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1954-08-20 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十日(金曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り、    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            重政 庸徳君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            河合 義一君            菊田 七平君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済    局経済課長   大和田啓気君    農林省農地局長 平川  守君    農林省農地局経    済課長     富谷 章介君    食糧庁総務部企    画課長     中西 一郎君    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       柿手 操六君    日本国有鉄道営    業局長     唐沢  勲君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (昭和二十九年産いも類でん粉政府  買上げに関する件)  (昭和二十九年産六等麦に関する  件)  (玉糸価格安定に関する件)  (昭和二十九肥料年度肥料需給及  び価格に関する件)  (農林物資貨物運賃等級に関する  件)  (米穀の国内自給増強に関する件)  (世界銀行農業関係借款に関する  件) ○理事の辞任及び補欠選任の件   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは昨日に引続きまして只今から委員会を開きます。  先ず、最初に昭和二十九年産いも類澱粉政府買上の件を議題にいたします。この件に関しまして、去る七月三十日の委員会における松浦委員質問に対する政府答弁が留保せられておりますので、只今からその答弁を求めたいと存じます。松浦委員から先般の御質疑につきまして、更にその趣旨を御発言頂きますることが便宜と思いますので、この際重ねて御発言をお願いいたします。
  3. 松浦定義

    松浦定義君 一昨年農産物の買上政府決定いたしまして、特に甘藷馬鈴薯澱粉につきましては、その当時からいろいろ問題があつたのでありますが、その最も問題の中心をなしたものは、政府価格決定は出廻り直前というようなことになつているにかかわらず製品にされてからすでに二カ月以上たつてもまだ決定をされないということで、むしろ生産者一般業者に先を越されて、自分の当然組合であるべきものの出荷も相当支障があつたというようなことから、その当時からすでに委員会においてもいろいろ追及はいたしたのでありますが、政府としてはすでに決定したものについては変更することができないというようなことで、昨年もその経過を辿つて、結果的に見ますると、生産農家は署しく業者相当価格の点で圧迫を受けたような感じをいたしたのであります。従つて昨年も特にそうでありますが、本年におきましても、いろいろ春からの風水害が、特に北海道等馬鈴薯におきましては霜害が大きく生産影響いたしまして、本年の生産にも相当農家としては影響があるのでありますが、その補いといたしましては、どうしても価格の点で最高度販売をしたいというのが現在の農民狙いであるわけであります。従つてすでにもう九月初めに参りますると、各工場では生産に入るのでありますが、政府が今までの通りでありますれば、十月の末にしかその価格決定ができない。そういうようなことを先ほども申上げましたように、二月間もずれるということになりますと、すでに今から金に換えなければ再生産ができ得ないというような立場にある農民といたしましては、非常にこの点を関心を持つておるようでありますので、先般の委員会にも一応早く決定を頂きたいという意味で、所管外ではありましたけれどもお願いいたしておいたわけであります。従つて本日の段階におきましては、すでに相当計画も進められておると思いますので、この際政府の所見をお伺いいたしまして、どうしても納得のできない点がありましたら、次に又お尋ねいたしたいと、かように考えて申上げた次第であります。
  4. 桑原信雄

    説明員桑原信雄君) お答え申上げます。今までのところ、私どもといたしましては、北海道でできる馬鈴薯であり、内地甘藷でありますが、北海道馬鈴薯を私たちのほうで実収高をつかみまして、これを作業にのせて参るわけでありますが、北海道馬鈴薯の予想収権高は、八月の二十五日に発表になる仕組みになつております。内地のほうは、甘藷といたしまして十月二十日に発表になるという段取りで参つて来ておるわけでありますが、その場合に、甘藷馬鈴薯ということでなくて、それから出て来る澱粉ということが問題になりますので、北海道馬鈴薯から出る澱粉ということで、これは一応建前から行ぎますと北海道での作柄がわかり、いろいろ計算基礎も出て参りますから、そこではじけば直ちに出るわけでありますけれども、そういたしまして北海道馬鈴薯澱粉がどうという答えが出ますと、澱粉の面から行きますると、国全体で見ますと、大量を占める内地産の甘藷のほうの澱粉価格が想定され、或いはそれから内地甘藷価格というものに響く、ところが内地産の甘藷の実際のでき姿というものが、そのずつとあとになつて判明いたすわけでありますので、逆に内地甘藷に響いて行く点もあるわけであります。北海道というところでできる馬鈴薯であり、北海道以外の内地でできる甘藷でありますから、その点から行きますれば切離して考えて行つてもいいようにも思われますけれども、今申上げましたような、いわゆる澱粉として全体を見た場合に、馬鈴薯からできた澱粉にしましても、甘藷からできた澱粉にしましても、相通ずるところがありますので、私どもとしましては、将来の澱粉のその後の姿ということもありますので、できるだけその辺に不揃いのないようにやつて行きたいということから、従来は十月末の大量を占める内地甘藷生産がわかり、そして計算し得るときにおいて今までいたしております。併し今お話のように、今年特に霜害の問題というようなこともございますようでありますけれども、いすれにしましても、明らかに北海道でできる澱粉であり、内地甘藷という差がありましたので、十月末まで北海道は待たしておくとしうことかそれが当然であり、さようでなくちやならないとばかりも言い切れない面もあるように存じます。現在いろいろまあ関係筋と言いますか、全販にしましても、その他の御意見場も承わつておりますけれども、今年の決定をいつやるかとしうことになつて参りますと、できるだけその辺を絡み合せて参りますれば、北海道澱粉価格も今までよりも早くきめたい、併し先も申上げましたが、澱粉の面から参りますれば、或る程度内地甘藷のほうも引上げたほうがいいんじやないかというような意見も出て参ります。その辺を織りまぜて、できるだけ早目にということで検討したいというような気持只今勉強いたしております。
  5. 松浦定義

    松浦定義君 どうもお話を聞きますと、昨年あの問題がきまるときに私は申上げたのですが、そのときには長官以下関係者は、来年からは早く決定しようということを確実に言明されておつたわけであります。それは今お話のように、当然甘藷馬鈴薯は性質が違うのでありまして、特に甘藷の出廻る最盛期決定をすることが妥当であるという意味馬鈴薯をそれまで発表しない、そういうことでありますと、当然同じような地帯であつても、同じものであるならそれは一向に差支えないのでありますが、地帯も違うし、いろいろ生産費その他の点についても確かに私は違う点があると思うので、ただ流通の面においていろいろ共通するものがありますので、そういう点は政府としていろいろお考えになつた点があるとは思いますけれども、今のように当然はつきりしておるものを、一カ月以上もずらして決定せなきやならんというようなことは非常に矛盾がある。従つて法律を作るときには、今お話がされたようなことでやむを得なかつたとしても、一応その点は改めて来年度からは早くやろう、少くとも十月末を九月末或いは又それ以前にできるものならというような意見を持つておる、そのように聞いておりますので、私どもはその意を体して、今日までそういうような考え方でお進めになつておるものなりと信じておつたのですが、いろいろ御研究にはなつておるにいたしましても、今までの話によりますと、到底九月末どころか、十月になつて甘藷生産の状態がはつきりして来たときに初めて一本の価格が打出されるといつたようなことになるというようなことでは非常に困ると思います。併し昨年にしましても、その前にしましても、或る程度市場価格というものが高まつて参りましたので、政府買上量というものは非常に少くて済んだというようなことも一応考えられますけれども、やはり政府決定する価格そのものがやはり影響いたしまして、市場価格というものも、それによつて安定して来るのではないかということが、生産農民にとつてこの価格安定法についての最大の狙いであつたわけでありますから、これはどういう事態があろうとも本年は少くとも九月一ぱいまでには甘藷と切り離してということは申上げませんけれども、少くとも甘藷はそういう意味において確かに御要望がありますから、早めると同時に、馬鈴薯価格決定をぎりぎり九月一ぱいにはやつて頂かなければならん、こういうふうにいろいろ生産者団体としても昨年の実績から見て要求いたしておると思いますが、私ども生産者層としたつて、みずから生産しておる一人でありますから、強くこの点を要請したいと思うのでありますが、やはり今お話のようで、どうしても今のところでは九月一ばいには御決定が不可能であるかどうか、この点をもう一回お伺いいたしたい。
  6. 桑原信雄

    説明員桑原信雄君) 九月一ぱいに不可能であるかどうかという点について、今九月一ぱいに必ずできますとも、絶対にできないともちよつと申上げかねると思いますが、できるだけ早目にやるという気持になり得ると言いますか、そういうことも幾らかでき得るのではなかろうかと思いますのは、いわゆる農林省の統計のほうで正式に発表されるのが八月二十五日、甘藷にいたしまして十月二十日と考えますけれども、その前に或る程度相当基礎資料も集まつて来ることでありますから、今までよりも早めることもできないというわけでもないのでありますから、これは私ども作業面でできるだけ早くいたしたいということで進めて行きたいものだというふうに考えておりますが、九月までに絶対にできるかできないかは、ちよつとここで私は申上げかねる点もあります。
  7. 松浦定義

    松浦定義君 確かに部長の今言われる点も、尤もだと思いますが、大体法案の示すところによりますと、決定は出廻り直前ということになつておりますので、九月とか十月とかいうことはただ御都合でおきめになつておるということで、いろいろ作況調査がこうだとか、ああだとかいうことならば、出廻り直前ということを一応是正すべきである。我々生産者側から言い、或いはそうした製造業者側から言いますと、少くとも九月の上旬頃には製品がどんどんできて来る。今年のような年でありますと、どうしても馬鈴薯等は夏作に該当しますので、金の関係相当早く製品になるというような事態が当然今までの例に倣つてはつきりしておるので、今のような点をただいろいろ調査の御都合ばかりでなくて、やはり出廻りということがはつきりしておることから考えますと、やはり法律に基いてやつて頂かないというと、農家としては、その間において遅れることについては、いろいろ業者との関係等があるのではないかといつたような点まで疑つておる一部もないでもないのでありますから、こういう点を更に十分御検討願いたい。それからもう一点お伺いいたしたいのは、最近余り問題がないようですが、当時は馬鈴薯澱粉人造米の原料に払下をするのだということが強く謳われておつたのですが、そういう点でどのくらい昨年或いは本年について人造米払下をされたか、或いは又現状として人造米が、昨日あたりの別の新聞を見ますと、相当活溌に動いておるというようなことを私ちよつと見たのですが、そういう見通し等について澱粉消費面についてはどういうような動きがあるか、この点を一つお知らせ頂きたい。
  8. 桑原信雄

    説明員桑原信雄君) 馬鈴薯澱粉人造米只今どういう計画になつておるかという問題でありますが、人造米自体の問題で、今まで大体一年たつたわけでありますけれども、今日まで余り、何と言いますか、初め声が大きくてそのままだんだん消えて来ておるという形になつておりましたが、その実態を見ますと、機械も優秀になつて来ておるとか、或いは型品も確かにいいものができて参つております。それからやはり未だに駄目なものもありますけれども相当いものができて来ておる。それから人造米の業界の人たちが、今のようなことでは駄目で、このままでは滅びてしまう、この際更生して行きたいという非常にまじめな線が出て来ておつたわけであります。人造米澱粉を使うという点では、澱粉を使わないで粉だけで参るという線も非常に大きく出ておつたわけでありますけれども、その辺の製造技術的な問題はともかくとして、食糧庁としてこの人造米の問題をじつと眺め放していいかどうか。折角いいものもできて来ておるし、まじめないいものをやるという人たちもありますからくこの際製品小売販売価格外米並みという姿でやつて行けば、もつと人造米の正しい人たちが伸びるのではないかということで、政府の持つておる馬鈴薯澱粉を、これを買入価格よりも値引きしまして売ることに大蔵省の了解を得た。そのときの姿としては馬鈴薯澱粉を二百万貫持つておりましたが、この持つておるものだけ出してしまう。それで縁が切れてしまう、野放しということもどうかと思いますけれども、百五、六十工場のうち三十五工場でありますけれども、これを先般それに対して馬鈴薯澱粉五十万貫を第一限度といたしまして月々の値引売却をいたしております。五十万貫をそれじや消費されたあとはどうするかということになりますと、その間に正式にいい悪いが出て参ると思いますが、或る程度今の意気込みから行きますれば、成績はよくなる点もあろうかと思つておりますが、そうなれば更にもう五十万貫追加するということで行きたいと思つておるわけであります。それから現在、手持が二百万貫でありますが、この八月二十四日に一般競争入札をいたそうと思って予定しておりますのが五十万貫ございます。そうすると、残りが百五十万貫のうちで、人造米に合せて参りたいと思つておりますのが五十万貫という計画で今いたしております。
  9. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、大体人造米に向ける澱粉というものが、やつぱり馬鈴薯澱粉価格決定する大きな要素にもなると思うのですが、そういう点については、やはり現在政府とししは本年の作況等が非常に悪いということになりますと、又この人造米というものも当然多く生産されるようになると思うのですが、そういうような見通しも或る程度立たなければ、馬鈴薯澱粉価格というものは最終的には決定されないものか。或いはそういうような人造米とかいうような点、或いはその米作の影響等を全然別にして、ただ馬鈴薯の出廻りとか、そういうような点だけで御決定されるものか、どういうわけなんですか、その点は……。
  10. 桑原信雄

    説明員桑原信雄君) 馬鈴薯澱粉価格をきめますときに、人造米においてどういうふうに、いわゆるよく売れて行くかどうかという点に私は直接関係をして馬鈴薯澱粉価格をきめるというわけには行かないのじやないかと思います。それから馬鈴薯澱粉を現在私たちでは約一割を使えということでいたしておりますけれども、一割使わなければならんのか、或いはもつと多く使うのか、或いはもつと少く使つてもいい場合もあるかも知れませんし、来たるべき馬鈴薯澱粉価格をきめる場合に、人造米についての変動はどうということは直接響いて来ないと思つております。
  11. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは次に、かねて当委員会において問題となりまして、再三政府要望せられておりました本年産麦類につきまして、六等麦の設定及びこれが政府買上に関しまして、このほど政府方針決定をみたようでありまするから、この際農林当局報告を求めることにいたしたいと存じます。なおこの機会に重ねて当局見解を聞いておきたいのでありますが、それは去る七月三十日の当委員会におきまして、政府買麦類保管倉庫の件に関しまして、関根委員質問に対して食糧庁伊東第一部長から、倉庫不足の場合は便宜の処置を指令する旨答弁せられているのであります。ところが地方によつては、推定せられました倉庫が従来の介庫に比べて非常に遠隔の地にあるため、従来は生産者口町村内で処理されておつたのが、そこまで運搬するために、経費労力等生産農家負担となつて困難をいたしておる向きもあるようであります。これを速かに是正することが必要であると思われるのでありますが、この問題につきまして、当局見解をこの際重ねて伺つておきたいのであります。
  12. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 先ず本年産等外麦価格決定経緯並びに今後の買入方針等について御説明いたします。かねて当委員会でも強い御要望がございまして、大蔵当局等とも十分な折衝をいたし、事務的には決定いたしております。ただ告示関係もございまして、価格告示が、できれば今明日と思つておりますが、場合によつては来週にかかるかもわかりません。なお買入規格告示も来週になるのじやないかと、そういうふうに予想いたしております。で、政府買入価格でございますが、従来の方式を原則として踏襲しまして、標準品大麦とか、裸麦につきましては、三類三等のものと歩留りを比較いたしまして、小麦につきましては二類三等のものと歩留りを比較いたして、その歩留り差による格差というものを考慮して買入価格決定する、こういうふうな原則を立てております。この場合に、従来はその歩留り差だけで計算しておりましたのですが、昨年六等麦の価格決定いたしまして、その後の経緯などに鑑みますと、歩留りの差だけでなしに、市場価格というものが相当下廻つて政府に映る程度の赤字を発生せしめておる、そういう点を考え併せますと、歩留り差だけ考慮するのでなしに、ほかの要素も考慮して然るべきじやないかというふうに考えまして、本年度等外麦につきましては、加工能率が低下するという点とか、或いはでき上つた品質標準品に比べて市場の評価が低い、そういう点も併せて考慮する、そういり形で買入価格決定いたしたわけであります。数字を申上げますと、大麦につきましては、五十二・五キロで千三百九円ときめました。裸麦につきましては六十キロ裸で千八百四十一円、小麦は六十キロで千七百八十二円、そういうふうに決定いたしました。今のはいずれも裸の価格でございますので、それに俵装代を加えるわけですが、複式俵では一俵当り七十円という計算でこれに加算するわけでございます。そういうふうに買入価格決定いたしまして、政府売渡価格をきめるわけでございますが、その場合には、一等から五等までの各等級についての政府経費その他中間経費を加えたものと同額を加算いたしまして、そういう計算に基いて政府でその売渡価桁決定いたしました。その金額を申しますと、大麦五十二・五キロは千四百十七円でございます。裸麦は千九百四十三円です。小麦は千九百十円でございます。昨年はこの買入価格については、今申上げたように歩留りの差ということでやつておりましたのを、今年はそのほかの要素も考慮したということでございますが、昨年は地域的には北陸、東北及び北海道を除く各府県というふうに制限いたしております。ところが今年は昨年のような災害に基く措置ということよりも、昨年の災害によつて稔実下足のために今年の粒張りが悪いとか、或いはそれだけでなしに、本年の全国的な気象の条件、そういう点を考慮いたしましたので、地域の制限ということはいたさないで、全国的に買上措置をいたしたい、そういうふうな方向で告示をきめて行きたいと思つております。なお、規格をどういうふうにきめるかということでございますが、この点につきましては、昨年の六等の標準品なり規格の作り方なりを変更いたさないで、昨年のままでやつて行きたいと思つております。なお御参考のために申しておきますが、昨年はああいう災害あとでもありまして、約八十万俵、産麦と併せまして八十万俵を政府が買つております。今年はまだ数字は確定しておりませんが、九州方面などからの報告を総合いたしますと、等外に属するものは約四十万俵ほどあるんじやないか、そのうちで等外にも我々のほうでは上中下とあるんじやないかと思つておりますが、今度の買上げの上に属するものがどれくらいあるかということは、これは今後に待たなければいけませんが、決定された価格と現在の市場価格を考え併せますと、その中の半分、約二十万俵程度のものは政府にすぐにでも売渡しの申込みがあるんじやないか、その点については申込みがあれば法律政令に基いて全部買入れる予定でおります。価格決定経緯及び概略は以上の通りでございます。
  13. 森八三一

    委員長(森八三一君) 倉庫は……。
  14. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 倉庫の問題でございますが、これは私聞いておらないのですが、やはり所管の第一部長から御答弁があつたほうがいいんじやないかと思います。私のほうは第一部のほうの保管計画などにつきまして、保管料をきめる立場にあるので、保管料なり、あと生産農家負担が多い、運賃労力の面で殖えているというような点につきましては、実績などが確定いたしますれば、価格のほうの調整措置というものは必要ある場合には当然やらなければならん、私どもに関する限りではそういうふうに思つております。
  15. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の六等麦設定の問題につきまして、御質疑がありますれば御発言願います。
  16. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 最近栃木県の現状を見ますると、六等麦に限らず、農業協同組合倉庫等がないために政府買上が非常に遅れておる、又それを農家が現金化するために一般商人も安い値でなければ買わんというような現状にあるわけですが、従つて六等麦あたりはなかなか買つてもらえない。農業倉庫の完備しておるようなところでは幸いに保管いたしておりますから、収容力がありすまから農家に余り迷惑をかけておらんが、栃木県の北のほうの地帯においてはかなり困つておる、こういうような実情でありますが、これに対して農林省ではどういうふうに考えておるか、意見をお聞きしたいと思います。
  17. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 只今保管倉庫に関連して申上げたのですが、所管部長答弁される筋合だと思いますが、私のほうでは倉庫問題を成るべく早く解決いたさないと、すぐにも米の出廻りになつて来るということで、重要な問題だということで至急解決方を要望いたしておるわけであります。特に地域的に今お話がありましたように、極端な例としては聞いておるわけであります。至急解決をいたしたいと考えておるわけであります。
  18. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 これはひとり栃木県に現われた現象ばかりでなく、全国的にそういつたような現象が出て困つておるんではないかと思うのですが、そのよつて来たるところの原因は、結局外麦相当大量に政府は保管しておる、従つて倉庫の空きがない。で、いろいろその問題がそこから派生して来ておるやに考えるのでありますが、これについての倉糧庁長官からも詳しくこういつた問題についての事情を私は説明を聞きたいと思うのですが、そうでないというと、麦のように間接統制にあるものは、農家として折角六等麦を作つてもらつても、倉庫がないから買うことができないんだ、いわんや業者はこれを買おうとしない、こういうことでは何らの効果も農家にもたらさんという結果になるのではないか。これにつきまして食糧庁長官の十分なる私は意見を聞きたいと思います。
  19. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今問題になつておりまする麦類買上倉庫の件につきましては、先刻も申上げましたように、先般の委員会関根委員から御質問があり、伊東部長から回答があつたのでありますが、必ずしもその後における実情が回答の趣旨に副つておりませんような、そうして今、佐藤委員からも御発言のような心配が具体的な問題として発生をしておるというような実情でございますので、この問題につきましては、この委員会の開催中に改めて長官乃至は主管の当該部長の出席を求めまして、明確にいたしたいと存じております。
  20. 江田三郎

    ○江田三郎君 検査のことについて、麦のやつは今問題にされているのですが、いずれ米の問題が又始まつて来ますが、どうも私が考えるというと、米の検査というものがきびし過ぎるのじやないか、麦でもそうです。ところが麦と違つて米の場合には、これは何と言うたところで絶対量を殖やして行かなきやならん。その点黄変米の問題なんかも出ていますが、何と言うたつて内地産米というものは少々くず米が入つておろうと、何であろうと、これはもう今日の国民生活からいうたら貴重なものであつて、それをどうも今までの商品生産という建前でやつておられるのでしようけれども、少し食糧事情の実態から考えて、私どもから考えるときびし過ぎるのじやないか。もつと食糧検査というか、米の検査というものを、質の問題から量を確保するということへ転換することが必要なんじやなかろうか。特に今度の、あなた方のほうでどういう工合にやられるか知りませんけれども、食糧対策審議会あたりの答申を見ますというと、輸入量を減らして行く、そうして仮に凶作、不作等があつた場合に、これは麦で代替する。米の輸入量をそのために殖やさないというような方針をとつておられますと、麦で代替するというような考え方があるなら、それならばもつと米の検査の規格というものを下げて、米を少しでも量を殖やして行くということのほうが、よほど国民からいうと、消費者からいうと望ましいと思うのですが、そういう点について、まあ六等麦の問題もありますけれども、米の検査ということについて、あなた方のほうで根本的に検討をし直して見るというような考えはございませんか、それはどうでしよう。
  21. 中西一郎

    説明員中西一郎君) 今、江田委員からお話通りに、本年産の集荷も目前に控えておりますので、検査、規格その他標準品などについても、本年産についてどういう態度をとるかということを至急にきめなきやいかん時期になつておると思います。お話通りなんで、特に外国から砕米などを買う場合もあるわけでございますが、利用の可能な限りはやはり食糧庁が買つて行くというのが当然の態度だと思います。いずれにしましても、まだその作業が十分に進んでおりませんので、今明確に標準品がどうだ、規格がどうだというお答えはできかねるわけですが、御趣旨は十分検討いたして行きたいと思つております。
  22. 江田三郎

    ○江田三郎君 米の検査や麦の検査がこの委員会あたりでもたびたび問題になるというと、委員会であなた方はいつでもその要望を無視したのではないように、まあそのときの言い廻しで検討中と言われたり、考慮すると言われたり、御趣旨は尤もだと言われたり、いろいろな表現されますけれども、要するに黙殺はしないのだと、趣旨は全くその通りだというように言われるのだが、実際現われて来る結果を見ておるというと、いつも決して緩和されない。きびしくなる。それが完全な商品生産の場合には、これは等級、銘柄或いはその他いろいろきびしくやられるのも結構だと思いますけれども、特に米の場合には、私はどうしてもこの際は再検討をするときが来ている。従つてただ従来の等級についての規格品をどういうものを当てるというだけでなしに、今の等級の建方そのものでいいのかどうか。もつと等級というものを簡素にして、要するに消費者が食膳へ喜んで乗せ得る、毒のないものであつて、多少の古米が入ろうと、砕米が入つておろうと、食繕に乗せ得るというものなら差支えないのじやないか。そういうような角度から等級というものについて検討をすることが妥当ではないかと私は思うのでして、まあ一つ、これはなかなかすぐ今答えは出ませんけれども、恒例によつて御説御尤もというだけでなしに、本当に私は白紙の立場でお考えになつて頂きたいと思うのです。
  23. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私も只今の検査に関連して、今日は検査課長でなく、企画課長がおいでなんですが、たまたま話が出ましたから、特に私から要望しておきたいと思うのです。と申しますのは、米の俵装代というようなものも、いわゆる米の検査というものが、これは農民本位の検査でなく、業者本位の検査を実施しているという感が非常に深い。それはどうしてかというと、実際に俵装代というものは一貫五百匁として検査を受けておる。たまたま九百匁以上の俵はもう絶対に承認されません。それからボツチは百目は許されたい、そういうことでありますから、両方のボツチを併せましても、どうしても俵装というものが新らしい俵であつて、一貫二百目ぐらいしかに繩を混ぜましてもなりません。それで実際は十七貫五百の検査を要求している。そこで百姓はどういうことをするかというと、一昨年の豊作のようなときであつても、一升の粒数が六万糧数しかないときであつても、四斗五合くらい米を入れましても十七貫五百になりません。それで俵装はどれくらいかというと、一貫二百目くらいですから、三百目くらいはどうしても米で入れなければならない、そうすると、五合なり、悪い米では一升くらい足さなければならん、俵装の重量までも米で足しているというのか実情です。それで今年は政府が配給者に対してどういう命令をしているかというと、九四%の搗上げを命令している。ところが実際には九四%の精白にしていません。検査等もこれが百俵のうち九十四%で精白したか、或いは九五%で精白したかということは、肉眼鑑定ですからなかなか容易にわかるものではない。そこへ持つは来て搗き砂を入れて真白にしておるんだから、いい加減に白粉をつけておりますから、百俵のうちで一俵くらいはごまかしていることは明らかです。ところがそこで百姓のほうはそうして米の量を公然と、早く言えば百姓に無駄のないものを提供させ、そうして配給においては今度は一俵、百俵について一儀ですから一万俵なら百俵も精白者はごまかしてやつておる。そこで両方からあり余つたものが闇に多分に流れていることはかくれもない事実です。これは最大公約数で以ていろいろ政府としては命令はせざるを得ないでありましようから、いたし方ないといたしましても、私はこの検査の実体というものが、従来もそれは自由販売の時代におきましても、業者が検査官を料亭に集めて、皆さんどうも御苦労であつたと言つて盛んに接待をし、そして厳粛なる検査を要求して農民泣かせをしておつた内容も我々は知つておる。現在におきましては、管理になつてつておりますから、又政府が管理しておるわけでありますから、そこまでは行かないまでも、とかく等差をつける上におきましても、今度は三等にすべきやつを、先ずこれは三等か四等の境いは必ず四等に下げている。それは監督官が行つたときに、これはどうしてこうだと言われたときに、面倒くさいから必ず下げておくというのが実情です。そうすればこれは農民が結局損をしておる。それで現在の検査制度というもののやり方というものが、とかく私は農民泣かせのいわゆる農民に損失を受けさせておる、いわゆる業者に得ないような検査のやり方をしておるということをまざまざと見せつけられているということを私は遺憾に思う。規格決定におきましても、これを内容を掘下げて校討してみるというと、かなり私はそういうことが言えると思います。でありますから、どうか中央部におられる方々はこういう実情をあんまりよくお知りになつておらん方々が多いと思うので、十分に下部に訓戒をして、そしてさようなことのないようにお願いしたいと思う。今の俵の問題のごときは、全国農民として非常に大きな私は金額になるだろうと想像いたします。これは事実その通りです。俵装というものを一貫五百匁にきめられている。どうか農民の実情をよく参酌して、検査を農民本位の検査に一つやつて頂くように切にお願いをいたして私はやめます。
  24. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今江田委員、佐藤委員から御発言の検査の問題、更に倉庫関係につきまして、昨日の委員会で江川委員からの御発言に関連して、需給関係につき長官から説明を求めることになつておりますので、適当な機会に合せまして今の問題を更に検討することにいたします。   六等麦の設定に関する報告につきましてはこの程度にいたします。   —————————————
  25. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、玉糸価格安定の件を議題にいたします。この件につきましては、当委員会におきましてすでに数回に亘つて問題とし、政府の善処を求めて参つております。農林当局におきましても、極力努力せられているようではありますが、なかなか実現の運びに至らず、そこには種々問題もあるようでありますから、本日は懇談の形におきまして農林当局と十分話合をいたしまして、更に今後の措置について協議を願うことにいたしたいと存じますが、さような取運びで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ございませんようでございますから、この際懇談を以て本件の話合をいたしたいと思います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  27. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  それではここで暫らく休憩いたしまして、午後は二時から再開をいたします。暫時休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩    —————・—————    午後二時三十分開会
  28. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休憩前に引続きまして、委員会を件開いたします、  この際お諮りいたします、理事森田豊壽君より一身上の都合によりまして理事を辞任いたしたいという申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。つきましては、この際只今辞任の決定をいたしました理事の補欠互選を行います。その方法は成規の手続を省略いたしまして委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認め、委員長において指名いたします。重政庸徳君にお願いいたします。   —————————————
  31. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和二十九肥料年度肥料需給及び価格の件を議題にいたします。去る七月二十八日及び二十九日の両日、肥料審議会が開かれ、臨時肥料需給安定法に基きまして、昭和二十九肥料年度アンモニア系窒素肥料の需給計画に関する政府の諮問について答申せられておるのでありますが、本日はその経過及び結果並びに政府におきまする今後の方針、更に過去の問題等について政府の説明を聴取いたしまして質疑をいたしたいと存じます。先ず政府の説明を求めます。
  32. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 硫酸アンモニアに関しまするところの需給計画につきまして、去る七月二十九日肥料審議会から答申がございましたのでありますが、それによりまして二十九肥料年度計画決定をいたしたのであります。経過を先ず御報告申上げたいと思います。  肥料審議会に諮りましたこのアンモニア系窒素肥料の需給計画でございますが、それは前年度からの繰越しを九万四千トンと見まして、年内の生産見込数量を二百四十万トン、国内消費見込数量を百七十五万トン、それから需給調整用としての保留数最を十七万五千トン、輸出見込数量を五十万トン、それから翌年への繰越在庫見込を六万九千トン、かようにいたしたのであります。これはお配りいたしました参考資料の中の政府の格間案、諮問第一号の別紙に只今申上げました数字が出ておるのであります。繰越しの先ず九万四千トンでございますが、これは二十八肥料年度の当時の需給の推移から目まして九万四千トン、こういう推定を下したのであります。それから生産目込数量、これも過去の実績乃至本肥料年度におきまする電力の事情、硫安工業の整備の状況等を考慮いたしまして二百四十万トン、かようにいたしたのであります。それから国内見込数量でございますが、これは過去三カ年の平均をとりまして、これに土地改良等に伴いまする作付面積の増減、これを加味いたしまして百七十五万トン、かように抑えたのであります。需給調整用の保留数量でございますが、これは只今申しました国内消費見込数量の一割ということで、その一制丁度を計上したのであります。従いまして、以上のものを差引いたしまするというと、繰越に生産見込数量を加えて国内消費目込数量と保留数量を引きますと、五十六万九千トンになりますが、在庫見込数量を六万九千トン、年末の在庫見込数量をさように抑えますというと、輸出力が五十万トン、かように相伐つたのであります。これを二十八日の肥料審議会に提出いたしまして、いろいろ説明を申上げ、それから更にその翌日でございましたかに御審議を願いまして、結果といたしまして、これは別にお配りしてあるかと思いますが、国内消費見込数量の過去三カ年の平均百七十五万トンというのは、最近の硫安の消費の傾向から見て適正を得ているかどうか、或いは又この生産見込数量の二百四十万トンというのは適正を得ているかどうか、こういう点に主たる論議が重ねられたのであります。その結果国内消費見込数量の主たる基礎になりました過去三カ年の消費の状況を見まするというと、参考資料としてお配りしました一番最後に過去三カ年の実績が出ておりますが、昭和二十六肥料年度が百五十五万六千トン、二十七肥料年度が百七十六万トン、それから二十八肥料年度が百八十六万七千トン、かように相成つておりまして、最近の傾向はこの三カ年をとつてみますというと、消費が漸増しておる傾向が見受けられるのであります。そういつた事情も考慮いたしまして、国内消費見込数量が過少ではないかということに議論が集中いたしまして、最近の傾向に少し……、最近の年度に平均をする場合にウエイトを付ける、二十六、七、八という年度の最近の年度にウェイトを付けていたしますと、百七十八万トンになりますので、原案に更に三万トンというものを国内消費見込数量として加えまして、その分は輸出見込数量の五十万トンから減ずる。従いまして、輸出見込数量は四十七万トンとする、かように審議会で御決定になつたのであります。なお、この審議会におかれましては、さような需給数量についての国内消費見込みの増と輸出の減という結果をお出しになつたのでありますが、なおそのほかに、二百四十万トンという生産量について適切かどうかという点があることを申上げましたが、更にこれ以上増産するように関係者が努力するという付帯条件が付いたのであります。若し増産ができますれば、これを直ちに輸出するということではなくて、在庫見込数量も必ずしも十分というわけには行かないから、国内需給の状況を見て措置をする、適宜補充して行く、こういうことで審議会の付帯条件が御決定になつたのであります。それから調整用の保留数量につきまして、これは十七万五千トンということ、その他多い、少いということについては別段特別の御意見はなかつたのでありますが、ただその放出の仕方、これがいろいろ需給が切迫する、こういう場合にも一々肥料審議会にかけて、それから放出するということでは時期を失することもあろうから、できるだけ機動的に需給調整用の放出ができるようにするのが妥当ではないか、こういう御意見がございまして、そういうことでやはり付帯条件といつたものが付いております。  それからもう一つは、需給計画全体でございますが、何しろ年間の計画を肥料年度の始まる前に決定をいたしますのですから、いろいろな事情で変化が起るということは当然予測されます。需給安定法でも、途中における計画の変更ということについての規定もあることでございますので、更に念を入れまして、四半期ごとに計画そのものに検討を加え、実施の経過に照し合せて必要があれば計画全体を改訂して行く、こういう措置を以ちまして内需の確保ということを図りたい、かような趣旨の付帯条件が付いております。なお、最近問題になつております電力の問題でございますが、料金の引上とか、或いは割当制の廃止ということは、硫安の生産乃至価格に大きな影響がありますので、この点にいつて希望意見を付せられまして、さような計画が硫安の生産価格に大きな影響があるから、これは行わないようにという希望意見が付せられたのであります。  大体でございますが、硫安を主といたしますアンモニア系窒素肥料の需給計画決定の経過は以上の通りであります。
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の審議会の経過の報告に関連いたしまして、御質議がありますればお述べ願います。
  34. 江田三郎

    ○江田三郎君 二、三承わりたいのですが、先ず第一に、肥料審議会の委員の任命については、これで全部終つておるのですか、或いは追加任命をされるのか、追加任命をされるとすれば、具体的にどういう工合にされるのか、その点はどうなんですか。
  35. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) これもお配りしてあると思いますが、審議会の委員の名簿を御覧頂きますると、法律で規定いたしております限度に比べますと、生産者を代表するもの、それから販売業者を代表するもの、それから消費者を代表するもの、それぞれ法定の人員にまで任命を見ているわけであります。最後の学識経験あるものというのが法律では七人以内ということになつておりまして、ただ二名が任命になつておるのでありまして、あと五名実は欠員になつておるのであります。これは今後補充をすることに考えております。主としてこれは学界関係のかたから任命を見る予定であります。
  36. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは現在の法律をそのままにしておいて追加任命をされるのか、或いは追加任命をされるまでに法律改正の措置でも加えるのか、その点はどういう方針でございますか。
  37. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 法律改正ということは考えておりません。
  38. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうすると、現在の法律をそのままにしておいて、政府のほうで必要と考える任意なときにやる、こういうことになりますか。
  39. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 任意のときということでございませんで、できるだけ早い機会にやりたいと思います。まあできるだけ早い機会というのは、要するに次の国会が開催された際に議会の同意を得る、こういうつもりであります。
  40. 江田三郎

    ○江田三郎君 それから今度の法律に基く最高価格決定はどういう工合におやりになるのですか。
  41. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 最高価格決定につきましては、只今いろいろ検討いたしております。近く審議会に諮問いたしまして、審議会の意見をお聞きした上で決定して参りたい、かように思つております。
  42. 江田三郎

    ○江田三郎君 最高価格決定されるまでには生産費調査がどうせ行われると思うのですが、生産費調査をなさる機構というものはどういう機構でおやりになるのですか。
  43. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 機構と申しましても、別段機構と申上げるほどのことは実はございません。通産省、農林省の肥料部各関係のものが協同で工場調査して参ります。又統一したやり方に基いた原価の計算を各会社から報告を求めるというやり方でやつておるのであります。そのほかに特別の機構ということはございません。
  44. 江田三郎

    ○江田三郎君 今までと同じような形でやるということになると、問題はいわゆる生産費調査の法に基く権限があるかどうかということだけが違つているのだと思いますが、ただ権限が法的に与えられたということだけで、従来農林省及び通産省のこの方面を担当しておつた事務当局だけで実際に生産費調査ができるのか、どうか。少くとも最高価格決定の基準になるような生産費調査に万全を期し得るのかどうか。若しそうでありますなら、一体いつ頃までに生産費調査ができ上るのか、今日までの作業の経過というものをお知らせ願いたいと思います。
  45. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 生産費調査は、これは御指摘の通り非常にむずかしい問題でございます。勿論機構の関係或いは人間の能力の関係、いろいろございまして、機構により、人によりでき得る範囲というものは違つて参りまするけれども、機構や人のことを最善の状態におきましても、事柄自体が非常にむずかしいのでございますので、的確な生産費がつかめるかどうかという御質問につきましては、法案のご審議のときもいろいろそういう御質問ございました。それに万全の原価計算ができるということはなかなかこれはむずかしいということを当時も申上げたのですが、そのことは現在も変つておりません、もう新らしい肥料年度に入つておりまするので、できるだけ早く価格をきめたいというふうに考えております。実は法案が成立するちよつと前から、内々原価計算のやり方等についていろいろ関係者にも話合しましたし、法案ができ上ると、すぐ間もなく原価計算が提出できるような措置も請じておつたのでございまするけれども、何しろ相当時日を要しますので、原価計算が出て参りますれば、更にそれについて各会社からいろいろ尋ねるということもございます。更にその上に各工場に出張つて行つて調査をして来る、こういうようなことで現在までやつております。最近各工場現状を見て帰つて参りました。只今原価計算の全体の集計の出し方、それからそれと価格形成との関係といつたようなことにつきまして通産省と打合せをいたしております。
  46. 江田三郎

    ○江田三郎君 この法作業の審議をするときに、まあ生産費というものが相当回顧になりましたけれども、なかなか的確なものがわからなかつた。そこで一体政府のほうで的確な資料がないということならば、一体この法案が成立した後において値段は上るのか下るのか、少くとも政府としては肥料の需給の安定を図る、需給の安定ということはいろいろ意味がありましようが、安い肥料を豊富に使わすということが肥料の安定だと私たちは思うので、そういう点について農林大臣はどういう心がまえがあるのかと、これをお尋ねしたときに、大臣は、この法案が成立すれは必ず現在の価格よりも下る、こういうことをきつぱりと言明をされたわけです。私どももまあ大臣が折角そうおつしやるなら、それを信用いたしましようということでありましたが、まあその後の価格の様子を見ますと、ここにあなたのほうからと思いますが、出されたものによりますと、少くとも法案の成立後の六月、七月の相場というものは逆に上つておるわけですが、これは一体どういうわけで値段が上つて来たのか、又今後のあなた方の考えておられる見込みは一体どうなのか。まあ最高価格決定ということは、これはまだ作業が終らなければ、はつきりとは方針として出ないと思いますけれども、少くとも私どもとしまして、法案が成立後逆に相場が上つておるというようなことはどうにも納得ができないわけですが、これは一体どういうわけですか。
  47. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 御覧になつておりまする御指摘の肥料の価格の足取りでございますが、春肥の過程におきまして、最盛期になるに従いまして若干ずつ上つておると、これはまあ肥料の需給を円滑にするために止むを得ない傾向だろうと思います。六月、七月が、特にこの数字を見ますと、六月は多少上つているのでございますけれども、これが特にどういう理由か私どもよく判断に苦しむわけでございます。ただ法律が成立したという関係が特にこの際は問題になるわけでございますけれども、法案が成立して価格を安定させる、こう申しましても、それは結局公定価格を通じてでございまするので、法案の成立という問題になりますると、むしろ今後の問題であります。むしろこの七月或いはまあ現在の八月というところは、政府の新らしい価格決定を待つておる実は状況でございます。現在まあ時価というものは、むしろ把握しがたい実は状況になつておるのであります。この価格自体は別にこの法案の成立そのものは反映してないのでございまして、今後の価格法律の趣旨が反映されるというふうに考えるのでございます。
  48. 江田三郎

    ○江田三郎君 六月、七月の値上りが需要の最盛期に向つたから、こうおつしやいますが、併し二十七年の最高のときから、ずつと漸落歩調をとつているわけです。最盛期だらかというて、そう上つては来ない、傾向として漸落歩調であつたものが、今年になつて、まあ国会開会中あたりでなしに、国会が終る頃から、又こういう、ただ最盛期ということだけで片付けられないような足取りだと私たちは思うわけです。とにかく漸落歩調というものが、ここでカーブが違つて来ているわけですが、少くともこの法案が成立して、まだ最高価格決定をみないのだといえばそれまでですけれども政府としてはあらかじめ相当の用点がなければならんのでして、法案成立後の最盛期に直ぐに値が上がるということになると、一体あの法案の性格というものが誰を保護しているのか、その点について私どもとしては多少の不安なきを得ない、不安だけでなしに、あの法案の審議に関与したものとして責任を感ずるわけです。法の条文にはいろいろ書いてありましても、結局あの法案ができて、メーカーなり或いは販売業者なりが値を上げてもいいような機運になつて来たのじやないかというようなことを、私は憶測かもわかりませんけれども、感ぜざるを得ないのですが、ただ私は最盛期なつたからということだけでは説明として十分でないように思うわけです。仮にそうといたしますというと、今後いずれ最高価格決定をなさいましようが、そのときに農林大臣が本委員会においてはつきりと言明されましたように、この法案成立前に比べて最高価格で以てこれを必ず下げてみせる、これは今でも自信がございますか。
  49. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) この春肥の最盛期と申上げるのは、私ども六、七月、そういう意味で申上げたのではございませんのですが、全体の傾向といたしまして、一、二月に比べまして三、四、五というところはまあ上がるということが普通の状態として、これは止むを得ないことだと思いますが、六、七の問題につきましては、四月と同じ価格で以てずつとやつておりまして、建値といたしまして八百五十三円、これにまあ十数円のマージンがつく、こういうことでございまするので、若干ここに値上り、或いは値下りということがございますけれども、これは只今お話のような大勢には影響ない数字じやないかと思います。特に七月になりますると、これはもうむしろ最盛期というよりも端境期でございまするので、この点はなぜこうなつたかとなりますれば、今日需給そのものの反映でございまするけれども、勿論こういう状態をそのまま新らしい公定価格に反映させるためにそういうふうにしておくということでは実は毛頭ございません。むしろ端境期だから役所のほうでとかく価格を指示をするということよりも、むしろその点は放任しておいたほうがよくはないかというくらいの実はつもりでおつたのであります。最後のお尋ねの新らしい公定価格についての所見でございますが、これは先般の国会で大蔵大臣が答弁申上げた通り、現在でも考えておるのであります。
  50. 江田三郎

    ○江田三郎君 私ども硫安だけでなしに、他の肥料についてもどうも納得しがたい点が出て来るわけで、例えば先般新聞で見たところによりますというと、過燐酸の海外への輸出に当つて相当国内の市価よりも下廻つた価格で入札に参加し、そうして輸出に当つたように出ておりましたが、そういうことについては通産省なり、農林省なりはどういう態度をおとりになりましたか。
  51. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 先般台湾に対して過燐酸の入札がございました。御指摘の通り国内価格に比べまして相当安い価格で入札をしたことがあつたのでありますが、我々といたしまして、余りひどい価格で輸出することは、折角契約しても許可をしないという態度に出て参つております。ひどいのは二十七ドルくらいのものがあり、大部分は三十ドル前後でありましたので、その入札をやり変えてもらいまして、再入札をして最低三十二ドルということで入札公開をいたしました。
  52. 江田三郎

    ○江田三郎君 二十七ドルというようなところで入札に参加したということは、あなた方からお考えになればどういうようにお考えになつているのですか。それでメーカーとしては採算がとれておるというお考えになるのか、採算を割つたダンピング価格だというふうにお考えになつておるか。若しメーカーの中に仮にそういうダンピング輸出でもしようというようなものがあるとすれば、私どもはやつぱり硫安についてだけでなしに、過燐酸につきましても、やはり法の適用というものをいろいろ具体的に考えて行かなきやならんと思うのですが、通産省の見られたのでは、あのに十七ドル程度価格というものは一体どういう意味を持つているわけですか。
  53. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 折角入札してきまつたのにもかかわらず、あえて政府としてその輸出を取止めさしたということは、御指摘の通り、私どもはそれは採算を度外視したダンピング輸出だというふうに考えますので、輸出を許可しないで再入札ということにいたしました。
  54. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうしますと、二十七ドルという価格か採算を度外視した価格だということになると、少くとも会社自体は全般的には一つの収支バランスのとれるような経営をしておるんだと私たちは思います。そうなるというと、仮に二十七ドルで輸出をする場合に、若し通産省のほうでそのまま許可なさつてつたとすればですよ、そうすると、国内価格というものについては、これは生産費にプラス適正利潤以上の価格じやなかろうかということを、これは推論せざるを得んと思うのですが、現在の過燐酸の価格というものは、さようなものとはお考えになりませんか。
  55. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 現在全購連と過燐酸の各メーカーとの間で秋肥の取りきめをいたしておるのでありますが、この価格は従来の取引価格から見まして、正確な利潤計算をいたしまして、判定をしているところでは、大体適正な妥当な価格であろうというふうに考えております。
  56. 江田三郎

    ○江田三郎君 私どもには権限がないわけで、一体生産費は幾らになるかということはわからないのです。ただ現われた現象から物事を判断して行かなきや仕方がないのですが、ともかくも二十七ドル見当で入札価格がきまるというようなことになると、これは明らかにそういう国内価格を非常に下廻つたようなもので出るということになると、国内価格というものについては不当な利潤を加えられておるんだという判断をするより仕方がないわけなんです。そういう点につきましては、先ほど申しました硫安の生産費につきましても、今後どういう答えを出されるかわかりませんけれども、我々としましては、強い関心を持つているだけに、又我々は実際がわからないだけに、現われた結果については、或いはあなた方から見たら妙な不必要な心配をしているとお考えになるかも知れませんが、併し全国の農民の経営ということを考えると、そこまで心配せざるを得んわけです。その点この硫安最高価格については、大臣が言明された、必らず下げるのだという心持に何ら変りはないということでありますから、私どもはこの経過をこれから見ております。もう一つお聞きしたいのは、輸出会社が成立いたしましたが、この輸出会社の輸出量は審議会で決定されて答申案が出ておりますが、この輸出契約の数最、価格、そういうようなものの見通しというものは資料としてお出し願えませんか、まだわかりませんか。
  57. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 四十七万トンの総数量のうち、今まで大体きまつておりますものは、台湾に対して年々二十六万四千トン、正確でないかも知れませんが、台湾の二十八肥料年度に長期計画として輸出いたしましたのが、引続いて二十九肥料年度に二十七万トン大体出すことになつておりますが、これは今手続中でありますが、中共から六月でありましたか、七月の初めでしたか、米を五千五百トン輸入いたしましたが、見返りの物資といたしまして、硫安約一万四千トンが八月から九月の初めに出る予定になつております。それから先般FOA資金で朝鮮に対して二万トン、ビットでありましたが、これが国際入札でありましたが、日本に落ちまして、九月中くらいに出る予定になつております。その他数量につきましては、細かいものもございますが、大口の輸出計画として内定しているものはそういうものであります。相場でございますが、台湾の長期計画の分は五十八ドル四セント、FOBのもの、それから中共向バーターのもの約一万四千トンは六十ドル乃至六十一ドルFOB、それから朝鮮に対しては、FOBでビットに落ちたものは朝鮮に着きましての相場ですることになりますが、CIF六十二ドル二十セント、大体まあEOB六十ドル換算の相場でございます。
  58. 江田三郎

    ○江田三郎君 FOBの六十ドルということで行きますというと、一体輸出会社というものの経理はどうなるのですか、それで赤字ということになるのですか、どうなんですか。
  59. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 輸出会社の経理につきましては、先ほど来お話のあります二十九肥料年度の最高販売価格決定をみまして、輸出会社が買入れる価格は、この最高販売価格以内で買上げることになりますから、それと輸出価格との差がどのくらいに出るか、更に今内定しております以外の数量がどの程度の値段で輸出ができるかということに関連いたしますのと、それから輸出会社の経費がどのくらいかかるかというようなことから、大体今のところでは輸出会社の業務開始九月一日の予定でありますが、そういうようなことでありまして、まず二十九肥料年度の輸出会社の経理見通しというものについて、会社といたしましてもまだ見卑しが立つておらんような状態であります。
  60. 江田三郎

    ○江田三郎君 この輸出会社の場合に、例えば中共の米の見返りなんというもの、先ほど言われましたが、こういうときにはこの輸出会社がバーターとしてやるのか、それは全然別個なものとしてやるのか、その点はどうなつているのかということ。それから先ほどの数字で行きますと、台湾二十七万、中国及び朝鮮が三万四、五千トンということになりますと、まだ相当のゆとりがあるわけですが、まあそれについてはきまつておらんということですが、若しそういう際に、仮に中国の米の見返りとしてもつと米とのバーターと言つては語弊があるかも知れませんけれども、そういうような取引で中国米をもつとたくさん入れる、そうしてそこへ肥料を出して、値段から言いましても、FOBで六十一ドルと言えば一番いい値段で行つておるわけですが、そういうような話が進んで行けば、これはあなた方の見られるところでは別に障害はないということでしようか、どうでしようか。
  61. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは過般成立いたしました法律にあります通り、今後の輸出は、今後できました輸出会社が一手にやることになつております。その輸出会社は輸出用肥料の買入を通産大臣に申討をいたします。通産大臣がそれを承認したときに農林大臣の同意を得て輸出会社に売渡すということになるのでありまして、まだきまつていない数量がございますので、輸出会社においてそれをやるということは不可能だと思います。
  62. 江田三郎

    ○江田三郎君 輸出会社がどこに出そうと、如何なる値段で出そうと、それは輸出会社が任意でやることなんですが、そういう仕向先なり、価格なりについては政府のほうで相当タッチされて行くわけですか。
  63. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは法律上、特に政府価格であるとか、仕向先とかいうことについての制限をするということはないと思いますけれども、これは一般の通商政策なり、通産行政全般の立場から、いろいろ行政指導はこれはいたしますけれども、特に政府が干渉するということはないと存じます。
  64. 江田三郎

    ○江田三郎君 具体的に聞きますが、中国と、米との見返りであれば現在程度価格で、而もこの需給計画の枠内で操作がついて出して行けるものについては、別に通産省としてはそれに積極的な指導はなさらんということでしようか。
  65. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 私の所管関係は岡内の需給関係、内需との調整の関係でありまして、内需に支障ない範囲において、どの程度の輸出額をきめるかということが主でありまして、その範囲において、今度は通商局のほうの行政になるのでありますがこれはそれぞれ現金が入つて来る場合と違いますので、見返物資との決済でありますから、通商局〇通商政策の関係からいろいろ意見があろうと思いますけれども、特に今現にお話しいたしましたように、もうすでに五千五百トンの米と硫安のバーターを始めておるのでありますから、今後といえども余裕力のある範囲でできるというふうに考えております。
  66. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは柿手さんにお聞きするのはちよつと的はずれということになるのですが、例えば台湾というものは二十六、七万トンというような大口消費がある。それに牽制をされて北京行きのほうは抑えなければならん、こういうことはございませんか。これはちよつとあなたに聞くのは的はずれでございますけれども……。
  67. 柿手操六

    説明員柿手操六君) さようなことはないと思います。これは但し結果的に見まして、この前もどこかでそういう議論があつたのですが、五十八ドル四十セントの台湾よりは六十セントの中共へ出したほうが得ではないか、結果的に見ればそういうような御批評もございましたが、これは長期的な見方で見ないと、或る単価だけで、一セントでも高いほうがいいというふうにも行かんし、それから、いろいろな長い目で見た商取引でありますから、あとから見ればこんないい商売があれば、そんなに安く売るのじやなかつたということがあるかも知れませんけれども、これは量的関係、長期的な契約であるかどうかというような関係その他から、或る時期、短期間だけでつかまえて行けば、いろいろな支障がありますれども、長い目で見れば、特に台湾が安いから買入れますというようなことはないと思います。
  68. 江田三郎

    ○江田三郎君 あなたにこういう議論を吹つかけてはちよつとお門違いということはわかつていますが、あなたのおつしやる通りだと思うのです。長い目で見なければならんので、長い目で見ると小さな島よりも大陸ということのはうが需要として大きいのじやないか、日本米と同じような米を入れるほうがよろしいのじやないかというようなことで私たちも言うわけですが、ややもすると、政府のやり方が長い目でなしに非常に短距離の計算を立てて、それで方針を誤まりはしないかということを心配をしている。これはあなたとは議論になりませんからその程度にしておきます。
  69. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今報告を求めました肥料の問題に関連いたしまして、その他に御発言はございませんか……。他に御発言がありませんければ……。
  70. 江田三郎

    ○江田三郎君 ほかになければもう一つだけ。最高価格はいつ頃語問に付せられる予定ですか。
  71. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) それは今週中に大体第一回の価格の問題についての御審議を願いたいと存じておりましたが、諸般の準備が整いませんので来週になろうかと思います。
  72. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言がありませんければ、肥料に関する質疑はこの程度にいたします……。   —————————————
  73. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、この機会に議案を追加いたしまして、主要農林物資国鉄貨物運賃等級の件を議題にいたします。  昨年三月、国鉄貨物運貨等級改訂の際、蔬菜、種馬鈴薯、「わら」工品、薪炭その他の主要農林物資については、特別割引及び遠距離割引等の措置が講ぜられて今日に至つているのであります。ところがこの割引措置の期限が今まで小きざみに延長せられ、今回は本年九月を以て一応切れることになつておるのであります。そこでこのままにおきますると、十月からこれら農林物資の貨物運貨が引上げられることになり、かくては生産者側からすれば引上の結果がしわ出せせられまして、生産意欲の減退を招くこととなり、又消費者側からすれば、これら物資はおおむね生活必需物資でありまして、政府の基本的最重要政策でありまする低物価政策に背反することになるのでありますが、現行割引措置は今後も継続実施すべきものであると要望せられているのでありますが、この問題について従来の経過及び今後の方針について先ず農林当局から説明を承わり、この問題の取扱方につきまして協議を頂きたいと存じます。
  74. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 運賃割引問題につきまして、これを先般等級をきめます場合に、当委員、公等におかれましても、いろいろ御質疑願いまして割引の問題は解決がついたのでありますが、九月一ぱいで以てその期限が参りまするので、私どもといたしましては、原則としてこれまで通り継続願うということで国鉄当局のほうに実は話合をいたしております。まだ細目において決定はいたしておりませんけれども、さような趣旨で今後取扱いたい、かように存じております。
  75. 森八三一

    委員長(森八三一君) なお本件に関しましては、国鉄の唐沢営業局長の出席を求めておるのでありますが、只今連絡いたしましたところ出発しておるようでありますので、後刻到着をすると思います。
  76. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私から局長の今の御説明を、補足いたします。運賃割引は御承知のように遠距離割引と、北海道関係の物資の割引と、特別割引とあるわけでありますけれども、これらにつきまして、今年の初めに割引の交渉をいたしますときに、いろいろ混乱した事情もありますので、事前に国鉄当局と打合せをいたしておるわけであります。ただこの割引を全部認めますことは、国鉄の独立採算の立場からかなりむずかしいというふうに国鉄当局で申しておりますけれども、この割引制度或いはこれからの折衝でこの割引制度の若干のと言いますか、多少の変更があるかとも存じますけれども、大体は従前通り割引をいたすように国鉄当局も申されているわけであります。
  77. 松浦定義

    松浦定義君 今お聞きしますと、大体国鉄のほうも従来通り認めるというような考えであるらしいというようなお話で、非常に私は結構だと思うのですが、こういうふうに非常に短かく期限を切りまして、すでにまあ九月一ぱいで期限が切れてしまう、四月から九月まで六カ月なんということになりまして、これから九月から出そうというときに期限が切れてしまい、その交渉する間に非常な問題がそこに起るというので、逆に私は九月からまあ四月までとかいうことで、そういうふうに非常にそういう輸送上に余り問題のないような期間に、こういう交渉をやるならばやるというふうにならなければいかんと思う。それからもう一歩進んで、期限を四月或いは六月といつたような、そういうふうに切るべきでなくて、これは年間なのが、当然これは現在の食糧事情がこういう工合のときに、もういつでも数において限定さえすれば、何でも……、別にそれに便乗してどうこうということはないと思うので、そういうふうにならないものかどうか、まあ経済局長の一つ今後の折衝にもあると思います。従来でもそういう御意見があつたと思うのですが、何とかこの際一つ期限をこういうふうな拘束しないような形でやるような方法がないかどうか、この点一つお伺いいたしたいと思います。
  78. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) この割引につきましても、経過がまあ御承知でもございましようけれども、あの経緯から申しましても、新らしい等級に切替える際の切替えを円滑にするという経過的な意味もあつたようでございまするので、これまでのものは短かい期間を区切つてつているようですけれども、併し私どもといたしましては、必ずしもそういう意味ばかしには考えておりませんで、できるだけ長期的にいたしまして、御承知のようなしよつ中問題になつて、その都度いろいろ折衝しようというようなことは私どもとしても困りますし、本来の趣旨でできるだけ運賃を引下げたい、こういうことは同感でございまするので、できるだけ期間を長くするということについても合せて折衝したいと、かように思つている次第でございます。
  79. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 経済課長ちよつとお伺いいたしますが、種馬鈴薯に関しては、従来は北海道産が適用を受けておつたのですけれども、本年は本州産種馬鈴薯についても同様の取扱いをしてほしいという要望が非常に強く起つていることは御承知の通りです。特に種馬鈴薯の全体の占める割合から育つても、本州産の種馬鈴薯の需要先が累年増加をしている現状に臨みて、これは極めて妥当な要望だと思いますが、これに関する折衝の経過、現状等はどうですか。
  80. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 御指摘の種馬鈴薯の割引でございますが、現在北海道産について二割五分、それから内地産について二割ということで国鉄当局に御相談しているわけでありますけれども、まだ国鉄当局でも賛否の意見を保留しておるわけであります。ただ私といたしましては、できるだけ御要望に副りように努力いたしております。
  81. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、今の割引率の見込があるというのは、北海道産に限つてのことなんですか。
  82. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 北海道産につきましては、私大体行くと思いますけれども内地産につきましては新らしい問題でございますので、まだ私から十分見込があるというふうには申上げられないと思います。
  83. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう一つ、これは国鉄のかたでないとよくおわかりにならないのじやないかとも思いますが、特に今年の輸送上の特典性として、九月、十月等には北海道から駐留軍の引揚等が重なつて参るために、貨車繰り等に関する支障は我々素人が考えてもかなりこれは大きな問題になるのじやないかと思われるのでありますが、この点についての見通しはどうでございますか。
  84. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私たちも実はその問題を心配しておりまして、国鉄当局と、特に配車課でございますけれども、十分打合せをやりまして、種馬鈴薯については優先的に配車をやつてもらうということに話合を進めておるわけであります。
  85. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今の経済課長見通しの御報告で、一応国鉄の公示八十七号、八十八号、三百四号に関する今日までの特別割引はおおむね継続せられるであろうということで、非常に明るい見通しに立つのでありますが、併し昭和二十九年度の国鉄の予算から考えまするというと、最初にお話がありましたように、独立採算制という建前を貫きつつ建設等の仕事をやつて行くといたしますれば、鉄道公社における経理は非常に困難に追込められて行くことは予算の面から汲取れるのでありますが、そういうことに関連して、二十九年度予算の審議に当りましても、こういう特別制引という問題については、かなり鉄道当局は明確な今後の見通しを避けつつ答弁をされておつたというように記憶を持つておりますが、九月末で一応期限が参りまするこの取扱いについて、今までの折衝の経過で、課長がそういう非常に明るい見通しを持たれましたということについて、もう少し何かこう具体的に、話合の内容、折衝の経過等が明確に浮んで来るようなお話を聞きますれば結構と思いますが、そうでないというと、国鉄の独立採算制という建前と、昭和二十九年度の予算から押して行きまするというと、必ずしも手放しで楽観をしておるわけには行かん。そのことが、最初にも申上げましたように、非常に大きな経済上の悪影響を持つて来る。低物価政策ということに大きなひびが入るのみならず、それが強行されますれば、生産者が丸かぶりをしてしまつて、重要な必需品の生産が減退をするという思わざる不祥事を惹起するということに繋がつて来るので、その辺の交渉の経過をもう少し詳細に御説明を願いたいと思いますが。
  86. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 交渉の経過を細目について御説明いたしますことはもう少しお時間を頂きたい。今まだちよつと交渉の内容をあけすけに申上げることが、これからの交渉にとつていいかどうか私ちよつと判断に迷いますので、いずれもう少し先へ行きましたら御報告申上げますけれども、今日は一つお許しを願いたい。
  87. 松浦定義

    松浦定義君 私も先ほどから経済課長の御説明を聞いて非常に安心をしたわけなんですけれども、今お話を聞きますと、今まだちよつと話ができないからもう少し待てということなんですが、非常に信念を持つておやりになつているということについては感謝するのですが、とにかく九月一ぱいに切れることになるのですから、いずれにしてもその時期までにはまだ多少の時間はありますから差支えないということでありますが、やはり先ほど委員長が言つたようにいろいろ国鉄の予算上の問題から、最後には相当ねばるのではないかと、こう思うのですが、先ほどのお話ですと、北海道の三割五分は大体いいだろう、併し内地の二割は初めてのあれだからというようなお話でありますが、いずれにしましても、北海道で充たされない部分を内地で補充するというのでございますから、北海道とか内地とか言わないで、これは当然同一視すべきものだと、こういうふうに考えます。それからこの輸送上の貨車の関係ですが、御承知の通り九月、十月は北海道の駐留軍が撤退するということで相当貨車はそのほうへ取られるのではないか。現在の連絡船が十六運航がフルに動きましても、相当滞貨を毎年続けておるわけですから、特にそれだけのものが入るということになりますと、相当停帯いたしますので、すでにもう十月からこの割引がこうであるということがわかつて、貨車廻りの点或いはそれぞれの府県との取引の問題等が迅速に行つてつて、私は初めてこれは軌道に乗ると思うのですが、そういうような見通し等から見ると、よほど腹を据えておやりになつて頂かないと、今のような話で、我々が見ても安心するような形でありますので、まあお任せしておいた。ところがこれは全力を尽してやつたけれども、これは駄目だということでは困るので、むしろ私は今楽観できないようなことであるならば、国鉄当局等にもそれぞれ交渉するような、どちらかと言えば、促進できるような役割を果すような一面も残されるようなことに一つおやりになつたほうが却つて問題の解決にいいのじやないかと、こう思うのですが、相当交渉が進んでおると思いますから、そんな懸念はないと思いますけれども、いずれにしても生ものを取扱うことでありますから、十日遅れたら非常に影響を及ぼす。特に種馬鈴薯でありますから、特に北海道の種馬鈴薯は、私は北海道ですから、そういうことを申上げるのはおかしいですけれども内地において非常な不信を買うような面もちよちよい出て来る。これは、やはり適期に輸送して、それが十分保管されるとか、又そうでないときに、ぎりぎりのときに春輸送して、そうしてすぐこれが途中で滞貨がなく行つたことによつて十分な効果を現わすというような、こういうことにおいて欠ける点においていろいろな問題が残されるので、そのために内地で少々生産はあがらないでも内地産を普及したほうがいいのじやないかという面が出て来る。そういうような足らない面を補うということになれば止むを得ないとしましても、種馬鈴薯はただの食糧と違うわけですから、それから受ける影響が非常に大きいからして適切な処置をというので、当委員会としても農林省の御意見を今から十分聞いてということになつておる。ですから十分そういうことを急速に御交渉を願つた結果、非常に面倒であるというならば、直ちに一つ委員長を通じてでも委員会にでも報告して頂いて、又その次の手を打つようにして頂いたら、こういうように考え方を持つておりますが、十分御検討を願いたいと思つております。
  88. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今、先刻御報告をいたしました国鉄の唐沢営業局長が出席されましたので御報告をいたします。
  89. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 爾来取扱われた種馬鈴薯の輸送の数量と、二割五分運賃を安くしたという場合における金額はどのくらいになつておりますか。
  90. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 今お尋ねの資料は実は持合せておらんのですけれども、御必要でございますれば直ちに調べますが、ちよつと持つて頂きたいと思います。
  91. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 問題は、実際に種馬鈴薯が我々内地農家の手に入る場合にはかなり輸送の点において、折角のいい種馬鈴薯も時期によつては非常に、凍傷を受けるとか、春先になるというと播種の適期を外れてしまうというような虞れがあつて、実際においては農家として種馬鈴薯が欲しい、欲しいのだけれども、遺憾ながら適期に入手困難である。それともう一つはかなり高い、これはまあ運賃というようなものもこの中には含まれておると思うのですが、そういつたところからいろいろいたし方ないから、内地産のでも仕方がないから播こうというような、非常に生産の面からみると、残念ながら内地の稲を使うというようなことでやつておるわけです。でありますから、私は数量がどのくらい輸送されて、そして貨車の運営がどんなふうに動かされておるか。今、松浦委員から聞くというと、この十月頃には北海道のアメリカ進駐軍の移動があつて、その貨車が非常に急がしい、そういつた時期に種馬鈴薯の輸送というものに非常な重大な私は支障を来たす、そして折角輸送されたものも凍傷されて何ら価値がないというような結果になりはしないかと考えるのでありますが、これにつきましても十分鉄道関係のかたも、又農林省におきましても、万遺憾のないように一つお願いしたい。これについてどういうふうですか、一つ御意見を承わりたいと思います。
  92. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 種馬鈴薯の輸送につきましては、昨年も誠にああいう輸送の繁忙で非常にたくさんで、又輸送力が足りないので御迷惑をかけて非常に遺憾に思つておりますが、今年もかねてその点に留意いたしまして、できるだけ北海道の物資の秋冬繁忙期に円滑に輸送したいというので、いろいろ手を打つておるわけでございます。その一つとしまして船の問題がございます。それから貨車の問題がございます。それから輸送力と申しますか、こちらに来ましてから東北線なり或いは裏縦幹線との間に列車がどのくらい入るかという問題がありまして、それらがそれぞれ降路になつておるのでございます。それで今年は貨車も早急に増備はできませんが、非常に苦しい予算でありますから、そうたくさん予算を急に殖やすわけにも行きませんのですが、車も相当に来ているものを修繕して無理に使うとか、或いは新造車をできるだけ早く作るとかというようなことをしまして、貨車の面でもできるだけその量をキープするということに努力いたし、又船の運航につきましても修繕の時期を閑散期にいたしまして、秋冬繁忙期には十八運航を確保するというようなことを考えておる。或いは又こちらの東北線或いは裏縦幹線というようなものにつきましても、特殊に燃料を考えましたりして、スピード・アップするというようなことによつて列車の本数を去年よりも余計に入れるというようなことをいたしまして、北海道の物資輸送にはできるだけのことをいたしたいと、かように考えておるのであります。併し何にしましても完全なことをするには厖大な、いわゆるピークにおいても一つも支障なく円滑にやるには厖大な貨車が要りますし、又線路にしても船にしても特別のことをしなければならんということで、これはここ一、二年ということではいけないと思う。少くともこの秋冬繁忙期につきましても、去年よりもよほど円滑に行くような状況になるだろう。又そうしようということで、ここに折角努力しておるわけでございます。  なお、進駐軍の輸送によつて貨車をやろうというようなお話につきましては、私どもまだ何ら聞いておりませんし、特にそのために対策をしておるというようなことはございません。
  93. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際私から唐沢局長にお尋ねしたいと思いますが、先刻来農林当局質疑をいたしまして、国鉄御当局におきましても農林省との連絡において善処されておるということで、一応明るい見通しに立ち得るようになつておることを喜んでおるのでありますが、かねがね御配慮を頂きまして、その結果が国鉄の公示八十七号、八十八号、三百四号で通達せられておりまするように、生産資材と目されるような立場のもの、それから国民の生活必需品と目せられるような農林生産物資につきましては、その輸送について貨物運賃が特別の取扱いを受けておるのであります。こういうような措置が講ぜられて参りましたことは、鉄道当局事態に関する非常な深い思いやりと申しますか、経済再建をしなければならんという国の要請に応えなければならんという観点に立たれまして、適切な措置が講ぜられておるというように忍んでおるのでありますが、ただその特別の取扱いが本年の九月末を以て一応終期になる。そこで当然これは置かれておる国の経済状況から考えますれば、少くとも現在行われておる特別措置は、十月以降も引続いて行われるものと、又行なつて行かなければならんものというように考えるのでありますが、鉄道当局もそういう心構えで御善処願つておるように拝承いたしておりますが、この時期が非常に切迫しておりますし、殊に北海道から生産資材として内地に導入せられます種馬鈴薯の輸送については目睫に迫つておる。そこでこの問題の取扱いがどうなるかということが決定をいたしませんと、民間における取引は順調に進まない。その間に不測のいろいろの経済上のトラブルを起すということも考えられますので、早急に決定を願わなければならんことと思いますが、農林当局との連絡の下において、これが取扱いについての見通しはどうなりまするか、その辺について鉄道当局の見込みを一つ承わりたいと思います。
  94. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 九月で一応割引の期限が切れております。今の御指摘の物資の割引につきましては、農林省のほうからお話もございまして、従来通りに継続するようにというお話もございまして、まあうちの中でも研究と言いますか、まだはつきりと御返事はいたしませんが、そういうことにしたらどうかというようなつもりで、まあ研究をしておるわけでございます。まだ国鉄として最終的な決定をしておりませんので、私からこれをしますという結論をはつきり申上げることもでき得ない状態でございますが、只今委員長お話もございましたように、諸種のあの制度をしましたときのいきさつや、その後の情勢などを見まして、この割引の率を変更するというようなことは困難と言いますか、することは適当でないというふうにも私は考えております。国鉄として最終的な決定をまだいたしておりませんので、はつきりしたことは答弁いたしかねます。ただ国鉄としましては、この前の運賃及び等級の改正のときに、急激な値上りを抑制するために、ああいうような物資につきまして割引をして、急激な値上りを抑えたのでありまして、等級としては、原則にいずれかの日にはするのが、運賃体系としてはいいんだという考えをやはり持つておるのでございます。それから、ただ社会的な影響も大きいものでございますから、これを変更するには、よほどそのときの事情を考えて、又そのときに御相談申上げて、ああいう決定をされたその方々の、関係のかたにも御了解を得た上でやらなければならないというように、慎重に運ばなければならないというように、かように考えております。九月の問題につきましては、そういうわけで、仮に何らかの変更をするとすれば、十分慎重に考慮と言いますか、手続きと言いますか、そのことをした上ですべきである。又全体の状況としては、変更するのは適当な時期ではないと私は考えます。
  95. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の唐沢局長お話で、遅れておる日本の全体の経済事情から、原則に戻るということは、その時期ではないように思うというお話、非常に御尤もでありまして、大体踏襲せられて行くということについては、お取計らい頂けるものというように理解するのでありますが、それに関連しまして、もう一つお伺いいたしたいのは、種馬鈴薯の問題について、北海道から内地に導入せられるものにつきましては、告示三百四号で特別の措置が講じられておると承知をいたしております。種馬鈴薯は御承知のように生産資材でありまして、日本の食糧の現況から考えますると、非常に重要な役割を果しておると思うのであります。ところが北海道の種馬鈴薯は、全体のうちに占める量から申しますれば圧倒的であることは間違いありませんが、本州内部におきましても、優秀な種馬鈴薯が、技術の改善なり、天然条件の関係なりにおいて漸次進んでおる。而も、その内地産と申しますか、本州産のものが相当に各地に頒布せられて食糧増産の役割を果しておるということ等からいたしまして、本州産の種馬鈴薯についても特別な措置を講せられたいというような希望がございまするし、考えてみますれば、これはしばしば申上げまするように、食糧事情に鑑みまして当然のことでもあるように思われるのでありますが、こういうようなことにつきまして、特に本年の鉄道の予算が非常に窮屈になつておりまして、運営上困難視されており、格別の努力をされているということはよく拝承はいたしております。事情もよく了承はできますが、と言つて先般申上げましたような食糧事情下における種馬鈴薯の問題を考えますと、これ又それが故に放置することができない問題と思うのでありますが、新らしくこういう問題を取上げて行くということに対するお気持はどうなのか、これは勿論最終的な結論を得ておられんと思いますので、結論を承わるというわけには参りませんが、当面の責任者として、局長のお気持はどんなふうに動いているのか、その辺を承わることができれば幸いに存じます。
  96. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 只今委員長からお話もございましたように、実に国鉄の収入状態が悪いのでございまして、従いまして、私どもとしましては、運賃の割引というようなことは、原則としてはできるだけいたしたくないというのが偽わらない気持でございます。殊に貨物の収入が最近とみに悪くなりまして、予定の収入をずつと下つておりまして、このままではとても、年初に組みました実行予算を変更しなければならんじやないかというような心配が生じて来ているわけでございまして、従いまして、私どもとしましては、経営の合理化とか、或いは経費の節約とか、或いはいろいろ増収対策とかいうようなことに非常に苦労をしているようなわけでございますので、従いまして、割引の問題につきましても、いろいろと各方面からお話がございまして、それだけをお聞きすれば御尤もと思う点が多いのでございますが、私どもとしましても、できるだけそういうことはもう勘弁して頂きたいという気持でおります。但し特殊のもので、どうしても国としても考えなければならんというようなものでありますれば、或いはやらなければならんものも勿論あるかと思います。従いまして、そういう点は関係の官庁なり或いは運輸省なりというほうの御指示も受けましてやるというくらいにして、慎重を期して行きたい。原則としては、私どもはできるだけ新たなる割引は御勘弁をお願いしたいという気持でおります。併し附加えて申しますが、今の種馬鈴薯の問題は、又別に今言いました線で、農林省なりとよく相談して、検討してみたいと思つております。
  97. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 この際ちよつとこれは運賃の問題と違うのですが、最近北海道の極馬鈴薯も、バイラス病でどうも本当じやないというようなものが、ときどき各所に見受けられるのですが、これについての検査、極馬鈴薯としての検査の方法については、これは改良局のほうでやつておりますか。おわかりになつている範囲でいいのですが、経済局長から一つお話し願いたいと思います。
  98. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 所管は、お尋ねのように私どものほうじやなくて改良局でございます。その後実は私どものほうはよく事情を知らないのでございますが、御指摘のように、北海道産でもバイラスが出るというようなことがございまして、大きな問題になつているようなこともございまして、北海道における農林省の防疫関係、それから北海道の出荷協同組合等の自主的な検査ということについて、厳重にするような指示はその後講じていると存じますが、予算的にどういたしておりますか、詳細は所管外でわかりません。
  99. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 国鉄の営業局長に、ちよつとお尋ねというよりもお願いしておきたいと思います。これは種馬鈴薯に関する問題ですが、特別運賃を適用して頂くということについては、只今委員長質問に対するお答えで大体了承いたしました。特に本州三の種馬鈴薯に関しても、これは是非一つ再生産資材であるという特性を尊重して頂いて、これを新たに適用するということになりますので、いろいろむずかしい事情もおありのようですけれども、特別の配慮を頂いて、是非一つ十月から適用して頂きたいと思います。それからもう一つは時期の問題です。これは種馬鈴薯輸送の時期に関して、やはり従来とも一つの降路になつておるのが毎年のことでありまして、これが計画的な配車と言いますか、計画的な輸送をして頂くことによつて救われる食糧増産上の効果というのは非常に大きいのであります。これは十分御承知のことでありますが、特に成るべく秋から初冬にかけて、できる限り一つ計画的な輸送を達成して頂きたい。それからもう一つは、例の独立採算から来る困難性が、やはり一つの大きなこれを検討する場合の条件じやないかと思うのですが、併し種馬鈴薯に関しては、これはもう申すまでもなく、これが何倍か何十倍かになつて再び輸送にも上りましようし、或いは遠距離の輸送は経ないにしても、いろいろな形での輸送を経て家庭に廻つて参るわけですから、これは延いてはやはりかなり大きな運賃収入のほうにも、決してプラスにこそなれマイナスにはならない代物だと思うのでありますが、そういう点から考えて、これは一つ種馬鈴薯に関する本州産のものにも、本年十月からの改訂期から是非運賃割引を適用して頂きたい。そうしてこれは新らしい問題ではありませんが、輸送の時期等についても、これは苦しい配車の中でも是非計画的な配慮をして頂いて、凍つたり、腐つたりする損耗をできるだけ一つ未然に防いで頂くような考慮を特にお願いしておきたいと思います。
  100. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 輸送の点或いはその他の点につきましても、御趣旨の点をよく考慮しまして善処したいと思います。
  101. 松浦定義

    松浦定義君 大体今までお話を聞きまして、何とかして従来通り継続しだいという両方の御意見で、我々としても希望を持つておるわけでありますが、ただ私ちよつと貨車の問題で、実は駐留軍が引揚げるというので、これは御承知の通りに陸上部隊ですから莫大な物資を持つておると思います。従つてそういうために相当な貨車が要求されると思うのですが、そういうことについて今何らお話がないというお話ですから、これは場合によればまだお話を聞けない事態かも知れませんけれども、現実としては私は必らず必要だと思うわけで、そういう場合には私のほうからでも持つて来る、こちらのほうにも迷惑をかけないのだという国鉄のほうの考えは当然持つて頂かなければならんと思いますし、そういうわけで、この点を十分一つ今からお考えを願つておきたい、特にお願いをいたしておきたいと思います。
  102. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうすると、只今議題になつております重要農林物資に対します国鉄の運賃割引の特別措置に関する問題につきましては、只今まで各委員と鉄道当局並びに農林当局の間の質疑でおおむね明らかになつたように存じますが、私からも質疑の際に申上げたように、鉄道公示八十七号、八十八号、三百四号に関しまする特別措置は、現在の国情、経済実情に鑑みまして、これを継続することは極めて重要なことであると思いますし、国鉄、農林当局においても緊密な連絡の下に、そういうような措置のできるという前提に立つての協議が進んでおる模様でありますので、早急にその趣旨において結論を得られますように特に希望を申上げる次第であります。なお、種馬鈴薯につきましては、北海道産のもののみならず、本州産のものにつきましても同様の措置を講じますることが食糧事情の実情に鑑みまして極めて必要なことであり、量的にも少量でありまして、これらは鉄道収入に非常に重大な影響をもたらすということでもございませんので、併せて考慮を頂きまして、同様の措置ができまするように結論付けますることを希望いたすのであります。なお、今年度国鉄予算からしまして、建設等の積極的な予算はございませんので、運営が非常に困難であり、国鉄総裁以下格別の苦労と努力をされておりますることについては非常に多とし、感謝をするものではありますが、そういうような苦労の中におきましても、重要なこの指定されておる物資の輸送に不円滑を招来いたしませんように、格別種馬鈴薯につきましては時期を失することが問題となり、それが次の生産に非常に重大な結果をもたらすことをお考え頂きまして、格別の円滑輸送の行われまするように、国鉄のほうにおきましても特に御留意を頂きたいということを希望いたしておきまする次第であります。よろしくお願いを申上げます。  それではこの問題はこの程度にいたしておきます。   —————————————
  103. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昨日の委員会で溝口委員及び飯島委員の御提議にかかる米穀自給増強に関し政府に申入することにつきまして案をまとめるようにということでございましたので、お手許に差上げておりまするような草案を取りまとめたのであります。これに関連いたしまして、いろいろ具体的な事例を挙げての農林当局に対する御希望等もあろうかとは思います。又この趣旨を完撒いたしまするのには、そういうような取運びを必要といたすかとも存じます。つきましては、午前申報告申上げたように、明日十時から農林大臣の出席を得ることに決定をみておりますので、本日この申入の決定を項いておきまして、明日主管農林大臣出席の際に、この申入れに関して敷衍されまするような事項を口頭で御発言を頂きますることが、その趣旨を達成いたしまする上において非常に有効かと存じますので、この際昨日のお話に基きまする米穀の国内自給増強に関する申入を御協議頂きまして、確定を頂きたいと存じます。一応この案の協議を願いたいと存じますが、懇談で協議を願つたほうがよろしいと思いますので、そういうような取運びにさせて頂きます。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  104. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。それでは只今御相談を申上げました米穀の国内自給増強に関する申入につきましては、お配りをいたしました案を当委員会の総意として決定いたしたいと存じます。一応案文を朗読いたします。    米穀の国内自給増強に関する申入   近時輿論を沸騰させている黄変米の問題はわが国及びわが国民の悲惨な不幸である。   抑々かかる不幸は国民が需要する米穀を国内生産を以つて賄うことができないため歳々巨額の外米を輸入しなければならないところに由来するのであつて、黄変米の不幸を脱却するための抜本的措置は米穀の国内自給増強によらなければならない。   宜しく政府は、今回の黄変米問題を契機として心構えを新たにし、断平たる決意を以つて米穀の国内自給増強施策を確立し、之を強力且つ計画(継続)的に敢行し、食生活改善普及と相性つて外米の輸入防かつに努め以つて禍を転じて福とせられたい。   右に対する政府方針及び措置を次回の当委員会報告せられたい。   右当委員会の総意を以つて申入れする。    昭和二十九年八月  日         参議院農林委員会   内閣総理大臣 吉田 茂殿   農林大臣   保利 茂殿
  105. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今朗読いたしました案文で御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、この申入案を決定いたします。   —————————————
  107. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、世界銀行農業関係借款の件を議題に供します。この件につきましては、当委員会においてすでに問題になつたのでありますが、本件についてその後の経過及び今後の見通しに関しまして農林当局の説明を順うことにいたしたいと存じます。
  108. 平川守

    説明員(平川守君) 世界銀行の農業調査団が去る七月十八日に来朝いたしまして、その後中国、四国、近畿、長野方面を視察いたし、又更に北海道及び東北方面を現在視察中でございまして、その間にいろいろ農林省のほうの食糧増産計画、その他に関する資料の検討をいたしておりまして、九月の中旬まで滞在いたしまして、全国各地の農業事情等及び世界銀行に従来からその融資の対象として考えられるべきような大きな計画につきまして、いろいろ計画の検討をしてもらうという段階にあるわけでございます。各地を視察いたしまして、まだそういう状態でありますので、結論的なことは何も申しませんけれども、一つの感想といたしましては、原野及び未開発地の開発に関する余地が非常に多いのではないか。それについて特に北海道或いは東北或いは高冷地というような開発の余地のある地帯に対して、いずれこれは畜産或いは牧野というような問題にもなろうかと思いますが、そういう方法による別の形の食糧広い意味の食糧増産について世界銀行としても援助し得る余地があるのではなかろうかということを非常に強く感じているようであります。  灌漑排水等に関する水田を中心といたしました計画につきましては、実は今度参りました専門家の中にそのほうの専門家が入つておりませんで、これが遅れて参ることになつております関係もありましたかと思いますが、比較的なかなか理解がしにくいような状態にありましたようであります。併しこれにつきましては、いろいろ数字等を示しまして、日本の食糧増産において灌漑排水の施設の改良による増産部分というものが非常に大きい部分を占めている。又米の問題については、やはり何と申しても現在多量の輸入をしているという現実の状態を無視するわけには参らないので、やはり米を中心とした食糧増産というものに重点を置かざるを得ないということをいろいろ説明をいたしまして、大変理解を得たと存じております。そういう状態でございまして、現在農林省として具体的に出しております愛知用水或いはその他の計がについて向うは具体的な意見をまだ申しておりません。これは九月中旬或いはその後ワシントンに帰つてから決定的な結論を出すと思うのであります。大体の向うの感じ方はそういう程度でありました。  併し総括的に申しまして、日本の食糧増産事業というものが国民経済の自立の達成の上に非常に重要な問題である。而してその見通しは、まだ日本に十分あると思われるというようなところまでは非常によく理解をしてくれていると思うわけであります。今後なお調査をいたし、又説明をよくいたしまして、できる限り向うの意向も受けたい、かように考えております。
  109. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の説明に対しまして御質疑のかたは御発言を願います。
  110. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 世界銀行の借款につきましては、先月末に渡部官房長から一応の経過の説明を伺つたのでありますが、その当時平川局長は世界銀行の調査団と同行して、愛知用水その他北海道を視察に行かれたように開いていたのであります。十八日に調査団の団長が帰国に際して声明を発していたようでありますが、声明の内容については、今、局長から説明せられたようなことで説明を伺つたのでございますが、少し団長の考え方と私は変つておるように感じたのでございます。それは世界銀行の調査団は、日本全体の食糧増産等についての調査した結論が、いわゆる高原開発というか、未墾地の開発というものは経済効果も非常に有利なのだ、将来こういう計画で日本の食糧増産はやつて行ける可能性は十分あるが、問題はいつどうやつて政府はそれに着手して行くのだか、そういう計画について自分たちはわからんといつたようなことを声明に見受けたのでございます。そこで愛知川水とか、北海道の開発のようなものについての借款を出すか出さんかということは、向うに帰つてからじやないと全然触れないというような、農林次官も北海道の開発庁長官も以前に別個に会つて聞いたところによると、おのおのが有効だというふうにも発表せられておるのでございますが、そうしますと、今まで借款の申込をしていた愛知川水とか、北海道の開発が、おのおの世界銀行からはそのうちの機械費として五十億ぐらい申込んでいるのですが、そのほかに日本の高原開発というようなものが非常に有効なのだ、そういうものには何か世界銀行で援助をする途もあるように農地局長から御説明があつたのでございますが、そうなると、それと別途にでも、又今後交渉ででも申込む余地があるのかないのか、そこら辺の、局長の同行している間にどんなお話合があつたのか承わつておきたいと思います。
  111. 平川守

    説明員(平川守君) 世界銀行の側といたしましては、食糧増産事業に対して何らかの援助をしたいという気持を持つておるようでありまして、その対象等についてははつきりした結論を持つて来ておるわけではないのであります。又その融資すべき金額等についても、必ずしもはつきりした枠を持つて来ておるわけではないようでありまして、従つて貸付の対象とする事業についても、必ずしも一つの事業に限るというわけでもなし、場合によつてはすぐこの事業に貸付をするということもあり得るような口吻であります。ただ勿論これの具体的の貸付ということになりますと、精細な数字に基いてコスト・べネフイットというようなものが合格しなければならんというような、非常に綿密な資料を前提といたしますので、そういう点から申しますと、農林省としては、現在未着手の大きな事業としては愛知用水以外のものはまだ準備が不十分であると言わざるを得ないと思うのであります。そういう状態にありますけれども、併し向う側として若し愛知用水についても融資をする、又原野の開拓等についても若干の融資をする、ただその具体的の決定は正確な資料ができてからするというようなこともあり得るのではなかろうか、これは全く臆測でありまして、向うもはつきりしたことは申しませんのでありますが、ただ非常に強くあのほうの原野のほうに関心を示しておりますことと、さればと言つて愛知用水等の計画に対しても極めて熱心にその計画数字等を弾いておるわけでありまして、いずれだけをとるということも勿論ありませんし、きまつてもおりませんが、まあ受けた感じといたしましては、必ずしも一つに限るのではなくて、計画さえきちんとすれば、そういういろいろな種類のもの出すということもあり得るのじやないか、かように考えております。
  112. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 調査団が愛知用水を調査したあと、地方の新聞等の記者団会見のときに調査団のかたが言つておることが新聞に出ていたのでございますが、愛知用水は非常に金がかかるのだというようなことを言うていたらしいのですが、只今お話のように、調査団のうちには水田等のことについての専門家はいないようであります。そのかたが水田を見て、水田の二毛作という説明をしても本当に認識されたのかどうかというふうな疑いが出るのですが、これを十分説明なさつたか。そこで愛知用水は非常に金がかかるのだというようなことが言われていて、それで北海道とか、八ヶ岳の高原を見て、これは経済効果がいいのだというようなこと、どうして政府はこういうものに手を入れて愛知用水のように非常に金のかかるものをやつておるのだというふうに新聞等を読むととれるわけです。そこでなぜ愛知用水は金がかかるのだということを……、私は軽卒だと思うのですが、新聞に出ておるのですが、それは何か局長お話なつたことがあるのですか。
  113. 平川守

    説明員(平川守君) 私どもは現在までの調査に基きまして資料を出しておるわけであります。その数字を向うが非常に金がかかるというふうに判定したのかと思いますが、やはりまあいろいろな人のいろいろな話が耳に入つておりますから、非常に高い仕事であるというようなことを言う人も現にありますので、或いはそういうことを聞きかじつたのじやないかと思います。我我のほうとしても、これはもう調査に基く厳密な数字をそのまま出して、そうしてほかのいろいろな事業とも比較をいたすこともいたしまして、出しております。我々のほうの数字から申しますれば、もとより非常に割安な仕事ということもできません。或いは非常に割高ということもないので、要するに極めて当り前の国営事業で、ただ非常に規模の大きなものであるというふうに考えております。何かそういういろいろな人のいろいろな言葉が耳に入つて受けた感じを述べたと思うのでありまして、併しまだ先ほど申しましたように、公けにそういうことをはつきり申しておるわけではございません。慎重に検討するということを申しております。従つて余りそうその点は気にする必要もないと私どもは思つております。
  114. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 愛知用水の借款が実現できるというようなことになると、これが前例になりまして、将来の土地改良等に対して国の負担等のことが既成事実になつて来る。そこで何つておきたいのですが、愛知用水に公社を立てて、そうして公社が三百八億の借款をして、それに対して工事完了後二十年年賦で公社が世界銀行に償還をするのだ、その場合に公社は政府から国の負担になる現金の六割に対して利子を付けて、そうして返して行くのだということになると、現金のほかに大体八割以上くらい国は負担をすることになるのですが、これは今まで土地改良、開墾等をやりましても、国の負担を事業費に対して入側、水利事業ならば六割というようなことがきまつていたのだが、利子の補給までして行くのだということは、非常に政府としては負担が重くなることでございますが、それは政府はここまで努力をして利子の補給までしても愛知用水は成立させたいのだというようなことは、特に局長のはうから説明をなさつたのかどうか、これは今までに前例のないことですから、今後若しこういうことで土地改良、食糧増産をやつて行くということになつて、そしてそれが又財政支出としても認めて行けるなら私は非常に有利になつて行くと思うのだが、愛知用水一つで、あとは前例にはならないのだというと、一応利子の補給を三十年間やつて行くということはこれは問題になるのだ、そこのところを一つはつきりしておいて頂きたい。若しこれが成立するならば、将来県営等で、県が先に仕事をやつて、そうして金を借りてやつてつた場合に、将来その利子の補給まで国が考えてやれるかどうかということを考えていられるかどうか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
  115. 平川守

    説明員(平川守君) 成るほどお話のような愛知用水のやり方が、最初に資金を借りて仕事を完成いたしまして、それに対する償還金を普通の地元と国の負担の割合で負担をいたしますので、その中には利子の部分も勿論負担されるわけであります。実を申しますと、まだこれができた場合に、これに準じてすべての事業の切替えをいたすというところまでは考えておりません。そこまで具体的にはまだ考えておりませんが、ただ私ども気持を申上げますと、本来これらの事業というものは、経済的なスピードで以て三年なり、五年なりで片付けるべきものである。それを従来は予算で制約されますために、三年でできるものが七年も八年もかかる。その間民間のほうでは、農家のほうでは結局何らの増収の結果を得ない。だから言つてみれば、それだけ採択が遅れたと同じ結果になつているのだ。そこで将来の問題といたしましては、でき得るならば、やはり今回考えておりまするように、一定の資金を入れるという形でもいいと思いますけれども、ともかくも採択をした以上は、数年間の合理的な短期間において仕事を完成して、増産の効果を挙げて、そうしてその負担すべき総額に対して国が何割、県が何割、或いは地元が何割というような負担をするほうがより合理的ではなかろうかと考えております。併し現在の段階で、現在やりかけを一挙にそれに切替えられるかというと、ちよつとそこまではまだ考えておりません。将来の問題としては、こういうほうがむしろ合理的ではなかろうかというふうには考えております。
  116. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は今の国の負担の問題は、これは非常に重要な問題で、将来日本の食糧増産は、政府は利子の負担まで国でやつて行くかどうか、愛知用水の一つの事業だけで、あとは考えていないということになると、問題は非常に大きいのではないか。私は農林中央金庫のできる当時にも、繰上げて事業をする場合に、何か融資のできるような機関があつたらいいのじやないか。そうしてそこで県が金を借りてやつて、そうして政府は利子の負担をして将来返して行くのだ。そういう制度を立てたいという年来の希望であつたが、その当時は毎年度きまつた事業費よりか国は出すわけには行かないのだ、今まではそういうふうにやつて来た。今度やる愛知用水は二十年間将来の利子補給までして行くのだということになりますと、それがいいということになると、今後出て来る仕事はみんなそれの前例にならつて行くようになると思う。今度政府が確実に支払いの保障をするということになれば、そういうような条件で愛知用水に借款を五十億出そうということになれば、将来はその点も政府は十分に考えておいてやつて頂きたい。これはアメリカに対する借款だけでなく、県営事業等をやる場合に国内融資で事業をやる。そうしてその利子の補給もやつてもらいたいという希望はたくさん出て来ると思います。殊に十八日頃に農林省で新聞等に発表されております農林水産の新政策の大綱と言いますか、食糧の自給制度の確立というようなことを誕つているわけで、一番新らしく新政策を立てたというようなことは、大規模の潅漑、排水、干拓等については外資を導入して、重点的に施策を講ずるのだ。愛知用水の公社、北海道開発の公社等を設立して、なお余剰農産物の円資金を利用するのだというようなことが、新政策というのか、各新聞に出ておりました。それは農林省発表なさつたことであろうと思います。今度の世界銀行の借款は今までの御説明によれば、愛知用水もはつきりしない。世界銀行の未墾地の開発のほうへ方向を向けて行くようなことになつているのだが、まだ八郎潟とか、長崎の干拓とか、これから調査に行かれると思うのですが、どうも農林大臣は、将来の食糧増産は外資でやつて行くのだ、編成替をするのだというふうなことを前にも新聞に発表されていたようですが愛知用水一つだけで借款の問題は済んでしまうのか、今後農林省は新政策として八郎潟でも長崎でもどんどんやつて行くのか、そういうものは利子負担を国が出して、積極的に食糧増産をやるのかということが、私どもはつきりわからないのです。そういう点について農地局長はどういうふうに考えておられるのか、はつきりしたお考えを承わりたいと思います。
  117. 平川守

    説明員(平川守君) これは相手のあることでありますから、我々としてはできるだけ広汎に、且つできるだけ金額も大きく借款をいたしたいと思いますけれども、なかなか向うがそれだけ応ずるかどうかという問題が残つていると思うのであります。併し少くとも我々の希望を申すならば、できるだけ広く、八郎潟にいたしましても、或いは北海道にいたしましても、或いは長崎の干拓にいたしましても、或いはその他の国営規模の大きな仕事にいたしましても、できるだけ広く、且つ金額も多く借款を受けたい。お話のようにたしかに金利まで含めて、要するにできるだけ早く増産の効果を挙げる。仕事を早く完成して増産の効果を挙げる。そのためには一般の財政の予算だけの問題としては呑み切れない部分があるわけでありますが、その部分を仮に借款による場合においては、その利息の部分までも含めて、国が負担率をきめて参る、こういうやり方を、できるならばもつと広く、範囲を拡げてやつて参りたいと、かように考えます。実際問題として大蔵省その他もあることでありますから、現在やりかけのものを一挙にそう変えるということを申し上げたわけでありけすけれども、併し私どもの希望としては、できる限りそういう方向に持つて参りたい。差当り一つの実例を作ることが非常に大事かと思います。現在では愛知用水というようなことを、言つているわけでありますけれども、併しこれは何もそれ一つだけを狙つているわけでは決してないので、一つの実列を作ることによつて今後ますますそのやり方を拡大して参りたいというわけであります。
  118. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 希望を申上げておきたいのですが、只今お話の国が利子の負担までするのだということは、これは食糧増産としては初めてのことなんです。で愛知用水がこれが実現できれば、将来それが既成事実として日本の食糧増産というもの、財政投資も非常に進んで行くと私は考える。そこでその問題については、無論書類で世界銀行に御提出していると思う。どうも説明を伺つてもまだ向うにはつきり、それまでに日本の政府は愛知用水に対しては非常な努力をしているのだ、今まで前例のないような財政投資もなるのだということなんだから、これは是非一つ愛知用水についてはどういうことがあろうと、農林省は農業開発優先第一で申込んでいるのだから、これは実現できるようにしてもらいたいということを私は符に農林大臣からも、世界銀行に対してまだ報告を出さんだろうと思うから、折角申込んだことなんだから実況のできるように御努力をお願いしたいと思います。これは重要な問題で、説明を伺つていると、六制は国の負担なんだ、利子はそれの倍になつてしまう。そんなことは今まで考えたことは私はないだろうと思う。二倍これからやるようなことができて来れば私は仕合せだと思う。今度の問題は申込み前には、政府として申込んだのだから大蔵省も承知はしている。それならばこの問題はどうしても実現できるように一つ御努力を私はお願いしたいと思います。
  119. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今愛知用水に対する局長の御答弁ちよつと僕は考えを異にしているので、その御答弁の中に、或いは三カ年なり或いは五カ年なり、計画的にそれを早く遂行するのだ最も合理的だ、勿合その点には異論はないのです。そういう意味において、今年度にも見るように二十九年度のはかの新事業を全部ストップするというような行き方は極めてこれは行き過ぎてある。或いはダムとか、何とかいう性質のものは、或いはダムを完成させねばその利用価値がない。だけれども、すべてのほかの農業工事というものはそういう性質のものでない。例えて言えば、ボンプが動くようになればあとの水路は少々遅れても或る程度の、八〇%ぐらいな効果は挙げて行く。或いは取入口が完了して水が入れば、お百姓は給水路を造るとか、何とか工面して灌水に利用して行く、こういう状態にあるのですから、だから今までの継続事業を全部完了するまで、これはそれに越したことはないけれども、そういうふうな有利な事業をストツプするということは、これは大蔵省もそのように考えているのですが、これは机上で一様にそういうことを断定すべき性質のものではないと私は思つているのです。この点は誤解のないように、一つ全部完了するまで新事業はストップというような、一律なこういう制度をとるべき性質のものではない。増産の方面から考えて行かなければならない、私はさように考えております。これは一つ局長もよくお調べになつてつて頂かねば、如何にも素人が聞けば極めて合理的な、増産に適合しておるというように考えますけれども、その実はさようなことに行かんと私は考えております。まあこれは御答弁には及びません。よく研究なさつて一律に今までの事業を守了するまで新らしい仕事はストップというようなやり方は極めて増産を阻害するものと、私はそう考えております。
  120. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ちよつと溝口委員の御質問に私は二、三蛇足を加えたい。さつき局長お話では、濯漉排水というか、水田等に関する技術者が今度の調査団の中にいなかつた。そのことがこういつた事業面に対する理解を十分つけ得なかつたというふうなお話がありましたが、これは追かけて来るか、或いは改めてそのための措置を講じられるつもりですか、どちらですか。
  121. 平川守

    説明員(平川守君) 水田に関する専門家は、この月末に追かけて来ることになつております。たまたま途中で病気をされまして遅れておりますけれども、この月末に加わりまして、そうして一緒に相談に乗ることになつております。そういたしましすと、よはど又変つて来ると思います。
  122. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから九月ですか、ワシントンに帰つて、すつかり取りまとめた上で決定をされるということですが、その場合に向うで決定をみるまで、日本政府というか、こちら側としては、何かこれに対する対策或いは措置は考えておられるか、向うの決定を挟手傍観するのですか。
  123. 平川守

    説明員(平川守君) これは実際問題として、調査団が帰りますまでに我々のほうといろいろ相談をしまして、今の細かいデーターが必要なわけでありますから、そうして材料はすつかり整えて、ただワシントンに帰つて向うの首脳部と相談して上で正式に決定をする、こういうことになると思います。我々としては特別にそれまでの間にどうということもありませんが、もう殆んど常時連絡をいたしておりますので、できる限り向うが誤解をし、或いは認識が不十分であるというような事柄については、できる限りこれの理解に努めておるわけであります。まあそういうことでワシントンで決定をするまでの間、最後の決定に至るまで、常時連絡を保つて参ろうと、かように考えております。
  124. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 最後に、我々が新聞等を通じて感ずる印象は、やはり何らか原野偏重という感じを強く受ける。これはやはり向うの見方、経験等もありましようし、それからなおこれを補つて理解を深めるためのこちら側の努力にも若干まだ足らない点か欠けるところがないとは言えない。今日の状況からすれば、本日の当委員会で断固政府は決意を新らたにして、食糧自給の計画的な施策を遂行しろということは、非常に一つの大きなチャンスでもあるし、転機に来ていると思う。そういう点からすれば、やはり何だかだといつても、米麦を中心にした、特に米を重点にした食糧自給計画というものが私は当面の一番の根幹じやないかと考えるので、そういう点等も技術者の不足と併せて、今後政府側の積極的な努力と調査団に対する認識、理解等を深める上に大いに働らいて頂いて、そうして日本の大きな政策の骨というか、筋がすつきりするようにして頂きたい。これがやはりいろいろな方面に若干の不安を生みつつあることがやはり現実だと思う。これはやはり日本全体としてマイナスであつて、決してこれは好ましい状況ではないように感ぜられるので、この点については特に強く要望を申上げておきたいと思います。
  125. 松浦定義

    松浦定義君 私は今まで溝口委員やほかの御意見と若干これも見解が追うような意見になるかと思うのですが、今度の調査団の件についての局長の御報告は、私が新聞で見たり、いろいろ聞いた通りでありまして、容易に日本政府の考え方通りには行かないだろう、こういうふうに思つているのですが、やはり今まで農林省が中心としていろいろ進めて来られた点についても未だ調査が不十分である、資料が整つていないという点も言えると思うのですが、やはり向うが目で見たというものは、なかなか調査だとか、資料とかいうことばかりではどうにもならないものがあると思う。日本というものをこう見た場合に受ける印象から来る対策というものは、これは相当どの程度これに対して金を投資していいかどうかという、こういうことだと思うのです。若し現地を見ないでそういうものだけでいいというならば、これは私はもう今までもつともつと日本が食糧事情に窮屈しておつたことはわかるのですから、当然これは実現しておつたと思うのです。であるから、幸いに再確認のために調査に来られた、そこでこの間の新聞を見ますると、やはり先ほど局長報告されたような、向うの見解だということを聞いておつたのですが、或る新聞でありましたが、それに対する農林省見解、誰が発表されたか知らんけれども、とにかく愛知用水を第一にするのだということで、而も又八郎潟とか、或いは有明、北海道の泥炭地というようなところの開発については、今後の農民の導入とか、或いはその他いろいろ円資金の関係から、これは非常にもう不可能だ、であるから愛知用水を一番優先的にやつてほしいのだというようなふうに、どうも向うの率直な考え方とこちらの持つて行き方とが私は非常に食い違つているのじやないか、だから私は何も愛知用水を優先にするなというのじやなくて、全体を見た上のことから、どれが悪いということはこつちが言わなくてもいいと思うのです。若し愛知用水を調べてよくなかつたら全部やめてしまへということになつたら、これは大変だと思うので、そういう点で一つ十分考えを願いたいということと、それからもう一つ、確かにこれは食糖自給のために当然行わなければ、日本の農業政策の重要な問題でありますので、この際何としてもこの問題は実現してもらわなければいかんと思うのですが、そこで最近私がつくづく考えましたのは、とにかく北海道調査団が参りまして、石狩の泥炭地開発等は総合開発の一環として第一着手にやつていることであつて、とても日本の現在の力だけではできないというので、それを又大きく要求の中へ出したと思うのです。まあそのように根釧原野等を見た考えカから言つたら、むしろああいう方面のところへ飛びついたんじやないか、それは誰しも北海道へ行くと、そういうふうな感じを持たれるのじやないかと思いますが、そういう意味で、割合と合をかけないで効果が上るというふうなことも考えなければ、先ほどお話がありましたように、そのほかのことが非常に置きざりになるようなことではいけない。これも私は有望地帯の一つであると思うので、ただ米を生産するということばかりよりも、むしろ人口問題の解決ということを併せて考えないというと、それでは東京の真中で大会社を作つて全部失業対策をやればいいかということになりますと、それじやいけないということで、そういう面から行きますと、小範囲なところでやるよりも、むしろ同じ金額を以てしても相当広汎な面積のところで、いろいろ立地条件に合つたことをやることがいいのじやないか、そういうことで行きますと、根釧原野等の開発ということは、これは当然必要だと思うのです。そこで私はこの北海道の総合開発が、すでに五カ年問で三千八百億というような計画の下に、地方の意思に反してまで国会の議決を経てあれをとつたのですが、その後三年経ちましてまだ五百億足らずの投貸しかできない。これじやどうにもならないので、今度の問題にこれを当然入れるべきだというような意見も中にあつたと思うのです。それでもう一つ問題は、今度総務会長になつた大野さんが北海道を三回も廻つて北海道はどうしても特別行政地区にする、そうしてこれはもう明らかに国でやらなければいけないんだと、まあこういうお話で、非常に道民もその点に関心を持つているわけです。ところが代わられて今度緒方さんがなられたので、成るほど政府としてはこの問題にもつともつと力を入れておるんじやないか、而も現在の国家資金だけではできないので、これをまあ民間資本も導入して公社的なものにしようと、こういう或る程度の結論が出かかつたように聞いておりますが、そういう面と併せて、今度の問題等と睨み合せてみますると、まあ相当私は国としてやらなければならん、先ほどの人口問題から言つても、当然総合開発計画に基いたあの立法をした趣旨から言つても、このままにして置いたんでは、どうしても日本の人口問題の解決はできないというような意味で、無論まあ食糧の急速な増産も必要でありますけれども、その面と併せて考えて、これは当然やらなければならんと思うのですが、そういう面について農林省としては何か具体的なまあ意見の開陳でもありましたら、そういう点を一つお聞きしたいと思う。
  126. 平川守

    説明員(平川守君) 例えば根釧の原野等に非常に向うも注目をいたしております。のみならず、我々としてもああいう原野の速かなる開発ということについては、一般の灌漑排水事業と並んで、相当重点を置いて考えておるつもりでございます。従つて現在あの原野全体の開発について特別の大規模の開拓計画として調査をいたしておるわけであります。ただ何分にもああいう所でありますから、よほど計画を緻密にいたし、又これに対して必要な資金というものは、中途半端でなしに投下しないと、却つて折角入つた人が中途で挫折するという心配もあるわけであります。従つてこれは非常に重視してはおりますけれども、それだけに又慎重に十分な調査計画と又入植者等に対する資金その他の援助と、これが完璧を期さないと危い、そういう意味において現在調査をいたしておるわけであります。たまたまそういう段階でありましたために、世界銀行の要求いたしますようなコスト・ベネフィットというようなものがすぐに出にくい点がございます。併しこれは我々のほうもそういう段階で開拓の予定をしておるのだということはよく説明をいたしまして、これもできるだけ速かにそのコスト・ベネフィット等の計算もいたすように努力をするということで話しておるわけであります。又事実そういう方向に進んで参りたいと思つております。従つて決して先ほど申しましたように、狭い意味で愛知用水だけを無理やりに押すといううよな考え方ではありません。愛知用水というのも本当の一つの先例を作る意味調査の勢力をあそこに集中いたしましたのであります。これは先例を作るという意味でありまして、これができますれば、更に迫つかけて今のような原野なり、或いは干拓なり、各方面に手を差し伸べてもらいたい、かように考えておるわけであります。
  127. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この問題に関してはなお幾多の問題がまだ残されておるのでありますから、これはまあ農林省中心に一つ政府の協力した、一致した態度でこれを推進して頂くことを期待をいたしまして、このくらいで今日はどうですか。
  128. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本日はこの程度にいたしまして散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではこの程度にいたしまして、明日はすでに御報告いたしましたように、稲作病害虫防除徹底に関する申入、昭和二十八年産米追加払に関する申入、米穀自給増強に関する申入につきまして政府見解を求めることになつており、十時には保利農林大臣、大蔵大臣若しくは大蔵政務次官が出席されることに相成つておりますので、今申上げました三つの問題を中心に十時正確に開会をいたしたいと思います。定刻御出席を頂きますようにお願いを申上げます。
  130. 松浦定義

    松浦定義君 ちよつと……。それから四月、五月の凍霜害の問題のあれを、いつでも結構ですけれども、この間お話した問題、ちよつと大臣でも或いは官房長に聞きたいのですから、これも一つ議題に載せるようにして頂きたいと思います。
  131. 森八三一

    委員長(森八三一君) 承知いたしました。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時散会