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1954-03-30 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)    午後一時五十四分開会   —————————————   委員の異動 三月二十七日委員山口重彦君辞任につ き、その補欠として天田勝正君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君    委員            石原幹市郎君            酒井 利雄君            豊田 雅孝君            藤田  進君            武藤 常介君            白川 一雄君   委員外議員    西川平治君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   法制局側    参     事    (第三部長)  菊井 三郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君    通商産業省繊維    局綿業課長   新井 眞一君    通商産業省軽工   業局日用品課長  高見澤二郎君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○技術士法案海野三朗君外十四名発  議) ○ガス事業法案内閣送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (物品税、しやし繊維品課税その  他資産再評価に関する税制問題に関  する件)  (下請代金支払遅延に関する件)  (中小企業の安定に関する件)   —————————————
  2. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 只今より通商産業委員会を開きます。  先ず技術士法案議題といたします。提案趣旨説明並びに内容概略説明を聴取いたします。
  3. 海野三朗

    海野三朗君 只今議題となりました技術士法案について提案者を代表して私より提案理由の御説明を申上げます。  狭隘な国土に八千万を算する厖大な人口を擁し、而も天然資源に恵まれることの極めて少い我が国が、今後経済自立化を進めて参りますには、国内自給度の引上げと輸出の増進以外に途はなく、これがためには科学技術振興とこれを最高度に活用する産業体制の確立が必須不可欠の要件たるべきことは論を待たないところであります。現在わが国におきましては科学技術の立遅れを克服するため欧米先進技術の導入に汲々たるものがありますが、科学技術振興は単にここにとどまらず更に進んで我が国独自の技術発展せしめると共に、一定水準に達した技術をあまねくあらゆる産業に浸透せしめ、これを最高度に活用せしめるところに重点が置かれねばなりません。かくしてこそ初めて技術を背景とする近代的な産業体制が確立せられるのでありますが、従来我が国においては、進歩した科学技術はややもすれば一部企業独占される傾向があり、技術の注入を最も必要とすべき中小企業のごときは資力乏しきため高度の技術を取入れることができず、この面からしても苛烈な経済戦において多くの者が落伍者となつて行くのが悲しむべき現状であります。およそ一国産業技術水準を平均して向上せしめるためには、広く産業の全分野に対して最高の権威あり且つ進歩した技術が最小の経費を以て提供されるべきでありまして、この要請に基いて生れたのがいわゆる技術士制度であります。  ここにいう技術士とは単なる自動車の運転手電気工等のことではなく数学、物理、化学応用工学等いわゆる自然科学に関する知識と経験とを極めて高度に要求される事項について他人依頼によつて計画設計監督調査研究相談等に応ずることを職業とする専門技術者のことでありまして、外国においてプロフエツシヨナル・エンヂニヤ(Professional—Engineer)又はコンサルテイング・エンヂニヤConsulting—Engineer)といわれている者であります。欧米諸国においてすでに数十年前にこの制度が確立せられ、その団体は多数の会員を擁して社会的な権威と技術的な確信の下に産業の各部門に亘つて輝やかしい成果を挙げております。米国においては一九〇七年ワイオミング州において、初めてこの制度が設けられて以来急速な発展を遂げ今や連邦全州に州法の制定を見るに至り、コンサルテイング・エンヂニヤとして登録された者の数は全国で二十万を算し、米国産業伸展に偉大な貢献をいたしておるのであります。  翻つて我が国現状を見まするに、遺憾ながら現況は著しく立遅れの状態にあり、技術士に対する一般の認織も又極めて乏しいのであります。我が国において技術士が独立した職業分野として一応明確な地歩を開くに至りましたのは真に近々のことであります。即ち現在、社団法人日本技術士会と称する団体がありますが、広く専門技術者を組合し、一個の組織体とし活動を開始いたしましたのが昭和二十六年でありまして、これが恐らく我が国における技術士制度の始まりではないかと思われます。併しながら、最近に至り企業合理化推進必要性がにわかに増大して来たところから、技術士を求める声も漸く高まり、これに伴つて技術士の数も次第に増加の傾向を示して来ているのであります。かかる機運に応じまして、我が国技術士を単に自然発生的に放置することなく、これに権威ある法的裏付けを与えると共に可及的速かに理想的な技術士制度を確立せしめ、以て我が国産業伸展に寄与せしめようとするのであります。これが本法制定の第一の理由であります。  技術士は他からの依頼に応じて重要な技術的事項を取扱う関係上、寸毫といえども依頼者に迷惑をかけるようなことは許されないのであります。技術士業務は仕事の性質上、依頼者の機密に触れ、又財産等に直接関連する問題も多いのでありますから技術士たる者には一定水準以上の資格を必要とし、国はこれを保障すると共に名称使用独占を認め、以て依頼者の保護に十分の措置を講じなければなりません。半面、又技術士自身に対しては高度の倫理的規制を加えることによつてこれが社会的信用を保持し常に質的向上に努めるよう指導すべきであります。これなくしては、言うところの技術士制度の健全な発展は到底望まれないのであります。これが本法制定の第二の理由であります。  以上本法案立案趣旨について御説明申上げたのでありますが、何とぞ提案者の意のあるところを諒とせられ、慎重御審議の上御賛同あらんことをお願い申上げる次第であります。  続いて法案内容について概略説明を申上げます。お手許に技術士法案要綱を配付申上げておりますが、それについて申上げます。  第一 技術士資格を定め、その業務適正化を図ることによつて科学技術向上産業発展とに資することを目的とすること。  第二 技術士業務内容を法定すること。但し、その業務を他の資格法公認会計士法建築士法等)のように技術士のみに許されるいわゆる特権業務とはしないで、単に技術士という名称独占にとどめるものとすること。  第三 技術士となる資格は、技術士試験に合格した者又は通商産業大臣認定を受けた者に与えるものとすること。  第四 技術士業務社会的重要性に鑑み、その受験資格認定を受けることのできる基準等は相当高度のものとすること。  第五 技術士試験は、政令で定める技術部門ごとに行うこととし、これがため通商産業省技術士考査委員を置き、その委員には関係行政機関職員及び学識経験ある者を任命するものとすること。  第六 技術士となる資格を有する者が技術士となるには、通商産業省に備える技術士名簿技術部門その他の事項登録を受けなければならないものとすること。  第七 技術士登録を受けた者が一定事由に該当する場合には登録取消すことができるものとすること。  第八 技術士に対する懲戒制度を設けることとし、この法律に対する違反があつた場合に、通商産業大臣が第三者からの通報に基き、又は職権により懲戒処分を行うものとすること。  第九 技術士に対する広告事項制限秘密を守る義務信用失墜行為禁止等の諸規定を設けるものとすること。  第十 技術士本来の業務を行うことを主たる事業とする法人は、その役員又は職員として技術士を一人以上置かなければならないこととし、その業務に関して広告事項制限するものとすること。  第十一 考査委員任命等について関係大臣意見を聞くものとすること。  第十二 一定違反行為に対しては罰則規定を設けるものとすること。  第十三 法人に関する部分規定は、施行を一年延期するものとし、技術士試験は、昭和三十年三月三十一日までは行わないことができるものとすること。  以上であります。
  4. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 本法案審議は次回に廻すことにいたしたいと存じますが、海野提案者代表より、本法案に関する説明員として、参議院法制局菊井第三部長並びに工業技術院駒形院長をして出席せしむる旨の申出がありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 御異議ないようでありますから、さように取計らいます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  6. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記を始めて下さい。  それでは本法案に対する取扱について只今お諮りいたしましたが、都合により、いま少し時間を延長いたしまして、内容説明を伺うことにいたします。
  7. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 只今技術士法案提案者から提案理由につきまして御説明がございましたが、この法案内容につきまして御説明を申上げます。  この法案は七章四十一カ条から成つておりまして、第一章は総則、第二章は技術士試験及び技術士資格認定、第三章は登録、第四章は懲戒、第五章は技術士義務、第六章は雑則、第七章は罰則ということになつております。以下この法案主要事項別につきまして御説明申上げます。  第一は、この法律目的についてであります。この法案は、技術士資格を定めまして、その業務が適正に行われるように図り、以て科学技術向上産業発展とに資することを目的とするといたしております。これは、この法律によつて技術士制度を設けまして科学技術専門職業化すること、技術士業務を適正に行うように規制を加えることによつて我が国科学技術水準向上産業発展とに寄与しようとするものであることをここに明言いたしておるものでございます。  第二は、技術士業務についてであります。この法案では技術士は、他人の求により報酬を得て自然科学に関する技術を応用して一定行為を行うことを業とする者といたしております。この技術士業務を如何なる範囲に定めるかは科学技術範囲が極めて広汎なところから問題があるところであります。この法案においては、第二条に規定いたしておりますように機械、金属、鉱山、電気化学その他政令で定める科学技術部門に属している事項について、次の各号に掲げる行為を行うものといたしております。併しながら他の法律において、いわゆる独占業務としている行為については、その法律との関係からこれを除外することといたしました。  一、建設物工作物、装置、機械、器具、資源、原材料、生産物、動力、工程又は工事について、技術上の調査研究立案又は指導を行うこと。  二、前号に掲げるものの外、試験、分析、鑑定、評価若しくは設計をし、建設若しくは作業の監督を行い、又は技術に関する相談に応ずること。  であります。  以上のように、技術士業務範囲を定めましたことは、一切の技術を要する行為技術士の本来の業務とすることは、余りにもその範囲が広汎に亘り、技術士以外の技術を有する者の業務と牴触することと、技術士制度をこの法律によつて認めようとする現状の下においては、未だ業務の態様が十分に熟していないこと等を考慮いたしました結果、技術士業務範囲を右の程度にすることが妥当と考えたことによるものでございます。  技術士は、只今申上げました行為技術士名称の下に業として行うものでありますが、この法案ではこれを他の資格についての法律のように、これを独占業務とする方針を採用いたしておりません。これは技術士となる者の実情から時期尚早と考えておるからであります。従つて技術士でない者が技術士業務範囲に属する行為を行うことは、別段この法案によつて禁止されるものではないのでありまして、ただ技術士名称を用いることが許されないのに過ぎないのでございます。  第三は、技術士資格についてであります。技術士となるには一定資格を必要とし、その資格についてこの法案は、技術士試験に合格すること、又は通商産業大臣認定を受けることを必要とするものといたしております。このように資格の取得に二つの方法を定めておりますが、これは技術士業務を行うためには、特に高度の技術経験とを必要といたしますので、それに必要な能力を判定するためには、試験によることを建前とし、又特に勝れた学識なり経験を有すると社会的に認められるような者については、必ずしも試験という画一的な方法によらず、認定によつてその適格性を判断することがむしろ適当であり、又それで十分であると考えられますので、認定により資格を得る方法をも定めたものであります。  なおこの法案におきましてはこれらの試験考査委員を設けて行い、認定に当りましては考査委員通商産業大臣意見を具申するものとなつておりますが、この考査委員技術関係ある関係行政機関職員のほか、技術士業務に関する事項について学織経験のある者のうちから通商産業大臣が任命することといたしまして、技術士資格の判定が適正に行われるよう配慮をいたしておるのであります。  なお、技術士資格について、更に禁治産者その他の第四条各号に掲げる特定の者は、技術士業務を行わせることが適当でないので、技術士となる資格を有しないことといたしました。  第四は、受験資格技術士資格認定を受けることのできる基準についてであります。技術士試験受験資格技術士となるための認定を受けることのできる基準につきまして、この法案では第三条に認定基準を、第六条に受験資格基準を、それぞれ規定いたしております。これらの基準は、資格に関する他の法律に比べましても特に高度のものとなつておりますが、これは技術士科学技術水準を相当に高位に置くことをその業務性質上必要とする理由から出ておるのであります。  第五は、技術士試験についてであります。技術士業務は、その対象が極めて広汎である半面、個々の技術士については、その専門とする事項が分化し、非常に多岐に亘りますので、技術士試験もこれを一つ試験として行うよりは、技術士専門として取扱う技術部門により区分した種類別に行うことが適当でありますので、これらの技術部門ごとに行うことといたした次第であります。従つて或る部門での技術士試験に合格し、登録を受けて、すでに技術士となつている者が他の部門技術士試験に合格したときは、別に追加登録をしてその技術士技術部門追加することができることといたしております。  第六は、登録についてであります。この法案におきましては、技術士となる資格を有する者、即ち技術士試験に合格し、又は通商産業大臣認定を受けた者が技術士となるには、通商産業省に備える技術士名簿登録されなければならないことにいたしております。その登録事項といたしましては、氏名、生年月日、技術部門等のほかに省令で定める事項といたしております。なお、この法案におきましては、以上のほかに、登録を受けた事項変更を生じたときの変更登録技術部門追加しようとするときの追加登録規定を設け、更に登録をした場合にはこれを一般に周知させるために、官報を以て、公示する旨の規定を設けております。  第七は、登録取消処分についてであります。この法案におきましては、登録取消処分について第十九条に規定を設けております。この登録取消処分とは、通商産業大臣が、技術士一定事由に該当する場合におきまして、職権を以てその登録取消すことであります。その取消事由といたしましてこの法案は、技術士登録を受けるために必要な重要事項について、記載すべき事項を記載しなかつたり、虚偽の記載をして登録を受けたことが判明した場合、懲戒による技術士名称使用禁止処分違反した場合、更には、一旦技術士なつたものの、その後の心身の故障で技術士業務を行わせることが適当でないと認められるような場合を規定いたしております。  なお、通商産業大臣が、この登録取消処分をするには、当該技術士に弁明の機会を与えることを適当と考えますので、聴聞の手続を経なければならないことといたしております。この登録取消処分をした場合におきましては、通商産業大臣は、その技術士登録抹消しなければならないことといたしておりますが、このほかにも抹消事項として技術士が、業務を廃止したとき、死亡したとき、欠格事由に該当することとなつたとき、又は懲戒による登録取消処分を受けたときをも登録抹消事由といたしております。  第八は、技術士に対する懲戒についてであります。この法案は、技術士業務上の倫理を確立することによつて技術士に対する社会的評価を高めようといたしております。そのために技術士業務について倫理的な規定を設け、これに違反する者については懲戒制度を設けることが必要と考えられますので、懲戒についての規定を設けたわけであります。  懲戒は、通商産業大臣が行い、懲戒事由としては、この法律違反した場合とし、懲戒種類としては戒告、二年以内の技術士名称使用禁止登録取消の三種といたしております。  第九は、技術士義務についてであります。技術士に対する義務規定として広告事項制限秘密を守る義務及び信用失墜行為禁止規定いたしております。これらの規定は、技術士社会的信用を高めようとする意図の下に設けられた規定であります。これらのうち、広告事項制限規定は、技術士名簿登録を受けている技術部門が何であるかを技術士に明示させると共に、登録を受けた以外の技術部門に属する技術についての広告禁止して、技術士を利用しようとする者が、その広告に惑わされることを防ぎ、更に秘密を守る義務規定は、技術士依頼者技術上、経理上の秘密を漏らすことの懸念をなくし、技術士利用度を高めようとするものでございます。  第十は、技術士業務を行うことを主たる事業とする法人についての規制であります。この法案は、第三十二条第一項で技術士業務を主たる事業とする法人は、その役員又は職員として技術士を一人以上置かなければならないことといたしております。このような規定を設けました趣旨は、法人は、その経営規模、資本、社会的信用等において、個人の場合に比べて、遥かに大きく、その活動力も極めて活溌であり、且つその業務範囲も広汎であるのが通常でありますので、技術士業務を行うことを主たる事業とする法人業務実態は、個人技術士の活溌な業務活動に匹敵するというよりも、これを上廻る場合が多いと思われますので、これに、技術士を置くことを義務付けることといたしたのでございます。  ここに技術士業務を行うことを主たる事業とする法人とは、第二条第一項第一号に規定する技術士本来の業務を行うことを主たる事業とする法人を言うのでありまして、法人がこれを主たる事業としているかどうかは、単にそのことを主たる目的として定款に掲げているということではなく、その法人活動実態から客観的に判断されることであります。従つて現実にこれらの業務を主たる事業として行なつている法人は、その目的の如何にかかわらず、一人以上の技術士を置かなければならないことになるのであります。  第十一は、他の大臣との関係についてであります。この法律規定中、試験施行資格認定登録懲戒等は、通商産業大臣が行うこととなつておりますが、技術士業務範囲が広汎であるため、その業務が他の大臣の所管に属する事項関係することがありますので、通商産業大臣と他の関係大臣との間の調整を図るために特に第三十五条に主務大臣との関係規定を設けたのであります。通商産業大臣は、この規定により考査委員を任命する場合及び技術士に対して懲戒処分等をする場合には、関係のある主務大臣意見を聞かなければならないし、更に技術士登録をし、又は法人より第三十二条第二項の届出を受理した等の場合には、関係のある主務大臣に通知しなければならないことといたしました。  第十二は、罰則についてであります。この法律違反行為に対する制裁としては、先に申述べましたような懲戒規定が存するのでありますが、秘密を守る義務規定名称使用制限規定違反した者、第三十二条第一項の規定違反した法人代表者、第三十三条の規定違反した法人代表者、代理人、使用人その他の従業者等に対しては、それぞれ刑罰規定を設けることといたしました。なお、届出義務違反等軽微な違反行為に対しては、軽い制裁を付するため、過料の規定を設けることといたしております。  第十三は、この法律施行経過措置についてであります。この法律施行のための経過措置として、法人に関する部分規定を一年延期いたしております。これは、この法律施行になり、技術士登録されるまでには若干の期間を要しますので、このような猶予期間が必要であるからであります。  又、試験をこの法律施行の初年度において施行しないことができることといたしておりますが、これは試験を受ける者の準備が、法律施行当初においては、十分でないことも予想され、又、二十九年度の途中から法律施行されることになりますので、予算上の点をも考慮したためであります。  以上を以て説明といたします。
  8. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  9. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 速記を始めて下さい。  これよりガス事業法案審議に移ります。西川議員より委員外の発言を求められておりまするが、これを許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 異議がないと認めます。西川議員
  11. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) それでは私からこのガス事業法の改正に関連をいたしまして二、三の質問をいたしたいと思います。  私はこのガス事業といわゆるガス卸売業との関連からいたしましての税金の問題を第一に一つお伺いいたしたいと思います。電気ガス税という名前の下に今ガスのいわゆる消費課税が一割を取られておるのでありますが、卸売業者から供給されておりまするところにはこのガス税が取られておらないということについて、現地において相当いろいろの論議がされておるところがあるのであります。一例といたしまして新潟市にこのガス事業によつて供給されておるところは一割の税金が取られておるが、卸売業者から直接に頂戴をいたしておりまするところはガス税がかかつておらない。非常にこれは矛盾をしておるということで論議が闘わされておるのであります。それでその該当いたしまする新潟市におきましては法定外独立税とでも申しますか、新潟市の条例によりまして直接の、いわゆる卸売業者から供給を受けておるものは丁度ガス税の半分の五%の税金を徴収しておるやに聞いておるのであります。又場所によりましては全然ガス税の該当をしないでおるところがほかにもあるようでありますが、こういう問題について通産当局はどういうふうなお考えでおりますか、第一に伺いたいと思います。
  12. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) お話の通りにガス税一般ガス事業者が供給しますガスについて一割かかつておりまして、卸業者、或いはそれ以外の者が特定の相手方にガスを供給するという場合には課せられておらないのであります。で、もともとガス税に関しましてはまあ消費税的な性質を持つものでございまするけれども、省としては、極めて取りやすくて確実であるということで非常にいい財源になつておりますけれども、我々の立場を率直に申上げますと、余り面白い税金でないという見地から、何とかして撤廃してもらえんかというような話をいつもしておるのであります。従つてそういう関係からいたしますというと、特定供給の場合におきましてもバランスをとるために、これについても若し一般のものについて取るならガス税を取つてくれということはちよつと言えない立場にあります。できるだけガス税を撤廃するという方向に今後努力したいと思うのでございます。特定供給の場合にガス税を課するということは勿論法律でやることは不可能ではないのでありまして、若し地方がそういう意図があれば税制改正の際にそういうことをやるということはこれはできるわけでありまして、そうすれば一応バランスはとれるわけでございます。我々としましては又少しでもガスが安く供給されるという趣旨から、税金が課せられる範囲はできるだけ少くしたい、こういう趣旨から特定供給についてもガス税を取つてくれということは言えないのであります。
  13. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) 私は実は率直に申しますと、電気ガス税を撤廃いたしますことを私は希望するものでありまして、同じ新潟市におきまして特定業者から、卸売業者からもらつておる、魚屋であるとか、或いは本当に一般の家庭と大して違いない業者が二十数件ございますが、それは最近やかましくなつて五%の税金がかかるようになつておりますが、それまでは全く無税である。それが五%の、市の独立税としてそれが五%かかるようになつたので、均衡をとるという形であろうと思いますけれども、そういうふうになつておるのでありまするが、私はさような事態を見ますときにおいて、ガス税をやはり避けてもらわなければならんということを私は実は希望をいたすのであります。  それからもう一つ、帝国石油さんのガスはいわゆる鉱産税がかかつたガス一般供給業者に供給されておるのでありますが、それでない自家用であるとか、特殊の業者が掘りましたガスは鉱産税も取つておられないように私は聞いておるのであります。この点は私の聞いておる範囲においては鉱産税が取られておらん、鉱産税が取られておらないということになると、これも又非常に不公平な措置になるようにも考えておりますが、そういう点について何かお調べなどがございましようか。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
  14. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 鉱産税の関係は私つまびらかにいたしておりませんけれども、恐らく鉱産税はこれは採掘される鉱物について徴収されるものでありますから、自家用のものにも課税されるのではないかというふうに考えておりますけれども、その点は確実に自信がございません。法律上自家用を除くということであれば、これはまあそれでもいいと思うのでありますが、併し自家用として掘りましたガスを他に供給する場合には、これはやはり販売でございますから、その場合におきましては少くとも税はかかるというのが、本当であろうと思います。
  15. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) 私も実はかかつておらないということを聞いただけでありまして、確実に書類その他において見たのではございませんが、新潟市におきましては鉱産税が帝国石油という会社にはかかつておりまするが、ほかの自家用で掘さくをいたしましたところには鉱産税がかかつておらないということを聞いておるのであります、自家用に……。例えて申上げますならば北越製紙さんが自家用を掘つて、そうして自分のところで焚いておられるというものに対しては鉱産税もかかつておらないし、ガス税もかかつておらないというようなことでは誠に不公平ではないかというようなことからいたしまして、新潟市におきましては法定外独立税を市の条例によつて五%を取つておる、かように私は確実な筋から承知をいたしておるのであります。鉱産税も取らない、それからガス税も取らないというようなことでは誠に不合理というか、ちよつと不公平と申しますか、と思いますので、私はここで伺つておるのでありますが、一つよくその点は鉱産税を取つておるか、取つておらないかということを一つお調べを頂きたいと思いますし、もう一つは、新潟市内におきまして本当に零細な一般の営業用に使つておられるかたと同じ程度の卸売業者からもらつている業者があるのであります。卸売業者からもらつている業者が二十数軒あるのであります。こういうものが軒を並べておりながら、一方においてはガス税一つは取られている、一方においては最近そういうふうな不均衡を是正するというのか、市の財源がないということからでありますか、五%の独立税を取るようになつておりますけれども、それでもそれだけの不均衡があるというふうなことに対しては、これは一つこのガス事業法等の改正がある際でありますから、十分に一つ御検討を頂きたい、かように考えている次第であります。  いま一つ、私が実際のガス事業者からこれは平易な意見として聞いたのでありますが、いろいろの通産大臣の認可とか或いは申請とか、或いは県知事に対する監督権とかいうようなふうに、いろいろ命令系統とでも申しますか、監督系統と申しますか、そういうものがございますが、業者といたしますならばどうもいずれでもよろしい、いずれでもよろしいが、一本にしてもらいたいという声が相当小さい業者の間にあるようでありますが、こういう点については当局はどういうふうな御見解を持つておりますか。
  16. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 第一の鉱産税の問題でございますが、その点は早速取調べることにいたしたいと思います。ただ例でお示しになりました、例えば新潟市内におきまして一般の小さな消費者がかなりまとまつて特定供給を受けている、そういう事実が出ているのでありますけれども、今度新法を採用いたしますに当りましては、できるだけ一般供給に近いようなそういうふうな形態のものは、現在ありますガス事業者から供給させる、ガス事業者に一旦卸売した恰好にして持つて行くというのが本法の趣旨から言つて適当じやないか、こう思いましてそういうような話合いを進めたいと思つております。  それから現在、もともとこのガス事業法はこの運用を大体原則的には先ず第一次的に地方長官に委ねておりまして、それから重要な事項を商工省へ持つて行くというふうな建前になつていたのであります。その関係からいたしまして現在におきましても極く一部の権限を地方長官、地方の県知事が持つている。それから他の部分につきましては通産大臣から委任を受けまして通産局長が持つている。又その地方で直接許認可をする事項がある。かようないわば三本建或いは四本建になつているわけでありまして、これにつきましては法令改正審議会におきましても、特にガス事業関係の面からこういう二重監督は何とかなくしたいという強い意見が出まして、それに対しまして府県或いは市のほうの代表者のほうはやはり地元の自治体に従来同様にかなりの権限を持たしてもらいたい、住民一般の保安なり、或いは経済について住民が相当な関心を持つているので、全然ノー・タツチということでは困る、こういうふうな意見がやはり一方から出ているのであります。審議会といたしましては、これは政府の決定に委ねるべきものだというふうにはつきり結論を出しておらないのであります。これにつきまして私のほうではいろいろ検討いたしました結果、只今のところはこのうちで工事の監督がございますが、その関係のところだけは、これはやはり一番工事の実施場所の近くにおりまする府県知事に監督の権限を与えたほうがいいのではないか、こういうふうに考えましたので、その部分だけはやはり地方に委ねるつもりでございます。それからそれ以外の事項につきましては、これは通産省の内部委任の恰好になつて参りますけれども、できるだけ地方で処理できるようにしたい。こういうことで通産局長に権限をできるだけ委譲して、基礎的にすべての問題が片付くようにという方針をとりますが、ただ問題の重要なもの、全国に関連するものは本省に置いておかざるを得ないのであります。そういたしまするというと、やはりガス事業者としてはいわば二重行政の恰好になりますけれども、通産局自体が御承知のように八カ所だけで、ガス事業は各地区に細かい事業者がおるというだけでございますから、一般ガス事業者の便利から言つても、事によつては知事が手近なところで監督してもらうというふうなことが或いは便宜じやないか、こういうふうに考える。大体そういう案を考えておるわけでございます。
  17. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) もう一つ伺いたいと思いますが、これはちよつと屁理窟を言うようなことになるのでありますが、これは地方民の真実の声でありますから、一つお聞きを願い、又御見解を承りたいと思うのでありますが、御承知の通り天然ガスは非常にカロリーが高いのであります。一万乃至八千というようなカロリーなのでありますが、それに対しましてかような高カロリーのようなものが家庭に参りますと、却つて工合が悪いので、空気を相当に混ぜておるのであります。二割とか、三割とか言つておりますが、最近の実情を見ますと、三割以上、甚だしいのは五割も混ぜておるのではないか、というような見解を持つておるのであります。いわゆるガスに空気を入れましたその空気の混じつたガスが計量器にかかりまして使用するのでありますが、その使用したメーターによつて直ちに電気ガス税がかかるのであります。そうすると、本当のガスというものは要するに半分で、半分はただの空気で税金を取られておる。これではどうも今まで一体こういう空気を調合するのでしたら、空気を調合しない前のものに換算してガス税を取るのが本来ではないか。ちよつと屁理窟のようでありますが、そういうことが地元民の意見として相当あるのであります。こういう点については見解は如何でございましよう。
  18. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 若し徴収されるガス税が一立方メーター当り幾ら、こういうふうなかけ方をしておりますということ、まさにその通りでありますが、これは料金の一割というかけ方をいたしております。で、若しも仮に井戸から出ますそのままの高カロリーのガスを供給いたします場合には、一立方メーターの単価というものは当然高くなります。或いは二倍くらいになるわけであります。その代りにそれを使いますというと、実際には空気で薄めたガスの半分の時間で済むということになります。結局において使つた数量は違いますが、料金においては同じ、理窟上はそういうことになる。従つて高いものにかけようと、薄めたものにかけようと、料金は同じである。それに対してかかるガス税も同じだということで、現在のやり方としてはどちらにしても同じであります。
  19. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) その解釈でいいのだと、私は大体今まで承知しておつたのでありますが、最近に実はガスの非常に多いときと少いときとあつたのでございまして、供給されるいわゆるガスのカロリーが同一のものが出ておれば何でもないのでありますが、どうも普通でありますれば、同一のカロリーのものができておるわけでありますが、ややもいたしますと、空気の調合等が違いますと、折角使用いたしましても低カロリーでありまするので、満足の煮炊きができないというようなことからして、やはり相当にいろいろなこの料金に、そういう燃えの悪いものを供給するということはどうかということからして、私が先ほど質問をいたしましたような問題ができておるのであります。新潟県におきましてはこれは極端な例でありますが、ガスというのと、かすというのがあります。ガスとかすということは、ガスは燃えるのだし、かすはすうつと音がするだけだ、こういうような極端な批判をいたしておるのであります。そういうガスとかすというようなものも同じ電気ガス税を払うかということの問題が出ておることを一つ御承知おき願いまして、やはり供給するガスに対する熱量問題も十分に一つ御勘案を頂きたい、これは希望意見をつけておるようなわけであります。
  20. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 仮に圧力が落ちまして、或いは熱量が足りませんために、実際は余計使わなければならないということになる場合におきましては、これはメーターの面では熱量関係は直接出ませんから、それだけ余計のものを払う、こういうことになる。甚だこれはよくないことでございます。従つて今度の法律によりましては二十一条に、熱量及び圧力を測定する義務があるというふうに規定いたしてございまして、ガス事業者は常にこの熱量、圧力を守らなければならない。これは現在におきましても、供給規程でそういうふうなことは義務付けられておりますけれども、どうも従来石炭不足の惰性からいたしまして、ややもすれば熱量、圧力が落ちることもありますので、そういうものを先ず法律によつてはつきり義務付けることをいたしたわけでございます。そこでこの結果を常に記録させることに法律上いたしておりますが、この記録を逐次検査いたしまして、若しこういう点につきまして遺漏がある場合には、業務の改善命令を出しまして、強制的に熱量、圧力を保持させる、こういうことを考えております。無論現在でもそういうことはよくないことでありますが、将来においてこの法律によつてしつかりと監督したいと考えております。  それから先ほどの鉱産税の問題でありますが、今尋ねましたところが、鉱業権を設定してあるものにつきましては、自家用のものであつても鉱産税は取るというのが本則であるそうであります。
  21. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) そうすると今の鉱産税の問題ですが、新潟県の場合、大体鉱区設定は帝石さんあたりも持つておるのでありますが、そのうち自家用ガスを掘らせて頂いておる所が多いのでありますが、そうすると自家用ガスを掘つた場合におきましては、その人が払わないで、鉱業権者が鉱産税を払つておるということになるのですか。
  22. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 天然ガスを採掘するにはやはり本来から言いますと、鉱業権を持つておりまして、それに基いて掘るのが鉱業法上の原則でありまして、ただ新潟のような地区におきまして非常に小口の場合の、自分の庭先で井戸を掘るように掘つてそのガスを使うというようなことがあるそうでありますが、そういうものは強いて鉱業権を設定しないでも黙認しておるという事態があろうかと思うのでありますが、そういうものについて鉱産税、これが取られないで済んでおるということでありましようが、本来から言いますといやしくも天然ガスを掘ります限りにおきましては、鉱業権を設定してもらいまして鉱産税も納めて掘る、こういうのが建前になつております。
  23. 西川彌平治

    委員外議員西川平治君) それで私もちよつとわかりましたのですが、大体今会社、工場あたりで掘つております所は工場地帯でありますので、いわゆる鉱区権というものの設定ができない場所なんでございますが、それでありますので、まあ自家用として掘つて、そうしてその自家用でありますから、今鉱業権も設定をいたしませんで、そうして鉱区税が免除されておるというのが徴収漏れになつておるのだろうと思う。それで大体了解ができておりますが、併しこれも実際そういうことになりますと、やはり不公平な線が出るのでありますから、一つこれらも御検討を頂いておきたいと思います。私はそれだけ質問をいたしまして打切ります。
  24. 海野三朗

    海野三朗君 ガスのカロリーをちやんと測るようになつておりますかどうか、それを伺いたい。  それからこのガス事業法案と、この今日問題になつている帝石のほうとは何ら関係ありませんか。その辺の関係一つ詳細に御説明願いたい。
  25. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 熱量——カロリーは、これは現在でもガス事業者としては当然に測定いたしまして記録を置いておく必要があるわけであります。併し今度ははつきりこれを法律に明定いたしまして、毎日朝と晩と二回、一番ガスの出ます時期にはつきりこの法律によつて記録するということを二十一条の規定によりましてそういうことをいたさせるつもりでございます。  それから帝国石油がやはり天然ガスを採掘いたしておりまして、これを新潟市の一部その他に特定供給をいたしております。従つてその面におきましてはガス事業法の対象になるわけでございますが、ただ採掘するところは鉱山保安法等の関係で、向うと協定いたしましてその部分は鉱山保安法のほうに委ねる。それから採掘する場所を出まして特定の需用家のところまでガス事業法によりまして所要の監督をする、こういうふうにいたしておるわけであります。
  26. 海野三朗

    海野三朗君 この法案と、いわゆる帝石あたりの仕事上の利益とでも申しましようか、そういう方面の関係はどうなりますか。この法案施行によつて帝石は仕事をやりやすくなるかどうか。
  27. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 帝石自体がやつておりますことには全然関係ございませんで、帝石がほかのほうへガスを供給しようといたします場合には、やはりガス事業法の対象になる。これは現在の建前から言つても同じでございます。従つてこれによつて特に仕事がむずかしくもならなければ、又容易にもならないと思います。
  28. 海野三朗

    海野三朗君 カロリーメーターですが、この頃最新式のやつではつきりレコードするものがあるのですね、時々刻々幾らと……そういうふうなものを備え付けておけば、ガスにナシヨナル・エヤーを、つまり自然な空気を入れて記録する場合でも常にそういう基準があればガスのごまかしができない。そういうふうなオートマテイツク・レコーダーというようなものをやはり備え付けなければならないことになつておりますか。
  29. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今ではこれはまだそこまで徹底しておりませんが、今度の法律に基く政令によりまして、いわゆるエンゲル式流水型熱量計と称する磁気式のものをすべてのガス事業者が備え付けなければならない、こういうことになるのであります。
  30. 海野三朗

    海野三朗君 わかりました有難うございました。
  31. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はこの法案審議されるその途中の委員会を抜けておりましたので、或いはもう論議がされたことかも知れませんが、一言伺つて見たいと思つております。  この前火薬類の取締法関係の場合にも私は議論したのでありますが、あの法律も最近、以前は保安警察というような見地から警察との関係その他が極めて関係の多い法令であつたのが、そういう方面が殆んど抜けてしまつておるのでありますが、今回のこのガス事業法を見ましても、これはやはり一般保安監督であるとか、或いは事故があつた場合のあとの災害の対策の問題であるとか、事故の処置、こういうことは地方の都道府県知事とかそういうものと非常に関連するところが多いのでありまするが、今回のガス事業法案では、都道府県知事などとの関連の問題は殆んどなくて、僅かに何か土地の立入の場合であるとか、一、二カ条、殆んど問題にならないようなことだけに関係付けられておるという、こういう面についてどういう考えを持つておられるか、一応お伺いしたい。
  32. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) この法律の五十二条に権限委任の規定がございますが、その規定に基きます権限委任はどの範囲にするかということは今研究中でございますが、大体現在の腹案といたしましては、三十条の導管の工事、つまり具体的に申上げますと工事をする場合にはどこどこで、いつどういうふうな工事をするということを知事に届出をさせまして、そこで知事が先ず監督に出られるようにする。それからこの三十条の第三項には、若しもガス事業者が認可を受けた方法によつて導管工事をしていない場合には、この導管の工事を認可を受けた方法によつてやれということを命令する改善命令の規定がございます。この改善命令は都道府県知事に委ねる、こういう建前でおるわけであります。その他いろいろございますが、ほかの点につきましてはやはり一応通産省で統一して見たほうがよろしいという見地からいたしまして、その他の点につきましては余り考えてもいないわけでございます。大体只今のところ保安の中の導管の工事につきまして、都道府県知事の協力を得たい、こういうふうに考えております。
  33. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 地方側からのいろいろ要望があるのでありますが、まあその中などにも旧瓦斯事業施行規則三十七条とか或いは五十三条の三などにある知事の保安上の処分であるとか、或いは災害事故の知事に対する届出であるとか、こういう規定が今度は全然ないようなんでありますが、これらの問題について事故があつた場合に知事も早速知るような形になつたほうがいいと思うのでありますが、そういう点についてどういうことになつておりますか。
  34. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) そういうふうな届出に関しましては、四十六条に報告の徴収の規定がございますが、この「政令で定めるところにより、」とありますので、ここで具体的にこういうものについて届出をとるということを政令で定めるわけでございます。その際に只今の災害事故の報告とかいうようなものにつきまして必要なものについてはやはり提出します宛先を一応通産大臣と都道府県知事と両宛にするというようなことも考えられるわけでございます。
  35. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 考えられるわけでなしに、まあ一つ考えて欲しいと思うのでありまするが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  36. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) まだ具体的にその点研究しておりませんけれども、災害等につきましてはこれはもう当然知事に知らせる必要があると思つております。
  37. 海野三朗

    海野三朗君 関連して……。この法案に対しましては通産大臣の許可を得れば、県のほうの承認がなくてもやつて行けるということになつておるわけでありましようが、そういたしますと、例えばガス管を埋める場合でも、県としてはそこは浅く埋められては困るのだ、将来こういうことの計画があるからというような際に、通産大臣が許可したんだから、お前のほうではそんなことを言つたつておれはこれでやるんだということになつて来ないとも限らない、そういう場合もあります。又許可されたんだからと言うても、その周囲の環境を考慮してこれを許可しないで、パイプを設ける場合でもそういうふうなことを考えますと、やはり地方長官の了解を得てしないと甚だ不自然なように私は考えるのであります。この点については如何ようにお考えになつておりますか。
  38. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 例えば道路に導管を布設する、こういう場合におきまして、その埋設の方法等につきまする細かい認可は通産省としてはいたしません。但し道路法によりまして道路の使用許可を府県知事からもらわなければなりませんから、その場合におきまして、道路法の面からいたしまして、そのやり方については、知事としては十分にそこで処置することができると思います。
  39. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ今の残りがあります。その道路ですが、ここにガスパイプをやる、これは非常に危険な範囲である、環境が……。そういう際にはどういうふうになりますか。
  40. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 現在、例えばまあガス管の場合もそうでございますが、ガスダムを作ると、これは一応都道府県として直接それにつきましての監督権はないわけでありますが、併しこれにつきましては輿論として非常にガスダムに対しまする危険感からいたしまして、いろいろ意見があるわけです。従つて実際問題としては、常にその場合におきましては、市なり或いは県なりの十分な了解をつけた上でなければ工事もできないというので、実際問題としては、その点は十分連絡をつけて、事実上の承認をもらつてからやるという実情でございます。将来もそういう点につきまして、そういうような方向へ進まれると考えます。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 そういう際に通産省がそういうことを無視して、勝手に許可されると困る。それで地方も県なり市の了解を得た上で、通産大臣もこれは何かしなければならないのじやないかというのです、私は……。それを私は勝手に通産省がやられるというと、その地方々々の状況はよく知りませんから、その許可した分については、どうしてもやるのだということになると、甚だ面白くない結果になると思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  42. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 法律上はこれは必ずしも地方の意見を聞くということになつておりませんが、実際問題としては、現在でもそうでありますが、そういうふうな問題の或る工事につきましては、地元の市町村なり或いは県の意見を聞いて、そこに異存がなければこちらとしても許可の手続を進められることになつております。
  43. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 災害とか保安の問題ばかりでなく、ガス事業というものは、地方民の利害と非常な密接な関係を持つておるのでありまして、この堅実な経営と、一般公共の利益確保ということについては、よほど考えてもらわなければならん。供給区域の問題、或いは料金、すべて地元府県民の意思と動向を考えてやつてもらわなければならん場合が非常に多いと思うのであります。そういう意味でこの事業監督、或いはそのほかの面についても、この都道府県知事とやはり密接な関連を持ち、譲れるものは成るべく都道府県知事にそれをやらしめるというような面があつてもいいと思うのであります。それから又先ほどからもお話の出ておりました成分、熱量圧力等の問題、これも一般公共の利益と非常に関連するところが多い。こういう面について将来政令その他を考えられまする際に、よほど地方側との連絡ということについて考えてもらわなければならんと思う。出先機関であります通商産業局というのは広地域に一カ所ありまするから、そういう点とも考え併せて、支障のない限り都道府県知事にやらすというふうな考えをとつてもらいたいと、私は思うのでありますが、通産当局としてどう考えておられるか、御所見を承わりたい。
  44. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 私といたしましても、できるだけ都道府県知事に権限を譲りたいと思つておりますが、先ほど西川委員からお話がありましたように、ガス業者としては両方から監督されるということは甚だ迷惑だという意見がありまして、結局その辺の兼合いの問題となるわけであります。今のところ一応工事監督だけを考えておりますが、なおこの点十分研究いたしまして、支障のない範囲におきまして、都道府県知事も十分活躍できるようにいたしたいと考えております。
  45. 中川以良

    委員長(中川以良君) 他に御質疑ございませんか。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  46. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは次にかねて本委員会において調査をいたすべくお打合せを申しておりました物品税法の一部を改正する法律案としやし繊維品課税に関する法律案につきまして、只今より審議をいたします。  なお物品税法の一部を改正する法律案は本日当院の大蔵委員会を上りまして、恐らく本日本会議において上程されると思つております。従つてすでに法案は可決されておりまするが、この法案の大体の骨子並びに審議の結果等につきまして、大蔵当局より先ず説明を聴取することにいたします。
  47. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 先ず物品税法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申上げます。この改正の趣旨は今回の税制改正の一環といたしまして、所得税等の減税の一部を補填する等のために若干奢侈的な、或いは高級品につきまして税率の増徴或いは新規課税を行う、こういう趣旨のものでございます。その収入は大体十億円程度を初年度におきまして予定いたしておる次第でございます。その内容につきまして簡単に御説明申上げます。  先ず第一に税率の改正でございます。そのうちの先ず改正しようと思いましたのは、大体四種類の品目につきまして改正を考慮したのでございます。先ず第一に乗用自動車でございます。今回は乗用自動車につきまして課税区分を根本的に改めて、相当大型車或いは高級車と見られるものにつきましては、相当の高率とし、又一方国産自動車等の保護のために小型自動車につきましては税率を引下げて輸入の防止、或いは外貨の節約等を行う、こういう措置を講じようといたしたわけであります。先ず第一に現在は大体私ども輪距と申しておりますが、前輪と後輪との距離、これによつて自動車の課税標準を定めておつたのであります。そのほかに気筒容積という要素を入れまして、課税区分を考えたのであります。  先ず第一に一番高くいたそうと考えましたのは、高級大型車と私どもは言つておりますが、輪距が百二十吋、気筒容積が四千立方糎を超えるもの、現行では二〇%でございますが、改正案によりますと五〇%。その次は中型車でございます。これは只今申上げました高級大型車に属しないもの、それからあとで、これから申上げますところの小型車にも属しない真中くらいのものでございますが、現行二〇%のものもございますが、中には三〇%のものもございます。二〇%の現行になつておりますのは、現行の課税区分が百十吋以下のものが二〇%になつております。このうちで今回は小型車につきまして一五%に引下げる代りに、小型車の輸距が百十吋であつたものを百吋とし、且つ気筒容積千五百立方糎以下のものとし、これに該当しないものが中型車に上ります。大部分のものは三割の現状維持のものでございますが、中には二割から三割に上つたものが欧州についてあるわけでございます。  その次に小型車でございますが、今申しました通り現行では二〇%でございますが、これを一五%、こういたしております。これは国産車のみならず御承知のルノーとか、ヒルマンとか、こういうヨーロツパの小型車は大体この中に入るわけでございます。以上が自動車についての税率の改正でございます。  その次はやはり奢侈抑制、消費節約の声に応じました税制改正でございまして、この一環といたしまして、大型の電気冷蔵器、ガス冷蔵器、これは最近輸入も非常に多いようでございますので、これは現在普通の冷蔵器、氷冷蔵器が二割、ところが電気冷蔵器は三割でございますので、これと権衡をとる意味において奢侈抑制の見地から大型の電気冷蔵器につきましては三割のものを四割に上げよう、こういうふうにいたしておるわけであります。大型と申しますのは内容積が四立方呎を超えるもの、こういうふうに定義いたしておるわけであります。  その次はラジエーター、ムールクーラーでございますが、これも現行は三割でございますが、これも若干奢侈的と認められますので、三割から四割、こういうふうに税率を引上げようといたしておるわけでございます。  その次は、これは提案いしたまして衆議院で修正を受けまして削除されましたが、高級時計、これも一定の金額以上の高級時計につきましては現行税率は全部一〇%以上であつたわけですが、現在室内装飾用品が三割ということから見まして、或る程度輸入抑制の見地から相当外国から来ますところの高級な時計につきましては三割程度に引上げよう、こういうふうに考えておつたわけでありますが、これは衆議院で修正を受けまして削除になつたわけであります。  その次は新規物品課税といたしまして、これは通産委員会でも非常に関係があるのでございますが、最近流行しかかつておりますテレビジヨン受像機及び同部分品、これにつきまして三割の課税を提案いたしたわけでございます。ただこの工業がまだ育成過程にあることを考えまして、而も又日本の家庭には大型でなくてもよかろうというような趣旨から、ブラウン管の十四インチ以下のものを使用するものについては一年間だけは十五%、こういう提案をいたしたのでございますけれども、これも衆議院で修正を受けまして、十四インチ以下のブラウン管を使用するものにつきましては一年間は一二%、こういうような修正を受けたわけでございます。  その次はオルゴール、或いは新規課税物品といたしまして、最近非常にこれも流行のようでございますがオルゴール製品、これに課税いたそうといたしたわけであります。これは二割の税率で課税を提案いたしたのでありますが、これも衆議院で修正を受けまして、これは削除になつたわけでございます。  以上がまあ今回の政府提案の税率の改正と、新規課税の状況でございます、と同時に衆議院の修正の状況でございます。  それからその次に税率の関係は直接ないと言えるわけでありますが、課税方法を変えましたものに毛皮製品があるわけであります。これは現行は製造課税方法でございますが、この製造所というのは大分小売業者が兼業している、或いは又季節的な商品でございまして、大部分は百貨店或いは顧客に委託販売をする、こういうふうな関係もありまして、製造課税にいたしますと、どうも税金の圧迫によりまして非常に金融が苦しくなる、大部分委託で、返つて来るものも相当、季節が終りますと、すぐ返つて来るものにつきましても税金の立替払いをするという危険があるというので、これは小売課税にしたらどうかという意見がありまして、これを小売課税にする、並びに現行の製造課税の税率は五〇%になつておりますが、現在の小売課税の物品の税率は最高級は二割になつております。これに小売課税にすると二割ということになつております。ただ二割というのは税率が下つたのではなくて、大体流通マージンを考慮いたしますれば、製造課税の五割程度が二割課税でも均衡が得るのではなかろうか、かように考えております。  なお衆議院の修正といたしまして、そのほかにもう一点果実水の税率につきまして修正がございました。天然果実を使う果実水、これは農村工業育成の見地もあつたと思いますが、或いは又現在の課税が相当末端におきましてごたごたしております関係上、均衡をとるために税率を二割から一割に下げる、こういうような修正がございます。なお現在非課税のものにつきましては三カ月程度免税期間の終了後延期する、こういう修正が加えられたわけでございます。以上が大体物品税法の一部を改正する法律案の大略でございます。  その次ににしやし繊維品課税に関する法律案につきまして、御説明を簡単に申上げたいと思います。御承知の非常にもめた法案でございまして、原糸課税から小売課税、或いは今回の法律、こういうふうに動いたわけでございますが、その狙いは奢侈抑制、消費節約の思想から、直接税は減税するけれども、間接税の一部につきましては、増徴或いは新規課税を行う、こういう趣旨から出て来ていることは私が申上げるまでもないことでございます。で、この法案の大綱は先ず第一に課税範囲をできるだけ奢侈品に限定するというような趣旨から、まあ大体卸売価格が着尺一反につきまして七千五百円を超える小幅織物、それから広幅織物につきましては洋服地でございますが、一ヤール四千五百円を超える広幅織物、それからメリヤス製品でございますと、一枚につき四千円を超えるようなもの、それから毛布等一枚につきまして八千円を超えるもの、この程度のものを課税すればいいのではなかろうかというような趣旨から、相当高目に免税点を設けているわけでございます。これによりますと、大体和服のほうの関係の着尺では小売価格が一万円程度のものでなければ税金がかからない、洋服でございますと、大体三ヤールでございますので、生地といたしまして一万三千五百円まではかからない、仕立賃は相当こういう高級品ならかかると思いますので、私どもは大体二万六千円までの仕立上りの洋服の見立のものには税金はかからないことになるのではないかということを言つております。  その次はどこから税金を徴収するかという問題ですが、一番法案のでき上るまでごたごたした問題でございますが、考え方といたしましては大体小売業者或いは洋服屋さんに、この奢侈繊維品と申しておりますが、奢侈繊維品を販売することを業とするものというものから取ることを原則としているのでございますが、大体小売業者の前の卸売業者、卸の段階は数段階あるわけでございますが、納税義務者となるのは小売業者に売る前の段階の卸売業者、こういうふうに考えて頂けばいいのではないかと考えております。ただそういたしますと、製造者が直売する、或いは卸売業者が消費者に売るというようなことも考えました、このような場合には勿論課税するような手当はいたしているわけでございます。  それから税率でございますが、これは課税標準はまあ奢侈繊維品の販売価格、それから輸入するものにつきましては引取の際における価格といたしまして、税率はその販売価格乃至引取価格の百分の十五、こういうふうに考えているわけでございます。まあ当初百分の十という説もあつたわけでありますが、免税点を高目にいたしました関係上、百分の十五程度の税率がいいんじやなかろうか、こういうことになつたわけでございます。これによりまして大体税収入は八十五億円程度予定しているわけでございます。  その他非課税、それから申告等は大体まあ現在の物品税法に準じて作つてございます。納期も従いまして大体二カ月後を、販売した月の二カ月後の末日を納期限といたしまして、担保を提供すればなお一カ月延ばす、こういうような制度をとつているわけでございますが、これらもいずれも大体間接税の……、他の間接税の例にならつて法律案は改正せられていると存じます。  以上非常に大ざつぱでございましたか、物品税法の改正法律案、それからしやし繊維品課税に関しますところの法律案の大要を申上げた次第でございます。
  48. 中川以良

    委員長(中川以良君) ちよつとお尋ねいたしますが、先ほど物品税のお話があつたのですが、小型自動車は一五%という御説明でございましたが、二〇%の間違いじやございませんか。
  49. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 今回の改正案におきましては、現行二〇%のものを一五%に下げる、こういうふうな提案をいたしているわけでございます。
  50. 中川以良

    委員長(中川以良君) ああ、そうですか。わかりました。御質疑をお願いいたします。
  51. 海野三朗

    海野三朗君 ちよつとお伺いいたします。その乗用自動車……、国産品にはかけないことになつておりますか。かかることになつておりますか。国産品です。
  52. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 物品税は関税と違いますので、外国品につきましても、国産品につきましても、平等にかけるのが建前でございまして、国産品等につきましては課税しないというような措置はできないので、国産品につきましても、この大部分は小型でございますが、一五%の一番安い税率が課税されることになつているわけでございます。
  53. 海野三朗

    海野三朗君 ああ、そうですか。毛布一枚八千円以上と申しますと、一枚というのは、二枚続きのものでしようか、普通の一枚のやつですか。
  54. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 二枚続きのものにつきましても、法案で手当いたしまして、二枚続きで一枚になつている毛布は、これは二枚の毛布とする。だから一枚続きの免税点、一万六千円の免税点と、こういうことになるわけでございます。
  55. 海野三朗

    海野三朗君 ああ、そうですか。わかりました。
  56. 中川以良

    委員長(中川以良君) テレビジヨンは、今は輸入の関税はどのくらい取るのでございますか。
  57. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私の所管ではないのでございますが、三割ではなかつたかと思います。
  58. 中川以良

    委員長(中川以良君) それに今回更に物品税が加わるわけでございますか、明後日からは……。
  59. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) さようでございます。
  60. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ。反物ですと、一反七千五百円以上にはかけるということになりますか。
  61. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 小幅の織物につきましては、大体卸売価格が「七千五百円をこえる」ものについては課税をする。以上ではないので、「こえる」といの表現を法律では使つております。
  62. 海野三朗

    海野三朗君 ああ、そうですか。この宮城県から出まする紙布、紙の織物ですね。あの紙の織物などはやはり贅沢品と見ているのでありましようか。一反七千五百円以上いたしましよう。あの紙の、紙を織つて作る、あのすばらしいものが出ておりますが、ああいうようなものはもう贅沢品と見ているわけですか。紙布です。
  63. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 何が贅沢かということは、私質問を受けまして、甚だ私どもといたしましても、一義的な定義を申上げられなくて恐縮しているわけでありますが、現在の常識では、普通高価なもの、価格の高いものはまあ奢侈的ではなかろうか、殊にしやし繊維品に関しまするところの課税に関する法律では、そういうふうな見方をいたしておりますので、今海野委員がおつしやいましたようなものにつきましても、これは特に免税するとはいたしておりません。これがいろいろな産業政策を入れまして、例えばどういう産業を保護するというような見地から、又免税するのならば別でございますが、金額で一つの線を引きましておりますし、なお而も又卸売業者のところで課税いたしますし、税務署から見て、これはまあ紙の織物だ、或いはこれは生糸だというようなことになりますと、ごたごたいたしますので、そういうものは成るべく一義的な金額だけで線を切つたらいいのではなかろうかというような趣旨の下にでき上つておるつもりでございます。
  64. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、この紙布というようなものは、御承知のように三十年も、四十年を使えるわけなんですね。それでああいうふうなものに課税されるということになると、極く僅かだけ産しておるものです、つまり日本の昔のこの技術を伝えておるものだけにとどまつておるものが、つまり消えちやうことになる虞れはないですか。そういうようなところは如何ようにお考えになつておりますか。私はあの紙布を作る技術というものは残さなければならないのじやないか、こういうように考えるのです。で、そういう点については、ただ七千五百円以上のものにかけるということになると、漸く昔の命脈を保つておるこの日本の紙織物なんというものは、ぺちやんこになつてしまうのじやないか。こう思うのですが、御当局ではそういうものはぶつ潰しても、これはやろうというお考えかどうか。どうもその辺如何ようにお考えになつておるか、伺いたいのです。
  65. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) これもたびたび質問によく出るわけでございますが、とにかく値段の高いというものは贅沢なものではないのだ、非常な長持ちがするので高いのだ、殊に洋服でも、五万円のものは十年も保つが、二万円のものなら二年しか保たない。一年当りに割つて見れは、五万円のほうがいいじやないか、贅沢じやないのだというような説があるわけでございますけれども、現状におきまして、物品税、或いは間接税の全体の考え方から見まして、そこまでの要素を取入れることはなかなか困難でございますので、とにかく金額の高いものが奢侈だというふりに線を引いておるわけでございます。これが製造過程になりますと、割合その製品の種類とか、原料の種類等によりまして、割合はつきりいたしておりまして、免税も容易でございますが、何分これは販売課税でございます。でございますから、これがどういうものでできておるか、販売業者すらわからないというような場合もございますので、そういう技術的な観点から考えますと、どうもそういうような御要望を受入れるということは困難ではなかろうか。これは今海野委員のおつしやいました紙の織物だけではなくて、各種の例えば西陣の織物にいたしましても、織のいいもののほうが却つて目付けが多くていいのだというような説もあるわけでございます。まあ、この奢侈繊維品課税に関する全体の考え方から見ては、それを除外するということは困難ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  66. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、只今の紙布の場合なんぞは、三十年、乃至甚だしいのは二百年くらい着ておるのですね。もう三、四代前から、もう純繊維ですから……。で、そういう点から考えると、その贅沢品とだけ考えられないので、それを割りで言いますと、奢侈の税をつけるというのは、安物買いに銭失いさせる法案なんです。安物買いの銭失い。つまりそうなるのです。とにかくすばらしく高いものは、飛び離れていいのです。そういうものがあります。で、そういうものに対しては政府当局はどういう態度でいらつしやるか。とにかく値段が高かつたら皆一様にぶつかけるということになると、西陣の織物のようなものでもそうですが、今の紙布のようなものでも、いわゆる国家のこの人類の持つて来た非常な技術がぺちやんこになつてしまう。で、そういうところに対しては、よほど考えて頂かなければならない場合が出て来ておるのではないか、こういうように私は思うのです。で、この紙布の工場は私も行つて見ました。本当にすばらしいあれですね。技術です。そして又作つたものがすばらしく立派なものであり、丈夫です。洗えば洗うほど光沢を出して来るというようなもので、絹なんぞ比較になりません。そういうようなものについては何かやつぱり当局は多少考えて頂かなければいかんのじやないかな、というふうに思うのです、そういうような特殊な状況にあるものは……。一般の自動車のような贅沢品にはかけるとしてこれは止むを得ないことでしよう。メリヤスにしましても、毛布にしましても、西陣のような場合、或いはこの紙布というような場合、世界中で残つておるのは宮城県に残つておる一カ所と、あともう一つはドイツの山奥に残つておるという話です、紙から作る技術はですね。それから四国のどこか山奥にもう一カ所あるそうですが、宮城県のはとにかく工場の形をしておるのです。私はこれを親しく行つて見て来ましたが、成るほど珍らしいものだと思うのですが、そういうものをやつぱり保護する見地から考えますと、税金を高いほうで以て締めて行かれるというと困りはせんかと思うのですが、そういう点に対しては何らか又方法をとつていらつしやるかどうか。ただとにかく高いものにはかける。安物買いの銭失いで、何でもかまわないのだ、かけるというお考えなのか。そこをはつきりしたことを私は伺つておきたい。
  67. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 只今申上げましたような趣旨から、一定金額以上のものはかけるというふうに考えております。その趣旨只今申上げた通りでございまして、なかなかこれを販売段階におきまして製品の品質において区別することはまあ技術的にも困難でありましようし、只今海野委員が自動車の例を挙げられましたけれども、自動車におきましても値段の高いものにつきましては相当耐久的なものもございます。そのような趣旨から見て、まあ止むを得ないのではなかろうか。併しただ私どもは企業が潰れていいと、こういうことではございませんので、まあこれは消費者がその程度の税金を負担して企業のほうにはね返るというようなことはなかろうと、これはまあ消費税でございます。消費者が税金を負担する。こういう趣旨でございますので、この程度のものは消費者に負担をして頂くというような趣旨から私は企業が潰れるというようなことはまあ万なかろうと、かように考えておる次第でございます。
  68. 中川以良

    委員長(中川以良君) 私から最後に一つお伺いしておきたいのですが、織物消費税が廃止に過般なつたときに、小売店等で持つておりますものに対して政府が補償をする問題が起つておりました。今回はその反対ですが、今回、つまり税が高くなりました場合、小売商の持つているものにも課税をされるのかどうか。この点はどうでございますか。
  69. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 織物消費税がシヤウプ勧告によりまして外されましたときには税制の規定がございませんので、そのままになつたことはまあ耳新らしい事実でございますが、今回の法案におきましては、それらの点を考えまして、この法案施行されましたときには、普通の間接税の増税或いは新課税のときには、販売業者の店頭にあるものにつきましては、ストツク課税、手持品課税と普通言つておりますが、そういう措置をいたすものでありますが、今度の法案におきましては、手持品課税はしない。それから、もう一つ説明のときに私重要なことを言い忘れましたが、この法案が二年間の臨時的な法律でございます。これらの見地を考えましても、普通の間接税ならばストツク課税をいたすわけでございますが、ストツク課税はいたさない。こういうことにいたしておるわけであります。
  70. 中川以良

    委員長(中川以良君) もう一点伺いたいのですが、物品税のうちの第一条の「左ニ掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」云々とございます。この命令でございますが、これは大体価格で以てその限度がきめられておりますが、今回この命令が更に変つて価格を上げるとか下げるとかいうようなことが行われるかどうか、その点はどうですか。
  71. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) これらの点につきましては、現在各方面の御意見を承わりつつ慎重に検討中でございます。
  72. 中川以良

    委員長(中川以良君) 相当広範囲に改正をされる見込でございますか。どうですか。
  73. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私どもの気持といたしましては、現在のところ物品税の今回の改正の趣旨がむしろ今まで、去年あたりまでと違いまして、増徴の方向にあると考えまして、できるならば改正する場合免税点の引上げはせず極力下げる方向に進めたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 中川以良

    委員長(中川以良君) 免税点の引上げは極力避けるというお話でございますが、最近この低物価政策で、どんどん物価が下つて参る。課税の標準にあつたものが、物価が下つたために、非課税になるというようなものが相当出る見込かどうか。
  75. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) これらの点につきましては、まだ十分検討いたしておりませんので、結論はちよつと申上げにくいのではないかと、かように考えております。
  76. 中川以良

    委員長(中川以良君) そういうことが相当想像されますが、どうでしようか。この低物価政策に伴つて……。
  77. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私の考えておりますところでは、そういうことは割合少いのではなかろうか。やはり業者といたしましても、或る程度ちよつと下れば免税点になるというものであれば、現在においても大体免税点以下に無理して売つているのではなかろうかと、かように考えますので、今まで課税されていたものが物価低落のために免税点以下になつたというものは、少いのではないかというふうに想像いたしておるわけであります。
  78. 中川以良

    委員長(中川以良君) これはいつ頃、大体決定するわけでございますか。四月一日からこの法律施行されるわけでありますが、今の価格の点で変動のあるものはいつ頃大体最終的な決定が一般に周知されることになりますか。
  79. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 改正法律施行の命令は四月一日から直ちに出すわけでございますが、その他各方面の御要望につきましては、それから若干遅れるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  80. 海野三朗

    海野三朗君 重ねてお伺いいたしますが、そういうふうな、私がお伺いしたようなことは、値段の点からして、一々判定しにくいというお話でありまするが、今の紙布の場合、これに税金をかけたら買う人がなくなる、工場は潰れるばかりでなく、その技術がすたるのではないか。そういう際にはこの工場の技術の面も考えて、これは善処しなければならないのではないか、と私は思うのです。極く特殊なものですよ。例えば今紙布をその例にとつたのでありますが、そういうふうな際には十分考慮しなければならないのではないか、技術保存のために……。世界にも余りないのだから、そういうふうに私は思うのでありますが、あなたは御自身はどういうふうにお考えになるか、率直に私はお伺いしたい。
  81. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 今海野委員がおつしやいましたように、確かに消費者に転嫁しきれない場合には、企業者の負担になる。これは転嫁関係というものは、力の強弱によつてきまりますので、仰せのようなこともあり得ると、私も率直に申上げることができると思います。ただ今申しましたそういう関係を考慮いたしまして、特殊な技術のものにつきましては、どの程度保護するかという点につきまして、私どもといたしましてももう少し検討して見なければいかん点が多々ある、かように考えておりますが、その範囲はなかなか広くなる場合もありますし、そうなりますと、しやし繊維品課税に関します法律趣旨が失われないか、これらの難点もありますので、よほど慎重に考慮して見ないと、その範囲の限定が困難ではなかろうか、かように考えております。
  82. 海野三朗

    海野三朗君 やはりその点については十分御研究をおやりになるお考えでもございますか。
  83. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私どもこの法案を現在国会に提案しておりますので、私どものところでは、もはや研究する段階は離れておるわけでございますが、提案する際の結論といたしましては、先ほど来申上げた通りに特殊な技術を持つておるけれども、値段の高いものについては止むを得なかろうという結論であつたわけであります。
  84. 海野三朗

    海野三朗君 私は重ねて、それを繰返して申上げますがね、ここに七千五百円以上と、これに税をかけるということになりますと、消費者にかかつて来る、消費者にかかつて来ると、それは買わなくなるのです。そうすると、今まで多量に生産しておる品物じやない、これは技術保存をしなければならないものなんであります。そういうものがこの奢侈品の法律ができたために買う人がなくなつてしまう。そうすると、その技術が、つまり消滅してしまう、自然に……。そういうふうな場合がありますからこれは十分検討をして行かなければならない、極く特殊の場合ですよ。これをやらんということになると、折角今日まで数百年来日本に伝わつて来た日本の技術がなくなつてしまう、奢侈税のために……。これがたくさん売れるのならいいのですがね、そうでないものですから、そういうふうなものが漸く今日命脈を保つてどうにかこうにかこぎつけておるわけです。そういうところをやつぱり考えて行かなければならない。で、それに対しては重ねて研究して頂くことを私は要望いたしたいのであります。
  85. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 物品税はすでに御承知の通りの戦時中の、これはまあ戦時中の税としても最悪の税だと言われておるわけでありますが、その後、而も陳情があるというと、これをいじくり廻してでこぼこができて、どだいすべての悪いところへいじくり廻したものですから、更に甚だ恰好のつかん、一体奢侈的性質を帯びた税金なのか、或いは生活必需品まで課税するという税金なのか、まあ満身創痍、私は現在過去を通じて最悪の税金になつておると思うのですが、これについて大蔵当局のほうでは再出発をせられるように研究せられなければ世の中の笑いものになろうかと思うのですが、御意見はどうですか。
  86. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 只今おつしやられました物品税につきましては、確かにそういう非難があるわけでございます。これに代えるにどういう税金を持つて来るかということは、なかなか困難でございますので、一時は取引高税みたいなものがあつたわけでございますが、これはまあ悪税という名の下に廃止されておりますし、これがどういうふうに転換すべきか私どももこの法律案、これは物品税自体必ずしも完全なものと思つておりませんし、課税のアンバランスも相当あることを承知いたしておるわけでございますが、その穴埋めの問題と、それからもう一つ、やはり一般的なこういうような奢侈的なものを中心といたしますところの間接税はどこの国にもございますので、これをどの程度整理して残したらいいのか、或いは又殊に零細な企業者を相手とするような課税対象、ここらあたりをどの程度外したらいいのか、而もこの零細な企業の作るものが比較的奢侈的なものとなつております。これらあたりの転換がどういう影響を与えるか、これらを慎重に検討いたしました上で研究しなければならん。いつも毎年毎年いろいろな法律に追われまして根本的検討をする余裕がないわけでございますが、各方面からの声も相当高くなつておりますので、今後慎重に検討して参りたい、かように考えております。
  87. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 奢侈的性質を帯びたものを中心にしておる税というようなお話が今ありましたけれども、用紙類に税がかかつたり、而も聞くところによりますと贅沢な紙のほうが課税から外れておつて、むしろ必需品たる用紙のほうに税がかかつておる。それから又マツチにかかつておる。清涼飲料にかかつておる。実に以て支離滅裂なんですね。これを早く今も申すように、根本的にこいつを一度廃止せられて、そうしてこれに代る財源は何人も尤もだと思うような案をお考えにならんと、私は大蔵当局の税制に対する良識を疑われると思うのですね。その点について御意見があれば改めて伺いたいことと、もう一つは今回奢侈繊維税というので出ておるわけですが、この繊維品だけに対してどうして奢侈税をかけなければならんのか、奢侈税をかけるということになれば物品税も再検討せられると同時に、まだ相当かけるものが他にもあろうと思うのですね。これもやつぱり支離滅裂で何と言うか、イージー・ゴーイングというか、抵抗の薄いところに狙つて行こう、税制の体系などは余りお考えになつておらんような感がするのですが、これについての御意見はどうでしようか。
  88. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 第一点の物品税の再検討の問題でございます。おつしやる通りの考えなければいかん点は多多ありますので、私どもも検討いたしたい、こういうふうに考えております。ただ先ほどから申上げております。例えば物品税の中のダイヤモンドの課税、或いは自動車の課税、これあたりはどこの国に行きましても課税いたしておりますので、今豊田委員の申されました飲料水の課税、或いは用紙類の課税、ここらあたりは相当検討する余地があろうと考えております。ただ問題は財源の点をどういうふうに考えるか、これが一番大きな問題ではなかろうか、かように今のところは考えているわけであります。  それから第二点の繊維品だけなぜ奢侈課税を行うかという問題でございますが、私といたしまして現在物品税が豊田委員のおつしやる通り、確かに非難のあるのは相当広範囲課税いたした点にあるのではなかろうか、そこで考えて見ますというと、物品税で一番漏れておりまして、而も過去につきまして課税されておりまして相当収入の上るものと言いますれば繊維品が一番大きいのではなかろうか、こういう趣旨からむしろ奢侈的な課税を捕捉する意味におきまして今度の法案を提案いたそうというような趣旨で作つたのでございまして、繊維品だけ課税するというような趣旨ではないわけでございます。それと、もう一つ、なかなかほかにいわゆる奢侈品と申されるところに課税をして相当な収入が上るというものも私どもの智恵ではなかなか見当りませんので、やはり昔繊維品課税いたしました関係、それから最近の繊維品の輸入の状況、輸出の状況、これらを考えまして、この程度のものに課税するのは現行の間接税の体系とは矛盾しないのではなかろうか、というような趣旨から御提案申上げたような次第でございます。
  89. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 いろいろお話がありましたけれども、読んで字のごとく奢侈繊維税というので、繊維品だけに奢侈という字がついているのです。恐らくこのほかに奢侈というものがかぶさつている税金というものはほかにないのじやないかと思うのですが、その点において甚だおかしな、これはよほどこの際お考えにならなければいかんのじやないかと思うのですが、それが証拠にどだい衆議院は上つて来ないのじやないかと思うのです。そういう点を考え、又今の物品税についても私の先ほど申上げた点、尤もだと言われるようでありますから、これ以上追及いたしませんが、次回にはどうか一つ奢侈繊維税について、又今の物品税について根本的に再検討せられまして、もう少し器量のいい、顔を洗い直したところでお出かけ願うようにこの際希望をいたしてお別れすることにいたします。
  90. 海野三朗

    海野三朗君 ちよつと一つだけ、繊維品の繊維の定義はどういうところにありますか。
  91. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 繊維品の定義は法律にはいたしておりませんが、私どもといたしましては繊維というのは植物の繊維質と申しますか、動植物の繊維質と申しますか、そういうような繊維質、まあ常識的にわかるのではなかろうかと考えております。法案では定義いたしておりません。
  92. 海野三朗

    海野三朗君 これは甚だ以ておかしいと思うんですよ。繊維という定義がはつきりしていないと、その辺も繊維品、これも繊維品では私は根本がぐらつくんじやないかと思う。このことについてはなおよくお調べを願いたい。繊維品の定義が私は根本だと思います。常識でわかると言うが、常識ではごまかされません。
  93. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) ちよつと言葉が不十分でございましたが、繊維品の定義はございませんが、課税対象は特掲してございます。価格が一反につき七千五百円を超える小幅織物を繊維品として課税する。織物、座蒲団地、帯地、それからメリヤス製品その他の織物、肩掛類、毛布、まあこういうふうに特掲いたしておるので、この点は課税に当りまして混乱はなかろう、かように考えております。
  94. 海野三朗

    海野三朗君 それじや、ナイロンはどうですか、ナイロンは繊維ですか。
  95. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) ナイロン自体に課税するとはいたしておりませんので、織物になれば課税になる。織物と言いますのは縦糸と横糸をかけまして、織機にかけまして織つたもの、こういうふうになりますれば、ナイロンもそういう方法によりまして織物になれば課税される、こういうふうに考えております。
  96. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、つまり縦糸に横糸を噛み合わして作つたものを繊維品として見ておるわけでありますね。
  97. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 繊維品と見ておるわけではありませんが、課税対象として特掲いたしておるわけであります。繊維品法律に定義する前の常識的な用語で解決できると私どもは考えておるわけでございます。
  98. 海野三朗

    海野三朗君 私はこの次にその繊維品の定義をはつきりお伺いしたいと思いますから、よくお調べになつてお答えを願いたいと思います。
  99. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  100. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。  それではこれから先般本委員会において公正取引委員会並びに中小企業庁に申入をしておりました大企業が下請業者に対しまする支払の基準の問題につきまして、その節豊田委員からも特に念を押されまして、一カ月後にはこの基準を作るというお話があつたのでございますが、すでに一カ月後を経過いたしております。本日は大体この基準ができたとの申入でございますので、公正取引委員会からこれに関する説明を聴取いたします。
  101. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 今年のたしか二月十七日と記憶いたしますが、この委員会におきまして、下請代金の不当な支払遅延が独占禁止法の違反になる、その基準を一応きめたらどうか、これは昨年の当委員会ですでにそういう御希望がございましたが、それを受けまして二月の十七日に同じようなお話がございまして、これは我々といたしましても執務上何らかの基準が欲しいと思つておりましたし、又この基準に基きまして実際の取引をする実業界のかたがたにつきましても一応の基準がございますことが公正な取引方法を促進するゆえんでもございますので、その御趣旨には誠に同感でございまして、その際に一月或いは多少遅れるかも知らんが、そのくらいの期間の間に一応基準を立てまして御報告を申上げるということを申したのでございますが、その後鋭意検討はいたしておりましたが、諸般の事情からいたしまして大変遅れまして申訳なく思つておる次第でございます。なお本日申上げまする一応の結論につきましては、なお法律的に、或いはいろいろな面におきまして検討を加える余地はあろうと思いまするが、併し余り完全なものをというようなことを考えまして、いつまでも考えておりましても切りのないことでございますので、お示しもございましたので、この辺で一応の基準を申上げたいというふうに考えまして、本日罷り出たわけでございます。この基準を作りますにつきましては、その節も申上げましたように、公正取引委員会法律規定によつて与えられておりまする公正な取引方法のうちの特殊な取引方法の指定という制度を通じまして、これをややはつきりした形に、且つ相当権威のあるような形に作り上げるということが最も望ましいのでございまするが、この点につきましては、なおもう少し検討いたしたい点もございますので、本日申上げまするのは、いわば今後公正取引委員会が事務を処理して参ります上のいわば一つの内規的な取扱方針とでも申すようなものでございまして、なおこの方針に従いまして一応やつて見まして確信が持てましたならば、これを更に一歩進めまして特殊指定というような方向に持つて行きたいと考えております。そういうような趣旨のものであるというふうに御了承願いたいと存じます。そこで内容でございますが、こういう基準を作ります際には、やはりそこに下請とは何であるか、親企業とは何であるか、こういうような定義を挙げて参らなければなりませんので、一応の定義をいたしましたが、これも実はまだ未熟でございまして、而も独占禁止法のいわゆる第十号に当りまする不当な経済力の濫用と申しまするか、取引上の地位の優越たることを利用して他の事業者に不当な不利益な条件を押付けるという問題は下請だけには限りませんので、その意味におきましてこの定義を作るにつきましてもいろいろ苦心をいたしたのでございますが、先ず当面の問題、多少限局はされますが、当面の一番問題になつておるものを一応取上げまして、更にこれを他の同様な関係に推し及ぼすという方針をとりたいと存じまして、本日申上げまする基準には多少幅が狭過ぎはしないかという御批判もあろうかと存じますが、そういう方針を以ちまして一応の基準な作成いたした次第でございます。  内容を簡単に御説明いたします。一応お手許に書き物にいたしまして、下請代金の不当な支払遅延に関する認定基準という標題を掲げまして書いてございますが、先ず第一に機械器具又は武器の製造、修理を行う事業者、これをまあ一応親企業というふうに定義をいたしまして、がその製品、これは製品自体ではなく、修理をいたす問題も含む意味において修理品を含めました意味の製品の一部又は全部について製作、加工、組立、工事、修理等を下請業者に行わしめる場合においてというふうに一応限定をいたしたわけでございます。このうちの機械器具又は武器の製造、修理を行う事業者、いわゆる親企業内容につきましては、二頁目の註のところに業種といたしまして、差当り下請依存度の高い業種である機械器具及び武器の製造、修理業を対象とする。そしてこの機械器具云々の内容といたしましては、大体ここにいろいろ詳しく掲げてございまするが、この分類につきましては日本標準産業分類の昭和二十六年政令百二十七号に基きまする告示に挙げられておりまするものを一応の参考にいたしたいというふうに考えまして、ここに一応の業種を掲げてあるわけでございます。こういうものの製造、修理をいたす親企業、而もそのここに掲げておりまするものを専業にいたす必要はないので、上記の業種を専業としている場合に限らず兼業をしている場合を含めまして、そういう親企業が下請をいたさせるわけでございます。この下請企業につきましてはやはり註の(3)へ参りまして、下請業者は次の三つの要素によつて判定する、これは大体法律の不公正、取引方法の十号の趣旨を斟酌いたしましてこの下請業者の範囲を一応分析いたしたわけでございますが、イといたしまして、小規模の事業者であること。これは下請と申しましても下請業者に非常に大きなものもあり得るわけでございますので、そういうものにつきましては特にその相手方の経済力の濫用というようなことも考えられまするので、小規模の事業者というふうに考えてよいのではないか。尤もこれは中小企業等協同組合法或いは独占禁止法にございまする小規模事業者と必ずしも限定する必要はないと思いますので、社会通念上小規模の事業者と認められるものであれば足りるという趣旨でございます。それから親企業の製品の下請を行なつていること。これは親企業の注文に応じましてその製品、これは修理も含むわけでございますが、製品の一部又は全部について製作、加工、組立、工事、修理等を、こういうことを注文に応じてやる小規模の企業者である。而も親企業に依存しておること、つまりそれ自体が特定の市場を持たないで親企業に依存することによりまして事業を行なつていることがその企業の主たる事業であるというようなもの、特定少数の親企業の製品の下請を行うことを主たる事業といたしておるという関係において親企業に依存しておる、こういうような三つの要件が一応考えられるわけでございます。そんな関係から、従いまして親企業の地位の濫用ということが生じやすい一種の業態というふうに考えるわけでございます。これが下請業者の定義でございます。  それから更に下請も入りますので、その(4)といたしまして、下請業者が再下請業者に発注する場合において、当該下請業者が上記の業種に属しいるときは、その再下請取引は取締の対象となるというふうにしたわけでございます。  次に一頁に返りまして、然らば支払遅延の基準のことでございます。これにつきましては実はいろいろ考えましたが、なかなかむずかしい問題でございまして、この基準の作成には非常に困難をいたしたわけであります。政府支払の遅延防止に関する法律等も勿論参酌いたしましたし、現実に取引が行われておりますこれらの機械器具及び武器の製造に関します取引の実情をも参酌いたしまして正常な商慣習というものを把握しようということで大分苦労いたしましたが、結局できましたのは非常に簡単なものになつたわけでございまして、これを申上げますと、親企業が下請業者から納品等給付を受けたものについて検査を完了した日を一応の支払を開始しまする基準の日といたしまして、検査を完了した日から三十日以内に親企業の経営の状況その他の事情より見て支払能力があるにかかわらず、下請業者に対し、下請代金を現金又はこれに準ずる確実な支払手段で支払わないことということを以まして不当な支払遅延というふうに認めたわけでございます。この検査につきましては一応括弧に入れまして、検査をずるずる延ばしますると、この基準期間三十日はいつまでも延びるわけでございますから、これを抑えますために納品等給付を受けた日から原則として十日以内に検査を完了するものとする、ということにいたしました。これは当初大体普通の取引につきましては十日ぐらいで済んでおるようでございますが、ものによりましてはこれはややきつめな期限でございますので、つきましては註の(5)に持つて行きまして、納入等から検査完了までの期間に関しましては、原則としては十日以内とするが、製品の性質上長期の検査を要するもの等についてはその通常必要とする期間を斟酌して決定する。これは御承知のように精密な検査を必要としますもの、いわゆる悉皆検査を要するものにつきましては、或いはこの十日というのは実情に副わない短い期間であるかも知れませんので、そういうような特殊の場合におきましては、この十日を多少延びてもいたし方ないということで、註におきまして多少ゆとりを設けたわけでございます。こういたしまして検査を完了し、その日を基準にいたしましてそれから三十日以内に現金で支払をいたしますればこれは最も結構な状態でござまして、これはこの前の委員会でたしか御配付を受けました、中小企業の全日本中小工業協議会のお調べの調書を頂きましたのでございますが、これを拝見いたしましても現金の支払というものは相当多い。これがむしろ原則であるということがこれでわかるわけでございまして、我々といたしましても成るたけこういう現金支払ということを本則にいたしたいという気持でおるわけでござまいして、その現金で支払う、これがむしろ原則、併しこれに限定しますることは、これは政府支払の場合と違いまして現金支払に限定するわけには参りませんので、これに準ずる確実な支払手段で支払わなくてはいけないということはいたしたわけでございます。ここに金銭支払に準ずる確実な支払手段というものはまあいろいろ考えられるでございましようが、一番現実の取引におきまして問題になりますのは、いわゆる手形による支払でございます。これにつきましては少し順序が飛びましたが、二枚目の裏に(7)といたしまして現金に準ずる確実の支払手段というものにつきましては手形については受領後直ちに銀行、商工組合中央金庫等のいわゆる正規の金融機関で割引のできる手形というふうに我我は解釈をいたしておるわけでございます。これは何も親企業自身が振出した手形の必要はないと思いますが、それが多いと思いますが、いずれにいたしましてもこれらの金融機関で正規に割引のできる性格を持つた手形ということを現金に準ずる確実な支払手段というふうに考えておるわけでございます。この点につきましては、先般の委員会でも同じようなことを申上げたわけでございますが、あの際には括弧をいたしまして九十日というようなことをちよつと入れておいたわけでございますが、これは我々の考えといたしましては実際のこういう金融機関の現実の慣習に任していいではないかというふうに考えたわけでございます。現在は大体私の聞いておりますところでは、九十日以上のものは割引はなかなかむずかしい。勿論九十日以下のもの、而も九十日以下でも必ずしも割引ができるとは限らないという状況でございますので、ここに九十日というようなことを掲げますよりも、そういう点はむしろ一般の金融界におきまする実情に任せていいことだと思います。例えばこれからだんだん金融の引締というようなことが行われて参りますれば、或いは九十日というような期間はもう少しこれを引締めて行くというような線が出るかも知れないと思いますが、そういうような際にはその線に沿うて割引のできるものでなければ困るというふうに一応考えたわけでございます。こういたしますと、三十日以内で、現金で払う、或いはそれに準ずる確実な支払手段で以て払わなければ一応いけないということになりますので、この点はこれだけを見ますると非常に厳しい、かなり厳しい規制になるわけでございますが、個々にはやはり先ほども申しましたような支払者が注文をいたしましたものが国家、政府というようなものと違いまする一般企業でございまするから、その点にはやはりそれ相応の斟酌がされてよいと思いますので、その点が、遡りますが、親企業の経営の状況その他の事情よの見た支払能力があるにかかわらず、という点を考慮いたす必要があろうと考えたわけでございます。この言葉は必ずしも適切ではございませんが、考えておりますることは註の(6)にございますように「親企業の経営の状況、その他の事業より見た支払能力は主として」、必ずしもこれだけに限られませんのでございますが、「次の諸事情を総合勘案して判断する。」、これはこの前の委員会で申上げたことを要約いたしまして書いたのでございますが、生産、販売、在庫の状況、販売代金の回収状況、最も重要なのは三番目の運転資金の銀行等がらの調達能力、四番目といたしまして下請業者以外の他企業に対する支払能力、五番目といたしまして、株主配当、役員賞与、従業員俸給、賃金等の状況、それから六番目といたしまして非生産的冗費の支出の状況というような、要するにその企業の諸般の経営の状況を考えまして、そうして常識的に考えましても如何にもしわを小規模の下請業者に寄せておる、如何にも不当であると思われますものは、この三十日以内に支払いません場合はこれは一応独禁法の第十号の不公正な取引行為に該当するものというふうに見てよいのではないかと考えた次第でございます。一応一カ月余り考えまして、一応こういう線を出しました。先ほども申しましたように一応この線で運営をいたして見まして、これに対してはいろいろな御批判もございましようし、我我の思い至らない点もあると思いますので、この点は今後の運用の状況を見まして、更にもつと詳細な具体的な又実情に即しました正常な商慣習の線がつかめましたらば、先ほど申しましたようにそれを取入れて線に乗せてもつとはつきりした姿にいたしたいと考えておる次第であります。甚だ簡単でございますが、一応私どもが考えました認定基準を……。  それから重要なものを落しましたが、只今のは支払遅延の問題だけを申しましたが、そのほかに独占禁止法の点の只今の十号の関係で二つのことがやはりこの支払遅延に関連いたしまして考えられるのでございますが、それが一頁の二点として挙げてあることであります。2は「親企業が下請取引にかかわる納品等給付をうけた後において、親企業が、下請代金の速かな支払を条件として、下請業者に対し既定の単価の値引きを強要すること。」、これはよくあることでございまして、早く正規に支払をしてやる代りに、もう少しまけろ、或いはは逆に申しますれば、もう少しまければ早く払つてやるというようなことが相当ございますので、これはやはりどうしても取締つてもらいたいということ、3といたしまして下請業者が下請代金の速かな支払を要求しました場合に、なまいきな奴だというようなわけで、それに報復をいたす、親企業が当該要求を理由として下請取引にかかる納品を返品いたしましたり、或いは爾後の下請取引を停止する、その他下請業者に対して著しく不利益な取扱いをする、或いは他の者に対して差別的な取扱をするというようなことが、これもありがちなことでございますので、これもやはり抑えてしまう必要があるわけであります。殊に、3は御承知のようにしいたげられたこれらの人々は、例えば心の中で不平満々でございましても、これを訴えるすべがない。幸いに独占禁止法というものがございましても、なかなかこの線に沿いまして自分たちの地位を守るということができかねる実情でございますので、そういう点についてのいろいろな懸念をあらかじめ払拭しておきますことが、適当ではないかと存じましたので、特に3を掲げまして1、2、3、この三つの線を合せまして下請業者の利益を擁護いたしたいと考えておるわけでございます。
  102. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは御質疑を願います。
  103. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 只今資料を配られ、又横田委員長から説明を承わりまして、約一カ月以上に亘る非常な御苦心の結果、この案を得られたのでありまして、その点に対しまして敬意を先ず表するものであります。と同時に、横田委員長からの御説明にもありました通り、これで果して足りるかどうかということに私自身も確信が持てないのでありまして、殊に機械器具又は武器の製造、修理関係だけに一応限定して出発することで目的を達し得るかどうか、その点について疑問を持つのでありますが、併し御説明にありましたるごとく、これを漸次拡充整備してもらうということ、問題の起つたことに急速に善処願いたいということが一つであります。  それからもう一つは、これは認定基準で内規というお話がありましたが、これによつて業界で如何に処して行つたらいいか、殊に親企業、善良なる親企業の今後の動向にも大きな関係を持つわけでありまして、これは発表をせられることが必要だと思うのでありまして、それに対する御意見を伺いたいと思います。  それから第三の点といたしましては、現金に準ずる確実なる支払手段、これにつきまして註があるのでありますが、その註が、受領後直ちに銀行、商工中金等の正規の金融機関で割引ける手形というのでありまして、一応九十日以下くらいに見るというお話でありますが、この点当を得ておるかどうかにつきまして問題があろうと思いまするけれども、一応さように考えられるというところでありますると、一応の九十日以下のものというように考えておるということを、これを発表の際に併せて何らかの形で意見を発表せられることが必要だろうと思うのであります。と言いますのは、直ちに割引ける手形といつても、これがなかなか不明確なのでありますので、その点について一つの有権解釈的なものを発表の際に附加えられておくことが適切且つ必要だというふうに考えるのであります。  第四点といたしまして、これは字句に対する疑問でありますが、「機械器具又は武器の製造、修理を行う事業者がその製品の一部」という文句があるのでありますが、これは鋳物業者、要するに機械器具又は武器の、その素材になりまするところの鋳物は当然含むものと思うのでありますけれども、文句自身から見ますると、製品の一部でありますので、パート、部品それ自身を言うのではないかという疑念があろうかと思いますので、若しも、パートだけではないと考えますけれども、パートだけの意味合いだと、今非常に大きな問題になつておるのは鋳物業者に対する大企業の下請代金未払乃至は支払遅延、これが問題になつておりまして、その点について鋳物業者が下請としてはつきり入るというふうに何らかの形で明らかにして頂きたい。  以上希望やら質問やら合せまして申述べたのでありますが、この点について、希望に対しましては公正取引委員会の今後の方針をお答え願いたいし、字句に対する疑問につきましてはその点についての御解釈をお願いいたしたいと思います。
  104. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 他の下請問題にも拡げるということにつきましては、先ほど申上げた通りでございまして、特に土建関係、或いは繊維産業のいろいろ賃加工というようなことにつきましても、これは十分にまだ調査をいたしておりませんが、そういうものにもいろいろの問題があるようでございますので、今後この点は十分になお続けて研究もいたしたい、且つ拡げて参りたいと考えるのであります。  それから発表につきましては、取りあえず新聞発表をいたしまして、公取の態度というものを新聞によりまして一般に公表いたしたいというふうに考えております。なおその際に確実な支払手段につきましては、大体現在の状態で考えれば、九十日の期間以内でなければならないということも附加えたいと考えております。  それから鋳物そのものの下請につきましては、字句的に考えますと、やや御指摘の通り製品の一部という言葉の中に或いは多少はみ出すように思いますが、併し我々のつもりは無論そういうものを含めるつもりでございますので、この点ももう少し正確な言葉がございましたら適当に修正いたしたいと考えております。
  105. 白川一雄

    ○白川一雄君 この認定基準を拝見いたしまして、これは経済事情に非常に左右されて、この基準がいろいろな面に片寄つて効果を発するのではないかと思う。現在のように急に金融引締をやりますと、親会社も金融に詰まれば、又親会社が物を売つて入る金も、だんだん従来の正常な取引でないと言われるような、例えば長期の月賦でなければ売れなくなるというように順遅れになつて来ますと、この親企業の経営の状況その他の事情より見て、というところにすべて事柄が今後ここに集中して参るようなことになりはしないかというように考えられるのでございますが、一、二の点をお尋ねしたいのは、親企業に依存するということは、専ら依存するという意味であるか、と申しますのは、親会社も同じ品物で幾つかの下請を使う場合がありますし、又下請も幾つかの親会社に対して物を納めるというような場合があると思うのであります。それは最後の手形のところに関係があると思うのでありますが、親会社から出す手形は下請のほうが金融力がありますと、ほかのところではどんどん割引のできる手形があるけれども、最近の金融引締から手形の割引の枠というものを非常に狭められて来ますと、従来割られておつた手形も割れないということになつて参りますと、それが確実な支払方法じやないという範囲になりますのに、両方が今の複数でありますと、一方のほうの手形は更に枠があつたから割れたが、他のほうの手形は枠がないから割れんということになりますと、そこに結果的に見て確実なる支払手段でないということになつて参ると思うのでございますが、その辺のまあお取扱に対しましてはどういう御意見ですか。
  106. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 只今の例をお挙げになりました問題につきまして申上げますが、親企業を或る特定の親企業一つだけに依存する必要はなく、又親企業も幾つもの下請を持つていいわけでございまして、従いまして手形支払の場合にその下請の企業のあり方、或いは親企業のあり方によつて同じような関係の下請関係につきまして或る手形は割れない、或る手形は割れるという状態ができることはこれは事実でございましよう。併しこの点はやはりその個々の取引関係を見ましてまあ親企業の側から申上げますれば割れないような、その特定の下請については割れないような手形はやはりその下請業者には出しては、出すことはやはり困る、下請の関係で同じ親が出したものでも割れるものならばやはりこの基準の中に入るというふうな結果になるのではないかと考えます。それから一般問題といたしまして、非常に今後の金融引締その他経済事情の変化によりまして先ほど挙げましたいわゆる支払能力のあるにかかわらずという……事の運用如何によりまして非常に、或いは折角三十日という期間をきめましても骨抜きになる虞れもございまするし、或いはこれを非常に狭く解釈いたしますると殆んど三十日を越えたものは一応いかんという極めて厳しい結論にもなりますので、この親企業経営状況その他の事情より見た支払能力という点につきましては、今後の運用につきまして十分に注意をいしたまして、特にお示しのように金融引締によつて或いは代金の回収が不能である場合、困難であるというようなことによつて企業が苦しみまするその状況は勿論一応参酌はいたしまするが、併しながらそのしわをすべて下請に寄せるというようなことではやはり困りますので、その点はたとえ全部を支払えないとしても一部を支払うという、いわゆる誠意のある、誰が見ましても一応誠意のある態度で親企業が臨みますればやはりその三十日の期間を多少遅れましてもそれは必ずしも法律上取締の対象にする必要はないのではないか、ただそれを口実にいたしまして何でもかんでも下請のほうにしわが寄つてしまうということを我々は非常に警戒をいたさなければならんというふうに考えております。
  107. 白川一雄

    ○白川一雄君 手形の実情でございますけれども、仮に下請が銀行で手形の割引五百万円まで割れるという銀行の枠を設定しておりましたのが、今度金融引締め或いは限度を四百万円に下げられたという場合に、甲の親会社から二百五十万円、乙の親会社から二百五十万円という手形を受取りましても、そのうちの百万円というものは割引ができないというような実情が現に生じておるのでありますが、その場合に、つまり二百五十万円の甲のほうを先に割れば割れたが、乙のほうは現金にならんということになりますと、結果的に見ればこの確実な支払方法ということにならんというようなことになりますが、それでもやはりこの公取の取締に反するところの確実でない支払だということになるかどうかという点でございます。
  108. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 今の二百五十万円をいわば同時に振出しまして、その枠が四百万円しかないという設例になりますと、どちらか先に駈けつけたほうがよくなつて、あとはいかんというようなことにもなりますが、これは親企業のまあそういう特殊な場合も考えられますけれども、併し親企業が誠意を持つて若し手形を出すということになりますば、これは実際の例でもそういうことがあるそうでありますが、やはり自分の枠は勿論ございますが、下請の枠というようなことも相当注意をいたしまして、手形を切つておるそうであります。そういうようなふうにまあすることが一番望ましいことでもございますし、又そういうふうにいたしますれば、おつしやつたような困つた問題は生じないと思いますが、併しながら今申されたような特殊な場合につきまして、果してその親企業を直ちに違反であるというように取上げ得るかどうか、これは場合によりまして一概に申上げにくいかと思います。
  109. 白川一雄

    ○白川一雄君 非常に運用の妙の、運用の幅の非常に広いもので、特に最近のように変化が甚だしい経済界では、今後どういう事柄が起きるかも知れない情勢がたくさんありますので、どうぞその運営よろしきを得られるように、特にお願い申上げて私の質問を終ることにいたします。
  110. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかに御質問ございませんか。本件に関して中小企業庁から何か御意見ございませんか。
  111. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 親企業と下請企業との関係におきまして、親企業が不当に下請に対しまする支払を遅延いたしまして、下請の犠牲においてまあ自分の金融を受けておるというふうな状態が非常に至急にこれを是正を要する点でありますことにつきましては、私どもかねがね考えておりまして、公正取引委員会のほうと常に密接な連絡をとりまして、例えば昨年におきましても共同調査を特定の下請関係について行いまして、その結果に基いて昨年の暮に公正取引委員会において或る種の企業体について是正方の措置をとつて頂いたのでございます。本日まあかような意味合いにおきまして、下請関係の最も盛んに行われておりまする業種について一応の不当な支払遅延の基準を得られましたことは今後私どもといたしまして、経済状況がだんだん不景気な方向に向つて行く、従つて下請関係がとかく不都合な状態を招きやすいというふうなこの時期に際しまして、非常にまあ適切なる措置であると考えるのでございます。最近四月以降私どものほうと公正取引委員会のほうとで又共同によりまして下請関係実態調査をやろうと思つておるのでございます。その結果を判断いたしまする場合におきましても、かような基準がありますことは非常にやりやすいのじやないかと思うのです。同時に、又親企業といたしましても、公取がかような態度を明らかにされたことは一般的に親企業の支払状況を正常な姿に持つて行くことにあずかつて大いに力があろうと思うのであります。今後とも業種の拡大その他今後運用によりまして、更に実情に合うような方向に持つてつて頂きますれば、私どもとしても非常に幸いであると思うのでありまして、私どもといたしましても、いろいろと下請関係についての情報を集めますれば、それを公取のほうに持つて行きまして、共にまあこの基準というものが大いに役立つような方向に努力して参りたいと思うのであります。
  112. 松平勇雄

    松平勇雄君 大体同僚議員から御質問があつたので了承いたしますが、二、三細かい点についてちよつと御質問したいと思います。この下請業者の定義の中に第一番に「社会通念上小規模の事業者」ということになつておりますが、具体的にはどういつたものを指すのでございますか、それを一つ説明頂きたいと思います。
  113. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) これはちよつと御説明に困るのですが、むしろ只今これは我々がそういうそちらの仕事ばかりやております一ので、我々が小規模業者と申しますと、例えば独占禁止法の二十四条、或いは中小企業関係のかたがおつしやいますと、例の中小企業等協同組合法の中に、例えば商業その他のサービス業については三十人の常傭の使用人でございますね、それからその他の工業等につきましては三百人というような一応の基準がございまして、それ以下のものが一応小規模とみなすというような規定もございますが、我々がここで考えております小規模というのは、何もそういう法律的な正確なものでなくてよいという意味におきまして、実は社会通念上小規模ということを申しましたので、むしろこれは逆を申しますれば、大規模業者が他の事業者の下請的な、例えば部分品の作製の注文を受けて、むしろ大規模業者が下請をするというような問題もありますので、むしろそういう場合を除くというような気持で、ここに小規模の事業者である、而もそれが社会通念上の小企業というふうに説明をいたしたわけでございます。
  114. 松平勇雄

    松平勇雄君 そうしますと、例えば機械工業の例にいたしますと、何人くらいを小規模の事業者という、工員が何人くらいの事業を小規模事業というのでございますか。
  115. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 先般、これはほんの一部でございますが、三十七会社につきまして、その下請工業六百でございましたか調べました場合にも、いろいろまちまちでございまして、その中のどれだけのものを下請、いわゆる小規模と言うかということは必ずしも一概に申せませんが、まあ五、六十人程度以下というようなものが多かつたようでございます。併しこれも一応それが普通中堅的なものというふうに見られまするが、それ以上のものは必ずこういう問題に引つかかつて来ないかといいますと、これは必ずしもそうも申せませんので、これは考え方によりまして、或いは相対的に発注者であるところの、いわゆる親会社と、いわゆる下請業者との相対的な関係というようなことも多少考える必要はあるかと思いますが、ただ問題はこれだけではなくて、むしろイ、ロ、ハの殊にハでございますが、このハの点などがやはりこの小規模と相待ちまして、そこに一応のこの範囲というものがきまつて参るのではないかというふうに考えます。
  116. 松平勇雄

    松平勇雄君 それからこの(6)の「親企業の経営の状況その他の事情より見た支払能力」の中のイ、ロ、ハの二の所にありますが、「下請業者以外の他企業に対する支払能力」この点について大体親企業は材料の確保をしたいという点から材料業者に対しては下請業者よりも大体支払がいいようになつておるのが通例のように思われるのでありますが、こういつたものを勘案しておやりになるのでありますが、大体どういつた基準でこういうところを判定されるのでございましようか、その点伺いたいと思います。
  117. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) この点も正確に申しますと、非常にむずかしい問題でございまして、これは、今注意がございましたが、下請業者以外の他企業に対する支払状況だそうでございます。能力というのは間違いであります。支払状況、これも先般のいろいろの調査の結果、只今御指摘のように、材料、素材等を供給いたしまする他企業に対する支払が相当よいにもかかわらず、下請業者に対しては甚だよろしくない、或いは取引先の大企業に対しては相当の支払をしておりますにもかかわらず、小規模業者でございまする下請業者に支払が悪いというようなものが相当見られます。中には併し非常に公平に、全く公平に支払をしておるというものもございます。我々の理想といたしましては、これはまあその業種によりましていろいろ事情もございましようが、成るたけ公平な支払を、若し全部は対して、完全な支払ができないというような場合につきましても、成るべく公平な支払をしてもらいたいという趣旨で、そういう点をこの(6)の点におきまして勘案したい、こういう趣旨でございます。
  118. 松平勇雄

    松平勇雄君 最後に細かい問題でありますが、下請の契約を納品検査後、例えば三十日に現金取引という場合に、九十日の手形を以て支払われた場合、その割引料はどつちが負担することになりますか。
  119. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) これは実は非常にむずかしい問題でございまして、抽象的に申しますと、代金を最初は現金で払うという趣旨で契約しておりますにもかかわらず、いよいよ支払のときになりまして、いきなり九十日の手形を渡して、而もその額面は、最初に現金を以て払う約束であるところの金額を支払うということになりますれば、これは多少様子は違いまするが、先ほど不当な事柄の一つとして挙げました、いわゆる支払を早くしてやるということを条件にして単価の値引を強要することと、経済的には同じような結果になりますので、そういう場合につきましては、そういう割引料を額面の中に加算、割引料の加算というと少し語弊がありますが、割引けば丁度その代金になるようなものが額面でなければならないということになろうと思います。これはその契約のやり方次第でございまして、下請業者が手形でもらうことを承知の上でそういう点を参酌いたしまして、下請代金を契約しておりますような場合は、これは勿論今申しました割引料を特に斟酌するという必要はないかと思います。これはその契約の場合々々によつて判定しなければならんかと考えております。
  120. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか……。本件に対する質疑は本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「県議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  121. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは次に中小企業安定法第二十九条に基く調整命令の発動に関しまして中小企業庁側より説明を聴取いたします。本件に関しましては、近くマツチとタオルとがこの調整命令が発動される由仄聞しておりますので、この点に関しまして御説明を承わりたいと存じますが、その前に、昨日豊田委員からの御質疑中日平産業の問題に関する点につきまして、中小企業庁長官が答弁を保留しておられるのがございましたが、その点を先ず先に御答弁を願うことにいたします。
  122. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 海野委員から先に不渡手形の発生状況の御質問がございました場合に、二月、三月の分は確報を得ないものでありますから手許にありませんので他日お答えすると申上げたと思うのでありますが、今年の二月の東京の不渡手形でございますが、これは月を通じまして三万九千枚、金額で四十四億七千四百万円、一枚当りの金額が十一万五千円ということに相成ります。三月につきましては、二十九日までに東京手形交換所に届出ましたものが三万九千八十七枚、これはまだ金額の集計ができておりませんので、四月の十日頃になりませんと金額の集計ができないのでございます。それらの点につきましては、枚数だけの報告しかできないのでございますが、お許しを願いたいのであります。  それから日平産業関係でございますが、日平産業に関しましては、先ほど私が公正取引委員会関係で御答弁申上げました中に、昨年の暮私どもと公正取引委員会との調査の結果、支払状況が特に悪いという企業体について公取が或る種の改善措置をとつたというようなことを申上げたのでございまするが、その改善措置をとりました中に、この日平産業も入つておつたのでございます。それによりまして、当時の状況から申しますると、十一月の末におきまして下請と目される企業体が約二百程度ございました。当時の日平から見ましての買用が大体一億三千五百万円程度あつたのでございます。そのほかにも材料費や何かのいろいろな意味の買用はたくさんございます。それによりまして、公正取引委員会といたしましては、差当り十二月末におきまして相当の支払を改善すると、引続き三月末を一つの目標といたしまして相当の支払を改善するように警告を発しましたのでございます。その結果日平におきましても、従来単なる買用の関係に放擲しておりましたものについて、手形の発行なり、或いは若干の現金の支払なりいろいろと支払能力のありまする限度において支払改善の実を示して来ておつたのでございまするが、今回の蹉跌によりまして、この支払改善のために出しました手形等も決済を終らなかつたというようなものがかなりあろうかと思われるのであります。その結果関係下請業者が相当な影響を受けておるということは想像されるのでございまして、その金額は、同会社が先般十二月末現在におきまする考課状として発表いたしましたものから推測いたしますると、大体二、三億程度ではなかろうかと思われるのであります。この十二月末現在の日平の考課状を見てみますると、支払手形が四億四千五百万円、買掛金が二億五千二百万円、未払金が五千万円というふうなものが主たるものでございまして、これらが今度の日平の蹉跌に関連して問題になつておる金額であろうと思うのでございます。その中の大体材料関係と下請関係とどう見分けるかという点ははつきりいたしませんけれども、大体半分ぐらいが従来の例で見ますると下請関係というように押え得るように考えられますので、それで押えて見ますると、下請関係の問題になつておる金は二、三億程度じやないか、この程度に類推されるのであります。下請業者は来る四月一日に会合を開きまして、今後の対策を練ると同時に、私も昨日申上げたと思うのでございまするが、日平産業に対して他の債権者に比し不当な扱いを受けないように債権確保の措置をとるというふうなことも併せて皆で申合せをするような段取に相成つておるように聞いておりますが、今後私どもといたしましては、東京の通産局を窓口といたしまして、今後ともこの日平の下請業者がこの問題にかかわらず再起して努力して行こうという方向に導き、それに対しましてはでき得る限りの援助を惜しまないというつもりでおるのでございます。
  123. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今説明があつたのかも知れんのですが、関係下請業者の数はどれくらいですか。
  124. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 約二百でございます。
  125. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうして、これが組織化せられておる業者なのか、そうでないのか、そういう点がわかつておれば……。
  126. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 協同組合はできておりません。ですけれども、今度の日平の蹉跌を契機として、ともかく皆が集まつて共同の態度で事に当ろうじやないかという気運は十分燃えております。
  127. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この際組織化のほうへ是非中小企業庁としても親切に指導を至急にして行かれるように特にこの際希望をしておきたいと思いますが、同時に業者の分布状態は地区的に言うとどういうふうになつておるのでしようか。蒲田あたりが多いというようなことも聞いてはおるのですが……。
  128. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 横浜工場関係と伊讃美工場。この二工場が主たる工場になつております関係上、川崎、それから蒲田、大森方面、それから鍛鋳造品を中心といたしまする川口方面、この三カ所が大体中小企業者の所在地になつておるように思われます。
  129. 中川以良

    委員長(中川以良君) よろしうございますか、ほかに本件に対する御質問はございませんか。
  130. 海野三朗

    海野三朗君 今のにちよつと附帯したことについてお伺いしたいのですが、つまり日平産業のような、こういうふうな会社が出るということは、やはり何か法的にでも中小企業庁あたりで監督するというようなことは一体できないものですか。
  131. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) まあ現在のところ自由主義経済で日本の経済が運行されておるのでございます。従つて、各企業はそれぞれの責任を以て事業経営をやつておるわけでございます。一体どの企業がどうかというのを私どものほうで大きい会社を一々監督するというふうなことは、構成上もできませんし、人手から申しましても不可能なことではないかと思います。まあ日平産業のような場合におきましては、これはまあ今だから言うてもいいと思うのでございますけれども、昨年のもう相当な時期から、新聞なんかでも、或いは経済雑誌なんかでも、いろいろと警告はしておつたわけでございます。併しそういうものに対して注意を払わない中小企業者が多いものでございますから、今度のこういう事件が起きたときに、やはり相当の中小企業者が迷惑をこうむられたということになるのでありまして、私どもとしてはむしろ中小企業者に対して新聞なり経済雑誌なりを一つ読むくらいの努力を、今後経済の変化が強ければ強いだけそういうものにも目を通されるように注意をむしろ促して行きたいと、かように考えるわけであります。
  132. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは引続き調整命令のことについて御説明を願います。
  133. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今海野委員からの質問に関連しまして、この兵器産業につききしては、先般通過しました武器等の製造法によりまして、当時から下請に対するしわ寄せ、或いは未払、不払、これが悪化するのじやないか、そういうことでは結局下請業者の出血によつて兵器産業をやるというようなことになるのじやないかということを、私は当時警告を発しまして、それについては当時葦澤重工業局長が武器等製造法の運用についてはこの点特に留意をし、絶えずバランス・シートなども出さして事なきように注意をするという答弁があつたのであります。それでこの点については、中小企業庁よりも重工業局にこの際局長にでも出てもらつて、この日平産業の不祥事を契機として今後如何にするか、そういうことについて質問もし、更に警告を発しなければいかんと思うのですが、その点委員長においてお取計らいを願いたいと思います。
  134. 中川以良

    委員長(中川以良君) 畏まりました。今後十分その御趣旨に副いまして善処いたしたいと思います。
  135. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 中小企業安定法第二十九条に基きまする調整命令の発動に関しまして、最近まで我々のところで承知して参りました経緯、概況を御説明申上げたいと存ずるのでございます。  中小企業安定法第二十九条に基きまする調整命令の発動につきましては、タオル製造業におきまして日本タオル調整組合連合会から昭和二十八年八月の十三日、マツチ製造業につきまして日本マツチ工業会から同年九月十五日に、それぞれ命令発動の申出がなされておるのであります。そのほかにもう一つ命令発動の申出がなされておりますものは、輸出絹人絹織物調整組合から輸出用の絹人絹織物につきまして、やはりこの調整命令発動の申出が大体これと似た時期になされたのでございます。  これらの三つの申出を受けまして、私どもといたしまして先ず第一に検討をいたしましたのは、これらの三つの業種について調整命令発動の法律的要件が具備しておるだろうかどうだろうかという点でございます。法第二十九条に規定をいたしておりまする命令発動の要件として先ず私どもが考えねばならんと思われます点は、お手許に差上げました一枚刷りの資料に掲げてございまするように、先ず大部分の業者が組合に入つているかどうかこれを調べて見る必要がある。大部分の業者が組合に入つておるということが二十九条の要件であろうと考えるのであります。第二といたしましては、員外者の事業活動がこの当該業種の製品の需給の調整を阻害しているか、又は当該調整組合の自主的発動だけでは需給調整の目的を進することができないという事実がなくてはならない。第三といたしましては、今の需給調整がうまく行つておらないということが現実に存在するといたしまして、これを放置しておいたのでは当該産業及び関連産業の存立に及ぼしておりまする重大なる悪影響を除去することができないということが現実に存在しなくちやならんと、こう思うのでございます。  なお第二条の不況要件との関連におきまして、当該産業の製品の需給が著しく不均衡を生じておる。それから事業の経営におきまして相当の損失が現実に生じておる。又これは先ほど申しました要件とうらはらのことでございまするが、当該産業及び関連産業の存立に重大なる悪影響が現実に存在しておるというようなことが考慮されねばならんと存ずるのでございます。これらの要件につきまして、申出のありました業種について、それぞれこの要件を備えておるかどうかということを検討を加えたのでございまするが、輸出用の絹人絹織物の関係につきましては、この需給の関係その他の問題を検討して見ますると、やはり原料でありまするところの人絹糸の価格が安定をするということが何よりも業界の安定のための先決要件であると、従いまして、この原料人絹糸の関係について何らの手を打たずして、この法律によりまする二十九条命令を出すというふうなことをいたしましても、特にこの安定の効果を狙うことができまいというふうな関係におきまして、この輸出用の絹人絹織物の関係においては二十九条の命令を発動する段階には至つておらないという結論を出したのでございまするが、この他の二つのタオル製造業及びマツチ製造業につきましては、以下御説明いたしまするような工合にこの法律要件を具備しておるものであるというふうな結論に相成つたのでございます。即ち、組合員と組合員外のものとの割合を調べて見まするというと、タオル製造業におきましては全事業者の九〇%、マツチ製造業におきましても同じく九〇%のものが現実に組合に加入しておるのでございます。又員外者の活動関係を問題にいたして見ますると、員外者の事業活動はいずれも量的には必ずしも問題とする程度に達しておるとは申しがたいのでございまするけれども、それぞれ調整組合の結成以来員外者の自由な事業活動が組合員に与える心理的影響が非常に多い。組合員といたしましては、いわゆる調整組合の組合費の負担をいたさなければなりませんし、いろいろの制限を受けておるのに対しまして、員外者はその員内者の受けておる制限によつて生ずるうま味を利用しながら、非常に自由な活動をしておる、これはとても損だというふうなことで、組合員は常に動揺いたしまして、組合といたしましては組合員の脱退を防止するために制限の実行もなかなか思うようにやれないというふうな工合で、組合機構の維持に苦心をいたしておるような状況でございます。員外者は組合活動の裏をかいて逐次増加の傾向を示しつつあるというふうなことも考え併せますると、現在は組合の自主的活動を以てはその効果を期待し得ない状況にあると認め得るのではないか、こう考えたのであります。  次に先ほど申しました当該産業及び関連産業の存立に及ぼす重大な悪影響を除去することができないというふうな問題に関連してのことでございまするが、これは一番問題の存するところではございまするが、この二つの業種についての経営状況を見ますると需要の最盛期又は一時的な輸出の好転等によりまして、ときには利益を挙げている場合もございまするが、大体におきまして継続的に損失を生じておる。従つて現状におきましては業界の自主的活動を以ては不況打開の実効を期することが困難であると考えられるのであります。なお関連業種でありますところの、例えば販売業でありますとか、縫製業等におきましても、多くは値崩れに苦しんでおるというような状態であるのであります。製品の需給が著しく不均衡であるということにつきましては、一応業種の指定の際におきまして法律認定をされておりまするので、この点は一応割切つておるのであります。なお「相当の損失が生ずる虞がある」ということが第二条に書いてございまするが、二条の場合には現実に相当の損失が生じていることが必要と考えられるのでありますが、これは先ほども申しましたように、一般に継続的に損失を生じておるということは相当の損失が生じておるものと認定して差支えないと考えるのであります。かような見解に基きまして、先般中小企業安定審議会を開催いたしまして、このタオル及びマツチの製造業について二十九条の命令を発動すべきや否やということについての諮問をいたしたのでございまするが、当日出席されておりました十八人の委員のうち、十七人御賛成でございまして、一人棄権でございました。それによつて通産大臣に対して、この二つの業種に対してはそれぞれ二十九条の命令を出してよろしい、つまりタオル製造業に対しましては既存の業者の設備制限によりまする新増設の抑制並びに一般的な新増設の抑制というものを併せて行う。マツチにつきましては、出荷の制限と設備の制限とを併用して行うということにつきまして、御賛同を得たのでございます。この二十九条を発動いたします場合において、経済的効果として先ず考えねばなりませんのは、これによつて不当に消費者に迷惑をかけるようなことになるかならんかという問題であろうかと思うのでございます。タオルにつきましては、卸と小売の段階の間におきまして、相当大きな値開きがございまするので、この二十九条命令によりまして製造業者の経営内容を一応安定せしめるような効果が生れるといたしましても、それが最末端の小売商のところまで大きな影響を及ぼすものではないということが数字上はつきりいたしておるのでございまするが、マツチにつきましては、これを国際価格と比べて見ましても、国内価格が下廻つておりまするし、特にマツチにつきましては原料の関係が大きく製品に作用するという点もございませんので、これをやりましても直ちに消費者に対して大きな影響を及ぼすということは先ずなかろうと思われますのであります。同時に二十九条命令の発動によりまして調整行為というものが都合よく運んだといたしまして、この商品の値上りが現実に相当程度以上になりまして、大体私どものほうとして絶えずその価格を抑えて行つた上で、これ以上上るということはもう問題にならんというときが認定されますれば、躊躇なく制限の率を緩和いたしまするなり、二十九条令命の発動それ自体をもう廃止するというつもりで今後の運用に当つて行きたいと考えておるのでございます。目下この安定審議会の答申を受けまして、私どもといたしましては軽工業局並びに繊維局を中心といたしまして現実に省令の準備をいたしまして、近くこの公布の段階に至つておるのでございます。マツチ製造業並びにタオル製造業の業界の内情と申しますか、どういうふうな、つまり生産状況になつて来て、インサイダーとアウトサイダーがどの程度の数であり、そうして経営内容がどの程度の状態で現在まで推移して来たかという具体的な問題につきましては、必要に応じまして原局から係の担当課長が参つておりますので、そのほうからお求めによりまして御説明をすることにさして頂きたいと存ずるのでございます。概略以上の通りの経緯でございますから、御了承を願いたいと存じます。
  136. 中川以良

    委員長(中川以良君) 極めて簡単に一つ原局の課長から内容を御説明願います。
  137. 新井眞一

    説明員(新井眞一君) タオルの業界のことにつきまして簡単に御説明を申上げます、現在工場数が約六百工場、設備の台数が総計いたしまして約一万台でございます。従いまして大体二十台以下の平均の織機を持つた小さな工場の集まりでございまして、地区別にいたしますと、大阪地区、中、四国地区、中部地区、九州地区、それにおおむね集結をいたしまして操業をやつております。全体の生産額は年間を通じまして約二百四十万反という状況でございます。生産能力のほうはいろいろの見方がございますが、大体四百五十万反ということであります。従いまして実際の生産の操業度は現状におきましておおむね六割程度の操業でございます。それからインサイダーのほうはその中でこの二月末現在の数字が五百五十三工場でございます。員外者の数が七十四工場、約一割程度の員外者を持つているわけでございます。  それから収支の採算状況でございまするが、先ほども長官からお話がございましたように、悪うございまして、ただシーズンでございします盆暮のときにちよつとよろしうございますのと、それから三、四月頃に一時輸出が好転いたしまして若干の黒字を見ました以外はおおむね採算割れの状態になつておるわけであります。私どもとしましては適正の工賃の算定等かなりむずかしい問題がございますが、現地に参りましていろいろ調べ上げた数字で判定をいたした結果、さような事情に相成つておるわけであります。在庫の状態も昨年に比べまして増加いたしております。大体簡単でございますが、タオルの実情につきまして一応御説明を申上げました。
  138. 高見澤二郎

    説明員(高見澤二郎君) マツチの情勢につきまして簡単に御説明いたします。  マツチの企業体は十一月末で組合員が九十三社、三企業体あります。非組合員が十二企業体あります。この組合員と申しますのは調整組合でございます。それが最近になりまして非組合員が十六企業体くらいに殖えている状況でございます。生産の状況は終戦後昭和二十三年二十三万六千トン程度でございましたのですが、二十八年の暦年におきましては三十五万一千五百八十九トンと逐次上昇しております。その間に輸出も少しずつ伸びまして、現在は二十八年では一万八百二十トン輸出しております。調整組合は先ほど長官から御説明ありましたように、二十七年十月十八日から調整を実施しております。採算割れの実情といたしましては、調整組合ができるときにもすでに採算割れになつておつたのでありますが、その後毎月の収支を見ておりますと、いろいろ変動がございまして、二十七年の三月頃は非常に採算割れの状況が縮小されましたが、その後資材も外箱だとか或いは軸木等が上りまして、その採算割れの状況はむしろ拡大されまして、昨年末では約一円程度、現在三月になりましても、その程度が約一円と申しますのは、普通の家庭で使います並型と申しまするマツチの十箱入りの値段で、約一円程度採算割れになつております。安全法発動につきまして、我々といたしまして採算割れの状況はいろいろな形で調べたのでございますが、勿論原価計算も抜検査で十数社調べ、或いは損益決算書、或いは国税庁の法人課税調査などを参酌して見ますると、二十六年におきましては総企業の約三二・八%が欠損になつております。二十七年におきましては約四四・八%、これは両方の資料を併せまして六十数社を調べた結果であります。大体以上の通りでございます。
  139. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御質疑をお願いします。
  140. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今回二十九条をマツチ及びタオル二業種について発動せられることについて、相当長期間研究せられたのでありますが、その間においてあの中小企業安定法の欠陥というようなものも相当感じられたのじやないかと思うのでありますが、どういう欠陥を感ぜられておるか、それから更にこれを改正することについてどういう考えを持つておられるか、特に中小企業安定法自体の改正で行くつもりでおられるか、或いは中小企業等協同組合法と併せて一つとし、それについて改正、立案をせられるかどうか、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  141. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) この現行中小企業安定法の二十九条の命令を出そうということで種々研究いたして見ました場合に、最も私どもとして頭を悩ませましたのは、いわゆるインサイダーとアウトサイダーとに対して公平な扱いをするという点でございます。  第一点は、これは当該調整組合乃至は調整組合連合会の調整規程と実質上同一の内容を持つた命令を役所がアウトサイダーに出すという形になつておるのでございまするが、その各企業の能力或いは機械の性能、いろいろな点を勘案いたしまして、政府の出しまする命令が業者に対して非常に公平な内容を持つたものでなくちやならん。この睨みがなかなかむずかしいという点が第一点。  第二点は政府がそれぞれの業者に一人一人その制限命令を出すわけでございまするから、その出す手続等が非常に煩瑣でありますし、業界で相談し合つて案をまとめるというふうなクツシヨンがございませんために、自然ぎこちなくなるという点も考えられます。そういうような意味で私どもとしてはアウトサイダーに対する命令を、当該調整組合乃至は調整組合連合会の調整規程に従えというふうな命令が出せるといたしまするならば、インサイダーとアウトサイダーがその命令に従いまして制限の工合等を相互に話合いの上できめるというようなことができるのじやなかろうか、従つてそういうふうな形の命令の発動形式も併せて許されておりますれば、業界の実情に応じて、或いは現行の形において、或いは今申上げましたような形において選択的に考慮できるように相成る、これのほうがむしろ実情に適するのじやなかろうかということを考えたのであります。その考えの下におきましてこの法律を直すといたしますれば、どういうふうに直すのがよろしいかということについては或る成案を持つておるわけでございます。これは議員立法でできた法律でございまするので、改正をいたすにしましても議員立法で改正をして頂くということが妥当であろうと考えられますので、その辺の点についての打合せなり相談なりをいたしておるというような段階でございます。中小企業安定法の改正で行くか、或いは中小企業等協同組合法の中へこの安定法関係規定を織込んで一本としてやるという形において修正をやつて行くかという点でございまするが、中小企業安定法は昨年の八月にいわゆる特定中小企業の安定に関する臨時措置法という名であつたかと思いまするが、要するに臨時立法でありましたものを恒久立法に直されたばかりでございまして、今回初めてこの条項の発動をするわけでございます。従いましてこの法律そのものをすぐ私どものほうから中小企業等協同組合法の中へ取入れて根本的に直してしまうというのにはまだ実際上の経験が浅いのではなかろうか、もう少しこの法律そのものの運用の結果等も併せて考えたほうが妥当じやなかろうかと考えまするので、今のところ私はやはり中小企業安定法の改正という形で一応進めて頂くほうがよろしいのじやないかと、私は考えておるのでございまして、その線で寄り寄り御相談をいたしておるという段階でございます。
  142. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今回マツチ、タオルについてはいよいよ発動されることになつたのでございますが、これとのバランス等から見て次いで発動しなければならん業種としてはどういうものがあるのですか。
  143. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 先ほど私申上げたのでございまするが、現在のところ正式に二十九条命令の発動を申入れて来ておりますものは、この二つの業種以外に輸出用の絹人絹織物に関するものでございます。これにつきましては、先ほど申上げましたように、原料糸の関係の問題が解決をいたしませねば、仮にこの二十九条の命令を出しましても業界の安定というものは期し得られない関係にありますので、繊維局を中心として糸価の合理的な線にねける安定という手を昨年来打つて来ておるのでございます。現在のところにおきましては、この業界について二十九条の命令を発動する必要はないという段階にあると我々は考えておるのでございまして、その他の業界につきましてはまた申込も来ておりませんので、今どの業種について次の発動はあるべきかという点はちよつとここで申上げかねる段階にあります。
  144. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。  私から一点伺いたいのですが、マツチが只今生産費というものは国際価格を下廻つておる。これは今日いろいろな物価が国際価格を上廻つておりますので、我々は苦心をして輸出振興のために物価を下げる努力をしておるのでありますが、マツチは幸いに国際価格を下廻つておる。然るにこれが輸出に向かないということは非常に遺憾に考えておりまするが、まあ承わるところによると、殊にこれが輸出向きであるスターリング地域におきましてはいろいろ輸入の制限をしておるというようなことを聞いております。この点は一つ通商協定その他によつて、やはり通産省、外務省は協力してこういつた製品こそもつと輸出が活溌にできるように努力すべきじやないか。これが若しも輸出が順調に行くようになれば、こういう調整命令を出さないで済むようになると思いますので、而もマツチ産業はもつと殷賑を極めると思いますが、こういう点について何か御方途を持つておられますか、どうか。
  145. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 私どもマツチの業界に対しまして二十九条命令を出しますときに一番考えておりましたのは、その点でございます。よく業界の実情を調査いたして見ますと、価格の点では決して輸出ができない状態ではないのでございますが、長い間取引が中断されておりましたことと、今御指摘になりました通商関係が正常な状態になつておらないということと相待ちまして、甚だ輸出不振の状況に相成つておるのでございます。これに対しましては、業界としてはかねて戦前には相当の販路があつたわけでございまするから、相当な人物をそれぞれの地域に、特に東南アジア地域に派遣をいたしまして、元の市場開拓に努力をいたしますならば、必ずや相当の貿易量を獲得できることが可能であると、こう確信をしておるようでありまするが、何分にも現況におきましては、人を出すとか、或いは相当なパンフレツトその他を送り出すというふうなことに対しても資金がなくて何ともいたしかねておる。そこで先ず差当り二十九条命令によりまして業界の安定を図ることができますれば、それによつて所要の資金の捻出ということも可能に相成つて来るのでございまして、この調整命令の発動というのは徒らに国内市場において安易な形で利潤を確保しようということではなくて、この二十九条命令を足場として海外発展の基礎を築きたいのだということでございましたので、或る程度二十九条を踏切ります場合におきましてもそういうことも考えたわけでございます。私どもといたしましてもさような方向へこの二十九条命令というものが役立つといたしますれば、これは相当意味があるものだと考えておるのでございまして、さような方向へ今後とも持つて行きまするように運用をいたしたいと、かように考えております。
  146. 中川以良

    委員長(中川以良君) 消極的に一時を糊塗するような、いわゆる保護政策にあらずして、今のお話のように一つこれを契機に輸出が伸びまするように、殊にマツチ業界におきましては生産費が国際物価に比べまして安くできておる、こういう産業こそ大いに私は輸出振興をしなければならん、そういう点に政府としてはもつと活溌なる政策をおとり頂きたいことを特に私は切望をいたす次第でございます。
  147. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) ちよつと申落したのでございまするが、この二十九条命令を出すということにつきましては、先ほど申上げましたように、安定審議会で答申が出たのでございます。近く正式に発動するわけでございまするが、マツチの業界といたしましてはこの二十九条命令発動を契機といたしましてマツチの輸出振興対策委員会を工業組合の中に作つて積極的な市場開拓の準備態勢を整えようということにいたしておるのでございまして、原局とも十分の連絡をとりながらその方向へ我々としても気合をかけて行くということをお約束をいたしておきたいと思います。
  148. 海野三朗

    海野三朗君 その保護調整命令の発動の期間はどれくらいのお見通しですか、一年ですか、二年ですか。
  149. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 期間は表向き立ててはおりませんので、つまり二十九条命令の趣旨は業界が安定するということが目的でございまするから業界が安定をいたしまするまでやるということでございます。先ほども申しましたように、価格の関係その他から見て、二十九条命令が大体目的を達したということになりますれば、そのときの状況によつて、或いは二十九条命令の制限率の緩和を行うか、或いは二十九条命令そのものを撤回をするか、そのときの状況によつて判断が違つて来ると思いますけれども、その業界の状況によりまして措置をして行くということでございます。
  150. 海野三朗

    海野三朗君 そういうふうにちやんと条件がついておりますか。安定したときにおいてこの命令はどうするというふうなことがつけてありますか。
  151. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) これは法律中に明記してございますので、いつでも制限の緩和の命令でもできまするし、出しました命令そのものを取消すこともできるのでございます。
  152. 中川以良

    委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。それでは本日はこの程度にしておきたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。  なお明日は午前十時より開会をいたしまして、先ほどお話いたしましたガス事業法案を上げたいと考えておりますので、どうぞさように各会派ともおとりまとめを頂きたいと思います。  速記をとめて下さい。    〔速記中止
  154. 中川以良

    委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは本日衆議院で修正可決されましたガス事業法案につきまして衆議院の修正の点並びに附帯決議の事項に関しまして公益事業局長より御説明を伺います。
  155. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 先ず修正の点を申上げますが、第三十三条の第四項の第一号でございます。この点が初めに「次条」とありますが、その上に「次号の規定に該当する者を除く外、」これを入れまして、終りのほうに「その日から二年を経過しない者」とありますのを「一年」というふうに修正になりました。これはその趣旨が主任技術者という場合に、それが三十四条によりまして、法律違反しました場合、或いは法律に基く命令に違反したような場合におきましては、その免状の返納を命ずることができるということになつておりまして、返納を命ぜられましたような主任技術者は、二年間は更に再交付ができないということになつておるわけでございますが、二年間もその免状を取上げるのは少し酷であるというのでこれを一年にされたわけでございます。その結果条文整理のため二号との関係をここにはつきりさせるために冒頭にそういうような文句を入れたということでございます。  それからこれにつきましての我々の見解は実際問題としてはその点差支えないと思つております。  それから附帯決議でございますが、ここに九項並べてありますが、これはいずれも委員会におきまする審議中におきまして問題になつ事項でございまして、先ず第一点の「ガス拡充五カ年計画を強力に推進して、夥しい未処理需用家数の絶滅を速かに図ること。」ということでございます。これは五カ年計画は大体需用家に対します普及率を四〇%まで持つて行こうというのが狙いでございますが、四〇%まで普及させましても、実は一軒々々の使いますガス量は戦前に比べて非常に伸びておりますので、従つてそれに対応する生産設備というものはそれ以上殖えておるわけでございます。そのために設備が相当殖えておりますにもかかわらず、普及率というものの回復はそれほどでないというような結果が指摘されておりますが、それでもできるだけ設備の能力を殖やすことと同時に、未処理件数も速かになくするようにという趣旨のものでございます。  それから次の第二点も大体今のような点を指摘されておるわけでありまして、要するに現在におきましては使用量を増加するような宣伝をガス事業者はしておりますが、それもやはり全般にガスが行渡るように努力すべきであるというような点を監督官庁としても十分監督指導するようにという趣旨でございます。  それから第三番目は現在ときどきガス事業者にガスの申込をされました場合に、ガス風呂でありますとか、或いはストーブというものを若し取付けるならばすぐにお引きしましよう、といういわゆる抱合せ販売式のものが行われるという非難がございまして、これは委員会でもお聞きになりましたが、これにつきまして厳重な取締をするようにという趣旨で、これはかねて通産省といたしましてもこういうことはないように、こういうことは厳重に警告を発しておりまして、現在ではいずれのガス事業者もこの点については励行いたしておるようでございます。  それから次はガス事業の附帯事業関係でございますが、これにつきまして先ず第四項では、附帯事業をやります場合に、別会社としてやつている例があるのでありますが、例えばコークスの販売につきましては、ガス事業者の子会社としまして、ただガス事業者が出資しました別のコークス会社を作りまして、重役等も殆んど兼任でやつているということが多いのであります。若しもこれを全然放任しておきますというと、ガス事業自体の経費がそこに或る程度隠されてしまうということになるので、そういうことのないように十分附帯事業のものにつきましても、内容を監査するという趣旨のものでございます。  それから五の点は、供給規程、これは電気ガスいずれも大体こういうふうな匂があるわけでありますが、もともとガス事業者が一方的に需用者に対して供給してやる、それに対してこういう条件をつけるというような感じがする供給方式になつております。これを双務的な傾向を強く出して、サービス本位な供給方式に改めてもらいたい。これにつきましても今後そういう方向に努力いたすつもりでございます。  それから料金につきましては、現在のガス事情は石炭価格の低落によつてかなり経理的に余裕があるから、そういう点も若し必要があれば速かに料金の原価を十分検討いたして、場合によつては条文の修正を行うようにという趣旨でございます。この点につきましても我々も同感でございます。  それから第七番目につきましては、ガス事業者は、これは電気と違いまして全国に八十有余ございます。そのうちの二、三のものを除きましては、いずれも中小以下の規模でございます。特に地方の細かいガスにつきましては、非常な弱体のものもございます。こういうものにつきましては、むしろ或る程度統合して大きなものとすることが、一般の需用家に対するサービスの向上を図るゆえんであるから、こういうことを十分考えてもらいたい、こういう趣旨のものであります。  それから八番目の兼業の許可でございますが、これは先ほどの四の点と関連いたすわけでありますが、例えばガス器具の販売というようなことを許可します場合に、ガス器具を販売しております専業者、特に中小の専業者に対しましてそのガス会社の販売することが圧迫にならないように十分注意をするということであります。この点も十分考えて参りたいと思つております。  それから最後の五十三条の点は、ガスの供給を阻害するような行為があつた場合に対しまする罰則があるわけでございます。例えば労働組合の争議行為というものもできなくなる虞れがあるので、その点はどうかという御質問がありましたが、これは組合運動をこれによつて阻止する意図は全然なくして、正常な争議行為と申しますか、労働組合の行為につきましては、全然この規定は無関係である、こういう説明をしております。この点を特に又ここで強調してあるわけでございます。
  156. 中川以良

    委員長(中川以良君) 御質疑ございませんか。……それでは本日はこの程度にいたしておきたいと存じますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 中川以良

    委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会