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1954-11-10 第19回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十日(水曜日)    午前十一時三十分開会   —————————————   委員の異動 九月二十四日委員亀田得治君及び平林 太一君辞任につき、その補欠として松 本治一郎君及び堀眞琴君を議長におい て指名した。 九月二十九日議長において宇垣一成君 を委員に指名した。 一月四日委員小林英三辞任した。 十月十九日委員岡田宗司辞任につ き、その補欠として三橋八次郎君を議 長において指名した。 十月二十五日議長において大谷贇雄君委員に指名した。 十一月八日委員三橋八次郎辞任につ き、その補欠として高田なほ子君を議 長において指名した。 十一月十日委員高田なほ子君及び松本 治一郎辞任につき、その補欠として 岡田宗司君及び矢嶋三義君を議長にお いて指名した。   —————————————   資格消滅 九月二十四日委員楠見義男君議員の資 格が消滅した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君    委員            大谷 贇雄君            白波瀬米吉君            長島 銀藏君            西田 隆男君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            松原 一彦君            堀  眞琴君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    公安調査庁長官 藤井五一郎君    公安調査庁次長 高橋 一郎君    公安調査庁総務    部長      関   之君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○行政機構整備等に関する調査の件  (公安調査に関する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) では只今より内閣委員会を開きます。  本日より三日間開会予定いたしております当委員会議事日程は、お手許へお配りいたしました印刷物によつて一応御承知のことと存じますが、ここに改めて御説明申上げます。三日間に亘り開会いたします当委員会議題は、いずれも継続調査となつております行政機構整備等に関する調査でありまして、行政機構に関する各種の案件について調査を進めて行く予定でございます。先ず本日の委員会におきましては、公安調査庁及びその出先機関の手で今日まで行われた調査等につきまして、公安調査庁当局より説明を受けます。明日の委員会におきましては、反民主主義活動対策協議会公務員制度調査会とにつきまして内閣当局より説明を受け、続いて行政管理庁及びその出先機関の手で行われた行政監察につきまして、行政管理庁当局より説明を受ける予定であります。明後日の委員会におきましては、来年度においての政府職員人員整理及び行政機構改変等に関する政府の構想を調査中心課題とし、なおこれに関連して中央気象台機構について特に調査を進めたいと存じまして、これらの問題について行政管理庁、運輸省、及び中央気象台当局よりそれぞれ説明を受ける予定であります。以上三日間の当委員会における政府側説明が終る都度、それに関連して委員のかたがたから御質疑を願いたいと存じます。なおこの日程について一言お断りしておきます点は、三日間の委員会の各一日の分量が必ずしも平均しておらない点でありますが、これは政府当局の都合により当初の予定日程を急に変更せざるを得なくなつた結果でありますので、この点御了承をお願いいたしたいと思います。  本日の委員会におきましては、行政機構整備等に関する調査議題といたします。本日の委員会における調査の問題は公安調査に関する件であります。この問題に関連して次の諸点について政府の所見を伺つておきたいと思います。  その第一点は、公安調査庁及びその下部機関の本年度予算職員数についてであります。過般実施された行政機関職員定員法の一部改正法律によつて公安調査庁人員整理はどうであつたか、来年度においてこれら予算人員との増減計画はどのようであるかという点を併せて御説明願いたいのであります。  第二点は、公安調査庁が一昨年七月設置されて以来、その業績の上で顕著なものはどのようなものであるか、特に公安調査庁が従来行われた調査等によつて国政の上に寄与したと思われる点があればその点を承わつておきたいと思います。  第三点は、公安調査庁及びその下部機関調査に当られる際に、警察官利用せられることがあるかどうか、新聞紙上で時々警察官が私人の家庭について思想調査のような行動をとるものがあるとの記事を散見いたしますが、公安調査庁警察当局との連絡の現状はどうなつておるのか、これらの諸点について先ず当局の御説明をお願いいたします。
  3. 関之

    説明員(関之君) 御説明申上げます。第一点、公安調査庁及び下部機関の本年度予算職員数と、過般の定員法改正法律による人員整理の結果、来年度における予算人員増減計画、この三つお尋ねの点につきまして御説明申上げることにいたします。お配りいたしました書面に、その骨子の点は印刷しておきましたから、それに基いて御説明いたしたいと思います。  先ずこの一番大きな長い二枚綴りの書面でありますが、これは私のほうの公安調査庁の現在の機構を一目瞭然おわかりになるために書いたものであります。全体の機構といたしまして先ず本庁がありまして、本庁総務部調査一部、調査二部、そして研修所、こういうものか中央、にありまして、その次に中間段階といたしまして右のほうを見て頂きますと関東公安調査局というのがあります。関東公安調査局はこれは東京都を直接管轄して調査事務を推進するとともに、左のほうにあります神奈川から新潟までの地方公安調査局事務を指揮監督しておるわけであります。こういう組織がある。同様にそれからずつと左のほうに七つの区切りになつてそれぞれのブロック的の組織になつておりまして調査事務を推進しておる。この図面には書いておきませんでしたが、所要に応じまして、たとえば長野県について申しますと松本のような所にはそこから駐在官を派して、そして調査事務を推進しておるというのが大体の大ずかみの私のほうの配置態勢に相成るわけであります。この点を御記憶頂きまして、次にお尋ねの点に対する御説明を申上げたいと思うのであります。先ず二十九年度と三十年度予算比較でありまするが、これも一枚の紙に印刷してお配りしておきました。表題は二十九、三十年度予算比較表と申しますのがそれであります。今年度予算におきましては総額七億二千二百万円になるのでありまして、そのうち人件費が四億六千万円、旅費が六千百万円、その旅費には職員旅費であるとか或いは調査旅費であるとかいろいろのものがあるわけであります。庁費関係三千八百万円、調査官調査活動費が一億四千七百万円、こういうような工合になつておる。そのトータルはさつき申上げましたように七億二千二百万円と相成るのであります。この予算に対しまして三十年度予算として大蔵省に要求いたしておりますのは、その下の段にあるのでありまして、総額十三億六千万円を要求しておるわけであります。今年度と比べましてトータルにおいて六億四千万円の増額と相成るのであります。その内訳といたしまして人件費におきまして、これは後に説明いたしますが、約五百人ほどの増員をすることをお願いしてありますが、それも含めて人件費において約二億三千万円ほどの増額、次に旅費におきまして特に調査旅費は昨年度より六千万円ほど増額いたすことになります。次に調査官調査活動費は昨年度が一億四千七百万円でありますのに対しまして、大蔵省に要求いたしますのは一億六千三百万円、約一億一千万円余の増額をいたしておるわけであります。これらが三十年度予算が今年度予算比較いたしまして主な差異の存する点なのであります。これが大体予算の全貌なのであります。  次に定員関係でございますが、それはお配りしました二十九年度公安調査庁組織別官職別配置定員表という表に書き出しておいたのであります。現在定員といたしまして、一番下の右側の全国で一千六百七十八名というのが成規定員に相反るわけであります。この定員を各本庁別、そうして公安調査局別地方公安調査局別と、そうしてその職員調査官一般事務官雇員傭人、こういうような職種別はここの各欄に書いてある通りになつておるわけであります。私どものほうの職員の問題につきまして特に御説明申上げたい点は、破壊活動防止法によりまして調査官というものがありまして、調査官でなければ調査ができないということに相成つておるわけであります。従つて大分けにいたしまして、私のほうの職員は、調査ができる調査官、そうしてその以外の一般管理事務を取扱う事務官、そうして雇員傭人、こういうふうになつておるのであります。そうして調査官の数が左側にあります一千二百九十一人と二十一人を加えました千三百十二人というものがその調査官なのであります。そうしてそれ以下が一般事務官雇員傭人、こういうことに相成つておるわけであります。これは職員を、最初に見て頂きました一般公安調査機構の各部局に配置いたしまして、そうして調査をいたしておる、かようなわけに相成るわけであります。  次に昨年、過般の定員法改正による人員整理の結果でありますが、それがその二枚目に印刷してあります行政機関職員定員法の一部改正による人員整理一覧表としてあるのがそれなのであります。トータルといたしまして、整理人員六十五人の整理をいたすことに相成つたのであります。それから前年度配置定員の総計が一千七百二人、その中の六十五人の定員整理ということに相成つたのであります。このときにおきましては、私どものほうの役所特殊性に鑑みまして、調査官整理は零ということになりまして調査官以外の一般事務官において六十五人を整理する、こういうふうに相成つたのであります。それで二十九年度におきまして二十四人を整理する、そして三十年度において四十一人を整理する、その結果といたしまして千六百三十七名というものが人員整理後の配置定員と相成るのであります。これが今日におきまして、この二十九年度の二十四名の整理実施中であるこいうここに相成るのであります。これが過般定員法改正法律による人員整理の結果とその実施の状況なのであります。  次は予算のほうのことで、若干申上げました来年度における人員増減計画でありますが、それが一番最後の紙に昭和三十年度人員増減表といたしてあるのがそれなのであります。昭和三十年度におきましては、結局五百十名の調査官増員をお願いしてあるのであります。これは公安調査庁がスタートいたしまして丁度二年になるのでありますが、その結果に鑑みまして破壊的団体規制という事務の推進、その責任を果す上に鑑みまして、どうしても現在の千六百七十八名の定員を以てしては、どうもその事務の遂行が期待できないのであります。この際そういう責任を果す意味において、どうしても所要最少限度増員をお願いをしなければならない。こういうふうに考えまして、調査官五百十人の増員予算案においてお願いして、目下折衝中品なのであります。この五百十人は一般管理職員ではないのでありまして、すべて調査をいたす調査官でありまして、この調査官を、先に申上げました駐在官いわゆる三百七十五名、駐在官でない本局勤めとして百三十五名、こういうふうに配置いたしまして、調査事務を推進いたしたい、かように考えておるわけであります。  以上御説明いたしまして、御質問がありますならばお答えいたしたいと思います。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記を……。    〔速記中止
  5. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて……。  それでは続いて先ほどお尋ねをしました公安調査庁の本日まで行われて来た業務の主な部門についての説明を受けます。
  6. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 公安調査庁のやつて参りました仕事関係を御説明するわけでありますが、前例としまして、私ども対象としておるいわゆる破壊的団体というものがどのような態勢でおるかという点を一応御報告したいと思うのであります。  例えば日本共産党の一昨々年昭和二十六年の十二月二十日付の非公然中央機関紙内外評論」、当時は「球根栽培法」といつたのでありますが、これの通巻三十三号に、「当面の戦術組織問題について」といういわゆる「組織テーゼ」といわれる方針を掲載してあるのであります。これは同年十月にいわゆる五全協で決定しました新綱領に基くものでありますが、この「組織テーゼ」の中で、いわゆる非合法体制こいうことについてこのように申しております。「根本的にいつて革命は敵の権力に対する非合法闘争である。それは敵の暴力による権力の支配に対して人民大衆の団結を基礎とした実力を以てする闘争である。非合法闘争を遂行する共産党が合法的に存在し得るのは敵の権力に対する国際国内力関係客観的情勢の具体的な条件によつて決定される」ということを申しておるのであります。従つて党は当然非合法目的を有するが故に非公然体制をとらなければならないということを申しておるのでありますが、現実の段階において、火炎ビンを投げるかどうということにかかわりなくこの方針は堅持されておるのでありまして、年の三月の「内外評論」の後継紙であります「国民評論」の六十号に、「組織活動の重点」という決定が掲載れております。これは昨年来の戦術転換に伴いまして今年の一月一日の「アカハタ」の主張、いわゆる「平和民主主義と生活を守れ」というスローガンに対応する組織方針てありますが、これの一番最後方針として、合法的活動を拡張し非合法体制を強化することということを謂つておりますが、今日非常に公然活動を強化しておることは事実でありますけれども、それでは非合法体制がなくなつておるのかというと決してそうではない。で、この項においては公然活動をますます強化しなければならないということをしておるのでありますが、更に続いてこのような合法的活動の部隊の拡大によつてこそ大衆との結合が拡張され、非合法体制も深く、強く保持され、強められることができるのであるということを申して、前の組織テーゼ方針がずつと堅持されておることを端的に示しておるわけであります。  で、公安調査庁が設置されましたのは、御承知のように破壊活動防止法との関係でありますが、この破壊活動防止法はそのような党の非合法体制を制約するものとして、党は非常にこれに対して反対をいたしました。御承知のように一昨年の上半期破壊活動防止法が制定されるまでに、党がしきりにその反対を宣伝いたしました中で、日付はありませんけれども党中央指令の千二号、「居住地破防法住民登録粉砕闘争組織フアシズム闘争に発展させよ」という指令の中で、これは住民登録関係を主として謳つておるのでありますけれども、この住民登録について「その内容は、表面は住民の権利のためにと言つているが、実際は朝鮮人に対する外国人登録のようにどこに誰がいるかをはつきりさせ、特審破防法スパイ政策の下請に区をしようとしているのである」ということをいつて、党員が誰であるか、それがどこにおるかということを知られることを非常に嫌つておる点を端的に現わしておるわけであります。で公安調査庁ができまして、このような対象に対しまして破壊活動防止法に基いて調査を始めたわけでありますが、公安調査庁の当時の仕事振りにつきまして、共産党のほうはこのように申しております。昨年の三月十二日付のこれは共産党地方機関紙でありますが、組織防衛関係のもので「監視哨」という機関紙が当時ございました。それの二日四十九号で、「敵は腰を据えて攻撃を加えて来ている——最近の公安調査庁調査に現われた諸特徴」という題名で三つの点を謳つております。第一点は「国警との連絡強化」として「特審局時代とは完全に異なり、最近公安調査庁警察連絡は著しく強化された」云々ということ、第二に、「具体的な資料入手全力」として、「党組織実態を把握するために具体的な資料集めに狂奔している。課員などが、小さな事件を挙げて破防法違反で取上げようとしても課長級の者がそれを抑えている」云々、「これは明らかに公安調査庁党組織実態把握全力を上げ党に対する一切の攻撃組織把握に絞つていることの証左である。又入手源の」、これは情報入手源という意味でありますが、「入手源の徹底的な究明が行われない限りいわゆる情報は相手にされない」云々。それから第三点として機密保持厳重警戒ということを記しまして、党内に頒布しておるのであります。これは仕事に熱心な新聞記者ならば大体感知し得る程度のことでありまして、公安調査庁として大変な機密というわけではありませんが、当時の公安調査庁仕事振り比較的正確につかまえておるというふうに考えておるので御披露した次第でございます。  で、このような対象に対して、このような態度で新たに破壊的な行動をする団体があるかどうかという点と、それからすでにその疑いのある団体に対する調査ということに只今全力を挙げておるわけであります。破防法によつて公安調査庁の任務はこれらの団体とそれから要すればこれらの団体に対する何らかの規制処分公安審査委員会に請求するということでありますが、今までに公安審査委員会処分を請求した事例は一件もございません。今の段階はもつぱら調査全力を挙げておる次第でございます。で、このような調査段階で、例えば昨年五月十五日に日共の潜行の八幹部の松本三益を池袋で発見いたしまして、これを警視庁警察官に通報いたしまして逮捕を見るに至つたのであります。それから又本年八月二十七日に記者会見で、日共の元中央委員神山茂夫が党によつて除名が決定的な段階に入つたことを確認したことを話したのでありますが、これは新聞に割切つて除名を確認するというふうに報道されましたけれども、その後一カ月して九月二十七日には党が「アカハタ」で神山茂夫除名を発表すると同時に、私どもの話しました八月二十七日のちよつと前の八月二十四日にはまさに除名決定的段階に入つたことをこの発表自身が認めておるのであります。このようなことが一応世間の眼に現れた事柄でありますけれども、勿論私ども仕事はこれが本務ではないのでありまして、要するに他のすべての団体と区別しまして、これらの破壊的団体構成員が何人であるか、それが常時何をしておるかということの即ち団体規制の際に必要となるべき資料の集積、総合、分析というようなことに先ほど申したように全力を挙げておるのであります。ただこのような作業をいたしております段階において、当然日常破壊的容疑団体の動向が判明いたします。それを公安調査庁として毎週、毎月、週報或いは月報というような形で一般には広く出すことができませんけれども、常時これを利用すべき関係機関にはかなり広くこれを頒布して日常の参考に供しておるのであります。で対象が非常に深い非合法体制をとつておりますので、それの調査に非常に困難を感ずるのでありますが、従つて又その調査の結果ということを、肝心の目的であります規制処分の請求の前の段階で具体的にこれを表示するということは、いろいろ差支えがございまして、内容的に具体的なお話ができないのは遺憾でありますが、大体公安調査庁の今やつております仕事実態を、以上のことで大体御理解を願いたいと思います。
  7. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次に、先ほど第三点として挙げておきました、警察官利用せられることがあるかどうか、この問題について。
  8. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 公安調査庁警察官利用するということは、これはございません。又できることでもないと考えております。ただ私どもは、先ほども申上げたように、国費の経済的な利用というような観点もございますので、警察とは常に緊密な連絡をとつて、お互いの独自活動で得た調査の結果を交換するということは、これは緊密にいたしております。例えば、先ほど松本三益の逮捕の場合は、関東公安調査局調査官がこれを発見しまして、警視庁警察官に通報した結果、警視庁逮捕したわけでありますけれども、これは常人が仮に通報いたしましても逮捕すべき筋合のものでありまして、別段利用というふうに言うべき筋合のものではないと思うのであります。従いまして、公安調査庁警察官利用するということは、これはございません。
  9. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  10. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  それでは以上で説明を終りましたので、これに対する質疑は午後継続いたすことといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩    ——————————    午後一時五十五分開会
  11. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 委員会を再開いたします。  午前中の公安調査庁に関する説明に関連して御質問のおありのかたは御質問を願います。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど公安調査庁活動についての御説明がありまして、公安調査庁ができましてからその組織も大分拡充されまして、人もこの表で見ますというと千六百七十八人おる。ところが御報告なつ活動を見ますというと、千六百七十八人の人が活動をしておるその役所活動振りとは思えないような結果しか出ておらんのであります。まあ怠けておるとは思いません。一生懸命活動しておられるでありましようが、そういうふうな結果しか出てないということは、これはあれだけぐらいしか発表できないんで、あとはみんな秘密だ、こういうことなんですか。
  13. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 先ほど申上げました御報告しか申上げることができないというほど狭いものではございません。ただ大体の特徴を御理解願える程度お話をいたしたのであります。ただ只今お話のように具体的な業績というものを全部お話し申上げることはこれは非常に困難でございます。例えば或る一つの大きな涜職事件をやります場合には、犯罪捜査の面でも多数の要員で相当の日時をかけて秘密裡にこれを捜査いたしております。私どものほうの仕事は非常に多数の、而も複雑な機構対象として、やはり同じような調査をしておるのでありまして、従いまして、一つのまとまつた大きな刑事事件の処理というものに共通したような事情があることを御理解願いたいと思います。
  14. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ只今お話ですと、大きな複雑な刑事事件と同じようだと、こういうお話でございましたが、とにかく千六百七十八人というのは私は相当な数だと思うのです。まあこれで共産党活動に対処しておるということですが、何かごの破壊活動防止法かできたときには、右翼のほうの問題も調査対象になるような話でしたが、そのほうについては何にも御報告がなかつたのですが、これは何にもやつてないということですか。
  15. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 破壊活動防止法によりまして破壊的団体というものの疑いをかける団体というものは極めて条件が制約されております。従いまして、現在私どものほうで調査対象として取上げておりますものは非常に特定されております。それでは右翼のほうは注意しておらないのかということでありますけれども、そうではありません。常に注意を怠つておりませんし、そのことにつきましては国会においてもいろいろな機会に申上げておる通りであります。結局私どものほうの仕事は、破壊活動防止法によります特定団体に対する調査というのと並行して、どこの誰でもなし得るような通常の認識の方法によりまして、いやしくも破壊的団体に発展するかも知れないというような分野につきましてもいつも注意は怠つておりません。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 大変抽象的なお答えで、私ども頭が悪いのでよくわからんのですが、何ですか、右翼団体も大分暴力を用いるようなものもできて来ておるようであります。右翼団体に属しておるものが吉田首相暗殺のために兇器を持つて首相の公邸の廻りをうろうろしてつかまつたというような例もあります。それから又それらの人々が或いは台湾政府と結んでいろいろやつたとかいうようなことも新聞に報道されておる。こういうようなことはやはり非常な問題だろうと思うのです。それは共産党の破壊活動ということもあなたのほうの対象だろうが、このほうも社会を不安に陥れてそうして今右翼擡頭ということが伝えられておるときに、このほうに対してもあなたがたのほうは対処するはずになつておると思うのですが、このほうに対する力の注ぎ方はどれくらいのものか、今公安調査庁で千六百七十八人の人がおるが、そのうちで勿論全部第一線に立つておるわけじやないんだが、どのくらいの人が共産党活動調査に当り、どのくらいの人数の人が右翼に当つておるのか、それをちよつとお知らせ願いたい。
  17. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 公安調査庁の全職員のうちどのくらいの者が左翼に、どのくらいの者が右翼にという的確な割合というものは御説明することがちよつとできかねるのであります。と申しますのは、私どものほうの例えば通常の府県の地方公安調査局というのは定員が十名であります。従いまして個々の調査官が必ずしも問題を特定して専門的にのみこれを扱うということは非常にむずかしいのでありまして、こういう人たちのそれぞれやつております仕事のウエイトというものを全体見ますということはちよつとできかねるものでありますから、御了解願いたいと思います。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかくあなたのお答えじや何も私にはわからない。それで、それじや一体人数がはつきりわからないとすれば、仕事のうちの大体どれくらいを共産党に当てているのか、どれくらい右翼に当てているのかということについての大体の割合をお聞きしたいのですが。
  19. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 大体のお話ということでありますというと、左翼のほうが八割で右翼のほうが二割というような程度かと思います。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは長官にお伺いしたいのですが、最近内閣に反民主主義活動対策協議会というものができておるわけですが、これは明日以降私どもが副総理以下にお尋ねしたいのですが、これと公安調査庁との関係はどういうふうになつておりますか。
  21. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 別に関係と申しますか、私が二回委員会に出まして一般情勢を報告したのでありまして、高橋次長が幹事の一名に加わつております。そうして資料情報等を報告し、又他の幹事の分担、分限についても調査の結果は聞いておる次第であります。私は協議会のメンバーではございません。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 次長が幹事だということになりますというと、一定の関係があることになるのですが、幹事の次長にお伺いしたいのですが、幹事として公安調査庁を代表して、どういう関係をお持ちになつておりますか。
  23. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 反民主主義活動対策協議会の問題は、これは私どものほうでお答えすべき筋合のことではないのでありまして、そのほうの然るべきかたからお聞き取りを願いたいと思いますが、私が幹事として出ておりましての印象は、要するに一昨年の初め頃までありました治安連絡懇談会のようなものであろうというふうに考えております。現に緒方副総理が国会でこの協議会の性格についてそのようにおつしやつておられるのでありまして、実際の運用も全くそのようなふうに私は理解しております。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 この間反民主主義対策協議会から何か共産党活動についての何といいますか、声明書或いは調査報告書といいますか、何か発表されて、その抜萃のようなものが新聞に出ておつたのを見たのですが、原文は私見ておりません。ああいうものはやはり公安調査庁調査の結果をあなたが幹事として報告して、それに基いて発表されたものですか。
  25. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私のほうのみではございませんけれども、勿論おつしやる通りどものほうの調査の結果が資料となつております。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 この公安調査庁共産党活動調査するに当つて国外における共産党の動きというようなものをやはり綿密に御調査になつておりますか。
  27. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私どもの方法が限られておりますし、又人員も十分ではございませんけれども、できる限り注意して調査しております。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 何か反民主主義活動対策協議会では調査機関をほかに設けるというような考え方があるように聞いておる。私今はつきり覚えてないのですけれども、小原法相もどこか出先で以てそういうものを使うようなことを言つておる。それから又この間は、その対策協議会で、そういう調査機関か何かに委託調査をやらすようなことをきめて予算を計上するのだというようなことも言つたとか、そういう協議をしたとかいうことが伝えられているのてす、そういうようなことはございますか。
  29. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私はそのようなことは全然関知しておりません。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 まああなたは関知してないでしようが、そういうこと左聞いたことがございますか。
  31. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 聞いたこともございません。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 小原法相の新聞に出ておつたのをお読みにならなかつたのでしようが、オフィシャルに聞いたことはないのだと言われるのだろうと思うが、とにかく、新聞ではそういうこと言つておる。そうすると、これは公安調査庁活動が十分でないのて、例えば外国における共産党の動き、つまり、国際共産主義の活動について、公安調査庁では頼りにならんから、もつと別の機関を設けるのだ、或いは国内における共産党活動一般の動きについて、公安調査庁だけで不十分だからそういうものを設けるのだというふうに僕らは感じられるのです。そうすると、これは公安調査庁活動に対して、まあ何というのですか、余り役に立たんのであるというふうに思われるのですが、そういうことについてどうお考えになりますか。
  33. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 先ほど何かはかの機関を設けるということを聞いたことはないかというお尋ねで、私聞いたことがないと申上げたのは、幹事という関係においてそのようなことはないと申上げたのでありまして、勿論新聞に小原法相談というものが出ておつた程度のようなことは承知しております。それから只今何らか公安調査庁では役に立たないからそれでああいうことを考え出したのではないかというお尋ねでありますが、それは岡田委員の印象がそのようであつたとしても、私どもはこれは何ともいたし方はございません。併しそれは誤解と思います。私どもはそれと逆な印象を受けております。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 逆な印象というのは、公安調査庁が非常に頼りになるということならば、そういうものをほかに設ける必要なしで、公安調査庁一本でいいわけなんですが、どうもそういうものを別に設けて調査をやらすということになると、私どもとしてはやはりどうも公安調査庁だけでは足りないという感じを受けるのですが……。
  35. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) そういう点はどうも反民主主義活動対策協議会の機能について十分な御理解がなくて御自分の判断を前提にしてお尋ねになつておることのように私は了解するのであります。それで先ず反民主主義活動対策協議会のほうをお調べ下すつて、その上でその一部分である我々のほうにお尋ね下さると大変工合がよろしいと思います。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 大分挑戦的で恐しい話でございますが、とにかくあなたに反民主主義活動対策協議会の全貌を聞いてもしようがない。私は公安調査庁との関係だけの点からお伺いしているのですが、それに今のようなえらいお答えを出されるなら私はこの点については引下がりますが、次にお伺いしたいのは、来年度に大分人員を殖やす御計画のようですね。五百人以上も殖えるようですが、殖やそうという御要求があるようですが、これはまあ殖やすに当りましてはやはりそれぞれ理由がなければならない。それで五百人殖やすということについてどういう具体的な理由を以て大蔵省に人数の増加の要求をされておるのですか。
  37. 関之

    説明員(関之君) お答えいたします。その点に関する理由は、私どもは次のように考えておるわけであります。  公安調査庁がスタートいたしまして丁度二年三、四カ月に相成るわけであります。そこ只今いろいろ岡田委員高橋次長の間でお話になりました公安調査庁調査の実績がどうなつておるかというような点でありますが、私ども破防法によりまして破壊的団体を規制するという、そういう責任を持つているわけであります。その責任を果す観点から見まして、二年の私ども調査の実績が一体どの程度に相成つたか、そこで私ども責任を果すという上から見て、それは果して満足すべきものであるかどうか、将来から見てその点がどうかと、こういうような問題が予算編成の最初のスタートに相成るわけであります。そこで考えてみまして、二年やつてみて破壊的団体を規制するというその証拠資料の収集において十分であるかどうか、こういう点を反省いたしてみますると、どうもその重大なる責任、特にこれは規制の事務は結局裁判所の訴訟事務になるのでありまして、訴訟の段階になつても十分にこれを立証し得ると、これが破壊的団体であつて破壊的団体が破壊活動をして更に将来これに継続文は反復して破壊活動を行う危険があるという、これらの構成の要件を十分こ立証すると、こういうような点から見ますると、どうも二年の実績から見てまだ十分ではないじやないかと、更にこのままにて然らばいいかと、まあ結局私どもの率直な気持といたしましてこの破壊活動ということが結局起りまするならば、これはとんでもないことだと、全く取返しのつかんことだと、そういうような点から考えまして、二年のここで一応とにかく総検討をしてみて、そうして更に私ども役所責任を果す観点から今の人で十分か、今の予算で十分か、更に全体の調査職員の教養、施設、その他において十分か、こういう点を反省いたしてみまして、ここで結局どうもこの際増員ということは大変行政機構の簡素化の上から私ども請求しにくい点でありまするが、一方においてそれらのしにくさの点と、そして破壊活動規制と破壊活動という国家の治安全体における重大な問題を秤にかけてみましてやはりこれは必要最小限度の増員をお願いして、そうして責任を果さざるを得ない、こういうふうに考えまして結局五百十人の増員をお願いいたしたのであります。ここで然らばまあ人がどういうわけで不足するというふうに考えたかという点でありますがこれは只今次長からお話がございましたように、千六百余人の職員を全国の各地に配置するわけであります。配置いたしますと、一局例えば、一局というのは一県でありますが、具体的に申しますと、栃木であるとか、群馬であるとか或いは岐阜であるとか或いは熊本であるとかすべて同じでありますが、そういうような県は約三十一県、三十一県に十人しか職員の配置がないわけであります。ところがその十人の職員の配置されておるところのその県における具体的な破壊的分子、これは日本人朝鮮人を含めての破壊分子でありますが、それぞれ千人乃至数千人に上るのでありまして、これを十人の職員を以て責任を果すということは実際から見まして非常に困難な仕事でありまして、職員にオーバー・ワーク、過重な負担をかけておるわけであります。このために病気になつたり或いはどうも責任の重大さを考えて夜昼やつておる。もう公務員とは考えられないような勤務状態を以てむずかしい仕事に取組んでやつておる。こういうような実情であります。三十一局に十人、五局が二十人、三局が三十人、四局が四十人、こういうような状況に相成つております。これらの数から見まして結局どういうことになるかと申しますと、例えば熊本県に十人であります。そうすると熊本市に若干六、七、八人おる。あとはそれで以て調査をしなければならんのでありますからして、遠い地方には駐在官等を常置さしておく、そういうような体制をとつておるわけであります。岩手県のような大きな所も十人であります。そういたしますと、太平洋海岸においては一年に一回行けるか或いは行けないかというような調査の実情に相成つておるわけであります。盛岡市を中心とする破壊分子の活動を調べるのに十人で手一ぱいであります。東海岸のほうにはどうもなかなか行けない。そういうような実情でどうも思うような調査ができないというような地点ができておるわけであります。それらの地点が主な事由となりまして、十分な証拠資料の裏ずけができない、こういうことが一つの原因と考えられたのであります。そこでそれらの点を各府県の実情に即して現実一つずつ検討いたしまして、その結果ここに五百十人の増員を、誠に行政機構簡素化の折から申し出にくいことでありますが、お願いする、こういうようなことにして今大蔵省と折衝中であります。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは公安調査庁というものが設置されるとき旨いろいろ論議されたわけでありますが、昔の特高の活動とは違うのだ、思想検事の活動とは違うのだということを言われておりますが、これはやはり僕らの眼から見ますと、そういうようなものと同じ系統のものだということを感じるのです。それでこういう機構がだんだんに大きくなつて来る、一方におきまして警察のほうも今度一本化されて行く、そして警察のほうにおきましても、いろいろ共産党なり或いは他の労働組合とか、その他についての査察だとか、やれ調査だとかいうことをかなりやつておるようであります。その上又反民主主義活動対策協議会とか、何か調査機関を作る、こうなつて来ると、いよいよ警察国家の臭いが強くなつて来る、これは私どもとしてはどうも日本を民主主義国家として発展させて行くという建前の上からも面白いことじやない。而も一挙に公安調査庁が五百人も増すということは、定員減を叫ばれておる、而も二十九年度におきましては公安調査庁のほうも政府一般方針従つてとにかく人員整理をやつておる、その人員整理をやつた年度の中において、直ちに又整理をやつた人間の八倍もの人間の増加を要求するということが私には納得できない。若し本当に必要ならば、やはり二十九年度においてこんな人員整理をあなたのほうでもつてやるということをお引受けにならなければよろしい。それほど必要性があるなら、あなたのほうで以て人員整理をなぜこうやつておやりになつたのかということをお伺いしなければならんと思うのです。一体そういう点はどうお考えになりますか。
  39. 関之

    説明員(関之君) お答えいたします。誠に御尤ものお尋ねでありまして、行政整理人員整理をしたのになお且つそれに逆行するようなこういう増員をするのはどういうわけかと、誠に御尤もなお尋ねであります。ところが昭和二十九年度人員整理の問題でありますが、このときには私のほうに調査に従事し得る調査官の減員だけは減員せずともよろしいということにして頂いたのであります。設置法によりまして要するに調査し得る者は公安調査官として長官より任命された者が調査し得るのであります。これは只今お尋ねのような破壊活動を防止して民主主義に寄与すると、又聞違えば諸刃の剣の危険がある、その点から考えましてよく訓練、教養して品格を高めた職員だけを公安調査官として、過ちなく調査を行わさせると、こういう趣旨、目的を以ちまして一般職員の中から特に公安調査官というものを長官が任命いたしまして、そしてその者だけに調査させると、こういう建前になつておるわけであります。調査官でなければ調査することができない、こういうのが私どもの建前なのであります。そこで私ども職員にはそういう調査するところの調査官と、一般の人事、経理、一般役所と同じような管理事務を行う二つの系統があるわけであります。先般の人員整理におきましては、公安調査庁事務の重要性を関系当局においても認めて頂いて、調査官だけは減ぜずともよろしい、併し管理事務系統においては減らせ、これはやはり全体としてのそういうような方針であるから減らせということでありまして、私ども勿論事務といたしましては管理事務を減らすのも大変痛い点でありましたが、全体の方針として減らせ、こういうような当局の御方針であつたのでありましたから、それなら事務のほうだけ減らしましようと言うて、事務のほうを六十五名減らした次第であります。それでその行政整理におきましても調査事務調査官というものに対しての必要は十分御認識を得たものだと私は思うのであります。そこで今回の五百十人の増員というものは、これはすべて調査官なのであります。管理事務のほうではないのでありまして、調査官を、先に申上げたような調査がどうも十分にできない地点であるとか或いはまだ十分に組織、実体の解明ができない局などに重点的に配置して、そして一刻も速かに破壊的団体の内容、実体を把握して、そしてこの破防法の趣旨、精神に副つての措置、副つての運用をいたしたい、こういうふう考えてお願いしておる次第なのであります。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 調査官整理しなかつた。それで調査官の数でございますが、現在千六百七十八人おりますうちで調査官で千二百九十一人おる。勿論今度殖やそうというのは調査官だけで五百十人、こういうことになりますと、一挙に現在よりも四割の人員増加ということになるのです。こういうような一体大幅な要求をされるというのは、現在のいろいろ国家財政の状況或いは行政整理の問題ということに対して、あなた少し過大な要求じやないのですか。
  41. 関之

    説明員(関之君) お尋ねのような点につきましては私どももそういうようなお叱りを受けるかも知れないというふうには十分に考えておるわけであります。併しさてこれは繰返すようでありますけれども、私ども役所破防法によつて破壊的団体の規制、そして破壊的団体の動向如何、その活動の如何によつては結局取返しの付かない結果が起きて来る、こういう点が、私どもとして責任を果す上において、何としても曲りなりにもとにかく責任を果し得るような体制を作り上げなければならないというので私どもの率直な気持なのであります。そこでその観点から見まして、なるほどお言葉の通る行政整理をして職員を減らすというような時ではありまするけれども、どうしても責任を果すためには最少限度のものとしてというような意味合で、これは財政当局にお願いしておる次第なのであります。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 ほかの省におきましてもたとえば建設省において河川の問題とか或いは中央気象台において予報の問題について人が足りない、いずれもその人の要求はやむを得ざる絶対必要の数というのでいつでも出して来ておる。あなたのほうだけが四割も出して来ておる。それで聞いて見るとどれも同じように、取返しのつかないことが起るといけない、こういうことであります。それを皆入れたらそれは厖大なものになつてしまう。それでこれはあなたのほうで大蔵省と交渉するときの駈引の数字じやないのですか、今までの各省の予算折衝を見ても皆駈引なのですね。削られてどのくらい頑張るかというと大概大抵の線で引下る、これだけとればようござんすというのが多いのです。私どもは大分そういう話を今聞いておる。あなたのほうの今度の人員の問題も予算の問題も、少々そういう点、少々どころじやなく、大いにそういう点が見えるのですが、どの程度まで大蔵省との折衝で自信があるのですか。
  43. 関之

    説明員(関之君) これは結果といたしまして、大蔵省との折衝において要するに無い袖は振れないということで、国家財政の範囲内ということになりますると、私どもこのうちの何割が認められるかということは勿論疑問に思つておるわけであります。でき上つた結果から見れば公安調査庁が山をかけて今お話のように水増しをしてやつておるではないかというように、結果から見ればそういうことにはお考えになるかも、知れませんが、併し私どもは、少くとも事務当局といたしまして、大臣の御決裁を得ました私どもといたしまして、そのような問題については、これは全くの私どもの今の責任を果すという観点からの良心的なものであると私どもは思つておるわけであります。二年の調査の実績というものを考えて、反省してみて、そうして起れば取り返しのつかないことになるというその責任を考えまして、どうしてもこれはこれだけのことはお願いしなければならないという気持でありまして、水増しとか割増しをしたとかいうような気持はないのであります。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 尤もそんなことをここの席て、言えは大蔵省との交渉は黙目になつちやうので、そんな馬鹿なことはあなたはここの席じや言えないことは私よくわかつていますがね。とにかく四割増加ということを要求されて今御折衝になつていると思うのですがね、その折衝の今の過程ではどのくらい認められそうなんですか、零ですか、それとも二割ですか。
  45. 関之

    説明員(関之君) その点についてはまだ一応説明を終つた段階でありまして、大蔵省のほうから何らの御返事もまだ得ておりません。恐らく十二月以降、末項のお話かと思つて実は待つている次第であります。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ大蔵大臣が各所でしばくしば言明しておるところによると、一兆円予算は崩さないということのようです。而も一面におきまして、どうしても現在必要とする経費の増加、特に失業対策費とかそういうものも相当止むを得ざるものとして計上しなければならないんだ、それから場直によりますと三十年度においては自衛隊の増強計画というものもあるわけです。ほかの予算が全体として縮減せざるを得ない方向に行くんじやないかということを私どもは予想しておるわけです。そのときに、公安調査庁がとにかく昨年のまあ倍でもないが、殆んど倍に近い数を出しておる。人員については調査官を四割も出しておる、これはどうもあなたのほうでいくらこれだけ絶対必要だ、取り返えしがつかないと御説明なつたところで、私はどうも通る筋じやないと思うんですが、今度の五百何名の増加ということで、あなたのほうはこれだけあれば公安調査庁としての活動は十分である、これだけあれば今の与えられた任務は十分果せるんだとお考えなのか、それともこれは公安調査庁の機能の拡充の第一歩である、これだけでもまだ一県の一番少いところを二十人にしたところで到底足りないんだ、最低一県に三十人か或いは五十人いなきやならん、こういうふうにしてだんだんに更に殖やして行く第一年度の御計画なのか、その点はどうなんですか。
  47. 関之

    説明員(関之君) この数字は破壊的団体活動の危険性の現状、今日の段階、今日のようなその実情におきまして必要の最少限度というふうに考えて勘案したものでありまして、これを基礎にして更に二、三次に増員するということは、只今のところ考えておりません。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 つまり只今のところ三十年度については考えておらん、併し三十年度の終りのほうになるというと又考えるということも考えられるわけですね。私は戦争前の特高警察の膨脹、その状況からみまして、これはもう必然的に常にこれだけなければ国家は危険に瀕するんだということを振り廻して、更に増加して行く傾向があるんじやないか、それを私は憂えるのです。そうしていよいよ以て警察国家の影を濃くして行く、こういうふうに感じるのですが、只今のところないというだけで、それ以上あなたに聞いても無駄ですから、この点はこの程度にしておきます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今岡田委員質問に関連して、もう少し納得のできる御答弁を頂きたいと思うのです。私伺いたい点は、現在破壊的団体として嫌疑があり、皆さんがたの調査対象と一応目されておる団体はどのくらいございますか。
  50. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) これをすべて具体的に申上げるということは、私差控えたいと思うのでありますが、日本共産党は、これは調査対象となつております。これは勿論一つ団体でありますけれども、細胞から各機関を含めて、その個々の単位団体というものは、これは非常にたくさんございます。対象団体といえば、それに関連するものでありまして、例えば北鮮系朝鮮人の中に非公然組織で祖国防衛委員会というのと、その傘下の祖国防衛隊というのもございます。これらはやはり対象になつております。それ以外に先ほど岡田委員に対してもお答えいたしましたように、通常認識される例えば公然の出版物であるとか、その他の方法によりまして始終……例えば右翼につきましても、その中で破壊的団体として取上げるべきものがあるのではないかという観点で注意をいたしております。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今左翼のほうでは日本共産党の名を挙げられ、それに関連する諸団体について説明を承つたわけですが、右翼のほうで現在具体的に皆さんがたの対象として嫌疑のある団体はどういうものがありますか。
  52. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 破壊活動防止法という破壊的団体というものの条件が非常に限定されております。破壊活動防止法の五条によりまして、暴力主義的破壊活動を行なつ団体であつて、その団体が「継続又は反覆して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由」云々と、こうなつております。而もこの場合の暴力主義的破壊活動というのは、いわゆる暴力革命方式の宣伝、扇動というようなものと、それから政治的テロ行為を含んでおるのでありますが、このテロ行為も法の四条によりまして、例えば騒擾、殺人、放火といつたような非常に高度のものという意味に限定されており、而もこれが常に政治的目的を以てなされなければならないということになつております。従いまして現在右翼団体の中でこの条件によつて我々のほうの調査対象として直接取上げるべき団体というものは、或いはまだ我々のほうの調査が不十分であるのかもわかりませんが、今のところではございません。ただ先ほど申上げたように、将来の発展の可能性というところにいろいろ問題がございますから、始終注意は怠らないという段階でございます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に長官に一応伺つて質問を進めたいと思いますが、破壊活動防止法という法が制定された当時と現在とにおけるこういう機関の必要性ですね、それは現在どういうふうにお考えになつておりますか。
  54. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 私は法が制定され、公安調査庁が設置されると同時に長官の職に就いたのでございますが、その当時は御承知通り昭和二十七年上半期ではいろいろ各地に、東京に二カ所或いは三カ所、名古屋、京都、大阪方面に相当な騒擾事件が起きまして、それから各地に又火炎ビン事件等が起きたようでありますが、その後そういう事件はぴたりとやみまして、如何にも今日におきましては情勢が平静に来したように思われますけれども、これは当面の一応の、例えば共産党戦術の転換で、自分らの党勢の拡張のための戦術でありまして、この際決して客観情勢が緩和されたものとは私は断じて認めておりません。ますます我我は調査について一層の努力を払わねばならん、従つて先ほど来申しますように、この際人員の増加、予算の増加これは全く現在の日本の財政状態に反することでありますけれども、どうしてもこの現在の情勢を見ますと、このままでは我々の任務を完全に遂行することに非常に困難さを感ずるから、こういう一般情勢には反しますけれども、止むを得ず人員の増加、予算増額を要求しておる次第でありまして、決して破防法制定当時と今日と比べて、破壊活動防止法の運営に当つて、何といいますか、油断すべきときでなしに、ますます警戒すべき時期だと私は確信しております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの点は非常に重要だと思うのです。と申しますのは、  あなたが只今の答弁の前半で申されました法が制定された当時よりは少くも平静になつておるということは、これは事実だと思います。これに対してあなたは戦術の転換云々で、当時より以上現在は調査を必要とする段階である、こういうふうに答弁されます。が、例えば、日本共産党戦術の転換というものもありましようけれども、私はそれのみではなくて、やはり事実が示しておるように平静になつておるということは、これは認めなければならなと思います。そこで私はこの増員計画を見ますると、全国津々浦々に至るまで網の目を張つたように公安調査官を配置する、こういう方向は、やはり私はこの破壊団体の規制には入らない進歩的な団体等の活動なり又はそれに所属する個人の思想の弾圧にも私はこの運用次第では通じて行く虞れが非常に大きいと考えるのです。そこで具体的に伺いますが、破壊的団体調査されるのであるから、私は現在のように地方公安調査局に十人から四十人程度おればそれで十分だと思う。と申しますことは、警察のほうからも情報は皆さんがたはキャッチされるわけですから、それで例えば熊本の例を話されましたが、熊本に十人おれば、警察官情報が入りますから、そういう破壊団体云々というものは熊本県の至る所にいるわけではないから、そういう情報に基いて調査すればいいわけであつて、網の目を張るというか、今度の駐在官の増加が一番多く、三百三人になつておりますが、そういうふうにこれは網を張る必要はないのじやないか、こういうふうに考えるのですが、それはどういうふうにお考えになつておりますか。
  56. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 一応御尤ものお疑いでありますが、破壊的団体というのは、現に例えば横川事件で山林地主を襲撃したというような、ああいうテロ行為をそれぞれにやる団体という意味では私はないというふうに考えているわけであります。要するに日本共産党が暴力革命方式によつて組織されておりますれば、それが即ち破壊的団体であります。その破壊的団体組織の単位が幾つあるかと申しますと、公安調査庁発足前日、つまり団体等規正令で届出制度がありました当時の最後の数が四千九百四十三で、現在私ども調査によりましてもその単位の数だけで六千ぐらいあるのであります。で、それに所属します党員というのが約十万というように考えております。で、問題は今の御質問にもありましたように、これらの党員とそれ以外の者とを峻別するということが非常にこれは必要でもあり又困難なところである。私どものほうはいつもその点を峻別するという考え方で、はつきり申しますというと、同じマルクス主義にいたしましても社会民主主義者と共産主義政党の党員とは、これは峻別して私ども仕事をやつてつておるのであります。でありますから、その点で何か自由主義者であればやはりどうも怪しいということで引つかかるのではないかというような御心配の点は、その点にこそ我々が非常に神経を使つて調査をしておる場面でありまして、只今の単位或いは構成員の数やそれから今のような仕事の性質から申しまして、私は少しも誇張でない真実の要求を申上げていると考えておるのであります。  それからもう一つ、我々の仕事のほうの余り一般に知られていない困難な点を御報告いたします。例えばこれは有名な五全協で決定されました共産党の武装綱領と俗に言われておりますところの、我々は武装の準備と行動を開始しなければならないという文書であります。これは「内外評論」の三十一号で偽装題名が「球根栽培法」という題名で出ておるのでありますが、これ自体には、日本共産党というようなものは何ら一つも書いてありません。この署名などは何にも書いておりません。内容から見て、見る人が見ればわかりますが、それではまだ非常に不十分であります。このようなもの一つでもこれらが党の文書であるというようなことを立証いたしますには、非常にこれは合理的で且つ組織的な作業を要するのであります。で、調査官一つの任務は、やはりそういう点にございます。そのようにして一つ資料でも十分な検討を加えるからこそ、我々はその中にはにせの情報も発見いたしますし、角度によつて非常にふるい分けながら進んでいるわけで、従つて又それから生まれる判断については、我々は一応自信を持つておるということになるのであります。このようなふうに陰に非常に苦労な点もございますことを御了解願いたいと思います。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの法に基いて調査対象となる諸調査をされることには何ら異議がない。これは公務として当然やられるべきことなんですが、駐在官を三百三人殖やしたということについてはいろいろ問題が起つて来ると思うのです。で伺いますが、今までこの地方公安調査局は、末端の警察官に依頼して進歩的な諸種の会合に行つた人物の調査を私は依頼しておつた形跡があると思う。あなたがたはそういう集計を持たれているはずだと思うのですが如何ですか。
  58. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 具体的にどのような場合のことをおつしやつておられるのか実はよくわかりませんけれども、午前中も申上げましたように、私ども警察官利用するということは、これはございません。ただやはり午前中申上げたように、警察警察の独自の行動によりまして何らか我々の仕事に役立つような情報もこれは持つております。それから逆に我々のほうも団体調査の面からして個々の警備活動に参考になるべき資料を持つております。そういうものは緊密に連絡をしていわゆる二重機構の弊は避けるようにいたしております。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はやや具体的に伺いますがね、それは例えば教育研究大会ですね、これは何も破壊活動防止法等に関連のある会でも何でもないわけですが、こういう会にどういう先生が出席したか、それから又どういう研究発表をしたかということを警官は調査いたしております。これは地方公安調査局に全部通じておると、こういうふうに私は判断しております。こういう調査をやるのには今都道府県庁の所在地の都市のみに調査官がおるのでは十分にそういう調査ができないから、それで駐在官という者を県庁所在地以外に配置して、こういう種類の調査も綿密に成し遂げよう、こういうようなお考えの下にこの駐在官を殖やされた一つの理由があるのじやないか、こういうふうに私は推測するわけです。そうなりますとね、私先ほど申上げましたように、この駐在官の教養なり又教育に相当配慮をなさつておられるようでございますが、この点も問題になりますし、この教養を一歩誤まるとですね、現在まあ吉田自由党内閣でありますが、この自由党内閣の政治の進み方に対して少しでも批判的であつたり又この政府の問え方から好ましくない会であり、又言動をとるところの団体なり並びに個人に対して調査の目標を立てるということ自体ですね、これは個人の権利それから思想の自由、そういうものを大きく制約して来ることになるわけで、非常にその点は私は懸念されると思うのですが、その点についてはどうお考えになられますか、お答え願いたい。
  60. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私どもは決していわゆる特定の政府或いは政党に反対するが故に破壊的団体であるというようなふうの考え方を持つたことは一回たりともございません。それから我我が教育研究大会の出席者のメンバーを直接調べたとか、或いは警察官に頼んで調べてもらつたというようなことは、これは全くございません。いつも破壊的団体というものに焦点を絞りまして、いやしくも濫に失しないように調査しておるのでございます。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや小さくなりますが、第十九国会で教育二法案の審議の過程に、教職員の中に共産党員が同名いるというようなことを調査されたのを発表されましたね、確か衆議院の委員会であつたかと思いますが、ああいう数字はどういうようにして集められましたか。その点伺いたいと思います。
  62. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 調査の方法はいろいろございますからそれを具体的にに申上げるわけには参りませんけれども、確かに私のほうでは前国会で教育二法案審議の際に、私どものほうのそれに関する資料を提出してございます。これは党員なるが故にこれを調査したのでありまして、それから教育研究大会の前にも党員のみの集まつたいわゆるグループ会議がございます。これは決して教育研究大会とか或いは日教組というものとは全く別個のこれは組織でございます。そういうものにつきましては、我々のほうはやはり破防法の趣旨に基きまして調査をしております。で、党員約十万その中で比較活動的な者約半数というふうに見ておりますけれども、これらの人々は決して全部職業党員ではないわけであります。中にはやはり教員の人もあるわけであります。そういう意味で私どものほうの調査の結果自然に出て参つたものを当時国会のお求めによりまして資料として提出したに過ぎないのであります。決して党員とそれ以外のまあ自由主義者と申しますか、そういうふうな人たちとを無差別に調査をしておるということではございません。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は警官とかこういう調査官、こういう役人の多い国家社会というのは重々しく感じられて好ましくないと思うのです。できるだけそういうお役人というものが少い社会ほど私は明るく住みよい社会であると、いうふうに考えるわけですが、そういう立場から先ほども伺つたように、確かに現在は平静になつておるし、又発足以来皆さんがたのところで公安審査委員会に請求した案件は一件もなかつたという報告も午前中伺つたわけですが、こういうときに駐在官を五百十人も増さなければならないというのがどうも納得できないのですが、先ほど私が申上げたように各県の県庁の所在地に若干いれば、その県下の小都市にまて駐在官の名の下に配置しなくてもよろしい情勢じやないか、どうしてもそれを配置しなければ現在危険だと、それを判断される一般情勢でありますか、重ねてお伺いいたします。
  64. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 警察調査の結果を聞けばいいではないかということは私は非常に不適当だと考えておるのであります。警察活動にはやはり警察活動の限界がございます。我々のほうの、主なる目的一つとして、先ほど申上げたように、党員ならば党員というもりをそのほかのものと区別して調べて参るというようなことが非常に重要でございます。それから又或る非公然の文書が出て来ました場合にも、それの真偽を先ず判断してかかるというような作業をいたしております。で、常時そのような調査警察活動の中でできるのだというふうな前提をおとりになるならば、或いはそれは一つ警察活動の結果を聞けばいいではないかということも御尤もと思うのでありますけれどもどうもそういうふうには現在の制度はなつておらない。又そういうふうにしては又別個の弊害があるしいうふうに考えるのであります。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 今、警察との関係つて言われたんですが、今日、警察のほうでも、大分共産党並びにそのほかの団体についての調査とか或いはそれに類したことをやつておるのですね。これは警察のほうでは、あなたのほうでも報告を受けられておるのですから御承知でしようが、どういう機構でやつておるのですか。
  66. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私ども警察のほうの機構について、責任があるお答えをするほどのものを詳しく存じておりません。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあそう言つてお逃げになるのでしようけれども報告を受けられる相手のほうがどういう活動をしているかということをお知りにならんはずはないと思う。例えば、警察の公安係、その上だつて警備課長のところで盛んにやつておるじやないですか。この間も法務委員会で問題になつたんですが、鳥取県で以て警備課長みずからの指揮によつて、何か警部補が自分で以て共産党員の会合場所の所へ秘聴器を取付けて、その情勢を探知した。ところが、その秘聴器が発見されていろんな問題が起つた、こういうよりな例があるわけですね。これはあなにのほうのやつておる党員の活動を一一探知するのと同じことなんです。こういうようなことを警察のほうから公安調査庁のほうに報告しないはずもないし、又恐らく鳥取県の調査局のほうでは、それは必ず報告は受けておると思うのです。その受けておる相手の警察がどういうところをやつておるかわかりませんと、そんなことがありますか。これは長官にお伺いしたいのですが、そんなことが常識で考えられますか、相手がどこだかわかりませんなんて。
  68. 岡田宗司

    岡田宗司君 方法を聞いておるのじやない
  69. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 情報の交換はしておりますけれども、どういう方法で…
  70. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) やつておるかというようなことはお互いに話合つておらんと思います。私は小さいことは存じませんが……。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は方法を言つておるのじやない。それは秘聴器で以て動勢を探つたのもありましようし、中に情報を取る人を置いてやつておるのもありましよう。併し、そういうことを聞いておるのじやない。警察のどの課が活動して、どの課から報告を受けておるかと、そのくらいのことは知らないはずはないだろうからお聞きしたのです。
  72. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 警備課関係から報告は受けておるのだろうと思います。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、警備課というのが大体そういう活動調査に当てておる、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  74. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) それは私責任を持つて申上げることはできません。警備課から受けておるであろうという想像でして……それは実際知らないのです、具体的なことは。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、国警との関係先ほど国警から報告を受けて、国警のほうにも報告をすると、それから検挙等に当つては、国警と大分密接な関係をとられるのだろうと思われるのでして、例えば、松本三益君の逮捕のときには、公安調査庁から警察のほうに通報する。そのくらい密接な関係があつて、どの課とどの課がやつておるか知らないと、そんな馬鹿なことがあるでしようか、一体。
  76. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 私のお答えが非常に不十分でありましたのでその点はお詫びをいたします。ただ先ほど警察のほうでそういうほうの調査をやつている機構全体についてのお尋ねのように私承わつたので、そういうふうな全般のことについて責任のあるお答えはできないということを申上げたのです。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 それを聞いているのじやないのです。あなたのほうの関係の範囲を聞いている。
  78. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私のほうと連絡しておりますのは、警察庁のほうでは警備部が主としてやつております。併し例えば刑事関係のほうの結果でたまたま何らかそれに参考になるような、或る人物の所在が明らかになつたというような場合には、刑事部のほうとも連絡をとる態勢を私どものほうでは持つております。態勢と申しますか、用意はあります。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にもう一つお伺いしたいのですが、この前釧路でもつて破防法関係逮捕されて起訴された者か無罪になつた実例があるのですが、あれは地方公安調査局が活動してそして警察逮捕してもらつたものなのか、警察のほうだけでやつて、そして破防法で起訴をして、そしてあれが裁判の結果ああいうことになつたのか、どちらですか。
  80. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) あれは破防法の刑罰違反の事犯でありまして、本来片警察、検察の線で処理すべき事犯でもございますし、又現実に事前に私どものほうに連絡があつて、域いは私どものほうから要請してやつたというような事実はございません。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 その後ああいうような破防法関係事件というものは幾つか出ておるのですか。
  82. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 全国で釧路を含めまして四カ所四件繋属してございます。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 あとの三件はまだ裁判中ですか。
  84. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) いずれも一審公判繋属中でありまして、釧路の事件が一番早く済んだのでございます。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 釧路の事件について、これは長官にお伺いするのですが、公安調査庁長官としての御感想ですね。あの裁判の結果についての御感想を承わりたい。
  86. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) あれはビラの認定如何の問題だろうと思うのです。今私「自身としてまだ裁判が確定していないときに、私の見解を申上げるのはちよつとお許しを願いたいのです。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはこういうことなんですよ。ビラの認定如何というのですが、あれは無罪になつたわけなんですが、とにかく破防法に引つかけようとしてあのビラが問題になつたわけなんです。その結果はつまり破防法に引つかからなかつた。そうすると、公安調査庁というのは破防法関係を専門に取扱う機関なんですが、それがああいう事件について何らかの態度を持つていないわけはないと思うのです。私は個々の裁判、まあ釧路の例をとつて、裁判の判決については、あなたの批評を求めようとはしないのだけれども、ああいうふうなことが一々破防法に問うというようなことが、公安調査庁の長官としてどうお考えになるか。その点をお聞きしたいのです。
  88. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) あれは刑事犯でございまして、我々の公安調査庁はああいう事犯は取上げないのでございます。ただそれに対して関心は持つておりますけれども、あれを我々の調査対象調査に重大なる影響の及ぶものとしてそう重要視しておりません。まだ研究が不十分と言われればそれまででございますが、関心は持つております。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 破防法の運用の上に重大な問題だろうと思うのです。公安調査庁長官というのは、やはり破防法の運用を裁判官とは別の面でいろいろ考えていると思うのですが、あれは第一回の事例なんでこれはやはり関心を持つておるならば、その関心がどういう点にあるかということをお尋ねしたい。
  90. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 関心……その点をお答えすれば批判になりますので、それは今差控えたいと思うのです。結局批判になりますから……。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、第一審が無罪になつた、それであれについてはいいとも悪いとも言えない、こういうことなんでございますか。それとも無罪になつた、あれは不服だがまあこの際何とも言わない。こういうことなんでございますか。
  92. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) その点についてはこの際はお答えをお許し願いたいのです。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、公安調査庁の長官が破防法の運用について意見が出せないというので、これはどうも僕らとしては長官としての責任ある答弁をお聞きできないと、これは今後の運営についてもいろいろわからない点が多いと思うので、非常に遺憾ですが、言えないというならこれ以上聞いてもお言いにならんから、これでやめます。  次にお尋ねしたいのは、予算の面で二十九年度予算公安調査調査活動費一億四千七百万円であります。そして三十年度の要求が約倍になつて、二億六千三百五十二万円になつた。この公安調査官の調査活動費のうちで、いわゆる情報を得たものに対する報酬といいますか、これは私は相当含まれているのじやないかと思うのですが、この一億四千七百万円のうちで情報に使つた費用は大体どれくらいですか。
  94. 関之

    説明員(関之君) お尋ねの点でありまするが、これは本来の性格が情報活動以外には使わないものなのであります。要するにああいう地下組織秘密結社的な一つ組織というものは、やはりこういう費用によつて調査の線を切込んで深めて行くということ以外には方法はないので、要するにその金でありまして、今のお尋ねの点は殆んど、殆んどというよりすべてをその情報活動に使つておる、こういうふうに申上げざるを得ないのであります。その点を御了承願いたいと思います。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは一年間に一億四千七百万円使うわけですが、これは大体の予算ですから、見込み額であるが、この十月末くらいまでにどのくらいお使いになつておりますか。
  96. 関之

    説明員(関之君) この金は年額をここに上げてあるのでありまするが、予算といたしましては、これを月額に平均いたすわけであります。そうすると、約千二百万円程度になるわけであります。それを四半期ごとの示達を受けまして、更にそれを毎月に分けまして、そして大体一般予算の取扱例を実際の扱いの期限といたしまして、そして各局に配り、そして各調査官がそれぞれの費用を得て、調査活動に従事する、こういうことになるわけであります。それで結局お尋ねの点に対しては、大体千二百万円の四月から今月までの金、それが今日までに使つた金というふうになるわけであります。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 この調査費用は情報を得る金ということになりますと、例えば共産党員の中で情報を提供しておる者に、月々月給のような形で報酬を支払つておるというのが相当多いだろうと思うのですね、そういう形で出しておるのですか。
  98. 関之

    説明員(関之君) 私どものこの金に対する運用の方針といたしましては、要するに情報なり資料なり、団体規制上必要なものの提供を受けたものに対する実費弁償として払う、だからその情報なり資料を頂くと、それに対する実費弁償の考え方で金を交付しておる、こういうことになるわけであります。そこで只今の月給的だとかそういうようなことは考えていないのであります。要するに考え方としてはその都度都度のことになるわけでございます。一人の人が継続すれば、或いはそういうふうに毎月ということになりますが、考え方は要するにその都度であります。そうしてその価値その他のものを判断いたしまして、そうして実費弁償的な考え方でこれに支払つて行く、こういうことになるわけでございます。
  99. 岡田宗司

    岡田宗司君 来年度は倍になるのですが、これは単価を倍にするというのですか。提供の件数が二倍なる、そういうお見込ですか、どちらですか。
  100. 関之

    説明員(関之君) 主として後者の考え方なのであります。ああいうような地下組織秘密的な団体の実体を明らかにするためには、どうしてもそういうような情報線を切り込んで行くほかはない、だからその線を殖やす、そういう考え方が主としての考え方なのであります。
  101. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは一件について、相当多額なのもあるのですか。今までに払つたうちで、一件についての最大の額はどれくらいだつたのですか。
  102. 関之

    説明員(関之君) これは今まで五万円前後のところが一番かと思つております。(「小さいな」と呼ぶ者あり)
  103. 堀眞琴

    堀眞琴君 岡田委員並びに矢嶋委員等から大綱についてはもう質問済みでありますが、まだこれらの問題の中でも納得の行かないかずかずの問題があるようですから、私は極く簡単に質問したいのです。  先ず第一に、これは岡田君が聞かれたことですが、調査の実績に関する問題です。勿論これは五百十人の増員と関連している問題ですが、どうも公安調査庁のお答えを聞きましても、果して現在の千六百何人、これでも多いのじやないかというような感じがするのです。而も午前中の御説明では、公安審査委員会処分を請求した事件一つもない、もつぱら団体規制に必要な資料調査しているのだ、こういうようなお話なんですが、その具体的な調査の方法をお伺いしないと、千六百人でも非常に多いという感じがするのに、その上五百十人もなお殖やすというのですから、その点少し具体的にお示しを願いたいし、又午前中のお話で毎週並びに毎月調査月報、調査週報というようなものを広く関係方面に頒布している、こういうお話つたのですが、その調査月報や調査週報等をお見せ願いたいと思うのです。
  104. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 調査月報、週報などはそのように取計らいたいのでございますけれども、その中にやはり調査の相手のほうから見ますというと、公安調査庁のいろいろな調査についての資料が得られるわけでございます。それでそういう点について、相手方のほうで非常に注意しておりまして、やはりそれに対する対策としまして、関係機関の内部には、午前中申上げたように相当広く利用してもらうために配付してございますけれども一般に流通するような過程には提出を差控えさして頂きたいというふうに考えるわけであります。  それから調査の具体的な方法はどうとかいうお尋ねでありますが、これにつきましては、私どもはあらゆる方面から組織的に且つ合理的に調べておるのであります。従いましてその方法を尽すことはできませんが、ただ直接資料を得る点につきましては、御承知のように破防法では公安調査官には原則として強制的な権限は何もございませんから、結局新聞記者諸君の取材活動というようなふうにお考え下されば大体において公安調査官の仕事ぶりを御理解願えるのじやないかというふうに考えるのであります。
  105. 堀眞琴

    堀眞琴君 その調査月報等のことですが、只今一般には配付することがむずかしいというお話でありましたが、私は一般にこれを配付せよという意味ではなくて、ただ内閣委員である我々くらいには調査月報等をお示し願えれば、毎月の公安調査庁調査のしぶりというものが一応わかるのじやないか、そうでないと、最も合理的に、最も科学的に調査を進めているのだというだけでは、抽象的であつて、果して千六百人の人たちがどのような調査をしているかということがそれでは少しもわからない。それから調査の方法につきまして重要なる資料を集めて、それを調査しているのだ、而もその調査の仕方は新聞記者の取材の方法と全く同じである、こういうお話でありますが、まあ今まで共産党のほうから非公然に出されているところのものを手に入れて、これも十分調査をしているというお話をされましたが、例えば教員組合の中に何人か共産党員がいるというようなお話先ほどつたのですが、こういうような調査の仕方はどういう仕組みによつて調査されているのですか。これも少し具体的にお伺いいたしたいと思います。
  106. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 午前中申上げましたように、一つの大きなまとまつた刑事事件の捜査の途中の段階というのと同じような段階でありますために、只今のような点につきましても具体的なお答えができないのは大変遺憾であります。従つてお答えも自然抽象的になるわけでありますけれども、党員の数といつたようなものも、これは個々の党員を確認した結果集計される場合もありますし、又一方その他の党内の資料から全体の数を知り得る場合もございますし、いろいろの場合がございます。又それが私どものほうは一つ資料で即断するということはいたしておりません。いろいろなデータを総合しまして間違ないということ、まあ具体的に申せば将来例えば公安審査委員のかたがたにも十分納得して頂けるというような程度のものを一応確認というふうに申すわけであります。
  107. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今お話で個々の党員等について確認した場合もあるというお話ですが、そういう場合は具体的にその本人に会われて、あなたは共産党員ですかということをお聞きになるのですか、そういう形で調査をされるわけですか。
  108. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) そのような場合もあろうかと思います。例えば岡谷事件、長野県の岡谷警察署襲撃事件で、山辺健太郎氏が出て行つて、この場合には自分で党員であるということを申しております。そのようなデータはやはり私のほうでこれを集めておるわけであります。それからアカハタなどにいろいろ党員の誰というようなことがしばしば出おります。そういうふうなことから党員ということがわかる場合もあると思います。一概にはどうもいろいろな場合がございますので。
  109. 堀眞琴

    堀眞琴君 先ほど単位団体等は破防法発足当時から比べると遥かに多くなつておる、党員等も大体十万と推定されるというお話でありましたが、その十万人とか或いは六千前後の単位団体があるという調査は、これはそういうふうな形でお認めになつたという工合に私ども判断するわけですが、ところが今お話のように自分は共産党員である、或いはアカハタ等に名前が出ておるというようなことくらいの資料では、十万人の数の推定というのはなかなか出て来ないのじやないかという感じがするのです。この単位団体の六千前後とか或いは党員の十万人という推定の根拠はどういう資料から、具体的に余りお話ができないというお話になるかも知れませんですけれども、必要な範囲においてあなたのほうでできるだけ具体的に、それを推定された根拠をお示し願いたいと思います。
  110. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 共産党員推定約十万と申しますのは、仰せの通り個個の党員を確認して行つて、その総計が十万になるという意味ではございません。先ほどちよつと申上げたように、そういうふうにして或る部分或いは全体の数字というものを知る場合もございますし、それ以外の資料によりまして数そのものを知る場合もございます。十万という場合は後者のほうでございます。
  111. 堀眞琴

    堀眞琴君 次に増員の要求の理由でございますが、先ほど二年間の公安調査庁の実績に徴して現在の公安調査官では手不足であるという御説明があつた、併しそれだけでは五百十人の増員を要求される理由としては極めて薄弱ではないか、これは岡田君も十分衝いておつた問題だと思うのですが、その点についてもう少し具体的に、ただ二年間の実績でどうしても今の定員では我々の責任は果せないのだというだけでなく、これだけの仕事が殖える、だからこれだけの人間が要るのだというのでないというと、増員の理由としては極めて薄弱だと思うのですけれども、もともと行政官庁の筆にどれだけの人員を配置するかということは、これは仕事が中心になつて来る。その行政事務が増加するというところから、人員の増加ということが当然現われて来るわけであります。ところが先ほど来のお話を聞いて見ますと、どうも人員を増加すれば事務はやつて行けるのだということしかおつしやらない、行政事務のほうがそれに伴なつて増加しておるのだということの御説明は少しもなかつたように思う。その点をもう一度御説明願いたいと思う。
  112. 関之

    説明員(関之君) お答えする結論は前に申上げたようなことに結局帰着するかと思うのでありますが、一つの県に例えて申しますと十人しかいない、こういうような一つの例をとつて、例えて見れば岩手県であるとか青森県であるとか個々の一々の例をとつて見まして、そうしてその十人の職員、そうして相手かたの破壊的分子の配置態勢、その組織態勢はどうなつておるか、然らば我が庁の調査の個人の一人というものはこれはもう限度がありまして、一人の調査官がこれしかできない、十人ではこれしかできないというような、そういうふうな個々の事例の一々について実は検討いたまして、そうして今の段階においては最少限度としてこういうような職員の増加が必要であるというふうに考えたものであります。まあそんなようなふうにして五百十人という数字を出した次第でありまして、結論的なことでありまするが、かような次第で出したことを一つ御了承頂きたいと思います。
  113. 堀眞琴

    堀眞琴君 例えば熊本県の場合は十人の調査官がおつて、そしてそれが共産党ばかりではない、これに類する諸団体の破壊活動調査しているのだ、ところが十人ではその調査が十分にできないのだという、こういうお話なんですね。ところが調査仕事というのは、これは勿論多ければ多いに越したことはないというのは、これは一般に考えられることなんですが、併し何も調査官仕事は、例えば共産党員の一人一人について、今日はどこへ行つたとか、どういう会合を行なつたとかということを一人一人、昔尾行がついたように共産党員の活動をそれぞれ跡をくつつけて行つているのではないと思うのです。文書であるとか或いは資料であるとか或いは大まかなところでどういうふうな動きをしているかというようなことを大量的に観察するのが、私は調査官仕事ではないかと思うのてす。そういう場合に、どうして十人を二十人にすればそれが完全にできるのであるかという、その根拠が私どもには少しも理解できない、そういう点をもう少し具体的にお話し願いたいのであります。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつとその答えの前に、あなたはさつき説明のときに、熊本県は大県だから熊本県を例に挙げられて今堀委員からもお話があつたのですが、実は私は熊本なんです。先般私はこういうことに関心を持つているから小林警察隊長にも会いまして、熊本県内の諸団体の動向をつぶさに事情を承わつたのですが、小林警察隊長は、熊本県は大県ですけれどもこういう方面は一切心配はない、非常に勢力は減退した、(笑声)こういうことを二十日ほど前に承わつたのです。少くとも熊本県に関する限り十人で結構です。こういうことも頭に入れて御答弁願いたい。これは小林隊長から直接聞いたことですから間違いないと思います。念のために。
  115. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 只今の御感想を持たれることは御尤もだと思うのでありますか、そこに警察目的調査する場合と、私どものほうの観点で調査いたします場合の差違が出て参るのであります。やはり警察活動の当面する目的は、いわゆる個々の警備活動でありまして、どこで今すぐ火炎ビンを投げるとか、或いはデモが暴れるのだとか、こういうふうな観点がやはり第一義的になつて参ると思います。そういうふうな意味ではこの近い見通しの期間内に熊本県においてかようなことは起らないであろう、こういうふうな趣旨で恐らくは警察のほうは申しておるものと思いますつそれでは仮に情勢が変りまして、再び例えば共産党が軍事行勅を宣伝し始める、そうすれば今度の立上りは、この前の朝鮮戦争の場合よりも余ほど早いと見なければなりません。そのときに何らか必要な手を打つことか、じやあそのときになつてからでよろしいかどうかということになると、先ほどから申上げております通り、大きな複雑な組織を相手の調査というものは、このような調査期間外に常時続けて行かなければならないというふうなものでございます。そこに警察的な観点とそれから団体調査の観点との明瞭な違いが出て参るわけであります。  それから先ほどの堀さんの御質問の点でございますけれども、これ又抽象的で甚だ恐れ入りますが、事務をやつておりまして、相手方の団体というものもこれは生きておるのでありますから、常時新陳代謝が行われます。そうしますと或る程度の、例えば人員で調べておりまして、その新陳代謝に追付けないで、今までのものが全部古いものになつてしまつて、審の河原のように新らしい努力を積み重ねて行かなければならない、而もそれが常に不十分であるような状況と、それから新陳代謝に追付いて、従来の調査がすでに集積されて参るという情況と、事務的にはそこのところをやはり後者のほうに持つて行きたいという要望が非常に強いのであります。この点を明確に具体的にお話しすることはできないのでありますけれども、併し御説明できないのは決してそういうふうな実績がないからではなくて、ただ実績を明確にお話しすることができないという制約のためでございますから、一つ御理解願いたいと思います。
  116. 堀眞琴

    堀眞琴君 どうも何をお尋ねしても抽象的なお答えしか得られませんので納得することができないのですが、その次にちよつと予算のことをお尋ねしますが、旅費の中に団体調査旅費というのがあります。これは二十九年度に対して三十年度には倍以上に増額されておるのですが、この団体調査旅費というのはどういう内容の旅費ですか。
  117. 関之

    説明員(関之君) このお尋ね団体調査旅費でございますが、結局調査官が出て行つて調査するということになるわけであります。そこでその出て行つて調査するその費用が団体調査旅費、こういうことになつております。
  118. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうすると職員旅費とは違う性質のものなんですか。
  119. 関之

    説明員(関之君) この旅費の中の職員旅費とありますが、これは一般行政庁にあります何と言いますか、行政の出張旅費とかというものでありまして、このほうは特定の課員の旅費というものが含まれておるのでありまして、これとは全く別個の調査するそのための費用というのがこの団体調査旅費になるわけでございます。
  120. 堀眞琴

    堀眞琴君 職員旅費というのは何ですか、調査活動のためでなく行く場合の旅費職員旅費ということになるのですか。
  121. 関之

    説明員(関之君) 大体そういうふうにお考えになつてよろしいだろうと思います。これはすべて役所に全部、恐らくあらゆる役所に同じ名目で出ておる旅費かと思います。
  122. 堀眞琴

    堀眞琴君 そうしますと、職員旅費というのは、何の目的で以て旅行するのですか。
  123. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 職員旅費調査旅費の違いというのは、これは要するに予算の技術上のものかと思います。併じ検察庁あたりで申しますと、本省で会合なんかやります場合、皆地方から集まつて参ります。これは直接犯罪捜査のためではないのです。そういうのは職員旅費のほうに含んで、直接犯罪捜査のほうは検察庁のほうでは検察旅費になつております。本庁なんかで会議なんかをやりますとか或いはブロックの公安局で地方局長を集めて会議なんかをやりますとか、そういうための費用は職員旅費でありまして、直接調査のために出張するその旅費調査旅費でございます。
  124. 堀眞琴

    堀眞琴君 その職員旅費にしましても、それが七倍からに殖えておる、これはその増額の中では一番大きな増額の部分を占めております。率の上から一番大きいと思いますが、これはどういうわけでこんなに殖えておるのですか。
  125. 関之

    説明員(関之君) これは、このような増額をお願いいたしたのは、結局調査官は、向うが来てくれるというのではなくて、出張つてつて調査をするということが、調査のやり方としては大部分の場合そういうことが多いのであります。従いまして調査旅費がなければ、出て行つて調査ができないということになるのであります。そこで現在の五千三百万円の今年度予算におきましては、調査官調査活動が、我々が希望しておるよりもほんの一部分しか賄い得ないような状況でありますから、それらを見まして、どうしてもこの程度増額願いたいという額が、実は一億一千万円の線なんであります。
  126. 堀眞琴

    堀眞琴君 私は職員旅費のほうの増額のことを聞いておるのであつて、今のお答えでは、調査官調査のために出張する場合でも職員旅費をお使いになるわけですか。それと団体調査旅費との区別はどういうふうにしておやりですか。
  127. 関之

    説明員(関之君) お尋ね職員旅費増額でございますか。聞き間違いまして大変失礼いたしました。このほうは従来これだけ頂いていたのでありますが、これは主として只今次長からお答え申上げたように、いろいろ各地で行う打合せの会議の旅費、それからこの調査事務の遂行上各種の会議や打合せ会をどうしてもしなければならない、その会議の一定の計画、新年度における年間の計画を考えてみまして、そうしてそれから見まして大体この程度職員旅費を頂きたいと、こういうことになるわけであります。それで、現在でありますると、その会議も実に一年に僅かしか開けなくて、なかなか連絡のほうはうまく行かないというようなところに重大な欠点があるのであります。そこでこの程度増額をしてその点をスムースにいたしたいと、かように考えたわけであります。
  128. 堀眞琴

    堀眞琴君 例えば本庁の会議がある或いはブロックの会議があるというようなお話で、そのための費用だと、こういうわけですね。そうすると本庁の従来の会議は何回ずつくらい或いはブロック別の会議は何回ずつくらい、三十年度はそれをどのくらいづつに見積つておられるのか、概略の数字でよろしいのですが、それをお示し願いたい。
  129. 関之

    説明員(関之君) できるだけ正確に御報告申上げたいと思うのでありまして、今ここにそれらの予算資料も持つておりませんから、後刻調べて御報告申上げたいと思います。
  130. 堀眞琴

    堀眞琴君 それから公安調査調査活動費というものがあります。これも先ほど岡田君が触れられた問題で、約倍に近い増額になつておるわけであります。これは勿論五百十人の調査官増員されることをも含めての調査活動費だと思いますが、この調査活動の内容の問題、先ほど岡田君から資料等はどういう工合にしてとるのかというお話があり、それに対する回答があつたわけですが、調査官調査活動というのは、要するに資料や文献等を調査されるのが主だと思います。先ほどその一件についての、例えば資料を提供してくれた者に対する費用は五万円くらいが最高だというお答えがありました。それを一応前提として考えてみますというと、非常にこれが今までも一億四千七百万円、相当の多額に上つておるわけです。それを二億六千三百万円ですか、倍に近い増額をされておるわけです。一体果してそんなに共産党或いはその類似団体に関する資料、文献等を、あなたのほうではそんなにたくさんおとりになつているのかなつていないのか、私はどうも不思議に思うのです。先ほど何か軍事方針を書いた  「球根栽培法」であるとか「内外評論」であるとか、まあ「アカハタ」は公に売つておるものでありますが、その他は秘密の出版だとして、それらのものを手に入れるのにそんなに多額の費用が果してかかるかどうか。最高が五万円だとすると、ものすごく費用を、何というか、濫費しているのではないかという感じがするのです。大体の例えば得られるところの資料、これは一カ月にどのくらいあるのか。先ほどは一千二百万ですか、月に一千二百万円すつ使つておるというお話でありましたが、一千二百万円という毎月の大、体の平均で考えて見まして、そんなにたくさん資料があるのかということを私は疑うのですが、それらを極くかいつまんでお話を願えれば結構だと思うのです。
  131. 関之

    説明員(関之君) この調査活動費でありますが、先ほど申上げたごとく、今日破防法の観点から破壊的団体というような容疑を以て調査対象としておるのは日本共産党と北鮮系の朝鮮人の結成する二、三の団体、こういうことに相成るわけでありますが、主としてそれらのものを対象として調査を進めておるわけであります。ところでこれらの団体は自己の存在を秘匿し、その活動をいわゆる地下アンダー・グラウンドにおいてこれを行う。我々にわからないような方法を十重、二十重に考えてそうしてその方法でやつて行く、こういう方法に相成つておるわけであります。その内容の実体を解剖するということになるわけでございます。その内容を究明する費用なのであります。そこでこうトータルの額としてここで見ればかように大きな額でありますが、これを一カ月に割つて更にそれを全国のこれに割つて見ますると、現在におきましては相手方団体の地下活動の堅さを破るにいたしましては、私ども役所としてどうも不十分なのであります。それでそういうふうな地下で相互の連絡も極めて秘密にしているそういう団体の実体を明かにするためには、全国各地におきまして、総合的にその資料を検討して、そうしてこういうようなものでこうなるというふうに資料情報で総合的に判断する。一本ばかりではいけないのでありまして、北海道の果でも或いは鹿児島の果でも、これこれのものはこういうようなことが考えられる、そういうことを一つ一つ累積して、そうして全体的な判断をして行く、こういうふうに調査を進めなければならないのであります。そういうような調査ということがどうしてもこれは必要なのであります。そのためにこれらの費用が必要だということに相成るのであります。そうして私ども役所もスタートしてここで二年若干越えたのでありまして、そうして各調査の線も漸次成長しつつあるのでありまして、その観点から見まして来年度におきましては、どうしてもこの程度調査活動費をお願いして、そうして従来不十分とされたところの組織対象団体の実体の究明に資したいと、かように考えておる次第であります。
  132. 堀眞琴

    堀眞琴君 調査活動費の一番、一番というよりもそれの大半を占めるものが資料とか情報とかそういうものに使うお金だと見ていいですか。
  133. 関之

    説明員(関之君) お尋ね通り全部そのお金であると申上げて差支えなかろうと思うのです。
  134. 堀眞琴

    堀眞琴君 総合的にいろいろ調査をして判断を下す。これは調査活動をやる上での当然の活動でありまして、これにはまあ資料情報等が揃つておればそれは当然行われる活動でありますが、それは別に議論はないとして、併し先ほども申上げましたように本年一億四千七百万円もそういうふうな資料情報等にお使いになる。これでも非常に私は大きいと思うのです。一体具体的に月に千二百万それを各地方のほうにまで分割すると非常に小さくなるというお話でありますが、総合的におやりになつておるわけですから、決して地方にそれを分割したからといつてその調査活動費か小さくなるとは言えない。全体としてはやはり一億四千七百万円も一年でお使いになつておるわけです。その資料情報等が全部の金だとすると、どういうようなそれから又どのぐらい月平均してそういうような資料情報等が得られるのでしようか、大ざつはなところでお答え願えないですか。件数を大体……。
  135. 関之

    説明員(関之君) この調査活動費によつてどの程度資料情報が得られるかというお尋ねでありまするが、実はこの点につきましても、その詳しい点についての御説明は実は勘弁して頂きたいと思つておるわけであります。(「内容を聞くのじやない」と呼ぶ者あり)
  136. 堀眞琴

    堀眞琴君 内容はどうでもいいですから大体の件数を……。(「情報の件数だ」と呼ぶ者あり)
  137. 関之

    説明員(関之君) その点もどうも、実はこれは私どものほうの役所調査対象団体からよく注意されておりまして、各種の情報網についての私のほうの内容を明かにしようというような動きがあるのでありまして、どうぞその数その他の問題につきましても、その点での御説明は差控えたいと思いますので悪しからず御了承をお願いしたいと思うのであります。
  138. 堀眞琴

    堀眞琴君 それからその他というところに、一番先に謝礼金というのがあるのです。二万七千円のところを今度は百十九万一千円を要求されている。この謝礼金というものの性質はどういうものですか。
  139. 関之

    説明員(関之君) この謝礼金は、公安調査庁研修所があるわけであります。で、研修所に参りました先生にお礼を出しているわけであります。実は従来のような金額では、一回来て一時間に二百円か三百円しかしげられないというような状況でありまして、よそのいろいろの例を見まして、まあ不十分ではありまするが、一応御満足の頂ける程度に差上げるというと、このような金額に相成るわけであります。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干短時間に伺います。先ず伺いたい点は、先ほどから質問が行われていますが、公安調査調査活動費で、すねこの予算支出に当つては全部領収書は確保されておりますか。
  141. 関之

    説明員(関之君) 確保しておるのであります。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどからの質疑応答を承わつておりますと、一つのネタが挙つて来ると、それを評価して、その評価の如何によつて五万円になつたり一万円になつたりする、そういう支出の仕方をしているわけでございますね。
  143. 関之

    説明員(関之君) 大体といたしましてはそういう建前で情報の価値判断をいたしまして実費弁償をいたしておるということになるのであります。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その価値判断するに当つては、委員会か何か作つておりますか。或いは担当官の自主的判断によつて決定されておられるのですかどうですか。
  145. 関之

    説明員(関之君) これは実際問題といたしましては勿論その委員会というようなものは作つておりませんが、当該の役所責任者が自己の判断をなし或いは部下の課長等で判断をしてやるということに相成つておるだろうと思うのであります。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この要求が通つた場合は約一億六千万の金額でありますが、この支出の仕方については随分と私は問題があると思いますが、時間の関係で今日はこれは問題があることだけを指摘して次に伺いますが、それはこの仮定の下に伺います。今皆さんがたが五百十人の増員要求をしておりますが、これが大蔵折衝で認められてこの内容が予算案に織り込まれる、そうなつた場合にこの五百十人の増員分の採用はいつ頃されるか。それと、それから先ほどから私伺つておりますが、調査官並びに特に今度最も多く増員される駐在官ですね、こういうかたの教養という立場から考えた場合の採用方針ですね。教育というものをどういうふうに方針を立てられておられるのか、その点と、この予算比較表最後にあります学生教育委託費というのが三十年度の要求に初めて出て来ておりますが、それらとの関連についてお伺いしたいと思います。
  147. 関之

    説明員(関之君) この第一点のいつ頃から採用をするかというお尋ねでありますが、これはその予算が認められ、又定員法が改正になるといいますか、法律の改正が認められて実施されるので、実施されますれば、そのときに大体の既定の今までいろいろ考えた考え方に更に再検討を加えまして実施されるというお答えより方法がないと思うのであります。  次にこの駐在官の教養の問題でありまするが、これは破防法のできましたときに、結局問題はその職員の教養の問題である、職員の素質の問題であるというところの結論になりまして、公安調査庁研修所というものを、小さい役所でありますが、特に認めて頂きまして、そこで全職員を順ぐりに研修いたしまして、調査の運用上過ちのなきことを期しておるわけであります。そこで新らしい職員は原則としてその本部の寮の中に入れまして、一カ月なり、或いはそれ以上の教養をいたしまして、そうして地方調査に従事させるというような考え方を現在とつておるわけであります。  次にこの学生教育委託費でございますが、これは実は御承知のごとく調査対象団体朝鮮人がおります。最近におきましては会合はすべて朝鮮語を使つてさつぱりわからないのであります。そこでこの委託費は、朝鮮語の学校に職員を出して朝鮮語を覚えてもらう、こういうような費用として初めて出してみたのであります。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 調査官の一部の人が朝鮮語学校に行つて朝鮮語を勉強するための費用か、或いは現在大学に籍を置いている学生に朝鮮語を学習させて将来調査官になるという条件の下に費用を支出されるのですかどちらですか。
  149. 関之

    説明員(関之君) それは前者であります。職員を、朝鮮語を教えている学校にお願いして、そうして半年くらいかかると思いますが、その学生の教授委託費がこれなのであります。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は確認いたしておきますが、先ほどのあなたの御答弁で、というのは、よくこういう増員計画の場合、定員増の法律の通らない、予算案も国会で議決されない前に新卒の学生を採用予定者として内定しておいて、四月が来たら、早く法律を通して予算を通してもらわないと、採用内定しているのを採用することができないということをよく言われるのです。私は念のために伺つたのですが、あなたの答弁では法律が通り予算が通つたあとに増員されるという答弁をされたわけですが、それは絶対間違いありませんね。
  151. 関之

    説明員(関之君) それは形式的に申上げましてもきまりきつたことであります。決して只今内定するとかそんなようなことは全然考えておりません。法律が通つてから今まで考えた方針を更に検討いたしまして、そうして採用をするという考えであります。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二点伺つて終りますが、先ず第一点は、あなたがたの仕事は慎重に、而も良心的に仕事をされると、相当御苦心もあろうかとその点推察できます。併しさつきの調査活動費の支出状況、それから団体調査旅費並びに職員旅費これらとの関係は相当私問題点があると思いますし、特に職員特別手当というのがありますが、これは他の省に比べると比較的に多いと思うのですね。一人約五万円になつていますが、これは他の省と特別違つた給与の内容を持つておられますかどうか、簡単でいいですから。
  153. 関之

    説明員(関之君) 職員の基本給、手当関係で他の省と違つている点、この点でありますが、これは実は私ども職員は人事院の評価が、その職責の内容が公安職……これは私のほう、警察のほう或いは警務官、そういうものには同じような困難、苦心の程度がある、それで現在の本俸に対して調査官は四号の調整を得ているわけであります。それが一つの差異の点であります。その他の手当の問題につきましてはこれは殆んどほかの一般のほうと特別なものはございません。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に伺いたい点は、例えば共産党員が共産主義教育或いはそれらしきものを行なつている傾きがある、従つてこれを調査して欲しいというような要請が文部省或いは地方教育委員会等から本庁或いはあなたの出先機関等にあつた場合に、これを受入れるような場合があるかどうかということと、過去においてそういう要請を受けたことがあるかどうか、この二点について……、これは長官から承わりたいと思います。
  155. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 党員であつたら我々のほうとして調査すべきですから、党員関係ならいたしますけれども、党員でない、疑いのあるものとかいうことについてうつかり調査したら大変な間違いを起すから、そういうことはやらないと思うのですが……。
  156. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで先ず一つ一つ区切つて伺いましよう。過去においてそういう調査をして欲しいという要請が文部省或いは地方教育委員会からあなたがたの機関に要請があつたかなかつたか。
  157. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 私記憶がありません。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ほかのかたは如何ですか。
  159. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) ございません。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは第二点として、今後某々学校の某々職員の教育はどうも共産主義教育或いはそれらしき疑がある、ついてはその実情を調査して欲しいというような要請が、文部省並びに地方教育委員会からあなたがたの機関にあつた場合に、これをあなたがたが受けて調査される場合があるかどうか、この質問に対して今長官はそういう場合があるというように簡単にお答えになつたわけですが改めて伺いたいと思います。
  161. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 私どもの官庁としての職責の範囲内ならそれは調査いたしますけれども、その職責の範囲外のことについて要請があつてもそれをお受けすることはできません。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつきの答弁と今の答弁で私不明確なので改めて伺いますが、先ほどの答弁では、共産党員でない教員ということがはつきりしておれば調査することはないけれども共産党員であるということが明確になつておれば調査することはある、こういうふうにさつき答弁されたわけですが、私は党員であろうと党員でなかろうと、たとえ党員にしてもその教師がなしている教育の内容如何を対象として公安調査庁関係のかたが、文部省或いは地方教育委員会の要請を受けて調査されるということは、あなたがたの所管以外のことだと思うのですが、その点は如何でしようか。
  163. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) 先ほどの或いはお答えが明確を欠いたかも知れません。私の申上げたのは後ので尽きるのでありまして、我々の職責の範囲内ならそれは調査をいたしますけれども、あの人はどんな教育をしているか、それは個々の場合でなくちやわかりませんが、我々の職責の範囲外のことなどは断じて受けません。そうして個々の場合について判断いたしまして、そうしてこれが職責の範囲内ならこれは要請を受けなくても調査するかも知れません。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その職責の範囲内か範囲外かということが問題になつて来るわけですが、重ねて伺いますが、それを私伺うわけは、今度五百十人増員され、そのうち特に三百三人は駐在官になられるわけですね。従つて私はこういつたかたの勤務実態というものは非常に私は重大だと思うのです。それで念のために伺つておるわけですが、少くともその教育のよしあしは別ですよ、教育の内容が教育関係の法律通りになつておるか、或いはそれに抵触しておるかというような立場から、教育の内容を対象としてあなたがたが調査に立たれるということは、私は職務権限外であるから、そういうことは、私が質問したようなことは一切あり得ない、こう私は考えるのですが、重ねて伺いたいと思います。これは長官確信がなかつたら次長でも結構です。
  165. 藤井五一郎

    説明員(藤井五一郎君) どうもその具体的の場合にならんと、抽象的に……特に私の現在の経験なりからいたしまして、具体的な問題であつたらお答えできますけれども、抽象的に一般的にちよつとお答えすることは自信かございません。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がそういうことを伺うわけは、これも曾てはつきりあつたんですが、義務教育の学校もさることながら、特に大学等においては最近やはり警察官或いは公安調査庁関係のかたがたで、あの教授の講義内容はどうで、それの学生に対する影響はどうだというような点に関心を持つておられる向きが相当感知されるわけですよ。これは私非常に重大だと思うのです。それで最高責任の立場におられるあなたがたの基本的な方針を私見の一声を混ぜて伺つておるわけです。
  167. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 矢嶋さんの御心配の点は私よくわかるように思うのでありますけれども、それで一応の私どもの考え方をお話しいたしますと、先ず何か教職員のかたが教壇で政治活動をやつておるんじやないか、特に共産、主義活動をやつておるんじやないか、こういうふうな観点は、これは私は教育二法律の関係であろうと思います。これは我々のほうに全然関係ございません。又あれは刑罰法規にもたしか関係がないのでありまして、各教育委員会において適宜自主的に御処理になる問題だと思います。それから我々のほうの団体調査の観点から申しましても、今のような非常にデリケートな問題について軽卒にこれを調査するということは、これはございません。よくよく注意し取計らうつもりでございます。ただ理論的な点を申しますと、私はどんな業態のかたにも治外法権はこれはないというふうに考えます。それからもう一つは、共産党の党員の規約によつて与えられておりますいわゆるグループ活動というものは、それぞれその持場々々の枠内で共産党方針を実現して行こうとするところにあるわけですから、それが教育の場面であるからとか、或いはその他特殊の団体の場面であるから従つてこれは治外法権のように触れるべからざるものである、こういうふうなものでは私はないと思います。でありますから先ほど教研大会に関連しまして、その前に行われましたグループ活動については私どものほうで前国会においても資料を提出したようなこともございます。でありますから、党員の行動につきましては調査をしないことはございません。併しだからと申しまして、今お尋ねになりましたような御心配の点は、我々自身も又これを非常に考えておるわけでありまして、決して軽卒に行動する或いはさせるつもりはこれは絶対にございません。只今は特定の人の動きについての御心配だつたのでありますけれども、もう一つどものほうでは、或る団体の中の一部の人が、簡単に申せば、いわゆるグループ活動をやる、そのグループ活動をやつているからその団体全体がやはりそういう色彩のものではないか、こういうふうに即断する可能性がやはりあります。これもやはり一つの行き過ぎだと思います。これは我々のほうで、法律にはございませんけれども、特に規則の六条においてそのような行き過ぎがないようにしということを特に明確にこれは規定してあるのであります。そのように行き過ぎのないようにということは相当に気を使つてつておるつもりでございます。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それらのことについて末端の各調査官に十分その趣旨を徹底させて、運用に行き過ぎ、過ちがないように特に要望いたしておきます。
  169. 岡田宗司

    岡田宗司君 二、三お伺いしたいと思います。  只今次長の矢嶋君に対する御答弁でやや明らかになつたのですが、例えば原水爆実験反対運動というようなものが今かなり大きく行われております。これは共産党員でない人たちがかなりたくさん入つております。勿論共産党員諸君も入つております。そういうような場合に只今お話ですというと、その中における共産党員のグループ活動については調査をする、併しその原水爆実験反対運動といつたようなものの運動は調査をしない、こういうことになると思うのですが、そう理解してよろしうございますか。
  170. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) さようであります。
  171. 岡田宗司

    岡田宗司君 実は今矢嶋君の心配されたような点が私どもも非常に危惧されるのです。というのは警察のほうはこういうような運動に対してあなたがたのほうと観点が違うかも知れんけれども、まあ内偵というか査察ということをやつておるのです。だから公安調査庁もだんだんそういうふうになつて来るのじやないか。特に定員を増加しているということは、そういう活動まで調べるというために、そういうように定員を増加するのじやないかというような疑いを持つわけなんですが、そういうことはないと考えてよろしうございますか。
  172. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 警察のほうもそう放漫にやつておるとは私は存じません。ここにいろいろ衝が出て参るかもわかりませんけれども方針としの相当厳格な考え方を終始持つておるのであります。でありますから自分たちに与えられた調査の任務はこれはどんな困難を冒してやつて参ろうと考えております。併しそのために疑いの範案どんどん殖やして参つて、疑うべからざる人を疑うというような行き過ぎには陥らないということを第一義的に考えまして、又職員諸君にもできる限りの機会にそれは徹底させておるつもりでございます。
  173. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、公安調査官が現在検事が二十一名、それからただの調査官が千二百九十一名おります。でこの二十一名の検事のうちに、戦争前のいわゆる思想検事といわれたような仕事をしておつたかたがどのくらいおられますか。
  174. 関之

    説明員(関之君) この検事というのは、検事出身で調査庁において調査官となつておる者と、こういう意味だろうと思います。その点につきましては、只今お尋ねの点につきましては、今まで私の知つておるところでは、いわゆる戦前において思想検事であつたというようなかたはちよつと今思い当らんのでございます。
  175. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから一般調査官のうちに、前に特高警察官としてですね。共産党活動に対する経験持つておる人ですね。これは相当おりますか。
  176. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) ちよつと今手許にデータがございませんけれども、或る程度含まれております。
  177. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあその人たちが十分に注意して頂かんと、やつぱり君のようなやり方をやられると非常に困ると思うのですよ。これはもう厳重な注意をして頂きたいと思うのです。その点如何でしようか。
  178. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 十分にその点も注意いたします。又却つて基礎知識のない人がそういう過ちを犯す場合もこれはあるのでありまして、そういう点については決して油断はいたしておりません。
  179. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、調査官を今度五百数名殖やしますが、これらの採用試験ですね、これはどういうような方法をとられるのでしようか。
  180. 関之

    説明員(関之君) これは私のその係りの者といたしましての個人的な一応考えでありまするが、全国の公安局におきまして一応特定の題目を与えて試験をする。併し、私はこれは決して急がない。急がないで、只今岡田委員のおつしやつたような御趣旨の線に沿いまして有能な、而も人権の問題についても十分理解を持つた者を各方面から集めたい。決して急がないで有能な人材を集めたいと、かように考えておるわけであります。試験といたしましては、これは大体公務員の五級、六級というような線においての試験を一応考えておるわけでございます。一般の常識としての憲法を中心としての人権の問題。そうしてまあ時局に対する認識の問題というような点を試験の課題として与えてみたいと、かようなふうに考えております。これはただ全くのここで即座に申上げましたほんの定まらない意見でございまして、更にこの点につきましては法律が通り予算が通つてから更に慎重に考えまして、十分な人材を吸収し得るようなことを考えてみたいと思つておるのでございます。
  181. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ今後調査官を殖やす場合ですね。これは新らしい学校の卒業生からとるのですか。それともそれに関係なく、まあ経験のある者とか、いろいろなものからおとりになるのですか。
  182. 関之

    説明員(関之君) その給源につきましては、勿論新らしい学校の卒業生もありましようし、又それ以外の社会の各方面、警察とか検察、その他各官庁、或いは官庁でないいろいろな方面から広く求めてみたいと思つておるわけであります。
  183. 岡田宗司

    岡田宗司君 研修所ですが、研修所は一期にどれくらいの期間で、そうしてどれくらいの人間を収容して研修さすのですか。
  184. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私研修所長を兼ねておりますので、私からお答えしたいと思いますが、設備が非常に恵まれておりません。大体目黒にあります国家公務員共済組合の宿舎に泊めまして、中野にあります警察学校の一部を借りてやつております。そのために非常に宿舎、教室等で制約を受けておりますけれども、できるだけ努めております。そうして、ちよつと古い資料でありますけれども、今年の三月三十一日までに、つまり公安調査庁が発足して約一年半の間でありますけれども、回数は十二回研修をやりました。研修を受けた人員が六百六名であります。ところがこれは例えば地方研修も含んでおりまして、地方研修をやつて更に中央研修をやつたというようなことで、この六百六名は実人員ではなくして延べ人員であります。このとき現在で実人員で申しますと、研修終了者が三百七十五名でありまして、研修未了の公安調査官が六百九十九名、現在では正確な数字を覚えておりませんけれども公安調査官の大体六割が少くとも一回の研修を経験しておるという状態になつております。
  185. 岡田宗司

    岡田宗司君 現在幾人くらい研修所におるのですか。
  186. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 研修は先日、九月の二十日から十月の二十日まで、このほかに前後地方研修がくつつきますのですが、延べ二ヶ月間でありますけれども中央に九月二十日から十月二十日まで一カ月間泊めまして五十名やらせました。その後は今はやつておりません。
  187. 岡田宗司

    岡田宗司君 一カ月の研修の主たる科目ですが、これはやはり牒報活動が主ですか。
  188. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 一般教養に相当重きを置いております。特に関総務部長などは前に人権擁護局を主管しておりました。そのほうの講義などはもつばら関君が非常に力こぶを入れてやつております。
  189. 岡田宗司

    岡田宗司君 あなたは牒報活動のほうですか。
  190. 高橋一郎

    説明員高橋一郎君) 私はそういうほうは非常に不得手でございまして、ただ心構えだけは話しておるつもりであります。
  191. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時二十三分散会