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1954-05-30 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月三十日(日曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            大谷 贇雄君            西川平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            豊田 雅孝君            三輪 貞治君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君    参     事    (第三部長)  菊井 三郎君    参     事    (第三部第一課    長)      村田 育二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (臨時硫安需給安定に関する件) ○小委員会設置の件 ○小委員の選任の件   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  本日は調査案件に追加をいたしまして、肥料の二法案の問題につきまして調査をいたすことにいたします。御異議ございませんか……。最初皆様方に御了解を得たいのでありまするが、実は肥料関係の二法案につきまして、農林委員会にかかつておりました臨時硫安需給安定法案につきましては、当委員会の総意を以ちまして私は農林委員長ともしばしばお話合いを申し、又正式に公文書を以て保管団体の点につきまして農業者並びに農業者の組織する団体という点の修正を、衆議院送付原案通りにしてもらうことを申入れておつたのであります。ところがなかなか修正がむずかしいというので、再度当委員会の御決議に従いまして、私は農林委員長にこの点を申上げたのでありましたが、どうしても修正はできない。修正をする場合には他の好ましくない修正がこれに伴うので、そうなると非常にこの法の成立の上から見ましても遺憾であるからどうぞ修正でなくて一つ委員会において通産委員長質疑をしてもらつて農林大臣がそれに答える、その農林大臣の言明の中に、通産委員会の意のあるところをはつきりさしたらいいじやないか、こういうような話であつたのでありますが、これは又皆さんにもお諮りをいたしましたごとく、そういうことでは承服できない、どうしても止むを得なければ、附帯決議をつけるべきであるということを申入れまして、附帯決議案文等につきましても、直橋委員その他のかたがたがいろいろ農林委員と折衝して頂いて、大体成案もできまして、附帯決議を必ずつけるということに話は円満に了解をしたのであります。そこで農林委員長とのお話合いもいたしまして、私のほうは先般御承知のごとく当委員会にかかつておりまする合理化法のほうも委員会を上げた次第でございます。ところが委員会を上げましたその晩になりまして、突如として農林委員会において修正案が提出され、河野謙三君の修正案によつて農林委員会はその修正案をのまんといたしたのであります。そこで私はお話合いが違いますので、その点を農林委員会のほうに強くなじつて参つたのでありますが、遂に農林委員長修正案を採用される、或る程度それを直して採用されるというような事態に相成りましたので、これは自由党といたしましては、自由党の党議を以ちまして、自由党農林委員諸君衆議院送付原案を飽くまで支持をして、修正には応じなかつたのであります。そこで昨日農林委員会において修正議決をされたことは皆様承知通りでございます。そこでその修正につきまして一応本日は提案者を呼んで説明を聞くべきではございますが、便宜上参議院法制局よりその修正個所について先ず説明を求めたいと思います。それからもう一つ甚だ遺憾な点は我々の申入れましたところの附帯決議につきましては、お配りをしておりますごとく、附帯決議が附けられたのでありまする附けられたのでございますが、この附帯決議を附けるということは、附帯決議を附けなければ修正が出て来るので困るからという意味合で我々は附帯決議に譲歩いたしたのであります。本文修正をするならば当然この附帯決議も同時に修正して本文を直すべきであつたのでありますが、この点も十分農林委員会の誠意は披瀝されなかつた。この点は私としましても努力が足りなかつたのでありますが、皆さんがたに対して申訳ないと存じますが、甚だ農林委員会の態度に対しまして私は遺憾に堪えないものがあります。以上一応御報告を申上げます。  それでは修正個所につきまして参議院法制局より一応御説明を聴取することといたします。
  3. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 農林委員会におきまして臨時硫安需給安定法案に対する修正が行われたわけでございますが、その修正内容につきまして概略御説明申上げます。  修正個所臨時硫安需給安定法第六条に規定しておりまする保管団体による肥料の買収、保管等規定に関連してでございます。第六条では、「農林大臣は、肥料需給調整を図るため、その指定する団体に対し、政令の定めるところにより、肥料生産業者又は輸入業者からその生産した肥料を買い取るべき旨を指示するものとする。」こういう規定が一項にあるのでございますが、ここに第二項を加えまして、「農林大臣は、肥料需給調整を図るためやむを得ない必要があると認めるときは、前項の規定による肥料買取指示に代えて、保管団体に対し、政令の定めるところにより、肥料原料生産業者又は輸入業者からその生産し又は輸入した政令で定める肥料原料を買い取るべき旨の指示をすることができる。」こういう規定を入れまして、一項では原則的に肥料買取規定しておるわけでございますが、修正によりまして、肥料原料買取るべき旨の指示をすることができる、こういうふうにいたした点でござ  います。  なお第十一条に「農林大臣及び通商産業大臣は、肥料需給調整を図るため必要があると認めるときは、肥料審議会意見を聞いて、肥料生産業者に対し、その在庫状況出荷能力等を勘案して、肥料譲渡すべき旨の指示をすることができる。」こういう規定がございますが、この肥料の「生産業者」に更に輸入業者を加えまして、「生産業者又は輸入業者」こういうふうにいたしたわけでございます。  なおこれに関連いたしまして、関係条文の整備をいたしておるのでございます。  以上が農林委員会における修正内容でございます。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは最初に私から御質問申上げたいと存じまするが、今回の修正を見ますると、第六条第二項における修正は私は農林大臣がいわゆる生産の面にまで或る程度関与することに結論としては相成る疑いが非常にあるのでございまして、これは農林省通産省のいわゆる権限争いとなる虞れがございます。殊にこの点は私は各省の設置法牴触する行為が出て参るのではないかと思います。こういう点について、この修正農林省通商産業省設置法牴触をしていないかどうかという点を一応明らかにいたしたいと思います。この点について一つ所見を先ず参議院法制局長から伺うことにいたします。
  5. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 本修正案通商産業省設置法即ち通商産業省所管を侵す趣旨のものでは毫もないということを先ず申上げたいと思います。そこで通産省設置法との関係において問題になろうと思いますことは、通商産業省設置法の第十一条の第一項第二号で、「化学肥料の輸出、輸入及び生産増進、改善及び調整を図ること、」ということが通商産業省の軽工業局所管事務になつております。これとの関係が先ず問題になろうかと思います。第六条の修正によりますと、第六条はいわゆる肥料流通に関する事柄でありまして、肥料流通に関する事柄農林省設置法を見ましても、これは農林省所管になつておるのであります。ただ今読み上げましたように化学肥料生産増進という面になりますと、通産省所管ということになるのであります。そこで問題は肥料それ自体流通の面においては問題はないと思いますが、肥料原料買取指示農林大臣に与えました結果、それが結局においてそれを更に加工、或いはその他の方法によつて肥料に製造するということによつて生産増進の問題とからんで来るように考えるのでありますが、その問題が一つと、それから肥料原料というものはどういうものであるかということは明文では明らかになつておりません。この点は政令の定むるところによることになつております。若しその政令で定めますものが通産省所管、例えば鉱物というようなものに該当するものでありますれば、これ又通産省設置法第十三条の鉱山局所管における第二号として鉱物流通の云々、流通に関する事柄ということで通産省所管関係を持つことになる。この二点が通産省所管との関係が考慮される問題ではなかろうかと思います。而して肥料原料につきましては先ず臨時硫安……。今度変りまして臨時肥料需給安定法になりましたが、その三条によりまして先ず農林大臣通商産業大臣が毎年度の肥料需給計画を定め、その中で需給調整用としての保留数量というのを定めるのでありますが、その中にやはり原料を又肥料に換算してこの中へ含めることになつておるのであります。結局保留すべき数量に関する肥料原料の総枠は、農林大臣通産大臣が決定をする、而してその決定された枠内において更に今度修正いたしました第六条の新らしい第二項の規定によりまして、保管団体にその肥料原料買入れを指示する場合においては政令の定めるところにより、肥料原料生産業者又は輸入業者からその生産し又は輸入した政令で定める肥料原料買取るべき旨の指示をすることができるということに規定しておりまして、即ちその政令によりまして如何なる品目原料であるか、又如何なる数量のものであるか、又その指示等がこの政令によつて定められるのでありまして、この政令によりまして閣議によつて通産大臣及び農林大臣等がすべて関係した上で制定されることになつております。従いまして若しその品目等が或る農林大臣以外の大臣所管に属するものであれば、その大臣の発言ということは勿論大きいものでありましようし、数量等もそれら閣議によつて決定された政令範囲内においてのものでありますので、すべてそういう枠の中において、而も保管団体ただ保管のための買入指示をいたすだけでありまして、而もこれは売るほうといいますか、売る側に何らの強制力は勿論ないわけでありまして、相手方に対しては何らの強制力もない。ただ保管団体に対してこれこれの肥料原料買取るべき旨の指示をいたすわけでありまして、そういう意味で一般的にある物の流通を掌るということにはならないと思うのであります。  それから生産増進の点でありますが、これはこの点につきましては生産に関することはすべて通産省設置法所管するところによつて参るのでありまして、肥料流通の点は農林行政になり、肥料生産増進の点については依然として通商産業省所管範囲に属するものというふうに考えております。従いまして第七条でその保管団体買取つた原料等について、農林大臣指示によるのでなければその保管する肥料及び肥料原料譲渡し、或いは加工し、消費してはならないという第七条の第二項の規定があるのでありますが、これは加工とか、或いは譲渡が若し生産に関するものでありますれば、これらの段階においては通商産業大臣所管に属することになると考えております。即ちこの第七条の第二項の指示というのは、結局保管団体保管を解除する趣旨指示でありまして、その解除されたものの加工とかいうようなことについては、すべて通産大臣所管に属するものはそれらのほうの所管に属することになる。従いましてこの法律案修正によつてその所管を侵しておるというふうには考えておりません。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 今の御説明は明確に所管を侵していないという御答弁でございまするが、私はいろいろな点において非常に疑義が出て来ると思います。殊にそれでなくても農林通産両省のいわゆる権限争いと申しまするか、これは宿命的なものがあるのでありまして、こういうようなことで、それに又油を注ぐというようなことになることを私どもは非常に憂えるのでありまして、殊に今お話のございましたごとく、成るほど肥料流通については、これは農林省設置法に明らかに明示されているところであります。併し肥料原料流通ということは、私は農林省設置法にはないと思います。而も今お話のあつたごとく、生産増進に関する事項通産省設置法に明らかにされております。この生産に伴うところの前提要件たるものは当然原料でなければなりません。その原料を一方農林省においていろいろ指示をして参るということが、ここにやはり私は生産増進に関する事項を侵害をするというようなことに、これは受取られる面が多分にあると思う。こういう点が今の御解釈でどうも私は明らかになつておらんように思います。  それからもう一つは、この場合に、今も政令お話があつたのでございますが、政令品目数量、時期がきめられる。これは一応閣議等において関係大臣がきめるのだからいいというお話でございまするが、この政令規定というものは、いわゆる設置法牴触してはならないと私は思うのでありまするが、これが果して設置法牴触しないように、その範囲内で定められることができるかどうかという点も幾多議論がございます。これは如何なる品目をこれでやるかということは、これは後ほど関係省から伺いたいと思うのでありまするが、法制局長としての御言葉を先ず明らかにして頂きたいと思います。
  7. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 政令の定むるところは、これは今ここでは明白でありませんけれども、結局政令によつて所管を侵すということはあり得ないものであると考えております。所管大臣も交えて、その所管大臣によつて或る枠を与えられて、その枠において農林大臣指示するということはあり得ようかと思いますが、それは所管省権限を侵すことにはなるまいと思つております。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 生産原料関係は……。
  9. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 形式的に文字から申しますと、通産省設置法は、化学肥料生産増進ということで、直接原料のことには触れてはおりませんが、加工とか、或いは譲渡ということがそれを原料として新らしいものを作る場合の殆んど加工というよりもむしろ譲渡というふうなことになる場合が多いかと思いますが、譲渡とか加工ということによつて原料加工することによつて肥料生産ということになつて参ろうかと思いますが、形式的には触れませんが、実質的には生産増進関係を持つことになろうと思います。そういう面につきましては、やはり通産省所管になるのではなかろうか、即ち七条の二項の指示ということは、そういうことを指示するのではなくて、保管の解除の意味を持つに過ぎないものでありますから、解除されたものを加工して、その原料から肥料生産するというようなものは通産省所管となるものと考えられます。
  10. 西川彌平治

    西川平治君 只今政令の定めるところ」というお話がありましたので、実はちよつと伺うのでありますが、「政令の定めるところにより、肥料原料の」というのでございますが、肥料原料と言いますといろいろあると思いますが、例えて申しまするならば、これは政令でどういうものを定めるかというのがきまつておらないということでありますので、余り突つこんでお話も申上げかねるのでございますけれども、例えて言いまするならば、私は電力も電解法によつてやる場合においては、私は原料に属するものではないかというふうな、私は私としての解釈をしております。又燐鉱石というようなものは、これは勿論でありましよう、誰が見ても原料でありますが、こういう燐鉱石を特殊の団体保管をさせるというような形式にとらわれたことは、私は誠にどうも自分として理解に苦しむのでありますし、仮に電気というような、私が解釈しているように、電気原料であるとするならば、こういう電気というのは保管するわけには参りませんけれども、併しそれがために一つの枠を、この農林省電気の枠を抑えるというようなことに私はなるのではないかと思うのであります。そうしてその電気の枠を他に譲渡というようなことがあり得るならば、これは大変な問題に私はなると思うのでありますが、その政令で定むるところでと言つておりますので、その政令がどういうふうに出るのだか見当がつかんうちにそういう心配をすることは、これはどうかと考えられますけれども、事実問題においては、これは非常に由々しい問題と思いますが、そういう点に対して法律解釈はどうでございましようか。
  11. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 実は政令内容については現われておりませんので、提案者或いは農林省通産省、この政令を出す権限のあるものについてお伺いして頂きたいと思いますが、電気というものは、或いは原料であるかどうか私はよくわかりませんが、先ほど言つたように、燐鉱石というようなものについては、立案の当時話合いの中に出て来たというふうに承わつておりますが、ただ法律面といたしましては、政令でどういう品目のものを定めるかということは、私からはちよつと申上げられないのであります。
  12. 中川以良

    委員長中川以良君) そこで今生産原料関係お話があつたのでありまするが、然らばこの第七条第二項で今度は指示されるというか、加工という問題が出ております。加工という問題は、これは農林大臣指示によつて譲渡を受けた保管団体がこれを加工をするとかしないとかいうことがきまるわけです。これらにつきましても、私は非常な疑点があるのではないか、加工指示する、一体この肥料の問題に関しまして、これはやはり設置法に私は牴触をする問題じやないかと思うのですが、これは如何でございますか。
  13. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 先ほどもその点は触れたつもりでありますが、農林大臣加工すべきことを指示するというのではなくて、若しこれの加工化学肥料生産増進に関する事柄である限りにおいては、これは、所管通産大臣所管になるものというふうに考えますので、農林大臣としては要するにいろいろの理由がありましようが、肥料保管を解除するという意味における指示ということになるつもりでございます。
  14. 中川以良

    委員長中川以良君) そこで先ほど奥野局長からもお話があつたのでありまするが、これは農林大臣買取指示をするのでありまするが、売るほうには全く強制力がこの法ではどこにもないわけです。そこで実際問題といたしましてこれは売るほうが応じなかつたらこれは買えないわけである。又加工の場合においてもいわゆる加工をするほうが加工に応じなかつた場合にはその加工をすべく保管を解除されてもその持つて行き場がないという問題になるのでありますが、こういう点においても私はこの法というものが本当に実際問題にぶつかりまして幾多の穴だらけ法律であり、却つてこういうことがあるがために肥料行政というものは混乱を招く虞れが多分にあると思うのです。こういう点についてはこれは法律的にどういうふうに御解釈になつておられるか。こういうようなものが一切法の体裁を成しておるということすら私どもは疑うのであります。
  15. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) お説のようにこれは保管団体保管すべきことを、農林大臣がその所管の下にある保管団体指示するだけのことでありまして、これに応じて買取るように指示をしても売るほうで一向応じてくれなければ買取るわけにも行きませんし、そういう意味で半身不随と言えば言えると思いますが、両方に義務付けるというのであれば両々相待つて目的が十分達せられるでありましようが、これでは一方だけに買取れというだけのことで、売るほうについての何らの指示命令権もございませんからそういう点の不備はあろうかと思います。
  16. 中川以良

    委員長中川以良君) そこで一つ内閣法制局長官から只今いろいろ議論のありました点につきまして法制局長官とされてはどういう御見解をお持ちか、一つ所見を御開陳願いたいのであります。
  17. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 実は本日拝見したばかりでございますけれども、これを拝見いたしますると、確かに先ほど委員長から仰せられておりましたように、これの結果論としては通産省関係にも影響があることはこれは事実だと思います。併しこれを純粋の法律立場から拝見いたしますというと、結局只今奥野法制局長が申されたところと私は同じ感じを持つのでありまして、この故を以て通産省権限が、即ち設置法による通産省権限が直ちに動いたということにはならないと存じます。まあ併しいずれにせよ最初通産省立場にも相当影響があることであろうということを申しました通り、又委員長お話にも出ましたように、政策的にこれは非常にデリケートないろいろな問題を含んでおる事柄でありまして、むしろこの問題は政策そのものの問題として或いは相当御研究を願うべきことがあろうかとはこれは考えます。考えますけれども法律論としてはどうもこの故を以て直ちにどうということは出て来ないように考えておる次第でございます。
  18. 中川以良

    委員長中川以良君) これは修正した精神法律を作る精神から申しますると、いわゆる新らしい法律ができるごとに各生産、配給その他の面が前進をして一歩好転する意味法律でなければならんと思います。然るにもかかわらずこの法律を見ますときには、この修正たるや決して前進するどころではなく、肥料行政をして一層混乱に陥れるような私は修正としか考えられないのでありますが、そういうような法律が果して正しきいい法律であるかどうか、これは法律論としてお述べを頂きますることは無理かと存じますが、そういう点についても私は法制局長官といたしましてもお考えがあると思うのでありますが、そういう点を一つ承わりたい。
  19. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは只今委員長のお言葉にもありましたけれども、どうもなかなかデリケートな当面の問題を含んでいるということだけはこれは常識として承知いたしておりますけれども、遺憾ながらまあ法律関係ばかりのことしか頭にございませんし、又立場から申しましてもそういう職責でございますので、これはやはり高邁なる御識見をお持ちになつておられる議員のかたがたによつて御判断願うよりほかはないだろうと、結論を申上げればそういうことでございます。
  20. 中川以良

    委員長中川以良君) 一応法律論を論議いたしましてもなかなかむずかしい問題と思いますので、実体論農林省からいずれ承わることにいたしまして、先ほど来委員諸君の御質疑の御通告がございますのでどうぞ。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ず最初参議院法制局長にお伺いしたいと思いますが、今回の修正肥料原料買取実施ということになつているのでありますが、臨時肥料需給安定法のその目的の第一条には、「この法律は、肥料需給調整及び価格の安定を図ることを目的とする。」とあるのでありますが、これは製品たる肥料のその肥料における需給調整及びその価格の安定に限定せられていると思います。にもかかわらず今回の修正はその原料買取に関連するものとして、この臨時肥料需給安定法第一条の目的範囲外に逸脱をしていると思います。これについて御意見はどうでありますか。
  22. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 目的はお説のように肥料自体目的としていると思いますが、その肥料需給調整を達する手段として、その原料にまで及んだものと考えております。
  23. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それは目的達成とは言いますが、製品と原料では本質がはつきり違うのですから、若しそこまで及ぶんだつたら、法の名称なり、或いは第一条の目的というものはもつと弾力性のあるものにしておかなければいかんと思います。かような規定の仕方であつて、その目的範囲外に逸脱するような規定というものは私は非常に問題があると思います。その点について重ねて意見を伺いたいと思います。
  24. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 新らしく入りました六条四項の「肥料数量」という下に「同項の規定による買取の結果保有する肥料原料数量に基き政令の定めるところにより算出した肥料数量を含む。」ということにして、原料から肥料になるその手段たる肥料原料を合せ及ぼしたのでありますが、飽くまでも肥料というものを主眼にしているのでありまして、これがために目的肥料以外に広くなつた、従つて全体の性格を全部変えてしまつたというふうには考えなくていいのではないかと思います。
  25. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 需給計画等につきましては、当該肥料のみならず、その原料へも及ぶように換算して、過去の見通しそれに基いて肥料需給調整を図るということは私はそれはそれでいいと思います。併しながら現実の行為として肥料でない、その原料の買上げをするというふうな法律目的というものはそれらしく規定は行わなければいかんと思います。この点はどうですか。
  26. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) やはり結局肥料需給調整ということの目的のために、その需給調整用の手段としての保有数量という観点から見まして、むしろこれは肥料そのものとしてよりも、製品としてよりも、場合によつて原料として保管せしめたほうがいいと思われるものに対してまで、保管せしめることが結局肥料需給調整を図る目的を達するために適当であるという考えからこういうことになつたわけであります。
  27. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 非常にルーズな解釈で私は納得ができんのですが、そういうふうに関係があるからというので行つたら、もうとめどがないことになると私は思うのでありまして、御答弁には納得はできません。  次にもう一つの問題は、先ほど委員長から先ず報告せられたるごとく、農林委員会との間において非常にデリケートな折衝を重ねられておる矢先において、今回のような原料にまで買取が及んで行く、その結果は、先ほど佐藤法制局長官からも御答弁がありましたが、その結果は通産行政と関係が出て来るという面が、結果的にはあるというふうに言われたのでありますが、さような関係の他の省、他の委員会との関係のあるものについて、従来の経緯から見ますと当然連合委員会の形で行くべきものであつたと思うのでありますが、そういう際に連合委員会を開く余裕も与えず、いきなり他の委員会権限に重大なる関係のあるような修正案が提案せられ、それが通過するということは、私は国会法の精神から旨いまして甚だ穏かでない、これは現在の国会法には今さような規定がないかも知れんのでありますが、併しこういうことを黙過するということは、私は国会の委員会、特に重要性のある常任委員会のあり方を紊すものだと思うのであります。これは実質的に見れば国会法の精神に違反し、又それについては議長がこれを如何に見られるかという問題にもなると思うのでありますが、その補佐の立場に立つておられる参議院法制局としては如何にこれを解釈せられますか、将来の問題もありますので承わつておきたいと思います。
  28. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) その点はむしろ実体問題といたしましては政策の問題でございまして、この肥料原料を拡げるような修正の依頼を受けた場合において、我々といたしましては、その依頼の趣旨に副つた法案を作るということ以外に権限はないわけでありまして、でありますから、その所管が他の委員会所管影響を持つ場合は連合委員会というような制度を活用することは、国会法の建前としては適当であろうというふうに考えます。
  29. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 将来はかような問題も又いつ何時起るかも知れないのでありまして、そういう点において、かような問題が起きないように国会法の整備をしてもらうことを、私はこの機会に強く要望しておきたいと思うのであります。  次にこれは衆議院の修正に関することなのでありますが、内閣法制局長官に御意見を伺いたいのでありますが、第一点は、御承知かと思いますが、硫安工業の合理化と輸出調整を図るために一つ法律案が提案せられまして、その内容である日本硫安輸出株式会社の事業の運行に関連して、国内市場を圧迫するだろうという見地から硫安の需給安定法というのが同時に提案せられたのであります。然るに肥料全般に及ぶように衆議院のほうで硫安需給安定法は改正せられておりますが、一方硫安工業の合理化及び輸出調整法案のほうは硫安だけに依然として限定せられておるのでありまして、この見地から考えますると、肥料需給安定法のほうだけを広く拡げたということは非常にアンバランスになつておると思うのであります。こういう点について立法政策上如何にこれをお考えになるか、その点を伺いたいのであります。
  30. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも少し私には荷のかち過ぎるお尋ねでございまして、成るほど政府の起案いたしましたものは、はずが合つているようでございますが、どういう趣旨でこの衆議院の御修正がありましたか、私どもよくその御趣旨を存じませんし、又この肥料政策そのものについて、誠にお恥しいことでありますけれども、私自身何ら経験も何も持つておりません。従いまして先ほど申しましたところにも触れます通りに、これはやはりこちらでお考え頂くほかにはどうも我々として御参考になるような意見を持合せておりません。
  31. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次の問題は、特に法制局長官として御意見を伺つておきたいのでありますが、これは先般法制局の他のかたには伺つた問題でありまするけれども、御承知のごとく肥料只今農業者側が配給しておるものと、商業者側が配給しておりまするものとは大体半々であります。商業者側のほうが四九%、農業者側のほうが五一%、殆んど半々、県によりましては商業者側のほうが七〇%前後配給しておる所もあるようなわけでありまして、全く数量的にも全体から見れば半々、場合によつては商業者のほうが多い所もある。同じ大体立場から双方肥料の配給をしておるのでありますが、衆議院における修正はその農業者団体だけに買上保管団体たるの資格を与えて、商業者側の団体はオミツトするという建前を法律上はつきりとつたので、而もこれが実質的に及ぼす影響を考えまするというと、商業者側から見ますると、三十四億に上る肥料保管につきまして、政府からは資金の斡旋もしてくれる、更に倉敷料、利子等の補給もある、本当に損失が出たならばそれに対しては欠損の補填もするという建前になつておるのでありまして、これが政府が委託保管するんだと、これも実質的に問題はないかと思うのでありますが、買上げ、而もそれを保管し、そうして事情如何によつてはみずからこれを販売するという建前になつておりまするが故に、この買上げ、保管数量については全く政府に全部危険負担をしてもらつての商売だということに全くなるわけなんです。そういう点においてこれを農業者側の団体だけに指定するという法律を真正面から作り上げるということは、憲法第十四条の、何人も法の下に平等であり、社会的身分の相違から経済的差別待遇などをしないという、あの憲法十四条に違反する、少くとも実質的に違反するという問題を孕んでおると思うのでありますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  32. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その点も政策問題としては相当考慮に値する問題であろうと存じますけれども只今の憲法との関係から申しますというと、第一この新らしい六条の趣旨買取るべき旨の指示農林大臣がする場合に、その指示の客体となる団体保管団体として抑えておるわけであります。第一義的に考えますことは、この客体なるものそのものが保管団体であるものに限定されておるわけですが、まあ如何なる指定が行われるかは別といたしましても保管団体だけに指示が行くようになつているということがもうすでに政府原案でできておるわけであります。そこで衆議院の修正において更にその保管団体の又適格性を更に内訳と申しますか精密な、精密なと申しましてもおかしいかも知れませんが、要するに農業者関係団体ということに限定しているということでありますからして、筋から辿つて行きますと、先ず保管団体というそこで一つ対象の区別を立てておつて、その対象を更に狭くされたというのであつて、理窟から申しますというと、これは程度の問題、法律的の頭からしますと程度の問題であろうと思います。従いましてなぜこの保管団体というものだけを指示の対象とするかということになるわけであります。これは今のお言葉の中にありました平等の原則というものが確かにございますけれど、まあそこに合理性がある、不合理なと申しますか、故なき差別というものが憲法によつて禁ぜられているというふうに私ども考えておりますからして、そこに合理性があるという、その一点に尽きると私は考えております。従いまして、この法律趣旨から申しますというと、どうも合理性なしとも私は言い得ないと思います。これは又皆さんの御判断にもよらなければならないことでございますけれども、一応私どもはさように考えますからして、これは程度の問題であるからして直ちには憲法の問題にはならないと考えております。
  33. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 原案ではこの保管団体というのは御承知のように何人を構成メンバーとしてもいいという建前になつておるのでありまして、こういうものが構成しなければならんというふうにはなつておらなかつたのであります。従つてその面においては公平な扱いになつておつたと思うのですが、それを修正のほうではその構成メンバーというものを特定のものに限定し、而も特定のものと除外せられたるものとの間においてはすべての点において同一の立場にある、そこに私は憲法十四条違反になる疑いが多分にあるのじやないかという疑問を持つておるのでありまして、憲法を当時作られた佐藤法制局長官にこの点については特に御意見を承わつておきたいと思うのです。
  34. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほどの私のお答えや言葉が少し足りませんでしたので補足いたしますが、一番素朴なところから考えて参りますと、第一項で指示の相手方になるものがすでにそこできまつておる、即ち保管団体以外のものを、これは極めて抽象的に考えればたくさん指示の相手方になるべきものは世の中にあるわけでございますけれども、その中からなぜ保管団体だけを取出して指示の相手方にしたかということ自身について今のお言葉にありました平等の問題がそこに出て来るはずだと思つてそのことに触れたわけであります。従いましてその点から申しましてこれはやはり保管団体だけを指示の相手方とする、これは常識的に考えましても当然だと思つておりますから、この点は合理的な理由が十分あるというわけで何ら憲法上の疑問はございません。そこで第一段のお答えができるわけであります。  第二段で、保管団体という一応差別をしておるわけでありますが、更にその保管団体の幅というものを実はこの原案では農林大臣に一任してあつたものを今度は法律農業者関係のものに限定をされた、更にその範囲が狭くなつたではないかという御心配であろうと思います。でありますからして先ほどの論から申しますと、この農業者だけに限るということについての合理性の問題といいますか、それはむしろ政策としてそれがいいことであるか悪いことであるかということにむしろ繋がることであつて、そのこと自身が憲法の問題にはならないというふうに考えるわけであります。
  35. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこの肥料需給安定につきまして、通産省とか農林省とかいうことについて権限争いに介入するという気持はもとよりないのでありますが、とにかく政府としてはその両者の間が円満に行かないということが一番国民としても困ることでありますので、こういうふうな法案修正ができた際におきましては、その間の解釈を今後実行に当られるところの政府部内の調整役ということでございますから内閣の法制長官にその点について一応お伺いしたいと存ずるのであります。  先ず第一に、先ほど奥野局長から御答弁があつたわけでございますが、繰返して念のためにお伺いしておきたいと存じますのは、第七条の第二項に「農林大臣指示によるのでなければ、前項の規定により保管する肥料譲渡し、」修正になりまして「加工し又は消費してはならない。」ということになつておるのであります。この場合に、奥野局長の御答弁によれば、この規定保管を解除する場合を指示にかけただけであつて、いわば解除条件としての指示だけであつて加工指示するということは全然含まれていないという御答弁であります。然らばその「加工」というものは、文字の通り解釈すれば保管団体がみずから加工するという場合を当然に予想しておるのでありまして、保管団体が他の者に譲り渡して、加工のために譲り渡すという場合は加工とは申さないと存じます。従つて保管団体が直接加工するという場合においてはこれは単に解除するだけであつて、その加工の場合においてはその加工という行為自体については農林大臣所管になるか権限になるか、又は通産大臣権限になるか、その点をお伺いしたいと思います。
  36. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この前提となつております、指示によるのでなければこれこれしてはならないと言つておりますのは、今奥野氏からもお答えがありましたし、その通りだと思います。でありますから加工せよとか、或いは又どういうやり方で加工せよというようなことはこの条文からは指示内容にはなり得ない、かように考えております。
  37. 高橋衛

    ○高橋衛君 それからその次には、第六条の修正案によりますると、政令の定むるところによつて肥料買取指示に代えて、原料を買い取るべき旨の指示をすることができる、ということに相成つておるのであります。この場合に如何なる原料買取るか、又は如何なる方法によつてやるかということは、すべて政令で定めることでありまするが、その政令で定める範囲というものは設置法の枠内においてなされるべきであるか、それともこの法律によつて新たな如何なる政令のきめ方をしてもいいという権限を与えたものと解釈してよいか、その点をお伺いしたいと思います。
  38. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この点ははつきりお答えできると思いますが、これは設置法の当然枠内における政令規定になつております。
  39. 高橋衛

    ○高橋衛君 この法律によりますると、第三条におきまして肥料需給計画を定めることにつきましては、それは農林大臣及び通産大臣の共管ということに相成つておるのであります。これは通産省におきましては、化学肥料生産増進ということが通産大臣の主管であると同時に、農林省におきましては肥料流通というものが農林省の主管になつておるという面から、双方が一体とならなければ適切な需給計画が定めにくいという面から来ておると考えるのであります。これを更に、これは仮定の問題になるかも知れませんが、仮に需給計画原料の面まで推進めるということを考えました場合に、原料の何と申しますか流通問題についてはこれはこの原料流通がいずれの主管に属するかという問題についてはどこにも明文がないように思うのでありますが、原料流通調整するということが政府として必要であると考える場合においては、それはいずれの省の主管に属するとお考えですか。
  40. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは私急場にお答えできませんが、要するにこれはもう高橋さん十分に御承知の上のことでございますが、この法律で言つております需給計画に関する限りは両大臣になつておりまするから、まあ現実問題としてはこの法律についての問題は内閣だろうと思いますが、さて仮に原料流通がどうなるか、今私がここで咄嗟にお答えできる……。今ここで聞けばわかると思いますが、ちよつと調べさせて頂きたいと思います。
  41. 高橋衛

    ○高橋衛君 それからその次にこれはむしろ法律論というよりも、実体論になるかも知れませんが、なお法律の体裁の問題とか、法律構成の問題としての御意見を伺いたいと存じますが、この第六条の第四項に肥料需給計画というものの中に、政令で定めるところにより買入れた場合におけるところの肥料に換算した数量需給計画に含めるということに相成つているのであります。これは具体的な対象となるものは過燐酸石灰の原料であるところの燐鉱石であろうと存じます。過燐酸石灰につきましては、その原料の殆んど大部分を国外から輸入している、従つて過燐酸石灰の需給計画を立てるという場合におきましては、これはもう当然に原料需給計画というものがその根幹になるものだと私は考えるのであります、従つてこの法の体裁として肥料に変ると、肥料に変つたから保管団体保管させる、原料だけを需給計画の対象にするということには、これは需給計画そのものが何と申しますか、体をなさないのではないかというふうに私は考えるのでありますが、その点についての御意見を伺いたいと存じます。
  42. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはちよつと私にはどうも分に過ぎたお尋ねで、やはりこれは立法政策の問題に繋がつていることじやあありますまいかと考えております。この需給計画の中にはつきり謳うか謳わないかという問題になるのじやないかと思います。それが適当であるかどうかという意味で……。
  43. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) これはこの肥料需給調整というので肥料ばかりを眼目に置いて立てて、その原料はただ換算はいたしますが、その肥料のあらかじめきめたその星の中においての換算に過ぎない。飽くまでも肥料数量というものを原則にいたしております。
  44. 高橋衛

    ○高橋衛君 それでは奥野局長にお聞きいたしたいと存じますが、御承知通り過燐酸石灰は先ほども申上げました通り、殆んど全部が輸入原料によつている。而も輸入原料をどの程度にするかということは、結局外貨の割当その他によつてきまる問題でありますが、例えば輸入業者が持つているところの燐鉱石、それから生産業者が持つているところの燐鉱石、それが製造されたところの過燐酸石灰、それらのものを一体として考えないで過燐酸石灰の需給計画を立て得るとお考えになりますかどうですか。
  45. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) それは一体として考えるために第三条で農林大臣及び通産大臣で以て需給計画を立てるということになつておりますので、それは立て得るだろうと思います。
  46. 高橋衛

    ○高橋衛君 保管団体の保有し得るところのものは、大体消費数量の一割を基準として保管するという建前になつております。然らば輸入業者又は生産業者が持つておりますところの原料燐鉱石というものの数量が、あとのこれは時期的に見ていろいろ差はあると思いますが、とにかく九割を占めている。そうするとその大部分は抜かしておいて、極めて僅かな部分、而もそれは製品に換算された燐鉱石の部分だけを捉えて需給計画を立てるということで、それで法の体裁をなし得るとお考えになりますか。
  47. 村田育二

    法制局参事(村田育二君) ちよつと補足さして頂きますが、需給計画内容となつておりますものは飽くまでも肥料そのものに過ぎませんで、需給計画というものには原料というものは表面に出て来ないわけであります。三条二項四号の「保留数量」というのは、これは肥料保留数量を定めるわけでございます。ただその補足的な手段といたしまして、六条二項で原料買取指示をやつた場合に、その原料需給計画に定めるいわゆる肥料の枠内にするために、六条四項で換算の操作をするわけでございます。
  48. 高橋衛

    ○高橋衛君 然らばお伺いいたしますが、六条四項によつて保有する数量を一割を基準としてと言われるのでありますが、その一割を基準としてというものの総体の需給計画肥料だけでやつて原料を含まないというものによつて、全体の本当の意味におけるところの過燐酸石灰の需給計画が立てられるかどうか。御承知通り過燐酸石灰は製品として保管することが極めて困難であるという建前から、止むを得ず原料によるところの保管をさせよう、こういう趣旨でこの修正案を作られたと考えられるのでありますが、然らば、その原料需給計画の中に入れずに考えて需給計画が立てられないと私は大体想像するのでありますが、而もその立てられないところの製品のみの需給計画を立てて、それを基準にして一割を限度とする範囲に持つて来るということはそれは適当であるとお考えになりますか。
  49. 村田育二

    法制局参事(村田育二君) それはむしろ実体的な問題に関連するのではないかと思いまして、私どもとしてはちよつとお答えできません。
  50. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどの内閣法制局長官の御答弁では、この政令で定めるというその政令は、飽くまでも設置法の枠内でということでございましたが、そうなりますと政令品目数量、時期等について定められるわけでありますから、数量、時期はこれは問題になりません、結局品目だけになると思うのです。そうすると品目だけでありますというと、通産省設置法の十三条で鉱物鉱山局所管に相成つておるわけであります。そうするとこれは鉱物は除外されるという意味でありますか、この政令で定められる品目のうち……。
  51. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いや、そういう意味ではございません。この設置法で言つております各省大臣権限は勿論ここで干渉いたしませんけれども、およそこの物と申しますか、この原料になるようなもの、肥料ばかりではありませんが、一般に物というのは大抵各省の所管に亙つてどこかの所管になつておるものと思います。そういうものがたまたま各省の所管であるからという意味でそのものを買えという命令が政令では書けないということには私どもは考えておりませんので、物自体は買うことはそれはかまわんわけでありまして、その農林省が農家のためを考えてこういうものを買いなさいという、そのものを農林省権限として買いなさいということは法律の裏付けがあればできることであります。その法律に基く政令でそのことを更に細かくおきめになる、どういうものということを指定するということは、そのことが直ちに各省の権限を奪つたとは考えませんで、各省の権限の対象となつておるものを買いなさいということにとどまるというふうに了解しておるわけであります。
  52. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは参議院の法制局から御説明を願いたいと思うのでありますが、修正案のみならず附帯決議について伺つてもいいんでございましようか。
  53. 中川以良

    委員長中川以良君) どうぞ。
  54. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この附帯決議の末項に「本法の運用を適正円滑ならしめるため現在農林通商産業両省に分掌二元化せられている肥料の行政事務をできるだけ早い機会に一元化すること。」とありますが、これの狙い所は具体的にはどういうことなんでありましようか。
  55. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 実はこの附帯決議は我々のほうで立案したものではございませんのでちよつと……。
  56. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私はこういう附帯決議がついているところから先ほど委員長も指摘されたるごとく両省所管に非常に混淆を、今度の修正案で来たすということを裏書しているのだと思う。今度の修正案がどういう両省の行政に影響を及ぼすであろうか、又その影響如何によつては両省の行政事務を一元化せざるを得ないという含みがここにはつきり出て来ていると思うのでありまして、これは附帯決議でありますが、両者の設置法なり或いは両省の行政それ自体に非常に関係があるという前提の下に今回の修正案を見た結果来ておることだと思いますので、専門家でおられる参議院の法制局長並びに内閣法制局長官がおられるのでありますから、今度の修正案が如何に両省、特に農林省の行政に影響を及ぼし、又両省の行政を調整しなければならんのであるというふうに具体的に考えられるか、その点について両方から意見を伺いたいと思います。
  57. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私も今の決議そのものは全然拝見しておりませんけれども、先ほども触れましたように、この肥料の行政の問題というものはこの両省の権限に亙つて非常にデリケートなものがあるということはもうかねがね政府部内においても研究の対象としておるわけでありまして、共管事項の整理とかその他前回企てました、前回以来やつておりまするいわゆる行政機構改革の研究題目としてもこれは大きな問題として取上げて参つておるわけであります。併しながらまだ何分問題がむずかしいものでございますから、結論は得ておりませんけれども一つの重大なる問題として現に研究を継続しておる次第であります。
  58. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) これはちよつと政府の問題でございますので私からは意見を差控えたいと存じます。
  59. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 通産省も官房長等見えておりますが、この際今度の修正案が両省の行政にデリケートな影響を及ぼすであろうという点について率直忌憚ない意見を聞いておきたいと思います。
  60. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 参議院で今お考えになつておりまする修正案につきましては通産省生産の面におきまして相当影響があることは、これは先ほどの法制局長官からのお話によつても事実だと思います。ただ修正案が国会で成立しました上におきましては我々としましては両省で、事務当局間で緊密なる連絡をとりましてこの法律趣旨達成に努力したいと思つております。先ほど来お話がありますように、言葉が出ておりましたが、我々事務当局間で例えば権限争いだとか、或いは事務の不円滑だとかいうことは毛頭ございません。現に御案内のように政府が提案いたしました法律につきましても両省間で十分緊密な連絡をとりましてその間に毫も意見の対立等ございませんようにまとめてやつて参つたのでございます。今後とも両省のそれぞれの範囲内におきまして十分に協力してやつて参りたいと思います。
  61. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 通産省はそうすると今度の修正案を歓迎しておられるわけですか。
  62. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この参議院でお考えになつておりまする修正案が望ましいとは思いませんけれども、これは国会の御判断でございまするので、こういう修正案が通過いたしますれば、これはでき上つたものとしまして、我々としましては十分に連絡をとりまして両省の間に無用の摩擦を起さないようにしたいと思つております。
  63. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この際希望を申述べたいと思うのでございますが、私の考えるところでは今回の修正案は将来両省の行政に非常に大きな摩擦を生ずる虞れが多分にあると思うわけでありまして、そういう面においていずれそういう際には行司役には佐藤法制局長官が立たれるのであろうと思うのでありますが、さだめし御迷惑をせられるであろうと思うのであります。でこういう通産委員会においてのいろいろ論議のありましたる点を十分に御了得願つておきましてむしろさような摩擦が起らないように事前に私は措置をとられることを希望するものであります。  それと、もう一つ附加えておきたいと思いますのは、先ほどの違憲論でありますが、私は御答弁では私自身としては納得いたしておりません。むしろ時間が許すならば……一体憲法第十四条でいう、然らば、経済的な差別待遇或いは社会的地位の相違といつたものはどういうことを狙つておるのか、詳細今度のケースに似たような具体的な例を伺つて見なければ私は納得できんのでありますが、納得の行つておらんということをはつきり申添えまして私は質問を終ります。
  64. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつと委員長にお伺いいたしますが、この附帯決議農林委員のほうから来て説明するのでありますか。
  65. 中川以良

    委員長中川以良君) この附帯決議を若しも説明をお求めになりますれば、これは提案者である農林委員が来て御説明されるべきものだと思います。但し当委員会から申入れたのは、最後から二番目の項でございまして、これは附帯決議に附いたのでありますが、あなたはちよつとお見えになるのが遅かつたんでありますが、この附帯決議を附けることに承服をしたということは、我々は本文において飽くまで修正を主張して参つたのであります。ところが農林委員長の申されるには、若しも本文修正すれば他の修正部分が出て来て、好ましくない修正も出て来るから、従つて修正をしないで附帯決議で我慢をしてくれというお話であります。それですから皆さんにお諮りして私どもは承認をしたわけですが、然るにああいう本文で大修正を加えたにかかわらず、我々の当初から強く主張しておつたこの問題を修正してもらえなかつたということは私は非常に遺憾に思つております。
  66. 海野三朗

    ○海野三朗君 今日は法制局長官がお見えになつておりますから私もちよつと伺つておきたいのですが、この修正案に、農林通産両省に分掌二元化されているから肥料行政事務をできるだけ早い機会に一元化しろという修正案が出ているのですが、こういうことは法制上つまりどういうことになりますか。私は甚だこれは面白くないことであるというふうに考えるのでありますが、これはあなたは当面の責任者でいらつしやらないですが、私は法制局長官として法律家でいらつしやるからお伺いするのでありますが、どういうものでしようか。例えば鉄道のほうにおきまして前の鉄道学校、この鉄道のほうの学校において普通の中学の程度の教育をなさんとした際に、鉄道のほうの人間であつて、鉄道で使うのであるからそれは文部省で文句言うなというようなことでありました。ところが文部省は、日本に現存している以上はやはり学校という立場から見なければならない。鉄道であるからして特別に中等学校を鉄道のほうにこれを許すということはできないということで、つまり教育についてはやはり文部省一元化の線を強く持つて来てあつたように私は記憶しているのでありますが、この肥料なんぞにつきましても肥料を使うのは百姓であるから、すべて一元化して農林省がこれをつかまんとする、その考え自体が私はどうも法的に考えて納得が行かないのでありますが、一体法の上からお考えになるとどんなことになるのでございましようか。私存じないものですから御指示をお願いしたい。
  67. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御指示どころではございません。実は先ほど豊田委員にお答えしましたように私ども一番悩んでいるのはその問題でございます。これは今御指摘のような問題もございますし、或いは行政を見渡して見ますと、学校の問題以外にも例えば港の関係も大蔵省が税関を持ち、運輸省がどうのこうのというような関係がたくさんございますし、水道の問題にしましたところで水を飲むほうの人の立場を考えるのは厚生省だ、併しその工事をやるほうは建設省だというような問題がいろいろな行政にたくさんございます。これらのことは実は成るべく一元化してやつたほうが能率も上りますし、責任も又はつきりするわけでありますから、これが望ましいことは何人も異存はないのでございますけれども、さてその限界線をどう引くかということが結局現実問題に当つて参りますというといろいろな考え方がありますものですから、結論がどうしても出ない、只今水道の例が出ましたけれども、水道事業は多年の懸案になつておりましたのを、漸く先ほども触れました行政機構の改革問題に関連いたしまして、先ず或る程度の調整を加えたものを御提案申上げたわけですが、今の肥料の問題などもその種類の問題としては一つの大きな問題だろうと思います。今申しましたように、その見方の角度を変えますというと、これは農民のかたがたのためだという点からの見方もできますし、又一つ生産向上ということになりますというと、やつぱりそのほうの見方も出て来るということになりまして、いろいろ複雑なからみ合いを持つておりますために、ついまだすつきりした線が出ておりません。従いまして我々としてはなお今のいろいろな例について申しましたそれらをすべて総合的に考えまして、成るべくこれを一元化して行きたい、かような希望を以て現在なお研究を続けておるわけなんであります。
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) 最後に私がもう一点ちよつと伺いたいのでありますが、第六条の先ほどお話のあつた二項の問題でありまするが、この修正に「加工」という字が入つたのでございますが、加工に対しては奥野局長お話ではいわゆる保管を解除する意味だというお話でありました。何が故に加工という字が出て参つたのであるか。第七条には「保管及び処分」という字があります。処分なら私はそれでいいのじやないか、加工はやはり農林省としてこれを加工せしめるという意味合いが多分に含まれておるものと存じますが、この点は法的にどういう解釈になりましようか。
  69. 奧野健一

    法制局長奧野健一君) 処分と申しますと譲渡、消費、加工、すべてを総合しておる言葉と思います。そこで処分といたしてもいいかと思いますが、そういたしますと、今ある譲渡或いは消費というものを消さなければなりませんので、そこに加工を入れて全体的に見るとやはりこれは処分と同じことであろうというふうに考えております。
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) どうも法的の解釈は非常に困難のようでございますが、私も豊田委員同様今日の御答弁を以て決して満足いたしません。併しこれ以上本日お話をしてもしようがありませんから、一応法的疑義の点については御質疑はこの程度にいたしておきまして、実体論にこれから入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは佐藤法制局長官はお休みのところわざわざ御出席になつたのでありまして、御退席を願いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。それではどうも……。  ちよつと速記をとめて。    午後三時三十四分速記中止    —————・—————    午後四時二十六分速記開始
  73. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは速記を始めて。  それでは先ほどの肥料調査の件につきまして引続き通産大臣に対する質疑を行います。  最初に私から通産大臣にお伺いしたいのでありまするが、実は肥料の二法案につきましては当委員会において慎重に審議をして参りまして、特に当委員会にかかりました合理化法の審議に当りましても農林委員会にかかつた需給安定法とも睨み合せまして審議を進めて参つたのであります。殊に私どもが指摘をいたしました点は大臣も御承知のごとく保管団体農業者又は農業者の組織する団体ということになつておりまする点を強く指摘をいたしましてこれの修正農林委員会に要求をいたしたのであります。然るにかかわらず農林委員会はこれに応じないで他の修正をして、この私どもの要望の件はその修正の中に入れないで、ただ単に附帯決議といたされたのであります。こういう点につきましても当委員会といたしましては誠に遺憾に考えております。そこで本日はこの点に関しまして先ず法制上のいろいろな疑義がございまするので内閣法制局長官並びに当院の法制局長を招致いたしましていろいろ質疑応答をいたしたのでありまするが、いずれも釈然とした、私どもの納得の行く答弁は遂に得られなかつたのであります。特に私どもの懸念いたしまする点はこの肥料の今後の行政の面におきましてこの新らしい修正個所が各省の設置法牴触する慮れがあること、又これを契機といたしまして農林省通産省肥料行政の面におきましていろいろな私は見解の相違、この法の解釈等によりまして肥料行政が波乱に陥る虞れが多分にありますことであります。特にこういう点等について私どもは今伺つたのでありまするが、どうも誠に明確なる、私ども納得する答弁を得られなかつたのでありまして、遂にこの法的根拠の論争は一応本日はこの程度でとどめたわけであります。そこで只今よりは実体論について一応通産大臣にお伺いをしたいのであります。  この修正をされました根本の問題は、いわゆる肥料のほかに肥料原料が今後対象となつた点であります。そこで肥料原料ということになりますると、いろいろ考えられるのでありますが、殊にこの対象となつたのは私は燐鉱石であるということはこれはまあ明らかな点であると思います。そこで何が故に燐鉱石保管団体保管をしなければならんかという点について非常なる疑問があるので、通産省としても恐らくそういう点は御承服にならん点であろうと思うのであります。何となればいわゆる需給安定をいたしまするためには、肥料を或る程度確保をいたしますことはこの法律精神において当然なことでありまするが、過燐酸石灰のいわゆる需給安定のためにその原料を確保するということは恐らく過燐酸石灰はこれを確保保管をいたしますることはあの肥料の性質上から申しまして、叺詰めにいたしましたものは叺が腐り、縄が腐つて参る。従つて長期の保管に堪えないからこれは当然原料保管をしなければならんという考え方で立法者は修正した立法の考え方があると思うのでありますが、併しこれは何も燐鉱石保管をしなくても過燐酸石灰になつたその製品をメーカーの倉庫に置いて指定の場所にこれを監督をして保管をせしめれば決して腐るものでなく、むしろ長く置けば置くほどこの過燐酸石灰の性質としてはよくなるものでございます。そこでもう一点は原料保管をしておられればこれは又加工をして肥料にするまで日数もかかるので製品を以てさような保管をすれば、いざというときはすぐ工場から出せる。叺入れをすればすぐ発送ができるという状態、当然こういう私は保管は必要がないという点が先ず考えられる。この点を先ず一つ通産省側の意見を明らかにして頂きたいという点と、それからこの燐鉱石になりますと、これは国内の生産が全くないのでありまして、全部が輸入品であるが故に、外貨の割当を当然しなければならん今日、通産省のやつていらつしやるところの外貨の割当というものは、先ずメーカー割当制でございまして、生産工場に割当せられて生産工場はこれをインポーターである輸入業者に委託して輸入をさしている、従つてつて参りましたものは皆紐付きであり、いわゆるメーカーの発注によつてインポーターが輸入したものでございまするからこれは直ちに輸入後においてはメーカーに送られるべきものであります。そういうようなものも農林大臣が仮に保管団体買取指示をいたしまして、買取りし得られる私は理由はないと思うのであります。又買取り得る性質のものでもございません。殊に速記録を拝見をいたしましても、愛知通産大臣農林委員会におきまして保管団体には外貨の割当は絶対にしませんということを言明をしておられるのであります。こういうことを見ますと非常に私は矛盾がある。仮に買うことはまあ一歩譲るといたしましたならば、メーカーはインポーターに輸入を委託した。インポーターはメーカーのいわゆる輸入許可書によつて輸入をするのでありまするが、自己のいわゆる責任において輸入をしておりますので、それが通関をして入手をしますると一応はメーカー自体のリスクにおいて輸入したものでありまするから自分のものでありまするので、それを他から買取つた場合に売ることもそれは私は恐らく法律上可能かとも存じまするが、併し商業道義から見ましてもそういうことはすべきものでもなし、又そういう場合には恐らくメーカーの発注価格よりも高く向うは買つてくれるから売るということがありといたしまするならば、本法の精神を全く没却するものであります。こういうことは私は絶対なかろうと思うのでありまして、然らばこういう法律をなぜ作らなければならんかという点に一応疑問を持つておるので、この点は一応私は通産大臣意見を明らかにして頂きたいと思うのであります。  それからなお農林大臣がいわゆる買取指示をしたといたしましても、これは通産大臣肥料生産計画を、需給計画を立てて、それに基いてやつておられまするので、仮にメーカーが何かの形で持つたといたしましても、それを売渡すことに対する制限をなさることができるかどうかという点であります。併しこれはメーカー自体が仮に持つていてもいやだと言つたならば、強制的にこれは売渡しをしなければならんという裏付けは何らないのでありまするので、この立法は非常な片手落の立法であり、肥料業界の混乱を徒らに招くだけではないかと思うのであります。先ずそういう実体の問題について通産大臣の御所見を承わりたいと思います。
  74. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この臨時硫安需給安定法につきましては、御承知のように数回に亙りまして両院を通じて非常に御熱心に御審議を頂きまして、漸く大詰めになつてつておるわけでございますが、その最後の段階におきまして御承知のように衆議院においても修正をされ、更に参議院の農林委員会におきまして只今委員長のお言葉のような修正が加えられておるわけでございます。私はこの政府側でございますからその最近の修正に至りました経緯なり或いはその修正されました個所なりについて意見を申上げることは差控えたいと思うのでありますが、先ず第一にそれとは別個にこの法律案の現在の段階を批評するといいますか、意見を申上げますことと、別に今お尋ねの数点についての通産省の見解をお聞取り願いたいと思うのでございます。この、今お話がございましたのは修正案の第六条第一項が中心になつておりまして、衆議院の修正によりまして当初硫安というふうに考えられておりましたのが、肥料に拡がつて来る。そこで衆議院送付原案を基礎にして申上げますると、あの法律案が実施されるときに将来必要によつて第二条に過燐酸石灰を政令で定めるという場合が当然予想されます。その場合におきましては農林大臣は同法の第六条によつて指定する保管団体に対して所定数量の過燐酸石灰を需給調整用の保有数量として買取れることに相成るわけでございますが、その際只今委員長が御指摘の通り過燐酸石灰が長期貯蔵に適しないという事情があるから、そこで燐鉱石買取らなければならない必要が生ずるのではないかということから、今度は参議院農林委員会におきまして、こういうような修正が必要だということに相成つて来たのだろうと思うのであります。ところがそれに対して私は通産省のかねてからの意見といたしましては、成るほど過燐酸石灰がそのままの姿では長期の貯蔵に適しないでございましようが、必要により、又只今通産委員長がお述べになりましたような方法によりまして、随時新品と交替し得るような適宜な措置ということはいろいろな方法でできるわけでございます。従つてさような保管団体燐鉱石を買わせるというようなことをする必要は私はないのではなかろうかという考え方が従来からの通産省の考え方であります。それからその次に燐鉱石輸入品でございますから、その輸入に対しましてどういう措置をするか。例えば実際の消費者でありまするところの団体に対して為替の割当をするのがいいか悪いかというような第二段のお尋ねに対しましては、私は従来から只今御指摘のあつた農林委員会においてもはつきり申上げているのでありますが、外貨の割当の私どものとつておりまする態度は、消費者側に対しまして、その使用する商品の原料までを購入するために外貨を割当てるというようなことはやつておらないのでありまして、これは我々の外貨割当に対してとつておりまするところの根本の原則であります。従いまして外貨割当の際の行政措置としてこの法律を別にして考えますならば、当面問題の保管団体に対して所要の燐鉱石輸入に必要な外貨を割当てるということが適当ではないと考え、従来からとつておりまする我々の態度でございます。それからその次に農林大臣が今度は買取指示をするというときに、そもそも通産省が計画をしてその計画に従つて行政をやるのに対して、これを横から農林省指示をしたり制限をしたりすることができるかどうか、若しできるとすれば非常に片手落になるということは、そういう場合が、表面から考えると申しますか、真正面から御覧になりますと、そういう場合が予想されるかと思います。併しこれは若しいい、悪い、或いは我々の意見はともかくとして法律ができました場合におきましては、その法律の運用に当りまして政令の定めるところにより、或いは事実上の行為によりまして、農林省通産省との間で緊密に協力いたしまして、行政上に齟齬のないように、又命令が同じ政府として二途に意思が出ることのないようにできるだけの調整に努めなければならないと考えております。で一番最初の御意見でございましたが、第六条の、参議院農林委員会修正案の第二項によりましても、「政令の定めるところにより」というようなものが幸い入つておりますが、実際はこういう政令を具体的に書きます場合に、できるだけ農林省通産省が協議をして定めるというようなことにする等、できるだけそういう齟齬の起きないようにいたしたい、こういうように考えておるわけでございます。大体お尋ねになりました点はそういう点だつたと思いますが、更にお尋ねを待ちましてお答えをいたしたいと思います。
  75. 中川以良

    委員長中川以良君) そこでお尋ねをいたしたいのは、保管団体には外貨の割当をしないということは、大臣は御言明になつておりますが、この法律が出まして、農林大臣から要求があつた場合に、保管団体に外貨の割当をなさる御意向があるか、或いは又従来の形式を破つてインポーターに直接肥料原料買取について外貨の割当をなさる御意向はあるかどうかという点を承わることと、なお全体的に見まして、この修正通産大臣としてこれは好ましいとお思いになるかどうか、私はこれは肥料行政上決して一つの進歩でなく、むしろ後退である、混乱を招く因をなすと我々は考えておるのでありまするが、その点を伺いたいのであります。
  76. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたようにこの修正案が成立を仮にいたしたといたしました場合におきましても、通産省立場としては、外貨の割当について、燐鉱石について消費者側に割当てるということはいたしたくないのでありまして、この法律ができました後においても、法律違反にならないように、事実上農林大臣と十分協議をして、私どもの希望が達せられるようにするほかはないと、かような場合においてはそうするよりほかはないと、こういうふうに考えております。  それから今の最後のお尋ねでございますが、これは農林委員会におきましても、いろいろ通産省立場を御説明するように努め、又率直に意見を申したのでありますが、それがお取上げにならなかつたことは私としては遺憾でございますが、誠にこれは微力で申訳なかつたのでございますが、私個人の意見としては、せめて衆議院修正原案の程度においてこの法律案がまとまるということにいたして頂きたい。これは通産省立場における、並びに私個人としてさように考えるわけでございます。
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) それから法律内容について余り述べたくないという御意見がございましたが、これはまあ大臣として一院の修正でございまするので、当然のお答えかと存じまするが、私ども承わりたいのは、この修正にございまするような、この肥料原料指示をしなければならん、この需給調整を図るため止むを得ない必要があるときと認めるときは、この止むを得ないと、こういうような一体事態が想像できるかどうか、如何なる場合がこの止むを得ない事態に即応をすべきであるかどうかという点は、どういうふうにお考えになつておりますか。
  78. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) どうもこの率直に申しまして、これも書かれた執筆者の御意図というものは、私にはよくわからないのでありますが、止むを得ない必要があると認めるときはという認定は、これは農林大臣が認定することになつておるように思われるのでありますが、その認定を農林大臣がするときには、これは法律解釈として如何かとは思いますが、先ほど申しましたように、政令の定めるところによつて指示をするわけでございますから、その政令を書くときにもそれらの点を十分勘考して書かなければなるまいと思います。又事実上農林大臣との間に緊密に連繋をとりまして、できるならば止むを得ない必要というものがないように考えたい。私としては言い過ぎかも知れませんが、さように考えるわけであります。
  79. 中川以良

    委員長中川以良君) 「政令の定めるところにより」ということがございまするので、これは政令をおきめになる際には或いは閣議において、或いは経済閣僚懇談会等において十分お打合せがあると存じます。この点は先ほど法制局長官もお触れになつたのでありまするが、ただ私はそこで調整ができるからという言訳に安堵するわけには参らんと思いますが、殊にこの肥料原料生産業者生産した肥料原料というものは如何なるものを意味するものか、これは我々が広義に解釈しまするならば、先ほども西川委員からお話があつたのでありますが、電力も然り、或いは石炭も然り、コークスも然り、いろいろな問題が、まあ一番手近な問題は、硫化鉱のごときは肥料原料として最たるものであると思いますが、こういうようなものまでもこれに含まれるかどうかということは、私は常識的には考えられないのでありますが、何が故にこういうようなものを書かなければならんという点は、これは大臣が政府原案でないからお話してもしようがないから、やはり同様な御見解をお持ちだろうと思うのでございますが、如何でございましようか。
  80. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その通りでありまして、その解釈のしようによつては或いは電力、石炭まで及ぶというようなこれは書き方ではなかろうか、そこで私どもはこういう法律ができた場合に、行政当局の責任者としては恐らくそういうことまでここで立案者は考えておられるのではなかろうかというその趣旨まで大いに御忖度を申上げて行政上に不測の影響があるようなことはとどめるような努力をしなければならない。そういうような意味におきまして、行政上はなかなかその基礎になる法律としては読みにくい、解釈のしにくい法律であるということは率直に申上げまして、私としては考えざるを得ないわけであります。
  81. 中川以良

    委員長中川以良君) まあ結論的に申しますと、この修正案が若しも通つて立法化されたならば、通産大臣としてはできるだけ農林大臣と御連絡をおとりになつて運営に混乱、齟齬を来たさないようにやろうという御努力を御披瀝になつたのでありまするが、併し修正するよりも無論衆議院送付原案であることが好ましいということは、はつきり今もおつしやつたのであります。私どもは無論今の大臣の御所見のごとく同意をするのであります。而もこれが修正された場合には、大臣は余計に骨を折らなければならんので、そうしたことによつて決して肥料行政は円滑に前進するとは思わない。むしろ非常に御努力しても或いは肥料行政はこういうことのためにややもすれば混乱を招く虞れがある、こういうふうに私どもは考えるのでございます。そういうように了承してよろしうございましようか。
  82. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはなかなか私からも申しにくいのでありますが、冒頭に申しましたように、国会で修正をされ、それが議決されたという場合を予想し、それを前提としますれば、それに対して政府側としては何ら申上げることはないのでありますが、それが国家の最高の意思の決定になりますから、その下において行政当局といたしましては非常に困難の度を加えますけれども、止むを得ませんから、関係当局、即ち農林省或いはその他と緊密な協力をいたしまして、非常に難きを加える肥料行政の上にできるだけ公正円滑な運営をやつて参りたい、こう申上げるよりほかにないと考えるわけであります。
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) 併しもう一遍重ねて申上げますが、修正するよりも衆議院送付原案のほうが好ましいというふうに大臣も私どもと同じようなお考えを持つていらつしやるということを私は了解をいたしますが、それでよろしうございますか。
  84. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどその点についてはお答え申上げました通り、私は相成るべくんば衆議院送付原案を以て参議院の意思が決定せられたい、私の個人としての意見はさようでございます。
  85. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今回の修正保管団体が委託加工をやる場合があるというふうにお考えでございましようか。
  86. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 委託という法律上の形式をとりまするか、或いは売渡買取という形式をとりますか、その辺は実際問題になると存じますが、いずれにいたしましても、原料保管者に経済上優位な地位が与えられることは事実であると思つております。
  87. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ちよつとわかつたようなわからないのですが、原料保管保管団体がする。そうして農林大臣指示した場合には加工もできるということなんですが、それは燐鉱石の委託加工によつて保管団体が過燐酸肥料の製造をやるという場合があるかどうかということを僕は質問しているんですが、その点をはつきりして下さい。
  88. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その点は加工という言葉解釈は、先ほど法制局長官の答弁、若干私もわからんところがございましたが、要するにこの加工保管の解除だというふうな消極的な意味が中心だそうでございますが、委託加工ということ自体を指すことは必ずしも明確でなかつたように私ども聞いております。従いまして今の点は、要するに加工料を払いました賃加工という形式をとりまするのか、或いは原料をしかじかの価格で渡しまして買取肥料価格をきめてやるという売買の二つの形をとりまするのか、これがちよつと実情によつてそこはいろいろな場合があり得るだろうと思います。経済上の問題としては先ほども申上げましたように原料保管者のほうが極めて有利なことはあり得るだろうと思います。
  89. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 経済上の点は別として、七条の二項で行きますと、農林大臣指示によるのでなければ加工してはならん。農林大臣指示さえあれば加工することはいかんとは言えんということになるわけですね。そういう点から今回燐鉱石保管をしておればそこに加工の形で過燐酸石灰の製造をする場合があり得るのだとなぜはつきり答弁ができないのですか。
  90. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 製造すると申しまするにも、保管団体が自分で行うというわけではございませんので、ほかの工場で現実の過燐酸石灰製造をおやりになるので、その法律上の関係が純然たる委託加工になりまするか、或いは売渡買取になるのか、これは実際問題だと思います。
  91. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 少くとも委託加工の形で製造しても悪いとは言えんというふうに解釈せざるを得ない、その点はお認めですね。
  92. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) さようでございます。
  93. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その場合の通産省所管との関係はどういうふうになるかということを質問しておるのであります。
  94. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この点は先ほど内閣の法制局長官から御答弁したところでございまするが、その点は先ほども申上げましたように、若干はつきりしないところがございましたが、加工というのは物的な加工というふうな意味が中心だというよりも、むしろ譲渡、消費というふうなことと並んで保管の解除というふうな消極的な意味が中心だというふうな御解釈のようであつたようでございます。我々といたしまして、その解釈に対しまして、それは違うのだということを現在申出るまでの実は研究を持つておりませんが、加工という文字を物的加工解釈しますと、若干問題はあるんじやないかというふうに考えております。
  95. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 何も責めておるわけじやないけれども、委託加工の形で保管団体が過燐酸肥料の製造をする場合があり得るということであるならば、その際に通産省としてどういう措置、態度をとるべきかということを遠慮なくはつきり答弁されることは一向国会に対してどうこうという御遠慮の筋ではないと思います。
  96. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今豊田委員のおつしやるように、これは私も実は昨晩以来研究して見たのですが、その法律解釈の問題と実際上の問題と併せて考えれば法制局長官保管の解除ということを言われたそうでありますが、やつぱり委託加工は入ると思います。実際上その委託加工が入つた場合に本来の通産省権限とどういう関係になるか、これは実際申しますと、先ほども或いは言い足りなかつたかも知れませんが、非常に困つたことになるので、これはもう御想像頂けると思うのであります。そこでそこまで行くような修正になつておりまするから、これが成立いたしましたような場合には、この法律の執行に当る我々行政府としては非常に困ることがあるので、十分一つ農林省のほうと事実上打合せを常にやり、緊密な連繋をとつて行かざるを得ない、こういうふうに考えております。
  97. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 非常に御遠慮になつて御答弁のようでありますけれどもお話のところは通産省所管とはつきり触れる場合が出て来るというお話なんでありまして、そうなりますと、通産省設置法修正案との法律的な相互関係はどうなるかという質問をせざるを得んのでありますが、それは如何にお考えでありますか。
  98. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは非常に微妙な問題なんでありますが、或いは通産省設置法牴触するという解釈もあり得るかと思います。
  99. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  101. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 現在のこの外貨割当の現状から見まして、今度の修正案によりまして保管団体燐鉱石輸入について外貨割当を受けるということはないと、先ほど大体そういうお話があつたのでありますが、外貨割当を受けんまでも輸入燐鉱石を買上げるだけの余地がある将来お見通しでありましようか。
  102. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあ外貨事情の将来は楽観を許しませんので、そういうふうに原料のままの形で相当期間生産過程に入らないものを持ち得る余裕があるかどうかということは、これは相当問題だろうと思つております。で、むしろ先ほど大臣が申上げた趣旨は、そういうふうに原料保管しますれば現実の製品となつて出荷までに相当の期間も要しましようし、そういうことを考えればむしろ製品として出荷に直結した形で保管したほうが適当ではないかということを申上げたのであります。又技術的に見ましてもメーカーの工場等におきまして保管団体が買収保管の形でそこに保管させまして、そうして状況に応じてそれを出荷せしめるということもこの際としてはむしろ外貨の効率的な運用から言いましても適当ではないだろうかというふうに我々事務当局としては考えておりますので、その辺の運用に当りまして農林当局のほうと十分に相談いたしまして、工場で保管するという形でそういうようにしたいと考えたのであります。
  103. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私が尋ねておるのは燐鉱石の現実の外貨割当なり、或いは輸入状況から見まして、買上保管団体がこれを買上保管をするだけの余裕がないということになりはしないか。そうなればこの法律がかような修正になりましても、実際問題としてはかような場合は殆んど起らないというふうに考え得るかどうかという点です。その点を聞きたいと思います。
  104. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 通産の事務当局の研究によりますると、この規定修正を入れましても、この条項を発動して鉱石の保管をいたすような場合は、これは余り必要ないのではないか、こう思つております。  それから鉱石保管ということは全国内消費量の一割に相当いたしますることになりまするので、そういうふうなものを、相当まとまつた数量になりまするので、そういうものを或る程度まとめて入れて而も生産過程に入らないままで保管さしておくというようなことは、これは外貨事情から見ても容易ではないと、かように考えております。
  105. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 で、問題でありまするが、通産省所管関係のほうは依然として硫安関係だけでありまして、硫安工業合理化及び硫安の輸出調整法案になつておるのでありますが、農林関係のほうは肥料一般に需給安定法が及ぶということに衆議院の修正の結果なつたわけでありますが、その点については初めこの法律案の立案の場合の意図と大分変つて来たわけであります。結果的に見ると通産省所管関係については肥料関係法律は恐らく硫安関係の今度の法律だけだということになります。農林関係のほうは肥料全般について需給安定措置が法律的な措置として今後とられる。これで肥料行政全体を通じて見た場合には硫安を除く面についても農林関係のほうからは法律的な措置がどんどん出て来る。こういう面において通産省肥料行政というものが混乱に陥るようなことはないか。これも先ほどの肥料行政の問題に触れて来るわけなんでありますが、一方は硫安、一方は肥料全体ということになつておる点から将来どういうふうになつて来るだろうかという点について疑問を持つものでありますが、その点について御意見、お見通しはどうでありましようか。
  106. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはお話のように当初考えました二本建の法律の建て方からいうとかなり片跛のものになつて来たのでありますが、これは先ほど来申上げておりますように遠慮をしいしい申上げておるのですが、実際政府側としては国会の御意思で而も我々の意見を十分お聞取りの上で委員会においてこういうふうに御決議になつたのでありますから、それをその事後において私どもが批評するということは不当に問題を混乱させたり、或いは我々の権限を逸脱したことになりますから批評を差控えておるのでございますが、少くとも第十六国会の当初において肥料需給安定法と硫安需給安定法案と硫安工業合理化並びに臨時輸出調整措置法を考えましたときとはかなり形が変つて来ておるのでありまして、併し私はやはり通産委員会において御審議を頂きました硫安工業合理化とそれから臨時措置法については字句上多少の修正は衆議院で加えられておりますけれども、この原案というものは本会議でも可決されて成立いたしますならばこの法は法として単独においてでも相当の実効を私は期待し得ると、こういうふうに考えております。
  107. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 将来肥料需給安定法の全面的な肥料需給安定の行き方に対しまして、通産省所管関係においてもひとり硫安のみならず今回の修正と対応するような法律の立案が必要なんじやないかというふうに考えられるのでありますが、その点について御意見を伺いたい。
  108. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私もこれはここ一両日来特に非常に問題になりましたものでありまして、十分自分としても研究するだけの時間的余裕もなかつたのでありますが、恐らくこれを冷静に各観点から検討して見ますれば、随分と率直に申しまして穴があると思いますので、政府側におきましてもこの法案の成否にかかわらず更に十分に検討を加えまして、その結果或いは只今御指摘のような結論になるのではなかろうかと、かように考えております。
  109. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今後両方の法案につきましてバランスのとれるように、又両省の所管につきまして紛争などの起らんようにこの際至急に御研究を願い、又その対策を至急にお立て願つてその線に沿つて法的措置なりその他をとられるように希望して私の質問を終ります。
  110. 高橋衛

    ○高橋衛君 この法案につきまして通産大臣に一点だけお伺いいたしておきたいのでありますが、この衆議院におけるところの修正者並びに参議院におけるところの委員会修正者の意図は、明らかに硫安以外に過燐酸石灰の需給調整を図りたいということもあるのであります。而してこの第三条によりますと、農林大臣なり通商産業大臣需給計画を定めなければならないということに相成つております。これは義務であつて、定めると定めないとの自由はないと承知いたしているのであります。而して前項の需給計画を定める場合に、過燐酸石灰について考えますると、前年度からの繰越数量又は全生産見込数量、又は輸入見込数量等のいろいろな要件が列記してあるのでありまするが、この中には原料は何ら含まれていないのであります。ところが硫安等につきましてはこれで十分でありまするが、過燐酸石灰のように原料を全部海外に依存するというものにおきましては原料の繰越数量原料輸入見込数量等を考慮におかないでこの需給計画を立てることは不可能であり、又は立ててもそれはナンセンスであろうと私は考えますが、従つてこういうふうな法律修正というものは非常に不完全な修正である、言い換えれば実行上極めて困難な、実効を挙げ得ないところの修正であるというふうに私には理解されるのでありますが、そういうふうな点について通産大臣は運用上においてどうお考えになるかという点を率直にお答え願いたいと考えます。
  111. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 率直に言うてその通りなんであります。でありますから先ほどもちよつと触れたのでありますが、運営上非常にこれは困難である、併し国会の御意思がさように決定されればどうもいたし方ないのでありまして、その法律の下においてできるだけ行政として変なことが起らないように調整をしてして行くよりほか仕方がない。それには実際問題として農林省との間に水も漏らさない協調が絶対確保されなければならないというふうに考えるわけであります。
  112. 高橋衛

    ○高橋衛君 通産委員会におけるところの全員一致によるところの要望に従いまして、農林委員会におきましては附帯決議をやつているのであります。「需給調整用肥料保管団体について、農業者団体以外の団体についても機会を与えるよう措置すること。」、この意味は、「機会を与えるよう措置する」ということは、政府に要望する事項はそういうふうな法律修正案を提案するということを意味するのであります。これも急速の間に合わないということを恐れてこういうふうな窮余の措置として附帯決議という形をとつてもらうことを我々通産委員会としては承知いたしたのでありまするが、この法律は施行までに四カ月以内という猶予期間を持つているのであります。通産省と申しますよりもむしろ政府当局としてかくのごとき修正者の意図は意図といたしましても、その意図が実現できないような極めて不完全な法律であるということをお考え下さつて、この農林委員会におけるところの附帯決議と同様にそれらの点を政府提案として今後補完されるように努力される御意思はないかどうか、その点をお伺いいたします。
  113. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 勿論さような努力をいたしたいと考えますが、実はこの通産委員会のお計らいによつてこの附帯決議農林委員会で取上げられるその過程におきましても、相成るべくんば政府側としては法律上の修正を企図したんでありますが、これは言訳に半分なりますが、こつちのほうの法律は政府としては主管が農林省であるというような関係から時間が手間取りましてそこまで行かなかつたことは遺憾な点でありまして、今後できるだけ速かな機会を選びまして、さような結果になる努力を新たにいたしたいと思います。
  114. 西川彌平治

    西川平治君 私ちよつと席を外しましたので、或いは豊田委員から質問があつたかも知れないと思つておりますが、若しさようでありまするならば、私はあとから速記録を見せて頂きまするが、若しそうでなければ一つお答えを頂きたいと思います。私は原料保管に関連いたしまして、それを加工するということが文面に出ておるようであります、「加工し、」ということを掲げておるようでありまするが、これはその加工をするということは、農林省指示によつてこれが加工をするのでありまするか、乃至は原料通産省に提供するとでも申しますか、農林省に申出をして、そうしてそれを農林省指示によつて確保するということになりまするか、この点を一つつて見たいと思います。
  115. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この点は法文上は農林大臣指示となつておりまするので、保管団体に対して直接加工をしろという指示を出されるのは農林大臣だろうと思つております。ただ実際問題としましては、先ほど大臣から申上げましたように、実際に現実に特定加工を行いまする工場等は、これは生産担当官庁の通産省の監督に入ると存じまするので、現実の問題としましては、そういう工場先或いは時期等につきましては両者で、事務当局間で現実に十分連絡いたしませんと輻輳いたしますので、実際のこの修正ができました上はこういうふうな形で行いたいと思つております。
  116. 高橋衛

    ○高橋衛君 法制局側の答弁によりますと、あの指示がなければという「指示」という文字は、保管を解除するという意味であつて、積極的に加工指示するという意味は含まれてないという答弁であつたのであります。通産省としてはそれを更に越えて農林大臣加工指示し得るというような解釈のように只今の答弁があつておりますが、その点はそうでありますか、どうですか。
  117. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 先ほど私答弁申上げましたように、さつき法制局長官の答弁を十分……聞き漏らした点もございますので、或いは誤解があろうかと思いますが、高橋委員のお尋ねのように答弁されたと私も聞いております。ただ現実の問題としまして言葉の文句といたしまして、保管せんでもよろしということになりまするのか、或いはこれを燐鉱石を過燐酸石灰にしろということになりまするのか、その辺は少し問題があるかと思います。
  118. 高橋衛

    ○高橋衛君 この具体的な取扱としては保管団体から加工目的のために出荷していいかどうか、保管を解除していいかどうかという書類が出て、それでよろしいということになるのではないかと私は想像するのでありますが、その場合に保管を離れればもうすでにその原料農林大臣権限を離れる。併しながら別途に、通産大臣でそれを何とか指示する、命令するところの権限を有する基本になるところの法律がないから、それは結局そのまま自由になる。その場合において事実問題としては農林大臣の意思が働く可能性が非常に多いというふうに私は解釈しておるのでありますが、それは如何でございますか。
  119. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その点は先ほど豊田委員の御質問にお答えしましたが、要するに保管団体と、買取といいますか、委託といいますか、そういう先の工場との契約にもよることと存じます。そこで現実に鉱石を物的に加工を加えまする工場は、これは生産過程でございまするので通産省の監督下に、所管内に入ると存じまするので、その点は一応物的の生産増進の面の通産省権限内にその原料が入つて来ることになろう、こういうふうに解釈しております。ただ全購連ということになるかどうか知りませんが、保管団体との契約内容がいろいろあるかと思います。その辺の契約によつて事実上生産過程に携る工場がその契約内容に縛られるということはあり得るだろうと思います。
  120. 西川彌平治

    西川平治君 私は保管団体と、それから農林大臣の今の命令権、命令といいますか、その問題に関連をいたしまして、恐らく政令で定めるというのは燐鉱石だろうという想定の下に私は申上げるのですが、燐鉱石は海外からの輸入に待つておることは申すまでもありません。従いましてこの輸入をいたしましたものをどこに揚げるかという……まさか保管をするものを全然農業団体の倉庫や敷地の中に揚げるわけじやない、恐らくは私はそのどこどこの工場というようなところへ、物置場に揚げるものと私は思うので、そういたしますると又その保管場所によつて製造工場がもうちやんときまつてしまうというような私は実情になると思うのであります。更にもう少し端的に申しますならば、一番近距離の一番便利な安くあがるところに全部の保管が一所に集中してしまう、そうして言わず語らずのうちに或る工場に、Aの工場ならAの工場、Bの工場ならBの工場、その最も便利な工場にいわゆる肥料の一割というものはここで生産をするものだというちやんとした裏付ができてしまうような実情ができはせんか、かように私は思うのですが、その点はどうでございましようか。
  121. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 燐鉱石の荷繰りの現状は今御指摘の通りであります。従いまして先ほど私申上げましたように、そういうふうに鉱石の形で保管しないでも済むようにいたしたいと、こういうふうに申上げたわけであります。
  122. 西川彌平治

    西川平治君 それじや燐鉱石の場合に原料ということは全然考えないでよろしうございますか。燐鉱石という原料のことは、この原料という名前は考えないでよろしうございますか。
  123. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 通産当局といたしましては、原石の形で保管するということは先ほど来申上げましたようにいろんな点で必ずしも円滑に事が運びますゆえんではないかとも存じられまするので、できるだけ製品で保管いたしまして、その肥料需給安定に資したいと、こういうふうな気持で、この修正案が仮に成立いたしましたら運用して参りたいと、こういうふうに申上げるわけであります。
  124. 西川彌平治

    西川平治君 併しこういうふうにはつきりと政令で定めるところの原料というようなことを言つておりますと、ここにおいて非常に農林省通産省の間に考えの隔りが出て来るのじやございませんか。
  125. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) その辺は幸いに先刻申上げましたように両省の事務当局は緊密に連絡をとりまして、その間に意思の齟齬がございません。今後この問題の処理に当りましてもそういうような趣旨によりまして緊密な連絡をとつて円滑にやつて参りたいと、こういうふうに考えております。
  126. 西川彌平治

    西川平治君 どうも私は、それは今官房長官もそう言わざるを得ないと私は思いますが、恐らくこの問題はそこに大きな問題が投げられるという予感を持つておりますが、もう一つ私は続いてこの肥料原料の問題でありますが、まあ燐鉱石を除いては恐らく政令で定めるなんというほどの原料は私としては後に残るものはまあ石炭であるとか、或いは硫化鉱であるとか、或いは電力であるとかいうようなものであるかと思いますけれども、そんなものは私は政令で定めなくても実際問題としては差支えないものではないかと思うわけでありますが、まあここで政令に定めるというものは燐鉱石以外にないというふうに私は考えております。その燐鉱石だけの政令で定めるというものがさように円滑に行くというのでありまするならば私は何をか言わんやでありますが、非常にこいつは慎重にやつて頂きたいということを希望いたしまして私の質問を終ります。
  127. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑は、ございませんか、……。  それじや肥料の問題に対する通産大臣に対する質疑は本日はこの程度にしておきたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 中川以良

    委員長中川以良君) じや、小松君、お待たせいたしました。
  129. 小松正雄

    ○小松正雄君 いよいよ会期も、延長されれば別でございまするが、末に迫つておりまするし、大臣が幸いおいでになつておりまするから私は一言お尋ねしたいと思いますが、それは電力料金の値上げの問題でありまするが、具体的に大臣のところでもう各社の値上料金等の問題についておわかりでありましようか。或いはもう一つは期目的に国会が終つた後に早速そういうような値上げをするというようなことがあるのかどうか、いつ頃から実施に移つて行くというのか、それをお尋ねしたいと思う。
  130. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 実は電力料金の問題につきましては御承知のように今年の一月に九電力会社から値上げの申請を受けておりました。その当時もしばしば申上げましたように非常にこれは重大な問題でございますので、慎重の上にも慎重を期しまして、その間当委員会におきましてもしばしば申上げ、或いは公聴会等を開いて頂いたわけでございますが、税法上の問題、金利の問題、或いはその後決算の問題或いは賃金の問題、まあいろいろ又新らしい要素も出て参りました。積極的な面もございますし、消極的な面もございます。それで三月末に取りあえず当分、出て来ました申請書を一応預かつておくということで態度は保留いたしておりますが、今以てその基本的な態度に変りはないのでございます。併しながら会社の申請の筋書通りのような計算をいたしましても、その後出て参りましたいろいろの要素によつて相当変えなければならんことでございます。それから別の感覚から考え直しを会社側に願つてもよろしいような要素もあるのではないかと思いますので、これからも暫らく時間がかかると存じますけれども只今公益事業局を中心にいたしまして私自身といたしましてもいろいろの観点からの問題も投げかけまして結論を得るようにいたしたいと考えておりますが、未だいつ結論が出るか、或いは上げることにして承認をするか、もう少し延ばせるか、そういう点も含めましてまだ結論を申上げるまでに結論がつかめておりません。
  131. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういうことでありますと、いつから実施をするとかさせるとかいうようなことはわからないということであろうと思いますけれども、およそ大臣の含みの中に何月頃からかということがあるのかどうかということをもう一遍お伺いします。
  132. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) よく七月一日からやるようにもう案をきめておるのじやないかというようなお尋ねを受ける向きもございますが、若しそうであるとすればもう明日で五月が終るというようなときに政府に成案がないわけはないのでありまして、現在のところ全く成案を得ておりません。従つておよそ何月ということを申上げるまで、まだそこまできまつていないわけであります。
  133. 西川彌平治

    西川平治君 大臣にちよつと伺つておきますが、去る四月二十二日実は日平産業の問題につきまして参考人を呼びましていろいろと話を聞き、更にその後におきまして日平産業の会社側の人を呼びましてここでいろいろお話を聞いたのでございます。従いまして私は下請業者のかたとはいろいろの意味において実際状況を突つこんで今聞いておるのでございます。ところが最近私が伝え聞くところによりますと、日平産業の社長が、社長の名前は余り偉い人の名前だから忘れましたが、日平産業の社長が通産大臣に会見をされた、そうして通産大臣は日平産業の再建に対して非常に強い御意思を表明されたやに伝えられております。なお端的に申上げますならば、日平産業を政府の力で救済してくれるのだというようなことを社長が公言をしておるように聞いておるのでありますが、差支えなかつたらば大臣はさようなことがあつたかないかを一つ……。
  134. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 日平産業の社長が御承知のように或る事件の容疑を受けて勾留中でありましたが、これが釈放されましてから二、三日目に通産省の私のところへ来訪したことは事実でございます。そうして、何とか一つ再建に対して政府側の御協力を願いたい、自分としてはこういうような再建案を持つておると、こういう話でございましたが、私は面会の最初から今日はあなたの話を聞くことは聞きますが、政府のそれに対する態度とか返事とかいうことはいたしませんよということを念を押しましたし、更に十五分かそこらの会談でございましたが、別れるときに、先ほど申上げた通り、今日はあなたの話は聞きましたと、それだけであつて、かりそめにも通産大臣がこうこういうことを激励したとか、約束をしたとかいうことは言いませんよと更に念を押して別れたような次第でございますから、会いまして社長としての希望を聞いたことは事実でございますが、政府側の態度というものを何らの意味において回答したことはございません。
  135. 西川彌平治

    西川平治君 私は実は下請業者の代表者に九月二十四日に会つております。そのときに非常に社長が強く政府の支持といいますか、政府の応援によつてこの会社が再建をするのだから絶対に安心せよと言われるようなことを言われたので、私は一安心して参りました、一体そんなことでございましたかと、こういうことでありましたから、いや私はそういうことは聞かないが、今日も丁度通産で陳情、請願の審議をやつておるが、その陳情、請願の審議のうちに、日平産業再建の問題が諸君から出ておるが、その中に通産の委員の有力なかたから、今日の場合におきましてかような内容の請願に対しましては、少くとも最高首脳部の更迭がなければその請願は取上げるべきじやないという強い意見があつたがどうだというようなことを私はお話をしておきましたが、少くとも通産委員会のこの請願、陳情を審議をする場合においてさような意見があつたのでございますから、若しも通産大臣において日平産業に対して何らかの手を打たれる場合がございますなら、通産委員会の意向が、さような点が強く反映をするように一つお願いを申上げたいと思いますC
  136. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 了承いたしました。そういう趣旨で事に当りたいと思つております。
  137. 小松正雄

    ○小松正雄君 お疲れの中に甚だ恐縮ですが、もう一点だけお伺いしたいと思います。それは先の本委員会でも、この休会中に炭鉱実情調査を派遣してやろうと、こういうふうな意向でもございますのと、同時に私どもの福岡県議会では、この問題について決議いたしまして、通産大臣或いは局長を通じまして、それらの趣旨についてどうしてくれるかというその問題解決について陳情されたと思いまするが、大臣はその後どういうふうにお考えになつておるか、又それに対することについて詳しくお考えをお伺いしたいと思います。
  138. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今その問題についてここに資料を持つて参りませんでしたので、詳細に申上げて或いは落すことがあるといかんと思いますが、この石炭の問題に対しましては、当初から重大な関心を払いまして、実は閣議におきましても再三通産省としての立場、対策を説明して各省の協力を求めつつあるわけでありますが、概略申しますと、これには二つの面から対策を講じております。一つは当面起つておりますところの九州を初めとする解決を非常に急がれておる当面の問題に対する応急療法であります。これには殆んど各省に跨がる、或いはその他の関係団体に跨がる問題が多いのでありますが、一番大きな問題としては、金融の問題、これについては日本銀行、大蔵省等に対しましてケース・バイ・ケースの措置を要請し、且つ或る特定の、特に九州方面における炭鉱金融の中心であります金融機関等に対しましては、その資金源について特に手当を考えるようにという要請をいたしまして、関係の筋におきましてもそれぞれ十分とまでは言えないと思いますが手配をいたしております。それから大手の石炭の需要者筋に対しましては、できるだけ速かに、且つできるだけ厚意を持つた炭価を決定してくれるように、これは政府関係といたしましては国鉄が大手筋でございますが、そのほか電力会社その他の大手需要者の向きに対しまして特に機会を設け或いは通産省として要請陳情に努めておるわけでございまして、だんだんに解決の運びになつてつております。これは率直に申しまして非常に急いで解決を必要といたしますが、同時に石炭業界の立場から言えば余り足下を見られるというようなことになつてもいかんということもあつて、当初予期いたしましたよりも多少時日がかかつておりますが、交渉といたしましては先ず先ず軌道に乗つておるように私は理解しております。それから公租公課等については大蔵省の関係と自治庁の関係と両方、国税、地方税の関係がございますので、それぞれ閣議を通じまして或る程度の滞納督促等についての規定を緩和する、或いは一時凌ぎの何か制度的なものがあれば結構でございますが、そういうものについての理解のある態度を示してもらうように要請をしておりますが、それから労働省、厚生省等については保険料等の問題がございまして、これも非常な滞納になつておりますが、これも事情が止むを得ない面が相当ございますので、そう申しては余り言い過ぎかも知れませんが、法規の適用等については多少のゆとりのある態度をとつてもらうようにしたい。そのほか具体的な応急措置については常に石炭協会を通じ、或いは現地の通産局を通じまして日に日に情報を交換し対策に遺憾なきを期しておる次第でございますが、同時に根本的な対策としては、前々から当委員会で申上げておりますように、私は石炭のそもそも適正出炭規模というものを確立することが労使両方に対する根本的な対策であると考えます。去る二月、三月の当時におきましては国の計画として四千八百万トンベースということを御説明申上げております。今日でも私は日本経済自立の基幹計画として四千八百万トンというものは守りきりたいと思うのでありますが、遺憾ながら二十九年度においてはこれに或る程度の調整を加えざるを得ないと思つております。これは四千六百万トンが適当であるか、それも非常な努力目標になるかわかりませんが、これも早く政府としてきめたいと思つて、この作業を今根本対策としては取急いでおります。その結果、私から言えば少し誤解を受けているのではないかと思うのでありまして、今回この石炭の問題が非常に窮迫したから石油のほうに非常に尻を持つて行つたかのように言う人があるのでありますが、石油の方面につきましては、二十九年度外貨予算編成のときから私は大きな問題として取上げているのでありまして、どんなことをしても昨年の消費の実績より上廻るような重油に尊い外貨を配当すべきでない、これを根本の基線として考えているのであります。ところがその後或る程度石油の消費量が多いので、私はこの現状の下においては、少くとも上期の残りの四カ月、六、七、八、九月ぐらいにおきましては、重油の消費を相当に自制して頂かなければならない。これは外貨予算編成の当時からの計画を実行して参つたところが、それすらもなかなか困難だというのが現在の実情でございますから、これは重油の需要者面につきましても、先般来難きを忍んで総合燃料対策の面から御協力を願うような話合いを推進いたしているわけであります。大体各業種別にだんだんと具体的な見通しがつきますから、それを頭に描きまして四千八百万トンの二十九年度における目標というものを若干の調整を加えて、そうして、これで改めて石炭業界の御協力も願いたい、こういうふうに考えております。  それから同時にこれは附加えて申上げるようになりまするが、最近特需が全体として余り伸びておりませんが、特に駐留軍等の関係で、日本国内における所要の石炭までも、ともすると外炭にとられるような傾向にあります。これは石炭の問題に対しまして、政府や他の業界がこれだけの協力の手を差延べようとしているときでもございますから、一つ石炭業界においてもできるだけの御努力を願つて、少くとも日本国内において所要される駐留軍の消費の石炭ぐらいは一つ落して頂きたい。できるならば更に朝鮮等における所要の石炭についても落札が可能になるようになれば、これが又出炭目標についての好材料になる、こういうふうに考えまして、その面につきましてもいろいろと具体的な折衝をいたしております。要するにかなり焦眉の急に迫られておりながら、いろいろの関係で事実は遷延している点を残念に思つておりますが、全体の大勢としては相当進んでいるように考えております。
  139. 小松正雄

    ○小松正雄君 いろいろと大臣のお言葉によりますと御配慮にあずかつておりまするが、私どもといたしましても、大臣の真意を深く信頼いたしまして、又それにお頼りをしている次第でありまするが、なお今の大臣の援助方法の一つとして税金等の延期或いは又労働関係に関する保険料等の延期、もう一つ進んで金融関係につきましては、市中銀行の特定的なことも考えられて大蔵省にも申込んでおられるということでありますが、なおこのことについて一言特にお願い申上げておきたいことは、私ども福岡県内の中小炭鉱に対しての特別な金融方法をしてくれておつたというのは福岡銀行が大半でありまして、すでにこの福岡銀行に対してもあらゆる中小炭鉱は大きな迷惑をかけているわけであります。そこでたまたま手形を割るといたしましても、その手形を以て再びその銀行が手形を割つているというようなことも聞いておりますし、その深い縁故を持つ福岡銀行が、いよいよ急場に追込まれているということは大臣も御承知通りでありまして、これに対しては一つ特定的に早く金融方法をして頂きますならば、又中小炭鉱もその恩典に浴して注射を打つてもらつて挽回して、そうして大臣の仰せのように四千八百万トンが可能になるまで持ちこたえていれば、銀行にも迷惑をかけずに済むし、又税金等も納付できるということにも相成るわけでありまするが、これがスムースに行かずに時間をとられるということになると、もうすでに倒れて行かなければならない面も実際面においてあります。これは申すまでもなく昨年度の風水害によりましてあらゆる角度から金融をして頂いて、漸く復旧はいたしたものの、目的を達成する石炭が炭価は下るし、量は減るしというようなことに追込まれて来まして、そういうふうな状態にありまするので、特定的に福岡銀行を指すようになりますけれども、これは古い間で、十七銀行という時代から我々中小炭鉱に対しては深い理解を持つて頂いて、我々炭鉱のために援助を受けたということも間違いないのでありまして、而もそれがために実際に福岡銀行に問題が起ろうかというような情勢下にあるというようなことも聞いておりますし、なお又これに加えまして少額ではありまするけれども、協和銀行といい或いはここ五、六年前から出られました大和銀行、これらが中心になつて、現在二重割をして中小炭鉱の手形を抱いて、どうにか援助してやろうというようなことでされているということでありまするし、特定的なお話大臣から出ましたので、特にこの際三銀行挙げてお願いをしておきますから、一日も早く金融面をお世話して頂いて、少額でも間に合うように一つ金融して頂くようにお願いをしておきます。
  140. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは通産大臣に対する御質疑は、本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  なお農林大臣の出席を求めておりまするが、本日はどうしても出られないというので農林経済局長が代つて来ることになつておりましたが、これも所用があつてどうしても本日は来られないそうでありまして、誠にこの点は遺憾でございますが、明日時間がございましたら更に招致いたしまして、質問を続行することにいたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  142. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  それから中小企業に関する小委員会を設けたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  なお委員の人選については委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それではこれより御指名を申上げます。西川君、豊田君、三輪君、小松君、武藤君、以上五名のかたにお願いを申上げることにいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後六時零分散会