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1954-05-24 第19回国会 参議院 内閣委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十四日(月曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            高瀬荘太郎君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            山下 義信君            八木 幸吉君            木村禧八郎君            三浦 義男君   国務大臣    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    保安政務次官  前田 正男君    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○防衛庁設置法案内閣提出、衆議院  送付) ○自衛隊法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案の二法案につき一般質疑を続行いたします。
  3. 八木幸吉

    八木幸吉君 資料を要求してよろしうございますか。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) どうぞ。
  5. 八木幸吉

    八木幸吉君 防衛庁機構を詳細に並べて書いて、且つその課等に配属する人員を書いた図解一覧表をお出し願いたいと思います。前は保安庁ですけれども防衛庁人員を入れた機構図図解一覧表法案審議を便宜にするためにお出し願いたいと思います。
  6. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁本庁内部部局ですか、部隊まで入れてですか。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 部隊まで入れて、人数も入れて図解をお願いいたします。
  8. 竹下豐次

    竹下豐次君 国防会議の問題は防衛庁法案の極めて重大なる部分を占めておるのでありますが、この点につきましては、後日法案が提出された際に十分に検討することにいたしたいと思いますので、今日はこの問題についての御質問はいたしません。併し、政府はこれから法律立案を急がるるわけでありますので、その節是非考慮を煩わしたいと思うので、私の考えを簡単に申述べて、それからほかの問題の質問に移りたいと思います。  内閣責任を明らかにするために、閣僚のみを以て会議を組織するという政府考えは一応正しいと思つております。従つて会議諮問機関とする点には異議はありませんが、これと同時に、総理専断を抑制するだけの考慮を加えねばならないのであります。ついでは総理が自由に任免し得る大臣だけでなく、各種審議会議員のごとき、国会の承認を得て任命し得る幾人かの議員を加えて、権威ある会議とする必要があると思います。なお一部の少数閣僚のみを以て組織するくらいなら、むしろ多数の閣僚で協議する閣議に委せて、必要な場合には閣議民間人意見を聞くということにしたほうがいいのではないか、かようにも考えております。一昨日は副総理の御答弁の中に、保安庁の案を適当と考慮しているので、政府はこの案が法案として成立するように極力努力するということを言われたのでありますが、成案のできる前に、保安庁案よりも一層優れたものと認められるような案が出ました場合には、そのように改正して提案されることを私は希望いたします。ただその際に、特に御考慮を煩わしたいと思うのは、先ず第一に、政府責任を明確にするという点、それから政治優先の原則を曲げない、できるだけそれを強く法案に盛込む。それから次に、総理専断をできるだけ阻止する、この三つの点を重分考慮に入れてもらいたい。この三の大きな方針を曲げないような、よりよき法案ができましたならばそれが一番結構である、かように私は考えておる次第であります。なお、国防会議内閣に置くという以上、その事務局も又内閣に置くのが当然である、かように考えます。これは制度の建前として、やはり会議内閣に置くから事務局も置くべきだという形式だけの問題でありませんで、政治優先の実を挙ぐる必要から見ましても、防衛庁に置くよりそのほうが適切である、かように考えておる次第であります。  これから質問に入りますが、御配付を受けました資料をまだ一々検討する時間を持ちませんので、自衛隊の編成の問題であるとか、実際の活動計画であるとかいうような点にはもう少し勉強いたしましてあと機会お尋ねしたい。あと機会と申しますのは、恐らく今日の私の質問は与えられた二時間を要しないで幾らか時間が残ると思いますから、余つた時間におきまして更に質問することをお許し願いたいと思つております。  第一にお尋ねいたしたいのは、統合幕僚会議議長の問題であります。これは三軍を、まあ軍という言葉は適当でないかも知れませんけれども、普通そう申しますから、その言葉をお許し願いたいと思つております。三自衛隊、何と申しますか、甚だ言いにくいのですけれども調整し、三軍の抗争を防止し、又政治優先の実を挙ぐるために制服自衛官の横暴を抑制することのできるだけの人格と高邁なる識見を有して、公平無私人物でなくてはならない。三幕僚長よりも優れた人間でなければならないということは、これは申すまでもないことであろうと思います。本案によりまするというと、専門家である幕僚長議長に昇格せしめることもできるということになつておるのでありまするが、そうなりますというと、陸、海、空三軍いずれかの幕僚長であつた者が昇格するということでは、そのうちの一つに片寄りやすいきらいがある。又第三者から見ましても、そういう疑いを濃厚にするということにもなりまするので、それは避けたほうがいいのではないか。ほかから適当な人物を選んで統合幕僚会議議長にするということが必要ではないかと、かように考えておる次第でありますが、政府のこれに関するお考えを伺いたいと思います。
  9. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 統合幕僚会議は、御承知通り、統合的のつまり計画をすることについて長官を助けることを認めております。いわゆる部隊活動実施については直接関係はありません。これは各幕僚長がやるのであります。この狙いとはどうかと言いますと、従来のようないわゆる陸海空の摩擦があつてはいけない、さようなことであつては誠に国家のために憂うべきことであるから、できる限り三軍の間において調節をとりたい、この狙いが主であります。従いましてこの幕僚会議議長には、今申されますような、いわゆる人格識見高邁であつて、而も人望のある人を持つて行くことが最も望ましいと考えます。それについて如何なる人を選ぶかということについては、我々今後最善の努力をしたい、こう考えております。    〔委員長退席理事長島銀藏着席
  10. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますると、立派な人を据えなければならないということはもとよりでありますが、私が申しておるのは、三幕僚長の中から又それを進めて議長にするということは避けるほうがいいのじやないか、こういうことを言つておるわけであります。その点は如何ですか。
  11. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は必ずしもそうは考えておりません。将来各三幕僚長の中に適当な人があれば、これを統合幕僚会議議長に持つて行つても私は差支えない、こう考えております。
  12. 竹下豐次

    竹下豐次君 私もその問題は絶対の問題ではあり得ないことだと思いまするが、先も申しましたように、その中の一人を選んで据えるということになりまするというと、例えば陸軍の関係の人を議長にするということになりまするというと、会議のメンバーの一人に更に陸上関係幕僚長というのがおるものでありますから、疑いますかり、疑いますれば空一、海一、陸二というようなふうの関係になりやすい、世間から見ると少くともそういうような疑惑を受ける場合が非常に多いのでありますから、できるだけそれを避けるほうがいいのじやないか、こういうことを言つておるわけなんです。
  13. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御意見として十分承わつておきます。
  14. 竹下豐次

    竹下豐次君 次に、防衛局幕僚監部所掌事務の分界についてお伺いしたいと思うのであります。防衛庁法の第十二条の一号に「防衛及び警備基本及び調整に関すること。」ということを書いて、これが防衛局事務の一部になつておるわけであります。それから二十三条では「陸上幕僚監部陸上自衛隊について、海上幕僚監部海上自衛隊について、航空幕僚監部航空自衛隊についてそれぞれ左の事務をつかさどる。」としてありまして、ここにも「防衛及び警備に関する計画立案に関すること。」ということが一号に書いてある。先申しました第十二条の一号とそれから二十三条の一号は、いずれも防衛及び警備に関する規定を書いてありまして、先のほうは基本に関するという言葉が使つております。二十三条の場合には「計画立案に関する」という言葉が使つてあるわけであります。これを対照して見まするというと、言葉は違つておりますけれども、結果はやはり同じようなことをやるのじやないか、防衛局もその立案をすることができるのじやないか、かように疑うわけであります。そうするというと、その権限両方に跨がることになりまして、或るときには積極的、或るときには消極的の権限争いというものが起る心配はないか、その点につきまして疑問を持つわけでありますが、その点に関する御答弁を願います。    〔理事長島銀藏退席委員長着席
  15. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この二十三条の規定によりましては、陸上海上航空幕僚監部において、各自体防衛警備に関する計画立案するのであります。即ち陸上幕僚監部においては陸上の、海上幕僚監部においては海上の、航空幕僚監部においては航空のそれぞれの分担があるのであります。各担任に関する防衛計画をここで立てることになつております。而して十二条の防衛局においての事務というのは、一般に亘る、つまり日本の防衛警備をどういうことにするかというその基本線を、而して、それと同時に各三幕僚監部立案いたしました計画をおのおの調整して行こうと、これは国家財政から非常に無理がある、その他の各方面からの観点からこれを調整して行こう、こういう関係になるのでありますから、心配することはないと考えております。
  16. 竹下豐次

    竹下豐次君 今の御説明によりまして観念的にはわかるような気がいたしますが、もう少し具体的に、防衛局でやることは基本に関することというとこういうことになりましようか。三幕僚監部はそれぞれその監部に所属しておる防衛警備に関する計画を立てるんだと、それには防衛局のほうは直接関与しないで一般的のことをやるのだと、それはお話のように三つ監部がそれぞれ案を立ててそれを調整するということが防衛局一つの任務になつておりますが、この一号によるというと、調整に関することということのほがに、基本に関することということが特別に語つてあるわけでありますが、その点はどういうことになりましようか。どうも重複する場合が相当に多いんじやないかという疑いを持つのであります。
  17. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私から御説明申上げます。お尋ねの点は御尤もでございまして、私どもといたしましては、この点につきまして、第二十条に一応の目安になるような規定を置いておるわけであります。第二十条を御覧頂きますと、官房長局長仕事とそれから幕僚監部を代表いたします幕僚長との仕事関係をここで書いておるわけでありまして、御覧になりまする通り官房長及び局長は、その所掌事務に関し、左の事項について長官を補佐するものとする。」、第一号が「陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊に関する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について長官の行う陸上幕僚長海上幕僚長又航究幕僚長に対する指示」と、どういう計画を立てろというふうなことを長官幕僚長指示を出されます。その指示を批判するのが内局のほうの者の仕事だと、一号ではこういうことになるわけであります。それから二号によりまして、陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊に関しまして陸上幕僚長海上幕僚長又航空幕僚長の作成した方針及び基本的な実施計画について長官の行う承認指示によりまして、或いは幕僚監部のほうでいろいろ研究をいたしまして、いろいろな方針及び計画を作つて参ります。この方針及び計画長官承認を得るにつきまして、内部部局の者が長官を補佐する、この仕事防衛局関係について申しますと、防衛及び警備基本及び調整に関する仕事を、防衛局のほうでその部面について長官を補佐する、実例を申上げますれば、そういうふうになります。
  18. 竹下豐次

    竹下豐次君 それはよくわかりましたが、第二十条の第二号によりまして、幕僚長がいろんな計画を立ててそうして長官承認を得ようとする、その長官承認を得ることのその案を立案しておる最中に、それと同時に長官から各幕僚長指示されようと思うその案を立案するという場合とたまたま両方が同じ問題について殆んど同時に検討することが起りはしないか、そういうことを私は疑問を持つわけであります。そうすると時間的に考えましても、そしてそこに権限争いということが起る心配がある。だからこの二十条だけを見ましても、私の先に質問いたしましたことは納得行かないわけであります。
  19. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その点はこの規定の上で御覧になりまするとさような御疑問もお持ちになるかと思うのでございますが、ただ内部部局において幕僚監部というものはいずれも長官補佐機関でございまして、始終緊密な連絡をとつておりまするので、実際の運用におきましては、今お話になりましたような重複が起るというようなことはないような運営で参りたいと思います。
  20. 竹下豐次

    竹下豐次君 どうも規定の上ではその点が私の心配がまだ残ると思つております。今お答えの中に、そういうことのないように努力されるということでありますが、これはどこの役所でもよく起ることでありまして、その間の調整両方連絡をとつて重複の起らないようにされるということは非常にむずかしいことであると私は思うのでありまして、そうやるつもりであるからということだけで必ずしも私は安心はできないのであります。でき得べくんば、もう少しはつきりした法律の条文が必要じやないかと、かように考えておるわけであります。この点につきましては更にお考え願いまして、この問題については私はこれだけで私の質問を一応打切りたいと思います。今の問題につきましては、「自衛隊の行動の基本に関すること。」というのが第十二条の二号にあります。この問題についても同じような心配が起るが十分御研究願いたいと思つております。  それから防衛局幕僚長が直結してしまうというと統合幕僚会議というものが浮いてしまう心配があるのじやなかろうか。幕僚会議議長というのは常に幕僚監部がそれぞれどういうことをしておるかということを知つておかねばならないわけでありますが、議長やら事務局にはどんな権限があるのか、その点を御説明願いたいと思います。
  21. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 統合幕僚会議所掌事務につきましては二十六条に明瞭に書いてあるのでございまして、各陸海空幕僚監部が直接に防衛局と結び付くというふうなことは、私ども規定の上からできないと思つておるのでございます。言うまでもございませんけれども陸海空の各防衛計画は、それを統合した見地からの検討が必ず要るのでございまして、そういう点につきましては、二十六条で統合幕僚会議所掌事務と明瞭にきめられております。その統合幕僚会議防衛局との関係が今申上げましたよううに二十条にやはり幕僚監部との同様な関係において出て来ておるのでありまして、二十条の第三号に「統合幕僚会議の所掌する事項について長官の行う指示又は承認」につきまして官房長及び各局長長官を補佐する、こういうふうになつておるのでありまして、この規定十二条、二十条、二十六条等の関係を併せて御検討頂きますと、お尋ねになりましたように統合幕僚会議が浮くというふうにはこれはならないだろうと思つております。
  22. 竹下豐次

    竹下豐次君 私の疑問は、幕僚長の取扱われる各種事項について、或る事項統合幕僚会議議題となり、併し或る事項はそうでなくして長官と直結される場合があるのじやないか。事柄の軽重と申しますか、或いは複雑さ等によりましてそういう二つの場合が考えられるのじやないか。若し二つの場合が考えられるとすれば、会議に付する場合と否とはどういう限界点でそれを区別することができるであろうか。非常にこれはむずかしい問題だと思つておりますけれども、お考えがあるのじやないかと思つております。今の御説明のように直結することは全くないのだと、全部会議を経て会議議長長官が直結するだけのことであるということであつたならば私の疑問は解けるわけであります。そういうことはないのでありましようか。
  23. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 統合幕僚会議所掌事務は一応二十六条の一号から五号に書いてありまして、更に六号におきまして「その他長官の命じた事項に関すること。」ということになつております。部内の仕事やり方等考えて見ますと、例えば人事につきましても、或る程度の階級以下の職員人事等につきましては長官から幕僚長に委任になつておるわけであります。そういうものにつきましては、これは恐らく統合幕僚会議の問題にはならないであろうと思うのであります。陸海空幕僚長権限にされておりませんで、長官権限に留保せられておりますものにつきましては、大体重要な問題は二十六条に書き上げてあると思うのであります。然らばこれに全部網羅されて、直接長官に結付くものはないのかとおつしやいますと、頭に浮びますのは、人事のようなものでございます。全然ないとは申上げません。重要な事柄は二十六条で統合幕僚会議権限になる、このように考えております。
  24. 竹下豐次

    竹下豐次君 私がこの質問をいたします気持というものは、先にも長官お尋ね申上げましたように、三幕僚長のうちの誰か一人を引上げて会議議長にするというふうなことは成るべく避けたほうがいいじやないか。若しそういうことにでもなるというと、専門的には三幕寮長のほうがいろいろ経験知識等も豊富で、よほどその間におきまして統合幕僚会議議長権限というものをはつきりしておかないというと、浮いてしまう危険が非常に多いじやないか。これを私は心配するわけで、それでこういう質問をしておるわけであります。その点は十分御考慮を願つておきたいと思つております。  それから第二十六条に「統合幕僚会議は、左の事項について長官を補佐する。」とありまして、そのうちに「調整」ということが書いてあります。そうすると調整に関することはもうすべて会議議長を通じて長官調整させるというふうに承わつておいてよろしうございますか。
  25. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは先ほど第十二条の防衛局所管事務について大臣からもお話がございましたが、防衛局のほうも調整仕事があるのでございます。統合幕僚会議のほうでいたします調整は主として専門的な見地から幕僚監部計画を立てるのでございます。専門的な見地からするものは統合幕僚会議仕事である。最も大きな広い政策的な面を含みました調整というものは、これは内部部局のほうの仕事に相成つておると、かように考えております。
  26. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) ちよつと例を申すとおわかりになるだろうと思います。統合幕僚会議でありますが、例えば津軽海峡、これをどう防衛するかということを一つの例として挙げます。そうするとこれは陸にも海にも空にも関係する、この各三幕僚監部仕事がここでどういう工合に統制をとつて行くかというようなことが会議自体議題になると思うのです。それに基いて各陸海空のほうで、又幕僚監部でその部分についての自分らの計画を立てる、そして統合調整するということが実際の面において行われるわけであります。
  27. 竹下豐次

    竹下豐次君 この問題はこれくらいにいたしまして、次にこれは小さいことになりますが、第十九条ですね、第十九条において「長官は、必要があると認めるときは、陸上幕僚監部海上幕僚監部若しくは航空幕僚監部又は第二十九条に規定する部隊若しくは機関(以下本条及び第二十三条第一項第四号において「部隊等」という。)に所属する自衛官内部部局において勤務させることができる。」、これは一つ事例を挙げて説明して頂きたいのでありますが、どういう場合でありますか。
  28. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在保安庁法におきましても、ここと同様の規定があるのでございます。その規定の適用の例といたしましては、保安隊関係の第一幕僚監部及び第二幕僚監部から必要な人間内局のほうに出しまして、内局のほうでいろいろな仕事をいたします基本的な問題を検討いたします際に、専門的な知識を借りて検討をしておる。余り実際と離れたような仕事のやりくりになりましても困りますので、実際の知識を持つております者の知識を借りまして仕事を進めると、こういうことであります。
  29. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると兼務ではないのですね。
  30. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは現在兼務という形でなしに、内局に派遣するという形でしております。部分的には第一幕僚監部又は第二幕僚監部の所属でありますが、派遣させて内局において勤務するという形式にいたしております。
  31. 竹下豐次

    竹下豐次君 そこでその点が私疑問に思うのです。第二項に「前項の自衛官は、その職務についてはその勤務を命ぜられた部局の長の指揮監督を、その身分上の事項についてはその所属する幕僚監部又は部隊等の長の監督を受けるものとする。」、兼務ならばこれでいいのでありますが、本勤務にするという場合には、この指揮監督権を有する部局長と、身分をあずかる部局長とかいうようなものは一体でなくては能率が上らないのじやないか。これはよく今までもあつたことでありますが、この例から申しますと、身分をよそで押えておいて、そうして身分権を持たないほかの人が上官になつて指揮監督をするということは、どうも仕事がしにくい。これは御体験のあることだと思つております。兼務と違いますから、この点は一本にされたほうが私は能率を上げる点においていいのじやないか。経験のある人をその部局のほうの、そこに本当の専従の職員として移して行くということのほうがいいのじやないか。別に恩給関係があるとか何とかいうことはないと思いますから……。
  32. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今の御意見は誠に御尤もなのでありまして、私どももその点につきましてはいろいろ考えたのでございます。併し自衛官は御承知通りそれぞれの階級を持つております。その階級従つて身分上の事項等考慮しなければなりません。任免権者が変りますといろいろそのことにおきましてアンバランスが起り得る可能性がございます。そういうこと考えまして職務上の指揮監督自衛官内部部局で受けますが、身分上の事項につきましては、自衛官の本来の身分を握つておる所でまとめて、ほかの同じ階級の者と身分上の齟齬を来たさないようにしたいというところに重点をおきまして、現在もこれと同じような規定でやつておるわけであります。
  33. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと臨時勤務ということになるわけですね。
  34. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは臨時ということに制度上なつておるというわけではございませんが、併しこの規定を作りました趣旨が実際の部隊運営について知識経験のある者を連れて来まして、それを利用するということにあるのでありますから、長い間ここに置いておきますとその目的が達せられなくなるのでありまして、適当な機会に又部隊に帰し、部隊経験を持つておる者を又連れて来る、こういう運営にしたいと思つております。
  35. 竹下豐次

    竹下豐次君 第九条ですか、参事官という規定がありましたね。参事官八人を置く、そのうち六人は官房長局長に当るというわけでありますね。そのあとをどこに持つて行くか、どこかに規定がありましたか。私ちよつと見当りませんが。
  36. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御指摘になりました通り、参事官は八名でございまして、そのうちの六名は官房長及び局長になるわけでございます。他の二名につきましては、どういう仕事に補するというような規定はございません。これは全く自由な立場におきましてそれぞれ参事官といたしまして長官の命を受けまして基本方針の策定について補佐するということになつております。
  37. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと二人だけは予備みたいなわけでそのときそのときの必要によつて配置転換をするというようなことを考えられておるのですか。
  38. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この二人は所掌事務は専属には持つていないのであります。これはフリーに長官を大所高所から補佐して行く、こういうことであります。
  39. 竹下豐次

    竹下豐次君 第三十七条に「所要の地に地方機関を置くことができる。」と書いてありますが、これは差当り所要の地というのは、どこを計画しておられるでしようか。これは参考書をもらいましたが、何か資料がありましたか。
  40. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お手許に差上げてあります。
  41. 竹下豐次

    竹下豐次君 それではそれを拝見することにいたします。  それから次は自衛隊法のほうに移ります。自衛隊法の第二条、ここに自衛隊の定義が下してあります。これによりますというと、防衛庁長官及び防衛政務次官、これも自衛隊の構成分子になつておるわけですね。これは長官防衛政務次官は隊員とは言わないのですか。どこか隊員の定義があつたと思つておりますが。
  42. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 隊員の定義は第二条の第五項にございまして「防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員をいう」、こういたしておりまして、防衛庁設置法の第七条第一項では、「職員」といたしまして、「長官及び政務次官を除く。」といたしております。長官と政務次官は隊員という中には入らないのでございます。
  43. 竹下豐次

    竹下豐次君 これはどうして二つだけ除外してあるわけですか。構成員にはなつているけれども、隊員でないということは。
  44. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御承知のごとく、長官国務大臣でございます。政務次官は国家行政組織法にございますけれども、各省の役人とは違つた性格のものでございまするので、各省の役人を律する建前でできております。勿論特別職でございますので、違つた点はございますけれども、各省の役人を律する建前でできております。こういうことから規定の中に適用させることは適当でないということで、隊員の観念から除いたのであります。併し自衛隊ということから考えますと、これは一番中核的な存在でございますので、含めた次第でございます。
  45. 竹下豐次

    竹下豐次君 自衛隊の構成分子であつて隊員でないという考え方は、私ちよつとわかりませんが、併しそういうお考えだとすれば、そういう解釈だとすればそれでよろしうございますが、二条の第五項によりますと、今お話のありましたように「この法律において「隊員」とは、防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員をいうものとする。」、こう書いてありますが、第七条は、これは定員の規定であつて職員規定した規定じやないのですね。併し廻つて考えるというと、想像はつくのでありますが、これは法の立法技術の関係になりますけれども、そういう法律の定め方というものが、先例などがあるものでございますか。第七条は「職員の定員は、十六万四千五百三十八人とする。」、こう書いてありますね。これは定員を定めた規定で、職員を定めた規定じやないですね。それにその今の書き方は、「「隊員」とは、」「第七条第一項に規定する職員をいう」と書いてあります。まあ大体想像はつくのですけれども、これは法制局長官、どんなものでございますか。
  46. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 御尤もでございます。この通りの例というものはないかと存じますが、要するにこの「「隊員」とは、」と申しまして、一々ずらつとここに列挙すれば問題はないわけでございますけれども、まあそこを不精というお叱りはこれはあるかも知れませんけれども、それを省略いたしまして、機械的に七条を抑えて、結論は的確なる結論を得るわけでございますから、そういう意味でこの形をとつたわけでございます。この通りの例はないということは申しましたけれども、かような、不精であるというお叱りを受けるような例は、これはほかにございます。
  47. 竹下豐次

    竹下豐次君 わかりました。それから第三条ですが、現行の保安庁法には、生命、財産の保護というのが保安隊の目的としてはつきり書いてあるのでありますが、それがこの三条には殊更に抜かしてありまして、ただ「公共の秩序の維持に当るものとする。」、こういう言葉で包含されておるのだろうと思つております。併し今まで保安隊規定にそういう言葉が使つてなかつたとすれば、それでいいかも知れませんけれども、使つてつたものを殊更削るということになりますと、国民の生命、財産の保護というものを如何にも軽く扱われるのじやないかというような感じが持たれるのでありますが、これをお削りになつたのはどういうことでありますか。
  48. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは防衛庁設置法の第五条に防衛庁権限を書いておりますが、そちらのほうを御覧頂きますと、防衛庁権限といたしまして、第十五号、第十六号等におきまして生命、財産の保護に当るということを明らかにしておるのでございます。目的といたしまして軽視するというふうなことではないのでありますけれども、第五条等に明瞭に書いてございまするので、公共の秩序維持というような事柄も含まれ得るような解釈もいたされますから、ことにまあ生命、財産の保護ということを特に書き出す必要もなかろうかと、かように考えた次第でございます。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつとそれに関連しまして、保安庁長官に伺いますが、只今説明は、これは自衛隊の根本的な性格をここに現わしているものであつて、今の説明では納得できない。これは警察予備隊とか保安庁法というものは、警察的な性格というものが軍隊的な性格より強かつたわけですね。従つて、人命及び財産を保護するということが表面に出て来ておる。ところが今度の自衛隊は、第三条の任務の規定でもわかるように「直接侵略及び間接侵略」と「公共の秩序の維持」を並立させるか、主従の関係に置くかということは立法過程に論議になつたのです。その結果「直接侵略及び、間接侵略」を主に持つて行く、そうして公共の秩序を維持するのを従としてくつつけた。ここに軍隊的な性格がはつきり出て来たから、従つて表面から人命及び財産の保護をするということが、警察的な任務が消え去つたのです。今の加藤政府委員は第五条の二十二号ある中の十五番目に入つているから云々ということは、これは詭辯に類するものであつて保安隊警備隊が自衛隊になることによつて、これが軍隊的な性格というものがはつきり現われて来た、最も象徴的なものだ、こういうふうに説明されなければ納得できないのです。保安庁長官如何ですか。その通りでございますか。
  50. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り防衛庁設置法並びに自衛隊法によつて、性格、任務が全然変つたとは申しませんが、いわゆる今仰せになりました外部からの直接侵略或いは内部的の間接侵略、これらに対しての防衛任務を強く与えておることは事実であります。併し今加藤局長から申上げました通り防衛庁設置法第五条の第十三号において、「直接侵略及び間接侵略に対し、わが国を防衛し、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため行動すること。」と規定すると同時に、十五号において「海上における人命若しくは財産の保護又は治安維持のため特別の必要がある場合において行動すること。」、お互いに並立させておるのであります。この自衛隊法第三条の「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」ということは、まさに十五号に該当するものでありますから、決して我が国の国民の生命、財産の保護を忘却するという意味のものでは全然ないということを御了承願います。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 竹下委員の伺つているのは、自衛隊法第三条と、保安庁法第四条によつて、形が変つて来たということを伺つているのです。防衛庁法第五条において並立しますが、二重に並立しているのですよ、違うぜ。
  52. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 防衛設置法と、自衛隊法とは表裏一体をなすものであります。従いまして防衛庁設置法にも防衛庁の任務を規定すると同時に、自衛隊法において自衛隊の任務を規定しているわけであります。そうしてこの任務というものは変りはないわけであります。
  53. 竹下豐次

    竹下豐次君 自衛隊法の第七条についてお伺いいたします。「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」、この「内閣を代表して」という文句でありますが、内閣内閣総理大臣が代表して意思表示される場合には、常に閣議の決定を待つて表示されるのでありましようか。それとも閣議にかけないで、総理大臣が単独に意思を表示される場合でも、内閣を代表するということが言えるのでありましようか。その点お伺いいたします。
  54. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは内閣を代表いたします以上は、その前提として閣議の意思というものがなければいけないと考えております。ただ個々の場合に閣議決定をとりますか、或いは方針閣議決定てきめておいて、その実施総理大臣に任すという場合も両方あると思いますが、いずれにせよ、閣議決定というものが裏付けになつておる必要があるように考えます。
  55. 竹下豐次

    竹下豐次君 元は閣議というものは全閣僚意見が一致しなければ閣議の決定はできない。一人でも反対する者があつた総理大臣内閣総体の責任を負つてやめる、こういうことになつてつたのでありますが、現在は閣議というものはどういうものでありますか。
  56. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 新憲法になりましてから、学説上は多数決だと言つている者もございますけれども、我我当局者といたしましては、やはり全会一致の主義をずつと貫いて参つております。
  57. 竹下豐次

    竹下豐次君 私がこの質問をいたすゆえんのものは、閣議を経ずして内閣総理大臣の単独の意思を以て指揮監督をするというようなことになつては、非常な専断の起るきらいがある。従つてそれはやめなくちやいけない、是非閣議を経た場合でなくちや指揮監督権を行使することができないのだ、かように運営して行かなければならないのだと思つております。今承わりますというと、閣議というものは現行法によれば、まあ過半数でもきめられるという解釈もあるけれども、併し実際は全員一致でということでやつておられるということであります。それでこの後も運営を続けておいでになるならば、私のこの心配は杞憂に帰するわけだと思います。ただこの「内閣を代表して」という言葉では、私のお尋ねしたような疑問が起りやすい表現の方法ではないかと思います。従つてこれはやはり「閣議を経て」とか、或いは「閣僚全員の一致で以て」というようなことを明確に規定する必要があるのじやないか、そのほうが無難じやないか、こういうように考えておりますが、その点については長官の御意見如何でございますか。
  58. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 「内閣を代表して」という言葉を入れましたのは、只今申しましたように、これがありませんと、閣議の意思にかかわらずに総理大臣が独断専行されるように見えますから、それを防ぐ趣旨で特に「内閣を代表して」という言葉を入れましたので、その趣旨は先ほどお答え申上げた通りでありますが、たまたま憲法の中にも「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し」云々というような文字も使われておりますものですから、これを借用いたしまして、最も適切な言葉ではあるまいかという気持で入れたわけでございます。
  59. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから次に第八条に長官指揮監督権規定があります。これによりますと、長官は、「それぞれ当該幕僚長を通じて行うものとする。」、こうなつております。ところが総理大臣指揮監督権には何ら条件が付いておりません。というのは、長官を通じて指揮監督するということにはなつておりません。これは長官を飛ばして各幕僚長に早速総理大臣から指揮監督することができるという意味でございますか。何かそこに第七条と第八条の書き方を違わしておる意味がありますかどうか、それを一つ伺いたいと思います。
  60. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第八条のほうは、防衛庁総理府の外局でございまするので、総理府の長である内閣総理大臣指揮監督を受けまして、外局の長官がその事務を掌理するという趣旨を第八条の本文で現わしておるわけであります。ただほかの役所と異なりまして、陸上海上航空幕僚監部というふうなものを以ちまして部隊の構成の一つの重要な機関といたしておりますので、現在の保安庁法におきましても、保安庁長官保安隊警備隊の部隊及び機関に命令を下しますのは、第一幕僚長又は第二幕僚長を通じてやる、そこで一つしぼりまして命令が単純に徹底するようにしようというところで第八条の但書に相当する規定が現在の保安庁法に入れてあるわけであります。それを今回踏襲いたしまして第八条の但書として規定したわけでございます。
  61. 竹下豐次

    竹下豐次君 第八条の気持はわかりますが、徹底するようにやつて行くには、総理大臣指揮監督権つて同じ理窟じやないか。併し長官の場合には、第八条にそれがはつきり書いてあるけれども、第七条に総理大臣権限規定してあるところには、ただ「指揮監督権を有する。」と書いてあつて長官を通じていうことが書いてない。ということは長官を抜かしてもやれるだろうという疑いが解釈上できるわけであります。その点を伺つているわけです。
  62. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第七条の「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」というのは、憲法にありまする七十二条、これに相当する規定でございまして、私どもといたしましては、総理大臣の行政各部に対する指揮監督権規定しておりますと同じ趣旨で運営せられるものであろう。即ち行政各部に対する指揮監督権でありますから、行政各部の長官総理大臣の指揮権が直接行くのでありまして、長官を飛ばしてそれ以下に直接行くということはできない、かように考えておるのであります。でありますから第七条の指揮監督権につきましては、第八条にありますような特別の規定を設けなかつたのでございます。
  63. 竹下豐次

    竹下豐次君 私はこれをお尋ねするのは、問題が複雑になつて行くような場合に、働いておる下僚から申しますというと、自分の直属の長官、その上の又長官というのがありまして、命令が二途に出る場合が、小さい場合におきましてもよくあるわけであります。殊にいろいろな国家の大事の場合に、総理大臣意見長官意見が違うということもこれは考えられるのです。そのときに両方から出るというようなことになつたら、下の者は働きようはないわけであります。それを私心配しておりますので、そういうことのないように一本にして行くということが極めて重大なことでないか。そこにこの条文の書き方が違つておりますので、その疑問を持ちましてお尋ねをしたわけであります。今の御説明によりますというと、長官を抜いて直接に総理大臣が指揮するということはないのだというこをはつきりされましたので、私の疑問は解けるわけであります。この問題に対する質問はこれで終ります。  それから第十条の「その他の長官直轄部隊」というのがありますが、これはどういうのでしようか。一、二例で御説明をお願いしたいと思います。
  64. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 詳細のことは又調べまして申上げます。「保安庁の現況」という資料を差上げてございますが、図表のほうに「保安庁組織一覧表」というのがございます。その中に長官直轄諸部隊と書いてございますが、施設部隊でありまするとか衛生部隊でありまするとかいうようなものが管区、方面を除きまして直接長官につくことになつております。
  65. 竹下豐次

    竹下豐次君 資料を頂いているならそれで拝見いたします。  それから第九十二条ですが、これは第七十八条の治安出動の命令を待たないでも、一度防衛出動を命ぜられた場合には、治安出動をすることができる、そういう意味でしようか。重ねて治安出動の命令をする必要がないというふうに解釈していいのでございますか。
  66. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) お述べになりました通りでございまして、防衛出動を命ぜられました場合におきましては、特に改めて治安出動命令を出さないでも、必要に応じまして、公共の秩序を維持するための行動をすることができるというのが九十二条第一項の趣旨でございます。その場合の権限等につきまして第二項以下に規定してあるわけであります。
  67. 竹下豐次

    竹下豐次君 非常に急ぐし、そうして当然のことだから更に重ねて命令を出す必要はない、こういう考え方でございますね。  それから「訓練のための漁船の操業の制限又は禁止」については、第百五条にそういう場合に補償の規定がありますね。それから第百三条の場合「防衛出動時における物資の収用等」、これは直接この一項には規定がありませんで、三項に災害救助法が援用されております。これは災害救助法を一々私研究すればわかるのかとも思いますが、訓練のための漁船の操業の制限又は禁止等に対する場合の補償と、防衛出動時における物資の収用等に関する、これもやはり災害救助法の適用というと補償の問題だろうと思つておりますが、どんな違いがありますか。その違つた部分を要領よく御説明願いたいと思います。
  68. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 百三条のほうは、主として陸上における物資の収用等でございまするので、考え方といたしまして災害救助法によりまして物資の収用、使用等の規定を設けておりますこの考え方と似ておるように思われまして、災害救助法の規定の趣旨に倣いまして必要な手続とか或いは補償をやるというふうに考えて、第百三条が規定せられておるのであります。百五条のほうは、勿論災害救助法にはこれに該当するような規定はございません。米軍の訓練のための使用に供する場合も、漁船の操業の制限又は禁止につきましての単行法律が出ておりますが、この自衛隊の行いまする訓練のための漁船の操業の制限又は禁止につきましては、米軍が訓練をやります場合の漁船の操業の制限又は禁止に関する法律と歩調を合せて、大体同様な趣旨で百五条の規定を設けておるのでございます。補償の仕方がどう違うかということでございまするが、その手続等につきましては、大体それを府県知事等に申請いたしまして、府県知事等から所管の大臣の所に書類の申達を受けまして決定をし、補賞をするということになるのでございますが、ちよつと私質問を取違えたかと思います。
  69. 竹下豐次

    竹下豐次君 これは対照されるというと、細かい点はなかなか今ここでお答え願うのは無理かと思つておりますが、私はその二つの場合を区別して補償の程度を違わして行くのがいいのか、或いは相当に差別をつけなければならないものかということそれ自体に疑問を持つているわけであります。そうすると一応規定の上で違いがあるとすれば、どれだけの違いがあるかということを先ず承わつておきたい、かように考えましたのでお尋ねをしておるわけであります。これはあとで結構でございますから……。  それから次に第八十四条ですが、これは外国の航空機が日本の上空に飛んで来た場合であります。「自衛隊部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」と書いてあります。「必要な措置」、これはいろいろあるだろう思うのですが、これは主にどういうことを狙つておられますか。撃墜するとか何とか、一応退去命令を発するとかというようなことはもとよりありましようが、それでもきかなかつたときにはどうするのか、そのお考えを承わりたいと思います。
  70. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは必要なる措置として退去を命ずることに先ず努めなければならないと思うのでありまして、空中における航空機の信号等によりまして、ここは我が国の領空である、退去しろ、ここに来たものは退去しろというようなことを通告をするわけであります。それでどうしてもきかないという場合は、実力の行使になる場合もあると思いますけれども事柄は非常にデリケートな問題でありますので、よくここは我が国の領空であるということを了解させた上で、退去をさせるという手段を講ずべきであるということを考えて書かれたものであると存じます。
  71. 竹下豐次

    竹下豐次君 次に、第二十五条、学校に関する規定であります。これは私は学校の訓練、教授というものは特に力を入れてもらわなければならない問題だと思つております。日本に自衛隊を作り、又将来再軍備をするというようなことがあると仮定いたしましても、一番心配されるのは、自衛の名義で以て侵略戦争を始める危険があるということでありまして、そういうことのないように、自衛隊関係の隊員に対する訓練は平生よほど気を付けて、平和主義の訓練をしなければならないわけであります。つきましては、学校の任務というものは非常に重大であると思います。これも資料に配付されておるのか知りませんが、私の聞きたいのは、どういう学校があるのか、それからその学校の定員がどういうことになつているのか、各学校の入学資格はどういうことになつているのか、学習期間はどうなつているのか、いろいろそれぞれの学校に関する課程の問題とかいうようなことを承わりたいのであります。これも資料を頂いておるのですか、どうですか。
  72. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在保安庁で持つております学校につきましては、保安庁法の施行令の二十六条に書いてございます。お手許に差上げました関係法令集の五十五頁でございますが、保安隊の幹部学校、普通科学校、特科学校、武器学校、施設学校、通信学校、衛生学校、業務学校、航空学校、それに警備隊といたしまして実科学校というのがございます。その二十六条の一に所掌事務について規定をしておるのでございます。学校の中の教育のコースでございますが、これは各学校につきまして、例えば幹部の者の教養をいたしまするコースもございますし、或いは士補級の者の教養をいたしますコースもございます。幹部の者のコースにつきましても、上級のコースと基本のコース、いろいろ置かれておるわけでございます。今度自衛隊法が施行になりますと新たに航空の方面につきましても新たなコースを設けなければならないと思つて研究中であります。
  73. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると保安庁法の施行令にそれぞれ規定があるので、それを見れば現在のところはわかるのですが、それを踏襲するということは附則にでも書いてありますか。
  74. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 大体お手許に差上げました総理府令のあの要領の中に、現在の保安庁の例に倣つて規定を適用すると規定しております。
  75. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから次に、問題の保安隊のほかに今度教育局というものをお加えになる、これは大変私は結構なことだと思つております。ところがその医務のほうですね、これは一朝事の有る時には極めて重大な事柄だと思つておりますが、従来日本に軍備のありました時代には、相当大きなものがあつたのじやないかと思います。今度これが加わつていないのはどういうお考えでありますか、もとより地方の部隊等につきましては、それぞれ病院というものが規定にもありますが、それはありますけれども、併し全体の計画を立てるというようなためには、やはり本庁のほうにそれを統轄する一つの医局とかいうようなものがなければならないのではないか。この規定を見るというと、その規定ではどこに所属するかというと、私の解釈によると官房の一部でおやりになるのか、他のいずれにも所属しない事項、それでは余り軽く扱い過ぎるのではないかという感じがするのですが、その点を伺いたい。
  76. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 御直間の趣き誠に御尤もであります。沿革的に申しますと、最初警察予備隊のできました当時、実は医務局がございました。保安庁になりまする際に医務局が削除になりました。今度防衛庁設置法案を出しまする際に、仰せになりましたような趣旨で医務のほうを拡充したいという意向は皆でいろいろ考えたのでございますが、やはり全体としての構想を成るべく圧縮簡素にするという政府基本方針と睨み合せまして、このたびは医務局は案として設けるに至りませんでした。ただこのたびは参事官を八名以内置いて頂けるように案に書いてございます。この中で適当な人がありますれば、というもとより条件附でありますが、そういうものを考えることを長官としても腹案に持つておられるようであります。現在は人事局の中で医務の関係、医務課長というものが人事部にございます。資材の関係は別に装備にございますが、医務課は人事局のほうで扱つておるわけでございます。人事局長基本的な医務全体のことについて考えをめぐらす。部隊のほうには特に一幕の中に衛生監という非常に重いものを置きまして、これが一幕のほうの陸上、今度の陸上自衛隊の医務関係を統轄しまして、その下に医務課長、これは行政系統的にはちよつと特殊なものでございまするが、下に医務課長というものが別にありまして、その上に衛生監というものを置いてやつております。医務関係全体がだんだん伸び悩んでおるといいますか、うまく参つておりませんのでありますが、だんだんと予算の御議決を願いまして、本年度中には中央病院、地方病院等相当しつかりしたものを作り上げることにしまして、現在工事がもはや竣工いたしておるような状況になつております。医務関係は十分努力はいたして参りたい、かように考えております。
  77. 竹下豐次

    竹下豐次君 その医務関係は技術だけではありませんので、いろいろな施設、それから医療とかいろいろあるわけでありますから、人事局のほうでお扱いになるのは、これは一貫しないことで、便宜ただこのあとの漸進の一段階としてこれからもやつて行くというお考えかも知れませんが、これは一つ十分お考えを願わなければならんことだと思つております。殊にいざという時に、自分たちの子弟が負傷したり、或いは死んだというような場合の、手当が十分に届かないというような、これくらいみじめなことはないのであります。人道的に考えましても、何よりも先に力を入れなければならない施設である、こう私は考えておるわけであります。これは十分の御研究を願いたいと思つております。  それから大体私のこの各諸条項の主なるものについての質問はこれで終えたわけでありまするが、昨晩の毎日の夕刊に自衛隊の補充増員案、これは保安庁案として出ております。陸上が七万一千とか補充と増員両方合せた数が出ておりましたが、あれは新聞に出ておつた通り間違いないことに了承しておいてよろしうございますか。
  78. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) あれは資料として差上げましたものが出たものと思いまするが、細かくまだよく目を通しておりませんが、ただそのつもりでおります。
  79. 竹下豐次

    竹下豐次君 委員長、私の質問は一時間余りたちましたが、まだ少し持時間が残つておりますので、又あと機会にほかの事項について御質問することをお許し願いたいと思います。  本日の私の質問はこれで終ります。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さつき竹下委員が学校の問題を伺つたのですが、それに関連して一言伺つておきたいが、それは従来の保安大学校等にいたしましても、校長は教官を任じておつたわけですね。ところがこのたびからは自衛官を以て校長に充てるということになれば、これは各学校のみにかかわらず、他の自衛隊防衛庁関係の技術研究所あたりにしても、従来は技官を以て任ずるとなつてつたのを、今後は皆自衛官となつて、あらゆる技官をも殆んど全部自衛官に限るようにしたわけですが、これはどういう理由ですか。むしろ私は保安大学発足当時に政府見解として発表したように、やはり非常に民主的な、見識豊かなむしろ教官のほうが校長としては適任ではないかと思うのですが、すべての技官の長、教官、技官というのを追放して自衛官一本槍にしたのはどういう見解の下にですか。関連して伺つてみたいと思います。
  81. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) これはちよつと資料をお読み頂くときに、こちらの書き方に念が届かなんだかも知れませんが、保安大学校は何と申しますか、長官直属の附属機関であります。これは先ほど申上げました資料に書いてある学校とは別の区分に属します。従いまして将来も保安大学は教官でございます。技術研究所も技官でございます。お手許に上げた学校というのは、今の第一幕僚監部に属すると申しますか、将来の陸上自衛隊に属する学校、いわゆる実科学校といいますか、そういうものでありまして、この校長さんたちはやはり自衛官、今の一幕に属する人たち、そういうことでありまして、保安大学校は従来通り、将来名前が防衛大学校と、或いは技術研究所は防衛に関する技術研究所と変りますが、これはやはり教官、技官を以て充てることになつております。
  82. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) よろしうございますか。  それでは只今より暫時休憩をいたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後二時九分開会
  83. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より委員会を再開いたします。
  84. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長議事進行について。岡田委員質問される前に、私は本日の午後の再開時刻は一時から二時になつたことに関連いたしまして、木村長官に所信を承わりたいのでありますが、今後本委員会において、この重要二法律案を審議して参りますが、委員会の出席要求に対して長官は如何ように心掛けておられるか。当委員会から出席を要求された場合に、大臣としては自分の好むときには出席し、自分の気の進まないときには委員会の出席を拒否すると、こういうお態度で委員会の出席に対処されるのか。委員会の出席要求に対しての大臣基本的な心掛けについて承わつておきたい。
  85. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。私は委員会の要求に対して、好みによつて出たり出なかつたりすることはいたしません。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では木村長官は立法府の委員会から出席を要求されたならば出席して誠心誠意議員の質疑に答えると、こういう心掛けでおられると了承してよろしうございますか。
  87. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 当然のことでございます。従来から誠心誠意私は出席し、答弁しておるはずであります。
  88. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 然らばお尋ねいたしますが、本日午後一時再開が、委員長の衆議院側の内閣委員長との話合いによつて再開時刻を二時とされた。然るに長官は、本委員会も開会されない、衆議院の内閣委員会も出席されない、それで一時間を空費された。而も国防会議の問題につきましては、衆議院の内閣委員会と木村長官の間には、いろいろ喬つて今までの経過がございましよう。従つていつかはそういうことはまだ出席をされるでございましようが、かくのごとく両院の委員長で話合いが出て委員長から出席を要求されるのに、それに出席もしない。こらうのほうでは委員会は継続されない、かくのごとき形において一時間を空費されたことは、これは只今の木村長官の立法府の委員会出席要求に対する基本的な心掛けと相背反するものと考えますが、如何でございましようか。
  89. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今の御言葉でありまするが、全然間違いであります。私は当委員会が終るときに、午後一時開会する、それを承わつて午後一時前からここに出席しております。衆議院との間のことは私は関知しません。
  90. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は本委員会に限らず、立法府から大臣が出席を要求されたときに、それに対する大臣としての心掛けは如何ようでありますかということを承わつておるのであります。現に確かに衆議院側の内閣委員長から木村長官の出席要求があつて、それが原因で開会時刻が一時間遅らされたということは、大臣自身御承知のはずなんです。然るに立法府の要求に応ぜられずに、而も本委員会としてはその経過から開会時刻を午後一時から午後二時としたために、その一時間というものは空費されたわけなんです。
  91. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この委員会が午後二時になつたことは私は存じません。ここで私は退席するときに午後一時から開会するという委員長の言明であつたから、午後一時に私は正式にここに来ておるのであります。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは重ねてお伺いしますが、衆議院の内閣委員会からは、衆議院の内閣委員会に出席要求はなかつたということをあなたは申されるわけでありますか。
  93. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私にはありませし。非公式こ田中君が来てそういうことはありましたが、ここで午後一時から開会するという正式の委員長の宣言でありますから、私はその宣言を確かに心に覚えてここに午後一時に来ておるのであります。
  94. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 矢嶋君に御報告を申上げますが、実は衆議院側からの要請がありましたので、そのときに二時に開会をするという報告をいたしましたと同時に、政府委員室の増原次長に対して、衆議院側と話合いの結果、一時間延ばすことにして、参議院のほうを延ばすことにしましたから、それでは一時間向うに出て頂きましよう、こういう連絡を私はとつてあります。その経過について只今衆議院の内閣委員長と話合いをしました結果、衆議院側の内閣委員の各位と相談の上で、改めて出席の要求に来ると、こういうことで了承をして、今衆議院のほうに帰つておられまするので、その点あなたにまだお話してありませんが、こういう経過になつております。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ではその委員長の報告は了承いたします。ただ併し余り時間をかけても気の毒ですから、更に一点を伺わなくちやならない。木村長官は午前中の休憩のときに、委員長は午後一時再開と言つたから、その通り自分は受けて他のことは一切自分は聞いていないというけれども只今委員長の発言によれば、ちやんと正規のルートを通して増原次長を通じてそういうことを通告してあるのに、木村長官は威たけだかにそういうことを言われるのは、それは飛んでもないことであつて、私はそれは取消して頂きたい。
  96. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私から言えば、あなたの発言はとんでもないことであります。私は委員長の午後一時という開会に対して、私は正式に私は承わつておるのでありまして、それに出席するのは当然であります。私に対してそれじや衆議院の内閣委員長から来てもらいたいと言つて、仮にあつた場合に、この委員会を無視して出席してもよろしいか。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうしやべり方はないですよ。委員長只今の発言ではつきりと委員長は増原次長に対してかくかくになつて、こちらは午後二時になつたから一時間だけ衆議院の委員長代理である田中理事の要請に基いて委員会に出て欲しいということを小酒井委員長は直接に増原次長に通告してあるというのだから、何も委員長に落度はない。当然あなたは増原次長からそのことを受取らるべきであつて、若しとつていなくてあなたは今その場でそういう発言をされるならば、これは増原次長にここで責任の所在を明確にしなければならない、そういうことでございましよう。
  98. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は当内閣委員長に落度があつたとは決して思つておりまおん。併し私は小酒井委員長から私に対して正規のお話はなかつたのですよ。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次長に伝えたと言つたじやありませんか。
  100. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 次長からは私にありません。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは増原次長の態度はそれで十分だと思いますか。増原次長はあなたの部下でしよう。増原次長に言つたら、当然あなたに言つておるはずでしよう。それが言つてないという部下の不行届に対して、ここで私に対して、或いは委員長に対して遺憾の意を表すべきじやありませんか。
  102. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は遺憾の意を表する理由はないと思う。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 増原次長を呼んで下さい。
  104. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 この問題はもう理事会でもお互いに済んだ問題でありますし、又そういつたような議事進行についての発言が長引きますと、時間が非常に貴重であるし、又場合によつては自由党のほうからこの委員会の議事の運営の仕方についてお伺いをしたい点も出て参りますので、誠に貴重な時間だと思いますから、この辺で一つ一般質問を開始して頂きたいと思います。(「聞きたいね、自由党から何を聞くのだ」と呼ぶ者あり)
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 木村長官何も知らないで、あたかも僕に抗議的に出ているので、とんでもない……。
  106. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 増原次長の出席を求めますが、増原次長の出席を求めた上で今の問題を御質疑願うことにいたしまして、法案についての御質疑をこれから開始をしたいと思います。
  107. 八木幸吉

    八木幸吉君 行政機関の定員法は本院に衆議院から回付されましたのは三月三十一日であります。従いまして憲法第五十九条の規定によりまして、本月の二十九日には若し審議を終らない場合には、同法案は参議院において否決されたと同様の運命を受けるわけでありまして、従いまして両院協議会にこれを持込むか、或いは衆議院が三分の二を以てこれを決して法律案として成立するか、この二つの段階にすでに数日の後にはなつておるわけであります。従いまして定員法が実質的に否決されるという運命を皆さん方が御了承であればよいわけでありますけれども、万一さようでない、この法律案に対する参議院としての態度を表明する必要があると、こうお考えになりますならば、今月の二十九日までに議決を終らなければならない。その点に対して、この会議が終つてからでも結構でありますけれども、定員法を否決の運命に置くか、或いは本院においてこれを議決するか、どうするかということを理事会におてお諮り下さらんことを、あらかじめお願いいたしておきます。
  108. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知いたしました。
  109. 山下義信

    ○山下義信君 委員会の議事の運営方について、今八木君から御発言がありましたが、理事会で御相談下さるのでしたら、昨日矢嶋委員からも御発言しかけておられたのでありますが、当委員会にかかつておる調達庁の設置法の一部を改正する法律案、これは言うまでもなく国連協定によりまして、進駐軍労務者が間接雇用に切替えられまして、それの措置をしなければならない役所を作るわけで、で、これは労働基準法の規定によりまして、一旦米軍の労務者を解雇するには三十日以前に通告しなければならないという規定があつて、一刻も早くこの調達庁の一部改正はやらなければならないということは、私本日その陳情も受けたわけです。これもどうするかということを政府のほうとも御相談になりまして、全体の内閣委員会の手持ちの法律案の議事についての打合せがありまする理事会に、至急にこれは審議を促進するようにお諮りを願いたいと思うのです。
  110. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知いたしました。
  111. 山下義信

    ○山下義信君 希望いたしておきます。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、あした質問することになつておりますが、要求した資料がまだ出ていないのです。十一の資料を要求したのでありますが、そのうち至極簡単な二つ資料しか出ておりません。質疑に非常に必要な九つの資料がまだ未提出です。これは明日すぐ間に合うように委員長のほうから是非督促して頂きたいと思います。
  113. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今八木委員、或いは山下委員から御発言のありました緊急を要する諸法案の取扱等につきましては、本日の質疑の終つたあとで、理事会を開いて御相談することにいたします。  では質疑に入つて頂きます。
  114. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資料の要求を一つ只今木村委員から資料の件がありましたから、私二つだけ資料を要求いたしておきます。その一つ資料保安隊並びに警備隊に起りました規則違反の種類と年月別、それから旧陸海軍があつた当時の規律違反の概数ですね、比較する関係上、そういう形で表にした資料を出してもらいたい。それからもう一つは、保安隊並びに警備隊の武器その他の発注先別の、而も年月別になつている表を出して頂きます。それは大体全額は十万円程度以上でよろしうございます。それからもう一つは、学校の生徒募集について、年度別に募集人員と応募人員との比較、隊員については、年度別に幾ばくの除隊者があつたか、その除隊人員、そしてその理由の大別、以上の資料はすでにもうあることと思いますので、そう手数はかからんと思いますから出して頂きたい。要望いたします。
  115. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今の資料の要求でありまするが、旧軍隊時代の規律違反の件数は、これは或いはないかもわかりません。それだけ御了承願いたい。
  116. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 隊員についての除隊者の数はわかりますけれども、どういう理由で除隊したかということにつきましては、正確な資料は今私の頭には……、只今つておりませんので、これは一つ御勘弁願いたいと思います。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 わかるだけで結構です。わからなければわからんで了解。
  118. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ず木村長官にお伺いいたします。  自衛隊法の第三条によりますというと、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、」、こうなつている。これは保安庁の場合の保安隊と違うということは、先ほど竹下委員質問の際にも論じられたところであります。そこでお伺いしたいのですが、今自衛隊は、あなたのしばしばの言明、或いは副総理或いは吉田総理の言明によりましても、軍隊ではない、こういうふうに言われている。勿論私どもは今日の自衛隊は、もうすでに軍隊であると、こういうふうに考えているのですが、仮に一歩をあなたがたの議論に譲るといたしまして、軍隊でない、こういうふうに考えました場合に、この保安隊から自衛隊なつたということは、これは本格的な軍隊に近付いているということを意味するわけですか。
  119. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えい たします。これはしばしば申上げました通り、軍隊の定義如何によると考えております。軍隊とは要するに何ぞや。そこでこの外部からの武力攻撃に対しこれを守る実力、いわゆる部隊と称してもいい、そういうものを軍隊と、こういうことであれば、まさに自衛隊は私は軍隊と言つてよかろうと思います。従つてこれは定義如何の問題だと思います。
  120. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこでお伺いいたしますが、今述べられた木村長官の言は、あなたの定義でございますか。
  121. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそう信じているのでありまして、学説上軍隊というものは何であるかということは、まだ承知いたしておりません。
  122. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 少くとも保安庁長官として、今度自衛隊長官になられるあなたが、軍隊の定義を学説上承知していないなどということは、これは実に笑うべき話だ。それであなたは今言われたような意味で、もはやこの自衛隊は軍隊であるという実際の実体を備えていると、併しながら日本の憲法が軍隊を持つことを禁じている、そういう意味で軍隊でないと、こういうふうに言われているのじやないかと私は思うのですが、一体あなたは自衛隊がまだ軍隊でないと言われるのは、実体が軍隊としてではなくという意味なのか、それとも日本の憲法が禁じているからこれは軍隊でないと、こう言われるのか、お伺いしたい。
  123. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 日本の憲法で禁じているのは戦力であります。戦力と軍隊とは、私はその意味が違うと解しております。
  124. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは面白いお話です。戦力と軍隊と揮う、然らばですね、この軍隊があなたの言う意味の戦力でなければ、軍隊を持つて差支えないのだと、こういうことでございますか。
  125. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 軍隊の定義如何によりますが、直接侵略に対して対処し得る部隊を持つということは、憲法に違反するところじやありません、これは自衛力の範囲内であります。
  126. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、今言われたような意味における軍隊は持つても差支えない、こういうことでございますか。
  127. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まさにその通りであります。
  128. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ木村保安庁長官は、そういう意味の軍隊は持つても差支えないと、こういうことになつている。そこでまあ戦力なき軍隊という問題が又起つて来るわけですが、保安隊のときにも戦力なき軍隊、併し今度自衛隊になりますというと、任務も変つて来た。それから数量も殖えて来た。又恐らく今後も増強されるだろう。そうなつて参りますとですね、戦力なきものが漸次戦力を持つ方向へ行く、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  129. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりこの自衛隊が、その質量において増加して行つて、その程度如何によりまして、或いは戦力に至らないとも限りません。
  130. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 質量が増加して、戦力に至るという場合には、これはまああなたの言う戦力を持つ軍隊になるわけであります。この量の増加がつまり軍隊というものへの質の変化を示す段階があるだろうと、これは何ですな、水が百度になりますというと、蒸気になるようなもので、この限界と申しますか、そこは一体どの点にあるのですか。
  131. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いわゆるこの近代戦を有効的確に遂行し得る能力に至るかどうか、そこで基準を求めるべきものと考えます。
  132. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 あなたは今近代戦遂行の能力、こういうことでございますが、近代戦遂行能力ということは、例えば現在におきましては、近代戦と申しますというと、それこそ原爆、水爆の問題がすぐに出て来るのでありますが、この原爆、水爆戦、或いは細菌戦或いは又ほかの科学戦、大規模な空中戦争、或いは海上戦争、そういうものを遂行する能力ということを指しますか。
  133. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうではありません。さような大きな実力を持つているものは、もとより戦力でありましようが、そういうものを持たなくとも戦力に至る場合があり得ると考えております。
  134. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、今自衛隊の増強によりまして持つ力というものは、今私の申上げましたようなティピカルな近代戦の能力より遥かに以下であつても、戦力ある軍隊になり得る、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  135. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) なり得ることがあると私は思います。
  136. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは例えばこの増強計画が本年度だけではなくて、来年、再来年と続いて行くと、そういたしましてですね、まあほぼ三カ年間で陸上部隊が十八万くらいになると、そうして一方において憲法改正があなたがたのスケジュールで以て進められて行つて、それが変つた途端に軍隊になる、そういうスケジュールであなたはこの戦力の増加を努められているのですか。
  137. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようなスケジュールで計画しているわけではありません。ただ我々といたしましては、不当な外部の侵略に対して、これを防衛することを企図するのでありまして、これは現在の段階においては戦力に至らざる程度において漸増しようという目的でやつているのであります。
  138. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どこの国が攻めて来るか知れませんが、戦力に至らざる程度の軍隊で、あなたの言われるところの自衛が達せられますか。
  139. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより我々は達し得ないと考えておりまするから、今の、現在の段階においては、アメリカの、駐留軍と互いに手を携えて、日本の防衛の全きを期して行く次第であります。
  140. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 現在ではその力がないから、アメリカ駐留軍との協力をしなければならん、こういうことですが、この点はあとでお伺いしますが、次にお伺いしたいのは、憲法九条の問題はもうすでに盛んに論議を尽されておりますが、私はまあこれの問題について今ここで論議しようとは思いませんが、あなたの言われる本格的な軍隊、つまり戦力を持つた軍隊になるという場合には、現在の憲法は変えなければならん、こういうふうに考えますが、あなたその場合には憲法は変えなければならない、こうお考えですか。
  141. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりさようであります。
  142. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこでこの憲法改正の問題ですね、憲法の改正によつて本格的な軍隊を持つということは、単に九条の改正だけにとどまらんと思う。徴兵の問題その他の問題もありましよう。或いは近代戦における国家総動員の問題もございましよう。そのほかいろいろな点で改正しなければならん点があると思いますが、若し本格的な軍隊を持つ場合における憲法の改正点はどこにあるか、この点を一つ法律家である木村長官の明確なる御答弁を願いたい。
  143. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 憲法改正の論議でありまするが、憲法を改正すべき場合においてどういう点を改正することを可とするかということについては、いろいろこれは考え方があるだろうと思います。若しも憲法を改正する段階に至りますると、九条のみにとどまらず、あらゆる観点から再検討する必要があるのじやないか。その点については私はどういう点について改正すべきであるかということの確信は得ておりません。
  144. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 保安庁長官はときどき私見を漏らされることが多いと思うのですが、その私見をお伺いしたい。(笑声)
  145. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだ私見を述べるべき段階に至つておりません。(笑声)
  146. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 都合のいいときには私見を述べるし、都合の悪いときには私見を述べる段階に至つていない。これはどうも勝手な話でございますが、まあそれでは次にお伺いしますが、あなたが防衛力の漸増の問題について、大体陸上部隊のことを指すのだろうと思うのですが、二十三万程度までは現在の募集の方式で行けると、こう言われておりましたが、それ以上になります場合にはこれは徴兵制度でなければならない、或いはそれに類似したものでなければならない、こういうふうにお考えですか。
  147. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようであります。陸上部隊二十二、三万は或いは募集制度で行けるのじやないかとも考えております。それ以上になると私は徴兵制度でもなければ行けないのじやないかと考えております。
  148. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうなつて参りますと、そこで徴兵制度を布くということになれば、これは憲法改正がどうしても必要だと思います。その場合に憲法の何条をどういうふうに改正すればこの徴兵制度が布けるというふうにあなたお考えですか。
  149. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そいつはこの憲法を十分検討しなければ何で、私は今どの個条を改正すべきやということについての成案は持つておりません。
  150. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでは法制局長官にお伺いしますが、法制局長官としてはその場合にはどの点が改正せられるべきものとお考えですか。
  151. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私のほうも不勉強でそこまで改正の方向を目指しての研究はいたしておりません。従つていろいろ例えば渡辺銕蔵さんの細かい改正案というような参考資料もこれは眼に触れておりますがそういうものによりますと、やはり一条明らかにしたほうがよかろう、何か国民の名誉ある義務であるとかいうような形をたしか書いてあるのも私は拝見いたしまして非常に参考になると思います。(笑声)
  152. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもあなたに参考書を教えて頂いたようなことになつておかしな話ですけれども、これはやはりあなたは二十二、三万までは今の制度で行けるが、それ以上はむずかしいとかいうことは、若しあなたが二十二、三万以上に殖やすということを考えておられるとすれば、これは憲法改正は具体的な問題になつて来て、そこでお伺いしますが、あなたは現在十一万が十三万になつた程度だが、一体二十二、三万以内にするつもりなのか、或はそれを超える場合もあり得ると考えられるのか、そこをお伺いしたい。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り、自衛力漸増をして行くにつきましても、ただ人員とかの点だけではいかんのであります。いわゆる日本の財政力その他万般の観点からこれをよく検討しなければいけません。従つて我々といたしましては、二十二、三万にこれを殖やしていいのか、又は殖やし得るであろうかということについては慎重に考えて行かなくちやならん点であろうと考えます。いわんや国際情勢が非常に微妙な点がありまして、国際情勢の変化というものを睨み合せてやらなければならない。今直ちに何万に殖やすべきかというようなことは私は言う限りではないと、こう信じております。
  154. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 安全保障条約の前文に、「直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」と、こういう文句がある。それから今度結ばれました日米相互防衛援助協定にも同じような文句がある。このことが、今日警察予備隊が保安隊になり、或いはこれが更に自衛隊になる。今後も本格的な軍隊になるかも知れない、そのことを規定しておるものと思うのですが、今長官が進められるところの漸増計画というものは、やはり日米安全保障条約から由来しておるものである、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  155. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより安保条約には日本の自衛力の漸増を期待しておるのであります。又我が国といたしましても、御承知通り、アメリカにおいては日本の駐留軍、少くとも陸上部隊の或るものを早く引揚げたいという希望があります。従つて我がほうといたしましては、日本の財政力その他を勘案して、その許す限りにおいて自衛力を漸増して行こう、こういう考えの下に我々は自衛隊法を提案しておるわけであります。
  156. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 昨秋池田前大蔵大臣が渡米されまして、いわゆる池田・ロバートソン会談というものが行われた。その内容は詳しくは発表されておりませんけれども、併し、日本の自衛力の漸増計画の問題に触れていたことは明らかです。更に引続き東京におきまして岡崎・アリソン会談が行われておる。これがその問題に触れておる。そしてその結果として、日米相互防衛援助協定ですか、あれができて来たと思うのであります。自衛隊の漸増もその問題と関連があると思うのですが、この漸増計画が、何カ年計画、例えば五カ年計画、或いは三カ年計画というようなものを向うから示されて、それに基いてこれをおやりになつておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  157. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今お話の点は全然私には関係ありません。池田君とロバートソンとどういう会談があつたか、それも実は私は正確に存じておりません。従いまして、アメリカとの間に、どれだけのものを漸増してもらいだいとかいうような希望も私は聞いておりません。我々は独自の考え方でこの方針の下に漸増を進めておるのであります。
  158. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 警察予備隊が設置されましたのは、マッカーサーからの書簡、警察予備隊が保安隊に切替えられ、そしてこれが七万五千から十一万になりましたのは、ダレス長官が、当時は長官ではなかつたですが、ダレス氏が日本に参りまして、そして日本に奨めたといいますか、或いは要求したといいますか、その結果である。今度の自衛隊への切替えと、それからこれの増加、これがアメリカと全然関係なしに進められておるということは私どもには非常に不可解なことです。と申しますのは、そのため日米相互防衛援助協定が結ばれて、ちやんと安保条約の前文にあるものと同じことが繰返されているじやありませんか。そうすると、これがアメリカの計画と全然無関係に進められておるのだということは私は腑に落ちない。何故ならば、そういうような前文があるからばかりじやない、そのほかに、今の日本の保安隊自衛隊にしてこれを増加して行く、或いは海上警備隊、航空隊を増強して行くという場合には、その武器をアメリカから受けるじやありませんか。そうすればその計画は当然向うと打合されておるはずだと私は思う。その点について、あなたは無関係である、こう言われるけれども、これは国民を偽わり我々を偽わるものとしか思えないのですが、その点は如何でしよう。
  159. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点は、安保条約が締結されて、そうして日本がこの安保条約に基き自主的に増強計画を立てておるのであります。その増強計画に基いてアメリカからMSA援助を受けて、日本の自衛隊に使うべき装備をアメリカから供与を受けよう、こういう段階になつておるのであります。
  160. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたが昨年六月九州の二日市で発表された五カ年計画、あれを骨子にしたものを池田さんはアメリカに持つて行つてロバートソンと話をつけて来たでしよう。そうでございましよう。
  161. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは矢嶋委員のお考え違いでありまして、私は去年の六月に五カ年計画というものを発表した覚えはありません。
  162. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではもう一つ伺いますが、あのときに記者諸君がついて行かれておつたわけですが、その随行記者諸君から発表されて、あなたは羽田へ帰つて来られたときに、木村は男でござる、随行記者諸君と対決しようとおつしやつたが、あなたは対決なさらなかつたでしよう。ということは、あなたはそれを認められたことだと国民も考え、それを骨子としたものを池田さんはワシントンに持つて行つてロバートソンと話して来た、こう想像することは決して間違つていないと思うのです。なぜあなたは随行記者と対決なさらなかつたか。
  163. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 随行記者に私が五カ年計画の内容なるものを発表した覚えはありません。従つて私は記者諸君と会えばその点はよくわかるという意味で私は申しておるのであります。記者諸君に私は発表したことの覚えのないことは立派に承認されておるわけであります。
  164. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いつもこの委員会では詭弁を弄することが常になつておるから麻痺しておる状況でありますが、併し各新聞社で同じ内容のものが記事として出るということは、どこからか煙が立たなければそういう記事というものは生れるはずはありませんよ。各新聞同じ記事が書いてある。そうしてあなたは非常に強く対決すると言つたけれども、対決されなかつたということは、あなたが何とここで強弁されようと、そういうものがあつたということは否定できないと思う。
  165. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 全然発表したことはありません。その当時の随行の新聞記者にお尋ね下されば極めて明瞭であります。
  166. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ほど木村長官は、今の日本の保安隊、或いは今度殖えましてできる自衛隊、これだけでは到底日本の防衛に当るだけの力にならん。そこでアメリカの駐留軍におつてもらいたい、こういうことを言われたのでありますが、そういたしますと、あなたの言われる日本の自衛の目的を達するためには、アメリカ軍の力を借りなければいかん、こういうことになつて来る、併しアメリカ軍が日本におります以上、日本の自衛隊とアメリカ軍が個々ばらばらになつて日本の防衛をするということではないと思います。恐らくそこで問題になりますのは、若し自衛隊が日本の自衛ということを、この法律案が成立いたしましたときから直ちに行うということになつて参りますというと、そこで直ちにこれは今までも行われたことだと思うのですが、アメリカ軍との共同動作、共同行動といいますか、そういうものが必要だということが必然的に論理の結果として出て来るのですが、その点はアメリカ軍と日本の自衛隊との共同行動といいますか、それはお考えになつておりますか。
  167. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り、万一事態が起つて日本の防衛を実力を以て実施しなければならないという段階になりますると、行政協定第二十四条に基いて、アメリカ側と協議をして、適当な処置を講ずるごとになつているのであります。
  168. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 行政協定二十四条に基いて、共同行動をとるということはお認めになつている。そういたしますと、日本軍とアメリカ軍との関係でございますが、これはどういうことになりますか。例えば日本は今自由主義国家群に属しているということは、吉田首相も岡崎外相もあなたも繰返して言われる。そうするとアメリカと共通の敵に対するということになるわけでありますが、その場合に、アメリカ軍と日本軍との関係は対等のものであるか、或いは自由主義国家群全体の防衛の上においてアメリカの比重が非常に重い、又アメリカの軍というものが非常に強い、更に日本におる、その上に日本軍に対しましては武器を供給している、こういうような点から見て、いざという場合にはアメリカ軍と日本軍との関係は、こちらの軍隊が指揮下に置かれるという関係になるのではないか。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  169. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりさような場合におきましては、アメリカ駐留軍との間に緊密なる連絡をとつてやるのでありまして、日本の自衛隊が直ちにアメリカの指揮下に入るということは考えておりません。そのときの情勢如何によるのでありますが、我々といたしましては、日本の自衛隊は日本の指揮の下に行動をしたい、こう考えております。
  170. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日本の指揮の下と、こういうことを言われておりますけれども、それはばらばらな指揮ということになつてしまうので、恐らく防衛問題における統一的な行動が望ましいときに、そんな甘い考え方は許されない。そういたしますと、どうしても現在の実力関係からいつてそういうことになるのじやないか。又アメリカはそれを期待しているのじやないか。なぜならば、そのためにアメリカは武器を供給し、或いは経済援助を与える、更に自衛官ですか、これをアメリカに派遣して教育もし、そしてアメリカ式の訓練を行わせているのはそういう場合を想定しているのじやないのですか。
  171. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 形式的に言えば、さようなことも考えられましようが、一朝有事の際においてはただ軍隊のみを考えていかんと思います。もとより国民感情も考えなければならない。或いは輸送の面も考えなければならない。或いは食糧の問題も考えなければならない。その大きな点から総合して、我々はそういう場合に処すべきであつて、必ずしもアメリカ軍の比重が日本の軍隊より重いだけのことで以て、直ちにアメリカの指揮下に入るということは考えられることではない、こう私は考えます。
  172. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私はどうも今おかれている自衛隊のあり方から見て、事実上そういう場合にも入り、又アメリカはそれを必ず要求するものと、こういうふうに考えているのでありますが、一体長官はそれに対して、そういうことはないと言明されているのですが、果してそれを信じていいかどうか、私は疑問ですが、とにかくそういうようなことが起つたときに、長官ははつきりと、その自衛隊の全体の長官として、その自主性を強調して行く覚悟ですか。
  173. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は日本の自主性をどこまでも保つて行きたいと考えております。
  174. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その際に協議をして指揮下に入ることも自主性だ、みずから進んで入ることも自主性だ、そういうふうにお考えになつているのじやないですか。
  175. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようではありません。
  176. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これはどうだかわからないので、まあ残しておきましよう。  次に、先ほども長官が言われたことですが、アメリカ軍は日本にいることを希望しておらん、そうして日本の自衛力が増強されれば、アメリカ軍は撤退することを慰している、こういうふうに言われておるのであります。これはまあ非常に重大な問題であります。アメリカ側ではときどきそういうことを発表しているようであります。ところがそうかと思うというと、時には日本から撤退しない、こういうようなこともアメリカ軍の首脳部の人が言つておることが新聞なんかに伝えられ、非常に僕らとしては、アメリカ軍が撤退するという問題については信用をし得ないのであります。それで今度保安隊が増強されて自衛隊なつた。これは二万殖えてきたわけですが、この日本の自衛隊の増強に伴つてアメリカ軍、特に地上部隊は漸次撤退することになつておりますか、そういう話合いはつけたのですか。
  177. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 日本の自衛隊が増強するに従つて、それに応じてアメリカのほうの地上部隊をできるだけ早く撤退いたしたいという希望のあることは事実であります。
  178. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういう希望があることは事実だと言われるけれども、今度二万増強されることになつて若しこれが本ぎまりになつて、それが実行されるということになりまするならば、それに見合うくらいのアメリカ軍の地上部隊の撤退ということは、現実の問題として起るかどうか。あなたはそれを、その問題によつてはこれは外務大臣を通じてでありましようが、アメリカ軍の撤退の交渉をされるようにするつもりであるかどうか。
  179. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより日本の自衛隊が増強され、現実に働けるようになりますと、それに見合つてアメリカの駐留軍の一部は撤退するということは、私は確実であろうと考えております。
  180. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはあなたが、向うがそうするであろうという推測をしているので、そういうふうに日本のほうで殖やして行つたら、そのたびにアメリカに対してその分を漸次撤退さすような交渉をする意思があるかどうかということをお伺いしたい。
  181. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりその意思であります。
  182. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでは今度二万増強されることになつたが、この二万の増強が実現されるのは今年度内でありますが、少くとも今年度の下半期において、アメリカ軍の一部撤退について政府は交渉いたしますか。
  183. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り募集して応募されて兵舎に入るといつただけでそれは直ちに使い得ないのであります。これは相当の訓練を経た暁においては、必ず我々はそれに見合つてアメリカの駐留軍の一部の引揚を求めるわけであります。
  184. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと訓練をして、相当まあ実力ができた場合というか、それは大体早くてどのくらいのときか、そのめどを、交渉開始のめどを一つお漏らし願いたい。
  185. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 交渉はもうすでに私は進めてよかろうと考えております。その実現の時期については、今直ちにお答えすることはできませんが、これも早急にやるべきであろうと考えております。
  186. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、まあ自衛隊の増強が今次だけでとどまらん。過日の予算委員会であなたからの発言によりますというと、三十年度においても二万程度殖やす、こういうことでありますが、恐らく三十一年度においても相当殖やされるであろうと思うが、伝えられるところの第一期計画、いわゆる十八万程度になつた場合には、これはアメリカ軍の相当な数の撤退が予想されるのでありますか。
  187. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それだけ増加する部分についての見合つた部分は、アメリカの駐留軍は引揚げられるべきであろうと考えております。
  188. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次いでお伺いしたいのですが、アメリカは空軍並びに海軍は日本に留めておくつもりのように聞いております。日本の場合には、海軍並びに空軍は、事実上アメリカの軍隊と置き替えるほどの力を持つには、これは非常な年数というか、これは事実上不可能だろうと思うのですが、そういたしますと、アメリカ軍は、国際情勢が変つて、米ソの関係がまあ今と全く違つた関係にならん限りは、日本から撤退しない。そういたしますと、要するに地上部隊を置き替える、こういうことで、近代戦の中心であるところの空軍と海軍というものは、依然として日本に残る。日本はまあ永久的というか、或いは恒久的というか、とにかくずつとアメリカの海空軍の駐屯を許さざるを得ない状況に置かれるのであります。この海空軍の撤退の問題については、どういうお考えになりますか。
  189. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り海上自衛隊航空自衛隊これを充実させるのには、なかなか経費と日数がかかると私は考えております。従いまして、差当りの間は、どうしてもアメリカの空軍、海軍の力に待たざるを得ないと考えております。
  190. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、いわゆるアメリカ軍の撤退なるものは、地上部隊を置き替えるということだけであつて、真のアメリカの撤退にはならんと思う。あなたの今の言からいうと、アメリカ軍の陸海空軍がおることは止むを得ない、こういうふうに言われておるが、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
  191. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在の状況においては止むを得ないと考えております。
  192. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、この自衛力の構成の問題であります。警察予備隊の時代におきましては、これは地上部隊ばかりでありまして、それから保安隊の時代になりましてフリゲート艦や、或いは上陸用舟艇を借りて、海上警備隊ができていわゆる海軍の卵だかなんかできています。それから航空機も若干持つようになりましたが、今度はとにかく、第一幕僚監部、第二幕僚監部、第三幕僚監部、こういうものが置かれまして、地上軍、海軍、空軍という、いわゆる三軍の組織になつておる。そこでお伺いしたいのは、この三軍の組織になつて来ているのだが、あなたのお考えではバランスのとれた三軍の構成という方式をとるのか、それとも地上部隊を現在強めて行くことが、自衛力を増強させる途であるか、どういうふうにお考えになつておるのか、このバランスのとれた三軍方式か、或いは地上部隊を殖やす方式をお取りになるのか、それをお伺いしたい。
  193. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) バランスのとれた方式を取るということは、これは理想であります。そうありたいものと考えております。併し先刻申上げました通り海上航空ということについては、なかなか時間もかかり、経費もかかるのでありますから、只今のところでは、早急にバランスのとれた三軍方式というものは不可能であろうと考えております。
  194. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 バランスのとれた方式ということになりますと、日本の地位からいつて、特に海軍の強化或いは空軍の強化ということが問題になりますが、これは直ちに日本と戦争をした国国、アジアの諸国或いはオーストラリア、或いはニュージーランド等をいたく刺激することになる。こういう外交上の理由からもこのバランスのとれた軍備を進めるということも今の立場としては無理だろうと思うのだが、もう一つ、あなたが地上部隊より止むを得ないということの考え方には、アメリカが今日日本の地上部隊を殖やすことを明らかにしている。即ちアメリカ軍を撤退さして、アジアにおける地上の戦争は日本に受持たそうとしているのだ。つまりアメリカ人の血をアジアで流すのを食いとめるために、少くするためにやりにくい地上の戦争は、韓国なり、日本なり、台湾なり、フィリピンなりの連中にやらそうとしているのだ、こういうような考え方で日本の地上部隊を強めている。その考え方にあなたは相応じてやつているのではないか。あなたはそう意識しないでやつても、結果において、そういうふうなことと合致することになるのではないか、こういうふうに思われるのですが、アフリカは日本においてバランスのとれた三軍という方式よりも、地上部隊を強化するということに重きを置いているのではないか、この点をお伺いしたい。
  195. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 全然あなたの今の仰せになつたことは私は否定的の回答を申上げたい。アメリカが日本の地上部隊をほかに転用してアジアに日本の自衛隊をどつかに用いるという考え方は私はしていないと思う。又我々といたしましても、自衛隊法によつて極めて明瞭に規定してあるごとく、我が国は不当な外国の侵略に対してこれを防衛することを任務とする自衛隊を作らせるわけであります。ただただ我が国の安全と独立を護るための部隊であります。これがアジアのために使われるというような考え方は毛頭持つていないのであります。勿論アメリカといたしましても、私はさような考えは持つていないと、こう了承しております。
  196. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 アメリカがそういう考えを持つていないということをあなたから保証して頂いたところで、一向私どもには納得ができないのです。アメリカの今日の世界政策或いは戦略から見まして、他国における軍隊の増員ということが重大なアメリカの戦略の要素になつている、こういう私でもはアリカのいろいろ発表されたものからも見ているのです。例えば最近インドネシアにおける戦争の発展に伴いまして、一方において、ジユウーヴ会議で休戦の交渉等が行われておりますが、他方におきましてはアメリカはそれの破裂することを予想して、いわゆる防衛計画を立てた。又同時にこの問題と関連いたしましてSEATOの計画もあるようであります。で、過日ウィルソン国防長官、或いはヴアン・フリート大将が参りました。これはただ視察に来ただけであるとは私どもには思えません。或いは長官がお会いになつていろいろ懇談されたかどうか私は知りませんが、併しこれらの動きから見ておりますというと、SEATO等の問題が重大であろう。或いはそのほかのいろいろなこういう関係があつて、そのために来られたのではないか。そうしてそれから推察されるところは、やはり日本も又こういうような国際組織への参加が進められる。若しそれに入るということになりますれば、いわゆる海外派兵をせざるを得なくなるのじやないか。あなたは今日自衛隊についてそう言われておるが、そういうような場合においてなお且つこれを拒絶するだけのあなたはつもりをお持ちになつておるか。又SEATOなんかができる場合に、日本はそれに入るべきでないということをとにかく防衛庁長官として公言できるかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  197. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先刻お答えいたしました通り、日本の自衛隊の任務は、はつきり自衛隊法において謳われておるのであります。我が国の安全と平和を守るために、外国からの不当侵略に対して防衛することを任務としてあります。それを外国へ向けて派遣するなどということは考えておりません。従いまして将来憲法でも改正され、或いは自衛隊法でも改正された場合には、いざ知りません。私はこの自衛隊法を以て現段階においては最善なるものと考えておるのであります。さようなことは、派兵なんということは毛頭も考えておりません。又太平洋防衛同盟なんというようなことについて将来どうあるか。それは私は内容等については毫も関知するところではございませんが、さような場合に参加すべきかどうかということについては、十分に考慮を払うべきものでありまして、国会の慎重なる審議を経てその可否を決すべきものであろうと私は考えております。
  198. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 国会が可否を決するべき問題であろうと言つて逃げておられるけれども、先ずそういうような条約の調印は、これは閣議できめられて外務大臣が行われる。従つて国会にかけられる前にやはり内閣としてはつきりした態度をとらなきやならん。そういう場合には、木村さんは一体そういうような防衛の、特に日本の自衛隊が海外に出動を要求されるような機構に入ることに対して、今どういうお考えを持つておるか。はつきりして頂きたい。
  199. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そういう段階になつて来ますると、国家の大局から考えて決意をすべきものであろうと考えております。まだ内容もわからず、何も存知しないときにおいて、私はそういうことについて意見を述ぶべきものではないと、こう考えております。
  200. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 勿論まだ公式の問題になつておらないことでしよう。併しとにかく政治家として、そういうプロバビリティがあることは、これは認めなければならん。だからそれに対処する態度というものをやつぱりお考えになつて、そうして方針というものを示されるのが、これは政治家としてのやはりあなたの任務であろう。それを言えないようではどうも困つたものでありますが、併しまあそれはそれとして今のあなたの言ですと否定しておらん。即ち大所高所から慎重に考えてそのときに処すると、こう言われるうちには、そういうような防衛同盟に入る場合もあるということが口裏に含まれておる。そうして又そうなつて来ると、必然の結果として海外派兵の問題も、今あなたは絶対に海外には派兵しないのだと言つておられるけれども、これはそういう場合も予想されることになる。あなたは全的に否定しておらないというふうに私はとつたのですが、そういう場合もあるということをあなたとにかく幾分かはお認めになつておるわけですか。
  201. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そういう場合に至りますると、これは国家の利益を十分に最高度にこれを考えて私は対処すべきものであろうと考えております。いわゆるそのときに当れば各方面からの検討をして、これに入ることが国家にとつて利益であるかどうかという観点から、参加の可否を決定すべきものであつて、今その内容もわからんうちに、私は意見を述べることは困難であることは御承知通りであります。
  202. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今のお話ですと、やはり大所高所から考えて、そうしてどうしても必要な場合には入ることも止むを得ない、こういうことになる。こういうような同盟というものは、立派な軍事同盟でありまして、その際にはやはり海外派兵というようなことも、条約上の義務として負わなければならんことになるのじやないか。そういうことが予想されるのですが、何ですか、そういうような場合にはこれは自衛隊法を改正するか、或いは憲法改正というようなことがなければならないのですが、そういうふうな場合には、やはり憲法改正なり自衛隊法改正が先に必要だ、こうお考えですか。
  203. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより派兵の問題を生ずるようなことがあれば、この自衛隊法を改正することを要すると私は考えております。
  204. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に、自衛隊の出動の問題と日米行政協定二十四条の非常時の共同防衛及び協議の問題の関係についてお尋ねしておきます。で、二十四条には「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域のため必要な共同措置を執り、」、「この必要な共同措置」のうちには軍事行動が含まれてあるということはこれは明瞭であります。恐らく自衛隊の出動も、この「必要な共同措置」のうちに入るのじやないかと思いますが、そう解してよろしうございますか。
  205. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 軍事行動ですか。
  206. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いや、自衛隊の出動の問題。
  207. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論「必要な共同措置」ということのうちには、自衛隊の出動も包含されることは当然であろうと考えます。併し自衛隊が出動する場合におきましては、自衛隊法七十二条によつて、出動命令を出さなければできないのであります。その前には国会の承認を得るということが建前になつております。
  208. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうするとこの「必要な共同措置」のうちに自衛隊の行動が入る、こういうことになつて参りますと、今度問題になるのは「日本区域」という言葉であります。この「日本区域」という言葉は、これは日本の四つの島を指すだけじやないと思う。これはアメリカでは相当広く解釈して、日本周辺というふうに解釈しておるのでありますが、この日本区域への出動ということになると、いわゆるあなたの考えておる日本自体防衛ということと違つて、相当海外出動ということの気配が出て来るのじやないか、こういうふうに思うのですが、この日本区域というのは日本より非常に範囲が広いものと、そういうふうに解釈してよろしうございますか。
  209. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 日本区域の厳格なる定義はどこかにあつたと思いますが、それははつきり覚えておりませんが、それはともかくといたしまして、我がほうでとるべき行動というものは、飽くまでも憲法の枠内にとどまるべきであつて、一行政協定或いは条約を以て、憲法で許されておらない行動をプラスされることはあり得ないと考えておりますが、これはおのずからその法の枠の中で適憲なる行動をとる、かような形をとると考えております。
  210. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 木村長官にお伺いしたいのですが、今のような場合にアメリカから共同行動をとるということが要求された場合ですよ、日本区域で……、その場合にあなたは憲法に背反する、自衛隊法に背反するから、この線より先へは日本の自衛隊は出せないという毅然たる態度がとれますか。
  211. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは当然であります。
  212. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 仁川上陸の場合に、我が部隊は、水先案内とか後方補給で出動しておるのですが、これはどうですか。
  213. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私のほうはそういうことは存知しません。
  214. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の矢嶋君の質問は重大な問題なんですが、私も今聞こうと思つていたのですが、あれはあなたは御承知ないと言われるけれども、これはアメリカのほうで正式に発表しておる。これは御存じだろうと思う。そうするとこれはどういう形でやられたか私は詳しいことを知らんけれども、この点について、これは後にも例になる虞れがあるので、一つあなたのほうからその経過の詳しいことを誰かに説明さして頂きたい。
  215. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは私のほうの警備隊のことでしようか。
  216. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 警備隊でないかも知れません。仁川上陸の際だから警備隊はできておらないかも知れないけれども、日本区域における共同措置の問題の一つの例になると思います。その経過をお知らせ願いたい。
  217. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは私の監督の範囲外のことでありますから、私は答弁できませんですが……。
  218. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは丁度外務大臣の出席を求めてありますから、おいでになりましたらお伺いすることにしたいと思います。それからその次にお伺いしたいのは……。
  219. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その問題と関連して。先ほどの岡田委員陸上自衛隊中心云云の質疑こ対して木村長官は、そういうことはあり得ないと、こういうふうに言われておりますが、アメリカの上下両院の軍事分科委員会等においては、朝鮮事変のときも日本の陸上部隊を使えと盛んに発言している議員がおりました。又仏領インドシナの問題につきましても、日本の陸上部隊をこれに使え、或いは国府軍も使えという空気は相当強いじやございませんか。このアメリカの両院の軍事分科委員会の空気というものをどういうふうにお考えになつておるか。それが率直に現われているのがMSA等のあなたがたの期待量と、それに対する援助とは、陸上が一番多いじやないですか。航空海上に対しては、あなたがたの期待に対して非常に少いでしよう。交渉が難航しておるじやございませんか。これが率直に私は示していると思う。又私どもの情報によりますと、ともかくアメリカは沖繩と小笠原を原子兵器の基地として押えておけばそれでいいのだ、そうして海上部隊航空部隊さえ押えておれば、日本の陸上自衛隊が増強された後にはアメリカ軍は引揚げて大丈夫だ、こういう性格をはつきり打出しておるじやございませんか。如何ですか。
  220. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカの上院或いは下院議員が如何に論議されようと日本は日本であります。日本の自衛隊は、自衛隊法によつて、その任務性格がはつきりされているでありますから、さようなことに我々は耳を傾ける必要は毫もないと考えます。
  221. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に、先ほどの三軍のバランスのとれた方式の問題についてお伺いしたのですが、現在のところ、地上部隊の増加が精一ぱいのようでもあるし、又アメリカもそのほうに力を注いでいるようであるが、一体現在の段階においてあなたは第三幕僚監部を設けられたが、空軍はどの程度のものを持つお見込ですか。或いはどういう性能と申しますか、任務を持つものを現在の段階において作られんとしているか、それをお伺いいたしたい。
  222. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 甚だ恐縮でございますが、ちよつと聞き取れなかつたのでもう一度お願いします。
  223. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは今第三幕僚監部を設けらて航空隊を作られる。まさか爆撃隊を作るわけじやないだろうと思うのですが、どういう主たる任務を持つ航空隊を作られるのか。
  224. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今の段階におきましては、主として練習、通信、海上警備連絡そういうものであります。
  225. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今言われたような程度のものはいわゆる三軍方式で、独立させる必要があるか。地上軍或いは海軍に附属させておけばいい程度のものではないか。むしろ第三幕僚監部を設けて、いわゆる空軍の独立を図られる、これはアメリカの方式によられたことと思うのでありますけれども、これを独立に置かれたということは、やはり相当な任務を将来持たせると同時に、現在においても何か特別な目的があつておやりになるのじやないかと思うが、どうでしようか。
  226. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お説のごとく陸上海上別々に持たせたらいいのじやないか、この議論は私は相当傾聴に値いすべきものと考えております。併し御承知通り旧軍人時代におきましては、海と陸のほうで航空機について非常に、いわゆる平易な言葉で言えば、繩張り争いがあつてつた事情があつたことは御承知であろうと思います。従いましてそういうようなことの将来に起り得ないように、一つ幕僚監部を持つことが将来の運営に適切であろう、こう考え、新たに航空幕僚監部を設けんとする次第であります。
  227. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今度できる航空隊に対しては、アメリカからどういうような武器が貸与されるのですか。
  228. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 米国から貸与されることを期待しております航空機につきましては、お手許に差上げてあります資料によつて御覧願いたいと思うのでありますがT6G、T28B、T33A、C45、F86E、F94Cというふうに各種航空機が供与されております。
  229. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもそういうことを私に言われても、素人でよくわからないのですが、これはなんですか、戦闘機を含んでおりますか。
  230. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 練習のためにジエツト戦闘機は極く僅か入つております。そのほかに入つておりません。主として練習機であります。
  231. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 艦艇のほうは特別に協定を結んで、国会の承認を得ることになつておるが、航空機のほうはこれは協定を結んで行くという方式をとらないのですか。
  232. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り船のほうは一つ法律を作つて、MSA援助以外のものをやろうということであるのであります。それで船舶貸与協定というものができております。飛行機のほうはMSA協定に基いて、それによつて供与を受けるということになります。
  233. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、船舶貸与協定のように国会の承認も何も要らない。どんどんアメリカと日本との協議の結果、アメリカの許す範囲において、我々の知らないうちにどんどん入れられる、こういうことになるわけですな。
  234. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) MSA協定に基いて必要なものを供与を受けるという意味であります。
  235. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますとジェツト戦闘機というようなものもどんどん入つて来る場合もあるし、又爆撃機も入つて来る場合もあり得るわけですな、向うの都合次第では。
  236. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは一定の限界あることは当然のように考えるのであります。いわゆるMSA協定に基いても、我が憲法に基いてなにはすべてやるということになつております。
  237. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今ジエット機が少し入つておると言われたが、これは自衛隊ができていよいよ幕僚監部が出発をする。そして相当な数の航空隊の隊員が募集されるということになりますというと、このジェット戦闘機がもつと入つて来るのじやないですか。又それを要求するのじやないですか。
  238. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現段階においては、さようなことはありません。
  239. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今ジエツト戦闘機が入つておると、そしてこれは練習用だということは、やはり戦闘機乗りが今日本の自衛のために必要だという意味で、このジエツト戦闘機乗りの訓練をするために、これを入れておられるのですか。
  240. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これはジェット戦闘機のなには、その構造その他これに対する訓練、一部やらしておくことが望ましいと考えておるのであります。併しその数も極めて僅かでありまして、これを直ちに実用にしようという考えは持つておりません。
  241. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 たとえ数が僅かでありましても、これで教育をされるということは、やはり将来ジェット戦闘機を使用できるものを作つて行くという途を開くということになるが、そうですか。
  242. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 途を開くということはどうかと考えまするが、将来の航空機は御承の通り旅客機にしても、だんだんジエット・エンジンを使うような方面に向つておるのであります。多少その面についての研究もさしておくことか望ましいと考えております。
  243. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今私の聞いているのは、ジェット機、ジェット・エンジンの問題じやないのです。ジエット戦闘機乗りを作る。訓練をしておつて、そうして将来そういうものをどんどん作つて行く途を開くつもりかと、こういうことをお伺いしているのです。
  244. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうではありません。
  245. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、今できます第三幕僚監部即ち空軍というものは極めてまあ程度の低いもので、軍に値しないようなものですか。そう解釈してよろしうございますか。
  246. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在においては御説の通りであります。極めて貧弱であります。で、将来に向つてです、考えて我々は一つ幕僚監部を設けることが望ましいと考えております。
  247. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、第一年度の航空隊員の募集をやりまして一定の数を選び、それを訓練をして相当な、まあ一年もたつと相当な訓練ができる。又来年度も同じような数の増加をやるということになつてきますと、二年後には私は相当な航空隊ができるのじやないかと思いますが、この二年なり或いは三年後において、まあ今から作るその目標でやつて行くのだろうと思うのですが、それは主としてやつぱり戦闘機乗りを訓練することになるのじやないですか。
  248. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論そのうちに戦闘機乗りを訓練することになりましよう。
  249. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこでまあ問題になるのですが、アメリカは日本のアメリカ軍の基地を守るというために戦闘機の操縦者を必要とする。又これはアメリカにとつても最も危険な仕事を日本人にやらせることにもなる。そういう考えで向うでは希望しておるというふうに私は聞いておるのですが、まあ直接あなたに希望しておるわけでもないのだろうけれども、戦闘機乗りをたくさん作るということは、向うの空軍と協力する場合に、やはり向うの基地なり或いは向うの飛行機なりを守る協力者を必然的にたくさん作るという結果になるのじやないかと思うのですが、その点はどうですか。
  250. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はこう考えております。やはり日本の完全な防衛体制を整えるについてはジェット機も必要であります。従いまして今からそのほうに訓練をさせ、準備をさせることが望ましいのであつて、必ずしもアメリカの要請というわけではありません。勿論アメリカといたしましても、完全に日本独自で以て日本の防衛体制を作ることを希望はいたすでありましようが、御承知通り日本の財政力の点その他いろいろな点を考えまして早急に参らないということは先刻から申した通りであります。差当り日本の事情の許す限りにおいては、さようなものを訓練して将来に備えたいと、こう考えております。
  251. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に、海上部隊についてお伺いいたしますが、今度は駆逐艦を借りることになつている。これは各警備隊に配属されることになるのでありまするが、一体現在はまあ駆逐艦程度ですが、或いは更に駆逐艦よりも大きいもの、例えば巡洋艦というものを借りる、或いは小型の航空母艦というものを借りるというようなつもりを持つているのじやないですか。長官としては今後そういう方針で行かれるのかどうか。それをお伺いしたい。
  252. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 二十九年度においてアメリカからの貸与を受けることを希望してる船舶について、今加藤局長から申上げます。
  253. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 二十九年度に米国から供与を受けることを期待しております船舶は、お手許に差上げてある資料の中にございますが、十七隻ございまして、二千四百二十五トン級のデストロイヤー二隻、一千六百三十トン級のデストロイヤー三隻、千四百トン級の護衛のデストロイヤー二隻、千六百トン級の潜水艦二隻、三百二十トン級の掃海船四隻、三十トン級の掃海船一隻、千六百トン級のLST二隻、七千トン級補給工作船一隻、かようになつております。
  254. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日本側で二十九年度に発注して、二十九年度の末期でもいいですが、就航し得る艦艇はどのくらいになりますか。
  255. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) お答えを申上げます。  二十九年度中に一応竣工を予定いたしておりまするという御質問でありますが、二十八年度に御承知の予算で着工いたしましたもの、これは合計十六隻、九千百二十トン、御承知だろうと思いますが、内訳は警備船甲と申しまする千六百トン級のものが二はい、乙と申しまする千トン級のものが三ばい、それから丙と申しまする、これは小型の晴海用のもの、それが六十トンのものが六ぱい、千トンの補給工作船が一ぱい、六百トンのやや大型の掃海船が一ぱい、三百二十トンの小型の掃海船三ばい、十六隻、九千百二十トン。
  256. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この艦艇については前から問題があつたのです。特に大型警備船については、二十八年度の国庫債務負担行為で計上してあつたが発注されなかつたわけです。そうして二十九年度は、今度は国庫債務負担行為でなく、新らしく予算に組んで、そうして六月頃には発注するということを聞いておつたのですが、その後具体的にどうなつているのですか。この大型警備船については……。
  257. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り、大型警備船について我々は最善の努力をして、いわゆる将来のモデル船を造り、御承知通りこの船の速力は非常に高いのであります。而もこれは熔接船であります。戦後初めて造る船であります。従つて我々は慎重にも慎重を期して、将来に間違いないようにいたしたいと考えておるのであります。それと同時に成るべく安く造りたいと考えまして、折角今努力をしておるのであります。御承知通り設計を何度かこれを変えて、慎重にも慎重を期しておるのでありまして、幸い最近に漸く曙光を見ましたので、近く発注する段取りに至ろうと考えております。
  258. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 設計はできているのですか。それで発注するとすればどこへ発注するのか。それからいつ頃でき上るか。それとこの予算の関係です。予算にはこれが人員、給与その他計上されておるのです。そのいつでき上るかによつて又予算関係が違つて来るわけです。この点はもうすでに二十八年度のあの国庫債務負担行為ででき上るということになつて、実は二十九年度予算においてはもうそれができ上るという形において、定員、それに対する給与その他の予算は計上されているのではないかと思うのです。その設計の関係、いつ頃、どこに発注するのか、それから予算関係はどうなつているか、でき上る時期と関連しましてですね。
  259. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく、どこへ発注するかということは相当慎重に考慮しなくてはならないと考えております。申すまでもなく、日本の現在の造船業者は旧来、戦前、戦時中にいわゆる軍艦を造つた経験のある会社、ない会社、而もある会社であつても、戦後において余り造船をしていない所もありますし、旧来軍艦を造つた経験のない会社でありましても、戦後において相当数造つて、造船技術なんかの発達している所もあります。それらの点に鑑みまして、これは相当請負をされる会社を選ぶについて慎重に考慮しなければならんと思います。これは御承知通り或る造船業者を選んで、そうしていわゆる随意契約の形にやるべきがどうかという点もあるのでありますが、それらの点を十分に考えて、どこに発注すべきかということについて、只今慎重に考慮中であります。まだ結論には達しておりません。設計の点につきましては、大体基本設計はできております。完全なとか、最終的なものとは言えないのであります。従いまして近く我々はそれらの点についてきめたいと、こう考えておるのであります。
  260. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予算関係……。
  261. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 予算の関係につきましてお答えを申上げます。総額は、木村委員承知のように、二十八年度の予算外契約、合せまして百二十四億、三十五億の予算と八十九億の予算額の両方を以ちまして、当時建造費総額は百二十四億、そのうち二十八年度予算に計上しておりました三十五億円は、これは国会の議決を得ておりますところの明許の繰越に基きまして繰越をいたしました。従いまして二十九年度の予算現額といたしましては、本年度、二十九年度予算に計上せられております八十九億のほかに、前年度から繰越して参りました三十五億がございまして、これが二十九年度予算現額に相成つております。  又ついでにもう一つ申上げておきますが、繰越明許に基きましては、二十九年度の船舶の建造費につきまして繰越の明許がございます。二十九年度の建造分八十九億につきましては、これはその分に対応いたしまする繰越明許がついております。現在のところ工程の関係につきましてはまだ正確なことは申上げられませんが、保安庁といたしましては、年度内にできるだけ出来上るように努力しておるのであります。
  262. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題については、私関連質問でありますから、又自分の時間のときに質問したいのですが、ただこの問題は、木村長官もよく御承知のように、いろいろ裏面において不明朗なものが取沙汰されたわけです。一部新聞にもこれに出たわけです。その後その関係がどうなつておるかも我々わからないのです。木村長官は絶対にそういう不明朗なことはないと私も確信しております。ただその木村長官の手許に来るまでに、前の造船疑獄のようなことがいろいろ行われて、なかなか設計がまとまらないとか、或いは又発注の場合、ここの船会社に寄越せとか、あそこの船会社へ寄越せとかという不平が、疑獄、汚職みたいなものの起る可能性が十分あるわけです。又今後艦艇ばかりでなく、航空機とか、その他兵器を発注するような場合に、又そういうスキャンダルが起る危険が十分あるわけです。従つてこういう点については、造船疑獄の例もありますから、今後はそういうことが起らんように、十分私はこれを気を付けなければならんと思うのです。この点について、今後そういう不明朗が起らんためにはどういうふうにすべきかについて、お尋ねしておきたいのてす。
  263. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に御尤もです。そういう不明朗な点があつては誠に申訳ございません。それだからこそ我々は慎重にも慎重に考慮をしておるのです。こういうものについては、すべて幕僚監部が寄りまして、いわゆる何でありますか、ガラス張りの中で十分に論議をしてやることを今現在とりつつあるのであります。決して不明朗なことのないように最善の努力をいたしたいと思います。
  264. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと今のに関連して。近く発注できるというような御発言でありましたが、数カ月前と一歩も進んでおりませんね。慎重であるのはいいが、慎重倒れしているのじやありませんか。それとまあ、この関連だから簡単に伺いますが、どこに発注するかというのは正式な委員会か何か作つてつているのかどうか、その点と、それから未だに慎重にやつているそうですが、二十八年の発注をするのはいつ頃慎重に検討した結論が出る見通しであるか。  それともう一つ伺いたい点は、造船疑獄等で噂の出た方面、そういう方面に対しては発注を差控えるというような決意を木村長官持たれているかと思うのでございますが、それは如何ようにお考えになつていらつしやるか。以上三点伺つておきたい。
  265. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 遅れた点は申すまでもなく特殊船でありまするので、設計を綿密にやつておるのであります。而もこれに搭載すべき装備品というものはアメリカから来るわけであります。それらの点が多少遅れておりました。普通のいわゆる商船なれば極めて簡単でありまするが、こういう特殊船になりますると設計も幾度か変更があるのでございます。最善に最善を尽し、而も先刻申上げました通り将来に大きな責任が残るわけであります。私は一つのモデル船を造りたいという考えでやつているわけであります。慎重を期しているのであります。これは簡単に請負わせれば何でもない、皆さんの或いは御希望に副うかも知れません。併しそういうことがあつてはならんということから、我々は慎重に考えているのであります。どこへ請負わすかということについては、まだ結論は出ておりません。造船疑獄については、いろいろ取沙汰されております。併しどの会社が果してスキャンダルがあつたかどうかまだ結論は私は知つておりません。そのスキャンダルもどういうスキャンダルであるか、これもよく考慮しなくちやならんのであります。ただ世間に語われているスキャンダルのあつた会社だからといつて、それを故意に除外するということは私はすべきものではないと考えております。これは大きな見地から考えて、どの造船業者が適当であるかということを検討して最終の決定をいたしたい、こう考えております。
  266. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今アメリカのほうから貸与されることを期待しておるように拝察するのですが、ところが今度の協定では極めて僅かである。あとはこれは確実に本年内に借りることが見込まれるわけなんですか。単に、折衝はして見たけれども、非常にむずかしくてたつた四隻だつた、こういうことなんですか。それとも第一期で以て、あと見込がある、こういうことなんですか、その点はつきりさして頂きたい。
  267. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) こちらの希望のものを全部はつきり貸与を受け得るかどうかということについては、私は確言はできませんが、順次私は貸与を受けられるものと考えております。併しなお申上げたいのは、この船のいわゆる何といいますか、種類でありますね、それが日本の希望する通りに行くかどうかということは問題であります。たとえて申しますると、七千トンの補給船、これらの点については、アメリカがどういう工合にこちちの希望を入れてくれるかということについては、これは確たるまだ私は意見を申上げることはできんのであります。
  268. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日本で以て発注されるものが、二十八年度の予算のものが未だに発注されておらない。アメリカのほうへ貸してくれ、こういつて向う側に求めているものも思うように来ない、そういうことになつて来ますと、第二幕僚監部関係人員の増加、これは恐らくアメリカのほうからフルで借りることを予定しておる人員だろうと思うのです。又日本側の船もこの年度内にできることを予定しておる人員だろうと思うのです。こうなつて来ると、第二幕僚監部でこんなに人間要らなくなるのじやないですか。今のフリゲートや上陸支援艇に乗り切れないで、あと陸上でぶらぶらさしておくという者もたくさんできてしまうのではないですか。こういうことが見通しが付かなければ、この募集は減らすのかどうか、それをお伺いしたい。
  269. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々は大体においてこちらの希望するものがアメリかから貸与若しくは供与を受けられるものと考えております。いわゆるMSA援助に基いて供与されるものは千五百トン以下でありまするが、少くとも千五百トンくらいのものはアメリカからMSAにより供与を受けられるのでありますから、その他の点について最善の努力をして、アメリカから供与を受けたいと考えております。なお、御承知通り船が出来上り、又船が借りられても、これは乗員を養成して置かなければ何もならんのであります。これは先ず乗員の養成ということについて努力をいたしたい、こう考えておるのであります。これは船の乗員については交替制度でも設けてやり得る方法もあるのでありまするから、人員については早急に私は訓練を開始したい、こう考えております。
  270. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私の時間はどれくらい残つておりましようか……。  それではなお先ほど私が外務大臣、大蔵大臣、通産大臣の出席を要求しておきましたがおいでにならないので、その時間を残しておきまして、一つ明日でも明後日でも結構ですから、おいでを願つて質疑をやりたいと思います。  それじや木村保安庁長官に対する質疑は、私の分はこれで終ることにいたします。
  271. 山下義信

    ○山下義信君 私は、先ず統合幕僚会議のことでお尋ねしたいのですが、これは午前竹下委員から御質疑があつたようでありますが、遅刻いたしましたのでダブリましたら御指摘頂きたい。  それで最初に申上げますと、私はこの法案中で不明の点を伺いますので、一つはつきりとお示しを頂きたい。別に討論式に伺おうとは思いません、それで今日統合幕僚会議が新設されたのでありますが、非常に強い力を持ちました、而も相当な規模の構成になつておるわけなのであります。これは忌憚なく申上げますと、いわゆる曾つての参謀本部式のものを持とうというお考えでありましようか、どうでございましようか。
  272. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 昔の参謀本部という考え方とはよほど異にしておるのであります。この根本の考え方は、今朝ほど申上げましたように、御承知通り昔は陸海軍非常に摩擦があつたのであります。おのおの勝手な計画を立ててそれでやつて、その間に統制も何もとれていなかつた。そこに大きな私は欠陥があつたのじやないか。申すまでもなく、旧軍時代におきましては、陸軍では参謀本部があり、海軍のほうでは海軍軍令部があつて、そうしてお互いに競つてつてつたのであります。そういう摩擦は是非ともなくしたいという気持で以て、三幕の長が会議を開いて、統合的にものを処理して行こう、そうして日本の防衛計画をそこで立てさせて調整をして行こう、そういう構想の下にでき上つておるのであります。
  273. 山下義信

    ○山下義信君 曾つての陸海軍の対立のようなことを成るべく防いで、そうして調節を図る、こういう御趣旨の点はわかる。ただそれだけじやないんじやないかと思う。それの調整ということがありますから、目的の中に……。けれども統合ということもあり、同じようなことではあるようでありますが、これは御設置の御趣旨の中には、元来軍令系統の仕事といいますか、作戦系統の仕事といいますか、そういうものが、はつきり筋の立つていない点があるのじやないかと思われる。そういうところを多少縦の筋をお立てになつて、そういう作戦的な仕事、軍令的な仕事と軍政との混淆を避けて多少筋を立てようというような狙いなどがおありじやないかと思われる節があるのですが、それはそれで私はいいじやないかと思う。そういうことは必要じやないかと思うのですが事務局を別に持たれて、相当な、軍政と多少その点では独立的な形のものが考えられた点は、やはりこの軍令仕事の系統的な建前をとつて、いわゆる軍政との混淆を防ぐというような御趣旨もおありじやないかと思いますので、その点は如何ですか。
  274. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく、この統合幕僚会議で以てやる仕事は、統合した防衛計画、これを立てさせて行きたい。後方の補給計画はどうするか、これもやらせたいと思つております。具体的に今朝も申上げたのでありますが、今朝は津軽海峡の例をとつた。対馬海峡でもそうであります。対馬海峡においても、これを防衛するにはどうするか、これは陸だけではいけない、海も必要であれば空も必要である。そういう統合的な計画をどうすべきかということは、この統合幕僚会議で以て立てさせて行く。それが立てれば、これは長官を補佐するのでありますから、その立てた計画に基いて長官が……、又参事官制度を置いております。この参事官において直接に任務に当つておりまする防衛局長或いは経理局長、そういう幕僚を集めて、そうしてここでこれを再検討する、これは全くの長官の補佐の勤めだということが建前になつておるのであります。ここできまつたものがすぐ実施されるというわけではございません。
  275. 山下義信

    ○山下義信君 すぐ実施はなさるわけじやない、どちらかと言えば、作戦部でありますから。併し私は軍令関係仕事、つまり作戦的な仕事と、多少他の軍政といいますか、行政的な面と混淆するというようなことを成るべく避けて、それがなくては部隊の適切な効果の発揮はできないわけでありますから、そういうふうな仕事の筋を立てようという御趣旨ではないかと、この構造を見ると、組織を見ると考えられるのでありますが……。
  276. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お説の通りであります。
  277. 山下義信

    ○山下義信君 それで統幕というものの性格がここではつきりわかる。若しそうでないというならば、普通の内部部局でいいわけですね。別に持たれる、それで私は性格がわかる。言い換えれば、やつぱし参謀本部の再現に髪ふつたるものがある。そのものとは言わんけれども、髪ふつたるものがある。それでこれは組織を四班に分けられるということでありますが、どういう班に分けるんでしようか。中共班、韓国班、ソ連班、そうでもないでしようが、大体四班はどういう班ですか。
  278. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今のところ我々考えておりますのは、第一班は庶務的な事柄であります。一般の庶務です。第二班が防衛計画とか、訓練とかというふうなところを所管するものである。第三班が情報でございます。二十六条の第五号に書いてあります情報のほうをやる。第四班が補給に関する後方補給計画、第二号にございます。大体こういうふうな分け方がよろしいじやなかろうかというところぐらいまで研究を進めております。
  279. 山下義信

    ○山下義信君 大体これは事務局長は自衛官の少将級が充てられるようでありますが、これは班長はどの程度の階級のものが充てられますか。大佐級、やはり少将級ですか。
  280. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは大体において昔の軍の階級で申しますれば大佐か中佐級でございます。
  281. 山下義信

    ○山下義信君 防衛庁では、自衛隊を含めてでありますが、諜報関係、情報関係仕事はこの統幕以外にどこかありますか。統幕で全部まとめられるのですか、情報関係……。
  282. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 内部部局のほうといたしまして、第十二条の防衛局所掌事務といたしまして、「前各号の事務に必要な資料及び情報の収集整理に関すること。」、内部局といたしましては防衛局で担当いたしております。又各幕僚監部におきましても、それぞれ第二十三条に第二号として掲げてありますものの中に「情報」という言葉がございます。直接防衛行動なり何なりをするために必要なる情報は、やはり各幕僚監部で以て収集しますが、それを総合したものを統合幕僚会議で扱うということになつておるのであります。
  283. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると、統幕の持つておる諜報班が独自の情報を持つておるということはないわけですね。そうすると、皆防衛局の持つておる情報その他のほかの幕僚監部の持つておる情報も同じものですか。ずつとそれをただ整理するだけですか。独自の任務はないですか。
  284. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 最初に提案理由の説明あと補足いたしまして申上げましたが、統合幕僚会議は、自衛官が二十名その他の職員が十三名で構成せられておるのでありまして、いろいろな外国の資料等を収集いたしまして情報を集めるということはいたしまするけれども、併しそこだけで各幕僚監部の集めまするような情報を集めるというようなことは、これは困難であろうと思います。ただ幕僚監部の集めます情報と全然同じかと申しますると、これはやはり統合的な見地から、防衛計画なり何なりを検討いたすものがございまするから若干のニュアンスの相違があると思います。各幕僚監部はそれぞれ陸海軍の行動についての直接必要な情報を集める。統合幕僚会議はその資料を受ける場合が多いと思いますが、全然別のものはやらないかと申しますと、そうでない部面もある、こういうふうに申上げておるわけであります。
  285. 山下義信

    ○山下義信君 私は統幕は最高の非常な高度の作戦計画を決定せられるので、独自の強大な情報機関を持たれて、そうして本当は九分九厘も秘密を要する仕事でしよう。それが他の普通の一般事務をとる内部部局にざらにあるような情報を集めて、そういう判断の下に高度の作戦計画の統合調整はできますか。長官如何でしようか。
  286. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この情報というものは、御承知通り非常に重要であります。かような国際情勢によりましては、的確な情報を収集するということは、これはもう必要なることは当然であります。そこで統幕のほうではやはり防衛計画を立てるについて、いろいろの情報を収集する必要があることは当然でありまするが、内部の部局においては、それより高度の私は全般的のやはり情報を集めることが必要であろうと考えております。それですから、おのずからその間にダブるところもありまするが、又専門的の分野もありまするから、内部局における情報、それから統幕における情報、これは必要であろうと思います。
  287. 山下義信

    ○山下義信君 私の耳にちよつと奇異に感じましたのは、この統幕の四班は情報班と言わないで諜報班と言い、部局のほうの扱うのは情報と言い、統幕は諜報と言う。諜報というと、これは言うまでもなく常識ではスパイ関係でありますが、これは諜報と情報との区別はどういう区別がありますか。
  288. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私の発音が悪かつたのであります。情報と申上げたのであります。
  289. 山下義信

    ○山下義信君 ああそうですか。それでわかりました。私の誤解でした。  関連して伺いますが、米軍側からの情報の提供というものはどこで受けるのですか。米軍からのいろいろな緊密な共同をとるためにまあ平素情報の交換をするという米軍側からの情報を受ける窓口は、これはどこで受けるのですか。統幕の情報班が受けるのですか。内部部局のほうのどこかで受けるのですか。しよつちゆう連絡するのは。情報の連絡はどこでやるのですか。
  290. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは内部部局でやるのであります。
  291. 山下義信

    ○山下義信君 内部部局でやる、そうですが。それで防衛局と統幕との関係ですね、これはありていに言つて、対立の虞れはありませんか。その対立しないようなためにはどれだけの配慮が加えられてあるかという点をお示し願いたい。
  292. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 防衛局のほうでは、これは先刻申上げましたように、この国際情勢その他諸般の情勢を勘案して一つ計画を立て、又統合幕僚監部のほうから長官に持つて来た案について検討をして、そうして基本的のものを長官が作り上げるということに考えておるのであります。そこで今お話のように、その間に摩擦がありはしないかということ、一応御尤もに私ども考えます。摩擦があつては相成らんのであります。併し内部部局は御承知通り非制服員、主として我々のように平服を着て、そうして出身も平服相当な者が来ているのであります。片方は純制服を着ております。いわゆる部隊に専念しておるものが幕僚長でありますから、それらが案を立てる、これを内部部局に持つて来て、長官の補佐役としてその参事官が寄つて検討し、これを調整して行く、こういうことになりますから、摩擦は防げるのじやないか、こう考えております。
  293. 山下義信

    ○山下義信君 摩擦という言葉が悪ければ、これは緊密なる連絡といいますか、なにかなくてはならんわけですね。統幕と防衛局とはこれはまあ非常に似た仕事をするのでありますから、緊密な連絡がなくちやならん。私は、統幕の仕事の内容は全部防衛局で、防衛局長でわかるようになつておりますか、どうなつておりますか。はつきりそれを言つておいてもらいたい。若しすつかり統幕の仕事防衛局長の手でわかつておるということならば、何も制服専任の事務局を別に置かなくても、防衛局で扱われてもいいわけでありますが、これはすつかりわかるようになつておりますか。
  294. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは統幕と防衛局との関係が主でありますけれどもほかの内部部局との関係についても同様であろうと思うのでありますが、内部部局はこの法律案にあります通り防衛基本でありまするとか、人事基本でありますとか基本的な事項をやることになつておるのでありまして、実際的な具体的な事柄幕僚監部なり、今度は幕僚監部が、事柄のうちでも統合幕僚会議に取上げられるものにつきましては、統合幕僚会議でやる、こういうことになつておるのであります。基本的な事柄内部部局は必ずこれは承知いたさなければならないのでありますが、専門的な具体的な事柄になりますると、内部部局のほうは必ずしも全般について提供するということは事実上あり得ないような仕組になつております。内部部局のほうの職員は合せまして二百数十名しかいないのでありますから、これが五局一官房に分れましてやつておりますので、一課の人員というものはそうございません。やはり人数の点から申しましても、基本的な事柄にとどまるということになるのが当然でございます。
  295. 山下義信

    ○山下義信君 当然内部部局に知らせることができないことがあると思います。それで伺いますが、統合幕僚会議というものは、これは防衛庁長官の幕僚機関ですか、幕僚機関ではありませんか。
  296. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは幕僚機関でございます。
  297. 山下義信

    ○山下義信君 幕僚機関……。
  298. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁長官の幕僚機関といたしまして……
  299. 山下義信

    ○山下義信君 幕僚監部ははつきりと幕僚機関と書いてありますが、統合幕僚会議は幕僚機関と書いてない。それで私は伺うのです。
  300. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 幕僚監部もやはりこれは長官を補佐するのであります。
  301. 山下義信

    ○山下義信君 それははつきり幕僚監部のところに書いてある。
  302. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 各幕僚監部幕僚長は補佐はできない。或る一定の事項につきまして長官の命令を執行するという事柄があります。
  303. 山下義信

    ○山下義信君 部隊を指揮するときに。まあその他の仕事でもですね。
  304. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 部隊幕僚長は指揮しないのであります。長官の命令を信奉するということであります。そういう仕事統合幕僚会議ではないのでありまして、若しそういう仕事を附加えたものを幕僚機関と申しますれば、これは幕僚監部とは違う。併し一般内部部局は通常幕僚々々と申しております。そういうような幕僚であると思います。あと長官を補佐するという意味においては同様でございます。
  305. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると法律にも書いてないが、はつきり長官の幕僚機関だと言われますね。
  306. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 内部部局を幕僚機関と申すと同じような意味におきましては幕僚機関である。幕僚監部の幕僚という言葉とは仕事の内容から申しまして若干異なつたものである、こういうふうに申上げていいと思います。
  307. 山下義信

    ○山下義信君 少しあいまいですが、その程度でよろしうございます。  それで幕僚機関ということになつて長官を補佐する。それで長官幕僚会議議長との関係は、長官幕僚会議議長に指揮命令ができますか。
  308. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは法律案の第二十条にも書いてございまするが、二十条の第三号に「統合幕僚会議の所掌する事項について長官の行う指示又は承認」、この事柄長官がやはり幕僚会議に対しまして指示ができるという趣旨でできているのでありまして、幕僚監部に対すると同様に考えております。
  309. 山下義信

    ○山下義信君 私もあすこを見たのですが、指示とか承認ということは弱いのですが、指揮命令とは違つて少し弱いのですが、それが指揮命令ということをはつきり書いてないので、私は念のために伺つた。あれは指揮命令と解していいのですね。
  310. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはそういう点になりますと、第三条におきまして防衛庁長官一般的な職務として「防衛庁長官は、内閣総理大臣指揮監督を受け、庁務を統括し、所部の職員を任免し、且つ、その服務についてこれを統督する。」、こう書いてあります。」「庁務を統括」するといううちには、幕僚会議に対する指揮の関係も含まれておる、こういうふうに解釈しております。
  311. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。そうすると統幕の議長幕僚監部幕僚長といいますか、幕僚長との関係は、指揮命令権がありますか。
  312. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 統幕の議長は、自分は陸海空幕僚長に対しまして指揮をするということはございません。各幕僚長に対する指揮は、やはり長官から行くのでございます。ただ二十六条に書いてありますが、第四号に「出動時における自衛隊に対する指揮命令の統合調整に関すること。」ということがございます。出動時におきまして、長官陸海空の各自衛隊に対して指揮命令をなさいますにつきまして、統合調整について、統合幕僚会議が補佐するということはあるのでありますが、統合幕僚会議そのものが各幕僚長に対して指揮をするということはないのでございます。
  313. 山下義信

    ○山下義信君 私は統合幕僚会議議長が、会議でなしに議長が、幕僚長というものを指揮命令するということができるかということです。
  314. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 統合幕僚会議議長の任務は、第二十七条に「統合幕僚会議の会務を総理する。」と、こう書いてありまして、我々の解釈では、会務を総理すると申しますると、代表するというような権限まで含むのであろうと思つておるのでございますが、帯僚会議議長自体といたしまして、各幕僚長に対して指揮をするということではないのでございます。
  315. 山下義信

    ○山下義信君 統合幕僚会議議長が、いわゆる陸海空といいますか、そういつたような連合的な編成部隊を指揮するというようなことありませんか。
  316. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) そういうことはございません。これは若し必要がありまして、陸海空の混成いたしました部隊を作らなければならんというふうなことになりますと、自衛隊法の二十二条に「特別な部隊の編成」という条文がございます。この条文によりまして、そういうふうな混合部隊を作りまして、その指揮官はその際別に設られるということになるのであります。
  317. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。私が不明でありましたのは、第二十七条の「議長たる自衛官は、自衛官の最上位にあるものとする。」、この意味がわからない。自衛官の最上位ということはどういうことですか。議長というのは、自衛官階級ですか、或いは職名か何かですか。職名とすれば自衛官の最上位ということが私には意味が不明です。
  318. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 議長は専任の自衛官を以て当てることになつておりまして、この自害衛官は、陸上自衛隊に属する場合もありますし、海上自衛隊に属する場合もあります。航空自衛隊に属する場合もあるであろうと思うのであります。それぞれ。従いまして、陸上自衛隊自衛官階級で陸将でありますとか、陸将補でありますとか、海上自衛隊自衛官階級でありますと海将とか海将補という階級を持つのであります。これは階級であります。幕僚との関係におきまして、どちらが上位になるかという疑問があります。職務上もこれを上席とすべきものであるというふうに、特に第二十ヒ条におきまして最上位にあるものだということを明瞭にいたしたのであります。
  319. 山下義信

    ○山下義信君 私は、自衛官の今の階級があるでしよう。そのもう一つ上にある。これは結局大将を意味するのだと思つた。わかりました。ただ序列で、議長に当つた自衛官は上のものにすると、こういうのですね。わかりました。  統幕のことはその程度にしておきまして、自衛隊防衛出動といいますか、出動の時のことを少し伺いたいと思うのです。これは直接侵略ということですね。これはどういう場合が予想されるのか、一つ具体的にお示しを願いたいと思う。直接侵略という字句の解釈でなしに、どういう場合が我が国における直接侵略と、どういう場合があるかということを一つ具体的にお示しを願いたいと思う。
  320. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは一番端的な例といたしましては、外国の軍隊が侵入をするということであろうと思います。
  321. 山下義信

    ○山下義信君 侵入というのはどこから来るのですか。どういうふうにやつて来ることが、我が国の地勢上からいつて、位置からいつて、周囲からいつて、どういうことがあつたらそれを直接侵略というのですか。
  322. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは陸上部隊を以ちまして、相当大規模な兵力を以て攻撃をしかけて来るということもございましようし、或いは航空機を以ちまして攻撃をするということもございましよう。或いは艦船を以ちまして領海に入らずに攻撃を加えるということもあろうかと思います。お尋ねの趣旨がそういう……。
  323. 山下義信

    ○山下義信君 そういう場合以外はございませんか。
  324. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 軍隊でございませんでも、外国の政府なりが、その意思を以て侵略の部隊を組織して、今私が申上げましたような事柄を実現せんというようなことがありますれば、やはり直接侵略という事柄に入ろうかと思います。
  325. 山下義信

    ○山下義信君 これはまあお笑い下さらんように、昔のような侵略と、元冠の役のようなことばかりでないと思うのですね。どうも自衛隊が力がないとかというと、まあ北九州の筑紫湾に元冠が来たときに出て行くというような感じがするのですが、もつともつと近代的な侵略、何と申しますか、攻撃というものがあり得るでしようね、どういう場合が予想されますか。日本の受けるであろうという直接侵略というようなのは、どういう場合が予想されますか。非常な遠距離から或いはロケット弾などの攻撃を受けるとかいうようなことが予想されますか。或いは非常な大きな飛行機群と申しますか航空機群で以て落下傘というようなものの部隊なんぞを以てどんどんとやつて来るというようなここも予想されますか。どんなことが予想されますか。(「長官答弁だね」と呼ぶ者あり)大体防衛庁でどんなことがお話に出ますか、率直に。国民が聞きたいと思うのです。一体どういう攻撃を日本が受けることが、大体はぼんやりながら予想されているだろうかということは、これは国民が知りたがつていると思う。或る程度は常識論でもわかる。一般の民衆にわかるような御答弁を願いたいと思う。
  326. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今お話のように、爆撃機が翼を揃えて日本を爆撃する。或いは口ロケット砲弾を各所から集中攻撃をして来るというような場合は、私は恐らくそういう場合が起り得れば、第三次戦争だと考えます。そういうことはまああつてはならんのでございます。それらに対して、如何に防衛すべきかということについては、我々今の段階においては、なかなか容易ならんものがある。それまでに至らん程度においての我々は、各情勢を判断して、今加藤局長から申しましたように、或いは一部の落下傘部隊を、或いは日本解放軍というようなものを組織されているというような噂も聞くのであります。又日本周辺のもろもろの場において、軍の配置などを勘案いたしまして、或いは不意に北海道、九州方面において部隊を上陸させる慮れがあるのじやないか、そういう場合において、日本の防衛態勢を十分に整えておいて、そういうことをなからしむるようにすることが自衛隊の私は目的じやないかと思います。それだけの防衛態勢を立てることによつて、そういうことは或る程度防げるのじやないかということを我々は終始考えておるのであります。今お話のように、多数の爆撃機が日本を襲撃して来るとかいうようなことは、今の程度においては考えておりません。
  327. 山下義信

    ○山下義信君 私は話が少しさもしくなつて、自分で質問するのに恆怩たるものがあるのですが、これは皆聞きたいと思うから承わるのですが、一体そういう非常事態に、長官の仰せには我がかたの力だけではいけないと言つております。だから安保条約なんで、だからMSAなんで、米軍の協力がなくちやいけないのだ。ですから自前の独自の自衛隊自身の力で、直接侵略に対抗するというような場合は稀有の、殆んどないのですね。大体まあ直接侵略対抗の場合は米軍と必ずこれは共同行動に出る、共同作戦に出る、かように解してよろしうございますか。
  328. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いわゆる少数の部隊でありますれば、アメリカ駐留軍の手を借りずに或いはできるだろうと考えております。例えば北海道に或る程度の部隊が不意に侵入して来たと仮に仮定いたします。そういう場合においては、何もアメリカ駐留軍の手を待たなくても、北海道に駐屯させております日本の部隊で以てこれを処理し得ることは可能じやないかと考えております。或いは又落下傘部隊が降りて来る、その数にもよりまするが、日本の部隊で以てこれを処理することが必ずしも不可能じやないと考えております。そのときの相手方の実勢如何によるものと我々は判断しております。
  329. 山下義信

    ○山下義信君 自衛隊が独自に勝手に出動して勝手に行動するという場合があり得ますか。つまりアメリカ側に何らの連絡も、承認と言つて言葉が悪いかも知れないけれども、こちら側だけで独自にやり得るということができますか。この法律ではそうなつているけれども、ほかの条約その他ではそんなに勝手な行動ができないようになつているんじやないかと素人考えで思われますが、勝手にできますか。
  330. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げました通り、その侵入部隊の実勢如何によるだろうと思います。
  331. 山下義信

    ○山下義信君 そうですが。日本軍だけの判断で、日本軍が米軍と何らの連絡もなしに独自の防衛出動ができ得るのですね。これは私は重大だから、それはもう日本の独立性をはつきりさして、何の協定があろうと、何の条約があろうと、自衛隊の出動、行動については、日本に独自の権限があるんだということになれば、これは非常に私はヒットです。如何に反対派といえども、それだけのちやんと権限があるならば、私はこれはお褒め申上げなければならん、ヒットですよ。ですからこれははつきりしておいて頂きたい。アメリカ側にも、この議場を通じて、委員会を通じてよく知らしておかなければなりません。
  332. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは御承知通り行政協定二十四条であります。「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。」、こういうことになつておるわけであります。従いまして日本に対して直接侵略が起つた場合においては、日本の区域の防衛のためにアメリカと共同措置をとるために一応の協議をすることを約束しておるわけであります。併しながら日本の自衛隊の行動というものは、アメリカに掣肘される何らの義務もないのであります。日本独自の見解で以てこの防衛出動命令を出し得るのであります。この防衛出動命令を出すことについては、アメリカの掣肘を受くべきではないと我々は確信しております。
  333. 山下義信

    ○山下義信君 私もこの協定があるから心配しておつたんですが、結局自衛隊が独自の見解で出動して、アメリカには何らの連絡も協議もなく独自にやるということはできないのですね。そういうことがあり得ないのですね。ですから必ず協議をし、まあ協定の精神から言えば共同動作をとる。向うが出る点は別として、必ず協議をしなければならないということになつておりますね。「しなければならないと。」あるから。先ほど木村長官が直接侵略で小さい防衛出動のような場合には独自でやる場合があるということをおつしやつたが、それはどうされますか。
  334. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はその場合はこの解釈如何によります。「日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合」、これは日本独自で処理すべきものは日本独自の自衛隊の行動によつて処理し得るものと我々は判断しておるのであります。アメリカの力を待つことを要しない場合においては、私は日本独自の部隊の行動によつて処置すべきものと考えておるのであります。
  335. 山下義信

    ○山下義信君 そういう急迫な場合には共同措置をとるということがありますが、法制局長官、その通りでございますか。
  336. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) どうも木村長官のおつしやつた通り考えておりますが……。
  337. 山下義信

    ○山下義信君 それではこの米軍と共同動作をとるというような場合においては、海上においてはアメリカのいわゆる第七艦隊といいますか、あの艦隊と海上の場合におきましては具体的には共同動作をとりますか。
  338. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 共同処置をとるために協議をしなければならないということにいたしてございます。協議するということであります。どういう共同処置をするかということは、そのときの情勢判断に待たなければならないと考えております。日本が或る区域を定めて、日本の船がその区域を守る、アメリカの艦隊がこの区域を守るということについての協議をすべきであろうと考えます。
  339. 山下義信

    ○山下義信君 そのアメリカと日本の防衛といいますか、これは言うまでもなく、向うさんのそれこそ防衛にもなるわけですが、一体日本の自衛隊の受持の区域というか、受持の自衛ラインといいますか、そういつたような日本の自衛隊の受持つ防衛範囲内といいますか、そういうようなものは大体範囲ができているのでございますか。
  340. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 率直に申上げましてこれは話合いをすべきであろうと考えております。これについてはアメリカから相当のスタッフを出す、日本からも相当のスタッフを出して時々研究したいと思つております。
  341. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さつき山下委員質問で、日本の自衛隊だけで処理できるような場合は、アメリカ側と何ら事前連絡がなくてやれると思うと、こういう答弁でありますが、船舶貸借協定、それから艦艇の貸与協定、こういう点から考えても、協議しないで、借りた武器を使つて、そうしてこれが損傷を受けた場合には、あとの補償、これについて問題が起るんじやありませんか、従つてあの借りた武器を使つて侵入軍と戦う場合には、必ず行政協定の二十四条によつて、勿論協議をし、事前の連絡をして行わなければ私のあの武器は使えない、又万一勝手に日本が使つた場合には、それによつて損傷が起つた場合には、これは君らが了解を得ないで勝手に使つて損傷をしたんだから、条約通り一切弁償せよ、こうやられると思う。ところが協議をした後にこれを使つて損傷した場合には、その補償は軽くなる、こういうふうに私は条約でなつていると思いますが、長官並びに佐藤法制局長官の見解を承わつておきます。
  342. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 仮に例を以て申上げますれば、或る地帯において不時に砲撃を加えて来た、これは防衛出動命令が緊急止むを得ないときに発せられるのであります。アメリカ駐留軍と協議するような時間的余裕がない場合も想像されるのであります。
  343. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 山下委員はそういう意味で聞いているんじやない。時間的余裕があるとかないとかを聞いているんじやない。山下委員質問のポイントは、来るところの侵略軍が強力な部隊であるか弱小な部隊であるかという観点から山下委員は伺つているんです。あなたのほうでは弱小な部隊で我が自衛隊だけで処理できるような場合には、行政協定の二十四条によつて、協議することなく、日本が自主的に独自に武力の発動をやることができる、こういうふうに答弁されたから、その点で伺つているんです。
  344. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はあり得ると思つております。アメリカ駐留軍の手を借りずに、当然日本の自衛隊で処理すべきものは、私は日本の自衛隊のみで処理すると考えております。
  345. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 法制局長官どうですか、兵器の損傷との関係、協定関係で。
  346. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 只今審議を頂いておりますものの中に恐らく一つありますのはこれだろうと思いますが、「いずれかの艦艇が侵略者の兵力の行動により損害を受け又は滅失したときは、日本国政府は、その損失又は滅失に対する責任を免除される」ということはございますけれども、今の打合せなしにやつて沈んだのは免除しないとかいうようなところまでは書いてございません。
  347. 山下義信

    ○山下義信君 それで直接侵略の虞れのある場合も防衛出動するのですか。「おそれのある場合」というのはどういう場合ですか。具体的にどういう場合が予想されますか、直接侵略の虞れのある場合というのは。具体的に言つて下さい、成るべくなら。
  348. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはやはりいろんな状況が考えられると思うのでありますが、例えば、若し日本を攻撃するような意図を持ちまして、意図が予測されるような状態におきまして、多数の航空機が集結された、或いは艦船が集結せられたというふうなことが、これは非常に条件によりましてむずかしい問題であると思いますけれども、そういうふうな場合は、場合によりましては「おそれのある場合」ということに該当する例であろうかと思います。
  349. 山下義信

    ○山下義信君 この防衛出動待機命令とは何のことですか。これは言い換えると、私どもが昔で申しますというと動員令ですか、動員を下すということでしよう。言い換えれば、準備してすぐやれる態勢を整えるということでしよう。違いますか。
  350. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは昔の動員のようなものとは違うのでありまして、防衛出動の待機命令と申しまするのは、事態が緊迫しまして防衛出動命令が出されるかもわからんというふうな場合におきましては、いろんな武器の整備でありまするとか、或いは人員の補充でありまするとか、或いは食糧等の補給、いろんな準備作業があるわけなんです。そのために防衛出動の待機命令ということを考えたのでありまして、実際そういうことがこういうふうな法律の条文がなくてもできるではないかと言われれば、それはその通りでありますけれども、やはりこういう規定を置いておきまして区別をはつきりしたい、こういうふうに思つておるのであります。
  351. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると防衛出動をするときは、いつでもその前提に防衛出動待機命令というものがあるのですか。防衛出動待機命令なしにいきなり防衛出動する場合がありますか。
  352. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは普通の場合におきましては、防衛出動待機命令というのが事前に出されるであろうと思いますけれども、やはり場合によりましては、そういうことのないことも予想されるのでありまして、例えば第七十六条の防衛出動の項におきまして、内閣総理大臣防衛出動を命じますには国会の承認が要る。「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」というふうな条項を置いてありますが、やはりこのような場合におきましては、防衛出動待機命令を出す余裕もないという場合もあろうかと思います。
  353. 山下義信

    ○山下義信君 よろしうございます。これはまだ問題点がありますけれども、時間がないでしようから他日にしましよう。  それでもう一つは、自衛隊の目的の間接侵略と、こういうのですね。間接侵略のときに治安出動ですか、これをやるのですね。間接侵略ということはどういうことを言うんですか。どういう種類のものを言うんです。間接侵略の定義を出して下さい。どういう種類のものを言い、どのような規模のものを言い、或いはどのような場合を、どういうものを間接侵略と言うのかというようなことを一つ具体的に示して下さい。
  354. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ここで間接侵略という言葉で表わしておりまするのは、これは日本国とアメリカとの安全保障条約第一条にありまするが、「一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じよう」というふうなことを間接侵略という言葉で表わしておるつもりでございます。これが大規模の騒擾又は内乱でございます。具体的にどの程度になりましたならばこれに該当するかということは、これはいろいろ問題があろうかと思います。「一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて」という条件がついておるのでありまして、その外部の国の教唆又は干渉がどういうような個所で行われるかということもいろいろ問題があろうかと思います。兵器その他の軍需品を補給いたしまして、そのことによりまして、それで初めて内乱又は騒擾が起きるという可能性がありますれば、それは外部の国の教唆又は干渉によつたものであるというふうに言えるだろうと思います。その規模の点は、具体的に判断する以外にはないだろうと思います。
  355. 山下義信

    ○山下義信君 一体そういう間接侵略が起きるような場合には、言うまでもなく、外から、これはことごとく十が十とまでとは言いませんが、殆んど九分九厘までは外からの直接侵略と素人から考えても同時並起が予想される。外から直接侵略の意図なくして間接侵略だけをしてみたところで効果がない。直ちに鎮圧されたら何にもならん。これは内外相応じてやることが常識的に考えられますが、そういう場合も予想されるのでありますか。そういう場合が予想された場合には、一方は治安出動、一方は防衛出動とこういうふうに、大体同じ敵でしようが、ただ攻撃の方法の内部撹乱的なことを間接侵略と称するのでしようが、そういうときのいろいろな出動の扱いはどうなりますか。
  356. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今お話がありましたが、直接侵略と一緒に起るというふうな場合にはないことはないだろうと思うのでありますが、ただその場合におきましては、直接侵略の一部として、実質的に一部として行われる場合が多かろうと思うのであります。七十八条で考えておりまするのは、直接侵略とは切離して間接侵略そのものが起り得るという場合もあろうかと思いますが、それは非常に少いと思いますけれども、そういう場合もないことはなかろうというふうな前提で、七十八条には間接侵略だけを直接侵略とは切離して想定して規定しておるのであります。
  357. 山下義信

    ○山下義信君 こういう場合の、外からも内からもいろいろな自衛隊が出動しなければならんような事態が起きて、内外騒然として国内の秩序が乱れたというような場合には、ただ自衛隊が出動するというだけですか。例えば非常事態宣言、戒厳令のことを衆議院では何とかおつしやつたようですが、そういうことを考えておるとか、研究しておるかということでありますが、私は条文の中にどこかにそういう匂いがぷんとするようなところがあるような気がして伺うのですが、そういうようなつまり言い換えればこの自衛隊が全警察に代つて警察権を行使するようなことも、一部だけじやなくしてそういうことの規定もあるようでありますが、そういうことを非常に拡大して使用すれば、この自衛隊がもう全国の治安に当るということは、言い換えれば戒厳令と実質的には同じことなんです。そういう場合の措置なんというものはどう考えられているのですか。
  358. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今お示しになりましたような場合におきましては、自衛隊の行動だけでなしに政府としてもあらゆる施策がとられるだろうと思うのであります。こてで警察との関係についてお話がございましたが、警察との関係につきましては、第八十五条でございますか、第八十五条におきまして、国家公安委員会と緊密な連絡を保つということも規定しておるのでありまして、一般に我が国の公安を掌つておりまする国家公安委員会と常に緊密な連絡をとりまして、その辺のところはうまいことやりたい。実際の部隊の発動につきましては、第八十六条におきまして、当該部隊等は警察消防機関その他と相互に緊密な連絡をして協力をするということにいたしておるのであります。この場合も警察は、完全に発動しておることが予想されますので、警察にとつて代るというふうなことはないだろうと思います。
  359. 山下義信

    ○山下義信君 いずれの場合でも、第八十八条でございますか、いずれの場合というより防衛出動時の武力行使ですね。これがよくわからんのですが、これはどういうことなんですか。防衛出動の時の武力行使、言い換えれば戦闘行為の範囲が制限してあるようでありますが、この「合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」というのは、これは戦闘は何か一定の枠がはめられてあるようであります。これはどういうことでございますか。どの程度の武力行使はできんですか。それを抽象的に合理的だということを書いてあるからわからんのでありまして、どういうことなんですか。つまり言い換えれば、自衛隊の俗にいう戦闘行為には一定の枠がある、限度があると、こういうことですか。
  360. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この八十八条のお尋ねでありまするが、これは八十八条は、我が国を防衛するために必要な武力を行使するということでありまして、要するに自衛権の発動としての武力の行使でございます。従いまして国際の法規慣例等は、大体におきまして戦争ということを前提としてきめられておりまするので、必ずしもそのままそれによれない。その中で更にしぼりをかけなければいけない急迫不正な侵害がありまして、これを排除するために処する適当な手段がないという場合にのみ自衛権の発動が許されるのであります。そういう趣旨を以ちまして法規慣例による場合はこれを遵守し、なお且つ法規判断の限度でなければならないということを書いたのでございまして、具体的にどの程度になるということは、お話通りこれだけですぐ出て来るということには参らないだろうと思うのでありますが、これは相手方の攻撃の態様如何によるのでありまして、そこのところはなかなか具体的に書いて置くことはむずかしいと思うのであります。
  361. 山下義信

    ○山下義信君 これは何も自衛隊は直接侵略といつて、敵が来て出かけて行つても成るべく相手にならんように、戦争を成るべくせんように負けて逃げるように、成るべく武力を余り過度に行使せんようにという穏便主義がこの規定の精神ですか。それならそれでわかるのです。私の問いが難問でしようか。つまり自衛隊を動かす基本的な方針というか、理念というものが、これはやはり自衛隊の隊員に教えるでしよう。どこまででも行けというのじやないでしよう。或る程度まで合理的の場合には行けるぞということを教えれば自衛隊の隊員も読みますよ。或る程度の手控えをすると思いますが。
  362. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今申上げました通り、自衛権の発動としてやるのであります。急迫不正の侵害がありとして、且つはかにこれを避ける手段がないという場合にのみ自衛力の行使をされるということ以外にないのであります。それは先ほど私が申上げました自衛権の行使の限度内に全力を尽してそれに当るということは当然だろうと思います。この規定で直接にそういうことは出て来ないと思います。
  363. 山下義信

    ○山下義信君 そんなむずかしいことは自衛権の範囲内、それは隊員にはわかりませんよ。この法律でも合理的に必要と判断される限度を超えて武力行使を行使してはならんという法律がこの隊員にはわからんのです。ところが隊員の服務規程といい、隊員の本領といい、あなたがたの軍人勅諭のようにお聞きになつたところでは、危険を顧みずやらなければならんと書いてあるが、それは隊員が合理的に判断して、必要な判断を超えそうだからこの辺でやめておきますと言つても、それは義務を、これを背いたとは言えません。これは大事な私は法の解釈です。これは根本になると思います。自衛隊の隊員が銃をとつて号令の下に身命を顧みず突進んで行けと言われる武力行使の限度が、ここに或る程度ちやんと枠がきめられてあるということは、これはそのときの隊長とか武力行使をする者の判断でよろしいのですね。
  364. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは私ども考えといたしましては、自衛権の発動として武力の行使をするのでありますから、必要以上の武力の行使ということは、全体としての問題でありますから考えられないのであります。ただ必要がないのに相手方の抵抗にやはり適当に攻撃を加えるというふうなことは、個々の戦闘をとつて言うのじやありません。全体としてそういうことがあつてはならないのであります。その趣旨を第八十八条の第二項に書いてあるのでありまして、合理的に必要な限度かどうかということは、個々の部隊の判断というよりか、戦闘全体の判断によつて私は行わるべきものであろうというふうに考えております。隊員に対しましては、そういう点を私は誤解のないようにこれは徹底させなければならないと思います。
  365. 山下義信

    ○山下義信君 それは当然そうです。全体的の原則ですが、全体的の原則であり、部分的な行動にやはりこれは適用されるのである。どこの世界に死んだ者を叩く者はありはせんので、それだからそういうことはありませんでしようけれども、戦闘の範囲内が或る程度枠をきめられてあるものと、これが、八十八条が原則を示しておるということは、私は重大だということだけ指摘して、又他旦詳しう聞きましよう。それではもう一つ承わることは、隊員の大事なことが脱けておる。それは出動の時に別に手当が出るようになつておりましたが、小さいことだが聞いておかなければならん。出動時期には増手当が出るようになつておりますが、その附則のしまいのほうにちよつとあつたと思います。私は平生の給料で使うかと思つたら、出動の時には別に給与をやるというようでありますが、これはどういうような給与をやるのでしようか。
  366. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 出動の場合におきましては、私どもといたしましては、特別の手当を支給したいと思つておりまして、この法案の……(「附則第三十条です」と呼ぶ者あり)立案の過程におきまして、関係当局とも協議をしたのでありますが、只今のところでは特別の給与を出すということだけは話はつきましたけれども、具体的にどういうような給与を出そうかということは、引続き協議して研究してきめるということになつております。
  367. 山下義信

    ○山下義信君 安う使うかどうしようかわからんということですな。
  368. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。委員長議事進行言うたら許さにやあいかんですよ。先ほどですね、木村長官委員会に対する出席の態度について質したのですが、そのときに増原次長の出席を要請しましたが、今出席したようです。従つて山下委員に御了解を得られればこの懸案の問題でありますから簡単に黒白を付けたいと思うのですが、山下委員の御意向を伺つて頂きたい。
  369. 山下義信

    ○山下義信君 私は他に所用もございまして、この程度で終りたいと思うのです。残つておりますが、一番しまいでもさして頂いたらいいのでありますが、矢嶋君如何でしよう。ただ二問題ほど残つておりますから、三分ぐらいでしまいたいと思いますがよろしうございますか。  それじやまだ出動の場合に使う給与がきめてないのですね。それはひどいことじや。至急に早くきめて頂いてもらわんと、大事なことは皆きめませんね。次に、予備自衛官ですね。これは大変な問題ですから、これだけ別にしておりますが、一応承わつておきます。これは今回は一万五千とされたのでありますが、今後増加されるという御計画はありませんか。
  370. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 今度予定をしております二十九年度においては一万五千でございまして、それに伴う予算を計上しておりまするが、これはなお研究の結果、三十年度において増員すべきかどうか研究をいたしたいと思いまして、三十年度に増員をしないというまだ方針は決定をいたしておりません。ただ何ぼ、如何ほど増員するか勿論まだ決定をいたしておりません。
  371. 山下義信

    ○山下義信君 これは今年度一万五千という数字は、いろいろな点から差当つてこの数字を出されたと思うのでありますが、やはり今年度一万五千の予備自衛官をお作りになりますためには、どの程度の自衛官というものか必要か。七万五千あつたらいいか、六万あつたらいいかという大体の所要の目星が、それが何年計画になろうと、来年はできまいと思う。大体この程度の自衛隊ならこの程度の予備自衛官という、予備なんですから必要な程度のものを予備に置くのでありますから、この自衛隊の十八万の自衛隊なりを、予備自衛官というものはどのくらいなければならんということは、必然的の計画でありますから、若し許されるならば予備自衛官というものは、全体的にどの程度のものを現在の自衛隊としては必要とするかということの、当局のお見込はどういうお見込を持つておるかということを承わりたい。
  372. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 御尤もな御質問でありますが、まだ現在の保安隊、今度自衛隊になりますが、そして新らしく直接侵略に対処するという任務を負うわけであります。これに対して如何ほどの予備自衛官が最も適切な数であるかということを、実はまだ確定いたしかねております。これはいろいろの考え方、基礎資料の取り方によるわけでありまして、このたび一万五千というのを一時定めましたのは、一つには、本年度大体満期になりましてやめるであろう者の数の想定、今までにやめております者の数の想定、今までにやめておりまする者の数、そういうものから大体どのくらい予備自衛官として取り得るだろうかという想定を一方にいたしました。そうして予備としてどういう方面に、いわゆる、いざという場合に欲しいかというものを睨み合せまして、先ず本年は概数として一万五千を定めたわけでございます。こういうことが、なおこれは研究を十分いたしまして、更にこれは今までいろいろ長官からも申上げていると思いまするが、なかなか、いわゆる長期計画というものを立てたいと思いまするが、これができないような事情がありまして、長期的に最後の数として、例えば自衛隊が十八万であるから、予備官が何ぼというふうにまだ参りません。取りあえずは、本年の計画、来年の計画、それをまあできるだけ正確にと申しまするか、実情に合うように作りたいと思つておりまするが、まだその点しつかりしたものにはなつておりません。
  373. 山下義信

    ○山下義信君 まだおきまりにならんということでございますから、くどくはお尋ねいたしますまい。ただ今後とも増員する希望を持つておられるという実情だけはさように承知してよろしうございますか。これで打切るというお考えでございましようか。
  374. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 一般自衛官の漸増計画を大体方針として政府が持つているわけでありますから、これに伴いまして、予備自衛官としても、やはりそれを見合つて漸増をいたしたいという考えを持つております。
  375. 山下義信

    ○山下義信君 只今自衛隊自衛官人員、この規模でありますならば、もう現在の予備自衛官の数にとどめるのだと、かように了承してよろしうございますか。
  376. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) その点、先ほど申上げましたように、まだ明確に自衛官に対する、予備自衛官としての釣合いが、これでいいというふうにはつきりと、確定的な研究資料等まだ整えておりませんので、現在の、今度増員をされましても、十三万の自衛官に付して、一万五千でよろしいというふうな、まだ結論は明確に出しかねております。
  377. 山下義信

    ○山下義信君 本隊が漸増すれば、漸増するとおつしやつたから、漸増しないで、今の程度にとどまつたらば、自衛官も今の程度にとどめるかと伺つたのでありますが、もう一度御答弁願いましようか。
  378. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 只今のお答え申上げましたように、現在の十三万に対して、一万五千で十分であるという、まだしつかりした研究と結論に到達しておりませんので、想像的に申しまするならば、十三万が増員にならない場合でも、自衛官としては、或いは多少の増員をお願いするという事態があるかもわかりません。研究の結果によります。
  379. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。最後に一つ、これで私はおしまいにいたしますが、隊員の欠格条項の所にいろいろまあ欠格条項があるのです。これはまあ端的に聞きます。隊員が共産党員になりましたらば、どういう処置をされますか。この法律で言えば一向差支えないのですか。
  380. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 法律上は仰せになりますように、共産党員になつたらどうということは一応ございません。その人が、いわゆる共産党員としての行動が、隊員として適格であるかどうかという判定にかかるものと思います。隊員として不適格であるならば、隊員として不適格という理由でやめさせるなり何なり措置をとるということになると思います。
  381. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると、自衛隊は、隊員が、共産党員たることを拒ばまないと、行動しさえしなければ、入党しておつても、党員であるということは、はつきりそれが明知されても、一向自衛隊としてはかまわないと、かように解釈してよろしうございますか。
  382. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 現在の法律及び次の自衛隊法におきましても、共産党員たることは欠格条項ではございません。
  383. 山下義信

    ○山下義信君 私はこの予備自衛官が必要な場合に招集せられたりいたしましたり、或いは又自衛隊が出動せられました、命ぜられたような場合に、隊員としての欠格条項が起きたときには、この招集を免除せざるを得なくなる。法律的にも、又出動に連れて行こうとしても、連れて行かれないようなことも起きて来る。それで私は共産党員が、私が共産党のことを聞くとおかしいのですが、まあ別に親類じやありませんから聞きますが、共産党員たることを一向かまわないということがはつきりして来て、共産党にどんどん入党した。多くなつて来ると、自衛隊は共産党員の自衛隊になり得られますな。なり得ることもありますな。そうするとその募集のときにも共産党員でも一向かまわない、選考の基準にありませんか、ありますか。そうすると私ははつきり共産党員であると言つても、それは募集のときの選考等の場合のこれは選別をしませんか、落しませんか。やはり普通の者と同じように採用しますか。
  384. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 御質問のさつきのあれは、欠格条項であるかないかと言われたので、欠格条項でないと申上げたのでありまして、普通今まで多いときには七、八倍、少いときにも二、三倍の人が参りまして、そのうちから選択をするのでありまするから、欠格条項のない人が全部通るわけではございません。そのうちから隊員として比較しましてこのほうがよろしいという者を取るわけであります。共産党員である者も必ず取ると申しておるわけではございません。
  385. 山下義信

    ○山下義信君 必ず取るではないでしようけれども、それは、それじや募集のときの不適格のなににはしませんね。まあ隊員のなにから募集のときの私は基準に今は質問がこう移つて来まして、募集のときのを聞いておるのですが、募集のときも共産党員取りますか。
  386. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 募集のときというと、例えば受付というような問題だろうと思いますが、共産党員であれば受付を拒絶するというようなことはございません。
  387. 山下義信

    ○山下義信君 受付並びに採用するかどうかというようなことを選考することでございますね。
  388. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 欠格条項でございませんから受付をいたし、選考の中に入るわけでございます。
  389. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。それならばそれではつきりしております。そうすると自衛隊員が共産党員である、共産党に入党した故を以て別にこれは隊員としての欠格条項ではございませんから、これを以て隊員を罷免するというようなこともなからねば、一向差支えありませんね。
  390. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 御趣意、よくおわかりになつての御質問のように思いまするので、その通りと申上げたほうがいいと思いまするが、繰返して申上げますが、欠格条項ではございません。併し欠格条項でないものは全部隊員として入るわけでございませんので、そのうちで更に隊員として不適格な者がいろんな事由で出るわけでございます。それを淘汰することがある、こういうことでございます。
  391. 山下義信

    ○山下義信君 一体自衛隊は、防衛庁長官は、この共産党と隊員との関係について如何なる基本的な方針を持つておられるか。又今日までの保安隊の中に共産党関係者が出たことがあるかないか、又一体そういうものに入党することも一向かまわんという態度を基本的におとりになつておられるかどうか。例えば横須賀の保安大学等にも、新聞などに出るように共産党のフラク活動云々といつて相当新聞に出ておるが、そういうことも一向自衛隊としてはかまわんというような考え方、非常に関心を持つておられるかどうかということも、この際明確に保安庁長官から承わつて置きたいと思います。
  392. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。現在の共産党員はいわゆる私はマルキシズム以上のものであろうと考えております。レーンニズム、スターリニズムをいつておると考えております。いわゆる暴力革命を企図しておるものと考えておる。併しこれは私の私見であります。(笑声)従つてさような党員は自衛隊員たること望ましくはありません。従いまして例えば希望者が二人あるとして、片一方は共産党員である、片方は共産党員でないということがはつきりしておれば、共産党員にあらざる者を採用することは当然であります。
  393. 山下義信

    ○山下義信君 どれでは私は歯にきぬ着せずに伺いましよう。これは廻りくどいことを言うておつてはいけませんから、これは自衛隊は、直接侵略は知りませんよ、併し間接侵略と言えば、国民は常識的に共産党の武力蜂起を考えているのです。それを自衛隊は守つて行こうという目的でしよう。それがその任務を持つておる自衛隊員の中に共産党員がおることは一向かまわないということが、国会で正式に当局から言明されれば、それは一体捕えられる者が捕えるほうにおつて、どつちに矛先が向いて来るか、これは非常に問題にすることなんであつて、当局のそれに対するところの言明、態度が誤解を受けるようなことがあつてはいかんと思う。私どもは社会党であるが、一線を画しておる。何も共産党攻撃のためにこの問題を持ち出したんじやないのですが、具体的に当局の方針を私は聞かなければならんと思うのです。
  394. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御尤もであります。それだから私は今申上げた。日本共産党員は暴力革命を主義としておる。さような者は隊員たることは望ましくない。
  395. 山下義信

    ○山下義信君 間接侵略のときでも直接侵略のときにでも、共産党員である隊員をやはり防衛出動、治安出動のときに連れて行きますか。はつきりわかつている者も連れて行きますか。
  396. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 断じて連れて行きません。やはり共産党員ということがはつきりいたしますと、恐らく他の欠格条項に該当するものと私は思料いたします。
  397. 山下義信

    ○山下義信君 欠格条項の中にはないと言つたじやありませんか。
  398. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 欠格条件というのは取消します。適格性を私は欠くものと考えております。
  399. 山下義信

    ○山下義信君 それでは私は伺いますが、予備自衛官を重視し、そうして又いよいよ防衛出動という時分には、生命に危険のあることはわかり切つた話である。これは徴兵義務じやないのですよ。志願兵制度ですよ。宣誓というものがどれだけの価値があるか、拘束力があるのか知りませんけれども、そういう生命に危険のある出動の場合に、これは故意にそういう危険な所に行くまいとすれば、共産党に入党すればもうみんな行かないで済むようになるということも、これは先のことは問題が違うけれども、あり得ますよ。やはりそれでも連れて行きませんか。
  400. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これはそういう者は私は望ましくありません。
  401. 山下義信

    ○山下義信君 その時分には出動を免除しますね。招集解除しますね。
  402. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうするよりいたし方ありません。
  403. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。そうすると、共産党員であれば、共産党に入党すればこの予備自衛官防衛出動を免がれることができる。現在の自衛隊員も共産党員になれば防衛出動、治安出動にも出動を免がれることができる。隊の中に残つて炊事場におるか、何になるかわからないけれども、いわゆる安全な所にいられる、こういうことの逆効果もあり得ますね。(笑声)
  404. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 欠格性と適格性との問題でいろいろ御議論がありましたが、今まで長官及び次長のおつしやつたのは、欠格条項ではないということでありまして、適格性を持つておるかという点になりますると、それは適格ではないということは、長官、次長が先ほどからずつとお申しになつておられる通りであります。適格性のない者はこの法律によりましてこれを罷免することができるのであります。予備自衛官になつております者でも、その者が適格性がなければ予備自衛官たることを罷免いたします。
  405. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。この程度にしておきます。
  406. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長官は非常に割切つて答弁されているようですが、まあ問題が大体わかつて応答されていると思うのですけれども、私この際念のために伺つておきますが、それはまあ法制局長官ですがね、少くとも今の憲法下では、或る政党に所属しているが故にこれが不適格である、或いは採用しない、他にまあ不適当であるとか云々の要素があれば別ですが、特定の政党に入つているが故に欠格をしているとか、或いは不適当であるというので排除することは、国家の手によつて募集する場合に表の座敷では言えないことだと思います。この一点と、それから木村長官非常に割切つて言われておりますが、労農党とか左派社会党は如何でございますか。(笑声)
  407. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは憲法問題としてお答えいたしますが、曾つて衆議院でそういう御質疑がありまして、仮に欠格条項のほうに共産党員はいけないというようなことは書けないかというような、恐らくそういう趣旨だつたろうと思いますが、お尋ねがございました。今おつしやいましたように、私どもはただ共産党員であるというだけの理由で欠格条項として法律に書いて、これを排除してしまうということは憲法上疑義がありますから、ちよつとお引受けいたしかねますということをお答えしたわけであります。
  408. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 社会党の左派、労農党の人たちは、私は決して暴力革命を企図しておるような人はいないと考えております。
  409. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで結構ですね。
  410. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) どんどんお入り下さい。(笑声)
  411. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について。山下委員質問が終つたようですから、先ほどの結末をつけたいと思います。ということは、隊員のことだから云々と言つておりましても、これは立法府と行政府関係で、今日の衆議院の問題は明日は我が身に振りかかることもあり得るわけですから、従つて私は明確にしておきたいと思うのです。  増原次長に伺いますが、私は今日内閣委員会は午後二時に再開されるというアナウンスがありましたので、私は下に待機して、二時に帰つて来たわけでありますが、増原次長に対しては、小酒井内閣委員長から、午後の再開は二時になつたから長官に然るべくという、保安庁次長としてのあなたに小酒井委員長から連絡があつたと私は承わつているのでありますが、ありましたか、ありませんでしたか。
  412. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 小酒井委員長から電話で、衆議院の内閣委員会から一時間長官に出席をしてもらいたいという連絡があつて、自分はこれを了承したから長官に伝えてもらいたいという電話がありまして、それはお伝えするだけはお伝えいたしましようというふうに私は言いました。
  413. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 木村長官、おかしいじやないですか。次長はちやんとお伝えしたというのに、長官はさつき聞かなかつたと言つたのですが、如何でありましようか。
  414. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えします。増原次長は、私に言つたとは申しません。小酒井委員長から木村長官に伝えてくれということを電話で承わつたというだけです。
  415. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 違う。そういう詭弁は駄目です。ここではもう今の問題ですから……。
  416. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 駄目じやありません。増原次長からお答えさせます。
  417. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 待ちなさい。そんなことを言つて次長に都合のいいような答弁をさせようたつて駄目だ。今増原君は言明した。小酒井委員長から電話があつたので、そうして保安庁長官に伝えるようにという電話があつたので、そういうふうに私は伝えたつもりであります。こういうふうに言明した。
  418. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 速記録がありますので御覧を願えば明白であります。私が申したのは、御質問に対してだけお答えしたので、そういうことを聞いたかと言われたら、私は小酒井委員長から承わつて、伝えることにいたしましようと答えたと言うたのでありまして、その後のことは御質問にならんからお答えしなかつたので、その後私は大臣室のほうへ伝えるために参りましたが、長官はすでに一時ちよつと過ぎておつたかと思いますが、或いはちよつと前ですか、すでにこちらに出ておられたので、私は長官には伝えておりません。
  419. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではさつきの発言については攻めて速記を調べますが、然らば保安庁次長が立法府の委員長からそういうふうに伝えて欲しいという要請があつて、而も木村長官が行方不明ならともかくも、あなたはこの委員室においでになつておるということまで確認しておつて、何が故に伝えないのか、それであなたの職分が尽されたということになりますか。
  420. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 私は伝えろという使者の役目を仰せつかりましたので、委員会に長官が出て来られたならばこれはちやんとわかることでありますから、私は特に追つかけてまで申上げる必要はなかろう、丁度そのとき私は帰りのところで自由党のかたにお目にかかつて、実は今こういうふうに委員長から伝えろと言われたが、まだ会つてないが、こういうお話がありましたと言つたら、自由党の理事のかたは、それは一時から始まる予定になつておるので、それは一遍話をしなければならんというので、委員会のほうへおいでになられたという附け足りのこともありますが、大臣がここに出られたので私は特に追つかけて申上げんでもよかろう、こういうふうに感じて大臣には伝えておりません。
  421. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたがたはこれからの三軍方式の自衛隊を指揮される立場に立たれるかたですよ。いやしくも委員長からかくかくのことを長官に伝えて欲しいという要請のあつたものを、勝手な判断で伝えないというような、そういう次長で一体こんな自衛隊あたりの次長が勤まりますか。内閣委員長に対して、あなたは遺憾の意を表すべきである。  又木村長官に伺いますが、内閣委員長からそういうことを云えて欲しいという要請があり、そういたしましようと約束して、而もあなたはここに来て座つておるのに、そういう連絡もしないような部下の次長の態度は望ましき態度であるか遺憾な態度であるか、どう思いますか。
  422. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えする限りでありませんが、私は決して増原次長の行動について批判をすべき問題ではないと考えております。
  423. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はそういうことを言つているのではないのだ。その増原次長のとつた態度はそれで十分だと思うか、遺憾な点があるか、長官としてどういうふうに考えるか。こういう問題はごまかして済ましてはならん問題だ。私は絶対ごまかすことはできないと思う。黒白をはつきりつけなければならないと思うのです。増原次長の態度は十分ですか、それとも不十分で遺憾な点があつたのですか。どう判断されますか。
  424. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そのときの情勢から判断して遺憾の点はないと考えます。
  425. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうして遺憾の点がないのですか。内閣委員長に対して相済まんじやないですか。
  426. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそう考える。
  427. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうして。
  428. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) どうしても、理由は言わん。
  429. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 恐るべき権力者である。そういうふうな考え自衛隊あたりを指揮されてはたまらないですよ。増原次長どうですか。あなたは若干遺憾の点があつたというなら率直に謝りなさい。遺憾の意を表明しなさい。
  430. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 私も別に遺憾といつて別に謝るほどのことではないと考えます。その理由は、委員長から一時に開くべきものを二時にするように了承をした、それを伝えてくれと言われた。(「伝えればいいじやないか」と呼ぶ者あり)伝えに行つたのです。(「どこへ」と呼ぶ者あり)それで長官室、大臣室へ。そうして長官が恐らくちよつと用事があつて官邸へ行つたとか何とか言われるのであれば、追つかけて伝えるべきだと思いますが、この委員室へ出られたということであるから、当然ここであの話を聞かれるであろうという想定の下に私は特別に追つかけて申上げなかつた、こういうことであります。
  431. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣にも秘書官がおられるし、あなたも部下を持たれておるはずなんです。何が故に内閣委員長のその要請を正確に伝えないのですか。大体内閣委員長、あなたは増原次長に電話をかけ要請したというのに、只今の増原次長のとつた態度で内閣委員長として満足しますか、しませんか、如何ですか。
  432. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 満足はいたしません。
  433. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの問題を荒立てたくないのですが、与党の人たちの審議を急ぐ気持はわかります。それから増原次長もこの法案を早く上げたい、木村長官も上げたいということはわかります。わかりますが、今度の連絡の問題については、これは事務当局として、先ほど連絡をしたところが、自由党の人が来て、実は一時から開くはずであつたけれども云々ということですが、そうしてその委員長連絡してくれというのを、ほかから又話を聞いてこれを怠つたたということについては、これは甚だ私は了解できないと思う。事務当局が与党のほうから動かされて態度を二、三にするということは、責任を全うしないということは私は非常に遺憾だと思います。これについて全然遺憾でないと言い切つておるから承服できない。矢嶋君が言われることは筋が通つておるのです。これは審議を促進させる、させないという問題とは別に手続の問題として確かに遺憾です。ですから遺憾の点があつたら、はつきりと遺憾の点があつたとおつしやればいいのに、それを強弁していろいろ言われるから、私はその点は今のあれは理由にならないと思うのです。増原次長が連絡されなくてもどなたか事務の人でも連絡して、あなた自身が追つかけて行かなくても一応責任委員長からそういう電話があつたなら、あなたはメモに書くなり何なりして、事務的にほかの人に連絡を頼んでもいいから、ですから連絡をしてくれと頼まれたことについて職責を全うしていないのです。ですからやはりこれは遺憾の点があるのであつて、私は率直に矢嶋君の質問に対して、遺憾の点がなかつたと強弁されることはよろしくないのじやないかと思うのです。今後の審議上も私はこれはいいことではないと思うのです。
  434. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 委員長から伝えてもらいたいという申出があつたことに対して、結局私は大臣に伝えておりませんので、その点では遺憾の意を表します。ただ理由としては、これはもう極めて簡単なことで、大臣委員室に出て来られたから当然わかつておることと思つて追つかけてお伝えしなかつたということで、私の申開きを附加えたにとどまりますから、伝えてないということについては遺憾の意を表します。
  435. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今のは私は申開きにならんと思うのです。とにかく委員長をなめていることは甚だしいですよ。問題はそれなんです。委員会をなめたそういうような態度じや困りますよ。委員会をなめないでちやんとまじめにやつて下さい。そうしなければ審議は進みませんぞ。私はそれだけ言つておく。
  436. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 私は委員長をなめたつもりは勿論ありませんし、委員会をなめたつもりもございません。そういうふうに受取られるような結果になりましたことは遺憾であると存じます。
  437. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は事務当局は余り与党的動きをさるべき場ではない、結果から見てそういうことになつておると思うのです。これはよほど慎しまなければ審議上、私はやはり非常にむしろ審議を促進しようとして逆効果が出て来ると思うのです。事務当局がそういう与党的動きをされるということについては、十分戒心をしてもらわなければならないと思うのです。
  438. 八木幸吉

    八木幸吉君 私はこの前木村長官があつさり陳謝されたことは、私は非常に活淡ないい態度だと思つて敬服しておるのですが、遺憾の意では困るので、陳謝してもらいたい。(「了承、了承」「しようがない」と呼ぶ者あり)
  439. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 しようがないじやない。立法府と行政府関係で、与党とか野党とかという問題ではない。
  440. 八木幸吉

    八木幸吉君 簡単に陳謝されればいいじやないですか。委員長に言われたことを長官に伝えないということで職務が済むわけでもないと思います。一町もあるわけではない、委員長に言われたのに四の五の言つてやつと遺憾の意では了承しません。一分もかからないから陳謝してもらいたい。
  441. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 八木委員からの御発言でありますが、政府側からは何も答弁がございませんから、それは一応私は留保して今日は散会いたしたいと思います  本日は散会いたします。    午後五時二十九分散会