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1954-03-27 第19回国会 参議院 電気通信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十七日(土曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            寺尾  豊君            新谷寅三郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   参考人    日本放送協会会    長       古垣 鉄郎君    日本放送協会理    事       岡部 重信君    日本放送協会ラ    ジオ局長    春日 由三君            三木 鶏郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  昨日に引続き質疑を願います。
  3. 寺尾豊

    寺尾豊君 誠に申訳ないことながら、私は誠に不成績で、委員会にしばしば出席というよりも殆んど出席しない。まあこういうことで、甚だ責任を十分果していないということで、この際お詫びを申したい、こう思つております。従つて、私の質問は今いろいろ事務当局から聞いてみましても、今私が質問せんとするものは殆んど出尽して、検討せられておる。こういうよう委員会はすでに相当質問も進んでおられるようでありますが、ただ私はこの際、今度のこのNHK予算承認に対して、いわゆる放送聴取料を六十七円に値上げするという問題についての参議院自由党内の意見等を含めて、むしろ古垣会長にそれを御報告申上げ、同時に若干のお尋ねをいたしたい、まあかよう考えておるのであります。  二十六年に三十五円から五十円に値上げをするとき、私は丁度そのときに委員長の重責を汚しておつたと記憶いたしておりますが、当時私はむしろ百円説をすでに唱えた一人であります。と申しますことは、NHK地方における各施設というものが相当年数がたつて、かなり施設が古くなつておる。従つて、当時民間放送等もかなりこれが近く行われるという情勢でもありましたから、ぼつぼつ各NHK地方の支局の施設を改善するのに相当予算を必要とするのじやないか、こういう視察の結果としての意見を開陳したことを記憶いたしております。従つて、今回六十七円、十七円というものは、極端に言えばキヤラメル一つも買えない。一ヵ月にキヤラメル一つにも足りない値上げ問題ということになれば、私どもが過去におけるそういつたよう自分たち感じたことから行くと、むしろ遅れておる。当然もう少くとも百円、最低百円に今日まで値上げをしていなければならん。こういう感じがするわけでありますから、今度の六十七円というのは余りにも遅きに失しておるので、これは当然過ぎるほど当然のことだと思います。併し、ただこれはしばしば委員の各位からも論議があつたと思いますが、時期が非常に悪い時期になつた、いわばNHK責任者皆さんとしては非常に悪い時期に遭遇した、こういうことじやないか。従つて、低物価政策政府が提唱し、国民耐乏生活を要望し、なお物価というものはこれから五分から一割は下げてみせる、こういう悲壮な決意の下に国民に公約したというこの機会がより大きく禍いをしたので、これが問題になつておる、こういうふうに私は考えておるわけであります。従つて万々一参議院においてこれが不承認というようなことになれば、NHK予算執行の上にどういう支障を来たすかというようなことについても委員からすでに御質問もあつたそうでありますから、これについてはお聞きをいたしません。併し、こういう極めて不利益な時期に値上げをするということについては、特に衆議院と又その使命において異なる、いわゆる予算面その他に対して十分高い立場において検討をしなければならんので、参議院においては、特に参議院第一党である参議院自由党内部意見等考えたときに、必ずしも楽観を許されない。これに対して果して容認し得るかこいう見通しについてはまだ確信を持つことができないのでありますが、併しながら、私は古垣会長が殆んど身を以てこのNHKの設立当時からその運営等についても悲壮の決意を以て終始一貫努力をされた、これは認めざるを得ないのであります。併し我々古垣会長の功績を知り、最初からこれに多少でも与かつた者にはさような理解もできますが、最近このNHKに対する批判と申しますか、公共放送に対するNHKのとるべき施策と申しますか、このことについて相当批判的であるということも事実であります。巷間伝えられるような、下らんいろいろNHKがこういつたようなことをした、国会を誹誇したとか、どうだというふうなことではなくて、公共放送としての本来の使命というものにもつと重点を置くべきではないか、民間放送競争するような、そんな面にややもすると少し力が入り過ぎやせんか、こういつたような大筋に対して、古垣会長に希望するところの切なるものがあると思うのであります。同時に、古垣会長に今後のNHK運営をせられる面において、一つ新たなる構想と申しますか、それらのあり方について、簡単でありますが、一つお聞きをしてみたい。何も細かい点ではありませんが、会長の今後の公共放送としてのNHKを主宰せられる責任者としての抱負経論と申しますか、その方針、大綱を一つ拝聴さして頂きたいと、かよう考えます。
  4. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 只今寺尾委員から非常に御懇篤なる御意見や御激励、又御註文などを頂きまして、誠に有難うございました。今後如何なる抱負経輪を以て臨むかということでございますが、私会長といたしまして、協会経営最高機関でありますところの経営委員会にも参加し、他方実施最高機関ございますところの理事会にも参加いたしまして、このNHKという公共放送の仕事の全責任をいわば帯びてやらなければならないということに対しまして、私の微力を非常に痛感いたしております。併しながら、只今も仰せのように皆様の非常な御同情、又御協力を賜わりますことによつて公共放送責任皆さんの御期待に副うように果して行きたいと考えているのでありますが、先日来この委員会においても極めて適切な御指摘がございましたように、放送協会の一番大きな責任は、何と申しても国民の福祉のために全国あまねく聞かれるようにしなければならないということでございます。従いまして、現在すでに九九%に近く日本全国に聞かれておりますけれども、これを是非将来一人も聞き得ないことのないように、全国津々浦々がラヂオ放送の恩沢に浴し得るようにして、そうしてその基盤の下に公共放送、立派な番組を組んで公共放送としての使命を果して行きたいと思いますが、御指摘よう商業放送もできました今日であります。いよいよNHK番組性格というものを適当にして行かなければならないということは、従前にもはるかに増して必要性が増しているわけでありますから、特に私ども日本民主化に資するために一方において教育に力を入れて参りたい。これは従前からその方針ではおりますが、今後一層教育教養という面、青少年教育より国民全体の教養のためにお役に立ちたい、そういう番組を組んで参りたい。又他方において、敗戦後我々は祖国再建の途上にございますので、何としても祖国経済復興再建というような面に力をいたしまして、その意味におきまして、産業に関する放送ということは一層機構の上でも、又番組の質の上でも、量の上でも努力して参りたい。そうして日本全国人たちがその地方地域生活支障のないように各地域自治生活と申しますか、そういうものが十分達成せられて、中央であろうと地方であろうと民主主義がずつと向上いたしまして、同じ日本国民ラジオによつて均等の、平等の権利を得るようにして行きたいと思います。  なお、勿論これに加えまして、高度な芸術、教養放送の充実といつたような点に力を尽さなければならないことは一層でありまして、番組番組競争によつて低下することがないように、むしろ我々が模範を示して、その他の放送団体番組の向上に役立つても、競争によつて低下することがないように、我々が飽くまで立派な公正な番組を組み、殊に報道については力を用いまして、国民がよく国の姿、又世界の姿を察知して、そうして国の向うところを知り、世界の各国に伍して健全な生活を営んで行けるようにいたしたい。その他テレビジヨンのこともございますが、そういつたようなことを考えております。  又国際放送、これは只今申上げたことに関連いたしますが、どうしても日本再建には一つの大切な窓口であると存じますので、国際放送を通じて日本あり方世界に通じ、同時に国際親善日本世界の列国に伍して有利に進んで行けるように努力いたしたいといつたよう考えを持つているのでございます。  先ほども指摘がございましたが、現在国が低物価政策の大方針の下に進んでおりますときに、僅かでも受信料値上げを行いますことは、いろいろな面から、国民経済の面からいたしましても好ましくないものであるとは存じますが、私どもは一方に公共放送というものの健全を確保し、更にこれを優秀にすることを何としても実現して、そうして国のあり方、進み方というものを国民に徹底させる面において、遺憾なきを期しますために、あえてこういう受信料値上げを御審議願つているのでございまして、どうかその辺の事情を御了察の上私どもの意のあるところをお汲取り下さいまして、この受信料値上げを含みます予算に御承認をお願いしたいのであります。
  5. 寺尾豊

    寺尾豊君 古垣会長の御抱負全く同感であります。そういう高度の公共放送使命をお果しになるという御方針十分放送の上に表わして頂く、こういうことを特に重ねてお願いを申上げておきます。  私はテレビジヨンということも国民の関心が非常に深まつて、これに期待するものが大きいのでありますが、このテレビジヨン放送に過日もちよつと触れて見ましたが、これはやはり聴視者というのですか、テレビジヨンを鑑賞するほうでどうもまだ顔や形に捉われて、その討論なら討論内容等にはつい耳を忘れる、却つて面白い顔をしているとか、或いは討論の受像されたものに興味を持つことによつて、普通の放送ように耳に対するケア—というものは存外テレビジヨンの場合には忘れがちじやないか。同時に極めて受像機の数も少いのでありまして、極端にいうと、目下のテレビジヨン放送というものはラジオ放送に比べるというと、殆んど比ぶべくもない誠に寥々たるものじやないか、こんな感じがいたしますので、特に今会長がおつしやつた民間放送が林立して放送が展開せられている中に、毅然たるNHKの姿というものは、成るほど現在における番組編成に対しては特権があり、又我我はこれに容喙はできませんが、今お言葉にもあつた番組編成に対しては大きく性格を変えて行かなければならない。これはもう画期的な一つの問題ではないか。従つてテレビジヨンをこのNHK青少年、その他の教養を高めるとか、或いは思想を善導するとか、或いは産業の振興とか、まあこういつたよう日本国民を極めて堅実な方向に善導をして行く、こういうことは私は公共放送の持つ、NHKの持つ一つ権利であり、大きな使命であると今更つくづくさように感ぜざるを得ないのであります。会長の今の御決意を私は十分了承をいたします。以上で私の質問は終ります。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 郵政大臣は午後差支えがあるようでございますので、この機会に成るべく郵政大臣を主に、御質疑がございましたら御発言を願います。
  7. 久保等

    久保等君 まあ今度のこの予算に対する審議もいろいろな角度から審議がなされて参つておるのですが、併し何と言つて国会における審議が非常に短いというようなことで、特にこの予算の問題が聴取料偵上げというような問題が関連いたしております関係から、それぞれ各党派内部においてもいろいろな意見が出て参つておるようですが、一番最初の時に大臣からこの予算の成立しない場合における措置といいますか、万一の場合における問題についても一応の考え方を、ちよつと所管大臣としての立場からの考え方伺つてつたのですが、やはり放送法の勿論予想しなかつた問題でもありましようし、又放送法一つの盲点となつておるのだと私は思いますが、併しまあ現行放送法の下において如何に問題を処理して参るかという問題は、極めて重要な問題として考慮をいたしておかなければならない問題かとも思われるわけです。そういう点で少くとも重要なこの公共放送ということが、仮に瞬時といえども支障を来すということがあつては、私は重大な問題だと思いますので、若しこの予算が成立しない、これは勿論普通の予算であれば委員会における修正等も行えるのですが、少くとも国会において承認不承認かという二つに一つの態度しか決定し得ないという立場になつておりまするだけに、国会における審議範囲もおのずから一般予算違つて、非常に限定をされておるよう関係もありますので、それだけになかなかむずかしい問題が起り得ることも考えられると思うのです。そういう場合においてやはり私は公共放送という重要な問題でありまするだけに、そういつた場合における措置、これについて更に明確に大臣のほうからお考え方を承わつておきたい、かよう考えるわけです。
  8. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も誠に当惑をいたす事態になると思うわけでありますけれども、ただまあいろいろと考えて入ました場合に、協会というものが引続いて事業をやつて行くということに対する御異論でない限りは、何らかの形でいつかは必ず予算の御承認が得られると、まあこういうよう考えるわけでありまして、従つて若し御承認が得られない場合には、得られない理由を明らかにして頂けるだろうと思われますので、その機会には更にその趣旨に副うて考え直してみて、予算を出し直して再審議をお願いするということになると思うわけであります。併しまあ考え方といたしましては、協会はやつて行くのだと、協会は解散しろという御趣意ではないが、予算は全然できないという場合もおのずから考えられる。全然あり得ないということはまあないと思うわけであります。そこでそういう場合にどういう措置をするかということは、今のこの法の規定の上にはつきりいたしておらんわけでありますが、結局解散しないで事業をやつて行くという、事業をやるということに御異論のない限りは、条理といたしまして、いろいろな方法を講じてとにかく事業は継続してやつて行く。そうして成るべく早い機会国会の御納得の得られるよう予算を出して正規なものに立て直すということに持つて行くということにならざるを得ないと思うわけであります。勿論今度の放送法改正の場合には、そういうよう事態が発生するということ自体放送法自体の不備ということにも原因があると思われますので、それらの点は改正の際には十分考慮して、そういう場合を頭に置いていろいろな規定というものも入れなければならないと思つておりますが、現在の放送法の上からは今申上げるようにやつて行くほかはないと考えておるわけであります。
  9. 久保等

    久保等君 この現在の放送法建前から行くと、どうしても国会における審議相当余裕を持たすことが、一般国家予算の場合以上に必要じやないかというふうに考えられるわけです。まあ一般予算でしたら修正を行うことによつて、原案に対するいろいろ相当大幅な修正もできるのですが、承認不承認かということしか決定されないとすると、一部どうしても修正しなければならんというよう事態が起きた場合においても、やはり不承認という結論としては結論が出て参ると思いますが、そうなつて参ると、当然又予算を出し直すという結果になつて来ると思うのです。従つてどうしても一般予算よりはよほど長期の審議期間ということを見て出されて来なければならんと、一般予算以上に遥かに数倍する余裕を以て国会に出されて参るということが、どうしても所管大臣としても私は留意しなければならなかつたことだし、ましてや協会そのものも当然これは考慮しなければならなかつた問題ではないかというふうに考えるわけです。そういう点で私は今度の予算そのものについて言つても、そういう時期的な問題から言つて非常に大きな一つの怠慢というか、私は遺憾な点があつたと思うわけであります。而も実際国会に出て参る事前に各方面と連絡をとられたとは言つたものの、事実ただ自由党特に与党内部と非常によく連絡をとられておつたようですが、併しそのこと自体もまあいろいろ国会における審議過程を見ておりますと、殆んど私は何か十分に連絡がとられたとは見受けられない節が多々あるのです。ましてや私どもは当然事前の何らの連絡、或いは状況等も存じておりませんが、併し少くとも私はやはり国会における審議スム—ズに進行するために、事前にいろいろ連絡をとつたのだと言われる当初の説明であつたのですが、併し審議の経過を見てみますると、私はそのこと自体についてもまあ疑問を持つわけであります。そういう点から言つてやはり飽くまでも本来の建前の上に立つて国会におけるとにかく審議期間に十分の余裕を見て国会に出して参るという正常な方法を私は十分に考えて参る必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますし、而も金額相当細かい細工を弄したと言つてもいいように、昨日も私ちよつと申上げたことでありますが、一カ月六十七円という、どちらかと言えば半端のよう料金に押しつけて参つたこの予算案が、而も非常に率直に言つて難航いたしておると思うのですが、考えてみれば、私は勿論国会における審議が難航し、又十分に審議がなされるということは、これは当然なことだと思うのです。併しただ遺憾なことは、何かしら追いつめられてしまつたという状況の下において審議しなければならないことについて、私は非常に残念に実は思うわけでして、すでに予算が出て参らない時期においても、数回に亘つて所管大臣に対してNHK予算の問題について督促をいたしたこともあつたのでありまするが、併しまあその督促をした後におきまして、相当日数が経過してから、三月の半ば頃に出されて参つたということについては、私はこれは所管大臣なり、放送協会当局者としても誠に一つの大きな重大な禍誤を犯したとさえ考えられる節があるわけです。少くともまあ今日のこの現行放送法の下においては、私は一般予算違つた性格があるということを十二分に認識し、いわば悪くいえば闇取引的なことによつて何か問題を裏面的に工作されるというようなことについては、私も一番当初にも申上げて遺憾の意を表明しておつたのですが、この問題が審議されて参れば参るほど実はその感を深くするわけでありますし、特に国会における審議という問題は、飽くまでも私は放送協会考え方というものが国会に生のままで出されて参る、でき得る限り……。而もこれはやはり所管大臣所管大臣立場範囲において、私は飽くまでもこの協会公共放送という事業が円滑に運営されるということを最大の眼目として考慮して参る必要があるんじやないかと思う。ところが出されて参つたこの収支予算が非常に難航しておることについて振り返つて考えて見た場合においては、私はやはり只今申上げたような諸点が当初から危惧された点でもあつたのですが、今にしてなお更その感を深くするわけであります。どうかNHK予算扱い方については、私は今後十二分にその点を一つ考慮を願いたいというふうに考えるわけなんですが、その点大臣が果してどんなふうに考えておられるのか、一番初めにこの予算を出されて参つたときの趣旨説明では、国会審議を円滑にせしめるという観点から、十分に事前にいろいろ連絡をとつたのだ言われましたけれども、併しそれは表面的なことであつて、むしろ実質的にはいろいろ金額その他の問題についても細かく数回に亘つて検討が加えられ、又変更を見ておつたのでありますが、今にして思うと、それが全くの、どちらかといえば、小細工を弄したというふうな印象しか我々受け取れないわけでありますが、もう少し根本的に予算の提案の仕方の問題について私は考慮を願いたいというふうに考えるのですが、大臣としてどうお考えになつておるか、御意見を承わりたいと思います。
  10. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 本年度のこの予算提出は、時期的に、その他いろいろ監督大臣しての私のほうにも不手際があつて大変国会側に御迷惑をおかけしたということを考えておるわけであります。恐らくこの考え方は、協会側も同じようにお考えになつておるんじやないかと思うわけであります。ただもうそういう事態になつたことは、別に悪意があつてつたことではなくて、むしろ恐らく協会側も同じ気持ちでいられるだろうと思うが、私もそういうものは予算が期日に間に合うように、而も通過するのにはどうしたらいいだろうかということを頭に置いて、今の放送法規定と総合して判断をして、やはりこれは事前に或る程度国民意思もそうでありますが、主として御審議に当られる国会側意思協会側としても十分察知されながら、ものをお考えになるのがいいのじやないかと、本当に私たち善意を持つて問題を考えておつたわけであります。そういう場合に、協会側といたしましては、恐らく時の政府を担当しておる与党、而も数も総体的に多い与党にかなりな重点を置いて、与党意見を割に強く考えられるということに別に不自然さがあつたとは思わないのであります。併し改進党その他野党にも御説明に行つておられたというような話も聞いておりましたし、それぞれを通して御意見を私は聞いておられたと思うのでありますので、今申上げたよう事情で、自由党重点があつたろうと私は思うわけであります。私が非常に心配いたしましたのは、今年こういう非常に問題になる料金の引上げの希望というものがないならば、勿論問題は、今の放送法の上でも簡単にやれまして、もつと早く予算を御提出申上げることができたと思う。而もそれに対して非常に大きな考え方に対しての立場によつての相違があり、而も値上げというものに対して与党が非常に政策基本から来る異論があつたものでありますからして、若しももつと協会が当初そういう事情を顧慮せずに御判断になつた結論で出されて、そうしてそれが否認という形になつて仮に帰つて来る。そのときにどういう事態が出て来るだろうかと思いますと、今年予算を最終的に放送協会側において意思を御決定になるまでに踏まれたと同じような又段階が、一度否認になつて来たあとでもう一度繰返さなければならなくなるのじやないかという懸念を非常に持つたわけです。それだけに、非常に事前に私も協会側十分見通しをつけて御判断になるほうがいいでしようということを意見としては申上げておいたわけであります。協会側もそういう御判断であつたのじやないかと思うわけであります。どちらにいたしましても不手際であり、その結果が三十一日までに御成立願うとすれば、十分の御審議を頂くだけの裕りを十分持ち得なかつたということにつきましては、誠に恐縮に存じているわけであります。今後監督大臣としても勿論注意いたしますし、又そういう事態も起りませんように、法律その他に改正すべき面があれば改正して、再びこういう御迷惑をおかけしないように気をつけたいと考えております。
  11. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 郵政大臣お急ぎのようですから、非常に遅れて国会には迷惑をかけたが、いろいろ苦心をしたというお話を伺つたのですが、そういう御考慮をなさるときに、政府基本方針であります低物価政策との関連、いろいろなことが考えられるんですけれども、例えば電気料金につきましてはいろいろ当時要望もありましたが、当分値上げをしない。これは閣議で郵政大臣も御相談にあずかられたかと思うのでありますが、その他の例えばこの予算と最も関連の深い民間放送の電波料金、これはむしろ政府が関与することではございませんが、そういう趨勢として電波料金等は今どういうふうになつて行きつつあるか、或いは新聞の紙代等も同様の傾向にあるんですが、そういうこともこれは御研究になつたかどうか。これに対するお見通しと、若し非常に先ほどからおつしやつた御苦心になつた過程において御考慮になつた場合の御意見を承わりたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 御指摘の通り、やはり放送料金をどうするかということの判断をいたします場合には、新聞料金、それからして民放の形において取られる料金というものを十分考慮いたしたわけであります。むしろこの考慮の場合には新聞の場合でも民放の場合でも発足したときからぐんぐん上げてしまつている。上げること事態に対しては私は勿論、内閣としてもあれを抑制する立場に立たないということになつて、そういうものが上つて、ますますそういう結果からこの競争するというほどの考え方はありませんでも、同じような仕事をやつて行く上においての協会としての困難さというものがだんだん累加して来る、而も近き将来見通されるところでは、新聞は明らかに値上げをするのじやないかという空気が非常に濃く察知されます。そういう事情も頭に置きまして問題は判断をいたしたわけであります。
  13. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そうしますと、政府として六十七円というものを御決定になるについては、新聞及び電波料金はいずれも値上げになるということを御考慮になつておきめになつたもの、かように解釈してよろしいか。  第二点は、これはもうNHK予算関係なしに、新聞及び電波料金は上るべき形勢のものであつて、これをNHKをこういうふうにしたために同種類のこういうものが又値上げをするようなことの原因になりやしないか、そういうことに関係なしに、当然電波料、新聞は上るものだというお考えでおきめになつたのか、その微妙な関係一つどうお考えになつているか。
  14. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) NHK料金を上げる場合には、今も申上げたようにそういういろいろな情勢を頭に置いて値上げ考える場合には考えたわけでありますけれども、新聞とか、値上げの六十七円という考え方にはそういう要素は全然入つておりませんのでありまして、これは六十七円はどこまでも内部的には最小限度に放送協会の仕事をやつて行くという必要、これを考え、そして外部的には過去にすでに新聞料金値上げ、民放の値上げというものが行われているものしか頭に置いて考えておらないわけであります。従つて今後そういうものが値上げされるということになると、又そこからむしろNHK料金にも又再検討しなければならない新しい要素が出て来るとむしろ考えられるのであります。ただNHK料金をこのままに据え置けないという判断をいたします一つの要素には、今までも値上げしておる、まだ上りそうな空気なんだ、従つてこのまま放つておくということはこれは絶対にできない、こういう考え方をいたしたわけであります。
  15. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今のお言葉の中に、今まですでにもう新聞その他は上げているから、NHKが遅れておつたというお話、これはよくわかりましたが、NHKを若しここで上げれば、それが連鎖反応と言いますか、又そういう同種の民間のものに響く。そうすると又これはNHK考えなければならんという意味のお話があつたのですが、こうなつて来ますと、政府の低物価政策というものが根本から崩れてしまう。只今の御答弁はそういうふうに聞き取れたんですが、そこをもう少しはつきりお願いしたいと思います。
  16. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは他のものが上れば、考え方として今のNHK料金を今までの新聞の料金、民放の料金というものを外部的には頭に置いての最小限の数字でありますから、考え方としては当然そういう又そつちが上ればこつちも上げなくちやならないという考え方は出て参りますけれども、併し今の政府考えておる政策として、恐らくそういうことは現実の問題としては取上げることは困難だ、考え方としてはそういう関係のものである。従つて仮に新聞なり又民放が、NHKが今度上げたからして又上げるのだという考え方を仮にされても、それには納得できる理論付けは私はできないものだ、そういう考え方をいたしております。
  17. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 現実の問題として、それではNHK予算を私ども承認いたしますと、その結果として、まあ直接、間接はございましようが、同種民間企業の料金が遠からざる将来に上るというようなことは、現実の問題として御心配になつて見通しをどうおつけになつているか、一つ伺つておきたいと思います。
  18. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは民放がどういう工合に今後動くかは知りませんが、併し営利企業でもありますし、企業自体の希望、ものの考え方といたしまして、上げたいという空気があるということは噂には聞いているわけでありますけれども、併しまあ私はNHKの今度の程度の料金値上げというものとはそういうものは関係ないように、むしろもつと露骨に申上げますならば、NHKは据え置かれてもそういうものはやつぱり上るのじやないか。そういう見通しをしております。
  19. 久保等

    久保等君 今度のこの予算をいろいろ審議している過程で、具体的に特に公共放送としての使命でありまするいわゆる全国あまねく放送実施をするのだという観点から考えて見た場合に、今日まだ資料も手許に参つておりますが、相当まだなかなかうまく電波が受信できない。いわゆる難聴地域全国相当あるというようなこと、これには当然全部難聴地域を解消するということになりますと、多額の経費を要するというようなこともまあ事態が明確になつてつたのですが、更に又そのほかいろいろ技術研究等における経費も実は今度の予算では余り聴取料値上げしたというものの、そういつた面の積極面において余り計画が織り込まれておらないという点が実は明らかになつてもいるんですが、やはり今言われているように、政府の低物価政策という観点から、今度の予算が、従来いろいろだんだんと積り重つて来た企業の不健全性をどうしてもこれ以上持越すわけには行かないし、放置するわけに参らないという観点から、そういう主として値上げを行なつたという理由になつているとすれば、私は公共放送を更に積極的にこれを推進して参るという観点からいたすと、この程度の値上げではむしろ低きに失するのではないか、企業の面から見れば……。併し政府の低物価政策、或いは耐乏予算という昭和二十九年度予算のあの編成方針の態度からして、そういう客観情勢から多少とにかくでき得る限りこれをむしろ抑えるという観点から、無理な予算の面にあるのじやないかというふうにも受取れるわけです。そうなりますと、近い将来において、勿論当然次の段階の値上げを予想してはおらないとは思いますけれども、併しいずれ又料金値上げをやらざるを得ないのじやないかということも推測されるのじやないかと思うのですが、その点について、やはり企業の面から言えば確かにそういつた面もないではないかというふうに所管大臣としては考えておられるのかどうか。どうも今度の料金値上げが十分に納得されるような形の積極面が比較的少いということが言われているんですが、その点についてどう大臣はお考えになつているか。お伺いしたいと思います。
  20. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 繰返して今までもしばしば申上げておりますように、私は放送協会本来の、而も放送法というものの趣旨に則つて放送協会が本来の使命を果して行くという上においては、もつと値上げが然るべきであり、又そういうように積極面がどんどん出て参りますならば、七十五円が百円でも必ず聴取者の納得を得るということも困難ではないのじやないかとも私は思うわけであります。ただそういう協会立場からの考え方と、それからして他の面の考え方との総合判断の結果が恐らくここに出たのであろうというふうに、今年のあれでは考えているわけです。従つてそういうよう一般的な事態が変つて参りますときにおきましては、当然聴取料というものももう一度考え直して、そうしてもう少し積極的な本来の使命が達成できるような財政状態というものを作ることのほうが正しいのではないかと思つているわけであります。
  21. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これはいずれ協会当局にもお尋ねしたいと思うのですが、郵政大臣がいらつしやる間に、只今ように積極的にもう少し協会の仕事を伸して行きたいという面もありますが、又一方から相当協会の機構が厖大過ぎるというか、本当に能率的になつていないというような点はお考えにならないかどうか。先日参考人をお呼びしましたときに、実際に民間放送経営しておられる徳川文化放送会長から、例えば技術関係のことを例にとつてラジオ東京は技術関係者が百十四人だ、文化放送は今まで十キロでしたが六十二人で賄つている、五十キロにしても数人殖えるに過ぎない、これに対してNHKは東京だけで三百四十九名いる、これは無論第一、第二がございますが、二つあれば倍にならなくても融通がつくはずなのでありますが、ラジオ東京と文化放送、五十キロの二つ合せた数よりも第一、第二の東京の技術者が五割以上も多い。これは一例を上げられたのでありますが、業務関係等につきましても、相当私はNHK大臣は行政管理をおやりになつて、いろいろ御苦心になつておられますが、長い間の丁度官僚の自然に殖えて行く本能と同じように、やはりまだ悪い面だけの官僚的なところが残つて相当そういう点に合理化の努力をすべき余地があるのじやないだろうか、こういうことは、これは参考人が実際自分の職場からも言われたのでありますが、一般からも、特に私どもの党内からも非常に強い声があるのでありますが、これに対して大臣は監督官庁としてどうお考えになつておるか。
  22. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは今の民間放送の人間の使い方、それからしてNHKの人間の使い方、そういうものを比較して今お述べになつた、又先般参考人が述べたような、割合に余計な人間が使われておるかどうかというようなことは、私も余り専門の事柄でないのでよく承知はいたしませんのでありますが、併し一般的にこういう企業形態というものにはまだ能率の面において、必ずしも人員に限らず能率全般の面において検討すべき面が多々あると私も思うわけであります。これは何もNHKに限らず官庁機構然り、公社機構然り、こういう工合な機構のあり方というもの、而もそれが非常に大きな組織になりますと、どうしてもあちらこちらに無駄というものがあると私も考えるわけでありまして、従つて今度の予算審議をいたします場合にも、意見をきめます場合にも十分そういう点は検討し、又協会側もそういう考え方に副うて現実性のある範囲においては御協力願つておると思うわけでありまして、ただこの点は今後もやはり同じよう考え方で絶えず合理化という面に御努力願いたいということのまあ考え方をいたしながら、予算というものは止むを得ない程度のものであるという判断をしたわけで、従つて只今委員長が御指摘になつた通り、全体的なもののあり方としては、大いに今後とも合理化を希望したいという感じでおるわけであります。
  23. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 行政管理の神様としては非常に抽象的な御答弁しか頂けなかつたのでありますが、低物価政策に反してまでこうして値上げをしなければならない、今久保委員から御質疑になつたような積極的な公共放送の面目を発揮するためにも費用が足りないというようなときに、私は長い間の沿革から、そういうだけに私はいろいろな無駄も多いと思うのでありますが、こういう時局に反して値上げをしなければならないというようなときにこそ、私は相当監督官庁としては積極的に合理化をする、もつと公共放送の面目を発揮する方面に重点を置いて行くように御指導になるべきだと思うのでありまして、その点が只今の御答弁では、将来やろうというような抽象的な御答弁であつて、この予算をいろいろ御苦心をなさる際に、そういう面に対して政府として積極的な検討をなさらなかつた、或いはそれに対する熱意が、将来はやるけれども、余りなさらなかつたような印象を受けているのでありますけれども、この点が私は一般にこの予算に対していろいろな批判のある一つの最も大きな原因だと思うのでありまして、もう少しその点は政府としても……、特に行政管理の神様でありますからして一つ……。
  24. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) どうも神様というようなことで棚上げになつては困るのでありますけれども、実は私はそういう考え方をいたします場合に、むしろ放送協会や公社や、そういうもののあり方よりも、行政官庁自身のあり方を、いつもこんなことでいいのかということを考えておるわけでありまして、行政管理庁は当然行政官庁についてそういう判断をすべきところであり、郵政大臣が郵政省に対する立場や、それから電通公社に対する立場とは又格段の違いがあつて然るべきなんでありますが、その行政官庁の合理化自体が御存じのような状態で、なかなかこれは無駄があると思つても順を追つてつて行かざるを得ない状態で、あの程度の整理に終つておるわけでありまして、あの考え方からいたしますれば、やはりこのNHKの今年の予算におきましても、やはり相当程度御努力はして頂いておる、同じ程度の歩調で努力はして頂いておるということは、増員の要請を抑えておられること、又若干の減員を見ておられるということで認められるという考え方で止むを得ない。併し今後国も勿論努力を続けてやる、協会側も御努力願いたいという感じであります。
  25. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 神様に大変失望いたしましたので、それでは協会長のほうにお尋ねいたしますが、業務量も殖えて行くと、それに対して増員を抑えていると、こういう月並の無論御答弁はあると思うのですが、併し私ども総務会などでも、民間企業をやつて来た経験者の或る総務なんか、自分に任せたらこの費用の半分でやると、極端なことも言われておるのでありますが、業務量が殖えたから殖やすそれを若干抑えるということでなしに、長い間のこれは私は当然の馴らされてしまつておる一つのマンネリズムがあると思うのでありまして、そういうことを一つ思い切つて公共企業体として高能率高賃金でいいですから、もう少し重点的に能率よくやつて行く、いろいろ業務関係等も聴取者を維持し、料金を徴収する上において相当の手もかかると思いますけれども、まだまだ私は民間に比べると、特に業務関係などは非常に私は人を瞥沢に使つておられる。政府のほうから締めて頂こうと思つたんですが、どうも神様にも余り期待できないので、一つ協会としてもこれはただ抑えているんだ、努力しているんだということでなしに、何か一つ内部の例えば経営委員会に、こういう合理化するための特別の小委員会でも作るとか、或いは一般からもう少しその他の代表も入れて、一つこれは本当にNHKというものが無駄のないもので、而もその使命に向つてもつと積極的にこの予算で行けるように何か御研究をなさる、御努力をなさる御意思がないかどうかですね。これは私は政府にばかり要求するのは実は無理なんであつて、こういう形の企業体というものが私は他の公社その他にも範を示す意味においても、NHKとして積極的に一つ何かお考えになつておるかどうか、非常に国民の私は要望だと思うのであります。一つその御決意伺つておきたい。
  26. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 只今委員長のおつしやいました御意見には私は全面的に賛成でございます。すでに今までもそういうよう考えで鋭意経営の合理化ということを考えて、この二十九年度の予算におきましてもその点に非常な考慮を払いながら編成いたしたわけでございます。なお冗員があるんじやないかと、端的な御質問でございますが、そういう点についてすでに先般来私はNHKの中に経営合理化委員会というものを作りまして、そうしてこれはもう一年以上前から定期的に、又頻繁に会合して、一つ一つ機構の面、それからいろいろの事務遂行の面等についてもやつております。これは番組技術、業務管理、すべてに亘つて機構の簡素化、又運営の合理化ということで、それも実現いたして、そういうものの起案に基いて今年度も事業は明らかに殖えておるにもかかわらず、職員は据置くというようなことも断行したわけでございます。  なお、先ほど来御指摘がございました民間放送のほうからのいろいろの御意見もございますが、私どもの調査によりますと、決して民間の放送事業者に対して技術の面とか、番組の面で殖えておると、瞥沢であるというような面はないわけでありまして、むしろ貧弱なことが現われておりますし、又民間の経営の幹部ともしよつちゆう会合をいたしてそういう点についても検討しておりますが、むしろ私が直接聞きましたところは、向うのほうで或る会社、或いは或る部署においては止むを得ず協会ようにきれいに合理化できない、いろいろの事情のために冗員を抱えておるというような実情なども聞かされております。  又もう一つ申上げたいことは、NHKの企業の合理化ということ、一面においてこれは国民に対して鋭意やらなければならないし、又私どもその熱意を以ていたしておりますが、他面においては、いわゆる普通の経営ということから見ると不合理ということをあえてすることがNHK責任であるという場合もございます。例えば置局の場合に、そこの全人口が聴取者になつても、そこにかける費用よりも遥かに少いという所がたくさんあります。北海道のいろいろな地域に大電力の置局をしたりなどすることは、やはりこれは国家全体から見ての置局であり、そういうことは当然しなければならない。若しそういつたようなペイしないよう放送局はこれを廃止するということであれば、その面で合理化はできますけれども、私どもはむしろその不合理化がNHKに課せられた使命であるかと考えておりますし、その他番組編成につきましても、ただ通俗的なことでなくて、国民教養を高める、或いは教育のためにこういう番組を組むことが必要であるという場合には、そこにペイするというようなことを度外視いたしましていたしたい。  それからサ—ビスの面等におきましても、こんなふうに商業放送ができて参りまして、いろいろ聴取状態も混乱或いは支障が起つております場合に、NHKこそ今この聴取状況を改善するために努力しなければならない。商業放送が新しくできたために起る聴取の困難でありましようとも、我々のほうで鋭意サ—ビスをして聴取状況をよくすると、こういうふうな面、その他例えばニュ—スの報道の面におきましても、NHK予算から睨合す場合に、これは控えざるを得ないというようなことが仮にございましても、やはりそれが先ほどの御指摘の積極性という面からいたさなければならないということは、これを合理性というようなことに余りにかかわらないでやつて行く、その他そういうような面からの費用は私どもは決して冗費とは考えないで、それはむしろ国民に奉仕する意味でいたさなければならん。そういうような観点は民間の経営とは違いますから、民間の経営者が同じようなことをより少い費用でやれる、より少い人員でやれるとおつしやられることも一応は御尤もであると思いますけれども、私どもの背負つております責任立場からはあえてそういうような積極性、研究の面もそうでございます。国際放送の場合も国の命令でいたしておりますが、やはりこれは国民立場考えNHKもその費用の一部分を出しても国際放送の立派な施行をいたすべきだというような点などもございます。これは一例でございますが、かよう考え只今委員長の御指摘の冗員のないように、又浪費のないように鋭意努力いたすということ、それから又機構や運営等においても一層合理化を図つて、そうして国民の期待に対して副うように今後いたしますということ。又合理化委員会を一層活溌に一層有効に働かせまして、只今指摘の御趣旨を実現いたすということは、私も誠に御尤もでございまして、全面的に共鳴いたしまして、これを進めたいと存じます。
  27. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) とにかく井戸の中で仕事をしておりますと、それだけになりやすいので、できるだけ視野を広くせられて、只今経営合理化委員会の話伺いましたが、これもできれば民放の経験者だとか新聞の経験者だとか、或いは聴取者の代表を入れてもいいと思うのですが、広く私は衆知を集めるように民放その他の経営をしておる実情等も参考にし、更に英米その他の諸外国の放送をどういう人員でどういうようにやられているか、そういう点も絶えず私は外に目をつけて、内輪だけでなしに広い視野から何とかして私はむしろ政府や公社に範を示すくらいに、特にこの人員の点において積極的に努力せられるよう希望しておきたいと思います。
  28. 久保等

    久保等君 この手許へ頂きました資料の中で、郵政省の作られた放送協会放送局の放送区域のまあ重複状況のプリントを頂戴したのですが、昨日もちよつとこれも引例されて質問なされておつたようですがね、まあ重なつておる局の局名が上つておるのですが、ここの中でですね、例えばまあ京都だとか徳島、高松、岡山といつたようなところの第一放送なり第二放送が、大電力と中電力とダブつている、その度合が特に一〇〇%というような形を出されておるのですが、併し私はこの重なる度合が一〇〇%としてあるということは、イコ—ルそれぞれのロ—カル局内における難聴地域がないということとは又別と思うのです。そういう点から別の放送協会のほうから出されました資料を拝見いたしますと、勿論この徳島だとか或いは高松というような方面にも難聴区域があるわけです。特にその改善計画としては豆局を作つて解決するというようなことも計画の中には載つておるようでありますが、私はその豆局を作つての解決方法一つ方法かと思うのですが、増力等によつてそういつた問題の解決を図るということも具体的に考えられておるのではないかと思うのですが、その間の経緯をちよつと御説明願いたいと思うのですが、放送協会のかたから。
  29. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 今久保さんから御指摘の通りでございまして、豆局を作るだけでなくて、やはり増力もやつてそれらの救済をするという、御指摘の通りの考え方で計画しておるわけでございます。
  30. 久保等

    久保等君 それでこのまあ例えば高松の場合における問題にいたしましてもですね、西のほうの問題について二つばかり豆局を作るという計画がこのガリ版のプリントに載つておるようでございますが、増力問題が今日まあ問題になつておるのじやないかと思うのですが、その関連性がどんなふうになつておるのか。それから現在の状況について一つ具体的に御説明願いたいと思う。
  31. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 只今の香川県の丸亀、豊浜地方でございますが、これは昨日資料として御覧頂きました縦書のほうで申上げますと、これは難聴地区という面とは別でございまして、地域放送という線から来ている分でございます。
  32. 久保等

    久保等君 更に私、只今質問しました点は、特に増力の問題についての具体的な只今のお考え方と、それからお考え方なり現在の状況についてちよつと御説明を願いたいと思うのですが……。
  33. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 当初本年度考えました際には、いわゆる何と申しますか、新らしい豆局を作らずに、既設の局のその建物その他をできるだけ利用するという方面で解決できる分野も相当御承知の通りございますので、当初は高知を十キロにして、御承知の四国の方面に難聴地区が多いものですから、高知を十キロにする、それからやはり四国の中村が、只今百ワツトなんでありますが、それを五百ワツトにするというような計画で、あの地方の難聴地区を解消するという考え方であつたわけでございます。
  34. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは私からもう一つお尋ねいたしますが、昨年当然聴取料の増額を要求すべきなのをしなかつたと、それが非常こ今日の窮境に至らしめた原因であると、普通の民間会社ならば重役が責任をとらなければならないような怠慢というか、遅延であつたということが昨日から出ているのですが、さようなことになつた原因の一つとして、テレビジヨンを何とかして早く実現したいために非常に遠慮せられたというような臆測も実際外からある。そのテレビジヨン公共放送としてやるべき時期であるか、或いは日本の国情から見て早過ぎたか、いろいろ議論がありましようが、発足した以上は無論努力しなければならないということは我々も同感でございますが、このテレビジヨン計画が非常にNHKの経理に重荷になつていやしないか、それがラジオの聴取者のほうに転嫁されてやしないかということが、値上げに対する反対の議論の大きな一つの要素になつているのですが、その点を我々国会で明らかにしておきたいと思うのでお尋ねするのですが、ここにテレビジヨンの五ヵ年計画の収支見込表を頂きましたが、まあ大体三十二年度になるとペイするように計画しておられる。昨年の予算審議するときには、古垣会長は三十一年で大体ペイするようになつているというようなお話だつたのですが、そのときは二百円の聴視料である。それがラジオよりも遥かに率の高い五割、三百円に値上げして、而も三十二年にならなければペイしないと、それまで非常な借入金その他で重荷になつている。或いは一般の臆測のごとくに、どこかでラジオのほうにおんぶして行つてるのじやないかというようなことが言われるのでありますが、その点もう少し明らかにして、一つこの審議をいたしたいと思うのであります。  昨日、一昨日か、私テレビジヨン聴視者の契約者の見込数についても、二十八年度に予想せられたのが二十九年度の受像契約者と食い違つて来ている、本年は廃止者を差引きましても、五万二千の増加を見積つておられるのですが、そういうことにも果してこの不景気の中に十分の見通しをつけておられるかどうか。さようなことも含めまして、この五年計画というもの、昨年お考えになつてつたのと、今度の予算につけてこうしてお出しになつた見込表というものについてですね、どれくらいの確信を持ち、どれくらいの確実な見通しを持つておられるか、そういう点を一つお伺いしたい。
  35. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 只今指摘の通り、二十八年度の見込と現二十九年度の予算に掲げてありますところの見込と相当の相違はございます。一つには誠に我々としても、このテレビジヨン事業というものが御承知の通り最初事業でございまして、それらについての見通しというものについてやや的確性を欠いたということを言えるかとも存じます。ただ私どもいろいろの考えからこれを見ますと、この原因といたしまして考えられますのは、テレビジヨンの電波を出しますところの放送施設の開始が遅れたのでございます。それが一つ。それから生産態勢が立ち遅れであつたということ、販売のサ—ビス機関の不備であつたこと、受像機の高価であつたというようなこと、これらはやはり遅延の相当の大きな、遅延と申しますか、増加を見なかつた相当大きなことではないかというふうに考えているのでございます。  それでは今年になつてどういうふうかと言いますと、これはこの一月頃におきましては、大体月千六百ほどの増加を見ているわけでございます。その原因といたしましては、生産態勢が御承知の通り整つて来た、例えば特許権の問題も片付きまして、それから設備資金というのが或る程度流れている。御承知の通り、七月からテレビジヨン受像機の生産は月産二千台になつていると存じます。それから国産品の出廻りによりまして価格が低下いたしまして、なお支出の面からいいますと、東京の増力を秋に完成し、東名阪間のマイクロ・ウエ—ヴが実用に使えるというようなことではないかと考える次第でございます。それで来年度についてどういうふうな見通しかと言いますと、これにつきましては、国民の所得というようなものも考慮に入れなければならないと存じます。又的確にはわかりませんが、外国の伸び方の例というものも考慮に入れる必要がないか、なお最も手近な問題としては受像機の生産台数がどうあるかという点でございます。それでその点につきましては、私どもは一応概略的な計数で申上げますと、従来の生産台数と二十九年度の生産見込台数と従来の輸入台数というようなものを見ますと、九万五、六千台が二十九年末に受像機としてあるかと存じます。そういたしますと、それらの面から見ても来年度の計画というものは最近の増加の傾向、それらと睨み合して妥当ではなかろうかと、かよう考えている次第でございます。  それから五ヵ年計画についてお話がございましたが、御指摘の通り六ヵ年目に黒字になつて来るというわけでございまして、私ども最初の計画は五ヵ年でございましたが、これについても先ほど申上げましたように、私のほうとしても最初の仕事でございましたので、これらについてやや狂いが来たということもございます。又このたび御審議を願つておりますこのラジオ予算と同様な要因がテレビジヨンにも押し寄せて来ているということもございます。それから先ほど御指摘聴視者の伸びというものを今までの経過などに徴しまして、今後五ヵ年間にどういうふうに伸びるかということになりますと、前よりもやや低目に見なければならんというふうな関係で、この六ヵ年でペイをするという計画を只今つておるわけでございます。尤もこの五ヵ年計画の置局につきましては、或いは技術研究の結果かくのごとき置局をいたしませんでも、テレビジヨンの電波をもつと別の具体的な方法でもなし得るのじやないかというので研究をそのほうは進めておるわけでございまして、そういうことになりますと、又こつてそういつた問題の解決を図るということも具体的に考えられておるのではないかと思うのですが、その間の経緯をちよつと御説明願いたいと思うのですが、放送協会のかたから。
  36. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 今久保さんから御指摘の通りでございまして、豆局を作るだけでなくて、やはり増力もやつてそれらの救済をするという、御指摘の通りの考え方で計画しておるわけでございます。
  37. 久保等

    久保等君 それでこのまあ例えば高松の場合における問題にいたしましてもですね、西のほうの問題について二つばかり豆局を作るという計画がこのガリ版のプリントに載つておるようでございますが、増力問題が今日まあ問題になつておるのじやないかと思うのですが、その関連性がどんなふうになつておるのか。それから現在の状況について一つ具体的に御説明願いたいと思う。
  38. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 只今の香川県の丸亀、豊浜地方でございますが、これは昨日資料として御覧頂きました縦書のほうで申上げますと、これは難聴地区という面とは別でございまして、地域放送という線から来ている分でございます。
  39. 久保等

    久保等君 更に私、只今質問しました点は、特に増力の問題についての具体的な只今のお考え方と、それからお考え方なり現在の状況についてちよつと御説明を願いたいと思うのですが……。
  40. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 当初本年度考えました際には、いわゆる何と申しますか、新らしい豆局を作らずに、既設の局のその建物その他をできるだけ利用するという方面で解決できる分野も相当御承知の通りございますので、当初は高知を十キロにして、御承知の四国の方面に難聴地区が多いものですから、高知を十キロにする、それからやはり四国の中村が、只今百ワツトなんでありますが、それを五百ワツトにするというような計画で、あの地方の難聴地区を解消するという考え方であつたわけでございます。
  41. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは私からもう一つお尋ねいたしますが、昨年当然聴取料の増額を要求すべきなのをしなかつたと、それが非常こ今日の窮境に至らしめた原因であると、普通の民間会社ならば重役が責任をとらなければならないような怠慢というか、遅延であつたということが昨日から出ているのですが、さようなことになつた原因の一つとして、テレビジヨンを何とかして早く実現したいために非常に遠慮せられたというような臆測も実際外からある。そのテレビジヨン公共放送としてやるべき時期であるか、或いは日本の国情から見て早過ぎたか、いろいろ議論がありましようが、発足した以上は無論努力しなければならないということは我々も同感でございますが、このテレビジヨン計画が非常にNHKの経理に重荷になつていやしないか、それがラジオの聴取者のほうに転嫁されてやしないかということが、値上げに対する反対の議論の大きな一つの要素になつているのですが、その点を我々国会で明らかにしておきたいと思うのでお尋ねするのですが、ここにテレビジヨンの五ヵ年計画の収支見込表を頂きましたが、まあ大体三十二年度になるとペイするように計画しておられる。昨年の予算審議するときには、古垣会長は三十一年で大体ペイするようになつているというようなお話だつたのですが、そのときは二百円の聴視料である。それがラジオよりも遥かに率の高い五割、三百円に値上げして、而も三十二年にならなければペイしないと、それまで非常な借入金その他で重荷になつている。或いは一般の臆測のごとくに、どこかでラジオのほうにおんぶして行つてるのじやないかというようなことが言われるのでありますが、その点もう少し明らかにして、一つこの審議をいたしたいと思うのであります。  昨日、一昨日か、私テレビジヨン聴視者の契約者の見込数についても、二十八年度に予想せられたのが二十九年度の受像契約者と食い違つて来ている、本年は廃止者を差引きましても、五万二千の増加を見積つておられるのですが、そういうことにも果してこの不景気の中に十分の見通しをつけておられるかどうか。さようなことも含めまして、この五年計画というもの、昨年お考えになつてつたのと、今度の予算につけてこうしてお出しになつた見込表というものについてですね、どれくらいの確信を持ち、どれくらいの確実な見通しを持つておられるか、そういう点を一つお伺いしたい。
  42. 岡部重信

    参考人(岡部重信君) 只今指摘の通り、二十八年度の見込と現二十九年度の予算に掲げてありますところの見込と相当の相違はございます。一つには誠に我々としても、このテレビジヨン事業というものが御承知の通り最初事業でございまして、それらについての見通しというものについてやや的確性を欠いたということを言えるかとも存じます。ただ私どもいろいろの考えからこれを見ますと、この原因といたしまして考えられますのは、テレビジヨンの電波を出しますところの放送施設の開始が遅れたのでございます。それが一つ。それから生産態勢が立ち遅れであつたということ、販売のサ—ビス機関の不備であつたこと、受像機の高価であつたというようなこと、これらはやはり遅延の相当の大きな、遅延と申しますか、増加を見なかつた相当大きなことではないかというふうに考えているのでございます。  それでは今年になつてどういうふうかと言いますと、これはこの一月頃におきましては、大体月千六百ほどの増加を見ているわけでございます。その原因といたしましては、生産態勢が御承知の通り整つて来た、例えば特許権の問題も片付きまして、それから設備資金というのが或る程度流れている。御承知の通り、七月からテレビジヨン受像機の生産は月産二千台になつていると存じます。それから国産品の出廻りによりまして価格が低下いたしまして、なお支出の面からいいますと、東京の増力を秋に完成し、東名阪間のマイクロ・ウエ—ヴが実用に使えるというようなことではないかと考える次第でございます。それで来年度についてどういうふうな見通しかと言いますと、これにつきましては、国民の所得というようなものも考慮に入れなければならないと存じます。又的確にはわかりませんが、外国の伸び方の例というものも考慮に入れる必要がないか、なお最も手近な問題としては受像機の生産台数がどうあるかという点でございます。それでその点につきましては、私どもは一応概略的な計数で申上げますと、従来の生産台数と二十九年度の生産見込台数と従来の輸入台数というようなものを見ますと、九万五、六千台が二十九年末に受像機としてあるかと存じます。そういたしますと、それらの面から見ても来年度の計画というものは最近の増加の傾向、それらと睨み合して妥当ではなかろうかと、かよう考えている次第でございます。  それから五ヵ年計画についてお話がございましたが、御指摘の通り六ヵ年目に黒字になつて来るというわけでございまして、私ども最初の計画は五ヵ年でございましたが、これについても先ほど申上げましたように、私のほうとしても最初の仕事でございましたので、これらについてやや狂いが来たということもございます。又このたび御審議を願つておりますこのラジオ予算と同様な要因がテレビジヨンにも押し寄せて来ているということもございます。それから先ほど御指摘聴視者の伸びというものを今までの経過などに徴しまして、今後五ヵ年間にどういうふうに伸びるかということになりますと、前よりもやや低目に見なければならんというふうな関係で、この六ヵ年でペイをするという計画を只今つておるわけでございます。尤もこの五ヵ年計画の置局につきましては、或いは技術研究の結果かくのごとき置局をいたしませんでも、テレビジヨンの電波をもつと別の具体的な方法でもなし得るのじやないかというので研究をそのほうは進めておるわけでございまして、そういうことになりますと、又このほうに犠牲をかけないで達成されるためには、こうして説明される数字を印刷して来られることはできますけれども、実際上の問題として非常に私はむずかしい問題だとこれは毎年々々その困難は加わつて来ると思いますので、私どもが今年このテレビの計画表を拝見して、漫然としてこの予算を通したのでは、私自身も非常に責任感じますので申上げておるのでありまして、昨年の古垣会長の御計画もこの一ヵ年で狂つて来ておるのですが、私どもがこの予算審議しておいて、来年非常な狂いが又来ますとしますと、私ども委員として非常に良心の呵責を感ずるのでありまして、そういう内容については、強いてとは申上げませけんれども、テレビのほうが非常にこれは致命的な大きな問題で、これを乗切つて行かれるのには非常な私は御決意が要る。私どもは去年と今年と食い違つたことを、又明年も食い違わないように、その点を私は下駄を預けると言うか、協会としては必死の覚悟で責任を持つてつて頂きたい。私どもは何とかして協会の発展をするように、いろいろな要望をこめて何とかこの予算を通したいと努力しておるのでありますが、テレビの問題につきましては、私ども国民に対して、国民の負託に対して顔向けにならんようなことになりませんように、よほど私は悲壮な決意を以て御努力願いたいと思うのでありまして、その点について会長の御意見を伺えましたら。
  43. 古垣鉄郎

    参考人(古垣鉄郎君) 非常に詳細に亘りまして、いろいろ委員長から貴重な御意見、御注意等を承わりまして、私は会長として全くその通りに考えております。先ほど岡部理事より申上げました通り、全く新らしい事業でございまして、いろいろ行き違いも起つておりまして、委員長初め委員会にも御迷惑をかけておることは誠に遺憾に存じます。只今もおつしやいましたように、私どもはもともとこれはむつかしい難事業だと覚悟しておりますので、一層今後御指摘の悲壮な覚悟を以てやりたいと思つております。どうも有難うございました。
  44. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 暫く休憩いたしまして、午後一時より再開いたします。    午後零時三十七分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  45. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前に引続き、委員会を再開いたします。  放送番組編集の自由ということは、放送法第三条に儼として規定された最も重要な事項でありますが、最近NHK番組について、何かこの自由が脅かされる懸念があるやの風評があつたようでありますので、当委員会としてはその真否を確めたく、ここにNHKの春日ラジオ局長及びNHKユ—モア劇場の担当者であられる三木鶏郎両君を参考人として御出席つた次第であります。御両君には御多忙の中を、特に三木さんは御旅行からお帰りになつた早々お疲れのところを参考人として御出席を頂きまして、誠に有難うございました。  本月十四日のユ—モア劇場が冗談音楽、冗談カクテル、いつも入つておりますのをやめて、ヒツトメロデイ集にせられたと、こういう事実があるようでございまして、時たまたまNHK予算国会審議しておる折柄でありましたので、何かこの変更について外部から干渉があつたのではないかというようなことが新聞に出たのでありますが、さような事実があつたかどうか、先ず春日局長から伺いたいと思います。
  46. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。別に外部からの干渉というものは全くございませんでした。
  47. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) いつもと違つたことになりました何か理由がございましようか。
  48. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。三月二十二日が放送記念日でございますから、恒例によりまして記念番組を毎年組んでおるわけでございますが、初めのプログラム企画では、その日に、三月二十一日の日曜日の夜にヒツトメロデイ集をやろうというのが原案で、まあ演芸課あたりで考えていたようでございます。たまたま三月の九日の毎週定例にいたしておりますラジオ局の番組委員会の席上で、特集番組はもう一つの案であるところのNHKの朝から晩までのプログラムを、プロモ—シヨンのためも兼ねまして、もじつたNHKダイジエスト版というものをやつたらどうかということが会議で出たわけでありまして、従いまして、初めの予定でありましたヒツトメロデイ集を十四日に繰上げろということを私から演芸部長に命じましたわけでございます。それが差替えました理由でございます。
  49. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) こういう事態が起りましたことが原因かどうか、新聞には担当者であります三木さんが失踪せられたというようなことを伝えておるのでありますが、その実情について三木参考人から……。
  50. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 放送は十四日でしたが、十三日に録音をとつたわけであります。その変更を命ぜられましたのは木曜日の晩でありまして、カランポロン劇場というのがありますが、これは子供の番組でありますが、それが終つたときに変更して欲しいという命令ですね、ありましたので、実は来たなと思つたのです。なぜ思つたかというと、まあいわば僕だけの恐怖観念かも知れないのですが、とにかく命令は実行して、そうして実ははつきり言うと、くさつて夜逃げしてしまつた。なぜそんな恐怖観念が起きたかということなんですが、これは遠くは日曜娯楽版時代があります。これがユ—モア劇場に変更を命ぜられたことがあるのであります。昭和二十七年の六月であります。そのときはつまりかなりひどくやられました。実は当分の間手も足も出なかつたということがあつたのと、もう一つは、塚田さんが大阪でしやべつた記事が一週間ばかり前に新聞に載りましたね。そのときにほうほうから知人とかが非常に心配して電話をかけて、とにかく政府をからかつているよう放送は取止めにして、全部とは言いませんけれども、国策のほうに何か動くよう感じを与えられましたので、これは何かあるんじやないかなという恐怖観念があつたことは事実であります。そこでまあそういうことになるわけでありますけれども、新聞に話しましたのは、NHKは私の生みの親であり、育ての親であります。なかなか最近苦労が激しいらしい、併しいやなものはいやだ、いやな縁談へ行けと言えば娘は夜逃げするだろうというようなことを書きましたが、大体こんな意味だろうと思います。
  51. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 二十七年の六月に非常にひどくやられた、そのために今度恐怖観念というか、来たなとお感じになつた、その二十七年六月の事情を参考に少し伺えませんでしようか。
  52. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) これは僕の知つている範囲では、とにかく会長の、新聞に載つていたままでありますけれども、政治調刺よりむしろ春風駘蕩たるユ—モアにしたいということで、発展的解消であつたということになつております。事実そうかも知れないんです。そうなりますと芸術の内容の問題になりまして、僕も何とも言えないんですが、そのときこれも自分で証拠を出すわけに行きませんけれども、議事録ですか、やはり委員会ようなものがあつた、或いは当時の……。
  53. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それは番組委員会の議事録ですか。
  54. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) それは私もはつきり覚えていないのです。何かやはりこれは全く僕の仄聞したところですから、そのつもりでお聞き願いたいのです。あのときテレビの認可でしたか何かありまして、やはりNHKも大分苦しんだらしいのですが、そのときにお前のほうはあんなけしからん放送をやつているじやないか、どうもすみませんというような録音を聞いたというような人の話、或いは実際僕個人にはわからないんです、雲の上のほうですから。だけれどもそういうことから想像して、事実放送内容は娯楽版時代と違つて思うことが言えなくなつたんです。これは放送局内にも例の考査課というものがあつて、いろいろと我々が変なことをうつかり言いやしないかということで面倒を見てくれる方がたくさんあるわけなんです。そのためにこの劇場になりましてから暫くの間、何ヵ月でしたか、去年の四月頃までは全く辛い立場にあつたことがあります。その次あたりからやはり少しお忘れ下さつたと見えまして、だんだんいろいろなことが言えるようになりまして、今日に至つております。まあそれはもう古い話ですが、そういうことがあつたために、やはり今度もというような恐怖観念があつたことは否めないと思います。
  55. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 木曜の夜変更を命ぜられたとおつしやいましたが、誰からあなたに変更する命令が来たのでございましようか。
  56. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 勿論春日さんからだと思いますが、僕のところに来たのは主任のプロデユ—サ—の増沢さん、坂本課長でございましたが、それから片桐部長さんですかのお話でした。
  57. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) その変更を命ぜられたときには、別に理由はなしに、只今春日局長から御説明になつたような、記念日にすべきものを繰上げるからということであつたのでございますか。そういう理由がありましたか、何も理由なしにでしたか。或いは別の理由で御命令があつたのでしようか。
  58. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 特に理由は提示されませんでした。むしろふだん仲が良くて会つていたものですから、想像に任せるというようなことで、こつちが却つて多くとつたのかも知れないと思います。
  59. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) たまたま郵政大臣の談話、大臣はこの委員会で、あの新聞に出た談話は事実と大分相違しているという話でありましたが、とにかくそれが新聞に出たために、やられたという感じをお受けになつて、その後あちこちから電話がかかつて来たというお話がございましたが、その電話は、立入つて質問でありますが、相当あなたの番組の編集に対して干渉するような力を持つた筋からそういうような内容の電話があつたのでございましようか。さつき電話とおつしやいましたが、その内容を若し伺えましたら。
  60. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) それはそういう関係ではございません。まあ関心というか、こういう者ですから芸術上の友達やなんかがたくさんおります。そういう人からです。例えば中村メイ子の親交に当ります中村正常、古い作家ですが、非常に同じような傾向の作家なものですから、心配してかけて来た、これなどは一例であります。
  61. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) さよういたしますと、あなたのお立場を非常に同情してというか、心配をしてかけて来られたのであつて、あなたに番組の編集の良心の自由を抑圧するような、その内容に干渉するような意味の電話はなかつたと、かように解してよろしうございますか。
  62. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) よろしうございます。
  63. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今非常に世話になつた親が苦労しているが、親に頼まれても、いやな縁談はいやだと言つて家出した娘の気持だというふうに新聞にも出ておりますし、今もお話があつたのでありますが、そうしたら、心配するな、解決したから帰れというような電報で帰つて来られたというようなことが出ておりますが、何かそういう電報が来たから帰つて来たというような事実があるのでございましようか。
  64. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 今の娘さんの譬え話で、よく新聞に、話がついた、すぐ帰れというようなことが出ておりますが、あれは譬え話なんで、電報ではありません。
  65. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) さよういたしますと、電報ではないが、何かもう隠れていなくても大丈夫だからというような、あなたに安心をさせるような何か連絡があつたのでございましようか。
  66. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) いや、これは新聞にも話しましたけれども、結局こういうことが起るのは、起るということは僕が起したのかも知れませんが、こういうことが起つたことは、やはりNHKが少ししつかりしてくれなくちや困るじやないかと思うんですが、実際のところ。(笑声)少し理窟を考えたんです。考えてみますと、僕のところではどうしても大体上のほうはわからないんです。そうすればこつちがわかる理窟をつけますと、新聞に編集権というのがございます。これは非常に自主独立なもので、例えばいろいろな事情では左右されないというようなものがある。NHKにもやはり自主独立の編集権というものがあるんじやないか、そういうものがあるならしつかりして欲しいというのが第一。それからもう一つは、甚だ私はプライベ—トなんですが、冗談音楽はとかく継子扱いされる虞れがある、それを今後積極的に援助していいものにしてくれという意向をこちらの春日ラジオ局長にお送りして、ともかくこれで返事があつたら、出て来ようという気になつたら出ようという程度です。
  67. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今新聞と比較してのお話がございましたが、これも伝えられたあなたのお話の中に、さいふの紐を握つているということは大変な圧力になる、新聞は民衆の発言機関として出現したが、NHKは昔の逓信省から生れたけれども、どうもまだ政府のものだという空気がある、従つてどうも放送の自由ということもあるべきが当然だが、どうもあるとは思えないことが多かつたというようなお話でございますが、この話は事実でございましようか。
  68. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 先ほどお話しました範囲でです。もつと遡りますと、これはアメリカさんにやられたことがあります。これは最初に「歌の新聞」のとき、アメリカからの話で、半年ばかりになります。そのときにやられたというのはおかしいんですが、非常に懇切丁寧に断わられました。大変優秀な作者だが、非常に刺戟が強いから、暫く世の中がよくなるまで取りやめたらよかろうというような理由だつたんです。それが第一、それが変つた、これが第二というような形です。
  69. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そうすると、先ほどの新聞に出ました談話は、占領時代のことが主であつて、占領後の独立後はその点はあなたのおつしやつた先ほど新聞に談話として伝わつたような、あるべきが当然だが、どうも自由があるとは思えないというような事実がなくなつている、或いは占領時代と独立後は大分変つている、或いはそういうことは全然心配がなくなつているというような現在お考えでございましようか。
  70. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) やはり虞れがあると思いますね。でもこれは事実を挙げて説明しろと言われると困るんです。僕なんかは芸術家ですから印象派なんですから、はつきりそれを見せろと言われても困る。もう少し大事にして欲しいと思います。そのくらいの程度です。
  71. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 芸術家で具体的な例はお挙げにくいかも知れませんが、今度問題になりましたこの事実につきましては、やはり今印象としておつしやつたようなその一つの例というふうにお取りになつているんですか、如何でございますか。
  72. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) まあそう思つたから逃げたんですが、今言つたさいふの紐という問題ですが、これは詳しいことは僕はまだわかりませんけれどもNHKの聴取者の払う金そのまま、例えば民間放送のスポンサ—のように、直接ラジオに入つて来るんじやない、一応政府予算なりというようなことをして、こういう会におきましてやるということです。それを少しえげつない表現ですけれども、さいふの紐を持つているという表現をしたわけです。そう遠慮しなくてもいいだろうと思うのですが、NHKとしては。大体NHKのスポンサ—はむしろ聴取者ではないかと考えます、それだけです。
  73. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 春日参考人にお伺いいたしますが、あなたのほうでは全然今三木参考人のおつしやつたような意味ではなしに、三木参考人がそういう印象を受けられた、或いは非常に恐怖観念というか、受けられたというような意味では全然なしに、ただ番組委員会での話があつたのでそれをお伝えになつたというふうなことでございますが、その番組編集の自由を守るべき編集局長の意図と、その意図が作者、担当者に伝わつたその受け方とが大分違つて来ているようでございますが、この機会にお伺いしておきたいと思うのですが、新聞社で言えば編集局長と言いますか、放送番組の自由を守るべき第一線の局長のお立場だと思うのですが、局長協会長とは番組等についてはどういうふうな処置、連絡をしておられるか。協会長から番組の内容についていろいろ命令を受けるとか干渉を受けるとかということがあり得るものか、はた又実際あるのか。特にこの問題に対して何か協会長から、或いは協会長以外の放送局の幹部から、何かこの番組についてお話があつたのか、局長だけのお話でありますか。平常どういうふうに業務の運用をしていらつしやるかということと、この場合の実情をお伺いしたいと思います。
  74. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。プログラムの最高編集責任者は、私は日本放送協会の場合会長だと考えております。委任規定によりまして編集の日常業務を私が委任されているんだというふうな協会内の解釈で進んでいるわけでございます。従いまして、御存じと思いますが、プログラムを全面的に改訂する際、これは現在平均年二回やつておりますが、全面的に改訂する際とか、そういうふうな大きなプログラムの全面的な変更とか、或いは出演謝金を全面的に改訂するとかというふうな問題の場合には、理事会に一々お諮りするわけでございます。理事会決定に従つて日常業務を私は執行するわけでございます。で、日常仕事をしております際には、今の御質問の第一点でございますが、形式的には月一回、まあ二回になることもございますが、ラジオ・プログラム全般の責任者であるラジオ局長、それから特に二ユ—スだけを扱つておる報道局長、それから国際放送の国際局長、それからテレビジヨンのプログラムをやつておりますテレビジヨン局長、この四人と会長、副会長及び理事のかたがたと、情勢に応じたプログラムをどつちへ向けて行くか、或いはそういう際に、こういうふうな問題にもつと力を入れてみたらどうかというふうな御意見を承わる会合がございますのであります。そのほかに、日常しよつちゆう私自身の判断でこれは会長の御意見を聞いておいたほうがいいというふうな問題の場合には、逐次当然のことでございますが、会長の御意見を承わるようにして仕事をいたしております。併し日常のプログラムを枠の中で変えるとか、或いは出演者を誰にするかというふうな問題は、一切私のところの責任でとまりになつているわけでございます。  それから御質問の第二の、特にこの問題について会長及びほかの理事者のかたがたから何か言われたことがあるかという御質問については、この問題については全くそういうことはございませんで、少し敷衍さして頂きますが、先ほど三木参考人から申しました二十七年の六月に日曜娯楽版がユ—モア劇場になつたというときには、プログラムを全面的に変える際には大概二、三ヵ月の準備期間が要るわけでございますが、その二、三ヵ月前に会長からいよいよ占領が解けて独立になるんだから、独立国の日本にふさわしい諷刺よりもユ—モア、本当の意味のユ—モアをただよわしたプログラムにしてはどうかというふうなお話がございまして、その意を体しまして、二十七年の六月の夏番組の改訂の際から日曜娯楽版をユ—モア劇場に振替えたわけでございます。そして当初はその三十分の前半をいろんなユ—モア作家にコントを書いてもらつてやる。後半は三木君の冗談音楽に持つて行くというふうなやり方をいたしておりましたのですが、どうも前と後との繋がりもしつくり行かないしというので、たしか昨年四月の時刻改訂でございましたか、その際に文芸部の責任者及び三木君と相談をいたしまして、三十分のプログラムが全体を通じて一つの流れで行くように三木君にできるだけ骨を折つてもらおうというふうな変更をしているわけでございます。でございますから、第二の問題につきましては、今回のプログラムを差換えます際には誰からの干渉もございません。
  75. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今協会長及び局長理事との関係を明確に伺いましたが、そのかたがたと番組委員会とはどういうふうの関係、どういうふうの連絡をとつておられますか。どれくらいの影響力があるのか。それから経営委員会放送法では、業務の運営を指導統制する権限と責任を持つとありますが、経営委員会もそういうふうな番組の問題に対して、特に年二回の改訂等の重要の問題については何らかの関与をなさつているのかどうか。この二つのものと、今お話になつたあなたがた実際運行なさるかたがたとの関係を伺いたい。
  76. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。私が先ほど申上げました、厳密に申しますとラジオ放送番組委員会と申しますのは、私が委員長でございまして、ラジオ局の各プログラムの担当部長或いは直属課長というのが集りまして、現在では毎週火曜日の十時から十二時まで毎週いたしておりますので、実際上の編集会議でございます。その際に、先ほど私が申上げました協会長から指示された事項の重要なものは番組委員会に、協会方針はこうだから、それを具体化するのにどうしたらいいかというような議題の出し方で審議をしておるわけでございます。更に番組委員会の際に、これは大きな問題だと思われるようなものは、会議の終りましたあとで報告をするわけでございます。  それから経営委員会につきましては、先ほど申上げました理事会事項でございます。プログラムの全面的改訂とか、そういうふうな大きな理事会にかかりましたものは一つ方針でございますから、経営委員会にもお諮りするわけでございます。
  77. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そういうよう連絡をとつて実際の企画なり、演出をするかたにあなたがお指図をなすつておる。ところが今三木さんのお話では、あなたのほうでは全然そんなことがないのに非常な恐怖観念と言うか、番組編集の自由を脅かされるような影響を芸術家としてお受けになつたということは、御方針がどうも上から下までと言うか、企画とか現場とがどうも一貫していない。殊に占領下から独立したのだから、一つもう少し明るくしようという協会長の御方針で日曜娯楽版からユ—モア劇場に変えられたのは、これは非常にもつと自由にしようという独立の御精神だつたと思うのですが、それが芸術家のほうには逆に暫らくは非常に重い、うつとうしいやりにくい感じを受けたというような今御発言もあつたのですが、どうも協会の御方針が、実際新聞で申しますると、社会の木鐸としてペンを持つて非常な誇りを持つてつておられる第一線のかたがたとどうも食い違つておるというような印象を受けるのですが、その点は如何でございましようか。
  78. 春日由三

    参考人(春日由三君) そういうふうな御印象をお受けになるといたしますれば、全く私の仕事の仕方のまずさと申しますか、そういうことの御批判だろうと思うのでございますが、私どもといたしましては、上から下まで一本の方針を貫くようにできるだけの努力をするわけでございます。又しておると思つております。ただ三木さんの場合などは、さつき三木さんのお話にもありましたが私もプログラムの考査課というものを置いておりまして、これは広告放送になるかならないか、又このプログラムはNHKの編集方針から見て少し行き過ぎではないかというようなことを事前放送法及びラジオコ—ドに照しまして、自律と申しますか、こういうような機関を持つておるわけでございます。そこで何回もやはり三木参考人の原稿のこの場所は削つてくれないかというような相談をするケ—スも殆んど毎回のようにあるのてはないか、又あるわけでございます。そういうことで編集権というものは私が代行しておりますのですが、三木さんの場合には、芸術家として余りにそれが不当であるという場合には勿論お断りになる権利もございますわけでありますが、放送に出すまでの最後の責任というのはNHK側にあるのでありますから、作家のかたがたの受けられる印象……この原稿を削つてくれ、この個所を削つてくれという私どものほうの係の言い分と、書かれた作家のかたがたの受けられた印象の違いというものは免れないのじやないかと思います。そういうような点から若干のつまり誤解というものが起つて来るということは、ほかの番組でもあり得るのではないかと思います。
  79. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 若干とおつしやいますが、只今参考人のお話では全然逆の……協会のほうは独立したのだから明るく自由にしろというのが、非常に頭の重い、暫らくはやりにくい状態が続くような、そういうような印象をお受けになつておる。放送協会のほうは放送法第三条のおつもりでおつしやつても、実際に大衆に芸術的良心を持つて呼びかけようとする人々がその協会方針と食い違つた印象を受けておるということは、そのことは非常に重要な問題だと思うのですが、そういうことがたまたま今度のような又いろいろな誤解の元になつておるのじやないかと思いますが、そういう点を協会としてどうお考えになるか、将来どういうふうに改善をして行こうと思つていらつしやるのか、何か御意見がありましたら伺いたいと思います。
  80. 春日由三

    参考人(春日由三君) 先ほどの、今の委員長がおつしやいました頭の重い感じということについてもう少し具体的に申上げますと、それまでの日曜娯楽版という番組では、諷刺作家と申しますか、そういうかたがたのグル—プ、例えばワイワイ・クラブとか、何とかクラブというような集団名をつけました諷刺作家が前半十五分か二十分ありまして、後半は三木君が作つたいわゆる冗談音楽になつておるという形が二十七年の六月まで続いていたわけでございます。それに対しまして作家のかたがたが違うものですから、一つのプログラムの中に同じような諷刺が非常にダブるというようなプログラムの実際上の欠陥もあるわけでございます。それと、今申しましたよう会長方針に基きまして、明るいユ—モアというので、前半を先ほど申上げましたようにユ—モア作家によるコントを書いてもらつて、後半の、三十分のうちの十分は三木さんの担当だということになりますと、確かに諷刺という面から申しますると、三木さんの働き場所が多少そのとき減つたわけでございますね、プログラムから言えば。それでございますから、三木参考人としてはそういうふうな印象を勿論持たれたと思いますが、それから、率直に申しまして、私どもは約一年近くユ—モア劇場の前半のいわゆるゆモア・コントというものを育て上げる努力はいたして参りました。いろいろな作家にもお願いしたわけでございますが、どうも本当にいいユ—モアにならないで、プログラム批評といたしましても、余りいいプログラムじやないというような反省をいたしましたものですから、先ほど申しましたように、昨年の四月からは三木君のアイデアを中心にして三十分を一本に通すということになつたわけでございます。委員長の御質問の点に明確に答えられないかも知れませんが、プログラムの頭が重いとか、或いは面白くないというようなまあ印象というものは、そういうふうな感じに三木さん自身の場合はなつて来ることは、これは連絡の不十分の問題ではなくして、プログラムそのものの作り方のまずさと申しましようか、そういうところからも来るのじやないかと考えられるわけでございます。御指摘の、上か下まで一本の方針で貫くようにということにつきましては、十分今後努力して参りたいと考えておりますので、そのための方途といたしまして、番組委員会の翌日は番組担当の全課長を集めて連絡会議ということをやりまして、連絡会議でフリ—・ト—キングでやつて行く。その連絡会議を終つた課長はそれぞれ又自分のデスクへ帰つて、その課のチ—フの人たちを集めて、こういうことになるからこうするとかいうことはその日のうちに徹底させるいうふうな段階を通つて組織的に流れて行くというような方途をとつておるのでございます。
  81. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今三木さんの御発言をまあ主にして申上げたのですが、これはひとり三木さんだけでなしに、例えばコント作家の市川三郎さんですかのお話があるのですが、丸山プロデユ—サ—が中央公論に講和条約時代の非常な不当な圧迫を受けたことを発表された。一体誰がそういう圧力を加え、どういうふうに圧力を加えたかわからない。ただプロデユ—サ—のところまでは確かに制約、圧力が加わつていることだけははつきり言える。勤人であるプロデユ—サ—が、上役或いは生活権の上で支配している人に御機嫌とりの意味で必要以上に行き過ぎて調子を合わしてしまう。はつきりしたどうも弾圧という形はないけれども、人生クラブの頃からどうも無形な圧力に悩まされ通しておるというようなことを書いておられるのですが、これは三木さんが今お話になつたから私申上げたんですが、ひとり三木さんだけじやなしに、どうもそういうような、協会当局として、これは三木さんのお話にもありましたように、まあ昔新聞の幹部が命がけで言論の自由を守つた放送協会がそういうような、どうも……、本当におれたちが全責任を負うてやるから、伸び伸びとして自分としての芸術良心に従つて仕事をしろというような、胸を叩いて一つ力強く、おれたちが壁になつてやるからというような気魂がどうも足りないと、これは今三木さんのお話にもあつたのでありますが、そういうことが担当者、作家全体の上にあるのじやないかと、かように思うのですが、只今市川さんのお話のような事実があるかどうか、或いは又、そういうようなこれは芸術家の印象ということになるかも知れませんが、印象を受けられるようなことが若しあるとすれば、協会としてこのままでいいかどうか。もう少し作家たちが本当に自由に暢達に筆が伸ばされるように、真に国民の声を朗らかに出せるように何か御努力なさる御意思があるかどうか。
  82. 春日由三

    参考人(春日由三君) 私只今その委員長のお読み上げになりましたものを読んでおりませんものでございますから、ちよつとわかりにくいのでございますが、私は言論の自由ということは、殊に編集権の自由ということは、今委員長のおつしやいますように、生命をかけてもやはり言論機関としては守らなければならんという確信を持つておるわけでございますが、ただ私の申上げたいのは、だからといつてどんなものを書いてもそれがそのまま素通りで放送に出るという形が本当の意味の自由かどうかということには疑念を持つわけでございます。例えば個人の私行の問題とか、或いはそれま誹傍に亘らないかどうか、それは非常にニヒリステイツクなものであるか、或いは更に家庭に入つて行く公共放送、これは商業放送もそうでございますが、プログラムとしてあまりに卑猥であるかどうかというような、いろいろな編集権に基く良識による判断というものが作用して作家のかたたちの原稿を削らして頂く、勿論相談ずくでございますが、場合もあるわけでございまして、作家の個人々々の思つたままが素通りで放送に出るということは、今までもそうでございますし、将来とてもお約束はできないと思います。それは必ずしも自由という、全く自由というものではないのではないかと考えております。ただ、正しい意味の委員長指摘になりましたような編集権の自由ということにつきましては、局長といたしましては確かに生命をかけても守らなければならんと考えております。先ほど三木参考人から私の所に編集権の自主性を確認したらどうかというような手紙が参りましたときにも、私はすぐにそれは当然のことで、局長としてはあらゆるつまり独立して編集権の自由というものは守り抜く決心であるから、誤解のないようにしてもらいたいという返事を出しているわけでございます。
  83. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 三木参考人にお伺いいたしますが、これは立入つたことになるのですが、いろいろユ—モア劇場を御編集になると、無論あなたの御抱負として国民の声なき声というか、国民の輿論をできるだけ反映するように御努力だと思うのですが、そのためにはどういうような御考慮でおやりになつているか。例を申しますれば、いろいろ投書なども参ると思うのですが、そういうふうなものをどこまで重んじておられるかですね。どういうふうにして真に国民の声があなたの御担当しておられる番組の中に響くようにどういう方法をおとりになつているかですね。特に投書等をどういうふうにお取扱いになつているかですね。
  84. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 投書は前からありましたが、特に最近政治のいろいろな問題が殖えるにつれまして一途増加を辿りまして、現在週に千五百通来ております。
  85. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それはあなた御自身へですか。
  86. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 局へです。家に来るのもあります。合計です。殆んど局に来ます。これをやはり全部見まして、勿論いいもの悪いもの分けますが、そういう芸術的ないい悪いではなくて、どういうところに基準を置くかという問題になります。これは例えば簡単に言いますと、聞いてあとで当人が、対象となつた当人が苦笑いする程度でおしまいになるのが一番いいではないかと思つております。怒らしてしまつてはいけない。又向うがにやりとしないのもいけないが、その辺が一番むずかしいだろうと思うのであります。(笑声)それは理屈ではそう言うのですが、実際にはしばしば怒らせてしまつたり、それから今言つたふざけるみたいになつて怒られることがあります。つまり投書の中にはそういう実際の投書のほか激励叱咤、いろいろなものがあります。その中で何であんなくだらないものをしたのかといつて怒られることもありますし、くすりが効き過ぎて、お前は共産党じやないかと言われることもあります。まあそういう両側からの投書が随分あるわけであります。併しこれはやはり一人の特に僕のような至らない者がやつているので、そこの線を狙つているのですけれども、あとは技術の問題だろうと思います。これは勉強します。
  87. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) その投書の中に、今ちよつとお話もありましたが、非常に例えば右翼の脅迫とか、左翼のいろいろな何かあなたの芸術家としての良心を少し圧迫するような、それが特に今度こういう国会などにいろいろな問題がありましたり、今度のようなおなたの御迷惑になつたようなこの問題があつたりするときに、非常に不当なというか、干渉するような、そういうような投書がいつもありますか。特に最近そういうようなことがこの問題でございましたか。
  88. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 少かつたけれども二通ばかりございます。一つはもう少し国会を尊敬したらどうだというのが一つ、もう一つはなんでしたかね……、お前は愚劣であるとかいうのがありました。何かそういつたのが少しあつたきりです。殆んどないと思います。
  89. 久保等

    久保等君 特に御出席を願つてお聞きするというのも、日頃から特に重大な関心を持つておりまするこの公共放送、而も昨今のような情勢になつて参りますると、特に放送法規定せられておりまする公共放送使命が果して十分に守られておるかどうかというようなことについて、いろいろまあ批判も出て参つておると思うのですが、少くとも放送法の中に規定せられておりまする公共放送としての使命であります番組編集の自由の確保というような問題について、是非私どもこの放送法規定せられた不偏不党の立場に立つて番組の編集というものの飽くまで自由が確保されて参らなければならないというふうに考えるわけですし、今春日局長のほうからもいわゆる命をかけて守らなければならない問題だと言われる点はまさにその通りだと思うのです。ところで今度たまたまNHK予算の問題に関連して聴取料の値上という問題が出て参つておるわけですが、いわば非常に一つのまあ重要なときにおいて、而も一番全国の聴取者の中で関心が持たれ、且つ又非常に多数の聴取者の聴いておりまする、具体的に言つてこのユ—モア劇場の問題が大きなシヨツクを今度の場合には与えたと私は思うわけです。それで先般の大臣の話では、大阪でああいつたことを言つたそのものも実はほんの話の過程において気軽な気持で実は話したことが非常に意外の反響を呼んだ、従つて勿論番組編集の問題について何らこれに容喙、立入る考え方を持つていないということを言明されておつたわけでございますし、従つて勿論公共放送そのものに圧力云々ということは夢想だにしないことであるし、又決してそういうことはあつてはならないということを言つてつた。春日局長もやはり今日そういうことを、同じような内容のことを言つておられるわけです。併し少くとも一般聴取者なり国民全体の受取つた印象というものは、聴取料の値上という問題が原因になつて放送そのものに対してやはり何らかの力が加わつたんじやないだろうかという、こういう疑惑といいますか、疑念を持つたことも事実と思いますし、更に又特に放送そのものの出演に関係せられておる三木さんそのものも只今のお話によりますると、やはり何らかそこに面白くないものを感じたいということも言つておられるのですが、そうしてみると、問題はやはり一般国民全体なり聴取者なりがそこに何らかやはりこの聴取料の値上の問題に関連して、ユ—モア劇場の番組の変更が行われたのじやないだろうかというふうな印象を持つことは、私はむしろ客観的に見てやはり妥当性と申しますか、尤もだという気がするわけですが、併し直接この番組編集の責任者である春日局長のほうではそういう勿論意図もないし、又そういう意味での変更命令をしたわけでもないのだと言つておられるわけですが、私はやはり編集の自由という問題は口で言うのは簡単でございますが、実際問題として具体的なこういつた事例の場合において、本当に客観的に見て番組編集の自由が確保されておるかどうかという問題になつて参りますると、なかなかむずかしい問題でもあるし、特にこの前の昭和二十七年の六月の日曜娯楽版の際にも私はやはり今度の場合と同じよう一般に誤解を与えたことも実はかねがね聞いておつたのですが、今度又ぞろというような形でこの問題が出て参つたことは、まあ言わば一種の放送番組の編集の自由確保という観点について危惧の念を禁じ得ないものがあるわけですが、公共放送は飽くまでも聴取者のものであり、国民全体のものであり、従つてその番組編集の自由が確保されるということは、国民全体のやはり私は権利という立場で守つて行かなければならないし、そのためにはそのときの政府なり、或いは又一党一派によつてこれが支配される、或いは又それによつて影響を若干でも受けるというようなことがあつては絶対にならない。言わば国民全体の公共放送であるという観点は飽くまでもいわゆる死守して参らなければならない問題じやないかと思うのですが、今度の場合こういつた非常に大きな影響とシヨツクを一般に与えたということについて、私は単に心理的に、或いは又意思が善意であつたとか悪意であつたとかいう問題以上に、非常に十分にこういつた問題の扱い方については慎重に考えて行かなければならない問題ではないかと思うのですが、御本人その者には悪意とか善意とか、或いは圧力を感じていないということだけでは済まされない重要な問題があるのじやないだろうかというよう考えるわけですが、特に今度の場合について、私はやはり一般聴取者なり国民全体から相当な反響というか、批判というものが出て参つておるのじやないかと思うのですが、その点について差支えない程度で放送ジオ局長のほうからまあ反響と言いますかそういつたようなものがどういう形で出て参つておるか、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。参考に……。
  90. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。編集者に善意があつても、ラジオというものは勿論受取るほうの受取り方でございますから、編集者に幾ら善意があつても受取つたほうがそう受取らないというのは、誠にその通りと思いまして、プログラムの作り方のまずさと言いますか、こういう点については大いに反省させられております。私どもといたしましても、このユ—モア劇場そのものに関しまして、実は四月十一日から全面的な時刻改訂をいたすわけでございますが、その際にもこれは依然として残つておるわけでありますが、その残つておるものの中でよりいいものに育て上げて参りたいということを実は三木君とも話合つておるわけでございます。  それから第二点のどういう反響があつたかという点につきましては、勿論新聞や雑誌、週刊誌でございますか、そういうものの記事を御覧になつておるかと思いますから申上げませんが、投書といたしまして全国から二百五十通くらい参つております。その中でユ—モア劇場を依然として続けて行け、頑張れというような、まあやめちやいかんというふうな意味のものが二百十通くらいございましようか。それからあれはやめるのが当然だ、NHK番組としてはああいうふうにつまり何と申しましようか、諷刺とかそういうものをなくして、もつと明るいものにすべきじやないかという投書が十五通くらいございますか、二十通くらいございますか、少数でございますがございます。それからあとの反響というものは、実は私どものほうは組織的な反響とか、聴取率とかいうものは定期的に文化研究所で全国の聴取者を対象とした輿論調査をいたしておりますわけでございますが、これはまだ短時日で出ておりませんのでございますから、今申上げられる材料は投書だけでございます。投書では今申上げましたような数になつております。
  91. 久保等

    久保等君 なお、今のところこの番組はやはり続行されて行く、一応その考え方なのかどうなのか、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  92. 春日由三

    参考人(春日由三君) お答え申上げます。只今申上げましたように、ユ—モア劇場という日曜日の番組は続行して参る決心でございます。ただ先ほどから申上げておりますように、全く野放しの自由というものはございません。それからNHK公共放送としての品位と申しますか、そういうふうなものも考慮せねばならんものですから、できるだけ建設的な明るいもの、例えば三木君から私に参りました要望の中で冗談音楽を継子扱いにしないようにというのがあるのです。冗談音楽を継子扱いにしないというのは、専門的な話になるわけですが、三木さんが欲する歌手とか、欲するオ—ケストラとかいうものが、私どものほうの現在では賄えない形になつておる。ところがユ—モア劇場で認めております予算は一回六万二千円くらい、番組としては比較的高いほうでございますが、その中で三木さんの欲する一流の歌手を並べるとか、或いは家の手持ちの東管でないヒツトメロデイのような外部のオ—ケストラを用いるとか、そういうことは予算的にも出しにくいものですから、その点を今度の聴取料を改訂さして頂けますれば、もう少しそれに投入して三木君の希望も満たし、そしてよりよいものにして行ける、こんなふうに決心しておるわけでございます。
  93. 久保等

    久保等君 確かに出演者の立場になればこれも芸術ですから、そういう意味では言わば気の抜けたような形では、出演者の立場からすれば意欲と申しますか、そういつたような盛上る意欲といいますか、本当に積極的な私は番組が結果的には放送できないというような結果になると思いますし、勿論何を言つてもいいのだ、勿論作者なり或いは演出者が自由の立場で何でもやれるかというと、特に公共放送の場合においてはあり得ないと考えますし、当然その内容の品位と言いますか、公共性と言いますか、そういつたむずかしい面をまあどう具体的に現わして行くかという問題は、技術的な問題でありまして、ただ抽象的に口の先で言つて見たところで、これはどうにもならない問題だと私は思うのですが、そういう意味で問題は従つてやはり今度の場合なんかについても、私は三木さんとそれからラジオ局長との間における、やはりこの何と言いますか、意思連絡と言いますか、そういつた面について確かに一方は白いと思つて話したことが、受取るほうの印象として黒く受取つたというような形で、結局出て参る声というものはやはり黒いという形で出て行くと思うのですが、そういうことでは非常に今度のような思わない非常な大きな反響と、それからいろいろ疑惑を招く結果になると思いますし、そういう点については私は十分に今後考え直す点もあるのじやないかというよう考えますし、やはり私どもの一番危惧し、且つ又絶対お願いしたいのは、一番最初にも申しておいたよう放送番組編集の自由という意味については、放送法建前から言つて何らの監督或いは指示というようなことを受けない、いわゆる自主性というものが確保されておるはずなんですが、まあそのことが具体的の番組との面で実は生かされなければ、これは放送法そのものの精神にいたしましても死文になつてしまうと言いますか、まあそういう点で特にその点を私は強調し、今後十分にその点が具体的な面で生かされて行くことをお願い申上げたいと思うのですが。
  94. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いい機会ですから、春日参考人に伺いたいのですが、先般来NHK予算審議に当りまして、古垣会長にもいろいろ聞いたのですが、あなたのほうの番組がどういうところでどういうふうにして組立てられるのかということについては十分な御説明も得られなかつたのです。そこで今問題になつておりますようなこともありますので、私たちは放送協会内部のいろいろのやり方についてそれにとやかく干渉するわけじやありませんが、例えば番組をこしらえる場合に何か一般の知識を持つておられるかた、経験を持つておられるかたなんかが集つて編集会議のようなものをやつて、それを元にして今度は具体的に何曜日の何時の番組はこうしようというふうにおきめになつているようにも聞くのですが、その場合のやり方、それからその番組について勿論この責任というものが放送協会にあると思うのですが、その責任を持つてこれが公共放送にふさわしい番組だと言つておきめになるのは誰がおきめになるのか、つまり誰が責任者かということについて、これは法律にも規定がありませんし、あなたがたの内部で自由にやつておられることなんですが、その点説明をしておいて頂きたいと存じます。
  95. 春日由三

    参考人(春日由三君) 非常に煩雑な御説明になりますものですから、ゆつくりゆつくりとお話をさして頂きたいと思いますから御了承願いたいと思います。先ほどから申しておりますように、先ず外部にございますものとしては放送番組審議委員会というものがございます。各方面の専門家のかたがたでございますが、そのかたがたの会合を月に一回開きまして、いろいろこういう。プログラムはどうだとか、あのプログラムはどうだとかいうふうな御意見を、勿論材料を出しますが、それの会議が一つございます。  それからこれも先ほど申上げましたように輿論調査というものを定期的にいたしておりまして、プログラムの聴取率、それから嗜好率、どういうものが好きかと、それから現実の聴取率、それから生活時間でどういう時間にラジオを一番聞く人が多いかというような好適時間と申しますか、その三本建で全国を対象にした輿論調査をいたしております。この輿論調査の結果が印刷物になつて定期的に各部課長の手許に届くわけでございます。  それから番組審査会というものがございます。そういうものと、それから内部会長及び理事会でおきめになつたという方針というふうなものを体しまして、大きく言いますと春と秋と申しますか、夏番組、冬番組と申しますか、年二回約三ヵ月くらいの期間をかけてスケジユ—ル、番組時刻表というのを第一放送、第二放送について作るわけでございます。その時刻表を作る際にもプログラム関係の編集部長を中心にいたしました小委員会を作つて、自分のほうのこの番組は聴取率が落ちているから新らしい番組と差替えたいとか、この番組はもつとこういうふうに続けて行きたいとか、或いはここにはどうしても一本ニユ—スを入れなければ間が空き過ぎているからニユ—スを入れたいとか、いろんな各部の希望を調整いたしまして、同時に全体のバランスから言つて、例えばこの四月から行いますものをざつと計算いたして見ますと、第一放送、第二放送を通じまして報道、教育、社会、教養といつたものが全体の六〇%強になつています。それから音楽を入れました慰安番組が四〇%弱という比率が出て来るわけです。従来なんとなしに長年スケジユ—ルを組んでやつておりました際に五十八対四十二というふうな比率が暫く続いたこともございます。それでそれをもう少し第二放送教育教養番組を強化しなければいかん、芸術的な番組を第二に持つて行こうという、第一と第二の性格というものを明確にして、約十ヵ条ばかり番組委員会方針をきめて、その方針に基いてスケジユ—ルを作つた結果が今申しました六十対四十くらいの比率になるわけであります。それでスケジユ—ルが理事会を通つて決定いたしますと、そのスケジユ—ルに基きまして、例えばスケジユ—ルと申しますのは日曜の八時半はユ—モア劇場というようなスケジユ—ルでございますが、それに基きまして音楽部と文芸部、それから報道局、それから教育部、社会部とそれぞれのプログラムの種類によつて部がございまして、その中が又それぞれの課にわかれております。具体的に申しますと文芸部の場合は演劇課と演芸課にわかれております。それから教育部の場合には学校放送の専門の学校課と、それから青少年教養を扱う教養課というふうに、こういうふうになつて、それを課長がおりまして、その中で更にこの課長の下に班長と申しまして、幾つかのスケジユ—ルから見て、まあ自分の部の担当の三つなり四つなりのプログラムを専門に持つておる班長というものができております。それでスケジユ—ルができますと、今ならば五月の番組を準備するわけでございますが、そのスケジユ—ルに基いて各班長が自分の班員からいろいろ提案をさせるわけでございます。その提案を班で検討してまとめたものを課長のところへ持つて来て、課長はそれをまとめて今度は部の部長を中心とした会議にかけて持つて行くわけでございます。それでその会議を経たものを編成部の整理課というところへ文芸部提案とか、教育部提案というふうにして出して来るわけでございます。そうしてその提案を出演者別、或いは種目別に印刷しましたものを番組委員会で、月一回の提案会議で、この出演者は適当でないとか、これは余りにも多く出過ぎるとか、或いはこのプログラムはこの通りでいいのだけれども予算的に見るとこうは使いきれない、庶務課長まで入りました、いろんな要素を入れまして提案会議で最後にきめるわけでございます。それでそのきめたものを事務的に整理課というものが三十日なり三十一日なりのスケジユ—ルにはめまして、そこで各部へ来る、これを予定表と申しますか、その予定表に基いて、予定表がきまると出演交渉というものが始まるわけでございます。ただ問題は一月半以上前にきまつた問題でございますから、出演者を交渉してできない場合とか、台本ができて来ないという場合がございますものですから、更に今のよう基本のほかに、毎週一回先ほど申しましたラジオ局全部の部長が集りまして、例えばこうなつておるけれども、四月にはこういう特集をやりたいとか、五月にはこういう特集をやりたいとか、例えば今晩夜一時間半、二時間近く電源開発特別番組でありますが、特に土曜日の番組だから普通のスケジユ—ルをはずして、ここで一つ野心的な社会部の電源開発のルポルタ—ジユをやらしてくれないかというふうな差替えと申しますか、個々の提案というものが出て来るわけでございます。それを毎週の番組委員会検討して、それじやこれよりもこつちをやろうというふうにきまりますと、それが翌日全部の課長が集りまして連絡会議で流れて行くわけでございます。そうしてプログラムができて来ますと、各班の係から発表伝票というものがございまして、それで同月幾日の何時の番組の題目はこうだ、出演者はこうだということが整理課へ出て来るわけでございます。整理課ではそれをまとめまして一覧表にいたしましてまあ新聞発表すると、いうふうな段階を通るわけでございます。
  96. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私は新聞社とか、商業放送のほうでどうやつておられるかということも知らないのですが、今のお話だと一番大事な番組編成について、そうすれば理事会はもう全然関係しないのですね。関係はしないが法律上は理事と言いますか、会長というものか知りませんが、やはり協会責任者が最後の責任をとるとかということになつておるのですか。
  97. 春日由三

    参考人(春日由三君) 先ほど申上げましたが、今のプログラムが戦争前と違いまして、スケジユ—ルで例えばユ—モア劇場は毎週その時間にユ—モア劇場がある。それから金曜日のドラマと言えば必ずドラマがあるというふうな、そういうふうなスケジユ—ルが一週間分きまつてございまして、そのスケジユ—ル通りに運用するわけでございます。従いましてスケジユ—ル改訂というふうな大きな問題は理事会の御審議を経てきめるわけでございます。そのスケジユ—ルの各文芸部なり、音楽課なりが持つているその担当のプログラムの中身は私が委任されまして、それぞれの部課長と協議をしながらやつ行くという形になつているわけで、スケジユ—ルそのものの決定は勿論理事会でございます。更に特別にたくさんのお金を使うとか、今申しましたように大きな枠をこわして特別番組をやるというふうな場合には、理事会にその都度提出して御審議を得ておるわけでございます。ですから通常番組の通常のやり方について、例えばニユ—スを取材して来てニユ—スの時間に放送するというふうなものは、端的に申上げまして放送記者がとつて来たものをデスクで見て、デスクを通つたやつがニユ—スになるというふうなことでございますが、特に今度はこの日のニユ—スはつぶして、つぶしてじやなくて延ばして、例えば国会の特集をやろうというふうな、特集と申しますか、そういうふうな変更ができます場合には理事会に一々かけているわけでございます。而も生き物でございますから、今日の午後こうしたいというふうな場合には、私からできるだけすぐ会長のところとか副会長のところとか、理事のかたのところへ行つて、今晩こういうふうにいたしますということを御了解を得てお許しを得てつまり変更して行くという形をとつているわけでございます。
  98. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体わかりましたが、そうすると、結局先ほどは春秋とか一年に四回とかと言われましたが、そういう番組基本的に変更するとかいう場合には必ず理事会にかけられて、理事会が決定をしたものを実施する。それを毎日々々の内容を理事会で決定するということは勿論できはしないでしよう。それはあなたが責任を持つてつておられるということですね。  それからこれは地方放送局の問題だと思いますが、この間からロ—カル放送についていろいろ意見を申上げているのですが、やはりロ—カルの放送でもその局の誰かがそうすると内容についての責任者というものはきまつているわけですね。そうして、ここでそういうことであれば……、三木さん今日来て頂いて少し関係が違うのですがね、ついでに伺つておきますが、東京の管内にそういうロ—カルの放送があるかどうかよく知りませんが、例えば甲府なんかはそうじやないかと思いますが、甲府にあるとすればあれですね、そういう局でいろいろ山梨県なら山梨県のいろいろなニユ—スを取材されますね。でその場合には勿論報道記者という者がいるのでしようが、これはとても甲府における一般の新聞、従つて甲府における商業放送といいますか、何か放送会社があるとすれば、そういう会社とは太刀打できない貧弱なものだろうと思うのですがね。ただ一人か二人の報道記者がおつて、その人たちがどこからか少々集めたものを中心にしてやつておられるのかどうか。やはり地方的にはまあ東京には勿論共同通信のようなものがありますから、いろいろな通信社からニユ—スを提供してもらつておられると思うのですが、地方的にはどういうことをやつておられるのですか。果してそれでロ—カルのニユ—スといつても正鵠を得た正しいニユ—スというものが取材できるのかどうか。その点について私は非常に疑問を持つているのです。という意味はNHKは本来の使命は違うので、そういうロ—カル放送なるものはむしろ商業放送がこのようにできているのがいいかどうかは別問題として、できている以上は他のそういつた機関に任しておいて、NHKはその全国的に聞えない所がたくさんあるのだから、そういう所を重点として公共機関としてはそういう所に力を入れてやるべきだ。東京から流す、大阪から流すというような大事なニユ—スとか、或いはいい番組をこのネツト・ワ—クで全国民にそれを流すというような仕組でないと、NHKの特色がだんだんなくなつて来るという気がするのです。今一例として申上げたように中途半端な人間を以て、中途半端な経費で果してニユ—スなんかについて取材ができるのかどうか、又あなたとして今の状態で満足をしておられるのかどうか、この辺のところをついででございますが、特にお話を伺いたいと思います。
  99. 春日由三

    参考人(春日由三君) むずかしい問題でございますが、最初の御質問のロ—カル局はどうやつているかということでございますが、いわゆる今例にお挙げになりました甲府とか新潟という所は、局長の下に三部長制というものをとつておりまして、技術部長と総務部長とそれから放送部長、その放送部長がつまり私と同じようなロ—カルについて責任を以て仕事をしておるわけでございますから、それぞれのもつと大きな問題になれば、これは局長責任を委任されてやつておるような形になりますが、やつておるわけでございます。ロ—カル・ニユ—スの場合でございますが、私やはりプログラムの担当者といたしましては、できるだけ勿論商業放送に負けないいいロ—カル・ニユ—スを出したいという気持は持つておるわけでございます。勿論NHK使命である全国あまねく聞かせる必要がある、聞かせなければならんというのは法の命ずるところでございますし、どこでもNHKが聞けるというようにしなければならんことは当然だと思いますが、容れ物と中身の関係と申しますか、中身を作るものとしてはやはりロ—カル番組というものを量的よりも質的に増して参りたいと考えておるわけでございます。  それから御質問のロ—カル・ニユ—スにつきましては、共同通信の支局というものが大概NHKのロ—カル局がある所にはあるわけでございます。それから従来商業放送のない所では、土地の新聞記者にNHKが若干の謝礼を出しまして、ニユ—スの提供を受けていたこともございます。現在では共同通信は共同通信で全国に指令を出して、NHKのロ—カル・ニユ—スの材料をできるだけ出すようにというようなことの指令を出して現実に協力して頂いております。共同の各支局からロ—カル・ニユ—スの提供も受けております。  それから放送記者もロ—カル放送で最低二名くらいは持つているわけでございますが、この連中も県庁とか、産業団体とか、そういうふうな毎日つまり廻る場所というものがありまして、そこからロ—カル・ニユ—スをとるために、時間を随分かけてその網を廻つて歩いているわけです。更にその放送記者のほかに、これは新聞社でもやつておりますですが、例えば学校を出たけれども家に長男だからいなければならんとか、そういうふうなかたがたがあるわけでございます。そういう適当な教養と経験を持つている人たちに一定の通信費と若干の手当を与えて、その人たちが事あつた場合にすぐNHKの局へ通信を送つて来るというふうな、つまり通信員制度というものも併せて適用しております。でございますからロ—カル局で最低放送記者はNHKの職員としては二名でございますが、今申しましたように各団体、共同通信及びその通信員の網によりまして、相当活発なロ—カル・ニユ—スを提供し得るようになつておるわけでございます。有難いことに、各ロ—カル局の長い間の信用と申しますか、ニユ—ス的なものがありましたときは、こういうことがあるということを外部から知らしてくれるところも、私自身ロ—カル局長の経験を持つておりますが、そういうところもあるわけでございまして、確かに御指摘ように現在の信用は貧弱でございますが、貧弱ながらもNHK公共放送としてのロ—カル局のニユ—スというものはかなり活発に活動しておると思うのでございます。更に国会で例えばいろいろ各地方出身の代議士のかたがたが、或いは参議院議員のかたがたがそれぞれ活動されておりますときには、私どもの東京の放送局にあります地方版というところからこれは全中ニユ—スにはならないけれども、その出身議員のかたがたの県には大事なニユ—スは毎日時間をきめて、全国地方種というものを東京から取材して提供しておるということもございますものですから、割合に自画自讃になつて恐れ入りますが、活発な而も信頼のあるニユ—スを出しておるわけでございます。
  100. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 先ほど来いろいろお答えを頂きましたが、まあ長い間の占領時代からの積り積つた事情もありますが、国民に今度の問題で疑惑を与えた。どうもそれがもう一つ根本的には払拭できない。まあ春日局長としては、今後非常な努力をなさるような今お話でありましたが、勿論ただ芸術家の良心だからと言つて、何でも言うていいわけではございません。その点も今後一つラジオ・コ—ドと言いますか、御自粛を願いますが、併し又一方不当な圧迫が加わるような印象は、これはもう法律の建前から申しましても、是非払拭しなければならんと思うのでありまして、そういう点でなお一、二お尋ねしておきたいと思うのですが、まあ三木さんがお隠れになつた。(笑声)そうしてお隠れになるについては、少くとも主観的には非常な下自由なような印象を受けられた。それが今度出現せられたのは、(笑声)聴取者と作者の意向を十分に尊重して、時の政治的な事情などでプログラムの変更を行わないということを確認せられたということでございますが、この点についてはまあ、心配するなというので、電報ではなかつたというようなお話でありますが、どういうふうな手続きでそのことを確認せられたのか。又局長としては、その確認せられたことについては、どういうふうに今後責任をお持ちになるのか。その点を一つ先ず三木さんに伺いたい。
  101. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) うちに手紙が参りまして……、証拠物件としてこれは壁に貼つてあります。少し長いので、全部覚えていないのですが、「君、……」何だつけな……、「怒らしたことは非常に悪かつた。誤解である。それからそこに書いてある自主編集権ということは非常に重要であるということは、私ももともと念願であ。まあ努力して行きたい。又細かいことは、いずれ打合せをして行きたい。結局、積極的に援助をして、手を取り合つていい番組にしたい。春日」というのです、大体。(笑声)
  102. 春日由三

    参考人(春日由三君) 実は私と三木君と言いますか、繁田君とは高等学校一年違いで、非常に昔から知つている仲でございますから、今三木君がくさつて、そのままいなくなつちやつた。私としては多少心配はしておりましたのですけれども、今三木君も言いましたように、「プログラムの変更は、聴取者や作者の意向を尊重しながら、時の政治的な力などの圧迫を……、濫りに圧迫などを受けず、自主編集権というものの確認が一番大事だと思うが、君はその点確認するか」というふうな、つまり私が編集権を守り抜くということを確約するかというような手紙と、それから先ほど申しました、「冗談音楽は多少継子扱いをされているというような自分は気持を持つているが、あれを今後余り継子扱いするなよ」というので、「鶏郎、春日君」という手紙が参りましたわけでありますが、非常な乱暴な、怒つていたのでございましようが、乱暴な手紙でございましたから、私も仲間でございますから、あえて三木鶏郎先生などと書かずに、君は誤解で雲隠れしちやつたのだろうけれども、自分はちつともプログラムをあのとき変更した覚えはないので、ただ機械的な変更だということを簡単に言つて、怒らしたことは、君の誤解を招いたことは非常に済まんと思うが、君の主張する自主編集権を確認するということは自分も全く同感で、自分はそれに体を張つて行きたい。それからあとプログラムをよくするための措置については、現われてから、つまり二人でよく相談して、手を握り合つてよりいい番組に育て上げて行こうじやないか、と書いて、春日生と書いて、繁田学兄ですか、むしろ本名でやつたほうがいいと思いまして、そういう手紙を出したのであります。(笑声)
  103. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) お二人の親書の秘密まで発表して頂きまして、(笑声)了解いたしましたが、只今のいろいろ三木さんが誤解をせられたというか、非常な圧迫を感ぜられてこういうことが起つた。それに対して、只今の往復で、三木君としては成るほどこれは今までのような積り積つたことは別にしましても、今度の問題は真に事務的なものであつて、そうでなかつたというふうに御了解になつて問題が解決した、今後のことは勿論非常な努力を要するのでありますが、今度のこの問題につきましては、只今のお手紙の往復のように、十分了解がついたと、かように理解してよろしゆうございますか。
  104. 春日由三

    参考人(春日由三君) 結構です。
  105. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そうするともう一遍そのお手紙の中の、継子扱いにするなということでありますが、いろいろ費用が足りないために、芸術家としてはもつといいオ—ケストラとか、作家が欲しいけれども、できなかつた。あれだけの内容の豊富な、あれだけの時間の報酬が六万二千円と伺いまして、薄謝協会の名に恥じないと思つて今驚いているわけでありますが、そういう点につきましては、今度の予算等が若し増額されれば、いろいろ又努力されるのでしようが、そういうことでなしに、継子扱いにするなということが、何か非常にこういうことをやるために誤解を招きやすい。NHKがいろいろな政治的な圧迫を受けやすいから、そういう意味で、どうもこいつは腕白息子がおるために、親が非常に迷惑をするというような意味の継子扱いではないのでありますか。継子扱いという言葉が、ただ単に費用が足りなくて、もう少しいい着物を着せて、おいしい物を食べさせてやるというわけですか。こういう子供を持つておるがために親が非常に迷惑するという意味の継子扱いであるか。その点の意味をもう少しはつきりして頂きたい。
  106. 春日由三

    参考人(春日由三君) 親不幸息子を持つているがために継子扱いにするというふうなつもりは毛頭ございません。と申しますのは、まあ先ほど三木参考人からも申しましたように、千通以上の聴取者の投書もあるわけでございますし、それからプログラムの性質上、土曜日までかかつてやつと台本ができるというふうな形でございますから、まあいわば多少ほかの芸術的な金曜日のドラマなどと違つて、やつつけ仕事になるということはあるわけでございます。事実上間際までは入れるというふうなプログラムの宿命があるわけでございますから、そういう点から、例えばスタジオもあすこにしろ、ここにしろというふうにスタジオが動くとか、或いは三木君がこれとこれの歌手が欲しいと土曜日に言つても、現実に日曜日につかまらないとか、まあ経済上の理由だけのほか、そういうケ—スというものは頻々と現場ではあると思います。で三木君としては、一番自分が一生懸命情熱を注いでおる冗談音楽だから、これを余り継子扱いしてくれるなよというふうな言い方には、そういうふうないろいろな要素が入つているのじやないかと思います。併し少くとも三木君があのプログラムを私どもが厄介物視しているというふうにはお取りになつていないのじやないかと思うのであります。と申しますのは、そんなことで、現われてから二人で会つていろいろ聞いてみますと、確かにオ—ケストラについてこういうオ—ケストラが欲しいと言つてもなかなかそれがつかまらない。或いはこういう歌い手が欲しいと思つてもなかなかつかまらないというふうな、今までのいろいろな多少のつまり思う通りにならなかつたというような点もかなりあるようにも聞いております。そういう点で、勿論経済的な問題もありますし、それから、間際だという点もありますけれども、何とかそれをそういうふうな気持を起させないように、温かく、よりいいものにして行こうじやないかということを話合つて、実は進んでいるわけでございまして、まあ非常にくどくど申上げますが、見た目には継子扱いらしいことを……、これはまあお作りになるほうの立場から言えば、自分のプログラムというものをよりいいものにしたいことは誰でも当然で、このプログラムに限らないわけでございますが、又担当者としても、自分が持つているプログラムというものを、よそよりいい出演者でよくしたいというような、実は競争責任者としては非常に抑えるのに苦労するわけで、自分のプログラムが聴取率がどうだとか、或いはどういう時間にやるとかということも構わずに、つい、得てしてそのプログラムの担当者は自分のプログラムに一番いい作家に書いてもらつて、一番いい出演者を選ぶというのが当然であり、その情熱がなければラジオなんてやつて行けないわけでありますが、そういう意味から一流のプログラムと申しますか、うんと金のかかるプログラムに比して三木君の持つてつたところのプロラムが多少安過ぎる、まあはつきり三木君の出演謝金は覚えておりませんが、それについての不満も聞きました。そういう点もできるだけ改善していいものにして行きたい。いいものにするには金がかかるというようなお話合いをしておりますから、厄介物だから、問題を起しやすいから、継子扱いをしているということではないと信じております。
  107. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今の春日参考人のお話に三木さんも御異議ございませんか。
  108. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 少し異議があるんです。(笑声)金のことになつちやつてつたのですが、僕の出演料は一回二千二百五十円です。それを月に四回やつて手取り八千円、これだけ、八千円じやちよつと食えないです。つまり持ち出しなんです。八年間持ち出し続けで来た。しようがないからどさ廻りをやつたり、映画の音楽を書いたりして食つているわけです。というのは、勉強のためにテ—プに録音して家へとつているわけです。このテ—プ代が三千円かかる。まあこれは打明け話です。それから今言つた金のことじやなくて、今だからそういうことは言えますけれども、やつぱり厄介物だつたんじやないかと思うことがあるのです。それはあのプログラムというのは、最初娯楽版ができたときは文字通り娯楽版だつたんです。浪花節その他の類、それだけじやつまらないので、七分間冗談音楽を聞かせたらいいじやないかというので、前に歌の新聞をやつたことがあるので、そこへ入れました。それが非常に受けましたのですが、だんだん大きくなりまして、娯楽版というものがそういうものになつてしまつた。これは最初の企画からはずれているんじやないか。そういう工合に、何かあれは聴取者の力と申しますか、当時のいろいろの事情でしようが、ひとりでに育つような不思議な番組なんです。
  109. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 春日君、只今の御意見に対して何か御意見ございませんか。
  110. 春日由三

    参考人(春日由三君) 三木君の言われたことは非常に味のある言い方で、ちよとつかみにくいですが、聴取者の何と申しますか、だんだん育て上げるという熱意から激しいものが来るという意味で、こつちがしよつちゆうその台本に眼を皿にして、いわゆる考査課のラジオコ—ドに照らして見ていなければならんというような点については、ほかのいわゆる純然たる音楽とか、或いは台本できまつている浪花節とか、ラジオドラマに比しまして、これは実に手のかかる、神経の要る仕事であることはたしかです。併しそれが即継子扱いにするということにはならない。やはり今後それは永久に続けて行かなければならないので、確かに三木さんのおつしやるように厄介な番組だとは思います。厄介な番組だとは思いますが、現在も十一番目から十五番目ぐらいを上下して、四〇%の聴取率を持つておる番組でございますから、それをもつと上げるように、よりいいものにする努力を払うのに決してやぶさかでない。つまり手のかかる番組においては全然同感であります。併し、だからと言つて、なくなればいいとか、死んでしまえばいいとかという気持を持つていないということだけは確認しておきたいと思います。
  111. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 最初に申上げましたように、今度の番組の変更がいろいろな疑惑を起した。その真否を確かめたいので御苦労願つたのでありますが、いろいろ行き違いもあり、又長い間の占領時代からの問題もあり、かようなことになつたが、作者と放送協会との間には了解がついて、今後真にいい番組を作る、而も外部から番組編集の自由を抑圧されないように努力して行きたいという御決意は伺いましたのでありまして、この点については、と言うて、自由が行き過ぎて公共放送の本来の使命に反するようなことになりませんように、その間の非常にむつかしい筋道を今後非常な努力を願いたいと思うのでありますが、その副産物として、いろいろ放送の謝礼のことやら内容を伺いましたが、大変参考になりまして、(笑声)私のほうからも一つ副産物として、これは三木さんにお伺いというか、お願いしておくんですが、決してこれはあなたの芸術的良心、編集の自由を圧迫するのじやございませんが、どうも国会というものが何か如何にも暗いものだ、一部にそういうことがあるかも知れませんが、国会議員の大部分は、私は国民の負託に応えるために微力ではあつても努力しておるつもりなんでありますが、どうも極めて僅か一部分のことがクロ—ズアツプせられて、それが誇大に或いはゆがめられて、国民から国会というものに不信の念を持ちませんように、我々も努力をいたしますが、又放送当局或いは作家といたしましても、今日はこうして国会に初めてか、久し振りにかおいで頂いたわけですが、国会というものに対する十分の一つ御批判と共に御認識を願いたい。又一面に、私どもはこの放送法建前から番組の編集の自由というものを何とかして守つて行きたい。これについては国会としても最善を尽したい思いますので、いろいろ今まで脅迫観念とか、不信の念とか、いろいろおつしやいましたが、そういうものがございましたときには、無論協会とも御折衝になるのでしようが、そういうことは私ども国会にもいろいろ御連絡を願つて国民全体で言論の自由を決して失わないように、而もそれが公共の福祉、国民の文化を傷つけないように努力したいと思いますので、これについて何か若し御意見がございましたら、お述べ願いたい。
  112. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) 国会を侮辱しておるのではないかということを言われるのですが、そういう気はありません。
  113. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) そういうことじやない……。
  114. 三木鶏郎

    参考人(三木鶏郎君) いや一般にですよ。これは絶対にないです。というのは、大体国会そのものが自由主義の上に立つておるものであつて国民を守つて下さるところだと思つております。尊敬しております。併しどうしてああいう番組があつて受けるかというと、まあこれは社会心理学の問題になると思いますが、これは私ときどき参観に参ります。傍聴席におりますと、なかなか下のほうでは盛んに野次がとんでおります。二階にいても何か言いたくなるようなことが確かにあると思うのです。国民、聴取者の全部がそういう場合に、それほどきつい意味じやなくてそういう気分があるのじやないか。この気分を助長するのがいいか悪いかは別といたしまして、やはり興味があるんじやないか、まあそういうことが恐らく冗談音楽の悪い意味でもいい意味でもあると私は思つております。これは飽くまでも国会、自由主義のためにやるという根本観念からもちつともはずれていないと思います。ですから今後そういう意味では勉強いたします。
  115. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日は両参考人非常にお忙しいところを御出席頂きまして、いろいろ有益な御意見を伺いまして有難うございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会