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1954-03-23 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            大谷 贇雄君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            岸  良一君            豊田 雅孝君            藤田  進君            三輪 貞治君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    外務政務次官  小滝  彬君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      記内 角一君    通商産業省繊維    局長      吉岡千代三君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○商品取引所法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (電気料金地方税との関係に関す  る件)  (清掃法案に関する件)  (米国の可燃性織物禁止に関する  件) ○厚生委員会に申入れの件   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  本日は電気料金の改訂問題と関連いたしまして地方税法改正案に関しまする調査をいたします。二月五日以来当委員会では料金改訂問題につきまして熱心なる調査を続けて参つたのでございまするが、その間におきまする委員諸君及び参考人のかたがたの大多数の御意見は電力会社の経営の圧縮及び税金金利引下げによりまして値上率を極力圧縮すべきであるという点に一致いたしているのであります。つきましては、本日は電気料金と最も大きな関係のございます地方税法改正案につきまして、政府の提案が物価引下げ及び電気料金圧縮の線に沿つて立案をされているかどうかというような点に対しまして調査をいたす次第でございます。  本問題に入ります前に先頃豊田委員から電気料金値上げしないためにはどうすればよいかという御質問に対しまして通産省側から資料が出されておりますので、「電気料金改訂を抑制する場合の措置及び影響について」と申しますお手許にある資料につきまして最初公益事業局から説明を聴取いたします。
  3. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今資料につきまして御説明申上げます。「電気料金改訂を抑制する場合の措置及び影響について」、こういう資料が三枚ございます。この前文は大したことございませんが、要するに今回の改訂申請内容といたしまして、収支差額の約三百億円の赤字を補填するために、総平均一割四分四厘の値上げを要する、こういう内容になつておりますが、三百億円のうちで特に資本費増加が全体の七〇%に相当している、従つて資本費をできるだけつめるということが、原価を抑制する一番大きな要素であるということが大体に書いてございます。ところがそれにつきましていろいろ今日まで税金金利等につきまして努力をいたして参りましたが、なかなかこれを全部吸収するようなことは困難であるということが、その次に書いてございます。結局におきまして、若しも位上げを抑制いたしまするならば、こういつたような資本費関係のほかに一般経費圧縮するとか、或いは配当を中止しますとか、償却を大幅に抑えますとか、という方法を講ぜられなければいけない。そうしますとその結果といたしまして増資も不可能になりまして、資金調達不足から総計で約五十三万キロワツト・アワーぐらいの将来の開発を繰延べる、こういうことを謳つてあるわけであります。  その次の表は二十八年度収支計画申請案比較表でございます。三十八年度計画といたしまして一番下に差引の欄がございます。ここにマイナス百九億一千二百万円という数字がございますが、これが二十八年度の需給計画を立て、それによつて収支計算をいたしました場合に、我々が百八億の年間赤字が出るということを申しておりましたが、その数字に当るわけであります。百九億と一億違いますが、二十八年度これだけは赤字が出るという予想を立てたときの内訳でございまして、資本費一般経費、その他経費、こういうふうに分れております。この下から三番目に控除額相当経費といたしまして、二十八年度の経費には二百億ほどマイナスになつておりますが、これはその一つ上の計の千六百七十七億、これにすでに織込まれております。従つてこの経費控除額を除きましたものの総原価が、総経費が千六百七十億になる、こういうことになるわけであります。ここに出ておりませんけれども、現在の料金ベース、即ち二十七年度原価に織込んでおります数字と比べますというと、資本費はここで四百六十六億になつておりますが、それが二十七年度ベースでは三百四十一億二千九百万円であります。それから一般経費がこの二十八年度の千百三十七億四千九百万円に対しまして、千四十二億三千九百万円、それからその他経費が七十二億五千二百万円に対しまして六十四億八百万円、それから控除額が二百二十四億九百万円、こうなりまして総原価は結局千四百四十七億六千六百万円、千六百七十六億七千七百万円という二十八年度に対しまして千四百四十七億六千六百万円、こういうことになります。こういうふうな過去の織込み原価乃至は二十八年度の計画に比べまして、今度の申請案におきましては真中の欄にあります通り、合計におきまして二千百一億九千二百万円という総原価になる。従つて収入総計をいたしますというと、この真中の一番下にありますように二十九年度におきましては三百七億三千七百万円の赤字になる、こういうふうな数字でございます。これは申請料金原価の出ました数字をそのままとつたのでございます。  それから最後の表が、これがお答えになる表でございますが、これは料金値上げをしないためにはどういうふうな措置が必要であるか、措置をすればよろしいか、それによつてどういうふうな収入になるかという御要求でありましたが、これには政府でやるべき事項といたしまして租税或いは金利等の減免ということと、それから料金査定の場合にも関連いたしますが、電気事業者がみずから大いに努力してどの程度吸収できるか、更に配当償却等をセーヴした場合にはどうなるか、この二つの面があるわけでありますが、ただ最後の、最後と申しますか、真中経費を更に事業者がどの程度節減できるかという点につきましては、只今丁度検討いたしております。申請原価査定と関連いたしますので、まだこれが検討中でもありますし、はつきりした数字が出て参らないわけであります。従つてその点につきましては大きな穴が抜けておりまして、表としては極めて不完全でありますが、そういうふうなことにならざるを得なかつたことをあらかじめ御了解願います。  ここにA、B、Cと三つの案がございます。これはAは当初、昨年のまあ秋頃から原価高騰を抑えるために、租税或いは金利引下げにつきましていろいろ折衝いたしておりましたが、当時の最初の我々の持つておりました案でございます。それからBはその過程におきまして各方面の空気考えまして、多少これを我々のほうで緩和すると申しますか、降しました数字でございまして、Cは現在までのところで大体各省と折衝の結果固まつたいわゆる最終的な租税、或いは金利の案を基礎にした案でございます。  Aのほうに入りますと現在事業税につきましては収入の一・六%というものが課税されておりますが、これはほかの一般産業と比べますというと、一般産業のほうは収益課税でありまして、収益の一二%ということになつております。これをこの収入の一・六と比べますというと、極めて低率でありまして、およそ三分の一程度課税になつておりますから、この点の均衡を図つてもらいたいというのが第一の希望であつたわけであります。そこで特に又それに加えまして電気事業につきましては、料金高騰抑制のためにこれを収入の一・六%という収入課税収益課税に変えて頂きまして、それを一割にしてもらうという案を出しておるわけでございます。そういたしますというとここで三十三億九千万円というものが軽減になる、こういうわけでございます。  それからその次の固定資産税につきましては、現在既設の分につきましては一・六%、新設のものは三年間〇・八%という税率でありますが、これにつきまして償却資産につきましては全部非課税にしてしまうということにいたしまして、その他は現行通りでありますが、そういたしますというとここで六十二億七千四百万円というものが軽減されるわけであります。  法人税は現在所得の四二%であることは御承知通りでありますが、これを三五%まで引下げてもらいまして、更に配当の一二%までは損金に算入してもらいたい。一二%の配当というものは、これはこの程度のものは当然なすべきことであろうというふうな考え方からこういうふうな考え方をしている次第であります。そうしますとここで五十七億四千万円。  それから金利開銀が六分五厘でありましたが、これを造船並みに最近五分にしてもらつた。それから更に開銀以外の市中銀行、更に長期信用銀行等金利を、借入金開銀に肩代りしてもらいまして、それによつて金利を浮かそうということを考えたわけであります。そういたしまして六十九億二千六百万円というものを軽減しよう、そうしますと、この税金金利関係で二百二十三億三千万円が軽減される。  更に電気ガス税が現在料金につきまして一割とられておりますが、これは料金が上り、或いは需用が殖えますと、それだけ自然増になつて地方収入になりますので、これは現在の収入を減らすということは御遠慮申上げまして、この現在の収入程度で抑えるということにいたしますと、ここで十三億二千百万円というものが結局において……、そういたしますというと三百億の赤字の中から百三十億程度のものがこの案によりますと軽減されまして、なお残り赤字といたしまして七十億八千六百万円に上る。この赤字をどうするかということが問題でありますが、これを今度は企業面におきまして、企業上或いは合理化その他配当償却等の操作で以て吸収できはしないかという問題でございます。  それからBの点に参りますが、これは事業税につきましては現在の収入課税収益課税にするということは一応諦らめまして、収入課税の率を半分にして頂く、〇・八%にしてもらう。そうしましてここで十七億三千三百万円を軽減したい。  それから固定資産税につきましては、これは税率を下げまして、既設分につきましては一・六を一・五%にする。但し耐用年数の非常に長いものにつきましてはこれを更に下げまして一%にしてもらいたい。電気のごときは耐用年数がすべて二十五年以上四十年とかいうものが多いわけであります。従つてそういう面で軽減してもらうという趣旨におきまして、耐用年数の長いものは、二十五年以上のものは一・五の代りに一%を適用してもらいたい。それから新設の分につきましては従来の税率の半分にしてもらう、〇・四%にしてもらう、こういうことによりまして約二十七億が軽減される。  それから法人税は、これは税率の四二%はもうこの頃におきましては変更しないというふうな空気が出ておりましたので、これはそのままにいたしまして、新規増資につきまして、特にこれは昨年の十月以降、つまり二十八年度の下期に各社とも増資をいたしておりますので、この分に対する配当金というものはすべて損金にしてもらいたい、こういうふうな考えで十六億五千六百万円を軽減しようとしておるわけであります。  それから金利は、すでに五分ということが、開銀の五分ということが無理であるということになりましたので、六分五厘にいたしてもらいまして、そこで市中長期信用金庫等借入金開銀に肩代りしてもらう、そうしますと、ここで四十九億が軽減されるわけであります。それによつて全体で百九億余りのものを浮かしまして、更に電気ガス税をこの場合におきましてはすべて撤廃してもらいまして、この面で需用家負担軽減してもらうということにいたしますというと、結局総計におきまして六十一億一千四百万円という赤字が出る、こういうことになるわけであります。  それから最後の案は現在固まつております案でございますが、事業税収入の一・五%、それから固定資産税既設分につきましては一・五、新設分はその六分の一を五年間適用する。それから法人税税率は据置き、新規増資につきましては、配当金を二十九年の二月以降、つまり今年の二月以降を損金に算入する、こういう案が出ております。その案をそのまま適用する。それから開銀はもうすでに実施しておりますが、六分五厘という税率をそのまま適用いたしまして、ここで四十七億八千七百万円というものが軽減されて参つたわけであります。  そこでその残りがこの場合においては非常に多いわけでございますが、そこで仮に配当を全然いたしません場合にはどうなるかということが下の欄の左にございますが、無配にいたしますというと、配当準備金とか法人税とか、それによつて軽減されますので、結局百三十五億六千八百万円がそこで軽減される。その代り法人税等特別措置ができませんので、逆に十四億四千万円ほどはプラスになる面が出て来ます。それから更に減価償却を大いに抑えまして、そこで九十八億程度出しますというと、結局マイナスがなお且つ四十億出る。それから仮に配当を一割に抑えました場合には、それに応じまして配当準備金或いは法人税等の減が二十八億八千七百万円で、更に逆に殖える分が同じく十四億四千万円で、減価償却費の減を更に殖やしまして二百億ほどここで浮かすということをいたしますならば、やはり四十億の赤字が出るということであります。  結局この赤字の七十億とか六十億とか四十億とございますが、これは結局企業経費の中で、これだけは吸収できるかできぬかという問題でありまして、このうち或る部分吸収できるものがあることは勿論でございます。大体どれくらいできるかということはまだ検討中でありまして明確でありませんが、五、六十億ぐらいのことは少くとも行けるんじやないかと考えられますが、従つて仮にB案程度の案が実現しておれば、大体あとは企業努力その他によりまして値上げをしなくても済むんじやないか、こういうふうな考え方をここでとつておるわけであります。  それから仮にC案で参りました場合には、こういうふうな配当がありませんし、それから償却不足であります。増資もできない、こういうことになります結果、一番初めの紙の最後に書いてありましたように、現在計画中の開発計画の中から、五十三万キロワツト、十九カ地点だけは、これは繰延べざるを得ない。これは二十八年度に着手しておる工事になるからということでございます。それだけのものが先に延びるということになります。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の御説明に対して御質疑があると存じまするが、本日は地方税法改正案につきまして御審議を願いまするので、只今の御説明に対して御質疑は次回にいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは今回上程されておりまする地方税法改正案は、何分厖大なる法案でありまして、これらに対しまする検討は、よほど慎重にやる要があると存じます。殊に電力の問題に関しましては、今日電力料金値上げをできるだけ抑制しようという立場から考えますると、幾多我々はこれに対する疑点もございまするし、又注文もあると存ずるのであります。そこで先ず政府側から、今回の改正案におきまするところの事業税固定資産税及び電気ガス税に対する改正の要点につきまして説明を求めます。
  6. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今提案いたしております地方税法改正案のうち、只今御指摘になりましたような、電気関係の問題につきまして御説明をいたします。  第一は固定資産税の問題でありまして、現行法におきましては昭和二十八年度から新たに固定資産税を課せられることになつた新らしい発電施設に対しましてだけ〇・八%の税率、即ち現行税率の二分の一の税率で課すると定められております。このような、電気についてだけの例外規定を今回の改正案におきましてはかなり幅を拡げておるわけでございます。即ち新らしい発電施設につきましては、昭和二十八年度から新たに固定資産税を課されることになつ発電施設だけではございませんで、広く、発電施設ができましてから最初の五年度間におきましては三分の二を軽減する、更にその後の五年度間につきましては三分の一を軽減する。十一年度目から一般税率を採用する、こういう方式をとつております。こうすることによりまして発電施設に対しまする固定資産税負担を、長期間に亘つて余り変動のないものにして行きたいと考えているのであります。十一年度目になつて参りますると、かなり減価償却関係から課税標準額が低くなつて参りまするので、一般税率を適用いたしましても、すでにかなり軽減されることになつて参つているということになるのであります。  更に昭和二十九年度の特例といたしまして、只今申上げました最初の五年間は三分の二を軽減いたしまして一般税率の三分の一で課する。それを六分の一を課するということにいたしております。要するに物価引下げの国の基本的な政策に二十九年度の特例として、特に地方財政の面から強く協力して行きたい、こういう考え方がこのような臨時措置の形で現われておるわけであります。更に固定資産税税率を一・六%から二十九年度は一・五%、三十年度以降は一・四%に引下げを図つておるわけであります。更に又特に北海道などにおきまする発電施設に対する高率な課税が行われますることを救う意図を以て行なつたのでありますが、一市町村の償却資産が全固定資産の半ば以上を占めておるような団体におきまして二%を超えて課税しようといたしまする場合には自治庁長官への届出の義務を課しまして、不急な仕事のために使おうといたしまする場合には二%までの範囲でその税率を制限することができるというふうな規定を設けております。  第二に事業税の問題でございます。御承知のように現行法では事業税が廃止されまして二十九年度から附加価値税が実施されることになつておるのであります。併し千億円に近い税金課税方法を変えまするということは企業相互間に負担を激変させることになりますし、我が国経済界の実態から考えました場合にはなおこういう措置は避けたほうがよろしいと考えられますので従前の事業税を踏襲することになつております。従いまして又料金統制の行われておりまする電気その他につきましては収入金額課税標準にすることになつておるわけであります。で、ただ今回法人事業税におきましても所得が五十万円以下のものにつきましては若干税率引下げ措置をとること等とからみまして一・六%の税率を一・五%に引下げるということにいたしております。  第三は電気ガス税の問題で、ございまして、現在すでに電気料金のうちで約三一%の部分には電気ガス税を課さないことにいたしております。これを現在電気ガス税を課さないことにいたしておりまするものとの均衡をも考えまして若干の品目につきまして非課税範囲を拡げることにいたしておりまして、次の電気料金が改訂されたときからこの規定を適用することにいたしておるのであります。  第四は今度新たに不動産取得税を設けるわけでありますが、発電所変電所も家屋の中に入るものでありましても不動産取得税は課さないという規定を設けております。  只今申上げましたような措置によりまして固定資産税の面においては十億円余り事業税の面においては一億円程度電気ガス税の面において四月から仮に実施されるものといたしました場合には七億円程度現行法よりも改正法のほうが負担が軽くなるという姿になつております、一応それだけ御説明申し上げておきます。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本問題の調査いたしまする順序といたしまして最初に総括的に私より御質問を申上げたいと存じまするが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日は重要なる課題でございまするので特に先般来自治庁のほうに申上げて大臣出席を強く要求しておつたにかかわらず大臣の御出席がない。政務次官も所用があつて見えない、次長も他の会議に行つておられるという点は私どもといたしまして誠にどうも遺憾に堪えない次第でございます。本日はその衝に当つておられる奥野部長だけの御出席でございますが、一応御質問は申上げまするが、どうぞ一つ重要なる点は大臣にお伝えを頂きまして成るたけ早い機会に大臣よりも改めてこの本委員会におきまして言明をして頂くようにお取計らいを願いたいことを初めから私はお約束を申上げておく次第であります。  今回の改正国税及び地方税を通じまして我が国の実情に適した合理的な税制の確立をいたし、税制及び税務行政簡素化のために設置をされました税制調査会答申趣旨に副つて立案されたものと了承いたしておる次第でございます。本法案を見ますると、併しながら必ずしもこの答申案に副つて立案されたと私どもは受取られないのでございます。例えて申しまするならば、答申案では個人所得税軽減と共に法人負担国税地方税を通じまして五分引下げるように強調をしておりますにかかわらず法人負担軽減に対しましては事業税を僅かに一分引下げただけでございまして、他には目ぼしい軽減をしておらないのございます。又合理化につきましても電気供給業者を他の業種と区分いたしまして、事業税外形標準課税を行う理由は乏しいということを答申案では言つております。にもかかわらずこれをそのまま存続いたしまして、誠に変態的な外形標準課税をやはり行おうといたしております。  それから事業税並びに電気ガス税非課税範囲の整理と軽減答申案では要求をいたしておるにかかわらず、むしろこれは増加をいたしておるのでございます。政府はこのような案で税負担軽減税制合理化ができるとお考えであるか、更に産業界政府の示すところの物価引下げと今回の輸出振興に対する政府の強調しておりまする政策に協力をいたさんといたしておるにかかわらず、かような税制でおいて政府は果してこの二つの大きなる政策にどの程度重点を置いて考慮を払つておるかという点を私どもは疑わざるを得ないのであります。  償却資産に対しまする固定資産税シヤウプ勧告によりまして附加価値税と共に採用されたのでありますが、附力価値税のほうはいろいろと批判が多くて実施に至らずして今回廃止をされたのであります。この両方の税が並行をいたしまして、初めて商工業間の公平が期せられるというべきでございます。償却資産に対しまする課税が残されます。と、償却資産を殆んど必要としない商業的企業と、高価な設備に依存をいたしまするところの工業的企業との間に公平が望めないことに相成るのであります。殊に我が国の置かれました現状は国際的競争力の回復のために設備近代化が強く要請をされておりまする際に、設備更新近代化償却資産課税によつてコストを高めるといたして、経済団体から強い反対があるのでございますが、政府はこれに対してどのようにお考えであるか。更に財源の関係からこれを見まするときに、産業による負担は非常な大きな差があるのであります。使用資本の中で償却資本の少い産業償却資産に対する負担は少いのでありまするが、電気事業はその最も不利な場合でありまして、償却資産は使用総資本の八割を占めている現状でございます。償却資産と言いながら実はこれは使用総資本の八割の課税を受けるということに相成るのでございます。その結果は電気料金原価中に固定資産税法人税よりも事業税よりもなお多く、現行法では実に約七十四億円余に上つております。それだけの料金を実は高くいたしておるということに相成るのでございます。  その結果二十八年度徴税実績を見ましても全産業償却資産税百三十四億円に対しまして電気事業のそれは約五十二億円と、即ち三八%に上つておりまして著しく過重となつていることが明らかにこれを以ても窺われるのであります。税収の関係の上からこの税目を残すといたしましても、このような実情を考慮されまして、電気料金軽減税負担の公平とのために十分なる配慮がなされなければならないと思うのでありますが、政府はこれに対して我々は十分なる配慮をしておるとはどうしても考えられないのでございます。この点につきまして政府の御所見を伺いたいのであります。  次は現行の地方税法では固定資産税の標準税率百分の一・六に対しまして制限税率は百分の三となつておりまして、地方税法中にて税率の幅は最も広いのがこの税でございます。今回の改正では二十九年度の標準税率は一・五、三十年度以降は一・四と僅かながら低下をいたしております。制限税率は従来通り百分の三とし、二%以上につきましては自治庁長官の指示権を規定いたしておるのであります。税事の幅は却つて従来より増大しておるということに相成つております。かような幅が法定されておりまする以上徴税者たる市町村は財政の引締めよりは税率の引上げを選ぶということは当然でございまして年々税率は上り、百分の三を適用している町村も稀ではないのであります。一つの例を申しまするならば、北海道電力から出ておりまする表を見ましても、昭和二十六年、二十七年、二十八年を対照いたしまして、税率が一・六%になつておりまする市町村は二十六年には六十七、二十七年には四十に減つております、二十八年には実に二十一に減つておる。逆に三%を課しておりまする市町村は二十六年には三十四、二十七年には三十九、二十八年には実に四十六になつておる。私どもが懸念している通りのことが現実に現われておりまする次第でございます。然るに今回創設されました不動産取得税は百分の三でありまして、取得のときに一回に限り払う不動産取得税と年々払う固定資産税とが同率ということは税目相互間の均衡から申しましても適正を欠くものであります。まして償却資産に対する課税には根本的に問題があると存じます。先ほど公益事業局長からもお話のございました通りに、この課税電気料金に対しまして最も大きな税負担であると存ずるのであります。及び大きな償却資産の配置が甚だしく偏在をしておりまして、市町村相互間にも公平を欠くということが言われるのであります。少くも償却資産に対しましては標準税率の僅小な引下げよりはむしろ制限税率の大幅引下げを行いまして、順次確定税率に移行して地方財政の引締めを促すべき時期であると今日は考えられるのであります。自治庁といたしまして如何なる見解を持つておられるか。  更に今回の改正案で特に電気事業において御考慮を願いたい事項は、附則第二十六項により、新規取得の償却資産に対する課税標準を旧法によりまする三分の一から六分の一に引下げられたということでございまして、これは電気事業の現況から見まして適切なる措置と認めるのでありまして、政府がこの点は低物価政策努力をされた跡が窺われるのでございます。併しながら新規取得の償却資産よりも比重の大きい既設の分につきましても同様な措置をお考え願わなければ列底料金面において著しい軽減は期待できないのでありまして、これに関しまして次の諸点について特にお答えを願いたいのであります。  第一点は、新設分につき今回の措置により半減ができまするものならば、既設につきましても半減程度措置が可能ではないかということであります。  第二点は、新設分のみを半減とし、既設をそのままとすることは、新設を有する町村と既設を有する町村との間に非常な不公平がありはせんか。かような不公平をそのまま認めておられるのか。  第三点は、新法による三十年度以降の町村課税分を制限をし府県に吸上げる案を出したことは、取りも直さず以上のような措置を行い得ることを証するのでありまして、この点につきましてもいろいろ疑点があるのでございまして、かような制度に対する御見解を伺いたいのであります。  更に今回の改正案は大規模償却資産に対する市町村の課税を三十年度より制限をして、三十一年度から最終段階となり、余分は道府県にて徴税し道府県税の充実を図るということになつておりまするが、このことは大規模償却資産に対する現在の市町村の徴収分が相当に豊富であるということをお認めになつたことと存じまするが、さように了承すべきであるかどうか。又この方法によりまして市町村の徴収分から道府県税に廻し得る徴収額は三十年度及び三十一年度にて何億円ぐらいに見積つておられるか。その見積金額を御明示願いたいのでございます。  次に大規模償却資産に対する市町村の徴税権を一部制限する案を作られましたことは町村税収の均衡化のため結構なことではございまするが、余分を全都道府県に吸上げて電気料金軽減のため配慮がなかつたことは私ども誠に遺憾と思うのでございます。自治庁地方財政を担当される関係から、一応既定事実となつております償却資産に対する徴税額を財政の均衡是正のため道府県に廻されますることは無理からぬこととは存ずるのでございまするが、すでに申上げましたごとく償却資産に対する課税税制調査会答申にもございまするごとく、根本的の反対意見がありますると共に、その影響の最も甚だしい電気事業におきましては電力需給安定化のため電源開発を進行中でありますが、これによる原価の高騰が現在の物価引下げ並びに貿易振興の政府の大方針と食い違つて参る虞れが多分にございます。従来取過ぎていた固定資産税を合理的な基準に是正をする好機は実に私は今日をおいて他にないと思います。  以上の理由によりまして前項に述べました制限税率と共に標準税率をも妥当の線まで引下げることについて政府の御見解を伺いたいのであります。  それから改正案の附則第二十六項による新規電源に対する課税標準の六分の一引下げは最近五カ年間に竣工した発電所に適用されるのでございますが、旧法により三分の一の課税を徴収されていた幾つかの発電所改正案成立のため税収を半減されるわけでありまするから、政府原案によりましても急激な変化は止むを得ないわけであると存ずるのであります。これらの点お互い矛盾がないかどうかという点につきまして御見解を伺いたいのであります。  それからその次は税率引下げがありましても評価額におきましては値上りとなりまして、税負担軽減にはならんことは当然でございます。時価主義をとつております地方税法におきましては、この点で問題も起り勝ちであり、手数も要するのであります。然るに電気事業におきましては通産省の会計規則によつて厳重なる監査を受け、又事業の性質上から再評価もおおむね限度額近く行なつているのでございます。従つてかかる適格性を有する事業につきましては再評価価格を以て時価に代え得る旨の条文を挿入いたしますならば、評価の問題は極めて簡単化するのであります。  更に課税対象の範囲につきましても本来の事業の用に供するものに限り且つその範囲を法律及び規則に明記をして取扱の簡素化負担軽減とを図るべきであると私は考えるのでありますが、政府の御見解は如何であるか、先ず以上の点につきまして一応御答弁をお願いいたします。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 冒頭に御注意を頂きました点は大臣にもよく伝えたいと思いますし、今日の委員会のお話はよく連絡を申上げるつもりでおります。  第一点は法人事業税負担を、各答申から考えて見ればもつと引下げるべきではないか、こういう御意見でございます。勿論財政状況が許しますならばいろいろな税種つきまして引下げを図りたいのでありますけれども地方財政全体がかなり窮乏いたしておりますので、思い切つた減税措置もとれないのでありますが、法人につきましても、先ほど申上げましたような意味合いで一・六%を一・五%に引下げ程度軽減措置を行なつたわけであります。勿論只今申上げますように、財政状況の安定につれまして可及的に将来引下げ措置を図つて行くべきものであろうというふうに考えております。  第二点は恐らく税制調査会答申をお指しになつていると思うのでありますが、電気等に対する事業税について収入金額課税標準とする方式をやめるように言われているにかかわらず、これを更に存置していることは不当ではないかということのようでございます。政府として地方制度調査会或いは税制調査会税制関係の諮問をいたしたのでありますが、地方制度調査会におきましては外形課税をそのまま踏襲するという趣旨答申をいたしております。税制調査会のほうでは外形課税をやめるという答申をいたしております。食い違つた答申が行われているのでありますが、なぜ政府は外形課税を残そうといたしたかということを簡単に申上げておきたいと思います。所得課税標準にいたします事業税というものは、いろいろな意味で不適当だと思われるのでありまして、そういうことが又延いては附加価値税を実施するというような案が考え出されたことにもなつているのであります。殊に電気の場合には好ましいのでありますけれども地方財政全体の立場から考えて参りますと、外形課税をやめますと確かに減収を生ずるのであります。電気事業の立場から望ましい減収が、地方財政の立場からは好ましくないのでありまして、このようなことが一つの理由になつております。もう一つは事業が行われておりますと、勿論従業者は労力を提供して事業の発展に寄与するわけでありますけれども、地方団体も道路を設けましたり保険施設を設けましたりいたしまして事業の発展に寄与しておるわけでありますので、損をしているとか儲けているとかいうことじやなしに、何がしかの府県の経費の分担をしてもらいたい、そういう意味においては所得課税標準にすることは好ましくないのでありますけれども、先ほど申上げましたような意味で止むを得ず所得課税を相当に府県においては踏襲するわけであります。併しながら所得課税をとつていない部面につきましても、むしろこれをより強く従来の方式を踏襲いたしたいのであります。殊に料金統制の行われております場合には、その料金の中に府県経費の分担分を織込んでもらいたい、織込まれたものにつきましては、大体独占企業なんだから、それだけの料金が守れるじやないか、守れるなら織込まれたものだけは事業税として府県に支払つてもらいたい、こういう考え方が基本になつているわけであります。  第三に電気ガス税について、非課税範囲を整理するようにという答申が行われているけれども、逆に今回の地方税法改正案非課税範囲を拡げているじやないかという御意見でございます。これは通産省とも話合いをいたしまして不十分であるかも知れませんが、やはり非課税範囲を若干拡げまして、将来電気ガス税を消費税として純化して行きたいという考え方を持つているのでございます。  第四には償却資産に対する固定資産税企業近代化の促進を阻害する等の欠陥があるし、又企業によつて償却資産の分量が多かつたり少なかつたりするではないかというふうな御意見でございます。これにつきましては今回の改正案におきまして、企業合理化促進法において特別償却の認められているもの、或いは法人税所得税を免除される重要物品製造業におきますこれらに類する償却資産に対しましては、最初の三年間は負担を半減するというふうな措置をとりまして、そうして御指摘のような弊害の生じないような努力を払つているわけでございます。なお又電気においては総資本の八〇%までこれらの固定資産になつて行くのだという御指摘がございました。これらにつきましては耐用年数の問題もございますので、最初の十年間につきましては特に負担軽減措置を図つたわけでございます。事業が行われて行きまする場合には、府県も市町村も相当の施設をこれらの事業のために行なつているわけでございますので、固定資産税の形において市町村の経費を分担してもらい、事業税の形において府県の経費を分担してもらう、こういう考え方をとつているわけでございます。勿論償却資産の多寡によりましてそれだけでは負担が重かつたり少なかつたりするわけでありますので、ただそれだけで問題の解決にはならないのじやないだろうかという考え方をいたしております。従業者数が非常に多い場合にはこれに支払います給料も多額に上るわけであり、これに対して所得税が課されるのであります。所得税は人税だから経費として見る必要はないのじやないか、そういうことも言えるわけでありますけれども、実質的にはやはり一つの経費として考えられるのじやないかというふうにも思えるわけでございます。勿論償却資産に対する固定資産税を支払いました場合に、これは経費のうちから支払うべき税であるという観念に立つておりますので、法人税所得税の場合も、所得を計算いたしまする場合に全部損金として落して参りますので、実際支払つた固定資産税が仮になくなつても、その半分は法人税なり所得税なり或いは事業税なりの形において徴収されるというふうな向きになつて参りますることも、一応御了承を願つておきたいと思うのであります。  第五は現在の固定資産税の標準税率が一・六を一・五なり一・四に下げるか、三%という制限税率は高過ぎるじやないかという御意見でございます。現行法では二十八年度まで三%という制限税率があるのでありますけれども、二十九年度からはこの制限税率もなくなるのであります。要するに市町村の税金だから標準はきめるけれども、あとどうするかということは市町村住民に委ねるべきであるという地方自治の立場に強く立つた制度になつております。これを併し青天井にいたしますることも穏当じやございませんので、現行の制限税率を据置く、こういうふうな考え方をとつているわけであります。御指摘のように北海道等におきましてはこの標準税率超過徴収課税が非常に多いわけであります。又三%というふうな高率な災害等の場合におきまする全く異例の措置としてとらるべき税率一般化しておる向きもございますので、先ほど申上げましたような若干のこれらの緩和措置を今回は考えておるわけでございます。併し根本においてはやはり市町村の財政が充実していない、市町村財政が窮乏のままに六・三制の実施に当るとか、いろいろな問題が起きておりますために、このような不合理な、或いは不自然な姿が出ておるわけなんでございまして、一面にはやはり地方財政全体を充実したい、又財源の増加を図れない場合には、経費のかからないような制度にいたしたいという考え方を持つておるわけでございます。又他面には住民の市町村財政に対する批判力というものをもつと旺盛にして行きたい、もつと活溌に意見が述べられるようにやつて行かなければいつまでたつても自治が伸びて来ない、民主主義の基盤というものは育成されて来ないんじやないか、余り市町村のやり方がまずいからということを心配しまして、何もかも国でかまつてしまうということでは、徒らにその中央の指図のままに動くだけであつて、みずから判断するという気がまえが起きて来ないんじやないかということも他面において心配しておるわけであります。併しなお今後只今申上げましたような措置も十分でありません場合にも、将来に亘つて一層この点を注意をいたして参りたい、又必要がありまする場合には適当な措置をとりたいというふうに考えております。御意見につきましては我々も全く同感に存じておる次第でございます。  第六には新規取得分について軽減措置を講ずるならば、既設の分についても軽減措置が講ぜられるではないかと、こういう御意見でございます。これは併しながら私たちは市町村が新たに課税することができる、新たに収入が得られるようになつたときからその収入分を少し我慢してもらいたい、こういう措置は講じやすいのでありますけれども、今まで収入が得られておつた、それを一挙にこれを相当分奪い去つてしまう。今まで相当に収入を得られておりましたので、それを財源にして将来に亘る多年の計画というものを市町村自身が立てておるのであります。その折角立てておりまする計画を、一方的に財源を奪い去つてしまいまして計画を混乱させるということはとるべき措置ではない。殊に市町村というような小さい規模の団体につきましては、これらの点は特に慎んだほうがいいんではないかというふうな考え方をとつておるわけであります。併しながら電気事業界の要請もございますので、今回はあえて十年前のものにまで遡つて軽減措置を適用するようにいたしたわけであります。通産省からの熱心なる御要望がございましたので、当初は二十八年度分の固定資産税が課せられることになつたものから適用したいと考えておつたのでありますが、五年前、十年前のものにも遡つて適用することにいたしてございます。その結果市町村側から我々としては強い反対を受けておるわけでございます。  第七は大規模の償却資産に対する固定資産税を、三十年度からは一部を府県に移すべきではないか、言い換えればそれだけあり余つておるようになつたじやないかという、こういう御指摘のようでございます。現行法におきましても、市町村の規模から見まして、固定資産税収入が多過ぎると思われる場合におきましては、一定部分以上のものを関係の市町村に配分するという制度をとつております。第一固定資産税収入を所在の市町村に独占させることがいいか悪いかということについて問題があるのであります。と言いますのは、産業の発展が漸次広域に亘つて行われるようになつて参つております。半面行政単位は何十年来同じでございます。行政単位は産業の発展に伴なつて拡大されて参ります場合にはそれほど問題は起きないのでありますが、ここに行政単位と産業の発展のあり方との間にギヤツプが生じておるわけであります。従いまして又償却資産に対する固定資産税を当初から府県税にすべきか、市町村税にすべきか、いろいろな議論があつたわけでございますが、只今申上げましたような巨大なものにつきましては関係市町村へ配分するといつた制度を講ずることによつて市町村税として納められるわけでございます。従つてあり余つておるというような議論は我々としては穏当ではないのではないかというふうに考えておるわけであります。又大きな部分につきましては府県に三十年度から移すことにいたしておりまするが、移しまする額は、三十年度におきましては十九億七百万円、三十一年度におきましては二十三億七千六百万円というふうに推定をいたしております。  第八には固定資産税税率を将来に亘つてもつと引下げるべきではないかというふうな御意見でございます。私たちといたしましても固定資産税負担がかなり重いと考えておりまするので、今回或る程度税率引下げ措置を行なつたわけであります。この考え方は将来に亘つても持ち続けて参りたいと考えております。問題は他に収入増加が得られるか、或いは地方財政の全体の状況がどうかというような問題とからんで参るわけでございますが、将来に亘りましても御意見のような点は特に考えて参らなければならないというふうに思つておるわけであります。  第九に、むしろ簿価を時価に変えたほうがいいではないかと、こういう趣旨の御意見でございます。私も実は償却資産に対する固定資産税に対する課税標準は簿価をとつたほうがよろしいと思つておるのであります。適正な時価とは何か、田につきましては収入還元価格を用いておりますし、家屋につきましては大体再収得価格といいますか、そういうようなものを基準にして適正な時価を考えております。償却資産につきましては、現在のところ取得価格から減価償却額を差引いた差額を課税標準とするという方式で運用いたして参つて来ておるわけであります。ところが所得価格は過去のものでありますると非常に低い簿価になつておるわけであります。減価償却の計算を用いまして簿価に則つて参りますと、どこの企業も再評価をしないということになつてしまうのであります。我が国経済界の実体から考えまする場合に、相当再評価をしてもらう、又資本の蓄積を図つてもらわなければならんと考えますにかかわらず、仮に再評価を基準にすれば、ほかの企業は再評価をしなくなつてしまいます。これでは我が国の経済実体から最も望まれるべきことが固定資産税関係で抑制してしまう働きを持つのであります。そのようなことから止むを得ず収得時期からその後の物価倍教を乗じまして、この物価倍教を乗じました額から減価償却額を差引いた額を固定資産税課税標準とするというような方式を採用しております。幸い今回再評価強制の措置がとられようとしておりますが、再評価強制の措置が完了いたしました場合には、償却資産に対する固定資産税課税標準は簿価を用いるようにして行くべきではなかろうかというふうに考えます。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 続いてなおお尋ねを申上げたいのでありまするが、今のお話で事業税につきまする御説明に対しまして、私はなおこれは疑点があるのでございまするが、事業税償却資産に対する固定資産税とは違いまして、これはもう納税すべきことは当然でございます。併しながら外形標準課税という特殊の方法によつて課税をしておる、私はこれは問題があると思います。この点はくどく申上げるようでございまするが、税制調査会答申におきましても、これはおかしいということがはつきり言われておるのであります。これは特に他の産業と比べて見まする際におきましても、一般企業が取得に対しまして一二%の課税があるに対しまして、電気事業が地方鉄道軌道或いは乗合自動車運送事業及び今回新たに加えられた生命保険事業と共に、収入に対する、即ち外形標準課税となつておるのであります。これを分析して見まするときに、この課税を、収得課税によつて支払うべき税額を外形標準課税率に換算したものを見ますときに、全産業の平均はコンマ四六八%になつております。然るに電気業はコンマ二六七%でございまして、これを見ましても、新たに大きなる私は矛盾があると思うのであります。即ち全産業が約〇・五%程度課税であり、それと同じ制度をとるならば、電気事業というものはコンマの三%以内の課税になつておるのが、実に一・六%を課税をされておる。この点は一般の人が容易にこういう点に関する明快なる、何と申しまするか、了解がされないので、ただ徒らに現われた課税の率の数字だけを見ておられると思うのであります。これはどうしても矛盾が私はあると思うのでありまして、一般企業並みに収益課税方法改正をすべきだと存じます。これらに対しまして自治庁とされましては外形標準を飽くまで要求をされるのか。将来においては全産業並みに一つ収益課税方式に改めるという御意向があるかどうかという点を一つ御明確にお示しを願いたいと思います。  それから最後電気ガス税についてお伺いをしたいのでありまするが、この電気ガス税は戦時特別立法といたしまして昭和十七年二月に公布をせられておりまして、その目的は電気の使用抑制にあつたようでございます。かような性格のものが、漫然と終戦後すでに諸般の復興が進んでおりまする今日までも施行せられておりまする理由は、法律及び条例によつて電気又はガス会社に徴収及び納付を義務付けてありまするということは、私ども納得できないのでございます。毎月この税金は確実に入金がありまして、電気会社なりガス会社が徴収をいたしまするために、これがそのまま市町村といたしましては税金として入つて参ることになるのであります。併しながら戦時中に創設したこの戦時立法が、もうすでに十年余を経た今日におきましては、先ず第一に非課税範囲の拡大によつて税としての公平の原則が保障しがたくなつたというべきでございます。  それから第二点には、他に類例のない必需品の消費課税でございます。これは今日とるべきではなかろうと思います。殊に只今の低物価政策と照らし合せましても、これは大いに反省する要があると思います。  第三点は、料金の地域差によつて税額の負担に大きなる差があることでございます。これは御承知のごとく、料金の安い、或いは北陸、東北のほうはこの税金も安い、中国、九州、四国の料金の高い所は売上高によりまするがために、この電気ガス税も高くなつて参るということに相成るのでありまして、ここにも私は大きなる矛盾を指摘せざるを得ないのであります。  それから第四点は、非課税範囲の拡大によつて料金調定事務を複雑化いたしまして、電力会社合理化を妨げているという点でございます。今回も非課税範囲が拡大されたのでありまするが、いろいろな産業においてだんだんと非課税のものが殖えて参つた、そのために料金を調定いたします上においてもこの調定事務が非常に複雑化して参るということは争われない事実でございます。かような欠陥がたくさん現われているのでありまして、この電気ガス税は一部の産業に対する軽減、免税をすることにあらずして、全部これは撤廃をして然るべしだと私は考えるのでございます。電源開発に伴いまする原価の高騰に今日遭遇しておりまするこの値上りを、本税の廃止によつて吸収し得る相当な部分があると思うのであります。併しながらこれを一挙に廃止をいたしますることは、地方財政に対しまする影響も多かろうと存じまするので、百分の十の税率を二回或いは三回に分けて漸次廃止に持つて行くということが今日極めて穏当なる考え方じやないかと思います。これらに対して如何ように考えておられるか、その点も承わりたいのであります。  それから最後に私は結論として申上げたいのでありまするが、本日いろいろと質問を申上げておりまするのは、いわゆる税制の面からこれはお願いを申上げておりまするので、無論私ども電気会社の企業合理化に対しましてはより強い要求をいたしておるものでございます。仮に今回の電気料金値上げ申請の一四・四%は原価におきまして約二百六十四億円に当つております。この二百六十四億円の値上げといいまするものに対しまして、現行税率による固定資産税は約七十四億円、事業税が約三十五億、合計百七億減となつております。原価外ではございまするが、結局消費者負担となつておりまする電気税は、現行法においては約百八十三億を見込まれまして合計すれば二百九十億円となつております。これによつて現在提案をされておる改正法案における軽減額といたしまして、電気税の非課税範囲の拡大による減少額は約七億円、固定資産税の減少額は不確定要素が多くございまするので推定は困難でありますが、大体十億円乃至二十億円と存じます。及び事業税の減少約三億円を差引きまするならば、地方税の所要額は二百六十億円乃至二百七十億円となります。これは偶然にも料金値上げ要請額と一致をいたしておるのであります。仮にこの地方税が全部撤廃をいたされるといたしまするならば、電気会社の合理化だけ電気料金はこの際に引下げとなるということに私は相成ると思います。  こういうような点を考えて見まするときに、今日の低物価政策、並びに貿易振興の政策に関連をいたしまして、この地方税法改正は、電力料金を通じまして今後の産業の進展、並びに国民経済の安定の上に大きなる影響を私は与えていると存じますので、この法案の審議に当りましては、飽くまで一つ慎重に、只今質問申上げました点等につきましても政府側は十分なる御考慮を煩わして頂きたいと存ずる次第でございます。
  11. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一点は、重ねて電気に対する事業税の外形課税を廃止すべきだというお説でございます。御承知のように事業に対する税の課税標準を何に求めるかということにつきましては、明治以来紆余曲折を経ておりまして、或る時には売上金を課税標準にする、或いは従業者数を採用する、或いは収益課税標準にする、いろいろな経過を経まして、更に二十五年にはシヤウプ勧告が基礎になりまし、附加価値額を課税標準にすべしとして現行法が制定されておるわけであります。私たちは今回事業税課税標準を、所得又は収入金額に求めようとしておるわけでありますが、所得に求めますことは非常によいからこの制度にしておるということでなしに、全く止むを得なくてそのまま従来の方式を踏襲しようとしておることを申上げておきたいのであります。事業に対する負担の求め方を、殊に府県税になりました場合に、儲けていれば経費負担するが、損をしていれば経費負担しないというふうな形では、国のような大きな団体になつて参りますると、仮に一つの企業で損をしておりましても他の企業で儲けがあるからそれで平均がとれることになつて参るわけでありますけれども、府県のような小さい規模の団体になつて参りますとそういうことがかなり困難でありますので、一層外形的なものに課税標準を求めるという考え方が出て参るわけでございます。殊に電気につきましては料金統制を行われ、この料金というものは国の産業政策なり社会政策なりいろいろな角度からきめられるのだと思うのでありますが、殊にデフレ政策をとろうとします際には料金の引上げが仮に国際物価から見まして低いという場合でも下げなければならないという問題が起きて来ると思います。そうしました場合には電気としては利益が上つて参りません。所得課税標準にしている以上は、国の料金政策のとり方如何によつて事業税はゼロにもなつたり大きくもなつたりするわけであります。国の料金政策影響をいささかも受けてはならないのだということを申上げるわけではありませんが、そういう関係がありますだけに、一層電気に対しまする事業税課税の仕方というものは所得に求めるということは穏当ではないのじやないかという考え方を持つておるわけなのであります。若しあえて所得に求めるとするならばそれだけのものを事業自身に価格差補給金を出す代りに当該地方団体に価格差補給金的なものを出すということになるかも知れませんが、そういうようないろいろむずかしい問題がありまして、特に料金統制が行われ、而も独占形態をとつているものにつきましては売上金額を課税標準にするほうがよろしいのではないか、それだけのものは料金の中に織込んで頂いたほうがよろしいのではないか、そういう考え方政府としてはとつているわけであります。  第二は電気ガス税の問題につきまして、一つには公平を欠くのじやないかという御意見もございます。公平を欠くということは、物品税におきましても或る物については物品税を課したものについては課さない、物品税を課さない或る物の電気の消費については電気ガス税を課し、他の物にはほかの税を課さないということも必ずしも悪いわけではないのじやないか。同じ企業、同じ種類の対象に対しまして或いは課し、或いは課さないということになれば問題はあろうかと思うのでありますが、同じ種類のものであれば同じ扱いにする以上は必ずしも不公平だとは言えないじやないかというふうに私は思つております。先ほどちよつと申上げましたように、むしろ私たちは工業用の電気には課税をいたしたくないのであります。将来これはできる限り地方財政の安定とも待ちましてもつと府県税を拡げたいと考えております。そして消費税に純化して行きたい。大体家庭用の電気になつて参りますと、所得の大きさ、多寡に比例してそのままでいいじやないか、そういう意味におきましては電気ガス税というものは消費税として悪いとは言い切れないといつた面が多分にあるのではないかというような考え方を持つておるわけであります。ただ消費税として純化する程度がまだ不徹底でございます。三一%余りのものには課税をしていないわけでありますけれども、もう少しこの範囲は将来は拡げて行きますならば消費税として純化されて行くのではないか。又消費税という見地に立ちますならば多少地域的に差がございましても我慢して頂けるのではないか。電気の持つております立場というものが家庭用のものになつて参りますと、薪とか炭とかいうものに関連してやはりその地域地域において効用が違うのではないかと思うのでありまして、まあ余り理窟にもなりませんが、消費税としてなら我慢して頂けるのではないかという考え方を持つておるわけでありまして、従いまして又将来廃止する考えがあるかどうかという御質問に対しましては、今日これを消費税に純化して継続して行きたい、かようにお答えをいたしたいのであります。  最後電気に対しまする地方税負担が非常に重いということを御指摘になりました。私たちもかなり重い負担を持つて参つておるというふうに考えております。今回かなりいろいろな点につきまして改正を加えたわけでございますが、これだけでは全面的な解決になつていないのでありまして、将来に亘りましてもよく研究を重ねて行かなければならないというふうに心得ております。ただ仮にこれらの地方税負担電気から求めることをやめました場合に、一体それじやそれに代る代り財源をどの税金に求めるか、或いは地方の歳出のどこを切るか、こういう問題にもなつて参るわけでありまして、これらの問題はやはり将来に亘りましてなおよく研究して参りたいと考えております。
  12. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の御答弁に対しまして私はまだ十分得心が行かないのでありまするが、いずれこれは自治庁長官の御出席を願いましてその御言明を伺つた上で又お尋ねをいたしたいと存じまするが、委員の諸君から一つ御質疑をお願いいたします。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この電気料引上げをこの際阻止しようということはこれは国民の輿論になつておると思います。言うまでもなく、低物価政策をとつている今日政府がこれを或る程度にせよ引上げるということは非常な問題になるので政府全体の問題だろうと思うのであります。先ほど来伺つておりますとどうも電気料金の引上げの問題はまあ通産省関係税金関係自治庁その他の関係だというようなわけでありまして、一般の国民が税の問題からこの際電気料金の引上げをできるだけ阻止しなければいけないという強い要望に対する気がまえがないような感じが私はするのであります。従つて只今委員長からは自治庁の長官を今度来てもらうというお話でございますから、その際に譲つて、根本的な議論を闘わす必要があると思うのでありますけれども、その前提といたしまして一体通産当局のほうからは輿論に応えるべく電気税等の引下げについてどの程度の要望をせられたか、又それを受けて自治庁のほうではどれだけの苦労をしたか、そういう点についてその経緯を先ず聞いておきたいと思うのであります。それによつて政府当局間においての熱意のほどが窺われると思うのであります。その如何によつては我々も又考えなければならないと思いますので……。
  14. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 先ほど資料のときに申上げましたように、このA、B、CのうちのA案について先ず最初に私どものほうから大蔵省なり自治庁のほうにいろいろ希望をいたしたわけでございます。その過程においてB案なりC案なつたわけでございますが、これにつきましては自治庁のほうとしても特に慎重に考慮して頂いております。ただ税務体系なり或いは税法の理論上いろいろな点で問題がございまして、なかなか我々の希望通り参らなかつた点がございますけれども、特に電気だけということにつきましてはそういつたような点で問題もございますが、それを表面に出さないでできるだけ税法上で考えられる限りということで十分考えて頂いたことは我々も認めざるを得ないわけでございます。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 通産当局のほうから出された案というのは、A案、B案、C案、いずれも出されたのか、或いはもつと端的に言つて自治庁のほうに出された書類の写しをこの委員会に配つてもらうように……。
  16. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 正式の書類で出したわけではなくて、これはやはりA案、B案といつたような考え方を申述べておつたわけでございます。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 書類による折衝はなかつたわけですか。
  18. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 書類による公式な交渉はいたしておりません。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 交渉方法について我々どうこうというのではないが、それほど真剣な問題になつているとき、やはり通産当局としてもこの程度要求最後の線だという決意を示すためにも書類など出ておつていいのじやないかと思うが、まあそれは別といたしまして、通産当局からの要望を受けられて自治庁はどの程度、先ほども言うように非常な苦心惨恒をされたか、どうも余り苦心惨恒をされた跡がこの程度の話では出ておらんように思うのでありますが……。
  20. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) あとでいろいろ申上げましたことから苦心惨恒をしていないというような御感じをお受けになつたようでありまして、誠に遺憾に存じております。非常に苦心をしたつもりでおります。殊に従来の地方税法から見て頂きますと電気につきましては固定資産税の面におきましてもかなり強い面が出ておると思います。殊に二十九年度分の固定資産税は一挙に六分の一というような負担引下げるということは、これは全く地方財政の従来の考え方から見ますれば突拍子もないというような考え方にもなろうかと思います。だからいたしまして又衆議院の地方行政委員会では殆んど各党の人たちから余り国民経済的な要請を持込み、又大企業に対して特別な考慮を払い過ぎるということで異口同音に反対を受けておるような状態でございます。従来の経緯から見まして、一番最初に申しました各項目をお考えに頂きまするならば、よほど思い切つた考え方とつたというふうに御同情を頂けるものと私は考えるのであります。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 電気事業というのは大企業と言つても公益事業でありまして、それの電気料金が幾らになるということは全く大衆負担になつて来るわけですから、これは大衆関係のものとしてお考えになるべきだと思うのであります。従つて先ほどの電気ガス税などの非課税範囲をだんだん拡げるについてどうだとかこうだとか、これも勿論重要な問題であると思うけれども、そういう問題とは違うと思うのです。そこにおいて今度はやはり自治庁長官に出てもらつて、政治的に内閣全体がどういうふうにこれを処置しようかという点を伺うほかないと思いますから、次の機会に申上げたいと思います。
  22. 小松正雄

    ○小松正雄君 関連してでありますが、電気料金値上げに関しては国民の最も反対するところであることは申すまでもありませんが、これに関連いたしまして、先般来からの委員会において私は大臣に対してどういう考えを持つてこの電気料金値上げを阻止するかというようなことにつきましては、租税その他のことについて考慮し、少くとも国民の経済の上に影響を及ぼさないように努力をされるということであつたのでありますが、その現われは本日の中島局長の報告にまとまつて出て来たと、かように考えるわけでありますが、そういたしますと、中島局長に一言お尋ねしておきたいことは、この三案、A、B、Cと出されましたが、最後的なCとしたあの分くらいは必ず押し通せるという自信があるのかどうか。
  23. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) C案租税関係の案は、現在税法の改正案として国会に提出されておりまして、従つてここで通過いたしましたならば実現するだろうと思います。
  24. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一つお尋ねしますことは、本日の新聞に出ておりましたのでありまするが、電気料金値上げ実施に関することは五月一日を意図したようなことにも書いてあつたのでありまするが、そんなに早くできると考えておられるか、この法案が……。
  25. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 五月一日に改訂するとかしないとかいうことは全然我々もわかつておりませんで、又そういうことになろうかということもまだ何とも申上げかねます。併し税法が一応こういうような案で以て通るというような前提の下に、仮に原価査定いたします場合にはやるわけでございまして、最終的に案をきめます場合に、税法の経過はまだそのときまでにはつきりしておりません場合には原価査定もそこに明確に出し得ない。若しそのときの情勢が到底これは通過する見込がないということならば、これを御破算にして考えざるを得ないものと、こういうことになるかと思います。
  26. 海野三朗

    ○海野三朗君 根本は、先ほど委員長からいろいろ御質問になりました税の問題が根本だと思うのでありますが、この固定資産税の六分の一というお話、その固定資産税を割当てるのにどういうところにこの基本をおいておきめになつておるのでありますか、根本の思想ですね。固定資産税は何を対象にしていなさるのか、それを私は承わつておきたいと思います。
  27. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御質問を正しく理解していないかも知れませんが、固定資産税は一種の財産税的なものだというふうに心得ておりますし、償却資産に対する固定資産税は一種の事業の市町村の経費分担という意味の外形課税的なものだというふうに考えております。
  28. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうしますと、同じ財産を投下してもそれだけの働きをしない、つまりそこから上つて来る収益がおのずから千差万別なのであります。そうしますと、その財産だけを目当にして固定資産税をおきめになるということは、根本において私は間違つておるのじやないかと、こう考えられるのですが、如何でございましようか。
  29. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今事業税の外形課税につきましてもいろいろ論議がありましたように、事業の負担というものが、必ず儲けていれば相当負担するが、損をしていれば負担をしないという考え方に徹することは如何なものであろうか、例えば事業を行なつております以上は、その事業の発展に寄与しております従業者には給与を支払う、或いは又資本を貸している者には利子を払う、市町村が消防施設をしておりますならば、それに対して経費負担をする、こういう考え方も成立つのじやなかろうかと考えております。
  30. 海野三朗

    ○海野三朗君 今お話のように、単に儲けがあればこれにかけるとか、なければかけないということになりますというと、これは弊害が起つて来ますから、お話のように御尤もだと思う点もありまするが、これをおやりになる上において、私は固定資産税ということで六分の一とか三分の一とかいう、そういうふうにおきめになつた基をお伺いするので、何を基準にしてそこから割出しなさつたかということをお伺いしたいのであります。何を基準にして六分の一となさつたか、或いはもつと八分の一にもなさつていいんじやないか、十分の一にしてもいいんじやないか、六分の一をおとりなさつたわけをお聞きしたい。
  31. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 六分の一をとりました基礎は、電気に対する固定資産税につきまして最切の五年間には三分の一の負担にする、あとの五年間は三分の二の負担とする、こういうような改正案考えております。併しながら二十九年度は物価引下げの大方針をとろうとしておるときで、殊に電気料金についてもできる限り引上げを緩和したいというふうに考えられるときだから、その三分の一の負担につきまして、更に昭和二十九年度の特例として大幅に引下げを図りたい。そういう意味で三分の一を更に二分の一にした六分の一の税率をきめようとしているわけであります。
  32. 海野三朗

    ○海野三朗君 この問題は私通産だけではどうも徹底しないように思うのでありますが、地方税関係いたしますし、これはどうしても合同委員会でも開いてやつて頂く必要があるのではないかと思いますので、委員長のお考えを一つお伺いをいたしまして、私はこれで打切ります。
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今海野委員の御発言でございますが、実は委員長自身もこれは一遍合同委員会を開くべきではないかと思います。地方行政委員会におきましては漸くこの地方税法改正法案に対しまする提案理由の説明を昨日聞いたのみだそうでございますので、これから審議の過程に入るのでございます。それで一日ぐらい合同審査を申入れたらどうかと思いますが、如何でございますか。
  34. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは電気料金地方税関係だけでなく、中小企業関係としても地方税の中の事業税等も相当に問題があるので、ひとり電気料金の問題だけに限定しないで、重点は電気料金に置いていいと思いますが、そういう意味で連合委員会をお開き願つたほうがよいと思います。
  35. 中川以良

    委員長中川以良君) それではお諮りいたしますが、成るたけ早い機会に地方行政委員長とも御相談を申上げまして、連合委員会を開く、その上において必要があればこの委員会で更に自治庁長官出席を求めまして御質疑を願う、こういうことで如何でございましようか。
  36. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 自治庁長官が出てもらうときには通産大臣も出てもらいたいと思うのですが、実はこういう問題について事務当局だけの折衝に委ねておるのか、今までの段階が……、通産大臣自治庁長官と折衝したことがあるのかどうか、その点どうですか。
  37. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) これは通産大臣が直接自治庁長官にお話になつて、大体こういう案になつたのであります。
  38. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういう経過は通産大臣からもよく開き、両大臣にやはり出席してもらうほうがいいと思います。
  39. 中川以良

    委員長中川以良君) 地方行政委員会にですね。
  40. 高橋衛

    ○高橋衛君 委員長が取りまとめていろいろ、非常によく御研究なすつて代表して質問して頂けるということは非常に私は能率的であつて、結構だと思います。ただこういうことに私素人でありますので、念のためにお聞きいたしておきたいのでありますが、委員長の御質問の中に相当意見に亘るのがあるのでございますが、その意見は委員会の意見としての御質問でありますかそれとも委員長個人の意見として……。
  41. 中川以良

    委員長中川以良君) 委員長個人でございます。
  42. 高橋衛

    ○高橋衛君 それからもう一点、只今の御議論の点でありますが、私自身の個人的な見解といたしましては、税について最近余りに多くの経済政策が盛込まれ過ぎるという感じを持つておるのであります。御承知通り経済政策は補助金によるか、税の減免によるか、又は金融によるか、三つの方法があると思うのでありますが、補助金による場合におきましては、国会の非常な厳重な審査を経ておりますので、これは完全に監督ができるのであります。ところが税の減免による場合においてはその効果の判定は非常に困難であります。従つて国民がこれに対して監視をするということは、非常にルーズになり困難になるという傾向を持つのであります。私は税自体としてはできるだけ止むを得ざる場合を除いては、やはり公平の原則に基いて税をとる、従つて官吏は国家から俸給を受ける。それに対して国税を払うのはおかしいというような議論はどなたも恐らく唱えられんと同じように、税についてはそういうふうなことについてはおのずから限界がある。そういうふうに考えるのであります。特に現在の場合において、国会の運営といたしましては、税法が今月中に通らなければ非常に困るという段階にありはしないかと考えるのでありますが、そういうふうな非常に忙しい際に連合審査を申込まれて、そうしてそういうふうな議案の審査の進行が遅れるというふうな結果を来たすということについては、相当考慮を要する点がありやしないかというふうに考えるのであります。その点についての委員長の御意見を伺いたいと思います。
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) 高橋君のお申出は誠に御尤もだと思つて、私もその点は十分考慮いたします。殊に私はこの政府原案を書いた与党の立場にございますので、その点は慎重に考えておりまするが、併しこの地方税法を見ましても、改められる点は私は全然ないとは考えられないのでありまして、又そういう主張も一応すべきものはして、今回は改めなくても次の機会に又改められるということもあると存じますので、こういうようなことを検討いたしまするには、地方行政委員会では到底できないし、そこまで御指摘をされるかたは少なかろうと存じますので、通産委員会としての使命からいたしましても、この点は殊に今電気料金の問題が大きく掲げられております際に、やはり掘下げて検討して、一応考慮すべきものは考慮し、質すべきものは質すということが当委員会としての立場から申しましても当然じやないかと思つて私は御質問を申上げたのであります。
  44. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 一、二点お伺いしたいと思いますが、只今自治庁側から電気料金関係のある地方税法改正部分について御説明を伺いましたが、この地方税法改正は現在のデフレ予算の遂行のための、或いは物価の引下げへの一時的な一つの、言葉は悪いのですが、思いつきの改正の意図であるのか、それとも近き将来において地方税全体について抜本的な改訂を加えられるその第一歩としての改正であるのか、その点を先ずお伺いしたいと思います。
  45. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現行地方税制につきましてはいろいろな論議があつたわけでございますが、今回の極めて大規模な改正によりまして、将来地方税制を一応安定するというふうな考え方を持つておるのであります。ただその中にも特に物価引下げの大方針に即応したようなものが、例えば今議論になつております二十九年度だけ固定資産税電気について六分の一にするというようなものも入つて来るわけでございます。
  46. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それから特に電気関係する固定資産税法人税事業税等に相当大きく期待をしている地方財政によりまして、かなりな影響を与えると思うのでありますが、その代替の財源等はどういうふうにお考えになつていますか。
  47. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 或るものについては減税いたしますと共に、他のものにつきましてはたばこ消費税の創設等によりまして、国から財源の補填を求めております。
  48. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは非常に小さいことですが、電気ガス税について、特にガスの場合にこういうことがあるわけです。天然ガスを採取をしておる業者が、その所在をしている地方の団体に対して鉱産税を納めておる。一方では又その地方団体電気ガス税を取つておる。これは二重課税ではないかという疑問があるわけです。我々の考えから言えば、その鉱産税の分だけは差引いて電気ガス税を徴収すべきではないかという意見であるわけです。その点は如何ですか。
  49. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 具体の問題を詳しく調べませんと簡単にお答えすることが当を得ないのかも知れませんが、鉱産税のほうは鉱物の掘さくに課税をいたします。電気ガス税のほうはガスの消費者に課税をいたします。従いまして例えば電気事業者に対しまして外形課税事業税を徴収し、消費者に対しまして電気ガス税を課するのと変らないのではないかというふうに思うのであります。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) それではお諮りいたしますが、只今高橋君の御意見もございましたが、成るたけ早い機会に一つ連合委員会を申入れ、その際には電気料金に関する地方税制のみならず、中小企業その他に対しましても御質疑を願うことにいたしまして、自治庁長官並びに通産大臣には是非御出席を願うということで、委員長は取計らいますが、それで御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 中川以良

    委員長中川以良君) それではそういうことにいたします。  ほかに御質疑はございませんか。
  52. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 この頃電気料金値上げの問題で各地で公聴会が開かれておるわけですが、それは資料を頂けますか。
  53. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 聴聞の最終日が十八日でございまして、昨日今日その結果をまとめておりますので、でき上りましたら配付してもよろしうございます。
  54. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 どうぞお願いいたします。
  55. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは午前中の審議はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 中川以良

    委員長中川以良君) 午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    —————・—————    午後一時五十七分開会
  57. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より休憩前に引続き再開いたします。  最初商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続き御質疑をお願いいたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  59. 加藤正人

    ○加藤正人君 簡単なことですが、信認金と取引の量とか金額の関係はどういうことになつていますか。
  60. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 信認金は取引の高にかかわりなく同じでございます。但し証拠金等がだんだん嵩んで参るということになつております。
  61. 加藤正人

    ○加藤正人君 それじや証拠金はどういう関係……。
  62. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 証拠金は取引高の何%ということで納めることになつております。
  63. 加藤正人

    ○加藤正人君 そうなつておるのでしような。そうなければならないと思う。
  64. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今度の改正について一時官僚統制の強化だというようなことで業界にも反対があつたように仄聞するのですが、当時の実情はその後解消したのか、そういう点について先ずお伺いいたしたいと思います。
  65. 記内角一

    政府委員(記内角一君) この案ができました当時、取引所のほうに連絡してその意見を照会いたしたのでございますが、その際に設立の許可制、それから定款、業務規程の認可制につきまして、これは従来設立については自由で、ただ主務大臣に登録を受ければそれで自動的に成立するという、いわゆる自主的な設立の問題に許可がからんで参るので、これによつていわゆる自由経済を統制して行こうという現われではないかというふうな危惧を持たれた向きが一部にあつたことは事実でございます。併しながらこれはいわゆる個個の取引の内容についてどうこういう問題ではございませんで、一つの組織体を設けることについての許可の問題でございまして、而もこれは前例のないことではございませんで、同じ性格を持つております証券取引所につきましても、従来は自由登録制のこれと同じ制度であつたのでございますが、去年の春の議会におきましてこれが設立認可許可制ということに改められまして、自然定款その他につきましても認可制ということが実施になつている次第でございます。従いまして我々はそういう取引所自体の設立については許可に相成りますが、或いは又業務の特に重要な面については業務規程の変更の認可ということによつて監督或いは取引所相互間の調整を図つて参りたいというふうに考えておりますが、その内部におきまする取引自体については毛頭手を触れる考えを持つていない。いわんやこれを契機にいたしまして、本来自由であるべきいろいろな経済諸般の問題を規制して行こうというふうな考え方は毛頭持つていないのであります。その後だんだん話合いをいたしました結果、取引所側におきましても十分我々の意の存するところを了承いたしまして、今日におきましては全取引所挙つて反対はない。むしろ積極的に改正をしてもらいたいというふうな意見に相成つているような次第でございます。
  66. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 商品取引所については過当投機だと言われるような問題が過去においてはあつたのですが、当時又それが問題に相成つたわけでありますが、これを今回の改正法案の上において調節するためにどういう条項などが入つているのか、要するに過当投機調節についての今度の改正に伴う立法方針、態度、そういうようなものについて伺いたい。
  67. 加藤正人

    ○加藤正人君 関連して……。これはこういう機関が勝手にほうぼうに濫立されたりする弊を矯めるために登録制が許可制になるということも本法改正の狙いの一つだと思うのですが、同時に或る業者がむやみに商品を買いあさつたり売りまくつたりするために市場が非常に激騰暴落するというようなこと、本来の取引所の所期する目的に反するよな現象が起ることがたまたまあるために、例えば綿糸のごときは、メーカーとしてはすでに適正の値段で売約済であるのに市場相場は過当投機のために一梱九万円もするような結果となり、あたかもメーカーが暴利を得ているような誤解まで受けるような現象がある、こういう点を抑えるのもこの改正の目的だと思うのですが、その濫立を防止するためにも登録制を許可制にするという改正、それからこの投機のようなことを抑えるという狙い、どつちに重点が今度は置かれて改正が行われるようになつたのですか、その点……。
  68. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 関連いたしておりますので一括して御説明申し上げますが、我々の狙いといたしましては一面におきまして濫立を防止するということを狙いますと同時に、今御指摘のありましたような過当投機というような面のないようにということで両方を狙つているわけでございます。現行法におきましてもいわゆる濫立という面は、同じ地域において不当な競争になるような取引所はこれの登録を拒否できるということによつて、事実上同じ地域に二つ同じ品目についての商品取引所ができることは防止されておりますが、例えば生産高、取引高等の少いような商品、或いは狭いマーケツトというような経済地域の範囲内におきましては、むしろそういう地域に取引所ができますというと却つて買占め売あびせというような弊害も出て参るのでありますが、その辺の規定が十分に整備されておりませんので、こういうことによつて濫立と申しますか、濫立を兼ね過当取引を生ずる虞れのあるような取引所の設立を、むしろ抑えて参りたいというのが第一点の狙いになつているわけでございます。  それからもう一つは過当取引の防止の点でございますが、これにつきましては従来設立の際におきましては定款、業務規程等をよく検討いたしまして、できる限りこれを妥当な方向に直すように、行政指導によつてそういう指導をいたしながら、設立の登録をいたしておるわけでございます。一旦登録を受けましたあとの定款変更或いは業務規程の変更というようなものにつきましては、全部これは自由に相成つているわけであります。従いまして過当取引の虞れがある、或いは現実にそういう事態に至つたというふうな場合におきましても、なかなかこれを収締つて参るというふうなことがむずかしいのであります。勿論非常に事態が悪化いたしますれば、変更命令ということはできるのでありますけれども、変更命令は事が起つたあとでの善後措置になるような結果になりがちでございますので、事前にこれを防止するということが必要なのかと思うわけであります。そこで今回におきましては、定款並びに業務規程の変更につきまして、勿論設立の際にはそういう点を十分検討いたしまして設立の許可をいたしまするし、それから設立の終りましたあとにおきましても、定款、業務規程の変更という際に十分監督をいたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。現に例えば第十条にございます定款記載事項の中におきましては「会員信認金、仲買保証金及び売買証拠金に関する事項」というふうなものをはつきりと規定いたしまして、これの変更その他は認可を受ける、受けさせるということにいたしておるわけであります。従いまして会員或いは仲買人或いは一般の取引者が、仲買人を通じまして過当の売買を行おうというふうな場合におきましては、売買証拠金を引上げるというふうなことによつて、現金取引と同じような立場に追込みまして過当な買占め或いは売あびせというようなことのないように処置いたしたいというふうに考えている次第であります。
  69. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 株式取引所と商品取引所との過当投機抑制策について違うところがありますか。
  70. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 大体性格が似通つておりますので、方法といたしましては大体似たような方法をとつている次第でございます。ただ株式取引所におきましては、いわゆる現物取引に相成つておりますが、こちらにおきましては長期の生産取引というふうになつておりますが、その辺を考慮いたしまして具体的に措置が講ぜられているということでございますから、実際の基本的な扱い方、考え方、取締の方法というような点につきましては、大体似たような扱いをいたしているつもりでございます。
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  72. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  ほかに御質疑ございませんか。それではどうぞ。
  73. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 許可基準に関連して少しお尋ねいたします。  第一は、第十五条の第一項第一号の「会員又は商品仲買人の数の最高限度」、これをどの程度想定せられておるか、これが第一、第二は、第二号の「当該取引所を設立することが必要且つ適当である」という具体的な基準はどういうふうに考えられるか、それから第三点は、同じく第三号の「この法律の規定に適合するように組織されるものであること。」というのがありますが、これは具体的に言つてどういうことを要するのか、この点をお伺いしたい。
  74. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 御承知通りに取引所というものは或る程度の人数が集まつてお互いに売買の取引をいたすのでなければ、極く少数の者が集まつてやるのでは原則として成立たないということに相成るわけでございます。従いまして、会員の限度といたしましては、たしか十名よりも少くなつた場合には当然解散しなければならないというふうな規定もあるような次第でございます。従いまして最低は十名ということに相成つております。それ以上であれば数の制限はない。ただ資格等におきましては、或る程度の資産が必要になつて来る、又売買取引につきましての必要な電話施設、店舗その他当然所有すべき設備を持つというふうなことが仲買人としての資格というふうなことに相成つておる次第でございます。  それから「取引所を設立することが必要且つ適当」という具体的な限度でございますが、ここの初めのほうにありまするように、「当該取引所の設立される地方における当該上場商品の取引の状況、当該商品を上場商品とする取引所の分布の状況その他当該商品に係る経済の状況に照らし、」ということになつておりまして、大体この現行と同じように、考え方といたしましては特別に変つたことはないわけでございますが、設立される地方におきましていわゆる取引高が相当な金高に上つてつて、個々の業者が買占め或いは数人の者が談合いたしまして買占めをいたしますとか、売崩しをするとかいうふうなことのできないような相当の金高があることが必要であろうと考えるのであります。又大体経済地域というものがおのずから限定されておりますが、その中でほかの取引所がありまして、それと競合関係に立つ、同じ経済地域の中で既存の取引所と競合関係に立つというふうなことのないようにというふうなことも考慮いたしておるわけでございます。結局この辺を勘案いたしまして決定いたしますので、それぞれの取扱の商品、又それらの生産高、又取引の数量、金額というふうなものを勘案いたして決定するというふうに考えておるわけであります。
  75. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 許可基準の内規というようなものはできているんですか。
  76. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 特別に内規というほどのものはできておりません。と申しますのは、御承知通り取引所法は設けられましてから三年に相成りまするが、全国で通産省関係、農林省関係合せまして二十の取引所しかできておりません。これは過去におきまして、戦前からの古い歴史を持つておつた場所と商品についてできておるのが大部分でございまして、新らしい土地に新らしい商品でできておるのは、今のところ非常に少いという状況でございます。従いまして、今まで認可いたしました、過去にありましたものを大体復活するような場合におきましては、よほど経済事情の変遷が著しい場合におきましては考慮いたさなければなりませんが、それ以外におきましては大体これを認可して参つたような次第でございます。そういたしますと、今度新らしい地帯に認可申請が出て参ります場合には、過去におけるそういう例と睨み合せましてこれを決定して参るというのが実際問題として適当ではないかということで、特別な免許基準は設けておらないのでございます。で、新らしい品目について然らばそういう何ができるかということにつきましては、やはり過去の経験を睨み合せましてその問題を、殊に今申上げたような取引が、不当取引になる虞れがないかどうか、或いは扱う商品がいわゆる銘柄取引等におきまして一定の規格がきめられるような性格のものであるかどうかというふうなことを考慮いたしまして、自主的な取引ができるような場合におきましては、これは認可するというふうな態度でこれを扱つて参つておる次第でございます。
  77. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 業務規程の変更のことなんですが、第二十条の二の第一項の、政令で定める事項というのはどういうものを考えておられるか。それから次には会員の資産でありますが、これが政令で定められることになつておりますけれども、どの程度に定められるか。それから会員の信認金に関連いたしまして、特別法によつて法人の発行する債券という規定がありますが、これはどういうものを認めるおつもりか。なおそのあとのほうの、政令で定める有価証券というのはどの範囲。それからなお同条第四項の政令で定める算出価格というのは、どういう行き方をせられるのか、これらについて伺いたい。
  78. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 第一点の業務規程の中で、政令に指定する事項でございますが、いろいろあるわけでございますが、差当つては売買取引の種類の変更、例えば銘柄取引か、清算取引であるか、或いは格付清算取引であるかというふうな点。第二は売買取引期限の変更、例えば六カ月先のものまで売買ができるというのが普通になつておりますが、これを三カ月に短縮する、或いは五カ月に変更するというふうな場合の規定。それから受渡場所を変更する、設置する地域を変更する。大体取引所の設けられてありまする市町村の区域を原則といたしておりますが、これを更に拡大する、或いは縮小するというふうな場合におきましては、これを認可事項にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  次に資産の限度でございますが、商品取引所法の施行令、政令の第三条におきまして、現在例えば綿糸につきましては百万円、人絹につきましては八十五万円というふうに規定いたしておる次第でございます。それから有価証券の問題、政令で指定しようというものにつきましては、現在は株式取引所に上場されておる社債券ということになつておりますのを上場会社の、それは勿論結構でありますが、更に上場されておる会社の、株式会社の発行する社債券、それから銀行法に基きまして設立された銀行の発行しておる株券、それから日本銀行法というふうな特別の法律によつて設立された法人の発行いたしておりまする出資証券、この三つを政令で指定するという予定になつております。御承知通り銀行法に基く銀行の株式は現在では相当なものは上場されておりますけれども、地方銀行等におきましてはまだ上場されておらないというものもございますが、併し大体確実安全な株券でありますので、これらを指定して、而もその地方におきまして相当流通性のあるものでもありますのでこれを指定したいというふうに考えておる次第でございます。  評価につきましては同じく政令、商品取引所施行令の第四条におきまして、社債券又は株券については時価の七割以下というふうに規定いたしております。従いまして大体今指定した上場されておる株式会社は勿論のこと、今政令で指定するようなものも大体適正な評価が行われておるというふうに考えられますので、それを基準にいたしましてその七掛ということをベースにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  もう一つは何ですか。
  79. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 三十八条四項の政令で定める算出価格。
  80. 記内角一

    政府委員(記内角一君) それは今申上げた七割。
  81. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうですか。それから金融債を認める理由は。
  82. 記内角一

    政府委員(記内角一君) この金融債はいわゆる経済的には金融債でございまするが、社債になつておりますのでこれは認めることになつております。今度特別の法律により法人の発行する債券ということで金融債を指定するということになつております。
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質問ございませんか。それでは本案に対しまする質疑は本日は一応この程度にいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  84. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは質疑はこれくいにして、それからちよつと皆様にお諮り申上げまするが、実は只今厚生委員会清掃法案が提案をされております。これはいわゆる都市町村等に対する清掃を中心といたした法律案でございます。これは、この法律案ができまするときに、厚生省と通産省とがいろいろ協議をいたしまして、当初この法案に罰則をつけることに原案はなつてつたのでございまするが、通産省側企業の立場からいたしまして、罰則がつくならばいわゆるこれに対する異議の申立をいたし得るいわゆる救済規定をつけるように主張をいたしておつたのであります。ところがこれが法制局におきまして仲裁されまして、両方とも罰則も救済規定もつけないで、原案となりまして衆議院に提出されました。衆議院におきまして修正をされまして罰則規定だけが実はついて参つたのであります。只今参議院の厚生委員会で以て審議をいたしておりまするが、このままで通しまする際には各企業者といたしましては何ら異議の申立もいたし得ず、罰則に牴触する三万円以下の罰金を科されることになつておりますので、これをやはり罰則がついたならば救済規定をも一つつけてもらうように修正をすることが産業の立場から言つても好ましいことであるというようなことが考えられるのでございまして、この点につきまして厚生委員会のほうに皆様方の御承認を得られまするならば申入をいたしたいと考えております。従いまして一応この法案の極めて概略、それから経緯等につきまして担当しておられるところの企業局長説明を先ず聴取をいたします。
  85. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 只今委員長からお話のありました清掃法案は本国会に政府提案といたしまして提案いたされまして、衆議院の厚生委員会に付議一部修正の上可決になつております。その内容を申上げますと法律の目的は「汚物を衛生的に処理し、生活環境を清潔にすることにより、公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」ということになつておりまして、そのために市町村は常に清掃思想の普及を図り、又清掃事業を能率的に運営し、施設の整備、職員の資質の向上を図らなければならん。都道府県は市町村に対して今言つたようなことで技術的な援助をしなければならないし、又国は市町村及び都道府県に対して必要な技術的援助、財政的援助をしなければならんというふうになつております。この目的で、この内容で汚物と申しますのは、ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿及び犬、ねこ、ねずみ等の死体、こういうものの清掃をするということになるのが本来の目的であります。この中で特別清掃地域というのがございまして、これが特別区、例えば東京都の何何区というふうな特別区、及び市の区域を大体原則として指定いたしてあります。ただ季節的には、例えば季節的な観光地、キャンプ場、スキー場、海水浴場等の季節的に多数の人間が集まる場合には季節的清掃地域としてこれの清掃をやらなければならんということになつております。この場合におきましては、例えばこういう地帯においては、ふん尿等を肥料に使用する場合にもいろいろな制限が設けられておる、又汚物を捨てたり、流したりというふうなこともできるだけ一定の方式以外にやつてはならないというふうな制限が設けられておるわけであります。問題になりました点は第七条におきまして特殊の汚物の処理といたしまして、原案におきましては「市町村長は、特別清掃地域内の工場、事業場等で清掃作業を困難にし、又は清掃施設を損うおそれがある汚物を生ずるものの経営者に対し、当該汚物について必要な処理を施し、又は衛生的な方法で当該汚物を市町村長の指定する場所に運搬し、若しくは処分すべきことを命ずることができる。」これに従わなかつた場合にという規定がございます。即ち市町村長は工場、事業場等で例えばごみ、燃えがら、例えば石炭がらというふうなもの、汚でいというふうなものを出して、そのために清掃事業が困難になり、或いは清掃施設を損うというおそれのある場合には、これを必要な処理をし、或いは外へ運搬して、或いは処分するということを命令することができるというふうになつておつたわけでございます。で最初原案の際におきまして、原案の原案でございますが、法制局で審議する以前におきましては、この命令に違反した場合には罰則を適用し、ということになつておりましたが、我々といたしましては、先ほど委員長からお話のありましたように、いきなり罰則をつけるのは面白くない、従つて罰則をやめてもらうが。これは規定は置いて当該市町村長がいろいろ処分命令をすることはできまするから、これをよくやらなつた場合にはいわゆる行政代執行で以てこれを強制することもできまするので、罰則の適用は要らないじやないか、若し罰則の適用をする場合におきましては、異議の申立をする余地を残してもらいたいというふうな申入をいたしまして、その結果、内閣法制局におきましては、これを罰則の適用をやめまして、従つて異議の申立の規定を削除する、あとは代執行で命令して命令に従わなかつた場合には市町村長が代執行して自分で措置する、行政代執行の場合におきましては、関係の者はこれに対して異議の申立をすることができるということになつておりますので、全体として平仄が合つて参るということで原案から罰則も排除いたしまするし、同時に今申上げた救済規定を、これを削除するということで政府原案がまとまりまして、提案になつた次第であります。その後衆議院の委員会におきまして、厚生委員会におきましていろいろ慎重に小委員会まで設けて御審議になりました結果、今申上げた規定は第七条が、表題が「特殊の汚物の処理」とありましたのを「多量の汚物の処理」というふうに改正し、更に本条文自体を「市町村長は、厚生省令の定めるところにより、特別清掃地域において業務上その他の事由により多量の汚物を生ずる土地又は建物の占有者に対し、衛生的な方法で当該汚物を市町村長の指定する場所に運搬し、又は処分すべきことを命ずることができる。」、政府原案におきましては、「特別清掃地域内の工場、事業場等で、」というふうになつておりまするが、衆議院で修正になりました場合には、これを一般的にいたしまして、「業務上その他の事由により多量の汚物を生ずる土地又は建物の占有者」というふうに規定いたされた修正に相成つておりますが、内容におきましては、大体似たようなものであろうかと思うのでありますが、ただそれに対しまして、いきなり第七条に命令に違反した者は三万円以上の罰金に処するという規定が挿入されまして、従いまして、最初我々が厚生省或いは法制局と一緒になつて検討いたしました結果、若し罰則を置くならば、救済規定が必要じやないかということに対しまして、救済規定なしのいきなり罰則ということになりましたので、まあ大部分は解決することと存じますが、若し何かその辺にいろいろな事情の生じます場合には、救済する余地もないことになるわけであります。従いまして法律の体系から申しましても、この辺に何らかの規定を、更に救済規定を挿入することが必要じやなかろうかというふうな気もいたす次第でございます。以上簡単でございまするが、御説明申上げます。
  86. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今説明になりました通りでございまするが、これは一応厚生委員会のほうに当委員会の意向として今のようなことを申入れたほうがよいように思うのでございますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ございませんですか。それでは大体趣旨といたしましてこういつた意味のことを申したらどうかと思うのでございますが、法案趣旨には賛成するけれども、罰則を入れるならば関係者に異議の申立を許すよう修正するのが適当であるというような意味で以て然るべく文案は練りまして、委員長から厚生委員長に申入をいたしたいと存じますが、その文案等につきましては今の趣旨従つて一つ委員長にお任せ願えませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように取計らうことに決定いたしました。   —————————————
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは米国の可燃性織物の禁止法につきまして調査をいたします。米国の可燃性織物の禁止政策に関する問題でございまするが、この法律が米国におきまして、来る七月一日から施行されることと相成つたのであります。そしてこれが施行されると、我が国から成る種の織物は輸出が不可能になる慮れがございます。現在輸出振興について努力をいたしておりまする我が国といたしましては、たとえ少額のものでも今までの販路がとざされますことは、誠に遺憾に堪えないことでございます。本問題に関する経緯並びに対策につきましては、政府においても十分に検討を加えておられると存じまするが、本日はこれに対して石原委員より質疑の申出がございますので、先ず石原委員の御発言をお願いいたします。
  90. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 最初に外務当局からどなたが見えておりますか、政務次官か経済局長をお願いいたしたいと思います。
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) 外務政務次官は先ほど来たのでございまするが、衆議院の委員会のほうに呼ばれておりまして、もう十五分くらいしたらこちらへ参るそうでございます。只今外務省からは同時に西山経済局長を帯同して小瀧政務次官が参ると存じます。じや、どうしますか、待ちますか、外務省から参りますまで一応通産省から話を聞きますか。
  92. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは通産省というよりもむしろ外務省のほうへ質すべきことのほうが却つて多いかと思うのでありまして、次官でも局長でも誰でもいいと思いますが、誰もいなくて質問を始めて行つてもどうかと思いますので、十分や十五分くらいなら待つても……。
  93. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  95. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今委員長からお話のありましたように、米国政府は去年の六月三十日付を以ちまして、災害予防の目的のために可燃性織物禁止法というものを制定いたしました。而も一カ年間の猶予期間を以ていよいよこの七月一日から実施されようとしておるのであります。聞くところによりまするというと、更に詳細な施行細則を極く近く作るという話まで今なつておるのであります。ところが一方この問題を承知しましたのは、福島県にもこれに関する業界が相当あるのでありまするが、去る一月の下旬に初めてこの海外情報としてアメリカにこういう可燃性織物輸入禁止法が昨年できたのだということを知つて、これは影響するところが非常に大きいというわけで、愕然としていろいろその方策を考え出したという状態なんでありまするが、一体政府はこのアメリカの可燃性織物輸入禁止法というものができたということをいつ知つたのであるかということを外務当局と通産当局両方から先ず伺いたいと思います。
  96. 中川以良

    委員長中川以良君) 石原委員にちよつと申上げますが、今の御質問にお答えする前に、政府側としては、まだ皆さんが御承知ないかたもあるかと存じまするので、概要を、つまり従来の経緯と申しますか、アメリカでできたその概要について一応御説明を申上げてから御答弁を申上げたいと言つておりまするが、よろしうございますか。
  97. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 特に今のを説明せられるときに、何故にこのような法律を出さなければならなくなつたかという実例を引用して説明してもらいたいと思います。
  98. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今委員長並びに石原委員からも御指摘がありましたように、この問題は我が国の輸出産業にとりまして誠に重大なる問題の一つであろうと思うのであります。それでここに概略の経緯につきまして最初に御説明を申上げたいと存じます。  いわゆる米国におきまする可燃性織物法と申しますのは、昨年の六月三十日、丁度アメリカの第八十三議会におきまして成立いたした法律第八十八号のことを申しておるのでありまして、一定の可燃性織物及び衣料の米国内における製造販売又は米国内への輸入を含む一切の取引を禁止するということを目的といたしておるのであります。この禁止に該当する一定の可燃性織物とはどういうものをいうかと言えば、具体的に申上げますると、幅二インチ、長さ六インチ大の生地につきまして引火テストを行なつてその大きさのものを四秒未満の速度で全部焔が伝播し尽すような場合、かような生地を以て作られた衣料及び衣料用織物はこれが禁止の対象品目となるわけであります。但し除外例がありまして、一定の帽子でありますとか、或いは手袋、靴下、糸、芯地などは衣料でないという理由によりまして除外されておるのであります。これが問題になつておりまする可燃性織物法の概略でございますが、この結果、我が国の輸出にどういうような影響を及ぼすかという問題について簡単に概略を申上げますと、若しこれが七月一日より伝えられるように施行されるといたしまするならば、我が国の対米輸出に及ぼす影響は誠に大きいのであります。特に薄手の絹織物及び絹スカーフ、ハンカチーフの類は相当大きい打撃を受けることとなるのであります。具体的な品目について非公式なテストの結果によりますると、対米絹織物輸出総額の約五〇%余り、金額にいたしまして三百四十万ドル余り、それからスカーフ、ハンカチーフ類の対米輸出総額の約六〇%、五百万ドル程度が禁止の対象となる危険性があるのであります。殊にこの禁止品目に該当しそうな軽目物のみの生産に当つておられまする福島県川俣地方の業界にとりましては殆んどその生産品は対米輸出向けであり、又これを簡単に他の市場に転換するということも容易ではないと考えられまするので、その意味から申しましても相当な大きい打撃を受けられることであろうと憂慮いたしておるのであります。この他スカーフ、ハンカチーフ用の加工業者或いは輸出業者もこれに伴いまして相当な損失を受けられることと考えるわけであります。そこでこれが対策といたしましては、今一応我々が考えておりますることは、先ず第一には今申上げましたスカーフ、ハンカチーフの類はいわゆる衣料ではないという建前からその全面的な適用除外を主張してこれを収入れてもらうように外交的な交渉を続けるということ。  第二には各種の衣料及び織物につきまして所定の公式的なテストを行いまして該当する範囲をはつきりと明確にするために努力をいたすということ。  第三には軽目織物等につきましてはあらゆる角度からこれに不燃性の加工をいたすような技術的な研究を早急に行いまして、引続いて市場の確保に努力をするという問題であります。  第四といたしましては既契約分のものにつきまして、織布業者、加工業者或いは輸出業者が損害を受けてないようにできるだけ保険等の面においても何とか補償の手段が講ぜられないかということを目下検討いたしている次第であります。  第五番目といたしましては本法律の施行細則がやがて発表されるものと予想されまするので、これに伴つてあらゆる面で我がほうに有利になるように外務省とも連絡いたしまして米国側の好意ある措置を求めたいという、そのために努力をいたすつもりでおります。  極めて概略でありましたけれども、本法の内容並びに影響、更にこれが対策について概略を御説明申上げた次第であります。
  99. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどお尋ねの点につきまして通産省並びに外務省の情報を総合いたしましてお答え申上げたいと思います。  第一にこの法律の立法動機は何であるかというお尋ねでございますが、これは最近の、主として化学繊維の発達に伴いまして、御承知のようにスフ、人絹というものは非常に燃えやすい性質を持つておりますので、この化学繊維との関連において可燃性織物の危険防止をする必要があるのじやないかという意見がこれは以前からあつたようでございます。で、直接のきつかけといたしましては、やはりこの化学繊維で作りましたセーター、それからパンツに火が燃え移りましてそれで火傷したという事例が一、二あつたということがきつかけになりまして、この法律が制定されるに至つたというように承知いたしております。それで昨年の六月当時と申しますと、御承知のように絹スカーフの関税引上げの問題について我がほうと交渉の当時でございまして、御承知のようにこれは結果としては我がほうの希望が容れられたわけでございますが、その間におきましてもアメリカ側からこの可燃性織物法の問題について全然何らの話もなかつた。で、先ほど申しましたように発端が化繊織物から起つたために絹には及ばないのじやないかというような、日米両国の業者間でそういうふうな判断をしておつたのじやないかと考えます。それから御承知のように昨年の九月にミラノで国際絹業大会がございましたが、この際にもアメリカを含む各国の業者が多数参集しておつたのでありますが、その際にも全然話は出なかつた。まあいずれにいたしましてもアメリカには日本の商社も大勢おり、又先方の輸入業者等も勿論あるわけでございまして、最近まで全然我々としても情報を入手し得なかつたということは甚だ遺憾でございますが、経過は大体そういうことで絹に影響するということを業者においても余り予想しなかつたのじやないかというように考えるわけでございます。その点補足して御説明申上げます。
  100. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 只今この法律の内容その他についていろいろお話がありまして、対策についてもお話があつたのでありまするが、だんだんこれからそのほうについても伺つて行きたいのでありまするが、先ずその出発点として私先ほどいつ頃政府としてこれを知つたかということについてお尋ねしたわけでありまするが、はつきりしたお答えを得られなかつた。今繊維局長が言われましたように昨年の九月ミラノで絹業大会もあつたのでありまして、この問題が事前にわかつておればこういうところででも相当論議もあり、日本側の希望もそこで表明できたと思うのであります。又この前の国会のときでありましたか、軽目物の輸出価格の問題について我々も請願も出しておりまして、この委員会で相当あの問題について論議があつたのであります。こういう問題がわかつておれば更にそこでもつと掘下げて真剣な検討も私はできたと思うのでありまするが、一体こういう日本での輸出の大宗である絹織物関係、而も数百万ドル、一千万ドルに近いような大きな影響、又これに関連して非常な加工業者、輸出業者、広汎な影響を受けるこういう重要な法律であるんでありまするから、こういうものについて外務当局なり或いは通産当局、向うの業者等からのいろいろな知らせでそういうことをキヤツチするのでありまするか、それともこういう重大法律等について何か特別の入手機関を持つておるのかどうか、外務省には在外公館もあり、通産省からもそれぞれ出先機関が出ておられるんでありますが、そういう点についてもう少しちよつと説明してもらいたい。そういう機構から……。(「MSAに熱心になり過ぎてつい忘れてしまつたんだ」と呼ぶ者あり)
  101. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) お話のごとくアメリカには在外公館もございます、通産省からも人間が出ております、更に輸出商社も恐らくニユーヨーク、ワシントン合せますと百社近く行つておるんでありますから、全くどういうわけでこういう情報が入らなかつたかということは誠に遺憾に存じますと同時に奇異の感を持つております。(「随分怠慢だね」と呼ぶ者あり)一つはアメリカの国会におきましてもこの法律がパブリツク・セーフテイ、厚生関係と申しますか、そういうふうなところで審議されておつたような関係もあつて、その辺の連絡も十分ではなかつたのではなかろうかというふうなことも想像されるんでございますが、やはり絹ということは最初から関係業者も関心を持つていなかつた。現在は向うの輸入商社並びに関係業者も非常に反対をしておるようでございますが、向うの業者自身が最近に至つて漸く気がついたというような状況なのでございまして、実情はそういうことになつておるわけです。
  102. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先般この関係業者がこちらのアメリカの大使館へもいろいろ陳情に行つたんでありまするが、先方の商務官は一年前にも出て、一年間の猶予を以て施行しようとしているこういう法律について今頃騒ぎ立てるのは一体どういうことかというような向うの商務官が言つておるような事態なんであります。それまでの経過をここで幾ら論議しても仕方がありませんからなんでありますが、こういう禁止法の存在を知つてから通産当局及び外務当局は如何なるこれに対応して措置をとつておられるか、とられつつあるかという先ほど政務次官から大体のあとの対策その他についてはありましたけれども、在外公館を通じてなり、或いはこちらの大使館へとか、どういう動きをされておるか、その概略をお話を願。
  103. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど政務次官から申上げましたように、まだ公式のテストの方法も極めて最近に入手いたしまして、只今国立の横浜の繊維工業試験所でテストを開始しておる状況でございます。で先ほど政務次官から申上げましたのは一応非公式にテストを実施いたしました結果一応五匁以下のものが危険性があるんではなかろうかという前提で申上げますと、先ほどのような数字になるわけでございます。ただこのうちスカーフ並びにハンカチーフ類で輸出額の約六〇%、五百万ドル程度が危険であるということを申しております。ハンカチーフにつきましては先週の土曜日にアメリカ大使から外務省のほうに入つた情勢によりますと、従来の慣例等からして十八インチ平方以下のものはいわゆるハンカチーフであつて衣料に該当しないという解釈を以て適用除外をすることは相当有望であるという情報が来ております。仮にこれが認められるということになりますと、大体スカーフ、ハンカチーフ類の約半分はこれで救済される、ただスカーフにつきましても先ほど申上げましたように帽子等に比較してむしろ取外しがしやすいという意味を以ちまして外務省を通じまして先方と折衝しておる次第でございます。従つて先ずできる限り施行細則の上で除外例を多く認めてもらうようにする交渉を先ず主眼としてやつておる次第でございます。  それから不燃加工の点につきましては不燃加工そのものはそう技術的にむずかしくない、こういうように聞いておるのでございますが、御承知のように軽目羽二重に対しいわゆる風相を害しないで、不燃加工をするという点に問題があるようでございまして、この点につきましては先ほど申上げました国立繊細工業試験所において研究を続けると同時に、化繊協会等の技術員の協力を得まして、至急に研究を進めつつある状態でございます。なおこの点につきましては、アメリカにおいて法律に基く検査を実施する検査機関の一つである会社から、この不燃加工に関してアドバイスを提供したいという申入もございまして、これも至急にその受入方を進めたいと考えております。それから既契約の分につきましては、従来は聞くところによりますと、個々の業者が輸出信用保険に付保しておられるというように聞いておるのでありますが、そういう方法でございますと、こういう危険なものに対しては付保の手続が円滑に行かないというような関係もあるようでございまして、これは成るべく速かに組合員全体がまとまつて、いわゆる包括保険の形において保険されるのがいいだろうという関係当局の意見でございますので、そのことを川俣のかたには申しておるわけであります。なお絹織物につきましては、それは比較的どうしてもこれに該当するということになりました場合は、目付の重い物に転換することも可能であるかと存じます。又そのうちの一部は絶縁材料とか、装飾品とか、いわゆるこの法律の対象としております直接身につける物以外の用途もあるかと思いますので、やはり問題の一番の主眼はスカーフ、ハンカチーフ等の製品類であると思います。この点を特に重点を置きまして対策を講じて参りたいと、こう考えております。
  104. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこで私は先ほどどうしても外務省当局に来て頂いて、早く何しなければいかんと思いますことは、施行細則を今向うが作りつつあるわけであります。向うの日綿実業あたりからの情報によりますと、四月中に、これを極端に言えば四月初めから実施するようなことをやるのじやないかというような話すらあるのでありまして、それでこの問題に対してもいろいろ議論をする余地はあるわけでありまして、ハンカチは勿論のこと、マフラーのごとき場合、帽子や靴下、手袋類が適用除外を受けておるのでありますから、マフラーのごときはそれ以上すぐ首からはずれるわけでありますから、除外してもいいのではないかという議論も相当成立つわけであります。又絹は私から説明するまでもなく、引火性というものは極めて少いものでありまして、我がほうの事情を説明すれば、施行細則を作るに際しましても、相当まだ研究考慮してもらえる余地があるのではないかと思うのであります。そこで只今の繊維局長の御説明では、こつちで実験しているとか、どうとか、外務省を通じて何しているというお話も若干ありましたけれども、外務当局においてどれだけのことを強力に向うに申入れてくれるかということについて、私は一応ここで説明を聞き、更に皆様からも鞭撻して頂きまして、できるだけ影響の少いようにしなければなりません。繊維局長から今お話がございましたけれども、不燃加工という問題もありますけれども、不燃加工をすればあとの染色がきかないとか、よほど困難な問題があります。現実の問題として影響を受けるのは福島県の川俣町或いは石川、福井県にもあると思いますが、特に福島県の川俣町のごときは、全部が殆んどこれだといつてもいい状態で、非常な大きな問題であろうと思う。工場の数にしても二百三十工場、関係者が二万五千人くらいという数字になるのであります。この点外務次官が来ましてから、更に私はいろいろとお伺いしたいと思うのでありますが、なお差当つての問題といたしましては、輸出信用保険の話もありましたが、何か輸出信用保険を中止しているというような話も聞いて、これを解除して欲しい、中止の解除をして欲しいという要望があるやに聞いておるのでありますが、その間どういう事情でありますか、御承知ないでありましようか。
  105. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 輸出信用保険は御承知のように八割を政府が再保険しているわけでいまして、政府としては勿論これは止めておりません。ただ先ほど申しましたように、直接受付をいたします保険会社等で政府が再保険をしないのではないかというようなことを心配いたしましてれ若干円滑を欠いているというふうなことがあるようであります。それから川供方面の輸出契約につきましては、県の御斡旋等もありまして、地元の金融機関が輸出契約に対する金融をやつて頂いておるようでございますが、これらの金融機関がやはり将来のそういの危険を懸念いたしましてれ多少金融を渋るような頃向が見える危険性があるということを聞きましたので、先ほどこれは中小企業庁とも連絡をいたしまして、明日でも県の責任者においでを願いまして、現在こういうふうに交渉しておる関係もあり、急激にそういう不利な扱いを成るべくしないという措置をとりたい。いずれにいたしましても、金融、保険等の面におきましてれこの事態の推移と模様を見ながら、できる限り影響を少くするような措置をとりたいと、かように考えております。
  106. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 輸出信用保険の問題のところをもう一回……。政府が再保険しないというのでためらつていると言いますか
  107. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) つまり政府が再保険を止めるのではないかということを懸念いたしまして、直接の元受保険者たる保険会社等が受付を渋つているのではないか、そういうことではないかと思います。政府としては、再保険を止めるということは毛頭考えておりません。むしろこういう場合にこそ信用保険の必要があるという考えを持つております。
  108. 松平勇雄

    ○松平勇雄君 業者の話を聞きますと、繊維局長の名前で輸出保険法の第一条の六によつて六月以降の積出しのものに対しては輸出保険を一応受付ない、停止するというような通牒が行つているというようなお話を聞いておりますが、そういうような事実はないのですか。
  109. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) そういうことは全然ございませんし、又何らそういうことは考えておりません。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
  110. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 その輸入を川止されるものに該当するものを持つている国というのは、日本以外にも、ほかにもあるのですか。どうですか。
  111. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 数量は極く微々たるものであると思いますが、イタリー、フランス等がやはり羽二重等につきまして一部関連を持つのではなかろうか、その辺も外務省を通じまして実情を調べておるところでございます。
  112. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから先ほど米国内においても向うの業者というか、関係者あたりで、この問題について相当関心を持つての動きもあるという局長のお話でしたが、これはやはり絹関係については適用除外してもいいのじやないかといういろいろなそういう動きがあるという意味のお話ですか。
  113. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申上げましたほかに、実はこれについて政府当局に交渉するについて日本側と共同でやりたいという申入が来ておるようでございます。先ほどの不燃加工の方法についてアドバイスをするとか、今の共同防衛の態勢をとりたい、これは両方ともいずれも若干の対価を要求しておるわけでございますが、とにかくそういう動きがございますので、これは若し有効であればできるだけ利用したい。かように考えております。
  114. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そこで差当つての問題は何としてもハンカチは大体除外されるのじやないかというような見通しもあるようでありますが、マフラー、スカーフ、こういうものについて、何とかこれを引火性の少い帽子とか、靴下、手袋等に類似するようなものじやないかということで、適用除外を受ければ非常な仕合せなんでありますが、こういう点について日本政府としてどういう見解というか、見通しを持つておられるか伺いたい。
  115. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは先ほどお話のように、外務省で関係当局が集まりまして外務省経由で交渉して頂いておるわけでございますが、外務省からの話によりますと、先ほど御指摘のように取外しの容易な手袋、靴下、帽子等は除外されております。これらの除外例に比べてスカーフ、ハンカチ等は遥かに取外しも容易であつて危険も少い、本法の趣旨から言つて、先方においても考慮されるのではないかというように外務省はお考えになつておるようでございます。まだ結果は勿論得てございません。それに関連いたしまして、最近の情報は先ほど申上げましたように、土曜日に参りました情報によりますと、ハンカチーフの適用除外は有望の見込である、それからこれによる日本の対米輸出のこうむる影響の重大であることを、これを強調する意味において、織物並びにスカーフ等の総額、その中で本法の対象となると認められるのはどの程度であるかというような概数を至急に知らしてもらいたいという連絡がございまして、これは直ちにその手配をいたしておりまして、井口大使からの電信によりますと、二十二日本日頃連邦商業委員会宛に陳情書を出したいということでございます。
  116. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 如何なる理由があつたにせよ、こういう日本の輸出産業に非常な重大なる影響のある、こういう日本にとつて極めて重大立法でありますが、そういうことがあつたということを一年近くも承知しないでいて、而もその間には世界的の綿業会議等もありましてれ日本の主張なり、希望なりを申出で、各国の協力を得て共同研究できる機関があつたにかかわらず、こういう事態を空に過ごしておつたということは誠に遺憾でありまして、国家的にも非常な大きな影響でありまするが、このためにまずくすれば殆んど全滅をしなきやならんいう一産業地帯があるということは私はなかなか大きな問題であろうと思う。で、その後の政府のとつておられまする措置もこれはなかなか思うようには行かんかも知れませんが、どうも非常に活溌な動きのようにも私には見えないのでありまして、誠に残念でありますが、それは何とか政府においても力を入れて頂きましてその地方の住民のことを考えて見ればこれは私は大変な問題だと思います。直接の業者ばかりじやない、それに関連して立つている業体も又相当あるのでありますから、過去の過失を責めてもこれは仕方がないのでありますから、それを穴埋めする意味において一段の努力を傾倒してもらいたいということを通産当局に特に要望いたします。なお委員長、外務当局に一つ早く来て頂きまして外務省に私は要望をし鞭撻をしたい、かように考えております。
  117. 松平勇雄

    ○理事(松平勇雄君) 外務省の小瀧政務次官に対しては出席方を再三要請いたしておりますが、衆議院の内閣委員会において答弁中でこちらへ参りかねるそうでありますが、目下極力こつちへ来るように要請をしておりますから近く見えると思います。
  118. 藤田進

    ○藤田進君 本件につきましては非常に重大な問題でありますために、我が会派では海野三朗君委員をして会派代表として本会議において緊急質問をいたすべく所定の手続を実はとつたわけでございます。然るところ第二控室のほうの代表質問も同じ案件について本会議での緊急質問がありますことと、他会派の御要望もありまして、我が会派といたしましては第二控室の戸叶武君に明日の本会議における緊急質問ということですでに議運でももう決定いたしているのであります。従つてこの本会議において事態を糾明し、その後委員会等におきまして、十分その間のいきさつとか将来の対策について検討し、然るべき処置を政府にも要望いたしたいと考えているわけでございます。でありますからより細かい点についてはさような経過の後に速かに私どもといたしましても調査をいたしたいと思うのですが、取りあえずお伺いしておきたいことは、この問題についてどうも政府の内部における所管と言うか、これらの点が非常に不明確であるし、そのためにこういつた事前或いは事後速かな事態の把握ができ得なかつたという因果関係も持つているようでありますので、曾つて火力借款に関連して、外務省、大蔵省、更に通産当局という形で、大蔵省に責任があるかに見えて大蔵省を衝けば通産省という形で、片方を押せば片方出てしまうということでありましたが、全く同様な状態であるように思うので、この問題についてそれらの情報を速かに把握し、或いは今後においてもどういうことがあるか、測り知れないことです、他国の立法当局のおやりになることでありますから……。併しそれにしても一つの触手、アンテナを張つて、そしてこれに善処するべきその責任というか、所管というものが一体どこなんだろうか、いわば情報という、我々素人目で見れば外務省がやるべきだろうと思うのですが、この点を明らかにして頂きたいと思うのであります。それによつて私は最も適切な担当大臣にお伺いいたしたいと思います。これが第一の点。  第二の点ですが、この製造、販売、輸入と、非常に広汎な可燃性織物の禁止という立法がなされて、経過措置としての一年というものがある。これに対する立法の動機というものは、誰かがどうやらやけどをしたというようなことを先ほど言われたかと思います。これはしばしば日本でも、よちよち歩く程度の子供が全身に火がついて死んだというのが極く二月ぐらい前にもありましたが、私はさようなことではなかろうかと思うわけです。動機についてれむしろ製造、販売、輸入という広汎な、こういうようになつている以上、全アメリカの人類というものは何人種にかかわらず不燃性の織物を着るということになるわけでありますから、従つて、これは、そのような誰かが焼けて死んだというようなことではなくて、曾つて広島における原子爆弾の際に、私も広島でよく存じておりますが、可燃性、不燃性というか、非常にその被害の程度が違う。あたかも広島であつたか、黒い浴衣であれば黒いところは火がついて、白いところには火がつかなかつたというようなはつきりした状態が出て来たわけです。私はむしろそういつたような、いわゆる将来の、一年の経過措置があるので、今年の七月だそうですが、少くともそういう原子戦争というような、やはりこれは防空壕といわず、挙げて原子防衛ということに集中されているようですが、そういうふうに防備されているアメリカの近頃の国内の状態を見ても、私の推定ではやはりさような点にむしろ動機があるんじやないだろうか、なぜならば靴下、手袋はいいと、ズボンの下に靴下をはいているようなそういうような恰好では、これではなかなか脱ぎにくいですから焼けて死ぬというそういつたことになる。平時における状態であるならばいいが、これは靴下、手袋等も入れらるべきでしようが、やはりそうでなしに……、私は野外におけるそういつた光線ですね、というふうなことも考えるのですが、飽くまでもさような誰かの事故によつてということなのか、この間における、アメリカの議会における経過がおわかりになつておればお知らせ願いたいと思います。  それから第三の点ですが、聞くところによると、只今の繊維局長の答弁によると、向うの業者も日本と共同して、これが除外その他措置を講じたい。よつてこれが対価というか等について話がある。これはすでにこの問題が特にやかましくなつた二、三日前にかなり責任のあるかたからの言だということで、相当多額な金を日本に要求してアメリカの業者が来ている。それはアメリカの議会工作ですね、議会工作でございますが、日本で今問題になつているがごとき恐らくことなんでしようが、この立法について更に政令なり、或いは適用除外例というような特殊の扱いなりということで、工作資金として日本の業者等々を通じて要求して来ている。併し若干やはり出してでもという動きにある。これを飽くまでも只今の繊維局長の答弁によると、裏付があるような気もするわけで、私の希望といたしましては、やはりこういう大きな被害をこうむるわけで、既製品に対する措置はやはり除外例なり、そういつたものでないと、この不燃性にするということはむずかしいでありましようから、それは無論そういつた運動もしなければならんことはよく承知いたしておりますし、必要も認めます。認めますが、たださなきだに世界に対して日本の政界なり、或いは延いては業界なりが、必ずしも人気を博していないみぎり、下手にやれば私は却つて逆効果になるのではないだろうか、従つてその点は公正、明朗にやはり運動が展開されないと、日本と国情も違うのでありますから、この点を慮るのであります。従いましてその間の事情について、果してどういう業者からどういう業者に、どういう程度のものを要求して来ているか、只今通産当局というか、繊維局長から、その共同防衛という表現でしたが、これをやらなければならんと言われていたが、その中にどの程度のものを政府として、この何というか機密費というか、これはなかなか発表できいでしようが、それを見込まれつつあるのかというような点を、殊に使途を中心に御説明願いたいと思います。  最後に希望ですが、石原委員からも要望がありましたように、若し第一の答弁に関連してれこれは一切外務省でやるということであれば、外務大臣出席を特に委員長を通じて申入れて頂きたい。それは必ずしも本日実現できなければ、近い将来に、明日以後に、明日は本会議もございますから、緊急質問の後に、是非お願いしたいと思います。
  119. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ちよつと今のに関連しまして……。今藤田委員から質問せられたことに関連があると思うのです。私は最初にこういう法律が出るようになつた動機の事件、それの詳細の内容が知りたい。それを御説明願いたいということを言つたのですが、まあ今まで伺つたところでは、簡単にはわかりませんけれども、問題は化学繊維であるということをお聞きしている。要するにこの引火度の科学的に低い織物ということが、この動機になつている事件の関係の商品だというふうに思われるわけです。一面今度の法律は可燃性織物禁止法と、こういうのでありますが、可燃性織物ということになると、燃えない織物とは一体どんなものであるかということになれば、グラス・フアイバーとかロツクウールとか極めて特殊なもので、どんな織物でも燃えることは燃えるわけであります。そういう点において今度の法律というものが一体どういう内容の法律なのか、殊に施行細則などというのはどういうものを狙つているのか、こういう点についての調査というものがすでにできているのかどうか、できておらなければ至急に今後やつてもらわなければならんのでありますけれども、その調査の狙いというものが、今のようにこの化学繊維と軽目の絹織物との区別ができるというそこに重点を置いた調査でなければならんと思うので、そういう点について今までにわかつているところを、もつと具体的に伺いたいと思うのですが、これは通産当局のほうでわかつておればいいのです、わかつておらなければ、外務省のほうにおいてそれがおわかりになつているかどうか、そういう点を伺いたいと思う。
  120. 古池信三

    政府委員(古池信三君) それじや最初に私からお答えを申上げたいと思いますが、先ず第一に藤田さんのお尋ねで、かような重大なる事項についての情報をキヤツチすることが非常に遅かつたではないかというお尋ねでありますが、これは誠に私どももその通りに存じます。情報の入手につきまして、非常に遅れたということは誠に我々も遺憾に存ずるのでありまして、これにはいろいろ理由もございましようけれどもやはり何と申しましても戦争中或いは戦後を通じまして、長らく通商関係のブランクの状態がありまして、そのために政府の機関におきましても、或いは又民間の方面におきましてもその間相当事情に精通するということにおいて不完全な点があつたんではないかと思うのであります。戦前におきましては御承知のように三井、三菱というような大きな商社を初め多数の商社が向うに出ておりまして而も極めて優秀なる社員が活動されておつたんでありまするから、かような法律が通過したとなれば直ちにこれはたとえ在外公館のほうで入手し得ないような情報にしましても、民間においてでも入手をしてこちらにそれを送るというようなことが極めて機敏にできたであろうと考えられるのでありまするけれども、十数年の間のブランクというものがやはりかような結果をもたらした一つの大きな原因ではなかろうかと思うのであります。又只今外務省の公館が主になつてかような仕事をいたされておるのでありまして、通産省からも職員が若干行つておりまするが、何としましても人の数も少く、これらの点において甚だ不十分であつたということを返えす返えす遺憾に考えます。  なお権限のことについてお話がございましたが、この点につきましては何ら権限争いとか、そういうようなことはございません。飽くまでこれは公式的に申せば外務省の在外公館によつておやりになることで我々は経済関係の事項として人も出し、その他あらゆる面において御協力いたしておる、こういう状態であろうと思います。  それから第二にお尋ねになりましたかような法律ができたのは一般の災害防止というような意味でなく、もつと大きな例えば原子力による災害を防止しようというような意味が含まれておるんではないかというお尋ねでありますが、私ども承知しておる範囲におきましてはそういうようなことは存知しておらないのであります。それ以上アメリカの立法の理由につきまして詳しいことは存じませんけれども只今まで我々が知つておる限りにおいてはさような点までこの法律によつて防止しようというような意図はなかろうと考えております。  それから第三番目にこの問題におきまして我が国のこうむつた影響というものは極めて甚大でございますが、又アメリカにおきましても従来この種の品物を扱つておつた輸入業者、これらの影響というものも少からざるものがあると想像されるのであります。従つて先ほど繊維局長からも御説明申上げましたように、向うの輸入業者とも共同いたしまして、既存の利益を擁護する立場から活動をしようという話はございます。これに若し我がほうとして協力費用を出すとすればそれは純粋に法律的な弁護士を雇う費用、こういうものに限られるべきであろうと存じております。未だ非常に詳細なることは私も存知しておりません。その程度しかお答えは現在できないのであります。  それから豊田さんからお尋ねのございましたこの法律の制定の動機等につきましては先ほど繊維局長からも申上げたのでありまするが、極めて詳細なる内容はまだ私ども存じておりませんが、可燃性織物としてこの法律において考えられておりまするのは、米国の商業規格百九十一の五十三号というのに規定されておりまする第三級の可燃性に該当する物並びにプラスチツクなどの可燃性につきましては昨年五月二十二日に作られた同じく米国商業規格第百五十二の五十三号十一項に定められておる程度以上のものを指す、かようになつております。併しこれを具体的にわかりやすく申せば、幅二インチ、長さ六インチ大の切れについて公式の引火テストを行なつて、それが四秒未満に焔となつて焼けてしまう、これが一つの標準になつているように承知しております。
  121. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今の引火度等については福島の軽目羽二重について科学的調査をされて向うの法律の要請しているところとの比較研究はもうすでに終了したのですか。
  122. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 引火度のテストの公式なやり方というものがまだつまびらかにされておらんのでありますが、それで一応非公式に福島県の製品の五匁以下の軽目のものについて大体該当する懸念があるのではないかというので考えますと、その影響の結果は先ほど申上げましたような次第であります。
  123. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 外務政務次官が見えましたので、大体のことは先ほど申上げましたので、要点だけ伺つておきたいと思うのであります。又藤田委員からもまあ関連の質問がありました。  第一は私は今回の米国の可燃性織物禁止法、一年間の猶予期間を以て昨年六月三十日に出しておつたのに、二月頃になつて業界からの情報でまあこういう法律があるということを知つて騒ぎ出したわけであります。外務省やどこへ行つてもまだ翻訳ができておらんとか何とかいうことでいろいろトラブルもあつたようでありますが、一体政府当局はいつ頃こういうものが出たということを知られたのかどうか。それから日本のこういう輸出産業に非常な影響があるこんな重大な法律でありますが、一体こういうものの情報入手についての機構というようなことはどういうふうになつているか。これが極めて不完全なものであればもう少し充実するようにやはり我々としても今後努力して行かなければならないと思うのですが、最初にその二点をお伺いいたします。
  124. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ほど通産次官からお話がありましたようにいろいろな取計らいが非常に遅れたということは遺憾に存じます。情報を得ましたのは今御指摘のように当外務省としては二月頃であります。それは一体なぜこうなつたかと申しますると、私今ここで言訳をしようという趣旨ではございませんけれども、元来「まぐろ」の問題が起りましても、この絹製品の関税問題が起りましても普通の場合は向うの輸入業者が騒ぐ、又貿易業者が騒ぐというようなことがありますので、実はもう大使館のほうで多少手遅れいたしましてもそれに刺激されて情報を収集するという場合が率直に申しまして多いわけであります。この問題は一九四五年以来いろいろ論議されて、一度はナシヨナル・コツトン・カウンスルのほうで反対してできなかつた。非常に長い期間をおいて漸くでき上つたものであり、而も一年後に施行されるというような関係であつて、或いは係りのほうで多少重要視することを怠つたという点があるかに私率直に認めるものであります。ただ併し機構といたしましては戦前は外務省は外交の一元化、殊に言葉の関係どもあるのでできるだけ外務省の者を置いてそういう情報収集の上手なのを使おうというような考えで来ましたけれども、いろいろ通商問題も複雑化して来るし、主任者は通産省から出た人がよかろう、まあ通産省でも比較的海外のことに関係の多い人を採用しようというので、現在あそこで通商関係を主にいたしておりまするのは元本省通商振興局長でありました井上参事官であります。その下に松村君というのもたしか通産省から来た男でありますし、ニユーヨークにも村田君というのがおりまして、これはみんな通産省出身の優秀なかたでありまして、その下に下働きというものは外務省のものもおりますけれども、そうかといつて私は大使の責任がないとは申しませんが、そういう専門のかたもおられるので、そうしたかたが主としてこうした方面の情報を入手し、又適当な業者にも連絡するという仕組になつておる。双方から出た者が協力一致してやるというやり方をいたしておるのであります。まあ開館早々でもありまするし、アメリカのほうは御承知のように日本以上にたくさんの法律が出て、附則が出たりしてなかなかちよつ見ても実は内容は専門家でないとわからないというのがこれは偽らざる現状であります。そこへ持つて来て言葉の関係やいろいろの関係で遅くなつたのは申訳ないと存じます。が併しこれまでの経過を考えて見ますると、昨年の丁度この法律が出ますときには、例のスカーフの関税引上問題が非常に騒がれまして、そのほうに全体の注意というものがとられて、いろいろ日本でも運動いたしました結果、六月の十日には大統領のほうでこの引上要請を却下するというような事情もあつて、その際は関税問題に主力を注ぎ過ぎたというようなことも理由であつたかと存じます。而もこういうように見逃したのはただ単に日本のみではなくして、イギリスとか或いはフランス、イタリーも本件には重大な関係があるにもかかわらず、漸く最近になつてこの問題に注意して事たという状態であり、昨年の九月ミラノで開かれました絹業大会におきましても何らこの問題は取上げられなかつた。これを見ましても怠つたのは日本だけではない、ただ日本は重大なる関係がありまするから、それで以て私は言い逃れをしようというわけではございませんが、そういうような事情もございまして、非常に遅くなりましたが、併しまだ施行細則も四月中旬にできるというような予定になつておりまするから、全然日にちがないわけでもないので、今在米の大使館並びに在京の米国大使館に折衝いたしまして、できるだけ円満に日本側の希望が達成できるように努力しておる次第であります。幸いにしてここのウエアリング参事官もこの重大性を認めまして、いろいろ国務省と電報の住復をしておるようでありまするが、この電報の往復を見せてもらいますというと、近く日本の大使館の係官と向うの商業委員会の代表者との会見を斡旋しようといろいろ努力をいたしておるのであります。まあこういうような事情でありまして、今通産次官からも申されましたように遺憾な点もございましたが、この際是非先方へ日本の実情をよく述べまして、法律的にはいろいろ取扱の困難な面もあるかとも思いまするが、日本の重要視するところの軽目の羽二重が、手袋であるとか、或いは帽子とか或いは靴下と同じように取扱われるように最善の努力をいたしたいと存じます。    〔海野三朗君「委員長駄目じやないか、さつきから発言を求めているんだ」と述ぶ〕
  125. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 外務次官の御説明によりまして大体経過はわかりました。過去のことを追及してもいたしかたないのでありまして、つまり今後の問題として、今施行細則が四月中旬頃と、こう言われたので、まだ若干の期間がありまするから、このマフラーとスカーフ、これは我々常識的に考えましてもこれと靴下と比較して、どちらがすぐ体から外せるかということは、これは誰でも常識的にわかり得る問題だと思う。それから絹関係のものは非常に引火性も少いというようなこともあるのでありまするから、これは一つ最善の努力をしてもらいまして先ほど通産当局にも申したのでありまするが、これが下手に解決するというと、一地方が殆んど全滅する、全部これに、川俣地方でありますが、全部軽目羽二重に依存しておる産業地帯、その業者ばかりでなく関連する範囲が非常に広いので、この点は過去を責めてもいたし方ないのでありまするから、その穴埋めの意味で今後外務当局として渾身の努力を払つて頂寺、スカーフやハンカチは、私は大体いいと思う。是非とも除外してもらうように最大の努力を払つて頂きたいということをお願いして終りたいと思います。
  126. 海野三朗

    ○海野三朗君 今まで石原委員も述べられましたが、山形県絹業も同様この軽羽二重には非常に密接な関係があります。つきましてはこの法案が去年の六月三十日に国会を通過したと、それが漸く今国会においてこれが問題になるということは、その責任の所在がどこにありますか。それを外務当局並びに通産当局にお伺いしたい。それから向うに行つておる商務官が何をしておるのであるか、こういうことを見なければならないのじやないか。私は池田君が向うに行つてMSAで物をもらうことばかり考えておるからこういうことになると思う。もらうことよりも売るほうのことを忘れておるからである。私は去年の六月三十日に向うの国を通過したというそのことを今日問題にしておるのは、一体その責任の所在がどこにあるのでありましようか。私は先ず外務次官にこれを伺いたい。
  127. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 情報が遅れましたことは誠に申訳ないということを先ほど申しておきましたが、これを非常に遺憾に思つております。ただ商務官の働く時間なり能力なりにも限度がありまするので、日本の輸出する品物が非常にたくさんある、殊にこの問題は化繊関係、化学繊維関係について起つた問題であつて日本は御承知のようにアメリカに対しては化学繊維、ビニールとかいうものを余り出しておりませんから、私は無理にこの商務官を弁護しようとするのじやありませんが、なかなかたくさんの法律は出るし、殊に化学繊維が元になつて非常なアメリカにおける論議の対象となりましたからして、日本は絹でありまするために商務官の能力も限りがあるし、結局はそういう関係で少し手遅れになつたわけだろうと存じまするので、先ほど石原委員からも御注意がありましたように、私どもは今にしても遅きに失することなくあらゆる努力をいたしまして、何とかこれを円満に解決するようにいたしたいと考えております。
  128. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど古池政務次官からのお話で、ここ十牧年のブランクがあつたんだというお話でありますが、アメリカにおける日本の通産なり外務省の人たちが何をしておつたか、私はこのことに対しても責任をとらなければならんのじやないか、徒らに外国に行つてドルを食んでおるじやないか、そうして今日になつてこういう問題を国会に持つて来るということは、その責任というものは実に重大であつて、これに対しては政府は如何なる措置をおとりになるつもりか、ただ甚だ遺憾であつたでは、それでは済まんじやないかと私は思うのですが、どうでしようか。こういうことを見なければいけない、日本の国は貧乏だから品物を売つてそうして立つて行かなければならない国なんである、我々の命の綱である、これを忘れ外国へ行つて何しているのであるか。私はその点については限りなき忿懣を覚えざるを得ないのであります。あなた方も同じく日本人でありますから、如何なる憤慨をされたのか。ただ申訳なかつた、それで済むと思うかどうか、その御決心のほどを私は承わりたいのです。外国におるその商務官たちのこういうことは、これは大失敗である。私はあえて失敗とこれを申上げる。それで今の政府当局は如何なるこれに対して責任をおとりになるつもりであるか、外国に商務官たちをたくさん置いて……、私はそれを承わりたい。
  129. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ほどから申しましたように、報告は遅れましたけれども、まだその後新らしい細則が出たわけでもございませんし、我々の責任はこれからできるだけ日本の立場をよく説明して、ここでわかつてもらつて、そうして日本の貿易に対しての打撃を最小限度にとめるように、成るべく新らしい障害がないように努めることが私どもの責任を尽すゆえんであろうと考えます。
  130. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はそこを言つているのじやありません。アメリカに行つている商務官の人たちにその責任を問わなければならないじやないかと害うんです。アメリカにおつて何をしているんだ。
  131. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この点は先ほど申しましたように、何といたしましても僅かな人数でやつておることであり、人の能力にも限りがありまするので、それが遅れたのは誠に遺憾であるけれども、さればといつて、先ほどから縷々申上げましたような事情の下において、人間でありまするから、やはり絹の問題が起れば絹の関税のことをやる。一方は化繊関係のものでありまするから後廻しにした、こういうのでありまして、勿論最終的な責任は当時の大使である新木大使であつたかと思いまするけれども、そういうような事情もあつたので、その点はそうした環境というものも考えて、思いやりのある見方をしてやらなければならないであろうと存ずるのであります。
  132. 海野三朗

    ○海野三朗君 今小瀧政務次官の言われましたことはよくわかりました。併しながらこれから先これらに類似したものはたくさん出て来ると思うのです。そのときに手が廻らなかつたというようなことを常に理由にしているようではいけないんじやないか、これは責任を問わなければならないんです。下の者がこういうことになつてしまつた場合にこれが問題になるというようなことは、私はやはり政府としてお灸をすえるところはすえなければならんと思います。私はそういうふうに考える。それから又可燃性の織物が禁じられたというのは、やけどをしたからそれでアメリカの国会が法律を以てこれを禁止したというならば、私は公海自由の原則によつて、あの水素爆弾によつて日本のあまたの漁夫が傷ついたではありませんか。これに対しては政府当局はどういうふうな御所見を持つておるか。これは各国に諮つて、こういうふうな危いものは日本の近海から、公海自由の原則から遠ざけてもらうことにしなければならないんじやありませんか。それが私は対等の礼であると考える。政府当局はどういうふうにお考えになつておりましようか。ただ猿股が焼けたとか、それで怪我をしたから、やけどをしたからこの品物は入れないというような勝手なことを言つている。あのビキニ環礁の水素爆弾で損害をこうむつた、これに対しては日本人がやけどをしているのであります。これに対してはどういうふうにお考えになつておりますか、それを私は伺いたい。
  133. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) ビキニ事件は非常に遺憾な出来事でありまして、アメリカにおいてもこの事実がはつきりしたらこれに対して賠償しようということを正式に声明しておるのであります。今いろいろと事実について調査中でありまするので、はつきりといたしましたら、そうした取計らいについてはまだ結論には達しておりませんけれども、一つの問題は去る三月一日に起つた事件を如何に解決するかという問題、これに対して賠償の問題もありましようし、いろいろ過去のことについて、警戒措置をどういうふうにしたらいいかというような問題、これを究明しなければならん、これを何とかして解決しなければならんということが一つと、今後こうした災害というものは絶対に発生しないように予防措置をとらなければならん。今後の措置について日本としても申入をしなければならん問題があると存じます。この二つの問題をできるだけ速かに解決すべくアメリカ側とも折衝いたしておりますので、遠からないうちに少くとも中間的な解決も得たいというので努力をしておる次第であります。
  134. 海野三朗

    ○海野三朗君 それであまたの日本人がやけどをした、これは何を教えておるかと申しますと、原子爆弾なり水素爆弾なりによつて実に恐るべき結果を我々はこうむらなければならない、そうしてみたならば、あの琉球における原子爆弾の基地を断るだけの決意がありますか。あそこに原子爆弾の基地を抱えておるのである。これは危険千万と申さなければならん。これに対して外務当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
  135. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) そういう事実は私ども全然存じません。又そういう原子爆弾の基地を日本に持つというような意向はアメリカにはないというふうに了解をいたしております。
  136. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は本法案に関しましては、先般来各位より縷々問題点について質疑されたので、今日の現段階においてそれに関連しておりまする業者の方々に対する考え方について御質問申上げたいと思います。福島県だけでも、これに関連する生産工場が二百三十工場と陳情書にも書いてあります。又これに関係する者は二万五千というふうなことに相成つておりまするが、今日の段階でいよいよこの製品が禁止され、販売できないというようなことになりまするならば、この法律が六月三十日或いは本年七月から実施されるというようなことについて、何者もこういうことになろうということを予期せずに、順調にやはり何とか政府の力によつて販売ができるものなりとして操業しておつたと思います。又製造もしてあると思います。そうすると又その人たちの製品量と申しますか、どのくらい国内にストツク品があるか、或いは海外に、アメリカの地に持つてつているものがどのくらいストツクされておるかということをお調べになつておりますか。
  137. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申上げましたように、まだ公式のテストを只今つておる途中でございますので、それによりまして該当数量も異なつて来るかと思いますが、大体川俣地区について申上げますと、年間の生産高が、昨年度におきましては全部で約三百万ダラーございます。そのうち数量におきましては、五匁以下のものが大半を占めております。金額について申上げますと、先ほど申上げましたように、対米輸出総額の約六〇%が一応対象になる。そのうちハンカチーフが除外されるといたしますと、これが大体半分近く占めております。その数量に対しましてどの程度の仕掛品があるかということはまだ只今資料を持つておりません。なお既契約等の処理につきましては先ほど申上げましたように、輸出信用保険の運用等によりましれでき得る限りこれを救いたい、かように考えております。
  138. 小松正雄

    ○小松正雄君 さつきの先輩の質問の中で、この輸出に対する委託といいますか、保険には入れてないというようなことを言われておつたのですが、若しそうであつてもこの際こういうふうなことになつて禁止されるということになれば、政府で委託した形で取戻そうというのですかどうですか。
  139. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 従来はいわゆる包括保険の形式をとつておりませんので、個々の業者が必要に応じて任意に輸出信用保険の申込をしておる、かような状態では非常に危険でありますので、これはでき得る限り速かに組合等全部包括保険の形をとつたらよかろうということを御指示しております。さよう御承知を願います。
  140. 小松正雄

    ○小松正雄君 それから国内で製品されておる製造の量といいますか、国内にどのくらいあるかお調べになつておりますか、現在。
  141. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 具体的の数字は持つておりませんが、これは御承知のように終戦後に非常に急速にこのアメリカからの需要がございまして、而も傾向といたしまして軽目のもののウエイトが非常に毎年多くなつて来た。例えて申しますと、川俣地区を例にとつて申しましても、毎年大体、昭和二十六年度におきましては四匁のものが過半を占めておりまして、これが中心になつてつたのでございますが、二十七年におきましては三匁並びにそれ以下のものが四匁の倍近くになつておるということでございます。かような傾向で来ておつたのでございますが、御承知のように昨年問題になりましたように、先方の一部悪質なバイヤーが値段を叩くというような形におきまして、無理なこの軽目のものを発注をして来る。その結果としていろいろ品質、価格上の問題も起りまして、昨年三匁未満のものは輸出承認はしないという措置をとつて参りましたので、現在におきましては三匁未満のものは、その前には一時二割以上になつたようなこともあるようでございますが、現在ではまあ一割程度になつておるのじやなかろうかと、かように考えております。それで従いましてまあ公式テストの結果にもよるわけでございますが、四匁程度が若干の不燃加工等によつて措置できるということになりますれば、これは大体以前の姿に戻るということによつて解決されるのじやなかろうか。併し五匁といことになりますと、これはそれ以上目付の重いものに転換できるかどうか、設備等の問題も起つて来るかと思います。これらの点は公式テストの結果並びに今後の不燃加工の研究並びにアメリカに対する適用除外等の措置と関連させまして、できるだけ被害を少くするようにいたしたいとかように考えております。
  142. 小松正雄

    ○小松正雄君 私のお尋ねしているのは、この法律が制定されて来るにつれて業者として困るであろう、こういうことを前提においてお尋ねしているわけです。ところが海外にあるものは、今局長の話では委託信用保険、これにおろしてでもどうとかしようとおつしやられるし、国内で、この法律が通るということになれば、これに丁度当てはまつて来る。要するに製造はしたが輸出はできないということに相成るという品物が、製品がどのくらいあるということを尋ねているのと、それから若しこれが相当数の量があるといたしまするならば、この売捌きに業者はもう困るのじやないか。これが第二点。  第三点は、困るということになれば、これに対して政府としてどういう処置をして、この業者を救おうとするのかということ。第四は、今局長から仰せになりましたのでお聞きしする必要はありませんが、被害を少くし、或いは元々通りに復活するように努力しようというのですから、その点はいいのですが、三つの問題を併せてお聞きしたいと思います。
  143. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 大体これは輸出業者等が向うの注文を受けまして、注文生産の形で行われているのが多いのであろうと思います。従いまして既契約の問題を、先ほど申しましたような信用保険によつて処理し、で将来の問題としては先ほども申しましたような措置によつて解決するといたしますれば、結局その間の若干の見込生産のものがどの程度であり、且つこれを国内でどの程度消化できるかという問題になつて来るかと思いますが、それらの点はなお今後の問題といたしまして、至急に検討の上処置いたしたいと思つております。
  144. 小松正雄

    ○小松正雄君 最後に今局長が申されましたように、今後の問題として早く取上げてということでありまするが、時間的にもう今日の段階になれば、相当業者としては心配もされており、ここに陳情も出ておるようなわけでありまするし、一日も早く、そういうふうになつた、どういうふうにするという心がまえをはつきり一日も早く業者に知らしめることをお願い申上げておきます。
  145. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 川俣ではさなきだに金融などにも困つておるかと思うのですが、こういう問題が起ると、まあ普通の場合は先行き不安で一層金融が詰つて来るということになると思うのでありますが、その点において川俣の実情とそして金融を中心として差当つての対策についてどういうふうに考えられますか。
  146. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどちよつと申上げましたように、お話のようにこういう将来のキヤンセルの問題とか、今後の発注の停止というようなことを懸念いたしまして、若干金融機関等にも、金融の円滑を欠いているのじやないかという情報も受けましたので、今日午前中に中小企業庁と打合せまして、至急に県の責任者においでを願いまして実情を十分に聞きまして我々としてはなお今後極力あらゆる方面において打開の方策を講ずる考えでございまするが、それらの情勢と睨み合せまして、少くとも不必要に金融が締まるとか、業界に御迷惑をかけることのないように処置いたしたいと考ております。
  147. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この際一つ希望しておきたいと思うのでありまするが、対外的な対策を至急にお立てになつて推進してもらうということ、これが先ず第一点ですが、只今申すように、この問題を中心にして不当に金融の引締りが来ないように、殊に地元金融機関などいろいろ情報に脅かされて必要以上に金融が締まるということが非常に懸念されますので、その点について只今すでに或る程度手は打たれているようでありますが、特に県当局等と緊密なる連繋をとられて差当り金融に非常に支障を来たし、それがために不祥事が起らんように特に御注意を願つておきたいと思うのであります。
  148. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今まで委員各位から御要望、或いは御意見を十分に伺わせて頂いたのであります。我々といたしましては勿論対外的の問題と同時に対内的にも只今お話にありましたように業者のかたぞれの打撃をできるだけ最小限度に食いとめるように金融の面、その他の措置について遺漏のないようにいたしたいと、関係方面ともそれぞれ協議をいたして、でき得る限り皆さんの御要望に副いたく考えております。どうぞ御了承願います。
  149. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 小瀧政務次官にお伺いしますが、可燃性織物禁止法に関する情報なり、資料、これは或る程度に外務省でお集めになつておりますか。例えば委員会の速記録、本会議の速記録、或いは提案の趣旨がどこにあつたかというようなことを知る資料と、そういうものがありますかどうか。それから又織物のみならず、その他の可燃性の物資の使用を禁止するような法律があるのかどうか。その点についてお伺いします。
  150. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 議会の速記録は手許にないそうでありますが、この法律とか、それに関連する資料、例えば今の商業規格に関する規定とか、或るいはテスターの規格に関するいろいろの資料とかいうようなものは現に外務省で持合せているそうであります。なお又これに関連いたしまして大使館で集めましたいろいろな情報というようなものも外務省に参つております。
  151. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 でるだけ詳細にこの内容なり、提案の動機なりいろんなものが知れるような資料を一つ委員の手許に御配付願いたいと思います。
  152. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 現に輸送中のものもあるようでありまするが、取揃えましてできるだけ配付いたしたい思います。
  153. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は先ほど強く申上げましたが、こういうことが再び起らたいように在外商務官に一つ指示を強く与えておいて頂きたい。直ちに報告をしてもらわなければいけない。半年もたつてから、もうビールの気が抜けてしまつてから飲むようなことじや駄目だと思うのです。こういうことが出たならばぱつとすぐ知らせるようにしてもらわなければいけないと思うのです。その点については在外商務官に強い一つ訓戒をお出しになつて頂きたい。こう思います。今後こういうことがないように、それをお願いしておきます。
  154. 松平勇雄

    ○理事(松平勇雄君) それでは本件調査に関しましては、本日はこの程度で打切りたいと思いますが、御異議ごいませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 松平勇雄

    ○理事(松平勇雄君) 御異議がないようですから本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十五分散会