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1954-07-28 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十八日(水曜日)    午前十一時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    調達庁不動産部    管理課長    藤波 良雄君    防衛庁経理局施    設管理課長   高田 賢三君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    農林省農地局管    理部入植課長  和栗  博君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    農林省畜産局経    済課長     昌谷  孝君    農林省畜産局飼    料課長     石川 武平君    農林省蚕糸局長 原田  伝君    農林省蚕糸局糸    政課長     大戸 元長君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (稲作等作況及びその対策の件)  (稲作病虫防除徹底に関する件)  (本年発生水害による農林関係被害  状況及びその対策に関する件)  (酪農振興に関する件)  (飼料に関する件)  (焼津飛行場使用による被害農地に  対する補償に関する件) ○繭糸価格安定法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会を開きます。  先ず本年度稲作等作況及びその対策の点を議題にいたします。昨日の委員会におきまして、稲作病害虫防除徹底に関して、緒方国務大臣保利農林大臣小笠原大蔵大臣申入を行い、本日の委員会に、申入に対する回答を持つて出席を求めておきましたところ、保利農林大臣出席を頂きました。更に小笠原大蔵大臣出張不在のために、後刻植木政務次官出席があるはずでありますが、只今原部長出席されております。只今から申入に対する当局回答を伺いまして、本問題に対する取扱い方についての御協議を願いたいと存じます。なお、申入に対する審議の後におきまして、この機会に、これ又昨日の委員会におきまして問題となりました、本年度水害に対する繋ぎ資金の融資の問題、同じく本年度水害に対する補助金の問題、更に昭和二十八年産米追加払の問題、食糧管理制度改正等の問題に対しましても御質疑を願いたいと存じます。先ず最初に昨日の申入に対する回答をお願いいたします。
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨日当委員会の総意を以て申入を受けました件につきましては、政府部内におきましても、先般来種々対策を検討いたしておるわけでございますが、昨日は小笠原大蔵大臣も御出張になられて、大蔵大臣と最終的にお話をしておりませんので、最終的な御報告をなし得るところへ至つていないことを申上げざるを得ないわけであります。私どもとしましては、今年の異常天候に対処いたしまして、できる限り、昨年の東北地方冷害は、当初の作況が順調に進み、殆んど終盤期において冷害が襲来した、今年は幸か不幸か、とにかく前半期におきましてかよう天候が現出しましたので、従つてこれは天候関係から言いましても、当然予想せらるべき事態に対しましては、成るべく早目に手を打つて行かなければならないのではないかという考えで、先般来内部において特に農薬関係について相談をいたしておるわけでございますけれども、先ほど申しますよう事情で、最終的な政府方針を御説明する段階に至つておりませんというふうに御了解を頂きたいと思います。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 昨日から当委員会北海道、岩手、山形、長野等の議会或いはその他を代表されて陳情に見えてお話があつたわけですが、そのお話を聞いておりますというと、ヒメハモグリバエ等につきましては、今までもすでに大変な防除費を使つておる、そして今後の問題については、すでに「いもち」が発生を始めておる、そしてそれが拡がりつつある、そのことは改良局のほうのお方に聞きましても、「いもち」の被害進行中である、こういうことでありましたし、又昨今の気象状態から見ましても、これはもう我々が常識的に得る結論は、この「いもち被害というものはここで適切な手を打たなければ急速に拡がるだろう。今対策を誤まつてこれを蔓延さすことは、いわば一文惜しみの百失いと、こういうことになることは、これは誰でも常識的に考えられることなんでして、私どもとしてはその対策が今日まで延び延びになつているということを非常に遺憾とせざるを得ない。仮にまあ防除という見地から見ましても、時期を失するという虞れがあるし、それから又農薬生産量を確保するという面から言いましても、政府対策が遅れたのでは、農薬生産のほうも必要なときに必要な量を生産して供給するということか不可能になるのじやないかということで、私ども参議院だけでなしに、衆議院のほうでも、もう相当前に極めて具体的な要望を政府のほうに満場一致で農林委員会としてやつているわけですから、まあそれが今までまだ話がつかないということを非常に私どもとして残念に思うわけですが、この最終的な結論ということは、もう要するに、もつとくだけて言うと、大蔵大臣がお帰りになつて農林大臣とお会いになれば、これはもうきまり切つたことだから、三分か、五分で話はつくと、そのときのおよその見通しはこうだと、こういう段階まで来ているということたんですか、その最終的段階というものは……。極めて含みの多いよう報告なんですが、その点はもつと私たち具体的なことを聞かして頂きまして安心したいと思いますが、どうなんですか。
  5. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この申入関係とは別にいたしまして従来の経過を申上げますと、先ほど申しましたようなことで、いろいろ各方面の御心配要請を受ける前に、政府のほうでも、そんなことはわかり切つていることだし、お話通りでございますから、従つてこういう一面食糧事情であり、又昨年の冷害あと再びこういうふうな天候異変禍いをされているという地帯に対しては、成るほど大蔵省的考え方も本筋としては正しい点もあると思いますけれども、こういうふうな異常事態でございますから、異常事態に対して特別の措置を講じなければならんじやないかということについては、原則的に大蔵大臣了解をされておると思います。従つてその特別の措置如何ようにするかということについて事務当局間でよく話合をして、そして具体的な方針をつけようということで、事務当局間で相談を今日も依然としてやつておるわけなんです。それがまあ結論が出ていないということでございます。あからさまに申上げます。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 大蔵省考え方というものも我々正式に聞いたことがないのでわかりませんが、昨日の改良局のほうの説明では、異常発生が確定的であるなら農楽補助をしてもいいと、こういうよう意味にもとられたのですが、大蔵省のほうはそういう考え方なんですか、異常発生が確定的であれば農薬補助をしてもよろしい、併し今のととろ確定的でないからということなのか。それならば一体異常発生というようなものが、今日の日本のこういう方面科学者見解からみても、私は統一した見解は出ておると思うのですが、それとも異常発生であろうと何であろうと、飽くまで農薬の購入の補助ということはしないということなのですか、その点はどつちになつているのですか。
  7. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大蔵省事務当局考え方は私にはまだわかりません。わかりませんが、私が大蔵大臣お話をいたしておりますのは、成るほど従来そういうふうな考え方を持つておられるであろうけれども、今年の状態から見まして異常発生は免れがたいではないかと、それはもうなければこれより幸いなことばないけれども、私ども報告を得ておるところでは、異常発生避けがたしということである以上は、無論農家経済を守るという上からも、防除措置が的確にとられることが望ましいことでございますけれども、それ以上重要なことは、とにかく一石の米といえども手を尽してとり得る米であればとらなければたらないという食糧事情の下に立つておる今日の我が国としては、これは一つ生産者がそれによつて経済的利益を得るからというようなことで扱つてつたのでは大事を逸するのではないかというよう考えで、私はそういう意味を含めて大蔵大臣とは話をいたしておるのであります。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ大臣に余りくどくど言わなくても、あなたも非常に御心配なさつておることはよくわかりますが、一体大蔵大臣はいつ帰つて来て、いつまでにこの問題をけりをつけるという見通しなんですか。
  9. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど申しましたように、原則的には特別の措置をとらなければならんということについては、大蔵大臣においても異議がないわけなんです。従つて事務当局間において十分相談をして具体案をまとめさせようということで、両当局話合をしておる段階でございますから、その事務当局間の話合の過程を立入つてこれは私もまだ具体的には承知をしていないわけでございますから、その点はそういうふうに御了解を願います。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 これで大臣に対する質問が終つたというのではないのですが、今の経過からいつて、辛い両事務当局がチャンピオンが揃つておられるのだから、一体それぞれの立場ばどういうことを言つておられるのか、一つざつくばらんに話して頂きたいと思う。
  11. 塩見友之助

    説明員塩見友之助君) 農林省事務当局といたしましては、先ほど大臣からお話のありましたように、六月の中旬、早く言えば九日、十日の非常な低温がございまして、その低温が大体平年に比べて数度の低温という状態で、九日、十日だけでなくて、あとまでずつと尾を引いて数度という低温が続いております。それで冷害に対する警戒を始めまして、それでその低温は大体二週間に亘つて続きまして、その後もやはり、四、五度という程度ではございませんが、低温がございまして、ずつと低温が続いておる。気象台長期予報等は、低温の点について考えしまして非常に誤つてつたというふうな状態になりましたので、直ちに気象台のほうにも改めて予測をやつてもらいまして、大蔵省のほうには、その状態と、それから大体冷害地帯においては本年は冷害の危険が非常に濃厚になつておるということを申しまして、それに対する措置等について考えておいてもらうようにという申入はやつております。七月の上旬になりましてもやはり低温が続きまするし、七月の上旬末から大体七月の二十日くらいに亘りまして夏型の気象になるだろうという気象台予測が、これ又狂いまして、その間もやはり梅雨気味天候が続くと、こういうことが確定いたしましたので、それで私のほうといたしましては、大蔵省に対して、冷害に対する特別な措置というものを考えてもらいたい。先ず第一には、やはり技術指導という点を、これは金額もそう張りませんし、まあ大体試験場なり、普及員なり、そういうものが活動して冷害に対する技術的な万全の措置をとりたいという点は了解を得まして、これは大体八百十五万円ほどの予算をもらうことになりました。で、問題はやはり昨年から冷害に対する準備としましては品種転換、これば推定いたしましておよそ三十万町歩に及んでおると思います。耐冷性の品値であるとか、過晩性品種中生種に、或いは中生種で適当でないものは早中晩の比率と適当にするため早生種を入れるとか、そういう意味での転換をやつております。それから保温折衷苗代は昨年約千九百五十万坪の予算でありましたが、実行上は約二千四百六十万坪、約五百万坪ほどの実行上は増加を見ております。北海道においては約八万町歩ほどの温床苗代を行なつておる。こういうふうな形で特殊の苗代による健苗育成というものは三十万町歩くらいに大体見当付けられるわけです。そのほかに早蒔、早植ということを奨励いたしまして、基本的な措置といたしましては容土の奨励をやりまして、それぞれ相当進行を見ておるわけで、現在までの農家及び県、国を挙げての冷害対策としましては、できるだけの措置はとつて来ておるわけであります。今後の残された冷害に対する措置としましては、何と申しましても冷害に伴うて発生しますところの「いもち」病の防除ということがあとに残された最大の敵としてそれで考えなければならない、こういうわけでございます。で「いもち」病の問題につきましては、防除器具等年度当初の予算において昨年度の四倍ほどのものを府県に配布しております。それで相当防除器具についての準備はできておるわけであります。一方農薬備蓄のほうの予算を本年度相当大きく拡大いたしまして、それによつて約九千万円足らずの予算でございまするが、金利倉敷補助をやりまして、全購連或い府県県連等豊薬備蓄をやつておる、こういう状態でございます。それから年度当初の農薬補助金は約二億一千万円ばかりのものが補助金として出ております。これは大体常習激発地に対する奨励的な補助として配付済でございます。で、昨年度農薬補助金につきましては、年度当初八億円、それから災害に対する特別な予備費的なものとして約一億円、当初予算で約十億円でございまして、あと西日本水害或いは東北冷害等によりまして十二億円はどの予備費等支出増をいたしまして、それで前年度は米について言うと二十二億円の補肋金を組んだ、こういう経緯になつております。本年度農薬につきましては、そういうふうな経緯からしまして、大体県の備蓄或いは国の備蓄というふうな形で、市町村のほうにおいても当然平常に発生するであろうと思われる程度のものは市町村において農薬のほうを購入するように督励といたしておりまするので、それらの分については大体農薬の手配はできておると見ていいと思いまするが、発生予殺によりまして推定をいたしますると、その面積が平常発生の数字を相当上廻るというふうなことは、七月上旬における発生予殺等で以て大体計算できます。大体六十万町歩見当は大きく異常発生を見るのではないかと「いもち」については考えられるよう状態でございますので、発生予殺を基礎といたしまして、その発生面債推定をやりまして、それで備蓄等による現在の予算措置でとられておるものでできない異常発生の分については、どうしても政府で以て特別な措置をとつて頂かなければ困る、その特別の措置というのはどうしても農薬補助金というふうなことは当面必要であるというよう考え大蔵省には折衡しておるわけであります。もともと異常発生については年度当初から予算的な措置は講じておらないわけでございまして、これは大体我々の了解といたしましては、異常発生があつた場合にはやはり予備費のほうから出してもらうというふうなことに私のほうは心得ておるわけでございます。大蔵省のほうの見解としましては、農薬補助金ではどうしても困る、やはり備蓄を強化してくれ、こういう話でございます。で、備蓄に対する金利倉敷、或いは後になり。ましては備蓄に対する持越があつた場合には、持越した分についての値下りの補償も或る程度考えてみようかというふうなお話もあるわけでございまするが、東北冷害に伴う「いもち」につきましては、ここ約一ヵ月間というものが勝負どころでございまして、それで我々のほうとしましては、どうしてもそういう備蓄というものを今更やつてみても、それは急場の間には到底合わない、こういう異常事態に対してはやはり異常な適切な措置が欲しいというふうに申しておるわけでございます。これは原則論になりまするが、我我のほうとしましては、やはり現在の農家状態からみますると、どうしても病虫害が異常な発生を見た場合には、村当局なり或いは県の技術者なりというふうなものが或る程度強力な指導を行いまして、それで農民が気がついてやろうかと思う時期はもう非常に遅れて、非常に面積も拡がりまするし、防除効果も失うようなことになりますし、これはやはり一つ伝染性病気でございますので、やはりほかの伝染性病気に対する国のやり方と同じように、或る程度強い強制力が加わらないと、適期に問に合うよう被害最小限度に食いとめての防除というものは不可能でございますので、そういうふうな意味からいつて、今年のよう状態ではどうしても村当局なり或いは村の指導者なりというふうなものに、大体殺或いは早期発見等によりまして、それで見当がつきましたならば早目農薬を手配し、早目にその防除に或る程度強力な指導を行なつて徹底してやつてもらうということが必要でございます。その共同防除、一齊防除適期防除するというふうなことを励行いたしますためには、どうしても或る程度年度等にございましたよう農薬に対する補助金というものがございますれば、そういう指導的な立場にありまする人々は、これは或る程度強力な指導がなし得るわけでございまするが、農家のほうが自発的にやるというふうな形をとりますれば、どうしても手遅れになりがちになるというのが実情でございまして、我々といたしましても、それは農家の仕事でもあるわけでございまして、又受益者農家であるわけでございます。国民全体が受益するわけでもございまするが、農家受益者であるわけでございまするから、農家が自主的にそういうものは適期にやれるようなところまで育てる、そういうふうな腹組みに持つて行くということが理想でございまするが、これはそう急速に昨年までやつてつたものを一挙に一年で以て切替えるということは困難でありまするので、本年の異常措置といたしましては、どうしてもその補助金というふうなもので以て、それで十分村当局その他に指導を行なつてもらつて適期防除をさせたい、それが最も有効な「いもち」に対する措置である、こういうふうな見解大蔵省と折衝をしておるわけであります。大体そういうふうな状態でございます。
  12. 原純夫

    説明員原純夫君) 大蔵省側考え方を申上げます。従来出しておりました農薬補助金を二十九年度予算編成の際にどういうふうにしたかということにつきましては、只今塩見局長からお話がありましたように、一般農薬自体補助はやめる、これは農薬自体補助はいわば農業経営経費であるから、それはたくさん要るときもあろうし、少く要るときもあろう、これは経費の一部として農民自体において負担する、ただ病虫害というものは共同的な防除というものが必要であるというよう見地から、極力これをバツク・アツプするというよう意味ホリドール等の危険な農薬、それから又浸潤しない農薬についてば奨励的な意味で暫らくやる、今後そういうものが出て来れば、そういうものが浸潤するまでの補助はみよう、なお共同防除のための防除器具補助は今後殖やす。それから現物現地に参つおらうないということでは困るというので備蓄をするための金利倉敷料補助するというような形でやつておるわけでございます。この農薬に関する補助の切替えは、今般の了算編成におきまする非常に大きな柱である補助金負担の問題の一環といたしまして、我々としては相当大きな原則考えております。勿論いろいろ考えようはございますが、やはり豊薬におきましても経営経費についてはみずから責任をとる、そして共同の面については国も力を貸すが、協同組合等において一層充実した共同的な作業態勢というものをとつてもらいたいということで成立つておるわけでございます。そこで今回天気の状態が非常に不順であるというので心配が出て参つたのでございますが、この段階でいろいろ御要求のありましたことのうち、我々としては営農と申しますか、農業やり方指導のための経費はもうお認めしてあります。それから農薬関係におきましては、まあ非常に心配であり、相当起るということでありますか、今の段階補助をするという方針をはつきりきめるということは如何かという考えでございます。勿論非常に異常な発生を見ました場合に、これは農薬に対する補助というような問題でなくて、農民の苦しみをどうするかという意味において問題があろう。その場合には十分農業の問題も問題として取上げましよう。併し気を廻して心配いたしますならば、この天候状態で参りましたならば、秋には遥かに大きな大減収問題、凶作問題というような問題も起り得るのではないか、そういう場合に御存じの通り一兆の枠で、そして自然増収も見込めない、税収もあぶないというような前提におきまして、我々ない財布をしぼつてつた農民を助けなければならんというようなことにもなつて参るかと考えております。そういう場合に、先ほど申しましたよう経営費を自分で負担させるという原則を崩して補助をいたしますことは、いわば価格の補給のようなことになつて、本当に困つたものを助けるという見地における効率としては非常に低いことになるのであります。やはりそういう際ば十億でも一十億でも本当に困つた人のところに行く金を出すようにしなければならんということになろうと思いますので、そういうよう考え方、そういうような何と申しますか、将来に対する配慮から考えましても、農薬補助の問題を安易にここで踏切つてしまつてはいけない、実情の推移に応じてどういうふうな措置をとるかを研究して参りたい、非常に異常な発生を見た場合は向らかの措置をとらなければいかんということは考えております。それが農林大臣のおつしやつた大蔵大臣の意見ということでもあろうかと思うのでありますが、只今のところでは、その問題よりもぱつと起つた場合に現物現地にあるかないかということが大事だろうというふうに考えまして、備蓄を充実することについてば相当思い切つた措置をとつてよろしいから、それをやつて頂きたい、いろいろ技術的な御困難を農林省側でも申されておますが、私どもはやはり今の段階では補助の問題、補助をくれればということでなくて、やはりやることはやらなければいかんのでありますからやる、そうしてそのためにしつかりと現地に物を積むというようなことを国が相当思い切つてやるということが今の段階としては妥当な方法ではなかろうかというふうに考えるわけであります。どうもいろいろ話を詰めて参りますと、補助がなければ農薬を撒かないかどうかという一点にかかつて来るわけでありますが、これはやはり私ども農業経営通常経費通常所要資材なのでありますから、自己の負担においてやるという線に持つてつて頂きたいという考え方異常発生してどうこうするとおつしやる場合は、要するにいわば一般の凶作に際して収入の少い農家をどう救うかというような問題として取上げる面、農薬の形でそれを収上げるということもあると思いますが、角度はそういうよう角度になるのではなかろうかというようなことで、実は備蓄については相当思い切つた態度をお示ししておるのでありますが、残念ながら農林当局はその線には乗つて来られないで補助を是非承知しろというお話なんで、何かまあ我々も異常発生してどうにも困る場合に問題にしないということは言つてないのでありますが、それを今この際ここに言われまするのでごたごたしておるという状態であります。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 どうも今の大蔵省のお答えを聞いておりますというと、私は政治というものと事務というものが一体どの辺でどうなるのか非常に混乱して来ておるのじやないかと思うのです。先ほど農林大臣お話を聞きましても、大蔵大臣異常発生については適切な手を打たなければならんということは了解しておるのだ、そうしてそこから先は農林大臣言われたかどうか知りませんか、誰が考えたところで今年は異常発生の条件が揃つておる、そういう問題については早期に手を打たなければ一文惜しみの百失いになつてしまう、これは誰が考えても常識なんです。そうするともう問題は農林、大蔵両当局の間で、この原則に基いて事務的に折衝するだけが残つておる、これでなければならんと思う。ところが今の大蔵省の主計局次長のお話を聞いておりますというと、どうもこれは原則論をやつておられるのであつて原則論については私はやはりちやんと両大臣の間で原則的な話ができておるなら、今更原則論を蒸し返す段階ではないと思います。それからその原則論を聞いておつても非常に我々としては納得できないことでありまして、例えば農薬は当然農業経営経費の一部であるから農民負担すればいいのだ、そうして農民の困つたという問題については別なことを考えて行くのだ、秋には凶作になるかもわからん、そのときに農民の苦しみを救うということについては考える、こういうようなことなんですけれども、これがもうはつきり一文惜しみの百失いということを現わしておる、何と言つておるのか我々はわけがわからない、秋になつて凶作になつたらそのときに農民を助けてやるのだ、凶作にしないということを考えなければいかんのじやないか、而も「いもち」にしたところで、病虫害にしたところで、これは技術的に見て伝染病ということはわかつておる。それでは一体チブスがはやる、コレラがはやるというときに、それでは注射を個人々々でやれというのか、チブスがはやり、或いはコレラがはやるというときに、国がやはり、どこから金を出すか知らんけれども、国なり県なりで金を出して、ただで注射をしなければならんじやないか、個人々々で注射をしろといつたときに何人かの人が注射をしなかつた、その人が病気になつたらそれがために全体の伝染病の対策というものは誤まつてしまうのじやないか。そこで一体多くの農民が仮にそういう気持になつたとしても、このことはなかなか困難です。それは今までの農村の実情をお考えになつたら、日本の農民がそういう問題についてどういう考え方でおるか、何遍百姓というものはやられてもやはり思い切つたことはできない。それがやはり日本の農村の現状なんです。そういうときにたまたま何人かの人がまじめな態度で共同防犯をやつたところで、少数の者がこれを拒否してやらなかつたならば、そのほかの人がやつたことが無駄になつてしまうのではないですか。そこであなた方は凶作を人為的に拡大して、防ぐ途があるのに防がないで、それを殖やして、秋になつて凶作になつたら、そのときに農民を救うほうが効率的なんだと言われるが、何が一体効率的なのかわからないではないか、全く一文惜しみの百失いで、非効率的であつて効率的ではないですよ。而もそういうことを、私はもう主計局次長がそういう話をすることは腑に落ちない。そういう原則論について論議なさるなら大蔵大臣農林大臣でやつたらいいことなんです。政務次官がお出になつたが、政務次官は一体どういうふうなお考えを持つておりますか。
  14. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 本年の稲作に対する災害発生心配が各方面でいろいろ申されております。それにつきまして農林当局は勿論、我々といたしましても非常に心配しておるのでございます。併しながら、私は昨日実は北陸三県を見て参りまして、昨日朝帰つてつたのでありまして、実は大臣にお会いしておりませんので、農林大臣との間でどういうような御相談ができておるか実は詳細存じません。私個人の考えとして申上げますと、それにつきましては先ほど原次長が、或いは事務的に過ぎた言葉であつたかも知れませんが、本年度予算編成の際におきまして、補助金整理という大きな問題を取上げて、これは非常に困難な問題であるけれども、皆さんに御辛抱願い御協賛を仰いだのであります。その原則の中にいわゆる稲作につきましても、諸般の病虫害対策というよう補助金が前年まで相当額出ておりましたが、これを本来ならば当然農業経営経費の一部分であるというようにして考えて行つてもらいたい、こういう趣旨に相成つております。そうして今御指摘になりました通り、成るほど病虫害発生、それが非常な伝染病であつて、或る部分に発生した場合に当該地方の一部の人々がその防除対策を講じても、他の者が講じない場合には何ら効果がない、従つて政府が強力な指導で以て全体的にやらなければ効果が上らないではないか、それには補助金というようなものがやはり必要だという思召しでございます。私はその点については或る部分については全く同感でありますが、併し私は現在の農村の農業経営の上におきまして、いつまでも日本の農村がこんなふうではいけない、お互いの利益になること、そうしてそれが国家全体の利益になることであるならば、これはお互いに申合せて、そうして自然と皆協力して漏れなくそういう全画的な対策を講ずべきである、皆協力一致してやるという習慣が生れて参りますように、為政者なり或いは農林当局指導者は是非ともそういう考え方になつて頂きたい、又そうすべきであると私は思つております。併しこれは前年までとにかくやつて来たことであり、今にわかに本年度一兆円予算といういろいろな要請からいたしまして、原則論に立返つておりますので、果してこのままでいいかどうかにつきましては、多少の疑問がありまして、成るほどそういう厳正な意味或いは非常に理想的な指導をしようと思つても、なかなか現実に農村はそうは行かん、こういうお話もこれはよくわかります。つきましては、先ほどお話に相成つたので私はここで承知したのでありますが、特に異常の災害になつて、来る虞れが多分にあり、これを善処しなければならないといような場合には何か考え人ければならんかも知れないということは、大臣同士でお話合になつたそうですが、私もこれは一つの政治的な行き方であつて、成るほど立派な政治的な行き方かも知れませんが、ただ事務的にさような場合に農村に対していつまでも政治は何らかの指導というか、補助というか、金をもらわなければいいことであつてもやらない。この農村の習慣というか、従来の弊風を一日も早く打破して行くような政治指導というものが私はなければならんというものかというふうに私は確認した次第であります。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 我々としても、誰でも農村をいつまでも他力本願に置いていいとは考えておらん。一日も早く農民みずからが立上つて、自分のことを処理して行くかなければならんということは、これはきまつたことです。併しその農薬経費農業経費の一部である、これば普通の場合に甘えることですが、異常な発生というものについては別の措置をとらなければならんということは誰が考えても常識じやないですか。若しそういうようなことをおつしやるならば、いろいろ災害というものに対する救助の仕方というものは、農業のこういう農作物の災害だけではなく、建設省関係でも、或いは農林の土地や、或いは施設に関する問題でも皆同じことです。異常の問題につしては異常のことを考えなければならん。而もこういう問題は、これは塩見局長農民受益者だということを言われましたが、私はそうではないと思う。農民受益者には違いないけれども、それ以上に国民全体が大きな関心を持つているわけです。去年ああいうふうな凶作であつた。そうしてまあMSAの麦を入れられた。ところが今の食糧事情は窮屈になつて、昨日あたりの新聞を見ましても、黄変米の明らかに毒であるというのまでも配給なさろうとしている。これ故に今年凶作になつたら、一体我我は何を食わされるのかということは国民の大きな不安ですよ。農林大臣つて恐らく黄変米を今配給されていいとお考えにならんと思う。それさえもやらなければならんような日本の食糧事情考えるとき、今打つべき手を打たないで、そうして凶作を大きくして、害虫かついて、そういう凶作で困つた農民たちを救済するには別に考えるというのは、全くこれは政治を失つたもので話にならんと思う。一体何の意味でそういうことを言われるのか知りませんけれども、それこそ一兆円の枠を破る最も大きな要素になるのじやありませんか。今少々のものを出し惜しみするために、将来になつて一兆の枠を大きく破るような要素をみずから作り、或いは外貨の面についても、外貨事情をもつと悪くするような条件をみずから作つているのじやありませんか。主計局次長によると、今の状態では安易に踏み切ることはできないなんと、安易に踏み切るどころではない。政務次官も北陸をお廻りになつたからよくわかると思う。北陸も、もつと北海道東北はひどいと思います。これはきまつておりまよす。北陸を廻つて来られても、恐らく何らかの措置を急逝に打たなければならんということはおわかりになつたと思う。もつともつと北海道の問題がある。安易に踏み切るとかいいことじやないのです、もう時期を失しているということです、そうお考えになりませんか。
  16. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 私は東北実情は実はよく承知いたしておりません。のみならず、実は原次長も東北方面を視察さして頂きましたが、当時はまだ「いもち」の発生がそれほど拡がつていなかつた時期のように聞いております。をれでこの際、今後の天候が回復してあとの「いもち」の蔓延がどうなるかという問題につきましては、関係の方々のみならず、国民全般が非常に心配していることば仰せの通りであります。併し以北陸三県の例について考えてみますと、北陸三県の状況によりますれば、全般の天候回復後における「いもち」の発生状況が予想しておつたほどではない。というのは、天候が予想以上に気温が高くなつて来たからであるというふうに説明を承わりました。従つて私は北陸だけの例で考えてみますと、北陸もこの際是非防除対策を講ずる必要がありますが、併しそれがいわゆる異常な発生、異常災害と言えるほどの程度になるかどうかについては、今のところ幸いにしてその心配がないのじやないかというような感じがいたします。これは全く素人の感じでございますから、或いは間違つていることが多々あろうと思いますが、併し篤農家お話を聞いてみましても、気温がこの程度に高くなつて来たならば、予想したほどには「いもち」も大して発生しないかも知れない。だからせめて気温がどんどん、高くなつてくれることを期待するのだということを聞きました。原次長の言いました災害が起つてしまつてから将来を云々するというようなことは適切でなかつたかと思います。併しこれはむしろ私の感想を以て申上げますならば、今の状況で果してこれが大きな異常災害、異常「いもち」というようなことであつて、どうしてもいわゆる政府がこの予算編成のとき以来立てました原則を崩さにやならんかどうかということについては、まだ少し我々の感じておりますところではその時期ではないのじやないか、もう少し経過を見るべきじやないかという感じがいたします。併しそれは全く御指摘の通り、起つてしまつてからではしようがないじやないかというお話がございますが、そこは私どもの思いますのは、何としても農林省の専門家がそれぞれ指導しておられるのであり、農村の諸君もそれが自分のためであり、又国のためになるということを理解して頂いて、そうして適切な対策農林省当局の下で立てて実施して頂く、そしてそれに対して我々としましては、その状況如何によつて善処をするということが先ずこの際考え得る問題じやないかと、かように存ずる次第であります。
  17. 原純夫

    説明員原純夫君) ちよつと先ほど言いましたことについて、非常に不本意にお咎めを受けましたので釈明したいと思います。私申しましたのは、「いもち」等に対して手を打たんでいいというつもりで申しましたのではございません。いろいろ歩きましても、又報告を聞きましても、気候が悪いために稲の伸びも悪い、分蘖も悪い。従つて不作ということは、そういう意味でかなりに不作になるということが見えておるということを言いましたわけで、病虫害防除をやらなければならんということは勿論のことであります。ただ、それについては極力農民の力で、政府は先ず備蓄その他の点で思い切つて力をいたすということを申上げたわけでありますので、一つ了解願いたいと思います。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 まあ主計局次長どういうことを言われてもいいですかね。私は近頃日本の政府というものは一体どうなつているのかよくわからん。主計局というようなところが、或いはその主計局次長だけでなしに、主計官というようなものが大変な大きな力を持つて、まるで一切の日本の政治というものは主計局がやつているというような感さえ見受けるのでして、そういう行き方が一体果して将来どうなるのだということについて非常な不安を打つわけです。それから一体政務次官、今のあなたのお話ですが、お互いに素人なんですよ。そして共同防除の必要があるかどうかということについては、やはり農林省の専門家が言うことを我々としては聞いて行かなければならん、或いはそれで足らんところは現地の意見をよく聞いてみなければならん。一体政府というものが、農林省の専門の技術者がおる、そういう人が是非これは集団防除をやらなければならん、異常発生を抑えなければならんのだ、緊急な対策を要するのだというときに、主計局とかいうようなものが、主計官というようなものがその必要があるとかないとかということは、これは政府が分裂しているということなんですか、吉田内閣が法律案で大分苦労しておるけれども、末期か何か知りませんけれども、それでは一体どこを我々相手にしていいかわからんということになる。こうなると、一切吉田総理或いは副総理に来てもらつて聞くより仕方がない。農林省といい、大蔵省といい、やはり政府一つの役所であつて、そしてそれぞれの専門の持前でやつておられるわけです。その金が出しにくいとか、出しいいとかいう問題は大蔵省でありましよう。併し共同防除を今やる必要があるという意見に対して、それはまだその時期でないというようなことは、これはちよつと大蔵省農林省とが喧嘩をされたのでは我々として持つて行き場がないことになりますがね。もう少し技術の問題は技術者の意見を尊重されたらどうですか。そうして幸いにあなたは聞いてない、今初めて開いたのだとおつしやいますけれども、私も政府の中の農林大臣がまさか嘘を言うんじやないと思います。農林大臣の話によると、異常の問題に対しては異常な措置をとらなければならんということを大蔵大臣話合をされておる。あなたもその大蔵大臣のおられん間はあなたが代行されるわけでしよう、政務次官として……。そうすると、その話合を、まさか農林大臣が嘘を言つておるのではありますまいが、それに対していつまでにこの話を片付ける、こういうことをはつきりおつしやつて頂くわけに行きませんか。いつまでも事務当局と称するものにお互いの長距離砲を打たしてのんびり見物しておるということでは困る。いつまでに話しを付けるのですか、あなたはそれだけの権限を持つておられる。
  19. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大体の事情は恐らく今やりとりされたようなことが実際の事情になつておるのであろうと……、私はこの席で事務当局間のやりとりは初めて聞きましたわけです。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 それも怠慢だよ。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは私の怠慢というほかなかろうと思います。ただ私といたしましては、この禍いされております天候に際会して、農政をあずかる者といたしましては、いわゆる普通の措置で病害対策が事が済むか、済まない、そういうことで大蔵大臣と御相談をしたわけです。特別の措置というのが、只今大蔵事務当局説明をしたよう備蓄の用意が予算上足りなかつたから、それに対する備蓄を余計するからということが特別の措置というようなものじやないと思います。特別の措置という限りにおきましては、異常発生の場合に如何なる手をとるかということが特別の措置であります。この点は大蔵大臣もはつきり了解をされておる。そうしてそれぞれの事務当局に移して事務折衝をさして具体案を作るということになつておりますから、事務当局におかれても、やはりそういう考えで問題を扱つてもらわなければならん、その扱い方に対して私はいささか不満であります。併しさような私の考え方、同時に大蔵大臣了解を得ております点につきましては、私は更に一段の努力をいたします。
  22. 戸叶武

    戸叶武君 非常に私たちの考え農林大臣なり、それから大蔵当局との考え方の中にはズレがあると思う。それは昨年の例を見ましても、異常災害というものはそんな緩慢な形において対処できるものではなくて、昨年におきましても、「いもち」に対する対策農薬の備えが前にできておつたたらばもつと被害を少く食いとめることができるのであり、昨年と同じような、昨年以上に不順なこの天候を前にして農民病虫害発生というものに対しては異常に神経を尖らかしておいて、一日も早くやはり政府農民に対して援助の手を差伸べてくれることを待つておると思うのです。それなのに、この病虫害発生してから、特に「いもち」なんかが発生し出したら二、三日のうちにぱつと拡がつて行くのです。そういう状態が今あるにもかかわらず、事務当局の折衝、農林大臣はそれは今初めて承わるのだ、多少不満だなんという、こんな緩慢なやり方で以て、とてもこの異常発生に対処することはできないと思うのですが、農林大臣の私は今の御答弁を聞いていて、農林大臣は非常に政治力のあるかたで有名なかただが、ほかのほうにばかり政治力を分散しておつて、今の一番大切な方向に対して農林大臣としてのまともなやはり政治力に対する私は考え方というものが足りないのじやないか。特に今まで、あなたもやり辛いと思いますが、大蔵当局に抑えられて農林事務当局というものはいろいろなことを考え、いろいろなことを焦りながらも手も足も出ないのが現状だと思うのです。そういうときにおいて、農林大臣相当積極的に、具体的に大蔵省と折衝して、そうして事務当局まで説得して、こうこういう処置を取らなきやならんというところを説きつけるまでの私は誠実さというものがほしいと思うのです。今の話を聞いてみると、私たちも農林大臣の言として唖然としたのです。そんなような形で以てこの当面の問題には対処できないと思うのですが、見通しはどうなんですか、私は農林大臣並びに大藏当局から聞きたいのです。今この二、三日のうちに、恐らくは四、五日のうちにやらなければ、あとから「いもち」なり何なりが発生してからいろいろな予防処置をしたところで何の予防にもなりはしない。そういうふうに災害の実績が生れてからでなければ災害に対して対処できないというような、そういう間の延びたやり方が今の政府のとにかく病虫害に対する対策かどうか。それを保利さんか、又は大蔵省の政務次官からお聞きしたいと思うのです。そういうところは非常に我々と見解か違うのです。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は先ほどから申上げておりますように、この問題は早くから心配しておりました。手遅れにならんように処置をしなければならん。成るべくまあそれは薬をまいて利益を得る直接の受益者は、それは農民であることは間違いないことであります。併し先ほど江田さんも言われましたように、この問題は平常の発生部分につきましては、あたかもそれは肥料を投げるように、投下するように、直接それはもう農民経営負担として私は一向差支えない。併し予想し能わざるところの、こういうふうな天候によつて異常な災害が起きた場合に、今日の農民に全部それを負担さして、そうして喜んで自発的にやつて行くだけの余裕があるか。その点も考えてみなければいかんじやないかということからして、特別の措置をとらなければならん。特別の措置をとるということにつきましては、大蔵大臣との間には何ら意見の相異はございません。で、具体的に然らばどういう措置をとるか、特別の措置をどういうふうに講ずるかということを事務当局間で話合をさせておりまいすけれども話合進行が甚だ遅々として進んでおらないようでございますから、私としては早急に解決すべく一段の努力を払います。かように申上げておるわけであります。
  24. 戸叶武

    戸叶武君 大蔵次官にお尋ねしますが、農林大臣も言われたように、専務当局に任していたので遅々として一つも進んでいない。農林大臣もそういうふうに慨嘆しているような癌は一体どこにあるのです。大蔵省自身がそういうことをせばんでいるという風評が專らですが、農政に対して大蔵省が、ただ予算関係の実権を握つているからというので、そういうふうに保利農政なら農政を、まともにとにかく推進させようとするものを阻止するだけの権限があるのかどうか。そういう遅々として進まない理由を少し列挙して説明してもらいたい。
  25. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 先ほども私申上げましたように、大蔵大臣と実は今回帰りましてお会いしておりませんので、非常に残念に存じます。恐らく今夕刻は御帰京になると思いますから、その上でよく大蔵大臣にも農林大臣との間でどういうふうな御了解、御相談ができておるか至急承わりまして、そうして事務当局とも十分議を練つて、成るべく早く適切なる結論を得るようにいたしたいと、かように存ずる次第であります。
  26. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か聞いていますと、大蔵省農林省で堂々めぐりをしている。大体異常発生については大蔵省といえども何かしなければならない。それはその仕方が備蓄をやつて利子と倉敷を補給してやるのだ、こういう表現で半額補助するということはどうも少し予算編成の建前から困る、こういうところで堂々めぐりをしている。そこで問題は予算の問題になるのですが、そういう大蔵省ような、今、次官が考えているようなことを推進して参りましたならば、凶作は拡大して食糧事情が悪化して来ることはこれは当然だ。それらを考慮して又災害が多くなつて参りますれば、従つて災害補償の共済政府負担などが昨年のごとく非常に大きな負担率を持つようになつたとしますならば、ただ予算面から考えておられるものの言い方も崩れるのじやないか。先ほどもちよつと江田君が指摘しましたように、食糧の輸入増加等による補給金やいろいろなもので国際間の問題も出て来るから、その波及するところは非常に大きいのじやないかと思う。そういうような点を総合的に御考慮になつて、そうしてただ異常という特別措置の当然要るものをも農民負担しなければならないのだ。こういうことでどこまでも堂々めぐりをしておられるお考えようなのかどうか、次官の一つそれに対する腹を聞いてみたいと思います。
  27. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) お答え申上げますが、只今御発言ございますように、全然対策を怠るというようなことになれば、それは仰せのごとく却つて災害を大きくする、そうしてそのためにあとから金が要るということになり、先ほども御指摘がありましたように、一文惜しみの百失いということになるかも知れません。併し我々事務当局の申上げました趣旨は、その趣旨とするところは必要な対等はそれぞれ……、必要ならば必要な経費は計上し、お話合もついているということを申上げているのでありまして、又農薬につきましても、備蓄というと前からずつとためて置くように聞こえるかも知れませんが、それは今後の災害の進行の模様によつては、長い間の備蓄ということになるかも知れない、或いは取寄せて直ぐ使つてしまうということになるかも知れないが、いずれにしても必要な対策は適切な御指導によつてつて頂き、それに対する農薬のいわゆる補助金を出すかどうかという問題については、最初の予算編成当時の一つ原則を財務当局としてはできるだけ堅持して参りたいということを、こういう趣旨を申上げているのであります。従つて措置を怠る原因を作ると言われますが、この点は(「異常発生なんだ」と呼ぶ者あり)私が先ほども申上げておりますように、それについてはやはり農林当局及び農民もできる限りやはり良識を働かして頂いて、そうして必要な仕事はどんどん対策を講じて頂くということをお願いしているのであります。併しそれがただ、成るほど補助金をやりながら、どんどんお前ら薬を撒けというように、そういうようには非常に何と言いますか、直接的な効果が挙げにくいことは、これは実際問題としてあり得ると思います。併しながら、これはやはり大きな見地から農村に対する立派な指導をやつて頂きたいという希望を申上げているのです。今後とも我々としては、今年農民が、又来年も続いて不作になるということは、農村のみならず国全体としても非常に困るということは十分腹の中で考えておりますから、この点は財務当局立場も御了解を仰ぎたいと思うのであります。
  28. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも大臣のところで聞いても、結局備蓄に関する金利と倉敷料は出すからそれは使おうが使うまいが、それをやるから使いなさい、それはわかつている。それで問題は、もうすでに今ここでそれを予防するか、しないかという重大な時期にかかつている。ところが日本の農民、今の農民考え方を率直に言いますならば、最近非常に農民の上にいろいろ不快なことが重つて来ておる、先ず第一番には本二十八年度産米に対しまする大体公約とも見られる追加払い、バツク・ペイの問題が未解決になつておる、これも大蔵省のほうでいろいろ御議論があつてまだはつきりしない、出すのか出さんのかわからない。或いは米価の問題にいたしましても、いろいろの奨励金を打切つて、そうして単一米価に直して行かなければならんというその裏には、現実のデフレ政策による低米価政策というものがちらちらと見えている、又そこへ異常凶作で非常な病虫害の危険にさらされている、こういうようなものが重なつて出て来るとき、それさえかまわんということになりましたならば、日本の農業構成がたくさんの零細農を以て成立していることは御承知の通りだと思います。こういう零細農が仮にそういう事情で我々をかまわんのだ、我々から米を強奪して行つて、その米を配給しているときだけは何だかんだと言つてつてつたか、いよいよ外米でも少し調子がよくなれば、もうこれで突つ放すのだという考えが出て参りましたら生産意欲は減退して来る。何だ、それなら余計な金をかけんほうがいい、それで凶作でもこれだけ手間をとつたら、あとはどうでもいいのだという考え方になつたらこれはどうするのだ、これは例があります。二十年の年に強権発動で全部がとられ、あのときは何も肥料もなかつた、労力もなかつた、なかつたが全部とられ、それで全部とられるなら大抵にしておけと、これが結局統計で見られる通り二千三百万石というような曾つてない今日の三分の一の大減収を来たしておる、そういうものが主要原因になつている、そういうものの招来することを考えましたとき、確定するとか、しないとかいうようなことを考えている時期はもう過ぎていると思うのです。もつと国の要請として実際問題として増産をやらなければならん、食糧事情が困窮していることはわかつておりますから、してみますれば、今まで通りこれくらいのものは防いで大いに努力してくれ、大体米価をきめるときは。パリテイできめます。この異常災害による半分もらうことによつて半分の経費をかけて一生懸命やつた分はパリテイで出て来ません。農民の生産費の中に人づて来ない。農民へ甘んじてやれということでやらせますれば、何かの特別の処置をとらなければ誰がやるのですか。第五次造船などといつて国からたらふくもらいましても、それによつて汚職を作つているようなものとはちよつと違うのだ、それとは全然性質の違う私は補助だと思うのです。こんなものに考えると言つて考える余地はないと思うのですよ。それから第二番目にお伺いしたいのは、農民が一生懸命やつた考えると言つていますが、北海道では現に四億何ぼのうち、半分は一つこれだけはもらいたいと言つているが、そういうものはやれるということははつきり言えるのかどうか、半分は国が持つのですか、半分は自分が持つのですから、面白半分には決して薬は撒きませんよ。半分の経費を持つて、半分を国から出してもらつて撒くというだけでもはつきりしてもらえば、或いはこれは話の相談が付くかも知れません。それもあやふやにしておいて、やつたあと何とか考えてやろう、あとになれば生活も考えてやろうということでは、これじや言うこととしておることと、何を考えておるのか農民個人のことだけを考えて、国全体の何でもかんでも統制が外されているときに、なお統制を存続しなければならない食糧事情にある、それを生産している米の問題に対して、どうも考えている御点が私は第一違つているのじやないかと思う。今年から闇でなく勝手にどこへでも売つていいのですか。
  29. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農薬の問題につきましては、大体先ほど来申上げて来ている通りでございます。従つてこの病気が起きてしまつて、ものを失つてしまつてからこういたしますと言つたのでは、こういうものは原君の言われるように、それはあとで面倒を見ますというようなことになろうかと思うのですけれども、それじや一体病害対策としては最も拙劣なことでありますし、無論農家にしましては私が申上げるまでもなく、個々の農民諸君にしましては、実際自分の田圃がやられそうだというのに、手をつかねておれと言つてもそれはおられません。必ず手を打つでしよう、手を打つでしようが、併し全体として適期に一齊防除対策を講じまするにつきましては、異常の事態に対しては異常なやはり指導措置をとらなければならんじやないかという考えは、私は強く持つておるわけでございます。従つてこういうふうな補助措置をとればこういう措置を講ずるという、少くとも政府考え方というものははつきり農民の前に明示をしなければならん。それでなければ意味をなさんと思いますから、そういう意味で速やかに方針を決定いたしたいと考えております。さよう御了承を願います。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 大蔵次官どうです。
  31. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 只今農林大臣がお答えになりました通りだと思います。と申しますのは、先ほども申上げます通り……。
  32. 江田三郎

    江田三郎君 そこまででやめておきなさい。それから先を言うからいけない。
  33. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) その点は私はお言葉を返すようでありますが、実際問題としてときどきの例を申しますと、こういう場合もあるのでございます。例えば指導的の立場におられる方方、指導連とか、農協におられる方々のお声と実際の耕作をしておられるかたの実際問題に対する考え方を聞きます場合に、上の指導立場におられるかたはその問題を心配されて、そして実際の実情以上に非常にやかましく言われる場合もあり得るのです。私は東北北海道の問題については今のお話通りだと……。まだ事務当局から聞いておりませんし、自分も知りませんので、よくこれは承わろうと思つておりますが、そういうこともございますから、いろいろ大蔵省としては今直ちに、じや自分の考えを……。
  34. 江田三郎

    江田三郎君 あなたは北海道の真ん中に行つてそれを言う勇気がありますか。
  35. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 私は国会で、ここで、皆様の前で申上げておりますが、だからそういう意味におきまして、も、大蔵当局としましても農林当局ともよく御相談をしてみたいと、かように思うのであります。これは今回の問題に対しては適切ではないかも知れませんが、いろいろな補助金を出します場合に、実際仕事をやつて決算的に補助をする場合、或いは事前に予定して予算的に補助をする場合、いろいろの場合がございます。今回の場合におきましても、そういう方法で、又本当に補助をやるということがきまつた場合もそういうことも考え得るのであります。その意味におきまして我々としてはいろいろ皆様の御心配の趣旨もよくわかりますから、大臣が帰り次第是非よく相談いたしまして善処いたしたい、かよう考えます。
  36. 松浦定義

    ○松浦定義君 昨日の申入によりまして、本日両大臣、特に大蔵省大臣が不在だということですから、次官並びに次長とがお出でになつて、一応聞いてみますと、どうもまあいろいろ各委員から御指摘のあつたように、我々委員会として休会中に特に開いた委員会の性格上から行きまして、只今申入に対するその内容が余りにも一方的に偏しまして、我々は納得できない、特に両大臣話合については、昨年の経緯もあります関係から大体において調整がとれておる。これを中心として私どもは今日議事を進めるならば、或いは委員会を開いた成果も上るだろうと思いますが、特に事務当局間の話合、更に次官からの只今お話ですと、北陸方面に行つてみたその結果を御報告になつたようでありますが、それでもやはり大蔵省大蔵省として出られる立場においては何か特に目的かあつて出られたろうと思う。先ほど江田君やそのほかから御指摘があつたが、大体農林行政は農林省か主管しておりますので、そうしたものの立場に立つて、どのくらい金がかかるかということをきめるための大蔵省出張或いは調査であるならば我々も納得できる。ところがそういうことが逆にやはり本年のような超異常的な被害が予想されるというときにおいては、もつともつと密接な関係を以て出てもらつて、地方から帰つて来たら直ちに両当局の間で話合をして、そうして我々委員会に対しては、大体においてこういう方針で今日やつておるのだということをやつてもらわなければ、今のようお話ですと我々聞いて全く……、大体それはいろいろ立場がありますから、内容においては多少の困難性はあるとしても、少くとも両大臣の意見として、事務当局のとられた立場、更に又次官としての只今の御発言等は、我々委員会としてはやはりどうもどういうふうに委員会を進めていいかわからない。そこでこの問題はいろいろどうしても我々参議院農林委員会としても短期間において最も効果的な結論を出したいということで、二日間でありますけれども、一応予定しておるわけであります。と申しますのは、すでに衆議院においては相当長期に亘つて二十三日から政府に対する申入があつて、いろいろお話も聞いておるわけなんでありますが、その政府に対する衆議院の申入に対しましても、厳として今日のよう状態では、恐らく衆議院の農林委員会としても納得していないと思うのです。そういう形でありますから、なお更参議院のほうで何とかはつきりした線を出して頂かなければ、衆議院の農林委員会のとつた処置に対しましても、これは政府としても今後どうされるかということが勢いはね返つて、参議院の結果にも非常に至大な影響をもたらして来る。そこで結論として私はどうしても、昨年二十二億出したんですから、理由の如何を問わず、その程度のものは出してもらわなければいかん、現状における意味合から申しましても……。併しその点は私どもは何も無理を申上げておるのではなくて、昨日与党である自由党の総務会では、大体二十億程度のものは出したほうがいいんじやないかという御意見があつたように私どもは聞いております。これは当然だと私は思う。やはり政府をかかえておる与党としては当然そのくらいのことは……。お互い各議員は休会中でありますから、それぞれの地方に行きましていろいろ話を聞いて、出て来ておる結論から言つても当然だと思うのです。只今の次官のお話では、必らずしも農民はそう思つていない、中間におる協同組合或いはその他、農業委員会のことは申されませんが、大体そういう同じようなことを、農民から出しておるから或いはそういう考え方を持つておられるかも知れない、そういうようなことをお考えになつておりますと、これはもう政府としては非常に私は混沌として来てしまう。若しそういうことで以てこういう問題を解決しなければならんという一つのあれになるならば、私は速かに臨時国会を開いて堂々とやるべきだと思う。臨時国会も当然開かない、ということは、四、五、六月のあの凍霜害の問題も、臨時国会が近いということで保利農林大臣以下平野政務次官等から懇切な御意見がありましたので、私どもは了承して、何とかその処置をしたいと思つてつたのが今日になつてしまつたというのでありますから、国会が開会中でありますならば、恐らく政府としてもこういうふうな状態でおれないと思う。休会中であるからこういうことになつている。大蔵大臣は何の用で出張中であるか知りませんが、聞くところによれば、必ずしも大蔵大臣としてどうしても行かなければならない用件ばかりでないように私どもは開いているわけです。而も衆議院におきましても、参議院におきましても、こういう大きな問題をやはり取上げて委員会を開いているというぐらい大体わかつていると思いますので、そういう経過から行きましても、この問題は私どもはどうしても結論を出してもらわなければいかん。昨日もいろいろこの問題について両大臣を呼ぶか、或いは事務当局がもう少し具体的な案を持つているならば、努めてそういう点から出発しようじやないかという意見もあつたのでありますが、事務当局お話を聞いてもどうも納得できない。だから両大臣をわざわざ呼ぶということになつたのでありますが、委員会に直ぐさま出て来られるとは考えられない。であるから、少くとも政府の代表者を呼ぶべきである。総理が出られなければ副総理に出てもらいたいというような意見もあつたのであります。今のお話を聞いてみますと、両大臣は一応の線は出しておりますけれども、少くとも事務的ということで一応任された事務当局がこういうことでありますと、少くとも農林大臣として今のお話を聞いてびつくりされたと思う。果して大臣はそう考えているかどうか、次官は必ずしも大臣の今の御発言に同調されていると私は考えていない。只今お話のありましたように、農民は必ずしもそういうようなものでないというようなことを漏らされる限りにおいては、私はこういう問題はやはり両省の大臣だけでは解決ができないというようなことも考えられますから、私どもはいずれこの問題はどうしても重要な問題として検討しなければ、今現に出ている問題、先ほど清澤委員が御指摘になりましたような、北海道或いは東北におきますヒメハモグリバエの漫延等は、大体時期的には一応形の上では収まつたようには知つておりますけれども、現に農民の甚大な被害というものはあとに残されているわけであります。こういうものをどうするかという問題も併せてやつてもらわなければいかん従つていもち」病その他今後予想されるような次々と出て来るこの被害対策については、こういうようなことに対しては、政府はこうであるというケースを打出さない限り、農民が自分の力を以てしてでも一応の手当をするというような気持にならないと思う。今の次官のようお話でありますと、そういうことを聞いたら、これはもう府県の知事或いは町村長代表としましても非常に私は失望するだろうと思う。両院の農林委員会に出ての答弁に際してこう言うのでありますから、従つて町村長或いは県知事が大蔵省に参りましても、恐らく次官の手許ではねつけられてしまつてどうにもならん。国会議員が連れて歩いて陳情等をいたしましても、これは却つて笑われるだけである。我々はそういうことはしたくないのであります。抜本的にこういう問題については、少くとも今年のいろいろな事情等から考えますと、どうしても結論を出してもらいたい。従つてこういうお互いの意見の中では、両大臣或いは事務当局でいろいろ言いにくい気持ちがあると思いますから、できるならば私は懇談をして、そうして大体どの程度のことはいつまでにやれるということにしてもらわんと、私どもはただ単なるお互い個々の意見、問題を出し合つただけでは時間がかかるだけで結論は出て来ない。こういうふうに思いますので、一つ各自の御意見もあろうと思いますけれども、私は両省の意見の調整を速かにやつてもらいたいという段階において、我々参議院の農林委員会ができるだけそういう方面に努力をするというような機会をこの際是非一つ実現したい。こう思いますので、今の私が申しましたような点について、農林大臣或いは大蔵政務次官はそういう方針に副つて一つ努力をしてみたいというようなお考えがあるかどうか、先ずこの点を一つお伺いしたいと思います。
  37. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農林委員会の皆様に御迷惑をかけるということは誠に恐縮でございます。これは政府部内の政府の基本方針を明らかにする必要があると考えますから、速かにそういう方針を打立てますように努力をいたしますから、どうしても政府内部のことでございますので、そういうふうに御了解を願いたいと思います。
  38. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 只今農林大臣のお答えになりました通り、我々としましても極力善処をいたしたいと存じます。ただこの際一言私只今の御発言を承わつておりますと、誤解を受けておるようなふうにも思われる点がありますので弁明をさして頂きたいと思います。私ども先ほど北陸三県を廻りましての結果について申上げたことで、指導的な立場におられる方々は非常にやかましいが、農民はそれほどじやないというようにお受取りになつたように思います。併しそれはそうじやないのであります。その点はやはり農民諸君からも非常にやかましくこういう声がありました。ありましたが、併しながら、私の信頼している篤農家のうちの何人かに承わつてみると、まあ我我の地方としては天候の回復がこの状態で、これで引続きずつと天候がよく高温が続いて行くならば、大して「いもち」の発生は見ないだろう。だからそれほど農薬も要らないかも知らない。併しこれは天候相手のことでありますから私にもわかりませんが、先ほどからいろいろ我々の立場を御批判を頂戴いたしまして甚だ恐縮なんでありますが、我々としましては、やはり財政当局として予算の建前ということも考え、而もこうやつて又新らしい問題が起きた場合には、それについてでき得る限り今日の政府のとつております方針に則つて行きたい。かように思いますので、甚だ御無礼な発言がありましたことをお許し願いたいと思います。
  39. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際一つお諮りいたします。只今審議されております病虫害異常発生に対する対策につきましては、只今までの質疑を通じまして、おおむね方向は明らかになつたと思いまするし、なお大蔵大臣も今夕帰京せられまして、かねて農林大臣との間に了解されておる線に沿つて恐らく具体的な対策が取進められることになると思われまするし、問題は遷延を許しません。時間の問題になつておることでもありますので、恐らく早急にこの問題に対する政府方針が一致いたしまして、具体的なことが取進めになると思います。我々はそういうことが極めてスピーデイに運ばれることを期待しておりますので、明日中ぐらいには、恐らく農林大臣の御発言から考えましても、何らかの進展をみて具体的な線が出るやに想像せられますので、そういうようなことを期待しつつ、この問題につきましては、明日はもう委員会がございませんので、明後日改めて委員会を持ちまして、その結果を確めるというようなことに取運んだら如何かと思いますが、さようにいたしまして、この問題はこの程度で一応審議を中止ということで如何でしようか。
  40. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ちよつと委員長の御発言にお返しするわけじやございませんが、私も速かに方針を明らかにする必要を痛感いたしておりますから、そういう趣意で努力をいたしますが、ただ明後日までにこうこうということを言い得るかどうかということは、今日はどうも責任を持ち得ないという感じもいたします。(「結構」と呼ぶ者あり)その点はどうぞ御了解を願いたいと思います。
  41. 森八三一

    委員長(森八三一君) 一応私お諮りいたしまして明日中にはそういう結論を得て頂くことを期待しつつ、(「異議なし」と呼ぶ者あり)そういう審議に移すということについて御異議ないようでありますので、この問題は一応そういう取運びにいたしまして、この問題はこの程度にいたします。   —————————————
  42. 森八三一

    委員長(森八三一君) なお、農林大臣大蔵政務次官がいらつしやいますので、最初に申上げました案件のうち、特に急を要すると思われまするのは、本年度に入りましてからの発生水害に対する繋ぎ資金の融資の問題、昨日もいろいろ御質疑がございましたが、大蔵当局の御出席もなかつたの結論に至つておりませんので、この際御発言がありますれば、大分時間が遅れておりますが、御発言を頂きたいと思います。
  43. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 本年度発生しました水害につきまして、昨日農林当局から説明を伺いましたが、本年度の水害については、現在までに、五月、六月、七月の三回の水害で約百億ぐらいの被害があるということであります。昨年等に比べて四分の一ぐらいの被害なんであります。そうして五月の分についてはすでに査定も済み、六月の分については八月の中頃に査定も済み、七月の分については八月の下旬に査定も済むので、そういう順序を追つてできるだけ速かに水害の復旧に努力したい、そういうことで大蔵省と交渉をしておるんだが、大蔵省のほうでは、いつそういうものについて補助を出すかというよう見通しは現在のところまだわからない。と申しますのは、大蔵省では今年度水害が又八月のうちに出るかも知らんし、九月に出るかも知らん、本年度全体の水害が出た上でないと、一兆予算の枠の予備金の範囲で出すには、今水害の申請があつても出せないのだというようなことで、水害の復旧がいつになつたら着手できるかという見通しがつかないようであります。それでは補助金の出るまでの間の繋ぎ資金はどうかということも聞いてみたところが、繋ぎ資金は、昨年までの例で言いますと、補助の出るまでには被害の総額に対して差当り必要なものを按分で出すというようなことをやつた。ところが本年度になつたらそのやり方が今度変つたのだ、各地区ごとに緊急な仕事を撰つて、そうしてそれに対して幾らの応急の費用が要るかというようなことを査定した上に、それが積み重なつた上でないと繋ぎ資金は出さないという方針でやつて行くという。それから繋ぎ資金という性質から言つても、これもいつになつたら何万という地域を皆一つ一つ緊急なものを撰つておかなければならん。そうして幾らかということを一つ一つやる。重点的にやるというような趣旨からそういうふうになつたと思いますが、そうなりますと、本年度に赴きました水害等については、補助金もどんどん出る見込みは当分ない。又九月の災害が出た上で本年度まとめるということになると、十二月か一月でないと出ないじやないか。繋ぎ資金はそれよりか遅れるような情勢に私はなるであろうと思いますが、本年度災害の補助につきましては、今までは直接の補助で一地区ごとに農林大臣が指令を出していたようなものが、今度法律が変りまして間接補助になつて来た。そうして府県知事に総括して資金を出すというようなことになれば、繋ぎ資金の問題は、補助の総体が、査定ができた上でないと補助のしようがないというようやり方でなくて、要るものはどんどん出して頂きたい。現在地方財政が困つて赤字になつておるという問題が出ておる。地方の職員のうち非常な多数のかたが災害の事務費から出ておる人たちである。その資料が出ない間は、活動してもその人たちの俸給も旅費も出ないよう状態で、府県に行かないから遅払いのような問題も出て来るというようなことがあるので、間接補助になつたよう事情もあるのでございます。速かに私は今年の災害のきまつた分に対して、分割して補助金を各府県に交付する手続をとつて頂きたい。繋ぎ資金の見込みなり、本年度の災害に対して大蔵省ではいつ時分に資料が出るかというようなことも、的確な見通しをつけた上で事務を進めて頂くようにして頂きたいと思います。先ほど来の病虫害の問題でも、これはすでに十日も前に閣議できまつておりまして、先ほど農林大臣の言われた通りに、今年は病虫害異常発生が出るんだ、非常態勢を整えて、農薬も昨年二十二億出せば一千万石の減収を防止できた、そういうような方向で最大の努力を尽すというようなことも新聞等に御発表になつていながら、今伺つておると、まだ何もきめていない。同じようなことが水害でも、理屈ばかり言うていて、一つもきめていないじやないかというように思われ、非常に遺憾に考えるのであります。この点について大蔵省はどういうふうにお考えになるか、繋ぎ資金をできるだけ早く出す、いつ時分に出すか、補助金もどんどん査定のできたものについては分割払をして行くんだという、根本的に復旧を速かにやるよう方針を立てて頂きたいと思いますが、それに対する政務次官のお答えをお願いいたしたいと思います。
  44. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 水害復旧に対する補助金と、これに関連して必要なる繋ぎ融資の問題についての御質問でございますが、この点につきましては、我々当局といたしましても、農林省から御相談があるのに応じまして、順次よく協議を遂げて、そうして必要なるものは予備金支出その他適切なる措置を講じて参る、かよう考えておる次第であります。又繋ぎ融資の問題は、お話もございましたが、昨年よりは仰せの通り少し方針を変えました。と申しますのは、すでに御承知であろうと思いますから簡単に申上げますが、昨年繋ぎ融資を出したその後の状況を点検いたしますと、そうしますと、その間に融資が本当に繋ぎ融資として使われておらないという部面があちらこちらにたくさん事例か出て参りましたので、どうも繋ぎ融資の金額の査定の仕方が適切でなかつたというふうに思える点があるのであります。従つて今回はそれぞれ本当に応急復旧のために繋ぎ融資が必要だというようなところを選び出したい、それも今お話ような数千カ所、数百カ所というような所を一々個々に点検することは、これは事実上困難でありますから、どうせ農林省当局で応急復旧を必要とするもの、それから更に本復旧で十分間に合うものというようなものを適当に御計画願つて、そうしてそれに従つてその応急的に必要な所へは繋ぎ融資を出すということに応じて参りますことについては、何らやぶさかでない態度に出ておる次第であります。若し今日までに仕事が遅れておるとしますれば、恐らく何かと協議の内容について不審の点の問合せその他が起つておるからだろうと察しますが、なお事務当局を督励いたしまして御趣旨に副いたいと考えます。
  45. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 主計局次長にちよつとお伺いしたいのですが、只今政務次官のお話で、農林省のほうで手続でも済んでくれば、それに従つて補助の指令を出して行くようにしたいというお話でございますが、二十九年度水害が全部まとまらなければ出さん、そういうよう方針で今しておられるように昨日伺つたものですから、私は念のために伺つたのですが、五月の水害については、もうすでに査定も済んで幾らという金額もわかつておる。それに対しては既定の法律に基いた指令を出せる段階に来ておるのじやないか。そういうものは至急に出して頂くようになるかどうか。そうして又続いて六月の分も出て来る、七月の分も出て来ると思いますが、順次そういうものが出て来たならば速かに指令を出して行くよう方針でやつて行かれるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  46. 原純夫

    説明員原純夫君) 災害につきましては、一年分をまとめてみなければ、予備費の支出なり、その他の手を打てないということは申しておりません。これは予備費をあれだけ予算をお認め願つておるというのは、一に必要の起り次第査定を当局者がされて、そうしてそれを我々が協議をして早く出して参るという制度でございますから、数字がきまりますにつれて出して参りたいというふうに考えております。ただ本年の分につきましては、私まだ査定をまとめた正式な要求が参つておるというふうに実は聞いておりませんので、早速調べます。先方にも申すようにいたします。
  47. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは時間も一時になりますから、午前中はこれで休憩に入りたいと思います。ただこの際農林、大蔵両大臣にお願いいたしますが、先刻申上げましたように、今年の病害異常発生に対する対策につきましては、明日中に両相の意見をお取りまとめを願うことに希望いたします。そうして三十日に委員会を開きますので、その政府の最終的結論報告せられますように運んで頂きますことを希望し、若し最終段階に至りません場合には、その経過を詳細御報告頂きたいということを希望いたしておきます。暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    —————・—————    午後二時二十五分開会
  48. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。  先ず最初の飼料の件を議題に供します。最近飼料が非常に高騰いたしまして、一面有畜農家の創設、無畜農家の解消或いは酪農振興等、畜産の振興に関していろいろの施策が取進められておりまするが、その重要な資材である飼料の問題を解決いたしますることが極めて不可分な関係にあることは申すまでもございません。更に本年の麦価の決定につきましては、各委員からもいろいろ御議論がありまして、必ずしもこの決定が万全のものではないというのでありまするが、その中におきまして小麦の買人価格が上りましたことによつて、必然的に本年の小麦払下価格が上昇を見る結果になるわけであります。それに関連いたしまして、小麦製品の価格は現行を据置くよう指導が行われており、各関係の加工業者もそういうような心がまえで対処をすることを誓約いたしておりまするように承わるのでありますが、そういたしますと、必然的に副産物である「ふすま」の価格に影響を及ぼすのではないかというようなことからいたしまして、最近の資料事情に更に悪影響を持ち来たすのではないかということが憂慮せられておるのであります。この辺の事情につきまして、畜産局のほうではどういうような全般的な飼料対策をおとりになるのか、更に当面する只今申上げました小麦の関連において、これが対策をどういうように取進められておりまするか、その辺の事情を先ず御説明頂きまして、御質疑を頂きたいと思います。
  49. 石川武平

    説明員(石川武平君) 「ふすま」の価格が今年の二月以来非常に高騰し始めまして、例年によりますれば、四月、五月あたりから逐次下降して参るような例年のならいだつたのですが、今年は非常な高騰を続けまして、六月の初旬に至るまでその価格が冷えなかつたのであります。六月の七、八日頃から多少その価格が低下いたして参りまして、これは青草が現実に伸びて来たということと、或る程度政府手持の食糧等を「ふすま」代替として放出したというよう関係もあり、諸般の事情が重なつて低落いたしたものと思つておるのであります。爾来今日まで理想的な線まではまだ参りませんけれども、目下俵、包装、工場発レール六百九十円ぐらいの線まで参つておるわけであります。今後この「ふすま」の価格がどういうふうになつて参りますかということにつきましても、事務を担当いたす者といたしまして、十分に警戒をいたしておるわけであります。ただ最近多少粉の売行き等も順調になつて来たように聞いておりまするし、例年の例に見ましても、八月が大体非常な底値と申しまするか、割合に値段の低い時期であります。今年も逐次小麦の加工が進むに従いまして、もう少し「ふすま」の価格も低下して参るのではないかというように想像いたしております。なお先ほど委員長からお話がありましたような、今後の「ふすま」の問題につきまして、今年度ような高騰というよう事態か再び起ることのないようにいろいろと準備をいたしておるわけであります。先ず第一点は、輸入「ふすま」の問題でありまするが、これが実は世界各国に亘つていろいろ事情を調査いたしましたところ、海外にも在庫が非常に少い実情にあるのでありまして、そのほかに中共貿易等の関係から、向うの関係が余りはつきりしないという点もあるわけでありますが、その他の地域についても、数量的に極めて少いというよう関係から、輸入が必ずしも容易に行われないのであります。今年度に入りまして、インド或いは南ア連邦等から二千五百トンばかり輸入の措置をとつたのでありますが、これによつてどもは数量的にどうのこうのということよりも、とにかく輸入をすることができるという見通しを立て得たのであります。今後におきましても、これをインド或いはその他の地域から大量に輸入するということは非常に困難であろうと私ども考えておるのであります。現在私ども計画といたしまして年商七千トン程度の一応の輸入する枠を持つておるのであります。七千トンの限度において今後これの買付をいたして参りたい、こういうふうに考えておるわけでありまするが、果してどの程度まで進展するかということは、実はやつてみないとはつきり言えないのでありますが、でき得ればこれを伸ばして一万トン程度にまで持つて行きたい、そうしてこれを将来下期並びに来年の初めに対する「ふすま」の対策として手持をいたして参りたい、かよう考えておるわけであります。輸入状況がさよう見通しにありますので、一に輸入にだけ頼つてつては実は非常に不安でありますので、飼料用の小麦として買入れましたものを「ふすま」に加工いたしまして、原麦にいたしまして約三万トン見当、「ふすま」として一万トン足らずのものをこれも備蓄いたして参りたいと思いまして、現在その準備を進めておるわけであります。これは八月、九月等の比較的小麦粉の売行きのよい時期、従つて「ふすま」の生産量も割合に多い時期にこの備蓄用の「ふすま」等を確保して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。なおこれだけではとても十分とは申せませんので、でき得れば「ふすま」代替用として安い大麦を買入れておきたい、大体二万トン見当のものを買入れて、これも手持をいたしておきたい。それこれ合せまして大体四万トン見当のものを一応の目標にして準備を進めておるのでありまして、これによつて今後の「ふすま」の価格の高騰というような問題をできるだけ抑えて参りたい。どうしても上り気味であるという場合には、これを放出して行つて市場の価格を調節して参りたい、かよう考えておるわけであります。ただ年内、二十九年を終るまでは大体において順調な、生産量においても余り大差のない、心配状態にはならないというような漠とした見通しを立てておるのでありまして、むしろ来年の一月、二月、三月以降の問題が警戒を要する問題だろうと思うのでありまして、その時期を目途として只今申上げましたよう対策を実施いたしたい、かよう考えておる次第であります。
  50. 岸良一

    ○岸良一君 大豆粕の輸入はどうなるのですか。
  51. 石川武平

    説明員(石川武平君) 大豆粕の問題につきましては、実は国内の製油業というよう関係もありまして、丸大豆の形において、飼料用の大観粕をとるという意味において丸大豆を去年は輸人いたしたのであります。一万六千トンばかり輸入をいたしたのであります。ところが今年におきましては、御承知の通り今後アメリカの大豆もこの秋出廻つて来ると思うのでありますが、目下のところは非常な高値を呼んでおるようでありまして、それに対しまして、中共もの等も多少大豆として入つて来ておるものもあるように聞いておりますけれども、これも百五十ドル以上というような、大体百五十ドル見当ではないかと思いますが、非常に割高なものでありますので、こういうものを輸入いたしまして、油を搾つて大豆粕ということになりますと、大豆粕の価格相当割高なものにならざるを得ないというようなことから、実は現存のところまだ買付等の段階まで立至つておらないのであります。
  52. 岸良一

    ○岸良一君 関連のある問題ですけれども、結局日本で酪農が盛んになると言えば、蛋白質の飼料が大切なので、大豆粕の高値はなかなかむずかしい、「ふすま」がそのよう状態ということになると、或いは亜麻仁油の粕であるとか、或いはコプラの粕、こういうものが必要になるのですが、それらの輸入の見通しというものはどうですか。
  53. 石川武平

    説明員(石川武平君) 仰せのごとく油粕の問題全体につきまして、私どもも非常に不安を持つておるわけでありますが、大豆の問題につきましては、先ほど申上げましたように、今後でき得れば安い大豆を手に入れてこれに対処して行きたい、こう思つておるのであります。蛋白給源といたしまして、これはちよつと話がそれますが、実は魚粉が非常に生産が落ちておるようでありまして、その点から魚粉の価格等も相当に高値を呼んでおるような状況でありまして、専ら蛋白の給源といたしまして魚粉等の高値から非常に困難を来たしておるという状況にあります。私どもこの点につきましては、実はいろいろな関係からアメリカの脱脂粉乳を入れて、これを蛋白の一つの給源と申しますか、魚粕の代用式な面にも活用して行つたらどうかということを研究いたして、大体そういう方向に進みたいと思つておるわけでありまして、ただこれは非常に横流れ等の問題も心配しておりますので、魚粕、魚粉を混ぜますとか、或いは至麻仁油粕とか、いろいろなものを或る程度混ぜまして、必らず資料用にだけしか使わないというような恰好をとらなければならんと思つておりますが、いずれにいたしましても、そういうような脱粉等を購入してこの補給を考えて行きたい。特に脱粉等は値段等から申しましても、そう高いものでもないように承知いたしておりますので、一応そういう線から脱粉の問題を研究いたしまして実施いたすつもりにいたしております。
  54. 岸良一

    ○岸良一君 脱粉はどのくらい入つておりますか。
  55. 石川武平

    説明員(石川武平君) これは実は犢専用ということで一千トン輸入を許可いたしまして入れることになつたのでありますが、これは大体細かい数字で申訳ありませんか、大体ポンド十セント見当のものだそうでありますが、それを運賃その他を込めまして四セント半ぐらいで入つたのであります。従いまして、数量的に割当の外貨全部使いまして二千数百トンを輸入するということになつたのでありまして、これは言わば政府間の貿易というような恰好で、そういう恩典から値段も低廉な値段で人つたのであります。そういう価格で我々のほうは人れたい。それが十セントもするようでは問題になりませんと思いますが、少くとも三、四セントぐらいの見当で輸入できれば、先ほど申上げましたような蛋白の給源としても役立つのじやないかというふうに考えているわけであります。
  56. 岸良一

    ○岸良一君 今の脱粉を四セントで入れました場合に、大豆粕の今の輸入の値段とか、又はほかの蛋白質の給源になるもの、それとの比較ではそれは安いのですか。
  57. 石川武平

    説明員(石川武平君) 詳しい数字をちよつと持つておりませんが、大体大豆粕の値段は、政府の払下価格がトンにして大体四万二千円ぐらいの見当だと思います。それとこの間人れました脱粉等のトンに換算いたしまして三万七、八千円の見当に付くかと思います。これは先ほど申上げましたように、多少こちらで配合いたしますとか、或いはそのような手数もかかるので必ずしもびしつとした計算ではありませんけれども、大体において大豆粕よりも少くとも安くなるのではないかという見当を付けております。
  58. 岸良一

    ○岸良一君 まあそういうようないろいろな手を尽されるでしようけれども、何と言つても「ふすま」の供給というものは日本としては一番重要な蛋白質の資源ですから、これはさつき委員長もちよつとお話にありましたように、これは麦の値段が、小麦が何か上る、製品は上げないということになると、製粉会社は自然しわ寄せを「ふすま」に持つて来るんじやないかと考えるのでありますが、それは食糧庁との関係において十分お話合ができておりますか。
  59. 石川武平

    説明員(石川武平君) その点はお話通り問題があると思うのでございますが、まあ昨年の暮あたりの経過から見ますというと、昨年の暮は政府の委託加工等も非常に多かつた関係もありましようが、相当に加工が増加いたしましたために、当時の小麦、原麦の織込価格から五百五十円というものを殆んど割るよう価格にまで達したこともあつたわけでございます。今後必ずしもそうなるとも申上げかねるわけでありまするけれども、少くとも製造高が相当程度に伸びますれば、こちらで小麦粉の価格と「ふすま」の価格とのいろいろな計算上の価格以上に「ふすま」の格価が低落するということもあり得ると考えております。ただお話ような点で、現在「ふすま」等に対する需要も相当に強くなつてつております。その「ふすま」の織込価格等についても十分食糧庁と相談をいたして、我々のほうでも相談を打ちかけられておるわけであります。いろいろ現在の需要状況に鑑みまして、且つ実際の価格の実勢と申しますか、実際の価格というものにも一応の目度をおかなければならないというよう関係もありまするし、必ずしもとつぴな価格を我々としても理想価格として持つておるわけではないわけであります。これは一にかかつて供給面がどれほど多くなるかということに実はかかつておるのじやないかと、かよう考えておるわけであります。
  60. 岸良一

    ○岸良一君 それでまあお見込みでは大体今年も五百五十円ぐらいのお見込みで製粉会社は出してくれると見ていいんですか。
  61. 石川武平

    説明員(石川武平君) そこまではつきり申上げかねるのでありまするが、現在先ほど申上げましたような俵で六百八、九十円の線に行つておるわけでありますが、まあ織込価格そのままという程度にまで伸びる、低落するということはちよつと申上げかねると思いますが、現在の市価よりかもまだもう一段と下るのではないかというふうに考えております。
  62. 岸良一

    ○岸良一君 それは是非そういう点強く御考慮願いたいと思うのです。何と言つても最近、あとで問題になるかも知れませんが、この間北海道に行くと、もうすでに一升で十円下つておるというふうに聞いておる。更に十月になるとまだ下る、昨年の程度にまで下るだろう、昨年の程度でとどまればいいのですけれども、それを更に割つて来るということになると、政府が如何に酪農振興と騒いで見たつて、それはもう乗つて来ない。結局しわ寄せして来るのは飼料で、特に日本の国内でできる飼料でも蛋白質給源として大切な「ふすま」の確保については特に御注意、御留意願いたいと、こう思います。なおこの機会に脱粉のことですが、最近学童給食用として入つた脱粉の不良品があるということで、これがどういうふうに流れるかということを非常に注目しておるのですが、こういうのを或いは恰好な値段で折り合うならば飼料のほうに向けて頂ければ、国内品の酪農製粉市場というものに対して一つの援助になると思うのです。その点も一つ併せて御考慮願いたい。
  63. 石川武平

    説明員(石川武平君) 今学童用給食の問題は実は酪農関係農業団体が、あれは文部省の学校給食の関係の何か団体のほうから話をつけまして、その数量として全部であるかどうか知りませんけれども、大部分のものは酪農関係の団体において餌料用として扱つてつております。今後もまあそういうことだろうと思います。
  64. 岸良一

    ○岸良一君 よろしうございます。
  65. 森八三一

    委員長(森八三一君) 私からもう一つお伺いしますが、今の岸委員からも御質問のありました、私も最初に申上げた本年の内麦、小麦の買入価格は九十六円上がつており、一応食糧庁の御説明では中間の加工工程における、或いは流通工程における経費の合理化によつて吸収をするのであるから、製品小麦価格にも影響なし、副産物である「ふすま」にも影響がない、こういう説明を承わつておるのでありますが、畜産局として理論的にそういうようなことが理解し得るという見解でおられるのかどうか、そういう見解でおられるとすれば、数字的に一体それはどう説明されるのか、それを一つお伺いいたします。
  66. 石川武平

    説明員(石川武平君) 「ふすま」の価格の問題につきましては、今お話ような点について実は問題があるわけであります。ただ併しこれは私どもの畜産関係の飼料の立場からのみも申せないので実は困つているわけでありますが、まあ畜産の関係から申しまして、実はその「ふすま」の価格はどういうふうにあるべきかという問題になりますというと、代替品の関係もありますし、或いは経営の相違とか、いろいろな条件が違つておりますので、必ずしも的確につかめないのであります。ただ原麦の価格が多少上がつて参りますというと、全部を只今お話ような加工工程に吸収してしまうということが果してできるか、できんかという問題は、実は必ずしもはつきり申上げかねる問題だろうと私は思つております。ただ一般的な食糧事情からいたしまして、食糧関係方面からの要請として、それに附随して行く「ふすま」の問題といたしましては、どうしても食糧関係措置というものに引ずられて行かざるを得ないというのが、実は非常に苦しいところであります。併しまあ先ほど来申上げましたような、いろいろな対策準備いたしまして、なお今後の製造工程、製粉加工の進み工合等も十分に勘案をいたして、なお月間、年間の「ふすま」の生産量等の調整等においても逐次研究をいたしまして、できるだけ畜産経営上に支障のないようなと申しますか、比較的上下の少い「ふすま」価格というものを実現するように努力して行きたい、かよう考えております。
  67. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今お話の食糧関係ということに関連して、食生活の改善、粉食の奨励が非常に強く取上げられて行かなければならない。そのことを具現して行くためには、それに伴う酪農の振興がなければならんということで、酪農振興法も制定せられ、従来からも無畜農家の解消とか、いろいろな姿を通じて食糧問題解決の一環として、有畜農業が取上げられて来ておる。その有畜農業の振興に不可決な立場にある飼料の問題、それが今度の小麦価格の改訂をめぐつてどうなるかわからん、非常に心配だということでは、酪農振興ということに非常に大きな影響が来るというように、まあ理論的にはなる。そこで少くとも飼料を取扱つておる畜産局としては、今度の価格改訂において、製品価格が据置きになるということと同様に、小麦価格も、理論的には実勢「ふすま」価格というものはどうなるか、これは経済行為ですから別問題として、理論的には「ふすま」の価格に影響がないのであるという説明が与えられなければ、それはまるつきり頭隠して尻隠さずというようなことになるわけで、この辺は十分同じ農林省内において連絡が掛直されておるものと私は理解しておるのですが、そういう連絡措置というものはなかつたのかどうか、畜産局としては今お話ように、非常に困つた問題だという程度でこれは過されておるのかどうか、その辺の事情をもう少し詳細に承わりたいのです。
  68. 石川武平

    説明員(石川武平君) 「ふすま」、原麦の価格の決定或いは「ふすま」の織込価格というような問題については十分に連絡をとつてつております。ただ困つた問題だといつて放置しておるわけでは決してありませんので、現実の問題として「ふすま」の価格というものを、現在下向いておりますけれども、この実勢の価格を極力引下げるように、なお安定せしめるよう措置をとり、そういう方向に努力いたして参りたいと考えておる次第であります。
  69. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 例年なら上る夏乳を控えて、乳価が値下りの、すでにもう実施の段階に入つておるということは、生産者の農家にとつてはこれは脅威的な打撃だと思います。それでそういう当面の生産者の農家にとつて大きな小安と危機に対処して、一方では小麦の買上価格が値上りを見ておる。従つて今、委員長からも質問があつたような、理論的には「ふすま」の価格というものが下るようにはちよつと考えられない。加工工程で吸収すると言つたつて、それはまあ言うだけの話であつて、実際の「ふすま」の価格というものは、恐らく我々の常識を以てすれば、上ろうとも下るとは考えられないとすれば、酪農振興を幾ら政府が口に唱えてみたところで、これはこれを生産するに要する主要食糧である「ふすま」、麦「ぬか」等の価格が下らずして、恐らく、乳価に逆行して値上りになるということであれば、恐らく一番大きな経済的な打撃を受けるのは生産者農家である。従つてこいつは酪農振興、ひとり酪農と言わず、畜産振興の上には大きなマイナスになつてしまう。そうすれば、食生活の改善云々ということを幾ら政府が鉦太鼓で騒いでみたところで、結論政府の政策と逆行して、牛も減るだろうし、乳の生産量も恐らく漸減するということは偽わらざる今の状況だと思います。こういう状況は、これは特に責任の畜産局とされては、はつきり目に見えておるのですから、少くとも第二四半期における飼料対策としては、いろいろの準備をしておられたと言うけれども、具体的には「ふすま」なり、麦「ぬか」に対する、或いはその他主要な飼料等に対する第二四半期の対策としては、具体的にどういう対業を持つておられるか、それを一つお聞きしたいと思います。
  70. 石川武平

    説明員(石川武平君) 「ふすま」の問題につきましては、今後私どものとつて行くべき措置といたしましては、先ほど申上、げた通りであります。ただ「ふすま」の問題は、そういう措置をとつてつておるのでありますが、その他の一般の飼料の問題につきましても、実は互いに関連をいたして参つておるのでありますが、御参考までに申上げますれば、「とうもろこし」等につきましては、九月以降に八万トン程度のものが輸人されるわけであります。「とうもろこし」だけについて申上げますれば十分な数量であるわけであります。これはまあ幾ら多く見ましても、今年一杯の需要は十分賄つて余りある数量であるのです。そういうほかの面からもいろいろ関係をいたすわけであります。同時に餌の使う面におきましても、非常に不合理な面も多いのであります。こういう面をできるだけ合理的な使用と申しますか、そういう面を強く押して行かなければいかない、飼料の合理的な措置と申しますか、そういう面を強く打出して、酪農家なり、或いは養鶏家なりの経営自体を合理化するようなふうに持つて行きたい。なお最近におきましては、相当に新飼料と申しますか、化学的な飼料というものも逐次消費を殖やしておるわけでありまして、「ふすま」だけを取上げて全般を言うことなしに、総合的に問題を取上げて参つて農家経営というものを安定させるように、その経営ができるよう状態に持つて行かなければならん、かよう考えておる次第であります。
  71. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、「ふすま」、麦「ぬか」については、少くとも第二四半期以降は、第一四半期よりも下るという対策をはつきりお持ちになつていらつしやいますか。
  72. 石川武平

    説明員(石川武平君) 第一四半期と申しますか、歴年で申しますと、今年二月から大体五月終り、六月初めくらいの価格というものは非常に高かつたわけでありますが、それが現在、先ほど来申上げましたような低く下つて来ておるわけであります。現在まで辿つたような、この春以来の暴騰した価格というものは、勿論今後においては出る価格ではないと思つておりますが、又そういう価格が出ないようにしなければいけないと思つております。差向きこの八月、九月の価格というものは、現状を少くとももう少し下廻る価格になるのではないかというふうに考えております。十、十一、十二月というものは、先ほど申上げましたように、昨年度は食糧庁方面の委託製粉というものもあつたために、非常に伸び過ぎるほど伸びたわけでありますが、去年ほどにまで製粉加工が伸びないといたしましても、先ずそう価格上憂慮すべきよう事態にはならないだろうという予測を持つております。ただ来年の一月以降におきましては、今年の例もありまするし、十分な警戒をいたして参らないといけないと、かように存じております。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 余りはつきりしないので要領を得ませんが、そうすると、具体的に、食糧庁で昨年産の六等麦を二万トンばかりストツクしたのですね。これに対しては、食糧庁では用途を指定しないで競争入札で早くこれを払下げたいということをこの委員会言つておりますが、畜産局としては、これを餌に利用しようとする飼料計画の中に考えておられますか。
  74. 石川武平

    説明員(石川武平君) 昨年の六等裸麦の問題につきましては、実はこの春の「ふすま」の価格の高騰した際における私ども考え方として、できるだけ政府の手持のものは食糧であつても放出することができるものについては極力放出して、一応「ふすま」の価格を引下げるための施策として参りたい、かよう考えましたので、その裸麦二万トンにつきましても食糧庁に折衝いたしまして、むしろ餌用としての払下を強く要求いたしまして、そういう方向で問題を処理いたして参つたのであります。ただ併しながら、時期的に手続上手間取つたという点もありまするし、又一面においては実は「ふすま」対策として放出する裸麦の価格というものはおのずから限度があるわけであります。現在の食糧庁の予定価格というものは二万九千六百円くらいであつたかと思いますが、或いは一万九千円ぐらいであつたかと思いまするが、そういう価格によつて果して飼料用として買いたいという人がどれだけ出るかということについては、実は非常に疑問を持つてつたのでありますが、これは食管特別会計の経理上の問題等もありまして、それならばすぐ「ふすま」の価格に見合うような餌として採算のとれるよう価格にまで一挙に引下げて払下げるということは、実は非常に困難であるというよう事情もあつたのであります。なお且つ一つの問題としては、これが九州方面に非常に偏在しておるというような、而も農山村の小さな倉庫等に散らばつておるというよう事情もあつたのでありますが、最も大きな問題は、餌として使う場合の価格というものと払下の価格というものが折合がつかないという点が実はあつたのであります。現在まで二回入札をいたしておるわけでありますが、かれこれ合せまして大体二千トン、約一割見当のものが払下げになつてつたと思います。以上であります。
  75. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言がなければ、只今の飼料の問題につきましては、小麦価格の改訂に伴つて、それがいやおうなしに副産物である「ふすま」の価格にしわ寄せになつて、折角食糧問題解決の一環として強く酪農振興が推進されようとしておる、このことを阻むことのないような具体的な対策を立てて善処するよう希望いたしておきます。次に、只今の飼料問題に関連しても御発言がありました酪農振興の問題に関連いたしまして、最近乳価が急速に殆んど全国的に引下げられておる。それは最終乳価でなくして、生産者の手を離れるときの乳価が下つておるという意味でありますが、これ又非常に憂慮すべき事態を示しておると思います。農林当局でこれが調査の結果はどういうふうに現われておりますのか、並びにその対策についてこの際御説明を頂きまして、質疑を頂きたいと思います。
  76. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 只今お話がありました最近の納入価格の動きでありますが、私どものほうで県を通じまして報告をとつております乳価の効きは、遺憾ながら多少遅れておりまして、最近私どものほうにまとまつておりますのか、五月分がやつとでございます。で、七月の乳価の動きにつきましては、その定期的な県からの報告によるもの、或いは統計調査部でやつております納入調査の数字等によつてはまだ把握いたしておりませんので、私どもが現在つかんであります状況と申しますのは、お手許に届いております酪農協会の調べでございますとか、それからあと各地の私どもの聞取りによりまして大体総合いたしました趨勢というようなものしか現状においては遺憾ながらつかめておりません。で、大ざつぱにと申しますか、全国の趨勢をかいつまんで申上げますと、五月に若干手直しの下り方がありまして、五月の値下りは全国平均いたしますと、一升当り三円程度の値下りであつたわけでありますが、それから更に七月に入りまして、十日前後を期しまして又更に下りました。その下り方の大体の趨勢を見ますというと、今申しましたような経路でのつかみ方でございます。から、若干粗雑でございますが、大ざつぱに申しますと、一升当りが現在のところは五十円乃至五十五円、それから特別の都市に近いところの専業搾乳業者等につきましては六十円から六十五円といつたような線か、現在の基準乳価といつたようものかそういつた線で出ておるようであります。なお地区によりまして、牛乳を買いますと相手方の企業力と申しますか、中小企業と申しますか、或いは経営の余りかんばしくない農業協同組合等では、資金繰りの関係で、今申しました数字を若干更に下廻つて、極端に悪いところでは四十五円くらいまで行つておる例も一、二あるように私どものほうで聞いております。併し趨勢値といたしましては、非常にこれらは取引の量の少い価格でございますので、全体の平均で申しますれば、先ほど申しましたように、大体五十二、三円というところが現状というふうに私どものほうでは判断いたしております。大体乳価の現状についてはそういうふうと判断いたしておりますが、お話ように、昨年等の事例から見ますと、七月、八月と申しますのは牛乳の消費の、特に飲用牛乳の消費が伸びる月であります。そういつた意味合からいたしまして、昨年は五月−七月というのは、そういつた大都市周辺では、各メーカーの集乳合戦と申しますか、扱量を殖やすための競争がかなり行われまして、相当値上りをしたのが実際の姿でございます。御参考までに申しますと、統計調査部でつかんでおりますいわゆる納入価格と申します農家の一升当りの販売価格で申しますと、昨年の七月が五十三円、八月が五十四円、九月が五十四円、例年でございますと、その辺から下り出すべきものが、昨年の秋以来の需要の急増が作用いたしましたのと、夏場に必要な乳を確保できなくて苦い経験をしたものが、秋口、冬場をずつと続けて確保しておこうということで、かなり犠牲的と申しますか、需給関係からの必然的な結果といたしまして、通念的な考えから申しますと、下りそうな十月、十一月、十二月というのが昨年はずつと上つております。昨年の七月の、五十三円を底といたしまして、今年四、五月の全国平均六十一円を頂上にいたしまして、五月まで毎月上りカーブを示しました。それが先ほど申しましたように、五月の統計調査部の数字では六十一円というふうにまだ下降傾向が現われておらんのでありますが、先ほど私申しましたように、五月に大体各地で三円程度は下り、又更にここではほぼ五円程度は下つたということでございますので、これを今ここにあります五月まで持つております統計調査部の納入価格で当てはめてスライドさせてみますと、五月の六十一円が六月、七月で五十三円程度まで、つまり昨年の七月の水準に戻つたというような乳価の足取り、そういうふうに考えております。従いまして、昨年の七月以来、季節的な需給関係とやや離れた異常な動きをいたしました乳価のうなぎ上りが五月に天井を突きまして、又昨年の線に舞戻つた、そういうのが現状の姿でございます。問題は従いまして季節的には非常に異様なときに下りましたので、シヨックも大きいわけでございますが、価格水準そのものといたしましては、そういうことなんでございますが、問題はあとの更に九月に又下るのじやないか、或いは又冬に下るのではないかという一般的な不安な空気と申しますか、下り吊したについての従来の手放しの強気がにわかに崩れて、今度は急に悲観的な見通しが強くなつて来ておるのでありまして、その点は私どもが今最も注目して見ておりますのは、この夏場一、二ヵ月の飲用牛乳の消費がどのくらい伸びるかということでございます。夏場の飲用牛乳は昨年は足りませんで、乳製品を崩して飲用牛乳の補いにしたと言われたまでに生牛乳の供給が追付かなかつたのか、今年はこの季節になつてもまだ飲用牛乳の消化し切れないものが若干止むを得ず乳製品に廻されておるというようなことさえまだ聞いております。最近の四、五日の天候の回復によりまして、東京等で例をとりますと、飲用牛乳消費の回復と申しますか、伸び工合は急速によくなつておりまして、大体昨年の東京の例でございますから、全国をこれですぐ推し計ることも如何かと思いますが、飲用牛乳の消費を見ますというと、昨年の最高が八月の中旬に東京都で一日千七百五十石程度つた推定いたしております。勿論これは各メーカーからの報告でございますので、小さなメーカーもありますので、私どもの推計でございます。それが最近になりまして、やつとと申しますか、すでにと申しますか、千六百石程度にこの両三日やつと来たわけでございます。で、牛乳の生産量のほうは全国数字で申しまして、この一月乃至四月の生産統計を昨年の一月乃至四月の生産量と比べてみますると、約四割の増産が達成されておるわけでございます。で、供給が四割殖えたのに対して、消費のほうは今一例をとつて申しましたように、これは多分に私どもの勘が入りますが、昨年を一割上廻つた程度に低迷をいたしておるというのが実情ではないかと思つております。これがもつと天候回復等の関係もありましようか、伸びるということであれば、秋に又更に底なしに下るのではないかといつたような一部の観測は必ずも信を措くに足らないのではないかというふうにも考えるわけでございます。その意味では天候との関係と申しますか、季節的消費の問題がかなり大きな要素になると思つて注目をいたしておる次第でございます。なお農家からの買上価格が五月—七月とそういうふうに仮に昨年同期の水準に戻つたとはいいますものの、とにかく最高六十一円当時から比べまして八円乃至五円下つておるに対しまして、最終末端価格はどういう動きを示しておつたか、これも私どもとしては重大関心事として注目をいたしておるわけなのでございますが、飲用牛乳につきましては五月に小売価格で一円大都市におきましては引下つております。それからその後一応その線を据置いて販売をいたしております。私どもといたしましては、これ以上消費を伸ばすためには、是が非でもここで更にもう一段の木蝋最終価格の値下が必要と相成るのではなかろうか。又それを余儀なくするような情勢に持つて参るのが酪農振興法等を通じましての私どもの念願でもありましたので、そういうふうな情勢が実現するように私どもとしても期行をいたしておるわけなのでございますか、七月、八月というびん詰牛乳のいわば年間の書入れ時でもありますので、売るほうの側の考え方は、これをこの時期に一円でも高く売れるものなら売つて頑張りたいという商業意識と申しますか、経済意識と申しますか、そういうことで七月には最終末端価格のほうは五月に下げたまま生産者から買う価格だけを下げております、その際の生産者側に対する説明といたしましては、この冬以来の原料牛乳の増産、これに伴います乳製品の製造量の増加したに比較しまして、販売が思わしく行かず、例年でも乳製品の滞貨のピークに相成ります五月に予想以上のピークに相成つて資金繰等が非常に苦しい、それで値下りは確かに統計数字を見ましても、乳製品につきましては、五月以来急速調で末端価格を下げております。で、乳製品のほうの合理化を先にやつております。で、その在庫が減らない状況等も統計調査部の四月までの数字においては、一応在庫率が四月で申しまして煉乳七割八分というのを取高といたしまして、脱脂煉乳の三八%というのが四月の在庫率でございます。これば一月分の生産量で、その月の月末在庫を割つた数字でございますが、そのような累増をいたしております。それを理由といたしまして市乳の最終価格引下は暫時見送るということで、生産者側へは克明をいたしておるように聞いております。乳製品の末端最終価格の値下り状況が最も顕著に出ておりますのはバターでございますが、小売価格で申しまして、これも昨年の七月からでございますか、これは銘柄物と銘柄物以外のものとございますが、大体バターで申しますと、原料用でないテーブル用と申しますか、包装して市中に売られますバターの最高が半ポンド二百二十円から最低が百八十円というのが昨年の七月の価格で、それがずつと引続きましたのが、昨年の十二月以来、下値がだんだん上つて参りまして、二百円乃至二戸二十円、それから一月になりまして下から押されまして、今度は最高値が二百四十円に上げられまして、三月、四月まで続いております。それが五月に最高がそのままでありますが、最低価格かポンド二百二十円程度から二百円程度に下り、更に六月に十円乃至二十円下り、七月には百八十円乃至二百円に下つております。この二百円に下りましたのがいわゆる銘柄物でありまして、そういつた銘柄物以外のものは百八十円というたつた二十円の値引きしか七月には示しておりませんが、大メーカーが七月に半ポンド二百円まで値を下げた、これは最近の安値でありますが、昨年七月以来二百二十円乃至二百四十円が二百円になつております。この二百円になりましたのが、まだ無銘柄物が反応を示しておりませんので、一応七月の数字としては下値が百八十円と出ておりますが、恐らくは八月になりますと、上が二百円に下げた反動で下は十円乃至二十円を押下げておると予想しております。チーズについてもほぼ同様の値下り状況でございまして、昨年の七月が百八十円の品物が、やはり半ポンドでございますが、本年の七月にやつと百五十円に下りました。これは昨年の秋から冬にかけての需給の逼迫当時には二百円になつた品物であります。調整粉乳か同様昨年の七月が二百八十円で最近も二百八十円乃至三百円の線を続けております。これは影響が余りございません。加糖煉乳が一罐当り百十円が去年の秋百二十円まで上りましたのか又百十円にやつと元へ戻つたようでございます。大体そういうことでありまして、市乳の末端小売価格が僅かに一円下つて、一円下つたということは昨年の七月と同値になつたということでありますけれども、私どもの念願からいたしますと、今の七月の状況が去年の秋以来の変調子を取戻してやつと去年の七月の水準に乳価なり、取終販売価格が下つたのが一応の現状であるということが数字によつてはわかるのであります。私どもの念願としては、この際更に末端の最終価格にもその乳価の値下りの影響が顕著に出て来てほしいものだと考えて、そういう方向に力をいたしたいと考えております。大体そういう現状になつております。
  77. 岸良一

    ○岸良一君 ちよつと今、課長さんから、別段今の現状は一応この現状が悪くならんようお話つたんですが、今の生産が四割も殖えて、かなり私はまだ将来殖えて来るのじやないかと思うのです。それから生の物は一応このままとしても製品はストツクがどんどん継続される、これを今まで利用していたものは菓子等の加工業者ですけれども、これらはデフレの影響を受けて果して消化できるかということがわからない、こういう状況で、そういうような楽観をし得るでしようか、今、課長さんの言うように順調な生産が続けられると考えますか。
  78. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御指摘のように在庫は殖えております。企業といたしましての在庫率から申しますと、必ずしも高いとはまだ言えない、他産業と比較しての問題としては非常に異常な在庫とまではまだ言い切れない状況にあると判断いたしておりますので、確かにそういつた備えのなかつた当業者にとつては、現在の在庫の急増振りは従来の営業の仕方について一つ転換と申しますか、今までのような調子では仕事がつかなくなつたという意味では、今の時期は確かに当業者にとつての試練の時期であると思つております。それにはそれ相応の企業力を増すための努力をいたしまして、何とか今までのような貧弱な製品在庫で、その日の原料在庫も持てず、製品在庫が半月分の需要にも満たないもので相当の仕事ができておつた今までが余りにも恵まれ過ぎておつたので、私どもといたしましては、だからといつてつておいていいとは楽観いたしておりませんが、それ相応のお手伝いをすることによつて持続的に在庫は殖えますでしようが、乗り切り得るものであり、又そういうような企業力の強化ということを伴つて初めて日本の酪農というものが食糧問題としての解決に進み得る、さように生意気なよう考えを持つておりますので、必ずしも楽観はいたしておりませんけれども、十分乗り切つて行けるだけの当業者の企業、欲というものを信じていいのじやないかと、さよう考えております。
  79. 岸良一

    ○岸良一君 それは私よほど研究して頂かなければならん問題だと思うことは、これは今の大きな四つの大メーカーであればこれは或る程度の心構えはできておるし、資力もありましようが、御承知のように群小の加工業者或いは組合でやつておる加工事業、これらは実際においてそれほどの経済力に弾力がありませんから、これを持ちこたえることは非常に問題がある。従つてこれに対しては滞貨を或る程度持つことができるような金融的な措置をつけるとか何とか方法をお考え頂かなければならんのでありますが、それらについてとういうふうにお考えになるか、御意見を承わりたい。
  80. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御指摘の通り、農協或いは中小企業の乳業についてはそういつた画での対策の恒久的な問題として、今の時期の過渡的な措置だけでなしに、恒久的な問題として私どもも固めて参る必要があり、又それをしなければ農家の安定はないと、そういうふうに判断いたしておりますので、極力そういつた企業系列の整備でありますとか、系統金融による措置対策でございますとか、そういつたものについてよく御相談をいたしまして、私どもとしてもできる限りのお手伝いをいたすように目下取運んでおる次第でございます。
  81. 岸良一

    ○岸良一君 そういつた問題について、私はこれまでも関係して、加工しておる人の意識を高揚しなくちやいかんと思いますが、畜産局でそういつた連中でも集めて現在の事情を託して、どういうふうに対処して行くかというようなことの覚悟をさせるというような会合でもおやりになつたことはあるのですか、別段そういうような手はお打ちにならなかつたのですか。
  82. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私ども毎日仕事をやつておりますものは、折あるごとにそういう方々の御意見を伺い、又中金等へも個々に具体的にお話をつないだりして御斡旋はいたしております。なおそういつた恒久的な消費を拡大させるための対策と申しますか、価格を安くすることが根本ではございましようが、過渡的にできる限り啓蒙宣伝等によりまして消費を拡大し、確保するというよう措置が必要なのではないかというようなことにつきましては、先般来畜産局長が各方面のお方々と、必ずしもこの価格なり需給調整の問題を主題にした会合ではございませんでしたが、そういつた酪農の問題の諸問題について会合をしますたび、そういつた問題が附随的と申しますか、窮極の問題として御指摘がありまして、私どもとしてもできる限りそういつた消費の拡大という面に重きをおかなければいかんということで、まだ具体化いたしておりませんので恐縮でございますが、一段と努力をいたしたいと、さように思つております。
  83. 岸良一

    ○岸良一君 先ほど畜産局の課長からお話になりましたように、私は酪農振興法を中心として酪農を大いに振興させるというからには、これは国民の成るべく多数が乳というものを利用して、そうして国民の保健に役立つようにしてもらいたいということが必要だと思います。この点から言いまして、私は末端の生乳の価格が安いということは、どうしても要請しなければならない問題だと思う。最近において聞くところによりますと、五十銭、一円と下げた、これは一月の中からしますれば、相当の値下げということになるでありましようか、これくらいではなかなか私は響かない、こういうような点が直つて来れば、恐らく乳の製品の消費は私はもつと増加するものと思つております。ただそういう引下げがいきなりただ生産者だけにかぶつて来るということに私は非常に不合理がある、値を上げるときには酪農の振興のために牛は上つて、それで生産費がかかるから値を上げる、下げるときにはこれは内部を合理化して下げる、こういう宣伝をしておるのですが、実際において私はそういう販売方面の値下を努力する場合において、或いは小売業者、或いはそのメーカー、これらがおのおの分担して、そうして或いは経営の合理化を図るというようなことをして、生産者も負担すると同町に、これらの業者が負担をして、そうしてそこに全体において小売の値段を下げるという工夫をすることが必要だと思いますが、これは今初めだからということでありますから、いたし方ないのでありますが、畜産局としてはやはりそういうことを、業者の会合を開いてお互いに彼らがそういうふうな面の合理化に努力する御処置をとる必要があると思いますが、これらについてどういうお考えを持つておりますか。
  84. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御指摘の通りだと思います。私どもも何とかそういう方向に持つて参りたいものと思つて考えておりますが、何と申しますか、去年の夏以来の情勢、と申しますものは、需要が異常に上つたと申しますが、そういう同業者の値下げ努力を否定するような情勢に一般情勢が働いておりましたので、私どもが何とか下げる方法はないかとやつて見ましても、それは誠に空々たる議論で終つてつたのでありますから、幸か不幸かと申しますか、今日の状況は確かに供給量が殖え、これ以上販路を極力拡張するためには値下げ以外に方法はなかろうかと思つておるような客観情勢ができかかつてきておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう機会になお積極的にそういつた御趣旨を実現いたしますために呼びかける努力をいたすということで、先般来そういう努力を僅かながらいたしつつあるわけであります。
  85. 岸良一

    ○岸良一君 私はそれは非常に結構だと思います。なおこれと関連して、これは話が飛びますか、アメリカの余剰物資をとるという問題で、バターを二百万ポンド入れるというような問題が起きておりますが、これは農林省はどういうお考えを持つておられますか。今製品は余つて来ておる、内地でも恐らくバターは千五百万ポンドぐらいできる、そうして値は下つておる、そういうときにそういうものを入れてやるということは非常に問題だと思います。特に酪農振興法で根本的に振興しようとしておる際に、値段が安くて而も最近の厚生省の発表によるといろいろな細菌を持つているものを苦労をして入れる必要はない、その辺はどうお考えになりますか。
  86. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私どもも今日の情勢でこれ以上積極的にバターを入れる必要はないと勘案いたしております。従いまして、消費者の一部には国内の農業との関係なしに、純粋の食糧問題として安いバターが買えるならば、何も米国と限つたことはないと思いますが、海外からもつと積極的に入れたらどうだという御意見は御承知の通り根強いものでございますが、私どものほうでは、最近、去年の秋の頃のような情勢では、こういつた消費者の声に立ち向うことが非常にむずかしい情勢であつたのでありまして、これも幸か不幸か、先ほど申上げましたよう価格の低下を最近示しております。この実例を挙げまして、そういつた海外の安いバターを入れたらどうだと言われる消費者のかたがたには、極力御納得の行くように数字を以て説明をし、輸入の必要のないことを御説明をいたしております。私どもとしては、今の段階で、海外から特に安いバターを入れなくても、日本の酪農地帯の内部で合理化の努力が相当顕著に進みつつある、現に実践されつつあるということを理由といたしまして、輸入の必要のないことを主張いたしております。
  87. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今のお話で、消費者価格を引下げるということは我々は望みます。併し同時に従来の大体の動きからすれば、消費者価格を引下げるというこのしわ寄せば、大体において生産者にかぶさつて来る。すでに東京に飲料牛乳を供給しておる関東地内において、すでに大きな業者から、値段の高い、必ずしも長期の取引の行われておらなかつた生産地では、今までの取引が拒否されつつある現状にある、そういう事実がすでに起りつつある。そういうことは、酪農振興にまさに逆行している現実なのでありまして、そういうことに対しては、少くとも畜産局としてはどういうふうに対処して行かれるのですか、生産者保護の立場から、どういう方針、どういう具体策で臨まれるか、その点を一つ承わりたいと思います。
  88. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) この点につきましては、先般の国会で成立さして頂きました酪農振興法の取引関係の条項の効果を私どもといたしましては期待いたしておるわけであります。つまり生乳というものが短期的な取引契約では生産者の安定が得られないという見地からいたしまして、恒久的な長期契約を文書によつて行うという原則、それから主として価格関係になることになりますが、農民の団体と、そういつた飲料業者との間に生乳の取引について紛争の起りましたとき、従来のように当事者同士の話合なり、妥協なりということで問題の処理が行われておりましたが、現状は多少とも泣き寝入りにならないようにするために、都道府県が斡旋委員を任用して、要請に応じて斡旋に乗り出すという制度を酪農振興法が開いております。これは政令の準備の都合で今月未、或いは来月早々施行いたします。私自分といたしまして、もう一ヵ月早く施行されておつたならばという残念な気持がいたすのでありますが、遺憾ながら、やつと明月早々には施行いたしたい。多少時期に遅れました憾みはございますが、先ほど岸委員からも御指摘がありました、まだ値下りは秋にもあるぞという気構えもあります折から、この酪農振興法を折角成立させて頂きましたので、酪農振興法の第三章の今の二つの取引上の挺子入れ、そういつた問題についてものを言う時期が意外に早く来たというふうに考えております。それの効果に一応の期待を持つておるわけであります。勿論あの制度自体が全然白紙の状態の取引関係のところに制度を作りました関係上、非常に臆病であり、内輪なものであることば私どもとしても痛感いたしております。この秋或いは冬のそういつた事態が起りました場合に、その運用がどういうふうになされるかということを十分見まして、若し不十分な点かございましたら、又更にそれを補うよう考え方もとつていいんじやないかと、さように思つております。なお、御承知のように、現在の小売価格農家の手取価格との開きと申しますか、小売価格中に占める生産者の手取り割合というものは、いろいろの統計の仕方がありまして一律に申せませんが、通俗的には大体四五%程度が最終末端生産者手取りといわれております。極端な人は三分の一程度という一応観測をしているかたもございますが、私どもがいろいろの数字の取り方で違つて参りますが、一応四二、三%ぐらいから四五ぐらいが生産者手取りというふうに見ております。これを諸外国の例から見ますると、最低五割、うまく行つております、何と申しますか、協同組合組織等が非常にうまく円滑に動いておりますところでは、小売価格中に占める生産者の手取りというのか六割、或いはそれをちよつと上廻つておる事例も諸外国にあるのでざいます。そういう事例から申しまして、必ずしも現在の段階の日本では、末端価格を下げることと生産者の価格を維持することとはまだ矛盾しない。ただそれには先ほど申しましたよう酪農振興法があれだけで十分かどうかはやつてみなければわかりませんけれども、ああいつた生産者の積極的な自己防衛が行われれば、そういう合理的な姿で日本の酪農も考え面し得るのじやないかという希望を私は持つております。
  89. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 なかなか酪農振興の効果が発効するまでに、商略的にはやはりなかなか鋭い動きを示しておりますから、それはそれとしてやつて頂くとしても、なお今やはり現実に起つている問題としては、酪農振興のつまり地区の指定等をめぐつても、これが政争の具に供されつつあるという一つの問題と、それからもう一つは、そういつた指定地区にならない、つまり地域外の大きな牛乳生産者に対して今の牛乳値下りを一つの何といいますか、圧迫材料にしての商略的な値下げ運動というのはなかなか活溌に行われておるわけであります。これらに対する生産者保護の措置というものが、もう少し農林省自身としてはつきりした対策をお持ちにならなければ、これは山の上の草原に牛を飼つて牛乳を搾ろうと思つても、それが実際の乳になつて現われて来るのは三年か四年先のことなんです。その間に一方殖えておつた地帯の牛がだんだん減つてしまうということであれば、牛乳の生産量自体というものは、むしろ漸減の傾向を迫るのではないかということも考えられるので、僕らとしてはそういうことを懸念しておるわけです。それと絡んでさつきの餌の問題であるとか、それから最終価格に占める小売者の手取価格をもつと上げるという政策というか、要すれば法律的な処置等もこれは当然考えて然るべきじやないかと思います。それらについての具体的な方途を、やはり酪農辰興を大きな旗じるしとして掲げてある以上は、そういう酪農振興を一時の政策でなしに、やはり普遍の政策として推進する以上は、万般の措置をやはり手抜かりなくやつて頂かないことには、一部の指定地区だけで大きな効果を期待するということは先のことでありますから、現在殖えつつある極めて条件の少くとも現在までにはよかつた地区の保護の政策というものが忘れられないことを私ども特に要望しておきたい、こう思うわけです。それについてのいろいろな方策がおありでしようから、それの主要な点について、まだ今までにお答えになつておらないところがあつたら聞かして頂きたい。
  90. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 酪農振興法によります生乳の取引関係の条項は、集約酪長地域として指定される場所だけでなく、それ以外の飲用牛乳の供給地帯或いは小さな乳製品供給地帯にも全国的に即時適用いたすわけでございます。勿論その契約の文書化と紛争を解決する機関というものだけが、現実の事態から見て生産者保護にそれだけでいいと言い切れるのでないことは重々承知いたしておるつもりでございますが、一応今までの当事者限りに任されておつたものが、そういつたものに若干挺子が入つたという意味では御指摘の指定地域以外の、現に盛んに乳を出しておる地帯一つの生産者擁護の施策として具体的に役立ち得るんじやないか。勿論それの骨子になりますことは、農民組織の整備と申しますか、農業協同組合なり、そういつた農民個々の努力でなしに、そういつた団体活動というようなものが前提に相成るので、私どもとしては法律の定めた制度が十分に期待通り働くためには、酪農民農業協同組合組織というものかなお一層整備されなければいかん、それに力をいたして行くのか今後の対策として必要なんじやないか、さよう考えております。
  91. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今問題になつておりまする酪農振興の問題はこの程度にいたしまして、次の問題に移ります。   —————————————
  92. 森八三一

    委員長(森八三一君) 江田委員から、午前中、静岡の静浜村から陳情がありました焼津飛行場の問題に関連いたしまして発言を求められておりますので、この際御発言を頂きたいと思います。只今その関係で防衛庁の高田管理課長、調進庁の藤波管理課長、農地局の和栗入植課長が出席をいたしております。
  93. 江田三郎

    江田三郎君 今日御出席下さつておる防衛庁、調達庁、農地局のお方は、すでにくどくど申上げなくても事情はよくおわかりの人でありましようと思いますからして、焼津飛行場の問題について端的に質問をいたしますが、一体焼津飛行場は、米軍のほうからは接収解除になつたように開いておりますが、これは今後どういうふうにしようという方針なんですか。
  94. 和栗博

    説明員(和栗博君) 簡単に経緯を申上げますが、解除になるという話合を日米合同委員会のほうでいたしまして、その結果米軍のほうの意向といたしましては、一応日本側に返還はするけれども、滑走路は不時着用のために日本政府側でこれを維持してもらいたいという条件の下に返還をするという話が米軍側から参つておるわけでございます。その線に基きまして、現在日本政府関係省のほうで、今後どういうふうにそれではこの問題をやつて行くかという話合が行われたわけでございます。農林省といたしましては、ともかく飛行場が設置されるときのいきさつから考えてみましても、地元の農家の方々が非常にお困りになつておられるから、先の米軍の要求と申しますか、滑走路を残すということに支障のない範囲内においては、農民の手にこれは返してもらいたいという希望を、これは一昨年以来持ち続けて、当初は米軍折御前は全面開放を農林省としては希望したわけでございますが、そういう話がございましたので、滑走路の点は別といたしまして、できるだけ農地開放をしてもらいたいという線で、関係省と話合を続けて参つたわけであります。一時運輸省のほうで飛行学校のようなものを作りたいという希望か途中ございましたが、最近では防衛庁のほうでも、むしろ防衛庁のほうとして、これを浜松の飛行学校の分教場の一部に使いたいという話合が出ておりますので、そういう線に沿いまして、関係省の間で話合をいたしております。地元のほうの御了解を行たいという段取に現在なつておる次第でございます。
  95. 高田賢三

    説明員(高田賢三君) 只今入植課長からお話がございました通りでございますが、防衛庁の関係のほうで計画いたしておりますところを御答弁申上げたいと思います。今年度の自衛隊の関係といたしましては、初級操縦学校というものを設置することになつておるのでございます。その場所といたしましては、浜松を一応考えておるわけでございますが、浜松につきましては、現在米軍がこれを使用いたしております。その一部を返してもらえるということで話をいたしておるわけでございます。浜松だけではその収容力が非常に足らんのであります。その足らない部分を、丁度距離的にも非常に都合のいい問題の焼津の従来の施設を利用することにいたしておるのであります。その場所も今お話のありましたように、滑走路の部分及びそれに必要な誘導路だけを考えておるわけでございます。今の計画といたしましては、浜松の初級操縦学校の分教場という形で計画をいたしておるような次第でございます。その使用の範囲等につきましては、農林省と十分密接な連絡をとりまして話合をいたしたいと思つておる次第であります。
  96. 江田三郎

    江田三郎君 農林省と防衛庁のお話から行きますというと、滑走路に絶対的に必要な部分ということになりますが、そうしますと、地元のほうからかねて要望しておる滑走路の真ん中所に三角が飛出しておる所、それから排水関係で付か長い土地の所、それからラジオ・ビーコンのへりの草地、こういうものは当然必要とせられていないということでしようか。
  97. 和栗博

    説明員(和栗博君) 農林省考えといたしましては、お話通りラジオ・ビーコンの所は、ちよつと向うが条件を何か付けておりますので、ちよつとはつきりしないところがございますけれども、大体御趣旨のように、そういう所はもうできるだけ農民のほうに返してもらいたいという考えで、今後もこの線は是非通してもらいたいと考えております。
  98. 江田三郎

    江田三郎君 まあ私どもとしては、この土地については、地元の農民としては全面開放ということを相当以前から要望しておられますし、又現地を見ましても、この小さな村で昔の穀倉地帯を戦争中に無理やりにとられたために、その後村の経済においても非常な無理が起きて、例えばそれだけでなしに、家屋の立退き、又そのあと戻りというような問題があつたりしまして、地元農民としては大変困つておるので、前面開放が望ましいと思うのですが、米軍との関係等で、今すぐにそれができないというのなら、一応今防衛庁なり、農林省考えている線でものを考えなければ、現実問題としてそれ以外にないかとも思いますが、そういう際に、この滑走路の中に私有地があるということは、これは農林省でも防衛庁でもお認めになつておるわけですか。
  99. 和栗博

    説明員(和栗博君) 大体そういうふうに承知いたしております。
  100. 江田三郎

    江田三郎君 その私有地につきましては、中途から借地料が払われておるようですけれども、全然借地料の払われていないところもある。それについては、横浜の調達局を通じていろいろ交渉しておるけれども、今日までまだ解決がついていない、こう聞いておるのですが、調達庁のほうではそれはどうなんですか。
  101. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 御指摘の通りでございまして、大部分国有地でございますが、その中に民有地があるということと、一部分はすでに契約しておりまして、借料を払つておるようでありますが、その後まだ別にある、そういう局からの文書が参りまして、この点につきまして、現在会符面ではそうなつておるようでありますが、我々としまして、従来いろいろな例がございまして、民有地のつもりで買収したり、支払した場合に、現実に金を払つておるのだか、公簿の訂正がなかつた、そういう例もございますので、財務局のほうに連絡をいたしまして、公簿のほうは現在はつきりいたしておるわけであります。財務局のほうの帳簿といいますか、その面がどういうよう考えておるかということを照会中でございます。
  102. 江田三郎

    江田三郎君 これは一体いつから問題が起きて、いつ片をつけるつもりなんですか。
  103. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) この陳情が、私昨年の十一月から参りましたのでございますが、調達庁に正式に文書になつて来たのは、たしか去年の暮かと考えておりますですが。
  104. 江田三郎

    江田三郎君 人の土地を使つておいて、あなたのほうで支払わんでもいいという立証でもできるならとにかく、そうでなしに、払わなければならんにきまつておるのですが、それが今まで未解決というのはどういうわけですか。
  105. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 使つておりまして払わんでもいいと申上げておるわけじやございませんで、その点について財務局のほうの結論が出ましたら早急にでも……。
  106. 江田三郎

    江田三郎君 財務局にはその当時の書類が焼けたり何かしてない部分があるそうじやありませんか、そのときに一体どうするのですか。
  107. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) その点については今具体的にどうすると考えておりませんが、若しそういう点がございましたらば、そのときに全般の状況から判断いたしまして処置しなければいかんと、そういうふうに考えております。
  108. 江田三郎

    江田三郎君 立場を逆にして考えて御覧なさい。とにかく不法の占有であり、小法の使用なんです。そんなことをいつまでものんべんだらりとやつておられたのではかなわんと思うのでありまして、而も財務局としても、国としても、自分のものであるかどうかということははつきりしていなければならんと思う。これは終戦の末期に起きた問題であつて、今まで十年からになるのに、その間まだその中に私有地が残つておる。その私有地について、途中から借地料の支払をしたけれども、全然払つてない所もあるということは、国有財産の処理として非常に不可解なことだと思う。どうしてこんなことが起るのか、そこにあなた方が戦争末期の軍の態度とは違つてはいても、多少それに似たものが残つておるのではないかと思いますが、これは早急に片が付きますか。
  109. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) その点につきましては御指摘の通りでございまして、早急に一つ善処をいたしたいと思います。
  110. 江田三郎

    江田三郎君 解決をつけるときには、遡つての借地料をお払いになるのですか。
  111. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 民有地ということが確定すれば当然そういうことになります。
  112. 江田三郎

    江田三郎君 この飛行場に専用の排水路があるわけですけれども、この排水路の借地料金というものは全然払つておられない。これは一体どうするつもりなのか、とにかく穀倉地帯の真ん中にコンクリートで固めた広大な滑走路があれば、雨が降つたらその水は一遍にわあつと行くのですから、附近の農地というものは大変な迷惑を受けるわけです。それに対して排水路というものが小完全ながらあるけれども、それに対してあなた方は一銭の使用料も払つておられない。そうすると、農民のほうでは、これは払つてくれなければ埋めるということになる。個人から言うと、それを埋めて少しでも耕地を殖やしたほうがいい、そのために附近のほかの農地が何ぼ水浸しになりましても、それはおれの関係じやないということになりますから、そういうふうな問題も、これも何か横浜調達局からの回答では、この陳情書によりますと、終戦処理費がないからして払えないというような答えが出ているのですけれども、これは一体どうされますか。それから将来仮に防衛庁のほうでこれを飛行場としてお使いになるとしたところで、飛行場は自分のところは土地一ぱいコンクリートが張つてつて、これだけはおれのものであつてあとのものは知らんぞというわけにはいかないと思いますが、どうされますか。
  113. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 現在の問題といたしましては、局から回答をいたしたその内容を実は直接私が見ておりませんのですが、支払いできないという回答をいたしたと聞いておりましたので、それは終戦処理費がないからという、そういう性質ではございませんことだと思います。そのあれにつきましては、実は現在の排水路は施設のほかにあるのです。今、先生がおつしやいましたように、将来防衛庁が引継ぎましても、防衛庁はこの中だけでほかは知らん、そういう問題が起りやしないかとおつしやいましたが、現在の補償関係といたしましては、私の直接の関係では施設内のことを言つているので、施設外のことにつきましては、特損言いますか、特に損害を受けた場合に補償をするとか、それからそれが専用の排水路でございましたら、或る意味で施設に入れまして補償しなければならん非常に技術的な問題がございますが、そういう問題がございまして、その点いろいろ議論があつてお払いできない、そういう回答ではなかつたかと聞いておりますが。
  114. 江田三郎

    江田三郎君 これはもう私は常職的にはつきりしていると思うのです。例えば道路を作る。併し国が土地を買収してそこだけ一ぱいコンクリートをやられたら、その辺の家はたまつたものじやないですよ。だからやはりヘリに溝をつけてきちんとしておかなければならん。これは農林省の入植課長がお考えになつても、国がこれだけ持つているのだから、ここだけはフルに利用して、隣り近所にはどんな迷惑を及ぼしても構わん、そんな利用方法は国有財産であろうと、私有財産であろうと、そんなことは許されんと思うのです。これは損害が起きたときというのでなしに、明らかにこういうことをやれば、雨が降るために附近に水が滲みんのですから、コンクリートで固めているのですから、周囲にわつと六十町歩に水が溢れ出ることはきまつているのです。そんなものは然当考えなくちやならんと思うのです。この問題を今後防衛庁のほうで引継いで使用なさるとすれば、防衛庁としてはそういう問題についてはきちんと処理をなさるおつもりですか、どうですか。
  115. 高田賢三

    説明員(高田賢三君) 問題の滑走路の中或いはその周りの問題についていろいろ権利関係が錯雑いたしておりますことは御指摘の通りでございます。米軍の使用の関係におきまして、すでにそこで問題があるわけでございまして、この点只今調達庁のほうからお話がございましたように、権利関係等の確定を図られるやに聞いております。防衛庁がこの施設を引継ぎますときには、勿論合理的な考え方によりまして、納得の行くところでいろいろ定めて参りたいと思つております。今実はその使用の区域についてまだ関係の省なり、そのほかとの間において話中でございます。詳細私ども実は資料を只今持ち合せておらんのでありまして、いろいろ確定いたしました上は十分関係のほうと納得の行くところで合理的な解決の方法をしたいと思います。
  116. 江田三郎

    江田三郎君 勿論私有地を勝手に排水路と称してやつてつたり、それからそういうことがあるなしにかかわらず、附近の私有地に迷惑をかける問題なんですから、これは防衛庁のほうでお使いになさるときには、当然きちんとした地元民の納得の上に解決がついておらなければ、そういう使用というものは、東条大将じやないのですから、もう木村大将でもそうはおやりにならんと思うのでして、これはやはり農林省でもそういう点については十分地元農民のために斡旋をなさるのですか。
  117. 和栗博

    説明員(和栗博君) お話ような問題につきましては、農林省としては当然正当な要求として関係省のほうにお願いをいたします。
  118. 江田三郎

    江田三郎君 そのときに、今までの関係はどうなさいますか。今まで無断で農民の私有地を排水路と称して十町歩余りも……、十町歩じやないですか、何反になりますか知らんけれども……、九反ですか、九反余り勝手に使つてつたということは、これはまあ調達庁のほうでは補償しないという回答をしたというのですけれども補償しないということはないでしようが。
  119. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 今のお話でございますが、我々の手許に参つております内容は、補償してくれと書いてございますが、現実にそういう雨が降つて損害があれば、これは当然補償しなければならんわけでございまするが、使用料ということになりますと、あれが専用路であつたか、どうかということで一つは問題ですが、図面で見ますと、一般のほかの公有の排水路も同時に水が流れ込んでおるわけです。だからその点でちよつとむずかしくなるのじやないかと思います。恐らく局はそういう意味補償できないと回答いたしておるのじやないか、想像で甚だ恐縮でございますが。
  120. 江田三郎

    江田三郎君 これは常識で今とにかく細長い六十町からの滑走路があれば、これは現実に被害があつたとか、ないとか……、被害があるにきまつているのです。迷惑を受けるにきまつているので、これはちよつと農業のことを考えたら直ぐわかりますよ。それから同時に滑走路の水も行つたけれども、片方の水も来たかも知れん。成るほどそれはそうでしよう。併し片方の水というものは滑走路かないときにはきちんとした排水路があつたにきまつているのです。用水路なり、排水路がない穀倉地帯というものはあり得ないのですけれども、そういうものが滑走路で実はつぶされてしまつているのです。それからその後起きた事態については、水の出る量を、片方のほうは耕地ですから、水が滲み込んで行く、田へ滲み込んで行くし、そうむやみにはき出るわけじやない。片方はコンクリートで、降つた雨が全部行くのですから……、これはあなたのほうで余り杓子定規に行かんで、常識的に考えたらわかることなんで、これは一つどうです、何とか解決がつきませんか。
  121. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 私申上げたのは舌足らずでございましたが、たとえ一般の普通の排水路に使用されようと、それからそれと滑走路から流れ出て参ります水が合流しようと、どういう場合でございましようと、損害があればその点につきましては調査もし、又村のほうにも局から降水量とか、降水でどの程度被害があつたかということの調査をお願いしておりますが、現実の数字としてはこの程度被害があつたということは我々の手許には参つておらないのでありますが、ただ補償してくれという文書は参つております。現実に損害があつた場合には、たとえ共用であろうと、どうであろうと補償はいたさなければならんと考えております。現にこれはほかにもたくさん例がございます。ただ代料の問題になりました場合には、それが排水路が専用であつたか、どうであつたかということで多少問題になるかと思います。細かい問題でありますが、そういうことになります。
  122. 江田三郎

    江田三郎君 東条さんのときのことをあなたに責めたつて無理ですけれども、まあこういう仕事をやられておられる普の罪亡しをやる意味で何とか一つ解決つけて頂きたいと思うのです。それから農林省もこれはやつぱり百姓のことをやつておるお役所でありましたならば、やつぱりこういうことについては、いつまでも未解決でおかんように、農林省としても解決のための斡旋をして頂きたいと思うのです。それからその次に、まあ飛行場の土地の買収の仕方というものは極めて乱舞な買収をやつて従つて国有地の中へ私有地が残るというようなことになつておりますけれども、その買収の仕方の秘し悪しは別として、一旦国有地になつた、それが又開拓財産として管理替えをしたり何かして登記を替えて行きますが、小さい村でこれだけ大きな面積を持ち出されたのでは、百十町歩からの総面積を出されたのでは登記の負担に堪えないというのですが、そういうことは農林省のほうでは何か便法はないものですか。
  123. 和栗博

    説明員(和栗博君) その点等につきましてはく思い当りませんが、研究はいたしてみますが、ちよつとむずかしいかと思います。
  124. 江田三郎

    江田三郎君 便法がなければ、その登記のやつを補助でもするとか何とかやらん限り、いつまで経つたつて村のとにかく固定資産税一つつてみても、村の只ん中を大きくとられたのでは村財政というものは非常に悪い。恐らく静岡県でも一番村財政としては疲弊している。本来こんなところは戦災地区として特例かあるべきなんだけれども、こういう村だから、その特例にあずかれないということになると非常な迷惑ですね。これは一つ自治庁のほうとも相談をされて、何か一ついい智慧を出して頂きたいと思うのです。それから更に、農民のほうでは売つていないのに拡張工事のときに独断的に十一町歩というものが勝手に国のものになつておる。金をもらつていない、金をもらつていないというより勝手に国有地なりというか、官有地なりという判を押されておるという問題ですが、これは名古屋管財局のほうに訂正取消方を陳情中だと言われておるが、こういうことはお聞きになつておりますか、これは調達庁のほうどうでしようか。
  125. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 私聞いておりませんです。
  126. 江田三郎

    江田三郎君 農林省もわかりませんか。
  127. 和栗博

    説明員(和栗博君) 私のほうも聞いておりません。
  128. 江田三郎

    江田三郎君 どうもそうなると役所というものは勝手なもので、それじやそうでなかつたという立証をしろというようなことを言われるに違いないのですが、立証と言つたつて立証の仕方がないのですよ。金はもらつていないのです。勝手に官有用地なりというものをぽんぽんはんこを押されておる。立証の仕方はないが、併し現実に金をもらつていない。それを返してもらうというと又手続をとつて登記をやり変えなければならんということになるわけですが、さよう事態等につきましても、一つこれは調達庁のほうと農林省のほうと相談をされてけりをつけてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  129. 和栗博

    説明員(和栗博君) その問題は、これはむしろ調達庁と申しますよりは大蔵省の問題だと思います。私のほうといたしましては、その点につきましてなお大蔵省と掛合いまして、はつきりするように努力いたします。
  130. 江田三郎

    江田三郎君 まあ飛行場を、防衛庁のほうでここを操縦学校の分教場にするということになると、今申しただけでなしに、いろいろないきさつがあるようですがね。そういうことをあなたのほうは国有財産で行くなら余り金はかからんのですから、その代りその国有財産に付随しておるいろいろなこぶを一つきれいさつぱりと、地元農民の納得の行くように解決をつけて、そうしてこれを使用する、こういうことは当然だと思うのですが、どうでしようか。
  131. 高田賢三

    説明員(高田賢三君) 現地関係が多少問題があるようでございますが、調達庁におきましても、関係の省と相談をしてやつて参りたいと思います。まあ地元の御協力を得まして納得の行く線で進めておるわけであります。
  132. 江田三郎

    江田三郎君 とにかく折角お使いになるのに村の恨みを買つて、飛行機が事故を起してもいけませんから、一つそういうことのないように、この問題については農林省と、それから地元、県当局もありましようし、そういうものを斡旋機関として、今申しました排水路の問題もあろうし、使用地の問題もあろうし、おれから全然その使用地の使用料を払つていない問題もあるし、いろいろな問題があるようですから、私どもちよつと聞いてみましても、とにかくこれは最初無理をやつておると思うのでです。ひどい無理をやつて、ここに出ておる問題だけでなしに、これはあなたのほうに行く問題じやないけれども、家屋の立退きや移転なんかについても、戦争末期のとにかく一億一心、火の玉で戦争に勝つためだということで非常な無理をしておりますから、これは当時有名な模範村であつたものが一遍に最も最貧弱町村に転落したということですから、十分そういう点を納得のいくように解決をつけて、そうして飛行機を持つて行かれる、こういう線で是非やつて頂きたいということを、又やつて頂けると期待して間違いないでしようね。
  133. 高田賢三

    説明員(高田賢三君) 只今お話よくわかりましたから、極力その線で円満な解決をいたしたいと思います。
  134. 松浦定義

    ○松浦定義君 今の問題は江田委員の適切な御質問で大体結論を得ましたので非常にいいことだと思いますが、この間の委員会で私ちよつとお尋ねしたのですが、北海道の大津に上陸用の演習場を設置したい。これは当時のお話ですと、調達庁と外務省とが同うに折衝しているのだと、こういうふうなお話でしたが、その後どういうふうになつておりますか。実は今度北海道の防衛態勢と言いますか、駐留軍が撤退をして自衛隊に移管をすると、こういうことになりますと、恐らくそういう必要はないのではないかと私どもは一応考えるのですか、それでもなおそれは別だということになつて着々進めておられるのか。そういう点幸いまあ調達庁も来ておられますし、防衛庁もおられますし、農林省もおられますので、それぞれの立場からこの問題の今日までの現状を一言お聞かせ願いたいのです。
  135. 和栗博

    説明員(和栗博君) 大津の問題につきましては、米軍のほうといたしましては、日本で唯一の上陸演習場といたしまして強く要望いたしております。私どものほうといたしましては、地元のほうではいろいろ放牧の関係その他地元の方々の反対の御意思がございますので、少し上のほうの方々で方針をおきめ願いたいということで、政府側としては上のほうで、反米軍のいわゆる上層部と話合をして方針をきめて頂くことにいたしてございます。その線はまだ右左が、どういうふうにきまるということは、私ども段階ではまだ承知をいたしておりません。併し仄聞をいたしまするに、米軍のほうといたしましては、北海道のいわゆる自衛隊との入替えと申しますか、米軍は北海道から撤退をするという方針ではございますけれども、上陸演習場は、これは話は別であるということで、あれは何とか是非日本側で考慮してもらいたいというのが現在の米軍の要望の状態になつております。私が存じておりますのは以上の程度でございます。
  136. 松浦定義

    ○松浦定義君 調達庁のほうもあれですか。
  137. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 私実は直後の担当でございませんので御了承願います。
  138. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ私どもは大体米軍で要請しておつた気持はわかるのですが、やはり上陸用ということになれば、やつぱり陸海空とまあ三方面からの形でこれは実施されると思うのですが、恐らく残るにしても空軍的なものがまあどうしても残るのだというふうな考え方でおられるのではないかと私どもは予想しておるのです。ところがまあ海軍的なものの演習場ではあるけれども、恐らく陸の精鋭を乗せて来るということになりますから、これらのことが全部まあ自衛隊のほうに移管されるということになると、この演習に対しては何か自衛隊と最も密接な連絡の下にやるというようなことが、やつぱり将来というのでなくて、今現在にそういうことを考慮されるのじやないかと、こう予想するのですが、そういうことについて、まあ内容はわからんと思うのですが、そういう意味でこれはどうしてもまだ、全体において引揚げるけれども、これに固執しているのだというようなふうに私どもは解釈するのですが、そういう点はどうですか、誤解のよう立場に解釈されますか、どうですか。
  139. 和栗博

    説明員(和栗博君) 只今申上げました程度でございまして、何も詳しいことはまだわかりませんが、お話ようなことではないかというふうにも想像いたします。   —————————————
  140. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは次に継続審査になつております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本年春繭の掛日協定が甚だ遅延いたしているようでありますが、本日は農林当局からこれらの事情及び今後の対策等について説明を求めたいと思います。なお、先に申入れてあります玉糸の価格安定に関する政府におきまするその後の措置の状況についても、経過を御報告頂きまして質疑をお願いいたしたいと思います。先ず原田蚕糸局長説明を求めます。
  141. 原田伝

    説明員(原田伝君) 本年の春繭の繭価協定に関しまする状況を先ず第一に御説明申上げます。  本年の春繭の繭価の協定につきましては、例年に比べますると確かに若干と言いますか、或いは相当遅延いたしている傾向がございます。で、この点につきまして私どもとして承知しておりまする事情を申上げますと、先ず一般の情勢といたしまして一、二事情があると存じております。その第一の点は、本年に入りまして生糸の価格相当な勢いで下落いたしました。又一般繊維業界の動向につきましても、いろいろな観測が行われる、更に政府のデフレ政策というものが相当業界にも影響があるという感じでございまして、それがどの程度どういうふうに現われるかという見通しがなかなかむずかしい。こういうような状況にありますので、将来この生糸の価格がどういうふうに動いて参るかという、いわば糸価の動向に対しまする見通しが非常に困難であつた。そのためにそれがどう動くかということをよく考えないと、うつかりこの協定が結べないというような困難性があつた考えております。次に第二の点といたしまして、本年は凍害もございましたし、又それに続きまして気象が思わしくない。日照の不足その他によりまして春繭の減産という心配相当ありまして、そのためにその影響によつて生糸の価格というものがどういうふうに動いて参るか、この見通しがなかなかむずかしい。結局天候の不良ということと、それが影響いたしまして桑の発育が不良になるだろう。そうなりますと、ひいてはこの春繭のみならず、夏秋蚕につきましてもその生産の見込がどういうふうに落着くかということは、これはなかなか見当がつきかねる。こういう情勢にございますので、そういう点を十分に見究めなければ繭価の協定が安心して結べない。こういうよう事情がありましたために、この点からも困難性が相当つた、かよう考えております。  以上が一般の情勢として考えられるものでございますが、そのほかに、養蚕家の側からもいろいろ事情考えられ、又半面繭の需要者側からもいろいろな事情考えられる、こういう点がございます。で、先ず養蚕家側から考えられます事情といたしましては、前年に比べまして糸価の水準が低いので繭の値段の価下りというものはどうもこれは避けられない、又春繭の減産見通しというものも、先ほども申上げましたように、そういう傾向が確かにあるので、養蚕農家の収入の確保という問題、又折角終戦後立直つて参りまして、繭というものの増産という意慾が相当農家側にあるようでございますが、それがこういう傾向のために頭を叩かれて、その増産意欲が低下するということがあつてはならない、これをできるだけ防がなければならない、こういう意味も加えまして、繭価の協定につきましては極めて慎重な態度をとらざるを得ない、こういう実情にあつた考えるのでございます。半面、この製糸側と申しますか、繭の需要者側のほうの事情といたしましては、前年におきまする非常に採算が困難であつたそのことに引続きまして、本年の糸の値段が安い。又金融の引締めという事情もある、こういうよう関係で、これを凌ぐために春繭の値段というものは需要者側は需要者側並みの企業の採算点の中に織込んでおかないと非常に辛い、でありますから、率直に申上げますれば、繭需要者の自分の懐ろ勘定から見まして、できるだけ頑張らなければならんと、こういう事情があつたと、かよう考えられます。従いまして、売手にも非常に辛い事情があり、又買手もなかなか自分として辛いと、こういうよう事情が双方にございましたので、これらの事情がからみ合いまして、ぎりぎり一杯の相談をした上でなければきめられない、こういう事情がありましたために、例年に比べまして相当遅延を見たのではないか、かよう考えておる次第でございます。これに対しまして、最近の情勢はどうかということを申上げますと、昨年の春蚕期におきましては、七月の十日に福岡県で繭価の掛け値の協定が決定を見たのを初めといたしまして、七月中旬に六県、下旬には更に二十三県の決定を見ましたのでありますか、本年の春蚕期におきましては、申上げましたよう事情のために、七月の二十六日現在で山梨、愛知、三重、東京という一部三原の決定を漸く見た次第でございます。でありますが、繭価協定につきまして、その糸口がついたという感じがございますので、今後におきまして爾余の府県の繭価の協定もだんだんと決定をみると、こういうふうになるのではないかと考えておる次第でございます。  簡単でございますが、繭価の協定につきまして、私どもの承知しておりまする事情を御説明申上げた次第でございます。  それから次に、玉糸の対策の問題でございます。玉糸の対策につきまして、先般書面を以て速かにこの買入の措置を講ずるようにという申入を頂戴いたしておるのでございますが、この問題につきましては、非常に蚕糸業各般に旦りまする複雑な事情のからみ合いという問題がございますし、又他面刻下の足下の財政の事情等との関連もございますし、又玉糸自体の持つておりまする特殊な性格というようなものもございますために、私どもといたしましても、いろいろこの解決について努力をいたして参つておるのでございますが、まだこれに対しまして、はつきりした結論を得るという段階に至つておりませんことは、私どもといたしましても誠に怒力が足りなかつた点もありはしないかと、かよう考えまして、そういう事情につきましては誠に残念に存じておる次第でございます。で、結局どういう段階になつておるかという経過を申上げますと、総括的に申しますと、この問題につきまして研究しましたところ、玉糸の価格の安定を図るということは、玉糸の輸出振興上必要なことであると、かよう考えておりますが、これを繭糸価格安定法によりまするところの政府の買入方法によつて安定を行うということは、現在この同法によります生糸の買入資金というものが約二十二億円あるのでございますが、一般の生糸につきまして、一体そういう金額では不足ではないかということが懸念されておりまする折柄、この買入の資金の点につきまして問題があるという事情でございます。又玉系の最高価格、最低価格というものを決定しまする方法等につきましても、いろいろと困難な問題がおるのでございます。そういうわけでございますから、これらの諸点につきまして慎重に検討中でございます。勿論私どもの狭い頭の中で検討をしておるのではございませんので、関係のありまする各方面にこの問題を十分に説明をいたし、何とかこの玉糸の安定について打開策を得たいという考えで慎重に検討中でございます。  簡単でございますが、一応経過事情を申上げた次第でございます。
  142. 関根久藏

    ○関根久藏君 只今いろいろ繭価安定の問題等についてお話があつたが、現在非常な異常天候によりまして、夏秋蚕は現実の問題として大減産を予想されており、目先に迫つております秋蚕のごときは大体半分か乃至はそれ以下であろう、晩秋蚕に至りましても先ほどもお話が出ましたけれども非常な冷害にでも会つた場合には、これ又予測のできないようなことになるだろう、生産の状況はさようなんでありまして、特に本年の春蚕の取引におきましては、例年でありますれば切り売り、切り買というようなものが全国的に相当多額にありまして、養蚕組合等が扱いました表面の数字以外に非常に多額な事実上の生産がある、本年はそれが残らず大体全国的に表面に殆んど出ておる、さようなことを考えますというと、実は本年はそんなに予定したほどの増産はなかつた、かようのことが見られる。そこで生産のほうはそうでありますが、消費のほうはこれからお聞きしたいと思うのでありますが、まあ内外の消費の状態或いは先の消費の状態、又いろいろの国内の経済政策の問題等がからみ合つて、新らしく就任されました蚕糸局長は、この生産、消費の状況下において、本年の糸価はどんなふうな見通しを持たれておりますか、どうか、それを一つお聞きしたい。
  143. 原田伝

    説明員(原田伝君) 只今お尋ねのございましたこの生糸年度における需要供給の変化の見通し、又それに関連いたしまして、生糸なり、繭の価格の変遷の見通しについてどういうふうに考えておるか、こういうお尋ねでございましたが、この問題は蚕糸行政に従事しまするものとして、最もこれにつきまして十分に研究をし、確実な見通しを持たなければならない問題であるというふうに考えまするが、私誠に言訳がましいのでございますが、従来蚕糸の仕事につきまして経験も誠に乏しく、又知識も不十分でございますので、目下一日も早くそういう点につきまして正確な見通しを把握できるように勉強しなければならない、かよう考えで、日夜その点につきまして努力を続けておる次第でございますが、本年は非常にいろいろな層があれこれと動いておるという状況でございまして、或いは輸出の点につきまして、最近の情勢としましては従来よりもやや殖える傾向が一面において現われておるかと思いますると、内需につきしはしては、いろいろな影響から昨年あたりに比べますと減つて行く傾向も見受けられる。又他面繭の生産、ひいては生糸の生産につきましては、只今御指摘のございましたような供給の減少傾向も相当懸念される。ではこれらを総合いたしまして、結論がどうなるかということにつきましては非常にむずかしい問題でございまして、平素そういう事項につきまして、できるだけ速かに性格な資料を入手いたしまして、これに基きまして総合的な判断をしなければならない問題でございますが、何しろそういう非常に各方面の複雑な事情が絡み合いまして微妙な動きをいたすものであり、又大きく海外におきまする経済事情、特に生糸に関しまする事情の変更というような大きな要素もあり、又国内的にはデフレの問題が現実にはどういう姿をとるかというような大きなスケールの要素も入つて参りますので、お尋ねに対しまして十分なお答え、御説明ができませんことは誠に遺憾でございますが、まあ手掛りといたしまして、最近におきまする取引所の相場の動き等をじつと見つめてみますると、極く足下の事情としては最低価格に急激にぶつかるようなこともなく、いわゆる一時小康を得ているというような姿をとつておりますので、これが今後どういうふうに展開するかということにつきましては、なお正確な資料に基いて十分に研究を遂げ、見通しを誤まらないように努力をいたしたい。かよう考えておる次第でございます。
  144. 関根久藏

    ○関根久藏君 それから玉糸の問題ですが、いろいろ従前から御心配を願つておるようでありますが、玉糸については生産費をきめるのに難点があるのだというお話なんでありますが、これも相当難点があるのでありましよう。又玉糸もいろいろ買上げの対象にするには困難な点もありましよう。併しこれらの点の困難を何とか方法を立てて突き破つて、やはりこれは輸出品でありますから、外貨を得るために最善のお考えを願いたいと思います。三十億に制約されておりますからさような問題が起りますので、とにかく蚕糸当局は現存の三十億のあの特別会計が必ずしも多いとは考えてわらないと思うのであります。三十億を六十億なり、百億なりにしたいと、かよう考えておると思うのであります。我々もそう考えておるのであります。あの金がたくさんありさえすれば、現実に大蔵省のほうから特別会計に出しますけれども、使わずに済むのであります。軍艦や大砲や飛行機を用意しているあの軍備と同じなんであります。たんとならたんとほど使わずに済むのであります。さようなことはお考えになつておると思うのでありますが、今後一つあれをうんと増額をして糸価の安定ができますように、一つ最大の御配慮を願いたいと思います。申上げるまでもなく養蚕業、製糸業、蚕糸業は、これは外貨獲得の唯一のものであろうと思う。原料は何にも外国から買う必要はありません。全部が国内の資源で外貨がとれるのであります。そうでありますから、現在のような外貨がなくて非常に困つておる場合には、政府はもう一段と蚕糸国策について、外貨獲得の面から見てももう一段高く取上ぐべきであろう。かように思うのでありますが、なかなかどうも蚕糸業というと片隅のほうに片付けて、さような面を考えない向きが多いのであります。一つそれらの点につきましても、今度蚕糸局長も新たに御就任になつたのでありますから、一つ全生命を挙げて我が国の蚕糸業のために、又一面には外貨獲得のために、農村経済定定のために最善の一つ御配慮を願いたいと思う。輸出生糸にいたしましても、とかくの問題があつて、このくらい下ればどんどんアメリカでは、或いは諸外国では買つて来てもいいと思うのでありますが、それがなかなか遅々として買つて来ないのには、何かその間に特別な事情でも外国の貿易商が持つているのではなかろうか。まあ聞くとこるによりますると、生糸は贅沢品でありますから、或いはアメリカにおいても、ヨーロッパにおいても五割も八割も儲けがなければ扱わん、こういう話があるのでありますが、まあそれらの点についてもう一段と御研究を願い、何とかして今のような蚕糸業でなしに、大発展が期せまするよう一つ折角の御心配を願いたい。
  145. 原田伝

    説明員(原田伝君) 蚕糸の問題につきまして、実情にも明るく、又経験も非常に積んでいらつしやる関根委員から、非常に御懇切な御意見の御開陳或いは御指導を頂きまして、私心から有難くお礼を申上げます。誠に不馴れでございますために、万事手ぎわよく参らないので恐縮いたしておりますが、只今御指摘の蚕糸行政につきまする点は、誠に問題の核心をお突きになる点であると、かよう考えまして謹しんで拝聴いたした次第でございますが、御尤もな御意見でございますので、私どもといたしましても、その線に沿いまして、微力でございますが、今後職員全部が力を併せまして問題の解決に邁進いたしたい、かよう考えております。お答えにはなりませんが、所見を申上げた次第でございます。
  146. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 繭糸価格安定法を始めて、たしか十六国会ですか、審議したときに、二十億の資金では非常に不足である。併しこれはこの資金を逐次増加するという希望的な条件でこの法律を通したことを、私どもは当時の事情として記憶しているわけであります。その後これを増加するための蚕糸局としての措置はどういうふうになされておりますか。依然として今日までかれこれ二年ほどいたして殖えていないというのは、その間にどういう事情があるか。
  147. 原田伝

    説明員(原田伝君) 繭糸価格安定法によりまする生糸の買入の資金が三十億では足りないではないか。これに対して増額の問題をどういうふうに蚕糸局として措置をして参つたかということにつきましてお答えいたします。御指摘のように二十億では足りないという懸念は各方面から伺つておりますし、又蚕糸行政と申しますか、生糸の需給の状況の変化或いは価格の変動というものに伴いまして、いやが上にも万全の措置をしておかなければならない、先ほど関根委員からも御指摘がございましたように、十分な資金を用意するということによつてその資金を使わないで済むのだ、まあ確かにポイントを突いたお話でございます。そういうよう考え方からいたしましても、又極く最近の生糸の価格が高値から短期間に急進な勢いを以て低値に向つて落ちて参つた、こういう情勢からも考えまして、これは十分な備えを速かにする必要があるというふうに考えまして、当時当局者といたしましては、財政方面にも篤とその事情並びに今後に対する十分な備えが絶対必要であるということを強調いたしまして、いろいろ具体的な方法としましては、まだ財政の事情その他の関係もございますので、はつきり或いは計数的にきめるという段階までに参つておりませんのでございますが、そういう事情並びに最もよい対策という意味で、この下値支えの資金七長質的に十分充実させるということは、確かにそれは必要であるというふうに財政方面関係者にも了解させて、いよいよというときには、その辺の手落ちがないように出前の工作と申しますか、折衝を続けて参つている次第でございます。
  148. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 その努力はわかりますが、そうすると、これを殖やす見込みはどうですか、見通しは……。
  149. 原田伝

    説明員(原田伝君) 財政全体の事情から見まして、御承知の一兆円の枠というようなものもあり、今数字的にこれをどういう程度、或いは方法として、或いは時期として、いつどうするかということにつきましては、蚕糸局といたしましては、それは早いほどいいという立場に立ちますが、財政方面といたしましては、本当に必要な切羽詰つた場合にどういう措置をとるかということについて慎重に研究をしたいと、こういうことも申しておりますので、これもあながち無視できない感じかいたしますので、いろいろ場合を想定いたしまして、例えば国会開会中であつたならばどういう措置をとるか、或いは国会が休会中或いは閉会後で再開までの期間が川当あるというような場合は、応急の措置としてどういう措置をするかというようなことにまで亘りまして、いろいろと相談し、折衝いたしておる次第でございます。
  150. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、先ほど関根委員の質問にお答えになつたように、買上資金の枠が三十二億で限定をされておるから、玉糸の買上は困難である。そういうお答えでしたが、今のデフレ下ではなかなか三十二億を殖やすということは早急には困難なことではないかと考える。そうすると、若し三十二億を殖やし得ないという場合には、玉糸は到底これは買上の対象にはならない。若し向う一年間三十二億が枠が拡げられない場合には玉糸を買上の対象にするという、それでもまだ望みはありますか。
  151. 原田伝

    説明員(原田伝君) 実は率直に申上げまして、先ほど私から申上げたこの玉糸の安定の問題につきましての一番大事なポイントは、実はその点にあると私も考えております。そこで一方において三十二億という限られた資金でこれを最高度に活用いたしまして、一般生糸の価格安定に万全の備えをしなければならない。他方玉糸につきましても措置を講じなければならない。これを両者別々の問題として考えることは、非常にこれは生糸全体の安定に障害を来たす虞れがあるので、財政方面に対しましては、私どもとして非常に何と申しますか、話をしにくい行き方でございますが、両方を同時に取上げて参りたい。どうしても玉糸の買入を万全の備えをしなければならない。そのためにはどうしても資金の増額という措置をしてほしい。が、ここに輸出の状況を見まして非常に重要な玉糸の安定の問題がある。これも是非やつてもらわなければ困る。従いまして、資金の増額という際には両者を合せて考えてもらわなければ困る、こういうように店をいたしておる次第でございます。
  152. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はむしろ運び方としては逆である。玉糸を買上の対象にするという法的の措置を講ずることによつて資金の枠を拡げるということが可能ではないか、そういう持つて行き方はどうですか。
  153. 原田伝

    説明員(原田伝君) お説のようた行き方も考えられないことはないと存じますが、とかく財政方面といたしましては、新らしい金が要らないからこうだというような話には一応乗るような形になりますが、そのために現在でさえ資金の不足が懸念されております問題が更に苦しい立場に追込まれる。そのために一体あれだけの資金で足りないと思つているのに、更に対象が殖えた、そうすると、なお大変な心配が増して来るというような観測と申しますか、影響等が発生するようなことがありましては、これは蚕糸業の安定、輸出の振興という全体の目標に対しては一時まずい影響を及ぼすのではないか、こういうことも忘れてはなりませんので、誠にむずかしい或いは下手な行き方かも存じませんが、やはりこれは賞金の問題と同時に解決しなければならない、かよう考えておる次第でございます。
  154. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今のお答えは私にわからないこともないんです。けれども、ここにおいでになるから、私は玉糸の肩をかついでいる意味ではありませんけれども、とにかく今年になつてからの輸出の状況をずつと追跡してみると、一般の生糸が下落をし、輸出が振わないにもかかわらず、今年の一月以降の玉糸の輸出の状況というものは累月増加の一途を辿つておる。そうして而も数量から見ても、農林省の統計等に上れば約一カ月平均して七千俵のうちの五百俵ですか、約一側程度のものを玉糸で占めているわけですね。ですからそういう点から考えても、この玉糸を、つまり蚕糸業の振興と輸出の将来の拡大という見地からすれば、玉糸だけを片手落にして買上の対象から除外をし、或いは輸出について殆んどその全生産の数丘の八割以上、八、九割程度が輸出用に振向けられておるという玉糸のそういつた輸出上に占める地位等から考えれば、当然やはり不公平というか、今までのような取扱いで甘んじておるということは、どう考えても私は不公平、片手落の非難を免れないと思います。ですから、この機会に折角明治以来一つの日本の手工芸というか、現在ではまあ中小企業の分野において輸出に一役を買つておる玉糸に関しても、やはり陽の目を見て、将来への一つの希果か持てるよう措置は構じておく必要があろうと思います。そういう見地からこれは申上げるわけです。最後にもう一つ伺いたいことは、今年宣伝関係の費用が予算で殖えております。とかく従来の向うのシルクの状況等を聞いてみると、どうも輸出が振わなかつた一つの大きな理由としては、海外における宣伝が足りなかつたということを異口同音に言つております。その宣伝なり、需要地の状況を時々刻々キヤツチするための情報活動というものは現況どういう径路で、どういう時間的なつまり敏速さで行われておるか、それを一つ聞かしてもらいたいと思います。
  155. 大戸元長

    説明員(大戸元長君) 現在までのところは、蚕糸局といたしましては、現地に蚕糸局の手足を持つていないわけでございます。従いまして、向うのそういう情報をつかみます公のルートといたしましては在外公館でございます。然るに在外公館からの報道は非常にいろいろほかのものも扱つております関係上、遅れる嫌いがございまして、これだけでは非常に迅速を尊びます生糸の上において不十分でございます。そのほかに蚕糸局のほうで委託しまして、現地におります人にお願いをしていろいろ資料を送つてもらつてるのです。これは極く乏しい予算ではございますが、予算上頂いておりますので、それを利用しておりますことと、それから各商社のほうで支店を持つておられまするその支店からそういう情報を、これまあ無償でございますけれども、御協力を願つて情報を集めておる、こういうような様子でございます。本年から御承知のように五千万円の宣伝の予算を頂きましたので、そのうちの一部を以ちまして、中央蚕糸協会に委託しまして、ニュ—ヨ—クに事務所を置くことになつておりますので、これができますれば、非常に敏速に、且つ何と申しますか、こちらと非常に腹を合せて向うの調査もできますし、又こちらから向うへ知らせねばならんことも迅速に伝えられる。この点では、本年これができますれば非常に改善される、こういうふうに期待を持つておる次第でございます。
  156. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 中央蚕糸協会の駐在というのはいつから、何人、どこに……。
  157. 大戸元長

    説明員(大戸元長君) これは予算上は七月から置けることになつております。すでに中央蚕糸協会との委託条項の話合も終えまして、いつでもできることになつておりまして、人間はこちらから参りますのが二名でございます。そのほかに、現地で、これはほんのタイピスト程度のものでありますが、現地雇一名、こういうふうな編成でございまして、すでに中央蚕糸協会から、これに参ります一名につきましては人選が決定しておりまして、それについて参りますもう一名については目下人選中でございますが、これも遠からずきまると思います。そういたしますと、直ちに渡航の手続きをいたしますが、これがアメリカの旅券発行、査証等が、大体急ぎましても一ヵ月近くかかることがございますので、八月に向うに参つて事務所を開く、かように大体予定をいたしております。
  158. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 局所はどこですか。
  159. 大戸元長

    説明員(大戸元長君) 現在予算でとつておりますのはニユーヨークでございまして、これは将来は欧洲にも、やや規模が小さくても一つ置く必要がある。戦後におきましては、従来戦前は日本の生糸は殆んど全部がアメリカへ輸出されておつたのですが、御承知のようにフランス、イギリス、その他に出ますので、欧洲もその必要があろうと思いまして、これは又来年度予算のほうで一つ努力いたして参りたいと思つております。
  160. 関根久藏

    ○関根久藏君 一つ私玉糸の買上問題で、今、飯島先生の御意見ですが、私も全然それに同感なんです。どうもとかく三十億という金に制約されて問題を考えて、新らしいことを持つて行けば、大蔵省は金を出さんということですが、これは逆だろうと思います。本当に……。それは先ほどのまさに十九万円の買上をしようというあの時期も、あれで足りなければあとは金融措置によつて何とか方法を立てる、こう大蔵当局からも言明されたようですが、そうすれば、三十億の中に仮に玉糸を入れても、全体が下つて来れば、そういう措置考えられて来るのですから、それらの点は我々考を是正して、何とか玉糸を買上げることを先にきめべきであろうと思います。そういうことが第二義的には三十億を殖やすことにもなり、一挙両得だろうと思う。どうもとかく大蔵省にばかり文句を言われておる。金だというと何でも出さん。何でもかでも出さんならば大蔵省も要らん。如何にデフレ予算でも、その範囲内において問題の考えようもあり、又方法も立つ、自分が死んでしまうようなことでも、まだ金も出さんというようなそういう大蔵省はない。一つそういう点を考えて、何とか玉糸を買上対象として買上げる措置ができるように、その他の難点を何とか解決をして進むべきである、かように私は考えるのですが、是非さような向きで一つそのほうを先にやつたらいいと思う。それは説明は、今の三十億の問題にしても、二十億で足らなければ、あと措置はこうしよう、こうするというのですから心配はないと思う。又それくらいさせなければ、それは駄目です。一つよう意味で玉糸も是非買上の対象になるようりに極力お考えを願いたい。
  161. 森八三一

    委員長(森八三一君) 私からも一つお伺いしたいのでありますが、これはもう蚕糸局長には釈迦に説法ですが、繭糸価格安定法という法律がきまる、成立する過程は、最初はこれは糸価安定法ということで蚕糸局のほうで研究せられて草案ができた。それに国際的な綿業大会等におきましても、価格の安定がなければ取引の上に非常な支障がある、天然絹糸というものに対しての需要が減退したとか、嗜好が減つたというのではなくて、価格が非常に乱調子であることが取引を阻害するということであるので、それを是正されたいということが国際的にも希望があつたので、それを解決したいという狙いであつた。たまたま生産者の立場である養蚕農家も、それに関連して何らかの対策をとるべきだということで繭がくつついて繭糸価格安定法というように変つたということは、もう御承知の通りなんです。そこで生産全量の九〇%まで輸出されておるという玉糸を、この繭糸価格安定法の対象から除いておるということは、この法律制定の趣旨に反すると思う。端的に申しますれば、これは法律で我々がきめて置けば問題はなかつたかも知れませんが、政令省令に譲つたということのために、こういう結果が起きておる。それを考えると、今申上げましたような趣旨から言つて、玉糸を指定しておらんということは、法律を、国会の意思を忠実に守つておらんのだ、国際的な要請に応えておらんというようなふうに私は考えられるのですが、そうはならんのですか。
  162. 原田伝

    説明員(原田伝君) 只今御指摘の点につきましては、私どもといたしましても、幾たびか繭糸価格安定法を読み返し、読み返し、且つ又関係の政令、省令等を見直して、一体精神としてどうであるかということにつきましても、いろいろ研究いたしておるのであります。御指摘のありましたように、最初から法律、政令、省令等に書き込んであれば、これは資金の問題にもかかわりませず、ともかくも対象になつておるということにか行き得たわけでございますが、現在の規定をそのまま眺めますと、法律では生糸という表現をしておるし、又その生糸で買人の対象になるものは何であるかということにつきまして、輸出の検査を受けるものということと、それから省令で具体的な範囲を書くという形になつておりますので、法の建前としましては、決してこの玉糸が法律改正でもしなければ買えないようになつておるとは考えておらない次第でございます。又政令、省令等につきましては、その法の運用上必要な場合にはその理由を具して改正する途もある、かよう考えで、この玉糸の買入の問題は糸価安定法の埒外にあるといような気持は毛頭打つておらない次第であります。ところで実態といたしましては、先ほど関根先生からも激励を頂き、又委員長からもこの法の精神に向つて進めというきつい激励を頂いておるわけでございますが、やはりこの法律の運用といたしましては、生糸の価格というものを全体として安定させ、そうして輸出の振興並びに蚕糸業の安定というものに持つて行かなければならん、こういう行き方でございますので、どうしてもこれは全体としてうまく行くように、或いは資金の問題、或いは買入の具体的な方法等をまとめなければならん、こういう情勢にございますので、目下そういう点の解決を図るためにいろいろと折衝を続け、又研究を加えておる、こういう状況でございます。
  163. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今私の申上げましたのは、繭糸価格安定法という法律が成立をみたというその精神は、振出貿易を振興する、その輸出貿易を振興するために、国際的な絹業大会等においても価格の安定がなければならんという要請があつたから、それに応えるために国内法としてこういう法律を作つたのだ、といたしますれば、その生産の九〇%、時によつてはそれ以上、殆んど全量が輸出に振向けられておるというこの糸については、当然価格安定の対象におかれなければならんのである、それがおかれておらんということは、端的に言えば指定しなかつたところに過ちがおかされておるのだ、こう理解していいのではないか。とこるがそのことに議論があれば、これはもう少し議論しなければなりませんが、私が申上げるように理解していいということであれば、残る問題は、ただ買上の資金というものが、三十億ということに制約があつたんだから、そこで気持の上では、法律の精神から行けばまさにそうであるが、別の制約のためにこういう結果が生れておるということであれば、それを解決すればいいんだ、資金の問題を解決すればいいのであつて、その他の問題は解消している、こう理解されなければならんか、そういうように蚕糸局当局はお考えになつておるのであるかどうか、その辺はどうですか。
  164. 原田伝

    説明員(原田伝君) 或いは私先ほど申上げましたことが表現が下手であつたので、却つていろいろ誤解と申しまと恐縮でございますが、実態をはつきり申上げ得なかつたかも知れませんが、結局こういう経済操作を行います法令でございますので、やはり法令の規定の上でも、そういう措置が行えるようにしなければならないのですが、同町に実力と申しまするか、その仕事が実行できる裏付というものがなければ実際の効果を挙げ得ない。或いは無理にそういうところにしわ寄せをすれば全体では悪い影響が出て参る、こういう関係になつておりますので、法律を改正するというような必要はないが、実態を整えると同時に、政令なり、省令をこれにマツチせしめるという行き方によつて解決し得る問題である、かように解釈いたしておる次第でございます。
  165. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、今の資金の問題さえ解決すれば、当然これは指定品目をすべきものである、資金の裏付があれば当然そういう地位に置くべきものである、こういうふうに理解していいのであるかどうか、その辺は如何でしようか。
  166. 原田伝

    説明員(原田伝君) 先ほど私飯島委員の御発言にすぐ続きまして、玉系の買入の問題のキイ・ポイントと申しまするか、最大のポイントは資金の問題であるということを申上げましたのでございますが、その前に、冒頭に申上げましたように、資金の問題ということだけであるかと申しますと、そのほかにやはり具体的にまとめて解決しなければならん問題としましては、そのほかにもございまして、最面長低価格の決定方法等につきましても、いろいろむつかしい問題がありますので、眼目は先ず資金の用意ができなければ、これは非常にむつかしいということでございまするが、そのほかにもやはり附随的に解決しなければならないという問題がある次第でございます。
  167. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますと、更にお伺いしなければならんことになるが、資金の問題が解決されても、そのほかに解決しなければならん。今の最高最低の枠をきめるという問題は、これは技術的な問題で、必ずしも私は、計算上困難はありましようけれども、そうむつかしい問題ではなくて、殊に法律の建前が輸出振興ということを狙つておるのですから、そういう御点から考えて行けば、おのずからそこに落着く目安というものは出て来るはずでございまするし、現に一般糸については最高最低がきまつておるのですから、そういうものの横の並び等も考えて来れば、おのずから帰納するところは、むつかしいとは言いながら、策定するのに非常に不可能であるというほど困難な問題ではないと理解される。そのほかにどういうことがありまするのか、ちよつと了解に苦しむのですが、大体率直に言つて資金の問題だけであるということではございませんですか。それはそういう技術的な附随事項はありましよう、ありましようが、それは資金の問題ほど困難な問題ではなくて、これは農林事務当局だけで考えるならば解釈される問題である、こう理解するのですが、そうじやございませんですか。
  168. 原田伝

    説明員(原田伝君) どうもこだわりまして誠に申訳ございません。俗に言う最大の難関は資金の問題である。私どもやはりこの問題を解決しますに当りましては、資金の問題は片付いた、あとの問題で又引つかかつたということになりましては申訳ないと、かよう考えましたので、この問題を解決するためにいろいろ研究しなければならんという項目としては、申上げたように資金の問題のほかに最高価格、最低価格の決定方法等があるということをくどくど申上げたのでございまして、少し申上げた方がくど過ぎたかも存じませんが、勿論問題の重要性という点では、最も重要な問題はこの資金の問題である、その他の問題は、これはまあ役人としていろいろ心配しておる問題でございますので、技術的或いは事務的に十分に研究をすれば何とか解決すべきものである、かよう考えておる次第でございます。
  169. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、今の飯島委員からもお話がありましたように、この法律制定当時に三十億という資金では到底困難ではないか、法律の狙う所期の目的を達成するのには困難ではないかという論議が当時の農林委員会では活溌に行われて、必要な場合には資金を増額すべしというような意見まで出たのでありますが、その当時の農林当局の特別会計の関係においても、大蔵当局の御説明は三十億ありますれば、一応最高、最低の価格がこういうことにきまつて進む限りにおいては、出廻りの数量の二ヵ月分超過の措置ができる見込みでありまするので、おおむね目的は達成せられるでありましよう。殊に当時の根本農林大臣は、私の質問にもそのことを非常に強く、資金が足らんのではないかという質問に対して、これでやつて行けるんだというお話があつたのです。そのことを今ここで言葉尻をつかまえるわけではございませんか、そのことを今ここで取上げて参りますると、幸いにしてその後二ヵ年間買入という実際行動が発効しなかつたので、金利が積つてここに二億円というものが出てしまつたのですから、その二億というものは、あの法律制定当時の政府当局説明から言えば余分なものだ、今の実態から言えば、これは余分じやありませんよ、ありませんが、形式論としては余分なものだと、こういうことが言えるので、そこで玉糸というものは法律の狙つている趣旨から言えば、当然これは指定品目にすべきだということが確認されれば、こぶ付きになつた、少くとも一億だけはそれを対象にして玉糸を指定する、そういう措置が講ぜられていいのじやないか、そのことは飯島先生や関根さんからおつしやつたような、先ず指定する、そうしてその後に実際行動において資金が足らん場合には、それは又おのずから解決されて行く途があるんだという、そのことに私は通じて行くのじやないか、そのことを躊躇なすつているのはおかしいじやないか、三十億でいいんだと、これは速記を見ればはつきり出ておるんだ、だからこれはちよつとその言い方が言葉尻をつかまえるような言い方ではあるけれども、それでぐつと押して行けば二億は余分なものだ、その一億でやれるんだから何も大蔵省は今金を出す必要はない、それだけを対象にして偏頗なえこひいきになつている、玉糸を指定するのだということで載せて行けば、どうせ水系のほうも三十億で足りないし、これはこれとして別行動として解決すればいいので、余り行過ぎた心配をしておると、いつまでたつても解決しないというように思うのですが、そこまで踏切つてこの問題を当委員会としても買上の対象にすべしということを、総意を以て結論を出して中入までしておることは何遍やつても、繰返し繰返しやつてつたのでは、これは変なことでありますし、もういい加減に踏切つて頂いていいのじやないかと、こう考えるのですが、関係省もあることですから、ここでイエスというお言葉を聞くわけには行かんかも知れませんけれども、私は繭糸価格安定法制定のいきさつというものから帰納的にそう考える。これはどうなんですか、そこまで踏切つて行くということはむずかしいですか。二億あるから一般糸のほうはそれでいいのだという情勢じやないので、そいつを棚に一遍載せてしまうという……。(関根久蔵君「勇気を出しなさい」と述ぶ)
  170. 原田伝

    説明員(原田伝君) 考え方といたしまして、只今委員長から御示唆もありましたよう考え方もこれは確かにあり行ることだと、かよう考えておりまして、先ほどから拝聴をいたしておる次第でございます。でありますが、要するにこの繭糸価格安定法の運用ということによりまして繭糸価格の安定を図る、それは玉糸であるとか、或いは本糸であるとかというようなふうに個々に取上げて考えるのではなくて、上体としてこれを安定させなければならない、そういうことになりますと、こういう行き方をやつた場合に、その目的通りまつすぐに行けるかどうかということは、どうしても私ども念頭から離すわけに参らない、かよう立場にございますので、いろいろ御示唆を頂きましたよう考え方につきましても、勿論供血に研究はいたしたいと、かよう考えておりますが、今ここで思い切れ、踏切れというお話に対しましては、やはり重要な問題でございますので、どうしたらこれを解決できるかという研究を、やはり今少し時間をお与えを頂きたい、かよう考えておる次応でございます。で、二億の問題でございますが、確かに繭糸価格安定法が成立しましたときに、やはりこのときも相当一体金は幾らあればいいのだ、これだけあればどういうふうになつても大丈夫なのかということが中心眼目になつたかと私も拝察いたしておるのでございますが、いろいろ当時の資金のきまり方につきましては、私ども事務官僚が大体あれはこうきまつたのだそうふうに割切れない面もあるように拝察できる節もございまして、その三十億のきまり方ということについては、相当当時としても複雑な経路があつたのみならず、当時の繭糸の事情、今日との間に、やはり数量の点、価格の点等においていろいろ変化が起きておる。そのために当時としては一応これだけ打つておれば何とかなるという考え方が、情勢の変化に応じまして、先ほど申上げておりますような資金不足の縣念が各方面に起きておる、こういうよう事態に立至つておるのでございまして、そういう点から考えますれば、確かに元金に対して二億殖えたように見えるけれども、実は足りない、足りなさか二億分だけ軽くなつた、こういうよう考え方も、これは所詮無視できない考え方だ、かよう考えておるわけでございます。従いまして、どうもお前こだわるというのでお叱りを項くかも知れませんが、要するにこの法律の運用によりまして、本糸と行わず、玉糸と言わず、全体の繭糸価格を安定させる、そのためにどういうふうに持つてつたら一番いいかということを常に私どもとしては考慮の中に十分置かなければならないという考え方でございますので、御指摘がございました点につきましても、決してこれをそうは参らんというふうに一概にきめてかかつておるわけではございませんが、問題がそういう繭糸価格全体の安定に如何に響くかという重要な問題と不可分でございますので、私どもとしましては、懸命にこの問題の解決に努力をいたし、又慎重に研究をいたして参りますことを申上げまして御了承頂きたい、かよう考えます。
  171. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は新らしい局長の誠意はよくわかりますが、新局長にしては少し慎重の度を越しておるように思う。これは曾つて我々が農林委員会において、他の例を挙げては若干差支えがあるかも存じませんが、某畜産局長か新任をされたそのチヤンスをつかまえ、日本全国に向つて無畜産農家解消運動という旗を掲げて徹底的にやれということで、実は新畜産局長も決心をして立上つた、それが有畜農家創設維持という問題であり、今日の酪農振興にまで逐次ずつと間隙を置かずして発展して参つたので、私は蚕糸行政に関する限りは、我々は寡聞にして僅か数年しか存じませんが、我々が最初農林委員会に席を連ねた当時の最上局長以来、非常に極めてまじめな方々で歴代の蚕糸局長が努力を傾けられたにもかかわらず、その結果はいずれも極めて我々が御同情申上げて、どうも傍観するに忍びないような状況で歴代の局長か常に蚕糸行政から離れて行く、そういうことが今日の局長にも若干勇気をなからしめているのではないかというふうに我々は考える。併しそこは、あえて畜産局の例を言うわけではありませんけれども繭糸価格安定法を本当にしよつてつて、これを発動する時期か漸く今、局長の前に突き付けられておるわけです。私はそれこそ乾坤一擲、蚕糸局をしよつてつてやるべき時期だと思います。この時期に三十億くらいの金で、如何に一兆予算といつて枠を切られたとはいえども、三十億くらいの予算で突当つて頭をかかえておるようでは、これからの、蚕糸行政というものは、我々をして言わしむならば、誠に頼りないというか、心細い限りなんです。私はやつばり輸出振興をおいて日本の経済自立などというものは到底考えられないのですから、而も農業生産のうちで、誰が何と言つたつて歴史的にも輸出の大宗を占めて参つたのは生糸であるということは、これは古今東西を問わず、極めてれつきとした事実なんです。それから今繭価の下落に、或いはこういつた重大なる災害等のために非常にデフレ政策下で悩みを続けておるときなんですから、ここいらで勇気を出さなければ出すところはないと思うのです。下手に出ししぶつていれば、出すときを失つてようということも、実は我々をして言わしむれば考え得ることなんてす。これはもう右顧、左眄する必要はない。参議院の農林委員会というのは、徒らに二日の審議或いは今までの繭糸価安定法をめぐつての審議を続けているわけではありませんので、少くとも農林省の態度には、全国の養蚕家が、一体この問題をめぐつてどういうふうに最後の決定がなされるか、委員会等の動きがどういうふうな実を結ぶかということは、非常に刮目して期待しておるわけでありますから、私はやつぱりこの機会にさつきの、資金だけではないというお話ですから、これは政令とか、何とか小手先でなしに、要すれば私は法律改正をやつてもいいと思うのです。不備のところも、やつぱり繭糸価格安定法全般を検討すれば、今の情勢に合わないところが若干でていると思う、ですからそこいらを検討されて、必要があるなら法改正をやられて、その場合に玉糸でも、これは当然この中に実は入れなかつたのが片手落なんですから、当然やつぱり法律改正でもやる場合にはこの中に明記しておく、そういうことによつて資金問題等の解決に対しても一歩前進の緒をつけられるということは、我々はこれは非常にこの機会には必要にして、而もなかなか逃し得ないチヤンスではないかと思う、こういう点については局長にばつかり言つてもちよつと酷なように聞こえますから、払角補佐の任にある課長、蚕糸局を挙げて折角新局長を迎えられたのですから、ただ慎重にばかり補佐をして決断の勇を失わしむるようなことのないううに一つつて欲しい、蚕糸の盛衰は、これの及ぼすところはひとり日本の農業と言わず、日本の経済全般に及ぼす影響の重大性等を考えても、我々としては農林委員でありますけれども、これは全体の問題として非常に大きな関心と、そして期待をかけているわけです。ここいらで一つ、さつき委員長からも随分激励がありましたが、これは恐らく当委員会を挙げての要望なんです。それらを一つ十分考えていて、そうしてこの際成るべく早く決断をして頂くことを強く要望いたします。
  172. 松浦定義

    ○松浦定義君 いろいろ各委員から法律に基いての御議論があつたのですが、私は全然同感なんです。そこで特に私はなぜ、この繭糸価格安定法によれば、この玉繭だけが別であるかということが不思議でならないのは、丁度農産物価格安定法というのがこれに前後してできまして、而も農産物価格安定法というのは範囲が広い、併しこれは現在の食糧事情からというような限度を引きましたので、相当品目も限定されたわけでありますし、従つて品目が限定されても範囲が広いから、澱粉あり、「なたね」あり、一応我々としては相当なものまで要求したのですが、容れられなかつた、これは止むを得んとしましても、そういうようなものまで非常に品目については相当限定をされ、更にその結果に基いてもなかなか実効が挙らないというのが世評なんですが、少くともこの繭糸価格安定法なるものは今の農産物価格安定法と違いまして、一本なんですから、その中から出るものが全然別になるなどは私は矛盾しておると思うのです。特に養蚕農家自体を考えてみましても、これはやはり扱いやすいもの、或いは又そういう法律の根拠があるにかかわらず、載せるのに非常に当局が苦労しておるけれども、生産したくはないのですが、当然できて来るものですから、できて来たものをどうすることもできないというので安くなる。そのことによつて折角できたものを最高にこれを処理して、而も輸出の振興と外貨の獲得にもしようというので、それぞれ業者の方々が努力して、その結果先ほどお話ように、蚕糸のほうと何ら変りのないよう原則をきめておる、今日その法律の下において今日の段階まで進んで来たならば、今日の段階においては、先ほど委員長からお話がありましたように、これはやはり法律に不備の点があるならば、それを改正してもいいのじやないか、併し法律を変えなくてもできとるのだという局長の御意見であるならば、私はどうもそこのところに非常に矛盾があると思う。結果的には困るのは養蚕農家であるというようなことから行きますと、この安定法なるものの趣意から言つて、飯高委員の言われたように、やはり我々はどうしても、問題は何といつても品目に、今日除外されておるものならば、品目にこれは入れるべきものである。これは政治的にも当然そうあらねはならんと思いますので、これは当然にそちらのほうでは何とかできると言いながらも、結果的にそのことが非常に面倒であるならば、品目の追加をして、そうしてそれによつて予算上の追加ならば、先ほど委員長の言われたような点についても当分は考慮して行く、併しそれは実情に即して措置すべきものであるということであるならば、少くとも養蚕農家の最終的の希望である、或いはその他関係業者の方々の現在の努力を十分期待できるような結果になるのじやないか、従つてそれが日本の蚕糸業の最も私は終局の目的として、今日の段階においては当然行われなければならんものだと、まあこういうふうに思うので、ほかの農産物価格の安定法とは違うのですから、そこのところに予算上の問題とか、いろいろありますけれども、先ほどからの局長の御熱意から以てすれば、如何に農林大臣だろうとも、大蔵大臣たろうとも、それに対して我々委員会がむしろ言うことについての疑義があつても、局長の意見には私はまあ了承されるのじやないかと思うので、相当ども期待を持つているのですから、この際是非一つ大いに踏み切つてもらいたいと、こういうふうに私は考えているわけです。
  173. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題になつております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、すでに政府申入れてありますが、玉糸価格安定に関する措置につきましては、今日の審議を通じて十分蚕糸局、長にも御了解を頂いたと思いますが、当委員会申入れてある趣旨を十分御理解願い、更に繭糸価格安定法制定の遡行をも御考慮を願いまして、早急にこのことが具現いたしますようにお取運びを項きたい希望を強く申上げておく次第であります。  それでは以上を以ちまして付議すべき事項は一応終りました。午前中の委員会におきまして、当面する病虫害対策の問題につきまして、明後日、三十日午前十一時から政府の最終的取扱方針報告を求めるということにいたしておりますので、明日は委員会を開きません。明後三十日十一時から委員会を開くことにいたします。  これを以て散会いたします。    午後五時四十一分散会