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1954-08-19 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十九日(木曜日)    午前十時四十三分開会   ―――――――――――――   委員の移動 七月三十一日委員横川信夫辞任につ き、その補欠として、長谷山行毅君を 議長において指名した。 八月三日委員長谷山行毅辞任につ き、その補欠として横川信夫君を議長 において指名した。 八月十二日委員江田三郎辞任につ き、その補欠として森崎隆君を議長に おいて指名した。 八月十七日委員森崎隆辞任につき、 その補欠として江田三郎君を議長にお いて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済   局統計調査部長  野田哲五郎君    農林省農林経済    局統計調査部作    物統計課長   作原 政司君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁長官   前谷 重夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○派遣議員報告農林政策に関する調査の件  (稲作病害虫防除徹底等に関する  件)  (昭和二十八年度米価追加払いに関  する件)  (食糧管理制度に関する件)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  最初にお諮りいたしますが、先般江田委員委員辞任せられまして再度委員に選任されました。これに伴いまして理事が欠員になつておりますので、その補欠選挙を行いたいと存じます。その方法成規の手続を省略いたしまして委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、私より指名いたします。江田委員にお願いいたします。   ―――――――――――――
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、先般御足労頂きました、派遣議員の御報告を伺うことにいたします。  去る八月三日から五日間、第一班は本年稲作作況調査のため福島及び岩手の両県に、又第二班は、本年稲作作況及び水害実況調査のため兵庫及び岡山の両県に御出張を煩わしたのであります。本日はこれら調査報告を伺い、その結果に基いて当委員会としてとるべき処置について御協議を願うことにいたしたいと存じます。御出張を煩わしました委員各位におかれましては、酷暑のみぎり非常な御苦労をお願いいたしまして有難う存じました。第一班の松浦委員から御報告をお願いいたします。
  5. 松浦定義

    松浦定義君 第一班は戸叶委員と私でありましたが、戸叶委員がまだ出席されませんので、便宜上私から御報告させて頂きます。  八月三日から七日までの五日間、福島県及び岩手県の状況調査いたして参りましたが、調査方法県当局及び関係当局より総括的事情を聴取したのち、現地に参り、その生育状況調査いたした次第であります。  福島県の気象状況は、五月下旬より低温が続き、六月上旬半ばより特に低く、平年より三度低く、七月に又長い低温が続き、降れば六、七月とも平年の倍くらい降り、六月中旬より七月中旬にかけ、その日照に平年の二割から四割で、最高気温は五度から七度低い状況のため、苗代の頃には苗腐敗病等苗代障害が多発したのであります。その気象状況は田植後も依然として異常で、低温目照不足が甚しいため、活着生育悪く、特に分葉が少なかつたが、七月下旬半ばから天候回復したため稲の生育も急に挽回し、草丈において平年の約八〇%、茎数においては平年並になつたのであります。併し稲草は軟弱であり、七月二十日以後遅く分葉したものには無効なものも相当あつて、現在の茎数に対し、穂を出す有効基数歩合は平年より減少するものと予想されております。又岩手県も福島県と同様な異常天候により、稲の生育は順調でなく、加えて六月九、十日の二日間に亘る降霜結氷梅雨前線の停滞と寒冷前線の南下による悪天候は、本田に移植された稲の生育一大障害を与え、七月二十三日大暑における岩手農業試験場盛岡本場水稲生育表によりますと、草丈早生で五十五・三センチで平年より三十一・七センチ短かく、中生で五十五・三センチ、平年より二十五・二センチ短かく、又晩生も四十七・七センチで平年より二十三・八センチ知かく、茎数においては早生等いずれも平年よりは一、二本多い状況であるが、当県では七月五日から十日頃までに分噂したものが穂になるので、無効分準が多いのではないかと思われるのであります。  以上が県当局及び関係当局より聴取いたしました両県の気象状況並びに稲作生育状況でありますが、次に、現地状況について申上げますと、福島県は、安積郡猪苗代湖周辺の月輪村、月形村、摩耶郡吾妻村、阿武隈山系津鳥村、移村、新殿村、針道村及び相馬郡の大館村周辺山間高冷地を、岩手県は上閉伊鱒沢周辺綾織村の開拓地遠野試験場及び上郷村、稗貫大迫周辺を時間の許す限り見せて頂いたのでありますが、いずれも生育は甚だしく遅れ、早生出穂川は平年は八月五日頃が本年は八月十九日頃、成熟期は平年は九月十日頃が本年は九月二十五日頃と、早、中、晩生種と共に十五日から二十日ぐらい遅れ、福島県の猪苗代湖周辺は、前記県当局説明のような生育状況で、湖の寒風のために特に悪く、又霜降り「とんぼ」が空に飛び始め、例年ならば八月下旬に飛ぶ。ために農民は秋の早く訪れるのを心配しているのであります。又津島村では夏作の野菜は全滅、当地の特産物「たばこ」も極度に不作の様子で、稲作は漸く幼穂形成期に入り、今後天候如何によつては、快晴が続いて七分作程度で、この天候が続き、九月一日までに出穂が揃わなければ霜害を受けることは必至で、農民はひたすら天を仰いでいる状態であります。又針道村の分蘗は、早生で平年より五、六本、中生で九本乃至十本少く、やはりこの天候が続いて七分作程度で、この地方の開花時期は二百十日で、やはり十日くらい生育が遅れている状況であります。岩手上閉伊鱒沢周辺では、出来のいい所で一株のうち二本か三本が穂になるという有様で、同郡上郷村では植付けたままの惨めな状態が各所に見られました。綾織村の開拓地では、陸稲は二町歩くらいのうち、七、八反歩が全滅し、抜きとつて「そば」や大豆を植えている有様で、他に現金収入のない開拓者の今後が心配されるのであります。稗貫大迫周辺も又その生育は二十日はど遅れ、今後の気象状況に期待している次第であります。「いもち」病の発生は両県とも今のところ昨年ほどではないが、急激によくなつた天候から今後が憂慮されている。昨年ほどの発生がないのは、追肥防止の呼びかけが徹底したためと、稲の生育が遅れているので茎葉の繁茂がまだ「いもち」病の発生条件に適しないためと関係者は見ており、今後天候回復従つて憂延は強まるのではないかと予想されているのであります。  以上のように、今後の天候回復によつては或る程度回復は期待されまするが、完全な冷害型のように感じられたのでありまして、地元民の要望事項も次のような多くに上り、対策早期樹立が感ぜられているのであります。  緊急対策として、一、病虫害防除農薬全額国庫補助、二、営農資金返済期限延長、三、雑穀種子購入費補助、四、技術改良普及指導費増額補助、五、節米食生活改善指導費補助、六、蚕桑病害虫防除費補助、七、昭和二十八年産米価追加払即時支払、又恒久対策としては、一、積雪寒冷単作地帯農業振興法期限延長及び対象単位を五町歩以上にして欲しい、二、保温折衷苗代費永続的予算化、三、営農資金長期融資実施、四、気象長期予想施設強化並びに農業気象観測施設強化拡充、五、冷害試験施設整備拡充、六、農業災害補償法を改正し、大豆稗等雑穀共済事業対象とされたい、七、集約酪農地域に指定されたい等の要望がなされたのであります。特に岩手県におきましては、只今委員会で審査中の昭和二十九年四月及び五月における凍霜害被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案の成立を要望いたしていた次第であります。  以上が私たちの調査して参りました大略でありまするが、最後に、本調査で痛感いたしました点を二、三申上げてみたいと思います。  第一に、温水溜池及び保温折衷苗代冷害対策に非常な効果を挙げていることであります。一見しただけでもその生育状況に差異が現われ、その徹底化が要請されているのであります。第二に開拓地はいずれも標高四百メートル以上の高冷地で、陸稲被害が甚だしく、作付転換を余儀なくされており、現金収入に支障を来たし、極めて深刻な問題を期しており、立地条件より集約酪農地域に指定し、現金収入の途を構ずる等の施策が必要と思われるのであります。最後に、両県ともこの天候が一カ月持続すれば平年の七分作程度には立直るとの状況でありまするが、長期気象予報出穂期低温を報じ、農民予報の外れることを期待している今日、いずれにしても冷害は必至と思われまするので、時期外れにならない冷害対策を当委員会としても考慮して頂きたいと痛感されるのであります。  以上甚だ簡単でありまするが、御報告を終ります。
  6. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の御報告に対しまして御質疑もあろうかと思いますが、引続きまして第二班の報告をお願いすることにいたしたいと思います。
  7. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 第二班は、岸委員江田委員河合委員と私の四人、それに宮出調査員を加え、一行五人で兵庫岡山の二県の作況水害状況調査して参りました。八月二日東京発、三日神戸着、直ちに兵庫県庁にて六月、七月の水害状況及び県下稲作作況について県下実情を聴取しました。  兵庫県では、六月二十二日、二十三日と強風を伴う豪雨があり、県下各地に小災害がありましたが、二十九日、三十日に亘つて、十年に一度という記録的豪雨に見舞われ、越えて七月四日、五日連続降雨百九十ミリに達する豪雨をもたらし、西宮市百九十二ミリ、神戸市百七十六ミリという多量の雨量がありました。このため六月、七月の農地の被害面積は百三十八町歩被害個所九百二十七、合計二億七千八百万円に達しました。又山林関係では、林道二千九百七十五メートル、山林三十町歩、百八十三カ所の被害があり、被害額三千百七十六万円に上つております。その他水稲被害は、流失埋没四百七十五町歩土砂流入百九十一町歩冠水被害一万八千町歩に亘り、この推定減収収量を県では約八万石と発表しております。このうち冠水日数の短かかつた地方は大部分回復し、その後七月末からの照込みにより、かなり立直つていることは事実であります。併し農業関係被害だけで十一億円、土木関係三億四千万円、林業関係を加え、今年六、七月の被害総額を十四億八千万円と推計しており、昨年に引続く災害でもあり、地方財政窮迫折柄、これが復旧に対する国の援助を切に希望しておりました。なお、水稲作況について見ますと、県下植付後の経過は、日照気温共に低く、平年に比し二、三度、七月に入つてからは三―五度の低温でありまして、生育一時休止の状態にありましたが、その後の天候回復により、やや立直り、我我が参りました当時、草丈は平年に比し八五%内外、分準は弱小分準が多く、これに若干の心配はありましたが、それを含めて平年をやや上廻る程度と発表しておりました。  県庁県下水害作況の概要を聞いた後、直ちに現地調査したのでありますが、この頃天候が漸く本年最高となり、三十二度五分の炎天下を明石に出て、神戸神出地区に参り、このたび決潰しました神出溜池を視察したのであります。この溜池明治十四年に構築されたもので、灌漑面積町歩受益者九十九人という小溜池でありますが、明治年間に作られたものでありますので、木枠水取入口が腐り、漏水し、雨量が多かつたため遂に決潰したものと思われます。従つて直接の原因多雨増水による決潰ですが、原因老朽溜池自然的崩壊とも見られ、これが漏水については苗取りをしていた部落民がすでに発見していたと言われております。元来兵庫南部は雨が少く、河川の水量少く、播州平野水稲の水源は多く溜池に依存している状態にあります。従つて県下には約六万の溜池があり、香川大阪岡山と共に溜池の多い県で、数において日本一と言われております。併し神出溜池のように古いものが多く雨量が多くなると決潰の危険のあるものが多いのであります。これが一たび決潰しますと、美田を埋め、入家を倒し、人命を害うもの多く、単に水田耕作上の、問題のみでなく、治安に関する大問題となるのでありますが、多くは部落、町村、組合等受益者管理に任されている関係上、十分な修理補強工作もできないまま今日に至つているものが多いのであります。兵庫県では災害期になると、河川は勿論ですが、殊にこの溜池被害を心配しており、県条例作つて対策につき応急処置を規定していますが、到底資金等関係もあり、十分な修理補強ができない現状にあります。従つて今回の現地調査で痛感しました点は、兵庫香川大阪岡山等溜池の多い地方のため溜池に対する立法処置を講じ、常時溜池健康診断を行い、危険性のあるものには修理補強工作を命ずることができるようにし、国がその費用の一部を補助するというような法律を作る必要があると考えます。この点につきましては、県条例ももらつて来ましたので参考にして頂き、適当な機会に立法処置をお願いしたいと思つております。なお、作況につきましては、大分回復して参りましたが、多雨低温後の急激な照り込みでありますので「いもち」、二化めい虫発生が必至とみられおりましたので、最も徹底した一斉防除をやつている加古川地方事務所に参りまして関係者各位からその実情を伺いました。加古川地方事務所管内の二市二郡は県下穀倉地帯で、水田七千町歩播州平野生産力の最も高い地区でありますので病害虫防除も真剣に行われており、本年百十五トンのパラチオン・ホリドールを購入動力撒粉機七十台を揃えております。従つて農薬代四千五十万円、防除器具代を加え本年すでに四千七百万円の支出をしているのであります。防除は最も徹底した方法でありまして、動力撒粉機一台当り三人の専従者が三十分乃至一時間交代でこれに従事しておりますので、事故皆無で能率は著るしく高いようであります。すでに三千二百二十五人の延人員が出動、六カ所の発生予察所の指示に従い、全水田に必らず二回、三回の防除を行なつております。従つて加古川両山岸に亘る広い水田地帯には「めい虫被害茎らしいものは殆んど見当らない成果を挙げております。ただこの地帯二毛作地甘であり、早場米奨励金はもらえないし、反当り二千円、乃至二千五百円の防除費負担をしているので、米価の一本化と共に、取りあえず今年の異常防除に使用した農薬代については、東北、北陸の稲熱病異常発生防除の例にならつて、少くともその補助額を下らない程度補助金を二化めい虫防除にも出してもらいたいというのが一致した要望でありました。異常天候と取組んで本年の米作をこのようにして防衛して来たこれらの人々に対して是非考慮して頂きたいと思います。  途中、明石市の藤江飛行場跡藤江開拓農協が行なつている水稲早期栽培の実績を見て参りました。三月十七日播種、五月一日植付け農林十七号がもう見事に結実して反三石は確実であります。これら早期栽培県下で百七十町歩に達しているようでありますが、いずれも好成績でありますので、極子代油紙代農薬代補助のほか、早植えの極子は、是非農林省で確保し、斡旋配給してもらいたいとの要望がありました。  続いて岡山に参りまして、直ちに県庁に向い、県下の六月、七月の災害状況並びに作況病害虫防除状況等を聴取いたしました。岡山においては六月二十八日から二十九日にかけ断続的な豪雨があり、梅雨前線の通過に伴つて強雨断続し、七月四、五日に最大となつて連続雨垂百五十ミリから二百五十ミリに及ぶ豪雨なつたのであります。これがために県下の三大河川及びその支流はいずれも警戒水位を突破し、いま一息で大水害発生する危機に至りましたが、漸く水位は減退しました。それでも局部的には大小合せて三十九カ所の堤防決潰し、死者及び重傷者五、罹災者七千七百四人に及ぶ被害をこうむつたのであります。又このため県下の滞水地価冠水、沈没し、農作物、耕地その他三億三千万円に上る被害を受けました。  又、作況について県下状況をみますと、このような多雨寡照と、平年に比較して、二、三度低い気温が続いたため、水稲生育は一般に緩慢且つ軟弱となり、特に県北寒冷地帯水稲は不良と認められています。県南穀倉地帯においても同様発育が遅れておりましたが、七月から急に気温が上昇したため肥料の吸収が一時に行われ、伸長不良の分蘗茎が多く、「いもち」、紋枯病発生の虞れが多く、更に二化めい虫も、平年より長引いて発生することが予想されているのであります。従つて作況の問題は一転して病虫害防除の問題となり、「いもち発生一万二千六百町歩に対し八千町歩、二化めい虫発生四万町歩に対し三万町歩に対して一斉共同防除を行い、農薬九千八百万円、防除器具を加え実に一億円の支出をしたわけでありまして、これに対しましては、兵庫県の場合と同様異常発生に対する特別措置を切に希望しておりました。なお、農民団体代表者のかたから、県南水田地帯では苗代をも加え平均五回の防除を行なつており、このくらいやらないと効果は本当に確実と言えない実情にあるから、二回分の一回だけでなしに、もつと多くの補助を考えてほしい。又農薬の欠乏に備えて、農業団体は十分に農薬を備蓄しているのであるから、金利、倉敷のほか、余つた農薬の処分についても十分考えてはしいとの要望がありました。又二十八年産米追加払い実施と二十九年産米価格引上げ等がまれ、今年度の収穫期に雨が多かつたのと麦価引十げ麦作農家が困つているから、六等麦を今年も是非買上げてもらいたいという中出がありました。これは兵庫東下でも同様要望されていました。又土地改良事業について、岡山県は十二億八千万円に上る児島湾干拓、七億に上る再梁川下流干拓、十九億を超える児島湾淡水化等の直”事業が行われていますが、これらの予算が毎年変り、進捗率も六〇%台で継続事業が著しく不安定であるから、予算増額し、安定化を図つてもらいたい。又積雪寒冷単作地帯特殊土壌、急傾斜地農業振興等特殊臨時立法に基く事業費補助は、もう所定の年限が切れる頃であるにもかかわらず、予算の配分が遅れ事業が進まないで困つている。特に農道補助率は二〇%で一〇%は県が補給している実情にある。従つてこれら特殊立法年限を延ばし、農道補助率を三、四〇%に上げてもらいたい。又災害復旧に対する予備金支出の方途を拡大し、土地改良補助を重点的に配分してほしい等の要望があり、農林漁業資金増額土地改良林産管理について予算がなく、管理費県費支出を要求されている実情にあるので、これに対し管理経費を計上してもらいたいとの中出がありました。建設省関係工事には管理費が出ているようでありますので、御一考を煩わしたいと思います。  このように、岡山県にとつて政府直轄土地改良事業は大問題でありますので、先ず児高湾干拓並びに淡水化工事を見学し、地盤沈下地帯である上道南部海岸の沖田、光政、津田等の諸村を視察しました。この地区地盤沈下のため田面が低下し、盛土をして稲を植付けているので、クリークの面積のほうが大きくなつています。従つて児島湾に沈下している肥沃な泥土をサンド・ポンプで客土すれば、直ちに反当り三石乃至三石五斗の米がとれるのであります。反当り九万円の費用が要るそうでありますが、食糧増産のますます必要なとき、これら水害常習地帯米作を安定し、更に積極的な増産の途を開くことは刻下の急務と考えられます。  次いで、吉井川を一遡り、六月二十七日の大雨により決壊した鴨越堰を視察しました。この井堰は今から二百六十年前に構築され、上道雄神村及び西大寺市の七百十六町歩灌漑用水のほか、最近では西大寺市の水道、大蔵省のはがき製造工場工業用水を供給している重要井堰であります。昭和二十八年も被害を受けましたが、その応急工事個所が今回の増水により八十メートルに亘つて決壊、取水不能となりました。従つて七月三、四日自衛隊水黒部隊出動等により仮締切を行い、現在に至つているのであります。すでにこの仮締切工事で、三千八百万円、仮築堤二百万円を支出しておりますが、事に四千五百万円で本工事を行わんとしております。このような重要井堰組合営関係村長等によつて管理されていることにも問題がありますが、この復旧工事はその関係するところ甚だ大きく、高度の技術と莫大な費用を要する大事業でありますので、それぞれ関係当局と具体的に折衝しておりますが、国庫補助事業として認定するは勿論、低利資金融通についても特別御考慮頂きたいという要望がありました。国庫補助対象事業に指定されたとしましても、三・五・二の三カ年計画で復旧するというような余裕のない前害常習地帯でありますので、何とぞ早急に本工事が完成しますよう御配慮賜わりたいと思います。その他吉井川沿岸には排水落差が少い関係上、増水ごと冠水する常習被害地があります。邑久郡国府村、上道郡浮田村等がこれであります。今年も六月、七月の大雨で、国府村のごとき三百六十町歩中百八十町歩が浸水し、冠水長期のため百五十五町歩植替え乃補植を行なつたというのであります。一行は三十三度度の炎暑の中を村の小学校に着き、被害地を展望したのですが、これら水害原因は戦時中の山の濫伐にあるようでありますが、水の取入口が一つでありまして、ひとたび浸水すると巴久郡全体の灌水不能となり、干田川の排水ポンプも用をなさなくなると言われております。幹線排水路を完成すると共に、これら排水不良による単作地帯が三毛作田となり、岡山南部穀倉地帯に伍して高い生産カを発揮するよう、大規模な土地改良事業を行う必要性を痛感した次第であります。又これら補植による被害稲に対し病害虫防除を行い、今日までに回復させたこれら地方農薬代に対しては、異常発生と同様の補助を考えて頂きたいと存じます。  以上簡単ながら第二班の報告を終ります。
  8. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今報告を煩わしました両班の報告につきまして御質疑のかたは御発言を頂きたいと思います。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 委員のほうに質問でなしに、私は政府のはうへお聞きしたいと思うのですが、今の御報告に関連してよろしいですか。
  10. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御質疑がございませんければ、一応全面的な稲作状況等報告情勢報告を求めまして、その上で政府に対する質疑なり、希望を御開陳願うという運びにいたしたいと思うのです。  それでは只今の御報告に対しまして別段の御発言言がございませんければ只今の御報告に関連いたしまして、これが取扱い等についての協議を頂きたく存じますが、それに先立ちまして、本年の最近における作況並びに病虫害発生状況及び防除対策につきまして、政府がとつて参りました措置実行状況等をこの際一応政府当局から聴取いたしまして、併せて御質疑を頂くことといたしたいと存じます。それでは最近における作況並びに病虫害発生状況について御報告を求めます。
  11. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 最近の作況につきましては、実は八月十五日現在におきまして第一回の定期調査実施中でありますが、これがまとまりますのは八月の末であると思つております。そこで今日御説明申上げますのは、八月一日現在におきまして、先般衆議院の農林委員会からのたつての御要望がありましたので、北日本について作況を調べたものがございます。その資料につきましては皆様方のお手許に配付してあると思います。これによりまして簡単に私から御説明いたしまして、専門家の原作物統計課長から詳細に説明して頂きたいと思います。  この北日本、即ち北海道と東北六県、北陸四県及び長野、山梨の一道十二県につきまして調査したのでございますが、これは主として気象感応試験におきますその後の生育状況を追跡して参つたのでございます。これによりますと、御承知のような、又只今報告のありましたような気象の推移がありまして、八月一日現在におきまして大観いたしますと、草丈が前年に比して短く、茎数におきましては前年同様又は上廻るというような状況でございました。これをその時現在におきまして出穂期において有効穂数等はどのくらいになるかということをいろいろ検討いたしまして想定いたしましたものがありますが、これによりますと、一部の地区を除きまして、おおむね出穂期における茎数は前年同様であるというように見込まれておるわけでございます。但し草丈が短いというようなことから考えますと、或いは一穂の粒数が小さくなるではないかというふうに想定されるわけであります。概して申上げますと、先般の当委員会でも御報告申上げましたように、主として偏東風の影響を受けます太平洋岸並びにオホーツク海の冷涼な風を受けます北見のはう、北海道の北見地区というのが悪いようでありまして、即ち北海道の上川盆地を除きました地域、それから東北の東海岸というのは、まだこの天気もなかなか回復しないというような状況でございますが、日本海沿岸の数県におきましては、これは非常に著しい回復を示しておる状態でございます。なおいずれの県におきましても、高冷地における状況はまだ回復が極めて遅々としておつて、この状況はむしろ非常に悪いということが言えるかと思います。なおそのときに非常に心配されております「いもち」の発生状況につきまして調査したのでございますが、厳密に言いますと、「いもち」の発生に伴います被害の総計を調査したわけでございますが、これはこの調査いたしました府県におきまして大体十四万町歩、作付面積、これは二十八年度の作付面積を一応とりましたが、これに対しまして一三%ということになつております。減収見込量は十四万五千石という見積りをいたしておるわけでございます。で、この時期につきましては前年と比較する数個を持たないのでございますが、ここに前年の八月十五日の定期調査の結果を持つて来まして対照いたしますと、前年の八月十五日におきます被害面積につきましては、大体この該当県につきまして二十三万町歩という数字が出ております。なおそれによります被害の見込というのは六十九万石程度に出ておるわけでございます。で、この調査は先ほども申上げましたごとく、「いもち」が発生いたしました面積の中で被害として残りますものを掲げたものでありまして、発生面積としましてはこれより史に大きくなると思いますし、又防除面積としましては更に大きくなりまして、かように被害面積を軽度に狭めるという結果をもたらしたものであると思います。なお、八月一日現在におきます「いもち」の発生状況というものは、本年の葉「いもち」の発生状況は本年の気象状況から言いますと、収盛期を少し早廻るところにあるのじやないかということも考えられるわけでございます。西日本一般の状況につきましては、これは只今調査した資料を持ちませんけれども、一般的に気候条件は今後に期待するところが非常に多いのでありますので、さほど心配はしていないというような状況でございます。なお二化めい虫発生が非常に伝えられておりますが、これにつきましては、私のはうではまだ調査をしていないということを附言いたしまして私の簡単な説明を終りたいと存じます。
  12. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に作況課長から報告を求めます。
  13. 作原政司

    説明員(作原政司君) 原でございますが、只今町田部長からお手許に御配付申上げました資料の結論と申しますか、要約いたしましたところを御説明申上げましたので、私からはいささか大部に過ぎましたが、お手許に御配付申上げました資料を見て頂く際の要点と申しましようか、多少説明が足りない点もございまするので、さような点につきまして補足を申上げたいと存じます。  先ほど野田部長から御説明申上げました通り、この大冊、厚いほうの資料につきましては、私のはうでいろいろ作況調査方法などをより的確な、科学的な方法にいたしまするところの目的を以ちまして説置しておりまする気象感応試験、気象感応試験における今年のこれまでの、これまでと申しますか、八月一日までの生育状況を一応棒グラフ等によりまして取りまとめてみたのでございます。範囲は先ほど申上げました通り、東北、北陸、北海道、それから長野、山梨の県並びに道でございます。で、お手元に配付申上げました、資料につきまして、先はど申し上げまた通り一、二補足をいたしまするというと、三頁を御覧頂きますれば、そこにはこの大冊な報告の中に載つておりまする試験地の場所、それから又そこに掲げました品種名別にどういうふうなものを掲げたかということの一覧表でございます。それに基きまして四頁からずつと参りまして四十一頁までは、個々の品種につきまして、又個々の試験地の場所につきまして生育の経過を要約したものでございます。で、四十三頁に参りまするというと、特に問題になつておりまする出穂期が本年はどういう状況になるであろうかというような見当をつけまするために、その一つの方法といたまして幼穂、つまり小さな穂がいつできたか、それから最高分蘖、つまり分蘖がどんどん増加たしまして、或る時期になりまするというと最高に達して、それから又ずつと減つて行くというのが稲の生育経過でございますが、そういう最高分蘖の時期は昨年と本年とはどういう関係になつているか、まあそういつたことから推定いたしまする、予想されまする今年の出穂期はどういうふうになるであろうかというようなことを一覧表にしたのでございます。それから四十四頁以下は、主なる測候所の気象観測の結果を、或いは平年との対比をいたしまして、最有、最低気温をグラフでお示しいたしましたり、又、五十二頁から以下は、実数を以ちまして今年の気象の経過を気象台の成績からそこに転載をさせて頂いたのでございます。気象の経過等につきましては、すでに皆様御承知のところでございまして、又非常にまずい表でございますが、ここに掲げました四十四頁以下の表を御覧頂くならば、およそ御理解が頂けるかと存じますので、詳細の補足説明は避けたいと思いますが、一、二この表を御覧頂きます際の御注意と申しますか、そういう点を補足しておきたいと思います。で、気象から申上げまするというと、四十五頁、只今お聞き頂きました四十五頁につきましては、これは札幌測候所の札幌気象台の成績でございますが、真ん中に横に水平な線がございまするのは、平年の値でございまして、それからこの斜線が入つておりまして実線で結びましたのが本年の平年に対する差でございます。偏差でございます。で、点々がございまするのは、非常に見にくくなりましたが、昨二十八年の状況をそこに記したつもりでございます。例えば札幌でこれを御覧頂きますると、最高気温につきましては、六月の下旬、つまり下のほうに六月、七月とそれぞれずつと目盛りが打つてございますが、六月の末から七月の状況をずつと御覧頂きますと、最高気温では平年にかなり近付いておると申しますか、それほど平年を下廻つた状況は見受けられませんが、最低気温になりますと、かなり下廻つておる、かような状況がございまするので、各地の気象条件等を我我のはうでも検討いたしまする際に、単なる日平均、平均気温で言いますと、いささか問題の焦点を把握しかねるという点もございます。さような点からいたしまして、以下四十六頁は函館、それからずつと主なる測候所につきまして記したのでございます。なお四十六頁につきましては、只今申上げました四十五頁の札幌と御比較してもらいますと、札幌では今申上げましたように最高気温の下り方は非常に軽微でございますが、最低気温のほうが下つておることを申上げました。ところが四十六頁の函館を御覧頂きますと、最高気温、最低気温、いずれにいたしましても平年をかなり下廻つております。これは先ほど野田部長からも御説明申上げました通り、本年の北日本におき場ます状況は一口に申しますと、北東風或いは偏東風の太平洋或いはオホーツク海の冷たい風が人づて参ります地帯におきまして、特に芳しくない状況でございますが、それをいささか札幌並びに函館の測候所の成績が示しておると存じます。四十七頁以下は盛岡、四十八頁、岩手というように、主なる測候所と言いますか、大体太平洋岸、日本海岸を、緯度がほぼ似通つておるところをそこに記したのであります。さようにいたしまして、北陸のほうに参りまして、五十一頁までそれが図表が続くのでございます。五十二頁以下の表でございますが、これは五十二頁は日平均気温、これは先ほど申上げましたように、日平均気温で申しますと、非常に物事が平板的になりますが、一応概念をつかむということには役立ちますので、五十二頁には日平均気温につきまして、北海道から鹿児高まで、四月以降七月の末まで平年の値に対しまして、本年の差額をそこに書いたのでございます。赤は要するに平年よりは摂氏でそれぞれの赤字だけ低いということを示しておるのでございますが、なお御参考までに八月上旬の状況を申上げますと、北海道は札幌が〇・五度だけ低い、それから網走につきましては一・五度、それから帯広につきましては一・一度、函館につきましては二・一度、それから青森につきまして二度、以上申上げましたのは、いずれも平年を下廻つております。併しその他のそれ以下の地方につきましては、一、二平年を一度或いは一度以下下つたところもございますが、各測候所とも八月上旬には平年より上廻つておりますようでございます。要約いたしますと、北毎近を除きまして、全国的に八月上旬は平年を平均気温におきまして上廻つておる状況でございます。五十三頁は同じような平年との比較におきまして、日照時間を表にいたしたのでございます。この場合赤い印は平年より日照時間が少なかつたということを示しておるのでございます。なおこの場合におきましても、八月上旬を御参考までに申上げますと、北海道を除きましたその他の地区におきましては、日照時間も殆んど大部分の測候所におきまして平年を上廻つております。それから五十四頁は雨の状況でございますが、この五十四頁は降雨量でございます。これも赤は平年よりは下のほうの備考欄にございますように、平年より少いということでございます。なお御参考までに八月上旬の状況を申上げますと、札幌から青森までは雨が平年より多くなつております。その他の測候所におきましては、以下余部と申しますか、一つ宮崎だけが別でございますが、あとは全部平年よりは降水量が下廻り、要約いたしますというと、八月上旬は北海道を除きましては日照りが多く雨が少くて温度は高いと、こういう状況で図にしているようでございます。五十五頁以下は、今申上げました平年との差額ではなくて、これはそれぞれの実際の数値、絶対温度或いは絶対の日照時間数等を御参考までに貼付いたしたのでございます。  以上気象表につきましては、大体それらの点につきまして補足を申しまして、甚だ恐縮でございますが、前のほうへ帰つて頂きたいと存ずるのでございます。前のほうと申上げましても、五頁から始るのでございますが、五頁に、実は変な図をそこに掲げてございまして、甚だどうもできが悪くておばけみたいで恥かしく思いますが、これは実は六頁以下を御覧頂きます際の御参考にと思つて書いたのでございますが、絵が甚だ不得手でございますが、真ん中に斜線がありまして太い棒がございますのは、これはずつと上のほうに、右かたに書いてございますように、稲の主稈でございます。稲の穂稈と青いますか、主稈と言いますか、そういうつもりで書いたのでございまして、それの主稈にそれぞれ下のほうから陥円形、右のほうが少し下つたような丸を書きまして、そうして下のほうから一、二、三、四というようなずつと、番号がございまして、ずつと上に参りますと、十五というような番号がございますが、これはやや穂稈の節を示しております。或いは節と申しますか、葉つばの数と申してもよろしうございますが、それを示したのでございまして、それから例えば第五番目、下から五番目あたりに左のはうへ、それから六番目から右のほうへと出ていますが、汽車の線路のように出ておりますが、これはいわゆる第一次分蘖と呼びます。そういうものを示しております即ち穂稈から第一次分蘖がそれぞれの節から出て参りまして、それからその線路部から更に枝が出て参りますが、それが第二次分蘖、それから更に第二次分蘖から第三次分蘖が出て参るわけでありまして、その紙の上のほうへほうきみたいな、幽霊みたいなものがずつと出て参りますが、これは穂という意味で実は書いたのでございまして、こういつたおばけみたいな絵を書きました趣旨は、要するに先ほども御視察の御報告にもございました通り、本年の分蘖体形が例年とは著るしく趣きを異にしておりまするので、穂数の推計にいたしましても、それぞれの分蘖の体形を、分蘖がどういうような状況で推移しておるかということを追跡いたしますことによつて、初めて穂数の推定等が可能になろうかと存じております。さような意味からいたしまして、こういう分蘖のそれぞれの主稈或いは一次、二次、場合によりましては三次の状況等がどうなつておるかということを私のほうの気象感応試験で品種別に、場所別にトレイスをしておるのでございます。その意味におきまして、一応ここに模形図を書いたのでございます。で、恐縮でございますが、六頁以下についてそれの大体御覧頂きまする際の御便宜と申しますか、相違点を御説明申上げたいと思います。実は六頁七頁に書いてございまするのは、私のほうの水稲気象感応試験につきまして、北海道の旭川でやつておりまする試験の、而も直管栽培、地域栽培の成績でございまして、八頁、九頁は同じ場所にございまする、つまり北海道の旭川にございまする同じ試験地の冷床栽培の成績をそこに掲載いたしたのでございます。  直播のほうはいささかレアケースでございますから、恐縮でございますが、八頁につきまして御説明申上げたいと思います。  八頁以下、ずつと先ほど申上げましたように四十二頁に至りまする間はいずれも移植栽培でございまして、以下表の記載様式は全部同じでございまするから、八頁並びに九頁につきまして表を見て頂きまする際の要点と申しますか、そういうところを御説明申上げたいと存じます。で、八頁の表を御覧頂きまするというと、表が上中下三段になつておりますが、一審上欄が農林二〇万という品種で、これは北海道では早生グループに入つておりますが、真ん中が栄光、これは中生、下のほうが中主栄光で大体晩生という扱いになつております。それぞれ要約いたしますというと、上中下は早生一、中生一、晩生一という気持で以下ずつと各試験地につきまして品種を並べたのでございます。それからそれぞれの品種について御覧頂きますというと、左のほうへ草丈がございまして、真ん中に一坪当りの茎の数がございまして、一番右に主稈の、先ほどおばけのような図で申上げました穂稈或いは主稈の葉つぱの数をそこへ示したのでございますが、草丈から申上げますというと、草丈には下のほうを御覧頂きますと、田植後二十日、それから右のほうへ田植後四十日となつておりますが、それのそれぞれにつきまして左側に斜線がございますが、斜線は昨年の値でございます。二十八年の状況、それからその右の白い線が本年の状況でございまして、そういうことで記したのでございます。それから真ん中の坪当り茎数につきましては、左のほう、それから真ん中の状況につきましては、今申上げました通りそれぞれ斜線のあるほうが昨年で、斜線でない白いほうが本年ということになつておりますが、右の下のほうへ括弧して出穂期とございますが、出穂期のところ縦棒二本御覧頂きますと、左のほうは斜線が入りまして、而も実線でくくつてございますが、有のほうは点々でくくつてございます。これは左のほうの二十八年は昨年の穂数でございます。最後にきまりました穂の数でございまして、右のほうの点々は八月一日現在におきます、あとで申上げまするが、特定な方法によりまして推定をいたしました今年の推定穂数でございます。御承知のようにまだ八月一日と申上げますというと、多くの品種、多くの場所におきましては出穂までに二週間或いはそれ以上の日がございまするので、そういつた非常に早い時期に本年の大体の穂の数がどこいらまで行くであろうかという想定をいたした試験でございますが、その結果でございます。従いまして、点々でそこへ書いたのでございます。先ほど野田部長が申上げました通り、以下各試験地の各品種につきまして、その出穂期のところの、斜線の入りました部分と、右のほうの点々で書きました部分とを御比較頂きまするというと、本年の予想或いは推定されまする穂数というものがどういつた状況に行くであろうかという一つの目安と申しまするか、一つの傾向が御覧頂けるかと存ずるのでございます。実は八月一日におきまする坪当り茎数をここでお示しすれば非常によかつたのでございますが、実は昨年のそういう調査成績等がございません等の関係からお示ししなかつたものですから、田植後四十日と、その出穂期に現われまする今年の推定穂数の間にいささか御覧頂きました際に奇異にお感じになる点が出て参るかと思います。場所によりましては、そういう奇異の感を抱かれると思いますが、それは本年の八月一日の値を書かなかつたということに発するのでございます。それで先ほど申上げました通り出穂前相当まだ日がございまする八月一日におきまして穂数を推定いたしました方法でございますが、これは現在私のほうの気象感応試験或いはその他学者層において、いろいろ御検討頂いておりまする結果を利用して測定いたしたのでございますが、その方法といたしましては、一株をとりますというと、たくさん茎がついておりますが、それの一本々々の茎につきまして葉つばの、特に青い葉つぱの数なり、或いはその一つ一つの分蘖の長さが、一番長い主稈の長さに対してどういう関係にあるか、或いはそれぞれの茎の中に小さな穂の源が見えまするが、顕微鏡或いは拡大鏡で見ますと、そういうものが見えますが、そういつた点を調査いたしまして、それから本年の穂数の推定をいたすと、さような方法によつたのでございます。まあ専門家筋ではそれを青葉数調査、或いは草丈調査、或いは幼穂調査、幼穂伸長状況調査等と申しますが、そういつた今日におきまして技術的に可能な方法をすべてとりまして、それから一応ほほ確実であろうと思われる値い、結果を予測いたしたのでございます。それから一番右につきましては格別御説明を申上げることもございませんが、主稈におきまする葉つぱの出方を示したものでございまして、その主稈葉数におきまする一審右の出穂期のところは、要するにこれは留葉の数を示すものでございます。例えば農林二〇号の場合を御町頂きますと、出穂期の棒の一番高い所を左のほうへずつとやつて頂きますと、十一というところに参りますが、要するに北海道の冷床栽培でございますと、昨年は十一葉で出穂した、こういうことに、留葉になつたということでございます。留葉の数等につきましては、栽培条件、気象条件によりまして、今年はまだそれがどういうふうになるか、私らとしても留葉の数を推定する段階には八月一日では参つておらないのでございます。  以上のようなことが、この表を御覧頂きます際の要点と申しますか、さようなことでございます。  それから九頁につきまして、又この表が非常に複雑でございますから、一、二補足を申上げておきまするというと、九頁の上のほうを御覧頂きますというと、これ又奇々怪々な表が出ております。九頁の一番上の真ん中ほどに書きましたのは、北海道の旭川におきます気象感応試験におきまして、先ほど怪しげな図で御説明申上げました通り、それぞれの分蘖、一次分蘖或いは二次分蘖、三次分蘖いろいろ種類がございますが、そういつたそれぞれの分けつ別に見た場合の今年の状況と昨年の状況を比較しておりまするが、それをそこに表示したつもりでございます。下のほうに一次、三次、三次と書いてございますのは、要は一次分けつ、二次分けつ、三次分けつということでございまして、それから左のほうの縦軸のほうへ二〇、四〇とございますのは、全体の茎の数を一〇〇といたしました際の一次分けつの割合、二次分けつの割合というつもりで、左のほうの縦軸にはパーセントを以て示したのでございます。一次分けつ、二次分けつ、三次分けつと、それぞれにつきまして斜線が入りましたところに、二十八、それからその右のほうへ二十九とございますのは、二十八は二十八年でございまして、右のほうの点々のほうは本年、つまり二十九年のつもりでございます。二十八年の欄を御覧願いますというと、上のほうが少しすき間があつて白くなつておりまして、その下のほうに斜線が入つておりますが、この斜線の部分はいわゆる穂になつた部分でございまして、従つて残りました白い部分は昨年分けつは見たが、無効分けつになつた、つまり穂がつかなかつた茎を示すのでございます。御覧のように、栄光につきましては、昨年の状況では一次分けつは殆んど穂になつておりますが、二次分けつは数としては一次分けつよりも多く出ましたけれども、穂の数といたしましてはずつと減つている。三次分けつは極く僅か出ておりますが、而もその中のほんの僅かだけが穂になつたという状況でございます。本年の田植後四十日百の状況をそこに点々でお示しいたしますると、一次分けつと二次分けつの状況或いは三次分けつが昨年とどういうふうな関係になつているかということがおわかり頂けるかと存じます。要は本年は田植後四十日の状況におきましては、田植後四十日と申しまするというと、この表の九頁の右下のほうへ、そういう具体的な目附を書いておきました。田植後四十日の場合は、旭川の場合は七月十一日にそれが当つておりますが、田植後暫らくの状況におきましては、三次分けつは出ておらない。三次分けつは出ておる。それから一次分けつは出ておりますが、一次、二次、三次の関係を御覧願いますというと、一次は少いには少いが、成る程度出ています。併し二次の出方が昨年に比べて少い。三次は全然出ておらない。こういう分けつの発生過程を、田植後四十日の状況において示しておつたのでございます。その後の状況をここに表示しておりませんで、甚だ恐縮でございますが、二次の増加というのが相当多いようでございます。  かようにいたしまして、光はどの青葉或いは草丈等の調査等から、それぞれ総合いたしまして推定穂数を求めたのでございます。それから又そこに温度とか、或いは気温、水温、地温というような表を掲げてございますが、これは気象台の御成績とほぼ傾向は似ておりまするけれども、こういつたそれぞれの、どういつた程度に穂になるかというような推定をいたしまする際には、もとよりの測候所の成績を取ましても、必ずしもそれがそこの田んぼの状況を反映しない場合等もございまするので、私のほうではそれぞれの試験地におきまして、固有に最高気温、或いは最低気温、その他を調べておりまして、同時に又稲の生育を判断いまします際には、本田の水温なり、或いは地温というものを承知いたしませんと、稲の推移をよく把握することができない等の関係がございまするので、本田の水温、地温等を調べているのでございます。この表は北海道の旭川の場合でございますが、これは先ほど気象台の表でも補足御説明いたしました通り、例えば最高気温の中欄の左のほうの平均最高気温状況を御覧頂きますというと、下のほうに説明を書いておきました通り、田植をいたしましてから二十日までの状況では、本年は昨年に比べましてかなり下廻つておりますが、右のほうの田植後二十一日から四十日までの平均の状況では昨年を上廻る状況でございます。これに対しまして最低気温は、その右のほうのグラフにございますように、田植後三十日までの状況は勿論下廻つておりますが、田植後二十一日から四十日までの状況につきましても昨年と同じというような状況でございまして、要するに北海道の上川平野或いは札幌方面につきましては、最高気温は或る程度いいところに行つているが、最低気温は芳ばしくないというような状況が、北海道の上川平野の本年の状況ではないかと存ずるのでございます。さような気温関係からいたしまして、下のほうの温度、或いは本田水温、或いは地温等のグラフにつきましてもほぼ似たような傾向が御覧頂けるかと存ずるのでございます。  以上八頁並びに九頁につきまして、表の約束と言いますか、見方等につきまして補足を申上げましたので、以下は別に表のそういつた点については御説明を省略いたしますが、十頁、十一頁は青森県津軽平野の真ん中にございます黒石の成績でございまして、要は真ん中の表の出穂期におきます穂数等の推定というような欄につきまして御覧頂きますというと、ほぼ昨年程度には行きはしないかという予測も立つている次第でございます。  次は十二頁に飛んで頂きますというと、これは青森県の例の太平洋岸にございます藤坂の状況でございます。藤坂の状況でございますが、遺憾ながら藤坂におきましては、真ん中の坪当茎数の表で本年の値が書いてございます。これはいろいろな方法を講じましたが、八月一日におきましては、まだ穂数の見当をつけることが技術的には全く不可能な結果に相伐つたのでございまして、これは遺憾ながら本年の穂数見通しが八月一日におきましてはできなかつたという事情によるのでございます。併し茎数の増加の状況は、この田植後二十日までの状況或いは四十日目の状況等で、昨年に比べましては非常に低く出ておりまするが、その後の分けつの状況はかなり旺盛のようでございます。従いまして、こういつた田植後四十日におきまする昨年の茎数に対しまする本年の減収の度合が、そのまま穂数の減収となるということはちよつと考えにくいのじやないか。穂数につきましては或る程度追いつくのじやないか、もう少し悪さが軽減するのではなかろうかというような感じも持つております。併し何分にもさような点を実証するには、八月一日は余りにも早や過ぎる段階であつたのでございます。  以下御説明を申上げるのも時間をとるばかりでございますが、先ほど一覧表で御覧頂きましたように、それぞれの岩手或いは宮城その他東北、北陸等の各県につきまして、その主要な試験地におきまする主要な品種につきまして表示をいたしたのでございます。なおその大要につきましては、先ほども野田部長から御説明申上げました通りの状況でございまするので、お暇の折にでも御覧を頂けば甚だ幸いだと存ずるのでございます。  ここでもう一枚実はお配りいたしましたのは、被害状況につきまして薄い報告書をお手許に差上げているのでございますが、水稲葉稲熱病被害状況、その調査範囲につきましては、先ほど部長から御説明申上げました通りでございます。その印刷物につきまして一、二補足をいたしますると、第一頁には調査いたしました結果を一応県別に要約いたしたのでございます。で、作付面積につきましては、一応参考までに昨年の作付面積を計上いたしまして、その右のほうに昭和二十九年八月一日葉いもち被害、それを三段に分けまして、被害面積、それからその被害面積が二十八年の作付面積に対する割合はどうか、それから右のほうに八月一日の状況から見たその減収は幾らになるだろうかということを表にいたしてあるのでございます。この県別一覧で御覧頂きまするというと、各県或る程度出ておりまするが、北陸筋が比較的発生被害面積といたしましては多く出ておるのでございます。なおこの調査をいたしました方法等につきまして、一、二補足をいたしまするというと、本年の「いもち」病の発生状況は、いろいろ農家のほうにおかれましても防除活動をいたされました等の関係もございますし、又気象状況等も関連いたしまして道路或いは畦畔等から一見いたしました際には、「いもち」病の発見と申しまするか、「いもち」病かどうかというような点の判定がやや不完全になる虞がございます。従いまして、私らといたしましては非常に重大関心を払われておりまする「いもち」病の被害状況調査でございますので、調査いたしまする田んぼを標本的に抽出いたしまして、その田んぼにつきましては、更に株を任意抽出いたしまして、その一つ一つの株につきましてそれぞれの葉つぱに現われておりまする病斑の状況調査いたしましたのでございます。而もその病斑を全体の葉の面積に対する割合によつて集計表示いたしまして、それからこれは被害と考えるべきであろう、或いはこれは非常に軽微であるから、発生面積ではあるけれども被害面積とは考えなくてもよかろうというように、個々の現場で判断いたしまして被害面積を確定し、病斑の密度、それから病斑の出ております葉つばの位置、病斑の進行或いは形態等の状況からいたしまして減収見込量を見込んだのでございます。さような方法によりまして調査いたしましたことを御記憶預ければ幸いでございます。なお二頁以下につきましては、それぞれの県内の地方ごとにどういう状況に相成つておるかということを示したのでございます。三頁、につきましては、御承知のように、私のほうの統計調査、事務所が北海道は札幌、北見、函館、帯広という四つの事務所に分れておりますので、便宜上さような区分によりまして、一番左に書きました。その中を札幌につきましては、石狩地方とか、空知地方とかというように、大体その中を地域によつて区分いたしたわけでございます。三頁以下は別にそういう統計調査事務所は県で二つに分れているということもございませんので、青森、岩手、宮城、秋田というようにずつと県の順序を追つておりますが、その中を更に青森でございまするというと、津幡と南部地方というように分けたのでございます。なおこの表から御覧頂きまするというと、一森の場合は右から二枚目の被害面積率を御覧頂きまするというと、南部のほうが青森、津軽に対しまして倍くらい出ておる。それから岩手の場合でございましても、北部山間でございますとか、東部山間のほうが被害面積レートが高い。それから以下北陸に参りましても、さような傾向がずつと御覧頂けるかと存ずるのでございます。要約いたしますると、先ほど部長が申上げましたように、山間地或いは山添い地方というところに葉いもち病の被害が現われているという状況でございます。それに対しまして平坦部等は比較的それよりは少いというのが稲熱病の被害状況でございます。以下五頁までさような表が相続いております。六頁以下につきましては、これはほんの御参考の意味で先ほど申上げましたように、田んぼを抽出し、それからその中から更に株を任意抽出いたしまして、それぞれの葉つぱに現われました稲熱病の病斑を調べたのでございますが、それがその中の一部の成績でございますが、そういう状況を御参考までにそこに掲げたのでございます。この表につきましては、ちよつとややこしくなつておりますが、一歩上のほうに「昭和二十九年八月一日現在葉稲熱病病斑密度別分布頻度」と書いてございまして、その中を一一%以上とか三―一〇%、〇、六―二%、こういうふうに分けてございまして、最後に〇%があつて計がございますが、これは只今も申上げましたように、葉つぱの全面積を一〇〇といたしました場合の稲熱病の出ておりまする病斑の占める面積従つてこのパーセントが高いほど病斑の密度が高いということになるわけでございます。さような目でこれを御覧頂ければと思つているのでございます。〇%というのは棄つば別に見ましても現われておらなかつたということでございますが、さようなブレードによつて示しますると、全体としてはかような病斑密度の分布を示しているというのが、先ほど申上げましたと同じような、地域別につきまして以下七頁、八頁、九頁、十頁に亘つて書いたのでございます。これはほんの御参考までに掲示いたしたのでございます。  大変どうも端折つて申上げましたが、野田部長の説明を補足いたしまして以上申上げた次第でございます。
  14. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは引続きまして病虫害防除に対する政府のとられました措置と実行状況につきまして改良局長から御説明を伺います。
  15. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) お手許にお配りしました「本年度稲熱病、三化螟虫の発生概況」というのに即してお話を申上げます。  気象概況等はお手許にお配りしておりまするし、又統計調査部のほうのお配りしたような状態でございまして、七月中の気温が非常に低く経過いたしましたので、「いもち」病のほうについて申上げますれば、全体として「いもち」病の発生面積は八月の一日から五日までに調査したもので、十日までに我々のほうに報告がありましたものは六十一万町歩というふうに低い数字になつております。これにつきましては、昨年の冷害等の実情及び「いもち」病の異常な発生等に鑑みまして、普及員等を督励いたしまして窒素肥料の手控えというものを有効にやつたという関係もございまして、農家のほうはかなりの程度窒素肥料を、前年より一割見当余計に買つているような状態でございますが、入れるほうは手控えている、これが相当関係いたしているように認めます。葉の色等を見ましても、そういう状況がよくわかるような状態でございます。当時は六十一万町歩でございましたが、昨日までの県の報告で、これがずつと殖えて参りまして、約三割強殖えまして七十四万町歩と、十日間ばかりの間に約二割ばかり殖えている、こういう状態でございます。で、二十八年度は大体百十一万町歩ばかり出ておりますので、二十八年度のような異常発生がありました昨年度に比べますれば、葉いもち病の発生面積は少いわけでございまするが、これは八月になつてからの気温の上昇と共に非常に広汎に亘つて参りまして、病斑も進行型を示しているという状態でございまして、先ほど申上げましたように、ここ十日ほどの間に約二割ばかり殖えて、七十四万町歩に昨日までの報告は殖えて来ているという状態でございます。  それから、稲の生育上から見ますると、お手許にお配りいたしましたところのこの表にございますように、非常に低温で壕照でありましたし、その関係からしても八月一日から五日現在の稲の生育状況平年比較というのがございますが、これで御覧噴けばわかりますように、草丈はこれは殆んど全国的に平均より低いという形になつております。六月、七月の低温というのが必ずしも冷害地帯だけでなくて、殆んど全国的に低温という状態が続きましたために、こういう結果になつております。けつ数につきましては、これは北海道であるとか、青森であるとかいうふうな、草丈が低いにもかかわらずけつ数まで低いという異常な冷害的な様相を示している部分もございますが、一般的に申しますと、あとの地帯についてはけつ数はむしろ殖えている、短梓多けつという一般的に冷害状態を示している状態でございます。  生育遅延日品数等におきましても、北の最もひどいところについては十日から二週間というふうなところが生育遅延という状態でございまするが、その他の地帯につきましても、数日の遅延、まあひどいところは十日に近いところもあちらこちらに出ている、こういう状態でございまして、全体としては、「いもち」病については非常に危険な状態にございます。即ち晩植と同じような結果になつているわけでありまして、「いもち」が気象の変化と共に出て参りますれば、それに対する抵抗力は非常に弱いし、非常に危険な状態にある、こういうふうな形になつております。又温度の上昇は、主として窒素肥料の吸収をよくいたしますので、稲の体内の可溶熊窒素も多くなるという関係からして、「いもち」病の抵抗性が低下するというふうなことは御存じの通りでございます。それで従来の試験成績等によりますれば、稲の生育遅延と「ほくびいもち」病の発生とは相当高い相関系数を持つておりまして、〇・八以上になつている、こういう状態でございますので、この傾向は非常に「ほくびいもち」病については憂慮すべき状態にある、こういうふうに見られるわけであります。  先月末に当委員会の御激励等もありまして、「いもち」病の防除について特別な措置をとりましたその直後に、私も北陸のほうを廻つて見ましたが、北陸の農業試験場のこの方面の専門家も、各地をずつと廻つておりますが、殆んど県下全般に亘つて病斑の面積が多い少いにかかわらず、気候の変化次第で以て「ほくびいもち」が発生するという状態は全面的に拡がつているのでございまして、先般の決定というものが、向うの地帯の主として早稲に対する「ほくびいもち」の防除上は決定的な適期に決定が行われたというような形で、農村等におきましても非常に一斉防除については一生懸命になつてつている。今までは殆んど補助金等或いは農薬費等を組まなかつたような村も、村費で以て組んで思い切つてつているという形で、かなり昨年に比べますれば「ほくびいもち」に対する防除の熱意というものは高まつているというふうに見受けられたような状態でございます。今後の葉いもち病の発生は、まだまだこれから西日本等において、先ほど申上げましたように、ここ十日で約二割ほど殖えているというような傾向がなお続くと思いますので、なお今後模様を見ないとわかりませんが、昨年程度までは行かないということでありまするが、増加の傾向はなお続くと、こう見て頂きたいと思います。なお又「ほくびいもち」病についての発生は、かなり多いのではないか、こういう推定をやつております。昨年度が大体「ほくびいもち」病については九十万九千町歩というような発生面積でございますが、現在までの発生予想に基く県の報告では九十一万九千町歩、大体昨年よりちよつとばかり「ほくびいもち」は殖えるのではないか、こういう状態で来ている、こういう見込みになつております。  二化めい虫発生状態につきまして申上げます。第一化期の発生状態は八月一日から五日までの調査に基き、十日までに集まりましたところの都道府県の報告によりますと、大体昨年が非常な異常発生年でありまして、百十万町歩でございます第一化期の発生面積を、すでに約八万町歩上廻つて百十八万町歩という数字になつております。地域的に見ますと、異常発生がありました前年に比すれば、大体瀬戸内海沿洋、九州で以て最もひどく、次に東海、近畿、それから北に行くに従つてつている。これは異常発生の前年に比べまして、平年に比べてではございませんが、そういうふうな状態で第一化期の発生報告されておるような状態でございます。第二化期の発生予想といたしましては、八月一日現在の発生予察の報告を各府県の農事試験場でやつております。その報告によりますると、第二化期の発生予想面積というのは、前年度は七十七万二千町歩でございましたが、昨日まで大体集計いたしましたところでは八十八万九千町歩、昨年を約十万町歩あまり上廻るだろうというふうに考えられております。第一化期の発生の多くございましたところの東海以西におけるところの多発がひどいのではないか、こういうふうに発生予察は上つております。本年の第一化期は非常に発蛾数が多かつたわけでありますが、五月の中旬から七月の中句にかけまして異常な低温であつたために、発蛾期間がだらだらと長引きまして、田植後の発蛾が非常に多かつたわけでります。田植後の発蛾の多いということは、第二化期の発生に相当高い相関系数を示しておりますので、第二化期のものは先ほど申上げましたように面積の予想といたしましては、異常発生のために前年を上廻るというような数字になつております。こういう状態でございます。又七月中句までの低温のために、一化期の病虫の死亡率も少いという関係からして、二化期の発生は多いだろう、こういう予想がつくわけであります。全体にいたしまして一化期は約八万町去、これはもうちよつと今後の報告で上廻つて参ると思つております。二化期の発生予想は十万町歩あまり殖える、こういうふうな見通しになつております。そういうような状態に鑑みまして、我々どもといたしましては、やはり異常発生に対しましては、とにかく特別の措置をとるのがいいと考えまして、先般から大蔵省のほうに「めい」虫及び、殊に今般参りましたところの台風によりまして、例年そうでございますが、台風の過ぎたところは非常に葉も傷みまするし、「いもち」病及び「しらはがれ」病というのが一般に激発するという危険が多いわけであります。過去においてもそういうものの激発につきましては、やはり病虫害防除というものに中心をおいておりますが、全般的に「いもち」病と、殊に三化期の二化めい虫防除という問題につきましては真剣にやつてもらうというふうなために、政府のほうにおいても特別措置をとつて、それで米作を確保するのが、現在残された唯一の有効手段だ、こういうふうに考えているような状態でございます。
  16. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは先刻御報告頂きました調査の結果に対する御質疑を併せまして、只今政府報告に基きましての御質疑、御発言を頂きます。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 改良局にお尋ねしますが、この前の閣議決定を実際に当てはめた場合に「いもち」病の農薬補助対象になる面積というものは大体どのくらいになるのですか。
  18. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 今即答いたしまする数字を持つておりませんが、この対象といたしますのは、北海道、それから東北六県、北陸四県、それから長野、山梨、十三道府県が大体全県対象になつておりました。その次に茨城県、それから栃木、群馬、埼玉、岐阜等も大体冷害激甚の虞れがある地帯として、大ざつぱに申しまして県の大体半分くらい、東によつて七割、ですから県によつて二割何分とかという違いはございますが、対象になつておりまして、大ざつぱに申しまして水田の全面積の四割見当、そう考えられます。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 町にして大体どのくらい。
  20. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 恐らく百二十万町歩をちよつと超すということになると思います。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 そういう、まあこれは最後までやつて見なければわかりませんけれども、今、後発生面積が予想よりも多い場合もあろうし、少い場合もあろうと思いますが、仮に幾らでやつても、これは閣議決定の原則というものはきちんと実行されるということなんですか。それともおおよそ金額にしてこのくらいというようなそういう枠があるのでございましようか、その点はどうなんでしようか。
  22. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) これは昨年のように十月になつてからきめるというのでは、御承知のように防除の役に立たないという関係から前以てきめよう、前以てきめる場合に額できめるか、それともやり方できめるかということで、額ではきめない、やり方できめるというふうにこの前ちよつと御説明中してあるわけですが、その通りでございまして、額の頭打ちは別にございません。面積次第で以て殖えもするし減りもするしと、こういうことになつております。額の上のほうの限度は別に何らきめておりません。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 「めい」虫のほうに「いもち」の対策を準用して行くというような問題は、まあ今のお話では大蔵省と交渉中ということでしたが、その経過と見通しはどういうことでございましようか。
  24. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その二化めい虫に及ぼすと共に、やはり気象関係で先ほど御説明申上げましたように、単に冷害激其の虞れのある東北地方に限りませんで、全体として遅植えと同じような生育状況を示しておるということがはつきりいたしておりますので、「いもち」のほうもその他の地区のほうにも及ぼしてもらいたい、こういう形で大蔵省のほうには私のほうでは申上げておるわけであります。それでやり方等につきましては、大蔵省のほうとしてはやはりその冷害と同じように、何か異常天候であるとか、或いは異常の状態であるというふうな状態が明らかにならないと出しにくい、まあ台風であるとか、その他そういうふうな、昨年もそうでございましたが、特別な事態に応ずる特別措置として考えるのでないと困るというふうな意見を持つております。それでなお話合がつかない、こういう形になつております。我々のほうといたしましては、先般も当委員会でも申上げましたように、冷害も一つの異常な条件であるけれども、本年度の「めい」虫の発生状況もやはり同じようなだらだらとした低温というようなものが結果してこういう状態になつておるわけだから、「めい」虫についても同様な措置をとつてもらいたい、全国的に同様な措置をとつてもらいたいというのが我々の主張でございますが、その点がまあ向うのほうとしてはなかなか理解しにくい、冷害のほうは或る程度理解がつくけれども、全面的な農薬補助というのを全国的にやるような結果になるのは自分らとしては面白くないと、こういうふうな意見でございまして、この点につきましては、先般申上げましたように原則論において大蔵省の意見と農林省の意見とに食い違いが幾らかあるわけでございまして、それが又問題の処理についても障害になつておると、こういう形でなお決定に至つておらない、こういう状態でございます。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 すでに今の報告でも一化期の発生面積が昨年に比べても八万町歩は上廻つておる、それから二化期のほうの発生予察がやはり十万町歩上廻つたということになれば、誰が考えたつて異常発生、まあそれに加うるに先はどおつしやいましたような、今回の台風ということになれば、もう議論の余地はないと思うのですが、何か引つかかるものが入つているのですか。
  26. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 私のほうもそういうふうな同じような意見で突つ張つておるわけでありますが、結局大蔵省のはうとしては、先ほども申上げましたように、原則論として、農薬というものは農家の自己負担で農業経営の経費の中で見るべきものだという考え方が基本にあるものでございますから、まあいろいろと理屈をつけてこちらの要求を認めないと、こういう形で経過しておる、こういう状態でございます。
  27. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 先般の「いもち」の防除に対する補正の方針が決定してから、農林省が寒冷地に対して部分的に指定したのですか、どうですか。
  28. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) この決定は冷害激甚の虞れのある地方というふうな閣議決定になつておりまして、冷害激甚の慮れのある地方というのを大蔵省のほうと協議して指定したわけでございます。県で申しますれば、先ほど申上げましたように、北海道、東北、北陸、それから長野、山梨が県全体と、それからあと茨城、群馬、栃木、埼玉及び岐阜が県の一部というふうなことを指定したわけでございます。
  29. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 その点は虞れがあるという基準がどういうところで抑えたかわかりませんが、いわゆる冷害対策冷害地として指定した所はすでに明らかなんです。中国でも岡山及び広島、山口の中国山脈の地帯は、これは冷害地としてすでに指定してある。ところがそれが先般の指定に漏れておる、どういう基準で漏れたかわからんが……。ところが最近に至つてますますそれは農民が危惧しておつた通りに「いもち」の発生が生じて来ておるというような状況なんです。だからそうなつて来ると、指定から漏れたために非常に農民防除の適期を失する、これから補助が来るのか来んのかわからんというような結果になつて来るんじやないでしようか。第二期として指定する御意思があるんですか。
  30. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 岡山、広島の山間部と申しますれば……、いわゆる冷害地の指定というのは、農林省としては別に昨年の冷害のとき以外やつておりませんので、恐らく積雪寒冷単作地方の積寒地方の指定だと思います。で、あれと同じような指定は、まあ冷害激甚の虞れのある地方というのでありますると、これはあの積寒法の指定も約一年に亘りまして、それでもんでもんで指定がきまつたというふうな形でございまして、今般の病虫害防除につきましては、決定と同時にもうできるだけ早く施行いたしませんと間に合わないという関係もございますし、それから大体積寒法のほうは大体積雪ということと、裏作が大体まあ作付率が少いというふうな点等を考えまして、それで指定は行われておるわけですが、稲の夏の期間の冷害につきましては、まあ気象台等の意見も徴しましても、大体風が偏東風になりまして、どうしても表のほうがひどくなるというふうな関係から、稲作のほうにひどく来るというふうな関係からして、いろいろ数字等も勘案いたしまして、それでまあ大蔵省のほうと協議いたしまして、急速にきめたというふうな形になつております。積寒法の地区の全体を指定するとか、どうとかいうような形で行なつておらないのであります。
  31. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは考え方の問題だと思うのですよ。積雪法、積雪寒冷地でいわゆる温度の低いところが指定に入つている、それでもんで研究した結果、これは当然であるということで、北海道及び東北と同一な温度及び積雪の量というふうなものを勘案して、同一にこれは指定したというふうに、私はこういう害虫防除の指定も消極的にやるべきものじやない、勿論起きねば助成しない、そういう状態が起きねば金を使わない、だからむしろ農林省としては、私は積極的にこういうものは指定してやるほうが当然じやないか。勿論今、江田委員の質問に対して御答弁がありましたように、積雪寒冷地のみじやない、積雪寒冷地以外でもそういう異常な状態が生じたならば、当然これは相当な助成をせねばならん。この点を早く決定して、県にそういう意向を通牒してやらなければ、やはり積雪寒冷地帯として先般決定したのは、非常に好機に、時宜を得て決定したのだから、それを早く決定せねばならん。ほかの地帯に極めて時期を失するという憂が生じて来るのではないかと思うのであります。どういう御意向なんですか。
  32. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) その点は全く同意見でございます。同じような状態が同じような地帯にも生じている場合には、できるだけ早く防除に間に合うように決定をして、農民にも防除を徹底してもらいたいというのが私どもの意見でございまして、そういう意味からいつて、大蔵省のほうには大体数字が固まりますと同時に、交渉を始めておるわけでございますが、御存じのような財政状態であるという関係からして、まだ決定に至つておらないというのは遺憾でございます。
  33. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは財政状態と言われるが、「いもち」が発生する場合、材政のことが出るのは当然ですが、財政の問題を離れて私は考えるべきものだと思う。時期を失して、各県寒冷地帯でないから補助をもらえないという考えを持つであろうと思う。ただ異常が発生しても、この点を非常に明らかにして、いつ頃そういう通牒をおやりになることができ得るか、実際先般決定した寒冷地帯に対する救済として決定した時期と、今の寒冷地を除いた「いもち」に対する全般的な時期と考えてみると、急を要すると私は考えておるのです。そういうことを言つても、特に東京から西のほうに至つては、そういう傾向が十分ある。いつ頃までにそういう、通牒を出してどういうことを決定するか、お伺いいたします。
  34. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) この区域を拡げることは農林省だけでできる措置ではございませんので、もう一つは問題といたしましては、冷害激甚地というのに限るかどうか、それで地域を拡げるかどうかという問題になりますと、そういう事態でなくなつて来ている。勿論「めい」虫のほうについても考えなければならんという状態でございまするので、今年のように異常天候が長く続きまして、殊に「めい」虫の発生が全体に多いというときに、とくしゆな県だけを取上げて、それを対象とするとか、或いは特殊な県は除くというふうな形ではなくして、もう異常発生が起つたならば、全国的に同様な基準でやつてもらいたいというのが私らの意見でございます。そういう形で大蔵省には申入れておるのであります。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 これは冷害ということが問題ではないので、冷害に伴うて「いもち」が出る。そうして農薬をそのために使わなければならん、平年よりもたくさん農薬を使わなければならんというのが問題になつて補助を出すわけです。だからして西のほうに随分「いもち」が発生し、或いは害虫が発生査する、そして例年よりも異常発生をする、非常にたくさんの農薬を使わなければならんということになると、全く同じ条件なので、それを面もあなた方の御説明によりましても、予察をみても、大変な昨年よりもなおひどいということが予想されておるのですから、私はこれはまああなたのほうは同じ意見ですけれども、論議の余地はないことと思うのでして、この点については、ただ事務折衝という形で、この前の経過からみても、なかなかけりがつかんと思うのですけれども、これは一つ委員長のほうでお考え下さつて、やはり事務折衝の段階として、事務当局だけにかれこれ言うのではなしに、農林大臣なり或いは大蔵大臣なり、双方この委員会へ来てもらつて政府の見解というものをはつきり聞くように取計らわれるよう願います。幸い先般のは時期を失しないで、ああいう対策ができましたのですが、今回のこれを拡げて行くという問題が、やはり同じように、この時期が急を告げていると思うのでして、その点一つ委員長のほうでお考え願います。
  36. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今江田委員発言に関連いたしましてお諮りをいたしたいと思いますが、先般の冷害激芸地に対する「いもち」病の防除に関する対策は十七府県を特定をして行われたのでありますが、皆様のあの委員会における受取り方はどうであつたかわかりませんが、私といたしましては、過去五カ年間の発生平均より今年の予察か上廻るということが一つの説明であつたのでありまして、そういうような条件に当てはまるという地域は必らずしも十七府県に局限されるわけではないわけです。先刻お話のような、重政委員の感覚で実は理解をしておつたのでありますが、そこに多少の行違いがございましたので、併しそのことは別といたしまして、すでに只今報告に基きましても、ひとり十七府県に限らず、本年の稲の軟弱な生育状況からいたしまして、他の地域においても相当の「いもち」病の発生が予測せられるというような状況にありますのみならず、更に今回の台風によつてそのことが一層拍車を加えて行くであろうことは想像にかたくない、更に「めい」虫の問題につきましては、あの委員会におきましても、「いもち」病に対する対策が砥用せられて行くということの御発言もあり、そういうことを希望するという委員会の趣旨も述べ、大蔵当局にも善処を要望したような経過もあり、問題は時間の滞延を許さないということでもございますので、この際政府に中入をする。特に明日は常例の閣議の日でもあると思いますので、そこで政府の方針を決定して回答を求める、これは御出席を願つて、かれこれ質疑をすべき段階の問題ではなくして、事情はよくわかつておりますから、そういうふうな取計らいをしましたらと思いまして、若しこの際中入をして明日の閣議で政府の見解を統一して、御報告を願うようなことにいたしましたほうがよろしいという御意見でありますれば、中入に関する草案を作つてありますので、お諮りをいたしたいと思いますが、只今江田委員の御発言のように、当局の出席を求めて質疑をするということに進むべきか、私の申上げましたように、もう質疑の段階ではない、事態はもうよくわかつていると思いますので、その措置についてどういうことでおやりになるか、申入をすることをどう取計らうべきかということですが、如何いたしますか。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 私は私の意見に固執するのではないのでありまして、委員長が折角名案を出して下さつたので、委員長の説に賛成いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  38. 森八三一

    委員長(森八三一君) そういたしますと、只今お諮りいたしましたように、問題は政府当局でも十分御了承のことであり、どういう施策を取進めるかという段階になつておるわけでありますので、申入をして政府の統一ある見解を報告して頂くということに取進むことにいたしまして、申入の草案につきましては朗読をして御審議を頂きたいと思います。それでは朗読いたします。    稲作病害虫防除徹底に関する申入    全国的にいもち病及びめい虫等の病害虫が異常激発の兆甚だ顕著であつて憂慮に堪えない。よろしく政府は、七月三十日閣議決定をみたいもち防除促進の措置を全国に亘つていもち病及びめい虫の防除に拡大し、これが徹底を期せられたい。    しかして右に関する政府の方針及び措置を来たる八月二十一日の当委員会に出席の上報告せられたい。    右当委員会の総意を以て申入れする。     昭和二十九年八月十九日          参議院農林委員会    国務大臣 緒方 竹虎殿    農林大臣 保利  茂殿    大蔵大臣 小笠三九郎殿   であります。以上の案文でよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと思いますので、只今問題になつておりまする「いもち」病及び「めい」虫につきましては、朗読いたしましたごとく、七月三十日に閣議決定をみた措置を全国的に拡大し、実施されたい希望を述べ、そのことに関する政府の方針及び措置を八月二十一日の委員会報告を求めるという申入をいたすことにいたします。
  40. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 「いもち」と「めい」虫だけでいいんですか。これは改良局長に承わりたいのですが、これで農林委員会が二十一二に終りますと、ちよつと間があると思うのです。それでこれから病忠虫の発生等に対して最も慎重にやらなければならないような時期に入つて来ると思います。そういうときに「いもち」、「めい」虫と限つていいかどうか、そこに等というような字を一つつけておけば、ほかのものに対しても適用できるような幅を残しておくことが必要ではないか。これは私は改良局長に判断して頂かないと、そういう必要があるかどうかわからないのですが。
  41. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 台風に伴いましての「しらはがれ」病とか、もう少し遅れまするが、うんか等は、これは異常激発しますると急速に手を打たなければならないことでございますので、「うんか」等はまだはつきりした見通しはつきませんが、やはり「うんか」なんかにつきましては、そういうような状態は九月になると思いますけれども、起れば同じようなことをやらないと稲作確保には支障が多いと思います。
  42. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではもう一遍只今宮本委員の御発言に関連いたしまして、先刻朗読いたしましたが、前半のほうには「全国的にいもち病及びめい虫等」という字が入つてつたのでありますが、最後のところに行つてつておりませんので、「全国に亘つていもち病及びめい虫等の防除に拡大し」と、ここにも「等」を入れるということで御了承頂きたいと思います。    〔「異議なし「と呼ぶ者あり〕
  43. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今朗読いたしました稲作病害虫防除徹底に関する申入は、最後のところに「等」を挿入いたしまして、申入の手続を取運ぶことにいたします。  ここで暫らく休憩いたしまして、午後は二時から再開いたしたいと思います。暫時休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十三分開会
  44. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  次に、昭和二十八年産米のバツク・ペイの問題を議題にいたします。本件につきましては、過般の当委員会会において問題となりました。又去る六月二十九日米価加審議会においても付帯決議が行われ、既定の方針に従つて速かにその実行が要望せられておるのでありますが、この際政府措置について説明を聴収いたしまして、本件の取扱いにつきまして御協議を願いたいと存じます。先ず政府説明を求めます。
  45. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 先般当委員会におきまして、この問題につきましてお話がございまして、その当時私からはいろいろ資料を調整中であるということを申上げたわけでございますが、その後六月までのパリテイが判明いたしたわけでございます。六月のパリティは一二一・六三、従いまして、去年の七月から本年の六月までの平均パリティは一一八・五五と、こういうふうになつたわけでございます。昨年の九月におきまして米価を決定をいたしました場合のパリテイは一一四・八八で、平均パリテイとの間におきまして当然バツク・ペイをする必要があるわけでございます。この点に関しましては、私のほうとして資料を整えて今大蔵当局協議中でございます。問題は、従来からいたしまするとバツク・ペィは当然に次の消費者価格に加算するという方式で処理して参つたわけでございます。今年度の諸般の事情からして、そういう点が可能かどうかという問題、然らざる場合におきましては、これを財政負担をせざるを得ないことになるわけでございまして、そういう場合におきまして財政負担を如何なる財源によつてそれを埋めて参るかというふうな問題につきまして、今いろいろ検討をし議論をしておると、こういう段階でございます。
  46. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今説明に関連いたしまして質疑をお願いいたします。
  47. 江田三郎

    江田三郎君 この問題直接じやないのですが、これと関連して来年度の、来年度と言いますか、今年度の米価の決定ということが問題になつていますが、いろいろの建前が大蔵省なり、或いは農林省のほうで言われておるようですが、大体その間の事情について御説明願いたいと思います。
  48. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 米価の問題につきましては、まだバツク・ベイが折衝の段階でございまして、本格的には折衝に入つておりません。併しいろいろ資料を作り、考え方をまとめつつあります。今年度の米価の問題につきましては、問題として大きく申しますと、相当大きな問題がいろいろ伏在いたしておるわけでございますが、先ず方式といたしまして、どういう方式をとるかという問題があるのでございます。従来通りにパリティ方式によつてやるか、或いは新らしく生産費方式に移行するか、こういう問題でございますが、我々といたしましては、生産費に移行するにいたしましても、生産費の問題といたしましては相当いろいろ検討しなければならない問題があるわけでございます。と申しますのは、従来米価審議会におきまして、価格の算定方式につきまして三方式ございましたが、まあ四方式として生産費方式が出たわけでございますが、その生産費方式自体につきましても、いろいろな考え方があろうかと思います。この点についてはもう少し専門家の検討を経なければならないのじやないかというふうに考えております。従いまして、形式といたしましては、やはり従来通りの方式を踏んで行くべきじやなかろうか、本年米価については、というふうに考えておるわけでございます。問題はやつぱりバツク・ペイと同様に、消費者価格をどの程度に上げ得るか、上げ得ないかという問題、それから財源をどこに見つけ出すかというふうな問題に大きく集約されるのじやなかろうかと思いますが、細かく申上げれば、方式論としての問題があろうかと思います。
  49. 江田三郎

    江田三郎君 だから、まあいろいろの方式があるとしても、今おつしやるように、問題は消費者米価との関係だということになると、本年のバツク・ペイについても非常な困難な事態に逢着するし、又次の米価を決定するのにも同じような問題にぶつかつて来るわけですが、そういう点、消費者米価を上げるわけには行かん、併し村政負担を殖やすわけにも行かんということになると、解決の見通しはないということになるのですが、そうして同時にそうなつて来るというと、従来の米価のきめ方というものをバツク・ペイだけについてでなしに、次の米価についてももう根本的に変えるということを意味しておるのですか、どうですか。
  50. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お話のように、消費者価格を上げられ、財政負担が上げられんとこういうふうな問題は確かにあります。そういう問題がありますが、必ずしもそれが全然我々、例えば消費者価格を上げられるとしても、財政負担が全然不可能じやないのじやなかろうかという、私たちは感じを持つておるわけであります。これは私の感じかも知れませんが、方式自体には問題は余り起らんかと思います。ただ昨年度のような、いろいろの加算の問題について議論が今後起つて来るのじやなかろうかということが価格の形式の方法論としても起る。併し最終的な問題としては、先ほど申上げましたこの生産者価格の値上りというものをどこで負担するか、こういう問題が最終的には一番大きな問題になるのじやないかと、こういうふうに考えております。
  51. 江田三郎

    江田三郎君 食管の会計で、当初まあ予算を立ててやつておられる。ところがそれを実行して行く間に売手市場から買手市場に変る。従つて輸入価格というものが米についても、麦についも当初予算とは相当変つて来て、そこに或る程度のゆとりが出て来たのじやないか、勿論黄変米のようなマイナス面もあるでしよう。それから食管の会計全体として赤字であるか、黒字であるか、その額はどうだということはありますけれども、予算を立てたときとは相当変つて来ておると思うのですが、そういう食管会計を実施するに当つて予算との違いというようなものは、これは一つの財源という考え方はできないわけですか。
  52. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 実は私自身としては、そういう予算がないとも言えんじやないかというふうに考えておると申上げたのは、只今の御指摘のような点があるからでございます。併しながら、一方の考え方としては又別の考え方があるようであります。と申しますのは、それは消費者の、端的に申しますれば輸入補給金の問題になるわけであります。そういうものの支出の用途というものが、大体消費者のために輸入価格との差を補給するものであるから、その差が縮まれば当然それは減るべきで、他に転用するのはどうかというふうな問題もあり得るかと思います。併しこれは具体的に議論はいたしておりませんが、そういう食糧特別会計全体としての問題もあります。同時に又諸種の事情によつて、当初においては使うべきものが使わなくても済むというものもあり得ると思います。
  53. 江田三郎

    江田三郎君 その内容はこれはあとで資料として頂けるでしようか。
  54. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは実は私たちそういう意味におきまして今調べおります。これは相当時間がかかる。と申しますのは、御承知のように輸入補給金の関係は清算払であり、品目別に清算して請求することこなつておりますが、昨年度のものについてもまだ全部繰入になつておりません。従つて今年度のものについて現在どの程度の実績があるか、こういうことになつておりますので、今清算中でございます。我々実はそういう面からいろいろ交渉の資料を整えておるわけであります。ちよつと今直ちにはつきりいたしておりません。
  55. 江田三郎

    江田三郎君 その概数を示されるということも何か差支えがございますか。
  56. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) もう少し時期を待つて頂きたいと思います。
  57. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は江田委員からの質問と関連して、米価の追加払の問題について前谷長官にまだ要望する段階に至つていなしかも知れませんが、是非一つ全力を挙げて全国農民要望に応えてもらいたいと思うのであります。曾つて八月の初句から兵庫岡山県等に調査出張いたしましたときにも、この問題が農家から強く要望されておるわけであります。麦価の問題につきましても、いろいろ意見がありましたが、例えばパリテイ方式によつて小麦は上つたのだ、但し昨年に比較いたしまして大麦、裸麦は値下りをする、こういうようなやり方は麦の増産を農家に強いて、農林省が非常な奨励をしておつたにもかかわらず、かような処置をすることは、額は極めて少いけれども甚だ遺憾であるというような声も間かれたわけでありますが、今食糧増産農林省にしましても、政府におきましても全力を挙げて農家に強く要求しておる時代であります。然るにかかわらず、いろいろな国内事情から、或いは国際関係からいたしまして、只今前谷長官の説明するような、何か又極めて農家といたしまして不安定な、昭和二十八年産米の追加払が未知数であるというような感じを与えておりますことは誠に残念至極に存ずるところであります。その衡に当る責任者の前谷長官としましては、ふらふら腰でなく、職を賭して、飽くまでも全国農民のために食糧増産のために強く大蔵当局なり、或いは財政当局に十分当つて頂きたいと考えるのであります。これはひとり消費者に当てるということは、現在の段階から見て甚だ我々としても不本意でございまするから、只今前谷長宮が言つたような価格差補給金のようなものによりまして、これが政治的に解決を見るということならば、我々農民も納得し、又一般消費者も納得できことだと思うのでありまするが、いずれにいたしましても、このしわ寄せを農家にして、食糧増産を強く要求をしておつた問題が何ら解決を見ない、口先の掛声だけの食糧増産いうことであつては、今後の政府の施策というものが何ら効果を発揮しないという結果にもなるわけでございますから、十分努力御尽力下さるよう、私は質問でないのでありますが、お願いをいたしまして私の質問を打切ります。
  58. 松浦定義

    松浦定義君 まあこのバツク・ペイの問題は、これは当然政府としてとらなければならん根本的な問題でありまするので、聞くところによりますと、農林省としては大体これはまあ認められておる。併し大蔵省の中に一部疑義があるというような現段階でいろいろ御折衡のようでありますが、一応今の農林省の考えとしては、まあ大体若し支払うとすれば金額にしてどのぐらいを予想されておりますか、その点一つお述べ頂きたいと思います。
  59. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 従来の計算で行きますと、石当り二百三十円くらいになります。ただ、ここには多少問題があるのであります。と申しますのは、御承知のように我々いろいろ計算上切上、切捨をやつておりますから、相当組かい問題があると思いますが、大体そういう計算方式をやつております。
  60. 松浦定義

    松浦定義君 総額は。
  61. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 総額として、財政負担の問題でございまするが、財政負担としては四十億以上になると思います。
  62. 松浦定義

    松浦定義君 そこで大蔵省がどの程度までこの点を認めるかということが問題となるのですが、実はこれが現在消費者価格に非常に影響するということでいろいろ問題になる思うのです。そこで私は実は先般農林省のほうで、本年から実施するというわけではありませんけれども、近い将来か、まあ次の食糧管理制度の改正を目途として考えておられる点について、米麦の二重価格制をとるといつたようなお考えがあるようですが、こういうような米麦の二重価格制をとるということになれば、直接消貫者と生産者という両者の関係は余り問題にならなくなる、こう思うので、こうりい点を考えて、本年度の当然支払うべきバツク・ペイに対しては、大蔵省をそういう意味で納得せしめるというような方法がないかどうか、その点について一つ御見解を承わりたいと思います。
  63. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 非常に現在の状態は、従来は我々御承知のようにだんだんに米価を自然の高さに持つて行くということで、従来統制の下におきましても、米価を生産者、消費者価格共に上げて参つたわけでございます。併しながら、本年度におきまする財政の状態、それから物価政策の状態からして、そこに一つの転換を、我々の従来の考え方からいたしますと転換が行われなければならない、こういうふうな現実にあるわけでございますが、そういう意味におきまして、生産と消費との調整ということにおきまして、二重価格制をとる、二重価格制の考え方なり、或いは又範囲という問題はいろいろ考え方があろうと思います。すでに麦につきましてはコスト価格を割つてつているということが現実でございまするし、米におきましても、昨年度におきましてはコスト価格を割つてつている、調整してやつておる。だから見方によりよすれば、これも二重価格側をとつておるということも言い得られるかと思います。問題は、それの現在の財政経済状態においてどの程度の負担に耐え得るかという全般的な問題と関連することでございまして、考え方によりますれば、本年度の麦におきましても、昨年度の麦におきましても、財政負担は必要といたしておるわけでございます。それは見方によりますれば、二重価格をとつておるとも見られまするし、昨年の米は凶作によつて特殊な事情でもございましたけれども、相当な財政負担をいたしております。そういう面から見ますれば、これは見方の問題でございますけれども、これは二重価格をとつておるとも、言い得られるわけでございます。これは現在の諸般のいろいろな財政要求の中で一定の規模の範囲内においてそれが賄えるがどうかというふうな問題とも関連するわけでございます。
  64. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、まだこの二重価格制をはつきり実施したいというような結合にはなつていないのですか。
  65. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは食糧の面からいたしますると、先ほど申上げましたように、生産者価格を高め、而も消費者の或る程度の安定を図るというふうな趣旨におきましては、そこに財政負担が必要になつて来ることは、現在の状態において消費者価格を上げ得ないという状態においては、そういうことになるわけでございます。ただそれがどの程度のものが負担し得るかどうかというふうなことになりますると、まだその点つきましては十分なる検討協議が行われておらんわけでございます。
  66. 松浦定義

    松浦定義君 私はただ本年の米価を決定する場合に、政府がやはり来年度からでも二重価格制をとるという考え方で進まれるならば、やはり来年又それに対するバツク・ペイの問題が出て来た場合に、やはり今農家もその点について或る程度の安心と言いますか、そういうふうに期待をする点が多いというふうに考えておるので、できればそういう点は我々の希望としては、そういう制度をはつきりこの際やりたいというようなことが、今言明できるならばという意味でお伺いしておるわけですが、なかなかそう簡単に御発表にならないと思いますけれども、この点は止むを得ないと思いますが、私は先般東北の調査に出ました場合にも、この追加払の点について非常に強い要求があつたわけです。と申しますのは、本年こういうような情勢で、昨年借りた営農資金ですら延納をお順いしたいというような意見がある中に、せめて早く入手できるものは追加払だというようなことで、農林省のほうでお話になつたように、大体考え方を持つておるけれども、結果は大蔵省の考え方によるのだということで、非常に農民としても、今年の米価よりも、むしろ供での点についていろいろ疑義を持つておるというようなことでありますから、是非この点一つ早く決定されたいと思うのですが、若しこれが仮に大蔵省との話合がついて決定をするということになれば、大体支払の時期というのはいつ頃になりますか。
  67. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 私といたしましては、このバツク・ペイの問題は今年度の供出割当をする前には必らずきめたい、かように考えております。従いまして、決定すれば直ちに支払を開始したい、かように考えております。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 だからさつき二百三十円ということを言われたのですが、そうすると、当然特別加算等も含んだ基本米価、基本米価に当然含んでいるのだろうと思いますが、その点は農林省としてはそうお考えになつておるのでしようか。
  69. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 農林省としては、従来はこれは江田さん御承知のように、パリテイ価格でやつております。昨年度においては従来の価格形成の方式からいたしまして、特別加算というものをつけております基本価格でございますので、我々としては筋の通つた考え方を持ちたいと思いますが、ただそこの間に殆んど差がございません。だから理論の立て方と実際それを計算したものとは殆んど違いございません。そういう意味で御了承願いたいと思います。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 特別加算というものは、これは国会できまつたということですが、併しそれを実行されるのはあなたのほうで実行されておるので、あなたのはうでどういう特別加算と意味付けておられるか、私はまだ聞いておりませんけれども、ともかくもあれも加わつたものにパリテイの差額を掛けて行く、こう了解してよろしいでしような。
  71. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) ちよつと私了解に苦しむのですが、特別加算が国会でいろいろお話になつたと言いますと、いわゆる完遂奨励金というふうなことを意味されるのでございますか、それともいわゆるパリテイ方式の修正として特別加算と申しますか、昨年でございますと、七千二百何十円に対して二百三十円のものを、これを意味するのか、ちよつとわかりかねますが。
  72. 江田三郎

    江田三郎君 だから完遂奨励金を含めたものであるか……。
  73. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 完遂奨励金は奨励金として、これは別個に考えております。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、今のあなたのほうで考えておるのはパリテイ価格に加える特別加算という意味ですか。
  75. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) さようでございます。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 そういうもので、そうしてその時期については、本年の供出割当なり米価の決定に先立つておる、従つてそれとからんでということでなしに、それだけ切離して早急に解決をつける、こういうことですか。
  77. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) そういう考えでおります。ただ時期的には或いはその間にそう時間がない場合も想像されますが、私といたしましては、本年度の米価とは関連なく交渉いたしておりますし、これは別個の問題として考えておるわけでございます。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 食糧庁長官はそう言われるのですけれども、実際にはこれを決定するのはなかなか食糧庁長官だけで決定ができないのだろうと思うのですが、委員長のほうで何か適当な扱い方をお考え願いたいと思います。
  79. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今、江田委員の御発言で、本件の取扱いにつきましては、ただ食糧庁長官の所だけで努力をされましても、その結果について非常に危ぶまれる。何か私のところで考えておるかというお話でありますが、多少案はまとめておりますが、その前に私からも一つお伺いしたいのでありますが、今までの質疑を通じまして、農林当局としては大蔵当局に十分折衝されておるが、まだ結論に至つておらない。その結論に至つておらない大蔵省の主張のその要点は一体どこにあるのか。その点をもう少しはつきりお聞かせ頂きたいと思います。
  80. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これはまあいろいろ問題があるわけでございまして、特別加算自体に、バツク・ぺイ自体につきましても、いろいろ異論があるところだと思います。その点につきましては、我々としては確信を持つてこれはその必要性というものは十分説明いたしたいと思つております。ただ、只今申上げましたように、財源等の問題で食糧特別会計の総体の収支というものを今両者で洗つております。見込みも立てております。そういう点からも問題が起つており、資料等の点におきましても、十分両者の意見の合わない点も資料的にもございます。考え方につきましもいろいろ議論はいたしておりますけれども、我々としては、この問題は当然支払うべきものとしていろいろ折衝いたしておる現段階でございまして、差当り議論に時間がかかつておりまするのは、食糧特別会計の状態につきまして、いろいろ見方の違いがございますので、そういう点も明らかにいたしたいと思います。同時に将来の損益の見込み等につきましても検討いたしたいということでございます。
  81. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今のお話で、最初にバツク・ペイをすると、そのこと自体に考え方の食い違いがあるという最初の御発言でございましたが、完全統制でやつて販売の時期を付度することができない。そうして前年九月の農業パリティ指数で計算をされておるということから行きますれば、バツク・ペイをするということに対する根本的な観念というか、考え方というものについて異論があろうはずはないと思うのでございますが、それに基本的に何か見解の相違があるということは、特別加算が行われておるとか、凶作加算が行われたとか、完遂奨励金が支給せられておるとかというようなことなどがからんでおるのかどうか。私どもの理解では、凶作加算というのはこれは全然別個のものであるし、完遂奨励金もこれはそのときの食糧情勢によつて考えなければならないもので、基本的な米価という中に入れるべき性格のものではないというように理解をしておるのですが、そういうバツク・ペイそのことに何か異論があるというのは、どういう点に異論があるのか、その点はどうなんですか。
  82. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは私から申上げるのは、或いは十分皆様にはつきり御説明申上げかねるかと思いますが、経過から私を通じて申上げますると、つまりバツク・ペイの思想というものは、農家の購入品が将来において上つた場合において、只今委員長のお話のように、米の収入というものが一定であるということで考えられておつたわけであるから、その支出増をカバーするという意味であると、従いまして、その場合におきましては、はつきり支払われた価格自体がパリテイの価格によつて支払われた場合、初めて支出品と購入口とのバランスがとれるのだ。それに行別加算でありますとか、或いは超過供出の当初に予定した以上のものが入つているとか、そういう予想しない、より以上の収入があるという場合に、それが果して当初予定……、制度の廼前といたしまして、購入品と支払われる価格との均衡をとるというパリテイの問題、それと密着いたしましたバツク・ペィというような問題との間に、条件の変更があつた場合には考え直す余地があるのじやないかというような考え方のように私はしております。この点につきましては、すでに御承知のように米価審議会の会合におきましても、大蔵当局とも先般来論議をしている次第であります。
  83. 森八三一

    委員長(森八三一君) これは食糧庁長官にお伺いしても解決のできない問題ですが、むしろ大蔵当局に聞かなければならないことで、お伺いすることが或いは筋違いになるかも知れませんが、そういうような考え方というものは、農林当局ではやはり理論的に考慮の余地があるとお考えになるのか。私どもは凶作加算金とか、完遂奨励金とか、超過供出奨励金というような姿で支給せられているものは、それはそのときの食糧事情によつて政府が行政上別個に考えて支給したものであつて、基本米価というものとは全然別のものなんで、それを今パリテイ計算でやつている、そのことに何か因縁付けるということは、米価決定の方式の恨本をみだるものであるというように考えられるのですが、何か農林当局がその主張を肯定する価格があるというようにお考えになる点があるのかないのか、そういう点はどうなんですか。
  84. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 今いろいろ議論をしているというところでございますので、批判は避けますが、私たちといたしましては、私たちの主張は、正しいと思いますから要求いたしている次第でございます。
  85. 森八三一

    委員長(森八三一君) 別段この問題につきまして御発言がありませんければ……。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつともう一つだけ質問しますが、食管の会計等をよく検討して、そこで、そこから出し得るものがあればバツク・ペイの金た出す。若しそういうところでやりくりがつかなくて、別にこの補給金でなしに、別途政府が財政負担をしなければならないようになるのなら正しい主張でもあきらめなければならん、こうお考えになつているのですか。その財源がどうあろうと、このこと自体は最後まできちりと主張しなければならないと考えているのか、それはどうなつているか。
  87. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 我々としてはバツク・ペイの問題は、新米価とは離しても早急にきめたいと思つております。従いまして、食糧特別会計の中において処理するということになりますれば、問題がスムースに早く済むのじやないか、こういう意味で検討いたしている次第であります。
  88. 江田三郎

    江田三郎君 だから、ただそれだけのことならいいのですが、原則として食糧会計の中でやつて行かなければならんということになると、次の米価決定に当つて今度はもつと大きな障害にぶつかるということになるので今おつしやつたような意味なら私も別に文句はないわけです。
  89. 松浦定義

    松浦定義君 今、長官が最後にいろいろお話になつたことで、我々は正しいことだから要求しているのだ、こういうお話ですが、併し私は政府が、農村側から言わしめれば、やはり農林省だろうと、大蔵省だろうと政府政府であつて農林省は正しいが大蔵省は正しくないという見解は私は成り立たんと思うので、そういう点を一つよく御留意されて、やはり大蔵省は正しくないのだというような私は印象を農家に与えるのじやなくて、大蔵省もやはり正しいものと認めておる。結論的に言えば農林省の案を一応大蔵省としてもその案を実現すべきであるという線で押して頂かないと、農林省だけが正しいことをやつているのだからと言つても、結果的に言つた大蔵省で潰されたら、やはり農村側から言えば二つ政府があるような形になつてはどうかと思いますので、この点を一つ今のお気持でそういう点を極力善処して頂きたい、こういうことを特に一つお願いをいたしておきます。
  90. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御注意はよく了承しますが、或いは言葉が足りなかつたかと思いますが、食糧管理を担当いたしておりまする私としては正しいと思つて交渉しておるわけでございます。御承知のように政府全体としてはいろいろな機能がございます。勿論総合されるということになりますが、私としては全力を挙げてやるつもりでおります。
  91. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど食糧庁長官の発表されたパリテイの指数ですね、それを今一度一つおつしやつて下さいませんか。
  92. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 昨年の九月に米価を決定いたします場合のパリテイは一一四・八八でございます。本年の五月は一二一・〇一ということになつてつたわけでございますが、六月のパリテイは一二一・六三というふうに上つております。従来からいわゆる六・三方式と申しまして、米価を決定いたしました三カ月前と後九カ月ということで、昨年の七月から本年の六月までの平均のパリテイをとりますると、これが一一八・五五ということになる、こういうことを御説明いたしたわけであります。
  93. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 只今長官の説明で私は二、三質問をしたいと思います。それは最近米の集荷等をめぐつて、特に新聞或いは一般の生産者の剛に非常な不安と議論が錯綜しておるわけであります。ところがそれの前提になるのはやはり米価の問題であります。ところがその米価に連なるのは昭和二十八年産の米の最後的な決定というものが、その第一前提になつておるわけであります。ところで今の長官のお話で、かなり強い決意で昭和二十九年産米価とは切離して、成るべく速かに決定したいという方針のようですが、併し一方大蔵当局では、そう簡単に農林当局の主張を容れる気配もなさそうに我々には受取れる、そこで結局最後的にはやはり大蔵省の根拠とする財政論、それから農林省がよつて立つ政策論、この二つの戦いだと私は思うのであります。ところでこれは国全体の見地からすれば、成るほど財政金融も極めて重要なエレメントでありましようが、併し昨年の集荷の情勢に鑑み、又本年の米の前途を考えると、私は何と言つても木本になるのは米の生産額そのものだと、これの生産が確保できないし、のみならず、この米価の問題をめぐつて昨年の米の供出等に対する協力或いは実際集まつている米のあの極めて難航の状況等から考えると、私は新らしい制度を採用しようとする昭和二十九年の集荷についてはより以上に困難が予想される、そういう目下の状況からすれば、これは何と言つて昭和二十八年産の米価の追加払は、法律論や或いは財政論のそういつた形式論にこだわることなしに、これは大局的の見地に立つて極めて速かに決定をして、追加払を、今、長官の言われた正しいパリテイの指数に基く計算が二百三十二円ですか、そういつた数字が明確に、これは算出確定を見たわけですから、これがはつきりすれば、これはもう日を許さずに追加払の面だけは先駆して決定をしてほしいと思うわけです。それに対して、今までのお答えで我々もその間の経緯については大体或る程度はわかりますが、併しこれはおのずからやはり時期がある、これは大体の見通しとしてはそういつた食糧政策と言うか、国の大きな基本政策の見地に立つてのこの米価の問題、それの前提をなす追加払の問題については、私は少くともここ両三日中に確定してほしいと思うのですが、その時期の見通し等について、今日までの段階からどういうふうに予測されますか、その辺を一つお聞かせを願いたいと思います。
  94. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 時期の問題で、これは予測に過ぎ参ませんが、私たちの気持といたしましては、バツク・ペイの問題は今月中に片付けたいという希望で、実は資料を整え、交渉をいたしておる次第でございます。本年度の集荷につきましては、御承知のように、八万十五日のこれは第一回集荷でございますので、全般的なはつきりした作況予測ではございませんが、これが九月上旬にわかるわけでございます。勿論本年度の集荷なり、或いは集荷に対する対策及び割当の時期等も十分に考慮に入れて、できるだけ早く決定いたしたいと考えております。
  95. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後三時十八分速記中止    ―――――・―――――    午後三時三十八分速記開始
  96. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは速記を始めて下さい。  それでは只今議題になつておりまする昭和二十九年産米追加払に関する件につきましては、只今までの質疑を通じまして、農林当局はバツク・ペイをすることが当然であるという感賞に立つて関係各省と折衝中であるということであり、それに関連いたしまして、財政上の措置についても作業中でもあるということであります。併し問題は余り日をかすわけには行ません。時間的に二十九年産米の供出の関連において急を要する問題でありますので、当委員会の意をまとめて政府に中入することにいたしたいと存じます。つきましては、それが申入の案を作りましたので朗読をいたしまして御審議を願いたいと存じます。    昭和二十八年産米価格追加払に関する申入 昭和二十八年産米価桁の追加払は既定公知の方針であるから、この方針に則り、且つ、去る六月二十九日米価審議会の答申を尊重して、昭和二十九年産米価格等の問題と切離して、速急(八月三十一日まで)実施せられたい。右委員会の総意を以て申入れする。    昭和二十九年八月十九日         参議院農林委員会   国務大臣 緒方 竹虎殿   農林大臣 保利  茂殿   大蔵大臣 小笠原三九郎殿   只今朗読いたしました申入案でよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、本件の取扱いにつきましてはさように決定をいたします。   ―――――――――――――
  98. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、食糧管理制度の件を議題に供します。  食糧対策協議会における食糧管理制度に関する答申に対する政府の方針については、去る七月二十七日の当委員会において、簡単ではありましたが、一応の説明を聞いたのであります。ところが最近本年産米管理について世上種々取沙汰されているのであり、関係者を迷わせておるようでもありますので、本日は差当り年産米管理について、政府の方針並びにこれに関連いたしまする価格等を確めることにいたしたいと存じます。なお、この機会に先般来問題になつております黄変米の問題等につきましても、その顛末について説明を聴取いたしたいと存じます。先ず最初に食糧庁長官の両件に対します説明をお願いいたします。
  99. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点の食糧管理制度の問題につきましては、先般食糧対策審議会からも御答申がございましたし、又それにつきまして衆議院の農林金員会におきましても、食糧小委員会におきまして御意見の発表があつたわけでございます。我々といたしましては、この本年度の食糧の対策につきましても、いろいろ検討いたしましたし、又これが実施に当る各府県の経済部長を招集したしまして、府県の現実から見たいろいろな意見を聴取いたしたわけでございます。本年は平年作の場合と異りまして、作柄の変動が非常に廻りやすいような状態と承知いたしております。ただ幸い八月から現在までの天候状態は順調に推移をいたして参つております。作況の点につきましては、すでに担当部長からお聞取り願つたことと思います。併し今後いろいろの変動が予想されますので、我我のほうといたしましては、その作況状態を考えなければならないということで、目下集荷の問題、本年度に対しまして如何なる態勢を以てこれに当るかというふうな点について、いろいろ検討を部内でいたしておる現状でございまして、まだそれを農林省の全体会議に持出すという段階にまで至つておらないのであります。それは同時に価格の問題につきましても、例年でございますと、大体九月中に価格を決定すると、こういうことが従来の状況であつたわけでございます。今価格につきましては、いろいろな資料を調整中というのが現実でございます。本年度におきましては、特に価格形成の問題につきましても、又消費者面につきましても、財政面につきましても、いろいろ問題が多い事情にありますので、そういう点につきましても我々は検討をいたしつつこれを取進めて参りたいということで、目下各種のデーターを備えておるというのが現在までの経緯でございます。  第二点の黄変米につきましては、御承知のように従来は黄色い米につきまして、一%以内は毎日配給してもよろしいと、こういう基準で考えておつたわけでございます。この基準に従いまして、昨年の秋から相手国に対しましても相当の時間をかけて交渉をいたしまして、黄色いものを一%以内はこちらからそれを拒絶するのだという条項も、これは国際価格にはありませんので、日本と相手国との特約、フリーな中南米その他におきましては商社との特約という形でいたした次第であります。昨年の暮に至りまして、いろいろその後の研究も進みました結果、変色していない、肉眼でも見えないものについて菌があると、こういうことがわかつたわけであります。これにつきましては、菌があるということと毒素が、毒量がどの程度あるのかという問題、それから相手国と交渉いたしますにつきましては、どの限度が大体適当であるのかどうかこういう点について、衛生方面を担当いたしております厚生省と協議をいたしておつたのでございますが、先般非常にそれが問題になりまして、以後のことは御了承のような状態でございます。我々といたしましては、更にそれを需給の面から考え合せまして、そして消費者の不安をなからしむるようにデーターを至急に関係当局より出してもらいたい。その間はできる限り需給の操作によりまして問題のないものから配給を進めて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  100. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今説明に対しまして質疑のあるかたは御発言を頂きます。
  101. 江田三郎

    江田三郎君 第一の本年度の集荷及び価格の決定の仕方についてはまだ検討中ということですが、食糧対策審議会ですか、あれは新聞の伝えるところでは普通の審議会等とは違つて政府の意思もあすには十分盛込んでおるので、相当実現の可能性の多い結論だというふうにありましたが、その点はいろいろ細かい点は検討されるとしても、大筋としてはあの答申の線でやつて行かれるのですか、それはどうなのですか。
  102. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 審議会の御答申がございましたので、これを尊重して参ることには何ら変りはありません。ただ審議会のあの答申におきまする考え方といたしましては、先ず平年作を予想し、一つのあの案をお考えになられました状態におきまする考え方には前提があつたのでございます。その前提が変更になりますと、その状態に応じて考えて行かなければならんという点があるわけでございます。もう一つは、これは政府の意思が入つてできたのだというようなお話ですが、実は最初の副総理のお話にも、又農林大臣のお話にも、実は政府当局としては考えあぐんでおるのだ、だからよろしく皆さんからいろいろ意見を出して建設的の方法をお考え願いたいということで、委員会自体としていろいろ検討されて御意見をまとめられるというふうな建前になつておりますし、先般の会長の御報告にも、それぞれ委員の間に多少意見の違いもあつたので、そこで或る程度最大公約数を求めて意見の調整を図つた。こういうふうなお話でございました。
  103. 江田三郎

    江田三郎君 我々あの答申を見ますと、相当重大な問題を含んでおると思うのです。どうもその点、もつと農林省のほうであの方針でやつて行くのだということになると、それについてお開きしなければならんのですが、それがまだ検討中ということになると、雲をつかむように、どこをつかんでいいかわからないのですが、答申案の中で、どれとどれとはあなた方のほうではよろしいと、どういう点が問題だというようにお考えになつていますか、その点までは発表できませんか。
  104. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 答申で行きますと、大きな問題として集荷問題がございまして、集荷問題につきましては、まあ将来の方法として割当制度をやめて集荷団体による予約制度をとる、本年度におきましては割当制度と集荷団体の活動を並用して行く、こういう問題が集荷の面では一番大きな面であります。それで配給の面におきましては、大体選択配給制度と言いますかの問題、あと年齢の問題とか、或いは労務加配の問題とか、三次的な問題がございます。それから価格の面におきましては生産費とパリテイ方式と両方を併せ考える、こういう意見がある。その他いろいろ食糧増産その他ありますが、食糧管理の面として端的に示されておりますのが以上の三点でございますが、第一の集荷の点につきましては、我々も是非集荷団体の活動、御協力を願いたい、かように考えておるわけでございますが、ただ御承知の考にあの当時に、いろいろ案が作られました当時におきましては、作柄の状態もわかりませんから、平年作を前提にして相当考えられておる、本年度におきましては天候で作柄が非常に変動しやすいという問題がございまするし、同時に又ああいう組織をとるにつきましては、事前に相当のいろいろの準備が要るわけでございます。そこでそういう時間的な面、こういう面を今年の特殊事情としては、我々としても具体的にこれを実施する場合には十分検討して参らなければならない、かように考えておるわけで、結論を出していないというふうな状態でございます。従いまして、集荷制度の問題に関連し、配給制度の問題はどの程度集荷をし、どの程度配給をするかという問題、これは量の問題に関係しておるわけでございます。価格の問題につきましては、我々もいろいろな面からいたしまして、一つの生産費の考え方というものがどう取入れられたか、方式として取入れられるか、それが一つの水準と申しますか、要素として取入れられるか、こういう問題があろうかと思います。その点は今検討いたしております。
  105. 江田三郎

    江田三郎君 ただ集荷のほうはなかなかきまらんということですが、配給関係というものは、今のお話では集荷の量というものが見通しがつかないときめかねるということですが、併し比較的これはきめやすいのじやないか、ただそのときにあそこへ出て来る問題は、年齢或いは地域差というものを調整するということと、労務加配の調整ということがありますが、何か説明のほうで見ますと、労務加配の調整ということは、具体的には労務加配の削減であるというように書いてあつたのですが、そういうような方向へ持つて行かれる意思があるのかどうか。最近この労働対策については、これは政府のほうでいろいろ大臣の案というようなものが新聞に発表されますが、それで行きますると、実質的には非常に労働の強化なり、或いは労働条件の劣悪化を意味していると思うのですが、それと相呼応して労務加配の調整という名による削減をなさるのかどうか、それから業務用のものについて何か別途の措置をとるように書いてありましたが、私どもあれを読んだ、素直に読んだ感じでは、闇米をなくするために業務用というものを今よりはもつと筋へ乗せた配り方をしてやるのだというように受取れましたが、そういう点についてはどうなんですか。
  106. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今の年齢差については、今どういうような段階において整理したらいいか、これは従来七段階ということで非常に手間をとつて煩雑である、もう少しこういう食糧事情の下においてはこれを大きな段階で割つたらいいじやないか、三段階説もございましたし、もつと簡単に飛んでいいじやないかという議論もあつたのであります。これは是非一つ考えたいと思います。どういう段階がいいかということを今検討しております。それから労務加配につきましては、只今江田委員からいろいろございましたが、私たちとしては労務加配の成立ちからいたしまして、従来の労務加配が成立ちました、これはたしか昭和二十二年かと思いますが、昭和二十二年のときの状態と現在の状態というのでは非常に違つております。而もあの当時におきましては、カロリー中心に考えておつたように思います。そういう面からいたしまして、現在労務加配につきまして余りにでこぼこがひどいし、同じ業種につきましても地域的の差が余りひどいというのが現実でございます。これにつきましては、もう少し合理的な意味で何か調整方法がないかということで検討いたしております。業務用米につきましては、これは一つはいろいろ考え方があるわけでございますが、我々闇の問題として、闇米価格を支配するものが相当業務用じやなかろうか、従来これに対する取締りということを一本でやつてつたわけでございますけれども、これのみを以てしてはなかなかむずかしいので、或る程度業務用米について、これは従来業務用米は昭和十七年でございましたかまでには売却をいたしておつたのです。統制の下においては……。そういうことによります経験もございますので、この点については具体的に結論を出しておりませんが、或る程度かかつてつておるが、而も闇米を牽制する方法がとれない。ただ業務用米についてはどこに売るのがいいかということの技術的な問題が非常にございますので、実は私もまだ決心をしかねておる状態であります。
  107. 江田三郎

    江田三郎君 年齢の問題はそうでございますが、地域の差の問題というのは、今までのような生産地と消費地というものをなくして一本で行くということなんですか、どうですか。それから労務加配の問題は、でこぼこがあることはおつしやる通りですが、どうもうしろのほうの説明のところを見ると、これを減らすのだということがはつきり書いてありますが、要するに狙いというのは、全体としては減らすということを狙つておるのかどうか。或いは今の総体の枠の中で調整をするということなのか、そうでなくて、絶対量を減らすということが必ず付いて来るのかどうかということで大分違つて来ると思うのです。その点と、それから業務用というのは、これはやつぱりまあいろいろ問題はありますが、そのときに売却される米というのは、内地米のことを意味しておるのですか、どうですか、その点どうですか。
  108. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点の生産地と消費地の問題でありますが、これは私は方向として漸次均衡化すべきでないかと、こう考えております。従つて本年度におきます外米の配給もそういう気持もあつたわけでありますが、ただ集荷との問題もございますしいたしまするので、急激にこれを一挙にやるということは私は困難だと思います。正直言いまして……。これを何年、均衡をどの程度の期間において図つて行くか、これは理想から言えば、現実には消費地の配給をそこまで高めるということが理想でございますが、これは現実の問題としてなかなか困難でございますので、集めた、集まり得るものをできるだけそういう気持で配給ルートに乗せない、こういうふうに思つておりますが、これを急激にやるということは、私は集荷の上においての影響が相当激しいと思いますので、急激にやるべきものじやないと思つております。それから第二点の労務加配の問題でございますが、これは消費者の配給日数とも関連して考えて行きたいと考えております。ただ従来の関係におきますると、非常にアンバランスになつておりまするので、アンバランスを是正いたしたい。ただ端的に、従来の枠内で考えて行く、この枠は、私は集荷量と同時に消費者に対する配給呂どの関連において枠を考えて行きたい。その枠の中においてできるだけ合理的にやつて行きたい。これはまあ非常にまだ私ども熟しておりませんが、併し従来のように、あれは百数十段階でございましたか、二百数十段階でございましたか、相当の段階があるわけでございます。そういう細かいことじやなくして、もう少し大ざつぱに考えたい、こういうような気持を持つて検討を命じておるわけであります。それで、それと業務用の問題でございますが、業務用の問題は、これは実は売る価格とも関連して参ることと思いますが、内地米だけという考え方ではございませんし、外米だけという考え方ではございません。まあ両方併せて考えて行つたらどうだろうか。その数量の点につきましては、集荷目標を立てて、その集荷の目標と併せて考えて行かなければならないのではないかということで、又どの程度の割合にするたいうことは、集荷見込との関係で決定いたしておらないのでございます。
  109. 江田三郎

    江田三郎君 まあ労務加配にしても、それから業務用にしても、まだコンクリートになつていないのをつか支えて我々かれこれ言つても議論にならないのですけれども、ただ、今の労務加配というのは非常に複雑であり、でこぼこがあるということで、私どもにはよくわかるのです。併しながら、あの中で一番大きい、例えば炭鉱関係ですね、それが今中小炭鉱が非常に苦しい立場になつて、九州あたりでも炭鉱がそれぞれ金券を出しておる、実際的には賃金の遅配とか、或いは欠配等も行われている、そういうときに、労務加配を一定の枠の中で調整をされるというならともかく、そうでなしに、説明書にありましたような、これを削つて行くのだということになると、これは大変な問題が起きるのじやないか、扱いようによると……。いずれ今後労働不安というものはその方面では高まつて来ると思うのですが、それに大変な拍車をかけることになりはしないか、而も一方におきまして価格の面がどうあろうと 業務用として外米だけでなしに、内地米或いは準内地米というようなものが、価格如何にかかわらず配られるということになると、一体それは何を意味するのか、成るほど今までだつて闇でそんなものは使つておるのだと言えばその通りですけれども、併し政府が扱つておる米について、片一方で労務加配のほうは減らされるのだ、そして公然とその価格如何にかかわらず、業務用に一部、どれだけの数量かわからんが、内地米なり準内地米が廻るということになると、これはよはど社会的な影響を考えないと飛んでもないことが起きはしないかということを我々は心配するわけです。それから生産地と消費地の問題につきましても、この前生産地へも外米を配られましたけれども、私どもはああいうやり方は、結局輸送貨を損しているだけじやなかろうか。鶏の餌になつてしようのが落ちじやなかろうかということを心配したわけですが、その結果はどうなつたかはつきりわかりませんが、まあそれらの点について、この答申案を実施されるということになると、よほど慎重に考えられんと、えらい思わざる問題が出て来やしないかと思うのです。それで集荷なり価格面については、これはちよつとあなた方のほうでもそう簡単にはきめかねることでしようし、今まだまだ議論する段階になつていないと思いますので、私はその点は申しませんが、とにかく用心してやつて頂きたいと思います。それからもう一つ、黄変米の措置は、新聞で我々が見るだけで、直接には当委員会として聞いておりませんが、結論は一体どうなつたのか。とにかく或る時期まで、基準がはつきりきまるまで配らんということで、結局は配ることは配るのだということなのかどうか、そういう点をこの委員会で一つはつきりお答え願いたいのと、それからそれに伴いまして、今後の需給計画というものがどうなつているのか。これは今日直ちにでなくとも、一つ資料を頂きたいと思うのでして、今後の需給計画、それから輸入計画につきましても、どこからどういう方法でやられようとするのか。例えば今日の新聞を見ましても、韓国米の問題について韓国政府の意見が出ておりましたが、一体今後日本の食糧輸入というものを、大体大きな計画ではどういう工合にされようとしておるのか。更にビルマ米なりタイ米の黄変米につきましては、いろいろ取引条件の改善ということがありますが、要するに南方米については、あの菌がつくということは避ける方法がないのかどうか、若しあるのならそれについて、幸いにビルマのほうはウ・チヨウ・ニエン氏あたりが見えているわけですから、この機会に……、ウ・チヨウ・ニエンさんの見えられておる目的は、ただ賠償問題だけでなしに、もつと広範囲のように声明では受取れるわけですが、そういう問題があるのかどうか。要するに一つは黄変米の措置、それと関連して需給計画の大綱、輸入計画の大綱というものを御説明願いたいと思います。
  110. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お断わりしておかなければなりませんことは、実は御承知のように、我々としましては、需給計画、輸入計画も米穀年度でやつておりまして、一応会計年度で立てておりますが、これはいろいろの仮定を前提としまして考えておるわけでございますので、具体的には需給計画といたしましては、本年の十一月までの需給計画が最もコンクリートな需給計画として現在作つておるわけでございます。従いまして、それについての先ず御説明をしてそれに対応いたしております輸入計画について御説明をすることが適当ではなかろうか、かように考えるわけであります。
  111. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとこれ、口で言つてもらつてもいいのですが、何か資料を出して、それで説明して頂くほうが……。
  112. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) それでは需給計画等につきましては資料によつて、八月から十一月までの状態を基礎にいたしまして資料で御説明申上げます。ただ概略申上げておきますると、当初持越しといたしまして、古米が六万一千トン、それから輸入が六万トン程度の持越しということに考えておつたわけであります。その後古米の持越しは変りませんが、輸入米につきましては、九万トン余りの持越増ということになつたわけでございます。従いまして、それだけ余裕ができて参つたということに相成ろうかと思います。それで具体的な細かいことにつきましては、資料について御説明申上げますが、そういう形におきまして、輸入米につきましては当初の予定よりも九万トン程度の余裕と申しますか、これは当初の予定も相当きついわけでございますが、当初の計画よりは余裕ができた、こういうことは言い得られると思います。それから輸入計画につきましては、現在米穀年度といたしましては殆んど買付を了しております。大体におきまして残つておりまするのは、台湾米が約三万トン程度買付の計画が残つておるわけでございます。ビルマ米につきましては、これは当初輸入を上期にやることが、黄変米を避けるゆえんであるということで、六月末までに積出をするというとで、これは完了をいたしておるわけであります。タイ米につきましては、約二万トン、これが残つております。これにつきましては目下様子を見ておるというところでございます。そのほかに約三万トン余り準内地米、これは地域を予定いたしておりませんが、今後買わなければならないものがある。こういうのが輸入計画の大要でございます。
  113. 松浦定義

    松浦定義君 食糧官理制度の中で一番農民が関心を持つのは、供出の割当をどうするかということだと思うのですが、このことについては、予約制度といつたような方針をとつておられるというようなことを聞いておるのですが、先般知事会議とか、或いは府県の民政部長会議等でのいろいろの意見を聞いてみますと、相当これに対しては反対が多いようなふうに考えておるのですが、やはり農林省としてはどうしても、そういうように府県の段階が反対であつても、これは先ほどもちよつとお話があつたように、正しいことだというような考え方で、やはり自信を以て進められるのかどうか、そういうことを一つ聞きたいのです。
  114. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) その点は我々も実は最終的には検討中でございます。ただ府県当局といたしまして、現在のやり方について、これは我々も同様でございますが、変更ある場合には、或る程度の不安を持つということ、これは当然のことであります。ただいろいろな方向なり、将来の方向、現在におきまする供出割当の事情その他の事情を考えますると、やはり我々としては、一方現状そのままということではなくて、変えるべき点は変えて行きたいというように考えておるわけでございまするので、この点は県当局も絶対的に反対ということではなくて、初めての実施の問題でございますので、非常に不安があるというふうに私は受取つたわけでございます。ただよく考えなければいかんことは、そういう制度を実施する場合におきまするいろいろな準備というものに、時間的に準備期間がなければ、そういう制度が如何によろしかろうとも、その準備期間を欠いて急速に実施するということは、これは実施を不円滑ならしめ、効果を上げない場合があるのであります。そういう点との睨み合せにおいて慎重に考えておるわけであります。
  115. 松浦定義

    松浦定義君 いろいろ御研究の結果、これがいいということになれば、府県段階としても或る程度それに対して副わざるを得ないという結果になると思うのですが、そうしますと、今の考え方としては、大体例えば二千万石なら二千万石というものを劈頭から全部一括したそういうような割当、予約ということをするというような考え方であるか、或いはそこに多少ゆとりを持たせて……、ゆとりを持たせろと言いますか、一応政府として事前にこれだけのものは割当制にする、そのほかにこの程度ば予約というような形にされるのか、こういう点はどういう方計でおられますか。
  116. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 予約制正の採用の問題は別にいたしまして、これを併用するという場合におきましては、併用でございますので、一応基本的な義務割当をする、それからそれ以上の従来考えております超過供出或いは加工数量とか、いろいろ需給の面から言つてこれだけほしいというような数字を従来基礎としてやつておる、その数量について集荷団体の協力を得て集める方法というふうに考えておりますので、木本的な割当はあるということでございます。
  117. 松浦定義

    松浦定義君 そこのところで相当府県の意見もまだ調整されないと思うのですが、そこで私は今度お聞きしたいのは、いずれにいたしましても、そういうような結果が町村段階に参つた場合には、町村の農業委員会というものが、今まで通りにいろいろそれの適正を期して、その判当に対してはいろいろ努力されるのでありますが、今度発足いたしました府検の農業会議或いは中央農業会議所というものは、全然今、までと進つた考え方で、そういう点について何と申しますか、関係を保つて行くのか、この辺はどういうふうにお考えですか。
  118. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 従来は御承知のように農業委員の意見を聞くという形で協力を願つてつたわけでございます。今度町村は別に余り変らないと思いますが、府県において農業会議、その場合におきましても、やはり従来と同じようにその方面の意見を聞いて参るということは考えなければならないのだと、かように思つております。制度的にもそういう途が開かれておるわけであります。従来と変りがないとお考えになればいいと思います。
  119. 森八三一

    委員長(森八三一君) 一、二お伺いします。そうしますと、まだ二十九年産米の集荷方式については、これだけの経過的措置があるような、割当制と予約制を併用するということも、まだ決定はしておらんというように理解していいのか、割当と予約制の併用で行くんだというように理解していいのか、どうなんですか。
  120. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) その点について実は我々当初併用して、答申もございますので、併用して参ることが妥当と思いまして、検討いたしたわけでございますが、これには時間的な関係も非常に問題でございますが、その当初の考えといたしましては、平年作ということが前提で、相当事前割当的な考え方をとつて来たわけでございますが、今年度はやはり成る程度作柄の変動の多いように承知いたしておりますので、作柄の或る純度の見通しが付かないと、割当自身が非常に困難だ、そういうような時間的な関係も十分考えてやらなければならない、こういうことで、今いずれとも決定いたしておらないというのが実態でございます。
  121. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますと、収穫量の見通しが付いた場合に、若し併用をするということになつたと仮定をしますると、その場合における予約買付と、従来の超過供出とは、どういう点が違つて来るのか、予約買付のほうには予約買付奨励金が出る、従来の超過供出は超過供出奨励金が出る、何だからよつと素人目には同じようなことになつて、言い方を変えただけではないかという感じを持つのですが、超過供出のほうもこれは強制ではないので、一種の予約のようなものだと思うのですが、そこはどういうふうに考えていいのか。
  122. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) やはり予約制度を採用するということになりますると、何らかの意味におきまして超過供出よりも優遇措置を考えなければならないと思います。この優遇措置については金額の差異を付けるのか、或いは前渡金その他の点で優遇措置を付けるのか、そういう優遇措置を付けるということは実施する場合には考えなければならないと思います。
  123. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 黄変米に関連しまして将来の輸入食糧の問題についてお伺いいたしますが、先ほど江田委員からの御質問で、需給計画の資料をお出しになるということでありますので、そのときに改めてお伺いしたいと思います。差当り今日お伺いしたいのは、衆参両院の厚生委員会においても有毒米の配給は一切中止すべきだという要望が出ておりますし、衆議院の農林委員会においても有毒米の配給は一切一定基準以上のものは中止すべきである。その他各機関も中止するように言つておりますが、厚生省、農林省はいろいろ言明はしておりますが、基準は二・五、は変えることは今はしないのだ、ぎりぎりまではしないけれども、再検討して有毒でないということになれば、成る一定基準の範囲内で配給はするが、端境には困るだろうという、どうもその辺がはつきりしない点があるのですが、そこで私は有毒と言つて国民が皆そう言つているのなら、無理にこれから再検討してもそんなに簡単にきまるものじや私はないと思う。培査試験をやれば半年かかるとか、人体試験、までには二、三年かかるというようなこと、拙き直しすればいいとか、いろいろな理屈はあるようですが、当分の聞そういうものは配給しないのだということをはつきり言明ができるかどうか、そうすれば皆安心してゆつくり再検討せられればいいのじやないかというように私は考えるのですが、その点をもう一遍お伺いしておきたいと思います。もう一点は、需給計画が出ました場合にお伺いいたしたいと思いますが、これは食糧対策協議会におきましても、輸入食糧の問題については外米の値入は一定量に限定して、不作やその他の事情によつて十五日の米の配給を維持することができないような場合でも外米は増加はしないのだ。そして麦食によつて補うのだというようなことが書いてあるのですが、将来各方面でも十五日にこだわる必要がないのではないかという論が非常に多いと思います。私はこういう点について、将来計画的に外米の輸入を減して行くような対策を計画的に立てるかどうかということと、もう一点は、ビルマと昨年長期の買付契約をしているということてございますが、これはもう三十米穀年度、三十一米穀年度は数量まできまつた。それは減すわけには行かないのかどうか、若し減すわけに行かなければ黄変米、目に見えない黄変米も混つているのだから、そういうものを輸入して来ないような確実な方法はあるのかどうか。このはつきりした点をお伺いしておきたいと思います。
  124. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 有毒米の配給は停止すべしという衆参両院の厚生委員会の御決議があつたわけでございます。実は我々といたしましては、相当許容限度、安全率を見た許容限度の範囲内においては、それは有毒でないという見解を従来から持つているわけでありますけれども、ただ御指摘のように非常に不安感があるということで、不安感を解消して、安心して食べて頂きたいということで、需給計画の許す限りにおいてはほかのものを配給して参りたい。これは従来の実験は溝口さん御承知の通り、菌を取出して、全然汚染していないものに対して法人して、それによつて試験をしておる。自然にあるものと、そこに形成された有毒物質を注入したものとの間においては、毒量について相当の差があるということは学者間にも言われておるところであります。但しそれについて、どの程度の差があるということが研究がされてない、従つて現実にある米を以て動物試験をして頂けば或る程度の結果は出るのじやないか、これはいろいろ方法論はございます。そういう点も考えまして、厚生省において何か国民が納得するような実験を、これは意職的ではなくして、無意識においてそういうものが意職を交えずしても、そういう結果が出るまでは我々としても配給等の而においても十分注意して、やつて行きたい、こういう考え方でおるわけでございまして、現在の基準というものはこれはいろいろ考えまして、厚生当局としても責任を持つてやられておるのだから私は心配はないと思つておりますが、ただその不安感を与えたという点については問題があるわけでございますから、これを如何にして解消するかという点がむしろポイントじやなかろうか。それまでは我々としても配給の面では考えなけれけいかんじやないかというふうに考えて、今具体的にどうするかという点を相談しておるのが実情でございます。第二点の輸入の点につきましては、御承知のようにこれは量の違いはございますけれども、菌の所在は全世界にあるものでございます。従いまして、どこの輸入米からも出て来るということが実際の現実でございますので、ただ買付量の多寡によつて量が違つて来ますし、又その国の気候風土等によりましても違つて参ります。従いまして、最も問題となる地域に対しては、買付方法の改善ということをどうしたらいいかということについて我々検討いたしておりまするが、これは具体的に考えて参りますると、現地で細菌検査までできるかどうか、これは技術者、設備、又相手国がそういうことを認めるかどうかという点にあると思います。それで何か簡易な方法においてそれを発見する方法がないかどうか、これを検討してもらつておるのですが、これも検討の関係が非常にむずかしい点もあるようでございますが、研究はしてもらつております。そういう形になりますると、我々としましても或る程度安心して買える地域というものを考えて参らなければいけないというふうに考える次第でございます。現在の長期契約といたしましては、ビルマに対して三カ年の長期契約をいたしております。この長期契約につきましては数量を約束いたしておるわけであります。これにつきまして、大体長期契約の期限といたしましては本年の一月から十二月までというのが第一年度になつております。第二年度は来年の一月からの年度に入るわけでありますが、これにつきましてもその規格その他についてどういう変更ができるかというふうな点について今関係省と研究をいたしておる、こういう段階でございます。タイにつきましては、これは毎年々々の通商条約できまつて参るわけであります。毎年毎年きまるわけであります。本来でありますと、本年度におきましては九月で以て第一年目の通商協定は終るわけでございますが、従来我々はタイの主要輸出物は米でございますので、九月で以てこれを決定するということは困る、だから期日といたしましても、やはり日本の米の年度に合した十一月か十三月に何か時期をずらしてくれという交渉を従来から主張いたしておるわけであります。本年度といたしましては、従来の協定を二、三カ月延して、こちらの需給計画の十分立つた時期に交渉を始めることが必要である、こういう考えを効いたしておるわけであります。
  125. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 有毒の基準については、二・五というような新らしい基準を最近出したから問題になつたので、今までのような一%以内ということでどうしてやつてつてはいけないか、そう急に二・五%を出して、今では一%にするからといつても、外米の辞退というものは非常に多くなつておるのだ、私は関連してお尋ねしておきたいのですが、新らしい三十年度の米穀年度の輸入計画についても、恐らく来年についても二十万トンくらいの外米辞退は当然出るだろう、そういうようなものを今まではさばを読んで入れておくのかどうか。先ほどお話がありましたように、十万トンくらいの持越増も出て来るというようなことは、辞退が殖えて来たからそういう場合も出て来たのじやないかというふうに考えるのでありますが、できるだけ今後の外米の輸入は減らすとい考えでぎりぎりの事業計画を立てる必要があると思うのです。そこで先ほどお伺いしましたが、ビルマについては長期契約をやつた、そして来年度もどのくらいか、数量は当然今までの規定を改訂するかどうか、数量としては入つて来る、そして現地では毒の検査をする方法が今のところはまだはつきりしないというと、わかつている有毒の外米が将来当然入つて来るようになる、これは絶対に有毒米というものは輸入を日本としてはできない情勢にあるのだということを、どルマと確実に契約の更新と言いますか、有毒米は絶対に日本は入れることはできないのだという強い方針で交渉して頂く必要があると思うのです。どうも今のお話では止むを得ない、又来年もこういう騒ぎを続けてやつて行かなければいかんということになる、私は徐々に十五日の米の配給というのは減らすか、今まで出ております衆議院の決議等によると、輸入の麦や何かで替えて行くというような方法もあると思いますが、私はなお別の機会にも農林省のお考えをお尋ねしたい、将来、外米を百十五万トン二十九年度では計画しているのですが、こういうものを計画的に減らして行くのだ、そうして百十五万トンの身代りを確実に内地米で増産をして行くというような態勢をとる必要があると思うのです。この前にも長官にもお尋ねしたことがあるのでございますが、今まで食糧増産をやりましても、そのまま増産数量が需給のベースに入つて行かない、私は百十五万トンを若し五カ年計画でこれを解消するというなら、その百十五万トンを確実に需給のベースに入るような方法を今度確立してやつて行くようにして頂きたい、例えば今の食糧増産五カ年計画はあの方針で進んで行くだろうと思います。これは非常にむずかしい問題だと私は思うのであります。それと別途に離れてでも例えば百十五万トンの外米を五カ年で減らして行くというならば補助の問題もあるし、奨励金の問題もあると思いますが、一つの例を言えば、畑地の陸稲の灌漑の施設のようなものが現在三十五、六万町歩あるそうであります。こういうものをやれば畑地の灌漑があつて陸稲をやつて、そうして一反歩二石必ず出るのだ、その施設をやる場合に条件を付けてでもやつてそのうちの或る部分は必ず外米の身代りに供出するのだというような制度を私はとる必要があるのじやないか、将来又二毛作の問題でも湿田のために二毛作ができない地帯が非常に多いのです。これらは簡単にポンプを付ける、電力の料金の補助金なり奨励金を出せば、そこで三毛作はできるというのははつきり私は工夫ができるのじやないか、そういうふうなものを需給計画と同時に、農林省として外米輸入防止に対する確実な対策というようなものをこの際立てて頂きたいということを私はお願いしたいと思いますが、食糧庁長官としてはどういうふうにお考えになるか、一遍御意見をお伺いしておきたいと思います。
  126. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点の輸入問題でございますが、お話のように、我々も輸入いたしまして何らかの方法によつて隠れた菌の所在のものを発見できる方法がないか、或いは又菌の研究によりまして、発出場所と或いは発生場所等におきまする温度、湿度の状態によつて或る程度確実である、こういうことがありませんと、実際問題として我々としては輸入できないということになりはしないかということを実は憂慮いたしております。何かの方件によつて、そういう方法が発見できないだろうかということを実はいろいろ検討いたしておるわけであります。ただ御承知のように、これは我々の問題ではございませんけれども、タイ、ビルマの貿易関係におきましては、タイにおきまして八千万ドル程度の貿易額になつておるのでありしすが、大部令の支払は米であります。ビルマも大部分のものが米の支払ということでありますが、輸出貿易との関連がありますし、日本経済全体として関連があるのであります。そういうことがあるから、そういう毒のあるものを買うとか、或いは毒のある可能性のあるものを買うという意味ではございません。そういうこともございますので、やはり何らかの方法を発覚しなければならんじやないかというふうに考えておる次第であります。それから第二点として、従いまして、そういうふうになつて参りますと、外米の輸入というものはどこからでも買うというわけには参らないかと思います。量的にも減つて参るという可能性は十分想像されます。これをどう補うかということになりますが、勿論総量としては麦で補い得ると思います。が併し、食習慣の関係、配給等の関係で内地米の集買が高まれば、それに越したことはないわけでございます。ただ従来の食糧五カ年計画におきましても、人口増とか、潰れ地とかいうものを賄つて、途中の年度おいてはそれでとんとんである、その五カ年計画自体がずれておるということで、実際問題といたしましては需要増と人口増を、当初の三年であつたかと思いますが、その程度のものでは賄い切れなくてとんとんでありまして、それ以降の年におきましては、過去の異積がたまりまして、そうして或る程度の外米の減少が考えられるということになるわけでございます。従いまして、当初の五ヶ年計画の年次におきましては、時間的な関係におきまして不足をするという問題が生じて来ると思います。その問題についてはやはり何で補つて参るかという問題、消費者の嗜好がそれに向いて参りますれば、多量の麦で以て補つて参るということが可能でございますが、これがやはり日々の生活の問題でございますので、消費者の嗜好という問題も十分考えて参らなければならん、強制的にこれを押付けるというわけには行きません。その点を考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。ただその増産計画と需給計画、つまり端的に申しますれば集荷との結付きをどうするか、これは実は我々もそうありたいと思います。これはそういう形でいろいろ過去も研究いたしておりましたが、具体的にはなかなかこれが結付き得ない、これは溝口先生もいろいろそちらの方面の専門家でいらつしやるので、こういう思慮があればということで教えて頂きたいと思いますが、我々も実はそういういろいろな増産施設が講じられることと、集荷というものとの何とか結付きができないかということをいろいろ研究したのでございますが、まだ現状の増産計画の内容においてはなかなか結付きにくい、と申しますのは、これは国営の大規模の場合におきましては、受益面積の具体的なことがわからない、あとの小規模の場合におきましては、府県の関係におきましてなかなかそれがつかめない、全体の作況との関連において具体的な増産計画、増産量と集荷量とのコネクシヨン、結付きというものが非常にむつかしい、これは研究しなければならないと思いますが、若しいいお考えがありますればお教え頂きたいと思います。
  127. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 長官の御説明はよくわかりましたが、有毒米の輸入につきまして今御説明がありましたが、これは安全感の問題もありますが、とにかくこの黄変米は有毒米なんだ、有毒米は国民の生命に関することであつて、これは貿易の問題、通商の問題、外交の問題となつて非常に複雑だと思いますが、食品を扱つておられる食糧庁長官としては、絶対に有毒米は入れるべきでないのだ、それでだんだん外米を食べないで、それは食生活を変えて麦補給する場合もあるし、内地で足りない分は米の増産で自給のベースに入つて来ると思う、こういう措置を講じて有毒米は入れないのだという固い決心を持つて頂きたい。結果においてどういうふうになるか、これはバツク・ペイの問題と同じように、覚悟だけでもそういうふうに持つて頂きたい。なお増産を需給のベースに入れることの非常にむずかしいということは、長官のお説の通り、私も長い間考えておりましたが、結局実現はできなかつたのですが、どうしても外米を入れることができない、そうして麦のほうに食生活を転換して行くというと、もう五、六年後には一月に米は十日以内、あとは麦で足して行くということになるのでしようが、少くとも一五日程度は維持をして行くくらいの内地米の増産をベースに入れることは、先ほど申しましたように、思いつきのような点もありますけれども、品質の改良等によつて一反歩の利益が一割とか、三割上つたというものを算定して、そのうちの何割かを需給のベースに入れるということは、これはなかなかできないことだと思いますが、全然新らしい問題、今まで畑作物をやつた所を陸稲をやる、そうして最近四、五年畑地灌漑が殖えて来たので、全然新らしい陸稲を植えて、それのとれた何パーセントかを一つ需給のベースに入れるようにという条件付で、補助金又は奨励金というようなものを出して行くような政策をやれば、或る程度の計画生産ができるのではないか。三毛作の場合でも新たな排水設備をやる、それには電力料がかかる、その電力料金は事変中には僅かでも奨励金を出していたことがありますが、なかなか電力料金は値上になるし、非常に農家は負担になる、そういう点についても何か食糧の関係のほうからでも、補助金のほかに奨励金でも出して、そうして増産なつた分の何パーセントかを需給のベースに条件付で入れて行くようにというような態勢を、私はこの際黄変米が非常にいい機会ではないかというので、是非農林省でそういうふうな方向に御研究をお願いしたいと考えておるのであります。農地局長ともよくお打合せの上で、そういう対策か講じられるように、黄変米の対策と同時に外米の輸入を漸次減少して行くという方向に、この機会に行つて頂きたいということをお願いしたいと思います。
  128. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 承知いたしました。
  129. 松浦定義

    松浦定義君 只今黄変米の問題で、私が聞いたことでいろいろこれは考えてもらいたいのですが、社会問題になつてから、学界ではこの点についていろいろ意見を発表されておるようですが、特に学界ではこの問題についてはいろいろ疑義かあるということ発表しておる、ところが厚生大臣は、それに対して何ら支障はないということを言つておる。先般は、聞くところによりますと、試食をするのだということを大々的に言つておるが、そのやり方やその内容は私はわかりませんが、結局ライスカレーなんかにして、全く一般の大衆と言いますか、本当にこれを受けなければならないというようなものが心えないような形にして、実際ライスカレー以上のものを食べている人は外米は受けておらないのです。そうでない人のために試験をしなければならないのを、ああいう形でやつたのは、この問題については全然間違つた試食であるということを随分我々には聞されるのです。而も片一方には、あの新聞記事は、堂々と写真をつけて出ておりますし、或る程度何かすると、二、三日すると震えが出てどうにもならない。片方は、うまいうまいと舌づつみを打つている新聞をみて、うまくうまいという厚生大臣の顔はうまそうな顔ではないと思いますが、このことは非常に私は宣伝効果というか、そういうようなことによつて政府としても何とかこの問題をやつて行こうとするのですが、結局あの試食の結果は、依然としてやはり政府としては責任を持つて、或る程度の配給はしても一向差支えないのだというような自信を固められて今後やられるのか、それとも、なおまだ研究の余地があるといつていろいろ御検討なさつた結果において、各地方における配給辞退に対しては、どういうふうな措置をされようとしておるのか、この点を一つ伺いたいと思います。
  130. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この前の厚生大臣の試食は、厚生大臣も言われておりますが、これによつてその適否をきめようということではないとはつきり言われております。ですから厚生省といたしましても、もう少し現実に即した実験と申しますか、現実にあるものを、それをパーセンテージごとにとつて検査するということによつてデーターを出して行くというようなことで、いろいろ実験をする段取りにいたしておるわけでございまして、あれによつてどうこうという考えは毛頭ございません。ただ御承知のように、お聞き願いたいと思いますことは、あれは菌自体には毒はないわけでございます。そうしてその菌の出す毒素、色素、一時は色素が毒だということも言われたのですが、仮にほかの毒がありましても、その色素の毒と両方が並行するということが言われておつたのでありますが、色が黄色くなるほど毒素の量が多いということはない。毒を注射さして、それを試験に使います場合を御覧になりますと、非常に白いです。今問題にしておりますのは、全然内地のものとは変らない、そういうものを相手に、而も今まで実験の結果というものは非常に高いパーセンテージのものでやる。これを現実のものとの関連性をどうつけるかということで、それによる安全感を得るということが最も必要であり、同時に学者のかたにも、そのデーターに基きまして確認を願うということによつて、一般消費者の不安を解消できるのじやないか。ただその結果が悪い場合には、我々としては勿論それを配給しないということは当然であると思つております。
  131. 松浦定義

    松浦定義君 動物実験の結果、万全を期して、配給するということは結構だと思いますが、それには相当期間がかかると思うのですが、すでに今お話があつたように、変色しておるものについては、或る程度お互いに関心を持ちますが、そういうものでないものに対して、そういう結果が出て来たというようなことが、すでに配給されておる中にそういう事態が出て来たということを一応今聞いておるのですが、そういう場合には、今後食糧庁としては、現在配給されておる中にすでにそういりものがあるということを聞いた場合の措置として、一応その配給を引揚げて代替をするとか、或いはそうでないものに対してはどうするとかいうような、そういうようなお考えは全然ないですか。
  132. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 私のほうといたしましては、大体そういう状態が、これはいつも動物実験でございますから、そう長い期間を要しないと思います。従いまして、その期間においては現在持つておるものの中から、菌のないものから出して行く。卸しの場合におきましても、それを取替えるというふうな措置を講ずるようにいたしております。ただ港間いろいろ伝えられまするが、先般の場合におきましても、あとでサンプルを取りに行つた場合にも、そのサンプルはなかつたとか、この間の場合におきましても、先ずちよつとわかりませんのは、普通の場合におきましては準内地米でございますと、一月に配給したものを八月に行つて食べるということは、ちよつと我々の常識では考えられないということで、いろいろ誤解があるのじやないかという気持が非常にするわけであります。
  133. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はいろいろ質疑がありましたが、只今の溝口委員発言は全く同感で、そしてこの機会に黄変米というものは、我々にも科学的にはよくわかりませんけれども、とにかく結論としては、外米を成るべく少くして、そしてこれを契機にして麦の食糧をできるだけ殖やす。それからなおこれに関連して、米に関しては国内の産米というものを極力計画的に速かなる年次において自給をするということは、恐らく年来の懸案であつたと思う。ですから衆議院では非常に詳細、具体的な決議をしておられるようでありますが、私は参議院の農林委員会としては、できればやはり国民の不安にも国会としては当然何らかの意思表示をすべきだと思う。併せて政府に対しては善意の鞭擁をして、一つには外貨も節約しなければなりますまいし、併せてこれと表裏の関係にある米の自給度を促進するということを当委員会で強く政府等に申入をするまあ一つのいい時ではないかとも考えますので、委員各位にお諮りを頂いて、若し御賛同を得られるならやつて然るべきではないかと、こう考えますが、お諮りを願います。
  134. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今飯島委員から、黄変米の問題に関連しまして、外国輸入食糧を極力減少し、国内食糧の増産によつて将来自給態勢を確立するという年来の念願を達成するために、この際当委員会として何らかの結論を得て政府に申入れ、その推進を図るというような措置をとるべきではないかというお話でございます。これはまあ当然のことであつて、御尤もなことでございまして、いずれ明後日、農林大臣の出席を求めておりますので、その際にも、これは非常に大きな問題でございますから、大臣の所信も伺つて頂きまして、そういうようなことに関連して更に協議いたしまして、適当な処置をいたしたいと思いますので、そういうようなことに取計らいたいと思います。  今日はこの程度にいたしまして散会いたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ざいませんければ、今日はこれを以て散会いたします。    午後四時五十四分散会