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1954-09-22 第19回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十二日(水曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員松本治一郎君辞任につき、そ の補欠として亀田得治君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    委員            長島 銀藏君            西田 隆男君            岡田 宗司君            亀田 得治君            松原 一彦君            平林 太一君            野本 品吉君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    総理府恩給局長 三橋 則雄君    調達庁次長   山内 隆一君    調達庁不動産部    連絡調査官   鈴木  昇君    外務省アジア局    長       中川  融君   —————————————   本日の会議に付した事件行政機構整備等に関する調査の件  (竹島問題に関する件)  (恩給法の一部改正法律実施後の恩  給事務処理に関する件)  (旧軍人恩給の加算、通算制に関す  る件)  (調達庁における事務処理及び駐留  軍労務者に関する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日の委員会におきましては、一昨日及び昨日に引続きまして行政機構整備等に関する調査を議題といたします。  それに先立つて昨日当委員会におきまして海上保安庁の業務の現況について説明を求めましたところ、これに関連して委員より過般竹島附近巡航中の海上保安庁巡視船に対する韓国側からの発砲のあつた問題から、これらの問題に対処する海上保安庁の権限の限界について質疑がなされましたので、この際竹島の問題に関連して防衛庁海上自衛隊海上保安庁巡視船の任務の限界等に関連して政府態度を明らかにしておくことが必要であろうと思いますので、この点について政府説明を求めます。
  3. 中川融

    説明員中川融君) 只今の問題でございますが、海上保安庁は御承知のように海上におきましての警察事務を取扱つておりますので、竹島に対して韓国人不法侵入があるという場合には海上保安庁が一応これに対して対処する立場に立つわけでございます。防衛庁のほうは、国に対して重大な侵略があつた場合ということになるのでありまして、只今政府がとつております解釈では、竹島韓国漁民が上陸いたしまして海藻類をとつておる。或いは韓国警察官が数名ここに上りまして、いろいろここで或いは天幕等を張り、或いは洞窟等に入りまして一応ここに滞在しておる。又燈台作つたということはあるのでありますが、これは日本国というものを侵略する意味で入つたのでは必ずしもないので、ここは領土権のいわば係争の地でありますので、韓国側がこの竹島という所についてのいわば既得権を作ろうというような趣旨からここに入つていると見られるのでありまして、必ずしも日本国全体に対する侵略、侵害とは考えられないという解釈をとりまして、目下のところでは海上保安庁がこれに対処しておる。防衛庁はまだこれに対して措置をとるというまでには至つていないのであります。  尤も海上保安庁の現在の装備等は御承知のように未だ準備の段階でありまして、必ずしも韓国側の、海上警察隊というようなものの力に対抗するには力が弱いのであります。併し漸次海上保安庁装備というものを強化されておりますので、海上保安庁に暫らく任しといていいのではないか、又任すほかにないのではないかというふうに考えておるのであります。尤も竹島問題自体につきましては、政府としては、これは飽くまでも平和的な方法によつてこの問題の解決を図るという方針を立てておりまして、その趣旨から累次の韓国側不法侵入に対しては厳重な抗議措置をとり、反省を求めております。と同時に更になお韓国側反省態度が見えない、現在のところ見えないのであります。こういう事態に対処するためには或いは国際司法裁判所というものに本件を提訴する、そして国際的に認められた公正なる裁判機関によりまして、これの理非を明らかにしたいということも考えまして、目下研究いたしております。
  4. 野本品吉

    野本品吉君 明和二一七生の一月十八日に韓国の大統領の、いわゆる海洋主権宣言によりまして、李ラインというものが設定されたことは、私どもといたしましては事の意外に驚いておりましたのです。それから国民といたしましては、著しく日本の誇りと申しますかが傷付けられたということは、むしろ憤りを感じつつ遺憾の意を表しておつたのです。これに対して政府がどういう措置に出るかということは、当時全国民のひとしく注視しておつたところであるわけです。それに対しまして日本外務省は、同じ年の一月二十五日に、それに対する日本態度を明確に発表されたわけであります。私が申上げるまでもなしに、海上使用自由の原則を破壊するものである。或いは国際漁業協力基本観念と相容れない措置である。従つて国際社会の通念として、それは絶対に容認できない。なおその政府の声明の終りのほうでは、この問題はまじめに取上げる気にはなれない、正気の問題ではない。それから一方的に恣意的措置として、無視する立場に立つて……、こういうことがはつきり言われておる。而もその後政府の基本的な方針というものが或いは修正され、或いは変更されたことを聞いておらないのでありますが、依然としてそういう基本的な方針を堅持されておるのであるかどうかを先ずお伺いしたい。
  5. 中川融

    説明員中川融君) 一昨年一月韓国政府が声明いたしましたいわゆる李ラインというものにつきまして、只今指摘になりました通り日本といたしましては、このような広大な海域公海区域を一国が専管することは、到底従来の国際法観念を以てしてはこれを正当付けることはできない。いわば暴論であるというふうに考えて、未だに考えておるのであります。その点についての政府考え方というものは変つていないのであります。これを無視するということは、勿論基本的にはさような方針でありますけれども、無視しておりましても、事態が片付くということでは実はないのでありますので、これについては累次韓国側に対して抗議その他の措置によりまして反省を求めておるのであります。未だに韓国側ではこれの撤回という措置をとつておりません。いわゆる日韓交渉の問題となります案件のうちの重要なものの一つとなつておる次第であります。
  6. 野本品吉

    野本品吉君 只今まあその後平和的解決のためにいろいろと申入れをしたり、話合いをしておるということの抽象的な御説明があつたわけですが、この際私はさつき申しました毅然たる政府方針の上に具体的にどういう措置がとられて来たか、その経過、それから現状につきまして御説明を願いたいと思います。
  7. 中川融

    説明員中川融君) 李ラインにつきましては、もとより法律的に申しますれば、日本はそれを絶対に承認し得ないという立場をとつておるわけであります。その趣旨からいわゆる李ライン区域におきまして拿捕せられます日本漁船或いは船員というものの事件が発生するごとに、これに厳重な抗議を発しまして、そのようなことの再発を防止するという措置をとると同時に、又損害賠償権利を留保するということを毎回やつておるのであります。これはいわば日本側権利の留保と申しますか、日本側の根本的な考え方李ラインというものを認めないという立場を堅持するという措置をとつておるのでありますが、現実には韓国側反省いたしませんで、更に李ラインというものに関しまして向う側の措置というものを強行して来ておるのであります。それに対する実質的な対策といたしましては、一つは累次の日韓会談におきまして李ライン問題というものを取上げまして、要するに日韓間の水産漁業の問題というものをお互いに話合つてきめようじやないかという態度をとつておるのであります。この日韓交渉李ラインに対する日韓交渉というのは前後三回に亘りまして行われましたが、いずれの場合におきましても韓国側態度がなかなか強硬でありますと同時に、その他の問題、即ち韓国にあります日本財産権の問題、日本にあります韓国財産権の問題、こういう問題とのひつかかりができまして、この李ラインの問題、漁業の問題も解決を見ずに今日に至つておるわけであります。  御承知のように最後の日韓会談は昨年の十二月二十六日に、いわゆる久保田発言を契機といたしまして決裂いたしましたが、その後再開運びに至つていないのであります。日本側といたしましては、久保田発言前後の韓国側態度には極めて不満を持つておりますけれども、実質的に何とか日韓関係の打開を図りたいという趣旨から、米国を通じまして、更に会談再開方を随時先方に慫慂しておるのでありますが、未だ先方からは会談再開についてのこれを承知するという意思の表示がないのでありまして、そのままになつているわけであります。なお更に実質的な対策一つといたしましては、海上保安庁或いは水産庁というものを中心といたしまして、李ライン水域におきまして、日本監視船を派遣いたしまして、日本漁船というものをでき得る範囲内で保護するという措置をとつております。この保護内容は、遺憾ながら海上保安庁装備が未だ十分ではありませんので、韓国側から武装舟艇が出て参りますときには遺憾ながら実効的な保護ができないのであります。併し情報を、緊密な情報を取りまして、これを日本漁船に知らしてやるというような方法によりまして、拿捕の害をできるだけ避けるような措置を現在とつておるのであります。なおこの方面の保護措置につきましては、先ほどちよつと言及いたしましたが、今後は漸次更に強力な保護ができるのではないかと、かように考えております。
  8. 野本品吉

    野本品吉君 日本態度は一応それでわかつたといたしまして、今度は逆に韓国側がそれに乗つて来ないという、向う言分といいますか、それはどういうことでありますか。
  9. 中川融

    説明員中川融君) 最初韓国政府がいわゆる平和ラインというものを設定いたしましたときの理由付けというのは、むしろ軍事上或いは治安上の見地というものに重点があつたようであります。即ち、当時南北朝鮮が分れまして現実に砲火を交えていたときでありますので、韓国は主として軍事的な保護措置という意味で或る一定水域以内に外国の船その他が自由に入ることは困るというような趣旨でいわゆる平和ラインというものが設定されたようであります。その後朝鮮の戦乱が漸次収まるに伴いまして、この平和ラインというものの内容が、むしろ韓国漁業保護するということに変つて来たのでありまして、現在におきましては韓国の稚幼な漁業日本その他の進んだ漁業に対して保護するためにどうしてもこういう制限が必要なんだということに理由付けが変つて来ておるようであります。なお韓国といたしましては、この頃いろいろな国で主張されております大洋における大陸棚の理論というものをやはり援用いたしまして、韓国平和ラインというものは決して韓国だけがやつている措置ではないと、ほかの国々もそれぞれ同じようなことをやつておるので、むしろこれが新らしい国際法原則であるというようなことも言つておるのであります。この論には承服できない点があるのでありまして、それはいろいろな国がさような或る意味で同様な主張をしておることは事実でありますが、これらの主張はいずれも韓国のように広範囲に亘るものではないのであります。  例えばアメリカトルーマン宣言というものをたしか一九四六年でしたかしたことがあります。この宣言はやはり公海においてアメリカ漁業について或る種類の行政権監督権を及ぼそうというものでありますけれども、これは君上もその海域に従来外国既得権を持つておる、外国漁業しておる既得権があれば、その既得権を持つておる外国話合つた上で制限を行うということになつておるのでありまして、そういう外国既得権実績のない海域においてはアメリカが自発的に監督権を及ぼすけれども、すでに外国実績のあるところでは話合いの結果初めて行うということになつておるのでありまして、十分関係国権利は認めておるのであります。  韓国措置は、全く一方的に主要関係国である日本政府意思とは無関係保護を強行しようという点において異つておるのみならず、いわゆる大陸棚の思想というものは、その字の示すように、海域で比較的浅いところ、いわゆる大陸棚と称する部分について、その上の水域について或る程度の管轄権を及ぼすということでありますが、韓国の場合には、必ずしも大陸棚というものは、現実に底が浅いかどうかということは必ずしも関係がなく一定の線を引いておるようでありまして、相当幅の広い線を引いておるのでありまして、この点もやはり内容が違うと思うのであります。韓国のいわゆる平和ラインというものは、そのほかのいずれの国の大陸棚宣言と比べてみましても、遥かに行過ぎた措置であると言わざるを得ないのであります。
  10. 野本品吉

    野本品吉君 そういうふうにいろいろとたびたび折衝をし、或いは実れをし、抗議をするということを繰返されておるにかわらず、その後漁船拿捕であるとか抑留であるとか、或いは船員裁判、処刑というようなことが続々として跡を絶たない。そういう状態であるときに、たまたま竹島水域に参りまして日本巡視船不法発砲を受けた。まあこういうようなことを考えてみますというと、これはいろいろこちらから言いましても、何と言つて転国側はこれを黙殺しているというような感じがいたしますが、そうでございますか。
  11. 中川融

    説明員中川融君) こちらからの抗議は、もとより法律的に言いますれば理が立つておる抗議をしておるのでありまして、その点については韓国も内心ではこちらの言分というものの理のある点をやはり認めておるのではないかと思いますけれども、表面では、御指摘のありました通り、こちらの抗議には一切取り合わず、自分のほうの措置を依然として強行しておるのみならず、却つて日本側抗議とは逆に、日本措置に対して抗議をするということもしておるのでありまして、自国の領土である竹島日本海上保安庁の船が近寄つたと、領海に入つて来たと、或いはそこに人を上陸させようと試みたというようなことで、却つて自分の国の領土侵入するということで抗議をして来ておるような状況であります。
  12. 野本品吉

    野本品吉君 先ほどアメリカにも居中調停と申しますか、問題の平和解決のための斡旋を頼んでおると、私ども新聞その他で知るところによりますというと、何だかアメリカが本腰を入れておらないような印象を受けておるのでありますが、アメリカのこの問題に対する解決への誠意といつたようなものですね、これは確認されるものがありますか。
  13. 中川融

    説明員中川融君) 昨年十月末、日韓会談が決裂いたしまして以来、アメリカは非常にこの問題については尽力してくれておるのでありまして、日本側からはその直後アメリカ政府に橋渡しと申しますか、とにかく日本としては韓国との間は是非平和的に処理したい、又関係を打開したいということで斡旋を頼み、アメリカも非常にこれに力瘤を入れまして、随時韓国側に当つておる模様であります。ところが韓国側はやはり依然として従来の立場態度というものを変えないがために、アメリカが仲に入りましているく斡旋を試みましても、なかなか話が再開するだけの何と申しますか、日韓双方考え方の歩み寄りというものができないために、未だに会談再開運びに至つていないのであります。アメリカといたしては、日韓両国をできるだけ仲のよい国にするということが自分の何と申しますか、アジアにおける政策の上からも非常に大事な実は問題でありますこともあり、かたがた本件については終始熱心な態度斡旋に当つておるのであります。
  14. 野本品吉

    野本品吉君 まあ問題が起りました当初におきましては、日本標識を取り払つて向う標識を掲げると、向うのを取り払つてこちらの標識を立てるというような状態であつたわけですが、それからだんだんと状況が変りまして、今では韓国側に一方的に占拠されておるというような状況になつて来ております。更に、問題が起りましてから三年間というものがここに経過しておる。こういうようなことを総合して考えますというと、どうも韓国側に有利な既成事実というものが着々と積み重ねられて来てしまつて、いよいよ事態の鮮法が困難になる、極めてこれは憂うべき方向に向つて進んでおると、こういうふうな感じを持つのでありますが、如何でありますか。
  15. 中川融

    説明員中川融君) 竹島につきましては、従来のところはそこに定住する者がおらず、日韓双方漁民があすこに出掛けて行つて海藻とか或いはその他あしかの類というようなものを採取しておつたという状況であつたのであります。戦後いわゆるマツカーサー・ラインが引かれまして、あの島はマツカーサー・ラインの外に置かれて、従つて日本漁民が行けなくなつたわけであります。このマツカーサー・ラインは決して日本領土権を最終的に何もきめる趣旨ではないということがはつきりしておつたのでありまして、平和条約が発効いたしましてからはマツカーサー・ラインが撤去された。従つて日本漁民も島に自由に行けることになつたわけであります。又そのとき運の悪いことには、あそこがアメリカ軍演習地に指定されまして、従つて日本漁民が行けなくなつたのであります。その演習地の指定が昨年の三月に解除されまして、ここに初めて日本漁民竹島に行くことができるようになつたのでありますが、そのときにはすでに大分韓国漁民が、恐らくそれはマツカーサー・ラインの当時からでありましようか、ここにやつて来るような状況になつておりまして、その後は又いわゆる李承晩ラインというものが設定されまして、竹島李承晩ラインの内側になつたのでありまして、従つて韓国がここに或る意味で武力を以ているく警備に当るという事態ができた。それらの関係から日本漁民は行くのがなかなか困難なような状況になつてつたのであります。併し最近までは韓国側もそこに人間が常時住む、或いは常時滞在するということはなかつたのであります。この七月以後はあそこに少数でありますが、警察官を配置する、それから燈台を設置するというようなことをいたしたのであります。  我々としてもお説の通りこれは油断のならない事態であるというように心配いたしまして、ここでむしろ従来の日韓間の関係が漸次和解或いは好転するに伴つてこの竹島の問題も話合いで何とか解決するのではないかということを期待していたのでありますが、そういう事態をいつまでも続けているわけに行かないということを感じまして、この際これを国際司法裁判所にむしろ提訴すべきじやないかということを真剣に考慮しておる次第であります。
  16. 野本品吉

    野本品吉君 李ラインが一方的に設定され、宣言された当時、日本の国論はかなり沸騰し、又国会におきましても非常な熱心な論議が行われておつたのですが、併し最近の状況を見ますと、私の感ずるところでは、非常に複雑な日韓両国関係を考慮して慎重な態度をとつておるという見方もこれはできるのでありますけれども、併し又別な角度から見ますというと、刻々に不利な方向に向つて既成事実が作られている。何遍こちらから抗議しても申入れしても、アメリカ側に頼んでもどうにもならんというようなそういう現実に押されまして、そうして国民がこれはもうどうにもならないのだというような、半ば諦め的な気持になつて来たのでこのことは余りやかましく言われないのだ、こういう見方も私はできると思うのです。そういうことになりましてはこれは誠に残念なことなんですが、こういう見方についての御所見はどうでございましようか。
  17. 中川融

    説明員中川融君) 李ラインの問題につきましては、私どもの見ておりますところでは、決して日本国民はこれに対して関心が薄くなつている、或いは半ば諦めかけたというようなことはないように考えております。殊に水産業界かたがたは死活の問題でありますので、これは我々のところにも大勢のかたがたが非常に頻々と実はおいでになられて、この問題を何とか打開するようにということのお話を承わつておるのでありまして、決してその勢いは弱まつてはいないと思うのであります。又本問題の本質から考えまして、これは単に空理空論を戦わしておるような問題ではないのでありまして、現実日本漁業というものの重大な場所が韓国措置のためにこれが阻止されておるという事態にありますので、決してこれについての日本考え方というものが変るというようなことはないように私としては見ております。
  18. 野本品吉

    野本品吉君 先ほどからお伺いしておりましたように、政府としてはこの韓国の一方的な措置は無視する、取上げる気にもなれないほどの問題だということを言われて、まあそういう基本的な考え方からしますというと、それは一つのこういう考え方解釈論としては成り立つのじやないかというようなことも私考えるのでお伺いするのですが、それは宣言無視という立場をとるということになりますと、日本領土主権が侵されておるというこの事実に対しましては、防衛庁法でいういわゆる直接侵略に該当する事案であるという考え方もできるのじやないか。私は無論事の円満な解決のために、今後も話合いで進めなければならんというふうには考えております。事を好むものではありませんけれども一つ考え方としましてはそういう考え方もできるのじやないかというふうに思うのですが、この点についてはどういうことになりますか。
  19. 中川融

    説明員中川融君) 竹島韓国側現実に人を常駐せしめる、或いは施設を設けたということが日本に対する直接侵略であるかどうかという解釈の問題でありますが、日本領土の一部が不法に占拠されたということは事実であります。これも併しどういう意図を以て韓国がやつておるかということの解釈になるのじやないかと思うのでありますが、韓国が例えば日本の九州を取るとか、或いはそのほかの、明らかに何人が見ても日本領土であるというものを無理やりに占拠して、取つてしまうというような考えで来ておるというのとはやはり多少違うように思うのでありまして、勿論或々は承服できないのではありますが、韓国側からは竹島がやはり韓国領土であるということをいろいろの文献等を挙げて主張しておるのでありまして、双方の見解の相違ということが文書上も実は明らかになつておるのであります。日本としては単に従来の文献等にいろいろ竹島のことが載つておるということのほかに、法律的にも明治三十八年に日本では布告を出しまして、竹島を島根県の領域に編入しておるのでありまして、いわば法律的にもはつきり竹島日本領土に編入する意思を表示しておるということが、我々としては近代国際法における領土権主張する上の有利な立場だろうと思うのであります。韓国側にはこのような事実はない、これに相当する事実はないのでありまして、日本としては十分日本側に意義があると考えておるのであります。そういう趣旨から或いは国際司法裁判所に提訴しようかというような考えが起つたのでありますが、韓国側にいたしますればやはり言分がこの島についてはあるわけであります。従つて自分領土であるという前提に立つてここに人を派遣しておると思われるのであります。必ずしもこれを以て日本領土侵略であるというふうに解釈するにはまだ早いのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  20. 野本品吉

    野本品吉君 先ほどの御説明によりますと、国に対する重大な脅威というようなことでないから海上保安庁によつているくなことを処理させて行くということでありますが、どうも私どもは重大な脅威でないという考え方が小さな島だから、無人の島だからというようなそういう形の問題として考えられておるのではないか。私どもはそうではなしに、この問題に対する日本態度解決の如何ということは、我我の主権の侵害というような点から、国民として、国としてでも非常に誇を傷付けられ、深刻且つ重大な問題である、こういうふうに考えたいのでありますが、そういうことに対してのお考えはどうなんでございますか。
  21. 中川融

    説明員中川融君) 韓国側態度と申しますか、我々にとつて甚だ心外であり、或る意味日本の誇を傷付けるという点につきましては我々も全く御同感であります。これは普通の友好国の間ではちよつと見られないやり方ではないかというふうに甚だ心外に思つておるのであります。併しこれらの解決をそれではどういう方法でやるかということになりますと、やはり日本といたしましては飽くまでも平和的手段で片付けようというのが正しいやり方ではないかと、かように考えておるわけであります。
  22. 野本品吉

    野本品吉君 最後にもう一つお伺いしておきますが、それはこういう場合に国際的にも複雑微妙な、而も日本にとりましては極めて重大な意義を持つておる問題に対しまして、保安庁の巡視船を巡視させることによつて処置して行く、それは結構だと思うのでありますが、そこで昨日の保安庁の人のお話を総合して行きますというと、私どもといたしましては非常に遺憾に感ずる点があつたわけです。と申しますのは、昨日も保安庁の巡視船に乗りまして保安庁の業務の実情を見せて頂いたんですが、そのとき私は巡視船の船長さんはどの程度のかたがなつておられるか、こう聞きましたところが、大体官庁で言えば課長補佐程度の人である、年齢から言いましても三十四、五才、三十五、六才の人だ、そういうことになりますと、無論地位が低いから、年が若いから解決の能力が乏しいというようなそういう考え方は私はいたしておりません。併しながら現地における臨機な措置、機宜を得た措置をとることができるかできないかということは、問題を時によつては紛糾させ、時によつては混乱させるというような原因にもならないとも限らない。そういうことであるにもかかわらず、昨日のお話で私ども非常に遺憾に思い、又心配になりました点は、政府としての統一された一つの基本方針が保安庁並びに保安庁を通して現場で物事を処理する責任のある者に指示されておらない、これは私は非常に心配になる問題だと思います。今まで政府といたしましては、これらの巡視船に対して問題の処理その他について一貫した方針、統一された方針というものを指示されておらないのですか。
  23. 中川融

    説明員中川融君) 李ラインの問題、或いは中共のほうの海域においても同じような邦船拿捕の問題があるわけでありますが、これら日本漁船をどの程度どういう方法保護するかという問題につきましては、昨年七月であつたと思いますが、政府部内で閣議の決定があるわけでありまして、その閣議の決定によりまして、この方面には常時何隻を配置して、どの程度の保護措置をとるということがきまつておるのでありまして、その方針に基いて海上保安庁が水産庁の監視船と協力いたしまして漁船保護に当つておるのであります。なおその保護措置を完璧にする意味におきまして、完璧と申しますか、更に補う意味におきまして、この三月頃から下関に漁船保護対策本部というものができまして、これは海上保安庁と水産庁が主となつてつておるのであります。臨機応変に先方態度に応じまして、先方の監視の程度に応じまして臨機応変の指示を監視船に出すのみならず、更に日本漁船にも出すという方法をとつて来ておるのでありまして、只今のところではこのようなやり方によつて保護に当つておるのであります。  海上保安庁の係官が昨日どのような意味政府方針がきまつてないと言つたのか、私もよく存じませんが、恐らくそれは海上保安庁の船か現地に如何なる場合に、例えば今後順次整備されて行きます武器をどのような場合に使うかというような点についての方針がまだきまつていないということを或いは言つたのではないかと思います。武器の使用につきましては新しい問題であり、且つ国際的にもいろいろの難の原因になる問題でありますので、これの使用基準については目下関係当局において研究中であります。従つてその点がまだ未決定であります。漁船保護のやり方につきましては、すでに一年前より方針政府部内できまつておるのであります。
  24. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 竹島問題について国際司法裁判所に提訴するという御方針のようでありますが、これはもうすつかりその手続はできているのですか。
  25. 中川融

    説明員中川融君) 国際司法裁所に提訴する方針は一応内定いたしまして、その具体的措置只今準備しておる段階でございます。
  26. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 現実にはいつ頃提訴す  ることになりますか。
  27. 中川融

    説明員中川融君) 国際司法裁判所  に提訴いたします際に、日本はこれの当事国でございますが、拍手の韓国が当事国でございません。国際司法裁判所規約に入つておりませんので、先ず韓国側国際司法裁判所に提訴するこ  との同意を求めるということになろうと思います。その時期は今のところまだいつということは確定いたしておりませんが、只今準備中でありますから、遠からずそのような措置になるのではないかと思います。
  28. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今までの韓国とのいきさつから考えまして、その場合に韓国が同意しないことも考えられる、そうなるとどうなりますか。
  29. 中川融

    説明員中川融君) 韓国国際司法裁判所に提訴を受諾しない場合も考えられるわけでありますが、その場合は国際司法裁判所には結局提訴できないことになります。併し日本がこの問題を国際司法裁判所に提起して、如何なる決定があるにせよ、その公平な各国の権威ある裁判官を以て構成されておりますこの国際司法裁判所の裁定に服するという、何と申しますか、公正なる態度を表明したにかかわらず、韓国がこれを拒否したという場合は、やはりこれが国際輿論に与えます影響というものは無視することのできないものがあろうと思つておるのでありまして、最終的な結末を司法的に片付け得ないということは遺憾でありますけれども、その場合においてもやはりそれだけの効果はあるのではなかろうかというふうに考えております。
  30. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうすると国際司法裁判所への提訴は直接のきめ手にはならん場合もある、こういうことでございますね。
  31. 中川融

    説明員中川融君) その通りであります。
  32. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうするとほかに何かきめ手はお考えになつていないのですか。
  33. 中川融

    説明員中川融君) これは国家間の出来事でありますので、なかなか一国の中の事柄のように最終的に最高裁判所できめるとかいうようなことが実はないのは甚だ残念でありますが、国際司法裁判所で片付かない場合には、今度は国際連合で一種の平和を脅威する問題として国際連合に提訴する、国際連合で取上げてもらいたいということもこれは可能であります。併しこの場合は、どういいますか、平和が脅威されるという事態の発生が必要になるわけであります。いわば竹島をめぐりまして日韓間に現実の紛争が起つたというような場合には、これは国際連合で取上げ得る問題になろうかと考えます。
  34. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ほどからのお話ですというとまだ侵略とは認めておらん。とにかく韓国人日本領土に下法に侵入した程度で、これは海上保安庁でつまり警察で片付ける段階の問題である、こういうふうにお答えになつている。そうするとまだ国際連合に提訴するような事態には立至つておらん、こういうことでございますか。
  35. 中川融

    説明員中川融君) 御指摘通りでありまして、日本は現在のところこの問題を平和的な方法解決しようという方針をとつておりますので、従つて国際連合に提訴するような、何と申しますか、平和を危殆ならしめるような事態というものは目下のところ起り得ないと考えられます。
  36. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 国際司法裁判所に提訴する準備中である、韓国側にこれから同意を求める。その返事が拒絶になるか承諾になるかは別として、まだ大分時間がかかるだろうと、若しそれが駄目だということになりますと、今度は国際連合に提訴するというような手続をとるにしても、これ又非常に時間がかかる。その間に向うさんのほうはどんどん既成事実を作つている。とにかくもう前には日本側で立てた棒杭をぶつ倒してしまつて、今日では韓国人があすこへ来まして、そしてテントを張つて事実上占拠しておる。それから又燈台だか何かを作つた、こういうことになつて、これからもだんだんに人を連れて来る。勿論竹島自体は居住に適するような所ではないかも知れない。併しながら無理にもそこに人を据えて、そして頑張つて行く。こつちが提訴提訴と言つている間にどんどん既成事実を作つてしまうということになれば、非常に又紛争が大きくなることにもなるのですね。その向う既成事実を積重ねて行くに対するこつち側の処置というものはどういうふうにお考えになつておりますか。
  37. 中川融

    説明員中川融君) 韓国側がいろいろ既成事実を作つているのは事実であります。これに対処する方法としては結局次の二つだろうと思います。一つ日本側が力を用いてこれを排除するということであります。もう一つは、いろいろな平和的な手段によりまして国際の輿論なり或いは国際的な一種の判定機関によりまして判定して、いずれが正当であるかということをきめてもらうというのがその第二の方法だろうと思います。  目下政府といたしましてはその第二の方法、つまり平和的手段による方法を講じようとしておるわけでありまして、第一の力を以てこれを排除するということは考えていないのであります。又第一の方法、力を以て排除する方法をとりましても、結局は最終的にはやはり何かの形で国際的な判定を経なければこの問題は片付かないと思いますので、又国際的な判定を下すという場合におきまして、必ずしも日本が力を用いて韓国の占拠を排除しなければ日本の歩が悪いかどうかということになりますと、すでに問題がこう公けに明らかになつております関係上、必ずしもそういうことにはならないのではないか。むしろ日本が終始公正な態度をとつてつたということが却つてよい、何と申しますか、印象を世界に与えるということも考えられるわけでありまして、日本としてはやはり平和的手段ということを最後まで尽すだけとにかく尽すということが必要であろうと考えております。
  38. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の極めて抽象的な原則論のようなお話を伺つたんですが、今向う既成事実を作りつつあるのに対してどういうふうにするのがということをお伺いしたのです。まああなたにお伺いしても無理だから、この点はこれ以上お伺いいたしませんが、こういうことも言えるんじやないですか。前にあそこは問題になつた、日本が棒杭を立てた、棒杭を立てて日本領土だということを明らかにした。だから向うがそこへ上陸して棒杭を立てて占拠するであろうというふうにお考えになつていなかつたんじやないか。つまりあそこへ棒杭を立てたけれども向うがやつて来て上るのを防ぐというか、とにかくそういうような措置を講じてなかつたんじやないですか。
  39. 中川融

    説明員中川融君) 現地の状況をいろいろ調べてみますと、先方がここに上陸するというのを防ぐ、何と申しますか、こちらでそれを現実に防止するという措置をとるということはなかなか現在の海上保安庁の力を以てしては遺憾ながらむずかしいのでありまして、これは向う日本の累次の抗議なり或いは累次の権利主張なりにかかわらず、力を用いてここに上つて来るという場合には、これは遺憾ながらこれを阻止し得ないのでありまして、この点について政府措置がいわばぬかつてつたというような御意見でありますれば、これは止むを得ないと言わざるを得ないのでありまして、併し私ども考えとしましては、日本の同島に対する主権、権利というものは、すでに従来のいろいろの措置或いは法律的な措置、或いは島根県に編入するの措置とかいろいろなそういうことからすでに明らかなのでありまして、明らかなところへ棒杭を立てたからそれが非常に強くなる、棒杭がなくなつたから弱くなるというほどのものではないと思うのであります。  なおその明らかに主権のある所に外国が来てそこを占拠したということはありましても、そういう事実によつて日本権利が弱くなるということも又これは現在の国際法ではあり得ない、考えられないのでありまして、これが一、二世紀前のいわゆる世界発見の時代でありますれば、無人島を探してそこへ棒杭を立てるということが非常な要件であつたのでありますが、問題となつております竹島についてはそれほどこういうことを気にする必要もないのではないか。むしろ機会を逸せず世界主要各国に向つて日本考え方日本の基本的な立場或いは権利というものの証拠その他を通報いたしまして、世界の輿論をむしろ日本側に有利に導くということのほうが本件の最終的解決に役立つのではないか、かように考えておる次第でございます。
  40. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 アメリカで発行されております地図の幾つかには竹島はすでに韓国領土のように記入してあるものがたくさんある、こういうことを聞いておるのですが、これはすでに韓国側がそういうふうな方法アメリカで宣伝しておると思うのですけれども、又そういうことが重つて来ると、逆にそれを理由にして又来ると思うんですが、それに対する何か対抗措置はとつておりますか。
  41. 中川融

    説明員中川融君) そういう話も聞いたことがありますので、在米大使館、領事館を通じまして、いろいろ現実にそのようなものがあるかどうか調べさしたのでありますが、今までのところはまだそういう現実の例は報告を受けておりません。併しいろいろ戦後の日本の領域の範囲については各国でなかなか認識が十分でなく、世界の地図の中にはいろいろなことに日本を書いてあるものがあるのでありまして、或る地図によれば、やはり昔の日本領土がそのまま日本領土になつているようなものもある。いろいろな例がありますので、そのようなことは或る程度免れない。今の何といいますか、まだ終戦後日の浅い今日免れないのではないかと思いますが、日本竹島に対する権利が、どういう根拠に基いて日本領土であると主張するのかという理由につきましては、詳細これを世界の主要各国にすでに知らせまして、なお今回韓国側竹島に上陸し或いは燈台を築造したという事実につきましてもこれを各国に知らして、このようなことは日本として認められないことであるし、日本はこれについて力を以て排撃するという方針をとらずに平和的に解決する方針であるから、よくその点は了承してもらいたいというような趣旨関係主要各国にこれを通達いたしております。今までの各国から得ましした反響では、おおむね日本側立場というものに理解ある態度を示しておるように、これは我々の目から見ますとさように判断いたしております。
  42. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ戦後の日本の外交を見ておりますというと、いわゆる対米一辺倒と言われておる。どうも私どももそうじやないかと思う節が多い。で、こういうことが起つて解決方法アメリカさんのほうへお頼みになる、こういうことはなかつたんですか。
  43. 中川融

    説明員中川融君) 日韓問題全般、即ち主として李ラインの問題とか或いは請求権の問題、そういうような問題につきましては韓国との話合いが一応破談になりましてから以後は、アメリカを通じまして斡旋を依頼しておるのでありますが、この竹島の問題につきましては今までのところ特にアメリカに仲介を依頼するというような措置はとつておりません。これは先ほどもちよつと御指摘がありましたが、日本としては竹島の問題は明々白々であるという実は考えを持つておりますので、これを第三回に依頼してその話を付けてもらうというような実は考えは元来なかつたわけでありまして、どこへ出してもこれはもう日本に十分の理があるという問題であると思いましたので、むしろいわゆる日韓会談の議題からも竹島の問題は外しておるのであります。従つてこの問題について特にアメリカ側斡旋を依頼したというような事実はございません。
  44. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日韓会談全般がこういうふうに停頓しておる、いつ再開されるか見通しもつかない、これはまあ向うのほうにもいろいろ言いがかりがあつてた思うのですが、久保田公使が何しました発言ですね、あれが大分問題になつていたようです。あれについては日本側としてはどうお考えになつておりますか、今後どう処置されるおつもりですか。
  45. 中川融

    説明員中川融君) 久保田代表の発言の内容自体については、これは人によつていろいろな見方がある思うのでありまして、あのときの発言は、久保田代表が自分考えを申述べたのであります。その内容について意見は避けたいと思うのでありますが、久保田代表の発言は決してそのとき政府の訓令を以て政府の公式の意見として言つたものではないのでありまして、あれは一つの小さな委員会におきまして、いわば藤から外れましたいろいろの議論応答があつた際に、向うからどうしてもこの点についてはどうかというような話のいきさつから、久保田氏が個人の見解を述べたのでありまして、その意味政府とはいわば無関係な発言であると我々は考えております。
  46. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 無関係な発言かも知れないけれども、とにかく日本政府の代表者の一人として公式の委員会で述べたことを、政府は知らないのだ、あれは全然個人な答弁だ、それじやなかなか僕は通らんと思う。それが許されるならば、何でもかんでもみんな出た連中は、都合の悪いことは責任を負わん、政府のほうでも責任を負わん、それで通つたらこれは全くおめでたい話なんで、私はやつぱり通らんと思います。あれは何とか措置しなくちや日韓会談始まりつてないでしよう。始まらなければ竹島問題の片付けも私はないと思う。それで何かあの問題についてあなた方のほうでもうちつと利口な処置の方法はないのですか。
  47. 中川融

    説明員中川融君) 会談している際にもいろいろ発言はあるわけでありますが、会談の議題となつておりますことについての発言は、これは勿論政府の訓令を受けた方針従つて討議が進められるわけでありますが、あのときの発言というものは、議題となつておりますことは直接関係のない、朝鮮の統治がよかつたか悪かつたかとか、そういうようないわば一般論が期せずして議題になつたのでありまして、従つて久保田代表は政府の訓令の別に受ける暇もなくあの発言をせざるを得ないことになつた。その趣旨は十分そのとき或いはその後においても先方にも伝えてあるところであります。これは従つて政府として別に久保田発言というものについて、この前はあの趣旨であつたが、今度はあの趣旨でないというようにこれを正面からどうこうという考えはないのであります。併し久保田発言自体が個人の見解であります故に、これについて韓国側から是非これを撤回しろということであれば、そういう意味合におきましてこれを撤回するということは、政府としても考えてもよいということは、すでに外務大臣が外人記者会見においても、去る五月であつたと思いますが、声明しておるところであります。その声明があるにもかかわらず、未だ韓国側からは日韓会談再開に応ずる気配がないのでありまして、つまり単なる久保田発言の撤回だけの問題ではいろいろ片付かない又点があるように考えられるのであります。
  48. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私もあれが日韓会談の進まない唯一の理由だとか、唯一の理由だとかは思つておりません、併しいろいろなつまずきのやつぱり一つの理由にはなる。これはやつぱり取り除かなければ話は進まない。向うがそれを言いがかりにして来る以上、全然日韓会談をやらないつもりならほつときやいい。あなた方の考えられるようにあれは正しいんだ、而も久保田発言政府の関知するところならずと突張つておけばいい。併しながら会談をやるとする以上は、たとえ久保田君の発言が政府の訓令に基かざる、個人のものであろうと何であろうと、除けなきやならんと思う。やはり除けるなら除ける手だてを講ずる必要があると思う。体日韓会談はもつとどんどん突張つて行くのか、そうして向うが何か折れて来るまで待つのか、それともこのままではいけない、東洋の情勢もあるしするから、アメリカあたりがそのうちに何とか入るだろうというのを待つているのか、どういう方法なのか。日本から強いて打開しようとはもうしないのですか。
  49. 中川融

    説明員中川融君) 日韓会談につきましては、先ほどもちよつと御説明いたしたのでありますが、昨年末以来日本は終始一貫してこれを是非再開したい、そうして韓国との間の関係をできるだけ早く正常化したいという希望を先方に伝えておるのであります。その若しも久保田発言というものが障害になるならば、これを先ほど申しましたような趣旨において撤回する用意があるということも公けには述べておるのであります。併しむしろ我々から見ますれば、韓国側の都合によつてこれがまだ再開運びに至つていないのであります。
  50. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もう私はこれで終ります。
  51. 野本品吉

    野本品吉君 この竹島の問題や李ラインの問題とは全然離れた問題ですが、一つお伺いしておきます。  実は先だつて私の友だちがフイリピンへ行きましたので、何かみやげを持つて来てくれと頼みましたところが、向うの高等学校で使つております地理の教科書を持つて来てくれた。この地理の教科書の「日本」というところを見ますと、もう書き出しの最初から、日本は好戦国民である、それから中国の人たちは平和愛好国民である、日本人に鉄を与えるというと劔を作る、中国の人に鉄を与えるというと農耕用の鋤を作る、こういう書き出しでずつと行つておるのですね。それが一九五一年の出版の教科書。これは外務省としますれば情報文化局のほうの問題だと思いますが、そういうような教科書か現在使われておるのかおらないのか。若し使われておるとしたならば、平和を愛好しておる日本としましては非常に困つたことなんです。お耳にされたことがありますか。
  52. 中川融

    説明員中川融君) 只今お話しのような教科書をフイリピンで使つておるということは私聞いておりません。それが嘘であるとも勿論言い切れないと思いますけれども、それが事実であるということは承知しておりません。
  53. 野本品吉

    野本品吉君 それでは私その教科書がありますから、情報文化局の諸君にでも見て頂いて、これは十分御検討を願いたいと思います。私は、あの教科書が今でもフイリピンで使われておるとしますなら、これは日本とフイリピンの友好関係の打開という上におきまして非常な障害になるのではないかということを心配しておるわけです。
  54. 中川融

    説明員中川融君) なかなかそういう教科書を使わせないようにということはむずかしいと思いますけれども、まあ我々の今後の施策に資する意味におきまして、情報文化局に連絡いたしまして、できるだけこれに対して適切な措置をとるように考えたいと思います。昔でありますれば、そのようなことに使うのは日比国交を害するというようなことで抗議をするところでありますけれども、最近はどうもそのようなことはむずかしいのであります。
  55. 野本品吉

    野本品吉君 ちよつと速記をとめて。
  56. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  57. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記つけて下さい。  それではほかに御質問もないようでございますので、次の調査に移ります。  総理府恩給局関係の事項について調査を行います。
  58. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちよつと、私は反民主主義活動対策協議会という問題について緒方副総理の出席を要求しておつたのでございますが、緒方副総理の出席はどういうことになつておりましようか。
  59. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 先ほどから委員部で連絡をとつておるのですが、どつかまだ副総理に対して所在が不明で連絡が取れないということを報告を受けております。重ねて一つ行く先を探して出席を要求するように手配をさしております。
  60. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは今日突然に要求したのじやないのです。一昨日要求したのです。今日になつてこういうことでは甚だ困ります。午後は是非緒方副総理の出席を求めて頂きたいと思います。
  61. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知しました。
  62. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちよつと速記をとめて……。
  63. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  64. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは速記を始めて。  総理府恩給局関係についての具体的の調査項目の第一点は、過般の恩給法の一部改正法律によりまして、旧軍人恩給の審査裁定等の手続の上に便法が講ぜられ、その目的とするところは、これら旧軍人恩給事務の促進を図る点にあつたのでありますが、この改正法律実施後の旧軍人恩給事務処理の現状は所期の通り進捗しているかどうかという点であります。  第二点は、昨年八月から施行された恩給法の一部改正の法律によつて、旧軍人の恩給が復活いたしましたが、過去の旧軍人恩給に認められておつた加算、通算が大幅に廃止又は制限されることになり、その後開かれました国会の開会のたびごとに旧軍人の恩給加算、通算に関する請願及び陳情が跡を絶たない状況であることは恩給当局も十分御承知のことと思います。そこでこの際政府にお尋ねいたしたい点は、政府は旧軍人恩給について加算通算等についての建前として現状以上に緩和しない方針であるのか、将来財政上の都合がつけば緩和してもいいという御方針であるのか、この点については多数の利害関係を持つ人々の関心の深い問題でありますので、この際政府の所見を明らかにしておいて頂きたいと思います。
  65. 三橋則雄

    説明員(三橋則雄君) 只今委員長からお話ございました二つの点の第一点について申上げます。先般恩給法の一部が改正されました結果、今委員長のお言葉にありましたように事務は非常に促進されたのじやないかと思います。事務処理状況を数字的に申上げますると、旧軍人のかたがたの普通恩給と、それから普通の扶助料、それから戦死者の遺族に給付されますところの公務扶助料、そういう三つを引括めまして、六月の末までの恩給局におきまして処理いたしました件数は七十四万ばかりでございます。詳しく申しますと七十三万三千五百三十七件になりますが、まあ七十四万です。その中には一部却下をいたしたものも含まれておりますし、一応返戻をいたしまして書類の再提出を求めたものもございまして、それらのものが一万二千三百余件ございます。従いまして実際に恩給を裁定いたしまして、証書に相当する簡単なもので裁定告知書を発行いたしておりますが、それを発行いたしましたものは七十二万一千三百件、細々しく申上げますと七十二万一千二百十八件ということになつておるのであります。  ところでその後どういうふうになつて参りましたかというと、八月の末日までに処理いたしました件数がどういうふうになりましたかというと、百六万七千、細々しく申上げますと百六万六千九百二十という数を処理いたしておるのでございます。その中で先ほど申上げましたごとく却下したり或いは返戻いたしました書類がございましたが、これを除きまして、証書を発行いたしました数だけ申上げますと百五万八百四十件という数になつております。これは八月の末の統計でございますが、九月の二十日まで、一応この委員会がございますので、件数を調べましたのでございますが、それによりますと処理いたしました件数は百十八万でございます。細々しく申上げますと、百十七万七千二十九件ということになつております。  それならば恩給局におきまして今入つて来ておる書類の件数は一体どのくらいあるのかということになるのでありますが、その数は大体今のところで十七万ほどございます。今手持ちとして持つておる数は十七万、細々しく申上げますと十六万九千百十六件というのが二十日現在の状況でございます。これは普通恩給とそれから普通の扶助料と公務扶助料についての状況でございます。傷病軍人の恩給につきましては、昨年の八月に法律が改正されましたときに、増加恩給の第六項症以上を給された人々に対しましては、職権を以て恩給局におきまして増額改訂をいたすことになつてつたのでありますが、これはすでにこの委員会におきましても申上げました通り、もう全部の改訂を終つておりますが、次にこの法律が改正されましてから傷病者のかたで急に恩給の請求をされて来たかたが相当あるのでございまして、その数が八月の末日までに三万五千ばかりございました。そのうちで処理いたしておりますのが二万件ちよつと越しております。二万四百八十六件という数でございます。八月の末で特に滞留いたして、受付けてそのままになつて審査いたしておりますのは一万五千件ほどございます。それから今年の四月から給されることになりましたところの第七項症の増加恩給、傷病年金でございますが、これにつきましては先般法律によつて非常に簡単な取扱いをされるようになつたのでございまして、これは今年法律が改正されました頃から急にたくさんの書類が恩給局に出て参りまして、八月の末日までに受付けました数は約一万三千件でございます。一万二千六百八十七件という数、細々しく申上げますとそういう数になります。その中で七千件を処理いたしております。細々しく申上げますと六千九百六十九でございます。従つて今審査中の件数は約六千件でございます。  それから一時恩給と一時扶助料でございますが、一時恩給と一時扶助料はこの六月の末までに処理いたしました数は一万八千九百件でございました。その後書類はかなりたくさん出ておりましたが、八月の末までに処理いたしました件数は九万九千ばかりでございます。約九万九千でございます。そうして九月の二十日までですが、つい二、三日前までの状況を調べてみますと、処理いたしました件数は十一万六千でございまして、目下審査いたしておる数は二千五百件ほどでございます。  それならば今後の見通しとしてどういうふうに考えておるかということが当然問題になるのでございますが、公務扶助料とそれから普通扶助料と、それから普通の恩給につきましては、予算を編成いたしまするときに件数として考えましたのは百八十五万であります。今までに処理いたしました数は、先ほど申上げましたように百十七万七千件でございましたから、あとに残つておる件数といたしましては六十七万三千件ばかりになるわけであります。仮に一カ月に十五万件ほど処理するといたしますと、今日は九月二十日過ぎでございますが、仮に十月から月十五万といたしますと、十、十一、十二月で四十五万という数が処理される見込でございます。そうしますると、大体大まかに申上げまして、普通恩給と普通扶助料と公務扶助料につきましては、今年内に処理すべきところの大部分は処理し得るのではなかろうか、こういうような一応の目標を立てておるのであります。一日に裁定いたしまするところの、未だ裁定し恩給証書を発行いたします件数は、日によつて勿論違うのでございますし、一概に申しかねるところでございますが、昨日証書を発行いたしました数は七千件をちよつと越えております。従いまして大体七千件内外の件数というふうに事務的には考えております。毎日処理する件数は七千件前後の件数と考えておるのでございます。  傷病恩給の件数につきましては、予算を編成いたしまするときにおきましては、この増加恩給の第六項症以上の件数、それから第七項症、それから傷病年金の第一款症から第四款症までの件数を合せまして、大体十三万四千件ぐらいを考えておつたのでありますが、先ほど申上げましたようなことによりまして、大体今までに九万二千件余りを処理いたしておることになつたのでございます。請求されたものが九万二千件余りあるのでございます。従いましてこの傷病者の恩給につきましては、今後若干又出て来るのではなかろうかという考えを持つております。こういう傷病者の恩給につきましては、第七項症の傷病者のかたと、傷病年金の第一款症から第四款症までに該当するかたで、そうして曾つてこういう恩給を給されておつたかたでも、終戦後は年金恩給が廃止されたのでございますことは御承知通りでございますが、こういうようなかたは割合に傷病の程度も軽いかたでございましたから、今日におきましては治癒されておるかたも中には相当あるのじやなかろうかと想像いたしておるのであります。その治癒されておるかたがたがどれくらいあるか、即ち恩給を給しないでいいかたがどのくらいあるかという推定を立てまする資料が十分なものがございませんので、従いましてはつきりとした今後の見通しを立てまずことは、今後これだけしか請求が来ないのだという、こういう、推定を立てるということはなかなか困難でございますが、大体今の申請の状況から考えまして、今後そう私たちの裁定がはかばかしくないようなことになるほど請求が出て来ることはないと想像いたしております。  それから一時恩給一時扶助料につきましては、予算を編成いたしまするときには十七万八千件を予定いたしておつたのでございまするが、今までに請求されました件数は十一万八千ちよつと越えております。従つてまだ数万件が予算の件数から申しますると今後請求されるものと想像されるのであります。こういうふうに考えて参りまするというと、旧軍人のかたがたや旧軍人の遺族のかたがたの恩給扶助料に勿論全部のものを本年の年内に裁定を完了してしまいますということは困難じやないかと思いますが、併しそのうちの遺族の扶助料につきましては大部分のものを本年の年内に片付け得るし、又傷病者のかたがたにつきましても重症病者のかたがたにつきましては殆んど大部分のものは片付けているし、それから一時恩給と一時扶助料と軽度傷病者のかたがたの請求処理が若干年を越えて来年に持ち越されることになるんじやなかろうかというふうに推察いたしておるのであります。  それから加算と通算の問題についてのお尋ねでございますが、これにつきましてはすでに昨年の八月に改正法律が国会に出されましたときに御説明をいたしましたような理由によつて、即ち一面におきましては国家の財政の点から考えまして、限られたる予算の枠内において処理する場合におきまして、遺族と重症病者、それから永年永続的に勤務されて老廃になつた老齢軍人というようなかたぞれを重点的に考える結果といたしまして、又終戦の前後における軍の混乱からいたしまして、人事に関する記録の整備保存が不完全である、そして事務的にも加算、通算を実行するということは困難な状態だと、こういうような理由からいたしまして、御承知のような法案を作りまして国会の御審議を煩したのでございますが、現在におきましても、政府におきましては、そのような今お話のような考えは持つていないのでございます。
  66. 松原一彦

    ○松原一彦君 ついでに、今概算払いによつて下級の軍人が非常に不利に陥つているという歎きがありますが、これを清算払でお返しになるお見込はいつ頃になりましようか。
  67. 三橋則雄

    説明員(三橋則雄君) 概算でお払いをいたしました金額について一日も早く正確な確定の金額をきめまして、そうしてその清算金額をお払いするようなことは私たちといたしましても一日も早く実は実行いたしたいと思つておるのでございます。ところで実はこれも実行を早くしなければいけないと思つているところでございますが、先ほども説明申上げましたように、遺族のかたがたに給しまする扶助料でまだ全然給されないかたが相当多数あるのでございます。そういう遺族のかたがたからはとにかく概算でももらつた人はいいじやないか、清算のほうはあとにして、そして我々の少しももらわない僅かな扶助料の金額の給付のほうを先にしてもらいたいという切々たる要望もされておるのでございます。で、私たちといたしましては、この扶助料の受給者のかたがたからの要望も尤もな要望でございまするし、又片方におきまして老齢軍人その他の概算で恩給を支給されたかたぞれからの一日も早く清算した金額をもらいたいということも尤もなことであると思いまして、両方の要望を調節するといいますか、調和をとつてそうして事務を運ぶということに苦心いたしているところであります。  先ほど御説明申上げましたように、本年の年内におきましては大体遺族の扶助料につきましても、まあ間違いなくということを申上げては言い過ぎるかも知れませんが、大体私の見込といたしましては間違いなく、殆んど書類さえ出して参りますならばどんどん全部のものの処理ができるような見通しがついて参りましたので、今お話の概算を清算にする措置はこの十月から十一月ぐらいまでの間にどうしても実行し得るようにいたしたいということで、実は一切の事務手続の準備はいたしているところでございますが併し、今申上げますように遺族に給される扶助料の裁定請求書が出て来るのと、それから請求書が出て参りましたものを裁定する裁定の状況が今のような状況とが続くということを前提にして考えているわけでございますが、これが何かの事情で狂つて参りますと、若干概算を清算にしてお支払する措置も遅れざるを得ないのじやないかと思つております。年内にはとにかく全部はできませんでも、若干のものはお支払をいたしたいと思つております。
  68. 松原一彦

    ○松原一彦君 通算、加算についてはもうかねて長い開議論があつたのでありますが、今全国の恩給権擁護連合会の柴山会長からたびたび私のほうに頂きます恩給法の一部改正を更に改正する請願によるというと通算、加算によつて決して予算面には夥しい増加をする必要はない、あつても極めて少額であつて、それは若年停止であるからそれは予算面には影響は少い。スライドアツプ、不均衡の是正といつたようなものは先ずおいて、百万人から漏れているところのこの通算加算による不利益、特に通算はまあ当然のことであるし、更に加算を加えてやられたところで予算の面においては大きな響きはないという、この請願の趣旨は、拝免して一応御尤ものように思うのてありますが、専門の局長としてはどうお考えになりますか。
  69. 三橋則雄

    説明員(三橋則雄君) 今の、一般的に申しまして、陳情、請願に対しては、私は加算通算につきましては先ほど御説明をしました通りお答えをするほかはないと思います。それからその陳情、請願につきましては、実は私はお話を伺つたのであります。最初お話がございましたときにはまあほんの一通りのお話だけだつたのでございます。私たち一事務家の者が気が付かないことであつて、そうして非常にいいお智恵でもありますれば、私たちとしても虚心坦懐に聞かしてもらう考えでありました。これは私たちとしては当然のことであろうと思います。そこでそういう態度から申しまして、改めてよくゆつくりとその内容につきまして御説明をお願いしたいということを申上げると共に、私の局におきまして次長その他の者を選任いたしまして、そうして直接にお目にかかつてお話を伺うように言つたのであります。その結果第二回目に関係者のかたと私のほうの次長その他の諸君が、実際に事務をやつております者がお目にかかりまして、いろいろと伺つたわけでございまするが、その際のお話を私が承わつたところでは、聞きましたところでは、その数字につきましては実際自信がない。少し言い過ぎかもわかりませんが、少しラフな杜撰なところがある。ですからしてこの数字についてまとまつた知識として報告説明するということもなかなか困難であるというお話があつたそうです。それはそれとして、一応その数字の出て来ましたいきさつをよく御説明願いたいということてあつたのでありまするが、次の機会によく御説明をしようということで、実はそのままになつてしまいました。その後局のほうの係の者に、私は、とにかくよくそれを伺つてみてくれないか、こう再三言いました結果、私のほうの局の者からも連絡をして、そうしてよく御説明を伺いたい、こう言つておるということを聞いておるのですが、何か御多忙であられるかどうか知りませんが、そのままになつて、又お目にかかる機会はその後ないということで今日に及んでいるのであります。私はその数字的な問題につきましては、その通りやれるかどうかにつきましてはまだ自信がありません。私は今本当の心持を申上げればその通りはなかなか行かないものじやなかろうかと思います。それから案そのものにつきましてその内容につきましては、深く私は立入つてまだ検討をしたわけではございませんが、伺つただけと、その文章の表面に出ているだけのことからいたしましても、いろいろ議論がある点もあるのじやなかろうかというような感じがするところでございます。
  70. 松原一彦

    ○松原一彦君 私はこの通算を打切られて、勤務を継続年数だけにとられたことは、私どもは最初から無理があると思つたのでありますが、その通算を是正した上に更に加算を復活するというと、加算には非常に各種の段階があつて一つではなく複雑になつておるしこれは非常に大きな総予算に響きがあるのじやないかということを頻りに思つてつたが、そのほうにお出しになる軍人側からのこの表を見るというと、非常に平易にこれが解決がつくようになつておる。ただ長い間に死亡者があつて絶対数が減つている。併し一方においては若年停止が生きて行くということで、絶対数からは増加はしても、予算面で今差当つて何十億というものはない。スライド・アツプをすればこそ大きな、いわゆるベース・アツプによれば大きい影響があるが、それは先ず遠慮するという主張は、私は非常に穏健な主張だと思うのです。ただ数字に対しましては私どもどうもそろばんを持ちかねますので、一つこういう数字で片付くものであるならば、当局においてもせいぜい一つ御研究の上、大多数の要望に副うように御尽力願いたいということを申上げます。
  71. 三橋則雄

    説明員(三橋則雄君) これはこの委員会におきましても松原先生も御承知でしようが、旧軍人の恩給及び遺族の扶助料を審議される際においては限られたる予算の現状においてされることであるから、何と言つても遺族それから重症病者、それから老齢軍人、それからその他の者を考え措置するようにしたらどうだろう、こういう御意向のようであつたと私は承知いたしておるのであります。一般の世論と申しまするか、どなたでもやはりそういうふうな考え方じやなかろうかと想像いたしております。その見地に立つて考えてみますると、加算を付けました場合において一体どういうことになるのか、こういうことを考えてみまするというと、今、現在におきましても遺族のかたとか重症病者の傷病軍人、そういう方面のかたがたから加算を付けてもらいたい是非付けてもらいたいという要望は余りないのであります。それは遺族のかたがたにつきましても、重症病者につきましても、在職年が准士官以上でありますと十三年未満又下士官以下でありますと十二年未満で或いは死なれた或いはけがされた場合におきましては、十三年なり十二年なり在職された者と同じような取扱いをして、元気でおられたならばそれまで元気でおられただろうという想定の下に恩給金額を計算して給することになつておるのであります。割よい取扱いがされておるのです。ところでかようにして給された金額が今までも十分な金題でないから何とかしてもらいたいという要望があるわけでございます。今度加算を付けました場合においては短期在職のそうして若い元気な人々に非常にたくさんの恩給を給する結果になるのであります。必然的に今度は恩給の予算を厖大化するというような結果になると私は思つておるのであります。そういうことを考えまするというと、この現在の制度の下におきまして加算の措置を今要望されておるごとくしますということは、結果におきましては遺族と重傷病者のほうの措置を今度は余り重く見ないというような結果になるのじやなかろうか、こういうような気がするのです。そういうことからいたしまして、私はこれはよほど研究しなければならない問題じやないかと思つております。  それから今の通算の問題でございまするが、これもこの前の国会のときに御説明したところでございまするが、重ねて一言申上げさして頂きまするならば、厚生省のほうから報告をとりまして、大体三年以上の在職したかたであつて引続いて在職三年以上、そうして普通恩給年限に達しないでやめた人は何人ぐらいだろうか、こういうことを調べてもらいました数字は百八十万人という数になつておるのであります。これは引続いて在職しておつたという条件が付いておるものですからして、ばらばらの在職年を通算しました場合におきましてはこの数は相当大きな数になるだろうということが想像されるのであります。  三年以上はそうでございまするが、それからの制度になつております七年以上引続く在職といたしました場合におきましては、該当者の数は今の数の十分の一の大体十八万人ぐらいになるのでございます。十八万人の人に対しまして今と一時恩給と一時扶助料を給するだけでも百億円になつております。従いましてこの三年以上の人で、而も通算を今のようにしないで、半年でも一年でも或いは三カ月でも無条件にするといたしました場合におきましては、一体どれくらいの該当者があり、どれくらいの予算を要することになるかということははつきりわかりませんけれども、相当なものになるのじやなかろうかということが一応推察されておるところでございます。そういうことを考えまするというと、これはなかなか無条件にはできない問題じやなかろうかというような気がいたします。  又もう一つ考えなければいけないことは、何と申しましても人事に関する記録で整備されておりませんものが非常に多うございます。而もこれは死没者の場合において非常に多いのであります。短期の短い在職の場合におきまして特にそれがはつきりしない場合が多いのであります。そうしまするというと、極く僅かの在職年を通算して恩給を給する措置とつた場合におきましては、生存しておる若年短期在職の退職者が盛んにいろいろなことを主張して或いは恩給を請求して来る場合もあると思われますけれども、死んだ人につきましてはそういうことを言う途がないということになると思います。その結果といたしましては、私はやはり遺族のほうが非常な不利な取扱を受けることになる虞れが多分にあるのじやなかろうか、こういうような気がいたしますので、こういうような問題を実行するにつきましては事務的に人事に、関する記録につきまして、制度を立て得る見通しがつくということが先ず第一に必要なことではなかろうかと思つておるのでございまするが、それが今のところでは見通しがつきにくい状況になつておるわけでございます。一応それだけを申上げておきます。
  72. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御質問ないようでしたら、この調査案件の質疑はこれで終了をいたします。  では暫時休憩をいたします。    午後零時四十分休憩    —————・—————    午後二時三十七分開会
  73. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは委員会再開いたします。  調達庁関係調査をいたします。本日の具体的の調査項目は二点でありまして、その第一点は調達庁事務運営の現状についてであります。過般の行政機関職員定員法の一部改正法律によりまして、各行機関職員の整理が行われ、特に調達庁におきましては大幅に人員整理が行われましたが、その人員整理はまだその途上にあると思いますが、現在の状況はどうなつておるか、又これら人員整理によつて事務運営の方面に支障がないかどうか、以上の点が第一点であります。  第二点は、北海道駐留の米軍の撤退、その他米駐留軍関係アメリカ側の予算の削減に伴いまして、米駐留軍関係日本人労務者が大幅に解雇され、その退職金の問題に関連して現在ストライキ等の労働問題も発生しておるのでありますが、この米駐留軍関係の労務者の処遇問題についての実状と、この問題の処理を担当しておられる調達庁当局の今後の御方針はどうか、これが第二点であります。  以上の二点について調達当局の御所見をお伺いしたいと思います。
  74. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 今日は重要な問題についてお招きを受けたわけですが、長官が出席してお答え申すべきところでありますが、軍との折衝が最近頻繁にありますので、今日も折悪しくそちらのほうに参つておりますので、私代つて参りまして御説明申上げますが、なお詳細な問題なり、或いは御質問によりましては不動産部の連絡調査官の鈴木君と労務部の企画課長が参つておりますからその両君にも随時答えさせて頂きたいと思つております。  今委員長からの第一の問題でございますが、北海道からの陸軍の内地への撤退に伴いまして、北海道の陸軍関係で使つておりました労務者約四千二、三百人が必要がなくなりまして、これが整理されることになつたわけであります。今月の十三日が第一回としてすでに予告を受けて本当に退職をしたわけで、これが約千人近く、それから今後の予告を受けておる者もありますし、まだ予告のない者もありますが、大体年内ぐらいに全部予告を受けて、いずれ年内、又は年が明けてから退職しなければならんことになるのじやないかと思つております。そこでこれらの退職予定者をできるだけ他の適当な方面に、成るべく従来の経験を利用するような方面に斡旋をいたしたいという考え方で、一つは北海道における空軍の労務者の需要増加が予想されておりますので、この方面に優先的にとつてもらおうということと、それから自衛隊がそのあとに入りますことになつておるので、この自衛隊のほうで必要とする労務者の採用に当つて、これ又今まで駐留車に使つてもらつてつたその労務者を、極力事情の許す限り使つてもらおう、この二つが当面の大きな狙いであり、相当まあ有望に考えておるわけであります。それからそのほか東北方面に大体移るにつきまして、そこに若干労務者の需要増ということも考えられはせんか、尤も一般の予算削減による減はありますけれども、ありますけれどもまあそういう軍の移動に伴つて必要とする向きもあるわけでございます。若しその方面に必要が生ずるならば、是非これをとつてもらいたい、尤もこれは住居の移動ということを要するものでございますから、軍がとつてくれると言いましても、どの程度動き得るかということは勿論問題であろうと思います。大体まあそういうような方向に向つて全力を尽しておるわけであります。なお、それでも職のない方面につきましてはいろいろ広い意味の失業対策政府の一般方針による失業対策を大いに活用して、労働省、調達庁、北海道庁その他関係官公署で力を合せてこの方面でできるだけ救済をして行きたい、かように思つておるわけであります。まだ今のところ果してどの程度採用の見通しがあり、どの程度失職するかということの確たる数字を申上げる程度に達しておりません。まあ少しく大ざつぱに申上げるならば、千数百名、二千名未満くらいは何とかいたしたいというような考えを持つております。  それから次に、今全国的に二割五分予算削減に基く労務者の大量整理という問題が北海道をも含めてあるわけでありますが、然らばその人数はどれくらいになるかということは、これはなかなか予算が二割五分減つたから当然労務者についても二割五分というわけには参らない。それより多くなるということは無論ありますまいが、その以内でどの程度でとどまるか。或いは努力如何によつては相当予算の減の割合より以下にとどめられるようなことができやせんか。こんなふうに期待を持つておりますが、新聞紙上等は三万名とも出ております。これがおよそ二割五分とすれば大体そんなことになるわけですが、併しこれはまあ最大限の予想であつて、実際まあ固いところは二万から二万五千と思つてつたのですが、極く最近の軍の意向を付度すると二万名を若干下廻るのじやないか、こんなふうに考えられる節があるのであります。そういうように減ることになれば幸いと思いますが、無論これも確たる数字ではありません。さような状態で各地とも整理を心配していろいろこの就職の問題とか或いは退職手当の問題についても全国から陳情が殺到いたしておるようなわけであります。労務者の組合のほうは勿論ですが、そうじやなくて、責任者である知事さん、その他そういう方面からの陳情も非常に多いのであります。で、さような状態になつて、北海道の現実の問題と、全国的に今整理を心配しての退職手当の増額問題が目下の一番大きな問題となつておるわけであります。  然らば退職手当はじやどういう今案があるか。これは当然軍と調達庁と組合とまあ三つのそこに考え方考えられるわけですが、軍としては、今度の場合にどういう退職手当の案かということは何ら示しておりませんが、いろいろ折衝の過程において心えられることは、現在の駐留軍労務者の退職手当の規程そのままでいいじやないか、そのままで計算しましても一段国家公務員の場合に比べて少しも遜色がない、むしろそれでも全体的に見れば却つていいじやないか、尤も軍がそういうことを強く言うわけは、単に形式上の退概手当だけじやなしに、やめますというと失業保険による保険金が出る。それから即刻やめさせるというような場合には、その手当も出るのじやないか、講和条約発効の場合に身分切替をやつて退職手当をもらつて、新らしく新規採用ということになつているにもかかわらず、給与は新規採用の標準によらずして、長い間継続勤務しておる、引続き勤務しておる状態のままで給料はずつと続いておるのだ。従つて本来もつと下るべきものが相当高いベースのままで給料をもらつておるから、それに合う率をかければ、それだけでも非常にいいじやないかというようないろいろな言分で、現行規程を改訂する必要なしという強く意見を堅持しているわけであります。  ところが組合のほうでは、御承知のように現在の規程に対して八〇%増、これは極めてわかりやすい、今の規程に八〇%を加えるという考え方、ずつと長い聞これは続けておるのでありまして、決して北海道の問題が起つたからではなしに、八〇%増の組合の主張というものは昨年の秋からでありまして、現在まだ進行中の基本契約の中に退職手当の項目があるわけでありますが、その中にそういう趣旨で入れてくれという強い要求があつて調達庁は単に申入れたわけですが、軍としてはとうてい容れるような気配がない、そのまま話もつかないままでまあ最近までになつたわけであります。ところが北海道の問題が起つてから一層熾烈に八〇%の運動が展開されて来たわけであります。  それから調達庁はそういう事情の下にあつて八〇%増というものは勿論長い間耳にし検討もしたわけでありますが、国家公務員等の退職手当の関係考えて、これと均衡を取ることがやはりこれは当然のことでありますので、公務員と比べて余り均衡を失した案は適当でないという考え方を持つているわけであります。というのは国家公務員は二十三年頃から、その時分から駐留軍労務者と比較して、駐留軍労務者のほうが身分の不安定というような理由で若干上廻つたところできめられてあるわけでありますが、その後官吏のほうはいろいろ変化いたして改善されて来たわけでありますけれども、今の制度から言えば決して八〇%増になつていないので、三〇%増、三割増くらいになつておるのであります。そんな関係から見まして、非常にベースそのものが高い、一割乃至一割五分くらい高いところへ以て来て率が非常に今度違うということになりますというと、一般公務員との間の開きが非常な不均衡な状態になる。これは適当じやないじやないかという考え方を持つて、そこで大体この公務員の場合に比べまして非常にこれは是正しなければならんと思うのは、勤続年数の短い者に限るわけであります。今の規程そのままで行きましても、勤続年数の長い者になりますというと国家公務員よりは相当いいのであります。ただ国家公務員については勤続年数の少いほうについては最低保障額の規定がありますので、その点から現在の組合側の、現在の規程によりますと公務員より低くなつている。従つて当然公務員の場合の最低保障制、これをその精神を以て取入れて、そしてこの最低勤続年数の短い者を一般公務員より上廻るようにするということが非常に必要である。併し勤続年数の長い者は、今の規程だけでも非常に高いところへ持つて来てあるので、身分切替によつて、実は今の労務者は殆んどみな二年半以下、従つてこの最低勤続年数の短い者だけについて最低保障制というようなものを入れて考えるならば、そこで大部分が救済されるということになる。で、勤続年数の問題については今考える必要がないのであつて、そういう退職手当とか給与の問題は基本協定の中にまだ未解決になつてつておりますから、いずれそのうちに十分検討して、勤続年数の長い者についても適正な退職手当をきめればいいわけである。そういう意味で今度勤続年数の短い、国家公務員に比べて低くなるような虞れのあるそういう面について最低保障制度を取入れて、公務員よりよくする考え方で出してあるわけであります。そのようなわけでまだなかなかその三者の間に話合いがつかない。又つく見通しも目下のところどうも困難ではないか、こんなふうに今の状態では言わざるを得ないのであります。  併しこれをいつまでも放つておくわけに行きませんけれども調達庁としてはどんなことをしても、調達庁側の主張に対してもいろいろ軍としての批評がありますから、それらの批評を徹底的に一つ反駁して、そうして軍に理解を求めようということで、今そういう軍の言う項目について一々こちらの意見批評を書面を出しておりまして、軍はこれを十分検討の上返事をするということになつておるわけであります。それから組合側につきましてもずつと最近までは八〇%増の考え方は何らこれを変更するような意思はなかつたようでありますが、最近事態がかようになつたからでもありますけれども、何とか早く解決するためには必ずしもこの八〇%増というものは固執するものでないということを、他の委員会でも言つておりますし、調査庁に対してもそういう意味のことを近頃ほのめかしているような状態でありますから、或いはもう一歩進んで話合つたならば何か具体的なところに行きはしませんまでもせめて方向だけでも同じようなふうに向うような時期が来るのではないか。そうなりますと調達庁として軍に対して強く交渉する場合に非常にしやすくなつて、今の状態でありますというと、調達庁側の案が仮に軍に認められても、ストをやるやらんに影響はないじやないか、又組合側の主張を説得することができんのではないかというようなふうに言われると、こちらとしては如何に努力はしても、また幸に通つても組合との間に話がつかなければそれまでであります。非常に却つて収拾に困難になる心配もありますわけで、その意味において今まので状態ではなかなか妥協の見通しが殆んどつかない。かなり憂慮すべき状態に立至つていると申さざるを得ないのですが、多少話を進めるのに進めやすいような空気が出ているのではないかと、かように思つております。この問題は大体まだいろいろ御質問もありましようが、一応の説明としてはこのくらいにしておきます。  次に調達庁の二十九年度の人員整理について執行状況、又その結果いろいろ仕事の処理に影響することがないかどうかという意味のお尋ねでありますが、参議院からは格別調達庁の仕事に対する御理解、御同情を頂きまして、  たびたび救済をして頂いておるようなわけで、常々感謝しておりますが、今度の整理につきましては、御承知のように三カ年に亘つて、第一年度は二百二十五人、それから第二年度は三百三十二人、第三年度は百四十四人の整理に決定されておりますが、今年の整理は二百二十九名であつて、これは他の省と同じようにかなり仕事のやり方の改善とか、或いは能率を上げるとか、まあいろいろの方法によつて職種別にいろいろ整理の率をきめられて、それによつて計算した数と、それから若干の仕事の減による減数と合わさつて二百五十五名が出ておるわけであります。従つてその二つの要素の中の前者のやり方については、他省がそれでやつて行く場合に調達庁のみやり得ないということはあり得ないのでありまして、努めて仕事の合理化或いは能率を上げること、或いは仕事の成るべく無駄な手数は略するようなことにして、もつぱら能率本位に立つて今進めておりますが、仕事の減による減は、これ又いわば当然のことでありまして、そのために仕事に支障があるということになつちやなりませんわけで、整理後の仕事の進行について少しでも支障のないように今努めておる次第であります。そこで整理はおかげを以ちまして特別待命制度というものが前にありまして、更に法律が通つてからは臨時待命というものが規定をされておりましたので、その両制度の活用によりまして全部二百二十五名の整理は完了いたしたのであります。尤も予算の上から五十名だけは従来の欠員で賄つてくれということになつておりまして、それだけ予算の執行の上には窮屈になりますけれども、本当の人員の整理という点から言えば、その五十名を欠員で賄う五十名がありますので、実際の整理はそれだけ内輪で差支えないので、すでに今年度の整理は全く完了いたしたわけであります。この整理には非常に問題が多いわけでありますが、そんな待命制度のあつたために今年は非常に私どもとしては予想以上に楽にこの厄介な仕事をすることができたと、かように思つております。併し今度は三十年度になりますというと、なかなかそういうわけには参りませんで、今から非常にこの整理については心配をいたしておりますし、今後この問題に一番頭を悩ますんじやないかと、かように考えております。そこで仕事に対しては先ほども申しましたような整理の内容と言いますか、性質もありましたし、私どももこれを前から覚悟いたしておりまして、仕事の進行には十分留意をして進めておりますので、このために仕事が停滞したということは言えないと思います。然らば非常に二十九年度の仕事の進行は順調に行つておるかというふうに若しお尋ねを受ける場合には、遺憾ながら仕事は予定よりは大分遅れておると申上げざるを得ないわけであります。これは決して人の数が少くなつたからという……、これが全然関係ないということもこれは申上げかねますけれども、むしろ主たる理由は他にあると私は考えております。その理由は、一つは、調達庁の仕事が同じ種類の仕事でありましてもだんだんとむずかしくなる。一つ事件を処理するにも、だんだんとむずかしくなつて来て、当初大蔵省の査定なんかできまつた一件を処理するためにどのくらいの人を要するとか、或いは経費を要するとかいうような予定よりも余計に人手を要する、或いは余計に経費を要するというようなことになつて参りまして、それだけ一件を処理するために長い時間を要するということが一つの理由であります。それからもう一つの理由は、これはやはり事業費予算等の関係もありまして、どうも予算の関係から、或いは仕事にしてもどうも支払いの関係に窮屈なような状態になる。そんな関係で或る程度予算を見ながら仕事をやつて行くというような、予算から来る仕事の進行に当つて若干のブレーキをかけ、さるを得ないという場合が起つて来る。これが誠に遺憾なことでありますが、調達庁の仕事の性格が、ほかの省が自主的に計画をして予算をもらつてつておるのと違いまして、全く受身になつて、こちらの予想しない仕事が起つて来、而もそれをどうしても急いでその年にやつてしまわなければならん。従つてそのための予定がないけれども、既決予算と言いましても、これはほかの省と違つて大きな枠で大蔵省は持つておる、必要に応じて移し替えをしてもらうような仕組になつておりますから、そこでそういう関係でその予算の中に食込んでしまう。そうすると、すでに予定しておつた仕事をやり得ない、こういうようなことが遺憾ながら起つて来る場合があるわけであります。そんなような理由になると思いますが、その中でも主たる理由は、一件の処理がなかなかむづかしい、予定通り進行はできない、こういうようなことから遅れる面が非常に多いと思います。  大体お尋ねの二つの点は、非常に大ざつぱでありますが、以上で一応説明を終ります。
  75. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御質問ございませんか。
  76. 野本品吉

    野本品吉君 一つお尋ねしておきます。私の県の妙義の演習地の問題ですが、かなり長い間やかましい問題になつております。その後話合いがついたということも聞いておるのですが、現状はどういう状態になつておりますか、ちよつと伺いたい。
  77. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) お尋ねの妙義の演習場につきましては、本年の七月一日に、全体の演習場の面積は相当大きいのでございますが、その中の民有地につきましての賃貸借契約が七月の一日に、特に反対をいたしておりますかたを除いて賃貸借契約を完結いたしました。その部分については米軍のほうに引渡しの手続を終つたわけでございます。なお山岳訓練学校の敷地の買収につきましても、その日までにすでに買収の代金等の支払も完結いたしておるわけでありますが、問題の山岳訓練学校の周辺の土地の所有者の方々で、これは賃貸借契約には応じられないというかたがまだ百名近くございまして、その方々の土地につきましては只今群馬県知事のほうともお話合をいたしまして、県の斡旋委員会の御斡旋によつて何とか話を円満に進めたいということで、そのほうの作業を進めておるような次第であります。
  78. 野本品吉

    野本品吉君 土地収用法を適用するというようなことも聞いておりますが、まだそこまでは行つておらないのでございますか。
  79. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 土地収用法は、御承知のように先般改正になりまして、土地の公用徴収、使用、収用という手続きの前に斡旋委員会による斡旋という制度ができましたものですから、先ず使用、収用といきなり行かないで、その前に斡旋委員会の御斡旋によつて何とか処理いたしております。それの見通しが立たなければ、万止むを得なければ使用、収用ということに相成るかと存じております。
  80. 野本品吉

    野本品吉君 なお非常にそういう問題が扱いが面倒だというので、土地収用法を改めて、そういう問題を簡単に処理できるように考えようというようなことも耳にしておるのでありますが、それは調達庁のほうとしては、そういう意見をお持ちになつておるのではないのですか。
  81. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 私どもはまあ法律の適用の手続きの順序といたしましても、できるだけいきなり公用徴収という形のことは避けまして、土地収用法にあります斡旋委員会を通じまして、できればお話合ずくで問題の処置を先ず図りたいと、こういう念願からいたしておるわけでございまして、若しその斡旋というような手続きによつても御承諾頂けないということになりますと、これは野本さん御承知のように、山の中でございまして、使用の裁決申請等につきましても土地等の実測を必要とするというようなことで、相当時日も又経費も要することに相成りまするので、できるだけ民主的な解決と申しますか、そういうことで公用徴収のあれは最後のものとして残して行きたいという所存でございます。
  82. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 先ほどの駐留軍労務者の退職金の問題ですが、これはやはり一般公務員との関係考えなければいけないという御説明つたのですが、例えば行政整理などの場合に公務員の退職金も相当の率で臨時に増額しておるようなのがあるのですが、そういう問題とこの駐軍労務者の要求している増額の問題とどういうとかうに考えたらいいのか、次長、あなたのお考え方を御説明願えませんか。
  83. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 非常にむずかしい問題でありますが、駐留軍労務者が国家公務員のまあいわば特別職といつたような身分であつた時分に、そのときの待遇は公務員であるから無論公務員として一般のものと同じような仕組みででき上つてつたわけでありますけれども、そのベースは身分関係のことから或いは仕事の出題も入つておると思いますが、一般公務員よりも大体一割から一割五分くらい上廻つたところに作つてつたわけでありまして、当然その当時の退職手当につきましても、この俸給との比較と大体同じような関係を保つて、幾分か上廻つた率できめられておつたわけであります。従つてこういうようなときになつて全然別な角度できめるということもなかなかむずかしいものでありますから、まあやはり同じような現在の公務員、これは二十三年に駐留軍労務者と大体睡み合せながらきめられた時期に比べまして、国家公務員のベースも上つておりますが、退職手当ももう何回かいろいろ改当されまして今日の制度ができ上つておるわけでありますから、その前の沿革もありますので、国家公務員の率よりも若干上廻つたところできめるのが或いは至当ではないかと、こんなふうに私個人では考えますが、今御参考にちよつと比較表を御覧頂きますと、なかなか面白い数字ができておるのでありますが、六カ月以下一年、二年、三年、四年、五年、六年七年と各期間別に国家公務員の現在の法令による手当、これは委員長の言われるように決して普通の退職によるものじやなくて、行政整理或いは官庁がなくなつたというような、そういう極くひどい特別手当の制度であります。それとの比較であります。それと駐留軍労務者につきまして、現在の駐留軍労務者の規定によるこの金額、それから組合の要求である現行規定の八割増しというものと、それから現在調達庁か軍側と交渉している調達庁案というものと、数字をみないずれも平均のところで、平均ベースを基礎にして計算をしてみたのであります。六カ月で比べてみますというと、国家公務員の場合は四万二千七百八十四円、それから駐留軍労務者で現行の規定で見ますと二万五千八百六十円、それから組合のほうの要求によりますというと四万六千五百四十八円、これは国家公務員の場合を一〇〇とした場合に、以下同じ一〇〇とした場合に一〇九になります。それから調達庁案はどうかというと六万三千七百八十八円、一四九%になつております。ですから六カ月のものにつきましては、組合側の八割増の要求よりも調達庁案が又更に高くなつている。それからその次に、一年の場合は国家公務員五万七百四十六円、駐留軍労務者の現行規定は三万四千四百八十円、それから組合の主張は一〇九%に当りまする六万二千六十四円、調達庁案は七万九千三百四円、これは一三九%に当ります。それからずつと二年、三年と通りまして、四年を見ますというと、国家公務員は八万五千五百六十八円、駐留軍の現行規定の計算では九万九千九百九十二円、四年になりますと、現行規定でも一万四、五千円も多額になつております。組合の主張による計算では十七万九千九百八十六円、一三八%、それから調達庁案十一万三百三十六円、一二九%、これで見まするというと、以下その筆法で、ずつと現行規定によつてもどんどんと率が上つておりますが、現行規定でも四年以上になれば、国家公務員よりも遥かにいい。これを七年の場合で比べますと、国家公務員の十一万九百二十二円は、駐留軍の現行規定によつて十九万八千二百六十円になるわけであります。これから見ますと、現行規定でも何ら遜色ないじやないか、こういう主張を四年以上になれば一応肯けるわけです。ところが現在は遺憾ながら四年以上の人はないと思う。本年ならば五年、六年になつておる。五年、六年七年になつておるはずでありますが、講和条約発効のときに身分切替えによつて退職手当をもらつてしまつておる。みずから進んでそういうことをやつて、それをもらわなければ、今はそんな問題はなしに非常にすらく話がついたのじやないかというような言い分もあるわけなんです。とにかくこの勤続年数の長いものは非常に現行規定でもいいわけです。ましてやこれが組合の規定によりますというと、五年のところに行きますと二十六万三千七百七十二円、三〇八%になつて、三倍以上になつているわけで、如何に駐留軍が身分の不安定とか、或いは労務の性質等があつて、公務員よりもよくする必要があると言いながら、五年で三倍以上にする必要もないじやないか、こういう主張も成り立つわけです。調達庁案によりますと、五年のところでは十四万六千五百四十円、こういうことになつております。そこでこう言いますと、下のほうは調達庁案が一案よくて、それからこの下だけで、組合案はやつぱりもう二年になると、調達庁案よりもよくなりますが、全体を通じて増加率というものは割合に自然に行つているような感じがいたすわけであります。又この程度の開きがいいか悪いかいろいろ批評もある患いますが、公務員に比べて下のほうで三、四〇%、上のほうになれば七、八〇%よくなるということでありまして、これはどれだけのパーセントが開いたのがいいかということになりますと、むずかしい問題でありますけれども、まあこの程度の開きは付けることが必要じやないか、そうして又この程度に付いておれば、公務員に比べても相当いいわけですから、割合だけででなしにベースがいいものですから、金額が相当に開いております。このほかに失業保険の関係が六カ月分出るわけでありまして、これは尤も就職すればなくなりますから、このほうに合わせて考えるべきじや理窟としてはないと思いますけれども、この程度ならば妥当じやないかと調達庁考えて、これをもつぱら実現すべく努力をいたしているような状態であります。
  84. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 山内さんに、この前もお目にかかつているくお話申上げたのですが、未だこの問題が解決せられていないということは甚だ遺憾なことだと思うのであります。勿論今お示しになりましたようなこの退職手当について、一般公務員から上廻つているということも数字的には事実でありましよう。併し今のお話にもありますように、占領が解けましてから身分の切替が行われまして、事実長い勤続年限を持つているものはおらんのであります。従つて現実の問題としてこれを考えて頂くということ、特に駐留軍労働者の職業転換がかなりむずかしい状況にあるということを考えましたときに、私は政府のほうにおいて、もう一段の努力をしてもらいたいと思うのであります。それでこれは勿論アメリカ軍のほうと話合もいろいろしなければならんかと思うのでありますが、同時にこれはまあ大蔵省との折衝というものに非常にかかつているのじやないかと思うのでありますが、今までのところ大蔵省の折衝はどういうふうになつているか、それをちよつとお伺いしたいと思います。
  85. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 大蔵省との関係は、こういうこの駐留軍労務者に対する賃金とか、或いは手当の収支は、特別調達資金という資金がありましてそれから出し入れをやつております。但し特別調達資金設置令は大蔵省所管で持つておりますから、そういう意味におきましては、仮に或る額を出すにしても、現金の上から言つてどうかという問題もありますので、その意味においては、絶えず大蔵省とは連絡はとつておりますが、そうして又大きなやはり国家の問題として、閣議に出すような案は全部次官会議に出しますものですから、その意味において特に大蔵省とか、関係の密接なところは、次官会議に出す前に案についてよく説明をして予解を得ておきませんと、次官会議で関係のあるところから反対されますと通りません。そんなような関係で大蔵省とも連絡をとつておりますが、ただ大蔵省としても、実は資金として大蔵省所管で、設置令は大蔵省所管でありますけれども、実際の運営は調達庁が責任を以て運営しておりますことと、この財源の本当の負担は米軍が負担をいたすごとになつておりますので、直接に日本のこの財政に影響ないわけであります。そんなような意味合で、大蔵省としてはむしろ国家公務員に影響すると困る、或いは又そういう面から、国家公務員からいろいろの又難題を持ち出されても大蔵省としては困るというふうにまあ考えるだろうと思うので、まあそんな意味でいろいろ批評も頂いておりますけれども、まあ大蔵省の問題はむしろそこに一番の問題があつて、そうしてこれは軍さえ同意すれば、大蔵省はそれが国家公務員との関係で多少つらい面がありましても、反対するということはなかろうと考えております。ただ原則的には、大体において国家公務員に準じた扱いをするということは前から話し合つていることですから、その辺は全然大蔵省は意見がないというようなわけではありませんけれども、一番の問題は軍の了解ということでこの問題はきまるのじやないか、かように考えております。
  86. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今労働組合のほうで要求しておりますものを全部入れたのと、それから現在調達庁側で示している案ですね、これとの金額にしての差額はどれくらいになるか。
  87. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) どうも総額にしまするにはなかなか計算がむずかしくなりまして、大体これを今度の整理に退職金を出すとしたときに、調達庁の案で約六、七億くらいになりはせんか、こう見ておりますが、組合の案によりましても、さつき申しました数字は非常に大きな数字になつておりますが、これは勤続年数の長いほうの数字があるからでありまして、現実には勤続年数が少いために余り大きな開きはない、かように考えております。
  88. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 結局問題は私は退職金額の問題についての理論的の争いではなくて、結局は金額の問題を具体的に取扱うごとによつて何か解決の途がみられるんじやないかと思います。組合側のほうの要求もこれは八割増しということですけれども、先ほどの御説明になりましたところから見ると、勤続年数が実際は短かい。そこで調達庁案との間の金額の差はそうないということでありましたならば、私はやはり両側がこれについてもう少し細かく数字を弾き出して、そうして接近をしておるならばその差額の範囲内での話というふうに、こう縮めて来て、調達庁側と組合側の間で或る程度の一致点が見出されるならば、又軍との話合も容易になるんじやないか、こういうふうに考えられるのですが、その点は如何ですか。
  89. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 今軍との折衝で一番困つていることは、金額がどう違つているかということじやなしに、それぞれ非常な性質の違つた案を以て処置をいたしておりますために、いずれにしても三者一致しなければ話が落着せんわけです。而も要求するほうの側の使用者の代表の政府側と、それから使用人である労務者側との意見が余りに違つているものですから、今の状態では調達庁側の案が入れられても組合側を説得する自信はまだない。話合がつかなければ調達庁側としては苦況に落込むようなことになりますので、問題は案の性質が違う。而もそれぞれ自説を固執して譲らんという状態がこの問題の解決をむずかしくしているわけですから、そこで今も申上げたように、現実の問題はみな勤続年数が少い。勤続年数が少いものならば極く下のほうは調達庁の案よりも遥かに安い。ただちよつと二年超すような者について、これは組合側の案のほうか少し高くなつている。而も又二年を超す二年三、四カ月というものが大部分と申上げてよいほどになつておりますから、その意味で金額は組合側のほうが高いわけです。併し総額の差というものは大したことじやない。今もはつきり数字を申上げませんで恐縮なんですが、そう大した額の開きでないということは考えられるわけであります。ですから何かこの問題の方向を同じにすることについて今後折衝を続けて、而も額の違いはそう大したことはないというところに、せめてこの際有敢に腹を割つてぶつかつたならば、何か妥結点が出るんじやないか。そうして政府と組合とのほうに意見が、金額に多少の開きがありましても、大体の考え方に意見が一致すれば、力強く軍のほうに主張ができるんじやないか。軍の主張の中にも私ども腑に落ちない点がたくさんありまして且ついろいろの問題について相当強く反撥をいたしておるようなわけであります。やはり解決の今後の要点は、組合と話合つて何とか同じ方向に持つて行くということが一番必要なことではないかと考えております。
  90. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今のお話を伺いましても、組合のほうとそう金額の差はない、総額においての金額の差がないということでございますから、やはりこの点が私は一つの足がかりになる。それで組合のほうも、解釈は別といたしましてへ組合のほうが八割増しの要求で来ておる、そうしてそれが総額において大体一致しておるということになれば、組合のほうとしてもおさめる途はつくと思う。だから問題は組合のほうがああいう主張をしておる。それに基いて総額を正確にはじき出した場合にどれくらい、それから調達庁側のほうが正確にはじき出した場合にはどれくらい、こういうようなことを両方でやつてみて、突き合して見て折衝するという途を発見されたらどうか、こう考えられるのですが、如何ですか。
  91. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) ここに資料がありませんので、はつきり申上げることができないわけでありますが、或いは今お話のような数字は役所に行けば担当者のほうには持つておるのじやないかとも思われます。まあ先ほど申したように、問題点は意見が違うというふうになると申上げましたが、もう一つやはり組合としてはだんだんと時が経てば勤続年数が長くなりますから、どうせきめるならば先々の年数のものもきめたいというところにあるのじやないか、そうでなければ現実問題として大して差支えないものを、もう少し調達庁案とくつ付くようなことはできないはずはないと私どもは思うのですけれども、先のことを考えておるから簡単に主張も曲げられないというところにあるのじやないか。そうすると、やはり軍としても今の二年三、四カ月の勤続年数ならば大して総額に違いがないと言つても、どうも理論上勤続年数の長いものが非常に大きくなるものでありますから、そういうところが軍としては恐らくまあ殆んど考えられないことじやないか、又調達庁としもて勤続年数の長い問題を今当面の必要でないものをむずかしい折衝をするというようなことになれば、関係のないところは暫らく後日に延ばして、そうして必要なものだけを今暫定的に解決したほうがよいのじやないか、ですから強いて問題を言えば二つの問題になると思います。
  92. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私も現在の問題と、それから将来のつまり制度としての問題とやはり二つに分けて、現在の当面の解雇者の問題はここで以て片付けて、それを基礎にするか、或いは更にそれを発展さすか、これは別として、将来の問題は少し時間をかけて団体交渉をやつて何かいい途を発見するということにすることが現下の問題の解決方法じやないかと思います。これはやはり組合側のほうでも、或いはこの際に一挙に確立ということを考えておるかも知れませんけれども、併し争議が長引いて来ますれば、組合側においても何らかの形で解決しなければならん問題でありますから、或いは分けて考て別の折衝にするということも、これは考えられないことじやないと思います。一つその辺について調達庁としても具体的な数字を以て具体的な交渉のできるような用意をして頂きたいと思います。
  93. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 先ほどちよつと組合側の八〇%をどこまでも変える意思がないような話を前にしたのですが、極く最近、といつても昨日ちよつと組合側の代表者の話振りから見まして、必ずとも八〇%案を固執するものでないという意味の公の席の発言がありましたし、それから調達庁へ来てもそういう意味の話もあつたそうであります、私聞いておりませんでしたが………。そんなことから考えて行きますと、勤続年数の少い現在の労務者に大体当てはまる程度の幅のものだけを検討して、そして関係のないものは後日十分検討して適切な案を作るということに切離すことができるならば、これは問題解決に対してかなり進歩するのではないかと思う。実は労務基本協定も、今残つておる部分は御存じでありましようが、給与の問題、退職手当の問題だけになつておりまして、給与はアメリカ式の職階制を強要するような恰好で出られた。退職手当は変える意思はないというように聞いておりましたが、給与については最近どうも日本に来てアメリカ式をすることもどうかというので、大分その考え方は今度は変つて来ておるように聞いておりますので、ただ目下この問題のために一時交渉が停頓したようになつておりますが、このほうが一段落つけば、どちらにしても退職手当の問題は検討しなければ労務基本協定が全面的に実施に至らんわけでありますから、当然この問題はいずれ後日検討しなければならんことになるわけですから、今は短期間のものだけについて実用のあるものだけを話合つてきめることが必要ではないか、こんなふうに考えております。
  94. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは岡田委員からも御発言があつたように、一つ調達庁のほうも、非常にむずかしい仕事でしようが、解決一つ格段の御努力をお願いいたします。  それから岡田委員に申上げますが、一昨日来反民主主義活動委員会の問題について、本日の議題にすることにして政府側の出席を要求しておつたわけなんですが、政府から出席がありませんので、再三連絡をとらせました。その結果副総理は他に用件があるから出られない、こういうことでありますので、その用件がどういうことか一応質しておきたいと思つて委員部を通じて数回連絡をとらしたのでありますが、実は秘書官もおらんのでありまして、その内容もわからんという極めて無責任な結果なんですが、これについてそれではこの問題を改めて議題にして委員会を開くようなことにいたしますかどうか。一応御要求のあつた岡田委員の御意見も伺いたいと思います。
  95. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 とにかく本日緒方副総理の出席をみないということは非常に遺憾なことであります。私どもといたしましては、この問題は憲法にも抵触するようなものを含んでおりますので、特にこの反民主主義活動対策協議会会長に閣議で指名されました緒方氏の考え方なり何なりを聞くということは重大だと思つて、一昨日から出席を求めております。今日に至るまで理由を明らかにされないで出られないということは、これは国会を軽視すること甚だしいと思います。これは首相が国会軽視をして、証人として喚問されながら口実を設けて出ない、それと同じことなんです。非常に怪しからんことだと思いますので、我々は本日副総理或いは官房長官がそれに代つて出席できないということは非常に遺憾と存じます。それで後日適当なときに向うさんが出られるように改めて委員会を開くということを委員長においてお考え頂きたいと存じます。
  96. 松原一彦

    ○松原一彦君 岡田氏の提案に賛成いたします。衆議院においてもすでにこれは大きな問題になつて、近く委員会を開いて究明することになつております。どうか適当にお取運びを願います。
  97. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本案件につきましては、政府側とも連絡いたしまして、改めて議題として委員会を開くように委員長のほうに御一任願つて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それではさよう決します。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会