るような予算的な裏付けというものを伴わなければ意味がないのではなかろうか、こういうような観点に立つておりますので、目下私どものほうで三十年度予算を編成いたしておりまして、近く大蔵省と折衝することになつておりますので、そのほうの見通しをほぼつけてから第一回の指定をして参りたい、かように現在のところ考えておるわけであります。そうなりまするというと、大体十二月の初め頃が第一回になるのではなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  172. 松浦定義

    松浦定義君 法律を出される限りにおいては、今お話なつたように十分政府としてはお考えになつておると思うのですから、むしろその三十年度の予算云々ということについての意見は私どものほうから言いたいくらいで、そちらのほうではすでにもう計画的に国の予算か大体どうであるかということから、その必要性等から考えて出されたのですから、私どもとしては明三十年度の予算の経過を見て決定されるということは、これは当然だと思うけれども、一応の考え方としては大体何カ所ぐらい第一回、つまり三十年度としては設置したいか、すでに高度集約酪農の当時でも各府県から相当の問題がありまして、その前のあれだけでも相当出ておると思うので、今お話のように数府県しか正式のあれが出ていなくても、大体政府としての考えとしてはどの地帯をどれくらいということは、そんなに陳情とか何かを尊重されるならば、私は今の御意見を拝聴しますけれども、恐らく陳情ということは政府は余り尊重されないで、自己の調査に基いて最終的な決定をするという感じからいつても、一応その箇所からいつても三十年度は何カ所ぐらいを予定をしておられるということだけでも一つ明快なお答えを頂きたい。
  173. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 只今の御意見でありまするが、私どもといたしましては、一応三十年度予算を編成いたしまする仕組と申しまするか、やり方につきましては、大体只今お話通りに本年度内に三十カ所程度を指定して行きたい、三十一年の末までで大体百カ所ほどを指定いたしまして、そのうち五十カ所というものを予算のついた集約酪農地域として三十年度からスタートして参る、つまり来年の三月三十一日までに三十カ所ほどを指定いたしまして、三十一年の終りまでに合計百カ所いたしまするが、三十年度の年度当初近くに二十カ所ほど指定いたしまして、五十カ所というものを予算のついた集約酪農地域としてスタートを切らせる。あとの五十カ所につきましては、いろいろ準備の都合もありますので、予算といたしましては、三十一年度予算あたりから具体的に仕事を進めて行く、こういうような構想の下に予算の交渉をいたしておるわけであります。
  174. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、大体一カ所の予算というものはどのくらいお考えになつておるのですか。
  175. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) これは予算を食いますると申しまするか、政府の予算と資金と両方にまたがつて参りまするが、予算といたしましては、大体一地区いろいろ総計をいたしますると、二千万円強というようなぐらいの数字を考えております。勿論集約酪農地域のジヤージー地区と、それからホルスタイン地区とでは相当そこに差があるわけであります。と申しますのは、ジヤージー地区につきましては一年に三百頭ずつ、二カ年間で六百頭政府が貸付いたしまするから、その地域は勿論二千万円では賄えません。併しながらホルスタイン地区につきましては、いわゆる融資でやりまして、その利子を補給するというような建前をとつておりまするので、そういう地域におきましては、主として経費の対象は草資源の改良ということに相成つて参るのであります。これは機械と、それからそれに伴いまする肥料、労賃そういうようなものが主に対象になつて来るわけであります。
  176. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、大体恐らくまあそれは政府考え方だけで、結果的には果してそれが実現するかどうかこれはわからんと思うのですが、そういう場合においてもジヤージー地区というものは、まあ三十年度はやはり昨年よりも相当数殖やして、漸次最高どの程度までくらいこの種の地区というものをお考えになつておるのですか。
  177. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) ジヤージー地区につきましては、二十八年度二カ所、本年度で四カ所、合計六地区指定したわけであります。来年度新たに五地区指定をいたしたいと、かように考えておるのであります。その翌年三十一年度はこれも五地区、三十二年度四地区、合計日本全国といたしまして二十カ地区を一応想定いたしまして予算を編成いたしております。つまり最終年度になりますれば二十カ地区がジヤージー地区として全国指定される、こういうふうに考えております。
  178. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、まあ来年はホルスタ地区は相当大幅に殖えて、予算さえ伴えば百カ所というようなことで一応指定になると思うのですが、その間を縫つてジヤージー地区を三十年から三十二年までに十四地区殖やすと、そうしますと、恐らくこの地帯というものは相当まあ特殊性があるわけですから、ジヤージはジヤージーとしてやはり三カ年計画なりとして、二十カ地区というものは別に今からそういう候補地というものを考えて順次やつておられるのか。やはりそのときになつてからホルスタ地区は駄目だからこつちに廻すとか、或いはジヤージー地区だつたけれども、こつちをホルスタ地区に廻すというような、そういうような不確定な考え方で行かれると私は思わんのですが、そういう点については今からはつきり方針をきめておやりになつておるか、その点をお伺いしたい。
  179. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) ジヤージーにつきましては、一年間に外国から購買し得る頭数というものがおおむむ二千五百頭から三千頭限度内に限られておりますので、一年間にどうしても五地区か六地区以上には新らしく指定は困難な事情にあります。酪農立地条件といたしまして、酪農に適した土地のうちで相当ジヤージーに適する土地も北海道初めその他各地に相当ありますので、私どもといたしましては、できるだけジヤージー地区を多くしたいと考えておるのでありまするが、只今申上げましたように、外国から年間技術的に持つて来得まする限界がありますので、これ以上は殖やすことは困難な事情にあるのでございます。
  180. 松浦定義

    松浦定義君 それでは私は乳価の価格の問題について一つお伺いしたいと思うのですが、先ほど申しましたように非常に会社は値下を断行しておる、その会社の考え方についても確かに私は政府として何とかしなければならんところが出て来ると思うのですが、いずれにしても一番その打撃を受けたのは酪農家、即ち生産者だろうと私は思うのです。従つて現に政府が今後その地帯を指定いたしまして、価格の交渉段階に入るまでの間に受けるその生産農家の欠損と言いますか、そういうことについては何らか処置をせなければならないと思うのですが、そういう点についてはただ単に先ほどお話なつたように、地区等いろいろ督励をして、その斡旋の衝をできるだけ適切にさせようというような程度で過されるというか、そういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  181. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) これは今後の推移によると思いますが、ジヤージーを国で貸付いたしておりまするものにつきましては、これは農家が欠損をいたしておるというような事態は現在までのところないのじやなかろうかと、かように考えておるわけであります。従来のホルスタイン種でありますというと、立地条件の非常に悪いような特に購入飼料で全部を賄つておるようないわゆる専業搾乳的なものにつきましては、或いは生産費を一つておるような場合がこれは考えられるのでありますが、ジヤージー地区につきましては、そんなことは現在までのところないのじやないかと、かように考えております。
  182. 松浦定義

    松浦定義君 私はその酪農振興法を作つた、併しまだそれが実施しない間において生産者が非常に不利だという条件に入つたということから、そういう責任において政府は何とか考えなければならんのじやないかということを申上げておる。決してジヤージーだから、或いはホルスタインだからというのではなくて、その実施段階が非常にずれた、その間先ほど申上げたように、制定中には非常にまあ値上をしたが、その後すぐこれの値下をしたというような、その法律というものが非常に価格については私は影響かあるというようなことからの責任を政府はやはり負わなければならんのじやないかということを今申上げておる。そういう点については全然今考慮の余地はないというふうにお考えになるならば、これは今の段階としては私はこれ以上申上げることはどうかと思うのですが、いずれにしても、そういうようなことは私は当然今後の酪農振興の趣旨から行けばほかのものと違うのですから、一番大事なときに政府のそうした善処を当然要求しなければならん、こういう意味でお尋ねしておる。
  183. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 只今の御意見の点でありまするが、酪農振興法が通過したから逆に乳価の引下の原因となり、従つてそのために非常な酪農家が損をした、こういうような御意見のようでありまするが、この点につきましては或いはそういうふうに運用したというようなふうに考えられる向きも或いはなきにしもあらずと思うのでありまするが、大体酪農振興法は御承知の通り、立地条件の恵まれておる地帯を集約酪農地域として指定いたしまして、我が国酪農の合理化を図つて行こうという趣旨であるのであります。で、昨年の暮に御承知のように、バターが全く市場から姿を消したというような事態が起きて参つたのでありまするが、そのときは一応貿易政策にも多少の関連があるのでありまするが、当時業者の思惑も相当あつたようであるのであります。その関係で全く市場から姿を消し、それが陰になり陽になつて非常な乳価高を現出して参つたというような事情であるのであります。不幸にいたしまして今年は五月頃から非常な天候が悪くて、そのために牛乳の消費等もなかなか消費増が少くて、市場にダブついたというような事情もあつたようでありまして、勿論これらの純経済的な原因ばかりでないかと思いまするが、又従つて半面から見ますれば、完全に酪農振興法がそれを拍車をかけたというようなふうにも、勿論これは見る人によりまして、又それを操作する人によりまして違うと思うのでありまするが、一概にそういうふうに言い切れないような各般の経済的原因があるのじやなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  184. 江田三郎

    江田三郎君 私ちよつと議運がありまして、出ておつたのですが、それまでにはいろいろお話があつた思うのです。今のお話を聞いておりますと、現在のところ飼料を購入ばかりに依存している酪農家以外は赤字ではないと、こういうお話がありましたが、我我の見るところでは、ともかく最近の十五円或いは所によつて二十円も下つた乳価で完全に酪農家というものは大打撃を受けている、まさに酪農業の危機が来ている、こういう工合に思つているのですが、局長のお話ではジヤージー地区は大丈夫だし、ホルスタイン地区においても購入飼料にばかり頼つていない農家は大丈夫と、こういうふうなお話がありましたが、それなら一体どういう生産費になつておるのです。その生産費で農家の労力というものはどう評価されているのですか、それを一つ発見してもらいたいと思います。
  185. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 私ちよつと言葉が過ぎたかも知れませんが、最初のときには四十円というような価格では相当多数の農家が困る価格であろうと申上げたのであります。只今申上げましたのは、購入飼料をたくさん使つておるような人は非常な赤字になるだろう、こういうことを申上げたのでありまして、決して四十円が合理的の価格であるとか何とかという意味じやありませんから御了解願います。
  186. 江田三郎

    江田三郎君 少くともあなたはさつき松浦委員にお答えしておるところでは、今私がお聞きしなければならんような答え方をせられております。どうも畜産局長は再来年に亘つても地区の指定を何ぼするというような非常に希望的数字ばかり述べておられます。地区の指定も何ですが、根本の酪農というものをどうするつもりかということをお聞きしたい。今度の審議会の問題でも、これからやつとできるという話ですけれども、同じ時期に成立した法律案に基く審議会が、肥料のほうはとうにできてちやんと動いておる。ところが酪農になつて来るとやつと予算の目鼻がついた、こういうことで一体何をしておるのか疑問に思う。我々から見ると音産局というのは何を考えておるのかということをいつも疑問に思うわけであります。餌の問題は高過ぎるし、飼料審議会はどうしたかということは前の国会中においても論議されたわけであります。あれはどう結末がついたのか、今一体「ふすま」の価格はどうなつておるのか、飼料審議会はああいう価格というものを妥当と考えておられるのか、或いは今度の米価の内定されたやり方を見ると、財源関係で麦の委託加工費が切下げられるというようなことが出ております。そうなつたときには一体今度は「ふすま」にしわ寄せが来るのではないか、そういうことについてあなた方はどうお考えになつておるか、斡旋の問題でも地方の知事に対しては特例でいろいろお願いしておると言われますけれども、知事は一体農林大臣の助言を求めたときに、酪農審議会もできていない、専門委員もきまつていないで誰が一体助言するのです。生産費の問題を今聞いて見ると、何か統計調査のほうでやつてもらわなければならんと思つておるということですが、統計調査のほうでは、今やつておる仕事の予算だけで手一杯でしよう。統計調査のほうで新らしくそんなものをやる予算というものはありやしないと思う。一体いつになつたら生産費というものが出て来るのか、更に生産費が出て来た場合でも、今のあなたのお話を聞きますと、生産費だけでは物の値段はきまらないと思う。いろいろ商業的の事情による、こう申されましたが、それじや明らかに畜産局自体として生産費を割つても仕方がないということを容認せられるということになります。そんな無責任な立場はないと私は思う。生産費を割ろようなことを容認しなければならんような状態で一体何を考えて酪農振興をやつておられるのかと言いたくなる。地区を選定するとか、ジヤージーを輸入するとか、いろいろなことをやられる以上は、少くとも酪農経営というものは生産費を割らんでやつて行けるという見通しからやられておると思う。さつきのあなたのお話のように、統計調査のほうで生産費は出してくれるかろう、又出て来てもそれはなかなか出産費だけではきまらないでしようというようなことでは、あなたの立場というのはどこにあるのか。あなたの立場は森永でないということは知つておりますが、少くとも酪農民の立場じやたいというような疑問を持たざるを得たいのです。将来どういう決意でやろうとするのか。それから又今度吉田さんが外遊される際に、過剰農産物の処理の話が出て来るのではないかと思います。あなたは一体農林大臣を通じて過剰農産物の処理のときには、バターやそんなものは一切断わるということをはつきり吉田さんに言われましたか、その点は一体どうなつておりますか、それから地区を選定することもいいことですが、根本をどうするかということが非常に不安に堪えないので、それをお聞きしたい。
  187. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) バターの問題でありますが、バターにつきましては、アメリカの過剰農産物としてのバターは内地に持つて来ないということになつております。その点は現在の酪農事情でありますので、農林省といたしましては全力を挙げてこれを防止する、こういうことになつております。生産費の問題につきまして、私が必ずしも生産費だけできまらないと申しましたのは、生産費よりも少い価格という意味じや決してありませんので、御承知の通り物価をきめます場合には、生産費を基準にしていろいろな計数によつてきめるというようなことがありますから、そういう意味で申上げたのであります。生産費を割つた価格でいいというような考えは毛頭持つておりません。その点御了解願いたいと思います。それから酪農振興法に基きます地域の指定、これにつきましては先ほども申上げましたように、各府県の申請を見まして調査いたしまして決定して参りたいと思うのであります。審議会が遅れましたことにつきましては、これは誠に申訳ありませんが、その点につきましては、只今申上げましたように一応予算との関係で、予算が成立しなければ審議会令ができないというような恰好でありますので、今日まで延び延びになつておるわけであります。その点重々お詫び申上げたいと思います。
  188. 江田三郎

    江田三郎君 それはどうでも説明できますけれども、我々が見ておりますと、餌の問題にしても何にしても、どうも近頃の畜産局はいいことをやつてくれておるということは少くとも農民の立場からは余りないように思う。乳牛を無計画にどんどん殖やして、そして乳価を四十円にして森永や明治から表彰状をもらつても、農民のほうからは感謝状の来ないことばかりやつておると思う。この際やるならば性根を据えてやつてもらいたい、餌の問題にしてももう少し何とかきつぱり性根を据えておやり頂きたい。
  189. 松浦定義

    松浦定義君 これは別枠だと思うのですが、世界銀行調査団が参りまして根釧原野に主力を注ぐということですが、農林省としてもやはり何とか酪農地帯としてやろうということで、何でも来年度の計画として大体五十戸ぐらいをテスト・ケースとして入れ、一戸に乳牛を七頭ぐらい入れますと、三百五十頭ですか、そういう形で若しそこに入れるといたしますと、すでにあの地帯としては集約酪農地帯としても昔から希望しておる所なんで、そこにだけ入れたものを、政府が大がかりでやつたものだけはいいが、その附近に何十年も前からあの濃霧と闘かつて来ておる零細な酪農家に対して全然顧みないということでは私は非常に不公平が出ると思うのですが、そういうことで現在の既存の酪農家に対して、それと同様とは申しませんが、大体希望の容れられるような、例えば一戸に対して二頭なり三頭なりといつたような、大体あの地帯における適正規模的な酪農家に対しては優先的と言いますか、今度の計画の中にいろいろ全国的な問題がありますから、必ずしも私は優先的とは申しませんけれども、やはり地帯的な不均衡というものが生ずる影響というものは、私は政府のそうした大きな外資まで入れてやろうということに対してひびが入るので、こういうことに対しては今申上げたように、その地帯の旧来の酪農家に対してはどのような措置をとられようとしておるか、その点一つ参考のために聞かしてもらいたい。
  190. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 世界銀行調査団の問題でありますが、実は畜産局といたしましては、正式にいろいろ世界銀行調査団と折衝いたしておりませんので、具体的に向うのほうでどういう計画をお持ちになつておるか、これは我々といたしましては想像のほかであります。ただ先生御承知のように、東北、北海道の寒冷地帯の振興は酪農を主とせねばならんということはもう大体定説のようになつておるのでありまして、而もそのやり方につきましては、従来のように自家労力を以てこつこつと十年もかかつてやるというようなことではなかなかむずかしいので、或る程度機械力を入れて乳牛等も集中的に入れてやつたらいいじやないかという御意見はほうぼうで出ておるのであります。ただこういうような考え方につきましては、世界銀行調査団のほうで取上げるかどうかという問題につきましては、全然我々の想像のほかであるのでありますが、そういう御意見が内地等におきましても相当識者の間にあるということは、これは事実であるのであります。ただそういうことになつた場合に、周囲の零細なる農家についてはどうするかという問題は、これは大きな問題だと思うのでありますが、もともとのそういう、今申上げましたような構想自体がまだ熟したものでないように私どもとしては考えておるのでありまして、従つてそういうことになつた場合におきますその周辺の地区及び零細な農家に対する対策につきましては、現在のところ何も持合せがないと言うより申上げようがないと思います。
  191. 松浦定義

    松浦定義君 それは確かに世界銀行調査団が、ここへ一つそういう計画を立てたらどうかという勧告程度に基いて計画しておるのですから、確定的なものではないということはわかるのですが、当然政府としてもこの点については積極的に乗出しておられる方針でありますから、具体的の問題としてお伺いしておるのであつて、今のお話のような、そんなことは全然考えておらんというのでなくて、若しそういう場合には大体こういう程度にやりたいというぐらいの熱意があつてもいいのじやないかと、そういうことが先ほど江田委員が指摘されたように全体に影響するので、必ずしも根釧原野一つだけ取上げたのじやなくして、全国的な問題もありますから、どうしてそういうふうに集中的にやるのか、日本の政府がこうしようということがあつたら、畜産局として積極的にやつてもらいたいということを希望しておるからお願いしたのです。
  192. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 政府といたしまして、而も世界銀行調査団のそういうような融資と申しますか、構想の下に融資が実現するということになりますれば、私どものほうといたしましても、それに即応いたしましてできるだけのことはして参りたい、かように考えております。
  193. 森八三一

    委員長(森八三一君) 先刻この案を議題に供します際に私が申上げたのでありますが、乳価がすでに生産費を割るというような状態になつておるという問題は極めて大切な問題であつて、速かに解決を要する問題ですが、そういうような酪農業を維持して行くのにすら困難な乳代、その上に乳代が殆んど長期の手形決済というところに現状は追いつめられておる。そこで農業協同組合等がその手形を割引いて何とか当面を糊塗して行かなければならんという極めて窮迫した状態になつておると思うのです。ところがそのことが又全般的な農業協同組合の運営にも非常な支障を来たすという憂慮すべき問題を惹起して来る危険が多分にあると思うのです。そこでその不満足な乳価の決済は実は速かに解決して行かなければならん問題だと思うのですが、そういうことについてどういうような対策をとつておられるのか、乳代の決済の問題で何かお考えがありますれば承わつておきたいと思います。
  194. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 現在私どもの手許で調べました取引の形体といたしましては、いわゆる只今お話のありました手形不払い等が相当多いようであります。勿論現金払いも或る程度散見いたしますが、手形払いのほうが量的に見まして多いようであります。この場合に農業協同組合、信連と申しますか、協同組合系統機関を通るものと銀行関係があるようでありますが、いずれにいたしましても、これはできるならば現金払いが一番いいと思うのでありますが、現在の取引事情からいたしまして手形払いはこれは止むを得ないじやなかろうか、ただその結果が農業協同組合等の系統機関にしわ寄せされるというような結果になりますと、これは系統機関に対しましても、又それを形成いたしております酪農家に対ししてまも非常な痛手でありますので、この点につきましては、我々といたしましてもそういうようなことのないように、いろいろ工夫をこらさなければならんと考えております。
  195. 江田三郎

    江田三郎君 私はもう一つ具体的に開いておきますが、先ほど申上げましたが、今度の政府米価の内定に当つての委託加工益、精麦の委託加工賃を切下げて、そこから七億というものを食管会計のほうに出して行く、その他、延納金利の問題がありますが、延納金利の問題は具体的にどうなるかわかりません。又そこから十八億というものを食管会計にプラスとして出して来ようと、こういうようなことになつておりますが、かようなことは現在の高い「ふすま」の価格から逆算して、この委託加工賃の切下げというようなものが出て来ているのじやないかと思うのですが、そういう点について、この財源の見付け方について食糧庁とあなたのほうとで何かお話合をなさいましたか、或いは話合があるなしにかかわらず、この委託加工賃の切下げというようなものが、それらのことが更に「ふすま」価格を高騰させる要因となるとは考えておられないのか、その点はどうですか。
  196. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 恐らく只今の先生のお話は精麦の委託加工の問題じやなかろうかと思うのであります。精麦の委託加工の問題につきましては、実は本年度は私どものほうにどうこうという御相談はありません、昨年冷害の対策といたしまして、裸麦で十万トン程度でありますか、それから小麦にいたしまして五万トン程度でありますか、凶作対策といたしまして食管で委託加工をやつたことがあるのであります。で、委託加工をやりました分だけが、いわゆる委託加工をやりまして精麦の状態或いは製粉の状態におきまして一時棚上をいたしたのであります。その結果一時はその精麦、製粉からできた「ふすま」なり、大麦「ぬか」が市場に、普通の状態の製粉、精麦のほかにプラスになつて市場に大麦「ぬか」並びに「ふすま」が出廻りました関係上、非常に価格が弱まつたのでございます。ところがこれは外国に輸出するのじやなしに内国で貯蔵をいたしまして、型物並びに精麦を持つておりますが、その後麦なり粉なりの売れ行きが悪くなりますというと、政府といたしましては精麦なり製粉を市場に出してはならんというような事情になつて参るのであります。そうすると、出す場合におきましては今度は逆に一般に製粉なり、精麦なりの放出を切らなくちやならんということになりますと、その時期になりますと、逆に製粉なり、精麦から出て参ります大麦「ぬか」なり、「ふすま」が非常に数量が少くなつて参るのであります。これは外国に製品を輸出するということで、精麦なり製粉なりをやるということになりますると、かすだけがプラスとして内地に残るわけでありまして、これは非常に結構なことでありまするが、時期的な調節という意味合におきまして、精麦なり製粉なりを季節的に非常に大量にやつてもらいますということになりますと、季節的な変動というものが更に倍加して来るというような恰好に相成つて参るのであります。場合によりましては非常にいい現象のときもありまするが、又逆の現象も実は起きて来るのでありまして、我々といたしましては、成るべく現在の状態におきましては、そういうような操作は大量にやつて頂かないほうがいいのじやないか、かように一応考えておるのであります。で、一番飼料の問題として問題になるのは「ふすま」の問題でありまするが、年々岡内産の「ふすま」は数量といたしましては殖えております。併しながら、一面乳牛なり、鶏などというものの増加の趨勢は著しい情勢でありまして、供給というものが需要に追い付かないというような状態になつておるのであります。そこで政府といたしましては、これは何としても外国から持つて来るより方法がないということで、世界各地の市場を対象といたしまして買入計画を進めておりまするが、外国におきましても、なかなか「ふすま」の現物を相当まとめて手に入れますることは困難な状態であるのであります。いろいろ苦心いたしまして、現在まで内地に持込みましたのが、「ふすま」といたしましてアルゼンチン、パキスタン等から二千トン、先般インド、これは予約中でありまして、インド政府の許可を取付け中でありまするが、千五百トンと、先日韓国から約五百トンくらいの一応の入荷が終つておるという状態であるのでありまして、外国から何とかして少しでもいいから余計に「ふすま」を入れたい、かように考えておりまするが、なかなか外国におきましても、いわゆる粉というような製品は相当ありまするが、「ふすま」というような家畜の飼料となるものは非常に数量が少うございまして、この点に非常に難渋をいたしておるのであります。
  197. 江田三郎

    江田三郎君 「ふすま」の全体のそういうこともお答えしてもらつているのですが、私がお尋ねしたのは、今度の米価の改訂の財源を見つけるために製粉麦委託加工賃の切下げをやつておる、このことは結局「ふすま」の価格のほうでしわ寄せになつて、そこから出て来る財源七億というものは、結論としては畜産農家がかぶらなければならんようになるのじやなかろうか、そういう点について食糧庁のほうとお話合をされたことがあつたかどうかということです。若しなかつたら、そういうような委託加工賃の切下げが行われても「ふすま」の価格には影響がないとお考えになつておりますか、どうかということです。
  198. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 只今の点につきましては、私事情をよく食糧庁から聞いておりませんので、そういうような考えがどこから出て来たのか、よく食糧庁と打合せをいたしまして御返事を申上げたいと思います。
  199. 江田三郎

    江田三郎君 知らん間にほかのほうで餌をどうこうするようなことをせられて、あとで気がついてやれやれというようなことのないようにお願いしたいのです。
  200. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題になつております乳価の問題を含めての酪農振興に関しましては、急速に解決をしなければならない問題が極めて山積しておるように思われるのであります。而もそれらの問題につきまして、只今までの質疑応答を通じましてまだ十分に理解し得ないのでありますが、各般の問題について速かに納得のできまするような対策を取定め、その実施を見なければならんと思うのであります。つきましては、この際そういうような意味を含めて当委員会意見を取りまとめて政府に申入をいたしたい、そういう取計らいをいたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 森八三一

    委員長(森八三一君) 別段御異議がございませんければ、そういうような意味に立ちまして申入の案を打合わせておりますので朗読をいたしまして御審議を頂きたいと思います。    乳価の適正維持に関する申入案   酪農振興法に対する期待にもかかわらず、最近における生乳の生産者価格は低落に次ぐに低落を示し、不側の事態を惹起するに至り、まことに遺憾に耐えない。   よろしく政府は事態の由来する根源を究明し、酪農振興法の趣旨にかんがみ、酪農農民の強力な団結を促し、その自主性の確立を図り、酪農経営の合理化を進め、生乳取引の適正を期し、生乳及び乳製品の需給の調整に努め、以て乳価の適正維持並びに酪農の振興に万全を期せられたい。   なお、右に関する政府の具体的な措置をできるだけ速かに当委員会に報告せられたい。   右当委員会の総意を以て申入れする。   昭和二十九年九月 日         参議院農林委員会   農林大臣 保 利  茂殿  以上でありますが、別段御異議がございませんければ、只今朗読お諮りいたしました乳価の適正維持に関する申入は、できるだけ速かに当委員会に報告せられたいというこの趣旨は、次回の当委員会までというような意味を含んでおりますので、次回の当委員会は明日決定をみる予定であります。決定いたしますれば、次回の日取りを連絡申上げますので、それまでにこの申入に関する諸般の具体的な対策を取定め、報告せられたいと考えますので申添えておきます。  それでは乳価の件につきましては只今の中入に基きまして更に政府の対策を求めた上で善後の措置を取進めることにお願いいたしまして、大分時間も経過いたしまして甚だ御迷惑と存じますが、予定いたしておりまする案件が二つありますので、いずれも報告程度の事項と存じますので、今暫らく御辛抱を頂きまして継続さして頂きたいと思います。   —————————————
  202. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、稲作病害虫防除の件を議題にいたします。  前回の委員会において、去る八月十九日稲作病虫害防除決定に関して緒方国務大臣、保利農林大臣、小笠原大蔵大臣に申入れ、二十日の閣議において政府方針が決定せられることを期待して、二十一日の委員会出席の上政府方針及び措置の報告を求めておきましたが、あいにく当日の閣議においては関係大臣不在等のため決定を見るに至らなかつたのであります。ところがその後八月二十七日の閣議において漸く決定を見たのでありまして、その閣議決定は即日お手許へお届けいたし、なお本日資料としてお配りいたしておきました。只今からこの閣議決定の内容及びその実施状況等について農林当局から説明を聞き、今後に備えることにいたしたいと存じます。つきましては、先ず閣議決定の内容及び実施の状況につきまして政府の御説明を願いたいと存じます。
  203. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 局長が外国出張でございますから、代りまして御説明申上げたいと思います。  先般の当委員会におかれまするお申入がありまして、かねがね具体的対策として「いもち」の病虫害防除につきまする農薬補助という点について決定を見、その後全国的な病害虫の発生状況という点については、逐次報告をとつてつた次第でございますが、御承知のように「いもち」も冷害激甚地のみならず、その他の地区にも発生を見ますし、なお出穂期前後の穂首「いもち」といつたようなものも台風関係で多発を予想される、そういつた状態にあります。又一方二化めい虫につきましても八月以来非常に多発な状況でございまして、お手許に配付いたしてありますように、九月一日現在におきましても一化期のものが百二十六万町歩、二化期のものは現在発生中でございますが、現在におきましても六十三万町歩に達する、そういつた状況で非常に西のほうの「いもち」、めい虫が激発しておるのでありまして、そういつたような状態で準備をいたした次第でございます。当委員会の申入等の御推進によりまして大蔵省ともずつと交渉いたしまして、漸く二十七日の閣議に、「病害虫異常発生対策について」として農薬の購入補助の決定を見た次第でございます。閣議決定文を只今読上げてみます。「病虫害防除については、昭和三十年度以降、農薬備蓄制度を強化してこれに対処するものとするが、本年の異常気象等による病害虫の異常発生の実情に鑑み、特にその発生激甚の地方に対し、本年の特別措置として昭和二十九年七月三十日付閣議決定「冷害対策の実施について」に準じた措置を講ずるものとする。」、こういうふうな決定を見た次第であります。病害虫防除については、本年の二十九年度予算の当初におきましても大蔵、農林で非常に激突した案件でございまして、病害虫防除の薬品購入助成ということについて非常な問題があつたわけでございまして、こういつた異常気象に伴う多発の場合、この共同防除を推進して、この病害虫の被害による減収をできるだけ食いとめるということが食糧増産に最も大事なことでありまして、こういう措置に至つたわけであります。この内容につきましては、冷害対策の実施に準じた措置になるわけでありまして、対象は「いもち」、「めい」虫を主といたしまする病害虫でございます。それから平年発生を超ゆる異常発生の場合に、その防除いたした第一回分について二分の一を助成する、こういうことになるわけでございまして、平年発生、要するに二十八年度、昨年までの五カ年の平均の発生を平年発生、こういうふうに考えております。それを超えるものについて一回を限つて二分の一の農薬費を補助する、こういうことになるわけであります。この「いもち」につきましては、先般決定いたしました一千二百四円六十一銭が一町当りの防除費になります。それから「めい虫」につきましては、パラチオン、BHC、平均いたしまして町当り二分の一補助で一千七百二十円、こういうことになるわけであります。農薬の購入補助につきまして、一回限りはやはり農家の平常の管理として当然農家において負担してもらわなければならん、こういうような考えが閣議決定において現われたわけであります。それを超える分については異常発生として三分の一を補助することになるわけでありまして、昨年の大体実績では発生面積に対しまして防除いたしました延べは大体一・三くらいになるわけでありまして、二回として大体二分の一補助とすれば平常発生の分を超える以上発生の分については大体カバーできる、こういうような見解で一回の二分の一、こういうことになつたわけであります。大体これにつきましては、冷害地帯の「いもち」、それからその他の地区の「いもち」或いは二化めい虫、そういつたものについて大体の発生の終りました九月末或いは十月上旬等の府県の報告をとりまして、十月末にはできるだけ速かに農家のほうに農薬補助費を交付いたしたい、そういう考えで準催を進めております。  以上御奉告申上げました。
  204. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の御説明中と申しますか、閣議決定中、特に前段に「昭和三十年以降、農薬備蓄制度を強化してこれに対処するものとするが」、こういう当委員会の申入には全然関連のない事項が入つておりますが、これは昭和三十年度以降は異常気象等による病害虫等の異常発生があつた場合においても、本年度特例としてとられたような助成のことは一切行われないということが、ここで確約されたというようなふうにもこれは受取れるのですが、そういう意味があつたのかなかつたのか、この意味はどういうことで、こういういわば本年の異常難生に関連のない、書かんでもいいようなことがここに入つておりますが、この趣旨を一つ説明頂きたいと思います。
  205. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 只今委員長が御質問になりました点は、大蔵省が最後まで主張をいたしたところでございまして、我々といたしましては異常発生の場合は来年もやはりこういう措置をとりたい、そういうような考えで最後まで折衝して、こういつたようた案文になつたわけであります。病害虫防除につきましては、二十九年度からやつております備蓄制度というものを、更に備蓄量の増加、或いは備蓄量を各備蓄団体が十分確保できるように損失補償の制度を講ずる、そういう点でできるだけ強化しまして、その量か確保する、そういうことでできるだけ対処する、こういう措置は当然これは講じなければならんわけです。そういう措置を講じながら、異常気象の場合、やはりこういつた特別措置を三十年度限り、三十年度の「本年の特別措置として」とありますが、これは平常を越える異常な場合は、こういう措置を我々としてはとりたい、こういう考えと両方の考え方が入つておるわけです。我々としては平常発生の場合は仕方がないとして、異常発生の場合はこういう措置を来年もとりたい、こういう考えでございます。
  206. 森八三一

    委員長(森八三一君) 重ねてお伺いしますが、これは閣議決定ですから、大蔵省はこう考えておる、農林省はこう主張しておるということでは問題にならんので、この閣議決定の文章すらつと読んで行きますと、昭和三十年度以降は農薬に対する助成は行わないのである、こういうことがここで確認せられておるようにも受取れるのでありますが、それは今、庄野課長の御説明のように、こういう措置も拡充強化をしてやつて行くが、この閣議決定の趣旨は異常発生等の場合には、備蓄の制度だけで補い得ざる場合、助成の臨機処置をも講ずるという場合もあるというように理解していいかどうか、その辺を明確にして頂かんと、これから予算審議をいろいろやつて行くのに非常に問題になると思いますので、ただ大蔵省はこう考えておるということでなしに、閣議決定の趣旨はどこに存しておるかということを明確にしておいて頂きたいと思います。
  207. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) そういつた考え方でこの文章は苦心惨憺して書いたわけでございます。この病害虫防除については、冒頭の「対処する」があとに来るのと、頭書に来るので感じが、感じというか意味が相当違うのではないかということで、私たちは病害虫防除の一般的なものについては、頭書に来て、「対処するものとするが、」ということで、異常気象ということについては、「本年の特別措置として、」やはり来年の特別措置として、毎年異常気象のときは特別措置ということでやる、こういうような、農林省としてはそういう考え方で大臣もそういう考えでおります。御了解願いたいと思います。
  208. 森八三一

    委員長(森八三一君) もう一つお伺いしたいのは、この助成金の使途等について、会計検査院等でいろいろ厳重な検査が行われます。厳正な検査が行われて、不正な使用等のないようにすることが、これはよく徹底をしなければならんことであることは間違いありませんが、異常発生面積に対してこの二分の一を助成する、その助成金が現地で交付せられる場合に、その町村なら町村の交付金額を、全体の農薬使用に対して薄く助成をするというような措置を講ずることは、閣議決定の趣旨に反するのか反しないのか。文字通り過去五カ年平均よりも余計発生した面積に対して、二回目をやつた人だけに交付をすべしという極めて厳格な措置をされるのかどうか、その点をはつきり一つしておいて頂きます。
  209. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) この平常発生を越える異常発生面積、これは大体防除所単位と申しますと、大体郡単位ぐらいになると思いますが、これももう相当大蔵省と見解を異にしております。大体県単位という大蔵省主張に対して、郡単位にしたほうが非常に細かく十分にまあ防除に対する面倒が見られる。そういう考え方で防除所単位を郡単位に決定して、その越ゆる部分については補助する、こういうことになるわけでありまして、補助につきましては市町村が、まあ予算に計上することを要綱として決定、府県に通達しておるわけであります。市町村府県等が予算に計上する、そうして更に共同防除を我々としては推進しておる関係で、大体部落の共同防除になつておると思いますが、そういう関係で大体この病害虫防除は、閣議の決定の趣旨に副つて交付したいと、こう思つております。
  210. 森八三一

    委員長(森八三一君) くどいようですが、まあ余り明確にすることはどうかと思いますが、非常に地方では、実際に昨年あたりの助成金の使い方等について、実際問題としてはそんなでもないけれども、形式的に問題を捲き起して難儀をしておる所かたくさんあるように聞きますが、趣旨は過去五カ年附の平均発生面積と、本年の発生面積との差、それを異常発生面積について、それに対して二回目からの一回分を助成するというのは、助成金算出の方法を決定したものであるという程度に理解をいたしておりますが、大体そういうように受取つてよろしいかどうか。
  211. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 予算を計上いたしまする場合は、その基準によつてまあ計算して計上するわけであります。昨年は農薬の防除費を交付するということにつきまして非常に異常発生があつて予備金支出までする、こういつた方針が防除期においてははつきりいたしていなかつた次第でございますが、その後の異常発生の現況に鑑みても、ずつとあとになつてそういう方針が決定、交付した。そういうことで農村においては交付があるかどうかということに疑問もあつたわけで、当時防除をする場合に十分な農薬購入の証明になるような資料、そういつた点も十分に揃つてなかつた。それがあとからまあ交付が来た、補助金が来た、そういうような関係で、いろいろ昨年については会計検査院等でもそういう証明の点等でも問題があつたわけであります。本年のようにまあ早期に方針を決定して、そうしてこういつた方針で交付する、こういうことになりますれば、当然県なり町村なり、十分こういう方法による交付ということがわかつておりますので、資料等も或いは農薬購入なり実績も、防除の活動の回数状況といつたものも十分記録して交付には差支えないのじやないか、昨年のような問題の起ることは本年に限つてはないのじやないか、こういうふうに考えております。これが本年早期に方針を決定して、こういうふうに通達したことの最も大きな利点じやないかと思います。又一面防除もそういつたことで非常に促進されておりまして、「いもち」等につきましても、発生面積の制には被害は割り方軽微に済むのじやないか、こういうことは早期に決定されてよくなるのじやないかと考えます。
  212. 松浦定義

    松浦定義君 ちよつとこれに関連してお尋ねしておきたいのですが、ここでは「いもち」と二化めい虫だけに限つておる。併し本年まあ北海道から東北に亘りまして、「はもぐりばえ」が非常に反別からいつても、その状態からいつてもまあ異常と認定されるような形で相当被害があつたわけなんです。その当時委員会でもお尋ねしたことがあるのですが、余りそのときにははつきりした言明はなかつたのですが、被害の状況から、農家の負担程度からいつて当然これに私は準ずべきものだと、こう思うのですが、この点についてはこれに準ずるというような御意思があるのかないのか、そういう点は全然もう考えないという方針で現在おられるのか、一つお伺いいたしたいと思います。
  213. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 閣議決定は、病害虫異常発生対策についてと、こういうことになつております。
  214. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、「はもぐりばえ」も当然入るというような認定でいいわけですね。(「閣議決定は字の通りだ」と呼ぶ者あり)
  215. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題になつております稲作病虫害防除の件につきましては、床野課長から報告がございましたので、この程度にいたしまして、更に三十年度以降の問題は予算の審議なり、大臣御出席のときにきめたいと思います。   —————————————
  216. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、主要農林物資の貨物運賃等級の件を議題にいたします。  前回の委員会において問題となりました本件について、当時農林当局並びに鉄道公社当局は、各委員の御質疑に伴う趣旨がおおむね実現されるような趣旨における御説明があつたのでありますが、その後の経過及び結果に関しまして、この隈農林当局から説明を求めたいと存じのよす。
  217. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 貨物運賃の割引につきまして、その後の経過を御報告申上げます。  御報告することは二つございまして、一つは九月三十日で終りますところの貨物運賃の割引を再延長するかどうかということでございます。これはその後国鉄当局と話が順調に進みまして、現在のところまだ正式に決定したとは申上げられませんけれども事務的には品目も割引率も従前通りで六カ月間延長いたすということになつております。正式に決定いたしたとは申上げられませんという意味は、内部の決裁がまだ済んでおりませんので、正式に決定いたしたとは申上げられませんけれども事務的には決定いたしたというふうに私たちは了解いたしております。  それから二番目の種馬鈴薯に関する割引運賃の問題でございますが、これは私たちの要望が必ずしも全部満たされたとは申上げられませんけれども、国鉄のほうも何ほどか譲歩いたしまして、措置が決定いたしまして、九月十五日から実施いたしております。その内容を申上げますと、先ず実施の期日は、去年は十月一日からでございましたけれども、今年はそれを繰上げまして九月十五日から十二月十四日までといたしております。これが第一点でございます。それから第二は、運賃割引の対象といたしまして新らしく内地産のものを加えまして、北海道につきましては割引率は従前通り二割でございますけれども、青森、岩手、宮城、福島、群馬、長野、岡山、広島の各県につきましては、五百一キロ以上のものについて一割五分の割引をいたすということになつたわけでございます。この点御了承願います。
  218. 森八三一

    委員長(森八三一君) 別段只今の報告に対して御発言がございませんければ、本日はこれで散会をいたしたいと存じます。明日は午前十時から開会いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後五時十四分散会