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1954-08-24 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十四日(火曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            河合 義一君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁総務部長 新沢  寧君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する件  (稲作病害虫防除徹底等に関する  件)  (食糧問題に関する件)  (麦類保管倉庫に関する件)  (米穀検査に関する件) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  先ず第一に、稲作病虫害防除徹底に関する申入の件を議題にいたします。去る八月十九日の委員会におきまして、稲作病虫害防除徹底に関しまして、緒方国務大臣保利農林大直、小笠原大蔵大臣申入れ、二十日の閣議において、政府方針決定を予想して、二十一日の委員会出席の上、政府方針及び措置報告を求めておきましたが、相にく当日の閣議におきまして、関係大臣不在等のため決定を見るに至らなかつたのでありますので、本日の閣議において決定して報告を願うこととして、特に本委員会を開いた次第であります。只今からこの問題につきまして、本日の閣議における模様等につきまして、政府方針及び措置説明を願うことにいたします。なお、本日は農林大臣大蔵大臣及び関係事務当局出席を求めておいたのでありますが、農林大臣大蔵大臣は御出張その他の用務がありまして、農林省改良局長出席を得ておるのであります。これにつきましては、以上申上げましたような、本件に関するその後の経過につきまして、改良局長から御報告を願うことにいたします。
  3. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 只今委員長からお話のありました点につきましては、先般の当委員会の御決定と御要望に副うように極力努力をして参りました。昨日も、今日も事務的な折衝を続けておりまするが、大体において委員会で御要望のありましたような趣旨で以て行けるという確信を持つておりまするが、まだ細部の点について事務的に順序がきまりませんし、非常に急ぎますると、先般大臣お話のございましたように、大事のところで以て実効をあげにくいような形に押込められても困るというので、我々のほうもねばつておる、こういう状態で、もうちよつとすれば大体きまるという線になつておるのでありますが、大体そういう経過で以て、本日の閣議にはまだかかつておらない、これは御要望通りにできるだけ一日も早くきめて農民に知らして、米の減産防止生産確保を図るように持つて行くのが一番大事なことでございますので、延びましたことは、我々事務当局としても非常に恐縮に存じまするが、なおもうちよつと時日をおかし願いたい。我々のほうにおいても、その点の御要望の線に沿つて責任を以て処理するということは申上げられます。まあどうぞそういう点でお許しを願いたい、こう考えます。  簡単でございますが経過は以上の通りであります。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今局長報告に関連いたしまして、御発言のかたは順次発言を頂きます。
  5. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この前の農林大臣の発表しました冷害特別措置としての被害激甚の虞れある地方に対し、且つ異常発生面積のみを対象として第二回分からやつた、こういうところを、やはり「いもち」を対象としたものでありますが、この「いもち」ばかりでなく、二化めい虫に対しても、或いはその他の病害虫に対してもやるようにという当委員会申入でありますが、それに副うべく改良局長はお答えできると、こういうわけですか。
  6. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 虫の種類等につきましては、ここにまあ実効があがるように徹底したいと思いますが、勿論「めい」虫はやらなければならん、こう考えております。全体として異常気象のために「めい」虫のほうの増加率も非常に大きい、こういう関係がございますので、当然めい虫も当委員会お話のありましたように、異常気象に対応してのものですから対象にする、こういう考えでおります。ただ細かい一つ一つの虫について、まあ協定するかどうかは、それは実行上の問題として、最後に大蔵省と打合せてやるようにするかどうかということは、なお残つておりまするが、勿論めい虫は入れるつもりでおります。
  7. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 政府の特に最も責任ある改良局長がそういう言明をされておることにつきましては、大体我々も了承するわけでありますが、特にこの際私は質問したいと思いますのは、昨年の異常発生による異常な薬剤不足等のために、今年の前半期における稲作の天候というものは極めて不良であります。従つて農家はこれにおびえて、相当大量の農薬を二化めい虫についても、或いは「いもち」予防に対しましてもやつたのであります。ところが昨年の薬剤不足を奇貨としていろいろなメーカーが不良品をかなり売りつけておるやに私は情報を得ておるものでありますが、これらの取締りについてどういう対策をしておられるか、又特に粉薬乳剤と、どうも私は非常に心配しておりますのは、例えばBHCの三%のようなものであつても、僅か三%の有効成分でありますから、これが技術的に十分に撹搾をして、そうしてよくこの三%が全薬品の中に混合されるということであるならば差支えないが、一方においては六%もある、又一方においては何ら増しておらんというような場所もあつて従つて或る場所では薬害が起きて非常に稲がやけている、又一方においては何らの効果もないというような不適当な薬剤もある。或いは又粉薬が偽物であつて、少しも有効成分を含んでおらない、仮に含んでおつても三%というものが一%くらいしか含んでおらんで、何らの効果も挙げておらないというようなこともかなり聞き及んでおるわけであります。これらについても農林省として、特に改良局長の立場からこれらの取締りについてどういう方法をとつておられるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  8. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農薬検査所のほうで農薬取締法に基きまして抜取検査をやつております。それで相当この春から昨年と比べましてメーカーの数も多くなつたし、供給量も殖えて来ておりますので、勿論関係いたしますので、おつしやる通りに、程度の点についてはそれほどひどいというのはまだ検査では出ておりませんけれども、併しながら、規格を外しておるものは或る程度出ております。それで六月においても、七月においても検査でそういうものがあがりましたのは、全部メーカーを呼びまして厳重に注意は与えておりますが、現在はそういう形で以て厳重な注意によつて生産者に自粛的に直してもらう、設備等においても不十分のところもあるかも知れませんが、大体においては取扱上の注意によつて有効成分だけは確保できるというのが大体実情でございますので、そういう点について厳重な注意を個々にいたしまして与えておる、こういう状態であります。確かに或る程度出ております。
  9. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 君は或る新聞で見たのですが、九州方面に二、三そういうものがあつて調べておるという記事もありました。私は薬九層倍といつて昔から慣わしがある。人間に飲ませる薬でさえも先ず相当に儲けられておるということはかくることのない事実であります。まして口のきかん植物にかけるやつですから、これにはよほどインチキが私は内市にあるだろうと想像する。それに対して抜取検査くらいで、一応の訓示ぐらいでこれは私済むまいと思う。最近における農薬会社メーカーの届出というものが随分数多くあります。それらについて従来のような僅かな係官だけで、そうして而も僅かな抜取検査ぐらいで、今日のもう全国津々浦々、農民が何回となく、三回も五回も使うところの農薬についての取締りというものを、従来のような機構で、又従来のような考え方農薬会社というものをそのまま放任しておいたならば、私は農民被害というものは、害虫の被害よりもより以上に大きくなるだろうということを私は心配しておるのです。従つてこれにつきましては、農林大臣にもあなたから……、農林大臣が来ましたならば私は強く要望しておくつもりでありましたが、塩見局長さんがその責任であります。どうか今後今までのような僅かばかりの係官で以て、今までのような考え方で以てやる、べきでないと私は考えております。そこで又農薬会社についての厳重なる取締方法というものも研究して、若し必要であるならば法文化して、無某の農民に痛手をこうむらせないような方法をとつて頂きたいと考えるのであります。  それからもう一つお願いしておきたいのは、粉薬乳剤とは非常にきき目において乳剤のほうがよい、価格の上においてもかなり相違を来たして来るわけであります。ところが最近において粉薬のほうが取扱いがいい、百姓が取扱いやすいものでありますから、農民噴務器あたりを購入して盛んにやつておるようでありますが、こういうことも、どちらがいいかということをはつきりさして行く、べきであろうと考えます。どちらがいいか、一つお聞かせ願いたい。
  10. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農薬取締りに関する件は十分検討したいと存じます。立法上の措置がないと、今までの制度では十分なことは余りひどくなればやはり手を打ちにくい点が相当出て参ると思います。それから乳剤粉剤の問題でございますが、これはやはり農民のほうがかけやすい、緊急にかけられるというような点から言うと、今のところは粉剤のほうがかけやすい。併しながら、ミストブロア等の優秀な機械が出て来れば乳剤でも相当まで行けるというような点等もございますが、まだミストゾロアについて研究中という形でございますので、まだそこまでの段階には行つておらないという状態でございます。それから又農薬種類等によりましても、又きき目の上において相当の差がある。例えばホリドール等について考えますと、一化期の「めい虫等につきましては乳剤のほうが安上りでもありますし、十分効果を上げるという状態にございますが、三化期の「めい」虫になつて参りますと、かける点、値段の点から申しまして、粉剤のほうがどうしても農民のほうで便利でもあるし、安くもあるので、こういう関係等もありますので、一概に言い切れないところがございます。やはり農業種類相手病害虫関係と、それをかける、稲の体の大きさ等にも関連いたしますので、それぞれそういうふうな点について検討を加えながら、見通しのついたものについては、そういう農民にできるだけ有利であつて、まきやすい点等も考慮いたしまして、指導はできるだけいい方向に持つて行きたいと、こう考えておるわけであります。
  11. 重政庸徳

    重政庸徳君 農林大臣は先般の農林委員会出席して、本日農林委員会を開会する趣旨も十分承知して、にわかに予告なしに、本日承わるところによれば、新潟通水式に出張しておるということを承わつたのでありしますが、極めて私どもは遺憾の意を表します。局長にとやかく申上げたつて意味がないので、ただ師単に極めて本日予告なしに新潟市に出張したということは、この委員会として極めて遺憾の意を表します。  次に、素人臭い質問かも知れませんが、先般の委員会で、主計官異常発生ということについてまだきまつておらん、科学的な公式もまだきまつておらんというような答弁をしておつたのでありますが、その異常発生はどういうところをつかまえて、このたびの害虫問題については異常発生とお考えですか、或いはこの点が大蔵省との間にすでにきまつたかどうかということを一つお答え願いたい。
  12. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 異常発生の点につきましては、それは自然科学的に厳密なことを言えば、主計官が申しましたようになかなかきめにくいという点もございましようが、今までも通念といたしまして、前の委員会でも江田委員から御質問がございましたように、異常発生というものは大体大蔵省と我々の間で話合はできておるわけであります。前の「いもち」病のときにも、まあ最近数カ年のうち平均の数字に対して、今年それが超過した部分をそれを異常発生と認める。こういう考え方でやつておりますので、大体今度の場合もそれと同様なやり方でやつて行きたいと、こう考えております。それから又統計の取り方につきまして、まあ大蔵省のほうとしては、できるだけ県別にとりたい、こういうふうな意思が強いわけでございますが、我々のほうとしては、前と同じように一応段階を、統計数字のあるなし等考えられますので、大体において郡段階以つてつて行きたい。それでないと地方のほうで、相当ひどく出たけれども、その他の地方が出なかつたという場合に、その県は平均されてなくなつてしまうということがあつては、相手農民のことでございますから、県じやないのですから、我々のほうとしては、これから防除してもらうという点から言えば、どうしても段階を下げたいという点で、これは私どものほうとしてはどうしても止むを得ない線で頑張つている。こういう考え方でおりますし、向うも筋から言つて、そういうところは理窟の上から頑張り切れないであろう、こういう考えでおる次第であります。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は前の委員会との重復を避けて二、三点局長に御質問いたします。その第一点は、先ほどの重政委員からも御発言のありましたように、大臣がおられないで、ちよつと局長には多少潜越に当るかも知れないが、只今局長報告を聞いて、大分大蔵省に対する折衝が進捗をしつつあるやに感じを受けたのですが、その努力と非常な御苦労には感謝を表しますが、細部のところで云々ということが言われております。それが本日閣議に上程をされるに至らなかつた理由なのかどうか、それが一点。それからもう一つは、すでに本日の閣議にこれは付議されなかつたということでありますけれども、残されたそういつた事務折衝が大体もう幾日くらい、どのくらいの時間の猶予を以てしたら妥結を見るに至るのであるか。従つて我々の念願とする二十四日、本日を最終日としてという、この前の当委員会の総意が、本日は不幸にして裏切られたわけでありますが、いつになつたらこれが一体期待に副い得るのか、その時間的の見通しを、事務折衝責任の衝に当られた局長見通し一つ……。
  14. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 飯島委員の御質問の点は非常にむずかしい問題でして、この前も大臣からもお話がありましたが、やはりその時間も非常につめてきめるとなると、やはり延ばし切れないで、やはり不利な条件に、早くということになると、まとめて行く危険があるので、そこの点は私のほうも一日も早くきめることは有効であるということで、前からうるさく交渉している、こういう状態でございまするが、その点について余り時間のほうへ集中し過ぎますと、その決定自体農民にとつて見ると非常に不便な結果になつているということもありまするので、時間の点だけはそういう点でここではつきりとは申上げにくいのでございますけれども、これは本当に一日も早くということで、できれば今晩でももうきめられればきめたい、こう考えているので、それくらいの気組でやつております。本当にここ三日、昨日も今日もまだきまらないのは本当に遺憾なことでございますが、我々の気組としてはそういうつもりで、できれば今晩でもきめたいというくらいに考えております。これまでの閣議決定もこの細部の点がきまりませんと、予備金予約みたいな形になりますので、やはり閣議へ持つて行けない。向うもやはり試算して見なければならない、こういう形でございますから、ちよつと固まり出ると試算して見て、数字を弾いて見る。これで腹組の中に入るかどうかというようなことを向うも試算して見ます。交渉しては試算して見る、こういう関係が入りますので、そういう点で当委員会の御要望通り、一日も早いほうがいいし、我々のほうとしても農民がそれで以てできるだけ満足の行くように、財政状態で十分なことはできないにしても、その範囲内において満足の行くようにと、こう考えてやつているので、そういう点から言えばそう長くかかるまいと思います。先般の決定もかすかす間に合うかどうかというところまで延びたような状態でございましたが、大体において間に合つたという時期だと思いまするが、今般もそういうところについても、責任を以てでぎるたけ早く、こういうことでやつて参りたいと、こう存じます。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 まあこれは早くきめて頂かなければなりませんが、この前きまつた分についても、又今後決定される分についても、現実に国から補助金が出されるのは、この前の分について言えばいつ頃になるわけですか。それともう一つお聞きしたいのは、異常発生の場合に二回以上防除をして、その一回分ということになつております。が、例えばめい虫の場合に、すでに今まで一回やつている、今度又一回やるというような場合がありますが、そういうのが二回以上やつたということだと私は思うのですが、そういう解釈は私らの解釈間違つていますか、どうか。
  16. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その補助金の出る時期でございまするが、これはやはり異常発生面積につきまして、県のほうで以て各町村その他防除地帯のほうから数字を取りまとめまして、そしてそれを本省のほうへ持つて来るというふうな形になります。それがまとまつてからきめて来るというふうな形になりますので、「めい虫等につきましては、だらだらとやれば十月にもかかつて出て来るというふうな形になつたり、それから又面積押え方が時間がかかるということになりますると、出す時期になりますと、やはり昨年程度の時期になることもあります。今般のいいところは、予約をしてありますので、農民が思い切つてやれるということでございまして、時期の点はそういう形でやはり村から出て来る、県でまとめてこつちへ持つて来る。それを審査した上で、こういう形になりますので、時期的にはその程度とお考え願いたいと思います。それからもう一つのほうの御質問の、一化時にやつたものと二化期にやつたものと、これを別々に考えるかということは考えません。一化期も二化期も通まして、めい」虫については同じく考える。「いもち」につきましても、葉「いもち」にいたしましても、「ほくびいもち」にいたしましても、みな通じまして、一回二回という回数は考えるというふうな形でやつて参るつもりでございます。
  17. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題になつておりまする病虫害防除徹底に関する申入につきましては、本日閣議決定を見て、最終的結論報告されませんことは甚だ遺憾でありまするが、改良長局からその後の経過報告がございましたように、本委員会申入の線に沿つて善処をする。更にその内容に責任を持つて解決の、取運びをするというような御言明もございましたのであります。時期は極めて急を要する時間の問題になつておるのでありますので、只今の御発言趣旨が極めて早いときに実現いたしますことを期待いたしまして、この問題はこの程度にいたしたいと思いますが、如何でありましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではさように決定をいたします。なお、この際重ねて局長に希望を申上げますが、只今申上げましたように、本当にこのことの成否が本年の食糧の問題を解決する極めて重要な鍵でありますことは、局長も再三お話になつた通りでありまして、急を要する問題でございますので、本委員会申入の線が早急に実現の運びに至りますように、今日までも格別の御努力願つたのでありまして、この点は感謝をいたしまするが、一層の御尽力を噴頂きますことを特にお願いをいたします。
  19. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、去る十九日及び二十日の委員会におきまして江田委員質問にかかわりまする食糧需給の件、佐藤委員及び私から質問いたしました麦類保管倉庫の件並びに江田委員及び佐藤委員の御質問でございました米穀検査件等の諸件が、回答が留保されておりますので、順次当局説明を求めることにいたします。もず食糧需給の件から問題にいたします。食糧庁長官は所用のため遅れて御出席になる連絡がございました。只今新沢総務部長出席されておりますので、新沢部長から御説明を願いたいと存じます。
  20. 新沢寧

    説明員新沢寧君) お手許に二十九米穀年度米穀需給推算の表が参考にお配りいたしてございますが、それは八月初句現在におきまして立てました二十九米穀年度におきます需給でございますが、資料が不備で申訳なかつたのでありますが、年度全体を通観いたしますよりも、むしろ今後本年度の端境期がどうなるかということのほうが問題であると存じますので、資料は後ほどお届けいたすことにいたしまして、端境期需給について御説明申上げたいと思います。  八月一日現在でございますが、持越といたしまして内地米につきましては六十九万三千トンございまして外米が五十八万九千八百トンございます。合せまして八月一日現在持越数量は、内地米外米合せまして百二十八万二千トンございます。これに対しまして八月以降十月末までに買入れ並びに輸入を予定しておりますのが内地米買入れを百二十万六千四百トン、このうち大部分は二十九年産米でございまして、二十九年産米を十月までに百二十万五千八百トン買入れるというふうに計画をいたしております。この時期になりますと、二十八年産米は殆んど出尽しまして、一応計画といたしましては六百トン買うという計画にいたしております。同じくこの期期におきまする外米の到着百三十四万九千六百トン、こう見ております。従いまして、八月乃至十月におきます供給量の総計は二百六十万一千七百トンということになるわけでございます。これに対しまして需要のほうは、主食用といたしまして百二十八万五千二百トン、加工用その他といたしまして四十九万七千トン、それからこの期間内におきます減耗等が一万六千九百トンと見込んでおります。従いまして、会計いたしまして需要量は百三十五万一千八百トン、こういうことになるわけでございます。十月末から翌米穀年度、二十九米穀年度から三十米穀年度持越数量が、お手許に配つてある表の持越数量になるわけでございまして百二十七万九千九百トン持越す、こういうことになつております。お手許に配つておる表と御説明が一致しませんので甚だ申訳ございませんが、一番問題となります端境期需給を申上げたわけでございまして、今申上げました通り、二十九年度米の買入が百二十万五千八百トン、八百万石を見込んでおるわけでございます。このうち実際この期間に消費いたされますものを十六万三千七百トンというふうに考えております。この二十九年産米早食い数量は、昨年の例に比較いたしますと、相当殖えているわけではございますが、この十月までの集荷数責につきましては、大体昨年、一昨年の実績を見ますと、大体この程度実績として上つて来ているわけでありますので、非常に買入そのものにつきましては、大体この程度が買えるのではないだろうかというふうに考えております。ただこのうち実際に一要の面に廻します十六万一千九百トンという数字は、これは去年に比べますと、先ほど申上げました通り相当上廻つている数字でありますので、配給、運送その他につきましては十分慎重に計画をいたし、その円滑を期さなければならないというふうに考えておりますが、併しこれは実際に過去の経験によりますと、二十万トン程度まで早食いをいたした経験もありますので、十六万二千トンという数字は、これはそれほど困難な数字ではないというふうに考えております。従いまして、今年の作柄等で、端塩期の需要がどうなるかという懸念が一部にございましたわけでございますが、今のところ今御説明申上げました通り、この二十九米穀年度は先ず心配なく推移することができるものというふうに考えている次第でございます。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとさつき言われた数字がわからないんですが、八月から十月までの買入、輸入は百二十万トンのうち、内地米外米は幾らと言われましたか。
  22. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 計を攻めて申上げます。八月から十月までにおきます内地米買入が百二十万六千四百トン、それから輸入が十四万三千三百トン、買入と輸入合計が百三十四万九千六百トン、一欄間違えて申上げたかと思いますが……。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 今の説明の中で、大体内地米を一十六万トン、それで行けると、こういうことでございましたが、そのときにこの持越米の中には、例の問題になつている黄変米も入つているんじやないですか。それから今後八月から十月まで輸入されるものの十四万トンについても、やはり同じような問題がありはしないかと予想されますが、そういうものがあつても十六万トンの新米で食いつないで行けばやれると、こういうことですか。
  24. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 問題の黄変米でございますが、先ほど申上げました通り、八月一日現在の持越数量が五十八万五千八百トンあるわけでございますが、このうちにはすでに検査が確定いたしまして、現在保留されているものが約八万トンあるわけでございますが、今後も検査の結果、このうち幾分かが出て来るわけでございますが、八万何がしという数字は、実は新らしい基準がきまりますまで一時配給停止という措置を受けていたわけでございまして、その全量が配給不適格に廻る数字ではないわけでございます。八万トンのうち、若し旧基準によりますれば、そのうち約二、二割が配給に廻ることになりましようし、新基準が学者間の意見が一致しましていいということになれば、八割くらいが廻るということになるわけでございます。そういうわけでございますので、実はこれも的確に、今後のまだ未検査の分等の数字がどの程度で配給通路品が出て来るか予想しがたいわけでございますが、現在までの検査の結果出て参ります数量から想定いたしまして、そう大きなものはこの持越数量並びに買入数量から落ちて行くことはないのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。ただ問題は検査の結果がどう出るかということよりも、実は検査の結果が非常に長引いておりますので、検査の結果がなかなか時間的にかかるということでありますと、端境期におきます配給操作にいろいろな制約を受けるわけでございますので、私たちのほうといたしましては、現在厚生省に連絡をいたしまして、厚生省の検定の迅速化ということをお願いをいたしているわけでございます。検定の結果よりも、検定そのものに時間がかかるということが大きな問題となつているわけでありますので、その点の改善について厚生省とも連絡し、又予算等の問題がございますれば大蔵省等にも要求して、端境期におきます配給に不円滑を来たさないようにということで、今両省いろいろ話を進めているわけでございます。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 この輸入の十四万トンというのは大体どこの米ですか。
  26. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 資料を持つて参りませんので、大ざつぱな数字で甚だ恐縮でございますが、約半分がタイでございます。それから中共あたりから約一万トン乃至に万トンくらい入つて来るかと思います。それからあと加州その他が残り、いろいろな国から少しずつ入つて来る、こういうことに一応予定いたしております。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 今の黄変米の検査がいつ終了するか、こういうものは成るべく早くそれを終了してということでありますが、私ども見通しでは、これはなかなか簡単にきまらんのじやないか。で、仮に厚生省の砥うで従来の基準でよろしいと言われても、或いは基準を変更しなければいかんと、こう言われても、それはいわゆるそういう答えが科学的には一応出て来るとしても、併しこの黄変米の問題というのは、ただ簡単に科学者の答えで割切ることができるかどうか、相当これは心理的な問題になつて来ると思うのです。そこで仮に含有率を非常に低いところできめられても、恐らくそれはスムースに配給には乗らないで、各地で配給拒否というような問題が出て来ると思います。これは消費者がやかましくなると、例えば米屋さんにしたところで、お前の所は黄変米を配るなら、お前の所の米の登録を取消すというようなことが必ず出て来るわけですよ。そこで厚生省の答えというものも、私はそう簡単に出ないと思うし、何にしたところで一人や二人の人体実験ではいかんというようなことになつて来ると、これは相当長期に時間をかけなければこの答えは出ない。そういう答えが仮に出ても、只今申しましたような心理的に非常に国民に不安を与えているというところからして、仮に何パーセントのものであつても、いやしくも黄変米は、仮に一粒でも入つているものならばいやだというような国民の心理があると思うのです。従つてこの今リザーブされている八万トンというものが、これがこの期間内に配給ルートに乗せるということは恐らく不可能じやなかろうかと思うのです。更に今後入つて来るところの十四万トンにつきましても、そのうち二分の一はタイだ、あとは中共なり、カリフォルニアにしましたところで、カルフォルニアにしましても、先般のように一旦配給したあとで検査をやつてみたら黄変菌があつたというような問題を起しているわけなんです。そこでそういうようなものの扱いについても、ここまで問題が大きくなるというと、必ずカリフォルニアから来たところで十分な検査をしない米は受取らんというような問題が出て来るんじやないか、同時にタイから入つて来るところの十四万トンの約二分の一についても同じ問題が出て来るのじやないか。そういうことを考えますと、百二十七万トンの持越しの中で、本年産の内地米の百二十万トンのうち十六万トンだけがルートに乗るんだいうことになると、百十四万トンあたりはすぐ不足するという計算になりますから、百二十七万トンから百十四万トンを引いた十三万トンというものしか実際には余つて来ない。その中で問題の黄変米の八万トンなり、今後入つて来るところの十四万トンについて問題とされる米があると、これは需給がうまく行かんということにまあ私どもの計算ではなつて来るわけです。それを押切つてやろうとしたところで、そうなると社会的に非常に不安を捲起すということになりますが、そういう点について食糧用として果して確信があるのかどうか。仮に八万トンをリザーブしたままで置いて、そして十四万トン入る外地米についても、これについても検査が終了までとかいうような措置をとらなければならんようになつたならば一体どうなるか、そういう点はどんなにお考えなんでしようか。それから或いは若しそういうような事態が起きた場合には、現在の配給基準というものを改訂するのかどうか、そういう問題が起きても、少くともこの年度一ぱいは一般の家庭配給についても、或いは労務加配等についても基準通りつて行かれるかどうか、そういう点はどうでしよう。
  28. 新沢寧

    説明員新沢君) 今お話がありました通り、今度の黄変米の問題につきましては、実際上の学者の意見に対するいろいろな不一致という点もあるわけでございますが、それ以上に確かにいろいろな報道を通じて受けた印象による心理的な影響が非常に強いことは事実であろうかと思つております。実際上学問的な結果につきましては、なお若干の時日をかけますれば、今まで意見の不一致を見ました点も、必ずしもそうたくさんの時日をかけないでも一致した線が見られるのではないだろうかということを考えるわけでございます。必ずしも今までの議論につきましても、これはほかの省のことなんでございますが、お互いの立場で、お互いのいろいろな理由付けが必ずしも十分になされて討議がなされていたような形跡はないわけでございますので、今後それぞれの立場で主張する基準についての論議が重ねられますれば、基準そのものについての解決はそう遠い先のことではないというふうに考えておるわけでございますが、心理的の問題につきましては、これはお話通り相当深く滲み込んでおりますので、これをどういうふうに不安を解決すればいいかということがいろいろ重大な問題になつて来るわけでございますが、少くとも私どもといたしましては、いずれの基準がきまるにいたしましても、その基準によつてやることは勿論でありますが、その基準の範囲内だからいいということで直ちには計画をし、実施に移して行くということはしないで、やはりもう一段階、例えば表面を削りますれば大分毒はなくなるのでございますから、そういうような操作するとか、或いはいろいろ毒を消すことにつきまして、いろいろな着想が持込まれております。これもできるだけ短時日の間に実験をやりまして、有効な方法が見つかりますれば、そういう方法も採用いたしまして、定まりました基準の範囲内でもできるだけ毒がない状態に打つてつて、そうして配給に廻そうということを考えておるわけでございます。報適等によりますと、いろいろ誤まられた報道と申しますか、読み方によりますと非常に誤解の生ずる報道がありましたわけでございますので、学者間の意見の一致を見ますれば、学者の口から十分説明もして頂くという措置も講じたいとは思つておるわけでございます。いずれにいたしましても、外米の問題につきまして、やはり相当部分が配給面に乗つて行くということでありませんと、やはり端境期需給が非常に苦しいことは、これは否定できないことでございますので、外米をできるだけ配給ルートに乗せ得るような措置は講じなければならないと思つております。その場合においても、決して不安をそそるようなことはしないで、できるだけ安心感の行くような手段を尺した上で配給に移したいと、こう考えておるわけでございます。今のところ考え方といたしましては、できるだけそういうような子段を講じて配給をして行くということで、配給基準度を切りましたり、或いは労務加配を切りましたりというところには手を触れないという方針でそのことを考えて行きたい、こう思つておるわけでございます。ただ問題が人間の心理に関係する問題が多いわけでございますので、これをどうして不安な気持を解而して行くかということは、確かにむずかしい重大な問題であろうと思いますけれども、技術的な面或いは学名等の御協力を頂いて、そういう不安を解消してこの端境期をうまく乗り刷るようにして行きたいということでいろいろ計画を進め、研究も進めておるわけでございます。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろこう詳しくおつしやいましたけれども、聞いておりますというと、非常に頼りないことなんですよ。要するに家庭配給なり労務加配を削らんようにして行こう、こういうことなんですけれども、併し現実に黄変米の八万トンをリザーブし、そうして十四万トン入つて来るものについても、培養試験をやつて検査をやらない限りは出すわけには行かん、現実に加州米のように、配つたあとで培養試験をやつて見て、あれは全部菌が付いておつたんだというような問題が起きているんですから、そうすると、今度の十四万トン入つて来るものについてそういう手軌をとるということになると、勘定が合日わないんです。或いは滅菌措置をとるとか何とか言われましても、これはもう今後一体九月、十月ですよ、そんな短期間の間に結論が出るわけがないんです。要するに黄変米の問題というものは、これは学問的に見ればいろいろ問題がありましようけれども、この国民の率直な常識から言うと、作品ビルマの使節のウ・チヨウ・ニエンさんが言われている通り、自分も貧乏のときは、逆境のときには食つたけれども大臣になつてからは食わないといことを言つているわけです。やはりこれは誰だつて気持よくは食えないわけなんです。そうして而もそういうようなことがどうしてあれだけ大きくなつたかということは、まあこれは私どもの観察によると、要するに現在の政府のやり方というものが、ひとり食糧だけでなしに国民の不信をかつている。およそ政府の言うことは余市り信用がならん、こういう国民の政府に対する不信の念があれだけ問題を大きくしている、こう私たちは思うわけです。それだけに今後どういう思いつきによつて菌をす措置をやられたところで、或いは才一葉厚生大臣の食生活の経験からいうとこうだということをやられたところで、それで国民がよろしい、安心したということには三カ月や三カ月ではならない。これは私なるはずがないと思うのです。よほど長期に一つてこの問題を解決付けるという考え方でないと、短期にこれを強引に無理をして解決付けたところで、却つて問題を爆発さすだけだと、まあ私はそう思うのです。で、そういう見地から言いますというと、あなた方の言われる基準というものは動かさんでやるのだと言つたところで、これは物理的に不可能になつて来ます、十三万トンしか余らない中で八万トンをリザーブし、今後入つて来るところの輸入米について検査措置をしなければならんということになると、これはどんな操作をしてみたところで不可能になつて来て、どうしても家庭配給なり或いは労務加配などを判る挙に出ざるを得ない、こう私は思うのですけれども、まあこれは私が思うだけで、あなたのほうで実際にやつておる立場から、どういう事態になるうと家庭配給なり或いは労務加配というものは、少くとも本需給年度内においては絶対に削らんで行くんだ、こういう確約ができるならそれでも結構です。どうですか。
  30. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 先ほども申上げました通り、天際上の有毒無事毒という科学的見地からの問題よりも心理的な問題が多いわけでございますので、これは学者の間の意見を統一して頂いて、学者の口から説明して頂くことによつて相当緩和されるのじやないかというふうに考えるわけでございますが、もう実際的な数字の面から言いましても、輸入米全体にいたしまして、この期間における供給量が七十三万二千トンあつて、そのうち五十五万六千トンを使いまして、外米だけでは十七万六千トンを持越そう、こういう計画をしておるわけでございます。従いまして、新らしく入つて参ります十四万三千トンの中からどれだけの率で出るかわかりませんのでありますが、従来の例から申しますれば、このうちそんなに多くは出ないのじやないだろうかというふうに考えるわけでございますし、又先像ど申上げました八万トン何がしにつきましても、学者間の意見の一致を見ました数字基準の範囲内におきましても、三万トン内外のものは廻せるわけでございますので、それからなお内地の早食と申しますか、新米の早食いにいたしましても、一応ここで計画いたしておりますのは十六万三千トンばかりでございますが、それは世去の最大の実績をとるとしますれば、あと四万トンぐらいというようなことでございますので、必ずしもこの今申し上げた数字につきまして安全弁が一つもないというわけでもございませんので、併しこれをここで確約せよと言われましても、いろいろ今後の検査の問題等如何に結果が出るかという問題、新米の集荷状況、いろいろ今後の問題にかかるわけでございますので、確約とか何とかいう言葉では申せないわけでございますが、一応の見込といたしましては、いろいろ申上げた数字の中にも安全辨は幾つかあるわけでございますので、先ず現在の計画で行きまして、基準量を切りますとか、或いは労務加配を削るとかいうことはしないで行けるのではないだろうかという見込を打つておるわけでございます。ただ申しましたように、不確定要素を幾つか含んでおりますことも否定できませんので、大体の見込として何とか行けるんじやないかという程度の表現しかできないと思います。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 私はね、あなた方がごの現在の国民が黄変米なり、食生活全体について持つておる気持というものの評価を非常に甘くされていると思うのですよ。これはなかなか、科学者に言わせるとどうとか何とか言つてみたところで、これは食物の問題でね、どこかから火をつけられたらとんでもないことになりますよ。私はこの前労務加配の問題についても言うたんですけれども、例えば今炭鉱で金券が出たり遅配欠配が起きておる。中小炭鉱というのはどこもかしこもめちやくちやになるような、そういうときに炭鉱の労務加配を削るというようなことをやれば、これは大変な騒動になつてしまう、こう私は観察している。そういう点がどうもあなた方の食生活に対する国民の感情というものの一価の仕方が非常に甘いと思う。今のような気持で行かれたら、必ずどこかで破綻を来たすんじやないかと思うのですが、念のため聞いておきますが、十四万トンの輸入があると、その中には問題のない米もあるかも知れませんが、併しこれは入つたものを肉眼検査だけですぐに配給に乗せられますか、加州米のような例があるんですが、どうされますか。
  32. 新沢寧

    説明員新沢寧君) お話のように、最近厚生省で全部培養検査をやつておりますので、これも当然肉眼で見るだけでなくて精密検査をやることになつております。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 それに要する時日というようなものを考えると、いよいよ今度の需給推算というものは私は危いことになると思う。そこでまあこれと関連してあなた方に意見を聞いてみるんですが、どうしてもこういう状態になつて来ると、今年の端境期を乗切つて行くためには内地米の供給を殖やす以外にない。内地米の供給を殖やすのには一つは米価の問題があります。或いは奨励金の問題があります。そういうことは、これはなかなか我々は我々の要望を持つておるし、農民の希望を持つておりましても、そう簡単には要望通りきまるものじやないと思います。農民が喜び勇んで供出する価格がきまるということはちよつと想像できませんが、もう一つの方策としては、検査の基準というものについてあなた方は考える気持はないかということなんです。たとえ一石でも内地米供給量を殖やして行かなければならん、そこへ持つて来て、一体今後どういう措置を来年度とられるか知りませんけれども、新聞等で出て来るところを見ておるというと、内地米だけを配給してあとは希望配給か何かにしようというような意見もあるようですが、要するに内地米というもののウエイトが今まで以上に非常に強くなつて来たわけなんです。そういうときにたとえ一石でも内地米供給量を殖やすということ、それには一体何をするか、米価の問題について多くを期待し得ないとしたら、やつぱりこれは検査の規格の問題になつて来ると思う。今のように検査規格を厳重にやる必要があるのかどうか、内地米の中には検査で落されておる部分の中には、少くとも外米に比べてはもつと家庭に喜んでもらえる米があるんじやないか。今までのような基準をきめて、そうして標準米をどうとかということでなしに、食える米と食えん米とがある、この程度まで大幅に検査規格というものを再検討して行く必要があるんじやないか。そういうことになるならば供給量が殖えるし、それからその供給の時期についてもこれはもつと早く行くと思う。而もそういうような端境の米にしろ、日本の全体の米が、過去において深川の倉庫に二年も三年も積んでおつたというような状態ではないのですから、而もこれが純粋な商品ではないのですから、統制された商品なんですから、勝手に自由に売買できる商品ではないのだから、それだけに私は今のあなた方の立てておる検査規格というものは、余りにも過去の深川の米倉庫に二年も三年もあつたときのあの基準の立て方と同じことじやないか。そこをもう一遍再検討する以外に今年の端境期というものをスムースに乗切る途というものはないと思いますけれども、そういうことについてはどうお考えになりますか。
  34. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 検査規格の問題につきましては、確かに食糧庁部内におきましても、余り細分化されて、殊に一等とかいうようなものにつきましては非常に厳格な基準ができ過ぎておるというような意見はあるわけであります。内部でもいろいろ検査規格の簡素化ということにつきましては研究して行かなくちやならんということで研究を進めておるわけでありますが、ただ御承知の通り、価格とも関連をいたしまして、パリテイ方式というものをとつておりますと、やはり価格が連続して行かなければならないというような点がございますので、検査規格を変える時期なり、検査規格をどういう程度に変えるかというような問題は、価格のきめ方とからまつて参りまして、実は今日まではつきり検査規格をどうしようというところまで食糧庁の計画が進んでおらないわけでございます。確かにお話のような点、規格の点考慮すべき余地が多々あるように存じておりますが、価格との関連で、まあ時期、検査規格をどういうふうに簡素化して行くか、併せて検討しなければならんと思つております。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 どうも今のあなたの議論は本末顛倒というものじやないですか。価格の立て方が近親して行かなければならんから規格についてもどうやらというのは、これはやつぱり少し本末を顧倒しておると思うのです。やはり暑いときはネクタイをはずした服装でもいいのですから、そうした点もう少しとらわれんで、もつと大きな立場でものを考えて行かなければむずかしいのじやないかということなんです。それからもう一つ聞いておきたいのは、これからの本年度内の加工用の四十九万トンというものは、これは何にお使いになりますか。これは削る余地はございませんか。四十九万トンとさつき言われたのですが、これは数字が違うんじやないですかね、四万九千トンと……
  36. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 失礼いたしました。四万九千トン。或いは四十九万と申しましたのは誤まりでございまして、この期間に使用されますのは四万九千七百トンでありまして、実はこれの大部分は輸入の砕米でございます。四万九千七百トンのうち四万四十トが輸入砕米でございます。そのほかに輸入の外米の丸米を約五千トン予定しておるわけでございますが、これは主としてやはり味噌等に行くわけでございまして、いろいろの関係でどうしても加工用というものを全然無視することができませんので、その場合においても、内地米とか、或いは輸入外米にいたしましても、丸米を使わないようにということで、成る程度計画的に砕け米を輸入しておるわけでございますが、主として味噌用等に廻ります砕け米がその大部分を占めておるわけでございます。
  37. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に米穀需給関係について御発言かございませんければ……。
  38. 江田三郎

    江田三郎君 質問はそんなところですけれども、これはほかのかたはどうお考えになつているか知りませんが、私は今年の需給計画というものは非常に不安があると思うのですが、その点少し農林省のほうで……。ちよつとし速記を止めて。
  39. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  それでは只今議題になつておりまする食糧需給関係につきましては、質疑を通じて明らかになり、ましたように、黄変米の問題をめぐりまして、本年の端境期における需給は極めて困難な情勢になることが予見されるわけでありますので、自民の経済生活、更にそれがいろいろな思想の問題にまで累を及ぼすような重大な関連のある問題であるわけでありますので、最善を尽されまして遺憾のない処置が講ぜられますことを特に希望いたします。   —————————————
  41. 森八三一

    委員長(森八三一君) では、次に答弁の保留されておりまする麦類保管倉庫の件を議題にいたします。  本件につきましては、前回の委員会で答弁が保留せられておるのでありますが、重ねて私から質問いたしました要旨を申上げますると、先月の委員会で関根委員から御質問がありまして、本年の麦類の買上に関係いたしまして倉庫が非常に払底をし、買上が順調に進まないような心配が持たれるがどうかというような質問に対しまして、農林当局から、倉庫については或る程度整理をしたけれども、全体的なスペースには十分な用意をしておるので、そういうような支障はないであろうというような御答弁があつたのでありますが、その後麦類の買上が実際に進行して参りまする経過を見ておりますると、全体的にはお話のようなことであるかも知れませんけれども、地域的には倉庫が整理せられましたとか、或いは前年産の内地産の麦、若しくは外麦等が保管せられておるために収容余力がないということ等からいたしまして、従来は生産自町村内で処理されておつたものが非常に遠隔の地へ輸送をしなければ買上の処理ができないというような事態が各地に発生をしておるようであります。そういうことになりますると、生産者は遠隔の地まで輸送をいたしまする輸送その他の負担を負わなければならんということになりまして、いろいろ問題を起しておるのでありますが、こういうような具体的な事例に対しましてどういうような措置を講ぜられるかという点が私の質問で保留されておる点であります。なお、本件に関しましては佐藤委員からも御質問がございましたので、この際改めて要旨だけを御説明頂きましたら答弁願うのに非常に好都合と思います。
  42. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 大体森委員長の言うたことと同じような問題でありますが、事例は、栃木県の南部方面では大体倉庫等も農業倉庫等の完備もありますから、そういつたようなこともないようでありますが、北部方面では麦の買上をしてもらえないというような農村が各所にある、そればかりでなく、先にいわゆる等外麦の設定をされて価格までも政府は発表されておるのであるが、実際においてはそういうものを発表されてもなかなか保管倉庫がないので買つてもらえないという憂いを農村では持つておる。これは仏作つて魂を入れないやり方ではないかと私は考えますので、外麦を相当大量に入れてあるがためにその倉庫がふさがつておる。又製粉会社では外麦を大量に買付けられておるから、ここに競争していまでも農民から麦を買わなくても済むんだというようは安易な考え等も手伝つて政府に買上げてもらうよりほかに途がないんだ。然るにもかかわらず、今言つたような倉庫が不完全、倉庫がなくて買上げてもらえない、こういうことでは、折角の同接統制ではありますけれども政府言つておる食料増産、麦増産が役に立たんではないか。殊に去年いわゆる本年庁の麦は非常に増産された、そこで倉庫がないんだ、又政府も買上げられないんだというようなことでは甚だ困るから、これについて明確な答弁をお願いしたい、こういうわけです。
  43. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 麦の無制限買入ということは、これは法律でもはつきり定まつておることでありますので、この趣旨が何らかの事情で損なわれるということは絶対にあつてはならないと考えております。倉庫の点でございますが、原則的には確かに相当程度のいい倉庫、焙蒸等ができます倉庫を政府は原則として指定して、そこで買入保管をするということを考えておつたわけでございますが、実際に友の買入数量は殖えて参りまして、そういうような倉庫だけでは十分買入ができないという事態が起りますれば、第一段的には一年通年ということも保管管理の点で遺憾な点がざごいますので、一応十月末という期限を限りまして、食糧事務所長に権限を委任いたしまして、或る程度煙蒸ができません倉庫でも指定倉庫を殖やすということをさせておるわけでございます。又更に各地の需給状況等も睨み合せまして、できるだけ倉庫が収容余力がなくなつたところは、それをはき出しましてほかの地区へ廻す、倉庫の事情で買入ができなくなるということのないように十分考えておるわけでございます。なお今申上げましたようなことで、私ども食糧事務所長を指導しておるわけでございますが、或いは部分的に不徹底なために遺憾な状態が起きておるといたしますれば申訳がございませんので、そういうような具体的な事例がありましたら、何らかの手段でお知らせ下されば事態の改善を私のほうで研究して指図をして参りたいと思つております。
  44. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 最近になりましては、どういうことになつたか私も詳しく知りませんが、要するに農家としては友の取入れによつて盆前の夏の経費に充てるというのが通例です。これが百姓のやり方です。ところが今言つたように麦を資金化しようと思つてもなかなか買つてもらえない。殊に昨年あたりは製粉会社が競争で以て買込んだ麦が今年は見送られる。従つて政府に括るよりほかに途はないんだ、こういうような事態を惹き起したその原因というようなものも考え併せますときには、先ず農家の経営の面から見て、日本農業を保護するという見地から十分お考えになつて、外麦等の問題も解決せられるように、私は食糧問題については生産者も消費者も日本民族の将来の発展のために最善の方法を構ずべきだと考えておりますが、それにしましても食糧増産を、奨励している農林省が、今言つたようなちぐはぐないわゆる仏作つて魂を人れないような結末を来たすことは甚だ面白くないと考えますので、今後十分御勘考下さらんことを切にお願いいたしまして質問を打切ります。
  45. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今の問題で重ねて具体的に一つお伺いいたしますが、生産地の町村に完全な煙蒸可能な倉庫がある。併しその倉庫は前年序の友なり、或いは本年産の麦で満庫になつておる、そのために隣接町村なり、或いは相当遠隔の都市の倉庫に打つて行かなければ買上が完了しないというような場合、そういう自町村を離れて輸送をしなければならない農民の側から言えば、買上された麦が保管されておるからそうなるので、その麦を政府がよそに動かしてくれれば自分の町村内で処理ができる。それをよそに持つて行かなければならんのだがら、その運賃は当然政府が負担すべきだという主張が一部にある。そういうところの措置は一体、どういうふうにされるかということです。
  46. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 確かにお話のような理窟になるわけでございますが、実は政府買入れる場合におきましては運賃込みで、運賃込みと申しますか、運賃込みのような趣旨で買いますのは特別指定倉庫で買う場合だけしかございませんので、筋合としては他町村に持つて行けばお話のような見解が出石と思いますが、買入の建前として、一応告示で規定されております価格以上の価格ではちよつと制度上買うことができないわけでございますので、実際上の問題といたしまして、煙蒸可能倉庫だけで買入れたものを全部収容し切れないということになりますれば、先ほども申上げましたように、十月末までという期間を切りまして、少し設備の悪い倉庫でも追加するようにということを言つております。
  47. 森八三一

    委員長(森八三一君) もう一遍くどいようですけれども、お伺いいたしますが、その煙蒸不可能な倉庫もない、煙蒸可能倉庫はありますが、満庫である。併し或る距離を離れたところには煙蒸可能の政府指定倉庫で収容の余力のあるものが現存しておるという具体的な事例があつた場合に、満庫になつておる倉庫のものを政府がスペースのあるほうへお移しになれば、生産者の所在町村にスペースはできるのだから、そこへ買上処理はされる。それをその収容余力のある地点まで運べということになると、そういう地点に所在する生産者は単位あたり百円なり、百二十円という運賃を自分で負担しなきやならない、建前上そうなる。それでは非常に将来の再生産をやつて行く上において困る事態が発生するのじやないか。だからそういう部分政府のほうでスペースのある指定倉庫にお移しになつて処理をされるということが正しいのじやないかと思います。それが不可能なれば、特例としてその運賃を政府が負担するというようような処置をしてやらんと、生産者別に非常に不公平が起きるのじやないか、こういうことなんですが、何かそこに便法がないものかどうか。
  48. 新沢寧

    説明員新沢寧君) お話のような事情はよくわかるのでございますが、今の価格の建前は運賃込みで買うという途がございませんので、お話のような事情になりますれば、先に買つておきました政府の麦をほかの収容余力のあるところに政府のほうで移して、その倉庫のスペースをあけるというほか現在としてはまあ方法はないわけでございますので、現に満庫になりました倉庫につきましては、倉庫から出しましてほかの倉庫へ移すようなことを相当現在やつておるわけでございます。先ほど栃木のお話がございましたが、栃木につきましても、二万トンくらい今後倉移しをする計画を立ててスペースをあけるようにというふうな計画をしておるわけでございます。
  49. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本件につきましてはほかに御発言がありませんければ、この程度にいたしたいと思います。   —————————————
  50. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、米穀検査の件が答弁保留でございましたが、最初の米穀需給に関しまして江田委員から関連して御発言があり、答弁もございましたので、先般の保留されておる要旨は尽きたと思いますので、米穀検査の件は一応この程度にいたしまして、更に残つております問題がありますれば、他の機会に御発言を願うことにいたしたいと思います。
  51. 江田三郎

    江田三郎君 その検査の問題はさつきああ関連的に話しましたけれども、これは今すぐあなたがお答えできるという問題でもありませんが、一つ価格体系がどうだとかいうような本末顧倒論でなしに、真剣に一遍農林省のほうでも検討して、この次の委員会まででも結論を出して頂きたいと思います。私は今年の端塩の問題だけでなしに、どう考えても、まあ今あなた方がいろいろやつておられるのたが、結論をどこへ持つて行かれるのか知らんけれども、恐らく将来の配給機構というものは、内地米だけを配船にして、あとは希望配給というようなところへ持つて行く以外に途はないのじやなかろうか。そうしたときには、どうしても内地米の絶対量を殖やさなきやならん。ありもしない一等だ。二等だとかいうような。あんなものを作つて、そうしてそういう米を作るために屑米だ、何だというものをたくさん出すという行き方ではなくて、質より量ということを考えなければ、今の食糧のこの困難な事態は乗切ることはできないと思うのでして、これはあなた方のほうで改めて一つ十分に御検討を願つておきます。
  52. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私もこの米段の検査の問題につきまして、いずれ機会を見て、又特に私は強く要求しておきたいと思いますのは、例の俵装の問題なんです。これなども実際にそれだけの俵装がないものをあるとして、而も内容のいわゆる米を、俵装の量に該当する米を入れて、そうして農民は負担しているような実情にあるのですから、こういう問題はいずれ機会を見て私は強く要求したいと思いますから、今日はこれで結構だと思います。
  53. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは本日議題になりました案件は以上を以て終了いたしました。   —————————————
  54. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際、次回の委員会の期日について打合せをいたしたいと思います。来月は二十日、二十一日、両日程度といたしたいと存じておりますが、如何でございましようか。    〔「異類なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 森八三一

    委員長(森八三一君) 別段御異議もないようでございますので、一応二十日、二十一日と予定いたします。更に緊急な事態が発生いたしますれば、そのときに処しまして又お願いをいたしますが、一応二十日、二十一日と予定しておきます。なお、日程のほうは公報を以て通知いたしますが、あらかじめ一週間前項には書面で御連絡を申上げることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会