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田畑金光君 これはこの
法律案改正と若干離れるかも知れませんが、今奄美大島の復興計画と申しますか、これを
政府機関がどのように
事務を分掌しておられるのか。というのは、
復帰前は
総理府の
南方連絡事務局が一切所管しておられたわけであります。ところが、
復帰後
南方連絡事務局から離れまして、それぞれの官庁に、本省の
事務が移行した状況にな
つているわけであります。御承知のように、奄美大島が
昭和二十一年の一月二十八日を境として
行政分離をされた以前を考えましても、戦争前におきまして、奄美大島振興十カ年計画という名の下に、或いは土木
行政、土木工事、港湾の施設或いは黒砂糖とか紬、こういうその地の特殊産業の保護のために、特別の
措置がとられて参
つていたわけであります。そういうような貧困と申しますか、資源においても不十分であ
つて、島が十年近くも杜絶されて、而もそれが占領政策の下に生かさず殺さずというみじめな状況に追い込められて、昨年漸く
復帰した。今後の復興計画の問題が一番大事な問題でありまするが、遺憾ながら、昨年の国会におきまして、十億の取りえず
復帰に伴う予算
措置が講ぜられたにかかわらず、その十億の予算のうちに、現地において待望しておる公共事業等に、これが流れて来たというのが非常に遅いわけであります。私も去る二月に選挙応援で現地に行
つてみましたが、二月になるにかかわらず、そうして又失業者というものがたくさん職を求めておる。沖繩からどんどん戻
つて来る、こういうような状況にかかわらず、末端における職業安定所を訪ねてみると、失業者の登録に漸くとりかかつたという段階で、お金が来て仕事が始まるということはいつになるかというような状況にあつたわけであります。これは
一つの例でありまするが、その他、例えば土木の工事と道路の復旧工事にいたしましても、港湾の施設改修等にいたしましても、何ら予算が現地に令達されていない。こういうふうな状況にあるわけであります。そういうようなことをだんだん考えてみますると、奄美大島の振興計画というものが、鹿児島県の県庁を通じて予算を地元に令達するということがいいかどうかという問題、こういうような中間機関を経由することが妥当かどうかという問題が、真剣に取上げられて参
つているわけであります。この点に関しまして、特に私は痛感いたしましたが、こちらに西郷さんもおいでになりますが、西郷さんもやはりあのとき選挙応援で現地に行
つておられるのであります。現地に行
つて見まして、感じましたことは、鹿児島の県議会の議長以下相当な人々が、奄美大島の視察だ、土木
委員の視察だ、或いは文教
委員の視察だ、いろいろな各種
委員が視察に来ておりまするが、世に言う大名行列に過ぎない。殊に甚だしいのは、奄美大島の復興は鹿児島県議会、鹿児島県政でなければできないのだ、こういうようなことを言
つて、その知らざる人々を何と申しますか、だましておるというか、こういうふうな状況であるわけであります。而も又
公務を以て来た県会の諸公が選挙応援をして歩いておる。誠に許すべからざる行過ぎを我々は見せつけられたわけであります。御承知のように、奄美大島におきましては、選挙が法定得票数を得た者はなくして、再選挙ということで四月末に再選挙が行われましたが、このときの選挙の状況を聞いてみましても、県会議長や或いは土木部長が現地に渡
つて行
つておる。土木部長あたりが選挙のさなかに十日も二週間も現地にとどま
つているということ自体がすでにおかしいんだが、それは
公務の名に隠れて、実は今後の大島の土木施設、土木工事をやるにしても、県におぶさ
つて行かなければだめだ、県におぶさ
つて仕事を進めて行くためには、県の推すそれらを推さなければだめだ、こういうようなことが現実に行われていることを私たちは聞いているわけであります。そういうことを考えて見ましたときに、私たちの見るところは鹿児島の県議会の人がたのものの考え方、或いは中央
政府に対する或いは国会に対する傲慢な態度というものは、大いに究明しなければならんと考えますが、この点は鹿児島県選出の国会議員の諸君にお任せしたいと考えているわけであります。ただ私のここでお尋ねしたいことは、そういうように県を通じて末端の振興施策をやりますと、どうしても必要な時期に必要な金が現地に流れずに、そうして最も必要な学校を建てたり或いは港湾の改修を図つたり、産業の振興を図つたりというようなことが遅れてしまう、時期を失する、こういうことも考えて見ましたときに、中央
政府といたしましては、この振興計画等に関しまして、中央の窓口をできるだけ
簡素化する、こういうような考え方でも
つて振興計画を積極的に取上げられる御
方針があるかどうか、この点を実は私伺いたいわけでありまするが、こういうような点につきまして、江口官房副長官から御答弁願えれば有難いわけでありますが、若しそれが不十分であるといたしまするならば、私は緒方副総理に
一つ政府の所見を質しておきたいと考えているわけであります。