運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-08 第19回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月八日(土曜日)    午前十一時二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員矢嶋三義君辞任につき、その 補欠として岡田宗司君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            白波瀬米吉君            岡田 宗司君            松本治一郎君            山下 義信君            八木 幸吉君            堀  眞琴君            三浦 義男君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    行政管理庁次長 大野木克彦君    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○公聴会開会に関する件   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会開会いたします。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引続いて質疑を続行いたします。
  3. 堀眞琴

    堀眞琴君 私はこの際政府行政整理に関する基本方針を主としてお伺いいたしたいと思うのでございます。各省の問題についてはそれぞれ各省担当のかたがおいでになりましたときに質問をいたすこととして、私の主たる問題は、一体政府行政整理というものに対してどのような基本的な考えを持つていられるか。勿論行政整理というからには、行政機構改革と伴うものだと思うのですが、それらの点について先ず最初に緒方総理の御見解をお伺いして、それからいろいろ疑問の点についてお答えを願いたいと思います。
  4. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 理想を申しますると、政府機構財政上の関係国民負担関係もありましてできるだけ簡素なものにして、国民負担をその点から軽くしたい。同時に又能率を高めることもそれによつて期待することができると考えます。私は終戦のときに政府ちよつと関係したことがありますが、日本行政機構がだんだんにぼう大になつて参りました経路を見ますると、満州事変を一時期としまして、非常な勢いで行政機構も大きくなり、又人員もふえて参つておる。今正確な数字を覚えておりませんが、敗戦と同時にこの機構を如何にして国力にふさわしい程度に圧縮するかということに非常に苦慮したことがあるのでありますが、終戦後同じような趣旨から歴代内閣におきましても、又特に第一次から第四に至るまでの吉田内閣においてこの複雑ぼう大となつて参りました行政機構簡素化したいという考えで幾回かの行政整理を断行して参つたのでありまするが、現在の急務であると考えておりまする自立経済を達成いたしまするために、一層行政費の節約を行わなければならん。この機会に行政機構改革趣旨であるべき機構合理化行政事務簡素化、同時に当然にそれに伴つて事務能率化を図らなければなりませんが、そういうことを断行いたしたいという趣旨で従来やつて来ました。基本方針において異なるところはないのでありまするが、それを財政上の必要ないわゆる緊縮予算を立てまする上に、特にこの必要を迫られて参りまして、その点からも一層力を入れなければならんという考えを持つたのが、今回の行政機構改革並びに行政整理出発点であつたのであります。
  5. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今の副総理お話によりまして政府の意図しておるところは大体私も了承できるのでありますが、ただその場合行政機構改革ということが先決問題でなければならんと思うのでございますが、政府のほうでは行政機構に関する根本的な改革案を示さずに、結局行政簡素化するんだから、或いは能率化するんだという考え方整理のほうだけを中心に考えられる。そうすると、結局においては行政機構はそのままになつておる。そこにおいて行わなければならん事務量というものは何の増減を見ないということになりますと、結果として非常に不合理であり、結局は又元の人員増加ということになるということは、大体これまでの行政整理の場合についても現れていると思うのでありますが、その点に関して行政機構改革をどのように考えていられるのか。今の大臣の御説明ですと、満州事変後が非常に事務が複雑になつて人員増加している、こういうお話、戦後は国力にふさわしいものにこれをしなければならんと、にふさわしい行政機構というものはどの程度のものなのか、それを御説明願いたいと思う。
  6. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今御指摘のように行政整理人員の縮減ということにつきまして、行政機構改革或いはこの仕事を減すということをしなければ、一時に人員整理を行なつて仕事そのものが減らん限りは必ず時間と共に元の状態に戻る、少くもその危険性がある。これはもう御指摘通り政府としましても十分この点に考えを持ちまして、行政機構改革、その結果としての人員整理ということを考えて参つたのであります。その間に多少の事務の取運びに不十分なところがありましたが、今回の御審議を願う行政機構改革としましては、警察制度の改正、人事院というもの以外に、まだ結論が出ておりません。併しこの機構改革は引続き政府の続く限り同様の態度検討を進めて参りたいつもりであります。人員につきましてはこの前私がここに参りましたときに申上げましたように各省との間の連絡を遂げまして、そうして事務簡素化許可認可制整理というようなことで、この場合行政機構改革の中途におる間、この場合の整理といたしまして、できるだけのものをこれは無論いわゆる天引でやつても、事務渋滞を来たすだけでありますので、各省との間の協議によりまして進めて参る、そういう意味からいえば政府としても満足しておりません。私自身としても、今の段階として不徹底なものがあると考えておりますが事情はそうであります。
  7. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今お話ですと、行政機構についてのまだ結論を得られておらないということです。先ほどのお話満州事変後非常に行政機構が複雑になつて来ている。人員増加して来ている。こういうお話です。それを戦後国力にふさわしく簡素化するという御意向のように伺つたのでありますが、一体現在の政府として行政機構基本的な方針ぐらいは、もうすでに、昨年の秋以来、行政機構改革本部ですか、あれを作つておいでになるのですから、一応の見通しぐらいは立つておいでになるだろうと思う。ところで私は極めて初歩的な質問なんですが、満州事変後非常に行政機構が複雑になつた、こういうお話でありますが、もともと社会生活が複雑になれば行政機構が複雑になつて来る、行政事務量がふえるということは当然なことです。そのために外国でもいろいろな行政機構に関する調査等もやりまして、そうしてそれを何とか合理化しようというような努力をやつていると思うのです。日本の場合もやはりそういうような努力が行われなければならんし、但し一方においては行政機構合理化或いはその機能の発揮のための各種機関統合といいますか、そういうことが一方において要請されると思うのです。この複雑化する行政機構機関能率化するために統合しなければならんという二つ原理が恐らく行政機構の上にはあると思う。そういう問題について政府はどのようにこれを調整しようと考えておるかということについて、緒方総理の御意見を伺いたいと思います。
  8. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 社会がだんだん複雑化して参りまするにつれて、政府仕事がふえそれから機構従つてぼう大するのは止むを得ない傾向だ。これはおつしやる通りでありますが、政府としましてはその社会複雑化という事実は認めますけれども、同時に政府行政というものをどこに限界をおくか。言い換えますならば、できるだけ政府仕事を減らしてこれを民間に移すものがあれば民間に移して行くという基本的な方針を持つておりまして、この点につきましては総理大臣からも国会にときどき考えの一端を申述べられたこともあるのでありますが、実はその検討結論に達しない。社会複雑化伴つて仕事が非常にふえて参る事実、それを官と民との間にどう按配するか、その中間的なものに公社というものがありますし、更にそのもの民間に移す場合のことも考えなければなりませんし、今の政府としてはそういう立場を取つてつておるのであります。
  9. 堀眞琴

    堀眞琴君 官と民との間に行政機能を配分するというお話でありますが、ど統制経済に関するような事項についてはそういうことは当てはまると思う。併し現にやつておる監督行政等事務については、これを民間に委譲するということはできない。私のお尋ねしているのはそういう問題もありますけれども、それよりもつと根本的に、例えばイギリス行政機構というのは十九世紀の末以来非常にぼう大になつている。最近ではもう行政機構は非常に複雑で、省の数でも四十省もある。アメリカでは例えば大統領事務局というものがある。非常に複雑になつて来ている。省は一応法律を以て制限されておりますが、併し大統領事務当局というものがぼう大で、それこそ数省に価するくらいの仕事大統領事務局なり、或いは大統領直轄下においてこれを行うという傾向になつて来ていることは御承知の通りだと思う。これは一般的な傾向であり、当然そうなるのは抑えることができないと思う。この行政機構複雑化するものと、それをあなたのおつしやる行政機能合理化という観点から統合するということが一つ原理になつて来るとすれば、その調整をどうするかということです。私は今資料を持つて来ておりませんけれども曾つて二十四年ですか、定員法が布かれた当時、私はそれを当時の担当大臣にお尋ねしたのですが、担当大臣から十分な回答が得られなかつたわけです。イギリスでもアメリカでも、例えばフーヴアー委員会であるとか、或いは各種委員会等が設けられ、イギリスなんかは第二次大戦中からいろいろの試みが行われ来ているわけです。そういう委員会結論として出されたところは、要するに二つ傾向をどのように調整するかというところにその重要な観点があつたと思うんです。日本に新らしい憲法の下に平和国家としての再出発をしたわけです。この際こそ私は行政機構の根本的な改革をやつて人員の配分を考えるのが順序ではないか、このように考えるのですが、政府のほうにおいては単に警察制度を改正する、それによつて人員が浮く、或いは又人事院を改組して総理府の中に入れる、それによつて人員縮小であるというようなことを主として考えていられるという先ほどの御答弁です。併し根本的な政府としての態度、それを私はお尋ねしているんです。具体的にどの省のどの課を廃止するとか何とかいうようなことはこの際私は余り問題にしておらんのです。政府基本的な態度を科学的な根拠の上において御説明を願いたいと思うんです。
  10. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 行政機構改革案基準というものを定めたものはあります。これは御指摘になりました科学的の検討という御注文にはまるかどうか知りませんが、全体として国力にふさわしい行政機構に圧縮をして参りたいという考えから中央機構地方支部或いは附属機関というものについて一つ基準臨時行政改革本部できめたのがあるんです。中央機構としましては内部管理事務統合縮小をやり、行政規模縮小する、所管大臣行政責任を明確にする、共管事務統合整理をこの際に思い切つて断行する、それから各省内局というものを統合して縮小する。それから外局というものがいつの間にか相当数できておりますが、この特別の存置理由のあるもののほかは現にこれを内局に移してしまう。それから占領下特別事情によつて成立したものについてはその適否について再検討する。それから内閣総理府との間における事務の分掌についてはこれを明確にする。それから地方機構としましては、地方支分部局整理合理化基準は、中央出先機関整理方針とは別に設けまして、これによることにしたのであります。それは煩瑣になりますから今申上げませんが、地方は別にそういうものを決定いたしました。こういう基準を作りましてこれによつて現在の行政機構をできるだけ国力にふさわしいものに持つて行こうというのが今回の臨時行政改革本部で決定いたしました基準であります。
  11. 堀眞琴

    堀眞琴君 私がお尋ねしているのはそういう外局を減らして内局にするとか、或いは地方機構をどうするとかいうような、そういう具体的な問題のもつと基本的なる問題をお尋ねしているのです。政府としての方針をお尋ねしているのです。一体政府というのは国力にふさわしいという、そのおつしやるところの行政機構というものの規模はどの程度のものなのか、よく前の定員法のときに国民の何人に公務員が何人いるから非常に多過ぎるということを盛んに宣伝された、あれと同じ考え方が依然としてあるかどうかということを私は疑うのです。恐らく政府のほうではそういう考えを持つていられるのだろうと思う。機械的に課をどうするとか、或いは局を部にするとかいつたような、そういうようなことによつて行政機構改革が行われるとするならば、それは単に機械的に部局を動かした、或いは縮小したというだけに過ぎないのであつて国家全体のフアンクシヨナルな面から申しますならば、行政機構改革にはならんと思う。国家行政事務というものは一応フアンンクシヨナルに分類ができると思う。そういうものを再検討して、そうしてその面から行政機構改革ということが行わなければ本当の改革にはならんと思う。そういうような方針政府のほうでどのようにとつておられるか、それをお尋ねしている。
  12. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 各省の全体の行政機構国力にふさわしい考え方はどうか、これは臨時行政機構改革本部でこれを検討いたしたのでありますが、その検討の結果は今のフアンクシヨナリには変えることができない。いろいろ省併合等も一応検討の過程において一つの案をこしらえたのでありまするが、結局の結論としましては省の廃合というものはこの際はやらない。ただその際においていつの間にか各省機構ほう大になつてつて、例えば内局で然るべきものが外局になつておる。或いは局の中の課というものが非常に分れ過ぎている、そういうものから地道に先ず検討して行こうじやないかというのが最後行革本部結論であつたのであります。この国としての行政機構のフアンクシヨン、これは今まであるものそのまま認めて行く、ただ機構そのもの縮小して行くというのが行革本部の今度の行政整理に当つて方針であります。
  13. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうも緒方総理基本的な考え方をお述べにならないのでなかなか納得できないのですが、私にはただ機械的な整理だとしか考えれないのです。機械的な整理なのでは、先ほど申しましたように整理も又当然事務渋滞を来すでしようし、のみならず各行政事務を担当しているという人たち負担というものも労働強化ですね。負担等も強化されて行くだろうし、結局において行政整理というものはマイナスの面だけが多くなつて来るのじやないかというように感じられるわけなんです。整理基準一体政府は今回の場合においてどこにおかれたのか。先ほどのお話ですと、行政簡素化するのだ、合理化するのだ、能率化するのだというだけの抽象的な説明では極めてその間のいきさつが不明瞭なんです。もう少し具体的に基準はどこにおいたのかということをお話願わないとこの問題は解決できないのじやないか。大臣お話では簡素化能率化とかいうようなことが絶対的のもののように考えられておりますが、これは元々整理ということは別個の、カテゴリーというほどのことはないですけれども、別個考えだろうと思う。行政合理化する、能率化するということと人員整理するということとは政府のほうでは一緒のもののように考えられている、そういうような考え方というものが基本的に間違いなんじやないか。このように考える。従つて政府基準というものをもう少し具体的にお話願いたいと思います。
  14. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) それは考え方の違いかと思いますが、例えばこの一つの局の中に必要以上に課の数がふえている。そういうものを整理することによつていわゆるセクシヨナリズム的な考えをなくすることも可能である。それによつて能率を進めて行くことも可能である。これはこの仕事がふえて行くに伴つて次から次へ追加されて、先ほどお挙げになりました外国の例も非常にぼう大になつているという事実もあるようでありますが、これはやはり違つた角度から、その省でないほかの角度からこれを検討することによつて局課併合というようなことは、曾つて今の課と課との対立的な、連絡の悪いものを是正することによりまして能率化し得るのは事実であると考えます。
  15. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記を止めて下さい。    午前十一時二十八分速記中止    ——————————    午後零時五分速記開始
  16. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。では暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩    ——————————    午後一時四十三分開会
  17. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より休憩前に引続いて委員会開会いたします。
  18. 堀眞琴

    堀眞琴君 先ほど副総理お話日本国力にふさわしい機構並びに人員整理するんだというお話であつたのでありますが、その国力にふさわしいというその観点をもう少し具体的に御説明願いたい。  それからもう一つ同じ局内で例えば部との対立があり、セクシヨナリズムが行われると行政能率が非常に低下する、そこでこれを整理するということによつて例えば行政事務能率化ということが図られるのだというお話つたんですが、それならそれで結構なんですが、その点のお話ですと、結局各省設置法等行政機構改革が成立しないことには、お話のようないわゆる行政事務能率化ということは不可能ではないかということが考えられる、その点に関してはどのようにお考えになりますか。  それから最近の事務量増加ですが、これは何としてもおおいがたい事実だと思うのです。行政事務の非常に複雑になり増加しているという面からして、果して人員整理というものが政府の言う通り考え方でこれを推し進めることができるか。結局は事務渋滞労働強化を来たすんじやないかというような問題。この三点の問題をお伺いしたい。  それからもう一つ最後に時間がありませんからまとめてお尋ねしたいのですが、整理後の方針は大体政府考え方としてはこれを二年度に亘つて整理する、それから特別待命制度を設けるということでいわば失業の問題に対処したいという御意向のようですが、一体失業問題というものに対して政府は根本的にどのように考えておられるか。今後失業者増加をどのように見込まれておるかというようなことについて、それらの点で御見解伺つて私の質問を終りたいと思います。
  19. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) この国力にふさわしい行政機構或いは人員というものをどういうふうに考えておるかというお尋ねでありまするが、今の段階といたしましては各省意向も十分間きながら行政管理庁或いは行政機構改革本部として、それに対して独立した角度から考えまして、できるだけの行政整理をやつて行く。何といつて各省では知ら人員増加しておりまずので、それを違う角度から見て行くことが一つ行政整理になるという考えを持つておるので、今のところどれだけが日本の現在の国力にふさわしいものであるという結論は出しておりません。  それから各官庁における課の廃合でありますが、これは成るほど各省設置法によらなければならんと考えますが、局のほうの問題は改革本部といたしまして一応立案をいたしたのでありますが、この点につきまして党のほうで政府と並行して機構改革を審議してもらいまして、その間に多少緩和されたような点がありまして、実は政府としましても十分な結論を得ていないという考えで、各省、各官庁に対して課の廃合ということに改たな努力をしてもらうべく協議を進めつつあるところであります。  それから事務量のことはあとで長官から御答弁を願いたいと思いますが、失業問題につきましては、これは何と申しまするか、この行政整理と独立しまして離れましても、いわゆる資本主義経済一つの病気としてこれはまあ非常な大きな問題でありますので、これに対しては政府として乏しい財政の中で十分なことができるとは思いませんが、できるだけの措置はして行くつもりであります。今度の行政整理に伴う失業対策としては、これもできるだけ今日の社会情勢と申しますか、その人々の生活の問題がありまして、できるだけの生活の犠牲の少いようにという方針を現実的にとつておるのであります。それも管理庁長官から御説明申上げます。
  20. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  21. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  22. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は極く簡単にお尋ねしたい点は、今度行政機構改革それから整理等の問題が実は私などの予期しておつたほど大仕掛けに案が出て参りませんで実はがつかりしておるわけであります。橋本さんが所管大臣の時であつたと思つておりますが、当内閣委員会におきましてはどうも現在の機構が複雑過ぎる、それから役人の数も多過ぎるといろいろ機構改革なり事務整理なり或いは人員整理などもしなければならないというのが世論であるというふうに認めた人が大多数と申しますより殆んど全員でありまして、そうして結局政府の提案に大分修正いたしましたが、それに加えましてできるだけ国民の総意に副うように大々的な機構改革その他方法を講じてもらいたいという決議をいたしまして、それを当時の内閣委員長から本会議にも報告されたというような経過があつたわけであります。その当時の橋本長官の御説明によりましても、先ほど堀委員の御質問に対して副総理からお答えのありましたような政府整理方針のように大体承わつておりました。その御方針についてはもう私なども別に異議があるわけではありません。結構だと今日も思つておる次第であります。その後政府も相当に努力されたようには見受けておるのでありまするけれども、十分に私などが期待しておつただけの成績が今日まで現われていない。昨年、もう一年も前になりますか、総理大臣の言葉として新聞などに散見するところによりますると今度こそしつかりした改革をやるんだというような意気込みが見えまして非常に期待しておつたわけであります。それが今日のような状態でありまするので誠に遺憾に存じて、又我々委員会として責任を感じなければならないというふうに私は考えておる次第であります。それでなぜあれだけ一年前に意気込んで殆んど世間に声明しておつたような形であるのに今日のような結果になつておるのであるか、いろいろな事情があると思いますが、どういう点でそういうふうに行き悩んでおるのであるか、その点を一番初めにお伺いしたいのであります。
  23. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今回の行政機構改革並びに行政整理というものにつきましては、政府としても実は満足をしておりません。今御指摘のありましたように、総理大臣はこの行政整理というものに非常に熱心で、殆んど総理大臣の別名であるかのごとく行政整理に熱心なのですが、行政機構改革につきましては先ほどもちよつと触れたのでありますが、一応機構の根本について考えを進めた際に、これは打明話でありますが、党のほうで並行してこの問題を取上げましたために、実は結論を得ることが遅れた事実があるのでありまして、従つて行政機構改革の成案として御審議を願つておるものは警察制度であるとか或いは人事委員会であるとか極めて限られたもので、政府行政整理の声明から申しましても、これでは結論にはならない。そこで機構改革のほうにつきましては、将来も検討を続けて参りまして、これは政治力も非常に実は必要とする点がありまして、今の政府の政治力だけで果して十分な徹底したことができるかどうかということに対しましても、政府自身考えなければならん問題があるのでありますが、これは引続き政府機構改革本部において結論を出して参りたい。そういうことから実は中途になつておりまして、行政整理の面におきましても先ほど来繰返して申しておりますように、現在の機構のまま各省との間の協議によりまして、できるだけ行政費節約の目的から人員を減して行く、能率化して行き、事務簡素化して、それによつて人員を減して行こう、今申上げましたような行きがかりで仕事が事実上余り減つていないために、この行政整理の面におきましても大きな数字は出ておりませんが、併し今度の整理の数字は大体実員でありまして、そういう意味からは従来の行政整理と数字の比較だけでは尽せないものがあると考えております。いずれにしましても今お述べになりましたように満足なものではありませんが、方向は間違つていないと考えております。従いまして全体の結論を得ないでも今日御審議願つておる行政機構の問題或は行政整理というものについて、そういう中間的の成案として御協力をお願いしたい、かような考えを持つておるのでございます。
  24. 竹下豐次

    竹下豐次君 この後も続いてその方向でお進めになるということでありまして誠に結構だと思つております。自由党の本部においてごの行政機構改革に関する委員ができていろいろ審査されたというようなお話でありまして、そのことも私なども承知しておりまして、そのときに私の頭に浮びましたのは、これは恐らく政府機構改革を断行される上にはいい点もあるであろうけれども、むしろ手足をお伸ばしになるのに都合が悪いというようなことが相当に起つて来るのではないかという疑いを持つたものであります。それぞれの議員の立場とかいろいろな点などで、甚だ悪い想像でありますが、私の頭に浮びましたものを考え合せてみると政府がこれをやろうとされる場合、むしろマイナイの部分が多くなるのではないかというふうの疑いを実は持つておるわけであります。なお私はこれを今批評したいとは思いません。そして又政党が政務調査をおやりになる、そういう問題を研究されるということは当然なされるはずのことでありますから、それを悪いと言うことは我々が言うべき筋合のものではございませんので、その問題については私は触れたくありませんが、ただ私が一つ了解できませんことは先ほどお話のありましたように臨時行政機構改革本部というものが政府でできまして、そうしてこの問題をお取扱いになつた、それが私の一つの疑問なのであります。これも併しお作りになることそれ自体を私などがかれこれ非難してもしかたのないことであるとも思いますけれども、私の考えまするところでは、この問題の全責任者は行政管理庁長官であるはずだ、その上に総理がおられる、こういうことになつております。行政管理庁設置法を見ましてもこれはよく御存じのはずでありますから詳しく言う必要もありませんけれども、認識を一層新たにしてもらうために私は条文を読み上げてみたいのでありますが、「行政管理庁の所掌事務の範囲は、左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律法律に基く命令を含む。)に従つてなされければならない。一 行政制度一般に関する基本的事項を企画すること。二 行政機関機構、定員及び運営の総合調査を行うこと。三 行政機関機構、定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告を行うこと。四 各行政機関機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査を行うこと。」こういうふうに行政管理庁長官の権限というものははつきり設置法できめてあるわけであります。長官の全責任でこれをやらなければならないということになつておるのでありまするが、この上に特別の臨時機関というものをお作りになつた、これも行政管理庁長官仕事を援助されるという意味であつたかと思つておりまするが、ただ私が不思議に思いましたのは、その本部長に緒方大臣がおなりになりまして、この設置法で定められた当面の責任者である長官が副部長ということになつている。それから官房長官、文部大臣、これもやはり副部長になつておられる、一人の本部長の下に副部長を三人お作りになつたということはどういうことであるかというと、法律で与えられた権限を、現在で申しまするならば塚田長官が自由に行使されるに非常に都合が悪いような組織になるのじやないか。まあ副総理でありまするから、常識的に考えますると、それでよさそうなふうにも一応考えられないわけでもありませんけれども、併し副総理というのは総理大臣が事故のある場合に臨時に代つておやりになる仕事でありまして、普通の大臣よりも格が高い大臣であるというようなことは我々としては考えられないわけで、総理の代理をされる場合だけが格が高いということに考えたいのであります。私などから見ますれば、同格の国務大臣、而もそれが管理庁の長官でなくて、ほかの大臣がその本部長になつて主たる責任者の管理庁長官がその下におつきになるということでは、本当に責任を持つて仕事を塚田長官がやられるのに御不自由はありはしないか。又世間でもせつかく法律で与えられた権限を行使される大臣がどれほど責任を感じておいでであろうかというようなことを、これは疑うということになつて行くと私は思うのであります。どうしてもこの機関が必要であるというのならば、塚田長官を本部長にして、そうしてほかの大臣で有力なおかたが外部から援助するというような形をおとりにならなければ筋道が立たないのじやないか。こういうふうに私はこの法律関係いたしまして考えておるわけであります。なお私といたしましてもこれは恐らく政府のほうでは今のような組織にしたほうが、殊に全般を見ておられる緒方さんでありまするから、これを本部長にされたほうが都合がいい、行政長官仕事がしやすくなるだろうといういい結果を狙つてこういうことになすつたのだろうということは、ものより想像しておる次第でありますけれども、今日の結果から見ましてその本部の働きというものがちつとも現れておりません。のみならず世間の或る者はこういう組織があるがために却つてうしろから長官が引張り落されたというようなことがあるような非難さえ一部では実は起つておるわけであります。やはり責任のある大臣が本当に正面に立つて、それが中心になつて仕事を進めて行くようになさるのが、内閣としての当然の仕事じやないだろうか。強く申しますと、内閣自身が設置法趣旨を妨げておるというようなことになるのじやないか、こういう疑いを実は持つわけであります。私の気持としてはその点どういうふうになるか、この後私といたしましてはおやめになるなり或いはおやめにならないならば今申したような方法で組織替えして頂かなければ長官としても非常に仕事がしにくいのじやないかというふうに想像されるわけであります。これは併し私の想像が当つてないので、実際はこれがために大変助かつたのだけれども、今日のような結果になつてしまつたのだということになるのかも知れませんけれども、責任をはつきりしてもらいたいという意味におきましても是非今の機構を何とか改めて頂きたい。かように私としては考えておるわけであります。政府のお考えを承わりたいと思います。
  25. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) これは管理庁としての責任の点は御指摘通りでありますがそれから副総理と申しますか、私の位置が国務大臣として同等であることも御指摘までもないことであるのですが、ただ従来もいろいろな委員会等におきまして各閣僚を含む委員会、それの私が特別の所管を持つていない立場から、又総理の事故あるときに代理をするような政治的意義も多少含めまして、委員長をしている例はいろいろあるのであります。この行政機構改革本部を組織しますにつきましては、これは実際のことを卒直に申しますと改革案そのものは我々も勿論改革本部を審議します際に発言をいたしましたけれども、主として、主としてと言うよりは行政官理庁長官初め行政管理庁の人が全面的に当つたもので、ただこれは塚田長官も了承の上にこの成案ができた場合に、これを各省に実施させるということには相当の何と申しますか、言葉がよくないかも知れませんけれども、政治力を必要とするであろうということから、その審議にも我々初め、初めから参与し、そうしてその成果について各省との間の折衝に当ろうという心がまえであつたのでありまするが、先ほど申上げますようにこの改革案そのものがまだ結論に達しないために、私どもが不必要なもののような観を呈しておるのでありまするが、ただこういう機構を作りますのは塚田長官といいますか行政管理庁の独自の意見、責任において立てる意見を妨げた事実はなくて、卒直に申しますると塚田長官の意見に基いたのでありまして、まだ我々案の実施をあつせんする場面まで立至つていないというような感じを持つのは事実でありまするけれども、そういう行きがかりの経過をたどりまして行政整理の審議の悪いほうに牽制するようなことは事実の問題としてはなかつた考えます。
  26. 竹下豐次

    竹下豐次君 今承わりますと、行政管理庁長官をもとより中心として整理ができた場合に、それを実施に移すようなときにいろいろ又むずかし問題が伴うから、そういう際には協力してしやすいようにしたいという考えであるけれども、それがそこまで今日は来ていないというお話でありました。私は実はそれはもとより言いなさるだろうと思つておりましたけれども、その前にやはりどういう機構改革する考えとかいうような問題を一緒に御研究になり、そうしてこの問題はなかなか各省の立場としては長官の意見に反対する場合が多いことも予想されるので、そういうことも予期されて、そういう場合にはまあ不合理な反対はこれを抑えて行こうというようなお気持が本部長ほかにおありでなかつたのじやなかろうかと思つております。それはあつたのでありますか。
  27. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私が申上げましたのは、半ばそういうような意味でその案を立てることは容易であるとは申しませんが、立てましても、仮に成案を得ましてもそれを実施に移す場合に、従来の経験から申しますと、なかなか摩擦があり困難が伴うというふうに考えられましたので、それでそういうときに行政機構改革本部として努力をしなければならない、そういう考えが主たる理由であつたことは事実であります。
  28. 竹下豐次

    竹下豐次君 私の気持ちはおわかり下さつただろうと思つておりますが、私はこの行政機構改革、これに伴う多数の人員整理、これも実はやはり政府も狙つているでしようし、国民も相当多数の人員の淘汰を希望しているのは世論だと思います。何万という公務員、その家族を合せますると莫大な数になる、これは容易ならんことでありますので、よくよくの長官以外の人の協力がなくては長官仕事がしにくい難事業の中の難事業だと私は思つております。又強い表現をいたしますれば、この行政整理をし、十何万、二十何万というような家族を合せた者の生活の途を一応とめるというような大問題でありますから、当面の責任ある大臣としては実際それは同情されるにきまつております。もうみんなの生活の途までも断つよりなことをやつたのだから。併し自分の職務上どうしてもやらなければならなかつた、これを終えたからおれは君たちと一緒にやめるのだというぐらいの覚悟をしてかからなければ、このような事業を私は遂行することは絶対にできないと思うのです。併し塚田さんにおやりになつてからおやめなさいということを言つているわけではありませんけれども、気持をはつきり表明しますれば私はそのくらいの決心を以てやらなければできない仕事だとこう思うのです。それについては、せつかく法律大臣責任というものがはつきりしておるのですから、国民から見ても本当に責任を持つてつておられるな、人頼りをしていないなと思われるようにしなければ、国民も協力いたしません。大臣仕事がしにくいだろうと思います。殊に、ちよつと余談になりますけれども、まあ大臣を前に置いてそういうことを申上げるのは失礼でありますけれども、私遠慮なしに申上げますが、どうも近頃大臣の異動が余り多過ぎるせいもありますが、大臣に対する国民の感じ方が昔と大分違つて来ております。これは私は非常に遺憾なことだとかように考えておる次第でありまして、もう少し大臣にしつかり責任を持つてその地位を重からしめるように、内閣のほうでもできるだけ御協力なさることが必要であると思います。そこで初めて私は仕事ができる、かように私は考えておる次第であります。まあいろいろ政府のほうでも御意見もありますし、多数の閣僚のかたが御相談の上、そういう方針をとつておられるのでありますから、私は私だけの考えが正しくてほかはすつかり間違つているというような僭越なことは申上げたくないのでありますけれども、併しこの問題は私は相当にこの目的を達成するためには大きくお考えになつていいのじやないか、かように考えますので、意見を申上げながら御意見を承わつた次第であります。
  29. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 私申上げておきたいのは、成るほど御質問伺つておると何か行政管理庁長官がこの責任を背負い切れない、そこで責任を分担するようた意味であの機構を作つたのではないかというような御疑念があるのじやないかという気がしますが、先ほど申しましたように、そういう責任をほかに委譲するとかいうような意味で、そういう動機で起つたのでは絶対にないのであります。先ほど申しましたような趣旨でこの仕事は今のところ十分な成果は上つておりませんけれども、その出発に当りましてはそれは時節柄も伴つて非常に困難な問題だと思います。そこで内閣の全力、いわば内閣の全力を挙げてでも実施は容易でないぞということから始まつたことで、その点につきましては釈明になるかならんか知りませんが一言申上げておきます。
  30. 竹下豐次

    竹下豐次君 先ほど私も申上げましたように、政府のお気持は大体察しておるわけでありますけれども、結果がこういうことになつてしまつているということと、それから法律的に考えて筋道が立たない、それから塚田大臣責任を回避するためにこういう組織を作るようにということを言い出されたとは私は絶対に考えておりません。ただ何とか成果あらしめるために閣僚の皆さんがお考えなつたことであろうとは想像しておりますけれども、何分結果が悪い、又理窟も通らない、で世間ではやはり長官のお考え如何にかかわらず、これは責任の分担ではないかというように考えやすいことであります。という意味でありまして、決して責任を回避するためにそういうことをおやりになつたというふうには私は絶対に考えていないのであります。その点はむしろ誤解のないようにこちらから申上げたいのであります。  もうこの上承わりましても同じようなことを承わることと思いますが、私の申しました気持はおわかりだろうと思いますので、政府のほうで御考慮を願つて頂くことにして、今日は私の質問はこの程度にいたします。
  31. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  32. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  それでは質疑は次回に続行いたすことにいたします。   —————————————
  33. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に防衛庁設置法案及び自衛隊法案に関しましてお諮りいたします。以上両法案は、国会法第五十一条の規定によりまして一般的関心及び目的を有する重要な案件でございますので、利害関係者及び学識経験者等から意見を聴いて審査に資したいと存じますので、公聴会を開いては如何かと存じます。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。なお公聴会の日時は申合せにより五月十八日に決定いたすこととし、なお公述人の数及び選定等は委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認め本院規則第六十二条により防衛庁設置法案及び自衛隊法案に関する公聴会開会承認要求書を議長に提出することといたします。本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会