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1954-07-27 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十七日(火曜日)    午前十時四十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 七月九日委員東隆辞任につき、その 補欠として、片岡文重君を議長におい て指名した。 七月三十四日委員片岡文重辞任につ き、その補欠として松永義雄君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農林経済   局統計調査部長  野田哲五郎君    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       大塚 常治君    農林省農業改良    局総務課長   庄野五一郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○委員長報告農林政策に関する調査の件  (本年発生水害による農林関係被害  状況及びその対策に関する件)  (稲作等作況及びその対策に関す  る件)  (稲作病害虫防除徹底に関する  件)  (昭和二十八年産米価追加払に関す  る件)  (本年産表題検分に関する件)  (食糧対策協議会審議経過に関す  る件) ○昭和二十九年四月及び五月における  凍霜害等寺披露農家に対する資金  の融通に関する特別措置法の一部を  改正する法律案衆議院提出) ○議員派遣要求の件   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今から委員会を開きます。  議事に移りまする前に御報告を申上げます。過日、鈴木委員東隆委員辞任されまして、これに代つて松浦定義さん、松永義雄議員農林委員に就任せられましたので、御紹介をかねて御報告をいたします。  続いて会議に移りまするが、その前にお諮りいたしたいことがあります。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。  それでは続いて会議を開きます。  先ず最初に、農林政策に関する調査として、本年発生水害による農林関係被害及びその対策の件を議題といたします。今年はすでに最近まで数回に亘つて西日本各地水害が起つて相当な被害を及ぼしたように伝えられておりまするので、今回はこれら被害状況及びこれが対策等につきまして農林当局から説明を求め、続いてこの問題の取扱い方に関しまして御協議を煩わしたいと存じます。先ず、農地局災害復旧課長大塚君の説明を願います。
  4. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 本年度におきまして発生いたしました水害は、例年融雪期までを対象といたします五月までの水害と、六月、七月に発生いたしました梅雨前線に伴う連続降雨による水害とに分けて御説明いたしたいと思います。  その結論といたしまして、お手許に配付いたしました資料のごとく、現在までの農林省関係被害総額は百二十七億余円に達しております。これは農地関係が九十四億、林野関係が三十一億、水産関係が約三億でございます。このうち冬季の風浪害及び融雪被害によるものか二十二億、六月の梅雨前線によるものが七十三億、同じく七月初旬の降雨によるものが三十三億、こういうことになつております。例年発生いたします年間の被害総額は、今年の物価水準に換算いたしますと約四百億程度でございますので、現在までの発生被害額例年のまだ四分の二という程度でございます。併しながら、今年に入りまして非常に困りましたことは、これに対する繋ぎ資金がなかなか出ないことでございます。それは去年まではこの被害額を元といたしまして、大蔵省で自然に、自然と申しますか、その被害額のみを対象といたしまして繋ぎ資金激甚県に交付しておつたのでございますが、今年に入りましてからは、特にそのうち応急工事を要するものというものを特に調査対象といたしまして、現在でも農林関係については繋ぎ資金が出ていないように聞いております。私どものほうの災害は非常に件数が多い関係上、なかなかこの応急工事だけでも調査するのが困難でありまして、その資料提出が遅れておる関係もございましようが、私どもといたしましては、前年通り被害額が、或いはこのうち特に緊急を要するものというのが従来の例から推定されますので、その数字対象にして繋ぎ資金を出すように交渉いたしておりますが、まだ出るような段階に至つておりませんのを残念に思つておる次第でございます。  極めて簡単でございますが、現在までの水害被害状況について御説明申上げました。
  5. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  6. 溝口三郎

    溝口三郎君 農林水産関係の本年度の現在までの災害概況をお伺いいたしましたが、只今の御説明では、七月までの災害が百二十七億ということでございます。それについて、まだ繋ぎ資金見通しがついていない。繋ぎ資金の出し方が従来と変つたので、現在まだ話がついていないというのですが、早急にこれは大蔵省のほうと話がつくようなお見込みはないのでございますか、その点もう一遍お伺いいたしたいと思います。
  7. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 去年までは、御承知のように、私のほうから提出いたしました被害報告によりまして、大蔵省繋ぎ資金を出しておつたのでありますが、そういたしますとやや総花的になる。なお、その実例は九州の或る町村においてその繋ぎ資金を預金にしておつたという事実がある。こういうようなことを大蔵省は今年言い出しまして、特に繋ぎを必要とするというならば、具体的に一地区々々々、こういう理由でこういう被害を受けたから繋ぎを必要とするのだという具体事例を持つて来いというようなことでございました。私のほうといたしましては、極めて顕著な例は一、二用意はございますが、そのものだけを以て繋ぎ対象といたしますと、私のほうの調査漏れ部分対象となりませんので、それは参考として、欄外にこういう応急工事はあるがと言いまして、なお、従前通り方法繋ぎ資金を出してくれという折衝を続けておりますが、現在までではまだ出ておらない状態でございます。なお、これがいつ頃出るかにつきましても、残念ながらまだ見通しがついておりません。
  8. 溝口三郎

    溝口三郎君 五、六、七月の災害を分けて説明伺つたのでございますが、今後これに対して指令が出るのは、査定をやつて、金額もきまつて指令が出るのは五月災害、六月災害、七月災害に分けて出ることになるのか、又そういうことになれば、いつ時分査定終つて決定になつて補助金が県のほうに行くか、その見通しをお伺いいたしたいと思います。
  9. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 現在、私どもは五月までの災害は七月中に、六月上旬までの災害は八月十日までに、以降七月上旬までの災害は八月末日までに、こういうような目標を立てまして関係府県並びに農地事務局に伝えたのでございます。従いまして、八月末には査定総額が判明いたすことと存じております。併しながら、今年度大蔵省方針といたしましては、水害によつて補正予算は組まない。尤もこれから非常に大きな水害が出れば別でございましようが、予備金で賄うのだ、こういうような方針でございますので、今年は或る程度水害全貌、又冷害とも関連があるかとも思いますが、そうした特別な支出の全貌がやや判明するまでは予備金解除をなかなかしないのではないか、こういう予想を持つております。従いまして、査定は終りましても、直ちに予備金解除になつて府県復旧額の幾らの予算がつくかということをお伝えするのは非常に遅くなつてからではないか、こういうような見通しでおります。
  10. 溝口三郎

    溝口三郎君 今の説明を伺いますと、予備金の中から出してあるのだが、非常に遅れるのじやないか、繋ぎ資金のほうも目安がついていない、というと、五月の災害や何かがいつ時分になつて地元に金が行くかということになると、非常に現在の説明では見込みがないようでございますが、これから以後出て来るような災害があると、これはもうこのほかにまだ建設省災害が百数十億ありますから、このうち本年度分を、およそ予備金の中でもできるかも知れないが、この次の災害があれば、これは補正予算でやらなければならんという情勢になるかと思うのでありますが、予備金はこの程度のものならば出るのだと、そして今度間接補助変つたのでございますが、直接補助でやつた場合には、これは一地区ごと農林大臣指令が出るという手続上になるわけでございますか、間接補助変つて手続簡素化をやり、県知事のほうの責任で災害復旧をやるというような方針から言えば、全部の九十三億に対して、査定が八月末に済んで、そしてそれで各府県に別当がきまるのを待たなくとも、一地区ごと農林省指令を出し得なかつたかどうか、補助金のこの範囲で何回に分けて分割して差当り第一回がこれだけというような要求があるごとに出して行くような方法交渉をされる余地があるかどうか。そうでないと、農民のほうでは、いつになつたら金が来るかというのは、今の話ではさつぱり見当がつかない。予備金の中から、九十三億の中で県知事が総括して分割払いというような方法をとる余地があるかどうか、その点をもう一遍お伺いいたしておきたいと思います。
  11. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 私のほうといたしましては、先ほど申しましたように、発生月によりまして、査定の終る日にちを細かく区切つてございまして、査定が終りましたならば、直ちに予算要求をいたす次第でございます。従いまして、御趣旨のように、全部の災害査定を待たなくとも、終つたものから予算措置を請じて行きたいと考えてはおりますが、先ほど申上げましたように、大体大蔵省方面では補正予算を組まないから、全災害見通しがはつきりするまではなかなか確定したものといえども予備金解除をしないのではないか、これは単に私ども推定ではございますが、そう考えております。併しながら、若し出してくれれば、御承知のように極めて府県は便宜を得ますので、判明次第逐次予算要求はいたすつもりでございます。
  12. 溝口三郎

    溝口三郎君 もう一遍お伺いいたしたいのですか、今、大蔵省のことは通じなかつたのですが、本年度の全災害でも出ないと指令を出すのは困るというようなことの意向のように伺つたのですが、この百二十七億の災害に対して、これは査定をすれば七割になるか、八割になるか、これははつきりして来る。そしてそれに対しては補助率法律できまつているわけだから、ただこれを年度を区分するのを、三・五・二に区分するのを、今のお話だと、これからたくさん災害が出て来ると、その年度区分も変えてしまうのだというようなふうにもとれるのですか、そういうような交渉を今していられるのですが、それをお伺いいたしたいと思います。
  13. 大塚常治

    説明員大塚常治君) この百二十七億の被害に対しまして、従来の例から申しますと、大体査定額は九十億程度になります。その初年度に要する経費は三割、三掛ける九で二十七億、まあ理想的な姿で行くと二十七億程度要求でこの水害は処理できるものと考えております。建設省災害もやはり大体同様な、推定から言うと六、七十億の金でいいのじやないかと思いますが、それだけで済みますれば、現在あります約百億の予備金で処理できるということにはなりますが、先ほども申しましたように、成るべく一兆円の予算の総枠を崩さないという方針から、今後出るであろう災害もこの予備金範囲内で収めようとするような傾向が大蔵省に見えますので、なかなか私ども要求いたします初年度三割という線はくれないのではないかと推定されるのであります。そういうような見通しをも含めて或る程度災害全貌がはつきりするまで、なかなか予備金解除しないのではないかというような推定が現在の段階では下されるのです。こういうようなことになつております。
  14. 溝口三郎

    溝口三郎君 本年度災害見通しがつくということになりまして、従前の例から言つても、まだ九月二十日過ぎての水害もあるので、そういうものを待つているというとこれは非常に困る。大蔵省はそういう考えを持つているかも知れませんが、農林省はできれば査定が済んで、そして農林省としての災害補助の額がきまつて来れば既定の方針でどんどん進めるように大蔵省交渉をして頂きたい。大蔵省に対してどういう考え方でいるかは別途に伺いたいとは思つておりますが、既定方針通り進んで行くことをお順いしたいと思います。それからもう一点お伺いしたいのですが、昨年の六月の大災害におきまして補助金特例法律が出ているのでありますが、本年もその地域にダブつて出ている地域がおるのですが、本年の災害につきましては、隣り村では昨年の特例で非常に補助率が多いのだが、今度の災害については普通の補助率というような差等がつくようなことができるのでございましようか、その取扱い方をお伺いしたいと思います。
  15. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 私のほうとしましては、大蔵省がどう考えましようとも、査定が終りましたものにつきましては、逐次最も早い機会に初年度三割の予算要求はいたすつもりであります。それから後段の二十八年の特例災害関連いたしました事項でございますが、現在までのところ、勿論細部に旦つてではございませんが、大局的にみまして比較的去年の災害と重複していないのでございます。それでこれは災害を直接受けたところのかたには極めて気の毒な次第ではございまするけれども、全体からみますと、現在までのところではまだそう大きな災害ではございませんので、事務的には、これを去年と同様な効率には扱わない方針で現在ではおります。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 繋ぎ資金がまだ出ていないということですが、併し実際には被害を受けたところではそれぞれ応急工事をやつていると思うのですが、被害の性質によつてはそういうところまでやつていないところもありましようが、やつているところもあると思います。そういうところの資金は一体どうしているのですか、もう全く勝手にやらしているのですか。
  17. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 現在までの発生が七月の初旬でございまして、又大部分その地域近畿以西でございます関係上、これを応急復旧いたしまして、再植付けいたしますと本年の稲作に間に合います。従いまして、今までに発生いたしました災害は殆んど全部自力応急工事をやつております。併しながら、その資金は今も申上げました通り政府のほうからはまだ現実に出ておりませんので、これは自力でやつておるものと推定いたしております。その自力は金の面では単協あたりが一番手近い融資先ではないかと、こう考えております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 自力でそういう応急工事をやつた場合の跡始末は一体どうなるのですか。
  19. 大塚常治

    説明員大塚常治君) これはそののちに査定額がきまりまして交付いたされる補助金がそれの融資償還財源になる、こう考えております。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 そういうことがあとで、例えば会計検査院等とトラブルを起すというようなことはございませんか。
  21. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 普通の事業は勿論指令を待ちまして工事に着手するのが当り前でございますが、災害復旧事業に限りまして、特に被災直後の現況写真等で後日わかるような措置を講じておりましたならば、仕越事業とか、或いは指令着手工事というようなものは災害事業に限り承認されております。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 それからまあこれは今ではないのですが、三・五・二で行くのか、何ぼで行くのか知りませんけれども災害の種類によると、そういうこの三ヵ年或いはまあもつと延びて四カ年で復旧するというようなことはゆるされない、例えば主要河川井堰が切れている、そんなものはどつちみち短期間にやつてしまわなければ、全くこの三割とか、四割とかいうようなことをやつたのでは無駄になつてしまうし、意味のないことなんですが、そういう点はどういうふうに処理されるのですか。
  23. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 私どもは三・五・二でやるのが平均いたしまして一番いい姿だと考えておりまして、そのような予算要求をいたしますが、現在までの予算の付き方を見ますと、残念ながらそれにマツチしたような予算がついていないのでございます。初年度に二〇%程度ついたならば一番いいほうの付き方なのが残念ながら今日までの現況でございます。なお、御指摘のように河川工事のようなものは、渇水期を目当ては一時に本工事をやつてしまうというのが通例でございますが、それは各県に割当てられました予算範囲内におきまして、県知半裁量に待ちまして、短期間でやるものは成るべく短年度予算措置を講じて頂くように、又その半面山間部等或いは建設省関係の護岸の復旧を待たなければ着手できないというような地区もございますので、三・五・二の比率が守られれば大体うまく行くのじやないか、こう考えておりますが、残念ながら元が理想的に参りませんので、各地区とも仕越事業と申しまして、予算がつかないのに地元が先に金を出してやつてしまつて、その金利に追われて困つているという事例がたくさんあるのは大変残念なことだと思つております。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 その府県のなんかでやりくりをしてということですが、災害の量が相当量多いときには、一つの地域災害が非常に多いときには、そういうやりくりもできるかもわかりませんが、そういうやりくりが全然できない場合もあると思います。特に本年度あたり地域的にそう大した被害ではなくて、而もその中には主要河川井堰が切れているというような、今もあなた方が技術的にもお認めになるように、渇水期短期間にやらなければならないというようなものがあるわけです。これはとてもその府県やりくりでは行かんと思いますが、そういうときには一体どういう措置をおとりになりますか。
  25. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 非常に激甚な災害で、而も予算を多く要するというような地区が一地区生じました場合は、これはなかなか地元の独力では技術的にやれませんので、多く県営事業等で採択している例が多いのでございます。そういうようなものにつきましては、特に予算的に考慮して、県の工事スピ―ドが経済的に行くように特例を以て予算を配賦しております。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 だから念のためにもう一遍聞きますが、そうすると、原則が三・五・二であつても三・五・二が守られないが、そういう特殊なものについては特殊な予算付け方をするというのですか。
  27. 大塚常治

    説明員大塚常治君) それが県営事業で取上げられた場合はそういうような措置をいたします。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 県営事業で取上げられなかつたらどうです。
  29. 大塚常治

    説明員大塚常治君) 県営事業で取上げられない場合は、その県に配賦されました予算の枠内で県知事裁量によつて重点的に予算を配賦して頂くということになつておりますが、それは今回法律改正によりまして農林省地区地区補助指令を出すのでなく、県に全体の枠を示しまして、その枠内で各地区につける予算は主として大体県知事裁量に任せたから、そういうようなことになつたのであります。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 くどいようですけれども県営事業なつた場合は本省としても、中央としても特殊な予算付け方をするわけですね。
  31. 大塚常治

    説明員大塚常治君) その通りでございます。
  32. 森八三一

    委員長(森八三一君) なお、この件につきましては大蔵省との関係があると思いまして、原次長出席要求し、了承を得ておりまして、只今請求をいたしておりますが、おつつけ出席されると思います。その方面の御質疑も相当あろうと思いますが、次に問題にいたしまする最近の稲作関係等との関連においても同様のことがあろうかと思いますので、只今水害の問題につきましては一応この程度にとどめまして、次の議題に移りたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、次に移ります   ―――――――――――――
  34. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、次に移ります
  35. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、本年度稲作等作況及びその対策の件を議題にいたします。本年の夏は希有の異常天候でありまして、これが稲作を初め各種夏作に及ぼす影響が極めて憂慮せられているのであります。従いまして、本日は農林当局から本年の気象状況稲作その他夏作物作況並びに今後の見通し、その対策及び今後の食糧需給見通し、その対策等について説明を求め、続いてこの問題の取扱いについて、御協議を煩わしたいと存じます。つきましては、最初只今申上げましたような諸般の点につきまして農林当局状説明を求めます。
  36. 野田哲五郎

    説明員野田哲五郎君) 只今問題になつております稲作状況でございますが、主として関心を持ち、心配されますのは、昨年度冷害をこうむりました地域北海道東北北陸というようなところが特に注意すべきところであろうかと思つております。これらの地域におきます本年の気象状態を概観いたしますと、五月中旬までは各地域ともおおむね平年並乃至はやや高めに推移しております。五月下旬に至りましてやや低めでありますけれども、その差は大したことはないのでありますが、六月上旬以来気温低下が著しく目立つて参つたのでございます。即ち六月上旬におきまして、北海道東北地方におきましては、平年に対して二、三度低く、北陸地方は一、二度低温であつたわけでございます。六月中旬におきましても、北海道東北地方は相変らず二、三度低く、北陸地方も又二、三度低いというような状況になつて参つたのでございます。更に進みまして六月下旬に至りますと、北海道北陸地方並びに裏東北地方は一、二度の低温に戻りましたけれども表東北地方は相変らず二、三度低いというような状況でございます。更に七月上旬に至りますと、北海道表東北地方は二、三度低く、裏東北北陸地方は一、二度低温ということになつております。で、七月中旬におきましては、これは低温の差が相当緩和いたしまして、平年よりやや低いというような状態でございますが、この点につきましては、まだ正確な数字が集まつておりませんので、大体推測して平年よりやや低いというような状態であろうと思います。これを要約いたしますと、各地方とも低温であるわけでありますが、特に北海道表東北低温が非常に大きくございまして、裏東北北陸地方気温低下は比較的緩であるということができます。これは平年に対する比較でございますけれども、昨年に比べましても、この期間においてはずつと低いということになつております。で、田植状況を見ますと、北海道におきましては平年並乃至やや早目に行われておりますし、特に北見、十勝等北辺地帯というものにおきましてはかなり早目に行われたのでございます。東北地方の中で、表東北でございますが、これも平年乃至やや早目に行われております。で、裏東北地方は若干これに対しお遅れておりますが、北陸地方に移りますと、おおむね平年並に行われたということができるのでございます。この田植後の生育状況でございますが、大体田植後二十日の状況を試験場の試験等から見ますと、各地方とも草丈、茎数が少うございまして、その程度北海道北東北におきまして著しく低いのでございます。これを前年に対比いたしますると、押しなべまして草丈は六割程度茎数は五割未満というような状況でございまして……、失礼いたしました。これは北海道、北東北地方状況でございますが、草丈が六割程度茎数は五割未満という状況でございます。これに対しまして南東北地方が、草丈が七・八割見当、茎数が五、六割見当でございまして、北陸地方は草丈が八、九割程度茎数が六割程度となつております。で、田植後、更に二十日を経過いたしました四十日の状況でございますが、ここに至りますと、表東北地方及び北陸地方におきますところの茎数の挽回が、かなり顕著に見られて参りますけれども、なお前年には多少及ばない点が指摘されたのでございます。前年に対する比較を申しますと、北海道表東北地方の北部、即ち青森、岩手でございますが、ここでは草丈が六、七割の見当、茎数が六割というような程度になつております。表東北地方の南部でございますが、ここでは草丈が八、九割、茎数が六、七割となつております。裏東北地方におきましては、草丈が八、九割、茎数が七、八割ということになつておりまして、北陸地方では草丈、茎数共に九割程度なつおります。で、なお主程の茎数について調べたものがございますが、北海道東北地方では一乃至二本少く、北陸地方では一本程度少い状態でございます。これから見ますと、本来の出穂期は北海道東北地方におきましては一週間乃至十日、北陸地方では四、五日走れるのではないかと想像しております。病害虫の発生状況でございますが、これは改良局から或いは御説明があるかとも思いますけれども、私どものほうに入りました資料によりますと、ヒメハモグリバエにつきましては、北海道を初めといたしまして、東北地方全般、新潟、富山に発生しておるのでございます。葉「いもち」につきましては、気象の関係が極めて低温でありましたので、現在までさしたる発病を見ていないのでありますが、今後気温が上昇いたしますると、諸般の情勢から相当急激なる発生を見るのではないかと思つております。なお、ちよつと附言いたしたいと思いますが、茎数が昨年よりも田植後四十日の状況におきましてかなり低くなつておる所もありますが、これは必ずしもこの数と一致するものではないと思つております。いろいろ別の資料調査いたしますと、昨年或いは平年におきます茎数の中で有効化したものは必ずしも全部でなくて一部になつておりますので、若し本年におきましても非常に少い茎数が全部有効化するということにたりますれば、又問題は別になつて来る状態でございます。私どもとしましては、現在までの生育が必ずしも良好ではないのでありますけれども、すべては今後の天候によるものであると思つておるわけであります。
  37. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 只今統計調査部長から、本年の稲作につきましての生育概況の御説明があつた次第です。お手許に配付いたしました二十八年度冷害及び昭和二十九年度異常気象対策、この中の終りのほうに二十九年度冷害につきましての気象異常状況の平年並びに昨年対比の気温グラフ、三十六からでございます。それから各地の主な地帯の大体気象一覧表、五月の一日からの分がございます。今、調査部長の御説明にあつた通りでございます。なお、生育概況につきましても、草丈或いは主程葉数或いは茎数等の比校等もあとに一応改良局で調べ得ましたところのものを記載いたしておりますので御承知願いたいと思いますが、そういつた状態でございまして、非常に本年の稲作は憂慮されておる次第であります。なお、これにつきまして只今改良局でとつております対策という点について御説明申し上げたいと、こう思つておる次第であります。  昨年の冷害その他の災害の経験に徴しまして、すでに本年度当初より二十八年水稲につきましては、品種の確保或いは品種の転換、冷害に強い或いは「いもち」に強い、耐冷耐病品種の導入、そういつたことを本年度当初からすでに手を打つて参つた次第であります。なお、健苗の育成につきましても、保温折裏苗代の増加という点を奨励励して、昨年以上の苗代面積を示しておる次第でございます。なお、耕種の改善につきましても、早播き早植え、そういつた点を奨励いたしまして、先ほど御説明があつたように、大体水田移植も相当各地方、場所によつては例外もありますが、大体早期に田植えができておるような次第であります。そういつた概況に対して技術改良もやつて来たわけであります。そういう段階になりまして、本年の冷害の様相が非常に強くなつて来たわけであります。これに対しましては、今後取りあえずの問題といたしましては、追肥を抑制する、或いは除草を早く切り上げる、それから病害虫の防除を奨励する、そういつた技術指導の徹底を期したいと思つております。これにつきましては、技術指導の活動費の増額という点も、今予備金等千で増額して地方の普及一員の活動を促進しよう、こういつた点を手を打つて来た次第であります。今後のこういつた冷害に対しまして、特にとるべき唯一の対策というものは病害虫の防除の徹底を基する、こういつた点でございます。冷害には必ず「いもち」がつきものでございまして、漸く土用に入りまして一昨日頃から天候が回復して参つたのでありますが、従来は非常に低温で「いもち」の発生も余り見られなかつたのでありますが、こういうふうに温度が急騰して参りますと、非常に「いもち」が多発の状態に入るわけであります。昨年以上の発生が予想されております。只今改良局等で一応七月上旬において発生予想面積として考えられるものは、全国で百十五万町歩程度発生が予察圃から予想されております。これにつきまして病害虫の防除を徹底する。そういつた意味で事前に手を打ちたいということで大蔵省とも折衝をいたしておるわけであります。御承知のように二十九年度予算につきましては、病害中の防除につきましては、農薬の備蓄費と、それから通常発生の多発地帯の防除農薬の購入等の奨励ということで二億三百万程度の農薬購入補助、備蓄に要する金利、倉敷料の助成費、そういう程度が組まれておるわけであります。こういつた異常災害に伴う異常発生というものについての病害虫の防除については、二十九年度は当初予算には計上されていないのでありますが、こういつた緊急状態になつて来まして、「いもち」の防除の徹底を期するということで農薬購入補助というものをして、強制的な、或いは共同防除による早期の、適期の「いもち」防除の徹底を期したい、こういう考えで只今大蔵省と折衝いたしておるわけでありますが、本年度当初予算の病害虫防除費は、予算が削減された経緯に徴して、大蔵省でもなかなか難航いたしておるわけであります。大蔵省の見解としては、発生予察で発生が予想されておりますが、まだ発生が確定的になつておる段階ではないので 備蓄費を増額したらいいじやないか、こういつたような見解で、今方針問題で対立いたしておる状況であります。なお、水害につきましては、九州或いは近畿或いは中国、四国或いは東北の一部等にも水害があつたようでありますが、大体六月、七月に早期の水害がありまして、これについては今苗の輸送或いは予備苗代の設置と、そういつた指導をいたしておるわけでありますが、まだ地方から報告は十分来ておらんわけであります。そういう点も報告を待つて今後検討いたしたい。こういうような考えでございます。大体以上でございます。
  38. 戸叶武

    戸叶武君 病虫害の問題に関しましては去年非常な打撃を受けておるので、その決定に基いてこれに対する対策が進められているのだと思いますが、天候がこういうふうに急激に変化して来たときには、当然「いもち」等の発生は予想されるので、これに対処しての実際の備蓄というものが各地方とも完全になつていないので、一番恐れているのはこの農薬に対してどう対処するかという問題だろうと思うのですか、農林省としては、農林省だけの責任じやありませんか、政府は昨年度において農薬に対する補助をああいうふうにぶつた切つておるのでありますから、農民は非常に戦々兢々としておると思いますけれども、もつと具体的に備蓄なり、又農林省交渉がいつ頃までには目度がつくとか、そういうことをはつきりして、急速にやらなければ、いつもお役所仕事で大体役に立たないときに、この金があとからというような結果になると思うのですか、そういうことはないかどうか、一応もう少し確めておきたいと思います。
  39. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 病害虫の農薬の備蓄につきましては、大体平常発生を予定いたしました分についての所要量を備蓄するということで、予算化されましたものについては、大体六月末程度府県の備蓄並びに国段階における備蓄というものの備蓄量は備蓄されております。但しこれは平常発生の分でございまして、異常発生になつて参りますれば不十分でございます。たた異常発生になりました段階において、こういう備蓄分を使用して、工場の生産、出荷の間の繋ぎをやる、そうして防除をやつておる間に工場の出荷がされて異常発生に対しては農薬が行き渡る、こういう段階でございますが、現状におきます農薬の備蓄状況並びに工場の生産状況その他は、災害発生いたしましても緊急に助成手段ですか、そういつた農民の共同防除を促進する方途を講じますれば、物量的には現在の工場能力を考えましても十分じやないかと考えられるわけであります。要は平常発生分だげを予算化されておる、これに対して異常発生の場合はそれを使つて、工場から出荷されるその繋ぎをやつて行く、全部の所要量を備蓄するというわけには今の段階ではなかなか困難じやないかと、そういうふうに思います。
  40. 戸叶武

    戸叶武君 今年のような異常天候のときには、当然病虫害のような場合には天候の変化に基いて異常発生が行われるということは誰でも予測されることであつて、そういう点から、この各都道府県等においても非常に心配していると思うのです。問題は去年においても農薬の補助金をやるような恰好をして打ち切るというような残酷なやり方をやつているので、たとえ非常な病虫害発生という事態に直面して思い切つた処置をしなけりやならない場合においても、そういう政府施策の冷酷性に牽制されて思い切つたやり方というものはできない面があると思うのです。それは今からまだ異常発生のことは予測できないと言うけれども、異常発生というものはいつでも予測できる形において異常発生というものはあり得ない。そういうものは当然起きるという一つの備えを持たなければならないので、そういうところにどう対処するかという点をもう少し明確に出してもらわなければ、いつも非常時に間に合わないような対策ばかり持つていては、こういう非常事態ばかり起きる事態においては何ら効果はないと思うのです。そういう面でどういう備えがあるか、もう少し具体体的に示して頂きたい。
  41. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 異常発生が予想されないということではないのでありまして、異常発生が予想されておりますので、今まで備蓄されております農薬量ではこれは平常発生に対する備蓄でございまして、不十分であるので、只今早期の発生段階でございますので、異常発生を予想いたしまして、農薬の購入補助等の措置大蔵省と折衝中でありますので、御了解願いたいと思います。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 異常発生が予測されると言われますけれども、北のほうは発生しているんじやないですか。
  43. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 北のほうは只今発生中でございまして、こういう「いもち」の発生は大体二十度から三十度、こういつた温度が適温でございますので、こういうふうに温度が急に上つて参りますと、肥料の分解或いは肥料の吸収等が急激に進みますので多発するということになる。今までの気象は非常に冷害気象で押えられておりますが、今後急激に発生して来るのじやないかと思います。ただ七月の上旬に改良局の発生予察圃で調べたところでは、昨年程度くらい、昨年以上というような発生が予想されるという段階でございます。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 この七月上旬の話では駄目なんでして、どつちみち、こういうような問題に対しては早急な手が打たれなければならないと思いまして、北のほうはすでに発生中であり、そうして昨今の気象はこれを激発する科学的根拠ありということになつておれば、大蔵省の言う確定でないから出さんというのはもうその根拠がなくなつておると思います。大蔵省のほうはこの異常発生が確定的であれば農薬の補助金は出すということなんですか。
  45. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 只今大蔵省との折衡を始めたのは七月の中旬、十日過ぎからでございまして、発生予想に基いて折衝を始めておるわけであります。大蔵省といたしましては、ずつと農薬の購入補助はまあ一般の農家経常の経営費に相当するもので、補助対象とすべきでないというのが大蔵省の根本原則であります。これは大体二十九年度当初予算のときから予想された点でありますが、二十九年度の編成方針を崩したくないというのか大蔵省の本当の腹なんで、その点でずつと対立いたしております。こちらとしては、こういうような異常な発生を予想されているんです。或いは異常発生は確定的とは言われませんが、大体昨年通りのものが発生されるのじやないかと、こう考えられるので、早急に手を打つて病虫害防除が適期にできるように、去年のように非常に、二十二億というような防除費を出されておりますが、防除が済んだあとで金が行くというようなことがないように、農林省としては防除の適期に予算化されて安心して防除ができる、そういうような考えで折衝を始めておつたわけであります。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどのあなたのお話では、大蔵省はまだ異常発生が確定的でないから断わつているんだというようなお話だつたんですが、今のお話では少し違つて来るんで、あなた方の農林省の気持はわかりますけれども大蔵省としては異常発生がたとえあつても、そういうものは農家自身が負担すべきだ、こうどこまでも主張されておるのか、それとも異常発生というものが本当に出て来た、それに対しては何らか適当な補助をするというのか、どちらなんですか。
  47. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 明確な答えは大蔵省から十分頂いておりませんが、異常発生発生は非常に農家経営にも支障があるような段階になれば放つてはおかれないだろうというような見解でございます。現在のところではまあ備蓄を殖やしておけばいいのではないか、我々の気持としては今備蓄を殖やしてもそれは話にならん、もう直ぐ農薬工場から使用地に直結して直ぐかけなければならん段階で、今端番の段階ではない、もう撒布の段階である。大蔵省としては、まあそういつたように言つておられますが、そこら辺が我々としては全然方針が違う。そういう点で我々としては、どこまでも早目に購入補助を昨年程度のものを出してくれ、そうして早期に渡して、冷害並びに冷害のための病虫害による減産防止をやりたい、こういう考えであります。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 これは大蔵省を呼ばんと話にならんと思うのですけれどもね。併しそういう災害というものは農家が負担すべきだということになるなら、例えばその他の、国がいろいろ利子補給をしている問題、これは農業以外ですよ、ほかにもあろうし、いろいろな問題があろうが、それを直ぐ自分の企業体なり、個人で出せはいいということになるので、災害があつたところで、これが当つたところで、そんなものは地方独自でやれはいいということになろうし、これは全く意味のない答えをしていると思うが、ただこれは結局、委員長大蔵省を呼んでやつてもらわなければなりませんが、少し僕は改良局のほうものんびりしているのじやないかと思うのです。というのは、備蓄があるのだと、たからしてこれから農薬の生産は異常発生があつたところで追つつくのだと言われますけれども、果して追つつき得るかどうかですよ。これは政府のほうが補助金を出すのだという態勢がはつきりすれば、これは農薬の生産というものは急カーブに上つて来ると思うのです。併しそれがいつまでもぐずぐずしているというと生産は上つて来ません。本当に異常発生にぶつかつたら今の備蓄量、今後の生産量では非常に私は安心できない状態になると思うのですが、その点はまああなた方の交渉がいつを目度にしてやつておるのか知りませんけれども、いつきまつても農薬の生産量については絶対間違いないという保証はできますか。
  49. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 江田委員さんのおつしやる通りでございまして、やはり補助がしつかりきまらなければ、農民の有効需要というものは起つて来ない。そういう点を考えて、改良局としてはできるだけ早期に決定いたしたいということで、先ほど申しましたように、七月上旬から一生懸命やつておるわけであります。そういう点で、大蔵省との、何も相手があることで決定しなかつたということについては誠に遺憾に存ずる次第であります。できるだけ早くこの点は決定いたしまして農民に周知徹底いたしたい、そういう気持で一杯でございます。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 どうも近頃は便利が悪くなつて、僕ら政府にものを開きたいのだけれども、政府の中が分裂しているものたから、農林省に聞いたり、大蔵省に聞いたりして、その間に話がつかなかつたら吉田に聞いたらいいということであるが、古田は出て来はしないし、非常に便利が悪くなつて来ている。北のほうは目下発生中ということでわかりますが、西のほうのメイ虫についてはどういうような見通しを持つておられるのですか。七月上旬のやつはここにありましようが、その後の状態についてはどういう見込みなんですか、又今月に入つていろいろ統計表なんか出されていると思うのですが、そういう資料が来ておりませんが、実際はどういうことになつているか、もう少しお聞きしたい。
  51. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 大体今年の病害虫の状況は、北のほうと言いますか、東のほうは冷害に伴い「いもち」の慮れがある。それから四のほうはメイ虫のほうが多い。「いもち」よりも西のほうはメイ虫の発生、そういうことで西のほうは昨年程度のものが予想されるのではないかということで、こういうふうに考えて、対処しております。
  52. 江田三郎

    江田三郎君 最近の調べはまだありませんか。
  53. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 最近に調べて、これも上旬でございますが、八十四万四千町歩というのが発生予察面積で集計されております。
  54. 江田三郎

    江田三郎君 上旬以降のはないのですか。
  55. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) これは最近のものでございますが、大体上旬に発生予察して八十四万四千町歩でございます。その後のものはまだ各地から、これは下から積上げて来ますので、今集計中でございます。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 これはもつと厚くそういうデーターというものは集まらんものでございますか、こういう問題は処理するのに、今上旬の数字しかわからないというようなことでは、私はあなた方の大蔵省といろいろ交渉されるについても、極めて腰の弱い交渉しかできないのじやないか、その後の調査によつて異常発生の虞れはないのならよろしい、併しともかくこういう問題を交渉するのに、もう大蔵省というものはどこまでも、何かなし、かような事実を拒否しようというときに、交渉されるのに、今頃この七月上旬の数字しかないというようなことではいささかこれは改良局に問題があるのか、或いは統計調査のことか、私は機構はよくわかりませんが、併し農林省としても政治的な動きはいろいろなさるけれども、その裏付をする科学的根拠というものについて少し足らんのじやないか、それが今の機構でしておらんからできないというなら、その点ははつきりして、その対策をとらなければならない、どうして今頃、今日は何日ですか、二十七日ですね、二十七日になつてまだ上旬のものしかないというような、こういうようなスピードで一切おやりになつておりますか。
  57. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 発生予察の予察所というのは、予察簿を設けて発生予察をすることが本務でございまして、発生しました面積は府県庁を通じて集計いたしております。そういう関係で、府県庁からの報告も我々が期待するように電報を打つたりなんかして督促しておりますが、なかなか集まりにくい、こうりいつた状況でございます。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 これは私はもう少しこういう機構については、どこでやるのか知らんけれども、やられないと、これはそういうことであるから、あの原何がしという人になめられてしまうと思う、もう少しはつきりしてもらいたいと思う。それからもう一点、これはついでに聞いて置きますが、一部の新聞あたりによるというと、ヒメハモグリバエは早植と関係があるのだというようなことが出ておりましたが、改良局のほうではそういう点は認めておられるのですか。これは新聞が誤報なんですか、若し誤報だとすると、相当権威のある新聞にヒメハモグリバエと早稲のことを指摘しておることで、今後の早植ということに対する農民の気持に大変な影響を及ぼすと思うが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  59. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 早植というものとの関連よりは、むしろ異常気象と言いますか、低温というか、これにヒメハモグリの異常発生の直接因果関係があると思いますが、ヒメハモグリが大発生するに適度の五、六月頃の低温だということか一つの最大の原因だと思います。早植とは関係がない、ヒメハモグリ発生に非常に適合した低温か続いたということが……。
  60. 江田三郎

    江田三郎君 直接の原因……。
  61. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) そうです。
  62. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際報告しますが、主計局次長原君の出席通告をいたしまして了解を得ており、先刻も御報告いたしましたように、早急に出席方を督促いたしました。ところが只今連絡によりますると、主計官会議の開催中であるということのために、原次長出席不可能であるというわけでありまして、担当の主計官の出席を更に求めたのでありますが、病気のために出席不可能というような通告が参つておりますので一応御報告申上げます。
  63. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今の農林省との問答の結論は、どうも伺つておるのに結論がないように思う。これは時間的の問題でしてね。私先般国のほうに帰つたのですが、西のほうは今までメイ虫駆除に追われて、而も「いもち」が来るのは必至だというので戦々兢々としておるような状態である。昨年でさえ、すでに広島県で「いもち」の駆除が遅れたために十万石の減収を来たしたと称しておるのです。だから私はこれは時間の問題で、今頃、七月半ば頃からまあ折衝しておつて見通しが付かんようなことでは、これは又昨年の広島県の轍を踏むのじやないか。折角渡してももう非常に遅れて減収をしたというような結果を来たしておるのだから、農林省は早く県なり農民なりに方針を流さねば、私はこれは火がついているのじやないかと思うのです。で、結局見通しはないのですか。或いは今月末までには結論を出すとか、何とかいう見通しがなければ、七月の半ば頃から今までぐずぐずやつてつたのでは我々は如何とも方法がない、何か農林省に訴えるよりも、別に他の方法をとるか、何かきめて行かねばならんと思うのですが、どうですか。
  64. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 冷害等の異常「いもち」の発生に対する農薬の問題については、まあずつと交渉しておるわけでありますが、できるだけ早く、我々としては一時でも早く結論を出して指示したいと、こう思つております。大体今日総務会もやつておるような状態でありますが、今週中には何とか結論を出したい、こういう気持で努力いたしております。それからメイ虫等につきましては、取りあえずは薬剤の手当等をいたしておりまして、全国の備蓄団体から農薬の手配はいたしております。
  65. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今手当を交渉しておるというのは、昨年と同様に半額の助成金を出すと、こういう交渉ですか。
  66. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 購入助成の交渉をいたしております。まあ大体昨年通りというような考え方で農林省交渉いたしております。
  67. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは交渉の経過においてでしよう。農林省の何が貫徹するとか、何とかいう気持はどうですか。どうしてもすぐにせねばならない。私はこれは農民のためにどうしても農林省は奮起しなければならない。ただ局長くらいのところで事務的に今やつておるのですか。
  68. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 大臣からも閣議で発言をされたし、それから大蔵大臣とも大臣と話合があつて、一応下で事務的な折衝、こういうことになつておるわけであります。私としては数字は事務的に固めて行きたい、こういうことで農薬助成金も発生予想に基く、面積に基く購入助成を、我々の今資料等を出して、そういつた点で交渉いたしております。
  69. 松浦定義

    松浦定義君 まあいろいろ今まで聞いておりますと、大体事務的な細かい面については大変御考慮になつておるようですが、我々が聞きたい、或いは又せねばならん大きい問題については、どうも農林省は余りピンとした対策を立てておられないと思う。御承知のように、昨年は今年と同じようなケースで非常に大きな国家的な損害を受けたのです。無論農民としては二度とそういうことのないようにというので、今年あたりでも政府の施策については非常な関心を持つておるわけですが、予測に反せず本年は昨年以上な冷害になるのじやないかと、まあ春の凍霜害或いは風害、水害、今問題になつておりますこの病害虫等は誠に異常な発生であるというような太鼓判を政府自体も押している。従つてその対策はどうかということ、何もないというようなことでは非常に我々としても委員会の立場上から言つても困るのですが、もう御承知通りに病害虫、平常起る病害虫であつても、現在の国の予算上の措置からしては十分ではない。従つてまあこういうような異常的に発生するようなものについては、先ほどから聞いておりますと、どうも予算の上で云々ということで、一兆円予算に非常にごだわつておられるようですが、こんな農業政策とか、こういうような異常な問題については、私はそう予算にこだわつてものをやるということではいかんと思うのです。従つてこういう病害虫とか、或いは何とかというものは、政府の御都合や内容の御都合で出たり、やめたりするものではないのですから、やはりこれは出たものを最大の目標として、それに対して善処する。先ほどのお話でありますと、そういう事態が判明すれば手当をするということでありますが、すでに今朝からしていろいろ北海道或いは東北六県その他各府県からの御要望によりますと、ヒメハモグリバエのごときは、すでに十数万町歩を侵害しておる。すでに北海道だけでも三億何千万といつたような、農民だけでは負担しきれない状態になつている。無論これは東北六県、全国的な数字はおびただしいと思うのですが、その数字すらわからない。そうして日が経つに従つて、わかつたときにはどうにもならない。従つて米の供出、米価の問題にもいろいろな問題があつて、一兆円予算というものはもう問題にしないで、すでにこの問題は臨時国会でも開かなければならないくらい大きな問題だと思うのですが、我我はそういうことで自主的に、衆議院もすでに開いたようですし、参議院も本日、明日と二日を限度としてこの農林委員会を休会中といえども開こうとしている。従つてまだ今問題になつておりませんが、四月、五月、六月、七月と、月々いろいろ変つた形でいろいろの施策を必要とする中に、六月の凍霜害等は臨時国会がすぐ開けるという形で延びておつたのが、今日開かれないで、うやむやになろうとしている。そこに以て来て又病害虫、新らしいものが出ようとしている。この新らしいものが出るたびに過去のものは忘れ去られようとしている。で、農家はそれによつて大減収になつて非常に迷惑をするということでありますから、我々はこの短期間農林委員会を最も効果的にやらなければならない。従つて要求している農林省も、私どもは少くとも大臣くらいは出て来て、過般の閣僚会議では相当の施策があるというようなことを言明されるというようなことを新聞で聞いておるのですが、今日私どもはその実態をどうだということを聞くすべもない。そういうことではいかんと思うし、同時に大蔵省は自主的に出て来て、農林省のこういう要求があるけれども、こういうことだということぐらいは言わなければならない。今のお話ですと会議だから出られない。会議なんというものは勿論一年三百六十五日おやりになつてもいいが、私たちのこの農林委員会は今日、明日と二日でやろうとしている。会議を二日、三日延ばしてもこれに出るべきだと思う。そういうことでは国家的にも経済的にも施策的にも非常に困る点があるので、両省の最高責任者、少くも大臣がどうしても来られないときは、やはり次官その他適当な、大臣の代弁をし得るような人に来てもらわなければ、この二日間の委員会も効果ある委員会として、結果を国民に納得せしめるような施策はできないと思うので、そういう点は委員長はよろしく両大臣を筆頭に関係の人を、本当にその本日、明日二日に亘つてたくさんの議題があるわけですが、これが明白になるように、出席要求してもらいたい。そうでないというと、私は徒らにまあ今日行われている事務的な問題だけをいろいろ申上げ、或いは開いておつても、どうにもならんと思いますから、この点を一つよくお諮り願いたいと思います。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 同じようなことですが、あなたのお話を聞いておりますと、大蔵省の考え方は、異常災害が判明すれば手配するような考えも持つておる。又いま一つのほうの考え方では、農薬等のことは農業経営上当然農民が持つような考えを持つておるから、補助金を出すことが要らないというような考え方を持つておる、こう二つの説明をしておられるわけです。そこでこの問題か大体きまらなければ、今あなた方がやつておられる事務折衝というものは何ら効果のない徒労な仕事をやつているごとになりはしないか、結果において……。そこで問題としてお聞きしたいのは、今事務折衝をやつて何らかの手を打つておると言われることは、この二つのうちのどちらのほうに根本にきまつたものとして事務折衝を大蔵省でやつておられるか、これを先ずお聞きしたいと思います。
  71. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 大蔵省の見解は、農薬補助というものは農民の農業経営上当然負担すべきものだというのが根本の考え方です。但しそういうような考え方で二十九年度の農薬予算も切つたが、特に異常災害が起つた場合に、そういう方針で貫けるかどうかについては、もう少し発生してから考えようという、そこまで大蔵省としては来ておるわけです。我々としてはそんな段階じやないのだ。適期にかけるには早目に、発生がまだ現実にならない前にこちらの発生予察に基いて予算を組んでもらい、そうして発生報告によつて補助が農民に徹底するように、そうすれば農民も安心して共同防除ができると、こういう方針で我々としては努力しておるわけであります。根本的な考え方は、大蔵省補助は出すべきじやないということを、我々としてはこういう異常災害の場合には出すべきだということで折衝中であります。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、これはどうしても農林大臣若しくは大蔵大臣に来てもらつて、この点をはつきりさせなければ何らつかむことはできないと思うのです。至急何とか手配して頂きたい。
  73. 江田三郎

    江田三郎君 ここでやつてみてもしようがないので、特に主計局次長はそんな会員だ、主計官は何だと言つて、併し私はちよつと委員長に不服があるので、この根本問題、そういうものを主計局次長できめるというのが私はおかしいと思うのですよ。これは農林大臣と大蔵大臣が話合つてきめるべき問題なんで、もともと主計局次長あたりを呼出しておるのがちよつと手落ちだと思うので、これはあつさりと大蔵大臣と農林大臣をすぐ呼出すようにやつてもらいたい、そうでなければ、今ここでああでもない、こうでもないというてみたところで一向話が進展しないと思う。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで両大臣が都合が悪ければ、総理大臣の代理として官房長官若しくは副総理、これが出てもらいたい。
  75. 森八三一

    委員長(森八三一君) そこでお諮りをいたしたいと思いますが、只今までの質疑応答を通じまして、事態は一応明瞭になつたと思います。これが対策は時間の問題でありまして、遷延を許されない緊迫した情勢にあると思いますので、今お手許に、過日開かれました衆議院の委員会において決定されました事項を参考としてお廻しいたしたのでありますが、当院としましては、今、江田委員清澤委員等から御発言のように、責任大臣の出席を求めて事態を明確にし、対策を早急に立てさせるという挙に出すべきこと当然でございますが、この際当院のこの委員会の意思を決定して、その回答を持つて出席すべしというようなふうの強い態度に出たほうが、時間的な関係もありますので適当ではないかというようにも考えるのでございますが、さような取計らいで如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 森八三一

    委員長(森八三一君) といたしますれば、御異議ないようでありますので、一応そういう心構えで準備をいたしましたので、これをお諮りいたしまして、この案によりまして、今申上げましたような趣旨を達成して参りたいというふうに考えますので、先ず御審議を頂きたいと思います。   速記を止めて下さい。    〔速記中止
  77. 森八三一

    委員長(森八三一君) では速記を始めて下さい。只今議題になつておりまする本年の稲作状況関連いたしまして、病虫害の防除徹底を早急に図らなければなりませんわけでありますので、当委員会の決定を頂きまして政府に申入をいたしたいと存じます。その申入の案文を朗読いたしまして御審議を頂きたいと思います。     稲作病虫害の防除徹底に関する申入(案)  昨今の異常天候稲作に及ぼす影響は極めて憂慮に耐えないものがある。  万一本年の稲作が承ねて、不作を来たすようなことがあれば国の自立に重大な危機をもたらすことになるであろう。  従つて、本年の稲作を確保するためには万全の措置が講ぜられなければならない。  而して、稲作確保のため当面緊喫の要務は病虫害の防除である。この際、稲作の病虫害に対処して、国の責任において、国の負担を以て、これが防御の徹底を図られたい。  なお、右に関する政府の措置を明二十八日中に当委員会報告せられたい。  右当委員会の総意を以て申入する。    昭和二十九年七月二十七日          参議院農林委員会    国務大臣   緒方 竹虎殿    農林大臣   保利  茂殿    大蔵大臣 小笠原喜二九郎殿  以上の案を御決定頂きますれば、明二十八日中に当委員会報告せられたいという趣旨は、関係大臣が当委員会出席して、それぞれ報告をされたいという趣旨を口頭附加して申入れるという内容のものでありますが、只今お諮りいたしました稲作病虫害の防除徹底に関する申入は、御報告いたしました案のように決定いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 松浦定義

    松浦定義君 きまつたようなものですかね。これは衆議院のほうは非常に具体的に病害虫の病名まで出しているので、参議院のほうはそんなに細かいことまでしなくたつていいかも知れんけれども、その異常な処置を講ぜよというのですから、この今の案ですと大した、異常だという言葉の上では出るけれども、衆議院のような工合に、まあ政府が知り切つておることだからいいようなものですけれども、今の事態として出すのには、もう少しそういうような面も入つていいのではないかと、私はこう思うのだし、それからもう一つは、その内容が衆議院のほうが強く出ておるようで非常にぴんと来るようだが、うちのほうは少しおとなし過ぎるような文面になるような気がするんですが、別に私こだわるわけじやないですがね。
  79. 森八三一

    委員長(森八三一君) まあこの案を作りました趣旨は、自体政府の当局でも十分認識のあることだと考えますので、政府の措置を明日中に報告すべしというところは非常に重大な締めくくりをつける意味を持つておる。申入のしつ放しではなくて、結論をつかむというところに相当強い内容を持つたものであると私は理解して案をお諮りをいたしたわけでございますが。
  80. 松浦定義

    松浦定義君 相当御研究になつておると思うのですが、そうしますと、衆議院のほうは二十三日に決議になつておりますね。それで今日まで数日を経過しておるんだが、この申入に対して、例えば農林省だけでも何か具体的に衆議院のほうの決議に対して答えなければならんというような動きはあるんですか、丁度誰か来ておられるようだから……。
  81. 江田三郎

    江田三郎君 まあいいじやないか、明日来るんたから……。
  82. 松浦定義

    松浦定義君 明日来るなら来るで出さないで強引に呼んで、そして結果を聞いてから、こうやるということのほうがいいと思うのだけれども……。
  83. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は申入には賛成ですがね、ただ、今日の議題冷害対策に対する議題ということになつているので、この病虫害防除たけじやなくて、まだあるのじやないかと思うのです。ないということにきめて、これだけならこれで結構なんですがね。そうしますと、僕は一つだけ承つておきたいことがある、これはこの間福島へ行つてみましたところが、福島の大体標高五百メーター乃至六百メーター以上ぐらいな開拓地は陸稲が全部やられちやつておる、全部といつていいほどやられちやつておる。それで今陸稲を引つくり返してそうして代作を植えております。宮城でもそういう所があります。これは開拓地が大部分でございます。そういうことを改良局は御存じかどうか、そうしてこういう時期にどういうような御指導になすつておるか、こういうものに対しても、僕は何も申入をする必要はないけれども、やはり農林省としては適当な指導と援助をやつてやらなかつたら、殊に冷害或いは昨年の凶作というようなもので打撃をこうむつておるのは平地よりも開拓地なんです。そういう所の代作はやはり考慮に入れておいてもらわなければならんと思つております。それがどういうふうに考えられておるか、一言だけ承わりまして私はこれを賛成いたします。
  84. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 代作につきましては、いろいろ検討いたした結果、時期的に見て只今のところでは「そば」じやないかということで、「そば」の種子で、まあ県内にあるもので……、それから斡旋ということをいたしております。
  85. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは先刻お諮りいたしました稲作、病虫害の防するにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでありますので、本案を決定し、申入れることにいたします   ―――――――――――――
  87. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでありますので、本案を決定し、申入れることにいたします
  88. 森八三一

    委員長(森八三一君) 続いて議員派遣ついて御協力を願いたいと存じます。  この際各地におきまする稲作等作況並びにこれらの作況を中心とする諸般の問題について現地調査をしたらという御意見の向もありますので、一応お手許にお配りいたしました案のように計画を立ててみたのでありますが、この計画について御協議を煩わしたいと存じます。速記を一つ止めて下さい。    〔速記中止
  89. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。只今御懇談を願いましたように議員派遣を行うように手続を進めることにいたしたらと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。  なお、各会派の派遣議員は、承認要求手続の都合もありますので、本日午後の委員会再開までにおきめ願いたいと存じます。  暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十五分開会
  91. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは休憩前に続きまして会議を再開いたします。  次に、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題にいたします。この法律案につきましては、去る六月二十八日、当委員会から農林、大蔵両大臣に被害農家の救済に関する申入かいたしてありますが、この申入に関しまして、政府とおけるその後の処理状況について農林当局から説明を求めたいと存じます。
  92. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 本年の凍霜害の関係につきましては、従来からいろいろやつておる、即ち法律上当然やらなきやいけない共済関係は、共済法に基きましてできるだけ早く払うという趣旨でやつております。問題になりましたのは営農資金関係でありますが、営農資金関係で四月及び五月の分は前の法律で四億五千万円を出すことにしてあります。六月にありました東北の凍霜害及び茨城等の雹害の関係でありますが、これにつきましては、それを織り込んた法律を第十九国会で御審議を願つておるのであります。その分がうまく間に合いませんでしたので、政府といたしましては、六月の分も四月及び五月の措置と同じ利子補給及び損失補償付きの営農資金を出す方針をきめました。法律はできておりませんが、法律は次の国会で改正して頂くということを予定いたしまして、若し法律ができた場合には同じやり方にするというので、県と融資所要額について話合を進めております。四億五千万円は当初の群馬、長野等の桑の凍霜害のほかに、北海道その他の風雪害或いは石川等の凍霜等も一諸にしまして四億五千万円をきめたのであります。その後これを実施いたしますと、相当の余裕ができて、現在のところでは県と今話しているのは三億円内外であります。まだ最後的の数字は県と打合せができておりませんが、そういう程度であります。その後の東北等の凍霜害の金はまだ最後的にきまつておりませんが、一億乃至一億五千万円を要することになつております。今度の法律では昨年の法律と多少変りまして、昨年の被害程度の軽微なところにも頭割で行つたというようなことがないように法律ができておりますので、法律変つたのに多少手間がかかつたのであります。現在四億五千の上に一億でも増せば十分賄えるのじやないか、こういう見込みであります。  次に、補助金関係でありますが、病虫害の防除用の農薬或いは樹勢回復用の肥料代の要求があつたのでありますが、結局病虫害の防除につきまして、病虫害防除用の動力噴霧器の補助金としまして四千万円を支出することにいたしました。そのうち桑の関係が二千八百万円で、その他の作物に対する分が一千二百万円でありまして、これらは県の割当をきめまして通知をいたしております。凍霜害に関係いたしまする対策で現在までとつておりますのは以上の通りであります。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは断定払いですね。六月のが法律が出ないうちは……。
  94. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 資金の分はやります。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 営農資金の分は………。
  96. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) ええ。これはちよつと少し余談になりますが、結局去年四百八十五億出したうちで、水害関係のやつが案外金が出なかつたのであります。相当今年の二十九年度予算に枠の余裕がありますので、利子補給と損失の残る枠がありますので、大蔵省と話しまして、法律があると同じことで、法律ができれば遡ると言いますか、その分を同じ持越すると、こういうのであります。
  97. 江田三郎

    江田三郎君 この補助金の病虫害防除という金は、これはどこから出したのですか。
  98. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは先般物件費につきまして一割の節約ということをやることになつたのでありますが、その分から出したものであります。
  99. 江田三郎

    江田三郎君 出したところはその節約分から出したとしても、病虫害防除についてそういう国が補助金をするという原則は大蔵省も認めているわけですか。
  100. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは非常に議論いたしまして、病虫害防除用の補助として農機具と農薬があるわけであります。農機具の分はもともと二十八年度予算に計上されておりますので、これは問題ない、問題は農薬の問題でありまして、農薬の問題につきましては議論をいたしましたけれども、結局凍霜害の分については農薬代の補助金は出さない。
  101. 江田三郎

    江田三郎君 出さない。
  102. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そうです。現在稲の問題について今議論しているのであります。
  103. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、農林省としてはそういう病虫害のときの農薬の補助金は出さなくてもいいという原則を大蔵省に認めたわけですか。
  104. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 認めたというわけではありませんで、これは被害程度及びそのときの状況によつてきめるべきものであるというので、今回は農薬の分は出さないということで決着をいたしたわけでございます。
  105. 江田三郎

    江田三郎君 認めた認めんと言つても、実績を作つたということですね。そういうような実績を作つたそのことは、今後起つて来るところの同じような病虫害防除に非常な悪影響を及ぼすとはお考えにならなかつたのですか。
  106. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) そういう点は私どものほうも面白くないというので、まあ非常に長くかけて議論したのでありますが、余り遅くなつても困りますので、一応この辺で結着いたした次第でございます。
  107. 松浦定義

    松浦定義君 この六月の凍霜害の問題は、先の国会の丁度切れる頃にいろいろ問題になりまして、まあ臨時国会が急速に開かれる予定だからというので、一応まあ継続審議になつたのですが、結果的には臨時国会が開かれないで、前回の農林委員会で、今御説明なつたような決定をされたようなんですが、あの当時の情報ですと、私どもとしては、少くとも今決定になつた一億程度のものでは当然これは不足する。併し先の四億五千というものは、多少茨城の雹害の点についてはまあ残るだろう。こういう話であつたのですから、その後の調査がどういうふうになつたか、四億五千でそれがまとまる。或いは一億を以てあとの全部がそれで処理できるというような結果かどうか。そういう点について各府県の総被害高、そういうものは現状でははつきりしているんですか、どうですか。
  108. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 勿論はつきりいたしたのでありまして、それを基にしまして計算をいたしまして、現在府県と打合せておるのであります。
  109. 松浦定義

    松浦定義君 そういたしますと、先の四月、五月の分については、やはり四億五千で、やはり茨城の雹害ですか、この点だけぐらいはそのほうから予算が出たか、どういうふうですか、その点一つ。
  110. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) あのとき御説明申上げたかと思いますが、法律を当初の原案を四億五千に直すときに、四億で大体いいじやないかということを私は農林委員会で申上げたのでありますが、やはりその程度でよかつたので、茨城の雹害、これは非常に十二ヵ村で局部的でありまして、県では何千万という要求をしていましたけれども、そう大きい金額は要らない。北海道の分につきましても八千万円というような数字が出ていましたけれども、これもそう要らないというのでありまして、結局追加すべきのは一億乃至一億五千を追加すれば十分賄えるのじやないかというのでありまして、まあ五億五千から六億くらい総体あればいいのじやないか。それは先ほど申上げましたように、幸いと言つちや変でありますが、法律であわててきめなくて、五月末の前の年の融資締切りのときの残を調べましたら、十億ぐらいしか残らんだろうという予想が、災害の分が、これは例の査定との関連におきまして、我々が当初予想しておつた以上に残つたのであります。そういう関係もありますので、今県と打合せまして、今度の法律の種子に喜いて、県が必要とするものであれば、今一応一億乃至一億五千増せばいいというふうに考えております。更に県と打合せて、必要があれば増すことができる、こういうふうに考えております。
  111. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、大体先のそういうのがあることによつて、今度はまあ実際は一億乃至一億五千じや足らんけれども予算のことはそれでできる。こういうことなんですね。
  112. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 一億五千以内で私のほうは落着くのじやないかと思つております。併し法律の解釈、法律の適用の問題で、何と言いますか、余裕がありますから、そうぎしぎしせんでいいのじやないか、こういうので県と打合せておるのであります。
  113. 松浦定義

    松浦定義君 そうしますと、法律の、これはこちらは継続審議になつているのですから、臨時国会でも開かれれば、こちらのほうで額を入れなければならんことになつていると思いますが、そういう場合に、やはり今予想される五億五千か、六億でいいのか、或いは又先の余裕金ですか、そういうのも含めたもので、全体の量というものを法律上では予定するのか、どういうふうになるのですか、それは……。
  114. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) この法律の改正の点から申上げますと、今県と打合せている数字がきまりますれば、その数字を入れればいい。それが今申上げましたように、五億五千か、六億、六億できめても五億五千できめても、そのときの大体の見込みでその数字をとればいい。こういうことであります。
  115. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題になつております継続審査中の四月、五月の凍霜害に関連する営農資金の問題につきましては、県との打合せを速かに了せられまして、お話のように万全の措置が速かに進みまするように希望しておきます。   ―――――――――――――
  116. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和二十八年産米追加払の件を議題にいたします。  この問題につきましては、一般の当委員会におきましても問題となりまして、又去る六月二十九日、米価審議会におきましても附帯決議が行われているのでありますが、この際農林当局からパリテイ指数の状況、これに基く追加払必要額及び追加払に関する政府の措置等について説明を願い、本問題の取扱いについて御協議を煩わしたいと存じます。先ず食糧庁長官に申上げましたような点に関する御説明を伺いたいと思います。
  117. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 二十八年産米の追加払につきましては、先般の当委員会からのお申入もございましたし、又米価審議会等におきまする決議もあつたわけでございますが、追加払は、御承知のように昨年の七月から六月の一年間の平均パリテイを基礎にいたしまして算定する建前に従来なつておるわけでございまして、五月のパリテイは麦に使用いたしましたように一二一となつておりますが、六月パリテイは大体それ以下に下る見込みでございますが、七月もそろそろ最終数字が固まると思いますが、八月一ぱいには出るつもりでおります。従いまして、その計数を基礎にいたしまして、我々としては作業する段階でございますので、まだ大蔵省に対して折衝を開始する段階には立至つておりません。
  118. 江田三郎

    江田三郎君 これは閣議でも決定されておつたことでありますし、今更大蔵省の折衝といつたつて、ただ事務的な折衝だけで、指数がきまればすぐ出すということだろうと思うのですが、そうですか。
  119. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お話のように、二十八年の産米を決定する場合におきまして、我々としましては追加払をするという前提を考えておつたわけでございます。ただ御承知のように、この問題は食糧特別会計につきましては現本繰越益が殆んどない状況でございますので、そういう面からして財政負担とも関係いたしまするし、同時に又政府が実施いたしておりまする一般物価政策との関連もありますので、大蔵省との協議と申しますか、相談はこれはやはりやらなければならん、こういうふうに考えております。
  120. 江田三郎

    江田三郎君 物価政策といつたところで、去年の米の値段をきめるときにはつきりきまつて、事務当局できめたというだけでなしに、閣議の決定にもたつているのですから、ただそれが何ぼになつて、それをどこから捻り出すかということは問題になるかも知れませんが、建前の上では一つも問題はないと思うのですが。
  121. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この問題は私たち食糧の行政を取扱つておりますその面から考えますと、当然のことでございまして、お話の通りに我々は考えるわけでございます。ただ全体的に諸般の全体の情勢ということになりますと、他の部面の見方があろうと思います。従いまして、その関係を相互調整するということはやはり閣議においておきめ願わなければならんと思います。御指摘のように、すでに過去に閣議決定をいたしておりまするから、その下においてそれをそのまま実施するか、或いは又別途の決定をするかということは、これはもう別の問題になるかと思いますが、食糧管理なり、集荷の面を担当いたしております我々といたしましては、その視野だけから考えて参りますと、当然のことだと考えております。
  122. 江田三郎

    江田三郎君 そのしまいのほうだけおつしやつておればいいのに、真ん中のところにおつしやるからややこしくなるのですが、低物価政策とか何とか言つても、これは今実際に物価は下つていない、肥料のごときは逆に上つているのですから……。ましてや農民に対してははつきり公約になつているのですから、私は出すということについては、あなたが一番最後におつしやるような何ら問題はないと思います。ただそれが何十億円になるか、どこから出すかという問題は残るかも知れないと思うが、出すという建前、諸般の経済条件なり、総合的な観点はあるのですか、一向にそういうものはないように思いますが。
  123. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この問題はまだ大蔵当局と具体的な折衝の段階に入つておりません。ただ先般の米価審議会におきまする大蔵当局の考え方を聞いておりますと、昨年度における米価決定、その後における事情等が相当の変更がある、従いまして、さような点については大蔵当局としては再検討すべき建前を考えている、こういうふうな趣旨の御答弁があつたわけでございまして、従いまして、いろいろこういう観点があろうということは私としても想像されますし、又大蔵省との折衝の段階でございませんので、大蔵省がどういう考え方を持つているかということは、私から今こういう考え方を持つているということを申上げるのは差控えたいということでございます。
  124. 江田三郎

    江田三郎君 どうも少し、近頃の食糧庁だけでなしに農林省全体として、何だか大蔵省に非常にこう遠慮するというのか、専ら受身の態勢に廻つて、本来主張して然るべきことをなさつていない、例えば今度の例外対策についてもそうであるし、それから麦価の問題についてもそうであるし、今回のバツク・ペイの問題についても、どうも途中余分な説明が入る、そういうことで一体農林行政というものがやれるのか、やれないのか。まあ例外の問題はあなたの直接の問題じやないのですけれども、併し米が集まるか集まらんかということになるとあなたの問題になりますが、これで仮にも公約を無視してバツク・ペイが出ないというようなときに集荷の態勢というものはどうなるのか、更に来年度の、来年度というか、本年度の米価の問題についてお聞きしなかつたのですげれとも、それについていろいろなことが伝わつて来ている、何かそういうことについてあなた方はもうすでに大蔵省にどうせやられるんだというふうに観念をしているという印象を受けるわけで、農民の立場から考えると甚だ心許ない総元締だというふうに考えざるを得ない、これで一体押し結められたら譲歩するのですか、職を賭しても頑張るのですか、どつちなんです。
  125. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 我々集荷の面から、又食糧の配給の面、食糧管理の面からいたしますと、これは強力に主張したいと、かように考えているわけでございます。麦価についてもいろいろ御議論がございましたが、我々としては我々の考え方を総合調整して折衝したわけでございます。最終的にはやはり私たちが担当をしている一部の面のみならず、これは米の問題については国民経済全体に影響する分があるわけでございますから、それの高い視野において総合的に判断されて、それをどうするということになると、ちよつと我々の立場とは又別の立場においての判断があるかも知れない、こういう趣旨で申上げたのであります。
  126. 江田三郎

    江田三郎君 まあそれは結局大臣の方針なり、或いは政府全体の方針というものを聞かねばならんわけですけれども、少くとも食糧庁長官としては、これがバツク・ぺイが怪しげな結末をつけるというようなことでは、まあ私が考えるというと、今年の集荷対策なんというものはもうぶつこわしだと思うのです。これは平年作だというなら別問題なのですけれども、どう見たところで凶作にきまつている、そういうようなときに、昨年の公約が実行されないということは、本年の米価がどうきまろうと、これも又余りおめでたいきめ方はなさらんだろうと思いますか、そういうことではこの食糧庁は僕はもう解散してもいいと思うのですよ。少くとも長官としてはそのぐらいの信念を持つてつてもらわんと、えらいことだと思うのですがね。
  127. 清澤俊英

    清澤俊英君 長官ね、今大蔵省のいろいろ別な観点から立つてということは、大体今食糧庁長官みずからが語つておられる通り、いわゆるデフレ政策に乗つて、幾らか、そういうものを出さんという大蔵省の意見だと、こう思うのですが、できるならばそれらの点をはつきりさせてもらいたい。私はこのバツク・ペイという問題は少くともパリテイ計算で、過去一ヵ年のパリテイ計算によつて米価をきめるとき約束付けられた一つの条件じやないかと思う、そういう歴史を持つておると思います。バツク・ペイが初めて施行せられましたときは、二十何年かは年度は私ははつきりわかりませんが、七月、米価が急に上りまして、そうしてその差額が約十六、七億出まする際に、農民のほうから、非常にインフレの高進期でありましたので、その年のパリテイ計算による米価決定によつては農機具や農薬、肥料その他の買付けができない、従つて生活、生産費に全く困窮するから、その金を分けてくれ、こういう問題を受けましたとき、すでに過去における生産費は大体その年のパリテイ計算で決定した米価ができているが、但しその後における物価の騰貴による農民の生活の脅威に対しては何らかの方法を以てこれを裏付けてやらなければならん、これで生産費の面は除去して、生活費の食い違いだけをこれを計算して出してやるのだ、こういうことになつて初めて追加払というものがここに成立したという歴史があると思うのです。そういう面から行きますと、このバツク・ペイというやつは、すでにパリテイ計算による米価決定の際に附帯的に農民のその後における物価の値上りによつて出て来た、現実に対する補償として約束付けられたと思うのであつて、爾余の大きな国策的な面からこれを無下に変更するということはできない私は建前になつておると、こう考えるのであります。それをたまたま食管法野中には、諸般の経済事情等というぼやかした文字を書いてあるためにいろいろ疑義も出ましようが、歴史はそうなつている。私はそういう建前からいたしますと、この際私うとか払わんとかいうようなことを、大蔵省としても実際数字の上に現われたら言えない建前だと思う。それは出さんということになつたら、出さんなら出さんで、その次から何らかの形を出して言うべきものであつて、昨年はまだ出す、将来も出す、それは面も生活保護的な意味合を持つもので、出すとか出さんとかいう議論は成り立たないと思う。その点をどう考えておられるのか、長官にその後のバツク・ペイの根本的の意義がどう変つたのか、一つお伺いしておきたいと思う。
  128. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) バツク・ペイの考え方につきましては、只今清澤委員がお話の通りでございます。ただ昨年度の米価はパリテイだけで決定されておららいという事情がございます。と同時に、その後の基本価格による買上数量と、それから超過供出による数量との、当時における見込みより変更したというふうな事情、その他最近におきまする低物価政策、こういうふうな面が爾余の変更としては現われておるわけでございます。お話のように我我としましては、このバリテイにつきまして、食糧の集荷の面、そういう面からいたしまして是非実現いたしたいというつもりで努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  129. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 六月末のパリテイというのは確定したんですか。
  130. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) まだ今調査中でございまして、大体今月中に確定すると思います。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 もう一つお伺いしますが、何か六・四%ですか、パリティの食い違いではなく、追加の分があつて、大体二百三十円とか、二百四十円とかいうような数字が出て、総額五十億円ぐらいというようなあれは、まだわからないんですか。
  132. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) まだわからないんです。いろいろの計算の仕方がございまして、六月のパリテイは五月通りで行く、或いは上る、或いは下るという見方もあるわけでございます。これは最終数字が確定いたしませんと、金額は確定いたしません。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから只今言われましたが、七月のパリテイは入るんですか、入らんですか。
  134. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 昨年の七月から本年の六月でございまして、本年の七月のパリテイは入りません。
  135. 溝口三郎

    溝口三郎君 只今説明で六月のパリテイはまだ御決定になつていない。新聞等を見ますと、バツク・ぺイが約二百三十円ぐらいというようなことでございますが、まだ全然見当がつかないんですか。それと申しますのは、バツク・ペイは公約だ、公約でないということを言つておるのですが、バツク・ペイよりかも加算の金額が相当出ているから、だからバツク・ペイはやる必要はないんだというようなことを大蔵省でも言つておるようなことを聞いておるものですから、大体バツク・ベイを出すようにすれば、昨年の七月から本年六月までの平均を、それのパリテイを出すんだということか確実にきまつているのかどうか、それで今算定の方式はいろいろ考えられる途もあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  136. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) パリテイのバツク・ペイをいたしまする場合のやり方は、これは従来から一つの方式をきめておるわけでございます。この方式が正しいかどうかということは、これは別問題といたしまして、従来は米価を決定いたしました当時のパリテイと、いわゆる三九方式と申しまして、その価格の決定いたしまする前三ヵ月、後九ヵ月、この一年間の平均パリテイを以てやる、こういうことになつております。私がいろいろ計算方式があると申しましたのは、つまり五月のパリテイがそのまま六月に横這いと見るか、或いは下ると見るか、上ると見るか、そういう見方によつていろいろ計算をやりますると、そこに数字の違いか出て来る、こういう趣旨を申上げたのであります。まだ大蔵省との間におきまして折衝をいたす段階ではございませんが、従来の米価審議会等を通じました大蔵省の見解を私から推測いたしますると、バツク・ペイというものは、米価がパリテイ価格においてきめられておる場合においては、これは大蔵省といえども承認せざるを得ないというふうに考えられます。ただ米価自体がパリテイ価格以外の要素が相当附加えられておる。いろいろの完遂奨励金でございますとか、いろいろのものが腑加えられておる。その場合にパリテイの上昇分というものはその中に十分入るじやないか、従つてそういうその後の価格の騰貴というものは、それに含まれておるじやないかというふうな点を指摘しておるのじやなかろうかというふうに考えます。
  137. 溝口三郎

    溝口三郎君 そうしますと、バツク・ペイの算定の基礎になるパリテイの、昨年七月から今年の六月までの平均とかということが一応はきまつておるが、それの算定の方式はないのだということになるのでございますか。
  138. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 算定の方式はいつをとるかということは、これは又議論があろうかと思いますが、従来から七月から六月というふうにやつておるわけでございまして、この方式は見方によりますと議論がございましようが、動くべきものじやない、動かないものだ、かように考えます。ただその場合におきまして、やるかやらんかという問題は、先ほど申しましたように、大蔵省における考え方を推測いたしますると、パリテイ価格だけで米価かきまつておる場合はそれは当然だろうと思う。併しそれ以外にプラス・アルファというものが相当ある、そのプラス・アルフアの下に価格がきめられておるのだから、パリテイが上昇した場合においてもそれが十分吸収されておるんじやなかろうか、こういう考え方ではないかというふうに推測されると、こういうことでございます。
  139. 溝口三郎

    溝口三郎君 只今の御説明でございますが、価格パリテイでやつた場合に平均の値上りが二百三十円くらいになる。その間に減収加算等いろんなものがあるから、パリテイで行つてバツク・ペイやるよりか余計なものが加わつているから出さなくていいだろうというような大蔵省側の考え方があるとおつしやいますが、先ほど私がお伺いしましたら、この算定方式が、一応価格パリテイの平均が上つたのでバツク・ぺイを勘定している。価格パリテイが、これがどうも今のあれじや合わないんだ、そこで二十七年頃から所得リテイのような考え方か入つて来た。減収加算なんかをもう少し数字を検討して所得パリテイ等の数字を直してくれと、例えば反当の資本財投下の変化率等を入れて来れば、私は二百三十円でなくて、もつと多額なバツク・ペイを払つて行かなきやいかんことになるんじやないかと考えるのでございますが、そうすると、その間から仮に減収加算等を引いた場合についても、まだバツク・ペイをして行かなきやならんという金も出て来る。算定はいろいろになつて来るんじやないかと思うので、そこら辺の考え方を、例えば所得パリテイも算定の基礎に入れて考えて行くんだとかいうやり方も検討する余地があるかどうか、長官にお伺いしたいと思います。
  140. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今の御指摘の、昨年度におきまして米価を決定いたします場合に、御指摘のように所得パリテイ的な考え方を入れまして、資本財投下その他の計数を入れて価格パリテイ以上にきめておるわけでございます。大蔵省が指摘するのはその一点もあるのでございます。純粋に価格パリテイだけでやつてない。従つて価格パリテイ価格の騰貴率以上のものが米価として決定されているということを一つの理由として言つておるようでございます。そのほかにいわゆる完遂奨励金その他のものかございまするし、これは基本価格として全部支払われておるわけでございます。同時に又昨年度における作柄の状況によりまして、その当時予想いたしましたいわゆる義務供出の数量と、それから超過供出の数量との割合というものが実施面においては相当の変更を来たしております。従いまして、いわゆる石当りの支払価格と申しますか、というものは相当の額に上つておる、こういう点も指摘しておるようでございます。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 長官ね、あなた方の考え方として、完遂奨励金、早場米奨励金とか、或いは超過奨励金ですか、それに豊先加算だとか、いろいろなものはつきますが、これらのものが結局価格パリテイだけでは非常に無理があるというような政治的意味合がそれに含まれて加減されておることは当然だろうと思いますが、大体そういうものがついておるとしましても、価格パリテイ自身が非常に現在から見ればいろいろな面で無理があるという議論が絶えないのですが、結局基本的なものを中心にして追加払いというものが、バツク・ペイが考えられていて、ほかの政治考慮を払われた分をそれで帳消しにするわけには私は行かないと思うが、大体においてわしらはそう思うが、あなた方としては、そういうほかの奨励金等はついておるのだからという大蔵省の考え方については、どれくらいのパーセンテージでそれを呑んでおられるか、全然それは間違いだと、こう考えておられるか、それを腹の置きどころを一つ聞かして頂きたいと思います。
  142. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) まだ大蔵省と話合を進める段階でございません。只今の何パーセントを置き換えるかというふうな点は私には見当がつきません。ただ私たちといたしましては、いろいろな問題はあろうかと思います。あろうかと思いまするが、価格決定の筋合から行きまするが、見方にいろいろあろうかと思いまするが、やはり今日の情勢からいたしまして、当初決定いたしましたパリテイ価格において、当然その後の価格上昇に応じたものは払わるべきものだ、こういう考え方で私どもはおつたわけでありまして、そういう方針交渉いたしたい。ただ問題は結局従来の全体の経済対策のベース、昨年度のその当時決定いたしましたいろいろな経済情勢と、それから本年の情勢というものはこれは大分変つておる。いわゆる一兆予算の問題にしろ、デフレ政策の問題にしろ、その当時には全然考慮されなかつた事柄でございます。従いまして、こういう大きな問題になりますると、食糧の集荷の面から我々が主張する面と、大蔵省が財政、金融の面から主張する面と、この面を総合的な立場でどう調整するかということは、別のより高い見地において考えられなければならん問題であろうということを申上げておるわけであります
  143. 森八三一

    委員長(森八三一君) 一つ長官にお伺いいたしますが、今の質疑応答を聞いておりまして、超過供出奨励金とか、完遂奨励金というものは価格構成上米価と見るべきものか、農家の所得であることはこれは間違いないと思いますが、これは米価という観念の中に入るものであるかどうかという点はどうなんですか。
  144. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 考え方といたしましては、御指摘のようにいわゆる米価の範囲をどう見るか、こういうふうな見方はあろうかと思いますが、現在の立て方としては奨励金として別個に取扱つておりますが、ただバツク・ペイの問題は、いわゆる価格パリテイにおきまして農家の支払つた価格と農家が受取るべき価格とがパリテイを保つ、こういう趣旨でございまして、その後における物価変動が農家の支出に上つた場合において、支払う価格が上つた場合において受取る価格もそれと均衡をとる、こういう建前になつておりまするので、その均衡以上に農家に支払われておるということになりますると、理論的にパリテイが政治的な或いは食糧政策なり、その他の面からの考慮は別といたしまして、それだけを限りました場合には議論のあり得るところだろうと思います。
  145. 溝口三郎

    溝口三郎君 もう一つお伺いしておきたいのですが、先ほど伺いました中で、価格パリテイと所得パリテイの考え方ですが、価格パリテイが不合理だから所得パリテイの考え方を入れて米価を今まできめて来たわけだ。ところが麦価については所得パリテイ的な考え方はあれはやめてしまわれたのでございますが、その点を一つお伺いしておきたい。
  146. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 米の場合と麦の場合におきましては、御承知のように統制形態か違つております。米の場合においては、建前といたしましては政府の買入価格は一木価格でございまして、最低最高という観念ではないわけでございます。むしろどちらかと言えば、最高価格的な観念になつておるわけであります。麦の場合におきましては、政府が一種の支持価格的な制度をとつております。そこで最低支持価格以上のもので、それ以上の価格変動というものを見ておるわけであります。従いまして、この場合の支持価格を如何なる水準をとるかという場合において、今年におきましては諸般の情勢を考えますと、最低は価格パリテイのところに置くべきであるということで、価格パリテイを買入価格の算定の基礎にいたしまして、所得パリテイ的な各種の加算額というものは廃止をいたしております。
  147. 溝口三郎

    溝口三郎君 そういたしますと、二十九年度の産米につきましては、まだ方針をおきめにならんと思いますが、若し価格をやるなら所行パリテイをその要素に入れてやつて行くということは考えておられますか。
  148. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 米の場合におきましては直接統制でございますし、政府以外に出ないという考え方をとつております。この場合におきましては、単純なる価格パリテイ方式よりも、その他の面を考慮した方式が妥当であろうということで従来とつておるわけでございまして、この点については我々も現在はそういう考え方をして検討いたしておるわけであります。ただ一面生産費方式というようなものをとりますれば、これは又別問題になろうかと思います。ただ特別的な所得パリテイなり、生産費的な要素を入れましたいわゆる加算額の問題につきましては、本年度におきましては相当議論かあると思います。と申しますのは、つまり資料関係上、過去の状態を以て今後を推測するわけでございます。  この転換期におきまして、これは麦の場合におきましても相当問題になつたのでありますが、条来を見通すことはできないから、過去の数字で以てその将来を見通す場合、過去においては例えばインフレの上昇期でありましたために、この転換期でデフレになるといつた場合に、その過去のデーターを以て将来のデーターに当てはめることが可能かどうかというふうな問題が問題としては提起される可能性は私はあると思います。
  149. 溝口三郎

    溝口三郎君 米価の問題については、まあ生産費方式を入れるかどうかはわからんが、若しパリテイをやるならば一応は所得パリテイの考え方にするべきだということなら、バツク・ペイの計算をする場合も単純な私は価格パリテイだけでなくて、昨年のように一応資本を投じても収量が二割も減じていれば、反当の資本財の投下の変化率というものは非常に上つて来るということになると、その分も修正をしてバツク・ペイの算定をする基礎になるべきものだと私は考えるのであります。そういう算定はバツク・ペイの場合にはお考えにならないのでありますか、その点をお伺いしておきたい。
  150. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) バツク・ペイの考え方といいましては、所得パリテイの考え方よりも、むしろ価格パリテイの考え方の下においてバツク・ペイというものがあり得るのじやないか。所得パリテイの場合におきましては、価格パリテイのほかにその他の要素を入れるわけでございます。只今溝口委員の御指摘のバツク・ぺイの場合における資材投下量の変化、こういうものをどうするか、こういう問題でございますか、当初の価格決定の場合におきまして、その基準年次とその前年との投下量の変化は見ておるわけでございます。ただこの点につきましては二通り、いろいろ過去におきまして米価論争をやりましたときに問題になつておりますのは、資材の投下量というふうなものが増加した場合においては、当然にそれによる収益と申しますか、収量の増加というものがあるべき筋合のものである。その増加があつた場合における面は見ない。減収の場合におきましては減収加算として見るわけでございますが、豊凶の豊の場合においては見ない。これはその考え方として非常におかしいじやないかというふうなことを指摘されておる面もあるわけでございます。収量の変化率の問題になりますと、そういう面を問題にいたしますると、完全な生産費の計算の問題になつて来る。一方において収量の不作に対しては共済制度の問題もあり、又その問題を、更にいろいろ資材の投下率の問題を掘り下げて参りますると、いわゆる補助の問題等も起つて来るわけでございます。バツク・ペイといたしましては、価格パリテイに伴うバツク・ペイということに簡単に割切つたほうがいいのじやないかというふうに現在考えております。
  151. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで問題は私はほかの価格パリテイ以外のものということですな、これは今までなかつたかというと、ずつとある。ずつとやつているのだ。早場米奨励金から始まつていろいろなものが付いて来た事実は今までもある、そうして過去の実績として考えなければならん。将来のやつはこれは今度は二十九年度産米の場合に初めて問題になる。過去の分、過ぎた分がパリテイの上昇分だけをバツク・ぺイする、こういうことになつているのであります。ここで突然いろいろな理窟を出して言われますことは、農民から見れば丁度籔から棒だろうと思うのですがね。籔から棒を出して向うの期待を叩きまくるような話で、これは非常に重大な私は問題だと思うのであります、理窟は付け方でいろいろ付けられるか知らんけれども、習慣というものは非常に一つの尊さを持つている。こういうパリテイ計算ができて以来約八ヵ年ですか、もう同じことを続けてやつて参りました。その結果として、ここへ来て、たまたま国の政策がデフレ政策をとつたからというので、而も二兆予算に縛られて食管の予算もなくなつたから出せたいということが基本になつて、何か籔から棒を出したような無理な理窟を付けられることになると、なかなかこれは農民が納得しない問題が出て来る。これは少くとも大蔵省としてはそういうことを言いたがるかも知れませんが、食管長官としては、さつきも江田君が言う通り、そういう無理を通させんように御努力をお願いしたいと思います。
  152. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御注意の点は十分了承いたしました。ただ過去のパツク・ペイを実施いたしました際は、価格パリテイだけで行つておつたわけでございます。一昨年からそれに対する特別加算等の方策を講じたのでありまして、その以後におきましては、まだバツク・ペイをやる状態ではなかつた、この上では事実のようでございます。
  153. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 六月末のパリテイが確定するというのは、大体我々の常識では、今月のつまり中旬頃までには計算的には出せるのじやないかと思うのですが、それが未だにきまらないというのは何か特別の理由があるのですか。
  154. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) いや、特別な理由にございません。これは大体そのときの六月の分は上つて参りまして、それを計算を始めますとどうしても一ヵ月かかるのです。ただ麦の場合におきましては、政令で以て六月末までに価格をきめなければなりません。特別に前から手配をいたしまして、早く決定するように特別に材料を集めております。相当無理をいたしましても五月末のパリテイが六月の二十四、五日にやつとできる、こういう状態でございまして、例年一月遅れ或いはちよつと一月以上たつておる、かようになつておるというのが実態でございます。
  155. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは二十八年産米のバツク・ペイをするかしないかということに関しては、食糧庁当局とされては当然支払うものとの見解に立つておられると思いますが、今までの長官の答弁を静かに聞いておりますと、何だか理論的には大蔵省のほうに分があるように答えておられるような感じ方を私どもはするのですが、過般の米価審議会における大蔵次官のバツク・ペイに対する極めて強硬な反対論を、仮に今月末に昨年の六月のパリテイ指数が確定をして、それに基く係数が農林省当局によつて算出された場合に、一体大蔵省の反対論に対してはどういう態度で立ち向かわれようとするか、つまり大蔵省の反対に対しては、食糧庁当局或いは農林省を挙げての態度は、どういうつまり根拠に基いて主張されようとするのか、私の聞きたいのはその点なんです。それから特にこの問題をめぐつて生産者農家では非常に大きな関心を寄せておるのでありまして、特に二十八年産の供出が極めて不振である、こいつはひいては二十九年度の予想される大凶作に相関連をして恐らく大きな社会不安にまでなるのじやないかということが予想されるのです。消費者の立場からしても、このバツク・ペイが公約に反して遂に二十八年産は支払われなかつた、仮にですよ、こういう最悪の事態が起つたとすると、恐らく農家は米の供出或いは政府で考えている新らしい米の集荷制度に対する協力は、これを契機にして極めてこれは最悪の事態に陥るのではないかということが考えられるので、私はそういつた単なる生産者、農家という狭い見地だけでなしに、国の食糧政策と言うか、日本の国の社会情勢全般から考えて、これは食糧庁当局とされては、この機会に二十八年産の米に関するバツク・ペイは、これ又数字が出ておりませんから、係数について論議する域に達しておりませんけれども、これはもう強硬な態度で、極めて大蔵省の反対論に対しては明確な根拠に立つての主張をされる準備を必要と考えるので、私はその点を実は係数についてお伺いしたいのですが、係数が出ておらないとすれば、基本的な方針、態度だけでも、どうも我々にははつきり受取れないので、その点を納得できるような明確な、極めて簡潔な回答を伺つておきたい、こう思うのです。
  156. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今飯島委員から、大蔵承の考え方を是認しているじやないか、こういうふうなお話があつたわけでございますが、そういう意味で申上げたわけではございませんで、こういう考え方をいたしておる、又するだろうという趣旨を申上げたわけであります。これは只今の御指摘のように、食糧の衝に当る我々といたしましては、これの実現に強力に努力いたしたい、かようなつもりでおりますことは、大臣も先般の衆議院の委員会においても申されましたし、我々としても勿論その趣旨と同じ考え方でやつておるわけでございます。
  157. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどいろいろな加算金の中で特別加算をすると説明されましたが、こいつと今のバツク・ペイとの関係が非常にデリケートになつているらしいのですが、そこでお伺いしますが、この特別加算というのは、どういう意味合でつけられておつたのか、いま一応明確に一つしておきたいと思います。お聞かせ願います。
  158. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 特別加算が基準年次におきまする資材の投下量の、この価格を決定いたしまする年のつまり前年でございますが、前年の資材の投下量の原価の係数と、都市と農村との生活水準の基準年次に対する上昇の割合の原価係数、この両者を以てパリテイ物価を調整してやつたわけでございます。大体昨年度におきましては四・五%パリテイ価格を高めて決定いたしておる、こういう形になつております。
  159. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、これは過去の年度における、二十八年度なら八年度における米価をきめるときの価格であつて、このバツク・ペイは二十八年度後、九年に達したこの半年間のパリテイ上昇指数を農民の生活の上から見てバツク・ペイする、こういう建前から言うと、それは何らこのバツク・ペイというものに関係を持たないと思うのですが、それに対する御見解はどうなんですか、どうお考えになつておりますか。
  160. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは私の主張ではないので、大蔵省の主張を私か代つて説明をしておるわけです。そういう先般の米価審議会における議論から推測いたしまして、価格パリテイ方式だけでやつておる価格の決定をしなかつたのだから、その後の物価変動の上昇は当時において或る程度見られている、こういう考え方に立つておるのではなかろうか、こういう考え方を申上げたんです。
  161. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで米価に対する考え方は過去の実績にある、だから二十九年度の生活指数、物価指数その他のものはパリテイを基本にしまして、そうしていろいろなことが二十九年度の米価を決定するとき考えられる。ところが三十年度と二十九年度におきまするその中間に一応物価指数が上つたならば、その間においては過去の分であるから、ここで生活の分だけを補償しようというのがバツク・ペイの基本になつておる、これは米価とは合然関係ないと思います。それを米価と何か結びますところに私は大蔵省がこの歴史を忘れたんだと思うのです。農林省もときによると忘れておると思うのです。これは全然米価とは関係のない性質のものだと思うのですが、その点を一つはつきりして頂きたい。
  162. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) このバツク・ペイの問題はやはり米価の問題です。やはり米価の問題として基本価格に対してその後の物価変動を織込んで価格を改訂いたしまして、あとから支払うということになつております。米価以外の問題になりますと、これ又別の観点から議論さるべきものであります。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、只今つておるバツク・ペイの物価指数の上昇という線は生活指数だけを見ただけではないんですか、ほかの生活指数まで合部まぜてやつておるんですか。私の知つておる範囲においては、その際は物価生産指数は、これは二十九年度なら二十九年度の米価をきめる際に入るから、それを除いて生活分だけを支払う。さつき申上げました通り、約十六円全部をくれてくれという要求に対して、生活分だけだというので五億何千万円かが出たと、こう思うのです。それがバツク・ペイの基本的思想になつておれば、それは米価とは全然関係のない実質のものだと思うのです。
  164. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) パリテイはこれは農家経済調査からとつておりまして、これは全農家の購入品目をとつておりまして、生活資材ののみならず、経営資材も全部入つております。そのパリテイの指数の変化でございますから、特に生活資材だけの分ではないわけであります。
  165. 清澤俊英

    清澤俊英君 そのとき、その当時の追加払いというものがきめられたときには生産と生活とを分けて、そして生産費材が上つた分だけはその年度の米価をきめるときに加えるから、これはここで追加払いすることは要らないという、それで前の年の七月からの上つた生活の分だけを追加してやるのだ、こういう建前ででき上つた性質なのであつて、米価とは全然別なんです。そいつを米価とごつちやにしてしまわれると、これはとんでもない間違いが出て来る。皆は歴史を……、何かそこを違つているのじやないかと思うのです。或いは或る時期に変えられたか、それは知りませんですが、変えたならば変えたということをはつきりさして頂きたいと、こう思うのです。それでなければ理論が立ちません。
  166. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 米価と別の問題ということになりますと、それはどういうことになりましようか。従来のバツク・ペイの思想は、つまりその年から遡つて四ヵ月、五ヵ月、それから前に三ヵ月と、こういうことは只今お話がございましたように、その期間のとり方としては資材の投下は過去三ヵ月ぐらいの期間をその面から考えて行き、それから今後の生活という面からしてあとの九ヵ月をとるという、いわゆる三九方式というのはそういう考え方からとつておるわけでございまして、期間のとり方としてはそういう形になつておるわけです。その期間をとる前の三ヵ月、あと九ヵ月という考え方としては、御指摘のあと九ヵ月はそれによつて生活を賄つて行くのだと、こういうことで九ヵ月をとり、それから資材の関係で前に準備する点があるから前の三ヵ月をとる。この前三ヵ月とあと九ヵ月の平均パリテイでやると、こういう問題じやなかろうかと思うのでございます。
  167. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこでさつき一番先に申上げた通り、このパリテイというものが初めて生まれるときの歴史はさつき申上げたような理論から、従つて上つたもの全部、値上りしたものの全部、さや全部を農民にやるということはこれは非常に不合理だ。だが併し実際問題として、前年の米価は前年の十月三十一日を基準にしてきめられるのだから、又その年の米価はその年の十月十一日にきめられるから、その資材の値上りはそこで米衝に織り込まれるから、そこでこれは皆やることは要らないのだ。前の年にきめた八月からその年に生活が上つた分だけはこれは見てやる、こういうのでその点を中心にしてパリテイというものができたものだ、米価というものとは全然関係がない。パリテイか上つた中に含む、生活の分だけを一つ見てやろう、こういうので出ているのです。そういう歴史ででき上つたのが追加払いだ。それが元なんだ。そうして見ますれば、パリテイ価格というものとは全然縁が切れる。私はそう思う。だから特別加算というような、その米価をきめる年に、その年度の米価をきめる年に特別加算をしてやらなかつたら困る。こういう建前から言つて、米価の決定とこれは全然因縁が切れている。議論が別なんだというふうに私は見るのですが、これは大蔵省といえども何か考え違いをしているのじやないか。まあいずれ明日は出て来るらしいから、そつちのほうでやりますが、一つそういう点もお調べになつてしつかりやつて頂きたいと思います。
  168. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私の質問に対する前谷長官のお答えは非常に抽象的で、私の開かんとするところに答えておられないのですか、もう一度念を押しておきたいと思います。それは米価審議会における大蔵省の河野次官の発言の内容を見ると大体二つになつていると思うのです。その一つは、米価というものはパリテイだけできめられているのじやない。各種の奨励金とか、加算額じやない。各種の奨励金とか、加算額等が附加えられて、そして面もかなり計画以上の大幅な金が昨年は出ているから、従つてバツク・ペイをする必要がないのではないか。これが一点。それからもう一つの点は、消費者米価には関係が深いので、こういう緊縮予算を強行しておる現政府としては、デフレ下においてバツク・ペイをするということは、むしろそのデフレ政策に一つの逆行するもののように考えられるので、そういう点も考慮してこれは再考の余地がある、而も米価に関しては公約ということをよく言われるけれども、これは麦価と違つて必ずしも公約ではない、法律で規定されておるんではなくして、そのときの経済情勢如何によつて考慮されておる、こういうようなことを答えておられるように思うのです。従つて私のお伺いしたいことは、今の河野次官の強硬な反対論に対する第一点の考え方、これはさつき委員長も質問されたけれども、私どもの見解としては米価決定の骨格というものは飽くまでパリテイが基礎である、その他の奨励金とか、加算額というのは、そのときの社会経済情勢によつてこれは考慮されておるのである、飽くまでこれは附加的なものである、ですから基本の米価の考え方というものは、少くとも現段階においては価格パリテイが基礎になつてきめられて来ておるというふうに我々は理解をする、この考え方に間違いがあるかどうか、農林省当局とされてはそういうふうに考えて米価の計算をしておられるのかどうか、この点を一つ先ずお伺いをしておきたい。
  169. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘の大蔵省当局のお考え方の点はその三店だろうと思います。第一の点は、これは価格の建て方の考え方で、大蔵当局はバツク・ペイというものを価格パリテイ方式に附随する建前の制度だ、こういう考え方をとつております。我々は価格パリテイ方式のみならず、基本価格パック・ペイというものは価格の建て方と同時に統制との関連がある。直接統制が実施されておりまして、米価に対する国家買上げと申しますか、政府以外に売れないというところにバツク・ペイの意味があるのだ、その価格というものも、その当時におきまする一つの一定した年間他の物価の変動に応じない価格としてきめられておるという統制方式及び価格決定方式を般から来る制度であるという考え方をいたしておるわけであります。それについては、只今御指摘のようにいろいろ我々としても論旨を明らかにし、それに必要なデーターを揃えつつあるわけであります。だから考え方にはいろいろあると思います。併し考え方、見方としては我々は只今申上げたような観点で考えておるわけでございます。第二点の財政の問題になりますると、これ又別の金がないからということだけだろうと思います。それからもう一つの点の法律制度の問題になりますると、御承知のように麦とは異なりまして、米価の法律の規定というものは、パリテイ云々というふうなそういう規定はございません。従つていわゆる先般大蔵当局が申しましたのは、法律上の規定からして当然やらなければいかんという筋合のものではない、こういうことを言つたのだろうと思います。これは事実だと思います。ただ併し法律の問題とは別個の政策の問題としての問題は、約束という問題はあるわけであります。
  170. 清澤俊英

    清澤俊英君 何遍言うても同じことになりますがね、価格という問題は、もう今から見れば二十八年の十月二十一日に大体きまつてしまつた。これは前年度の二十七年の十一月三十日からの間の山ですね、これをいろいろ政治的に考慮して二十八年の十一月の一日に価格をきめた、こうまあなつている。ところがそのあとの今度は二十八年度のこれをきめる際には穴がある。この穴のあいているうちに物が上つて来て困るから、その生活部分だけを見てやる、但し物価等の上つて来た、生産手段その他が上つ来て、いろいろの政治的な考慮は今度は三十九年度の米価をきめる、二十九年度のパリテイをきめる際に政治的考慮をしてやるから、こういうのでここで一応切られている。そうしますと、米価とは何ら関係のないこれは性格を持つてやる。私はあとでよく長官にそれができ上りましたところの歴史を一つお話してみようと思う。これは皆さんにお聞きしてからでもいいので、それが呑み込めれはこれはよくとれる、よくわかる、大蔵省もよくわかる、米価とは全然違つている。そういう建前で、出て来たので、これが最近のここ二、三年の物価の上昇線などを通つているから、そこの急激な何はわかりませんのですけれども、二十二年から四年ぐらいまで参りますときのあのひどい値上り、そうしますと、実際十二月頃、あの時分籾摺機一つがゴム輸が三十六円しましたのか、それがもうその年の春先になりますと六十円ぐらい、二倍ぐらいに直ぐ飛び上つてしまう。そういう飛び上り方をずつと経て来て、特に農機などにおきましては恐るべき上り方をして止められない。そこでそういう問題が出ときに、そういう資材の上つたものまでをここで追加払いすることはできないが、それはその年の米価をきめるときやつたらいい、但しそれと一諸に上つて来る生活のものだけは、これは何といつても前の年にきめるので、一年できめるので、それを自由に、その値上りと一諸に米を自由に値上げしておくわけに行かないので、抑えられている農民に対してはその分だけの生活を補助してやらなければならん。そういう建前できめられたのが追加払いの方式なんです。そうしますと、米価というものと全然違つているのに大蔵省か小理屈を言うのは私は許されないと思う。新たに社会情勢が違つたからその点を別に考えるというのならこれは別ですか、私はその当時与党の衆議院の農林委員としてその局に当つて来たのですからよく知つています。GHQに数十回寺島君などと行つて、漸くそこまで納得させた歴史を持つているのですから、それに間違いありませんし、今更それを米価とごつちやにしてかれこれ言われても全く迷惑千万です。これは一つ調べて下さい、出て来ますので……。
  171. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) まあこれは表現の問題かと思いますが、つまり米価と関係がないというのではなくて、只今のお話のような経緯はあつたわけです。つまり純粋の価格パリテイ方式によつてバツク・ペイを認めないという場合におきまして、インフレ期においてその後の物価騰貴によつて一年間の価格変動のない米の買入価格の場合におきましては、あとで生活に困るじやないか、こういう議論があつた。そういう議論から価格の建て方というものをどういうふうにするかということで以て、バツク・ベイという方式を入れることによつてそういう欠点が除去できる、まあこういう形になりましたので、趣旨はその後の物価変動に対する農家の生活の関係を考えて行くという趣旨で起つて参つたということは我々も承知いたしておりますが、やはりそれは米価形成の一つの方式としてそういうことがとられたのでありまして、理由と形式とは又これは別になります。
  172. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題になつております昭和二十八年産米のバツク・ペイの問題につきましては、農林省の見解と大蔵省の主張される点とを併せて御説明があつたので、かなりいろいろ問題があるようでありますが、思いまするのに、生産者が自由に時期を選択して売るということを制約されておると、九月末のパリテイで一応の販売を余儀なくされなければならないという状態に置かれておるという国家統制の限りにおいては、年間平均パリテイでそれを修正して行くということは、これは当然なことであつて、その他に附加されておる各種の奨励金があるから、それはすでにバツク・ペイに相当する部分が支給されておるのだというところまで拡大して解釈して行くということ、これはどうも理論的には筋が通らないと思いまするのであり、農林省もそういう見解に立つておられるようでありますので、ひとりこれはただ生産農家の利益という問題ではなくて、この問題が飯島委員もお話がありましたように、食糧の管理統制という基本のことに影響を持つて来るとなりますれば、社会不安にも繋がる重大な問題でありますので、各委員からは意見を付けて質疑がございましたことと思いますが、農林当局としては十分その趣旨を了せられまして善処されることを特に希望し、なお、このことは明日も大臣お出でになりますれば更に十分御質疑を願うことにいたしまして、本日はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思いますが……。御異議ないと思いますので次の問題に移ります。   ―――――――――――――
  173. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、本年度産麦類検査の件を議題にいたします。  この問題は、先月二十九日に本委員会におきまして問題になつたのでありまして、本年度の問題、特に九州地方におきまする麦類の品質に鑑み、六等麦を設けるべきではないかという問題であり、その後の情勢等を具体的に勘案して善処をするというようなお話であつたのでありますが、その後の処置をどういうように取進めておられるか、農林当局のその後の経過を先ずお話を頂きたいと思うのであります。
  174. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 麦類の本年度における品質の問題につきまして、当委員会からもお話がございましたので、その後我々末端の機構を通じまして調査をいたしておるわけでございます。  第二点は、どういう見込であろうかという点でございますが、これを昨年度と比較いたしますと、昨年度におきましては、大体大麦、小麦、裸麦を通じまして六等麦に相当するものが約百万俵程度あつたかと思いますが、本年度は現在我々が見ましたところによりますると、まあその半分程度ではないか、昨年度におきましては全般的に作柄が、作柄と申しますか、品質が不良であつたわけでございますが、本年度においては、その地域が、著しい地域には九州、四国の一部、中国の一部、こういう点に見られるようでございます。又現在の買上状況から申しますると、大体七月十日現在でございますか、昨年度におきましては、今体で十八万俵程度でございましたのが、同期におきまして、本年度においては二百一万俵と約十倍程度の政府の買上になつております。その状態の下に七おきまする検査の状態を見ますると昨年度よりも悪くはなつておらないと、こういう状態でございます。で、六等麦の、災害麦の検査につきましては、我々といたしましても当委員会及び衆議院の委員会からも御申込がございましたので、これにつきまして現在歩留まりの試験その他いろいろな事態を調査をいたしておりまして、大体七月一ぱいにはその調査のデーターができ上ることだろうと、かように考えておるわけでございます。そのデーターに基きまして、その内容或いは買上の適否を早急に検討いたしまして、できれば七月末或いは遅くも八月の上旬には最終決定をいたしたいと、かように考えております。
  175. 森八三一

    委員長(森八三一君) この出題につきましては、二十三日の朝日新聞か、毎日新聞であつたか、衆議院の農林委員会で食糧庁長官がこの件の質問にお答えになつたという趣旨で詳細な記事が出ておつたように記憶をいたしておりますが、その記事の記憶を辿つて考えますると、特定の地域においては六等麦の検査を実施しなければならんのではないか、それに関係する、只今お話のような具体的な調査の取進め中であるので早急決定を見るであろうというような御発言の要旨のように受取つてつたのでありますが、大体そういう方向に進行しておるものと了承していいのかどうか、その辺の情勢をお伺いいたしたいと思います。
  176. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 先般の二十三日の新聞は、たしか日本経済かと思いますが、実は私の発言内容と全然異なつております。その当時におきましては、本委員会で申上げた以上に、もう少し我々としては現在の食糧特別会計の事情、それから昨年度におきまする六等麦買上による食糧関係の損失及び飼料関係に対する影響その他諸般の情勢からして買上げることは不適当であるという趣旨で実は申上げたわけであります。ただその際に九州からの調査の結果によりまして再考慮をすべきであると、こういう御趣旨でございまして、それにつきましては、只今申上げたように七月中に資料を終えて何分の決定をいたしたいと、こういうことを申上げたわけでございます。
  177. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 六等麦の問題については、関東地帯でもその後の天候情勢によつて六等麦でなければ到底売渡しかできないだろうという情勢が最近になつて出て来ております。従つてこれは昨年でしたか、地域を限定して六等麦を買上げる云々ということがありましたが、今年はやはりそういう地域に対しては制限なしに買上げるのでしようか、六等麦を決定した場合……。
  178. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 昨年におきましては、実は災害対策の一環といたしまして、そういう災害法規で地域を決定いたしまして実施いたしました。その地域につきましては災害に伴う法律がございまして、その法律が実施される地域のものを買上げる、こういう形にいたしたわけでございます。本年度におきましてはその事情はないわけでございます。実は私も昨年度と本年度との異なる事情というものを御説明いたしたわけでございまして、昨年度におきましては、そういう法律の施行によつて当然災害対策の実施される地域というものが決定いたしたのでございます。今度はそういう災害対策の一環という意味ではなく、麦の取扱いとして考えるということになりますると、これを地域を考えて限定するということは、私たちとしては困難ではないかということを申上げたんです。従いまして、むしろ我々としては問題を消極的に考えざるを得ないと、こういう趣旨を申上げたのであります。
  179. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大体八月の上中旬には決定されるという御意向のようでありますが、なおこれと関連して、昨年買上げられた六等麦ですが、現在数量或いはこの前委員会のときにその数字等もお伺いいたしましたが、その後の変化等を一つお聞かせ頂きたい。
  180. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) その後我々のほうといたしましては、六等麦につきまして、大体大麦は処分いたしました。問題はやはり裸麦でございますが、約まだ二万トン程度つておりまして、これを現地におきまする入札として処分をいたすということで処理を進めております。これは現在の状態から見ますると、食糧品として普通の加工の形態において処分されるということは相当むずかしいのではないかというふうに考えます。或いは飼料の用或いはその他味噌、醤油とか、そういうふうな用途として行くのではなかろうか。ただ我々の態度といたしましては、これは普通の売却方法では困難でありますから、その附近における競争入札の制度、それから用途の指定をしない。こういう態度で以て進みたい。
  181. 森八三一

    委員長(森八三一君) 別段御質問がございませんければ、次の問題に入りたいと思いますが、特にこの問題はお話がありましたように、只今まで受検をしたものの関係から申しますれば、昨年の同期の実績に比べて必ずしも品質が非常に低下しておるというような具体的な数字をつかむことは困難であろうと思いますが、現地における実情等について関係者の陳情等を頻繁に承わりますると、本年の作況等からして、農家の庭先にはかなり六等級に相当する数量が手持の姿で滞貨しておる。若しそれが一般の市場に等外品として出廻るということになりますれば、非常な大きな経済的な損失をこうむるであろうということで憂慮されておるという実態であるので、検査の数に出て来たものだけで結論をつかまれるのではなくつて、生産全体量に対する等級別数量かどういうように出ているかというような実態を千分に把握せられまして、特別に品質の低下している地域等につきましては、六等麦買上の措置等を講ずるような臨機の措置を十分に考慮して頂きたいというように考えるのでありまするから、調査じやなくて結論を早くつかまれまして善処されることを希望いたしておきます。   ―――――――――――――
  182. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、食糧対策協議会審議経過の件であります。  かねて食糧対策協議会において、政府の諮問に応じまして食糧管理制度について審議中でありました。去る七月十七日の協議会において答申がなされたようでありますが、本日は食糧対策協議会の審議の経過及び結果並びに答申に対する政府の取扱方針等について説明を頂きまして質疑をいたしたいと思います。  先ず経過並びに取扱方針等につきまして、食糧庁長官の御説明をお願いいたします。
  183. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 食糧対策協議会におきましては、協議会の成立は昨年暮でございましたが、本年の一月以降十数回に亘つて協議会が開催されたわけでございまして、最終的には小委員会を開きまして、答申案の起草をいたし、小委員会を数回開催いたしまして、本月の十七日に最終的な答申になつたわけでございます。  その答申の骨子は、お手許に答申案につきましてお配りいたしてございまするが、大体におきまして、方針としては自由な取引を認めて、政府の関与を最小限度にとどめることか望ましいが、戦後における食糧の需給の関係等からいたしまして、又国際収支の点等による外米輸入の困難性というふうな点からしまして、早急に根本的な解決を図ることは困難であろう。従つて根本方針といたしましては、極力国内の食糧増産を行なつて自給度を高めると同時に、需要の点におきましては、食生活を改善して需要の転換を図ると、そういうことが必要であると、こういう観点に立ちまして、差当りの問題としては、現在の社会、経済情勢に即応して、現行制度の改善を図るという点に答申案の趣旨がおかれておるわけでありまして、その内容につきましては、集荷問題、配給問題、価格問題、金融問題、輸入食糧問題、食糧増産問題、食生活の問題、闇米防止の問題、この八点のそれぞれについて改善すべき方針と申しますか、方面を指摘されておるわけでございます。  集荷問題につきましては、供出制度が現在の社会、経済情勢にそぐわない点があるから、集荷団体の活用を図ることが適当であろうということを謳つておられるわけでございますが、ただ二十九年産米につきましては時間的な関係があつて、十分な準備をしないでそういうことに移ることは困難であるから、現在の行政権による割当と並行してそういう制度をとることを考えてはどうかと、こういう御提案をされておるわけでございます。配給制度につきましては、やはり一定の配給を維持するということは、国民経済的にも、国民生活的にも必要である、ただ現在の配給制度の下において改善すべき点があるから、その点を改善することが必要である、こういう点を指摘されておるわけでございます。その他の点につきましては、極く抽象的に方針を謳われておるわけでございますので、お読み願うと明瞭になると思います。  これに対しまして、我々といたしましても、この答申につきましては、その線に沿つて検討いたしておるわけでございますが、本年におきまする時間的な関係及び今年におきまする作柄の状態、先ず集荷制度につきましても、予約制度というようなものは平年作を前提としてすべて問題が討議されておりまするので、異常な場合におきまする状態をどうするかというような点を具体的に検討いたしまして、今年度の実態に即応して答申の趣旨を生かしつつ如何にするかということを現在部内におきましていろいろ検討いたしておると、こういう情勢にあると思います。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 今頂戴しております食糧対策協議会答申という、これは全体か答申書なんでございますか。
  185. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) さようでございます。
  186. 清澤俊英

    清澤俊英君 それと、大分新聞等で見ますと、農林省の実際の運用方式においてはちよつと違つたところが出ておるように見えますが、農林省の今考えておられるところを一応これと対比してお聞かせ願いたいと思います。
  187. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今も申上げましたように、具体的に我々としてはいろいろ検討しおるわけでございますが、先ず集荷問題といたしましては、この答申案も二十九年産米については別途の経過的措置をとらざるを得ないだろうと、こういうことで、別記といたしまして、現行の割当制度をやり、同時に集荷団体による集荷をやると、この両方建で考えるべきだろうと、こういう点が指摘されておるわけでございます。この意に沿つて具体的に実はどういうふうな割当方式をやり、集荷団体による集荷につきまして、具体的にどういうふうな方法が現在としてとり得るかということを検討中でございます。
  188. 清澤俊英

    清澤俊英君 この配付せられました参考書を見ますと、前にも一遍問題にしましたのですか、純粋の生産者代表と見られるのは新潟県知事と、全国農業委員会協議会会長くらいなもので、あとは大体農林省に過去において深い関係を持つておいでのかた並びに大体あとは消費者が中心になつて食糧対策協議会委員ができ上つていますか、これに対しては私ども非常な不満を持つているのですか、こういう顔振れをおきめになるときはどういう観点から、実際供出をする農民の気持というものを織込むことが、できなかつたかという点について非常に疑問を持つておりますが、この顔振れをおきめになるときの方針をお伺いしたい。
  189. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この食糧管理制度の問題は生産、消費、それから国家財政、又一般国民経済にも非常に影響するとこるが多いわけでございますので、それぞれの分野における学識経験者に集まつて頂きまして、広い分野におきまして検討して頂く、こういう考え方でございまして、それぞれの面におけるそれぞれの学識経験者をお願いいたしたわけでございまして、生産者代表、消費者代表とかいう考え方ではございませんで、生産集荷の面にいろいろ明るいかた、或いは消費の面に明るいかた、財政金融の面に明るいかた、そういう意味で一般的に各方面の学識経験者というお立場から選定いたしたわけでございます。
  190. 溝口三郎

    溝口三郎君 食糧対策協議会の答申につきまして只今説明を伺いましたが、この答申によりますと、現在の食糧の需給関係等から、当分の間は直接統制を続けて行きたい、そうして集荷制度なり配給価格等に触れて改善の方法を答申しておられるのですが、その根本におきまして、将来日本の食糧増産を強力に推進して行かなければいけない。もう一つ、食生活の改善をやつて行く、この二つの基本線を前提にしまして当分の間は現在の統制を続けて行くというふうに答中がなつておるのでございます。そこで配給問題につきまして、その内容に、米の配給は内地米、外米を一括して十五日分は続けて行くんだ、そういう目標でやつて行かれるようになつております。只今の食糧増産の状況から言いますと、毎年入口の増加と潰れ地のために減産して行くのとで二百四、五十万石が不足しておるので、土地改良、耕種改憲程度では六十万石程度より補給ができていない。食糧増産については政府は非常に努力しておられるのでございますが、毎年の需要増に対しては三分の一程度よりか現在はできていないんだということになりますと、順次外米は現在の内地、外米をくるめて十五日を維持して行くということになると、四、五年の間には百十何万トンの外米はもつと五、六十万トン殖えるようになると思うのでございますが、その間に麦のほうを希望する者には麦に振替えるというようなこともありますが、そういう情勢になりますと、この統制というものはいつまでたつても現状を続けて行くより仕方がないんだというような見通しになるのですが、食糧増産の問題、食生活の改善については直接長官のほうとは御関係は大いようでありますが、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか、お伺いいたしたいと思います。
  191. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今溝口委員の御指摘のように、根本の考え方が国内の増産をもう少し強力に推進することによつて供給力を増加し、一方におきまして食生活の改善を推進することによりまして需要の転換を図る、でき得るだけ需給のバランスがとれて、そうして更に需給なり価格の調整がとり得るように政府の手持米の補強等の措置をとる必要があるということが、この案のできました場合におきまする会長の御説明によつても、趣旨がそこにおかれておるわけでございます。従いまして、食糧増産の問題につきましては、特に強力にこれをやるべきじやないかという点をこの答申案につきまして補足して御説明かあつたわけでございまして、食生活の改善につきましては、学校給食の拡充ということのほかに、酪農関係の強力なる奨励を図る必要があるというようなことを謳われておるわけでございます。御趣旨の点は当然そういう建前において行われております。ただこれが具体的にどういうふうな状態になるかということは、御承知のように食糧増産は一つの長期の計画でございますし、食糧需給関係はその年々の需給をどうするかという問題でございますので、その間にタイムラグがあるわけでございます。食糧の需給の面につきましては、配給面においておおむね十五日ぐらいの配給を維持する必要がある、これは勿論平年作のベースにおいて考えられておるわけでございまして、輸入食糧の面におきまして、やはり国内食糧の増産と貿易政策その他を考えて、米の輸入というものは一定限度に限定をする、不作その他の事情によつて配給日数を維持することが困難の場合においては外米の輸入量は殖やさないように努めるんだ、こういう趣旨が謳われたわけでございます。従いまして、この配給の問題につきましては、平年の状態においてはそういうことが可能であるが、異常の場合においては麦その他のものを以てこれに替えるということを考えたらどうか、こういうふうな趣旨において答申ができておるようであります。
  192. 溝口三郎

    溝口三郎君 食糧増産については、御承知通り非常に従来から御努力しておりますが、なかなか思うようには行かない。だんだんに人口が増えるに従つて輸入の米麦が殖えて行くような情勢になつておる。これは別の機会にも食糧増産をどういうふうに展開して行くかということについては討議しなければならないと思いますが、従来の私考えておりまする食糧増産について、これは食糧庁とは全然立場が違う。食糧増産は食糧増産でやる。食糧庁のほうは配給や統制をやつて行くというようなことで、その間に余り連絡は私はなかつたのじやないかと思うのでございます。そこで食糧増産をやりましても、順次、毎年財政投資をやつて行くに従つて増産もできて来ております。それが直接数字に現われておる。そして割当供出のうちにそれが入つて行くんだというふうに行かないから、土地改良をやつてもどこへ行つてしまうのだという論も出て来るのであります。非常に多額に財政投資をやるのならば、そのうちの或る部分は確実に私は供出に入つて来るようになるような制度があればよいとは考えておりますが、今までどうもそれができなかつた。そこでこれから先に考えることは、今までの制度の拡充でありますか、食糧の配給のほうの部面からも、例えば昨年大麦、裸麦等の価格を上げれば十万町歩も麦作が殖えて来るのだ、価格を上げるようなことで食糧増産のできる部面もあるわけです。それ以外に食糧庁のほうでも何かいい方法はないか、そうして出て来た分は確実にそれは供出のうちに入つて来るのだというような方法を考える必要も私はあると思つたのです。ところで最近の新聞で見たのでございますが、御承知のように、只今世界銀行から農業開発の調査団が来ているのであります。その対象になりますのは、愛知用水、八郎潟、有明の干拓と北海道の泥炭地の開発でございますが、北海道泥炭地の開発の内容について、資金計画、償還計画等について新聞に相当詳しく出ていたのです。そこで償還計画についてお尋ねしたいと思うのでございますが、北海迫開発の事業が四百三十億で九十五万石の増産になる、そのほかに約九万キロの水力発電も行われる。そうして余剰農産物と世界銀行から借款をするのは百八十億で、それを償還をするのを、農家と国と水力電気の、この三者から償還をして行くのだが、百八十億のうち約五割の九十億については国が将来二十カ年で償還して行く勘定になる。毎年八億三千万円という数字まで挙つているんですが、その財源はこれは輸入食糧の補給金の節約の見返りによつてやるんだということが挙げられていたのでありますが、これは食糧庁が、こういう借款によつて食糧増産をやつて、九十五万石の増産をして行く。それは確実に供出に入るならは外米の輸入が少くなる。その補給金で見返りにして、年々八億二千万円を償還して行くんだというような計画を立てられたのかどうか、相当に汗しく新聞に出ておりますから、これはどつかから材料が出たと思うのです。その材料の出所について、食糧庁長官にお伺いいたしたいと思います。
  193. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点の食糧の集荷の問題と増産の問題がちぐはぐになつておるのではないか、これは溝口さん御指摘の通りであります。実は我々もこの増産と、この集荷の問題を何らかの形において結び合わす方法はないかということを考えておるわけでございますが、現実の問題としては、技術的に非常にその時の作況というようなものとの関連もございますし、増産計画にはやはり時間的なズレがございます。個々の農家の割当という形になりますので、これを結び合わすことも非常に困難と思うのであります。過剰農産物の問題につきましては、結論的に申上げますると、只今お話にございました輸入食糧の補給金で以てこれを償還して行く、こういうことは、私のほうとしては全然検討をいたしておりません。従いまして、そういう償還計画を私のほうから案を立てたということではございません。実はこの問題につきましては、まだ過剰農産物の処理の方法が明確になつておりません。つまりプラントで以て行くのかどうか、或いはどの程度数字になるのか、或いはロ―ンの形になるのかどうかというような点につきましては、先般アメリカにおきまして法案が通過いたしましただけでございまして、まだ現在までの状況では、この取扱い方針、内容等につきましては、先方においても検討中のようでございまして明確でございません。従いまして、そういう点についていろいろな考え方があろうと思いますし、又検討をいたしておると思いますが、詳細な点は全般をまとめまして、官房長のところでやつておると思います。我々のほうとしては、過剰農産物の処理と関連しまして、その需要の面、集荷の面を検討いたしておるわけでございまして、具体的な個々の償還計画につきましての点は、まだ私は具体的な案としては承知いたしておりません。ただこの点につきまして、いろいろ考え方があろうかと思いますが、只今御指摘の輸入補給金によつて云々の問題は、これは償還の時期等の関連もあると思いますが、現在の状況からしますと、早晩輸入補給金は必要なくなつて来るということになるんじやないかと思います。従いまして、この償還の問題は、国家が使う場合におきましては、国家全体の財政計画との関連において考える。輸入食糧補給金がなくなれば、他に全体の予算規模として余裕ができるということを考えられるかと思います。それをどう使うかというようなことは全般的な問題で、直接的に輸入補給金で以てこれに当るということは、輸入補給金が現在効んど要らなくなつておるという現状からいたしまして、検討を要する点だと思います。
  194. 溝口三郎

    溝口三郎君 借款による食糧増産の問題について明日伺いますから、その節に質問いたしたいと思いますが、今日は前谷君が御出席だつたものですから、新聞に相当に詳しく、只今申上げたような記事が出ているので、これは農林省のですね、一部かも知れませんが、出されてなければ、こういう細かい計算はあるべきはずはないのだ。私は食糧増産をするのは、農林省の中で部門が分れていて、食糧増産は食糧増産でやつている、供出はそれには全然関係なしにというやり方は、どうも今まで長い間やつたがよくないのだ。できるだけこの食糧庁も何かの方法で、供出を確実にするなら、予約奨励金のような意味ででも財政投資をやつて行くような方法があればいいということを、しよつ中考えて来たときに、この輸入の補給金の節約によつて外資の導入の節約に当つて行くというような計算が出ておりますから、何かそういう点について、農林省の内部でお話合があつたのかどうか。私はこういう問題について非常に、今度借款によつて食糧増産をやつて行くという可否については、非常に国民は、いろいろな関心を持つていると思うのです。そこでそのうちでも殊に大きな北海道の泥炭地の開発について、四百数十億の資金を要するのを、どういう方法でやつて九十数万石の増産をするかというようなことは、誰も国民は注意していると思います。そこでそういうような細部に亘つた記事が出ておりますから、これは新聞社がただやつたんだと、全然自分は相談も受けたことがない、関係したことはないのだというようなまあお話ではありますが、そういう点については、私は考え方としてはいいんじやないかと思うので、そういう点についても十分に御協議になつて頂いて、固まるものなら固めて頂くことが、借款をするについても有利な条件で行くような方向になるのじやないかというように考えるものですから御質問をした次第でございますが、なお今のお話では、全然御承知がないようでございます。それらについては十分に、どういうことから出た、そうして又若しそういう問題が出たならば、食糧庁としてはどういう基本的な考え方でやつて行くべきかということも十分御研究になつて頂きたいと考えます。
  195. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘の食糧の管理と食糧増産とは、我々も溝口さんと同様に、何かの結び付きばつけたいということは考えているわけですから、具体的には先ほど申上げましたように、時間的なズレの問題、技術的な問題で困難を極めているわけでございます。そういう考え方につきましては我々も十分持つております。なお、過剰農産物の問題につきましては、実はその内容につきましては、我我も具体的にいろいろ相談をいたしているわけでございます。御指摘の新聞の問題は、或いは一部の試案として研究されたかと思いますが、只今申上げましたように、まだ向うのほうの処理の問題等が出ておりませんので明確でないのです。これがプラントで来る場合と、ロ―ンで来る場合とは非常に違います。時間的な関係、運用の関係が明確でございませんので、まだ具体的に農林省としての方針は決定しておらないわけでございます。いろいろの検討はいたしております。勿論御指摘のように、我々も十分連絡をとつておりまして、食糧管理と増産とが全然別々だと、増産問題は我々は知らないというような考え方ではおりませんので、いろいろそういう面につきまして、過剰農産物の受入につきましても、我々はそういう面に如何それが、反映するかという観点から検討いたしているわけでございます。
  196. 清澤俊英

    清澤俊英君 今度直接にこの答申案を中心にしてお伺いしますが、只今新聞等を見ますと、農林省が大体二十九年度産米の集荷に当られる方針は、別記の集荷経過の臨時措置ですか、これを中心にして当られているように見受けられますが、先ずその点でお伺いしたい。それからその次には、やはり新聞を中心にして申上げますが、いろいろ各種奨励金等を整理して行くということと、大体においては早場米奨励金だけは考えるが、あとは大体米価に織込んで米価の一本化を図るというようなことが考えられておる。それから大局的に見ますと、低物価政策と関連して相当米価が抑えられるんじやないか、こういうようなことが考えられておりはしないかと思つております。そこで今伝えられているような問題が、仮に或いはこの凶作に対する、農薬の問題に対する大蔵省の見解或いは米価の決定に対しまする食糧庁の見解等が只今申上げました線に来ましたり、殊に増産対策である公共事業費の極端な節約等が入り混つて、若し農民の上に不用意に覆いかぶされるならば、当然二十年度におきまする生産が今日の約二分の一くらいの減産を来たした。これは生産の資材である殊に重要な肥料等のなかつたことや、労働力の極端な減殺等もありましたが、過酷な強制供米等が農民の心理に影響して、食うものだけ作ればいいんだ、こういうような考え方に変革しましたならば、これは重大な私は影響を将来に残すことだと思いますので、そういう観点から、仮に相当数を持つ零細農等がもう供出なんていうのは考えない、食うだけ確保するんだ、金がかからないようにするんだ、こういう考え方に変つて参りましたら、これは恐るべき結果を来たすと思いますので、新聞等に伝えられていることを中心にして、実際今どういうふうなことを考えておられるか、一応これらの点を明確にして頂きたいと思うのであります。新聞等では、大体私が只今申上げたようなことを農林省としては考えておられるんじやないかというふうに了承しておりますが、なお詳しく御説明願いたいと思います。
  197. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 全般的にお答えしなければなりませんが、確定的にまだ私といたしましても、集荷、価格の問題についてこういう構想を持つというふうな段階に至つておりません。いろいろ検討を始めつつある段階でございますので、その点をお断わりいたしておきます。第一の集荷の問題につきましては、この案から申しますると、大体事前割当式の方向になつておりまするが、本年度は時間的な関係もございまするし、又本年の作況が或る程度平年作とは異つた状態を呈しておるというようなことからいたしまして、割当の問題はやはり或る程度作況を見ないでは困難ではなかろうかという考え方の下にいろいろ検討をいたしている次第でございます、従いまして、その作況の判定が第一回に行われますのが八月十五日でございまして、これが八月末か九月の上旬にそういう状態が第一回の作況が出て参るわけでございます。そういう状態も同時に平年と異りまするので併せて考えなければならないというふうに考えておる次第でございます。価格の問題につきましては、これはこの案にもパリテイ方式と生産費方式と両方をいろいろ考えてみろというふうに、こういう御趣旨でございますが、生産費方式につきましては、従来ございまするいろいろな問題もございますので、そういう点も十分検討いたさなければなりませんし、パリテイの方式をとる場合に、奨励金の整理という問題は同時に集荷の問題と相当関連するわけでございまして、我々としても結論に達しないで、集荷と見合いまして、どういうふうにやるべきがいいかということをあれこれ考えておるという状態でございます。
  198. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の言うのは集荷量という問題よりは、今すでに凶作型になつておる、そこへ農薬の補助も何か大蔵省で、これは午前中やりましたが、やればこれは農民が持つことが当然だというようなことで、まあ自由党も大分骨を折つて、そういう補助金ども出るようにだんだん考えておられるらしいのですけれども、最近の傾向は何か知らん米価の問題にして見ましても、生産量の問題にして見ましても、只今問題になりました追加払の問題にして見ましても、いろいろな点で藪から棒式にこれを理論立つて、農民の納得しない理論立てを以て押付けようとしておられる、こういうものか出て来ますと、集荷という問題の前にもう生産意欲も失つて来る、これは実際あることなんです。殊にたくさんの五反百姓を有している日本の国の現状としましては、もう自分たちの食うだけのものをとつたらいいのだ、どうせ供出などはたかがきまつているのだから、経費をかけないほうがいいのだ、何かほかのほうへ行つてその分だけ稼いで来たほうが早道だ、こういう考え方が出て参りましたらば由々しい大事なんだ。こういうことを申上げているので、従つて集荷技術とか、或いはデフレ政策だとかいうことをお考えになると同時に、この千八百万ですか、農民に対しまするところのその心理というものを、生産心理というものをよほど重要性を持つて考えて行かなかつたならば、これは重大問題を私は招来すると思いますので、ただ理窟だけで人間の世の中のことはそう簡単に解決できないものだと思いますのでそういう点に対する御見解に対しては十分御考慮に入れて、新聞等の発表に対しても、現に凶作にかかつておる、仮にこれを借金をやつて農薬を買つてやるかやらんか、これは重大な問題であります。而も米価は低米価を見込まれる、バツク・ペイが来るのだか、来ないのだか、大体の線の……今受取つておる心理では来ないと、こう見ている、これも駄目になるのだ、こういうようなものが嵩んで来ましたら、凶作に又凶作の馬乗りをする、凶作のおい重なりをする結果を生ずると思いますので、新聞等の発表に対してもよほど注意をしてやつてつて頂かなかつたならば、私は重大な問題を招来すると思いますので、その点の御考慮を特に促して、そうして大蔵省との折衝に対しましては本当に真剣になつて二つ取組んで頂きたいと思います。
  199. 松浦定義

    松浦定義君 まあ時間が遅いですから、ちよつと簡単にお尋ねいたしますが、今ここへ発表されたこの答申案のような、これは無論今日の情勢としては、政府としても全部のことを了承するということはできないにしても、大体においてこの線ぐらいは実行するように踏切らなければ、私は食糧対策の実現というものはできないと思うのですが、そういう点について先ず一つどの程度の決意を持つておられるかお聞きしたい。それからもう一つは、こういうような答申を求めるまでもなく、昨年の実態から言つて、本年はもうすでに、今日我々の委員会に対してもむしろ政府の方針というのはこうであるということを御発表を願うくらいにまでになつていなければならん、こう私どもは考えているわけなんです、そういう意味でまあ政府自体としてはこの答申案によらないでも、どの程度のことは考えているのだというような御方針等があれば承わりたい。それともう一つは、若し本年或いは今後の条件が、先ほど午前中にもお話がありまして、今後の気候の条件にもよるというような一つの話もあつたんですが、大体今の情勢でありますと、恐らくこれは昨年よりも相当悲観したような結果になるのではないか、一説には或いは五千万石を割るかも知れないというような悲観的な意見もないわけじやないのですが、そういうような情勢の中に立てるこの食糧対策というものは、まあ今からやはり農民個々に対して相当の政府の熱意を示されない限りは、いろいろな面について、最後にただ供出の時期だけについてこういうような答申に基いてやるんだ、併し多少時期が無理があるから、本年は本年として取りあえずこういうふうな方法だということで、まあ来年に一つの見通しというか、或いは又農民に一つの希望を持たせて本年の供出に対して相当又無理をかけるというようなことではどうかと思うのですが、そういうような情勢についてはこういうふうにお考えになつておりますか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  200. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 答申案の取扱い方につきましては、相当委員のかたもいろいろ御検討を願つて答申を頂いたわけでございますので、我々としては十分この線を実現いたしたいと考えております。ただ只今松浦さんの御指摘のように、この問題は一つの平年の状態を基礎にした状態でございまするし、時間的な問題もございますので、とり得るものをだんだんにとつて参るということに考えて、具体的措置等についても我々としては検討いたしているわけでございますが、この問題は技術的な問題のほかに根本的な考え方の問題がある。先ほども御指摘のように、食糧増産等の問題につきましては、従来からも努力をいたしておりまするが、更に勢力をしなければならんというふうな点は我々痛感をいたしておる次第であります。ただ食糧管理の改善の問題といたしまして我々もいろいろの考え方を検討いたしておりまするが、更に我々のその衝に当りましたものの、何と申しますか、とらわれと申しますか、狭い分野の観点からではなく、更に広い分野からのお考えも承わりたい、こういう意味におきまして対策審議会を設置いたしまして御答申を頂いたわけでございます。この御答申と、又更に我々が平正関係いたしております現業的な考え方とを十分に調整いたしまして、その案を固めたいと、かよりに考えておりまするが、具体的に今どういう方針であるという段階までには至つておりませんが、御指摘のように本年の作柄の状態というものがございますので、その場その場でやつて行くということよりも、あらかじめできるだけ早く対策を立てて、そうして農民の御協力を願う、こういう御趣旨に対しては私ども全く同感でございますので、できるだけ早くそういう線を明らかにいたしたいと、かように考えております。
  201. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは継続審議しますか、明日……。それによつてちよつとお伺いしたい点等がありますが。
  202. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  203. 森八三一

    委員長(森八三一君) では速記を始めて下さい。
  204. 清澤俊英

    清澤俊英君 長官、この答申ではね、根本的に将来の食糧政策として、統制をはずすということが前提になつておるのですが、農民の恐らく考え方は、長い間非常に嫌つておりました統制に服したことは、将来においていずれ外国米によつて脅威を受ける時代があるだろう、その時代になつたならば、我々は一応国家のいろいろの保護を受けなければ、それと太刀打ができない、こういうことが主題となつて納得さして参つたことが、過去終戦後約九ヵ年に亘る事実だと思うのであります。そういう事実を何か知らん過去は過去のものとして、諸般の経済事情が変つてだんだんと安い食糧が国内へ入つて来るから、ここで統制を撤廃しなければならないというようなことがまあ議せられたということについてすら、私は余り直接の生産者の代表が出ておらなさ過ぎるのではないか。結局は消費者或いは企業家代表というようなものが中心になつて、大体の食糧政策の基本を審議せられたという感じが深い、こういうことを申上げるので、これに対しましては食糧庁長官としてはどのようなお考えを持つておられるか、農林省としては将来においてどういうふうに考えておられるか、非常に重要な点でありますから、決定しておらんとしますならば、長官の考え方でもいいですから一応お伺いして置きたいと思います。一番中心でありますから……。
  205. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御質問の点につきまして私の考えを申上げたいと思います。この食糧の統制の問題につきましては、これは二通りの内容に解釈しなければならないのではなかろうかと、かように考えます。第一の点は、現在の直接統制が現在の国民経済の現状から、或いは社会情勢からしてどう改善さるべきか、こういう点が一点あろうかと思います。それにつきましてば先ほども申上げましたようりに、食糧の自給度の向上なり、或いは消費の転換によりましてそうして、需給のバランスが立ち、而もその需給なり、価格の変動に対しまして政府が十分なる準備をなし得る、例えば相当数量の手持米が持ち得て、価格変動なり需給の変動に対して対応し得る状態が起りました場合におきましては、これは現在の直接統制方式は廃止しても差支えないじやなかろうか、かように考えております。ただ御指摘の農業政策なり、そういう面からしての関係になりますと、これは現在の直接統制とは関連なく、従来の成る程度米穀管理その他の方式によりまして農業の保護という面も行われて来たわけでございまして、これは必ずしも直接統制との直接の関連があるとは考えられないわけでございます。現に麦につきましては一定価格による無制限買入というふうな方式によりまして生産との調整も図つておるわけでございます。統制撤廃を完全なる意味での撤廃というふうにお考えになりますると、まあそういうことになろうかと思いまするが、やはり米は農家経済としては重要なる収入源でありまするし、又国民経済的に見ましても、消費者の面からいたしましても、米の動向というものは国民経済に対する影響というものが非常に大きいわけでございますので、その調整をするための政府の関与ということはこれに当然行わるべきであるというふうに考えておるわけでございますから、その程度なり或いは方法というふうなものは需給状況の変化もございますし、又経済的な国民経済の変化というふうな諸般の事情と併せて、その条件というものが決定されて参ろというふうに考えております。
  206. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は端的に一、二だけお伺いしたいと思うのです。こお答申の集荷問題の末尾に、「差当り経過的措置として」云々ということが記されておりますが、これはいろいろ長官の御答弁等を総合判断をすると、時間的にも或いは特殊のういつた超異常的な例外等を予見いたしますと、別記の方式も実施困難、こういうふうに考えられますが、大体方針としては、現行方式で行くとこういうことですか。
  207. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 私として時間的の問題もございますが、やはり集荷団体の協力を求めるという方式はできるだけとりたい。ただ時間的な制約によりまして、又本年の作柄等にもよりまして、これが完全にこの答申通りに参るかどうかということは問題でございまするが、その方向としては、本年度におきましても答申の当初に謳われておりますように、集荷団体の機能を活用するという考え方はとつて参りたい、かように考えております。
  208. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、遅くも八月中下旬には割当等もやらなくちやなりますまいし、一番基本的な問題は、例の米価の決定等を事前にやらなければならん、早期に決定する必要が起つて来るのですが、その米価の決定は先ほどいろいろ問題があつたように、早場米の奨励金であるとか、その他加算額等が当然これは問題になつて来るわけですが、これらについての準備等も今準備されつつあるわけですか。
  209. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘のように本年度の供出別当は、勿論先ほどの問題もございますが、従来よりも早めたいという希望は十分持つておるわけであります。又そうすることが集荷団体による協力ということもより容易になるということも我々十分認識しておるわけでございます。従いまして、その前提としての米価をできるだけ早く決定したいという気持は持つております。又それに対するいろいろな資料の収集等も手をつけておる段階でございます。
  210. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そういう大体お考えが明らかになつた以上、私はもう一度繰返して、これは強く要望しておきたいことは、昭和二十八年産の米に関するバツク・ペイか、これが非常に大きな関連を持つて参りますが、政府の狙いとする、つまりこういう昭和二十八、九両年を通じての凶作下における集荷対策を円滑に、面できるだけ国民食糧としての配給に事を欠かせないといういことが根本の眼目でありますから、そういう観点からすると、二十八年産米に関するバツク・ペイは数字の如何はおのずからこれは検討の余地があろうと存じまするが、バツク・ペイを断行する方針と決意だけは、少くとも農林当局としてはこの際大臣を中心として、特に食糧当局とされては固く材料なり或いは諸般の準備を整えられて、政府全体に当るということを私は要望したいのであります。それを若し崩されるということになると、折角集荷団体、恐らく大部分が農業協同組合というような組織になろうかと思いますが、そういう新らしい食管制度というものに対する政府の施策が出はなにおいて腰をくじかれるということになつて参りますが、これは私は政策的な兄地から非常に重大な意義を持つものと思うので、特にこの問題を繰返して要望しておきたい。
  211. 清澤俊英

    清澤俊英君 時間が来ましたから極く簡単でよろしいが、大体これはこの間から農業関係の人たちの寄合いがしはしばありました。その関係で寄つて参りました人たちかこの答申案について……、大体この答申案の集荷問題等は、穀商連、全糧連の曾つて発表した集荷対策というものをそのままここで決定しておるのに対して非常に反感を持つておりますが、その点の事情はどうなんですか。
  212. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは各委員会に集まりました委員の意見の最大公約数として結論ずけられたものでございまして、その間にはいろいろの意見が出ております。併し今のお話の全糧連の案というようなものは何か誤解じやないかと思います。そういう考え方ではないように私は聞いております。ただ根本的な予約制度につきましては、農業協同組合系統におきましては、いろいろ審議されて試案も持たれておつたということは承知いたしております。
  213. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体農協関係というよりは農民関係における予約制度という考え方は、生殖請負という形における予約と、こういう考え方はずつと前から持つておつたと思うけれども、供米が済み、供出割当を強いて、そうしてそのあとの何と言いますか、操作米と言いますか、事実はどうでもよいが、いわゆる操作米というようなものを予約形式でやるということはちよつと考えておらないと思うのですか、本年も余り成績がよくなかつたのですから……。
  214. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この問題につきましては、答申の根本方針が集荷問題につきましても一つの考え方があるのでありまして、一つ別記の問題は本年の問題といたしまして、時間的な関係その他の関係から、これは例外的措置として、本年はこういう程度のことが考えられるし、又止むを得ない点があるのじやないだろうか、こういう点でありますので、只今清澤委員のお話の生産予約にしましても、本年やろうとしてもできない過渡期の問題と根本的な問題と、これは一つ区別して御覧おき願いたいと思います。
  215. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最後に一つ確認しておきたいと思いますが、先刻長官の御説明では、本年度の食糧管理の対策についてはこの答申を可能な限りにおいて採用して行きたい。併し八月十五日の作況を中心にして考えるために、具体的な政府の方針の取極め等は、おおむね早くとも八月下旬になるであろうという点でありますが、大体そういうように了承して差支えございませんか。
  216. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この問題は時間的な問題として二通りにお考え願いたいと思います。最終的な意味での政府の全体の決定は、価格の問題にしろ、集荷の問題にしろ相当時間がかかると思います。併しこれは我々といたしましては、相当できる限り早くということを考えております。従いまして、事務当局といたしましては、事務当局の案としてはできるだけ早くまとめたい。それによつて折衝をいたしまするし、又割当等の問題になりますと、具体的には割当の実施をいつやるかという場合におきましては、これは少くとも八月十五日の作況を見なければならないというふうに、具体的措置といたしましては、割当につきましては八月十五日の作況を見なければいかんというふうに考えますし、又米価の問題等いろいろそういう状態、作柄の状態、又作況にも相当の時間を要しまするので、最終決定は只今委員長がお話になつたような状態、或いはもう少し遅れるかも知れませんが、そういう状態になるかと思いますが、準備なり、我々の考え方をまとめる過程といたしましては、もう少し早くやりたい。そうして最終目標を希望としてはその時期におきたいと、最終決定をかように考えております。
  217. 森八三一

    委員長(森八三一君) もう一つお伺いするのは、価絡の決定は、これは勿論米価審議会に事前にお諮りになると思いますが、そう了承していいのかどうか。
  218. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 勿論米価審議会にお諮りして決定いたすわけでございます。その時期等につきましては現存まだ決定いたしておりませんし、又その前の懇談会的な形で米価審議会を運営するかどうかということもまだ決定いたしておりませんか、そういう面については検討いたしております。
  219. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今議題になつておりまする食糧対策協議会の答申の問題につきましては、極めて重要な問題であり、ただ単に生産者の関係のみならず、消費者にも関連する極めて重要事項でありまするので、これが取扱いにつきましては、更に最善を期さなければならんと思いますが、最後に食糧長官に質問いたしました御答弁によつて明らかになりましたように、作業としては着々進行されるのでありますが、最終的な方針の決定は八月下旬或いはそれ以降になるであろうということでありますので、明日更に次回の委員会合等についてお諮りをいたしまする際に、そういうことも含めて又協議を頂くことにいたしまして、本日はこの問題は……。
  220. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで資料を一つお願いいたしたいと思うのだが、というのは、審議会の速記録があると存じますが、これを一つ資料として頂戴できませんか。非常に重要な問題でありますから、審議状況等をつまびらかにして、我々がまだ気の付かん議論等が出ているかも知れませんので一つ勉験したいと思いますので、審議の速記録を一部ずつ資料として頂戴したいと思います。
  221. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御承知のように、米価審議会につきましては公開として運営いたしております。対策審議会については非公公開として運営いたしておりますので、速記録の要略をとつたわけであります。部数を限定いたしまして委員に配付いたしております。るので、今刷つておらないのでございます。従いまして、できるだけ御希望の点は我々としても考えたいと思いますか、現在部数がございませんので、その点は御了承願います。
  222. 清澤俊英

    清澤俊英君 何とかしてもらえませんか。
  223. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を止めて。    〔速記中止
  224. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。只今清澤委員の御発言になりました食糧対策協議会の審議の経過に関する記録でありますが、懇談の際、食糧庁、長官からお話もありましたように、極めて厖大なものであり、なお今日までの取扱いが、委員だけに配付するというような、限定取扱をなされておるというような事情もよく了承はいたしますが、当委員会として、この重要な問題を審議いたしまするためには、参考資料として極めて大切大資料でもありますので、できる限りその要旨を集約して、適当な方法でできる限り早く配付されますることを希望いたしておきます。  それでは先刻も申上げましたように、本件の取扱いにつきましては、食糧庁長官からもお話がありましたように、最終的な政治の方針をきめられまするのは、八月下旬以降になるであろうというようなことでもございまするので、明日次回の委員会の日取り等を御審議頂きまする場合に、そういうようなことをも含めて、更にこの問題についての研究を進める時間が事前に持ち得るようになるかとも存じますので、そういうような含みを以ちまして、今日は本件につきましてはこの程度にいたしたいと思います。   ―――――――――――――
  225. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最後に、休憩前にお諮りをし、更に懇談を頂きました稲作等作況の現地調査に関する件であります。お諮りをいたしました試案としては、第一班から第三班までいたしたのでありますが、委員の皆様で、各会派それぞれ御協議を願いました結果、第一班は関根委員戸叶委員松浦委員の三名で、福島県、岩手県に八月三日から七日まで五日間、第二班は佐藤委員、岸委員江田委員、これは岡山を除きまして、河合委員、兵庫県を除きまして、兵庫県、岡山県に八月二日から六日までの五日間で、第三班は取止めにいたしまして、議員派遣要求書を提出いたしたいと存じますつが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないようでございますので、さよう決定をいたしまして、要求提出の取運びをいたします。  明日は午前十時から開会いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二十二分散会