運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-11-09 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月九日(火曜日)    午前十一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 十月十四日委員森崎隆君辞任につき、 その補欠として三輪貞治君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            加藤 武徳君            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            中川 以良君            河野 謙三君            森田 義衞君            藤田  進君            三輪 貞治君            天田 勝正君            武藤 常介君            白川 一雄君   国務大臣    通商産業大臣臨    時代理     小坂善太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省石炭    局長      斎藤 正年君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    労働省職業安定   局失業対策課長  村上 茂利君   参考人    日本石炭協会会    長       新海 英一君    日本石炭鉱業連    合会会長    武内 礼蔵君    日本炭鉱労働組    合中央執行委員    長       阿部 竹松君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (石炭対策に関する件) ○参考人の出頭に関する件 ○理事補欠選任の件   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。  本日は公報その他を以ちまして御連絡申上げました通り通商産業一般に関する調査の一環としまして、石炭対策に関する件を議題といたしたいと思います。午前中は通産省当局から、最近の石炭事情、これに対する政府対策等について説明を求めまして、午後は関係業界から参考人出席を求めてその意見を聴取し、最後に取りまとめて質疑を行うようにいたしたいと思うのであります。午後は労働大臣通産大臣を兼ねておられます小坂氏の出席もある手配にいたしております。  そこで先ず午後御出席を願う参考人でありまするが、委員長におきましては、日本石炭協会会長新海英一君と、それから日本石炭鉱業連合会会長武内礼蔵君と日本炭鉱労働組合中央執行委員長阿部竹松君・以上三君を参考人として御出席願うように当委員会の御承認を得たいと思うのでありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないようでありまするから、そのように取計らうことにいたします。  それではこれから先ず政府当局のほうから全般的な説明を求めたいと思いまするが、最近の石炭事情概要と、それからこれに対して政府当局が現に手を打ちつつある対策、実は夏当委員会においても、北海道、九州の視察調査をいたしております。その後も政府当局出席を求めていろいろ話を聞いて、鞭撻もいたしておりまするので、いろいろ手を打たれておると思いまするが、それらの概要と、それから更に今後手を打とうとしておる対策、新聞の報道するところなどで見ますると、いろいろ合理化対策その他について根本的の兵法措置等も研究されておるやに聞いておるのでありまするが、これらに対する構想等につきまして、石炭局長から一応御説明を願いたいと思います。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 ちよつとその前に……、電気料金上げ方について納得の行かないかずかずがありますから、その点について政府当局に質問したいという私の前からの希望を申上げておいたのでありますが、それをいつ発言を許して頂けますか。
  5. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) この石炭問題にやはり関連いたしまして、炭鉱電気料金なんかも非常に上つておるようでありまするし、私も若干、質疑の何を持つておりますので、午後二時過ぎに公益事業局長にも出席を求めておりますので、石炭等一般の燃料問題に関連の意味で、そのときに適当に織込んで頂いたらよいと思います。
  6. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 最近の石炭需要とそれに対する対策という緊急措置と申しますか、そのほうから先に申上げたいと存じます。  最近の石炭需給につきましては御出席委員かたがた御存じ通りでございますが、最近冬場需要期に入りましたけれども、貯炭はなお四百万トンを下らないような状態でございますが、一得最近の十月分の統計が、速報でございますが、やつと出まして、それによりますと出炭が三百六十五万トン、それから荷渡しが三百七十八万トン、貯炭は四百九万トンという数字でございます。夏場の七、八月頃に比べますと荷渡しの面ではほんの僅か好転の兆候がございますが、根本的な状況は全然変つておりません。特にこの九月頃から何と申しますか、小品の当用買いと申しますか、長期契約によらない荷渡しのものが、そういう売買につきまして非常に異常な値段がだんだん出て来るようになりまして、従来からこういう小口売買のものにつきましては長期のものに比べまして不況時代は若干安いのが通例でございますが、今私の申しました九月以降のそういうものは若干安いというふうな常識的な範囲を越えまして、例えば京浜の市場でカロリー当りが五十銭くらいのもの、これを産地の値段に換算いたしますと、カロリー当り三十銭とか四十銭とかいうふうな値段に当るものが大分出て参りました。そういつた、まあ最近のコストは大手の炭鉱で山元で大十五、六銭くらいのところが平均コストでございますが、カロリー当りも三十銭とか四十銭とかいうものが、全くコストを無視したといいますか、非常識な価格でございますが、そういうふうな価格が出て来たということが又炭況悪化に心理的に非常に大きな影響を与えまして、このままではどうにもならない状態になつておりますことは皆さん御存じ通りでございます。それに対して当面の問題としてはどうしても需給状況を或る程度建直すという、そうして貯炭の圧迫を減少するということが何といいましても一審根本的な点だと思います。それにつきましては或る程度生産を実質的に抑制するということが必要でございます。現在の生産ベースは先ず上期平均いたしまして大体三百六十万トン程度、十月は先ほど申しました通りでありまして、若干殖えておりますけれども、まあ大体三百六十万トンベースで終始しております。この生産数量は現在の出炭の潜在的な能力から申しますれば或る程度抑圧された数量だと我々も考える次第でありますけれども、もう一段これを圧縮しまして当面貯炭悪化を緩和する、そういつた非常識な投げ物相場が出るということを抑制するということが当面の炭況改善に一番大事な点だと我々は考えております。この問題は我々政府のほうとしての政策の問題ではなしに、業界が自主的に解決すべき問題でございますが、それに関連しまして政府側として考えられることは、貯炭そういつた投げ売りが出ますということは生産業者金融的に非常に行詰つておることを示すわけでありますから、何らかその金融の面に対策を打つ必要があるということでございます。これは通常の運転資金でありますから財政資金の問題にはなつて来ない点でございますが、運転資金確保につきましては政府のほうと申しますよりも、関係機関でも相当今の石炭実情から鑑みまして考慮しておるようでありまして、貯炭の処理について何らかはつきりした見通しがつきますれば然るべくそれぞれの当局考慮をしてくれるものと我々は考えておるわけでございます。  それから金融的な悪化を緩和するもう一つの問題といたしまして、設備資金、特に政府関係設備資金の返済問題がございます。これにつきましてもやはり特に開銀当局あたり考え方は、実際に支払う能力のないものを無理に取るという考え方はないのだ、これは金融機関としては当然のことでございますが、実情に応じて考えて行くという態度で今調査なり研究なりをしておるようでありまして、各企業のほうから具体的に開発銀行当局にお話をするという段階になつておると我々考えております。  それから対策一つとして重油輸入炭の削減がやはり需要面の拡大という面から需給状態を改善させる方法として考えられるわけでございます。重油につきましては御承知のように五百三十七万キロ・リッターという本年度消費目標がきまつておりまして、下期につきましては更にそれに対して十万キロ・リッター削減することに決定しておるわけでございます。この数字は二十八年度末の消費基礎と申しますか、その当時におきます消費需要規模に対しては相当の規制となつておる。従つて規制された部分は石炭需要に当然返つて来るはずだというのが政府当局考え方であつたわけでありますが、どうも実際はデフレ影響であろうと思うわけでありますが、それがかなり強く当初の予想よりも出ておるようでありまして、我々が重油規制の当初に考えた状況に比べて石炭に対する影響がどうも薄いように感ぜられるわけであります。この辺はどのくらいが一体デフレによる需要減少でどのくらいが規制による減少だという判定が非常に困難でございますが、感じとして今言つたような傾向があるように感ぜられるわけであります。従つてそういう点からもう少しこの規制強化することができないかということは当然問題になり得るわけでありますが、通産当局考え方といたしましては、この重油規制の五百三十七万キロ・リッターというものは一応昨年度実績というものを基礎にして、それを超えないということを目標にした消費規制でありまして、又同時に手段としては行政的な措置勧告なり何なりでなし得る限度でやるというふうに考えてその限度で考えたわけであります。将来の石炭重油との消費分野の点から考えれば、もつと更にこの規制強化する必要があるのではないかということが当然考えられるのでありまして、その辺についての根本的な見通しが立ちますれば、その見通しによつてもう一度本年度の下期の配給計画についても検討をし直すという方針只今作業をやつておるわけでございます。ただ事務的な検討の結果といたしましては、これ以上規制強化するということになりますと、消費する各企業間の負担の不均衡というふうな問題が当然出て来るわけでありまして、従つてその均衡を回復して行政的にまあ公平な措置をとるということになりますれば、行政的な勧告その他では措置し得ないところに対しては法的な強制力ということも当然考えなければならないのであります。そういう措置をとらない限り、業界の納得した規制強化ということは困難じやないかというような点も予想されておりまして、従つて消費規制方法の問題も併せ考えて規制強化程度をきめなければならないというようなふうに考えておりまして、今折角どの程度までこれを削減し得るか、まだ検討段階でございます。  なお輸入炭につきましては、当初の予定よりも大体八十万トンくらい削減することで計画が組んであります。昨年の実績に比べますれば百万トンを遥かに起す圧縮になつておりますので、本年度に関する限りこれを更に規制することは困難なように考えられるわけであります。  まあ以上は石炭需給面に関する対策でございますが、こういつた需給状況悪化に関連しまして当然失業問題、或いは何と申しますか困窮労務者というふうな問題が出て労働対策の面で考えなければならない問題が出ておると思います。その応急対策として御存じのように鉱害復旧事業の三十年度以降の分を繰上げてやることにいたしまして、この前それが決定いたしまして、事業総量としては約七億円、そのうち四億円が国庫の負担でございまして、そのうち約三億が予備金支出、約一億が公共事業節約解除ということでスタートすることになつて、今折角その準備を進めております。我々の考えでは今月の下旬頃から丸際の工事をスタートいたしますと仮定した場合には一日平均八千人強の労務者をこれによつて吸収することができる。なお現在やつております既定の鉱害復旧事業につきましても失業者吸収率を高めまして、その高めた分を合せまして新たに約一万人の労務者吸収ができるようにいたしたいということで努力しておる次第でございます。当面の対策につきましては大体以上申上げたような状況でございます。  なお今後の見通しにつきましては、今申しました重油消費規制の問題によつて若干よくなるかと思いますが、併しこれは重油規制をやりましても今後方針をきめまして実際に実行に移りますのは、早急にきまりましても一月以降になりますので、これが全体の需要量にそう大きな影響を及ぼすものではないように考えられます。そういう見地から重油規制の問題を一応度外視してどういう程度見通しになるかということを申上げて見たいと思うのでありますが、ただこれはまあ実は上期の消費なり、荷渡しなりが我々が予想しておりましたよりも非常に大幅に減りましたわけでありまして、従つてどうも我々の予想も大変まあ余り権威がないようなことで恐縮でございますが、一応我々の予想したところを申上げますと、本年度出炭は今の生産の抑制という問題を考慮に入れないで、現状程度生産が継続すると仮定いたしますと、約四千三百万トン程度でございます。そのうち上期の出炭が約二千百五十万トン、大体その半分程度は上期の出炭でございますから、下期も大体同額程度出炭があるということであります。それに対しまして上期の荷渡しが二千万トンをちよつと下廻つたような千九百五十万トンぐらいの荷渡しになつております。従つて大体二百万トン弱ぐらいが結局貯炭増加するということで、これが現在の極度の苦境に陥つた原因でございます。荷渡しも大体上期程店に推移すると保定いたしますれば、年度末に更に四百万トン程度にまで異常貯炭が殖え、貯炭総量としては六百万トンぐらいにたるというわけでありますが、我々の見通しでは、大体下期は現在の出炭程度のものは消化できるのじやないか、即ち上期は二千万トンを割る荷渡しでございましたが、下期は二千百五十万トン程度荷渡し確保できるのじやないかというふうに考えております。その原因の一番大きな点は、電力用炭でございます。電力用炭は上期豊水のために約百五十万トンほど計画から減りまして、これがまあ需給推算に誤算を起した非常に大きな原因一つであつたのでありますが、下期は大体計画程度荷渡しがあるものと考えております。幸か不幸か最近は、ちよつと渇水状態石炭消費も極く最近は殖えております。これは大体計画程度のものが消費されるのじやないか。そのほかに冬場は若干温度が下る関係から、又暖房用需要もありまして、需要が殖えまして、それらを考え併せまして上期に比べて約二百万トンぐらい増加の二千百五十万トン程度は十分出るのじやないか、そういたしますと生産規制がなければ現状程度貯炭をそのまま持越すということになるわけであります。大体その辺が若干業界見通しと我々の見通しと比べまして、我々の見通しを少し楽観的に見る見方もあるようでありますが、我々としては、一応この程度に考えております。  それから引続いて石炭恒久対策につきまして御説明いたします。石炭恒久対策につきましては、すでにしばしばこの委員会でも御説明いたしたことと存ずるのでありますが、石炭鉱業がなぜ現在のような苦境なつたかという問題として、やはり根本的に輸入燃料に比べて、石炭の現在の価格が高いという点に根本的な難点があるというふうに我々は考えております。これは米国から輸入いたします強粘結炭について考えて見ましても、大体FOB価格同額の運賃を負担して米国輸入炭価格がメリットを考慮に入れて考えますれば国内炭に比べまして、なお一割ぐらい安いという計算になつているわけでありまして、そういつた点が根本的に他の競争燃料需要分野を蚕食される原因なつたというふうに考えております。而も最近の石炭会社の経理については皆さん承知通りでありますが、重要な現在の我が国の出炭の主力を担つておりますような会社が殆んど軒並みに無配状態だということは、このような高価格にもかかわらずちつとも収益を挙げていない、即ちそれだけコストが高くなつているということを証明しているわけでありまして、このコストを引下げるということが石炭業の根本的な対策だ、それ以外に石炭鉱業の発達なり発展なりの途はないのだというように考えております。同時に石炭産業の米のような形であらゆる産業コスト基礎になつておるものでありますから、経済自立の促進という面からも、日本の物価の国際価格への鞘寄せという面からも、欧州のレベルに比べて二割程度は高い石炭価格をどうしても引下げなければならないということになるわけであります。この石炭価格、延いてはコストの引下げということはどうすればいいのかという問題でありますが、一つは実に坑内採掘条件合理化ということになつて参ります。これも再々説明したことと思いますが、戦争中から終戦後にかけまして石炭需給が極度に逼迫いたしましたために、当面の生産に追われまして、将来の生産に備えるための準備を怠つたということが現在の坑内条件悪化を来たした根本的な原因だというふうに我々は考えております。一般地下採掘作業は従来掘つております所を継続して掘つて行く場合には、漸次条件が悪くなるのは当然のことでありますから、現在採掘しておる所を掘鑿して行くと同時に、新らしい部面開発に着手するとか、或いは現在の坑内採掘構造コストが高過ぎるようになる前に新しい採掘構造準備して行くということが、当然こういつた鉱山業においては要求されるわけですが、その新らしい部面開発なり、或いは新らしい合理化した坑道準備なりというものを怠つていましたために、非常にコストが高くなつている、従つて石炭コストを下げますためには、そういつた遅れを取返しまして、新らしい坑内採掘条件整備ということをやる必要があるわけであります。その方法として我々が竪坑開発ということを言つておりますのは、これはその新らしい採掘準備方法として、坑道の切り方を斜坑でなしに竪坑方式にするということを考えておるわけでありますが、根本的には単なる竪坑でなしに、竪坑をも含めた、今申しました新らしい採掘条件整備ということ、或いは坑内構造の更新、合理化ということが必要でありまして、その条件といたしましては、何と申しましてもこういつたことをやりますには非常に資金が余計に要りますために、その資金面の手当に十分な措置をとるということであります。  もう一つ条件は、こういつた新らしい条件によります採掘をいたします場合には、どうしても効果といたしましては相当の増産になる、或る程度増産をしなければ十分な合理化設備効果が挙がらないということになりますので、或る程度需要規模確保するということ、この二つが一番大きな条件になると考えておるわけであります。そういう見地から我々の長期合理化計画も進めておるわけであります。同時に今のような合理化効果によりまする増産分を全部需要の開拓でカバーするということは現状としてはちよつと望めないような状況でございますし、かたがた現状でもまだ相当非能率炭鉱がございまして、それが石炭生産限界コストを高めておるような関係にもございますので、同時にこういつた非能率炭鉱整理することが現在の能率のいい炭鉱負担も軽減すると同時に、限界コストを低めるということになりよすので、非能率コストの高い山の整理ということも併せて考えなければならないというふうに考えております。  従つてこれが対策として、先ず第一に、竪坑開鑿という言葉の中に竪坑も含めた坑内の拂らしい採掘分野確保も含めておるわけでありますが、六十八本の竪坑中心といたしまして二十七年度以降の支出分も含めまして約四百億円の資金を投下したい。で大体昭和三十三年度まで今後の四カ年間に、そのうち約二百七十億見当を注ぎ込むように考えております。それからそのほかに一般合理化資金その他が年々百二十億くらい要りますので、合せて大体合理化資金はもう二百億くらい要ります。そのほかに返済資金が百億から百二、三十億程度ございますので、合せて毎年三百億くらいの資金需要があるわけでありますが、これはお配りした資料の中にも書き上げておきました。そのうちで財政資金としては毎年八十億出してもらいたいというのが我我の要求でございます。現在は三十億が開発銀行から投資されることになつておりますが、それに対して財政資金、既往の復金資金或いは見返資金も含めました返済分が約六十億ということで殆んど倍額の返済超過になつております。竪坑開発中心に新らしい企業を促進してコストを下げ、而もその下げたコスト価格に反映せしめて、価格自体を引下げて行くというためには、当然せめて回収分に相当する程度財政資金で面倒を見てもらつてもいいのではないかというのが我々石炭関係者考え方であります。そういたしますと現在のベース三十億円に更に五十億円程度を追加して頂いて、毎年八十億円程度を来年度以降四カ年間引続いて出して頂きたいということでございます。これは八十億と申しますのは、現在の財政投資規模から言えば、かなり大幅な増加でございますので、その財源につきましては丁度石油の関税の復活の問題が起つておりますので、その復活されました財源のうちからこちらに廻して頂くことにすれば調達できるのじやないかというのが我我見方でございます。  それから先ほど申しました非能率の炭坑の整理の問題でございますが、これは大企業の場合には幾つか山を持つておりますので、合理化されました炭鉱のほうに生産を集中することによりまして、非能率の山をそれに切替えて行くという、労務者も或る程度それに振替えて行くというようなことができるわけでございまして、そういつた面につきましては、この合理化資金投資に際してそれを条件とするようなことで推進ができる、当然企業としてもそれはそのほうが有利でありますからできると思つておるわけでありますが、特に中小の炭鉱につきましては自力で整理をすることが非常に困難なような事情にございます。而もこういう炭鉱を放置しておきますと、まあ非常な濫売をいたしましたり、或いは経営が極度に悪化するまで無理をして操業を継続いたしますために倒産に際しては賃金の未払とか、或いは退職金の未払とか、鉱害賠償金の未払、或いは今後の損害賠償の責任がとれないというようないろいろな社会的な弊害も起しております。従つてそういう炭鉱につきましては何らかの形で援助をする必要があるのじやないかというふうに考えまして、鉱業権の買取りということで援助をしたらどうかというのが我々の考えている手段であります。これは買取りを希望する鉱山につきまして鉱業権と、それから投資されました資産を買取つてやるということでありまして、買取りの資金としては政府からの助成と、それから石炭業者からの何と申しますか賦課金のようなもので財源にしたい。この買取つたものはその後事業を停止いたしますので事実上殆んど価値がなくなるわけでありますから、そういつた金利負担のない金で償却をして行くという考え方でございます。こういうことをやりますためには特別の組織を作らなければならないわけでありまして、現在特別鉱害一般鉱害鉱害復旧事業団というものを特別に法律を作つて行なつております。大体それに似たような府別機関作つてこれに当らせることにしたらどうかというふうに考えております。それから非能率な山の整理が完了いたしますまでの間新規に坑口の開設をすることを一つ抑制いたしたい。勿論合理化のための坑口については問題外でありますけれども、そうではなしに特に能率の悪い坑口を新らしく開設するということではわざわざ莫大な資金を投じて能率の悪い山を買取ることが意味をなさないことになりますので、坑口の開設につきまして許可制度を行いたいというふうに考えております。なお政府合理化に対する助成の方策としては現在開発銀行の金利が一割、復金或いは見返資金あたりの金利が八分乃至九分くらいになつておりますが、毎年二百億もの合理化資金を注ぎ込んで行くということになりますと資金負担も相当な額に上りますし、今申しました鉱業権の買取りのために政府が助成する場合に助成の財源の要求も考えまして、この金利を相当引下げてもらいたいというふうに我々は考えております。金利の引下げられました分の一部は鉱業権者の負担の軽減に充て、残りの一部を鉱業権の買取りの際の政府の助成金のような形で負担を軽減された炭鉱から醵出するということにしたら如何かというのが我々の構想でございます。で、こういつた形で政府が助成をいたしましてコストを引下げた場合にそれを炭価に反映させるということが当然要求されるわけでありまして、その方法といたしましては毎年合理化の進捗状況に応じまして適正なコストを算定してそのコストに基いた適正な炭価というものを政府で算定して公表するということにいたしまして、若し現実に契約されております価格がその標準の適正炭価を著しく上廻るというときにはその引下げを勧告するというような制度を設けたらどうかというふうに考えております。これは勧告だけでは非常に弱いようにお考えになるかも知れませんが、石炭価格は、特にその需要の大部分を占めます、或いは重点需要の殆んど大半と言つてもいいくらいでありますが、そういつた需要長期の契約でございまして、而もこれは石炭業者と、それから需要家とがそれぞれ団体的に交渉してきまるような形できまつております。国鉄の納入炭価の決定等が一番いい例でございますが、国鉄にいたしましても或いは電力にいたしましても或いはガス或いは鉄鋼向けというような重要ルートにつきましては殆んどそういう形できまつております。そういう際に政府が適正な価格はこの程度だということを公表をいたしまするならばそれが価格決定の相当重要な要素になるのじやないかというふうに考えられます。なお合理化の完成までの中間におきましてはなお輸入炭なり重油なりそういつた輸入燃料価格が国内燃料の価格に比べてなお安いという状態が継続しておるわけでありますから、若しそれでもなお実効が挙がらないような場合には加入燃料を殖やすというような方法もこれは政府考え方一つでできるわけでありますから、十分これで価格の不当な騰貴の抑制には役に立つのではないかと思います。なお、こういう政府援助政策をとるといたしますれば利益金の処分等につきましても或る程度の抑制は当然考えなきやならん問題だと思いますが、どの程度の抑制をどういう方法でやるかにつきましてはなお研究中であります。  以上のような措置の中には当然法律的な根拠を必要とするものが相当含まれておりますので、次の国会に必要な法律案を出したいということで現在準備を進めております。  ただ以上私が説明いたしましたことは通産省の事務当局だけで今のところ考えておる案でございまして、関係省について十分な了解がついておるというところまでは行つておりませんわけでございますので、その点は御了承願いたいと思う次第であります。
  7. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今までの石炭局長説明に対しまして質疑がありましたならば少し時間がありまするから御開陳を願います。なお川上鉱山局長、それから労働省から村上失業対策課長が見えております。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 局長にお伺いいたしますが、今まで大変御丁寧な御説明で大体わかりましたが、賃金が高い、つまり物価が皆高いと、こう申しますのは、根本がドルの関係にあるのじやないか。三百六十円が一ドルと、その建て方が根本間違つておるのではないか。これを例えば四百円にするというようなことになりますならば国内の石炭は外国の石炭と競争ができるようになるのじやないか。三百六十円の建て方が根本になつておるのであつて、その枠内でのいろいろ工夫をされておりますが、それは丁度重箱の隅をほじくるようなことであつて、私は根本三百六十円のドルの建て方というものが妥当でないのだ。実際四百円以上になつておるというふうに私は考えられるのでありますが、従つてこの三百六十円乃至四百円ということになつてつて行くか、或いは結局三百六十円のよりも以上に持つて行きましたならば、輸出のほうは期せずしてどんどん流れて行くし、重油などの輸入の点も或いは今度遥かに価が高くなつて来ますからひとりでに抑制される結果を生むのではないかと、こう考えるのでありますが、局長はどういうふうにお考えになつていますか、その辺……。尤もその建て方につきましては、政府の考えによるのでありましよう。併しながら局長の立場としてはこのドルのあり方が正しいかどうか。一ドルの三百六十円見当というものは私は間違つておる。これはどうしても四百円くらいにするのが妥当であろうというふうに思うのですが、如何なものでしようか。
  9. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 私石炭の担当者でございまして、全般的に三百六十円のレートが高いか安いかというようなことをお答えするような地位でもありませんし、そういう知識もございません。ただ先ほど申しましたように、石炭坑内構造が戦争中から終戦後にかけて非常に荒れたままにされて、その更新がされなかつたということを具体的に立証いたします例といたしまして、戦前は九—十一年頃が大体能率が一人当り十七、八トンくらいになつておりましたのが、現在十二トンくらいでございまして、当時の三分の二くらいの能率になつております。従つて今後、併し当時に比べますと坑内の採炭、運搬その他の技術の機械化が遥かに進んでおります。従つて坑内構造合理化をやりましたならば、たとえ労働実働時間の短縮ということを考慮に入れましても、十分当時並みの能率に上げ得るものと我々は確信しておりますが、そうなつた場合には現状よりも二割程度の引下げは十分可能である。そのくらいコストが下りますと、現在の輸入炭の入着値段、或いは国内の重油の入着値段に比べましても、需要地におきます価格面で十分競争ができる。現在の輸入炭なり或いは重油なりの価格は恐らく一番安い。今後これより安くなるということは考えられないのじやないかというふうに我々は考えておりますが、石炭値段はこれから合理化が我々の計画通りに完成いたしますれば、現状よりも二割程度は十分安くなる。この際には価格面で特別に政府がバツク・アップをいたしませんでも、十分輸入炭なり輸入重油なりと競争ができるものとまあ我々は確信を持つておる次第であります。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 只今局長のお考えは、それはあなたの担当部門は石炭のほうだけでありますから、それは御尤もでありまするが、国民の一人としてそういうドルの関係のことをお考えになつたことがありませんか、どうか。若しこのドルが三百六十円から四百円になつたとしますれば、どういうふうな変化が来るかというようなことは、やはりあなたも国民の一人としてお考えになつても然るべきものではないかというふうに私は思うのです。で只今のお話では、作業の状況を改良すれば二割くらい安くなる、そうして外国炭と釣合いがとれるとおつしやるけれども、外国炭はここまで運んで来ての話なんですから、二割安くなつたといたしましても、外国炭と競争できるとは申されないと思いますが、運賃のことを考えますと、それでありますから、根本は私はドルのことにあるのじやないか。そういう点についてはお考えになつたことがないかどうか。そういうことを私は伺つておるのですが、このドルを左右するのは勿論あなたお一人の考えでは何ともできないものでありますから、そこを聞いておるのじやなくて、あなた御自身としてどういうふうにお考えになつておるのか、そこをお考えになつたことはないかどうか、そういうふうなことを私は伺いたいと思つておるのです。
  11. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 政府方針といたしましては、現在の為替レートを基準といたしまして、それによる国際価格日本の物価を引下げるということが経済組織の根本になつております。我々もそのために仕事を専門にやつておるわけでございますので、今のお尋ねのような問題は我々の研究課題の範囲外だというふうに考えておりますので、特別の研究をいたしたことはございません。
  12. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 海野委員に申上げますが、午後大臣が見えますから、これはやはり大臣に若しお聞きになるならお聞きになられたらと思いますから、この問題はまあ……。
  13. 海野三朗

    海野三朗君 その問題は、ちよつと今一言、それは私は局長としてはそれはどうこうと言われないでありましようが、一体その為替レートが変つた際にどういうふうになつて来るかということについてお考えになつたことがないかということを私は伺つておるのであります。でその為替レートがどうなるか、それはちつともお考えでなしにただ単にそのお仕事のほうだけを御勉強になつておるのか。国民の一人として公平にお考えになつてもいいのじやないかということを私は伺つておるのです。そこを私はお聞きしたいと思つたのであります。
  14. 白川一雄

    ○白川一雄君 局長にお尋ねいたしたいのですが、新聞に伝うるところによりますと、アメリカの余剰石炭日本に入ると伝えておりますが、燃料炭でありましようか、或いは粘結炭であろうか、又それに附加えまして日本の現在の粘結炭需要というものに対して日本国内産がどの程度の比率になつておるか、それをちよつと承わりたいと思います。
  15. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 米国の余剰石炭の問題につきましては、我々が事務的に受取つております情報の範囲ではいずれもまだ政府の行政機関から正式に意思表示をされたものはないようでございます。従つてこういう内容のものだというふうなことはお答えするような材料がないのでございますが、これは併し今お尋ねの炭種の点につきましては、従来我々が聞いておりますのは殆んど粘結炭でございまして、これはアメリカから輸入いたしておりますのは殆んど全部が粘結炭でございます。従つてその関係からだろうと思いますが、専ら問題は粘結炭として話に上つて来ております。そしてその数量でございますが、現在の製鉄用の、これは粘結炭でも強粘結炭ということになりますとガス用その他若干ございますけれども、非常に数量が少いので省略いたしまして、製鉄用の強粘結炭だけが問題になるわけでございますが、従来の比率では国内五〇、輸入強粘結炭五〇という比率でやつておりまして、それをだんだん下げまして不在度下期では国内原料炭が六〇、輸入原料炭が四〇という比率で使用するという計画の下に輸入計画を立てております。純粋に技術的には強粘結炭の配合をもう少し減らすことも不可能ではないと考えるのでありますが、経済的な点も考慮いたしますと大体まあ六〇、四〇程度が適当であるということになると思います。大体現在の日本の銑鉄の生産総量が四百万トン程度でございます。それに対しまして最近はコール・レーシヨンが非常に下りまして、一・二五ぐらいになりますので約五百万トンの原料炭が要るという計算でございます。そうしますと、それの六、四でありますから、大体強粘結炭として二百万トン程度、若しそれより少し殖えれば若干殖えまして二百万トン乃至二百五十万トンぐらいが強粘結炭需要として考えられるわけでございまして、それ以外の部分、あとの三百五十万乃至四百万トン分が丁度国内原料とという割合になつております。
  16. 白川一雄

    ○白川一雄君 過去に粘結炭として輸入されたもので案外粘結炭の役をなさないで、例えば樺太から入つた石炭にしましても非常な弱粘結炭であり、又開らん灰を入れて、それが硫黄分が入つてつて製鉄用には使えなかつたという過去に実情があるのでございます。今日価格が非常に仮に日本石炭が高いといたしましても、国内事情から日本にある石炭を外国から輸入するということはちよつと考えられんではないかという考えから余剰石炭が入るということが若し実現するときがあるとしますれば、必要範囲の強粘結炭の範囲にとめて、燃料炭なんかは一トンも入れないようにしなければ日本石炭の救済ということは、片一方で救済しながら片一方で壊して行くという結果になるのじやないか。又石炭業界のいろいろ話を聞いて見ますと、最近は粘結炭もだんだん日本のほうで余り始めて来ておると、元のように外国炭を入れなくても円内炭で間に合う傾向になりつつあるということを聞いておりますので、この辺は相当細かく御検討つて輸入炭の処置を講じて頂かないと、国内の炭価を、これが上にますます苦しめる結果になるのじやないか。例えば先ほどお話がありましたように、FOB価格同額のフレートを加えてなお且つ国内炭より一割か安い。誠に残念なことであるけれども、この一割を倹約しようと思つて現在の国情において輸入いたしますれば、たくさんの失業者も出さなければならないと思うので、そういうほうの準備態勢があれば一割下げるという方法で結構だろうと思いますけれども、深刻な炭鉱界の実情から見ますと、一割安いために外国炭を入れるというような国情じやないと、こういうふうに見ますので、その辺は過去何回か石炭局長にも開らん炭の輸入方法について申上げたのでありますけれども、次の機会に報告するというようなことで具体的な、結論的なものを用いておりませんので、若しアメリカ炭のメリットの上から見ますと非常にいいことはわかつておりますが、開らんの炭が入らんということになると、アメリカがすぐ石炭を上げて来るという実情もあるので、開らんの石炭日本が欲しいならば、我々の考えとしましては、政府が大体開らんの炭をどのくらい欲しいのだと、だから中共の政府のほうではどれどれのメリットの石炭準備するという直接のアンダースタンデイングを作る線を、機械的に入つて来る方法をとらないと、向うの悪い炭をそのときそのときで送つて来るという紛訌が繰返されるのじやないかと思うのであります。現在の国際情勢では政府が面接できないとすれば製鉄業者を使つてでもお互いに計画生産計画需給を図らないと、同じ苦労と災難を繰返さなきやならんのじやないかというように憂慮しておるものなのであります。その点につきましては御意見も承わり、又御善処を特にお願いいたしたいと思います。
  17. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) お話の点全くおつしやる通りでございます。先ず樺太炭と開らん炭の問題を申上げておきますが、これはいずれも最初から強粘結炭という条件で実は輸入の許可をいたしたものでございます。ところがどういう行違いか、そのお話のように弱粘結炭或いは非粘結炭が入りましてその処分に非常に苦しんだ、こういうことがございましたので、本年度の樺太炭、開らん炭につきましては、その点は非常に強い条件を出しまして、若し万一弱粘、或いは非粘結炭が入つております場合には日本の港の陸揚げを許可しない。そのままどこの国でもいいから持つてつてつてくれという非常にきつい条件を出しまして、検査をして、強粘結炭以外のものは一切国内に受入れをしないということをはつきり貿易業者のほうにも通達をしてございます。従つてそういうことになれば貿易業者のほうも非常な損害になることでもありますので、今度は必ずその点については十分な手配をするものと我我は思つております。  それから輸入炭の総量でございますが、先ほど申しましたように、我々の考えは技術的に経済的に可能な限度まで品内炭を使うという方針をきめておりまして、それは樺太炭が入りましても、開らん炭が入りましても、その分は今申しました最小限度の枠の中に入る、従つて開らん炭なり、樺太炭が入りますれば、当然メリットの換算しました数量で、米国炭から差引くということにいたしておりますので、外国炭がどのような炭がどの程度に入ろうとも、国内の需給総量としては変らないというふうにやつて行くように考えております。元来現在の輸入政策は日本で調達の不可能なもの、不可能な限度においてだけ輸入するという建前でございますから、それ以上に輸入炭が入るということは考えられないわけでございます。  それからFOAの石炭の問題でございますが、先ほど答弁いたしましたように、これにつきましては何ら確たる情報が入つておりませんけれども、我我といたしましては、これが入る場合にも今中しました国内の輸入限度を越えて入れるということは考えられない。当然そういつた輸入政策の根本の原則の範囲内でのみ受入れが可能なものだというふうに我々は考えておりまして、その点は大臣も十分承知をされまして、アメリカに行つておられますので、その原則に反するようなことはないものと我々は確信している次第でございます。  なお原料炭が本年度若干余りましたのはお話の通りでございまして、これは実は昨年度まではしばしば原料炭が足りなくなりまして、そのために非常にいろいろ問題を起こしたことがございます。ところで本年度の当初の計画を立てましたときには銑鉄の生産量が現在の見通しよりも若干多いという計画を立てましたのと、もう一つは我々が計画を立てましたときには従来よりも国内炭の品位の悪いものが余計使われることになりますので、コール・レーシヨンと申しますか、銑鉄一トン当りの石炭の使用量が従来よりも若干殖えて参る。そこで大体その率を一・三五ぐらいに考えて計画を立てたわけでございます。それに必要なだけの原料炭の生産の手配をいたしまとしたころが、この不景気のせいでございますか、或いは製鉄のほうの技術が進歩いたしましたためでございますか、そのコール・レーシヨンが非常に下りまして、現在は一・二五とか二四とかいうふうに計画当時に比べて一割以上も下つたというふうな状況になつて、これは非常に結構な話でありますけれども、そのためにこの二つの理由で大分原料炭の需給が狂つて来たような結果でございます。今後はそうした点がはつきりして参りましたので、又この原料炭の全体の生産総量に当然比例して増減いたすものでありますから、生産の抑制と共にこの問題も解決するものと思つておる次第であります。
  18. 天田勝正

    ○天田勝正君 合理化の問題についてお伺いしたいのですが、その前提として日本石炭産業における今現在において生産に直接関係する労賃とその他設備費等のパーセントは五十くらいになつておるわけですか、平均いたしまして。
  19. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これはそのときどきの石炭状況によりまして実はコストの内容が変つて参ります。大体石炭の労賃は殆んど生産が殖えても減りましても余り変りがありませんので、非常に少しずつ動いて行くような形態でございますが、大体大ざつぱに申しまして五十の線を上下しておる、最近は減産の傾向でありますので若干殖えまして五十五、六のところまで行つておるのじやないかと思つております。
  20. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは一つの前提で、私なぜこういう質問をしたかといいますと、他の合理化の研究会等でも通産当局の人に私お聞きしたのだけれども、余り確たる返答が得られなかつた。というのは五〇%の労賃が加わつておる、然るに日本の労賃は御案内の通り諸外国に比べると非常に低い、アメリカ等からすれば十一分の一か、西独あたりでも四分の一か五分の一か、こういう状態です。してみると他の五〇%の設備費その他直接関係しない人件費というか、そういうものにかなりの無駄があろうと思う。四分の一の労賃ということ、或いは十一分の一の労賃ということを組合せて考えれば、どうしてもそう日本生産品が割高になるということは頷けなくなつて来る。それで若し合理化のめどをつけるならば諸外国並みに日本の労賃も考えて、その上でコストを外国並みにする、ここに目標を私は置かなければならんのじやないか。依然として低賃金のほうには全然触れずして、低賃金のままでここをこう直せば外国並みにどうやら太刀打ちができるのだ、こういうことであつては、いつまでたつて日本全体の進歩は私はあり得ない、こういうふうに考えるのです。それでお聞きしたいのは、今までの御説明でこの労賃のほうには全然触れておらない、現在の諸外国と比べれば遥かに低い賃金のままで他の合理化だけをお考えになつているようですが、そうするとあとの五〇%というものが恐ろしくよそよりも無駄があるといいますか、高いコストの要素をそこに含んでおると、こういうふうに考えられるわけでございますけれどもさようでございますか。
  21. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは具体的に炭坑夫の労賃につきましてアメリカと比べることは殆んど意味をなしません。何ら変るところがありませんので、西ドイツあたりと比べて見たケースはございません。今ここに資料もございませんが、ただ能率で申上げますと、現在西ドイツあたりが坑内夫の一日一人当りがたしか一トン半くらいであると思います。日本の場合にはこれがコンマのたしか六トンくらいじやなかつたかと思つております。先ず半分以下だと思います。全般的に西ドイツと日本との賃金水準が大体二倍半仕度ではないかと思つておりますが、そうしますと今の能率と殆んど逆比例するような関係になります。そのほかに実は炭質の問題がございまして、例えば一日一トン当り幾らというような計算をいたします場合には、それは精炭と申しますが、要するに商品となる炭で比較しておるわけですが、ところが実際は、特に原料炭のようなものは、出ました石炭を相当選炭をして、歩留りを下げて精炭にいたしますわけでございまして、現在機械選炭にかけております石炭について申しますと、歩留りが大体六割ということになつております。従つて一トンの炭を掘りまして来炭質のいいドイツあたりとは大分違つて参ります。それからそういつた選炭をしましたものの品位が又若干違つて参りまして、日本の現精炭も非常に品質がよくなりましたけれども、それでもなお灰分が平均八%程度、西ドイツのものは歩留りも遥かに高い、たしかに七割から八割近い歩留りでありますが、それでなお灰分が六%程度そういつたメリットの差がありますので、全部引つくるめますと相当高いというような結果になるわけでございます。
  22. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあその西ドイツので、丁度労賃と逆比例しておるというお話でありましたが、これは私の記憶では、さつき申上げたようにアメリカの十一分の一、それから西ドイツの四分の一、英国の六分の一、こう記憶しておるので、もう一遍その点はお調べ願いたい。なお労働省のかたが来ておるので、専門でしようから今御存じならばお知らせ願いたい。すぐお答えができなければ、次の質問を続けてやりまして、次回伺いますから。  そこで私はもう一つ考え方は、これは言葉が当つているかどうか知りませんが、原始的な労働生毒性が低いということの想像ができる。労働生産性は言うまでもなく設備によつて如何ようにも移動するものなので、一人当り幾らという採炭量等は、設備によつて如何ようにも変るものですから、そういうものには触れずして、原始的な労働生産性においてどうしても及ばざるものがある。これは労働者が怠けているとか、そういう問題じやない。なぜ私はこういうことを言うかというと、これは例は違いますが、農業のほうで、デンマークにたくさんの人が行つてつて、これらの人はいわゆる日本においては優秀な青年、技術も相当勝れておつて、いわゆる改良普及員の人が行つておるわけですが、そういう人がああいう原始的な生産においても、体力的にどうやつても到底かなわん。私は不思議なものがあるものだと思つて、直接この人に会つて聞いて見たのですが、この人は十九貫二百の体力を持つて日本で言えば普通の農家の人の二倍は十分働くという、技術的にも相当優秀な人だ、そういう人が向うに行つた場合には、どうにもこうにも五分の二だ。そこで、どこにその原因があるかと言えば、若し私が日本の食糧でそのまま向うで食べておつたならば、三分の一も働けないだろう、こういうことを言われておりました。それで私は今原始的な生産性という言葉を使つたわけですが、そういう面でこの生活全般から来る怠けないにもかかわらず、どうしても及ばざるというそういう基本的なものがあるのではなかろうか、こういうことについて御研究なすつたことがありましようか。
  23. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 大変私申訳ございませんが、そういう面での研究は私のところでまだしたことがございません。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちよつと先ほどの御説明の内容を伺いたいのですが、ストックの四百二、三十万トンというのは、これは山元ストック、坑内ストック、これだけを意味しているのですか。
  25. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは石炭生産業者と販売業者の持つておる貯炭でございます。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 生産業者と販売業者、それから消費者の庭先にあります、例えば電力会社のストックとか、鉄道の手持とか、こういうものも入つておるのですか。
  27. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 需要家の貯炭は入つておりません。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、いわゆるこの山元のストック流通過程にあるストックと、この関係はどうなつておりますか。
  29. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは生産業者或いは販売業者のストックは坑所、積出港或いは市場というふうに分けまして、輸送の各段階ごとの分を全部集計したものでございます。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 私がお尋ねしておるのはそうではなくして、その四百万トンなら四百万トンのうち、いわゆる石炭会社の山元のストックがそのうちの何%であつて、流通過程のものが何%、こういう比率を大体私は伺いたい。というのはもつと突つこんで私が聞かんとすることを申上げますと、こういう段階になつて来ますと、市況が非常に悪化して参りますと、誰も手持をしないわけですね、販売業者というものは。だから山元がストックが漸次減つてつて、流通過程にあるストックというものは漸次減つて来ている、こういう傾向が出て来ておるのではないか、こういうふうなことを私は懸念しますのでそれを伺いたいのです。例えば本年の春には仮に四百万トンの中でもそのうちの三百万トンが山元であつて、二百万トンが流通課程にあつた、ところが最近は山元が三百万トンで流通過程が百万トンこういうふうな傾向が出て来ておるのではないかと思うので、そういう点について伺いたいのです。
  31. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これはおつしやるように、四百万トン程度になりましてからは大体大して比率差異はございませんが、今年の一月頃、約三百万トンでございますが、その頃は山元の、いわゆる坑所という山元が約八十万トンで、市場が約六十四万トン、従つて市場のほうが坑所に比べまして五割近く多いような計算になつておりますが、現在と申しましてもこれは九月の実績しかわかつておりませんが、九月の実績ではそれが逆になりまして、山元が百三十九万トンで、市場のほうが百二十六万トンというふうに逆に比率がなつております。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 ということは、結局このストックが単に多いと言いましても流通市場で当然持つべきストックというものが減つて来て、それが山元が逆に殖えた、こういう傾向がだんだん出て来ているわけですね。
  33. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) こはれ貯炭の置場所と申しますのは、これはいわば生産業者の便宜でどこへ置くかという問題でございまして、その便宜は主として貯炭場の能力に相当制約されて参ります。特にこの四百万トンというふうな貯炭になりますと、非常に制約されて参りますので、市場というのは主として消費地におきます貯炭場を申すわけでございますが、そういうところが殆んどもう一ぱいになつておりますので、これ以上は殖えない。それから積出港と申しますのは、室蘭でありますとか若松でありますとか、そういつたところの貯炭場の備設でございますが、これも御承知通り殆んどフルになつておる。従つてその過剰の分は全部山に戻つて参りまして坑所の貯炭がどんどん殖えるという形になつておるわけでございます。販売業者の分は、元来販売業者として持つております貯炭の量は比較的少ないのでございますし、又需要の中で大半は生産業者が直接に需要家に売つておりますので、販売業者を経由する分は少いし、又今申しました販売業者自体も資金その他の関係から、持つております量は比較的少いというわけでありまして、販売業者として持たないで、主として生産業者のところの名儀で貯炭になつておるわけでございます。
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 甚だくどいようですけれども、そうするといわゆる需要家が持つているストックというものは大体常識的にはどのくらいお考えになつておりますか。
  35. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは全部の需要家につきましての統計というものはとつておりません。大口需要家だけで調べておりますが、これが現在九月までの分しかわかつておりませんが、三百四十五万トンという数字でございます。で、これは大抵冬場に入りますときが貯炭のピークでございますから、そういう意味でこの数量はそう少くもございませんが、決してそう異常に多いわけではございませんように我我考えておるわけであります。
  36. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと需要家が三百何万トン、それからそのほかのストックが四百何万トン、需要家の三百何万トンというのは、先ほど御説明なつた四百何万トンの中には全然入つてないわけですか。
  37. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) お話の通りであります。
  38. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、双方合計しますと九百数十万トンの石炭が一応生産者から需要家までの間にストックになつておる、こういうことになるのですか。
  39. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) お話の通りであります。
  40. 河野謙三

    ○河野謙三君 わかりました。
  41. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) なお一つつておきたいと思うのでありまするが、明日の午後は協同組合にによる保険事業につきまして参考人より実情に基いて意見を聴取することになつております。そこで参考人として、これから申上げる四名を挙げたいと存じまするのでお諮りをいたします。日本損害保険協会の葛西専務理事日本中小企業団体連盟の岡崎常務理事、全国食糧事業協同組合連合会の後藤常務理事、神奈川県商工共済協同組合の浅川事務局長の四名であります。如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないようでありまするから、さよう決定異たします。
  43. 藤田進

    ○藤田進君 質問が一つだけ残つておりますが、簡単なことですから……。失業対策課長見えていますか……。  たくさんお伺いしたいことがありますか、皆さんお昼前ですから一つだけお伺いしたいのですが、特別失業対策について職業安定局、延いては労働省として一つの案を持つて大蔵省との折衝がなされておると聞くわけですが、その大蔵省との折衝の状況、或いは見通し、めどといいますか、こういつたことについて、これは補正予算を必要とするような場合もありましようから、延いては臨時国会の時期とも関連はしましようが、併しそれは別の問題で、事務当局の進捗状況、めど等についてお尋ねしたいと思います。
  44. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) お尋ねの特別失業対策事業でございますが、この問題につきましては内閣の失業対策審議会でも取上げまして総理大臣に意見書としてその実施方を勧告したという事態がございまして、労働省としましても折々事業の面の検討を進めておるのでございます。大体の考え方といたしましては事業効果の高いものを考えております。従来一般の失業対策事業でやつておりますのは資材費が極めて僅少でございまして、一人当り四十五円という単価です。この単価を以てしましては事業効果の高い事業というものは実施が非常に困難でございますので今後失業情勢が悪化する際に、事業を行うという場合にはできるだけ事業効果の高いものであつて、而も能率が従来よりも一層高度なものを考えたい、こういうような構想で検討を進めておるわけでございます。この問題で特に私ども問題になりましたのは補助率の問題でございます。と申しますのは、今後失業情勢が悪化する地域といたしましては恐らく大都市であるとか、或いは炭鉱地帯、その他の特殊な地域であると、こういうふうに考えておるのでございますが、そういつた地域における財政事情は非常に窮迫しております。それで単に従来のような補助率でただ枠を殖やすというだけでは地方でこれが持てない。こういうような情勢が見られますので、何とかして補助率を従来の一般失業対策事業より高いものにいたしたい、かように考えまして、要するところ資材費も高くし補助率も高いものにしたい、こういうような構想で実は大蔵省と内々折衝しておるような次第であります。ただお話のように補正予算としてこれを組むかどうかという点につきましては、まだ政府方針が補正をどう扱うかという点についてはまだ最後的な決定を見ておらん情勢でございますので補正予算として計上するか、或いは予備費として要求するかという点についてはまだ事務的に決定しておらん次第でございます。結論はまだ出ておりませんが、我々としてもできるだけ実現できるように熱意を以て折衝しておるような次第でございます。
  45. 藤田進

    ○藤田進君 いや、だからその折衝しているということだけはよく知つているのですが、そのめどですね。どういう補助率の値上げといいますか、これが幾らになりそうなのかですね。それが地方に漏れ聞えて電報が行つたりして、かなり私今度地方を歩いて見て広汎に、市長さんや知事さんあたり本当にもうきまつているような恰好で思つていられるところもあつたりしますので、この委員会を通じてやつぱり事情を或る程度はつきりされたほうがいいと思いますし、私どもも聞いておきたいと思うのですね。
  46. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 実はその結論はまだ何とも申上げかねる段階であろうと思いますが、藤田委員が御指摘になつた問題、恐らくこういうことではなかろうかと思うのであります。実は今後失業情勢が悪化した場合に、どういう手を打とうか、これかあらかじ検討しておきませんと早急の間に合わないということも、実は大都市、或いは特殊の都市につきましては計画を事前に検討してもらいたいということをお願いしておるわけでございます。それが実は特別失対事業と結びつけて地方では考えておりまして、あたかも特別失対事業がもう確定的である、で自分の町村でやつてくれるのだ、こういうような感じを持つておられる向きがございまして、恐らく地方でいろいろなお話を聞くというのはそういう関係でお耳に入るのではなかろうか、かように存じますが、まあ特別失業対策事業そのものにつきましてはまだ確定的なことは何らきまつておらんのでございます。
  47. 藤田進

    ○藤田進君 それじや労働省としては幾らに……この率だけでも言えれば言つてもらいたい。もう地方の人がむしろ知つていますよ。やつぱり衆議院の議員さんなんか敏感ですからね。電報打つたりなんかするものだから……。
  48. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) まあ案としましては五分の四の補助率を考えておりますが、実現できますかどうか、まだ何とも申上げられません。
  49. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) では午後は参考人を呼んでおりまするので、余り時間を遅らすことはどうかと思いますので、一応一時をめどといたしまして、これで休憩いたしたいと思います。     午後零時十六分休憩    —————・—————     午後一時三十九分開会
  50. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 休憩前に引続いて委員会を開きます。  これから参考人の御意見を伺うことになつているのでありまするが、この際参考人の各位に一言御挨拶を申上げます。各位におかれましては本日は御多忙のところ委員会の招きに応じて御出席を頂きまして誠に有難うございました。大変時間を遅らせまして申訳ございません、お詫びいたします。参議院の当委員会といたしましては、前国会以来機会あるごとに石炭問題を取上げまして、これを議題とし、又この夏には北海道、山口、北九州方面に視察議員団を派遣いたしまして現地調査を行いまする等、国政調査を通じて石炭問題の解決のため、微力を傾倒して参つたのでありまするが、その後の石炭事情は本格的な需要期に入つたにもかかわらず、依然として好転の模様を見ないのは真に遺憾であります。そこで委員会といたしましては本日ここに重ねてこの問題を取上げまして、午前中は政府関係当局より石炭界の現状並びに応急対策、恒久施策等につきまして一応の説明を求めたのでありますが、問題の重大性に鑑みまして、更に各位の御足労を煩わし、直接事業関係されておられる立場からの忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、国会としても今後この問題に対処して行くには如何にすべきかという点について考えて見たいと思つているのであります。本日わざわざご出席を求めましたのは以上のような趣旨でありまするので、委員会の立場を諒とせられまして、どうか存分に御意見を開陳ありますようにお願いをいたす次第であります。  それでは先ず第一に石炭協会会長新海英一君より意見の御開陳を願いたいと思います。
  51. 新海英一

    参考人新海英一君) 私日本石炭協会会長新海でございます。只今委員長からお話がありましたように、石炭鉱業は誠に救うべからざる難局にあります。この現状に鑑みられまして、参議院の通産委員会におきまして本日この問題をお取上げ下さいまして、石炭鉱業実情並びに政府の施策に対する我々の希望、又我々が政府に要望するものを申述べます機会を与えられましたことは誠に有難いことで先ずお礼を申上げます。  我が国の石炭鉱業は、終戦後日本の再建は石炭からということで政府の指示もありましたし、又我々も莫大な資金を投入いたしまして、漸く昨年政府の要望しておる四千八百万トン乃至五千万トン態勢にまで持つて参つたのでありますが、たまたまデフレその他の影響需要がこれにそぐいませんで、その後大分生産の抑制もやつて参りました。今日現在石炭労務者数が約二十八万七千人、一人月産十三トン程度といたしまして、年産四千五百万トンはどうしても出さなきやならんというような態勢にあるのでありますが現実にはデフレ影響を受けまして、全体の総合燃料の需要が減りましたことと、それから先年来輸入炭及び重油のために内地の石炭と販路を失いました。そのために今日ではせいぜい四千万トンくらいの年間需要しかないというようなことでありまして、現実に数字を申上げますと、本年の九月に終る二十九年度上期の出炭高は二千百四十六万トン、これに対しまして実際の石炭の引取りは千九百八十二万トン、そのために六ヶ月間で数百六十万トンに貯炭増加いたしまして、九月末の全国貯炭は従来石炭の適正貯炭量と言われておりました二百万トン、それの二倍余に余る四百二十二万トンとなつて来ておりまして、十月、十一月においてもなお貯炭がだんだんと累増しておるような状態にあるのであります。これは戦後の記録でありますと、二十五年の九月がほぼこれに近い貯炭量でありましたが、それ以来、その前にも以来にも殆んどない莫大な貯炭であるのであります。そこで業者といたしましても、今春来極端な資材の節減、或いは作業の合理化というようなことで、余分の人間を抱えておりながら、なお生産費の若干の引下げに成功いたして来たものでありますが、この上更に生産を抑制せねばならんということになりますと、逆にコストはますます上りまして、国家の要請であるところの炭価引下げとはおよそ逆の事態を招く虞れがあるような実情にあるのであります。又今日このまま何ら施策を施すことなくこのままで行つたならば、各企業間におきましても、非常な苦しまぎれの競争をやりまして、又金融圧迫のために、いわゆる金融ダンピングというようなものを激化して収拾できない混乱を石炭業界に巻き起し、やがては戦後莫大な犠牲を払つて築き上げました石炭生産力を壊滅に瀕させる危険すらも予想される状態でございます。これにつきましては、本年の三月三十日の閣議了解並びに同三十一日の衆議院通産委員会の決議、これで日本石炭鉱業のあり方というものが大体決定されたのだと思いますが、それにより間すと、日本石炭の適正出炭量を維持さして、そうして石炭鉱業の安定を図り、合理化施策を強力に推進して、石炭値段の引下げを図り、衆議院の決議におきましては適正出炭量は二十九年度において四千八百万トン、そういうふうなことが決議にもなつておつたのでありますが、その当時日本の総合燃料として予想されておりましたものは、石炭が大体四千五百万トン、重油五百三十七万千キロ・リッター、それで大体二十九年度は行くという予想を立てておつたのでありますが、その後デフレ影響が深刻に現われまして、燃料の需要は減退いたしました。それで本来ならば石炭需要量は余り減らずにむしろそれに見合うように重油を減らすということがこの精神であつたのじやないかと思いますが、実際はどうかと申しますと、全体の需要がこれだけ減つたのに重油のほうは五百三十七万キロ・リッター、一つも減りませんで、全部が石炭のほうにしわ寄せられて石炭は先ほど申しましたように約四千万トンの参需要しかないというような状態になりました。これが私どもから申上げますと、今日の石炭の不況を来たした一つ原因ではないかというふうに存ずるのであります。我が国のこの乏しい資源のうちで石炭は極めて自給度の高い鉱業でございます。埋蔵量も百五十五億トンと言われ、将来に亘りまして、我が国のエネルギー需要の過半を背負つて行く重要な資源であり、又雇用の点から申しましても、従業員家族を入れますと石炭鉱業に従事する者だけでも約百五十万、それに関連産業を入れますと数百万の人間がこの石炭鉱業で生きておるのであります。こういう重要な産業でございますので、石炭鉱業を壊滅の線に追いやるというようなことは当然回避せねばならんことだと存じます。又国家の目標でありますところの炭鉱合理化を促進して炭価引下げを実現するためにもこの際次のような緊急対策を熱望する次第でございます。これは私どもといたしましては、従来から主張し来たつたものでございますが、以下順次申上げたいと思います。  第一は、過剰貯炭の質上げ及び輸出の促進でございます。当面の過剰貯炭吸収と将来の不測の供給不安を解消するために、政府において二百万トン程度貯炭を買上げて頂きたい。若しこれができませんでしたらばこれに代る方法として或いは融資の方法も考えられるのではないかと思います。それから過剰貯炭を対外賠償に充当すること、或いは韓国輸出を可能とするような外交措置を講じて頂きたいこと。これは韓国に向つてはこれまで年間約百万トンの石炭が輸出されておつたわけでありますが、今日これが一トンも行つておりません。  それから第二は、重油及び輸入炭の削減、二十九年度の下期から三十年度に亘る輸入燃料の使用分野を確定し、国内炭需給見通しを与えることが喫緊の急務であります。そこでその分野の確定に当りましては、二十九年度下期におきましては、二十九年の現在の計画、これは先ほど申しました五百三十七万キロ・リッターでございますが、重油におきましてはこれから五十万キロ・リッターを削減して年間の消費を約四百九十万キロ・リッターにすること。輸入原料炭におきましては、二十五万トンを削減しまして、年間消費ベースを二百五十万トンとする、三十年度におきましては二十九年度の現在の計画から重油において二百万キロ・リッターを削減して、二十七年度消費ベース三百四十万キロ・リッターまで石炭に再転換させること。輸入原料炭におきましては九十万トン削減して、年間の消費ベースを約百九十万トンとすること。さらに最近話題になつております米国余剰石炭日本への輸出という問題でありますが、国内炭が今日こういうような需給状態で処置に困つて、る際でございますからこれは断然拒否して頂きたいこと。これにつきましては、私どもとしても早くから日本政府にも働きかけますしそれから過日アメリカの大使館にも参りましてこのことを要望しておいたのでありますが、アメリカの大使館としては、これは受入れる日本側が当然決定することであるし、日本政府が受入れないと言えば日本へ輸出するということは問題にならないのである、日本政府を更に鞭撻してくれというようなことでありました。  第三は、重油及び原油の関税復活、関税定事法の本則の規定に復しまして関税を徴収する。これは大体今日の電池、石油等の輸入数量から申しますと、年間約六、七十億の税収になる予定でございますが、大体重油の輸入削減によつてだんだん勿論減つて参ると思いますが、若しできるものでしたら、この税収の一部を重油から石炭への転換設備費に引当てて転換をやりやすいようにして、頂いたらどうかというふうに考えております。  第四は、財政融資資金返済の一時棚上げ、当面資金繰りが非常に逼迫しておりますので、これを緩和いたしますために取りあえず財政資金融資の返済を一時棚上げし、又それと共に金利についても軽減を図つて頂きたいということでございます。  それから第五は労働対策公共事業その他生産事業炭鉱労務者を組織的且つ優先的に転換せしめると共に急激に失業者を出さんように諸般の方策の整備並びに所要資金融資体制を確立すること。なお、諸外国の操短労働者保護法のような立法を行なつて企業の操業短縮を容易ならしめること。これはこの通りのことでございますが、事業増加せない限りこれも避けられない問題であると存じます。  第六、企業整備資金企業整備に当つては前項の整理資金以外に必要とする資金についても融資の体制を確立して頂きたい。  第七、カルテル立法、生産の調整、合理化価格の調整等を自治的に行わしめるように、カルテルの結成を許容する特別立法又は独禁法の適用除外を早急に行なつて頂きたい。今日の石炭の難局を打開するために、生産の調節も必要でございますし、又投げ物の防止をやるにいたしましても、そこに或るカルテルのようなものがないと、これは強力に推進することができませんので、或いは短期の臨時立法というようなものでも結構と存じますので、この点を一つ我々として是非やつて頂きたいというふうに存する次第であります。  以上、石炭界の現状並びに我々の政府の施策に対して要望する点を申上げました。
  52. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 有難うございました。  次に日本炭鉱労働組合中央執行委員長阿部竹松君にお願いいたします。
  53. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) 私日本炭鉱労働組合の阿部でございます。委員長の御指名によつて只今から我々の考えておることを申上げるわけでありまするが、我々石炭産業に職を置きまして生活しておる者にとりまして、本日委員長以下各皆さんがたが、真剣に我々の意見を開いて頂いて、今後どうあるべきかということが今後なされると思うわけでありまするけれども、この点について深く敬意を表しておきたいと思います。  私ども只今新海さんからも炭界の情勢について縷々陳述され、なお対策等についても言及されたようでありまするけれども、私ども組合の立場といたしましても、全く同感でありまするし、又若干違つた意見もあるわけであります。今まで再三再四に亘りまして、通商産業大臣、或いはそれぞれ担当の諸先生方にも、我々の苦しい立場を何回となく申述べて参りました。従つて今更その蒸し返しをいたしましてもどうにもなりませんし、なお委員長以下皆さんがたにおいては、炭界の情勢等については、十分御了承のことと思いますので、若干そういう内容等については省きまするが、たまたま今より五年前に、私ILOの炭部会に日本労働者代表として、政府委員或いは経営者委員の各位等もスイスのジユネーヴの会議に出席したことがございます。この当時たまたまヨーロッパ或いはアメリカ或いはインド、こういうところの政府代表或いは経営者代表、労働者代表が集まりまして、戦争後の石炭産業は如何にあるべきかということを真剣に論議しておりました。当時日本御存じ通り、終戦後非常に石炭不足の結果、先ず戦争中と同様、石炭産業は超重点的に考えられまして、我々も率直に申上げて、将来の見通しについて勉強不足であつたろうと思います。併しそういう点については、我我はヨーロッパ或いはアメリカの諸国の労働者各位よりは、組織的に見ましても、将来に対する考え方についても見劣りしたということについては否めない事実てありまするけれども、その席上で今申上げました通り、どうあるべきかということを真剣にやつておりました。私どもも経営者或いは政府各代表の皆さん方と話合つたのでありまするけれども、たまたまその翌年朝鮮事変というものが起きました。今考えて見ますると、朝鮮事変が起きなければこういう問題が、昭和二十七年、或いは二十六年の終り頃来たと思います。私どもは率直に申上げまして、政府の諸君も、経営者の諸君も、朝鮮ブームという一つの波に乗つて、将来の見通し石炭産業はどうあるべきかということに真剣に取組み、真剣に考えなかつた嫌いがあるのではないかと、今考えておるわけでございます。あの朝鮮事変当時、真剣に石炭産業はどうなるのか、日本の経済界がどうなるのかということを、もう少し真剣に考えておれは、今日より早くこの問題が解決され、今日我々塗炭の苦しみをなめるのがもう少し軽く済んだのではないかと考えております。従つて私は現在政府の担当者を責めようとは思つておりませんし、経営者の皆さん方を責めようとも思つておりません。これはお互いが平等の責任でもありましようし、平等にやはり罪というものはあろうかと思つております。従つてそれを責めるよりも、今後どういうふうにこれを切抜けて行くかということについて、やはり真剣に取組んで行かなければ、これはただ単に、石炭産業だということを簡単に考えておりましても、日本の基幹産業でありまする関係上、将来大きく日本の経済界に及ぼすというように私考えておるわけであります。現在日本炭鉱労働者は約三十万人ございまして、この三十万人のうちに私ども日本炭鉱労働組合は三十二万ほどございます。この日本炭鉱労働組合の中だけでも九州において二十二、或いは北海道が十九、常盤において六、合計四十七の炭鉱が休山になり廃山になつたわけであります。従つてこの四十九の廃山、閉山、こういうものが人間にいたしまして十三万三千百二十名が二カ月も三カ月も賃金をもらうことができない。将来も全く見通しがないという状態に置かれておるわけであります。従いまして劈頭申上げました通りこれをどうしてくれるんだというようなことで通商産業大臣にも強引にお会いいたしましてお話を申上げましたし、それぞれ関係当局にも陳情或いは要請いたしました。併し勿論通商産業大臣も努力して頂いたと思いまするし、関係当局も努力して頂いたでしよう。併しながら一つ状態というものはよくなりもせず、だんだん悪化の一途々々を辿つておるわけであります。ここにおられる委員長さんは福島県だというようにお聞きしておりますが、委員長さんみずから福島県におられまして常磐炭鉱状態がどういうものであるかということについては身を以て体験しておられるのではなかろうかというふうに私考えておるわけであります。従いまして今まで竪坑開発するんだと何億円出しましようと、過般七月炭鉱の鉱員を減らしてコストを下げるんだというようなそういう手はその都度打つたかのように存じております。併しながらやはり私ども炭鉱に長く従業員として働いておるものといたしましては、当然こういう一つ見通しがあるわけであります。戦争が始まると炭鉱の従業員は第一線の勇士と同じである、戦争が終り、石炭は必要がないからどんどん首切られてしまう。又戦争が始まると第一線の勇士であるというふうにしてそういうふうな立場から今日になつておりますから、当然第一に戦争か終れば石炭産業はどういうふうになるかということは最前申上げました通り自明の理でありまして、単に困つたからその都度政府が若干の金を貸そう、或いは若干の融資をしよう、或いは若干の銀行利子を負けてやろうというような小手先細工では到底この苦境は切抜け得られないと思うのであります。そこで私どもといたしましては、当然将来のやはり対策というものを立てなければ、先日中小炭砿の問題で通産省の関係者とお会いしたときに、一千万円の銀行融資を二千万円にしてやろうと、成るほど金が倍になるわけであります。併しこの一千万円の金額が二千万円になつたらどれだけの炭鉱がそれに該当するかというように調べて見ましたが、一千万円の融資が二千万円になつたけれども該当する山は一つもないと、こういう状態であります。鉱害対策として来年度予算を本年度予算で使おうと、それによつて失業対策をするんだということを決定を頂きました。結構であります。併しながら鉱害対策費というものがどこの山にもどこの地方にもあるというものでもございません。長崎にもありません。福岡の炭鉱にも常磐の山にもないわけであります。従つて対策一つ一つ立てて頂きましても、実際それを当てはめてそれが我々に影響するということは殆んどないわけであります。従いまして折角努力して頂きましても、骨が作られても肉にならない、皮にならない、全く看板に等しいということを率直に、努力して戴いた各位には済まないわけでありますけれども、そう申上げざるを得ないわけであります。そこで、私どもといたしましては、当然石炭需給量というものはどうあるか、日本石炭というものは大体幾ら必要であるか、どういうところに需給層を求めるべきであるかということも真剣に考えて欲しいわけであります。  通産大臣が当委員会において、劈頭、四千八百万トン必要だ。その次の委員会においては四千五百万トン、その次には四千三百万トンと、実際の数字は三千九百五十万トンしか要らないということは、私どもは聞くわけであります。少くとも、一国の通商産業大臣が権威ありまするところの当委員会でおつしやることは、一本化した、やはり、お話でなければ、一体どこに拠点を置いて経営者が石炭産業に従事し、そこの従業員も、やはり、どこに拠点を置いて石炭産業に職を得て飯を食べて行けるかということ等についても、やはり、考えて頂きたいわけであります。従つて政府の最高責任者がそういうことをおつしやるということは、即ち政策に対する全くの自信がない、出たとこ勝負であるという結果がそういうようなことになるのでありまして、私どもといたしましては、少なければ少くてよろしい、或いは又多ければ多くてよろしい、すつきりした、先ず政府当局日本石炭産業はこうあつて欲しいという筋の通つた話を、二度目に、或いは三度目に絶対変らんところの数字を先ず示して、そのためにはこうするのだという確固たる信念に基いてやつて頂きたいということが先ず第一点であります。従つて、当然石炭の当初の見込でありまするから、それは百万トン違う場合もありましよう、或いは二百万トン違う場合もあり得ると思います。併し、そういうような責任を以て出した数字については、当然我々もその目標従つて努力しますので、その百万トン、或いは二百万トン余つた石炭をどうするかということも、ともどもやはり、十分話合つて、その需要量と供給量のバランスについてやはり努力して頂かなければ、単に三億の金を出しましよう、或いは七億の金を出しましようということだけでは、到底ものにならないのではないかというように私どもは考えておるわけであります。  重油の問題にいたしましても、これは新海委員が述べておりましたので、私省きますが、単に、税金は一切かけないでノーズロースで日本に石油が入つて来ると、私、北海道の出身でありますので、東京に来て見ますと、外国の自動車が非常に入つている。あれに金を使うのであれば、なぜ日本産業をもう少し振興させないかということを、私ども素人でありますけれども、しみじみ感じるわけであります。自動車のために却つて自動車のスピードが遅れるというような現状であるにかかわらず、毎月々々どんどん外車が入つて来る。日本車がさびれる。日本産業をもう少し振興させるという意味において、ああいう方面に金を投ずるのであれば、当然石炭も必要になつて参りましようし、日本産業余力と称せられる失業者が減るでありましよう。或いは又鉄鋼業の人も、例えば、十分の一にしても、十分の二にしても助かるわけであります。にもかかわらず、外車が入つて来る。あれは一切日本のドルを持つてつて買うわけでありますから、もう軍隊でいう往復びんたをとられたというようなことと全く同じなわけであります。  又室蘭等におきましても、今まで北海道で石炭を使つたのでありますけれども、現在においては外国の石炭を殆んど使つておる、従つて、室蘭についても殆んど北海道に販路を求めることができないというような状態であります。従つて、私どもといたしましては、そういう外国の石油、或いは又石炭、こういうものについて、政府はノーズロースでなく、もつと明確に日本産業々振興するような方策をとつてもらわなければならんというように考えておるわけであります。又燃料炭につきましても、北海道、或いは東北地方、或いは常磐4含めて相当な燃料炭が必要なわけであります。従いまして、この燃料炭が余つて売れないのでなくて、金がなくて買えないというような場合には、政府はそれぞれ大勢の職員を抱えております、この職員等守につきましては、なぜ石炭の物給等、こういうものを図つて、そうして、つまり給料の代りに石炭を支給するということでありますけれども、そういう方面まで手を廻して、石油コンロを使わない、或いはガスコンロを使わないというようなことも十分考えて頂かなければなりませんし、現在東京都の一例をとつて見ましても、ガスのあるところは、東京都において三分の二であります。従つて、三分の一の家庭は恐らく炭で生活しているか、或いは石油コンロで生活しているか、この二点に尽きるわけであります。従いまして、こういう点については、ガスの設備を十分に施策として行うというようなことも考えて頂きたいわけであります。従いまして、ガスの設備をする、或いはそういうような将来の燃料対策を十分に立てるということになりますると、政府が一億や五億の金を直ちにばら撒くというよりも、私どもといたしましては、将来に向つて非常に石炭産業というのを優遇するということになるのではなかろうかというように考えております。私どもといたしましては、戦争中、或いは終戦後できた中小炭鉱の泡沫会社もあります。一トン三千八百カロリー或いは四千カロリー、こういう炭鉱というものが、人間十人ぐらいにトラック一台あつて炭鉱会社というものもあります。従つて、こういうものを含めて全部を助けて欲しいというようなことを申上げておるのではありません。本当に、日本石炭産業の将来というものが、日本の全産業日本の全経済にかかつているからこそ私どもは心配しているわけであります。従いまして、政府当局といたしましては、将来何年か後どうあるべきかということも十分考えまして、今単に本年だけどうする、今貯炭七百万トン余つているから、そのうち三百万トン買う、こういうことも結構でしよう。併しながら、それはそれとして恒久対策も併せて十分立てて頂きたいと思うわけであります。私どもは従来通産大臣、或いは関係各位に、申上げておりますので、非常にくどいわけでありますけれども、十分政府当局といたしましては、そういうところを御勘案の上政策を立てて頂きたいというように考えるわけであります。たまたま本委員会にお招きにあずかりまして、本院各位の御努力によりまして、石炭産業というものが将来明確に安定するということになれば、非常に私ども有難いわけであります。ただ単に、我々二十万人がどうする、三十万人がどうするという意味でなくて、日本の将来の産業ということも十分御勘案の上、一つ委員会において、十分御検討の上我我のために一つ御努力頂きたいと思うわけであります。  甚だ簡単でありまするが、一言申上げまして、本委員会の参考意見に代える次第であります。
  54. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 有難うございました。  次に日本石炭鉱業連合会会長武内礼蔵君にお願いします。
  55. 武内礼蔵

    参考人武内礼蔵君) 私日本石炭合会会長武内礼蔵でございます。本日ここに参議院の通産委員会を開催して頂きまして、私どもの石炭のあり方につきまして、親しく参考意見を聞くという機会を与えて頂きましたことを感謝いたしますと共に誠に、私どもはこの時期に御参考になる意見を表明申上げまして、併せて今後の施策の確立を要望するものであります。  石炭界のあり方、現状につきましては、先きに新海会長から現状のあり方並びにこれに対する施策の要望、要請ということを七項目を挙げまして述べましたが、これは私どもの連合会と石炭鉱業会と意見交換をして同一な趣旨を同一な目的達成のために要請したものでございますので、重複を避けます。新海会長の述べた通りであります。石炭鉱業の中にも、石炭協会と石炭連合会というのがありまして、同じ不況に今日追込まれた段階は同時でございますが、資本の関係、組織の関係におきまして、石炭連合会のあり方か更に更に深刻であるということにつきまして一言意見を申上げて御参考にして頂きたいと思います。  連合会は、御承知の協会の十九社以外残されたる全国の中小炭鉱を以て組織しておるものでございます。北海道鉱業会、常盤鉱業会、山口鉱業会、北九州鉱業会、西九州鉱業会、この五つのブロックが構成要系になつておりまして連合会を形成しておるのであります。今大局については新海さんが述べた通りでございますが、特に今御参考までに一歩掘り下げて御説明を申上げますれば、すでに昨年の四月、二十八年の四月から本年の同期までにおける殆んど連合会所属炭鉱として廃休山に追込まれたものが二百八十五鉱ございます。これに対しまする過去の出炭量を計算しますと、百五十万トンに該当します。人員におきまして一万四千四百万、これを投下資本に換算して見ますれば五、十三億の巨額に達しております。これはすつかり休廃山に達したので、全く五十三億の投下資本はゼロになつたわけであります。これによつて石炭界が立直つておればでありますが、決して立直つておるのではないことは、先ほどから新海会長が申述べられ、又炭労の委員長が申述べられた、現状はまだまだ深刻さは次から次へと移り来たつておるのであります。更に、この委員会の先生方もすでに御承知と思われますが、現在賃金の未払、或いは公課、租税その他の未払、こういうものが先に述べました二百八十五鉱以外の、現在六百ばかりの中小の炭鉱が現存しておりますが、この現存しておる山が現在行なつているのが、今の二日八十五鉱外の現存社が遅払を行い、或いは山々におきましては、金券を発行し、通いを発行し、というような、現状を辛うじて維持しておるのであります。すでに先生がたは御承知と信じますが、かかる情勢下に追込んだことにつきましては、生産業者は責任を決して回避しません。併しながら、政府産業大臣である。今の小笠原大蔵大臣が産業大臣であり、次いでは岡野さんが産業大臣であり、現在の愛知さんで、この三代の大臣に、今日に追込まれる前に、二十八年度から連続にこの経営者側の団体である協会と連合会は幹部挙つて毎月のごとく今日の状態に追込む事前の措置につきまして要請を重ねました。明らかにこれは毎月でございます。間違いなくそういう行為をとりましたが、不幸にして今日までこれが政策の確定を見なかつたというのが現状であります。これは先に両氏が述べられましたように、総合の燃料対策というものの確立がなかつたということが今日の状態に追込んだと思います。  御参考までに、重油はどういう経緯によつて今日に至つたかということを数字的に申上げますれば、二十六年度重油の輸入数量は、二百十二万一千キロリツトル、石炭換算で百二十五万一千トン、二十七年度は三百四十五万一千キロリットル、石炭換算の三百四十九万五千トン、二十八年度は更に飛躍いたしまして五百三十七万キロリツトル、石炭換算の六百九十六万四千トン、こういうように重油輸入が非常な急速度なカーヴ線を描きまして進出したのであります。これから見まして、先に新海会長が述べましたように、現在における貯炭量は、需要家の持貯炭と我々生産業者の持貯炭の九月末現在では、我々生産業者の持貯炭が四百二十二万四千トン、需要家の手持が三百四十五万四千トン、合計七百六十七万八千トンと、こういうのが九月現在で国内に石炭が非常に異常なる滞貨となつておるわけであります。これが先に述べましたように、重油が年々上昇カーヴを急激にしまして、二十八年度におきましては石炭換算七百万トンに近い重油、これを三十六年度から振返つて見ますれば、石炭換算五百七十万トン程度重油が進出しておる。もとよりこの重油進出には一つの動機がございまして、不幸にして炭労の、或いは日本石炭労働組合のストライキに基き需要家に非常に迷惑をかけて、この場合に政府が燃料を補うのに重油を以て転換せしめたという経緯は、先生方も御承知でありますが、その経緯から見まして、我々が三代の産業大臣に先に述べましたように毎月今日あるを知つて対策を要請いたしましたが、遂に今日の事態に追込まれたのであります。私どもが石炭業人でなくても、国民の一員として考えましても、日本の敗戦当時は、我が川の復興は石炭からであるというような建前で、先に阿部委員長が申しましたように、終戦直後から今日まで五千万トンの目標達成に近いまでの石炭鉱業の育成を図つたことは、政府も国民も挙つてこの線に来たのでありマス。その石炭鉱業が今日の事態に追込れたということは、我々は責任を回避しませんが、毎月のごとく産業大臣その他の政府当局にこの実態を今日に至らざる前に努力を傾倒したことは、先ほど申した通りでありますが、先に新海会長が当面施策を述べましたように、この段階に追込まれた以上は、石炭業界の建て直しという建前から、国もよく認識して頂きまして、軌道に乗せると、なお重油石炭との価格差が需要家に与える影響ということがこの重油規制ということと並行することも、よく我々も了承しております。経済面においても、重油消費するのと石炭消費するのが経済面に変りがないという程度までは我々は労使一体となつてこの日本の経済水準に合わして重油を駆逐する、或いは重油を焚かなくても日本国内生産石炭を焚くというような、経済的にもそこまで打つて来ることに業界は労使挙つてそういう考えの下に今日事業を続けておるのであります。でいろいろと経過の一端としまして余計なことを申上げたようでありますが、私ども国民として石炭人でなくて考えて見ましても、ここまで国を挙げて地下資源の育成の経過を辿つたものを、アメリカのあり余つた重油を次々に先に述べたように持込んで来て、国内産業を圧迫してぶつ潰すというようなことは、石炭人の私どもでなくても、国民として誰もこの事情を知つたならば、納得し得ることではない、何たる間違つたることかというような感じは誰も深くしておられるものと私は信じます。本年度重油を五百三十七万キロリットルときめてもらつたのも、通産当局に言わせますれば、本年度は九百六十万キロリットルの要請があるが、石炭事情がこうであるから五百三十七万キロリットルに減らしたのであるというようなことが通産当局の意見でありますが、現実の情態は石炭局長が御認識でございますから、私どもが述べるまでもございませんが、我々の辿つた経過と、又今信念を申上げておることについては、いささかも間違いはございません。それが今日まで放置されたという点に、私どもは誠に心外に堪えざるものがあります。折角本日本委員会を開催いたしてもらいまして、今日まで起り来つた遅配、未払、炭鉱の休廃止というものを、これ以上一鉱も作つてはならない。燃料の総合計画を樹立してもらいまして、一方石炭価格というものは合理化の線を推進めまして、経済の面から見ましても、日本の水準を外国の水準に合わするまではやらなければいけないという信念はいささかも間違いはないのでございます。どうか諸情勢につきまして、今新海さん或いは炭労の阿部委員長が申しましたこと、私どもの考えの概要を御参考に述べさして頂きまして、一日も早く、でき得れば三十年度総合燃料対策を確立して頂き、目前の、私どもはその目標に向つて健闘するという唯一の近い目標をお願いしたい。続いては三年度、三年度と年次別の総合燃料対策というもののあり方をお示しをしてもらいたい。年次別がむずかしかつたならば、三十年度目標は急速に示して欲しいということは衆議院の委員会でも我々としては要請をしております。なお当面の処置を如何にするかということにつきましては、先に新海会長が述べました七項目の事態をよろしく御検討下さいまして、これ以上経済的にも人事的にも大きな摩擦を作らせないというような観点から、よろしく国策の樹立に近い総合燃料対策の樹立を是非推進めて頂くということを切に切望いたしまして、御参考までに一宵述べさして頂きます。
  56. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 以上で参考人の御意見の陳述は終つたのでありまするが、只今までの参考人の御意見に対しまして質疑がございまするならば、これからお願いいたします。
  57. 森田義衞

    ○森田義衞君 先ほど新海さんのお話で、貯炭の来年三月末までのお見込が今の状態で行くならば五百二、三十万トンになるのではないか、今より百万トン程度殖えるのじやないかといつたようなお見込みのようでございましたが、先ほど政府当局から聞いておりましたところでは、大体下期の生産が、例えば今の十月の程度で行くならば、二千百五十万トン程度であろう、その程度荷渡しができるといつたようなお見込のように実は聞いたのでございますが、でありまするから、貯炭の現在の四百万トンは変化がなくてそのまま推移するといつたような、お見通しとの相違があるわけでございますが、その点は如何でございましようか。
  58. 新海英一

    参考人新海英一君) これはこの上期の実際の引取高が千九百八十万トン、下期は需要期でもございますので、その数字を織込んで私ども計算いたしましたので、我々の見方としては、十分検討いたしたもので間違いないと思うのです。それで、政府当局におきまして今まで毎年需要見通しを発表されるのですが、それが常に我々から見ると甘い数字が出ておる。そうして、その責任は誰が負うかというと、結局我々生産業者だけが負うのであります。
  59. 森田義衞

    ○森田義衞君 現在のこの四百万トン以上の貯炭で、二百万トン程度は適正貯炭であるとおつしやつたように聞いたのでありますが、実際月の荷渡しが三百七、八十万トンといつたようなときに、少いほど結構でございましようが、やはり需要家まで行く間の輸送なりその他の問題もあると思うのですが、金融的な問題もありましようけれども、もつと甘く見て、例えば売る見込があれば抱えておられるのでありましようけれども、そういつた観点から見まして、特に捌かなければならない最小限度貯炭の捌き方に対する見方が、どうしても二百万トンくらいやらなければ駄目でございましようか、その点の見通しはどんなものでございましようか。
  60. 新海英一

    参考人新海英一君) 私ども長い経験から言つて、二百万トンが大体適正の貯炭というふうに、これは実績から申しまして思つております。勿論、重油を極度に圧縮するとかいうことになりますと、供給についての不安ということもありましようから、私ども金融が許すならば若干それが殖えることは差支えないものと思います。今日におきましては金融の圧迫で生産コスト関係なしに非常な安値の投げ物が出て来ておるという状態でございますので、やはり平常の適正貯炭二百万トン乃至二百五十万トンというもので抑えておきたいと思つております。
  61. 森田義衞

    ○森田義衞君 只今お話の投げ物があつて、例えばカロリー当り三十何銭といつたようなひどいものがあつて、中には大手が銘柄を隠して販売業者から市場に出してもらつておる、或いは中傷もございましようが、そういつたことで石炭業界に非常な混乱を来たした、特に中小あたりの金融の比較的つきにくいもの、或いは売渡しの紐の余りついていないもの、といつたところあたりが、そういつた濫売があれば一層の圧迫を受ける、そういつたことからこの二百万トンが癌になつて、更に中小その他、或いは大手にもその点があるかも知れませんが、休廃炭鉱というものが今後来年の三月までに殖える見込があるかどうか、又実際殖えるでしようか。又そのために失業者がどのくらい殖えるでしようか、伺いたい。悲観的見通しといいますか、何らかの操作が行われなければ、今後その濫売の結果それが殖えるかどうか、その点のお見通しを伺いたいと思います。
  62. 新海英一

    参考人新海英一君) 只今の御質問の通りでありまして、若し過剰貯炭が何とか対策が講じられないときには、今日の投げ物は更に続出し、炭界に収拾すべからざる事態が起るのじやないかというふうに憂慮されております。そのために幾つの山が潰れて、どれだけの失業者が出るかということは只今ちよつと確答申上げるわけには参らないのでございます。
  63. 森田義衞

    ○森田義衞君 武内さんのところでの見通しはどうでございましようか。今の点につきまして、中小炭鉱の代表者とされまして……。
  64. 武内礼蔵

    参考人武内礼蔵君) 今新海会長が森田委員さんのお尋ねに対しまして、現状のまま四百二、三十万トンの貯炭を擁し、更にこれが来年の三月に至れば五百万トンを超すという見通しは大よそ間違いございません。大体に通産当局見方がすでにことごとに甘過ぎておる。もう私どもは自分の身に降りかかることでございますから、通産当局は議会なり会議で声明をなさつたことが裏付けのできていないということは先生方も御承知と存じます。生産高が四千八百万トンだといい、ときによつては四千五百万トンといい、今では四千三百万トンといい、実際の消費量四千万トンがこれも切れるかもわからないその段階において、森田先生がお尋ねになりましたが、今日でさえ先に述べましたような窮状を、かこつておる。ここに九月の四百二、三十万トンが五百十万トンにも五百二十万トンにもなるということは明らかにこれは間違いございません。そうしますれば、これ以上に、ここに我々が先に石炭業界として申上げました二百万トンの貯炭を買上げてストックして行つて欲しいというのには、ただ経済的の収支という問題もありますが、如何なる事態によつて重油を切つてもらつても、一般需要家に迷惑をかけてはならない。だからこのまま推移すれば、もう我々も共倒れするので、この際に石炭界の建直しとしてはどうしても二百万トンくらいの、ここに名を換えて言いましたならば、今後に起る経済的の、数量的の問題に波及する場合もありましよう。或いは姑息な石炭政策をとつたために、重油の転換を先にやつたものが又ぞろ再転換せねばならんという事態も起つてはならないので、石炭界も救われるし、需要家も安心してもらうという建前から、先の項目の中に二百万トン買上げという要請をしたのでございますが、これができなかつたらどうかという御質問でございますが、今こういう事態を調整してもらわなければ、次から次へと休廃止炭鉱ができ、未払は更に増大いたしまして、関連産業に至るまで大変な御迷惑のかかるということは明らかだと私は信じます。御了承を願います。
  65. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつとお諮りしたいと思うのでありますが、只今大臣が見えまして、何かアメリカから議員団が出て来ておるので、先を或る程度急いでおられるわけです。ここで大臣に対する質問を暫らくして頂いて、それから御迷惑と思いますが、参考人各位もできればやはりおつて頂きまして、大臣への質疑が終つたあとで又残つた質問を続けたいと思いますがお差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは大臣に関係のあります質問を願います。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣おいでの前から石炭のストックの問題が論議になつたのですが、私はここで大臣と業者のかたと両方から特に伺いたいのですが、私は業者のほうで経営を円滑にするためにストックが幾ら要るかという問題じやなくて、日本産業の基本になる石炭は一体幾らストックしておくことが必要であるか、いわゆる理想ストックの問題を伺つて見たいのです。今まで二百万トンとかいうお話がありましたが、私は石炭のほうは素人でありますけれども、二百万トンと申しますと今の需要量からいつて大体十七、八日分だと思う。そういうことで石炭生産地は非常に片審つておりますし、若し万一の場合がありますと、その程度のことで石炭のストックというものは私は決してよろしいものじやない。今金融問題等とからんでストックの量の問題がいろいろ論議されがちでありますけれども、一応この金融問題、石炭企業の問題、これから起つて来るいろいろな要求というものを離れて、通産大臣石炭のストックというものを大体二十日分が理想であるか、三十日分が理想であるか、或いは四十日分が理想であるか、それとも今業者の皆さんがおつしやるように二百万トン、即ち十六、七日分がいいとおつしやるのか、その辺のところは一体どういうふうにお考えになつておりますか。これは大臣と、それから業者のほうと両方から私は伺つて見たいと思います。
  68. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 従来からの経験を基礎にいたしましての考え方でございますが、私ども大体二十日分程度数量にいたしまして二百四、五十万トン程度が妥当ではなかろうか、かような考えを持つております。
  69. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 参考人のほうから、新海参考人
  70. 新海英一

    参考人新海英一君) 私も従来の経験から申しまして大体二百万トン程度で今まで円滑に参つておつたのでありますので、大体適正貯炭は二百万トン程度というふうに信じておるわけでございます。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで大臣と業者のほうでまあ四、五十万トンの違いがあるわけですが、その問題は別として、そうしますと通産省では今ストックの買上げ等の問題が業者からも要求があるようでありますけれども、少くとも二百四、五十万トンを理想ストックと考ると、従つてそれ以上の分につきましては、金融その他適正な措置政府として講ずべき責任がある、又講ずるというようなことで今検討中である、こういうふうに承知していいですか。
  72. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 全般的に見まして、総合燃料対策見地から見まして、石炭を年間どのように生産し、消費して行くかという長期的な見通しというものを一応役所として持つておるわけであります。その問題に関連しまして、種々の重油であるとかその他の関係が出て参るわけでございますが、そうした関係からいたしまして私どもといたしましては差当りの現在ございます九月末四百十三万トン残つておる貯炭というものをどうするかということを考えておるわけでありますが、ただこれにつきまして御承知のごとく企業自由の原則、経済自由の原則というものを掲げておりますので、適正貯炭量を芳しくオーバーしたからといつて、これに対して政府がすつかり尻を拭うということは他産業との関係もございますし、一概に申せんところもございますので、私どもといたしましては一応石炭に対しては財政資金が投下されまして、又吸収されておるわけでありますが、その撒布と吸収関係を如何に調和するか、或いは金融的にこれを如何に処理するか、こういう点につきまして関係各省とこの点は財政当局と打合せをいたしておるような次第でございます。どうも一律に石炭業という観念の下にこれに対してどうするかということよりも、やはり石炭企業、個々の企業におきましてそれではどういう対策を持つておるかということと見合いながらそれに対する対策を考えて行く、ケース・バイ・ケースでこれを調整して行くというような方向を考えておる次第でございます。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあ小坂大臣のような非常に閣僚の中でも経済に詳しいかたが落ちついて通産大臣をやつておられれば非常にいいのですけれども、そんなわけにも行かないようでありますけれども、どうも従来の経過から見ますと、今目先の問題になつている重油の問題にしても、これは石炭の問題にしても、今業者のかたがたからいろいろ政治に対する不満がありましたが、どうも私がいつも汚い言葉で言う、役人の行政というものは猫の金玉で、あとからばかり見える、もつと前から見てやつてもらいたいということを私は言うのだが、これもそういうような総合燃料対策というようなものを引張り出して、今の目先の四百二十万トンの貯炭をどうするかということを議論しているときに、総合燃料対策で、私は今の話をしているが、あなたのほうは明後日の話をしているということで、それでは私いけないのじやないかと思いますが、まあ意見になりますからこれ以上慎しみますけれども、もう少し現実の問題の処理を急いで頂きたいい思います。  この機会に私はもう一つ伺いたいのは、今重油の問題が非常にやかましくなつておりますが、一体今業界のほうでは重油を使つて石炭を使つても同じようなところまで石炭企業合理化をやるということを力説しておられますが、一体重油を使つて石炭を使つて需要者のほうから見て同じだというこの一致点は、政府のほうは幾らに考えておられますか。三千五百円ですか、四千円ですか、そこのところを、業者のかたがたにもあとで伺いますが、政府はその一点をどの辺のところに置いておられるかをお伺いしたいと思います。
  74. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは午前中にこの委員会にお配りしておきました資料にも挙げてありますが、この重油価格消費地で考えますのと、それから産炭地で考えますのとちよつと事情が変つて参ります。それは九州あたりから阪神あたりまで運んで参りますと千三、四百円くらいの運賃がかかりますが、重油の場合は比較的京浜、阪神あたりの消費地のほうが安くて、産炭地がむしろ高いという逆になりますので大分違つて参ります。一例を京浜にとりまして現在見てみますと、大体トン当り千円くらい、これは一般用に使う場合、ボイラー用に使う場合の比較でございますが、大体石炭のほうで申しましてトン当り千円くらい違うのです。これを九州で考えますと、むしろ千円ちよつとくらいは安いような計算になつておるわけでございます。ところが重油消費は大部分が京浜、阪神或いは各古屋地帯というような所で消費されますので、そういう点から申しますと、大体千円くらい現状においては高いということになるわけでございます。我々が考えております合理化が完了いたしましたときにほかの諸条件が同一だと考えますと、現状よりもコスト面で約八百円くらい安いような計算、そのくらいまで下げたいと思つております。そのくらい下りますと大体消費地においてもとんとんくらいになるというふうに考えておる次第でございます。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 素人でありますから大ざつぱにお答え願えれば結構なんです。そうすると今石炭の市価はこれではまだ重油を入れたほうが、政府の見解では重油を輸入したほうが需要者のほうは得だという見解を持つておられるのか、それとも今はもう石炭が下り過ぎてこれでは重油を使うよりは石炭を使うほうがもう得だというふうになつて来ておるのか、そこら辺のところを大掴み一つ御回答願いたいと思います。
  76. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 石炭価格は午前中も申上げましたように三つございまして、大部分の、現在大品需要を賄なつております平常の価格の分は、今申しましたのは平常の価格で申しまして千円くらい高い、ところが最近非常な投げ物が出ておりますことは先ほど申上げました通りでございまして、山元価格でこういつた重要産業向けの長期契約の分の値段の半分程度値段が出ておるもののこういうふうなものになりますと先ほど申しましたように千円程度の差でございますから、勿論石炭のほうが遥かに安いということになります。併し大口の長期契約で現存行われております価格を基準にして考えますと、先はど申しましたようになお石炭のほうが千円程度一番高い京浜あたりをとりまして千円程度高い、従つてほかのこれは一般のボイラー用に粉炭を使いました場合と重油を使いました場合との比較でございますから、発生炉等の用途に使います場合にはもう少し差が出て参りまして、全体引つくるめまして少くとも大消費地において大口需要と申しますか、一般の平常の価格で購入した場合の石炭に比べては重油のはうが安いということは言える、こういうふうな考えであります。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一点だけ、これは大臣に一つお答え願いたいのですが、今石炭企業の救済の問題が起つておるのですが、我々がこの問題にぶつかつて一番先に教えてもらいたいことは、一体救済の必要があるかないかという問題、救済の必要がある場合に一体どの程度救済したらいいかという場合、その一番の考え方基礎になるのは、一体今の国内の石炭コストの問題、これを私たち知りたい。いわゆるコストと申しましても非常に能率的なコストの低いのもあるでしようし、又非常に高いのもあるでしよう。米ほど上下の開きはないでしよう。米のように石三千円でできるところもあるかと思うと二万円以上のところもある。これを一本で今の米価を決定しておる。こういうふうなほどの開きはないと思いますが、いずれにしても相当のコストと申しましても大小企業別に、又地域別にコストの開きというものは相当あると思いますが、このコストの開き、又それをどの辺を政府はとつて平均コストとされる考えだか、これらのところを一つ伺いたいと思います。それを政府方針がわかりませんと一体この石灰企業をどうするかという救済の問題について何にも私は我々の判断が出て来ないと思う、そういう意味合において一つ説明頂きたいと思います。
  78. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 私も先ほど御指摘のように繋ぎ大臣でございまして、(笑声)余り抱負経論を述べましても本来のかたに御迷惑になるかも知れんという点もあるのでございます。まあ折角お尋ねでございますから申上げますが、現在御承知のように大手の平均炭価というものは大体四千円乃至四千二百円程度になつておるようであります。中小のものがこれより五百円安の程度でございます。その現状において何とか他の一般物価も下りつつあるのでございますし、まあそういう程度に維持できれば何とかやつてつて頂けるのじやないか、かような考えを持つておるのであります。
  79. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は只今大臣のお言葉の中に通商産業大臣としては繋ぎであるからというお言葉でございますが、真剣に私はこの鉱業に関してのことをお願い申上げるという前提の下に御質問申上げて見たいと思うのでありますが、実際問題として本当に通産大臣としての考え方で御答弁なさるのかどうか、先ずお開きしておきたいと思います。(笑声)
  80. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) この点私失言でございまして、そういうふうにおとり頂きますと甚だ私も遺憾に存じます。決してそういうつもりはございません。
  81. 小松正雄

    ○小松正雄君 本日我々鉱業界の代表としてお見えになられた業者、或いは我々の働く者の代表としての阿部氏が参られまして、今日の石炭業界のあり方、或いは失業に関する問題等について詳しくこの委員会において継々述べられたのでありまするが、これに基いて大臣にお尋ねしておきたいことは、先ず今日になるまでの苦労、要するに石炭鉱業界の業者として政府から石炭をどうあつても何年度は何千万トン、何年度は何千万トン、こういうふうに指導されてそれを是非出さなくちやならないという割当制を以て出させたことについて、それを守つて来た業者が今日こういう羽目に追込まれたということについて大臣はどういうふうなお考えを持つておられるか。
  82. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 申上げるまでもなく、この石炭というものはあらゆる工業の基礎物資でございまするから、この石炭生産につきまして最も能率よく出炭ができまするように種々経営者御自身、或いは労働組合の側におかれましてもそうした目標で努力されることは必要でございまするし、政府といたしましてもそうしたかたにできる限り金融、或いは住宅等の利便を与えまして、この増産を図りまするということは当然のことと考えて今までやつて来ているわけでございます。ただこの石炭におきまして御承知のごとく、ときには非常に滞貨が殖える、或いは又非常に滞貨がなくなる、非常に需給状況が、主として生産の要因によりまして変動するということも過去においてあつたわけでございます。そういう際に重油転換ということが一部に言われ出しまして非常に安定した供給を見込まるる重油に転換したいという希望が澎湃として起りました、その間の調整というものにつきまして今申上げたような石炭の供給が極めて不安定の事態でありましたためにそのことが今日重油石炭との間の競合関係を見ることに至りましたことにつきましてはいろいろな事情はございまするが、それはそれといたしまして、我々としては今後において総合燃料対策というものを確立いたしましてこの岡の調整を期したい、かように考えておる次第でございます。
  83. 小松正雄

    ○小松正雄君 それは将来の問題であろうと思います。私の今申上げましたことは、詳しくまあ言わなかつたために大臣はそういうふうにお考えになつたかと考えますが、先ず鉱業界に対して国が少くとも四千八百万トン乃至五千万トンを出せということについて終戦後運転資金設備資金等を国から無理やりに押付けられて、そして炭住を建て設備をして漸く五千万トンに近い石炭を出すようにいたしたさ中にその統制を解かれてあのようになり、今日の段階に追込まれて来て、何が残つておるかと言いますと、業者としては借りた金の利子を払うということと同時に、これに伴う固定資産税を払うという、これ以外に何物も残つていない。残つてないということはそのような苦労を受けておるということであつて、この苦労を受けておるということにつれて今日の段階ではすでに労働大臣としてお調べになつておるからおわかりのように中小炭鉱としては二百九十鉱もどうにもならないということで閉鎖をし、或いはこれに要した金が五十三億、これらは皆もう国から押付けられた、その半面国の責任において石炭を出させるためにさせた金であるために責任を持つてこの金を払わなくてはならないというくらいな観念がなくてはならないじやないかという意味において石炭鉱業界に対する今日の段階に追込んで来た政府当局、要するに通産大臣としてはどういうふうに考えられておるか、気の毒に考えておるかどうかということに一言に尽きるわけでございますが、どうでございますか。
  84. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) まあ私どもは飽くまで日本国の繁栄、又その向上要素でございます国民経済の維持向上、又国民経済を支える柱であります産業の振興ということにつきましては、絶えずこれを望むものでありますし、産業の維持運営の衝に当られるかたがたに対しても常に御繁栄を願いたいという気持はございますのでございますが、非常に遺憾ながら経済的な諸関係と申しますか、主として石炭コストが非常に今の国際的なレベルから見まして外炭よりも内炭の一ほうが高いという状況になつておりますために、一方から見れば使うほうが非常に有利であるという情勢を生みまして、そういう状況になりましたことは誠に同業者の各位に対しては御同情に堪えない次第であります。何とかいたしましてそうした状況をこれより伸びるための一時のかがみと申しますか、伸びるために少し安定の基礎固めをいたす段階でございましようと思いますから、早くそうした整理段階を越えて、石炭企業が繁栄することを望む次第でございます。
  85. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで本日ここに提示されました「石炭鉱業合理化促進方策について」という資料を頂いたのでありますが、この内容を検討いたしますというと、私は漸次今日に玉るまでの間この石炭鉱業に関して本委員会で縷々意見を申述べ、私の思いを率直に申上げておつたのでありますが、私の申上げておつたことに対して、中小炭鉱に対する諸施策の部分が三、四載つておりますが、この資料に出された以上、大臣は如何なる障害をも乗り越えて実施をするというお考えがあるかどうかお聞きしておきたいと思います。
  86. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもといたしましては、ここに差上げておりますような合理化方策につきましては、強い決意を以ちましてこれを推進いたしたいと考えております。もとより党の上に立つ制度でございますから、党は私どもが所属いたします党はもとより各党の皆さんの御協力を得まして、一日も早く合理化を完成いたしたいと考えておる次第であります。
  87. 小松正雄

    ○小松正雄君 いろいろ挙げてありますが、その中で、非能率鉱の休廃止に関する問題、それから鉱業権整理制度、それから坑口開設許可制度、こういう三つの問題が取上げられておりますが、大よそこれは次期国会までに政府として立法化され、そうして真に委員各位の同意を得ると考えであろうと思いますが、その時期はこの臨時国会もすでに開かれんとするときに来ていると思いますが、それのときにでもこの法案を立法化されて出すというお考えでありますか、どうですか。
  88. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) こうした問題の中には、今御指摘のように法律を、要するものもあると考えます。従いまして、こうした関係を一まとめにいたしまして、石炭鉱業合理化法案というようなものを提出いたしたいと考えておりますが、これは、各般のまだ調整を要する点もございまして、臨時国会は御承知のように極めて短期かと思いまするので、いずれにいたしましてもできる限り早い機会に提出いたすように努力いたしたいと思います。
  89. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで今大臣のお話では早い機会ということであつて、すぐ様どうだということにならないという御見解のようになりますが、そういたしますと、私としてここに大臣にお願いしたいということは、早晩この合理化促進の法案となつて出る、それが可決されるまでには時日を要する、そうなれば、そうなるまでの間に、私は現在四百万トンくらい手持貯炭を持つておりますが、貯炭を一応代表的に、日本石炭鉱業連盟、或いは又日本石炭協会等を通じ、それらを責任者として二百万トンの石炭を買上げてもらう、それを以て整理資金に当ててもらう、こういうことにすれば私は労働対策の一環、要するに失業者に対する一つの施策を業者間でもやり得ることができて来るということと同時に、又この石炭が過剰になりつつあるときでありますので、一日も早くこれが整理されるということになりますればそれらの休鉱廃坑によつて減産もできる、こういう観点から大手を通じ、或いは又中小炭坑の代表であるその組合を通じて石炭を買上げてと申しますか、それに対して貯炭融資をするとかを早急に出してもらいたいという考え方でありますが、大臣はどうお考えになりますか。
  90. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 鉱業権整理とか、坑口開設の許可制度等についての立法化は、今申上げましたように若干時日を要するかと思いますが、こうしたものは直ちに現在のストックには関係が緊急にはないわけでございますので、その点はお含みを願いたいと存じますが、只今御指摘のごとくに現在ある貯炭をどうするかという問題につきましては、御心配の点も御尤もと思うのでございます。そこで貯炭政府がそれじや直ちに買上げてそれをどうするか、それによつて操作するとかという問題がございまするけれども、私どもといたしましてはこの直後買上げということにつきましては、事務的にも経理的にも甚だ困難を伴いますので、この点はなかなか困難ことだと考えております。石炭を買上げましてこれを管理する点に非常に問題がございますし、御承知のように大量のものを臨いておきますと風化をいたしますので、その間のロスを政府はどういう責任を持つか、この問題を別に、問題は整理する際の金融について円滑を期し得ればよろしいわけでありますので、やはり各炭坑別に各計画をお立て頂きまして、その整理計画の妥当と思われるものにつきましてはできる限り金融の便をお図り申上げる、かような方策で行くのがよろしかろうかと考えておる次第でございます。
  91. 小松正雄

    ○小松正雄君 それは大臣がさつき言われましたように、合理化促進というものの方策を法文化されて決定せられた後に起ることでありまして、これは起ることについては前提としてここに出されたが、これを堅実に守つて大臣はやり遂げるかということを私は質問いたしましたのに、必ずやり遂げるということで、併し時期があるのだとおつしやつたから、時期を要することであるならば早晩この炭坑の整理ということも考えられて織り込まれておるということであるならば今日の段階では石炭というものが余つてどうにもならないということが第一原因になつておることでもありまするし、そういうことからして整理をしようということが合理化促進の法案になろうとする題目だと私は考えます。そういたしますると、現在ある石炭、要するに手持貯炭が大手、或いは中小合せて四百万トン以上ありますので、これらに対して二百万トン分だけの金融をしてもらいたいということであります。その金融をしてもらうことは両代表組合で貸して頂いて、それを以て整理をする炭坑に対しては早目に、そのことが大臣においてそういうことをするということがはつきりなりまするならば、要するに貯炭見合い、貯炭融資として出されるということがはつきりなりまするならば、それを業者代表である協会、或いは組合のほうから各炭坑に示達されると思います。示達されればこういうふうで整理して頂きたいということで提案すると思います。そうすれば両代表からそういうものについてはどうするということになつて、その貯炭融資で借りた金から廻して裁くということになりまするならば、この法案ができ上つた後に政府としてしようとするものを前以てやるということになる、それにつれてこれら炭坑がやめるために、石炭の過剰になつておる問題についても、或いは又失業に関する問題も或る程度その融資の金によつて整理をされるということになれば、それに従事しておる労務者或いは職員等にもその金を以て合理的に解雇するということになれば、その金を以ておのおの職に就こうということにもなりましようし、そうすれば失業問題も解決するのじやないか、こういう意味において早目に一歩手前にその金の融資をする考え方はないかと、こういうことをお伺いしておるわけであります。
  92. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 整理をされまする場合の基金と申しますか、整理を円滑にするための資金を要するということでございますれば、それにつきましては公庫等を通しまして十分手配をいたす考えでございます。ただ滞貨見合いにということになりまするといわゆる滞貨金融ということになりまして、この点は少し問題が困難かと思いまするので、いずれにいたしましても整理に必要な基金は出す、別に貯炭を見合いにして基金を出すということでなくして、整理計画そのものが妥当と認められればそれにつきまして基金を出す、かような方寸で参りたいと思つております。
  93. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは為替レートでありますが、今内地炭は外国炭よりも高い、すべての物価が高いと、こう言つておられますが、ドル勘定によりますと、今、三百六十円という建価にはなつておるけれども、実際は四百円以上、四百四、五十円くらいになつておると皆世間の人は見ておるのであります。結局するところ、そこに大きな欠陥があるので、それがすべての方面に響いて来ておると考えられるのでありますが、大臣はどういうふうに…、この為替レートは正しいのか。こういうふうな実際と為替レートとが実際問題と違つておるということ自体が政治の貧困を物語るものではないか、長らくの間政権を担当しておる現内閣の政治のあり方が拙いのではないかと私は考えられるのでありますが、この点について閣僚の一人として小坂労働大臣は如何なる所見を持つておられるか、これを承わりたい。
  94. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 私は現行の三百六十円レートというものは飽くまでも堅持しなければならん、かように考えております。御承知のように日本は外国から原料を入れて、これを加工して輸出して行かなければならない国柄でございまして、この為替を現在よりいじりますということになりますと、どうしても入超の傾向を更に激化することになります。一方為替インフレーシヨンというものが当然起きて来るのでございまして、私どもが一番安易な方法は、今おつしやるように為替をいじつてそのレートを変えれば、石炭関係においても、それは入炭のほうが今度は高くなつて来るのでありますから、そういうことはやすく言い得るかも知れませんけれども、一たびそういうことをいじりますと私どもは日本の経済が瓦解してしまう慮れがあると考えております。飽くまでも現行レートの下におきまして輸出を増進して行くという態勢をとるべきであると、こう考えて、おります。
  95. 海野三朗

    海野三朗君 今私がお伺いしましたのはこの為替レートを堅持すべきかどうかという問題にあらずして、実際の為替レートというものが実際は一ドルが三百六十円にはなつていないのだというこの現実の姿があなたは正しいとお考えになつておるかどうか、これを私はお伺いしておるのであります。これを堅持するかしないかの問題を私は伺つておるのではなくて、この三百六十円が妥当でなくて四百円以上になつておる、実際は。誰が見てもそういうふうに言つておる。そこに一大欠陥がある。この現実の姿を何とお考えになつておりますか、ということを私伺つておるので、これを堅持するかしないかはそれは時の政府方針によつてきまるのであつて、そこを私は伺つておるのではなくて、この一大欠点のあるこの現実の姿、これに対してのあなたの御所見を私は承わりたい、こう申上げておるのでございます。
  96. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 三百六十円レートは私は正しいと考えておりますので、まあこれを正しいから維持しなければならん、かように申上げた次第でございます。御承知のように最近の輸出入状況を見ますると非常に努力の結果が現われて参りまして、やや出超になつて来ておるような状況でございまして、私どもはこのレートを維持し、その下において日本経済の安定を図るという方針で努力したいと考えております。
  97. 海野三朗

    海野三朗君 あなたは正しいとお考えになつておる、それは皆さんの見解の相違でありますから何も私は申上げませんけれども、三百六十円とおつしやるけれども、実際問題がそうなつていないでしよう、現実の姿が。それが私はいけないのじやないか、実際に即するような為替レートでなければならないのじやありませんか。これを私は伺つておる。どうしても堅持しなければいけない、これを堅持しておることがあなたは正しいのだとおつしやるけれども、正しくない、この合わないところのもの、その現象を呈しておること、そのことが政治が貧困であるからでないかということを今私は伺つておるのであります。
  98. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) お答えになるかどうか存じませんが、私は正しいと考えましてこれを維持する努力をしておるわけでございます。先月も三千八百万ドルからの黒字になつておるのでございまして、このレートの下に私は日本経済を拡大、繁栄せしめ得ると、かように考えております。
  99. 小松正雄

    ○小松正雄君 大臣は幸いに労働も兼ねられておりまするので、この際失業という問題、要するに炭鉱業者が予期しない余波を受けて二百九十鉱も廃鉱し、これらに要した五十三億の金も捨てて行方不明というようなことに相成つて参るくらいな状況である、この間これに伴つて働いておる従業員というもののあり方についてはお調べでありますがためによくおわかりだと思いまするが、なお本日私どもの県、福岡県県議団、或いは経済に関する問題、失業に関しての問題について陳情を受けましたので、それらを併せて大臣の只今の責任の問題としてお考えになつておるかどうかということについてお伺いして見たいと思うのでありますが、すでに御承知のようにこの北九州中小炭鉱というものに附随してそれに繋がる従業員というものはあらゆる苦難をなめて労使共に相提携してやつて来ておるわけでありまして、それらがもう親族親子に別れる以上のつらい思いをして業者はもう逃げてしまつておる。そのあとに残つた、その業者の逃げられたあとの従業員というものはどういうことをやつておるかということでありますが、これらの問題は抜きにしておわかりだと思いますから申上げませんが、本日の話によりますと、私も一昨々日この委員会があるために炭鉱へ帰つておりましてこつちへ来たのでありますが、私のところは田川郡でありまして、一番激しいところでもあるが、又田舎でありますが、こまい炭鉱がうんとある。これらの谷間々たに稲穂が実つて、すでに刈取らんとする農家が行つて見た。実際に私も見たんですが、もう刈取ろうとしておる農家の者が今日行つて見たら、ゆうべ集団的に稲穂をすごいで持つてつておる。それをどこではたいて食うか知らんが、もう食うものもない、食うためのものを買おうとする金もないという現状のためにそういう稲穂を、丁度終戦前のようなあり方、もう食うものがない、仕方がないということと同じことであつて、買う金がないから仕方がないので稲穂をすごき、或いはいもなんか全然農家に渡してないという現状であつて、それがもう少し進むと、山間地にたまたま家がある、それらの所へ行つて物取りに入る、出て来れば強盗といいますか、というくらいに居直りかかる。そういうことが非常に多くなつて来ておる今日にありまして、すでにもう私が申上げるまでもなく大臣はおわかりと思いますが、田川郡ではどうしてもこれがこのままであつたなら憂慮すべき問題が起るということは必至であろうと思います。特に参考までに申上げますが、昭和五年にあの米暴動がありました。あれは田川郡の私の村から発生した。田川郡という所は一番激しいというかそういう点にも強い。そういうことが見受けられるので、大臣としてはこれらの救済方法としてただ単に失業救済というだけでなくて、さつきも申上げましたように、貯炭融資を強くしてもらうようにできないかということはさつきも労働者の代表である委員長のお話の中にもありましたように、一千万円が三千万円に借りるようになつたからそれで以て融和ができたろう、できるようにしたと、こういうふうに通産省では中小企業金融公庫等を合わしてそういうことにされたということはただ名前だけであつて、実際にもう低い段階におる投げてしまい、或いは幾らか残つて息をしておるという業者には貸し与えてくれることにならない、こういう段階にある。そこで貯炭は持つている、或いは組合は組合としての貯炭は持つている。これらに対して貯炭の融資として一応政府金融公庫等を通じてするといたしましても、率直にもうすぐ大臣の指令というかなんかで以て出してその今の窮状を救うというお考えがあるかどうか、これを一つ
  100. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 誠に炭坑殊に中小の炭坑においての炭坑の実情というものにつきましては私どもも心を痛めておりまするわけでございます。従いまして先般来も坑害復旧の繰上実施等の施策もいたして見たのでございまするが、この実施状況については私どもの所管局長に現地に行つてもらいまして状況も見さしたのでありますが、どうも地元の町村においてもう少し熱を入れてもらう必要があるのじやないか。地元の負担というものがあるために、折角繰上実施をいたしましてもなかなかそれが緒につかんというような点もあるように聞くのでございます。県の段階におきましてもなかなか御熱心にやつて頂いておりまするけれども、もう一息力を入れて頂きたいというような点もありますわけでございます。なお私どもといたしましては、特別のこの失対事業、新らしい規模におきまして失対費も或いは補助費も増したところの特別失対事業ということを考えまして大蔵省と現在交渉いたしておりますので、これは日ならずして実現できると確信いたしております。ただそうした事業をして頂いても現金収入において出すということもさることながら、今のお話のように貯炭融資をしたというような考えも承わつておるわけでございますが、これは先ほども申上げましたように、貯炭融資という滞貨金融ということによりませんで、一つその整理計画なりというものをお見せ頂きますれば、これにつきまして十分金融いたすという手配はいたしておるわけでありますが、そういう向きでございましたら、一つ計画をできるだけ早く正確にお立て頂きまして私のほうに仰せを頂きますれば、これに対して適切の処置をいたしたいと、かように考えております。なお貯炭を融資ではなくて、買上げる措置について、石炭を利用する方面において買上げる処置につきましてまだ発表申上げる段階でないのでございまするが、特殊のまあ措置も考えておりますわけであります。
  101. 小松正雄

    ○小松正雄君 今大臣のお話を承わりますと、失業者に対する問題は幸いに大臣の斡旋によつて福岡県は鉱害を避け得られた、相当な金額を出して頂いたためにこれが県としては実施に移る、又県内の失業者も一部これに従事するということになつて、それらは一万人収容されるとしても五万人以上の失業者が出ているというような問題でありまして、必ずしもその失業救済に相成るかどうかということはまあ考えて見る必要があると私はこういうふうに考えるわけでありますが、それよりも最も進んでおる、要するに思想的にも或いは現段階ではどういうことが起るかわからないというこのあり方において、大臣としては率直に大臣の本当な御意見によつて閣議にでも持出され、そうして当委員会でこういう話もある、こういうことである、大臣としても調査された結果はこうである、そこで早速これをそういう事態に追込まない前に業者に対する石炭貯炭融資とかの方法があるからして、大臣の力によつてそういうことを緊急の施策をするというお考え方はないかということをお尋ねしておきたい。
  102. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 今も申上げましたように建前の問題はございまするけれども、何とか金融ができるだけできまするような方策をとりたいということでまあ考えておる次第でございます。なお今申上げましたように、整理計画というものが立つてそれからお話がありますれば、できるだけ早い機会に金融がつきますように努力をいたす考えでございます。これはまあ私どもの責任においてさようにいたしたいと思います。又現金収入という点から見ますると、鉱害復旧事業なり、それから近く予想される特別失業対策事業なり、遠賀川の近辺もいろいろあると存じますが、そうした洪水改修公共事業を重点的にその近所にいたしますとか、そんな場合において現金収入の措置を講ずるように努力いたしておるわけであります。
  103. 小松正雄

    ○小松正雄君 その点はそれとして石炭の問題についてお伺いして見たいと思いますが、石炭の単価が高いということを中心として合理的に合理化して炭価の引下げをやるということは、これはまあお考えの通りだと私も同感でございまするが、この間今度の不況に相成つて段階で私痛切に考えることができたのですが、それについてまあ大臣の御意見を何つておきたいと思いますが今日の石炭不況に乗じて、例えば需要家と商社との繋がりがありまして、この商社というものは少くもトン当り三百、五百今の不況で取つておる。ということは、例えば或る需要家が、大量需要家が小松商店と契約があるわけですね、石炭の納炭契約が中間に。そこでこの小松が例えばその石炭を二千円で買取ると、納めるのは三千円、千円以上も油を小松が取つておるというようなこともあるわけです。そこで私はこの商社に吸収されておる炭価のコスト、要するに石炭の単価が需要家のほうで高いという線も出ておるというのに、そのいうことが相当今日では大きい炭価になつて出ておると私は思うのです。そこで私はこの際率直に申しますと、石炭採掘業者と石炭需要家と直結をさせるという意味におきまして大臣は割当制をなすというお考えはないですか。
  104. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 割当制というものをいたしますと、これは需要のほうが供給よりも多い場合にそういうことは比較的可能でございます。それにつきましても、割当的な統制をいたしますることは初志の貫徹には遠いのでございまして、私どもはその考え方は余り賛成いたしておらないのでございまして、今仰せのような商社が中へ入つて非常にマージンを取るというような場合は、商社も御承知のようにたくさんございまして競争いたしおりますのでございますから、不当にその間にマージンを取るものは、その仲間自身においてやはり行きたくなくなるのじやないか。その間に競争の原理が働きまして、不当な利得を取るものはやはり整理されて行くのではないかと、かように考えておるのであります。
  105. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう二、三点、そこでその商社が力によつてマージンを儲けて行くということについては規制する力は大臣にはないでしよう。そこで私はそういう意味合いからこの割当制を大臣はどうかということを今お尋ねしたのであつて、無論割当性を主張するものでありますが、この割当制によつて需要者が再び石炭の足らない時期が来たときに業者と組んでおればこそ何も心配なしに収まることでありすることであつて、それは併しながらその場合に炭価をより以上吊上げて来る、はね上げて来るという心配があるかも知れません、需要家としては。ところがそれは国の管理、例えば国鉄が三百万トン年間焚くならば三百万トンを大手に半分、中小に半分とか、こういつた別当制をすることだけで、統制しようというわけじやなくて、需要が一年間どれだけあるかということをお調べになつておるはずですから、一般用炭としては別であります。家庭用炭というのは別であります。一応大量に焚く電力であり、化学的に使われるところ、或いは国鉄、こういつた大量を焚く需要家を指して私は育つておるわけであつて、これらの数量が一年間どのくらい焚くという実態というものがきまりますならば、この割当制をすることは個人に割当制をしようというわけじやなくて、代表的な六一十の協会筋、或いは我々の中小炭鉱、これに割当制をきつちりなさるということになりさえすれば、石炭の過剰も又業者間において整理ずることもできましようし、話合つて行けると思います。そういう意味合いからしてこの割当制を大臣は考えて行くかどうか……。
  106. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように国鉄において四百万トン以上、電力会社において六百七十万トン、或いはセメント等において二百八十万トンという大口があるわけでございまするが、そのうち鉄道と電力とは非常に買い方がまとまつているわけで、他の個個の業種についてはどうというわけにはなかなか参りませんが、大体大昌石炭を使いまするところは直接山元から需要者が買取つている。その間に運送業者が介在いたしまするが、いわゆる中間商人というものはそれほど介在してないようでございます。そこで今お話のような国鉄等の場合のように、大手と中小とどういうふうに行くかという点につきましては、できるだけ中小のほうにも面倒を見るようにということは運輸大臣のほうにおいても考えておるようでございます。私もそのようなことを申したこともございまするが、この点につきましては、これ以上買つちやいかんとかどうとかいうような強制はできませんので、やはり値段とかいろいろ問題はございましようけれども、やはり大手に偏在しないようにできるだけ全般的に面倒を見られるような方法でやるというような方向で現在やつているというような私も報告を受けております。
  107. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 私もちよつと関連して一言伺つておきたいと思うのでありますが、この石炭の一番大きな点は、如何にして石炭生産コストを下げるかという点ではないかと思うのです。それに関連いたしまして、石炭山で使う私は電力料金の問題につい一言聞いておきたいと思います。  先般の料金改訂によりまして、これは地区や山によつていろいろの相違はありまするけれども、極端なところは六、七制の増嵩を来たしておる。もつとひどいのは倍額にもなつておるというようなところもありますが、先般の電力料金の改訂の際に、農事用の電力には殆んど影響を及ぼさんようにするとか、或いは硫安の生産にも影響を及ぼさんようにするとか、公共事業については頭打ち制度を設けるというような、いろいろ特別な措置が講ぜられておるのでありますが、この基幹産業である石炭については何らの考慮が払われてなかつた。殊に石炭の保安用電力、或いは広い厭味の保宏用でありますが、排水用の電力、石炭山としてはどんなことがあつても使わなきやならない、而もこれは根本的の電力であり、人命にも関する電力である。これについて何らの措置が講ぜられてないということは、私は非常なこれは手落ちであつたと思う。これに対して考慮を払うことによりまして、相当コストの引下げにも働き得るのじやないかと考えまするので、これは石炭局長公益事業局長、最後に大臣からこの問題に対して所感を聞いておきたいと思います。
  108. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 今度の電力料金の値上げによりまして、どのくらいコストが上るかということは、非常にまちまちでございまして、いろいろ資料を集めておりますけれども、全部の結果はまとまつておらないような状態でございます。ただ今までに集まりましたところで判断いたしますと、大体三制見当のコストの上昇があるように見えております。ただ委員長御指摘になりました東北地方あたりでございますと、一般のところよりも値上り率が高いという点、それから従来比較的安い電力を使つておつたところがあつたという点、それから又非常にほかの地区に比べまして電力原単位が高かつたというような点で、今の平均に比べますと相当大きな値上りをしておるところかございます。で、常盤地区は平均しまして電力の原単位はトン当り百キロワツトアワーぐらいになつておりますから、つまり二、三制の値上りということになりますとかなり負担になりますが、更に委員長御指摘のように、六制なり、或いは七割というような値上りになりますと、元来が、もう赤字の状況でございますので、相当大きな負担になります。そこで我々のほうにしても公益事業局のほうに、まあ公益事業並みの何と申しますか、頭打ち制度と申しますか、そういつたふうなことをできればして頂きたいということをお願いをしておるような状態でございます。
  109. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 今般の料金改正に伴いまして、各方面に対しまする電力料金の影響をできるだけ緩和いたし手ためにいろいろな方法考慮しているわけでございますが、只今お話のありましたように、石炭に関しましては、保安用電力はかなり大きな部門を占めるわけでございます。石炭に対しまして電力料金の支払額をできるだけ小さくいたしますためには何らかの理窟に則りまして、安い電気を供給できるように形にしなければならんわけでございますが、遺憾ながら石炭鉱業におきましては一番そういうことのやりやすい電力の負荷調整ということが非常に困難な事情でございます。それができますならば負荷調整をすることによりまして、安い電気と高い電気を繰廻しまして、比較的安い電気を買えるということになりますが、肥料その他と違いましてむずかしい。例えば例に挙げましたような農事用の電力におきましては、これは非常に水の多い、電力の豊富な夏分に余計使うというようなことになつておりますので、電力の原価からいたしましてもこれを安くすることはできるというようなことになるわけでございますが、石炭に関しましてはそういうことが非常にむずかしいわけでございます。で、どういう方法がありますかと申しますと、現在石炭鉱業は各炭鉱別に契約をされておりますが、炭鉱では御承知のように非常に水が余計出ますというと、それだけポンプを余計開かなければならん、従つて非常に雨が降つた場合に備えまして使います電力を考慮の上で契約電力をどちらかと言えば大きくしている、或いは別な見地から申しまして、割当を余計もらうために契約を大きくするというような傾向もなきにしもあらずでございますが、そういう関係で概して盲えば契約電力が割合に大きい。ですからこれをもう少し実際に即応しまして小さくしますことによつて、契約電力に対します料金というものが下げられるわけでございます。不時の出水等に対しまする措置については臨時電力その他によつてこれに対して救済方法がございますから、そういうふうに考慮的に契約を変えるということによつて、従来と違つてその部分の費用の軽減ができるのではないか、そういうような工夫を現在個々についてやらしております。  それから頭打ちの制度ということはこれは或る程度私どものはうも考えております。只今申上げましたように、契約電力の更改によりまして影響を緩和し、更に又日次発電等があります炭鉱に対しましては、これは負荷調整によります特約も出来るのでございますが、そういうことをやりまして、大体今の制度で考えられております三制の頭打ちというふうに、以下に大体収まると、結果においてはなるだろうと思いますが、どちらにいたしましても、大体その程度の頭打ちで以て収めるような方法を講じているわけでございます。
  110. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今局長からお話があつたのでございますが、石炭状態がこういう状態でございますから、あらゆる方法コストの引下げということを考えて行かなければならん。それに大きな部門を占める電力料金の問題でございますから、これは是非何らかの形で実現をするように努力を続けてもらいたいと思いますが、小坂大臣の感想といいますか、お考えをお伺いしたい。
  111. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 只今委員長の御指摘のように、この石炭鉱業の要します魔力、殊に保安用電力というようなものにつきましては、できるだけこういう際でございますから考慮すべしという御意見は十分理解されるところだと考えます。ただ今尚局長から申上げましたように、石炭増産につきまして特に配意をいたしております石炭局の考えは、まさに委員長のお考えと一致しておるのでございまするが、電力問題を扱つております事業局におきましては建前がございまして、負荷調整による特約関係を十分弾力的に運営するというような実質的な方法を以て一つの枠がありまして、その枠内においてできるだけ御趣旨のような努力をするということを申しておるわけであります。併し委員長のお考えも十分わかりますから、なお十分にこの問題につきましては研究さして頂きたいと思います。
  112. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではあなたと森田君ともう一点ずつ……。
  113. 海野三朗

    海野三朗君 只今の問題についてです。電力料金の値上げを政府が認可しましたときに、細目に且つての上げ刀を承認なさつたのでありますか、ただ漠然と、つまり何分上げることを許可するということであつたのでありますか、それを私はお伺いしたい。今時間がないから要点だけ私は申上げますると、この上げ方を見まするというと、実にむちやくちやなんであります。甚だしきに至つては、例えば大学の研究室で使うところの電力、その行力の値上げと、デパートのあの広告用に使う電力の値上げとが同じなんです。そういう上げ方は何という上げ方であろうかと私は思う。大学の研究室に使う電力料金の値上率とデパートで使つております広告ですね、あれの電力料金の値上げと同じなんです。それから鉱山のほうの値上げは一〇七%に至つておるかと思えば、或るところの工場に対して九制乃至八割の値下げをやつておる。これは実にむちやくちやなんです。それから一般大衆の定額電燈は殆んど据置きでありますけれども、従最電燈に対しましては十アンペア三十キロワットアワーのところは六割五分という値上げ、実にむちやくちやなんであつて、こういうふうな会社がいわゆるこういう工作をやつておることを政府当局は御承認なのであるかどうか、それを御承認の上に、つまり内閣はこれを、政府はこれを許したのであるか、ただ平均として幾割上げるのを許すということになつたのでありますか、それを伺いたい。
  114. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 政府で承認いたしました料金は各料金の種別に需用家料金が幾ら、電力料金が幾ら、こういうふうな一律の料金表を許しておるわけであります。それについての条件は勿論ございますが、そういつたような一般の原則を表にいたしたものを認可いたしておりますので、それが個々の表に適用される場合には従来の実績その他から影響を受けまして、非常に上るところもあれば下るところもある。これは個別にいろいろ影響が違つて出て来るのであります。でその影響を一応料金の決定前に我々のほうでもいろいろ推定いたしまして、こういうふうな制度であるというと、この方面にこういつたような影響が現われる、これは余りひど過ぎるからこの点はこういうふうに改めようということでいろいろ工夫こらしまして、大体こういう恰好の制度であれば全般的に育つて合理的ではないかというふうに考えましたのが最終的にきまりました案であります、料金制度であります。従つてこれによりましてもやはり個々のものをとつて見ますと、下るところも上るところもありますが、大体同じ事業種におきましてもそういうところがあるのであります。これは一つの制度ができ上りまして、それが過去の実績と比べて同じ業種で同じような使い方をしながら、一方は上り、一方は下るというようなことは、結局前にやつておりました制度がつまり割当制度に基盤を置きました関係上、非常にそこら辺で不公平と申しては行過ぎかも知れませんけれども、負担のでこぼこがあつた。それが今度の制度によりましては全部一律に一本化される、影響が一本化されるというようなことが今度の一つの狙いでございます。従つて今後はどういうふうな使い方をいたしましても、同じような業種であり、同じような使い方をすれば、いつも同じような料金の支払をするということでありまして、従来は割当量の如何によつて単価が安かつたり高かつたりしたのが全部公平にならされるということでありまして、個々のでこぼこは結果においては今後同じようなペースで行けるということで、これは辛抱して頂かなければならないかと思います。それから今御指摘になりました研究用の電力と、それからその他奢侈用に使われるものとの差異、これなんかも料金の制度といたしましては、大口電燈或いは業務用電力、こういつたような区別に従つての料金が払われるわけであります。で若しも大学等が置く電燈或いは業務用であればそれに応じた料金を支払うことになりますので、同じような枠に入ります工場その他の電燈料金といえども同じようなものであれば同じような電力料金を払う。従つて前に比べればその影響力が違うということになるかも知れませんが、これは電気の使い方如何による区別によるものでありまして止むを得ない。但しそういつたようなことが非常に著しく出て来ました場合にはやはりこれを検討いたしまして、例えば大学におきます従来の契約が大口電燈、或いは業務用電力といつたようなものであつたのが果してよかつたのかどうか、むしろこれは大口電燈は業務用に変えるとか、或いは業務用を工事用電力に変えるとかいう余地があるかないかということも研究いたしまして、そういうふうな特に公共的な用途につきましては今度の影響は少くなるようなことを、個別に一般の原則に副いながらこういうふうに考えておるわけであります。
  115. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつと…、参考人がまだおられますし、大臣もちよつと急がれておりますから、公共事業局長は残られますからちよつとあとにしてもらいたいと思います。
  116. 森田義衞

    ○森田義衞君 先ほど新海さんからお話のありました大体政府との、貯炭の今後の増加見通しの違いなんですが、大体貯炭は今後累増しないであろうというふうな政府当局見通しに対しまして、四千五百万トンの大体年間の生産を持つておる、そういつた関係でおのおの山はやはり生産制限をすれば炭価も上つて来る、こういつたような関係もありまするから相当努力しても今のところ出炭程度はどうしても殖えざるを得ない制限に努力しても殖えざるを得ないといつた恰好に至つておると思うのですが、そういつた関係で四百万トンの貯炭が五百万トンにもなつておる。而もそういつた適正貯炭を超えておる分野があるために非常なダンピングが市場において行われておるといつた事情から、石炭業界が更に混乱しておるといつたような見通しがある。それに対しまして政府として貯炭滞貨金融はできない、而も休廃止は個個の山がそういつた整備を申出れば考慮するが、積極的なこれをやる意思もお持ちにならんで、こういつたダンピングを通した非常な自由競争の混乱の中から、勝手に山は潰れて行けといつた政策としか私ども考えられない。こういつた見通しの下に行けば相当又来年の春以後の不需要期を控えておる関係から、果して政府に今後の需要の増大の見込が本当にあるのかどうか、そうしてこういつた貯炭が累増するに対しまして強力な政策が出ない。又休廃止にいろいろな今後の政策はあるようですが、時間的なギヤツプから到底間に合わない。むしろ強力なこういつた休廃すべきものは休廃した成る程度整理政府が積極的におやりにならなければ、結局山があらゆる借金だらけになり祖国は惨憺たる状況の下に潰れて行くといつたことが今後にまだ残されておるのではないか、こういつた深刻な問題は作文程度では、政府の一片の答弁だけではこの事態は解決されないような悲観的状態にある。それがどうしてもこの需給の不均衡と申しますかやはり生産態勢が伸びて来ておる段階を、一方に非能率坑の休廃止といつた問題にからみまして見ると、強力な合理的な手を打つ必要があると思うのですが、そういつた濫売に対しまするお見通しなり、今後に対しまする政府の強い決意と申しますか、対策をもう少し真剣な意味でお答え願いたい。
  117. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 貯炭見通し筆につきましては、私ども鉄道において使用される石炭、或いは電力、ガス、化学工業、鉄鋼、セメント等において使用される石炭の見込を立てまして、大体現在とそう違わんのではないかということを申上げておるわけでございまするが、一方におきまして電力の渇水期に入りまするし、最近の状況から見ますと、昨年の同期に比べましてやや石炭需要も見込まれるような見通しがございまするので、この方面につきましては特殊の方途を考えまして交渉いたしておりますが、これはちよつとまだ発表申上げる段階でないのでございます。  なお貯炭融資という関係になりますると、いわゆる滞貨金融全般の問題でありまして、この建前が問題でございまするから……併し一方において出炭を適当に調整いたし、投売り、濫発というものを防ぎますためにどうしても金融措置が必要であることはよく認めておるのでございます。従いまして貯炭を如何にするかという処理計画を作られました企業に対しましては生産金融の形において繋ぎ融資をいたす。そうして実際的には今お話のございましたような、金融を得せしめるような措置をとる、かような考えでおるわけでございます。
  118. 三輪貞治

    三輪貞治君 時間がございませんから簡単に大臣に御質問いたします。  第十九国会で硫安工業の合理化のために硫安の臨時需給安定法を作りましたですね。そうして生産量の或る一定のところにおいて農業協同組合にこれを強制的に備蓄させて、それについては政府資金の斡旋をしなければならんという法律です。参議院ではこれを修正して原鉱石までも備蓄するようにいたしましたが、これを実施されてどういうふうの硫安工業界にいい影響があつたか。これが又石炭業界にも適用できるような性質のものかどうか。そういう点について簡単に御説明願います。
  119. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 肥料関係につきましてはああした法律を作つて頂きまして、非常に需給関係が安定したということは言えると思うのでございますが、御承知のように非常に需要含みでございまして、海外の市場におきましても例えば韓国におきましても、台湾におきましても、或いは中国においてもインド等においても硫安の輸出というものを希望しておるのでございます。そうした最中でございますので石炭の場合と多少事情が違うかと思いまするけれども、ああした肥料のごとき農家の生産費に非常な影響を持つものにつきましてその価格の安定を図るということは、石炭企業とはちよつと違つた、需要者に非常に安定感を与えるという意味で著るしい効果があると思います。ちよつと過剰といいますか、消費過少といいますか、石炭の場合と若干事情が異なるかと考えております。
  120. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは参考人に対する質疑がございましたら引続き…。
  121. 河野謙三

    ○河野謙三君 私先ほど大臣に質問したことをもつと掘り下げて、これは石炭局長なり参考人のほうから伺いたいのですが、コストの問題で大臣から、大企業の場合は四千二百円であり、中小炭坑の場合はそれの五百円引きということを述べられたのですが、その四千二百円なりそれから五百円引きというのは一体中庸をとつた価格ですか、それとも限界生産費ですか。その四千二百円の出て来た基礎一つ説明してもらいたい。
  122. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは平均生産費でございます。大手につきましては毎月生産業者からその月の仮決算の原価を協会に報告しておりますので、それを集計いたしました平均コストでございます。それから中小の分につきましては十分な資料が集められませんので大手のように完全なものではございませんが、資料の集まります範囲の会社中心といたしまして調べたものでございますが、これもやはり平均コストでございます。
  123. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは加重平均ですか、それとも単なる算術平均ですか、その平均の意味はどういうのですか。
  124. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 今正確に覚えておりませんが、たしか加重平均であつたと思います。
  125. 河野謙三

    ○河野謙三君 通産省の手許にありますその原価計算の資料は頂けますか。
  126. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは私のほうと申しますよりも、資料は主として石炭協会のほうからもらつておりますが、その内訳なり何なり全体の平均的なものはお出しいたしまして差支えないと思います。ただ各社別のものはかなり又経理上の問題がございますので、できればお許し頂きたいと思つておる次第でございます。
  127. 河野謙三

    ○河野謙三君 私それでは改めて資料の要求をいたします。委員長を通じて、通産省の手許にある原価計算を一つ御提出頂きたいと思います。それは申すまでもなく、かように石炭企業が単なる企業者間の問題でなくて、的な問題で、同時に社会問題にまで発展しようとする段階でありますから、我々真剣にこの問題と取組まなければなりませんから、つきましてはその資料は是非委員長を通じて御提出頂きたいと思います。同時になお今あなたの手許にある原価計算というものは、協会から単に参考資料としてとつている程度のような御説明でありましたが、通産省日体が、通産省の責任において原価計算をされたことはありますか。又されようとは思いませんか。これを一つ伺いたい。
  128. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 現在の我々のところのスタッフ能力では、ちよつと突つこんだコスト計算を組かくやるだけの能力がございませんので、これは勿論各社の出されました資料につきましては我々のほうとしても一応の批判はいたしますが、細かく出て来た数字の失体に入つて調べ直すということは現状では困難なように考えております。
  129. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはまあ硫安の場合にもあつたのですが、あなたのほうから直接調べなくても石炭企業にはそれぞれ国家資金が出ておるのですね。従つて開発銀行等にそれぞれ企業から融資を受ける場合に原価計算的なものはあなたの手許を通じて行つているわけですね。その資料はお出し願えますか。
  130. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは開発銀行の融資を受けますためには、それぞれの企業に対して経理上の必要な資料を要求いたしておりますが、それは開発銀行から要求しまして、開発銀行に直接出すような形になつております。(河野謙三君「違う、違う、それは違う」と述ぶ)我々のほうは一応の資金繰りを見る程度の資料を取つておりますだけで、細かい原価の内訳等は開発銀行の融資のためには取つておりません。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはね局長、そういう答弁いけませんよ。これはね、硫安工業の原価計算の場合にもさんざん議論になつて、ここで運営委員会の議論にまでなつたのだが、これは勿論開発銀行企業の間の関係でありますけれども、これらの融資の是非というものにつきましては、当然これを通産省がその責任を以て先ず開発銀行に行く前に調べて行くことは実体でありますよ。これは実体でありますよ。でありますから、私はむしろあなたのほうの手でこれから原価計算をやることについてなかなか困難もあるということならば、便宜そういう開発銀行のほうに行つたものをあなたのほうで取りまとめて出されることは私は可能であると思うのです。それで私は伺つているのです。これは是非そういうことにお願いしたい。それからあとは資料を頂いた上のことにしまして、先ほどからお話の加重平均で大企業の場合四千二百円、中小炭坑の五百円引きということにつきましては、今日御出席のお三方につきましてはどういう御見解をお持ちになつておりますか。この点を参考人のかたから伺いたい。
  132. 新海英一

    参考人新海英一君) 私の見解ですと、これは加重平均ではないと思います。
  133. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは他の阿部さんなり、武内さんのほうも同様でございますか。
  134. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) そうでございます。
  135. 武内礼蔵

    参考人武内礼蔵君) 私もそう思います。
  136. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) いいですか
  137. 河野謙三

    ○河野謙三君 はい、わかりました。それじやその資料を一つお願いします。
  138. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) はい、資料はいいそうです。
  139. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ほど新海さんから提出されました資料を読まして頂いたわけですが、従つて新海さんに主として質問を向けるわけですが、この「次の緊急対策の実施を熱望する次第である。」というので以下一から七まで示されております。そこでこれらがそれぞれ実施されまするならば石炭協会としては先ず十分だと、こうお考えになつておると存じまするけれども、さて労働対策等を見ますれば、使用者の立場に立つて最低労働対策はこれだけしなければならないということをお示しになるかと思いますので、さようでありますれば私が先ず聞きたいのは、阿部さんに、この示された労働対策で従業員の立場から見まするならばよろしいかどうか、これが第一点であります。  次には新海さんにお聞きしますが、かように労働対策等もお考えになつておられれば当然需給の面等についても他の産業に対する影響等もお考えになつて、いわゆるこの重油及び輸入炭の削減というほうもお書きになつたと私は想像するわけでありますが、さてそこで三十年度をどうするかというに、重油については三百四十万キロリッターまで再転換せしむると、こうおつしやつておりますけれども、この数字というものは他の業界影響、例えば発電等におきましては、石炭電池の併用できる発電機ならば別でございますけれども、すでに政府の奨励等があつて重油専用というような発電機を用いているところも多々あつて、一体これを削減されたならば直ちに発電機はとまるという、こういう影響も出て参りますると同時に、更にずつと細かいところを言いますると、この市中の風呂屋等が転換をせよという奨励があつてこれ又重油専用に転換をしておる、これを更に再転換するということになれば私の腰溜め見当でございますけれども、直ちに一年分の所得というものは棒に振らなければならない、こういう影響が出て来るわけです。大きいところも小さいところもさような影響が出て参るわけでございますが、そうした転換の不可能なところは除いての規制でなければならんと思いますが、そういうことを御考慮になつてこうした三百四十万キロリッターを目標にする再転換、こういうことをお示しなんでございましようか。それとも単に石炭協会として考えてこういうふうに削減すればよろしいという、簡単に言えば自分たちだけのこの算盤からしてこういう数字を出されたのか。更に輸入原料炭の問題でございますが、これも百九十万トンとお示しになつておりますけれども、製鉄にいたしましても強粘結炭を用いる場合に六〇、四〇の割合で用いる、こういうことに相成つておるそうでございますが、この百九十万トンによつてそうした必要最小限の日本の他の基幹産業である鉄鋼等に一向差支えない、こういう観点から割出されたのでございましようか、この点を一つお伺いしたいのでございます。
  140. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) 只今御質問の点ですが、私は逆に政府の責任者並びに立法府で毎日御審議なさつておる皆様方にお聞きしたいわけです。我々労働者ですから頗る答えは単純なわけです。一体どこに目標を置いて我々は生活をしたらいいかということを言いたいわけです。そこで私どもといたしましては、初めは政府の四千八百万トンというものを信用して我々はこうあらねばならんという計画を立てました。その次には四千六百万トンというからそれも又止むを得ないであろうというような考え方を持つたわけです。併しだんだん下つて書まして、劈頭参考意見の中に申上げました通り、実際の数字はもう三千九百五十万トンであるというような状態になつて参りました。その間私どもといたしましては武内会長或いは委員皆さんがたから御意見の中に出たように、百或いは百五十、二百、二百五十というように休山になり廃山になる、併し何とかなるだろうという労働者は労働者なりの単純な気持から、我々微力でありまして金力もありませんし、何もないけれども、炭労といたしましては一億四千万の金を工面いたしまして、先つ中小炭鉱を救済せねばならんというようなことをやつたわけです。併しそれでもどうにもならない、明日食う米がないというわけで全部の組合員に呼びかけまして、一千俵、一人一合ずつを寄附してくれというわけで、合計三合になつたわけでありますけれども、一千俵の米を集めて九州に送り、或いは北海道に送りました。従つてそういうような事情でございますので、私どもといたしましては、その原因がどこにあるかということを私どもにお聞きになるより、先ず政府当局或いはそういうことを御審議されておる皆さん方に私どもが逆にお伺いして、炭鉱労働者はこうなければならんという一つの見解をお示し願いたいと思うわけであります。その間我我といたしましてはどうその障害を排除しなければならんかということを、原因を究明すれば、石油がどんどん入つて来る、その石油は税金が一つもかかつておらない、或いは外国炭がどんどん入つて来るというようなこともその過程においてわかつたわけであります。併し私どもといたしましては政治権力もありませんし、法律を作る資格もありませんし、ただ何とかなるであろうというあいまい模糊な気持で今日まで来たわけであります。併し我々の力が微力でございまして、明日倒れる中小炭鉱をどうすることもできませんし、現在職を失なつておる我々同じ組合員をどうすることもできないのが現状であります。従つてそういう点については再三再四これはもう政府当局、我々関係皆さん方に陳情したり懇請したりして参りました。併し私どもといたしましては、私個人にとつてはこの委員会が初めてでありまするけれども、労働委員会においても、或いは又あらゆる委員会参考人として呼ばれた場合にはいろいろ申上げました。併し残念ながら我々の意見というものは一つも取上げられて来たためしはないわけであります。従つて私非常に悲しい諦らめであるかも知れませんけれども、もう君たちの意見はどうかと言うよりも、一体我々をどうして預けるのかという御意見を逆にまあお伺いしたいわけであります。何回申上げても恐らく私の愚痴になろうかと思いますし、私どもは決して楽な生活をしようとは思つておりません。九州へ行つたらおわかりになると思いまするが、前の池田通産大臣は貧乏人は麦を食えということをおつしやつたそうでありまするけれども、私どもといたしましては麦でも結構であります。その麦を食えないというのが現状でありまして、そういう事情もよく一つお考えになつて頂きたいと思うわけであります。その数字的なことは抜きにいたしまして、明日どうしてくれるのだということを逆に私皆さん方にお伺いいたしたいわけであります。
  141. 武内礼蔵

    参考人武内礼蔵君) 只今石炭協会が政府にも立法府にも出しました二項目を挙げられましてのお尋ねの件につきまして、決して石炭協会は他産業の振合いを顧みず、こういうものを出したものじやないことだけを明らかにお答え申上げます。  なお労働対策につきまして現状がかかる状態だつたならば我々の手によつて収拾できない。先ほど小松委員が切実に申されましたように、今日までは実に悲惨な中に二百八十五鉱、昨年の四月から通産省の調べではもう少し鉱数が殖えております。これは八月までの実際の炭鉱でありまして、今お寿ねになりました労働対策という問題につきまして、石炭鉱業の中でも同系町立の協会に属するかたのうちでは、やはり赤字が出ても、不況に喘いでも、その間に金融が今まではつけてもらつてありましたために、一般の労働者に対しての遅払、未払、或いは経営者において金券或いは通いというものを出されたところは一鉱もありません。こういう点からあなたが御指摘下さいました労働対策というものが我々の手によりまして現実の状態を明らかにして今日日以上の摩擦を与えてはいけない、この事態をこのまま放置せんか、小松委員が申されましたように、実に現地の諸情勢は、今までは二百八十五でありますが、今後も続々続いて来る、殊に重油につきまして本日は終始各委員の各位から大臣に対して、或いは局長に対して切実な御質問と、現段階でこのままでいかんじやないか、今後は今後、現在は現在としての措置を講ずべしだという御認識ある御意見をこの席上で伺いまして、私ども生産業者なり、労働関係者といたしましてはその御意見には誠に感謝を捧げておるものであます。併しながら初めて今先生が重油を対象としての取上げ方をして下さいました。これは先に述べましたように、重油需要家に対する消費価格石炭を焚く場合の消費価格と、当然ここに石炭業界でなくて、一般需要者側から見れば経済の問題がここに現われて来ます。これは我々も重油の調整をして、国の今日まで育てた炭鉱一つ潰せというような国策はあるべきでないという根本の考え方を持つておるわけであります。殊に重油調整につきましては、いろいろ現段階を救えということについては感謝すべき御意見もございましたが、かくなつた主要な原因はさつき述べましたように、重油が年々石炭換算三百万トン以上のものが二十六年以来伸びて来ました。これは何よりか一審明白にさつき数字を述べましたような原因になつております。これは国策によつておきめを願つて労働対策も、我々の借入金によつて経営の資本を作つて、国家資金も出ております、こういうものを安全にして、効果を発生してもらうということはうしても立法府の力によつて今日までやつてもらわなければならなかつた問題でありますので、今先生から初めて重油と労働問題ということを指摘されましたことは、私は皆さんが現実を救う問題に非常に熱心に今まで御質問下さいました。併し日本の経済水準を、外国の経済水準に対しては、大いに合理化によつて石炭コストを下げなければならんということが重油規制をする経済的の問題であることを我々よく了解いたしております。併しながらそういうことを待つ、待たんもなくして、かつかづ消費が減らないために経済面まで遡つて石炭を今から幾ら下げる、そうすれば重油はこうなるというような、立法府においても或いは政府においても考えてはくれておつたか知りませんが、全く放擲されて、我々は三年間三代の大臣に亘つて毎月要請を申上げた。いろいろ熱心に取上げて頂きまして、当面の問題も先ほど大臣が申しますように、貯炭の問題についてはケース・バイ・ケース云々、こういうことを言われましたが、この滞貨が今の金融機関から申しますれば、この炭が日本の国に要るのだというようなものならば対象物として融資をいたしますが、石炭に対しては事業を続ければ続けるほど倒れて、重油のほうが伸びて来ますから、金融機関石炭に対して金融せぬというのが金融機関のあり方から行けば当然であります。そういうようなことで、あなたが折角重油石炭消費者と、石炭生産業者、こういう大きなラインを取上げてご質問下さつたことは、私は重油というものと石炭との、つまり調整ということが国策的に優先だ、時期は遅れていても優先だ、これによつて労働問題というものも、我々の潰れる山も潰れぬようになつて、国の欲するところの経済水準まで持つて行かなければいけない。重油価格よりかまだ引下げた価格まで、持つて行かれるところへ持つて行くというのが我々生産業者の偽らざる考えでありますが、重油については関税もとらない、石炭については電気料金も貨車運賃も上げ、コストを下げなければならないというところに持つて来て、自立経済であるから我々泣きことは申したくはありませんけれども、石炭コスト引下げによつて経済水準を合せようという、つまりこれが日本の今日の経済のあり方だというその点もよく承知しておりますが、みずから生産業者がやり、生産コストの引上げの責任を果そうというのに、政府みずからが石炭コストの引上げをやつておる、我々、は賃金の未払までやつて潰さずに来ておるのに、ことごとに石炭コストを上げるような施策を講ぜられておるのが先ほどもあつたのでありまして、私どもは今日の委員会でここまで切詰めて熱心にやつて頂いたことを心から感謝いたしますが、先ほど阿部委員長も申されましたように、先ず立法府のあなた方にお伺いしたい。我々は現状、経過はすつきり申上げましたので、この点は重油石炭との調整を如何にやつて石炭鉱業重油価格まで引下げさせて行くというようなところに重大な関心を持つて頂きまして、私は重油はぶつたぎつてもらいたい。これは先ほど新海会長が申されましたように第三国、今から言えば日本は独立しておりますが、あり余つたアメリカの国ならいざ知らず、我が国の重油というものは消費量の一〇%に該当するぐらいしかない資源でございますが、一〇%しかなくて九〇%を貧乏国の日本が他から仰いでおる。そんなことを言つたつて石炭のほうが高いじやないかというような論拠は私は成立たないのではないかという深い感じを持つております。あなたの御指摘によりまして私どもお尋ねを受けたことだけしか答えんつもりでおりましたが、幸いにこういう大きなラインを取上げて頂きまして、私どもの考えておることは先生方に御判断を願いまして、決して私どもは生産費の高くなることを欲するもの、ではありません。併しかつぐ石炭コストを引下げろと言われておるのに、上げる要素を政府みずからがことごとに作つてくれる、そして経済が合わないから重油を入れる。先生がお尋ね下さつた需要家のこともすべて考えて出したか、こういうお尋ねでございます。私どもは当然農漁村の重油までどうしようというのではありません。工業川のボイラーに焚くものですぐさま転換のできる各産業別の資料を私ども今日作つております。決して不可能だと思つて提案したものでも、要請しておるものでもありませんことを御承知下さいまして、先ずこの段階をどうして救うかという御判断をして頂いて、立法府で立案して頂く一つは、重油石炭との調整を如何にしてどの程度までの炭価を維持させ、どの程度までの出炭を国としてこの段階でやるかということに是非一つ取組んで頂きたいことをお答えに代えまして勝手なことを言わさせてもらいました。どうぞ御了承願いたいと思います。
  142. 新海英一

    参考人新海英一君) 只今の御質問に対してお答えする前に、先ほど私石炭の、通産省に出している値段が加重平均ではないということを申しましたが、今石炭局に出しておる数字石炭協会のものに関しては加重平均であるそうですから、それを訂正さして頂きます。連合会側のほうは私は存じません。  それから今の労働対策の問題でございますが、これは今日のままで政府として石炭鉱業に対して何ら手が打たれなければ、いやでもこういうことをやらなければならない。それには失業者を余り出さないように特別の構想を講じて頂きたいということでございますが、重油および輸入炭の削減の項で申しましたように、重油二百万キロリッターを三十年度において削減し、輸入炭を九十万トン削減するということになりますと、重油二百万キロリッターは石炭換算四百万トンでございます。それで約五百万トンの需要が殖えるわけでございますので、大体四千五百万トンの生産が維持できるということであります。それでは重油二百万キロリッターが削減できるかどうかということでありますが、これは見方によつて見解は違うかも存じませんが、私どもの調べで行きますと、二十七年度消費ベースに持つて行くので、殊に専焼工場などを除きまして石炭国策という立場からいつて政府が本当にこの問題を取上げれば、決してそう困難な問題ではない。それから輸入炭の九十万トンも今日比率は六、四になつておりますが、これは国内炭の品位の向上、そういうようなことで大体七、三くらいまで持つて行ける。そうすると、輸入炭を抑制することができるということでございます。
  143. 天田勝正

    ○天田勝正君 ついでですから石炭局長にお聞きしますが、実は私、参考人に今の質問を申上げて大臣に質問しようと思つたけれども、時間が逆になつて、大臣がおられないので残念です。というのは、この委員会でもしばしば指摘されたところであつて重油転換を政府がかなり熱心に奨励された、方においては今武内さんからお答えがありましたように、四千八百万トンという数字を示してこの増産をせえ、片方ではさようにやつてつて、片方は今度は重油を使え、こういう朝令暮改式なその場限りの政策をやるが故に、ここで両方とも頭打ちと、こういうことなつて来た。このことはもう幾たびかこの委員会で指摘されたところであるしなおずつと昨年から重油転換をする場合ちよつと危険ではないかということ幾たびか指摘されておる。そこでこれは石炭局長では答弁が骨が折れる問題でありますけれども、そういう政府の指導によつて両方が頭打ちになつているその事態を見た場合には思い切つた施策をとらなければ、これはとても調整もできんという事態に私はなつていると思う。そこで政府側といたしましては、この調整を今まで説明されたところにおいては、到底私はこの困難な石炭業界の事態、特に労働対策の問題にしわ寄せされて参ります事態を解決することはできない、こう考えておるわけですが、国内炭及び輸入炭、それから重油と、こう関連しましての調整を一体どうされるつもりでございましようか、お伺いいたしたいと思います。
  144. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 私も実は今のお話のように私が特に重油関係について余りはつきりしたことをお答えするような地位にないのが残念でありますが、ただ我々としては日本のやはり長い将来ということを考えますと、現在のような重油消費のあり方というものは、少くとも我々石炭局の立場で申しますならば、どうも適当ではないのではないか。日本の外貨収支を考え、日本の資源のあり方を考えますれば、もう少し石炭に転換すべきではないか、とまあ考えておりまして、そういう線から省内でも今検討をやりつつある次第でございます。これはこういう我々の部内ばかりではございませんで、合理化審議会でも燃料対策問題を研究いたしましたときも、やはり日本のエネルギー資源としても石炭と電力というものを中心にしてやるべきだという答申案が一応出ておる次第でございます。ただ具体的に三十年度ならば三十年度にどの程度規制が可能であるということになりますと、これは非常にむずかしい。狩に個々の工場の転換の速度に関する見通しというものが、非常に大きな要素になつて参るわけであります。その辺についてまだはつきりした結論が出ておりませんので、どの程度になるのだということを今ここで私からちよつと申上げる段階になつておらない次第でございます。
  145. 天田勝正

    ○天田勝正君 念を押しておきますが、私はこれは局長一個の考え方では答弁は困難だろうと思います。初めからそう思つているのです。併しいずれにしましても石炭を四千八百万トン採掘しなければならないという政府考え方の当時は、国会側も然りという考え方であつた。併し重油転換の場合は、これは危険であるという考え方が随分あつた。それをあえて一方には四千八百万トンを強行する奨励をし、一方においては、次には重油を今度は使え、さつき私も例にとつたように風呂屋に至るまで転換をせえ、このほうが得だというようなことを奨励した。随分両方奨励した結果、両方壁にぶち当つた、こういうことなんです。ですから私は石炭局長の答弁が困難ならば、省の意見をまとめて次の機会に大臣の出られたときにでも御答弁を賜わりたい。よほどの勇断を持つて対処しなければ今差迫つて……、私も阿部さんの仰せになつたことは幾たびか党としても伺つております。そういうことで、そうしたしわ寄せが結局労働者にも行き、中小企業ではもう経営者のほうも同様である。こういうことですから、よほど思い切つた施策をしなければならぬと考えておりますので、まとまつた一つ御意見を申述べて頂きたい、このことだけを希望しておきます。
  146. 海野三朗

    海野三朗君 この重油転換につきまして私は石炭局長にお伺いしたいのでありますが、ただ転換しろ、転換しろと言つたつて、どういうふうにして重油を転換して行くか、つまり熱経済の見地に立つて考えますると、その転換の仕方が非常に大事なんだし、それに対しては政府のほうではどういう手を打つておられますか。つまり熱経済の点については如何なる政府が手を打つておられるか。ただ転換しろと言われたつて重油を使つたほうがカロリーの点から言うても確かに有利ではあるのです。ところが石炭を使つて重油に変えるということになりますと、カロリーとテンプリチヤー、つまり温度の活用という問題になつて来る。で、その点については政府がどういう手を打つておられるか、そのいわゆる技術指導ですね、それはどういうふうな態度でおられるか、そいつを私は承わりたい。
  147. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 今のところ別に政府といたしまして、こういうふうなやり方で転換しろというふうな、使用の技術的方法について、特別に政府として指導するというようなことはございませんで、各企業が自発的に自分のイニシアチーヴで転換をやつてもらうというふうにやつております。ただその用途につきましては電力でありますとか、或いは一般のボイラー用でありますとか、そういつた比較的石炭重油との差の少い、又簡単に転換しやすいものを重点的に転換を奨励するという差はございますが、硬い方について特別の只今技術的の指導をいたしておるというようなことは今のところやつておらないのであります。
  148. 天田勝正

    ○天田勝正君 公益事業局長いないと思つたから、私はあれでやめたんですが、おられるんで申上げておきますが、一体最近に火力発電などをする場合に、今重油に再転換しなければならないという時期に当つて、なお且つ重油専焼許可をされたりしておるのはどういうわけですか、これは更にそれによつて電気料金の値上げをしなければならないというようなことを含まれて、こういう再転換しなければならないのをあえて許可するという態度なんでしようか、その点だけ伺つておきます。
  149. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 今の御質問は専焼設備をこの際許可するということがどういうわけかという意味でありますか、それとも折角専焼設備を造つたのを発電コスト高にもかかわらず、それを再転換して石炭設備に切替えるということを意味しておるのか、どちらでございますか。
  150. 天田勝正

    ○天田勝正君 専焼でもそうですが、共用ならば石炭専用をこの際は許可したらよかろうし、更に専焼ならば或いは共用なり何なりに指導すべきだ、両方含めてです、私は。
  151. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 現在におきましては、もう新らしく重油専焼の設備は許可しておりません。こういう問題が起きます直前にそういう計画がありまして許可いたしましたときには、将来はこれは混焼に直すというふうな条件付で専焼設備を許可しております。今後みすみす将来又石炭に転換しなきやならんいとう見通しがあるにもかかわらず、専焼設備を許可するということはいたさないつもりでございます。
  152. 天田勝正

    ○天田勝正君 千葉火力もみんなそういう条件付けておりますか。
  153. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) これからやりますものはすべて石炭が主でありまして、混焼もできるというふうな設備でございます。
  154. 海野三朗

    海野三朗君 今日各省がみんなセクシヨナリズムになつてつて、私は甚だ面白くない現象であると思うんです。文部省の管轄になつておりますが、学術振興会、これはそれぞれの専門に分れて百幾つも委員会がありますが、その中で炉材の研究は実地指導、そういう方面の研究部門があり、又耐火炉材の研究部門があつて実地工場について今研究をし、指導もしておる現状なのです。でそういう方面について電池を石炭に転換するにはどういうふうにこれをやるべきであるかというところの技術指導、そういう研究部門があるんです。そういうほうとの連絡をおとりにならないで、ただ通産省がこれを重油石炭に転換しろと言つても、これは無理な話であつて、そういう方面に対しての如何なる手を打つておられるか、つまり連絡を如何にしておられるか、その面に対する研究費はどういうふうに通産省としてお考えになつているかということを私は技術的な方面の立場からお伺いするのであります。
  155. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 通産省が工業化試験なり或いは応用研究なりの補助金を出しますときには、あらかじめその年の重点的な課題というものをきめまして、その方面に重点的に交付するようにいたしておりますが、本年二十九年度におきましては、石炭の有効利用ということを大きな課題の一つにいたしまして、その面の研究については特別重点的に出すようにいたしておるわけであります。ただ今お話の件は文部省関係の研究のように伺つたのでありますが、これは実は私残回にしてまだこういう研究の行われておりますことを知りませんでした。早速連絡をとつて調べるようにいたします。まあ特別に我々としてどうかするということはございませんが、技術的な成果が挙がりますればそれを一般に拡めるように努力したいと思つておる次第であります。
  156. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 大分時間が来ましたから……。
  157. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つだけ……この文部省の管轄で学術振興会、これが第一〇三小委員会がその任に当つておる。その研究費を見ますと、実に実地指導と言つても研究費は殆んどない、僅かきりないのです。そういう方面に通産省のかたが連絡をとりまして、この重油石炭に転換するというような方面にはもつと力を注いで頂きたいと私は思うのです。このことを私は申上げます。学術振興会のうちで第一〇三小委員会がこのほうの専門でございますから、それを私申上げておきますこと、それからもう時間がありませんから、もう一つ公益事業局長は、先ほど電気の問題でありますが、このでこぼこを直したと言われますけれども、この直し方が余りに激しいので、物事はこういうふうに急激に変化することはいけないのじやないか、もう少しこれは考えてやらなければならんのじやないか、又事業局としましても、もう少し目を光らして、この値上げについて、細目は各会社が勝手にやつておりますから、そういう方面にもう少し干渉してもらいたい、こういうふうに思うのです。或る工業のごときは一〇七%も上つておるのに、或る工業のごときは九%や八%も減つておる。そうかと思うと、六割五分も増加しておる。実にどうにもなつておらんのです。ですから私はもう少し電気料金値上げにいたしても、もう少しなだらかに行かんものか、余りに急激な変化だと考えるのでありますが、こういう点について事業局長の御所見を承わりたいと思います。
  158. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) お話の通りでございますので、私はできるだけこの間の切替えをスムーズにやりますように、私は少し行過ぎるくらいに会社に干渉いたしておるつもりでございます。今後は十分監督いたしまして無理のないようにいたしたいと思います。
  159. 三輪貞治

    三輪貞治君 先ほど大臣に聞いたのですけれども、素人でよくわからないので参考人のかたにお伺いしたい。この硫安には第十九国会で臨時硫安需給安定法と輸出会社法というものを作つて、とにかく危殆に瀕しておる硫安工業を救うという手を講じたわけです。その輸出会社のほうは関係ありませんが、需給調整は、これは消費者のために生産量の一割を強制的に備蓄させます、そうしてそれに対しては国が金融の途を講じなければならんというふうになつておる。硫安工業にとつては誠に有難い法律だつたと思うのです。それを石炭の場合に考えられないかということをちよつと大臣に聞いたのですが、硫安は輸出産業であり、石炭はそうでないし、又需要者の層もいろいろと複雑でありますから、ちよつと困難だというような御意見であつたように思いますが、この硫安に対する需給調整と同じようなことが石炭においては本当に大臣の言われるように行えないものでありますかどうか、一つ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  160. 新海英一

    参考人新海英一君) 私の考えではそれと同じような意味で先ほど来申上げております石炭の平常貯炭以上の過剰貯炭に対して政府買上げ或いは業者に融資さして打たせるということによつてその点は解決できると思います。
  161. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこの問題の解決が非常に困難な問題だと思つているのでありますが、よく問題の解決に三万損とか四方損とかいう言葉がございますが、この問題についても政府も相当に努力しなければならん、経営者も同様で、それから需要側も重油転換の問題においてそれぞれ負担しておるわけでありますが、同時に労務者の諸君も、この問題について本当に協力して衷心からこの再建に協力するという心がまえがなくてはこの問題は到底解決ができないと思うのですが、今後も我々は勿論労働条件の改善ということは非常に重要な問題でありますから、その問題については衷心から賛成しておるのでありますが、この点については炭労の委員長として阿部さんは如何なるお考えを持つておられますか、その点について御所見を伺いたいと思います。
  162. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) お答えになるかどうかわかりませんけれども、それは例えばこういう問題が「提示されても、組合はやはり経営者とはそれぞれ観点が違つて来ると思います。併しながら我々としては経営者を全部潰してしまおうという考えもありませんし、やはり同じ企業の枠内で苦しいときは苦しい、楽なときは楽、お互いにやはり生きて行かなければならんというように考えておるわけであります。ただ苦しいときに一切そのままを労働組合にしわ寄せされるということになりますと、そこに摩擦が起きますので、何も我々は経営者が資本の蓄積のために経営者が苦しい思いをしておるとは思つておりません。石炭産業の経営者の苦しいということも我々はよく知つております。従つてこういう問題については共に如何なる努力もしなければならないという点も十分弁えております。ただ経営者の内部にも立派な経営者もおります。現在の段階においても資本を蓄積しなければならんという経営者もおりましようし、又石炭ブームのときは資金をどつさりポケットに入れて、景気が悪くなつたら労働者を放り投げて逃げていく経営者もおりましよう。それから我々経営者のやはり内部においても言い分のあることは考えております。併し私どもとしては、できるだけこの問題の解決について経営者とか何とかは抜きにして、石炭産業に従事する者はやはり二人三脚の立場においてやつて行かなければならないということも十分弁えておるわけであります。ただ、今申しましたように、やはり十分理解してくれる経営者と、或いは又理解して頂けない、これは我我の力が足らないでありましようけれども、そういう経営者もおるということも申上げておきたいと思います。
  163. 高橋衛

    ○高橋衛君 関連して斎藤局長にお聞きいたしたいのですが、この石炭の二割のコストの引下げは大体賃金は横這いという前提の下において計画されておるようですが、その通りでありますか。
  164. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) そのように考えております。
  165. 高橋衛

    ○高橋衛君 只今のお答えで大体私は満足しておるわけでありますが、只今お聞きの通り政府としては斎藤石炭局長のお活の通り賃金については横這いという前提からのコスト二割の切下げ、それによつて石炭鉱業の再建を図ろうという計画を立てておられるようでありますが、その点について阿部委員長の御所見を伺いたいと思います。
  166. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) どういう見解で石炭局長が賃金の横這いということをおつしやつておるか私は不可解なんです。石炭局長は現在の賃金で食えるという見通しがあればこれでいいわけですが、現在の賃金で私は炭鉱労務者が十分生活できるということをお教え願つて、冒頭申上げたように何も我々は贅沢をしようと思つておりませんし、他の産業に従事しておる皆さんがたより高い給料をとろうとは思つておりません。併し我々が他の産業より安い給料であつた場合はやはり飽くまで組合という立場、労働者という立場、勤労者という立場からベースを上げてもらいたいということを今後三年でも四年でも五年でも続けます。併し一方において十分な生活をして、一方においてやはり不自由な生活たしておるということについて矛盾を感じている。全部が、日本国民の八千万の一人々々が全部炭鉱労務者と同じ生活であるならば三度の飯を二度食つても我々はそういうことを承認いたします。ただどういう立場で政府がそういうことをおつしやつておるかということについては、私どもの資金は現在は無協定のような状態でありますから、その中で話が出て来ると思います。
  167. 高橋衛

    ○高橋衛君 勿論私どもは先ほど阿部さんのお話の通り石炭については経営者の中にもそれぞれ考えの差異があると、従つて一律に甘えないということは十分了承するわけでありますが、又石炭鉱業と他の産業と比べてその程度がどの程度に違うかという問題についてはそれぞれ考えなければならん点もあろうかと考えます。少くとも石炭鉱業自体、つまり労使一体となつて石炭鉱業というものが非常に困難な事態にある、これを何とかして救わなければならないという場合に、例えば銀行においてはこの程度ベースだ、又はその他のところではかくいいのだという考え方の下に専ら闘争をなさるのでは……、私はかくのごときことを申上げるのじやないのでありますが、重油転換の持つた一つの大きな理由は、炭労ストによつて非常に需要家が困つたというところから我々は起つたと断定せざるを得ないのでありますが、その点のあなたがたの御感想を、只今第一回のときの御答弁で二人三脚で行くのだ、労使一体となつて難局を打開するということはわかりましたが、是非その点をもう一回お聞きしたいと思います。
  168. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) 国家的見地から判断されて、石炭鉱業どうあるへきかということは私どもより先生がたのほうが判断しなければならないことだと思うのであります。私どもは非常に視野が狭いので、石炭産業をどうするかということは三分ぐらいで、自分の身をどうするかということが七分ぐらいに、私は率直に申上げますが、なろうかと思います。従つて国家百年の大計というものは先生方が判断し、先生方が法制化され、そうして行政府の尻を叩いて物事をきめるというように私どもは考えております。ですから、日本の土地が荒れているので肥料を注ぎ込むよりもアメリカの小麦を買つて来たほうが一年や一年は得だということは私も十分わかつております。併しながらやはり十年先二十年先のことを当然先生方は考えておられると思いますので、そういうことは釈迦に説法だと思いますが、我々が生活をよくしたいと、よくしてくれというような要求と、現在石炭産業が置かれている立場とは全然異なつているのじやないか。労働者が要求しようが或いは経営者が騒ぐまいが、やはり日本の国はどうあらねばならないということは、当然ですね、皆さんがたが十分考えられることであつて石炭産業は駄目だからお前たちはとにかく安い賃金で我慢しろということでは私どもは到底納得することができません。とにかく如何に自由党政府であつてもこれは自由党だけの政府ではない、やはり八千万国民の政府でありますから一人たりといえども食うに困るやつを出さないということが御方針だと思うのであります。併しながら自由党は自由党なりに石炭産業はかくあれという方針に立つて、経営者の泣きごととか、組合の泣きごとでない、当然そういう政策をなされるのでありますから、お前のところは、労働者は我慢しろとか、経営者は我慢しなさいという御意見については私は承服できません。
  169. 高橋衛

    ○高橋衛君 誤解があるといけませんから念のために申上げておきますが、私どもは一つの前提に立つてこの解決策を探究しているわけであります。従つて政府側が賃金ベースをそのままとして一割のコストの引下げができるという場合に、それが賃金ベースをそのままにしておくということは到底不可能だという見通しにならば、又そのままにしておくことが妥当でないという見通しに立つならば、この政府の政策は毛頭承認すべきでないということになるということは私どもも考えております。かくのごとき判断に立つてあなたがたの、つまり炭労の委員長としての感覚を、どういうふうに認識をいたしておられるかということを聞いておきたい。これは非常に重要なポイントでありますからそのことをお聞きしたいのであります。
  170. 阿部竹松

    参考人阿部竹松君) コストを下げるということについては私どもも反対しませんし、これは経営者の皆さんがたといえども反対しなかろうと思います。ただコストを下げた、二割なら二割の引下げの犠牲が我々に全部来るというときには我々は反対しなければなりませんし、或いは全部経営瀞に来るといつた場合には経営者は私は反対すると思います。ですから二割コストを下げるということについては、何人も反対せんので、どうしたら犠牲を少くして下げるかということについて、当然皆様方にお願いしなければなりませんし、当然皆さん方、行政府を預つておられる皆さん方もやつて頂かなければならないし、ただ二割コスト引下げが労働者に来るといつた場合には、我々飽くまでも反対しなければなりませんし、経営者も同様であろうと思います。
  171. 小松正雄

    ○小松正雄君 一言この重油という問題について、石炭局長に伺つておきたと思いますが、石炭局長は本年度重油の丘より来年度は増すという考え方を持つておるか、持つておらないか。
  172. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは再々大臣からもお答えいたしておりますように、重油消費規制は更に現状よりも強化するということは、通産省としてもきまつておる次第でございます。従つて現在の経済状況がそのまま推移する限り、当然来年度は今年度よりも減少すべきだ、ただどうしても重油を使わなければならん需要が何かの理由で急激に殖えでもするならば別でありますけれども、ちよつと今のところそんなことは予想できませんので、来年度は当然今年よりも減る、ただどのくらい減らし得るかということは、現在研究中であるということであります。
  173. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうかといつて、一応来年は減らすというお考えであると言いますが、石炭を当然焚かなくちやならない大需要家が、許可を得て重油に切替えるという点もあることを聞いたのですが、そういうことは来年も続いて実施させようと考えられておりますか。
  174. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは極く最近の例は、殆んどそういうものはないと思いますが、今お話の点は、例えばガス会社重油分解の設備と、或いは硫安工場の重油分解の設備というふうな点を或いは御指摘になつたのではないかと思います。ガス会社の例で申しますと、現在ガスの増産をいたしますと、当然それに関連いたしましてコークスが出て参りますが、そのコークスが現在の市況では非常に過剰になつて参りますので、そのコークスを自分の所で水性ガスにして、自家消費をしなければならない。そういたしますと、水性ガスのカロリーが足りませんので、そのカロリーの足りない分を補填する分だけ重油の分解ガスを入れまして、供給規定カロリーまで上げなければならんというような関係がございます。これは当然ガスの供給力が殖えるにつれまして、又コークスの需要現状よりも余り殖えないと仮定いたしますれば、当然若干殖えて来ると思います。併し将来、今後のものは増設は認めない方針で行こうということで、現在研究しております。それから硫安の分は、これは既定の計画、実際まだ操業には至つておりませんが、今までに大体検討して、まあ認めておる計画以外に殖やすような計画は今のところないと承知しております。
  175. 小松正雄

    ○小松正雄君 最後に、局長は今ガスと、それから硫安と、こうおつしやられたが、私は成るべく名前を指して言いたくなかつたのだけれども、今局長の言われたその方向と違つて、電力会社にそういうことをやられた、要するに許可されたということがあるのじやございませんか。であるが故にそれを聞いたからそういうことが又来年度にもそういう大きい需要家に重油に転換させるというようなことがあるかどうかということを聞いておるわけです。
  176. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは先ほど公益事業局長からもお答えいたしましたように、すでに今まで転換済みのもの以外はございません。ただ新規のものにつきましては、重油も焚けるようにするということは、これは一貫してそういう考え方でございます。これは軌道用に重油を使いますと非常にスタートが速く行くという点と、これから万一非常に石炭需給がアンバランスになつた場合に、予備的に設備をしておくという意味でございまして、今後重油消費を殖やすというような考え方は毛頭ございませんし、むしろ専焼設備は今、年度計画を作りまして混焼に転換するようにしております。
  177. 河野謙三

    ○河野謙三君 局長が今後答弁なすつたことは先ほど来大臣その他から伺つておることとは非常に食い違いがあるように聞いたので私はちよつと念を押しておきますが、来年度重油を減らすことについては政府方針が決定したのですか。私は減らそうかどうかということについて目下検討中だというように聞いておつたのだが、これは大臣はおられませんが、あなたははつきり言われたが、重油は減らすことに決定したと、ついては減らす量について検討中だと、減らすと言えば消費規制が起る、今の重油関係では行政指導は行詰つて、現在でも行政指導をやつて行けない、更に減らすということになれば、当然に消費規制に何らかの法的表付をしなければならん、この法的裏付も併せて今検討中、減らすことはさまつたと、重油消費規制については法的裏付について今検討中だと、こういうことできまつたそうですが、この点だけを伺つておけばいいのです。
  178. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これはすでに大臣からも何回も国会の席でもお答えいたしましたように、重油消費規制強化するという方針は変つておりません。ずつと続いてそれで来年度も行われるものと思います。なお現在の重油消費規制も毎期ボイラー用の転換可能のものにつきましては割当量を減らしております。従つてその面だけで申しましても、当然来年度は本年度よりは若干減らすわけであります。ただ河野委員の御質問のように、そういうふうなものを越えて、現在重油消費設備として十分使用を許されておりますものまでも転換するということになりますと、これは当然法的規制というふうなことは問題になつて参るわけでありまして、その法的規制をやつてまで強化をするかどうかという点は量の問題と兼ね合せてなお検討中であるということであります。
  179. 河野謙三

    ○河野謙三君 減らすということは政府方針として決定したんですか。
  180. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) これは再々大臣からそういうふうにお答えしてあることと私は思つております。
  181. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたの答弁は大臣答弁と心得て差支えありませんね。
  182. 斎藤正年

    説明員斎藤正年君) 私大臣の代理でこういうことを言う資格ではありませんが、従来から大臣が引続きその趣旨で答弁されておるように私は承知しておるわけであります。
  183. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 参考人に対する質疑はこの程度で終ります。終りに一言御挨拶を申上げたいと思います。  本日は文字通り長時間に亘りまして御臨席を頂き、有益な参考意見を御開陳願い、又委員側の質疑に対しましても詳細に答弁頂きまして非常に参考になつたのでございます。この石炭問題については重油の問題、外炭の問題等誠に大きな問題であり、当委員会といたしましても今後ともこの問題に取組んで行きたいと思います。又中小炭鉱をどうするかという、それから現在発生しておりまする失業者群に対する応急措置の問題、これらも当委員会で取上げまして今後とも検討したいと思います。なお私は時間があれば各参考人からも伺いたかつたのでありますが、業者の側において、或いは労働界のほうにおいてもこのコストの引下げについて自分のほうでも只今こういうことをやつておるというようなことについては、もう少し意見なり、実情を聞きたかつたんでありますが、これは又他日に譲つてもいいと思いまするが、コトスの低下ということについては、ともどもにこれは研究して今後対処して行かなければならん問題だと思います。当委員会といたしましても、今後ともこの石炭問題には十分研究と検討を加え、いずれ臨時国会、通常国会等においては又いろいろの法案の措置等も講ぜられると思います。今後ともどうかいろいろ御意見なり希望等がございいまする際には、この委員会のほうへも十分意見を如何なる方法でも結構でありまするから御申達を願いたいと思います。  本日は誠に有難うございました。   —————————————
  184. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 最後にお諮りいたしますが、小松君が一時通産委員を辞任されましたので、現在理事が一名欠員になつております。従いましてその補欠互選を行う必要がありまするが、これは成規の手続を省略し、委員長においてその指名を行うことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議がないと認めます。  それでは小松正雄君が再び通産委員となられましたので、小松君を理事に指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会