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政府委員(岡田秀男君) 信用保険の
改正の
法律に関連いたしまして六点の御質問を頂いたのでありまするが、第一点といたしましては小口保険の限度が十万円であるのは少きに過ぎるので、例えば風水害の
関係であるとか、或いは国民金融公庫の甲種の貸出のほうが二十万円にな
つておるという、二つのものと比較しておかしいじやないかという御質問があ
つたのでございますが、確かに
一つの御見解と存ずるのでございます。ただまあ新らしく
制度を作りまして、小口分について信用保険を少し緩和した
条件でや
つて行こうということになりますと、一方におきましてはこの特別会計が独立採算でや
つて行かねばならんので、これに大きな危険を伴うかどうかという点が、
一つのものを
考える物差になるのでございます。一方におきまして現在の中小企業の月平均一件
あたりの貸付
金額、これを押えて見ますると、相互銀行が十五万円
程度、信用金庫もそれと大差ない
金額でございまするし、国民金融が公庫におきましてもやはり十五、六万円
程度であります。信用保証協会の一口当りの平均付保
金額は一口三十五万円くらいにな
つておる。これは全国の
資料はなかなか取りにくいのでございますが、東京の信用保証協会の保証件数の中で十万円未満のものを押えて見ますると、約四〇%
程度にな
つておるというふうな点を睨み合せまして、一方では新らしい
制度を作るのであ
つて、これがどの
程度行くものであるかということを一応見てみたい。そうして一方において中小企業の貸出の平均というものが大体十四、五万円
程度である、或いは東京の信用保証協会の保証件数の中で十万円未満のものが四〇%くらいあるんだというふうな点を押えて見まして、先ず十万円でスタートして見て、それによりまして行く行くは二十万円に持
つて行くということも
考え得る次第でございまして、私
どもといたしましては大蔵省といろいろ相談いたしましたのでございまするが、先ず差当り十万円で成績を見てみようじやないか、それによ
つてよければ二十万円に持
つて行くということを早急に次のステツプとして
考えて見ようじやないかということで、先ず差当り議論のみ多くした時機を失するよりも、いろいろのデータの点から一応十万円というものを入れるという
見通しをつけたのでありますから、先ず多少欲を申しますれば少な過ぎるという点はあるかも知れないけれ
ども、早く実施しようじやないかということで十万円にいたしたのであります。その辺の事情を御諒察願いたいのでございますが、二十万円にするのは反対ではないのです。この様子によりまして二十万円まで早く持
つて行きたいという希望を私
ども持
つております。
なお
資金源の用意の点でございますが、これは御
趣旨としては誠に御尤もでございまするが、特に
政府の手で、例えば相互銀行でございまするとか、或いは信用金庫であるとか、その他中小企業、商工中金でございますとかの
資金源を
政府で面倒を見るということになりまするというと、過去における事例から申しますと、いわゆる指定預金を
政府がやるということがあ
つた、或いは商工中金につきましては商工中金債について
資金運用部で或る一定のものを引受けてやる、この
程度しか用意がないわけでございます。そして一方におきましては本年度におきまして、財政の点で膨脹を避け、又一方において金融の引締めをや
つて行くという態勢から、一応この指定預金というものは引揚げるという態勢をきめたわけであります。併し三月一ぱいで引揚げるという急激なる変化を中小企業の
資金源に与えることは不適当であるという意味におきまして、一応九月までに分割して返還をしてもらうという手を現在きめたところでございます。さような意味におきまして、積極的にこの
資金源を国でどうこうするというところまでは今のところ手を打ちかねるのでございまするが、まあ私
どもといたしましては、だんだんデフレの様相にな
つて参りますれば、預金が或る
程度増加して来るというのが普通の
傾向のように、過去における例から見ますると、さようなことが見受けられるのでありまして、これらの金融機関の努力によりまして、
資金源の或る
程度の拡張ができますることを念願をいたしておる次第でございます。
保険料の点につきましては、これはもう信用保険
制度について何らかの話が始まりますれば常に問題となる点でございまして、現行の
融資の保険なり或いは金融機関を相手方といたしまするところの保証保険の保険料が年三分、それから指定法人を相手方といたしまするところの保証保険が年二分というこの保険料が今少しく下げ得られますならば、この
制度を利用する中小企業者も大いに喜ぶでありましようし、又その一部を負担しまする金融機関としてもこの
制度を一層利用しやすくなるであろうということにつきましても、全く異存はないのでございまするが、この保険料の問題につきましての根本の障害は、この中小企業信用保険特別会計を独立採算制でや
つて行く、つまり保険というものは性質上保険料と、それから保険金の支出というものが見合
つて行くべきものであるという建前、この根本原則を崩さんということにいたしまするならば、やはりこの保険料と保険金との差引きについての或るしつかりした統計
資料が出て参りまして、現行の保険料をどの
程度下げてもこの独立採算上差支えはないのだという確信を得ませんというと、どうも手をつけかねるわけであります。が併しこの指定法人、つまり信用保証協会に関しましてはともかくもこれが保証をいたします場合に、自分で保証すべきや否やの審査をいたしておるのであります。金融機関を相手方とする保険におきまして全然この特別会計が無審査で逆選択を完全に許しておる場合とは若干事情を異にいたしまするし、又信用保証協会におては保険料の転嫁ということが殆んどむずかしいという実情もございまするので、昨年の
法律改正によりまして指定法人、つまり信用保証協会に関するものについては、年一%を下げたのでございます。この小口保険におきまして、填補率を従来六〇%から八〇%に
引上げましたけれ
ども、保険料は二%に据置いておるのでございまして、この辺でまあ私
どもとしましては、或るべく保険料を下げて行きたいということの微意の一端を表わしたものというふうに御理解を願えれば幸いと存ずるのであります。
第四点といたしまして、手形の割引を信用保証協会を通じて、この保険
制度の中に織込んだのであれば、他の金融機関の
関係においても同様に認めたらいいんじやないかというような御見解であ
つたかと思うのでございます。これもものの
考え方でありまして、さようなことが保険技術上できんということではないと思いますけれ
ども、先ほど申しましたように金融機関と保険の特別会計とは、いわゆる無審査、逆選択が完全に認められておるのでございます。三十日とか、或いは六十日、九十日とかいう手形を保険に引取るという場合においてれこれを完全に逆選択の状態において、これを保険として見得るかどうか、又その件数がどの
程度保険にかか
つているかにもよると思いますけれ
ども、
相当の付保の或績が挙
つて来るものといたしますと、今の準備において、直ちにこれに応ずることは不可能じやないかというような
関係もございまして、差当り信用保証協会という
一つの関門を通
つて来る場合に限りましてれ手形の割引を認めるということにいたしたのでございます。信用保証協会をつまり活用して、今回の小口保険なりいろいろの運用をいたしておるといたしまして、金を借りる人の事業が二府県以上に亘るものはどうであろうかということでございます。これはその中小企業者の主たる事務所がどこにあるかということによりまして、利用すべき信用保証協会を区別することによ
つて運用して頂いて差支えないじやないかというように、現在のところ私
どもは
考えておるのでございます。
なお消費生活協同組合の
関係についてお尋ねがあ
つたのでございます。これはいろいろそれは見解もあろうかと存ずるのでありまして、特に小売商と消費生活協同組合との
関係等につきましては、いろいろ問題があろうかと思うのでございます。併しこの点は、農業協同組合がいろいろな
物資その他を購入いたしまして、組合員である農業者に分配をするということと、
法律上全く同一の機能を営んでおると
考えられるのでございまして、この中小企業金融公庫を作りましたときにおきましても、衆議院におきまして、かなり消費生活協同組合についての問題を論じられたのであります。確かに消費生活協同組合が、どういうふうな方向に今後進むかという方向の問題につきましては、余りにもこれが、広範囲といいますか、例えば組合員以外にも現実に物を売
つたりするというような
現象が無きにしもあらずと思うのでありますが、さような妙にこう手を拡げるということになりますれば、これは非常に都合が悪いと思うのでありまして、監督官庁でございますところの厚生省の
方面とは十分の連絡をとりまして、本来法に定めております
趣旨に従う活動をや
つて頂くように、厚生省側の指導を特に要請をいたしたいと私
どもとしては
考えておるのでございまするが、併し、この保険
制度からこれを除外しておるということにつきましては、いささか半端過ぎる待遇じやないかと
考えまして、とにかく信用保険を利用するならば利用し得る資格を与えて置こうというふうに
考えまして今回の
改正に持
つて行
つたような次第でございます。
金融公庫の
関係につきましては、店舗数と公庫の
資金量との
関係についての御質問があ
つたと思うのでございます。先般の
予算の修正によりまして、公庫が二十九年度において、
日本開発銀行に返すべき債務を十九億持
つているのでございますが、これを返還する時期を更に一年延長しまして、差当り二十九年度には払わなくてもいいという措置をとりまして、当初予定しておりました運用量より、十九億ほど殖えることに相成
つたのでございます。これをまあ十二で割りますと十六億円足らず、十五億
幾ら、まあ十六億円に近いかと思うのでございますが、月当り十六億円ぐらいの貸出量になろうかと思います。これが店舗数が非常に多いから、一店舗当り非常に少い
金額になる、その結果
資金効率が非常に悪くなるのじやないかというお尋ねでございます。これは現在の代理店の数が四百六ございます。その代理店の中におきましては、いわゆる現行のごとく支店の数が非常に多いものもございますので、支店その他のつまり店舗の数でこれを論じますれば、六千を超えるように相成るのでございます。従いましてこれをまともに割
つて見ますると、確かに一店舗当り極めて微細なる
金額に相成ることは、もう御指摘の
通りでございます。併しながら例えば商工中金等におきましては、尤も商工中金には
相当の運用額をつけておりまして、公庫が始まりまして以来、この第四・四半期の枠を超えますと十三、四億の多額に相成ろうかと思いますが、いずれにしましても、中金等におきましては、各支店にこの金を分散せずに、各支店では申込を受付けまして、本部でこれを統括して公庫に連絡をとるという仕組をと
つているのであります。支店を多数持
つております銀行等におきましても、枠を各支店に分割するという
考え方よりも、やはり支店は申込を受付けて、それを一応見て、本店に送るという作用をしているようなところが、どちらかと言えば多いのじやないかと思うのでございます、現実に貸出の実績を見てみましても、一軒当りの平均といたしまして、いわゆる十一大銀行その他の都市銀行におきましては、一軒当り三百五十万円見当、地方銀行におきまして、一軒当り二百三十万見当、相互銀行二百万円、信用金庫等で百五十万円というふうな
金額、これを総平均いたしまして、二百二十万見当の貸出に相成
つているのであります。従いましていわゆる店舗数が六千ある、それを算術平均いたしまして、一店舗当り何万円というふうな
資金の運用には、現実問題として相成
つておらんのではないかと
考えているのでございます。又一方におきまして、この
資金の枠を毎四半期にきめまする場合におきまして、この与えられました枠の活用が不十分でありますところの代理店につきましては、余
つた枠をそのまま残しまして、新らしい枠を与えるというふうなことをいたしませんで、利用の旺盛な代理店と、絶えず枠の残りまする代理店との点につきましては、絶えずこの枠が一方は殖え、一方は減るという操作を科学的に
計算して出しているのでございます。それによりまして代理店としての金の使い方が、いいところはだんだん殖えて行く、余り御活用にならんところは減
つて行くということによりまして、枠の操作を通じて、或る
程度のこの代理店の修理と申しまするか、金の活きて使われるところへ金が多く行くという仕組が、若干の日時をお貸し願ううちに確立できるのではないかと
考えているのでございまして、ともかくも代理店の数が多いという点は確かでございますけれ
ども、さような操作によりまして、数は多くても
資金効率の落ちないようなふうに今後とも努力を進めて参りたいと
考えるのでございます。
理容業の点につきましては、私
どもといたしましてもいろいろと公庫のできますときに
考えたのでございますが、これは国民金融公庫の乙種貸付、つまり普通で五十万円、連帯で二百万円という口のほうに入れて頂けばよろしいじやないかと思
つて、大蔵省と話しておりまして、大蔵省側にも大体の御了解は得ているのでございます。併し御指摘になりましたような
趣旨、つまり公庫の金を貸し得る業種を一々並べている現在のやり方がよいのか、或いは多少抽象的と申しますか、例えば開発銀行が書いておりまするような工合に、大まかな点を掲げまして、具体的の個々の事業については、その情勢に応じて運用ができるということにいたすのがよいのかという問題については、十分の研究の必要があろうと存ずるのでございます。例えばまあ理髪業のほかにおきましても、クリーニング業等につきまして、現在の公庫のやり方が、個々の業種を一々掲げるという建前からいたしておりますために、クリーニング業に公庫が金を出し得るかどうかということが多少の問題に相成
つているのでございます。この業種の指定は、これは政令
事項でございますので、現在のいろいろの情勢から
考えまして、今のような
一つ一つ掲げる方式がよろしいか、或いは多少包括的に書くのがよろしいか、目下研究をいたしているのでございまして、いずれにいたしましても、多少は
状況に応じ得るように書くということも確かに一理あろうかと思いましてれ今公庫に命じまして立案の一案を作らしているような次第でございまして、そのうちに、私
どもといたしましても、大蔵省側ともこの辺についてまともな交渉をして見たいという段階にありますことを申上げておきます。