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1954-06-09 第19回国会 参議院 内閣委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月九日(水曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員の異動 六月三日委員植竹春彦辞任につき、 その補欠として草葉隆圓君を議長にお いて指名した。 六月七日委員草葉隆圓辞任につき、 その補欠として植竹春彦君を議長にお いて指名した。 六月八日委員高瀬荘太郎辞任につ き、その補欠として廣瀬久忠君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            井野 碩哉君            廣瀬 久忠君            堀木 鎌三君            野本 品吉君   衆議院議員            高橋  等君   政府委員    内閣官房副長官 江口見登留君    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室統轄    参事官)    田上 辰雄君    総理府恩給局長 三橋 則雄君    南方連絡事務局    長       石井 通則君    科学技術行政協    議会事務局長  千秋 邦夫君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    外務政務次官  小滝  彬君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    外務参事官    (外務大臣官房    戦犯室長)   古内 廣雄君    大蔵省銀行局特    殊金融課長   加治木俊道君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○内閣及び総理府関係法令整理に関  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○航空技術審議会設置法案内閣提  出、衆議院送付) ○元南西諸島官公署職員等身分、恩  給等特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○恩給法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) これより内閣委員会を開催いたします。  議事に入る前に本日委員長不在委員会を招集いたしましたいきさつにつきまして御報告かたがた了解を願いたいと存じます。  内閣委員会開会につきましては、    委員の一部から成規手続を以て委員長に対しその要求がなされたのでありますが、委員長におかれては、六月四日以降の会期は無効であるとの御態度を取つておりまするので、会期委員会を招集して法案等審議を進める意思は全くないものと認められます。このような状態でございますので、昨日内閣委員懇談会を開いて協議いたしました結果、以上のような特殊事情にあるという点、及び定員法等重要法律案審議のため、この際は止むを得ず参議院規則第三十条の二の第三項の規定により、委員長に事故あるものと認めまして、理事の一人である私に委員長の職務を代理するようにとのことでございますので、本日委員会を招集いたしましたような次第でございます。  なお、事情変更のない限り引続き私が委員長代理として本委員会の運営を取運びたいと存じますので、この点も併せて御了解願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないものと認めます。
  4. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それではこれより議事に入ります。  先ず理事補欠互選の件を議題に供します。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 理事補欠互選方法成規手続を省略して、その指名を    委員長に御一任の動議提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは西郷君の動議通り委員長において理事を指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは御異議ないものと認めます。よつて委員長理事植竹春彦君を指名いたします。
  8. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは次に内閣及び総理府関係法令整理に関する法律案議題に供します。本案について御質疑のあるかたは御発言を願います。
  9. 植竹春彦

    植竹春彦君 本案は別に御質疑もないものと委員長において認められましたらば、討論を省略して採決に入られることの動議提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  10. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは質疑終了と認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは御異議ないものと認めます。他に御発言がなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより内閣及び総理府関係法令整理に関する法律案について採決をいたします。本案原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  13. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 全会一致でございます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  14. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 次に航空技術審議会設置法案議題にいたします。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 一点だけちよつと僕は質問しておきたいと思うのですが、これは研究部門だけの調整ですか。それとも若干一歩進んで、例えば今度航空機の製造なんかで通産省或いは保安庁いろいろのほうで問題がたくさん出て来ると思うのでありまするが、そういう問題についても、若干この調整というか、そういうことの研究にも入ることになるのでありまするか、その点だけ。
  16. 千秋邦夫

    政府委員千秋邦夫君) 直接生産関係のことについてはタツチしないことになるのでございますが、ただ生産の向上を図るために技術上の問題が出ました場合には、技術上の連絡調整をしなければならんというような問題については、この審議会関係する点があるかも知れないと認められると思います。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大体わかりましたが、それでは単なる研究機関だけの相互の調整ということでなしに、一般行政面についてもまあ技術上のことが中心となつて問題があるというような場合には、この技術審議会が間に入つて調整をとる、こういうようなこともあり得ると了承してよろしゆうございますか。
  18. 千秋邦夫

    政府委員千秋邦夫君) さように存じます。
  19. 井野碩哉

    井野碩哉君 一点だけ。これは予算関係あると思いますが、予算は幾ら計上してございますか。
  20. 千秋邦夫

    政府委員千秋邦夫君) この審議会に関する予算につきましては、只今のところ計上されてはおらないのでございますが、併しその理由予算決定いたしましたときには、まだこの航空技術審議会法案閣議決定が通つておらなかつたのでございますが、予算には計上されておらないのでございます。併しながら大蔵省におきまして、航空技術の進歩を図るために何らかの方法が必要であるということを認められまして、科学技術行政協議会の中に、現在航空研究部会というのがあるのでございます。それでそれの経費といたしまして職員が五人、百二十六万一千五百円でございます。それと委員手当並びに委員等の旅費、庁費等全部含めまして総計二百十八万六千五百円というのが科学技術行政協議会予算の中にあるのでございます。従いましてこれを運用することによりまして、航空技術審議会を運営して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 井野委員もうよろしゆうございますか。他に御発言のかたはございませんか。他に御発言がなければ質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより本案につきまして討論をいたしたいと思いますが、討論のかたはございませんか。(「なし」「採決」と呼ぶ者あり)  討論のかたもないようでございますから、論議は尽きたものと思いまして、これより採決をいたしたいと思います。本案に御賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  23. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 全会一致でございます。よつて本案は政府原案通り可決せられました。
  24. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 次に元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑はございませんか。  質疑は終了したものと認めます。  よつてこれより討論に入ります。本案について御意見のあるかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
  25. 植竹春彦

    植竹春彦君 私は本法律案賛成をいたします。この法律案はこの内容誠に当然のことと考えますので賛成をいたしますけれども、その施行期日につきましては、修正を加える必要があろうと存じまするので、先ずその修正案を朗読いたします。    元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案   元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第四条の次に二条を加える改正規定のうち第四条の三第一項中「昭和二十九年五月三十一日」を「昭和二十九年六月三十日」に、「同年六月一日」を「同年七月一日」に改める。   第六条の次に一条を加える改正規定のうち第六条の二第二項中「昭和二十九年六月一日」を「昭和二十九年七月一日」に改める。   第十二条の改正規定中「昭和二十九年六月一日」を「昭和二十九年七月一日」に、「昭和二十九年五月三十一日」を「昭和二十九年六月三十日」に改める。   附則改正規定中「昭和二十九年六月一日」を「昭和二十九年七月一日」に改める。   附則第一項中「昭和二十九年六月一日」を「昭和二十九年七月一日」に改める。  原案におきましては、附則第一条の施行期日昭和二十九年六月一日になつておりますが、この日がすでに経過いたしておりますので、これを昭和二十九年七月一日に改めると共に、これに伴いまして他に所要の改正を加える必要があると存じます。  以上が右に述べました修正案提出する理由であります。
  26. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 他に御発言がなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないと認めます。よつて南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  先ず討論中にありました植竹提出修正案を問題に供します。  本修正案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  28. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 全会一致でございます。よつて植竹提出修正案は可決せられました。  次に只今修正可決された部分を除く衆議院送付原案全部を問題に供します。  修正部分を除く原案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  29. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 全会一致でございます。よつて本案全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました。  以上議決せられました三案につきまして、本会議における委員長口頭報告内容は先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 異議ないものと認めます。  次に只今の三案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    〔内閣及び総理府関係法令整理に関する法律案航空技術審議会設置法案〕     井野 碩哉  廣瀬 久忠     野本 品吉  堀木 鎌三     植竹 春彦  石原幹市郎     西郷吉之助    〔元南西諸島官公署職員等身分恩給等特別措置に関する法律の一部を改正する法律案〕     井野 碩哉  竹下 豐次     廣瀬 久忠  堀木 鎌三     植竹 春彦  石原幹市郎     西郷吉之助  野本 品吉
  31. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 署名漏れはございませんか。  署名漏れはないと認めます。   —————————————
  32. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 次に恩給法の一部を改正する法律案議題に供します。本案について御質疑を願います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  33. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記をつけて下さい。  只今衆議院議員高橋等先生がお見えになつておりますので、高橋先生から詳しく一つ説明願いたいと思います。
  34. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) それでは只今から恩給法改正案に対します衆議院修正点につきましていま一度詳しく御説明を申上げたいと思います。  この改正の点は二点あるのでありまして、一つ恩給裁定を促進するための措置、いま一つ戦犯として拘禁死亡刑死した人に公務扶助料に相当する額の扶助料支給をいたしたい、この二点が修正の要点でございます。最初申上げました恩給裁定を促進するための措置と申しますのは、援護法施行裁定に当りまして、遺族年金弔慰金が出ておりまするが、これは非常に長い年月をかけまして、実はまだ全部の人に亘つておらない。この点が非常にこれらの受給者の間でいろいろと不平があり、二百万に及ぶ遺族方々が一日も早くこれが裁定をしてもらいたいということを念願をいたしております。それならばなぜこの援護法によりまする年金弔慰金裁定が非常に時間がかかつたかと言いますと、その一つの大きな点は、公務死亡したのであるかどうかということの認定に非常な努力が払われております。そのためにこれらの裁定が遅延をいたす大きな原因を実はなしております。そこで今度昨年八月から恩給上の権利軍人の遺家族は全部獲得いたしたのでありますが、この恩給裁定に当りまして、やはり同じようにこの死亡原因公務死か否かを詳しくやつて行きますと、そこにやはり同じように事務が渋滞をいたしまして、恩給裁定が非常に遅れるということが心配になるのであります。勿論恩給裁定に当りましては、恩給局としては現行法のままでありますれば、その死因の調査は勿論いたさねばなりませんし、又一面この身分上の適格者であるかどうかの調査もいたさなければなりません。身分上の適格者であるかどうかという調査は、援護法恩給法上の支給範囲も異りますし、又時間的に言えば死亡者その他も生ずるわけでありますから、これはどうしても恩給局が戸籍によりまして調査をいたさなければなりませんが、戦争に従事をして亡くなられたかたが公務死であるかどうかという認定は、厚生大臣におきまして援護法の際にすでに十分調査をいたし決定をいたしておるわけでございます。それを再び恩給局恩給裁定に当つて繰返す義務を法律によつて解除いたしまして、それによつて援護法公務死と認めたものは、そのまま恩給法上の公務死とみなすという措置をとる。それによつて恩給裁定を促進させよう、これが一つの点でございます。  それからいま一つは、同じようなことでございますが、傷痍者の旧軍人の中で七項症から四款症までの人が今度今年の四月一日から恩給を受ける権利が発生をいたしております。そこでこの人々が七項症に当るのか、或いは何款症になるのかということにつきまして、一々ここで改めてその病気の程度によりまして項症なり款症なりをきめるという必要が生じて参つたわけであります。併しポツダム政令前におきまして、即ち一般のこうした戦争に従事しておつた軍人恩給を停止する以前におきまして、すでに恩給局において、この人は一生の間七項症として恩給がもらえるのだ或いは四款症としての恩給がもらえるのだということが過去において決定した人があるのであります。この人はポツダム政令なかりせば、やはり引続きずつと傷の程度には変化はないわけでありますので、ここでこの人々に新たに調査の書類を提出をせしめまして、その傷の程度をもう一度やり直すということは必要はないのであります。ですからその点につきましては、その人が生きておるということが確認をせられるならば、それによつてそのかたの傷の程度はこの前きめた程度通りにする。こういうことで事務簡素化を図る。これが恩給裁定を促進するための措置であります。  そこで戦犯として拘禁死亡いたしましたものの公務扶助料に該当する額の扶助料支給するという第二点でございまするが、これは従来遺族等援護法によりまして、こうした刑死方々遺族年金がすでに支給をせられておるのであります。この人々遺族の方方の生活その他を考え、又B級C級の主として戦犯方々の非常に同情に値いするものも中に多数含まれておるように考えられます。併し今これを直ちに公務と踏み切りますためには、まだ幾多の問題があると思いまするから、公務扶助料に相当いたしまする金額扶助料支給しよう、こういうような法律の立て方をいたしたようなわけでございます。そこで衆議院におきまして、これにつきましての反対が両派社会党からも討論せられております。その討論せられておりまする内容は、東條未亡人については六十数万円の扶助料が今度出ることになり、而も一兵卒の場合は僅かに、或いは又一般戦死者の場合は僅かに五千円程度しか出ないというような討論が行われております。併しこの五千円しか出ないなんというのは、これは数字の誤りでございます。実情を申上げますると、東條内閣総理大臣の場合は五十三万八千五百六十円の扶助料が出るという建前になります。一般兵長以下の遺族恩給は、これは二万六千七百六十五円、これが公務扶助料でございます。そこで只今問題に新聞等でなつておりまするA級刑死者遺族扶助料を一応調べましたものを御参考までに読み上げて見たいと思うのでありますが、現在これらの人々の中で、すでに恩給がついておりまするから、一般死亡と見なしまして、普通の扶助料、要するに公務扶助料でなしに普通扶助料は受取つておられるのであります。これらの人々普通扶助料東條さんの場合が三十一万六千八百円であります。これは現在受取つております。そうして公務扶助料と今度なりますと、五十三万八千五百六十円となります。松井大将の場合は、現在受取つておられます扶助料は十一万八千六百円、公務扶助料の場合は二十万一千七百十六円、それから土肥原大将の場合は、現在受取つておる普通扶助料が十二万八千五百四十四円、公務扶助料の額は二十一万八千五百二十五円、板垣さんの場合は、まだこれは恩給が出ておりませんが、若し普通扶助料裁定をされるものとしますれば、その金額は二十四万円程度であります。そうして公務扶助料が約四十万円になります。木村兵太郎さんの場合は、これは普通扶助料が十五万円で、これはまだ裁定になつておりませんが、取るとすれば十五万円、公務扶助料なつた場合は二十五万三千円であります。それから武藤さんの場合は、現在扶助料といたしまして取り得る金額普通扶助料が八万九千七百円、公務扶助料で十五万二千四百九十円、こういうことになります。広田さんの場合は、妻及び未成年の子供がありませんから扶助料の対象にはならないわけであります。  それでどういうわけで東條板垣木村さんの金額が多いかといいますと、東條さんの場合は内閣総理大臣の資格における文官恩給が実は出ることになつております。それから板垣さんは陸軍大臣木村兵太郎さんは陸軍次官、いずれも文官として恩給が出ることになつておりますから、この三人が非常にずば抜けて多い。殊に東條さんの場合がずば抜けて多いのが目立つのであります。その他の方々は全部軍人恩給としてしぼられたところの恩給に値いするものが出るのでありますから、これはさほど目立たない。金額としましてもそれほど多額なものとは言えないと思います。これ以外にそれではBC級戦犯のかたはどうか、恐らくBC級のかたで文官恩給をもらうかたは殆んどないのであります。軍人恩給をもらえる方々が大部分でございます。とにかく非常に目立つ東條さんの例を以ちましていろいろと非難攻撃があるのでございますが、これは極く本当に一人乃至二人というように限られた問題であつて衆議院におきましては、少くとも戦犯を遇するにおきましては、やはり戦犯に甲乙は付けないで、同じような点でやつて行こうということが、この修正案を一本にいたした大きな理由になつております。そこでなお昨日の読売新聞の例を挙げてみますと、兵の遺族は逆に半減すると書いてありますが、これは大きな間違いでございまして、この点につきましては、私から昨日読売新聞社の社会部のほうへ厳重に抗議を申入れておるような次第でございます。この兵の場合に、兵は今まで放つておきますと、恩給普通扶助料も何も受けられないのであります。恐らく恩給が付いた兵で刑死獄死をされた人は先ずないと考えなければならない。そこで兵の場合はどうなるかと言いますと、遺族等援護法によりまして二万七千六百円というものが遺族年金として支給せられるのであります。妻があつた場合にそうなりまして、父親があれば五千円もらえるのであります。それらにつきましては、本法におきまして今度の修正案の沖で、これらの遺族年金については従前通りこれを支給するということをはつきりと書いてあるのであります。従つて従来受取りましたものが、決して手取りが減るというような措置はいたしておりません。そこで公務扶助料になりました場合に、一番問題になるのは内縁の妻であります。内縁の妻の場合は、普通の遺族援護法によれば一万円しかもらえないのであります。ところがこの遺族援護法の中で戦犯刑死獄死関係は二万七千六百円出すことに実は書いてあります。その既得権を尊重いたさねばなりませんので、これらにつきましては内縁の妻に二万七千六百円を支給いたします関係上、それよりも今度父母恩給が行きます場合に父母へ行く恩給から、二万七千六百円から普通のこの内縁の妻が援護法でもらいます一万円を引いた一万七千六百円を父母に渡すというような規定がしてあるだけでございます。結局兵の場合におきましても、手取り一つも変りません。ただ、兵長以下は変わらないのですが、それ以上になりますると、この本法施行によりまして、むしろ遺族手取りは殖える、こういうことになつておるのでございまして、この新聞等の記事は非常な錯覚、非常な過ちを実はいたしておるということを私は昨日も指摘いたしましたが、この席でこの点は明らかにいたしておき場たいと考えまして、御了解を得ておきたいと思うのであります。なお、これはちよつと速記をとめて頂きたいのでございます。
  35. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記をとめて。    〔速記中止
  36. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記を始めて。
  37. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 戦犯関係を扱いまする場合に、外務当局その他といろいろ相談をいたしまして、現在の拘禁中の人に悪い影響を及ぼしやしないかという点もいろいろと検討し、打合せをいたしました結果、この法律修正を出しておるわけでございます。非常に慎重に長い月日をかけて、実は仕上げましたものであるということを付け加えまして私の説明を終らして頂きます。
  38. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 他に高橋等君に対しまして御質問等がございませんか。
  39. 井野碩哉

    井野碩哉君 ちよつと高橋さんにお尋ねいたしますが、衆議院修正のために予算的にどのくらい殖えるのでございますか。
  40. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 実際問題としまして約千人ぐらいのこの適格者が出て来ると思います。そこでこの千人に対しまして今まで二万七千六百円ずつの遺族年金が出されております。ですから国の経費として従来支出しておりますものは二千七百六十万円程度出ておるわけでございます。そこで今度この修正で殖える金額はまあ恩給の平均その他を考えて見まして、それ以上に五、六百万円の金額を足しますれば、この経費が出ることになるのでございます。殖えるのは五、六百万円でございます。併し恩給としての総額は今言いました二千七百六十万円に五、六十万円を加えた総額恩給総額になりますが、国の支出としましては、この遺族年金で出すものが出さずに済むことになりますので、差引いたしますと五、六百万円の経費増と、こうお考えを願いたいと思います。
  41. 野本品吉

    野本品吉君 ちよつとお伺いいたします。大変御親切なお計らいで修正案を作ることにお骨折り頂いたわけですが、私ちよつとお伺いいたしたいと思いますことは、御承知の通りに現行の恩給法の第九条に失権規定がございます。それは一つは死刑、それから無期又は三年を越える懲役、禁錮、それから国籍喪失、それから在職中の職務に関係した犯罪で禁錮以上の刑に処せられた者、この者はこの条文の適用によりまして一切の恩給に関する権利を喪失するわけでございます。この現行恩給法の対象となります公務員の失権条件と、それから戦犯者の問題を寛大に許容するという点でありますが、まあその点について釣合いと申しますか、考え方につきましては、何か御検討になつておられましたならばお教え願いたい。
  42. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 私の説明が若し足りないところがあれば、これを恩給局長にも補足をいたしてもらいたいと思いますが、この恩給法の一部改正が出されました政府提案の趣旨は、一般のこの国内法の刑罰を受けておりまする人には恩給がついておつても、その期間は恩給を停止する、こういうことに恩給法はなつております。従来の恩給法はいわゆる戦犯刑死獄死についても、この原則を貫いておつたのでありますが、このたび政府におきましては、戦犯の者に対しては恩給がついている場合は、拘禁中の者でありましても、恩給を出すということに政府は改めております。これはなぜ改めたかと言いますと、国内法におきましても、例えば選挙権等の問題、その他につきましても、いろいろとこの一般の犯罪行為によつて、この刑に服しておりまする人々等の扱いが異なつております。そういうような点を勘案いたしまして、政府はそうした提案をいたしたものと思う。それと同じような考え方の基礎の上に立ちまして、一般の死刑者とそれから戦犯によりまするところの刑死者との間に、法律的な区別を作る、いわゆる法理的な根拠ですね、というものを見出したようなわけであります。なお、あとは恩給局でもう少し詳しく、政府提案の修正と一致しておりまするから、恩給局長から説明をお願いできれば幸甚だと思います。
  43. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 政府から提出いたしております原案におきましては、拘禁中のいわゆる戦犯者の取扱いにつきましては、普通恩給の権限の問題につきましては、現在の取扱いにおきましては、普通恩給権利は与えることになつておりますけれども、拘禁中はその支給を差しとめることになつておりますのを改めまして、今、高橋委員からお話がありましたように、停止されております普通恩給法に相当する全額をその指定する留守家族といいますか、に支払いをしよう、こういうように改めることにいたしたのであります。この点につきましては、これはいろいろの意見があるかと思うのであります。現に拘禁されているかたに対しましては、今、政府のほうで案を出しているような案に対しましても、これはいかんという点もあつたかとも思いますけれども、又一面の考えで見まするというと、戦犯者、いわゆる戦犯者である人々を国内犯罪と同じように取扱うということも如何なものと思うのでございまして、又一面におきまして、そういう方々に普通恩給権利は与えられておりながらも、普通恩給の行かないために、留守家族の方々の困窮されておる、而もその留守家族の方々が困窮されておるにもかかわらず、留守家族に対する援護措置というものは、なお現在におきましても、必ずしも十分に行われているとも言いがたいような現実の状態を考えてみました場合におきましては、その普通恩給に相当する金額を留守家族の援護を強化するような意味におきまして給するということも、一応是認されることではなかろうかというような見地に立ちまして、政府といたしましては御提案をいたしたような次第でございます。
  44. 野本品吉

    野本品吉君 私も戦犯者の処刑が、まあ極端に言えば、極めて無茶な裁判によつて決定されたものであつて、国内法としては、法律論としては論議の対象とするのには、余りに適当でないという考え方はいたしております。ただここで、併しそれをもう少し掘り下げて考えますというと、戦犯者の中に国内法で仮にその責任を追及して行つた場合に、これに該当するものもあり得るということが一応考えられないでもないと思う。私はそういうことによつて戦犯者を追及しまうとかどうとかという考えではないのでありますけれども、そういう点から見ますと、そこで私は是非この際、衆議院のかたにも、政府のかたにも、はつきりと解明して頂きたいと思いますことは、従来ややもしますというと、必要以上に戦犯者に対して冷い考え方をしておつた多数の国民があつて、現在もないわけではない。そこで拘禁中の者に対してまでも、そういう処遇をすることが、いたずらに国民感情を刺戟するようなことが若しありますと、折角のこの法律改正というものが非常に大きなマイナスを生じて来る。従つて、もつとはつきりと私は、この法律の精神を国民全体に納得の行くように説明して頂く必要がある、かようにまあ考えるのであります。この点について、まあ只今の御説明程度では少し私は割切れないような気がするのです。
  45. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 戦犯の中には、勿論若し国内法によつて、西ドイツのような裁判をいたしました場合に、或いは国内法として、これは国民としてやはり犯罪に該当するのだという人も皆無とは私は考えません。併しそれをやつておらない現在、この全般の戦犯の処刑された方々の実情を、手記その他によつて見まするときに、我々国民といたしまして納得しかねる実は問題もたくさんあるのでございます。そこで、この法律を作るに当りまして、そうした一部の、若し国内法でやつたならば、そうであつたであろうと思われる人々のために、この制度を全部見送るということは、これはあなたも恐らく御賛成にはならん点だろうと思うのでありますから、そういう意味で、これがそうかといつて、これからもう一遍国内法によりまする裁判をやるわけにも参りません。恩給局裁定する場合日も、これに甲乙をつけるわけにも行かないわけでございます。全般的な点を考案して、こうした修正案を出したわけでございますが、ただ非常に趣旨が誤解をされて、新聞その他に掲載を二、三されておりますことは、私非常に残念に考えております。この法律が通過をいたしました際には、そうした記事を扱われた方々については、十分なる御説明をいたしたいと考えまして、昨日も、そのたびごとに私は新聞社のほうへ申上げておるのでありますが、読売新聞のほうにも、恩給法をお書きになるとき、この問題をお書きになるときは、どうぞ修正の責任者の私のほうの話も聞いてもらいたいということをよく申しておりますが、政府におきましても、私はこれは恩給局長が御答弁なさると思いますが、こうしたいろいろな世論があるに鑑みまして、少くともこれが正当なる周知を図る必要があるものと考えております。
  46. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 野本委員の御質問がありましたが、私の説明が十分でなかつたと思いますが、若干補足的になお説明さして頂きたいと思います。  政府の原案におきましては、拘禁中の人々に対しまして、すべて普通恩給を給するようにと、野本委員はおわかりになつているかと思いますが、若しそういうことをお考えになつている人がほかにあるとしますれば、そういう取扱いをする趣旨ではないのでありまして、元々戦犯者としての処遇を受けられなかつたとしますならば、普通の恩給が行くべかりし人々に対しまして、戦犯の処置を受けられたために、その普通の恩給が給せられなくなつておる、その普通の恩給が給せられなくなつておるのを、今度留守家族に給するという措置をするだけのことである。こういうのが第一点であります。その次は、確かに戦犯者の中については、今野本委員からちよつとお話も出ましたごとく、いろいろと意見がありまして、或いは国内裁判にかけて、そしていわゆる戦争犯罪人として処置すべきものは、国内的に処置したらいいではないか、そしてそういう人には恩給を給せない、そういう処置をすべからざる人は無罪として、恩給はやるようにしたらいいではないか、こういう意見も個人的には耳にしているのです。そういうような取扱いが法的にできない現在におきましては、今申上げまするように、曾つて恩給を給されるべきであつた人、それが戦犯者なる故に、受けられるべき恩給をとめてしまつた、そして家族の困窮されておる実情をそのまま放任をして、なすことをしないということは、如何なことかという考えからいたしまして、留守家族援護というところに重点をおいて、今度の処置を考えてみた次第でございます。若しも留守家族援護ということにつきまして、これに代るべきほかに十分たる方途が講ぜられるならば、或いはこの方策は考えなくてもよかつたと思います。差当り政府といたしまして、これに代るべき十分なる留守家族援護ということができかねた次第でありますので、こういうような処置をとつた次第でございます。
  47. 野本品吉

    野本品吉君 私はかような質問をいたしますのは、先ほど来の御答弁で、私としては了解もできましたが、ややもしますというと、一般社会人の誤解を招きまして、折角の立法の精神がゆがめられて、その誤解によつて。そして遺憾な点があるのではないかということを憂えて実は申上げたわけでございます。この点につきましては、立案者といたしましても、事務当局といたしましても、将来遺憾のないように希望を申上げまして、次のことをお聞きしたいと思います。  それは、私も今まで何遍も恩給局へ参りまして、裁定事務の促進につきましてはお願をし、又恩給局で不眠不休の努力を続けておられますことに対しまして、敬意を実は表しておつたものです。そこでこの裁定事務の促進ということにつきまして、厚生省からの、或いは死因の認定の問題とか、身分上の問題とかの書類が来た場合に、無条件で恩給局でその書類によつて裁定すると、こういうことになりますと、将来の問題として一応予想されますのは、如何に綿密詳細に調査いたしましても、何百万という多数の中には、時に裁定の誤りが起きないということは、誰にも保証がつかんのであります。そういう場合に、厚生省から来た書類を無条件で恩給局が呑んで、そして恩給局として裁定して、その誤りを生じた場合に、或いは訴願というような問題も起つて来るであろう。そういう事態を予想しますときに、一体その行政責任の所在は厚生省にあるのか、恩給局にあるのかということは、一応考えておいて然るべき問題だと思います。この点についてのお考えを一つ伺いたい。
  48. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) これは勿論昨年の八月一日より前の死亡についてのみであります。八月一日以後の者につきましては、これは恩給局において審査をやる。即ち援護法の適用期間中の者については厚生大臣決定に従うと、こういうことになるわけであります。そこでそうした間違いが発見された場合、間違いが二つあります。一つは、公務死でない者を公務死と判定した場合、この場合がわかりますれば、厚生大臣において裁定の取消しをいたします。それから公務死である若を公務死でないと判定した例、私はこの例は相当我々の感覚から言えばあると考えます。これは不服の申立が現在行われております。この不服の申立について、厚生省のほうでいろいろと打合せをいたした点を私から申上げますと、一つのケースについて従来公務死でないと認定した者を、これが公務死だつたということにはつきりいたしますれば、それと同じケースの者は自動的に公務死と扱つてしまおう、こういう考え方、一つ一つの不服申立がなければやらんというのではない、こういうことで事務を運んでおる模様でございます。  そこでこの行政の責任はどこにあるかと言えば、公務死の八月一日以前の援護法の適用に関しまする期間内におきましては、これに恩給局においては公務死認定の義務を解除いたしておるのでございまするから、その点については私は厚生大臣に行政上の責任があると、こう実は判定をいたしておるような次第でございます。
  49. 野本品吉

    野本品吉君 直接この法律に関しましての質問として、私は外務省の方にお聞きしたいと思いますが、まだお見えになりませんか。
  50. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 野本君に申上げます。外務省参事官の大臣官房戦犯室長の古内さんが見えております。
  51. 野本品吉

    野本品吉君 それではお伺いいたしますが、実はこの問題はこの委員会としましては相当重要な点であろうと思いますので、私は大臣からしつかりした返事をお聞きしたいと、こう思つております。  それは、第十八国会のこの委員会におきまして、巣鴨刑務所拘禁戦犯者の恩給に関する請願、この請願の審査に関連しての問題であります。この請願は巣鴨の刑務所拘禁戦犯者の恩給に関するものでありまして、趣旨とするところは、先般改正されました恩給法の一部改正によつて、旧軍人、軍属並びにソ連、中共等の抑留戦犯者に計しては恩給支給せられておる。ところが、現在巣鴨刑務所に拘禁されておる戦犯者に対してのみ恩給支給が値止されておるということは、戦犯者に対して両者の間に権衡を失しておる。そこでこれらの戦犯者に対しても一般の旧軍人、軍属と同じように今年の四月一日に遡及して恩給支給をされたいというのがこの請願の趣旨であります。  私の記憶するところでは、この委員会といたしましても、この請願の趣旨には相当耳を傾けて慎重に当つたわけでありますが、併し事国際的な微妙な関係もあるであろうというので、あえて外務当局のこの問題についての所見を質したい。  そこで本日おいでになつておりまする古内さんは、次のように委員会に対して言われておる。それは、「外務省の立場より、結論から申上げますと、現在巣鴨に入つておる戦犯者に政府が恩給支給するということについては、関係国が異議を申立てる可能性が十分にあると思われます。と申しますのは、この夏の未帰還者留守家族援護法の制定のときに、関係国の大使館は外務省に参りまして、今度の法律によつて戦犯者に直接政府が金を払うようになるのか、それじや困るということをはつきり言つたのであります、その当時外務省としては、いや戦犯者に直接やるのじやなくて、戦犯者の家族が非常に困つておるというのを助けるという趣旨なのだと、こういうような話をした経緯がございまして、それからいくばくも期間が経過してない今日、恩給法改正いたしまして、戦犯者に直接政府の金を出すということになれば、又その前の抗議が繰返される公算が非常に大きいのじやないかと考えております。私どもとしては戦犯だけの問題じやなくて、日本の当面するいろいろな外交問題の解決を考えてみますれば、成るべくそういうふうな摩擦は避けたいと考えるのでありまして、」と、かようなことを言われておる。この外務省の御意見を尊重いたしまして、当委員会としては極めてこの問題の扱いに対して慎重な態度をとつたわけです。  そこで今度の法律が提案されるようになりましたことは、私は非常に喜んておるのでありますけれども、十八国会におけるかような外務省のお心遣いがすでに必要を認めなくなつたのであるということをここではつきりお伺いしておきますことが、私どもとしては割切つてこの問題を考えるのに必要であると思うので、この点について御所見をお伺いいたします。
  52. 古内廣雄

    説明員(古内廣雄君) お答えいたします。  外務省の事務当局の本問題に関する考え方といたしましては、今回の場合も、先ほど恩給局長から御説明があつたように、戦犯者の家族の援護金であるというふうに表面的には理解いたしておりまして、現在までまだ在京大使館から何らの問合せはございませんけれども、今後若し問合せがありましたら、飽くまで対外的には、只今申しましたように、戦犯者に直接恩給を渡すのではなくて、その家族の援護金を渡すのだというふうに説明するつもりでおるのであります。
  53. 野本品吉

    野本品吉君 これは高橋さんにお伺いしますが、この点について外務大臣から何かはつきりした解明が与えられておりますかどうか。
  54. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 勿論、先ほど御説明いたしましたように、外務大臣とも私は直接お話をいたしております。ただ衆議院委員会におきましては、外務大臣に特に御質問をいたすということはありませんでした。委員会では、この法案を通す場合にですね。併し外務大臣はそのときに、先ほど戦犯室長が答えました通りに、その家族の保護を厚くするという趣旨で自分はこの法案に賛成をいたすと、こういうことでございます。
  55. 井野碩哉

    井野碩哉君 今古内さんのお答えの、表面的にはそうするのだというお話でありますが、表面的でなしに、実際に恩給支給する場合においても、巣鴨におる戦犯者に直接渡すということはいたさないで、家族に渡して行くという方法をおとりになれば、外国に出しても立派に申開きができると思うのですが、その点は如何ですか。
  56. 古内廣雄

    説明員(古内廣雄君) お答えいたします。この問題は恩給局のほうの問題だろうと思いますが、私どもの了解しておるところにおきましても、お金は巣鴨におられる力に直接近くのでなくて、御家族或いは亡くなられた力の御遺族に直接渡るものと了解いたしております。
  57. 井野碩哉

    井野碩哉君 それならば表面的でなしに、裏面的にも本人には行かないで家族にこれが行くものである、こういうふうに外国に対してもお話になれるので、立派に私は申開きが立つと思いますから、そうお答え願いたいと思います。
  58. 古内廣雄

    説明員(古内廣雄君) お答えいたします。私の表面的と申しました言葉がちよつと誤解を招いたように思います。私が表面的と申しましたのは、私ども外務省の役人といたしましても、戦犯者とそれからその家族という者を非常に厳格に分けて、どこまでもこれが家族に渡すのだ渡すのだというような考え方をとることが果していいのかどうかということを一日本人として疑惑を持つておりますので、私が表面的と申しましたのは、そういう疑惑は別といたしまして、併し外務省の役人として外国から質問を受けた場合に、これに対してどう答えるかということを申上げる意味で表面的と申上げたのであります。
  59. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記をとめて。    〔速記中止
  60. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記をつけて。
  61. 井野碩哉

    井野碩哉君 高橋さんにお伺いいたしますが、衆議院でも恐らく問題になつたと思うのでありますが、戦犯者の公務扶助料を認めるということになりますと、いわゆる戦時中自殺者の問題をどう扱うかということが必ず共に起つて来ると思うのであります。それは今回これに入つておりませんが、これに対してどういうふうに説明されて行きますか、その点をお伺いしておきます。
  62. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 厚生当局が見えておりませんから、我々が衆議院におきまして厚生当局に質問し、又私が直接大臣その他事務当局とこの問題についてお話しいたした点をお伝えしたいと思います。  自殺につきましては、犯罪によつて起つた自殺、例えば物を盗んで逃げながらとうとう死んだとかというような特殊の例のものを除く以外は、全部援護法公務と認めるという措置を実際問題としてとつております。これを法律にはつきり謳うことが大変むずかしいものでありますので、行政上の措置としてやつておる、こう御了解願いたいと思います。
  63. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 只今外務次官には連絡をとつております。
  64. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 簡単なことで一つ伺います。現在公務扶助料をもらつておる人で、一番高額な人はどのくらいになりますか。いや人でなくて金額でいいのですが……。
  65. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) この問題は恩給局のほうからお答え願いたいと思います。
  66. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) ちよつと金額を覚えておりませんが、犬養さんの遺族方々公務扶助料の最高じやないかというふうな気がしております。ちよつとはつきりした金額を覚えておりませんが、内閣総理大臣で亡くなられた方でございますから……。
  67. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 あとで調べて知らせ下さい。
  68. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 調べて御報告いたします。
  69. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 只今大蔵省の銀行局特殊金融課長の加治木さんが説明員として見えておりますので、どうぞ大蔵省に対して御質疑を願いたいと思います。
  70. 野本品吉

    野本品吉君 この法案には直接関係のあることは大体以上で私の質問を終りたいと思いますが、やはりこの機会に間接にはいろいろと関係があると思いますから、若干恩給関係の問題についてお伺いいたしておきたいと思います。  その一つは、これは恩給局長さんでおわかりだと思いますが、内閣に先般公務員の退職年金制度に関する勧告を中心とした公務員制度審議会というものができた、この公務員制度審議会の構成、それからその後の運営と申しますか、状況についてお話願いたいと思います。
  71. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 主管の者がおりますので、主管の者から御説明申上げるようにしたほうがいいと思います。
  72. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 公務員制度調査会についてお尋ねがございましたが、公務員制度調査会は日にちははつきり覚えておりませんが、すでに一カ月余り前に閣議決定によりまして、事実上の機関として公務員制度調査会を設定いたしたのでございます。委員は二十名になつておりまして会長は副総理、それから委員関係各大臣と民間からは各界に亘りまして学識経験者を充てておりまして、すでに人選が終つておるわけでございます。そうして幹事といたしましては関係各省の次官、局長級の者を充てております。なおこの幹事にも必要によりましては学識経験者をも含むことができるようになつております。  只今のところでは一回幹事会を開いただけになつておりますが、実はこの公務員制度調査会の取上げるべき問題につきましては御承知のように極めて範囲が広汎なのであります。従つてその公務員制度のどの程度の問題を取上げて論ずべきか、もう一つ言葉を換えて行きますならば、人事院の勧告のありました給与準則並びに退職年金制の問題を公務員制度調査会において取上げることになつておりますが、この問題を中心としてのみ論ずべきか、而もこの問題を中心として論じて行きましても任用制度、試験制度そのほか当然範囲は拡つて行く、それに対しましてもどういう態度でどういう問題を拾つて行くべきかという点につきまして論議をいたしたのでございます。その結果具体的な問題につきまして、その幹事の一部の者が取上ぐべき問題を一応整理しよう、その上で更に幹事会にそれをかけましてその方針を決定しよう、徒らに委員会を開きましてそうして問題をただ拡げるということでは成果が出にくいのではないかというような観点から、只今申しましたような順序で幹事会を進めております。近く第一回の幹事会を開きまして、その上で委員会開催ということに取り運んで行きたいと計画をいたしております。
  73. 野本品吉

    野本品吉君 只今のお話でやはり給与準則とか年金制度というようなものかその調査会で論議の対象になつて来るということになるというと、勢いやはり本日提案されております軍人関係その他の問題にも触れて来るのではないかと思うのですが、そういう御予定がありますか。
  74. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 退職年金制度に関連しまして恩給の根本問題にも当然触れるのであります。これを取上げて行きますならば、只今審議になつておりまする軍人恩給等についても論議されて行くべきであろうかと思うのでございます。併しこの公務制度調査会で取上げるべき問題のうち、退職年金制度或いは恩給制度につきましては極めて重大であるばかりでなく、問題が技術的にも非常に複雑でありまして、これが調査審議を進めて結論を得るまでには相当かかるであろうと存ぜられるのでありまして、只今これを取上げてどうするというような見込まではございませんけれども、当然関係が生じるのであつて、この問題は審議されるであろうということだけは申上げられると思います。
  75. 野本品吉

    野本品吉君 そういう問題が審議されて来るということになりますると、直接この法律の適用の対象になつて参ります人にとりましては極めて重大な調査会になつて来る。そういう際に、先ほど私のお伺いいたしました調査会の構成員と言いますか、或いは参与と言いますか、そういう立場に直接この法律の適用対象になる人たちが現在参加しておるか、又は参加しておらないとするならば、将来参加させるか、こういうような点について御意見を承わりたい。
  76. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 只今のところ公務員制度調査会において何々を取上げるべきかということをまだ確定しておりませんので、その点につきまして具体的には考えておりませんが、併し先ほど申上げました通りに範囲が非常に広汎でございます。従つて最初から全部に関係する職員を網羅して幹事或いは委員におくということは極めて困難であります。従つてこの調査会におきましても、臨時に委員をおくことができる規定もありますし、幹事につきましても、先ほど申上げました学識経験者或いは各官庁におきましてもそう広い関係職員を拾つておるわけではございません。審議の進行するにつれまして、特に提案されました事項に関係の起りました場合に関係職員を入れる、或いはその問題について特に適当だと思われまする学識経験者を入れる、又は専門的な知識を持つた専門委員といつたような方を入れる途を開いておりますので、その際に適切なる人を選びまして十分遺憾のないように審議を進めて参りたいと思います。
  77. 野本品吉

    野本品吉君 只今のことを私がお伺いいたしましたのは、まだ一部には恩給といつたようなものを、退職年金といつたようなものが古い考え方であります恩恵的な給与であるという考え方が相当残つておると思います。併しこれはすでに恩恵的な給与でなくして、該当者にとりましては重大な権利の問題、従つてそういう調査会においてこの種の問題が論議されますときに、一万的な立場、支給するという側の者からのみこの問題が論議され決定されますことは、受ける者の立場が非常に不利益になります。そこで将来調査会の連営の途上において現在そういう立場の者が入つておらないとすれば、必要な時期にかような立場の者を入れるという途も開かれておることを承わりまして、大変結構だと思います。それが単なる空文に終りませんようにお考え願いたいと思うのですが、その点についてどうお考えですか。
  78. 田上辰雄

    政府委員(田上辰雄君) 御意見十分承わりましたので、私も幹事の一人でございまして、適当な機会にその御意思のあるところをお伝えいたすつもりでございます。
  79. 野本品吉

    野本品吉君 なお一つ、これもそう遠くない問題として登場して来るであろうと思いますので、お伺いしておきますが、自衛隊法が成立いたしまして、自衛隊が直接侵略に対抗するということになつて参つたわけでありますが、そういうような場合に、現行恩給法規定しておりますように、従来の保安隊の隊員その他の方々に対して新らしく又考えなければならない事態が迫つて来ると思うのです。そのことについての政府はどういうふうな考えでおりますか、お伺いしたいと思います。
  80. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今後の新らしい退職年金制度との関連につきましては、或いは他の委員からお答えするかも知れませんが、今の現行の恩給制度の下におきましては、まだ具体的にはつきりいたしたものをきめるまでには至つておりませんが、検討、研究を早急にいたしまして、何らかの結論は出さなければならんものであろうと考えております。
  81. 野本品吉

    野本品吉君 なおそれと同じようなケースの問題ですが、警察法が改まりました。で、自治警察が発足後新らしく任用されました自治警察の人たちは恩給法の適用対象になつておらないと記憶しておりますが、そうでございましようか。
  82. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今のお話は、今度警察法が改正されまして、従来の自治警察に勤めておられた方々が今後の新らしい警察職員なつた場合において、従来の自治警察職員としての在職年数は恩給年限の在職年数として通算をするか、こういう問題かと思うのでありますが、その点につきましてはそういうふうに取扱いをすることに法律がなつております。
  83. 野本品吉

    野本品吉君 もう一つ大蔵省の方にお聞きいたしますが、昨年来いろいろと御心配を頂きまして、恩給受給者のために金融の途が開かれましたことを私どもは非常に喜んでおるものでありますが、あの金融に関係します諸法令が今度改められた、実際の事務的な進行の状態は現在どうなつておりますか、それを具体的に御説明願いたい。
  84. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) お答えいたします。  事務的な受入態勢ということでありますれば、これは国民金融公庫のほうでどういうふうにやつておるかと、極めて具体的な問題になりますが、一応数字の上でわかりました実績を申上げますと、二十八年度末までに申込を受付けたものが四億五千七百万円で、貸付けたものが七千三百万円、その残が現在七千三百万円になつております。それから二十九年の四月中のものは、申込を受付けた金額が三億二千百万円、貸付けたものが六千六百万円、残高としては二十八年度中のものを通算しまして一億二千八百万円、こういうふうになつております。
  85. 野本品吉

    野本品吉君 私がお伺いしましたのは、数字ではなしに、これからの貸付業務の運営がどう行われるかというその点です。
  86. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) これは業務方法書できまつておるのでございますが、その業務方法書の内容について御説明申上げることにいたします。
  87. 野本品吉

    野本品吉君 いや、それはあとで……。今の業務方法書というのはすでに各地方の取扱の現場に通達されて、その通りに進行しておる、こういうことですか。
  88. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) はあ。
  89. 野本品吉

    野本品吉君 ほかに細かい点もありますが、私ばかり質問していては失礼ですから……。
  90. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 本法案と直接の関係がないのでありますが、恩給関係であります。恩給局長にお伺いしますが、終戦後、例の教職不適格者の指定を受けており、まして、それは間もなくその指定は間違つておつたということで解除になつたのでありまするが、丁度その間たまたま昭和二十四年の一月でありますが、教育公務員特別法の施行があつて、前の在職年限とあとの在職とが続かなくなりまして非常な不幸を見ている者があるのでありまするが、こういう者は他にも相当あると考えられるのであります。先ほど野本委員の質問によりますと、自治体警察と今度の国警の統合については、引続いていろいろ計算されるという恩給局長からのお話があつたんでありまするが、教員に関してこれは誠に私は同情に値すると思うのでありますが、何か政府において研究されている点があればお漏らしを願いたい。
  91. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の石原委員の御質問の件につきましては、私どもといたしましてはいろいろと検討、研究を進めておるのでございまするが、何と申しましても、国とそれから自治体、こういうふうに二つに分れて任用なり給与なりいろいろなものが違つておりますので、その間におきまして合理的な、一般の要望に副うような結論を出しかねているところでございまして、併じ研究をいたしまして、何らかの結論を得るような努力はいたしているところでございます。  今のお話でございました今度の警察法の改正に伴いまして処置をいたしましたのは、今度全部の者は国の警察官になるわけでございまするから、その国の警察官になる以上は今後退職する者は全部国家の公務員として退職する。従つてその退職するに当りまして、前の過去の在職年につきましては全部、今までのいろいろなことがございましたけれども、非常にすつきりとしたものになりましたので、整理する処置をとつて来たわけでございます。教職員につきましても警察官と同じような処置がせられるようになりますれば、私は非常に物事は簡単に処置されるんじやないかと思うのでございまして、実は昨年教育公務員制度に関する改正の法案が文部省で立案されたことでございます。その際におきましては、今警察法の改正に伴いまして処置をいたしましたように処置をいたしまして、今石原委員の仰せられるような間期を一挙に解決されるような方法を具体的に考えたことがございます。従いまして、今石原委員の仰せになりましたようなことは、今後も研究を続けましてそうしてできるならば石原委員の仰せになりましたような要望に副い得るように努力いたしたいと思つております。
  92. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 こういう事態に該当している者がどのくらいあるのですか、調査がありますでしようか、およそでいいです。
  93. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 実はその資料を持つて来ておりませんですが、教職員の追放に関しまする事務は大体文部省のほうでやつております関係上、具体的な数を持つておりませんので、今御質問なされました石原委員の、何かの御研究の材料としまして、後刻お許しを得ますならば文部省当局とも相談いたしまして、揃えましてお手許に差上げたいと思います。
  94. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは後刻で勿論結構なんです。だから該当する人員と、それからこれを救済するとして差当りどのくらいの金がかかるのか、そういうことについて一つ調べて資料を頂きたいと思います。
  95. 竹下豐次

    竹下豐次君 恩給局長に念のためにお伺いいたしますが、先ほど衆議院修正案について詳しい御説明を承わりました。そのうちに井野委員からの質問に対して、この修正こよつて増額される金額がおよそ五、六百万円くらいであるという御説明があり、そのほかに数字をいろいろお並べになりまして御説明がございましたが、それは恩給局のほうでお調べになつたのと数字は合致していると了解してよろしうございますか。
  96. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 先ほど高橋委員からいろいろお話がありました数につきましては、私のほうにおきまして早急に、今日か或いは明日のうちに調べましてお手許に配付するようにして頂いたら如何かと思います。  それから刑死者、獄死者に関する処置につきましては、大体の数と、それから推計しましたところの恩給金額につきましては調べたものがございまするのでお手許に配付するようなふうにいたします。
  97. 竹下豐次

    竹下豐次君 なお修正案にありまする修正の条項ですね、これはその通り修正しても政府のほうとしては実質的に別にお困りになるというようなことはありませんでしようね。それから、仮に差支えないということに仮定するならば、法律のほかの条項等との対照につきましてもこの修正案の条項というものは別に差支えないかどうか、その点……。
  98. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 戦犯者の中で刑死或いは獄死さました方々に対しまして戦死者と同じような恩給額を給するというその措置につきましては法的には何ら問題になることはございません。
  99. 竹下豐次

    竹下豐次君 ほかの条文とこの修正の条項と照し合せて別に支障はございませんか。
  100. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 支障ございません。
  101. 井野碩哉

    井野碩哉君 高橋委員ちよつとお伺いいたしますが、先ほど二百万の人が今度の法律改正で非常に助かる、こういうお話でありましたが、二百万というのは全部公務死の人ですか、或いはその中の公務死は何人でございますか。
  102. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) 大体推定の人数でありまして、大体百九十万人くらいと思うのですが、その中で……。
  103. 井野碩哉

    井野碩哉君 公務死ですか。
  104. 高橋等

    衆議院議員高橋等君) これは公務死でありません。戦死の数であります。その中で七万人くらいは内地死亡その他で弔慰金だけのものになるのでございます。外地の死亡につきまして、厚生省のほうで今却下をいたしておるもの、今後却下をするであろうと思いまするもので、死亡原因によつて出て来るものは恐らく一万五千くらいじやないかと思う。今まで出ているのは何千という、五千にも及ばん数であります。ですからまあ大体の概数は百八十万乃至百九十万くらいと考えていいんじやないかと私は見当をつけております。  それから只今丁度予算の問題をお聞きになりまして、恩給局長から調査の上ということでありますが、私の申上げました根拠をちよつと申上げておきます。この大東亜戦争公務死亡者の平均の公務扶助料が幾らになるかといいますと、一人当り三万二千七百円程度であります、一人当りの平均が……、それの千人分でありますから三千二百七十万程度であります。この今度の戦犯に対する平坦を見ますと、大体公務扶助料の平均で割つてみたわけです。そうして遺族援護法で国がすでに出すべき義務を負つている金額は二万七千六百円でありますから、差引きますと約五百万円ということになるのであります。殖えるのは。併し戦犯の場合は兵その他の者は非常に少くて、結局尉官とか佐官とかいう人が大部あるだろうという予定で五、六百万円、こう申上げたわけであります。この推定は一応数字的な根拠があることを御了承願つておきたいと思います。
  105. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  106. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記をつけて下さい。  それではこれにて休憩いたします。一時半から再開いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後一時三十九分開会
  107. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 休憩前に引続き会議を開きます。恩給法の一部を改正する法律案について質疑ある方は御発言を願います。
  108. 野本品吉

    野本品吉君 先ほどこの法案の審議にこの委員会といたしましては大きな関連を持つております問題がありますので、私は外務大臣の御出席を要求したのでありますが、所用のために見えられませんで、政務次官がおいで下すつたのですが、外務大臣の代りといたしましての御答弁をお願いいたしたいと思います。  事柄は、第十八周余に巣鴨に拘置されております戦犯者の処遇につきましてのこれが緩和の請願が出ている、この委員会におきましてその請願の採否についての慎重な審査を遂げて、これは願意おおむね妥当なものであろうと、こう考えて、採択の寸前になりまして、事国際的に微妙な関係を持つておる問題だからということでいろいろと落合いました結果、外務省の方の御出席を求めまして、この点についての外務当局の御所見を承わつたわけです。そのときの外務当局のお話によりますと、いろいろとむずかしい、又微妙な関係を持つておる問題であるから、暫らく委員会として措置を保留して頂きたいというような御希望の言葉があつたわけであります。そこで委員会といたしましてもいろいろと話合いました結果、外務省の当局の方のお気持を尊重いたしまして、その問題を一応保留する、こういうふうに相成つたわけであります。  ところが今度の国会に恩給法の一部を改正するこの法案が提出されたのでありますが、前の場合は請願の採択でありますから一応そういう形でありましたけれども、今度の場合は、この法律案が成立した場合、非常に社会的にも大きな影響を持つ問題でありますから、前に委員会に対して慎重な態度をとつて欲しいというような外務省のお考えがここに改められたのか、又そういう慎重な態度をとることの必要が解消したのか、それらのことにつきましてここではつきりとお伺いいたしたい、これが私の質問の趣旨であります。
  109. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 本日外務大臣が所用のためどうしても出席できませんので、私が代つて御答弁申上げます。  対外的な面から見てこの取扱いについて全然懸念がなくなつた、そういうように情勢が非常に変転したかとおつしやいまするというと、実はこれははつきりと絶対に対外的に悪い影響を与える心配がないということを言い切るわけにも参りませんが、併しだんだん時期もたちましたし、一方留守家族の方々でも非常に困つておられるというふうな点もありまするので、できるだけ形式を穏かなものにして、そうして今後仮に関係国からいろいろ質疑と申しまするか、申出がありましても、それに対して十分答え得るような形式において、事実上留守家族の方々の援議の役をするに役立つような措置をとつて頂く、それに対しては外務省としても十分責任を持つてそういう対外的に問題が起つたような場合には対処しようという決意をいたしまして、これに賛成をいたした次第であります。  野本さんもよく御存じの通り、これまでは成るほどその援護のほうも重大な問題であるが、一日も早く全面的な釈放を得たいということのために、外務省としてはそれに多少とも悪い影響のあるようなことはできる限りこれを避けて行きたい。そうして早く全部の方が自由になられるようにということを願いまして措置して来たつもりであります。昨年もフィリピンのほうは全部釈放になり、事実同様な措置がフランスによつてもとられた。そこでこれを契機といたしまして、その他の国にもこうした措置をとつてもらうようにいろいろあの手この手で申出をいたしておりまするし、殊に今般も総理が外遊されるということが延期になりまして遺憾でありますが、この際も我々といたしましては、この問題を是非大きく取上げてもらおうと考えておつたようなわけであります。  新聞の方がおられるかも知れませんが、実はこれについていろいろ各国の事情を聞いてみますると、先ず第一に輿論の点を考えなければならんとか、収容国である自分のほうでそういう非常に進んだ措置をとると、友好国側からいろいろ文句も出るようなことも聞かされて、慎重に態度をきめなければならんというような内意も漏らされておるような関係もございますので、これまでは非常に慎重な態度をとつて来たのでありますが、昨年の十八国会のことを御指摘になりましたが、当時濠洲の新聞にも相当巣鴨の自由な生活を許されておるというふうなことが掲載せられまして、こちらの大使の注意を喚起せられたというような事情もございますので、そうしたいろいろな面を考えたために、あの請願に対しましても直ちに賛意を表し得ないという立場をとつたのでありますが、併し先ほども申しましたように、その後時間もたちますし、なかなか私どもが期待いたしましたように、フィリピンのいい例をもとにしてどんどん同様な措置をとつてもらうということは、我々のでき得る限りの努力にもかかわらず、なかなか実現しないという事情でありまするので、これがためにいつまででも荏苒日を送つて、留守家族の方に迷惑をかけるのは忍びないのであるから、今度の法律改正も形式を適当に整えて頂いて、そして我々のほうが対外的に説明するときにも不都合のないような点においてこれを採択して頂きたい、こういう考えでおるわけでございます。  なおここで一言発言さして頂きますならば、或る偉い大将恩給は幾らになるというようなことが過日の新聞にも出ておりましたが、ああいうのが大きく掲げられるということは実は我々のほうに悪い影響を及ぼすようなこともなきにしもあらずと考えられますので、若し本日報道陣の方がお見えになつておられますならば、是非日本のそうした苦しい立場におられる方があるということを思われまして、そうした報道を慎んで頂きたいと思つております。
  110. 野本品吉

    野本品吉君 要するにこの問題を取上げましたのは、只今政務次官からお話がございましたように、従来国民全体が、又政府も極めて熱心に骨を折つて参りました釈放の問題に悪い影響を及ぼすようなことがありますというと、一方で与えて一方で失うといつたような結果になることを非常に恐れたからであります。この点に政府も十分御注意になつてのことと承わりまして、一応私は納得いたしますが、なお只今の政務次官の御答弁は、今お述べになつたような精神の上に政府全体の完全な思想統一と申しますか、意見の一致を見ておりますかどうか、その点も確めておきたいと思います。
  111. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この点はすでに関係省とも打合せまして、そういう方針で進もうということになつております。御指摘のような点については今後も十分注意をいたしまして、その方に迷惑のかからないように最善を尽したいと考えております。
  112. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 他に御質疑はござませんか。別に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより討論に入ります。本案について御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  114. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は自由党を代表いたしまして本案賛成意見を申述べたいと思います。  本案は、恩給法関係いたしまして、公務傷病関係恩給金額計算であるとか、或いはいわゆる多額所得者の普通恩給の一部停止その他の事務上のいろいろの改正が試みられておつたのであります。その後衆議院審議の過程におきまして更に恩給裁定を促進するための措置がとられまして、多数受恩給者に非常な便益を与えることになつたのであります。殊に又戦犯として拘禁死亡された人々の遺家族に対しまする公務扶助料的の問題につきましても誠に時宜に適する修正が加えられました。この点につきましては、今まで対外関係その他の問題等もあつたのでございまするが、これらに対しても外務当局その他においても細心の注意を払われまして、遺憾なき措置もとられつつあるのであります。誠に適当なる改正と思うのであります。  そこで原案は勿論のこと、衆議院修正部分につきましても全面的に賛成いたすのであります。ただ恩給法の問題につきましては、まだ幾多今後検討を要する問題も相当残つておると考えられるのでありまして、これらの面につきましては、政府当局におきまして今後も更に一層の研究を続けてもらいたいということを希望いたしまして、修正部分を含んだ本案に対しまして賛成の意を表するものであります。
  115. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は緑風会を代表いたしまして、本案賛成の意を表するものであります。  現行恩給法の欠陥につきましては、たびたび本委員会におきましてもすでに指摘されたところでありますが、今回政府のほうにおかれましても研究を重ねられまして、改正法案を提出され、更に又衆議院においてはその上に戦犯者の遺族の救済の問題であるとか、そのほか恩給局における事務の促進を期するために、便宜な修正案を提案されましたのでありますが、誠に時宜に適した提案と思う次第であります。  恩給局の当局におかれましては、昨年来非常な努力を以て一日も早く権利者の手許に恩給及び扶助料などが届くようにお骨折りであつたということも承知しております。何分多数の者を取扱われる関係で今日までやはり手遅れになつた点も相当あるやに承わつております。今回の改正によりましてそれぞれ又便宜な方法でお取扱になるということもできるような次第になつたわけであります。待ちこがれておる受権者の希望に副うようにこの上ながら一段の御努力を希望いたしまして、本案賛成の意を表するものであります。
  116. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 他に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないと認ります。  よつてこれより恩給法の一部を改正する法律案について採決いたします。衆議院送付本案に対しまして、原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  118. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 全会一致であります。よつて本案衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容は、先例によりこれを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 御異議ないと認めます。  次に只今本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     竹下 豐次  井野 碩哉     廣瀬 久忠  野本 品吉     植竹 春彦  石原幹市郎     西郷吉之助
  120. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会