運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-09-08 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月八日(水曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員天田勝正君辞任につき、その 補欠として相馬助治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君    委員            大谷 贇雄君            加藤 武徳君            黒川 武雄君            西川彌平治君            中川 以良君            河野 謙三君            森田 義衞君           小笠原二三男君            森崎  隆君            相馬 助治君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    農林省農林経済    局肥料課長   林田悠紀夫君    通商産業省通商    局長      板垣  修君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (肥料審議会に関する件)  (貿易政策に関する件)  (電気料金に関する件)         —————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より通産委員会を開会いたします。  本日は、昨日河野委員からも御要望がありました、只今肥料審議会におきまして、肥料価格、その他いろいろ肥料に関する問題が審議されておるようでありますが、それらの経緯、経過等につきまして、当局から御説明を得たいと思います。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 御説明願うに当りまして、できるだけ資料の御提出願つてですね、例えば審議会に出されました政府原案等は、資料をお出し願つて、そうして時間の関係もあると思いますから、審議会を今まで十回ぐらい開いていますが、その審議会の開催に当つて問題点上つておる点、それがいい悪いは別です、どういう点が問題点なつたかという点を御説明願えれば非常に私はいいのじやないか、こう思うのですが……。
  4. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 審議会関係資料二つ三つ手許にお配りしておりますが、なお不足なものがございますれば、御要求によりましてお出しいたしたいと思います。それで前国会におきまして、御承知のように肥料関係の二法律が制定されまして、政府といたしましては、その後この法律施行のために、関係政令の制定、並びに肥料審議会準備を進めて参つたのでございますが、特に硫安販売最高価格をきめますために、通産省並び農林省共同昭和二十九肥料年度価格形成に関する基本方針を定めまして、同時にこれに基きまして各関係工場から原価計算関係資料の御提出を願い、更に実地に各工場に出向きまして、これを照合いたしまして、価格決定準備をやつて参つたのでございます。  それから法律関係いたします政令といたしましては、臨時肥料需給安定法施行令、それから硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法第十一条及び第十二条の規定施行期日を定める政令、それから輸出貿易管理令臨時特例等をそれぞれ制定いたしました。でこのうち臨時肥料需給安定法施行令は、アンモニア系窒素肥料に関しまする需給計画販売価格最高額等規定したものでございます。他の二つ政令は、日本硫安輸出株式会社が八月十日に設立せられましたのに関連いたしまして、この日本硫安輸出株式会社以外の者の輸出特例の期限と、輸出貿易管理令によります承認の除外等規定いたしております。で輸出会社は九月五日から実際の業務を開始いたしておる現状でございます。  次に審議会につきまして申上げたいと思いますが、肥料審議会につきましては御承知のように国会関係から、これは学識経験者という名前になつておりますが、国会関係から五名程度委員をお願いするということになつてつたわけでございますが、国会が開会されません関係からいたしましてこの関係委員の席を空席にいたしまして取りあえず発足いたしております。と申しますのは御承知のように八月から昭和二十九肥料年度が開始いたされますので、この新肥料年度における需給計画並びに硫安最高価格につきましては法律規定によりまして審議会の御意見を伺う必要がございます。そういう関係からいたしまして取りあえずそういう形で発足をして参つております。それで七月の二十三日に第一回の会合を開きまして昨日までに九回会合を開いて頂いております。そのうち第二回並びに第三回の審議会におきましては昭和二十九肥料年度アンモニア系窒素肥料需給計画に関する諮問審議をいたしました。この諮問案内容資料としてお手許にお配りしておりますが、政府原案に対しまして国内消費量見込が少いではないかという御意見がございましてこれを三万トン増加いたしまして、輸出見込量を当初五十万トンとなつておりましたのを三万トン減少いたしまして、それだけを修正をいたされまして御答申になつております。で政府といたしましてはこの御答申に基きまして本肥料年度需給評価決定いたしまして所要の公表措置とつたわけでございます。  次に昭和二十九肥料年度硫安最高販売価格でございますが、これにつきましては先ほど申上げました原価計算資料に基きまして昭和二十九年度における石炭硫化鉱等原材料価格見通し操業度上昇並びに合理化によるコスト低下等を盛込みまして咋肥料年度におきまする年間平均取引価格、これはメーカー出し値でございますが、昨年度平均価格叺当り八百四十四円に対しまして十六円引きの八百二十八円というものを政府案といたしまして第四回の審議会に御諮問申上げまして、その後殆んど連日御審議願つておる次第でございまして、近く結論を得次第御答申されるということになつております。それでお手許肥料審議会提出資料というのを御配付いたしておりますが、そのうち需給計画関係は先ほど申上げました通り一部原案について修正がございましたが、全体といたしましては大した原案について基本的な修正の御意見はなかつたわけであります。又もともとこれは将来の一つ計画でございますので、本日は時間の関係もございますので御覧置き願うことにいたしたいと思います。そのあとのほうの十一頁のところをちよつと御覧願いたいと思います。十一頁以下が販売価格に関する諮問関係資料でございましてその裏の十二頁のところにございますように、「昭和二十九肥料年度硫酸アンモニア生産業者販売基準価格を八百二十八円とし、限月格差をつけ得るよう最高販売価格を定めることとする。」、それで諮問案としてはこれだけでございまして、その右側に書いてございます限月別格差につきましては参考資料としてお出しをいたしております。それでこの限月別格差につきましては、大体メーカー側消費者側におきまして従来の商慣習なり取引実情からいたしまして、ほぼここにございますように八百二十八円を基準といたしまして上下十円以内の値開きということで御了解を得ておるように承知いたしておりますので、この点は基準価格決定いたしますれば問題はないものと承知いたしております。  それからその次に最近における肥料卸売価格農林省のお調べによりますものを出しております。これを御覧願いますと、硫安につきましては本年の七月頃まで出しておりまして八百六十四円という数字が出ております。これは全購連関係消費者関係双方を含めまして農林省の委託によりまして共同通信社が調査した価格でございますが、メーカーの最近の出荷価格といたしましては、今申上げましたように最高価格が未だ決定をいたしませんので、八月以降仮の値ぎめをいたしまして取引をいたしております。その価格は八月の初めにおきまして八百五十三円というふうに承知をいたしているわけでございます。昨年の年間平均いたしますと八百四十四円、それに対して今回諮問いたしております価格が八百二十八円でございますが、最近における仮の受渡し値段は八百五十三円である。但しそれに卸売商のマージンが五円含まれますので、それからいたしますと八百五十八円ということになりまして、ここに出ております数字は若干それよりも上廻つておりますが、メーカー仕切値段としては八百五十三円で取引きをする。ただ先ほど申上げましたように肥料審議会政府原案として八百二十八円というものが諮問をされておりますので、最近の取引価格は或いはそれに鞘寄せしているのではなかろうかと想像いたすわけでありますが、いずれにいたしましてもこれは八月以降においては仮の価格でございまして、そういう意味から申上げましても至急に御答申を期待している次第でございます。  それからその他の資料といたしましては先ほど申上げました原価計算昭和二十八年会計年度でございますが、二十八会計年度における実績原価工場別一覧表としてお配りしております。  それから今回の諮問案基礎となりました昭和二十九肥料年度生産費一覧表、これがいわば二十九肥料年度における想定原価ということになるわけでございます。それで標準原価算出方法といたしましては、ここに工場別に安いところからこれはトン当り価格出しておりますが、ずつと並べておるわけでございますが、このうち先ほど申上げました二十九肥料年度国内需要量、それに約一割の調整保有必要量を加えまして、その量に達するまで原価の低いところからとつて行く。具体的に申上げますと、この表でABCからKのうちの一部分というところまでがこの範囲に入ることになります。さようにいたしまして、要するに低いところから国内需要量調整保有量に達するまでとつて参りまして、その原価を更に加重平均をいたすということに政令決定されております。従いまして通常の価格形成のように個別価格とか、或いはバルク・ラインでKの限界のところまでとるというやり方でありませんので、加重平均をいたすわけでありますので、現実標準価格範囲内にコストが収まるという工場はそのうちABCDEと五工場に限られる。こういうことになるわけでありまして、これらの点はできる限りこういう方法によりまして合理化を推進しようというような趣旨からいたしまして、前国会における審議の過程においての御要望等もございまして、そういう方式をとつておる次第でございます。  それから詳細の点は別といたしまして、この原価計算における主な考え方、これと審議会における生産者側消費者側の御意見の主な点を関連さして申上げたいと思いますが、先ず原材料費につきましては最近時における最も安いところ、低いところを採用しておる。で、具体的に申上げますと、四月から六月までの間におきまして月別に、原料炭コークス硫化鉱等購入価格を調べまして、そのうち最も低い月の平均価格を採用しております。それで大体におきまして六月の価格が最低になつておりますが、例えば硫化鉱のごときはむしろ四月のほうが安かつたというような関係もございまして、そういうものにつきましては四月の価格を採用しておる、こういうやり方でございます。これにつきましては審議会におきまして主として消費者側から今後におけるこの炭価の値下りを更に見込むべきではないかという御意見がごさいました。これに対しまして大臣が出席されましで、原料炭コークス硫化鉱等につきまして個別に実情説明せられ、例えば石炭のごときは企業の安定を図るということが現在の価格程度で可能かどうかというような問題も起つておる際であるので、今後これ以上の値下り見込むことは困難であるという説明をされておる次第でございます。  それから電力につきましては、これは先ほど申上げました加重平均いたしました際に、原価の二万二千円程度のうち平均いたしまして約二千円程度占めております。更に電解法工場におきましては三千円以上を占めておるというようなところもあるわけでございますが、全体の加重平均において約一割弱を占めておる。従いまして、今後の電力値上げ影響等につきましてはここに一つの問題があるわけでございますが、この点につきましては、先に特に硫安については値上げによる影響最小限度にとどめるというような政府方針決定を見ておりますので、今回の原価計算には電力料金値上げ見込んでおらないわけでございます。ただそれでは全然値上りしないで済むかということになりますと、これはそこまでは言い切れないというように大臣からもお答えになつておりますが、極力影響最小限度にとどめるということであります。又現在その率等も的確に把握できない現状でございますので、それは算入いたしておりません。  それから労務費につきましては、これは最近時における実績単価を採用しております。但し来年度におきましては硫安自体も多少増産になりますし、更にアンモニア系窒素肥料全体といたしましては相当増産になるわけでございますが、これによる人員増加見込んでおらない、現在人員を以て、而も現在の単価を以て企業を遂行してもらう、少くとも原価計算の上ではそういう前提に立つておるわけでございます。これにつきましては主としてメーカー側から、勿論賃金値上げ企業者としても希望するところでないし、又、そういうものを原価に織込むということは適当でないと思われるけれども、併し実情としては、毎年平均すれば一割程度単価上昇は、これは現実の問題として現われておるのであつて、これを吸収することには相当の努力を要する、又新規の人員増加をいたしますれば、申すまでもなく賃金単価はむしろ低下するわけでございますが、人員増加見込んでおりませんので、自然昇給その他の関係からも単価は上らざるを得ないのだ、従つてこの点には相当に無理があるということを一つ了解して欲しいというような発言があつたわけでございます。  それから減価償却につきましては、これは実績を採用しているのであります。この点につきましては先ほど申上げましたAからKまでの工場のうちで極端なものは五、六割しか法定限度に対して償却をしておらないというものもあるわけでございまして、そういうものを減価計算基礎にするということは企業の将来に亘る健全経営の確保という意味合から特に通産省としてはおかしいのではないかというような意見が、これも強くメーカー側からあつたわけでございますが、併し実情はそういう計算方法をとつております。  それから、金利の点につきましても、少し細かい話になりますが、従来メーカー実情といたしましては、建設費勘定に対する利息というものは、建設費勘定に繰入れないで、損金として一般金利と同じような出し方をしておる。ところが今回の原価計算では建設費勘定のほうに入れてなければ結局建設費関係支払利子はまだどこにも入らないというふうな形になつておりまして、まあ今度は額も相当になるわけでございますが、理論的にも又実際上にもおかしいではないかという御意見が強くあつたわけでありますが、これは今後においては、建設費勘定に繰入れて頂いて、その上で償却のほうで見て行く。勿論設備が稼働いたしました場合に償却で見て行くということにいたしておるわけでございます。いずれにしても本年度としては、入つておらない。仮にこれを実績から見ますと、叺当り十五円くらいになるという御意見もあつたわけであります。  それから包装費の点で、これは叺入り計算をいたしておりますが、御承知のように叺の中で更に内袋を使用しておるものが全体の約半分でございます。これがやはり叺当りにいたしまして八円くらいになるというお話でございますが、これも見込んでおらない。その点もメーカー側から不満であるという御意見がございます。  それから入目につきましては、一割を従来の商慣習から見ておるのでありますが、これにつきましては消費者側から入目というものはメーカーのサービスであるから、これを原価に入れるのはおかしいではないかという御意見でございますが、併しメーカー側といたしましては、一割というものをサービスするわけには行かない。又ほかのものについても、例えば電力についても送電ロスとか同じようなことがあるのであつて、それは困るという御意見でございました。いろいろその他細かい御意見ございましたが、最近において取上げられております問題は、利潤並びに特に配当率の点でございます。この原価計算におきましては、先ほど申上げました配当率としては一割五分の配当前提として作業をやつております。それで、これは勿論一定の基準のないものでございまして、非常に議論の起ることも当然かと思いますが、私どもの気持といたしましては、従来の配当率実績を見ますると、大体二割ちよつと、二割一、二分程度になつてつたかと思います。併し二割は少し多いように思うということを大臣からも前国会においてお答えになつております。  それから一般産業製造工業並びに化学工業配当平均がやはり二割程度になつておりますが、併し肥料につきましては、申すまでもなく農村にも非常に影響を持ち、公共的な性格を持つておりますので、成るべくこれは経営上支障のないように御遠慮願うことが充当ではなかろうか、そこでちよつと直接適切な例もないわけでございますが、例えて申しますと、ガス専業法によるガス料金算定につきましては、一割五分を基準にいたしております。それから電力料金につきましては、従来一割五分を採用していたようでございますが、最近においては一割二分を基礎にしておる。併しこれには率直に申しまして、或る程度無償交付等見込んでの一割二分であつて、それを織込みますと、先ずやはり一割四、五分というふうなところになるというような公益事業局説明であつたわけであります。更に電力ガス等と比較いたしまして、一方は地域的の独占の形を取つております。料率が決定されれば確実にそれだけの収入を挙げ得るわけであります。肥料のほうはそれに比べますと若干のニュアンスがあるのではなかろうか、又価格につきましても、最高価格でありますので、従来の実績並びに今後における増資、その他の資金調達、現在の企業実情なり種々勘案いたしまして、原案としては、一割五分ということで配当を考えます。この点につきましては、社内留保等と関連いたしまして、現在まだいろいろ御意見のあるところでありまして、その他の点の御議論等も併せまして、最終決定は得ておらないわけでありますが、先ほど来申上げましたように、すでに肥料年度に入つておりますので、政府といたしましては成るべく速かに御答申を預きたいということで御審議願つておるのでございます。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの法律に基いて審議会制度ができて、目下審議会でいろいろ御論議の途中でありますから、我々の立場というものは今お示し願つた原案なり、又附加えての問題点についていろいろ疑義がありますけれども、それらを一々ここで御質問するのは時期でないと思いますので、それはいたしませんが、ただ議会におります我々として、ちよつとここで聞いておきたいのは、実は電気料金の問題が政府が突如として発表しましたね。だから今まで愛知さん肥料工業に対してはでぎるたけ値上げを避けたい、若し上つても極く影響は微弱の程度にしたい、こう言つておられますけれども、現実に申しまして電気料金は発表になつて、冬それぞれの肥料工業への電気値上げというのは具体的になつて来た。これを今取上げて、肥料原価をあなたの検討された原案にはこれは入つていないのだから、この原案に入れなければ矛盾じやありませんか。それとも肥料工業が、電気値上げがあつてもそれは自分たち計算においてこれは吸収する、こういう役所の一つ了解の下に進んでいるんですか、これが第一点。もう一つは、お示し願いました標準価格の問題ですが、今回の制度から言つてこういう現在加重平均で八百二十五円というものを想定されておりますけれども、私はこれは法律家じやありませんからよくわかりませんが、ただ漠然と考えまして、非常に法制局あたりで検査させますと、この形の公定価格にするということは非常に疑義が起るのじやないか、こう思うんですが、これらの点も検討を終つての結果かどうか、こういう問題は審議会のいろいろ御議論の最中でありますから、我々としては当然聞いておきたいことなんです。もう一つ、政治的の考慮の問題ですが、もう秋の肥料はすでに半ばに行つているんです。然るに秋の価格がきまらんということは非常に取引を阻害するものですよ。なお審議会で一両日のうちにきまるというお見通しならば別ですけれども、若し今後論議が尽されないで、更に十日、十五日結論を出すまでかかる、場合によつたら今月一ぱいかかるということであつたならば、そのときは政府は一体どうされるかということについてはもう肚がきまつていなければいかんと思うんです。こういう点はどうなんです。これらの点について答申案内容その他についての論議は、私は先ほど申上げましたように余り細かく聞きたいと思いません、ただ審議会答申して決定されたそのものについて非常に我々疑義があり、又疑問がある場合にはこれは改めて議会でも取上げて論議をする私は責任があると思うし、まあその時間を与えてもらわなければいかんが、私は只今のところは今申上げたような点について一つ御見解を伺つておきたい。
  6. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 第一の電力料金値上げの点でございますが、昨日国会のほうに大臣並びに公益事業局長から御説明したかと思いますが、その際に値上げ率等をお示ししておりますが、そこにも註の所にたしか書いてあつたと思いますが、硫安等電解、電炉、工業であつて値上げによる影響の非常に大きいものは別途特約の制度によつて措置するということで、これはあそこに掲げられました値上率等から除外されております。それでそれを幾らにするかという点につきましては、なお折衝中でございますが、方針といたしましてはでき得る限り今回御諮問申上げております、規準価格なり、最高価格影響のないようにいたしたい。こういう方針は変つておらないわけでございまして、なお本日午後大臣が出席するようでございますので、その際若し私で不十分でございますれば、更に御確認頂ければ結構かと思います。  それから第二点の限月格差の点でございますが、これは御指摘の通りこれを法律規定として、どういう形できめるかという点につきましては、法制局と種々打合せをいたしております。それできめ方といたしましては、現在二つ方法が考えられておるわけでありまして、ここに先ほど参考として掲げました月別限月格差を織込みました価格を、それぞれ一つ公定価格としてきめるという方法一つあるわけでありますが、そういうやり方は実は余り例がないというような関係、それから取締の面等においても、なかなかむずかしい問題があるように伺つております。それからいま一つ方法といたしましては、標準価格、仮に八百二十八円となりました場合に、限月格差最高が十円上げてあるという場合におきまして八百三十八円を一応法律上の最高価格とする。併し取引実情としては、全購連並びに商社の主だつたものは五社程度でございます。それからメーカーの数は十幾つ、工場別に申しましても十幾つございます。この程度のものについては行政指導によつて、実際の扱いとしては、この限月別の売値というものを抑え得るではないか、それには消費者側からも十分監視の余地もあるし、仮に特定のメーカーがその月の最高価格以上で売つたという場合には、これに対して行政上の措置をとるという方法も可能であると思う。それでもいいではないかというような意見もありましてその点は成るべく的確なことを希望するわけでございますが、そういう法律技術上の問題もございます。いずれにいたしましても、実質におきましては、ここできめた月別価格が確実に守れるという形において、又そういう内容において今後実際の取扱をやつて参りたい、かように考えております。今御指摘のように非常に御決定がこれはいろいろ事情もあるわけでありますが、遅れておりますので、この点につきましては今朝も大臣のところでいろいろ相談をしておりまして、農林省とも御相談をいたしておるわけでありますが、勿論いつまでもこのままというわけにも参らないわけでありまして、今後具体的に申しますと、今日も午後実は審議会がございますので、その審議の状況等によつて審議の促進について何らかの考慮をせざるを得ないだろうということを考えておるわけであります。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 大臣がおいでになつても、ほかに電力料金その他の問題があつて、この質疑、余り細かくできないと思うから、これはもう一度確認いたしますが、電力料金の問題は具体的に幾らとまだきまつておりませんけれども、それぞれ値上げの線で折衝を始めておることは御承知のことと思います。結果において値上げになるわけであります。値上げになるものを、上げるときまつたものをこれを今肥料価格決定するに当つて織込まないという理窟はないと思います。私は従来肥料屋いじめの総大将のように言われておる、御承知通り……。併し私は世間でどう言おうが、そういう理窟の通らないこでいじめようとは思わない。ちやんと原価の中に、コストの大きな要素になつておる電気料金に変動があつたら、当然公定価格の中に織込むべきですよ。それをなぜ通産省はやらない、又消費者から言えば、こんなことで恩を着せられたらかなわない。恩を貸してあるやつを、恩を返してもらいたいということで紛糾するのです。そういうような貸し借りはやめてもらいたい。だから私はよろしく今審議会結論出たのではないから、電気値上げはこうなる、極力値上げに対して抑えたけれども、結局これだけの値上げをせざるを得なくなつた、それの計算ができるわけです、政府原案で……。それによつて電気料金値上げの分だけ織込んで修正したものを何故私は出さないであろう、こういう私は意見なんです。  もう一つは、法制局のほうの問題は、法制局の最終の了解は得たのですか。今御指摘のように、この限月ざやをつけて隔月に公定価格をきめるということは、現在これは実行不可能なことです。理窟は通つてもそんなことはできません。例えば今あなたのおつしやる八百三十八円に公定価格をきめておいて、標準は二十八円、法律によつて原価計算をしてそれに加重平均出して、それを公定価格にする、二十八円を公定価格にしろということを書いている、趣旨は……。それを限月ざやという複雑なものがついて、三十八円を公定価格にするというようなことは、私は先ほども申しましたように、法律の専門家じやありませんけれども法制上私は疑義があると思う。こういう点は、少くとも法制局と、我々素人じやいけませんから、法制局と打合わされて確信を以て法律技術上から違法にならないように手続をとるべきだ、私はこう思うんです。最後の、審議会答申を見てやられるという問題ですが、これは私はそろそろ答申を得られた場合、得られなかつた場合ということについての見通しをつけて政府が臨まれないと、私の今かすかに聞いているところでは審議会では全く平行線であつて、午後十日、十五日かかつてもきまらんと思う。それがメーカーのほうにしても消費者の代表にしてもそれぞれ主張に一部根拠のある主張を持つております。これが街の商取引のように妥協できまるものじやない。だからその場合にはどうするかということの私は政府に肚がてきていないと、これは結局親切にこの法案を作つたつもりの点が一番迷惑するのは消費者です。取引は全く混乱するわけです。御存じのようにメーカーも迷惑するでしよう。法の趣旨と全く違つた結果を生むんです。でありますからこういう点を局長も、そういうことについて政治的の配慮をお願いすることは無理かも知れませんけれども、十分御考慮を願わなければ私はいかんと思う。特に一、二の電気の問題と法制局の問題はどういうふうな御見解ですか。もう一度説明を伺つて質問を終りたいと思います。
  8. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 電力の値上率につきましては昨日大臣から御説明したかと思いますが、今回出しておりますのは、いわゆる冬料金についてのことを申しているのでございまして、我々の今回取上げております肥料標準価格年間の問題でございます。それで今後政府におきましても現在のところ発電のコスト等から現状で行けば年間この程度の値上りになるのではないかという一応の見込は公益事業でも立てておりますが、今後政府としては金利、税制等の方面で種々対策を講じまして、年間を通じての値上りは成るべく低いところにとどめる方針を持つておるわけでありますので、全体として現在のところ年間を通じて幾らの値上りになるかということもはつきりいたしておらないという現状でございます。更に肥料につきましては、先ほど申上げましたように、特別の取扱をするということでありまして、これは具体的に各地区別に特約をいたす、従来の割当制は勿論なくなるわけでございますので、特約の制度によつて調整を図らざるを得ない。従いましてその基準等について、できる限り影響の少いような基準を採用して、それによつて電力会社を指導する。平たく申しますと、硫安とかその他の家庭用であるとか、そういうものをどう持つて行くかということを先ずきめましてそのあとで全体の値上り率なり負担率がどうなるか、こういうやり方公益事業局においても現在検討中でございますが、只今のところ、どれくらいになるかということの的確の結論はまだ出ておらないわけでございます。併し気持といたしましては、でき得る限りその影響最小限度にとどめまして、できる限り電力の値上りによつて更に標準価格の改訂をしないように、これは御指摘のように、そこに不確定であるとは言え、その限度において無理のあることは事実でございますが、それらの点につきましては、この肥料最高価格をきめる基本的な考え方といたしまして、成るべくこれを低い率におきたい。又電力値上げにおきましても、一般的に率の極めて軽微なものは、それによつて一々料金なり価格を上げるということは成るべく避けたいという政府の考え方でございますので、そういう気持で以て現在のところは入れておりませんし、今後といえどもできる限りこれを吸収して参りたいというので考えておるわけであります。それから限月格差につきましてほ率直に申しまして、この別々の価格を最も的確に実行いたしますためには、別々に法律上の最高価格をきめるのが最もよいわけでありますが、これには先ほど申上げましたようないろいろ技術的の問題もあるようでございますので、それがむずかしいということであれば、最高価格は形式上は一本であるけれども、実質においては限月格差をつけましたものを、行政指導によつて実行し得ることはこの業態においては私どもは可能であると考えております。なお限月格差につきましては、これは申すまでもないことでございますが、電力の豊水期、渇水期の関係、それと肥料の需要期、不需要期との関係、並びに従来の商慣習からいたしまして、若干の格差をつけることは、現物の流れを円滑にするという意味において必要であろうと思います。又その額等につきましては、関係者の間におきまして意見が一致しておるわけでございますので、形としては恐らく一本の値段になりまして、あとは行政指導をして行くということになるかと思いますが、これは併し硫安の場合には私はそれでも勿論違反の場合につかまえて処罰をするということは、或いはできない場合におきましても、その辺は行政上の措置によりまして十分実効は挙げ得るのではなかろうか、こう現在のところ考えております。なお併し法制局等とも更に最終的にお打合せいたしまして、最も適切なる方法をとりたいと考えております。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 電気の問題については、今局長は直接電気の担当局長じやありませんから御無理もないと思いますけれども、実情と大分ズレがある。現にもう今度の改訂によつて電力会社と肥料会社がですよ、特約についていろいろ具体的に折衝している。もう折衝が大体終つたところもある。これからという問題じやないですよ。これはまあ私はそういうようなところまで実情が進んでいるから、たまたま不幸ことであつたけれども、審議会が非常にもつれて延びていて、審議会開催中なんだから急いで政府電力料金の改訂による影響力というものをコストの中に入れて堂々と私はやるべきだと思います。これはこれ以上私は答弁を求めません。  それから法制局の問題ですね、簡単に一つ私は伺います。この政府原案について限月格差をつけてこういうことをやつて行くのだということについて法制局からOKをとつたのですか、とらないのですか。私はそれだけ聞けばいい。法務局がOKと言つたら言つたで、この肥料需給調整法を作つた我々議会人の責任において……、法律の精神と大分違うのです。だから法制局ができ上つた法律については、これで行つて少しも違法じやないのだということであつても、若し法制局がこれに対してOKと言つたならその場合我々法律の精神から言つて違うということを私は法制局に一遍質さなければならない。その前に一体こういうような形式で政府原案を出すことについて法制局は最終的にOKを出したのか、出さないのか。これを私は伺つておけばいいんです。
  10. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 法制局との関係は、政府原案と申しまするよりも、現実に法令上どういう考えの仕方をするかということについて折衝しておりますが、現在までのところは、月別最高価格をきめるというようなことにつきましてはまだ了解を得ておりません。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、若し仮に肥料審議会答申を得て政府原案がこれできまつたなつた場合に、その後において法制上の疑義があつた場合にどうしますか。
  12. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 年間最高額、例えば八百三十八円一本でやることにつきましては法制上の問題はないと思います。ただその場合はその限度内において月別に八百二十八円なり、或いは月によりましては八百十八円で的確にこれを励行させて行くということが問題だろうと思いますので、その点につきましては、仮に法律規定が八百三十八円一本でございましても、その点については行政指導によつて確実に励行することは可能である。こう考えている次第でございます。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 非常に私は矛盾が多いと思いますが、時間の関係がありますからこれで質問を終りますけれども、ただ繰返して申しますが、もう少し法制局と密接に連絡をして最終の意思決定を、政府部内の最終の意思決定をされることを私は特に御注意申上げる、それでないと将来非常な問題に私はなると思いますから念のために申上げておきます。
  14. 海野三朗

    ○海野三朗君 肥料審議会の八百三十八円というのは、よく仕事の上ではつきりわかつた人たちがこれをきめられるのですか、ただ報告を受けて来た紙の上からしてこの辺の値段を妥当と考えられているんですか、が、この値段のことについては通産省農林省、まあ政府が責任を持つているわけですが、実際作業なり工程、そういつた方面のつまり経費とかいうことがはつきりおわかりになつた人たちから審議会が構成されておるのか。私は審議会の人たちのメンバーを見ると単に政治的にばかりきめておるように見えるのですが、その辺どういうものでしようか。
  15. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 御指摘のように生産費の計算ということはこれはなかなかむずかしいと思います。ただ作業のやり方といたしましては農林省通産省から十名近くの人間をそれぞれ出しまして、各社から出て参りました昨年度原価計算、これは両省で定めました要綱に基きまして仕分けをして出して来ております。これを工場に参りまして具体的に帳簿その他によつて照合いたしまして、それによつて、昨年度の生産費を先ず把握いたしまして、それに対しまして先ほど申上げました原材料費の値上がりであるとか、操業度の向上でありますとか、或いは利潤の計算等を一定のきめました基準修正を加えまして、それを二十九年度想定原価といたしておるわけでございます。  それから審議会の構成につきましてはお手許資料に出ております通りメーカー側はそれぞれ各社の責任者が出ております。販売関係は全購連の系統と商社系統それぞれ一名ずつ、消費者側農林省のほうで御推薦を願つたわけでございますが、更に学識経験者として工藤、荷見両先生をお願いしております。更に審議会の申合せによりまして各委員はそれぞれ一名の専門家を同行してよろしいということになつておりまして、一定の、これはそれぞれこういう経理関係の専門のかただと思いますが、そういうかたが毎回各委員に随行して来ておられまして、審議の経過によつて更に検討を加えられて、委員のかたにもいろいろそういうかたの御意見等も取入れられて質問なり御審議願つておるということでございますので、その点はそういう十分の知識経験のあるかたと私どもは了解いたしておるわけであります。
  16. 海野三朗

    ○海野三朗君 メーカー側の代表者は少しでも儲けたほうがいいのであるからして、この答申に対しては決して不利益な、正面なことばかり述べておるとは私は考えられない。その一人ずつ連れて来ておるその人が実際の衝に当つて、この作業にこれは何ぼかかつている、これは何ぼかかつているというようなことに詳しい人が殆んどいないのじやないですか。学識経験者言つても単なる学者だけでは駄目なんだと、そういうふうに私は考える。その点を、一つお伺いしたい。  もう一つ、私は審議会というものを、甚だおかしいものであると思います。なぜかならばこの前の日銀総裁でしたかもその審議会に入つてつたときがあつたように記憶しておるのでありますが、そういうふうな人たちが肥料の値段をきめるのにあずかつておる、どうも政治的にばかり動いているように考える。又輸出する場合においては内地の値段よりも出血輸出しておる。それはどうするかというと、いやそれは会社が負担するとか、何とか言うけれども、そして損をしては工業というものは成立たない、内地だけ高く、つまり一般の内地の農民に対してだけしわ寄せをやつておると私は考えられるのですが、輸出の値段との開き、つまり出血輸出ということに対してはどこで以てそれを補つておるのでありますか。一つその点をお伺いいたしたい。  それからもう一つ電気につきましては先に岡野通産大臣のときには値上げは止むを得んだろうというようなことをぽかつと発表してしまつて愛知通産大臣なつたところが現在の状態では値上げはそう簡単にできないというようなことを言つておられた。それからここの委員会において盛んに論議せられたときにはどうも値上げのほうに殆んど賛成をしてないような形であつた。ところがだんだん今度は大臣の意向としては六分八厘の値上げが妥当であると思う、というようなことを言つて見たり、或いは新聞の報ずるところによると五分だとか、ところが或る電気料金になると一割以上になるというような、つまり私どもがこれを冷静に考えるときに当つては、大臣もさることながら大臣なんというものは実際はそんな細かいことはわからないと思う。あなたがたその衝に当つておられるかたがたに信念がないように私は思うのです。で、この前のあの公益事業局長説明では、電気会社から出されたところの資料説明をしておられましたから、私はそういうことはあなたから聞く必要はないと言つて、この前の委員会で業者が出したところの資料説明されるのではいけないのではないか、通産省自体が何らかの基礎に基いてやらなければいけないのじやないかということを私は申したのであります。それでこの料金のことにつきましてもどうも当局は非常にふらふらしているように思うのでありますが、そういうふうにふらふらしているわけじやないのですか。そのところを私ほはつきり承わりたい。電気会社のほうの今度は運動が絶えず猛烈にやつて来たものだから、たんだん……、又そうして今度は通産省値上げを発表する、そういうようなあり方は私は甚だ面白くないと思う。又通産大臣はこの前閣議の事項で決定するからということを言われた、それはその政府の施策として止むを得ずその方式に従わなければならないのでありましようけれども、常に仕事を担当して、いるあなたがたが電気料金値上げが如何に響いて行くかということをやはりはつきり大臣なりに対してあなたがたが答申しておられるのかどうか、どうもその辺はまるでふらふらしているように私に見えてならないのですが、その点について軽工業局長の所信を伺いたい。
  17. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 専門知識の問題でございますが、これは先ほどその専門家一名同行しているということを申上げたのでございますが、それ以外に審議会の都度各委員ともそれぞれ関係の団体等に御連絡になりまして、そういうところはこれはもうそれぞれメーカー側消費者側とも重要な問題でございますので、相当のかたがいろいろ審議検討されてその御意見等も含んで次回に御発言になつているということでございますので、審議会に出席されているかただけがただ表を見て一回できめている、こういうことではございませんので、その点は実質的には多数の人が参画されている、こういうふうに考えております。  それから第二の点につきましては、御指摘のように勿論これはは農村経済にも影響する関係が多いわけでございますので、そういう意味において政治的の関係があると申せば御指摘の通りでございますが、併し我々といたしましては、やはりこういう問題は一年限りのことでございませんし、特に今回は第一回のことでもあり、又こういう生産費の計算等につきましてはこれはやはり細かく、且つ専門的に検討いたしまして、少くともそれを基本として決定すべきものと考えております。それで特に今回の諮問案につきましては、勿論農林当局ともいろいろ原案提出する過程におきましては意見を闘わせましたけれども、これは両省とも極めて何と申しますか、一体となつて検討したわけでございまして、他の例等に見まするように、一方が非常な不満のまま政治的折衝によつて諮問したということではございませんので、少くとも審議会諮問するまでの段階におきましては、私どもは率直に申しまして非常に理想に近い形で原案ができたと考えております。  それから輸出関係は先ほど申落したんでございますが、今回の標準価格八百二十八円をFOBのトン当りに換算いたしますと大体六十一ドル五十セントということになるわけでございます。それで、昨年から出血輸出関係が非常に論議の対象になりまして、そういう関係が動機となりまして輸出会社等の設立も見たわけでございますが、御承知のように最近におきましては海外の需要も非常に旺盛ございまして、台湾につきましては昨年からの経緯等もありまして、我がほうは六十一ドルを少くとも主張したんでございますが、結局これはまあ相当数量を長期に亙つて契約するというような関係もございまして、先方の主張との中間をとりまして五十八ドル幾らかで契約をしたわけでございますが、その他最近中共、韓国等に出ておりますものは大体六十ドルから六十一ドル少しという辺まで来ておりますので、現状におきましては極めて今回の標準価格には接近して来ておる。勿論まだ多少の開きがございますし、更に今後の、将来の国際競争というようなことも考慮に入れまして、御承知のような五カ年計画によつて極力コストの低下を図つて参りたいという努力は必要であるかと思いますが、昨年のような非常な値開きがあるというような状況にはないということを申上げたいと思います。  それから電力料金につきましては先ほど申上げた通りでございますが、ただこの硫安につきましてはしばしば大臣のところにおきましてもお打合せを頂きまして、何と申しますか、これについては特別の考慮を払うということははつきりいたしております。ただ先ほど申上げましたように、今後において一般的に値上げの率を金利政策、税制面等で極力図つて行くのであるから、そういう関係で今後一年間の、どの程度影響になるかということは只今計算できない事情でございますから、そういう関係もございまして今回は入れないし、又多少の影響のあります場合にも極力吸収できる限度においてこれを調整して参りたいという考えでございますので、どうも現状におきましてはその程度お答えしか申上げられない実情でございます。
  18. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 海野委員ちよつと申上げますが、ほかの委員会で軽工業局長ちよつと要求されておりまして、それにまだ小笠原委員からもちよつと質問……。
  19. 海野三朗

    ○海野三朗君 今長期契約と言われたんですけれども、やつぱり日本内地で農民の使うやつも長期契約に入つておりまするので、その差額というけれども、もう少し内地の肥料も安くすべきものである。輸出する値段に殆んど同じくらいのところにすべきものじやないか。やつばり内地で使うのも長期契約ですから、これはもう外国のほうより以上長期契約で間違いないのでありますから、どうも肥料の値段というものは僕らが考えてどうもピンと行かないように思うのですが、もう少し内地の肥料なぞも安くしようというようなお考えないのでしようか。
  20. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 勿論そういう意味合いにおきまして財政資金等も投じまして五カ年計画を立てておりまして、少くともできる限り速かに五十ドル台にはいたしたい。最初の計画では、まあこれは理想といたしましては五カ年後に五十ドル目標ということになつてつたのでございますが、これは更に最近のデータによりまして検討を加えなきやならんと思います。併し或る程度の効果はこれは当然挙つて行くものと思います。  それから輸出の仕組につきましては、これは十分御承知通りと思いますが、一応輸出会社を使いまして、内地の価格と切離してこれを処理する。併し五カ年間輸出会社の損失を回収できるように合理化を進めて参るというのが大体の考え方でございます。そういう意味合いにおきまして今回の標準価格につきましてもコストの安いほうから内需並びに調整保有量までとりまして更にそれを加重平均しておる。その辺は相当御指摘のような考え方に立つておるものと思いますが、更に今後の方針といたしましては全く御指摘の通りに考えております。
  21. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは私はこれで保留します。もう一つ輸出のことがありますけれども……。
  22. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それは午後大臣が来てから……。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は臨時に入つた委員でして内容についてはわからんのですが、先ほどから河野委員その他のかたがたが肥料審議会において審議されておることで我々も関心を持つておる重要なことについてお尋ねがあつたのでありますが、事態は刻々進んでおるように聞いておりますので、我々前に噂で聞いておつたことをどういうことになつておるのかわからん点がありますから、素人考えでありますが、お伺いしておきたい。この肥料審議会委員のかたぞれはこれは定員は何名でございますか。
  24. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 十五名以内となつております。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここに十名の名簿が出ておりますが、あとは、十五名以内ですから、これは御委嘱になるという御意思はないのでございますか。
  26. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) これは肥料法律審議の過程におきまして国会関係から若干の委員のかたをお願いするというようなお申合せになつてつたわけでございますが、国会の開会せられておりません関係で、同時に先ほど申上げました、八月から肥料年度にすでに入つておりますので、取りあえず十名で発足いたしておる現状でございます。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国会関係からということは誰を指して言つておるのですか、又若干名というふうなのは、政府としては具体的に何名をこれは予想しておつたのでございますか。国会には事務総長もおるし、専門員もおるし、どういう筋からのお話ですか、それは。
  28. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 国会審議の過程におきまして五名を国会議員から、これは形は学識経験者という形でございますが、五名のかたを国会議員のかたから出してもらいたいという御意見がございました。これは当初委員の定数は十名ということに政府原案はなつておりましたのを、国会修正案が出されまして五名増員になつたわけでございます。それでその修正提案者の御要望といたしましては、国会議員から五名を学識経験者として委嘱してもらいたいという御意見がございまして、それに対して政府側から考慮いたしますという答弁をしておるそうでございまする。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとこの法律の建前は、政府原案では十名、そのうち内訳としては学識経験者二名あれば生産、販売、消費、それぞれの利害関係を調整し、妥当する結論出し得るというお考えのこの原案に、国会側から五名の学識経験者が入ればなお所期の目的を達成できると、こういう立法の趣旨で改正になつたものだと了解してよろしうございますか。
  30. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) その通りと考えます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると只今は閉会中で、確かに国会議員が行政機関の委員に委嘱せられる場合には国会の承認を得なければならんから、従つて御委嘱はできないと、多分政府のほうでおつしやつておられると私想像します。そうするとこの法律施行せられてから政府としては、国会と申しますと衆参両院あつて国会でございますが、衆参両院にこの五名をどういうふうに振分けて御委嘱したいというふうに御計画になつておられたのですか、お聞かせ願いたい。
  32. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) その点は国会内部のいろいろ御意見等もあるようでございまして、私もこうであるとまでは申上げかねますが、私の聞いておる範囲におきましては、五名のかたをどういうふうに割振りするかということにつきましては、まだ最終的には決定を見ておらないというように承知をいたしております。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 決定のないことは止むを得ないことですが、では形を変えてお尋ねしますが、国会と申すのですから参議院だけから五名出す、衆議院だけから五名出す、こういうことだけはあり得ない、断じてあり得ないと私考えますが、そういうふうに了解してよろしうございますか。
  34. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) その点は只今申上げましたように、国会内部のいろいろ御関係もあるようでございますので、はつきりしたことを事務当局としては申上げかねるわけでございますが、一面この現在の委員の構成を御覧頂きましてもわかりますように、審議会といたしましてはメーカー側と申しますか、それから消費者側と申しますか、そういう形においてバランスがとれておるというようなことも必要かと考えます。それから国会内部におきましてはいろいろ各派の御関係等もあるように伺つておりまして、例えば四名ならば両院の通産、農林の委員長をお願いするといいのじやないかというような御意見もあるように伺つております。それから五名ということになれば、各派と申しますか、そういうふうな関係で割振りするというふうな御意見もあるように伺つておりますが、その辺は丁度前国会におきましてそこまではつきりきめるという段階まで進んでおらなかつたようでございます。議事録等を見ましてもその辺等は明確な方針等についてけ現われていないということでございますので、国会が始まりまして御委嘱申上げるという段階になれば、国会内部におきましてもいろいろお打合せを願つて御推薦なり手続をして頂く、こういうことになると思います。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたは事務当局だ事務当局だとおつしやるけれども、農林委員会だの、通産委員会だのという国会の一部的な機能の、いろいろ言つていることを問題にせられたり、政党の割当などということを問題にされておりますが、この法律が立法せられた趣旨、それは政府国会との関係にある。そうすると、国会と申しますれば、それはあなた御承知のように衆議院と参議院しかない。国会というものが公式に政党が代表されるものではない。それから、衆議院と参議院はそれぞれ独立の機関として自主性が尊重せられておる。それに、政党へ割当てなどということは国会の衆議院なり参議院が部内の便宜的な都合で或る申出を公式に受けた場合それはやることであつて、政党間の取引を以て国会から行政機関にそれらの操作で委員を出すということは何人もできない。どこもできない。これは議院の運営に関する問題であり、行政府に対する問題であればこれは議長の扱いであり、議院運賞委員会の扱いである。内部のことは別ですよ。公式には政府である。併しそんなことを考えておるというのは私はおかしいと思う。公式にものをお考え頂きたい。  それからもう一つ。このあなたのおつしやつていることで農林委員長と通産委員長を二名ずつなら委嘱すればいいという意見もある。どこにそんな馬鹿なべらぼうな意見があるのだ。委員長国会の役員だ。国会の役員が行政府委員を兼ねることがどこで許されますか。何か私はそういう点から言つてこれは行政府の責任でお取極めになることですから、計画があつていいと思う。もう一度はつきり御意見をお漏らし願いたい。そこでですよ、私は、未だきまつておりませんでした、この割当がきまつておりませんでしたと言えば、次に然らばということでお尋ねする点がある。
  36. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 先ほど申上げましたのは少し余計なことを申上げたと思いますが、まあそういうふうなお話も伺つたことがあるということでございまして、公式には勿論まだ未決定でございます。実はこの点は今朝も大臣と或いはそういう御質問が出るのじやないかということで、まあどういうふうにお答えすればよろしいでしようかということでお打合せをして来たわけでございますが、先ほど申上げました通り、この点はまだ決定していないし、いろいろ御指摘のように国会内部の従来のそういうお扱い等も我々十分承知しない面もございますので、事務当局としてはこの程度に答えておけ、午後自分が出るから若し更に御質問があれば大臣からお答えするということでございましたので、その程度意味に御了承願いたいと思います。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや、あとで大臣がおいでになつたらお伺いしますが、少くともあなたは事務当局々々々々と言いますが、法を執行する行政府の幹部責任者である、従つて私はあなたの所見を伺う。国会から五名のかたが出るということが如何なる割振りになろうと、どういう選考の基準にならうと、衆議院は衆議院だけで五名出して参議院からは出さない、参議院から五名だけ出して衆議院からは出さない、こういうようなことは妥当性ありや。事務的に客観的にあなたが担当者としてお考えになつている点を私はそれだけ聞きたい。
  38. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) どうもその辺になりますと私としては……。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 職務の秘密ならばまあ……。
  40. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) いろいろお答え申上げかねる点があります。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そんならお尋ねしますが、私これを見て驚いた。今審議会諮問せられているのは価格関係、これは需給関係もありますけれども、当面の問題としては価格関係、これが大きな問題であるから、肥料審議会というようなものを法律的な根拠に基いてこういう機関を設定し、而も国会が意思を加えて学識経験者として国会側から五名の委員を出そう。それが出てそして各三者の関係を或いは調整し、でき得る限り妥当な結論国会としても出すことに協力しようということであろうと思う。それを今閉会中であるからとしてこれが参画しないというような審議会で、それだけは制度法律によつて審議会は合法的に開かれておるのだから、民主的な諮問を頂いたのだから政府はそうしたのだということだけでは済まんことだと思う。法の執行が十全になされておらない。法が希望しておつたような形に行かんで、たまたま閉会中であつて、或る部面においては国会議員が入らないと都合がいいことがあるかも知れない。けれどもこの国会議員から五名の学識経験者が入ることによつてこの審議会の機能が十全に発揮せらるるという趣旨から言うならば今開かれておるこの審議会は十分なる機能を発揮するものだとあなたはおつしやることはできますか。立法の精神から言うてその点お尋ねしておきます。
  42. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 只今御指摘の趣旨はよくわかるわけでございますが、先ほど申上げましたように八月から肥料年度というものが始まつておるわけでございまして、その関係から需給計画並びに最高価格はどうしても早期に決定いたしませんことには取引上支障を来たし、従つてこれを放置しておきまずと先ほど申上げましたような仮の価格取引が行われるということでございますが、それすらもやはりはつきりした価格がきまりませんのでいろいろ取引上支障を来たすという関係もございます、又需給計画の面におきましてはこれを御決定を頂きませんと輸出余力というようなものも的確に算定できない、現在各国からオフアーが来ておりまする措置も困難なことになり、自然商機を逸するというふうな関係もございますので、止むを得ない措置として今回は五名のかたを欠員で発足をしたということでございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は国会関係から人が入つていないからこの審議会諮問検討を中止せいとそんなことは一言も申上げておりません。あなたがたは年度に入つて、そして合法的に制度上この審議会を用いておられることを私は非難するのではない。けれども内容として立法の精神から言つてこの国会関係意見がこの審議会の中に斟酌されるのが国会開会中でないために国会議員の委員任命に関しても承認が得られないという形式上のことから放置せられておるということは政府において本問題に対して国会の協力を仰ぐということについて積極性がないという点を申上げておる。それは一般の民間人であつて国会の承認を求めなければ政府関係機関の委員たることができないという場合もございますが、閉会中はそれは任命せられて事後の承認を求めるという手続も民間人に関してはある。国会議員に関してだけないのです。国会議員は承認を得なければ正式な能力を発揮することはできないのであります。けれどもあなたがおつしやるように、さつきおつしやるように各政党の、或いは衆参両院のそれぞれの実際上の割振りはこうするのだという一つ結論委員政府との間にできさえすれば、閉会中と言えども実質的に割当てられた二名なら二名、三名なら三名を参議院で各会派で協調してこの委員を内選することはできる。内輪できめることはできる。そして次期国会において正式な承認をそのまま求めるような各会派の協定はできる。従つてそういうような実質的な人をこの審議会の申合せで審議会の専門委員とすることができるという自主的な決定さえもしておるのですから、従つてこの審議会も自主的な決定なり、或いは諮問者である両大臣が立法の趣旨に鑑みて、国会側からこれこれこれこれの方法で五名のかたがたにオブザーバーに出てもらつて発言の自由を与えられるように審議会は斟酌してもらいたいというようなことであるならばこの審議会はこれを拒否する筋合は何らないと思う。そういうことで実質的には国会の協力も得られ、今後如何なる価格決定せられようとも、そのことが国会論議せらるることにおいてその円滑を欠く、摩擦を生ずるというようなことのないような方法は積極的な政府の考え方によつては如何ようにでもできるはずなんだというのは私の主観だけでしようか。この点をお伺いしたい。
  44. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) 国会との関係につきましては、これは委員にお入りを願うと願わないとにかかわらず委員会等において御要望があれば私どもは当然御説明し、又御批判を仰ぐことは当然かと存じますが、審議会委員につきましてはこれは私ども甚だ手落ちであつたか存じませんが、従来閉会中であるので、委員が御決定できないという前提で考えておりましたので、現在までは欠員のままとなつております。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では簡単に悪意を以て私はあなたにお尋ねしますが、閉会中で国会側から入らないことを奇禍としてこの第一歩としての重要な根本的な価格の問題を民主的に決定したという、その制度の上にだけ乗つて民主的な手続を受けたということで、この一方的な価格を消費者に押付けようとしておる、こういうふうに言えばあなたはそんなことは絶対にないと多分おつしやるだろう思いますので、念のために悪意を以て私はお尋ねします。そういうふうに我々があなたたちがいいことにしてこういうことをやつておるのじやないかということについては、あなたはどういうふうに御答弁になりますか。
  46. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) そういう考えは毛頭ございませんので、全く手続上止むを得ないことで、時機を急ぎます関係で、今回はこういう形で止むを得ず発足しておるということでございます。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると全然そういう悪意はない、絶対的に国会関係からこの種の問題について審議会としても速急に協力を頂く何らかの措置を考慮するということになりますか。
  48. 吉岡千代三

    説明員吉岡千代三君) その点につきましてはすでに審議会相当進行しておりますし、又極めて重要な問題でございますので、早速大臣に御指摘の趣旨をお伝えいたしまして、午後大臣からお答えいたすようにいたしたいと思います。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは言葉だけでなく御相談なさつて午後にでもよいし、又速急にこういう委員会を、その関係で開くとなればその場合でもよろしいでしよう。御返事だけは頂きたい。すつぽかしておいたなば或いは国会として正式にあなたを別の委員会に呼んでお尋ねしなければなりません。今ですね、衆議院のほうで農林委員会からこの関係から国会関係の代表としての五名というような形で形式を履んでオブザーバーとしてこれに出そうという動きもある、或いは衆議院の通産委員会においても五名のオブザーバーとしてこれに傍聴せしめるということを昨日決定したと言われておる。そして参議院自体は通産委員会も農林委員会も誠に民主的な第ニ院としても参議院らしい考えから当然政府から積極的な何らかの措置や申入があろうということで、石原委員長はお待ちになつて何もやつておらないのだと私はそう思う。このおつとりしている参議院のそれをいいことにしてぬけぬけとこの審議会を罷り通らせて行つて、あとで何と言われようと、民主的にきめたことでございますということですつぽかそうということでは、前国会における二法案の審議の過程からいつても許されない。従つてこれは責任を持つて至急考慮せられて、国会関係の問題を調整せらるるようにしなければ、国会としても非常に迷惑である。少くとも参議院としても迷惑であり、通産、農林各委員とも権限争いが起るように誤解されればなおこれは迷惑なことだと思います。私は臨時の委員ですからこの点だけを申上げます。
  50. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 小笠原君にちよつと私から申上げますが、午後に大臣が見えます予定ですから、我々もその問題を検討したいと思いまして、併せてこの肥料審議会の経過を今日聞くように取計らつておいた次第であります。御承知下さい。
  51. 河野謙三

    河野謙三君 私も実は今小笠原さんのおつしやつたようなことを聞いておるのですが、午後の大臣答弁に備えてあなたから私が今聞いておる範囲のことを申上げますから、それについての真疑のほどをはつきりと午後御答弁を願いたい。これは衆議院の農林委員会から最初……、極く簡単に申上げますと、衆議院の農林委員会から最初オブザーバーとして出させろという要求がありました。それじや五名出てもらおう、その後において衆議院の通産委員会から、それならおれのほうも呼ばなければいかんじやないかということになつて、更に通産委員会から、衆議院の通産委員会から五名呼ぶことになつて、都合十名を肥料審議会にオブザーバーとして出席させることにきまつたと私は聞いた。その間において参議院の農林委員会は今開会いたしておりませんが、農林委員長からそれは非常に不当な措置であるということで申入をしたけれども、それに対しては、政府は取上げない。こういうふうに聞いておりますが、それが本当か嘘かということを、一つはつきりと御答弁を願いたい思う。これはですね、オブザーバーであろうが、何であろうが、法の趣旨からいつてこれは政府が一方的にきめるとはいうものの、従来の経過からいつて、衆参両院から五名をとるということになつておるわけです。この前の通常国会で、前の国会において肥料法案が流れたときに、その当時の政府の政務次官をしておつた平野君から、特に委員国会議員を追加するということで政務次官から修正案が内示があつたのです。その場合にもただ人数だけではなくてその場合には衆議院から何名、参議院から何名という内訳まで出されておるのです。これは当然のことなんです。そういう経過から行きまして、若し今私が聞いておるように、オブザーバーの問題であつても、衆議院の、衆参両院からだけ十名の参加を求めて、参議院が出席しないというなら別です、そういう不見識なものに出席しないというのは別なんです。参議院の農林委員長からそれについて、申入について拒否した政府の肚は一体どこにあるのか、これを一つはつきりと昼からの大臣答弁でしてもらいたいと、こう思います。  なお私は委員長にも申上げておきますが、これは委員長におかれましても、よく他の委員と御協議の結果、当参議院の通産委員会においても、この問題は如何に処置すべきかということにつきましては、後刻御相談を願いたいと思います。
  52. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 了承しました。
  53. 板垣修

    説明員(板垣修君) 昨日河野委員から御質問がありました、加里の輸入についてお答えをいたします。昨日一切上司にも報告し、農林省原局とも相談いたしました結果、下期の予算において大体二十三万トン程度の追加輸入をすることに内定をいたしました。なおできますれば、その一部を今期におきましても繰上輸入をするように準備中でございますので御了承願います。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 まあ折角御努力願つてそういう御回答を得たことを、先ず私は全国の農民に代つて私は感謝いたします。そこで二十三万トン追加するということは、結局当初の六十万トンの輸入に対して、二十三万トンの追加輸入であるから、合計八十三万トン年間輸入するという計画ができ上つた、こういうことですか。
  55. 板垣修

    説明員(板垣修君) ちよつと詳細私存じませんので、説明員からお答え申上げます。
  56. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 昨日局長から答弁いたしましたように、大体二十三万トンでございまするが、二十三万トン乃至二十五万トンというものがK2O一〇〇%で通商局のほうで考えられておるということです。
  57. 河野謙三

    河野謙三君 いやもつとね……、私もこの場合は農民の代表として伺つておるのだから、百姓にわかるように、一体昨年は年間通じて六十八万トン入つたわけです。それに対して本年が当初六十万トンの計画を立てられておる。そこで加里の市況は非常に高価で、徒らに高いものを農家が買わされておる。そこで追加してもらいたい。で追加をしてこうなつたという場合に、あなたのほうからのお答えは素人にわかるように昨年の六十八万トンに対して、本年は追加した結果、八十万トンになつたとか、八十三万トンになつたとか、こういうふうな答えをしてもらわんとわからないのですよ。
  58. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 六十万トンのほかにK20一〇〇%で八万トン追加されまして、七十六万トンということに大体なるわけであります。
  59. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと私は数字がおかしいと思います。七十六万トンというと、昨年の実績に対して八万トンですね、追加されたのは。その程度で加里の市況が安定するという確信ありますか。
  60. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 大体本年度の入船の見込は七十万トンでございまして、それで今産K2O一〇〇%で八万トン追加されますと、グロスにしまして十六万トンでございますから、七十万トンのほかに十六万トン、即も八十六万トンくらい本年度に入つて来るということになるわけでございます。それでそれくらいありましたならば、大体まあ今の価格も下つて来るのじやないだろうかということを考えておる次第であります。
  61. 河野謙三

    河野謙三君 その本年度というのは肥料年度ですね。
  62. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) はあ、肥料年度……。
  63. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、ちよつとわからないのだ、さつき追加された結果七十六万トンになるとおつしやいましたね。今のあなたのあとの説明では、K2O一〇〇%ということで八十六万トンになる、そこがわからないのですね、素人には。一体、昨年の六十八万トンというのは実績ですね、これに対して、本年はこれから入るものの見込を入れて一体幾らになるのか。八十六万トンが本当ですか、七十六万トンが本当ですか。
  64. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) KO一〇〇%で三十万トンの予算を組んであるわけでございます。それにK20一〇〇%で八万トン加わるわけでございます。それでグロスにしますと、大体七十六万トン、こういうことになるわけでございます。ところが前年度の入船のズレがございまして、それで本肥料年度におきましては、グロスで大体七十万トン入つて来る見込でございます。それで十六万トン予算が追加になりますので、八十六万トン本年度入る、大体こういう予定でございます。
  65. 河野謙三

    河野謙三君 よくわかりました。そうすると、昨年度のズレが十万トン、その他に加里の鉱石にして七十六万トン、合計八十六万トン、こういうことですね。通商局長でも肥料課長でもいいんですが、塩化加里と硫酸加里の内訳はどうなつておりますか。八十六万トンの場合、塩化加里と硫酸加里の内訳はどうなつておりますか。
  66. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 大体硫酸加里はグロスにしまして二十万トン程度でございます。
  67. 河野謙三

    河野謙三君 二十万トンというのは昨年の実績と変らんということですか。昨年たしか六十八万トンのうち、二十万トン程度が硫加だつたのです。あとは塩加だつた。それで本年には相変らず硫酸加里を、外貨が窮屈なときで大騒ぎをしておるのに、ああいう高い贅沢なものを、而も農林省が技術的な立場で、ああいうものは贅沢だと言つていながら、相変らずその程度入れるのですか。
  68. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その点につきましては極力硫酸加里を抑えようということを考えておりまして、昨年度よりも本年度は減らしておるわけでございます。減らし方が少いという御批判もあると存じますが、今回の追加のときにおきましても、十六万トンの中で二万トンぐらいを硫酸加里でと考えておるようなわけでございましてまだはつきりはきまつておりませんが、できるだけ減らして行く、加里そのものの数量を多くしたいということを考えております。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 私は、如何にこの農民の要求といえども、国家の財政とも睨み合せて、農民に我慢するだけは我慢しなければならんと、そういう観点に立つてまあものを言つておるわけです。たから、その加里が足らんから加里の輸入をしてくれということはいいけれども、一方節約できるものは努めてしなければならない。そういう点で行きますと、硫酸加里を減らして塩加のほうを殖やすよりしようがないでしよう。同時に農林省の改良局、肥料の技術の問題は改良局ですよ。改良局は、どういうように、たつぷり見ても、硫酸加里で行かなければならないというのは五万トン超えないと言うのでしよう。それ以上のものは塩加で、硫加でなくとも塩加で間に合うものです、技術的に。そういうことを言つておるわけです。あなた御存じの通りです。然るに、それを昨年は二十万トンを入れておる。農林省の改良局の技術的な立場から言えば、十五万トンも贅沢なものを使わして、これは農林省の責任ですよ。これは指導の立場にある農林省の責任ですね、これは啓蒙しなければならない。然るに、啓蒙する立場にある農林省が、相変らず何の理由か知らないけれども、通商局に向かつて硫加を減らせということを言わないで、硫加をこれだけ二十万トン入れるというのは、私はおかしいと思う。どうなんです。私は進んで、それはドイツ、フランスの輸出する立場にすれば、塩加を売るよりも硫加を売つたほうが儲かるから、向うの立場から行けば硫加を入れたいのですよ。それにただ追従して行くのはおかしいと思う。この外貨の窮屈なときに、どうしてそれを私は二十万トンのところを、技術的な立場だけで五万トンに一遍に減らすことはできないだろうけれども、少くとも本年度において、外貨が窮屈だから十万トンだけ減らす、そこで硫加を塩加にすることによつて、僅か一トンで四十ドルも五十ドルも違う。私はよく言うのですが、こういうのは自動車よりも贅沢だ、考え方によつてはそういうものは……。ただ何でドイツやフランスの資本に追従してやらなければならん理由があるか。通産局がドイツ、フランスがやかましいからもつと硫加を入れてくれというのならわかる。通産省はそういうことは言つていまい。農林省意見によつて入れるのだと言つている。農林省が積極的にもつと硫加を減らして塩加を殖やさなければならない。私はもつと露骨に言えば化成肥料という儲かる肥料を造るために硫加がなくちやいかんから、硫加の希望が多いのですよ。何もその化成肥料を農家が欲しがつてるのじやない。農家は加里を欲しがつてる。加里がないから仕方がないから化成肥料を買つている。これは林田さんよく御存じのはずです。いつまでもそういうことをしちやいけませんよ。私に言わせれば、農林省がなぜもつと技術的な立場で、硫加をもつと大鉈を振つて塩加を殖やし、一面加里の絶対量を殖やすということをやらないのですか。こういう明瞭な問題は私はないと思います。現に通産大臣がその問題に対して、甚だ不明だつたけれども、君に聞いてよくわかつた、極力そういうふうにやりますと言つている。それを結果においてやらないのは、私は何か他意があると思うのです。どういうことなんです。
  70. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 仰せ誠に御尤もでございまして、その方向へ向いまして極力やりたいと存じております。まあ甘藷とか馬鈴薯に対しまする硫酸加里の需要を直ちにすぐ切つてしまうということになりますると、農民の従来の慣行からいたしまして、硫酸加里が非常に高くなるというふうな虞れもございます。この指導のほうとマッチしながらやつて行かなければいけませんので、直ちにということが、直ちにまあたばことか、或いは北海道の甜菜糖だとか、そういうものだけに切つてしまうということができませんので、この点まあ非常に因つているわけでございまするが、できるだけもう仰せのことは御尤もでございますから、そういうふうにいたしたいと存じております。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 これは私はあなたの意見には納得しない。改良局は決してそういうことは言つてないのですよ。これはやはり行政府はそれぞれ専門の原局があるはずです。改良局はそういうことを言つてない。同時にあなたは一遍甘藷や馬鈴薯に対して、塩化加里でいいけれども、硫酸加里を欲しがるということについて農民の従来の慣習から言つて肥料から取上げちやいかん、こう言われますけれども、硫酸加里を輸入されたが、硫酸加里そのものが農家へ行つていますか。輸入された硫酸加里がどういうふうな人に使われているか、調べて御覧なさい。硫酸加里の大部分が、たばこは仕方がない、北海道開発の特殊なものは仕方がない、そのほかのものの大部分は、私がさつき指摘したところの化成加里原料のメーカーに行つている、それを聞いている。硫酸加里の形で農家に行つてない。化成肥料の原料として硫酸加里が潰されて、化成肥料に変つて農家に行つている。そういうことをおつしやるなら、硫酸加里の使途について明細をもらいたい。輸入された二十トンの硫酸加里が、一体幾ら使われているか。たばこに幾ら使われているか、再接農民に幾ら使われているか。これをもらつて、農民が本当に硫酸加里を使つているならいいのです。それは使つているのもあるけれども、それは一部分じやないですか。大部分が化成肥料の原料じやないですか。この事実は否定できないですよ。むしろ私は通産局が、今言つたように、いろいろドイツやフランスとの関係で、外国関係もからんで来るから、特に局長は外務省の関係だから、そういう国際関係を重んじるでしようが、ここの通商局長がそういうことを言うならば、これは私は或る程度それも考えなきやいかん農林省がそれを言つちやいけませんよ。今度の追加割当について、ただ私は枠を殖やせばいいというのじやない、枠の内容なんだ。金を無駄に使つちやいかんですよ。四十ドル、五十ドル何でドイツやフランスに奉公しなきやならんか。御存じのように世界中で硫酸加里をこれだけ使つている国は日本だけじやないですか。曾つてのドイツの資本やフランスの資本に、硫酸加里は儲かるからと言つて宣伝されて、日本の農民がすつかりその宣伝に酔つちやつて意味なく使つているのが今の日本の硫酸加里じやないですか。この事実は御存じのはずだ。世界中どこにもこんな例ありませんよ。こんな贅沢なものを使つている国はない。貧乏な中でも百姓は貧乏なんだ。貧乏の中の百姓が、この貧乏な百姓が、世界中で一番貧乏といつてもいい百姓が、世界中で一番贅沢な肥料を使つているのはどういうわけか。何でそんなものを使わせて置くか。これについてはそれは十分御考慮願いたいと思います。
  72. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 誠に御尤もでございまするから、そういうふうにいたしたいと思います。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 通商局長もこの点だけは何でもかんでも原局に任せると言つたが、この点は私が申上げたことを参考にして、この点については十分再検討願いたい。何でも農林省の言うことを聞く必要ありませんから……。
  74. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじや休憩して、午後一時半から再開いたします。    午後零時四十一分休憩    —————・—————    午後二時三十七分開会
  75. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではこれより通産委員会を再開いたします。  先ず間もなく大臣見えると思いますけれども、昨日申上げておきましたように、大臣から昨日承わりました通商貿易新構想に関連いたしまして、皆さんから御質疑を願いたいと思います。
  76. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど硫安の話が出たのでありますが、この輸出硫安に対しましては、すでにオツフアが来ているようであるが、それを輸出したいという陳情書も出ておるようでありますが、その辺のお見通しはどうなのでありますか。
  77. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 硫安輸出につきましては、今年度相当各方面から引合が多数参つております。値段の点も昨年あたりと違いまして非常にいい条件であり、六十ドル近い条件で去つておるのでありますが、御承知のように国内の需給の数字を見ますると、輸出余力がおのずからわかつて参りますが、現在中国、台湾でございますが、中国に対する輸出計画に基いて三十万近く来ておりますが、これを遂行いたしまして、更に余力ある限りにおいて輸出をいたしたいと考えておりますが、現在韓国及び中共の米の見返りのもの、その他を合せましてほぼ来年の四、五月頃までかかりまして、現在約束しておりますものを遂行する程度の供給余力しかないという現状になつている次第でございます。私どもといたしましてはできるだけ輸出を伸ばしたい、この機会に硫安輸出を伸ばすことが適当であろうと考えているんでございますが、只今申しました通り国内の需給の数字を検討いたしました結果、輸出余力といたしましては、現状ではさような状態になつておりますので、現在引合に対しまして、相当多数引合が参つておりますが、この全体に対して応ずるということができないような現状でございます。
  78. 海野三朗

    ○海野三朗君 中共のほうから、つまり米とバーターしよう、中共の米は日本米に非常に似ている、ところが台湾のほうに対しては相当量行くように聞いておりますが、その方面へ、中共向けのほうに余計やつて米をたくさんとればつまり外貨の方面にも非常に好影響を及ぼすのではないか、こう思いますので、中共のほうに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  79. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 当面中共からの米の輸入としまして、ちよつと私数字を持合せておりませんですが、約三万トン程度だと思いますが、米の輸入をいたすことにいたしておりますが、その見返りに硫安を約百万トン出さなければならん。これは年内は肥料年度の海船関係から見まして、その全部を本年度中に送出すことは困難でありますが、来年の四、五月にかけまして見返りの硫安を出すということで大体契約が進んでおりますので、その線で現在話合ができております。米の輸入と見返りの硫安輸出につきましては時期的のズレはございますが、先方の了解も得ましてほぼその程度の貿易ができると考えております。
  80. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つお伺いしたいのは中共のほうからのオッフアに対してこれを満たしてやるだけの硫安が都合できるわけでありますか。
  81. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 現在中共との話合になつております数量程度は、時期は若干ずれまして、積残りの分は来年の四月乃至五月頃に出るという了解の下に現在話合になつておりますものは供給できると考えております。
  82. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 輸出の面におきまして特に私は雑貨の問題を一つ御質問申上げたいと思うのであります。特に雑貨は中小企業者の造るものが殆んど大部分を占めておると私は承知をしておるのであります。その中の一つの例といたしまして輸出造花の問題であります。輸出造花は二十八年度におきましては約十七億の輸出をいたしております。二十九年度は二十億の輸出見込んでおるのでありますが、最近の情勢を見ますとこの造花が非常に値下りをいたしておるので業者が非常に困つている。特にこの造花は御承知通り中小企業というより全く零細工業、家内工業によつて造り出されておるのでありますが、今日中小企業の不況を佃んでおる際にこれを何とか十分に検討してこの値下りに打勝つて輸出できるようにしなければならんと考えておるのでありますが、私の調べたところによりますと輸出造花のいわゆる港まで出しまする運賃が非常に高価になつておるのでありまして、特に輸出造花の場合におきましては運賃が普通運賃の三倍もとつておる、普通運賃の更に二倍の割増運賃をとつておる状態でございます。輸出に対しましては運賃その他に対して特別な便宜を図らなければならないというふうに我々は強く要望しておる際に、実際調べて見ますというと二倍の料金追加をいたしておるような状態でございますので、これでは値段の値下りと車賃等を調べた場合におきまして、どうしてもこれは一つ特別に二倍の割増運賃を是正して頂かなければならんのではないか、かように考えておる。私はこの造花の今日造られております地方を調べて見ますと、第一に東京が一番この造花が盛んであります。その次は長野県、その次が千葉県、茨城県、新潟県、埼玉県、こういう県が大体におきましていわゆる家内工業輸出造花を造つておるのでありますが、一体運賃の二倍の割増をしているというのを、原因を調べて見ますというと、造花は目方の割合に容積を非常にとる、つまり容積を多くとるから運賃を余計とらなければならんという一つの理念の下に二倍の運賃の割増を附加しておるのでありまして、これは国内において使いますところの花輪というような、ああいうものになりますと確かにそういうことが言えるのでありますけれども、今日輸出造花は殆んど私が調べている範囲におきましてはそういうふうな厖大な目方の割合に容積というものはないのであります。普通の荷物と何ら変りはないのでありますが、こういうものに対して運賃の割増の是正をするというような考えはないか。なお私は参考までに調べたのでございますが、新潟県から神戸までに造花を送りまする鉄道運賃と、自動車で新潟県から親知らずの嶮を越えてそうして遥々神戸まで自動車で輸送し参ります運賃がとんとんであります。鉄道の運賃とトラックで以て神戸まで新潟県から持つて行きます運賃がとんとんというような、こういうことは私はちよつと考えて頂かなければならん。同じく茨城県から横浜に持つて参りますときにはもう鉄道運賃よりも遥かにトラックの運賃が安いというような状態であるのであります。こういうことを考えますと、輸出を振興する、而もこの零細工業輸出雑貨を奨励する意味においてこの国内運賃の是正について何らかの一つ対策をお考え願いたいと思いますが、如何でしよう。
  83. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 只今の御質問は鉄道運賃の問題でございまして運賃政策としましては運輸省の所管事項なのでございますが、実は輸出貨物につきまして相当鉄道運賃がコストのうちで大きな部分を占めております。輸出価格に対して相当影響を与えているという現状が今お話の造花の場合もございますかと思いますが、それ以外にも例えば青果物でございますとか、野菜等につきましても相当大きな割合を占めているケースがあるのでございまして、私どもといたしましてはこれらの輸出競争力の問題から検討いたしましてこの辺に若干の対策が要るのではないかと考えているのでございますが、なお私ども現在の考え方といたしましては輸出価格のうちで占めます運賃の削合が相当大きなものにつきまして何らか若し運賃政策において特別の取扱ができません場合には何らか措置を講ずる必要があるのではないだろうかということで目下検討いたしている次第でございます。この点につきましては予算上に問題も伴いますし、各般の影響も考えなければなりませんので、目下研究はいたしております。御趣旨の点は十分承わりまして、なお只今お話の点も料金につきましては初めてお伺いしましたものでございますから、そういう点についてはなお研究したいと思います。
  84. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 なお参考までに一つお話を申上げておきますが、この造花におきましては輸出にいたしまする製造原価に対しまして、国内運賃が丁度一割くらいかかつておるような状態でございますから、御参考までに一つ申上げておきます。
  85. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 私も丁度輸出物資の運賃の問題が出たのでありますが、曾つて輸出用物資の運賃は何か二割引にするとかいうような制度があつて輸出奨励がされたようであります。今はそのことが全然なく、逆に只今西川委員から言われたような例もあり、それから大堀次長からも話が出たのでありますが、例えば果物のごときは、輸出用りんごなどを送る場合に、貨車を指定しなければならない。急いで急に送らなければなりません。そうすると逆に一割増の運賃が要求される、請求される。相当の額にこれはなるのであります。それで今回政府においても輸出増進計画を立てて非常にやつておられる際に、事は小さいかも知れませんが、あらゆる面からやはり輸出をしやすくするようにコストを下げるように努力をしなければならんのでありますが、この問題につきまして輸送当局のほうで措置ができないということであれば、当然輸出奨励というような形で考えてもらわなければならんと思うのでありますが、現在この問題に対して予算要求等をされておるかどうか、一層の今後の善処を要望する次第であります。
  86. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 只今お話のように戦前には輸出貨物に対する特別な料金制度がございました例もあると思う次第でございますので、私どもとしましては、来年度予算において若し運賃政策上何らかの措置が請ぜられない場合には、輸出奨励の方策といたしまして何らかの予算措置を講じたいということで目下私どもといたしましては内部で検討中でございます。
  87. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それから昨日貿易輸出振興の新計画を聞いたのでありまするが、これを推進して行くについては政府としても明年あたりから総合的にいろいろの振興政策をとらなければならんと思うのであります。予算の季節にもなつておりまするので、この新構想に即応して通産当局としてどういう貿易振興上の予算編成を計画されておりまするか。まあ概況をここに御披露願えれば結構と思います。
  88. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 来年度の貿易振興に関しまする予算につきましては、これはまだ相当今後検討は重ねられる問題でございまして、ほんの私どもの事務当局の原案という程度にとどまるのでございますが、御質問がございますので簡単な方向だけ一つ申上げておきたいと思います。現在日本がやつております輸出振興施設を見ますと、一般にやつておりますのは御承知のように、海外貿易振興会を中心といたします貿易斡旋所の海外設置、或いは海外の国際見本市に日本商品を参加させる、或いは海外に旅商団を派遣いたしますとかいうような施設をいたしまして、現在今年度通産省で使つております予算が約三億程度でございます。なお重工業輸出につきましては、重機室を設置いたしまして海外にエンジニアを派遣いたしまして外国との折衝をやつておるのでございます。金額といたしましては三億円でございまして、今後一層飛躍的に増大いたしますためには、仮に十七億ドルという目標にいたしましても、戦前といたしましてはこれは海外に出ます場合には外貨に変つて参るわけでございまして、円貨で三億円というと非常に小さなものでございます。従いまして私どもといたしましては、宣伝費といたしまして仮に一%と見ましても十億ドルの輸出に対しては三十六億円の金が要る。そういうような関係になりますので、この来年度輸出振興のための予算といたしましては、海外宣伝費といたしましても相当多額のものを注ぎ込まなければ思い切つた振興ができないのじやないかという考え方に立ちまして、現在やつております各種の宣伝施設以外の、或いは輸出組合がやつておりますものもございましようが、民間で各それぞれやつておられます宣伝等につきましても、例えば関税引上げ措置が行われます場合に、その関税引上げ措置を阻止いたしますための弁護士を雇う費用すら業界では現在出せない、こういうような現状でございますので、そういつた面につきましてもできるだけ政府の援助を与えて行く。例えば生糸の輸出宣伝につきましても、戦前は年百万ドルの宣伝費を使つておりまして、現在の金に直しますと三億六千万円ということになるのですが、今年度農林省で約五千万円の宣伝費が計上されておるだけでありまして、生糸もこれは宣伝次第によりましてはまだ相当輸出を伸ばし得るのではないかと思つておりますので、こういつた面で対外宣伝、こういう面の費用につきまして画期的な一つ思い切つた措置を講じませんと、各国の、ヨーロッパの西独でありますとか、或いはフランス、チエコ、オランダあたりが海外に対する積極的な施設をやつておりますのと比較いたしまして非常な見劣りがいたしますので、この斡旋所施設につきましても見本市の参加の場合につきましても、各国の出品物と比べまして甚だ弱いのであります。これはいろいろ批評があるのでありますが、結局これは財政支出が少い、業界が昔と違つてそれらの負担をする力がないという点に問題があると考えられますので、私どもとしましてはこういう宣伝費に対して国家が助成をするということは、これは各国に対しても何ら遠慮する必要がない事項であると考えます。又そういう面に財政的な支出をいたすように折衝いたしたいと思つておる次第であります。内容につきましてはいろいろの案がございまして、例えば意匠の問題をとりましても、最近イギリスあたりで問題にされておりますのですが、日本自身が日本独得の意匠を持ち得ないということは、やはりそういう面に対する研究が不足しておるということもありますが、こういつた面もやはり現在の業界、殊に中小企業関係において多いと思いますが、そういつた面の負担の力がないというところに原因があるのではないかと思いますので、そういつた面の助成を国家において考えて行くべきではないか。いろいろ研究をいたしまして、或いは又新らしい見本品を作つて参るという点についても、できるだけ考えて行きたい。こういう趣旨で原案を練つておる次第でございます。なお最近プラント輸出等につきまして、従来はリンク制度とかいうようなことでいろいろ特殊な措置がとられておるわけでございますが、これは特殊貿易は本来の姿でございませんので、こういう制度は長続きできないだろう。従つて貿易の姿としてはやはり正常貿易へ持つて行くべきであるという考え方で目下いろいろ関係方面と御相談をし、そういう方面に切替えをいたしておるわけでございますが、一方においてそういう或る意味の援助がありましたものが取られつ放しで果してプラント輸出が将来伸びるかどうかということにつきましても相当むずかしい問題がございますので、これらにつきましても現在の重機室の運用を拡充いたしますとか、輸入銀行のローンの期間を延長いたしますとか、或いは金利の引下げ等の問題につきましても相当慎重に考えなければならない問題がありますので、こういつたプラントの海外における競争力を養つて行くことはむずかしいのではないか、こういう問題につきましても各方面から問題を集めて参りまして、予算的措置としてできる限りのことは考えて行きたいということで目下検討いたしておる次第でございます。  甚だまとまりがございませんが、大体の問題の方向といたしましては、各国から批判を受けないような方向において、日本の現状から見まして業界で負担できない部分について政府ができるだけ力を加えてやる、こういう考え方でございまして、そういう面におきまして各般の措置を講じたいと思つております。
  89. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 宣伝費に対して大いに助成をやつて行く方向を考えたい、これは私も非常に同感でありますが、それに関連して本年大阪で国際見本市が開催されてこれは相当の成果を挙げたようでありますが、明年は東京、大阪両市でやりたいというような動きもあるやに聞いておるのでありまして、これらの日本で行います国際見本市というものに対して今どういう考えを持つておられるか、どういうふうに助成をされておられるか、又今後これをどういうふうに指導して行かれるか、こういう点について一応考え方をお聞きいたします。
  90. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 国内でやります国際見本市につきましては、前回は大阪で行われまして通産省のほうから助成金を出しておるわけでありますが、来年は東京において開催いたしたいということで現在東京都が中心になりまして計画を進めておる次第でございます。  たまたま来年度は国際商工会議の総会が東京で同時に行われることになつておりますので、宣伝の機会からいいましても最も適当であると考えまして、明年度の国際見本市は東京で行わせることが適当であるということを通産省で考えまして、今後の問題といたしましては先ず東京と大阪とでも交替で参りますか、一年に二つをやるということは適当でないと思いますが、まあ大体交替にでもやつて行くことが適当ではないであろうかというふうに考えている次第であります。  なお国内の国際見本市につきましては、昨年前回のものが相当私どもから見ましても成果が挙つたと考える次第でございまして、ヨーロッパでやつておりますドイツあたりのメッセから見ましてなお規模その他非常に不十分でございますが、だんだんと改良され発展するように持つて行きたいと考えている次第であります。
  91. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 国際見本市と称するからにはやはり国際的に相当の出品がなければならんと思いますし、又国際的にいろいろ出品があることによつて各地からバイヤー等の参集も期待されるわけでありまするが、大阪において行なつた国際見本市について外国出品、外国よりの出品に対して何らか援助といいまするか出品のしやすいような措置をとられたのかどうか、それから明年東京で行われまする国際見本市についても大体それと同じようなやり方をしようという考えであるかどうか、そこら辺についてお伺いします。
  92. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 前回の大阪の場合には外国出品を認めまして、外国出品物を持つて参ります場合にその輸入許可を為替を特別に与えておつたわけでございます。今回東京でやります場合に、当初の方針といたしましては、実は前回の場合は相当余裕時間がございましたので当初からそういつた方針で或る程度行けたのでありますが、来年度の場合には時間的問題もあつて如何かということで実は当初国内出品物中心で行くという考え方で進んでおりましたのですが、その後やはり外国からの出品物も出したいという御要望相当ございますので、私どもといたしましては出品されますものが新らしいものであつて、まあどつちかと申しますと不急不要のものでない、日本の将来の産業のためにも役に立つというものがございますれば、これは輸入を認めようかという考え方で目下進んでおる次第でございます。
  93. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 先ほど来貿易振興費が本年度は三億でありましたかということでありますが、輸出振興に伴うこの総合施策に即応する予算としては相当のことを考えて行かなければならないと思うのですが、今通産当局で要求されている予算は大体どの程度でございますか、秘密でなかつたら……。
  94. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 甚だ大風呂敷に聞えるかも知れませんが、先ず百億くらいのつもりでおる次第でございます。(笑声)
  95. 森崎隆

    ○森崎隆君 大臣が来られるかと思つてつておりましたが、まだ来られないようでありますので、私は三時半頃から用がございますので基本的な問題でございますが、次長さんにお答え願われましたら仕合せでありますが、為替レートの問題ですね、これは相当私はやはり貿易の振興上にも基本的な問題として大きな影響力を持つておるものだと思うわけですが、現在どんな状況にあるかを御説明頂きたいと思うわけです。と申しますのは、私たちが大体漏れ聞くところによりますと、ドルは今四百四、五十円を上廻つておるというようなこともいろいろ噂に聞くわけですが、実質的にはそれかあらんかいろいろな業者のほうでは判断をめぐらして眠り口銭の問題だけでなくドルの枠をとるということに必死に競争をやつておるような点も聞いておるわけですが、そういうような商社なり個人にドルの枠を与えて果して本当の日本の輸出振興はできるかどうかの問題もそこにあると思いますが、この実情についてお聞かせ願えましたら……。
  96. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 大変これは重大な問題でございますから後ほど或いは大臣からお答え申上げるほうがいいのではないかと思います。  まあいろいろそういう話もあるかと存じますが、又現実に先ほど申上げましたように貿易の実勢といたしましては必ずしも正常貿易という形で行われてないという面もあるわけでございます。私どもといたしましては先般のIMFが参りまして日本のいろいろ事情を調査いたしておりますが、その結論はともかくといたしまして私どもといたしましても今やつておりますような不健全な特殊な特殊貿易、或いはバーターの変形で行います或いはリンクの方式というような方式は日本の本来の形ではないと考えますので、これは早急にやめたいということで、先ほど申上げましたようにそういう制度をやめまして正常貿易という形に持つて行きたいと現在いろいろ努力をいたしておる次第でございます。それは飽くまで為替レートを堅持して行きたいという建前に立つて私どもは考えている次第でございます。御了承を頂きたいと思います。
  97. 森崎隆

    ○森崎隆君 この問題は後ほど通産大臣のほうからお答え頂きまして私がいなくても又速記録に載せて頂きます。  それから引続きましてこの際やはり大臣に対する御質問でございますが、先般輸出計画についての御説明があつたのでございますが、この緊縮政策が強行されておるその場合に倒産、失業者の続出していることは明らかに政府も認められておる、そういうような問題を解決する方途といたしまして緊縮政策は今後もじつくりこれを合理的にやつて行きたいというようなお話があつたわけですが、合理的なやり方ということについて何か具体的な施策があればこの際伺いたいと思うわけでございます。何か次長さんからお答えを或る程度でも頂きたいと思います。あとは大臣お答え頂きまして……。
  98. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) ……。
  99. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 大臣が来てから答えてもらいたいと思います。
  100. 森崎隆

    ○森崎隆君 もう一点、対中日関係のこの貿易の輸出計画を本当にこれを具体化するためには欠くべからざる重要なポイントであると私たちは信じている、この計画書の中にも四頁の三ですか、中共貿易については云々とか言いまして中国向けの禁輸の緩和等の措置が講ぜられるものと想定したと書いてありますが、これは想定したというのはどういうことか私わからない、この計画通産省となつておるのですが、通産省は一応この案はきめたものと私たちは考えるわけです。通産省がこれをきめたとなりますと、これはやはり一応通産省計画が、閣議その他政府全体として或る程度の裏書きがあるものと実は考えるわけでございますが、そうなりますと、この禁輸品目の緩和ということについても、相当具体的な線が出ておるのではないかと、こういうように考えるのであります。従来もとかく噂されておりましたように、対中国向けの問題はアメリカのお指図によつて、そのままやつておるような印象が強いわけです。日本国だけでこれが緩和できないといつたような点もいろいろ噂されておる、外務大臣の答弁を見ましても如何にもアメリカの要望に対して忠実過ぎるほど忠実で、そちらでOKがなくちやとてもできないというような態度が非常に濃厚に我々は感じられる、そんなわけでこれが具体的にどの程度までということが具体的にわかつておりますれば、或る程度基本的な構想をこれも伺いたいと思います。
  101. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) ここに書いてございます考え方は三十二年度に約七千万ドル程度輸出ができることを予想しておるわけでございますが、その場合の条件といたしまして、中共向けの禁輸も相当緩和されるであろうという想定に立つておるわけでございます。現状から申しますと、御承知のように従来昨年来中共に対しまする輸出制限の問題は、西欧と日本の輸出との間に相当な差がございまして、西欧外国が出せるのに、日本が出せないというケースがあつたのでございますが、この七月までにその問題は全部解消いたしまして、現在までは西欧と同じ線まで参つておるわけであります。そこで現在でもなお相当範囲な制限があるわけでございます。殊に機械類、そういつたものにつきましては、繊維機械といわず、紡績機械のようなものは解消されておりますが、重工業方面のものがおおむね禁止に引つかかつておるわけであります。この問題は現在では各国が寄りまして、五国で協定をいたしてやつておるわけでございまして、その線といたしましては、かなり厳格に各国とも励行いたしておるのでございますから、これが早急に緩和されるということを私どもも期待いたしておりません。これはまあ将来だんだん情勢が緩和されますれば、それに応じて相当程度緩和される向きもあるから、その場合には相当輸出が期待できるのじやないかと想定をいたしておるわけでございます。
  102. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の問題につきまして品目の緩和の問題は輸出計画の死命を制する大問題だと思うわけであります。従来のように西欧諸国が出しておるものが日本が出せないあんな不公平なことも勿論ない、あつちやならない問題なんですが、その上に日本国独自の立場、もつと大きく申しますと、アジア圏という一つの貿易圏の中に、対中国の特殊的な関係から西欧諸国から出せないものでも、日本国としては特別に西欧並みにプラス・アルフアーとして特殊なものにつきましては、これは緩和すべき点も随分あるのじやないかと思います。そういう点まで積極的にこの問題は考えて、折角相手のほうではいわば平和政策をとつて、こういう点では手を握り合つて行きたいというような強い意向が現在では見られておる現状でございます。強くこれは政府において努力をせられんことを希望しておきますが、それからもう一つは市場の問題でございますが、これも特に中国が一つの主体にもなるのでございますが、政府は中共というものを認めてない関係上積極的な措置ができないという今の立場をとつておるわけでございますが、その点はイギリスの国なんかとは日本の立場も或る程度違うでございましよう、それにしましても、何らの宣伝費とかそういうような問題だけでなくて、もう少し政府が直接であろうと間接であろうと、もつと踏み込んで熱意を持つて積極性を持つてこれはやはり対処しなければならん。これはまあ対外的にはそういうことを言うことは憚るべきだと思いますが、先般来イギリスの労働党などがソ連、中国なんかに参りましたが、何も発表がないようですが、私たちはやはりこれは交易関係の大きな施策上のものが使命の中に大きなポイントを占めておるのではないか、私たちは実はそういうように想像しておるのです。こういうようなイギリスの政府と直結した一つの活動であると私たちは睨んでおるわけです。そういう意味におきましても、現在のような政府は、例えば日中友好協会、ああいつたようなものの活動ということが、これは傍観的に見るのは仕方がないが、日本の政府は冷感を持つて見ておるというようなまあ態度もなきにしもあらずじやないかと思います。こういう点についてもつと政府が強力にバツク・アップするとか何かの形でこういう問題を具体的に進めて行くということは、党利党略の問題ではなくて、非常に大切な問題だと思うのですが、こういう点に関しまして、通産省ではどんなような今後の御構想を持つておられるか、これも伺いたい。丁度大臣も来られましたから、今御質問申上げた諸点につきまして次長さんからずつと質問の要旨をお伝え頂きまして御答弁頂ければ幸甚でございます。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 要約しますれば為替レートの問題、基本的な問題ですが、大臣の御意見見通しが伺いたい。第二点は倒産、失業者が続出することは、大臣がこの間お認めになりましたが、それと緊縮政策の合理化という点に結付けた場合、どういうような具体的な方途を考えておられるかというのが第二点。  第三点は対中共向けの輸出品目別緩和の計画です。もつと具体的な方策がありますれば、或る程度お漏らし願いたい。第四点は市場獲得に対してもう少し積極的な推進力を具体化することがあるかないかということについて、大体四つでございます。
  103. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) お答えいたします。先ず最初の為替相場の問題でございますが、御案内の通り、昨年の暮からできるだけ国際価格に日本の物価を鞘寄せをしようとして努力をして参つておりますのは、現行為替相場を堅持いたしたいという範囲でやつておることでございます。幸いにいたしまして、これも御案内の通りでありますが、この六月以降国際収支のバランスの上におきましても、千万ドル余りではございますが、久しぶりに受取超過が現われて参つております。それから物価のほうも卸売物価は九・二%ぐらい下つております。で、これは両者相関してかような現状になつていると思いますので、私はこの分で参りますればこの面においての我々の予期した道を大体歩いているということが言えると思いまするので、ますます以て三百六十円の堅持ということにつきまして確信を以て更に一段の努力を続けたいと存じております。その関係から、例えばリンク制というようなものも順次廃止して参りたい、こういうふうに考えているわけでございますが……。  それから第二の問願でございますが、これは只今までに申しましたのは、いわゆる緊縮政策をとりましてからのいい面を申したことになると思うのでありますが、逆にこの拒みを現わしている問題としては、失業の問題だとか、中小企業の問題とか、或いは地域別に特定の産業面において特に断層がひどいというような現象がございますので、そこでそのうちの労働対策の問題でございますが、総合対策の中で実は一番この点がともすると見失なわれる虞れがございますので、この点につきましては経済審議庁が中心になりまして特に七月以降労働対策連絡協議会というものを設置いたしまして、そうしてただ単に労働省の担当する面というだけでなく、広く問題を総合的に対策を立てたいと、こういうふうに思いまして、その後更に閣議の決定をすることが適当と思いましたので、八月三日にこの経済審議庁に置きました機構は閣議決定で以て追認すると申しますか、更にこれに重要性を与えるということにいたしまして全体の総合会議はその後六回開いておりますし、そのほか当面の具体的措置について事務的な検討、並びに対策の実施も進めております。それから一方地方におきましても関係各省の出先機関でやはり閣議決定を以て協議会を作りまして、中央、地方の協議会の密接な連繋をとつて、一貫性のある対策の実施を確保しようといたしております。で、そのうちの一、二の点を申上げますると、先ず一つは公共事業等における失業者の吸収の措置でございます。この際中央、地方の公の費用の負担にかかる建設復旧の事業にできるだけ多数の失業者を吸収いたしたいと考えまして、労働大臣が特定の或る地域と事業を指定いたしまして、七〇%の失業者吸収率を適用し得るようにいたしました。又失業者吸収率改定事業の範囲を拡大するということもいたしました。かような方法によりまして、俗に申しますると、例えば石炭関係が非常に窮迫しているその周辺の都市においての公共事業、或いは災害復旧事業等を繰上げて実施する。又只今申しましたように、失業者の吸収率を多くするというようなことを取りあえずの措置としてやつたわけでございます。  それから失業保険による一時帰休制、これも労働省が担当して行なつているわけでございますが、企業整備等によりまして、一時に大量の失業者が発生し、労使の紛争を起しまするので、それを回避いたしますために一時帰休者を失業保険の対象とするというような特例を定めまして、一定要件の下に三カ月の一時離職者に失業保険金を給付することにいたしたわけでございます。  それから先ほど申しましたように、通産省といたしましては特に鉱害復旧事業の繰上げ施行ということを特に取上げているわけでございます。  なお明年度の対策等にこの今年度の応急措置から引続きまして、更に拡大強化するような措置が必要と思いまして、これらの点についても対策の立案について鋭意努力を傾けておるつもりでございます。  それからその次の中共貿易の問題でございますが、これも御説明をいたしましたかと思いますが、常識的に申しますと、先ず第一に過去においてココムの線よりももつと以上に中共に向けましての輸出禁止品目が相当ございましたが、これを数回に亙りまして本年の一月以降漸次大幅に解除することにいたしましたので、去る七月末以来におきましては大体ココムと同一の線になつておるということが申上げられると思います。  それから実績只今説明いたしたかと思いますが、極く常識的に申しますと中共から日本に対する輸入については金額的に申しますと昨年一カ年間で輸入いたしました二千数百万円の程度のものは本年におきましては一月から六月までの間にそれだけの輸入をやつておりますから大体二倍に殖えておるということは言えると思います。  それで今後の私どもの努力といたしましては更に西欧諸国と協力して今度はココムそれ自体が中共に対する禁輸品目をできるだけ大幅に撤廃することに努力することであると思います。これは併しなかなか容易なことではなかろうかと思います。一方中共貿易は申すまでもなく国営で一元的にやつておりますから現在の条件の下においても日本側の輸出商社の動向、強化その他において考え得る手がこちら側にも又努力すべき目標があるのではなかろうかと思いますので、その方面を切開いて参りたいと思つております。  それからこの点は昨日来輸出計画のほうで御説明いたしておりますが、私どもの三十二年度目標の輸出計画におきましては七千万ドルの輸出輸入を中共に対して期待する計画になつております。ところがこれは今申しましたように諸般の状況を改善しますために相当の努力が要る目標であろうと思いますので、この点については相当のまあいわば努力目標であるということを現状において言わざるを得ないと思います。  それから一方、これは個人的な研究でございますが、仮に亜鉛引鉄板を初め日本の得意とする商品の輸出が大幅に中共向けに許可された場合を考えて見まして大体どのくらいまで輸出が出るであろうかということを、これは単なる一個の私見でございますが、一億ドルまでにはなかなかむずかしい、大体九千万ドルちよつとぐらいのところが一切の制限が制度的に切離された場合におきましても一応その程度のことではなかろうかというように考えられるわけでございます。これらの点についていろいろ民間側の御研究その他を十分参考にいたしましていろいろの考え方を取りまとめておりますが、例えば今朝の或る新聞に披露されました一億数千万ドルの目標というのは或る日本の民間の団体の私的研究でございます。これも検討いたしておりますけれども、なかなかこれは困難な状況である。併しできるだけの努力をして先ほど申しましたように今年は去年の倍以上の輸入をやりたい、又輸出も伸ばして参りたい、こういうふうに考えております。  ざつと只今お挙げになりました点についての私の見解は以上の通りでございます。
  104. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 今度御発表になりました輸出振興に対する御計画でありますが、その中に加工貿易という方面に対してどういうふうな御構想がありまするかどうかを伺いたいわけでありますが、先般の大臣から加工貿易に対する相当有望であるということのお話を私は承わつておるのであります。それは外国から原料を持つて参りまして保税工場を設けまして保税工場において原料を保管してそれを加工いたしまして更に向うへ送り出すというようなやり方によつて相当に成績が挙りつつあるというお話を私は承わつたんであります。事実におきまして例えて申しますならば、電気銅の加工貿易におきましては相当見るべき成績を収めておつたように私は聞いておつたのでありますが、最近におきましてはこの電気銅の加工などが全く線香花火式にパツと盛んになつたが、すつかり最近は終熄しておるような形になつているように私は聞き及んでおるのでありますが、この原因がどこにあるかということに対して一つ伺いたいのと、同時にこの計画に対してこの加工貿易をどの程度に織込んでやるかということを伺いたいと思います。
  105. 大堀弘

    説明員(大堀弘君) 只今御質問の加工貿易の問題でございますが、これは御指摘のように現在でも逐次拡充して参つております。品目も逐次追加して参つておりますが、現実の面におきましても相当伸長して参つておるようになつております。ただ只今御質問の銅の場合に急速に最近伸びておるかどうか、実は私もちよつとその点不勉強で、まだその事実を聞いておりません。なお取調べまして御返事申上げたいと思います。  なおこの計画につきましては現在も加工貿易が相当拡充される計画で、特にこれを何倍といつたような目標はございませんけれども、相当程度増加するものと考えておる次第でございます。
  106. 西川彌平治

    ○西川彌平治君 この加工貿易に対する保税工場の管理問題でありますが、私の聞いておりまする範囲におきましては、これは勿論保税工場でございますから、その管理その他は厳重にすべきは当然であると思いますけれども、私先ほど電気銅のことを例にとりましたのは、電気銅の加工をやつておりまする所では、保税工場の監督といいますか、何といいますか、非常な厳重過ぎるほど厳重なんだそうでございます。それがためにとても経費がそのほうにかかり過ぎてやり切れないのだということを言うております。これは真偽はわかりません。で、その電気銅の加工の保税工場を見ますると、現在生産能力の二〇%程度しか今動いておりませんで、殆んど工場が休業状態に近いような状態におりますが、それでもやはり加工貿易のほうは何ら伸展を見ておらないような現況を現実に見ておりますが、一つそういう方面がどういうようなことをいたしておるのかを後ほどでよろしうございますが、調べてお願いしたいと思います。
  107. 加藤正人

    加藤正人君 この輸出計画でございますが、この中には近く行われる第二回目の日英支払協定、あの協定の結果に期待するところがあり、それをこの計画の中に織込んでおるということがあるのでしようか。
  108. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) この輸出計画は現在予想し得る対外的な条件その他を十分考慮に入れて作りましたものではございますが、最近行われることになつております日英支払協定の階段において特にこれと関連の深いものが差当りはございません。
  109. 加藤正人

    加藤正人君 同様にこれは三十二年度の目標計画でございますが、三十二年度までにそうなるかどうか存じませんが、ガットに正式に加入できればその結果が相当な期待ができると思うのでありますが、そういう点もまだ具体的には考えておらんのですか。
  110. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) ガット加入はこの年内中にも実現されるということを希望的に前提として考えております。
  111. 加藤正人

    加藤正人君 それからこの貿易は日本から輸出し、或いは輸入し、又はその相手国が、まあ二つの国が相互に輸出入するというのが普通でありますが、場合によつては第三国も混えたいわゆる三角貿易の方法によつて決済をするということによつて、甲、乙の両国だけでは達成し得られん結果を達成することができるというケースが甚だ多いようであります。そういう点まで考慮をしておられるかどうであるか。
  112. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 実は研究課題として例えば東南アジアの決済同盟といつたようなものもこれは別途の研究問題にいたしております。併しそれがこれの案の前提には必ずしもなつていないわけでございますが、三角貿易と申しますか、そういうものは十分工夫ができるものということはこの中で考えております。  それからお尋ねの点にちよつと違うのかも知れませんが、これからの日本の貿易では輸出、輸入それぞれ相手国を相当転換しなければなるまいということは、各地域別、物資別に従来も相当指摘されておるところでございますが、そういうような考え方は適当にこの中に織込んでおるつもりでございます。
  113. 加藤正人

    加藤正人君 それから輸出を振興する面におきましてあらゆる施策をしなければならんと思うのですが、とかく公正取引という点から、他国で許されておる手段、方法、即ち輸出振興に対する方法が我が国だけ許されておらん、こういう桎梏をはめられた下に競争をしなければならんというような点がまだ相当にあると思いますが、これらの点について積極的に緩和し、公正な輸出を伸長するという面に特別な努力が払われておるのでありましようか。
  114. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) もとより日本の商品の輸出等に対して制約になつておりますようなことは成るべく速かに排除してもらうような、いわゆる経済外交の成果というものも前提に考えておるわけでございます。  一方全体の考え方といたしまして非常に人為的な、又予想してもなかなか困難の度合が強いような希望的な条件は成るべく入れないようにしたつもりであります。その中で強いて申しますれば先ほどもお話が出ましたが、中共との関係その他においてはいろいろな不確定要素がまだ今後あると思いますが、そういう面におきまして希望的な観測も入れ、かなり殖やしておりますけれども、そういつた面以外のところでは大体予想し得るような状態で、その代り国内的にはいろいろな措置をとらなければならないと思います。例えば輸出金融を大いに改善して行くとか、或いは輸出振興のためには税制上の特段の工夫を凝らさなければならんとか、或いは輸出取引法、組合法を改正することでありますとか、協定が楽にできることでありますとか、いろいろ国内にも改善しなければならん面がたくさんあると思います。それは全部やることを前提にいたしております。それ以外に余り対外的に自分だけではできないようなことの希望的な観測というものは余り入れないようにいたしたつもりであります。
  115. 加藤正人

    加藤正人君 私は国内的に重点を置いておる。何か公取委員会が与えられた使命を非常に何というか、過大にというか妙な信念において、ちよつとそういう面において行き過ぎてやせんかと思う点があります。一向対外的にも貿易の公正という概念に背馳しないようなことであつても何か申合せ、カルテルというようなものをこれは悪としておる。私はこの観念が是正されなければいかんと思います。要するに公正取引面における一つの再教育が必要だと思う。妙な観念に私はとらわれており過ぎはせんか。ちよつと私はその点については遺憾に思うのでカルテルというものは場合によつてはこれは国際的にも不公正にとられる場合がありますし、何ら不公正でないようなことも場合によつてはあり得ると思います。併しカルテルというと何かすべて罪悪であるというふうな誤つた観念に左右されているのではなかろうかと思う節がちよちよいありますので、むしろ私は国内的の処置としてその点についての努力を払つて頂きたい。こういうふうに常に思うものですから……。又一面において公正取引委員会の使命が又非常に重要で、この点は十分正確にやつて頂かなければならんという点も無論あるのです。だから多くの場合においてはその仕事は尊重しなければならんと思いますけれども、その中に例外的に少し我々とは考えがずれているのじやなかろうかという点が看取されるのであります。それは輸出を最も伸長しなくちやならんというときには非常に邪魔になる、こう思われるのであえて要望したいと思います。  それからもう一つ……。各国の貨幣の自由交換制度が最近非常に各国において起用されるようになつておりますが、それに伴つて先ほどもお話があつたような各国の為替に対する考えが一時よりも非常に痛切になつて来たように思います。無論先ほどの御説明によつて三百六十円レートは堅持する方針であり、最近の対外貿易の外貨取得面においてもその方針を貫き得るという自信を持つて来たというように説明があつたわけでありますが、これは今この最近だけの推移で楽観を果してし得るかどうかという点もあると思うのでありますが、そういう安易な希望的な観測でいいかどうかという点が相当私は考えなければならんと思います。
  116. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) この点は御尤もでございまして、実は私も楽観をしているわけではないのでありますが、ただ率直に申しますと、私が数カ月前にこうなるかと思つてつたよりは輸出の状況がよいわけでございます。併しこれは季節的に考えて見ましても、先ずこの国際収支上の受取超過は大体九月、今月一ぱいくらいのところまでは今までの傾向が出て来ると思いますが、それから先についてはなかなかこの勢いが続くかどうかについては更に楽観は許さないと思つております。殊に今御指摘もありましたように、通貨の自由交換制が恐らくは今月米の国際通化基金の総務会でも相当の大問題に登場すると思います。各国の自由貿易制度輸出伸長策が非常に伸びて来るだろうと思います。特にこれからの努力目標としては、やはり良質廉価な輸出をしなければならない。先ほど御指摘がありましたような点につて相当私は思い切つた手を打つて行かなければなるまいというふうに考ております。
  117. 加藤正人

    加藤正人君 そうしてあらゆる面において輸出振興を目途とした努力はしはければならんでしようが、更に経済外交と言いますけれども、いつか私は岡崎外務大臣にも話したことでありますが、経済外交大いに賛成で大いにやつているというようなお答えを得たのでありますが、経済外交らしいような大きな手段も結構であるが、取りあえず我々の貿易を伸長しなくちやならんというような地域、例えば東南アジアというような地域に日本の商人が自由に旅行できないような現状、又戦前において日本の商務官その他が駐在して大いに常に貿易の振興を図つてつたような機関がない今日は、各商社の出張員が滞留して常にこの貿易の伸長を図らなくちやならんという現状において、その商社の駐在員の駐在する期間間が非常に短縮され、立退きを要請され、中腰で商売しているというような状態で何で貿易の伸長を思うように所期し得るか。経済外交などと言えば非常に大きい問題のようであるが、先ずそういう卑近な点から日本の外交を進めて行つて、先ず人が自由に旅行し得る、又商社の代表がそこに滞在してその地にあつて貿易の伸長の方策を落ちついてなし得るという、先ずそういうかまえからしてやつて行かなければ到底貿易の伸長などということは私はできんと思う。卑近なことから私は手を打つて行かなければならんと思うのでありますが、そういう点においても通産省としては特に外務省に対して要請をせられることを私は希望しておきます。
  118. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) これは私も同感でございまして、只今正確な数字を記憶いたしておりませんが、現在日本の在外公館に昔の制度で言えば商務官的な、現在で言えば通産省その他におきまして相当通商事務に明るい人たちを相当数現在も思い切つて外地に配属をいたしております。最近その数はかなり多くなり、又分布状況も相当よくなつて来ておるように思います。それらの点につきましては更に一層の努力を払いたいと存じます。  それから只今御指摘になりました中で、例えば或る地域において最近日本の商社の代表者が滞在期間を厳守されんような傾向が顕著であつて、非常に困つておることは御指摘の通りでございます。これには御案内の通り賠償問題その他が未解決であつたり、国交が調整されていなかつたりするような基本問題もございますが、これらの点につきましてもできるだけ幅のあるやり方を今後とも考えて参りたい。そういうような事例が起らないような、又起るとしても少いように努めて行かなければならないというふうに考えます。
  119. 海野三朗

    ○海野三朗君 私が通産大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、昨年の国会で不二ドロマイト工業株式会社が磐城セメントに合併せられるということが新聞に出ました、その後向うの現地を視察して参つたのであります。このドロマイト工場の建設は鉄鋼国策の一環として、関連産業として通産省が力を入れまして、そうして開銀から融資をして独立の会社を作つたわけであります。鉄鋼国策の一環としてこの会社を建てた、ところがその株が磐城が七〇%、鉄鋼側が三〇%持つて今日まで至つておる、今日はすでにこの工場が非常にうまく行つておるので黒字になつておるのであります。これは株主の関係からしてこれを磐城セメントに合併しようということに運動が進められておるのでありまするが、この不二ドロマイト、ドロマイトは鉄鋼を造るためには是非必要欠くべからざるものなのであります。それで通産省が国策の一環として独立してこの工場を建てたわけである。それが今日経営合理化、いろいろな理由のためにこれを合併しようという議を聞くのでありますが、それには通産省としても国策を曲げることになるから、私はこの不二ドロマイトはドロマイトとして健全に発達して行くべき仕事である、こう考えるのでありまするが、通産大臣は如何ようにお考えになつていらつしやいますか、この点を承わりたいと思います。
  120. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 磐城セメント会社と不二ドロマイト会社との合併の問題につきましていろいろ私どもも経過、それから合併したいという理由、仮に今後の経営に対してもいろいろ問題となるべき点等々につきましてできるだけ慎重にその間の経緯を調べて見たのでございますが、通産省内部におきましてもこのことは軽工業局の問題であるのみならず、重工業局の関係も深い問題でありますし、更に需要者側の問題その他の点もございますので、できるだけの慎重な検討をいたしたわけでございます。その検討の経過等につきましては別に事務当局からも詳細に御説明いたしたいと思います。
  121. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつともう一つ……。これはやはり事務当局におきましては成るべく円満に解決したいとお考えになつておるのでありましようが、或いは、鉄鋼側がこれに賛成したからと言つて合同すべき性質のものではないと私は思う。国策は曲げられないのじやないか、私はその一点を伺いたい。国策として通産省がやつた、それをいろいろな理由がありましようけれども、そうすべきものでないと私は考えますので、この点について又大臣は如何ようなお考えを持つていらつしやるか、それを伺いたい。
  122. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 只今も申上げましたごとく、この問題は合併が仮に実現したといたしまして、その後においての計画としての生産の数量や品質、或いは需要者の何と申しますか立場というようなものについて計画をしておる向きにおきましても十分各方面の意向を充足するように計画をしたい、そうしてそれらの意向についてはなお十分当局側の指示にも服するというような態度でおりますので、その間の経緯詳細通産省の重工、軽工両局におきまして念には念を入れて検討させておりますので、その経過は今申しましたように別に事務当局からも御説明をいたさせたいと存じております。
  123. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行。私は本委員会に今朝初めて出て来てこういうことを申上げるのは非常に僭越ですが、今こうだんだん聞いておりますと貿易の関係で問題に供せられて話が続いていたかと思うとだんだんいろいろ別なことが出て来て、これは事実答弁される大臣側でも資料その他の関係からなかなか大儀でしようし、(海野三朗君「わかりました」と述ぶ)而も又午前に河野委員、小笠原委員から大臣に午後御出席になつたら劈頭にお聞きしたいという命題が委員長を通じてあるはずで、一つ海野委員の質問も勿論結構ですけれども、議題を整理して一つ整然とおやり願いたいと思います。(海野三朗君「わかりました、いま一つ貿易のことで」と述ぶ)
  124. 松平勇雄

    ○理事(松平勇雄君) わかりました。一回だけ海野委員に……。
  125. 海野三朗

    ○海野三朗君 ミシンの問題ですが、パインミシンとのですね……私のほうからミシンの陳情団が来ておるものですから、これも貿易のほうに関連しておるのでお伺いするのですが、シンガーとパインと結付いて、そうして優秀なる機械を持つて工賃の安い日本に来て造られたのでは日本のミシン業者は輸出するどころか皆ペしやんこになつてしまう。その点については通産当局としては、漸く日本のミシン工業がここまで進んで来た、このミシン工業がまるで風前の燈火のような状態にありますので、その点についてはどういうふうにお考えになつていらつしやるか。今日まではミシンを輸出しておつたのであるけれども、シンガーとパインがここに結付いて日本にミシンを入れる、そうするとどういうふうになるかといいますと、そういう種類の外資導入では日本の産業が参つてしまう。で、その点については大臣は如何ようにお考えになつていらつしやいますか、その点を……。
  126. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 只今お尋ねになりました具体的の問題につきましては、通産省といたしましては特に慎重に研究をいたしております。最終的の態度をまだ申上げるまでには至つておりませんけれども、特に大事な問題として慎重な研究をいたしておるわけでございますが、この際併せて申上げておきたいと思いますのは、私の意見といたしましては外資を入れて技術提携をする、或いは機械を入れるという場合におきましては、どうしてもその技術がなければ、或いはその機械がなければ相当めざましい企業の何といいますか効果を発揮することができない。或いは又これを入れれば、又提携をすれば輸出方面においてめざましい進捗が見られるであろう、或いは又国民経済なり福祉なり生活なりを向上させるというようなものについて、私は入れることに考えたいと思うのでありまして、そういう観点から必要がないと認められるもの、或いは逆に有害と認められるようなものにつきましては、これは拒否するのが政府のとるべき態度であろうと、原則論としてはかように考えております。
  127. 中川以良

    ○中川以良君 貿易の問題について一つ御質問申上げたいと思います。昨日今後の新輸出計画につきまして承わつたのでありますが、輸出振興に対しては政府側も非常に懸命なる御努力をしておられるのですが、これはまあ国内産業合理化をして、コストを安くして国際競争に打勝つということは、まあ極力業界みずからがやらなければなりませんが、ただ私どもここに一つ伺いたいことは、最近西ドイツにいたしましても、英国にしても、殊に近時イタリーの製品等が非常に活撥に輸出されて来ている。西ドイツのごときはあの敗戦国でありながら、非常な勢いを以て外貨の獲得をやり、市場をどんどん獲得しておる。これらの半面を見ますると、成るほど製品の工場合理化より企業の努力をいたし、国民が等しく祖国再建のためにいそしんでおるという点は、私どもは非常に敬服をいたしておる点でございます。併し政府においてもこれと相呼応していろいろな手を打つていると思うのです。例えて申しまするならば、先般も電源開発の輸入機械を入れます一例を言つても、ドイツの機械は非常に安い、而も支払は一年先でもこれはかまわないと、その間の金利も取らない、こういうのは一体どうしてそういう安い輸出ができるか。その半面において政府が非常に巧妙なる助成政策を実施しているようです。相手国によつてそれ相応の助成政策をする、時期と又場所等によつて弾力性のある助成政策を実施しておる。それから又海外の市場を廻りましても、ドイツの役人が、聞くところによると、数千人各地に派遣をされておる。これらはことごとく商売をして歩いておる。いろいろな品物見てこれはすぐドィツでできそうだ、これをすぐドイツに報告をする、注文を取る、それをすぐ電報を打つ、商社はそれをすぐ輸出する、実に巧妙に大使以下が全部商売をしているような恰好であろうと思う。それに比べますると日本は今日参事官をしてやつておる。通産省関係の人が行つているのは極めて蓼々たるものである。商務官制度もございません。こればやはりこういつたようないろんな助成策にまだ私は改善の余地があるんじやないか、余り四角四面におやりになるから、これはガットの問題等においていろいろ故障ができる、国際間に問題を起すということになるのでありますが、ドイツにしてもイタリーにしても英国にしても、国際間にそういつた問題を何ら今日起しておらない、それは私は巧妙なるやり方をしておると思うのでありますが、こういうような点は一つこれは特に大臣のまあ大体のアウトラインをお示し頂いてあとは各国の例を一応……こういうことは速記に取つちやいけないかも知れませんが、速記なしでも結構ですから、一つ我々に詳細にお示しを頂きたい。そうするにはどうすればこういうようなことができるか、今の外貨予算を使うのにガラス張りの中でおやりになるのは結構と思いますが、それが故に結局非常に日本は損をしておるようなことで、几帳面にやり過ぎてそういつた弾力性のある行き方ができないという点があろうと私は思うのです。そういうような点を一つ率直に御意見を承わりたいと思うのであります。
  128. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 只今お話になりましたこのドイツの例などは、私どももかねがね聞いておりまして、非常に学ぶべき点が多いと実は考えておるわけでございまして、在外に活躍しておりまする在外公館の大使以下が、自国の製品の輸出のために非常に血みどろの努力をしておる、是非日本側としてもそういう努力を、何と申しますか、全然新らしいやり方、日本としては新らしいやり方になると思うのでありますが、そういう方面に特段の努力をさせなければいけないと私は考えるのであります。なおこれは速記をつけなくてもという話がございましたが、諸般の輸出対策につきましてはいろいろ各国でも工夫をしておるようでございます。私どもも飽くまで堂々とやつて参りたいのでありまして、特にリンク制と一口に言われますけれども、そのうちで私は為替相場が複数相場になつておるかのような印象を与えるリンク制は、これは絶対に私は排除して参るべきだと思いますけれども、そのほかいろいろの奨励というものは、考えればいろいろとまだ智恵が出て来るものと思います。只今御指摘がございましたが、外国の例などもよく調べ、又これは調べ切るものではない場合もあるようでございますが、一段と努力をいたしまして御趣旨に副うようにいたしたいと思います。
  129. 中川以良

    ○中川以良君 それから今度の政策の中には商社の強化策については強く語つておられまするが、終戦直後の日本の輸出につきましては全くめくら貿易であつて常非に向うに安く買い叩かれておつた、市場等の調査ができていなかつたという点があつたのでありまして、これらは最近商社も相当数が出て調査をされておりまするが、併し相当に同じメーカーの品物を数社が出て日本人同士が競争をして誠に見にくい有様を呈しておる。曾つてのアルゼンチンの鉄の入札のごとき、又最近は台湾における自動車の国際入札のごとき、誠に遺憾な状態を呈しております。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕  こういう面はまあ今後いわゆる輸出取引法に基く輸出組合等によつて是正される面が非常に多いと思うのでありますが、輸出組合の運営等につきまして今後いろいろ通産省も強化をされるということを承わつております。殊に輸出取引法の改正をしてメーカーもこれに加えてやろうというようなことが考えられておりまするが、これらの運営、今後の御方針等について一応大臣の御所見を承わりたいと思います。殊にこの輸出組合に関連いたしまして、先般農林省においてできました法律第百五十四号の輸出産業の振興に関する法律、あれについてすでに組合は罐詰のごときは一つのレッテルにして出しているというようなことを極く最近私ども承わつております。ああいうようなことを水産関係でなく一般工業関係にも及ぼすようにされる御意思があるかどうか、こういう点も一つ承わりたいのであります。
  130. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 在外に働く商社等の統合強化というようなことにつきましては、実は過般来特にいろいろの方面から手を打ちつつあるのでありますが、まだ十分な成果を見るに至つておりませんが、例えば商社の統合に際しまして過去の或る程度のこげつきの債務を棚上げをするというような日本銀行筋からの協力というようなことも土台にいたしまして、できるだけ速かに少しずつでも統合強化されるようにして行きたい。それから在外の商社等についても実は不必要と思われるぐらい多い面もあるのでありますが、肝心のところがさつぱり活動が不十分であるというような状況でございますので、この統合強化、或いは整理というような問題については、相当思い切つて業界の更生策を期待して参りたいと思つております。それから在外公館等に対する商務官その他の問題でございますが、これは先ほど申しましたように一時に比べますと大分進歩して参つております。なおこの上力を入れて行かなければならんと思つております。それから最後のお尋ねでございますが、組合の関係では生産業者のみ、又は生産業者を主体として、これに輸出業者を加えた輸出に関する協定が結び得るようにするということが根本ではないかと思います。それと共に組合がアウト・サイダーを規律し得るようにする、こういつたような点については先ほど加藤委員の御指摘のような点は政府といたしましても積極的な方策を考えておるのでありまして、そういつたような場合におきましては只今御指摘のようなレッテルを一つにするとか、輸出水産物についてその例がありますようでございますが、そういつたことも他の製品についても大いに参考にして参りたい、大体かように考えております。
  131. 中川以良

    ○中川以良君 この輸出組合につきましては、殊に中小企業関係が今後輸出組合の活動を活撥に私はしなければならんと思います。従来中小企業関係の業者が各地を廻つて本当に実態的に向うの事情を調査して、それに即応する品物を取引をして来た。それはまあ非常な数に上つておる。今度の輸出政策の中にも中小企業関係を非常に強く謳つておられますことは非常にいいと思うのでありますが、これらの中小企業関係輸出組合が漸次できると思いまするが、こういう輸出組合に対しまして先ほど次長からもお話があつたのでありますが、海外派遣に対するこの費用の助成等は一つ思い切つて年度つて頂きたい。そういう心組で以て一つ輸出振興に関する予算の御計上を是非お願いしたいと存じますが、それに対する大臣一つ御所見を述べて頂きたいと思います。
  132. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) この点は私も非常に痛感いたしておりますので、来年度の予算については輸出振興費といつたようなものについてできるだけ増額をしてもらいますように一段と努力をいたすつもりであります。
  133. 中川以良

    ○中川以良君 もう一点。それから輸出のほうを盛んにおやりになるのはいいのでありまするが、いわゆる外貨の獲得をより以上多くし、そうして国際収支を改善する意味においては、輸入のものに対しましても十分な努力を私は払わなければならんと思うのであります。即ち不要不急の物を入れないということがこれだろうと思います。殊に最近非常に入つております綿花、羊毛のこの繊維原料に対しましては、これは食糧の輸入よりもなお大きな千六百億以上のものが輸入されております。これらは昔でございましたならば綿花が輸入されてその半分以上は輸出に向けられておつたのでありますが、今は全く逆であつて国内に非常に消費をされておる、それから羊毛に至つて輸出はもう蓼々たるもので、大半が国内にこれは使用されておる、これはやはり国民は或る程度国内においては混紡製品を政府が使わせるように一つ行政指導をなさつて、こういう無駄な輸入は避けて、輸出するものに対しては思い切つてこれは輸入を許して行く、純毛なり純綿なりは輸出する場合についてはいいけれども、国内についてはこれは或る程度混紡を奨励して、国内のいわゆる自給自足のできる化繊とか、或いは合成繊維をこの際使わせるようにすることが私は是非とも必要だと思います。こういう点は政府も取上げておるようでございますが、今日の新聞等を見ますると、この混紡に対しては政府はまあ統制的に一定の割合できめようというようなことが出ておりますが、これに対して業界のほうはいろいろ異論もあるようでございますが、この政策に対する——これは貿易に対する至大な関係がございますので、大臣としてはどういうふうにこれをおきめになるか、こういう政策を今後おとりになるのか、こういう点を一つ明らかにして頂きたい。それからもう一つは今後の、このたびの政策の中にも輸出最高会議を設けることになつております。私はあれはむしろ輸出入を含めた貿易最高会議とするのが至当ではないかというふうな意見を持つておりますが、これらに対する一つお考えを承わりたいと思います。
  134. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 綿花、羊毛等の原料の輸入の問題でございますが、これは只今御指摘のところもございまするが、国内の生産規模をどれくらいに抑えて行くか、それから輸出の努力がそれによつてどれくらいできるかということと照応いたしまして、できるだけ輸入を圧縮いたしたい、こういうふうに考えております。その限度等につきまして、これは余り急激にその量を減らしますると、不測の災いを起したり、或いは中小企業にしわ寄せしたりということもあり得ると思いますので、実は今月末に今年度下期の外貨予算の編成を差控えております、その際にも十分考慮いたしたいと思つております。  それから輸出最高会議という問題でございますが、これは実は通産省の案でございまして、政府全体としてのまだ承認を受けておらんのでございますから、で、一方御承知のように他の方面におきましては、いま少し広範囲に作るならばそういう機構を考えたらどうかという意見も出ておりまするので、総合的な調整をいたしまして、考え直す必要もあろうかと思つております。或いは又場合によりましては、外貨予算編成の仕事を担当しておりまするいわゆる閣僚審議会をこれに利用するとすれば、輸出も輸入も外貨予算もそこでできるということになりましようし、要は輸出振興が一つ最高国策だということを打出すような機構を作りたい。こういうことで目的が達成できれば、あえて輸出最高会議という形でなくてもよろしい、まあ私は大体そういうふうに考えまして、早急に結論出したいと思つております。
  135. 中川以良

    ○中川以良君 今の混紡の問題でございますが、これはちよつと附加えまするが、非常にこれは産業道義の問題になります。大メーカーは混紡をした表示というものを明らかにいたしますが、中小メーカーにおいては不徳な者はまあ半々に混紡していても二、八ぐらいにいつているようでございますけれども、純綿といつて、純毛といつて相当混紡の入つているものを売つている。これらはやはり何かの規定を作つて、イギリスやアメリカのようにはつきりと表示をさせるということをおやりにならんと、折角輸入を制限されましても、正直者が馬鹿を見る政治になると思いますので、この点も是非さように御実行頂きたいということを附加えておきます。
  136. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 混紡の問題につきましては、実は先ほど御引用になりましたが、あの新聞記事に出ておりまするように、ただ確定した通産省の案を作つたわけではございませんが、併し大体あういう趣旨で行きたいものと思いまして、業界の御協力と、それから助言を今頼んでおるようなわけでありまして、只今御指摘のような点についてこれはどうしても業界のモラル・サポートがなければできませんし、又こちらのお願いの仕方も合理的なものでなければならないというふうに考えておりまして、遺憾なく措置を進めて参りたいと思いすす。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 貿易問題の質疑は一段落ついたわけでございますか。
  138. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) まあ大体一段落ついたものと思います。
  139. 森田義衞

    ○森田義衞君 私ちよつと貿易の知識が余りございませんのでお伺いしたいのでございますけれども、今ポンドとか、或いはベルギーなり、ドイツなりで通貨の自由交換制を非常に努力せられておる。こういつたのに反しまして日本では到底その段階には遠い将来といつたときに、若し自由交換制が回復せられました場合において、どの程度日本の貿易に影響があるか、或いはこれに対しまして今からどういつた対策をお考えになつておるか。その一点と、又現在国際通貨基金会議に小笠原大臣がおいでになることになつておりますが、ガット加入にまだなつていない。これが、現在なつていないことによるところの日本の不利、不便、これが今後のガット加入に対しまする政府の努力によるその解決の見通しと、このニ点だけをちよつとお伺いいたしたい。
  140. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 先ず第一段のポンド、それからマルクなどの自由交換制の回復の時期でございますが、これはいろいろの見ようがあるのでありますが、そう遠いことではなさそうに思います。従って自由交換制が回復された場合に日本の国際経済上の地位がどうなるかということにつきましては、御指摘のように、十分の対策を講じてもらわなければならんと思います。ただこれは一口に申しますると、これらの通貨の地位が強化されると、自然それらの国の輸出が俗に言いまして非常に有利になるということが言えると思われますので、延いて日本の立場といたしますれば、やはり対外輸出競争力を現在与えられた条件の下においてでよろしいと思いますが、差当りこれを強化することが絶対の要請であると思うのであります。例えば現在ドル地域の輸出が非常に伸び悩んでおりますが、それと同じような条件が更に加わるのだと大体見ていいのだと思いますから、この際といたしまして、いわゆる良質廉価の商品を現行為替相場の下において輸出し得るような努力というものが改めて深く要請されるのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。それ以外に急激に日本の通貨その他の面において急激に変更を与えられるようなことは私はないと考えております。  それからガットの加入の問題につきましては今仮加入を認められた現在におきまして、イギリスなどでもいろいろの議論はあるようでございまするが、諸外国等におきます日本に対していろいろな期待や希望があるわけでございます。例えば先ほども申しましたが、例えば為替相場が複数にあるかのような印象を呈するような、いわゆるリンク制度を速かに廃止するというような当局側からの要請や希望などに対して十分これは応えることが必要である。それからその他誤解もあるかと思いますが、日本が正常な競争力を培養しているのであつて、故意にチープ・レーバーや、故意に労働法規に違反しているというような事実がないというようなことも十分認識してもらうような基礎的な努力が必要であると思いますので、全体的に私はガット加入についてはかなり最近有望ではなかろうかと考えております。今後の努力によること並びに各国の理解ある協力に待つことは多いわけでございますので、大体の筋道としてはガット加入に対してはたんたん途が開けて来ているというように私は見ております。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この貿易の関係一段落ついたようですから積極的に政府側から午前中論議のあつた肥料審議会委員の問題について御相談なされた結論がございますならば承わつておきたいと思います。ただその前に私も午前中申上げた中にいろいろ院の運営上検討して見ましたが、厳格な意味で私が申上げましたこととは違う立場もあるようでありますから、従つて序言で申上げました点については誤解があつてはなりませんので、私のほうもそつくり訂正する点は訂正しておきます。即ち国会において国会議員を国会自身、或いは政府機関の委員等に任命し、或いはその委嘱を承認するという各種委員の各派の割当というようなもので厳格にこれは規定される範疇に入るものではなく、従つて学識経験者として政府政府の意思で、それぞれの個人国会議員が委嘱せられるというのが表面上のこれは形式であつて、正規に表て立つて政府から国会へということで、国会の問題としてこれらの割当というものが行われる筋でもない。こういう点は、私午前中は厳格な意味規定して、軽工業局長には申上げましたが、そういうふうな固い意味で申上げた点は私は取消しておきます。で、結局はいずれにしましても、私の申上げる真意に私としてのあれがあるわけでもなければ、党としてこうさるべきだという主張もあるのではございません。又これを以て政府を追及するという具に供する意味で申上げておるのでもございません。愛知大臣は私が申上げるというと、いろいろな伏線的なものを打つてつて来るのではないかというふうに、いろいろ忖度してお考えになられたら困るから私ははつきりその点は申上げておきます。それで結局私の午前中のお尋ねした真意は、国会内でたつた五人のそれをどういうふうに処理せられるかということで、いろいろなトラブルが起り、各党派間に円滑を欠き、或いは従つて具体的にはこの肥料審議会におけるいろいろな問題について、国会、或いは国会議員の協力という点にいろいろ支障を来たすということであつてはならない、国会内部においては、そういうことがあれば結局各会派間において迷惑する。参議院は参議院、衆議院は衆議院として迷惑する部分が必ず起り得る。従つてしつかりした考え方でこの調整がとれて、速かに何とかして閉会中であつて、正規の国会の承認を得られない形であつても、内容として実質的に国会の政党関係等における意思が、委員たるべき人を通して審議会に協力し得るような実質的な措置がとられるはずです。そして而もそれは緊急な問題であり、衆参両院今これは大騒ぎと言つては語弊があるけれども、内面的にはそれぞれいろいろ工作をしているようであります。これはあとで具体的に一つ事実を挙げて指摘いたしますが、そういう最中でありますから、なお且つ結論が得られて明朗に問題が処理されることを期待する。この一言に尽きるのであります。従つて共管である通産大臣として、農林大臣等と御相談なられて、どういう結論を以てこれに望もうとしているのか。その所信を至急この際御表明を頂いて、ガラス張りの中で朗朗に問題を処理して行くようにして頂きたい。こういう意味合で午前中の引続きとして、大臣のほうから積極的に御発言を要望する次第であります。
  142. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 肥料審議会の問題につきましては、午前中軽工業局長から従来の経緯を御説明申上げたと存じます。それから実は甚だ申訳ございませんが、私といたしましては、本日は委員会が非常にほかでもありましたし、午前中から会議でお答えをしたり、御説明をしたりすることに追われておりまして、十分只今の問題について本日改めて経過或いは今仰せられましたが、いろいろの動きということが十分了解するだけの時間的余裕がございませんので、或いはとんちんかんなことを申上げるかも知れませんが、その点あらかじめ御了承を願いたいと思います。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 とんちんかんなことは了承しない、とんちんかんでない間違つたことは了承するけれども、とんちんかんな話は了承しない。
  144. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) だからあなたの午前中に言われた質疑の内容等についても十分まだつまびらかに報告を聞くだけの時間的余裕がございませんので、そんなことを聞いているのではないとか、そんなことは聞いたから要らないということがおありでしたら一つその点を了解して下さいと申上げたわけであります。  御承知のように、この臨時肥料需給安定法が成立いたしましてから審議会は十五人以内で組織することになつておりますが、その後閉会になりました関係等がございまして、実は学識経験者の七人のかたの任命につきまして二人しか任命ができなかつた、そこで学識経験のあるかたで五人の現在ゆとりをとつております。これは私どもとしては本法案の審議の過程にも鑑みまして、国会方面から学識経験のあるかたを御委嘱申上げたい、こう思つているわけでございますが、不幸にして現在国会が閉会中でありまするために御委嘱を申上げることができない、そこで止むを得ず、事態は急ぎまするのでこの五人を欠員にして審議を進めさせて頂いているわけでございます。ところで衆議院方面からも非常な御要望がございまして、とにかくそれは事実上できないことはいたし方ないが、数名の国会の議員をして審議会の現在の模様等をつまびらかにも聞かしてもらいたいし、懇談の機会も作つてもらいたい。こういう趣旨の御要望がございましたから、私どもといたしましては、それについてどうやつたならばその御意向に応ずることができるかということについて御相談を申しげてもおりますし、又各党間におきましていろいろと御折衝やお話合が進んでいる。大体私の理解しておりますところでは、各党と申しますか、或いはこれは衆参両院を通じての問題でございまするが、適当な割振りを考えてそうしてこれを政府に申入れをしよう、こういうふうになつているように聞いております。まだ何党のどなたということについてはつきりしたまだ私は御通告を受けておりませんが、そういうふうに話が進んでいるように伺つております。できるだけ速かにきめて頂いてそして審議会との連繋をとつて頂くようにということを私ども期待しているわけでございます。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国会の内部の動きについては私お伺いしているのではございません。政府としてこういう国会内部の動きがあるのにどういうふうにこの意向を反映して処置しようとしているのか。これは政府のほうから国会関係に対して何らかの意思表示がなければ問題は片がつかない。国会から積極的に会派間で取りまとめ、或いは取引をして政府に申入れをする、こんなことは筋から言えば逆なことであつて政府のほうではこれこれのこういう方法で選考をして五名なら五名のかたを国会関係のほうから出してもらいたいということがない限りはこれは国会内部で会派間の話と言つても個人的な話で進んで行くよりほか途はないと思う。まして衆参両院を通ずる場合にこれは非常に厄介な問題である。そこで重々その点についておわかりになつている政府側としてはどうしようとせられておるのかということなんです、私の尋ねたいことは……。その前に事務的にお尋ねしますが、少くとも閉会中であるから国会のほうの委員の承認は求められない。従つて欠員である。従つて欠員のままこの肥料審議会結論出してよろしい、実質的にどういう形であろうとも国会委員関係の意思をこの審議会に反映させるという途はない、そういうふうに割切つて今までお考えになつておられたのか。積極的に、何らかそういう形式上の問題はあるけれども、実質的にはもう国会関係の協力を得るような措置を、この審議会の運営のほうでやつて行こうというふうにお考えになるのかという点です。私の尋ねしたい第一点はそこのところが重点であります。ただ今まで放置して来て今頃国会内でいろいろ問題が起つて来ておるということは遺憾に堪えません。そういう前提で今の二点をちよつとお尋ねしておきます。
  146. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 実は私もこの肥料審議会の開会に際しまして、肥料審議会におきましても私として御説明をいたしたのでありますが、この学識経験のある者のかたの中でも五人は実は国会のほうから御委嘱をしたいのでありまして、併しながら手続上そのことができませんので、五名欠員のままで審議を進めて頂きたいと思いますということを御説明申上げております。その通りに考えておるのであります。  それから、それとは別に、例えば衆議院の農林委員会におきましても御意見や御希望が出ましたので、それはそういうことで事実上連繋をとらして頂けるならばこれは結構なことだと思いましたから、その方法論も政府としても考えるが、又同時に国会のほうでもどういうふうにやつて頂ければいいのかということを国会側の御意見を伺いたいということでお話合が進んでおる、こういうふうに理解しております。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに国会側にもどういう方法がいいのかということを政府側から御意向を示されて御相談があつたわけであります。
  148. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) これは私自身が直接にどのかた、どのかたと御相談したということはございませんが、十分に意思は疏通して、連絡しておると私は理解いたしております。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは国会というのでなくて衆議院側の通報なり、特定の委員会と接触を保つて来たということではございませんか。参議院についても委員会なり、或いは各会派なり、或いは議長なり、それらに意向をお漏らしになつて、寄り寄り相談できるような形に政府のほうで持つて来た事実がございますか。
  150. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) それは私自身でその折衝なり話合をいたしておりませんことが多いものでございますから、的確にはお答えできませんけれども、このお話が始まりましたといいますか、時間的の順序といたしましては或いは衆議院の農林関係のおかたとの間のお話合が時間的には早かつたかと了解いたしております。それから議長等に私が正式に申入れをしたことはございません。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では本日通産政務次官並びに農林政務次官両者が政府を代表してということで、具体的には或る政党に対して一名だけ審議会が今日二時から始まるから出席を願いたいという申入れがあつた、こういうのはどういう先ほどからお話されておる方法でこの審議会に参画せしめようとして申入れになつたものでございますか。而もそれが衆議院側においてだけ申入れがございますが、その一人々々という申入れの枠の全体は各会派に対してどういうふうに振合いになつておりますか。この点をお伺いします。
  152. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 先ほど冒頭に申上げましたように、今日朝からいろいろと行われておるお話合があるといたしましても時間的に私は必ずしもそれに参加できませんでしたから、そこでさつきお断り申上げましたように私の御答弁が十分ではないかも知れませんからその点御了解願いたいと思いますが、只今御指摘のように私が出られない場合には政務次官に委嘱をいたしまして、そうして十分関係面等と連絡をとつて頂くように、又これはどういうふうに割振りをしたらいいかということについて私といたしましては衆参両院の問題であることと、それからこれは消費者だけの立場でもなく、生産者側の立場でもなく、学識経験者ということでできるだけそういう観点で各党間でお話合を進めて頂きたいものであるというふうに希望は私としては申上げましたが、そのあとどういうふうにということまでの最後の突き詰めたところまでは私は聞いておりません。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも明朗でないと思われるのは、今日の衆議院において農林委員会の五人が委員会の決定を以て申入れになるならば政府として考えよう、そうしてオブザーバーよろしいときまつたそうですが、それを聞いた通産委員会のほうは委員会の決定であるかないかは不明でありますが、農林と通産は共管だから通産のほうからも五名だということになつて、それも認められた、ところが農林委員会のほうは通産なども五名だということであればおれたちはこんなものに出ないということで蹴飛ばした、蹴飛ばされたが、今度は政務次官が政府を代表してというので、各党、どの党とどの党であるかはわかりませんが、少くともうちの党には先ほど申入れがあつているのでありまして、至急審議会が始まつているから御出席願いたいという申入れがあつたということであります。その出席委員の性格、或いはそれはどういう割振りで割付けになつたものか、これは将来正式の国会が承認をする場合に参議院として要らざる不測の事態が起つては大変な問題であります。具体的に申しますと、衆議院側ではどの党にどう割当てられようと問題ではございませんが、五人割当てられて参議院にはなかつた、そうして両院の承認を求めるということで参議院にこれが参つた場合に、参議院側はこれを承認しないとなれば両院の議決が一致しないとこれは不承認でありますから、そういう院の対立が起るようであつては私は遺憾である、政府も又それでは事柄の性質上本意ではない、で、そのモデルになる問題を今咄嗟にそういうふうな話があつたということで、さあ参議院のどこの会派に出て欲しいという申入れがあつたか、私は本日の事実はてんでわからん、そうなるとこれはいろいろ問題が起ることであります。大臣は御承知ではないというのでありますが、多分事務的な担当者は軽工業局長だろうと思いますが、この点について本日のそういう動きについて知つていることについて御答弁願いたいと思います。
  154. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) これは事務当局としては答弁いたしかねる点もあると思いますから私から御答弁いたしますが、これは一つ私も先ほど小笠原君から別に引つかけるのでも何でもない、よかれかしということで一つ質疑応答をしようじやないかというお話がございましたから、そういう意味で私の率直な考え、並びに困つておる点を申上げて御参考にしたいと思います。実は私はさつき申しましたように審議会の冒頭でも率直に申したのでありますが、これは国会のほうから委員に出て頂くということが手続上できないから誠にこれは不十分なことであるが便宜上このままで御審議を願いたいのだということを率直に審議会のほうにはお願いをしたわけでございます。それで或る程度お話合が進んである。この事実もその通りなんであります。それから問題を今度一転いたしましてこの肥料価格について政府がどういう考えでおるか、どういう恰好で諮問案を作つたのかということを政府として衆参両院の委員会なり、或いは党なりに御説明をするということになれば問題は私は簡単だつたと思うのでございますが、私はこれはよく御理解願えるかどうかわかりませんが、便宜上そういう措置をとらして頂いて、実際上国会の御意思も十分政府に反映させるというようなことを考え、又それを通じて必要ならば審議会のほうの問題にも政府を通じて国会のほうの御意思も説明するということで事実上この難点をカバーすることができるのではなかろうかと、私はこういうふうに考えておつたのであります。従つて例えば或る委員会においてどういうふうな考え方かということのお尋ねがあれば喜んで御説明申上げ、それから或る党の例えば政務調査会等において話を聞いて下さるということであればこれも又喜んで伺いますという、こういう態度で私はおつたつもりでございます。ところがそうなると、私は率直に申上げるのでありますが、話が大きくなつてしまつて何十人に達するような国会のかたがたに、而もこのオブザーバーというような恰好で審議会のほうに、審議会に足をお運びになる、審議会のほうとどうしても接触したいのだということで、こういうことで参りますと実はこれは私の言い過ぎかも知れませんが、国会としてもちよつとどうだろうか、私も国会議員の一員としてなまいきでございますがそういう感じもいたします。そこ無論話は、従来のいろいろな経緯があつたと思うのでございますが、それはそれといたしましてせんじ詰めたところ政府としては五人の国会議員からの委員ということを初めから考えておるのでありますから、できるならば事実上委嘱したと同じような形にして行けばこれは両方がうまく行くのではなかろうか、こういうふうに私は考えたわけでございます。ところが只今も御指摘のように急に差迫つたということはこれは誠に申訳ないのでありますけれども、事実は非常に私どもとしては取急いでいるわけでありますが、漸くそういう段階になつて来たときに各党各派の間で、衆参両院の間で先ほど御意見がございましたのでそれと相反するかも知れませんが、いわゆる各種委員の振当と同じようなこれを手続によりまして実際御委嘱を申上げるかたと違いないようなかたにがつちりとここで五名をお選びになるということになると急場の間に合わない。そこで誠に便宜上の措置で申訳ございませんが、先ほど抽象的に申しましたように参議院も尊重してもらわなければならない、それから消費、生産両面のほうの学識経験者ということでお選び願うようにしていろいろと相談をして早くまとめて審議会も今日午後もやつておりましたから間に合えば午後事実上御参加が願えればいいなと祈りながら私は各委員会を歩いてその間の処理は他の人に委嘱をいたしたわけでございます。私のこの問題に対する考え方は誠に率直でございます。失礼なことを申上げたかも知れませんが、以上申し上げた通りでございます。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の後段の御意見は私個人としては全く同意見です。そういう措置が十九国会閉会後、法の施行に伴つて審議会委員改正をする場合に、それぞれの会派に諮つて協議ができるような措置がとれれば結論が得られたのではなかつたか、今にして私はそう思うのです。併しこの際過去のことについてとやかく今は申しげませんが、事ここまで来ておつて、それで審議会結論は急ぐのだ、国会のほうに対しお願いしても容易に具体的に五名というものが出られることも容易でないということでただすつぽかして行つて答申案が出た、民主的な意見も聞いた、決定もした、こういうことだけではこれは長く続く国会政府との関係においてはいい姿ではない。必ずやはり国会が開会されればこの問題は大きく再燃して来るであろうと思われる。そこで私はいろいろな事実を指摘してそういう事実があつたのかなかつたのか尋ねているわけですが、通産大臣としてはぼちぼちお歩きになつていてお知りにならないということであれば、これは何とも質問はできませんが、少くとも係りの人がおられるのですから政務次官に本日の動きについては事実を質して頂いて率直にお知らせ願いたい。更に意見に亙りますが、委員会というものから直接行政府審議会に多数のものが出かけて行つて何の権限も持たないでごちやごちやと或る意味においてはひつかき廻すというような形になることは私も議員として又国会の一員として望みません、そういう態度は。それぞれ権限を持つてお仕事をなさるのはその権限の範囲でお仕事なさることで結構であります。けれども何ら国会関係の意思が加わらない答申案というものはあなたがおつしやるように、第一歩のこの審議会を発足させた今日、法の趣旨とした、改正が意図した点を無視している、実質的には十分な審議会にはならない、この点ははつきり申上げることができると思う。それをカバーする措置はどうしてもとつて頂かなければなりませんが、この審議の過程の間に何らかの結論を得られて国会関係から実質的に参画し得るように形式をお立てになるかどうか、結論として大臣の見解を承わつておきたい。尤も大臣だけで答弁しても農林大臣という兵共管曹の相手もありますからここで私は言質としてあなたから聞こうとは思いません。通産大臣としてはこう是非努力するならしたいということを承わればいいのであります。
  156. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 私といたしましては先ほどもう申上げるだけのことは十分申上げたのでありまして、これに附加えて只今のお尋ねにお答えすることはないようにも思うのでありますが、繰返してお聞き苦しいかと思いますが、ただ一つだけこれももう率直に申上げさせて頂きたいのでありますが、この法律審議のときの実質上の問題は別といたしまして、法律だけについて申しますると、国会の意思を反映すべしということにはなつていないわけでありまして、学識経験者ということのカテゴリーにおいて国会の意思と申しますか、国会議員の中のこの問題に対する学識経験者、こういうふうなことでこの法案を御審議つたと思うのであります。併しながら実際の問題といたしましては、これはやはり私の私見かも知れませんが、両院を通じて極く僅かの委員に対して人を選びます場合は、実際の物差といたしましては、やはり各種委員の選定というような段取りをとつて非常に慎重な両院の御審議の上で選んで頂いて、そのかたがたに政府が御委嘱をする、こういう形をやはりとるべきだと私思うのであります。それで遅れて時間が非常に迫つたときにこういうことを申上げるのは何とも失礼だと思いますが、ただ私はさつき申上げましたように、私自身としてはああいうふうな考え方をとつてつたためにここに至つておるわけなんでありますが、同時に私はここで五人のかた、何党に何人とお願いしたこの五人のかたは、何時にそのかたがたが政府として御委嘱を申上げるときに全然変りない、そのまま正式委員に滑り込むものという前提でお願いするものではない。それからその際においては又そのときの状況において、各種委員の振当のそのとき現在のいろいろの選定の基準も私はあり得ると思いますしいたしますから、さようなことが御了解を願いたいものである。それからこれは通産大臣としての私の個人の見解でございますが、これだけの大問題になつたことでございますから、将来については更に慎重に私は検討いたしたいと思います。例えば、若しそういうことがお願いができますならば、例えば一名これを定員を殖やすことによつて諸般の要請が充足されるという程度のことであるならば、私はその将来のことにも及びましてできるだけの努力をいたしたいと思います。翻つてそのくらいに私は思つておりますから、当面の措置につきましては、一つ是非とも御協力をお願い申上げたいと考えます。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは率直にお尋ねしますが、一つさつき言いました政務次官にお互いに御連絡になつてどういうことを本日おやりになつたのか、ここを通して参議院側に事実を明らかにして頂きたい。それから今大臣は五名を若しも事態、状況によつては将来一名殖やすというようなことで円満解決をしたいというお話もありましたが、これは仮定の問題でありますけれども、その内容としては私の腹にもじつくりと想像されるものがある。よくそれはわかるけれども、もともとこの法律が前国会で案として審議されました場合には、七名というものが要請されておつてそれを修正して五名にしたのはどこの会派であるか、而もその場合に説明に当つた農林政務次官平野君は、五名でいいのだという理由に、自由党、改進党、両社会党、緑風会、各会派一名ずつ出て丁度五名でよろしいということを衆議院において言明しおる。それが覆つて今いろいろ内部事情が起つて来ているということも、実は私は問題があろうかと思います。で、そういう審議の過程における修正等によつて五名となり、五名とするその内容についての一応の話のあつた事実は大臣は御承知でございますか。
  158. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 実はこの法律は両院とも農林委員会において審議されました。従つて私も説明や答弁を再々いたしましたけれども、この点については私実はつまびらかでないのでございます。併しながら今度も数日来問題になりましたから、一応詳細な速記録を自分で読むまでの時間はございませんでしたが、一応研究いたして見ました。そうして只今お尋ねのようなことがあつたかどうかということも検討して見ましたが、これは正確を期し得ませんから御勘弁願いたいんですが、私が人に読ませたところでは議事録に平野当時の農林政務次官がそこまで申上げた事実はないと、そういうことでございました。それからなお私も答弁としてこの点には触れておりませんけれども、私が私なりにその当時考えたことは、率直に申しますと五名として而もさつき申しましたように衆参両院を通じて、通産、農林両方の立場を通ずるということであるならば、例えば五人という場合であれば、衆参両院の農林、通産両委員長であるかたがたにお願いをする。これで四名になります。あとの一名を、これは数から申しますと衆議院が適当かと思いますが、衆議院の然るべき会派の然るべきかたにお願いしたならば一番まとまりが穏かではなかろうか、私は私なりに、かように考えたことがございます。
  159. 相馬助治

    相馬助治君 先ほどからの大臣の答弁で事態がよくわかりましたし、又今の段階で政府当局の善意の意思もよくわかりました。併し一つ明快にしておきたいと思いますことは、法律では国会議員から五名出すと明記してないとしても、審議の過程を通じて、先ほど小笠原君から申されたように、我々が理解しておりますのは国会から五名出し得る、かように承知しているわけです。そこで一体、今日こういうふうに話が面倒になつた責任の所在は一体どこなのかということを私考えて見たいと思います。これは政府に責任ありとしてそれを追及するために私は開くのでなくて、政府が両院の議長なり、或いは適当な機関に五名選んで欲しいということが正規に申入れてあるとするならば、これは今日話が面倒になつているのは、両院の意思として話を面倒にしているだけで責任はこちらにあるわけです。併し又一方正規に政府の意思が両院に申入れてないということならば、かように話が面倒になつた責任は、誠にお気の毒な言分になりますが、政府自体にあるんだと、こういうことを言わざるを得ないわけです。従つて私は建設的な立場から考えて見まして、仮に政府に責任があるという場合には、だから私はいけないと言うんではなくて、今からでも遅くないので正規の方法を以て、手続を以て両院にこの五名の推薦方の意思を伝達すべきだと、それがなされない限りにおいてはこういうふうに話が混乱して行くのはどこまでも政府の手落ちであるということになり、同時にこのことは政府と両院のためにも、それからこの審議会の将来のためにも好ましいことではないと、こういうふうに思うのです。従つて小笠原君が尋ねておりまするように、少くとも次官という立場の者が、公党である政党に一人の者を出せということで出すことは、出て行つた者にしてもその政党にしても或る一つの期待を持つと思うんです。それが横すべりにそのまま委員になるのであるというがごとき期待を持つ懸念があると思う、少くとも……。そういうようなわけで大臣としてはこれらの話を元にほごして、両院に対して然るべき意思を表明されるというような予定があるか、それともやはり話がここまで面倒に来たので、もつと白紙に返してよく研究してこれを善処したいとするのか、この辺のことを聞いておきたいと思うのです。長々としやべりましたが、こういう話が面倒になつた責任は政府にあるのだろうか、国会にあるのだろうか。国会にあるという場合には、政府から直接に申入れられているとすればそうなんだ。申入れがない場合には残念ながら政府にあると思う。どちらにあるんだろう。政府に若しそういう責任がある立場にあるならば、どういうふうにされる御予定であるか、この二点をお尋ねします。
  160. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 先ほどもお答えいたしましたように、両院の議長等に対しまして政府として申入れをした事実はございませんし、又今のところ私もそれは考えておりません。と申しまするのは、実際はこの学識経験のある者から、五人は国会からお願いをしたいと、この方針はもう全く堅持しておりますけれども、併し今の段階におきまして、あなたにはお願いをするはずなんだけれども実はこうだというふうに申上げることは政府としても如何かと思いまするので、これは便宜の措置として、これは政府の責任におきまして、各党にお話合を願つて、そして代表者を出して頂く。このかたは今御懸念がございましたが、この委員になるということとの問題とは別で、差当り肥料審議会を通して政府に御支援を与えられたいということでお願いをいたしたいと、こういうふうに考えております。  それから只今聞き合せをいたしておりまするが、私といたしましては細目について自分で折衝に当るだけの時間もございませんでしたし、当つておりませんが、先ほど申しましたような原則の下に政務次官その他に全面的に私は委嘱いたしましたので、その結果がこういうことであるということであれば、私は私の責任において、それで以て是非お願いをいたしたいと思つております。
  161. 相馬助治

    相馬助治君 ちよつと速記をやめて下さい。
  162. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  163. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記を始めて下さい。
  164. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、大臣は農林、通産両政務次官が各党会派を廻られて具体的の案を出されて折衝に移つておられるのですが、これはあなたの場合は一々聞いておらんけれども、白紙でこの両政務次官に一任してあると、従つてこれらの言動又具体的の示した案については大臣は勿論責任をとる、こういうことでございますか。
  165. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) その通りに申してあるわけでございます。ただ白紙を以てというところが多少、私のさつきのあれでお酌みとり願いたいと思いますけれども、私としては出ました結果各党にどういうふうに申上げたか、或いはどういう御相談をしたか知りませんが、それについては私としては責任を負わざるを得ないと思います。
  166. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、話は逆になりますが、政務次官が、前提としてこれは政府全体の責任においてこういう交渉をしたんだと、こういう前提なんです。それで申されておることを私は間違いなくお伝えしますからここで即刻御判断願いたいと思います。両院の各党派の議員数のトータルにおいて比例を出して、そうして取りあえず出してもらう。そこでそれによると自一党は三名である。社会党が一名である、左派が。右派が一名である。こういうことになるけれども、この際特に自由党は三名を一名お譲り申上げて改進党にお譲りすると、そうして五名のものをこの際出して頂く、こういう交渉をしておるわけです。これは一体、如何に白紙でお任せになつてもこういう両院の性格から言つてですよ、今までの肥料の法案の審議については、委員会の構成については詳細御存じないとおつしやいましたけれども、大体御存じのはずだ。この議会から五名出すということですね。そういういきさつらか行きまして、こういうめちやなことが一体通ると思いますか。同時に参議院に籍を置いておられる愛知さんがこういうことで一体筋が通るとお思いになりますか。これを私は伺つておきたいと思います。もともとこの問題は私は大した問題ではないと思う。もともとあなたがさつきおつしやつたように、衆議院の農林委員会からこういうものにオブザーバーで出すということが私は不見識極まると思う。これは任命できないなら……。そこで便宜あなたがおつしやつたように、両院の農林、通産両委員会に機会を捉えて積極的にあなたが御説明、或いはこういうことでやるよりしようがないと思う。併し衆議院の農林委員会でそういうふうな要求をするほうもするほうだが、そういう要求を受けて立つて、初めは衆議院の農林委員会から五名来てもらう、通産に横からやられたらもう五名追加しましよう。それが転々として今のような政府の責任においてこういう案だといつて政務次官が折衝された。その具体案についてあなたどうお考えになりますか。
  167. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 私は先ほど来申しておりますように、今日のような場合におきましては、その出ました結論が仮に私の私見として違う場合がございましても、私は男として一任いたしました以上は私が責任をとります。
  168. 河野謙三

    河野謙三君 それがもう政治家の態度でありましようけれども、それが一体責任をとるとかとらないとかいうことは別にして、そういうことで一体筋が通るでしようか。又そういうことをこの場合におきめになつて、他の審議会委員の今までのきめ方の前例もあります。そういうこととの関連においてこれが一体将来の議会の運営に支障がないとお思いになりますか。私はその点を心配するのですよ。
  169. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) その点は私も誠に御尤もだと思うのであります。今日のこの出ました結論については、私は全幅的に責任をとりまするけれども、将来のこの法律に基きまする審議会委員の選び方並びに今後の衆参両院の運営の仕方については、私として今日のようなことでなしに、十分慎重な態度で私の意見決定いたしたいと存じます。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私ちよつと関連して……。随分通産大臣も堅い話になつて、一任した以上は男として責任をとるとると言う。誰もとれとも言つていないのに一生懸命そういうことをおつしやつていますけれども、さつきからざつくばらんな話でおるのですから、私はそう堅くなる必要はないと思います。そういうことはやはり大臣ともあればめつたなことでは言えないことだと思います。これは野党として変な話ですけれども。少くとも問題はかかつて具体的に緑風会にある。ところが責任をとるとると言うが、若しも緑風会がさつきのような案だとすれば入らないということになる。入らないということになれば、緑風会さんからいろいろ話がある。あなたが今責任をとるとると言うことは、任せたのだから、任せた者の案がまずくともそれは自分の案だということでその案を押通すということで責任をとるということですか。その案が悪いんだとなつた場合には私はそれを撤回させる、修正する、案を直すということで責任をとるということですか。さつきから責任をとるとると言つておることは、きまつたことはきまつたことになるのだから、それは自分の案としてそれを通すのだ、そのことで文句があつたら文句は引受けておれがやるんだ、こういう意味合の責任をとるということとしか私は聞きとれない。それならばこれは誠に喧嘩みたいな話であつて、責任をとるということはどうするということですか、具体的には。
  171. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 私は別に堅くなつて何も申上げておるわけではなくて、今日政務次官に対しては全面的に委任をいたしました。それは実際もう全く身体が幾つあつても足らないのですから、決してこの問題を軽視したわけではございませんが、非常に急いで、肥料審議会で待つておられて、私の出席を求められても出席ができない。こういう場合でありますから、本早朝に政務次官に対して一切よろしいように一つつてもらいたいということで、今日政務次官が各党に対してでありますか、或いはどういう説明を用いましたか、申上げて、或いは御了解とつたところもあるのかとも思いますし、申上げつ放しのところもあるのかとも思いますが、その本日の政務次官のとりたる行動について私は責任をとりますと、こう申上げたつもりでございます。(「援護発言をしているんですよ」と呼ぶ者あり)
  172. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると政務次官のきめたことはきめた通りになるのかどうかは、それは又検討される余地もあるし、又その通りになるかも知れないし、そのことは又しつかりしたことを検討する余地もあるという意味合のことですか。ただ任せたそのことについて責任をとるということですか。その任せた者が出し結論を支持するということであなたは責任をとるということですか、どつちなんですか。
  173. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) くどいようでありますが、本日政務次官がとりました行為については私は責任をとるということを申上げておるわけであります。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると将来のことについては、その具体的な案そのものについては確定的なものだということで、それを確定的なものとするということで一任にはなつていない、こう了解しておつてようございますか。
  175. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 先ほど伺いますところによりますと、政府を代表して申入れたということでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)ですから私は政府として責任をとらざるを得ない、こういうふうに考えております。申入れましたことについては責任をとります。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも今日は愛知大臣端的なお答えで責任をとるとると言うんですが、まあ別な表現が私はそういう場合はあり得ると思うのですね、責任論まで言わんでですね。と申しますと、仮に不幸にして私具体的に申します、率直にざつくばらんに申します。緑風会に割当がないということの事態になると、将来において必ず緑風会は硬化するでありましよう。そうすると本問題に関する参議院における承認の場合にこれは恐らくただの丸々とした素直な形では承認にはならないと思う、残念ながら。そうしますと私たちとしては歯に衣を着せない場合には、率直に申して迷惑する場合がある。私たちの主張は通つておる。併しながら緑風会さんの意図は容れられない。こうなつ来ると、いろいろそこでこの通産委員会や農林委員会ではなくて、院として考慮しなくてはならない問題が起つて来る。そういうふうな場合に通産大臣が今日言われているよう責任をとるとる言われておると、これはあなたのところへつつかかつて行くことになる。そういう問題ではなくて、私はまだまだその将来においても、或いは柔軟性がそこにあり得る。あなたの場合でもいろいろの方法を考えておられる向きも忖度できる。だから本日政務次官が申入れしたそれも政府一つの考え方としてあり得るのだが、将来において幾多の批判がある場合に率直に検討をするという場合もあり得るということで、責任論は余り言つてもらわないほうが私はいいと思う。援護射撃になつたかどうかわからんですけれどもね。(笑声)
  177. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) あなたのおつしやることが或る意味において、或る部分におきまして私を助けて下さるという御意図があることは私もわかるつもりであります。併し私といたしましては、今日通産政務次官が、政府を代表してという前提の下に、各公党に対しまして伺いまして申入れたことに対して通産大臣として責任をとらないということが言えますか、どうでありますか。この点を一つお酌みとりをお願いいたしたい。今日申入れたことにつきましては私の責任でありますということを繰返して申上げるわけでございます。
  178. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで私は、これは大前提が不確かなんです。河野委員がおつしやつたことを前提にしてものを言つているのです。今政務次官との連絡によつてどういう措置をとつたかということについては、責任論も何も起り得るものではない。或る仮定の下にここまで突つこんで話をして来たので、どうも堅くなりましたが、私は少くとも最後に具体的な問題として伺いますがね。学識経験者として国会議員中から選ぶ者は、それは生産者メーカー代表、販売者代表、消費者代表として選考せられたほかに学識経験者としてあるのですから、それは生産メーカーなり、販売者なり、いわゆるこの肥料の問題で利益を追求しておる、そういう者からこの学識経験者というものが入ることについて政府として選考の基準としてどういう見解を持つておられるか、お伺いしたい。先ほどあなたのおつしやるのでは、学識経験者として国会議員中メーカー代表的な人、或いは消費者、販売、それら戸専門的な知識のある人をということでしたが、具体的に申しますと、専門的な知識があるというて、特定な肥料会社の社長、重役という国会議員を学識経験者として自党の範囲で任せられていることだからというてそれをお出しになるということについてはどうお考えになつているか。ここが私の絞つたあなたへの質問なんだ。と申しますのは、過去においてもこれは幾多の問題を起しておる。参議院の少くとも議院運営委員会では承認なりがたいという態度さえも示して政府の反省を促したことがある。学識経験者の名に隠れて特定の利益を追求するその利益関係に面接つながつておる会社の代表者等をこれに入れて適正な意見というものが出るか、こういうことで承認なりがたいという意見が過去において多かつた事実がある。若しも将来又そういうことになつて来ると、なおこれは、何と申しますか、紛糾すると思う、率直に言うて。それで大臣としてはこの点について大臣の側の、政府としてコントロールできる政党については少くとも範を示されてそういうことは避けるということであるかどうか、この点は御見解を披瀝しておいて頂きたい。
  179. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) その点は誠に御尤もでございます。私は国会議員は国民の負託を受けて一定数の支持者を得て登場して参つたものでありますから、これは全部を通じて一人々々が国民の信頼を受けておる立派な人物であるということを前提にいたして良識によつて判断をして頂きたいと思うのでありますが、ただ今御指摘のように、偶然の結果であつても、余りにも具体的な利害関係者をその利害に直接関係するようなことを審議する委員会に送るということは、これは良識によつて遠慮すべきものであろうかと、私は個人的にはこういうように考えております。
  180. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど責任論がありましたが、私は政務次官が政府の責任においてというはつきりした前提で申されたことについてあなたが責任を一応持つということは当然だと思いますが、併し如何に責任を持つとあなたが言われましても、その政務次官が出した案そのものがあとであなたがお聞きになつて、私よりさつき申上げましたが、あの案そのものが法の精神に全く抵触しておるというようなことになつた場合は、これはいさぎよくあなたがそれを変えられることが私は政治家の態度だと思う。これは法の精神に違反していないかというと、違反しているじやありませんか。もともとこの議会から学識経験者を五名選ぶというこの経過において、これは主として平野政務次官がやつたのですけれども、初めから三名のときから……、三名という案あつたのです。そのときには衆議院が二名、参議院が一名、五名になつたら参議院が一名だとか二名だとか、衆議院が三名だとか四名だとか、常に両院の比率についてはいろいろ意見がありましたけれども、いずれにしても両院から選び出す、こういう経過になつておる。同時に先ほど申上げましたように、如何に政党が一つであろうとも参議院の自由党と衆議院の自由党、これが全く一つのものじやないはずなんです。参議院には参議院の見識があるはずなんです。社会党においても同様だと思う。これを両方をプラスして、そうして而もその中に我々緑風会と申しましてもこれは無所属でございます。両院を通じて無所属の議員もあるはずです。そういう議員の数の比例において出すなら、そういうことも考慮して出さなければならない。こういうむちやなことを出されて、一応あなたは政務次官の言明を裏付けしなければいけませんけれども、考慮するだけの弾力性があることが当然であつて、それがないのは私はおかしいと思う。同時にもう一つ私はお断わりしておきますが、先ほどから緑風会のお話が出ましたが、私は緑風会に所属しておりますけれども、緑風会を代表していない、同時に緑風会はこの問題で委員が欲しいなどとは絶対に言つていない。ただ政務次官のその他からいろいろ政府を代表して緑風会に交渉する経過の御報告がありますから、それを聞いているので申上げたのです。繰返して申しますか、緑風会は断じてこの委員を欲しいとか、又割込もうとかいうけちなことは言つていないのです。これはよろしく政府議会の運営やこの臨時肥料需給安定法の精神に則つておきめになればいい。ただ如何に政府を代表したと言つても、今私か示されたところの羽田さん案というものが、あなたはそれで責任論は別ですよ、翻つてこれが公平妥当な案だということを法の解釈に照らしておつしやるかどうか、これを私は伺つておきたい。
  181. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 二点につきましてくどいようでございますが、もう一度お答えいたしますが、本日の政務次官の申入れに対して私は責任を負います。それから第二の法の精神というお話でございますが、私の申上げたことは非常に率直でございますから却つて誤解を招くかと思いますが、いろいろこう自分としても考えあぐねた結果、私は学識経験のあるものとして御委嘱申上げる国会議員のかた五名の選考を今やつておるつもりではございません。これは私はできないと思うのです、この今日明日の間には。そこで私は法の精神ということは別にとくと考えさして頂きたいと思いますし、その問題につきましては先ほど所見を申しましたが、衆参両院を通じてハウスとして慎重にお取上げを願つて結論出して頂きたいと考えます。従つて法の精神云々の問題は今日のこの政務次官の申入れについては私は起らない、こういう解釈をいたします。
  182. 河野謙三

    河野謙三君 それはここでお選びになる五人が今度正式に臨時国会を開いたときに任命されるその人と同一の人でなくてもそれは差支えないのです。ただ併し今度選ばれる五人というものはやはり選ぶ基準というものは、正式に今度国会にかけて承認を得る場合の基準と同じものでなければならないわけでしよう。その点はどうなんですか。
  183. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 私はくどいようでございますが、これは将来の委員のつもりで御委嘱を申上げる候補者を探しているわけではないのです。従つて法の精神というようなことにつきましてはとくと研究さして頂きたいと思います。それからこの際只今政務次官から連絡がつきましたから、メモでありますからちよつと読みにくいのでありますが申上げます。  政務次官としては社会党左派書記長不在のため佐々木更三氏に面会、一人推薦をして、頂きたい旨の要請を申上げました。早急に人選する旨の回答がありました。社会党右淺沼書記長に面会いたしました。右同様の回答がありました。改進党松村幹事長は金子與重郎氏を在京議員総会できめた旨回答せられました。緑風森農林委員長に、五人の枠では緑風ははみ出すので御了承願いたい旨申入れました。森氏から一応承わつておく旨回答がありました。以上の申入れに際し、今回お願いした五人というものはそのまま将来の委員になるような話では一切ございません。  これが只今の連絡でございます。
  184. 河野謙三

    河野謙三君 それで私は先ほどの小笠原さんの話に関連して私から重ねて要望しておきますが、学識経験者として選ぶ場合に、私は言葉尻を捉えるつもりじやないですが、通産大臣はこの五名のうち消費者代表に偏つていかんし、生産者代表にも偏つていかんから、その性格を二つに分けて両方からまあ三対二になるか二対三になるかわかりませんが、そういうようなことで両方から選びたいというふうな意味がありましたが、これは何かお言葉違いじやないかと思います。そういうことがあつてはならないので、そういう点は特に小笠原さんから御注意があつたのでありますが、現に参議院にも衆議院にも肥料会社の社長さんもおり重役もおります。肥料のことを知つているからといつてこれが学識経験者とは思いません。選ばれるのは不適格だと思うのです。例えば参議院に小野義夫さんがおる。宮澤なんとかさんもおります。いずれも肥料会社の重役さんであります。こういう人は肥料のことは知つておるでしようけれども、そういう人はいかん。又同様に農業団体の役員なり農業団体の関係者もおります、これは私は両方いかんと思います。そうでなく、純粋な中間的なものを選ばなければ法の精神に反すると思うのです。これは一つ十分に御考慮願いたいと思うのです。それからなお先ほどの条件の中に、ここで五名を選んでおくけれども、将来二名を、次期国会法律の改正をして二名を追加するから了承してくれという政務次官から申入れがあるんです。これは聞いておられますか。
  185. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) その点は私まだ聞いておりませんが、ただそうすると、偶然の一致なんでありますが、私ざつくばらんに申上げたのですが、これは問題は速記になると少し工合が悪いかも知れませんが、どうせざつくばらんですから申上げますが、私は政府の立場だけを申上げて恐縮でありますが、とにかく審議会の他の委員のかたもこの暑い中で本当に熱心にやつて頂いておる。早く答申出したい、それで何とか恰好がつくようにして頂きたいということで切にお願いするわけなんであります。でそういう意味から申せば私のほうも余り堅くおとりにならないで、これはこれで一つやらして頂きたい。これはたびたび申上げておりますように、この第十七条第二項第四号ですか、これに基く国会議員を御推薦願いまする場合に、十分に一つ御熱心に御審議をお願いしたい。改めて政府側としては両方のハウスにお願いをいたしまして、その御審議の結果これは偶然の一致なんで、私は二名とは考えなかつたのでありますが、一名程度追加して、これが最大公約数の結論まで出るというならば、改めて法案の改正ということをお願いしてもいいのではなかろうか。これは私の本日の思い付きなんでありますが、その程度の話合を早速早急に始めておいて頂きまして、本日のところのこの肥料審議会のほうはまげて一つ了解を願いたいものです。これはもう切にお願い申上げる次第でござす。
  186. 河野謙三

    河野謙三君 私はこの二名追加するというのは、恐らく緑風会あたりの顔を立てるという政治的考慮だと思いますが、そういうことは私は緑風会の一員として迷惑千万です。同時にもともと学識経験者国会から選ぶということは、これは政府原案じやないですよ。
  187. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) ないです。
  188. 河野謙三

    河野謙三君 御承知のように国会修正したのです。止むなく政府がこれに同意したということになつた。そういうことがついこの間の話です。それは単なる妥協で、不明朗極まる今度の国会において、政府みずからが今度、この間は政府原案にもなかつたものを、五名でさえ多いわけです、政府の見解から行けば……、それを更に二名とか追加してそうしてこれを何とか円満にやろう、円満は結構でありますけれども、そういうような扱い方をすべきものではないと私は思う。その点は大臣はどうお考えになりますか。
  189. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 誠に御尤もでございます。先ほど申しましたのは単なる私の思い付きで、併し問題の焦点は、この委員に、本当の権限をお持ち頂く委員にどなたをお選びするかということが非常に大事な問題でありますから、これは政府側というか、私としてもハンブルに一つお考えを願いたい、自分も考えて見ましたその結果、将来を予想するようで甚だ失礼なことを申したかも知れませんが、一名程度の増員くらいならば諸事円満に収まる、これは改めてお願いしてもよかろうかという思い付きを申上げたのでありまして、その申上げ方に不謹慎の点があつたかと思いますから、その点については、更に慎重に一つ考えさせて頂くということで御了承を願いたいと思います。
  190. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も、先ほどから緑風会という名前を用いた場合があるのですが、私のその院内におけるいろいろな運営の問題から率直に、具体的に、悪意なく、そうしてこうでもあろう、そうでもあろうと思つて、端的に緑風会という名前を用いたので、緑風会としては非常に御迷惑だつたと思う。緑風会さんの批評は、非常に正しい筋であると思う。又、愛知通産大臣の一名の追加の思い付きというのは、これは実際、愛知大臣としては善意に出たこれは一つの意図であつたろうと、率直に私は受けます。ところが、今聞くように二名ということになると、これは便乗も甚だしい陰険そのものなのです、率直に。又緑風会といいますか、今回選に漏れた緑風会に一を与え、その代り改進党に渡した一を取戻して自由党の二を三に復活させる。緑風会の名に便乗して自党のそれを三に殖やして要望を満たそう、そういうことの陰謀であるということだけは、私勘が廻わらない議員としてもはつきりわかる。そういうことであればあるほど、緑風会のみならず、これは院内における会派としては筋上感ずるでありましよう。もつと理由を質して、殖やすなら殖やすとしてもこれは筋を立てて、これは将来処置せられる必要があると私は考えます。
  191. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) もう一つ只今の点で政務次官から連絡がございました。将来法規を改正して、一、二名追加したいという意見もあるようではあるが、二名追加したいと自分から言つてはおりません。ですから、こういう雑談的に、こういう話が出たのではないかと思います。  それから只今小笠原君の言われた通り、私が一名程度云々と申しましたのは非常に軽卒であつたと思いますが、私の善意に出たことでありまして私はそんなに頭が廻りませんから、陰謀を考えて申上げたのではないことを御了承願います。
  192. 河野謙三

    河野謙三君 私は責任上申上げます。今二名ということは、私のほうの森農林委員長に、羽田何とかいう政務次官が来て、具体的にそういう条件を出されたということを、私は森君から報告を聞いておるのであつて、私がでたらめを言つたようになつても困ると思いますから、この点は、今大臣に連絡があつた羽田さんがそういうことは言つていないと言われるのが本当か、森君が私に伝えたことが本当か、これをはつきりさせて頂きませんと困りますから、はつきりする機会を作つてもらいたい。
  193. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) はつきりいたします。というのは、羽田農林政務次官からの連絡ではありません。加藤宗平通産政務次官からの連絡でございますから、羽田君の言葉ではありません。
  194. 河野謙三

    河野謙三君 私もよく森君に確かめますから、あなたのほうもよく羽田君に確かめて下さい。
  195. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後にただ一つ……、了解したとは申しませんが、実情はこれで私ははつきりしたと思います。で、最後にお伺いしたいことは、今回ですね、人選して欲しい一名、推薦して欲しいというか、一名推薦されたかたは、何というかこれは審議会に参加するのでございますか。と申しますのは、将来これが審議会委員として承認を求められる選考の水準でも何でもない、臨時的な耕措置というのですから、これはどういうことになつて参画するのか、この点を明らかにしてもらいたいこと。第二点としましては、将来の問題と、今回の問題は別だと言つても、偶然の結果ではございますが、五名と五名ということは、これは一致している。将来の場合、そうしますと、少くとも改進党、両派社会党は、この一名の割当で実質審議に参画したのだから、将来においても我々は一名を譲るわけにはいかん。この通り出してくれと、必ず政治的にはそういう動きになる。これは通産大臣も御承知のことと思う。そうしますと、あとの措置は委員の構成を殖やさない限りは、結局何とか処理しようということになれば、政府並びに与党の責任でですね、これは処理しなければならない。事態はそうなつて来ると思うのです。将来と今とは別だと言つても、一旦そういうふうに、臨時的であつても、一つの選考の基準を以てやる以上は、これは三つは動かさないで、自由党の持つている二つについて、操作しなければならんか、或いは人を一人減らさなければならんという問題が具体的に起つて来る。どつちにしても政府並びに与党の責任で処理しなければならないということになるだろうと思いますが、通産大臣もその点は重々考慮の上で、政務次官のおとりになつた措置について責任を持つと、こういうことになるのですか、そう了承してよろしうございますか、最後にこの二点だけ……。
  196. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 先ず第一点は審議会会員各位との懇談会に出席して頂きたいかたがたでございます。
  197. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 懇談会……。
  198. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) はい。審議会委員との懇談会に出席するかたがたとしてお願いを申上げたのでございます。  それから第二段の点は、にわかにその通りお答えはできませんことは御了承願いたいと思います。
  199. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) どうでしよう、電気料金説明だけちよつと大臣から聞いたほうがいいと思うのですが、どうでしようか、時間が六時……。
  200. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちよつと一点だけ伺えばいいのですが、この前外国図書の購入ですね、あれは一割五分の担保を入れなければならん。あれで非常に因るのです。で、これが何もほかにあれするのじやなくて、学界の問題ですから、そのときに、この前大臣はよく調べて善処したいとおつしやつたが、その後如何になりましたでしようか。五%ぐらいの担保にしてもらいたいというのが強い要望なのでありますが、それをちよつとお伺いいたします。
  201. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) あのとき申しましたように、私も全く御尤ものことと思いましたので、早速事務当局に御趣旨のほどを伝えましてできるだけ御趣旨に副うようにいたすべく命じました。その後ちよつと今唐突で、その結果がどうなつておりますかつまびらかにいたしておりません、早速御回答申上げます。
  202. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  203. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 速記を始めて下さい。  それでは電気料金に関して政府決定されました最近の方針を承わつておきます。
  204. 愛知揆一

    ○国務大臣愛知揆一君) 只今委員長の仰せによりまして、電気料金の改訂について政府の得ました結論を御披露申上げたいと思います。この問題は資料がお配りしてあるかと存じますが、先ず第一の基本方針でございますが、基本方針といたしましては、前々から当委員会でも申上げておりましたように、電源開発の促進に伴う各電力会社の資本費の増嵩は、現行制度の建前の下におきとましては、料金に振かけて処理しなければならないことになつておりますが、従つてこの面から料金を引上げなければならない、これが一つの考え方であります。  これに対しまして、第二の考え方として、現在デフレ政策の進行途上でございますし、あらゆる面におきまして国民の各位に対して低物価政策の御協力、御支援を願つているこの段階においては、今申しました原価主義の枠の中においても、できるだけ電気料金の引上げの幅は少くいたしたい、これが第二の基本的考え方でございます。その結果非常に政府といたしましても苦慮いたしたのでございますが、次のごとき基本方針を樹立いたしました。  即ち来年三月までは全国平均としては現行冬季料金のベースに据置くことが第一の基本方針であります。それから第二は、明年四月以降の料金につきましてはこのまま他の対策が講ぜられない場合には夏料金に戻すことはできなかろうという見通しを持ちます。即ち夏冬料金一本にせざるを得ないであろうという考え方が基本的でございます。併しながらそうやりますると、低物価政策の趣旨に背きまするから、その間において、来年の三月までの間におきまして、電力会社に対しましては一層の企業努力を求めて、国会政府はお願いいたしまして税の軽減措置を請ずる、金利の負担の軽減等の努力をいたしましよう。そうすれば最高夏冬料金一本化からそれだけの、努力の跡だけが軽減されることになるわけでございます。従つて今回発表し、決定いたしました料率は、具体的にはこれから半年間の間だけのことになつているのでありまして、その後の問題はいろいろの計算上、その他においては夏冬料金一本という建前でいろいろの計画なり経理の予想なりをするわけでございますが、料金の率としては来年四月以降については再検討するのでありますから、未決定である、こういう建前をとつております。  それから第三に、十月以降の問題でございますが、これは冬季料金はべースは据置でございますけれども、大口割当制度の廃止等に伴いまする料金制度の改正、これが御承知のように去る七月聴聞開会等もいたしまして、一応の基本的な考え方が出ているのでありますが、これをできるだけ合理的な改正にとどめるようにいたしたということでございます。従つて今回各細目に亙りまして発表いたしましたものは、取りあえず十月以降、来年三月までの料金率ということに相成るわけでございます。以上が基本的にとりました我々の考え方でございます。  この基本方針に基きまして、現実の料率を各会社別、各消費者別に計算をいたしましたが、その計算をいたしまするに際しまして料金制度の改善についてとつた基本的な考え方が十二項目ございます。  その第一は資料にお配りいたしました通りでございますが、割当制度を廃止すると共に東北と北陸については完全な一本料金にいたしました。その他の七会社につきましては大口電力及び業務用電力について二段料金制を存続せしめる以外は一本料金にすることにいたしました。  第二は二段料金制を適用する場合におきまして標準料金による電力量の決定政府による割当に代えまして需用家の過去における使用の状態を基礎として自動的に算定し得る基準負荷率制を採用いたしました。  第三は、各社について年間の豊水期の一定期間常時供給する期間常時電力を設定いたしまして常時料金に比し相当の割引をすることにいたしました。  第四は、東北、北陸の三社に、負荷調整可能な需要を対象として調整電力を設定いたしまして、期間常時電力より更に低廉な料率といたしました。  第五は、各社につきまして深夜電力を設定し、常時料金より相当低廉な料率とすることにいたしました。  第六は、負荷割引を強化することにいたしました。  第七は、定額電燈及び中流以下の家庭の従量電燈の料金は現行料金を据置くか、又は値下りとなるように措置することにいたしました。  第八は、従量電燈は従来の二段料金を廃止し一本料金といたしますが、北海道、東北、東京、中部及び北陸の五社につきましてはアンペアーによる基本料金制を採用することにいたしました。  第九は、一般並みの取扱をすると比較的影響の大きい硫安工業電力等の電解電炉需用につきましては負荷調整を内容とする特約の実施によつてその影響を緩和することにいたしました。  第十は、農事用電力につきましては改訂の影響を軽微ならしめるため特別な措置を講ずることにいたしました。  第十一は、公共事業等、電鉄、水道等に対しては頭打制度の採用により影響を緩和することにいたしました。  第十二は、燃料費調整制度を当分の間停止することにいたしました。  この十二項目が特色のある点でございますが、これを申上げただけでは中味がなかなか御理解に困難と思いますので私の常識として二、三点を附加えて繰返して申上げたいと思います。先ほど申しましたように今回の電力料金の改訂につきましては我々も非常に実は苦労いたしましたのでありますが、あんまりこのいろいろの配慮をいたしましたために逆に何かごまかしをしているのではないかというようなお疑いを受けておるやに見受けられるのでありますが、その点は実は率直に申しまして私は残念に思いますので、さつき申しましたように今後の何も税の上でも工夫がない、金利も下らない、会社企業努力ももう一ぱいだという結論が今後六カ月の間に出ますならばもはや我々には夏料金というものは利用することができない。即ち各料金が来年四月以降の夏場に入りましてもずつと続く、こういうことになるのであります。併しこの点は昨日ですか、発表されました自由党の政策大綱の中にもございますように成るべく引上げたくないから税制、金利企業努力にできるだけの努力をしようということが謳われておりますが、政府もその通りの考え方であります。従つてこのまま放つて置けば夏、冬場料金を通じますればかなりの値上りになるわけであります。来年四月以降はそういうことにならないようにしようということを考えておりますために取りあえず十月一日から始まりまするところの冬場料金だけを半年間を比較して見れば、この半年間においては現行料金に対して実は下るものも出て来るという結果になるわけであります。で下るものも出て来るということを、私どもとしては聴聞会以来のいろいろの経過に鑑みまして、先ず第一に家庭用の電燈等については原則的に値上りが起らないように、でき得るならば東京電力管内のように若干の値下げをこの際行うことにしたい。それから鉄道とか、或いは私鉄でありますとか、或いは上下水道料金等についても、又この料金の改訂が水道料金値上げ、或いは電鉄料金、或いは東京都電の値上げの原因に籍口せられないように非常な工夫を払いました。従いまして東京管内で東京都電の例を申上げますると、この料金制度を改正いたしますると直ちに電気税が免除になります。それと合せますると東京の都電が利用するところの電力料金は従前の冬料金よりも安くなるという結果に相成ります。上下水道に対しましても原則的にさような考慮を払つたわけであります。従つて水道料金値上げに籍口されるような原因は私はないと考えます。  それから先ほど来御議論の焦点でございました肥料の問題につきましとも特に取上げて第九にございますように硫安工業電力等の電解、電炉需用につきましては負荷調整を内容とする特約を実施したい。そのことによりまして、これは余談になりまするが、現在諮問してありまする肥料原価に対しまして、実はあれは原価計算の中に電力料金の値上りというものは含んでいない諮問案でございますが、この程度のものならば一つメーカーのほうに負担をしてもらおうじやないかということで改めて硫安価格のほうには非常な反対もございますのでありますが、政府としては押切つて実行いたしたい。即ち硫安価格には電力料金値上げは反射しないということでやつて参りたいというような配慮をいたしておる状況でございます。  大体申上げましたことが今回の価格改定に対する御説明でございますが、なお資料につきまして担当局長から詳しく御説明申上げたいと思いす。
  205. 河野謙三

    河野謙三君 他の委員のかたの御都合はどうか知りませんけれども、どうせこの問題については質疑もたくさんあることと思います。でありますから局長説明も次回のこの質疑の前にやつて頂くことにして、聞く以上は詳細に聞きたいと思います。簡単に局長説明を聞いても仕方ありませんから、大臣説明は今のままでいいですが、局長説明はもつと詳細に伺いたいと思いますから、時間の関係上本日はこの程度にして、それよりも次回をいつ開くかということを一つ委員長お諮り願いたいと思います。
  206. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  207. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。次回は十七、八日に開催する予定にしておきます。    午後六時八分散会