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1954-02-09 第19回国会 参議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月九日(火曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            東   隆君            松浦 定義君            鈴木  一君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林省農業改良    局長      塩見友之助君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農業改良    局植物防疫課長 堀  正侃君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (植物防疫に関する件)  (農林施策に関する件)  (肥料に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  保利農林大臣出席を求めておりまするが、少し遅れるようでありまするから、最初植物防疫に関する件を議題にいたします。  前回の委員会におきまして、上林委員及び河野委員の御要求によつて農業改良局長出席を求めておりまするが、後刻出席があるはずでありまするが、只今植物防疫課長が見えておりまするから、御質疑を願いたいと思います。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 改良局長に代つて一つ答弁を願いたいと思います。先ず第一点に伺いたいのは、従来農林省農村に向つてホリドール奨励普及をやつて来た、続いて噴霧器奨励もやつて来た。その結果現在どういうことになつておるかというと、すでにあなたが御承知のように、従来のホリドールは主として水液であつたわけです。従つて水液撒布噴霧器農家はそれぞれ多額の資金を投下して用意したはずなのです。私が承知しておるところでは、農家資本投下にすれば非常に莫大な数です。一台六万円、七万円というような噴霧器買つて、それぞれ現にその態勢が整つておるわけです。然るに聞くところによりますと、本年度におきましては水液を従にして粉末ホリドール主体にして行う、こういうふうなことを聞いておりますが、これが若し事実とすれば、従来の水液噴霧器買つた農家一体どうなりますか、これらに対する補償をいたしますか、そのいきさつを一つ伺いたいと思います。
  4. 堀正侃

    説明員堀正侃君) お答え申上げます。ホリドールは一般の家ではパラチオン剤という名前で呼ばれておるのでありますが、御承知のように本剤が大量に使われましたのは昭和二十八年、昨年でございます。二十七年は試験的に一万町歩或いは二万町歩つたのでありますが、最初からこのパラチオン剤は単に乳剤のみではなかつたのであります。乳剤粉剤も使われておつたのでありますが、いろいろ当初試験成績等に鑑みまして、むしろ乳剤のほうが余計使われたといつたふうな事情にあるのであります。本年の乳剤粉剤比率でございますが、勿論粉剤のみを使うという意味ではないことは御承知通りでありまするが、昨年実施いたした結果によりまして、粉剤使用による、御承知のようにパラチオン剤は非常に毒性が強いのでありますが、使用結果を検討してみますと、乳剤によつて事故を生じたものがかなりの数に達しておるのでありますが、粉剤による事故というものが殆んど出ていない。こういつたふうな事情から、各地方農家の民度とか、或いはその他の条件考え粉剤のほうがむしろ無事に使えるという場合は粉剤主体にして使うべきじやないかというふうな我々は指導的な意見を持つていたわけであります。その結果、我々が一応各府県の、これは実際の調査によらずに、各府県需要はこのくらいになりはせんかというふうに検討いたしましたときは、私どもだけの考えでは粉剤のほうが非常に多くなるんじやないかというふうに考えていたのでありますが、最近各地の実際の希望量をとつてみますと、私ども考えていたほどは粉剤が殖えて来ていないのであります。併し今も申上げましたように、粉剤が非常に毒性という点において乳剤に比べて安全であるという点と、非常に撒きやすいという点から、昨年と比べますとかなりの率で粉剤が殖えて来る、こういうふうに考えております。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 農林省粉剤を主にして水液を従にする、こういう農薬会社への生産指導、又末端農家へのそういうふうな指導方針を立てたのじやありませんか。どこまでも農家希望によつて水液がほしければ水液が十分に事欠かないように、農家希望によるところの農薬会社製造のほうの指導をされて来たのですか、その点を伺いたい。
  6. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 先ほども申上げましたように、勿論農家需要ということを我々は承知しておるのでありますが、事故防止という観点から、やはり成るべくできるだけ安全なものを使いたいというふうな気持もありますので、都道府県指導普及組織網と一緒になりまして、できるならば許す限りやはり安全な薬を使うべきじやないかというふうな指導はいたしております。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 おかしいじやないですか、安全とか不安全とか言つて……。もともとホリドールは害があるということはわかつておる。その薬を使わすために改良局があり、各府県普及員がいて普及指導をやつておるのじやないのですか。その方面に本年度も苦しい予算の中から莫大な予算を組んでいるんじやないですか。その指導よろしきを得ているところはまだ何も事故がないじやないですか。でありまするから、私は重ねて伺いますが、あなたのほうの意思によつて粉末を主にして行くのですか、農家意思ではなくて、あなたのほうの意思粉末を主にして水液を従にして行くのですか。その結果、冒頭に申上げましたように、一体水液を撒布して来た農家、これらが持つておるところの噴霧器というものは一体どうなりますか、使い途がなくなるじやないですか。私はそれらの噴霧器を用意して、現にあなたが今おつしやるように、二十八年度は相当有効な防疫目的を果した。続いて非常にいい薬だから二十九年度もあれで行くのだという、そういう方針を立てておる農家に、水液は欲しくも粉末でなければないというような、農家が欲しくも買えないような形にしてもなお且つ粉末を主にして指導して行くのですか、これを私は伺つておる。若しあなたが危険その他の関係から、粉末を主にして行くのだ、本年は農家は必ずしも水液を欲しくても水液はそう市場に自由に出廻らない、従つて気の毒だが、それらの噴霧器を手に入れた人は噴霧器は用をなさなくなるかも知れない、こういうようなことなんですが、それならそれで噴霧器買つた農家には補償一体どうするか、これですよ、私が伺つておるのは……。
  8. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 先ほど申上げましたように、乳剤の十分な扱い方を知つておりますと事故心配がないのでありますが、可能性という点においては乳剤のほうが粉剤よりも危険性が高い、こういうことになつております。従つて何回も申しますように、その地方農家事情等に応じて十分に乳剤を使いこなせるというような場合には、でき得る限り粉剤使用指導するというように私ども指導方針をとつております。従つて農家需要乳剤に対してあるのに粉剤を押しつけるというような気持は全然ないのでありまして、只今ブロツク会議で以て全国の病虫害担当者会議を開いておりますが、その場合に、実際に上つて来る数量によつて今後の生産指導して参りたいと、こういうふうに考えております。それから撒粉器噴霧器関係でありますが、現在撒粉器が非常に防除に能率的である、非常に簡単に短時間に防除ができる、適期防除ができて防除効果も上つて来るというような意味において、かなり撒粉器がもてはやされておる点もあるのでありますが、併し又農薬種類によりましては、まだ粉剤で以て十分解決し得ないものもございます。又作物種類によりましては、これは噴霧器でなければ工合が悪い。噴霧器液剤を撒かなければ工合の悪い作物もありまするし、又地域的な状況で、つまり極く小さな田圃であるというような場合には液剤のほうが都合がよいような場合もございます。そういつたふうな工合で以て、現在止むを得ず我々といたしましては液剤に対する噴霧器及び粉剤に対する撒粉器の両建の指導方針をとつておるような事情であります。先にも申しましたように、我々は農家需要如何にかかわらず生産を強行するというふうな考えは毛頭持つておりません。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 昨年度は大体私が承知しておる範囲では、粉剤が四で水液が六くらいの比率であなたのほうは指導して来たと思う。ところが二十九年度においては、逆に水液が四で粉剤が六くらいの割で指導をしておられるように聞いておりますが、これは事実じやないですか。事実とすれば如何なる根拠によつてそういうことをやつておられるのか。
  10. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 御指摘通り昨年の使用量乳剤のほうが粉剤より多かつたのであります。我々といたしましては、先ほども申しましたように、安全性という点から、或いは粉剤が今年需要が延びるのではないかというふうな点も考え、又最近他の殺菌剤等に対しましても粉剤使用する量が非常に多くなつて来ております。例を挙げてみますると、昨年のごときは「いもち」病に対する水銀乳剤使用及び「うんか」に対するBHC、それから今申上げておりまするパラチオン粉剤というようなものを総合いたしますと、大体四万三千三百七十トンというような多量の粉剤が使われております。従つてかなり撒粉器普及も見ておるのであります。そういつたふうな関係から、私ども当初実際の需要によらずして我々が見込を付けたときは、或いは逆にパラチオン粉剤のほうが多くなつて行くのではないかというふうな考え方から、一応生産業者なりと打合せをしたのでありますが、先ほども申上げておりますように、実際の需要をとつてみますると、必ずしも我々が考えたほど粉剤が伸びていないという実情でありますので、これは当然是正して行くべきものである。こういうふうに考えております。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 農林省指導機関ですよ。あなたのおつしやるように初めから粉剤効果もあるし、水液よりも粉剤のほうがいいとなつたら、なぜ昨年からもつとその方針を徹底させないのですか。三年、五年の間にそういう変化が徐々に起るなら私は何とも言わない。僅か一年の間に昨年は粉剤が四であつて水液が六である。二十九年度は逆になつて水液が四で以て粉剤が六になる。その結果一体どうなります。農機具会社は儲けるだけではないですか、私は疑いを持つておる。こういうふうな僅か一年の間に大きな指導方針が変るということは、その蔭に農薬会社の暗躍なり、農機具会社の暗躍がある。最近のこの政界の腐敗堕落から見て、私はそこに思いを及ぼすのであります。一体今あなたのおつしやることは、一応経験に徴して粉剤がいいということについて私は認めます。併し僅かこの一年の間にそういうふうな大変化が起つた場合に、先ほどからたびたび申上げますように、六万、七万というのは農家にしちや莫大な金ですよ。六万、七万という金を出して昨年噴霧器買つた。それを本年は使えない。使おうと思つても、水液を買おうと思つて水液はないんだということで噴霧器買つたならば、使うという人には事欠かないように必らず水液のほうも保証しますと、こういう言明なら私はいいんだ。そういう言明できますか、それなら私は何も言わない。ところがそういう言明はできないでしよう。今あなたのほうで少し前に水液が四、粉末が六になつたら又そういう指導もしてやろうという御意見つた。そうだとすれば、ここに相当莫大な噴霧器の無駄ができちやうのではないですか、これで一体農家はどうなるんですか。だから私はくどく申上げます。この噴霧器買つて本年の防疫水液のこれこれでやるのだ。こういうことでちやんときめておる農家に対して、水液に事欠かないように責任を持てますか、持つて頂けばそれでいい。その点はつきりしてもらいたい。
  12. 堀正侃

    説明員堀正侃君) パラチオン剤粉剤乳剤の問題は、最初乳剤が我が国において試験をされた結果、乳剤指導をやつたということもございましようし、又技術的に見まして、二化めい虫の第二化期防除を徹底すれば殆んど防除効果を挙げ得るという我々は一つ見通しを持つてつたのであります。ところが第一化期防除粉剤によるよりも液剤によるほうが極めて経済的でありますし、効果の点においても優れておるのでございます。ところが昨年、或いは一昨年の試験の結果もありますが、実施した結果によりますと、一化期のみの防除では十分に目的を達しない場合も出て来るのであります。そういつた場合はやはり二化期において防除をしなければならん。その場合は勿論乳剤も使いますし、効果もあるのでありますが、粉剤のほうが使いやすいというふうな条件もございます。それに加えて先ほど言いましたように、撒粉器普及というような問題から粉剤に対する希望かなり出ておりますので、我々といたしましては、粉剤乳剤比率を、粉剤にやや重きを置くような考え方をしたのであります。それかと言つて計画乳剤の絶対量が昨年よりも少くなつてしまうというのではないのでございまして、昨年は大体原体で三百四十トン程度原体であつたかのものに対しまして、今年の計画は四百、或いは数字が少し間違つておるかも知れませんが、四百三十トン程度計画で、量的にはかなり殖えております。従つて比率の点において乳剤粉剤よりも若干上りましても、乳剤製造量が昨年よりも非常に少くなつて、折角ある噴霧器をまるで遊ばしてしまうというふうなことはあり得ないというふうに考えております。私今申上げておりまする数量は、現在パラチオン国内生産全体の製造量国内生産だけで十分に間に合つていないのでありまして、今年の見通しでありますと、大体国内生産で半分ぐらい賄い、あと半分ぐらいはやはり外国から輸入をしなければならんというふうな状態でございます。従つて我々の計画しておりまする量が完全に国内生産され、そして又輸入もスムーズに行くということでございますれば、今御指摘のように、乳剤を欲しくても買えなくて噴霧器を遊ばせるというようなことはないかと私は考えて、その点は責任を持つことができると思います。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 それは比率の問題ではなくて絶対量が殖えているからである。絶対量が殖えておるというのは当り前でしよう。毎年同じ程度農薬を使つたんでは防疫効果なんか果せるわけはない。政府は大きな予算まで組んで防除を助成して、そうして農薬を使え使えと奨励しているから絶対量が殖えるのは当り前だ。私はつきり申上げたいのは、水液希望する農家が、粉末ならありますけれども水液はございませんというようなことにならないようにしてもらいたいのだが、それについてあなたは確信があるかどうかということを聞いておる。これははつきりここで聞きたい。末端のほうに行きますとあるとおつしやるけれども、今年は水液は駄目だそうだということが、農林省から県を通じて誰がどう言うたか知らんけれども農家を非常に心配さしておる。今あなたのここで御説明する程度のことが農家にわかつておればまだいい。そうでない、今年は水液は駄目だそうだ、全部粉末になるそうだ、而もそれについては厚生省農林省にやかましく注文を付けて、厚生省の圧力で農林省改良局指導がそうなつたそうだ、そういうことを言つておる。でありますから、この際はつきりとお答え願いたい。もう一つ伺いたいのは、例の農薬予備貯蔵がたくさんあります。予備貯蔵の場合に水液粉末とどちらが貯蔵については簡単であり、而も品質の保全というものはどちらのほうが便利ですか、これを伺いたい。
  14. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 末端農家需要を完全に満たし得るかどうかという問題でありますが、大体現在の国内生産状況から、それからすでにもう入つて来ようとしておる輸入の額から見まして、私は相当大きな不足を生ずるような事態はないというように私は確信いたしております。ただ御承知のように、今年は農薬に対する補助金が大幅になくなつてしまつたような関係もございまして、従来のように農薬計画的な早期購入ができるか、できないかという問題があります。地方によりましては、十分に購入費用を持つて早期手当ができると思うのですが、他の地方におきましては、或いは購入費関係というような点から早期手当ができないので、そうしたときにたまたま異常発生を生じて全体的に農薬不足を来たすというような事態になりますと、そういつたような影響から、或いは昨年のように不足を生ずるということがあるかも知れませんが、先ず普通の発生状態であつて計画的に早期手当を十分しておりますれば、全く農薬に対しまして手に入らんというふうな事態を生ずることはないというように私は確信いたしております。厚生省との関係につきましては、今我々目下折衝中でございまして、実際にこの農薬使用するのに農家不便のかからんように、たとえ若干の制限をいたしましても、著るしく不便のかかることのないように今我々折衝いたしております。それから備蓄の問題でございますが、これは成分そのものの性質から申しますと、乳剤液剤も一年や一年半くらいのところでは効果に大きな影響はない、こういうふうに考えております。ただ粉剤製造に、いわゆるホーミユレーシヨンに或いは増量剤を加えて製品にしますのに若干の手数がかかるので、現在一部原体貯蔵しておいて、異常発生時にこれを製造して出すのでは間に合わないというような問題、これは液剤でもやはり同じような問題があると思いますが、そういうような関係から、粉剤にいたしましても、液剤にいたしましても、相当量を製剤として用い、一部を原体として備蓄をして行くというような方針をとつております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 ついでに今あなたから農薬補助金の話が出ましたから、私ちよつと意見を附加えて申しますと、農薬補助金が削られたことは非常にあなたは遺憾と、こう言われた。私も必ずしも補助金を削ることはいいとは言いませんけれども、現在の実際の農薬補助金というものは末端においてどういうふうに処理されているか御存じですか、これはでたらめですよ、大部分が……。この前の委員会で申上げたが、あなたにお目にかかれなかつたのでありますが、あなたに私参考に申上げておくが、本年の春になつて末端町村農薬補助金が漸く届いておる。それを今町村はどういうふうに分けておるか。全部とは申しません。大多数の町村は自分らの農家戸数に応じて、二一天作の五で補助金を分けておる。これを私は断言します。あなたのほうでは、そういうような意図を以て補助金を出しておらんはずだ。そういうような農薬補助金をめぐつて不始末、だらしなさがあるわけです。この現状を、農薬の先ず補助金を殖やしてもらいたいというならば、現在までの農薬末端へ届くまでの経路において、どういうような事務処理が行われておるか、これを検討されて、これを如何に改善するかという改善方法がなければ駄目です。何かこれについて、農薬補助金をもつと補助金の趣旨に徹して、個々の農家に完全に届くように何か方策をお持ちになつておりますか、この具体策を伺いたい。
  16. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 昨年の稲作における農薬使用量は、大体我々の推定で稲だけで八十億ということになつております。それに対しまして、農林省の当初から計上されておりました農薬補助額は約十一億五千万円でございました。それに対して、あと補正予算等によつて追加された額を加えますと、農薬だけで約二十一億、こういうことになります。それにいたしましても全体の稲に対する農家農薬使用量から申しますと、約四分の一ぐらいの補助金額でございました。で、従来の病害虫防除が御承知のように果樹、蔬菜から始まりまして、稲作に移つて来たのでありますが、稲作に移りました当座は、往々にしてその防除個人防除でありましたために、農薬の分配という点につきましても、これは非常に理想的に行かない点もあつたのでございますが、最近は御承知のように病害虫防除効果を挙げるためには必然的に共同集団防除をしなければならないという一つ性格を持つておる、公共的な性格を持つておるという点からいたしまして、各部落なり、町村における防除が非常に共同、集団化いたして来ております。それで昭和二十六年に、私ども農薬補助金が間違いなく病害虫防除に使えるように、それから一方においては、先ほど私が申しましたように、農薬計画的な購入をされるようにという主な目的といたしまして、二十六年に次官通牒を出しまして、でき得る限り国の助成額に応じて県段階、それは直接県とは申しませんが、県段階で半額の費用を以て農薬一括購入をして、それが間違いなく末端農家にまで現物で渡つて行くようにというような指導をいたしましたのも、やはり補助金が間違わずに流れるようにという我々の考え方からであつたのであります。最近農薬補助金につきまして、或いは御指摘のように担当者の十分の指導なくして、思わしくない使い方をしておる場面もあるのではないかと思うのでありますが、大体におきましては、協同組合なりその他の団体の立替えた農薬費に対して国の補助金でその一部を埋め合わせて行く、補充をして行くというような恰好になつておるのではないかというふうに、我々は各府県病害虫担当者指導し、或いは折衝する段階において承知いたしております。そういうふうな関係にあるので、ここのところいろいろ御指摘のようなまだまずい点があるかと思うのでございますが、何分今申しましたように、農薬費の四分の一なり、五分の一しか出ない補助金でございますので、これが間違つて多く他に使われて行くというような事態は、だんだん改良されて行くのじやないか、こういうふうに私考えております。なお御指摘の点につきましては、我々できるだけ十分に調査をいたして指導徹底いたしたい、こういうふうに考えております。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 私は局長が見えましたから、局長から御答弁頂きたい。今局長課長の御答弁をお聞きになつたでしようが、だんだんと改良されて行くだろう、国民の、税金を納める側から言つて補助金その他国の予算が乱雑に使用されているのを目の前に見ておつて、だんだんと改良されて行きますということでは納税者はこれで納得しますか、私はあえて申します。今度の農林予算が大蔵省からずたずたに削られたのは私は一番の責任農林省だと思う。そういう欠陥を指摘されるような弱身を持つているから濫給だと言われるわけです。特に農林省補助金は非常に濫給だと、こういうわけです。全部とは言いませんけれども、そういうふうないろいろな濫給をして指摘されるようなところがあるから、これは農林省が私は第一に責任を持たなければならん。その農林省責任というのは、特に農村団体指導が悪いからだ。農村のボスに対する厳格な態度というものが欠けているからだ。監査監督指導が欠けているからだ。私は文句ばかり言いますが、局長が見えましたから、局長一つ御礼を申上げます。今度の農林省予算の中で、本当の本来の使命に徹して研究費指導費調査費、これが殖えましたことについては、私は改良局長の非常な御努力があつたと思う。これは私は非常に美しい予算編成の姿だと思う。これに対しては敬意を表しますが、同時にこの予算の執行に当つて、今私は農薬の例を申上げましたが、農薬補助金を削られたわけですよ。重ねてもう一度申上げます。本年の春になつてから、町村に漸く農薬補助金が廻つてつた町村の役場の大多数がどういうふうにして分けているか、皆戸数割か作付割合なんかで、二一天作の五で、農薬補助金を分けている。これが実情です。一体そういうふうなことで補助金を出しているわけではないのでありますから、農薬々々とおつしやいますけれども補助金々々々とおつしやいますけれども、その補助金は少ないながらも如何に農林省の趣旨に徹底するように使われているか、使われておらなければ、どうしたら使われるかという具体案を持たなければ、本当に私は強い予算の要求はできないと思う。ところが末端の実情において、私は少しく認識が欠けているのじやないか。同時に今のお話のように、そのうちにそのうちにと……、実はよく冗談に言う、今に、今にと言いながら死んじやつた人がある。死なないうちに直さなければいかん。こういう意味におきまして私は改良局長に御意見を伺いたい。同時に私は時間の関係上申しますが、改良局長として、もう一つあなたの御見解を伺いたいのだが、最近第二回のアメリカ派遣の農村青年が帰つて来た。この報告を聞きますと、向うに行つて調査の結果、いろいろな報告を受けましたが、農機具関係のことで、こういうことを私は聞いている。アメリカの農機具では一つ目的だけにしか使えない農機具は一つもない。一番多いのは一つの機械でそれぞれパイプなり附属品の付替えによつて二十種類の用途を持つようなものができている。少なくとも五種類、七種類というものは、皆それぞれ使えるようになつている。これがアメリカの農機具である。アメリカだけじやなく、外国の農機具は皆そうでしよう。然るに日本の農機具は、殆んど使用目的一つ以外に二つと使えるものはない。こういうことなんです。これは非常に農家の経済には大きな問題です。その結果農家には非常に大きなマイナスであつて農機具屋には非常にプラスなんです。一種類ごとにそれぞれ農機具を作つて売る。農機具屋は繁昌しますよ。こういう農機具の改良につきまして、該博な知識を持つている改良局長は当然何か御意見があると思う。日本の農機具の今後あなたが指導される方向というものはどういう方向であるか。農家の経済から見てどういうふうな方向に指導したらいいか、こういう点について一つ意見を伺いたいと、こう思います。
  18. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 途中から参りましてですが、只今河野委員からの御質問の点、病虫害の防除費が非常に末端において適正に使用されてないというふうな問題につきましては、我々も非常に前から危惧をしておつたわけでありまするが、私として考えまするのは、やはり病虫害の防除のその補助というふうなものが行われるならば、一番大事なのはやはり病虫害が発生したときに適期に、使用方法も十分技術的に見て間違いないような方法で使われるように前以て準備されているということが一番大事なんではないかと、こう考えているわけです。それで従前においては大体前以て農林省のほうで予算が確保されておりまして、それを府県或いは防除団体のほうに補助をしておりまして、それによつてその病虫害の発生の模様に応じて、県が適期に適当な使用方法を以て病虫害を防除するように指導して行けるというふうな形が最も望ましいわけなのでございます。ところが昨年におきましては、その経費の倍に近い額というふうなものが予備費を以て、まあ昨年は特に病虫害の発生状態が甚しかつたためではございますが、全部予備費で以て仕事が終つてから後に補助される、こういう形態をとつたわけなんであります。そうすると、どうしても使う前からこれだけの農薬を補助してもらえるのだかう、こういうふうな計画を以て使用したらどうかというふうな県のほうの指導が徹底できませんし、又その行つたあとはすでにもう農薬は使つてしまつて防除も済んでいるわけでありますから、その金を一体どう使うかというと、きつちり計算ができておつたような町村等においては、従来立替えておつた金のほうへ充当するとか、或いはそれがもう充当する必要がないように農民のほうで負担しているから、それでは次の農薬を買おうかとか、或いは又農機具の整備のほうに使おうかという、そういうふうな形で以て、本来補助金を出した目的とはどうしても違つた形に行くのがなかなか抑え切れないわけなんです。時間の関係から言つて……。我々のほうとしては、最も希望するのはやはり病虫害の発生状態が甚しいという予測がかなり前に付きまするから、それが付きましたらば県のほうで適切な指導をやつて、それでそれに必要な補助ができるという方法でございます。で、昨年などもやはり七月に西日本の水害が終りました直後に東北を集めまして、場長、部長を集めまして、それで冷害の問題を打合して、そのときにも植物防疫のほうの関係のほうの準備はいいか、冷害と同時に「いもち」は必ず来るのだからというのを打合せをやりましたわけですけれども、各府県場長のほうも、改良課長のほうもすべて言いますのは、もうそれは危険ではあるけれども、やはり政府のほうの補助金のまあ当てがないと、県のほうとしてはなかなか適期に準備して、それで防除を間違いない方法でやれるような指導がなかなかできないというふうなことを言われましたのですけれども、その当時の予算というのは大体内示済でございまするし、それだけでは到底あれだけ大きい「いもち」の状態を救い得ないというようなふうな関係からして、まあどのくらいのものがあとからとれるかわからないけれども、或る程度のものは非常な異常発生ならば予備費その他で以て出るだろうから、大体の腹組みを持つて県としては県のほうで以て、とにかく農民が必要と思うようなものは必要な時期に適期に補助するように指導をしてくれという以上には言い得なかつたわけです。それでその結果、あとから追つかけて補助金がもう事が済んでしまつてから行くというようなふうな関係からして、その使い方その他については末端の各種の事情によつて今いろいろ御指摘のありました通りに、その当初の目的なりから食違つたような方向へも使われるような形になつたわけであります。それで一番大きい問題としましては、やはりどうしても植物防疫に必要な農薬補助金というふうなものは、やはり発生する前に或る程度のものが確保されておつて府県にも大体内示されておつて、それが最も有効に、それは倍以上有効に使えるとなつたならば適期にやれまするし、それから使用方法についても相当な指導ができまするが、どうしてもあとから追つかけるというふうな形になりますると、農民が十分な指導と、その発生予察による適期というようなものに必ずしも従わないで、勝手勝手の方法でやつてしまう。あとからそれを穴埋めするような形で補助金が流れて行く、こういうふうな形ではどうしても効果は半減されるわけで、これは御指摘通りに国民の非常な負担の下で与えられたところの補助金というふうなものの使用方法としては必ずしも適切じやない、こう考えられるわけで、我々のほうとしては、どうしてもできるだけ先にこの補助金のほうをはつきりともらつておいて、県のほうに内示したい、こういう意欲は強いわけで、大蔵省にも再三それは言うわけですけれども、なかなかそれが認められない、こういうふうな形になつておるわけでございます。そのほかにも確かにそれは現在完全な自治体になつておるという関係もございましようし、十分府県その他に対する監督等も至らない点が多々ございまして、それで補助金というものが必ずしも当初の目的通り、又当初説明された通りに、有効な方法で以て能率よく使われておるというふうなことは必ずしも言えないわけでございまして、それは本当に国民の税によつて賄われているものであるから、最も有効に使われるというふうなことを、個々の補助金の使い方についていろいろ検討はしておるわけですけれどもかなりむずかしい問題がたくさんございます。特に病虫害等の問題につきましては、第一の問題は、どうしてもやはり使つてしまつてから、あとから補助金が追つかけて行くというふうな形態のものは効果は半減される、御指摘のような結果を生みやすいので、できるだけそういうふうな形の補助金ならば半分の額でもいいから前にもらいたいのだというふうな考え方が強いわけでございます。それでそういうふうな点も、ほかのほうの補助金に対しても、いろいろそういうふうな程度で、果して国民の税を本気に考えて、本当に有効に使つているかどうかというふうな点については私も日夜頭を悩ましておる問題でございまするが、十分な成果の挙げ方等につきましては、個々の問題について今後とも十分検討しながら進めたいと思います。又そういうふうな点で昨年非常に厖大な補助金が事後にとれて流れたという関係からして、病虫害の防除予算について大蔵省等においてこれを切るというふうな意欲を強めたというふうな点もあろうかと思いまするが、それらについては我々のほうも十分今後とも考えて、もう少しいいやり方というふうなものを検討して参りたいと、こう考えております。保温折衷苗代等につきましても、ほかのほうのあれで病虫害と同じように問題がございますので、やはりやり方をいろいろ検討して行きたい。やはり四月に大体農家のほうは保温折衷苗代を使つておるわけなんです。ところが昨年度におきましても、保温折衷苗代の予算が決定して流れて行くのは農家が使つたあとから県に配布されるという形態があるために、どうしても本当に必要な山間部とか、冷害地とか、そこに強力に指導して、ここでやりなさいということを県がなかなか言いにくい。そのために結局使つたところへあとから流れて行く。使つた、使わないというふうなことは、必ずしも事前に指導が徹底していないから、数量的にもわからないので、それはそういう点で十分な資料と準備がないような県においては、或いは面積割とか、従来の実績とか、いろいろな形で以て流すというふうな形態になつてしまつて、それで結果は面白くない。こういうふうな状態のものですから、昨年予備費で以て特にその一年前にとつて頂いて、それで県にしつかりした計画を立てさせて流すと、こういうふうな形式をとつたわけでございます。病虫害の防除費についても、本年度も或いは一部のかたがたには、このあとは又病虫害は予備費でとればいいじやないか、こういうふうな御意見等もちらほらと受けるわけですけれども、私が一番懸念いたしますことは、やはりそういうふうな、あとからもらつた予算では非常に使用効率が悪い。折角の国民の税の負担の下で行われる仕事が効果が半分ぐらいになつてしまうというふうなことを最も恐れるわけでございます。それらの点については今後とも一県々々について最も有効なその使い方というふうなものと、その効率が上るような方法を考えて参りたいと思います。それから農機具のほうの問題につきましては、おつしやる通りだと思います。それで日本の農機具につきましては、やはり小農家が使うというふうな関係からして、又畑のみでなくて水田等に使われるというふうな関係からして、又日本の農業が水田と、それと裏作の麦というふうな関係或いは地帯によつて行わないところもありまするが、その両方の労力のピークを突き崩すというふうな関係から相当使われて来たというふうな傾向があります。それで一番初めに大きく入つたところの脱穀機等につきましても、やはり二毛作をやるために労力が非常にピークになる。そこを突き崩してさえやればいい。それから最近入りましたところのトラクターとか、耕耘機というふうなものにつきましても、単にピークを突き崩せばいいというふうな形で入つて来た。そうすれば裏作が入るのじやないかというふうな形で入つて来たわけで、非常にその意味においては特殊な作業だけに使われるという形態から入つてつたわけで、農家のほうがそれを使い始めれば、あれだけの高い動力機具でございますから、採算からいうと、自分の耕地だけをやつたんでは到底引合わない。どうしても賃貸でもやつて、二十町歩なら二十町歩やらなければ引合わんという形になつておりまして、そういうふうな形態では本当の機械化が進むという性質のものではございませんので、おつしやる通りに、どうしても汎用化というふうなことが、最も農機具の今後の方向としては大事な方向ではないかと、こう考えておるわけでございまして、なかなか汎用化につきましては、水田等各種の作業において、アメリカその他においての畑作経営の地質と違つたような各種の問題がございます。それから泥の抵抗その他についてもいろいろな問題がございまして、それで日本のメーカーのほうも大メーカーが最近入つていろいろ研究を始めたという段階であつて、まあ十分な科学的な検討の準備というふうなものはできていないというふうな関係からして、汎用化の問題はまあ逐次進みつつはあるけれども十分な成果はまだまだ勿論上つておらない。それから又それに使いまするところの電動機についても、電動機等は全体の半分或いは半分以上を占めるようなものが多いわけですけれども、それを移動式の各種の作業をやる電動機というふうなものと、それから定置式な各種の作業をやる電動機とは馬力数も違いますし、回転数も違うというような関係から、農家が同じような仕事をさせるべき電動機を二つも持つている。できれば両方のものが兼用できるような形に持つて行ければ農家のほうとしては非常に便利なわけでございますが、そういうふうな点等も私のほうから商工省関係のほうへ、又陸用内燃機関協会等にもそういう注文を出しまして、農家としては、できるだけ電動機としても一つのものでほかのほうの作業にも使えるような形態のものを作つてもらいたいというふうなことを持込んでおるような状態でございまするが、そういうふうな点について、今後の農機具の発達と動力機具の発達というふうな点については、そういう方向が一番大事な方向だと私も感じております。又そういうふうな研究についても特段の力を入れて参りたいと、こう考えております。これはその予算が十分でなくても、応用研究費その他を利用してやれば、かなりの点はやれるというふうに考えておるので、できるだけそういう方法で今御指摘のあつた欠陥を補足して参りたい、こう考えております。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 農薬補助金の処理の仕方等につきまして、今末端が如何に乱雑になつておるかということについては、一々あなたはよく御承知のようです。私が伺つておるところでは、これを如何にして改善し、如何にしてこの欠陥を補うかということについて、早速私は二十九年度農薬補助金使用につきましては、今までの欠陥を補つて行くことについての具体的な私は処置をとつて頂きたい、こう思います。それから今の農機具の問題につきましても、単にこれはメーカーに任していないというお話でありますから、これはよろしく積極的にこの農機具の改善につきましては指導をして頂きたい、こう思います。最後に一つ伺いますが、折角本年の予算におきまして、研究費指導費等はやや殖えたのでありますが、私はこの機会に改良局長に伺いたいのだが、現在までのように、国の試験場と各府県試験場と同じようなことをやつていることは私は無駄ではないかと思う。例えば国の試験場で一つの顕微鏡を買う、又各府県がこぞつてその真似をして買う、すべての問題が、すベて国の試験場と県の試験場とやることがダブつております。そうなつて来ると、そうだからといつて私はこれは無駄だとは言いませんが、折角試験研究をいたしましても、今、日本の農政の上で一番の問題は普及指導の問題です。特に普及の問題、折角いい技術を持ち、折角いい研究をいたしましても、その普及徹底ということが殆んど何ら手が打たれていないと言つていいくらいでありますから、私の考えとしては、国の試験、これを各府県試験場が国の試験場の真似をするのではなくて、各試験場がもつと性格を変えて、各府県試験場はこの国の試験研究の結果を普及徹底させるという方向に各府県試験場の方向を変えることによつて非常に大きな経費の節減となるし、又この試験研究の結果の普及、宣伝、徹底という面が非常に前進すると思うのですが、この点につきまして改良局長はどういう考えでありますか。この間あなたのほうの官房長にちよつと私個人的に会つて、各府県試験場は農林省試験場と同じことをやつているじやないか、あんなものは要らんじやないか、もつと性格を変えたらどうか、こういう話をしましたが、認識不足も甚だしい、国の試験場と県の試験場は全く違いますと、こう言う。そういうふうな認識を以て官房長あたりが予算を組んでおつたんでは話にならん。改良局長これをどうお思いになるか。
  20. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今の御指摘の点は全く同感でございます。この点は戦時中に或る程度その技術の普及、食糧の増産ということが非常に真剣な問題になつた当時において、県の試験場というものは増産のための各種の技術普及のほうへ最重点を置くべきだという方向が一時とられておつたわけです。ずつと昔には府県試験場も国の試験場も同じだと、こういう考えであつたわけですが、その方向を我々としては強化して行きたい。そうしないと試験のほうも徒らに二重にする部分ができまするし、折角試験の成果を農民のほうに移す点に力が十分加えられない。御指摘の点がございますので、そう考えておつたわけですけれども、当時駐留していたところの米軍の担当官がその考え方を全部引つくり返してしまいまして、それで指令として、府県も自治体だから国と同じ試験をさせればいいのだというふうな形で以て、試験、研究、普及の組織のまあ大体コンソリデーシヨンを指令して来た。それで私などは当時非常に反抗しまして、結局追い出されたわけですけれども、そういうような点については私だけでなくて、そういう問題についてもう数十年の経験を持つている安藤広太郎前々場長であるとか、或いは当時の場長であるとか、当時の農産課長であるとか、全く同意見であつたわけでありますけれども、それが実行されなかつた。それがそのまま独立後も継続されて来ておる。こういう形で、これは何らかの形においてもつと能率のいい方向に解決をしなければならない、こういう段階に入つておりまして、私も就任いたしまして、昨年その問題を解決したいと、こう思つたわけですけれども、相次ぐ災害がありましたために、非常にそういう基本的な問題に集中する時間が十分とれなかつたものですから、それでまだ今まで十分な解決をみておらないわけですけれども、本年度提出しましたところの予算につきましては、例えば品種改良の問題につきましても、今までは品種の育成は国のほうでやつてつたわけですけれども、それが十分な試験なしに、これは参議院で昨年の一月にも御指摘を受けましたが、十分な試験なしに府県のほうで原種、原々種採種圃というような形で以て普及されて行くわけです。それが冷害等の例を見ましても、その点が県で以てたつた一カ所か或いは二、三カ所の県の試験場の本場或いは分場だけで試験されていたのでは十分な自信も県のほうで持てませんし、県の中でも地区地区によつて品種の分布というものは非常に変つた条件にあるところがたくさんあるわけでありますので、そういう点からみると、どうしてももつと箇所数もたくさんにして試験をしてみた上で、それで以てこの地帯ならばこの品種が向く、同じ県の中でもこの地帯は駄目だ、そういうようなところが判定されないと本当には原々種とか、原種は生きて来ない。本年度は大蔵省のほうに要求いたしまして、その原種決定試験というふうなものは、大体その土地を県が買う必要はない。農家の庭先に委託してそれで十五カ所ほどのものであつちこつちで作つてみる、こういうような予算をとつてあるわけですが、そういうような形のものを組みますると、昨年の秋あたりには東北の冷害においては、僕が廻つたときには、試験研究のほうが大変だから、とてもそういうような普及に一挙に押出すというようなところに十分力が注げない、こういうようなことを盛んに言つてつたわけです。併しながら、それが現実に通つて先般あたり打合せをいたしますと、大分空気も変つて参りまして、やはりこれはどうしても必要だ、殊に冷害を食つたあとどうやつて解決をするかというようなことになつて来ると、それがなくては仕事ができないというような形で、試験場の仕事を或る程度つてもそつちのほうへ手を出して、そつちのほうへ力を入れたい、こういうような空気がうん醸されて来たわけですが、それは一つ一つの事項について各試験場の技術者に、国と同じ試験なんかは全然やめてしまつて、それでそういうような方面を応用して農家の方面に利用してもらうほうに力を入れる方向に、幾らかそういう具体的な事項を通じながら進めているわけですけれども、その点は根本の方針としてはまだ不十分でございます。そのために昨年その研究推進会議というふうなものを農林省のほうに設置して、そういうようなものを検討してもらうことになつておるわけでありまして、農林省としましても当時、府県試験場というようなものは指導普及というものが大体眼目なんで、それに必要な試験というふうなものは必要であろうけれども、国と競合するような試験はやる必要はないというふうな建前であつたわけですけれども、その方向をとつてつたのが一遍引つくり返されてしまつて、それで農林省としては、十分そういうような点について府県に信頼性を持たせるというような形になつていないものですから、そういうようなものは独立後には基本的なそういう方針というものを確定するについては、農林省改良局のものだけでなくて、やはりもう少しそういうふうな方面の経験者の意見も十分聞いた上で結論を付けて、それで長い方向として、そういう方向を押し出して行かないことには又朝令暮改かと、こういうような形になつてしまつても困る、こういうふうに考えておりまして、その点については、どうしてもできるだけ早い機会に、私としましてはおつしやる通りの方向でもう少し能率のいい、又府県のほうは試験よりもむしろ指導普及というふうなものに中心を置いた、そういうふうな形で運用するような方向ヘ持つて参ることが  いいじやないか、こう考えております。できるだけそれを安定した形で強く持出したいと私としては考えておるわけであります。
  21. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今河野委員からいろいろと各方面からの考え方につきまして総括的にいろいろの質問がありました。殊にその中に農薬の補助に対します分配方法が各末端におきましてうまく行つておらない。補助の精神に戻つたような分け方をしておるのではないかということを実例について言われた。私はこの農薬に対しまする保管の補助費は相当額計上されておりまするが、農薬に対する購入の補助という最も農家の経済に直接影響がありまするこの問題が非常に少くなつて来た。むしろないと言わなければならんという状態になつておるわけです。これは各都道府県におきまして、昨年度のあの凶作、冷害その他風水害のあの被害を考えましたときに、各府県が食糧増産を建前といたしまして、これを奨励しておる際におきまして、購入費の補助、これを削減いたしますると、これは非常な影響があるのでありまして、地方におきまして、これに一番頭を悩ましている問題だと思うのであります。この点は各農業団体その他幾多の農民の組織体があるのでありまするからして、このいわゆる備蓄の問題に対しまする購入費補助、農薬購入費の助成というものに対しましては、これは相当考うべき問題だと思うのでありまして、私どもはこの予算の復活に対しましては、局長さん初め、御列席の課長さんもいろいろお骨折を願いまして、御承知のごとく改良局予算は最も復活、削られたものから言えば、復活でありまして、望みに近いものができ上つたという恰好になりましたことは大いに我々は敬意を表し、又喜んでおるわけであります。その問題が、今日非常な進歩した農薬が使われる際におきましては、一般農家に対しましてこれを使用させる上においては、共同防除という共同作業が非常に強く行われるべき時代に相成つたのでありまするから、又適期適正防除という問題は最も農作物防除上必要な条件であるわけであります。こういう点で行くならば、やはり備蓄をしなければならん。農薬備蓄して置かなければ間に合わないという関係になるわけでありますから、各県にもそれぞれ防除に対する指導技術者がおるのでありまするが、薬がなくては理窟ばかり言つても実際防除ができないということになるわけでありまして、間に合わない。水がなければポンプを持つてつても駄目だ、火を消すことができない、防除することができないということになるわけであります。その集団防除をまとめる上におきましては、それぞれの機関を通しまして、購入助成の方途を講ずることがいわゆる農作物防除の上におきまして最も重要なことだと考えられるわけであります。この点に対しまして、現在の予算に甘んじておるとは私は考えておりませんが、局長はどういうお考えであるか、又地方の各県におきましては、御承知通り県の予算を組む時期になつておるのであります。国の予算が削除されて、それに右へ習えとか、上に習えするというだけでなく、各府県のその重要性に鑑みまして、各府県もその予算をとらなければならんし、又国がとらなくても県としては幾分とらなければならんというような関係もあるわけでありまして、こういう点に対しまする局長考え方一つ取りあえずお伺いしたい。
  22. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この予算につきましては、農薬だけはもう絶対に認めないという大蔵省当局の方針であつたために、最後になつて本当にその前年度等の状態から見れば、僅かに二億三千数百万円というようなものしか農薬補助金としては組まれておらないわけでございます。それで我々としては最も食糧増産上危惧いたしておりまするのは来年度、来年度と申しますと、二十九年度の米作等につきまして、やはり異常の天候或いはその他の条件からして病虫害がやはり多発しましたときに、果して農薬がその農家が買いたいと言つてもそのものがあるかどうか、適期に間に合うようにできているかどうかというふうな点と、又まだ十分その新農薬、有効な新農薬、昔のはどちらかというと予防的な薬剤が多かつたわけですけれども、最近数年にできました農薬は駆除剤的な性格、まあ出てからかけても十分駆除できるという非常に効果の高い性格のものが非常に多くなつております。そういうふうなものを、まだ十分に慣れておらないわけですから、農民が出たときにやはり本当に使つてくれるかどうかというふうな点に相当な危惧があるわけであります。それで、できるだけそういうふうな前提で以て病虫害の発生予察等につきましても、従来五百四十カ所ありましたが、これは実際には箇所数としては十分でないものでございまするから、二千百六十カ所ばかり更にそれを補強するような意味で、改良普及員にも協力してもらいまして、農家にも勿論協力してもらいまするが、病虫害の発生予察或いは早期発見というふうな点についてできるだけの整備をやつて、それで農民にできるだけ早くそういう農薬の準備や防除の準備をしてもらうというふうな点について予算を倍加すべきであるのでございますのと、それからもう一つは、やはり防除機具の点につきましても、やはり農薬粉剤か、乳剤か、先の方向はどつちのほうが支配的になるかというふうな点について、機具のほうもいろいろと問題がございまするが、一応現在の技術で以て見通せる方向で以て適当なものというふうなものを、やはり府県のほうに相当持つてもらつて、昨年でその三年目だつたのです。防除機具の整備計画は五カ年計画で、昨年繰上げて全部市町村の分は済ませました。来年からは府県のほうに同様なものを持つてもらう。そうしてどこか多発した村で自分の今まで持つていたものでは足りないというようなところを移動してもらうというような農機具を昨年四千台入れましたので、今年又四千台、これを府県のほうに補助して行く、それで移動できるというようなふうに持つて行くという整備をいたしましたような次第で、もう一つは、只今お話のありました農薬の管理費等におきまして、それを何とか補強して行くというふうな形をとつたわけですけれども、すべてのバランスから申しますると、やはり只今指摘のありましたところの農薬補助金というふうなものがどうしてもバランスがとれない。で、それらの点で補強はして行くけれども、果して病虫害が多発した場合に農家が本当に有効に使つてくれるか、又やはり或る程度どうしてもこの病虫害の関係は公益性がございまして、やはり伝染性もございますわけですから、そういうふうな意味において自分の田圃だけではなくて、やはり防除するということは附近全体に及ぼす影響というふうなものもあるわけですから、一人の人が嫌だと言つてもこの点はやつてもらわないと困る。そういうふうなときに或る程度やはり共同防除であり、或る程度強制力が加わつて、そういうふうな公共性のあるものをやはり公共的な性格で片附けて行きたいというふうなために、補助金がないということは、そういうふうな事態が起つたときに、果して我々どもが削減された予算の中で何とか補強しようかと思つて準備しておりますことだけで果して繋げるかどうかというふうな点については大きな危惧を持つておるのであります。まあ私どもとしましては、府県のほうで組めるものならば、それは十分組んでもらいたい、こう考えておるわけですけれども、それを府県のほうに現在の財政状態の下で強要するというふうなこともできないわけで、その点が来年度における食糧増産上、私としましては一番危惧をいたしておるわけでございます。現状としましては、各種の方法を以て、その農薬補助金の非常な削減というふうなものをカバーして行くような方法をいろいろ考え予算を組んだわけでございます。併し十全な効果が発揮できるという自信は持つておりませんし、又病虫害の多発という状態が起きたときには問題が起らないというふうなことをここで明言できる自信は勿論ないわけでございまして、まあそれについては、できるだけ与えられた予算の中で普及員或いは防除所、或いは予察の職員、或いは府県試験場等をフルに活動させて、農家に自分の負担においてできるだけの防除をやつてもらうというふうなことに努めるということをやるほかに方法はないと思います。
  23. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今のお話を聞いておりまするというと、結論的には私ども考えておることと同じことを非常に心配されておるわけであります。私は国のほうは只今お話のように総合的に、あらゆる方面におきましてのこの防除に対する費用を持つつもりでおる。よつて購入費に対しましては、その地方々々の作物状況、いろいろの関係があることでありまするから、各府県に国は、これは最も必要なものであるので、これだけは県や国や町村に至るまでが一体となりまして、農産物の防除というものに対しましては、これは徹底させなければならんというその精神、まあ農林大臣はおいでないけれども局長は担当局長といたしまして、これを局長名でも結構だと私は思うのでありまするが、各府県に対して言つて頂かないというと、各県におきましては、予算面上何もかも皆同じように減らされた緊縮予算というやつで、重点的なものをやつて行くという農業政策が、我が国経済自立の根幹であると称していながら、全部が削られた恰好で各県削られたように、全部平均とは思つておらなくても、大分そういうふうになつていると思つておるのが多いのであります。県といたしましても、こういう農薬購入費の補助がなくなつたということは、県でもやらなくてもいいのだというような考えが、国のほうでやつているものは、やはり県もやるものだという考え方をしておるのが今までの慣習でありまするから、こつちのほうはやらなくてもいいが、この方面は一つできたならばやつてくれというほどの意味を徹底するような意味を県へ御通知頂くことが必要であると思います。これは是非一つ局長に、この重大時期に際しまして、私はこれをお願いしておきたいと、こう思うわけです。その点は如何でしようか。
  24. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大変有難い御注意を承わりました。実はいろいろさつき河野委員から御質問がありました部分や、それから来年度の増産上最も決定的な病害虫の防除等の関係を見まして、この木曜と金曜と二日間に亘つて県の試験場長、課長全部を呼んで、実行方法について今から十分な準備をやつておきませんと非常に不安がございますので、それを全部打合せすることになつております。その席上で是非その点については、私としましては、まあこれは私のほうからは府県に対して、府県の財政状態等を見ておりますると、申しにくいことではありまするけれども、農民のこと及び国全体としての食糧増産というふうなことが如何に経済安定上必要かということを考えますれば、御注意の点は言いにくいことであつても、是非強く言うということは大事なことと考えますので、その際に十分御意図のあるところを申しまして、私としてもそれは一番いいことだと感じますので、そういう点について強く要請をして行くということを申上げておきます。
  25. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は先ほど課長の説明で粉剤と水剤との効果の問題等があつたのでありますが、常に非常な心配をしておりますのは、この農薬が果して効くかどうか、勿論ホリドールのような、人間までも痛めつけられるような最近の薬剤でありますから、効くことについては疑いはないのでありますが、BHCのような粉剤で三%の薬効を持つておるというようなものをかけても、なかなか或る場合には何ら効果がないというような苦情を農家からも聞かされるようなこともあるわけです。そこで私は乳剤のほうが遥かに効くのではないか、どうして粉剤にするか、粉剤というものはいろいろなものを混ぜておく関係から、どうもその効き目が薄いという感じが常に私ら使用者としては感じておるわけです。それで私が第一にお聞きしたいのは、農薬製造について有効成分の含有量が果して適量にあるかないかという試験をされておるかどうか、製造メーカーによつてはいい加減な製造をして混ぜ物をしておるというようなもの、随分まやかしものもあるのじやないか、最近においては人間に対する薬なども随分効くんだか効かないのだか、毒にも薬にもならないような薬を麗々しく広告して儲けておるという筋も随分あると私は思うのです。いわんや作物に対しては殊に農民として薬剤に対する知識のない農家には、効きもしない薬を売込んで、そうして暴利を貪ぼるというようなものもなきにしもあらずと私は考える。従いまして、こういうふうに食糧増産の方面に非常に大きな役割を果しつつあるこの農薬の問題を、本当に有効適切に薬効があるような製造をするような監督指導が先ず第一に私は大切だと考える。そこで当局といたしまして、そういう監督の方法が立てられておりますかどうか、お伺いしたいと思います。
  26. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私関連しまして、さつき河野委員の質問で、パラチオン乳剤比率は下るが絶対量は減らないという御答弁があつたのだが、今ここに配付されました資料を見ますと、パラチオン乳剤が二十八年が四百四十二トンであつて、二十九年供給見込が二百トンとなつておるので減つておるのですよ。これがさつきの答弁と食い違つておりますので、それも関連して答弁を聞かして下さい。
  27. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 先ほど申上げましたように、この表を持つて来るときに適当な資料を与えずに係官が持つて来たのでありまして、二十九年見込量と書いてありますのは、我々がこのぐらい最初府県の実際の需要量を取らずに、このぐらいになるのじやないかというほんの見込で書いたときの数量が出ておるのでありまして、現在では県の実際の需要によつてこれを訂正いたしておりますが、その点におきまして訂正しない数字を係官が持つて来まして、この点申訳ないと思います。すぐにこれは実際の県の需要に応じて数量を改めて二十九年度分については提出いたします。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 まあそれは訂正されることを私は信じますけれども、その県の数字というのは一体県は県単独で出すのですか、県が末端の農民からの希望というものを集計したものが県の数字ですか、それとも県自体の意思が入つた数字ですか、これを伺います。
  29. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 現在県で多くやつております数字は、各市町村からの需要を集計いたしまして、それに勿論府県の若干の指導性は加わるかと思いますが、根本的には市町村需要を集計したものを若干、勿論数量等の過大のものは訂正するし、或いは又余りにも防除の意欲がないというものには指導を加えて、もう少し防除をやるようにというような点の是正をさせましておりますが、根本的にはやはり市町村から上つて来る需要を基礎にして農林省の報告にいたしております。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 それではその場合に積極的に農林省のほうから県に向つて県自体の意思でなく、農林省からの意思によつて希望数字を出せということを言つて頂かんと、県自体が又あなたたちの顔色なり鼻息を伺つて、又もつと極端な農薬会社の働きかけによつて動かされて、粉末需要を喚起しようというようなことを県自体でやつていることが私はないとは言えないと思うのです。そういう農薬、農機具というのは相当業者の意思というものが指導機関を動かしているのは事実ですよ。これは農薬、農機具は特に県において然りです。そういう点につきまして、あなたのほうから積極的に県に御注意をして頂けますか。
  31. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 現在私ども植物防疫法の根本的な改革を考えております場合にも、計画の樹立の責任主体は市町村であるというふうに考えて、いろいろと検討いたしておりますが、従つてすでに私どもが現在の各地で聞いておりますブロツク会議等に出席いたしまして、農薬需要調査は単なる府県の机上の考え方でなしに、勿論いろいろ技術上の指導的な立場について県は勿論しなければならんわけでありますが、その根本は市町村需要によつて申出るようにというふうに、すでに指導はいたしております。従つて今後も必要があればそういつたふうな通知をすることも決して差支えないというふうに考えております。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようですが、もう一回。話は戻りますけれども、私の手許に来た数字は、これは農林省案としてあなたのお考えなつた数字ですね。
  33. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 実際の需要のはつきりしないときに、防疫課として、或いはこのくらいの量になるんじやないかと考えたのがこの数字でございます。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、改められるからいいんでありますけれども、この数字自体だと、先ほど私が冒頭に言つた水液を欲しい農家水液が間に合わんということに当然なりますね。今お考えをあなたは訂正されたからいいけれども最初はやはり私が冒頭に申上げたように、指導方針として粉末のほうに重点を置いて、水液のほうは思い切つて減らして行こうと、こういう指導方針であつたことがこれに出ておる。これはあなたの指導方針なんです。初めそうだつたでしよう。
  35. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 技術的にも、安全性という点からも、粉剤需要が上つて来るだろうというのが私の考えでございます。
  36. 河野謙三

    河野謙三君 私は長くなりますが、今後の行政官としてのあなたに御注意申上げますが、何かやる場合には、それが農家の経済にどういう影響を及ぼすかということを常に考えなければいけませんよ。ただこれがいいからこつちに変えるんだ、又来年は更にこれに変えるんだと、簡単に隣りの饅頭を買つて来るように変えられてはかなわんですよ。先ほど申上げたように農家が六万円、七万円の噴霧器を買うということはなかなかですよ、場合によれば女房、子供を質にやらなければいけないような騒ぎですよ、そういうことを考えて、去年買つた水液噴霧器が、まあ農林省の善意でありましようけれども農薬指導方針が変つたために、今年はもう粉末じやなければいけないそうだ。あの噴霧器はもう屑鉄屋に売るのだ。こういうようなことにすぐなるのですよ。だからこれはまあ局長もおいでですが、局長も十分事務官として御存じのはずだが、ただ技術的立場だけでものをお考えになることは非常に間違いです。もう少し農家個々の経済にどういう影響があるか。曽つてあなたのほうじやありませんが、食糧庁で俵の改善をやつた。包装の改善をやつた、今度は複式三本編みでなければいかん。こういうようなことを強行したために、僅かの俵を編む機械だけでも農家じや大変なんです。そして遮二無二俵の改善をやつた。改葬は結構でありますけれども、そういうものは農家の経済に影響があるのでありますから、徐々に時日を藉さなければいけませんよ。ところが今度の場合は俵を編む機械どころじやない。六万、七万の噴霧器の問題だ。局長、あなたがおいでになる前でしたが、簡単に粉末もいいからと言つて去年は水液が六で粉末が四であつた。本年は今度は粉末は六にして水液は四にするのだと、こういうようなことは、農家が現在あなたの指導普及によつてつておる噴霧器一体それじやどうなるのだという、そこに影響をどういうように及ぼすのだということも考えてやつてもらわなければ困る。これはもうさつき課長がいろいろ言われましたけれども、あなたの初めの考え方が確かに僕が初め農家から聞いたことと同じなんだ。今年は粉末だけで水液がなくなる。これをあなたが指導しておられる。ここに出ている。今改められるのであるから、くどくは申しませんけれども、その点は十分私は御注意を申上げたい。
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 佐藤委員の御質問中でありまするが、農林大臣が今お見えになりまして、予算委員会もまだ質疑があるそうでありまして、時間が限定されておりますので、佐藤委員の御質疑の回答は大臣のあとにして頂きたいと思います。  それでは保利農林大臣が今お見えになりましたので、昭和二十九年度予算等を中心といたしまして、大臣の農林政策に関する方針について詳細説明を願いたいと思います。
  38. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 農林水産行政の基本の施策につきまして概略を御説明申上げたいと存じます。  現在我が国の経済自立のための急務は、輸出の停滞と輸入の増加に伴う国際収支の逆調からの速かな脱却、即ち財政の緊縮と金融の引締とにより物価を引下げ、更に又国際収支の均衡の回復という一連の経済正常化の施策が強力に推進されねばならん事態であると存ずるのであります。こういう施策の下におきましては、率直に申しまして昨年不幸にして数次の災害に見舞われました農林水産業にとりましては、相当困難な試練の下に置かれざるを得ないと思うのであります。併しながら我が国の農林水産業は、御承知のように他の産業部門に比較いたしまして劣勢の地位は免れないのでございます。経済自立の施策が強力に推進され、経済の正常化の道を着実に歩もうとするに際しましては、農林水産業の生産基盤を整備するための施策は許される限りの規模におきまして確保せらるべきであると考えるのであります。国内における単に米麦のみならず、畜産物も含めましての総合的な食糧の自給度の向上、食糧管理制度の改善、都市、農村を通じての食生活改善の促進、農林漁業経営の安定と向上、又治山治水対策等につきまして、重点的に、効率的に施策を進めて参りますと共に、農山漁民の生活に関しましても、その安定のための十分な考慮を図つて参りたいと思うのであります。具体的施策の大要について申述ベまするならば、先ず第一に総合的な食糧の自給度の向上であります。その一は主要食糧の増産でありますが、農地の拡張及び改良につきましては、新規事業を抑制いたし、継続事業につきましても極力早期に増産効果を挙げること及び経費を効率的に使用することを旨といたしまして、事業の重点的施行を促進し、増産の基盤であります農地条件の整備を図り、以て主要食糧の増産の確保を期したいと存じます。  耕種の改善につきましては、病虫害防除態勢を整備いたし、西南地方稲作改善のための施策を拡充し、更に農業機械化の促進につきまして、特に動力耕耘機の融資の拡大等、機械導入のための措置を強化いたしますと共に、農地の改良事業による成果を速かに実現いたしますため、主要土地改良地区におきまする事業の営農改善に関する試験及び技術普及についての体制を整備いたしたのであります。なお、昨年の冷害に鑑みまして、本年は特に優良種子を確保する等の対策につきまして遺憾なきを期しますると共に、国立試験場の研究施設を充実いたし、耐冷性品種の育成等、研究項目を重点的に一層集中いたし、都道府県試験場についても、その農業地域に適応した米麦等の品種を選択するため、原種決定試験を行う等の措置を講じたのであります。  次に、御承知のように食糧管理制度の改善、食生活の改善等につきましては、種々各方面からの要請がなされているのでありますが、これら食糧対策に関する問題は、国民生活、農家経済等と密接且つ重大な関係を有する問題でありますので、食糧対策協議会を設け、これらの問題を中心として食糧問題全般についての検討をお願いすることといたした次第であります。従いまして食糧問題全般に関しまする基本政策の確立につきましては、もとより政府の全責任におきまして協議会の討議の結果に待つところが多いのではございますけれども、当面は国内産米の供出の促進を図ります一方、輸入につきましては、国際収支の現状に鑑みまして、極力食生活の麦食への転換を促進冒し、これに即応する麦類の輸入を図り、主要食糧の輸入補給金の節減に努めますと共に、国際収支の改善にも資したいと考えるのであります。なお、食生活改善のため、学校給食におきまする小麦等の助成を引続き実施いたし、粉食の普及に努めますほか、農村に対しましても、昨年の冷害に伴い、応急的に実施せられました粉食普及施設の設置を今後とも拡大強化いたしますと共に、有畜農家創設事業の拡大、集約酪農地区の増加、拡充等、畜産の増加を極力促進することといたしたのであります。  第二に、農家経営の安定と農村振興の問題でございますが、農業災害補償制度につきましては、政府におきまして再保険金の早期支払に努力をいたし、共済金の迅速的確なる支払を行うよう指導いたしますと共に、現行制度の改善につきまして十分の検討を重ね、本制度の円滑なる運営を期したいと存じております。このほか重要農産物につきまして、その正常価格維持のための措置を引続き実施しますると共に、飼料につきましても需給調整の措置を講じ、農家経営の安定に資し、又肥料につきましては、燐酸、加里肥料等に対しましても、その増大しつつある需要量の確保に万全を期したいと存じております。農林漁業金融に関しましては、災害に対する営農資金を系統金融機関において昨年に引続き確保いたして参りますことは勿論、開拓者の営農に対する資金の融通につきましても、その資金の確保を図りますほか、特に農林漁業金融公庫の長期資金の貸付に当りましては、その資金の重点的且つ効率的配分によりまして、農林漁業経営の安定向上につき、財政支出と対応した有効適切な措置を講じて参りたい所存であります。更に積雪寒冷地帯その他の後進地帯につきましては、引続きこれら地帯におきまする農村の振興を図り、併せて食糧増産に資するため、農地の改良等による生産基盤の整備を更に促進いたします一方、共同利用施設等によりまする営農改善施策を一層強化実施する考えであります。  次に、農林水産物の輸出振興でありますが、一般物資の輸出不振の中にありまして、ひとり農林水産物資の輸出は見るべき発展を遂げているのでありまして、今後とも一般物資と異なり、外貨手取率が極めて高いという特性等をますます発揮いたしまして、その振興に一層の努力を尽したいと存ずるのであります。生糸につきましては、御承知のごとく相次ぐ災害によりまして繭の大減産を来たし、糸価の異常な高騰を惹き起し、これが原因となりまして生糸の輸出は漸減を示すに至つたのであります。かかる事態に対しましては、蚕糸業振興対策を早急に樹立せねばならないと存ずるのであります。稚蚕共同桑園、稚蚕共同飼育所等の設置による養蚕経営改善の措置及び海外生糸宣伝等の施策を講じますのも、この故にほかならないのであります。而して生糸の米国市場の確保と輸出振興は、我が国蚕糸業振興のためにも忽せにすることのできない問題と考えますので、その方途に関し特段の措置を講じたい所存で、目下検討を重ねている次第でございます。  治山、治水対策につきましては、治山、治水対策協議会におきまして決定を見ました治山、治水基本対策要綱の趣旨に副い十分の努力を続けたいと存ずるのでありますが、差当り重要上流水源地に対しまして治山事業を強力に推進いたしますと共に、民有保安林の買上を逐次実施いたして、保安林の整備を図り、国土保全に資して参りたいと存じております。他方森林資源の増強対策につきましても、人工造林地の増大及び奥地林道開発事業の推進と併せ、引続き森林計画の編成とその確実な実施によりまして、森林事業の合理化と森林資源の維持培養に努めますると共に、外材の輸入を極力促進いたし、木材需給事情の緩和に努めまして、資源の保続、生産体制の確保を図りたい所存であります。なお、山林経済に対しましては、治山林道事業の促進と共に国有林の地元利用の推進、国有林産物の払下等を通じまして、その振興には十分の注意を加えたい所存でございます。  次に、水産業についての施策につきましては、先ず漁業振興の根本であります漁港の整備事業に重点をおきますことは勿論でございますが、沿岸漁業につきましては、沿岸及び内水面における資源の増強のための水産増殖事業並びに近海資源の開発のため、対馬暖流の総合調査等を引続き拡充実施して行くと共に、機船底曳網漁業の減船整理を引続き実施いたしたいと存じます。海洋漁業につきましては「さけ」、「ます」、「かに」等の北洋漁業の操業力を拡大いたし、更に最近好成績を収めております「かつお」、「まぐろ」漁業の一層の発展を図りたいと考えております。又昨年来の懸案となつております対韓国漁業問題は、遺憾ながら未だ解決の域に達しておりませんけれども、双方の誠意と努力によりまして合理的な解決を是非図りたいと存じております。  以上の施策を推進して参ります上に重要なことは、農林漁業団体に関する施策でありまして、これにつきましては、昨年に引続きまして農林漁業協同組合の再建整備及び連合会の整備促進の措置を強力に推進いたし、一日も早くその経営の刷新強化に努めて参る所存でございます。
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  41. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 先ほどの佐藤委員の御質問にお答えいたしますが、農薬取締法というのがございまして、それで農薬のほうは登録をしたものでないと販売できない、こういう形になつております。農薬の登録につきましては、成分であるとか、効果であるとかいうふうなものを農薬検査所で判定いたしまして、それで申請書と違いがないものを登録いたすわけでございます。登録いたしました通りの内容のものを果して市場で売つているか、売つていないかというふうな検査につきましては、僅かな農薬検査所の職員でございますが、随次市場にあるものを抜き取りまして、それで検査をして行く、そして非常にひどいものについては登録を取消すとか、どうとかいうふうな措置をとつておりますが、何分職員の数が少いものですから、全国にばらまかれてありますところの農薬について数多くやるというふうなことは必ずしもできない、こういう状態なので、農民のほうの立場も十分考慮いたしまして、府県等において疑わしいようなものがあれば府県庁のほうで以てそういうふうなものを押えて、そして送つてもらつて、それで農薬検査所のほうで検査をして行く、そして資料をできるだけ余計集めて、それで農民のほうに知らせる、こういうふうな形をとつておりますのが現状でございます。
  42. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 農薬製造販売についての監督、抽出検査というようなことは細々ながらやつておられるようでありますが、実際には随分と薬害があるものを販売した或いは全然薬効がなかつたというようなものも随分あるのです。こういうものにつきまして、農家は仕方がない、人間の薬さえも十分効かない薬を飲まされているのだから仕方がないというようなあきらめで随分と来ているわけでありますが、この製造販売についての農薬の監督につきましては十分効果があるように私はお願いしたいと思います。そこで次にお尋ねいたしたいのは乳剤粉剤との問題でありますが、どうも粉剤先ほども人害が少ないというような課長の話でございますが、人間に害が少ないくらいでありますから、薬効が少ないのじやないかという心配があるわけであります。而も有効成分が何パーセントくらい含んでおるか私らわかりませんが、その粉剤を混ぜる場合、果して有効適切な混ぜ方であるかどうかということが、かかつてこの薬効に薬害があるところと、何ら効かないところができて来る結果になるのではないかと私は想像するのでありますが、こういう粉剤というものがごまかしやすい形態にあるのではないかとも考えられます。そこで厚生省あたりが非常にやかましく言うて、これは劇薬であるというようなことを言うておるのでありますが、昭和二十七年度におきまして、このホリドールによつて全国的に統計にどういうことになつておりますか、死亡者の数がわかりましたならばお願いしたいと思います。これが厚生省で言う数字と、それから農林省で言う数字がかなり食い違つておるやに私は聞いておりますが、確たる資料を一つお願いしたいと思います。
  43. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 技術的な点は堀課長からお答え願うことにいたしまして、昨年度一月から十月までのパラチオン剤による死亡者の数は厚生省のほうと農林省のほうと打合せました結果、大体両方で個々人について全部検討した結果、全部で大体二百十三人、一人だけが疑問の点がありますが、大体二百十三人であります。そのうち自殺が百五十九人、事故が三十四人、これが使用上の問題とからまつた問題でございます。それから誤用が十六人、他殺が四人、こういうふうなことになつておりまして、事故によるものは大体一割五分くらいになつております。非常に自殺が多いわけでございます。併しながら、とにかく事故によりますものの三十四名もありますので、それにつきましての内容を申上げますと、果樹で二人、畑作で三人、水田が二十九人になつております。それから二十九人の内訳が、個人防除で作業中にいろいろな事故が起こつて亡くなりましたものが十六名、それから共同防除のものが十名、こういうことになつております。で、原液で死亡した人は四名でございまして、そのあとの残りの三十名というのは稀薄液によつてやはり使い方を間違つた、こういうふうなことでございまして、これの使い方については厚生省のほうともいろいろ打合せをしているわけでありまして、できるならば共同防除という線を徹底すれば少くなるのではないかというふうに考えておりますが、まあ必要があれば政令であるとか、或いは法律改正まで行くかということに対して事務的に厚生省と打合せをしている、こういう状態でございます。それで或いは堀課長からお話があつたかと思いますが、パラチオン剤の中にはエチールのものとメチールのものとございまして、エチールのほうがやはり身体には害があるという状態になつております。乳剤のほうはエチールでないとどうしても作れない。メチールでは作れない、こういうことになつておりまして、粉剤のほうはエチールでもメチールでも作れる、こういう状態にあるわけでございます。そういう点から見ると粉剤のほうがメチールのほうで作れば危険性が少い、こういう状態にあるわけでございます。何分にも一化期の螟虫等につきましては、乳剤のほうですと、二千倍くらいの液で三斗、四斗というふうなもので、一化期の螟虫については十分な効果があるというふうな点から言つて、薬代から申しますと一化期の螟虫については粉剤より乳剤のほうが何分の一か安いという状態にありますので、一化期についてはやはり農家としては、乳剤のほうを希望するのじやないか。一化期にやはり螟虫に対して防除を徹底するということが一番有効な金のかからない防除法でございます。そういうふうな点はなかなか農家のほうとしては乳剤のほうは使いきれない、こういう状態にあるかと、こう考えているわけであります。
  44. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 御質問のありました粉剤乳剤の問題でありますが、どちらが効果があるかという問題は個々の薬剤によつてつているのでありまして、大体乳剤と申しますか、液体のもののほうが同じ成分でありますと、粉剤にした場合よりも効果が多い場合があるのでありますが、併しものによりますと、却つて粉剤のほうが効果が多いものがございます。又薬を別にいたしますと、例えば「いもち」病に対する薬のように、ボルドー液よりも水銀粉剤のほうが遥かに効果があるというような事態もございます。問題はもう一つあるのでございまして、本質的に若干液剤のほうが効果がございましても、病害、虫害は防除適期に撒かなければ効果が出ないという問題があるのでありまして撒布時間といたしますと、果樹のような個人防除でありますと、個人が最もいいときに持つてつて二時間なり三時間なり、或いは半日の作業で収まるというので、液剤にもさほど大きな不自由はないのでありますが、共同防除ということになつて来ますと、五日なり一週間なりの適期にはまつて行かなければならん。そういう場合になりますと、成るべく農家といたしましては労力のかからない、時間のかからない薬という方向へ自然に向いて行く結果になります。又効果の点から申しましても、本質的には若干薬の効果が落ちておりましても、適期に撒いたということで、それは本質的な欠陥をカバーして余りがあるというふうなこともあるのでありまして、現在割合にこの農家粉剤に対する希望が多くなつて来ておるのが実情でございます。大体最近の粉剤に対する需要状況は以上申述べましたような次第であります。
  45. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 事人命に関する問題でございまするから、これが取扱、指導等につきましては遺憾のないように私はお願いしたいと思うのであります。昨年は私のほうでもいろいろ、BHCの三%の粉剤と、それからホリドールとを合せて計画的に各町村に配分いたしましたが、ホリドールを恐れをなして使わなかつたのが多数あつた。こういうことも結局十分なる指導が行届いておらなかつたところにも原因があり、又死亡者が多数できたということも、取りも直さず指導が十分でなかつたということにもなるわけでありますから、どうかこういうことのないように私はお願いしたいと思います。次に、昨年セレサンの不足によりまして、私らも農村から再三セレサンの注文をされたのでありますが、十分に間に合わなかつた。昨年はまあ異常な病害でございましたから、いたし方もありませんが、このセレサンの製造等につきましても十分なる用意があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  46. 堀正侃

    説明員堀正侃君) 今セレサンとしてお話になつたのは、いわゆる総合名は水銀粉剤と申しまして、有機の水銀剤を石灰で薄めたもの、或いはベントナイト等で薄めたものでございます。これは昨年は粉の薬でありますが、初めて実際上の防除に登場して来たのでありまして、一昨年はただ各地の試験場で連絡して試験程度にしか使つていなかつたのであります。従つて我々もあの水銀粉剤が昨年あんなに需要があるとは考えていなかつたのでございます。そこへ持つて来て昨年あれだけの、非常な「いもち」病の発生がございまして、準備が十分でないところへ異常発生があつたものですから、七月、八月頃は全く水銀粉剤が足らん、併しその効果が従来我々が奨励しておりましたボルドー液等よりも遥かに効果的であるという点から、そうして又その使用法が粉剤であるために簡便であるというところから農家が非常にこれに飛び付いて来たのでありますが、今申述べましたような実情で十分間に合わすことのできなかつたのは残念でございます。大体併し昨年は約七千トンぐらいの水銀粉剤が使われております。今年はいろいろ水銀の輸入等の関係もございまして、必ずしも十分にというわけには行かないかも知れませんが、先ず平常の「いもち」病の発生状況等を勘案いたしまして、水銀粉剤として一万八千トンぐらい、今年の二倍半ぐらいの準備はやつておきたい、こういうふうな考えで今予算を進めております。
  47. 上林忠次

    上林忠次君 今年の予算の査定の数字を見まして、先ほどから大分話が出ておりますが、とにかく去年十二億近く当初において配当を受けたあの予算が、今年は六億という工合に薬剤に対する補助金が減つております。これに対して私農林省の薬剤に対する熱意が、予算をとつて防疫しようという熱意がどこにあるのか、どの程度あるのかというところを疑わしいような気がいたしまして、一言申上げたいのでありますが、大体今の日本の農業で、前にも改良局長に申しましたように、一番指導が遅れて、又指導力が弱いのは病害虫害の防除、このほうであります。それでこの単位面積から余計の増産をしよう、この事態には薬剤を使つてやるのが一番これは早道でありまして、この薬剤を去年すでにもらつておる特典も今年は半減させるというようなことになるならば、この増産の近道の薬剤による防除、この点が薄らぐならば増産に大きな支障を来たすのではないか、私前にも笑い話のように申上げましたが、国家で薬剤は全部交付する、交付してまあ手持になりますならば、これは嫌でも使う。諸外国の例を見ましてもわかりますように、日本が一番薬剤の単位面積当りの使用量が少い。病気が出ようが出まいが使つておる、それが適期に使用されておるということになるのでありまして、出てからでは遅いのだというのが今の病害或いは虫害と薬剤との関係であります。この少い予算で相当大きな増産効果を挙げておるのに、これを削られて農林省が知らん顔をしておる。こういうような予算を削られるくらいなら、もつと増産施設が、ほかにいろいろ途がありますが、そのほうを引いてもこの薬剤の補助金は引いてはいけないという工合に頑張らなくちやいかんのじやないか。どうも農林省の薬剤に対する熱意がそこに薄いところがあるのじやないか、日本全体の農業指導の中でも、薬剤防疫に関する点が一番欠けておるのじやないかということを私常々感じておりますので、この点農林省の御意向を、若しそういうふうなことに弱点があるならば、もつとこの点を一つ頑張つて頂きたい、そして大きな増産効果を挙げる手を考えてもらいたいと考えるのでありますが、改良局長の御意見一つお聞きしたいのであります。
  48. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 上林委員の御意見通り、私どもとしましては、農薬補助金というものは最後まで頑張つたわけでございまして、これは一方的に大蔵省のほうで以て応じない、こういう形で経過したわけであります。これは閣議まで頑張りましたわけで、私らのほうとしては事務的に最後まで折れていないわけであります。先ほどもちよつと河野委員からも御指摘がありました通りに、昨年のようなことでは、どうしてもあとから配られるという形で適期に使いにくい、県の指導も十分でない、で、非常に使い方としてはルーズなことになつてしまつて、我々としても国民の税をそれだけ頂いて使いながら、その点は遺憾な点が多い、こういう形で本年度も或いは一部の人たちはあとでもらうのじやないか、こういうふうな一兆の予算の中ではそういうふうな考え方がないこともないように見受けられましたので、まあそういう人たちは、そういう使い方というのは実に勿体ない、どうしても当初に欲しいというふうなことをかなり強くやるわけでございますけれどもかなり一般にはそういう空気があるようでございます。我々としてはやはり先ほど指摘のあつたような意味から言つても、的確に、折角の補助金だから最も有効に使いたいというふうな点も考えまするし、又本当に農家あとからのものでは有効に使うかどうかということが非常に危惧され、我々のほうとしては現在でも補助金についてはまあ頑張りたい、こういうふうな感じを持つておる状態でございます。ざつくばらんに申しますれば、その点については一番危惧されまするし、私としましては不満の最大の重点でございます。
  49. 上林忠次

    上林忠次君 先ほども申しますように、この病虫害の防除ということは一番我々の農業指導の弱点でございまして、この点をうんと強化して頂いて、技術陣にこの病虫害防除に対するもつと高度の知識を授けると一緒に、これの滲透、実施の第一線に対する滲透を十分に考えて頂きたいと考えております。勿論先ほどのように、折角の補助金が無為に流れて行くというようなことのないようにお願いしたいと思います。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと……。農薬とは別ですが、末端に行きますと、改良普及員が合成肥料を使え、あれを使えということを言つて奨励しています。この事実に対しまして、何かそういうものを確実な効果一〇〇%のものであるということをどういう方法で調査して、言換えて見ますれば、合成肥料の販売に便宜を与えるようなことをとられるか、その点を一つはつきりして頂きたいと思います。どういう方法を以てこれが確実に有効なものであるという点が出て来るのか、それを一つ伺いたい。第二番目には、そういう恰好で参りますと、現在硫安需給安定法が審議中に属しておるが、硫安だけでない、結局カリも燐酸も足りない、従つて価格の騰貴はむしろ硫安よりはそれらの費用に却つて値上りを見ておるのじやないか、だから安定法の中にはこれらも入れなければならないというような、肥料行政の根底において非常な一つの混乱が見えている、ところが肥料行政は経済局でやつておる、或いは通産省でこれをやつておる、そういうような方法で一つの肥料行政の面を進める、農業改良局では合成肥料がいいんだというのでこれを進めて参りましたならば、ますます肥料の公平な分配ですか、肥料行政を混乱に陥れる基本をなすと思うのでありますが、これは重大な問題だと思うのです。而もその合成肥料は生産者から見ますれば、メーカーから見れば一番儲かる、そのものを普及員責任を持つてこれを普及して参りまするには、農林省としてどういう責任を持つてこれをやつて行かれるのであるか、一つそういうことをやつておられまするならば明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  51. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 改良局でどの化成肥料がいいから奨励するとか、どうとかいうふうなことは現在やつておりません。これは恐らくそういうことをやつたその普及員がいるとすれば、県の指導方針か何かでそういうことをやつたか、或いは任意にやつたかということではないかと、こう考えられます。化成肥料だと思いますが……。
  52. 清澤俊英

    清澤俊英君 化成肥料です。
  53. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 化成肥料が最近非常に各種のものが出て来ております。それは今お話があつたようなものによりますれば、窒素、燐酸、カリの各種の肥料を適当に合成すればもつと安いものになる、効果は同じのものができる場合もございます。又化成肥料のほうが割合に効果のあるような場合もあると思います。そこで化成肥料が非常に多いので、今までそういうふうな点については国の試験場でも研究はやつておりまするが、奨励上やはり各府県にもやらせたほうがいいんじやないかというふうなので、来年度は各その県の試験場に連絡試験いたしまして、その化成肥料というふうなものの肥効がどういうものであるかというようなことを各関係試験場にずうつと府県のほうで試験をやつております。そういうことで予算化しております。その肥効試験を一県で以つていいと、それだけで判断するのじやなくて、各地の試験場で以て判断したものを総合的に取りまとめた上で以て、各府県普及奨励上どういうふうな取扱をしたらいいかという判断の材料に供するようなものを提供してやろう、こう考えまして、そういう連絡試験費を含んでおります。
  54. 清澤俊英

    清澤俊英君 現在やつておるものに対してはどういう御処置をとられるか、そういう方法でいいものとして、責任がある普及ですか、奨励をせられることはこれは何ら差支えないが、今現在役場が中心になつてつたり、土地改良局あたりでちよこちよこと簡単な試験をやつて、それでこれがいいんだからといつて現に指導的な奨励をして、この合成肥料を買うことを奨励したものがあるとしたならば、早速どういう手を打たれるか、これは非常に危険なことじやないかと思うのです。
  55. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 土地改良局のことは存じませんが、普及員はやはりその府県の職員でございますので、府県試験場のデーターによらないで、勝手にそういうふうなものを奨励するというふうなことはあつてはならないと、こう考えられるわけでございます。できるだけそういうことは十分な化学的な検討を経た上でなければやらないほうがいいわけでございまして、ただ一部の業者の宣伝だけでそういうふうなことをやるということがあれば、これはやり方というようなものを相当注意しなければならんと、こう考えます。
  56. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今局長は合成、化成肥料に対しましては、品物によつては安く非常に有効なものがあるんだから、これは一つ相当の予算をとつて、これから地方試験場を通して試験調査をする、その上で普及奨励もしようというような御答弁であつたと思う。今現在やつていることが果して試験場がやつているか、経費はないんだから、やつているが誰がやつているか、それはわからない。結局しまするならば、人を皆疑ぐることはいけないが、仮に肥料会社から当の出先機関なりと連絡をとつて、若し軽卒な奨励をしているものがあつたらこれは大変なことだと思うのです。これはないとは言えないし、あるとも言えない。そういうものを、調査機関も持たなければ、施用効率等に比較的無智な農民に対して、普及員が、これがいいんだから、ただこれを使えばいいんだからというので、肥料屋の手先のようなことをして歩いているものに対して局長はどういう手段をとられるか、今現在です。これから試験した結果、各府県に言い付けて試験をしまして、その結果によつてこれはいいものであるから、これは使つていいという農林省の発表があるならば、これは別だと思うのですが、まだ不確定でしよう、どういう段階で検査しているかわからない、あなた今おつしやつた通り、まだわからない、地方試験場が検査しているか、役場が何か検査しているか、今現在ここに来ておる人が役場で検査してそれを奨励している。現在ここにも来ておられるから聞いて御覧なさい。そういう簡単なことでやることがいろいろの間違いを起す種であると、こう思うのであります。従つて確定した、確信のあるものを農林省がこれを奨励するという段階に来ない現実において、そういうことをやつている普及員があるとしたならば、これをどう取締るか、こういうことをお聞きしている。
  57. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) そういうふうな普及上の問題は府県庁の職員がやることでございますので、現在やり方が悪ければ、私のほうからその府県に注意を与えるというようなことでございます。それで只今お話のありました化成肥料については、各府県ともやはり或る程度試験はやりつつあると思いまするが、併しながらその試験が不十分であるとか、或いは先ほど河野委員から御注意がありましたように、そういうふうな仕事についてやはり得てして府県庁もその熱の入れ方が足りない、大事なことに対して……。それは予算がなくて十分にできていないというふうな場合等があるわけです。この化成肥料の問題につきましては、そういう面で農民のほうに必要がないのに高い物を買うというようなことがあつてはならん、こう考えまして、それで国のほうとして府県にできるだけ、本来は府県自体がやつていいことでございまするが、そういうような仕事は今非常に緊急必要な仕事でございますので、それを府県のほうに補助して、そうして組織的に試験をさせる。それでその府県試験の成績だけじやなくて、ほかの試験場の試験成績も十分見合つた上で、そういう点について府県に十分な指導方針をきめさせる。こういうふうな方向へ持つて行く、こう考えておるわけです。具体的に今までどの普及員がどこの県でそういうことをやつていて、それは十分県の指導方針にも則つていないし、或いは間違つたことであるというなら、そういうことがないように私のほうから府県のほうに注意を与えると、こういうことになるわけであります。普及員は御存じだと思いまするが、農林省の職員ではないのです。これは府県の職員でございますから、府県に私のほうから注意を与える、こういう形になります。
  58. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 関連しまして……。耕土培養のほうから改良局長に肥料の問題を伺うわけですが、今の清澤君の質問のありましたことは、現段階において非常に重大問題だと私は考え先ほど来聞きましたから、劈頭聞こうと思つたのですが、ちよつと繰返して申上げるようですが、土地改良或いは耕地培養の面におきまして関連性がありますから伺つておきまするが、只今質問のありました化成肥料或いは配合肥料という問題につきましては、御承知通り、終戦前はそういう化成肥料なんというものはなかつた。終戦後におきましてできたものであり、而も終戦後も肥料が統制下にありましたとき、即ち昭和二十五年までは化成肥料はなかつたのであります。その後において化成肥料というものがとられるようになつて、肥料が自由販買になつて初めてこういうような問題が起きたわけです。その第一番に、化成肥料は最近におきまして、二十五年以来、僅か三年か四年の間に、初めは化成肥料は五万トンぐらいしか売れなかつたものが、現在は八十万トンという数字が昨年度出ておるのです。而して配合肥料も二十万トンぐらいは配合肥料としてそれぞれの団体でやつているところもあるわけです。約百万トンという数字になつておる。而もそれには住友とか、或いは日東というような会社が、いろいろのメーカーがそれぞれ化成肥料といたしまして自分のところで作つておりますところの過燐酸を大いに使いまして、それを安く市販等をして販売するよりも、化成として売つたほうがいいということによりまして、化成肥料は、調べますというと、私が調べたわけじやありませんが、調べた人の話を聞きますというと、それは千円ぐらいの化成肥料が千三百円ぐらいに売られておると言う。少くとも最低三割、多きに至つては五割ぐらい儲けてこれを売つておるという状態でありまして、農業者といたしましては、零細農のうちの又零細農と申しましようか、まあ勤めをして農業を営んでおるというようなものは化成肥料が一番いいということで、化成肥料の需要は増加したと言われる。その増加趨勢の状態はそういうところに原因しておるかも知れませんが、これに対しまして耕土培養のほうから考えますと、化成肥料というものが、なぜそういうふうになつたかというその根本は配合肥料を配合するときに、配合肥料を農業団体その他のものがこれをやろうという場合におきましては、これは農林大臣の許可がなくちやいけない。即ち登録しなければならない。この登録という問題が、登録の認可を申請をいたしまして、而も三月も四月もかかるという状態でありまして、而もその地方や村の農協が農家をして化成肥料を使わせないで、最も合理的な肥料を使わせようと考えましても、今のような規定があるわけでありますから、あれは肥料取締規則の何条でありましたか、その取締規則があるわけでありますが、その細かいことはよしにいたしますが、そういうことによりまして、そういう取締規則があるために、業者は化成肥料で、単肥としては農業団体共同購入即ち予約注文によりまして、取りまとめによるところの、全購連あたりのまとまつたるいわゆる購入団体が非常に強くなつて参りましたものですから、あの肥料審議会等は単肥で売る場合においては、メーカーは、その単肥というものに対しましてはそう大した利益を考えないで売つておるような状態でありまするが、これをカバーするに何を以てするかというと化成肥料を以てしようということで、化成肥料の宣伝をし、その化成肥料を売れるようにするためにはこの取締規則によつて配合肥料を農家に造らせないようにしておる、摘発しておる、早く言えば配合してやつておるのを……。農家がこの共同作業場で肥料を買つて配合しておるという名目でないと、組合がそれをすれば、それは違反だというので、農民が来てやるならいいということになりまして、自分の家でやることは困難でありますから、部落々々でお互いに混ぜ合してやつて行こうというと、それは組合が実際やつておるのだ、農家がやつておるんじやないといつて摘発いたしまして、それがために折角の合理的な、地方におきまするところの技術者、これを指導して配合肥料はこの土地では、例えば神奈川県の何々村では土質から何からいつて、こういう肥料の配合が一番適切だ、何々作物ではこれがいいということを考え指導をしたくても、それが実際においてできない。農林大臣が許可するということは、それは成分か何かを考えて、何が何パーセントと考えてそれを認可するわけでありますが、一々そのたびに千円ずつ農林省に納めなければならない。その認可をとるために一つの配合のたびに千円ずつ払わなければならんということにしておきまして、業者が農家を取締る法律を作つたのであつて、肥料取締りじやないという現状にあるのでありまして、こういう現状ににつきましては、私は農林大臣が各村々の土質まで知つておる、又お役所のかたがたも農林省のかたがたも各個々の村までの土質がわかつてつて、その土質には何がいいとか、今までの輪作の関係上、こういう肥料を施したほうがいい、前作の関係でこういうものをやつたほうがいいというようなことは地方の人のほうが一番よく知つておるはずである、そういうものを、配合に対して農林大臣が隅々の村の土質までわかるわけはないのでありまして、又農林大臣というよりも、農林省がそれを調べるということは困難でありまして、地方長官が早く言えばこれに対して合法的でない肥料をこしらえては困りますから、それに対して認可をして頂くようにして頂くことが、いずれかの方法によりまして、これを簡易にしなかつたならば、とにかく農家の支出の半分を占めておりますところのあの肥料というものが三割も儲けられては、農家の経済の立ち行くわけはないのでありまして、いろんな方面においてロスが多い農業経営に対して、殊に肥料という問題については、こういう点は肥料取締法の上から行きまして、ああいう取締りを今盛つて置くことはよして、あの条項を直してやるというお考えがあるかどうか。大分話が長くなりましたが、あれを直して耕土培養の上から行きまして、みずからよき指導者のもとに配合をするような自主的配合をしまして、最も安く適正なる肥料を施すという方法に対しまする考え方はどうか、これを一つ。……(「所管が違うのです」と呼ぶ者あり)
  59. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 只今森田委員からおつしやいましたところは私も同感でございまして、協同組合での配合いうのがいろいろな制約を受けているために、その隙を縫つて、必ずしも有効でないような種類の化成肥料までが伸び出す。こういうことに結果としてはなつているのではないかと考えられます。その点については所管は農林経済局長となつておりますので、私からもよく伝えまして、我々のほうとしても、技術的に十分な検討をした結果を向うのほうに意見として持出して、それで御趣旨に副うような形に持つて行きたいと思います。
  60. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 今の問題は意見だけ伺つておけばいいので、経済局のほうにも勿論言うつもりですが、局長としてのそういう問題に対する意見はどうだ。耕土培養の上から言つた広汎な意見を承わつておきたいと思いまして前以て申上げております。
  61. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私のほうでは参考のために申上げておきますが、そういう点に相当問題がありましたので、全購連のほうと共同しまして、現在各県において協同組合の職員に肥料知識と土壌についての知識というふうなものを持たせることが先ず前提準備として非常に必要だろう。改良局としては先ずそれからでもやろうと、こういうことで本年度講習を各地においてやつているのであります。まあ試験場のほうについても、さつき言つたような形で連絡試験をやらして、国としても安定できる。この点ではうまく行つているけれども、この点は悪く行つているというように総合的にやつておるので、そういう点で総合的な研究をしている。農薬についても一昨年連絡試験をやらしたのです。それが昨年になりますと猛烈に伸びた。こういう結果になつておりますので、連絡試験の結果というのは相当効果があると思います。そういう形を勧めたいと思います。
  62. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 東さん関連ですか。
  63. 東隆

    ○東隆君 農薬について……。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 私関連しておりますが、肥料の問題ですね。これはいろいろ問題の起る理由は、肥料行政の中心点が私はぼけていると思う。御承知のように肥料行政は改良局、経済局、それから通産省、これが関係者だと思います。私の考えでは、この三者のうちで肥料行政の中心は出発点は改良局でなくちやならん。あなたのほうで如何なる肥料が一番いいかということをつかんで、それに従つて経済局が通産省に働きかけて、そうして通産省は肥料の生産行政を指導されるこういうことでなくちやいかんと思う。ところが今その肥料行政の出発点であり、中心点でなければならん改良局が、私は少し消極的ではないかと思う。今問題になつておる化成肥料にしても、あなたのほうの試験研究の結果、化成肥料は単肥の配合と何ら変りはない。こういうことをはつきり言つておられるわけです。ただ強いて言えば、水田地帯においてあの化成肥料の物理的作用によつて幾らか肥効があるようにも思うという程度のこと。現在の程度はあなたはそういうふうに発表しておられる。それならば現在の試験研究の結果によつて、これを肥料行政の出発点にして、経済局なり、通産省に生産行政なり分配の行政をやらせればいい。ところが通産省は勿論のこと、あなたの同じ省内における経済局でさえも、とかく改良局の肥料知識というものを度外視して、肥料行政を勝手気ままに振舞うということ。でありますから、今の清澤さんのような御質疑が起ると思う。私はあなたのほうの権威者による長年の研究の結果、肥料についてはそれぞれちやんとデーターが出ているのであるから、私はそれによつて肥料行政を展開して然るべきであろうと思う。確かに改良普及員が一、二の会社の虜になつて、そうして特別の肥料の宣伝をするということもありますよ。これはあるのです。その害たるや非常に大きいのです。そこで私は改良局員にこの際もう少し、肥料行政の出発点はおれのところだ。中心はおれのところだということを自覚してもらいたいのです。化成肥料につきましても、今三割高と言われましたが、三割どころではありません。現在化成肥料の市価というものは配合肥料から見れば五割から七割ぐらい高い。事実です。又事実それだけ高くなければ温泉場ヘ行つて振舞つて宣伝なんかできやしませんよ。(笑声)酒を売つているのか、肥料を売つているのかわかりませんよ。こういうことに対して私はよろしく経済局にも反省を求めたらいいと思う。まして通産省にも反省を求めたらいい。そして本当にいけない肥料なら、これをやめさせる。又肥料が悪くはないけれども、価格の上に不適性と思うものは私はよろしく積極的に改良局指導されるべきと思うのです。あえて言いますけれども改良局が折角大事な研究をされておりましても、この研究の結果というのは、これは肥料だけの問題ではない。全般の問題にも勿論同様でありますけれども、特に肥料の問題につきましては、折角の研究の結果を農民に普及徹底させるという点につきまして、何か一つ本年こそ具体的に私は実施してもらいたい。特に私はあえて言いますが、化成肥料等については、改良局独自の立場において経済局なり、通産省を指導してもらうことに、或る場合には制約もありますが、塩見局長、これをどう考えられますか。
  65. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在のような化成肥料の普及状態を以てすれば、これは今までと違つて、十分この問題に対して検討した上で、やはり政府としては態度をきめるべきかと存じます。その点についても、先ほど森田委員から御指摘がありました通り、やはりあれは或る程度使われるのは配合をやらしてないためで、個々の農家では配合肥料その他について見当が付かないので、便利だというのであれが高くても伸びる一つの原因だと、こう思いますので、配合比率を使われるような形で、その意味農家のかたがあれを使わなくても、あれと同様に有効な配合比率というものを使われるような形に技術的にも持つて行きたいし、農協のほうも、それがそういうふうにできるような形に持つて行くということは、並行しながら必要なことではないかと、こう考えますので、そういうふうな点についてできるだけの努力を払いたいと思います。
  66. 河野謙三

    河野謙三君 塩見局長は暫らく肥料行政からも離れておりますから、最近の流通肥料の実情を御存じないと思いますから参考に申上げます。化成肥料を農家が好きで買うのはこれは仕方がないでしよう。併し化成肥料を作ることによつて他の肥料に影響があつてはいけないわけであります。ところが影響がないかというと、あるのです。今流通過程におきましては、農家が過燐酸を買いに行きましても過燐酸がない。カリ肥料を買いに行きましてもカリ肥料がない。然らば農家が過燐酸やカリ肥料を買いに行つてないならば、当然過燐酸が不足、カリが不足しておるかというと、化成肥料を製造するところの工場には原料たる過燐酸もあれば、カリもいつでも豊富にあるということであります。でありますから、今は化成肥料というものが単肥の過燐酸なり、カリの市場への流通作用を阻害して、そうして化成肥料に重点を置いておる。これはこの間経済局長にも言いました。今のカリがなぜ高いか、過燐酸がなぜ高いか、需給関係による自由経済の本質からいつて、需給関係からいつて高いなら仕方がないけれども、需給関係からいつて高いのじやないじやないか、今申上げたようにカリなり燐酸というものは、そういう製造過程において、流通過程の操作において単肥が高くなつておる、需給関係じやない、そうだろうと言つたところが、それはその点は確かに認めますと言つておる。そこまで化成肥料が化成肥料単独で勝手にそういうことをやつておることならいいけれども、他人様の過燐酸なり、カリに迷惑を及ぼして、そうして化成肥料が横暴を振舞うということは、私は行政上の非常に大きな欠陥だろうと思います。そういう実情でありますから、よくそういう点も御考慮の中に入れられて、私は肥料の行政について十分な強力な態度で指導力を持つて頂きたいと、こう思います。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど普及員の問題は県の段階であるということで、県で何らかのことをやつていいだろう、こういうお話があつたと思います。そこに何らかの方法を以て県なら県、地方試験場なら試験場が、これを責任を以て推薦できるものを発表した場合にやるならいい、普及員がそれを買入奨励をやつておくことは差支えないことだと思います。そういうような一つのはつきりした責任制度をとらないで、県がやつておるのだからおれは知らんという御答弁はちよつと私は腑に落ちない。私は少くとも普及員は県の指導課にあるものであつて農林省が知らんと言うておりましても、そこに一つの弊害があるとしたならば、それを如何にして防ぐかという方法が大局的に考えられるだろうと思う、私そのことを言うてお伺いしておるのですが、県が何とかやつておるのだろうから知らん、又若し県がやらずに野放図に放つたらかしておきましたなら、これはどうでもいいというようなお話になりまして、或いは今河野さんが言われるようなれ不心得のようなものも出て来やせんかということが考えられる。こういうふうに考えましたとき、重大なそこに結果が出て来やせんかと、こう思うのであります。もう少し、あの誠意という言葉はおかしいのですが、誠意でやつておられる人に理解がないということはおかしいのですが、取締に対する何か具体的なお考えをもう少し伺いたいと思います。
  68. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 速記を御覧になればわかると思いますけれども、おれは知らんというふうな意味ではないのでありまして、府県の職員で若しそういうふうな誤まつたやり方をやつておる普及員があれば、私のほうから府県に注意をする、警告を与えるというやり方でそれを抑えて行くという方法があるのであります。そういう方法でやるほか方法がないのだ、こういうことを申上げたわけであります。そういうふうな事実が多いようなお話もございまするので、まあそうなれば一々そういうふうな事実を具体的にその報告を待つて、話を待つてということではなくて、私のほうから一般的にそういうふうな傾向があるというふうな点が調査の上ではつきりしますれば、私のほうからそういうふうなことに対し、府県に警告を与えて、府県はそういうふうなことのないように注意をする。県は指導いたし、警告を与える、こういうふうな形をとる、こういうことになります。その点についてはよく帰りました上で調査をしてみたい。今現実の事実は私もちらほらと聞及んでおりますので危険だと思つて大蔵省のほうに連絡はとつたわけであります。そうでないと危いと思いましたので、そういうふうな点は十分調査した上で以て、そういうものが広く一般化しておる危険があれば、これはすぐでも注意を与えたほうがいいと思います。
  69. 東隆

    ○東隆君 植物防疫所に関することなんですが、私は二十九年度に盛込まれておるところの予算を見まして、これでは国際植物防疫条約の関係でやつておる程度の仕事くらいしかできないのではないかと、こう考えますが、北海道の特産物である種馬鈴薯の検疫その他のことに関連しては、この程度予算では、これはなかなかやれるものではないと、こういう考え方を持ちますが、そのためには食糧事務所の職員の中で資格のあるものを広汎に動員するとか、或いは改良普及員を広汎に動員をするとか、そういうような関係のことをお考えになつておられるのかどうか、私は現地でこの問題について非常に悩みが大きいのを承知しておりますので、これを解決する方法として、そういう方面に考えを伸ばすべきでないかと、こう考えまするが、ちよつとお伺いいたします。
  70. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この問題は、現在の予算を以てすれば昨年と同じような程度の精密さを以てしかできない。こういうことであつて、まあ東京都或いは千葉県等において現実に種「いも」の問題は起つたことがございます。で、やり方としましては、現在は道庁の職員というふうな者、或いはその下の町村段階の職員というものを補助的に利用しておるわけですけれども、若し食糧事務所のほうの人がそういう方面に余暇を持つとか、或いはそれを総合的に考えればより活動できるというふうなことであれば、それは我々のほうで検討しなければならない問題でございますが、この前もそういうふうな話がありましたので、一応防疫課のほうといろいろ食糧庁のほうと話をしてもらつたのですが、なかなか現実にはいろいろ技術的な検査のテクニツクの問題であるとか、何だかんだでなかなかこの問題が簡単に片付いておらないわけでございます。その点についてしつかりした方針がきまつておるというふうなわけにはまだ行つておりません。
  71. 東隆

    ○東隆君 私は種馬鈴薯だけについて考えてみましても、この圃場の検査であるとか、予措的の検査が当然必要になつて来る、指導方面から見、或いはその他の方面から当然やらなければならん仕事、そういう面は私は食糧事務所の職員が夏の間に比較的暇ですし、十分にやり得ることができる、これは関連を付ける必要がある、そしてそのために私は或る程度予算を持つ、そういうようなことをやれば私は十分になし得る、これは現にその程度のことは昔はやつてつた、当然やれるものだ、こう考えております。これは種「いも」の検査と植物防疫の規定をしておるところとは違うかも知れませんけれども、一連の関連がありますので、そういう面について当然セクト主義を廃してやるべきではないかと、こう考えておりますので、若しこの程度で以て固まるのでありまするならば、私は別に方途を講じなければならん、こう考えます。
  72. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 種「いも」の検査につきましては、圃場の検査と、それからもう一つはやはり圃場で検査したものを果して出荷しておるか、それとも検査合格でないものを出荷しておるかという二つの検査が一番重要な影響を持つて来るかと考えておるわけです。その両方の点とも今の検査方法を以てしては十分ではないわけなんですが、やはり圃場の検査のほうになりますると、かなり技術的な点がやはり問題になりますので、そういうふうな点についてやはり食糧事務所の職員全体が、それだけの技術的な訓練を経た人間で満たされるかどうかという点等も考慮しなければなりませんし、それについては、なお打合せを食糧庁のほうとやりたいと思いますが、もう一つの出荷のほうの検査につきましては、これはなかなか実際食糧事務所の職員でも簡単にできるものであるか、できないものであるか、はつきりしたことはちよつと仕事の関係その他の余暇の関係等もありますので、打合せてみないと、はつきりした結論は付きかねるわけです。こう思います。
  73. 東隆

    ○東隆君 圃場の検査は、私は却つて改良普及員がやればいいと思うのですが、出荷のほうは、これは食糧検査事務所のほうがやればいいんだと、こういう考え方なんです。併し夏分は食糧事務所の職員は余裕があるはずだから、そちらのほうに訓練をして、そうしてこの植物防疫関係を完璧なものにできないものかと思うのです。改良局の傘下にある改良普及員は勿論動員する、それから食糧事務所のほうにもつと関連を付ける必要があるのではないかと、こういう考え方なのです。それで今の局長の言われたのは、私としては逆のように考えます。
  74. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) この問題はどうですか、今少し研究しますか。次回にいたしましようか、そのほうがいいように感じるのですが、恐らくこの問題は……。次回に今少し研究して頂きまして、明快なことを聞きたいと思います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  75. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい
  76. 松浦定義

    ○松浦定義君 いろいろ今日お話がありました農薬の適、不適が増産に非常な影響をもたらす、こういう形から、私は現在農林省が本当に推奨し得るような農薬種類がどれとどれであるか、或いは又取扱つておる会社、これは非常に問題があると思うのです。それで重要なる会社の、まあその内容等、いろいろ面倒が起りますから、特にそういうことを私は申上げなくともおわかりになると思うのです。でありますから、そういう面から例えば五大会社なり、八大会社なり、これは農林省で使つてよろしいというような会社の内容、まあその薬品に対する内容なんです。それと更に又できれば卸しと小売の価格といつたようなものを、中間においてどのくらいのマージンをそれぞれの機関が取つているかというようなことも、できるだけ我々が見てもわかるような形の資料を、一つできるだけ早く出して頂きたい、こう思うのですが、そういうことができるかどうか。
  77. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 如何ですか、資料、よろしうございますか。
  78. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 承知いたしました。
  79. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今日ここにお配り頂いている農村用の石油の問題なんですが、これに関連して、改良局のほうで以て農業機械の自動耕耘機とか、或いは脱穀調製用のいろいろな機械を扱つておいでになると思うのですが、最近この油の値上りが非常に急速になつて来ているのです。そうしてほかの農村用の資材から比べますと、値上りがとても激しいのです。燈油などは六十円をとつくに突破しているような状態なんです。恐らく自動耕耘機などの経費に非常に大きく響いて来るのじやないか。そういう極く簡単な資料でいいと思うのですが、この燃料費がどういうふうな工合に自動耕耘機の耕耘費に響いて来るか、そういうものを簡単に作つて頂きたいと思います。できますか。
  80. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 燃料費はあれですか、このコストの値上りが耕耘機の使用に際してどう影響するかというようなものですか。
  81. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうです。
  82. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 作ります。それは大体の資料は私らのほうも一応は、ここへ持つて来ておりませんが、通産省のほうに別枠として今のところ交渉はしております。
  83. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 それから委員長一つ……。この石油の問題はいつか農林省側で、今まで考えておいでになり、こうやつてこれは統制の形に要請して来ておいでになつているのですが、これは大きな問題になつて来るのじやないかと思つているので……。
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは農林経済局と、農地局と両方のようですから……。
  85. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これは各局に関連しておりますから、農林省方針として、一応の今の考え方を、いつかの機会に御説明頂きたいと思います。それを一つ……。
  86. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 承知いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会