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1954-08-10 第19回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    委員            白波瀬米吉君            竹下 豐次君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            堂森 芳夫君            松原 一彦君            野本 品吉君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    自治庁次長   鈴木 俊一君    防衛庁長官官房    法規課長    麻生  茂君    法務省人権擁護    局長      戸田 正直君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    厚生省薬務局薬    課課長補佐   久万 楽也君    水産庁次長   岡井 正男君    海上保安庁警備   救難部監理課長  高村  信君   —————————————   本日の会議に付した事件人権委員会設置法案亀田得治君外  九名発議) ○行政機構整備等に関する調査の件  (別府湾におけるガス弾処理の状況  に関する件)  (各行政機関人員整理現状に関す  る件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より委員会を開会いたします。  本日の委員会の案件は、昨日の委員会でも御説明申上げました通り行政機構整備等に関する調査人権委員会設置法案審査との二件であります。前者の調査の具体的の調査事項としては、主として行政機関職員定員法の一部改正法律実施後の各行政機関人員整理現状、特に臨時待命制度実施が先月十五日までで完了いたしておることと思いますので、この臨時待命制度実施現状等について、塚田行政管理庁長官その他同庁当局より御説明を願うことといたしております。  次に、後者の審査は、人権委員会設置法案についてでありまして、この法案は御承知通り参議院議員亀田得治君外九名の発議によつたものでありますが、前国会におきましては審議未了となつて継続審査に移されたものであります。本日はこの法案の内容の審査よりも、むしろ、最近全国各地で発生しておる具体的の人権侵犯事件、特に先般来問題となつております近江絹糸工場における従業員に対する人権侵犯事件が、最近の人権侵犯の最も大きな事件として現われて参りましたが、かくのごとき重大なる人権侵犯事件が、今日まで何故に法務当局の手によつて十分調査勧告等行政措置がとられておられないのか、放置されておつたのか、この事件真相を知らない世人が甚だ奇怪に感じておることでありますので、その原因はいずれの点に伏在しているか、即ちその原因の一部が人権擁護局機構の点にあるのか、或いは人員又は経費の過少の点にあるのか、かような点について法務省当局所見を求めると同時に、なお問題となつている近江絹糸従業員人権侵犯事件真相について説明を願つておきたいと存じております。  塚田行政管理庁長官は閣議のため午前中は出席ができないようでありますので、順序を少し変更いたしまして、人権委員会設置法案を議題といたします。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その前に。先ほど事務局を通じて委員長申入れてありました昨日の楠本厚生省環境衛生部長その他の出席を仰いだ上の私の第二の質問並びに副総理外務大臣に対する質疑は、只今委員長が宣言された審議の終了後に取扱われるよう重ねて要望いたしておきます。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 出席要求の手続をしております。  それでは人権擁護局長より最近の人権侵犯問題について説明を受けることといたします。
  5. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 昭和二十九年六月の十一日に、丁度二カ月前でありますが、衆議院議員三宅正一吉田賢一参議院議員赤松常子上條愛一等先生方から近江絹糸人権争議調査してもらいたいという陳情と申しますか、申告がございまして、同時に全繊その他近江絹糸の第二組合等からの陳情を受けまして、又当時新聞でこの問題が非常に大きく取上げられておりましたので、人権擁護局としては情報入手と、又これらの申告によりまして調査に着手いたしたのであります。御承知近江絹糸工場は、大阪を本社といたしまして、岸和田、彦根、長浜、岐阜大垣、津、富士宮等の七工場ございますし、各地に亙つておりますので、人権擁護局といたしましては現地の各地方法務局大阪法務局、大津の地方法務局岐阜地方法務局、津の地方法務局、静岡の地方法務局等調査を指示いたしまして調査に着手した次第であります。  この近江絹糸争議は、いわゆる人権争議と言われておりまして人権擁護局としましても深い関心をもちまして慎重に調査をいたして参つたのでありますが、すでに二カ月を経過いたしておりまして非常に調査処理等が遅いではないかというような御批判もあろうかと存ずるのでございますが、先ほど申しましたように各法務局にまたがつておりますることと、この争議が極めてたくさんの人権問題を含んでおりますることと、それからいわゆる争議中でございますので、調査にいろいろの困難がございます。又一面には同じ立場にある労働者の中で組合がいくつにも分れておる。最初は第一組合、第二組合、それが第三、第四まで各同じ労働者の中で組合を異にして争つておりまするような事情から、非常に調査に困難がございました。なお人権擁護局におきましては、強制捜査権というものを持つておりません。従つて調査の限界というものがございますので、非常に調査に困難を来たして参つたのでございますが、漸く各法務局からの調査も終了しまして、只今全部中央報告されて参つております。そこで私のほうでも大体の結論をすでに得たのでございますが、その前に人権擁護局としまして調査の範囲を大体人権問題に限定して調査したいと、かように考えまして、仏教強制、結婚の自由の侵害信書開披等通学妨害私物検査、その他の私生活の自由の侵害等に大体限定いたしまして調査いたして参つたのであります。その結果、第一組合、第二組合会社側その他の関係者数百名につきまして調査を大体終つたのでありましてその結果、仏教強制信書開披等通学の自由の妨害私物検査外出禁止等につきまして、人権侵害の疑いが極めて濃厚になつて参りましたので、極く近いうちにこの処理について善処をいたすべく只今検討しておる次第であります。
  6. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) そのほかの最近の人権侵害事件件数増減等について、何か件数などの報告を受けるような資料ありませんか。
  7. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 最近になりまして特に目立つたと申しますか、今までと変つた事件の一、二を申上げます。一つは、熊本県の熊本市における恵楓園からの、恵楓園と申しますとらい患者収容所でありますが、恵楓園かららい患者子供その他の親族の者で引取り手の、育てる者のない者を恵楓園内保育所に収容しまして、教育をいたして参つたのでありますが、これが十数年来保育所のこの非らい児童たち分教場教育を受けております。この分教場は一人の先生が一年から六年までを全部受持ちまして、いわゆる単級複式教育というものをいたしております。これが極めて不完全な教育方法でありまして、これをやはり一般子供たちと同じように一般学校入学をさしてもらいたいということが十数年来しばしば当局に要請せられておつたのでありますが、これがらい患者親族者たちであるというようなことから、らい病に対する非常な嫌悪感らい患に対する恐怖感からこれを一般学校に入れることにいろいろ反対がありまして、今日まで及んだのでありますが、昨年の十二月の人権週間のときに、恵楓園から熊本地方法務局に憲法、らい予防法教育基本法等の精神からしても差別待遇をすることなく、一般学校にこれらの子供たち通学させるべきであるという、してもらいたいという申告がございました。熊本地方法務局におきまして早速調査いたしまして、その結果本件は非常に理論上はわかるのでありますが、どうも、らいに対する嫌悪感というものが非常に強うございまして、PTA等の非常な反対等もありまして、人権擁護局だけで果して十分な処理ができるかどうかというような心配もありましたので、厚生省文部省とも打合せいたしまして、三省の意見を出しまして、やはり一般児童と同じように、差別待遇してはいけない、一般学校通学せしむべきであるという意見を出しまして、市の教育委員会申入れをいたしました。その結果、市の教育委員会もこれらの我々の申入れを認めまして、今年度から入る児童たちを入れるということになつたのであります。ところが四月の八日にいよいよ入学するその日にPTAの一部によりまして非常に反対がありまして、遂にこれが同盟休校に入りました。プラカードを立て或いはデモをやりました。又学校の正門、裏門等PTAが立つてつて児童に帰るようにと、非常ないろいろな妨害行為もありまして、遂に二週間同盟休校に入りました。これが非常に問題になりまして、各関係当局いろいろ斡旋等がありまして、同盟休校を二週間後にやめまして、市の文教委員会が調停に立つて臨時休校ということになりました。これが大体約二週間、合計一ヵ月の間いろいろ問題があつたのでありますが、遂にPTA側からの新らしい学童をもう一度自分たちの指定する医者に見せて、その上でよろしいということになつたら考慮しようというようなことで、熊本大学の、今名前ちよつと忘れておりますが、先生に見て頂きました結果、四名のうち三名までは何ら心配がない、そのうち一名がいわゆる要注意といいますか、多少の注意を要するというような鑑定がありましたので、三名は入学は許可せられまして、只今何ごともなく通つておりますが、一名はなお残つております。そこで恵楓園等におきましては、なお一名について何とか善処せられるようという更に只今要望が参つておりますが、十数年来のこの問題が、とにかく本年度から新らしく入学できたということは一応の成功であつたというふうに考えておるのであります。  それから最近の新らしく異なつた事例としましては、思想に関する人権侵害と申しますか、公安調査庁の職員が、或いは警察の警官が思想等について調べておるというような事例が四、五カ所出ましたので、これらにつきましては調査して、すでに大体処理を終つておりまして、御承知のように勧告等処理をすでにとつておるような次第であります。  それからその他につきましては、教職員生徒に対する体罰問題、これが全国的に殖えて来ているということが言えると思うのです。それから警察官の人権侵害事件というものは、これも只今二十九年度に入りましてからの統計を持ち合わしておりませんが、決して二十八年度当時から比較して少くはなつておらない、少し殖えておるのじやなかろうかというような感じがいたしておりまして、これらが最近における人権擁護局の大体の傾向であります。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず近江絹糸の問題ですが、これは巷間いろいろと伝えられておつたのでありますが、あれほどの事柄が早く処理できなかつたということは、地方法務局並び法務局は関知していなかつたのでありますか。しておつたけれども見逃しておつたのですか、どうですか。
  9. 戸田正直

    説明員戸田正直君) この問題が人権擁護局にとりましては極めて重大な問題でありますので、非常に深い関心と積極的な気持調査に着手いたしました。各法務局におきましても、中央からの指示によりまして非常に熱意をもつて努力をいたしたのであります。先ほども申し上げましたように、従業員は一万三千名もおりますし、争議中であつて調査が非常にしにくいということと、先ほど申上げたように強制調査権も……
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁の途中ですがね、私はこの事件が起つてからのことを伺つているのじやないのです。事件の起る前ですね、あの争議が始まる前にああいう事態が各工場事業場にあつたということは巷間伝えられておつたのですが、それは法務局なり地方法務局としては関知していなかつたのかどうか。或いは関知しておつたとするならばそれを見過ごしておつたかどうか。それを伺つているのです。
  11. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 答弁が少し、私聞き違えましてほかのことを申しまして恐縮でございます。各法務局におきましては、大体申告等に基きまして調査に着手いたしておりますような関係上、従来の各工場における人権問題というものについては、まだこれというものをつかんでおりませんので、調査には着手いたしておりませんでした。ただ津の法務局におきましては、前に組合側から申告がありまして、この問題は昭和二十七年の四月か五月頃でありましたか、学校通学している者が、これは津の東高校でありました。会社に無断で通学しておつたということがわかつて学校をやめろと言われて学校をやめさせられたというような事例がありました。これにつきまして、津の地方法務局調査いたしました結果、工場長の西川、名前ちよつと出ませんが、庄治郎かと思いましたが、今後そういうことのないように、一般学校通学させるという誓約と申しますか、一札取りまして、そのために五人ほどの生徒がやはり復学できるということになりましたので、目的を達しましたのでこれをそれ以上追及いたしませんで、処分猶予、元のいわゆる不問処理です。今は不問処理が言葉が非常にあいまいでありますので、処分猶予ということに変えましたのですが、処分猶予にいたしまして、この問題は終結いたしました。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この近江絹糸関係には、東北もそうでしようが、九州出身者が一番多いのですよ。そのうちでも大垣あたりでは熊本県人が圧倒的に多いのです。それから鹿児島県人ですね。それから、この事件が起つて以来、出身地男女工員報告帰つて私は一部始終を聞いているのですがね、それはもうお話にならないですね。そうして、そういう人の報告を聞くと、やはりこの労働三法の施行ですね、それについては労働基準監督署会社側がぐるになつてつた形跡が極めて濃厚です。そうして、組合によると組合の幹部も一部加勢をしたという形跡もあるようです。で、まあそれは労働省関係としてこの人権委員会法審議するときも、あなたのところは、非常に手薄ではあるが、申告とか或いは密告とかというものを待たずに、積極的に人権侵犯事犯がありはしないかという点を注意しておつて、或る場合には積極的に乗り込んで行つて事前にそういう人権侵犯事犯というものを防止するのです。こういうことを方針として局長答弁されておつたわけですが、この争議が起る前にあなたの所管の名地方法務局なり、或いは法務局が過去において打たれた手というものは極めて生ぬるいのですね。何しておつたかと言いたいのですな。これはあなたの合宿の問題にしろ、或いは近江高校学校の問題にしろ、或いは鑑というものを読ませる問題にしろ、これはもう知れ渡つてつたものですからね。どうですか、やはり出先機関かたは数が少いし、ああいう夏川王国というような大きなところには取組んで行けないところの気弱さがあるのじやないですか、どうですか。激励する必要があるですね。
  13. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 人権擁護局がもつと積極的に情報収集策について熱意を持たなければならない、これは御尤もであります。併し言いわけをするようですが、人権擁護局の各地方法務局職員と申しますのは大体三名から四名、この中には雇員、雇等も入つておりまして、恐らく、例えばこういう大きな問題について調査のできる者は課長事務官一名ぐらい、大体二名ぐらいしかない。常時いろいろの啓蒙活動等もいたさなければならないし、いろいろの人権相談等もしなければならないのでありまして、非常に手薄であります。気持は持つておりますが、この三名や四名で日常の日々起きて来ます事件、或いは相談だけでももう手が一ぱいであります。いわんや、こうした大きな問題が発生して参りますと、それはもう手の足りませんことはもう私から申上げるまでもございませんようなわけであります。又予算等から調査旅費も十分にないというようなことで、非常に調査に困難を来たし、又遅れているということは、これは率直に言いまして実情であります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わかりました。
  15. 戸田正直

    説明員戸田正直君) この近江絹糸問題等についても、もつと事前十分手をつけるべきであつたのじやないかということは大変御尤もでありますが、今の機構予算等におきましては、気持があつてもなかなかそこまで行かないというようなのが、正直に申上げましたところの実情でございます。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点については私は戸田局長答弁を諒といたします。で、先般の国会では、この人権擁護委員会法審議に当つても、私はいろいろお尋ねをし、又所見の一端も述べたわけですが、遂にあの法案国会で成立せずに継続審議になつているわけですが、これについても私は意見があるわけですが、これはこれで私は後刻行政管理庁長官並びに内閣を代表している副総理にも伺いたい。機構整備とか、定員縮減ということも方法によつては結構です。併し曾つて統制経済時代にあつた機構並びにその当時からあつた人員を、そういう役所においては大して縮減はしていないで、こういう新らしい時代人権擁護立場から、そういう立場から言うならば、人権擁護局というものは更に拡充し、定員も増して然るべきであるのに、そういう方面は全然やらないで、全く統制経済時代であろうがなかろうが、各省一律に画一的にそういう機構をいじつたり、定員をいじつたりする行き方というものは、これは極めて愚劣な行き方で私は了承できない。これは一部長課長言つても意味がないので、これは長官並びに副総理に後刻伺いたいと思うのでありますが、局長にこの際承わつておきたい点は、もういろいろの悪条件下にも調査が終られた。今後これに対して処理されようという答弁ですが、人権擁護局としてはいつどういう処理をされようとする見通しでおられるのか。その点明確にお答え願いたい。
  17. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 只今最終的な結論検討中でありますので、断定はいたしかねるのでありますが、ここ数日のうちに、私のほうの調査の結果現われました人権侵害につきましては、勧告等処置をいたしたいと、かように考えております。なお基準法違反関係等につきましては、すでに各地労働基準局検察庁事件を通告いたしまして、その処理を一任いたしておるような次第でございます。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのあなたがた勧告というものは、あなたがた立場から考えると強いものですが、夏川一族なんかにはこれは蚊が刺したほどの影響もないと思う。従つて法務省並び労働省関係各省一体となつて何らかの報復的な、懲罰的な処置に出るべきだと思うのですね。労働省が労務者を提供しないというような手を打たれたのは一つ方法だと思いますが、そのくらいに積極的なことをやらなければとてもわかる人じやないと思う。特に私はこの際に局長に生の声を伝えておきますが、これは熊本父兄妊娠云々という書面についてはとても憤激していましたよ。そして私に言うのには、ともかくほかのことは別として、これだけは親として容赦できん、何とかこういうでたらめな書面を出す人は何か法律に照らして処分する方法があるだろう。ないというのはおかしい。是非処分してもらいたい。私は親の気持として御尤もだと思うのです。風紀が紊れた、妊娠の虞れがあるから早く引取りに来い、全く馬鹿げた手紙ですよ。明らかに人権を無視した名誉毀損も極まれるものだと思います。どの父兄も実にあの書面には憤激していました。私はこの際お伝えしておきますが、普通の、勧告は出し放しですか。その程度で別に方法は考えておられませんか。
  19. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 人権擁護局処理は、強制権限は実はございせんので、勢い人権擁護局処置といたしましては、これはそれ以上望むことは無理でありますから、法律違反基準法違反等につきましては、従来も労働省それから検察庁とも密接に連絡をとつて参りまして、お互いに情報を交換し合い、又調査の結果を知らせ合うというようなことで連絡をとつて参りました。その結果、人権擁護局調査できまして、大体の疑われ得るものをすでに検察庁基準局に通告いたしまして連絡をとつて参つたのであります。今後も十分に連絡をとりまして、その処置等について善処いたしたいと思います。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのところの関係方面職員は一カ所の在任期間というのはどのくらいですか。長いこといるのですか、同じ個所に。
  21. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 各法務局における職員でございますか。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 同一法務局における在職期間は何年くらいですか。
  23. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 人権擁護局ができましたのは二十三年でございますので、長いものは当初から今日までやつておりますし、それから課長等がこれもたくさんございますので、一概に申上げられませんが、最近新らしく変つたというものもございますが、大体長く勤続していますのが各法務局を通じての形でございます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 民情がわかつてよい点もありましよう。併し又他の面から眺めますと、余り一カ所に長くいることは私は弊害があると思う。あなたの関係している法務局関係については余り自信を持つて述べ得ませんが、私どもは労働者関係等基準監督署職員なんか、これは相当酒色に溺れている一部吏員がいるということは否定できないと思います。私は夏川関係のあの基準法違反なんかが挙がらなかつた陰には、そういう不祥なことも一部にはあつたのではないかということを間接でありますが私は聞いております。断言はいたしませんが、そういう面も私は考えて、やはり同一個所における在職年数というものはやはり適正を期されなくちやならんと思う。実際九州から行つているあの若いおかつぱ娘を見ると実際何にも知らないのですから、これは中学校先生労働三法の概要などを社会科で教えなかつたこともいけないと思うのだが、知らないのですな。そしてあれほど虐げられているかと思うと涙が出ますよ、他人でも……。あなたのところの人権擁護の問題ですから、この点については今後更に御検討を期待いたしたいと思います。なお人権擁護局関係機構とか定員などについては、今後私は立法府に籍を置く一人として重大関心を持つているものです。
  25. 戸田正直

    説明員戸田正直君) お説大変御尤もであります。人権擁護局としましても、今年度の啓蒙活動方針も各職場における人権問題というものを実は取上げまして今年度の人権週間におけるテーマにいたしたいと考えて、すでに計画を作つた次第でありまして、只今お説のように近江絹糸女工たちが、一体自分たち人権がどうかということに対して、本当にわかつているものはこれはないのじやないか。これはもう日本が、女工だけじやございませんし、国民全体が人権という問題に対しては非常に立遅れております。例えば生理休暇等をとるにつきましても、殆んど要求しておらないのでありまして、勿論要求してもやらんような空気を作つておりまする関係もあると思うのですが、どうも要求をしない。自分たち人権を先ず自分たちで守ろうとする気持がないのじやないかという我々も感じがいたすのでありますが、これは我々の啓蒙活動が十分でないということにもなると存じますので、人権擁護局としましても今年の人権思想の、啓蒙活動方針を、各職場における人権問題を強く取上げて、そして一般に働く者たちにも自分たち人権を本当に認識してもらうというようなところに持つて行きたいと、かように考えて今後も努力をいたしたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは私が男女工員に会つて感じたのですが、義務教育完成学校としての中学校社会科教育が不十分なんですね。今までもそうだつたが、私は教育二法が成立した後の萎縮した社会科教育ということを考えると、更に今後は懸念される点がある。  それはその程度にして次に公安調査官なり警察官の人権侵犯の問題ですね、これは調べに行つてもしようがないのだけれども、ただ真相の一部として伝えておきますが、警察官は我々国民の生命財産と社会の秩序を維持してもらうのであるから、私はいつも御苦労さまというような気持で接しているのですが、どうも最近の警察官というものは全く政治警察官か思想警察官みたいになつてちよつとした会議には来て盛んに速記やつておりますね。それからちよつと目ぼしいのは尾行して行つて……。私はこれは誠に残念なことだと思うのですね。それで兇悪犯なんか一つも捕まえられんね。最近の大津の事件なんか一つの典型ですね。あんなぶざまなことで……。私の住んでいる九州なんかでも兇悪犯が一向挙らない。彼らのパトロールなんかを見てみると、懐中電燈つけてこうやつて歩いている。これじや逃げろ逃げろと言つて歩いているようなもんだ。全く国民の生命財産を守り、社会の秩序を維持するところの第一義的な義務を持つている警察官の最近の士気というものは、非常に私は物足らなく感じている。公安調査官に至つては、これはまあ警察官よりややその方面が専門かも知れませんが、最近思想関係人権侵犯というものが目に余るものがある。これは一つ省内の問題にも取上げて、法務大臣にも活眼を開いて頂いて、閣議でも的確なる発言をして頂くように、私は局長として省内で努力を願いたいと思いますが、これはお約束できますか。
  27. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 従来公安調査庁の郵便官署の方面に対しますいろいろ郵便物の配達先等を調べたというような事件が一、二ございまして、すでに私ども調査して勧告いたしたのでありますが、今後そういうことが又ないように私からも大臣に善処方をお願いしておきたい、かように考えております。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ立田の問題を伺いますが、これは重大なんです。曾つて個人的にあなたと私はお話したのですが、厚生省のお役人でないから、あなたは専門的なことは知られないかと思いますが、念のために伺います。こういうふうに或る地域のああいう非らい児童を集めた立田寮みたいなものが全国に何カ所ありますか。
  29. 戸田正直

    説明員戸田正直君) これは今手許に資料がありませんが、多分七、八カ所あるかと思いますが……。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 七、八カ所ですね、そこであの熊本の立田寮に起つたような問題は、他の寮において類似の問題が起つたことがあるんですか、ないんですか。
  31. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 他にはございません。熊本恵楓園の立田寮の事件だけでございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで問題はあれほど大きな問題になつたあの黒髪小学校PTAの会長さんはお医者さんなんですね、而も県会議長なんですね、それで収め得なかつたですね。そして私が一番問題にしたいのは、熊本大学の医学部の先生が二つに割れているんですね、入れても大丈夫だという人と、いややはり感染のおそれがあるから危い、こういうふうに同じ大学の医学部の教授が二つに割れている。これは、私はそういうものは専門でないんですが、重大なことだと思うんですね。その点については、何ですか、恐らく厚生省とも連絡ありましようが、現代の最高の医科学でどういう結論が出ているんですか。ということは、あなたの耳にも入つているかも知れませんが、立田寮みたいなものが全国で七、八カ所あるというんですがね、これは気の毒ですね。非らい児童、これはどこかに置いてやらなくちやなりませんね。ところがあの地域の人は、これは熊本からよそへ持つて行つてもらう、熊本に置いてもらいたくない、こういう運動があの地方に澎湃として起つているんですね。先般厚生大臣がお見えになつたときに、私は厚生大臣に留守をしておつて会わなかつたんですが、相当大挙して厚生大臣に陳情をしたんですね。立田寮を廃止してよそへ持つて行つてらいたい、その陳情に対して厚生大臣も毅然たるお答えをしていないのです。実際聞くところによれば、そういうことではこういう問題が地方的な問題としてしよつちゆうくすぶつて困るし、又全国七、八カ所もあれば、他にも関連があることでしようし、それ以上に人権の問題になつて来ると思うんですね。だから私は医学者ではないんですが、本当に今の医学でこれは感染のおそれがないんだという確実なる結論が出れば、私は地域の人に十分納得さして、そしてこういう不感染児童というものは当然学校に入れてやるべきだし、若しも医学でその保証ができんのならば、又別途考えなくちやならんと思うんですが、従つて私はあなたに、恐らく厚生省といろいろ交渉しておるんだと思いますので、立田寮廃止の問題が現に起つているということをお伝えすると同時に、先ほどの点についてのお答えを伺つておきたいと思います。
  33. 戸田正直

    説明員戸田正直君) このらいの感染等につきましては、これは私も専門でございませんので、科学に頼る以外に方法はないのであります。最初この児童たち四名については、九州大学の医学部長戸田博士それから樋口博士等が見まして、大体感染の心配がないということになつたのでありまして、なお、恵楓園長の宮崎さんも——これはらいの権威者です——この権威者が見て心配がないということになつてつたんでありますが、何にしてもらい病というものに対する恐怖感というものが特に日本人には強くありまして、医者が何といつても、非常に恐怖感といいますか、嫌悪感といいますか、が抜けませんので、医学上こうだというような説明をしても、なかなか納得してもらえないというようなことが、結局ああいうような同盟休校にまで入つてしまつた原因なんであります。これはどうも日本人が科学を信ずる、医学を信ずるということが、そういう面が足りないんじやないかというようなことが、今度のこの問題の根本の原因であろうと考えておりますが、こうした面にも啓蒙活動が必要だというようなことも承知いたしておりまするが、なかなかこの点の徹底ができません。なお、らいというものは長い潜伏期間というものがあるのであります。このために医者としましても果して潜伏しているかどうかということは容易に断言を以て判断するということができないそうであります。やはり表面に現われて初めて感染しているとか、していないとかということがわかりますので、果して我々でも、私でも一体らいにかかつておるか、おらないかということはわからない。表面に現われて初めてわかる。その潜伏期間というものは五年乃至十年であるというようなことで、相当潜伏期間が長いために、なかなか容易にこれがわからないというようなことで、医者としましても絶対にもう一生大丈夫だというようなことは、どうも折紙が付けられないのであります。というようなことで鑑定等も一応心配がないという程度の鑑定でありますために、なかなか一般の人も納得してくれないというようなことが……、癩に対する恐怖感原因であろう、こういうふうに考えておりまして、どうもこうした専門的な問題につきましては、我々のほうで到底判断をいたしかねますので、これは専門家の判断に待つ以外にはないのであります。ただ一般的な考え方として、やはりらいに感染しておらない児童たちを差別して教育するということは人権擁護上よろしくない。やはり一般学校に入れて教育の機会均等を図らなければならん、かように考えまして、若し医学者の立場からこれが心配ないということになりますならば、やはり一般学校に入れるように人権擁護局としても努力いたしたいと思います。
  34. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御質問ございませんか……。  戸田局長に私からちよつと参考のために具体的な例で一、二点お尋ねしたいのですが、この工場内における人権侵害の問題などというのは、現在の人権擁護委員の数などから言つて、なかなか発見するのがむずかしいと思うのですが、併し表面に人権争議だというようなことが新聞などでどんどん取上げられるようになつてからでも、地方の人権擁護委員の活動状況などというものは極めて私は不活発であつたような印象を受けているのです。例えば岐阜県などに近江絹糸工場が二工場あるのですが、人権擁護委員がどういう動きをしたかなどということは全然我々わからない。最近になつて或る委員のところへどういう動き方をしているのかということを、私は個人的に知つている委員がありますので、聞いたのでありますが、そうしますと、法務局のほうで何かやつているはずですというような、極めて無責任な答弁より聞けなかつたのです。で、そういうことについて、ああした問題が起つたときに、地方で自主的にそういう動きがない場合には、擁護局のほうからそれに対する調査の指示なり何なりやられるような例があるのか、今度の場合は先ずそれをおやりになつておるかどうか、そういう点について少し経過をお尋ねしておきたい。
  35. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 各地人権擁護につきましては、中央からあれこれというような指示は従来いたしておりません。各所属しておりまする法務局に一切をお任せいたしております。今回の近江絹糸につきまして人権擁護委員の動き方が非常に不活発であるというようなことも、これも率直に申しますと、或る程度それを認めざるを得ないのであります。それは一部では、大垣等におきましては人権擁護委員のかたもいろいろ調査を願つておりますし、又富士宮の工場等におきましても、特にこれは東京から婦人の人権擁護委員調査行つてらいまして、これは婦人であるために、却つて会社側も安心して普通なら見られないところまで見せてもらえ、調査に非常に有利であつたというようなことも現われて参つておりますが、全体的に見ますと、人権擁護委員の動き方が確かに不活発であつたと言わざるを得ないと思います。それは結局もとは法務局職員が少いということであります。ということは、人権擁護委員のかたに調査行つてらいますには、その手足として職員がついて行く。いろいろただ聞くだけでありませんので、調書を作らなければなりません。そうすると、委員のかたが一人参りますと、そこに職員が一人ついて行つて委員調査に協力して調書の作成をやらなければならないというような問題、それから委員をお願いしますと、旅費等の問題が、費用が御承知のように年間一人千円ということでありますので、一カ月八十円そこそこしか使えないというような事柄が積り積つて、大きな問題とか、法務局がじかに乗り出さなければならんというような問題になりますと、どうも委員のかたの十分の協力をお願いするというようなことが、どうも事実上として困難がありまするために、ついどうもこうした問題になりますると、もう職員だけが一生懸命やりまして、委員のかたの協力を願うということが自然でき得ないというような恰好になつて参りまして、今度の事件等につきましては、殊に全部じやございませんが、余り委員の活動を実は願つておりませんのであります。これは委員制度等を設けております関係からみますと、甚だ遺憾であるというふうに考えておりまするが、予算、それから事務局職員関係、それから委員のかたが独自にいろいろされる場合に手足が必要だというようなことで、つい十分活動ができない、大変遺憾でございますが、確かに委員長の言われる通り、そういう非難、そしりを実はまぬがれないのが、今回の争議調査等につきましては、その通りでございます。
  36. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 最後に局長にお願いをしておきますが、私は近江絹糸の問題などを、これの人権侵害の事実などを、やはりいわゆる擁護局として調査された結果を社会的に発表して、そうしてこういう問題に対する将来の人権尊重の思想を一層普及して行くというようなことには、こういう機会は非常にいいときだと思うのです、具体的な例があるのですから。ですから、こういう点について一つ、まあ本年度は予算がきまつているので、予算の範囲より仕事ができんと思いますが、有効に一つこうした問題を機会に、人権尊重思想の普及に効果的な活動を積極的におやり願うように要望を申上げておきたいと思います。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ほかに質疑のかたがなければ、最後に念のために局長に申上げておきますが、立田寮の問題ですね。これは人権擁護立場から法務省、それから教育の機会均等の立場文部省で、幾ら叫び声を上げても、この問題は解決いたしませんよ。結局厚生省で、かくかくの理由で、こういう科学的根拠があつてこれは差支えないのだ、従つて立田寮をよその地域に持つて行けといつても持つてつたりしない、厚生省としては今の熊本の地に立田寮を置いておく、そうしてかくかくに検査して学校にやれば何ら支障はないのだ、こういうことをやはり専門的な立場から厚生省で毅然たる態度を以て地元を納得させなければ、厚生省反対陳情を受けてぐらぐらしておつて、これらの人権擁護局文部省で幾ら人権擁護の、教育機会均等などといつても、この騒ぎというものは鎮まらない、こういう状況だということを念のために申上げておきます。
  38. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 只今仰せの通り、私もさように実は考えております。従来この問題に対して文部省厚生省がもつと積極的であつてよかつたのじやないかと思うのでありますが、従来どうもはつきりした態度を持つておられないように感ぜられております。私のほうが立上つて、私のほうから呼びかけて、漸くこれに協力して来たというような程度でございます。今後厚生省にも十分連絡いたしまして、もつとしつかりした態度で臨んで頂きたい。私のほうの人件擁護の処理も限界がございますので、到底私どもが勧告したからといつて、この問題が解決する問題でないということも十分承知いたしておりますので、今後各省とも十分連絡いたしまして善処いたしたいと考えております。
  39. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御質問ないようですから、それでは人権委員会設置法に関連する最近の人権侵害事件についての当局説明はこれを以て終了いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  40. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産庁の次長には前からいろいろ配慮願つている別府湾のガス弾並びに爆弾の引揚げの点についてでありますが、私は速記をつけて念のために若干伺いたいと思うのですが、今のところあの別府湾の爆弾、ガス弾に類似するような問題は日本近海に何カ所くらいございますか。
  42. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 只今矢嶋先生からの御質問でございますが、的確なケースといたしましては、この別府湾のイベリツトの問題だけでございまして、ほかにも瀬戸内海その他で噂には上つておりますが、まだ具体的には掴んでおりません。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 海上保安庁のほうは知つておられないでしようか。
  44. 高村信

    説明員(高村信君) まだ確認しておりませんが、やはり兵庫県の播磨に一カ所そういうあれがあるように聞いておりますが、只今具体的な調査をさせております。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 房総半島の突端に相当多量のものがあるということを聞いているのですが、それは如何でございましようか。
  46. 高村信

    説明員(高村信君) まだ海上保安庁にはその情報は全然入つておりません。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産庁如何ですか。
  48. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) まだ事情はわかりません。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産庁の次庁さんが世話役になつて再三この問題について関係各省の間で会議を持たれているようでありますが、それは別府湾の問題だけについてやられているのでございますか。それとも瀬戸内海の兵庫播磨附近、更に私はこれはたしか海上自衛隊で聞いたと思うのですが、房総半島の突端に最も大仕掛なガス弾と爆弾が放置されたままになつている、そういうことを聞いているのですが、それらを全般的な問題として協議されておるのか、その点を伺いたいと思うのです。
  50. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 只今のところは御指摘の通り別府湾のイベリツトのガス弾処理につきましてのみ連絡会議を開いております。併しこの種の問題で的確なものがほかにもあるようでございますれば、同様に私ども関係各官庁と連絡をいたして善後処置を講じたいと思います。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 別府湾のイベリツトは引揚げることに関係各省間の協議会できまつたのでありますか、それともきまつていないのでありますか、その点伺つておきます。
  52. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 連絡会では引揚げる必要があるということになりまして、更にそれを具体化するために引揚げるにはどうしたほうが的確な方法でやられるかどうか、経費の点もどういうふうにしたほうがより経済的に引揚げることができるかというような点まで突込んで、各省間で協議いたしておる次第であります。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは引揚げなければならないということはきまつたが、その引揚げる方法について検討中だ、こういうふうに了承してよろしいのですか。
  54. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) その通りでございます。もう少し言葉を加えますならば、被害該当県であります大分の県当局におきまして、引揚業者を一応調べまして、引揚業者において若しこの種の作業を営むならば、どういうようになるかというような点を大分のほうでも下調をする。そうして中央のほうへ大体の結論を出して大分のほうの意見を具して申出て来る。一方防衛庁のほうでは、防衛庁自体で引揚げる場合にはどのくらいな経費を要するかというようなのを内部的に具体的に御研究願うという連絡をいたしております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、この別府湾にあるイベリツトを引揚げるということになつた場合の責任官庁はどこですか。
  56. 高村信

    説明員(高村信君) 若し産業の目的で引揚業者にこれを引揚げる希望者が出て引揚作業の申請をした場合には、その引揚業者に許可権を持つておる海上保安庁が責任を以て監督することになります。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは若し民間業者に引揚げる希望の業者がなかつた場合は、これを引揚げるところの責任官庁はどこになりますか。
  58. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) これは防衛庁かと思います。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 海上保安庁高村課長如何ですか。
  60. 高村信

    説明員(高村信君) これは私も防衛庁であると思います。その根拠としましては自衛隊法の第九十九条、これは海上自衛隊は長官の命を受け海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする、こういうような条項と防衛庁設置法の第五条第十七項に海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及び処理を行うというような条項がありますので、防衛庁が責任官庁になるものと考えております。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産庁並びに海上保安庁の見解一致しておるわけでありますが、そういうことは関係各省の六回に亙る協議会で海上自衛隊の関係者出席の上で確認されたことでありますかどうですか。その点水産庁の次長から。
  62. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) お答えします。これは連絡会議では確認された事項と心得ております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのときには海上自衛隊からはどういうかたが出席されておりますか。
  64. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) お答えします。これは前後六回か七回会合いたしましたために同一のかたが代表的に御出席頂けなかつたのでございますが、最初は島田さんが御出席になりました。その次には大川さんが御出席になりました。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日木村長官に質しますと、木村長官は、そういう場合に防衛庁が責任官庁であるかどうかは検討の余地がある、今後検討するというようなことを言つているのです。私は丁度今の高村海上保安庁の管理課長さんと同じように、自衛隊法の九十九条を引張り出して木村長官に質したところが、木村長官はそれで納得しなくて、今後検討するというようなことを答弁しておりますので、その点については海上自衛隊の関係官に質しますが、私も皆さんがたの見解が正しいと思います。ましてやこれが関係各省の協議会において確認されているということになりますれば、当然そうなければならん、こういうふうに考えておるわけです。そこでもう二、三点伺いますが、若し業者で引揚げる人がなくて、海上自衛隊のほうで引揚げるということになつた場合に、そのときに引揚げに対する許可並びに監督というものは海上保安庁はタツチされるのか、そういう場合は全然ノー・タツチかこの点伺いたいと思います。
  66. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 海上保安庁はノー・タツチであります。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点只今の問題に関連して伺いますが、それはここに厚生省の楠本部長が見えていませんが、楠本部長は先般私が個人的に会つたときには、まだ有害か無害かわからないというようなことを言われているので私は誠に心外だと申述べておつたのですが、はつきりイベリツトということがわかり、すでにそれが一部漏出しつつある、それから又爆弾による被害者が若干出た、こういう事態になつておれば私は当然先ほど水産庁の次長が言明されたように、引揚げなければならんという結論が出されて然るべきだと考えますのに、どういうわけで厚生省のほうでは皆さんがたの協議会の結論に背いてそういうことを言つてるのでしようか。
  68. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) これは多少の考え方を臆測を加えるようで何でございますが、会合のときに、いわゆる厚生省等からの御発言など総合いたしてみますと、動物実験を今までした結果に徴すれば、漁業者或いは一般の人たちが非常に恐怖しておるような程度ではなくて、もう少し今の段階では、非常に害があるにしても、微弱であるというような今の段階では実験の結果だという御報告がございました。従つて我我としては、漁業者が現に三名ほどもまあ怪我をしたというのも出ておるし、引揚業者のほうからも相当の数がやはり被害者として現われておるのだから、その実験もなお継続してみてくれというような話合いの結果、続けて、それは動物実験は続けようという話合いになつた次第であります。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ動物実験は続ける一方、引揚げということはきまつて、民間業者で希望者がないかというので今当つてみている。それでいよいよそれがないとなれば、自然海上保安庁で引揚げる、こういう段階に来ておるのですね。
  70. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) その通りであります。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 伝え聞くところによると、この引揚げに要する費用は四億から五億程度だと聞いておるのですが、果してそうか。その数字はどこから出されたのか。やはりはつきりした根拠のある数字かどうか、その点一つ……。
  72. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) たしか会合の際に、防衛庁のほうから、御出席のかたから的確に計算したわけではないが、非常に荒つぽい計算をすると、そのくらいになるのじやないかという推定の数を得ましたように記憶しております。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水産庁の次長さんはこの世話役を勤めておられるようですが、次回の関係各省の協議会はいつ開かれる予定ですか。
  74. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 実は大分のほうから回答があり次第、大分の県当局も出まして会合するということにいたしておる関係上、大分の県庁のほうへは直接に早く調べた結果を持ち出してくれという申出でをいたしておりますが、なお、公文書でも督促をいたしております。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 公文書で督促して頂きたいと思います。  最後に伺いますが、引揚げ開始の時期はいつ頃と予想されますか。
  76. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) もうできる限り早いほどよろしいと我々は希望いたしておりまするが、ただ大分のほうからの回答によりまして、適格な業者を見つけて、それに成るたけ早くやらす場合もあるのてはないか。  或いは業者がなくて、国として防衛庁が担当してやるということになりますれば、私どもも横の連絡として早目にそれを施行するように督促いたしたい、かように考えております。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は非常に長く解決しないで、地元の水産業者あたりに動揺を与えた原因は、地方庁も敏速にこれを処理しなかつたということもありましようが、又地方官庁でも責任官庁等がなかなか明確にならなかつたというような事情もあつたと思うのですが、幸いに皆様方の協議によつて若干のサンプル調査もでき、その責任官庁も明確になつたことでありますれば、できるだけ早い機会に最終的な協議会を持たれて、そして沿岸住民の物心できるように早急に処理して頂けるように、特に要望いたしておきます。防衛庁関係並びに厚生省関係はいずれ午後私ども委員会現状を確めたいと思います。今まで協議会を司会されて参つた水産庁次長としては、早急に解決方に一層の努力をして下さるようにお願いいたしまして質問を終ります。
  78. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  79. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を開会いたします。  午前中に引続いて質疑を続行いたします。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 午前中に引続いて若干午前中おいでにならなかつた防衛庁並びに厚生省関係の方に質疑いたします。等分次第で極く短時間で終りますので、明確に答弁願いたいと思います。  先ず麻生さんに伺いますが、別府湾にあるガス弾並びに爆弾に類似するものは瀬戸内海の播磨とそれから房総半島の突端に更に大きなものがあるということを私は聞いたことがあるのですが、そういうように把握されておられますかどうですか、この点を伺いたいと思います。
  81. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) お答えいたします。只今御質問の播州それから房総半島ということでございます。房総半島のことについては我々は承知しておりません。それから播州のことについては最近相生市の沖あたりにあるというようなことを聞いております。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのところではこれらを全部一体としてお考えになつておられるのか、現在最も問題が表面化している別府湾の問題を特に取上げて対策を考慮されているのか、その点如何ですか。
  83. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 相生の関係のは極く最近そういう情報を入手いたしましたので、まだどう処置するかについては正式に決定しておりません。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般私は海上自衛隊に行つて掃海課の方に官房の総務課長立会いの上で会つてお尋ねしたときには、若しも民間の業者で引揚げる希望者がない場合においては、責任官庁は自衛隊であるから、自衛隊の手で引揚げることになると、こういう責任官庁としての態度を明確に、私的ではありますが、私に述べられているのですが、それに異議ございませんね。
  85. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 昨日大臣もちよつとお話しておりましたように、私どものはいわゆる機雷その他の爆発性の危険物を処理する恰好になつております。で、たまたま大分のこのイペリツト弾がいわゆる爆発性の危険物に該当するかどうかということに対して多少の疑問があるわけであります。まあこの点についてははつきり法的な解釈をきめたいと思つておりますが、若しそれが爆発性のガス弾であるということでありますならば、先程御質問がありましたように、先ず民間の業者でやりたいという者がありますならば、それのほうに、恐らくこれは海上保安庁のほうが監督して引揚げの業務をやられることだろうと思いますが、海上保安庁の監督の下に海上保安庁の許可を受けて然るべき業者がやるという恰好になると思いますが、まあどうしても一般の業者のほうではやれないというような事態になりまするならば、いろいろ財政上の負担もかかるわけでありまして、現在の海上自衛隊の設備だけでこれを引揚げるというようなことは到底不可能なんでありまして、そうした点も勘案いたしまして十分善処しておきたいと思つております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日長官はできるだけのことはやつている、検討するということを言つて、一歩も進まないから改めて私は今日お尋ねしているわけなんですが、民間業者で引揚げ希望者がない場合に、責任官庁が自衛隊であるかどうかについては、あなたとしては若干検討の余地があるから云々と言われていますが、いつ検討されて結論出されますか。
  87. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 今後早速出します。昨日お回答申上げましたように、お約束いたしましたようなルートをもちまして御返事申上げたいと忠つております。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日の約束は違う意味の約束たつたのですが、責任官庁の点については、これは一月から、もうすぐ、もうすぐというので来ているわけなんですがね。先ほどあなたがおいでにならなかつたので、水産庁並びに海上保安庁の方に先に伺つたのですが、水産庁の次長ですね、この人は協議会の世話をやられているのですが、この方も、海上保安庁の方も、明確にこの責任官庁は海上自衛隊であるということを関係各省の協議会では確認していると、こういうように答弁されているのです。従つてこの段階に来てまた自衛隊法の九十九条に該当するかどうか疑義がある云々、検討するというような昨日のような長官答弁を繰返されたのでは、私としては誠に困るのですがね。明確にあなたのところで海上自衛隊の掃海課において責任官庁としてこれを処理すべきものであるということを確認願いたいと思います。異議ございませんね。
  89. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 先ほど御回答申上げましたように、早急に結論を出しまして善処いたしたいと思います。大体御希望に近い方向に私は動くだろうと思つておりますが、一応そういうことに……。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 結論とは予算がいくら要るか、予算の結論ですか何の結論ですか。あんたのところは責任官庁だということははつきりしているのですよ。それはあなた、厚生省、水産庁、それに海上保安庁に、あなたのところですね、防衛庁、この四者が六回集つて協議しているのですね。その点から確認したというから、どなたが出席したかどうかというと、海上自衛隊は島田さんと大川さんが代る代る出席された。そこで確認した。而も私は先般しびれを切らしてあなたのところに出掛けて行つて、そうして官房の総務課長立会の上で掃海課の課長と会つたところが、民間業者に引揚げる希望者がない場合においては、私のところは責任官庁で、予算については今の予算内じやできないので、これは皆さん方の協力を得て大蔵省から何とか考慮してもらわなければならんが、責任は私の所にありますということを責任課長がはつきり言つているのですから、ここまで来るには五、六カ月かかつているのですよ、この問題は。海上保安庁、厚生省、水産庁、海上自衛隊でたらい廻しやつて、あの沿岸の住民こそ本当に気の毒ですよ。従つて私今確認願うことは、民間業者に希望者があつた場合には、これは海上保安庁がその引揚げの申請に対して許可を与えてそうしてその引揚げを監督する、こういうふうになつているわけです。併し民間に引揚げを希望する人がない場合においては、自衛隊法並びに防衛庁の規定によつて、あなたのところはともかくも引揚げするところの責任官庁になるということは、これは明確であり、四省の六回に亙る協議会で確認しているということなんですから、ここではつきりと御確認願いたい。そういうふうに長官報告願いたい。よろしうございますね。
  91. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 御質問の趣旨はよく長官に伝達いたしまして、できるだけ早急に結論を出しまして善処いたしたいと思います。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは長官にそれを報告して、長官の返事を私にいつまでに返事下さいますか。一月から引張つて来られているんですからね。これ以上私はいつまでも至急に至急にというので付いて行くわけには参りません。何日の何時までに返事頂けるか、はつきりお答え願いたい。
  93. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 先ほど御説明申しましたように、自衛隊自身がやるということになりますと、設備を作つたり、ほかの業務を全部やめてやるというような事態になるわけであります。それほどしてやるのには大分関係各省との問題も出て来るわけでありまして、そこら辺の見通しを付けなければいかんわけでありまして、その辺の見通しを付けましてすぐ御返事いたしたいと思います。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先のことを心配しなさるな。私は責任官庁がどこにあるかということを伺つているわけですよ。そうなると、あなたのところは機雷等の除去というのがあるんですから、これによつて自衛隊の訓練が行われるわけですからね。私は決してとんでもない余計な仕事をしろというんじやないと思うのです。従つてそういうことを長官報告して、先ず海上自衛隊の掃海課の課長並びに課長補佐に会つて下さいよ。あなた法規課長ですからね、官房の。官房の法規課長だからちよつと無理だと思うんですよ。そちらのほうで連絡間違つているんですよ。それで連絡つて下さい。それから島田さん、大川さん、連絡つて下さい。これは水産庁の次長も海上保安庁でもはつきり確認されていることだという、さつき言明されていることですから、よろしようございますな。
  95. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) わかりました。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは厚生省の久万さんに伺いますが、あなたのところもいい加減引張つていると思うのですね。横合からちよつこら出て来て、そうして厚生省が有害か無害かについて結論を出すには専門家だというような、言葉は適当でないか知らんが、そういう顔なさつて、いつまで経つて結論出さん。この前大臣とそれから楠本環境衛生部長に会つてから要望したときには、早急に出しますといつて、早急に出すといつてもう一カ月くらいつていますよ。一体あのくらいなものを何ですか、どの程度の性能かどうかということを結論出すのに、我が厚生省の国立研究所の陣営をもつてそんなにかからなくちやできんものですか、どういうふうになつていますか、伺いましよう。
  97. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 只今の御指摘の検査は、この前……。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そんなに書類が揃つているのでしよう。
  99. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 七月八日の会議で一応中間報告をいたしておりまして、それは各省連絡会。それからそのときにそれまでにできなかつたいわゆる薬理試験やなんかも継続してやるということを確認いたしました。それでこの七月八日のときに、実はもう少し中間報告ではなくて結論まで出せるようにお話ができるはずでしたけれども、実は防毒面それから防毒衣がないものですから、その手配がどうしてもつきませんもので、検体を頂きましてからそれを着手するまでに非常に時間がかかつた、その点は深くお詫びいたします。それで現在はゴムの手袋だけでやつておる状態であります。それですけれども、もう近々のうちに結論を出せると思います。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 近々とか早急という言葉はもう何遍聞いたかわからないのですがね。伺つてみると、誠意を持つてやられているようではありますが、少しスロー・モー過ぎると思うんですがね。その前に私は伺いたいのですが、もうイペリツトということははつきりわかつて、これが漏れて出つつあるわけですね。これは延びれば延びるほど扱いにくくなるわけですね。而も爆弾の事故において数名の人がもう損傷を受けておるわけですね。こうなつたらもう引揚げなくちやならんということは、改めて検討の余地はないんじやないかと思うんですが、どういうわけで長期に亙つてそういう検討されているのか。私は誠に失礼かもしれませんがね、防衛庁さんとしてもなるたけ早く結論が出ないように、而も長いことしているうちに地元で忘れてくれりや結構だし、そうして有害か無害かわからんというようなことで、ああでもない、こうでもないとやつているうちに、おしまいになれば、それがいいわといつたような、無意識の中にもそういう気持厚生省と防衛庁の御両者にありはしないかと、こういうふうに私は前の経緯から邪推せざるを得ない節々があるのです。あなたの所では、近々と言いますが、大体何日頃まで結論出ますか。
  101. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 実は文献によりますると、イペリツトの性状は大体液体ということになつておりますけれども、このはいつておりましたのがゴムが混つておるのか、何か非常にべたつくゼリー状になつております。動物試験をやりましても、その溶解度が非常に溶けにくかつたりなんかしまして、なかなかうまく行かない。それで、イペリツトだということははつきりわかつております。それから連絡会議ではイペリツトだということがわかつて、それからそれが魚についたらどういう結果になるか、魚鱗についたらどういう結果になるか、それから人体についたらどういう結果になるか、そういうことを調べてくれということでございました。それで私たちといたしましても、結局こういうものが別府湾や何かはうぼうにあるということは非常に不愉快なことだということは存じております。それですけれども、その結論はただ科学的に出してくれということだけだつたと思います。それでイペリツトの確認は現地でもやつております。現地にも私たちのほうでは試験の資料はお送りして、普通のものから抽出できない場合、水或いは海底の泥、そういう所から抽出できる方法も即刻こちらで作製しましてお送りして向うの便には供しております。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのねえ、久万さん、念のために、どの程度の毒性を持つている、どの程度の性能を持つているということをお調べ頂きたいというわけで、今までの中間報告その他によつてすでに引揚げなくちやならん、引揚げることが妥当だということは関係四省間の協議会において決まつておるのでございましよう。
  103. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) イペリツトということは確認してくれというので、イペリツトだということは確認いたしました、この前の四省の会議で。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 引揚げるということも確認したのですか。あなたその会議に出られましたか。
  105. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 私は初めからずつと出ております。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確認したのでしよう。
  107. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) それでその会議では厚生省以外の各省において引揚げる方法検討しようということは確認いたしました。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この前私は水産庁の次長にも直接会つたのですがね。それから海上保安庁の方にも。その両者とも引揚げなくちやなるまいということは意見が一致した、更に重ねて検討つているんだ、そういう前提の下に引揚げる方法について大分県の経済部長を通じて研究中だということを言われた。今日委員会でも先ほど速記をつけてでもはつきりそう申された。同じ会議に出られて水産庁並びに海上保安庁のほうでは引揚げることはきまつてさて民間に引揚希望者があるかどうかを先ずあたつてみる、それがなかつたら海上自衛隊だ、こういうレールに乗つて話が進んでおると、こう言われるのに対して、海上自衛隊さんは、まあまあ厚生省は今研究中だから、そこまでは行つていないというような意味の発言をちよちよつとされるわけですね。あなたの発言の中にも結局引場げるか、引揚げんか最終的決定は我が研究の手中にあるというような気持が言外に現われておる。同じ会議に出られて五度も六度も会議をされて、どういうわけでそう食違うのですか。あなたのほうとしては更に精密なる性能の検査をするが、ともかく引揚げの具体的な方法について関係各省の協議会でお進め願いたい、いずれ精密なる性能検査の結果は御報告申上げます、こういう態度を厚生省としてはとらるべきだと思うのですが如何ですか。
  109. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 今の私の言葉が足りなかつたのかもわかりませんけれども、厚生省としては初めからこの化学試験の担当をしておりました。化学試験でイペリツトだということを確認しました。この前の会議でも引揚げる方法方法というのは引揚げるということじやございません。その手段でございます。それをやろうということは、この次の会議までにその方法検討しようということは皆さんで相談いたしました。そのことは私もはつきり申上げます。それですから、厚生省としてその結果によつては引揚げなくてもいいという、そういうことは全然ございません。その点御了解願います。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に麻生課長さんに伺いますが、話が只今大分の地元のほうから民間業者で引揚げの希望者があるかどうかを調べて、それでそれがあれば、海上保安庁の許可権と監督権で話が進んで行く。それからそれがない場合には、ともかく予算のほうを別途にして、あなたのところが当面の責任官庁として処理をして行くような段階に今の話合いが来ている。こういうふうに御確認願えますね。
  111. 麻生茂

    説明員(麻生茂君) 大体事情はよくわかりましたのですから、大体御趣旨のような点の方向に進んで行くものだと思います。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 早急に善処方を要望いたします。
  113. 松原一彦

    ○松原一彦君 薬事課長に伺いますが、私が草葉厚生大臣から聞いたところと話が違うのですが、草葉厚生大臣の言うところによると、イペリツトの限界は水よりも比重が重いから、たとえ海中でそれが出ても水底に沈んで上には浮かばない、何年かたつうちには毒性は消えるものだという意見もある。そういうことを調べた上で、或いはこのまま放つて置いてもいいのじやないかということも言われる。それを目下調べさしておるところだというお話があつたのですが、そういうことがあなたの専門の御研究の中から出て来ておりますか、どうですか。いや、あなたでなくても、国立衛生試験所のほうの調査の結果、比重が重いからたとえ漏れ出ても危険はないといつたようなことが出ておるかどうかをお尋ねします。
  114. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 今のお話は、普通一般のイペリツトというものは水よりも重くて、それで液体でございますが、水中に出ますと、それが徐々に分解して有毒になる。ところがガス弾に入つておりましたイペリツトは、イペリツトのほかに、それが破裂したときに身体に付着する或いは身体からなかなか離れないようにするためにしてあるのか、多分ゴムだろうと思いますけれども、非常に粘着力の強いゼリー状になつておる。それでゼリー状のものを水中に入れておきましたときには、なかなか、試験所からの中間報告ですと、非常に溶けにくい。それですから海底にありました場合はゼリー状のままでそのまま残るのじやないかということも言われておりました。
  115. 松原一彦

    ○松原一彦君 それならばなお更のこと、これは私は溶けにくいものであつて、或いは年数がたつうちに無害になるかも知れないという考え方は、私はすでに効力がないと思う。従つて糜爛性の、皮膚を糜爛させ又骨にまでも影響を及ぼすような、かような危険物を、海岸から一キロの最も交通頻繁な、海水浴場もその辺にあるという所に、いつまでも置いておくということは非常に危険だと思う。殊に台風時期がもうすでに参つておる。若しもそれをば海岸に打揚げたような場合があつたときには、その結果は恐るべきことになるだろうと思う。現にこの発見は漁夫が発見したのであつて、その身体の一部がおかされておる事実があるのであります。荏苒日をふるわけに行かないと思う。昨日もはつきり申上げておいたのでありますが、あなたのほうが、そういうように将来日がたてば毒性が消えるということを証明なされないなら、早くそのことをば発表せられて、そして私は恐らくこれは引揚げて処理しようと言うても、ゴムの防毒衣を着け、ゴム手袋と特別の装置をしなければ扱うこともできないといつたような毒性のものでありますから、恐らく素人がこれを引揚げてどうするというわけに行かんだろうと思う。させるお見込みがありますかどうですか、念のために伺つておきます。素人というても、引揚げ業者がこれを引揚げて、どこで処理するか知りませんが、民家に近い海岸寺でこの中のものを取出して、その砲弾を利用するといつたようなことが一体可能性があるのかどうか、伺つておきます。
  116. 久万楽也

    説明員(久万楽也君) 引揚げる方法は私のほうは余りよく知りませんけれども、今あとからお話が出ました、これを海岸で取上げてそれから抜いて、あとの砲弾を処理するということは不可能だと思います。それですから、若しもこれを引揚げましたら、その砲弾のままで処分しなければいけないのじやないかと思います。
  117. 松原一彦

    ○松原一彦君 でありますから、その砲弾のままで処理するのならば、私は太平洋かどこかの深海に持つて行つて棄てるよりほかには途がないのではないかと素人考えに考える。台風時期が近附いております。すでに被害がある。だからこういうことに荏苒日を費さないで、早く処理方法を御決定の上に実行に移すように各方面でお取急ぎを願います。私はこれを切に希望いたします。
  118. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは、本件については関係各省の間で至急連絡の上処理努力をされるように要望申上げておきます。  速記をとめて。    午後二時二十九分速記中止    —————・—————    午後二時五十八分速記開始
  119. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。  それでは行政機構整備等に関する調査を議題といたします。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の実施後の各行政機関人員整理現状、特に臨時待命制度実施が先月十五日までで完了いたしておりますので、これらの点について塚田長官より御説明を願うことにいたします。
  120. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) それでは大局的な話だけ私から申上げて、あとは管理部長から補足的に御説明を申上げさして頂きたいと思います。  七月十五日までの期限を以て行われました今回の整理による臨時待命は六千八百五十二名という結局臨時待命者が出たわけであります。で、政府といたしまして予想いたしておりました枠は総数九千十名という数字を予想いたしまして、これを法に基いて閣議決定で決定をいたしておつたのでありますが、結局そこまではなかつたということになるのであります。そこまでなかつた事情はいろいろあると思うのでありますけれども、結局まあ待命にかからないでおやめになるという希望者もあつたということになると思いますし、又現実に各省にそれだけ整理をする必要がなかつたということになつて、結局この程度の臨時待命で済んだわけです。強制待命は殆んどどこにも行われませんでした。ただ大蔵省所管の印刷局に十二名強制待命者を出しておるということになつております。従つて大体順調に整理が行われておる、こういうように考えておるわけであります  なお、整理後の各地のいろいろな事務の運行の状況などを監察部の出先を通していろいろと調査をいたしておるのであります。まだ全部の資料は集まつておりませんけれども、今まで報告を得ておりますところでは大体順調に進行しておるという報告である。なお、詳細は管理部長からお答えさせます。
  121. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 本日お手許にいろいろ関係資料を差上げてありますが、その資料は、第一には、先般の定員法の改正法律、それに基きます政令、それから人事院規則、こういう関係法令を差上げました。ほかに人員整理に伴う退職者計画数という資料と、それから臨時待命者調という二つの資料を差上げてあります。これに基きまして御説明申上げます。  先ず人員整理に伴う退職者計画数というほうを御覧頂きたいと思います。これの一番最後のページをお開き頂きたいと思います。この資料は先ず今般の人員整理計画のうちから警察関係は除きました。警察関係は、これは警察法の施行が七月一日で、それから三カ月以内に整理、待命その他を行うことになつておりまするから、これはまだ数が出ておりませんので警察を除きました。それから御承知の調達庁、文部省、それから厚生省の引揚援護局関係職員、これは三年計画及び四年計画でやることになつておりまするが、その三年計画、四年計画の分は除きまして、それ以外の二年計画のもの、即ち明年の六月三十日までに整理を行うものにつきましての表でございます。そういたしますると、その総員は二万七千六百八十八名に相成つておりますが、新規増員が六千五百七十四名ございますから、差引きして二万一千十二名ということに相成るわけであります。それで一月一日現在の欠員が六千二百四十一名ございますから差引き結局機械的に計算いたしますると、整理しなければならん定員数は一万四千七百七十一人に相成る、こういうことになつております。次の欄に特別待命者数がございますが、これは七千四百十八名、これは警察を除いた数ですが、七千四百十八名すでに出ておる。それからこのたびの定員法に基きまして臨時待命を行うについては閣議の決定に基く。各省が大蔵省及び行政管理庁と協議した上で配置転換を行い、どうしても配置転換の困難と見られるものについては閣議決定で行うということに相成つておりますので、この七月二日の閣議におきまして各省の待命者の計画を作りまして、それが九千十名の計画でございました。ところが実際に七月十五日までに行いましたのは、配置転換或いは退職後直ちに就職するというような事情もございましたでしよう、結局七月十五日現在わかつておりまする計算は六千八百五十二名が臨時待命者になつたわけであります。それでその後に臨時待命によらざる退職者で退職手当の十割増を出す分も計画に入れておりまするので、それらの数が合せまして二万五千七百八十七名というような各省の数は出しておりまするが、実際におきましてはこの特別待命と臨時待命と合せまして、そのほかにいろいろな自然退職その他も含めまして、来年の六月三十日までに、この二十九年度、三十年度の二カ年に亙る人員整理計画を遂行するという状態に相成つておりまするので、それがために大臣からも申されました通り各省の状況を見ましても順調に推移して行つているようでございます。それで行政管理庁が各方面に問合せました範囲におきましては、これによりまして事務の支障もございませんし、又今日までこの人員整理に伴いまして、人事院等に対しまして提訴苦情の申出その他の件も一件もございません。  次には、臨時待命者調のほうにつきまして簡単に申上げます。臨時待命者調のほうを一つ御覧頂きたいと思います。臨時待命者調の第一ページは各省ごとの総括表で、一番下の欄に総数六千八百五十二名という数に相成つております。これが七月十五日現在の総数でございます。これはまだ仮の、各省から急いで出しました仮の報告でございますから、若干の移動があるはずでございますが、大勢はこのようになつております。  それから次のページをめくつて頂きますとその内訳で、臨時待命は申出に基くものと強制と二通りございますが、その内訳がどうなつているかという表でございます。これによりますと、結局先ほど大臣からも御説明申上げました通り、大蔵省所管で十二名の強制待命がありますが、これも手続が強制待命の形——これは印刷局でありますが、印刷局の職員について十二名強制待命の形式をとりましたが、これにつきまして現在までのところ全然いざこざはないそうでございます。  その次は、それじや臨時待命を受けたものがどういう勤続期間のものであるかということがその次の表でございますが、これは一部報告未達のものもあるのでありますが、大体のところ、今までの退職者についての趨勢、即ち従来の退職者のカーブで見ました場合と同じような傾向が現れている。即ち若いほうにも偏しないし、余りに老齢者にも偏しない。結局退職者はいつも五年から十年というところが一番多いのでありますが、又平均も十年前後になつております。これで見ましても大体そういうところに重点があるように思うのであります。特別に変つた数字は出ておりません。たとえて申しますると、二十年以上が五百七十一名とあ」りますが、五年未満というものは二百三十名ばかり、これも少ない。即ち五年以上十五年未満というのが大部分を占めているようであります。これは他の退職者の表を見ましても、大体どうしてもここに中心が来ているようであります。他の従来の退職者の表とちつとも変りないような数字が出ております。  それからその次が性別の表でありますが、これもまだ未到着のところが若干ございますが、これによりましても男二に対して女が一以下というようなところでありまして、従来の退職者がやはりいつもこんな率を示しているのでありまして、婦人の退職者は男子の退職者の二割五分から三割というのが今までの常識であります。大体その線に沿うておりまして、これも特別な形は示していないようでございます。臨時待命につきましてはなお詳細な報告をとつておりますが、とりあえずまとめましたものは以上のような状態であります。  簡単でありますがこれを以つて説明といたします。
  122. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今の御説明に対して御質問ありませんか。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の立場を申上げますが、私どもは、この定員法は一点の疑点なく、合法的に法として成立して、国民に対して適用して然るべきものだとは考えていないわけであります。従つて報告されたような状況で、実際に法として運用されて行くことについては遺憾に存じます。ただ今後それだけの疑点を残しているということを明確にした上で、若干伺いたいと思いますが、それに先立つて国務大臣に伺いますが、ここで多くを申しても、この委員会では適当でないと思いますけれども、六月三日ああいう状況で国会が六月十五日まで延びた。その間にこういう重要法律案とか或いは警察法案というものが成立した。国民の中にもこの成立について割切れない気持でおる国民もいるわけです。従いましてこれらの法の運用を明瞭にするためにも、その後の収拾策として、いわゆる五党会談或いは六党会談において早急に臨時国会を開いて、これらのけじめをつけよう、そうして立法府として廃止すべきものは廃止し、少くとも主権者である国民には迷惑をかけまい、こういう立場において臨時国会の早期召集ということが紳士協定されたわけです。現在政党政治でありますから、政党間において結ばれたところの協定というものは、当然政党政治でありますから、自由党を基盤とする政府も、これに関知しないという態度は、政党政治の本義から言つて無視できないことだと思います。従つて私はここで国務大臣に承わるのですが、一体先ほど私が申上げたような立場に立つての臨時国会の早期召集というものは、一体政府はいつこれを協定を守つて開かれるお考えかどうか、国務大臣としてのあなたに承わりたいと思います。
  124. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろな各党間の協定の問題は、それぞれ各党の立場を代表される方々の間で行われておりますので、私からお答え申上げる筋でもございませんので、御容赦願いたいと思います。ただ先般あの話合がつかずに、野党の各位から連名で政府に臨時国会の開催の要求が出たということは、先般、この前の前であつたかと思いますが、閣議で官房長官から報告を受けました。そうして、召集を要求されておる理由は、これこれということで、各閣僚においても、それに対しよくお考えを頂きたい、今日はまだこれで閣議の決定を出すという立場ではないから十分お考えを頂きたいということの話があつたのでありますが、それ以後その問題についてはまだ正式に閣議においても問題となつたことはございません。従つて今私も又閣議においてのそういう問題を私が代表してお答え申上げる立場でありませんので、今までのいきさつだけを申上げて御了解を得たい、こういうふうに考えております。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内閣を代表しての答弁を求めることは無理だと思います。従つて私は他にも質問する件があるから、午前中は総理大臣は無理だろうから、少くとも副総理出席を強く要求しておりますが、その副総理も本委員会に出て来られない状況です。従つて私は内閣を代表しての答弁を強要しようとはしません。あなたの所管のこれは重要法律案ですが、実際これらを法として運用するに当つても、一刻も早くやはり六党会談における紳士協定通りに、他にも案件もありましようが、臨時国会を開いて、これらのけじめをはつきりするということが私は当該責任大臣としても望ましいことじやないかと思うのですが、行政管理庁長官としては、どういうお気持でいらつしやいますか。
  126. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは私どもといたしましては、法律国会、衆参両院とも成規に御召集願つて御決議になつて、従つて有効に成立しておるという立場に立つておりますので、従つてお尋ねのような考え方から臨時国会を開いてはどうかというような問題は考えておらないわけであります。ただそのほかいろいろな問題について国会を早期に召集するという各党間の話合があつたということも承知しておりますので、それはそのほうが望ましいと思つておりますが、何にいたしましても、各党の間の話合いがまとまらないような状態でありますので、行き悩んでおると承知をいたしておるわけであります。問題が非常に重要な問題でありますし、殊に政府の考え方というものは、閣僚個々の考え方によつてきまるものではありませんので、閣内において大いに議論をいたしましても、最終的には閣議の考え方というものは一本にまとまつておるものでなければなりませんので、この機会に個々の閣僚として意見を申上げるということは適当でないと考えますので、御了承頂きたいと思います。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は了承できないので、多くを伺おうとは思いませんが、もう一つ伺います。緑風会さんのほうは私はまだ明確に承わつておりませんが、少くとも政党としては、与党自由党を除いては、改進党以下各党いずれも早期に臨時国会を召集すべきだ、こういう主張をされ、憲法の規定に基いて正式に政府にも要求しておるわけですね、一体国務大臣としてのあなたに今伺うわけですが、代表してじやなくて……、一体その要求に応ぜられる気持があるのかどうか、一体いつ臨時国会を開こうとされるのか、我々がここに各委員会を開いておりますが、これ自体すでに私は臨時国会の必要性を示しておるのだと思うのです。連日委員会が開かれておるということは……。従つてこの現実の姿から言つても、又改進党さん以下各政党挙つての法に基いての要望、更には第十九国会の最終段階における紳士協定の立場から、いつ開かれようとしておるのか伺いたいと思います。
  128. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 先ほども申上げました通り国会において成規の手続を以て御要求があつておるのでありますからして、開かないということは恐らく政府としてはないのだと承知しておるわけであります。ただその時期をどういう工合にするのかということは、招集を御要求になつている理由と睨み合せて、内閣全体において十分慎重に審議した土で決定さるべき問題であると思つております。そういうような事情でありますので、この機会に私個人の考え方としてはこうだと申上げることはお許し願いたいと考える次第であります。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これ以上答弁を強要することも無理ですし、又意味のないことですから、それらの点については、私は内閣の責任者の副総理に他の案件とも合せて質疑することを保留しておきます。  冒頭に申上げました立場に立つて、若干伺いますが、その前に一体どういう修正がなされたのか、私はもう関与していないので知らないわけですが、法が成立をするに当つて、原案のまま成立したのか、それとも若干修正されて成立しているのか、その修正の極く骨子はどういう点にあるのか、簡単に説明願いたいと思います。
  130. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 定員法の修正の骨子は、この定員法が四月一日から施行される予定というのが延びましたので、その期限を延長したということと、それから他の行政機構の改正と関連して行わるべき改正、例えば人事院を国家人事委員会に直すというようなことが継続審議に相成りましたので、それを直すということも……最小限度の事務的な改正にとどめました。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に伺いますが、臨時待命の発令の時期の最終はいつとなつておりますか。
  132. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 臨時待命の最終の時期は従来六月三十日という原案でございましたが、これを七月十五日まで延ばすことに相成つたわけであります。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この法の施行日は。
  134. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 交付の日から施行いたしましたので、施行したのはたしか七月四日かと心得ております。
  135. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当初と大分変つてきたわけですが、予算の執行に支障を来たしはしませんか。その点はいかようにされるおつもりですか。
  136. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 現在のところ、この法律の施行のために特に予算の執行が困難になつたという事例承知しておりません。  訂正いたします。この法律の施行の時期は六月十七日でございます。失礼いたしました。
  137. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 各省は当初予定した人件費で以てやれますか。
  138. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 人件費は総体として窮屈で困難であるという事情は勿論あると思いますけれども、この人員整理実施いたします場合におきまする待命給、或いは退職手当というような財源につきましては、従来通りの計画の枠内におきまして、今後の改正法律の施行によりまして、その点がひどく狂うというようなことはないものと承知しております。
  139. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おおむね順調に行つているということですが、警察法は修正せられたわけですが、今年度の警察官の整理人員は何名となりますか。
  140. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 御承知通り三万名が警察官整理の総数でありますが、二十九年度におきましては一万名に相成つております。その一万名に関する限りは変更ございません。
  141. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今のあなたの説明は警察法が修正せられる前の説明と同一ですよ。警察法が修正せられた後に、その修正されることによつて初年度の一万の減員の計画というものは相当変化があるということを、当時の斎藤国警長官並びに鈴木自治庁次長は当時の委員会において答弁しておりますが、あなたの只今答弁と食い違うのはどういうわけですか。
  142. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 警察法の修正に伴いまして五大市に警察部が置かれることになりますので、その五大市の警察部の職員につきましては、これは若干の変動があろうかと思うのでありますが、これは四年計画の最終年度において、その点の変更は予想せられることでありますが、初年度におきましての一万というものは、前々から申上げましている通り、変更がございません。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地方行政委員会と内閣委員会の連合委員会で、私が当時尋ねたときには、鈴木次長と斎藤国警長官は、約千五百人ぐらい相違しますと答弁しております。これはどうなんですか。
  144. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 五大市の市警察本部の規模を考えますと、市の一警察部にどのくらいの警官が必要であるかというような点を考えますと、或いは矢嶋委員が今仰せになりました数字に近い数字が出て来るのではなかろうかと思うのでありますが、それは先ほど申上げました通り、四年度において実現すればいいことでありまして、初年度の計画におきましては変りなしにやつて行けるものと考えております。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうしますと、先ほどのあなたの答弁は警察法の改正に伴うところの警察官の減員は四年計画である。その四年計画の完成年度において警察法の改正において約千五百の相違が来るであろう、こういうふうにあなたは答弁されているわけですね。ところが先ほど私が言いましたように、先般の国会においての審議のときに、私は明確に伺つたときに、鈴木次長と斎藤国警長官は口をそろえて、初年度にそれだけの差異を来たすということを答弁されたのですがね。
  146. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今お尋ねの点でございますが、私甚だ記憶が不たしかでございまして、今御指摘のようなことを申上げましたかどうか、ちよつと今記憶いたしていないのでございますが、今岡部管理部長から答弁がありましたように、国会の修正によりまして、五大市の警察が本年一年は、即ち来年の六月三十日まではこれを存置する、そうして以後は市警察部というような形として更にこれを存続するというふうになりましたので、少しそこのところが御指摘のように変つて来たことは事実でございます。従つて定員の上でまあ若干の調整はあろうかと考えておりますが、併し総体の今の三万の整理計画につきましては、四年間において最終的に調整をいたして参りますならば、これは収拾できるものと考えておるのでございます。なお併しこの点の数字につきましては今手許に詳細を持つておりませんので、後刻お答えいたしたいと思います。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は保留しまして、伺いますが、人員整理に伴う退職者計画表という表を頂きましたが、この計数はさつきの話では、三年並びに四年計画で整理するのは除いて、警察を除いてある、来年度の六月三十日まで整理される分を表にしたんだと、こういう説明ですが、そういう表はどういうふうにおいて利用価値があるんですか、どういうわけでそういうものを作られたのですか。
  148. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 警察のほうは先ほど申上げました通り、別個の計画で、発足の時期が違いますから、これは別の計画のほうが、或いは別の表にしたほうがよろしかろう。それから三年計画、四年計画でやるものはこれはまだ将来のことでございますから、そうしてこれは特別の三つの省庁に関することで、他の一般行政官庁と歩調を揃えて一緒に考えるわけに行かないものですから、その点を除きまして、原則として二十九年、三十年の二年でやるものについて全体の進捗状況を見たほうがわかりやすかろう、こういう考え方であります。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私らの立場から立てば、三年で整理しようが四年で整理しようが、又二年で整理しようが、本年度は特別待命が何名あつて、臨時待命が何名あり、待命案の整理者は本年何名あつた、現在の進行状況はどうだと、それが知りたいわけですが、そういう意味においてこの表は何の役にも立ちませんね。
  150. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 役に立たないと仰せられますが、それならば三年、四年の計画は千七百五十八名あるわけでありまして、これは文部省、それから厚生省、それから調達庁と三つの役所の第三年目、第四年目の整理人員は千七百五十八名があるわけです。これは三年後のことでございますから、今勿論これは延しましたのは、それに伴いまして、現在仕事もあるということでこの部分は整理にとりかかれませんから、これは除いたほうがわかりやすかろうということで除いたわけであります。その分を除いたということは、この一番先の表中にも申上げてあるわけであります。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いろいろ表をもらうのでこちらが検討するのになかなか検討しにくいんですよ。例えば例を挙げますと、この前国会中に頂いた表では、例えば特別待命は九千百六十二という表を頂いておる。すでに発令した。ところが只今頂いた表によると特別待命者は七千四百十八となつておりますが、どうしてこういうことになりますか。
  152. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) これは御説明のときに申上げました通り、警察関係の特別待命者を除いた数字でありまして、警察関係を含めますと特別待命者はこの前たびたび九千二百六十八名と申上げましたが、その後の計数の詳しい数字によりまして九千百六十二名になつております。それを合わせますとそういうふうになります。警察を除いたのでありますからこれぐらいになります。
  153. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなりますと、先ず表の内容というものがわからなければ質問できないんですよ、それで伺つているんですが、そうしますとこの表は三年或いは四年計画で整理する文部省厚生省は除いてありますという説明とはどうなりますか。文部省厚生省の特別待命者は入つているんですか、入つていないんでしよう。
  154. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 文部省及び厚生省、特別調達庁のこの表の中に入つております即ち特別待命者は二十九、三十年度分の整理者の中に含まれるわけであります。この点を御承知願います。
  155. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではあなたのさつき説明されたのは三年計画、四年計画で整理するところの第三年度分、第四年度分は入つてないと、こういう意味でございますか。
  156. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) さようでございます。
  157. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次に伺いますが、長官に伺いたいのですが、審議のときから問題になりました常勤労務賃金要員ですね、これの定員化という点についてはこれが二年、三年、四年と運用されて行くわけですけれども、結論的にはどういうお考えになられましたか。ということは、これの内容を検討してみると、郵政省並びに農林省、建設省関係は常勤労務賃金要員が非常に多くて、実際定員内の職員と同じような仕事をしておる職員が相当数あつて、この定員化というものは或る程度やらなくちやならんのじやないか、こういうふうに私ども検討したときは結論を得たわけですが、如何ように現在お考えになつておられますか。
  158. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 郵政省などのように総員の中で常勤労務者を定員化した者が相当数あるのもあるのでありますが、併し全体としては常勤労務者をどういう工合にするかということは、公務員制度調査会で一つ検討を願つた上で根本的な対策を考えてみたい、こういうことにいたしておりますので、他の省にも郵政省と同じような扱いのものも若干あるかと思いますけれども、これらの考え方は今申上げた通りであります。
  159. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうですか。その身分の保障されない常勤労務賃金要員というものは或る程度しぼつたら如何ですか。実際同じように仕事をしておるのに、帳面ずらだけ定員を減らして、実際は常勤労務賃金要員の予算で賄つて行くなんという行き方は、公務員の身分保障という立場から、更には能率という立場から非常に私は面白くない行き方だと思うのですがね、その点如何でしようか。
  160. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私の考え方は同じように考えております。いろいろな点でやはりどうしても常時的に使つておらなければならないというものであるならば、やはりはつきりと定員の上に出しておくということのほうが適当だと思います。殊にこの定員の上に出ておりませんと、これだけ熱心に行政整理を考えております我々の立場にも余り関係なく殖えたり減つたりいたしますし、非常に問題がいろいろな面においてあると思います。ただまあこの前の本法案審議のときにも申上げましたように、それでは全然常勤労務者というものをないようにできるかどうかということになると、やはりそうは行かないで、そこにそういう制度があるということが、この定員法の定員の性質から来る非常な非融通性というものを或る程度調和して行くという意味においてまあ役に立つのじやないか、こういうように考えておりまするので、全然これをなくするということもどうかと思いますけれども、できるだけやはりこれはしぼつて少い数で行くということのほうが正しいと考えております。
  161. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般の答弁では、この人員の整理をするが、昭和二十九年度の新卒、この新採用は例年の七割程度にして七百人採用した。こういう答弁があつたわけですが、この通り採用されておりますか。
  162. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) その通りであります。
  163. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこの法によつて昭和三十年度も整理が行われるわけですが、昭和三十年度の三月に各学校を卒業するいわゆる新卒の採用率というものはどの程度にお考えですか。
  164. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まだ具体的な数字までは考えておりませんけれども、やはり昨年と同じように何がしかは採用しなければならないと、こういうように考えております。併しこの行政整理を非常に強くした際でありますので、この数はできるだけやはりしぼつて行かなければならない。又自然減員のある数字とも睨み合せて、総数において殖えない程度に抑えなければならないと考えております。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはやはり政権の座にある内閣の大きな政策だと思うのです。学校をたくさんの人が卒業したが職のないということは、これは非常に青年の志気にも影響することですから、これは大いに吉田内閣の政策という立場から考えなければならないと思うのですが、現在の見通しとしては、二十九年度の三月に新規採用した程度は大体採用して行ける見通しがございますか、どうですか。
  166. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) できるだけあの程度の数字は何とか採用できるようにしたいと考えておりますけれども、やはり整理後のいろいろな各省人員の動き、そういうものを見極めなければなりませんので、十分な検討をいたしたいと思います。
  167. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点は私は特に要望しておきますが、ただ総数を少し整理するというだけが能ではないことは申すまでもないのですが、特に慎重にこの点は考慮して、適正なる数字を打出すように総合的の立場からも努力して頂きたいということを要望しておきます。  次に伺いたい点は、都道府県並びに五大都市は五・五%、市五%、吏員が二十五人以上の町村は四%を基準にして地方公共団体は地方公務員の整理を行え、こういう基準を二月に閣議決定して流されたわけですが、地方公共団体の実施状況は如何ようですか、承わりたい。
  168. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 地方公務員の行政整理の関係の問題でございますが、これは今御指摘のように、閣議で方針をきめまして、地方に勧奨したと申しますか、要望したのであります。一般職について都道府県の五・五%、平均整理率として五・五%、市が五%、町村が四%という一応の基準を出して要望したのであります。これにつきましては各府県、市町村でそれぞれ只今非常に財政全般が窮屈のところもございまして、一般の人件費以外の節約も勿論いたしておりますが、人件費につきましても大体その基準を、多くの点におきましてはそれを上廻る程度の予算を組んでおるのであります。それが現実にそれではどの程度実施されておるかということでございますが、これはまだ年度の中途でございまして、実は一応八月末までにはそれまでの予算計上の状況、実施の状況がわかるように一応中間報告を求めておりますが、まだ自治庁として取りまとめたものがございませんので、総括的なお話を申上げることができないのでございます。ただ断片的にいろいろ聞いておりますところでは、それぞれ予算を計上し、逐次実現化して行くという形をとつておる次第でございます。
  169. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは長官に伺いたいと思いますが、私は実際に行われていないと思う。又行われ得ないと思う。それは中央の官庁におけるあなたがた機構というものは、それと何らかの形でやはり結び付きのある地方の行政機構というものには何ら当られていない。依然として複雑であり、厖大である。更にあなたがたから地方に委譲した或いは委託したところの行政事務というものは何ら減つていないわけです。たくさんの行政事務を県におつかぶせておる。従つてこういう事態では五・五%或いは五%或いは四%というものを示されても、私は仕事の面から実際はやれないと思う。ということは法案審議のときに各省から出された資料を仔細に検討しますと、随分整理内容にはおかしなものがあつたわけであります。殊に法務省あたりはでたらめのところがあつて、これこれだけ減員すると言つて、而もそれは小使とか給仕ばかり減員して、而もこれが非常勤用員の予算で賄うから実際上の影響はないというような報告を提出されたわけです。それは取りもなおさず地方庁がやれないということを意味すると思う。而もこういう基準で地方財政計画というものを編まれておるわけです。そこに地方財政の窮迫というものが現われて来ておる。従つて私は今の地方財政の窮迫というものは、地方公共団体当局の責任も一部ありましようが、その大部分というものはやはり政府の施策のもたらすところである、これが一つです。よく言われる警察あたりもそうです。従つて最近伝えられる佐賀とか或いは京都とか、ああいうところの地方財政の危機の切り抜けについては、地方公共団体の指導的な立場にある自治庁として早急に何らかの手を打たるべきである。その一つを取上げても私は臨時国会というものを早急に開くべきである。自治庁長官として閣内において努力されるべきものと、こういうふうに私は考えるのですが、如何ですか。
  170. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私はこの地方の行政整理は必ずしもそのようには見ておりませんので、勿論この自治団体の人員を整理し給与をどうするかという問題は、自治庁が勧奨すべき立場ではありませんが、ただこういう方針でやつてほしいという、従つて財政計画はこのように組むべきであるというだけができるのでありまして、併し現実には自治行政がどういう工合に行われておるかという実態を見ますると、御指摘のように国の仕事を非常にたくさんやつて頂いておる。そして又国の仕事が少しも減らないのに人間を減らすことは無理だ、それは非常に人間を切り詰めて行なつておるところもあり得ると思います。併し全体としての行政改革の上でどの程度の整理を予定するかというときには、私は各自治団体がよく御検討を願つて、自分のところと同じような財政規模、行政規模のところでどのくらい人間を使つておるかということも御検討願えば、まだ十分整理される余地のある自治団体もたくさんあると考えております。最近財政窮迫というものが相当深刻化しておるという情勢も手伝つて、自治団体の一部にはむしろ私どもが予想しておりました以上の整理計画というものがそれぞれの理事者の手によつて考えられておるということを幾つかの例で承知しておりまして、非常にいい傾向である、こういうふうに考えておるわけであります。ただ問題が問題でありますから、県議会その他でそう必ずしも簡単には通らないというような情勢はあるようでありますが、これは事態の認識だんだん深まるにつれてだんだんそういう方向に行くのじやないか、そういうふうに考えております。従つて私どもは二十九年度の国が行いました程度の行政整理は地方においてもきつと行われるであろうというふうに大体見通しておるわけであります。  なおついでに地方財政の窮迫の問題でありますが、地方財政の窮迫の問題は本質的に年々赤字が累増しているという問題と、今当面している金繰りに困難するという問題と両方あるのでありまして、本質的な地方財政の窮迫して行くという問題は、いつも申しておりますように、これは自治団体の側の経営にも原因がある、国の財政計画の組み方にも一部原因があつた面もある。そこで両方協力して、これはよほど真剣に検討して直そうじやないかという立場で指導もし、又努力もいたしておるわけであります。先般佐賀県でちよつと問題になりましたような当面金繰りの問題は、これは勿論そういう過去の赤字の累積も原因をいたしておるのでありますが、その他の幾つかの事情、その中には佐賀県の場合には昨年中の災害をかなり仕越して以て仕事をしておつたというような事情も手伝いまして、それと併せて金融面で予定をしておつた佐賀の地方銀行が急に融資ができなくなつたというような事情で突発的にああいう事態が出て来たように承知をしておる。そのほか幾つかの府県でそういう短期の間の金繰りの意味で以て困難をしておりますのは、事情を聞きまして理由のあるもの、又計画のはつきりしておりますものはそれぞれ処置いたしております。なお今度交付税の繰上げ交付という方法によりまして大部分の自治団体はその憂いを免れたと思いますし、なお交付税の額で不足する分については個々に検討して、又別途に措置するような大体見通しが付けております。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 交付税の繰上げ云々等はこれは単なる弥縫策で、抜本的な解決にはならんと思います。今それを論ずるのが主題ではないのですから、その程度にして質問を続けて行きますが、私は行政機構定員の整理、そういうことを目標にしてこの行政管理庁が作業を始めた当時から結末に至る経過を考えて、今日おやめになつた大野木次長、本当に御苦労であつた、気の毒であつたと思います。十分山なす書類を頂きましたが、この結果を見ますと、失礼かも知れませんが、私はこれは大した意味のない、まあやらないよりはいいと言われるかも知れませんが、馬鹿々々しい内容はない、失礼かも知れませんが、率直に言つて私はそういう感じを持つたのです。どうですか、あなたは行政管理庁長官ですが、先ず中央の共管事務あたりに思い切つた科学的な検討を入れる勇気はございませんか。ちよつと申上げますが、例えば水道の問題一つとりましても、或いは農道とか村道の道の問題をとつても、或いは川の問題をとつても、実際この共管事務というものは先ず手入れさるべきものだと思うのですね。殊に私は最近痛切に感じているのですが、国土総合開発法に基いての現在十九地域が指定されているが、あれあたり実際予算を確保して、国土総合開発というものを進めて行くに当つては、実際今の我が国の機構というものは私は動かないようになつていると思います。不合理極るものだ、そのことは中央官庁がこうである以上は地方官庁というものはそれを倣うわけですから、仕事の能率直もやはり上らないだろうし、又人員の縮小なんかもできないと思います。そういうことをやらないで一律的に整理をするというところに私は非常に無理があり、非能率をた来し、又公務員の労働過重というものが具体的に私は郵政省あたりに出ていると思いますが、又農林省の一部にも八・何%の整理をしましたからね、或る一部には私は出ていると思います。そういう抜本的な点ですね、勇気を出して科学的なメスを入れて見る勇気はございませんか。
  172. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 御意見は誠に御尤もなんでありまして、全く同じ考え方で昨年中の行政整理は発足いたしたのでありますが、誠に力及ばずに無駄な仕事をしたような結果になつておるわけでありまして、併し結局やつてみました結果は、これはよほど本腰を入れてやらなければできない。もう断片的に一つ二つを取上げてやろうとしても、なかなかこれはあらゆる面からの抵抗があつてできない。そこで中央と地方と総合し、又中央の場合にも各省を全部一緒に抜本的に改革案を考えなければいけないということの考え方に到達をいたしまして、実は今自分としてもその構想を練つておるわけであります。勿論私どもの党におきましても引続いて考えておるのであります。  又地方制度につきましては、御承知のように地方制度調査会にそういう気持で以て本質的な問題を御検討つて諮問をいたしております。この中央と地方を通じた何かの構想を得て抜本的な改革というものを作りたい、こういう考え方であります。そうなりますと問題は非常に広汎多岐に亙りますので、そう簡単に短期間にというようなわけに行きませんので、誠に恐縮に考えるわけでありますけれども、併しこの機構に手を著けるという場合には、そこまで行かない限りは、又やつて又お叱りを受けるような、御批判を受けるような誠に変なものになるということが案ぜられますので、むしろ徹底的に調査をし立案をしたほうがいいのではないかと考えております。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの形式的な量的な面からのみでなくて、質的な面から同じ整理するのであつても考慮されなければならん。それだけでは抽象的でわからんかもわからんが、具体的に申上げますと、曾つて統制経済の華かであつた当時の官庁というものは統制経済が解除されているのですから私は相当な縮減ができると思う。それに対して社会保障制度というようなものが推進されているのですから、それに関係ある例えば厚生省あたりは均一の四%の定員減でなくして、むしろ増員であつて然るべきじやないかと思うのですね。それから今日午前中ここで問題になつたのですが、例えば人権擁護局であうね、この人権擁護のためとか何とかというのは、新憲法から初めて我々が口にし出したことなんです。従つてこの整理のときにはこういう新たな人権擁護局あたりは質的な面からこれらの縮減なんかやらないでむしろ増員する。そういうような実質的に定員の動かし方をしなければならん。ところが今まであつた整理もこのたびの整理を見ましても、実際それが政治的に解決するのに都合がいいかも知れませんが、非常に形式的な整理が行われている点については非常に私はセンスがなくて遺憾に考えるわけでですが、その点如何でしよう。
  174. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 勿論本法案審議のときにも申上げましたように、当初の構想ではそういう工合に一律的に或る標準を置いておつたのでありますけれども、最終的な結論に到達するまでには、御指摘のようなお気持を頭に置きながらそれぞれ整理をいたして、整理ができても、極めて少数にとどめなければならん、こういうようにおのずから比重を置いてやつておるわけであります。ただ殖やすほうのものは、これは実は行政管理庁のあり方そのものが、無駄がないかどうかということを見る立場にございますので、積極的にここは減らしてここは殖やすというところまではこれは行かない立場でありますので、例えば整理の場合でもここに無理があるということで各省の申出を受けて、成るほどと納得できるものは了承するというような立場に立ちますので、併し御承知のように非常に無理をした整理の際でも、やはり当該省が増員を要求し、そして今日の情勢で尤もであると思われる部分につきましてはやはり増員が行われておりますので、増員の面はそういうような考え方とそういうような径路で一つ今後はやつて行くべきであると、こういうように考えます。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は今具体的に一つはつきり伺いますが、人権擁護局ですね、この機構並びに定員ですね。これは私は縮小どころでなくてむしろ拡充増員さるべきものだと思います。で最近まあ新聞、ラジオを賑わしているように、我が吉田さんと一緒に世界的に有名になつた夏川さんの近江絹糸ですね、人権無視の問題ですね、これは国辱問題だと思うのですね。こういうような実情から言つても私は人権擁護局というようなものは機構を拡充し、定員も若干増員されて然るべきだと思うのですが、如何でしようか、期待に副えますか。
  176. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) それはまあそういうような考え方もきつと立ち得るのだと思います。ただ私どもが今回整理をいたします場合の基本の考え方は、今の仕事をやらして今の能率を落さないという考え方でどれくらいまで人間を縮めてやつて行けるだろうかという線を一つ考えてみてくれということを各省にもお願いし、私どももそういう構想をいたしましたので、積極的にこれをどうするかということは当該省が自動的に考えて参りましたときにこれは御相談に乗ると、こういうことにしておるわけであります。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次の機会に私の期待しているような線に沿つて頂けるでしようね。
  178. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ人権擁護のこの仕事をどの範囲までやつて行くということに政府の方針がなるかということによりまして、又当該省のお考えも出て来ると思うのです。そのときに出て参りまして、それが成るほど尤もであつたと肯ける線であれば、行政管理庁といたしましてはあえて反対はしないと考えます。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について、私が一人で質問して皆さんに大変御迷惑をかけているわけですが、それで議事進行の発言ですがね。このたび委員会を開きましたが、昨日木村長官答弁を聞いてみますというと重要な点は皆木村長官の責任の範囲内において逃げているのですね。FOA調査団についてもMSA援助の問題にしても、米軍の引揚げに関連する事柄にしても一切知らない、会つていないというので逃げているわけですね。従つて私は午前中以来緒方副総理とそれから外務大臣出席要求しているわけですが、未だに出席がないわけです。私個人の気持としては、先ほどの、塚田長官にもお尋ねしました臨時国会等の問題にも関連して吉田総理或いは副総理にこれらの点を質さなければ、私はこのたびの委員会に出て来た目的というものは達し得ないと、まあ私は非常にその点遺憾に考えるわけです。それから只今行政管理庁関係を質問しているわけですが、もう少し質問しないと終らない状況なんですが、議事進行というのは、若し明日引続いて委員会をやられるならば、私は皆さんに大変御迷惑だからここで質疑を切りたいと思いますが、委員長において明日委員会をもうやられないというお考えだとすれば、御迷惑でしようがもう二十分ほど質疑を続けさして頂きたい。そういう議事進行の発言をいたします。
  180. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 実は昨日と本日と二日間の予定で各委員のほうにも御通知してありますので、本日急に明日に延期するということは出席等の関係上私は多少無理じやないかと思うのです。それで質問がありましたら一つ続けて頂いて、今回の委員会で無論不十分でありますから、できる限り閉会中に早い時期に又委員会を開くことにしたいと思いますので、質問を続けて下さい。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私としては誠に遺憾でありますが、委員長の命に従つて続けます。  もう余計かかりません。長官に伺いますが、この法律審議のときに今年整理された地方公務員にも国家公務員と同様に割増の退職金が支給される、そういうように地方財政計画も編んである。こういう答弁であつたのですが、私地方を廻つてみますと、整理された地方公務員、特に教職員等は何ら割増の退職金をもらつていない。これはどういうわけですか。
  182. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 今お尋ねの点でございますが、地方公務員で今回の行政整理によつて退職する者につきましては、国家公務員についてとられました待命の措置と同じように前国会で地方公務員法を改正せられまして、臨時待命制度が適用できるように法律上の根拠を与えております。従つて臨時待命の方式をとることはできるようになつております。それから財政計画上は本年度の国家公務員につきましても特別な予算上の措置を行わないで、その者の給与を、給与等経費を削らないで年間の予算として取つてある。こういう方式を国の場合にはとつておりますので、地方公務員の場合におきましても地方財政計画におきましては整理せらるべき職員に対する給与費を減じないで、その者が年間を通じてそのままおるという計算をいたしておるのでございます。その中でまあやり繰りをしてもらう、こういう方式になつておるのでございます。ただ併しながら地方公務員の場合には若干非常に永年勤続の者が多い。特に教育公務員等におきましては相当な年齢まで、数十年勤続しておるというような人がおりまして、そういうような人に対するいわゆる割増の退職手当というものは相当多く要するのであります。併しそれらの人たちが現実に退職いたします時期、即ち退職手当を現実に受領します時期は、永年勤続の人たちではむしろ三十年の財政計画の問題になつて参りますというふうに考えておるのでございますが、併し整理がなかなか現実の問題としてむずかしいということを言つておりまする地方団体の実情を伺つてみますと、そのような点に或る程度問題があるということも私ども考えております。今後の問題としてその点は何らか解決をしなければならんと考えております次第であります。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これははつきり何らかの財源措置をしてやらなければ、私は退職金の割増というものは出し得ないだろうと思います。出しているところが若干ございますか。
  184. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) これは出しているところが若干あると思います。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのほうで本年退職した教職員等を含む地方公務員に対しては、国家公務員に準じて割増の退職金が出せるように今後財源措置を考慮されますか、して頂けますね。
  186. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 今申上げましたように、本年の問題といたしましては、勤続年数の短い人につきましては国のあの基準と同じようなことを今年内に措置しなければならないことになつておるのですから、これはそれぞれやつていると思うのであります。非常に永年に亙ります者は三十年度以降に退職しますので、三十年度の問題としてこの問題を何とか考えなければならないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御善処願つておきます。  次に承わりたい点は、高等学校職員を国立学校の例に倣つて二%天引にしたということは、これは私は了承できないのですがね。第一我が国の国立学校の助教授以下を二%減じたそのこと自体私は間違いだと思うのですが、それを更に国立学校の国家公務員がそうであつたから、高等学校職員に対して二%減と持つて行くのは苛酷だというのです。ということは、国立学校の場合も無理ですが、国立学校の場合はまあ事務員が多いとか、他に要員等もおりますから、何とか若干のやり繰りがつきますけれども、高等学校の場合は現在乙号基準にも達していない定員状況のときに、而も事務官という者は二、三名しかいないというところに二%の天引きを持つて行かれたら、講義をするところの先生を減ぜざるを得なくなるのですね、財政面から。これは現在の高等学校の単位制の教育を非常に脅かすものだ、こう考えるのですが、先ず文部大臣病気で来ていないそうですが、緒方初等中等教育局長お見えになつておるそうでありますが、どういうふうにお考えになつておるか、承わりたい。
  188. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) これは閣議におきまして、国立学校定員に準じて二%を削減するということでありまして、それに基いて地方にまあ勧奨の形で……、お話のように教育の問題でございますので、これはいろいろ困難な点はあるかと思います。併しながら予算の財源の措置といたしましては、これはまあ必ずしも実人員を減らさなければならんということになるかどうか、これはまあ必ずしも……、地方の予算措置の問題で、又その後の実情につきましても私どもの手許でわかつておりません。ただ生徒の増等もございますので、まあきつちりと二%減になるかどうか、これはちよつと問題があるかと思いますが、実質的にはどういうことになるか、生徒数の増加もあるので、当然教員も殖え、いずれにいたしましても実情につきましては十分調査いたしたいと思います。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは大臣来ていないですが、局長、重大な問題ですよ。日本の学術の向上という立場から、もうあなたは十分御存じだけれども、昔の旧制の高等学校が大学教育の前提としてどういう役割を果したかということをお考えになればわかるのです。現在の新制高等学校は、単位制をとつて、この高等学校教育の充実というものは我が国の大学における教育に極めて響くのですね。むしろ現在の教育は高等学校に盲点があるとしか考えられないのです。従つてあなたのほうでは、定員のほう、教員の基準というのを目標にしておるのです。そういうときに、行政管理庁のほうで他の国家公務員の整理基準を設けた。それに倣つて高等学校の整理基準を二%にしたから、それをそのまま現在の高等学校に二%に持つて来たのをこれを文部大臣が閣内において了承するということは、私はとんでもないことだと思う。これは大臣が何もわからんからです。私は初中局等が責任を持つてこの内容等を十分大臣に説明し、大臣は閣内においてそういう発言をして、こういうようなことはやられないようにしなくちやならんと思うのですが、私非常に遺憾に思いますが、あなたはそれをどうお考えになるか、こういうことで今の単位制の高等学校教育というものが、完成教育としても、又大学教育の前段の学校として、一体十分の教育がなし得るとお考えになつていらつしやるかどうか、如何でしようか。
  190. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) お話のように、現在におきまする高等学校の設置基準等につきましてもいろいろ御議論もあり、甲号基準を理想といたしておりますけれども、これは財政面から行きましてもなかなかその基準に達しがた現状にあるわけです。従いましてこれはその他教育的な観点からいたしますと、教員数を維持することが望ましいのでありますが、ただ併しこのたびの措置は、国全体の緊縮予算という線に沿いまして閣議で決定されたものでありますので、その線に沿つて十分やつて参りたいと考えております。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、あなたは大臣でもないからこれ以上追及して行きませんが、閣議で決定された、決定されたそのことがいけない、私は信念を持つてそう申上げます。あなた方はお子さんも東京都内の高等学校行つているし、主として東京都内の高等学校は御存じでしようが、地方の高等学校を御覧願いたいと思うのです。今の進学制の、教育の機会均等といいますが、辺地に如何に優秀な子供ができても、今の進学制では六、三、三、四で、大学まで如何に優秀な子供ができても行けませんよ。それも小学校を出て、次の三、三の六年間を不十分な職員構成の学校で六年間過したら、どんなにいい優秀な素質を持つた子でも私は大学教育を履修しようと思つても受けられない。そういう点裏返すと、教育の機会均等になつていないのです。そういう立場から言つても、私はこの二%というものはどうしても了承できません。次の機会には、こういう決定は文部大臣から閣議に再度提出して、変更されるように大臣に伝えて頂きたい。  それと、もうあと五、六分で終りますから我慢して下さい。義務制の場合、これを大臣は教育法案でやられたか知りませんが、極めて遺憾なことをやつているのです。今年あなた生徒は九十六万人殖えたでしよう。従つてその生徒の増加に伴つて教員を確保すれば、円滑なる人事行政が行われたのに、実に三万四百人という数を減らした、あなたの出した資料にちやんとある。昨年度までの教職員の算出方式と本年度のその算出方式を縮めたために、圧縮したために、生じたところの差は三万四百十三人というのは資料としてちやんと出されております。自治庁、これは文部省の了解済みなんです。そういう下に地方財政計画を立てたのです。そういうように財政計画を立ててあるから、その結果出て来たものは、いつも問題になるように、大概教員は四十五才で切つているのです。地方の教員から聞いてみて下さい。女の人は四十五才で老人です。最近人生五十年が六十を超えているのですよ、日本では寿命は。それを四十五才で老人として、四十五才で大概切つている。それから私は各省の退職待命を見ましたが、大概の人は五十四、五に行つております。ところが我が国の義務制の先生は五十二くらいで全部切られてしまつている。恩給は五十五才にならんともらえない、こういうときに切られている。即ち在職年限が短い。これを少くとも五十五才まで持つて行かなければいかん。  ここで私由々しい問題は、これは局長としては十分知つてつてらいたいと思うのだが、共稼ぎをぼつぼつ切つているのですね。例えばここに女教員がおつて、その女教員の聟さんが銀行の頭取であろうと官庁の課長であろうと、これは切られない。ところがその先生の主人が小中学校先生をやつておれば、主人が勤めておるからあなたやめて下さいといつて、共稼ぎはどの県でも四十才から四十五才の間で切られておる。これはよく考えて頂きたいと思う。同じ教育の場に働くことになつて、そして職場結婚をした人は、自分が年を取るのが怖いわけです。職場結婚をして共に教育の場において奉公しておれば、主人が教頭か校長になれば自分は必ずやめなくちやならない。ところが教育家同士が結婚しないで、官庁に勤めている人と結婚すれば、その人が知事になろうが副知事になろうが、その先生は整理されない。こういう矛盾が各県とも行われておる。それを初中局長は御存じですかどうですか。
  192. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 先ず最初に財政計画の問題でありますが、これはお話のように地方財政計画といたしましては、二十八年度に使いました基準でそのまま、先ほど御指摘になりましたように、九十五万入の生徒の増をそのままの基準で膨らませるということになると、まあ三万ぐらいになるかと思います。併しながらこれは御承知のように、国庫負担法が実績負担になつておりまして、義務教育費の国庫負担法に基きます給与費の予算措置といたしまして文部省でとりました方式は、二十八年度の教員の実数にこのたび殖えました九十五万の児童生徒に対しまする学級増を実際上計算いたしまして、そうしてそれに対する一定の率を考えまして教員の増加を見ております。その結果大体二万人の増を昨年の実績に加えまして国庫負担の国の予算を出したわけであります。それに合わせまして財政計画を立てておるわけでございまして、決して二十八年度の実績から三万人落とすということにはなつておりませんけれども、ただ併し今のような方式をとりました結果、実績を見ましても、これは義務教育費の関係でございますから国庫負担となつておりますので、若干地方財政上殖えるということになりますけれども、併しながら実績といたしましては今まで私ども的確な数字は持つておりませんが、一万二、三千は二十八年度よりも殖えておるのじやないかと思つております。そういう状況であることを申上げたいと思います。  それからあとのお話でございますが、これは私もよく存じません。具体的に教員の退職問題がどうなつておるか、個々の問題につきましては存じませんが、ただこれは毎年教職員につきましては相当の異動があるわけでございまして、いわば新陳代謝でございますが、今年特に退職者が殖えておるという状況じやないのではないかと、今までのところはそう考えております。個々の実情につきまして調べてみたいと思つております。
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたと問答しておると時間がかかつてしまうが、一万二千人ぐらい殖えたというのは当り前ですよ。九十六万人生徒が殖えているのですからね。従来の計算からいうと、一万二千人の増加ではとても賄えるものではないのですよ。もう少し殖やさなければならん、学級数からいつても……。これは勿論一万二千人も殖えたからというようなことは説明にならんわけです。  それから私は個々の人事異動を聞いているわけじやないのですよ。これは女性の先生がたは大概四十五才でどの県でも老人だとしてやられておる。それから今言つたように、主人が教育者であつたら、男女共稼ぎというので、これは殆んど各県でやられておる。個々でないのです。一般的な問題です。これはやはり守つてやるようにせなきやならんと思うのですね。夫婦揃つて義務教育に一生を捧げようとして職場結婚をして努力している人を、丁度これから子供が高等学校から大学に行くというときに、夫婦共稼ぎなるが故にやめなくちやならんと、そういう取扱いをされるということは私は気の毒だと思うのですね。これは個々の例でないのですから、局長会議でもあつたときは十分問い質して、こういうことのないように御善処願いたいと思うのですが、如何でしよう。
  194. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) ただまあこれは各府県の実際の人事の問題に亙りますから、文部省といたしましても、どの程度指導することが適当であるかという問題があるかと思いますが、一般的な実情につきましては調べるようにいたしたいと思います。
  195. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教育の二法案については大概やつておるようですから、こういう職員の身分についての指導助言は遠慮なくやつて頂きたいと思う。  最後に伺いますが、昭和二十八年度の教員給与の約十二億の不足分ですね。実績からいつて十二億ばかり不足するという問題があつたでしよう。それに対しては衆議院の予算の審議の段階において、その不足については政府のほうで面倒みると、こういうことが答弁されておるわけです。ところがそれを本日まで処理されていないと思うのですが、局長如何ですか。
  196. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 今の御質問は、二十八年度の国庫負担金の不足分の問題だろうと思います。これは実情につきまして、文部省文部省といたしまして、各府県の実情を調べまして、大蔵省は又大蔵省のほうのルートを通じまして調査を行いまして、両方で実績調査を行いまして、只今数字の突き合せ中でございます。私どもといたしましては、成るべく速かにこれを十分に出し得るような措置をとつてもらうように、只今交渉をいたしております。大体只今の段階といたしましては、数字を確定したいということで両省間で突き合せをいたしておる段階でございます。成るべく速かにやるようにいたしたいと思います。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長に重ねて伺いますが、いつまで数字を突き合せをされるのですか、二月十日頃ですよ、衆議院の予算委員会で大蔵大臣が必ず処置をすると答弁されているのは……。その当時は大蔵大臣は約十一億から約十二億ということを数字を挙げて発言されているわけです。従つて私は、これはそういつまでも数字を突き合せんでも出て来るものだと思いますが、今のところあなたは数字をどういうふうにつかんでおられますか。
  198. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) これは二月中頃のお話では見込額であつたと思います。御承知のように決算がきまりませんとはつきりした数字は出て参りません。決算後両省で調べまして確定したいと、こういうことで今突き合せをいたしておるのであります。大体やはり十億前後の数字が私どもとしましては出ると考えておりますけれども、なお内容につきまして両省間でよく検討いたしておる次第でございます。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは最後に、各府県に対して配分交付される時期の見通しはいつ頃と立てられておるわけですか。
  200. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) これはいつ出せるかということにつきましてはまだはつきり見通しはついておりません。大蔵省と只今折衝をいたしておりますから、その結果によりましてきまるものと私ども考えております。
  201. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう八月ですよ、全然見通しは立ちませんか。このために警察その他でいろいろな理由で昇級昇格ができないで問題になつているのですが、他にも理由がありましようが、この場合もやはり昇級昇格が行われないという一つ原因になつているのですね。従つて各都道府県というものはこれを早く処理してもらいたい、こういう要望があなたのほうにも相当来ていると思うのですが、ここ一カ月以内くらいでは処理できるのでございますか。
  202. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 只今申上げましたように、これは義務教育国庫負担金の対象になる経費の範囲の問題でございますが、それにつきまして若干今問題はございます。それで両省間でよく協議をいたしておるわけでありますけれども、少くとも成るべく早く金額を確定することを先ず急ぐ、現実に金を出すという段取りは、これは私どもちよつと今申上げられませんけれども、金額の確定につきましては成るべく速かにということで今やつておる次第でございます。一月以内くらいには必ず出したいと考えておる次第でございます。そういうことで大蔵省と折衝いたしております。
  203. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 できるだけ早く処理されるよう要望しておきます。遅くなるようですからここで質問を打切ります。
  204. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十一分散会