○
政府委員(
加藤陽三君) 第五章の
隊員のところから御
説明を続けて参ります。
第五章は第三十一条から第七十五条まで五節四十五カ条から
なつております。
第一節が通則でございまして、第三十一条は
任命権者に関する
規定でございます。これは現在の
保安庁法の第二十八条と全く同様の
規定でございます。
第三十二条は
自衛官の階級に関する
規定でございまして、現在
保安庁法の第三十条におきましては御
承知と思いまするが、
保安官と
警備官のおのおのにつきまして、
保安監、
保安監補、一等
保安正、二等
保安正、三等
保安正、一等、二等、三等の
保安士、一等、二等、三等の
保安士補、保査長、一等保査、二等保査、
警備官のほうでもこれに準じた名前をつけておりますが、今回はこの
法律案にございまする
通り陸上自衛隊の
自衛官、
海上自衛隊の
自衛官、
航空自衛隊の
自衛官の
三つに分けまして、
陸上自衛隊について申しますと陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士、二等陸士、三等陸士、
海上自衛隊、
航空自衛隊についてもこれに準じた名称を附することといたしております。
第三十三条は服制に関する
規定でございますが、これは現在の
保安庁法の第三十一と同様の
規定でございます。
第三十四条は非常勤の
隊員の特例に関する
規定でございますが、国家公務員法の
附則の第十三項と同様の趣旨で
規定せられておるのでございます。
第二節が任免に関する
事項でございます。第三十五条から第四十一条まで七ヵ条ございます。
第三十五条は現在の
保安庁法の三十二条と同様の
規定でございまして、「
隊員の採用は、試験によるものとする。但し、試験以外の能力の実証に基く選考によることを妨げない。」といたしております。この具体的な手続は
総理府令できめることは現在と同様でございます。
第三十六条が現在の三十三条に対応する
規定でございまするが、若干の改正をいたしております。その一つは第一項にございまするが、「陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士は、二年を任用
期間として任用されるものとする。但し、
長官の定める特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等は、その
志願に基き、三年を任用
期間として任用されることができる。」即ち現在は二年の任用
期間の者だけしか認めておらないのでございますが、今日は本条の第一項但書を以ちまして三年の任用
期間の者をも認めることにした点が大きな相違でございます。
第二項はこれは
新設の
規定でございますが、これはどういう趣旨かと申しますると、「
志願に基き陸曹候補者の指定を受けた者のうち
長官の定めるものについては、適用しない。」これは技術を担当する
隊員で、将来陸曹等に採用いたしますものは二年乃至三年という
期間で初めから雇用
期間を限定しますことは適当でございませんので、こういうふうなものは任期のないものとして採用するということにしているのでございます。
第三項、第四項は、これは第一項、第二項の
規定を
整備したものでございまして、即ち任用
期間の起算日を定め、又降給された場合のその任用
期間はどうなるかと申しまするのは、第一項で明らかでありまする
通り、陸士長以下の者が任用
期間があるわけでございます。これが上の級になりますると任用
期間がないことになります。それが若し陸士長等に降格されますと、いつから二年乃至三年の
期間が始まるかというのが第三項の
規定であります。
第四項は、一応任用
期間が満了した場合におきましては、これを再
志願した場合、再び自分が陸士長等として
勤務したいという
志願した場合は又二年を
期間として任用することができる。この起算日は引き続いて任用された日からということであります。
第五項は、任用
期間のありますものが、「任用
期間が満了したことに因り退職することが
自衛隊の
任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、当該陸士長等が第七十六条第一項の
規定による
防衛出動を命ぜられている場合にあ
つては一年以内、その他の場合にあ
つては六月以内の
期間を限
つて、任用
期間を延長することができる。」という
規定でございましてこれは現在
保安庁法第三十三条第二項におきまして、六カ月以内の
期間を限
つての任用
期間の延長のみを認めているのでございます。それを今回は、
防衛出動という観念を認めました場合に伴いまして、この場合におきましては、一年以内延長ができるということに改めんとするものであります。
第三十七条、
職員の昇任に関する
事項でありまして、これは現在の
保安庁法の第三十四条と同様でございます。
第三十八条は、欠格条項に関する
規定でございまして、これも現在の
保安庁法の第三十五条及び国家公務員法における
一般職の公務員の欠格条項と同様の
規定を設けております。
第三十九条は、人事に関する不正行為の禁止の
規定でございまして、これも国家公務員法の当該
規定並びに
保安庁法の第三十六条と同様に
規定を設けております。
第四十条は新らしい
規定でございます。第四十条は、退職の
承認に関する
規定でございまして、「
長官又はその委任を受けた者は、
隊員が退職することを申し出た場合において、これを
承認することが
自衛隊の
任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について
政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用
期間を定めて任用されている陸士長等にあ
つては、その任用
期間内において必要な
期間、その他の
隊員にあ
つては
自衛隊の
任務を遂行するため最少限度必要とされる
期間その退職を
承認しないことができる。」これが新らしく設けました
規定でございます。
第四十一条は、条件附採用に関する
事項でございまして、これは現在の
保安庁法の第三十七条及び国家公務員法における
一般職の公務員についての当該
規定と同様の
規定を設けたのでございます。
第三節は、分限、懲戒及び保障に関する
事項でございまして、第四十二条から五十一条まで十カ条でございます。
第四十二条は、
身分保障に関する
規定でございます。「
隊員は、懲戒処分による場合及び左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。」一が「
勤務成績がよくない場合」二が「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」、三が「前二号に
規定する場合の外、その職務に必要な適格性を欠く場合」四が「
組織、
編成若しくは
定員の改廃又は予算の減少に因り、廃職又は過員を生じた場合」、これは現在の
保安庁法の第三十八条及びこれも国家公務員法の
身分保障に関する当該
規定とほぼ同様の趣旨で
規定を設けられているものでございます。
第四十三条は休職に関する
規定でありまして、「
隊員は、左の各号の一に該当する場合又は
政令で定める場合を除き、その意に反して休職にされることがない。」その一は「心身の故障のため長期の休養を要する場合」、その二は「刑事事件に関し起訴された場合」、これも現在の
保安庁法の第三十九条及び国家公務員法における当該休職に関する
規定と同様の趣旨で設けられております。
第四十四条は休職の効果に関する
規定でございます。これは第四十三条と同様に、現在の
保安庁法の第四十条及び国家公務員法における当該
規定と同様の趣旨で設けられているのでございます。
第四十五条は、停年及び停年後の任用に関する
規定でございます。この第四十五条の第一項は、現在の
保安庁法の第四十一条と同様でございます。
自衛官につきましては、停年をきめているのでありますが、今回は第二項を新らしく
追加いたしまして、その第二項は
先ほど第三十六条について御
説明申上げましたと同様の趣旨から出ているものでございまして、即ち「
自衛官が停年に達したことに因り退職することが
自衛隊の
任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該
自衛官が第七十六条第一項の
規定による
防衛出動を命ぜられている場合にあ
つては一年以内の
期間を限り、その他の場合にあ
つては六月以内の
期間を限り、当該
自衛官が停年に達した後も引き続いて
自衛官として
勤務させることができる。」ものとしたのでございます。
第四十六条、懲戒処分に関する
規定、これも現在の
保安庁法の第四十二条と同様でございます。
第四十七条は、懲戒の効果に関する
規定でございます。これも現在の
保安庁法の第四十三条と同様でございまするが、ただ違いましたのは、四項において減給を一年以内の
期間、俸給の五分の一以下といたしております。これは
保安庁法におきましては三分の一以下と
なつておりましたが、その後国家公務員法の扱いが五分の一ということに改められましたので、それに応じまして今回五分の一と改めて
規定したわけでございます。
第四十八条は、
防衛大学校の学生の分限及び懲戒の特例に関する
規定でございまして、これは現在の
保安庁法の第四十四条に
規定しておりますところと同様の趣旨で
規定いたしております。
第四十九条は、審査の請求及び公正審査会に関する
規定でございます。これは現在の
保安庁法の第四十六条と同様であります。即ち「
隊員は、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合には、
長官に対して、その審査を請求すること」、
長官はその審査の請求を受けました場合には、公正審議会に付議いたしまして、その公正審査会の判定がありました場合に、この判定に
従つて必要な措置をとる。こういうようにいたしているのでありまして、現在と変りありません。
第五十条は適用除外の
規定でございます。これも現在の
保安庁法の第四十七条及び
一般職についての、国家公務員法の当該
規定と同様な趣旨で
規定せられております。
第五十一条の委任
規定も、現在の
保安庁法の四十五条と同様でございます。
第四節は
服務に関する
規定でありまして、第五十二条から第六十五条まで十四カ条から
なつております。
第五十二条は
新設のものでございまして、新たに
服務の本旨といたしまして、「
隊員は、
我が国の平和と
独立を守る
自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をも
つて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をも
つて責務の完遂に努め、も
つて国民の負託にこたえることを期するものとする。」新らしく
規定を設けたのでございます。
第五十三条は
服務の宣誓に関する
規定でございましてこれは現在の
保安庁法の四十八条と同様でございます。
第五十四条は
勤務態勢及び
勤務時間等に関する
規定でございます。これも現在の
保安庁法の四十九条と同様でございます。
第五十五条、指定場所に居住する義務。これも現在の
保安庁法の第五十条と同様の
規定でございます。一
第五十六条職務遂行の義務、これも現在の
保安庁法第五十一条と同様の
規定でございます。
第五十七条の上官の
命令に服従する義務、第五十八条の品位を保つ義務、第五十九条秘密を守る義務、これもそれぞれ現在の
保安庁法の五十二条、五十三条、及び五十四条と同様の
規定でございます。
第六十条は職務に専念する義務、これも現在の
保安庁法の五十五条と同様の
規定でございます。
一般職の
職員につきましても国家公務員法の当該
規定ともはずを合せて
規定をせられております。
第六十一条の政治的行為の制限、これも現在の
保安庁法の第五十六条と同様の
規定でございます。これも国家公務員法の百二条とはずを合せて
規定せられております。
第六十二条の私企業からの隔離、第六十三条の他の職又は事業の関与制限、第六十四条の団体の結成等の禁止、これもすべて現在の
保安庁法の第五十七条、第五十八条及び第五十九条の
規定と同様でありまして、それぞれ
一般職についての国家公務員法とはずを合せた
規定を設けておるのでございます。
第六十五条は委任
規定でございまして、これも現在の
保安庁法の第六十条と同様でございます。
第五節の
予備自衛官、これが
新設の
規定でございます。
予備自衛官の
制度を設けられましたことは、先に
大臣の
提案理由の御
説明の中にもありまする
通り、
自衛隊の
防衛にあたる実力を急速且つ計画的に確保するという趣旨から出ておるものであります。先ず第六十六条におきまして
予備自衛官の性格について
規定しております。即ち「
予備自衛官は、第七十条第一項に
規定する
防衛招集命令により招集された場合において同条第三項の
規定により
自衛官と
なつて
勤務し、第七十一条第一項に
規定ずる
訓練招集命令により招集された場合において
訓練に従事するものとする。」このことは通常の場合においては
予備自衛官は常時
勤務するものではない、
防衛招集命令がありました場合、
訓練招集命令がありました場合において実際の
勤務を行うという趣旨でございます。第二項は
予備自衛官の員数を一万五千人にきめておるのでございます。これは
防衛庁設置法第七条第一項に
規定する
職員の
定員外と定めております。
第六十七条は
予備自衛官の採用に関する
規定でございまして、即ち
予備自衛官の採用は、
隊員の
一般の採用に関する第三十五条の
規定にかかわらず
自衛官、但し旧
保安隊の
保安官及び旧
警察予備隊の警察官並びに旧
警備隊の
警備官及び旧
海上警備隊の
海上警備官を含む、これらであつた者の、これらの
経歴を持
つております者の
志願に基いて
総理府令で定めるところによ
つて選考によ
つてこれを行うときめておるのでございます。そして
長官又はその委任を受けました者は、採用された
予備自衛官に対して、
総理府令で定めるところによ
つて相当の
自衛官の階級を指定するというふうにいたしておるのであります。
第六十八条は
予備自衛官に採用されましたものの任用
期間及びその延長に関する
規定でございます。
予備自衛官の任用
期間は採用の日から起算して三年ということにしております。但し第二項におきまして、
予備自衛官がその任用
期間が満了した場合において、
志願をしたときは、引き続き三年を任用
期間として再任をすることができるということにいたしてあります。又三項におきまして、
予備自衛官が
防衛招集命令を受け
自衛官と
なつておる場合、その者が
予備自衛官に採用され、又は引き続き任用された日から起算して三年を経過したことによ
つて退職することが
自衛隊の
任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、一年以内の
期間を限
つて、その者の任用
期間を延長することができる。前の陸士長以下の二年又は三年以下の任用の
関係につきまして任期の延長を認めましたと同趣旨におきまして第三項を
規定しておるのであります。第四項は「
予備自衛官が第七十条第一項の
規定による
防衛招集命令を受け、同条第三項の
規定により
自衛官と
なつていた
期間は、
予備自衛官の任用
期間に含めて計算する」ということにいたしております。
第六十九条は
予備自衛官の昇進に関する
規定でございます。即ち
長官又はその委任を受けた者は、
勤務実績又は能力の実証に基く選考によりまして、
予備自衛官を、その現に指定されている
自衛官の階級より上位の階級を指定して、昇進させることができる、その詳細なる
事項は
総理府令できめるということにいたしております。
第七十条は
防衛招集の場合の
規定であります。即ち「
長官は、第七十六条第一項に
規定する
防衛出動命令が発せられた場合において、必要があると認めるときは、
内閣総理大臣の
承認を得て、
予備自衛官に対し、
防衛招集命令書によ
つて、
防衛招集命令を発することができる。」この
防衛招集命令を受けました
予備自衛官は第二項によりまして、「指定の日時に、指定の場所に出頭して、
防衛招集に応じなければならない。」これは第三項によりまして「辞令を発せられることなく、
防衛招集に応じて出頭した日をも
つて、現に指定されている階級の
自衛官となるものとする。この場合において、当該
自衛官の員数は、
防衛庁設置法第七条第一項に
規定する
職員の
定員外とする。」これが第三項であります。第四項ではこの場合における任用
期間でありまして、この任用
期間は、「第三十六条の
規定にかかわらず、」と言いますのは、前の陸士長等の
規定であります。その任用
規定ではなしに
予備自衛官としての任用
期間によるべきだということであります。このものにつきましては、「第四十五条第一項の停年に関する
規定は、適用しない。」ことといたしております。第五項は、第一項の
規定による
防衛招集命令を受けました
予備自衛官が心身の故障その他真にやむを得ない事由によりまして、指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合、又は
防衛招集に応じて出頭した
予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、
長官は、
政令で定めるところによりまして、
防衛招集命令を取り消し、又は
防衛招集を猶予し、若しくは解除することができることにいたしております。第六項は、「
長官は、
防衛招集の必要がなく
なつた場合には、すみやかに、
防衛招集を解除しなければならない。」旨を、又第七項は、
防衛招集を解除された
自衛官は、
原則といたしまして解除されますれば本来の形である
予備自衛官に帰るのであります。その
予備自衛官としての階級の指定は、
防衛招集の解除の日の当該
自衛官の階級であるということが第七項であります。第八項は、第六十八条の第三項の
規定というのは任用
期間の延長の
規定でありますから、その任用
規定によ
つて任用
期間が延長されておつた
自衛官が
防衛招集を解除された場合は、これは本来の任用
期間を過ぎている場合でありますので、この場合は、「
防衛招集の解除の日をも
つて予備自衛官の任用
期間が満了したものとする。」という趣旨でございます。
第七十一条は
訓練招集に関する
規定であります。即ち第一項におきまして、「
長官は、
所要の
訓練を行うため、年に二回以内、各回ごとに招集
期間を定めて、
予備自衛官に対し、
訓練招集命令書によ
つて、
訓練招集命令を発することができる。」但しこの招集
期間は三項におきまして、「一年を通じて二十日をこえないものとする。」ということにいたしております。第二項と第四項は前に
防衛招集について申上げましたと同様の趣旨の
規定でございます。第五項は
訓練召集を受けました
予備自衛官は、その招集されている
期間中は
総理府令で定めているところに
従つて、
長官が指定する場所に居住して、
訓練に従事するものとするということを明らかにしております。
第七十二条は委任
規定でありまして、
防衛招集及び
訓練招集につきまして、第七十条及び第七十一条に
規定するもののほか
訓練招集命令書に記載すべき
事項でありまするとか、
防衛招集命令及び
訓練招集命令の手続その他の必要な
事項を
政令で定めることに
なつておるのであります。
第七十三条は不利益取扱の禁止であります。何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、
予備自衛官である者に対しまして、その
予備自衛官であることを
理由として不利益な取扱をしてはならないこと並びに「すべての使用者は、被用者が
予備自衛官であること又は
予備自衛官になろうとしたことを
理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。」ことを
規定いたしております。但しこれは裏付けとなる強制的な
規定はないのであります。
第七十四条は住所変更の届出であります。これは
予備自衛官の本来の
任務から考えまして、住所を変更したとき、或いは心身の故障のため長期の休養を要するに
至つたとき、又は不具廃疾と
なつたときには、速かに
長官に届出なければならないことに
なつております。第二項及び第三項は、これらの
事項に対しまして必要な手続を同居の親族その他が明らかにしておくことを要求しておるものでございます。
第七十五条は適用除外の
規定であります。ここで「第四十一条」と申しまするのは条件附採用の
規定、「第三節」と申しますのは分限、懲戒、
身分保障に関する
規定、「第五十四条」は常時
勤務態勢、「第六十条第二項及び第三項」、これは兼職禁止の
規定、「第六十一条から第六十三条まで」と申しますのは政治的行為の制限、私企業への関与制限、他の事業への関与制限等であります。これらの
規定は
予備自衛官については適用しない、本来その本務の仕事を持
つておりましてめいめいその職場で働いておる人の場合に、
防衛招集に応じて
自衛官となり又は年に二回以内
訓練招集を受けまして
勤務をするというのでありますので、
一般の
隊員とは異なり以上申上げましたような
規定を適用しないことにいたしております。「但し、第六十一条第一項の
規定は、第七十一条第一項の
規定による
訓練招集命令により招集されている
予備自衛官については、適用があるものとする。」第六十一条第一項と申しますのは「政治的
目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をも
つてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、
政令で定める政治的行為をしてはならない。」という
規定であります。この
規定だけは、第六十一条は全体として適用除外するのでありますけれども、
訓練招集命令によ
つて招集されている
予備自衛官については適用があるということを
規定したのであります。
第二項は、「第四十一条」は
先ほど申上げました条件附採用の
規定、「第六十条第二項及び第三項」は兼職禁止の
規定、「第六十一条第二項及び第三項」は政治的行為の禁止の
規定、「第六十二条及び第六十三条」即ち私企業への関与制限及び他の事業への関与制限、これらの
規定は第七十条第三項の
規定によ
つて自衛官と
なつている者、即ち
防衛招集命令を受けまして
予備自衛官が
自衛官と
なつた者についてはこれを適用しないことにいたしておるのであります。
第六章は
自衛隊の
行動に関する
事項を
規定しておるのであります。第七十六条は
防衛出動に関する
規定でございまして、これは新しく設けました今回の
法律案中の最も重要な
規定の一つであろうと思います。第七十六条は、
内閣総理大臣は、
外部からの
武力攻撃の虞れのある場合においても、この場合に際しまして、
我が国を
防衛するため必要があると認めた場合には、国会の
承認、衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に
規定する緊急集会による参議院の
承認を得まして、
自衛隊の全部又は一部の
出動を命ずることができる。即ち
防衛出動は、
外部からの
武力攻撃又はその虞れのある場合に、
我が国を
防衛するために必要があると認める場合に国会の
承認を得て
内閣総理大臣が発令するのであります。「但し、特に緊急の必要がある場合には、国会の
承認を得ないで
出動を命ずることができる。」と第一項に但書をしております。併しこの場合には第二項によりまして「前項但書の
規定により国会の
承認を得ないで
出動を命じた場合には、
内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の
承認を求めなければならない。」ものといたしております。そうして第三項におきまして、「
内閣総理大臣は、前項の場合において不
承認の議決があつたときは、直ちに、
自衛隊の撤収を命じなければならない。」ものと
規定しておるのであります。
第七十七条も
新設の
規定でありまして、これは
防衛出動の待機
命令でありまして、「
長官は、
事態が緊迫し、前条第一項の
規定による
防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、
内閣総理大臣の
承認を得て、
自衛隊の全部又は一部に対し
出動待機
命令を発することができる。」といたしたのであります。
次は
治安出動に関する
規定でありまして、第七十八条は
治安出動の一つの場合である
命令による
治安出動を
規定したものであります。これは現在の
保安庁法の第六十一条に相当する
規定であります。御
承知のごとく現在の
保安庁法には
防衛出動というような観念はないのであります。
命令出動というものがあります。その
命令出動といたしまして、
保安庁法第六十一条は「
内閣総理大臣は、非常
事態に際して、
治安の
維持のため特に必要があると認める場合には、
保安隊又は
警備隊の全部又は一部の
出動を命ずることができる。」としておるのであります。この第七十八条を読み上げますと、第六十一条に相当する
規定でございまして、「
内閣総理大臣は、
間接侵略その他の
緊急事態に際して
一般の
警察力をも
つては、
治安を
維持することができないと認められる場合には、
自衛隊の全部又は一部の
出動を命ずることができる。」ことに
なつております。第二項において、「
内閣総理大臣は、前項の
規定による
出動を命じた場合には、
出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その
承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その
承認を求めなければならない。」こと並びに「
内閣総理大臣は、前項の場合において不
承認の議決があつたとき〕、又は
出動の必要がなく
なつたときは、すみやかに、
自衛隊の撤収を命じなければならない。」こと、すべて現在の
保安庁法の第六十一条と同様でございます。
次に第七十九条、
治安出動待機
命令に関する
規定でありまして、これは
防衛出動の待機
命令と同様な趣旨で
規定しておるのでありまして、現在
保安庁法の第六十三条としてあるのであります。ただ今回はこれに第二項を加えまして、
治安出動の待機
命令を発する場合におきましては、「
長官は、国家公安
委員会と緊密な連絡を保つものとする。」と特に
規定を設けたのであります。
第八十条は、
海上保安庁の統制に関する
規定であります。これは現在の
保安庁法の第六十二条に相当する
規定であります。即ち「
内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の
規定による
自衛隊の全部又は一部に対する
出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、
海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」こととしておるのであります。この場合において、第二項は、
内閣総理大臣は、
政令で定めるところにより、
長官にこれを指揮させること並びに「
内閣総理大臣は、第一項の
規定による統制につき、その必要がなく
なつたと認める場合には、すみやかに、これを解除しなければならない。」旨を第三項に
規定しております。
第八十一条は、
治安出動の場合の第二の場合、即ち要請による
治安出動の
規定であります。第八十一条は現在の
保安庁法の第六十四条に相当するものであります。即ち「
都道府県知事は、
治安維持上重大な
事態につきやむを得ない必要があると認める場合には、当該都道府県の都道府県公安
委員会と協議の上、
内閣総理大臣に対し、
部隊等の
出動を要請することができる。」ことといたしております。「
内閣総理大臣は、前項の要請があり、
事態がやむを得ないと認める場合には、
部隊等の
出動を命ずることができる。」旨並びに「
都道府県知事は、
事態が収まり、
部隊の
出動の必要がなく
なつたと認める場合には、
内閣総理大臣に対し、すみやかに、
部隊等の撤収を要請しなければならない。」こと並びに「
内閣総理大臣は、前項の要請があつた場合又は
部隊等の
出動の必要がなく
なつたと認める場合には、すみやかに
部隊等の撤収を命じなければならない。」こと並びに「
都道府県知事は、第一項に
規定する要請をした場合には、
事態が収つた後、すみやかに、その旨を当該都道府県の議会に報告しなければならない。」と、すべて現在の
保安庁法第六十四条と同様でございます。
第八十二条は
海上における
警備行動に関する
規定でありまして、これは現在の
保安庁法の第六十五条としてこれに相当する
規定がございます。
海上における人命若しくは財産の保護又は
治安の
維持のため特別の必要がある場合には、
内閣総理大臣の
承認を得まして、
自衛隊の
部隊に
海上において必要な
行動をとることを命ずることができる
規定であります。
第八十三条は、災害派遣に関する
規定でありまして、これも現在の
保安庁の第六十六条とほぼ同様の
規定でありまするが、若干の改正をいたしました。その一つは、現在の
保安庁法によりますると、「
都道府県知事その他
政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、
部隊の派遣を
長官又はその指定する者に要請することができる。」そうして「
長官又はその指定する者は、前項の要請があり、
事態やむを得ないと認める場合には、
部隊を救援のため派遣することができる。」このような建前として要請によ
つて初めて派遣をするのだ。「但し、庁舎、営舎その他の
保安庁の
施設又はこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合には、同項の要請を待たないで
部隊を派遣することができる。」とありますが、これは今回は、八十三条第二項に但し書で、「天災地変その他の災害に際し、その
事態に照し、特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、
部隊等を派遣することができる。」ということを附加えたのであります。
第三項の
規定は現在の
保安庁法の
規定と同様でございます。
第八十四条は、
新設の
規定であります。領空侵犯に対する措置といたしまして、「
長官は、外国の
航空機が
国際法規又は
航空法その他の法令の
規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、
自衛隊の
部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる。」ことといたしたのであります。
第八十五条も
新設の
規定でございます。
長官と国家公安
委員会との相互の連絡に関しまして
規定したものでございまして、
内閣総理大臣は、第七十八条第一項又は第八十一条第二項の
規定による
出動命令を発するに際しましては、
長官と国家公安
委員会との相互の間に緊密な連絡を保たせるものとしたのであります。
第八十六条は、
関係機関との連絡及び協力に関する
規定でありまして、これは現在の
保安庁法の六十七条と同様の
規定でございます。今回はただ新たに連絡及び協力する
機関として消防
機関を加えたこと等が若干の修正に
なつております。
第七章は、
自衛隊の
権限に関する
規定であります。第八十七条は現在の
保安庁法の第六十八条に相当する
規定でありまして、「
自衛隊は、その
任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」旨を
規定いたしたものであります。
第八十八条は、これは
新設の
規定でありまして、
防衛出動時の
武力行使に関して
規定しております。即ち「第七十六条第一項の
規定により
出動を命ぜられた
自衛隊は、わが国を
防衛するため、必要な武力を行使することができる。」「前項の武力の行使に際しては、
国際の法規及び慣例によるべき場合にあ
つてはこれを遵守し、且つ、
事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」という
規定を設けたのでございます。
第八十九条は、
治安出動時の
権限でございまして、これは現在の
保安庁法の第六十九条に、
命令出動時の
権限として
規定をされておりまするものと同様でございます。
第九十条も同様であります。即ち
治安出動に際しましては、警察官職務執行法の
規定を準用して職務の執行を行うほか、第九十条におきまして警察官には認められておらない特別の
権限を認めているのであります。第九十条は、現在の
保安庁法の第七十条と同様の
規定でございます。
第九十一条も
治安出動時の
権限でありまして、これも現在の
保安庁法の第七十一条と同様でございます。
第九十二条が
新設の
規定であります。これは
防衛出動時の
公共の
秩序の
維持のための
権限でありましてれ第九十二条におきましては、「第七十六条第一項の
規定により
出動を命ぜられた
自衛隊は、第八十八条の
規定により武力を行使する」、八十八条の
規定と申しますのは、
先ほど申しました「わが国を
防衛するため、必要な武力を行使する」という
規定であります。この
規定によりまして「武力を行使する外、必要に応じ、
公共の
秩序を
維持するため
行動することができる。」この場合の
権限につきましては第二項におきまして警察官職務執行法の
規定及び第九十条第一項の
治安出動時の
権限としてきめております第九十条の
規定によることとしておるのであります。
それから第九十三条は
海上における
警備行動時の
権限でありまして、これは現在の
保安庁法の第七十四条と同様の
規定でございます。
第九十四条は、災害派遣時の
権限であります。
第九十四条の第一項は今回新たに設けたものでございます。警察官職務執行法第四条、これは避難等の措置に関する
規定、並びに第六条第一項、第三項及び第四項の
規定、これは人命、財産の保護等の場合には一定の場所に立入ることができるという
規定であります。この
規定は、警察官がその場にいない場合に限りまして、第八十三条第二項の
規定により派遣を命ぜられた
部隊等の
自衛官の職務の執行について準用することとしておるのであります。
第九十四条の第二項は現在の
保安庁法の第七十五条と同様の
規定でございます。
第九十五条は、武器等の防護のための武器の使用、これは現在の
保安庁法の第七十六条に相当する
規定でございますが、若干改正を加えております。現在の第七十六条によりますると、「
保安官又は
警備官は、
保安隊又は
警備隊の武器庫、弾薬庫又は火薬庫を職務上警護するに当り、人又は武器庫、弾薬庫若しくは火薬庫を防護するため必要であると認める相当の
理由がある場合には、その
事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。」と言
つております。今回は、
自衛隊の武器、弾薬、火薬、
航空機、車両又は液体燃料を職務上警護するに当りまして、防護上必要であると認める相当の
理由がある場合には、その限度で武器を使用することができる、というふうに改正しておるのであります。
第九十六条は、部内の
秩序維持に専従する者の
権限でありまして、現在の
保安庁法の第七十七条と同様の
規定でございまするが、ただ第七十七条と違いまするところは、第一項におきまして、「
自衛官のうち、部内の
秩序維持の職務に専従する者は、
政令で定めるところにより、左の各号に掲げる犯罪については、
政令で定めるものを除き、刑事訴訟法の
規定による司法警察
職員として職務を行う。」
政令で定めるものを除いて司法警察
職員としての職務を行うということにした点でございます。これは同法の各号に掲げてありまする犯罪について職務を行うことに
なつておりまするが、その中には部内の
秩序維持という観点から必ずしも取扱わなくてもいいような事件もある、そのようなものは成るべくこの
自衛官の
秩序、
維持に専従する者の
権限を外しまして、
一般警察の手によ
つてこれを行わせるようにしたいという趣旨でございます。
第八章は雑則でございます。
第九十七条は、現在の
保安庁法の第七十八条と同様の
規定でありまして、募集
事務の一部を
都道府県知事及び市長村長に委任をする
規定であります。及び警察
機関に
事務の委任をする
規定であります。
第九十八条は、
新設の
規定であります。学資金の貸与といたしまして、
学校教育法に
規定する大学に在学する学生で、
政令で定める学術を専攻し、修学後その専攻した学術を応用して
自衛隊に
勤務しようとする者に対し、選考により学資金を貸与することができることにいたしまして
防衛庁の
職員として必要なるものを確保しようという趣旨に出るものであります。この第二項以下の
事項につきましては育英会の
関係の法令を参考として必要なる
規定を設けておる次第でございます。
第九十九条は機雷等の除去に関する
規定でございますが、これは現在の
保安庁法第八十条と同様でございます。
第百条は土木工事等の受託に関する
規定でございまして、これは現在の
保安庁法の第八十一条とほぼ同様でございますが、今回は若干その委託の範囲を拡げておるのでございます。即ち現在の
保安庁法の八十一条によりますると、
長官は、
保安隊の
訓練の
目的に適合する場合には、国又は地方
公共団体の土木工事を引き受け、と
なつておりますが、今回はこれを国、地方
公共団体その他
政令で定めるものの土木工事、通信工事その他
政令で定める事業の施行の委託を受け云々とこういうふうに書いてあるのでございます。
第百一条は、
海上保安庁等との
関係でありまして、これは現在の
保安庁法の第八十二条と同様の
規定でございます。
第百二条は、自衛艦旗等に関する
規定でありまして、現在の
保安庁法第八十三条に相当する
規定でございます。
第百三条は、
新設の
規定でございます。
防衛出動時における物資の収用等に関する
規定をここに
規定したものであります。百三条は第一項と第二項と二つの場合に書き分けて
規定をしてございます。第一項のほうは
防衛出動を命ぜられました
部隊の
行動に係る地域においての
規定でありまして、こういうふうな直接
行動に係る地域において
自衛隊の
任務の遂行上必要があると認められる場合の物資の収用等を行う
規定であります。この場合には
都道府県知事は、
長官又は
政令で定める者の要請に基きまして、病院、診療所その他
政令で定める
施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又は物資を収用することができる。但し、
事態に照らし緊急を要すると認めるときは、
長官又は
政令で定める者は、
都道府県知事に通知した上で、自らこれらの
権限を行うことができるということにしております。第二項のほうは同じく
防衛出動の場合でありますが、第一項の場合以外の場合即ち当該
自衛隊の
行動に係る地域以外の地域における収用等の
規定であります。この場合におきましては
都道府県知事は、
長官又は
政令で定める者の要請に基きまして、
自衛隊の
任務遂行上特に必要あると認めるときは、
内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、前項の
規定の例によりまして、
施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管
命令を発しますが、そのほかにこの地域におきましては当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で
長官又は
政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができるものとしたのであります。第三項、第四項、第五項はこれは以上第一項、第二項の実体的な
規定を動かす上のために必要なる
規定でありまして、この場合の手続をどうするか、或いはこの場合における補償をどうするかというふうなことにつきまして、災害救助法の当該それぞれの当該
規定を準用すること、或いは
政令を以て必要なる手続
規定を定めることを
規定したわけでございます。
第百四条は
新設の
規定でございます、公衆電気通信設備の利用等に関する
規定でございまして、
長官は、第七十六条第一項の
規定により
出動を命ぜられた
自衛隊の
任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、郵政
大臣に対しまして、公衆電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法第三条第三項第三号に掲げる者が
設置する電気通信設備を使用することに関し必要な措置をとることを求めることができると、又二項におきまして郵政
大臣はこの求めがあつたときにはその要求にそうように適当な措置をとることを
規定いたしたのであります。
百五条はこれも
新設の
規定でございま素す。
訓練のための漁船の操業制限又は禁止の
規定でございまして、
内閣総理大臣は、
自衛隊の行う
訓練のため水面を使用する必要があるときは、農林
大臣及び
関係都道府県の知事の意見を聞きまして、一定の区域及び
期間を定めて漁船の操業を制限し又は禁止することができることにいたしております。第二項、第三項、第四項はこの場合における損失の補償に関する
規定でございます。第五項、第六項、第七噴、第八項、第九項、第十項いずれも損失の補償に関する
規定でございます。
百六条は火薬類取締法の適用除外に関する
規定でありまして、これは現在の
保安庁法の第八十四条に相当する
規定でございまして、若干字句の
変つた点もございまするけれども実質的には差はございません。
第百七条は
航空法の適用除外に関する
規定でありまして、現在の
保安庁法の第八十五条に相当する
規定でございます。ただここにおきましては第四項を
新設いたしております。第四項は
航空法の運用に関する
規定で、六十条以降運用に関する
規定のうちで
自衛隊の
出動を命ぜられた場合におきまして適用することが困難であると思われまする条項につきまして、
政令で定めるところによりましてこれを適用しないということにいたしたのであります。第五項、第六項は現在と同様でございます。
百八条は労働組合法等の適用除外に関する
規定でございましてこれは現在の
保安庁法八十六条と同様でございます。
百九条は船舶法等の適用除外に関する
規定でございます。これは現在の
保安庁法の八十七条に該当する
規定でございますが、今回は新たに船舶法、それから船舶積量測度法等これを
追加して適用しないことにいたしております。第二項はそのために新しく
追加いたしました
規定でございます。
第百十条は船舶
職員法の適用除外に関する
規定でございまして、これは現在の
保安庁法の八十八条と同様でございます。
百十一条は
海上自衛隊の使用する船舶についての技術上の基準等を定めたものでありまして、現在の
保安庁法の八十八条の二と同様な
規定でございます。
百十二条は電波法の適用除外に関する
規定でございまして、現在の
保安庁法の八十九条に電波法の適用除外に関する
規定がございまするが、今回は適用除外の範囲を若干拡げております。それは
航空自衛隊の
新設に伴いまして、レーダーの
関係の固定設備につきましても電波法の適用を除外するというふうにしましたのが、百十三条につきまして現在の
保安庁法の八十九条と異
つておるところでございます。
百十三条、百十四条は
新設でございます。道路運送法及び道路運送車両法の適用除外
規定でございます。特車その他の
自衛隊で持つことになります車両の中には、
一般の道路運送を対象としてきめられております道路運送法とか、道路運送車両法とかの
規定を適用することが適当でないものがございますので、今回これを明瞭にせんとしたものであります。
第百十五条は銃砲刀剣類等所持取締令の適用除外に関する
規定でございまして、これは現在の
保安庁法の第九十条と同様でございます。
第百十六条は、麻薬取締法の特例に関する
規定であります。これは今回
新設のものでございます。麻薬取締法によりますると、これらのものは診療所等、固定の設備でなければ持てないことに
なつておりまするのを、必要の場合、応急救助にあたる
部隊等がこれを使用する場合などを考え、それ以外の場合でも、
政令で定めるところに
従つてこれを所持できることといたしまして、尤もこの使用等に関しては麻薬取締法の適用を受けるものとするということにしようとするものであります。
第百十七条は委任
規定でございます。
第九章の罰則に入ります。第九章の罰則は、第百十八条から第百二十二条まででございますが、これは大体におきまして現在の
保安庁法の第九十一条から九十三条までを元として作られておるものであります。
第百十八条は現在の
保安庁法の九十一条に相当する
規定でございます。
第百十九条は現在の
保安庁法の第九十二条に相当する
規定でございます。ただ第百十九条におきましては第四号を
追加いたしました。これは
予備自衛官という
制度を設けましたことに伴いまして、この
予備自衛官で、
防衛招集命令を受けました者が正当な
理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないものにつきましては、三年以下の懲役又は禁こに処することをきめたものであります。その他の点におきましては大体において現在の
保安庁法の第九十二条に該当いたすものであります。
第百二十条は現在の
保安庁法の第九十三二条に該当するものであります。第百二十条の第一項の各号に掲げるところは、現在の
保安庁法の九十三条の各号に掲げるものと同様でございます。
第百二十一条が
新設でございます。「
自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、
航空機その他の
防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。」ことといたしまして、
自衛隊の物資の
防衛のために有効にこれを確保し、利用せんとすることを定めたものでございます。
第百二十二条も
新設でございます。これは
防衛出動という観念が新らしく加えられたことに伴いまする
新設であります。即ち、第百二十二条は、「第七十六条第一項の
規定による
防衛出動命令を受けた者で、左の各号の一に該当するものは、七年以下の懲役又は禁こに処する。」ことといたしております。第一号から第四号までに掲げておりますことは、第百二十条その他今まで
保安庁法に
規定しておりますと同じようなことを各号に掲げておるのでありますが、第五号として新らしく、「警戒
勤務中、正当な
理由がなくて
勤務の場所を離れ、又は睡眠し、若しくはめいていして職務を怠つた者」に対する罰則を
規定することといたしたのであります。
次に
附則について御
説明申上げます。
附則に関する部分は
三つに分けて御
説明できると思うのであります。
その第一は経過的な措置に関する
規定でありまして、第一項から第十二項までがこれに相当するものであります。
第一項は施行の日をきめたもの、第二項、第三項、第四項に、現在
保安庁の
職員に
なつております者が
防衛庁の
職員となるについての必要な
経過規定をきめたものでありまして今回は特に第二項におきまして、現在の
保安庁の
職員はこの
法律の施行前においても
服務の宣誓をすることができることをきめました。そうしてこの
服務の宣誓をした者が
防衛庁設置法の施行の日におきまして
防衛庁の
職員となる。第四項はその場合における階級等は、相当する階級だということをきめたのであります。
第五項は
従前のこれらの者に対してなされておつた任用上の決定その他の手続は、この
法律の相当
規定に基いてなされたものとみなすという趣旨であります。
第六項は現在
保安隊に入
つております者の二年の任用
期間の計算であります。計算はその者が現在二年の
期間を以て採用された日から始まるのだということをきめたものが第六項。第七項は、この
法律の施行の日以前において、
従前の
規定によりまして、その意に反して免職され、又は懲戒処分によ
つて免職された者が、すでに
従前の
規定によ
つて保安庁長官に審査の請求をしている場合を除き、
政令の定めるところによ
つて、
長官に対して審査の請求ができる。それからこの
法律のその場合における審査の手続及び審査の結果の判決、及びその判決に従うべきこと等はこれを準用するということをきめたのが第七項であります。第八項は、現在
保安庁の公正審査会に係属しておるものが、
防衛庁の公正審査会に係属するということ。第九項は、
保安庁法の第七十七条の第一項各号に掲げる犯罪について同法同条同項に概定する部内の
秩序維持の職務に専従する
保安官又は
警備官が行
なつている刑事訴訟法の
規定による手続は、この
法律の相当
規定に基いて、これらの
自衛官がした手続とみなす。第十項は同様の
規定。第十一項は警察法との
関係の
規定。第十項は罰則の適用について
従前の例によるということを
規定したのであります。
以上が主として経過的措置に関する
規定でありまして、第二の問題は十三項以下に
規定してあります給与の
関係であります。
第十三項におきまして
保安庁職員給与法を改正いたしております。この給与法の改正は、一つは庁名とか
官名等の変りましたことに基きまして必要なる字句の改正をいたしております。そのほか新たに
統合幕僚会議の
議長というものが
規定されましたので、その
議長の俸給をきめたのが第二の点であります。それから
航空自衛隊ができましたことに従いまして、
航空手当というものを
新設いたしたのがその次の
規定。又
予備自衛官につきまして月額千円の手当を支給する、及び
訓練招集中の
訓練招集手当を
規定いたしました。又
訓練招集中における
予備自衛官の負傷の場合の給与上の措置についても必要な
規定を設けました。又
先ほど御
説明いたしました
通り、新たに三年の任用
期間の
隊員ができましたので、三年の任用
期間の者の満期退職の場合の特別の退職手当をきめました。又出勤を命ぜられておる
隊員に対しましては、
出動手当の支給等ができるということをきめたものが主なる
内容でございます。
それから
附則の第三の
事項はこの
法律に伴う
関係法律の改正でございまして、第二十一項以下におきまして
規定いたしております。恩給法とか、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する
法律、地方税法等について、
保安庁が
防衛庁となりました庁名のこと、及び
官名の変りましたこと等によりまして必要な字句の改正を加えておるものでございます。
以上をもちまして一応
法案の
内容の
説明を終ります。