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1954-10-12 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十二日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員の異動 九月二十一日委員天田勝正辞任につ き、その補欠として片岡文重君を議長 において指名した。 九月二十七日委員高橋衛辞任につ き、その補欠として鹿島守之助君を議 長において指名した。 九月二十八日委員鹿島守之助辞任に つき、その補欠として高橋衛君を議長 において指名した。 十月四日委員小林英三辞任した。 十月九日委員小松正雄君及び片岡文重辞任につき、その補欠として田中一 君及び天田勝正君を議長において指名 した。 十月十一日委員田中一辞任につき、 その補欠として小松正雄君を議長にお いて指名した。 十月十二日委員小松正雄君及び三輪貞 治君辞任につき、その補欠として田中 一君及び森崎隆君を議長において指名 した。   資格消滅 九月二十四日委員大谷贇雄君議員の資 格が消滅した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長      石原幹市郎君    理事             海野 三朗君    委員             加藤 武徳君             西川彌平治君             酒井 利雄君             高橋  衛君             中川 以良君             河野 謙三君             森田 義衞君             藤田  進君             森崎  隆君             天田 勝正君             田中  一君             武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣   愛知 揆一君   説明員    法制局第三部長  西村健次郎君    通商産業政務次    官        加藤 宗平君    通商産業大臣官    房会計課長    出雲井正雄君    通商産業省通商    局通商政策課長  今井  博君    通商産業省石炭    局長       斎藤 正年君    建設省河川局長  米田 正文君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人の出頭に関する件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (昭和三十年度通商産業省関係予算  に関する件)  (通商産業政策一般に関する件)   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より委員会を開会いたします。  日程に入ります前に明日の委員会参考人についてお諮りしておきたいと思うのでありまするが、前回の委員会継続審議になつております砂利採取法案について、参考人の意見を聴取することと、それから参考人の選考は、委員長に御一任願うことの御了解を得ておるのでありまするが、委員長におきましては同法案を支持しておる砂利協会、それから同法案に批判的な立場をとつておりまする土木工業協会に連絡しましたところ、両団体ではおのおの役員会を開きまして、砂利協会からは会長の川又貞次郎君、土木工業協会からは理事門屋盛一君を推薦して参りましたので、右両君を明日の委員会参考人として御出席願うようにいたしておりまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 御異議ないようでありまするからさように決定いたします。   —————————————
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 次に本日の日程でありまするが、公報を以て御通知申上げました通り、本日は通商産業省関係明年度予算に関する事項を中心として調査を進めて参りたいと思いまするが、午前中は予算関係について通産事務当局より説明を聴取し、午後は通産大臣出席を求めて通産行政一般について質疑を行う、かような順序で議事を進めて参りたいと思います。なお、只今出席政府側加藤通産政務次官出雲井会計課長並びに今井総務課長今井通商政策課長であります。それから愛知通産大臣は、外国使節団が今来ておりまする関係上、午後一時から三時半までの間にして欲しいということでございまするので、その点もお含み置きを願いたいと思います。  それではこれより通商産業省関係昭和三十年度予算説明を求めまするが、先ず政務次官から明年度予算編成重点的な目標とか特色というような点について総論的に御説明願つて事務当局より内訳について計数的な説明を聴取したいと思います。なお時間に余裕があれば財政投融資計画概要をも併せて御説明願いたいと思います。
  5. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 昭和三十年度における通商産業省概算要求について御説明を申上げます。  最近における我が国国際収支は若干好転の兆しを示してはおりまするものの、他面今後における特需収入減少並びに対外債務支払増加及び国際通商競争の激化を考慮いたしますると、我が国経済の前途は誠に容易ならざるものがあると考えるものでございます。従いましてこの際、政策を積極的に展開して我が国産業基盤強化安定し、その国際的な競争力確保を図りつつ輸出画期的振興に努め、以て経済自立達成の基礎を確立することが最も大切であると考えられるのであります。この見地に立ちまして昭和三十年度概算要求につきましては、基本的には本年度に引続きまして緊縮予算の趣旨を堅持し、消費需要の圧縮と物価の引下げを図ると共に全般亘つて重点主義をとり、最も効果的要求になるよう努めた次第でございます。これがため、昭和三十年度通商産業省概算要求におきましては、輸出振興産業基盤強化中小企業の安定及び工業技術向上などについて積極的に必要な予算確保を図り、これによりまして次のような施策を強力に推進いたす所存であります。  先ず第一に輸出振興についてでありますが、経済施策の最大の重点をここに置きまして、総額約百八億円を要求いたしております。これにより輸出目標制採用、官民より成る産業別輸出会議の設置及び輸出振興のための国民運動の展開などを通じまして輸出計画的推進を図り、他面海外見本市への参加、貿易斡旋所の増強、パンフレツト、映画などによる積極的な海外広報宣伝海外市場調査機能の充実などによりまして海外市場確保を図ることといたしておるのでございます。殊に重機械類につきましては、世界各国ともその輸出増進に努力を傾注いたしておりますので、この際重機械技術相談室機能強化し、設計の補助、アフター・サービスを十分に行うと共に、日本輸出入銀行の活用などによりましてその輸出の伸長を期待いたしております。なお輸出振興いたすためには金融面を初め国内条件の改善を図らなければならんと思いますので、これがためには、日本輸出入銀行資金源の拡充を初め輸出信用保険料率引下げ及び委託販売方式に対する特別融資方式採用などを考慮いたしておるのでございます。以上の措置と関連いたしまして、バナナ、パインアツプル罐詰などのごとく通商協定実施のため是非輸入しなければならない物資であつて、而もその輸入利益の大きいものについては政府において特別会計を設置して輸入実施することが必要ではなかろうかと存じまして目下鋭意その検討をいたしておるような次第でございます。  次に産業基盤強化についてでありますが、このための所要予算といたしましては総額約四十一億円を要求いたしております。これにより石炭、鉄、機械などの重要産業の再編成近代化とを推進し、石油、銅、金、水銀などの重要鉱物資源開発を図るほかに、我が国産業生産性向上させるため、生産性向上本部を設置して、積極的なコストの引下げ方途を講ずる所存でございます。又中小企業我が国産業構成上占める経済的、社会的重要性につきましては今更申上げるまでもないとこるであります。従つて三十年度におきましては、中小企業振興と安定のため総額約二十七億円を要求いたしております。これにより協同組合に対する助成措置強化すると共に、中小企業自体の設備の近代化を図るほかに、中小企業相談所の機構を整備いたしまして指導強化するなど強力なる措置を講ずる所存であります。更に中小企業にとりましては金融円滑化を図ることがまさに焦眉の急の問題でありますので、以上の予算措置と相待ちまして、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対する出資増加を図り、中小企業信用保険につきましても基金を充実いたしましてその強化を図る要求をいたしております。  次に技術振興につきましては総額的三十四億円を要求いたしております。これにより輸出振興自給度向上に資する工業技術振興重点を置き、国立及び分設試験研究機関研究強化すると共に、他方民間における発明及び試験研究に対しても助成を拡大し、原子力の平和的利用につきましても引続き研究実施するなど、我が国工業技術後進性を回復するための措置を講ずる所存でございます。  以上述べました主要事項につきましての要求総額は約二百十億円でありまして、これに人件費その他の雑件を合せますと、約二百八十億円となりまして、本年度予算額約六十九億円に比較いたしますると約二百十一億円の増加となる次第であります。  以上を以ちまして当省関係一般会計概算要求概要を御説明申上げました。  なおこのほかに通商産業省所管特別会計といたしまして、アルコール専売事業特別会計輸出保険特別会計中小企業信用保険特別会計特別鉱害復旧特別会計などがあるわけでございますが、これらにつきましても、三十年度におきましてはそれぞれ事業量増加に伴いまして相当増加要求をいたしております。  以上を以ちまして当省関係一般会計及び特別会計概算要求について御説明申上げました。なおこの際右の一般会計概算要求と表裏一体の関係にありまする財政投融資計画につきましても、簡単ではありますが御説明を申上げたいと存ずる次第であります。  明年度の当省関係財政投融資につきましては、まだ最終的な御説明を申上げる段階にはない次第でございますが、現在における一応の案を申上げて見まするならば、日本開発銀行につきましては、自己資金三百億円に加えて五百億円程度財政資金が必要であると考えております。即ち電力五ヵ年計画の遂行、石炭企業合理化のための竪坑開発計画推進を初め鉄鋼、硫安、合成繊維及び機械などいわゆる特掲産業合理化の促進などを実施いたすためには是非ともこの程度財政投融資は必要かと存せられるのであります。日本輸出入銀行につきましては、自己資金百二十八億円に加えて約二百七十億円程度財政資金が必要であると考えております。即ち最近におけるプラント輸出増加に伴いまして、現在においても輸出入銀行自己資金が非常に窮屈化しておる状況にありますが、来年度は更にプラント輸出増進が期待されますのでこの程度財政投融資は必要かと存ぜられます。中小企業金融公庫につきましては、自己資金百億円に加えまして約二百億円の財政資金を必要とするものと考えております。即ち中小企業に対する金融措置円滑化必要性は今後ますます増大するものと考えられますので、同公庫重要性に鑑み最低限二百億円程度投融資是非とも必要であると存じます。更に商工組合中央金庫につきましては、三十年度において政府出資のものを限り商工債券の発行が不可能となる虞れがありますので十億円程度政府出資是非とも必要であると考えております。  以上を以ちまして通商産業業省所管概算要求について御説明を終りますが、なお御質問に応じ詳細に御説明を申上げたいと存じます。  次に昭和二十九年度下期外貨予算について申上げます。  昭和二十九年度外貨予算昭和二十七年度下期以来の国際収支逆調傾向を警戒し、国際収支均衡達成目標とした本年度経済政策の一環として編成されることになつたのであります。即ちできるだけ国際収支赤字最小限度にとどめ、昭和三十年度以降において収支均衡達成を図る方針の下に年間輸入支払額二十億ドル、赤字約一億ドルを前提といたしまして、二十一億四千万ドル、上期に十億五千万ドル、下期に十億九千万ドルの外貨予算を組むことにいたしました。昭和二十九年度の二十一億四千万ドルの予算規模昭和二十八年度の二十五億五百八十三万ドルに比べれば約三億六千五百万ドルの減少であります。減少額の大きいものは、主食繊維原料でありますか、主食昭和二十八年度の減収による緊急輸入昭和二十九年度では大幅に減少したことにより、繊維原料は原綿、原毛の減少が主であつて、混紡の強化原料在庫節減によるものでございます。又全般的には原料在庫節減輸入価格低落により減少を見ることとなつたものであります。昭和二十九年度の上期外貨予算は十億五千万ドルでございましたが、金融の引締め、緊縮財政などにより輸入需要が予想以上に減退いたしまして、予算実施額は約九億三千万ドル程度にとどまつた次第でございます。上期外貨収支は当初約九千万ドルの赤字を想定したのでありますが、上述の通り輸入需要の減退による輸入支払の大幅の減少輸出の大幅の増加によりまして特需受取減少など貿易外収支相当の悪化があつたにかかわらず当初の赤字想定に反しまして、約八千万ドルの黒字なつた次第であります。ポンド・ユーザンスによる黒字分約四千七百万ドルを除いても三千三百万ドル程度黒字なつたのてあります。  以上述べたような上期外貨予算実施状況、上期外貨収支好転事情から判断いたしますれば、下期におきましても金融引締策を引続き強化する方針をとり、デフレ政策効果を継続強化する方策を考慮することとし、下期の外貨予算編成に当つて輸入削減を積極的に行うことなどにより国民経済に対しデフレが悪影響を与えることを回避すべきであると考え国際収支赤字増加するか、当初予定通り十億九千万ドルの予算を組むこととなつた次第であります。下期外貨予算は積極的に輸入削減を行わない方針をとることとしたのは以上述べたような通りでありますが、これを予算項目別に見ますると、国産品の減産又は内需の増加のため当初見込以上に買付量増加する必要のあつた大豆、加里塩燐鉱石のごとき品目については予算額増加いたしましたが、一般的には国産品増加生産水準の低下、国際価格低落などのため予算額としては年度当初の見込額より減少する結果となりました。併し民生物資については予算額節減による価格の反騰を来たさない程度輸入量確保し得る額を計上しております。他面、加工貿易原材料求償取引物資軍納物資項目のごとき外貨受取増加外貨支払の節約に役に立つところの予算項目は上期実績を考慮いたしまして増額をしました。又各品目予算減少により節減した四千三百万ドルは予備費として計上し、今後の経済情勢変動による輸入需要変動に応じまして運用することといたした次第であります。
  6. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは只今政務次官説明に対しまして御質疑がありましたならばこれから始めて頂きたいと思います。なお御希望であれば会計課長からもう少しこの表につきまして説明を求めてもいいと思います。
  7. 海野三朗

    海野三朗君 この四頁の所の自動車産業振興費というのはこれは幾らになつているのですか。第二の自動車産業振興費としてありますね、五千二百万円ですか。
  8. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 自動車産業振興費でございますね、五千二百万円でございます。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 日本自動車国産品は非常に悪い、悪いという話を聞くのでありますが、金属のほうの研究については殆んど世界のレベルに決して負けないところまで日本研究が進んでいるわけであります。部分々々の研究助成すれば外国品に決して負けない域まで達しられるのでありますが、そういう点に目を注いでもう少し自動車産業というもの、つまり自動車を造るという方面ですね、材質とか、そういつた方面研究にもつと力を入れるお考えはないのですか。部分品つて何百という部分品がありますが、その部分品はすべての合金なり、金属、その方面学者日本にきら星のごとくおるわけです。その人たちが皆実際面にタッチできない状態にある、それは経費の関係から……、そういつた方面を何とかもう少し学者を活用して日本自動車というものを外国品に決して劣らないものができる、そういつた方面についてはどういうふうにお考えになつて、何でこの五千二百万円だけでいいというふうにお考えになつておられるわけですか。その辺をちよつとお伺いしたい。
  10. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の御質問に対しまして一応順序といたしまして五千二百万円の内訳について御説明いたしたいと思います。この五千二百万円の内訳は、一応三千万円と二千二百万円に分ちまして、二千二百万円のほうは只今前半で御指摘になりました、主として材料関係構造関係のことにつきまして機械試験所工業水準の、機械試験所費用といたしまして計上いたし、併せて自動車全般性能を検査いたします自動車道路の建設に充ててございますが、あとの三千万円につきまして後半で御指摘性能関係工場研究委託費といたしまして自動車性能の解析、バスとか、乗用車とか、二輪車とか、スクーター、こういつたものに分け、実施の方法といたしましては共同研究を以ちまして国産品研究をいたしますと同時に、参考のために外国品分析研究もやつて参るようなふうにいたしております。以上の費用は一千万円でございますが、個々部品につきましては特に二千万円を計上いたしまして、自動車部品生産施設合理化のための貸付金として前半のほうで何と申しますかプランとか学者知慧を拝借するということをやり、後半で二千万円計上いたしましてその結果を貸付金によりまして具体的な資料の製作に資する、こんなふうに一応計上いたしております。
  11. 海野三朗

    海野三朗君 ちよつとお伺いしますが、科学研究、つまりその材質の顕微鏡の試験とか、或いは機械試験、即ちスプリングのバランスを見るとか、そういつた方面科学研究自動車産業振興という方面との結び付きばどういうふうにお考えになつていますか。学者を活用するというふうに、ただ自動車の各車体の研究という漠然としたものではわからない。その部分々々の材打研究ということになりますと、科学研究に入りますが、その科学研究方面との結び付きばどういうふうにお考えになつていらつしやるのか、単に金だけの上でなく、本当に技術に入つてはどういうふうにお考えになつていらつしやるか、その辺をちよつとお伺つておきたい。
  12. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 予算的には甚だ断片的な恰好をとつておりますが、只今申述べましたように、自動車全体としての生産と、それから部品は更に部品材質とか個々の細かい部品に分けまして研究いたしますが、ここに予算的措置として計上してございますのは、自動車道路とか、或いは機械試験所に対する金とか或いは学者のかたの知慧を拝借いたします謝金とか、研究会とかそういつた恰好をとつておりますが、勿論この予算だけでその成果が現われて参るわけではございませんので、主として工業技術院に金を付け、或いは直接部品メーカーのかたに金を貸付け、或いはもう少し大きいところでございましたらそのほかの金融機関から借りるでございましようが、これらを併せまして重工業局のほうの行政部とどういうふうに結び付いて行くか、試験研究機関と、いわゆる通産省原局でございます重工業局との結び付きになるかと思うのでありますが、この予算を作成するに際しましては、一応重工業局といたしましては、勿論各種の行政指導のための合理化審議会の部会とかそのほかそれぞれ手を打つておられると思いますが、一応予算的には不満足ながらこの程度のものを計上しておけば重工業局のほうとしては試験研究機関と手を携え且つ金融的な裏付も行い、全般的には折角国予算を投入いたしました成果行政面でそれを参考にして指導をして行く、こういう恰好をとつておると思います。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 資料要求をしたいのですが、外貨割当の中で費目に十億何がしのあれがありますね。その中でいわゆるその他の物資と申しますか、食糧とか繊維とかいうもののほかにその他物資として大きく出ておりますが、その他物資内訳をもらいたいのですがね。
  14. 今井博

    説明員今井博君) その他物資と申しますのは……雑輸入品内訳でございますか。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 そうそう。頂けますか。
  16. 今井博

    説明員今井博君) 今までにやつた実績等はございますが、この費目のやつは非常に品目がたくさんございまして、紬かい物資それぞれにつきましての割当の額というものは決定いたしておりませんが、大体どういうふうなものを予想しておるかというものは一応ございます。その程度のものでよろしかつたら差上げられますが。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 よろしうございます。  この機会にちよつと伺いたいのですが、この小さな物資の中で、酪農製品輸入予定しておりますか。
  18. 今井博

    説明員今井博君) 一応予定はいたしておりますが、どの程度やるかということは、農林当局と今打合せ中でございます。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 農林当局のほうにもいずれ当委員会に御出席をお願いして、私は伺いたいと思うのですが、この際通産当局にもよく御理解願いたいのは、御承知の通り酪農製品は非常に生産過剰で困つておるものです。国内の乳価というものは急激に下つておる。そういう際に、この酪農製品輸入するということは、これは意味がわからない。いろいろ聞いて見ますと、こういうことが或る一つ酪農製品輸入する理由になつていると聞いておりますから、御参考に申上げたいと思いますが、というのは、輸入した酪農製品学校給食にしているわけですね。ところが、これは学校給食にする酪農製品というものは、外国品でなくても国内でたくさんあるわけです。これをなぜ、強いて輸入品に待つかというと、輸入された酪農型品はそれぞれ文部省外郭団体と申しますか、文部省関係学校給食協会その他、教育委員会、これらの大きな財源になつておるように私は聞いております。でありますから、これらの協会維持のために輸入酪農製品というものを削られることは、これらの協会維持費が出て来なくなるというようなことが、これは一つの大きな力になつておるように聞いております。これは通産省としては御存じないことかも知れませんけれども、そこでこういう本末転倒した根拠によつてこういうものを入れられることは、非常に迷惑するわけなんです。まあその他、私今資料要求したのは、相変らずこの輸入の、洋服地が入つたり、それから靴下に至るまで、化繊を入れた靴下まで輸入品が入つておる。こういう事情につきまして、いわゆる雑品というものは、決して軽視すべきものではないと思うのでありますから、特に要求したのでありますが、その中で取りあえず急を要する部分は、酪農製品外貨割当てるということは、特に慎重に御検討願いたい、こういうことであります。
  20. 高橋衛

    高橋衛君 先般の十九国会において、自転車競技法等臨時特例に関する法律というものができまして、従来国庫納付をしておりました競輪等収入の一部を、国庫納金を廃止いたしまして、新らしく自転車振興会連合会等に一定の割合を以て納めさしてそれを自転車工業その他機械工業等に対する振興のために使うという、いわゆる変則的な方途を講じたのでありますが、この法律は御承事の通り、本年度一年限りの法律であつて、明年三月三十一日を以て効力を消失するという建前に相成つておるのであります。この予算要求を見てみますと、この予算要求がそれに該当するかのごとく、歳出の要求が計上されておるのでありますが、その歳入面については如何なる措置をとるつもりでございますか。その点伺いたい。
  21. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点は、四頁の第2産業基盤強化の(3)及び(4)が自転車産業振興費自動車産業振興費、この二つがそれに該当するわけでございます。国庫入金のほうは、本年度暫定法によりまして、料率は変りまして、大体七億程度予定されておるわけでございますが、若し一年限りで廃止になりますと、旧法の料率になりまして、歳入も遙かにこれを上廻るはずでございますが、通産省といたしましては、料率は、一たび暫定法で変りましたあの料率に、旧法を、料率の点を変えまして、大体本年度と同じ七億程度収入がある、そして自転車産業及びこれに関連するものに充てるという意味で、七億の歳入のうち(3)で、自転車産業振興費三億を見まして、関連産業ということで、爾余の四億程度輸出機械工業設備近代化補助、こちらのほうの一応財源ということで、四億、三億——七億という数字を充てるということにいたしておるわけでございます。
  22. 高橋衛

    高橋衛君 私のお伺いいたしておりますのは、そういうふうな歳出面についてのことではないのでありまして、歳入面について、つまり先般法律を制定いたします際に、参議院といたしましては、「自転車競技法等臨時特例に関する法律案は、産業振興の緊急性に鑑み一年限りの暫定措置として止むを得ざる制度と認められるが、如何にも当を御ない機構、措置であるので、政府は速かに之が是正を為すよう措置すべきである。」その「是正を為すよう措置すべきである。」という附帯決議を付して我々は賛成したのでありますが、その是正に対する方針としては、如何なる方針を持つておられるか、その点をお伺いしておるのであります。
  23. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今細かい計数に入つて失礼いたしました。私どもといたしましては、あれは一年限りの法律でございますので、一年限りで執行して旧態に復するという建前の下に歳入を見、そして歳出といたしましては、只今申上げました項目で数字を計上いたしておるのでございます。
  24. 高橋衛

    高橋衛君 そういたしますと、先般の国会において折角国庫納付に関するところの制度を廃止いたしたわけでありますが、その廃止した法律を、更に復活せしめる、料率だけを下げて復活せしめるという方針と承わつてよいのでありますか。
  25. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 御承知のように、予算の作成は八月末までに概算要求を出し、一応全部の数字をまとめる関係もございまして、当時この原案作成に当つての段階におきましては、一応一年限りで廃止されるということで、そうなれば自動的に一応概算要求としては国庫に入るという恰好で組まざるを得ませんので、こういう恰好を一応とつております。ただ今後或いは方針が変れば別でございますが、これを編成いたします当時は一応そういう建前でやつた次第でございます。
  26. 高橋衛

    高橋衛君 一年間の法律で、これが執行すれば当然旧態に返るという性質の法律ではございません。国庫納付に関する法律は別途に廃止になつております。従つてこの法律がなくなれば、当然に競輪等収入から国庫に入る金は全然なくなるというのが、法律の建前としては当然であると思いますが、その点はどうお考えですか。
  27. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 一応一年限りで廃止になりました場合に、そのままこれを放置するということもできませんので、取りあえず、問題はあとに残すかもわかりませんが、当時考えました方法といたしましては、旧法を、料率を変えて復元する、そういう思想の下に立つて概算要求編成いたしました。
  28. 高橋衛

    高橋衛君 これは、問題は全然別でありまするが、昭和三十年度予算と申しまするか、財政規模といたしましては、昭和二十九年度からそれほど大きくなるということは、到底我々は想定し得ないのでありますが、通産省全体の予算要求として、昭和二十九年度においては、成立予算は六十九億円である、それを二百八十億円というふうな相当大きな金額に相成つたのでありますが、従つて全般の財政規模から見て、これが相当他のほうを節約いたしましても、入れ組むということは非常に困難ではないかということを我々予想されるのですが、その場合に、併しながら輸出振興ということは、我々今後の日本の国策を遂行する上において、どうしてもやめるわけに行かんところの一つ政策であろうと思うのですが、その間の調和を如何にしてせられる方針でありますか、その点何か非常に巧妙な手段でもあるのか、それとも削られれば止むを得んというふうにお考えなのか、その辺の御所見を伺つておきたいと思います。
  29. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 御指摘通り、約七十億から二百八十億と非常に膨脹いたしておりますが、私どもといたしましては、この二百八十億をどういうふうに、三十年度におきましても財政規模が二十九年度とそう変らないといたしました場合に、圧縮されるであろうかということは、勿論一応案の作成のときに考えつつ編成いたしましたわけでございますが、先ず二百八十億を私どもは更にこれを圧縮される場合のことを考えて見ますと、二百八十億を多少分析いたして見ますと、輸出につきましては百八億という数字が計上いたしてございますが、実はこの中でその半ばを占めますものが三頁に出ておりますが、III輸出促進のための金融面等の改善措置、これで三十一億、それから次の四頁に入りまして、IVの特殊物資輸入基金特別会計基金、これで三十億ということで、この辺のところは基金であり融資的な性質を帯びて参りますもので、従来通産省で二百八億のうちで一番殖えたのが輸出振興費でありますので、取りあえず輸出振興費を例にとつて説明申上げたいと思いますが、輸出振興費として付いておりました金のうち、この金融措置或いは基金的なものは全然含まれておらないわけでございます。従つて、百八億からこれら六十億を差引きいたしますと約四十八億程度に相成るわけでございますが、更にこの四十八億というものを分析いたして見ますと、従来輸出振興費として予算的措置をとつておりました金は、第一頁の二十九年度予算額三億二千九百万円と相成つておりますが、これに相当いたします金は第IのIIの市場の確保及び拡大と、このいわゆる広報宣伝に非常な重きが置かれておつたわけであります。そうしてそれに相対応します金が今年度四十八億のうちの四十四億程度充てておりますが、この広報宣伝ということにつきましては、これは是非とも、只今のような状況で参りましたならば日本輸出が一部国内のコスト高にも災いされましてじり貧に陥らざるを得ないと、ここで私どもが別途作案いたしました目標年度におきまして十七億四千万ドルという輸出確保いたしたいと思うならば、多少初年度に広告宣伝に、或いは市場の確保等に金を注ぎ込み過ぎても、次年度以降において活きて来ると、こういつた意味でここに非常な重きを置いておるのであります。従いまして、圧縮の関係で、どうしてもない袖は振れんということでこの辺が圧縮されますと、広報宣伝というものは各市場にそれぞれ適した形態で計画されておりますが、鐚一文欠けてもこれがその価値を失うという性質のものではないのでありまして、この辺のところは、広報宣伝の必要性を強調いたしまして、今後とも大蔵省と折衝して行きたいと思つておるところでございます。  それから四十八億の中の次の項目といたしまして、本年度新らしく出しましたのは、三頁のCに海外需要に応ずる生産技術指導費というのがございますが、これは昨年度までの輸出振興費と申しますものは、今申しました広報宣伝とか情報の入手とかいう市場対策でございましたが、今年度は更に一歩進んで、国内において品質を改善して行こうという費用をここに新らしく、二十九年度予算額はいずれもゼロとなつておりますが、計上いたして参りましたので、この二億五千六百万円というものにつきましては、これは是非とも、広報宣伝費等は国の財政上の理由で多少の圧縮をこうむろうとも、この国内における品質の向上に使う金、これは私どもも最も手堅いところを計上いたしまして二億五千と、こういうふうな恰好で組んでおりまして、この辺のところはなかなか圧縮して頂いては困るのではないかと、こういうふうに考えております。  それからあとの点につきましては、大体工業技術産業基盤強化、或いは中小企業対策、我が国工業技術向上技術振興と、こういつたものにつきましては、通産省としては毎年大蔵省に折衝いたしております項目を今年も計上いたしておりますので、只今指摘の二百八十億というふうに非常に膨脹いたしておりますのは、輸出振興というものが大体ウェイトを占めております。輸出振興については大体そういうことでございます。
  30. 高橋衛

    高橋衛君 私はそういうふうな金融措置とか、又は特別な基金的なものがあるという点を実はお聞きしたいために先ほどお聞きいたした次第でございますが、言換えれば、これに対応するところの歳入面について、例えばバナナとか、砂糖とか、その他のいわゆる輸入をすれば必ず儲かるという品物について、それに対して何らかの別途歳入を図る措置を講ぜられる方針であるかどうか、この辺のところをお聞きしたいと思つた次第であります。その点如何でありますか。
  31. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点は政務次官概要説明のところにも、輸入利益を過大に発生する一部の、而も協定上入れなければならんといつたような商品につきましては、特殊物資輸入基金というものを設けて、特別会計にしまして、その利益を政府収入にいたしたいと、こういう構想で、四頁のIVの特殊物資輸入基金特別会計基金三十億というものを一応計上いたしてありますが、現在御承知のごとく協定で彼我の通商を促進するために止むを得ず入れざるを得ない消費資材があるわけでございますが、かかるものにつきまして、この基金はこれが輸入、売払いを行いまして、益金が発生いたしました場合は、基金にとどめておいて、別途一般会計に繰入れると、こういう構想を持つております。
  32. 高橋衛

    高橋衛君 なおこの総額について、二百八十億の概算要求をしておられますが、この二百八十億のものが全部成立したと仮定した場合におけるところの外貨払いはどの程度になるか御説明を願いたい。
  33. 今井博

    説明員今井博君) 外貨払についてはまだ計算いたしておりません。
  34. 海野三朗

    海野三朗君 今二頁ののところで海外需要に応ずる生産技術指導というところに一億五千六百という数字が出ておりますが、先ほど私お伺いしたのはやはりこれに関係しておるものであります。例えば輸出振興をしたい、こういつて国内のよい品物を作るという方面に金を注ぐとい言いますけれども、それは科学技術によるところが非常に大きいのです。で性能を検査するとか何とかいうことだけに重きを置いておるのは、あたかも泥船を造つてその泥船の最も堅牢なるやつが何かというようなことをやつているのに等しい。泥船ではいけない。材質によるのである。そうするとこの材質という点に考えを及ぼしますると、先ず日本では金属材料研究所というものがあり、学術会議というものがあり、そういう方面では材質ということについて非常に専門的に入つておるのでありますが、通産省としてはいい品物、いい品物といつたつて、根本は例えば金属材料研究所あたりにしますと文部省の管轄になります。又この学術会議のほうなぞも文部省の扱いになつて、その方面における予算というものはもう実に貧弱なものである。そういう方面に力を注がないで、性能々々というようなところにばかり力を入れたつて、その材質が悪いのである、それではいつまでたつても、例えば自動車のごときものも、金属の材料については世界の水準に達しておる我が日本が更に外国のアメリカあたり、或いはイギリスあたりの自動車に比べて見るというと段違いである。それは何かというと、科学技術という方面に力を入れないからである。そういう方面に対して通産省としては、その結び付きをどういうふうに考えておられるか。ただここに金だけ出したからして、必ずしも立派な自動車ができる、必らずしもいい自動車ができるとは限らない。金属材料研究所という専門のものがあり、それは而も文部省の管轄になつておる。或いは科学技術研究所というようなものが民間にある。そういう方面とのタイアツプの仕方、それに力を注がなければいけないのじやないか。文部省の管轄になつておる金属材料研究所、或いは学術会議のほうなどを見ましても、実に貧弱であつて一つの業種に対する研究費は一年間に十万円という、十万円じやメーター二つ買つたらもう研究はできないのだ、そういうふうな状態に置かれてありまするから、自動車のスプリングにしたつて、或いはこの部分品にしたつて遙かに及ばない、そういう方面については、つまり通産省としては、このタイアツプの仕方をどういうふうにお考えになつておるか、そういうところを私はお伺いしたいのです。
  35. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点はまさに御指摘通りでございまして、只今通産省と他省の試験研究機関との結び付きについて、極めて私どもの痛い点を衝かれたのでございますが、私どものこの部内の予算編成に当りましても、御承知のように工業技術院の傘下にはそれぞれ、輸出の雑貨については産業工芸試験所、或いは機械につきましては機械試験所、そのほか約十一の試験研究機関を持つておるわけでございます。これがおのおのの部を持ち、支所を持ち、研究いたしましておりますし、同時に地方にある研究機関につきましては、工業技術院の出先の試験研究機関が地方におきまして連絡会等を作つてつてはおりますものの、いざここにいろいろ品質改善或いは意匠の改善、材料の改善或いは性能向上等で予算措を置講じて見ましても、通産部内で果して一つの、例えば輸出品の性能なり材質向上ということについて、通産部内の各試験研究機関がばらばらに予算を取り、ばらばらに研究しておるのじやないか、誰が一体きちんと一つの方向に向つて行くように予算を取つた以上はそれで行くように音頭をとるか、こういつた問題を私ども慎重検討いたしまして、なお各省との、或いは民間の研究機関との連繋につきましても、私どもこの概算要求を作ります際に、各試験研究機関に重複がないように、又必ず分担した研究成果一つの総合的な効果を生むように、及ばずながら通産部内においては配慮いたしましたが、なお只今の御指摘通り他省所管、或いは民間の試験研究機関研究テーマなり、研究の方向なりにつきましても、細心の注意を払い、連絡をし、或いは御指摘のように財政的な基礎の弱いところにつきましては、私どもも側面から援助もできますならばするといつたような気持で行きたいと思つております。この点につきましては地方の研究機関につきまして、あとのほうの工業技術院予算のところにございますが、取りあえず気が付きましたのは、地方の公設の試験研究機関が非常に施設的にも弱くなつておるという点で、取りあえず今度の要求では公設の試験研究機関の設備の強化、それからこれに輸出伸長のためのテーマの研究をお願いして、研究助成をする。取りあえずは私どもはこの概算要求では外部に対してはその程度のことは考えております。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 今例をとつてちよつと申上げますが、この金属材料研究所の増本博士の研究が時計のぜんまいの膨脹係数が小数点以下六桁までゼロという合金を発明した。で、スウイツツルの時計のぜんまいに更に劣らない立派なものかできた。ところがそれを今工業化するに当つて文部省としては金が非常に少い。それでありますから、まだそれが実際に活用されていない。ただ二百万円くらいしか金が出ていない。そういうときにその発明したことが文部省の管轄ではありますけれども、それを今度アプライするときになると、今度は通産省関係になりましようから、そういう方面に対しての研究費の補助というようなことがありますか。
  37. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点は六頁の第4の技術振興費の鉱工業技術試験研究補助は昨年度六億、本年度十億要求いたしておりますが、これは工業化試験と応用研究と申しまして、この二つの研究に対して補助をいたしておりますので、只今の時計のぜんまいのようなものでございましたら、先ず企業化する段階でございますと工業化試験になるわけでございますが、先ず対象といたしましてはこの対象に或いは入るかとも思いますが、この鉱工業技術試験研究補助につきましては、各省でそれぞれ分野を定めておりますので、今御指摘のように通産の分野へ入るものでございましたら、これの対象になります。
  38. 河野謙三

    河野謙三君 これは当然のことですが、予算要求は大臣の査定は済んでいるのですか。
  39. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) これを事務的に作成いたしまして、省議決定をとり、大臣の査定を頂きました。
  40. 河野謙三

    河野謙三君 そうすれば私は非常に力強いが、経審長官であり、大蔵大臣前任の通産大臣が一方において一兆円以内の予算を組まなきやならんということを十分承知しながら、止むに止まれずこれだけを要求したということであれば、我々も非常に力強く応援しなきやならんと思うので、念のために何つておいたのです。そこでもう一つ伺いたいのは、輸出振興の中で、輸出に対する損失補償というようなものを考えておられませんか。国家の損失補償というようなものを……。
  41. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 現在損失補償もいろいろの形態があると思いますが、現在私どもとつておりますのは、ややそれに近いのは、輸出信用保険制度じやないかと思いますが、それ以外直接の補償につきましては、今回の要求では考えておりません。
  42. 河野謙三

    河野謙三君 少し意見になるかも知れませんが、広告宣伝も技術研究もいいのですが、私は例えば西ドイツあたりが、アフリカあたりの三年か五年たてばどつちへ行つてしまうかわからない川に、長期の六年、七年の輸出をやらして、そして国家が補償しているのです。ドイツあたりはそれまでして、これは国家のある意味においては損失補償ですね、そういうことまでやつて、而も長期の六年、七年というような、我々の考えられないような長期の輸出をやつているわけです。こういうことが、よくドイツの輸出の話が出ますが、これが私は一番大きな問題だと思います。そういうことをやらないでむしろ、決して枝葉末節とは言いませんけれども、ただ在外公館をどうするか、貿易商社の出先をもつと拡充するとか、これは必要でありますけれども、それは私はもつと末の問題であつて、根本はそこまで輸出振興に対して国が力を入れるか入れないかという問題が、これが輸出振興の勝負がきまる僕は分岐点だと思うのです。そういうように思うのですが、だから日本の国情から言つて、特に資金難の現状から言つて、ドイツのそのままというわけには行かんでしようが、何かそういう手を打たれることが輸出振興の一番根本策じやないかと思いますが、それに対して全然第一歩を踏出していないというのは、六十億も八十億も、私は大したことはないと思うのですが、御見解は如何ですか。
  43. 今井博

    説明員今井博君) ドイツの制度について御意見でございましたが、恐らくドイツは損失補償じやなくて、保険制度を活用しているのじやないかと私は想像しております。今御指摘になりました長期の輸出金融といいますか、これは日本でもプラント類については、輸出入銀行を通じまして、平均五年、それから最長は極端なものは十年、そういうものはやり得るような制度にいたしておりまして、一般的にはプラント類については、大体五年というようなことで現在やつております。それからこれは一種の代金保険といいますか、保険にかけまして、それで保険で大体これをカバーする、従つて業者の責でなくて、それがうまく回収できないというときには、保険で以て回収できるようなことにいたしております。今年度予算としましては、その保険制度というものをできるだけ拡充したいということで、現在の保険金の基金を二十億ほど殖やす、或いは保険料率を、現在百円について八十銭とか、非常に割合に高い率になつておりますので、これをできるだけ下げたいということで、この予算に一応計上はいたしております。まあ我々としてはこの線で行くのが一番合理的じやないか、殊に今後の国際競争或いは公正競争とか、いろいろなことで国外から指摘を受けます場合には、一番これに対抗できるのは保険制度というものの合理的な活用である、こういうことで一応予算を出して、殊にプラント類についてはできるだけ安くしようというふうに考えております。
  44. 河野謙三

    河野謙三君 私は輸出振興の問題にからんで、輸入の問題で少し申上げたいのだが、最近通産大臣がアメリカへ行かれるようですが、昨年の電力の四千万ドルの借款で、あれは我々は非常に素人であつて、迂闊であつたのだが、あの四千万ドルというのは、全部金は一文も来ていないので、あれはアメリカの機械会社から機械が来ているわけですね。それを受入れるほうで、例えば電力会社の機械等を聞いて見ますと、とにかく金利は安い、安いけれども国内で当然できる機械がたくさんあるのだ、それを国内で満たせば、物によると半分でできるのだ、その上へ持つてつて機械を買つて据付けの技師を呼んで、高い報酬を払つてやると、結局あの機械というのは、それらを金利に加算すると、大体二割くらいの高い金利の付く金を借りたと同じことになるということを私は聞いておる。これも併し貸すほうの責任ですが……。又アメリカのほうの条件だから仕方ないと言えばそれまででありますけれども、これはきまつちやつたようですが、これから又八郎潟の干拓であるとか、北海道の泥炭地帯、愛知用水というものの問題だとかいうことで金を借りる、その場合に土木機械と同じような条件で、日本機械を全部向うから買わなければ金を貸さないということを言つたということは、一方において輸出振興などをやつて、せつせと爪で拾つてつて、片つ方で箕でこぼすようなことをしていたのでは話にならん。そういうことについては愛知さんも十分御承知の上でアメリカへ行かれると思うのだが、一体きよう御出席の御当局はどう考えておるのですか。
  45. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点は確かに一方では国産化できる機械があると思いますが、先般入りました機械は火力発電の非常に高圧のもので、まだ我が国では作つたことはないものだそうでありますが、私ども勿論御指摘通り、たとえ我が国で作つたことがなくても、或いは火力借款で入り、二十し年度までは輸入機械に対する補助金というものが出ておりまして、それで入れた機械でここ一、二年使つて見て、もう十分工作機械メーカーのほうも、機械メーカーのほうもこなせるという段階に達し、使う人のほうも、安いなら使つて見ようかという気持が出て来ておる段階でございまして、その点た今度の概算要求では、四頁に重要機械国産化補助ということで、従来輸入機械に対する補助で出しておりましたものを、国産化ということで、たとえ日本で作つたことがなくても、もう現に日本に入つて来ておる、或いは図面だけであれば日本でできる、多少そこに最初の一台を試作しますまでは、いわゆる軌道に乗つた生産と比べて、コストが非常に、三倍にも四倍にも高くつく。それから使うほうの人も、機械類は二十年、三十年使えるものでございますから、国産の第一号は、どうもテストすれば性能が劣らんということがわかつても、果して長い間にどうだろうかということで、信頼感が多少薄いわけでありますが、この信頼感を元気づけ、使うほうの人にも、とにかく国策といいますか、外貨節約の趣旨もあるし、又国内のメーカーも技術は決して列国に劣らないでもうできる段階だからやつて見ろということで、一面において通産省は、機械輸入につきましては外貨割当で、この機械は国産化させるのに適当であるとか、又できなければ輸入させるという判断を持つておりますので、国産化の補助の金を使いまして、いやしくも国産化できる、こういうふうな、又使うほうの人も、自分も使つて見ましよう、こういうふうになれば、そういつた種類の機械につきましては、補助金を出しまして、国内で試作をし国産化して行く、こういつた予算を組んでおります。
  46. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると通産省では、借款の対外折衝をする場合に、いよいよ金を借りたときに、この機械とこの機械は国産でこれは間に合うのだ、これ以外のものは外国から買うのだ、こういう機械別の仕分けはもうできているわけですか。それはできていてもアメリカその他の圧力によつて金を貸すほうの側の圧力によつて止むを得ず買わされて来たのが従来の経過ですね。今後もそういうことを続けるのか、それともこの段階では今あなたのおつしやるよりに国産で間に合うものと間に合わんものとはつきり仕分けができておるのでその仕分けに従つて今後の借款の成立した場合に外貨の使い方を自主的にやれるということなんですか。
  47. 出雲井正雄

    説明員出雲井正雄君) 只今の点は重要機械国産化補助の金額を組みます際にただ額として私ども金額をはじいたわけでございませんで、一応従来輸入補助金等で入れた機械参考にいたしまして、それから同時に同種の機械類で国産したようなものにつきましてもテストをいたしておりまして、大体項目だけを選びまして、例えば建設機械なども考えておりますが、一応この程度機械は国産化して行つたがいいのではないかというリストを一応用意をいたしております。
  48. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をとめて。    〔速記中止品〕
  49. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記を始めて。  これで午前中は休憩いたします。    午後零時二十分休憩    午後一時四十分開会
  50. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) これより通産委員会を付開いたします。
  51. 森崎隆

    森崎隆君 通産省にお聞きしたいのですが、韓国ののりの輸入に関する問題で質疑をいたしたいと考えております。どなたか御答弁を頂きたいと思います。  先般参議院の水産委員会で、李承晩ラインの問題もあるのでございましようが、いろいろな関係で、特に内地ののり生産業者を圧迫してはならないという観点に立つて、韓国ののりの輸入につきたして反対という意思表示の決議をいたしておりましたところは、通産省側でも御存知のことと存じまするが、その後合理的な機関もできたように伺いまして、大体一億万枚ですか、百万ドル程度割当がきまつたようにじております。これが、聞きますと、先月の下旬頃にはすでに全部入荷いたしまして、輸入業者間の入札割当が行われておるようでございますけれども、この割当を受けた業者の輸入のりに関しまする入札の状況を聞きますると、もう輸入されて相当期日がたつておりますのに、まだ現在四千万枚程度の決定しかなされていない。あとまだ六千万枚の入札の決定がまだなされていないという点がありますが、これはどうも私たちにははつきりわからないという点が一点でございます。こういうような入札につきましては、通産省としては、どういう監督をなさつておりますのか、先ずこれを一点伺います。
  52. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今森崎委員から御指摘のありました通り、第十九国会当時において、水産委員会におかれて韓国のりの輸入については相当慎重にやるようにという、或いは慎重にというよりももう少し程度が禁止というほうに傾いているような御趣旨の決議がありましたことは、当時からよく存じております。併しながらその後政府といたしましては、この御決議の趣旨にもよく照らしまして、のりの輸入業者、生産業者、消費者それぞれの立場を代表するような協議機関を設けまして、非常な時間と努力を傾けて協議をいたしまして、結果において百万ドル相当の約一億万枚はこの際輸入を許可することが適当であるというようなことになりましたので、そうなれば当時の御決議の趣旨にもありましたが、内地の生産業者の立場その他をも十分に考慮ができたものと思いましたので、取りあえずその分だけの許可はいたしました。それからその割当については大体今までの実績を尊重いたしまして、全体の九側程度実績を中心にした割当をするということにいたしましたはずでございます。それから只今お話がございましたが、それ以外の現状どのくらいそれか残つておるかというような点については、ちよつと私も正確に只今覚えておりませんので、事務当局から御答弁、御説明いたさせたいと思いよホす。
  53. 森崎隆

    森崎隆君 事務当局の御答弁に先立ちまして、併せてもう一つお尋ねいたしたいのは、いま一つ私としまして非常に不審に考えておるわけなんでございますが、韓国でのりを生産しておる韓国人の市場に出す価格は一枚三十セント程度だと思います。少くとも三十五セントぐらいの価格しかきまつていないわけです。ところが実際これが大阪で入札されました四千万枚につきましては、一ドル五十セント近くの高さになつておる。これは非常な……、勿論その間には長い間手持に、滞貨しております関係上の利子の問題、又輸送の問題、いろいろな問題があるとは思いますけれども、余りに入札決定価格のほうが高過ぎるのじやないか、それから又一部附きますると、日本のそういう事業の一部の人が韓国内でいわゆるこの三十セント或いは三十五セント程度ですでに買付けて、それが又韓国の輸出業者の手を通じた形を以て内地に来ておる、そういうような事実が若しありますと、これは非常な暴利をむさぼつておるというようなことになるので、従来も韓国ののりの価格から考えましても、これは異例のことだと私は考えておるわけです。内地のりとはおのずから価格の上には差出があつたわけなんですが、そういうような状況について、これは公明な明るい意味の入札がなされたかどうか、そういう点につきましての一つわかつておる範囲内におきましてはつきりと御答弁が頂ければ……。
  54. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 細部の点につきましては私も遺憾ながら只今お答えできませんが、この問題は先ほどもお話がありましように、水産委員会では輸入に反対の趣旨の御決議があり、又一方におきましては、当通産委員会では入れたらいいではないかという積極的な御念見も非常に多かつたのでありますし、かたわら現在の日韓間のいろいろの政治情勢の微妙なときでもございますから、私といたしまして非常にこれは慎重に扱つたつもりでございます。従つて当時輸入を希望する側、或いは需給関係から申しますると、更に一億万枚程度輸入すべきであるという意見も成立ち得ると思います。この点は只今も実は通産省におきましても慎重に考究しておるのでありますが、そういつた関係もあるので、内地ののりに対する需給関係から申しまして、相当の高価をよんだということは私は事実否定できないと思うのであります。併しながらこれは当然その方面から言えば、輸入を期待された時期が外れて、只今お話がございましたような、いろいろ時期の遅れた等の関係もありまして、或る部分は、これは容認さるべきことではなかろうかと思います。併しながらこの業者の指定その他については、できるだけ公明にしなければならんと考えましたので、先ほどもちよつと申しましたが、たしか実績の九割標準にしたのでありますが、これなどは考えようによつては少し堅きに過ぐるかと思うほどでございましたが、拠るべき客観的な基準を成るべく公正にとりたいと思いましたためにさような措置とつたのでありまして、実は一部と申しますか、他の方面からは、もつと実情に適した融通のあるような割当をしろという御要望も非常に強いのでありますが、かたくなのようでありましたが、できるだけ公明にというような配慮から、こういうような割当をいたしたような次第であります。
  55. 森崎隆

    森崎隆君 まあのりのような原始生産物つきましては、生産期には従つて価格は大体安くなるし、端境期になるとこれはまあ高くなつて来るのは、これはまあ一つのルールなんですが、従つて、十一月から生産期に入るはずですね、そうなりますと、需給関係からして価格はおのずから調整されるはずだのに、今度の入札決定の様子を見ますると、これはまあ最高八十円から最低四十円まであるようでございますが、平均して五、六十円近くになつておるというのは、非常に私たちとしては解せない点が実はあるわけなんです。もう一つは、更に一億万枚の輸入はすでに決定になりました。これはまあ私たちもこれに別にどうというわけじやないのですが、その上に史に同数量の追加輸入ということを考えていられるというような点につきましては、非常に私たちとして異論があるわけなんですが、今日日本のまあ全体としましては、大体国民消費が総数が十三億乃至十四億万枚くらいだろうと大体踏んでおります。そうしますと、一人当り大体平均して十六、七枚くらいで、一カ月平均しますと一枚半くらいになる。これは主食と違いまして、一種の嗜好品であるという点に問題があるかと実は考えたのであります。この上に何千万枚でも追加輸入をするといたしまするならば、日本の内地の生産業者を圧迫することはもう目に見えるようにはつきりしたものだと私たちは考えるわけなんです。現在は一億万枚の輸入が決定して、これがすでに日本に入つておる。内地業者が作りましたものは大体六千万乃至七千万程度あるわけなんです、それから考えますと、今後一年間の需要量というものはあると見て差支えない。なおその上に余分に入れるというとこれはどういうことになるか。それからもう一つは、だからこの点について追加輸入をするかしないかということは特にはつきりして頂きたい。たとえその数量が少量でありましても、一億万枚以上に更に追加するということになりますと、これは重大な内地生産業者に対する圧迫というものがはつきり出て来るということを我我考えまして、これはまあ非常に憂慮に堪えないと考えておるわけです。その点に関しまして先ず通産省の今後の御方針、一億万枚でとめて今年はそれで打切るか、それとも又更に考慮するのかどうか。考慮するのでしたらそのように我々も又水産委員会その他にお願いしてこれはよほど強硬な申入れもいたしまして考えなければならんとも考えるのですが、その点について一つ御答弁順いたいと思います。
  56. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは今後の問題でございますから私としましてはつきりもう輸入しないとも申せませんし、又輸入するとも今のところは御答弁いたしかねるのであります。併し、御参考までに申上げたいと思いますのは、前国会中にこの問題が非常に深刻に論議せられました当時におきましては、大体二億枚程度のものが国内の需給関係からいつて韓国のりを輸入すべき数量と一応算定せられたこともありますので、それらの点につきましては現在の見通し得る状況や需給関係等を十分考慮いたしまして、水産庁その他とも十分連繋をした上で私といたしましては態度をきめたいと思つておるわけであります。なお若しそういう際に入れるということに、なお若干の追加をするということに仮になりましたと仮定いたしましても、その場合におきましては先ほど来御指摘がありますような点を十分考究して慎重に配慮をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  57. 森崎隆

    森崎隆君 もう一点、その点につきまして是非一つこの程度で打切つて頂きたいということを強く要望するわけでございまするが、それで前国会でこの出題が論議になりました当時、たしか通産省側のほうでは、この韓国ののりを輸入することについては、相当日韓貿易関係で焦付きがある、この焦付きを有利に展開せしめる方途としても、こののりに対して大体二百万ドル程度の枠を設けたい、それによつてこの焦付きが多少でも解決すればいいがという希望だということも一つの主要な理由のようにまあほのめかされて来たのでありますが、実際問題としてこの百万トル、一億万枚の外貨割当に関連して、つまり日韓貿易関係の収支の焦付きに有利な点があつたかないか、これを一つ伺いたいと思います。
  58. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点につきましては、これが焦付きを崩して行くという点において有利であつたと思いまするし、又これはのりに限らず他の物資につきましてもさようなことが言えると私は思つております。
  59. 森崎隆

    森崎隆君 最後に一つ特に希望いたしておきますが、繰返すようでございますが、最初の割当はこの程度で本年度是非とも打切つて頂きたい。それが内地の生産業者に対する良心的な通産省方針ともなるものだと信じて疑わないわけでございます。なお、今の御答弁の様子では追加輸入をするかしないかは今後の問題だとぼかされておりますが、若しそういうような追加輸入ということが起り得るような場合には、是非とも一つ農林省、特に水産庁又この韓国のり需給調整協議会等から民主的によく意見を聞いて頂きまして、事前に、こういう意見を聞いて頂きまして、内地の生産業者の切実な希望に応えるように善処を願いたいと思います。以上でございます。
  60. 中川以良

    ○中川以良君 私は本日午前中に通産省の新たな要求予算につきましていろいろ御説明を承わつたのでありますが、その中に、特に輸出振興に対しまして今回は通産省相当に力を入れておられるということを承知いたしまして私は誠に弄んでいるのでありますが、今現に実施をしておりますところのデフレ政策も元をただしまするならば、国内物価を国際物価に鞘寄せいたしまして、そうして物を下げて輸出を盛んにして行くということが大きな一つの私は目的であろうと思うのであります。この狙いは誠に正しいのでございまするが、そのためには輸出産業の育成につきまして政府がどのくらい本腰を現在入れているかということが問題でございます。二十九年度予算を見ましても、輸出振興に割いております経費は僅々三億円余に過ぎないのでありまして、これでは誠に日本の今日輸出振興するという政府の熱意に対しまして、貿易の助長振興に対しまして、甚だこれは冷淡過ぎるのじやないかという点を私どもは非常に遺憾に感じております次第であります。今回の予算には、御説明にございましたごとく、相当巨額なものを一つ獲得しようという御努力が現われているのでございますか、本来日本経済政策のあり方といたしましては、まだまだこのくらいの額では私は決して満足し得るものではないと思うのでございます。併し一応こういうことを従来に比べまして、このような大きな額を要求されているという点は私は諒といたします。併しこの予算はどういうところから捻出されているかということを考えて見ますと、バナナ等の輸入による、いわゆる人札の利益を以て資金源としておられる、これは正常な私は資金源ではないと思います。殊にバナナ法案等が若しも潰れてしまうということがございましたらば、それらの予算は全くなくなつてしまうということになる。やはり正常な私は予算をお付けになるのか然るべきだと思うのであります。この点誠に私ども遺憾に考えているのでございますか、通産大臣といたしましては今日緊縮政策下止むを得ない立場におありと作じまするが、少くも輸出振興に思い切つたやはり正常なる一つ予算をお付け頂いて、大いにこのデフレ政策を徹底する意味における輸出振興を図つて頂きたいと思うのでありまするが、この点の一つ御所見を先ず伺います。
  61. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 誠に御尤もな御意見でございますが、やはり只今もお話がありましたように三十年度においても緊縮予算を作らざるを得ないというところから実は、先般の概算要求で見ましても、通産省の三十九年度予算に対する今回概算要求の倍率は約四倍になつておる、で断然これは他の各省を引離して高位にあるわけでございますが、そのくらいの力を入れて通産省としては予算要求しなければならない、けれども緊縮予算の折からでもございますから、只今もお話の通り或いは見方によつては面白くない点があろうかも知れませんが、バナナその他のまあ利益と申しますか、それを国庫にはつきり繰入れて、その財源を以て国民の税負担によらずしてこういう際の輸出振興方策に経費を充当しよう、こういう考え方をとつたわけでございます。従つてこれが最善のやり方とは決して存じておりませんし、又実は申すまでもございませんが、政府部内でも只今予算の査定或いは特別会計設定の要否等について改めて検討しておるわけでございますから、只今お話のございましたように、できるだけ正常なルートで堂々たる輸出振興費が計上されるようにというような御趣旨に副うて、更に努力をいたして見たいと考えます。
  62. 中川以良

    ○中川以良君 それから輸出振興につきましては、これは単に輸出面だけを考えてはいけないのでありまして、即ち輸入もこれは十分なる考慮を払わなければならん、元来国際的に割高な物資に対しまして、海外から安い物貰を入れて日本の物価を国際価格に鞘寄せをして輸出を盛んにする、即ち正常なる輸入をするということはデフレ政策を貫く一つの私は手取であろうと思うのであります。そこにおいて政府外貨予算についてこの輸入の面を十分に慎重に検討して、考慮を払つておられまする点は私は誠に敬意を表するのであります。併しながら外貨予算のようなもので輸入のいわゆる物資別、それの金額、数量等を内外にはつきり知らしてやるというようなことは、これはガラス張りの中で誠に結構なことではございまするが、そのために半面外貨予算に弾力性がなくなりまして、海外から足下を見られて、折角安く買える時期に安く買えない、安い場所から自由なる時期に買えない、逆に向うから値段を高くして日本につけ込んで来る、曽つて新三品、ゴム、油脂、皮革があの外貨予算が発表されまして海外の市場が暴騰してこれら業種が非常なる打撃を受け、商社もこれがために倒産をしたというような例を見ましても、私はこれに対しましては一つ弾力性のある、もつとドイツなんかのやつているような、やはり輸入の方式等をお考えになる必要があるのではないかと思うのであります。それから一つの例といたしまして大豆のごときものを見ましても、国内の油脂原料が不足のために予算の枠を拡大しながら、高い中共大豆を輸入しようといたしておりまするところに私は多少の無理があるのではないかと思います。中共と貿易促進はあえて反対するものではないので、大いに歓迎すべきものでございまするが、中共より七万トンを輸入せよと指示することによりまして、却つて中共に乗じられてこれが暴騰して参つた、アメリカ大豆のほうが遙かに安い、併しながら中共の高い大豆を買わざるを得ないというような現状でございます。こういうようなことは買付の時期を失し、而も高いものを押付けられるというようなことになるので、そのため折角の外貨の枠を拡大しながら、実質的に数量は余計入らないというような問題が出ております。こういうようなものは枚挙に暇がないと思うのでありますが、折角デフレ政策を貫こうとする輸入外貨予算は却つて国内の物価を高めるような結果になる虞れがあるのでありまして、こういう点につきまして一体どういうお考えでございまするか承わりたいのであります。
  63. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 外貨予算につきましては先ず第一に、只今お話がございました点でありますが、この下期の外貨予算を十億九千万ドルということで組んだわけでありますが、これは昨年三月当時からの既定の方針でありまして、既定の方針だからその通りやつたというだけの意味よりも、実は打明けて申しますと、上期予算があの程度で行くであろうかどうかということについては相当私自身としても危惧の念を持つておつたのでありますが、幸いにいろいろの方面からの国民的な協力の下に特需が減つたにもかかわらず、輸出が非常に増進をした、それから値入抑制が奏効したという関係で、下期には当時予定された通りのこの規模の輸入予算が組めて、従つて輸入物資が例えば物価が上るというような状態を防ぎ得たということは私といたしましては、実はほつとしたような感じがするぐらいでございます。従いまして根本的な考え方につきましては、只今中川さんのおつしやつた通りに私も考えておるわけであります。  それからこの外貨予算の性格と公表の問題でございますが、申すまでもなく、いわゆる予算とは全然性格が違いまして、いわばこれは見通し計画とでも言うべき性格が強いと思うのであります。それから今回の下期の予算につきましてもなお実行上例えば節約をする、臨機の措置をとる、或いは常時閣僚審議会の議決があればこれを修正することは可能でございますから、相当ゆとりのある運営をすべきものであり、又そういう性格のものであると思いますから、大体只今お述べになりましたような趣旨によつて今後の運営に十分の注意をして参りたいと考えております。  それから今回の下期予算のみならず、実は上期のときから公表の方法については相当工夫をいたしまして、主要物資については従来の慣行もございますから、又一部これは明るく民主的にやりたいという希望も容れまして、物資の総枠は発表いたしておりますが、国別、或いは通貨地域別は公表は勿論いたしません。観測として新聞記事等に流れるものはございまするが、これは政府の公表ではないわけでございまして、従来とは大分公表の方法等にも工夫を加えて来ております。その関係もございまして、例えばこの下期における主食輸入先等につきましては未定のものも勿論ございますが、それらも含めて公表は差控えておるような関係にございまして、従つて今後の情勢如何によりましては、その都度適当と認められるきめ方でやつて参りたいと思つております。  それから大豆の中共からの輸入の点御指摘がございましたが、中共との貿易について西欧諸国と協力するというこの建前の範囲内においてはできるだけ拡充したいという考えを従来持つておりまするし、それからできるならばドル地域に対しましては支払超過の趨勢でございますから、できるなら中共から入れたいということで一応内輪にそういうふうな考え方を作つておるのでございますが、只今指摘のような情勢でもございますから、実際のこの実行については十分の注意を払つて参りたいと考えております。
  64. 中川以良

    ○中川以良君 只今の御答弁よく了解いたしたわけでございますが、輸入をいたしますることはいわゆる輸出国に対しまして、日本の商品を購入する機会を与える大きな力になるのです。殊に日本が出超になつておる国に対しましては努めてその相手国から一つ正常な面も割安なものは日本としては輸入をしてやらなければならんと思います。例えて言うと、中にはインドネシアのような国際的に割高なものを供給しようというところに対しましては、なかなか日本としても輸入することはできないのであります。この辺非常な矛盾があるのでありますが、先ほど前水産委員長である森崎さんから御指摘があつたのでありますが、韓国の問題でございまするが、私は韓国には今日日本としては相当物が出ておるか、向うから引く物はないというように心得ております。殊に前国会において当委員会でもいろいろこの点御指摘を申上げまして、のりの輸入等につきましてもこれは徒らに感情にとらわれないで一つ経済には国境がないのですから割安であるところの韓国から物を入れることは努めてこの際やるべきじやないか、そういうことによつて日韓の感情問題もやわらいで来るのじやないかということを申上げて韓国ののりの輸入のことが実現されたわけでありますか、只今お話を伺うと、非常に高い値段で入札されておるというようなことかあるのでありまして、これはいろいろ行政上一つ適当な御指導願つて国民大衆に安いものが供給できるように一つ御努力を願いたいと思うものでございますが、併しこういうふうに高くなつたということは、需要が多いためにかように高くなつておると私は思うのであります。殊に期間を限つて延び延びになつたものか一遍に入るようなことになるからこういう思惑かできるのでありまして、やはり長い期間において正常に面もコンスタントに物が入るようにいたしますれば、国内の市場も乱れるようなことがないと思いますし、又日韓の貿易に好影響を与えると思うのでありまして、この点一つ十分に御検討を頂きたいと思います。殊に朝鮮の鮮魚の輸入の問題でございますが、これは昨年は或る程度許可をされておつたのてありますが、今日の大邦丸事件以来漁船の拿捕の問題等にからみまして感情的にこれは輸入すべきでないというような船が立てられておつたのでございます。併し今日は日韓交渉の再開かいろいろと新聞に伝えられておりますのて、殊に今回通産大臣がアメリカへおでましになればこういうような問題も或る程度アメリカの有効なる調停と申しますか、口添えと申しますか、斡旋等によつて恐らく軌道に乗つて参る時期か近いと私は思うのであります。こういう時期においてこそ引ける物は引いたほうがいいのじやないかと思います。最近現地の情報等を聞いて見ますと、漁船の拿捕等は殆んどございません。李承晩ライン等の問題等も最近は解消されておるかのごとき観を呈しております。従つて韓国で獲れます鮮魚をやはり輸入してやることは先方に対して非常に好印象を与えるのではないか。ただ私どもが恐れますのは、又これがのりのように延び延びになりますと輸入しようとするものが輸入の時期を失すると、又そのためにいろいろそれに関連した支障が各方面に現われて来ることも恐れるのでありまして、漁期は十月一ぱいから十一月の中頃までが獲れる時期でございますので、引くなら私は早く引いてやはり安い蛋白資源を国民の各階層に提供するということは私は最も好ましい政策ではないかと思います。この点は一つ通産大臣の御意見を承わると同時に、水産庁長官も後ほどおいでになるそうでございますので水産庁長官からも御答弁頂きたいと思います。
  65. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 韓国からの輸入の問題でございますか、この際日韓間の先ず貿易の大体の状況ちよつと御参考に申上げたいと思います。  現在日本と韓国両国間の貿易は、代が国からの輸出は殆んど停頓状態でございまして、僅かに一部韓国業者の対日輸出ドルによりまして小口の買付が行われておるに過ぎないのであります。これがため日本輸出業者は香港を通する中継貿易にその活路を求めて来たのでありますか、これも最近韓国政府側の厳正な管制によつて行詰りの状態にございます。それから更に米国の対韓援助資金による復興特需の買付も肥料のごとき特殊のものを除きまして全く停止されておるのでございまして、こういうような現状にありますことは非常に残念に思うのでございます。これからの問題について韓国側は例えば日本側が昨年二月以来韓国の物資、主として海産物を輸入制限したからこういうような実情になつて来たというようなことを言つておるようでございます。又その時期から両国間の輸出関係か事実円滑を欠いておるという実情にもあるようでございます。そこで現存のこののりなり鮮魚の輸入につきましては、一方日本側から非常な輸出超過になつておりますし、それから日韓通商取極めによりましても日本からの年間輸出三千二百万ドル、輸入千六百万ドルとなつておるような状況てございます。従つて構造的に日韓貿易は日本側の出超は免れ得ないということでありますけれども、日本側としてもやはりこれに対しまして常に適切な対策というものを考えて行かなければなりません。その観点からのりの問題や鮮魚の問題も取上げなければならない。こういうふうに考えておりまするので、例えばのりにつきましても先ほど森崎さんから御指摘がございましたが、内地の需給の状況その他の関係を十分考慮に入れて今後、先ほど私入れるとも入れないとも申しかねると申しましたが、その点についても慎重な対策が必要だと思つておるわけでございます。  それから鮮魚の輸入でございますが、只今お話の通り年度において第二下半期一回だけ鮮魚の輸入について外貨資金の割当を行いましたが、本年度に入りましては全然資金の割当をいたしておりません。ところが韓国からの鮮魚の輸入は数量的にも日本生産の圧迫にならないはかりてなく、魚の種類も比較的内地生産と競合しないぶりとかさわら等に限定されておりますために流通秩序を乱す虞れもないというふうに認められておるようでございます。併しながら漁業紛争の問題等に関連いたしまして大日本水産会や日韓漁業対策本部等の漁業団体のいろいろの御意見もございますので、この取扱につきましてはあながち魚の需給状況のみでは解決しないというような問題もあるわけでございますので、それらの点をも加味しながら先ほど来由しておりますような日韓通商円滑化のために止むを得ざる事情ということで鮮魚の輸入ということについても私はもう少し積極的に考えてもいいのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。幸い韓国側も最近では日本のさば釣り漁船の半ラインの操業に対してもやや寛大な措置をとつておるように伝えられておりますし、拿捕問題も最近は余り聞かないようでございます。できるならは両国間の今後の輸出関係をもう少し円滑にするように努力た積極的にいたしたいものであるというふうに考えておるわけであります。
  66. 中川以良

    ○中川以良君 輸出振興の要請が良品を廉価に供給することにあることは、これは申すまでもないのでありまするが、併しそれたけでは不十分でございまして、市場の開拓に積極的に意を用いなければならんと思います。それには従来見本市の開催とか、或いは展示会等をやりまして、それに対する必要な予算等が作られておるのでございますが、併し貿易の第一線に活路すベき商社の力を強化することが、是非ともこれが行われなければならんと思うのであります。併し機械輸出のような場合は更にメーカーの活動がこれに伴つて行かないと商社だけに任すわけには参らないものがたくさんございます。宣伝サービスにメーカー自体が活路をしなければならんというものはたくさんあるのであります。重機械相談室の拡充もこれは誠に結構ではございまするが、メーカーとの繋りともう少し十分に、密接不可分なるものに積極的にする必要があると思うのであります。これは先月三十七日付の朝日新聞の夕刊にあつた記事でございまするが、お読みになつた方もあるかと存じまするが、西独の某ボイラー・メーカーにおきましては職工数が六百人ある、この工場に働いておるものはその六百人の中のたつた二百人である、あとの四百人はどうしているかと言うと全世界の市場にそれが散らばつてつて、そうしてボイラーを買つてくれた工場等の先に行つて調子を調べる、修理をする、或いは更に新らしい注文をとつて廻るというようなことに努力をしておる、これでなければ機械輸出市場は確保できない、これだけの真剣なるサービス努力があつて初めて西独が経済自立の基盤を獲得したのであろうというような誠に感激すベき記事が出ておつたのであります。これは日本の工業が重化学工業化しつつある際におきまして大いに私どもは学ばなければならん点だと思うのであります。又あえて重機械工業のみてはございません、軽工業品につきましてもメーカーが応接海外に出向いて行つて海外の嗜好、風習その他事情等を十分に検討し、これを学んで初めて的確なる輸出品の製作が可能であろうと存じます。こういう点は農機具或いは皮革製品等にいたしましても、商社だけでは絶対にできないことでございまして、やはりその専門家が各地に廻つて、各地に適合するものをみずから求めてこれを製作して海外に積極的に輸出するということになつて、初めて私は輸出に本当の精神がこもりまして、輸出振興が期して待つべきものがあろうと存じます。こういう点につきまして一つ大臣の御所見を承わりたいのであります。
  67. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は一々御尤もと思うのでございまして、それらの点については、例えば輸出入取引法の改正等におきましても現在各方面の御意見を取りまとめて鋭意立案中でございますが、この場合におきましては輸出業者の協定ということだけでなくて、生産業者の輸出品に関する協定をも認めるというような考慮が必要である、又それは生産業者の輸出問題に対する関心を非常に高揚することにもなるかと思うのでございます。そういう点をも併せ考えまして、御趣旨のような考え方を活かして参りたいと思つております。
  68. 中川以良

    ○中川以良君 只今のに関連いたしまして、先日来日比谷公園で農機具の展示会が行われておりますので、この農機具の輸出につきまして一言伺いたいと思うのであります。日本は好むと好まざるにかかわらず東南アジア貿易の促進をどうしてもいたしまして、将来これに大いなる期待を持たなければならんと思うのでございます。殊に第二次世界大戦におきましては日本のたくさんの壮丁が東南アジア地区に行つております。これらの人々がその地方の事情等に相当に慣れ、又いろいろ学んで来ておるとごるがございます。これからはこの戦前で得たところのこの経験を本当に活かして、そして世界の平和と人類の福祉のために私は貢献をすベきだろうと思うのであります。それが世界第二次大戦に得た日本一つの消極的の利益であらしめたいのであります。こういう意味から考えましても、それでは一体東南アジアの住民を見ますると、どういうものが一番多いかというと、これはもう申すまでもなく農業に従事している者が多いのでありまして、これらの、殊に米作農業にいそしんでおりまする瀞等に対しまして、これらの人々の購買力の源泉は、農業、特に米作農業にあると言つていいと思うのであります。こういう無味から申しまして、日本の農機具の輸出をこれらにいたしまして、未開発地帯の米作農業が発展して、そうして収穫が十分に拳つて日本を米作農業の模範にして行くようなことに相成りますならば、日本はこれは技術指導し、或いは化学肥料を供給し、農業機械器具を供給すること等が是非行われなければならん。これによつて日本といたしましても、その地方からより安い、そうして足立なものを輸入することが私はできると思う。今日いろいろ問題にされておりますところの黄変米の問題等の解消の一つの大きな力にもなり得ると思うのであります。こういうことを考えて参りますると、この農業機械器共の輸出に対しまして、業界がやはり相当な努力をしなければならん。ただ単に展示会とか見本市たけては私はこの効果を十分に挙げることはできないと思うのであります。これにつきましていろいろ政府、特に重工業局におきましては来年度において農機具の輸出に対して御配慮がなされておるように考えますが、これらの点をどういうふうに只今考えであるか、先ず承わりたいのであります。
  69. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどの申上げましたこととも関連かあるわけでございますが、只今もお話がございましたが、例えば輸出品のこの工業組合というようなものを作るということ、併しながら輸出組合だけを作つても、ただ融合だけを作つたということでは、海外情報の収集とか、広報宣伝の業を行わないということであれば、協定だけを名目的にする組合になつてしまい、実益に乏しいというようなことも考えなければならないと思うのでありまして、只今指摘がございました、例えば農機具につきましても、現在の輸出組合よりももつと大きな観点から、いわゆる大組合主義ということにして、経費の負担も軽減する一方、組合の濫立も防止するということで考えて参りたいと思うのでありまして、例えばこの農機具の輸出組合、或いは又これと性格を同じにしておりますかに思いますが、皮革についての組合、これらは例えばこれを構成しておりまするところの組合員を拘束できるように諸般の協定ができるようにするということが一番実効を挙げることではなかろうかと思つておるのであります。要は濫立を防いで強力なものにする、同時に組合員の経費の負担も軽減できる、同時にこれが組成する組合員に対しての相当の拘束力、強制力を持たせるというようなことが、これらの農機具とか、或いは皮革とかいうものの輸出について、相当効果を挙げることになるのではなかろうか、そういう方向にこの輸出組合というものを持つて行くべきではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  70. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 中川君、大大臣にもう一点ぐらいで、時間がありませんので……。
  71. 中川以良

    ○中川以良君 只今の御答弁で、輸出組合に対する非常な御熱情を承わつて、私も非常に喜んでおるのでございまするが、併し何と申しましてもこういう、例えば農機具なんかの輸出に針しましては、これは長年に亘つて普及し、それから又業界の者が行つて、そこで実演をする、又修理をしてやる、農家の庭先で以て、これが直ちに使えるように指導するというようなことが、どうしても行われなければならん。それにはなかなか一朝一夕ではその効果が出ません。併し長年に亘つてこれは業界だけの経費の負担では容易にこれは遂行できない。やはり政府の十分なる助成政策というものが必要と思うので、是非こういう助成に対しましても、御配慮を願いたいと思うのであります。それから一方、この助成関係予算は、そうたくさん取るわけには参りますまいから、これらに対する金融の斡旋をする必要が私はあると思うのであります。元来商社の海外進出とか、今述べましたような宣伝、サービスの拡充に要します費用は、国内における設備の合理化尊上並んで、出施すべき輸出振興上の重要事項でございます。これに対する金融は、現状では触んどないように思うのでありますが、これらに対する御配慮を願いたい。輸出入銀行プラント輸出に対しまして、長期金融を扱つております。農機具のように海外に送つて、月賦或いは年賦で販売を行いますといたしますれば、これはまさしくブラント輸出と全く同じ性格を持つているのではないか、こういうようなものに対しましても、金融はできないものかどうか、重機械プラント輸出する大会社にとつて輸出入銀行の必要なことはわかるのでございますが、中小機械メーカーが年賦又は月賦販売を実施する場合には、特殊の金融を必要とすると思うのであります。規模が小さいだけに、却つてプラント輸出よりも切実なるものがございます。これらの金融を、先ほど組合を大いに助長しようという御意思でございますので、これら組合に対して是非一つ行い得まするようにお願いをいたしたいと思います。海外の宣伝サービスについては、輸出保険によつてもできるのではないだろうか、広告宣伝によつて、これらをカバーして、これが合理的に、円滑に行くようにいたしんいと存じます。政府はそういう方面に対しまして、一つ格段の、この際に新らしい方途をお開き願いたいと思うのであります。
  72. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 農機具等の中小メーカーが輸出をやりまする場合に、長期の金融をこれに与えなければいけないということは、これも誠に御尤もなことと存ずるわけであります。抽象的になりますが、現在通産省では輸出振興ということと、中小企業振興ということは、これは或る意味において一体でなければならない。日本のように、中小企業というものが、社会的にも経済的にも非常に大きな比重を占めておりまする場合は、中小企業振興輸出振興でなければならない。輸出振興は又中小企業振興を結果するものである、こういうふうに考えたいと思いまして、ひとり農機具の金融問題のみならず、これはその一つの大きな適例でございますが、何とかしてこれに適当な金融方途はないものかと、改めて鋭意検討いたしております。恐らく最近開かれまする、いわゆる輸出最高会議或いは業種別の輸出会議等におきましても、この問題は大きな一つの議題として具体策を生み出すように心がけたいと存ずるわけであります。  なお輸出入銀行につきましては、プラント輸出ですらも資金源が必ずしも十分に用意されておりませんので、その資金源の手当につきましても、今回の予算と関連して十分の配意をいたしたいと思つております。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 大臣近く渡米されることで多分御多忙のことだと思いますが、ここで、渡米に先立つて、特に私は御心児を伺いたいと思いますことは、先ず第一点は、昨年の四千万ドルの電力借款、このあとを振返つて見ますと、全部この金によつてアメリカの機械メーカーから機械を買つたということですが、それに対する第三者の批判を聞きますと、これは必ずしもアメリカでなければならんというものばかりではない、特に非常に高いということ。それから更にその機械を買うことによつて、装置その他の指導をしてもらうために、非常に高額な手当を出して、向うから技師を招聘する、それやこれやを考えますと、この借款というものは、表面的には金利の面では安いのでありますけれども、そういう負担すべからざるものを負担することによつて、専門家の言うには、二割くらいの高利の金を借りるのと同じことになる、こういうことを聞いておりますが、午前中もこれは会計課長にも伺つたのでありますが、一体通産大臣はこれらのアメリカから買いました機械等を、今でもあなたは国内では全部できないものだ、あれはアメリカから全部買つたことがよかつた、外交問題は別ですよ、別にして、一応対策関係は別にして、ただ経済ベースで、あれはアメリカから買つたのは当然であつた、このほうが経済的であつた、こういうふうにお考えですか、どうですか。これを一つお伺いしたいと思います。
  74. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この四千万ドルの借款については、いろいろの御批評もあり、これらの点については、すでに昨年以来国会についてもしばしば御論議があつた点でありますが、私は只今のお尋ねに対しまして私は四千万ドルのあの借款について、これを後悔しておる、或いはこれによつて二割の負担になつたというようなことは私は考えておらんのであります。併しながらく、後の界銀行からの借款につきましては、なお一層、前回の借款についてのいろいろの御批判や、その後考えるべきところも相当あるかも知れませんので、それらの点については慎重の上にも慎重に交渉に入りたいと考えております。
  75. 河野謙三

    河野謙三君  二割の必要になるか、一割の負担になるか、それはまあ二割か一割か知りませんけれども、そういうことは考えていないということは、通産大臣国内で部がに間に合わない機械であつた、アメリカから買う以外に方法はなかつたと、こういう、ふうな御認識ですか。
  76. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は全部か全部日本機械メーカーでは手に人らなかつたものではないと思います。併しながらこれは全体のセットとし、或いは価格の点等から申し、或いは金融上の問題からいつて、金利その他の関係から申しまして、総合的に申しまして、先ほど申しましたように、これを後悔しておるということはございません。
  77. 河野謙三

    河野謙三君 金を貸すほうの圧力で、これをアメリカから買わなければ貸さないのだ。こういうこともあると思うのです。その問題を私は一応切離して考えた場合にどうだつだと、こう思うのです。その問題を私は一応切離して考えた場合にどうだつたと、こういうことです。日本の現在の工業技術カ、特に電力機械の現状等から見まして、今後もこういう問題が起るのてすが、一体どうなんでしようか。
  78. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それでありまするから先ほど申しましたように、この問題を一つの総合的な観点から見まして、私は純経済的に見て成功であつたか失敗であつたかということは、いろいろの御批判がございましようが、私自身は後悔いたしておりませんということを申上げると同時に、今後の問題については、そういう語議論もいろいろあることをハンブルに我々としては反省もし考えもしなければならない、それだけ慎重の上にも慎重に外資の導入に当つて考えたいと、こういうふうな気持でおるわけであります。
  79. 河野謙三

    河野謙三君 その気持をもつと具体的に私は伺いたいのです。というのは、今度御出発されました場合に、向うに行つても当然その種の話もあると思うのです。例えば今問題になつておる北海道の泥炭地帯の開拓の問題とか、愛知川水の問題とか、八郎潟の干拓の問題とか、こういう問題もあることと思います。現にあるのですから……。その場合の借款が仮に成立した場合に、やはり前同様に、国内で当然できるような土木機械等も全部向うの、金を貸すほうの圧力によつてこの前の四千万ドルの借款と同じような条件に落ちつくことは、一方において輸出振興をやるのだと、国内産業の振興をやるのだと、又それをあなたが責任を持つて指導しておられる、そのあなたの立場として一体どうなんですかというのです。
  80. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今漸く話が始まりけかておりまするような諸般の案件につきましては、これはまだ我我といたしましても、只今指摘のような点について十分折衝、話合いに努めなければならんと思いますから、まだ結論的に申上げる時期ではないと思います。併し一例を申上げますると、例えば現に水力電源の開発関係世界銀行の調査員が参つております。連日現場につき、或いは資料の上において、或いは多くの関係の人との話合いにおいて、仕事を進めておるのでありますが、私は直接この調査員等と接触はいたしておりませんけれども、私としての指導方針といたしましては、例えば話題になると思われる機械等について、果してその機械日本でできないかどうか、その機械を作るとしてコストがどれだけ迷うかどうかというような点についても、十分の検討をしなければならないということを指示いたしておりまするし、それらの先方との応答その他については、十分に私自身といたしましても責任がとれるように、又将来話合いがまとまりました場合は、これはこうこういう検討の結果妥当であつたということが自身を持つて申上げ得るように、調査を進めるようにいたしております。従つて、先ほど申しましたように、慎重の上にも慎重にと、一部のかたがたは非常に早く借款の成立を期待しておられる向きもございますけれども、私は多少の時間の問題ではこれはないのでありまするから、できるだけ皆様方に御納得の願えるようなふうに借りるものならば借りたいということで根本の方針といたしております。
  81. 河野謙三

    河野謙三君 この借款の問題は、私たちの希望は……、希望というよりは、当然のことですが、金を借りることと、その金によつて物を買うこととは、これは全然別なことなんですね。それを、給末論になりますけれども、例の対米電力借款の場合には、金を借りることが同時に貸すほうの側から条件を付けられて、どこの会社から何を買えということになつておると私は聞いております。今度の借款の場合には、金を借りることと、物を買うこととは別であつて、その借りた金によつて物を買う場合には、どこまでも借りたほうの日本側において自主的に、ドイツの機械が安かつたらドイツから質つたがいいだろうし、アメリカから買つたがいいだろうし、それから又国内で間に合うものは優先的に国内で間に合わせる、こういう物を貰う場合には自主的におやりになることが当然であると思いますけれども、それをやれない何か事情があるのですか、それを私は特にこの際伺つておきたいのです。私は何もメーカーから意見を聞いておるのでも何でもない。電気関係機械が一体アメリカでどういうものができ、日本でどういうものができ、日本でアメリカと同等の性能のものができて、それが半分値とか、又三分の二の値段でできるのだと、無駄なことをしたものだという第三者の公平な意見があるのです。これは恐らく、我々の耳に入るのですから、大臣の耳にも当然この批判は届いておると思う。今後の問題ですが、この点については一体どういうふうなお考えでありますか、伺いたい。
  82. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 何か自主的でない事情があつて、借りたくない金を借りさせられて、買いたくないものた買わされたということを前提にしてのお話でありますが、さようなことは私は断じてないと考えます。殊に今後において、借りるものにつきましては、借りるというような話合いにつきましては、私も当事者で責任者でございますから、只今お話のありましたようなことは、更に十分に御意見として承わり、且つこれを尊重して参りたいと存じます。
  83. 河野謙三

    河野謙三君 非常に私の言葉が足らん関係と思いますが、誤解があるようですが、借りたくない金を無印に押付けられたというようなことは私は考えておりません。金は偏りたくてしようがない。ただ金を借りることと、作りた金によつて物を貰うこととは別ですよ。例えば国内の取引でもそうでしよう。我々が銀行から金を借りる場合、この金で買うものは何と何、何々商店から買え、三越から買え、松坂屋から買えというような注文を受けて借りることはないでしよう。私のみならず、金を借りることは、この際でありますから国民全体が作希望しておる。さらばといつて、向うから物を買う先までも押付けられたような今までの経過というものは甚だ遺憾だという……、これも国力の関係で止むを得ないと言えばそれまででありますが、併し今後の借款においては物を買う場合には自主的に政府がやれないものかどうかということを私は伺つておる。
  84. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 今までにお答えしたことで尽きると思いますが、私は金を借りるということは、国が借りる場合もございましようし、会社が借りる場合もございましようが、これは独立国の下におけるところの会社である以上は、主体性を十分持つて借りる話を進めるべきものであり、これを又政府が協から援助をする場合におきましても、当然その心組でやるべきであると考えます。
  85. 河野謙三

    河野謙三君 念のために申上げますが、例えば今電気機械の話でありますから、電気機械について、あの機械はアメリカから買わんでも、この部分品国内で間に合つたではないか、これはなぜアメリカから高いものを買つたかということは、あなたのお耳に届いておりませんか。
  86. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども申しましたように、いろいろの議論があることは承知いたしております。
  87. 河野謙三

    河野謙三君 議論つて……、そういう私が今申上げるようなこともあなたのお耳に入つておりますか。
  88. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そういう意見があるということと私の意見は違います。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 その意見は参考にするに足らないと、こういうことですか。
  90. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 参考とすべきものがあれば参考といたしますことは、只今河野さんのおつしやつておることも、私は十分尊敬をして伺つて、そういう趣旨でやりたいと私申上げておる通りでありますから、私の気持を十分御諒察願いたいと思います。
  91. 河野謙三

    河野謙三君 それならよくわかるのです。今度アメリカにおいでになるのだから、その問題も向うで出るだろうから、そういうことも十分一つ考えになつてお願いしたいと、こういうことを申上げておるのです。何か私は言葉がきついせいか妙に誤解されて困るのですが、ただあなたが向うに行つた場合に十分そういうことも含んで働いて頂きたいということを申上げておるのです。  それからこの機会にちよつと伺いたいのですが、電気の問題ですが、この前突如として電気料金の値上げをやられたのですが、あれは大臣の職権でやられたのですか、あれは第四十一条ですか、それとも電力会社の申請によつてやつたのですか、それを先ず第一に伺いたい。
  92. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ず前の点からお答えいたしますが、私がアメリカへ出張いたしますにつきましていろいろ御注意を頂きまして、誠に有難うございます。それから電気料金の問題は、前々から詳しく私どものとりました態度の経過等をできるだけ率直に申上げておるつもりでございますから、おわかり頂けておるだろうと思うのでありますが、要するに現行制度の下におきましては、申請に対しまして通産省としてこれを認可をすると、こういう建前でやつておるのでございます。
  93. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、あれは申請によつてやつた措置ですか。
  94. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 一日でイエスかノーかとおつしやられれば、イエスてございます。
  95. 河野謙三

    河野謙三君 どうも何か妙に私が含むところあつてお尋ねしているようなんですが、愛知さん、私もあなたと知らない仲じやない、(笑声)そんな企らみを持つてつているのじやないのですが、ただ併し如何に大臣であつても、大臣の行動にはおのずと準拠すべき法律があるわけです。だから四十一条によつておやりになつたのか、それとも申請によつておやりになつたのか、これは簡単も複雑もない、右か左か、どつちか一つだと思う。それを私伺つておるのに、一日に申せばこうだというようなことは……、もう少しその点どうですか。お互いに親しい仲ですから、親しみのある御答弁を願えませんか。
  96. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 親しみを私も覚えますので、(笑声)極めて率直に簡単に申上げておるのでありまして、これはこれ以上はもう御存じであると思いますので、省略いたしたいと思うのでありますが、申請に基いて法律によつて認可をいたしましたのでありますが、先ほど申しましたように、随分長いことかかりまして、苦心に苦心をしてやりましたのでありますから、一口に申せば正直に申しまして認可であるのでありますが、その過程におきましては、そういう建前と形式とを尊重しながら、いろいろの苦心を払つたわけでございます。
  97. 河野謙三

    河野謙三君 まあ私は折角大事な門出の際ですから、余りどうだこうだと言いたくないのですが、私もそれじや結論だけ申上げますと、この間とられた措置は形式から言いますと、申請によつてやられたようには私は受取れないふしがたくさんあるので、だから私は四十一条によつてやられたということであれば、この間の措置は私も十分認めるだけの裏付がありますが、申請によつてやつたということについては、裏付が少し足らないのじやないかと思うので申上げたのですが、これをどうだこうだと責め立てしようとは思いません。  それから電気料金についてもう一つ伺いたいと思いますが、この前の委員会に大臣御出席でなかつたのですが、私は今度の電気料金位上げについて、もう少し例の聴聞会と申しますか、公聴会に当然かけなければならん条項が内容的にたくさんあるにもかかわらず、これらのものにはかけないで、聴聞会というものを素通りしてやられたことについて、私は非常にこれは場合によると法規の無視だと思うのですが、今お考えになつて、そういうことはどうもあの点が少し足らんとかいうようなことを私は責めるんじやないのですが、今後のこともありますから、そういう点は反省されておりませんか。
  98. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この電気料金の一応の結末は、私もこれは自分で満点だと自画自讃はいたしておりません。いろいろ考えるべき点、ああもすればいいか、こうもすればよかつたかと思う点もございます。併しこの聴聞会の問題につきましては、御承知のように、又先ほども申しましたように、申請が出てから聴聞会を各地でやりました。  それから今度は料金制度の改正のほうにつきましては、七月に入りましてから聴聞会をやりました。そうしていろいろと政府側でも苦心をいたしましたし、計算にも手間取るというようなこともございまして、できるだけいわゆる下期、十月なり十一月に入る前には少くとも片付けたいと思いました関係もありまして、法律的に見て改めて聴聞をやる必要はないという解釈をとり、又内容的にも十分に公聴会を通じて諸般の意見を聞いたという自信を私としては持ちましたので、更に改めて聴聞することはしなかつたわけでございます。
  99. 河野謙三

    河野謙三君 まあ間もなくお帰りになると思いますから、お帰りになつてからゆつくり一つ又議論さして頂きたいと思いますが、聴聞会を確かにやられましたが、聴聞会にかけた内容に欠けておる点があつたのです。これはまあここではやめますが、お帰りになつてからあなたも又少し楽になつたときに一つ伺いたいと思います。どうも今日は何か愛知さんはいつもの愛知さんと違つて、お忙しいせいか、少しすぐに興奮されるようですから私はやめます。  それから次に付いたいのは肥料の問題ですが、過日これもあなたが御欠席でしたが、肥料審議会の結論が出ないうちに電気料金の値上げが決定して、その特約料金がそれぞれの会社と幾らになるというようなことはきまつておりませんけれども、電気料金の値上げが認可になると同時に、具体的にあなたのほうの公益事業局長が今度の値上げによつて、硫安にはガス法、電解法を平均して一叺六円乃至七円の影響がありますと、こう言つておられる。それで私はそれだけ影響があるなら、今まだ審議会の結論が出ないのだから、政府原案を修正して、電気料金の値上げを織込んで、そうして審議会に諮問されたらいいじやないか、こういうことを言つたところが、これは通産省としては電気料金は値上げになりましても、これは極く微弱であるし、同時にこの分はメーカーの計算の中に吸収させますと、こういうことを言われるわけです。そこで私は吸収してもらうのはいいけれども、曽つての対米借款じやないが、感謝決議だけさせられて、あとになつて付けを廻された例もあるから、ここで電気料金はメーカーがサービスします、又通産省はメーカーに負担させますと言いながら、この次の肥料の公定価格の改訂のときに、前年度において電気料金の貸しがあるから今度それだけ織込むということになると困るから、そういうことはしないのかということで、言葉をいろいろ尽して前後三十分に亘つて、これは委員長も御記憶があるはずです、いろいろ尋ねたところが、最後の結論として政務次官が立たれまして、こういうことを言つておる。「硫安会社に今度負担させた値上分はこの次の会計のときに当りまして更に遡つて消費者である農民には決して負担はさせないという決意を持つております。御了承を願いたいと思います。」と、こう言つておられるわけです。これは当然なんですよ。それはその前に愛知さんがおいでになつたときも、常に終始一貫政府はこの態度だつたのです。ところが附くところによると、今度は肥料審議会の附帯決議で二十八円を二十二円に六円下げさせた。併し今度は改めて電気料金が価上げになつたのだから、この分は史に政府原案に附加えてもう一遍審議会にかけて一つ御決定を願いたい、こういう附帯決議をしておるわけです。審議会がどういうふうな附帯決議をしようと、政府が今まで我々国会に対して、大臣、政務次官、特に政務次官が大臣に代つてのこういうはつきりした御答弁に対して、一体今後どうされるか。何も二十八円を二十二円にしたのは、電気料金の関係で二十二円にしたのじやない。六円下げた内容は私も知つております。六円下げた内容は電気料金の問題は何もないのです。まさか我々こういうことはされないと思いますが、若しこれを審議会の如何に附帯決議であろうが何だろうが、これを審議会の附帯決議を取上げて、あなたのほうが電気料金が上つたのだから今度値上げいたします、こういうことがあつたら、これは完全に政府の重大なる食言ですよ。まさかと思いますけれども、私はあえてこの点一言御答弁を願いたい。
  100. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この問題についての経過、それから考え方を申上げたいと思います。これは御承知のことを繰返すようで恐縮でございますが、肥料審議会に政府の諮問案を提出いたしましたのは八月末でございまして、そのときには一般電気料金の改訂率も最終的にはまだ私ども明らかにするに至つておりませんでした。又その時期についても、当時はまだ明確にするに至りませんでしたので、政府の諮問案の八百二十八円というものには、電気料金の引上げによるコストの増嵩分は織込まなかつたのでありますが、将来の電気料金引上げによる影響につきましては、特約制度等の運用によつて極力軽微にするよう努力することとし、且つ硫安会社におきましても非常にこれは迷惑なこととは思いましたけれども、政府諮問案の八百二十八円の範囲内において何とか更に工夫努力して、忍んでもらうようにお願いをするつもりでおつた次第でありまして、この点は只今河野さんの御指摘通り、私どもの、その当時以来御説明しておつた次第でございます。併しながら肥料審議会においてなされました答申は、すでに将来の企業努力による相当のコスト低下も織込んで決定したつもりでありました。政府原案の八百二十八円に対しまして、更に六円という相当大きな企業努力を要請することとして、八百二十二円に決定をせられたのでありますが、同時にこの八百二十二円の答申の価格には、料金改訂による生産費の上昇はこれた含まないということになり、従つて電気料金改訂による生産費の止むを得ない上昇は、これを将来認めるものとして、政府においてその成案を得次第、速かに審議会に諮問させることとするという申合せが、只今の御指摘通りなされたのであります。従つて政府におきましては、これらを尊重いたしまして、目下鋭意計数の監理中でございまして、近くその成案を得たいと考えておるわけでございますので、そういう意味におきまして御納得と御協力を願いたいと存じます。
  101. 河野謙三

    河野謙三君 私はそういうことを聞いているのじやないのですよ。要するに電気料金が現に値上げになつている際にいろいろ討議したのですから……。そうしてこういう値上げになつて来ても、この値上分は政府は織込みません、将来にもこの値上分につきましては、次の改訂のときにこれを埋合せするようなことはいたしませんと、こういうことを今政務次官の速記録を読んで申上げたように、はつきりしているわけです。何も二十八円のものを六円引いて二十二円にしたというのは、電気料金に関係して六円引いたのじやない、六円引いたのにはちやんと理論的な根拠がある。消費者、生産者双方の間に立つて、学識経験者も入つて、六円引いたのは電気料金の関係で引いたのじやない、そんなものは関係ない。でありますから、一体今まで政府のとつて来られた態度はどうだつたのかと聞いているのです。
  102. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今縷々申上げましたのは経過であり、又私の考え方であり、同時にお願いでございますが、これは政府の諮問案が八百二十八円であつたのだということに一つ御注目を願いたいのでありまして、これは速記録をここに持つておりませんから、あとで又調べても見たいと思いますが、政務次官から申上げました中に、先ほど御引用になつたもののほかに、更にその前提として、政府諮問案の程度に最高の価格が決定された場合は河野委員のおつしやる通り云々と、こういう発言もあるのでございまして、この点は十分私どもの態度というものをおわかり頂けるものと思います。
  103. 河野謙三

    河野謙三君 これは私わからない。というのは、政府諮問案の程度においてきまるならというようなことは書いておりませんよ。そんなことは書いてない。そんなことで答弁されるなら、私は承知しませんよ。そんなことは速記にないが、仮に百歩を譲つてあつたとしても、二十八円を二十二円にしたというのは、政府原案が疎漏であつて、六円だけ計算の違いがあつたから二十二円にしたということなんですよ。それはそうでしよう。若しそうでないというなら、初めから二十八円を突つぱればいい。何も審議会の答申がどうであろうとも、政府原案に自信があるなら、二十八円をおやりになればいい。それは審議会でいろいろ各委員が慎重討議した結果、六円だけ疎漏があつたということを認めたから、あなたがたは二十二円を認めたのじやないですか。六円引いたことと電気料金をからんでさせることは間違いなんです。同時に今申上げましたように、私が政務次官から答弁を伺うには、非常に念入りに伺つておるのです。この結論が出るまでには三十分かかつた。なかなか的が外れて答弁かできないから、委員長を通じて私は答弁を求めた結果がこういうことなんです。それはあなたの気持は、政府原案に若しきまつたならということを言うつもりであつたかも知れませんけれども、政務次官はそんなことを言つていない。これは愛知さん、いけませんよ。これは完全なペテンです。二十八円を二十二円にして六円引いて、そのときは電気料金は上つておる。電気料金が上つたら六円上げますと言う。電気料金の影響は幾らかと聞いたら、六円か七円と言う。六円上げるということは初めから企らんでおる。そういうことは過去においてしばしばあつたから、この問題について伺つたのです。これも恐らくあなたの御旅行中に、その審議会か何かに電気料金の値上分を含んだものを諮問してきめようとおつしやるかも知れないけれども、審議会と政府の間はどうあろうと、我々議会と政府の問の質疑応答の中には、はつきり電気料金というものは今私が申上げましたように、終始一貫メーカーの負担においてこれを片付けさせる、こう言つておられるのですが、この態度を変えられることはどうしても納得行きませんよ。そうじやないですか。
  104. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それでありまするから、先ほどもお断わり申上げましたように、速記録を見なければ私も自身がございませんが、私どものほうの態度としては、八百二十八円というものを中心にいたしまして、この範囲内において云々ということを申しておつたわけでございます。それから審議会は国会ではございませんことは申すまでもございませんが法律によりまして諮問する機関として諮問したわけでございますが、そこでの経過は先ほど申上げた通りでございまして、わざわざ電気料金分は別ものだということの申合せまで付いておるくらいでございますから、これは政府の意図というものがこの形に呪われておるものでございまして、私は電気料金の分がそういう取上げ方の下において抽出されて、これを別に取扱うということになりましたことは、私は事の審議の経過から申しまして、ペテンどころか、誠実過ぎるくらい誠実に皆様の御意見を尊重してこういう経過を辿つておるものと、私はこういうように確信いたしております。私はこれについてペテンだとかどうだとか言われるようなことは、毛頭私としては考えておりません。
  105. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 河野君に申上げますが、時間の関係で、大臣に対する質問はもう一問くらいにして下さい。
  106. 河野謙三

    河野謙三君 それでは速記録をよく見た上でとおつしやいますから、速記録をよく見て頂きますか、速記録の通り忠実に政府は態度を変えませんか。
  107. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は政務次官が申したはずだと申上げたのでありまして、その点は御指摘のように、速記録にないかあるか、私も今わかりません。これは事実が別にあるわけでございます。それとは離れまして、私が今縷々申上げましたのか、私の気持でございますから、さよう一つ御了承を願いたいと思います。
  108. 河野謙三

    河野謙三君 そこで政務次官なり局長が言われたことは、速記録を見ればわかるのですか、速記録を見た上で、自明の理ですから、速記録に若し私が申上げたようになつておれは、その通り政府はその態度を変えませんかというのです。若しあなたがおつしやつたように速記録がなつておれば、私が川違いでありますから、私は何をか言わんやであります。速記録の通りになさいますかということです。
  109. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私の本日申上げましたことが、政府の見解でございます。
  110. 河野謙三

    河野謙三君 それは大変だ。そうすると政務次官が育つたことと、あなたの言つたことと違う。あなたは政務次官の言つたことに責任を持たないのですか。
  111. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 政務次官の申上げましたことには責任を持つということは、前回の委員会におきましても、私はくどく申上げました通りでございます。私は併しこの諮問案の取扱方の経過について、その足取りを誠実に先ほどから申上げておる通りでございますから、私の説明によりまして御納得が頂けるものと私は思つております。
  112. 河野謙三

    河野謙三君  そうじやないですよ。私が伺つておるのは、政務次官がおつしやつたことと、あなたが今日おつしやつたことと、今私の承知しておる範囲では非常に食い違いがあるのです。その場合にあなたは、おれの言うことが本当であつて政務次官が何と言おうが、それは言つたことは間違いだ、こういう御見解ですか、ということを聞いておるのです。
  113. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 政務次官の申しましたことは、私の申上げることと同様であると確信いたしまするし、私は常に責任をとるということは、前前からくどく申上げておる通りでございます。併しながらその政務次官の意見というものは、私が今申上げましたところと迷つていない、そういう前提に立つておるのであります。
  114. 河野謙三

    河野謙三君 その前提が違つて、私も違つていないと思うけれども、若し違つていた場合には、政務次官がおつしやつたことが、同時にあなたの責任においてなされたと解釈していいのですかどうてすか。速記録を見た上で後日に譲ります。
  115. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申上げておりますように、政府諮問案にある程度に最高価格が決定された場合にはということを含んで政務次官が申上げましたことは私の申上げた意見だということであります。
  116. 河野謙三

    河野謙三君 それがそうでなかつたらどうするとあなたは言われるのですか、現に私は速記録を写して来たのです。そういうことは入つてないのですよ。だけど私の見損いではいけないかうもう一遍見ますが、若しそれがなかつたときには一体どつちをとるのかということです。若しそういう言葉がついていなかつたときには政務次官に取消させると言われるのですか。
  117. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは何度も申上げますが、はつきり申上げますが、先ほど申上げましたように八百二十八円ということを前提にして当時から考えておつたわけでございます。私はそういう考え方で政務次官が答弁されたものと思います。
  118. 河野謙三

    河野謙三君 それは、だから今日何もここできめるというのではないのですよ。あなたの気持がそのまま政務次官の答弁になつていなかつたときはどうなんだということを聞いておるのですよ。あとで速記録と調べてからでいいですよ。あなたがそういうつもりで政務次官に点を含めたと言われるかも知れませんが、政務次官がそういう答弁をしていなかつたら、現に私の手許に来ている速記録にはないのですよ。そういうことはどうなんだと聞いているのです。
  119. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は何度申しましても同じなんですが、八百二十八円ということと、それから政府諮問案の程度ということを前提にして一貫して……。
  120. 河野謙三

    河野謙三君 あなたの言つていることはわかつているのですよ、それはいけませんよ、あなたのおつしやることはわかります。あなたの気持はわかります。併し若し政務次官がそう言つていないことは速記録を調べた結果わかつているが、政務次官の答弁たるやそれが一分や二分の質疑応答ではない、三十分もかかつて結論としてはつきり申されたのがそうです。而もそのとき原稿を持つておられた、恐らく局長が書いたんでしよう。そのときの速録録があるのです。それと違つた場合にどつちを政府としておとりになるかということを言つておるのですよ。速記録を見てからでいいですよ。ただそれだけ聞いておけばいいんですよ。
  121. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 答弁がないようですから時間が若し余れば……。
  122. 河野謙三

    河野謙三君 余ればと言つたつてものの十秒もかからないじやないですか、それくらいの結論はつけておかなければいけませんよ。今後政府質疑応答はできませんよ。大臣がおいでにならなければ全然質疑応答はできませんよ。次官が来てもわけがわからん、局長が来てもわけがわからん、大臣、外は質疑応答しても何も真実性がないということでは委員会の意味ありませんよ。これだけはつきりして下さい。
  123. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) どうも今度は河野さんに非常に御興奮頂いて恐縮なんでありますが、(笑声)私はさつきから言つておりますようにそういう前提で御答弁をいたしておると考えておるのであります。ですからこれは調べましてそうでないということであつたら又そのときにどういうふうに違つておるかということについてとくと調べたいと思います。
  124. 河野謙三

    河野謙三君 私は保留しておきます。
  125. 海野三朗

    海野三朗君 私は六頁にあります技術振興費というところですが、通産省としては原子力の平和的利用研究とかいろいろここに項目が出ておりますけれども、技術振興と言いますと、例えば自動車の場合アメリカ製と日本製、イギリス製と日本製を比較して見ますというと乗心地からして違うし、全然お話にならない、これはどうしてであるかというと、組立とかそういうふうなにあるのではなくて、材質が先ず第一根本であると思うのです。その材質研究になりますと、例えば東北の金両材料研究所というような金属専門の学者がきら星のごとくにおるのであります。そういう方面自動車部分品にいたしましても二百幾種類もありますが、その部分々々についての研究介をしてもらつたならば日本自動車にいたしましても決して欧米に劣るようなものではないと私は思うのでありますか、そういたしますと金属材料研究所、或いは学術振興会、そういう方面になるとそれは文部省の管轄になります。文部省の管轄になりまするので文部省のほうを調べて見ますと、実にその研究費というものはまるでなつていないような微細なものであります。例えば或る一つ研究室の教授の研究費になりますと十万円足らずというような金になります。十万円もらつてもパイロメーター二つくらいしか買えない。そんなことで研究成果が挙るものではない。従つて通産省あたりで幾らここに鉱工業の技術研究補助だといつて出して見てもその根本ができていないのでありますから、その折本にもつと力を人れなければいかん、その力を入れるときになるとそれは文部省の管轄になるのでありますか、その辺の関連性をどういうふうにお考えになつていらつしやるか、通産省だけでお考えになつて工業技術院があるからというけれども、工業技術院決して万能ではありません。そういう方面研究については私は文部省でやる或る一つ研究でもそれが直ちに応用するというと通産に関係して来ます。その辺のところをどういうふうにやつて行きなさるお考えであるか、そこを一つお伺いしたい。
  126. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この点は御指摘通り非常に問題のある点であると思いますが、細承知の通り国立の大学に直接置かれておりまするところの試験所、研究所或いは附設されてあるところの研究所等についてはこれは文部省所管の予算要求になり、又従つてその運営も文郎省所管ということになつております。それ以外の、国立の学校大学等以外の研究所、機関等に対する助成、 補助等は技術振興費その他として通産省の所管になり、或いは又他省の所管になつておるものもございますが、大きく申しますと、技術関係振興費は大体通産省であるということが言えると思うのであります。そこで只今指摘がございましたような点につきましては両者の相互の連絡をよくしなければたらないというので、特に文部省通産省の間におきましては事務上の連絡、或いは予算要求についての連絡ということについて十分連繋をとつておるつもりでございます。そうしてその場合補助の関係におきましても第4技術振興費の(1)鉱工業技術試験研究補助、この補助金は民間の工業化の試験に対して国立大学、或いは研究所等においての研究が工業化する場合の、その補助についてこの項目による補助金を出しておる、こういう関係になつております。
  127. 海野三朗

    海野三朗君 今まで通産省で鉱工業技術試験研究、そういう万両のお金の配分状態を見ておりますと、甚だ私どもが納得ができない配分の仕方をやつております。今度工場のほうに行つて見ますと、何らの設備もないのに百万円乃至二円万円の交付金を出しております。そうしてそこから出て来ておる研究結果がどうかというと、実に一つもあれにあつていないのですよ。ですから通産省研究費を与えられるときにはやはりその筋の専門まが行つてはつきりよく調査した上でおきめになるようになさらなければならないのじやないかと思うのであります。これは今郷参考に中上けたのでありますが、私がお伺いいたしたいと思います。のは、それはそれにいたしまして、今度石油資源の総合開発五カ年計画費用でありますが、これは」度予算、見ますと約十倍になつております。これは尤に大臣が言われました来年度はこういうふうにしたいというお考えを伺つたのでありますが、このうちの資源の開発に対しましてどこが使うかと申しますと、まあ今日で申しますれば帝石が使う。そういたしますと帝石の資本金に比べて何倍というお金になる。そういたしますとその補助金ではなく、むしろ帝石の株を政府が持つたらいいじやないか、そうして国策の線に沿う会社にして行かれるのが本当じやないのですかと、まあ私は思うんですが、この点についても大臣の御所見を承わりたい。  それからこの前丁度大臣御欠席でありましたが、鮎川氏の就任について、この前私は発言をいたしたんです。私は個人的には何も申すんじやないのですよ。鮎川君は曽つては満州において、満州重工業総裁であつて、あれはつまり侵略会社であつた。そういうふうな前歴のある人をこの帝石に据えるということは、東南アジアの諸国に対する印象において、私は日本の、将来どうせ、東南アジアの開発ということに対しては日本指導権を握つてつて世話してやらなければならないものである。そういうときに対してこういう前歴の人をなぜここへ持つて来たのか、もつと適当な人があつたんじやないかというふうに思うんですが、この人をここに持つて来たまでのその経路を一つ伺いたい。  その次には、この前帝石の内紛が解決した後において交付するというお話でありましたが、鮎川氏が社長になつてこれで内紛が解決したとお考えになつておるのか、又まだ解決しないというふうにお考えになつておるのでありますか。若し解決したとお考えになるならば、この帝石に対する助成金は早速政府が出してやらなければならないのじやないか、こんなふうに考えるのでありますが、その諸点についてお伺いいたしたい。
  128. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ず第一の御趣意のありました点につきましてはこの上とも、従来も随分気を付けておるつもりでございますが、折角の補助金、助成金が本当に欲するところに流れるように、なお実地の調査その他を進めることにいたしたいと存じます。  それから石油資源開発五カ年計画につきましては、昭和二十九年度においても一億三千万円という僅かな金ではございましたが、財政窮乏の折にもかかわらずこの補助金を計上いたしましたことは、石油問題に対する当局の意図の現われであるとも考えておるような次第でありますから、三十年度におきましてはできる限り本格的な国内石油増産に着手できるようにいたしたいと思いまして十億以上の予算要求しておるわけでございます。  それに関連して第三のお尋ねは、鮎川義介氏の問題でございますが、鮎川氏の人となりにつきましては、これは私の意見は差控えさして頂きたいと存じます。ただこれは申すまでもございませんが、この経過をこの際これも率直に御参考までに申上げたいと存じますが、先ず第一は只今帝国石油という会社を国策会社、特殊会社にしたらどうかという御意見でございますが、これについても私は謙虚に、やはりそういう意見が政府としても考究に値すると思つておりますが、直ちに私は通常国会に帝国石油会社特別会社法を出すというまでのことの研究は私どもとしてまだ進んでおりませんが、十九国会のときに本件に関する一つの一般的な法律案を出しまして成立さして頂きましたことは御記憶に新たな通りでございます。この種の事業に従事する会社に対しましては、例えば経理その他について厳重な監督規定を置いたわけでございます。それまでは政府としても割切つたのであります。併しそれはともかくとして現在の帝石は特殊会社でございませんから人事権は政府にございません。株のほうにおきましては大体十億円の資本金のうちの二割程度が財閥解体、特殊会社解体の当時の指令によりまして政府の持株を解放したいわば売れ残りが二割程度現在残つておる、こういう状態なんでありまして、私の考えとしては、少くともこの株だけは持ち続けなければならんと思つておりますが、現状におきましては、併しともかくも人事権はないのであります。そうして政府よりも持株の多い人もおりますし、そのほか大株主は相当おります。この人たちの間で現在の社長が内紛を取り静め、且つ政府の石油国策に対して協力ができるような体制にするためにいろいろ考えたが、この人が適当であるということで株主としての推薦があつたわけでございます。政府といたしましては、その当時話を受けた鮎川氏からの求めによりまして、私も会見いたしましたが、私は就任を勧めるというよりも、むしろ帝石に対して、政府が石油資源開発五ケ年計画をどういうことを考えておるか、どういう観点から帝国石油なるものに対して期待を持つておるかということについての政府方針を詳細に私としては説明をいたしました。それで、あなたがやられるならばおやり下さい、又そういう意見と違うならばこれは考え直して頂かなければならない。私の態度としてはさような態度でございます。で、その後政府の見解は私のみならず大蔵大臣も求められたようでありますが、そういう政府方針考え方は自分としては全く適当と考えるので、自分は株主総会で選任せられた場合にはこれを引受けて、政府の国策の線に沿うで御協力を申上げたい、こういう申出がございました。その後正式手続をとられて就任せられたことは、現状の通りでございます。  従つて私は第四のお尋ねでございますが、帝石の内紛が解決したかというお尋ねに対しましては、私は解決したと申上げることができると思います。で、更に詳細は省きますが、この人事に関連いたしまして、従来の重役陣は殆んど全部一掃せられまして新らしい陣容が確立いたしました。この点を内紛が解決したと思いまするので、私といたしましては補助金を交付し、且つ所定の線に沿つて大いにこの会社が発展してくれることを期待いたしておるわけでございます。
  129. 海野三朗

    海野三朗君 最後にもう一つ私はお伺いいたしたいと存じます。今までの通産委員会において私は再三この原油の輸入関税を取上げて申して参つたのでありますが、やがて、来年の三月までは免税なのでありますが、まだ来るべき三十年度においてはあの七十億という関税を取らなければならないのじやないか、私はそういうふうに考えるのでありますが、あなたが経済審議庁長官として、又閣僚のお一人として如何ようにお考えになつておりますか。関税をかけるべきものであるという法律がちやんとあるのに、今年一年だけ免税、今年一年だけ免税といつて、二十六年からこれを免税して来ておる。ほかに免税しなければならない中小工業がたくさんあるのです。その石油だけ免税して来ておつた。二十九年も終り、三十年においてもまだそれを、一年間その免税をやるのが妥当とお考えになつておるか。三十年度だけはこの一割を何としても取つてやらなければいけないとお考えになつておるか、その点をお伺いいたしたい。
  130. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはこの前の機会にも当委員会で率直に申上げておると思うのでありますが、私はこの関税定率法の特例はもう廃止してもらいたい、私はさように考えております。ただこれも申すまでもございませんが、油類につきましては、農水産関係でやはり中小関係等において必需品である関係でもございますので、全部一律この除外例を撤廃してよろしいがどうか、或いは関税定率法としての除外例はなくしますけれども、特定の用途のものにつきましては戻税をするという程度の私は配意は総合的に見て必要かと思います。従つて六十七億でございますか、現在のこれによつての間税収入が。その六十七億かに計算されておりますものが全部国庫の収入として入ることが期待できるかどうかはにわかにお答えできないと思いますけれども、私はやはり原則はこれはもう関税をとつて然るべきじやないか、一宗の戻税を条件にして、こういうふうに考えております。
  131. 田中一

    田中一君 私は建設委員会で大臣に御出席願つていろいろ質疑をしたいと思つたんですが、常に時間の制約を受けまして十分なる質疑を尽せないでおつたという関係上、通産委員に参りまして一応昨年の西日本の風水害によるところの遠賀川の決壊問題、これに続くところの鉱害問題について質問したいと思います。前回建設委員会におきまして大臣が鉱害対策については通滞省としては特別なる調査機関を持つ意思はないという御答弁があつたのでありますが、九月に閣議決定になりましたところの北九州総合開発計画、これに総理大臣に対してはつきりとそのような機関を持てという要望書を付けてございます。これについては大臣は御承知でございますか。
  132. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その書類は拝見いたしました。
  133. 田中一

    田中一君 これにつきましてこの問題は閣議でどういうようなこの要望に対する意見の取りまとめができたのか、又この要望書に対しまして先般通産大臣が答弁したようにその意思はないというように了解してよろしうございますか。
  134. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 特にこのために特定の委員会の設置ということは考えないでもいいのではなかろうか、これはその事態の重要ということと別でございますが、機構の問題として委員会の設置というようなことは考えないでもいいのではなかろうかというのが大体私どもの考え方でございます。
  135. 田中一

    田中一君 第十九国会におきまして遠賀川の決壊並びに鉱害問題につきまして木村禧八郎君から内閣に対する質問書が出ております。これに対してこの遠賀川決壊というものは余分な水が出たために決壊したものであつて不可抗力であるというような答弁をいたしておりますが、現在も大臣は不可抗力であるという結論に対しては御意見の相違はございませんか。
  136. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その通りに承わつております。
  137. 田中一

    田中一君 前回この問題につきまして建設当局を呼んで十分質疑をいたしました。当時菊池技監は、これは鉱害によるところの決壊ということも考えられる、従つて遠因は鉱害にあるというような答弁をいたしております。幸いそこに建設省の河川局長が来ているから、一体これは単なる異常出水によるところの決壊と見られるものか、或いはこの遠因というものは鉱害にあるのではなかろうかというような考え方を持たれるかどうか、大臣と何時に河川局長の御答弁を願いたいと思います。
  138. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今指摘のありましたようなお話もあつたのかと思いますが、その後これもよく田中さん御承知と思いますが、建設省の遠賀川の工事事務所古賀所長、それから九大の内田助教授というようなかたがたを主体として、又松尾教授ほか数名の教授も参加されて調査研究が行われた井川調査の報告によりますと、決壊個所の提防から約三十メートル離れた個所に以前からかなり大きな池があつて、この池の底が透水層に通じていたことが明らかであつたという断定かあるわけでございますし、堤防に対する鉱害の影響は認めることができなかつたと述べておられるのでございまして、私はこのリポートを信頼いたしておるわけでございます。
  139. 米田正文

    説明員(米田正文君) 只今のお話の中にありました菊池技監からの答弁というのは、今速記録を持つておりませんけれども、たしかこの災害の原因は遠因としては鉱害の影響が考えられるというように答弁をしたように私は思います。速記録がないからはつきりしませんが、そういう趣旨であつたと思います。で、近時としては、近因と申しますか直接の原因としては異常出水とその堤防のある地質の関係が直接の原因であつたろうと思われるというような答弁をしておつたと思います。
  140. 田中一

    田中一君 この遠賀川の改修工事というのは、これはいろいろ過去の資料を探索して参つたところが、やつと大正九年の土木学会雑誌に発見しました。当時、明治三十九年でしたか、炭田を開発するために、いわゆる炭田に流れ込むところの水を阻止するためにこの遠賀川の改修工事というものは開始されたように記録に出ております。そこで先般も石炭は一体どういう形で掘るかということを見て参りましたが、大体一トンの石灰を掘るには十トンの水を上げておるというのが現状だそうでございます。従つて一トンの石炭を出すには十トン分の地下水を吸い上げるというのが現状ならば、少くともその上脚部にあるところの、大体五百メーター程度のものを掘つておるようですがそれだけの水分というものは下へ下へと流れて参ります。現に遠賀川の改修工事が大正六年にでき上りまして一メーター五十でしたか現在も沈下しております、堤防が。そういう事実をあなたが目に見られてもまだ遠賀川の破堤というものが単なる興常出水によるところのものであつて、鉱害によるところの遠因というものじやないというようにお考えになつておりますか。
  141. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) どうも率直に申しまして私もその方面の専門家でございませんので、政治的行政的に判定するよりほかにないのでありますが、先ほど火申上げておりまするように、建設省の遠賀川の親しく現地の責任者である事務所の所長、それから九州大学の専門家、それからそれに更に松尾教授というような権威者も加わられた調査の共同報告が非常に断定的に自信を以て鉱害の影響は認めることができなかつたと述べられておりまするので、私としてはこのリポートに信頼いたしまして、政治的、行政的の責任者といたしましても鉱害の影響ではない、異常出水の影響であつたと、こういうふうに申上げておるわけでございます。
  142. 田中一

    田中一君 これは河川局長にもう一遍伺いますが、現在出炭しておりますところの坑道といいますか、こういうものは熟知しておつて遠豊川の改修工事をやつたのか。現在も成る地点の嵩上げ工事をやつております。すべて地下にある坑道掘鑿というものの現状を把握せられて技術的な改修工事をやつておるのかどうか、これを伺います。
  143. 米田正文

    説明員(米田正文君) 坑道の関係、今の遠賀川の河川の下に当る坑道の調査どいうものを基本にしておるかというお話ですが、これは技術的に見ましても、その影響が直接河川にどの程度影響するかというようなことが非常に困難な問題であります。又現実にはそういう詳細な坑道図を以て河川工事をやつておる現状ではございません。
  144. 田中一

    田中一君 これはおかしな問題なのですが、一体地上の公共施設というものを国の税金で以つて施工しておる場合に、下で以てどういう形で、どういう地点に坑道を掘つておるかわからないで良心的な、技術的な施工ができるとお考えになつておるかどうか河川局長に伺いたい。
  145. 米田正文

    説明員(米田正文君) これは非常に技術的に困難な問題でございまして、数百メートル地下の坑道の影響が地表にどういう影響を及ぼすかという問題でございます。そういう直接の影響というものを判定することは技術的に今日の段階では困難でございます。そこで我々としては従前から大体地表の現象を主にして研究をいたしております。併し最近のようにこういう地盤沈下が非常に著しくなつて来る現段階におきましては、今後の研究の問題としては、今のお話の坑道の状況を確実に把握して行きたいという考え方をいたしております。
  146. 田中一

    田中一君 前回建設委員会で伺うと、建設省はこの遠賀川の地下における坑道掘鑿状態というものを出して頂きたいということを要求しておるけれども、四月に要求したけれども、八月頃に一遍出て来た、併しそれは不十分のものだからもう一遍再要求して、今通産省においてはその図面を調製中だというように通産大臣は答弁しておりますが、これは提出されましたか。
  147. 米田正文

    説明員(米田正文君) まだでございます。まだ現地で調整をしております。
  148. 田中一

    田中一君 鉱業法によりますと、現場には必ず地下の坑道の坑道図というものを常備しなければならない。監督官庁たる通産省はいつでも鉱業事務所に行つて、現在の状態はどうかといつて立人検査ができるような状態になつているのです。ところが今言う通り、そうしたものが鉱業事務所にないということは、これは一体石炭会社のほうの怠慢なのか、通産省そのものがそうしたものをしない、或いは見逃しておるという現状なのか。若し今言う通り遠賀川の地下におけるところの坑道図ですら未だに出していない、四月以来要求しても出していないということはどういうことなのか。通産大臣はそれを監督しているのですか。その点につきましては……。
  149. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 御指摘通り私か監督者でございますが、細部につきましては石炭村長から実情を御説明申上げます。
  150. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) お答えいたします。今お話の坑内図と申しますか、坑内実測図と申しておりますが、これは各炭鉱に備え付けておかなければならないということになつております。ただ坑内実測図はそれぞれの炭鉱についてその部分だけの実測図でございます。で、それを繋ぎ合せまして或る一定地域の地図を作るという場合には、それに手間がかかる、特に累層採炭をいたしておるような場合には何層もの採掘跡を全部張り合せまして一つの地図にしなければなりませんので、そういう手間がかかるということをお答えいたす次第であります。
  151. 田中一

    田中一君 それではどの鉱区にもその坑内図はあるということを言明できますか
  152. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) これは坑内図というものは備え付けておかなければならないということになつておりますので必ず各炭鉱とも持つておるはずでございます。
  153. 田中一

    田中一君 まあ一部分の遠賀川流域の地下の坑道図ですら現在四月以来要求してもできないという現状は、ない所もあるのじやないかと思うのです。で、石炭局長は一体鉱区の視察の場合に確認しておりますか、そういう図面があるということを若しあなたが見ておるならば四月から、遠賀川の改修工事、或いは災害復旧の工事をやつておるにかかわらず、半年たつてもまだその図面ができないということは建設省は一体そういうものを知らずしてどんどん工事を進めておるのです。又異常出水の場合には決壊するという前提の下に辻双省はこの仕事をやつておるように見られるわけですが、そういう点はどうです。
  154. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 坑内実測図の問題は、今申しましたように各炭鉱はそれぞれ持つておるわけでございます。ただ御要求の地図でございますが、今度問題を起しました遠賀川の下流地域につきましては、比較的簡単でございますので、作成いたしましてすでに建設省のほうにも連絡いたしてございます。ただ遠賀川の全流域ということになりますと、特に何と申しますか、鉱害の起り得る範囲と申しますか、破断角の範囲内のもの全部ということになりますと非常に広い、それの精密なものを全部繋ぎ合したものを作るということは前にも御答弁いたしたかと思いますが、九州地区では坑道原簿の炊けたあとの整理がまだ完成しておらないような関係もございまして、それは非常に相当時間がかかる。併し特定の今山しましたように破堤地域ならば破堤地域の或る前後の狭い地域に或る工事をする、特定の地域についてその地状の下を掘つておる部分についてだけ出すというふうに非常に限定されますればそれほど時間がかからないと思つております。遠賀川の全流域について、而もそれに理論的に鉱害を及ぼし得る可能性のあるもの全部について精密な実測図を出すということになりますと今申しましたように非常に時間がかかる、こういうことでございます。
  155. 田中一

    田中一君 私は単なる鉱害の部分的な災害の問題を取上げているのじやないのです。現在御承知のように二百八十億円ですか愛知用水をアメリカから借金して改田を始めようなんていうことも考えていますが、御承知のように北九州の鉱害というものは約一万町歩に及んでいるのです。若しこれが鉱害がないならば、地盤沈下がないならば少くとも二十七万石の米が穫れるのです。一方、愛知用水その他で以て三十万石程度の食糧を仕るために二百八十億の金を使う。片つ方では、現にもうすぐにでも復旧工事をやれば二十七万石程度の増産ができる土地をそのまま放置して、そして石炭会社の個人的な補償……いわゆる石炭会社も非常に困つているのです。みんなこういうような状態で放置するという通産大臣考え方が不思議だと思うのです。一体、石炭も御承知のように一遍廃坑にすれば、休坑にすればもうおしまいになりますから、恐らく、何という会社ですか、あの会社も、赤字でも出炭しなければならないという現状だろうと思うのです。ところが鉱害対策というものは微々たるもので、何ら手を打つていない。そして殊に適当なる自分の信頼する学者が結論を出したから鉱害じやないというような結論を若し大臣が言うならば恐しいことになります。又来年、昨年度の半分ぐらいの出水があつても或いは決壊するかもわからん。そういうような人に責任を負わせるようなことじやなくて、少くとも通産大臣としては現在石炭を掘つたほうがいいのか悪いのか、いわゆる熱源の問題ですが、日本の現状では熱源は石炭に依存しなければならないか、電気に依存しなければならないか、全国的なそういう計画を立てた上に立つて鉱害復旧を促進しなければならんし、或いは出炭の増産をしなければならんと思うのです。そういう点はどういう工合にお考えになつていらつしやるのですか。
  156. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは御尤もなんでありまして、昨年の秋のこの事件につきましては私さつき申しましたように、この報告書を信頼しておりますので、これは以上出水によるものと私も判定しておるのであります。併しそれと、今度は只今御提起になりました大きな問題は、おのずから別と申すか、或いは相互的な問題だと私も思います。従つて鉱害復旧対策ということにつきましては、石炭企業全体に対する再建方策と併せまして、これまでも政府としてはいろいろ手を打つて参つたつもりでございます。例えば極く最近における鉱害復旧事業の繰上施行ということもまあその第一歩のつもりなんでありますけれども、これは再々閣議でも取上げまして、鉱害復旧事業については石炭企業の合理化ということと併せて、大きな問題として、例えば就業の増加というような点も考慮し、それから只今お話のございました収穫量の増加というようなことも考え併せて総合的な対策はどうしても取上げなければならない、こういう決意を最近も新たにしておるような状況でございます。
  157. 田中一

    田中一君 そのように通産大臣この問題について関心をお持ちになりますならば、抜本的に一体鉱害の原因というもの、影響というものを科学的に調査しようという意図がないのですか。先ほどあなたはその必要がないとおつしやつたけれども、そういう点はどういう考えを持つていらつしやるのですか。
  158. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど私は調査の必要ないと申上げたとすれば、それは言い違いでございまして、その逆でございまして、二十九年度、今年度予算でございますね、今年度予算の中に全般的な、私の言つておりますのはこの具体的問題と、それから全般的な鉱害対策についての意見という田中さんのお話でございますから、全般的に申上げているのでございますが、二十九年度予算にも二十八年度より、幾らですか、調査費等におきましても或る程度の増額をしてもらつておるような状況でございまして、私どもとしては全般的な調査ということは決してなおざりにしたくないと考えております。
  159. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) ちよつと補足的に御説明いたします。これは河川局長からもお話がございましたように、現在のところは実際どれだけ掘りました場合にどれだけの影響がどれだけの範囲に出て来るかということについて全然何らの基準がございませんので、全く予測もできなければ又はつきりした或る程度の限界をつけることもできないという状態でございます。そこで一つ炭鉱を指定いたしまして、相当長期間に亘つて採掘と鉱害の現われ方を精密に測定をいたしまして、成る程度一つの基準を出したいということで本年度についてその予算をもらいまして、現在筑豊地区に二炭鉱指定いたしまして研究を始めております。相当長期に亘つて非常に厳密な測定を継続していたしませんとはつきりしたものが出て来ないということで、来年度は更に炭鉱数をもう五、六倍殖やしまして、十炭鉱ぐらいについて調査をやりたいというふうに我々は考えておる次第でございます。
  160. 田中一

    田中一君 今石炭業界は非常に不況に喘いでおります。そこで鉱害対策費として出炭量によつて、鉱害地区においてはトン当り三十円、その他のものは十五円というような負担をしておりますか、これに対して政府政府一般会計からどのくらい予算を出しておるのとすか。その額は年に総額どのくらいになりますか。
  161. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この具体的な数字は石炭局長から申上げますが、これは御承知のように、国庫の負担分と、それから地方公共団体の負担分と、それから企業者の負担分とございます。それで大体の比率としては、国庫が五割から七割、最高が七割になつております。地方公共団体が一割、それから国庫が、今私間違いました、最高八割まで行けることに改正いたしました。それから残りの分が企業者の負担ということに相成つております。なお附加えますが、先般決定いたしました鉱害復旧対策にいたしましても、企業者の負担といつてもすぐに金が間に合わない場合がございますが、その際は政府金融の世話もするということをいたしております。
  162. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 田中君に申上げますが、大臣に対する点はいいですか。
  163. 田中一

    田中一君 もう一つ聞きたい。私はこの北九州の鉱害につきましては、決して石炭会社だけの責任じやないと思うのです。これは戦時中の濫掘というものがこの結果を招いたのであつて、簡単に遠賀川の破堤というものは鉱害によるものじやないという断定を下す大臣が少し行過ぎじやなかろうかと思うのです。若しあなたが政治家であり、為政者であるならば、学者はそう言つたけれども、事実において、下で以て出炭量の一トン当り十トンの水を上げておるという現状から見ても地盤沈下は明らかです。特に遠賀川の堤防も沈下しておる。それを成るほど直接その部分というものは、異常出水によつてできたかも知れませんけれども、誰が見てもその遠因というものは鉱害によるのだということは明らかです。それを責任を逃げるわけじやないでしようけれども、ただ一部の学者がそういう判定を下したから、それを信じてこういう御答弁をしたということは無責任過ぎると思うのです。私は現にもう各炭鉱会社が、単に鉱害復旧に対する負担金ばかりでなくて、個々の問題につきましては相当大幅な補償、損害金を支払つておるのです。そうして当然その自分の田畑を復旧させればいいものを、反当り六俵程度の補償金をやつてそうしてこの農夫たちは補償金によつて生きたほうが楽なものですから、鉱害復旧しようという意欲がないのです。これは今日食糧に困つておるところの日本の現状としてはとんでもない話であつて、私が希望するのは全額国庫負担をして、殊に先ほど御指摘なつたように、失業対策の面からいつても大幅な事業を開始する、そうして全額固庫負担でやるというような考え方を三十年度予算にお持ちになるかどうか、そうでない限り、あの鉱害復旧というものは遅々として進まない、進まなければ結局北九州におけるところの失業問題なども起きて来るわけです。その点全額国庫負担でやるべきだと考えておりますが、その点どうですか。
  164. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点につきましては現行制度が、先ほど申し上げましたように八割までなつておりますが、その際においても地方公共団体の負担分については起債を特に認めておく、それから鉱業権者等の負担分についても金融の世話をするというようなやり方をやつておりますから、現状におきましても或る意味においては相当程度に国家がテイク・アツプしておるということは言えると思うのでありますが、先ほど申上げましたように、これはただ現在の予算の範囲内に許されておる最大限度のことをすでに最近もやつたようなわけでございますから、今後におきましては引続き末広がりにやつて行かなければならないので、当然来年度予算の問題としても私としては是非大きく取上げてやろうと思つております。
  165. 田中一

    田中一君 大臣にはこれで結構です。  石炭局長に伺いますが、現在この鉱害対策というものの研究はどういう形に、どの辺まで進んでおるのですか。
  166. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 鉱害の現われ方と申しますか、これにつきましては先ほども申上げましたように、実はまだはつきりしたところは何も出ておりません。一応鉱害の及ぶ範囲は破断角と申しまして、例えばここならここで掘りますと、ここから六十度の角度に開いた地方に影響するということがまあただ唯一のあれでございますが、併し、実は六十度の範囲を越しても影響の出ている、そうじやないかと思われる影響もございますし、その範囲内で全然影響の出ない場合もございます。ただそういう式で経験的に申しておりますのは六十度の破断角と、それから大体採掘いたしました層の深さ、これは炭とボタと両方含めまして採掘いたしました深さの大体三分の二程度がまあ沈下するのじやないかというふうに言われておりますが、それは採掘する深さなり、或いは地層なり、或いは採掘の方法なり、或いは充填の模様なりということで丸で違つて参ります。それから、地盤が沈下いたしますのも、今田中先生のお話の水の関係もございますし、そうでなしに、丁度その数量から申しましても、丁度掘つただけの空間を埋める意味で下つて来る、水のそれに関係なしに下つて来る場合もございます。その辺は全然まだはつきりした基準ができておらない状態でございます。ただ採掘いたしました場合に、大体六十度の破断角の範囲内で影響を考えればいいという点と、それかう大体三分の二程度が下るのじやないか、それからもう一つ、これは非常にたくさんの炭を残して置く。逆に言えば採掘率を非常に少くすれば殆んど沈下の影響が現われない。それは大体埋蔵炭量の三分の一以下を採掘する、三分の二以上を残すというやり方ならば、まあ先ず殆んどまあ沈下がないと、大体その程度のことが一応まあ常識として言われておるのでありますが、別に何ら私もその通りすべての場合その原則通り行くかというと、今申しましたように原則通りには行つていない。特にこの三分の一しか取らないというようなことは、よほど特殊の場合以外は経済的に全然成立ちませんので考えられないわけでございます。それから、鉱業法の規定には、重要な公共施設の地表或いは地下五十メーター以内を採掘する場合には、その重要な公共施設の管理者の承諾を得なけれげならんという規定がございます。その規定を逆に考えますれば、その建物から地表なり地下なり五十メーター以内の範囲は相当危険の虞れが多いということをまあ言つているのじやないか。それからもう一つ参考までに申上げておきますが、ドイツも御存じの通り平野の下を掘つて、地表に都市もありますし、畑もあるわけであります。ドイツでは殆んど特別の鉱害防止装置をやつておらないそうでありますが、それは非常に長い町の採掘経験で、大体このくらいの速度で、このくらいで掘つて行けば全体として沈下すると、日本の鉱害は、先生も御覧になつておわかりになりますように、非常に局部的に、アンバランスに沈下するので鉱害が起るわけであります。そういうことを起さないで沈下する。要するに鉱害が顕著に現われないで掘れるというその限度がそれぞれ大分わかりかけておるそうであります。その範囲内にとどまるように採掘方法なり何なり研究してやつておるということでございまして、全然沈下をさせないように掘るということは、たとえ完全に充填いたしましても現状では困難である。そうして、結論を申しますと、はつきりとこの範囲まで具体的に鉱害が起る、要するに沈下いたしましても全部が一律に沈下いたしますれば先ず鉱害はないわけでありますが、そういうふうにもドイツの例で見ればできるのだと、併し、具体的にどういうふうにやつたらそういうふうに行けるかということはまだ全然手がついておらないのであります
  167. 田中一

    田中一君 これは河川局長に伺いますが、一体現在の遠賀川その他の河川改修工事はどういう基準を以て現在工事をやつておるか。今のような対策がないというような現状で以て幾ら嵩上げしても又すぐに沈下して来るということは予想されませんか。
  168. 米田正文

    説明員(米田正文君) この鉱害問題は、御承知のように戦争の末期から特に顕著になつた問題で戦後その結果が非常にはつきりと現われて来た。全体から言えば河川の問題としては非常に新らしい問題でございます。で、現在までの方法はそういう炭鉱の影響というものを考慮に入れた河川計画というものはなかつたのが事実であります。併し今後の問題としては特に著しい地帯については通産省とも十分な提携をして今後初らしい一つ考え方でこういう問題を扱いたい。それには先ほどもお話がありましたけれども、これは非常に長川の調査が必要だと思う。なかなか何カ月というようなわけには行かんのです。そういう問題については私どもとしては大いに研究を進めて抜本的な一つ基礎を確立したいと、こういうふうに考えております。
  169. 田中一

    田中一君 まあこの程度にしておきますがね。これは実際通産省では鉱区を巡視するのに各地方の鉱山局ですか地方にあるわけでありますが、通産局ですか……。実際に鉱害地というのは、はつきりしたものを持つておりますか。現に我々が現地に直接行つて調べた範囲と通産省が提示した図面というものとは非常に違うのです。あなたのほうは故意に昭和二十一年のものを添付して国会に報告しているのです。我々のほうは二十六年の図面を手に入れた、そうすると遠賀川をもう横断して向う河岸に行つているのです。そういうところは結局その部門のものですら通産省は持つていないということじやないかと思うのであります。私は炭鉱会社を責めるわけじやないのです、通産省がそのような杜撰な監督をしておつては建設省が如何にいい工事をしようと思つても最後には何にもならんということであります。十分に鉱害地というものを承知して常に連絡をし、今まで何十年か遠賀川の工事をやつても一遍も通産省が建設省に連絡をして工事をいたした例がないように聞いております。そういうことでは鉱害がますます激しくなります。結局これが激しくなりますとね、北九州の石炭は掘るなということになります。こういう点に非常に重大な問題があるのですから、又今のような状態で来年異常出水がありますと遠賀川は決壊する、これが決壊した場合にはその責任は建設省にあるのじやなく通産省にあるということになりますから、十分お打合せの上やつて頂きたいと思います。私はこれでやめます。
  170. 河野謙三

    河野謙三君 委員長ちよつと伺いますが、明日か砂利採取法の審議に入りますね、今日そこにお見えの河川局長はこれに非常な関係があると思いますが、改めて御出席を求めることはできますか。
  171. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) できます。
  172. 河野謙三

    河野謙三君 それではその問題は局長に明日でも出て来てもらつてやることにいたします。それとも又、御多忙ならばこの機会にちよつと総括的な御意見でもいいのですが、まあ明日なら明日でもいいが……。
  173. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 参考人の意見を聞いて明日やりましよう。
  174. 河野謙三

    河野謙三君 前回委員長を通じて法制局の御出席を求めておつたのでありますが、今日法制当局の御出席を頂いたようでありますからお尋ねしたいのですが、例の去る国会で提案になりました肥料需給調整法の運用の問題ですが、あの法案の骨子は、所定の原価計算を通産、農林両省がやつて、その結論を公定価格として肥料価桁の安定を図るということになつているわけなのです。ところが、あなたのほうにすでに御相談があつたことと思いますが、今度政府が原案として肥料審議会に諮問した案、又これによつて答申された案によりますと、原価計忙によつて出て来た価格は八百二十八円なんですよ、ところが余りこの取引の実態に捉われ過ぎて八百二十三円を中値にして、最低八百十二円から八百三十二円、この二十円の幅を聞いてそうして行政指導をして行こう、その場合にきめられた公定価格というものは原価計算によつて出て来た八百二十二円にあらずして、八百三十二円という一番高値を以て公定価格とすると、こういうことになつておりますが、法制局から見て法律の形式は別として、法律の精神と合致しないと思いますが、一体どういう御見解ですか。八百二十二円というものが原価計算から出て来た結論からそれを八百二十二円という公定価格を設定されたことにつきまして、あなたの御意見を伺いたい。
  175. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) お答えいたします。多少御質問の点、私細かく実は事前に御相談を受けていなかつたので、或いはかとも思いますが、臨時肥料需給安定法の十三条によりますと、この肥料の最高販売価格生産業者の最高販売価格生産費又は輸入価格を基準として農産物価格、肥料の国際価格その他の経済事情を参酌して定める、こういうことになつております。仮にこの規定が生産費を算出してそれを最高販売価格とするということになりますと、今御指摘のようなことがこれはもう明らかに違法なことになるだろうと思います。私案は諮問案なり答申の内枠は承知しておりませんけれども、今お話のような点でありますると、恐らくその生産費そのものの価格に参酌して定めた価格というものが八百二十八円なり八百二十二円なりということじやないか、私実はこれは誤解かも知れませんけれども。と申しますのは、生産費を算出するあの政令がございますが、この政令は実は生産費の定め方をきめたものは御承知の通り、それに基きましていろいろな経済事情、ここに法律に定めておりまするいろいろな条件を参酌して定める、こういうことになつております。従いましてその参酌した価格が八百三十二円であるということにその場合にはなる、こういうふうに私は解釈するのでございます。
  176. 河野謙三

    河野謙三君 それは全然あなたの誤解なんです。それは生産費を出してそれに農産物の価格を勘案し、輸入価格を勘案してそうして出したものが八百二十三円なんです。それは間違いないのです。そこで八百二十二円と出たのであるけれども、取引をスムーズにするために安く始まつて高く終るようにして、その取引をスムーズにするために上下十円ずつ幅を置いて八百十二円から八百三十二円にしたと、こういうことなんです。そこで取締上から行まますと、八百三十三円に一応公定価格はなつておるのでありますから、政府が一応計算上出しました八百三十二円というものは、行政指導で八百二十二円というものを守らせようとする努力をするだけであつて、公定価格というものの裏付である若し違反した場合には云々ということにつきましては、行政指導に副わないでやれば仕方がないのですよ、そういうことは一体法制局はいいのか悪いのか、あなたが前段で言われました生産費は八百三十七円で出た、そのほかに農産物価格経済事情を参酌して八百三十二円となつた、その幅が十円だということじやないのです。それは私は断言して憚らない、それはあなたの誤解でありますが、今私が前段に申上げたようなことで今度はきめられたのですが、それで一体法制局はいいのですか。
  177. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) 河野委員は私が申上げたことを、実は私の言葉が足りないので、誤解なさつたのじやないか、私が申上げましたのは八百二十三円なり八百三十二円なりというものが、生産費からはじいて出した価格ということを申上げたのじやなくて、政府が諮問した八百二十八円なり、標準価格、基準価格といいますか、八百二十二円なり、これは実は二十八円なり二十二円はこの法律価格じやないわけです。最終的に問題になるのは八百三十二円である、この八百三十二円というのが法律に基く最高販売価格、これは私は恐らくその生産費そのものじやなしに経済事情を参酌して定めたものである。もう一つ指摘の八百三十二円が最高販売価格なら、それじや八百二十二円を中値にして、あれはどつちか知りませんけれども、年の前半は八百十二円ですか、何か後半は、下半川は三十三円、それで前半の十二円というのも八百三十二円で売つたつて取締りようがないじやないかという御指摘については、それは全くその通りで、それは自粛価格であろうと思います。この点は行政指道、専ら行政指導に頼るはかない、要するに法律で定めた最高販売価格、要するにそれを超えれば違反になる価格というのは八百三十二円であります。法律的に申上げれば最高販売価格は八百三十二円である、こういうことだろうと思います。
  178. 河野謙三

    河野謙三君 あなたの答弁が悪いわけでも何でもない、私の昼間の仕方が悪かつたかも知れない。八百二十二円のものを八百三十二円にしたのは生産費が八百三十二円と出た、その他経済事情を勘案して八百三十二円ということにきめたのだろう、こういうことでしよう。その経済事情というのはあなたが意味される経済事情じやないのですよ。あなたの意味される経済事情というものは、取引を円滑にするというようなことも一つ経済事情の中に入れられる。そうじやない。その経済事情というのは、一応出て来ました生産費にそのときの農産物の価格とか、国際価格とかそういう意味の経済事情を勘案して、一遍出て来た価格にプラスしたり、マイナスするということなんです。取引を円滑にするためにという意味は経済事情の中に含んでないのですよ。ところが今度のやつは二十二円と出て来たものは、経済事情をすべて勘案しておる、したものが政府原案なんです。ところがそれ以外に法律にないところの取引をスムーズにするために、十二円から始まつて上三十二円にした。そうして三十二円という生産費でも何でもないものを公定価格にした。こういうことは一体あなたのほうで、公定価格の精神から言つて、公定価格の精神はどこまでも八百二十二円なんです。これは一体あなたのほうで、法制局としてどういう御見解を持つておられるか、これを私は伺つておる。
  179. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) 今の御質問はむしろ法律の運用の面でありまして、法律に違反しておるかどうかという点じやないので、私の答えることは或いは適当じやないかも知れません。強いて折角の御質問ですからお答え申上げます。河野委員のおつしやる要するに基準価格いろいろな諸般の事情を勘案して適当な価格というのは八百三十二円だ、それを八百三十二円というのは参酌値を越えておるじやないかという御指摘だろうと思いますが、私はその点につきましては、肥料価格のきめ方についてはその点は承知しておりませんけれども、やはり全体としての経済、最高価格は飽くまで最高販売価格であります。八百三十二円をきめることも経済事情を参酌してという許さるべき範囲に入るのじやないか。そうリジツドに解すべきものじやない。むしろ問題は若しそういうことで肥料については出盛り期、需要期とそうでない時期と少くとも年間に二通りぐらいの価格があるだろう、むしろその価格を二通りに何月から何月まではこのくらいだということを最高価格としてきめる、これはむしろ法の運用と申しますか、現在の法制においても政令なりにおいても認められておる範囲内、これは専ら農林大臣及び通商産業大臣の所管すべき運用の問題になるのじやないか、こう思つております。
  180. 河野謙三

    河野謙三君 いや、法の運用と言いますけれども、あなたのほうから見てどういうふうに法の運用をいたしましても、結論として八百二十二円というものが守れないという見通しがあつた場合には、これは如何に通産、農林が法律の運用の任に当るかと言つてそのあとに控えた法制局がこういうことで鯉川すると言つても八百二十二円というものは守れないじやないか、こういう御見解があつた場合は、それに対してあなたのほうは意見を附加えるべきじやないかと私は思うのですか、それはどこまでも我々の知つたことじやない、行政指導をやる通産省なり農林省のやることであつて、我々ただ法律上マル公の形式が整つておればいい、三十二円にきまろうが、四十円にきまろうが、五十円にきまろうが、極端に言えば二十二円という中値で上下五十円につけて、そうしてあなたのほうは持つて来て上の五十円の例えば八百八十二円というものを持つて来られた場合に、これはただ形式上はそれでいいんだということであなたのはうは認可されますか。これは更に附加えて申上げると、二十二円が守れないということは行政指導で十二日から始まつて十七円やつた、三十三円やつた、三十二門やつた、いろいろ各月別に十月は何トンを十何日で出すのだと、十一月には二十何円で何トン出すのだと、こうなつておるのです。一年間の加重平均を二十二円ときめ込んでおるのはお役所だけですよ。取引の実態はそうは行かない。一年間をやつて見ますと結論は三十二円にはならない。或る場合には二十八円になり、或る場合には逆に十八円になるかも知れない。これは想像がつくでしよう。そういうふうなことであの臨時肥料需給安定法のマル公の制度もきめたのじやない。これも我々法律の審議に、当つた当事者だから……ところが今度の運用に当つては、折角マル公の制度をきめてもマル公のとんでもないところに設定されておる。而も中値である。本当の意味の生産費の基準の二十二円というものは結果においてはどつちにずれるかわからないのです。こういうよりなでたらめの結果になることは当然なんです。そういうことを予想されてあなたのほうではどういう御見解を持つておられるか、これを伺つておるのです。
  181. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) これはまあちよつと河野委員の御質問のお気持も私わかるような気持がするのですが、或いは多少設解しているかも知れませんが、仮に私の申上げた趣旨は、例えば早い話が物価統制令というのがあります。あれは裸で書いてあります。仮に経済事情をいろいろ参酌して価格はどのくらいがいいかときめるのは、これは主務大臣の権限において、責任においてやることになつておりまして、私そういう意味でさつき申上げたので、ただその価格生産費を基準として参酌しないで、農産物価格と肥料の国際価格その他の経済事情を参配していないということが何らかの理由で証明されれはこれはむしろ違法な価格決定だろう。その点は私どもは価格の認定に当つてこれか参酌していないということを私のほうでそれを言う能力もないし、又言う立場でもない。これはやはりおのおのの所管官庁が責任を持つてやるべきことでありまして、こういう趣旨でさつき申上げたつもりでございます。例えはこの場合におきましては八百二十二円とか、八百二十八円というのは何ら法律上の最高販売価格じやないわけでありまして、最高販売価格は八百三十二円でございます。これはいろいろ私が承わるところによると、やはりその限度は経済事情を参酌して定めたということに認められるのじやないか。先ほど私が申上げた限月ごとに価格を定めるということが若し必要ならば、それはもう各主務大臣の権限でございます。現在の法制の下においてそういう最高販売価格が必要ならそういうきめ方をすることも可能である。この法律自体の条文を読みまして、今河野委員が言われたように、この法律はそういう趣旨じやなかつた、価格のきめ方について、こういうお話でございますけれども、私どもこれは相当重要な部分が政令に委任されております、これは生産費に、あとは農産物価格と肥料国際価格、その他経済事情を参酌してかなりゆとりのあるいわば行政官庁に裁量権と申しますか、斟酌するゆとりのある法律の規定が認められておるように制定されている。こういうふうに私どもはほかの法律の場合についてもこの点は先ず疑いのないところでございます。いわんやこの程度は十円なら十円、参酌した値いが五十円ならどうだというのはちよつと、私はこつちはいい、こつちは悪いというふうに申上げるわけにはちよつと行かないのであります。ここを御了解願います。
  182. 河野謙三

    河野謙三君 私は法制局のこの原価計算の仕方がいいとか悪いとか、高いとか安いとかいうことはあなたの権限でないことはよくわかつておる。併し一応原価計算を法律に基いて所定の形式によつて原価計算をして出て来たものか八百二十八円なんだ、それを審議会で六円引下げて八百二十二円だと、この二十二円というものは守らなければならんところの価格なんだ、それを運用の面において、私は運用の幅があり過ぎると思う、運用の面において十二円から三十二円にしてそうして結論として二十二円に落着くようにするのだと、こういうことなんです。その場合に私は細かく言えば公定価格というものは限月ごとに定むべきだと思う。八月は十何円という公定価格をきめる、九月が十七円というふうにずつとやつて行くのが本当です。取引の実態と全然かけ離れて一番高いところに公定価格を置いて、そして行政指導の面において先月はマル公は三十二円であるけれども、今月は十二円だと、こういうことは私はおかしいと思う。そうして出て来た結論が二十二円にならんことははつきりしている。上になるか下になるかどちらかにずれますよ。そういうことはこの法案に限らず今後だんだん物資によつて統制しなければならんでしよう。そういう場合に法制局はただおれのほうは取締の対象になるマル公だけでこれをきめておけばいいんだ、こういうのじやなくて法律の精神に基いて出て来る価格というものについてこれを厳重に守らせるということは法制局としては当然これは積極的に点思を挾んでいいと思うのですが、どうなんです。
  183. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) 大変河野委員から示唆にとんだ御意見、御質疑が出たのでありますが、又非常にこれはまあそつけない言い方を何度も申上げるのでありますが、はつきり常識的なことを言いますと、今河町委員か八百二十八円というものが生産費から出た価格だというのは杜撰な計算であつたから八百二十二円にしたのだと、それが守らなければならない価格だ、これが或いは審議会の委員の意図であつたかと思います。私はこれは法律的に申上げておるわけです。八百三十二円という価格のみが法律的には最高販光価格であり、守らなければならない価格である。私は先ほど来からその法律的の講論をしておるわけでございまして、勿命現在の法制の範囲内において先ほど私も申上げましたし、河野委員も申されました限月ごとに守らなければいけないというところの限月ごとの最高販売価格をきめればそれのほうがよりいいかも知れません。ただ私どもはどちらが実効を挙げるか、実際に公定価格をやつて、御承知のように統制経済時代において公定価格をきめつ放しで何も守られない、それを守らせるには厖大な取締係官を要したというようなこともありました。従つてこの場合には硫安については殊に大きなメーカーばかりでありますから、いろいろほかの面でも実効をあらしめるため法令によつて強制しないでもということは、これは単なる私の推量ということもあるかも知れません。一概に私は画一的にすべての統制物資について言えることではなかろう、こういうふうに思います。河野委員のお話御尤もな点もございますけれども、各主務大臣に何と申しますか、或る程度酌量の余地があり、最後の判断の余地が与えられておる限度におきまして、なおその法律の甚だ不当な運用というような場合については勿論政府部内において私どもは意見を申上げます。併しそれを越えてまでやるということはやはりおのおの持分のあることを考えて如何かと思います。勿論いろいろ不適当な法律の運用について政府部内において放棄して顧みないという趣旨ではございません。
  184. 河野謙三

    河野謙三君 不適当な法律の運用がなされた場合、あなたのほうで積極的に意見を挾むという意味のお言葉であるから改めて申上げる必要もありませんが、とにかく私は非常に疑念を持つております。先ず第一に、年間を通じて八百三十二円と政府法律に基いて生産者、農民に約束しておるにもかかわらず現実に八百二十五円になつたという場合これは挙げて運用の間違いである。結果において非常に大きく間違つた場合にあなたのほうはこの公定価格の設定に当つて改めることを慫慂されますか、それはどうなのですか。
  185. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) 私がさつき不適当と申上げましたのはちよつと言葉が足りなかつたかと思います。それは甚だしく不適当であり違法の疑いのある場合についてです。と申しますのは、私どもは行政の実施官庁ではございません。常時行政の実体を把握しておるわけでもありません。又そういう権限を持つておるわけでもございません。ただ法案なり政令案というものの法律解釈という面でタツチしておるだけてございます。従いましてそれらの今のお話の例えば八百二十二円という年間平均数と販売数量とをかけたものがそれにならないじやないか。例えば出盛り期にうんと出て来て八百二十八円ということは不適当じやないかというお話でございましたけれども、これは私がこういうことを申上げるのは少し言い過ぎかも知れませんけれども、若しそれを完全な意味てやろうとすれば出荷統制なりすべての生産統制なりそういうことをやらなければできない。殊に限月ごとの価格をきめるとき生産割当、出荷割当をやらなければできないのじやないか。これは蛇足で恐縮でありますか、私はそのために価格を認可するという権限は持つておりません。若しそれか法律の趣旨に鑑みて甚だしく不適当な運用については、勿論私どもは機会があればそれについて私どもの言うべき筋合いのことは常に言つておるつもりであります。
  186. 河野謙三

    河野謙三君 私は法制局にあえて申上げますが、私は非常な不満を持つているのです、あなたの態度について。あなたのほうはただ法律の形式を整えるというだけじやいかんと思う。形式上の問題じやない。法律の精神というものは生産費を計算して、その他経済事情を勘案して出た価格生産者にも守らせるし、同時に延いては農民にもそれで貢献するというのが法律の精神なんですよ。二十二円を守らせるというのか精神なんです。その精神を活かすためにもつと積極的な努力をしてもらいたい、それができなかつたというのが不満なんです。ただあなたのほうでは、三十二円で形式はそれでいいでしよう、いいでしようけれども、三十二円ときめて農林省や通産省の言う二十二円という結論が出ないということははつきりしておる、二十二円というものが出ないということは法律の精神を無視しておる。そういうことに対してあなたのほうが大いに助言して然るべきだと思う。私はこういう不満を持つているのです。あなたのほうは形式だけ整えればいいのか。法律のもつと根本になる精神がある、法律を一貫して流れておる指導という精神がある、その指導の精神に対して少しくあなたのほうは怠慢であるとは言いませんけれども、消極的に過ぎやしなかつたかということを言りのです。その点御見解を頂きまして、委員長初めほかの委員のかたにも御迷惑をかけますからこれでやめます。
  187. 西村健次郎

    説明員西村健次郎君) 河野委員から大変有益なるお言葉と拝承したのでありますが、最後に一つあれなんですが、さつき申上げた趣旨は、価格をきめる過程におけるやり方、生産費の出し方は政令できめる、その政令できめるとこれは閣議を通りますから当然そこにタツチする。技術的に八百二十二円とか八百二十八円という価格は農林大臣、通産大臣に委ねられておる。言葉を返すようで恐縮でございますが、若し内閣として殊に法制局としてもそれにタツチさせる必要があるすべて価格そのものは政令できめるのです。これは勿論可能であります。これは果して適当かどうか、これは検討したらどうか、これは議論のあつたところてあります。私のほうは法令の審議のとき、ただてにをはを並べたりそれだけするわけではございませんで、やはりこれは主務大臣の権限というものになつております。実は私もその八百二十八円、八百二十二円ということは今日ここへ来て初めて伺つて承知したような次第であります。それは各大臣にいろいろ権限が与えられおるいろいろの行政処分に対して我々凡百のことを承知するわけには参らないのであります。河野委員から甚だ示唆に富む御発言がありまして、我々としての立場を述べ、御了解願つておきます。
  188. 河野謙三

    河野謙三君 この次の委員会のときまでに十分御検討頂きたいと思います。これは米の価格その他に非常に大きな影響を及ぼす肥料の価格なのです。私は何もあなたのほうに高いとか安いとかいうことを言つておるのでない、法律の精神に反して三十二円というような、こういう形式でやつたのでは法律の精神である二十二円に行かないじやないか、こういうことについてあなたのほうは法律の精神を活かす意味で積極的に発言して然るべきだ、こういうふうに私は言つておるのです。硫安だか塩だかわからないあなたがたに硫安の価格をきめろ、そんなことをつておるのではない。この法律の精神をどこまでも活かすために将来御考慮頂きたいと申上げておるのです。
  189. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会