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説明員(山内隆一君) 今日は重要な問題についてお招きを受けたわけですが、長官が出席してお答え申すべきところでありますが、軍との折衝が最近頻繁にありますので、今日も折悪しくそちらのほうに参
つておりますので、私代
つて参りまして御
説明申上げますが、なお詳細な問題なり、或いは御質問によりましては不動産部の
連絡調査官の鈴木君と労務部の企画課長が参
つておりますからその両君にも随時答えさせて頂きたいと思
つております。
今
委員長からの第一の問題でございますが、北海道からの陸軍の内地への撤退に伴いまして、北海道の陸軍
関係で使
つておりました労務者約四千二、三百人が必要がなくなりまして、これが整理されることに
なつたわけであります。今月の十三日が第一回としてすでに予告を受けて本当に退職をしたわけで、これが約千人近く、それから今後の予告を受けておる者もありますし、まだ予告のない者もありますが、大体年内ぐらいに全部予告を受けて、いずれ年内、又は年が明けてから退職しなければならんことになるのじやないかと思
つております。そこでこれらの退職予定者をできるだけ他の適当な方面に、成るべく従来の経験を利用するような方面に
斡旋をいたしたいという
考え方で、
一つは北海道における空軍の労務者の需要増加が予想されておりますので、この方面に優先的にと
つてもらおうということと、それから自衛隊がそのあとに入りますことにな
つておるので、この自衛隊のほうで必要とする労務者の採用に当
つて、これ又今まで駐留車に使
つてもら
つてお
つたその労務者を、極力事情の許す限り使
つてもらおう、この二つが当面の大きな狙いであり、相当まあ有望に
考えておるわけであります。それからそのほか東北方面に大体移るにつきまして、そこに若干労務者の需要増ということも
考えられはせんか、尤も一般の予算削減による減はありますけれ
ども、ありますけれ
どもまあそういう軍の移動に
伴つて必要とする向きもあるわけでございます。若しその方面に必要が生ずるならば、是非これをと
つてもらいたい、尤もこれは住居の移動ということを要するものでございますから、軍がと
つてくれると言いましても、どの程度動き得るかということは勿論問題であろうと思います。大体まあそういうような
方向に向
つて全力を尽しておるわけであります。なお、それでも職のない方面につきましてはいろいろ広い
意味の失業
対策、
政府の一般
方針による失業
対策を大いに活用して、労働省、
調達庁、北海道庁その他
関係官公署で力を合せてこの方面でできるだけ救済をして行きたい、かように思
つておるわけであります。まだ今のところ果してどの程度採用の見通しがあり、どの程度失職するかということの確たる数字を申上げる程度に達しておりません。まあ少しく大ざつぱに申上げるならば、千数百名、二千名未満くらいは何とかいたしたいというような
考えを持
つております。
それから次に、今全国的に二割五分予算削減に基く労務者の大量整理という問題が北海道をも含めてあるわけでありますが、然らばその人数はどれくらいになるかということは、これはなかなか予算が二割五分減
つたから当然労務者についても二割五分というわけには参らない。それより多くなるということは無論ありますまいが、その以内でどの程度でとどまるか。或いは努力如何によ
つては相当予算の減の割合より以下にとどめられるようなことができやせんか。こんなふうに期待を持
つておりますが、新聞紙上等は三万名とも出ております。これがおよそ二割五分とすれば大体そんなことになるわけですが、併しこれはまあ最大限の予想であ
つて、実際まあ固いところは二万から二万五千と思
つてお
つたのですが、極く最近の軍の意向を付度すると二万名を若干下廻るのじやないか、こんなふうに
考えられる節があるのであります。そういうように減ることになれば幸いと思いますが、無論これも確たる数字ではありません。さような
状態で各地とも整理を心配していろいろこの就職の問題とか或いは退職手当の問題についても全国から陳情が殺到いたしておるようなわけであります。労務者の組合のほうは勿論ですが、そうじやなくて、責任者である知事さん、その他そういう方面からの陳情も非常に多いのであります。で、さような
状態にな
つて、北海道の
現実の問題と、全国的に今整理を心配しての退職手当の増額問題が目下の一番大きな問題とな
つておるわけであります。
然らば退職手当はじやどういう今案があるか。これは当然軍と
調達庁と組合とまあ三つのそこに
考え方が
考えられるわけですが、軍としては、今度の場合にどういう退職手当の案かということは何ら示しておりませんが、いろいろ折衝の過程において心えられることは、現在の駐留
軍労務者の退職手当の規程そのままでいいじやないか、そのままで計算しましても一段国家公務員の場合に比べて少しも遜色がない、むしろそれでも全体的に見れば却
つていいじやないか、尤も軍がそういうことを強く言うわけは、単に形式上の退概手当だけじやなしに、やめますというと失業保険による保険金が出る。それから即刻やめさせるというような場合には、その手当も出るのじやないか、講和条約発効の場合に身分切替をや
つて退職手当をもら
つて、新らしく新規採用ということにな
つているにもかかわらず、給与は新規採用の標準によらずして、長い間継続勤務しておる、引続き勤務しておる
状態のままで給料はずつと続いておるのだ。
従つて本来もつと下るべきものが相当高いベースのままで給料をもら
つておるから、それに合う率をかければ、それだけでも非常にいいじやないかというようないろいろな
言分で、現行規程を改訂する必要なしという強く意見を堅持しているわけであります。
ところが組合のほうでは、御
承知のように現在の規程に対して八〇%増、これは極めてわかりやすい、今の規程に八〇%を加えるという
考え方、ずつと長い聞これは続けておるのでありまして、決して北海道の問題が起
つたからではなしに、八〇%増の組合の
主張というものは昨年の秋からでありまして、現在まだ進行中の基本契約の中に退職手当の項目があるわけでありますが、その中にそういう
趣旨で入れてくれという強い要求があ
つて、
調達庁は単に申入れたわけですが、軍としてはとうてい容れるような気配がない、そのまま話もつかないままでまあ最近までに
なつたわけであります。ところが北海道の問題が起
つてから一層熾烈に八〇%の運動が展開されて来たわけであります。
それから
調達庁はそういう事情の下にあ
つて八〇%増というものは勿論長い間耳にし検討もしたわけでありますが、国家公務員等の退職手当の
関係を
考えて、これと均衡を取ることがやはりこれは当然のことでありますので、公務員と比べて余り均衡を失した案は適当でないという
考え方を持
つているわけであります。というのは国家公務員は二十三年頃から、その時分から駐留
軍労務者と比較して、駐留
軍労務者のほうが身分の不安定というような理由で若干上廻
つたところできめられてあるわけでありますが、その後官吏のほうはいろいろ変化いたして改善されて来たわけでありますけれ
ども、今の制度から言えば決して八〇%増にな
つていないので、三〇%増、三割増くらいにな
つておるのであります。そんな
関係から見まして、非常にベースそのものが高い、一割乃至一割五分くらい高いところへ以て来て率が非常に今度違うということになりますというと、一般公務員との間の開きが非常な不均衡な
状態になる。これは適当じやないじやないかという
考え方を持
つて、そこで大体この公務員の場合に比べまして非常にこれは是正しなければならんと思うのは、勤続年数の短い者に限るわけであります。今の規程そのままで行きましても、勤続年数の長い者になりますというと国家公務員よりは相当いいのであります。ただ国家公務員については勤続年数の少いほうについては最低保障額の規定がありますので、その点から現在の組合側の、現在の規程によりますと公務員より低くな
つている。
従つて当然公務員の場合の最低保障制、これをその精神を以て取入れて、そしてこの最低勤続年数の短い者を一般公務員より上廻るようにするということが非常に必要である。併し勤続年数の長い者は、今の規程だけでも非常に高いところへ持
つて来てあるので、身分切替によ
つて、実は今の労務者は殆んどみな二年半以下、
従つてこの最低勤続年数の短い者だけについて最低保障制というようなものを入れて
考えるならば、そこで大部分が救済されるということになる。で、勤続年数の問題については今
考える必要がないのであ
つて、そういう退職手当とか給与の問題は基本協定の中にまだ未
解決にな
つて残
つておりますから、いずれそのうちに十分検討して、勤続年数の長い者についても適正な退職手当をきめればいいわけである。そういう
意味で今度勤続年数の短い、国家公務員に比べて低くなるような虞れのあるそういう面について最低保障制度を取入れて、公務員よりよくする
考え方で出してあるわけであります。そのようなわけでまだなかなかその三者の間に
話合いがつかない。又つく見通しも目下のところどうも困難ではないか、こんなふうに今の
状態では言わざるを得ないのであります。
併しこれをいつまでも放
つておくわけに行きませんけれ
ども、
調達庁としてはどんなことをしても、
調達庁側の
主張に対してもいろいろ軍としての批評がありますから、それらの批評を徹底的に
一つ反駁して、そうして軍に理解を求めようということで、今そういう軍の言う項目について一々こちらの意見批評を書面を出しておりまして、軍はこれを十分検討の上返事をするということにな
つておるわけであります。それから組合側につきましてもずつと最近までは八〇%増の
考え方は何らこれを変更するような
意思はなか
つたようでありますが、最近
事態がかように
なつたからでもありますけれ
ども、何とか早く
解決するためには必ずしもこの八〇%増というものは固執するものでないということを、他の
委員会でも
言つておりますし、
調査庁に対してもそういう
意味のことを近頃ほのめかしているような
状態でありますから、或いはもう一歩進んで
話合つたならば何か具体的なところに行きはしませんまでもせめて
方向だけでも同じようなふうに
向うような時期が来るのではないか。そうなりますと
調達庁として軍に対して強く交渉する場合に非常にしやすくな
つて、今の
状態でありますというと、
調達庁側の案が仮に軍に認められても、ストをやるやらんに影響はないじやないか、又組合側の
主張を説得することができんのではないかというようなふうに言われると、こちらとしては如何に努力はしても、また幸に通
つても組合との間に話がつかなければそれまでであります。非常に却
つて収拾に困難になる心配もありますわけで、その
意味において今まので
状態ではなかなか妥協の見通しが殆んどつかない。かなり憂慮すべき
状態に立至
つていると申さざるを得ないのですが、多少話を進めるのに進めやすいような空気が出ているのではないかと、かように思
つております。この問題は大体まだいろいろ御質問もありましようが、一応の
説明としてはこのくらいにしておきます。
次に
調達庁の二十九年度の人員整理について執行
状況、又その結果いろいろ仕事の処理に影響することがないかどうかという
意味のお尋ねでありますが、参議院からは格別
調達庁の仕事に対する御理解、御同情を頂きまして、
たびたび救済をして頂いておるようなわけで、常々感謝しておりますが、今度の整理につきましては、御
承知のように三カ年に亘
つて、第一年度は二百二十五人、それから第二年度は三百三十二人、第三年度は百四十四人の整理に決定されておりますが、今年の整理は二百二十九名であ
つて、これは他の省と同じようにかなり仕事のやり方の改善とか、或いは能率を上げるとか、まあいろいろの
方法によ
つて職種別にいろいろ整理の率をきめられて、それによ
つて計算した数と、それから若干の仕事の減による減数と合わさ
つて二百五十五名が出ておるわけであります。
従つてその二つの要素の中の前者のやり方については、他省がそれでや
つて行く場合に
調達庁のみやり得ないということはあり得ないのでありまして、努めて仕事の合理化或いは能率を上げること、或いは仕事の成るべく無駄な手数は略するようなことにして、もつぱら能率本位に立
つて今進めておりますが、仕事の減による減は、これ又いわば当然のことでありまして、そのために仕事に支障があるということに
なつちやなりませんわけで、整理後の仕事の進行について少しでも支障のないように今努めておる次第であります。そこで整理はおかげを以ちまして特別待命制度というものが前にありまして、更に法律が通
つてからは臨時待命というものが規定をされておりましたので、その両制度の活用によりまして全部二百二十五名の整理は完了いたしたのであります。尤も予算の上から五十名だけは従来の欠員で賄
つてくれということにな
つておりまして、それだけ予算の執行の上には窮屈になりますけれ
ども、本当の人員の整理という点から言えば、その五十名を欠員で賄う五十名がありますので、実際の整理はそれだけ内輪で差支えないので、すでに今年度の整理は全く完了いたしたわけであります。この整理には非常に問題が多いわけでありますが、そんな待命制度のあ
つたために今年は非常に私
どもとしては予想以上に楽にこの厄介な仕事をすることができたと、かように思
つております。併し今度は三十年度になりますというと、なかなかそういうわけには参りませんで、今から非常にこの整理については心配をいたしておりますし、今後この問題に一番頭を悩ますんじやないかと、かように
考えております。そこで仕事に対しては先ほ
ども申しましたような整理の
内容と言いますか、性質もありましたし、私
どももこれを前から覚悟いたしておりまして、仕事の進行には十分留意をして進めておりますので、このために仕事が停滞したということは言えないと思います。然らば非常に二十九年度の仕事の進行は順調に
行つておるかというふうに若しお尋ねを受ける場合には、遺憾ながら仕事は予定よりは大分遅れておると申上げざるを得ないわけであります。これは決して人の数が少く
なつたからという……、これが全然
関係ないということもこれは申上げかねますけれ
ども、むしろ主たる理由は他にあると私は
考えております。その理由は、
一つは、
調達庁の仕事が同じ種類の仕事でありましてもだんだんとむずかしくなる。
一つの
事件を処理するにも、だんだんとむずかしくな
つて来て、当初大蔵省の査定なんかできま
つた一件を処理するためにどのくらいの人を要するとか、或いは経費を要するとかいうような予定よりも余計に人手を要する、或いは余計に経費を要するというようなことにな
つて参りまして、それだけ一件を処理するために長い時間を要するということが
一つの理由であります。それからもう
一つの理由は、これはやはり事業費予算等の
関係もありまして、どうも予算の
関係から、或いは仕事にしてもどうも支払いの
関係に窮屈なような
状態になる。そんな
関係で或る程度予算を見ながら仕事をや
つて行くというような、予算から来る仕事の進行に当
つて若干のブレーキをかけ、さるを得ないという場合が起
つて来る。これが誠に遺憾なことでありますが、
調達庁の仕事の性格が、ほかの省が自主的に計画をして予算をもら
つてや
つておるのと違いまして、全く受身にな
つて、こちらの予想しない仕事が起
つて来、而もそれをどうしても急いでその年にや
つてしまわなければならん。
従つてそのための予定がないけれ
ども、既決予算と言いましても、これはほかの省と違
つて大きな枠で大蔵省は持
つておる、必要に応じて移し替えをしてもらうような仕組にな
つておりますから、そこでそういう
関係でその予算の中に食込んでしまう。そうすると、すでに予定してお
つた仕事をやり得ない、こういうようなことが遺憾ながら起
つて来る場合があるわけであります。そんなような理由になると思いますが、その中でも主たる理由は、一件の処理がなかなかむづかしい、予定
通り進行はできない、こういうようなことから遅れる面が非常に多いと思います。
大体お尋ねの二つの点は、非常に大ざつぱでありますが、以上で一応
説明を終ります。