○国務大臣(
塚田十一郎君) 時期的にどうということでございますと、私ももう少し或いは延びるかも知れないと思うのであります。勿論形式的に申上げますならば、
放送協会がお
考えになる
通りの案をいつでもお出しに
なつて、それに対して私、郵政大臣として
意見を付して
国会に送り出すということで、いつでも出せるわけでありますが、ただそれが
政府の
考え方と違つた場合、又
国会の
考え方と違つた場合に、もう一度修正という形で戻さなければならないということになりますので、そういう技術的
考慮を頭におきまして出したならば、大体
政府も賛成できる、又
国会も恐らく御
承認願えるんじやないかという点の見通しをつけて出すのが、これが一番技術的に正しいやり方だと思いますので、表面にも余り形に
なつて現れておりませんけれ
ども、内面において相当
程度にこの問題を取上げられて進捗をいたしておるわけであります。で、どこに問題があるかと申しますと、
値上げをしなければならないという理由は、大体大きな点が三つあると思うのですが、一つは電信
電話料金の
値上げ、その他
一般どうしても使わなければならないものがもうすでに
値上げに
なつておる面から来る費用の増、いま一つは、
給与ベースの引上げがどうしても必要であるということから来る増、いま一つは、相当長い間
値上げをせず無理をして来ておりますので償却が十分行われていない、償却が十分行われていないということは
設備がだんだんとこういう殊に変遷の激しい通信機器というものはそういうものでありますので、だんだんと
NHKもそういう機器が時代遅れに
なつてしまう。殊に民間放送がどんどん利益を上げられて、新らしい
設備で以てや
つておられるというときに、相当見劣りのするものに
なつてしまう、非能率のものに
なつてしまう、この点をそのままに放
つておけない。そこを何とかしなければならないという三つの点に
経費不足、収入下足の重点がかか
つていると思うのです。ここの点をそういうふうに見て参りますと、私はどの点も尤もであると、多少今
NHKがお
考えに
なつている金額については、若干の異論はあ
つても、項目については私は大体尤もであると、こういうふうに
考えておる。従
つて、それをどこで賄うかということ、その必要
経費をどこで賄うかというところに一つ
解決の問題点があるわけです。それからして、そこをどこで賄うか、ただ
料金引上げにすぐに持
つて行けないで、どこで賄うかということを
考えざるを得ないのは、国の今年の
一般財政金融の緊縮
方針とうまく繋がらないと困るところから来るわけであります。ですからして、今問題点は、そういう緊縮
方針の際ではあるが、併しどうしても
経費は必要であるからして、これを
値上げで賄わざるを得ないという
結論に行くまでの間の
段階で以て、この分別、思案がまあ停滞しておる、こういう
状態に
なつておるわけであります。併し大体最近の
状態は、あちこちの
意見を伺
つて見ましても、又閣内の相当な人たちの
意見を聞いて見ましても、やはり或る
程度の
値上げは止むを得ないじやないかなという空気に
なつて
参つておるように、私には見受けられるのであります。それであとはそうするとどの
程度までを認めるかということの本当の技術的な部面が残る。この部分は技術的な部面といいましても、実質に相当影響するのですが、まあ三割を認めるか、四割を認めるか、或いは
NHKの御希望のように五割
値上げを認めるかというところに判断が要る。それで実際この動きといたしましては、今実際に与党内部に、而も最近は予覚内部におきまして、何とかして借入金で賄
つて置く工夫がないか。又赤字を出しておいてもいいのじやないかという
意見もあ
つたのですが、そういう点はだんだん
意見がまとま
つて参りまして、やはり
値上げということにせざるを得ないのじやないかというので、
値上げという方向に向
つて検討が進められている。従
つてこれはもうそう長い先でなしに
意見がまとまると思います。それがまとまりますれば、もう内部的な準備はできておりますから、急速に
国会に出され、
政府に提出されて、私の手許に提出されて、私がすぐ
意見を付して
国会の御
審議をお願いする
段階に運べると、こういうふうに
考えております。