運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-10-13 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十三日(水曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員田中一君辞任につき、その補 欠として小松正雄君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事            松平 勇雄君            海野 三助君    委員      加藤 武徳君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            中川 以良君            河野 謙三君            森田 義衞君            藤田  進君            森崎  隆君            天田 勝正君            小松 正雄君    委員外議員   武藤 常介君    衆議院議員   小林 政夫君            始関 伊平君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省軽工    業局建材課長  前島 敏夫君    中小企業庁長官 記内 角一君    建設省河川局水    政課長     美馬 郁夫君   参考人    日本砂利協会会    長       川又貞次郎君    土木工業協会理    事       門屋 盛一君    桂礦業株式会社    社長      後藤  桂君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○砂利採取法案衆議院提出) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案小林政夫発議) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律施行に関する法律案(小  林政夫発議)   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より通商産業委員会を開会いたします。  本日は第十九国会から継続審議に持ち込まれております法案審議を行いたいと思います。先ず午前は砂利採取法案を議題といたしまして、同法案に対する参考人意見を聴取することにいたします。御出席参考人は、昨日の委員会の冒頭に御了解を得ておきましたように、砂利協会会長川又貞次郎君、土木工業協会理事門屋盛一君の御両君であります。この際参考人に一言申上げておきたいと思いますが、本日は御多用のところ当委員会にわざわざ御出席を頂きまして有難うございました。御承知のように、砂利採取法案は、去る第十九国会の末期におきまして、衆議院において修正議決上本院に送付されたのでありまするが、本院としましては十分に審議する時間的余裕がなかつたために、審議を継続して今日に至つたものであります。当時提案者並び関係政府当局からは、或る程度の説明は承わつたのでありまするが、関係業界等からの意見を徴しまするのは今日が初めてでございます。殊に衆議院のほうで修正等もありましたので、全面的に一つ自由な立場で十分この法案に対して御意見の開陳を願いたいと思います。  それではこれより参考人から意見を聴取いたしたいと思います。先ず日本砂利協会会長川又貞次郎君。
  3. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) 私が日本砂利協会川又でございます。本日のことにつきまして、我が業界としまして一言申上げたいと思います。暫らくの間御静聴願いたいと思います。我が国の砂利業界が多年その実現を要望して参りました利砂採取法案は、先の第十九国会におきまして衆議院全会一致を以て通過させて頂きましたのでございます。参議院継続審議として御取運びを願つたのでありますが、本通産委員会におきましては、右に基きまして、御多忙中にもかかわりませず、特に本法案につきまして審議をお進め頂き、本日はこれに対する砂利業界意見を開陳する機会を与えられましたことは、誠に有難く、ここに深厚な敬意と感謝の意を表する次第であります。本日ここに私が申上げて皆様方の御認識なり、御了解を得たいと思います点は、次の二点であります。  その一つ砂利法案が何故必要であるかということと、その二つは、本法案が幸いに成立さして頂いた場合に、業界にどんな影響を与えるか、又どんなプラスを与えるかということであります。前者につきましては、本法案衆議院提案されまして以来、提案者から本委員会におきましても縷々御説明があつたところであります。又衆議院通産委員会における数人の参考人供述によつても明らかでありまして、大体御了承のことと存じますが、業者の私から改めて申述べたいと存ずるのであります。又後者につきましても同様でありまするが、特に衆議院におきましては修正並びに附帯決議がなされておりますので、今日現在の法案基礎に申述べたいと存ずるのであります。  砂利業に関する法律必要性について申上げます。砂利業界法律を持ちたいと考えましたのはずつと前からのことでありますが、昭和二十五年第九国会通過成立、翌二十六年一月三十一日から実施されました採石法によつて一層刺激されました。尤も採石法案審議中、当時の総司令部天然資源局顧問ダンカン氏も、当局にアメリカの例にならい採石法中に石材と共に砂利をも包含すべきことを強く慫慂されたそうでありますが、何分砂利の八〇%は河川から採取せられ、その採取には河川法に基く都道府県条例によつて知事許可を必要とすることになつていて、その殆んど全部が民有地で、その地主承諾さえあればそこから直ちに採取できる石材とは趣きを異にする関係上、当局におかれましては一応後日の研究に譲ることとして、採石法から外されたと聞いておるのであります。併しながら、石材において法律が必要であることは、規定に多少の相違はあるといたしましても、同時に砂利にも又この法律が必要であることを意味するのであります。砂利並びに砂利業の資源的乃至産業上の他位の重要性につきましては、すでに皆様のお手許に配付されております本法案提案理由中に詳述されておりますので、繰返しこれを述べませんが、この砂利生産乃至その企業運営につきまして、古くからなかなか多くの問題を包蔵しておるのであります。即ち、砂利地下資源であつて、人力又は機械力を駆使して採取するものであること、従いまして権利関係の錯雑しておる土地河川と密接な関連のあること、河川内の採取につきましては知事許可が必要であること、私有地からの採取について地主承諾を要するものであること、砂利需要地までは鉄道、船舶又はトラツク等による輸送が必要であること、鉄道輸送の場合には発駅又は積込場までトラツク又はガソリンカー等によつて輸送が必要であり、このためしばしば他人土地を通過する必要があること、近年大都市における砂利需要増大のため、供給地は漸次遠隔に移行し、百キロ以上に亙る鉄道輸送が増大しつつあつて、戦後東京における大建築が静岡県安倍川の砂利に依存しているのはその最も著しい例であります。従いまして、砂利価格に占める運賃の割合は漸次大となり、小運搬を加えてその七〇%乃至八〇%にも及ぶこと、野外作業であるため天候に左右されること、天災、特に毎年台風、水害による採取船その他の採取機械流出、沈没、棧橋の流出その他被害の多いこと、需要の面では、食糧、薪炭等のごとく確定需要のあるものと異なり不確定需要のものであり、且つ重量物見込生産ができないこと等一般工場生産品と全く趣きを異にいたしておるのであります。この砂利企業の特質に対しましては、各企業者自体において当然対処すべきではありますが、国家保護に待たねばならん点も又少くないのであります。五千になんなんとする砂利業者のうち九九%までは中小企業か又は零細企業でありまして、この点につきましては大なり小なりそれぞれ悩んでおるのであります。而も自力を以て如何ともなし得ないのであります。先年本業界におきまして個々企業者について調査いたしましたところでは、業界のこの悩みはおおむね次の点に集約されました。而してこれらの諸点がすべて共通悩みではなくて、或る地方には一が必要であり、或る地方では他が必要であるというふうに、地方の事情によつて必ずしも共通ではありません。即ち、河川内で砂利採取する場合、知事採取許可については、企業の大小に応じてそれぞれ必要最小限度採取面積期間を与えて欲しい。期間継続については優先的取扱をして欲しい。又、同一区域内に二以上の業者が重複して採取許可を受けるようなことのないようにして欲しい。  砂利採取について従来地主との間に取交わされた債権契約では、地主の一方的な意思でしばしば企業基礎を脅かされたので、これを物権的な効力を持つようにして欲しい。そうして期間更新を認めて欲しい。できれば優良なる砂利を豊富に採取できる土地に対しては差支えない場合には物権の強制設定ができるようにして欲しい。砂利採取現場から公道、発駅又は積込場に至るにはどうしても他人土地を通過しなければ搬出ができない場合もしばしばありまするので、そのような場合には、その搬出路となる土地について必要最小限度土地使用権を認めて欲しい。河川海岸寺に関する他の権利者との間に事業実施についての調整をして欲しい。  要は砂利採取施設に安心して投資して企業運営ができるようにして欲しいというのであります。そうして、これらは法律によらなければ解決できない事項でありまして、これが実現されまするならば、毎年採取計画を立てて合理的なる砂利採取ができるし、漁業権者土地権者から不当なる金員を捲き上げられたりすることもなくなり、砂利搬出に際し遠方を迂回して余計な費用をかけることもなくなり、これらの結果は砂利取引価格を低下することにもなり、公共事業その他の建設工事費節約に資し、延いては国家予算節約にも寄与することと考えらるるのであります。そればかりでなく、濫掘がなくなり、河川管理にも協力することともなるのであります。  次に本案業界に与える影響につきまして申上げます。本法案成立した場合においては、業界に与える影響が、言い換えれば、本法案が実施された場合、業界プラスマイナスか、どんな点がプラスになり、マイナスになるかについて申述べたいと存じます。その前にこの法案が辿りました今日までの経過につきましても一言申上げておきたいと存じます。  前述いたしましたように、業界意見といたしましてはいろいろあつたのでありますが、それを法案の中に織込まれるとなると、種々の観点から取捨選択が行われ、又いよいよ法案として国会提案されるまでには、事実上通産、建設農林等関係各省の御意見も入りましたので、法案そのもの出発点において必ずしも業界意見がそのまま出ていたわけではないのであります。例えば法案第十一条「河川法その他の法令(条例及規則を含む)の規定に基き砂利採取又は払下の許可をする者は、河川等管理支障がある場合を除き、砂利採取業者砂利採取業の合理的な経営を維持できるように考慮して許可するものとする。」とある条文は、衆議院審議の結果におきまして、或いは砂利業独占化だとか、既得権擁護だとか、種々の御意見がありましたが、これは実は業界としてもつと具体的に規定して欲しかつたのであります。即ち、知事砂利採取許可の際に、河川管理一本槍ではなく、砂利業育成ということも考えて預きたい。それには、採取許可面積採取期間等について、手堀機械掘等業態を考慮の上、少くとも業者設備償却ができる面積期間を与えるとか、一つの区域に二つ以上の業者を入れないように二重の許可をしないというようなことを具体的に規定して欲しかつたのであります。又業者としては、私有地については河川の中の場合でも採石権の定めができるようにして欲しかつたし、更に進んでは期間更新をも含めてその強制設定もできるようにして欲しかつたのであります。それが、河川内の私有地につきましては採石権強制設定はできなくなり、任意設定も事前に知事の承認を必要とするごとく改められたのであります。又農地につきましては、農地法許可ある場合は採石権任意設定はできますが、強制設定は全面的に否定されました。実際問題としては、農地に対する採取の事例は極めて稀なのでありまして、実質的に影響はありませんが、法律体系の上からは形式上好ましいことではなかつたのであります。更に衆議院提案になりましてからは、通算委員会においては結局は与野党全会一致で通過いたしましたのでありましたが、法案第十三条の土地使用は全面的に削除するように修正されました。尤も附帯決議として、本法案成立後において更に検討の余地を残されておるのであります。当初の案では、第十一条、第十三条及び附則第二項、即ち採取許可基準土地使用採石権設定の三点は、業界から見れば本法案の生命であり、その半面第三場条、第五条等によりまして河川管理等については業者みずからも協力することに義務付けられているわけではありましたが、衆議院におけるこの修正業界にとりましては大きい痛手でありまして、義務や罰則の規定が大きく浮び上つて来た感じがいたすのであります。  最後に本法案推進についてお願い申上げたいと存じます。以上申上げましたように、本法案業界といたしましては必ずしも十分なものとは考えておりません。併しながら、もともと産業としての水準の低い砂利業界のことでありますから、この育成向上に対して本法案成立は極めて大きい刺激となりますことは疑う余地のないところであります。従いまして、業界を率いる私といたしましては、多年懸案の本案を一応通過させて頂き、その発効後において逐次必要な修正をして頂くこととし、又業界といたしましては、本法案設定機会に、それを中心として暫らく自粛自重いたしまして、砂利業界向上発展に一層努力すると共に、皆様方の御期待に副いたいと、かように存ずるのであります。皆様におかれましても、本法案に対して御不満もございましようが、砂利業界向上発展のために何とぞ御賛成賜わりますよう、この機会においてお願い申す次第であります。  なお第十九国会における衆議院並び参議院審議経過に鑑みて、本法案に関しこの機会に特に私から二、三の点について釈明いたしておきたいと存じます。  第一には、本法案利権法案であると思われたり、或いは法案推進上多額の金員がばら撒かれておるがごとく悪宣伝をされた点につきましても、誠に心外千万であります。御質疑のありましたかたがたに対しては、一々釈明して御了解を得て参りましたのでありますが、この点は、決してさようなことはないということを申上げておきたいと存じます。  第二は、本法施行によつて砂利業が独占的となり、価格が騰貴するというようなことの懸念を抱かれる向きもあるようでありますが、さようなことはございません。もともと本法個々業者が安んじて業に励むことができるようにすることが第一義でありまして、独占的というようなことは毛頭考えておりません。又、本法案には価格低下の要素こそあれ、高くなることは考えられないのであります。  第三には、本法施行によつて建設業者がみずから採取できた個所砂利業者に占有されることになり、結局高い砂利砂利業者から買わされる結果となると言われておる向きもあるように聞きますが、これは業界の好むことではありません。又、砂利採取に関する許可規定のない本法案でそんなことになるとは考えられません。  以上簡単でございますが、私の供述を終らせて頂きます。なお御質疑等がありますれば、地方からも出られておりますし、その者からも答えさせて頂きたいと存じます。只今地方から来ておりますのは、ちよつと姓名を申上げますが、関西砂利武谷秋実小田急砂利加藤政由桂礦業後藤桂加藤砂利戸倉均、これは業者でありまして、それらの人は直接にやつておりますので細かいこともよく知つておりまするから、御質問に一々お答え申します。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは私の説明はこれで終ります。
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは質疑は全参考人陳述終つてからにしたいと存じます。  引続いて土木工業協会理事門屋盛一君の意見を徴します。
  5. 門屋盛一

    参考人門屋盛一君) 土木工業協会を代表しまして砂利採取法案に関する我々協会の考え方を述べさせて頂く機会を与えられましたことを感謝いたします。  かいつまんで申しますと、砂利採取業だけではありません。我々の携わつておりまする建設業にいたしましても、ぴんからきりまでありまして、建設業だけでも大臣登録が三千くらいあるし、府県知事登録を合せますと七万くらいある、まあそれほどにはないと思いますけれども、まあ大体似たような状態にあるのが砂利採取業ではないかと思います。こういう零細企業もあり、又大きな機械設備でおやりになつているかたもあるのですが、こういう点今日本産業は終戦後野放しにし過ぎてあつたのでありますから、我々の事業も何らか合理化の必要がありますので、我々自身としても絶えず建設省のほうに業界合理化に関する陳情もし、又陳情だけではおさまりませんので、只今陳述者の言われました通りに、今日国会のお力を借りて立法して頂かなければ合理化できないということはよく存じておりますので、又我々の仕事砂利採取業というものは直接に繋がつておりますから、総括的にこの砂利採取法案に対しましては、土木工業協会といたしましてはその成立を希望しておるのであります。何とかやはり立法化されて、産業合理化の一端が開けて行けば、究極するところは質のよいものとか、或いは価格も安くなるとかということは万々考えられるのであります。それからちよつと御説明申上げておきたいことは、一口に建設業と申しますけれども、大体これを土木建築とに分けて説明いたしますと、建築主体とする業者都会地でその事業を、工事を営んでおりますので、一般土木主体とする業者よりも、この法案成立によつて砂利採取業者が安定されるということに対しては一層賛成意見を持つておると思うのでございます。我々の土木工業協会といたしましても、法案そのものには成立を希望しておるのでありますが、ただ実際問題といたしましては、時間の関係上長々しいところを抜きにしまして、この法案は今砂利業者のほうからは相当不満足だという御意見も出ておりますし、又我々が見ましても、どうせ保護立法でやるならば、もう少し用地の問題とか道路使用とかその他のものに対して、もう少し法律的の保護を加えてやらなければいけないのじやないかというふうにも考えるのでありますが、何にも法律のなかつたところへこれが出て来ますと、まあ大体に保護立法というような感じがしますので、今日この法律目的にもありますように、この法律ができまして公共の福祉の増進に寄与することが目的でありますから、何でもかんでも保護一点張りでもいいように砂利採取業者のほうからお考えになるとそうなるでしようが、十一条の許可基準というものが率直に申しますと、もう少し明確にしておいて頂かないと、実際の仕事にかかつた折に我々のほうの事業と非常な噛み合いができるのではないか、その結果として公共事業並びに公益事業であるところの電源開発等工事支障を来たすようなことがあるのではないか、まあこういうことをいろいろと研究しまして、砂利採取法案に対する修正意見工業協会のほうで大体こういうふうにお願いしたいということをきめたのであります。これは実例をお話いたしましたほうが早くわかると思うのでありますが、一番困るのは電源開発じやないかと思うのであります。電源開発の場合、最近非常に山奥の電源開発が殆んど割バラスを使つておりますから、河川砂利採取業者とトラブルの起るようなことはないと思うのでありますけれども、又一面下流にできる発電所では、非常にたくさんの砂利、砂を必要といたしますし、それから施工技術が非常に進歩して来まして、昔はダムなんか造るのにセメントが立米当り二百二十キロくらい使つたのが、今大体百八十キロ、大きいダムになればそれ以下ででも持てるようにコンクリート混合を理想的にやつておるのであります。このコンクリート混合を理想的にやりますためには、バラスの大きさ等は普通三種類くらいに選別して取るのです。それでどうしても電源開発等工事建設業者が直接採取をやらないと、今の砂利採取業者にお願いしてやりますことは勢い価格が高くなるのです。なぜ高くなるかというと、その工事に納めるためにいろいろ選別する機械とか、深く掘る道具を砂利採取業者がそこだけでお求めになると、あとが使い途がないものですから、その償却が非常に高くなつてこれが高くなる。それからやはりこれは技術を要しますので、建設業者が直接やつたのと、砂利採取業者から購入したものとでは、今までの実例からいつても相当高くなる。これは非常に大規模の採取業者になりまして、常にそういうものがたくさん貯えてあれはいいじやないかということにもなるのですが、常に貯えてあるものは鉄道輸送なりトラツク輸送によりまして建築業者のほうには足し前になるのですけれども、ダムなんかはもうその特定の個所でやるのにはこれは害になる場合が多いのです。で、それはその場所建設業者採取権を認めればいいじやないか、これは衆議院附帯決議のほうでもそういうような意味のことが書かれておるのでありますけれども、現在でさえもどこそこに発電所ができるという噂が出ますと、そこの川の真ん中を二十坪、五十坪、採取料金を余計納めんでいいようにずつと県から先に許可をとつてしまわれるのです。  でもう一つ我々は、企業家のほうで先ず水利権許可にならない限りは用地買収もできない、用地買収が相当目鼻がつかなければ水利権許可しないというのが現在の発電所の状況なんですから、バラス採取予定地まで権利をとるなんということは及びもつかないことです。併しこの近所に発電所ができるということがわかると、大きい会社ではそういうことはないようですけれども、大体地方業者は甚だしいのになると五十坪ぐらいの出願をして、そこに棒杭を立てられてしまう。そうすと発電所が始まりましても、非常に場所のいい、運搬等にも場所がいいし、又その中の川の洲を掘ればあと河川のためにもいいというようなところで、みすみす砂利を前に見ながら手をつけることができないので、六キロも十二キロも遠方から運んだという実例もありますので、この法案衆議院のほうからこつちに廻るというような情勢の折に、この五月に工業協会全国建設業協会陳情して少し動きかかりましたのはいろいろの理由も何もないので、公益事業とか公共事業で我々の見解ではよほど許可基準に明確な成文を入れておかないと、どうも許可するのが通産局長でなしに府県知事なんですけれども、知事が直接見るわけじやない。土木出張所長で、出張所長も余り知らないくらいの間に扱われるのが実例ですから、運用上一番心配になるのはここです、で勢い競願の形になるのです。そこに前に権利を持つているところでも、ここは一番合理的であるからここをやらしてもらいたいというような場合が起きて来ますので、只今手許にお配りしましたようにこの十一条をこれは衆議院からもらつたものを参議院修正して頂きたいということは、我々も業者として衆、参の通産委員会にもいろいろお世話になつておるのですから、甚だ申上げにくいのですけれども、単に我々の仕事がやりにくくなるばかりでなしに、さなきだにどうも電源開発は高い、高いといつて、損をしながらおどかされておるのに、又この上やりにくくなつては困るから一つお願いして見ようじやないかというので、修正意見陳情したわけなんです。ただこれはここに書いてありますように、十一条は砂利協会のほうからのお願いの趣旨はもう少しはつきりと、まあ利権ではないけれども安心して仕事のできるように法律の上に表わしてもらいたいということを今もおつしやつてつたのですが、現在衆議院を通過したこの回付案によりましても、「河川法その他の法令の規定に基き砂利採取又は払下の許可をする者は、河川等管理支障がある場合を除き、」除くほうはここに明文が出ております。河川管理支障さえなかつたら業者の願い通りこれは優先的に許可しなければならんというように解釈もできますし、又実際運営がそうなるように思われるのです。それでここへ次に「河川管理上又は政令で定める公益事業」ということを入れておいて頂けば、そのときにトラブルが起るようなことがありましても、公益優先、今日の憲法から言いましても公益優先ですから、砂利業者に大幅の保護を加えると同時に、やはり公益性だけは維持して行つたほうがいいのじやないかというような結論が土木工業協会のほうでは出まして、お願いしたようなわけです。決してこの法案の反対というのでなしに、そういうこともございますから、えらいお手数をかけるようでありますが、何とかそういうことの起らないように御修正願いたい、これだけお願いしておきます。
  6. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 有難うございました。  参考人側の御意見只今お聞きの通りでありまするが、本日は提案者を代表いたしまして始関衆議院議員、それから関係政府当局側よりといたしまして通産省より前島建材課長、建設省より美馬水政課長がそれぞれ出ておられます。これより只今までの参考人意見を中心といたしまして御質疑を願います。
  7. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はその前に一つ委員長からお諮り願いたいのですが、この法案につきまして今参考人のお二方から非常に有益な御意見を伺つたのですが、その参考人につきまして、もう一つ附加えて頂きたい。それはかねて全国の知事会でこの法案に対する反対の決議をしております。その後法案知事会の要望等を入れて或る程度修正はされておりますけれども、この法案に対して、理事会の代表としてどなたかを呼んで、そうして全国知事会としてどういうふうな見解を持つておるか、これを一つ我々委員に開く機会委員長から与えて頂くようにお諮り願いたいと思います。
  8. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) お諮りいたします。只今河野委員よりお聞きの通り提案があつたのでありまするが、又次の機会にでも適当なときを捉えまして、誰か知事会の代表なり適当な人を本委員会で呼んで見たらと思いますが、御異議ございませんか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり]
  9. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではそういうふうに取りはからいます。
  10. 河野謙三

    ○河野謙三君 今日は提案者もおられますし、又参考人のかたもおられますので、どちらからでも結構ですが、一体こういう法律をどうしても作らなければいかん理由を私はもう少し教えてもらいたいと思う。成るほど現在各府県知事の認可、許可によつて運用されておりますけれども、それにつきましては、いわゆる地方の県会議員を含めたボス等によつて非常に認可、許可がでたらめになつておる点も私は承知しております。併しそうだからといつて、すぐにこういう法案を出してこれの決定を得なければ、どうしても砂利協会の合理的な経営というものができないということに私はすぐ一足飛びにはならないと思うのです。そういう点につきまして、具体的に現在どこがいけないか、それが法律に待たなければいけないのか、もつと現在の監督官庁の行政指導について、今までの悪いところを改めさせる行政指導の面の改正ということによつて目的は達し得られるのじやないか、私はこういうふうにもおぼろげながら考えるのです。そこで一体法律によらなければいけないのか、行政指導をもつと改善することによつて目的を達せられるのか、そういう判断を私はして見たいと思います。それにつきましては現在砂利業者の経営の合理化、延いては砂利の単価を引下げるということが狙いだと思いますが、それについてどういう点に一番支障があるかということを私は伺いたいと思います。
  11. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) それではもつと詳しく、直接やつております、ここに参つております代理人から申上げてよろしうございますか。
  12. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 代理人でもいいでしようね……、それでは桂礦業後藤桂君から詳細に申述べて頂きたいと思います。
  13. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 参考人の代理としましてお答えいたします。只今お話のありました、行政指導によりまして、法案によらずにもう少しそういう線からというお話がありました。この点につきまして、長年来のその問題が懸案になりまして、例えば採取許可に対する問題につきまして、先々年でございましたか、地方庁の河川関係の主管であります建設省から、そういう通牒も出して頂いたことがありますが、依然として同じような状態を繰返しておつたのであります。これではどうしても立法措置によつて法律の力以外には困難である、こういうことを痛感いたしておる次第であります。  それから只今価格低下の問題でございますが、今のような例えば許可の仕方にしまして、いずれ業者間の合理的経営ということは、なかなかむずかしいのでございまして、甚だしいのは二重許可をするとか、或いはもつとひどいのは三重許可をするとか、そういうようなことについて、結局合理的な経常ということはむずかしい状態になつておるわけでございます。これなども法案そのものにははつきりは書いてない、むしろ先ほど参考人から申上げましたように、業界の希望としましては、そういう点も十一条に明示して頂きたかつたのでありますが、それができないので、むしろ我々としてはその点は不満な点でございます。結局そういう点がすべて重なり合つて価格の低下、もう一つは我々が特に苦しんでおります点は、御承知の通り砂利の九割九分までは小規模なもの、零細企業でありまして、非常に資金の点などについても苦しい場合が多いのでございますが、こういう点について融資を仰ぐ場合でも、現在のような一番基になります採取許可不安定のようなものに対しては、なかなか融資の関係も思うように行かん、こういうようなことになりまして、結局高い金をみすみす借りなくちやならん、こういう場合も出るわけでございます。それらをこの法案によつて、いわゆる安定した企業の経営できるような許可の仕方をして頂きますことによつて、融資の点も更に改善されて、比較的安い金を貸して頂ける場合もできる、こういうことによつて価格は現在よりも低下する、こういうことを考えております。  それからなおもう一つは、こういうことによつて製品の質の向上も図り得る、これもはつきり申上げられることでございます。
  14. 河野謙三

    ○河野謙三君 今伺いました点につきましては、私の乏しい判断ではありますけれども、いずれも許可基準等を従来よりももつと明確にすることによつて、何も私は法律に待たなくても、今お話のような点なら解決するのじやないか。例えば二重、三重の許可の問題とか、それから零細な企業家ばかりであつて云々、これは通産省のほうで協同組合等による指導等によつて権利を受ける者の資格等につきまして一定の条項をきめれば、それで私は行くのじやないか、こう思うのです。私から進んで御質問申上げますが、今の状態では、第一、権利をもらつた場合の期間が非常に短か過ぎて困る、もう少し長期の期間をもらわなければいかん、こういうこともあなたがたの大きな要求の中に入つておるのじやないですか。
  15. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 只今ちよつと言葉が足りませんでしたが、許可基準のような問題につきまして、勿論期間面積、それから重複許可、この問題を念願としておるわけでございます。
  16. 河野謙三

    ○河野謙三君 この今の期限の問題はどうですか。許可期限が余りに短期間に過ぎて、そうしてそこに企業の安定性が求められない、従つて合理化ができない、コストが高くなる、こういうことも非常に業界の大きな悩み一つになつているのじやないか、こう思うのですが、期限の点は如何ですか。
  17. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 只今お話ございましたように、その通りでございますが、大体の実情は、極く長いので一カ年、そういう程度では決して安定したものではない。従つて我々としましては、少くとも十カ年ぐらいということは希望をいたしておつたのでございますが、いろいろ河川管理関係上、そういうわけにも行かないように聞いておりますが、希望としては、そのような程度のものでは結局不安定なものだ、こういうことになりますから、只今御質問ありましたように、期間の点も十分に考えなければならんと思います。
  18. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、期間の点につきまして、これは提案者のほうからでも、参考人のほうからでもいいのですが、大体どのくらいを希望しておられるのですか。どのくらいをこの法案では考えておられますか。
  19. 始関伊平

    衆議院議員始関伊平君) この第十一条の合理的且つ物定した経営のできるような基準許可をするようにという問題でございますが、具体的にはこの法案ができました後におきまして、この法案に基く一種の、通産省或いは建設省両省協議の上で、これに基く具体的な基準のようなものが都道府県に通知が出されることになるわけでありまして、その際に只今御指摘の期間の問題も、そこで成るべくはつきり具体的な基準が出されることになると思うのでございますが、只今では御承知のように三月或いは六カ月、非常に短かいものが多いのでございまして、私どもといたしましては、最小限度一年程度、河川の状況等によりましてもつと長く認めても差支えない場合には、二年、三年というふうなことを希望いたしておるのでございますが、元来申しますならば、採取船の場合には五年くらい、砂利採取業の観点だけを考えますと、五年くらいが望ましいということになるわけでございますが、それと河川管理の立場とを適当に調整いたしまして具体的に通知が出る、なお手掘りのほうにつきましては、これは一年ぐらいを認めてもらえば大体差支えなかろう、こんなふうな程度に考えております。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は実は皆さんのほうの御希望は成るべく長期にしろという御希望は当然なことだと思います。併しこれは河川管理のほうから行きまして当然今の許可場所を指定すると同時にその場所から何石とれるという量の指定をしているわけですね、そうでしよう、そうすればここからは幾ら以上の砂利はとつてはいけない、何石範囲でとれ、何坪範囲でとれということになつているわけですね。その何坪範囲という制限があるのですから、それをとるのに今相当機械化もされておりますし、一年以上指定した場所許可を受けた坪数というものをとるのにかかるというところは余りないと思う。結局これは三年四年ということになると、広い場所で而もいわゆる河川管理の面から見れば非常に深く掘つて見たり、又河川管理上非常に支障のあるような、例えば農地用水に非常に支障のあるようなところまで行くのじやないか、こういうことを素人でありますが考えるのでありますが、期間の点につきましてはそこが非常に業界の希望は業界の希望として尤もな希望です。これは何も業界の繁栄だけではなくて、国の土木工業全体の大きな気持でありますから、砂利採取法の合理化ということは非常に結構なことでありますけれども、それと一方河川管理の公益性、この問題と衝突することは必然です。その衝突点をどこで切るかということがこの法案の一番のポイントだと思うのです。甚だしつこいようでありますが、この点につきましていろいろと御意見を伺いたいのであります。
  21. 門屋盛一

    参考人門屋盛一君) 砂利業者でないのですが、砂利とは非常に縁が深いし、又直接に間接にいろいろ砂利採取しておりますし、出身が土木ですから河川管理等を併せて意見を申上げますと、今の御質問はそう長く採取する量はないのじやないかというような御意見のようでございますけれども、大体只今採取している状況から見ましても期限が短いということと、料金が非常に県々でまちまちになつておりまして、採取料金が非常に高い県などは一遍に多く出願したくても、その採取料金を前納する県なんかもあります、そういう関係で余り長くて出願できないということが一つと、それから私は期限を長くしておけばそこに共同施設ができるので、大きい会社でおやりになつているところはなお更のこと共同施設ができると思うのです。今砂利を買いますほうの建設業者、これは先に御説明しました建築業者の立場がら申しますと、手ぶるいでふるう砂利が一立米非常に層のいいところになりますと二百円か三百円くらいで所要の大さのものが手でふるえばふるえるのです。大きさだけは……ところがこれは水洗いがしてありませんから砂利の質が非常に悪い。それから今度はそれを積みに行くトラツクが手ぶるいのは規模が小さいから下から一遍々々トラツクに積込みますから、積込手間が非常に高くなる、それで中小業者のほうでも一つ法律によつて安定するということになりますと、協同組合式に組合をこしらえまして、砂利の積込施設とか、洗う施設をやりまして、洗う手間はかかつても積込施設によつて積込運賃のほうが安くなりますので、価格の面では質のよい安いものがとれるようになる。それから採取船を以ちまして掘つておりますのは、大体これは砂防堰堤が沖のほうにたくさんできてしまつてダムができますと下流のほうに砂利は流れて来なくなりますが、そうすると今の状態ではここ十年くらい中間ダムができて下流に砂利が流れて来ないというような状態にはなりにくいと思うのですが、砂利というのは年年流れて来るのであります。一定の区域を三年なら三年という期間をやらして頂くということになると、只今申上げましたような洗う設備とか積込設備機械設備が思い切つてできるわけなんです。それでやはり砂利は今日に見えているのは一年とるほどしがなくても、又翌年の水なりその次の年の水で持つて来てくれる。それから持つて来たものはやわくてとりやすくなるのですから非常に採取費も安くなる。その採取費の安くなつたものを、私土木屋の立場から言いますなら、建設費を安くするために砂利代は安くなることは結構ですが、現在採取船を入れて掘つている跡を見ますと掘り滓というものを片付けてある所は殆んど見受けられない。これは国家が非常な金をかけて堤防をやり、河川改修をやりましても、川の中に一つの思いがけないところの邪魔ができるということは、一つの水勢の差異を成しまして堤防の力の要らない所へ水の力が行きますので、これは堤防をいためる一つの原因になつておることは、十分に法律によつて砂利業者がやりやすくなるようにして頂くのはやはり今日の場合地方長官の権限だけでは無理である。やはり何とか、この法律は若し何でしたらもう少し修正増補して頂きましてもやはり今日砂利採取法を合理化して国家目的にはめて行くには、河川の改修という国家目的にはめて行くには、十分に保護してやると同時にやはり義務を相当持たしていいと思います。この法律第三条で公益の保持ということがきめられておることは非常にこれは適切なことだと思うのであります。只今の行政措置だけでは安心して立上れないような状態になつておるのであります。どうしても一定の期間一定の場所許可して頂く、それが今まで二十年なり十五年がたつているものなら、こういう法律ができた機会に、昔の統制会社になつては困るのですけれども、自主的の協同組合にしてやれば、質のいい、まあ安いものができるようになる。ただその砂利が年々やはり水によつて同じような所へ、上流にダムでもできん限りは砂利の来る区域は大体わかつておるんですから、それでやれば相当長期間権利が必要になる、こういうことを申上げておきます。
  22. 河野謙三

    ○河野謙三君 長期間御希望になることはよくわかります。わかりますが、長期間になりますとこれは一つ権利になりますか。この点は提案者なり又参考人のかたに……。これは三年、五年というような長期間のものになりますと一つ権利になると思うのですが、これは一体どういうことになりましようか。
  23. 始関伊平

    衆議院議員始関伊平君) やはりお話のようにこれは三年間なら三年間の間そこで砂利採取できるという一つ権利になると考えております。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 権利になりますと、これは予想されることは、そこに一つの全国的に大きな規模の権利者が集まつて、大きな会社を作るということも可能でありますか。そういうことが考えられますが、どうでしよう。そういうことは考えておられませんか。
  25. 始関伊平

    衆議院議員始関伊平君) 先ほど川又さんから述べられましたように、非常に多くの業者があるわけでございますが、そのうちの非常に微細な業者につきましては、協同組合の共同施設というようなものを助成して参るというふうなことは別途考えておるのでございますが、只今お話のように大きい業者を更に統合いたしまして強力な一元的な砂利業者を作るというようなことはこの法案では全く考えておりません。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 法案にはそういう趣旨は盛つておりませんけれども、そういうことは必然的に起り得ることが想像されますが、念のためお伺いします、そういうことが起つて来た場合に、この場合は政府ですが、政府はそれに対してはそういうことをやることをむしろ指導されますか、そういうことを抑えて行かれますか。
  27. 前島敏夫

    説明員(前島敏夫君) 今の河野委員の御質問の点につきましては、政府のほうではそういうふうなことは一切考えておりませんで、むしろ如何にして砂利価格を低廉にするか、同時に公共事業、その他をやりやすくするかという点から考えておるわけでありまして、今の中小企業等につきましてはできるだけ助成措置も講じ、又いろいろ安くするために合理的な施設をいたします場合には援助をするようにいたしておりますが、大業者が集団をなして一つ会社を作るというようなことになりますと、独禁法の趣旨に悖ることになりますので、そういう点はむしろ抑止したいと考えております。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういう御趣旨であれば結構ですが、現に、いわゆる全国的規模のものはないのですけれども、さつき川又先生から静岡の安倍川の話があつたけれども、私の聞いている範囲では、静岡県の大会社、而も或る非常な有力社が安倍川に非常に大きな権利をとつて、むしろ従来の中小企業を非常に圧迫しておる。そして権利をとつているけれども、砂利を出すに困るというので、極めて不自然な安倍川から清水までトラツクで運んで、あそこから船へ積んで、そして横浜なり、東京へ砂利を持つて来てやつておるという話があるのです。こういうことは法律でやらんで、むしろ今度知事さんを呼んで頂ければ知事さんに伺いたいと思うのだけれども、今の行政指導でやれることを……、怠慢なのですね。そういうことはこの法律じやなくたつて今のような問題は私は行政処分で行くと思う。そういうことを、いろいろ意見がましいことを言つても仕方がありませんが、私はもう一つ伺いたいことは、長期に亙る一つ権利になる、そういう場合に公共の橋を架ける、その他公共の必要がある場合にはその権利者の同意を得なければいけないことになりますか。
  29. 門屋盛一

    参考人門屋盛一君) 丁度私土木工業協会からお願いしているのは、十一条に橋梁とか……書物があるので、時間を省略するためにお話しませんでしたが、従来の電源開発、利水、鉄道、道路等の公益事業の用に供する砂利については、我々の修正意見の協議中には新らしい地点に対して競願の場合はこちらを優先に許可してもらう、それからすでにそこに砂利会社ができまして、砂利会社は私の今までの経験から考えますと、二つ河川一つ会社ができるというようなことはまああり得ないと思うのです。大抵安倍川なら安倍川、それから相模川なら相模川の中に四つなり、五つなりの大きい会社ができると思います。その会社ができましてそこを採取しつつあるときには、公益優先でありますから、この政令で定めたところの公益事業に対しては一定の数量を一定の価格を以て納入させるということを許可の折に条件として留保しておくか、或いはそこのところをはつきりすればいいと思います。その採取設備ができているところへもう一つつて行くということは不経済ですから、採取設備があつて非常に安くとれるのだけれどもこの際儲けなければどうにもならんという気を起されますと公共事業の予算に非常に響いて来るわけです。直接税金で頭に響いて来ますから、それを十一条の中に何とかお考え願いたい。そうすればたとえそれが権利であつても、何であつても、公共の害にはまあならないので、そこまで煎じ詰めたわけなのであります。大変意見がましいのですけれども……。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の土木工業協会からの修正意見は、非常に私個人としては大事な問題だと思うのです。それはよくわかります。これは許可をするに当つてこういう条件を入れるということですね。私が今伺つているのは長期に亙つて一つ権利がそこに生れると、そこに橋を架ける、その他公共の用に供するためにその土地が必要だという場合にその権利者のほうはどうなるかということです。
  31. 始関伊平

    衆議院議員始関伊平君) 只今のお話の点でございますが、橋を架けるといたしますと、その下では今度は砂利がとれなくなる、その権利関係はどうなるかというお話だと思いますが、この点につきましては、知事許可の場合に、そういつた場合にすべて取消ができるという条件が付いておるはずでございまして、支障がないことと思いますが、建設省の水政課長が来ておるそうでありますから、そちらのほうから……。
  32. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 只今御質問がありましたが、十一条は、これはいろいろ質問がこんがらがつておるようでありますが、ここに言つておるのは、河川法の十九条の場合の問題でありまして、河川法十九条の場合に、河川管理者が砂利許可をやることになつておりますから、その許可基準をこの採取法で取入れてやつているわけであります。でその河川法砂利採取の十九条に基く許可は、只今権利かどうかという御質問がありましたが、これは大体私どもの今までの河川法の解釈では権利ではない、これは一つの行政処分によつて与えられたもので権利ではないというふうに、この採取権、ここに言われる採取権そのものとは又別の、河川管理上に与えるものはこれは権利ではないというふうに考えております。ですから勿論公共的な橋を架ける場合、或いは河川改修をやるというような場合にはその行政処分をやる場合におきまして条件を付けまして、そういう条件があれば取消すという処分をやつておるわけであります。で、勿論近い将来に必ずそういうふうな公共事業をやるような予定の所は許可の対象にもなりませんし、若しなるような場合がありましてもこれは取消すということが許可の条件でやつておりますから、その点は御心配ないというふうに考えております。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 その条件は必要条件として必ず付いておるわけなんですな、如何なる場合にも。
  34. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) そうでございます。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから今あなたは権利にはならんと思う、こういうことなんだが、そこをはつきりしておかなければいけない。あの中に一年以内ということであるが、一月の場合もひどいのは一週間なんというのがあるそうだ。要するにその水が出るたびに水勢が変るということも予定して、そうしてその川の状態々々と橋の状態々々とによつて期限が一年以内ということになつておる。でありますから、これはもう権利とならないのですよ。併し文言はどう書いてあろうが、三年、五年、七年ということになればこれは立派な権利ですよ。そこはどうなんです。そこのところをはつきりしておかなければいかんですよ。
  36. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) これは権利でなくても結局実質は権利というふうになつて来ると思いますが、法律上の考え方といたしましては、河川法の十八条の処分は権利でありますが、十九条の処分は権利ではない。ですから必要があればいつでも取消される、こういうふうな解釈であります。
  37. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の建設省の言われるように、権利じやない、いつでも取消すのだ。仮に三年にしておこうが、五年にしておこうがいつでも取消せるのだ、一方的に取消せるのだ、こういうことは参考人のほうでもあらかじめそういうことは前提となつてお考えになつておるのですか。
  38. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 只今の問題ですが、法律上の物権とは心得ておりません。現在は河川生産物の払下げになつておるわけであります。ただ我々の念願といたしております安定した事業をやり得る年限ということになつて概念的に権利がどうかという問題があると思います。法律上の権利はないと思います。なお今の何どきにでも取消す、こういうことはこれはいわゆる公益上必要があつてやるのだ。そういう面からの取消にはこれは止むを得ない、こう思います。例えば今のように橋梁を架設するとか、或いは護岸築堤を変えるとか、そういつたようなものは当然条件が付いておるわけですから止むを得んことと考えます。
  39. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は権利の問題は、法律権利という字が書いてあるとか書いてないとかいうことじやなくて、これはもう当然権利として扱つて差支えない性質のものだと思うのです。それを一方的に五年と許可したけれども、何かの一方的な理由許可を取消すということが可能なように今聞いておりますが、それは恐らく乱暴な話だと思うのです。一遍すべての条件を整えたものに対して許可した以上はそれを取消すなんということはそう簡単に僕はやるべきことじやない。できることじやない、そんなことは。それは併しいつでも取消されてもかまわないのですか。公益に害があるからというようなことでしようが、公益だつていろいろ範囲が広いです。今の砂利法案が出ているのは今の行政指導でもちやんと良心的にこの運用ができていれば恐らくこの法案は要らんと思うのです。そこにいろいろな間違いが起つているからこういう法案が問題になつて出ていると思う。今度法案が出たのもそういうことなんですよ。一方的に取消すことについてはめつたな取消がないとは限らん。今度これをやりましても許可府県知事なりがやるのじやなしに扱う人は同じ人ですよ。そういう点につきましてあなたに特に念を押しておくわけなんです。
  40. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 今河野さんからお話になりましたようなことは我々としては希望はいたしますが、国の必要若しくは地方庁で必要だ、これは国家的に見て必要だ、地方的に見て必要だ、こういう点からやられることであつて殊更に故意にこれがあるからやるというようなことは私たちはないと考えております。
  41. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはまあ参考人に言つても仕方がないのですが、そういうことがないと思つて法律を作るのじやないのです。あらゆる場合を予想して作るのが法律なんです。ですからあなたのようなお気持で世の中がうまく行けば、それじや何にもこういう法律は要らない。それは議論になるからあとの質問は府県の代表から参考意見を聞いたあとで又質問の機会を与えてもらいたい。
  42. 海野三朗

    ○海野三助君 私が川又さんにお伺いしたいのは、この法案の狙いは率直に言えばどういうところにあると思うのですか。権利を得るというところにあるように思われるのですが、率直に言いますと。縷々ここに述べてありますけれども、これを煎じ詰めて見ると砂利業者一つの特権を得ようということであるとしか考えられないのですが、どういうところに狙いがありますか、端的に極く簡単にお答えを願いたいと思います。
  43. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) お説御尤もでありますが、権利を得ようと思つているのではなくて、実は業界の今までのしきたりといたしましては、仮にここに我々が資本を投下して採取事業を持つたとした場合において、若し事をしようという人は他にその許可をやるという例があるのです。その場合には、既得権として我々がやつていて投下した資本が実は不安になるということもあり、従つてここに申上げた通りこの法律が制定されますれば、要するに搬出する場合において遠廻りしなけりやならんというところも話合いで大体搬出のあれが近くなる。土地使用するについても、あれがありますればスムーズに行くのじやないか。すべての点におきまして、この法律があるということがいわゆる地主なり或いはその他の点に対しましても交渉案件が楽になる。それは今まででもできるじやないかということになりますが、法律がない今ですとなかなか多額の金を要求され、従つて金を積んでも駄目だ。遠く迂回してトラツク等で今土砂を運んでいるところも数多あります。さようなことは害にもなるししますので、実はこの法律が制定されますればそういうことが非常によくなるということも我々考え、従つて採取権につきましても、各地に行きますると随分甲乙丙で取らなくてもいい権利を取つておる、そうして妨害するようなこともある、採取業者でなくても誰か先に権利を取つておいてそれを高く売りつけるというような弊害もありまするので、一方にさようなこともこの法律ができますれば防ぐこともできようと思います。而して事業をやるにつきましては、さようなことが安定しますれば資金も従つて出て来ますし、先刻申上げました通り金融も楽になり、而してすべてがそういう搬出後についても近い所を通りますれば価格も安くなり事業化することができますから、そういう事業も非常に便利になるということが大体の骨子でありまして但し十三条はここに削除されましたからもう少し言わんとするところもありまするが、幸いに今日のこれを通して頂きますれば、順を追うて更にもう少し修正なりをお願いして確立したいと思う次第でございます。只今のところは、すぐ端的にこうでなくてはいけないというようなところは、少しあるようなふしもありますが、大体のところは我々考えて実はこれを練つて出願している次第であります。どうぞ御了承願いたいと思います。
  44. 海野三朗

    ○海野三助君 只今河野委員からもお話がありましたが、これは明らかに権利であつて、それは権利でないという政府御当局のお話でありますけれども、それはいわゆる法文化しないところの特権になるということじやないか。例えば八幡製鉄あたりから鉄材を出すのに、問屋というものがあつて、その問屋に何か都合の悪いことがあればその問屋が取消すということが今現に行われている。それは問屋に与えられたる特権なのである。これは何も法規上きめたのではないけれども明らかに特権なんであつて、私は特権であるということに考えられることが一つと、それからもう一つは在来の小者、いわゆる採取業者のこまい者たちが非常に困つて来る、これによつて。いわゆる日雇い業者あたりなんぞがこの砂利採取して、例えば我々が都会において砂二十俵要るから持つて来いという場合になると、荷車で運んで来るやつもあり、トラツクで持つて来るやつもあり、そういうふうなこまい者が今度は困つて来やしないか。ここにこの砂利法案ができてそうして或る地域の特権を得ればそういう小者はそれに立入りされないことになる。つまり目に見えざる小さな者が非常に困つて来ると私は考えるのでありますが、そういうことに対してのお考えはどういうものでありますかお伺いいたしたい。
  45. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) お説御尤もでありまして、その点につきましても我々常に小さな手掘り業者なんか圧迫していけないという説を持つておるのであります。これは河川で御覧になればわかりまするが、どうしても機械等が入れられない河川等もあるのでございまして、それらについては手掘りに適した土地が随分ありますので、現に相模川等では手掘りの業者が数千あるのでありますから、現にそれでやつておるのでありまするからその懸念はないと思います。むしろこの法案ができますればそれを助長して、とにかくそういう手掘り業者も能力のある人は協同組合をつくるとか何とか一層に砂利を向上させる一端となる、私はこう考えております。
  46. 海野三朗

    ○海野三助君 私は小者と申しましたが、その小者がそういうふうな会社をつくれるだけの資力がない者がたくさんあるのであります。そういう者が困るではないかということ、それからこの法案が若し通るといたしますと、困ることには河川のほうの関係、先ほど河野委員も触れられましたが、むちやくちやそこの所を掘り下げてしまつたために水の流れがとんでもないことになつてしまつたというようなことはもう考えられることでありますから、この河川のほうの関係を考慮いたしまするとこの法案はまだまだ不徹底な未完成の法案であると、こう考えるのでありますが、この点については御意見如何でございましようか。
  47. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) 一応御尤もな御意見でありますが、先刻申上げます通り、一人で手堀りをやる人に我々は今の実例から見ましても決して圧迫をするようなことはない。この法案ができましてもさようなことはあり得ない、でき得ると、こう信じております。
  48. 海野三朗

    ○海野三助君 もう一つ河川関係のほうにつきましてはどういうふうにお考えになつていらつしやるか。
  49. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 私どもこの法案につきましては、前々からいろいろ関係方面から御相談もありまして、いろいろ御意見が出ておりましたように、私ども河川管理の立場からいろいろ河川法で川の取締をやつておりますが、そういう面からいろいろ折衝いたしまして、十一条の問題、それから十二条の問題とか、或いは附則の問題、そういう問題で折衝いたしまして、まあこの程度であれば河川管理者としても公益事業をやる必要があれば、いろいろな立場をとれますから差支えはないじやないか、こういうふうな結論に達しております。
  50. 海野三朗

    ○海野三助君 私は山形県ですが、山形県の馬見ヶ崎川の状態などを見ますと、非常に砂利を若し採取する場合に、よほど気を付けてやつてもらわないと、人家のほうに水が溢れて行くのじやないかと思う所が、川底が高くなつている所があります。ところがそういう所があり、又低くなつている所がある。そういうような所は一々見て許可しようとおつしやるのですか。どういうふうにしてこれを採取しようというところまで河川関係では御指示なさるお考えですか。
  51. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 勿論これは十一条の問題でありまして、実際やる場合には相当細かい基準を作りまして、現在でも先ほどもありましたように行政指導でやつておりまして、私ども或る程度それで行つているのじやないかというふうな気持もいたしておりますが、更にこれを法文に盛込んで徹底的にやるという趣旨でありまして、その趣旨につきましては格段反対はございませんが、この十一条をやる場合におきましては結局法文だけの問題ではなくて、これは建設省なり通産省なり知事が一体となりまして、実際の許可をやる場合の個々基準を作らなければならないと思いますから、そういう点は先ほども電源開発の問題の競願の問題等もございましたが、そういう点は個々に相当詳細な基準を作つてやりたい、こういうふうに考えております。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 河川局長の代理で来られたのですか。
  53. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) そうです。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 それじや河川局長に質問がありますから……先ほどからたびたび申上げておるように、現在の制度において私は行政指導の面で欠陥があれば、それを更に行政指導のやり方を直すことによつて、この法律を改めて作らんでも目的を達し得るのではないかと、こう思いますが、建設省の立場で現在の制度ではいけない、どうしてもこれをやらなければいかんという、あなたのほうだけの立場で結構ですよ、そういう御認識をお持ちですか。
  55. 美馬郁夫

    説明員(美馬郁夫君) 私は河川局の課長でありまして、建設省全般は代表しておりませんから、河川局の局長の代りの立場から申しますと、私ども関係いたしますのは、この十一条の問題でありますが、この十一条は成るほど現在河川法でやつておる処分でありまして、これを行政指導の形で徹底的にやれば、恐らくこの問題自体については私どもは或る程度やれる。ただこれを法文に盛りましても結局は行政指導の問題に帰するのでありますから、その点につきましては私ども現在の河川法の制度でも別に不十分ではないというふうに考えております。但しこの砂利採取法全般の構想は勿論十一条だけの問題ではございませんで、その他にもいろいろ問題がありますから、その他の問題につきましては私から意見を申上げるわけには行かないと思いますが、少くとも許可基準の問題につきましては、河川法の立場で通産省と建設省知事が一体となりまして、適当な行政指導をやれば或る程度は目的を達成すると、こういうふうに考えております。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 よくわかりました。この機会ちよつと川又さんに伺いたいのですが、我々は素人なんですが、今言つた砂利は、いわゆる現場の原価と運賃の比率は一体……これは各河川によつていろいろ違うでしようが、又消費地によつて砂利の値段が違うでしようが、大体大ざつぱに言つて、現場の砂利の原価と、それから消費地の価格というものとどういう比率になつておりますか。例えば原価が二千円であつて、運賃が大体四千円、五千円、七千円、こういうことだと思いますが、大体どういうことになつておりますか。これを合理化をしなければならんということはわかつておりますが、合理化は、要するに運賃の面が非常に大きいと思いますが、そういう点を参考までに伺つておきたい。
  57. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) 私もやつておりますが、細かいことはわかりませんが、やはりそういう点につきますと、やはり後藤君あたりが詳しく原価が幾ら、運賃が幾ら、持込みが幾ら、例えば静岡でいうと運賃が倍以上になります、その点価格が違いますから、その点は取扱つておる後藤君が明確にわかると思いますから、後藤君から……。
  58. 後藤桂

    参考人後藤桂君) お尋ねの比率は、運送費用が大体三段になつておる。これは大体トラツク若しくは人力、ガソリンカーの費用、貨車に乗りまして鉄道運賃、着駅に着きまして工事場までの搬入のいわゆる自動車、こう三段になります。最近だんだん鉄道輸送が長くなりまして従来は輸送平が五十キロ程度であります。現在は大体七十キロぐらいまで延びております。従いまして全体の運送費と原価とが開いております。六〇%乃至七〇%は運送費という工合になつております。
  59. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一言だけ……今まで輸送距離が平均五十キロであつたものが、現在七十キロぐらいまで延びて来た。この法案を通すことによつて、一層合理化することによつて、これは又七十キロまで延びたやつを六十キロ、五十キロに戻す、そうして東京なり東京の近くの河川砂利をもつとこの法案さえ通ればもつと砂利を、例えば相模川なり多摩川なりもつと砂利のとりようはあるのだ、こういうことも意義があるのですか。
  60. 後藤桂

    参考人後藤桂君) ございます。
  61. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ほかに……。
  62. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 先ほど建設省のかたからお話のございました、十一条で公益事業使用するものを除外する、こういうお話がございました。これは私たち砂利業者の立場から一言お願いしたいと思いますが、公益事業優先でやられることは誠に結構でございます。実はこういう事例が各地にあるのでございます。現に許可を受けておりますところに、この近くの道路工事に使うのだから、今まで許可を受けておつた人の所に来て、それを取消して、そうしてその者をやらせる。而もそういつた所が極く小さい零細の人たちのやつておる所に多いのであります。極く地方のものでございます。  それからもう一つは、その名を借りて、いわゆる地方庁の直営だという形でやるやつでございますが、実際は土木工事をやるかたがそういうことをやる、こういうような事例が多々あるのでございます。結局こういう小さい人は圧迫されて弱つているような事例がございます。その点につきまして全面的にそれを何でもかんでも除外するのだということになりますと、そういつた問題も起つて来るわけでございます。業者の立場としてはちよつと困る問題だと思います。それからもう一つ電源開発問題につきましてお話がございましたが、これはお話にございましたように、権利を得るために許可をとつて妨害した、こういう事例は我々ちよつと聞いておらないのですが、考え方としましては今までは電源開発に使う砂利業者が自分の経営の下にそいつを供給しているということの例は殆んどございませんということは、そういう特殊なところへ出ることを考えて、短期間のために、而も殊に技術を要するいい品物を入れるための設備をするというようなことは、現在の砂利業者としては殆んど不可能でございまして、今までの例としてはそういう施設は土木建築業者にして頂いて、いわゆる事業の下請をやる、こういうようなのが、事例が多うございまして、実際はこの法案がこのまま当院に出ましても、それに対して大きなそのような支障があると我々は考えられない、こう思つております。
  63. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 後藤君の今言われましたのは、土木工業協会から出ておるこの修正意見に対しては、自分のほうではこういう意見が、修正が入つては困るという意味の意見でありますか。
  64. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 全面的ではありませんが、真に公共事業のために地方庁で公共事業として直営でやられるということについては、これは無論異議はないのでございますが、そういうことのために既存の許可を受けておるところを取消してそういうことを、それを先にやる、いわゆる実体は公共事業に使うものでありましても、建設業者がいわゆる採掘をしてやる、こういうことになると何らも変らない形になるわけだと、こう思うわけであります。結局今までやつておつた業者を押しのけて、それの許可を取消してやるというようなことになつては困る、こう考えるのでございます。
  65. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつと誤解があるのではないかと思います。門屋参考人から……。
  66. 門屋盛一

    参考人門屋盛一君) 大分誤解があるようであります。恐らく今の川又さんの代理で発言なさつたかたは余り中小業者ではないと私は思う。こういうまあ土木建設業者も七万人からありますから、中には悪いことをする業者もあるかも知れませんが、少くとも土木工業協会のメンバー約五十名ほどのものはその土地に来て、土地業者採取しておるのを取上げさして、仕事を奪うというようなことは絶対いたしませんし、又そのくらいの数量のものならば私は問題じやないと思うので、どうしても十一条の私らの修正意見の誤解があると思うことは、我々が憂慮しますことは、私の言うた通りに、今御本人から裏書きされておるのでありますが、大きな電源開発となりましたら現在の砂利会社設備では到底間に合いません。機械から一切我々のほうで持込んで指導してやらなければならん。現在のままならそれでいいのです。併し十一条には河川法その他支障のない限りは砂利業者のつまり損をしないように考えて許可しなければならんということが十一条に示されておる。そうしますとまあ先ほど安倍川の例も出ておりましたが、どの川筋でもその川筋は、相模川みたいな非常に長い川になりますれば、四つか五つの会社になると思いますけれども、九州の大野川だとか、大分川ぐらいでしたら殆んど一河川一社になつてしまうわけです。電源開発をやるという噂が先に立つてしまうのですから、そのときまでは許可をとつていなくても、今度ここに工事ができるのだから許可をとつておかないと算盤が合わないというので、許可だけとられると権利金を払わなければいかんようになると、その権利金だけが財政支出及び財政支出でなくても電気料金等にやはりはね返りが来るようになるのですから、そういうものは今やつているものをやめさせるというのではないので、そういうことのないように政令で定める事業に対しては一つの枠を設けてもらう。若しその砂利会社がおやりになることは結構ですが、一定の期間内に一定の数量を命ずる価格で国の直営等の場合とか、或いは電源開発等にしても、この価格が至当だという価格で納めてもらえばいいけれども、数量は納めてもらえんは、権利は主張されるということはこれは起つて来ます。で私は十一条の修正が絶対できないものならば、何もこの法律は元に戻せば、我々検討した結果現在の砂利採取業者は是非一つ自重してもらわなければ我々使うほうでも困ると思う。電源開発をやる、大きな工事でない街の建築をやりますものでも、御視察頂ければわかるけれども、砂利のやかましい官庁工事砂利は安倍川あたりの十分に洗われた砂利を持つて来なければ検査がとれん。併し間に合わないものですから洗われた砂利をストツクしておる砂利業者に買いに行つても売らんです。或る一定の自分の思う価格に達するまでは売つておりません、品物があつても。それは品物の売り買いですから、是非売れということはできない。我々請負人のほうでは間に合わないから手掘りで、相模川あたりで、お話の通り、何千人かとつている。それを買い集めたほうが価格がずつと安い。これは当り障りが出て来るか知れませんが、御反対が出て来れば私は飽くまで正直なところを申上げます。併し私はなぜこの法律を作つて合理化してもらわなければならんかというと、その安い手掘りの砂利の規格が一致しにくい。コンクリートの施工も、ただミキサーで練つて流し込むようなコンクリートというものは強度というものは出て来ない。追い追いにコンクリートの打設機械が進歩しまして、現在も或る重要な施設は皆コンクリート・ポンプを使つておる。コンクリート・ポンプを使うと砂利の大きさは非常に厳密に一定しなければならない。コンクリート・ポンプは一定の大きさばかりでもいけないので、例えば一寸二分の砂利が幾ら、八分が幾ら、五分目が幾ら、こういうふうに適当に配合しなければならない。そういうことが手掘りのほうが、個人々々でとつておる、中小企業者のとつておるものはやはり網の目で振うのですから、大きさは統一できるのですが、積込場所がない。それをトラツクで績んで来るから非常に運賃が違つて来る。相模川あたりの手掘りでやつておるのは坪千円しておるが、それが東京に来ますと一万円近くになる。そこにあの零細企業でやつておる人たちに或る一定の期間、これは一年でいいのです。一年でもこれは許可なつたというので、協同組合にしてもらつてその協同組合で我々は出資をすればいい。日雇人夫には出資できませんが、協同組合との契約なら我々のほうの機械設備なんかはどんどんやります。そうして安心して一定のものが安く手に入るということもできるのです。これは十一条の除外例が困るというような頭では砂利業者は羊頭狗肉です。国家のためになるということより自分の利益ばかり主張する法律が今日の日本国会でできるとは私は思つていない。第何条、第何条ということは議員さんの前で申上げませんけれども、この法律を通覧した場合、十一条の許可基準というものはもう少し厳密にして頂かなければ困る。これはもう私個人の意見でなしに、土木工業協会意見ですから、私個人なら何もここで憎まれたくありませんが、(笑声)これはやつぱりそうでなくて、土建屋が儲け過ぎるとか、電源開発は高いというていじめられるけれども、決して我々儲け過ぎるのでも何でもない。要は皆高くなつて来ておる。それともう一つ、我々が初めうろたえたときは、曾つての統制会社時代の幻を見たのです。これは統制会社なつちや困る。統制会社時代は国有鉄道に使うバラスにまで権利金を取つたのです。権利金とは言いません。手数料といつてつたのです。どうしても私は十一条の修正だけは是非一つ考えて頂きたい。同時にこれは利権法案でも何でもないと私は思うのです。この程度ならば助長になると思うのです、この産業の……。産業を助長する意味において反対じやないのです。
  67. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) わかりました。そうすると、砂利協会のほうから若し今の門屋参考人の御意見に対して意見があればもう一回お述べを願います。簡単でよろしい。
  68. 後藤桂

    参考人後藤桂君) 只今のお答えは十九国会衆議院の通過の際の附帯決議の一項にございます。その点で私は解決できる問題じやないかと思いますが、如何ですか。
  69. 門屋盛一

    参考人門屋盛一君) それは意見だ。
  70. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それだけの意見ですね。ほかに御質疑は……、御質疑がなければ砂利採取法案審議は一応本日はこれで終ります。  参考人に申上げますが、遠路わざわざおいで頂きましていろいろご意見を御陳述願い、又質疑にもよくお答え願いまして大変参考となりました。有難うございました。
  71. 川又貞次郎

    参考人川又貞次郎君) 只今大変御丁寧なお言葉を頂きまして、参議院の皆さん御多忙中にかかわらず御列席を頂きまして御質疑等を頂きまして大変有難うございました。厚く御礼を申上げます。
  72. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではこれで休憩し、一時半より再開いたします。    午後零時四十三分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  73. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは休憩前に引続きまして通商産業委員会を開きます。  本日は御承知の通り午後一時より築地の西本願寺で尾崎行雄翁の葬儀が行われております。私どもは尾崎先生が往年憲政に尽された御功績に心から敬意を表し同翁の御逝去を深く悼むものであります。審議に入る前に皆様方と共に黙祷を捧げて遙かに弔意を表することにしたいと思いますので御起立を願います。    〔総員起立、黙祷〕   —————————————
  74. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではこれより公報記載の小林政夫提案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案並びに中小企業等協同組合法の一部を改正する法律施行に関する法律案の二件を議題として審議を進めたいと思います。この二法案は別途大蔵委員会に付託されておりまする協同組合による保険事業に関する法律案と共に前国会の会期末に提案され、本委員会では六月三日に提案理由説明があり即日継続審査と決定して本日に至つたものであります。委員質疑に入ります前に提出者小林君より本法案提案するに至つた詳細なる御説明、本法案の構成、特に三法案の関連性、法案の主要なる内容等について御説明を承わり、次に記内中小企業庁長官より協同組合による保険事業の現状から見て組合法改正の必要の有無等について説明を承わりたいと思います。先ず小林君より御説明を願いたいと思います。
  75. 森崎隆

    ○森崎隆君 ちよつとその前に……。私中座いたしましたのですが、さつきの砂利法案の問題、あれは前国会継続審議になつているのですか。
  76. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 継続審議になつております。
  77. 森崎隆

    ○森崎隆君 いつなつたのですか。
  78. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 委員会では六月三日になつております。
  79. 森崎隆

    ○森崎隆君 六月三日というと我々のいう変則国会ではないのですか。
  80. 小田橋貞寿

    ○専門員(小田橋貞寿君) 委員会では前です。
  81. 森崎隆

    ○森崎隆君 委員会では前ですね。本会議ではそれ以後です。いろいろ疑問のある本会議、そういうことになりますね。今のところは我々の立場と又他の会派のかたがたとの立場も違つておりますが、どうもその点がちよつと不思議に思つたものですから、その点ちよつと不審に思つたものですから……。
  82. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それはそれとして……。
  83. 森崎隆

    ○森崎隆君 ですからそれを議論すると遡つて参りますから、その議論は只今は別にしましていずれこれは次期の国会に又新らしい形で出るといたしました場合に、そのときに改めて審議をするということで了解いたします。
  84. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それで結構です。それじや小林君。
  85. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 前国会の末期最終日頃に提案を申上げたのでありますが、その際にも提案理由並びに本案を提出するに至つた経緯等について申述べさして頂いたのでありますが、その後委員長或いは委員各位も御交替になつておる向きもございますので、委員長の御要望の通り先ず本案提案するに至つた理由から申述べさして頂きますと、最近保険類似行為がいろんな団体において行われておるようであります。中にはここに提案いたしております中小企業等協同組合法に基く事業協同組合の共済施設関係のものとしてやつておられるのもあるし、又消費協同組合の関係でやつておるのもあるし、又農業協同組合等においてやつておるのもある、或いはその他そういうような特別の法規に基かない任意の団体で以てやつておるのもあるようであります。私前に大蔵委員会に席をおきまして保全経済会の問題等についてかなり関係当局に事前に危いぞということを注意しておつたのでありますが、御承知のような事態に立至つてその後においてああいう取締法規を完備したということになつております。十九国会においては保全経済会問題等とも関連をいたしまして今にして類似保険についての監督法規を整備するなり、或いは全然もぐりであつたならばこれについて徹底的な取締をやらないと不特定多数の大衆が迷惑をするであろう、こういうことで政府を督励したのでありますが、遂に政府のほうからは案が出ませんでした。ところが農業団体再編成関係法案の一環として農協関係の行う共済事業一つとして保険事業をやり、火災保険をやる、この場合における規定を整備するという意味において十九国会の末にその一部修正案が出たのであります。ところがそのことも我々の見るところでは完全に法規上完備した体制にはまだ少し足りない点があるのではないか。若しやるならばここに提案しているような程度の監督法規は整備すべきである。そこで併しその本来の農業関係の法規を修正するということについても時間的に間に合わない点もございますし、まあ、やられるならばこういうふうにおやりになるのが適当じやないかというモデルをお示しする、甚だ僣越な言い方ですが、モデルをお示しするというような気持で急遽こういう案を出したのであります。行く行くは提案者の気持としては今あるところの消費協同組合、或いは農業協同組合等による共済事業として行われている火災保険事業はこういうような形において関係法規が整備されることを望むわけであり、願わくば協同組合による火災保険事業というのは一本の法規で、このような体制で進められたならば望ましいというふうに考えているのでありますが、そこまで行くについては関係方面のいろいろな事前の了解等も必要であり、相当時間のかかる問題でもございますので、取りあえずこの中小企業等協同組合法による協同組合の行う火災保険事業について所要の法案の整備をしようとするものであります。  で、まあ現在どういうふうな実情において共済事業としての火災保険事業が行われているかというようなことについては政府当局において資料もお持合せでありましようから、そのほうからお聞きとり願いたいと思うのですが、相当中には割合堅実に行なつているのもあるように思いますが、どうも今のうちに相当のしつかりした基礎を与えておかないと迷惑をこうむる向きが出て来るのじやないか、こういう憂えられる情勢もなきにしもあらずと私は考えているのであります。  そこで当委員会に付託されておりますところの中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律施行に関する法律案、これは組織法でありまして、別途大蔵委員会にかかつておりますところの協同組合による保険事業に関する法律案、これが監督法規といいますか、そういう建前になつております。この組織法と監督法規と二本建にいたしましたことにつきましては例もあるわけでありまして、例えば信用協同組合についてはこの組織法は中小企業等協同組合法によつてやられており、一方監督法規は協同組合による金融事業に関する法律、こういうことでやつておられます。又保険業というものも、まあ例えば銀行等は株式会社、銀行自体は株式会社による銀行であつてもその銀行業というものは銀行業法によつて監督法規を整備している。こういうふうに組織法と監督法規とは二本建になつているわけでありまして、そういうような例に則りましてこの火災保険事業についても火災保険事業を営む協同組合の組織をどうするかという問題、その組織に則つて作られた火災保険を行う協同組合の事業を監督する法規、こういうまあ大きく言えば二本建にしたわけであります。その組織法に相当するのが中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案でありまして、その一部を改正する法律施行に関する法律案というのは、まあ今まで行われている既存の共済事業、協同組合の共済事業として行なつているその協同組合がこの法律ができることによつて火災保険協同組合に移行する組織替をする、その場合の移行の経過規定というような、その移り変りを円滑に移り変らせる、こういう意味の経過的な措置を規定したことが主たる内容となつているのであります。まあ全体を御了解願う上においては監督法規のほうであるところの協同組合による保険事業に関する法律案、大蔵委員会にかかつておりますところのその法律案の内容も合せて御説明をしなければ十分御納得できないと思いますが、一応本委員会にかかつておる法案のほうから先に内容の説明をさして頂きますと、まあ大体の要点は提案理由説明において尽されておるわけでありまして、細かい点に少しなりますけれども、先ず組織法でありますが、今までの協同組合の種類のほかに一つ火災保険協同組合というものを作り別建にする、火災保険をこの協同組合というものは別個に火災保険協同組合として一つの別種類の組合とする、これが一つであります。それから大体の火災保険協同組合というものの組織、内容というようなものについてはおおむねその信用協同組合の例に則つております。組織のやり方については大体信用協同組合と同じような状態になつております。三百人以上の組合員がなければ設立することができない。それから出資は全額の払込でなくちやならん。それから事業の全部を譲渡した場合には公告をしなければならん、これは信用協同組合と同じやり方であります。それから新らしく第七十条の中に四項を加えることになつておりますが、この規定が一番問題な規定であろうと思われます。今までのような共済に関する契約で共済金を出すというような場合には一件十万円を超えてはならない、こういうことにいたしたいと思うのであります。この金額の十万円が少な過ぎるのではないか、こういう御意見もあろうと思いますが、大体別途火災保険事業を営む協同組合というものもあり、事業協同組合の共済事業としてやる場合においては、まあ一人に支払うべき共済金の金額は十万円程度でいいのじやないか、こういうふうに私は考えておるのであります。その括弧書の中で(一定の金額又は一定の基準により算出することができる金額を徴収しないもの及び政令で定めるものを除く。)、こうありますが、この前段のほうは普通の共済、今までの意味におけるこの事業協同組合で予定されておる共済というようなものであり、まあそれは十万円を超えてはならないということですが、この「政令で定めるものを除く。」、これが問題で参ありまして、今提案者として予想しておりますのは、全糧連があの全国的な規模においてやつておるところの火災保険事業、或いは全麦連というようなものがやつておる、或いはしかと具体的にはそのやつておる当事者側からは承わつておりませんけれども、染色加工業界において輸出損害補償或いはその保険等の対象にならないもので、染色の不出来等によつて輸出クレームがついた、こういうような場合の損害を補償する、まあ共済的にやつておるのがあるようであります。そういうようなものもこの実際の運営面から考えて必要なようにも思うし、又そうすることによつてその組合自体の基礎を危くするというようなことでもないところで行けるということであれは、そういうことをやるものも指定してもいいんじやないか、これは相当幅広く、一方に枠をはめてがつちりやつて行く半面に多少この枠にはみ出て来るものができて来るのではないか、而もそれは国民経済的に考えてやらしてもいい、又十分やり得るというようなものもあろうと思うのであります。今差当つて具体的に予定されておる、私の頭にあるものは全糧連、全麦連関係のものでありますけれども、追い追い関係官庁等の目で見てこれは差支えない、これは例外的な措置をとつてもいい、こういうようなものも出て来ようと思いますが、それは政令で定めることによつてこの枠から別扱いにする、こういうことをやつて行く余地を残そうというわけであります。  次は第二章の二というのを設けて火災保険協同組合というものがどういうことをやるのかということを書いたわけであります。この中で問題になることは、第二項の「火災に因り、組合員と生計を一にする親族、組合員たる事業協同組合若しくは協同組合連合会を直接若しくは間接に構成する者又は組合員たる法人の役員の財産に生じた損害をてん補する事業」、この組合員たる法人の役員の財産に生じた損害、この法人役員、組合員たる法人の役員の財産まで保険の対象にするということはどうか、こういう御疑問も出て来るんじやないかと思いますが、これは中小企業関係においては法人であつてもやはりその役員の個人財産を金融機関等に担保に提供する、こういうような事例もありますので、先ずこの役員の財産は協同組合の組合員の財産と同じウエイトを以て取扱つていい、まあ同じように扱うというのが実情に即するんじやないか。必ずしもそうでないものもありますけれども、そういう事例が多いので、それを入れることにしたのであります。それから火災保険協同組合の払込済み出資総額は三百万円以上でなくちやならん。これも信用協同組合と同じでありますが、これには別途施行法のほうで経過的な措置をとつておりますが、一応原則として三百万円以上、まあこれだけの信用行為をやるわけでありまして、授信行為をやるわけでありますから、少くとも三百万円ぐらいの手金を持つておる必要があるのではないか。まあ組合の基礎を強固にする、こういう意味で三百万円ということを打出しておるのであります。この点は現在火災保険事業をやつている協同組合の出資金の実情等から考えると少し高いようでありますが、併し被保険者の安全というような意味から言つて、又その保険事業自体を安全に経営するという意味から言つて三百万円くらいの出資金は最低必要であろう。まあ一方に保険金の額についてかなりの、まあ一件一人に対して払う保険金の最高限度、或いは最低限度というようなものとも睨み合せまして、この協同組合でやつておる今までの事業においては出資金は少いが、一人に払う共済金額というものは成るべく多くしようというようなことから、非常に不健全に陥つていると思われるものもあるわけでありまして、この点が、出資金は成るべく低目にしたいが、保険金は多くもらえるようにという少し辻褄の合わない欲求が当事者からは出て来るわけでありますが、この辺が我々の線の引きどころというか、調整しなきやならん点であろうと考えておるのであります。それから監督官庁でありますが、大体火災保険というものは大蔵大臣、保険業というものは大蔵大臣が監督をしておるのでもありますし、まあ銀行等と同じように、一応大蔵大臣と、それから組合員の資格として定款に定められておる事業の所管大臣、大蔵大臣とその所管大臣との共管と、こういうことにしたいと思うのであります。   それから次の施行に関する法律案のほうでありますが、今までやつておる共済に関する契約を締結しておるものは、この法律施行の日から六月以内に総会、総代会を設けておるものにあつては、総代会の議決を経て、火災保険協同組合となることができると、こういうことにしようと、こういうわけであります。登記関係等についても経過的な規定を設けておるのであります。それから共済金の一人当りの支払最高限を十万円と、こう抑えた関係から行きまして、まあこの法律施行後六カ月以内に組合が締結する共済契約による掛金についてはその規定を適用しない、こういうことにしたのであります。それから出資金の三百万円以上でなくてはならんと、こういうのも今直ちに三百万円という出資は集まりにくい向きもあろうから、一年六カ月までは、一年半の間は百五十万円でよろしい。逆に言えば、火災保険協同組合に移り変るときには百五十万円の出資金はなくてはならんが、それから一年半の間に三百万円に増資をしてもらえばよろしい、こういうことになるのであります。あとは所要の罰則とか、印紙税関係の免税措置、それからまあ罰則等も信用協同組合関係と、罰の量といいますか、重さ等も揃えて均衡のとれるように考えておるのであります。それからこの火災保険協同組合に勤める役職員というものがやはり信用協同組合等の役職員と同じように、簡単に言えば公務員並みに、その仕事をやることによつて不正を起したりしてはならないと、こういうのが第十条の経済関係罰則の整備に関する法律の適用をしようとするわけであります。それから特に御注意を願いたいのが十二条でありまして、「損害保険料率算出団体に関する法律改正」と見出しがありますが、この損害保険料率算出団体に関する法律をこの火災保険協同組合にも適用をする、これを一部には誤解をされて、今までの火災保険会社と同じように火災保険協同組合及びその団体に加入せしめることによつて保険料率その他の枠をはめるんではないかと、こういう邪推が一部にあるようでありますが、これは損害保険料率算出団体に関する法律をお読み下されば、これは必ずしも団体は全国一つということではない、複数が認められておるわけでありまして、提案者の予期しておりますところは火災保険協同組合同士で団体を作つて料率その他についての話合をする、こういうのが我々の予定しておりますことでありまして、決して一般の火災保険並みに火災保険協同組合を右へならえでさせよう、こういう意図は毫もないのであります。あと関係はいろいろな法律、火災保険協同組合を設けるについての条文整理のようなものでありまして、中小企業安定法、或いは輸出入取引法等は現在と変らないということであります。以上雑駁な説明でありますが、組織関係についての説明を一応終らして頂きまして、それでは一体どういう監督をするのか、こういうことでありますが、別途協同組合による保険事業に関する法律案で考えております。監督というのは先ず火災保険協同組合が事業を行う場合には主務大臣の認可を必要とする、認可申請書には定款、事業方法書、普通保険約款、責任準備金算出方法書等の書類を添付することを要するようにする、そのような関係の書類は大体保険会社事業認可申請の場合とおおむね同じでありまして、ただ保険料算出方法書だけは省略をさして、一般の保険会社には保険料算出方法書なるものが要るのでありますけれども、保険料率だけを掲げる、こういうふうにしたいと思います。それから事業認可の申請があつた場合に、主務大臣は提出書類の内容に法令違背や虚偽の記載がある場合、或いは理事が不適格者である場合、組合が都道府県以上の区域を地域としておらない場合……、即ち都道府県全体を区域とする以上の地区を持つたものでないと危険分散が十分でない、こういう意味から少くとも都道府県全県全地区がその火災保険組合の地区になる、こういうことであつて欲しい、その組合の地区がそれ以下の地区である場合でない限りは、又危険の分散が十分でないと見込まれる、或いは契約締結の見込が少い、その他組合の事業内容が健全な運営を確保することに不適当と認められる場合のほかは原則として許可をしなければならんと、こういうのでありますが、裏を返せば、今のようなことでなければ許可できない、認可できない、こういうことになります。それから保険金額の制限でありますが、保険金額の制限は、大体組合のネツトサープラスといいますか、出資金と、それから損失金、繰越損失等があればそれを引いたもの、これの十分の二に相当する金額が、十分の二、即ち五分の一でありますが、これが万一六十万円に達しない、こういう場合には六十万円まではよろしい、それが更に百五十万円を超えるという場合は百五十万円で抑える、最高が百五十万円、最低六十万円、こういうことにしたいと思うのであります。この点がかなり議論のあるところでありまして、保険会社方面から言えば、百五十万円でも多過ぎる、せいぜい百万円ぐらいにしか認められないと、こういう、又組合のうんと保険事業を活溌にやろうという側から言えば、百五十万円でも少いのだ、或いは三百万円にしてもらいたいというような意向もあるようでありますが、これは大体諸般の情勢を考えて、別に理論があるわけじやございませんが、大体百五十万円ぐらいのところが妥当ではないかと思うのであります。最低の六十万円ということについても、政府部内においても必ずしもこの点は意見が一致しておらんように思います。そこでまあ三十万円と……、十分の一、三十万円というような有力な説があるようでありますが、これも別に特別な、理論的な根拠というものはないのでありますが、まあ大体六十万円くらいが妥当ではないか。五十万円という説もありますし、六十万円でも少な過ぎるというのもありますけれども、まあ組合の健実な運営という意味において、まあ私自身の率直な気持から言えば少し多い目ではないかと思うけれども、六十万円ということにいたしたのであります。  それから責任準備金の積立及び資金運用の制限でありますが、責任準備金の積立については、大体保険会社と同じ計算によつて積立てさせる、積立をさせようと、こういうことであります。  それから資金運用については、この法案にありますように、「国債、地方債又は政令で定める有価証券の取得」とありますが、この「政令で定める有価証券」というのは、商工中金債等は適格な債券であろうと私自身は思つております。こういうわけで、国債、地方債及び確実な有価証券、まあ特に中小企業等協同組合法による火災保険協同組合でありますから、商工中金債等は、若しそういう余裕金があれば積極的に持たしたらいいのではないかと、こう考えております。  それから組合の監督でありますが、組合に対する報告徴収、或いは検査の権限を主務大臣に与える。必要があるならば、組合に対して、定款或いは事業方法書その他の基礎書類に定めた事項の変更、或いは業務執行方法の変更等を命ずることができ、更に必要があると認めるときは、理事若しくは監事の解任及び事業の停止を命ずることもあり、或いは更に事業の認可を取消すということもできるように組合の監督について、そこまで……、最後には伝家の宝刀が抜けるというようなところまで考える。この点は保険会社等と同じでありまして提案理由説明の中にかなり尽くされております。特に本日御説明申上げたい点はそういうことでありますが、もう一つ問題になるのは、再保険関係をどうするか、又火災保険協同組合についての連合会等を設けさせないのはどういうわけかというような御議論もあろうかと思いますが、私といたしましては、今まで殆んど手放しに放任されておつた火災保険を行なつておるこの協同組合、実質的に火災保険事業をやつておる協同組合というものを一度現状を正確に把握する、而もそれが第一歩だ。これでできた網にかけて見て、はつきりどういう答えが出るか、それによつてどういう火災保険協同組合が生れるかということをつかみまして、更に必要であればその連合会等も考えて、或いは進んでは今三、四の府県で行われておるような保険金支払の保証契約等についても又別途国との間の調整等を考えてもいいのではないか。併し何しろ現状がやはり正確には把握できないので、一応はつきりつかめる状態にして、それから施策を推進さすべきものならば進める、こういう建前でおるのであります。  以上甚だ簡単でございますが、提案理由説明に附加いたしまして内容の説明をさせて頂きました。
  86. 記内角一

    説明員(記内角一君) お手許に「火災共済事業を専業として行う協同組合の現況について」というのをお配りいたしてございますが、これを中心にして御説明申上げたいと存じます。  協同組合法に基いてやられまする事業協同組合又はその連合会が火災共済事業を専業でやる場合と、他の事業と兼業でやる場合と、この二つの形態があるわけでございます。その兼業でやる場合におきましては、主として見舞金という程度のものが中心でございまして、従いまして保険料に相当するような対価をあらかじめとつておくというようなことは殆んどいたしておりません。一般の事業活動の余裕金から災害が起きたときに、火災が起きたときに見舞金として出すというふうな形のものが非常に多うございます。これは大体従いまして金高も五万とか十万という低額のものが多いわけであります。場合によりましては災害のありました都度見舞金ということで例えば組合員から百円、二百円という少額な金を集めましてこれをまとめて災害を受けた罹災組合員に贈るという形をとつております。で、そのほかに専業の形で行なつている組合が最近出始めておるわけでございまして、その中を見ますというと組合員の資格が中小企業のすべてを包含するようなものが多く、組合の地区はおおむね都道府県の区域に限定されております。そういう意味で或る意味におきましては都道府県庁自身がこれを指導しておるという形も多いようであります。それから又あとでも申上げますが、都道府県自身がこれに対しまして災害の損失支払が不能に陥りました場合にはその損失を補償するという、一種の補償、損失補償契約を火災保険協同組合と結んでおるという例もあるのでございます。従いまして火災保険協同組合が法制化される場合におきましては、今申上げました専業にやつている分が問題になるのでございます。見舞金的に保険料をとらないでやる、或いはその都度、災害が起きた都度保険金を、まあ見舞金を集めるというふうなものは大体この対象にはならないというふうに考えるわけであります。現在専業でやつておりますものがここにありますようにこの一月末で調べました結果十七ございまして、その当時設立準備中のものが五組合ございました。出資総額は、出資の額は総数の十七のうちの三分の二、十一組合は五十万円未満でございまして、こればできてから間もないので余りまだ組合の加入が少なかつたという点が窺われるわけでございます。組合員数としましては十一組合が三百人以上となつておりまして、大体今度の御提案のラインに沿つておる次第でございます。料率は、共済金一千円に対して払込む共済掛金の額はそれぞれの土地地方或いは建物等によつていろいろ違つておるようでございます。最高十六円、千円について十六円というのが最高でございます。これはあとで又御説明申上げます。それから共済給付金、一種の保険金は一組合或いは一物件についての最高を示しておるわけでございますが、最高のものを決定しておりますが、十二組合が百万円以上となつておるわけでございます。で、まあそれらの内容につきましてはお手許にお配りしてある通りでございまして、これで御覧を願いたいと思います。その中でまあ比較的うまくやつているところ、或いは余りうまくないところというふうな例を二、三申上げて見たいと存じます。最初にありますHの組合におきましては、二十七年の九月からやつておりまして満二年になつておるのでございます。出資額は三百万円、これは今度の限度に達しております。組合員は六千人、それから料率は、括弧の中にありますように一口千円について十六円、これは最高でございます。給付金は一口当りにつきまして一口は二千四百円、年額二千四百円を納めなきやなりませんが、二千四百円の料金を、保険料を納めますれば十五万円を払う。最高は百五十万円まで掛けることができるということに相成つております。で、契約の口数としましては二万九千、約三万口、四十四億円という金額に達しておりまして、掛金の収入の累計は五千八百万円、今までに払いましたものは、結局災害の起きましたのが七十七名、二千万円の支払をいたしております。従いましてこれだけで見ますというと、現在におきまして約四千万円の留保金を、支払準備金を持つておるわけでございます。それから地方団体との関係におきましては五千万円の、これは二十八年から三十一年までの長期に亙りまする損失補償契約をいたしておりまして、先ほど申上げたように準備金その他で支払が不能に陥りました場合は、地方団体、府県庁がこれを補償するということに成つております。組合員の資格は物品版売業、その他の商業、工業というような形になつております。  次はM協同組合でございますが、これは去年できたものでございまして出資総額は五万一千円、まだ調査しましたときは半年になりませんので、出資の額は少いわけでございます。組合員数は三百人、料率としましてはこれは非常に少くて、千円について四円ということになつておりまして、給付金は一口五万円、最高二十口、百万円まで行けるということに相成つておりますが、それの契約総額が三千七百口で一億八千万、掛金収入といたしましては七十五万円、今のところ損失はない、これもやはり府県の損失補償が付いております。変つておりますのがT協同組合でございまして、これはやはり去年の暮にできたばかりでございます。組合員数二百十三名、出資は六十四万円、これは期率のところに書いてありますように一口五百円の出資をいたしますとあとは保険料は要らないということに相成つております。その代り出資一口につき五万円、最高五十万円までを保険金として払う、結局五百円一遍払込んでおきますれば災害が起きました都度五百円について五万円を出すということに相成つております。今までのところ四千万円、八百口の保険支払義務が生じておるわけでございます。ここに掛金収入額六十四万円となつておりますが、これは掛金ではございませんで出資額になるわけでございます。こういうことで我々としましてはこういうふうな式のものは一回払込みますというといつまでも危険が伴つて参るということで余り形としては面白くないのじやないかというふうに考えておりますが、これについては地方団体の損失補償はございません。  最後のZはこれは非常に全国的な組合でございますが、出資総額は、これは連合会でございますので出資総額は三千百万円、組合員数は百九名、組合員数というのは連合会でありますので、その具体的な業者の数ということになりますと相当、数が多いようになつております。料率としましては年額二百円、一千円について四円という、一千円の保険金に対して四円の保険料ということに相成つておりまして、一口五万円、最高は百万円までやれる、これは建物と取扱商品とで区別されております。現在までのところは五万五千口でございまして、掛金の収入額は九千三百万円、今までの損失の高は三千万円ということになつております。この組合としましては変つておりますのは生命保険的なものをやつておりまして、年額三百円の掛金で最高二口、一口三万円の共済金を給付することに相成つております。  こういうふうにいろいろあるわけでございますが、これに対しまして現在まで都道府県の、先ほど申しました損失補償をやつております府県は約五府県になつております。以上簡単でございますが概況を御説明申上げました。又御質問に応じまして御説明申上げます。
  87. 天田勝正

    ○天田勝正君 小林さんにお聞きしますが、私はこの法律をまだ十分に見ておりません。ただこの種の業務を行う場合に、地域が狭い場合に非常な危険な状態に陥る、こういうことがあなたの案としても、又衆議院の山手案ですか、これによつても考えられるから、少くとも都道府県の範囲を越える地域に一つの組合という形にしようという配慮が私なされたのだと思うのです。それはそれでよろしいのですが、さてそこで先ほどの御説明で、経過的な法律を作つて、現在行なつているものをこの改正法律に適応せしめるようにしなければならない。その場合に今長官が説明されたように、地域的な組合もあれば業種組合もあつて、そうなると地域組合にしましても、例えばA県に本拠があつて、併し契約はB県のほうが多いという場合もあり得ましようし、確かに本拠はA県であると同時に、A県の大部分を現在も行なつておる、こういうのもありましよう。そういう場合に、まあ地域組合として、つまりA県が本拠であるけれどもB県のほうが現在契約等が多いという場合には一県一組合という原則に当てはめる場合に一体どういうふうに処理されるか。同時に事業組合の場合はこれはもう県などには無関係に現在作られているのが実情だと思うのですが、その業種別に作られているものと、それから地域別に作られているものとが複数で存在する、こういうこともあり得ると思うのです。そういう場合の新らしい組織に吸収せられる場合にどうお考えになつておられるでしようか。
  88. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 第四条ですが、本委員会提案されておるのじやない協同組合による保険事業に関する法律案の第四条一項の四号を御覧願いますと、「組合の地区が一の都道府県の区域の全部又はこれをこえる区域でない場合」は認可しない。だから逆に言うと、都道府県の区域の全部又はこれを越える区域であることを条件にする。今お話のようなA県とB県に跨がつておるということであれば、まあ最小限度に必要な区域としてはA県B県全体をその組合の地区にしてもらえばいいし、或いは全国区域でもいいわけですから、要するに最小限度一都道府県の区域全部を地区とする必要があるというのでありまして、その点の経過措置としては至極簡単だと思う。区域を拡げさえすればいい。
  89. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちよつとそれは私の心配している半分しか私も説明していないからそういうお答えになつたのだと思うのですが、そうでなしに、A県にもB県にも共にある、共に地域組合がすでに現存しておる、その場合にA県に本拠があるけれども事実はB県のほうがより多く契約をしておる、こういう場合にB県のほうにあるものも地域的にはB県の大部分を包括している、こんなことが起り得る。おつしやるように、A県に本拠があるけれどもB県に何すればそれは二つの県に跨がるから、それは一つの場合は、単数の場合は何ら差支えは起りません。私の心配するのは、実はA県にもB県にもある、而もそれが複数で存在する場合があり得る、今言つた一組合がA県に本拠を置く、而も主力はB県でやつておる、而もB県のほうにはその殆んどを統括するところの組合がある、更に又元のA県のほうにも一の組合がある、ほかにこれ又A県を殆んど契約対象にするところの組合もある、その組合が又C県、こういうふうに複合しているような場合に一都道府県を範囲とするという場合になるというとどこかを切落さなければならない、こういう心配が私は出て来ると思う。認可をしないと……。それは複数になつて、一府県に本拠を有するものが二であろうと三であろうと契約の範囲を数府県に跨がりさえすれば、一以上に跨がりさえすれば無数に認可されると、こういうおつもりかどうかということなんです。
  90. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) その点はやはりここに認可基準といいますか挙げてあるように、今の四条でございますが、先ず第一号は問題ないとして、一号、二号は問題じやない、三号の組合の役員の人格の問題、それから五の保険の目的について保険の分散が十分に行われると認められるかどうか、こういう判定の問題になつて参ります。そこで実際その競合関係が一番保険業にしても金融業にしても、企業として安全であるかどうか、堅実に運営できるかどうかということの問題になりますから、これは実際問題として認可する際によく実情を調査しなければなりませんが、提案者としては現実に相当堅実に、又うまく行つておるというようなことであれば、たとえお話のような事例がありましてもその一方を是非ともやめさして統合させるという意図はございません。提案の意図には併しより堅実に同じような一般的な地域組合であるならば一緒にやれるものならやつてもらつたほうがより堅実な火災保険協同組合として育つのじやないかとも思います。けれどもそこに業種的な又違いがあるというような組合であれば一層又問題は別になつて来るし、そこは現実の実情等を見て認可、不認可をきめるべきものじやないかと思う。あらかじめ提案者には必ず一緒にさしてやろう、ダブつたところは一緒にさしてやろうという意図はございません。
  91. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこでこの経営は不健全であつても善意に基いて契約しておる組合員と申しますかこの場合……、そういうものがおる。そうすると経過規定でこれをどこかへ吸収する、認可をしない場合もあり得ることを想定できるのでありますから、そうならばどこかへ吸収してやる救済措置も考えなければ、そういう場合には認可された団体にまあ自動的に吸収させるとか、何かの処置がないと、善意なものはその組合が認可されないということで捨子になるという形になりはしないかと思う。  それからさつきも質問しておきましたが、もう一つ事業協同組合でやつておられるほうは、さつきの説明で想像すればあなたの案の十万円を限度とするところの共済契約、こういうふうにみなすというので、それはそのままで継続するのだというふうにも受取れたのですが、その点はどういうふうに経過措置としてはなるのか。
  92. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 善意でやつているものを潰すような事態に陥れるのは、甚だかわいそうである。全く同様に思いますが、ただ善意だけで、こういう授信行為、授信事業というものが運営できない。善意なればなるほど余計その基礎をはつきり固めておかないと、ついその理事者の人格にほだされて、心ならずも損害をこうむるという事態もなきにしもあらず、というようなことでありますから、これは実情に応じて相当又関係方面の、その当該利害関係者の話も聞いて、監督官庁、主務官庁において善処させなきやならんと考えますが、それから共済金の十万円以内ならば、事業協同組合で同じことをやつてもいいのだ、こういうことにはならないので、その共済金、共済契約といいますか、これは契約とは言えないわけです。共済事業というものは特別にある、例えば千円について四円なら四円、六円なら六円、或いは二十円というものを払つておけば、当然その二十円払えば千円保険がもらえるというようなものでなしに、今度の事業協同組合、こういう改正案ができた後の事業協同組合の共済事業というものは、一定の掛金をとつて個々を共済するというのでなしに、例えば吉凶禍福、子供が生れたとか、或る事業者が、組合員が亡くなつたとか、お目出度があつたとかいうようなときには、こうするのだという特別な、そのための経費と言うか、料金、一定の料率に基いた掛金をとらずして、死んだら十万円出すとか、五万円出すとかいうようなのが残される事業協同組合の共済金として予定されておるわけです。
  93. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはわかります。それは本来共済金というものは、そういうものでなければならないのですが、現実はさつき記内長官も説明されているように、専業でやつているのと、兼業でやつているのがあつて、この兼業でやつている部分は、現実にはあなたの今の説明の共済金というのでなくて、保険として入つているものが全部なのです。そういうことになるから、その業種別の組合に入つている者の経過措置はどういうものでありますかと言うのです。そうすると、つまり地域組合が今度認可される。できれば、それに自動的に吸収するなり、又その契約期間中だけは存続させるなり、何かそういうことがなければ、一方経営者といいますか、そういう役員等も善意であり、且つ信用がおけるものであり、入つている者も善意である、加盟しておる者も善意である、こういう場合であつても、これは事業協同組合には、業種別協同組合であれば、これは隣りから隣りというわけには行きません。どうせ遠く離れたものも、その協同組合に入つている、こういうことになる場合に、自分の同一業種だけのまとまりである限りは、その範囲内で事を今までやつているわけです。こういうものは、他府県に跨がらない場合もあるだろうし、当然数府県に跨がるかもわからん、こういうことは、御説明によれば、欠格条件になるわけです。そういうものが、どこかへ途中で移されるということでなくて、一定の期間が過ぎれば、こういう火災事業は消滅するのですから、現在契約中のものが終了するまでは有効である、そういうことは御規定になつているのじやないのですか。
  94. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 六カ月以内は十万円を超えてもいいということになつている。それで、問題は六カ月その十万円という金額に限らず、六カ月以内に改組してもらう、この法律にのつてもらう、六カ月間は現状通り、六カ月間に身の振り方を考える、こういう……。
  95. 天田勝正

    ○天田勝正君 一つだけ長官に伺つてお終いにしますが、先の説明のうちで、T補償協同組合の場合のごときは、私は、この胸算用をして、極めて不健全だと思う。一遍、これは出資すれば、永劫末代までもここに掲げられておる補償を受けるということになるのですから、これが掛金であり、そして補償のほうは永久だ、こうなれば端的に六十四万二千円の収入のものに四千百二十万円も支払わなければならない、これは一つの事故があるごとに、或いは一定の期間が過ぎるごとに更新して行くという筋のものじやないのですから、どうしたつて、この差額だけはいつも危険が存在するわけです。組合が経常的な経費を一銭も使わないとしても、この差額だけはちやんと厳然と、いつの日にかこれは組合員の損失になるか何かになつてはね返つて来ることは明瞭なんです。こういうものも、現在協同組合法によつて共済金という形をとつている以上は、取締る方法はないのでございますか。
  96. 記内角一

    説明員(記内角一君) ございません。
  97. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはおかしい。そうするとその損失は結局あれですか、組合がただ潰れるという、いわば保全経済式のものに最後はなつて行くわけですね。
  98. 記内角一

    説明員(記内角一君) 保全経済式とまで言えるかどうかわかりませんが、万一危険が、火災が頻発いたしますと支払不能の状態に入るということになるわけでございます。
  99. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはつまり端的に、契約は四千百二十万円もしているのに、収入は六十四万円しかない。経費は全く使わなくとも、契約の何というか、百分の一でもないがそれに近い額しか払えないということですね。十円払うというものは十銭しか払えぬ。こういう数学になるのですね。
  100. 記内角一

    説明員(記内角一君) まあ善意に解釈いたしますと、この経営者と申しますか、組合を企図したものとしては六十四万円の基金があれば、これをうまく運用して行けば、毎年その運用利益が入る、それが万一火災の起きました場合には、その運用利益を出資額で以て払つて行くという考え方で、余り危険が起きないということを前提にして考えたのじやないかと思うわけなんです。
  101. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは確かに善意に解釈すればそうなるでしよう。あなたの契約のほうは永久ということなんですね、永久ということなんだから、六十四万円が年々入つて来るならば、その損害額というのはおよそ一年五十万円ぐらいだ、胸算用すれば……経常の経費が十数万円は使えるからそれでいい、又来年は六十四万円入つてくる、こういうことならばいいが、六十四万円は一遍入つたらば四千百二十万円というものは永久に消えない。どうしたつて単純算術の引算で、その差額だけはどうしても消えぬ。こういうことは初めから明瞭なんですよ。何か取締法があると思うのですがね。
  102. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) こういうことがありますから私は提案している……こういう組合は決して認可にならんはずです。それで、而も今度の法律案が出れば一定の法的根拠が布かれるから今までも類似保険というものを何とかして取締らなければいけないのじやないかというのが、どうも網の目を……今長官の言うごとく適格の法じやない……今度の私の提案した法案が通れば基準ができる。これにのらんものはもぐりだ、法務局は今……。
  103. 森崎隆

    ○森崎隆君 話が変りますが、一つ記内長官が参つておりますからお答え願いたい。最近「織機設備の制限に反対の陳情書」というものが参りましたが、これはお手許のほうにも当然参つておるだろうと思いますが、これを見ますると、「織物業界に於ては、不況打開のため、製品の需給調整の名の下に、織機設備の制限を企図して、調整組合を結成し、御当局に対して、中小企業安定法第二十九条の発動を要請しておらるるやに仄聞致し」云々と書いてありますが、この問題につきまして二、三お聞きいたしたいのでございますが、当然こういう問題は中小企業安定審議会もございますので、そのほうからも積極的な意見も出ていることだと思いますが、今日までに審議会のほうから何かこういう答申案でも出ておりますが、御意見があるかどうか、先ず伺いたいと思います。
  104. 記内角一

    説明員(記内角一君) 安定審議会は実はまだ最近開いておりません。近くこの問題を付議して御意見を承わりたいという考えで、準備を進めてございますので、従いまして、正式の委員のかたがたからの意見はまだ伺つておりません。但し個別について関係委員のかたから御意見を承わることが当然結構だと思つておりますもので、まだ実は個々委員について御意見を承わるところまで至つておりませんが、併し又委員のかたから積極的にこちらにお話を頂いておるということもないわけであります。
  105. 森崎隆

    ○森崎隆君 審議会に意見を正式に伺うということになれば、それまでに大体政府としての方針を或る程度固まつておるのじやないかと思いまするが、今の段階でそういう準備措置が今進行中であるということになりますると、進行中の現段階において政府ではこの問題について大体どういう方向に方針が固まりつつあるか、できますならばそれをお聞かせ頂きたいと思います。
  106. 記内角一

    説明員(記内角一君) 御承知の通り繊維業界はこの春以来と申しますか去年から相当な、殊に繊維の織布業者につきましては不況が続いておりまして、これの対策にいろいろ苦慮しているのでありますが、最近におきましてもやはり依然としてそういう傾向が続いております。それも実はいろいろ原因その他がございましようが、その一つの大きな理由といたしまして、織機自身が非常に過剰になつて来ているという状態がございます。従いまして我々の目下の考え方といたしましては、織機の新らしく設備をするということについて、これを抑えて参ることも必要ではないかというふうに考えておる次第でございまして、そういう意味で調整組合自身が今までにも設備制限の企図をやつておりますが、なかなか実効も挙りませんので、二十九条の調整命令の発動を要請して参つております。目下の状況ではこれを発動するのも止むを得ないかという考え方の下にいろいろな調査或いは準備等を進めているような段階でございます。
  107. 森崎隆

    ○森崎隆君 織物業界の不況というものは織物業者の取引が何といいますか、スムーズでない、完全でないという点じやないかと思うのですね。糸相場の不安定とか、特に手形の不渡とか、そういうものが私は主因じやないかと考えるわけですが、今長官のお言葉の中では織機業関係が非常に伸びて多数できている、或る意味で機械織機というものをいいものに更新して行くためにも、或る程度の調整が必要だというその点が私にはちよつとわかりかねるのでございますが、どういうようなお考えでございましようか。私から考えますと、織機設備の制限をいたしますると、逆に設備そのものは非常に老朽化して行くのではないか、少くともスクラツプ化するような、そういう織機の登録がだんだん激増して行くし、その結果新らしいものに置き替えられる暇がないので古いものをいつまでも現有勢力確保という形で確保してがんばつて行く。そこに輸出関係では繊維の占めるパーセンテージも相当多いだろうと思いますし、取引関係からバイヤーも来て、そういう工場を見た場合に、一体その老朽化された設備を見て、果して日本の織物業界に対する信頼を彼らが持つかどうかという問題もあるのじやないかと思う。今の点もう一回、私たち素人にわかるように再度御説明を頂きたいと思います。
  108. 記内角一

    説明員(記内角一君) 或いは御質問以上にも亙るかと思いますが、この問題についての私どもの考え方を一応お話申上げたいと思うのであります。今御指摘がありましたように繊維、殊に織布業界の不況は、単に織機の問題だけではなかろうかと思います。従いましてそれにつきましては、又それぞれの手を打つて参らなければならんと思うのでありますが、その不況のうちの相当部分が、やはり終戦後非常に零細な資金でも設備ができたというふうなことから、戦前にもまして設備の台数が殖えているわけでございます。従いましてこれ以上に設備として殖やす必要はないのじやないかということが一般的に言われており、我々もそれを考えているわけであります。従いまして更にこの上殖やして、競争をますます激化させるというふうなことになりますことは、面白くないという考え方の下に、新らしく織機を殖やすということについては抑えてもらいたい。ただその際におきまして設備自身を、旧式の設備を取替えるということは、これはちつとも差支えないことでございまして、従つて所有しております旧機械をこれをスクラツプに変えしまして、新らしい機械に入替えるということであれば、これはむしろ我々としても望むところでございます。いわゆる合理化設備に、近代化設備に取替えて参る。そのためには予算にありまする設備近代化の助成金もございまするし、又中小企業金融公庫等の資金を使いましても、こういうことを進めてもらいたいと思つているわけであります。ただその際に、古い機械を持つておりながら、又新らしい機械をやる、両方動かして参りたいというふうなことになりますというと、ますます競争が激化して参りまして苦境に陥るのではないかというふうに考えている次第でございます。ただこれに関係いたしましてお話のような、機械メーカーのほうからの強い反対の御意見も承わつているわけであります。ただ現在の状態といたしまして、勿論注文もまだ継続してあるというふうなことも伺つておりますし、又中にはこういうことでもう設備制限が近く出そうだから今のうちにやつておこうということでにわかに注文を出しているというような動きも若干あるのじやないかというふうにも伺つているわけでございますが、大体の空気といたしましては、いずれももう機械を殖やす、又そのために新らしく建家まで殖やして行くというようなことは、大勢としては殆んど一段落ついている。この設備制限の調整命令が出る出ないにかかわらず、大勢として機械が殖えるということは一段落ついている状態じやないかと思うわけなんであります。併しいずれにしましても制度的に野放しになつているということがいろいろ疑心暗鬼を生んでおる実情でございまして、そこで一応法律的な規制を行なつている。ただ勿論その内部におきまして先ほど言いましたように近代化のほうへ漸次新らしい機械に取替えて参るということはこれは勿論望ましいところでございます。中小の機械メーカーのかたがたもそういう方面の取替えという方面に今後努力して頂く、或いは又勿論修理等は当然結構なことでございます。或る程度の機械が継続的に動いて参りますと毎年の或る程度の機械の損耗或いは又破損ということもございますし、そういう方面の埋合せ、或いは修理という問題は当然つきまとつて来るのじやないかと思つておるわけであります。従いまして、今後我々といたしましては調整命令が出たから注文もなくなつたということではなくて、機械メーカーとしては今までのような増設というふうな形での織機の製作ということは大体一段落ついて来ておるのじやないか、従いまして調整命令が出ましてもそれが契機になつて注文がとまるというふうなこともそうないのじやないか。もともと減つておるところじやないか。従いまして中小の機械メーカーのかたがたには非常に御苦労ではございますけれども、むしろ内地の市場ということよりも海外のほうの市場、こういう方面にお骨折りを頂くべきじやないか、私どもとしましてはそういう方面に乗り出すことにつきましては、単に私ども中小企業庁ばかりでございませんで通産省も挙げて東南アジアその他の方面に、こういう繊維機械類の進出ということに努力いたして参りたいというふうに考える次第でございます。
  109. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の御説明で或る程度わかつたのでございまするが、これはまあ私が聞きましたところでは設備の拡充はもうこれ以上限度に来ている、必要はないが、設備更新にはやはりメーカーのほうからどんどんやはり作つて行くにもそこに一つの限度があるわけですね。現在の織機製造業者生産数量というものがあるわけですね。それから現在私どもはつきりは知りませんが、長官のお言葉ではだんだんそれを買込んで織物業界を拡大して行くような、拡大して行くという方面と、それから更新の方面とある、そこのその具体的な数字というものがやはりはつきりつかめてその上でまあ或る程度の統制をとるという原則なら原則でわかりまするが、その際一番望ましいことは、現在の製造数量というものは丁度各工場における設備更新、古い老朽機械は全部取除いて逐次近代的な新らしい進んだものに置き替えて行くというために需要とこれに対する供給とがバランスがとれれば一番いいわけです。そのあたりはもつとはつきり具体的な数字とまで行かなくても具体的にどの程度でとめたらどうなるのだ、又これ以上の拡充は必要ないというか、現在のメーカー数のこの生産量で大体とんとんであるかどうか、又その何割を切らなければならないかといつたような一つの大よそのめどはまだ立つておりませんでしようか。
  110. 記内角一

    説明員(記内角一君) 織機等の繊維機械につきしましては、一時二、三年前には相当な注文がありまして、生産が行われていたと存じます。従いましてその当時の能力或いは生産高、今後の能力ということになりますと、当然減少して参ると思つておるわけでございます。併しながらそれは調整命令が出たからそういうふうな状態になつたのではなくて、ここ一、二年殊に昨年あたりの繊維業界が相当苦しんでおつた、従つてこれはいろいろほかの原因もありますが、又設備の問題も、一段落いたしたという面もございまして、この面から来る問題もございますから、二、三年来の生産高と今の生産高ということから、或いは今後の生産高ということから考えますと、相当能力的に減産せざるを得ない状態に陥つておるだろうと思われるわけでございます。ただ最近になりまして今申上げましたような設備の増産を抑えて参るというような動きを運用しまして、今のうちに殖やしておこうというようなことで或いは注文が出て来ておる問題がありはしないか、そういうふうな一時的の何と申しますか、仮需要と申しますか、そういう面と、このなくなつあとの面とを比べますと、正常な補修或いは取替え或いは近代化という数字では、そういう仮需要を含んだ面から見ますと減つて来るのではないか、これはむしろここ二、三年来の問題と考えております。むしろ仮需要の問題ではなかろうかと思つております。ただいずれにいたしましても、今のところ的確にどの程度は今後の適正需要であり、或いは補修取替えはどのくらい行われるかということはまだよくつかんでおりませんので、今後どのくらいになればいいかというふうな見通しを実はつかみかねておることは誠に憾憾に存じておるわけでございます。そういう状態もございますので、設備のメーカーの面では若干の御不満もありましようけれども、我々といたしましてはこういう事情であれば、このところは不便を忍んで頂きまして、むしろ輸出のほうにやつて頂く、或いは最近御承知のように合成繊維等特殊の織機を使わなければならん面もあるようでございますから、その方面に進めて頂き、新らしい分野の開拓という町にお骨折り頂きたいと考えておる次第でございます。
  111. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の多少現在製造しておる数量の一部を制限する、制限した数量を輸出に向けるのは非常にいい、これは私は輸出振興の建前からも非常に結構なことだと思いますが、この点につきましてはやはり政府においても或る程度の自信を持つておられましようか。
  112. 記内角一

    説明員(記内角一君) 今の日本機械の輸出の状況を見ておりますと織機及び機械等は比較的順調に出ておりますし、又インド或いはパキスタン、ビルマ方面におきましても日本の繊維機械についての信頼感というものは日本機械一般に対しまするものより相当強いように存じておりますので決して悲観したものではないというふうに考ておる次第でございます。
  113. 森崎隆

    ○森崎隆君 この問題は非常に織機製造業者関係では大きな不安を捲き起しておるということでございまして、無計画に統制をやられると大変な問題がいろいろ起るだろうと思います。数量の制限ということよりも、先ず第一にむしろ国策の一環といたしまして繊維製品はどんどん海外輸出に向けなければならん。そのために各国のバイヤーをどんどん招じ人れまして工場を見てもらつてできた製品の優秀性をよく発揮するように、彼らの信用を得るという建前からしても現在の織物工場の設備を早急に更新して行くことが必要じやないかと思う。そういう意味の奨励を政府がやつて頂けば、現在の織機メーカーの生産数量から考えましてもそういう置き替えのほうに、更新のほうに努力せしめるように政府のほうで誘導せられるということになりまするとこれは非常にうまく行くのではないかと思います。とにかく今これが政府の手で無計画にやられては非常に危険です。工場はますます老巧化するという問題もあるし、又メーカー関係では金融が非常に引締められて来る、又従業員の整理とか賃下げとかいろいろな問題、又優秀な技術者がだんだんなくなつてしまう、技術そのものも非常に後退する、いろいろな問題が潜んでおると思います。今日織物業界の不況というものについて、その原因の或る意味の一つのデータになるかも知れませんけれども、織物業界の不況というものはもつともつとそれ以外に主要な要因があるのでありまするから、これは是非とも一つ慎重に考えて頂きまして、折角今日まで発達して来ました織機製造業界に大きな不況のしわ寄せを更に追加いたしまして、ここまで進んだ技術が低下するようなことがないように、善処方を特に要望しておきまして、時間がないようですから、いろいろ聞きたいのですがあとに譲ります。
  114. 海野三朗

    ○海野三助君 記内長官にお伺いしますが、これは二十九条の発令は、繊維業者保護法案ですか。
  115. 記内角一

    説明員(記内角一君) 安定法でございます。
  116. 海野三朗

    ○海野三助君 安定法と言つたつて、それは織機製造業者のほうが犠牲になるわけですよ、そして今度は繊維業者のほうが助かる、つまり保護法案としか考えられない。世間ではそう見ておるわけでございます。ですから二十九条のあれは、非常に私は事重大なるものじやないかと考えるのですが、保護法案と見えますが、如何ですか。
  117. 記内角一

    説明員(記内角一君) まあ或る意味においては保護法案であろうかと存じます。とにかく中小企業が安定して参りますように尽力をして参つておるわけでございます。その意味においては保護法案になるかと思います。
  118. 武藤常介

    ○武藤常介君 この協同組合の保険事業の問題ですが、山手さんの案では衆議院のほうの保険金額が制限なし、それから一方は十万円以下となつておるのです。今日の貨幣価値から言つて、十万というのはいわゆる業者の儀礼的の見舞程度で、共済という名前を付けるとすれば、少くとも五十万円以下であるとか百万円以下であるとかでないと意義をなさんと思うのでございますが、これは如何でございますか。
  119. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) その点ちよつと誤解があるのじやないかと思うのですが、私の案ですと保険金額は最高百五十万円、最低六十万円ということで、今の十万円というのは本当の、おつしやるごとく見舞金程度のことを考えておるわけであります。事故があつた場合の火災保険に相当するものは最低六十万円の最高百五十万円、この百五十万円の制限がないというのは、ちよつと私は中小企業等協同組合による保険事業としては行過ぎになるのじやないか。百五十万円は別に先ほど申しましたように科学的に根拠があるわけじやございません。
  120. 武藤常介

    ○武藤常介君 そうすると、十万以下の制限を作るというのは、条文を一応見ないとわからないのですけれども、こういう制限の必要がないのじやないですかね。
  121. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) ところがそういうことでは実際にはどうも脱法的といいますかね、というようなことが行われるので、例えば先ほどお話した通り五百円払込んでおけばもう無制限に損失を補償する、無制限というか何年先でもというようなことは……、十万円という制限を置きませんと、出資は五百円払込んであと何か火災保険、いろいろなことが言われるでしようが、事故があつたら百万円なら百万円出す、或いは五万円出す、三十万円出すというようなもぐり的なことが行われる虞れがある。そこで大体十万円ということには別に理論的根拠があるわけじやございませんが、まあ見舞金程度のものなら十万円くらいが最高ではないか、こういう考え方であります。
  122. 武藤常介

    ○武藤常介君 大体了解いたしました。なおあとのことは後日に譲ることにいたします。
  123. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ほかに御質問なければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会