○国務
大臣(
愛知揆一君)
お答えいたします。先ず最初の為替相場の問題でございますが、御案内の
通り、昨年の暮からできるだけ国際
価格に日本の物価を鞘寄せをしようとして努力をして参
つておりますのは、現行為替相場を堅持いたしたいという
範囲でや
つておることでございます。幸いにいたしまして、これも御案内の
通りでありますが、この六月以降国際収支のバランスの上におきましても、千万ドル余りではございますが、久しぶりに受取超過が現われて参
つております。それから物価のほうも卸売物価は九・二%ぐらい下
つております。で、これは両者相関してかような
現状にな
つていると思いますので、私はこの分で参りますればこの面においての我々の予期した道を大体歩いているということが言えると思いまするので、ますます以て三百六十円の堅持ということにつきまして確信を以て更に一段の努力を続けたいと存じております。その
関係から、例えばリンク制というようなものも順次廃止して参りたい、こういうふうに考えているわけでございますが……。
それから第二の問願でございますが、これは
只今までに申しましたのは、いわゆる緊縮政策をとりましてからのいい面を申したことになると思うのでありますが、逆にこの拒みを現わしている問題としては、失業の問題だとか、中小
企業の問題とか、或いは地域別に特定の
産業面において特に断層がひどいというような現象がございますので、そこでそのうちの労働対策の問題でございますが、総合対策の中で実は一番この点がともすると見失なわれる虞れがございますので、この点につきましては経済
審議庁が中心になりまして特に七月以降労働対策連絡協
議会というものを設置いたしまして、そうしてただ単に労働省の担当する面というだけでなく、広く問題を総合的に対策を立てたいと、こういうふうに思いまして、その後更に閣議の
決定をすることが適当と思いましたので、八月三日にこの経済
審議庁に置きました機構は閣議
決定で以て追認すると申しますか、更にこれに重要性を与えるということにいたしまして全体の総合会議はその後六回開いておりますし、そのほか当面の具体的措置について事務的な検討、並びに対策の実施も進めております。それから一方地方におきましても
関係各省の出先機関でやはり閣議
決定を以て協
議会を作りまして、中央、地方の協
議会の密接な連繋をと
つて、一貫性のある対策の実施を確保しようといたしております。で、そのうちの一、二の点を申上げますると、先ず
一つは公共事業等における失業者の吸収の措置でございます。この際中央、地方の公の費用の負担にかかる建設復旧の事業にできるだけ多数の失業者を吸収いたしたいと考えまして、労働
大臣が特定の或る地域と事業を指定いたしまして、七〇%の失業者吸収率を適用し得るようにいたしました。又失業者吸収率改定事業の
範囲を拡大するということもいたしました。かような
方法によりまして、俗に申しますると、例えば
石炭関係が非常に窮迫しているその周辺の都市においての公共事業、或いは災害復旧事業等を繰上げて実施する。又
只今申しましたように、失業者の吸収率を多くするというようなことを取りあえずの措置としてや
つたわけでございます。
それから失業保険による一時帰休制、これも労働省が担当して行な
つているわけでございますが、
企業整備等によりまして、一時に大量の失業者が発生し、労使の紛争を起しまするので、それを回避いたしますために一時帰休者を失業保険の対象とするというような
特例を定めまして、一定要件の下に三カ月の一時離職者に失業保険金を給付することにいたしたわけでございます。
それから先ほど申しましたように、
通産省といたしましては特に鉱害復旧事業の繰上げ
施行ということを特に取上げているわけでございます。
なお明
年度の対策等にこの今
年度の応急措置から引続きまして、更に拡大強化するような措置が必要と思いまして、これらの点についても対策の立案について鋭意努力を傾けておるつもりでございます。
それからその次の中共貿易の問題でございますが、これも御
説明をいたしましたかと思いますが、常識的に申しますと、先ず第一に過去においてココムの線よりももつと以上に中共に向けましての
輸出禁止品目が
相当ございましたが、これを数回に亙りまして本年の一月以降漸次大幅に解除することにいたしましたので、去る七月末以来におきましては大体ココムと同一の線にな
つておるということが申上げられると思います。
それから
実績は
只今御
説明いたしたかと思いますが、極く常識的に申しますと中共から日本に対する輸入については金額的に申しますと昨年一カ
年間で輸入いたしました二千数百万円の
程度のものは本年におきましては一月から六月までの間にそれだけの輸入をや
つておりますから大体二倍に殖えておるということは言えると思います。
それで今後の私どもの努力といたしましては更に西欧諸国と協力して今度はココムそれ自体が中共に対する禁輸品目をできるだけ大幅に撤廃することに努力することであると思います。これは併しなかなか容易なことではなかろうかと思います。一方中共貿易は申すまでもなく国営で一元的にや
つておりますから現在の条件の下においても日本側の
輸出商社の動向、強化その他において考え得る手がこちら側にも又努力すべき目標があるのではなかろうかと思いますので、その方面を切開いて参りたいと思
つております。
それからこの点は昨日来
輸出計画のほうで御
説明いたしておりますが、私どもの三十二
年度目標の
輸出新
計画におきましては七千万ドルの
輸出輸入を中共に対して期待する
計画にな
つております。ところがこれは今申しましたように諸般の状況を改善しますために
相当の努力が要る目標であろうと思いますので、この点については
相当のまあいわば努力目標であるということを
現状において言わざるを得ないと思います。
それから一方、これは個人的な研究でございますが、仮に亜鉛引鉄板を初め日本の得意とする商品の
輸出が大幅に中共向けに許可された場合を考えて見まして大体どのくらいまで
輸出が出るであろうかということを、これは単なる一個の私見でございますが、一億ドルまでにはなかなかむずかしい、大体九千万ドル
ちよつとぐらいのところが一切の制限が
制度的に切離された場合におきましても一応その
程度のことではなかろうかというように考えられるわけでございます。これらの点についていろいろ民間側の御研究その他を十分参考にいたしましていろいろの考え方を取りまとめておりますが、例えば今朝の或る新聞に披露されました一億数千万ドルの目標というのは或る日本の民間の団体の私的研究でございます。これも検討いたしておりますけれども、なかなかこれは困難な状況である。併しできるだけの努力をして先ほど申しましたように今年は去年の倍以上の輸入をやりたい、又
輸出も伸ばして参りたい、こういうふうに考えております。
ざつと
只今お挙げになりました点についての私の見解は以上の
通りでございます。