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1954-05-21 第19回国会 参議院 内閣委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 五月二十日委員松本治一郎君辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            山下 義信君            八木 幸吉君            木村禧八郎君            三浦 義男君   国務大臣    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    保安政務次官  前田 正男君    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○防衛庁設置法案内閣提出、衆議院  送付) ○自衛隊法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より委員会開会いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案右二案につき一般質疑を続行いたします。
  3. 山下義信

    山下義信君 委員長のお言葉でございましたが、今一般質疑とおしやいましたが、まだ実は一般質疑に入つていないのであります。昨日午後に至りまして政府から保安庁未定稿という一片のメモを御提出なつたわけでございます。そうしてその説明を承わつたのでありますが、説明は単にメモの朗読という程度であつたわけであります。我我はこの程度のものをもちまして一般質疑に入ることにつきましては実は異議があるのでありますが、併しせつかく理事会のあつ旋もありまして、本日はこの資料について一応政府所見を質しまして、然る後に一般質疑に入るかどうかということの態度を決定いたしたいと考えておるのでございます。従いまして、以下数点につきまして御提出資料について政府の御真意を伺いたいと思うのであります。  第一点は、政府は、国防会議に関しまする法律案はもとよりでありますが、その要綱等につきましてもこれをこの防衛法案審議中はもとより、今国会会期中を通じ、これは当初から提出をしないという御意思であつたのではないかと考えるのであります。それは言うまでもなく三党折衝結論が出ていない。結論が出ていないというよりは、これは一応棚上げにしておくということをお約束になつておる。恐らく諸情勢と睨み合されて、或いは次の国会にやろうというお申合せであろう、従つて、この国防会議結論については検討中であるとおつしやいますけれども、実際はもうすでにこれは棚上げしておられて、続いて御検討の形跡はない。従つて防衛庁設置法の中におきましては別の法律でこれをきめるというふうに逃げてもおられて、初めから国防会議全貌について我々にお示しならんという考え方である。その何というか、誠意のない、非常にずるい、国会をごまかして行こうということが具体的に防衛庁設置法の第一条の書き方にそれを現わしておるわけであります。私はこの点を非常に不都合と思う。法律法文をそういう政府の政略的な意図に合せるような書き方をされて、この重大なる防衛庁法案のこの一条々々国家の運命を決する重大な条文にあいまいなごまかし的な字句を使用しておられるということにつきましては、実は私は政府の不誠意をなじらざるを得ないのであります。それは防衛庁設置法の第一条におきまして、「(この法律目的)」と題して「国防会議設置について定めることを目的とする。」私はこの書き方は実に不誠意だと思う。巧みに字句は操つておられまするけれども、結局国防会議設置については、この設置の中で便宜こういうふうに書かしてやるということだけのことだということを第一条でこの法文示しておるのであります。これは甚だ不都合である。ちよつと見ますとこの防衛庁設置法の中に国防会議というものが持たれるのであつて国防会議事務如何にも防衛庁が取扱うがごとくに見せてある。そうして、而も防衛庁組織法の中に第三章とわざわざ一章を設けて国防会議という章を置いて、そうして防衛庁と密接不可分な機関であるかのごとくこの設置法法体系を作つておるのです。そうして、その実はただ国防会議を置くということをこの設置法を便宜借りて謳うだけのことであるというような言い方というものは、誠に私は不誠意極まる法文書き方であると考えます。従いまして、政府は当初から国防会議全貌については何ら示すところの誠意がなく、一応ほうかむりして設置法条文までごまかして、そうしてこの審議を要求せられるような態度に出ておられると私は考えるのでありますが、政府誠意ある一つ答弁を得たいと思います。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 法文にも関係しておりますから一応私からお答えを申上げます。  不誠意というお叱りでございますけれども、まあこれは御覧になるかたがたのお感じの問題がおのおの違うということは率直に肯定いたしますけれども、この誠意あるものか不誠意なものかという点につきましては、これは又我々のほうとしては御弁明を申し上げなければならないので、今のお言葉にもありますように、いやしくもこの防衛庁或いは自衛隊の活動に関係して最も密接なものとして国防会議考えております以上は、やはりここへそれを顔を出さすということは当然の筋であろうと思います。従いまして、この第一条におきまして国防会議を置くということについて、この法律で定めることを目的とするということでありまして、その設置がここで確かにきまつておるわけでございます。あとその構成等についてこれは別に法律で定めるということにしておりますから、この法律そのものとしての筋は通つておるつもりでございます。
  5. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと先ほどの発言で訂正をしておきたいと思いますので。開会の際に一般質疑と申しましたが、やはり今問題になつておりますこの資料に対する質疑を先に行うことになつておりましたのでその訂正をしておきます。
  6. 山下義信

    山下義信君 政府誠意の有無はあと木村長官から伺いますが、大体これは佐藤長官何でしよう、普通の法律案で言えば附則に書く程度のものですね。附則に書く建前のものですね。ですから防衛庁そのものの中の組織でもなけらねばその仕事を防衛庁があずかつてするというのでもなけらねば、言い換えればその防衛庁を借りて他の法律に調うのでありますから、普通の法案などによりますとこれは附則などで書いてもいい程度のものですね。それを特に防衛庁設置法に第三章国防会議を設け、而も第一条におきましては、ただこの法案を借りて国防会議を設けるということに、ここに紹介しておくにとどめるのだという行き方というものは、法文体裁から行きまして割切れないような感じがするのでありますが、御所見如何でありましようか。
  7. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 立法の方式といたしましては、お話のような附則に入るここも決してこれは間違つたことではございません。そういう方法もあると思います。或いは又これだけを別の法律として全然これとは切離した形として御提案申上げることも考えられます。私どもとしてはただこの附則というのは、これは国防会議実体から申しまして附則は余り気の毒じやないか。これはもう事柄の性質からそういうことが言えると思いますから附則に入れることはやめまして、さりとてこれを又別の法律にするということよりも、この先ほど触れました防衛庁或いは自衛隊というものに密接の関係のある機関でございますから、特に優遇いたしまして第三章と一章を設けてここに入れたということでありまして、これは立法のやり方はいろいろありましようけれども、この実体から申しますと常識的にも穏当な扱い方だろう。かような結論でこの形をとりました次第であります。
  8. 山下義信

    山下義信君 これは私は詮索するのじやありませんが、防衛庁設置法の中に第三章というものを設けて、而もその事柄自体が実は防衛庁設置法から逃げて行く事柄ということは、法案体裁としては真正面から受取つた場合において何か裏切られたような感じがして納得しがたい感がいたしますが、佐藤長官どうでございますか。
  9. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 裏切られたというようなお言葉がどうも信頼性を欠いたという前提に私ども受取れるのでございますが、要するに附則などに仮に入れて出しますと、更に隅つこのほうへ押込めてごまかしたという御批評もこれは理論上可能になるわけであります。それを考えますとむしろ堂々こ第三章こいう章を設けてここに書いて、而も別に構成等については別の法律で定めますということまでもすつかり手の中をさらけ出して、いわんや又第一条にそれを入れて実に腹蔵なき形を私はとつている、その点はお叱りを受ける筋合ではないと考えております。
  10. 山下義信

    山下義信君 それでは法制局長官の御意向を私も了承するといたしまして、それだけの大がかりでやらなければならん国防会議のこの結論について、政府が未だこれをお示しにならんということの政府当局誠意如何について木村長官の御所見を承わりたいと思います。並びに又御方針も承わりたいと思います。
  11. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この国防会議構成内容をどうするか、これは法律で定めるということになつております。そこでこの内容については十分に検討を要するという関係から、御承知通り三党でしばしば折衝されたわけであります。折衝されておりまするがまだ結論には達しておりません。政府におきましてもこの三党の折衝の結果を見まして我々の意見も十分に参酌を加えてこの法案内容を整備してできる限り早く国会提出いたしたいと考えたのでありますが、まだその運びに至らないことは誠に我々といたしましては残念に思つておる次第でございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。只今長官の御答弁を伺いますと、政府はこの法案を出す意思があつて、そうして極力今努力中だというお話なんですが、二十九年度の予算にこの国防会議設置予算が計上されておるのですか。
  13. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 国防会議のための経費というものは計上してございません。これは置かれるといたしましても、大体既定経費の中の措置でできるという大体建前で特別には計上いたしておりません。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常におかしいと思うのです。既定経費の中で賄えるという場合に、じや既定経費について我々は予算説明の中にそういう国防会議のほうに流用するということは何らの説明は聞いてなかつたわけです。今実は私はこの表面に現われていることよりも、この裏においてまだ解決しない問題があつて政府は実は出す意思がない、出す意思がないから予算を出してない、そういうように我々は考えざるを得ないのですよ。本当に誠意があるのなら私は特に重要なこの国防会議なら特別に国防会議としての予算を計上すべきである。これを計上してないで既定経費のほうで何か賄うというのでは、それではこの国防会議について政府は本当に誠意を持つているかどうか疑わしい。これまでの経過を見ていると政府はその意思がないのだ。改進党から言われて仕方なくその法案に賛成を得るためにこれは入れられたのであつて政府は実は反対なのだ。内容を見たつて閣僚だけでやるのだつたら閣僚懇談会と同じだから意味がないと思うのです。これは形式だけでただ改進党を納得させるためにこういうものをされて、政府はやる意思がない、だから予算を組んでない、そう解釈せざるを得ない。只今せつかく努力中と言われましたけれども、それならばこの審議中にこの法案は出るのかどうか。又予算をそれでほかの費目から使うとするならば、当然この法律案は私は出さなければ使えないと思うのです。予算通つてこの会期が済んでから法律案が出て、そうして流用するというようなことは私は許されないと思うのです、そういうことは。従つてこの点についてそれならばこの法案審議中に法律案としてお出しになれるのかどうか、私はなれないのではないかと思う。なれないのに出せるがごとく我我試案として、実際はこれは実現性の乏しいものをこの場のしのぎにこれを出して来る。そういうふうに解されるので、又山下君も先ほどこれは我々を偽つて出している、そういうこれは我々の邪推と言いますか或いは誤解と言いますかそういうものが生ぜざるを得ないのです。この点を十分長官から、我々が誤解しないように、我々が邪推しないように正しくこれはざつくばらんにお話されたほうがよろしいのではないか。正面に出ていることより裏に潜んでいる今までの経過ですね、我々は知つておるわけなんですよ。実は長官も御存じのように、改進党の折衝過程はみんな知つておるわけです。ですからそれはざつくばらんにはらを割つてお話されたほうがいいのではないかと思うのですね、その実際についてお話願いたいと思います。
  15. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 政府ではこの国防会議設置については十分熱意を持つておるのであります。置くということには確定しておるのであります。併しこの内容をどう構成して行くかということについては、御承知通り私は相当の議論があると思つております。ここがつまり党折衝結論がまだ出ていないところであります。昨日も申されました通りつまり要点は二つです。民間人をこれに参加させるかどうか、参加させるとしてどのくらいの人員にするかどうか。それから事務局総理府に持つて行くかどうか、保安庁に持つて行くかどうか、これであります。これは相当我々としては慎重に考慮すべき問題であろうと考えております。従いまして三常間におきましても、この点についてはいろいろ議論を戦わしておることと考えております。又実際戦わせておるように我々は承知しておるのでありますが、それがまだ論結が出ていないようであります。それが結論がつき次第我々は更に十分に検討いたしまして、成案を作つて国会に御審議を願いたいと考えておる次第でございます。決して国防会議をうやむやに葬るなんていう考えは毛頭ないということを御了承願いたいと思います。
  16. 山下義信

    山下義信君 政府国防会議についての三党折衝結論を得てその法律案ができてそれで防衛法案を出すべきで、これは防衛法案と切り離すことができない。国防会議あり方というものはこの二法案骨格全部に影響するものです。従つて国防会議結論を得ないで至大な関係のある防衛法案を出したということにつきましては、政府に我々は誠意がないと、さもなければその結論が出ないということについては、三党といいますか政府に重大な責任が私はある、かように考えておる。長官はどう考えられますか。
  17. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々といたしましては、できる限りに法律案を制定して国会の御審議を願いたいと考えておつたのであります。併し先刻からしばしば申上げました通り、この内容如何にすべきかということについて慎重審議まだ結論に至つていない次第であります。その結論がつき次第我我といたしましては早急に処置をいたしたいと考えております。
  18. 山下義信

    山下義信君 それなら具体的に出されました保安庁試案について伺いますが、国防会議設置目的はどこにあるというお考えでありますか。
  19. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 国防会議設置目的はこの四十二条において明白にしてあります通り、この一号から五号に至る国家の重要問題を審議して、総理大臣諮問に応ずるということが目的であります。
  20. 山下義信

    山下義信君 私は、ただ文字の上で一通りおつしやつただけでありまして、この国防会議を置かれる理由は一体、そんなら具体的に伺いたいのですが、総理大臣指揮権を更に強化するという目的国防会議を置かれるのか、或いは総理大臣権限が強大に過ぎてはならんというので、その総理大臣権限を抑制するというような考え方で置かれようとするのか、総理大臣のこの最高指揮権との関連性について国防会議あり方はどう考えておられるのか、その点を承わりたい。
  21. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 直接に総理大臣権限を抑制しようとか強化しようというわけではありません。これらの国防の重大な事項について総理大臣を補佐させる、そうしてその誤りをなからしむることを目的としておるのであります。
  22. 山下義信

    山下義信君 総理大臣補佐機関には言うまでもなく防衛庁長官があるじやないですか。そうして防衛庁には十分なる幕僚機関があるんじやないですか、その輔佐でなぜ総理大臣輔佐が足りないというのですか。
  23. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより一般的のことは内局その他において総理大臣輔佐すべきが当然でありますが、国家の重大事について更に念を入れて輔佐するということが適当だと我我考えております。
  24. 山下義信

    山下義信君 それでは防衛庁の持つておる諸機関は、総理大臣最高指揮官としてのその権限行使輔佐としては不十分であると解釈してよろしうございますか。
  25. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 不十分とは考えておりません。併し今申上げました通り国家の重大事について総理大臣諮問に応ぜしめるということが、よりよき結果を生ずると我々考えておる次第であります。
  26. 山下義信

    山下義信君 この保安庁試案によりますと、国防会議構成員は大体内閣閣僚を以て充てられるという考え方のようでありますが、この考え方はどういうお考えに基くのでございますか。
  27. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この構成メンバーのうちに我々考えたのは、一号から三号までに至る事項について最もよくこれらのものが総理諮問に答え得るものだろうと我々こう考えておる次第であります。
  28. 山下義信

    山下義信君 率直に言つて、よそ行きのことを言つてつてもしようがありませんから、閣僚のみを以て構成員にしようという自由党側といいますか、政府側といいますか、いわゆる保安庁試案に出ておるところのこの考え方というものは、これは総理大臣内閣を代表して、総理大臣立場において防衛関係の総指揮に当ろうとするその内閣責任制の上に立つて、この国防会議というものの構成員考えられたのではないかと私は思うんです。長官の御所見はどう考えておられますか。
  29. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申すまでもなく、この国防会議構成をどういうふうにするかということについては先刻申上げました通り、非常に我々慎重に取扱つて行かなければならんと思つております。そこで民間の有識者をこれに参加せしめることがいいかどうかということについて、我々も実は今しきりに検討中でありますが、ただ差当りの我々考えた点は、内閣自体責任を持つてかような事項を決定すべきことがとにかく内閣責任上妥当であろうと一応考えた次第であるわけであります。
  30. 山下義信

    山下義信君 総理大臣最高指揮権内閣責任制との関係の上に立つて、この種の国防会議内閣閣僚以外の者が、いわゆる責任のない立場の者がこの構成員に参加するということについて、よしんばこれが諮問機関の形をとろうと何であろうと実質上は我が国の防衛方針に対して国防方針最高機関であることはいなみがたい事実なんです。従つてこれは只今申上げましたような内閣責任制立場に立つて責任のない民間人がこの種の重要なる機関構成員になることについては、我々としては多大なる異議を持たざるを得ない。私は保安庁のこの考え方のほうにどつちかというと味方するのです。防衛政策に対しては反対立場ではあるけれども、どつちに味方するかといえば私はこの制度がこれが正しいと考えておる。この点について私は内閣責任制立場から、そのあり方に対する法制局長官所見を求めたいと思います。
  31. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おつしやる通り責任制立場からの説明としては、これのほうが極めて簡単明瞭に説明ができると思います。併しさて本当にこれは純理論の問題として考えてみました場合に、我々の一応予定しております人たちのほかの人をこれに入れた場合に、然らば責任制に根本的に抵触するかという点から今理論上の検討を加えてみますとこれも又一つ考え方でございまして、今のお言葉にもありましたように、第一これは諮問機関である、これが一つの性格である。それから又この出身が如何にありましようとも、一応この会議メンバーということになりますと、そのことによつて公務員としての地位を持つわけでございますから、そういう点からいろいろ総合して考えますと、それ自体を以て直ちに責任制を紛淆したとか、憲法に抵触するとかさようなことにもなるまいというふうに考えます。そういういろいろな考え方をやはり総合して最も適切な構成を作り上げたい、こういう念願で研究をしておるわけでございます。
  32. 山下義信

    山下義信君 私は閣僚のみを以て構成員とする、閣僚を主としてその他統合幕僚会議議長が出て行くといつたようなことは随時説明に出て行くのでありましようから、主たる構成員閣僚のみを以てするという場合には、これは一転して閣議と何ら変らんじやないか。いわゆる閣議内の一部少数閣議といいますか、インナー・キャビネットと申しますか、私は閣議と変らんじやないかという気持がするのでありますが、その点は長官はどう考えられますか。
  33. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実際の取扱いといたしまして、特別に関係のある閣僚が時々集まつてこういう問題を検討することが私は実際上極めて妥当と考えております。我々の経験によりましても、関係ある少数閣僚がしばしば会議を開いて、こういう問題について検討するということが私は望ましいと考えております。
  34. 山下義信

    山下義信君 先ほど木村委員関連質問で、これは一体保安庁はこんな国防会議を作ろうという考えはなかつたろう、政府も実は欲せざるところであろう、然るに他党から強いられてやむなくこういう考え方を持ち出したのだろうという質問がありましたが、私は反対にこの国防会議の持ち方、考え方は、保安庁自体が元来これは希望して考えたのじやないか。政府もこの国防会議設置を腹から実は考えたのじやないか、他党から強いられたのじやないだろうと推測する。元来保安庁自体国防会議設置というものを熱心にこれは必要であろうと考えておるか、他党から強いられたのであるか、その点を一つ明確に願いたい。
  35. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 他党から強いられたものではありません。保安庁独自で構想を練つたわけであります。
  36. 山下義信

    山下義信君 従つて元へ戻りますが、念のために伺いますが、実際は保安庁がこの国防会議の必要を痛感し、この種の構想を立てられたことは、これは今の防衛庁設置法の立て方、自衛隊組織の仕方というものから来て、いわゆる総理大臣権限というものが非常に不明確になつた。言い換えれば、防衛庁長官権限、位置すらも実はややもすると、ロボット化されて来て、実権幕僚長に握られておる、而も今回設けられた統合幕僚会議というものには強力な規定が置かれ、これが非常に強い権限がこの法律の中でも与えられておる。ただ単なる会議じやない。今の国防会議には権限事項が謳うてありません。このメモを見ると、統合幕僚会議にははつきりと権限が謳うてある。実際は実権がそこに握られて、ややもすると防衛庁長官が浮き足立つて来る。いわんや内閣総理大臣はロボット化して来る。それではならない。若しそういう形をとるならば我々が与野党ともに憂慮するところの、政治は飽くまで軍事に優先しなくちやならんという立場に恐ろしい影響を来たす。従つて今後の文民の最高指揮官総理大臣最高指揮権の確保というものについては考えなければならんという広大なるところの考え方があつて総理大臣立場を十分に強力に補佐するという考え方国防会議を持とうとするならば、我々は政治優先主義の考え方において一まず了承できない点はない。恐らく私はそういう意味で保安庁当局は遠大なる考え方構想されたのじやないかと思うのでありますが、私の思い過しでございましようか。
  37. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今お話によりますると、幕僚長が非常に権限が拡大されて、それのほうに権力が集中しておる状態じやないかというようなお話であります。決してさようではありません。只今におきましても保安庁内局において大所高所からすべてのものを検討し、幕僚長が意見を持つて来ればそれを更に検討してこれの処置をする、いわゆる政治が軍事に優先すると申しましようかシヴィリアン・コントロールという建前をとつて又実際にそれが効果を挙げておるようなわけであります。国防会議におきましては先刻申しました通り総理大臣の最高諮問機関として、もろもろの重大事項についてよく総理大臣を補佐して事を誤らしめないような目的を持つておるわけであります。
  38. 山下義信

    山下義信君 民間人国防会議構成員に入れることについては、言うまでもなく一皮むけば旧軍人を入れようとする一部の要望があることは事実なんです。この旧軍人を入れようということはどういうものがその背後にあるかということは我々は何度にかたくないのでありますが、彼ら主張者の言うことは、文官の最高指揮官はこれは総理大臣であり且つ又防衛庁長官、現在の木村長官でも、文官がこれらの最高指揮官にあることは軍事知識が極めて稀薄である、軍事経験もない、戦争経験もない、軍事的素養もない、そういう者が最高指揮官になつて自衛隊指揮するということは非常に不安である。何が彼らに国防がわかるか、軍略がわかるかという建前から軍人出身の民間人を入れようと要望することが彼らの主張の一つであると私は解しておる。果して文官の最高指揮官たる総理大臣にその能力があるかないか、又文官であるところの防衛庁長官としてこの防衛関係指揮監督の能力に欠くるところがあるかないか、ということについて政府は自信があるかどうか。果してそれらの論者の言うほど一抹の不安があるかどうかということについて私は伺いたい。
  39. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はこう考えております。先刻申上げました通り、いわゆる我々の建前としてはシヴィリアン・コントロールであります。政治が軍事に優先すると申しましようか、シヴィリアンの手によつてすべて事を処置して行く。作戦は無論部隊長がやるのであります。私は作戦と政略とは全然別個のものであろうと存じております。作戦は我々しろうとは勿論できないことであります。併し最高の指揮、国際情勢或いは国内情勢いろいろのものから判断して部隊の編成装備をするとか、或いは有事の際にどういう処置をして行くかということについて大所高所から事を判断して、そうしてこれを部下に徹底させて、作戦はおのずから部隊長にやらせるということになつて初めて私は事の全きを得ることと考えております。近代の各国における制度も又ここにあるのではないかと考えておるのであります。昔の旧軍閥時代の政治は軍人でなければならんという思想は私は誤りだと思います。我々といたしましても無論このいろいろの軍事上その他作戦のことについても研究しなければならんことは当然であります。併し我々の任務としてもう少し大きな点から一体日本の国防はどうあるべきであるか、或いは一旦国防会議できまつたものをどう処置して行くかということは、これはいろいろの情勢から判断してやる、ただ軍事専門家に任すべきものではなかろうと考えております。
  40. 山下義信

    山下義信君 私はこの国防会議構成あり方は、これは実に重大だと思う。防衛法案如何審議しても、自衛隊如何に増強しても、どんな制度が立つてもこの国防会議結論の出方如何によつては私は非常に重大問題だと思う。我々がかねて国会を通じて政治優先主義、私はこれを文民優先主義とは同一視しませんが、これは問題は別です。政治優先主義がここでなるかならないかの私は興廃の岐路だと思う。だから保安庁にしつかりやつて頂かなければならん。徒らに妥協することなく、私は緒方副総理国会を通じて同僚矢嶋委員質問に対して、政治優先主義の貫徹については国の運命を賭して闘わなければならんと本会議答弁しておる。私はこの趣旨だと思う。保安庁長官どう考えますか。
  41. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々といたしましては終始政治優先主義をとつておるわけであります。現在の保安庁あり方についても政治優先主義をとつて今までやつております。この方針は将来においても貫くごとについては私は努力いたしたいと考えております。
  42. 山下義信

    山下義信君 私は政府の御決意が変らないならば、昨日出されましたこの資料保安庁試案メモは私は相当価値評価していいと思う。この際伺いたいと思いますが、佐藤法制局長官は、憲法第六十六条の二項でありましたか  「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」とありますが、あの文民の定義には旧軍人は入りませんか、如何でしようか、この際明らかにして頂きたい。
  43. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御承知通りあの条項は当時貴族院において御審議中に占領軍側の要望で入つた条文でございますが、それを私ども速記録で見ますと、その問題について政府考えておるところはこの条項については将来何と申しますか、職業軍人と申しますか、何かそういう経歴の人がこの地位につくような場合には問題になるようなことになりましようというようなお答えの仕方をしております。それで私がいろいろの機会に御質疑があつてお答えしておりましたのは、今のような趣旨から職業軍人全部と私は言つておりませんけれども、例えば職業軍人で軍国主義にそまつておるような人、こういうような人については文民という言葉ははまらない、こういう疑いが相当ございます。かようにお答えして参つております。
  44. 山下義信

    山下義信君 私は憲法第六十六条がいわゆる旧職業軍人の国務大臣になることを好ましからずと意思示しておるということは、私はこの法文字句に拘泥しますと国務大臣とあるけれども、我が国の重要なる国務の中心部というか、重要な国務に参画することはこれは遠慮しなければならんというものであると解するが、法制局長官はどう解されますか。
  45. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 恐らくその趣旨はそういうところに通じておると思います。
  46. 山下義信

    山下義信君 私はこの国防会議構成員のごときは閣僚と同様であると思う。我が国の国防上、内閣閣議には列しませんけれども、我が国の国防の基本方針諮問にも参画し、防衛出動の可否を決するがごとき重要なる総理大臣に協力するという立場は、これは曾ては軍部のはなやかなときは軍事参議員というか軍事参議官というか、そういう形のものに相当し、これは私の承わるところによるとこの考え方はアメリカの制度にならつた、アメリカの安全相互法か何かにモデルをとつたということであるが、どこの国だつて国防会議に列する者は閣僚若しくは閣僚以上の者にその地位を与える。こういう構成員に旧職業軍人が列するということは、私は憲法の精神に副わない虞れがあるというふうに解するのであります。自衛隊の自衛官につくことは、それはその軍事能力を国の用に活用するのでありますから自衛官の制度には私は認める。併しながら国策の中核の重大なる事項に関与するということは、憲然が国務大臣に就任することを遠慮を要求する精神からいつては妥当でない。私はかように考えるのでありますが、法制局長官所見並びに木村保安庁長官の確たる、確信のある御所見を承わりたいと思います。
  47. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御趣旨はよくわかりますけれども、私ども法律屋の頭から申しますと、必ずしもおつしやるようなことには、理論的の話でございますけれども理論的にはならないような気持がいたします。と申しますのは、日本におきましては憲法は平等の原則を高く掲げておるわけでございます。従いまして国務大臣の場合については今お答えしましたようにはつきり明文を置いてそれを実は打破つておるという形になつております。従いましてこの憲法に直接は謳つてない場面においては一概にこの国務大臣に関する条文を推して、この平等の原則を打破るというところまでの法律的の結論は私は出て来ないと思います。併しながらその憲法にそこまで禁止していない事柄の分野については、これは政治、政策の問題としてどういう人をここに構成員として入れるのが最も国のために適切であるか、こういう見地から御判断になることであつて、そこで又おのおのの御意見が出て来る、かような筋と考えます。
  48. 山下義信

    山下義信君 その政治的、政策的の見解から木村保安庁長官の確たる御所見を承わりたい。
  49. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 政治的の見解ついてはいろいろ判断すべきことであろうと考えております。従いまして我々といたしましては実は検討中でありまして、まだ確たる私は御返答を申上げる段階に至つておりません。
  50. 山下義信

    山下義信君 そういう御信念のないことでは困ります。私はあくまでこれは闘うてもらわなければならん。今日我々といたしましては再軍備に反対しこの防衛法案反対しますが、立場はたとえ異なつておりましても我々はこれから文官が勉強すれば幾らでも軍事知識は私はできると思う。そんな昔の終戦前の軍事能力がどれだけの価値があるか、今日私はむしろ疑問に思うのです。先般公聴会で元の陸大の参謀だとか何とか大将だとかいう人の考え方を聞いても昔の話ばかりしている。私も若干軍隊の経験がある、私は職業軍人ではない、一兵卒に志願してまで出て行つた誠に奇篤な人聞でありますけれども、軍隊の味が幾らかわかる。如何にも元の軍人でなからねば戦力や国防のことはわからんということを言つておるようだけれども、そんなものではないと思う。殊に日進月歩の今日におきましては文官が勉強すれば立派になりうる。殊に今日の自衛隊はこれをすぐ明日に間に合わせようとするのじやない、恐らく五年かかるか七年かかるか、先のことでしよう。職業軍人として昔の陸軍学校や海軍学校で勉強したことは、今の国民を教育し、今の文官に軍事研究をさせたらば役に立つでしよう。そういう考えでアメリカに保安隊員を勉強にやらしているのでしよう。そこでどうですか、これは十分文官で、決して昔の職業軍人の知識のみに頼らなくてもこの防衛業務はやりおうせるという確信があるかないか、その点私はもう一度聞いておきたい。
  51. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 自衛隊におきましても、旧軍人の立派な経験を持ち、又人格の高い人は相当数入つておるのであります。併し我々の方針といたしましては、今お説のようにいわゆる新しい軍事知識が要るのであります。従来の軍事知識じや間に合わないのであります。そこで現在におきましても保安大学において何を修得しているか、将来のいわゆる自衛官のあり方というものをよく見定めて、我々はこれに対しての処置をとつているのであります。つまり普通の人文学科と同時に、科学的の方面において殊に技術に重きを置いて主として理化学系統と申しますか、理化系統に学課の重点を置いてやらせております。これらの人が四年間経過いたしまして、実務に着いて相当経験をいたしますと、将来の自衛官としては立派に働き得るのじやないか、こう考えているのであります。ただ我々は実際問題といたしましてこの自衛官は一般の優秀な人と旧軍人のうちでも優秀な人とが揮然一体をなしてここに新たな一つの型を作りたい。こう考えておりまして、そういう方針の下に今すべての処置をとつておる次第であります。
  52. 山下義信

    山下義信君 私は何も旧職業軍人を排撃しようというのじやない。これは平等の立場から憲法の精神から何もその人をうとんじるわけじやないが、私は誤つてはならんということだけを申上げておるだけであります。  この際承わりたいと思いますが、総理大臣最高指揮権と、世間で言うところの曾つての統帥権というものとの関係ですね、これは曾つての統帥権とは異なることは縷々御説明でよく承知しておりますが、この今の内閣の代表者たる総理大臣が行政権の最高の責任者として、この防衛指揮監督は行政権であるという建前をとり、あくまで政治優先主義で行こう、その意味においては文官優先、優越で行こうというのでありますが、それが統帥権化そうとする動きがあることは事実なんです。これがそれでは弱体だ、いろいろな戦さの役に立たんから指揮命令整然としてそうして直ちに軍隊としての全機能が動くためには、統帥権的な確立がなければならんという議論が非常に強い。それでしばしばそういう方向へ政府方針を持つて行こうとする強い動きのあることも事実なんです。私はこの際総理大臣のこの行政権的立場におけるその最高指揮権が、又防衛庁自衛隊を通じての組織の上においてこれが統帥権化することを防止するためには如何なる注意が必要であるか、ということを私は法制局長官から承わつておきたいと思います。
  53. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) なかなか高い角度からの御質疑でございますので、私どもの現在の憲法下における考え方としては現在憲法が改められれば別でありますが、改められない以上においては昔のいわゆる明治憲法におけるような統帥権が出て来る余地のない形に固まつてしまつておるというふうに考えております。今のお言葉にもございましたように三権に分ければ確かに行政権であることは何人も異存のないところであります。然りとすれば憲法上行政権は内閣に属することになつており、そうしてその内閣国会に対して連帯責任を負う、国会の全面的な監視の下に立つておるという立場でございますからして、その意味においては絶対に旧憲法式の統帥権があり得るはずがない。この国会が御健在であることを勿論憲法は予定しておるわけであります。その意味では出て来るはずがないと思います。申すまでもなく昔の憲法におきましても、学者が教科書においては、統帥権といえども行政権の分類の中には入れておりましたけれども、併しながらこれは天皇陛下の大権事項とされておつて、而も内閣もそれに口ばしは入れることは許されない。議会は勿論のこと、という立場で固まつて来ておつたのであります。それが前提の憲法そのものがすつかり変つておりますから、その意味で現憲法下においては、旧統帥権というものは存在が不可能であると信じております。
  54. 山下義信

    山下義信君 私一人が時間を使いましては恐縮でありますのでこれでよしますが、国防会議構成員の任命は誰がするかという構想ですが、この任命について国会の承認、同意でも求めるというお考えがあるかどうか。任命は誰がするというお考えであるか。又国防会議員といつたような職名というものを冠することになりましようか。又国防会議審議にかけますこれらの事項一体立案はどこでするかという考え方ですね。どこでするかということを私はこの際承わつておきたいと思う。
  55. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 便宜私からお答え申上げます。只今お配りいたしました研究案の形で参りますれば、これが法律によりましてここに列挙されておりますものが当然構成員と、国会によつてきめて頂くわけでございますからして、更にこれについて国会の御承認を得るというようなことは事実上出て来ないわけでございます。法律の形で御承認を受けた形になるわけでございます。これについてのその草案等につきましては、恐らく実際の問題としては、まあ各関係の、ここに出ております大臣の補助員が集まつて協議をするということになりますが、やはりその中心的の幹事役は恐らく防衛庁のお役人、或いは防衛庁事務局で処理することという、この要綱がございますからして、そういう点から申しましてもこれで行きますれば、まあ防衛庁の役人が幹事役を受持つて、各省の関係員と協議をして議案を作る、恐らくそういう形になるように考えております。
  56. 山下義信

    山下義信君 私はこれで質問終りますが、事務局防衛庁で持つことと、これが総理府に置かれることが、天下分け目の戦、これは今日の保安庁メモをしつかり声援しておるつもりですが、いつも元気発らつたるに似合わず今日は木村長官非常にぐんにやりとして、非常に弱腰でこれでは頼りない。ここで反対党が声援しても大して効果ないかも知れないが、はつきりと一つ所信を固めてこのメモがこのまま我々の有益な資料となるように努力して行かなければならん。これらの重要な事項が衆議院において何ら一言も触れていない、これは内閣委員会で若干の質疑がありましたけれども、この内容等については更に論議なく衆議院を通過し来たつたことに対しましては、私は非常にただ驚くのほかはない。こういう防衛法案審議上重大なる欠陥、この重大なる衆議院の粗漏といいますか手抜かりといいますか、これを我々参議院がカバーしてこそ本院の任務であると考えております。この事態が明確になりますまでは私はこの二法案審議に入るべからずという考えを持つておりますことを申上げたい、私は一応これで終ります。
  57. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今一般質疑ではなく、ここに出されている資料に対する質疑でございますから。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 はあ、或いは重複する点があるかも知れませんが、只今議題になつておる点について質問いたします。  木村長官は、防衛庁法案の四十三条「別に法律で定める。」とこうなつておるのでありますが、この「別に法律で定める。」法律を提案するに当つては、保守三派折衝をした上に出されるつもりであるかどうか、その点を伺います。
  59. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 成るべくは三派折衝結論を聞いて成案を得たい、こう考えております。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは只今ここにメモとして我々に提案されたものは、保守三派で話合をして先ずこれで行けるという見通しの立つたものであるかどうか、その点について伺います。
  61. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだこれは見通しはついておりません。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこれを拝見して、このメモなるものは、一月保守三派の折衝の段階において、自由党側から主張した線よりも一歩も出ていないものである、即ちあなた方が一月当時考え、又三派折衝の段階において主張したそのままである、こういうふうに私は考えるのでありますが、その当時とやや進んだ点があるならば、どこが進んでおるかということを説明して頂きたい。
  63. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 自由党が他党と折衝するに当つて、どういう案を持つていたかということは実は私は存じません。我々といたしましては、まだ未決定でありますが、この方針の下に研究を進めておつたわけであります。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 繰返してお尋ねいたしますが、あなたは自由党員ではない、併しながら政党政治下において、今の吉田内閣は自由党の上に坐つておる内閣で、これほど国家にとつて重要な問題について、保守三派折衝をするに当つて、あなた方の意向と全く無関係折衝は保たれるということはないはずだし、又保安庁長官として与党側の意向も全然聞かずに構想を進めて行くことはあり得ないこと、従つて私は繰返して尋ねますが、与党なり或いは保安庁事務当局が、一月当時のその考え方として主張された点とどこが違いますか、重ねてお伺いします。
  65. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 恐らくこの線にそうて自由党には説明したことと存じます。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 従つて一月当時と現在まで一歩も進んでいない、これだけの二法案国会に提案して国会審議を一方で待ち、他方においてはこの法律案が提案されたいきさつからして当然保守三派の間でこの調整を図るべく政府努力し、この国会中に或いは延長されるであろう会期中に、少くともこの法律案国会に出すべく努力をすべきであるにもかかわらず、何ら努力をされていない、一歩も進んでいない。こういうふうに私は考えるものでありますが、この法律案提案以後その努力を保守三派の間で如何ようになされたか、何回会合を持たれたかこの点について伺います。
  67. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 保守三派でどういう工合に会合したか、何回会合したか私は関知いたしません。少くとも政府としては保守三派の結論を一日も早く出すようにということを要請したことは事実であります。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 従つて先ず大まかに結論として申上げられることは、このメモなるものは何ら我々の参考にならない、法案審議に当つて何ら参考にならない、これをあなたがた保守三派のとき持つてつてそうして決裂して困つた、ところが法律案は出さなければならんというので、防衛庁の第三章国防会議という形で法律案が出されて来たわけで、その当時より何ら一歩も進んでいないわけですから、私どもこの法律案審議するに当つて、今後国防会議というものがどういう構想で成り立つているかということは、政府の見解としての何ら我々は信頼するに足るところの見解を聴取したということにはならないのです。少くともこういうようにまとまつて行くという見通しが立つたという程度資料でなければ、我我提出される資料としては価値ないものと考えるのでありますが、あなたはこの出されたメモによつて保守三派の間の折衝はまとまつて法律案が出せる、こういうふうにここでお約束ができますか、見通しについて承わります。
  69. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お約束はできません。ただ申上げたいことは保守三派においていろいろ折衝して恐らく早い機会に結論を得ることと考えております。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは保守三派まで行かないで、保安庁長官としてあなたはこういうふうに信じているとあらば、この国防会議のこのメモなるものは吉田内閣の母体である自由党においてはすでに承認されたものでありますかどうか。
  71. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 自由党においてもまだ結論は出ていないようでございます。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そんなものをここへ出すということは何ごとですか。与党の自由党さえ結論が出ていない、ただ木村長官考え方がこうだというのでは、一体我々は何を根拠にこれを審議したらいいのかわからないじやありませんか。
  73. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々はあなたがたの要請に基いてまだ未定稿であつてもよろしいから提出するようにということてすから提出したのであります。それでこの案についてあなたがたが御審議下さるならば誠に結構であると考えております。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この二法案は保守三派の話合によつて出された法律案政府責任において、今後国防会議については保守三派の話合がまとまつた上に法律を出そう、こういうふうにあなたは言明されているわけです。その国防会議が保守三派の話合がついていない、見通しもまだ立つていないと言われる。更に下つて与党の自由党さえこの見解にはまとまつていないというに至つてはこれはちり紙と同じじやないですか。少くとも幾ら要綱と言つても我々が法律案審議するに当つて大事なものであるならばもう少し権威のあるものでなければ意味をなさないと思うのですが、如何ようにお考えになられますか。
  75. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 決してちり紙ではありません。重要なる資料考えております。
  76. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは私は率直に伺いますが、木村長官は我々のこの二法案審議するに当つて重要な資料としてこのメモを出された以上は、これはあなたの信念だと思います。そこであなたは先ず保主三派よりも先ず与党自由党にこれを承認して頂ける確信を持つておるものと考えますが如何でありますか。
  77. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私もまだ検討中であります。先刻申上げましたように民間人をここへ入れるべきかどうか、入れるとして何名にすべきかどうか、部局をどこへおくかということについてはまだ結論は出ておりません。一応の考え方がこれであります。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではあなたはでき得べくんばこういう形になつてほしいという、そういうお考えでおられるのでありますか、それともその考えもないわけでございますか。
  79. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは一応の考え示したわけでありまして、率直に申しまするとまた慎重に考究中であります。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは完全にちり紙じやないですか。ほごじやないですか。あなたの意思が盛られていないのだ。あなた個人の見解さえ固まつたものでないのです。これは我々の審議対象として何の権威がございますか。一月まとまつて法律案を二月に出されて以来もう数カ月たつていますよ。それで我々はこの重要法案審議しようというのです。この段階に少くとも保安庁事務当局の見解とか、従つて保安庁長官としてはこういうふうに信じておる、こうなつてほしい、それも不可能である、ましてや与党の意見の調整もできていなければ、この法律案提出の動機となつた保守三派の話合もついていないというに至つては、これはその怠慢さを追求せざるを得ないのでありますが、遺憾の意を表しては如何です。
  81. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 遺憾の意を表せよとおつしやれば幾らでもいたしますが、私といたしましては今せつかく検討中であります。ただ一応の案として示せということでありまするからお示ししたわけであります。
  82. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは、まあこのメモちよつとたばこを一服すいながら考えてみたところこんなことがちよつと頭に浮んだから、何かメモを出してみろというからちよつと走り書した程度のものでございますね。
  83. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いや、そうではありません。
  84. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの信念は入つていますか、それを伺いましよう。
  85. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 信念はこれからきめるのであります。これは未定稿だということをはつきり言つております。これに基いて我々は十分検討して結論を出したいと前から言つております。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私が承わりたい点は、やはり審議する以上は或る程度こういう信念である、少くともこうあつてほしいという程度内容のものでなければ我々の審議の参考にならないわけですよ。そこで私は、長官個人でよろしいでしよう、このメモについてあなたが信念としてこうあつてほしいという点はどこかということを、全部でなければ具体的に一カ所でもニカ所でも伺いましよう。
  87. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私といたしましては少くとも閣僚中これだけのものは入れるべきだという信念を持つております。民間人を入れるかどうかということについては十分考究しなければならん、まだ結論には達しておりません。
  88. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それからあとは、二項、三項、四項。
  89. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) あとはこの通りであります。最後の点におきましてもさよう検討いたしたいと考えております。
  90. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは又最初の質問に帰つて参るわけですが、保守三派の間で話合つた一月当時よりあなたの個人の信念も、自由党内の意向も、保守三派の話合いも一歩も進んでいないのが今の段階で、これから解決すべく努力しようというところなんだと、こういうことなんですね。
  91. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) せつかく検当中であります。保守三派の結論を得てそれと調整をとつて一つ結論を見出したい、こう考えております。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その検討中であり努力しようとしておる、こういう点についてはわかります。私が伺つているのは、一月当時の保守三派の話合の当時における状況並びにあなた個人の信念も、その当時と一歩も進んでいないと私はこう思うのですが、進んでおりますか、進んでおればどういう点が違いますか。
  93. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その当時においてもまだどうあるべきかということはきまつておりませんでした。現在も検討中であります。
  94. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは全く同じだ。それでは次に伺いますが、このメモをどの程度の価値のあるものかということは今でわかつたわけですからそれを前提に伺うわけですが、先ほどの質問保安庁事務当局としてはこういう国防会議にこうあつてほしいということを希望し、自主的にこういうメモを作つたかのように山下委員答弁されておられましたが、保安庁事務当局としてはこういう国防会議は余り好ましくない、こういうお考えだと私はこの内容から推察するのでございますが、如何でございますか。
  95. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先刻山下委員にお答えした通り、初めから国防会議設置すべきであるという見地から作らんとしておるのであります。
  96. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは違う方向から二、三承わりますが、総理大臣は最高責任者になつているわけでありますが、閣議国防会議の関連はどうなりますか、その点を伺います。
  97. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 国防会議にかかつたことは閣議にはかけないというようなものではないと考えております。従いましてここに挙げてありますような事柄の重要な事項は当然閣議にも附せられる、かように考えます。
  98. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは責任内閣制であるだけにすべての最終責任閣議が持つべきものであつて国防会議というのは総理諮問機関としてわき役になつておる、こういうふうに了承してよろしうございますね。
  99. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 内閣責任関係はおつしやる通りでございますからして閣議決定を要することであり、従つてその案の万全を期するために総理大臣が更に国防会議に諮つて成案を得る、そうしてそれを閣議決定で終局的に決定をする、かような筋途と考えております。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最終決定は閣議でなされる、従つて最終責任閣議にあり、その代表者である総理大臣責任がある。こういう体制になつておるわけでありますが、そこで私が伺いたいのは、国防会議総理大臣諮問機関ということになれば、その諮問機関議長内閣総理大臣が着くということはおかしいではないか、それが一つと。それから諮問機関であるならば最終決定は閣議でなされるのですから、違う角度から考えるならばこの構成以外に他の人をその構成メンバーの中に入れるということも私は考え得ると思うのでありますが、如何でございますか。
  101. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 議長総理大臣が当るというこの試案の行き方も一つの行き方であると思います。と申しますのは、要するに総理大臣が自分で諮問をしておるわけでありますから、その場合出ておつて直接聞くということが一番目的を達し得るゆえんであつて、そういう見地から他の審議会等においても、総理大臣が会長になつておる審議会はたくさんございます。その趣旨から申しますと、これも一つの立派な行き方であろう、かように考えます。その他の人を加えるかどうか。これはもう先ほどのお話通り私どもの分野ではなしに木村保安庁長官からお答えになつ通りでございます。これは政策の問題として慎重に考えるべきものである、かように考えます。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 閣議が最終決定をする、国防会議諮問するわけでありますから、その国防会議諮問に対する答申は必ずしも閣議は取上げないということはあり得るわけです。従つて最終責任者である内閣総理大臣は、自分の諮問機関である国防会議議長としてその会議を主宰するということは、私はその諮問機関と最終責任者の総理大臣関係から好ましくないと思いますが、如何ですか。ということは総理大臣議長になつてその会を主宰して国防会議一つ結論を出す。その結論総理大臣に答申するということになればその変更ということはあり得ないで、結局国防会議の決定が最終決定である、こういうことになつて内閣閣議決定というのは私は浮上つて来ると思うのです。そういう点に私ばかなり最終議決機関である閣議国防会議との間に問題があると思うのですが、木村長官如何ようお考えになりますか。
  103. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 決してその点は矛盾いたさないと思います。閣議では十分に論議するのであります。その論議の結果まとまれば閣議の決定になるのであります。総理大臣が自分の言うことをすべて閣僚に押し付けるというようなことはあり得ないことであります。いわゆる閣議決定は閣議決定でありまして、それはつまり国家意思となつて現われるのであります。総理大臣国防会議議長になつても決してその間には私は矛盾はあり得ないと考えております。
  104. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの点は非常に大事に考えているのですが、今の我が国の機構からいえば、あくまでもこの閣議決定というものを責任のある、権威のあるものにしておかなければならない。そうして諮問機関ならばあくまでもそれは諮問機関のようにしておく必要がある、こういうふうに私は考える。もう少し申上げますと、曾つての日本の軍国時代には内閣というものがありその中に陸軍大臣、海軍大臣というものがその閣僚にいたわけですが、その陸軍大臣、海軍大臣は同じ内閣の他の閣僚よりは別の存在になつていたわけですね。そうして予算その他についても軍政をあずかる陸軍大臣、海軍大臣のみが知つてつて、他の閣僚諸君というものはつんぼさじきにされていたことはたくさんあるわけです。更に文政と軍政とは分離しておりましたけれども、実質的には文政と軍政が結び付いて、そうして陸軍大臣、海軍大臣を除く閣僚諸君はつんぼさじきにされておつたわけです。極端な場合には閣議においていろいろ軍事の問題を論ずる場合に、陸軍大臣並びに海軍大臣は腹の中ではあざけつてつて、君らそんなことは知らんか、そんな議論をしておれというような態度すら当時は陸軍大臣、海軍大臣はしていたわけです。これは我が国を誤らしめた大きな私は一つの原因になつているとこう思うのです。その過去のにがい経験とこの関係考えるときに、この国防会議というものが諮問機関にかかわらずここにあつて、そうして関係のある主要大臣がメンバーになつて民間人も入つていない。而もこの会議には統合幕僚会議議長、並びに各幕僚長が出席できるようになつており発言権は非常に大きいわけです。而も諮問を発したところの内閣総理大臣がその議長としてここに坐るわけです。ということは丁度戦前の我々が一度誤つた機構に私はほうふつしていると思う。従つてこの諮問機関である国防会議の決定には恐らく私は統合幕僚会議議長、それから出席するであろう各幕僚長の意向というものが強力に反映して、そうしてこの会議に出る以外の閣僚というものは、日本の国防方針とか防衛計画とかこういうものから殆んどたな上げされてつんぼさじき、さしみのつまみたいな存在になつて、ここから軍事が文政に優先し、圧迫するという形態が必ず出て来る、こういうふうに私は懸念するものでありますが、戦前、戦時中の我が国の機構と併せ考えてどういうふうに木村長官はお考えになるか、承わります。
  105. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さような懸念はございません。この構成メンバーはこの案によりますると五名であります。各幕僚長構成メンバーでありません。ただ統合幕僚会議議長がその会議に出席して意見を述べることができるというだけになつております。何らこの構成員でない者の意見が構成員を圧迫するというようなことは私はないと考えております。
  106. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは私を納得させる答弁でないのですが、討論になるからそれ以上を追及しませんけれども、この機構から言えば政治は軍事に優先せにやならんという立場からチエツクするというような力は、全然国防会議に私は出て来ないと思うのですが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  107. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この根本問題として現在の機構のうちにおいても政治が優先していることは明白であります。この国防会議によつて何かこの建前をくずされておるわけでも何でもありません。我々といたしましては現在の法制下においても十分に政治優先の建前は堅持されておるものと考えております。
  108. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まああなたはそう申されますがね。旧憲法と違つて、現在の憲法下においては三権分立でいつも話に出るように、これは行政権に属することでありますから総理大臣が最高責任者になつているわけです。従つて旧憲法時代と比べてみますと、あなた方が今頭にえがかれておるこの軍事に関する限りは、丁度総理大臣は曾つての天皇の位置に代つてつているようになつているわけです。戦前並びに戦時中の軍政軍令のことを考えると、その当時の天皇が軍政当局者、軍令当局者との間においてどういう地位を占めておつたか、又その軍政軍令当局に坐つておる人が如何に行動されたかということを併せ考えるときに、丁度天皇に代つた立場に立つた総理大臣、その総理大臣がこの国防会議にこういう形で臨んで行くということは、而もこれには軍事専門家が出て発言されるようになつているし、その最高の地位にあるところの統合幕僚会議議長というものはそのメンバーに出るようでありますから、私は先ほどから伺つたような心配というものはどうしてもあなたの答弁では拭い去ることができません。もう少し私の納得できるような、君はこう言うけれども併しこうなるじやないかというような説明がありましたら承りましよう。
  109. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それ以上の説明はありません。私は前から申上げた通りで、御納得が得なければいたし方がありませんが、御納得行けるものと私は考えております。
  110. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと一、二点伺いますが、これは私本会議で総括質問した場合にも承り、その後ちよちよいと他の同僚委員からも質疑が出ておるわけでありますが、この防衛庁長官に旧軍人が就任するということはあなたはあり得ないと、こういうことを答弁されて来ているわけでありますが、今もやはりそういうように確信しておりますか。
  111. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそう考えております。
  112. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはあなたは保証できますか。
  113. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは私がすべてやることじやないから保証できませんが、私はさように考えております。
  114. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではこの防衛庁長官に旧軍人が就任した場合はかくかくなるであろうから、だからこれらの機構はこういうふうに検討しなけりやならんと、こういうふうに防衛庁長官に旧軍人が就任する場合を予想してあなたは検討したことがありますか。それともそういうことは絶対あり得ないという立場においてこの日本の防衛に関する機構を検討して参つたわけですか、どうですか。
  115. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は旧軍人がたとえいわゆる国防をあずかる防衛庁長官になり得ても、政治優先の建前というものはこの機構上どこまでも維持されるものであろうと確信しております。
  116. 山下義信

    山下義信君 関連して。今長官は保証するかどうかという矢嶋委員質問に対して保証するしないと言つたつて、絶対になれないのでしよう、この法律の規定から。防衛庁長官国務大臣を充てるんだと法律が規定して、憲法にはさつきの何じやないが国務大臣には旧軍人がなれない。絶対なれませんよ。たいこの判を押しても保証していいのでしよう。ですから確言して下さい。そういうことは絶対あり得ない。憲法でも改正せん限り若しくは法律を改正して防衛庁長官国務大臣以外の者が就任することに法律を改めるならともかく。
  117. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は国務大臣が文官であるという建前から、私の解釈によりますると、いわゆる旧軍人が国防をあずかる防衛庁長官に将来なり得ないものと考えております。これは私の考えであります。
  118. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法制局長官に今の憲法の文民のところをもう少しはつきりこの際説明して頂きたいと思いますが。
  119. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど山下委員に相当詳しくいきさつまでお答えしたつもりでございますので、別に附加えることもないと思いまするけれども、今のお話なつたような場面を例にとれば、憲法解釈上からいつても非常に重大な疑義があるということは申し得ると思います。
  120. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 非常にはつきりしているように仰せられたですけれども、国務大臣には文民でなきやならん。文民と文民にあらざるものとは現在としてはつきり何を基準として区別いたしますか。
  121. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは何を基準としてといつて、卒直にはつきりは申し得ないと思います。従つて先ほど申しましたように、私の説明しておるところは職業軍人として軍国主義にそまつた、こういう経歴を持つているような人、こういうことにお答えいたしたいと思います。
  122. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現行日本憲法の規定がどういういきさつでできたということについては、いろいろこれは議論がありましよう。併し成文憲法となつた以上は、法制局長官として軍国主義の色に濃ゆくそまつた職業軍人といつたようなあいまいなことは憲法の解釈に私はならんと思う。やはり一定の憲法上の確たる政府の解釈というものは当然なくちやならんとこう思うのでありまして、文民というものは憲法上いかなる内容を持つておるものか、その定義は如何という現在の段階における法制局の明確な見解を一つこの場合表明して頂かんと、ただ常識のような話じや困るのです。又常識のような話じや伺わなくてもわかるのです。文民と書いてあるけれども文民にあらざるものが憲法上何ら出ていないのだから、私は前からこの条章については疑問を持つておるので、そこのはつきりしたところを一つお教えを願いたい、こういう意味であります。
  123. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは先ほど御披露しましたように、当時憲法制定の御審議をなさつていらつしやる貴族院の審議の過程における政府当局説明さえ、ああいうような言い廻しの説明で速記録にのつておるわけであります。従いましてこれについては今日我我として何らの基準もございませんということはこれは申上げかねますけれども、どういうものだということくらいはお答えせざるを得ない。従つて先ほどのような言葉を使いましたわけでございますけれども、併しこれは精密にあらゆる場面を総合して考えてみますと、ただ単に職業軍人であればいけないのかといつて参りますと、例えば一年志願兵を志願してそうしてしばらくやつておつたというような人、下士官志願でやめた人だとかいろいろ場合があるのであります。従いましてそういうことをここで表か何かにしてお答えするというようなことには本質的に適しない。問題は非常に下級な役人を採用するということならば、採用基準というものをはつきり法律なり政令なりでおきめ願つて、そうして何年何カ月これをやつたらいかんという形で行くべき筋かも知れない。ところがこれは第一に内閣に列する国務大臣の任用方針なんであります。これは総理大臣国会において指名される、その総理大臣が自己の最高スタッフとして選ぶ人の資格の問題であります。それについて志願兵を何年やつたとかどうのこうのという基準は実はそういう人たちはおのずから適さないのであつて、もつと高度の政治的基準というものからこれは律せられるべきである。その任用がいいとか悪いとかいうことは直接国会の非難にさらされることであつて、一人の巡査であるとか郵便局員のような採用の問題と性質が根本的に違う。従つてこれを何年以上とかいうような定義をお答えできなくても私としては少しも恥かしくないことと思います。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今のに関連しまして憲法十四条との関係はどうなんですか、法律的に今質問しているわけですけれども。
  125. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ですからこれも実は山下委員が全部お尽しになつた御質問だと思つて先ほどお答えした通りでございますと申しますのは、本来の憲法の原則から言えば職業選択の場合でも同様でございますし、その他の場合においても十四条によつて平等の原則が働いておりますが、これは憲法の鉄則でございますが、併し今の国務大臣の任用資格のところについては、これ又憲法が直接条文を置きまして特別の資格を設けておる。従いまして一般の条文と特別の条文との関係において、国務大臣の任用資格の問題としては、この文民云々の要件の規定が十四条を排除して動いて来る、かような筋合であると思います。
  126. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 どうも今の文民の法制局長官の御見解は不幸にして私は納得をいたしません。つきましてはこの席でなくてもよろしうございますけれども、憲法上の文民とはどういうことを意味するかということを、法制局の各御同僚ともよく御研究を頂いて適当な機会にもつとはつきりした、もう一歩でも進んだはつきりした統一的の解釈ができればお示しを願いたいし、幾ら研究してもあれ以上によう答えんというならば、それも一つの答えでありますから、この席でその確たる憲法解釈を承わろうということは申しませんけれども、どうも今の説明では不十分であるから御研究を更に深くして頂きたいということを希望いたしておきます。
  127. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今の文民という言葉ですが、まああの言葉ができたときに私も法案審議に携わつたわけであります。一体アメリカが軍人に対する言葉としてシヴィリアンという言葉を使つたので、そのときにもう旧軍人はあるけれども日本には軍人はないのだから、みんな日本人はシヴィリアンなんだ、それに妙な言葉をことさらに付ける必要はないのじやないかという意見が支配的だつたのです。然るにアメリカがどうしてもそれを翻訳しろ、こういうわけでありまして、私の記憶によると川村竹治さんが考え出しまして文民という言葉を作り出したのです。変な言葉だなあとつてみんな笑つたのですが、それでもよかろうじやないか、そのうちアメリカも引揚げるのだからというような話も、これは表向きの席ではなかつたのですけれども内輪ではそういう話で固まりました。とにかく文民という言葉ができたわけでありますから、現在私はこの文民以外のものは日本人にはいないのだ。将来又軍備が再現するというような場合には初めてこの文民という言葉が意味をなして来る時代が来るかも知れません。今は日本人全部が文民である。文民以外のものはないのだ、こういうふうに私は解釈しております。そういう私の解釈が正しいとすれば、この問題はそう詮議しないでもいいのだ、私はかように考えておる次第であります。これ以外定義の下しようもないのだと思つております。
  128. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 若しも只今竹下先生の仰せられるようになれば、保安庁長官は絶対旧軍人は使えない。なぜならば憲法の規定があるということは無意味になつてしまうわけです。だからこの文民の解釈はそう簡単に、私はこれはあつてもないようなものだというようなわけには参らんと思います。
  129. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私はそういうふうに解釈しておるのであります。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ほどから文民論が行われたわけですが、私はこの二法案については、今年一年とか或いは二年だけの問題ではなくて、ずつと尾を引く問題ですし、今までの政府のやり方、それから警察予備隊、保安隊、自衛隊員の募集の経過を想起してみれば、又将来のことが予想できると思うのです。最初は警察警予備隊にしても保安隊にしても、旧軍人は絶対採用しないと言つておりましたが、次第々々に旧軍人を採用し、最近のごときは殆んどもう幹部採用の場合には旧軍人に限つて採用してこれを再教育する。かように変遷して来ておるわけです。従つて私はいろいろの憲法の問題でありますが、憲法改正も近ずきつつある。木村長官のお言葉によれば、憲法改正の論議が近ずきつつあると言つておりますが、これは現在私どもはこの二法案は違憲だと考えております。必ずや近い将来そういうことが出て来ると思います。それでそういうことを考えるときに長官は旧軍人のチヤキチヤキがここに出て来て、そうしてこの機構からわかりますように、全く長官とそれから統合幕僚会議議長、それから幕僚長、こういうメンバーで押しまくられてしまう、その結果というものは文政というものが軍人に押えられ、最も露骨に現われて来るのは国家予算の編成、予算の性格に必ずそれが現われて来ると、こういうふうに私は今非常に懸念しておるものです。これは今日のメモと直接関係ありませんから又他日質問いたしますが、このメモに関する限りは先ほど申上げましたように、私はこれはちり紙かほごくらいの程度しか権威がないと思いますので、このメモについてこれ以上質問しても仕方ありませんから一応ここで質問を打切ります。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私もこの資料について若干お尋ねしたいのですが、先ず第一、この国防会議の項を入れたのは、先ほど山下委員質問に対しまして木村保安庁長官は、保安庁として最初から考えておつた、こういう御意見ですけれども、私は実はこの項を入れるとこの自衛隊が本当に憲法第九条違反のはつきりした軍隊になる。その軍隊としてのピリオドを打つものは国防会議だと思うのです。それは国防会議諮問するのは、「国防の基本方針」、「防衛計画の大綱」「防衛出動の可否」、こういうことを諮問するようになれば、これは全く本当の軍隊、いわゆる憲法九条二項で禁止しておる軍隊になるので、これを入れたことは本当にこれははつきりした軍隊になつて憲法九条違反の、虞れがあるから、保安庁としては或いは自由党としては、吉田内閣としては入れたくなかつた。そこでこれなしにまかなつて行こう。ところが改進党から要求があつた。改進党のほうはいわゆる清瀬理論によつて憲法九条を改正しなくても再軍備可能であるという理論から来ておるのですから、改進党はもつとはつきりしたその清瀬理論によつて再軍備すべきである、憲法改正しなくてもすべきだというので入れたと思うのです。そこで先ほど保安庁長官は、保安庁は最初からやはりこれを入れる考えでおつたというのですけれども、これは新聞ですからそれが果して正確かどうかわかりませんが、今日の読売新聞を御覧になつてもこう書いてあるのです。「保安庁としては審議促進の見地から参院野党に屈し一応この試案提出したもののの、根本的には国防会議そのものの設置反対であるとの考え方を捨てていないので政党対事務当局の内紛は今後この試案立法化の過程で改めて再燃する公算が強い。」こういうふうに報道されておるのです。恐らくこれは保安庁担当の記者の意見を参照して書かれたと思うのですが、保安庁は最初は反対である、現在でも反対である、こういうふうに言われておるわけです。先ほど山下委員に言われたこととこれは食い違つておるのですが、その間の事情はどうなんでしよう、この点伺つておきたい。
  132. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先刻山下委員の御質問に対してお答えした通りであります。新聞の記事は如何ようにあろうとも保安庁当局としては国防会議を必要なりとして立案しておるのであります。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この国防会議設置しますと、これははつきりともう憲法違反の軍隊になる、これが九条二項に言うそれに全くなる、こういうふうに考えられませんか。これは法制局長官どうでしようか。
  134. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 昨日の木村委員のお言葉は非常に心強く思つて我我と大分共通点があるように思つてつたのですが、今日の今のお言葉ですつかり悲観してしまいました。(笑声)軍隊であるかどうかというようなことは、こういうものが軍隊の性格に影響を及ぼす、これによつて軍隊になるとかならんとか、そういうものじやないと思います。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうじやないのです。昨日私が御質問しましたのは政府側立場に立つて第九条一項と二項との関係について、二項はこの一項を侵害する危険があるので二項を規定した、ところが国防会議、こういうものが出て来ると、これは佐藤法制局長官政府の見解を統一されたのだと私は思うのですが、あの考え方自体にもまだ不足があつて、あれはまだ私はもう少し足りないと思うのですよ。そこで私はこの国防会議設置をやると、あなたがせつかくこの近代戦を遂行する実力を持たなければいいのだと、こういうふうに言つたのですが、実はその大きさによるのじやなく、いわゆる一項侵犯を犯す危険があるという、そこでこれは憲法違反かどうかをきめるべぎで、国防会議を入れますとその危険が相当にますます濃厚になるのです。ですからこれをとれば佐藤長官が言われた統一的見解ですかあれは生きて来るのですが、そこで非常に悩んだと思うのですよ。そこで改進党との間に折衝してこれは改進党のかたはよく御存じだと思うのですが、そうして改進党は清瀬理論で割切つているのですからここに相当煩悶があつたのだと思うのですが、そういう意味で私は質問しているのです。その点について。
  136. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもの昨日から申上げております法律的の考え方から申しますと、今のような危惧は全然つりがねに蜂と申しますか(笑声)影響のないことでございまして、私の考えておりますところを突きつめて参りますと、要するに自衛権の発動というものは憲法が認めていることはたびたび申上げた通りであります。自衛権の発動はこれを実力を以て当るという場合にその方針もありましようし計画もありましようし、或いは実力を発動させるかどうかということの可否をきめる場合もあるわけですから、そのことの慎重を期するために会議体を設けるということはどこが悪いかという気持がいたします。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 つりがねに峰と言いましたけれども、この間の新聞を見ると吉田総理は知らん顔で、すもうにならんとこう言つてつたのですけれども余談はいいですけれども、次に伺いたいのはこの国防会議法律案はこの国会に間に合わないような長官の御答弁であつたのです。そうしますと若し法律案かここで出て来ないと、成立しない場合には、成立しない場合ですよ、その前に間に合うかどうかを伺つておきたいのです。この国会に間に合うかどうか、この防衛法案と一緒に国防会議法律案は成立するお見込はあるのですか。
  138. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 法律案提出は急いでおりまするが、或いは間に合はないかもわかりますん。
  139. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 関連して。この国防会議設置に対する三党折衝が行悩んでおるがために政府方針を決定することが遅れている。従つて今木村さんのおつしやつた法律案提出会期に間に合うかどうかという質問に関連して来るわけですが、その行悩みの真相と段階並びにそれの見通し、長官が知つていらつしやる範囲内で一つ大体我々がこの程度をやつておるんだなとわかる程度お話を願いたいと思います。
  140. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 要は民間人構成員に加えるかどうか、それと事務当局の設置の問題であります。その点についてせつかく今折衝しておるようであります。
  141. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その折衝は例えば毎日やつておるとか、この次は明後日やるとか、盛んに進んでいるものか、もう行詰つてほりつぱなしになつておるか、そこのところはどうなんですか。
  142. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは私はわからないのです。率直に申しまして私もその席に列席すればいいのですが、なかなか列席できない御承知通りの情勢であります。ですからどういうところまで会議が開かれておるかということについても詳細なことはわかつておりまん。
  143. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この国防会議に関する法律が出る出ないということは、この二法案審議に非常に重大でございますから、今日でなくても結構ですから一体どの程度になつておるかということを事務当局でも何でもよろしうございますから一ぺんおさぐりを頂いて、次回の委員会のときに。
  144. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 八木さんのほうで、むしろあなたのほうで調べられたほうがいいと思うのですが。
  145. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それはこの委員会そのものとして聞いておるわけなんです。改進党員であるとかないとかいうことでなしに、この委員会に正式に御報告願いたい、裏面的に探ろうということでなしに、ここではつきりお伺いしたいということでお伺いしておるわけです。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 若し間に合わない場合に、国防会議設置が困難な場合、二法案だけ成立した場合に、国防に関する重要事項審議する機関はどこでありますか、何によつて国防に関する重要事項審議するのでありますか。
  147. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは今までの通り機関がやるわけでありますが。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律案によれば、そうしますと、国防会議に諮らなければならない国防の基本方針防衛計画の大綱、それから防衛出動の可否等々三つありますが、それはどこでやるのですか。一体どこでそういうものを諮問してやるのですが。
  149. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 普通の役所の事務と同様に、最終的に重要事項閣議できめるわけであります。そういう方向でやつて行くことを考えております。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことができる、こういうものを設置しなくてもそういうものができるじやないのですか。できるのになぜこういうものが必要なんですか。
  151. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 更にこういう機構を設けて万遺憾なきを期したいという趣旨であると考えております。
  152. 山下義信

    山下義信君 今木村君はほかの機関でできるというので了承しておられるようですが。
  153. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 了承はしておりません。
  154. 山下義信

    山下義信君 防衛庁設置法ではこういうものを所掌する部局はないのです、この法律の中で、どこでやりますか。明確に各部局の所掌事項はきめてありますけれども。(「官房でしよう」「保安庁にはないよ」と呼ぶ者あり)
  155. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) うつかりしておりましたが、この自衛隊法が成立いたしましたあとのことでありますから、この自衛隊法でありますか、防衛庁設置法関係のおのおのの分担の役割というものもあります。或いは関係省の役人もございますので、そういう者がひたいを集めて研究する、こういうようなことであります。
  156. 山下義信

    山下義信君 冗談じやないですよ。部局の所掌事項はずつと列記してあるのですよ。防衛出動の可否とか、国防関係事項だとか、立案したり所掌する部局はないじやありませんか、この法律の中に。ですからどこでやるのか具体的にお示し下さい。この法律の何局でやるのだということを具体的にお示し願いたい。
  157. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 防衛出動の可否をきめるものはございませんからこれは別問題にして頂きたいと思いますが、今の国防関係防衛関係方針とか大綱というものは、実質的にはこの法律があろうとなかろうと関連上あり得ることでありますから、それは今後できます国防会議以外の本来の防衛庁等において当然研究すべきことでございますから、研究をすることは当然であると思います。
  158. 山下義信

    山下義信君 木村君の質問に関連して。国防の基本方針がきまり、防衛計画の大綱がきまり、そういうものがきまつて、それから下の事を分けてやることは各部局の所掌事項にきめてあります。こんな大きな仕事をするような事務の規定はどの部局にもないじやありませんか。具体的に示して下さい。
  159. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) この防衛計画の大綱とか国防の基本方針という、何と言いますか、そのものずばりとしてはここに書いてありまするように内閣総理大臣諮問機関として国防会議を設けるわけですが、そういうものを案として作るという事項防衛局において防衛及び警備の基本、自衛隊の行動の基本、そういうふうな事務分掌もございまして、そういうところで事務的な立案、これは勿論長官が取捨選択をするのでありまして、そういう事務分掌は各部局にあるわけであります。
  160. 山下義信

    山下義信君 各局にあるのですね。確かにあるのですね。この国防会議にかけるような、こういう仕事の所掌事項が各局にあるのですね。若しあれば、国防会議事務局ができたらこの法律の各部局の所掌事項法律を改正しなくちやなりませんよ。
  161. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 只今申上げましたようにこの国防の基本方針という形においての事務部局はないのであります。併し防衛及び警備の基本という形において長官がそういうものを、事務的な用意をさせるものは防衛局においてそういうことをやらせるし、又装備局、経理局、その他においてそれぞれの事務的準備を長官がさせる、その部局はこれに書いてある通りの形においてある、こういうことを申上げたのであります。これは保安庁だけでやると限定はできませんで、他の各省にもそれぞれ関係のあることであると思います。
  162. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう事務総理府でやるか保安庁でやるかが問題なわけです。それでその試案としては保安庁なんですけれども、ところが総理府でやる意見もあるわけです。国防会議事務総理府で処理するという、これは改進党のほうの意見でしよう。そういう問題が解決ついていないのです。それから又さつき法制局長官が言いましたが、防衛出動の可否は別としてこれはどうするのですか、どういうところでやるのでしようか。
  163. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 事務局というのは何と言いますかいわゆる事務をとるところでありまして、そこで庶務をとるというほうが適当であると思います。そこで作つたその案のみを国防会議がいいとか悪いとか言う性質のものではないのでございます。庶務をとるというふうに御了解願つたらいいと思います。防衛出動の可否そのものの事務分掌はございませんが、事務的な分掌として防衛及び警備の基本というものを防衛局でやるわけであります。又これは部隊の行動自体でありますから、陸上自衛隊、海上自衛隊航空自衛隊などのそれぞれの幕僚長防衛出動をなすかどうかの事務的ないわゆる専門家的の意見を長官に具申するのであります。長官はそれらの補助意見を聞かれ、又独自の判断を以て総合して、長官としての防衛出動の可否についての意見をきめて総理大臣を補佐する。こういうことになるわけであります。
  164. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうするとこの国防会議法律案で成立しないでもやつて行けるわけですね。
  165. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) これは只今まで長官及び法制局長官から縷々申上げましたように、国防会議は何と言いますか、いわゆる念には念を入れて万全を期するというふうな意味でこの立案をされておるのであります。これがなければ事務的に絶対動かんというふうなものではあるまいというふうに考えます。
  166. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはただ念には念を入れるというだけで、そうすると程度の差だけで、それじやこれがなければ念には念を入れないことになるのですか。(笑声)
  167. 増原恵吉

    政府委員増原恵吉君) 事務当局がお答えすべきところじやないところに少し入り込んでおると思いますが、これがなければ念には念を入れたということにならないというふうな表現で申上げることはできないと思います。これがなくても勿論こういう重大事でありますので、念には念を入れてやりますが、更に国防会議というものを設けて念を入れる、こういうことであろうと思います。
  168. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その必要は本当はなかつたから保安庁としてはその予算も組んでないのでしよう。ですから先ほど山下委員に対して保安庁は最初からこの構想を持つておつたと言いますが、そうじやなくて最初は国防会議そのものに反対されて、今のこの法案が成立しないでもやつて行けるという結論だつたと思います。次に時間も大分たちましたので簡単に伺いますが、先ほども質問がありましたが、私は結論だけを伺いたいのですが、この閣僚懇談会とこの試案との関係ですが、試案ですと皆閣僚ですね。実質的になんら変りはないと思います。この閣僚懇談会とこの試案とではどれだけの差があるのですか。これだつたらやはり設けなくても同じことではないですか。
  169. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り閣議は一定の日時に開くことになつております。勿論臨時閣議もありますが、併しこの未定稿の案によりますと閣僚は時々集合してこれらの事項について協議をするという建前をとつておりますから、普通の会議とはその性質上よほど異なるものがあると考えております。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やはり念には念を入れるという程度のものですか。
  171. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 念には念を入れるというより、むしろこの国防会議に列席した閣僚において一つの案が出まするとこの案を更に閣議において検討する、こういう段階になろうと思います。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると一種の閣議内の専門的の閣僚懇談会と同じである。なぜこれを設けなければならないかということは試案から見ると何ら区別が付かない。そこで次にお伺いしたいのはやはり政治が軍を握るという点は、この国防会議には何ら軍隊をチエツクする構想はないと言われましたが、何かほかにそういう点は機構として考えておられないか、或いは国防会議の中でそういうことが可能であるふうに国防会議構成或いは機構なりを、これは試案ですから今後本当の最後のところをきめるときに、そういうことを考えておられるのかどうか、そういう必要性を認められておるかどうか。
  173. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 国防会議自体構成を見てもおわかりになるように、これで政治が軍事に優先するという一つの現れが出ておると私は考えております。いわんや現在の構成上の下におきましても、政治優先の建前をとつて皆機構ができておるわけであります。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に私伺つておきたいことは、この前私は十一に亘る詳細な資料の要求をいたしましたが、これは出せるか出せないかこの際伺つておきたい。恐らくこの国防に関する資料質疑が終ると一般質疑の日程を組むということになると思いますが、そのときに要求した資料が出ておりませんと審議するのに非常に差支えますので、出せるか出せないか、出せるとしたらはつきりいつ頃出せるかを伺つておきたい。
  175. 前田正男

    政府委員(前田正男君) 着々用意をいたしておりましてできたものもありますが、まだできないものもありまして、できたものから差上げるようにいたします。全部できるだけ早く差上げるようにいたしたいと思います。多少性能その他について製造年月日がわからないものがありますので、そういうものは御説明をして差上げたいと思います。
  176. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  177. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  178. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 各国の軍事力の比較とでも申しましようか、そのような資料、人員、装備その他適当な項目をお選び下さつて各国軍事力比較表といつたものを御提出願いたいと思います。
  179. 岡田宗司

    岡田宗司君 資料の要求について。警察予備隊ができましてから今日に至るまでアメリカの軍事顧問が入つておりましたね。その警察予備隊ができましてから今日までのアメリカの軍事顧問の数の変遷があつたと思うが、それを警察予備隊時代はどれくらい、それから保安隊時代はどれくらい、今度はきまつておりますよ、それを一つ表にして出して頂きたい。それからそれがどういう所に配属されていたかを若し説明があつたら簡単につけて下さい。
  180. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  181. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは速記をつけて下さい。暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕