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1954-05-14 第19回国会 参議院 内閣委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十四日(金曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員松本治一郎君辞任につき、そ の補欠として矢嶋三義君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            高瀬荘太郎君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            山下 義信君            八木 幸吉君            堀  眞琴君            三浦 義男君   国務大臣    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    保安政務次官  前田 正男君    保安庁人事局長 加藤 陽三君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○防衛庁設置法案内閣提出、衆議院  送付) ○自衛隊法案内閣提出、衆議院送  付) ○国務大臣等私企業等への関与の制  限に関する法律案八木幸吉君外八  十二名発議)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より委員会を開会いたします。  防衛庁設置法案並びに自衛隊法案を議題といたします。右二法案につきまして、只今より提案理由説明を受けます。
  3. 山下義信

    山下義信君 この防衛法案政府提案理由説明につきましては、委員長承知通り理事会申合せによりまして本日は保安庁長官から一応提案理由説明を聞くわけですが、そうして竹下委員からも御要望がありましてこれにつきましては一日かかつてもいいから詳細に一つ説明を聞こうじやないかと、こういうことに申合せなつておるのであります。それで大体どういうふうにそれをお運び願うかということをあらかじめ一つ打合せを願いたいと思うのでありますが、如何でございましようか。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは速記を始めて下さい。
  6. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今回提出いたしました防衛庁設置法案及び自衛隊法案につきまして、提案理由並びにその内容概略を御説明いたします。  御承知のごとく、保安庁は、昭和二十七年八月、当時の警察予備隊及び海上警備隊を統合して創設したものでありまして、我が国の平和と秩序維持し、人命財産を保護するため特別の必要ある場合において行動することを任務としたものであります。保安庁は、創設以来一年有七カ月、保安庁法規定するところに従つて、その任務マ遂行するため着々諸般の整備を図り、必要なる訓練を行なつて今日に至つております。  然るところ今般、政府におきましては、現在の国際及び国内の諸情勢に鑑み、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、この際更に自衛力を増強することを適当と認めるに至りました。よつて今回、保安隊及び警備隊陸上自衛隊海上自衛隊に改め、自衛官等定員増加すると共に、新たに航空自衛隊を設けることといたし、且つその任務として、外部からの侵略に対する我が国防衛を明確に、規定する等の目的をもつて保安庁法を改正して防衛庁設置法及び自衛隊法を制定せんとするに至つた次第であります。  次に両法案内容概略について申述べます。  先ず防衛庁設置法案について御説明いたします。防衛庁総理府外局として設置するものでありまして、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、運営し、これに関する事務を行うことを任務とするものであります。  防衛庁の長は、従前通り国務大臣をもつて充てるものでありますが、今回内部部局に新たに教育局を加えますと共に、防衛庁所掌事務に関する基本的方針策定について長官を補佐する参事官制度を設けることといたし、他面従前ありました内部部局課長以上の職に対する制服職員経歴者任用制限は、これを設けないことといたしました。次に幕僚監部につきましては、航空自衛隊新設に伴い、従前の第一幕僚監部、第二幕僚監部に相当する陸上幕僚監部海上幕僚監部のほか、航空自衛隊についての長官幕僚機関として新たに航空幕僚監部を設けることといたしました。又自衛隊の増強に伴い、陸上海上航空の各自衛隊を統合した見地からの防衛計画後方補給計画訓練計画方針作成及び調整や、出動時における指揮命令統合調整等に関して、長官を補佐することを任務とする統合幕僚会議新設して、自衛隊の綜合的、且つ、有効なる運営を図ることを期することといたしました。なお、このほか陸上海上航空自衛隊所要物件並びに役務調達の可及的一元化能率化を図り、建設工事等についてもこれを統一的且つ経済的に処理せしめるため、新たに防衛庁附属機関として調達実施本部及び建設本部を設けることといたしました。  次に、国防会議について申上げます。  国防会議は、国防に関する重要事項を審議する機関として内閣に置かれるものでありまして、国防基本方針防衛計画大綱防衛計画に関連する産業等調整計画大綱防衛出動可否等に関して内閣総理大臣の諮問に応え、国防に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対して意見を述べることを任務とするものであります。  国防会議構成運営等は、別に法律で定めることといたしております。  次に自衛隊法案について主要な事項を御説明申上げます。この法律案は、自衛隊部隊組織及び編成自衛隊行動及び権限隊員身分取扱等に関し、おおむね現在の保安庁法内容を基礎として規定したものでありますが、次に述べる任務に即応し、必要な規定追加整備を行なつております。  先ず自衛隊任務といたしましては、我が国の平和と独立を守り国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対して我が国防衛することを主たる任務とし、必要に応じて公共秩序維持に当るものといたしまして、その防衛任務規定いたしました。  次に自衛隊行動につきましては、外部からの武力攻撃に際して、我が国防衛するため必要があるときは、内閣総理大臣は、原則として事前に、特に緊急の必要のある場合には、事後、直ちに国会の承認を得まして、自衛隊に対し防衛出動を命ずることができることといたしました。この防衛出動時における自衛隊武力行使は、国際の法規、慣例を遵守し、且つ事態に応じ合理的に必要な限度にとどまるべきものとし、又この場合には、原則として都道府県知事を通じて、一定地域において施設の管理、物資の収用、業務従事命令等を行うことができることとしております。  このような事態に処して、自衛隊防衛にあたる実力を急速且つ計画的に確保することを目的として、この法案におきまして、新たに志願による予備自衛官制度規定いたしました。予備自衛官は、防衛出動時に。内閣総理大臣承認を得て発せられる長官防衛招集命令に応じた場合には自衛官として勤務し、その他の場合においては、所定の期間訓練招集に応じて訓練を受ける以外には勤務することのない隊員でありまして、その採用は自衛官等退職者中よりの志願により、三年を期間として任用することといたし、その手当等について規定しておるのであります。  前述の防衛出動のほか、公共秩序維持のため、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般警察力を以ては治安維持することができないと認められる場合における内閣総理大臣命令による出動治安維持上重大な事態につき都道府県知事の要請があつた場合における出動海上における警備行動、災害時における救援のための行動等、すべて現行保安庁法に認めていると同様の規定を設けておりますが、更に外国の航空機が不法に我が領空に侵入した場合における必要な措置について規定いたしました。  この法律案中に規定するその他の事項は、前にも述べたことくおおむね保安庁法と同様でありますが、自衛隊指揮監督部隊等組織及び編成大綱等規定し、隊員服務についてのよるべき明確な規定を設け、罰則を整備し、関係法律の適用について一層の整理を行う等必要なる整備を行なつております。なお、この法律の施行に伴い、現在の海上公安局法は、これを廃止することといたしました。以上今回提出いたしました法律案提案理由及び内容の概要を申上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御加決あらんことをお願いいたします。
  7. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に補足説明保安庁官房人事局長加藤陽三君からお願いいたします。
  8. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁設置法案及び自衛隊法案につきまして順序を追いまして法案内容を御説明申上げます。  先ず防衛庁設置法案について御説明をいたします。防衛庁設置法案は、保案庁法の全部を改正するものでありまして、本文は三章、四十三カ条、及び附則十六項からなつており、第一章は総則でございまして、一条だけでございます。この総則といたしましては、この法律目的規定したのでありまして、「この法律は、防衛庁所掌事務の範囲及び権限を定め、且つ、その任務を能率的に遂行するに足る組織を定めるとともに、国防会議設置について定めることを目的とする。」この法律全体の目的について規定を設けたのでございます。これは現在の保安庁法の第一条に相当するものであります。  第二章は防衛庁に関する規定でございます。この防衛庁に関する規定は、七節四十カ条になつております。この七節のうちの第一節は通則でございまして、これは第二条から第九条までであります。先ず第二条におきまして、防衛庁国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて、総理府外局として置かれるものであることを明らかにいたしております。而うして、その長官に関して、第三条に規定を設けておるのでございまして、長官国務大臣を以て充てること、この長官は、内閣総理大臣指揮監督を受けまして、庁務を統括し、所部の職員を任免し、且つその服務についてこれを統督する、並びにこの長官の持つておりまする任命権の一部を部内の上級の職員に委任することができることにいたしておりまするが、これは現在の保安庁法の第三条と同様でございます。  第四条は防衛庁任務について規定いたしたものでございます。即ち「防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、これがため、陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊」この意味は自衛隊法規定してあるものを使つたものでございますが、「航空自衛隊を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。」この規定は現在の保安庁法の第四条に該当するものでございます。  第五条は防衛庁権限について規定を設けております。これは大体において各官庁権限に関する規定の仕方にならつて規定を設けたものでございまして、現在保安庁法の第六条に規定をしておるところでございます。ただ今回は新たに防衛庁となりましたこと、及び直接侵略間接侵略に対して我が国防衛するというふうな任務が加わりましたこと等によりまして、その権限内容につきまして、事項につきましては追加改正を加えたものがございますが、大体におきまして各官庁の例、及び従前保安庁法の第六条の例におりまして細かに規定を設けておるのでございます。  第六条は「自衛隊任務自衛隊部隊及び機関組織及び編成自衛隊に関する指揮監督自衛隊行動及び権限等については、自衛隊法の定めるところによる。」という自衛隊法を設けることにつきましての根拠規定を置いたのでございます。  第七条は定員に関する規定でございまして、これも各省設置法等の例に従いまして規定を設けておりまするが、ここで申上げることは、定員が十六万四千五百三十八人、こうなつております。これは現在の保安庁職員定員に比較いたしますと四万一千三百八十六人の増加に相成るのでございます。この増加のうちで自衛官の数を現在の保安官及び警備官の数と比較してみますと、三万一千七百九十二人の増加に相成るのでございます。その他の職員増加が九千五百九十四人と相成つております。  第八条は「次長に関する規定でありまして、これも現在の保安庁法次長について規定を設けておりますものと同様の規定でございます。  第九条は今回新設をいたしました規定でございまして、只今大臣提案理由の御説明の中にもありましたごとく、新たに防衛庁所掌事務に関する基本的方針策定について長官を補佐する機関として参事官制度を設けたのでございます。  第二章第二節は「内部部局」に関する規定でございまして、これは第十条から第二十条まででございます。  第十条は「防衛庁に、長官官房の外、左の五局を置く。」ことを規定しております。現在は御承知通り保安庁法におきましては、長官官房のほかに、保安局人事局経理局装備局とございますので、現在の保安庁法内部部局組織に比較いたしますと、今回は教育局追加新設をせられたということになつております。  第十一条は「長官官房所掌事務規定しておるものでございますが、これは現在の保安庁法長官官房所掌事務と大体同様でございます。  第十二条は「防衛局所掌事務」、これも現在の保安局所掌事務と大体同様でございます。  第十三条、教育局新設したことに伴いまして今の保安局が所掌しておりまするところの教育に関する事務の一部を第十三条の教育局のほうに移したのでございます。  第十四条の人事局所掌事務」、第十五条の「経理局所掌事務」、第十六条の「装備局所掌事務」これも現在の保安庁人事局経理局装備局所掌事務と大体同様の規定をいたしております。  第十七条は「内部部局職員」に関する規定でありまして、現在の保安庁法の第十六条に相当するものであります。「長官官房官房長を、各局に局長を置く。」こと。ただここで今回は官房長局長参事官をもつて当てることにいたしております。現在の保安庁法におきましては官房長局長官名といたしておるのでありますが、今回は参事官をもつて官房長局長に当てる、こういうふうにいたしまして、官房長局長所掌事務は現在と同様でございます。  第十八条は内部部局のその他の職員規定でございます。この点につきましても現在の保安庁法規定と同様でございまするが、只今長官提案理由の御説明にもありましたが、現在の保安庁法の第十六条の第六項におきましては課長以上の幹部職員について「三等保安士以上の保安官又は三等警備士以上の警備官の経歴のない者のうちから任用するものとする。」という規定があるのでありますが、今回はこの規定を設けなかつたのでございます。この点が本節につきましては重要な改正部分なつております。  第十九条の「内部部局における自衛官勤務」、これは保安庁法の第十七条の規定と同様でございます。政府職員内部部局勤務する場合といたしまして規定いたしたのでありまして、職務上の関係におきましては勤務を命ぜられた部局の長の指揮監督を受けますが、政府職員でありまするので、身分上の事項についてはその所属する幕僚監部又は部隊等の長の監督を受けるというふうに規定いたしております。現在と相違ございません。  第二十条は「官房長及び局長幕僚長及び統合幕僚会議との関係」でございます。これは現在の保安庁法の第十条に規定をされておるところでございます。ここに書いてありまするごとく、官房長及び局長は、その所掌事務に関しまして長官幕僚長との関係において長官を補佐する。その仕方はどういうことかと申しますと、第一は「陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊に関する各般の方針及び基本的な実施計画作成について長官の行う陸上幕僚長海上幕僚長又航空幕僚長に対する指示」、それから第二に「陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊に関する事項に関して陸上幕僚長海上幕僚長又航空幕僚長作成した方針及び基本的な実施計画について長官の行う承認」、第三に「統合幕僚会議の所掌する事項について長官の行う指示又は承認」、第四に「陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊に関し長官の行う一般的監督」に官房長及び局長長官を補佐するということにいたしております。規定の仕方は若干異なつておりまするが、趣旨におきましては現在の保安庁法の第十条によりまして規定を設けたものでございます。  第二章の第三節は「幕僚監部」に関する規定でございます。第二十一条から第二十四条までがこの規定であります。  第二十一条におきましては先ほど大臣提案理由の御説明にありましたように、現在の第一幕僚監部に相当いたしまする陸上幕僚監部、第二幕僚監部に相当いたします海上幕僚監部、そのほかに航空幕僚監部というものをおいております。  第二十一条の第二項、第三項、第四項に規定してありますことは、現在の保安庁法の第十八条に規定してあるのと同様であります。  第二十二条は「幕僚長」に関する規定でありまして、これは現在の保安庁法の第十九条に相当する規定であります。「陸上幕僚監部の長を陸上幕僚長とし、海上幕僚監部の長を海上幕僚長とし、航空幕僚監部の長を航空幕僚長とする。」というのであります。「陸上幕僚長陸上自衛官をもつて海上幕僚長海上自衛官をもつて航空幕僚長航空自衛官をもつて充てる。」それから第三項に「幕僚長は、長官指揮監督を受け、幕僚監部事務を掌理する。」現在の規定と同様な規定を設けた次第であります。  第二十三条はこの「幕僚監部所掌事務」に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の第二十条に相当いたすものであります。ただ内容といたしまして防衛任務が加わりましたことに伴いまして所掌事務事項につきましては一部必要なる追加改正を加えております。ただこの二十三条におきまして新たなことは第二項を設けましたことでありまして、即ち第二項におきまして「長官は、必要があると認める場合には、前項の規定にかかわらず、一の幕僚監部に他の幕僚監部事務の一部を処理させることができる。」こういう規定追加いたしたのでございます。これは事務運営上の便宜を考えまして追加いたしたのであります。  第二十四条は「幕僚監部職員」に関する規定でございまして、これも現在の保安庁法の第二十一条に相当する規定でございます。保安官警備官という従来の名前が新たに自衛官というふうに変りましたことに伴いまして字句の変つた点はございまするけれども、内容におきましては現在の規定と同様でございます。  第二章の第四節は新設をいたしました規定でございまして、第二十五条から第二十八条まで「統合幕僚会議」について規定を設けたのでございます。  第二十五条は「防衛庁に、統合幕僚会議を置く。」ということを規定いたしております。  第二十六条は「統合幕僚会議所掌事務」について規定を設けたものでございます。即ち統合幕僚会議は、第一「統合防衛計画作成及び幕僚監部作成する防衛計画調整に関すること。」第二に「統合後方補給計画作成及び幕僚監部作成する後方補給計画調整に関すること。」第三に「統合訓練計画方針作成及び幕僚監部作成する訓練計画方針調整に関すること。」第四に「出動時における自衛隊に対する指揮命令統合調整に関すること。」第五に「防衛に関する情報の収集及び調査に関すること。」第六に「その他長官の命じた事項に関すること。」をその所掌事務としてこれらの事項について長官を補佐することにいたしております。即ちこれは先ほど提案理由説明にもありましたごとく、自衛隊の総合的且つ有効なる運営を図るというところにこの大きな狙いがあるのでございます。  第二十七条は「統合幕僚会議構成」に関する規定でございます。即ちこの統合幕僚会議議長並びに陸上海上航空の各幕僚長をもつて、即ちこの四人をもつて組織するのであります。議長は専任として、自衛官をもつて充てる。この議長たる自衛官は、自衛官の最上位にあるものと規定いたしております。議長統合幕僚会議の会務を総理する。その他統合幕僚会議の議事の運営については長官が定めることの規定を設けております。  第二十八条は「統合幕僚会議事務局」に関する規定でございまして、この統合幕僚会議事務局を置き、その事務局自衛官をもつて充てる事務局長を設けます。この事務局長議長の命を受けて幕僚会議事務をつかさどる。その他事務局事務局長のほか自衛官事務官、その他所要職員を置く。事務局内部組織については政令で定める。こういうことに規定いたしております。統合幕僚会議職員自衛官二十名のほか事務官その他所要職員十三名でございます。  第五節が部隊及び機関に関する規定でございまして、ここに二十九条三十条に二カ条根拠的な規定を設けておるのであります。  即ち第二十九条におきましては、「防衛庁に、陸上幕僚長海上幕僚長、又は航空幕僚長監督を受ける陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊部隊及び機関を置く。」この「部隊組織及び編成並びに機関組織及び所掌事務は、自衛隊法の定めるところによる。」第三十条におきましてこの「部隊及び機関に、自衛官を置く外、事務官、技官、教官その他所要職員を置くことができる。」という根拠規定防衛庁設置法には規定したにとどまりまして、この具体的な内容は、自衛隊法に持つて来るわけでございます。  第六節は附属機関でございまして第三十一条から第三十八条までに必要な事項規定いたしております。第三十一条では、どういう附属機関を置くかということをきめておるのでありまして、即ち防衛研修所防衛大学校技術研究所建設本部調達実施本部の五つの附属機関を置くことになつております。このうちで防衛研修所は現在の保安研修所防衛大学校は現在の保安学校技術研究所は現在の技術研究所でございます。大体この三つ機関を踏襲ずるものでございますが、新らしく建設本部調達実施本部というものを附属機関として置くことに定めたのであります。この理由先ほど大臣提案理由の御説明の中にもありましたが、陸上海上航空三つ自衛隊がありまするので、この所要物件並びに役務調達の可及的一元化能率化を図る、又建設工事等につきましても、これを統一的に且つ経済的に行わせるというところにこの狙いがあるのでございます。  第三十二条は防衛研修所規定でありまするが、これは現在の保安研修所と同様でございます。  第三十三条は防衛大学校、これも現在の保安学校に関する規定と同様でございます。  第三十四条は、技術研究所に関する規定でありまして、これも現在の技術研究所と同様でありますが、ただ技術研究所は、この法律におきましては、東京都に置くとなつておりまするけれども、附則のほうにおきまして、過渡的に神奈川県におくということになつております。現在技術研究所川崎市内に仮に設けておりまするので、かような経過規定をそこに設けた次第であります。  第三十五条と第三十六条が新らしい規定でありまして、第三十五条が建設本部に関して規定したものであります。即ち「建設本部は、自衛隊施設の取得及び建設工事実施を行うとともに、長官の定めるところにより、行政財産を管理する機関とする。」とありますが、「建設本部は、東京都に置く。」「建設本部内部組織は、政令で定める。」としております。現在保安庁の中におきます建設業務につきましては、第一幕僚監部の中に中央建設部というのがありまして、これは主として、保安隊建設をやるのであります。これは今後は陸上海上航空のほうの建設業務も一括してやらせたいというのが、第三十五条に建設本部に関する規定を設けまして、第一幕僚長の所掌から外して、防衛庁の直接の附属機関とした、こういうところに狙いがあるのであります。  第三十六条は調達実施本部に関する規定でありまして、これは「調達実施本部は、自衛隊任務遂行に必要な装備品等及び役務長官の定めるものの調達を行なう機関とする。」「長官の定めるもの」と言いまするのは、中央調達を意味するのでございまして、地方調達部を除いたものの調達を行なうという趣旨でございます。「調達本部は、東京都に置く。」その「内部組織は、政令で定める。」といたしております。保安隊に関する第一幕僚監部警備隊に関する第二幕僚監部に、それぞれ調達に関する所要の部分を置いております。今回新たにこの法律案が成立いたしますと、航空調達も始まるわけでございますので、調達の可及的な能率化を図りたいという趣旨から、陸海おのおのの調達部を扱う機関として、防衛庁に直接の附属機関として、かような機関を設けたいというのが、この規定の趣旨の狙いでございます。  第三十七条はこれらの附属機関の地方機関に関する規定でございます。技術研究所建設本部及び調達実施本部事務の一部を分掌させるため、所要の地に地方機関を置くことができること、並びに、地方機関の名称、位置及び内部組織は、総理府令で定めるということを規定したのでございます。  第三十八条は附属機関職員に関する規定でございまして、これは大体現在の保安庁法の第二十三条の第三項、第四項に書いてある規定と同様でございます。現在も所有いたしておりまするが、防衛大学校の学生の員数は、第七条第一項に規定する職員定員外とするということといたしております。  第七節は職員に関する規定でございまして、これも御説明いたしました部隊及び機関に関する規定と同様、根拠的な規定防衛庁設置法のほうに設けたのでございまして、具体的な規定自衛隊法のほうに譲つております。  第三十九条は自衛官の職務。第四十条は事務官、技官及び教官の職務を現在と同様に規定しております。  第四十一条は職員の身分取扱に関しまして、この法律に定めるものの外、防衛庁に置かれる職員の任免、分限、懲戒、服務その他人事管理に関する事項並びに階級及び服制については、自衛隊法で定めるということを規定したのであります。  第三章は国防会議に関する規定でございまして、これは新設のものでございます。  第四十二条は「国防に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」国防会議につきましては、内閣総理大臣が次の事項については国防会議にはからなければならないということを規定いたしております。即ち第一は「国防基本方針」。第二が「防衛計画大綱」。第三が「前号の計画に関連する産業等調整計画大綱」。第四が「防衛出動の可否」。第五が「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」。  第三項といたしましてかように国防会議は総理大臣から諮問を受けたことのほか、「国防に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる。」といたしております。  第四十三条は国防会議構成等に関する規定でありましてここにおきましては、「国防会議構成その他国防会議に関し必要な事項は、別に法律で定める。」別途の法律に譲つております。  以上が防衛庁設置法の本文に関する説明でございまして、附則は第一項から第十六項までございます。  第一項はこの法律の施行期日といたして、「公布の日から起算して一月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」。  第二項は「海上公安局法は、廃止する。」。  第三項は現在の保安庁にありまするそれぞれの機関独立性を持ちまして、防衛庁のそれぞれの機関になるということ。  第四項は先ほど申上げました技術研究所は当分の間神奈川県に置くということ。  第五項以下はこれは保安庁防衛庁となることに伴いまして地方自治法、国家公務員法、建設設置法、地方財政法等の改正でございまして、これは法律案で御覧願いまする通り保安庁防衛庁に改めるという程度の改正でございまするので、御説明を省略さして頂きたいと思います。  次に自衛隊法案についての内容説明を申上げます。  自衛隊法案は本文九章百二十二カ条附則二十六項からなつておるのであります。  その第一竜は総則でございまして、第一条から第六条までに規定をいたしております。  第一条はこの法律目的に関する規定でございまして、「この法律は、自衛隊任務自衛隊部隊組織及び編成自衛隊行動及び権限隊員身分取扱等を定めることを目的とする。」という目的に関する規定を書いております。  第二条におきまして、この法律において自衛隊陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊、及び隊員といつた場合の定義を規定いたしているのであります。即ち自衛隊と申した場合におきましては、「防衛庁長官及び防衛政務次官並びに防衛庁次長参事官内部部局統合幕僚会議及び附属機関並びに陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊」の全部を含んだものを自衛隊と称することにいたしております。次に陸上自衛隊と申しました場合は、「陸上幕僚監部並びに陸上幕僚長監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。」、即ちこの陸上自衛隊と申しました場合におきましては、長官次長参事官内部部局等は入らないのであります。海上自衛隊と申しました場合におきましては、「海上幕僚監部並びに海上幕僚長監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。」航空自衛隊と申しました場合には「航空幕僚監部並びに航空幕僚長監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。」それから隊員と申しました場合は、防衛庁設置法第七条第一項に規定する「職員」をこの法律では「隊員」ということにいたしているのであります。  第三条がこの法律の中心的な規定でございまして、先ほど大臣の御説明にもありましたが「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共秩序維持に当るものとする。」ということを規定いたしたのでございます。第三条の第二項は、「陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。」これは現在の保安隊及び警備隊におきまして保安庁法の第五条に規定しているのと同様のことでございます。  それから第四条は自衛隊の旗に関する規定でございます。「内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊部隊又は自衛艦に交付する。「前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。」ということにいたしております。  第五条は表彰に関する規定でございますが、これは第五条、及び第六条の礼式、共に現在の保安庁法第七十九条に規定するものと同様でございます。第五条におきましては、「隊員又は防衛庁附属機関若しくは自衛隊部隊若しくは機関で、功績があつたものに対しては長官又はその委任を受けた者が、特に顕著な功績があつたものに対しては内閣総理大臣が表彰する。」、「前項に定めるものの外、自衛隊の表彰に関し必要な事項は、政令で定める。」ということにいたしております。  第六条「自衛隊の礼式は、総理府令の定めるところによる。」というのは、現在の保安庁法の第七十九条と同様でございます。  第二章が指揮監督に関する規定でございます。第七条から第九条までの三カ条の規定を設けております。  第七条が内閣総理大臣指揮監督権の規定でありまして、内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」ということにしておるのでございます。防衛庁先ほど説明いたしました通り総理府外局でございますので、事務の分担管理大臣としてはやはり内閣総理大臣がその掌に当るのでございますが、ここの第七条の内閣総理大臣事務の分担管理大臣としてでなしに、内閣を代表しての行政各部に関する統一指揮を持つ内閣総理大臣をとつて規定したのでありましてれその立場において「内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」ということに規定いたしておるのであります。これは新設規定であります。  第八条は、現在の保安庁法の第三条に規定してあることと同様でございます。即ち、防衛庁長官は、分担管理大臣としての「内閣総理大臣指揮監督を受け、自衛隊任務を統括する。但し、陸上幕僚長海上幕僚長、又は航空幕僚長監督を受ける部隊及び機関に対する長官指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行うものとする。」これは現在の保安庁法第三条第二項に規定するものと同様でございます。  第九条は幕僚長の職務に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の第十九条と同様でございます。即ち、「陸上幕僚長海上幕僚長又航空幕僚長は、長官指揮監督を受け、それぞれ陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊の隊務及び所部の隊員服務監督する。」第二項におきまして、「陸上幕僚長陸上自衛隊の隊務に関し、海上幕僚長海上自衛隊の隊務に関し、航空幕僚長航空自衛隊の隊務に関しそれぞれ最高の専門的助言者として長官を補佐する。」第三項におきまして「幕僚長は、それぞれ部隊等に対する長官命令を執行する。」ということにしております。現在の保安庁法第十九条の規定と同様でございます。  第三章が部隊に関する規定でございまして、四節十四カ条から成つております。この所の規定は、現在は保安庁法におきましては主として政令に譲つておるのでございまするが、先ほど大臣提案理由の御説明にありましたごとく、編成及び組織大綱法律規定をするという趣旨で新たに設けられたものでございます。第三章の中の第一節は陸上自衛隊部隊組織及び編成であります。即ち、第十条におきまして、「陸上自衛隊部隊は、方面隊、管区隊その他の長官直轄部隊とする。」第二項、「方面隊は、方面総監部及び管区隊その他の直轄部隊から成る。」第三項、「管区隊は、管区総監部及び連隊その他の直轄部隊から成る。」、これは現在の保安庁法施行令の第十四条に規定をしておるところと同様でございます。この方面隊及び管区隊の所在地等につきましては別表においてこれを規定いたしております。この法律案の第百七頁、方面隊及び管区隊の名称、方面総監部及び管区総監部の名称及び所在地をきめております。  第十一条は方面総監の職務を規定したのでありまして現在の保安庁法施行令の第十五条と同様でございます。  第十二条は管区総監の規定でありまして、これも現在の保安庁法施行令の第十六条と同様であります。この十二条で御説明申上げることは、「管区隊の長は、管区総監とする」というのは、これはいいのでありますが、第二項以下において、「管区総監は、長官指揮監督を受け、管区隊の隊務を統括する。」、「方面隊に属する管区隊の管区総監にあつては、方面総監」というのがございます。即ち、その規定の中には、方面隊に所属しておるものがございますので、方面隊に所属する管区隊と所属しない管区隊とあります。それで方面隊に所属しておるものにありましては方面総監の指揮監督を受けることになるのであります。  第十三条が方面隊及び管区隊の名称等でありまして、この「方面隊及び管区隊の名称並びに方面総監部及び管区総監部の名称及び所在地は、別表第一の通のとおりとする。」、只今申上げました第二項におきまして、「特別の事由によつて方面隊及び管区隊並びに方面総監部及び管区総監部を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更する必要が生じた場合においては、国会の閉会中であるときに限り、政令で方面隊等を増置し、若しくは廃止し、又は方面隊等の名称及び所在地を変更することができるといたし、この場合においては、政府は、次の国会でこの法律を改正する措置をとるべきものとしておるのでございます。  第十四条は、現在の保安庁法施行令第十八条に該当するものでありまして方面隊及び管区隊以外の長官直轄の部隊でありますが、この長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受けて当該部隊の隊務を統括するというふうにきめております。  第二節が海上自衛隊部隊組織及び編成でございます。第十五条がその編成をきめておるのでありまして、「海上自衛隊部隊は、自衛艦隊、地方隊その他の長官直轄部隊とする。」自衛艦隊は、自衛艦隊司令部及び護衛隊群、警戒隊群若しくは掃海隊群のうち二以上のもの又はこれらにその他の部隊を加えたものから成る。「地方隊は、地方総監部及び護衛隊、警戒隊、掃海隊、基地隊、航空隊その他の部隊から成る。但し、地方総監部以外の部隊の一部を編成に加えないことができる。」これは現在の保安庁法施行令第十九条に規定いたしておるところでございます。  第十六条が自衛艦隊司令、第十七条が地方総監、第十八条がその他の自衛艦隊、地方隊以外の部隊の長の職務に関する規定でございまして、これはいずれも現在の保安庁法施行令の第二十二条、第二十条等に規定しておるものでございまして、それと同様でございます。  第十九条は「地方隊の名称並びに地方総監部の名称及び所在地は、別表第二のとおりとする。」この法律案の百八ページに規定してございます。即ち地方隊といたしましては横須賀地方隊、舞鶴地方隊、大湊地方隊、佐世保地方隊のほか新たに呉地方隊を設けることにいたしております。各総監部の名称及び所在地はそれぞれ該当の欄に定めてございます。第二項の規定先ほど陸上自衛隊の方面総監部及び管区総監部について第十三条で御説明しましたと同様の規定でございます。  第三節は、航空自衛隊部隊編成等に関する規定であります。これは新設でございます。即ち第二十条におきまして「航空自衛隊部隊は、航空教育隊その他の長官直轄部隊とする。」といたしております。「航空自衛隊部隊の長は、長官の定めるところにより、上官の指揮監督を受け、当該部隊の隊務を統括する。」といたしております。  第二十一条におきまして「航空教育隊の名称及び所在地は、政令で定める。」ということにいたしておるのでございます。  第四節は、以上申上げました陸上海上航空の各部隊編成につきましての特例及び委任規定をきめたものでございます。  第二十二条は、以上述べました陸上海上航空の本来の編成に対する部隊編成の特例であります。即ち「内閣総理大臣は、第七十六条第一項、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により自衛隊出動防衛出動或いはあとで出て参りますが、治安出動というふうな場合を規定しておるのでありますが、そのような出動を命じました場合には特別の部隊編成できる、ということに第一項でしておるのであります。第二項のほうは、長官部隊編成権限を与えておるのであります。このほうは第八十二条の規定により海上における警備行動、第八十三条第二項の規定による災害派遣又は訓練その他の事由により必要があつた場合には、長官が特別の部隊を臨時に編成することができる、としておるのであります。これは現在の保安庁法施行令の第二十四条に規定しておるのと同様の規定でございます。  第二十三条は委任規定でございまして、「本章に定めるものの外、自衛隊部隊組織編成及び警備区域に関し必要な事項は、政令で定める。」ということにいたしました。  第四章は第二十四条から第三十条まで七カ条から成つておりまして、機関に関する事項規定したものでございます。これも現在は保安庁法施行令で規定しておりますものの重要な事項法律規定することにしたものでございます。  第二十四条は機関として、「防衛庁に置かれる陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊機関の種類は、左のとおりとする。但し、海上自衛隊又は航空自衛隊については、その一部を置かないことができる。」としておるのでありまして、これらの機関として学校、補給処、病院、地方連絡部というものを置いております。このほかに第二項におきまして、「自衛隊の業務遂行上特に必要がある場合には、政令で定めるところにより、臨時に陸上自衛隊海上自衛隊又は航空自衛隊機関を置くことができる。」ということにしておるのであります。  第二十五条以下はこれらの機関につきましての本来の職務及びその職員等に関する重要なる事項規定したものでございます。即ち第二十五条は学校に関する規定でありまして、学校においては、隊員に対しその職務を遂行するに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、それぞれ各種部隊の運用等に関する調査研究を行う。」「学校に、校長を置き、自衛官をもつて充てる。」第三項は「校長は、長官の定めるところにより、校務を掌理する。」こうきめておるのであります。  第二十六条が補給処に関する規定でございます。「補給処においては、自衛隊の需品、火器、弾薬、航空機、施設器材、通信器材、衛生器材等の調達、保管、補給又は整備及びこれらに関する調査研究を行う。」「補給処に、処長を置き、自衛官をもつて充てる。」こと、「処長は、長官の定めるところにより、処務を掌理する。」のでありますが、併し「長官は、必要があると認める場合には、方面総監、管区総監又は地方総監に指揮監督させることができる。」旨を規定いたしました。  第二十七条は病院に関する規定であります。「病院においては、隊員その他政令で定める者の診療を行うとともに、医療その他の衛生に関する調査研究を行う。」ことにしております。第二項は院長でありまして、院長は「自衛官又は技官をもつて充てる。」第三項は院長の職務でございまして、これは補給処長についての職務と同様の規定を設けております。  第二十八条は以上のごとき本来の勤務に対する特別の事務について規定しておるのでありまして、「長官は、必要があると認めるときは、校長、処長又は病院長に校務、処務又は院務以外の事務を処理させることができる。この場合においては、長官は、これらの事務について方面総監、管区総監又は地方総監に校長、処長又は病院長を指揮監督させることができる。」ということにいたしました。第二十九条は地方連絡部に関する規定でありまして、これは今回新らしく設けんとするものでございます。即ち「地方連絡部においては、自衛官の募集その他長官の定める事務を行う。」ものとしておるのでありまして、その長であります地方連絡部長は自衛官を以て充て、この地方連絡部長は長官の定めるところによりまして方面総監又は管区総監の指揮監督を受け、部務を掌理するということにいたしております。  第三十条は、以上の各条に対する委任規定でありまして「本章に定めるものの外、機関の名称、位置、所掌事務、補給処の支処その他の地方機関設置その他機関に関し必要な事項は、政令で定める。」ことにしておるのであります。
  9. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは速記を起して下さい。  それでは暫時休憩をいたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時五十六分開会
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より午前に引続いて委員会を開会いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案についての補足説明を続行いたします。
  12. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第五章の隊員のところから御説明を続けて参ります。  第五章は第三十一条から第七十五条まで五節四十五カ条からなつております。  第一節が通則でございまして、第三十一条は任命権者に関する規定でございます。これは現在の保安庁法の第二十八条と全く同様の規定でございます。  第三十二条は自衛官の階級に関する規定でございまして、現在保安庁法の第三十条におきましては御承知と思いまするが、保安官警備官のおのおのにつきまして、保安監、保安監補、一等保安正、二等保安正、三等保安正、一等、二等、三等の保安士、一等、二等、三等の保安士補、保査長、一等保査、二等保査、警備官のほうでもこれに準じた名前をつけておりますが、今回はこの法律案にございまする通り陸上自衛隊自衛官海上自衛隊自衛官航空自衛隊自衛官三つに分けまして、陸上自衛隊について申しますと陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士、二等陸士、三等陸士、海上自衛隊航空自衛隊についてもこれに準じた名称を附することといたしております。  第三十三条は服制に関する規定でございますが、これは現在の保安庁法の第三十一と同様の規定でございます。  第三十四条は非常勤の隊員の特例に関する規定でございますが、国家公務員法の附則の第十三項と同様の趣旨で規定せられておるのでございます。  第二節が任免に関する事項でございます。第三十五条から第四十一条まで七ヵ条ございます。  第三十五条は現在の保安庁法の三十二条と同様の規定でございまして、「隊員の採用は、試験によるものとする。但し、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない。」といたしております。この具体的な手続は総理府令できめることは現在と同様でございます。  第三十六条が現在の三十三条に対応する規定でございまするが、若干の改正をいたしております。その一つは第一項にございまするが、「陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士は、二年を任用期間として任用されるものとする。但し、長官の定める特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等は、その志願に基き、三年を任用期間として任用されることができる。」即ち現在は二年の任用期間の者だけしか認めておらないのでございますが、今日は本条の第一項但書を以ちまして三年の任用期間の者をも認めることにした点が大きな相違でございます。  第二項はこれは新設規定でございますが、これはどういう趣旨かと申しますると、「志願に基き陸曹候補者の指定を受けた者のうち長官の定めるものについては、適用しない。」これは技術を担当する隊員で、将来陸曹等に採用いたしますものは二年乃至三年という期間で初めから雇用期間を限定しますことは適当でございませんので、こういうふうなものは任期のないものとして採用するということにしているのでございます。  第三項、第四項は、これは第一項、第二項の規定整備したものでございまして、即ち任用期間の起算日を定め、又降給された場合のその任用期間はどうなるかと申しまするのは、第一項で明らかでありまする通り、陸士長以下の者が任用期間があるわけでございます。これが上の級になりますると任用期間がないことになります。それが若し陸士長等に降格されますと、いつから二年乃至三年の期間が始まるかというのが第三項の規定であります。  第四項は、一応任用期間が満了した場合におきましては、これを再志願した場合、再び自分が陸士長等として勤務したいという志願した場合は又二年を期間として任用することができる。この起算日は引き続いて任用された日からということであります。  第五項は、任用期間のありますものが、「任用期間が満了したことに因り退職することが自衛隊任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、当該陸士長等が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内、その他の場合にあつては六月以内の期間を限つて、任用期間を延長することができる。」という規定でございましてこれは現在保安庁法第三十三条第二項におきまして、六カ月以内の期間を限つての任用期間の延長のみを認めているのでございます。それを今回は、防衛出動という観念を認めました場合に伴いまして、この場合におきましては、一年以内延長ができるということに改めんとするものであります。  第三十七条、職員の昇任に関する事項でありまして、これは現在の保安庁法の第三十四条と同様でございます。  第三十八条は、欠格条項に関する規定でございまして、これも現在の保安庁法の第三十五条及び国家公務員法における一般職の公務員の欠格条項と同様の規定を設けております。  第三十九条は、人事に関する不正行為の禁止の規定でございまして、これも国家公務員法の当該規定並びに保安庁法の第三十六条と同様に規定を設けております。  第四十条は新らしい規定でございます。第四十条は、退職の承認に関する規定でございまして、「長官又はその委任を受けた者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等にあつては、その任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつて自衛隊任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。」これが新らしく設けました規定でございます。  第四十一条は、条件附採用に関する事項でございまして、これは現在の保安庁法の第三十七条及び国家公務員法における一般職の公務員についての当該規定と同様の規定を設けたのでございます。  第三節は、分限、懲戒及び保障に関する事項でございまして、第四十二条から五十一条まで十カ条でございます。  第四十二条は、身分保障に関する規定でございます。「隊員は、懲戒処分による場合及び左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。」一が「勤務成績がよくない場合」二が「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」、三が「前二号に規定する場合の外、その職務に必要な適格性を欠く場合」四が「組織編成若しくは定員の改廃又は予算の減少に因り、廃職又は過員を生じた場合」、これは現在の保安庁法の第三十八条及びこれも国家公務員法の身分保障に関する当該規定とほぼ同様の趣旨で規定を設けられているものでございます。  第四十三条は休職に関する規定でありまして、「隊員は、左の各号の一に該当する場合又は政令で定める場合を除き、その意に反して休職にされることがない。」その一は「心身の故障のため長期の休養を要する場合」、その二は「刑事事件に関し起訴された場合」、これも現在の保安庁法の第三十九条及び国家公務員法における当該休職に関する規定と同様の趣旨で設けられております。  第四十四条は休職の効果に関する規定でございます。これは第四十三条と同様に、現在の保安庁法の第四十条及び国家公務員法における当該規定と同様の趣旨で設けられているのでございます。  第四十五条は、停年及び停年後の任用に関する規定でございます。この第四十五条の第一項は、現在の保安庁法の第四十一条と同様でございます。自衛官につきましては、停年をきめているのでありますが、今回は第二項を新らしく追加いたしまして、その第二項は先ほど第三十六条について御説明申上げましたと同様の趣旨から出ているものでございまして、即ち「自衛官が停年に達したことに因り退職することが自衛隊任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、当該自衛官が停年に達した後も引き続いて自衛官として勤務させることができる。」ものとしたのでございます。  第四十六条、懲戒処分に関する規定、これも現在の保安庁法の第四十二条と同様でございます。  第四十七条は、懲戒の効果に関する規定でございます。これも現在の保安庁法の第四十三条と同様でございまするが、ただ違いましたのは、四項において減給を一年以内の期間、俸給の五分の一以下といたしております。これは保安庁法におきましては三分の一以下となつておりましたが、その後国家公務員法の扱いが五分の一ということに改められましたので、それに応じまして今回五分の一と改めて規定したわけでございます。  第四十八条は、防衛大学校の学生の分限及び懲戒の特例に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の第四十四条に規定しておりますところと同様の趣旨で規定いたしております。  第四十九条は、審査の請求及び公正審査会に関する規定でございます。これは現在の保安庁法の第四十六条と同様であります。即ち「隊員は、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合には、長官に対して、その審査を請求すること」、長官はその審査の請求を受けました場合には、公正審議会に付議いたしまして、その公正審査会の判定がありました場合に、この判定に従つて必要な措置をとる。こういうようにいたしているのでありまして、現在と変りありません。  第五十条は適用除外の規定でございます。これも現在の保安庁法の第四十七条及び一般職についての、国家公務員法の当該規定と同様な趣旨で規定せられております。  第五十一条の委任規定も、現在の保安庁法の四十五条と同様でございます。  第四節は服務に関する規定でありまして、第五十二条から第六十五条まで十四カ条からなつております。  第五十二条は新設のものでございまして、新たに服務の本旨といたしまして、「隊員は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。」新らしく規定を設けたのでございます。  第五十三条は服務の宣誓に関する規定でございましてこれは現在の保安庁法の四十八条と同様でございます。  第五十四条は勤務態勢及び勤務時間等に関する規定でございます。これも現在の保安庁法の四十九条と同様でございます。  第五十五条、指定場所に居住する義務。これも現在の保安庁法の第五十条と同様の規定でございます。一  第五十六条職務遂行の義務、これも現在の保安庁法第五十一条と同様の規定でございます。  第五十七条の上官の命令に服従する義務、第五十八条の品位を保つ義務、第五十九条秘密を守る義務、これもそれぞれ現在の保安庁法の五十二条、五十三条、及び五十四条と同様の規定でございます。  第六十条は職務に専念する義務、これも現在の保安庁法の五十五条と同様の規定でございます。一般職の職員につきましても国家公務員法の当該規定ともはずを合せて規定をせられております。  第六十一条の政治的行為の制限、これも現在の保安庁法の第五十六条と同様の規定でございます。これも国家公務員法の百二条とはずを合せて規定せられております。  第六十二条の私企業からの隔離、第六十三条の他の職又は事業の関与制限、第六十四条の団体の結成等の禁止、これもすべて現在の保安庁法の第五十七条、第五十八条及び第五十九条の規定と同様でありまして、それぞれ一般職についての国家公務員法とはずを合せた規定を設けておるのでございます。  第六十五条は委任規定でございまして、これも現在の保安庁法の第六十条と同様でございます。  第五節の予備自衛官、これが新設規定でございます。予備自衛官制度を設けられましたことは、先に大臣提案理由の御説明の中にもありまする通り自衛隊防衛にあたる実力を急速且つ計画的に確保するという趣旨から出ておるものであります。先ず第六十六条におきまして予備自衛官の性格について規定しております。即ち「予備自衛官は、第七十条第一項に規定する防衛招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官なつ勤務し、第七十一条第一項に規定ずる訓練招集命令により招集された場合において訓練に従事するものとする。」このことは通常の場合においては予備自衛官は常時勤務するものではない、防衛招集命令がありました場合、訓練招集命令がありました場合において実際の勤務を行うという趣旨でございます。第二項は予備自衛官の員数を一万五千人にきめておるのでございます。これは防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員定員外と定めております。  第六十七条は予備自衛官の採用に関する規定でございまして、即ち予備自衛官の採用は、隊員一般の採用に関する第三十五条の規定にかかわらず自衛官、但し旧保安隊保安官及び旧警察予備隊の警察官並びに旧警備隊警備官及び旧海上警備隊海上警備官を含む、これらであつた者の、これらの経歴を持つております者の志願に基いて総理府令で定めるところによつて選考によつてこれを行うときめておるのでございます。そして長官又はその委任を受けました者は、採用された予備自衛官に対して、総理府令で定めるところによつて相当の自衛官の階級を指定するというふうにいたしておるのであります。  第六十八条は予備自衛官に採用されましたものの任用期間及びその延長に関する規定でございます。予備自衛官の任用期間は採用の日から起算して三年ということにしております。但し第二項におきまして、予備自衛官がその任用期間が満了した場合において、志願をしたときは、引き続き三年を任用期間として再任をすることができるということにいたしてあります。又三項におきまして、予備自衛官防衛招集命令を受け自衛官なつておる場合、その者が予備自衛官に採用され、又は引き続き任用された日から起算して三年を経過したことによつて退職することが自衛隊任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、一年以内の期間を限つて、その者の任用期間を延長することができる。前の陸士長以下の二年又は三年以下の任用の関係につきまして任期の延長を認めましたと同趣旨におきまして第三項を規定しておるのであります。第四項は「予備自衛官が第七十条第一項の規定による防衛招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官なつていた期間は、予備自衛官の任用期間に含めて計算する」ということにいたしております。  第六十九条は予備自衛官の昇進に関する規定でございます。即ち長官又はその委任を受けた者は、勤務実績又は能力の実証に基く選考によりまして、予備自衛官を、その現に指定されている自衛官の階級より上位の階級を指定して、昇進させることができる、その詳細なる事項総理府令できめるということにいたしております。  第七十条は防衛招集の場合の規定であります。即ち「長官は、第七十六条第一項に規定する防衛出動命令が発せられた場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣承認を得て、予備自衛官に対し、防衛招集命令書によつて防衛招集命令を発することができる。」この防衛招集命令を受けました予備自衛官は第二項によりまして、「指定の日時に、指定の場所に出頭して、防衛招集に応じなければならない。」これは第三項によりまして「辞令を発せられることなく、防衛招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となるものとする。この場合において、当該自衛官の員数は、防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員定員外とする。」これが第三項であります。第四項ではこの場合における任用期間でありまして、この任用期間は、「第三十六条の規定にかかわらず、」と言いますのは、前の陸士長等の規定であります。その任用規定ではなしに予備自衛官としての任用期間によるべきだということであります。このものにつきましては、「第四十五条第一項の停年に関する規定は、適用しない。」ことといたしております。第五項は、第一項の規定による防衛招集命令を受けました予備自衛官が心身の故障その他真にやむを得ない事由によりまして、指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合、又は防衛招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、長官は、政令で定めるところによりまして、防衛招集命令を取り消し、又は防衛招集を猶予し、若しくは解除することができることにいたしております。第六項は、「長官は、防衛招集の必要がなくなつた場合には、すみやかに、防衛招集を解除しなければならない。」旨を、又第七項は、防衛招集を解除された自衛官は、原則といたしまして解除されますれば本来の形である予備自衛官に帰るのであります。その予備自衛官としての階級の指定は、防衛招集の解除の日の当該自衛官の階級であるということが第七項であります。第八項は、第六十八条の第三項の規定というのは任用期間の延長の規定でありますから、その任用規定によつて任用期間が延長されておつた自衛官防衛招集を解除された場合は、これは本来の任用期間を過ぎている場合でありますので、この場合は、「防衛招集の解除の日をもつて予備自衛官の任用期間が満了したものとする。」という趣旨でございます。  第七十一条は訓練招集に関する規定であります。即ち第一項におきまして、「長官は、所要訓練を行うため、年に二回以内、各回ごとに招集期間を定めて、予備自衛官に対し、訓練招集命令書によつて訓練招集命令を発することができる。」但しこの招集期間は三項におきまして、「一年を通じて二十日をこえないものとする。」ということにいたしております。第二項と第四項は前に防衛招集について申上げましたと同様の趣旨の規定でございます。第五項は訓練召集を受けました予備自衛官は、その招集されている期間中は総理府令で定めているところに従つて長官が指定する場所に居住して、訓練に従事するものとするということを明らかにしております。  第七十二条は委任規定でありまして、防衛招集及び訓練招集につきまして、第七十条及び第七十一条に規定するもののほか訓練招集命令書に記載すべき事項でありまするとか、防衛招集命令及び訓練招集命令の手続その他の必要な事項政令で定めることになつておるのであります。  第七十三条は不利益取扱の禁止であります。何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、予備自衛官である者に対しまして、その予備自衛官であることを理由として不利益な取扱をしてはならないこと並びに「すべての使用者は、被用者が予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。」ことを規定いたしております。但しこれは裏付けとなる強制的な規定はないのであります。  第七十四条は住所変更の届出であります。これは予備自衛官の本来の任務から考えまして、住所を変更したとき、或いは心身の故障のため長期の休養を要するに至つたとき、又は不具廃疾となつたときには、速かに長官に届出なければならないことになつております。第二項及び第三項は、これらの事項に対しまして必要な手続を同居の親族その他が明らかにしておくことを要求しておるものでございます。  第七十五条は適用除外の規定であります。ここで「第四十一条」と申しまするのは条件附採用の規定、「第三節」と申しますのは分限、懲戒、身分保障に関する規定、「第五十四条」は常時勤務態勢、「第六十条第二項及び第三項」、これは兼職禁止の規定、「第六十一条から第六十三条まで」と申しますのは政治的行為の制限、私企業への関与制限、他の事業への関与制限等であります。これらの規定予備自衛官については適用しない、本来その本務の仕事を持つておりましてめいめいその職場で働いておる人の場合に、防衛招集に応じて自衛官となり又は年に二回以内訓練招集を受けまして勤務をするというのでありますので、  一般隊員とは異なり以上申上げましたような規定を適用しないことにいたしております。「但し、第六十一条第一項の規定は、第七十一条第一項の規定による訓練招集命令により招集されている予備自衛官については、適用があるものとする。」第六十一条第一項と申しますのは「政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、政令で定める政治的行為をしてはならない。」という規定であります。この規定だけは、第六十一条は全体として適用除外するのでありますけれども、訓練招集命令によつて招集されている予備自衛官については適用があるということを規定したのであります。  第二項は、「第四十一条」は先ほど申上げました条件附採用の規定、「第六十条第二項及び第三項」は兼職禁止の規定、「第六十一条第二項及び第三項」は政治的行為の禁止の規定、「第六十二条及び第六十三条」即ち私企業への関与制限及び他の事業への関与制限、これらの規定は第七十条第三項の規定によつて自衛官なつている者、即ち防衛招集命令を受けまして予備自衛官自衛官なつた者についてはこれを適用しないことにいたしておるのであります。  第六章は自衛隊行動に関する事項規定しておるのであります。第七十六条は防衛出動に関する規定でございまして、これは新しく設けました今回の法律案中の最も重要な規定の一つであろうと思います。第七十六条は、内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃の虞れのある場合においても、この場合に際しまして、我が国防衛するため必要があると認めた場合には、国会の承認、衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認を得まして、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。即ち防衛出動は、外部からの武力攻撃又はその虞れのある場合に、我が国防衛するために必要があると認める場合に国会の承認を得て内閣総理大臣が発令するのであります。「但し、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」と第一項に但書をしております。併しこの場合には第二項によりまして「前項但書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。」ものといたしております。そうして第三項におきまして、「内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたときは、直ちに、自衛隊の撤収を命じなければならない。」ものと規定しておるのであります。  第七十七条も新設規定でありまして、これは防衛出動の待機命令でありまして、「長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。」といたしたのであります。  次は治安出動に関する規定でありまして、第七十八条は治安出動の一つの場合である命令による治安出動規定したものであります。これは現在の保安庁法の第六十一条に相当する規定であります。御承知のごとく現在の保安庁法には防衛出動というような観念はないのであります。命令出動というものがあります。その命令出動といたしまして、保安庁法第六十一条は「内閣総理大臣は、非常事態に際して、治安維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」としておるのであります。この第七十八条を読み上げますと、第六十一条に相当する規定でございまして、「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して一般警察力をもつては、治安維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」ことになつております。第二項において、「内閣総理大臣は、前項の規定による出動を命じた場合には、出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。」こと並びに「内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき〕、又は出動の必要がなくなつたときは、すみやかに、自衛隊の撤収を命じなければならない。」こと、すべて現在の保安庁法の第六十一条と同様でございます。  次に第七十九条、治安出動待機命令に関する規定でありまして、これは防衛出動の待機命令と同様な趣旨で規定しておるのでありまして、現在保安庁法の第六十三条としてあるのであります。ただ今回はこれに第二項を加えまして、治安出動の待機命令を発する場合におきましては、「長官は、国家公安委員会と緊密な連絡を保つものとする。」と特に規定を設けたのであります。  第八十条は、海上保安庁の統制に関する規定であります。これは現在の保安庁法の第六十二条に相当する規定であります。即ち「内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」こととしておるのであります。この場合において、第二項は、内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、長官にこれを指揮させること並びに「内閣総理大臣は、第一項の規定による統制につき、その必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。」旨を第三項に規定しております。  第八十一条は、治安出動の場合の第二の場合、即ち要請による治安出動規定であります。第八十一条は現在の保安庁法の第六十四条に相当するものであります。即ち「都道府県知事は、治安維持上重大な事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県の都道府県公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に対し、部隊等出動を要請することができる。」ことといたしております。「内閣総理大臣は、前項の要請があり、事態がやむを得ないと認める場合には、部隊等出動を命ずることができる。」旨並びに「都道府県知事は、事態が収まり、部隊出動の必要がなくなつたと認める場合には、内閣総理大臣に対し、すみやかに、部隊等の撤収を要請しなければならない。」こと並びに「内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は部隊等出動の必要がなくなつたと認める場合には、すみやかに部隊等の撤収を命じなければならない。」こと並びに「都道府県知事は、第一項に規定する要請をした場合には、事態が収つた後、すみやかに、その旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。」と、すべて現在の保安庁法第六十四条と同様でございます。  第八十二条は海上における警備行動に関する規定でありまして、これは現在の保安庁法の第六十五条としてこれに相当する規定がございます。海上における人命若しくは財産の保護又は治安維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣承認を得まして、自衛隊部隊海上において必要な行動をとることを命ずることができる規定であります。  第八十三条は、災害派遣に関する規定でありまして、これも現在の保安庁の第六十六条とほぼ同様の規定でありまするが、若干の改正をいたしました。その一つは、現在の保安庁法によりますると、「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊の派遣を長官又はその指定する者に要請することができる。」そうして「長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊を救援のため派遣することができる。」このような建前として要請によつて初めて派遣をするのだ。「但し、庁舎、営舎その他の保安庁施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合には、同項の要請を待たないで部隊を派遣することができる。」とありますが、これは今回は、八十三条第二項に但し書で、「天災地変その他の災害に際し、その事態に照し、特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」ということを附加えたのであります。  第三項の規定は現在の保安庁法規定と同様でございます。  第八十四条は、新設規定であります。領空侵犯に対する措置といたしまして、「長官は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」ことといたしたのであります。  第八十五条も新設規定でございます。長官と国家公安委員会との相互の連絡に関しまして規定したものでございまして、内閣総理大臣は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定による出動命令を発するに際しましては、長官と国家公安委員会との相互の間に緊密な連絡を保たせるものとしたのであります。  第八十六条は、関係機関との連絡及び協力に関する規定でありまして、これは現在の保安庁法の六十七条と同様の規定でございます。今回はただ新たに連絡及び協力する機関として消防機関を加えたこと等が若干の修正になつております。  第七章は、自衛隊権限に関する規定であります。第八十七条は現在の保安庁法の第六十八条に相当する規定でありまして、「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」旨を規定いたしたものであります。  第八十八条は、これは新設規定でありまして、防衛出動時の武力行使に関して規定しております。即ち「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。」「前項の武力の行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、且つ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」という規定を設けたのでございます。  第八十九条は、治安出動時の権限でございまして、これは現在の保安庁法の第六十九条に、命令出動時の権限として規定をされておりまするものと同様でございます。  第九十条も同様であります。即ち治安出動に際しましては、警察官職務執行法の規定を準用して職務の執行を行うほか、第九十条におきまして警察官には認められておらない特別の権限を認めているのであります。第九十条は、現在の保安庁法の第七十条と同様の規定でございます。  第九十一条も治安出動時の権限でありまして、これも現在の保安庁法の第七十一条と同様でございます。  第九十二条が新設規定であります。これは防衛出動時の公共秩序維持のための権限でありましてれ第九十二条におきましては、「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、第八十八条の規定により武力を行使する」、八十八条の規定と申しますのは、先ほど申しました「わが国を防衛するため、必要な武力を行使する」という規定であります。この規定によりまして「武力を行使する外、必要に応じ、公共秩序維持するため行動することができる。」この場合の権限につきましては第二項におきまして警察官職務執行法の規定及び第九十条第一項の治安出動時の権限としてきめております第九十条の規定によることとしておるのであります。  それから第九十三条は海上における警備行動時の権限でありまして、これは現在の保安庁法の第七十四条と同様の規定でございます。  第九十四条は、災害派遣時の権限であります。  第九十四条の第一項は今回新たに設けたものでございます。警察官職務執行法第四条、これは避難等の措置に関する規定、並びに第六条第一項、第三項及び第四項の規定、これは人命、財産の保護等の場合には一定の場所に立入ることができるという規定であります。この規定は、警察官がその場にいない場合に限りまして、第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等自衛官の職務の執行について準用することとしておるのであります。  第九十四条の第二項は現在の保安庁法の第七十五条と同様の規定でございます。  第九十五条は、武器等の防護のための武器の使用、これは現在の保安庁法の第七十六条に相当する規定でございますが、若干改正を加えております。現在の第七十六条によりますると、「保安官又は警備官は、保安隊又は警備隊の武器庫、弾薬庫又は火薬庫を職務上警護するに当り、人又は武器庫、弾薬庫若しくは火薬庫を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。」と言つております。今回は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、航空機、車両又は液体燃料を職務上警護するに当りまして、防護上必要であると認める相当の理由がある場合には、その限度で武器を使用することができる、というふうに改正しておるのであります。  第九十六条は、部内の秩序維持に専従する者の権限でありまして、現在の保安庁法の第七十七条と同様の規定でございまするが、ただ第七十七条と違いまするところは、第一項におきまして、「自衛官のうち、部内の秩序維持の職務に専従する者は、政令で定めるところにより、左の各号に掲げる犯罪については、政令で定めるものを除き、刑事訴訟法の規定による司法警察職員として職務を行う。」政令で定めるものを除いて司法警察職員としての職務を行うということにした点でございます。これは同法の各号に掲げてありまする犯罪について職務を行うことになつておりまするが、その中には部内の秩序維持という観点から必ずしも取扱わなくてもいいような事件もある、そのようなものは成るべくこの自衛官秩序維持に専従する者の権限を外しまして、一般警察の手によつてこれを行わせるようにしたいという趣旨でございます。  第八章は雑則でございます。  第九十七条は、現在の保安庁法の第七十八条と同様の規定でありまして、募集事務の一部を都道府県知事及び市長村長に委任をする規定であります。及び警察機関事務の委任をする規定であります。  第九十八条は、新設規定であります。学資金の貸与といたしまして、学校教育法に規定する大学に在学する学生で、政令で定める学術を専攻し、修学後その専攻した学術を応用して自衛隊勤務しようとする者に対し、選考により学資金を貸与することができることにいたしまして防衛庁職員として必要なるものを確保しようという趣旨に出るものであります。この第二項以下の事項につきましては育英会の関係の法令を参考として必要なる規定を設けておる次第でございます。  第九十九条は機雷等の除去に関する規定でございますが、これは現在の保安庁法第八十条と同様でございます。  第百条は土木工事等の受託に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の第八十一条とほぼ同様でございますが、今回は若干その委託の範囲を拡げておるのでございます。即ち現在の保安庁法の八十一条によりますると、長官は、保安隊訓練目的に適合する場合には、国又は地方公共団体の土木工事を引き受け、となつておりますが、今回はこれを国、地方公共団体その他政令で定めるものの土木工事、通信工事その他政令で定める事業の施行の委託を受け云々とこういうふうに書いてあるのでございます。  第百一条は、海上保安庁等との関係でありまして、これは現在の保安庁法の第八十二条と同様の規定でございます。  第百二条は、自衛艦旗等に関する規定でありまして、現在の保安庁法第八十三条に相当する規定でございます。  第百三条は、新設規定でございます。防衛出動時における物資の収用等に関する規定をここに規定したものであります。百三条は第一項と第二項と二つの場合に書き分けて規定をしてございます。第一項のほうは防衛出動を命ぜられました部隊行動に係る地域においての規定でありまして、こういうふうな直接行動に係る地域において自衛隊任務の遂行上必要があると認められる場合の物資の収用等を行う規定であります。この場合には都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基きまして、病院、診療所その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又は物資を収用することができる。但し、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、長官又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができるということにしております。第二項のほうは同じく防衛出動の場合でありますが、第一項の場合以外の場合即ち当該自衛隊行動に係る地域以外の地域における収用等の規定であります。この場合におきましては都道府県知事は、長官又は政令で定める者の要請に基きまして、自衛隊任務遂行上特に必要あると認めるときは、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の規定の例によりまして、施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発しますが、そのほかにこの地域におきましては当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができるものとしたのであります。第三項、第四項、第五項はこれは以上第一項、第二項の実体的な規定を動かす上のために必要なる規定でありまして、この場合の手続をどうするか、或いはこの場合における補償をどうするかというふうなことにつきまして、災害救助法の当該それぞれの当該規定を準用すること、或いは政令を以て必要なる手続規定を定めることを規定したわけでございます。  第百四条は新設規定でございます、公衆電気通信設備の利用等に関する規定でございまして、長官は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、郵政大臣に対しまして、公衆電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法第三条第三項第三号に掲げる者が設置する電気通信設備を使用することに関し必要な措置をとることを求めることができると、又二項におきまして郵政大臣はこの求めがあつたときにはその要求にそうように適当な措置をとることを規定いたしたのであります。  百五条はこれも新設規定でございま素す。訓練のための漁船の操業制限又は禁止の規定でございまして、内閣総理大臣は、自衛隊の行う訓練のため水面を使用する必要があるときは、農林大臣及び関係都道府県の知事の意見を聞きまして、一定の区域及び期間を定めて漁船の操業を制限し又は禁止することができることにいたしております。第二項、第三項、第四項はこの場合における損失の補償に関する規定でございます。第五項、第六項、第七噴、第八項、第九項、第十項いずれも損失の補償に関する規定でございます。  百六条は火薬類取締法の適用除外に関する規定でありまして、これは現在の保安庁法の第八十四条に相当する規定でございまして、若干字句の変つた点もございまするけれども実質的には差はございません。  第百七条は航空法の適用除外に関する規定でありまして、現在の保安庁法の第八十五条に相当する規定でございます。ただここにおきましては第四項を新設いたしております。第四項は航空法の運用に関する規定で、六十条以降運用に関する規定のうちで自衛隊出動を命ぜられた場合におきまして適用することが困難であると思われまする条項につきまして、政令で定めるところによりましてこれを適用しないということにいたしたのであります。第五項、第六項は現在と同様でございます。  百八条は労働組合法等の適用除外に関する規定でございましてこれは現在の保安庁法八十六条と同様でございます。  百九条は船舶法等の適用除外に関する規定でございます。これは現在の保安庁法の八十七条に該当する規定でございますが、今回は新たに船舶法、それから船舶積量測度法等これを追加して適用しないことにいたしております。第二項はそのために新しく追加いたしました規定でございます。  第百十条は船舶職員法の適用除外に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の八十八条と同様でございます。  百十一条は海上自衛隊の使用する船舶についての技術上の基準等を定めたものでありまして、現在の保安庁法の八十八条の二と同様な規定でございます。  百十二条は電波法の適用除外に関する規定でございまして、現在の保安庁法の八十九条に電波法の適用除外に関する規定がございまするが、今回は適用除外の範囲を若干拡げております。それは航空自衛隊新設に伴いまして、レーダーの関係の固定設備につきましても電波法の適用を除外するというふうにしましたのが、百十三条につきまして現在の保安庁法の八十九条と異つておるところでございます。  百十三条、百十四条は新設でございます。道路運送法及び道路運送車両法の適用除外規定でございます。特車その他の自衛隊で持つことになります車両の中には、一般の道路運送を対象としてきめられております道路運送法とか、道路運送車両法とかの規定を適用することが適当でないものがございますので、今回これを明瞭にせんとしたものであります。  第百十五条は銃砲刀剣類等所持取締令の適用除外に関する規定でございまして、これは現在の保安庁法の第九十条と同様でございます。  第百十六条は、麻薬取締法の特例に関する規定であります。これは今回新設のものでございます。麻薬取締法によりますると、これらのものは診療所等、固定の設備でなければ持てないことになつておりまするのを、必要の場合、応急救助にあたる部隊等がこれを使用する場合などを考え、それ以外の場合でも、政令で定めるところに従つてこれを所持できることといたしまして、尤もこの使用等に関しては麻薬取締法の適用を受けるものとするということにしようとするものであります。  第百十七条は委任規定でございます。  第九章の罰則に入ります。第九章の罰則は、第百十八条から第百二十二条まででございますが、これは大体におきまして現在の保安庁法の第九十一条から九十三条までを元として作られておるものであります。  第百十八条は現在の保安庁法の九十一条に相当する規定でございます。  第百十九条は現在の保安庁法の第九十二条に相当する規定でございます。ただ第百十九条におきましては第四号を追加いたしました。これは予備自衛官という制度を設けましたことに伴いまして、この予備自衛官で、防衛招集命令を受けました者が正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないものにつきましては、三年以下の懲役又は禁こに処することをきめたものであります。その他の点におきましては大体において現在の保安庁法の第九十二条に該当いたすものであります。  第百二十条は現在の保安庁法の第九十三二条に該当するものであります。第百二十条の第一項の各号に掲げるところは、現在の保安庁法の九十三条の各号に掲げるものと同様でございます。  第百二十一条が新設でございます。「自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」ことといたしまして、自衛隊の物資の防衛のために有効にこれを確保し、利用せんとすることを定めたものでございます。  第百二十二条も新設でございます。これは防衛出動という観念が新らしく加えられたことに伴いまする新設であります。即ち、第百二十二条は、「第七十六条第一項の規定による防衛出動命令を受けた者で、左の各号の一に該当するものは、七年以下の懲役又は禁こに処する。」ことといたしております。第一号から第四号までに掲げておりますことは、第百二十条その他今まで保安庁法規定しておりますと同じようなことを各号に掲げておるのでありますが、第五号として新らしく、「警戒勤務中、正当な理由がなくて勤務の場所を離れ、又は睡眠し、若しくはめいていして職務を怠つた者」に対する罰則を規定することといたしたのであります。  次に附則について御説明申上げます。附則に関する部分は三つに分けて御説明できると思うのであります。  その第一は経過的な措置に関する規定でありまして、第一項から第十二項までがこれに相当するものであります。  第一項は施行の日をきめたもの、第二項、第三項、第四項に、現在保安庁職員なつております者が防衛庁職員となるについての必要な経過規定をきめたものでありまして今回は特に第二項におきまして、現在の保安庁職員はこの法律の施行前においても服務の宣誓をすることができることをきめました。そうしてこの服務の宣誓をした者が防衛庁設置法の施行の日におきまして防衛庁職員となる。第四項はその場合における階級等は、相当する階級だということをきめたのであります。  第五項は従前のこれらの者に対してなされておつた任用上の決定その他の手続は、この法律の相当規定に基いてなされたものとみなすという趣旨であります。  第六項は現在保安隊に入つております者の二年の任用期間の計算であります。計算はその者が現在二年の期間を以て採用された日から始まるのだということをきめたものが第六項。第七項は、この法律の施行の日以前において、従前規定によりまして、その意に反して免職され、又は懲戒処分によつて免職された者が、すでに従前規定によつて保安庁長官に審査の請求をしている場合を除き、政令の定めるところによつて長官に対して審査の請求ができる。それからこの法律のその場合における審査の手続及び審査の結果の判決、及びその判決に従うべきこと等はこれを準用するということをきめたのが第七項であります。第八項は、現在保安庁の公正審査会に係属しておるものが、防衛庁の公正審査会に係属するということ。第九項は、保安庁法の第七十七条の第一項各号に掲げる犯罪について同法同条同項に概定する部内の秩序維持の職務に専従する保安官又は警備官が行なつている刑事訴訟法の規定による手続は、この法律の相当規定に基いて、これらの自衛官がした手続とみなす。第十項は同様の規定。第十一項は警察法との関係規定。第十項は罰則の適用について従前の例によるということを規定したのであります。  以上が主として経過的措置に関する規定でありまして、第二の問題は十三項以下に規定してあります給与の関係であります。  第十三項におきまして保安庁職員給与法を改正いたしております。この給与法の改正は、一つは庁名とか官名等の変りましたことに基きまして必要なる字句の改正をいたしております。そのほか新たに統合幕僚会議議長というものが規定されましたので、その議長の俸給をきめたのが第二の点であります。それから航空自衛隊ができましたことに従いまして、航空手当というものを新設いたしたのがその次の規定。又予備自衛官につきまして月額千円の手当を支給する、及び訓練招集中の訓練招集手当を規定いたしました。又訓練招集中における予備自衛官の負傷の場合の給与上の措置についても必要な規定を設けました。又先ほど説明いたしました通り、新たに三年の任用期間隊員ができましたので、三年の任用期間の者の満期退職の場合の特別の退職手当をきめました。又出勤を命ぜられておる隊員に対しましては、出動手当の支給等ができるということをきめたものが主なる内容でございます。  それから附則の第三の事項はこの法律に伴う関係法律の改正でございまして、第二十一項以下におきまして規定いたしております。恩給法とか、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律、地方税法等について、保安庁防衛庁となりました庁名のこと、及び官名の変りましたこと等によりまして必要な字句の改正を加えておるものでございます。  以上をもちまして一応法案内容説明を終ります。
  13. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 大変長い御説明で私ども大いに労を多とするものでありますが、この法案を審議するについて先ほども話しましたように相当やはり資料を出して頂かないといかんと思います。で、私どものほうとしても資料をいろいろ要求したい思うのでございますが、やつばり今ここで思いついてどういう資料ということを申上げかねるのですが、それを出して頂くについての便宜として、今までの衆議院のほうの審議の際にどういう資料が出されておつたかということをちよつとおわかりでしたならばここで言つて頂きたいのです。そうしましたらそれに落ちておるものを私どものほうとして出して頂きたいと、こう要求するつもりでおりますので、どういう資料が出ておるかちよつと一つ言つて頂きたいと思います。今ここで衆議院で提出したのと同じものを出して頂けますか。
  14. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  15. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  16. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 衆議院の内閣委員会法案がかかりましてから出しました資料は、防衛庁設置法及び自衛隊法法案要綱、それからお手元に差上げてあります逐条対照表説明、そのほか二十九年度予算による装備、施設、船舶、航空機等の整備計画、今のは三月九日だそうでありますから取消します。保安庁で仕様書を作成した件数これだけでございます。
  17. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは今日頂いた以外のものですね。直ぐこの次までに出して頂けますね。
  18. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 出せます。
  19. 山下義信

    山下義信君 私はよく考えたあとで資料を要求しますが、取りあえずここで要求したいと思うことは、我々に保安庁関係法令とかといつて冊子をもらつたのですが、あれを照合するのはちよつと不便に思うので、この二法案の中に政令総理府令とか、いろいろそういうふうな政令、省令に委任する事項があるのです。あれをこういうふうに注文したいのですよ。各逐条ごとにずつと編集して頂いて、それで保安庁のほうですでにあるものをそのまま引用されるならそれでいいですから、その政令若しくは省令が非常に条文が多いようなやつは要項だけでもいいですから、要点だけでもいいですから。それから簡単なものは全文を、抜粋して頂いて、この二法案関係政令を注文の順序に編集して頂くと非常に便利がいいと思うのです、そうすれば細部は、法律ですから、それは私の言うのは法律政令、省令等に委任されてある分を法文の順序で一つ要綱若しくはそのものを抜粋して頂いて編集して頂けば、そうするとそういうところ質問しなくて済むと思うのです。どうなつておるかという細かいことはそれは見せて頂けば、一遍勉強させて頂きますから、これは是非一つお願いしたいと思います。
  20. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  21. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後三時十六分休憩    —————・—————    午後七時三十九分開会
  22. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を再開いたします。  国務大臣等私企業等への関与の制限に関する法律案を議題といたします。本法律案につきましては、前回で質疑は終了しておりますのでこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら修正案文の朗読と修正理由の御説明を願います。
  23. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 修正案を提出いたしたいと思つておるのでございますが、原案におきましては、私企業等への関与の制限を受ける者の範囲を内閣総理大臣国務大臣内閣官房長官及び政務次官といたしておりますが、内閣官房長官及び政務次官は国務大臣と比較いたしまして、その内閣における地位及び職務権限が著しく異なつておりますので、これを国務大臣と同一に律する必要はないものと認めまして、ここに本法律案に対し修正を発議する次第であります。修正案は次の通りであります。これを朗読いたします。  国務大臣等私企業等への関与の制限に関する法律案に対する修正案国務大臣等私企業等への関与の制限に関する法律案の一部を次のように修正する。   題名中「国務大臣等」を「国務大臣」に改める。   本則中「、内閣官房長官及び政務次官」を削る。  以上でございます。
  24. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御意見ございませんか。ほかに御意見がないようですから討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより国務大臣等私企業等への関与の制限に関する法律案について採決をいたします。先ず討論中にありました長島君提出の修正案に賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  26. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致であります。よつて長島君提出の修正案は可決せられました。  次に只今採決を終りました修正部分を除く法律案全部を議題といたします。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手]
  27. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致でございます。よつて法律案は長島君提出の通り修正議決するものと決定をいたしました。なおお本会議における委員長の報告につきましては前例によつて委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本院に提出します委員長報告には多数意見者の署名を要しますので御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     山下 義信  岡田 宗司     堀  眞琴  井野 碩哉     八木 幸吉  三浦 義男     白波瀬米吉  竹下 豐次     高瀬荘太郎  石原幹市郎     西郷吉之助  植竹 春彦     長島 銀藏
  29. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 当委員会の日程につきまして直ちに委員長理事の協議会をお開き下さるようにお願いいたします。
  30. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知しました。それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後七時四十五分散会