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1954-11-11 第19回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十一日(木曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君    委員            大谷 贇雄君            白波瀬米吉君            長島 銀藏君            西田 隆男君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            松原 一彦君            堀  眞琴君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    内閣官房長官 谷口  寛君    総理府事務官    (内閣総理大臣    官房審議室統轄    参事官)    田上 辰雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構整備等に関する調査の件  (反民主主義活動対策協議会に関す  る件)  (公務員制度調査会に関する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。本日の委員会におきましては、昨日に引続き、行政機構整備等に関する調査を議題といたします。  本日は反民主主義活動対策協議会に関する件、公務員制度調査会に関する件、行政監察に関する件の三件について調査を行います。  先ず本日の委員会における第一の問題は、反民主主義活動対策協議会に関する件であります。この協議会関連して、次の諸点について政府の御所見を伺つておきたいと存じます。  その第一点は、この協議会は本年九月十五日閣議決定によつて設けられたと聞いておりますが、政府は如何なる事情に基いて、このような行政機関を急遽設置せられるに至つたのか、このような機関を急遽設置せなければならんような内外の情勢の上に最近何らかの変化があつたのかどうかという点であります。  第二点は、この協議会設置するについて、立法措置によらず、単なる閣議決定によられた理由如何という点であります。従来政府は、この反民主主義活動対策協議会以外にも政令諮問委員会公務員制度調査会のごときものを、立法措置によらず、単なる閣議決定によつて設けられておることは、明らかに国家行政組織法立法趣旨違反であろうと思うのであります。国会閉会中にこれらの審議会協議会設置する必要のある場合の生ずることは予想せられるのでありますが、それなら政府国家行政組織法規定を適当に改正する方法をなぜおとりにならないのか、政府が重要な問題を審議し調査する機関を、単なる閣議決定によつて政府の任意に設置して行かれる態度は、延いては国会審議権を軽視するものであると断ぜざるを得ないのでありまして、この点において政府の反省を促したいのであります。政府審議会協議会等設置する場合、事情によつて立法措置によらず、閣議決定のみによつて法律違反でないと弁明されると思いますが、仮にその弁明を肯定いたしましても、ここに更に伺いたいことは、審議会協議会等設置する場合、政府は如何なる場合には立法措置により、又如何なる場合には立法措置によらず、閣議決定のみによられるのか、その点の明瞭な限界点をお示し願いたいと思います。  その第三点は、この協議会設置されてから今日までの協議会は、如何なる問題を調査し、協議し来たつたか、この協議会はいつまで設けて置かれる方針であるのか、この協議会設置に要する予算の額と職員の数はどのようであるのか、これらの諸点であります。要するにこの協議会運営状況について先ず説明をお願いいたします。
  3. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 只今委員長から御質問のございました点につきまして、私から簡単に御説明申上げます。  第一の点は、この反民主主義活動対策協議会が九月十五日の閣議決定で急遽設置せられた、その間の事情について一つ説明しろという趣旨の御意見であつたと考えるのでございます。只今の御意見通り、この反民主主義活動対策協議会は九月十五日の閣議決定によりまして設置せられたことは御意見通りでございまするが、この協議会設置せられまするにつきましては、従来から日本の国内或いは国際的に、いわゆる反民主主義的な活動、特に共産主義活動中心といたしまして、いろいろと動きが行われておりまするので、これらに関連いたしまして、関係を持たれる閣僚の間におかれまして、いわゆる治安懇談会というものを事実上持つておられたのでございまするが、更に政府といたしましては、直接治安関係を持たれる閣僚よりも、もう少し範囲を拡げまして、反民主主義活動に比較的縁の深い行政事務を担当しておられる閣僚も加えまして、種々の情報交換連絡をやるという必要を痛感せられまして、九月十五日に反民主主義活動対策協議会設置せられたような事情にあるのでございます。その間、特別に九月十五日を選んで特段にこれを作らなければならなかつたというような、急激な事情変化というものは特別に認められませんが、従来の治安閣僚懇談会よりももう少し範囲拡めて、反民主主義活動についての関係閣僚連絡協議会を持ちたいという構想で進んで参りましたものが、九月十五日に至りまして閣議決定で確定した、かような経緯と承知をいたしておるのでございます。  それから第二の問題につきましては、かような対策協議会設置することにつきまして、特に立法措置をとらないで、事実上の閣議決定でこれをやつたのは、行政組織法立法精神の少くとも違反ではないか、単なる閣議決定でかようなものをやるのは、立法審議権の侵害ではないかというような御趣旨の御質問と承わつたのでございまするが、この点につきましては政府といたしまして、いやしくも立法権を侵害する、尊重しないというような考え方は、勿論毛頭持つていないのでございまして、立法権につきましては飽くまでこれを尊重して参るという考え方で終始いたしておりますることは、御了承頂けると思うのでございます。この反民主主義活動対策協議会といいますものは、協議会という名前はつけておりまするけれども、第一の点について御説明申上げましたように、単に治安に直接関係し、或いは関連の深い関係閣僚の間で、種々情報交換をやり、連絡を緊密にして、更に必要のある場合においては、総合的な対策を考究して行こうという、閣僚間の事実上の連絡組織に過ぎませんので、いわゆる行政組織一つ単位、場合によりまして、委任の範囲内においては独自に国家意思を決定できるというような性質を持つたものではないのでございまして、単に関係閣僚において事務連絡打合せをやるという、事実上の組織に過ぎないものと考えておりまするので、又その後の運用、今後の運用等におきましても、その限度におきまして又その精神におきまして緊密な連絡打合せを続けて行くということで終始いたす性格理解をいたしておりまするので、これを閣議決定方法によりまして、事実上の機関として設置をいたした次第でございます。今更形式的な法律論を申すまでもないのでございまするけれども、国家行政組織法におきまする協議会等は、国家行政一つ単位として、法令範囲内において活動する、場合によりまして、その法令範囲内において独自の国家意思をその限度においては決定できるというような性格を持つものと理解をいたしておるのでございまするが、この対策協議会は、繰返し申上げまするような意味合いにおいて、関係閣僚事務連絡機関と、かように考えておりまするので、閣議決定を以ちまして運用いたしておる次第でございまして、繰返しますが、立法権を尊重しないというような大それた考え方は毛頭持つておりませんので、どうぞよろしく御了承を頂きたいと思うのでございます。それらに関連いたしまして、然らば事実上の閣議決定でやる機関立法措置等を以てやる機関との限界を、どこに置くかという意味の御質問もあつたように考えるのでございまするが、この点は只今民主主義活動協議会は、事実上閣議決定でやつておると御説明申上げました通り行政組織一つの独立の部分として、場合によりましては法令の許された範囲において独自の意思決定ができるというような組織を考えなければならない場合においては、飽くまで国家行政組織法に基きました措置を考えて行かなければなりませんが、然らざる単なるそれぞれの行政部門或いは国務大臣として国政について責任を持つておりまする関係大臣が、所管事項等関連をいたしまして、より緊密なる連絡を図つて行くというような、事務連絡の事実上の組織につきましては、閣議決定を以て設置をいたして参りましても、運用上その限度を十分に尊重いたしまする限りにおいて、誤りがないのじやないかと、かような考え方でおりまするので、併せまして申上げる次第でございます。  第三の御質疑の点は、然らば九月十五日から今日までの間に大体どういうふうに運営をして来たか。又その運営について如何なる経費、如何なる人員を以てやつて参つたかというような御質問であつたと心得るのでございます。運用の概況でございまするが、大体九月十五日の設置以後、これらの今後の運用方針等につきまして、寄り寄り内部におきましても相談をいたしておりましたので、第一回の会合は十月の十五日に開いたのでございます。で、協議会決定内容に従いまして幹事の任命をいたすことになつておりまするが、この幹事の選定をやり、又その機会公安調査庁長官等から、たまたまその前後に中ソ共同声明発表等もございましたので、これらに関連いたしまして最近の国内、国際の反民主主義活動情勢について報告があるという程度で第一回の会合を終りました。第二回は十月の十九日、第三回は十月の二十六日、第四回は十一月の二日、五回目が去る十一月の九日、以上五回会合を開いておりまして、主としてこの協議会の使命でございまする反民主主義活動関連する情報交換というものを中心にいたしまして今日までの会合を続けて参り、その情報交換を通じまして、反民主主義活動に関する情勢判断の統一、と申せば表現が少し片寄るのでございますが、各協議会委員のかたがたにおいて反民主主義活動に対する情勢判断の最大公約数を見つけるというような作業がございまして、第四回の会合のあとでその情勢判断とでも申すべきものを外部にも発表いたしておるような次第でございます。なお第五回におきましてはそれらの情勢判断を肚の底に置きまして、反民主主義対策についての具体性のある方策を、逐次協議会として研究をいたして行くという段階、かように各協議会委員においては思考せられまして、数項目の具体的方策等についてもその場合に討論せられたのでございまするが、それらの結論といたしまして、反民主主義活動に対する対策は飽くまで正しい民主主義自覚を国民の各階、各層に十分に浸透させる、それを通じて反民主主義活動、なかんずく共産主義活動を孤立せしめるのが一番大事な狙いであるからして、そのような観点から、でき得る限り共産主義活動の本質、又それの実情というものについて、いろいろな手段、方法を以ていわゆる広報宣伝広報活動というものを徹底して行くのが、当面一番大事な問題であろう。但し広報宣伝活動と申上げましても、それが官制的な言論統制になり或いは指導になるというようなことは、先ほど申述べました、真に正しい民主主義理念自覚という意味合却つて撞着をいたしまするので、飽くまで政府機関においてそれぞれ持ちました情報は、これを自由に各報道機関等において御取捨選択を頂く。そのための資料として自由にお使いを願うというような気持を中心にいたしまして、広報宣伝等につきましても、いやしくも言論統制の線に進まないということを、深く各協議会委員として肚に置きまして、広報宣伝方策について、研究をいたして行こうというようなお話合いがせられた次第でございます。  これらの問題に関連いたしまして、今申しました筋から大体御了承頂きまするように、協議会関係閣僚打合せ情報交換の事実上の機関でございますから、これに関連いたしまして特別な経費を今日まで要求したり支出したこともございません。又人員につきましても、協議会独自といたしまして、特別の人員を持つというような構想で進んで参つたこともございませんし、現在も特別の人員を持つてつてはおりません。協議会の規程の中に書いてございまするように、庶務内閣官房審議室においてこれを掌るということに規定をせられておりまして、内閣官房審議室は、申すまでもなく組織令によりまして各省行政施策総合調整というような役割も持つておりますので、その役割関連いたしまして、各省間の情報連絡をやる。庶務役審議室をしてやらしめているというような事情でございまして、人員につきましても、特別な協議会自体人員というものを持つておりません。併せまして御報告を申上げます。  以上甚だ雑駁でございまするが、更に御質疑によりましてお答え申上げたいと思います。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今説明の中に、実は私からお尋ねした協議会をいつまで設けておかれる方針であるかということについて御回答がなかつたのですが、一般伝えられているように吉田首相外遊と同時にこういう協議会ができたような印象を与えているのですが、首相が帰つて来られると、こういう協議会はなくなるのか。その以後もやはり続けてやつて行かれるのか。そういう点についてはどうですか。
  5. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 委員長の御質疑の中に入つておりました点でございますが、御答弁を失念いたしまして甚だ恐縮をいたすのでございますが、その点につきましてお答えを申上げます。  先ほども申上げた通り、九月十五日にこれができたということにつきましては、特別の事情はございません。従来からいろいろ考えられておつた点が、九月十五日に閣議として決定せられた。こういうことでございますが、只今委員長も申されましたように、たまたま首相外遊と相当接近した時期にきまつたというようなことから、それと関連があるのじやないかというようなことも世間の一部で言われておりますが、政府といたしましては、さような関連性について全然特別な考慮をいたしたものではございません。従いまして又首相がお帰りになれば、この協議会はもうそれで自然消滅、或いはふわふわしてもう消えて行つてしまうというような性格のものでもございません。繰返し申上げた通り、最近におきまする国内、国外の反民主主義活動、特に共産主義活動が非常に執拗に且つ大規模に、或いは積極面において、或いは消極面において、或いは暴力的な形において、場合によつて平和攻勢の形において、或いは公然面において、或いは非公然面においていろいろと活動が続けられておりまするので、これらに関連いたしまする情報を直接治安責任としてやつておりまする行政部大臣、更に直接治安の問題として責任を持つておられなくても、その持たれる行政施策として、この反民主主義活動と非常に密接な関連があり、反民主主義活動に対する考え方或いはそれの行き方というようなものについての大きな判断が、その行政施策運用の上に非常に影響が現われるというような縁の深い大臣中心にして、情報交換を緊密にし、更に進んではそれらに関連する総合対策相談をやつて参りたいという趣旨からでき上つているものでございまするからして、この協議会役割から考えまする場合においては、今後相当長期的にこの協議会が続けられて行かねばならない、又行くべきものであろうと、かように考えております、以上。
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは御質疑をお願いいたします。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題の質疑をするに当つて、会長である副総理が出席していないことを非常に遺憾に思います。副官房長官がお見えになつていますから、若干副官房長官としてのあなたへもお伺いいたしたいと思つております。根本的なことを伺うにはどうも副総理においで頂かないというと満足できない感じがするのでございますが、一応伺いたいと思います。  先ず私は質問する前に、第一番に伺いたい点は、この国家行政組織法の第三条に基いて設けられてある委員会等の数、それから同法第八条に基いて設けられている協議会審議会等の数並びにこのいずれにもよらないところの協議会或いはこれに類似する名称を付してある会の数を一応承わりたいと思います。
  8. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 只今の御質問の点につきましては、只今正確な資料をここに持合せて参つておりませんので、直ちに調査をいたしまして御報告を申上げたいと思つております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 後刻承ることにしまして質問を続けますが、私今の説明を聞いておりまして、絶対こういうものを今設けなければならない必要性というものが認められるかどうかという点に私は疑問を持つ。ということは、私今その角度から伺つたわけですが、余りにもこういうものが雨後の筍のごとくできて、実際はその運営というものは行われていない。政治的な狙いからのみこういうものが作られて行つて、そうして行政府機構は複雑になり、非常に非能率化をもたらしておるという点、私はつねづね痛感していますので只今そういう数を伺つたわけであります。  続いて伺いますが、例えば治山治水対策協議会というものもこれに類した形で設けられましたね。それから最近北海道等災害伴つて災害対策連絡協議会というようなものも設けられた。これらの会というものは設けられただけて運営というものはなされていない。又各省事務当局ではこういうものが実際できることは迷惑がつておる。このたびの反民主主義活動対策協議会にいたしましても、情報その他の収集等については主管される責任官庁というものがあるはずです。それは一体どこかということですね。改めて承りましよう。そうして現在の情勢というものが、先ほどからの説明でもわかりますように、是非とも今設けなければならないという我々の納得できるような説明がないにもかかわらず、何が故にこういうようなものを今設けなければならないかという点について重ねて私納得できるような説明を承りたい。
  10. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 只今矢嶋委員の御質問に対してお答えを申上げます。各種の委員会或いは事実上の協議会その他が非常に多過ぎるという点につきましては、相当事実上そういうものがあるようにも私考えておりまするので御同感でございまするが、それぞれの委員会協議会にはそれぞれの成立の経緯等もあろうと思いまするので、それらの具体的な事情につきましては、私としてどうこうということは申上げかねるのでございまするが、問題の中心になるこの反民主主義活動対策協議会にのみ限定をしてお答えを申上げることをお許しを頂きまするならば、これは先ほど申述べましたような事情によつてでき上つた協議会でございまして、我々といたしましては急に九月の十五日になつて作られたというような事情については特別な他意はないという点を先ほど申述べたのでございまして、このような協議会が必要であるという考え方につきましては非常に我々としては必要だと考えるのでございます。その点は先ほども若干触れましたように、最近におきまする反民主主義活動、なかんずく共産主義活動実情をつぶさに考えまする場合においては、どうしても関係閣僚間において、より緊密な情報交換し合うということは正しい民主主義、秩序の維持という観点から見まして必要欠くべからざるものと、かように我々は認識をいたしておる次第でございます。そういう反民主主義活動等に関する情報収集所管機関があるではないかという意味の御質疑は正に御意見通りでございまして、この点は或いは先ほどの御説明では不十分であつたかと思いまするけれども、この対策協議会それ自体は、決して反民主主義活動或いは共産主義活動等に関する情報収集を受持つ機関とは毛頭考えていないのでございます。又事実そのようなことは将来ともやることを考えてはいないのでございます。繰返し御説明申上げまする通り、この協議会は、それらに関する情報交換し合う、意見交換し合う機関であり、その意見交換の結果、反民主義活動に対する対策等について、関係閣僚間によりよい智恵が出まするならば、それを相談し合つて行こうという会合でございまして、情報収集そのものを扱うのは、御指摘通りそれぞれの所管官庁があるのでございます。具体的に申上げまするならば、法務省の公安調査庁というものは公安調査、或いは諸般の、あの所管いたします破壊活動防止法等関連いたしまして、団体の規制等をやりまするその基礎資料としての情報を収集いたすのでございます。又警察はいわゆる治安維持の面からいたしまして、犯罪予防或いは検挙というものを主たる役割にいたしますので、それらに関連いたしまして、必要な限りにおいては、いわゆる情報を収集いたすのでございまするし、これも従来的な意味における特高警察というような意味合いでなくして、飽くまで犯罪予防検挙というようなことの基礎事情をつまびらかにする意味から、情報を収集いたしておるのでございます。又外務省等もこれは国際的ないろいろな海外の動き外務省行政施策に役立てるという意味合いから情報が収集せられる、或いは収集するという場合もあろうと思いますが、これらのうちにも反民主主義活動情報として役に立ち得るような情報もあり得ると思うのでございます。それらはそれぞれの所管官庁が、それぞれの権限、それぞれの仕事の範囲におきましてやるのでございまするが、これを国の総合施策として役に立てて行きまする場合において、事柄が極めて理想的に進みまするならば、現在の行政機構がそれぞれの権限でやつた情報を、それぞれに役に立たせるということで十分でございますけれども、実際問題といたしましては、それを更に関係閣僚等において緊密に連絡交換し合うということが、反民主主義活動に対する対策を前進いたしまする場合において、より役に立つというこの事実につきましても、我々といたしましては無視するわけには参らないのでございます。従いまして、これに関連しまして、事柄が重要でありまするだけに、情報交換機会を持ちたいというような意味合いから、この協議会を作り上げた次第でございまして、繰返しますが、協議会自体情報を収集するわけではございません。それにつきましては御指摘通り、それぞれの所管官庁所管権限に基きまして情報を収集いたしておる、かような状況でございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わざわざここに反民主主義活動対策協議会、こういう名称の下に、緊密なる連絡機関としての協議会を設けられたということは、現在の行政機構のみでは十分な対策が講ぜられない、即ち今の情勢というものは、反民主主義活動というものが非常に活発になつて来てこの必要性が生じて来たと、こういう立場をとられているわけですか。
  12. 谷口寛

    説明員谷口寛君) お答えいたします。今の御質疑にぴつたり私の御答弁が一致するかどうか懸念いたすのでございますが、各反民主主義活動等に関する情報を収集する機関はございます。ございまするが、それを更に関係閣僚として、その情報を持ち寄つて意見交換することを通じて、それぞれの所管行政の推進に役に立つ場合もございまするし、或いは警察警察角度から反民主主義的の情報を持つておる、公安調査庁公安調査庁役割からこの情報を持つておる、それらをこの協議会意見情報交換をしますことを通じて、直接情報収集には当りませんけれども、反民主主義活動に対する正しい理解、正しい認識というものをつけるならば、それぞれの所管行政民主主義の確保という観点から言つて、より前進するというようなものも随分あるわけでございます。そういうような役割に役立たせるためにこの協議会を活用して参る、こういう考え方でいる次第でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺つている点は、ここに吉田さんの外遊を前に偶然時期が一致したのかも知れませんが、わざわざこう反民主主義活動云々、こういう名称をつけて設けられた以上は、最近反民主主義活動というものが従来よりは活発になつて来たから、何とかこの対策を講じなければならない、こういう情勢分析の下に立たれているのでございますかどうですかということを伺つているのです。
  14. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 先ず反民主主義活動というような表現になりました点につきましては、これは先ほど来私が申上げますように、反民主主義活動、これは民主主義秩序を暴力或いは非合法手段を以てしても乱そうというような考え方を以て行動する活動理解いたしておるのでございまして、そのためには考え方といたしまして極右の活動等も考え方の中に入り得るとかように考えております。併しながら現在の段階の対策中心共産主義活動中心にしたものであるというので、私は反民主主義活動、なかんずく共産主義活動というような表現をいたしておるのでございます。今の御質疑のポイントは、特に九月十五日になつて、そういうような点が非常に急激に対策を講じなければならないような情勢に来たのかどうか、こういう点の御質疑でございまするが、我々といたしましては、九月十五日前後に急速遽これをきめなければならないというような観点から言えば、反民主主義活動がその前後に特別な事情があるというようには考えておりません。併しながら反民主主義活動、なかんずく共産主義活動につきましては、この数年来いろいろな動きが執拗に繰返されておりますることはお互いの認識をいたすところでありまして、これらの問題に関連いたしまして、先ほども述べましたように純粋の治安というものだけを取扱いました関係閣僚相談会はあつたのでございまするが、これをもう少し広いものにするという考え方でいろいろ研究をいたしておつたのが、九月十五日に一応閣議として成立をいたした、かように考えておるのでございます。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどからの答弁を承わつていますと、緊密なる連絡機関としての事実上の協議会として設けたので、国家行政組織法の法的根拠を持つて協議会とする考えはない、こういうように承わつたのでありますが、将来もその方針は変りませんね。念のために伺つておきます。
  16. 谷口寛

    説明員谷口寛君) お答え申上げます。将来におきましても、この協議会行政組織法に基く協議会にするというような考え方は現在のところ持つておりません。この点は私から申上げても如何かと思いまするけれども、我々といたしましては、これは飽くまで情報交換、それを通じて総合施策に関する関係閣僚のいい智恵をしぼり合つて行く、それの相談をする会合、かように理解をいたしておりまするので、将来これを行政組織法上の組織に切替えるということは考えておりません。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は現在我が国においては民主主義というものを本当に我がものにするということは非常に大事だと思うのです。この民主主義の理念についても、又実践についても、まだ足らざるところはたくさんありますので、民主主義理解し、又これを実践できるようになるということは非常に私は大事だと思う。これはあなたと全く同感です。ただ問題は反民主主義活動とは何ぞや、この認定ですね、この限界というものが非常にやはり重要になつて来ると思う。私は今の吉田内閣の施策の状況、又情勢から考えて、この反民主主義活動対策協議会というものは、反民主主義活動とは何ぞやという認定とも関係があるわけでありますが、労働関係諸法の改正或いは改悪、これらの伏線というものがここに出て来ているのではないか。こういう感じを私は持つているわけでございますが、その点如何でありますか、御所見を承わりたいと思います。
  18. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 反民主主義活動という表現或いは文字は、それ自体として厳密な実現とは我々考えておりませんが、むしろ矢嶋委員も御指摘になりましたように、いやしくも民主主義国において、而も民主主義を理念にいたしまして現在の国家秩序の根本法が立てられており、お互いの政治生活或いは社会生活一切が正しい民主主義を基盤にして打立てられておるものでありまする以上、この正しい民主主義の下に国家の運営を前進せしめたいとしてお互いに努力をいたしておりまする限り、民主主義活動として理解されるものにはおのずから良識を以てする一つ限界があり得るわけでありまして反民主主義の名において、反民主主義の名に隠れて、時の政府が或いは時の権力者が或る種の野望を達するというようなことがありまするならば、これこそ反民主主義活動であろうと私自身が考えるのでございます。飽くまでこれは正しい民主主義理念をむしろ推進し、浸透せしめるために、共産主義活動を孤立化せしめるということを当面の狙いにいたしまして、その点から正しい情報交換し合い、又その正しい情報認識の下に施策を推進して行くというのがマキシマムでありミニマムでもあろうと私は考えているのでございまして、決して私はこの問題を通じまして、いろいろと特殊な政治的な意味合を附加して行くというような考え方は毛頭政府としても持つておられるとは考えていないのでございます。それらの問題に関連いたしまして、具体例の一つとして、労働関係法規の改正、改悪の伏兵的なものではないかという御質疑もあつたのでございまするが、その点につきましても、今私の申上げました点から申上げまして、率直にそういうものの伏兵ではない。ただこの問題につきまして何を労働法規の改正、改悪というかというような問題につきましては、いろいろと御意見の分れるところがあろうかと思います。併し飽くまでいわゆる議会主義の原則に基いて解決すべき労働法の改正を、その線を突発ねて或る改正の意図を達するためにこの協議会を大いに活用するというような、そういう妙な考え方は毛頭持つておりません。労働法改正、改悪というものをお互いにどう考え合うかということについては、大いに民主主義的に検討する余地もあろうかと思いまするけれども、これがその問題の伏兵であるというような政治的な意図は、この協議会運用については毛頭考えておりませんので、どうかその点の御了承を頂きたい。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 副長官のお言葉は誠に立派なお言葉でありますが、併し私は院内では野党に議席を持つているものでありますが、今の政府のやられていることは必らずしも全部私は間違つているとは申しませんが、相当片面だけを見、又片面だけを行なつておるという面は相当あると思うんです。例えば外交政策についても一面だけを眺めて、他の世界の一面というものはあまりよく見ない、重視して行かないというような片面外交をやつているとも私は考えるわけですが、そこで私ちよつと角度を変えて伺いますが、国民の立場に立つた場合、民主主義を守らなくちやならないという立場から、反民主主義活動があるならば、それの対策を講じなくちやならないということを、国民は希望すると同時に、又国民は、他の面から考えればこれとも関連があるわけですが、先般国会では汚職疑獄というような問題が随分論ぜられたわけですが、こういうときに国家行政組織法に基かなくても、今の政府のあらゆる事実上の協議会設置方針からいうならば、如何にして行政府部内の綱紀粛正を図るかというような立場から、汚職疑獄対策協議会というようなものを真先に設けて、率先して国民に政府みずから範を垂れるというような私は行き方が当然行われるべきだと思うんですが、そういうものは一切行われなかつた。これは国民の立場から考えるとどうも私は納得できない点で、どうも自分の考えと合わない団体、或いは個人の思想なり、或いは言動というものを抑えて行こう、抑えて行こうというような進み方というものは、私は国民の立場に立つた場合、納得ができないと思うんですが、汚職疑獄対策協議会というようなものは、どうして当時内閣に設けて積極的にやらなかつたんですか。そういう点は如何ように国民に対して答弁いたしますか、お答え願いたい。
  20. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 矢嶋委員の御質問は私のお答えできる範囲よりも少し広大と申しますか、広い御質問でございまして、私としてはその問題にじかにお答えをすることは控えたいと思うのでございまするが、この反民主主義活動対策協議会というものを設けまして、情報を現在交換しつつあり、将来も相当長期に亙つてこの協議会運用いたして行きたいということは、先ほど来縷々申上げた気持でございまするので、それによりまして甚だ間接的な御答弁でございまするが、御質疑に対する御答弁とさして頂きたいと思います。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは私も副総理がおいでにならんと因るんですが、まあそれは無理でしようから、もう一つ伺いましよう。それは私冒頭に申上げましたように、ともかく民主主義を守つて行く、反民主主義的な動きというものは封鎖して行かなければならんということは非常に大事だと思うんですね。その立場から私は決して一方的に考えてならんと思うんです。それで更に伺うんですが、具体的に一つの例を挙げましよう。自由党という政党、一つの団体でありますが、これは民主主義的な団体でございますか。どういうようにお考えになつていますか、(笑声)念のために……。
  22. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 現在の憲法、法律秩序の下におきまして成立いたしておりまする合法政党という限りにおきまして堂々たる民主主義的政党であります。(笑声)
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねて若干伺いますが、例えば最近石橋さんとか岸さん等、一部の行動、ああいう行動は民主主義活動という立場から考えたらどういうようにお考えになりますか。
  24. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 反民主主義活動て、それが反民主主義的であるとか或対策協議会において情報交換をすべき対象では、ございません。(笑声)
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 反民主主義活動対策協議会の対象云々ということとは関係ないと。  私が目頭で申上げているように、とにかく我が国は民主主義を守り、反民主主義活動は抑えて行かなくちやならんということは勿論大事だと思う。これは国民一人々々に影響が大きいわけです。従つて政府は反民主主義活動対策協議会というものを設けられて御善処をなさるという点には、私はある意味で敬意を表するわけなのです。そういう立場から視野を広めて、自由党は堂々たる民主主義団体だ。そうなると自由党というのは政権を持つて、国民の生活というものを責任を以て預つているわけです。この与党における最近の私が例を挙げたような行動、これは民主主義という立場からそれに即応した動きとお考えになつていらつしやるか、或いはこれに反する動きとお考えになつていらつしやるかということを伺つておるわけです。あなたの御見解を伺いたい。
  26. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 最近の政治上のいろいろな動き関連いたしまして、具体的にその問題がどうこうということは私としては申上げることは差控えるべきだと思うのでありますが、いやしくも民主主義の下におきまする法律秩序の下において、それぞれ政治信念或いは行動の自由その他があるのは民主主義の建前で当然でございまするので、そういう意味合いからそれぞれの政治的な感覚でお動きになるということにつきましては、私といたしまして、それが反民主主義的であるとか或いは民主主義的であるとかということを御答弁する筋合いのものではないと、かように考えております。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題について割切つた答弁をあなたに要求することは無理だし、又私はあなたが割切つた答弁をなさろうとも予想していないのですが、問題は私はこういうところに関連して来ると思うのです。これはあなたはさつきから盛んに暴力々々というけれども、私はああいうかたがたの行動の是非はともかくとして、民主主義的な行動という観点から眺めたならば、あなたはさつき暴力と言つていましたが、目に見えない反民主主義的な動きだと、こういうように私は認定されるのじやないかと思います。だからこそ天下の公党である自由党は除名したのじやないですか。こういう政府与党が、民主主義を守つて行くという立場からすつきりした行動がとられていないということは、国民に対する影響は大きいですよ。私はそういう民主主義的な行動というものを政府みずから模範的に、政府与党が国民に模範的にこれを示されるということが私は非常に大事なことだと思うのです。そういう点についてはみずから何らなすべき努力も、又力もなくて、あたかも進歩的な団体の動きを必要以上に神経質に配慮されて、そして延いてはこれは思想の自由或いは言論結社の自由とも私は関連して来ると思うのです。それは無言の威圧、抑圧というものを国民大衆は受けると思うのです。そういう反民主主義活動対策協議会というものを麗々しく看板を掲げてやられるということについては、私は非常に国民の立場に立つた場合には一方的だ、もう小しさつき言つたような汚職、疑獄の対策協議会とか、それから政府与党内にみずから民主主義の基本的な原理に即応した言動がとられるように、先ずそれから努力さるべきじやないか、そういう点を私は非常に遺憾に考えるわけですが、あなたの御所見は如何でございますか。
  28. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 大分矢嶋委員の私に対する御質問の何と申しますか、本当のポイントというものが非常に私自身にも明らかになつてつたのでございまして、先ほど来も申上げまするように、反民主主義活動として、我々が又協議会の各委員認識いたしておりまするものは反民主主義活動、言い換えれば暴力或いは非合法の手段を以てしても正しい民主主義秩序を乱そうとする或いは破壊しようとする、もつと具体的にいうならば、場合によりまして現在の民主主義憲法も否定する或いは民主主義の法的秩序として存在する議会制度その他についてもこれを覆すというようなことを終局の目標にいたしましていろいろ活動する動きを、我々としては反民主主義活動理解をいたしておりまするが、この意味中心は、現在といたしましては共産主義活動であると理解をいたしておるのでございます。その観点から申述べまして、今御質疑のお言葉の中にもありましたが、いわゆる進歩的な御議論をなさるかたがた、或いはそういう立場において政治的な行動をなされるかたがた、或いは正しい意味で、純真な意味で平和主義を唱えられるかたがた、そういうかたがたが反民主主義の名においてむしろ何と申しまするか、共産主義的な陣営のほうへ追いやられるというような動きをすることは、これはむしろ反民主主義活動の真の、先ほど矢嶋委員もおつしやり、私も申上げましたように、正しい民主主義を擁護するという意味からいつては、これは利害関係からいつても得策ではございません。考え方それ自身としてもそういうものを反民主主義活動の中において弾圧するというような考え方は毛頭持つておりませんので、むしろそこをはつきりいたしたいというような気持からも反民主主義活動を通じての情報交換或いは情報判断というものを一つはつきりつけたいというような意味も含めまして、先ほど申述べましたような情報判断等も甚だ抽象という御非難も招くでございましようし、或いはこれでは舌足らずじやないかという御非難も確かに一部にあるように考えておりまするけれども、現在の段階として基礎情勢判断をああいうようなところにおいておくのだという気持でやつておりますので、単にこれをある種の政治的な意図を以て簡単に進歩的な思想或いは言論を弾圧する、そういうふうな意図のものでは毛頭ございませんので、その点は十分に一つ御了承頂きたいと思います。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今のあなたの御所見は承わつておきます。  率直に申しまして吉田さんが洋行される前に皆さんがたに下駄を預けて行かれた。吉田さんはこれを鞄に入れて持つて行かれて、残つた下駄を履かれたあなたとしては持て余していられるのが実情ではないのですか。従つてこれは吉田総理外遊からお帰りになると、治山治水対策協議会その他の協議会と同じように雲散霧消する、それは私は非常に結構だと思うのです。そういうふうに期待してよろしいのじやないかと思いますが、如何でしようか。
  30. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 我々幹事の一員といたしまして、正しい認識を推進する観点からこの協議会というものを十分に前進せしめて行くということについては責任も感じ、又我々としても、そういう意味の情熱と言いますか、気持を十分に持つております。従いまして今御質疑のようなことと関連いたしまして、これが雲散霧消するというようなものは、少くとも幹事役割をいたしておりまする私或いは我々といたしましては、そういう程度では、反民主主義活動に対する本当の対策は出て来ないという工合に考えております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじやもう一つ承わつておきましよう。先ほど来数回協議会を開かれたようでありますが、その情勢判断の最大公約数を出すべく努力されたということをさつき申されておりましたが、どういう最大公約数が今のところ出ておりますか。又出んとしておりますか。その辺のところを承わつておきたいと思います。
  32. 谷口寛

    説明員谷口寛君) この点はすでに発表をいたしておりまするので、若しこの委員会におきまして御必要がございまするならば印刷にせられたものを後刻お届け申上げて差支えないとかように考えておりまするが、要は、この共産主義活動の本質というものは、最終的には暴力の手段を以てしても革命を成就したいという本質を持つておるという点、それから、それの具体的な手段方法としては相当な変遷があり得る。時の情勢によつてその意図が暴力的な行動として現われる場合があるし、或いは表面平和攻勢のような形で現われて来るものもあるが、本質としては暴力革命を意図しておるものだという考え方のようであります。それから日本共産党というものは結局国際共産党に従属する性格を持つておる。日本共産党の活動の根本は、国際共産党と関連して、その国際関連性、率直に申せば従属性の下に動いておるのだ、そういう認識をはつきりさせる必要がある。それから現在の具体的な方策としては、アジアにおいては特に日本を重点にして各種の施策を集中しておる。まあ甚だ簡単でありまするけれども、それら三点をやや敷衍をいたしましたような情勢判断、こういうことに相成つております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その程度の情勢判断において、当面どういう対策を講じなければならないだろうというような大よその意見が出ておりますか。その辺一つ
  34. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 先ほども申述べた通り、これは民主主義共産主義の長い戦いであり、又その意味の対決であるわけでありまするから、じつくり構えてやつて行くこと、そのためには先ず広報宣伝活動中心にとり上げなければならない、こういうことであります。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 共産党非合法化ですね、こういう方向に進みつつあるのではないかと、こういう予感が私はいたすのでありますが、その辺のところは如何でありますか。
  36. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 協議会会合を五回重ねておりまするが、今御意見に出ましたような問題は議題に出たこともございませんし、又従つて意見交換をせられたこともございません。私自身の個人の判断といたしましても、そういう予感があるというような感じは毛頭いたしておりません。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近のこの労働組合に対する政府の出方ですね。具体的に申上げまして、ピケ・ラインに対する政府の見解発表、それから具体的な事件における例えば兜町における証券争議の際における警察官等の行動、こういう一連の流れを考えますとき、相当に労働組合に対する強圧政策というものが予感されるわけです。そういう表面に実際的に現われた問題を考えるときに、私はあなたの説明による反民主主義活動対策協議会の協議、審議対象外であるにもかかわらず、そういう問題はこの対策協議会の懇談会その他を通じて、その結論としてああいう政府対策というものが現われて来たのではないかと、今後又現われるのではないかとこういうふうに考えられる節があるのでありますが、その点は如何でございますか。
  38. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 証券ストの際に、これに引続いて労働大臣がピケ・ラインの合法性、或いは第三者に対する関係、第三者の加わつたピケ等の問題に関連しまして御意見を発表せられたことは御承知の通りでございます。併しこれは今矢嶋委員の御指摘になりました協議会においていろいろ意見交換せられてそれの推進、プッシュによつて現われたというような性格のものではございません。労働行政を担当せられる労働大臣として現在の金融ストの実情を十分に判断をせられました結果、現行の労働組合法の解釈について明確なる行政解釈をお示しになつたということでございまして、これらとの関係について特別な御想像をされるという経緯はないように考えておるのでございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこういうことを伺つているわけは、警官が多かつたら、或いは必要ではあろうけれども、法律が随分とたくさんある国家、社会というものは、私は重苦しい感じがして明るい人生を楽しむことはできないと思うのです。非常に善良な国民にしても、あらゆる場合の法律が網の目を張つたようにたくさんある。それから警官その他取締るお役人が多いと、たとえ不正をやらない善良な国民にしても、何か小さな枠の中に押込められた感じがするわけで、そういう私は国家とか社会とかいうものは決して住みよい明るいものじやないと思うのです。従つて民主主義活動対策協議会、こういうものも是非必要ならば設けなくちやならないだろうし、又あなたがた必要とお認めになつて設けられたわけですが、設けた場合に、この協議会運用ですね、これはよほど心してもらわなければ私は国民の権利、義務の遂行上からいつても、又憲法に保障されている思想、言論、結社の自由等も私は目に見えない圧力によつて抑制されて行く、こういう虞れがあると思うんです。従つて今後私はこの対策協議会運営その他については重大な関心と監視を続けて行くつもりでありますが、先ほどから副長官答弁に現われた言葉に関する限り、まあ御尤もな、慎重な御発言をなされているようでありますが、十分この対策協議会の設立の趣旨を国民に浸透させると同時に、この運営に対しては注意して頂きたい。で、私は重大な関心と監視を払つてつて、若しあなたの先ほど答弁に反するような事態が生じた場合には改めて追及いたしますから、その点お含み願いたいと思います。これだけ要望いたしまして私の質問を終ります。
  40. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  41. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を起して下さい。  それではまだ御質疑が残つているようでございますが、午後続行いたすことにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  42. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を再開いたします。  午前中に引続きまして、反民主主義活動対策協議会に関する件について質疑を続行いたします。
  43. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 午前中の政府側の説明並びに矢嶋君との質疑応答によつて、反民主主義活動対策協議会性格なり或いはその仕事の大体の様子は一応わかつたのでありますが、併しなお私腑に落ちない二、三の点がありまするので、重ねて質問を申上げたいと思います。  先ず第一に設置された事情でありますが、午前中の御説明では特別に九月十五日の閣議によつて決定されたというのではなくて、従来の治安閣僚懇談会をもつと範囲を拡げて、そして寄り寄り相談の結果九月十五日の閣議決定なつた、こういうお話である。併しこの九月十五日というと矢嶋君も指摘しておりましたように、吉田首相外遊のいわばすぐ前の日であり、何らかそこに関係があるだろうということは、これは誰でもが予想することなんです。而も吉田首相がアメリカへ行かれまして、そして新聞記者との会談や或いは又その他の談話を通じてみましても、どうやらアメリカとの関連ということが我々としては予想されるわけなんです。従つてあなたの御説明は一応は表面の御説明にはなつておると思いますけれども、併しもつとそこを掘り下げて参りますというと、やはりここで早急に共産主義に対する対策を立てなければならん。対策というよりも、そういうような機関を作るということが当面必要なんだというような見解から、こういう措置がとられたんではないかという感じが私にはするわけです。その点について吉田首相のアメリカにおけるところの声明、或いは新聞記者との会談でのお話等を総合して、この九月十五日の閣議決定に至つたその間の事情をもう少し詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  44. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 反民主主義活動対策協議会が九月十五日に閣議設置を決定せられました事情につきましては、私といたしまして承知いたす限りにおいて、午前中に詳細申述べたつもりでございます。繰返しの言葉に相成りまするが、反民主主義活動に対して、いやしくも民主主義秩序を正しく守り通そうという考え方を持つものといたしましては、絶えずこれに関心を持つと共に、それに対して適切な対策を考えて行くことが必要でありまして、政府といたしましても、午前中申上げた通り、各関係官庁が反民主主義活動に関する情報の収集をなすと共に、その対策につきましても、治安閣僚懇談会等を通じまして、かねがねこの問題に注意を払つて参つたわけでありまするが、内外における反民主主義活動実情が、更に治安関係閣僚のみならず、この問題と諸般の行政施策との間に密接な関連を持つと思われる他の閣僚をも加えて、情報交換組織を作るほうがより施策の推進のために適切であろうという考え方から、かねがね研究をいたしておりましたところが、九月の十五日に至つて、それが正式に決定を見たと、こういうことでありまして、それ以外に特別な事情はないと考えておるのであります。なおアメリカ等におかれまして、反民主主義対策協議会等の話が出ておりますかどうかという点につきましても、私新聞紙上の報道以上のものを私自身としては承知をいたさないのでございまするけれども、この問題につきましても、いやしくも自由主義陣営に属する諸国とせられて、民主主義堅持の建前から、又民主主義の前進の建前から、共産主義活動に対してそれぞれの自由主義陣営の諸国家が大いにインタレストを持つと又その対策について努力をするということはこれは当然のことでありまするからして、そのような意味合からそのような趣旨の話合いがあるということも当然にこれは期待できることと私自身考えておるのであります。いずれにいたしましても首相外遊と結び付けまして特段にそういうものをその機会に作り上げるというような意図的なものではなく、飽くまで地道に反民主主義対策というものを推進して行くためにこの協議会が必要だということで設置せられたものと、かように考えておる次第でございます。
  45. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私がアメリカにおける吉田首相の新聞記者との会談であるとか、或いは声明等を申上げましたのは、実はこの反民主主義活動対策協議会のできる前から一部にはアメリカの非米活動委員会、あれをまあいわば模倣したようなものを内閣のほうでは考えているらしいというような噂さが巷間に伝えられておつたわけです。それらが非日活動委員会という形で出すのはちよつとまずいのじやないか、そこでもつと幅を広くして、反民主主義というようなことを謳つて、そういう機関を作るというようなことが考えられたんじやないかと思います。これは私の想像でありますが、その点についてたまたま九月の下旬には吉田首相がアメリカへ訪問のために渡られる、こういう事情にもありましたので、やはりそれらを従来考えておつたと思われるような観点からこういうような対策協議会というようなものを推進発足せしめるということになつたんではないかと思うのですが、その点について御質問を申上げたいのと、それからもう一つは今の御説明ですと、従来の治安閣僚懇談会があるが、併しもつと行政施策の上に反民主主義的な対策をそれぞれ閣僚間に打立てるためのいわば情報交換の必要があつたのでここに設けたと、こういうお話でありますが、閣議はそもそも閣僚のそういうような意見を調整しそしてその上に立つて施策を打立てるというような役割をしているのだと思うのです。閣議の上に改めてこういうような協議会を作るということは、これは殆んど意味がない、若しもあなたのおつしやるようなものとすれば、私は大した意味はないのじやないか、下部にはすでに公安調査庁もできておりますし警察機構つてやはり共産主義対策で或る程度その方面からの情報を取ることができる、或いはあなたの御説明によれば国際共産主義等については外務省のそれぞれ関係局或いは課においてそれぞれの調査をやつておられるので、それらをそれぞれの閣僚閣議の席上においてそれに関する意見を述べるとか或いは情報交換するというようなことは十分できるはずだと思うのですが、それを何故こういうような協議会を作つたのか、そういう点の説明が必ずしも十分になされていないので、若しなんでしたならばそれを御説明願いたい。
  46. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 今回の反民主主義活動対策協議会とアメリカにおける非米活動委員会との関係というような問題は、勿論関係がないわけでございます。アメリカの非米活動委員会というものは国会設置せられておる機関でありまして、これらに関連するいろいろな資料等の検討等はそれぞれの機関において研究もいたされておるようでございますけれども、反民主主義活動対策協議会と非米活動委員会との構想の間においては、先ほど来縷々申上げまするような事情において成立をしたのでありまして、直接の関係は持たないものと考えるのでございます。なお、私の説明にありましたような意味において、直接治安に直結する関係各省以外に、その資格において治安情報を緊密に交換連絡するほうが、施策に大いに役に立つと考えられるような関係の深い閣僚をも加えまして、この協議会設置したという趣旨のことを申上げましたに対して、然らばそういうことは閣議において討論すれば十分じやないか、こういうものは屋上屋を重ねるじやないかというような御趣旨の重ねての御質問であるわけでございまするが、その点は一応御尤もでございまするけれども、申すまでもなく閣議それ自体は、諸般の行政施策関係いたしまして行政権の行使をいたしまする政府といたしまして、閣議を通じまして直接国の意思を決定する組織に相成つておるわけでございます。その意味から、閣議におきましてはその都度国の意思を決定するような案件が閣議決定をせられて参つております。勿論そのような席において治安関連する情報交換せられますことは毫も差支えないわけでありまして、事実上閣議の席を通じて反民主主義活動等関連する情報交換せられるという場合もあるわけであります。併しながら本来閣議それ自体というものは、諸般の行政権の行使に関連する国家意思を決定する機関でございまして、それらをむしろ定例的に週二回は必ず行い、更に必要があるならば臨時にそれを行う。そうして関係各省におきまする行政事務その他の事務に関連いたしまして、その都度正式の国家意思としてこれを決定いたして行くわけでございます。で反民主主義活動関連いたしましては、午前来いろいろ申上げますように、むしろそれだけを取上げまして緊密に情報交換をやるということが現在の反民主主義活動実情に照しまして非常に必要であるという考え方から、閣議とは別に、関係の深い閣僚で事実上の協議会を設けまして、もつぱら反民主主義情報中心にいたしまして意見交換し合うということのほうがこの事柄の重要性に鑑みまして非常に大事である、こういうような観点からその協議会を設けておる次第でございまして、繰返し申す通り閣議でそういう問題が討論せらるることを拒否する根拠もございませんし、事実上そういう意見交換せられることもございます。併しながら、もつぱらそれを中心にして懇談をするという機会を別に設けるということも事柄の重要性から見て必要である、こういうような意味合から設けた次第でございまするから、その間の事情を御了承頂きたいと思います。
  47. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 どうもまだ納得できないのですが、その反民主主義という言葉、先ほどの御説明では大体反民主主義という場合には、一応の良識に従つて民主主義だと考えられるものについてこれが情報交換するのだ、こういうお話であります。極めてその限界は厳密にはしにくいというお話がありました。で、私は反民主主義の前に民主主義というものをどういう工合に……、まあ制度としての民主主義というものをどのような工合に政府当局では考えていられるのか。従つて民主主義というのはそれに反するものとしてどのようなものを一応考えていられるのか、それをちよつと御説明願いたいと思います。
  48. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 反民主主義というものに関連いたしまする定義というようなものが、がつちりと反民主主義とはかくかくのものであるというように定立をせられたものは特別にないという意味において、私は良識という言葉を用いたのでございまするが、それは午前中の御質問関連いたしまして、反民主主義の名において、むしろ正しい民主主義の推進からはそれを保持し助長しなければならないようなものまでも、これを弾圧するというような感覚に出ずるのではないかという御趣旨の御質問に対して、私はその意味を申上げたのでございます。むしろ私の申上げたい点は、反民主主義活動というもの、その中において当面具体的に目標といたすべきものは共産主義活動で、それに対する対策であるということを、これは繰返し申上げたつもりでございまして、さような意味合から言えば、少くとも非合法或いは暴力を以てしても民主主義秩序を破壊しようとする活動というものにまず少くとも限定されるということは一応言えようかと思います。その場合に、その定義に当てはまるものといたしましては、極右活動につきましても、それが暴力を以て民主主義秩序を破壊することを意図するものである限りにおいては、当然に観念的には対象になります。併しながら当面の具体的対象といたしましては、主として共産主義活動が対象になる、かような意味で申上げたのでございます。単に反民主主義活動というものは良識を以て解する以外に手のない、あいまい模糊としたものである。従つて使いようによつてはどうにもなるのだというような意味において、これがあいまい模糊或いは良識という言葉を使つたのではございませんから、その点は繰返しの言葉になりますけれども、誤解のないように一つお願い申上げたいと思います。なおそれらのことと関連いたしまして、然らばお前は民主主義というものをいかに解しているかという御質問でございますから、それらに関連いたしまして申上げますと、民主主義と申すのは、根本において人権の尊重、個人の尊厳というものを中心にいたしまして、政治、経済、社会の組織を打立てる原理であろうかと考えているのでございまして、現在の日本国の憲法に基く大精神民主主義であり、それらを中心にした国家行政組織の根本が、いわゆる民衆によつて選ばれました国会議員による議院内閣制度をとつているというような点も民主主義制度の現われでありましよう。その他行政、経済、文化、あらゆる面において根本の人間の自由、その個人の尊厳というものを尊重してかかるという立場に基いて組立てられた制度、それを尊重してかかるということが民主主義考え方の、甚だ素朴ではありますが、根源的な考え方ではないか、かように理解している次第でございます。
  49. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 只今の御説明で、民主主義というのは基本的人権或いは個人の尊重を土台として、その上に社会の政治、経済等の秩序が打立てられ、それが運営される、これが民主主義だ、こういうお話であります。確かに私もその通りだと思います。そこであなたのおつしやる共産主義民主主義の区別ですね、共産主義は反民主主義であるとおつしやる、その反民主主義だという点を同じように御説明願いたい。
  50. 谷口寛

    説明員谷口寛君) それは今まで申上げた点で、我々の理解しております点は大体解明いたしていると考えるのでございますが、暴力或いは民主主義秩序の制度において定立されている法律秩序を無視しても、そういう後者の段階を端的に申せば非合法と言えるかと思うのでありますが、そういう暴力若しくは非合法を以てしても民主主義の秩序を破壊するということを究極の目標にするような諸活動、かように一応考えているのでございます。
  51. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は何も共産主義をここで擁護しようとか或いは共産党の活動が民主的だということを言うつもりでこれからお話しするのではないのです。ただ私がお尋ねしたいのは、それでは共産主義の制度の下においては、果して基本的な人権であるとか、個人の尊厳というものが全然認められていないかということをお尋ねしたいわけなんです。で、それを率直にお答えを願えば、民主主義というものと共産主義というものとの関係もそこではつきりして来るんじやないかと、こう思いますので、その基本的人権であるとか、個人の尊厳であるとかいうような点について、共産主義はどのように考えているとお考えになつているか、そのお考えをお述べを願いたいと思います。
  52. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 私の知り得る限りにおきましては、共産主義秩序の下におきましては、真の個人の尊厳或いは自由の尊重というものが確保せられていないと考えております。
  53. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 例えばですね、民主主義の社会だと言われるアメリカの社会ですね、そういう所で果してその個人の権利或いは個人の尊厳というようなものが、おつしやるように完全に行われているだろうかということを私は疑うのです。先ほど申しました例えば非米活動委員会であるとか、或いはマツカーシーのああいうような考え方に伴う活動ですね、ああいうもの、或いは又人種等に対する偏見等を見まして、私どもは果してアメリカが完全な民主主義の国であろうかということを疑わざるを得ない。その点についてはどのようにお考えになりますか。
  54. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 民主主義の相当発達したと言われておりますアメリカにおきましても、御指摘のような民主主義に少くとも反すると申しますか、そういうような現実的な現象面もあり得るということは私も了承できるのであります。民主主義が行われるからといつて、直ちにそれが一〇〇%完全な形において行われるものではありません。お互いに民主主義に対する信念を固めつつ、その民主主義趣旨に副うように前進して行くというのが政治の進歩でもあり、或いは文化の向上でもあるわけでありまして、そのような意味合いから民主主義の理念なり、民主主義の理想と相遠ざかるものがあるならば、それを民主主義的な原理と民主主義的な方法を以て逐次改善をして行くというのが民主主義の姿であろうかと、かように考えておるのであります。
  55. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私は例えばという形でアメリカの場合を出したのですが、例えば又西ヨーロツパの場合についても、私は同様のことが指摘されると思います。で、総括的に申しますと、民主主義の社会といわれている社会において、事実は基本的な人権が必ずしも十全に尊重されないばかりか、むしろ場合によつてはその基本的人権に対しても抑圧を加えるというような場合がしばしばあり得るわけですね。それと、それから今度は共産主義のほうの場合では、これも例えばソヴイエトの場合に、果しておつしやるような個人の尊厳であるとか基本的人権というものが尊重されていないのか、こういうようなことも現実にソヴイエトの政治或いは経済の制度の中で我々は考えることができるだろうか、私は実際にこの七月ですが、ソヴイエトに一カ月ほど参つたのです。そして私自身も見て参つたのですが、とにかくソヴイエトにおいても、少くともスターリン憲法以後に、ゾヴイエトの制度の中においては基本的人権が尊重されているし、又その基本的人権の範囲も、少くともいわゆる資本主義国家におけるそれに比べるというと、ずつと幅が広くなつているということが言えると思うのです。極端に申せば、例えばワイマール憲法というものは、恐らく資本主義制度の下においての一番僕は典型的な人権尊重の憲法だつたと思います。併しそのワイマール憲法よりも遥かにもつと広汎な基本的人権が尊重されているということを私どもは認めることができると思うのです。そうなりますると、あなたのおつしやる民主主義共産主義との区別ということは、どつちが本当に基本的人権を尊重するかというような点で疑問が起きて来ると思うのです。その点についてもう一度御説明を願いたい。
  56. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 民主主義の原理、考え方、或いは共産主義の原理、考え方に対する理論闘争のような意味合いで御質疑が出ておりまするようにも拝聴いたしまするので、そのような点について理論的に或いは御納得を頂けるような十分な御説明は、私としてもいたしかねるのでございまするが、要するに我々の考え方といたしましては、正しい意味民主主義秩序の下において、初めて真の人権或いは個人の自由というものが確保できるという考え方を持つておるのでございまして、ソヴイエトが現実にどういう状態にあるかということにつきましては、私は直接には寡聞にして承知をいたしておりませんので、民主主義の正しい推進の下において初めて正しい自由が確保できるのだというのが、我々民主主義を正しく推進しようと考える者の考え方でございまするので、それだけを申上げておく次第でございます。
  57. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私も何も理論闘争をするつもりはないのです。私の言い方がそういうような印象を与えたとすれば大変私も残念だと思います。私はもつと率直に申しますと、例えば日本の場合では、民主主義を尊重するという政府当局側が、例えば最近の幾つかの法律や施策を通して、例えば矢嶋君が午前中に質問したような、労働者の権利に対する抑圧が徐々に強まつて来るとか、或いは憲法では軍備を認めないのに、いわば再軍備をすでに始めておるとかというようなことが、果して民主主義を口にする政府側として、これを民主主義だと言い得るだろうか。むしろ反民主主義として指弾さるべきものは、現在の政府当局ではないだろうかというような印象を一般国民も持つておりますし、我々自身もそういうような考えを持つているわけです。それからもう一つ私はあなたに、それに関連してのことなんですが、例えば民主主義制度の一番何と言いますか、政治制度の運営方法として、例えば多数決とか或いはその他の方法民主主義の制度においては認められております。これは当然私は民主主義的な一つの大きな決定手段として意味を持つていると思います。そういうようなことも併せ考えますと、現在のとつているような政府の態度というものは、むしろ反民主主義的な方向をすらとつているんじやないか、そういうような、政府が反民主主義活動対策協議会というような名前で共産主義に対する情報交換し、それに対する施策を打出すということになるというと、反民主主義の名前において、民主主義的なものすら非常に抑圧されるような結果を招来しやしないか。先ほどあなたは全然そういうことではありませんと、こうおつしやつておりますが、やろうとする政府当局の側が、あなたのおつしやるところとは、むしろあべこべだと申上げてもいいような態度をとつているんじやないか、このように考えるわけであります。従つて私どもは反民主主義活動に対する対策を立てるんだという名目において、むしろ民主主義的な傾向をすら抑圧するようになりはせんかということを皆虞れているのであります。それで私はそういうことをお尋ねするわけであります。その点についてもう少し御説明を願いたい。
  58. 谷口寛

    説明員谷口寛君) これはいろいろな御意見の立て方、或いは見方等によつていろいろと御意見の立て方も出て参ろうと思うのでございまするけれども、我々といたしましては、むしろ御意見にあります通り、反民主主義活動対策協議会の名において民主的なものを抑圧する、或いは弾圧するというように相なりますことを、我々自身としても非常に虞れ、且つ警戒をして、そういう誤解がありませんように努力をいたしたい、かように根本的に考えておるわけでございます。午前中にも若干触れましたように、共産主義活動に対して対処するために、正しい意味の平和主義者、或いは単に進歩的議論を述べたというような人を抑圧するというような方向であつては、真の意味共産主義の孤立化という問題も、却つて損なわれるというふうに考えておるのであります。その点は我々も同じく反民主主義活動の名において、正しき民主主義が蝕まれるということを虞れておるわけでありまして、そういうことにならないように飽くまで考えて行くという気持で、この情報交換もやつて参る。それに基く施策についても推進して参りたいと、かように念願をいたし、又その気持を強く持つておるのであります。なおこれは議論に亙りまするから、これ以上は控えたいと思いまするけれども、例えば労働運動に関連しまして、午前中も質問が出ましたが、証券ストの場合に労働大臣がああいつたなにをやつたというのが弾圧ではないかというような御議論の立てかたも、御議論の立場としてはあり得る、そういう立場をとられる人もあろうかと思いまするが、これは広い意味民主主義治下の一つの労働政策といたしまして、現在の労働法規の正しい運用のために、従来あいまいであつた点をはつきりさせる。そうして労働者も資本家も、或いは民衆もすべて関連いたしまして正しい民主主義秩序の上に前進をいたして行くという観点から、労働法規に関連しまする解釈を明瞭にしたということに過ぎません。それに関連していろいろな議論の立てかたはあろうと思いまするけれども、そういう考え方と気持の下にやつておるわけでございまするから、決してこの反民主主義対策協議会において正しい民主主義が弾圧せられるというようなことは毛頭考えておりません。同じことを繰返しておりますが、その間の事情につきましては十分御了承を頂きたいと思うのであります。
  59. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 こういうような機関の発案者は非常に善意で以て民主主義を発達させようというようなお考えで出発されるのだろうと思います。併しその機関ができまして、そうしてそれが運用されて行く段になりますと、得てしてそれが拡張解釈されて、そうしてその結果はゆがめられたものになつて来るということは、これまで我々は幾度か見ておるわけであります。例えば先ほど出しました非米活動委員会活動にしてもそうです。反国家的な、反米的な思想を取締る、或いは行動についても十分これは慎重に対処しなければならんというようなところから出発して来ておるわけです。あれも勿論共産主義に対する対策を主として考えて出されたのだと思うが、併し実際には非米活動委員会によつてなされたあとを見ますると、あなたのおつしやる正しい民主主義の思想自体が非米活動であるというので、その対象になつておるわけです。そういうことを考えますと、私どもは如何に善意にあなたたちがこれを作られて、そうしてそれを運用されるとしましても、決してその善意がそのまま貫かれて行くとは思えない。それだけに非常に不安にも思うし、第一共産主義民主主義との区別が非常に私どもには納得ができない。従つて絶対そういうことのないようにしますというお答えしか得られないと思いますが、併しそれではそうかといつて信用するわけにも行かんわけで、この点については是非とも明確に、こういう行動は反民主主義なんだ、共産主義は反民主主義なんだという説明でこれを貫かれるであろうと思いますが、その共産主義に対する考え方が私は非常に間違つておるのではないかというふうにも考えます。これは理論闘争をするわけじやないのですから、もう共産主義の内容について私はここであなたの御意見を問おうとは思いませんが、併し少くとも基本的な人権や或いは個人を尊重するという建前に立つて、そうして政治を或いは経済を運営するということなら、むしろこういうようなものは作らんで、そうしてむしろ民主主義を促進するというような意味での閣僚の懇談会でもお作りになつたほうが却つて積極的であり、そうして又日本の今後の方向をもそれに即して持つて行くことができるわけですから、そのほうが望ましいのではないかとすら考えるわけなんです。その点についての御見解をお尋ねしたい。
  60. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 繰返し御注意を頂きまして非常に恐縮いたすわけでありまするが、御意見通り或るものを考える或いは立案するというものの意図或いは善意というものが、運用の場合にはゆがめられるというようなことも実際問題として門々ありがちのものでございまするが、この反民主主義活動対策協議会運用につきましては、十分そういう御意見等も反省の材料にいたしまして、飽くまで政府の作りました善意が善意として推進できますように及ばずながら努力を続けたい、かように考えておるのでございます。又そのためにこそ民主主義的ないろいろな立場からの御批判が公正になされるということについても我々は聞くべきものは謙虚に聞くべきじやないかという気持を持つておる次第でございます。  なおそれらに関連してむしろこういう協議会を作るよりも、民主主義それ自体の推進の協議会を作つたほうがいいじやないかという御意見もあつたのでございまするが、勿論反民主主義対策協議会の施策等がいろいろと将来考え合される場合におきまして、積極的に正しい民主主義を推進するための施策というものも併せて考えられなければなりませんが、現在世界を通じて又国内におきましても、民主主義活動中心にした諸般の施策が行われる一面において、それを究極的に否定しようとする反民主主義的な或いは共産主義的な活動或いは動きも熾烈に行われておる現状でありまするから、正しき民主主義を推進するという面と相即応して、反民主主義活動に対する実態を把握して施策を立てて行くということも同じように大事なものとかように考えておる次第であります。
  61. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 それにもう一つ関連して申上げたいと思いますが、曾つて非米活動委員会が発足した頃であります。有名な新聞記者でウオルター・リツプマンという人がアメリカにおりますが、この人が外交政策とも関連してアメリカの政策の方向について批判したことがあります。その内容は民主主義を擁護するとか或いは反民主主義的な活動を禁止するとかいうような名目で以て内外の政治をやつているが、現在やつている政府のその施策はむしろ現状維持的な或いは保守的な或いは場合によつては反動的なものをすら、それだけを主として擁護しようとしているのであつて、歴史の進展に少しも沿うものではないという批判をしたことがあるのです。これは新聞記者の批評だからいろいろ立論の仕方もあるのだというお答えになるかと思いますけれども、併しやはりそういうような意見というものはアメリカでも良識のある人々は相当聞いていると思います。  日本の場合でもやはり同様でありまして、反民主主義活動を取締るという名目で実は反動的な或いは保守的な傾向を助長する。そして歴史の進展に沿うどころか、むしろこれを逆転しようというような傾向すらが見えるのであります。現に新しい意味でのフアシズムがすでに抬頭しつつあるというような批判をする人もあるのであります。私どもとしてはそういうような反民主主義活動対策協議会であつては、全くウオルター・リツプマンの批評するところと同じ結果になりはしないかということを虞れるのであります。その点をやはり政府当局としても十分考えられる必要があるのではないかという工合に考えられるわけであります。今のはお答えはともかくとしても、もう一つ私は最後にこの協議会の仕事のことでお尋ねしたいわけであります。先ほどの御説明では、広報宣伝活動中心であるというお話で、そしてこの広報等を各報道機関等に自由に使用させる、何ら言論の自由を束縛する意思はない。こういうお話がありました。その通りですか。
  62. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 大体お説の通りと考えております。
  63. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 広報宣伝活動中心であり、これは各報道機関等に使用せしめるというのですが、これは各報道機関とは何を指すのですか。
  64. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 大体お説の通りと考えておるのでございますが、広報宣伝活動中心であるという表現をせられまする限りにおいては、それでも結構我々考えておりますが、私の申上げたのは、たしか先ず広報宣伝活動を重点として取上げるという気持で、段階的な意味合いで申上げておりまするから、似たようなものでございますが、その点をもう一度申上げておきます。  それから広報宣伝関連いたしましては、いろいろと共産主義活動の反民主的な実態を解明できるような、而もそれが現実のデータ等に基きました正直な資料を、でき得る限り簡明に作り上げまして、そしてそれを新聞その他の報道機関に自由に取捨選択をして頂く。お分かちをして、お取上げ頂くも結構、お取上げ頂かなくも結構というような気持でやつて行きたい、こういう気持であります。
  65. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 何日か前の読売新聞に、反民主主義活動対策協議会に出された国際共産主義に関する情報というのが出ておつた。私は今その資料を持つて参りませんので、詳しく申上げることができないのですが、あの新聞に出ておりました情報を実は読んだときの印象では、こんなものが反民主主義活動対策協議会に提出され、そうして閣僚たちがこれを共産主義の内容だと考えて話合われたのだとすれば、非常にちやちなものじやないかということを感じたことと、それから広報宣伝等活動を、どういう形で発表されるのか。ああいう工合に発表されるのか、それとも特定の何かの機関のほうにそれを流すのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  66. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 読売紙上に出ましたそういうことに関連する資料と申しまするのはも私の記憶する限りでは毛沢東の世界革命戦略の要旨という文を御指摘になつたのか或いは午前中申上げました情報判断の要約というような点を御指摘になるのか、この二つくらいであつたと私自身は記憶しております。先ほど申上げました通り、一応我々といたしましては、あの資料は自由な立場で御取捨選択をして頂いて結構という意味で御配付をいたしたのでございます。それに関連しまして、今堀先生の御批判になるような御批判も出ることも甚だ民主主義的な立場から結構だ。又あれがああいうものという批判をせられることも結構だ。そういう意味において、自由にそういう問題について意見交換し、或いは批判が出て参るということでいいのじやないか、こういうふうに考えておるのでございます。なおああいう形で将来やるのか、何か特定の形で流すのかという点でございますが、大体現在考えております範囲におきましては、ああいうような形を今後もとつて行くのでありまして、そのために特定のものを作つて流して行くというようなことにつきましては、現在何らの構想も持つておりません。
  67. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 実は前々からやはり巷間には緒方構想とか或いは又それに類したようなものが伝わつているわけです。何らかの調査機関を作るとか、或いは又現にある調査機関と連携をとつて、その方面から広報宣伝等を促がしめるというようなことなんですが、例えば中央調査社というものができつつあります。ああいうものとの関連などが相当巷間で噂されているのですが、その辺の内容はどんなものでしようか。
  68. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 私も今堀委員の御指摘になりましたように、いろいろな広報宣伝等関連して、緒方構想等が世上取沙汰せられておるという事実につきましては承知をいたしております。併しそのことそれ自身は、恐らく緒方副総理も甚だ御迷惑に考えておられることだと考えておるのでございまして、繰返し今申上げましたように、広報宣伝関連いたしまして、特殊な、特別な機関を考慮して、それに特定の政府資料を流して行くというようなことは、緒方副総理自身も全然お考えになつていないことでもございまするし、我々協議会幹事役をやりますものにいたしましても、さような構想を持ち出したことも、又持ち出そうとする意思もございませんことをこの機会にはつきりと申上げておきます。なお中央調査社ということのお話がございましたが、中央調査社の問題につきましては、私副長官就任前の問題でございまするので、つまびらかにもいたしておりませんが、これと反民主主義活動協議会との関係について、今御指摘のような相互関係があるものとは毛頭考えておりません。あれは単に民間の時事通信等の一つ情報網、それから国立の世論調査所というものがなくなりまして、それの情報関係に従事しておつた職員たちが、合体して純粋の民間組織を作られたというに過ぎませんので、政府とは何らの関係のないものでございます。できましたのは私就任前のことでございますが、内容それ自体についてははつきりと私さように理解をいたしております。
  69. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 もう一点だけお尋ねしますが、ともかく今のお話ですと、特定の調査機関等を作ることはない。又中央調査社というようなものは、全然関係のない機関だ、飽くまでも仕事は各新聞社に発表するという形で以て、それを利用するしないは新聞社の自由に任せるというお話も非常に結構ずくめなんです。おつしやる通りならば、何も心配する必要はないのですが、併し先ほどもちよつと指摘されましたように、これがいよいよまだ五回ぐらいしか会合をやつておらんようですから、今のところは大したことはないと思いますが、これがいよいよ回を重ね、そして又それに対する予算等も出るような段階になつて参りますと、そうするとやはり言論統制一つ機関に変つて行く可能性がある。而も今の内閣のやり方から見ますと、残念ながら既成事実を一つ一つ作り上げて行つて、そうしてもうこういうものができているのだから、止むを得ないのだという形で、何でもかんでも今まででつち上げて来てしまつているのです。そういうことを私どもはたびたび見ている。従つてこういうような機関が反民主主義というようなことで極めて広汎な、あなたのおつしやる良識で判断するというような形での限界しか持たない思想並びにその活動に対する対策を立てる。そこからそれが幾らでも拡張解釈される危険もあり、従つて言論の自由等もそれによつてかなり損われる面も出て来るんじやないかということを国民も心配している。我々も勿論それを心配している。だから若しそういうものならば初めから、まだそういうような既成事実が積み上げられて何かの一つの方向をとつて言論に対する圧力を与えるに至らん前に、これを何とか芽のうちに潰しておいたほうがいいんじやないかというような気がするわけなんです。それで私はくどくどと申上げたわけなんですけれども、最後にこの運営について、例えば予算等の措置を今後とるつもりかそうでないのか。先ほど運営経費人員等において、現在のところは別に特別のものを持つ考えはないというお話だつたのですが、いつの場合でも政府の言うことを聞いておりますと、現在のところでは、そういう意思はありませんというようなことで、次の段階になるというとすぐ予算が請求されて、そしてどんどん事を運んでしまうわけなんです。あなたに対してお尋ねするのはちよつと筋違いかと思いますけれども、併しもう年度末にも近くなつて来て、予算の問題等も恐らく内閣官房のほうでもいろいろお話合いをされているのだと思いますが、これに対する予算等は、三十年度の予算には予算を請求されるつもりなんですか。それともそうでないのですか。それを最後にお尋ねしたいと思います。
  70. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 反民主主義活動対策協議会自体として人員を持ち或いは予算を持つという考え方はないということにつきましては、午前中も明瞭に申上げた通りでございます。御質問に対しまして重ねてその点ははつきりと申上げておくのでございます。ただこういう問題につきまして、いろいろと率直に申上げますと、ただ一部的な説明或いは一部的な開き方から御批判が出る場合もあり、又そういう意味で報道等も出ている場合もございまするので、誤解のない意味から、余計なことかもわかりませんが、広報関係の問題につきまして予算との結び付きで若干御説明を申上げまするならば、先ほど来申上げまするような意味合いにおいて、いろいろと共産主義活動の実態を卑近且つ平易にでき得る限りこれを浸透せしめて行くというための広報活動は、それぞれの所属機関を通じて協議会でテーマ等を研究し、そしてそれによつてでき上つた資料各省等を通じまして今のような方法で各報道機関に自由に取捨選択してもらうということは、これは先ほど来申上げるようにむしろやつて行きたいと、こういうふうに考えておりまするので、そういう意味合いからの各省広報活動の予算というものについては、当然に昭和三十年度の予算にも要求いたしております。又今後の予算折衝の段階でございまするから、そういう広報活動経費につきましては努力もいたしたいと考えておりまするけれども、繰返しますが、協議会自体といたしまして独自の組織を持ち、独自の予算を持つて何かやつて行くというようなことについては毛頭考えておりませんので、その点がちやんぽんになりまして、広報の予算があつてそう言うたのじやないかと、こういうふうになりますと、却つて我我のほうも迷惑いたしまするので率直に事情を申述べた次第であります。
  71. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 そうしますと何ですか、協議会自身には予算がないが、広報活動を行うために各省、それぞれ関係する省の中にそういう広報のための予算を計上するつもりだと、こういうお話ですか。
  72. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 計上するつもりと言わんよりも、各省広報関係についていろいろ現在予算を組んでおります。これは折衝中の予算ですね。協議会自体といたしまして広報宣伝をやる、協議会自体として人間を持つてつて行くというようなことを考えていないと、こういうので、ございまして、例えば協議会幹事のメンバーを見て頂くとわかりますように、各省からの建前で、内閣から内閣審議室内閣調査室というものが現在入つております。それからそれ以外に外務省としては情報文化局が入つている。法務省としては公安調査庁が入つている、こういうふうな関係に相成りますので、それらの問題の情報を持寄りまして、そうして広報宣伝に適切だと考えるような資料を検討し合うという役割協議会でやります。それによつてでき上りました資料内閣といたしまして、例えば官房長官が新聞に提供なさるとか、或いは私が然るべき機会に、取捨選択の自由の建前において、資料として新聞記者の各位に提供するということもやりまするし、或いは外務省において情報文化局長等がそれをやるということもある、そういうための経費は現在各省において計上して、取れる取れんはこれからの大蔵省との相談でございますけれども、そういう意味の検討をいたしている次第でございます。
  73. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 もう一度重ねてお尋ねしたいのですが、そうすると予算は、勿論形式の上においては協議会は持たないわけですね。併し実質的には各省予算の中にそれをそれぞれ外務省なら外務省、或いは又労働省なら労働省という工合に、それぞれ各省に分けた形において実質的にはこの協議会の予算を各省が補う、こういう形になるのじやないですか。そうすると、結局はやはり協議会の予算だ、実質的には協議会の予算だということにはならんですか。
  74. 谷口寛

    説明員谷口寛君) その点はそれこそそういう意味で誤解が出て参りますといけませんので率直に私が申上げているのでございまして、実質的に協議会の予算を各省が使うというふうな感覚でなくて、各省広報宣伝をやるというのを、反民主主義活動に相当活動の重点をおいて見る広報活動という意味合から、協議会としてはそれを集約して取まとめて見るというようなことをやつて見る場合もございますし、それによつて重点の予算折衝については協力をするというふうな問題もございます。併しながらそれは飽くまで各省の実際の広報宣伝関連してやるというのでありまして、協議会自体が予算を持つてやる、こういう性格のものではございませんから、その点誤解のないようにお願いいたします。それからもう少し詳しく申上げますれば、そういう意味合を持つた広報宣伝費は現在までもすでに各省にいろいろ持つているわけであります。それが反民主主義活動対策協議会というものを通じまして、一層反民主主義活動に対する実態を惨透せしめるという施策は大事なことであるということについては十分に関係各省認識も出て参ります。又協議会としてもそれが大事だということを言つているのであります。この点はちつとも否定は申上げないので、それが大事だというので、そういう情報交換認識をつけ合う会議だ、各省がお持ちになつている経費をそういうようなことに使うような目のつけ方をしてもらいたいというような希望はいたします。又そういうような観点から予算折衝の場合に側面的な努力もいたします。それが協議会自体が陣容を持ち、協議会自体が予算を持つて、御質問にありましたような、何か特別な組織でそれを動かして行くというような考え方は持つているものじやないということを申上げたわけでございます。
  75. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 どうもその点納得が行かないのです。勿論協議会そのものは行政組織法のいわゆる協議会ではありません。おつしやる通り、独自の経費や或いは人員を持つことはないでしよう。併しそれがために、独自のものを持たないがために、独自のものを持つていると同じような活動をやるために、各省にそういう広報宣伝活動を行わしめる、こういうことになつて来るんだろうと思う。そうするというと、実質的には協議会自身の経費であり、或いはその活動である、こういうのが当然じやないんですか。あなたのようにおつしやると、結局は各省の従来の広報の費用等もあるので、それを利用しながら、而も協議会において十分情報交換した上で反民主主義的な情報を流すのだと、こういうお話なんですね。それは成るほど従来の広報宣伝等に関する費用を更に増額して、そして各省の行政費としてそれを賄うのだろうと思います。使うのだろうと思いますけれども、実質的にはそうじやないじやないですか。飽くまでもやはりこの協議会そのものが独自の組織、独自の経費を持たないがために、ただ便法としてそういう方法をとつているのだということに結論としてはなるのじやないか、こう思いますが、その点はどうなんですか。
  76. 谷口寛

    説明員谷口寛君) その実質的と言われる意味が私にはよく理解ができないのでございますけれども、反民主主義活動に対する実情を十分に民主主義確保の観点から滲透せしめて行くということは、各省、各機関とも非常に大事なことと考えておるのでありまして、その意味から広報宣伝を重点的に取上げて行きたいという気持で各協議会のメンバーもおられるわけでございます。それを各省広報宣伝活動経費として、パンフレツトを作るとか、資料を作るとかいうことにしようと、こういうことでありまして、それが実質的に協議会だというような点が、更に重ねて御質問せられる御真意、又どういう意味で私の申上げることと食違つておるのか、そこいらの真意を一つお教え頂くならば、私の御答弁もぴつたりして参ると思いますが、実質的に協議会だと言われる意味は何か特別の意味があるのでございましようか。率直に私申上げておるので、そういうことは協議会では大事だとメンバーみんなが言つている。それをやろうとしておる。そのやり方は各省でやるのだと、こういうことだけのものなんで、それ以外に何も意味がない。それで実質的には協議会じやないかということを繰返し御質問になるその意味合でございますね、それが私に逆に理解ができないのです。
  77. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 私が言うのは、協議会そのものは行政組織法に基く機関ではない。全く情報交換のいわば連絡機関に過ぎない。従つて独自の経費人員も持つておらん。これは当然なわけですね。併しその機関の行う活動そのものを実質的にするためには、実はその機関そのものがみずから宣伝等の活動を、パンフレツトを作つたり何かしてやれば一番まあ現在の政府としては望ましいところだろうと思うのです。ところが実際にはそれがまあ法律上の点からもむずかしい、こうなれば、協議会としてはそこに出ている幹事諸君を通じて、そこでまとまつた意見各省をして行わしめる、こういうことになると思うのです。だから私の言うのは、実質的には協議会のそのものの活動であり、協議会そのものの実は費用なんだが、名目的には各省に宣伝費として繰り込まれているのだと、こういうことじやないかということを私は質問したのです。おわかりですか。
  78. 谷口寛

    説明員谷口寛君) 大体それでは私の申上げている点と同じようなことではありまするけれども、ただお言葉を返すようでございますが、協議会の名においてそういう宣伝をするほうが望ましいのだけれども、行政組織法上の問題等もあるからやらないで、各省にやらせるのだというような意味の御質問でございましたが、そういう意図的なものは毛頭ございませんし、協議会の名を冠しなければ効果がないのだから協議会の名を冠するとか、政治的に非常にゼスチユアがいいとか、そういうような意味で申上げておるのじやございませんので、本当に反民主主義の実態を究明さして行く、それを慘透さして行くことは国として大事なことであるという意味合いからそういう意味情報交換をよくやつて、そして施策についてはどうしたらいいかということを検討し合おうという協議会に過ぎませんので、協議会でやらなければ効果が挙らんとかいうのじやなくて、そこでいいと考えられたことは各省施策の上にも現わして行くことがいいという考え方から、当然に各省でやつてもらうべきであり、又各省自身もやる熱意を持たれると、かように考えるのでございまして、協議会だから協議会でやらねばならんのを、恰好だけそうしていると、そういう意味でもございませんので、そこだけはちよつと食い違つておるように思いまするが、実際の実情はそんなことろでございますから……。
  79. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御質問ございませんか。  質問がないようでございますから、反民主主義活動対策協議会に関する調査はこれを以て終ります。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  80. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) じや、速記を起して下さい。   —————————————
  81. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは次に本日の第二の調査案件であります公務員制度調査会に関する件を議題といたします。  この問題に関連して政府に伺いたい第一点は、公務員制度調査会が本年四月設置されて以来今日までに回数としては何回ぐらい開かれており、又如何なる問題を調査して来ておるかという点であります。第二点は、第十九国会におきまして参議院議員八木幸吉君ほか八十二名より国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案が提出されまして、この法律案の審議の際、国務大臣等の私企業への関与の制限に関する問題は、公務員制度調査会で他日調査の題目とする旨政府の言明がありましたが、この問題はすでにこの調査会において調査に上つておるかどうかという点、次に恩給制度についてこの調査会では調査の題目としておられるかどうかという点であります。以上の点について政府の御所見を明らかにして頂きたいと存じます。
  82. 田上辰雄

    説明員(田上辰雄君) 私から只今委員長の御質問でありまする三点につきましてお答えいたしたいと思います。  第一の公務員制度調査会が三月三十日に閣議決定になりまして以後、どのような審議の成果があつたかというお尋ねでありますが、実は三月三十日に閣議決定を以て公務員制度調査会設置についてという議案が決定になつたのでありますが、いろいろな事情から設立は遅れたのでございます。そして設立されるのに、或いは委員の人選その他でも相当手間をとりまして、第一回の公務員制度調査会は六月の二十二日に開催されております。それ以後大体毎週一回という基準で会議を開きまして先日の十一月九日に第十七回の調査会を開いておるのでございます。この各協議会における審議の経過につきましては、概略を印刷物にいたしまして、先に事務局のほうへお届けしてございますので、それによつて御承知を頂きたいと存ずるのであります。  第二の問題の国務大臣の私企業等への関与の制限に関する問題でございますが、先般の国会に両院の御発案で、法律案が提案になりました際、政府はこれに対しまして、只今委員長のおつしやいましたように、公務員制度調査会でこれを検討したいということをお答え申しておるのであります。これにつきましては、政府が申しました通りに、その後公務員制度調査会におきまして、この問題につきまして幹事からの説明もいたし、これについて委員からのいろいろな意見等もございましたが、併し現在のところではまだ公務員制度調査会としましては、いろいろな問題につきまして結論を出しておる段階に至つておりません。ただこの問題は国会に対するお約束もございますし、又極めて特殊な問題といたしまして調査会で取上げておりますことは、この席で申上げられるのであります。  それから第三の恩給制度でございますが、恩給制度につきましては、極めて重要な問題であり、全公務員といたしましても深く関心を持つておる点でございます。御承知でもございましようが、先に昨年の十一月十七日でありましたが、人事院からこの恩給に代るべき退職年金制度につきまして、勧告が国会並びに政府のほうになされておるのでございます。この退職年金制度につきましても、公務員制度調査会におきまして一応説明を聴取いたしておるのであります。これにつきましてもなお本格的な審議の段階には至つておらないのであります。率直に事情だけ申上げまして、お答えといたしたいと思います。
  83. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御質問ございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  84. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。  それでは公務員制度調査会報告を受けましたが、まだ具体的な問題の内容等における調査が進んでおりませんようですので、御質問もないと思いますから、この問題は後日調査をいたすことにいたします。  それでは本日の委員会における第三の調査問題であります行政監察に関する件は、これを明日の委員会調査することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会