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説明員(
中西一郎君) 二十九
年産の
米価につきまして、現在までの
経緯と将来の
段取りを申上げたいと思います。
先週の十六日に
米価審議会の
懇談会を持ちまして、いろいろ討議を
願つてお
つたのでございますが、その夕刻になりまして、
大蔵大臣と
農林大臣の間で妥協ができて
一つの
結論が導き出されました。なお今後二十四日と二十五日に開かれます
米価審議会の
審議を経まして、その後に正式の
閣議決定ということになる
段取りになります。で、今まで内定しております線を申上げますと、
基本価格につきましては、
従前通りの
計算方式を採用いたしまして、
玄米石当り三等の裸でありますが、八千九百二十円といたしております。八千九百二十円の算出の
基礎でありますが、これは八月の
パリテイ一二〇・〇四というものを
基礎にいたしまして、それに基きまして
パリテイ価格を七千五百七十一円と
計算しております。このほかに従来
通りの
特別加算を五百四十五円いたしております。五百四十五円の内訳は、第一には
資本財投下量が
基準年の
昭和二十五年及び二十六年の
平均に対して増加しておる分が一三・七四%あるわけです。その分が
経営部門における
特別加算の
根拠にな
つております。第二の点は、
都市と
農村との
消費水準の開きが
基準年次である
昭和二十五、六年に比べてどうな
つておるかということを見たんでありますが、資料の
関係で
昭和二十八年の七月から二十九年の五月までの
消費水準のギヤツプを調べました。それによりますと、
都市のほうが
農村よりも三・七%
消費水準はより向上してお
つたわけでございます。それが第二の
修正点であります。その二つの
修正点を含めまして五百四十五円の
特別加算と
なつたわけであります。で、本年はそのほかに
基本価格といたしまして、昨年の
産米で新たに附加えられました
供出完遂奨励金の八百円に概当する分でありますが、これを八百円まるまる
基本価格として
パリテイ価格と
特別加算に更に八百円をプラスする、そういう
計算方式をと
つております。その結果合計が八千九百十六円になるわけですが、それを切上げまして八千九百二十円というふうに、先ほど申上げた
基本価格にな
つておるわけであります。で、この
供出完遂奨励金の八百円というものの
性格について、従来の
パリテイ方式がすでに昨
年産米価を決定するとき以来崩れておるのではないかというような議論があり、我々も過渡的な
価格形成方式としてやむを得ないものと考えておるわけですが、何と申しましても
米価が
パリテイ方式だけでは満足し得られないというふうな現状、これは統制を外してみて
需給価格がどうなるかということの
推定にも基くわけですが、その
推定の困難さにもかかわらず、外せば相当高くなるということは誰でも容認しておるところだろうと思うわけです。そういう
意味でこの八百円というものを
需給価格に近付けるための
措置という
意味で、まるまる
加算したということにな
つております。
基本価格は以上のようにしてきめたわけですが、
早期供出奨励金は、本年の
特殊性と申しますか、昨年が非常な
特殊性を持
つてお
つて、今年が平年に戻りつつある、まあそういうような
観点もあ
つて、
集荷の目的に副
うためにはどのくらいの
早期供出奨励金が必要かということに論点が集中されたのでありますが、結果といたしましては、
早期供出奨励金の
期別単価を定めますけれ
ども、全体として
金額なり、
数量なりで
制限を設けることはいたさない、そういうことで、出れば出るほど
早期供出奨励金が
農民に渡るというふうな体制を今年も続けるということにな
つております。で、現在の
計算では約千九百万石くらい出るんじやないか、十一月末で切
つておりますが、千九百万石くらい出るんじやないか。それによ
つていろんな
計算がありますが、
最小限度七十一億
程度は支出されるんではないか。ちなみに昨年はああいう凶作の
減収加算が付いたというような
事情もございまして、
早期供出奨励金の
単価が二十七年度に比べて約三割の増を一律にいたしております。併し今年はそういうことをしないで平年
ベースに
単価を直した、こういう
経緯にな
つておるわけであります。
超過供出奨励金でございますが、
超過供出奨励金は昨年は二千七百円としておりました。その際の
考え方は
超過供出になります
石当りの
価格を裸で一万四百円と考えておりまして、
基本価格が七千七百円でございましたので、その
差額である二千七百円というものを
超過供出の
単価といたしたわけでございます。で、本年も
超過供出の
玄米石当りの
単価はやはり一万四百円といたしまして、
基本価格が八千九百二十円とな
つておりますので、その
差額の千四百八十円というものを
超過供出の
奨励金としたわけでございます。
以上が基本的な
価格を構成する部分でございますが、そのほかに前年と変
つております点は、
等級間格差を少し変えました。非常に
計算が複雑なんですが、二十五年以来、各
等級間の実額を変えないで今日まで至
つております。で、これは政治問題に属することですが、商品のありのままの価値を
格差に表現したらどうかという
意見もあり、又
地方格差をうんとつめて
農民の保護を考えたらどうかというような
意見もあり、苦慮してお
つたんでございますが、ともかく
基本価格が累年上
つて来て、本年は特に八百円の
加算などがあ
つて殖えるわけですが、そういうようなときに、いつまでも数年前の
格差を据え驚いておくということも如何かと思われるので、現在までの
据置期間が約四カ年であります。二十五年から二十八年まで据え置かれてあ
つたわけですが、その間の
平均価格に対して本年の
基本価格が約二割二分上
つておるわけです。四年間を一〇〇として二十九
年産が一二二となるわけです。そういう
意味で二割二分八厘それぞれの
格差を開こうじやないか。そういたしますと、
等級間格差が九十六円になります。前
年産は七十八円でありましたが、本
年産は九十六円に
なつたわけでございます。なお
包装代も従来の
計算方式を少し変えてあります。これは実質的には殆んど
意味がないと思うのですが、麦の
実績などを見ますと、古俵の使われ方が非常に多いということで、若し古俵が一割五分なり、二割なりというふうに大幅に使われるとすれば、
包装代の
加重平均は百七十五円になるであろう、そういうふうに
推定いたしております。前年は百八十五円でございましたから、十円低く見積
つておるわけです。併しこの場合に御注意願いたいのは、
包装の複式にしましても一重にしましても、絶対額についてはそれを値下げすることはいたしません。
供出されるされ方が古俵が多く使われるとすれば百七十五円だという単なる
推定に過ぎないので、
出方如何によ
つてはこれが百八十五円にも、場合によ
つては百九十五円になるかもわからない、そういう
推定数字でございます。
以上のようにして全体の構想ができたわけであります。ただ、誤解のないように附言さして頂きたいのですが、
新聞などによりますと、九千五百五十何円とかいうようなことを
言つております。あれは
御存じのように全国を
平均して
計画通りの
供出と
超過供出があ
つたらどうなるか、こういうふうな単なる
試算のものでありますが、それが世論にアツピールするものかどうか、
新聞が皆そういうふうに書いております。それについて申上げますと、
早場が先ほど申上げましたように
最小限度七十一億と見ております。ところが全体の
供出量を現在のところでは二千六百万石というふうに考えておりますので、その二千六百万石を
石当りに直しますと、それが二百七十三円になるわけです。又
超過供出は二千六百万石の中の五百万石と、一応
価格算定上そういうふうにおいております。
従つて千四百八十円という
超過供出奨励金の五百万倍を二千六百万で割
つた、そういう
計算で
超過供出の
奨励金分は
石当り二百八十五円になるわけです。それを
基本価格と全部合せまして九千四百七十八円に三等の裸がなるであろう、これは
推定であります。
現実には
供出数量なり、
義務数量なりは来月予定されております
知事会議等できまることでございますので、今こういう
推定をすることは殆んど
意味がないかと思いますが、最近昨
年産についての
実績が云云されておりますので、
参考までに申上げたわけです。ちなみに昨
年産の
実績を申上げますと、
基本価格は八千五百円であります。そしてそれに
早場奨励金が七百七円、これは百四十四億も出ております。
超過供出奨励金が
石当り五百九十六円になります。これは
義務供出が千四百万石というふりに非常に
低位になりましたために、こういうふうに
超過の分が多額に出て来るわけです。それを全部合せますと九千八百三円、これが昨年の
実績であります。なおごの
実績と申上げました中には
減収加算の五百十五円は含んでおりません。それを含めますと一万三百五十八円になる、そういうことにな
つております。ただ昨年と対比します場合に、我々も非常に注意をしなきやいかんと思
つておりますことは、昨年の
減収で
減収加算が五百五十五円付きましたほかに、
義務供出量が非常に
低位に
なつたということ、これで恐らく四十億
程度政府は
財政負担して
超過供出奨励金を余計に払
つております。なお先ほど申上げたように、
早場奨励金の
単価を平年
ベースに比べて三割アツプした。これ考え併せますと、相当
金額が去年の
特殊性に基いて支払われている。そういうものを差引いて本年と比べるのがいいかどうか、これは一律には行かないので、成るべくそういうことを差控えたいと思
つておりますが、比べて見て本年はそれほど低くはないという印象を
事務的には持
つておるわけでございます。そういうふうにして内定しておりますが、あと問題は
消費者の
格価を上げないということも、それに合せて内定しておるわけでございます。
従つて現在の十キロ
当りと七百六十五円という精米の
配給価格を引上げませんと、
生産者に対しては
包装込で
石当り何もかも入れまして九千二百円しか実は払えないことにな
つておるわけです。それが今申上げたように
試算では九千五百五十七円というふうになるわけで、この間の三百五十七円分と言いますのは、二千六百万石にしますと約九十三億円になりまして、この九十三億円は
食糧管理特別会計の中の経費の節減とか、或いは
原材料用に少し高く売るというふうな形で、片方で稼ぎながら
生産者のほうに差上げる、まあそういうふうな仕組にな
つておるわけでございます。なお、この
財源に関心しまして一言附加えておく必要があると思うのですが、長く問題でありましたバツク・ペイも、
石当り二百五円で
総額四十二億円を早急に支払うようにいたしたい、これも内定いたしました。二百五円という
計算は、お聞きに
なつたことかと思いますが、
パリテイ計算での本来バツク・ペイせらるべき
金額は二百三十二円であります。で、この二百三十二円という
金額の中に、昨年の
基礎にな
つております七千七百円をきめましたときに、七千六百七十五円から二十五円実は切上げをしておる、そういうふうな問題、それから五百五十工円という
減収加算がありましたときに五百五十三円を三円切上げた、甚だみ
みつちい話でありますが、そういう
切上分を二百三十二円から二十七円引きまして二百五円、これも
義務供出だけに限
つたらどうかというようなな見があ
つたわけですが、
集荷対策という
意味からも、又かねての公約という
意味からも、
農林省の
主張通りに全
供出量について支払おうということにきま
つたわけでございます。
なお、先ほど
委員長の
お話がありました本年の
集荷対策ということでございますが、これにつきましては、
価格の
計算の
基礎として二千六百万石の
集荷、そのうち五百万石の
超過供出というふうに単純に現在の
段階では考えております。
もう
一つの問題として、例の
予約制の問題がございましたが、この問題は九月の中旬に
割当会議ができれば個人に
割当が降りて行くのは十一月中に脇りて行くであろう、そのときに
予約制を併用しようというような
事務的な
段取りでございました。ところが
現実には十月の中頃に
割当会議というふうに一カ月遅れましたので、そういうような
観点で
予約制度は本年は残念ながら採用はできない。
他方完了後の
自由販売とか、いろいろなことがそこここで論ぜられておりますがまだ
農林省といたしましては、そういうことについては何ら決定的な態度をきめておりません。むしろ平年
通りや
つて行くという態勢をここ当分は続けて行く、そういうふうにきま
つておるわけでございます。
それから申落しましたが、
早期供出奨励金の
単価でございますが、これは
期間を本年は特殊な
事情で少し例年と変えております。
特別早期供出督励期限、
特期といたしまして九月二十日という日を限
つております。本日であります。これは
石当り二千円ときめております。これは数日前にすでに
公表済みで末端まで周知徹底いたしております。第一期が九月三十日、これを千二百円といたしております。これは端境期の
需給操作上、どうしてもこの
期限がほしいという本年特別の
措置でございます。第二期が十月十五日までが六百円、第三期が十一月一日、これは十月
末日が日曜日なので一日ずらしてありますが、第三期が十一月一日で三百円、第四期が十一月
末日で二百円。重ねて申しますが、
数量及び
金額については
制限は行わないということにな
つております。なお、これも御
参考までに申上げますが、二千六百万石という
数字は、
内地米を
消費県で十日
程度、
生産県で十五日
程度維持し得る
数字でございます。
簡単でございますが、以上概略の御
説明を終ります。