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1954-05-28 第19回国会 参議院 内閣委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十八日(金曜日)    午後一時十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            高瀬荘太郎君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            山下 義信君            八木 幸吉君            木村禧八郎君            三浦 義男君   国務大臣    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    保安政務次官  前田 正男君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君    保安庁装備局長 久保 亀夫君   事務局側    常任委員会専門    員      杉田 正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件防衛庁設置法案内閣提出、衆議院  送付) ○自衛隊法案内閣提出、衆議院送  付)   ―――――――――――――
  2. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは只今より内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法案並びに自衛隊法案を議題といたします。前回に引続いて逐条審議を行いますが、御質疑願いとうございます。本日は防衛庁設置法の第二章第二節からでございます。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 第十条の教育局の問題についてお伺いいたします。教育局は、これは陸海空軍、三軍の教育根本方針を司る局だろうと思うのですが、ですから、又それを実際的に進める局だと思うのですが、とにかく戦力なき軍隊ですが、これにやつぱり一定教育方針というものがなければならんと思うのです。大日本帝国軍隊のときには、とにかく忠君愛国と言いますか、天皇のためには命を捧げるということが根本で以て教育が進められておつた。これがいい悪いは別として、いろいろ批判はありますが、とにかくそれが日本軍隊根本教育方針になつてつたように私は思う。そこで警察予備隊保安隊自衛隊と変りますが、この自衛隊教育根本方針は何によるものか、そこを一つお伺いしたい。
  4. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく、自衛隊員は先ず第一に自衛隊趣旨目的というものを十分に把握させる必要があろうと考えております。それは即ち我が国の平和と独立を守るんであるということを常に自覚させる必要がありと考えます。これが根本であります。我が国が平和に、而も国民がおのおの友愛精神に満ちて、本当に日本の豊かな国を作りあげるんだというその自覚が何よりも必要であろうと考えております。それと同時に、隊員というものは一致協力しなければならん、一致団結ということか一番必要だろうと考えております。その一致団結の下に、初めて本当の友愛精神も湧上つて来るのでありますから、これを目標といたしております。それと同時に、規律の厳正なることを必要とするのであります。規律のないときに立派な自衛隊は作ることはできません。これにやはり主眼を置いております。それと同時に、自衛隊員は一個の社会人としての教養を身につける。もとより自衛隊国民自衛隊であります。国民信頼の下に立たなければならん。国民信頼を得るためには、十分に教養養つて一個の社会人としての人格を築き上げるということを目標といたしております。それと同時に、自衛隊におきましては、与えられたる任務があるのであります。その任務を尽す上において十分な技能を磨くことを我々は目標としておるのであります。それと同時に、自衛隊は申すまでもなく、不当なる外部の侵略に対して対処する部隊でありますから、そういう不幸な事態が生じた場合においては、我が国の安全と独立を守るために身を挺してこれに当るという気魄を養わなければならない。こういうことを我々は目標として隊員教育して行きたい、こう考えておるのであります。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ自衛隊の直接侵略に備えるということ、勿論戦闘行為訓練する、そういたしますと、これは死を賭して戦うということ、結局まあ帝国軍隊においては天皇陛下、お国のために死ね、こういう教育であつた。ところがですね、今度の自衛隊においてまあ今木村保安庁長官の言われたことは、何か保安庁から出ておる教育基本方針に書いてある通りでありますが、まあそういうことはそれとして一番帝旧陸軍なり海軍なりの場合に問題になつ天皇陛下のために死ねと、この点ですね、これは今度の自衛隊ではやはり何かそういうような死を賭して守らなければならないのだと教える点がないというと、精神が入らないのじやないかというふうに言われておりますが、果してその点について木村保安庁長官はどういうふうにお考えになり、又どういうふうなもののために死を賭して戦えということを言い得るか、それを一つお伺いしたい。
  6. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 従来旧軍隊においては天皇陛下のために死ねという教育がされたように承わつております。併し私は死ぬということは、これはよほど考えなくちやならない。どこまでも生き延びてそうして自分の与えられたる責任を遂行しろということでなければならんと考えております。人間の生命ほど大事な点はありません。戦さに当つてやたらに死なれては困るのであります。どこまでも生き延びて、そして自分の与えられたる責任を完遂しろ、この精神を私は養わなければならん、私はこう考えております。そこで根本は、自分らはこの愛する国のために守るのだ、この気持であります。これは平たく言えば、愛国精神とも言えるでありましよう。少くとも三千年来我々の血を引いた祖先の墳墓であるこの国の平和と独立を守つて行く、これに基盤を私は置かなければならん、こう考えておるのであります。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、まあ帝国軍隊時代と死というものに対する観念が非常に違つて来るのですね。で、只今のお説ですと、天皇陛下のために死ねという旧軍隊観念は、この自衛隊ではとらない。そしてまあ自分国土のためにあくまでも戦う、而もそれは死ぬということを前提にしてではなくて、あくまでも全力を挙げてそうしてその命を長らえて戦う、こういうふうに根本観念変つた、変つておるのだというふうに解釈してよろしうございますか。
  8. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 根本観念が変るか変らないかは別問題といたしまして、我々は軽々しく死ねというようなことは断じてとらないのでございます。どこまでも使命を全うする、自分責任を完遂する、即ち我が国土の防衛に当るということであつて欲しいと思う。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度防衛庁法案教育という面が相当出て来ておる。そしてこの第十条で教育局を新たに設けておりますが、保安庁法の場合は四局で、教育局というのはなかつたわけですが、今度新たにここに加わつておるのですが、そこで特にこの教育局を設けた理由ですね、これは改進党等三派折衝の経過などもあると思うのですが、これは予算には予算措置がなされていないということは、前に伺つたわけですが、これは新しく又予算措置をやらなければならんと思いますけれども、その点一つ特にこれは新しく加わりましたので、お伺いしたいと思います。
  10. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 昨日石原経理局長が申上げたごとく、予算措置といたしましては、四局ほどできておるわけでございます。その後法案といたしまして一局殖えましたので、予算上訂正を要するようなところもあるかと思うのでありますが、人員といたしましては、防衛庁職員といたしましては総数は変らないのであります。予算の御審議を願いました数と変らないのでございますので、その中におきまして、課長級でありますか、部長級でありますとかの職員の一人を局長に振替えるということになるであろうと思うのであります。これは昨日の経理局長の御説明のごとく、予算総則におきまして濫りに変えるということはできないということになつておるようでありまするけれども法律として御審議を願い、成立いたしますれば、その点の話合いはつくのではないかと思つておる次第でございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つ趣旨ですね、どういうわけですか、保安庁法のほうにはこの教育局というのはなかつたわけです。それが今度新たに教育局を設けたについては、相当理由があるはずだと思うのですが、その点を伺いたいのです。
  12. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは御承知通り自衛隊で参りますと、現在の保安隊よりも余ほど性格も異にいたしまするし、又特殊の訓練もしなければならんのでありますから、それらの面から考えまして、将来自衛隊のためにふさわしい教育を施す、その教育について総合的に計画を立てて行くことが必要ではないかということで、ここに一つ入れたわけでございます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはこの五局の中でも非常に重要な部局ではないかと思うのですね、それで今長官は新しい教育と言われましたが、これは先ほど岡田君からも、この点質問をされたんではないかと思うが、この教育方針ですね。保安隊のときにはこういう教育局というのを特に独立して設ける必要はなかつたが、今度特に防衛隊になる場合に、こういう教育局というものを専門に設けてやるについては、今後の保安隊教育というものが非常に重要であり、従つて教育方針というものも今までと違うのであつて、そういう観点から、相当やはり独立して新らしくこの局を設けたについては、新らしい教育という面について、長官としてはいろいろなお考えがあるのではないか。特に警備段階から防衛段階に入り、警備任務としていた人が直接侵略に今度は対抗して行くというについては、非常に隊員教育というものは重要であるし、又仮に我々は再軍備に反対でありますけれども、併し防衛隊というものができた場合、その軍隊が、非常に我々が反対してもできた以上は、民主的な軍隊になつてもらわなければいけないわけなんです。それから我々は反対すると同時に、我々が反対してもできてしまえば、今度はそれを如何にして民主的な軍隊にすべきかということに我々は今度は第二段の努力を傾注しなければならんのです。そういう場合には、やはり教育という面が非常に重要であろうと思うのです。そこで特に自衛隊、これを教育する場合の根本教育に関する考え方、特に新らしい教育というお言葉がありましたが、そういう点について、これは細かい点までは伺う必要はないのですが、根本考え方をお伺いしておきたいのです。
  14. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 根本方針は先刻申し上げました通りであります。それを更に下部にどういうふうに徹底せしめるかについての種々の方法はありましようもとより民主的に我我はものを考えなくちやならんのであります。自衛隊にしても、よくそれらの点を把握せしめる必要はあろうと存じます。一に教育の力に待たなければならんということはもとよりであります。その意味において、教育局を新たに設けて指導訓練方針をここできめさせようと、こういうのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か新らしい教育基本方針というものはないのですか。又それはお作りにならなければならんのじやないですか。
  16. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 勿論これができました以上は、ここで十分研究いたしまして、大方針をきめるつもりであります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体これはまあ改進党との三派折衝の間にこういうものができたのですけれども、局を作るに当つては、そういう大体の基本方針、そういう腹案とか、試案というものでもあるのじやないでしようか。
  18. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この教育局を設けて、教育局で十分に検討して、大方針をきめるべきであろうと考えております。    〔理事長島銀藏君退席、委員長着席
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は教育局に関してはこれでよろしゆうございます。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この教育局創設は、昔の教育総監部の芽生えではないかと思うのでありますが、考え方は同じなんですか。
  21. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 決してさようではありません。御承知通り、旧いわゆる軍閥と言つちや語弊がありますが、旧軍のときにおいては、教育総監部参謀本部、それと陸軍省とが互に鼎立しておつた。さよう構想では決してありません。防衛庁内部の一機構として、教育の大方針を立てさせようと、こう考えているのであります。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当初のこの防衛庁設置法案要綱政府案なるものには、教育局というものはなかつたのでありますが、その当時の考え方はどうだつたのですか。
  23. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その当時は、いわゆる旧保安庁時代構想であつたのでありまするが、新たに教育局を設けて、ここで教育に関するすべての総合的研究をさせることが妥当と、こう考えます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 軍隊軍政面軍令面、それに教育面、こういう三本建で構成されるのが普通です。曾つて我が国軍隊においてもそうであつたわけでありますが、当初保安庁並びに政府が、教育局という内局考えていなかつた。その後軍隊創設を主張しているところの改進党の主張によつて軍隊として教育局は欠くべからざる要素だ、こういう立場において教育局が附加えられたわけであつて、これは自衛隊軍隊的性格を備える一つの重要なポイントになつていると考えるのでありますが、その点如何でありますか。
  25. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 軍隊的性格を持つたポイントとは考えておりません。
  26. 山下義信

    山下義信君 教育の問題が出ましたから関連して伺うのですが、防衛庁自衛隊を通じてですね、表を頂いたように思うのですが、全体でこの学校の数というのは幾つありますか。
  27. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 学校といたしましては、先ず保安大学校というのがございます。今度この法律が成立いたしますると、防衛大学校になります。そのほかに各保安隊及び警備隊内部学校といたしまして、お手許に差上げました保安庁法関係法令集五十五ページに、施行令の二十六条というのがございまして……。
  28. 山下義信

    山下義信君 防衛庁で言うて下さい。防衛庁自衛隊で言うて下さい。今度の組織で言うてみて下さい。……それじやどなたかお調べになつて……。
  29. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) いやここにございましたから……。陸上自衛隊予定編成表という資料がございます。その中に、陸上幕僚長の指揮を受けますところの機関としての学校といたしまして、幹部学校幹部候補生学校富士学校対空特科学校衛生学校武器学校通信学校業務学校需品学校調査学校輸送学校施設学校航空学校、それから海上自衛隊のほうの関係といたしましては、幹部学校術科学校というのがございます。
  30. 山下義信

    山下義信君 済みませんけれども、今おつしやつた学校系統ですね。それから極く簡単に、それはどの程度の階級のものが入りますか。それから修学年限と、定員その他を、これは簡単だと思いますから、資料として表にして、わかりやすいようにして頂きたいのですが……。  それでつまり大体に申して、教育局直轄学校と、それから部隊直轄学校とに二大別しますか。大体学校の種類はこうあるにしても、又学校の上下の程度はあるにしても、所掌関係でいうと、教育局直轄学校と、各部隊の、何というか、直轄学校とに、こう縦の系統で、所掌関係で言えば二つに分れますか。皆教育局がずつと直系で所管している建前になつておりますか。その点は如何ですか。
  31. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今申上げました学校のうちで、大学校でございますね。今の保安大学校、今度防衛大学に直るのでございますが、これは長官次長を通じまして、教育局補佐を受けて、直接に管理なさる。それからそれ以外の幹部学校とか普通科学校というのは、これは幕僚長の下にある学校で、幕僚長管理をするわけであります。幕僚長管理をするにつきましては、長官のきめられました方針に基きまして管理する。その方針を立てることに、教育局補佐することになるのでありまして、教育局が直接に所管するということにはならないと思います。
  32. 山下義信

    山下義信君 それで、ありていに申しまして、教育局教育に関する基本的な計画をしますわね。計画ばかりでなしに、自分直轄して持つているところの防衛研修所、今度の……、それから防衛大学、これは教育局が直接に持つているのですね。それで他の部隊各種学校の大体の教育計画も、これは教育局が作りますね。
  33. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) それは教育訓練基本に関することといたしまして、幕僚長が立てて来ました大きな計画幕僚長が所管するのでありますから、直接にはこの幕僚長教育計画を立てまして、これを長官承認を受けることになつております。その際に教育局がその長官承認について補佐をする、こういうことになるのであります。
  34. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、まあ教育局の、これはあとで出て来るわけでしようが、十三条にまあ大体のことを計画を立てて、その大体の教育計画を立てる際には、部隊に属しておる学校教育計画も立てますか。これはそういうことはしないのですか。教育局は……。つまり部隊の附属と言いますか、直属と言いますか、その学校は今の幕僚幹部のほうで大体計画を立てる。それをまあ報告して承認を求めて、俗に言う報告をしたものが、教育局で大体は承知もしており、握つてもおるでしようけれども、つまりその支配権と言いますか、指導権というものは、教育局にありますか、部隊学校については……。
  35. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはその支配権とか、何とかということになりますと、なかなかむずかしいのでありまするが、どういうふうな学校を設けるかとか、この学校においてはどういうふうなコースを設けまして教育をするとか、教育の仕方をどういうふうにするとか、修業年限をどういうふうにするとかいうふうなことは、これは教育に関する基本的な問題といたしまして、教育局がタツチをする。支配権とおつしやいますけれども、そういうことにつきましては、長官が全部握つていられるわけであります。その長官に対して、長官の御裁断を仰ぐのに教育局補佐する。勿論幕僚長は直接に自分が所管をいたしておりまするが、幕僚の意見というものは長官の御裁断に大きな影響力を持つことは、これは勿論でありますが、教育局教育局として、そういう面から、広い高い面から、長官の御裁断に対して補佐をするということになるのであります。
  36. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、部隊学校いろいろ計画内容はその部隊できめる、いろいろ使用する教科書と言いますか、そういつたものをきめるのは、どこできめますか。部隊のほうできめますか。教育局がきめますか。
  37. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これも資料もいろいろあると思うのでございまするが、その基本的な大事な資料につきましては、これは教育局のほうで相談を受けてきめることに相成らうかと考えます。
  38. 山下義信

    山下義信君 私はだんだん聞いていますと、私が知りたいと思いましたのは、教育局というものが極くあらましな、総合的な学校設置であるとか、いろいろの規模だとかいつたようプラン等を大体皆作つて、それで直接世話をする学校は、今言つたよう防衛大学と、防衛研修所はあるでしようけれども、その多数の各部隊の持つておるいろいろ専門的な実務には困るでしよう訓練というものには困るでしよう。そういうようなものには、それは防衛庁長官を通じて、監督権管轄権はありましようけれども、大体各部隊がそれをいろいろと統轄して、実際は運営をして行くのだということになりますと、教育局はまあ計画的な立案機関であつて、まあ学校のほうへ対しては、余り直接、何と言いますか、嘴も容れんし、平たい言葉で言えば、指導権といいますか、支配権という言葉が悪ければ……。指導も余りできない。まあ間接にはいろいろ連絡はしましようが、例えば今いろいろ教育基本方針等について問答もありましたが、そういう教育の或る方針の決定ということは、やはり学校をずつと系統的に、まあわかり易い言葉で言えば、管轄、統轄と言いますか、掌握と言いますか――を持つていなければ、教育方針の徹底が期せられないように思うわけですね。これはそういう点については少し欠くるところがあるように思いますが、どうなんでしようか。これは新設されるのですね、今度は……。そういう点の御配慮はどういうふうな建前になつていますか。
  39. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今のお尋ねは、教育局だけでなしに、内局幕僚監部とのあり方の問題になつて来ると思います。
  40. 山下義信

    山下義信君 わかりました。大体にはね。
  41. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 大体において同じようなことなんでありますが、大体今のやり方はですね。基本的には……。
  42. 山下義信

    山下義信君 同じですね、基本的に見れば……。それでわかりました。  それで今の保安大学の――これは木村委員が仰せられている資料であつたと思いますが、二十八年度の募集人員応募人員資料は、二十九年度は頂いたのですね。これは二十八年度の応募人員競争率と、二十九年度は半分に落ちているのですね。これは逆説すれば、二十八年度が非常に応募者が多かつたという理由、今年度で言えば、非常にがた落ちしたという理由、何かの理由があると思います。非常に希望者が多いのですね、どちらにしても……。二十九年度を見ても、ざつと十五人に一人という競争率、これはどうしてこんなに応募者保安大学に殺到するのですか。これへ入ると幹部になれるからというわけですか。それはどういうことですか、その状況は……。
  43. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは志願する者、個々によりまして、いろいろ具体的な事情があるであろうと思うのであります。私どものほうといたしましては、こういうふうな保安庁と申しますか、防衛庁と申しますか、こういう機関に将来自分の生きる道を見出だしたいと思う希望者であろうと思うのであります。そういう熱意で来るのであろうと思います。
  44. 山下義信

    山下義信君 それで、この今の応募者が昨年より半分に減じましたのは、どういうわけでしよう
  45. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは前回矢嶋委員お尋ねに対しても申上げたのでありますが、私どもの見るところによりますると、二十八年度が最初募集つたのであります。保安大学最初募集でありまして、保安大学校の性格と申しまするか、そういうものにつきまして、受ける学生の側のほうでまだ十分に理解していなかつた、どういう性格になるのであろうか、まあ一応受けて見ようというので受けたものも相当つたのじやなかろうかと思います。二十九年度に至りますと、学校のほうでも学校性格がはつきりと受ける者にわかつて来たということが一つでありまするし、いわゆる俗にひやかしの受験者がなくなつたということもあろうと思います。又試験の課目にいたしましても、物理と化学と両方とも必須課目に加えた、こういうことが学生にとりますと相当大きな影響を与えたようでございます。又身体検査等の点につきましても、二十九年度からは保健所におきまして身体検査をあらかじめ受けまして、或る一定健康状況検査を受けたり、それに合格したもののみ願書を受付けるというようなこともいたしました。それからまあ前年の競争相当烈しかつたというようなことも相当影響しているのではないかと思います。学校の教官の方々に聞きますると、本年入りました学生は昨年入りました学生に比べまして遜色はないと申しております。
  46. 山下義信

    山下義信君 人事局長に伺いますが、私はいつか一般質問のときに長官伺つたのでありましたのですが、そのときはそれだけのためにじやなかつたので、一般的なこと、共産党関係のことを申上げたのであります。今のいつか新聞に出ておりました保安大学共産党関係が生じたという事件が伝えられておりましたですね。あれは実際そういうことがありましたのでしようか。又今日どういう状況になつておりますか、この機会に伺つておきたいと思います。あれは学生自治会を作るという問題でありましたね。
  47. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) たしか昨年末のことであつたと思いますが、この前も申上げましたが、学校のほうにおきましても、学生に自主的な気風を養成したいということで、自治会を作るというようなことをしまして、寄り寄り研究しておるわけであります。たまたま保安大学学生の数人の者が電車の中で見知らない学生に会いまして金を貸したというようなことがあるのだそうであります。その金を返しに来ました学生がそういうふうな言動があつた学生に対しまして何か全学連に加入しなければいかんじやないかというような言動があつたというような事実があることは聞いたのでありますが、それが共産党のかたであつたかどうかということについては、確実なる断定するようなものはないようであります。そういう事実はありましたけれども学校当局としましては、生徒は別に扇動していないというふうに報告を受けております。
  48. 山下義信

    山下義信君 柵を越えたりして、しよつちゆう外から党との連絡をとつてつた、ああいう事実はないのですか。
  49. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 新聞にそういう報道がございましたけれども、聞くところによりますと、垣根を越えて入つて来るという事実は認め難い、或いは我々の調べの足らない点があるかも知れませんけれども、調べた範囲内においては、そういうことはないという報告でありました。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 十三条のほうを見ると、十三条は又あとで伺うのですけれども教育局のことは保安庁法ですと、保安局の中に、項目は十二条の五、六、七号にあることが、今度は自衛隊教育局の仕事になる。これは隊員教育だと思つたところが職員教育なんですね。職員教育ということは、この保安庁法のほうにおいてやはりそうなつておるのです。私隊員教育に関する基本のことを掌るのかと思つたのですが、職員というふうに限定してあるのはどういう……。
  51. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これも先回御指摘されまして、実は答弁に苦んだのでございますが、本当は職員という言葉が、行政官庁といたしましてはいわゆる隊員というものも職員というふうに表現しておるのであります。ほかの官庁におきましても……、それを今度は防衛庁設置法というものと自衛隊法という二つの法律にいたしました関係で、ほかの法律には職員とあるものを自衛隊法のほうでは、特にその職員隊員と呼ぶのだというふうにしておりますので、そういうふうな問題が起つておるのでございますけれども、そこで言つておる職員という中には隊員も入つておりますし、のみならず隊員が主要なものであります。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。それから私教育に関連して頂いた資料ですね。特に「航空自衛隊教育訓練計画」というのを頂いたのですよ。操縦関係、整備関係、通信関係、米国留学、特別任用幹部初度教育、特別任用空曹及び新隊員の基礎訓練とありますが、そのうち極東米空軍委託により教育する人員は、操縦関係にもあり、それから整備関係にもあるわけですね。これはどういうことなんですか、伺つておきたいのです。極東米空軍委託により教育する、これは具体的にどういうことなんですか、よくわからない。
  53. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お手許に差上げました教育訓練計画の操縦関係について申上げますと、(1)の操縦学校において教育をすると申しますのは、この法律通りました暁におきまして、航空自衛隊の操縦学校を作りまして、そこでここに書いてありますよう教育をしたい。(2)に書いてありますのは、その学校教育とは別に極東米空軍に委託いたしまして、極東米空軍の基地におきまして(2)に書いてあるよう教育を受けたい、こういうことでありまして、整備関係についても同様でございます。極東米空軍に委託して教育訓練をするということでございます。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですが。私は極東空軍からの要請によつてこういう人員訓練する、こういうふうに解釈したのですが、日本側のほうから極東空軍に頼んで、そうして操縦関係ならば基本について六十名、高等について十名ですか、これだけの人を教育訓練してもらう、こういうことなんですか。
  55. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今お述べになりました通りでございます。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、それは教育費とか何とかいうものはどういうふうになるのですか。
  57. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) この関係におきましては、教官の費用は勿論払うという必要はございません。ただ教育の実際に使います飛行機の燃料というふうなもの、それからこれはこちらで支弁をすることに相成ろうかと思います。実はそういう計算で積算をいたしております。それからあとは部品その他の関係でございますけれども、これは訓練中に取り替えるものもあるかも知れませんが、そこらのところは今後細かい折衝をしなければなりませんが、そこら辺のところはまだ予算に計上してございません。燃料は恐らく払わなきやならんのだろう。それ以外のものはこちらとしてはまあ実行上支弁しなければならないかも知れないが、それは大した金にはなるまいというふうに考えております。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも私は極東空軍に頼んで、操縦関係それから通信関係、更に又米国留学というのがあるのですけれども、こういう点が我々やつぱり日本自衛隊は自主性のある自衛隊自衛隊というけれども、こういう点はやつぱりアメリカ式訓練をこういうところから受ける。で、アメリカの軍事技術その他を受けることそれ自身がすぐにアメリカの雇い兵であると、そういうふうに私は極端には解しませんけれども、全体を通じてみると、やつぱりこのMSA協定、それから向うの顧問団、それからこういう米軍に委嘱する訓練、こういうことを見ると、どうしても日本自衛隊というものは、やつぱりアメリカ式軍隊訓練されて、合同作戦をやるときに都合のいいよう訓練されて行くと、ここに自主性のないあれがどうも現われて来るのじやないかということを我々は一つの証拠としてまあ見るわけですよ。従つて極東米空軍に委嘱して教育を受ける、或いは米国留学する。そういう教育の仕方について、その結果として非常に自主性がなくなるのではないかということを憂えるのですが、そういう点についてはどうお考えですか。
  59. 前田正男

    政府委員(前田正男君) これは局から説明がありました通り、いろいろな関係で以てアメリカに教育を依頼するわけでありますけれども、併しながらそれは使います飛行機、或いは貸与を受ける飛行機とか、そういつたよう関係もあつてのことでございますので、それによつて別に自主性がなくなる、こういうふうには我々は考えてはおらないのであります。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 このMSA協定によつて顧問団が来ますが、訓練の援助というものを受けるのですね。訓練の援助というものは具体的にどういうことなんですか。
  61. 前田正男

    政府委員(前田正男君) 技術の修得を教えてもらうということが主であります。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この航空自衛隊教育訓練計画ですね。この中での極東米空軍に委嘱して、頼んで教育してもらうということは、やはりMSA協定による訓練の援助の中に入るわけですか。
  63. 前田正男

    政府委員(前田正男君) その通りでございます。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですが、そこから来ておるわけでございますね。通信関係についてもそれから操縦関係についてもMSA協定との、あの中の訓練の援助ということから具体的にこういうよう訓練計画というものが作られた、そう了解していいわけですね。
  65. 前田正男

    政府委員(前田正男君) 大体その通りだと思いますけれども、併し日本側のほうにおいてもやはり自分たちで以て或る程度航空の訓練をいたしたいと考えておりますけれども、使う飛行機とかいうものは大体向うの供与品とか、向うから貸与を受けるものとか、或いは又通信設備その他も大体向うのものが多いものでありますから、自然どうしても向うに技術的な訓練の依頼をしておるというわけになろうと思います。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから米国留学なんかというのは、やはりこれは訓練の援助なり、イギリスかアメリカに留学して行く場合の費用なんかはこちらで一応持つとして、向うに行つていろいろ教育を受けるときに、授業料とかそれからいろいろ向うの設備を使つたりなんかする、そういうものはこつちで払わないで、向うでそれは無償で援助してくれるということになるのですか。
  67. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今お述べになりました通りです。行くときの旅費などはこちらで持つようになつているようでございますけれども、向うに行きましてからの費用は、向うが援助してくれるというよう承知しております。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうものはMSA協定によれば、訓練の援助という中に入るわけですか。
  69. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 訓練の援助の中に入ると思います。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、MSA協定のようなアメリカの対日援助については、具体的には武器援助ですね、兵器の援助。これは一億二千万ドルですか、幾らとか、そして向うの金額で言う一億幾らという中には訓練の援助というものも入つているわけですか、そういう金額として。例えば日本にMSA協定によつて一億何千万ドル援助する。例えば武器が幾ら、訓練援助費が幾ら、何かこういうふうになつているわけですか。
  71. 前田正男

    政府委員(前田正男君) これはMSA協定は金額ではなしに、こういうものを貸してもらいたい、こういうものを貸与を受けたい、こういうふうに話をしておつて、それを我々のほうで算定いたしました算定の仕方ですね、仕方によつて一億二千万ドルになるのじやないかということを資料として差上げたのであつて、その算定の仕方によつては、金額等も中古品は何割ということによつてつて来るわけでありまして、別に金額で以てどうこうと抑えているわけじやありませんから、こういうよう訓練の援助を無償ですること、或いは船を貸してくれるということ、又航空機を供与してくれる、こういうような項目で入つてつて、そういう、金額で幾らというふうには我々は了解しておりません。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しアメリカのMSA予算というものは金額ですよ。あれは国会に出さなければならんので、今まで例えば極東に対する援助というものは十億ドルあつて、そのうちアジア地区として例えば韓国とか或いは台湾とか、そのうち日本も入つてくる。やはり結局はアメリカで国会の承認を受けるときは金額ですよ。
  73. 前田正男

    政府委員(前田正男君) それは仰せの通りに或る程度金額の限度はあるのじやないかと私も思つています。が、併し我々のほうで今交渉しておりますのは、金額で幾らというようなものでなしに、アメリカが予算で許可をもらうときには、確かに一定の限度があるのじやないかと思いますけれども、我々の現在交渉して、いるのは別にこれを幾らに算定するから武器を貸してくれというふうな行き方じやないと思つております。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しそれは私今後相当やはり重要ではないかと思つているが、例えばイギリスとアメリカとの協定なんかを見ると、アメリカがこれの軍事援助をするから、その代りとしてはこれに対して何倍の軍備拡張をすべきである、向うの援助に応じて又その国もどの程度百再軍備を拡張して行くかという、そういうことが出て来るので、大体においてアメリカのそういうMSA援助というものは、一応金額的に最後には把握しなければいけないのだし、それは又当然ですよ。当然そういうことはされるのじやないかと思うのですよ。
  75. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) お答えいたします。今の金額につきまして一億五千万ドル程度というのは、先般も資料を差上げました。我が国で陸上の武器ではこうこうこういうものが欲しい、これは二百五、六十億だつたと思いますが、それから艦艇についても御承知通りと思います。又航空機についても御承知ような数字で五百五十億、これを仮に認めて行きますと、一億五千万ドル程度、これがいわゆる一億五千万ドルなんですが、これは勿論木村委員承知通り、話がだんだんきまつて参りますれば、勿論金額の限度で又問題も起ると思います。併し現在の段階では、私のほうとしましては、その単価につきましてもそういうプリンシプルで一応出しておるのでありまして、そういつたものの要求を合せ、又陸上兵器についても今顧問団を通じて最終的な数字をワシントンと打合せておる段階であります。例えば航空機につきましても、若干練習機等についていろいろ手持のもの等で実施いたしておる途中でありますけれども、そういつたものがだんだん固つて参りまして、そういつた金額で只今も出ました訓練計画と合せて、最終の金額を合せながら、その枠の中ではまつて行くかどうか、こういうことになるものと考えております。
  76. 山下義信

    山下義信君 ちよつと一つ、今私の伺おうと思つた点、米国関係のことを木村さんがお尋ねになりましたからいいんですが、一つだけ伺いたいと思うのは、このアメリカヘの留学生、この間二百名ですか、現在は幾らですか、留学生の数が出ておつたと思うのですが、正確にお知らせを願いたい。それから今後の留学計画はどうなつているかということを一つ……。
  77. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 米国の留学計画資料としてお手許に配付してございます。現在は昨年の春百四十名余り参りました。それは現在もう全部帰つておるのでございます。今後二十九年度におきましてお手許に差上げました資料の留学を計画いたしておるのであります。
  78. 山下義信

    山下義信君 大体の数字でいいのですが……。
  79. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 陸上自衛隊のほうで百四十六名、海上自衛隊のほうで約三十名、航空自衛隊のほうで約四十名にきまつております。
  80. 山下義信

    山下義信君 資料の数字が私には見付かりませんで済みませんでしたが、長いのは一年でしたかね。
  81. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 期間は最長が一年、最短が六週間でございます。
  82. 山下義信

    山下義信君 わかりました。それでもう一つは米国側の顧問と言いますか、顧問団と言いますか、或いは教官と申しますか、米国側にこの防衛関係の各般の学校で教官というような立場にいる人が何人くらいおりますか。それも資料にありましたか。
  83. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 米軍顧問団配置状況並びにその員数というものに全体の数字はございます。ただこのうち学校へ何名配備になつておるかという数字は現在の状況のはございませんが、将来の形といたしましては、学校富士学校でございますが、それに一部配属されるという計画でございます。
  84. 山下義信

    山下義信君 現在と将来入れて同名くらいですか、学校関係の向うさんの……。
  85. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは資料を調べましてあとでお答えさして頂きたいと思います。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の表ですね、この実施項目はまだできていないのですか。
  87. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) どちらの表でございますか。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この留学のほうです。この註に「各派遣先毎の人員、時期、期間等の具体的な実施項目については目下折衝中」となつてますが、これはもう具体的にきまつたのですか。
  89. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) まだきまつておりません。
  90. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次に進んで頂きます。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この機密の問題ですが、長官官房の所掌事務のうち機密に関する問題ですが、これは保安庁の場合の機密、今度は秘密保護法かてきますね、それでどの程度にこれが違つて来るのかお話願いたい。
  92. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この長官官房の所掌事務として書いてあります機密に関することというのは、各省ともにある法規でございまして、各省大臣の機密に関する事項というのと同じよう趣旨に御了解願つていいと思うのでありまして、実質的には機密の事項が殖えるかとも思いますけれども、具体的にどういうふうに変つて来るという御説明は困難かと思います。  それからちよつと訂正させて頂きますが、先ほど木村委員に対しまして留学の場合でございますね、旅費はこちら持ちだと申しましたが、日当等はこちら持ちだということになりますので訂正いたします。
  93. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) MSAで参りますものにつきましては、御承知ように、給与法規で支度料はきまつております。これは支度料は日本側で支度する、それ以外については向う側で負担をするということになつております。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今機密に関しまして少くともこれが保安庁の場合より範囲及び内容は拡大されるということでしよう
  95. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私の申上げましたのは、これは役所の秘密ということでございまして、例えば最高の人事等につきましてもいろいろ秘密の事項があると思うのであります。そういうようなことを各省共通の事項として、これは書いているんだと思います。そのほかにも役所の秘密事項は、これは別にあるのでございまして、役所自体の秘密というものは、防衛秘密保護法かできますと。それに伴つて殖えて来るものがあると思います。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですからやはり秘密保護法が出て来ますれば、この役所の秘密に関する事項も拡大されて来るのじやないか、例えばこれはやはり秘密保護法が制定される前のことなんですけれども、前に次官会議でその機密事項というものをきめまして、それで各省にこれを実施させるようにいたしたのですね。それで前の予算委員会で私は質問して資料も頂いたのですが、そういうことはやはり言論統制になつて行く危険があるというので、新聞関係で取材関係相当影響があるというので、やはり相当注目されていたんです。そういう関係保安庁の場合の機密に関するということと、今度の場合とは範囲が拡大して、例えば新聞記者の立場に立てば、もつと取材が非常に困難になつて来る、こういうことになるんじやないのですか、今までよりは……。
  97. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは防衛秘密保護法の関係のことをお言いになつたんだと思いますが、秘密事項が多くなることは、これは間違いないと思うのでありますけれども、新聞記者等の取材については、法務委員会でもいろいろ論議があつたように、成るべく取材の活動に不便なことはしないというよう政府は答弁しているよう承知しております。その程度に御了解願いたいと思います。
  98. 山下義信

    山下義信君 私は資料一つお願いしたいのです。これはお手許に多分あると思いますが、あの十一条のしまいの官房のやつている「広報に関すること」というのは、これは防衛庁ですか、今持つておいでになりますか、庁内やら部内に配られる広報関係一つ刊行物をまとめて資料に頂きたいと思います。そういうのはありませんか。営内新聞とかいつたよう隊員に読せるものとか、それからいろいろ隊員に周知させるようなパンフレットとか、大部のものをもらつてもしようがないのですが。それから最近隊員募集について、町村に配つたとかなんとか、現況一覧のような、ああいうもの、なんかそういつたような広報活動をどの程度しておられるかということがわかるよう資料を、一部袋に入れて土産に頂きたいと思います。
  99. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 保安庁の概況というのはこれは広く市町村等に配付してございますが、これはお手許に差上げてございます保安庁の概況というパンフレツトでございます。それからその募集事項の場合には、その都度志願案内のようなものは出しております。それから隊内新聞のようなものは保安庁共済組合といたしまして「朝雲」というのを月に三回出しておるのでございます。最新号でも一つ取寄せまして……。
  100. 山下義信

    山下義信君 それがいいです。そういうふうなやつを一つまとめて頂きましてね……。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと待つて下さい。文字でね、つまらんことのようですけれども保安庁法のほうでは「こうほう」というのをかなで書いていて、今度は漢字にしているんですね。これは何か意味があるんですか。
  102. 林修三

    政府委員(林修三君) これは立法技術の問題でございますから、私のほうからお答えいたしますが、御承知ように昔の言葉で言えば「こうほう」の「こう」は弓偏にムの字が大体「こうほう」というのに使われておりました。ところが当用漢字で弘報はなくなつたのでございます。そこで従来は平仮名でそれを書いておつたのでございますが、むしろ平仮名で書くよりは広いという字を当てたほうがいいんじやないかというので、最近はそういう工合に、大体そういう言葉を使うようにいたしております。
  103. 山下義信

    山下義信君 さつさと議事を進行して頂きたいのですがね。一つ伺いますが、官房の仕事の中に「行政の考査に関すること」というのがありますね。これは部内一般を考査されますか。
  104. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御指摘のようにこれは部内一般の考査でございます。ただやり方につきましては、内局部隊との関係につきましては、部隊に対する命令はすべて幕僚長を通してやるというふうなことになつておりまするので、実際に内局の者が直接に部隊のほうへ監査に行くということはいたしておりません。併しその監査というもの、考査というものの一般的な方針なり大綱はここで扱うということにいたしております。
  105. 山下義信

    山下義信君 そうすると、内局部隊との関連は、いわゆる幕僚長を通じてやりますのは、部隊の戦闘指揮とかいうような行動の指揮のみを、幕僚長を通じてやるのかと思つたら、こういう庶務的なことも全部挙げてなんですか。この内局という者は口出しもできねば、物差しもできねば、もう何にもできないんですか、この考査というようなことでも。これは何ですか、十一条で見ますと、防衛庁の所掌事務に関して行政の考査に関することを司るというのでありますが、ほかにその行政の考査を司るところはないんですね、この他の部局には。そうして建前が行政という建前をとる。所掌事務と言えば自衛隊を皆含んでおつて、そしてその自衛隊の行政の考査に関すること、これが官房でできないんですか。どういう建前になりますか。
  106. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは又内局幕僚監部との関連から申上げなければならないのでありますが、幕僚監部はおつしやる意味の軍令だけをやつておるのじやないのでありまして、人事に関することも、前回申上げましたけれども、或る程度の人事権の委任を受けてここでやつております。又調達等のこともやつておるのでありまして、必ずしも軍令のみというふうになつておらないのであります。従いまして幕僚長に対する指揮命令というものは、その全部に及ぶのでありまして、この自衛隊法の第八条の但書にありますように、「幕僚長の監督を受ける部隊及び機関に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行う」とあります。でありますから軍令、軍政と分けた意味の軍令だけだということではないのであります。そこで考査の問題でございまするが、考査の問題は防衛庁といたしましては長官官房であります。併しこのやり方につきましては、これは指揮監督ではないんだから、内局のものが直接行つて考査をしてもいいのではないかというふうなことも勿論考えられるのであります。ただ幕僚長というものを、部隊に対する統轄把握権というものを逆に認めておくことが、この部隊の特性からいたしまして必要でもあろうというふうな考慮もございまするので、実際の扱いといたしましては、内局の者が直接に部隊へ出かけて行つて監察をするというふうなことはしておらないということを申上げておるのであります。
  107. 山下義信

    山下義信君 そうすると、これは先で幕僚監部のところで伺わなければなりませんが、軍令はもとよりのことでありますが、軍政も一部じやなくして、全部挙げて幕僚長のところへもう委任されてしもうて、通じてやる建前ですね。だんだん少しずつわかつて來ました。内部部局というものと幕僚監部、部隊との関係がだんだんわかつて来ましたが、もう軍政の面も挙げて幕僚長を通じてやらなければできない建前でございますね。
  108. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この法律に書いてあります通り、指揮監督という関係につきましては幕僚長を通じて行う。その代り軍政、軍令と分けた場合の、いわゆる軍令的な事項につきましても、内局の関与し得るよう建前にはなつております。防衛基本に関することは防衛庁でやるということであります。その意味のことと御承知願います。
  109. 山下義信

    山下義信君 先に行つてよろしいですか。あれは矢嶋君が教育のことで、これは教育局曾つて教育総監部ようなものではないかという質疑があつたのでありますが、もとよりそうではないという答弁でありましたが、私もよく存じませんけれども曾つて教育総監部というものは、部内の教育関係を全部総合統轄していることは言うまでもないことでありますが、その仕事の非常な重要な部面というものは、各部隊の考査、監査と言いますか、検閲と言いますか、その監督をする仕事が多分にあつたわけなんですね。そこで独立的な高い権限も与えて、学校を統轄するというだけに、何で陸軍長官というような高い権限を教育総監に与えたかということは、そこで成るほど軍全体の検閲的な仕事を持つている、こういうふうに私たちは常識的にそのように思つておるわけなんです。それでこの防衛庁自衛隊を通じて最も肝要なのは、自衛隊の監督、考査と言いますか、何という言葉がこの両法案を通じて使うてあるか教えて頂きたいのでありますが、その仕事ですね。いつもしよつちゆう部内に不正のないように、不規律にならないように、いろんな不穏な状況もないように、不正も行われないように、いろいろそういうことの監督機関と言いますか、検閲機関と言いますか、ここは考査という言葉が使うてあるのでありますが、そういう機関というものはあるのですか、ないのですか。
  110. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 規律の刷新につきましてはそれぞれの部隊の長が責任を持つてつておるわけでございますが、別に後のほうで出て参りまするが、現在の保安庁法六十何条でありましたか、警備官という……。
  111. 山下義信

    山下義信君 あれは悪いことをした者をつかまえる憲兵隊ですか。
  112. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 憲兵じやないのです。隊員の犯罪を犯した者をこれが取締るという権限を持つたものは、陸のほうにも海のほうにもございます。そのほかに内局といたしましては監察課というふうなものもございまして、これは附属機関しその他の会計面からの監査であります。ということになつております。
  113. 山下義信

    山下義信君 今の行政監察的な機関というものはありませんか、これは行政の建前になつているんですが。
  114. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 保安隊につきましては非常に機構が厖大でございますので第一幕僚監部の中に、ここにもございますが、監察課というものを設けております。又各管区総監部が四つございますが、その管区総監部の中にもこれが管下の部隊の行政面からする監察をする、こういう建前にいたしております。警備隊のほうには一万人ほどの人員でございますので、それから独立した機構も少いので、これはまだ設置の域に達していないのでございます。
  115. 山下義信

    山下義信君 管区に監察係がおりますのは結構でございます。だんだんそれが方面隊なら方面隊にも又監察関係の仕事を持つているのはよろしい。けれどもそれは飽くまでも自分のところにあるのですから、言い換えれば右の手を右の手で見ているようなものですから、自分自分が監察したところでこれはいかん。監察するということになれば、やはり横から監察して行かなければならん。各部隊が持つている監察の仕事はやはり何と言うても防衛庁内部部局の中にその面をちやんと所掌するはつきりとした事務の中枢があつて、つまり防衛庁関係の諸機関の厖大なあの部隊のその全体の監察というものが計画されたり、いろいろそれが昔の言葉で言えば、軍紀、風紀、教育その他訓練、その他に亘つてやはり他から批判する、他から監察するというものがなけらねば、自分自分を監察しておつたつてこれはしようがない。やつぱりそういうものが必要であろうと思うのでありますが、それは防衛庁内局ではしないことになつておりますが、すればどこでするものですか。
  116. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは「行政の考査」ということで官房でいたします。人事につきましては私のほうで、人事局のほうで人事に関する絶えずまあ注意を払つておるわけでございます。それから、これはおつしやる通り自分だけで監察しちや駄目じやないかという御意見御尤もだと思うのでございまして、只今のところでは行政機関といたしまして行政管理庁の監察部の監査を受けておりまするし、会計検査院その他の外部の機関による会計検査も勿論これは受けております。
  117. 山下義信

    山下義信君 それは部分的なものはありましよう。又その行政管理庁の行政監察と言いますか、それは又それでこれは又政府部内の全般についてのことでありますが、今は又防衛庁自衛隊のこの厖大なる行政組織の中において、自衛隊防衛庁本部、つまり内部部局監督部局という関係において、私はこの監察的な仕事が、これは向うの所掌事務に干渉するというのじやない、所掌事務を侵すというのじやなくして、監察ということは向うの持つている仕事に越権的な行為をするというのじやないのですから、ですからこれは監察ということは、当然この組織の本部がこれはなくてはならんと思う。それで私は今「行政の考査」ということが官房の仕事に謳つてありますから、これは官房だけを考査するのではありますまいし、この防衛庁の所掌事務一般についての考査というものをするのでなければ、官房の行政考査というのは何をするのか、これはこの法律の目的はわからんことになるわけであります。これははつきり私はしておきたいのであります。それを、若しないならば、なくてもよいという理由を明らかにしてもらいたい、そんな監察なんかしなくてもいいのなら。
  118. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 決して監察をしなくていいなんということを言うておるのではないのでありまして、行政考査ということは非常に大事なことであります。大事なことでありますので、内局の官房においてこれを所掌する。ただそのやり方につきましては、先ほど条文を引出しまして御説明いたしましたように、指揮監督ということではないから、直接にやつていけないというふうなことではありませんけれども部隊には幕僚長というものが統轄的な存在としておりまするので、内局の者が直接に部隊を監督に行くというようなことになりますると、部隊を一元的に強固に幕僚長に把握させたいという趣旨とも若干の問題がありますので、実際問題として今まで部隊に直接に行くというようなことはしておらないというようなことを申上げておるのでありまして、内局におきまして考査のことを重要な仕事として取上げて、いろいろな企画を立て、絶えず幕僚監部その他から報告を求め状況を把握しておくということは必要であると思います。
  119. 山下義信

    山下義信君 まだ政府の答弁は私は納得しかねる。これについての確たる基本的な構想もないようであります。そういう印象を受けます。これは問題としておきますが、政府においても十分考究せられたいと思います。
  120. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次に矢嶋君、十二条の問題やりますか。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 はい、十二条。
  122. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) どうぞ。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この内局の五局の中で防衛局というのは極めて重要な局だと思いますが、この十二条の第一号にある「防衛及び警備基本及び調整に関すること」、この調整は国家の全面的な政策面からの調整という意味も入つていましようが、又陸海空の調整という意味も入つておるものと思いますが、その点と、それ以上に承わりたい点は、国防会議の防衛計画の大綱とこれらの比較は大体わかりますが、実際問題として国防会議のこの防衛計画なるものは第十二条に基く防衛基本に関すること、ここから実質的には出て来るものだと、こういうふうに了承してよろしいかどうか、その点承わります。
  124. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この第十二条の「調整」ということでございますが、これは今お話になりました通り、陸海空の調整ということが勿論ございますし、それから内局について考えてみましても、人事の関係とか経理の関係とかいろいろな面からする各局課間の調整など防衛に関する調整ということもあるのでございます。それから防衛計画ようなことも当然ここに重要なる一つの仕事として扱われるものでありまするが、国防会議等において取上げられまする問題についても、この部局が非常に緊密な関係を持つことになろうと思います。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従つて私はこの防衛局長は非常に大きな役割を演ずると思うのでございます。その質問をする前に、この防衛局に相当する保安庁の局名は保安局ですね。現在の保安局長というかたはどういう経歴のかたでありますか。
  126. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在の保安局長は内務省出身、学校を出まして内務省へ入りました経歴を持つておりまして、保安局長になりますまでは、札幌の警察管区の本部長をしておりました。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官に伺いますが、防衛局の局長は軍事知識に或る程度富んでおられる文民が私は適当と考えます。曾つて日本陸海軍を募りような旧軍人とか或いは陸海の保安隊並びに警備隊の第一線において勤務された制服のかたは当分私はこの防衛局の局長というポストには据えないほうりが、この防衛庁の所掌事務から言つて適当であるというふうに私は考えるのでございますが、長官の御所見を承わつておきます。
  128. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 防衛局の任務は誠に重大であります。単に軍事的知識ばかりでなく、広き視野に亘つて物事を判断する能力を必要といたします。従つて、私は旧軍人必ずしも悪いとは申上げません。立派な人物もあることは私は認めます。できる限りいわゆる平服を着た人をこの局に当らしめることが適当と考えております。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつとそのあとのところは、制服を著た人ですか、はつきり……。
  130. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 非制服者、制服を著た者ではない者です。
  131. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 十二条はほかにありませんか。
  132. 山下義信

    山下義信君 これは防衛局の情報の収集の仕事の関係で伺うのですが、いつか駐在武官の御計画を承わりましたか、資料で頂いたかと思うのですが、記憶にもなく、又資料も見当らないのですが、今大体海外健在武官の派遣の御計画、派遣地等につきまして伺いたいのです。
  133. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 駐在武官というお話でございまするが、現在そういうものはないのであります。
  134. 山下義信

    山下義信君 わかりやすく言つたんですが、自衛隊の自衛官の人が視察その他について海外へ派遣せられる御計画がありますか、或いは又現在海外に、いろいろ海外の新知識或いは各国の軍事状況の研究等のために派遣せられた人がありますか。又今後派遣せられる御計画がありますか。
  135. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 二十九年度予算の中に六名を海外に出張せしめる計画を持つております。
  136. 山下義信

    山下義信君 それはどことどこでありますか。
  137. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) アメリカ或いはヨーロツパ、そういうようなところにおきまして、できるだけ重複しないように重要なところに集中いたしまして参りますように現在計画しております。
  138. 山下義信

    山下義信君 六名のかたで一名ずつ分かれても六カ所でありますから、国名がわかつておりましたら、予定をお示しを願いたいと思います。
  139. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 六名という計画を立てておりますのでありますが、最近なかなかどこの官庁もむずかしいわけでございまして、人数の点も正確にそうなりますかどうかはちよつとわかりかねます。ただ申上げておきますることは、これはいろいろな情報の関係もございましようが、技術的な問題もありまするし、そういうふうに系統的に海外のことを調査いたしまするのは初めてでございまするので、そこら辺のところはまだ慎重に検討いたしております。国の名前につきましては、まだはつきり申上げることはできない状態であります。
  140. 山下義信

    山下義信君 ヨーロツパは一カ所でもわかりませんか、予定は。
  141. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 一カ所と申しましても、大体常識的に見当のつくところであろうと思いますが、そこら辺のところはどういうふうな日程でどういうふうに廻るかはまだ未定でございます。
  142. 山下義信

    山下義信君 部隊で御使用になります暗号ですね、これはもうすつかり暗号というものは整備されてありますか。今度新しい暗号をお作りになりますか。
  143. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り、暗号というものは長らく使えないものであります。時々変える必要のあることはあなたも御承知通りであります。それらについては十分研究いたしております。
  144. 山下義信

    山下義信君 暗号のことは、これは今度の秘密保護法で言いますと、何の秘密の中に入るのでございますか。特秘ですか。
  145. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今度の秘密保護法ではこれは入つておりません。
  146. 山下義信

    山下義信君 それじや、私はこれを伺いますのは別に秘密を聞こうと思つて伺つたのでもなけらねば、今から申上げることが主なんですが、秘密に入つていなくても、暗号というものは大事なものであろうと思うのですが、今日は余り暗号というものは大事でありませんか。この暗号は日本独自の暗号をお持ちになるんでしようか。まあ日本独自でなしに、アメリカと御相談なすつて共通の暗号のものなんでしようか。この暗号というものの、今防衛庁で、自衛隊で、非常に重大なものに考えておられますか。今頃は暗号なんというものは余り大してそんなに重要な機密といういうような部類には属しない程度でしようか。
  147. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは僕は非常に重大性を持つておると思います。各国が競つてこの暗号を研究しております。
  148. 山下義信

    山下義信君 そうですが。やつぱりスパイはこの暗号を狙いますか、若干。
  149. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論そうです。
  150. 山下義信

    山下義信君 それは秘密保護の対象には含まつていないのですか。私は秘密保護法の審議に参加しなかつたからわかりませんのですが……。
  151. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今度の秘密保護法の対象になつておるものは、アメリカから……。
  152. 山下義信

    山下義信君 貸与兵器関係だけですか。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうです。
  154. 山下義信

    山下義信君 これは違いますね。兵器ではありませんから。
  155. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 対象にはなりません。
  156. 山下義信

    山下義信君 わかりました。それを私が伺うのは、現在の暗号がすでにできておるかどうかわかりませんが、やはり防衛庁でこれは制定されました、作られました暗号は、やはり防衛庁で印刷されますね。
  157. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) お答えいたします。保安隊は独自の暗号は勿論持つております。送受信の機械につきましても、最も近代的に非常に変化の多い、殆んど無限大と言つてもよいくらいの組合せのできる性能の暗号通信機というようなものを考えております。現在一部使つておりますが、長官のお話のように暗号を重要視しまして、非常に性能の高い、秘密度の高いものを現在使用しております。
  158. 山下義信

    山下義信君 私はそれを伺つておるのじやないのでありますが、むしろ印刷というよりも、関係者がわかつておらなければ解読もできんし、相当な部数、やはり関係部隊なり関係者にお渡しになるために、或る部数の印刷なりされるだろうと思うのです。私はその状況が今長官が仰しやつたから、成るほどと思う点、思い当る節があるのですが、大そう厳重に暗号の整備をなされておるようなふうにも見受けられないのです。私はですから保安隊の、今後の防衛庁の、自衛隊関係の暗号は若し入手しようとするならば私はあえて難きでないと思う。今は絶対入手ができないような、極めて厳重に、これがありますかどうかという点を伺いたい。
  159. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 極めて厳重にやつております。
  160. 山下義信

    山下義信君 私はこの暗号の整備をされる作業場等へ侵入をすることも、まあ誰でもというわけにも行きますまいけれども、そういう点について私は十分な注意が払われておるというようにも思えないのでありますが、どうでしようか。
  161. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は勿論発信その他の場所は厳重に取締られておりますし、恐らくよく御承知でありましようと思いますが、最近の暗号機械でも先ほどちよつと申上げましたように、一つの機械で百数十万の、平易に申しますと、殆んど無限大に近いくらいに変化するわけであります。昔のような暗号の台帳、そういつたようなものだけでやるわけではありませんで、非常に秘匿度の高い本来性能を持つておるわけでありますが、それと合せて考えられないと、昔のような暗号の台帳を持つて廻るようなものとは相当つておることを御理解の上で……。
  162. 山下義信

    山下義信君 そうですが。わかりました。私はただ作業状況だけを見ますると、暗号の整備状況がさほど厳重に漏洩しないような配慮ができていないように感じたものですから、少々三枚や五枚とられても、その表が無限大であるならば……。でもいろいろ暗号の解読は昔からスパイの特殊技能として、これ又発達しておるわけなんでありますが、そういう御心配がないということならばよろしゆうございます。私の十二条の質疑は終ります。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 十二条三号ですが、陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置の基本に関する問題ですが、これは、私は予算関係、財政負担の関係から、その組織、定員、編成、装備、配置は非常にまあ大きな関係が出て来ると思うのです。それでこの点是非伺つておきたいと思つたのですが、例えばですね、この組織や、定員、編成、装備、配置等は、第一にこの財政関係等で重要な関係があるのは、例えば、直接侵略に対応する場合ですね、必要以上に定員を大きくするような場合、平時であるのに戦時編成的な編成をするとすれば、非常に費用がかかると思うのです。ですから、当然これを考える場合には、直接侵略というものが一応想定されなければならない。どの程度ということがね。それを想定して、それに対応する組織、定員、編成、装備、配置であつて、成るべく財政負担を少くして、そうして安全を守る、国土の安全を守るという点については、非常にこれはよく検討しなければならないのじやないかと思うのです。これまで我我どうもですね、必要以上に防衛費が大きいのではないかと危惧されるのは、部隊編成なんかをみまして、日本の独自の保安隊であると言いながら、やはりアメリカとの関係において、朝鮮戦争が起つた場合、一万ぐらいの定員でいいところが二万になつたり、それからアメリカから要請されて、実は日本独自の自衛隊ならば、今までは保安隊ですけれども、ならば或る部隊の中では必要でないよう部隊もあるのに、例えばアメリカ側との関係部隊を設けておかなければならない。そういうような組織、定員、編成、装備、配置において、必要以上ご冗費がある場合には、非常なそれが財政負担になるわけですね。ですから、この点は防衛局で計画を立てる場合のこの立て方というものは、予算関係、財政負担との関係で非常に大きな影響を持つて来ると思うのですよ。従つて、この立て方ですね、よく自衛隊日本独自の自衛隊であると言われますが、前に長官にお伺いしたのですが、まだ完全に一〇〇%日本独自の自衛隊になつていないが、漸次日本独自の自衛隊としての組織、定員、編成、装備、配置にして行きたいということを言われたのです。従つて、この基本方針は、財政関係から言つて極めて重要なので、この点についてどういうふうにお考えになつておるか、特に財政関係との点について、要約しますと二点になるのです。一つは、アメリカとの関係において、非常に不必要な、又日本の国力にふさわしくないような組織、定員、編成、装備、配置になる危険はないかどうか。それからもう一つは、直接侵略というものに対して過度に神経過敏になつて、必要以上の、平時であるのに戦時体制みたいな編成の仕方を絶えずやつてつたら、非常に費用がかさむのであります。そういうものに対して、安い費用で国を守る軍隊を作るという意味において、神経過敏になつて過度の予算を食うところの組織、定員、編成、装備、配置になる危険があるのではないかと思いますので、この二点から、その組織、定員、編成、装備、配置の基本についてどうお考えか、この点をお尋ねしたい。
  164. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 日本自衛隊日本独自の考え方で編成しております。これは木村委員も御承知であろうと思いますが、アメリカの一個師団の編成、或いはソヴイエトの一個師団の編成、これは相当厖大なものであります。而も彼等の国におきましては、皆予備役があり、後方部隊がある。日本にはさようなものはないのであります。つまり平時編成が即戦時編成になるわけです。而して日本ではすべての事情から勘案いたしまして、アメリカとも、ソヴイエトとも違つた別個の編成を立てております。ただ我々といたしましては、今申上げました通り、予備は持つていない。これは将来について、この点がどうあるべきかということは相当考えなくちやならん、こう思つております。
  165. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 賛沢な軍隊或いは非常に冗費を伴う軍隊、そういうことになる危険があるのじやないかということを、我々は仮りにこの自衛隊が発足する場合に、憂えるのですが、そういう点はないですか。例えば、これまでの経過を見ますと、訓練やなんか、それから部隊編成やなんか、大陸作戦、アメリカの大陸作戦を目標にして部隊編成なり、或いは装備なり、或いは配置なり、それも考えられて、それで訓練を受けるということになつて、これはまあ軍事専門家の意見なんかそうですけれども、例えば前線部隊と後方部隊の比率ですね。大陸作戦なら後方部隊の人数は非常にたくさん要るけれども日本独自の部隊編成ならば前線と後方部隊の比率が小さくていいわけですね。ところが、仮りに大陸作戦を目標にすると、前線一に対して、前に関東軍は知らないですが、前線一に対して、一万に対して、一万七千とか二万とか、こうなるわけですね。ところがアメリカと共同作戦という形でですよ、部隊編成なり訓練なり、こういうものを考えると、どうしても大陸作戦というものを前提にして考えると、相当不必要な部隊が出て来るじやないか、具体的に言えば、それから又いろいろ兵器の修理なんかについても、私は練馬の保安隊を見学さしてもらいましたが、アメリカさんのほうは弾丸なんかどんどん打てと、それから壊れれば又修理隊というものがあつて、どんどん修理する、昔は、長官も御存じのように、日本の兵隊さんは銃というものを非常に大事にしてちよつと傷付けば重営倉というぐらいで非常に大事にした。ところがアメリカ式のあれですと、ちよつと悪くなると修理にやつてどんどん替える。そういうことで非常に冗費があり、それから又必要以上、というよりかアメリカの作戦を主においた、或いは主においたというよりも、アメリカとの共同作戦というものを想定した場合の、そういう装備、組織、定員という場合と、日本独自の本当の自衛という点から考えた場合には、非常に再検討をする余地があるじやないか。そのために同じ規模の自衛隊を設けるにしても、予算上、財政上相当節約し得る余地があるのではないか、こういうことも私考えるわけなんです。ですからその自衛隊の組織、定員、編成、装備、配置は、これは予算上重要な関係があるのですから、これを考える場合には、やつぱり今私が言つたような観点から、その必要以上の予算を食わない一ように、そういう点から基本計画を立てるときには考えなければいけない。今までのやり方はやつぱり相当再検討の余地があるのではないか、こう思うのですが、長官は如何お考えですか。
  166. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく日本はアメリカと国情を異にしておる。日本ような財政豊かでない国には、やはり考えさせることは、一番安上りにして而も能率的な編成をしなければならん、こう考えております。ところで今お話になりましたように、昔は鉄砲一発撃つにも非常に大事にした、今は使い過ぎるのじやないかというようなお話であります。現在の戦いの様相というものは昔と全くその様相を異にしておる。もうすでに太平洋戦争に日本軍が戦つた様相と北鮮事変における様相とは全く異にしております。時々変化しております。それらの点につきましては終始我々は研究を疎かにしては相成らん。ただ申上げたいことは、日本は何も大陸作戦というようなことは毛頭考えておりません。又考えるべきではないのであります。日本の国を如何に防衛すべきかという最小限度の我々は考え方をもつておるのであります。アメリカの大陸作戦と同一の作戦をするというようなことは考えておりませんから、従つてその編成装備につきましても、さような大陸作戦に使うような編成装備というようなことは毛頭考えておりません。
  167. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこれは議論になりますから、この三号についてはこれでやめますが、併し長官はそういうふうに今御答弁がありましたが、我々は実際について聞いたり或いは又資料なんかで読んだりしますと、本当の日本防衛のための訓練ということよりも、伝えるところによれば、山岳戦だとか、そういうものを想定してやるとか、いろいろアメリカの大陸作戦の線に沿うた訓練教育、それから部隊編成、装備配置、こういうふうになつているように私は聞くのです。それが当然長官としてはそうでないというふうに御答弁するよりいたし方がないでありましようが、私はこの点は本当に長宮は、特に日本人としての立場を、相当その自主性というものを強調され、そうしてその自主性というものを強く持たなければならんという御意見を強くもつておられるのでありますから、実際においては今御答弁になつたようなことではないと思われまするので、この点は本当に自主性を持つという点においては、更に私はもつと真剣に、特に私は財政面との関係において実際の防衛というものを考えた場合に非常に無駄があると思うのです。アメリカ式の編成にされて、訓練されて、非常に冗費がかかる、そうして贅沢な軍隊である。私はそういうような点が非常にあると思うのです。これは真剣にやはり財政面から我々素人考えでも検討しなければならん、そういう私の意見でありますから、御答弁は煩わしません。それで私は三号に対する質問はこれで……。
  168. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 進行します。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 頂いた資料ですね、第十三条ですが、資料によると、幹部学校以下種々の学校があります。これについてはいずれ資料が出るでありましようが、ただ私はここで大まかに承つておきたい点は、これらの学校学生は、自衛隊員として入隊した後に、その隊員の中からピツクアツプして修学させるものと思いますが、それはあなたがたが指名なさるのか、それとも希望を募つて入校させるのか、若し希望をとつてその中から選抜して入れるとするならば、どの程度の比率になつているか。更におおむね修学期間は幾らになつているか。それからその修学期間というものは、隊員の任期である二年の中に入るものと思いますが、そういう立場から概括的なものを承つておきたい。
  170. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この学校は一年の隊員のものを入れるというのではないのであります。大体におきまして中核になります士補以上のものを教育するのであります。それから入つたものの中から選抜して入れるのでございますが、例えば医者のようなものは、最初教育をここでやることもございます。医官を任用いたしましたのをすぐ衛生学校に入れて基本的な教育をいたしまして、部隊へ配属するというふうなものもございます。一般のものの選抜につきましては、この期は何名この期は同名入れるということをきめまして、保安隊で申しますと、各管区本部なり機関に割当てまして、その機関の長が推薦を決定いたします。機関の長が決定いたしますにつきましては、本人の希望を聞いてやるところもございましようけれども、或いは機関の長が自分で適材と認めてきめるところもございましよう。そこはどういうふうにしろというようなところまでは、具体的にきめていないよう承知いたしております。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなりますと、大体中堅幹部養成ですね、この機関は。
  172. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 中堅幹部及び高級の幹部養成でございます。幹部学校と申しますと、幹部学校の中に、基本コースというものと、高級のコースというものとございまして、高級のコースは、将来部隊長のような職につくものを教育訓練をするということになつております。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この学校名の中で一つだけ特異なのは富士学校というのですが、これは富士というのはところだろうと思うのですが、どういう学校なんですか。
  174. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この冨士学校と申しますのはところの名前でございます。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これだけ違うのです。
  176. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは現在保安隊には普通科学校というのが久留米にございます。それから特科学校というのが習志野にございます。これらのものを集めまして一つ学校を作ろうというのでございますので、名前をどういうふうにしたらいいかというところで、一応ところの名前をつけて富士ということにしているわけであります。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは統合されて、現在ある学校は廃校になるわけですか。
  178. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 普通科学校、特科学校は廃止になります。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、直属の学校である防衛大学校について承りますが、ここの学生にはどういう特典を与えておりますか、他の大学と比較して。
  180. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは防衛大学校の学生には、まあ授業料をとらない。そうして学校内に設備を設けまして、そこに宿泊せしめまして、そこで収容をいたしております。それから月額三千二百円でございますが、手当を支給するということになつております。服制につきましてもきめて貸与をいたしております。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般のあなたの説明では、医学方面の委託学生については、日本育英会の基準に基いて云々という説明がありましたが、この防衛大学校の学生には、随分高い待遇を、優遇をしているようですが、これはどういう理由に基くのですか。
  182. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) このことは貸費という制度じやないのでありまして、この防衛大学校の学生の扱いに関しまする考え方は、海上保安庁のほうに、海上保安大学校というのがございます。あれは海上保安庁職員として、何級でありましたか、五級でありましたか、職員としてとりましたものを、学生として大学校へ入れて教育訓練をしているのでございます。それに合わせまして、海上保安大学校の学生の待遇に合せまして、こちらの待遇を考え職員なみにこれは考える。片方のほうは貸費生でありまして、身分的には職員にはならないわけでございます。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛大学校の学生は、これは隊員ではないのですね。
  184. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはまあ隊員という言葉が、只今保安庁職員であるということでございまするならば、防衛大学校の学生は定員外といたしておりまするけれども、まあ防衛庁職員というふうに考えておりまするから、隊員の中に入ります。自衛隊法で言われる隊員の中には入ります。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 入る。
  186. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 入ります。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 隊員の中に入るが、その待遇としては授業料が要らないということと、月額三千二百円給与を受けるということと、被服、宿舎と、そういうものが隊員なるがゆえに給与されている、こういう形なんですね。
  188. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その通りでございます。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この入校志願者は、その父兄の職業別を調べて見ると、農村、漁村が大部分だと伺つておりますが、そういう数字がやはり出ておりますか。大体の職業別として……。
  190. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 学校のほうでは調べたものがあるように聞いておりまするけれども、私はまだ承知しておりません。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私ここで伺いたいのは、この学生の自治活動というものは相当抑制されていると聞くのでありますが、そういう学生運動はどういう状況でありますか。ということは、まあ非常に一方からは抑圧されるが、又中には特異な学生がおつて、余り好ましくない運動も行われているやに聞くのでありますが、その真偽をこちらは確めていませんので、大体どういう状況か承つておきたいと思うのです。
  192. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 学生運動ということでございまするけれども、これは全額を国のほうで、費用も支給いたしまして、教育もするものでありまするので、将来保安庁の中堅の職員になつてもらわなくちや、これは困るのであります。そういう趣旨で、教育訓練もいたしております。いわゆる学生運動のようなことは、学生諸君が自分で自覚いたしまして、そういうことはやつておらないように私は聞きますが、ほかの意味の厚生関係なり、何なりは、これは学生もとより関心を以ておりまするけれども、政治的な意味合のつくようなものは、これは全然いたしておらないように聞いております。又我々としても、そういうことはあつてはならないと思つております。
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先日も私承つたように、応募人員が一年にして半数以下に下つたということは、これは私は何か重大な理由があるに違いないと思うのですが、綿密にこれを調査研究して対処されるつもりはございませんか。
  194. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは私も若干気にいたしまして、知り合いのもの、学生などにも二、三聞いてみたのでございまするが、その聞きました範囲内におきましては、やはり必須科目がございますが、これが相当大きく影響しておるようなことを、私の聞きましたものは申しておりました。それは多数のものでございまするから、いろいろな動機で志願も減つたのであろうと思いまするけれども、私どもといたしまして、優秀なものをとるということが主眼でありまして、どれくらいの応募率がなければならないというふうに考えておりません。優秀なものがたくさん来てくれることを希望いたしますけれども、数ばかりを追つても、優秀なものが集らないようなことではつまらないと思います。
  195. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点承つておきたいのですが、この防衛大学に入つた学生が卒業して、そうして学校教育法に基く他の大学の相当学年に編入して、学校教育法に基く大学を卒業しようと、いわば転進されるような場合、これは自由にできるのか、できないのか、その点承りたいと思います。
  196. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この点は只今建前といたしましては、そのものの将来の職業と申しますか、それを法律的に拘束をする、法律的に強制的に保安官にする、警備官にするということはできないと思います。
  197. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次に進みます。
  198. 山下義信

    山下義信君 私はあまりいろいろ細かいところを伺つては時間をとり過ぎますから、資料を頂戴したいと思う。それはこの職員の任免、分限、懲戒、服務等につきまして、普通の一般の国家公務員と、この職員と、防衛庁職員の、即ち自衛隊も含めてのことでありますが、その異ります点を表にして、これは全部に通じている、所々に出て来ますから一轄して、これを一つ資料として頂戴したいと思います。
  199. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 一般職の公務員とこの隊員との任免、分限、服務についての表でございますね。
  200. 山下義信

    山下義信君 そうです。それからここはいろいろ承りたい点があるのでありますが、省略したいのでありますが、この福利厚生関係の施設は十分できておりますか、不十分でしようが。又今後この方面に十分一つ拡充される、充実されるというような御計画方面がございますか。これは非常に必要なことであろうと思うのでありまするがね。
  201. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私どもも福利厚生方面の施設を充実して行くことは非常に大事なことと思つております。ただ予算なり何なりの制約によりまして、そうして又役所ができまして歴史が浅いものでございますから、ほかの役所と比べますると、長い間の実績というものを持つておりませんので、思うようには参つておりませんですが、併し共済組合というようなものがございまして、共済組合のほうでも相当の事業ができるような態勢にだんだんなつて参りましたので、この方面でも将来相当なことができるだろうと思います。国のほうの経費といたしましては、各省の職員と同じように一人当り六百円の厚生費が計上せられておりまして、これを使いまして、隊員の体育でありますとか、文化でありますとか、情操教育というようなものをやつております。
  202. 山下義信

    山下義信君 六百円というけれども、一人当りですか、一カ年。
  203. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 一人当りでございます。
  204. 山下義信

    山下義信君 そうですが。私は、一般の役所ですね、一般公務員の頭割りの今のような単価のよう程度では、これはそのこと自体は非常に不均衡だと思う。悪平等ですよ。隊員のための福利厚生というものは、任務から言つても、平生からの何と言いますか、重い勤務から行きましても、これが完備していなければ私はいかんと思うのですがね。そうアメリカ式のそんな贅沢なPX式のものまでの設備は求めませんけれども、ほかのことは近代的になつておる。戦力たけは近代的でないかも知れませんが、ほかのことは近代的なシステムで行く、行くと言つてつて、福利厚生だけが昔の軍隊にも劣るよう程度のことであつては私はいかんと思うね。それでこれは一つ予算をくれんくれんというのでなくいたしまして、今木村君は贅沢な軍隊であつてはならんと言われるのであるけれども、その点は同意いたします。これは贅沢という意味ではなくして、私は必要な――これは重点だろうと思う。これは私どもはこういう福利厚生やその他の施設でですよ。いわゆる隊員をそのほうのものの面から何もどうこう要請するというような意味ではなくいたしまして、当然なこれは私はことであろうと思う。今の自衛隊で、先に経理のところがあつて専門家の人の或いは御質疑があるかも知れませんが、今の自衛隊関係で、私は素人でわかりませんが、長所であり、同時に欠点であると思われるのは、その部隊自体がですね、その部隊自体でいろいろな冗費の節約をし、その節約をしたその費用を以て隊員の慰安等にその費用を充てることのできないような経理制度になつていることは、一面非常に有利でもありましようが、そうなつていませんか。
  205. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 現在はいわゆる昔の委任経理という制度になつておりません。
  206. 山下義信

    山下義信君 ですからね、その部隊が、隊長以下隊員が節約をしたり、いろいろ工夫をこらしたりして冗費を捻出しても、その捻出した冗費の幾割かをその隊員の慰労、その他のこういうような福利厚生の面にその隊が使うということができないことになつているのでしようか。
  207. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 昔におきましても、そういうような委任経理の状態を詳細私は承知いたしませんが、余りました金で蓄積をいたして、一種の基金のような形を持つた承知をいたしておりますが、どの程度それが福利厚生ということに使われたか承知いたしておりませんが、今は駐屯地業務隊というものがあつて、キヤンプにおりまする部隊の、例えば連隊とか大隊とかいう主計に対しまして、別に業務隊というものがございまして、これがそういうふうな経理或いは施設の維持、正確に申しますると、そこに会計隊の分遣隊というものがございますが、そういうような、何と申しますか、管理の仕事は実は別の系統でやりまして、それを或る一元的な形にいたしております。昔のよう部隊長がその指揮下にそういうような経理区分までみずから持つたほうがよろしいか、それとも現在のような一種の専門的のような形でやるのがよろしいかは、これは又議論があるかと思いますが、今まではそういうやり方で比較的スムースに来ております。これは現在多少キヤンプの内部におきましていろいろやりくりをいたしまして、二つの異なつ部隊一つのキヤンプを持つておるものもございます。特にそういう点からいたしますると、その駐屯地業務隊或いは駐屯地の会計隊として非常にうまく行つた部面がある。それらと切離してみましても、どうもそのほうが運営上よろしいじやないかというような議論が多いようであります。いずれにいたしましても、昔のような委任経理のいろいろなプラスやマイナスがあると思いますが、そういうような現象が出て参らないことに相成つております。
  208. 山下義信

    山下義信君 これは私どもの研究が未熟ですから、深く質疑をする資格がないのですが、やはり部隊長などに対しては、そういう点について昔ふうの部隊の、先だつての公述に来られた旧軍人の人が言つておられたのですが、いわゆる一致団結で、昔で言えば部隊の掌握をする上におきましても……、いろいろ経理の制度を通じて非常に今遺憾に思う点が多々あるということを、二、三の部隊を私見学したときも口を揃えて現地の部隊が言つておられました。併しこれは経理の面から、いわゆる統制するという非常に大きな観点もありますから、そういうような局部的な観点からのみ大きな経理制度そのものを勅かすというわけには行かない他の原則もあるわけでありますから、と思うのでありますが、そういう部隊が直接に経理を持つことによつて云々するのではなくして、それは、話がちよつと脱線するのでありますが、わき道に入りましたが、福利厚生施設というものについては、十分なこれは計画がなくちやいけませんな、これは。私は特にこの点に関心を持つのです。実はこの点のみでも詳しう承わりたいと思うのでありますが、時間を要しますから今日は承わりませんが、これは非常に強力に計画してもらわにやいかんと思うのですね。これは最近の人権尊重の上のいろいろな建前から言つても、隊員のための福利厚生という古い言葉が使つてありますが、いわゆる隊員というものを立派な人として遇する、隊内における文化的、そういうような面の施設はやはり強力にやつて頂かなければいかんと思いますね。長官如何でございましようか。
  209. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に御尤もです。私もその点について各部隊を視察する都度、如何にして隊員に慰安を与え、又教養を高めることについての施設がどうなつておるかということについて考慮を廻らしておるのであります。併し幸い私の見るところによりますると、漸次その方向に向いつつあると考えます。乏しき財政でありまするが、隊員も又部隊長も心を合せて、その方面に、露骨に言えば、私の金を支払つてもやつて行こうというような気構えでおりますから、漸次私はそのほうに向上して行くんだろうと、こう考えておりますが、お説の次第もありまするから、今後十分に努力いたしたいと考えております。
  210. 山下義信

    山下義信君 是非一つ御期待申上げたいと思うのでありますが、関連して承わるのですが、こういうことを承わつておると、まあ際限がないのでやめます、省略いたしますが、例えば、私は二、三の部隊を見学させて頂きましたが、痛切に感じますのは、細かい点は申上げませんが、例えば現在使用されておる寝具ですね。毛布ですね。非常に、劣悪というわけですが、あれは予算がもらえんから、単価が低いから、ああいうものしか買えないのか知りませんが、これは実に劣悪なものです。今の六月の気候になりますれば凌げますが、私は一月頃に二、三部隊を見学させて頂いたが、中でもストーブをたかん限りはああいう毛布では、非常に劣悪なる毛布ですね。近頃はだんだん繊維品が普及して、普通の家庭も漸次繊維関係の物は相当ものもよくなつておるのですが、自衛隊の使つている、あの隊員が起居している毛布は、これは非常に曾つて見たことのないほど劣悪な毛布です。あれはどういうわけでああいう粗悪品を購入しましたかね。これは予算のやつぱり制約のためですか、もつと或いは漸次代えて行きますか。隊員の寝具、非常に劣悪なものです。目についてしようがないのです。
  211. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実は私もあなたと同じ感をしたのです。私は各部隊に行きまして、着くと先ず第一に食堂へ入る、大体において先ずよかろう。寝具の点においては誠に御同感です。私も或る所に行つて驚いたのです。その事情をよく聞きましたところが、警察予備隊時代、この時分にまだ繊維製品が余り豊富でなかつた。従つて予算の面に制約されたものだから、ああいうことになつておるのだという一応の説明は受けておるのであります。殊に北海道あたりの僻阪の地でこれは余ほど考えなくちやならん。でありますから、毛布の買上げとかいうことには最善の注意をいたすように私は下僚に申しております。誠に同感であります。私もその感を深うしたのであります。これは何よりも必要品であります。できるだけそういう点に配慮しなければならん。こう考えております。
  212. 山下義信

    山下義信君 長官の御配慮を多といたします。是非一つこれは御努力を願いたい。  そして今一つは、これは特に新聞にしばしば出ますから、そう感ずるのか知れませんが、保安隊隊員の自殺者が相当あるように私は見受けるのでありますが、まあ自殺者というのは何も隊に限つたことはない、一般の世相が大変命を軽々しくする傾向があるわけですが、自殺者が多いように思うのですが、如何ですか。
  213. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 実はこれはこの前内閣委員会とほかの委員会との連合の際に、矢嶋委員がお述べになりましたのですが、私も早速調べて見ますると、昭和二十八年におきまして自殺が四十名おります。昭和二十七年が十六名でございます。その者はどうして自殺するのかということになりますと、これはなかなか原因の探求はむずかしいのでございますが、昔の軍隊におけるよう部隊生活、隊内における生活が辛いというようなことで自殺するものは殆んどないようです。ただ四十名のうちで二人が自分の昇進が遅れたということを苦にしたのだろう、これは書置きにでも残しておけばはつきりするのでありますが、そうでないものは友人たちの話を総合しての調査でありますが、二人だけが、自分が昇進が遅れたことを非常に苦にして死んだものと思われる。あとは家庭の事情が非常に多い。それから婦人関係相当あるようであります。
  214. 山下義信

    山下義信君 私はいろいろ個人的な原因で自殺することは、これはなかなか防ぎ得られないと思うのでありますが、若し家庭的な事情とか金銭的な事情とかいうような原因から、この種の好ましからんことが起きるようでありますれば、そういう関係機関の活動を是非願いたい。例えば共済組合その他いわゆる家庭との関係を、これは非常に一つ御配慮願わなければならん。これは言うまでもなく、富家の子弟は入らんのです。私はそういう点を論及しませんが、非常に家庭の生活もどちらかといえば不如意な子弟が依然として多いのです。それでその家庭の状況との関係、つまり隊員の環境についての配慮について十分力を尽して頂く諸制度、そういう機関というようなもののこれは万全の御活動を一つ願わなければならん。それで、世間でも自殺者というものが最近は命を安くいたしまして、これも今日の世相でいろいろこれらの点も批評されておりますけれども、こういう自衛隊隊員等の中から四十人もの自殺者を出したということは、これは非常に考えなければならん。理想的なことを言えばそれは婦人関係やその他のことで、青年も多いことでありますから、こういう事件が起きることは止むを得ませんけれども、一人も自殺者のなからしむるというような意気込みがなくては……、それでものは基礎が、初めが非常に大事だと思うのです。我々が国防会議のことでも、内部部局と幕僚監部との関係でも、幼稚ながら、反対党といえども力をこめて当局に質疑することは、私は初めが非常に大事だと思う。初めに一つの道を付ければあとは軌道に乗る。それでこういう点の配慮というものを、これは保安庁の最高幹部が非常に心を配るということが、一度その風習が確立されれば非常にいい気風が、隊風というものができて来ると思うのです。こういう点はややもすると閑却しがちなんですね。それで私はこういう点に一つ非常に当局としては御配慮願いたいと考えるのであります。隊員の身上の援護ですね、保護ですね、そういう点につきまして保安庁長官のお心持を承わつておきたいと思います。
  215. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に御尤もと考えております。我々は隊員と直結しております。隊員の福利厚生施設は無論のこと、これらの家庭までも我々はできることなら面倒を見てあげよう、こう考えておる次第であります。今御説のありましたように、その方面について最善の力を尽したい、こう考えております。
  216. 山下義信

    山下義信君 その共済組合関係というものは、自衛隊において特別の何かそういう機関を設けておられますか、一般の国家公務員の共済組合ですか。
  217. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは一般の国家公務員の共済組合の法律の適用を受けていないのでありまして、保安庁共済組合というものを別個に作つております。
  218. 山下義信

    山下義信君 別個に作つておる。
  219. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 保安庁共済組合という共済組合を別に作つております。
  220. 山下義信

    山下義信君 つまりそれが総括して国家公務員共済組合ですね、給付その他は他の共済組合と皆同じですか、従つて事業をするのに自衛隊に特別の事業種目が入れてありますか。
  221. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 大体ほかの組合と同じだと思いますが、短期経理、業務経理、保険経理、それから組合員の保健保養等の施設などをやつております。それから又物資計画もやつております。これは余りほかの組合にもないのであります。隊内に売店を設けまして、その売店からの納付金を財源といたしまして隊員の福利厚生施設をやつておるのであります。あとは貸付もやつております。貯金もやつております。そのほかは余り変りないと思います。
  222. 山下義信

    山下義信君 低利の貸付なども種目の中にありますか。
  223. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ございます。
  224. 山下義信

    山下義信君 相当動いておりますか。
  225. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 貸付の経理は二十八年度におきましては五千八百五十万……。
  226. 山下義信

    山下義信君 五千ちよつと、六千……、わかりました。保健施設が不完備であることはもうすでに自他ともに周知のことでありますから省略しますが、看護婦を隊員に採用したのですね。私は疎くて存じませんが、未だに皆おられますか。だんだん減りますか。補充されておりますか。大体何名ぐらい今使つておられますか。成績等、保健衛生関係に女子の隊員を採用せられましたその勤務成績と言いますか、そういうことを一つ大体承わりたいと思うのです。又この制度を将来若し成績がいいならば、将来もつと女子の隊員というものを増員したり、拡充されて行く計画がありますかどうか、女子隊員についての成績振り等を承わりたいと思います。
  227. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ちよつと資料を持つておりませんので正確な数は覚えておりませんけれども、一昨年五十数名採用した者を、現在は針尾にございます病院と、広島県の福山にあります病院に主として配属をいたしております。ほかに本部にもおりますし、その他衛生学校にも配属をいたしております。これは正式の保安隊員として採用したのでありまして、大部分のかたは幹部でございます。幹部に採用いたしました。資格の関係で若干のかたが士補にとどまつております。私の承知しておりまする範囲内では、なかなか優秀なかたです。応募者も非常に多うございました。オーバーしまして優秀なかたが入つていらつしやるのであります。おやめになつたかたも五、六名あつたかと思いますが、大体勤務しております。将来病院ができますれば、この看護婦はもう少し増員をして採用いたしたい、こう思つております。
  228. 山下義信

    山下義信君 一番上の階級は今度の新らしい法案の階級で言いますと、何に当る階級の人が一番上ですか。
  229. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今おられます一番上のかたは三等陸佐でございます。
  230. 山下義信

    山下義信君 三等陸佐というと少佐ですね。
  231. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今第一国立病院の婦長をしていらつしやるかたで、三等陸佐であります。
  232. 山下義信

    山下義信君 わかりました。よろしいです。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この十四条に服制並びに職員の給与というようなことが出ておりますが、承わりたい点は、これからできる自衛隊員ですね、自衛隊員一人の一年間の所要費というものはどの程度ですか。巷間百二十万円というようなことが言われておるわけでありますが、自衛隊員が持つところの装備というのは、武器は除いて給与並びに衣服、それらのものを一切合財一人について大体一年間にどのくらいの経費を要しますか。
  234. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これはいろいろな機会に申上げておりまするが、大体一人の維持費は三十万円と少々出るぐらいであります。そのうち人件費が半分弱でありまして、今度上りましたところで十五万……。
  235. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その説明は私納得できないと思うのです。私も練馬の部隊予算委員として見せて頂いたことがあるのですが、あの当時に、夏でしたが、保安隊員に支給してあるところの靴から帽子まで、ずつと並べてありましたが、この一式約二十五万円かかると説明を聴取したわけでありますが、給与まで全部入れて一人あたり三十万円というのは数字が違つていはしませんか。
  236. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 今申上げましたのは、年々の維持であります。それから、今お尋ねの点は初度費の関係かと思います。初度費の関係はいろいろな機会に申上げておりまするのは、七十万円という金額を持つております。それを合計いたしまして俗に非常に大きな丸い数字で一人あたり百万円と申しまするのは、四月一日から一人増加するといたしまして、その四月から三月まで一カ年間の維持費三十万円、それに初度費七十万円、それで百万円。一年々々維持しますためには靴などはおのずから命数がございまして、二年半に一足とか、三年に……。そういつた年々の消費を見ましたものが全体で年三十万円と申上げました。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 このたび保安隊警備隊がそれぞれ陸上自衛隊並びに海上自衛隊と変ることになれば、帽章とか徽章とかいうものを一切取替えることになりますかどうか。
  238. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この前も当委員会で御意見ございましたが、成るべく三つの自衛隊を統合するような形に持つて行けというお話がございまして、徽章などにつきましては略章のようなものを成るべく統一したいというふうな考えで研究は進めておりまするけれども、それ以外のところにつきましては、今のところ直ちにこれを改正するという計画はございません。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自衛隊は七月一日頃発足する予定のように承わつておりますが、まだそういう点研究中でございますか。間に合いますか、それで。
  240. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在の保安隊警備隊のままで、階級章だけは略章のようなものを統合するように研究したいと思つております。
  241. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 略章以外に統一の考えはないというわけですね。
  242. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは御承知と思いますけれども、陸上自衛隊のは小さなものをつけております。統一と言つても無論略章のようなものならと思つております。
  243. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 制服について。これは陸、海、空共今度の自衛隊はアメリカさんの制服と大体同じ制服になるということを聞いたのですが、そういうことになるのですか。
  244. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) アメリカと全然同じということはないのでありまして、若し仔細に御覧頂きますると違う点はあるのであります。大体の感じがアメリカに似ているので、そういうふうにお感じになるのかと思います。服制につきましては日本人の体格に合う自衛隊の目的に適うようなものを研究いたすつもりでございます。
  245. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 勿論規格や何かは違うのでしようけれども、我々見たところちよつとわからんですね。私前にアメリカに日本保安隊の留学生として行つた人の話を実際聞いたのですが、アメリカへ留学した、ところが大体十二、三カ国の人たちと一緒に訓練を受けた。そのときに制服が十二、三カ国の人が皆同じであつた、ただ靴と帽子が違うだけで。同じ訓練を受ける。南鮮の人、台湾の兵隊さん、東南アジアの人、そうして余り同じようなので自分日本人であることを忘れかかつた、そう言つていました。皆同じ服で十二、三カ国の人が同じ訓練を受けた。そういう話を聞いたのですが、そういうところなんか実にこれは合同作戦をやる必要上、そういう制服を統一して、ユニフオームを統一して行かなければならないのかも知れませんが、こういう点からもどうも非常にアメリカ式という感じを受けるのですよ。
  246. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これはやはり日本独自の、日本人の体格、風土、気候に適したものを作るべきが相当であると考えております。いろいろ研究したいと思うのでありますが、研究をさてしてそれをどうするか。たちまち厖大な予算に引つかかつて参りまするが、今後の問題として十分に研究いたしたいと思います。
  247. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 アメリカのほうから大体同じような制服に、ユニフオームにするような要請があつたのではないですか。ただ偶然にそういうふうに同じになつたのですか。
  248. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 警察予備隊時代のことは私は存じません。私就任以来、そういうようなことは断じてありません。今度の航空自衛隊隊員の服装についても我々は独自に考えている。どういう色にしようかということまで我々は今研究しております。
  249. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次に進みます。
  250. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第四項。長官がおられなくなつたから、局長でいいのですが、公正審査会の委員は、これは長官が命ずることになつておりますが、このたび航空幕僚監部ができれば、勿論その構成というものは変つて来ることになると思うのですが、どういう人を任命してありますか、又この審査の請求並びに請求件数、並びにその処理状況は如何ようになつておりますか、承わりたいと思います。
  251. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今度航空幕僚監部ができますと、施行令の四十四条にございまするこういう構成に準じまして統合するのですが、航空幕僚監部に勤務するものを委員とする一つ委員会の構成をもたなければならないことになると思います。大体の構想只今通りであるというふうに考えておるのであります。それから審査のことでございますが、十一件の審査請求がございまして、そのうち処理済のものが五件でございます。六件は現在審査中でございます。その五件のうちで原処分の承認をしましたものが二件。原処分の取消が一件。却下が一件。それから取下げを承認いたしましたものが一件。かようになつております。
  252. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは二十八年度の一年間の件数でございますか。
  253. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは保安庁の公正審査会ができましてからでございます。
  254. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第十四条総括してでありますが、人事局長のあなたがこの二法案の担当官になつたというのはどういう経緯に基くものですか。人事局の所掌事務にはないようでありますね。(笑声)これは当然私は官房長が所掌さるべきじやないかと思うのでございますがどういうわけでございますか。
  255. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私からお答えするのは非常におかしなものでございますが、この法律の中に人事局の関係の事項も相当ございます。私が前に警察予備隊当時に官房長をいたしておりまして、保安庁法成立の際に参画いたしたものでございますから、長官から特に命令を受けた次第でございます。
  256. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは部局の操作から自由ですが、やはりこういう建前から行くならば、やはり官房長が勉強して、そうして担当すべきだと思う。ということは、国会に出席する政府委員の員数の問題が委員としてはよく問題になるのですよ。で、行政事務の能率向上のためにも真に政府委員というものは制約された一部のかたで国会の求めに応ずる形にならなくてはならないのですがね。ところが当然担当さるべき次官とか或いは局長のかたがそれに応じないで、説明員というような形で課長をたくさん随行者として国会に参る。従つて国会開会中は行政府の機能がとまる。これは最近の長期国会の一つの行政府の現われ方になつているわけですよ。そういうことと関連して私は先ほどから人事局の所掌事務のところを読み、又説明を聞いておつて、どういうわけで一体この人事局長はこの二法案の担当として出て来られたか、恐らく人事局の所掌事務は渋滞しているのじやないか。それで渋滞しないならば先ず人事局の定員を減らしていいのじやないかと(笑声)これまで私は考えているわけですが、これはまああなたにお尋ねしてもしようがないから……。
  257. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) いろいろ御意見もあると思いますが、次に進みます。
  258. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 十五条の一項、保安隊の経理に関して伺つておきたいのです。これは自衛隊についても同じようなことが起ると思いますが、昨年の秋、練馬の駐屯の保安隊の主食横流し、これは保安庁長官からも伺わなければならないのですが、非常な世間の顰蹙を買つたと思うのです。その後木村保安庁長官保安隊についてはそういう不正はないということを前に予算委員会で大見えを切つたことがある。大見えを切つた後に、こういう練馬の事件が出ている。それから特に私が伺いたいのは、実は丁度今日旧海軍軍人の人から私に手紙が来たのです。この人は警備隊にいたのですが、この間病気でやめたのです。そうしてその実情を詳しく私に手紙でよこしているのです。今日私は受取つたのですが、これを見ますと、保安隊内部というものは非常に紊れていると思うのです。特にお聞きしたいことは、昨年の春横須賀地方総監部において、トラックを使用した最も悪質の大がかりな米の大量闇売りが発覚したが、機密保持よろしく部外には漏れずに済んでいる。こういうことが書かれている。これは昨年の春だそうですから、横須賀地方総監部において、そういうことがあつたのかどうか、この点一つの具体的な問題としてお伺いしておきたい。
  259. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 人事局長が参るまでちよつとお待ち下さい。
  260. 山下義信

    山下義信君 その間に経理局長にちよつとお聞きしたいのですが、保安隊の物品納入の業者というものが非常にたくさんあつて、何でも四千とか五千とかあつて、その中に俗に言うしつかりした商人というか、会社商人は少くて、もう殆んどが二流三流のブローカー式の、そういうような群小の業者がたくさん出入するのだということが伝えられているのですが、それは真実ですか。それから又最近その出入業者の整理というか、撰択というか、そういうものは改善されているかどうか、今保安隊への出入の業者の実情、質、そういつたようなものを一つあなたから承わりたいと思います。
  261. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 物品を購入いたしまする相手方をどういうふうにいたす、これはなかなかむずかしい問題でございます。会計法の原則は御承知通り一般競争でございまして、これは資力、信用において資格が欠けておる、これは会計法或いは予算、決算会計令にも欠格条項があります。欠格の条項に当りますものはこれは勿論入りません。併しながらその点から申しますならば、できるだけ広く一般競争ということに対しまして、広く規格をきめたその規格の範囲内であれば、その者から物を購入することが全体のものの考え方趣旨であります。その趣旨におきましては、保安庁といたしましては関連の業者を登録をいたしまして、これは一応の審査をいたしました上で受付けます。従つてその登録をいたしました者には物品の購入をいたしまするときに通知が、各個の場合に一々細かいことはやつておるか存じませんが、一応通知をいたしまして、その人たちが承知し得るようにやる、そこで条件をきめて入札をいたします。従いまして資力、信用の点につきましての調査もいたしますし、契約の保証金もとります。従いまして国がそのために損失を生じまする場合に対しまするところのカバーは、これは会計法上もございますし、それに従つてつております。ただ御指摘のように物によりまして、そういうようなやり方でやりますると、これは規格という条件というようなことでは防ぎ得ない、まあいわば質の粗悪なものが入つて参る、或いは信用のならないものが入つて来る、これは物品の検収の上におきましても、これは相当検査のスタツフを以てやつておりますが、防ぎ切れないということでありまして、これは指名競争というところまで搾りまして、指名競争の場合におきましては、筋のわかつておる複数、これは五つ、六つ、或いは十というのがございますが、そういうような指名競争に付しまして、この場合におきましては御指摘のようなケースは決して起らない。一番たしかなのは随意契約をやりまして、一番たしかなものでございますが、これは会計法上の例外の場合といたしまして限定しておりますが、その限定いたしております場合にやる。主として特許でありますとか、外国のライセンスを持つておるとかいうような場合、大体建前はそういうことでございまして、御指摘のような弊害の面、それからやはり相手方を制限することに伴ないます弊害、そういうことを睨み合せまして、三つのものを運用して参るというのが大体でございます。
  262. 山下義信

    山下義信君 一応の建前の御説明を受けたのですが、私の今申したのは、私の伺つたように、非常に多数の業者が保安庁に出人して、注文を受けるために渦を巻いておる。その資力の薄弱な、いかがわしいものが非常に多い、そういう時代もあつたでしよう。それが今整理をされているかどうかということを伺つて、最近例えば今おつしやつたような登録をされて指名入札にさせるような資格のような者がどれだけになつておるか、或いは又登録を取消して出入を差止めたような業者もあるのかないのか、そういう整理が行われて最近の出入業者が質がよくなつているかどうかという点の実情を聞きたいのです。今あなたのおつしやつたのは、一通りの会計法の御説明であつたのです。  それからいま一つ関連して御答弁を頂戴したいのは、あなたのほうの御担任でありましようが、購買の担任官のいろいろ品質の鑑定力が非常に弱いというようなことを世間で批評しておるのですね。そういう点について例えば繊維品等についての鑑定も、糸の関係がどういうふうになつているかというような点についても、なかなかその鑑定眼がどちらかと言えば弱い人が多いというようなことなどが批評されているのですが、そういう点の能力等につきましても、遺憾の点があるかないかというような点併せて御答弁願いたい。
  263. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 私からお答えいたします。御質問の第一点につきましては実際に納入した場合、品物が悪いとか、或いは契約の履行ができないような業者につきましては、殊に初めのうちに公開入札をいたしまして、比較的、先ほどお話申上げたのでありますが粗悪品が多くて困惑したといつたものが多うございまして、こういつたものにつきましては、登録の取消、出入の取消といつたようなことは、その都度実施いたしております。その実績につきましては、ちよつと今手許に数字は件数としては持ちませんので、ちよつと申上げかねますが、その都度やつております。  それから第二の点につきましては、成るほどこの点につきましても、つとに当初にそういつた危険と申しますか、虞れが相当つたのでございます。その後次第に検査関係検査員の充実、それともう一つやはりものによりましては、どうしても優秀な業者のうちで指名競争を行う、こういう必要があるのではないかということで、検査陣容の充実と、それから品物によりましては指名競争の採用ということと、両々相俟つて、現在ではかなりこの点につきましては、粗悪品が入るといつたようなことは防止ができておるのではないかと思います。まあ何と申しましても、新しい世帯でありまして、まだまだ購入物品の点数なり、検査方面の陣容の数並びに質の充実ということは、まだまだ考えて行く余地があると存じておりますので、今後努力いたすつもりであります。
  264. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ちよつと席を外しました間に、木村委員から横須賀の地方総監部の米の横流しの事件についてのお尋ねがあつたそうでございますが、確かこれは昨年の六月頃であつたと思いますが、報告を受けました。元海軍におつたこれは軍人ではない、軍属のかたであります。そのかたが倉庫係をやつておりまして、その人が商人と結託をいたしまして、倉庫に入つてつた米を流した報告を受けました。これは全部関係者は警務官が調べまして、横須賀の検察庁のほうに送致したはずでございます。
  265. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この頻々として米の保安隊における主食の横流しは非常に多いのですね。練馬の場合もそうですね。この点について何か欠陥があるのじやないかと思います。それで私のところにその手紙を寄越した元警備隊にいた人ですね、旧海軍の軍人です。その人の報告によると、もともと米の配給量が一日六百九十グラムが多過ぎるので、こうした不祥事は今後起きないとは保証できない。否現在も余剰米は適当に処分されている、別に海中に投棄するわけではない、うつちやるわけではない、闇に流している、こういう報告です。  それから更に、これはついでですから。その旧海軍軍人は、警備隊にいた人の御意見は、これは私と何の縁もゆかりもないのです。ですから私は非常に真心を持つて今の保安隊がこんなでは困ると、このかたの意見はもつと真面目な自衛隊になるならば、もつと清潔な立派なものにならなければ困るという見地から述べておられるのであるから、そして指揮、規律訓練等も老兵、まま相当年輩のかただと思うのですが、老兵から見ればお話にならない理不尽な、漁船拿捕にも全然手が出ず、海難救助にも海上保安庁に一歩を譲るのが現状。人事、給与、教育等万端アメリカ式であり、矛盾不合理な点、枚挙にいとまがないが、これらはすべて都合のよいように、過渡期だから止むを得ないんだと、こういうふうに片付けられている。一体こんな状態でいいか。非常に憂えて、こういう手紙を寄越しているのです。まあ一般的なことは長くなりますからよしますが、とにかく経理の監督において欠陥があるのじやないか。それは具体的には特に米の問題については、この配給量との関係で余る、余りもので、それを闇に流す、こういう欠陥があるように、この体験者から聞いて、我々に報告があるのですが、この点はどういうことになりますか。
  266. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今の保安隊隊員の一人当りの配給量は六百九十グラムでございまして、そのうち米が七割ということになつております。あと三割は麦を使つているわけでございます。で、現に昨年の暮も練馬で米の横領がございましたのですが、これはいろいろ調べて見ますると、日曜日や、祭日などに隊員が外へ外出いたしました。その際に持つて行かせる米があるわけなんです。それを何と申しますか、日曜の朝などはまあ点呼のときだけ出まして、直ぐ又ベツトにもぐり込むというようなことで、朝飯も食わない、昼飯も食わないというようなものも出ているわけです。ところが初めのうちはまじめに朝飯も、昼飯も炊きおつたわけです。炊事のものが、そのうちだんだん慣れつこになりまして、そのくらいのものは出て食わんものがいるからというので、別に除けておいた。それがついついいろんなことから魔心が出まして、外へ持出して売つたということのようでございますので、米の要求量等の査定につきましては、その後もいろいろ厳重に注意をするようにしておりますると同時に、米の扱い、倉庫の取扱い等につきましても、厳重な訓令を出しまして、間違いの起らないようにはいたしております。この問題につきましては、勿論精神教育が必要でございまするけれども、同時にその設備その他におきましても、そういう魔心の起らないように、横領も、窃盗もできないような設備を作るということも必要であろうと思います。又制度といたしましても、きちんきちんと、そういうよう検査の制度とか、人の制度とかというふうなことは考えなければならないと思つております。昨年の十二月の事件を契機といたしまして、本年の一月から三月の間、保安隊警備隊規律刷新週間というのをやりまして、全部隊検査監督をいたしまして、今後はそういうことは、まあ全然起らないということは、これは申上げられませんけれども、大分なくなるのじやないかと思います。
  267. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 保安隊のそういう不当、不正事実ですね。それからそういう不当、不正行為というものは何か調べたものがありますか、全体として、今までどのくらいの件数になるのですか。
  268. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 保安隊警備隊の、この刑事事件として、警務官及び警察で調べましたものの件数として、資料としてお手許に配布してございます。
  269. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと、それからこの業者関係の請負工事とか、その他についてそういうものはないですか、不正不当事実、これは会計検査院のほうから何か調べがあるのでしよう、してないですか。
  270. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 会計検査院の調べはございます。
  271. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうあれはありませんか。
  272. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ちよつと思い当りませんです。
  273. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 工事なんかについて、そういう面ありませんか。
  274. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 会計検査院の検査報告につきましては、二十七年度まで済んでおりまするのですが、それ以外にはちよつととりまとめた資料つて来ておりません。
  275. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常にいろいろ聞いているのですがね。例えば庁舎を作つたところが、不正工事で、これは有名な話ですよ。これは仙台だつたのですがね。新聞記者諸君が一緒に行つて、そのときに直ぐ床が抜けたとか、そういう不正工事や何か相当あるように思うわけですよ。まあそれは思い当らなければ結構ですけれども、要は、保安庁費は非常に大きいのですからね。予算の中で占める比率が又だんだん大きくなるでしよう。そういう国民の血税ですよ、汚職事件なんか随分起りましたが、スキヤンダルが起りましたけれども、こういう不正当な事実なんかは、この点において一番厳格に監督されなければならないのですよ。どの面より一番厳格にやらないと、金額も大きいし、非常に影響が大きいのです。ですから私はこの経理の監査については、特にこの工夫をこらさなきやいけないのじやないかと思うのです。そうして又我我の意見としては、これは国会がこの委員会あたりで年に定時的にそういうものを検査する、調査する、こういうような、やはりこれを制度的に何かやることがいいのじやないかと思うのですかね。そういう点これはまだ我々の側の意見ですけれども、何かこの経理の監査については、民主的な方法で非常にガラス張りに入れるようなあれを、今まで以外の何かを工夫する必要があるのじやないか、今までの経験に鑑みて、今後いろいろ新たなる工夫を考えられているかどうか、これまで相当非難があるのですよ。とにかく今後自衛隊となると、予算は非常に殖えますから、今後の経理の監督についての御意見を承つておきたいのです。
  276. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御趣意の点非常に御尤もでございまして、私どものほうでもどういうような監査と申しまするか、内部のそういうような不当な事件が出ませんような事前の措置につきましては考えておる、これは内局としては計画を立てまして、実施は内局で必ずしもやるわけでございません、具体的な方策も私どものほう経理面ばかりでなくて、全体の綱紀というよう関係からも取上げておるわけでございます。
  277. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この旧海軍の軍人の人の投書によると、部隊の士気というのは非常に弛緩しているようです。具体的には申しませんが、従つて自衛隊が今後発足することになりますが、そういうものの備品その他の横流しとか、そういう不正行為というのは今のような紀律では相当頻発する虞れがあると思うのです。ですからこの点については十分今後気をつけなきやならんと思います。これは一応注意を喚起しておきたいと思うのですが、木村長官がお見えになりましたから、序でに伺いますが、この経理について私はどうもわからんことがあるのです。これも先ほど申上げたのですけれども、旧海軍軍人の人から私に手紙が来たのです、今日。それは警備隊におられた人です。最近病気になつてやめられて、病床からわざわざこの手紙をよこしたのです。全然知らない人です。この人のあれによると、こういうことが書かれておる。これは重大だと思うのです。「警備隊には朝鮮事変に際して米軍に協力」、命によつてですよ、「出動、武勲を立てた幾多の勇士が現在おる、戦死したものもおる、吉田首相は前に国会においてはそういうことはないと答弁したが誤りである」、こういう手紙をよこしておる。こういう場合にですよ、この朝鮮事変に米軍に協力したというような場合、これは経費なんかどうするのですか。経理関係、果してこういうことが実際にあつたとすれば、これは重大問題ですよ。現にそういう人から、手紙来ているのです。これは保安庁長官、そういうことが事実あつたのかどうか。
  278. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は絶対にないと確信しております。そういう手紙を一つ拝見いたしたいと思います。
  279. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、これはそのよこした人の信用に関しますから、私は差上げるわけに行きませんが、その事実があつたかないか。
  280. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) ありません、確信しております。若しも事実であれば、その手紙を出して下されば、その人について真実を極めます。
  281. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は必要があれば、その人に証人になつてもらつてもいいのです。
  282. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 結構であります。
  283. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全然未知の人でありまして、私は今日その手紙を受取つたのであります。私はこれを拝見したところ、その人は非常に憂えているのです。それで保安隊内部のことをずつといろいろ述べられているのです。今のよう保安隊自衛隊になつたのでは、本当に国を守れない、そんなようなあれではですね。そういうことを非常に細かく具体的に、自分の体験から述べられておられるのです。今まで伺つたことと大分違うのです、実際は……。何か隠されていることが非常にあるようです。この朝鮮戦争についても、米軍に協力して、又命によつてそれで出動して、武勲をたてた人が相当あるというのです。この点は私はあいまいにできないと思いますので、私のほうも――、私もこの人を知りませんから、若し必要があれば、私はその人に会つて、そうして証人になつてもらう……、木村保安庁長官は絶対にないと言うのですから、そういうことについて私ははつきりしたいと思いますから……。
  284. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私もはつきりさせたいと思います。
  285. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう点はあいまいにしてはいかんと思います。
  286. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) あいまいにしてはいかんと思います。はつきりさせたいと思います。
  287. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから先ほど、これは質問したのですが、これはあと木村長官は簡単で結構です。今までその経過については一応事務当局から伺いましたから……。その前に、木村長官は、保安隊にいろいろな不正なことは絶体にないということを予算委員会で大見得を切つたところが、その後練馬の米の横流し、それから今伺いましたが、昨年六月と、さつきの御説明ではありましたが、横須賀地方総監部におけるトラツクを用いた大掛りの米の大量闇売が発覚した、この事実は只今報告を受けましたが、そういう主食を中心とするそういう横流しというものは相当あるわけです。而もまだこれはなかなか絶えないであろうということをやはり言われているのですよ、今のような状態ではですね。すでに起つた事件はこれはまあいろいろ処理されるとしても、今後まだ起り得る可能性があるように我々報告を受けているのです。こういう点について、木村保安長官として、今後に対する責任ある御答弁を伺つておきたいと思うわけです。
  288. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に遺憾至極であります。国民に対して私は陳謝いたしたいと思います。今後私はさようなことの絶滅を期して、さようなことを戒心して行くことに努力いたしたいと思います。
  289. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今お言葉がありましたので、それは了承いたします。又木村長官のお言葉信頼いたしますが、特に希望しておきたいのですが、もう言うまでもないのです。先ほど申上げましたが、自衛隊費というのは相当金額が大きいのです。国民の血税、負担というものは非常に重いのですから、それが不正に使われないように、又濫費されないように、十分これは気を付けられるように、私は御注意申上げると共に、そういうことの絶滅を期されると言われましたから、その点について十分今後も努力願いたい。それで、私は十五条の質問は終ります。
  290. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) お願いをしておきますが、成るたけこの条章に関係を持つ問題に一つ質問を集中して頂きたいと思います。
  291. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ええ。この経理局の所掌事務については、極めて重大だから、私も質問いたしますが、只今木村委員から質疑がありましたが、全く同感です。多額の費用を、予算をここで作用されるわけですから、よほど引締めてかかつてもらわなくちやならないと考えます。私はここに一部の新聞記事を持つて来ておりますが、「保安隊不正事件の全容、関係者三十一名に及ぶ」という書き出しで、詳しく出ております。或いは「隊員が盗み合い入質、警務中隊が出動、調査」こういう記事も出ています。「”底なし沼“保安隊汚職業者との腐れ縁、契約官の新事実続々発覚、納品の度に”礼金“数万」これらの記事は、これは全部中央の大新聞の記事です。「汚職・各地保安隊に飛火か、契約担当官五名取調べ、総監私邸の新事実続々発覚」、「保安隊に巣食う悪ブローカー群、自動車修理代を横領」、「集団で糧米盗み五十俵売り飛ばす、三十数名を近く処分」、こういう一、二の新聞記事の切抜きを見ましても、こういう記事というのは、非常にこれは国民に及ぼす影響が大きいと思うのです。これが名もない新聞であるならば、私どもはそれほど重大関心を払いませんけれども、中央各大新聞がこの大きな活字で取上げている以上は、これは私はよほど経理局の方面では、その所掌事務について締つてもらわなくちやならんと思います。で、先般も艦艇の発注が未だにきまらない。これはいろいろの事情があつてきまらないように承わつていますが、その真偽のほどはわからないけれども保安隊と直接関係のない、いわゆる与党の重要ポストにあるかたに、そういう発注をしてもらいたいという、業者が何らかの連絡をつけたらしいというような……、多くを申上げませんが、被疑事実も多く伝えられ、政界の一時は焦点にされた問題もあつたことは御承知通りであります。これから自衛隊を増強して参りますというと、新規発注というものが多頭に互つて今後行われるわけでありますが、これらの契約方式ですね、こういうものについては、よほど私は考慮して頂かなくちやならないと思うのでありますが、昨年以来、木村長官は、この保安隊の一部にあるところの汚名返上のために、具体的にどういう決意をされ、隊内の厳正なる規律確立のために、具体的にどういう手を打たれたか、決意と、その具体的な処置を承わつておきたいと思います。
  292. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 内部の粛正は、無論やつております。犯罪者があれば、これを警察処分によつて取調べ、又内部においては相当の者を各地に派遣して、実際に監査をしておるというような処置をとつて、不正のないように努力しております。  艦船のことでありまするが、艦船については、いつも申上げておる通り、我々は最も価格の安く、而して立派な船を造りたいというために最善の努力をしておる。遅れた事実も又一にそこにかかつておるのであります。
  293. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を止めて    〔速記中止〕
  294. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記始めて下さい。
  295. 山下義信

    山下義信君 若干先へ行つてもいいですか。その二節を上げるよう趣旨で、ずつと二節を通してですね、私はまあ率直に言つて、問題点の第十九条の制服の制限のところで伺いたいのですがね。で、これは非常に問題で、内部部局に従来は……。政務次官はおられますか。この「三等保安士以上の保安官」云々と、この制限を撤廃せられたのですね。これが提案理由や補足説明では何にも理由等をおつしやつていないのでありますが、一つこれは長官から、相当重要な問題点でありますから、本当の御趣旨一つ承わりたいと思う。そしてこういう制限を撤廃したことについての議論のあることは言うまでもないことでありますが、この防衛法案の全体に関係して、又今後の運用上に如何なる御配慮が考えられておるかという、この制服制限の撤廃の問題につきまして、第十九条の御趣旨、当局の御決意、又それがいわゆる文官優越性の崩壊にあらざる理由、その武官の、何と申しますか、いわゆる弊が及ばざることについての御配慮というものがどういうふうになされてあるかということを、長官から率直に一つ承わりたいと思います。
  296. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その前に関連して……。この十九条は、保安庁法と同じじやないかと思うのですが、その答弁次第で質問がありますので、含んで一つ答弁願いたいと思います。
  297. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは山下委員お尋ねは、十九条ではなしに……、十九条は今の保安庁法と同じなんでございますよ。お尋ねの点は、これは保安庁法の十六条の六号に相当するものが、今度の防衛庁設置法案に規定していないという点に関するお尋ねじやないかと思いますが、十九条は全然同じでございます。
  298. 山下義信

    山下義信君 そうですね。私がどこを間違えておりました……。
  299. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第十九条に関しまして……。
  300. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  301. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をつけて下さい。
  302. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はこう考えるのです。世間普通に文官優位という言葉を使つております。私は文官優位という言葉を使いたくないのであります。いわゆる政治が軍事に優先する、或いは言葉を換えて申しますれば、当るか当らんかわかりませんが、いわゆるシヴイリアン・コントロール、シヴイリアン・シユープラマシーじやないか。そこでどこまでも私は制服と非制服者とは、脚立関係があつてはいかん。お互いに一つの大きな任務を背負わされておる自衛隊員ですから、その間において、いやしくも摩擦相剋があつてはいけないと思います。そこでとかく世間ではシヴイリアン・シユープラマシー、文民優位、文官優位という言葉に災されて、如何にも内局に勤めておるものが、実施部隊、制服の上にあるというような見かたをし、又自然にそういうようなことが内局に勤めておるものが考えようなことがあつては、これはいかんと思う。御承知通り只今制服を着て、いわゆる実施部隊に勤務しているもので、これは立派な人がある。いわゆるシヴイリアンでありました旧軍人でない立派な人もありました。又旧軍人の中にも立派な人もおります。これが絶対に内局に勤めることができないということは、私は適材適所主義から言つても、よろしくない。それで制服を着ている人でも立派な適格者であれば、内局に勤めさせても、これは差支えないのじやないか。一度制服を着た経験の経歴のあるものは、絶対に内局に勤めることができないというようなことでは、いわゆる制服を着ている現在のものと、内局に勤めておるものとの相剋摩擦を生ぜしめる一つの契機となる虞れがあるから、そこでさような一旦制服を着た経験のあつたものは、内局に勤めることができんというような禁札を取除くことが望ましいのではないか。併し建前といたしましては、どこまでも制服を着たままで内局に勤めるわけではないのであります。いわゆる内局に勤めるものは、内局に勤めるだけの資格があり、又おのずからその間において、経歴のあるものが出て来るのであります。現在の内局においても、曾つて制服を着たものはありません。この建前は原則としてとつて行きさえすればいいのであつて、さような禁札を掲げるということは、私はよくない、こう考えておるのであります。
  303. 山下義信

    山下義信君 長官の御所見承わりました。そこで私は伺いたいのは、政治優先ということは、これはお説の通り、私たちも同意します。これは言うまでもなく、軍事が政治を支配してはならんのでありまして、あくまで政治優先主義でなくてはならん。文官優位主義ということが、文官が常に俗に言う制服の武官、制服の上位になくてはならんということは、これは俄かに同意し難いといわれることも、私は或る程度肯けると思う。交宜優位主義ということが、武官と文官との関係が、上下の関係でなくてはならん、常に文官が監督者の上位の指揮者の立場になくちやならんという主義ということになると、制服と被制服との関係を、その基準で押して行こうという考えかたには、私は若干の誤謬があると思うのです。これは長官のお説の通りです、併し文官優位主義といつておる世間の言葉は、これは我々も今ここで用いないとして、制服と被制服との関係において、受持つ仕事の、いわゆる国家の防衛の仕事の上において主たる分担すべき分野は、おのずからあると思う。それでなるほど適所適材主義で彼此融通無碍という点は、如何にも大局論でありまして、人材適用主義という点から言えば、長官の御所論は、一応は御尤でありまするが、併しおのおの分担する分野があつて、その特長を発揮するという建前の上に立ちますと、適所適材主義、人材活用主義とは言いながら、おのずから主たる任務の分野が混淆するということの弊を免れないと私は考える。そこで先ほど内部部局の所掌事項のほうにおきまして、いろいろ御質疑等も同僚からありましたときに、そういうその防衛に関する諸般の総合計画であるとか、調整であるとかいう仕事は、視野が広いものでなくちやならん。従つてこれは文官を充てるのが至当てあるというのは、長官のお口から出ておるようであります。そういうような点からみると、それは制服の中にも、視野の広い人なきにしもあらず、又我々が一抹の疑惑をもつてお尋ねすると、文官の中にも、十分軍事眼のある精通音なきにしもあらず、従つて防衛局長にこれを充当するも、又適任者があると、おつしやるが、それは広く眺めれば、そういう人もありましようけれども、これは特別の場合、制服者がすべて視野が広いとも言えないのでありまして、従つて制服者の受持つ得意とする主たる分野、それから文官の得意といたしまする分野から、おのずと私は守るべき限界があると思う。その点におきましては、その制服の制限を撤廃しましたことは、一応肯かれるようではありますが、併し私はおのずから相分れるであろうところの分野の、この彼此の混乱を生ずる疑があると考えますが、この点は長官はどう考えますか。
  304. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この建前は、制服を着たものを内局に持つてようとするものではないのであります。一旦制服を来た経歴のあるものは、絶対に内局に入れないというようなことであつてはならん、これは区別して言うのであります。そこなんであります。運用の面におきまして申上げました通り内局においての事務というものは、おのずから明らかなんであります。それに適したものを採用するのは当然であります。制服を着て内局に事務に経験のないものを持つて来るようなことが絶対にあり得ないと思います。併し制服を一ぺん着たという経歴があるという理由の下に、内局に絶対に望められないというようなことを規定しておくということは、これはおもしろくない。こう考えておるのであります。
  305. 山下義信

    山下義信君 私はこの防衛法案を通じて、まあ一つには軍隊的な色彩を稀薄ならしめ、一つは従来の軍隊の組織とは違つて、できるだけいわゆる政治優先主義の大原則を貫ぬくために、行政的色彩に注意を払い、まあこれがいいか悪いかは別として、私はほめて言つているのではないのでありますが、私の感ずるところでは、従つて防衛庁という一つの行政事務機構と、自衛隊という武力行使を主とする自衛隊の組織を、悪く言えば混乱でありますが、よく言うならば如何にこれが行政組織化し、如何に行政権下に、表裏一体的に、俗に言う軍政、年令という関係を、行政といわゆる行動隊との関係をどういうふうに調節するかという一つの狙いの下に、私はこの二法案考えられてあると思う。従つて私の推測のように、一つはそういう狙いの下に作られてあるのでありまするから、わかりにくくもあり、又重複の点もあり、或いはあつちこつち行つたり来たりするところもあつたりして、写真のぼうつと写るのが悪いように、鈍つたような、にじんだような、霞んだような、二重になつたようなところがあるのは、この二法案の、或いはよい意味も悪い意味も特長であるかも知れませんが、そういう意味で、制服の人とそうして文官の当るべきその位置とに融通の策をとつたということは頷けるのでありまするけれども、或る意味においては……。併しながら私が申しますように、何としても制服は、俗に言う、これからです、今の制服は旧軍人もあるし、文官もあるわけなんであります。従つて今その文官出身の制服の人をつかまえて論ずれば、長官の御所見は多分に合うでしよう。一たび制服を着たからといつて、それをいわゆる武官とこう見て、そこに一つの制限を設けることは、これはいけないということは今文官出身の制服者を見られたらそう言えるでしよう。併しこれはだんだん時間を経て来れば、文官出身の制服といえども、これは完全な、いわゆる俗に言う武官と、やはりそれはそういう方面の専門家になつてもらわなければならん。今の制服者は或るときは制服から背広に変り、もうしよつちゆう制服者が更衣をするというのではいけない。制服は制服で、いわゆる文官出身の制服でありましても、露骨に言えば、今は軍事能力かどうかといつて世間から冷笑されておつても、これは時間がたつに従つて、立派な制服になつてもらわなければならん。そういうふうに或る程度の時日がたつて参りますと、やはり一種の新らしい一つの軍人タイプがそこにできるわけでありまして、それが内部部局にずつと進出して来るということになりますと、今申しましたような政治優先的な大きな原則が、やはりただ単にこれが内閣或いは国政の上のみでなく、これらの二法案の組織の中にもやはりその主義、精神が及んで来なければならん。その大原則にやはりこういうところから穴が生じて、こういうところから弊害が自然芽ばえて来ることになりはしないかという点を私どもは問題にするわけなんであります。その点につきまして長官はどういう御所見を持たれるか。
  306. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは一つ建前作つておるわけであります。これをすぐやろうというわけではありません。申すまでもなく、仰せになつたように、これからは制服を着た者は制服の専門家になり、専門家で終始されることが望ましい。それを以て直ちに制服を脱がせて内局に持つてようとするのではない。ただ建前がよろしくない。一遍制服を来たという理由だけの下に、内局に絶対に務めることができんということであると、これは私は内局といわゆる実施部隊との間に却つて将来摩擦を生ずると思うのであります。
  307. 山下義信

    山下義信君 これは一つ法制局長官の出席を煩わしたいのですが、私の伺うのに、長官は二つの理由をおつしやつたのですが、一つには一遍制服を着たからといつて、これが内部部局に入ることのできんということは、適所適材の上において余りに、これは考え方が狭小に失するということである。それからいま一つは、運用の面において、だから原理的には並行を考えられるからこうしたが、運用の面において必ずしも今制服をここに持つてようとするのじやないのだと、こういうことを特に力説をせられ、その運用の面において心配はないのだということは、どういうことでございましようか。
  308. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく内部部局において扱うべき所掌事務というものは、法律にはつきり規定されている。これらの事務に相当すべきものを採用するのは当然であります。現在制服を着て、制服だけの仕事をやつている人は、それらの事務に堪能のものとは私は思いません。従つてそれを直ちに適材なりとして持つて来る余地はないのであります。別の方面からさような事務に経歴があり堪能なものを選ぶことが原則である。さような意味でこれは運用上弊害は生じないと考えております。
  309. 山下義信

    山下義信君 ちよつとおつしやることがよくわからないのでありますが、私も多少疲れておりますが、今おつしやつたのは何でございますか、建前はこういうふうに今度制限を撤廃したけれども、適任者がなければすぐに内部部局にそれを任命しようとするものではないのであるから、制限は撤廃しても心配はないのではないか、こういう御趣旨でございますか。
  310. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうです。
  311. 山下義信

    山下義信君 これは従来の制度の中での非常に重大な点を、これを撤廃せられるということはやはり必要があつて今回の改正をなさるのだろうと私は思う。それで制服の制限は撤廃しても、当分制服を任命する考えはないということであれば、急いで撤廃する理由は私はないだろうと思う。やはりこういう制限を撤廃せられる理由は、従来のように制限があつちやいけない、ただ原理的にいけないのじやなくて、現実的に適任者があつて、やはり必要な内部部局には、例えが悪いのですけれども、或いは防衛局長であるとかいつたようなところへは、やはり制服がいいのだという、今回の自衛隊の組織の衣替えに当つて、やはり最高指揮者としての長官の、政府考え方が、こういうふうに法律を、制度を変えるならば、直ちに全部をそれに当てるというわけじやないが、そういう御実行の意思があつて法律を改正なさるのだ、でなければ平仄が合わないと考えるのでありますが、若し建前はこういうふうに改めても、制服を任命するよう考えはないのだというならば、私は制度を改める必要はないのじやないかと思うのでありますが、その点は如何ですか。
  312. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さつき申されましたあらかじめ制服を着たものをどこかの部局に持つて来るという予定の下に何したのかということでありますが、さようなことは絶対にないことを申上げておきます。常にこれは考えられることは、制服を着ているものと内部部局に勤める者と対立関係があつちやならん。絶対に制服を着た者は内局に勤めることはできないのだというようなことで、内局の者は優越感を持つということであると、制服自体が内局に対して見る目が違つて来る。さような差別待遇をしちやいかん。内局に勤めておるものは制服自体も勤められるのです。制服自体も入れるのです。それに制服自体を勤めておるものが内局に入れないというような禁札を掲げておるということは、双方対立、摩擦を持える一つの欠点になりはしないか、そういうことがあつてはいかん。
  313. 山下義信

    山下義信君 私はですね。言葉を返して恐縮でありますが、長官の今の御説明を聞くと、私は議論を離れて直感いたしますことは、問わずに落ちず語るに落ちて、今保安庁の中には文官派と制服派との対立があつて、現実にその対立があつて、それを解決する一つの方法としては、制服の制限を、これは撤去することによつて、文官優越という誤まれる観念者があり、或いはそういう誤解のあつて、対立を激化すること、これは防止しなくちやならん、それらの必要のために、この制限を外して、この制限を外したことによつて制服を内部部局に用いるという道を開くことによつて、現実の今保安庁の中にある対立を、これを融和しよう、解決しようという考えの下に、なされた措置のように受取られますが、その点は如何でしようか。
  314. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現実にはそういうような摩擦はありません。併し将来においてさような懸念もなきにしも非ずと私は考えておりますから、あらかじめさようなことがあつてはならんという一つ考え方の下に立つておるのであります。
  315. 山下義信

    山下義信君 これはもとの制限がありますと、文官と制服と対立を生ずる虞れがあるというのは、どういうわけでございますか。こういうふうに制服の進出の道を開けば開くほど、私は却つて制服優越の実際的な実権なり、悪い言葉で申しますれば、勢力伸長の端緒を開いて、文官が民主的に行政的に政治優先の原則における現場の一線、その建前のある諸制度が漸次一歩々々後退をして、大きな国家的な政治優先のその原則も、現実的にこの面からだんだんと崩れるという心配のほうが、私は実際の実情なり考え方にあてはまると思うのでありますが、どういうわけでこの制限をとらなければ、制服をチエツクすれば、文官と制服との現実の対立の激化の慮れがあるというのは、どういうわけでございますか。
  316. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そういう薬礼を渇げておるということが私はそもそもよくないと思うのです。我々は絶対制服を一遍着たために内局に勤められないのだ、人種を異にしているのだという観念を与えることがいけない。
  317. 山下義信

    山下義信君 重ねて伺つて恐縮でありますが、そうすると、今の保安庁の文官が何か優越性の考え方を持つておるようですね。換言いたしますと、制服のほうから内部部局の文官は成張つている、何もわかりやせんに威張つているのだといつて、いろいろ防衛関係の仕事の上においてですね、何と申しまするか、そういうふうな現在の文官は極めて生意気だ、彼らが実権を握つてから何だというよう考え方が実際においてあるのでしよう
  318. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実際においてはさようなことはありません。極めて円満にやつております。かるが故に私は却つてような禁札を掲げて特殊扱いをすることがいけない。
  319. 山下義信

    山下義信君 それは長官のお言葉は前後矛盾しておると思う。現在制限があつて、そして現実には何ら弊害がないというなら、この制限を置くことによつて弊審が生ずるとおつしやるのであつて、その弊害を除くために制限を外すべきだとおつしやつて、制限のある現在には何ら弊害がないというなら、これを外す理由がなくなるのじやないか。
  320. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はさような禁札があることは将来においてよくないと確信しております。
  321. 山下義信

    山下義信君 もう一つですが、私の伺うのは制服の制限を撤廃してですよ。そして内部部局に入ることを許す、認める、一歩私のほうが退いて長官の御議論に半ば仮に頷くとするならば、それならば制服のままで入るのじやない――それはどういう扱いになるか。その内部部局の地位に制服のままで入るわけだと思うのでありますが、それがですよ、なぜ文官と同じような扱いをなさいません。制服のままで内部局長その他の課長というような地位についた、その制服をですね、なぜ文官と同じような扱い方をなさいません。
  322. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 制服そのものが自衛隊、制服は自衛官なんです。一種の身分が違つておる。自衛官がそのまま内部部局の職員として入ることはできない。入るんであれば自衛官というものをよして……。
  323. 山下義信

    山下義信君 私は納得ができないのです。文官の優越主義は誤まられるのだという、そして文官も制服も平等に眺めて、そして彼之融通無碍の建前をとつて融和するのだ、こういうことであるならば、何も制服の身分はやめなくても、制服のままで部局長に就こうと、これは私は何ら弊害がないことにならなければ論理が合わないかと思いますが、その点如何ですか。
  324. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 内局は皆平服であります。平服の中に突如として制服そのままで、制服を着た者がそのままで勤務させるということはよくない。それだけの理由であります。
  325. 山下義信

    山下義信君 これは長官も見えましたのですが、もう一度私に思い違いがあつたらいけませんから、加藤局長に伺うのでありますが、この制服が内部部局に勤務することになつたときの、その者の身分上の扱い方はですね、どういう扱い方をすることになつておりますか。
  326. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この制服が内部部局に勤める勤め方でございますが、今度の防衛庁設置法の十九条による勤め方によりますれば、自衛官のままで勤務するということになるのでございます。職務上の関係におきましては、勤務を命ぜられましたところの部局の部局長の指揮監督を受ける。身分上の関係は自衛官でございまして、この階級ごとに人事その他の関係で統一をして、同じ目で見させる必要がある。たまたまほかの任命権者のところに行つたために、一人早く昇進しても困るし、昇進が遅れても困る。階級ごとに一級陸佐なら一級陸佐の階級の下に人事の関係考えなければならないというような点もございますので、身分上のことについては本来自衛官として所属するところの部隊長の監督を受ける、こういうふうに十九条はしております。それから制服の者が制服をぬいでやめて、普通の保安庁職員として内局に勤めます場合においては、ほかの職員と全然変りはございません。
  327. 山下義信

    山下義信君 そうすると、今の保安庁長官、木村長官のお話はちよつと思い違いをなさつたんでございましようね。今の自衛官をやめてからでなければ、内部部局に勤務させんとおつしやつたのは……。
  328. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 二色あるのであります。今のは外した点から言つたのであります。
  329. 山下義信

    山下義信君 どちらにしても外して入るのでありましよう
  330. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いや片方は外さずに入る、今度の十九条の……。
  331. 山下義信

    山下義信君 前の保安庁法の十六条の六号を外してあるのですから、外して今度の新しい建前で入る場合は、自衛官を辞めなくても、自衛官のままでこれは内部部局のポストに入れることになつているのでありますか。長官は……。
  332. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私の申したのは、内部部局の職員として入るのには、制服を脱いで入らなければいけない。
  333. 山下義信

    山下義信君 法律上は自衛官はそのままで入れるようにしてあるのでありますか。今加藤局長はそう言われましたが、どうですか。
  334. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは、十九条は内部部局に勤務するということでありまして、内部部局の職員になる――、この第十七条、十八条に書いてありまする内部部局の職員になるというのじや、これはないのであります。
  335. 山下義信

    山下義信君 内部部局に勤務するということでありますか。その職員になるのじやないのですか。
  336. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ええ、第十七条、十八条の職員とはこれは違う。別個のものであります。
  337. 山下義信

    山下義信君 そうすると、内部部局に勤務するということはどういうことですか。
  338. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 仕事の関係で、内部部局の課長とか局長とかいうものとは違うのでありますけれども内部部局におきましてそれぞれの部局長の指揮を受けまして、内部部局の仕事を手伝う、こういうことになるわけであります。職員ではない。ただ何と申しますか、派遣勤務と申したらよいと思うのでありますが、そういう関係であります。
  339. 山下義信

    山下義信君 そうすると、内部部局の職員でなくして、内部部局の事務に従事するという形はどういうのですか。私は官制の関係がよくわかりませんが、どういう形になるのでありますか。そうして職務上の指揮命令を受けるということになると、その部局の職員でなくちやならない、或いは部局の定員に入つていなくちやならない、そうでなからねば、権限もなければ何もないのですね。ただ勤務するということは、そこへぶらつと行つて、そこでどうするのですか。その部局の職員にならんというならば、どういう形の存在ということになるのですか。
  340. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはどう申したらおわかり願えるかと、いろいろ考えているのでありますが、仕事の関係内部部局に行きましてするのでありますけれども、ただ予算で申しましても、内部部局の職員何名というものが予算に出ているわけでございますね。自衛官は、自衛官としてほかの種類の職員として俸給表なども出ている。本来の内部部局の職員には予算上もなつていない。それが自衛官としての身分、幕僚監部なり、そのほかの部隊におきまして、内部部局にそこから派遣せられて勤務する、本来の意味の、身分上も内部部局の職員である者とはその点が違う。仕事のやり方につきましては、内部部局の部局長の指揮を受けて職務をやるのでありますから、仕事をやる場合においては同じでありますけれども、そういう意味の、職員と解するならば、解されないことはありません。併し本来の意味の職員ではないということを申上げておるのであります。
  341. 山下義信

    山下義信君 私は今の自衛官としての身分を保持するというこの第二項のことは、あとでお尋ねようと思うのです。それで今は内部部局に行つて勤務する場合の、その部局における立場というものは、定員外の立場になるのか、やはり定員の中に入るのか。ですから内部部局には一定の定員があつて、そしてそれより以上の立場に立つて、その部局の員数、人数になるのか、その辺がどうなるのかということを、この内部部局における、勤務するという立場のこの人の……。これは身分は自衛官でしようけれども、部局の職員定員、その他の建前の上においては、内部部局の人になるのか。内部部局の人にならずして、やはりちやんとその職務の場所は自衛隊であつて、その職務の場所は内部部局ではない。本来の職務の場所は、自衛隊という固有の立場に立つて、身分は自衛官である、職務の場所は自衛隊であつて、今のように臨時に身体だけが内部部局に行つて、そこで何ら職務上の権限も何もなくて、部局長との間に、職務上は、直属の関係も、指揮命令を受ける関係もなくして、今のように本来の職務上の立場は自衛隊のほうの自衛官としてのものがあつて、そして臨時に内部部局に行つて仕事をするというだけのものか。どういうことになるのですか。職務上の部局長との、いわゆる上級指揮者との間の関係はどうなるのですか。
  342. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはその内部部局の職員の定員外である、こういうことは先ほど御説明いたしました。職務の関係は、第十九条で、その勤務を命ぜられた部局の長の指揮監督を受けるということになります。
  343. 山下義信

    山下義信君 じや、ちよつとまだこの点は私に納得できないのでありますが、そういう場合に、これは職務上の指揮監督はやはり受けるのですね。内部部局に行つてですね。
  344. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) そうです。
  345. 山下義信

    山下義信君 そして身分は、まあ部局長の場合で言いますと、部局長関係はないのですね。
  346. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その関係は十九条の二項に書いてある通りでございます。
  347. 山下義信

    山下義信君 これはあなたは内部部局へ派遣されている間に、ほかの階級が、少佐が中佐になり、少尉が中尉になつて、だんだん行くのに、ひよつと身分を外しておくと、内部部局に行つたために昇進が遅れてみたり、又早まつてみたり、結局他の自衛官とのバランスが、これが不均衡になつてしまつていかんので、自衛官としての身分を元の通りに置いておく、こういうことで、それも理由でしよう理由でありましようけれども、私が問題にするのは、自衛官が制服のままで内部部局に勤務する。この点はそれが不明確ですから、あとから法制局長官にちやんと、私官吏のこういう場合の身分を正確にお調べ頂こうと思うのですが、私が問題にするのは、自衛官のままで行つて、職務上の指揮命令は部局長から受ける、而も身分は何らタツチせんというような、いわゆる自衛官の身分が保護されておる、言い換えれば……。これはあとの者はですよ、局長の職務命令を受けるけれどもですよ、その身分について一部局長が俗に言う任免権というものを持つている、任免権の裏付があればこそ、その部下に事務の遂行を命じ、やはり一つの上下の関係があつて動くのです。保護されておる自衛官というものは、自衛官が内部部局に行つても、制服としてのちやんと保護を受けておるのですから、自衛隊のほうの隊長が、お前内部部局に行け。なんだ、あの局長が何言つたのだ、なんだかんだ(笑声)と言つた場合に、局長は何らその者の身分の、俗に言う首切るというようなことも何もされずして、身分が保護されておるというのが第二項になる。ところがこれは制服が内部部局に入るということには、こういうふうな保護が加えられる。これは旧軍隊の旧軍人に特についておつた、あの軍人の身分については、軍部以外には指一本も指させん。それと同じ趣向じやありませんか。私はそういうことを感ずるのでありますが、私の考え方が間違つておれば御指摘下さい。
  348. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その内部部局の場合も、自衛官の場合も、その上に隊長の長官というものがおられるのでありますから、そういう人事上の御処分については、十分私はなされ得ると思います。
  349. 山下義信

    山下義信君 それは逃口上です。長官はずつと上におられる。(笑声)その任免権はそれぞれ直属の任命権者に委任するとあるじやありませんか。実際は昨日来からの質疑応答で、管区総監、連隊長、まあ俗に言うと、だんだんとそういう下級者を使うのでありましようけれども、だんだんとそれぞれの俗に言う司さ司さ……。私はよく言葉をたくさん知らないのでわかりませんが、司さ司さに委ねられておる――ときぎ軍じん勅論が出ますから――。司さ司さに委ねておる。ですからこの内部部局に行きまして自衛官が、身分もこれは直属の隊長がちやんと任免権を握つておるのでありますから、職務上これは内部局長は、身分に、任免権に何も関係ないじやありませんか。言い換えれば、内部部局においてどのように暴れても、どのようなことを振舞うても、その者の身分は微動だもしないという建前になつておるのじやありませんか。私の考えが違うておりますか。私は法制局長官に伺いますが、先ほどこの制服の制限を撤廃したことは、大きな政治優先の考えかたが、だんだん将来には、この制服関係、俗に言う武官関係によつてその大原則が侵される虞れが多分にあるということを私は伺つたのです。それについての私は佐藤法制局長官の御所見を伺いたい。それから又今のこの勤務の職務上の内部部局における身分関係、これは俗に言う官界の建前ではどういうことになりますか。それからその自衛官の身分が直属の部局長でなくて、元来の部隊のほうにあるという建前では、今お聞きのように私は弊があると考えますが、その三点を私は伺いたいと思います。
  350. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 第一点のこの現行法にありますような制服の経歴を持つておる者を入れないという制限、これを撤廃したということは、これは実は私からお答えするのは本当は僭越かも知れないと思いますが、如何にすれば、この防衛庁の運営がうまく行くか、適材をそこへ連れて来るかという私は一点から判断せらるべき問題であろうと思いますが、従いまして人材に適材があるならば、経歴如何にかかわらず、今度はとつてやろうという方法をここでおとりになることも、これは確かに一つの行きかたであると存ずるわけであります。で、まあそれにいたしましても、恐らく私はこの自衛官そのものに対する任用の、例えば試験のやりかたとか採用の選考の基準というものが、自衛官の場合とこの内部部局の職員になる場合とは資格が違いますからして、自衛官たる資格そのままでは当然には入つて来れないわけで、やはり内部部局の職員としてのその人が試験を通つておるか或いは選考を通つておるというものでなければ入つて来れないわけになるわけであります。そこで十九条というものをその眼で見ますというと、これは自衛官というその身分のままでこの選任のための必要な選考とか或いは試験なしに使つてやれるという途を十九条で設けた、即ち本来の部員なり何なりのほかに、臨時に手伝いとして便宜他の自衛官を連れて来て仕事をさせるという形で、これは現行法にも同じ条文が出ておりますが、それをそのまま今回も踏襲した、まあそれに尽きると思います。従いまして問題はすべて現行法の問題と同じ問題で、御心配の点も一応は納得できますけれども、併し又私たちの立場から考えてみますというと、何分これは臨時の手伝いということでございますからして、今のように言うことを聞かんやつは外のほうにおつぽり出してしまう、これは適したやつだからよろしく頼むということで、どうせ広い意味では同じ屋根の下のことでございますから、先ほど長官も申上げましたように、高いところではありましようけれども、上からは見ておるわけでございます。そういう点は運用のほうのよろしきを得て御心配のほどのことは起り得ないよう考えております。
  351. 山下義信

    山下義信君 これで私は質疑を終りますが、この内部部局に勤務させるということは、これはお尋ねするのが蛇足なんですけれども局長も何も皆指すわけですね、その内部部局の局長ということにもなり得るわけですね。
  352. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはほかの条文から来まして局長は参事官を以て充てる、こうなつておりますから、その面からはなり得ないと思います。
  353. 山下義信

    山下義信君 局長にはなり得ない、そうすると、課長にはなり得られますか
  354. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 勤務が派遣勤務でございますので、課長にはなれないのではないかと思います。
  355. 山下義信

    山下義信君 課長にもなり得られないですか。一応こうしておきましよう
  356. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は一般質問以来再三質疑されたところでありますが、木村長官只今山下委員との長時間に互る質問に対する答弁は従来の答弁より一歩も出ていないと思うのです。従つて私どうしても納得できませんので、若干お伺いいたしたいと思います。この内部部局と制服の間の対立をなくすためにも必要だ、こういうことを答弁されておりますが、ここにその撤廃をしたということは、内部部局に制服のかたが非常に希望者が多いということを私は現わしておると思う。もう少し端的に言うならば、官房長及び局長、課長というこのポストというものは非常に法案の組立て方から重要である。従つてそこへ進出するところの希望者が多いということになる。それは十九条と二十条を一緒に審議すれば明確だと私そう思う。この官房長、局長、課長というポストがそう重要でなくて、今の制服のかたが眼中にも入らない。歯牙にもかけないようなポストであつたならば、何にも問題にならない。そこに私はこの二十条と併せ考えるときに、非常に重大な点があると思います。それと私はどうしても主張したい、納得のできない点は、従来我が国が、兵権優位に慣れておるわけですからね。今漸く文官がこういうポストに座つてそうして新らしい気風をここに作つて行こうという段階で、而もそれはまだ海のものとも山のものともわからない未熟な段階にあるわけです。それを今撤廃して、第一戦部隊におられた経験のあるかたがこの機構の局、課の課の長として来られた場合には、私は実際的に想像できることは、君らは第一戦部隊のことは知りやしない、それは君らの机上の空論だよと、言葉に出さなくても、そういう意識を持つて恐らく制服経験のない方々に私は対処されるだろうと思うのです。これは必至だと思います。そうなりますと、おのずと制服の経験のないかたはいずらくなる。恐らく保安庁内局に今就任しておる局長、課長という方々はそれぞれ優秀なかたを私は採用してあると思うのですが、そういう気まずい所にいなくても、他の省の適当なポストに行けるわけですから、足を洗うという結果が私は出て来ると思うのです。従つて私は確信を持つて言えることは、私は今の段階でこの撤廃をするということはどうしても納得できない。それともあなたのほうで局長、課長を任命してあるが、どうもあれでは小十分だ、あのままではいけない。ここに制服経験者を入れないと工合が悪い。こういう確固たる根拠があればまだしも、そういうものはないと言われておるのですから、今の段階で撤廃するということは納得できません。それと先ほどあなたのほうでは制服と内局のほうの対立は一切ないというような答弁をされておりますが、これは御尤もだと思う。あなたの立場に立てば……排し巷間伝えられるところによりますご、やはり芽生えというものはある。こうして制服の方々が非常に内局に進出を狙つておるということが伝えられております。これも私は御尤だと思う。それは第二十条をみて明確なように、官房長及び局長長官を政策的に捕佐するようになつておりますが、第二十条の一、二、三、四を見ればもうはつきりすると思うのです。この私の疑問を解消させるよう長官一つ答弁を求めたいと思います。
  357. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その御質問に対しては先刻山下委員に対して答弁した通りでありまするが、只今のお言葉の制服を着ておる者で内局進出を希望しておる者があるということでありますが、現在においてはさようなことは聞き及んでおりません。制服というものは実施部隊として、このほうに専念して行こう、こういうものと私は考えております。而してこの制限撤廃の一番主なる理由はいわゆる適材適所主義であつて、一度制服を着たという理由だけで内局に絶対に入れないというようなことは私はよろしくない。一面からいつて思想上も宜しくない。それから内局に入れないということでありますると、制服を着ておる部隊内局に対して一面においては非常に色目鏡を以てみて来る疑念がなきにしもあらずと私は考える。融通無得に内局に勤めておる者も場合によつては制服部隊に勤める。制服部隊に勤めた者も有用人材であれば内局に勤めてもいいというような道を開いて行くことが、部隊全体として円滑を期する一つの大きなゆえんであると私は考えております。
  358. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一歩進んで伺いたい点は、長官は制限を撤廃したけれども、大方針としては制服と入替える考えはないということを再三答弁されております。併し撤廃された以上、恐らく近い将来に制服の方々が若干その制服を脱いで、平服で、背広でこういうポストにつかれると思いますが、そういうことになつた場合、一歩進みますが、この内局幹部において制服経験者が占めるパーセンテージというものは、数の上からどの程度が限度であるとお考えになつておられますか。そういうことは純軍事的な、長官補佐するところの陸海空幕僚監部並びに統合幕僚会議、その線と、それから政策的に長官補佐するところの内部部局というものの、この両方の補佐長官は、先もちよつと触れました長官のブレーンが、更に参事官が二人もつくわけでありますが、長官がこの両面の補佐を適度に調整して、そうして長官方針をきめる、こういう建前になつておるわけでありまして、私は仮に制服を着た第一線の実施部隊の経験者を内部部局に採用する場合においても、おのずと限度があるだろう、少くともその線を守らなければ、やはりまだ固まつていない我が国自衛隊としては、政治が軍事に優先するという形態というものは、なかなか成熟していけないのではないか、こういうふうに非常に私はこの点懸念いたしますので、その点長官に伺つておきたいと思います。
  359. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今現実の問題として制服を来ておるものから、内局に採用しようという考えは毛頭持つておりません。従つてそのパーセンテージなどは毛頭頭にありません。
  360. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 木村さんが長官におる間はそれで先ず私の懸念する事態は起らないと思いますが、あなたはいつまで長官をされておるかわからないから、やはり私は問題が起ると思いますが、もう一点伺います。それは第十九条の自衛官を内部部局に勤務させるという規定があることは、これは内部部局の定員が不足しているから補うという意味でなくて、内部部局に自衛官としての持つておる知識、素養が必要だという立場で、第十九条の自衛官を内部部局に勤務させることができるという条項が入つたかと考えますが、その点如何でしようか。
  361. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お説の如く自衛官とし持つております知識経験というものを活用させたいという考えであります。
  362. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで保安庁法の第十六条では課長以上のポストに制服経験者を任命できないようになつておりましたから、制服者を内部部局においてこれを勤務させることができるというのは、保安庁法の第十六条では非常に活きておりました。ところがこのたび制服就任の制限をとつたから、第十九条の自衛官を内部部局において勤務させるというのは若干私はその重さというものが薄らいで来たかと思うのでありますが、これを反対の方面から眺めますと、やはり自衛官を内部部局に勤務させる、それから自衛官であつたかたを内部部局の幹部に任命する途を開いたということは、これを総括的に眺めた場合に、現在の内部部局だけでは制服者が持つておるような軍事的な知識素養というものが、今の内部部局の幹部では不足しておる。従つて方針としてこの内部部局に、もう少し第一線実施部隊の自衛官として持つておるところの知識素養というものが必要だということを私は裏書きしておると思う。どうしてもそういうふうにとらざるを得ない。そのことが私はまだ兵権優位になれて、新しい政治が軍事を支配するよう考え方、理念、実践というものが確立されていない我が国においては、そういうことは若干不自然かも知れませんが、そういう制限があるほうが適当であつて、今撤廃するのは適当でない。こういう私は見解の下に承わつておるわけですが、これは意見になりますし、木村長官にお伺いしても同じ答弁しかないでしようから、私最後に、この自衛官を内部部局において勤務させることができるという点について、一体各課には何人ぐらい勤務さしておるのか、それからその勤務者は常動的に相当長期間に互つて勤務するのか、それとも二、三ヵ月ぐらいの短期間に輪番に勤務さしておるのか、その実態というものを伺つておきたいと思います。
  363. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在は保安局のほうに数人勤務さしております。勤務の態様は相当長期のものもございまするが、短期のものもございます。それぞれの必要に応じてやつております。保安局のほかにはございません。
  364. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先ほど局長のお答えでは自衛官は参事官になれない、こういうふうなお答えがございましたけれども、法文の上ではさような制約はないと思いますが、如何でございましよう
  365. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 参事官というのは一つの官名であると思うのでありまして、自衛官というのも一つの官名であると思うのであります。若しお話のごとくになりますと、兼官というふうな恰好になるのではないかと思いますが、それは参事官の任用資格等から別の問題として考えられると思います。
  366. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法制局長官も今の御見解に御同意ですか。
  367. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほど私自身も申述べましたように、任用資格というものが、卑近な言葉で言えば自衛官のほうは「おいち二」というようなことの上手な人、或いは内部部局に入ります人は事務に練達の人というように、おのずから資格がはつきり違うわけになりますからして、やはりそれにはそれの資格がなければ、仮に自衛官の足を洗つて参りましても、参事官になるためにはその資格がなければ当然なれない、かよう考えております。
  368. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は参事官というものは一番高い補佐機関でありますから、例えば統合幕僚会議議長のごときのもも、むしろ入つたほうがいいのだ、長官はただ素人ばかりが補佐し、防衛基本方針等承認や指示の補佐をする。二十条の権限を持つておるものは全部補佐する。参事官が素人であつたのではよくない。軍事的の相当の経験もあり、又地位もある人が当然一人や二人入つておるのが当り前のことだ、必要なことだと、こう考えておるので、少くとも統合幕僚会議長だとか、或いは幕僚長ような人も幕僚機関にという意味から言えば入るほうがいいじやないか、こう思うので実は伺つておるのでありまして、「おいち二」なんかのそんな低いところの話じやない。これを大きなところから見れば、私は法律のことはよく存じませんが、一向参事官に長官が自衛官を任命させて差支えないじやないかと私は思うのですが、もう一遍念を押して伺つてみたいと思います。
  369. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 「おいち二」は大変不適当な言葉で撤回いたします。但し私の申上げたいと思うのは、参事官の資格を持つておる人ならば、今度のいわゆる制服の制限撤廃ということによつて、逆の面から申上げますならば、参事官の資格を持つておる人であるならば、自衛官の経歴のある人でも勿論なり得る。裏から言えばそういうことが申上げ得るわけであります。
  370. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) なお附加えて申上げまするが、統合幕僚会議議長もこれはひとしく長官補佐役であります。ブレーンであります。その専門的面においては十分に長官補佐する、こういう建前をとつております。
  371. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 併しこの二十条で規定しておるところは、統合幕僚会議の所掌事項について長官の指示又は承認のその又補佐するのが局長、官房長でありますから、補佐の何と申しますか、高さは私は内部局長のほうが高いのじやないか。少し言葉が不適当でありますけれども、そう考えるのですが、如何でございましよう
  372. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは高さの問題じや私はないと考えております。二十六条に「統合幕僚会議は、左の事項について長官補佐する」、こう書いてありまして、これが会議の議長によつて現実的に長官補佐するわけであります。
  373. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 統合幕僚会議長のほうに話が飛びましたけれども、私はこの法文全体を見まして、統合幕僚会議長というのは三幕僚長のいわば調整役、潤滑油のような存在であつて、二十条に規定した補佐役としての各局長よりも実権は下だ。名前はいいが実権は下だ、こういうふうに先ず考えるわけでありますが、その点についての御意見を私は伺おうとは思いませんけれども、話をもとに返して、どうも参事官に自衛官を入れて差支えないのだ、参事官としての資格のある人は任命をして差支えないのだ、こう思うのですが、先ほどの法制局長官のお言葉もさようにとつていいと思いますが、如何でございますか、法制局長官
  374. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先ほど申しましたように、今までの制服の制限がございますれば、如何に参事官としての資格を持つてつても、過去の経歴の故を以てどうしてもなれなかつたその制限が、今度撤廃されますから、なり得ることに理論上なるわけでございます。
  375. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先ほどの局長及び法制局長官のお答えは、保安庁法のほうに多少捉われてのお考え……。私は保安庁法をまるで知らないのですから、この新らしい防衛庁設置法だけの考えで承わつておるので、結局その資格さえあれば自衛官は参事官になつてもよろしい、こういうことでようございますか。
  376. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私が質問を取違えたかわかりませんけれども、自衛官のままで、現在のままで参事官になるというようお尋ねように思つたのです。それは自衛官のままで参事官になるということは、これは任用資格の点から申してもむずかしい、こういうふうに考えまして、自衛官をやめて参事官になる問題は又別であろうと思います。
  377. 山下義信

    山下義信君 ちよつと質問を保留さして頂きたいと思うのですが、八木委員質問で関連するわけですが、今更伺うのもどうかと思うのでありますが、参事官でありますとか、内部部局の職員ですね、この人たちの任用資格の根拠法は何によつて任用するのでございますか。従いまして私は主として自衛官のままでという場合をお尋ねしたのですが、一般の制服を脱いだ人は、これは相当高級なポストに局長でも何でもつけるわけです。そういう場合は、元自衛官の例えば陸将補というような立場にあつた人も、やはり俗に言う文官任用試験令といつたふうなものを経なければ任命ができないのかどうかという任命の規定ではどうなつておりますか。
  378. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在の保安庁について申しますると、保安庁法の施行規則の別表第一というのに、それぞれの任用資格要件をきめております。こういうふうなきめ方になるだろうと思います。
  379. 山下義信

    山下義信君 そうすると、新らしい防衛法案で言う、今八木委員が提起されました参事官の任用の場合は、どういうような資格法規によつて選考すると言いますか、任命されますか。
  380. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは大体考えまして局長級でありますとか、或いは経済審議庁の審議官というふうなものがおられます。それらの方々の資格要件を考慮いたしてきめることになると思います。
  381. 山下義信

    山下義信君 それは何できめるのですか。
  382. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在保安庁法の施行規則できめておりますが、総理府令になつております。
  383. 山下義信

    山下義信君 それもその中にちやんと参事官というものも入つているのですか。
  384. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在は参事官はございませんので、今はきまつておりません。
  385. 山下義信

    山下義信君 ですから新らしい参事官の任用資格に関する規則というのは、これからお作りになるのですか。
  386. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その通りでございます。
  387. 山下義信

    山下義信君 それは単に総理府令とかいうようなもので、その資格を規定することができますか。
  388. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在は総理府令できめております。
  389. 山下義信

    山下義信君 現在はきめてあつても、この新らしい今回の法律には、総理府令で任せるというような規定がありましたか。委任はしてないはずですが……
  390. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 自衛隊法の三十五条……。
  391. 山下義信

    山下義信君 それじやこれからお作りになる総理府令の何は、関係政令その他府令等の資料を頂いた中にはありませんか。
  392. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 総理府令に規定すべき事項の中には、現在の保安庁法の規定に準じてきめるというふうに提出してあるはずでございます。
  393. 山下義信

    山下義信君 結局あなたのほうで勝手におきめになるので、一遍制服を脱いだ人の採用選考の基準も随意にお作りになることができるようになるわけですね。この法律が通つて参りますと……。それで結局何ですか、大佐相当の者ならば選考の上で局長に任ずることもできる。或いは陸将補、海将補、空将補というような制服の経歴の持主は、参事官にそのまま試験なしに選考して採用することができるというようなことも、府令で今度おきめになれば、これがすぐできる、こういうことですね。
  394. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その通りでございます。
  395. 山下義信

    山下義信君 それではそういう重大なことを勝手にしては困りますから、いわゆるこれは委せる場合ですから、大体あなたのほうの、制服を脱いだ場合、今までの文官の人の採用は保安庁に準じてやつてもらつてもいいが、制服経験者が制服を脱いで内部部局に入つたときのそれらの高級な次長であるとか、官房長であるとか、局長及び課長等に就任する場合の採用の資格の基準の政府案を一つ見せて頂かねば、無条件委任することはできません。こういう重大な人事の採用基準を国会に御相談なしに、我々は何にも知らずに、白紙委任するわけには参りませんので、三十五条で御一任いたします前に、一度どういう基準をお定めになる考えかということを承わらなければならん。お考えが今きまつておりますれば、元の制服の経験者で、陸将補及び空将、陸将、陸尉は、どういう制服のときの、階級の何と何の間の者はどうする。或いはその採用の何は試験をする、しないというようなことの、これは任用令ですから非常に大事なことですね。こういうようなものは、私は曾つては省令などでそういう規定を設けられたことは余り例がないのじやないかと思う。こういう高級な人事が一省令で任されたというようなことはないと思うのでありますが、しよつ中こういう任せ方をいたしますか。佐藤長官に伺います。
  396. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは一般職の公務員の場合は、人事院規則で任されているわけであります。これは特別職に全部しておりますものですから、結局それに対応するものとして、総理府令ということで現在の保安庁法の、先ほど御説明しましたように、総理府令に任されているわけであります。
  397. 山下義信

    山下義信君 従来みなこういうふうな例になつておりますか。
  398. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 少くとも逆に申上げますと、法律で細かく資格を書き、試験の手続を書いた例は承知いたしておりません。
  399. 山下義信

    山下義信君 それは試験やその他のいろいろ資格についての細かい規則はありましようけれども……。私のそれじや言葉が足りませんでした。いわばきびしい試験や条件をつけないで、いわば何と言いますか、もとの経歴で、無条件で、まあ殆んど無条件に近いような形で、相当高位な官職にこれを任命することができるようなことが、省令で任されてあるような、俗に昔で言えば、官吏任用令とかいつた形の制度というのは、現在でも我が国の諸制度の上にございますか。
  400. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 諸制度と申しましても、明治憲法時代のことは申上げても詮のないことで、これは皆な勅令でやつておりましたから、新憲法の下におけるところのお話になるわけでありますが、少くとも根本方針は、法律ではつきり謳つて頂く、例えば欠格条項がどうであろうか、或いは採用する場合に欠格条項に触れないものの中から採用する場合にどう。これはここに書いてございますように、三十五条にありますように、試験によるということをはつきり謳つてある。そして「但し、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない」、試験か選考かどちらかということは、根本法律ではつきり謳つて頂くというのが今までの法律の通例でございます。そうして一般職の場合には、人事院規則に委ねる。保安庁のごとき場合においては、これは総理府令にお譲りを願う。こういうのが普通の建前と申上げてよろしい。
  401. 山下義信

    山下義信君 試験の場合はいいですけれども、選考の場合は、選考者の意思一つできまる。こういうふうな場合には、或る程度の枠は設けておかなければ、これはその衝に当る人の気持で選考者がどうでもできるようなことになるのでありまして、これが選考については、この法律は無条件で一任するというのと同じことになり、いずれにいたしましても、無条件一任というわけには、こういう重大な人事につきましては、殊に世論のやかましい制服制限のこの際、その任用につきましての考え方は、政府においてどういう考えを持たれるか、もとの制服のどの階級にあつた人がどのポストにつける、どういう選考方針をとるか、試験方針をとるかということの、新たなる今回のケースについての政府考え方を、これはお示し願わなければならんと思う。その点は如何でございましようか。
  402. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) それでは早速提出いたします。
  403. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕    〔委員長退席、理事長島銀藏君着席〕
  404. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 速記を始めて。
  405. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 さつきの続きですが、例えば陸将補が参事官になるということは今の法律のままでできますか。
  406. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 陸将補が自衛官であることをやめてなるということでありますか。
  407. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 辞めないで現職のままで……。
  408. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは私はむずかしいと思います。法制局のほうから……。
  409. 林修三

    政府委員(林修三君) この点は大体参事官というのも自衛官というものも大体いわゆる官名と申しますか、俗に官名と申しておりますが、それと同じ実はレベルの官名だと思うのでございます。そこで自衛官兼参事官、或いは参事官兼自衛官ということは、これは考えられないではございませんけれども、そこはやはり併し任用資格等で実は問題が相当あろうと思いますから、従つて自衛官の人を以て参事官に充てるということはどうもこの法律建前から見ると考えておらないのじやないか、やはり参事官というのは自衛官の人を転換させる、そういう考え方考えておりますが、かよう考えております。
  410. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 例えば陸軍大佐が軍務局長になる。昔の頭かも知れませんが、自衛官というのと、そこの何とかむずかしい陸将補というのとは別じやないのですかね。
  411. 林修三

    政府委員(林修三君) ここで陸将補というのは一つの階級と考えておるわけであります。自衛官の中の階級と考えております。それから昔の、例えば陸軍大佐というのがこれは官名でございます昔で言えば……。いわゆる陸軍武官という官名はございませんで、陸軍大将とか大佐というのが官名でございます。陸軍大佐を以て軍務局長に充てるというものであります。いわゆる軍務局長というのが職だつたわけであります。参事官と申しますのは、何かと言えば、これは昔の官名に当たるものと考えております。局長が実は職だというふうに考えております。参事官に任用してそれを何々局長に充てる、そういう恰好になると思います。自衛官というものと参事官というものは、並行の、並列のものとかよう考えるわけであります。
  412. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 総理府令で特殊のことをきめたらその通り行けますか。
  413. 林修三

    政府委員(林修三君) 総理府令でどういうことをきめるかということでございますか。
  414. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 任用資格……。
  415. 林修三

    政府委員(林修三君) 任用資格なんかについては勿論総理府令できめられるわけでありますが、自衛官を以て参事官に充てるということは、どうもこの法律建前から言うと、そういうことにはならないと思います。結局自衛官の人を参事官に転用させるということにならざるを得ないのじやないか、かよう考えるわけであります。
  416. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 よくわかりませんけれども時間をとりますからこれで……。
  417. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) ほかにはございませんか。三節に入つてよろしうございますか。    〔理事長島銀藏君退席、委員長着席
  418. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは二節の質疑はこれで終つたものといたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  419. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは暫時休憩いたします。    午後六時四分休憩    ―――――・―――――    午後七時三十一分開会
  420. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より休憩前に引続き委員会を開会いたします。  この際、国防会議の構成等に関する件について緒方国務大臣が発言を求められておりまするので、これを許可いたします。
  421. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 過日本委員会でお答えをいたしましたところに従いまして、国防会議の構成につきまして三党間の折衝をいたしました結果、本日の午後に至りまして、今お手許に差上げてありまするような大体の骨格を作り上ることができたのでございます。簡単でございますので、ちよつと読み上げます。  一、国防会議は議長及び議員若干名で組織すること   イ 議長は、内閣総理大臣とすること   ロ 議員は、左に掲げるものとすること    1.副総理たる国務大臣    2.防衛庁長官    3.外務大臣    4.大蔵大臣    5.経済審議長官    6.内閣が両議院の同意を得て     任命する識見高い練達のもの若干名   内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、随時関係大臣、統合幕僚会議議長又は関係者を国防会議に出席させ、意見を述べさせることができること  二、国防会議の事務は内閣においてこれを掌ること  過日保安庁の案としてお目にかけました案の構成員でありまする大臣中に変つたところがあります。それは通商産業大臣がなくなつた点と、それから第6にあります「内閣が両議院の同意を得て任命する識見高い練達のもの若干名」、この通商産業大臣をなくしましたのは、これは一に三党折衝の結果でありまするが、その理由は、本委員会におきまして、通商産業大臣があれば農林大臣も必要じやないか、又運輸大臣も必要じやないか等の御意見もありましたし、そういう御意向も三党の間に考えられたものと見えまして、それは別個に、第二項と申しまするか、総理大臣は必要があるとき云々という項に、随時関係大臣を呼ぶことができるという中に入れまして、構成員といたしましてはここに掲げられたものにすることにいたしたのであります。それから、6の「内閣が両議院の同意を得て任命する識見高い練達のもの若干名」、これは政府及び与党側の考えといたしましては、内閣総理大臣の前歴を持つておるものという考えでありまして、これは三党の間の了解を得ております。それから国防会議の事務を取扱うその所在について御意見がありましたことに鑑みまして、これは内閣において掌るということにきめたような次第であります。  なお、これは三党折衝の結果、妥結しました成案でありまするが、これを政府案といたしまするのには、申すまでもなく、閣議の決定を必要とするのでありまするが、これは本日午後できたばかりで、まだ閣議を経ておりません。その点につきましては、私責任を持つて閣議の成案にいたすつもりでございます。  以上甚だ簡略でございますが、国防会議の構成に関する件の御説明を申上げます。
  422. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは暫時休憩いたします。    午後七時三十七分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕