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1954-07-21 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十一日(水曜日)    午前十時二分開会   —————————————   委員異動 本日委員佐藤常介君辞任につき、その 補欠として苫米地義三君を議長におい て指名した。  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事      松平 勇雄君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            大谷 贇雄君            加藤 武徳君            黒川 武雄君            酒井 利雄君            西川平治君            高橋  衛君            中川 以良君            森田 義衞君            河野 謙三君            山川 良一君            藤田  進君            天田 勝正君            苫米地義三君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省石炭    局長      斎藤 正年君    中小企業庁長官 記内 角一君   —————————————   本日の会議に付した事件通商及び産業一般に関する調査の件  (中小企業問題に関する件)  (電気料金問題に関する件)   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。  昨日に引続きまして、通産大臣に対する質疑を行いたいと思いますが、昨日散会前に質疑通告を求めましたところ、十人近くのかたがございまして、中小企業問題、主として石炭に関し三名、それから中小企業問題一般について三名、電気料金に関し二名、可燃性織物に関し二名が申込まれておるのでありますが、本日は午後一時から視察に出ることになつておりまするので、せいぜい二時間乃至二時間半ということになると思います。そこで通告者の数で割つて見ますると、一人が約十分程度というふうに圧縮されますので、そのお含みで御協力をお願いしたいと思うのであります。(「答弁をまぜてですよ」「本会議よりやかましい」と呼ぶ者あり、笑声)昨日の申合せによりまして、議題を先ず最初に中小企業その他を含んだ問題でありまして、次に電気料金の問題、こういうふうに集約的に進めて見たいと思いますので、その点も御了承願いたいと思います。本日の政府側出席者通産大臣中小企業庁長官石炭局長官房長、間もなく大蔵省からも出席があるはずと思います。  それではこれから質疑をお願いいたしたいと思います。
  3. 天田勝正

    天田勝正君 委員長、ちよつとお伺いしますが、十分とは答弁も含めてですか。
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) そうです。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 止むを得ません。
  6. 高橋衛

    高橋衛君 私は中小企業一般に関しまして、約三点について御質問申上げたいと思うのであります。  先ず第一点は昨日中小企業庁長官から先般の通産委員会における決議に対する御説明があつたのでありますが、その中で親企業振出しの手形不渡によつて生ずるところの苦難打開のために適切な措置を講ずるという点であります。私は先般北陸におけるところの企業の実態をいろいろ調査して参つたのでありますが、今年春以来私どもが想像していた以上に非常に困難な窮境にあるのであります。ところがこの困難な原因は大体分析すると二つある。一つ全般的な金融の引締という点から来ておるのでありまするが、いま一つの点はやはり親企業と申しまするか、むしろ集散地問屋倒産等のために受けておるところの被害から生ずる点が非常に大きいと思うのであります。これは日本絹人繊織物工業会調査でありまするが、全部集まつてないようでありまするが、集散地問屋倒産によるところの産地の受けた被害を調べて見ますると、二十八年の上川においては一億八千万円、二十八年の下期においては八億三千万円、二十九年の上期においては十四億三千万円と非常に大きな金額に相成つておるのであります。この上にこれらの影響を受けて、又はそれ自体の原因から産地におけるところの問屋及び業者倒産相当引続いて起つてつておる、その業者が競合いたしまして非常に困難な、むしろ恐慌的な気配を呈しております。昔からの非常に堅実な業態であつたかたがたすらも日々薄氷を踏む思いで、今日も漸く済んだというふうな気分で来ておるのが実情でございます。昨日の御説明によりますると、例えば手形がすでに割引されておる、而もそれが不渡なつた場合においては、銀行等が単名手形を出すというようなことによつて救済方法を講じておる、又日銀にも連絡をして十分にそういうふうな点の不当なことがないように措置をしているという御説明ではあつたのでありますが、現地について見ますとそれらのことがなかなか円滑に行われてない。従つてその点について私どもがやはり現地一般かたがたに対して十分に納得させる説明のできるような、具体的にどういうふうな措置をとり、具体的にどんな指示をしておられるか、又それがどういうふうな効果を期待しておられるかという点について先ず第一にお伺いしておきたいと考えるのであります。
  7. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 昨日でありますか、中小企業対策全般につきまして中小企業庁長官から、現状において政府として考えておりまする対策については詳細に御説明いたしたと思いますので、或いは重複するかと思いますが、特に只今指摘がございましように、我々の考え方対策というものが現地においてその気持がすつかり当局側にも、或いは金融機関側にも滲透して、親切に業者のほうを指導するといいますか、相談相手になるということが私は何より必要だと考えておるのであります。で例えば、先般通産省で非常に大きな人事異動をいたしましたが、これも根本的にはその配慮を考えたのでありまして、中共においていろいろの企画立案に当つたその人が現場の今度は責任者になつて参りまして、現地において、中央において考えておることを適時適切に実行に移せるように、又現場側情勢中央の頭において掌握ができて、中央にも適時適切にいろいろの意見が出て来るようにというような配慮で考えたようなわけでございます。只今指摘になりましたような点につきましては、大体昨日も御説明したと思いますが、私ども考え方と根本的には一致しております。でそれらの点について更に細かくできるだけの指図を今後も本省、本庁といたしましても現地側にいたすことにいたしたいと考えております。
  8. 高橋衛

    高橋衛君 只今の御説明は昨日の記内長官の御説明と大体同様なんでありますが、何とかいま少し具体的に、現地の者が成るほどこういうことを政府はやつて下さつているのだ、従つてそういうことが時間的には遅れても今に我々のところに響いて来るのだというふうな意味において納得できる程度に御説明をお願いしたいと思うのであります。
  9. 記内角一

    説明員記内角一君) 昨日もちよつと申上げましたように、今度の岩田商事の問題につきましては、商工中金というふうな政府の何と申しますか、息のかかつたような機関と、それから一般金融機関と両方が関係者としているわけであります。そのうち商工中金の分につきましては、このほうに連絡いたしまして、大体今までの買戻し、不渡によつて生じた岩田商事の振出した手形商工中金から買戻す義務があるわけでありますが、その買戻しの義務につきまして別に単名手形に切替えまして、これを半年乃至十カ月のものとして手形の延長を認めて行く、その間に支払の準備を整わせまして、岩田商事影響を直接すぐ受けていわゆる連鎖倒産というふうなことのないように措置をいたしておるわけでございまして、大体この方法で片付くのではないかというふうに考えておる次第でございます。一般金融機関につきましては、日銀を通じましてほぼ同様な手続で市中銀行が買戻しの義務を延期するという方法を講ずる、そのために必要な金融機関の本来ならば回収できる見込の資金が不足するというふうなことになればこれを日本銀行が面倒を見るというふうな方法によつて、これ又いわゆる連鎖反応による倒産というふうなことのないように措置してもらいたいということを日本銀行に申出をいたしておる次第でございます。この点につきましては日本銀行も大体そういう趣旨で指導をしておるというふうに承知をいたしておるわけでございますが、ただこの点につきましてはいろいろ金融機関もたくさんあることでもありますし、又関係者もそれぞれいろいろな条件もあるようでございますので、すべてがこれで行けるというふうにも考えられませんけれども、併し大体の方向といたしましてはそういう措置によつて救われて来るのではないか。岩田商事の問題が発生いたしましてからすでに相当の日数を経ておりますけれども、幸いこの問題を契機として起きたと思われるものは殆んど見当らないという結果にもなつております。従いまして大体制度的にこうするのだというふうなところまでに至つておりませんけれども、大体同じような趣旨措置されておるというふうに理解をいたしておる次第でございます。これらによりまして一時は次々と岩田商事に類するような事件が発生するのではないかというふうな取引の不安もあつたやに窺われるのでありますけれども、最近はそういう点も相当緩和しておるというふうに聞いておりまして、まあ売買の方面も今のところ若干の不安は持つておるようで、警戒気味ではあるようでありますけれども、順調に進んでおるというふうに承知いたしておる次第であります。
  10. 高橋衛

    高橋衛君 相当以前から北陸機業界というものは非常に困難な状態にあつたのでありますが、特に岩田商事契機として非常な恐慌気味状態にあるわけでありまするが、翻つて考えて見ますると、政府デフレ政策によりまして日本の物価は相当つて来ております。特に繊維に関しては国際価格を下廻るという状況に相成つておるのであります。言い換えれば繊維に関しては十分に輸出も伸び得る、又これ以上値を引下げるという必要もないという程度まで来たのじやないかというふうに一応判断されるかと思うのであります。従つて問題はここまで底をついたところの繊維価格が更に下るかも知れない、又はそれによつて更に新らしい倒産者が出るかも知れないというような非常な不安気がまえから全般に悪い影響を与えており、金融機関も又それによつて恐れをなして引締めざるを得ないというふうな状況にあるように私どもは感得するのでありますが、こういうふうな客観情勢相当よくなつて来ておるという場合に、何とかして政府において繊維価格について安定する方策と申しますか、これは非常にむずかしいことであるかと思いますが、何か業者安心をしてこれに対して対処し、従つて積極的に、特に福井県等は輸出織物が大部分でありますが、輸出織物に積極的に気魄を持ち得るというふうな方策を講じて頂きたいと私どもは考えておるのでありますが、それらの点について大臣の御所見を伺いたいと思う次第であります。
  11. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 最近の輸出状況から申しますると、輸出相当伸びて来ておる、それから繊維品輸出等についてはその価格国際価格を中には下廻つておるものも出て参りましたことは御指摘通りでございます。ところが、一方又むずかしい問題といたしましてはインドネシア等との関係において全体の収支のバランス並びにその決済の方法から言いまして、これ以上この状態において輸出がされるということは全体の日本としての利害から見て、少くとも差当りのところどうかというふうな問題もございます。それらにつきましても新たなる繊維界としてのむずかしい問題に当面しておるわけでございますが、そういつたような情勢の中において確かにお話のように価格安定点をどういうところに見出すか、又それを維持するためにはどういう措置が必要であるかということについては一番対策の中心をなすものでありますので、従来からあります制度の活用等についても十分只今検討をいたしておるわけでございます。その価格の安定といつても具体的な措置としてはなかなかいろいろな手があるわけでございます。例えば買上機関で買上げるというふうな措置は一番簡明直截かも知れませんが、それのみによるということは長期に亘つて価格を安定するものの考え方から申しまして、必ずしも適当であるかどうか疑問であるとも思われますので、今後の情勢をも十分慎重に見通しまして適切な措置をとるようにいたして参りたいと思つております。
  12. 高橋衛

    高橋衛君 なお絹人絹織物等に関しましてはすでに調整組合等もできておるのでありますが、僅かとは言いながらアウト・サィダ—があるのでございます。特にそのアウトサイダー割合に規模の小さなかたがたが非常に多いのでありますが、これらのかたがたが全体の計画にかかわらずどんどん増産をするとか、又は操業度を高めるというような虞れを持つておられるのであります。私どもその数字を大体見てみますると、全体に対する割合は非常に少い、従つてそれほど気にする必要はないじやないかというような気分を持つて見ておるのではありますが、何分にも全般として非常に不況な、むしろ恐慌気味のような状況にある際でございますので、いささかでも全般に落ちつきを与え、そうして本当にこれで安心だ、これを底として立わ上ることができるのだという気配を与えることが相当に助けになると私ども一方において考えるのでありますが、そんな観点からできるだけ早く二十九条の第二項の発動をされることが適当ではないかというふうに私は考えているのであります。殊にこの問題は時期が非常に大切でありまして、時期が遅れるということになりますと又おのずから判断が別になり、もう不要になるということに相成るかと思うのでありますが、その点について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  13. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この問題につきましては私の考え方といたしましては、数カ月以前から率直に申しますとアウトサイダーが殖える傾向にある、業界としてもまあ言葉は悪いのですが、逃さずにできるだけ組合のほうに入れてもらう努力をして頂きます。又その動向に応じて政府としても二十九条の三項の発動を考慮しなければたらない、こういうふうに考えて参りましたが、大体御趣旨のような線に沿いまして積極的にこの際政府側の態度を促進してきめなければならない、こういうふうに考えております。
  14. 高橋衛

    高橋衛君 最後にいま一点お伺いしておきたいのでありますが、それは繊維界不況に伴いまして最近漸次いわゆる系列化傾向が顕著になつているのであります。新聞の報道によりますと、福井県の機業においては六月の絹織物の生産が全体の四三%を占める、こういうふうに報じておるのであります。こういうふうにどんどん系列化傾向が顕著になつて参ります。これは一方においてはその系列化に入つたところの企業は或る程度安心ができるのでありますが、他方においてはその独立性を欠除せしめる結果に相成りますし、又悪い言葉で言えば大企業に対する奴隷化になる、従つて何か不況が起つたり又いろいろなことがあつた場合にその犠牲がそれらのものにしわ寄せられるという危険を包蔵することになるかと思うのであります。従つてこの問題に対しても何らかの措置がなければならないというふうに私は考えるのであります。一つ考え方としてそれぞれの親企業に対する下の系列に属するところの企業協同組合を結成せしめておる、そうして相互に相協力する、例えば品質の向上につきましても、規格の統一についても、又金融面相互連絡についても相協力せしめるという形ができればそれが一つの非常にその関係を改善するいい方途になるのではないかというふうに私は考えるのであります。先般の視察の際に富山の不二越鋼材工場を見たのでありますが、その際にあそこの工場におきましては約百に余るところの下請工業全体が協同組合を結成し、その協同組合が別途に融資を受けておる、そのために相互関係もいいし、又親企業もそれによつていろいろな面において非常に助かつておるということを会社の当事者に伺つたのでありますが、こういうような問題は私は系列化に入ることを希望する意味で言つておるわけではありませんが、系列化に入つた以上は、或いはそういう入ることを余儀なくされた場合においては、その系列化に入つたかたがたをどうして育てて行くか、どうして力をつけるかという問題としてやはり緊急に、又正確に措置しなければならない問題であると考えるのでありますが、その点についての御所見を伺いたいと思います。
  15. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今の御意見御尤もだと思います。結局これは一口に言えば、下請業者協同組合化というような積極策がどうしても必要だということだと思います。これについては、当局側といたしましては、先ず関連する親企業側理解を深める、その理解の下において下請業者協同組合を積極的に指導して勧奨して参る。これが今御心配のような点を打開して行く一つ考え方ではなかろうかと思いまして、この方向にどんどん進めて参りたいと考えております。
  16. 高橋衛

    高橋衛君 只今の御説明で私は満足をするのでありますが、この問題を進める上におきまして、私は同時にこれらの関係、今の金融関係が相協力することが不可欠の問題であり金融機関、或いは親企業がその気分になれば、必ず成立ち得るものだと考えますので、特にこの点を述べて、お願いいたしておきたいと思います。
  17. 西川彌平治

    西川平治君 私は時間がございませんから、大臣に率直に一つつておきたいと思います。  昨日御配付を願いました中小企業金融状況についての資料を拝見いたしまして、実は、果してこれで中小企業に対しての資金面対策が実際万全であるかどうかという点で私は疑問を持つのであります。  先ず貸出状況でありますが、この資料によりますると、全国の銀行、即ち十一大銀行といいますか、それから今度債券発行銀行、或いは地方銀行信託銀行、こういうようないわゆる大銀行からの資金貸出状況は、二十八年の十二月に、総計といたしまして九千九百三十億五千五百万円という数字が出ておるのであります。それが三月になりますと、九千六百五十六億二千万円というふうになりまして、結局二百七十四億三千五百万円が、貸出が減つておるというような状態になつておるのであります。それから中小企業関係を最も単位としておりますところの商工中金中小企業金融公庫国民金融公庫、それから相互銀行、信用金庫、信用組合等のほうを見ますると、これ又実は二十八年の十二月と、本年の三月の比較をいたしますると、四百億からの貸出が減つておるのであります。これを二つ合せますると、六百七十五億という貸出が減つておる。更に私が調べたところによりますと、一つの例でありまするが、商工中金などは十二月に四百九十六億三千三百万円のものが、六月になりまして四百五十六億八千三百万円というように、約三十九億五千万円というふうに大きな貸出の減り方をしておる。それから相互銀行等におきましては、四十八億近くも実は貸出が減つておる。これが相互銀行におきましては、これは私の推定でございまするが、六月末には約六十億の貸出が減つておるというようなことを私は灰かに聞いておる。かように考えますときにおきまして、恐らく私は推定でございまするけれども、昨年の十三月から本年の六月、この六カ月間におきますところの、中小企業のほうだけに、実は貸出した金が、約七百億から八百億程度の金が引揚げられておる。こういうことで果して一体中小企業金融がうまく行くでありましようか。又御案内の通り中小企業が大企業の破綻というために、売掛金の遅延であるとか、約手の不渡というようなものによつて非常な被害を受けている。その被害状況は、私の聞いておりますところにおいては、数百億に上つておる。その他の状況から考えまして、昨年の十二月と、今日の現在の状態を比較いたしますると、一千億以上の金が中小企業からいわゆる取去られておる。こういう状態におきまして、今まで一体中小企業金融がどのくらいであるかと申しますと、そこの数字から合せますると、私は約一兆四千七百億ぐらいではないかと私は考えております。その数字を計算して見ますと、一兆四千七百億から一千億に近い金が引去られておる。更にこの貸出の金を仔細に検討いたして見ますると、非常に設備資金に余計貸しておりまして、運転資金には極く僅かしか貸出がなつておらんのであります。商工中金におきまする設備資金運転資金割合、或いは中小企業金融公庫におけるところの貸出設備資金運転資金割合等を、すべてを検討して見ますると、私は約三割程度しか運転資金に廻つておらんのではないかというようなことを考えるのであります。そうすると一兆四千七百億の金のうち、二割だということになりますと、約三千億ぐらいの金しか運転資金がないのだ、そのうちから一千億も金が引揚げられたとしたならば、もう中小企業金融に参つてしまうことは当然の状態だと私は考えておる。この状態を考えますときにおいて、果して一体大臣はこの対策を本当に考えておるのかどうかというようなことを私は非常に疑問に考えておるのでありまするので、それをお伺いいたしたいと思いますし、それと関連をいたしますことでございまするが、預託金といいますか、指定預金引揚げの問題がこれに大き場な影響が出ておるのではないか、中小企業その他に対して指定預金引揚げが非常に大きく出ておるのではないかということを或る方面から聞いておるのでありますが、この指定預金引揚計画がここに出ておりまするが、この通り引揚げをやつておるとすると、中小企業に対してそのしわ寄せが大きく行くと私は思うのでありますが、その指定預金引揚げがどうなつておるか、これも一つ併せて伺いたいと思います。なお私はこの商工中金並びに中小企業金融公庫とか、国民金融公庫とか、相互銀行等中小企業に対する今日までの私は率直の一つ批判をこの次にさして頂きたいと思いますが、第一に今の問題を伺いたいと思います。
  18. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この表に現われておりまする通り只今指摘がありましたように、金額或いは貸出の趨勢に現われておりまするその金額の増減については只今指摘通りでありまして、中小向け割合が減つておるということについては私どもも重大な関心を常に持つておるわけでございます。そこでいろいろの点から申上げたいのでありますが、この中小企業金融についてはひとり大銀行債券発行銀行だけに任せておくわけには行かないので、御承知通り特殊の金融機関を作りまして、その資金源も窮屈な予算財政計画の中ではありましたけれども貸出可能資金源といたしまして、三十八年度より二十九年度のほうがかなり多くなつておるというようなことで一つカバ—をして参りたいという点が一つでございます。それから中小企業向け金融に対しては一般市中銀行その他コンマーシヤルな金融機関ができるだけいやがらずに中小向けのことを関心を持つてもらう。又これを制度的にも有利にする必要があろう。貸す側の立場についても十分考えなければならんと思いましたので、御承知のように中小企業向けの貸倒準備金の税法上の扱いを優遇することにいたしたわけであります。それから借りるほうの側に対しましても、小口の信用保険を初め、いわゆる受信力を強化することによつてコンマーシャル金融におきましても借りるほうの立場を補強する。要するに与信、受信両面から市中銀行その他の一般金融機関に対しまして側面的に補強工作をやろうというようなことをいたして参りまして、この極く最近になりましてはこの比率はまだはつきりしたところは現われておりませんが、三月当時よりはかなり改善されて来ておるのではなかろうかと考えておるわけであります。  それから指定預金の問題でございますが、これは去る六月に今後期限の到来するものについては取りあえず二ヵ月間引揚げを延長するということにいたしまして、六月、七月両月に期限の来るものについて差当り引揚げを猶予することにいたしたわけであります。その金額は十数億の程度でございますが、この指定預金の問題については試験といたしまして相互銀行以下のいわゆる庶民金融機関に対しましては日本銀行との直接の連携が十分でございませんために、随時指定預金制度というものを今日の状況においてはかなり工夫して運用する必要があろうと考えております。只今差当り延期いたした分について、どこまでこれを更に再延長するかどうか、或いは八月以降期限の来るものについてどこまで延ばすかということについては政府部内のまだ一致した意見は出ておりませんけれども、随時適切な方法をとつて参りたいと考えておるわけでございます。
  19. 西川彌平治

    西川平治君 先ず私は指定預金の問題から一つ再質問いたしたいと思いますが、私の調べたところによりますると、相互銀行でございますが、相互銀行は四百七十八万八千三百万円を、三月末までに一般中小企業に対する貸出を四百七十八万八千三百万円を実は減額しておるのであります。これはこの表によつてでございますが、この相互銀行は、私がそんなことを申上げることは失礼でありますが、大臣は曾つて大蔵省におられましたときに、この相互銀行というものを非常な御支持をなすつてこの銀行を作り上げたということを聞いておりますが、私もその当時この銀行ができたことは中小企業に対して全くもう本当にいい施策であるとして双手を挙げて賛成いたしたものでございます。従つて最初のうちはなかなか相互銀行どもよくやつてくれたようでありますが、最近の状態を見ますると、今私が申上げたような金の引揚げを汲々としてやつておる。それが今指定預金引揚げ政府相当強くやられるためにこれを引揚げなければならんというような意味のことを漏らされておることも私は少し聞いておるのでありますが、この表によりますと、成るほどその通りのようなことの感じもいたしますが、まあこれは私一つ相互銀行を例にとつただけでございますが、そうすると三月四月五月まではもう全部この計画通り引揚げたと、こう解してよろしうございましようか。
  20. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その通りでございます。
  21. 西川彌平治

    西川平治君 そういたしますると、私はこの指定預金引揚げがまあ相当中小金融機関に対しまして相当な私は貸出制限のフアクターになつておるような感じをいたしておるのでありまするが、今後の貸出延期、又新規預託等のことはどうなるか知りませんが、これは十分お考え願わないと、そのしわ寄せが殆んど中小企業に私は参るのではないかということを痛感するのでございまするが、その点については如何でございましようか。
  22. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 相互銀行、それから信用金庫といつたような庶民金融機関は、只今もお話がございましたが、この数年来機構整備をいたしまして非常に順調な推移を辿つてつたのであります。ところが最近のいわゆるデフレ的な経済景況の中におきまして、掛金とか貯蓄でありまするとか、貯金でありまするとか、そういうものの伸びがとまつたのみならず、減少傾向になつておる。そういう点から、自然その範囲内の資金量で貸出をやらなければならんというところから、貸出額が減少して来た。それから、更にそれに先んじて、これは従来の財政状態と違つて、国庫預託をする余裕が非常に乏しくなつてつたというところから、計画通り引揚げが五月まで行われた。この三つの条件が重なり合いまして、御指摘通り貸出の額が少くなつたというようなのが現状の姿なのであります。それに対しましては、只今指摘のございましたように、非常にこれは遺憾な点がございまするので、一方において物価引下げ運動と関連して、いわゆる貯蓄奨励運動を大々的に展開して、掛金であろうが、貯金であろうが、とにかくあらゆるソ—スで資金を集めるということを一つ徹底的に考えなければならん。そうして金融機関自体の資金量を殖やすことに努力を傾けなければならない。そうしてさつき申しましたように、その上に金融機関側として信用を供与する場合、今よりも楽な気持で貸せるようにして上げるためには、信用を受けるほうの側の補強工作もしなければならないということで、十九国会にも所要の法制の改正等を提案いたしまして、成立をいたしたようなわけでございますから、先ほど申上げましたように、今後の傾向といたしましては、この表は詳細な表として三月までしかできなかつたのでありますが、その後の状況はかなり改善されておるのではなかろうかと私は考えております。併し、それは要するに現状の御説明を申上げたわけなんです。今後どうするかということ、特に指定預金の問題等につきましては、これから国庫と民間の資金の撒布或いは引揚げというような状況もよく見ました上で、中小企業対策として或る程度の積極性というものもできれば考えて参りたいと思つております。
  23. 西川彌平治

    西川平治君 時間がございませんので、それじやそれはその程度にしておきまして、中小企業金融公庫について一つだけお伺いしたいと思います。二十八年度の貸出計画においては原資として百五十九億円を持つておりまして、そのうち貸出金が百二十億というふうに相成つておるのでありまするが、二十八年度の年度末においては、九十二億六千二百万円しか貸出をしておらない。それで二十七億の余剰金があつたというふうになつておるのでありますが、更に本年度になりますると、いわゆる貸出資金も増額をされておるのでありますにもかかわらず、最近の状態は、それは貸出は殖えておるにはおりまするけれども、実際のこの数字に出ておりますように、開設以来六千七百十八軒に貸出をしたそうではありまするけれども、そしてこの貸出を断つたものは極く僅かなように出ておりまするけれども、実際の問題では、末端の受付をするところの窓口には借入希望者が殺到しておるのが事実でございます。末端の銀行であるとか、商工中命であるとか、相互銀行であるとか、信用金庫であるとか、かようなところに殺到しておりまするが、なかなかいろいろの理由によつて、もう中小企業金融公庫まで書類が廻らないうちに皆もうおつぱねられてしまつておるのであります。そのはねられた理由を私は調べて見ますると、第一に資金の枠がないということを強調しております。それからその次には、融資の順位が非常に悪いということを言うておる。この融資の順位の悪いということは、これはどうも素人だましのことでありまして、誰が行つても、どうも融資の順位が悪いようなことを言うておるように私の調べでは見えるのであります。それから第三番目には、あなたの業種と業態が悪いから駄目だ。それから第四番目には、あなたと私との、銀行なり金庫なりとの取引が今まで極く薄い、或いはないから駄目だ。それからその次は返済計画がどうしてもあなたの言うことでは納得行かないから駄目だというような理由をたくさん並べて、殆んど調べもせずにどんどんと申込む者を帰しておる。恐らく今まで貸しました六千七百十八軒の数倍に上るものがこういう憂目を見ておると思うのであります。それにもかかわらず、半面には、ここに貸出の金の余裕がある。今年においては更に余裕が……、昨年度の末は三十七億でありまするが、本年末は更に余計の余裕があるように最近は聞いておるのであります。これは今までの取引関係を非常に強く主張される関係もあるものと思いまするけれども、地方銀行が一番断わる率が多いように聞いておりますが、この点はどういう御指導をなさつておるのでありましようか、伺いたいと思います。
  24. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 実は中小企業金融公庫の問題につきましては、発足以来日もまだ浅いものでありますから、いろいろの点から批判があることは私もいろいろの方面から耳にもいたしております。私自身としての研究問題ともしておるのでありますが、御承知のように、原則的に代理貸をやつております関係で、末端の融資の金を受入れる態勢、或いはその扱い方について大分問題があるようでございます。殊に自己資金を或る程度協調して貸出をするというようなことから、なかなか微妙なところがあるようでございますので、この点については何か改善をしなければならないのではなかろうかと考えております。それからそのほかのいろいろ今お話のございました点については私も御尤もと考えまするので、併せて二つ十分改善措置を考えて参りたいと思います。
  25. 西川彌平治

    西川平治君 時間がないので甚だ失礼いたしますが、もう一つだけ伺つて質問を打切りたいと思いますが、商工中金の場合を一つ私は申上げたいと思うのであります。商工中金は、率直に申上げますが、各府県に出張所なり支所なりがございまするので、比較的その地方の中小企業に対する理解を持つておるのでございます。而も行員の訓練がそういうふうに行つていると見えまして、困つておる者に対する態度が、私は商工中金の職員の態度は非常に私はほめていいと思うのでありますが、要するに私は中小企業の実態を把握しておる関係と私は考えております。貸出状況等も、なかなか実際痛い所に手の届くような線に貸出をしておると同時に、又回収の面におきましても、これはどうもやり方がずるいとか、これはどうだとかいつた悪い点があるならば非常に強く整理をいたしまするが、事情のわかつたものに対しましては非常に温情を持つてつておる点が非常に多いのであります。こういうことを考えた場合に、これは経費の関係やその他がいろいろありますので、一概にそういうことを私が申上げることはどうかと思いまするけれども、やはり中小企業金融公庫は何としても地方のいわゆる銀行や金庫やその他に任すことは、これは事実問題では絶対に僕は成績が挙らんと思う、又弊害が伴うと思う。商工中金のようなやり方に行かなければならないと私は最近もうあらゆる方面から考えてそういうふうに考えておるのでありますが、大臣どうお考えになつておりましようか。
  26. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その点は只今も私率直に申しました通りでございまして、十分これは研究し改善策を相当思い切つて考えなければならないのじやないかと考えます。ただ実は痛し痒しなんでありまして、中小企業公庫を全国少くとも府県庁所在地に一カ所というような程度に直接の店を置くにいたしましても非常に厖大な経費がかかる。そのことを考えますと、やはり既存の所を利用して安い手数料でやつて行くほうが、資金を経費にかけるぐらいならば貸出のほうに向けたいという点について実は痛し痒しでなかなか結論を出しかねておりますが、至急私どもといたしましては改善策を考えて見たいと思つております。
  27. 森田義衞

    ○森田義衞君 私は先般当委員会の議員派遣で実は山口、九州地方の石炭その他の燃料関係視察に参つたのでありますが、細かい点は時間がありませんから質問いたしませんが、極く要点だけ当面の石炭対策が重要問題であるだけに政府のお考えになつておる点をお聞きいたしたいと思います。  先ず第一に需給の見通しからいたしまして、非常にアンバランスになつておることが石炭業界の混乱のもとであろうと思うのでありますが、特に夏場の不需要期を控えまして非常な混乱が予想されておるといつたような状況であります。特に九州地区は日本全体の五四%の生産実績を占めておるといつた点から申しましても、特に九州においてそういつた影響が強いのではないか。そういつた面から見まして現在でも貯炭が百七十余万トンに及んでおる。今後の見通しからいたしましても更に夏場の不需要期を控えております関係から、生産は継続といつた面から見まして今後それが累増いたしまして九月その他に殖えて参りまして二百万トンを超えるといつたようなことが言われております。そういつた面から現在のデフレ下の金融政策におきまして山が生産を維持し貯炭を抱えて行くといつたことが非常な困難な問題になつて、これは大手といわず又中小といわず同じであろうと思いますが、特に中小関係におきましては殆んどこのしわ寄せが強く響いております関係から、金融機関からは見放されておるといつた状況ではないか、そうなればこの過渡期におきまして殆んど倒産をせざるを得ないものも更に殖えて来るのではないかといつたようなことが憂えられるわけであります。又簡単にはなかなか需要の増大も期せられない現状から見まして金融業者もそういつた点からやはり用心をして行くといつたような面があるのでありますが、そういつた点でそれが更に拡大して参りますれば、現在におきましても非常な大きな経済問題と言いますよりは社会問題化しておるといつたような現状はやはり何らかの措置をこういつた金融面からしてもつけてやらなければなかなかれずかしいのではないか。若しそうしたいと特に大手筋は相当貯炭を抱えておりますから、こういつたものを投売りをするといつたようなことになつて行くのじやないか。現実にカロリ—当り二十銭或いは三十銭といつたべら棒な投売りがやられております。そういつたことでありますれば到底中小が成立たない。こういつた何といいますか、中小がいわゆる大産業の系列下にある下請とかいつたものでなくして同種のものを同じようにやるといつたようた関係から更に中小関係にしわ寄せが、そういつた投売りによつて行くのではないかということが憂えられるのでおります。そういつたことで先ず第一にお聞きしたいことは、石炭金融に対しまして今後の需要供給の関係から見ましてどれほどの供給を維持して行へなければならんかという点からも或る程度金融政策でこれをカバ—するということが必要ではないかといつたような点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  28. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今もお話がございましたように石炭の問題は非常に重大な深刻な問題であり、且つ総合的な対策が私は必要であると思います。従つて今この金融の問題について幾らの貯炭金融をやるとか、或いはどういう石炭について金融政策として特殊の考えがあるかということに対しましては、ちよつと迂遠のようでございますが私は次のように考えておるわけであります。  一つは何と申しましても石炭の大体の適正出炭規模といつたようなものが特に当年度のようなときに確立することは非常にむずかしいと思いますけれども、全体どのくらいをこなし得るかということを総合的に考えて参ることが必要であると思います。それが結局金融問題に対しましてもケース・バイ・ケースに処置し得る一つの便になると思います。それからそれに関連いたしまして石炭の適正な用途を開拓するということで、一例を申上げますると石炭問題はこれだけ重要であるにもかかわらず、ともすると例えば特需関係などで外国炭に負けるというようなことも間々あつたのでございますが、そういうところを手始めにいたしまして最近はその方面も非常に改善されて参つたと思いまするが、適正な用途をできるだけ拡充して参る。それから炭価の点については消費者側との間の相互協力関係におきまして適正な炭価の引下げで以て需要量を開拓いたして参る。その半面におきましては勿論総合燃料対策ということもございますが、そういう点から打開をして行くということを根本的な態度にいたしたい。  それから個々の金融の問題につきましては言いうことと睨み合せていわゆるケース・バイ・ケースに処理をして参りたい。こういうふうに考えまして現に今日までにおきましても誠にこれは不十分ではございましようが、そういう考え方でこの難局に処して参つて来ておるつもりでございます。
  29. 森田義衞

    ○森田義衞君 金融関係以外に現実に税金の問題ですとか、或いは電力料金の未払の問題とか、或いは又賃金の未払といつたような深刻な事実、現状の何といいますか需給の拡大政策とかいろんなものもありましようが、現実に運営上困つておる、といつて潰れるものは潰れるといつたようなことで行くならば極く簡単であると思うのでありますが、そういつたやはり雇用が減らないで済むものならば需要の拡大政策と関連して維持してやりたい。これがやはり潰れてしまいますれば今後の需要が仮にありましてもなかなかうまく行かない。何といいますか再建が非常にむずかしいといつたような面があるのではないか。そういつた面から需要の見通しといいまするか、少くとも日本全体で四千五百万トン程度の年間の二十九年度が供給力があるとすれば、これに対しまして四千二百万トンとか三百万トンとかといつたような需要の想定があろうと思いますが、一番私が困ると思うのは夏場の困難な時期に放つて置けば今言つたような投売りが大きくなるのではないか。何といいますか、当面の急を救う問題、総合対策は勿論今後におきまして燃料の日本の大きな対策、国策が必要でしようが、緊急な問題があるというような感じがするわけであります。そういつた面の、何といいますか或る程度のケース・バイ・ケースでありましようが緊急措置についての真剣なお考えというものが要るのではないか。その点を特にお聞きしたわけです。
  30. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは誠に御尤もでございまして、私も基本的な考え方を申上げただけでございますが、丁度第十九国会の開会最中からこの石炭の問題は非常に深刻の度を加えて参りましたので、応急対策といたしましても、只今お話がございました料金の問題もあり、それから労働保険等の問題もあり、或いは電力料金の問題もありというようなわけで、その個々の問題について関係するところが非常に多いので、政府部内といたしましても、大蔵省初め労働省、自治庁その他、或いは需要者側としては運輸省といつたようないろいろの方向からしばしば閣議におきましても、或いは関係閣僚会議におきましても、この当面の対策を同時に打出して行こうというので、その具体的の措置を随時進めて来ておるのでありますけれども、なかなか思うような成果は挙げておりませんが、それらの細かい点につきましては、なお時間がございましたら、御説明申上げたいと思います。
  31. 森田義衞

    ○森田義衞君 それから今大臣がまあ適正価格といつたお話があつたのですが、需要者に聞きましても、やはり安定した供給と安定した価格で以てやつて行きたいといつた面もあるわけであります。そういつた面から例えば今言つた投売りといつた問題が、僅かの者のために全体のバランスを欠いて行くといつた問題が金融問題その他に関連して起きて来るといつたことでは、折角の或る程度の秩序をやはり維持しながら縮小再生産といいますか、そういつたことにならざるを得ない段階であろうと思うのですが、そういつた面の安定価格といつた面をどういうふうにお考えになつているか。私ども炭鉱に参りまして、炭鉱の労務者賃金が宇部地区ですと一万三、三千円くらい、それがセメント産業になりますと二万円を遥かに超えている。或いは化学肥料関係におきましても、同じ宇部興産におきましてやはり相当、二万円近くになつている。炭鉱労務者は一万二、三千円だといつたような非常な……、それでも採算が炭鉱関係においては合つていない。宇部興産では半期に一億の損失金を出している。而も他産業と一緒にやつているから、どうやらこうやらやつて行けるといつたような状況が……、そういつた総合的産業としてはやらない単位的な産業として石炭をやつている場合におきまして、やはり人件費の生産費に占める割合が非常に高いのだ、ほかの産業より非常に高いのだといつた石炭の産業の非常に不利な点があるのじやないか。而も低賃金に正直に甘んじておる。而もそれは更に中小企業に行けば労働条件その他がめちやめちやになりながら、生きるがためにめちやめちやにやつて、実際に生き抜くがために今やつている。そういつた状態にあるのではないか。そういつた石炭産業自体が不利な中に適正価格と申しますか、そういうものをどこにどういうふうにお考えになつているか。或いは安定価格というものは非常に作ることがむずかしいのじやないかと思いますが、そういつた点についても或る程度のお考えをお持ちになつているかどうか、御所見を伺いたいと思います。
  32. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはよく御案内の通り石炭価格につきましては、国鉄の石炭買入価格というものが従来の例から申しましても中心になる価格でございますので、本年の国鉄向けの石炭価格につきましても、この時勢でございますから、随分深刻な協議をいたしました結果、きめておるのでございますが、その価格は御承知通り二十九年度上期においては、公社において炭価四千四百大十五円、FOB三千六百六十五円、工場六千六十五円、それで総平均が四千六百十五円、カロリ—当りが七十一銭七厘、こういうことに最近きめたわけでございます。この契約の内容は価格については一律に三百五十円引き、数量は大手六八%、中小三二%ということで、今申しました額を推定してはじき出したわけでございます。
  33. 森田義衞

    ○森田義衞君 それが大体将来におきます一応何と申しますか、日本の物価を国際価格に合せて行こうといつたような基準から見まして、大体今後ともいい水準であるといつたようなお考えですか。
  34. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 現在の炭価が適正かどうかというお話でございますが、これは用途によりまして非常に違つて来る、又その用途でどのくらいの石炭を使用するかによつて非常に違つて来ると思つております。具体的に申しまして原料炭の場合、或いはさつき大臣から申しました国鉄の運転用炭の場合、或いは電力用炭の場合、重油とのバランスを見てどうだというふうに、いろいろ用途によりましてどれが正しいかということは違つて参ります。これは用途によりまして炭種が違いますので、当然そういうことになるわけであります。ただ通産省として昨年から一貫して推進しております竪坑開発計画で申しますと、大体コストとしては開発計画を立てました当初、一昨年でございますが、一昨年のベースに比べまして三割程度引下げたいという考え方であります。そうしますと、これは全部が平均で申したわけでありますが、その程度のコストが下つた場合に、それに適正な利潤を加えた価格で売ることができますれば、安定した需要を確保することができるのじやないかというふうに考えておりますが、ただ差当り本年度どのくらいか、或いは来年度どのくらいが適正かというふうなことは、ちよつとどうも申上げにくいのじやないかと思います。ただ現状ではお話のようにいろいろ投げ物等もございましたけれども、それは石炭の一番大口用途でございます国鉄炭価、国鉄炭価が御承知のように炭価全体にインデックスのような作用をいたしておりますが、それが未定でございましたために非常に不安に駆られて出た投げ物がございました。国鉄の炭価もきまりましたので、それに合せまして適正用炭、或いは電力用炭も大体同じようなラインできまりましたので、一応当分のうちは、その炭価が目標になるのではないか、又この価格は炭鉱としては非常に苦しい価格ではございますが、併し我々としては今後それよりも引上げるようなことがあつてはならないというふうに考えているわけであります。
  35. 森田義衞

    ○森田義衞君 先ほど需給関係の拡大その他につきましてお話がちよつとあつたようですが、現在重油の消費規制を行政指導でやつておられるといつた点の施策が、どの程度滲透しておられるか、或いは今後におきまして更に滲透して、こういつた輸入物によらず石炭によつて、もつと強力な打開施策がこういつた行政指導だけで、今後もうまく行くかどうかといつた点の一つお見通しをお聞きしたい。
  36. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今のお尋ねの点につきましては、私どもは重油の問題については、ひとり石炭との関係の問題ではないのでありまして、外貨の需給の状態が非常に深刻な状態でございますので、でき得るならば昨年度の輸入実績程度に重油はとどむべきである。而もそれが半面におきまして石炭の額といたしましても相当意味があろう、こういうふうに考えますので本年の三月末に、本年上期の外貨予算を政府として決定いたしましたときに重油についてはできるだけその消費を規制する運動を展開する、場合によりましては今年秋頃から法制的な措置も行わなければならないかも知れないという意味のことをあらかじめ予告いたしまして、爾後重油に対しましては行政的にできるだけ関係各界の協力を求めて、おおむね只今のところはその当時通産省が考えましたような線に乗つて事態が動いておるように考えております。今後の措置につきましてはなお十分慎重に考えて参りたいと思つております。それから総合的な対策といたしましては、輸入炭の削減ということも外貨の立場から申しましてもやつて来ております。それから先ほどちよつと申しましたが、朝鮮特需や国内の駐留軍用炭を確保するということがこれが又非常に大切なことだと思いましてこの点につきましても最近は着々効果を挙げておるような次第で、最近におきましても駐留軍用の石炭も全額日本が落札すると、これは七月九日でございますか、そういうような結果にも相伐つて来ております。今後の問題といたしましても更に駐留軍関係の需要もございましようし、それから渇水期に入りますと電力用炭の消費が増加いたしましよう。それから輸入炭の或る程度の削減が具体的に行われるというようなことで私といたしましては日本経済の自立の根幹としての適正出炭規模というものは相当高いところに置きたいと考えておりますので、それとはまだ今年度の消費量は遥かに及ばない程度であろうかも知れませんが、この考え方というものは常に堅持して参りたいというふうに考えておるわけであります。
  37. 森田義衞

    ○森田義衞君 今の輸入炭の削減の問題なんですが、例えば北松炭を見ましても、これは灰分も多いでありましようし、それは買うほうから見れば輸入炭よりは悪い。日本としては唯一の強粘結炭だということで戦時中から大いに増産の指導もし、或いは選炭その他の施設をやつてつたのであります。それを中小の炭鉱がやつている。なかなか買手もつかないで現在五万トンも貯炭し、或いは潰れる者もあるということで折角の強粘結炭もうまく行つていないという現状もあるのじやないか。こういつたような個々のものについて手の届くような施策も併せてやつて頂く必要があるのじやないか。それからもう時間がございませんので、もう一つお伺いしたいのでありますが、別の問題ですが、失業問題が非常な深刻な問題である。例えば炭鉱関係から失業者が一万六千人も出ておる。或いはその他を合せますと福岡県だけで五万何千といつたようなことで非常な深刻な社会問題になつておる。といつたことに対しましてやはり一番実態をお把握になつておるのは通産省であろうと思います。こういつた問題を単に地方の県庁、或いはその他の力だけでは行かない段階になつておる。失業保険が或いは六カ月で切れるといつた時期もだんだん迫つて来ておるということに対しまする真剣なる併せて御考慮もお払いになつておると思いますが、どの程度お考えになつておるか、併せてお聞きしておきたいと思います。
  38. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほども申上げましたように、本年春から石炭の問題につきまして関係各省間の緊密な連絡をとつて対策に遺憾なきを期したいという考え方で進んで参りましたが、特に今御指摘のように、労働問題については非常に重大な段階になつて参りましたので、一層こういう点について政府部内の協力を緊密にしたいと考えまして、労働問題対策協議会というものを経済審議庁、これは経済問題全般としての立場から取上げなければならないという考え方から経済審議庁に労働問題協議会を置きましてそこで只今お話がございまするように各省それぞれの得まするインホーメーシヨンから、例えば保険の問題等についてこういうような実情であるがそれに対しては大蔵省その他のところはどういうふうになつておるかということを随時緊密に総合的に取上げて行こうということで政府部内におきましても非常に熱心にこの極問題の解決に当ることに改めていたしたいような次第でございます。
  39. 森田義衞

    ○森田義衞君 ちよつとやはり労働問題全体をお考えになつておるのですが、現実の問題を、一握り供米であつたとか、或いは雑草を食うとか、そういう状態になつてつてもう机上の審議の段階をそろそろはずれておるのではないか。県は無理をして金を出せといつたところで県でもなかなか続かないであろうということで、これは一刻を争う時期に来ておるということにおいての認識においてお考えを願いたいと希望しておきます。
  40. 中川以良

    ○中川以良君 私も実は森田君、小松君と御一緒に九州地区を視察いたしまして、殊に福岡におきましては福岡は通産局の主催で県庁側、石炭業者側、金融業者、並びに石炭の使用者側、又労働組合関係の人々といろいろ御懇談をいたしたのでありますが、石炭問題が今日非常な危機に追込まれているということを今更のように私どもは東京で想像した以上にひどい点を痛感いたしたのでございます。大体本日は時間がございませんのでいずれこの問題は八月になりましてから委員会でその視察の報告と共に又いろいろ御質疑も申上げ政府の御所見も承わりたいと思いますが、あらましの点は只今森田委員より御質問があつたのでございます。私は極めて簡単に御質問を申上げたいと思いまするが、先ず石炭の問題については私は政府といたしまして恒久対策、それから現在の事態に対する緊急対策とをお立てになる必要があると思います。恒久対策といたしましては、これは総合燃料対策をどうしても恒久的な一貫せるものをお持ちにならないといけないと思います。今までどうも朝令暮改式の燃料政策であつたために今日の事態を招いたのではないかと存じます。これは一に政府の施策だけでなく、炭鉱経営者も労働者も共に反省をして、この際大いに奮起してもらわなければ、先ほど森田委員の御笠間のごとく需要者は安定した価格であり、而も安定した供給をしてくれることを一番願つております。始終石炭の供給が不安定であり、又価格も極めて変動する点は私は石炭業者として大いに反省して頂く点があると思います。この点は皆さんにも申上げておつたのでありますが、併し政府といたしまして恒久対策として、私は今度もつくづく思つたのでありますが、石炭を現在の石炭の形のまま輸送してこれを燃料化するというような最も非効率的な使い方を早く切替えまして、やはり今日は日本にはあの大きな地下資源があるのでありますから、ただ単にペトロケミカルに夢中にならないで、私はコールケミカルをこのときこそ国策としてこれを助長し伸展さすべきではないかと思つております。今日こういうようなときには早く計画をお立てになつて石炭政策というものを大いに推進して頂き、これに対して思い切つて一つ行政的の措置を講ずるということをいたしますならば私は地下資源が有効に効率的に利用され、これによつて需要を満たし、又始終おやりになつておる石油の輸入規制というような消極的な政策も自然に打開され、又粘結炭の輸入等も解消されて来る時代が来ると思います。こういう点をこの際真剣にお考えを頂きたいと思います。この点の御所見を承わりたいと思います。  それから緊急の対策といたしましては、今お話があつたのでありますが、私は最も問題になる点は本年三十九年度においては需要は昨年あたり五千三百万トンの目標ということが一時言われたことがあるのであります。それが四千八百万トン、時には四千六百万トンとか、今日業界では四千三百万トンでもむずかしいのではないかと言われておるのであります。これはどこに需要を押えておられるかという点を通産省のお立場から一つ承わりたいのでありまして、仮にこれが四千六百万トンというふうな需要を見ておられますならば、それに対して本当に裏付があるかどうか。私が不安に思いますことは、本年は昨年に比べまして経済審議庁の白書にあるように、日本の鉱工業生産は世界に類のない累進を示しておるのでありますが、併しもう今のようなデフレ政策下においてはこれは頭打ちになるのじやないか。むしろ石炭の需要が殖えることは望み得ないのじやないかと思うのであります。こうなりますと、四千六百万トンも危いのじやないかと懸念されます。これは今お話のように朝鮮にインド炭を持つて来るというような不見識なことはないのでありまして、これは愛知通産大臣の努力によつて最近円満に解決されるように伺つております。この点非常に喜んでおります。それから輸入炭を抑える、又石油の規制をすれば幾らか需要は殖えましよう。私はこれには大きな期待はかけられないのじやないかと思います。下手におやりになりますと、適材適所に、一律にこれをお考えになりますと、これによつて電力料金も高くなり、或いはセメントも高くなる、その他の製品のコストも高くなることは虻蜂取らずじやないか、むしろ鉄を合理化して安くして輸出をして、輸入の需要よりより以上の輸出ができれば日本にとつてはプラスになる、こういう点をお考えにならなければならないと私は思います。その点についてその需要をどの辺に抑えておられるか。仮に四千六百万トンの目標が四千三百万トンしかなかつたとすると、三百万トンというのは先ほどのお話のように、夏場は貯炭が殖えるのでありまして、これに対して政府一つ炭鉱業者に対する応急施策をなされるか、何かそれに合せて需給安定政策を法的にお考えになつておるか、或いは行政的措置で以てこういうことをするかどうか、この点を先ず承わりたいと存じます。
  41. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この石炭対策を応急対策と恒久対策に分けて考えなければならないという点は、政府側といたしましても御尤もな点と思うのでありまして、先ほど来申上げておりますように、去る三月来恒久対策については随分いろいろと知恵をしぼつておるつもりでございます。只今お話がありましたように、労使両方の、特に労働界に対する協力の要請ということも非常に大きな要請だと思うのでありまして、安定せる出炭量と、安定せる炭価ということを目標にしてやつて参りたい。そこで第三に御質問になりました点に関連いたしますが、私は恒久的な日本経済樹立対策、そうしてコール燃料に相当の期待を持つてもいいという前提からいたしますと、四千八百万トンというものを一つの目標にして基幹経済計画を作りたい。この看板だけは私は下したくないと、私自身はこう考えております。そのためにまだいろいろと意見の調整ができておりませんけれども石炭の採掘の合理化ということに、例えば適当な機械類或いは技術等がありといたしますれば、それに所要の外貨の導入も図るということもこの恒久な対策の基本的な一つ方法かとも考えておりまして、これらの点については業界は勿論学界の意見只今十分聞きながら世界銀行当局との話合いなどを改めて進めつつあるような状態でございます。それから果して石炭というものを燃料の中核に考えるということは、世界的な趨勢に合うものであるか、むしろ逆行するものではないかというような問題もあろうかと思いますけれども、私はやはり今申しましたような考え方でここ百年やそこらの大計から言つても、石炭に重点を置いて考えて参りたい。この点は只今の御意見と私は同様ではないかと考えております。  それから応急対策に関連いたしまして、差当り今年度は出炭をどのくらいのところを見ておるかというお尋ねでありますが、これは実に微妙な段階で言いまして、今いろいろの対策を噛み合せて考えておりますので、四千数百万トンというような具体的なことをここで申上げることはまだ私にはその勇気がないのでありまして、石油の関係、或いは特需その他の伸び方等ともいま少く見極めをつけましてから消費の見通しを裏付にして、このくらいは大丈夫というところを打出したいと、こういうことを考えておる次第でございます。  それからその次に燃料関係について法的に何らかの措置を考えておるかというお話でございますが、只今のところはまだその案は得ておりません。私ども考え方としてはできるだけ行政指導と申しますか、法的な統制措置でなくて事態を打開して参りたいと思いますが、どうしても止むを得ないということであればそういう考え方をとらざるを得ないかと考えております。
  42. 中川以良

    ○中川以良君 最初に御質問した石油価格の問題は、最近石炭の低品炭の有効なる利用とか、或いはレツペ価格等が進んで来ておるのでありますが、こういう問題について何か大臣として将来に対する御考慮、又現在すでにいろいろな問題も起きがけておると思いますが、そういう問題に対する御所見はどうでございましようか。
  43. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) まだ私もはつきり意見を申上げる段階に実は研究は積んでおりませんのでありますが、いろいろの関係から石油化学工業については対外的にもいろいろの関係もございますので、早急に基本的な態度をきめて、そこから行政的の措置を割出す、或いは対外的の折衝等に当らなければならない。早急に研究した結果を取りまとめたいと思つております。
  44. 中川以良

    ○中川以良君 それから緊急対策として融資の問題が先ほど森田委員から御質問があつたのでありますが、これは是非ケース・バイ・ケースで緊急なる事態に十分御善処願いたいと存じます。殊に炭鉱の保安電力などの電気料金の未払が三月末でたしか六十億あつたかと思います。今はもつと殖えておるかと思いますが、電気料金相当なものになつておる。それで電気料金を払わないので電気を切つてしまう、そうすると保安電力も使えないので水浸しになるということもあります。こういうようなことは国家的に見ましても非常に残念でありますので、通産省は随分心配しておられますが、併しお互いに営利会社でございますのでどうも如何ともしがたい、法的根拠もないわけであります。こういうようなものは何か一つ便法を講じて頂いて少くとも坑内の保全を保ち、殊に一遍廃休止してしまうとなかなか水を出すのも大変だというような山もありますので、御心配を頂きたいと思います。  それから労働問題であります。今日これは経済問題として石炭の危機を唱えることはもう今日は過ぎて、むしろ大きなる社会問題になつておると思います。ここでこの失業対策をよほど政府が力を入れておやりにならないと、あの九州の炭鉱地帯はそれがために非常に問題が起つて参る。治安の問題になつて来るもう直前にあるように思われます。今は炭が過剰で出せなければ何かしらあちらの石炭の鉱害復旧の事業等をこれは予算がなくて今なかなかできないのでありますが、特に何か便法を以て資金を付けてこの復旧の事業を通すとか、或いはその地方の上水道であるとか公共事業等を起してそういう方面に労力を向けるとかいうことも具体的にお考え下すつていいんじやないかと思いますが、こういう点について一つ所見を伺いたいと思います。
  45. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今の点につきましては先ほどもちよつと申しましたが、労働問題協議会等で作つております対策として、できるだけこの炭鉱地帯の例えば公共事業或いは国営のいろいろの事業等を予定を繰上げて取りかかり得るように予算の配付などをすることにいたしました。で多少でもそういう面に吸収することにいたしたい、こういうふうに手を打ちつつあるわけでございます。で何とかありとあらゆる対策を講じようと考えております。
  46. 中川以良

    ○中川以良君 是非一つ早急にそういうことが実行可能のように御努力をお願いいたします。  それからもう一つ応急措置として最も効果的なのは、先ほどお話のあつたような税制の問題、まあ一点は、各鉱業は皆滞納になつております、これを或る程度認めてやる問題と、それからまあ固定資産税の問題が、石炭鉱業としては年々どうも投下資本が殖えて参つて、これに伴う税制の関係資金繰りが困難になつておるという問題が大きく取上げられております。これらの改正の問題、それから最近問題になつております鉱産税の問題でありますが、鉱産税の問題はこれは今までは各市町村と話合つて大体カロリー当りの金をきめておつたんでありますが、最近自治庁が主張しておりますのがカロリー当り六十六銭の標準価格をきめてこれに引上げようとしております。こういうことがきまりますると、各市町村ともこれは財政難の折から恐らく最高の率を取ると思いますが、こういう点にも石炭鉱業に一層の圧迫を加えて参る、こういう点は通産省側から一つ自治庁側に十分に今日の事態を一つ主張されまして、認識を自治庁側で持つてもらうように御努力を頂かなければならんと思います。それでなくても今日石炭鉱業のいわゆる税金というものが全産業の事業税が生産に対して僅か〇・六%であるにかかわらず石炭鉱業におきましては鉱産税だけでも売上高に対しまして一乃至一・二%になつております。こういう点も私は非常な大きな矛盾があるように思いますので、こういう点が早く改まりますならば、それだけ私はこの緊急事態に対する大きなプラスがあると思いますので、こういう点も一つ御研究を願いたいと思いますが、これらに対する一つお考えを承わりたいと思います。
  47. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今お話のございました中で一、二の点はすでに解決したものもございますようですが、石炭局長から一つ……。
  48. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 第一番に償却の問題でございますが、これは今お話にございましたように、炭鉱はだんだん掘つて行きますにつれまして、奥へ入ります、入りますとその当然その分だけ坑道も長くなりますし、又通気、或いは運搬等にそれだけ費用を余計要するわけであります。従つて当然コストが、その面でランニングのコストが高くなつて参りますのに対して従来そういつた設備関係は一年以上の耐久力のあるものは全部償却資産だということで、而もそれを出炭量に比例して償却費を認められるという扱いでございましたが、だんだん条件が悪くなるに従つて償却費が殖えて来るという二重に苦しい立場になつておりましたわけであります。これはまあ非常に不合理でございますが、どうしてそういうことになつたかと申しますと、実は戦前は非常に法人税が軽かつたものでございますから、そういう面において余り細かいことを折衝をいたしませんで、まあ済んでおつたというところで、戦前にその取扱が余りはつきりきまつておりませんでしたところへ戦争中から戦後にかけまして低物価政策ということで、コストの要素をできるだけ切詰めましたものでございますから、そういうことになつたわけでございます。そこでそういう根本的な問題でございますので、すでにもう三年かかりましてこの問題を交渉しておりまして、最初例えば坑道の延長を百メーターまではそれでは経費で落すのは認めるというふうに少しずつ話を進めて少しずつ解決して参り、最近におきましては着炭までの坑道と、それから坑道の延長が一年間にたしか百メーターを超えるような坑道の延長というところを除きましては大体経費として落して参ることに話がきまりまして、それによりますと、大体今まで石炭側として通常の他の産業並みのベースに考えられるために、是非緩和してもらいたいという要求の大体七割見当が、非常にこれは山々によつて事情が違うのでありますが、極く大まかに申しまして七割見当が解決した。現在の税制ではどうも最大限度に大蔵省、国税庁のほうで努力を頂いたと思われるのであります。そこでまあ現在の税制下におきましては、一応この程度でいたし方ない。更に減耗控除するような根本的な問題は別といたしまして、現在の程度では大部分解決したように私たちは考えております。  それから鉱産税の問題でございますが、これも全く御指摘通りでございます。これはもう鉱産税は鉱物の価格にかけるに一定の比率をかけるということになつておりますので、実はほかのものの関係から申しますれば当然そういつた基準が前にむしろあつたほうが普通だつたのかも知れないのでありますが、御存じのように、炭鉱地帯の市町村ではその炭鉱がまあ最大の収入の源泉でありますると同時に、ほかの実は税金でも大半がその炭鉱からいろいろな形で出されております。従つて結局鉱産税の決定に当りましてはその法律の規定通りと申しますか、その炭価を時価に厳格に定めて、それに定められた率をかけて取るというふうなことではなしに、他の市町村税なり、或いは他の公祖公課等と狙み合せまして、その自治体の総収入の必要な限度で、それからまあ逆算して鉱産税の額を定めるという実情にあつたようでございます。従つて全国画一に若し基準をきめますならば、そういつた従来の実情に甚だしく反することになるわけでございます。又実情といたしましても現在の現実の売値に法定の率をそのままかけますれば、今御指摘のように他の事業に比べて大変重いことになるのであります。そういう意味で……。
  49. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 斎藤君時間が余りないので……。
  50. 斎藤正年

    説明員(斎藤正年君) 現状に合わないのじやないかということで、今、自治庁のほうと交渉しておりまして、どうしても交渉しなければならんなら従来の実情程度価格にしてもらいたいということで引続きやつております。
  51. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) じやもう一問だけ。
  52. 中川以良

    ○中川以良君 まだお伺いしたいと思いますけれども、次回に又一つ……。
  53. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は大臣に特に掘下げて、掘下げてということは、今御両氏から公課等の状況について縷々御質問がありました、その点の中でもつと堀下げて内情を訴え、そうして大臣の現段階に対して私の申上げることについて決心を伺いたいと思うのであります。  先ずお尋ね申したいことは、中小企業或いは中小炭鉱に対しては、終始大臣は心からこれらの育成に対して御尽力を煩わしておるのでありまして、誠に有難いとは考えております。併しながら、又そのことから考え合せまして、今日のこの炭界という問題に触れて、大手に対する考え方と中小炭鉱に対する考え方をどのようにお考えになつておるかということが一つであります。それは大手は、例えば三井は四十何億赤字を出しておるという、その三井の大手のあり方、それから又中小炭鉱の今日危機に瀕して、先般大臣の所管であります福岡鉱山局から出されました一つ資料の中の例といたしましても、小さな炭鉱を経営する経営業者が、堪え切れずに労務者に対する申訳として一命を捨てたというような現状もある、この中小炭鉱に対する考え方を先ずお伺いしたいと思います。
  54. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は大手筋と中小に対しまして、特に取分けて、中小は潰れてもいいんだというような考え方を持つておるわけでは毛頭ございません。総合的な、先ほど来縷々申しておりまするように、例えば日本経済の今後の自立計画からいつて、四千八百万トンというものが適正出炭規模として確立せられるならば、その考え方の範囲内において合理化、統合というようなことが私は具体的に考えられる面があると思いますけれども、当面の問題といたしまして、例えば失業者が非常に出たというような場合には、これはどこから出たにしても、先ほど申しましたように、公共事業を繰上げて施行するというようなことで吸収するとか、その他あらゆる方法で救済といいますか、善後措置を講ずべきものと考えております。
  55. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、もう一つお伺いいたしたいことは、中小炭鉱の労務者、或いは大手の労務者に対しましても、やはり同一なお考えであると私は思いますが、どうでありますか。
  56. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはまあお答えするまでもないと思いますが、私は差別をつけて考えるべきものではないと思います。
  57. 小松正雄

    ○小松正雄君 それではお伺いいたしますが、この中小炭鉱の現状、只今委員よりも切々と御質問なられたことでありまするが、特に今日の段階では、中小炭鉱の労務者というものは、同じ労務者でありながら、中小であろうと大手であろうと同じ働く者でありながら、中小に属しておる働く者は非常に苦しいことにあるということは、申すまでもないと思います。そのまあ一例として挙げますると、どういうことかといいますと、今日も学校に子供をやるのに弁当を持たしてやらない。そこで、御承知のように、福岡の中小炭鉱の或るところでは、半農半労であるところに属しておるために、農民のかたがたから弁当を持つて来る子供の弁当を分け合つて食べたり、或いはもう弁当がないから学校へ行かれないというので、休学が相当殖えて来ておるという段階からお話申上げても、この中小炭鉱の働く者がどれだけ苦労をしておるかということはおわかりだと思います。なお又先国会中に私の質問に対し大臣は、福岡のほうの通産局内の中小炭鉱というものは、非常に炭況の悪化によつて、いろいろ最近でも、両委員から御指摘になりましたように、社会問題を越えた一つの問題が起るかもわからないという報告を受けて、それに対して急遽石炭局長を福岡通産局管内に派遣せられて、その内容もよく御聴取されたことでありまするから、どんなであつたかということはもうおわかりだと思います。ところが、それよりも今日はまだ進んだ段階にあるということも御認識願いたいのであります。そこでこの中小炭鉱を経営しておる者といたしましては、どうにかして労務者も共に相助け合つて行きたい、それから労務者も又、大手と違つてそういう現状を見る限りにおいては、自分たちもできる限り、法に触れることであつても時間外等によつて金をもらうとかもらわんとかいうことじやなくて、相助け合つて行きたい、こういうことでやつておるというのが現実の本当の偽らざることであつて、それに又加えまして、或る炭鉱によつては、法を犯して金券というものを出しておるのは、御承知通りであります。これは税務署等からも来られて摘発された見本等も出されておりましたが、そういう自分の行いをすれば業者としては法に触れるということはわかりながらも、金融がつかない、つかないために、その炭鉱を維持するために、労務者もここをやめて出たならば行き場がないと、もうすでに失業者の群は続々と出て来ておるし、近所の炭鉱も守り合つて行こうという考え方があるために、やはり業者としてもこれをどうにかして続けて行きたい、何とかして炭層を売つてもやつて行きたい、かいつまんで申しますればこういう状況なのであります。これに今度反して税の取立て、さつきも大臣は、税金等については緩和するように、延期するように、例えば昨年の水害に当つては延期を認めるというようなこともされたということでありまするけれども、今日ではそういうふうにして税の取立てが激しくなつておるということの一つの例を挙げますると、一台のトラックを以て運搬をして、それで以てその炭鉱の経営を賄つておると、それにもかかわらずこのトラックを競売に付する、そうして炭鉱業者でない者に売渡されたので、この炭鉱はやつて行かれないということでやめて行くと、こういうようなことも例を挙げればあるわけであつて、これらからいたしましても、この中小炭鉱の苦難を打開させる意味においても、さつきも両委員から指摘されましたように、この税金の取立てを延期させるという大きな心がまえが大臣にあるかどうかということをここで一点お聞きしておきます。
  58. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私はまあできる限りの誠意を尽した対策をとつて参りたいと、こういうことをお答えといたしたいと思います。
  59. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はもう今日の段階では、できるだけということでなくて、先ずどうすればそういうことが行われずに、或る程度緩和して事業の継続をさせて行かれるか、継続さして行くことは、失業者を出さずに、失業対策の一環にもなるではないかという大きな見地から割切つて大臣一つお考え願いたいから、その意図のある実際の信念をここで聞かしてもらいたい。
  60. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほども申しましたが、ものによりましては、無理をして続けて行くということが果して大局的に言つてよいかどうかということも併せて考えて行かなければならないかと思いますが、その際においてはその人たちを吸収して他の面において働いて頂くという措置が併せ講ぜられなければならないと、そういう点につきましても能う限りの努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  61. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで今の大臣のお言葉に対しましては、最後に私の意見を申上げて見たいと思つておりまするが、税にいたしましてもそれであり、それから又今日のこの中小炭鉱がこのようになつて来たという一番大きな原因は何かと申しますると、私どももその小さな炭鉱を経営しておる一人であつて、実際に経験をして参つたものでありまするが、御承知のように、大手の納炭先というのは、鉄道、電気、製鉄等大品需要のほうにはつきり契約ができておることでありまして、中小炭鉱というものは或る商社を通じて石炭の納入をやつてつた。ところが、昨年からあの炭界の不況になり、例えば一つの例として、降雨のために電力のほうでは石炭を焚かない、こういうことからいたしまして、商社が商社に転売しておつた等の関係から不渡手形が出た、そこで以て一つの商社が倒れたために、商社から受取つた手形を地方銀行に中小炭鉱は割つてもらつてつた、ところがそれがそういうことで以て余波を受けて中小炭鉱の裏付の手形不渡なつた、こういうことが原因して一応今日の苦しい段階になつて来ておると思いまするが、それがために中小炭鉱に対してはそういう一つの大きな打撃を受けたために、地方銀行ではもう中小炭鉱に対する金融というものは全然今頃ではしてないわけです。これはもう御承知通りであります。そこで又大手におきましては、大臣承知通りであつて、鉄道にしろ、電気にしろ、製鉄にいたしましても、契約炭の六割、七制、八割は、これは三カ月間を合せた契約に対しては融資、要するに前貸もされることであつて、それでこの段階にあると言いながらも、中小と違つて金融の面も非常に楽なことがあると私は思うのであります。それでそういう余波を受けて今日の金融面に押詰められて、僅かな石炭を濫売せざるを得ない。それを濫売するために、収支計算というものは考えないでずつと続けてここ五、六カ月やつたためになお一層ひどくなつて、それがために倒産、破産、廃坑或いは中止というようなことになつて来ておる現状は、もう報告の中でおわかりのことと思いますけれども、これに対して特に又大臣にお願いをしたいと思いますることは、すでに御承知のように、もう資金の問題で大手は或る程度きめて行きおる。中小に賞与どころか労銀が払えない。福岡でも報告の中にあるからして、大臣おわかりと思いまするが、労銀だけでも四十七億というものが中小炭鉱では払えてない。それから又それがために、この盆を迎えてどうするかという問題で非常に悪化をしつつあるのでありまして、これに対して、同じ働く者であるからして、中小の炭鉱の労務者も大手の労務者も何ら変りのないという親心のある通産大臣といたしまして、ここでどうお考えになるか。片一方は給料ももらい、或いは労銀ももらいながら、特に又盆であるからということでそういう特別な賞与を受けるという労務者であり、片一方の中小炭鉱の労務者は賞与ももらえず、労銀さえももらえない。これが一つと、それからもう一つ申上げることは、中小炭鉱はこういうふうな金融面に追込まれましたために労災等の納入金がしてないわけです。そこで炭鉱を廃止し、中止をして、失業保険をもらおうとしても、これをもらえない。こういう大きな又社会の問題に触れることに相成つておるわけであります。併せて盆も来ておることでありまするから、率直に申上げますると、少くとも特定な行政措置と申しまするか、この運用資金その他の大臣の力によつて出される金を以て、地方の炭鉱の情勢によく慣れておる今日まで相共にやつて来た特定的な福岡銀行であるとか、或いは協和銀行であるとかいうものにこの盆前に少くとも五億くらいの金を出して頂いて、そうしてこの急場を乗越えさせてもらうということにいたしてもらいたいと思う。それでないと、どうしてもこれは盆を期して治安上の問題が必ず起るということだけ私は断言しておきます。必ずあると思います。それはもうあなたのほうの管轄内の福岡通産局から相当そういう問題については報告がせられておると思います。一例としても、先般の懇談会にも、列席者ではないが、傍聴者的に来ておつた者の訴えで、田川郡の……、あなたのところに、すでにもうここらの警備隊を越して駐留軍まで出して、こういう問題が起るという線に触れて通告までしたことがあるわけです。本当にもう今日の段階ではそういうことに追詰められて来ておることでありますからして、同じ働く者が、中小であろうと大手であろうと同じものだというお考えであるならば、是非この盆前にその結論を出して、金融は炭鉱の情勢をよく知つておる協和銀行、福岡銀行を特定として、或いはあなたがたの関係である通産局から出て行かれて、労銀その他の支払い、要するに電気代とか何とか、そんなものはあとにして、労銀だけの払い、紐付でもよいことでありまするからして、是非そういうような施策をとつて頂きたいということをお願いしたいと思うのであります。  それからなおもう一つ進んで、総合対策的な問題について大臣は非常に苦慮されておることでありまするが、この総合対策ということにつきまして、私が申上げるまでもありませんが、先ず大手に対しましては、五ケ年計画として、竪坑の掘鑿というようなことで以て、国の金を二百十億ですか年間に出して、そうしてこれらの近代化を図つて行き、五カ年後には相当な量も簡単に出るようになり、価格も三割引下るというこれは状況になりましよう。これらから出て来る石炭は、鉄道、電気、製鉄というようなものに大品に納まるのでありますが、先ず総合対策の一環として、お調べになつておると思いまするけれども、鉄道がどれだけ年間に焚く、電気がどれだけ年間に焚く、製鉄がどれだけ年間に禁くとか、その他小口、大品合せて、一般炭だとか、こういうものを具体的に割つて、そうしてお調べになり、又私たちに知らしてもらえば、一年間の総合的石炭の量というものがどれだけということがはつきりするということになりまするし、それに伴つて大手の石炭が近代化によつて五カ年後には楽になるという考え方一つ持つといたしまするならば、先にも大臣の御答弁にありましたように、その炭鉱の人たちも考え合せて、別な角度から別な仕事に移るという考え方一つあるのではないかというお話もありましたことについて、この中小炭鉱というものの中にも統合いたしますれば非常に合理的なよい面があるという一例を挙げますると、例えば一つの層が、五尺層なら五尺層がありまして、これが例えば幅三百間としますか、そうすると百間ずつ持つた三つの炭鉱が同じ層の中にあるわけです。同じ層を掘つておる。そうすると、この三つの炭鉱を総合すれば、一つの炭鉱で両方の炭鉱の石炭が立派に掘れてしまう。これが三つあるために、真中の大切な地下資源を永久に改めて取ることのできない炭壁を残さなければならないと、こういう不合理なこともあるわけでありまして、一応統合の整備という点も大きく考えられて、この際大臣としての大きな決意を私はお開きいたしたいと思います。
  62. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず前段の問題でありますが、これは従来も例えば各県庁においても非常な努力をされておつて、御承知のように労働金庫に預託金をして一部の労銀でも支払えるようにというような配点等をしておりまするので、政府といたしましてもこれに非常に感謝をいたしておると同時に、こういうふうな措置政府としても十分考えなければならないというふうに思つております。  それから労災保険掛金をやらないから失業保険金は払わないというふうなことは、これはないはずでございますし、又今労働省のほうから御承知の一時帰休制度というようなものを実行したらどうかという提案もございまして、これにつきましても通産省といたしましても十分現地の実情に応じたような効果が挙るように、又他に弊害を及ぼさないというふうな観点で相談に乗つておるようなわけでございます。  それから根本的な問題でございますが、お話の通りでございまして、全体の適正出炭規模をきめるにしても各事業別に具体的に相当分析をしてかかつて行かなければ適正な数字というものは出て参りませんし、その際に他の石油の関係等も又十分見て行かなければなりませんが、要は先ほど御意見もございましたように、労使両方で石炭界としては安定した出炭量を確保する、それから安定炭価を作るという基本的な狙いに対して大中小を問わずの御協力がこの上とも政府側としてもお願いいたしたいところだと考えるわけでございます。  なおその他いろいろ縷々御意見ございましたが、そういう御趣旨に副うように私といたしましてもこれは本当に全力を挙げてその対策に努力いたしたいと考えておるわけでございます。
  63. 小松正雄

    ○小松正雄君 最後に、今お願い申上げた中のことでございますが、失業保険というものは業者がかけなくてももらえるということは、これは全額でなくて六割だけもらえるわけであります。全部はもらえないということになります。これが一つと、それから今日私といたしましてはこのあり方についてどうだということの点について相当大臣の心からなる御答弁を私たちのほうの中小炭鉱の労務者を初め皆持つておると私は思います。そこでさつき申上げましたように、盆前の特別な措置として中小炭鉱の労務者等に対する遅配欠配しております労銀を組付でもいいといたしまして、業者を助ける意味においていささかそういう問題を起させないという前提にもなることであるし、重ねてお願い申上げますことは、少くとも五億の金を盆前に特別な融資方法を考えられてして頂けるものであるかとりかということを結論として大臣の心がまえをもう一遍お聞きしたいと思います。
  64. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 盆前に何らかの措置ということは私どもといたしましても十分良案を得て何らかの措置を考えて見たいと考えておりましたところでありますが、できるだけ御趣旨に副うような方法で更に推進して参りたいと考えております。
  65. 小松正雄

    ○小松正雄君 くどく申上げて甚だ大臣に相済まんと思いますが、そういう心がまえで今日にも返答はできかねるが、何とかそれに副うようにやろうという御趣旨に対して私誠に感激に堪えません。そこで来月の四日か五日に本委員会が又開催せられるということでありまするので、そのときにできるかできんかはつきり御返事を承わりたい、お願い申上げておきます。
  66. 苫米地義三

    苫米地義三君 私たつた一言先ほど中川委員からお話のあつた石炭化学に関する関連した問題であります。これは一つ政府側の御注意を喚起し、なおお考えを伺いたいと思います。と申しますことは、今アメリカから非常に高い石炭、強粘結炭でありますが、大量に輸入しておるわけです。これを如何に日本で供給するかということが一つの科学的な課題です。幸い北松炭が僅かに出ますけれども、これは量が少い、その他は弱粘結があるだけです。この弱粘結を利用して強粘結に変える化学的な措置というものはあるのであります。それは低温乾溜をやつて、そうしてエクス・コール、エクス炭と称しておりますが、これを弱粘結に加えてコークスを作れば外国の強粘結に劣らない硬度を持つたコークスができることは過去の実験によつて明らかであります。八幡製鉄所でもこれを使つております。ただ具体的に申しますと若松の高松炭があすこから出ますとすぐその隣に乾溜工場があるのです。これをタイアツプさして、そうしてそれを八幡へ持つて行きまして非常に地理的関係がいいのです。ところが実際問題としてはこれは面倒臭い、従来の惰性をそのままやつておくということは作業上非常に容易なものだからなかなかやらんのです。ですからこれは長い目で日本の国策としてこういう点を考えて是非政府側がこれを調整をとつてやらせるということを考えて見てはどうかということが一つであります。  もう一つ日本の木材資源、これも随分濫伐をされてだんだん減つて来ます。そこで木炭という問題がある。これも若い炭で結構なんですから、その若い炭を或る程度乾溜して、そうして木炭代用にするということは非常に容易にできることです。そうして一方ではタール工業ができて化学産業に貢献するのでありますから、そういう点ももう少し地下資源と化学とを結び付けて、つまりこれを政府が調整してやるということによつて実現できると思いますが、どうでしよう、これを二つおやりになつてはと思いますから御意見を伺いたいと思います。
  67. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 第一の問題は、実は只今我々の間でその方向に行くかどうかということを最終的にきめようという段階になつております。随分これは積極的に研究いたしております。幸いにして関係の業界がそういう方向に積極的な熱意を示されますると、資金上その他の便宜も政府としてはできるだけ供与いたしたいと思つております。  それから第二の点は、第一のほうほど具体的に詰つておりませんが、今後積極的に研究いたしたいと思います。
  68. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は簡単にお伺いしたいのですが、可燃性織物についての問題は去年アメリカで国会を通過したやつを日本でその筋における人たちが何をぼんやりしておつたか、私はそういうことに対する御決点を一つ伺いたい。一年たつて議会の問題になるというようなことは怠慢も甚だしいのじやないかという一点と、それに対する御決意を承わりたいということ。  それから只今の苫米地委員の言われましたことについてちよつと私申上げたいのですが、日本の弱粘結炭でも強粘結炭に劣らないコークスの製造法については、八幡製鉄におりました田所博士が十分これはできて実験済みなんです。ところがそれを実施されない、それで彼は停年で去つて今四国におりますが、あれを呼出しましてやつたら弱粘結炭でも強粘結炭に劣らない品物ができることを申上げておきます。  私は可燃性のことについて重ねてつまり当局から要望をなさつたらどうか、そうでないと向うの下院では握り潰されると困りますから、つまり波状攻撃で何とかしてくれということを懇請なさる御意思があるかどうか、それをちよつとお伺いいたします。それだけでございます。
  69. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今の可燃性織物の問題は第十九国会のときも私は率直にお詫び申上げたのでありますが、昨年の夏にこの法律がアメリカの国会で成立しておつたにもかかわらず今年の二月の終りまで実は官民共に日本側としては情報がなかつた、この点については政府側として特に遺憾でございますので、それだけに我々といたしましてはあらゆる努力を傾注して今日に至つております。幸い昨日申しましたように上院までは我々の熱意が届きまして非常にいい修正案を作つて可決してくれたのでありますが、下院に参りましてから雲行がおかしくなつてしまつて六月一ぱいでは成立を見なかつたのでありますが、なお継続審議をしてくれておりますので波状攻撃を我我といたしましては如才なくやつておるつもりであります。もう殆んど連日こちらの大使館を通じての運動は勿論でありますが、在米の日本の大使館、或いは日本の商工会議所、それから本件に同情を寄せております米国の朝野の人たちの理解のある同情にすがつて運動を続けておりますので、昨日申上げましたようにその見通しは二段がまえくらいにつけておりますが、一つは燃焼時間の短縮ということ、これは何とか行くのではなかろうか、それから又うまく行けば上院の修正案に殆んど似たようなものが通るのではなかろうかというふうに考えて更に努力を続けております。会期が一応今月一ぱいでありましてあと会期も余日も少いのでありますので更に一瞬の努力を続けたいと思つております。  それから弱粘結の問題は田所さんのお話も私は存じておりますし、従来これが取上げられなかつたのは私の理解しているところでは主としてコストの問題ではなかつたかと想像いたすのでありますが、只今苫米地さんにお答えいたしましたようにこのところ至急に一つこれを取上げたほうがいいのではなかろうかというような線で政府としては改めて前進いたしておるのであります。
  70. 天田勝正

    天田勝正君 私はすでに昨日も例としては申上げたのでただ時間の関係もございますから同じことを大蔵当局にもお聞きいたしますから説明だけを聞いておいて頂きたい。  私どもも決して電力会社の給与が立ち行かないようなただ意地悪くこの質問を申上げのるではなく、同時に大臣のほうでもこれは公益事業であると共に独占事業であるということはよくこれは存じておられると思いますが、そういう観点に立つて私は質問を申上げるのですから心得ておいて頂きたいと存じます。独占事業でありますからこれが普通の企業のごとく扱われる筋ではこれはない、独占事業らしく勿論自粛もあろうし、又他から規制を受けるのは当然だろうと存じます。そこで昨日も申上げましたが、電力会社が現在長期の借入金を行なつて開発等をやつておるわけですが、その内容を見ますれば、開発銀行の金が約四割五分、債券発行銀行の分を加えまするならば、国家の資金が流されておるのは六割、こういうふうに同家から厚い庇護を受けておるのであります。その半面配当はといいますれば、政府の査定を見ましても、七十四億でありますが、とにかくそういうものが見込まれ、而も配当率は一二%と言われておるのですが、ここに一つのごまかしがあつて、現在の資本金から見まするならば、一五%の配当になる。一二%というのは、今秋百二十億の増資、而もその内容は二対一の割合で有償と無償の株券が渡されるという内容をも含んで、要するに一二%の利益、こういうことなのですから、現在の資本からすれば一五%の利益を確保しながら、要するに電気料金の値上げをしようという、ここに我々には了解ができないところがあるのでありまして、そこでこの点については大臣は、配当金のごときは、元来開発が国民の金によつて行われているという現実からいたしまして、どうしても配当金の制限を慫慂して、ここまで努力をするにもかかわらず、どうしても他の部分がカバ—できないから、最低これだけの値上げをしなければならない、こういう結論でなければならないと私は昨日から申上げておるわけで、この点について御意見を更に伺いたいと同時に、大蔵当局には今官房長が見えておると思いますが、内容は今の説明でおわかりだと思います。大蔵省として、大蔵大臣が閣議で反対されたと伝えられるのは、私が見るごとく、開発は国民の金で行われておるのであるから、もつと努力すべきであるという観点に立つての反対であろうと私は想像するわけでありますが、さようでございますかどうか、これは大臣と大蔵大臣と両方に伺つておきたいのであります。
  71. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 大蔵大臣意見というものを私から申上げるのも変でございますからこれは差控えますが、大体そういう気持であろうと私も想像いたします。  それからもう一つは、実は程度の問題についてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、実は率直に申しまして、電力会社としては昨日も申上げましたように、増資を織込んでおります。そうしてその増資をいたしますためには、実は今私どもが作りました案よりも多くの配当を予想しておつたのであります。その程度のものがなければ、その計画も、増資はできない。昨日局長から証券界云々ということを申しましたことも、それに関連するのであります。会社並びに証券界としては、もつと多くの配当を予想した計画であつたのでありますが、これはこの程度まで私どもは査定したのでありまして、これではどうかなという意見が市場にはあるようですが、昨日御意見もありましたように、それにのみ引ずられることは妥当ではございませんので、この程度に査定をいたした、こういう経過になつております。
  72. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 大蔵省はまだちよつと……。
  73. 天田勝正

    天田勝正君 では意見だけ申上げておきますが、増資に当つて、繰返し申上げますように、二対一の割合で無償のが与えられる、このことは形を変えたところの、要するに配当のいわば増配なので、そういうことを許しておきながら、私どもはこの電気料金を値上げしなければならんというところに納得が行かない。でありますから、私は時間がございませんからこの点は更に大臣等が適切な措置をとつて頂きたい、こういうことを申上げておきます。  次は地域差の料金でございますが、今度の査定によりますと、北陸を見ますならば一番安く、二円八十一銭、こういうことになつておる。ところが電力再編成のときに、水力は安い、火力は高い、その後もずつと料金の構成は火力は高いということで来たわけでありますが、ところが現在電気料金を値上げしなければならない主たる原因は何かというと、水力の開発によるコスト高、こういうことに来ている。そういたしますると、前に電力再編成のときに基準をとりましたものは昭和二十三年か何かの実績によつてその発電所等の配分が行われたはずなんです。そういたしますと、むしろ発電所を二十三年の実績に割出して、わりかた少く与えられた例えば北陸電力のごときはその集力の開発をますます進めて漸くその需用を満たさなければならない。これに反して関西電力のごときはもう一ぱいである、これ以上もう伸ばさなくてもよろしいということにまでなつている。そうするとこの水力開発がコスト高になるという現状からすれば、必ずしも今日になれば火力を余計持つておるところが高いという理由は失われて来た。でありますから、通産当局としてはこの際もう一遍水力火力の配分を調整する必要が私は出て来たと、こう思うわけでありますが、その点に対する大臣のお考えは如何でございましよう。
  74. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 誠に御尤もと存じます。私どもといたしましても水火力調整金の幅というようなものはできるだけ早い機会に狭めて参りたい、こういうふうに考えております。
  75. 天田勝正

    天田勝正君 もう一点だけ伺つておきます。これは最後の質問は公益事業局長がお答え下すつて結構ですが、大臣も聞いておいて頂きたいと思うのです。というのは、私どもの見るところ何としても各電力会社ともまだ企業努力がどうしても足らない。それは私は実例を持つてつておるから申上げるのです。私は農民運動を長くやつて来たんだけれども、農民に率直に意見を聞けば、何が一番世の中でこわいかと言えば税務署で、その次は電気屋だ。はつきり言うとこのくらいサービスの面ではなつていない。私は電力会社に特に懇意の人がたくさんおりますけれども、しよつちゆうそのことは申上げている。それで企業というものは、今日のように世界の不況が直ちにしわ寄になつて来たり、或いは政府の政策が大きな影響を及ぼすということは、これは努力のほかの問題もございますけれども、普通の状態でありますると企業では細かい点を忘れたならば必ずこれは失敗しているのです。これは私どもも経験いたしておりますが、そういうことなんです。古いことを申上げますが、岩崎弥太郎氏が大変な失策をした社員が辞表を持つて来た場合に、船の一艘を沈めたよりも毎日の新聞や鉛筆、紙等を節約してくれと言つたことが財閥の発展のまあ美談に今日もなつている。そのくらい細かいことというのは重要でありますのに、実際は電力会社等では実にその末端までリベートの横行、これは私は今日役所よりもひどいと思う。役所なんぞはまだ国民の目が十分と言わないまでも届いておりますから、いろいろ批判されている。ところが営利会社であるということからそういう一般の国民の目は届かない。こういうところで、まあ例を挙げて言いますると、倉庫番に至るまで実際は非常に腐つておるということが私は言えると思う。実例を申上げてもいいくらいですが、まあそれは遠慮しておきますが、そういうことに対する努力が実になつていないのですよ。過日も私その例を電力会社の幹部諸君に話したところが、一向御存じない。どうして御存じないかということを一つ考えて見なければならないのですが、それはみんな役員などが天降つたような恰好で今日は任命されて、実際に自分がその事業を長く育てたり、或いは資本を投じて、これは資本家即経営者がいいかどうかは私疑問を持つておりますよ、だが、実際にはまだ資本主義の世の中ですから、資金を投じた人が経営に当るほうが少くとも熱心さがあろはずなんです。ところがこの頃は電力会社においてはもうそういうこととは無関係になつてしまつたところに私はそういう末端にまでも目が届かない、非常な無駄がその企業のうちに行われておるという点が起きて来ていると思う。こういうような点も十分注意することによつて是正して行きまするならば、どの程度この値上げを食いとめ得るかは数字がございませんから私も存じませんけれども、まだまだかなり値上げを食いとめ得る大きな要素になるのではないか、私はこう察しております。こういう点についてこれは意見でありますが、十分これらも電力会社等と公益事業局と話合つて、細かいことながら企業の盛衰に関する問題でありますので、注意して頂きたい。これだけ申上げておきます。時間がありませんからこれでやめておきます。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 簡単に私資料を要求したいのですがね。関係中小企業のことですが、この私が要求いたします資料関係して若し大臣からお答えが頂ければ結構だと思います。それは一般に世間では中小企業というと何か厄介物でお情けで助けてやつておるのだというような印象を持つておる人が非常に多いのですが、そこで中小企業の質的内容ですね、これをもつと通産省のほうではつきりさせることは必要だと思う。私自身がそれをもつとはつきり知りたい。例えば雑貨の面等につきましても、これはまあ貿易の将来につきましては素人でありますけれども、一番私は増進率が上つて行くのは雑貨じやないかと思う。そういう面から考えまして、例えばこの中小企業の中で大企業よりも現在は勿論将来とも二割なり三割なり四割安くできるのだ、中小企業がやるほうがより合理的なんだという面と、そうでなくて中小企業の中で大企業にはどうしてもその企業努力では追付かないのだというものとの二つの区別ができておるかどうか。できておればこれらについての一つ私は資料を頂きたいと思う。  それからなお中小企業の中で国外から原材料を仰いでおる中小企業と、そうでないもの、そうでないものは勿論要らんのですが、国外から原材料を仰いでおる中小企業というものは相当あるのじやないか。これらが若しはつきりしますと、これらと保税工場との関係等もいろいろ私は問題が起つて来ると思う。こういうことにつきましてすでにそういう分析ができておやりになつているかどうか。先ほどまあ他の委員のかたから中小炭鉱の話がありましたが、私は必ずしも弱い者を潰せというのじやありませんが、ただ過去の石炭ブームであるとか何とかによつて一時的に膨れ上つたもので現在になつて見ればそれが必ずしも国家の産業の将来のためにプラスにならんという面につきましては他の方途で救済することによつて、それを必ずしもいつまでもその業種を国の援助補助によつて育成して行かなければならんということは私は通産大臣もお考えになつていないと思う。そういうことをお考えになるのは私は間違いだと思う。そういう意味合で一般中小企業におきましても質的内容のいいものと悪いものをこの際区別してはつきりと私はさせなきやいかんじやないか、こう思うのですが、これらの点につきましては資料があれば頂きたいし、又なければ当然通産大臣としても事務当局にその資料は作らせるべきものだと、こう思うのですが、この点先ず伺いたい。  それからついでに時間がありませんから資料をもう一つ。この間事業局長から総括原価比較表というのをもらいましたが、あれ一枚もらいましたが、もう一つ一歩進めて親切に地区別のあの総括原価の表ができるまでの内容があるわけでしよう。それをどうして頂けないか。あると思いますが、あつたらそれを頂きたいと思います。
  77. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今中小企業の問題については非常に何と申しますか率直に申しまして御着眼に敬服するのでありますが、すぐ全部の御要求を満たすようなものが直ちに調製されるかどうかわかりませんが、できるだけ速かに資料を差上げたいと存じます。  それから中小炭鉱について只今お触れになりましたが、先ほどの小松委員に対する私の答弁はそういう趣旨を含んでおるつもりでございます。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の中小企業の質的内容の検討をされて淘汰するものは淘汰する、そうして質のいいものは大いに積極的にやるということは是非やつて頂くのは当然でありますが、それをもう少し国民に中小企業の内容を、もつと言えば日本中小企業の中の質のいいものの国際水準というようなものをはつきりと私はお示し願いたいと、こう思うのです。  それから電力の問題でありますが、これは私の希望でありますが、愛知さん、私はあなたのために非常に惜しむのだがね、これだけ電力問題が各方面から検討されて電力会社がどうしても今ここで明日にでも値上げをしなければならんという実体でないということははつきりしていますよ。年初計画から見て修繕費も計画よりも余計見た、償却も余計見た、給与も上げた、これだけでも今すでに余裕があるわけですよ。その他この間からいろいろ例を挙げて申上げておりますようなわけで、これは通産大臣が他の閣僚とも相談して政府全体の意見としておきめ願うということじやなくて、私は本当に愛知さんのために惜しむのですよ。当該所管大臣愛知さんが他の閣僚がどうであろうが私としてはこの際は値上げの問題についてはもう少し見送るべきである、こういうことが、これは私は本当に何もここへ来てお世辞を言うわけじやない。私という男は大体お世辞がない男なんだ。(「その通り」と呼ぶ者あり)ですけれども、この機会に私は前途非常にある若い通産大臣愛知さんがこの問題だけは、私はひつかけてものを言うのではない、この問題だけは愛知さん将来のために、私はあなたを愛するが故にこの電力問題についてはもつと積極的にあなたの御意見を御開陳願えませんか。それとも私たちの言うことが間違いであつて、電力会社は非常に苦しいんだ、償却もこういうわけだ、修繕費が高いのもこういうわけだ、再評価もこういうわけだということなら納得が行くのでありますが、そういうことについては私は大体各方面調査検討の結果、これはもう電力会社が余裕があるということは一致しておると思う。今の点はあえて御答弁を求めませんが、私は特に希望しておきます。
  79. 苫米地義三

    苫米地義三君 今の河野君のことに関連してなんですが、電力料金を上げるということはないでしような。私は愛知さんのために惜しむんじやないですよ、国家の国策のために。(笑声)低物価政策をとるというときに産業の食糧である電力を上げるということはこれは絶対にあり得ない。去年の消費者食糧を上げたということ、あれさえ私はもう非常な失態だと思う。それにかかわらずまだ今度産業の食糧たる電力を上げるということは、政府全体が今かかつておる低物価政策に逆行するもので、これは絶対に許されない。それだけを実は伺いたいと思つて特に今日伺つたのです。
  80. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 昨日私の考え方は率直に申上げたのでありますが、只今河野さんからも御忠言承わつて有難いと思いますが、私は自分の今までの態度としては、とにかくデフレ政策が緒についたその時期においては徹底的にこれは見送るべきものであると考えましたから、この上半期中には絶対に上げるという態度はとりませんでした。併しいろいろ研究をいたしますと、とにかく今年は豊水であるとかいろいろの条件から言うて、今赤字で金融にも全く困つておるという会社は今せいぜい一社程度でございます。ですから、現状からいたしますればもう暫らくは放つて置いても何とか行けるということは言えるかも知れません。併し若し私はデフレ政策というものは相当長い期間かかつて完成すべきものであつて、それだからといつてのんべんだらりと対案なくして上げるということはけしからんということでただ将来に問題を残すだけならば、これは私どもの態度として正直な態度でない。従つてこの計算が間違つておるとか、水増しであるとかいうことはこれは意見の相違だと思いますし、なお我々としても謙虚に計算のやり直しは幾らでもいたします。併し我々の現行制度の建前から言えば、今ここでこの問題をはつきり皆さんに認識して頂いてその上で結論を出すということには少くともしたいものである、こういうふうに考えて通産省といたしましては六分八厘の値上げが至当なんである、現行制度の上から言つて、そうして電源開発を既定計画通りにやる、資本費の増嵩がある、これを消すためにはどうしても値上げをするということが筋である、併しその現行制度なり現行の前提条件を更に大所高所から考え直して改善をされるならばその赤字は消えるでありましようから、そうすれば幸いにしてデフレ政策に対する一般的な国民感覚にも合うことになるような結論が出るかも知れません、その点を政府全体として十分検討してもらいたい、こういう態度で今おるわけでございます。
  81. 苫米地義三

    苫米地義三君 現在の機構である電力の九分割、このことがすでに私ども疑問に思うのです。そうして現在各会社の重役を御覧なさい。一会社に二十人もある。電力を上げる前に先ず以てこの機構、それから運用の態度をもつと厳重に我々監視せにやならん。これはもう一つの私企業じやないと思いますから、そういうあげくにこれは上げなきやならんということなら納得できる。併しその前にやるべき仕事が残つておる。いわんや政府は一年かかつて五%なり一〇%下げようということ。而も電力は、一挙に一側以上上げようということなんです。そんなことで低物価政策は通るわけはない。ですから、各事業とも下記はおのおの電力その他の影響を織込んで計画を立てるのですから、私はこれはもう断じて上げちやならんという決心の下に、もつとやるべきことをやつてほしい、それだけのことを御注意かたがた申上げておきます。
  82. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) じや最後に委員長からも一言希望を申入れておきたしと思うのであります。  第一は、電力料金の問題につきましては一昨日から引続きまして各委員からもいろいろ発言あり、大体国民がどういうことを考えておるかということは通産大臣初め通産当局にもよく御理解願えたと思うのであります。又大臣から縷々お話のありましたお気持、殊に電源開発等に伴いまする今後の電力料金の根本的問題の検討というようなこと、これは我々としても大いに考えて行かねばならんということはよくわかるのでありますが、併し何にいたしましても今は非常に時期が悪い。我我は当初申請がありましたときは低物価政策の見地から極力反対したわけです。ところが今日では更にそれが一段と段階が進みまして、物価の値下りが始まつておると同時に、デフレ化の経済界の事情というものは非常な深刻なものでありまして、それに逆行する電力料金の値上げがあるというようなことになりましたならば、これは大変なことになるのじやないかと考えられまするので、そういう点をよく併せ御検討を願いたいと思うのでありまして、幸い各省、各閣僚挙げて御研究のようでありまするが、次回の通産委員会は大体来月の初句に持ちたいと思つておるのです。それまでの間には更に一層検討が進まれることと思いますので、次の機会に一層確固たる通産大臣の信念を承わりたいと思うのであります。  次は中小企業の問題でありますが、これは本委員会でもいろいろの決議を先般してありますが、それに当局から只今までの御説明ではまだまだどうも十分でない、現在の事態に即応しての十全の策でないように思える点も多々あるのであります。殊に先般視察されました中小炭鉱地帯等は非常なものでありまするので、次回までにこれも決議に副うたもう少し具体的の政府対策を必ず示してもらいたい。  それから可燃性織物の件につきましては、いろいろ発言がありましたが、まだアメリカの議会の会期ももう少し残つております。これは日本の貿易の上においても又局地的ではありますけれども中小企業一般産業に影響するところが甚大でありますので、更に一層政府の御善処、御検討を希望いたしまして私からの一言を申上げておきたいと思います。
  83. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 了承いたしました。
  84. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時四十一分散会