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1954-03-22 第19回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十二日(月曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   委員の異動 三月十八日委員堀眞琴君辞任につき、 その補欠として大山郁夫君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            白波瀬米吉君            重宗 雄三君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            野本 品吉君   衆議院議員            平井 義一君   政府委員    行政管理庁次長 大野木克彦君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸大臣官房長 山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    内閣総理大臣官    房賞勲部長   村田八千穂君    総理府南方連絡    事務局長    石井 通則君    厚生大臣官房国    立公園部管理課    長       甲賀 春一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○恩給法の一部を改正する法律の一部  を改正する法律案衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する等の  法律案内閣送付) ○奄美大島公務員身分等に関する請  願(第一八五八号) ○在沖繩奄美大島出身公務員身分引  継に関する陳情(第二四八号) ○地方自治功労者栄典制度確立に関  する陳情(第三〇一号) ○北陸財務局存続に関する請願(第五  一号) ○農林統計機構改革に関する請願(第  一一八号) ○北海道雄武町に保安隊演習場設置反  対の請願(第一一九号) ○矯正管区廃止反対に関する請願(第  二六五号)(第六四四号) ○厚生省薬務局存置に関する請願(第  三六六号) ○農林省畜産蚕糸両局の統合反対等  に関する請願(第四一六号)(第八  八七号) ○蚕糸局存置に関する請願(第四五二  号) ○農林統計調査機構存置に関する請願  (第四七五号)(第七六八号) ○南九州財務局存置に関する請願(第  五三二号) ○茨城県上中妻、山根両村の保安隊演  習地指定反対に関する請願(第五三  九号) ○熊本国税局存置に関する請願(第五  六六号) ○農林水産統計機構改革反対に関する  請願(第七〇七号) ○農林統計調査機構強化に関する請願  (第九四三号)(第九四四号)(第  九五三号)(第九五四号)(第九五  五号)(第一〇三二号)(第一〇四  六号)(第一一五七号)(第一一五  八号)(第一一五九号)(第一一六  〇号)(第一一六一号)(第一二二  八号)(第一二二九号)(第一二四  九号)(第一四〇八号)(第一四四  二号)(第一四五五号)(第一四九  四号)(第一五五三号)(第一六三  六号)(第一八〇六号) ○国立公園部存置に関する請願(第一  二九二号) ○農林省畜産局存置等に関する請願  (第一三一四号) ○建設省職員定数増員に関する請願  (第一四二二号) ○電波行政機構強化に関する請願(第  一五〇七号) ○食糧庁機構改革等反対に関する請願  (第一五三六号)(第一五五四号)  (第一七〇二号)(第一七一七号) ○人権擁護局格下げ反対に関する請  願(第一五四一号)(第一五五五  号)(第一五五六号)(第一五七六  号)(第一五八五号)(第一六〇三  号)(第一六〇四号)(第一七六二  号)(第一八二六号) ○人権擁護局存置等に関する請願(第  一五九〇号)(第一六三三号) ○食糧統計事務所統合等反対に  関する請願(第一六二八号) ○厚生省薬務局存置に関する陳情(第  一二号)(第三五号)(第七七号)  (第一〇七号)(第三〇二号) ○南九州財務局存置に関する陳情(第  一三号)(第三六号) ○鹿児島農林省知覧茶原種農場の地  方移譲反対に関する陳情(第一九  号)(第三三号) ○南九州財務局等存置に関する情陳  (第二九号)(第五九号)(第六七  号)(第一〇四号)(第一七五号) ○北陸財務局等存置に関する陳情(第  四二号) ○北九州財務局南九州財務局統合  するの陳情(第四五号) ○中小企業庁廃止反対に関する陳情  (第四七号)(第七八号)(第一〇  五号) ○中小企業庁廃止反対等に関する陳情  (第四八号) ○蚕糸局存置に関する陳情(第五八  号) ○矯正管区廃止反対に関する陳情(第  七一号) ○国立予防衛生研究所存置に関する陳  情(第一一九号) ○食糧事務所機構縮小反対等に関する  陳情(第一二四号) ○農林統計調査機構存置に関する陳情  (第一三五号) ○北陸財務局存置に関する陳情(第一  五五号)(第三一五号) ○農林省畜産蚕糸両局の統合反対等  に関する陳情(第一五六号) ○食糧管理機構縮小反対に関する陳情  (第一五七号)(第一七六号) ○熊本農地事務局存置に関する陳情  (第一八三号) ○特定郵便局職員削減反対に関する陳  情(第一九七号) ○郵政省建築部他省移管反対に関す  る陳情(第一九八号) ○熊本農地事務局存置に関する陳情  (第二一〇号) ○人権擁護局格下げ反対に関する陳  情(第三九三号)(第三九七号(第  四三九号)(第四五四号)(第五〇  四号)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  先ず恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。本案に対する提案理由衆議院議員平井義一君から説明を受けます。
  3. 平井義一

    衆議院議員平井義一君) 只今議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案趣旨を簡単に御説明申上げます。  公務員在職年に対する加算制度は、旧軍人関係恩給との均衡上及び給与面における改善実情に鑑み、原則として廃止され、ただ改正恩給法施行当時、現に在職する公務員在職年の計算については、本年三月末日まで従来の規定により加算されることとなりましたことは御承知通りであります。  然るに蒸気機関車乗務員等のごとく、不健康且つ危険な業務に従事する職員は、通常の業務に従事する職員に比べて、永年勤続することが殆んど不可能であるばかりでなく、多くは短命に終つている実情でありまして、日本国有鉄道日本専売及び日本電信電話の各公社においては、これらの実情に即する措置を講ずるため、公共企業体等共済組合法を、目下せつかく考究検討しているところであります。  ここにおきまして、不健康業務に従事する職員在職年取扱については、これに代るべき制度の決定を見るまで移行期間を更に一年延長し、もつて移行による空間を補うための措置をいたそうとするものであります。  以上甚だ簡単ではありますが、何とぞ提案趣旨を了とせられ、御賛同あらんことを切望いたします。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本案につきましては質疑は次回に譲ることにいたして、本日は提案理由をお聞きすることに止めておきたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それではさようにいたします。   —————————————
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に運輸省設置法の一部を改正する等の法律案議題といたします。先ず提案理由説明を求めます。
  7. 西村英一

    政府委員西村英一君) 只今提案になりました運輸省設置法の一部を改正する等の法律案提案理由及びその概要について御説明申上げます。  第一に、運輸省附属機関につきまして、宮崎海員学校を廃止して口之津海員学校設置しますと共に、新たに航空従事者を養成する機関として航空大学校宮崎市に設置することとし、更に、水先審議会従前審議事項のほか、船舶職員法に定める事項その他海上における航行の安全に関する重要事項をも併せて審議させることとして、その名称を海上航行安全審議会と改めることといたしました。  第二に、只今国会提案されております防衛庁設置法案におきまして、さきに、第十三回国会において成立を見ました海上公安局法を廃止することとしておりますので、同法の制定に関連して、第十三回国会において成立しました運輸省設置法の一部を改正する法律は、存続意味を失うこととなりますので、これを廃止することといたしたのであります。  なお、右の措置に伴いまして、水先法及び船舶職員法に所要の改正措置を講じました。  この法律案施行期日につきましては、原則的には、本年四月一日を予定いたしておりますが、航空大学校は、七月一日開設を予定しておりますので、これに関する改正規定につきましては、本年七月一日からといたしております。  何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられるようお願いいたします。
  8. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 只今政務次官から提案理由の御説明をいたしましたことにつきまして補足説明をいたします。  今回改正いたします点は先ず本省の附属機関につきまして、第一には宮崎海員学校を廃止いたしまして口之津海員学校設置することでございます。宮崎海員学校昭和二十年進駐軍にその施設の全部を接収されましたので、翌二十一年四月元粟島商船学校校舎を仮校舎として同所に移転いたしまして、最後の卒業生を送り出すと同時に、翌二十二年四月に粟島海員学校を併設しましたので、自後宮崎海員学校生徒募集を中止して現在に至つたものであります。  このたび口之津海員学校の新設を機会にこれを廃止することといたしました。口之津海員学校を新設いたします理由は、近年、九州地区におきまして、海員学校入学希望者が激増し、多数有為の青年が、船員になりたいという機会をむなしく逸している実情に鑑みまして、たまたま島原半島の南端に位置しております口之津町は、従前から船員出身地として名のある所であり、立地条件教育環境も良好で、地元公共団体も海運の振興に多大の関心を寄せられておる土地柄でございまして、殊に海員学校の誘致については、多年の要望もありますので、昭和二十九年度から設置することといたしました。  第二には、航空大学校を新設することとしたことでございますが、御承知のように、わが国の航空技術は、戦後六年余の空白期間を経まして、漸やく再建の緒についたばかりでありまして、日進月歩いたしますところの世界の航空技術の水準に比べまして残念ながら著しく立ち遅れている現状でございます。この事態を改善いたしますためには、国がみずからの手によつて航空従事者を養成いたしまして、民間航空の速かな振興を図る必要がありますので、このたび航空に関する専門の学科及び技能を教授し、航空従事者を養成する機関といたしまして、航空大学校宮崎市に設置することといたしました。なぜ設置の場所を宮崎市に置いたかと申しますと、同市に残存しております旧軍施設を利用する便宜を得られますことと、又教育環境も適当と考えられるからでございます。  第三には、水先審議会を廃止いたしまして海上航行安全審議会を設けたことでございます。従来、水先審議会は、船舶航行の安全を確保いたしますため、水先制度の運用、及び改善に関する重要事項を調査審議し、これらの事項に関しまして運輸大臣に建議を行うことを目的としていたのでありますが、船舶航行の安全を確保致しますためには、右のほか、船舶職員の資格、船舶の堪航性船舶航行上の危険防止に関する事項等につきまして、専門的、技術的な見地から検討を加える必要があるのでございます。従いまして、右の諸事項につきまして、有機的な関連の下に、統合的に検討することによつて船舶航行の安全を確保することができるものと考えられますので、今回水先審議会を発展的に解消いたしまして海上航行安全審議会を設けることといたしました。  次に、第十三回国会において成立を見ました運輸省設置法の一部を改正する法律を廃止することにつきましては、同法と関連のあります海上公安局法が、このたび、防衛庁設置法附則におきまして廃止する旨規定されておりますので、海上公安局法が廃止された暁におきましては、この法律は全く存続意味を失うこととなりますので、これを廃止することといたしました。  なお、附則関係でございますが、今回の改正は、原則的には四月一日から施行することとしておりますが、航空大学校は、七月一日に開設を予定しておりますので、この関係改正規定は、七月一日から施行することとしております。  又、水先法及び船舶職員法改正につきましては、本則において水先審議会を廃止して海上航行安全審議会を設けることとしましたために、必要な形式的整理行つたのでございます。  以上がこの法律案概要でございます。
  9. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 運輸省設置法の一部を改正する等の法律案につきましては、この質疑も次回にいたすことにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次回に譲ります。   —————————————
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に請願陳情議題といたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  12. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  13. 野本品吉

    野本品吉君  議事進行について。この請願陳情を見ますと、いわゆる行政機構整備の掛声におびえてそのために出された請願陳情が相当あると思います。そういうことになりますると、政府行政機構整備の対象にこれらのものがなつておるかおらないかということがはつきりしませんので、若しなつておらないものがこの中に相当ありとすれば、そういうことの話を聞くことは殆んど意義がないのじやないかと私は思う。従つて行政機構整備については、これらにずつと関連のあります行政機構整備に対する政府の大体の考えを聞いて見ての上にしたらどうかと思いますが、如何でしようか。
  14. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  15. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。それではこれより速記をつけないで、杉田専門員から説明を伺うことにいたします。速記をとめて下さい。    午後二時十四分速記中止    ——————————    午後二時四十三分速記開始
  16. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をつけて下さい。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 専門員のかたに伺いますが、この陳情のほう、これは葉書とか手紙とかそういうものを入れてありますか。それとも体裁を整えて出されたいわゆる陳情書だけ集録したものでございますか。
  18. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) 私の承知している限りにおきましては、議長宛に出された正式のものだけであります。請願陳情全部正式の請願陳情手続をふんだものだけでございまして、単に葉書であるとか略式のものは入つていないと承知しております。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この際専門員立場から伺つておきたいのですが、それは今あなたが答弁されたような状況であるとすれば、請願陳情一本の形にしてはどうかと、こういうふうにも考えるのですが、専門員立場からどういう見解を持つておられるか、この際参考に聞いておきたいと思いますが。
  20. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) 一本と申しますと、どういう、例えば農林統計機構に関する請願は全部たくさんあればこれを一本にすると、こういうわけですか。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうではなくて勿論この請願にするのには紹介議員というものが必要なわけですが、併し採択された場合に陳情よりも請願のほうが取扱が重いわけですから、だから書面の形式その他は殆んど同じのようにとれるわけです。従つて陳情というのをやめて請願一本にするということですね。そうなりますと委員会のほうで取扱も又印刷方面相当整理その他考えて都合がいいんじやないかと思います。これは将来国会法改正とも関連して来るので、実際こういうものを処理される専門員のほうの意見を参考に聞いておきたいというので伺つておるわけです。
  22. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) これは恐らく国会法などの問題であろと思いますが、御承知のごとく請願紹介議員のあつた場合においては請願、それから紹介議員のない場合においては陳情という形で扱われておりまするので、若し国会法などにおいてそういう点が改まりましてどういうような形、紹介議員のあるなしにかかわらず全部請願というような形でよろしいということであればそれでもいいかと思うわけです。結局するところこれは国会法改正の問題に関連して参りますので、現行法の下においてはやはりこういつたような別扱をするはかなかろうかと考えております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行についてでありますが、先ほどからら一応専門員から請願陳情の大略の趣旨というものを聴取したわけであります。そこで本日は自由党並びに社会党第二控室のかたも一人もお見えになつておりませんので、最後の決は如何かと思いますが、幸いに各所管庁のかたがお出でになつているようでありますから、私も若干聞きたいし、この請願陳情関連して質問の点がありましたら、委員のかたから質問して請願陳情の採決につきましては、次回において各会派その他から少くとも一名参集されたところでやられるように、本日の委員会をとり運んだら如何かと思いますので、議事進行として提案いたします。
  24. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止
  25. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をつけて下さい。それでは請願の十六の項目に挙げてあります千八百五十八号、これと陳情の十七の項目に挙げてあります二百四十八号、この件について南方連絡事務局長から説明を受けることといたします。
  26. 石井通則

    説明員石井通則君) 請願の千八百五十八号は大体三つのことが要望されているように考えるのであります。一つ昭和二十八年法律第百五十六号で、もと南西諸島官公署職員のほうは引続き琉球政府職員なつた場合に恩給等身分継続を認めておりまするが、もと台湾朝鮮等外地官公署職員であつた人或いは又内地官公署職員であつた人もあろうかと思いますが、そういう方々身分継続は認めていないのでございます。この点が一つでございますが、この点に関しましてはもと南西諸島官公署職員方々につきましては、昭和二十一年一月二十八日の行政分離の際に身分的措置を何らやつていないのでありまして、その後引続いて政府公務員としての身分が継続しておるものか、或いは行政分離で打切られたものかということが非常に問題になつておりまして、まだ身分はつきりと打切つたという措置をどこの官公署もとつておりませんでしたから、従つてそういう方々は丁度行政分離の前から占領軍のほうから、従来の日本政府官公署職員はそのままその従事する職務に勤務すべしという命令に基いて従事したという関係もありまして、恩給等身分継続をやつたわけでございます。ところが外地官公署職員方々につきましては、すでにいろいろ身分的措置をとつておりまして、或いはその処置がとられていない人もあつたかも知れませんが、大部分方々におきましては身分的措置をとつて、すでに恩給の権利のあつた人に対しましては、或いは一時恩給或いは年金恩給を支給する、或いは退職金は支給するというように身分措置はつきりとられておつた従つて恩給法上、或いは退職手当法身分を継続することが理論上なかなか困難であつたということのためにというので身分継続を認めていないのであります。  第二の問題は、然らば今度奄美大島復帰したのだ、そこで昨年十二月二十五日付で日本政府或いは鹿児島県のほうに引き継がれた職員についてはその前身の如何を問わず、琉球政府職員として勤務した期間恩給法上の公務員として通算してくれないかというような希望のように思われるのであります。この点につきましては琉球政府が新たに採用した職員恩給法等身分継続上認められるかどうかというのが問題になりまして、いろいろ検討中でございます。退職手当のほうに関しましては、その身分が割合に全般的な公務員として一本で行つておりますので簡単で、復帰の際の政令で琉球政府職員としての身分を通算することにいたしましたが、恩給に関しましては琉球政府職員を一体どういうような身分にそれぞれ分けて考えるかということが非常に困難な部分もありましてまだ懸案になつております。なおこの件は恩給法につきましては、琉球政府職員でありまする限りは、なお我々が所管いたすべきものでございまするが、すでに日本本土復帰しまして日本本土職員なつておりまするので、恩給局でよく御検討して頂くようにお話を申上げております。  それから第三の点は、この昭和二十八年法律第百五十六号によりまする俸給が低いのじやないかということでございます。これは昭和二十一年一月二十八日の行政分離後の俸給琉球政府として支給した俸給でありまして、本土俸給の法制とは相当違つた体系をとつておりますので、それをそのまま採用することは困難であつたのでございまして、従いまして二十一年一月二十八日の行政分離直前俸給基礎にいたしまして、その俸給を一応受けておつたものといたしまするが、ただ恩給の場合におきましては、その後仮定俸給をいろいろべース・アツプしておりまするので、この法律によりましては行政分離の際の基礎俸給ベースにしまして、その後の仮定俸給に引直して支給するということになつておりまするのでそう半分というような非常な不利なことはないかと思つております。なお奄美大島復帰後におきましては、当然本邦公務員としての俸給基礎なつて行きまするので、従来内地公務員であつた方々と別に差異はなくなつて来るのでございます。従つて今のところ昭和二十一年一月二十八日の給与ベースを又変えなければならんというようなことはないのじやなかろうかというふうに考えておりますが、なおこの問題も、いろいろ現地の恩給等を支払つて行く上に問題が出て来ることもあろうと思いまするので、将来必要があればなお検討して行くというような考えにいたしております。  それから次に陳情のほうでございますが、沖繩に先ほど御説明のありましたように、奄美出身公務員が約二百名ばかり本年の初め頃残つておりまして、これらの奄美出身公務員に、或いはその他の者も同様でございますが、アメリカ大使館等といたしましては急激な変化或いは人道上問題になるようなことは決してしないという約束がございまして、今日まで奄美出身公務員も解雇されずに従来通り琉球政府で仕事をやつております。ただ急激な変化と申しましてもいつまでもというわけにもいかん模様でありまして、一月末日までに奄美出身全員について仮登録琉球政府で実施いたしまして、なお現在本登録を実施中でございまするが、本登録が四月末日に終了いたしますると、そこではつきり奄美出身の者ということがわかるわけでありまして、その後は琉球の章典と言いますか基本法なつておりまする法律の建前から、琉球における政府職員として残るわけにはいかんじやないかというように判断されておるのでございます。従いまして私どもといたしましてはできる限り従来のように琉球政府琉球政府職員として従事して行くことが望ましいのではあると思いますけれども、それができず又いろいろ本人の希望等もありましようからそれらの希望によりましてできるだけ本土のほうに引取るようにあつせんをいたして参つたのでございます。その約二百名の中に警察関係とか刑務所関係は大体において或いは相当引継がれたものもありましようし、又引継ぎについての手続が進行いたしておる模様でありますが、その他のものにつきましてもまだ目鼻のつかないものも相当ございます。何分本土におきましても行政整理等が行われておりまして、各省におきましてもなかなか定員等関係から採用困難な模様のあるところもあるようでございまして、この問題を行政整理につきまして整理者のあつせんをするために配置転換対策本部というのができておりまするので、その配置転換対策本部に相談をいたしましてできる限り本土の国の機関又地方公共団体に採用してもらいまするようにあつせんに努めたいと、こういうように考えて今努力をいたしておるような次第でございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御説明を頂いたのでありますが念のためお伺いします。奄美大島復帰前から勤務しておつた人復帰後は全部通算されるわけですね。
  28. 石井通則

    説明員石井通則君) 奄美大島に勤務いたしておりました琉球政府職員は、その復帰の際のおおむねその身分によりまして大体国家機関鹿児島県の大島市庁に引継いだわけでございます。その引継いだ人たちにつきましての退職手当の適用に関しましては、琉球政府の勤務年数を通算するということになつておりますが、恩給及び共済組合の関係につきましてはまだその措置がとられておりません。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ぼくらが聞いているのは、例えば奄美大島復帰前から学校に勤務しておつた人奄美大島復帰したその後において退職する場合、そういうかたは戦前から奄美大島におつたわけですが、琉球政府の直轄下にあつた期間を全部計算してほしいという訴えをしてるのですが、私はそういうふうにしてやつてもいいじやないかと考えますが、そうなつていないのですか、あなたの答弁ではそうなつておりませんね。
  30. 石井通則

    説明員石井通則君) 行政分離、いわゆる昭和二十一年の一月二十八日に奄美大島に勤務しておりました国又は地方公共団体の職員は、これは従来身分的措置はしておりませんものですから、琉球政府の勤務期間をずつと通算しまして、又奄美大島復帰いたしまして継続して勤務しております者はずつと以前から通算されるということに現在でもなつております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことは、二十一年の分離後琉球政府に採用された者は通算しないというのですか。
  32. 石井通則

    説明員石井通則君) 二十一年一月二十八日以後琉球政府に新たに採用された人たちにつきましては、退職手当のほうは通算されることになつております。ただ恩給等につきましては、琉球政府公務員と言いましても一体本邦の恩給法上の公務員にどの範囲からするかというような非常にむずかしい問題もあるわけでございまして、恩給の適用について相当まだ研究しなければならんのではないかと思つているわけでございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは奄美大島が最近復帰したわけですが、いろいろ問題があると思いますが、それに関連してお伺いしますが、各本省の出先機関が若干開設されて国家公務員が赴任したわけですが、そういう方々は勿論国家公務員の給与の基準によつて給与されておると思うのですけれども、鹿児島県の地方公務員の場合、これは復帰に同時に鹿児島県の条例によつて他の鹿児島の地方公務員と全部同様の扱い方にすでになされたのかどうか、それを一つと。  それから奄美大島におる地方公務員である教職員の場合ですね。これと直接関係がありませんが、念のため伺いたいのですが、その免許状というもの、これは琉球政府の発行した免許状と日本政府の発行しておつたものと違うと思うのですが、こういう免許状は、琉球政府で認められておつたその資格というものはそのまま引継いだのかどうか。これは奄美大島に勤務されておる公務員身分待遇と関係があるので伺つておきたいと思います。
  34. 石井通則

    説明員石井通則君) 奄美大島に勤務をしておつた者で鹿児島県の職員に引継がれた者に関しましても、その職員の経歴によりまして日本の今度のこの公務員の給与に関する法令に基きまして切換えたわけでございます。そこで大体その同年輩、或いは同経験の人たちと同じような給与水準に切換えられたというのが一般的な原則でございます。その復帰当時の琉球政府職員俸給につきましては、上のほうは非常に低くて下のほうは割合高いというような俸給表になつておりましたので、その切換えの際におきましては、上のほうはおおむね俸給本土並みに上り、或いは下のほうは人によつては若干本土並みに俸給が下つたというような例があるのでございまして、大体本土並みの俸給に切換えられたわけでございます。これは大体国家公務員のほうに切換えられた人も、地方公務員に切換えられた人も、大体その原則でやつてつております。  それから教職員の免許の関係でございますが、この免許は一応琉球政府の免許をそのまま認めるということになつております。詳しいことは非常に厚いたくさんの法令でございますので、一々記憶しておりませんが、一応は、従来の免許状を認めるということになつておると記憶いたしております。
  35. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今まで説明を受けた請願及び陳情については、ほかに御質疑がないようでしたら次の問題に移つて行きます。  次に陳情の第三百一号、地方自治功労者栄典制度確立に関する陳情議題といたします。本件について、総理府官房村田賞勲部長から説明を受けます。
  36. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 只今地方自治功労者栄典制度確立に関する陳情を拝見いたしますと、この第一段に現在地方自治功労者としての栄典制度が確立されてないということを謳つてございます。これはこの通りでございますが、その実情を先ず少しく申述べさして頂きたいと思います。  終戦後栄典制度につきましては占領下にある実情に鑑みまして、活用しないという方針をきめました。もう少し細かく申上げますと、一応死んだかたには従来の制度を運用して行くが生きているかたの功労者については待つて頂く、こういう考えで来ております。そこで勲章とか位とかいう制度は生きているかたには原則として差上げておりません。従いまして自治功労者だけでなく各方面の功労者に対する栄典授与という制度が十分に運用されてないということになります。ただ勲章のほかに褒章という制度がございます。これけ勲章と別系統のもので、従来の実績は全く民間人にだけ授与して来たもので、官吏には授与されていない特殊のものでありまするので、この褒章だけは終戦後もずつと運用しております。その褒章の一種に地方自治の功労者に授与するというのがございまして非常に厳選されて、僅かではございますがその褒章を地方自治功労者の一部には授与されております。  次にこれに対する対策として今どういうふうに考えておるかという問題でございまするが、この点につきましては独立回復後早速従来の栄典制度検討いたしまして、これを新たにして国会の御承認を受けてその上で十分な運用をいたしたい。こういうふうに考えまして一昨年法案を準備して御審議つたのでございますが、審議未了になりまして現在に至つておるわけでございます。現在も引続き研究いたしまして大体の成案を得ておりまするので、いずれ又近く御審議をお願いいたすかと存じております。現在は大体のところしかきまつておりませんが、そのきまつておる点で申しますと、この陳情に「叙位勲叙の途を開く等適切なるとありますので、それと関連いたしますので一言申上げさせて頂きまするが、現在考えておりますのは一応勲章の関係においてはこの際御承認を受ければ大いに活用したい、こういうふうに考えておりますが、位についてはなお十分検討の上というふうに考えておりまして、位の活用ということについては差当りまだ決定していないような実情にございます。  それから地方自治功労者だけについて特別な立法を今急いでやるかという問題については、私のほうで地方自治功労者だけを対象に取上げてほかのほうの功労者をなおざりにするというわけには行かないのではないかと考えております。  それからなお諸外国には自治功労者に特別の勲章とか褒章というような制度を持つておる国もございまして、この陳情は必ずしもそれを狙つておるわけではないとは思いますが、そういうものを考えておるかという問題につきましては、現在のところそういう地方自治の功労者だけに特別の勲章というようなものを作ることは考えておりません。大体以上でございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 賞勲部長に伺いますが、伝えられる栄典法案というのは今国会提案される見込ですか、どうですか。
  38. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 今せつかく準備中でございまして、大体の案はできているのでございまするが、まだ最後の仕上げに至つておりませんので、はつきり申上げられないのでございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この陳情三百一号についての現在政府考えていることはわかつたのですが、ついでに私一つこの際伺ておきたいと思うのですが、位については栄典法案の要綱においても未決定だということをさつき御発言になりましたし、なお又生きている人には戦後位を贈るようなことはやめているのだという御発言であつたのですが、ときどき新聞を見ていますと、亡くなられたかたに何位を贈られたとかいうようなことで、こんなものがまだあつたのかなあと思つて不思議に思うことがあるのですが、あれはどうなつているのですか。
  40. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 只今申上げた私の言葉が少し簡単で足らなかつたかと思いまするが、お話の位を最近出しておりまするのは亡くなつたかたでございまするが、亡くなつてからあとで生きていられた目附に遡つて出しておるのでございます。結局死没者に授与しておるという恰好になつております。  それから勲章についても同様でございます。ただ勲章については外国人と文化勲章と、これだけは生きている人に授与しております。あとは亡くなられたかたでこの際やつて頂きたいという向きに対して事務をとつておるようなわけでございます。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この三百一号の陳情趣旨というものは、功労者であつて生きている人に叙位叙勲をしてもらいたいと、こういう意見だと思うのですが、先ほどあなたの御発言では終戦後栄典制度というものをどうするかということがはつきり確立しないので、まあ産業勲章とか文化勲章とかこういうものは別として、一般の位を贈るようなものはやめているのだということを御発言になつたのですが、今お尋ねしますと死没者に対しては位を贈つていると、どうもこの趣旨が一貫しないと思うのですが、そういうものは終戦後何か法的根拠というものは設けてあるのじやないですか、その点を伺つておきたいと思います。
  42. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) どうして死没者だけに授与しておるかというお尋ねでございまするが、これは若し占領が速かに解かれ新しい制度が早く確立されるという見込が十分でございましたら、すべて待つて頂くということにすべきだと思いまするけれども、最初はそういう見通しがつきません。そういたしますると、亡くなつたかたに対して何年もたつてから制度が確立したあとで授与すべきものをきめて発表するということは余り意味がなくなるのではないか、早くやる必要があるのではないかと、こういうふうに考えまして、取りあえず従来の制度で亡くなつたかただけやつて行こうと、そうして生きているかたは待つて頂くと、こういう方針を立てたのでございます。それからこれはすべて内規の問題でございますので、法規的には別段の処置をとつておりません。法律というか法令上では生きている人にも今やつてやれないことはないということになつておりますが、ただ生きているかたは待つて頂くほうが適当であろうというふうに考えて実際動かしていないと、こういう実情でございます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点非常に不徹底だと思うのですね。この民当日本においては、栄典制度如何にすべきかということは随分問題になつて、先般の国会でも提案されたが審議未了になつたと、それで勲章と叙勲と叙位がありますが、位のほうについては政府部内でもいろいろな意向があつてまとまらないということを聞いているわけですが、そういう方針さえきまらないのに、今、位を贈つたからといつて違法ではないからといつて死んだ人にだけ贈つて行くというようなのは、どうも答は一貫していないので納得しかねるのですがね。死んだ人に贈つているということは、それは如何にも位を贈るということを認めておるようだし、ところがこれについてはいろいろな意見があり政府部内でもまとまらないので、現在のところではともかく産業勲章とか文化勲章とかそういう勲章だけにして、位のほうはやめたらどうだろうかという意向が政府部内でも支配的だと聞いているのですが、それだけになお一層けげんな感じがするわけですがね。
  44. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 今のお話のうちで位について政府部内では否定的であるというお話ですが、否定的ではないのでございます。ただ将来活用するのは如何かと、これについてはなお検討を要するという程度でございます。
  45. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私も矢嶋さんの御質問ですね、そういう感じを持つておるのです。現在の死んだ人だけを特別にお扱いになると、ただ情として死んじやつたから気の毒だからと言つてしまえばもうそれだけのことですけれども、恐らく今度栄典法が新らしくできるということになつた場合のことを考えてみると、よほど厳選されるということになりまして、戦争後この勲章というものが一応抑えられた以後に、国家のために或る程度の功労があつて、従来であつたならば勲三等のものが二等になるのか、二等のものが一等になるとかいうようなことがあり得るような程度の功労があつた人でも、今度できる新らしい栄典法が実施されるということになるとなかなかそう行かないのではないか。この前の御提案のときの御説明にしても非常に厳選されるということになつている。ところがこの頃新聞で見る勲章や位をもらう人はそれほど厳選しておられるかどうかというと、やはり今までの大体標準でやつておられるのではないかというような疑問を持つのです。それはわかりませんけれども、そうすると、死んだ人は軽い標準で勲章や位をもらう、死ななかつた人はもらえないと、たまたま新らしい法律ができて厳重になるからもらえないということになつて不公平が起きる。但し近頃は厳選して叙位をしておられるというようなことだつたらこれは又別でありますが、大体やはり従来の例が標準になつて叙位されたり勲章を授けたりしておられるのではありませんか。実情を私は知りませんから一応の疑問を持つてお尋ねするわけであります。
  46. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 今やつておりまする叙位叙勲のほうは、大体においてはそれは従来の基準というものと余り隔てがないものでやつております。将来どうなるかということになりますると、これは今でも考えておりまするのは、この前国会に御審議つたように栄典審議会というものを作つて頂いて、そこではつきりした基準を設けて頂きそれに基いて行うと、こういう考えでおります。その委員会如何なるような基準ができるかはちよつと予測困難でございまするが、併し相当きびしいものになる、少くとも従来の役人がもらつていたような定例叙勲と申しまするような恰好の叙勲は将来行われないのではないかと、こういうふうに予想は立ちます。その間に矛盾が起らないかというお尋ねでございますが、或いはそういう矛盾といえば矛盾が起るかも知れませんので、今後の勲章は別のものであると、こういうことにいたして行くつもりでございます。要するに勲章が違つたので今後の勲章は違うから違う基準でやつて行くとこういうことになれば、必ずしも不均衡と言えないのじやないか。勲章という点から見れば同じかも知れないが、種類が違いまするので、不均衡と言わなくてもいいのではないかと、こういうふうに考えております。
  47. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 お話の点は、新らしい勲章との権衡から見ればそうですが、現在生きておる者が生きておる間に新らしい勲章ができると、それは非常に厳選されてそれによつて栄典を授与されるということはまあないというようなことになりますか。そうするということを仮定して考えてみると、今新らしい法律ができる前に死んで叙勲叙位される人たちとの権衡を保つためには、新らしい法律ができて抑えられる一方、今までの法律を標準として生きておつても叙位叙勲するということにしないと死んだ人との権衡がとれないということになつて来るわけですね。そういうふうになりますね。だから不公平は免がれませんね。ただまあお気の毒だという気持は、死んだのだからそれは私どももよくわかるのですが、理屈を言うとそういうことになるのじやありませんか。私が今言つたようにすれば権衡がとれるのです。
  48. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) これは終戦直後でございますと、新らしく勲章制度を確立するまで暫定としてもその期間の勲章授与方針というのを確立すべきだつたかも知れないのですが、もう今になりますると、実は勲章制度確立も間近かではないか。そこで今特別な審議会を設けて、或いは設けなくても一つの基準を作るというほどの必要もないのじやないかと、もう暫くの間だと、こういう考えでおるのでございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大体賞勲部あたり何か仕事をしないと工合が悪いからやつたんだろうと思いますが、この終戦後文化勲章みたいに新たに法律ができてそれによつて勲章を出されるのならともかくも、戦前の叙位叙勲の一つの標準で終戦後そんなものを出しておつたというのは、私は絶対に容赦できんですね。終戦後できた法律に基いての勲章ならばそれは勿論法的根拠はあるし、結構でありますし、更に民主日本となつてからの栄典制度をどうするかというのは、やがて出る栄典法の制定を待つてそれに基いて出されれば結構なわけで、それは当然とらるべき筋合のものであるにかかわらず、戦前の基準に基いて、まあお気の毒だから死んだ人だけには元の基準で位を贈つてつたというようなことは、全く感覚を疑わざるを得ないのです。善は急げである、本日からでもそういうようなことはやめてもらいたい。そしてこの国会で新らしい栄典法が制定されてから、その日もそう遠くないでしようから、そのときからあとから遅れて贈ればいいわけで、今までの態度というのは改めてもらいたいと思うのですが、如何ですか。
  50. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 先ほど申しましたのは少しまずかつたかと思うのでございますが、戦前の基準をそのまま用いているわけでは決してございませんのです。例えば戦前にはこういうかたが四等だつた、それでそれに該当するから当然四等だと、こういうような基準でやつておるわけじやございません。実際を御覧頂きますとおわかりになると思うのでございますが、戦前では全然取上げなかつたような方面のかたに勲章を援与するということをやつておりまするし、戦前は当然役人として進んだというのを抑えております。ただ極く大きく申しますれば、それは大きな基準の差がない。これをもう少しはつきり申しますと、例えば役人で、大体高等官であるかたは六等が始まりだという規定がございます。そういたしますると、若し役人であられたかたでしたら大体六等でやつている。こういう点は戦前と同じですが、然らば、六等に戦前では何年間でなつた、今度はそれと同じにやつているかと言われますと、そういうふうにやつておるわけじやございませんのです。実際の例を御覧頂くとたくさんございまして、戦前とは非常にそういう点では違つていると申上げられると思つております。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうものは問題になつたことはないのですか。六等なんといつてもぼくなんかピンと来ないですよ。終戦後新らしい栄典制度というものが確立しない間はストツプすべきだと、若し実施するとすればどういうふうにやるべきだというようなものは、これは一行政府の見解でなくて私はやはり立法府の議を経てやられるベきではなかつたかと思うのですが、そういうことは一度も問題になつたことはないのですか。
  52. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) お話の点は或いは怠慢だつたかも知れませんが、今の問題がきまりましたのは昭和二十一年なんでございます。憲法の施行前からそういう方針でおりまして、当時は栄典のことは閣議を経てきめると、こういうことになつておりまして、立法府までお諮りしないできめましたわけでございます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私な結論をお伺いしますが、近く栄典法が今国会提案されるかどうかわからないが、いずれにしても近く栄典法というものが国会審議を得られるであろうということを先ほど承わつたわけですが、今暫定的にやつておるようなことをやめるわけに行きませんか、私はやめたほうがいいと思うのですがね。そうして、栄典法というものが国会成立した後に追つてその法に基いて処理すれば、私はそのほうがよいのではないかと思うのですが、それに対する御見解は如何でございますか。
  54. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 今の死歿者に対する勲章の授与を全然ストツプして暫く待つという点については、私どもは必ずしも賛成申上げかねております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 死歿者に対してお寺がやることですよ。
  56. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私さつきちよつとお尋ねしたように、死歿者に対する叙位叙勲というのは、大体今までの標準をとつてつていらつしやるのではないかと思つておりましたが、今の御説明によるともつと厳選されておるようでありますが、何か標準なしにただ厳選するということでやつておいでになるのでしようか。内規でもできて元よりも厳重になつたということですか。
  57. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) これはその都度閣議できめて頂いておりまして、はつきり原則としてきめておるわけではございませんです。大体今までも今やつておりまするような叙勲については、内規という規則はないのでございます。定例叙勲というものだけが規則があつてつておりました。
  58. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうすると、その起案は宮内庁のほうでおやりになるのですか、どこでおやりになるのですか。
  59. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 起案は賞勲部でやるわけでございます。
  60. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうすると、標準がはつきりきまつていないで賞勲部で案を立てられると洩れるような心配はありませんか、大事な人を落しちやつたというような心配はありませんか。
  61. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) その点につきましては、従来も今もこれ又同じで、お叱りを受けるかも知れませんが、私のほうでやりまする仕事は、各省から申出のあつたものだけ扱う、こういう方針でおります。その点は今も同じであります。従いまして、各省からお話のなかつたかた、又私個人として大功労者であると存じ上げておりましても取上げておりません。
  62. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私の感じましたのは、ちよつと名の売れている人では問題になり、名の売れない人ではそれきり役所のほうで見落してしまうというような心配がありはしないかということの疑問なんです。併し基準があつてならぴしつと行きますのでその心配は非常に少くなりますが、基準がなくて厳重にやるということになりますと、例えば建設省関係の人は非常に厳重に考えており、文部省のほうはそう思わないということだつたら、初めあなたのほうに廻す各省の手心というものが違つて来る。それでは非常に不公平な叙位叙勲になるということになりますが、その心配はないのでしようか。ただ常識でやつておるわけでしようが、東京にでもおつて絶えず交際場裡にでも出ておれはすぐ目につきますが、いなかにでもおりましてそういう人でないと忘れられまして落される心配がありはしないかという気がいたしますが。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。一つの基準があつてそれを下部に流してやれば全国四十六都道府県から該当者があれば各省に内申して来るということがありますが、そういうものがないとすればこれは実に不公平な、行当りばつたりの叙位叙勲だと思うのですが。
  64. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 新聞などを見まして、今まで叙位叙勲されておる人が、やらなくてもよい人にやつたという気持は少しも持つておりません。立派な人ばかりで、昔ならば当然叙位叙勲される人でありますからそれが悪いというわけではありませんが、今のような御説明では落される気の毒な人が相当あるのじやないかという疑問の気持を持ちます。
  65. 野本品吉

    野本品吉君 今のお話を聞いておりまして全く同感で、各省が統一された基準の上で内申をして来れば別でありますが、そうでないと国家的な栄典というものの実施が極めてあいまいな不確実なものになつて来るので、栄典の意味をなさんと思うのです。従つてこの取扱については今まではどうあつても、この際新らしく考えてもらう必要があるのではないかということを痛感いたしますが、この点どうですか。
  66. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 各省からの内閣のほうに発議して来るものに不公平がありはしないか。こういうお尋ねでございますが、各省それぞれ担当の人がおりまして、大体今までの基準でいろいろやつておりますのに、戦後の民主々義の功労というようなものも考えまして、各省から来ておるのでございます。今まで最近の例としましては、多年特別な工芸をやつていたといつたようなかたの叙勲の問題が文部省から来ております。それは工芸家で叙勲したのでこういうものは今まではないのであります。極く大きな事業をやつておられるかたではなく、ほんの個人的にやつておられるかたで、実はその人はうるしの専門家ですが、うるしの工芸、そういうものが文部省からやはり来ておる。結局そのかたが各省で長年その技工を取扱つておるかたが担当してやつてつたのでありますが、私のほうに大体洩れなく来ておると思つております。正式の書類ではなく従来例えば年限でやつたものが私のほうにすべて相談に来ておつたのであります。今後もこの年限で昔ならもらえるが今ならどうかということで来ておりますが、ただ死んだかたしか扱かつていないということにはなりません。それほど不均衡ではないと思つております。
  67. 野本品吉

    野本品吉君 各省の扱いというものについては、内閣のほうから何の基準も与えず、指示もせず、各省従来の経験と良識に任せる、こういうことですか。
  68. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) お話の通りでございます。大体私らだけの要望だけで申しますると、特別な功労があつたら特別叙勲をするということでありまして、これは内規として一条しかないというようなものでございまして、その運用は結局裁判の判決例と同じようにいろいろな叙勲の例を見て、あれが叙勲されていればこれはどうか、こういうことで判定して私のほうに持つて来ることになつております。従つて関係の係官、各省の係官に自分のほうだけではなく、各省の叙勲例をよく見ておりまして、そうして洩れなく私のほうに出して来る、こういうふうに思つております。叙勲はすべて発表しております。それから都道府県のほうにも叙勲例を送つたりして、そういう点で私のほうは基準、法則、原則を簡単に紙に書いて送るということはいたしておりませんけれども、実例を示しておるようなわけでございます。
  69. 野本品吉

    野本品吉君 そういたしますと、各省なり各地方庁なりの扱いに仮に誤りがあつたとしても、省庁というものはどこからも責任を問われるというようなことがないわけですね、洩れがあつたり誤りがあつた場合に。
  70. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 洩れがあつた場合の責任はどこにあるかというお話でありますか。
  71. 野本品吉

    野本品吉君 いや、そうじやない。内閣なり賞勲部のほうから省庁に対して何も基準も示さず指示も与えていないで、従来の各省庁の経験と良識その他の資料に基いて省庁で内申して来るということになりますと、省庁の内申洩れその他があつた場合にも、省庁はどこからも責任を問われるということがなくなつてしまう。
  72. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 今までに内申洩れであるから責任を問われるというようなことは、特別叙勲の関係ではございません。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこれは小さな問題のようで重大だと思うのですが、この陳情三百一号ですか、地方自治功労者栄典制度確立に関する陳情というのは、新憲法にも地方自治ということを非常に大きく扱つている。我々は実際において非常に新憲法の精神に副つて努力しているから、我々が亡くなつたときにも位を贈つていいじやないか。今賞勲部でやつているのは戦前の通りつているわけじやない。あなたもみずからお認めになつているように、戦前は与えられなかつた工芸家、そういう方々にも位を贈つている。そういうような実例を見せつけられた地方自治団体の方々は、地方自治の叫ばれているこういう新らしい世代だから、我々にも贈つても然るべきだ、こういうお気持が私は陳情されたのだと思うのです。この叙位叙勲にしましても何も吉田内閣の叙位叙勲ではないのです。これは国の名において行うところの叙位叙勲ですからね。終戦後において立法されたその法に基いての勲章ならば納得ができますけれども、従来の基準に基いたものでもなく従来のものに若干のあなたがたの手心を加えて、そして位を贈つておるということは、これは私は極めて重大だと思うのです。近くこの国会に栄典法も出るようですから、今からでも私はこれは一応ストツプしてそして国会において栄典法が成立したのちに位を贈るなり、そういう取扱方をすればいいわけで、今まで来た取扱方というのは妥当でないのだから私はやめて然るべきだと思う。若しもあなたのほうでやめる意思がなかつたならば、場合によつたならばこの委員会で協議してこの委員会の意思として申入れることもあり得ると思うのですがね。
  74. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 本件については先ほどから各委員から言われた意見を一つ賞勲部のほうで十分検討をして頂いて、後日当委員会一つ方針がきまれば御報告を願うというようなことにしたらどうですか。
  75. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 もう一つお聞きしたいのですが、今のは閣議で御決定願つておるわけですか、特旨、死んだ人に対する叙位、叙勲関係は。
  76. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 栄典の授与は憲法で内閣の助言と承認の下に天皇が行うということになつておりますが、すべて閣議を経て上奏して決定しております。
  77. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 閣議に行くまでの審議にあずかる人はあなたがたはもとよりですが、内閣の審議委員会というような委員会組織というようなものがあるのですか。
  78. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 現在ございません。
  79. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 事務的にずつとお進めになつて、事務のほうで閣議にかけられるということですか。戦争後今日までの実例は上級の人ばかりでしようか。下級の叙位叙勲、特旨というような人の実例が相当にありますでしようか。
  80. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 下級も上級も相当ございます。例えば先ほどお話がありました地方自治の関係ですと、従来ですと地方の県会議員なんかを長くやられた方々には実は勲章を差上げるという手続をとつておりませんでした。戦後そういう方で亡くなられたかたには叙勲の手続をとつております。勲章としましては六等、五等くらいのところでございます。
  81. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今日までの実例ですね。或る人が勲二等であつた、それが勲一等に叙勲されたというような場合、勲二等になつたとき以後に大した功労はないのだ。併しその後相当年限が長くたつている。それで昔はよくその後長くやつてつた人一つ死んだから上げてやろうということが事実あつたのです。そういうふうな選考でなくして前に二等であつた、その後何年か経過している、その死ぬまでの間に又大きな功労があつたという人だけが選ばれておるのですか。やはり昔のような標準で、相当に年もとられたし長くもなつているから二等じやというので一等に上げるとか、或いは位を上げるとかいうような取扱なつておるのですか。
  82. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 勲章につきましては、ただ年数が長くたつているというだけでは昔も選考してないはずでございます。今も勿論やつておりませんです。その後新たな功績がおありのかたに授与する、こういう方針でございます。
  83. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 昔は勲章は或る年限経過すると上げましたが、大した、まあ現職の者など、国会議員でもそうでしたが、これは長かつたけれども、官吏だとか、そういうことは今すつかりお考えにならないで、本当にその後めぼしい功労がある人、こういう人をお取扱なつておるのでしようか。それでなくつちや余り妙な話だと思います。
  84. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 年限と申しましたのは何もしない年限という意味かと思うてお答えしたのでありまして、相当の要職についていられて功を重ねていらつしやる年限は勿論功労と私のほうで見ておりますし、単に年月を経過したというのではない、こういうふうに思つております。
  85. 井上知治

    ○井上知治君 死亡者に対する叙位叙勲ですね。これは遺族の申請があつたらやるのですか、又は遺族の申請がなくても各省でやるのですか。
  86. 村田八千穂

    説明員村田八千穂君) 各省で取扱つておりまして、必ずしも遺族と連絡があるかどうかはつきりいたしませんですが、少くとも併し遺族個人の友人先輩などと連絡はとつてあると思つております。
  87. 井上知治

    ○井上知治君 それから今度近いうちに栄典法が出るということを聞いております。今までの叙位叙勲の仕方というものは殆んど軍人、役人のみを考えておりまして、それ以外の人に対しては誠に叙位叙勲という観念が薄かつたのでございます。曽つて尾崎行雄先生が衆議院においてこういう演説をなさつたことがあります。自分は今、正何位か勲何等かをもらつておる。これは自分が長い間議会において働いたというような意味からの叙位叙勲ではなくて、曽つて大臣をちよつとの間しておつたその大臣に対する叙位叙勲であるというようなことを御演説なさつたことがありまするが、今度それでできますその栄典法には十分この尾崎演説を取込んでこの栄典法をば制定なさるようにあらかじめお願い申上げておきます。
  88. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本陳情に対する質疑はこの程度で打切つて次の問題に入りたいと思いますがよろしうございますか。……速記をとめて下さい。    〔速記中止
  89. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) じや速記を始めて下さい。  次に請願第千二百九十二号国立公園部存置に関する請願議題といたします。厚生省の国立公園管理課長から説明を受けます。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 説明の前ですが、それでは何ですか、各機構改革について各省別にずつと聞きますか。行政管理庁から機構改革全般として十ぱ一からげにして大体方針を聞けばいいのではないのでしようか。
  91. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 管理庁から聞くだけでいいですか。
  92. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 機構改革の問題でしたら……。
  93. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  94. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それじや速記を始めて下さい。  それでは行政機構関係するものを一つすべて管理庁の大野木次長から説明を受けます。
  95. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 行政機構の改革につきましては、実は昨年来行政改革の一環として政府におきまして臨時行政改革本部というものを設けまして検討して参つた実情でございますが、その機構の関係のうちで警察でありますとか人事院でございますとか、それから近く総理府の国立世論調査所の廃止でありますとか、それからこれはまだ準備中でございますが、農林省の競馬部の問題でございますとかそういうものは切り離して御提案申上げ、或いは又その準備をいたしているわけでございますが、そのほかの一般の行政機構改革につきましては、現在のところまだ十分案が熟しておりません状態でございまして、事務的に見まして果して今国会に問に合いますかどうですかちよつと疑問に存じておるような状況でございます。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 行政機構改革については、本国会が年末年始の自然休会に入る前に長官から一応の構想を承わつたわけで、その当時次長も同席されておつたかと思うのです。で、只今現段階における情勢を承わりましたが、又私はこれは新聞で拝見したのですけれども、与党の特別行革本部ですか、そこで改めて再検討するやに新聞で拝見したのでございますが、今の見通しとしては警察、人事院それから農林省の競馬部、それらを除いては、自然休会前に長官が一応の構想として発表された程度の内容の行政機構改革に関する法案は本委員会には提案されて来る見込は大体ないと、こういうような方針で本国会で我々は審議して行つて差支えないですね。
  97. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) これはなかなか重大な問題でございまして、事務的に断定申上げることは如何かと存じますけれども、一応我々が承知いたしておりまするところでは、この自然休会前に長官が御説明申上げ、又案につきまして只今お話の自由党の行革委員会等とも相談をいたしまして検討はいたしているわけでございますけれども、ちよつとまだまとまりかねるのではないかというふうに考えております。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは念のために申上げておきますが、まあ私個人の見解ですけれども、本委員会に付託されている諸案件等を考える場合、今からたとえあなたがたが改革案を提案されて参つても、なかなか本委員会では審議の時間がないんじやないかとこう思つておりますので、検討しているなら十分検討して次の国会でも提案されるように、私はまあ個人の意見として申上げておきます。  それから、それだけでも私ちよつと足りなくて一、二お伺いするのですが、つい数目前の予算委員会で、これも只今新聞で見た程度ですけれども、緒方副総理は、学術会議は民間に移管する意向が政府部内で強いというふうなことを答弁されている。やはり学術会議は今の総理府直属のものを或いは文部省に移管するとか或いは民間に移すとか、そういうような考え方が現在あるのですかどうですか。それと関連するのは、本委員会でこれから審議して行くのと関係があるのですが、科学技術庁の設置法案が衆議院の同僚諸君の議員立法で本委員会に出されているわけです。で、この法律案審議に当つては、当然この学術会議或いは科学技術行政協議会、それらとも非常に関連が深いのでありまして、それらに対する現在行革本部で考えられている大体の構想なり見通しを今後の審議の都合もありまするので伺つているわけなのです。
  99. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 学術会議につきましては、先ほど申上げました特別に今国会に機構改革を提案するもののうちに初めは入つておりまして、そしてこれを民間の機関に委譲するとか或いは又文部省に移管するとかいうような問題があつたことは事実でございますが、その後の様子を聞きますと、政府部内でも民間に委譲するという考えはやはり相当強くあるようではございまするけれども、これもちよつと、果して今国会提案ができる状態でありますかどうかはつきりしたことは申上げかねるのでございますが、まあ事務的な見通しとしては困難ではないかと思つております。  それから科学技術庁の点につきましては、議員提案の法案でございますが、行政改革本部におきましてはやはりこの問題を相当慎重に取扱つたのでございますが、まあいろいろな案を持つて検討はいたしたのでございますが、まだ結論を得るに至つておりません。ただ併し航空関係の技術その他の調整につきましては、これは各関係省に相当ございまして、どこかでまとめてやりませんといろいろ不都合を生じますので、この関係審議会を設けてその調整に当らなければならないということは大体熟して参りまして、恐らく近くこの航空技術に関する審議設置提案はいたしまして御審議を願うようになるのじやないかと思つております。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その真偽のほどは知らないのですが、私はこういうことを聞いてもおりますし、又推察しておるのですが、それはこの政府部内には科学技術庁の設置の必要性を痛感している方々も相当おられる。併し今政府行政機構の簡素化と行政機構改革というのを一枚かんばんにかかげている関係上、政府提案としてはなかなか新たに科学技術庁の設置というような提案ができないので、まあ議員立法で出て来たことを幸いに、大体これについては非常に積極的で検討中であるというようにまあ一部から私は聞いているのですが、その科学技術庁のようなものを如何ようにして統合調整するかというようなことについては、機構という立場からは結論に達していないのですか。それとも結論に達して取上げているのか、これから更に検討しようという段階なのか。
  101. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 政府部内としては検討はいたしておるのでありますが、まだ部内にも賛成の人々もあり又反対の人もございます。それから機構を設けるにしても、或いは経済科学庁といつたような工合に例えば今の経済審議庁とその科学技術に関する行政をやつておるものを一緒にしようというような案もあり、又スタツフを強化すればいいというようなものもあり或いは又特別の外局を設けるべきだという意見もあり、まだその機構につきましては結論を得る段階に至つておりませんのでございます。それで併し只今申上げました航空関係の調整だけは必要だろうということで、今政府といたしましてはその方面の提案をしようというような状況でございます。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点お伺いしますが、自然休会前の長官が一応構想を発表されたものから随分政府の態度は変つて来ていると思うのですが、それは検討した結果、やはり行政機構改革というものの一応考えた案というものは無理だという結論になつたのか。それとも今の一般政治情勢からその機会を他日に譲ろうというような立場で今のような情勢になつたのか、いずれでありますか。
  103. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この点も私ども事務的なあれでございますけれども、やはり具体的に機構の改革をやろうといたしますと、そのほかにもいろいろ影響するところが大きいので、例えば今度の機構改革でここらにも及ぶ問題が出ておりますが、地方の出先機関の整理というようなことを考えますと、これはやはり地方制度そのものに相当関係を持つて参りますので、そのほうをそのままにしておいてはなかなか国のほうの出先機関の整理だけということはむずかしいというような事情も出て参りますし、又横の関係で申しますと、例えば各省のいわゆる共管事務の整理をしようというようなことが問題になるわけでございます。これらにつきましてもなかなか事情は錯綜いたしておりましてもう何十年来かの懸案になつておりますので、なかなかその間の調整が少い時間では困難な事情もございまして、すぐに考えた案の実行がむずかしいというような状況になつておるのではないかと思います。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで質問を終りますが、今度の質問の第一は、人権擁護局の問題に関して本内閣委員会がどういう態度で臨んでおるかということは、次長うすうす御承知だ思うのです。それで人権擁護局存置に関する請願がここに出ておるわけですが、若しも曽つて伝えられたような処置を政府のほうでとられるとあらば、恐らく本委員会は本会期中に何らかのそれに対する対策というものがとられることになるだろうと思うのですが、それらについては今どういうふうになつておるかということが一つと、それから丁度国立公園部のかたがおいでになつておりますが、この国立公園に対する予算の編成方針と、観光立国といいますかそういう立場からの政策というものは私は一貫しないでそのときどきで右往左往していると思うのです。殊に昨年災害当時の国立公園部に対する厚生省首脳部並びに大蔵省当局あたりの態度というものは、平素は観光立国とか観光資源云々と口にしながら、実にその前言に背くところの態度で臨まれたという記憶を今私は新たにしておるわけなんですが、この国立公園部というものを廃止するような意向が未だに相当強くあるのかどうか。更にせつかくおいでになつているようですから、厚生省のかたからそれについての見解も承わりたいと思います。
  105. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 国立公園の問題につきましては、以前から実は官房又は局部にあります部というものの措置をどうするかという問題と、それからいわゆる観光行政というものもこれは各省に関係がございましていわば共管事務の一つなつておりますので、この二点からいつでも問題になるのでありますが、行政機構を極めてシヴイヤアに縮小しようと考えましたときはこれをやはり部を必ずしも置く必要はないのではないかという意見があつたことは事実でございますが、現在は全体として見直すという状況になつておりますので、それもまあ入つておる状況であります。それから人権擁護局につきましては、初めに行政機構を問題にいたしましたときに、実はこの前の昭和二十七年の行政機構の改革のときにまあ御承知のように本省に十四人しかない局なんで、事柄の重要性は認められるけれども必ずしも局として置く必要はないじやないかという意見としてこれを民事局と合そうという案も出たことはあつたのであります。その後も依然として人員が元のままの状況でもございますので、やはり機構を縮小しようとしたときにはこれを部にするというような案もあつたのでございますけれども、只今申上げますように全体として案をもう一遍見直さなければならないという状態になつておりますので、只今まだ政府の案としてまとまつているという状況にはございません。
  106. 甲賀春一

    説明員(甲賀春一君) 只今国立公園部は現在も廃止するような案があるかということが一つございましたが、只今大野木次長さんからもお話の通りでございまして、現在のところ廃止する考えはないと承知しております。なお予算編成方針等について極めて事務的なことでございますが、国立公園がだんだん利用者がふえて参りまして、昭和二十七年の統計で見ましても大体三千五百万人、その消費額がおよそ二百五十億ほどに推計されております。その後だんだんふえる情勢にありまして昭和二十八年にはおよそ二〇%乃至三〇%の利用者がふえるということがおよそ確実に予想されるような状況でございます。従いまして少い予算ではありまするが緊急なものからだんだん整備しようということで、施設整備の五カ年計画というものを立てましてだんだん進めて参つております。これは何と言いましても国立公園に行くのには道路が先決でございます。最近有料道路であるとか或いはガソリン税による道路整備ということがだんだん進んで参りますので、勢い国立公園内の受入の施設を至急に整備しなくちやならん、かような考えでだんだん整備に努めております。何といつても利用施設の中には国の補助の対象にならない例えばホテルであるとか旅館であるとか、こういうようなものもございますので、どうしても民間の協力は必要であるので、その方面にも働きかけてだんだんに整備をして参りたい、かように考えております。
  107. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 国立公園部のほうはどうなんですか、今の御説明によると廃止されないかのようにきまつたかのような調子でしたが、さつき大野木さんの御説明ではそんな話も出たけれどもまだ政府の態度もきめかねておる、きまつておるのでしようか、お二人の話があつたからわからない。
  108. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 現在の状況といたしましては、行政機構改革がちよつと間に合わない状況でございますので、従つてこの問題も……。
  109. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 間に合わないからきまつてないというだけなんですか、廃止しないということにきまつたというわけですか。
  110. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) まだそこまではつきりきまつていない、絶対に廃止しないのだというところまで行つておりません。
  111. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この国会提案しないことだけは確かでしようね。
  112. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 恐らくそうなるだろうと思います。
  113. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は大野木さんから承わりたいと思つているのは、先ほどからお聞きの通りたくさん廃止反対請願が来ておりますね。こういうたくさん請願なり陳情が出たりしているものは、一応政府のほうで問題にされたことだろうと、こういうふうに私のほうは思うのです。ところが初めのうちは、政府のほうでは大々的に行政整理、機構の改革をやろうというお考えであつたようですが、だんだん先細りになつて今日のような状態になつている。ついては初めお考えなつた中で、もう先ほど申されました競馬の関係とかはもう整理するのだということにはつきりおきめになつたと思うのです。それからまだこの国会中に間に合うなら何とかして出そうと思つて、今一生懸命研究しているのだ、併し各省と総理府との間に話合いが付かないので困つておるのだということ。それから第三には、一応考えたけれども少くとも今国会に出すのは見合せたということのはつきりした点、三つになるのじやないか。今の国立公園の部は最後の部に当るのじやないかというような気持がしておるのですが、そういうふうにはつきり三つに色分けして御説明願うわけには行きませんか。それは速記にとめないでも、もうあなたの言質をつかまえてこう言つたじやないかというような、そんな意地の悪いことをあとから言うつもりはございません。ただ私の心組があるのですから、やはりそこをもう少しはつきりしないともう一カ月そこそこしか、ニカ月はないわけですから。防衛庁、自衛隊の審議だけでも百何十条もあるのだから、実際この委員会としては大変なんです。でほかの問題につきまして、私はまあこの委員会としてはまだ委員長に御相談申上げておりませんけれども、或る期日以後に提案されたものは受付けられないということを政府にあらかじめ申入れる必要があるのじやないかというようにまで考えております。併し出された以上は間に合うように、出されたものはできるだけ急いで審議しなければなりませんので、やはり心組としてもまじめに考えて必要なんですから、お差支えない程度で、何でしたら速記はとめてもらつて私は結構でございます。ほかのかたもそうではないかと思います。
  114. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて下さい。    午後四時二十九分速記中止    ——————————    午後四時四十四分速記開始
  115. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  それでは本日議題にしました請願のうちで二件ほどは説明を受けることができないものもありますので、次回に本問題を議題にいたしましたときにこの説明を受け委員会としての採否をきめることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会