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1954-11-12 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年十一月十二日(金曜日) 午前十時四十三分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
石原幹市郎
君 理事 海野 三朗君
委員
加藤 武徳君
西川弥平治
君 酒井 利雄君 高橋 衛君 中川 以良君 森田
義衛
君 藤田 進君 三輪 貞治君 天田 勝正君 武藤 常介君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員
山本友太郎
君
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
説明員
通商産業省公益
事業局長
中島
征帆
君
参考人
電源開発株式会
社副総裁
藤井
宗治
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○通商及び
産業一般
に関する
調査
の件 (
電源開発
に関する件) ○
議員派遣要求
の件
—————————————
石原幹市郎
1
○
委員長
(
石原幹市郎
君) 只今より
通産委員会
を開会いたします。 本日は先般お打合せいたしました
通り
、
電源開発
に関する
調査
といたしまして
電源開発会社
から御
出席
を願いまして、
御母衣
その他の
工事地点
につきましての
進捗状況
の御
説明
を願いたいと思います。特に
御母衣
につきましては
会社発足
の当切から
着工
されたのでありますが、他の
地点
に
比較
いたしまして著しく遅れておるようであります。これにはいろいろ
事情
もあろうかと存じまするが、すでに約二カ年に十数億円の投資がなされながら、その間の
事情
につき公表されていないようでありまするから、この際
設計
上の問題及び
補償関係寺
につきまして詳細御
説明
を願いたいと思います。なお
予算編成
の時期も切迫しておりまするが、デフレの
影響
といいまするか、
電力需用
のほうから見ましても
増加
も幾分鈍化の模様であります。こういう
点等
と関連いたしまして、来年度
工事予算
についてはどういう今お考えで進んでおられるのか、併せて他の
電源開発
の
進捗状況等
についても御
説明
を願いたいと思います。
藤井宗治
2
○
参考人
(
藤井宗治
君) 御多忙のところ特に
電源開発
のために
委員会
をお開き下さいまして、いろいろ
説明
をお聞きとり願いますことは、
会社
といたしまして誠に有難く存じます。
先ほど
委員長
からのお話のございました点につきまして、先ず
御母衣
の問題につきしていささか冗長には亘るかとも存じまするが、大体のことを御
説明
申上げたいと存じます。
御母衣
の
地点
につきましては、第一回の
審議会
におきまして、
電源開発会社
が
開発
するように指定を受けた
地点
でございまするが、実質上非常に大きな問題に逢着いたしておりまするので、問題が問題でありまするだけに慎重の上に慎重を期しておりますので、
着工
と申しましても本
着工
に未だ入らないでおるような
状態
でございます。申上げるまでもなく、この
地点
は岐阜県の北部に源を発しまして、北流いたしまして日本海に注いでおりまする
庄川
の
上流
にございまして、主として
関西地区
の
電源
といたしまして、
昭和
の初め以来重要な役割をなしていた
下流
の
庄川水系
の
発電所
に大きな
影響
を与える
地点
なのでございます。
御母衣
の
発電計画
は、
上流
のほうから順を追
つて
参りますると、現在
工事
中の
鳩ケ谷
、それからその
下流
にあります椿原、成出、小原、祖山、小牧、中野の
七つ
の
発電所合計
約三十万
キロワツト
の大
規模
な
ダム式発電所
がすでに
開発
せられているのでありますが、この
御母衣
の発、
計画
は
鳩ケ谷ダム
の
上流
約十五
メーター
の
庄川
の本流に高さ百三十
メーター
の
ロツクフイル・ダム
を造りまして、
満水位標高
七百六十
メーター
、
有効貯水量
三億三千万
立方メーター
の大きな
貯水池
を設けまして、更に
鳩ケ谷ダム
との間の
落差
を利用しまして、
最大出力
十七万
キロワツト
のものを
新設
する
計画
なのであります。で、
御母衣発電所
の
有効落差
百九十五
メーター
、
鳩ケ谷
以下の
既設
の
七つ
の
発電所
の
有効落差
三百九十一
メーター
、
合計
五百八十六
メーター
の
落差
が利用できますので、
御母衣貯水池
から
補給
されました一
立方メーター
の水は実は一・三
キロワツトアワー
の電気を起すことができるのでございます。これは
御母衣
に貯えられるところの三億三千万
立方メーター
の水は実に四億二千万
キロワツトアワー
の
補給用電力
に相当しているのでありまして、この大
貯水池
からの
補給
によりまして、
下流
の
既設
の
発電所
の
渇水期
における
キロワツトアワー
が約二億八千万
キロワツトアワー
増加
し、その結果といたしまして、
渇水期
における
下流既設発電所
の
ピーク
の
出力
も増大し、
御母衣
の十七万
キロワツト
の
新設
により
渇水期
の
ピーク
の
出力
を約二十四万
キロワツト
も
増加
させることができるのであります。で、
御母衣
の
新設
によりまして、
御母衣発電所
による五億九千万
キロワツトアワー
、
下流
の
既設
の
七つ
の
発電所
の
増加
が二億八千万
キロワツトアワー
、それから平瀬という
既設
の
発電所
がありますが、そこの廃止による減少七千万
キロワツトアワー
を差引きましても
合計
八億
キロワツトアワー
の
増加電力量
を得られるのでありまして、総
工事費概算
二百七十億といたしましてこれを八億
キロワツトアワー
で割りますると、
キロワツトアワー当り
が三千円といたしまして、山元で
キロワツトアワー
の
電力原価
が三円四十一銭ばかりになりまして、これはまあ大阪までの送
変電費
と併せ考えまして一次
変電所渡し
約四円ばかり、三円九十九銭の
発電原価
となるのであります。この
発電原価
は
自流式
の
水力発電所
の
発電原価
に比べますると一見いたしまして割高になるように見受けられまするが、実は
御母衣
の完成によりまして
庄川系
の常時
電力
が十二億六千万
キロワツトアワー
も殖えまするほかに、四億二千万
キロワツトアワー
の
補給用電力
が得られることになるのでありまして、
渇水期
の
ピーク
の
出力
二十四万
キロワツト
を
増加
する点を考えまするならば非常に経済的に見まして有利なことがわかるのであります。従いまして終戦以来
日本発送電
、
関西電力株式会社
、
当社
によりまして次々と
調査
が進められましていろいろな
問題点
を克服してこの
計画
を完成するように努力が続けられておる次第でございます。
先ほど
申しましたように
日本発送電会社
以来引続いて
調査
いたしておるのでありまするが、その
調査
の今日までの
経過
の
概要
を御
説明
申上げます。
御母衣ダム地点
の
地質調査
は
昭和
二十五年の七月に
日本発送電会社
が始めたのでございまするが、
先ほど
も申しましたように
関西電力会社
を経まして
昭和
二十七年の十月以来
当社
において引続いて
調査
いたしておるのでありまするが、主として
ボーリング
と、それから横穴といいますか
横坑
によりまして
地質調査
を行な
つて
来たのでありまするが、満足に
コアー
が採取できませんために
地質構成
のしつかりした把握ができ得ません。そのために
当社
において引継ぎましてから後は
ボーリング
と並行いたしまして
試掘横坑
、
竪坑
、
弾性波
による
地下探査
などのほかに
河底トンネル
を掘りまして大
規模
に
調査
を実施いたしておるのであります。先ず
調査
の
対象
を
地形
的に見まして有利な
福島下流地点
に選定いたしまして
ボーリング
及び
試掘横坑
の
掘鑿
を始めたのでありまするが、
右岸
におきまして表面近く或る程度良好な岩が出ましたが、
掘鑿
するに連れまして良好な岩を突き抜けて軟らかい岩と砕けたいわゆる
破砕岩
といいますか、そういうものが互いに層を成しているところに突き当りまして、この部分が深いので
調査
の
対象
は約四百
メーター上流
の第二
候補地点
、
福島上流地点
に切替え、これも
試掘横坑
、
堅坑
を掘り、又
弾性波地下探査
を実施したのであります。この結果
福島地点
は一部厚い
崖錐
で覆われ、基盤は
コンクリートダム
の
基礎岩盤
として適当なものもありまするけれ
ども
、
一般
に節理が発進いたしておりまして
断層
が川と平行に存在することがわか
つたの
であります。
昭和
二十八年三月、
現地
を視察いたしましたコンサルテイング・ゲオロギストでありますところのドクターニツケル、これは元
ビユーロー・オブ・レクラメーシヨン
の
チーフ・ゲオロギスト
であるのでありますが、この
ニツケル博士
の
勧告
に基きまして
河底トンネル
の
掘鑿
に着手いたしますると共に、この
地点
は
上流
に行くに
従つて結晶質
が多くなる傾向に着目いたしまして、
福島上流地点
から更に約八百
メーター上流
の秋町
地点
に第三の
ダムサイト
を考えまして、
昭和
二十八年五月から
ボーリング
及び
試掘横坑
によりまして
調査
を行な
つたの
であります。ここには更に大
規模
な
断層破砕帯
が存在いたしまして、
却つて福島地点
よりも不適当であることがわかりましたので、二カ月で
調査
を打切ることにな
つたの
であります。
福島地点
で、上、
下流
二本の
河底トンネル
を
掘鑿
しました結果今まで
ボーリング
で
コアー
が取れませんで判定に苦しんでお
つたの
でありまするが、その
地下
の
地質
の
状況
もこのために明らかとなりました。即ち
河床部
には
比較
的
良質
の
岩盤
がございまして、一、二の個所を除いては無巻きの
河床トンネル
においても
漏水
がない
状態
でありました。然るにこの
河底トンネル
を
右岸アバツト
に延長いたしましたところ、ここで大
規模
な
断層
にぶつかりまして、以後
地質調査
はこの
断層
の走向、傾斜の追究に集中しましたが、本年六月一応この
調査
を
打切つたの
であります。で、これらの
調査
の結果といたしまして
断層
の
状態
及び
基礎岩盤
の
状況
を相当はつきり知ることができまして、
ダムサイト
の
地質調査
は今後の
設計施行
上に必要な
岩盤
の
支持力
、
断層破砕帯部
の
透水性
、それから
グラウト効果等
の諸
試験
及び
補足調査等
を除きまして殆んど完了いたしたのであります。 以上のような
調査
の結果から、
ダム地点
の
地質
の
概要
を申上げまするならば、先ず
ダム
の
予定地点
を
構成
しておりまする
岩石
でございまするが、
ダム地点
を
構成
する主な
岩石
は
玲岩
、それから変質した
玲岩
、変質した
石英斑岩
、まあそういうようなものであるのでありまするが、これらは余り専門的に亘りますので組かいことは省略いたしまして、今度は
地形
及び
地質
の
構成
の
概要
を申上げます。
右岸
の
上流区域
は
竪坑調査
の結果によりますれば、川の
段丘
は厚い所の
段丘推積物
及び何といいますか、
崖錐堆積物
によりまして覆われておるのでありまして、その厚さはは率直に約三十
メーター
でありまして、百五十
メーター
の幅を持
つて
おるのであります。
段丘堆積物
は玉石、砂利及び砂、
粘土
であります。又
崖錐
の下部には
比較
的長質の
岩盤
が
試掘横坑
によ
つて
認められておるのであります。左岸の
下流
は
福島地点
で最も
良質
の
岩石
が認められ、風化に対する抵抗も強く、旧
庄川
の浸蝕には他
地区
よりもまあよろしいのでありまして、
上流地区
には広大な
段丘
があるにもかかわらず、旧
河床
としては
下位段丘
に比べましても遜色のないよりなものでありまして、まあ大体
ダムサイト
といたしましては
申分
のないもののようであります。かような
地質
又
地形
におきまして、それならば如何なる
設計
をとつたらいいかというので、この
研究
の
経過
を申上げますると、
地質調査
と並行いたしまして百二十
メーター
の
コンクリートダム
を設ける
計画
で、
設計
及び
工事費
の
算出
が
関西電力
当時から進められてお
つたの
でありまするが、そのときの
ダムサイト
といたしましては、
福島下流地点
が選定されまして、
満水位
の
標高
七百五十
メーター
でございましたが、
昭和
二十七年十月にはこの
地点
の
開発
を
電源開発会社
で引受けることになりましたので、その後
電源開発会社
によりまして
ダムサイト
の
地質調査
が進められました。その結果
ダムサイト
の
地質
も、
先ほど
申しましたように逐次明瞭となりましたので、この
下流地点
に
コンクリート
・
ダム
を設けるよりも、
コンクリート
・
ダム
ならば
上流地点
に設けるのがよかろうということにな
つたの
であります。ところかこの
地質
の
状況
に対応いたしまして、又
電源開発調整審議会
の案に則りまして、
ダム
の高さを十メートル高くした案について
設計
を考えて参
つたの
でありますが、後に申しまするように、その
工事費
は当初の
予定
を遥かに廻るということにな
つたの
であります。一方このような非常に不便な、いわゆる僻遠な
地点
に
築造
いたしまする
ダム
の形式といたしましては、初めから
ロツクフイル・ダム
にいたしたらどうであろうかというので、これに対して
当社
といたしましていろいろ
研究
をいたして来たのでありまするが、この
地点
は
ロツクフイル・ダム
としての各種の
基本条件
を満たす見通しもつきましたので、
昭和
二十八年の末に
当社
の
技術者
三名を米国に派遣いたしまして、
ロツクフイル・ダム
の
設計施工
に関しまして基本的な
調査
をさせ、それに基きまして、
ロツクフイル・ダム
の
比較設計
を行な
つたの
であります。これにつきましての詳しいことは、又後ほど申述べるつもりでございます。その結果といたしまして、現在
当社
といたしましては、この
地点
は
ロツクフイル・ダム
で進むほうがよかろうということに大体
方針
を立てたのでありまするが、なお
関係官庁
との了解も正式に得ておりません、いろいろ細かい
研究
をする問題もまだ相当残
つて
おりまするので、目下それらについて或いは交渉し、或いは
検討
中であるのであります。
発電計画
につきましては、
昭和
二十七年の九月に
当社
が発足いたしましたときに、
下流
の
鳩ケ谷発電所
の
取水位
を
標高
五百八十
メーター
と考えまして、
最大出力
を十四万二千
キロワツト
として
計画
を想定せられたのでありますが、最近に至りまして
鳩ケ谷地点
の
調査
が進むに連れて
鳩ケ谷地点
に
取水位標高
五百五十
メーター
で
開発
するのか適当であることが明らかとなりましたので、
関西電力会社
はその
計画
で
工事
の準備を進めておりまして、すでに本年の十月に
工事
に着手したような次第であります。この
取水位標高
五百五十
メーター
の
鳩ケ谷地点
に対しまして
御母衣
十四万二千
キロワツト
の従来の案で
開発
しますならば、
御母衣
、
鳩ケ谷
間に三十
メーター
の未
開発
の
落差
か残され、その河川の有効なる
開発
をいたします上から
一大障害
となるのであります。従いまして
昭和
二十九年の六月に
関西電力会社
と打合せをいたしまして、又
主務官庁
にもいろいろ
説明
しまして、この残された三十
メーター
の
落差
を
御母衣発電所
に利用して、
御母衣発電所
の
最大出力
を十七万
キロワツト
に変更することにいたしたのでありまして、現在では大体この
計画
に基いて
調査
を進め、
設計
に着手いたしておるのであります。この十七万
キロワツト
を一
発電所
にて
開発
するためには、
現地
の
地形
なり、或いは
地質
の
関係
上
地下式発電所
を私用するのが望ましいのでありまして、現在この
方針
に
従つて調査
、
設計
並びに
工事費
の
算出
を行な
つて
おるのであります。
地下式
の
発電所
の場合には、長い
放水路トンネル
或いは
水圧トンネル
を必要といたしますので、
地質等
を考え併せまして、
工事施工
上遺憾のないように目下いろいろ
検討
いたしおります。そういうためにも十七万
キロワツト
の
発電所
の
開発
と申しましても、一
地点
にするか、これを二つの
地点
に分けるかは、いま少し
検討
を重ねてからきめたいと思
つて
おります。 さてこの
御母衣発電所
の
計画
につきましては、
先ほど
来申しましたように、
地質
上非常にむずかしいのと、そうして大きな
貯水池
を造るにつきましては、仮に
先ほど
申しましたように、
ロツクフイル・ダム
の
方式
をとることに相成りますると、これは
世界
でも稀な大きいものになるのでありまして、勿論
我が国
にはその先例がないのであるから、これに対しましては慎重の上に慎重を期する必要があるのであります。そういうために
当社
といたしましては、先に
ドクター・ニツケル博士
に依頼いたしまして、
現地
の
調査
をいたして参
つたの
であります。
アメリカ
の
ビユーロー・オブ・レクラメーシヨン
の
チーフ・ゲオロギスト
、この
博士
、は
幾多
の大きな
ダム
の
地質
を手がけられましていろいろ貴重な経験を持つたかたでありまして、同
博士
は
当社
の要望を容れまして、昨年の四月及び本年の五月に
現地
を詳細に見て頂いたいのであります。で、本年の五月に
現地
を視察されました際に、
現地
の
地質調査
はほぼ完了いたしており、
上流案
、
下流案
の二カ所の
ダムサイト
の選定を考えておつたときでありまするので、私
ども
のほうの
会社
が持
つて
おりまする
地質調査
の
資料
を
ニツケル博士
に提供することができたのであります。同
博士
はこれらの
資料
に基きまして大体次のような
報告
を作成したのであります。 即ち、第一に
基礎
に十分な
処理
を行えば
上流案
及び
下流案
の両
地点
とも
コンクリート
・
ダム
にせよ、
ロツクフイル・ダム
にせよ、この
築造
に差支えはない。第二に、
コンクリート
・
ダム
を設けるとするならば主
断層
の幅、それから
岩質
からいたしましてむしろ
上流案
のほうがよろしい。第二に、
ロツクフイル・ダム
を設けるには
地質
的に見まして両
地点
とも大差はない、
従つて
この
堰堤
の
体積
が少くて済む
下流案
のほうが好ましい。第四に、
断層帯
の
処理
及び
一般
の
基礎
に対する
要求
は
ロツクフイル・ダム
のほうが
コンクリート
・
ダム
ほど厳しくない、それで
ロツクフイル・ダム
のほうが
基礎
の
処理
が容易である。第五点は、
基礎
の
状態
を更によく知るために
補足
の
ボーリング
及び
支持力
の
試験
、
透水試験
を行うことを
勧告
する。こういうような五つの大体
要点
の
勧告
を、いたしたのであります。 更に
当社
といたしましては
アメリカ
の
ビユーロー・オブ・レクラメーシヨン
のチーフ・エンジニアとして
世界
の有名な大きな
ダム
であるボールダー、シヤスタ、グランド・クーリイなどの
幾多
の大
ダム
の
工事
の指導をされました
ドクター・サベジ
氏が
当社
の顧問でありまするので、
ドクター・サベジ
氏にお願いいたしまして四回
現地
において調べてもらい、本年の六月に最後の視察をせられました際に
当社
のいろいろの質問に答えまして大体次のような
報告
をされたのであります。 第一に、この
ダムサイト
は
地質
的には必ずしも望ましくない
条件
を打
つて
いるが、この
地質的条件
を克服して現在
計画
しておる高さの
ダム
を安全にこしらえることは可能である。第二に、
工事費
の
比較
及び
ダム
の
基礎
の
状況
を考慮いたした結果、この
ダムサイト
には
コンクリート
・
ダム
よりも
ロツクフイル・ダム
を採用すべきである。もう
一つ
、
断層
は
ビユーロー・オブ・レクラメーシヨン
の工法に従いまして慎重に措置すれば
一つ
も不安はない。こういう三つの要約した
報告
を得たのであります。 で、こういうふうに
外国
の
権威者
が
調査
をし、その
意見
を徴しましたほかに、最近におきましては国内の
権威者
を網羅した
かたがた
に御
検討
を願うことにいたしまして、先々
月全国
の九
電力会社
の
土木技術
のまあ最高峰とも言うべき
かたがた
、これは主に各
電力会社
のこの担当の重役さん或いは
部長
の
かたがた
でありまするが、この
かたがた
にお
揃い願つて
、九月に
現地
を視察して頂いたのであります。その九
電力会社
の
土木部長
さん等の御
報告
は、
要点
を申上げますと、第一に
ダム地点
の
地質
を見た結果
ロツクフイル・ダム
が適当であろう。第二に
ロツクフイル・ダム
のロツクを採取する
場所
の
調査
は十分行うべきである。第三に、
断層
の
処理
の削り取ります壁を現
設計
のように百メートルも人れないでよかろう。第四に十七万
キロワツト
を二
地点
に分けて
開発
するのは
工事費
は殖えるが、
施工
上は問題が少いかも知れない。こういう四つの
意見
が出て来ておるのであります。こういうふうなものを私
ども
はベースにおきまして今
設計
に進んでおるのでありますが、これはまだ
決定案
という意味で
皆様
に御
報告
申上げるのはいささか早計に失するのでありますが、現在の段階におけるところの大体のことを御
報告
申上げたいと存じます。
ダム
のタイプといたしましては、
昭和
二十九年六月に
御母衣地点
の
ダムサイト
の
地質
の
状況
、
工事用
諸
材料
の
分布状況
などが明らかにな
つて
参りましたので、
コンクリート
・
ダム
及び
ロツクフイル・ダム
の両方につきまして
設計
を取りまとめて
工事費
の
比較
を行な
つたの
でありますが、その結果この
地点
では
ロツクフイル・ダム
のほうが
工事費
が約五十億円安く、そして
ロツクフイル・ダム
を採用するはうが
安全性
も強くなるという結果にな
つたの
であります。この五十億円というのは
ダム
の
工事費
に比べますると大体三制を節約することになるのであります。又この
地点
の
技術
上の大問題でありますところの
基礎岩盤
の良好でないことに対する対策といたしましては特に
断層処理
の面につきまして
はさつき
も申しましたように
ロツクフイル・ダム
のほうが
コンクリート
・
ダム
よりも遥かに容易であることがわか
つたの
であります。従いまして
サベジ博士
の
意見
に従いまして
御母衣
には
ロツクフイル・ダム
を採用するほうがよかろうということに大体方向がきまりかけております。
ロツクフイル・ダム
は、私も
技術者
でないのでよく知りませんが、大体私
ども
の
報告
を
皆様
にお伝えいたしますと、
岩石
を積上げまして
ロツクフイル
を作る。その
上流側
に
鉄筋コンクリート
か、又は
粘土
その他でできた水を遮ぎる遮
水壁
を設け、その遮
水壁
で
漏水
を防ぐ、その背面の
ロツクフイル
が
水圧
を受持つ
ダム
でありまして、
粘土
の遮
水壁
を用いる際に
粘土
の流出を防ぐためにその
上流側
に更に
ロツクフイル
を設ける。
我が国
といたしましてはその例は少いので、
貯水用
のものとしては
鉄筋コンクリート
の遮
水壁
を設けた
石渕ダム
、これは北上川の支流にありまして高さ五十三メートル、それがある程度でありまするが、諸
外国
にはその例は極めて多いのでありまして、近年ますます盛んに
築造
せられております。現在のところ一番高いのは、フイリピンで
目下建設
中のアンバクラオ・
ダム
、これは高さ百二十八
メーター
でありまするが、そういうものがあります。
ロツクフイル・ダム
と
コンクリート
・
ダム
とを
比較
いたしますと、
利害得失
はこういうことになります。 第一は、
堰堤
の
体積
は、
コンクリート
・
ダム
の約四倍半で、遥かに大きいのであります。 第二は、その
代りコンクリート
の量が極めて少く、
岩石
、
粘土等
の
現地
の
材料
を主として使用することができますので、交通の不便な
地点
では非常に適当いたしておるのであります。 第三は、
ダム
の
底幅
が
コンクリート
・
ダム
の四倍半もありまするので、重さ、荷重を広い範囲に分布させまして、
基礎
に大きな
支持力
を
要求
いたしません。従いまして、軟弱な地盤に対しまして
築造
が可能であります。 第四に、
洪水
が
堰堤
の、
堤体
といいますか、
堰堤
の上を溢れて流れない限りは極めて安全な
ダム
でありまするが、絶対に
洪水
を
堰堤
を越して溢流させてはならないのであります。
洪水
の
処理
には溢流式の
コンクリート重力ダム
よりも費用が余計かかるわけであります。併し、今日のように
土工用機械
、
大型シヤベル
、或いは
大型
のトラツクなどが発達いたしますると共に、一方において
地質
のよい
ダムサイト
が次々にもう
開発
され尽されまして、多くの場合は、
地質
上難点のある
場所
に
ダム
を
築造
しなければならないようなもう今日に相成りましては、適当な
材料
、即ち
岩石
や
粘土等
が
ダムサイト
の近くで十分に入手できるならば、むしろ、この
ロツクフイル・ダム
の
方式
を採用したけうがよかろうと思うのであります。 今まで申しましたように、この
御母衣地点
におきまするところの
ダムサイト
の
地点
は良好でないのであります。併しながら、
ダムサイト
から二キロ
メーター上流
の福島谷には非常によい
花崗岩質
の岩がたくさんにございまするし、又水を通さない性質の
コアー
の
粘土
も
比較
的近くに得られることがわかりましたので、この
御母衣地点
は
ロックフィル
・
ダム
を採用することのほうが有利ではないかということに大体見当がついて参
つたの
であります。 大体、今日までの
経過
なり、今日進んでおりまする
設計
の
概要
は、以上申しましたようなことでございまするが、
先ほど
来しばしば申しまするように、この
地点
に非常に大
規模
な
断層
がある、そうして、
下流
に及ぼす
影響
が非常に大きいので、若し
設計
なり
施工方法
に異常がございまして、不則の
損害等
を及ぼすようなことがあ
つて
はいけませんので、これは最初からの
着工予定地
ではありまするが、それに捉われない、慎重の上に慎重を期するということは、これは止むを得ないのではないかと存じております。この点は、当事者といたしましては、一たび決定した
地点
を
予定
通り
、これはやり上げるということはやり上げたいのでございまするし、又そうしなければならないのでございまするが、何しろ自然の
状況
を相手にして
計画
を進めて行きまするために、
先ほど
申しましたように思わない大
規模
な
断層
にぶつかるといたしますれば、これに対してあらゆる角度から
検討
いたしまして将来に禍根を残さないようにしたいと考えて、甚だ申訳ございませんが、
予定
を一時遅延しているような次第でございます。この点はどうか
皆様
も御同情、御了解願いたいと思うのであります。 なお
先ほど
、費用を相当使
つて
おるではないかということも、
委員長
さんから御指摘がございましたが、これは発送電、
関西電力
等で
調査
したものも含めまして、これは当初引継ぎますときには、それらにがかつた費用を全部引継いでおりますので、現在で十三億ばかりのものが使われておりまするが、そのうちで約七億五千万円は
ダムサイト
附近、これは
設計
がどう変りましようとも、あの附近は捨てるわけには参りません。
一つ
の
発電所
になるか、二つの
発電所
になるかは別といたしまして、その附近の土地、それから若干立退きをしてもらわなければならんので、立退き家屋等の補償のために費されておるのであります。残りの約五億五千万円程度のものが、或いは今日まで
先ほど
も申しましたように非常な大げさな
調査
をいたしておりまするので、そういう
調査
費用、それから
現地
に人も住まわせておりますのでいろいろ構築物も造らなければなりません、そういうことに使
つて
おるわけであります。これはこの
地点
を放棄するわけではございません。これは
設計
にこそ変更は加えまするかも知れませんが、必ずやらなければならない所でございまするので、決して無駄にはならない、こう信じておるような次第でございます。 以上を以ちまして不満足かも知れませんが、
御母衣
の御
説明
は一段落さして頂きまして、前回この
委員会
におきまして御
説明
申上げました以後の
電源開発会社
の実情を御
報告
申上げます。 その後におきまして、特に変つたこともございませんが、
工事
は、北から申しますると北海道の糠平、足寄
地点
、これは大体
予定
のように進んでおります。この足寄
地点
におきまして、これも予想外の
地質
の悪いものにぶつかりまして、
設計
、
掘鑿
中の水路も変更したりいたさなければなりませんために若干の手違いを来たしておりまするが、併し竣工には大体支障のないように運んでおります。それから西のほうに参りまして岩手県の胆沢、猿ケ石の再
発電所
でありまするが、これは胆沢のほうはすでに本年の一月に竣工いたしたのでありまするが、この
工事
に手違いがありまして、この前御
報告
申上げたと思いまするが、
漏水
等がありますのでその補強工作を進めております。これも大体近く修繕補強が完成いたしまして、間もなくフルに運転されると思います。これは東北
電力会社
で
電力
を全部、丸利用いたしておるのでありまして、多少東北
電力会社
の供給には御迷惑をかけたかと思いまするが、本年は東北地方は非常な渇水でございますので、この点お気の毒いたしたと思いまするが、止むを得ませんが、目下非常に補強
工事
を急いで進めておりますので、間もなくこれは再建転ができると思います。 それから猿ケ石の
発電所
のほうは、これはむしろ
当社
の受持でない部分の
工事
が
予定
より遅れまして、湛水が遅れたのでありまするが、漸く湛水もできる段階になりましたので、これは来月一日頃から運転に入ると思います。大体
予定
から若干遅れておりますが、そのほうは支障なく進んで行くと思います。 それから西の、問題の佐久間
地点
でございまするが、佐久間
地点
は水没地域の鉄道線路の付脅えが、あの
地点
の地れが非常にもめておるのでありまして、線路の付存えに、隧道等に多少困難があるようでございまするが、そのために若干の手違いが生ずるのではないかと懸念いたしておりますが、
当社
がや
つて
おりまする
発電所
の
ダム
の
工事
は大体
予定
通り
進んでおります。これは幸いに本年度あの
地区
は
洪水
に見舞われることが少なかつたという天恵もございましたが、機械を最初に大
規模
に使いました
地点
でありまするが、機械の使用と相待
つて
予定
通り
これは進んでおります。 それから更に西に進みまして、これも総合
開発
の一環としてや
つて
おります奈良県の西吉野の
地点
でございますが、これは
当社
の受持の分については
予定
通り
進んでおりますが、ただ総合
開発
でございまして、
当社
が
施工
する以外の面におきましては、或いは多少の手違いが出て来るのじやないかと思いまして、鋭意そういうことのないように今
関係
当局のほうにお願いいたしておるような次第であります。
工事
中のものはそういう次第ではございまするが、更に本年度、明年度の予算を勘案いたしまして、先般北海道の糠平
発電所
の水を有効に使いまするために、それと足寄の
発電所
とを繋ぎますための芽登第一
発電所
と申しておりますが、芽登第一
地点
の水路の部分につきまして
工事
を進めることにいたしております。 それから福島県と新潟県との問題にな
つて
おりまする黒又第一
地点
、これもできるならば来年度あたりから
工事
に
着工
したいと思いまして、これは予算等の
関係
もありますので、目下財政当局といろいろ折衝しておる次第であります。奥只見の
地点
はこれは非常な奥地で、途中道路から造
つて
行かなければならないので、道路の問題等につきまして
一つ
緊急に措置したいと思いまして、これも
着工
の準備を進めております。 それから田子倉の
地点
でございまするが、これは大部分の補償問題、用地問題は解決したのでありまするが、田子倉部落の五名の
かたがた
の同意が得られませんので、誠に遺憾ではございましたが土地収用法の適用をして頂く以外に措置のとりようがございませんので、さようにお願いいたしまして、目下土地収用
委員会
にかか
つて
おりまするので、遠からずこの問題は解決すると思います。そういたしますれば仮排水路の
工事
とか本
工事
にかかることができる
状態
になりまするので、この問題が解決し次第その方面、この仮排水路の
工事
の完成、或いは
ダムサイト
の
工事
の着手にかかりたいと存じております。 なお同地の補償問題の
一般
でございまするが、この問題につきましては、大体福島県の当局ともいろいろ御相談申上げまして、世上伝えられまするような非常識なものでなく話が妥結するものと考えております。これは補償基準等につきましても、近く先例もあることでございまするし、又あの近くの極く最近完成した
下流
の
発電所
の実例もございまするので、そう伝えられるような結果にはならないと存じております。 それから佐久間
地点
の問題でございまするが、佐久間の
発電所
がフルに運転いたしまするがためには、どうしてもあの
下流
の秋葉
地点
の逆調整池が完成する必要がございます。この秋葉
地点
は
地形
の
関係
上非常に狭く、而も砂利店の非常に深い
地点
でございまして、
工事
を行いまするのに
幾多
の困難はございまするが、大体の見通しもつきましたので、今回これは
工事
に
着工
することといたしまして、すでにもうその手配をいたしております。 大体
発電所
自体の
工事
の
進捗状況
はさような次第でございまするが、更にこれに関連いたしましての送電線の
計画
でございまするが、北海道の糠平
地点
の電気を北海道の中心部、札幌方面に送らなければなりませんので、その送電線は十九万八千ボルトの、これは従来としては非常に高圧の送電線でありまするが、その建設に着手することになりまして、すでに万般の準備を進めております。工期に間に合うようにこれは完成するつもりでおります。 又佐久間の
発電所
ができるにつきまして、この航海を、御承知のようにこれは東京と名古屋と両方に送るのでありまするが、これにつきましてはいろいろ
検討
いたしました結果、二十七万五千ボルトの超高圧送電線を佐久間から名古屋方面と東京方面へ伸ばすことにいたしました。この問題につきましてもいろいろ伝えられておるようでありまするが、東京
電力
、中部
電力
の首脳者とも完全に
意見
が一致いたしまして二十七万五千ボルトという超高圧送電線によることにな
つたの
であります。これは私
ども
といたしましては御承知のように狭小な日本でこういうふうな超高圧の送電線を建設する
場所
はそうたくさんないのでありまして、高圧送電線の建設につきましては将来に悔いを残さないように、そのためにはどうしても小
規模
のものでなく、現在の
技術
において許された最高のものを作りまして、
電力
が円満に相互に送り得るような方途を講じたいと、こう考えて
関係
者協議いたしたのでありまするが、
関係
者
ども
これはその点に共鳴して頂きまして、これは円満にそういうふうにな
つたの
であります。 なおこれは蛇足でございまするが、中部
電力
と
当社
とにおきましては時節柄できるだけ経費を節約するという大乗的見地に立ちまして、中部
電力
で現在建設中でありまする大井川水系の
電力
も佐久間附近から名古屋方面まで
当社
の二十七万五千ボルトのこの超高圧送電線に一緒にして送
つて
頂くと、まあ送らしてくれろ、送
つて
頂きたいと、こういうふうにいたしまして、中部
電力
がこの際別の送電線を作られることをおやめになるようなことにな
つたの
でありまして、こういうことは私
ども
非常に現下の日本の経済
状況
といたしまして
皆様
から多少おほめ頂いてもよかろうと、これは自両自讃あえていたす次第でございます。 大体の
説明
はこの程度にいたしまして、その他は何か御質問にお答えいたすようにさせて頂きたいと思います。
石原幹市郎
3
○
委員長
(
石原幹市郎
君) 有難うございました。他の
参考人
からも
補足
の御
説明
があるかとも思いまするが、大分時間も過ぎましたので、
委員
よりの質疑の際に
補足
して頂きたいと思います。 ではこれより質疑に入ります。
藤田進
4
○藤田進君 詳しい御
説明
を頂きましたのでかなりの部分わかりましたが、まあ従来にない
地質
その他の
調査
をせられているようでありますが、その
調査
の中には日本の
技術
のみならず、
外国
の
権威者
の判定も持たれたようであります。そこで私はこの
御母衣
ダム
の当初考えられた重力式を
地質
の
関係
でロックフイールドにこれを
設計
替えするということに理由としてはあつたろうと思いますが、ただ相当厖大な
調査
費を費やしておりまするために、むしろそういうことにこだわつた形でこれが
工事
が無理に進められるということはないだろうか。一方においてはかなりの
調査
費等を、この中には補償も相当部分が含まれていることはわかりましたが、むしろ
技術
的に見てロックフィールドが必ずしも好ましくないと、
世界
にも稀に見る百三十
メーター
でございましたかの高さのものができるということになりますと、かなり日本の現下の
事情
から言えば問題があるようにも私思うのでこの点どのように考えられるか、先ず第一の点としてお伺いいたしたいと思います。 更に若しロックフィールドになるとして約二キロの
地点
に
良質
のロックがある、或いは
粘土
も近くにあるということになればこれは
条件
が必ずしもそういう意味ではないことはないし、結果的に五十億の節約になるということであれば、これ又願つたりかなつたりの
状態
のようなふうにも聞くわけですが、若しそうだとすれば経費も安くなることだし、当初からロックフィールドということが考えられなか
つたの
だろうかというむしろ疑問を持ちます。そこでロックフイールドにしたために当初
計画
せられたようなこの運転開始といいますか、三十五年八月だと言われておりますが、これが当初
計画
されたいわゆる工期ですね、これが相当延びて来るのじやないだろうか、ロックフィールドにしたためにかなりの工期を必要とするのじやないだろうかというふうにも思いますので、それらの点も併せてお尋ねをいたします。
藤井宗治
5
○
参考人
(
藤井宗治
君) 只今の御質問でございますが、
先ほど
も申しましたように、私といたしましては、この既往の
調査
に必ずしもこれに拘泥しない。これはもう絶対的にや
つて
行けないという結論が出ておるというものは、これはこれ以上金を注ぎ込むという愚は避けたいと思
つて
おります。この点は全然捉われておりません。ただ併しいろいろ
調査
いたしました結果、やはりあの
地点
は捨てるべきでない。そのスケールをどうする、
設計
をどうするという点に問題があるようでありますから、これた今は
一つ
の
地点
ということ置いて、よ
つて
いろいろ
計画
を進めております。場合によ
つて
は、これは二
地点
に分割するかも知れない。
従つて
そうすると、
ダム
の高さも変
つて
来るとこう思いますが、現在でも一応現在の
権威者
の
意見
を網羅した結果、
ロツクフイル・ダム
でやれば安全だというふうに
検討
が進められておりますので、而も更にいろいろな角度からもう少し調べたい点があるから調べておりますが、先ず心配はないという見通しがついておりますが、これは太鼓判を押された上でなければやらないつもりでいます。それから
調査
にいたしましても大体のものを完了いたしておりまするから、今後
調査
費はそう多くはかからないと考えております。それからまあロックフイル・
ダム
ですが、これは
安全性
から見てもロックフイルのほうが
先ほど
もちよつと申上げたかと思いますが、よろしいのだそうでございまして、これはまあ非常なボリユームが大きくなりまして、安定性が非常にある。それから重さが
電力
ダム
よりもずつと幅が広くな
つて
分散して来るから一カ所に集中しないという点で非常に安定したものであるようでありますから、
かたがた
経費も少くて済むとなりますれば一石二鳥でありますから、多分ロックフイルのほうがいいという結論に、最終的の結論になるのじやないかと思
つて
おります。それから当初の
計画
は、これはロツクフィルということは、これは当時はそう考えられないで、グラビテイ・
ダム
で行こうということに
計画
は当初は立てられておつたようでありますが、その後いろいろ
検討
の結果、又
外国
の
調査
した結果、
ロックフィル
のはうがベターだということがわか
つたの
で、後に
ロックフィル
という
設計
に変
つたの
でございます。それから
従つて
まあさつきも申上げましたように、工期は、これには一応当初きまりましたようなふうに書いてございますけれ
ども
、これは明らかにこの
予定
の工期のようにはできません。これは今から
着工
いたしましてもロックフィールドにいたしましてもグラビティにいたしましてもこれは工期は更に大幅に延びるということをこれは申上げてよかろうと思いまするが、その工期が延びまするにつきましては
地質
がさようにむずかしい
関係
上慎重を期するために
調査
に暇どつたために
着工
が遅れたということのためにこれは延びるのでございまして、この点は誠に申訳ありませんが御了承願いたいと思います。
藤田進
6
○藤田進君 そういたしますと、頂きました
資料
では
着工
並びに運転開始が掲げられておりますが、又
着工
と申しましてもこれは
調査
をすでに
着工
という解釈もございましようが、そうでなくそういつた附帯的なものではなくて、
ダム
なり或いは導水路なり、要するに
発電所
として
設計
が固ま
つて
そしてこれに着手するという時期と、それから運転開始、要するに
工事
の竣工という時期とのおよその見通しがありましたならばこれをお伺いいたしたいと思います。なお
電力
式の場合とロックフイールドの場合との工期がどのように差がつくかという点もお伺いいたしたいのであります。
藤井宗治
7
○
参考人
(
藤井宗治
君) お答えいたします。
設計
はまあ少し念を入れたいと思いまするので、先ず今後完全な
設計
にかかるとすれば一年ぐらいかかると思います。本当の
工事
着工
は、従いまして明年の予算に盛るわけに行かない、と思います。で明後年度の三十一年度の予算に盛りたいというので、目下まあそういうつもりでいろいろ進めております。大きな障害になる事項がない眠りは大体そういうふうに進めたいと思います。本
工事
に着手いたしましてから竣工までは大体これはまあ大
規模
な
工事
でありますだけにこれも拙速主義はとりたくないので、まあ大体四年は頂きたい、こう考えております。
藤田進
8
○藤田進君 後段のグラビテイ・タイプの場合とロックフィールドに変えた場合でこの
地点
でどのくらいの
比較
、
設計
の結果完全なものはまだ進行過程にあることはわかりますが、大体の
計画
を立てられる首脳部におかれてはどういう工期の差があるだろうかという点を今お伺いしたのであります。
藤井宗治
9
○
参考人
(
藤井宗治
君) 工期はグラビティであろうが、ロックフィールドであろうが大差ないようでございます。
藤田進
10
○藤田進君 次にお伺いいたしたいのは現在御承知のように、日本は海外に
技術
を出さなければならない
状態
にありますし、現実に御承知のようにビルマ等にも一行が行
つて
いるような
状態
であります。で、こういうときに私
ども
心配いたしますのは、この
電力
の事業においては先ず今ほど来否われた
地質
その他の権成は
外国
に仰ぐと、又
施工
にいたしましてもアトキンソンとの協定或いは佐久間における指導というようなもので滋に
施工
機械器具のみならずこれが操作についても指導を受けるという
状態
、更に発電機におきましてはこれ又火力はGEなりウエステイングハウスなりというような
外国
のものを入れるということでありますから、例えはビルマのことを
現地
で聞きましてもかなり広汎な諸国からこれが
開発
と水力機械等の導入について運動がなされておる現実にある、近くこれが入札に付せられるでしようが、その際に非常に私は日本の
技術
が
アメリカ
なり他の員に劣
つて
いるが放に、機械といい、今ほど申上げた諸般の
調査
施工
といい、極めて後進国であるような印象を受ける。印象だけではなしに、実際にそういうことにな
つて
いるという点を憂えるのでありますが、この際首脳部におかれては、日本の
技術
と、これら諸
外国
の
技術
の
関係
についてどのようにお考えであり、且つ将来これらの指導を継続してお受けになる
予定
か、又受けざるを得ない現状なのか、この点を明確にして頂きたいと思います。私はそれほど
外国
の
技術
を、指導を受けなくても完全に日本の
技術
陣でやれるのではないか、これは重電機の部面におきましてもその
通り
であります。歴史は若干遅れているけれ
ども
、水力、火力についてそれほど諸
外国
の指導を受けなくてもいいのではなかろうか、若し受けるとすればそれ相当の今日文献等によ
つて
残されてもいるわけでありますから、現実の指導を受けるという対外的にも極めて不利な環境を作るということは好ましくないのではないだろうか、ただこれが他の面で、政治的に外資の導入とかいうような面で向うの注文も聞かなければならんということであるならば、その点はむしろ明確にする必要があるのではないだろうか、現在日本の置かれている
事情
から、殊に大きく
開発
について担当せられている
電源開発会社
とされては、この
委員会
を通じてそれらの
事情
を
一つ
明らかにして頂きたいと思うのであります。
藤井宗治
11
○
参考人
(
藤井宗治
君) 只今の藤田さんの御
意見
、私も至極同感でございまして、
我が国
の
技術
、すべての面についての
技術
の独立ということは心から念願してやまない次第でございまするが、遺憾ながらこれは率直に私の目に映
つて
いるところの日本の
技術
は、
世界
筋一流でないことはどうも認めなければならないのじやないかと思うのであります。殊に発電機とか或いは送電線とか変圧器、そういうようなものにつきましては、
世界
の一流の諸国に伍して遜色のないものができておるように考えられまするが、
土木技術
におきましては、
技術者
としては
設計
その他については相当な人がおるのでありまして、大してそう
外国
に劣るとも思いませんけれ
ども
、遺憾ながら日本の
技術
というものは跛行的でありまして、或るものには優れたものがあるが、或るものには劣つたものがある、特に最近のように重土木機械を使うとなりますと、第一重土木機械の国産化ができておりません。佐久間をやる場合におきましても、あの佐久間のあんなむずかしい所が短期ににできましたのは全く重土木機械の駆使によ
つて
なし遂げられたのであ
つて
、あの重土木機械の駆使ということがなかつたならば、私は今、なおあの佐久間
ダム
はあの形においては実現できなか
つたの
じやないかと思うのであります。而してその重土木機械でございまするけれ
ども
、これは遺憾ながら日本にない、又それの操縦についても日本で十分に行われていないのでありまして、そういうために重土木機械の輸入、そうしてそれの操縦等につきまして今日までの段階におきましては
外国
の
技術
を取入れるということは残念ではございまするけれ
ども
、止むを得なか
つたの
ではないかと思うのであります。私は実は就任以来
電源開発会社
を持
つて
おりますので、土木機械の量も相当なものでございます、これを何とかして国産化したいと私のところに群類が来るたびに私は
外国
品を輸入するときには必ず文句をつけて、何とかしてそれを防ぎたいと思
つて
おるのでありますが、残念ながら日本にはまだできない。そういうために泣く泣く私はこれにサインをしておるというのが実情でありまして、一日も早くこの土木機械の独立を図らなければならないと、こう思いまして、製造業者の
かたがた
がおいでになりますると、端的にあなた方のところで
一つ
よくお考え願
つて
ただ日本のような需要の底の浅いところは乱立しては困る、或いはダンプ・カーならどの
会社
とどの
会社
、トラクターならどの
会社
とどの
会社
というふうに話合いをして一
会社
で独占をするという発達がないから、三社くらいで話をつけていいものをお作り願いたいということをお願いしてある。実は先般も或る席上でそういう私の所懐を端的に申上げましたことが反響を呼びまして、作目の土木機械、建設機械の機械化運動というなんか大きな催しものがありまして、私も引張り出されてそこで挨拶をさせられたのでありますが、そういう機運に導いておるのでありますが、これは
皆様
方の御協力を得てどうしても早く、一日も早く国産化の図れるような態勢にしなければならないと思うのであります。それから又
技術
指導でございまするが、これは私
ども
もこの佐久間なんかの経験から申しますると、ホアマンですら日本では完全なものができない。そこで今アトキンソン
会社
のかたが
技術
指導に来ておりますが、私
ども
が就任すると真先にや
つて
来て、この機械の運転の仕方は悪い、殊に保守の仕方が悪い、日本人はすべてカンでやろうとする、機械は絶対カンではいけない、一定の時間、一定のコースに
従つて
注入するなら注入するようにしなければならない。まだ機械がも
つて
お
つて
も時間が来たときにはやらなければならない。あそこで御覧下さいますればわかりますが、
一つ
の機械でも部分々々色分けをして赤い色はこれは一日に何回おきに注す、何時間おきに注す、緑色は何回おきに注すというようなことを区別してある。それを一々カードに記入するようにな
つて
おる。日本人はカードに記入しはしない。その
会社
の者は、アトキンソン
会社
のパーカー氏が数回私のところへ来てやかましく言
つて
、最近これは直
つて
来ております。そういうふうな極く卑近なことですら日本では訓練されておらない。初期においては己を空しうして
外国
の
技術
を取入れたほうが私はいい。併しいつまでもそういうことをしてはいられませんが、一日も早くこういうものは独立させなければならない。実はそういう見地から私のほうは実は縁遠いようにお考えになるかも知れませんが、先般機械の専門家を数名採用いたしました。来年卒業する人からも数名採用いたすのであります。これは使用者の立場から機械を
一つ
検討
する、そうして国産品でありますればその欠点、長所そういうものをメーカ一にみんなデータを送
つて
やりましてメーカーの
技術
の改善を図る。又一面に
技術
の知識を持つた人間が機械を操作する人間の養成をこれからする。機械の知識を持つた者が養成をしなければ本当は駄目なのでありまして、そういう意味で私は熱を入れているのでありまして、これは必ずや遠くないうちにここ一、二年のうちに必ずこういう操縦者の独立ができるようになると思うのであります。これにつきましても、
一つ
皆様
方の御援助が願いたいと、こう考えておるのであります。 それから火力の
技術
のお話がございました。火力発電につきましても、戦時中十数年の間の空白があるのでありまして、私
ども
曾
つて
十年も前に電気事業をや
つて
いたときには、石炭の消費量が最も性能のいい
発電所
でも一キロワットアワーについて〇・七キロぐらいというような
状態
であ
つたの
でありまして、現在はそれが〇・五ぐらいなものにな
つて
おる。これは非常な
技術
の進歩で、これは材質もありましよう、非常な進歩であるのでありますが、国産では遺憾ながらできないのであります。今の火力
発電所
では御承知でしようけれ
ども
、昔は火力
発電所
というのは
補給
を原則としてお
つたの
でありますが、ところが今の火力
発電所
はそういうようにできない非常な高性能になつたものですから、或るときに随意に運転したりやめたりすることができない。一度運転に入ると連続的に運転するほうがすべての能率上いい、機械の保守からい
つて
もいいというようなぐらいに非常に高度に発達して来ておるのでありまするが、これも残念ながらまだ日本でできないのであります。こういう水準に達するようにどうしても推進して行かなければならない。それで今度東南アジア等に日本の
技術
進出の話がございまするけれ
ども
、幾ら土木の
技術者
が優秀な人がお
つて
東南アジアに行きましてあすこの仕事をとりましても、
土木技術
者だけでは駄目だ。各国の競争場裡におきましてやはり機械化して行かなければならない。日本で請負を取
つて
日本が仕事を取つたからとい
つて
機械の注文を
アメリカ
ヘやり、ドイツヘやり、英国にや
つて
お
つたの
では一遍に日本の
技術
の信用を失う、これは私は現状ではないかと思うのでありますから、こういうことは私は素直に考えて一日も早く日本の劣勢を補
つて
この新らしい調和のとれた
技術
の高い水準で
外国
へ出て行くというようにして行かなければならないと、こう考えて私自身は微力ではありまするが、折角そういう方向に進んで行きたいと思
つて
努力しておる最中であります。
藤田進
12
○藤田進君 只今の点はそれぞれの見方だと思いますが、私は議論するつもりはございませんが、ただ佐久間の
現地
についてこれを
調査
いたしましても、又
現地
のあれは永田さんでしたか、ほかのかたの御
説明
を聞きましても、大体このシヨベルの爪ぐらいのものだ。爪があるために日本のはもろくて、又もろくなければ曲つたりして困る。まあ御覧の
通り
殆んど日本人が駆使しておるということで、誠に当初の指導は有難かつたが、現在もう十分に日本でもかようにやれる
状態
だということでありましたし、ですから未だに
外国
の指導を受けなければならんということはもうさらさらないのだというむしろ確信を持
つて
帰
つて
来たものですが、併し首脳部におかれてはまあ過去もそうだが、近い又将来もそういう指導を必要とされているということはこれは
一つ
更に御
検討
をお願いしたいと思います。なお私以外の御質問があると思いますから、私は一問ずつでなくてメモでもちよつとしてもら
つて
数点同時にお伺いしてお答えを得たいと思います。 その
一つ
は、元へ帰りますが、
御母衣
、この
計画
なり
開発
というものは、これはもう当然なされるのだ、これは
調査
の結果すでに今の段階でこれを放棄するつもりはないということが先ずわかりました。そうだとすればその着手等についても相当三十一年度予算にということでありまするし、いわゆる五カ年
計画
の一環としてなされた。これが一応
計画
外に事実上な
つて
しまうのではないだろうかと思われますので、その点がそうなのかということ。つまり
御母衣
の
開発
というものが
調査
に非常に手間取
つて
設計
変更しなければならんというようなことから当初
計画
より明らかにずれて来たわけですが、これが五カ年
計画
との
関係
について
一つ
資金的にもお伺いをしたいと思います。 それからその次に第二点ですが、前回当
委員会
においで頂いたときは丁度私もいなか
つたの
で、速記録等によ
つて
伺
つて
いる次第ですが、併し当時は正副総裁とも就任早々のことでもあ
つたの
で、確たる御
方針
についてもいろいろ御検索なさ
つて
いた段階であ
つて
、必ずしも確定した
方針
ということは言えない
状態
下にあつたと思います。そこで
開発
会社
の今後の性格等について、
電源開発
促進法の改正を必要とするかどうかが今世上伝えられている
状態
下にありますが、たまたま臨時国会並び通常国会を間近に控えておりまする当
委員会
としては、この際
電源開発
首脳部におかれては、
開発
会社
を従来
通り
運営をし、要するに
開発
してその
開発
はいずれ
電力会社
等にこれを譲渡するという従来の
方針
を踏襲されるのか、或いはそうでなくて
開発
した
発電所
はこれを保有して送電線も持つ、いわゆるこの発電、送電というものを運営なさるという方向にお考えにな
つて
いるのかどうか、若しこれを保有するという
方針
であるとすれば、水利権との
関係
ですね、例えば
御母衣
で言えば
関西電力
でしたか、あそこに渡すということで、あそこは
開発
会社
が
着工
されるということのように私伺
つて
いるわけですが、そういう問題もあろうかと思いますが、これが
処理
についてはどういう方法があるか、この点を第二点としてお伺いしたいと思います。 それから第三点ですが、私
ども
昨日、よく知らない人ですが、匿名ではないと思いますが、四国
電力
と住友共電との長い間の係争にな
つて
おりました問題について非常にこれを攻撃して、つまり政治資金を集めるための解決がなされているのだというかなり長文の文書を昨日、恐らくこれは皆さんにも行
つて
いると思いますが、若しそうだとすれば非常に意外に思
つて
いるのですが、それはどうでもいいですが、あの住友共電と四国
電力
との
関係
は結局はこれは通産省の問題でしようが、
開発
会社
のほうでこれを
開発
するということにきまつたように新聞は報じておりまするしいたしますが、通産省にもこれを質しますけれ
ども
、
電源開発会社
としてこの点がどのようにな
つて
いるか、この際明らかにして頂きたい。 それから第四の点ですが、最近何か事故が起きたところがある、最近でございましたか、今ちよつと副総裁触れられたようにも思うのですが、果してそれが私が質問申上げることと同様かどうかわかりませんが、プレッシャー・トンネルがパンクして、これが補修を必要するというような問題があるということだそうでありますが、あるとすればその
場所
とそれが
事情
ですね。簡単でよろしうございます。その責任が一体どこにあつたか、
設計
が悪か
つたの
か、
施工
が悪か
つたの
か、
設計
、
施工
共に杜撰であ
つたの
か、まさに発電を開始するというときに当
つて
若しそういう事故があるとすれば大変な損害だと、私は発生
電力
がないだけでも大変な損害だと思うのですが、この点をこの機会にお伺いいたしたいと思います。 それから、もう一点でとめますが、最近補償の問題をめぐ
つて
、田子倉においては土地収用法にかけるということが今
説明
せられましたが、私聞きましても、例えば
鳩ケ谷
、
御母衣
もそうでございませんか、何か非常に悪質な、補償目的のバラック建の家を建てたりして、とにもかくにも補償を取るんだということですね、はかに何の目的もないというものがかなりできておる。これをめぐ
つて
今陳情、請願が多数来ておりますのは、この補償に対して土地収用法はあるけれ
ども
、それに代るべき立法ということにまあ言
つて
あります。これらについて直接担当されておる
電源開発会社
がどう考えておられるか、
電源開発会社
としてはさような陳情とか、そういつたものをどうも受けていないように思います。他の部面から受けておるように私記憶いたしておりますが、この点に対してどのようにお考えか。今伺
つて
おります立法の内容については私承知いたしておりますから、特殊なお考えがあれば別ですが、内容はよろしうございますが、あの土地収用法に代るべき別の立法ということになりますと、非常な弊害も一方に起きるであろうと思われますので、この点に対するお考えをお伺いいたしたいと思います。
藤井宗治
13
○
参考人
(
藤井宗治
君) 第一点の
御母衣
の竣工期間が遅れましたために五カ年
計画
はどうなるか、こういう御質問でございまして、これは御尤もな御質問ではございまするが、これは工期が、竣工期間が遅れれば自然五カ年
計画
にこれだけの穴があくのでございまするが、これに対しましてはその後追加されておりまする
地点
もありまするので、予算の都合がつけば当初の五カ年
計画
の穴を埋めるために努力しなければならないし、努力したいと思います。そういうような観点から、或いは九州の瀬戸石もやりたいと思いまするし、
先ほど
、これは後に関連して参りまするが、若し四国の奈半利川が
当社
でやらなければならなくなりまするとすれば、こういう所に、
下流
の
地点
ですね、そういうふうなものも考えたり、或いはこの前の臨時国会でありまするか、
調査
を命ぜられておりまする態野川
地点
等の
比較
的容易な所を先にやるとか、こういつたようなものでできるだけこの穴を埋めたいと思います。又これは
電力会社
とも十分協調いたしまして、
御母衣
は
補給
用の使命を持
つて
おりますので、これは火力等の問題について遺憾のない措置を講じてもらうようにしなければならないと考えおります。 それから第二点でございますか、
開発
会社
の今後の性格についてのお話でございまするが、これは設備を
電力会社
に売るか、或いは
電力
設備を保有して
電力
で売るかという問題でございまするが、これは全部をことごとく保有しようとも考えられませんけれ
ども
が、ものによつたらこれは
電力会社
のほうへ譲渡しようと思
つて
もし得ないものがあると思うのであります。特に
電源開発会社
の
発電所
は御承知のごとく大
規模
なものが多いのでありまするし、昨今のごとくことごとくこれは
補給
用に使われる
地点
でありまして、而もそれが東京
電力
と中部
電力
と両方に分けて使われるというような
発電所
でございますので、これは実は譲渡のしようがない、こう考えておるのであります。これは只見川水系についても同様でありまして、
従つて
好むと好まざるとにかかわらず、これは
電源
会社
がこれを保有して
電力
を
電力会社
のほうに売るということにならざるを得ないのではないかと考えております。従いましてこの問題につきましては時日が決定するというふうにお考え願いたいと思うのであります勿論これは本当にナーバスに考えて来れば、或いはいろいろ
意見
もありましよう、又イデオロギー論から言
つて
もいろいろ
意見
がございましようが、私はそういうことは
一つ
個人の
意見
としてはありましても、差控えさせて頂きたいと思うのであります。而して供給
会社
に仮になるにいたしましても、現在の促進法の改正は今直ちにしなくてもよろしいのではないか。それでや
つて
行けるようにも思うのでございまして、目下のところは私
ども
のはうとして今すぐ法律を変えてもらおうと考えておりません。これは促進法についてでございます。又
先ほど
水利権の問題についてのお尋ねでございましたが、
御母衣
の水利権はすでに
関西電力会社
から
当社
のほうへ委譲を受けております。勿論
発電所
を
電力会社
にお譲りする場合には、水利権もこれは合せてお譲りするようにしないと、水利権だけを
電源開発会社
のほうへ残しておいて、そして設備だけをお譲りするということは、これは面白くないかと思いまするが、
御母衣
問題だけについて申しますれば、すでに
当社
のほうへ水利権が移
つて
おります。蛇足でございますが附加えて御
説明
申上げます。 それから第三の四国
電力
と住友共電との話でございまするが、これは私のほうにはそういうふうな情報が実は入
つて
おりませんので、そういう政治資金をどうかというようなことは全然存じませんか、私の想像するところではまさかそんなことはあり得ない。こう考えられるのでございますが、この点はむしろ通産省の御当局のほうからお聞き願いたいと思います。奈半利川の
開発
の問題につきましては勿論
当社
といたしましては、
審議会
で御決定になり
当社
でやることにきまれば勿論やらねばならないし、やる用意もいたしております。前の
審議会
であそこは
調査
だけはしておくようにという決議にな
つて
おるようでありまするから、
調査
は進めて参
つて
おりまするが、この
調査
にいたしましてもあそこには多少の世上伝えられるところによるといろいろ問題がありまするので、まだ徹底的
調査
まで延びておりませんが、成る程度までの
調査
は進めてはおりまするけれ
ども
、これは
審議会
決定後でないと私
ども
のほうでこれはやりますということを申上げかねるのであります。 それから第四点のどこか事故を起したのではないかという問題でございまするが、これはたしかこの前の
委員会
におきましてお話が出たと思いまするが、岩手県にあります胆沢
発電所
についてであります。これは胆沢
発電所
は本年の一月に通水を開始いたしまして、
電力
を供給いたしてお
つたの
でありまするが、一部分非常に
漏水
の甚だしい所がありまして、そこの隧道が大きな破損をしては困りますので、大事に至らない前に、丁度昨今非常に水が減
つて
いるときを利用いたしまして、これは根本的の修繕を加えることにいたしておるのであります。この事故の原因につきましては、まだ最後的の結論を申上げる段階にな
つて
おりませんが、大体の見当といたしましては、これは工期を余りに急いだ点と、当時資材等の節約をするために鉄管を節約するとか、或いはグラウトを十分にやらなかつたというようなことが原因でございまして、今の
地点
は実は
比較
的
岩盤
ではあ
つたの
でありまするが、地表に近い所に、もつと深いところを通さなければならないものを
比較
的表面に近い所に圧力隧道を通したために、その部分が
漏水
をいたしたのであります。そういう部分に対して現在鉄管を今入れております。その他の所につきましても更にグラウトの強化をや
つて
おるのであります。この原因は
会社
ができました当時、全然
会社
に
技術者
がいない、手のないところへ
予定
通り
これは竣工をしなきやならないというので竣工を急いだ、そのために
設計
なり
工事施工
監督を工務所のほうに依頼いたしまして、全部工務所の
設計
により工務所の
施工
監督によ
つて
や
つたの
でありまして、
設計
の点におきましても遺漏があり、又
工事施工
上についても遺漏があ
つたの
でございまするが、要は
会社
が創立当時といたしまして、手がないのにかかわらず工期を非常に急いだ、この二点がこういう結果を招いたものと推定されております。これに対しましては
当社
といたしましても放
つて
置くわけに行きませんので、今
委員会
を作りまして徹底的に原因を究明し、将来こういうことの起らないような措置を講ずると共に、その責任の所在を明らかにいたしまして、その責任は徹底的に追及するということにな
つて
おります。 第五点の問題でございますが、補償の問題でございまして、これはそういう事例が
当社
に
影響
しておる点があるのでありまして、ですが本社のほうへまだそれは持込んでおりませんが、これは
現地
におきまして、これは
御母衣
等にはございまするが、そういうふうに一たびそのところへ
発電所
を造るということは公式に発表された後にそういうことを
計画
され、或いは建築物等を建てたものに対しましては補償しないという態度で臨んでおりまするので、今のところ表面化して大きな問題として本社に持込まれた問題はないのでありまして、
現地
でおおむね
処理
しておるようであります。併しこういうことは今後起りがちの問題であるし、これはひとり
電源開発会社
ばかりでなく、その他の、或いは建設省でやられておる
工事
、鉄道
工事
等にもいろいろ
影響
のあることでございまするので、悪例にならないように私
ども
としては措置いたしますると同時に、必ずしも好ましいことではございませんが、やはりこれに対してそういうことのあつた場合にもののわからない、非常に頑迷でもののわからないような事例に対しましてはやはり法的にこれを解決して頂く以外にないと思いますので、私は
皆様
の御配慮によ
つて
立法的措置を講じて頂きたいと念願いたしております。勿論そういうものはいわゆる伝家の宝刀でありまして、みだりに抜くべきものではありませんが、どうしても止むを得ない場合においては法的措置に訴えざるを得ない場合もあるかと思いまするので、この点はよろしくお願いいたしたいと思います。
藤田進
14
○藤田進君 恐縮ですが、もう一点ですが、以上の点は私まだ重ねてお伺いしたい点もありますが、時間がありませんから、五カ年
計画
が作られて需給のバランスということについて私
ども
資料
を通産省等から頂きました。ところで最近のこれは政府政策との
関係
で無論ありましようが、需用の伸びがむしろとまつたという
状態
であると思います。そうなればこれは現状においてそうですから私
ども
の見解では、と同時に専門家のいろいろの見解を聞きましても、明年の三月頃にはかなりこの企業というものが整理される、むしろ政府もそういつたところを狙
つて
いるようにも思われます。過剰投資の整理ということになりますか、更に操短ということも今行われつつあるような方向にな
つて
おります。そういうふうにな
つて
参りますと、五カ年
計画
というものに対する再
検討
を必要とするのじやないか、
渇水期
におけるこの不足
電力
を賄うということであればそれは火力だとか、或いは
貯水池
だけでいいと極端に言えばそういうことに変るでしようから、
発電所
や変電所は必要としないというようないわば一連のデフレ政策の更に進行した来年の三月等、今後見通しますとますます需用は、これは減少とまで行かなくても現状が維持される
状態
になるのではないだろうか。これも
開発
を担当されている
開発
会社
の首脳部の皆さんのお考えがどういうふうにこれにマツチいたしつつあるかということを実はお伺いいたしたいのであります。当初の
計画
通り
財政投融資を取
つて
、或いは一方において外資も努力してとにかく需用はともかくとしてこれを推進するということなのか、或いは再
検討
するという立場におありなのか、お伺いしたい。
藤井宗治
15
○
参考人
(
藤井宗治
君) 只今のお話でございまするが、確かにデフレーシヨンの進行によりまして需用の面に変化のあることは、これは想像に難くないのでありまするが、ただ御案内のように、
電力需用
というものは少し長い目で見ますると大体年々五%ぐらい伸びておるのであります。これは過去の事例に徴しましても、丁度
昭和
の初め、四、五年頃に非常な不況時代が参りまして
電力
の需用が激減した時と時を同じうして、木曾川水系を初めとして大きな
水力発電所
が陸続として
新設
いたし、一時
電力
が余る時代があ
つたの
でありまするが、まあそのために最初の電気事業の統制の第一歩に入つたように記憶いたしておりまするが、併しそれも束の間で、やがて非常な
電力
の需用が回復して参りまして、
昭和
四、五年頃にちよつとそういう事態が起
つたの
が
昭和
八、九年頃にな
つて
来ると足らなくな
つて
来たというような
状況
も過去の日本にあります。戦後におきましても戦争直後におきましては、これはまあ異例な場合ではありましようが、需用が半減して、電気の使い方に困
つて
電気製塩までやろうというような時代があ
つたの
でございますが、これも束の間でその電気製塩なんかはいつの間にか放擲して、もうその後電気が足らなくなつたというような時代もございます。と同時に御承知のように、発電
工事
というものは長い月日がかかるのでありまして、すぐ需用が起
つて
来たからと言
つて
急に建設するわけには行かないのでございまするので、これはやはり無鉄砲な
発電計画
を推進することは、これは避けなければならないかも知れませんが、大体長期の見通しを立てまして、それに応じた
発電計画
はこれは推進して行かなければならないかと思うのでございます。この点はむしろ
電力
政策の全般をお扱いにな
つて
おりまする通産省の御当局から御
説明
願つたほうが妥当かと存じまするが、お手許にお配りしてありまする印刷物にもちよつとその点最後のほうに附記してあると思いまするが、五カ年
計画
の
状況
を一暼いたしましてもむしろ
発電計画
のほうが需用よりも下廻
つて
おるというような割合内輪な五カ年
計画
にな
つて
おるようでございまするので、現象的に只今需用がデフレーシヨンの
影響
を受けて減退いたしましても私は電気に関する限りは、この程度の
計画
はどうしても進めて行かなければいけないのじやないかとも思うのであります。而して
電源開発会社
といたしましては、この
計画
通り
行きましても又全体の需用の半分足らずしか建設いたさないのでございまするから、これは財政難のときでございましようが、産業の基本になるものでありまするので、どうしてもまあ
予定
のようにこれは
計画
を進めさせて頂きたいと、こう考えております。
高橋衛
16
○高橋衛君 この問題は、或いは
電源開発会社
のほうにお聞きするよりも公益
事業局長
に御答弁を願つたほうがいいかとも考えるのでありますが、一点だけお伺いいたしたいと存じます。それは
先ほど
非常にほめられて然るべきであるという御
説明
でありました大井川水系の発電について送電線を共用するというお話でございますが、それとの関連もあるわけでありますが、例えば
御母衣
の
発電所
を増築されることにつきまして十七万キロの発電が得られ、併しながら同時にそれは
下流
の
関西電力
の各
発電所
に対して相当大きな実質上の利益を与えるのであります。然るにこの
工事費
はすべて
電源開発会社
でお持ちになる、
従つて
これをこのまま放置するときは国の国策
会社
であるところの
電源開発会社
の負担において
関西電力
が相当不当なる利益を受けるという結果を生ずるのであります。又同時に他の全国各地にありまするところの、各府県等がや
つて
おりますいわゆる公営事業としての
洪水
調節を兼ねたところのいろんな
ダム
工事
がございますが、これらにつきましてもその発電そのものはそれほど直接には大きな
影響
を享受しないのでありますけれ
ども
、同時にそれが
下流
の
発電所
に実質上大きな利益を与えるという面があるのであります。それで最初に、例えば
御母衣
等の
工事
が完成した場合、その
工事費
の幾分を
関西電力
に負担させるおつもりであるかどうか、又は負担させることが困難であるとすれば
電力
料金の面においてそれを如何に計算してお取りになる御
予定
であるか、更に又今回お話合いがおつきになつたということでございますが、大井川水系の送電をする際にその送電をする経費、
関西電力
においてはそれだけ大きなつまり経費の節約になるわけでございますが、それに対して如何なる負担を中部
電力
ですかにせしめる御
予定
であるか、更に又公営事業等の場合においてそれらの計算を如何に計算をして各
電力会社
に負担せしめる御
方針
であるか、それらについてそれぞれ
電源開発
の御当局並びに公益
事業局長
から御答弁を伺いたいと存ずる次第であります。
藤井宗治
17
○
参考人
(
藤井宗治
君) 只今の御質問でございますが、御尤もでございまして、私
ども
といたしましては
下流
増の利益は
下流
に
発電所
を持
つて
おられるかたぞれの御利益になるのでありまするから、これは当然建設費或いは建設費の代りになるところの料金の形において負担して頂かねばならない。それが公正であろう。こう考えておるのでありまして、この点については現在のところまだ
発電所
もできておりませんから、具体的には問題にな
つて
おりませんが、寄り寄りそういう話はいたしております。
電力会社
の側といたしましても、そういう点については考えなければなるまいという考えでありまするので、この問題については事
電力会社
に関する限りは円満裡に話が進めて行かれるのではないかと思うのであります。 なお送電線の問題でございますが、これにつきましては、もう勿論井川部分については適当な割合で、これは設備の使用料の形で中部
電力
から金は
電源
会社
のほうに受入れることにな
つて
おりまして、これは話を進めております。この点については問題がないと思います。なお併し
下流
増の利益等はひとり
電力会社
ばかりじやございません、その他の場合も起り得るのでございまして、これもまあできるだけ平和裡に折衝して話は取極めたいと思いまするが、いろいろの問題にも関連すると思いますので、そういうことのためにもできることなら立法措置を講じて頂きたい、こう考えまして、私
ども
も
関係
御当局等にお願いしておるような次第でございます。
石原幹市郎
18
○
委員長
(
石原幹市郎
君)
先ほど
藤田
委員
から言われた奈半利川の問題なんかも併せて願います。
中島征帆
19
○
説明員
(中島
征帆
君) 只今の点を先に申上げます。
下流
増の問題につきましては、これは当然に理論的に考えまして、
下流
増によ
つて
利益を受ける事業体からその部分のものは出してもらうというのが当然でございまして、その趣旨には我々も変りございませんけれ
ども
、実際問題としまして、どういうふうな計算
方式
で、どの程度の負担をしてもらうかというふうなやり方につきましては、目下
研究
中でございます。それからいま一点は、こういう問題はやはり
上流
のほうの
工事
をしますまでに、大体その原則につきまして
下流
の
関係
者とあらかじめ話合いをしておくということが事を円滑に運ばせるゆえんなのでありますが、それにはやはり只今分申しましたような計算基準式のものがございますると、その
関係
で話もはつきりいたしますので、それからいいましても、基準を早く作る必要があると思います。現在までのところ下と上との十分の相談がなくて、上のほうで進められておるという点につきましては、これはやはりどの程度の負担をしてもらうかということについては交渉上今後の問題が残るわけでございますが、できるだけこれにつきましては円滑に進めるように役所のほうでも努力して行きたいと思
つて
おります。 それから
先ほど
御質問になりました奈半利川の問題でございますが、これは実は今日の午後
電源開発調整審議会
を開きまして、これを
電源開発会社
に
開発
させる準備
地点
として指定するということを諮ることにな
つて
おります。この経緯は皆さん或る程度御承知だと思いますが、四国
電力
と住友共電との間に三年間に亘りまして対立してお
つたの
でありますが、通産省のほうから調停案式のものを今年の夏頃から提示いたしまして、特に住友側の協力を要請してお
つたの
でありますが、これに対しまして住友のほうからもいろいろの御注文がありまして、それもできるだけのことは、引受けられるものは引受けることにしまして、最終的に昨日共電のほうも
開発
会社
に
開発
させるということに同意して参りました。従いましてこれは現在におきましては円満に解決されたことにな
つて
おります。その間におきまして両者におきまして
調査
もダブ
つて
や
つて
おりますし、それから地元工作その他
一般
等に対する宣伝等に対しまして相当な経費も使
つて
おると思いますが、それ以外にどういうような運動をなされているかということはちよつと私にはわかりませんけれ
ども
、少くとも今日まで相当係争を続けたということにつきましていろいろな無駄な経費があつたということは甚だ遺憾でありますけれ
ども
、認めざるを得ないと思います。 それからいま一点、
先ほど
需給
関係
の見通しにつきまして御質問があつたようでありますが、これもついでに申上げておきますけれ
ども
、最近、特に九月、十月あたりから需要の伸びが少し落ちたような傾向にな
つて
おります。併し今年の上期の実績を見ますというと、上期出水率は一三%程度の増でございますが、実際に使われました
電力
量というものは、
計画
に対しましても、それから昨年の上期の実績に対しましても数%ではありますけれ
ども
伸びております。十月も速報が来ておりますが、十月は水の
状況
は上半期は豊水でありまして、下半期になりましてぐつと減
つて
おります。現在では大体三割ぐらいの渇水を続けております。月平均といたしましては四%程度の豊水にな
つて
おります。これに対しまして需用も大体
計画
に対しましては二、三%伸びておりまして、今までの伸び方を比べますと、少し落ちておりますけれ
ども
、殊に昨年の実績と比べます場合には、昨年もあのような偽水でありまして、而も需用もそれについて来た。それに対しましてやはり今年の実績も伸びておるということでありますから、現在の一、二カ月の
状況
だけを見て需用もとまるということを考えるのは少し早計じやないかと考えます。EEIの第四次
報告
によりますというと、やはりこれは当初五カ年
計画
を立てましたときよりも、もう少し伸びるというよう大
報告
があります。
従つて
五カ年
計画
の当初の数は少し不足するのじやないかというふうな見方さえされております。その意味におきましては、五カ年
計画
を現在の一、二カ月の
状況
だけで以て控え目に修正をするということは、まだその時期じやないのじやないか、むしろ後年度のことを考えます場合は、もう少し
開発
を殖やすということが必要ではないかというぐらいに考えております。
高橋衛
20
○高橋衛君 只今公益
事業局長
の御答弁で、できるだけ速かに基準というものを作
つて
行きたいという御
意見
のようでありますが、これは例えば利根川水系で申しますと、藤原
ダム
とか、その他地方公共団体でなしております公営事業としての
ダム
等につきましては、どんどん完成が近付いて来ておる。そうしてこの問題が極めて速急にきめられなければ紛争のもとになる虞れがあるのだと考えておるのでありますが、その点を、例えば統一等の形において至急御準備がなされ、又立法化するという御意思があるかどうか、この辺のところをもう一回お聞きしておきたいと思います。
中島征帆
21
○
説明員
(中島
征帆
君) これはできるだけ早く基準は作るつもりでございますが、まあ今のところ立法化するまでの必要はないのじやないか。事実一応の基準ができますというと、それを基本にいたしまして話合いを進めるという程度で、これによ
つて
何らかの強制措置をとるというところまでは、現在のところでは考えておりません。
石原幹市郎
22
○
委員長
(
石原幹市郎
君) それでは午後
電源開発
審議会
があるようでございまして、
参考人
のかたも急いでおられます……。
海野三朗
23
○海野三朗君 一点だけお伺いしたい……。
石原幹市郎
24
○
委員長
(
石原幹市郎
君) では簡略に。
海野三朗
25
○海野三朗君
藤井
さんにお伺いしたいのですが、田子倉の奥に人家がございまして、四十何軒ありましたか、あそこを私らこの前行
つて
見て来たのですが、あそこの補償問題はもう片付いたのですか、又ほかにこれを追いやる場合に、その行き先の土地についてもやはり
会社
はお世話をしておられるのか、ただ金だけくれて、承諾したならどこにでも追つ払うというお考えでいらつしや
つたの
か、その辺お伺いいたしたいと思います。随分立派な村でありました。四十何軒あそこにございましたが、あの補償問題はどういうふうにな
つて
おりますか、お伺いいたしたいと思います。
藤井宗治
26
○
参考人
(
藤井宗治
君) 田子倉部落の補償問題でございますが、これは五十戸でございまして、四十五戸のかたには同意を頂いておりまして、すでにこの
かたがた
には一部分補償金をお払いいたしました。五戸の
かたがた
が御承諾頂けませんので、
先ほど
申しましたように、これは誠に遺憾ではございまするが、土地収用法を適用をお願いいたして、現在収用
委員会
でいろいろ御
検討
願
つて
おる次第でございます。 それから金銭補償だけかというお尋ねでございまするが、これは私
ども
のほうといたしましても、又福島県といたしましても、移転先、替地というようなことを希望されるかたにはそのお世話をすることにな
つて
、福島県でもや
つて
おられます。私
ども
のほうもそういうつもりで、実は先般も豊橋のそばの高師、天白という所も
現地
に人が見に行かれたりいたしております。御希望があるかたには勿論お世話いたしまするし、県としても、私
ども
といたしましても、できることならばそういうことの替地を差上げて、そういう所に新らしい農家を再建してもらうようにお勤めしておるようなわけであります。
石原幹市郎
27
○
委員長
(
石原幹市郎
君) それでは
参考人
に終りに申上げたいと思いますが、本日は御多忙のところ当
委員会
に御
出席
して頂きましていろいろと御
意見
もお述べ下さいまして、有難うございました。 お話によりまして、
御母衣
の問題も大体わかつたような気もするのでありまするが、何せ、これは二十七年からかか
つて
おる問題で、而も只今まで承わりますと、いろいろ行きつ戻りつしておるような問題もあつたようでございます。又すでに相当の国費も投ぜられておることでありまするので、当
委員会
といたしましても非常な関心を持
つて
おるわけでございます。今後も補償問題やいろいろの問題とも関連いたしまして
調査
を続けたいと思
つて
おります。
開発
会社
におかれましても、あらゆる観点から間違いのない確固たる
方針
を一刻も早く樹立されまして、使命達成に進まれるように希望いたす次第であります。有難うございました。
藤田進
28
○藤田進君 今問題にな
つて
おります
御母衣
、或いはその水系の
鳩ケ谷
等、できれば
現地
について若干の
調査
を進めたいと思いますが、これについては、無論、予算の
関係
、或いは具体的にい
つて
、
計画
等があろうと思いますから、これは又理事会等におかれて最終的に
委員長
一任で結構ですが、そういう
計画
を
一つ
お持ち頂くようにお願いしたいと思います。
石原幹市郎
29
○
委員長
(
石原幹市郎
君) 只今藤田
委員
からお聞きのような御発言があ
つたの
でありますが、理事会といいましてもなかなかいろいろ御
予定
もあると思いますので、丁度、本日、多数の
委員
もおられますので、ここで
皆様
方と御相談しておくほうが却
つて
いいのじやないかと、今月末か来月初めには又臨時国会が開かれ、引続き通常国会になると思うのでありますが、若し藤田
委員
の言われるように、
調査
でもするということになれば、この臨時国会開会までの間が適当かと思うのであります。私も本日いろいろお話を聞きましたが、やはり、相当問題だと思いますので、当
委員会
としても、できれば一遍見ておいたほうがいい、それから補償問題も、今、或いは立法化の問題もございまするから、そういうことと関連して
現地
で認識を得ておくということもいいんじやないかと思います。なお、御
意見
がありましたらお伺いしたいと思います。 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
石原幹市郎
30
○
委員長
(
石原幹市郎
君) それでは速記を始めて。 この
電源開発
の問題は本日
参考人
からいろいろ
意見
を聞きましたが、相当問題があるように思いまするので、
先ほど
藤田
委員
からの提案もございましたが、当
委員会
としても実地について
調査
をして見たいと思いまするが、
調査
の日時或いは人員その他は
委員長
のほうへお任せ頂けますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
石原幹市郎
31
○
委員長
(
石原幹市郎
君) それではそういうことにいたしまして、事務局のほうで成案を得て、いずれ
皆様
方に御通知を申上げたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時一分散会