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1954-02-04 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月四日(木曜日)    午前十時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            藤田  進君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            小林 英三君            西川彌平治君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            三輪 貞治君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業大臣官    房会計課長   福井 政男君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      記内 角一君    通商産業省重工    業局長     徳永 久次君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    通商産業省繊維    局長      吉岡千代三君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   参考人    中小企業金融公    庫総裁     坂口 芳久君    商工組合中央金    庫理事     加藤 八郎君    全国相互銀行協    会会長     上山 英三君    全国信用金庫協    会常務理事   安武 善蔵君    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (通商産業政策基本方針に関する  件)  (昭和二十九年度通商産業省関係予  算に関する件)  (中小企業金融に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) では速記を始めて下さい。  それでは本日は通商産業大臣に対する質疑を行います。通告者がございますので、通告順にお願いをいたします。豊田
  4. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今回愛知通産大臣新任最初通産委員会なのでありますから、やや基本的な問題について今後のお考えを伺いたいと思うのであります。  第一は言うまでもなく、自由党内閣が漸次自由経済に持つて行くというので、御承知のように統制をだんだん外して来たわけなのでありますが、最近の情勢を見ますというと、意識するしないにかかわらず、統制経済に漸次移行しつつあるように思われるのでありまして、これは本会議でも質問があつた際に吉田総理は、いややはり自由経済それ自体で行くのだというふうにはつきり答えられたのでありますけれども、第十六国会に提案せられておりました武器等製造法事業免許制めぐつたいろいろの行き方に徴しまして、又輸出入取引法というものが制定せられまして、輸出入について相当強力な統制をやるという建前になつて来ておりまする点、更に硫安需給安定法、或いは硫安輸出統制会社言つていいと思いますが、あれの設置法等から見ましても、もうすでに相当顕著な統制経済的な現われが見えておると思うのでありまして、又最近これはまあ新聞で見たのでありまするけれども農業漁業用重油については切符制も場合によつたらやろうかということを愛知通産大臣みずからも言われているような記事を見たようなわけでありまして、更にタオル、マツチについては中小企業安定法による少くとも設備制限調整命令を発動しようというふうに決意せられておるやに聞くのでありますが、かようなふうに具体的にずつと考えて参りますると、もうはつきり統制経済段階に入つて来ているような感を持つのでありまして、更に今度の緊縮予算なり、或いは金融引締めなり、これをめぐつて相当強力な統制経済的な対策を講ぜられるようになるのではないかという感じがするのでありますが、これにつきましての御意見を先ず伺いたいと思います。
  5. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 統制経済の問題でございますが、これは吉田総理が本会議でも申しておりました通りでございますが、ただその言い方が多少言葉が足りなかつたような点もあるようでありまして、実は一両日前衆議院予算委員会でも更に補足して総理からも申上げたわけでございますが、まあ統制経済と申しますと、何か一つ既成概念があるかのような感じがいたしまして、例えばソ連流ノルマ式一つ計画をがつちり作つて、これができなかつた場合には、国家として措置をするというようなことが一つ既成概念として考えられるとすれば、そういう意味の統制経済というものは我々としてはやりたくない、こういう趣旨を申上げたはずでございます。私ども基本的な考え方としては、自由主義経済の利点をできるだけ高度に発揚して参りたいという考え方基本的に持つているわけでございまして、いろいろの御批評はございましようが、過去数年間におきまして生産水準も高くなり、消費水準も高くなつたということは、そういう自由主義経済の効果が現われたものと私ども考えておるのであります。併しながらこれが輸出に対する振興ということには現在の状態においてならなかつたという点と、そこで政策の転換をいたしまして、国際収支改善ということにあらゆる努力を集中いたしたいということに新らしい途を進んで行きたいと考えておりますことは御承知通りであります。その際にやるべき方策といたしましては、各般の問題につきまして、極く目前のところといたしましては、二十九年度中に、日本の国民経済なり生産なり、或いは物価なり、或いは通貨の量なり、雇用の問題なりが、どういう姿になつて、その結果基幹産業についてはどの程度生産になるだろうか、それに対して消費がどういうふうに行つて予算規模がどれだけの期待ができるかというような構図を描いているわけでございまして、その構図が絵に描いたものだけでなく、実際実行した上で、そういう結果になるということに総合的な努力をいたしたい。その限りにおきましては適宜適切な方法をとることが必要だと思うのでありまして、例えば税制の問題、或いは金融の問題、或いは外貨予算の編成の問題、財政投融資の配分の問題、いろいろの問題があるわけでございます。その一つ一つの中において具体的にとります措置については、或いはこれは一種の計画経済ではないかというような御批評を受ける面もあろうかと思うのでありますが、私どもとしてはできるだけ併しそういう方法は避けたい、総合的な政策が結実して行くようにするために、企業創意工夫を発揚するなり、或いは労使の協調ということもそのうちに考えられると思うのでありますが、その企業意欲、或いは生産意欲を向上するために必要な措置政府としてはとるべきである。例えば再評価の問題もそのうちにございましようし、施設の近代化の問題もございましようし、そういうふうなものをできるだけやりまして、その範囲内でそれぞれの業界が大いに努力をしてもらうということを以て基本的な考え方にいたしたいわけでございます。  それから只今指摘になりました具体的な問題のうちで重油、燈油等の問題についての新聞記事お話の中に出ましたが、私どもとしては現在切符制度といようなことを実は考えておりませんので、ここまで行かないで、燃料総合対策として重油の、例えば需給調整措置等について、まだ打つべき手が相当あるように思われますので、只今のところ切符制度というところまでは考えておらないのであります。  それから中小企業安定法の二十九条の命令発動の問題は、衆議院通産委員会でも昨年十一月に全会一致の御決議があつた趣旨もございますので、政府としての、例えば価格引下げのためにこれを妨げるような安易な業界カルテルというようなものは認めたくないという気持方針との調整がつく限度において、これに対する措置を速かにとりたいと思つておりますが、まだ或る程度研究の余地が残つておりますので、この数目中に態度をきめることにいたしておりますが、まだ確定的に新聞記事に出ておりますような措置を決定をしたところまではまだ行つておりませんので、併せてこの点を申上げておきたいと思つた次第でございます。
  6. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今通産大臣の御答弁でお気持は大体わかつたのでありますが、世間一般に伝わる感じといたしましては、飽くまで自由主義経済でそれを強行して行くんだというような印象のほうが強く出ておるのでありますが、併し実質的には只今申すように相当統制経済的といいますか、そういう方向に向いつある。丁度再軍備論をめぐつて政府答弁に似たようなものであるように思うのでありまして、今の通産大臣のお気持のごときものならば、基本自由主義経済に置くけれども、必要に応じて計画経済というか、或いは場合によつて統制的な行き方にも行くというような大きな方針を、適当な機会はつきりされる必要があるのじやないか。それでないと徒らに国民が迷うのだと思うのであります。殊に緊縮政策をとられて、こういう重要な段階にあるだけに、ほぼ向うところを明らかにせられる必要があるんじやないかということを申上げたいと思うのであります。又それに関連いたしてでありますが、物価引下げを非常に強行せられようとしておられるのでありまして、これについても通産大臣としてもうすでに時折意見を発表せられておるんでありますが、具体的に考えて見ますると税制の改正によりまして酒も上ればビールも上る、たばこも上れば砂糖も上る、ガソリン税はね返り円タク代も上つて来る。更に繊維消費税をかけられることによりまして繊維品小売値段も上る。更に電気料金も場合によつたら上るかも知れないというような状態でありまして、又基本的な物資を見ましても、石炭ども増産をすれば下るかも知れんが、それでなかつたちよつと値下りの見込はないとか、或いは石油につきましても、外貨の割当が減れば却つて上るんじやないかというような問題もあるようでありまするし、更に特殊鋼とか電気銅とか亜鉛とか硫安とかいうようなものは、電気料金の値上りのはね返りが来て上るんじやないかというような空気は非常に強いのでありまして、それだけに物価引下げをやられると、それはよほど思い切つた対策、而もそれが具体的な対策というものがはつきり示されないと、前途物価引下げは、場合によると口頭禅に終るという感がいたすのでありまして、これにつきまして只今申しまするように、すでに通産大臣はいろいろ御意見を発表せられておることは承知をいたしておるのでありまするけれども、もつと具体的に何かお考えになつておられるか、それを承わりたい。
  7. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ちよつと長くなるかも知れませんですが、お尋ねがございましたのでこの機会に私の考え方ちよつと申上げて見たいと思うのであります。この物価につきましては、私が見通しをいろいろ申しておりまするのでありますが、その根拠として考えておりますことは、これは申上げるまでもございませんが、第一が財政緊縮財政、いわゆるデフレ的要因を含む予算を組んだということが第一の基本に挙げられると思うのであります。これを更に分析して申上げますと、私どもの現在の考え方といたしましては、御承知のように財政投融資が相当減額されたということがそのうちの一つ原因になるかと思います。これは財政投融資だけで申しますと、前年度に比べて五百八十億円の減になつておりますことは御承知通りでございます。それからそのほかに全体のいわゆる設備資金として、これは相当推計も入りまするけれども、二十八年度が総額で六千二百億余りになつておるのでありますが、これは現在の見通し計画としては五千五百億円ぐらいになる、そうするとそこに七百億ぐらいの減額になります。更にそのほかに例えば公共事業費その他直接一般会計予算上のいわゆる国内投資的な関係における減がやはり相当ある、これを総体的に見ますと約一割ぐらいの減額ということになります。国内のいわゆる投資需要が一割ぐらい減額になるということに相成ると思うのであります。  それからその次に申上げたいと思いますことは、物価について生産財消費財に大別して見まして、生産財のほうが今申しましたような点から一番影響を受けると思うのであります。一口に申しますと、生産財のほうは主として需要供給関係から申しますと、需要が減少する、消費財とはこの点がちよつと違うと思うのでありまして、あとでこの点は申上げたいと思うのであります。そこで、この生産財の例えば卸売物価指数をとつて見ますると、昨年の四月から十月ぐらいまでの間で二%余り上昇いたしておりますが、これを更に分析して見ますると、大体木材価格の急騰ということが、その中に占める比重が、非常に大きかつた、その他の生産財につきましては殆んど横這いの状態なつたと思われるのであります。そこで今申しましたように財政規模産業投資が縮小するということが、生産財に対して有効需要が減少するということでありまするならば、これは生産財に対する総需要量が減る、この面から生産財物価についての一つの動向が現われて来るんじやないかと思うのであります。それから一方生産財供給のほうの面でございますが、これは私どもが大体鉱工業生産については二十九年度においても年度間を通ずれば二十八年度も百五十億程度ということを申しておるのでありまして、その基礎として考えられますものは、御承知のように二十八年度におきましても第三四半期では非常なこれは上昇で、恐らく戦前に比べて百六十を超えるような状態でありますが、第四四半期で毎年の季節的な関係から行きまして、相当減るだろうと思います。併し二十九年度の第一四半期あたりは、やはり二十八年度の第三四半期と同様の程度生産が維持されるであろう、それがだんだん夏場から後半期にかけまして、先ほど申上げましたような原因によつて需要が減つて参ります。そういう関係年度間を通じて供給が大体同じであつて需要が相当減るというところから、物価のほうがまあ在庫の問題とか、その他いろいろございましようが、その面から申しまして、年度間を通じますと、平均して見れば六乃至七%下るのではないか。それから生産財の中の或るものについて考えて見ますると、或る時点時点を一年間を比較して見れば一割或いはそれより若干上廻る程度の開きになるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから次に消費財のほうは、私ども見方では、需要供給関係から見ると、供給が殖えるという見方をしております。例えばそのうちの一つといたしまして、二十九年度農産物、林産物、水産物というような関係を見ますと、特に農産物等におきましては、二十八年度供給に対して相当上廻り、二十八年度が凶作であつたという関係から考えまして、恐らく二十八年度は、戦前に比較いたしまして九七・九というような推計指数が出て参るのであります。これに対しまして二十九年度は、一一一という程度になつて、平年作と仮定いたしまして、そうすると、このほうで年度間を通ずれば一三・一%の供給の増加になる。その他水産物等についても、或る程度二十八年度よりは、二十九年度のほうが増加するのではなかろうか。そういたしますると、申すまでもございませんが、国民生活に一番密接な関係のある指標としてCPIをとつて見ましても、CPIの中で食品の費用のウエイトが相当高いのでありますから、こういう関係でやはり消費財としては、供給がそういうふうに増加すれば、自然価格は下る。併しながらその下り方は、生産財に比ぶれば、その下り方は、生産財よりは下り方が少いであろう。これはいろいろの見方もございましようが、大体四%前後ではなかろうか、こういうふうに見ておるわけでございまして、それで只今の御質疑の点のお答えでございますが、個々の物価について公定価格制度をとるとか、その他具体的な個々別々の商品について、物価引下げのための行政上の措置ということは、全然考えてないわけでございます。今申しましたような基本的ないろいろの要素が、私ども見通し通りに動いて参りますような措置を早急にとつて行きたい。勿論これは、例えば生産財にいたしましても、石炭でありますとか、鉄鋼でありますとか、それらの部面については、他方におきまして合理化方策、或いはそれに対する財政投融資の問題、或いは税制の問題というようなことがいろいろあるわけでございます。こういう具体的な各物資別々についての対策は勿論並行してやりますが、全体として、こういうふうな見通しが的確に行われるような措置をとつて参りたい、こういう考え方でございます。
  8. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今のお話を伺いますと、いろいろ含みはあると思いはいたしますが、大体において供給過剰になり、有効需要は減少する、これによつて物価引下げを誘致するのだというお話のように聞くのでありますが、そこにおいて経済界に大きな混乱が起きて来ると思うのでありまして、その混乱を如何に未然に防ぐか、又混乱が出て来たときにこれをどういうふうにして措置するかという問題になつて来ると思いますが、その辺についてどういうお考えを持つておられましようか。
  9. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その経済界に対する影響の問題でございますが、これは端的に申しまして、例えば中小企業というような非常に経済界の変動に対して弱い立場にあるものにつきましては、いろいろの方法でその弊害の衝撃を緩和して行かなければならない。この点についてはあとで又申上げる機会もあろうかと思うのでありますが、ただ全体として見ますると、例えば各基幹産業について申しますと、例えば電力の例をとつて見ましても、五百十万キロワツトの五カ年計画新規開発ということについては、勿論投資を期待したような資金計画はできませんにしても、大体財政投融資計画におきましても、何とか辻褄を合わした五カ年計画基本は変えたくない。この筋は通したいと考えておりますし、それから石炭で申しましても、これは総合燃料対策として非常に重大な問題でございまして、殊に重油との関係等について、今いろいろ頭を悩ましておりますが、石炭の、要するに需給関係を安定させるということを一つ基礎において、その線に沿うような合理化対策を進めて参りたい。それから従つて需給が安定して、仮に、まだ数字的にはつきりと申上げる段階にないのでありますが、例えば四千数百万トン生産ということを目標としてはつきり立てられるということでございますれば、その線に沿つた具体的な対策が行われて行く。それから造船で言えば十七万総トンというものは少いかも知れませんが、とにかくやはりできるだけ早い機会に百二十万総トンの船を造りたいという基本計画は残して行きたい。これらの二つの例を取上げて行きましても、私は企業の面に対してそう急激に非常な不況が起るというふうには考えられないと思うのであります。要は特定の計画を進めて行くについての使うべき資金の効率をよくして行くために、或いは企業の内容を堅実な基礎におくということのために、相当の苦しさは出て来ると思いますが、そこは一つ忍耐努力創意工夫の発揚ということで、これは政府業界とが一体となつて参りますれば、私はそんなに大変な不況が急激に起つて来るというようには考えられないわけであります。  それから一方観点を変えて、例えば賃金等を見て参りましても、私は賃金水準は、例えば多少業界不況になるというよりは、むしろ経営が健全化するというような点において、端的な例を申しますければ、二十九年度下半期等に入つて、例えばボーナス等とかそういつたような手当が多少減るようなことがありましようけれども賃金全体の水準から見れば、三%くらいは、この予算を遂行しても上るのではないか。雇用の減にしても、私はそう大したことはないのではなかろうか。それに対しては失業対策なり、社会保障費なりでカバーができる面も相当ございますし、いろいろの状態から考えて、非常な不況になるのだというようには考えない。又角を矯めて牛を殺すようなことになつては無意味であるというようなことを施策の根本の心がまえとして考えてやつて参りたいと考えております。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 豊田君に御注意申上げますが、その御質問だけで本日は一つ……。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それじや、もう一つ、この辺でしわ寄せになる中小企業関係についていろいろ伺いたいのでありますけれども、それは今時間もないようでありますから別の機会に又伺うことにいたしまして、輸出貿易関係でありますが、輸出振興が今回非常にやかましく言われておるのでありまして、これについてよほどしつかりした画期的な措置が必要だろうと思うのでありますが、今度の予算の何を見ましても僅かに三億二千九百万円くらいの貿易振興対策費でありまして、食糧増産対策費三百六十億に比べればその一%にもならんというような状態であります。こういうことで一体本格的な輸出振興が図れるかどうかという根本的な問題があると思うのでありますが、同時に通産省全体の経費を見ましても僅かに六十六億くらいのものでありまして、予算説明書重要経費一覧表の中へは全然入つておらん、雑件として通産省一つまとめて入つているというようなわけでありまして、中小企業金融公庫の出資を除けば全然通産行政関係重要経費の中に入つておらんという状態では、私は輸出振興を基盤にする通産行政の推進ということは非常に困難だと思うのです。この際通産大臣愛知さん、新任せられまして従来の通産行政のあり方、行き方というものを予算の上においてここで画期的な行き方に変えて行く必要があると思うのでありますが、この点について強い御意見をお持ちだと思いますけれども、卒直に一つ今後の通産行政予算、特に輸出振興対策費について御意見を承わりたい。
  12. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはもう誠に御尤もな御意見でありまして、どうもそういうことを申すのは余り率直過ぎるかも知れませんが、私もこういうお役をお引受することになるのであればせめていまひと月早く任命して頂きたかつたと思うくらいでありますが、只今指摘通り他の部門に比べて一般会計上の、いわゆる商工関係、特に輸出関係等については非常に予算が微々たるものでありますことは私も非常に遺憾と考えておるのであります。それからこれはひとり直接に輸出振興の問題だけでなくて、私は例えば石油の採掘の問題にしても、或いは又合成繊維の問題にいたしましても、根本国際収支改善ということである限りは、国内資源の培養が必要だと思う。むしろ通産行政としては、端的に輸出振興費というものを必要とする面も勿論ございますが、同時に国内資源開発ということについては、到底これはコマーシヤルベースでは考えられないものが相当多いのでございまして、そういう点に今後力を入れて参りたいと思つておる次第でございます。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それでは又の機会にいたしまして私はこれで終ります。
  14. 加藤正人

    加藤正人君 時間が余りないようですから今日は例を破りまして、質疑応答交互にやることをやめまして、私が申上げたいことをずつと一応申上げます。今豊田委員がおつしやつたように、輸出に対して非常に努力をしなくちやならん国情であることはもう明らかでありまして、私はここ数国会亘つてこれを叫んでおりましたが、漸く今日政府の施策がこういう方面に重点が置かれるようになつたことは結構だと思いますが、非常に行当つて初めてここに努力をされるというような多少傾向があることを遺憾とするのであります。とにかく今も大臣がおつしやつた通り甚だ輸出振興対策に対する経費ども満足ではないのでありますが、併しまあ一兆億予算で行くという建前の上から言つてこれは不満足ながら止むを得んと思うのでありますが、併し日本はこれで店仕舞いをするのではなくて、要するに伸びんがために一時縮まるということであれば今後の施策もその線に沿つて行かなければならんと思うのであります。私は一兆億で予算を抑えたということを非常に呼号をされておりますが、これはワンマンの力を以て抑えつければそこまで行くんでしようけれども、併し大事なことは、このあとに残されている国民経済を今後運営して行くということになければならん。要するにただすべてを抑えて行くということだけではいかん。特に又こういう緊縮予算というものは一年だけでは効果が挙らん。少くとも数年続いてこの緊縮療法を、要するに断食療法のようなものである、この太り過ぎを、贅肉を落して行くということは数年間続けなければならん。然るにそれにはそのような対策を、一方に講じないで行つたならば、例えば六割がたも企業がその収益に対する税金を巻き上げられてしまうというようなことでは、数年間緊縮予算をしてあとに残る企業は幾つあるというような結果になることを憂えるのであります。従つてやり方についてももう一兆億の予算に抑えてあるんですから、無論窮屈でありますが、窮屈のうちにも私は積極面がおのずからなければならんと私は思うのであります。要するにこのことは国内物価を下げて国際水準に鞘寄せるということが最後の目的である以上において、今回の予算の内容を見ますと、企業合理化して生産コストを安くするという面の投資ども非常に削られているようでありますが、又この間総理一行が大阪へ来られたときも私は質問したのでありますが、輸出入銀行に対する政府の当初の方針であつた二十億の政府投資も削つてしまつた、そのことは当時自由党の政調会長の池田君からの話では、二百二十億の回収金その他で賄つて行く、それで一概に金が要らんから二十億を削つたんだということでありましたが、昨今の新聞を見ますと、もうすでに輸出入銀行の金融で非常に困る、というのがプラント輸出が非常に盛んに行われるようになつた、これは実に国家にとつて非常に嬉しいことであります。而も今日のような金融状態では所要の資金の三分の一も賄えない、四、五千万ドルより賄えないというようなことであるようであります。こういうようなことは私は甚だ輸出によつて経済自立を図つて行かなければならん我が国の政策としてはどうかと思うのであります。こういう点についても私は今後通産行政のほうにおいて、大いに何とかこの輸出入銀行のプラント輸出に対する金融措置について特に何とか至急に方途を講じて頂きたいと思うのであります。  もう一つ承わりたいのは、今も物価お話がありましたが、それに関連してこの外貨予算の建て方でありますが、これはどうしても一兆億の国家予算に対しても、これと均衡を得るために相当抑えて行かなくちやならんということはこれは基本的の考えでありますが、その基本的の考えの中にもやはりさつき申上げましたように抑揚をつけて、早急な緊縮は大いにこれは考えてやつてもらわなければならんと思います。例えば原材料の輸入を抑えるというために外貨の割当を急激に減らすというようなことになると、そこにやはり市場の輸入の思惑が起つたり、又国内需要を抑えるためにこれに対する原材料の外貨予算を抑えるというようなことになりますと、国内向けの生産量だけ生産が減じるということになると、輸出品だけでは非常にコストが高くなる、こういう意味において国内物価を下げようと思つて国内物価が下らんというような現象が起つて参りますので、とにかく緊縮予算ではあるが、そのやり方にも急激な変更のないように抑揚をつけて行くということが非常に大事ではないかと思うのであります。この点についても綿花その他の原材料に対する外貨予算については特に慎重な考慮を払つて頂きたいと思います。更に今お話のありました重油の輸入並びに配給の問題でありますが、この中に大臣の施策の大綱の後段に「新規需要に対する重油転換を抑制し」ということでありますが、新規の需要を抑えるというのであつて、従来から石炭高のために止むを得ず工場の燃料に対する設備を変えて重油向きにした、それがために莫大の費用を各企業が使つておるという向きに対しても、こういう事情の変化に対応するために急激に重油供給を断つというようなことはなさらんようにして頂きませんと、非常にこの点について企業が困難をすると思うのであります。この点は特に要望いたしておきます。  最後に伺いたいのでありますが、通産省施策の大綱の三頁目に「米国の新政策により漸次減少するかとも思われる、」特需でありますが、「特需収入も、朝鮮休戦並びに米国の新政策により」、この米国の新政策ということは恐らくランドール委員会の報告などに基く米国の保護貿易政策その他をここに意味しているものと私はとるのであります。それならば単に特需の収入というような細かい点ばかりでなくこれは世界経済に影響を及ぼす問題だろうと思います。これが各国の輸出対策にもう強く現われて来るでありましようし、それに対してこれから貿易で立つて行こうという日本に対しては非常にこれがこのランドール報告の動きというものが反映するかと思うのであります。然るにこれを特需の方面だけにお考えになるようではこれは困ると思うのでありまして、この新政策の大きな影響が日本全体の経済にどう響くかという点について大臣の大きな御意見がなければならんと思う。この点を伺いたい。これは余り時間をとりますからこの辺で……。
  15. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず第一の一兆億予算を作つて、これが国民経済に対して非常に急激な衝撃になるのではなかろうかというような趣旨の御意見でございますが、この点は只今豊田委員の御質問にもお答えいたしましたように、この一兆予算というものは、財政の規模と申しますか、そのほうから申しますと大体物価引下げて国際競争に立向つて行く基盤を養成するというために、国民経済の姿がどうなるであろうかということから考えまして、大体先ほど申しましたようなところから二十九年度国民所得が五兆九千八百億前後になるであろう、そういう姿になれば私どもの総合的に考えておりまする構図というものが一応バランスがとれるというところから考えまして財政の規模を作りましたような次第で、この一兆円予算と、それから総合的にこういう姿にしたいのだという考え方とは裏腹になつているような次第でございまして、ただこれをいろいろの面で政策を動かして参りますためには、どうしても先ほど申しましたように、角を矯めて牛を殺さないようにという配慮が必要であると考えるわけでございます。  それから輸出入銀行の問題でございますが、これは過去二年間に亘りまして、予算の上でもしばしば問題になり、又参議院におきましても前国会においては輸出入銀行を減資してでもいいから中小企業のほうに向けるべきではないかという御意見も相当あつたくらいでございまして、政府としてこの輸出入銀行が大いに活躍してくれるような事態を非常に望んでおつたにかかわらず実際の実績というものは伸びなかつた。それで今貸出の残高がもう微々たるものでありますので、財政緊縮の折柄かねてのそういう御意見もあつたので輸出入銀行の増資はこの際取りやめることにいたしたのであります。ところがそれと時期を同じういたしまして、誠に皮肉なことでありますが、非常に現在情勢がよくなつて参りまして、只今指摘通りでございまして、東南アジア方面その他に対するプラント輸出も、具体的な見込が一億ドル乃至一億二千万ドルというような額に見通されて参りました。今度こそはプラント輸出がいよいよ本格的になつてつて来たように見受けるのでありますが、そうなりますと、まさに御指摘通りでございまして、輸出入銀行の現在の資金繰りは非常に窮屈なものになつてしまつた。これに対しては現在いろいろのこれを補完する方法考えているのでございますが、プラント輸出が折角商談なり契約ができるようになつたにかかわらず、輸出入銀行の金がないためにこれを見送るということの事態を起さないように、場合によりましては法律の改正というような問題もあろうかとも思いまするが、できるだけの措置考えて参りたいと思つている次第でございます。  それからその次の外貨予算の建て方の問題でございますが、これは全く御意見通りでございます。先ず第一に、やはり輸出を伸ばすと申しましても、或いは国内産業を先ほど申しましたような規模で動かして参るにいたしましても、原材料の輸入ということはどうしても必要でございます。それからここで余り公式論を振り廻しまして輸入を抑制するのだということで参りますれば、却つて思惑を起し物価が高くなるということが当然起つて参ります。そういうような関係から私は少くとも非常にドラステイツクな外貨予算の編成替えというようなことをこの際としては考えるべきではないと思つておるのであります。抑揚をつけるということも尤もと思いますし、それから総体の額におきましても、御承知のように前回御説明いたしましたものの中に挙げておりまする二十一億ドル余りの輸入の見込も、内容を分析いたしまするならば、二十八年度では食糧の緊急輸入が一億何千万ドルかございまして、今までの二十八年度の実績に比べれば二十九年度の一応輸入見込をいたしておりまするものはそれより少からざる程度に大体考えられておるくらいのものでありまして、この点は十分その御趣旨のように今後運営して参りたいと思うのであります。ただこれも先般参議院の本会議で苫米地さんから御指摘があつたと思うのでありますが、外貨予算の編成なり運用が士族の商法であつてはいけない。これはもう我々の全く同感するところでありまして、従つて或る場合におきましては画一的に各物資別の、各期間割の詳細な予算というものを公表するというようなことが却つて内外に対して影響が悪い点もあるのではなかろうか。計画性が必要であることは勿論でありますが、更に適時適切に士族の商法でないように全体の目標が貫徹されるような十分な考慮が必要ではなかろうかと思うのであります。只今のところはまだ、私見でございますが、外貨予算の編成については大きく政府部内におきましても、少くとも閣議のレベルにおきまして十分根本的な意見を闘わしてもらう。同時に、この具体的な運用や予算の編成の方針等につきましては相当改善を事務的にも加える必要があるのではなかろうかと、こういうように考えておるのでありまして、要は、只今指摘通り抑揚をつけるということにつきまして全然御同感であります。その趣旨に従つて善処して参りたいと考えるのであります。  それから重油につきましては、これも先ほどちよつと申上げたのでありますが、これはいずれ又十分の時間を頂戴して十分この御審議をお願いしたいと思いますが、従来或いは重油を転換する、或いは石炭に転換するという政府の施策がかなり変つておりましたことは率直に認めざるを得ないと思うのであります。私は従つてこれからのやり方といたしましては、抽象論の程度でございますが、石炭のほうでも引続きコストの引下げということに御協力を願う。併しながら、政府としてはその需給を安定するということについて需要者側の御協力も願つて石炭業界の向うべき途というものをはつきり立てなければならないと思うのであります。同時に重油については、重油でなければならないものが一つ勿論ございます。それから従来の政策から言つて、これに対して沿革から言い、又その努力から言い、実績等から申しまして、重油でなければ困るというようなものもその次にあろうかと思います。それからの点を併せて石炭石油及びこれの需要の立場にあるかたがたの御意見、これを総合調整いたしまして、その結果を外貨のほうに反映するようにいたしたい、こういうふうに、これは極めて抽象論でございますが、気持だけを取りあえず申上げますと、そういうような気持で今考えておるわけでございます。  それからその次のランドール委員会の報告でございますが、これは只今指摘通り、私も非常にこれは重大視しているわけでございまして、いろいろあの報告が出ますまでの委員会内部における意見ども更に詳細に研究をして見たいと思つております。少くともあの委員会の報告に現われておりますところは日本経済にとつていい面もあるように思われますが、相当重大な面もあることは御指摘通りでございます。これは単なる一例でございますが、輸出入計画を作ります場合でも、実は対米、いわゆるドルに対する輸出を割合控え目に見ておりまして、むしろ昨年度より今年度見通しのほうを多少内輪に見ておるというようなこともその一つの現われでございまして、今後のいわゆる特需にいたしましても、コマーシヤル・ベースでやるというような筋に対しましても、これはあえて輸出に限らず、特需をとるというようなことにいたしましても相当な努力がますます加重されて来るような感じがいたします。この点につきましては研究を進めると同時に、並行的にその対策というものを更に深刻に考えて行かなければならないと考えておるような次第でございます。
  16. 加藤正人

    加藤正人君 大体において満足すべき御回答を頂きまして有難うございますが、一言将来のために申上げたいのですが、輸出入銀行に関する問題でありますけれども、これは今大臣のおつしやつたように、前国会の時分に減資案まで討議された。その当時私は緑風会の大蔵委員とも争つたのでありますが、この貿易なんというものはちつとも出んじやないか、こう言うけれども、これはやはり釣のようなもので、潮加減で如何に海に釣の糸を垂れておつても、潮加減が来なければ魚が食い付かん。まき餌をしたり……釣と一緒なんです。だから今輸出入銀行はちつとも金を使えないと言つたつて、いつ使えるようになるかわからんから、それでもう日本は貿易を諦めたのか、諦めたのでなければいつでも魚が来て釣られるような態勢に置かなければならん。然るにこの大事なときに輸出入銀行の減資をするというようなことは馬鹿げたことだと言つて非常に僕は争つた。幸いに沙汰やみになりましたが、かくのごとく危険なんです、やり方が。我々がよほど注意していないと危いことばかりなんです。これについても自由党政調会長の池田氏なんかは、大阪で私は時間がなかつたから議論はしなかつたけれども、まあ今は要らない、殖やす必要はない。もうすでにこの通りなんです。どうも私は心配に堪えないが、今後とも非常に私は愛知さんをこの点信頼しておりますから、御努力を願います。
  17. 中川以良

    委員長中川以良君) それではお打合せを申しました通りに、すでに衆議院予算委員会が始まり、通産大臣に対する質疑が開始をされておりますので、従つて本日の大臣に対する質問は一応これで終ります。大臣の御退席を願うことにいたします。
  18. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう少し大臣に質問したいと思つておるのに時間がないからできないと思いますが、そうすると通産大臣予算大臣ですか。通産大臣でないのですか。この通産委員会が私は非常に大事だと思うが、そうでないのですか。
  19. 中川以良

    委員長中川以良君) 先ほど申しました通りに、本委員会は早くから皆さんに御勉強を願つて大臣には今日は十時前からおいでを願つておる次第であります。
  20. 海野三朗

    ○海野三朗君 併しここに見えたのは十時二十分でございます。
  21. 中川以良

    委員長中川以良君) 皆さん揃わなかつたので暫らく待つていたのでございますが、これからは時間通り一つ質疑の通告を願つて、お一人でも、お二人でも時間を節約する意味において、決して通産委員会を大臣は軽視しておるわけではないと私は考えております。併し委員長としましては、なお一層大臣にはあなたがたの御趣旨を徹底するように申入れをいたしまして、今後ともこの委員会に御精勤を願うようにいたしますから、さように御了承願います。
  22. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は希望を申上げたい。この予算委員会というほうとこの通産委員会というものは、予算委員会のほうが優先であつて、こちらはあとの問題になりますか。私はいつでもそれを不愉快に思うのであります。予算委員会が始まつたから大臣は向うに行かなければならない。通産委員のほうが通産行政に対して最も大事な質問をたくさん持つておる。私はその点について委員長はつきりした御所信を承わりたいと思うのです。私は通産委員会に出ておりますというと何だかあつてもなくてもいいような運営の仕方であつて、いつでも予算委員会のほうが忙しいからと言つて大臣は出て来ない。外務大臣にしてもそうです。或いは大蔵大臣にしても一遍でもこの委員会へ顔を出したことがあるかというのです。馬鹿にするのもほどがあると思うのですが、委員長は如何ようにお考えになつているでしようか。
  23. 中川以良

    委員長中川以良君) 海野君の御不満の点は委員長もやはり不満であります。然るが故に、本国会には殊に愛知大臣に最初から私は申しまして、出席をするようにと、前の岡野大臣はなかなか来ないことが多かつたのでありまするが、まだ二回でございますが、毎回愛知大臣が来ておりますので、この点一つ委員長の苦心もお買いを頂きまして、一層一つ努力をいたしますから……。
  24. 小松正雄

    ○小松正雄君 今の海野委員お話とかねてでありますが、予算委員会が中心になるか、或いは又本委員会が中心になるかということよりも、私どももやはり予算委員会に出ておれば予算委員会の席上で大臣に対して信念も聞かれますけれどもそれに出ていない。そうすればやはり、少くとも本委員会の委員でありまする以上はいろいろなことを率直に、時間は短くても大臣に伺いたい、かように考えるわけであります。ところが劈頭時間が一人十分に制限されてみたりするようなことでは何も意義がないと思う。委員長の御心労を煩わしておることもよくわかるわけでありまするが、先ず次の委員会かその次の委員会か、例えば明後日でありますか、その次の委員会かにはまあ午前中だけでも一つおられるという日を委員長は特に大臣との御折衝を願つてゆつくり一つまあみんなの意見を聞いてもらいたい。そして又率直に端的に大臣もこの委員会に対して重責な気持を持たれて御答弁されるようにお願いをしておきたいと思います。
  25. 中川以良

    委員長中川以良君) 承知いたしました。なお小松委員ちよつと遅れておいでになつたのですが、十分に制限をしたということは、一応一般質問を広く皆様がたから御質問を願う、最初だけは十分に切上げて、あとゆつくり何回でも御質問を願うことにしよう、こういう意味のお打合せをしてきめたのですからどうぞ……。
  26. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで十分といつても三十分もかかるし、途中で区切つて、時間を過ぎたじやないかということは同僚に対して言えないことです。ですから来られる日にはきつちり午前中でも聞いてもらう。自分も率直に意見を出すという考え方になるように、あとの日には出て来んでもいいから大臣に対する質問日にははつきりおつてもらうというように努力してもらいたい。
  27. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 質問時間を制限せられる、十分とか十五分と言いましても、質問者自身が十五分完全に使うということなら完全に質問できると思う。私も三問しか聞いておらんから、五分ずつ恐らくやつた程度だと思う。大臣の答弁が懇切を極めているから時間がかかるので、質問者に責任を負わせられても困る。結局は通産大臣である以上は通産委員会本位にやつてもらうようにするということは、これは委員会の総意だと思う。どちらかというと、私は、ほかの委員会は知りませんけれども通産委員会は必ずしも活溌ではないと思うので、私どもは職責上通産委員会のためにしつかりしなければならんという気持があるわけですからここらで一つ勉強せられる、通産大臣も新任になつたのですから、少し通産大臣通産委員会に釘付けする案を具体的にお考え願いたい。それに適当なる日を選ぶということなら委員のほうが繰合してその日に出て来る、場合によれば五時からやつたつて六時からやつたつていいのですから、しつかり私はやる必要があると思います。そうでなければ常任委員会設置の意味がないということで、国会法改正の問題にもなつて来ると思う。
  28. 加藤正人

    加藤正人君 今の豊田君のお話その通りでありますが、質問していてその答弁は簡単でいいということもおかしい言い方ですけれども質問者がどういう点を知りたいのかという、そこを重点として答弁をして頂いて、それから親切に、これは悪い意味じやないのです、親切にそれからそれへと例を挙げたりされるということは、時間のあるときはいいけれども、こういうときはちよつと省いて頂いてもいいのではないかと思うのです。そうすると全体に時間ができる。
  29. 中川以良

    委員長中川以良君) 通産大臣が極めて懇切丁寧な答弁をしておりますの………。
  30. 加藤正人

    加藤正人君 だからそれをとやかく言うのは何だけれども、時間がないのだから重点に対して答えをしてもらう、なお足りなければこつちでも聞く、こういうことです。
  31. 中川以良

    委員長中川以良君) 古池政務次官もおいでですからよろしくお願いいたします。
  32. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ委員長にお願いしておくことがありますが、率直に見てこの委員会というものはあつてもなくてもいいという見方をされておるところもあるのです。例えば貿易についてはあの外務大臣を呼んでくれと私は再々頼んでもとうとうここに顔を出していない。大蔵大臣も然り。それで私は、この通産のほうはこの委員会に通産大臣が出て来ることはもう当然であるが、必要があれば大蔵大臣でも又外務大臣でも出て来なければならないのじやないか、それを恐らく委員長は非常な御努力をしておられるようにもかかわらず、通産委員会というものを軽視しておると私は思う。委員長会で軽視されておるのではないか、私はそういう点に対しては限りなく不満を覚えておるのであります。どうかできるだけ委員長、私もあと押しするから、只今申上げたことは是非実現させて頂くように一つお願いをしておきます。
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) 承知いたしました。但し申上げますが、通産委員会は決して軽視されておりませんから御安心下さい。大いにやります。
  34. 藤田進

    ○藤田進君 大いにやると言いましても、委員長自身もむずかしいと思うので、各種委員会同じようなことを言つていたんでは大臣も体は一つなんだから、無論勉強してもらうことは必須条件だが、各会派でも申合せをして、予算委員会ではただ単に坐つておられるくらいだつたら大体質問が始まるときに行かれるとか、今豊田さんも言われたように、具体的に相談して見ないと、単にこのままで努力するというくらいでは駄目で、そういう仕組を考えなければいけないのではないかと思います。過去にも無論例があると思います。それで一つ有効にいわゆる効率を挙げるように、質問されるかたは私どももそうですが、私どもは十五分、十分とか切られても、答弁次第によつてはここで切られたくない、もつと明らかに質したいと思つても、同僚も待つていると思えばついやめざるを得ない、中途半端になる。ですから要は時間が足りないのです。ですから一つそういう仕組を考えて見たらどうかと思います。
  35. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  36. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  一つ質疑を続行して頂きます。
  37. 海野三朗

    ○海野三朗君 通産大臣はこの石油のことに言及して、大いに力を入れたようなことをこの間述べておりましたが、一億三千万円の、資源対策の項を見ますというと、石油試掘等補助金一億三千万円と、こうありますが、四倍ほどになつておるのだといとことを述べておつたのであります。併しこの石油につきましては年々輸入をしておる石油に対しまして税金をかけることになつてつたと思うのでありますが、どうもかかつていないように聞き及んでおるのであります。そういうところに税金をかけましたならば、そういうところから財源が出て来る、それをこの方面に廻せばもつと金が余計になる、こういうふうに思うのであります。そうして而もこの帝石がモノポライズしてやつておる、いわゆる国策の線に沿つておる会社であることは皆さん御承知通りでありますが、それに補助をやつておりながら、四割の配当をしたり、二割の配当をしたり、実に私どもは納得が行かないのであります。それを政府当局としては、通産当局としてはその監督の任に当らなければならないと思うのでありますが、その配当の件や又は補助金の問題、それから石油の輸入に対しての税金、その辺をはつきり伺いたいと思うのであります。先ずこれが第一。  それから鉄鋼、石炭、電力、これらはすべて重要な産業でありますが、最近このうちの一端、国内の屑鉄の価格について協定した価格が破れた。それは国内の屑鉄は輸出しようにも何もないのだから幾らでも叩けば叩かれるというものでありましようけれども、そのバランスが破れて、昨今非常な乱脈の状態になつております。そうするとその結果はどうなるかというと、大きな会社が小さな会社を潰すだけに、いわゆる大企業がこの主導権を握つてしまうということになつて、産業の発達上甚だ面白くないのじやないか、この件に対してはどういうふうに考えておられるか、公取のほうとしてもどういうような考えでおられるのか、その点をお伺いしたいのであります。先ずその二点についてお伺いいたしたいと思います。
  38. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 石油の問題につきましてお答えいたします。石油の輸入につきましては輸入関税をかけることになつておりまして、それが本年三月まで延期になつております。これはいろいろな事情がありまして、関税をかけますというと、結局販売価格が上りまして、それが一般需要者に対しましてまあいろいろ迷惑がかかるというようなことで、今日までかかつていないと思うのであります。現在のままに放置しますというと、来年以降になりますれば、これはかかるということに相成るわけでありますが、現在この問題は大蔵省の所管でありまして、大蔵省のほうでいろいろ検討をいたしております。この関税の問題につきましては、或る程度これはかけてもよいのじやないかというような気持を私どもは持つておりますが、併しその金によりまして石油開発のほうに相当予算をつけてもらえば誠に結構だと思つておりますけれども、まあいろいろ現在大蔵省の内部で関税をかける問題につきましては検討されておるようであります。これは大蔵省のほうから御答弁つたほうがよくはないかと思います。  それから現在帝石は、これは政府が株を或る程度つておりますけれども、純然たる民間会社でありまして、今おつしやいましたような配当につきまして、過去において四割くらいの配当をしましたことは事実であります。又極く最近におきましては二割の配当をいたしておりますが、四割配当に対しましては我々としましてもこれは甚だ遺憾な配当ではないかというふうに考えております。ただ現在まで余り助成金を出しておりませんので、私どものほうとしましてもそう突込んで干渉することはできなかつた状態にあるわけでありますが、今回一億三千万円という予算がつきまして、それを相当帝石のほうに廻すということに相成りますれば、私どものほうとしましても何とかしてそういう配当の問題とかその他経理関係等につきまして私どものほうとしましては或る程度干渉と申しますか、規制をいたしたいというふうに考えておりまして、これは現在それに関しまする法律を研究中でありまして、不日この委員会に提出したいと考えておる次第であります。そういうようなことによりまして経理監査とか或いは試掘の命令とか、そういうような措置をとりまして、帝石の内部を規制したいというふうに考えております。  なお屑鉄の問題につきましては私の所管ではありません。
  39. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今海野さんから御質問がございましたが、鉄鋼の関係につきましては今所管の局長を呼びにやつておりますので暫らく御猶予を願いたいと思います。  それから前回の委員会のお話で、本日は大体石炭石油を中心にした燃料問題を中心に御説明申上げるということになつておりました関係上、只今鉱山局長石炭局長も参つておるのであります。それから更にお手許へ若干の資料もお配り申上げておりまするので、若しお差支えなければこれらの資料につきまして若干の御説明をいたしたら如何かと存ずる次第であります。  それからなお燃料対策について一言申上げますが、先ほども愛知大臣からその点に解れてお話を申上げたのでありまするが、この石炭石油を中心にする燃料の総合的な対策というものは現在の我が国の段階で極めて重要性を持つておると存じます。これは石炭業界石油業界のみならず、これを消費するほうの側の産業にとりましても、或いは又国民生活その他につきましても極めて重要なる影響を持つ問題でありまするので、この点は慎重に是非御審議をお願いいたしたいと考えます。なお当省といたしましては産業合理化審議会の中にエネルギー部会を特に設けまして、我が国の今後の燃料総合対策を如何にすべきかという問題について真剣に御審議を願つておるような次第であります。それでまだその結論は出ておりませんのでここに申上げる段階にはなつておりませんが、現状その他につきましては只今お配りしました資料につきまして若干のお説明を申上げたいと考えるのでありまするが、よろしうございましようか……それではそういうふうにいたします。
  40. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今石油の関税の問題については大蔵当局というお話がございましたから、この次にはその大蔵省からその担当者を呼んで頂いて、何故に関税をかけないで石油のほうを今までやつていたのかというところの説明をお伺いしたいと思いますから、それをお願いしておきます。
  41. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) お手許にお配りしました二十六年度以降出炭実績という五枚ほど刷つたのがございますが、これから御説明申上げます。御説明の順序として、理解を願うのに終りから二枚目から御説明申上げたほうがよかろうかと思いますので、お開きを願いたいと思います。これはこの前申上げましたが、終戦直後の非常な減産と申しますか、混乱のために生じた減産から政府がいろいろな手を打ちまして増産態勢に向つて昭和二十四年以降からの出炭と貯炭と輸入炭、それから労働者の数、能率というのを一覧表にいたしたものでございます。一番左の上の欄で、これが出炭の計画と実績でございます。二十四年におきましては三千七百九十七万トンほど出ておりまして、逐年増産になつております。二十七年度におきましては丁度真中からちよつと下のほうにおりますが、四千三百七十四万トン、これは計画が四千九百万トンでありますが、秋に行われました長期のストによつて五百万トンほどの減産を来たしております。若しそれがなければ大体計画通りの出炭は行われたということでございます。昭和二十八年度に入りまして、四月以降の出炭の状況を御覧願いますと、四月、五月、六月、七月あたりまでは大体計画と出炭とはそう大きな開きがございません。四月、五月は逆に計画に対して相当の増産をいたしているのであります。それでこの四月に四百二十七万トン出ておりますが、四月に四百二十七万トン出るという態勢は、年間にいたしますと大体五千百万トンから二百万トン程度の出炭規模ということになるわけであります。ところが需要のほうかこれに伴いませんので、これは荷渡しのほうがかなり減少になつておりまして、非常に出炭過剰の傾向になつてつたのであります。そこで八月、九月あたりから各企業とも減産の態勢に入りまして、需給の調整と申しますが、全然売れない石炭を掘るわけには参りませんので、そういう努力をして参りました結果、数量的には生産が大分減つております。  それから真中ほどのところに送炭というのがございます。これが掘りました石炭の荷渡しの数量でございます。これを御覧頂きますと、本年度に入りましてかなり送炭が減少しておる。四、五、六、七月頃は生産よりも遥かに送炭のほうが少いということがおわかりになると思います。  それで次に貯炭の状況でありますが、出炭に対して送炭が著しく減少をして、それだけ結局貯炭の形で残るわけであります。この貯炭の欄で二十四年の一番上の欄の計のところでございますが、ここに四百七十三万九千トンというのがございます。これは非常に大きな数字でございますが、丁度石炭統制が外れた直後でございましてこのうちの大部分はそれまで配炭公団の持つてつた石炭でございます。従つて企業者自体の負担になる数量はこのうち八十万トン足らずでございます。その後この貯炭も大分はけて参りましたが、本年度に入りまして七月が一番貯炭の嵩んだときでございます。二十八年の七月という欄を御覧願いますと、四百二十七万トンという大きな数字になつております。大体この貯炭と申しますのはここに坑所、積出港、市場とございますが、平常貯炭と申します場合にはこれだけを指しているのであります。このほかに大口工場、小口工場の手持というのが三百二三十万トンから三百六十万トンというのがございますので、全国的に申しますとここに掲げてある数字と大口、小口工場の手持数字を合せたものが実際の貯炭ということになるわけであります。  その次の欄は輸入炭の欄でございますが、これは昭和二十五年には八十二万トンほど輸入し、二十六年には二百万トン、二十七年度におきましてはこの真中の欄、四百万トンということになつております。この四百万トンの中には二十七年の秋に行われましたストに対して緊急輸入九十七万何千トンかをやつております。それが含まれて四百万トンという数字になつているわけでございます。  それから労働者の数でございますが、これは昨年夏から秋にかけて生産規模を落すという関係で、実際に競争に立ち行かない炭鉱は、相当数企業の中止を止むを得ずした。それから大手におきましても、生産コストの高い大口を放棄するというようなために、相当数の労働者の整理をいたしました。そこで四月に三十六万ほどの労働者がおりましたが、十月には三十一万七千というふうに減りました。十一月、十二月に若干季節的な関係で労働者が殖えております。  それから能率の欄でございますが、これは最近の能率は大分向上はいたしております。併しながら戦前の非常に能率のよかつた時代から見ますると、かなりまあこれに到達するには遠いという実情であります。  それから一番最後の表を御覧願いまして、これは石炭の販売価格がどういうふうな状況になつているかということを、極く最近の状況だけを取上げて掲げたものでございます。二十七年の十月—十二月、それから二十八年については一月—三月、四月—六月、七月—九月、十月—十二月に分けておりますが、二十八年の一月—三月頃までは大体価格そのものに大きな変更はなかつたのであります。本年度の四月—六月から以降はそれ以前に比べて各炭種とも約五、六百円の値下りをしておる。これは横浜のCIF価格でありまして、山元の送炭原価といたしますと、これから運賃を差引くことになります。それから右のほうに細かな数字が註として出ておりますが、ここに掲げましたのは国鉄向けの坑所の価格がどのくらいかということを掲げたのでありますが、そのほかに相当の貯炭を持ち、その貯炭が金融の対象になかなかなりにくいというようなために、原価を割つても売らなくちやならんというような状況に追込まれまして、スポツトものとしては非常に安い価格で販売せざるを得ないということを示しておるのであります。このスポツトものは勿論大口契約におきましても行われておるのでありまして、契約外の数量、契約を超過した数量がスポツトものとして納められておるということでございます。以上大要でございまして、あとの一枚目の表は二十六年度以降の出炭の実績を期別とそれから炭種別に分けた数量でございます。先ほど最初に御説明申上げました生産実績表の数字と第一枚目の数字と若干狂いがございますが、それは暦年と年度と計算が少し違つておる関係でございます。月そのものを合せれば変りがない結果になるのであります。  それから第二枚目でありますが、二十六年度以降の産業別の石炭荷渡実績、これは先ほど申しました荷渡し業種別にどういう部面に向いたかということを掲げた数字でございます。それから第三枚目は二十六年度、二十七年度、二十八年度亘つての炭種別の貯炭の状況を掲げた数字でございます。  以上簡単でございますが、石炭関係の炭種別の資料の御説明を終ります。
  42. 小林英三

    ○小林英三君 スポツトものというのは何ですか。
  43. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) これは一定期間の契約なしに、何といいますか、そのときどきの契約でございます。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 二頁のところの数字に印がついているのは……。
  45. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 下に註がございますが、これは輸入炭で、ございまして、この外数になつております。外国から輸入した石炭
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 そうすると両方加えれば全体ですね。
  47. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) さようでございます。
  48. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今朝急に石油関係の資料に訂正の所がありますのでその関係から資料がまだ届いておりません。もうすぐ参ると思いますが、甚だ恐縮ですけれども最近の石油需給関係を簡単に御説明申上げたいと思います。あとで資料が参りますから……。
  49. 小林英三

    ○小林英三君 資料が来てからでいいじやないですか、そうしないと資料なしでやつてもらつてもしようがない。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) そうしましよう。
  51. 古池信三

    政府委員(古池信三君) それでは先ほど海野委員からお尋ねのありました鉄鋼関係につきまして只今重工業局長が出席いたしましたので、局長から御答弁いたします。
  52. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 御承知のように昨年の法律改正によりまして、一部の値段につきまして合理化カルテルを認めるという法律改正が行われたことは御承知通りであります。その線に沿いまして鉄鋼業者のほうから、公取に昨年秋頃まあ協定の申請を行なつてつた。公取では問題は勿論ございますし、いろいろと詳細な検討が加えられてまだ結論に到達いたしておりません。私どもの聞いておりまする大筋を申上げますと、まあ鉄鋼業者のほうにしてみれば市価は、国際的な動きとも関連しまして、漸次低下の傾向にございますが、御承知のように昨年の春、夏頃はえらい暴騰しまして二万数千円にまでなつたのでありますが、秋頃には一万五千五百円、それくらいまで一応下つておるのであります。国際的に見ましても、世界的な鉄鋼の過剰気昧ということから、スクラツプの値段も下り、又日本の大きなスクラツプの供給国として頼みにしておりましたアメリカが暫らく輸出禁止をいたしておまりしたけれども、日本向け輸出を認めるというようなことにも相成りまして、かたがた輸入価格のほうも下つて参りました。輸入価格と申しますと、最近の数字が現地では約三十ドル、CIFになりますと、それが四十八ドルぐらいの値段になつておりますが、大ざつぱに五十ドルと見まして二万八千円でございます。国内物の市中屑の一万五千五百円と、輸入物が高いように見受けますけれども、メリツトと申しますか、品質の格差というものを考えて見れば、ほぼ国内市中暦も輸入屑並みというような現状であります。製鉄業者はそれが逐次下るべきものでもあるし、ただそれが買手の競争によりまして上らないようにというくらいの実は心組みとしては考えておつたようであります。公取のほうではカルテルを作る以上、そのカルテルの運用の基準といいますか、価格目標をどこに置くのだということがはつきりしていないと、協定としておかしいじやないかというような御注文がありまして、まあそれも一応尤もだと思います。例えばそれについて米国の主な市場価格によるというようなことにしたらどうだろうというような意見もあつたわけであります。これは日本の競争国からそういう値段で取得しておるならば、日本もそういう価格を一つの目標とするということについては格別間違つた方向じやないのでありますが、ただ現実問題として考えますと、先ほどちよつと申しましたように、輸入物は日本に着けば一万八千円ぐらいになりますが、現地では三十ドルと言いますと一万円を割るような値段になるわけであります。この屑の回収業者の立場から見ますと、カルテルができてその基準には向うの国内相場によるのだそうなというようなことが集荷業者に不安を与えることになつたようであります。多少供給者でありまするスクラツプ業者はこれでは大変だということで皆集まつて相談もし、鉄屋さんと掛合つたり、或いは反対運動をやろうという、そういう動きが出て参つたりいたしておるわけであります。ところが一方鉄屋さんももともと今申しますようにカルテルは認めてもらつて昔苦い経験をしたような自分たちの買上げ振りで、やたらに値段を上げたというようなことにならんように、折角全体がこう沈静気味な状況であるので、それについて行くぐらいにしか考えなかつたわけで、それ以上ぐつと叩こうというふうに考えておつたわけでもなかつたものですから、スクラツプの供給者側にそう影響を与えるものともまあいわば考えないから、スクラツプ業者のほうに十分の手を打つといいますか、事前の相談をするとかいうようなことなしに申請しておつたという、まあそういう状況であつたわけであります。片方反対運動が出たり、それから公取でもいろいろしち面倒臭く言われるというようなことからぐずぐずしておるというのが現状であります。それに加えまして極く最近になりまして、御承知通り日本の輸入スクラツプはAAで今まで入れておつた、AAになつておりましたものが思惑輸入の関係もございまして、今年の一月八日にストツプいたしたわけであります。役所の事務的な成行きとしまして、それを後始末と申しますか、後始末をどうするかという問題ががたがたいたしまして、つい昨日になつて後始末の数字等がきまつて発表されたというような段取りに来ているわけであります。そういう情勢。それの問題の成行きというものも業界にとつて一つの大きな関心の的であります。かたがた業界はその成行きも見ながらということと、公取との折衝も模様眺めでそのままになつておる。まあ、現状はさようなことに来ておるわけであります。以上がこの問題の最近における経過の概要でございます。
  53. 海野三朗

    ○海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、鉄鋼国策の見地からして、通産省では如何なる手を打たんとしておられるのであるか、それをお伺いしたいのであります。
  54. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私どもこれまでのところ事態の動きをずつと見ておるというだけの話ではあるわけでありますが、この政策的といいますか、ものの筋道というものはどう考えたら適当であろうかということにつきましては、まあ、私どもかように考えるわけであります。長期的に見まして、日本の鉄鋼業というものが国際競争に勝つて行かなければならないという立場から見ますと、その原料価格というものは、やはり国際的なものになるということが一つの要求として出て参るわけであります。その意味からスクラツプ価格というものを考えますと、一番安いイギリスにおきましては、トン十八ドルというような、日本では想像も及ばないような安い値段であります。アメリカで三十ドルというような実情でございます。従いまして、長い目で見ましたならば、日本の鉄鋼原料としての大事なものであるスクラツプの値段というものも、よその競争国から入手している価格で手に入るということが一つの理想型になるものとは考えるわけです。併し同じような問題は国内石炭問題でもあるわけであります。石炭につきましても、国際的に比べて見まして、非常に割高であるというようなことがあるわけであります。鉄鋼業者の国際的な競争力から考え、又日本の経済全体を健全にして行くということから、石炭の値段も願わくば国際的なものになることを期待いたしたいわけであります。併しそれはそうなるには、それだけのいろいろな施策も要るわけでありまして、一概に明日からどうというふうに言えないいろいろな事情もあるわけであります。スクラツプの問題について考えて見ましても、似たような事情があるわけでございまして、それは先ほど申しましたように、現実に輸入の大半というものは市中屑、リターン・スクラツプのほかに買いますものとしては輸入屑よりも市中層でございますが、市中屑の約半分に相当するものを輸入いたしておりまして、その値段というものがこれはまあ日本の国際的な条件として船賃をかけて買つて来なければしようがないという事情もあるわけであります。その又荷扱いに割合に手間取る、手数がかかるのであります。その間の費用が嵩むところなものでありますから、そういう関係で、ともかく輸入物が今一万八千円近くしているという現実というもの、それが輸入物は高いが、国内物は国際並みに安く買い叩くということは一概には供給者の立場から見ますと、納得し得ない問題になるわけであります。又更にもう少し問題を広く考えて見ますと、原料が安くなつた上に立つておりまする製品の価格というものが、最近原料事情もだんだん下つて来ておりますが、そういうものに相応して逐次下つておるという事情も十分ございますれば、又スクラツプの供給者側としても、それに長い姿のあり方というものを考えつ、十分に協力して行くことと思うわけであります。現実が併しながらそこまで十分にそういう条件というものが成熟いたしておりませんので、その過程におきましては、あるべき姿と現実とを見比べつ、若干の時間をかげながら、相互の話合い協力の下に、理想型に持つて行くということより、仕方がないし、又それに実際問題として、最も適当なあり方ではないだろうかと、さように考えておるわけです。それは今売手買手の関係におきまして、多少感情的に動くというものがございますけれども、これはものの筋道というものをだんだんお互いに冷静に考え合えば、おのずから解きほぐれるところもあると考えられるわけです。そういう条件を外からかき乱さないように、私どもとしては、輸入スクラツプにつきまして、AAを再開いたしますと、更に思惑を助長するというような虞れがありますが、AAでありませんけれども、割当制にして輸入壁の必要量というものは確保するという政策によりまして、外からそれをかき乱さないように、役所のほうといたしましては、我々の方面といたしましては、注意をしたい。さようなつもりで割当制ではございますが、事業に悪影響を与えないように運用することによりまして、先ほど申しました国内需給、売手、買手の問題が冷静に処理されて行くという環境を作りたいと、さように考えておるわけであります。
  55. 海野三朗

    ○海野三朗君 合理化カルテルについては如何にお考えになつておるのですか。このスクラツプの合理化カルテルの、つまり国内の値段というものを話合いできめようという形になつたほうがいいのか、事情に応じてどうでも自由なあり方でいいとお考えになつておるのですか、どうなんですか、通産当局としては……。
  56. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この価格を形成します相当部分というものは輸入に依存しているという事情もございまして、この輸入価格というものは、やはり相手の事情により刻々と変つて参るわけであります。自然に流しておきます場合におきましては、輸入価格が或る程度支配的な動きというものがそこにあろうかと考えるわけであります。私ども国内物につきまして、理想は先ほど申しましたが、もつと輸入価格のより低いものということでありますが、暫らくの情勢の問題としては、今のカルテルを作る意図が自分たちのつまらない競争によつてつまらない価格を作るということを排そうというところに主眼があるし、その辺がカルテルにとついてみるフアーストステツプとして妥当じやないかと考えますので、そういたしますと、長い意味の理想型の目標は今すぐに追わないで、差当りの問題としては、輸入スクラツプ価格の成行きというものを見合いまして、国内の買入価格を協定するという線がほどほどじやないかと思います。そういう感じがいたしております。この点は少し理論的に追過ぎる、基準を作れば、というようなお考えもあるのじやないかという感じもあるのでありますが、その辺もよく考えて見たいと思つております。
  57. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたしますが、本日は午前中はこの程度にいたしまして、中小企業金融の問題がありますので、休憩に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。    午後零時十六分休憩    —————・—————    午後一時三十四分開会
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続きこれより委員会を開きます。  本日午後の議題となつておりまするのは、中小企業金融に関する件でございます。御承知のごとく明年度予算がいわゆる緊縮予算でございまして、これらのいわゆる政府緊縮政策のしわ寄せが中小企業にややともすれば大きく寄るという問題が非常に我々案ぜられておりまする次第であります。殊に最近大蔵省の方針といたしまして伝えられるところによりますると、指定預金の引揚げも急速に実施をされるようでございまして、かようになりましたら相当この波紋というものは大きなものがあるかと存じます。そこで本日は当委員会といたしまして中小企業金融に御関係ある金融機関の首脳部のかたがたに御参集を願いましていろいろ御意見を先ず承わりたいと存ずる次第であります。皆様がたには御多用のところをお差繰り賜わりまして本日は御出席を頂き誠に有難う存じました。厚く御礼申上げます。  それでは金融機関のお立場からいたしまして中小企業金融が如何に今日運営されておるか、今後如何なる状態に立至るか、又中小企業金融の窓口から御覧になりましたところの最近の中小企業の実態、今後の動向等につきましての御所見並びにこの際に金融機関としての率直なる政府に対する御要望、或いは国会に対する御意見等を御論じを頂きたいと存ずる次第でございます。
  60. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今のにちよつと関連いたしまして。恐らく各金融機関からは、資金源の枯渇状態の深刻なる最近の様相についていろいろお話があると存じますが、我々それを聞いてこれから政府当局にもいろいろ意見を申出たいと思つておりますけれども、折角参考人が出られて政府側からは誰も見えておらんようでありまして、是非ともこれについては政府側にも恐らく只今申したような深刻なる様相を直接聞いてもらわんと、我々相撲をとりにくいと思いますので、その点委員長お計らいを願いたいと思います。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて下さい。    午後一時三十七分速記中止    —————・—————    午後一時五十一分速記開始
  62. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは速記を始めて下さい。  それでは先ず中小企業金融公庫の坂口総裁よりお願いします。時間は大体十五分くらいで一つお願いいたします。
  63. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 公庫の発足以来の今日までの概況を簡単に申上げまして、これからの資金計画をそのあとで申上げたいと思います。  九月十一日に公庫開設以来、十二月の末までの貸付の申込状況はお手許に表を差上げておきましたこの表で御覧頂きますように、表の一番左の端にあります件数でございますが、これは累計の数字を九月末、十月末、十一月末、十月末とこう書いておるわけであります。これで御覧のように、公庫開設以来十二月末までに公庫の窓口に代理店から送られました書類が三千四百三十件でございまして、その金額が七十五億円余でございます。これに対しまして公庫におきまして貸付の決定をいたしました累計が真中の二本の棒の傍にございますように、件数で申しますと二千六百七十五件、金額で申しますと六十一億円余になつております。この公庫の貸付決定しました件数並びに全額は代理店から受付けました書類に対する割合を一番右の端に書いてございますように、件数で申しますと七八%、金額で申しますと八一%になつております。これは代理店から公庫へ来ました申込の状況でございまするが、下のほうに書いてございまするのは、代理店の窓口で受付ました貸付申込の状況でございまして、これは表の書き方が少し悪いのでございますが、これも公庫開設以来十二月末までに代理店の窓口へ書面で出ました貸付の申込状況をとつたのでありまして、口頭で出ましたもの、その他は一切除きまして書面だけで出ました貸付の累計が件数で申しますと、一番左の端にございますように、一万二千三十一件と、こういう件数でございまして、金額で二百六十四億円に上つております。これに対しまして先ほど申しましたようにそのうち公庫のほうへ参りまして貸付を決定いたしましたのは二千六百七十五件、六十一億円余でございまして、その割合は、代理店の申込を受付けたものに対する貸付けた割合は一番最後にございますように、件数で二二%、金額で二三%、こういうふうな状況になつております。これで見ましても公庫に対しまする資金需要が非常に多いことがわかります。これに対しましてこれから公庫のほうでどれほどの資金源がありまして、どれほど貸付ができますかということにつきましては、次の表を御覧頂きますと、初めにこの一—三月の間第四四半期資金計画と申しますか、この間にどれくらいの資金源があるかと申しますと、最後のところに書いてございますように、五十九億円出し得る金があるわけでございます。そうなりますのは、初めに公庫として一番上にございますように百五十億の出資を受けまして、そのうち二十億は商工中金の貸付に、元からの振替りになるのでございまするが二十億、そうして開発銀行からの買取りました債権が十九億円、これは半額支払つた金額でございます。それから先ほど出ました六十一億円、公庫が十二月までに貸付けたものが六十一億円、この計百億を出しまして残りが五十億になるわけであります、百五十億と百億の差であります。それに第三のところに書いてございますように、回収金約九億ございますので、この九億を加えました五十九億がこれから貸し得る資金の量になるのでございます。そうしますと五十九億を今度の代理店に振当てる枠のように見えるのでございますが、枠のほうから申しますと、その次に書いてございますように、第三四半期に一般の枠七十五億、それから特別の枠十三億、八十八億をすでに割当てておりまして、その中から六十一億の貸付をしたのでございますので、その配分しましたところの残りの二十七億がありまするので、五十九億から二十七億分はすでに配分済のものでございます。今後新たに配分いたします額は三十二億円、こうなるのでございます。従つて代理店に配付します額は前期に比べますと非常に少くなるのでございますが、資金の量で申しますと、前の六十一億に対しましてこの四半期は五十九億円、こういうふうな状況になります。従つて先ほどの申込のほうは非常に多く二百六十四億、大きく枠の申込がありますのに対して六十億見当は前期にいたしましたので、残りの二百億見当、その後まだ殖えて来ると思いますが、一応この二百億見当の中から五十九億見当がこの第四四半期に貸付け得る資金だと、こういうふうになるわけでございます。  第四四半期はそれでございますが、さて来年度二十九年度はどういうふうになるかと申しますと、次の欄に書いておきました通り、総額で百八十九億の原資がございます。このうち一般会計からの出資金二十五億、資金運用部の借入金百五億、回収金五十九億、今中しました額が百八十九億になり、これに対する支出、開発銀行への債権買取分を待つてもらつております分十九億払いまして、その残り百七十億が来年度の貸付の総量になります。資金のこれからの運用計画は大体そういうような計画になつておりまして、これを一応来年度におきましてこれを次の四に書いてございまするように、この大体の見当をこんなにしてはどうかと腹案をこの下に来年度の腹案を書いておきました。それに対しまして一般の資金需要はこれからどうなりますかにつきましては、政府の緊縮予算関係がありまして、企業により業種によりその影響はまちまちであろうと思いまするが、ともかく中小企業金融の面におきましては中小企業にしわ寄せを受け得る傾きを持ちやすいのでございまして、こういう点を考えまして、資金の量は乏しいのでありまするが、これを有効に運用することに心がけて参りたいと思います。私はただ今まで申しました通り資金の量が私どもの初めに企図いたしておりました月二十億見当の資金の量に比べまして今度は月大体平均しますと十五億見当になるのでございますので、これの資金の運用につきましては十分効果的に、皆様の御意見を伺いつ、又代理店の御協力を得つ効率的に運用して参りたい、こう考えております。  極めて簡単でございますが、一応私どもの公庫の現状と将来の資金計画につきまして御説明を申上げました。
  64. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  次に商工組合中央金底の加藤理事にお願いいたします。
  65. 加藤八郎

    参考人加藤八郎君) 商工組合中央金庫の今後の貸出の予定とか或いは資金繰りというようなものにつきまして概況を考えておるところを申上見げてたいと存じます。  昨年末の貸出の残高は四百九十六億円でございまして、丁度一年間に百五十一億円の貸出が伸びたことに相成つておるのでございます。その前年の昭和二十七年の一年間の増加が百三十一億円でございましたので、それに比べますると二十億円ほどの増加を持つて昨年の年末を越したのでございます。いつも思うことでございますが、この商工中金の貸出が伸びるということは、政府のほうから財政資金をたくさん頂くことができた年に伸びておるのでございまして、昨年も国会並びに政府の理解ある御同情によりましていろいろ財政資金を頂きましたのでここまで伸び得たような状況であつたのでございます。年末の財政資金は、政府の出資を初めといたしまして、債券、資金運用部の引受け或いは指定預金というようなものを合計いたして見ますと、直接間接に政府から資金を頂いております金額は百九十二億円ほどに相成るのでございまして、貸出残高の四百九十六億円に比較いたしますと、大体四割が政府資金によりまして賄つておるというような状況になつておるのでございます。  然らば今後の見通しはどうだろうかということを考えて見ますると、誠に心許ない状況に相成つておる関係がございまして、昭和二十九年度の長いことはともかくといたしまして、差当つての一月から三月までの、いわゆる昭和二十八年度の第四四半期資金繰りを先ず考えて見ますと、この三カ月に商工中金として資金を自力で調達できると考えられております資金は、この債券の発行によります受取金の二十三億五千万円と、あとコール・ローンの回収一億二千二百万円でございまして、二十四億七千二百万円という予想でございます。然るに一方資金の引揚げられるものが非常に多うございます。指定預金の六十六億三千万円を初めといたしまして、県、市等から頂いております公金預金も、地方公共団体の年末財政の逼迫に伴いまして引揚げられるものが六億五千万円ほど予想されております。又日本銀行から暮にお借りしました二次高率の分、これも一応お返しするという計算をいたしますと八億九千三百万円ほどございまして、その他コール・マネーの返済一億というような計算でございますので、これらを合計いたしますと、資金の引揚げられるものが八十二億七千三百万円ほどございます。まるく申しますと八十二億でございますが、この八十二億の引揚げがございますので、一方自分のほうで調達できます二十四億を考えましても、その差額五十八億ほどの資金不足を来たすのでございます。こういうような状況でございますが、これには二つの問題がございまして、その一つは指定預金の引揚げの問題であり、一つは貸出関係をどう見るかの問題であります。只今申しましたのは、貸出関係が全然考慮に入れてありませんが、今のままで十二月末までの残高で、三月末残高が移動なしという計算で申しまして五十八億の資金不足になるわけでございます。こういうことではなかなか収まらないと思います。資金の貸出の見通しというものは非常に立てにくいのでございますが、仮りに昨年の一月、二月、三月の三カ月間の貸出状況を見ておりますと、一月はずつと回収になりまして残高が減つて参りますけれども、二月は若干殖え、三月は相当殖えて来るというようなことで、この期間を通じますると昨年は十五億円の残高増加となつたのでございます。本年は一般に経済界不況でありますし、又企業家もそれぞれ警戒して手控えをしておるようでございますので、大体三カ月を通じて増減なしに行こうかとも考えられるのでございますけれども、一面におきまして一般の金融機関の選別融資の強化というようなことで中小企業にそのしわが寄せられるのでありまして、締出しを食うものが相当あるのでございまして、このほうの資金をどうしても見なければならん。商工中金も一般の金融引締めの大方針については順応してやつておるわけであります。そういう締出しを食つた中小企業金融を全然中金が見ないで行くということは到底できない事情にもございますので、そういう締出しを食つたもののしわ寄せというものを考えて行かなければならないと思うのでございます。昨年十二月の貸出状況を見ましても、この十二月には非常にたくさんの新規の取引先が殖えて参りましたのと、それから非常に取引の口数が殖えたということが、これが如実に一般の金融の引締めによりますしわが商工中金に寄つて来たということを物語るものと思うのでございます。そういうものを考えますと、やはり一月—三月の間の貸出の増加というものを、昨年の十五億に対する二割と見まして十八億というような増加というようなものを考慮しなければならないじやないかと、かように考えられるのでございます。  次に指定預金の引揚げでございまするが、これは丁度十二月末に残高といたしまして六十六億三千万円あつたのでございまするが、その引揚げの期日は、一月には十八億、二月には三十八億、三月には十億三千万円と、こういう数字になつてつたのでございます。それですでに一月を経過したわけでございますが、一月には結局十八億引揚げられましたけれども、六億五千万円を一月の末に新規に預託頂きましたので、結論といたしましては一月の引揚げは十一億五千万円に相成つたのでございます。併しその延期になつた分が、期限が三月末でございますので、やはり年度内にはお返ししなければならないということに相成りまするので、この一——三月中に六十六億三千万円をお返しするということについては変りございません、この多額の引揚げということに相成りますると、中金は今後新規貸出を停止して相当回収をしなければならんというような由々しい事態に立至るのでございまして、この点につきましては我々政府のほうに対しまして、この引揚げの延期を、是非貸出に支障のないようなふうに緩慢に、一つ長期に亘りましてやつて頂きたい。まあ指定預金の性質から申しまして、長く貸せないというお話でございまするならば、せめてこの引揚げも十分に時期を見て長期に考えて頂きたいということをお願いしておるのでございます。こういう指定預金の性質は、まあ国庫に資金がたくさんあるからただ貸してやろうというような無意味なことでお貸しになつたのではなくて、これは中小企業金融難緩和として必要であるからこそ政府もお貸し頂いたのだろうと思います。今後そういう中小企業金融の緩和の必要性がなければ、当然お引揚げになるのも筋でございますけれども、今後ますます中小企業金融の緩和としてそういう資金が要望されておりまするときに、これをお引揚げになるということは、非常に中小企業界にとつて残念なことであろうと思うのでございます。又我々といたしましても、非常にそれではやりにくい、むしろやつて行けないというような実情にございまするので、この点くれぐれも一つ御考慮をお願い申上げたいと存ずる次第でございます。できるならばこういう資金は、もう我々といたしましても約一年半というものは大体政府から五十億円或いは六十億円の金をずつとコンスタントに指定預金を頂いておつたのでございまして、そのために非常に助かつたのでございますが、これを三カ月間に全額引揚げるというようなことにされますると、借りておいていろいろ申上げるのは悪いのでございますけれども、余りにもひどい引揚げじやないかと考えておる次第でございます。  それから二十九年度の一年間の見通しの問題になりますと、先ほど申上げましたようはなかなか未知数の問題が多うございまして、殆んど計画らしい計画も立てにくいような状況でございまするが、大ざつぱに申しまして債券発行によりまして商工中金が調達できまする金は、大体九十一億円と考えております。そのほか預金というようなものも若干殖えて参りましようと思いますので、それを合計いたしますと、まあ二十九年度を通じまして、百億円程度資金は調達できるかと思います。併し一方貸出のほうはどの程度に見るべきかということになりますると、これはやはりどんなことがあつても最低百五十億、本年の年間におきまする貸出の伸びというようなものと同程度のものを見て頂かなければいけないと思うのでございます。  なおこの債券によりまする九十一億円の増加ということを見込みました前提といたしまして最も大きく期待しておりまするのは、資金運用部資金によりまする債券の引受けでございます。これを昨年同額の四十億円を資金運用部におきまして面倒を見て頂けるという前提でこれを作つております。ところが本年の資金運用部の金融債の引受の額というものは昨年三百億円でございましたけれども、本年は二百億円に減らされたというような実情でございまするので、商工中金の金融債もおのずから或いは削減を食うのじやないかというようなことを考えて心配をしておるわけでありますが、どうぞ一つこれも中小企業の現在の状況から見まして、引受の四十億円というものを減らさずにお願いしたい、かように考えておる次第でございます。四十億円の資金運用部におきまして引受を頂けるという前提の下に、この金融債の発行計画を現在のように考えておる次第でございます。  甚だ杜撰でございまするが、以上簡単に見通しを申上げた次第でございます。
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは次は全国相互銀行協会の上山会長にお願いいたします。
  67. 上山英三

    参考人(上山英三君) 私は明年度予算案及び政府政策が中小企業金融に如何なる影響を及ぼすか、こういう問題でありまして、なかなかむずかしい問題と考えておつたのでありまするが、先ほど委員長からの御懇切なお話もありましたので、この意味も含めまして、お答えいたしたいと思います。相互銀行といたしましてはまだ発足以来二年余りでありまして、一応発足以来の情勢を極く簡単に申上げたいと思います。  御承知のように相互銀行法は二十六年の五月に各派議員の共同提案となつて、法律が制定されたのでありまして、その年の十月相互銀行として発足したのであります。その後国会及び政府におきまして特別の支援がございましたのを奇貨といたしまして、只今まで非常に順調な発展の跡を辿つております。お手許に差上げました表でも御覧頂けるように、その進展の状況は非常に順調であるということが言えると思います。相互銀行発足当時におきまして資金は一千百七十億であつたのでありますが、昨年末におきましては三千十億円、それから発足当時の貸出は一千百十七億円でありましたが、昨年末は貸出二千九百十億円という極めて順調な経過を辿つております。最近この表にも示す通り多少増加率は鈍化しているのでありますが、御覧の通りの状況でありまして、いささか中小金融に対して貢献し得たと、私どもつておる次第であります。ただ将来といたしましては皆様がたの御批判を受けまして、十分皆様がたの御意思に副つた活躍をやつて行きたいと思います。  政府金融引締政策による現在の影響について、先ず申上げて見たいと思います。只今二十八年度予算の枠で財政は実行されておるのでありますが、昨年の九月以来政府及び日本銀行の金融引締めの影響はすでに私ども金融機関も受けておるのであります。勿論私どもは現在の我が国の国際収支の状況から見ましてじつとしておられないような気持がするのでありまして、政府のこの政策に対して大いに順応して行きたい、こういうふうに考えている次第であります。ただ事実といたしましてこの政府及び日本銀行の金融引締めは相互銀行にどういう影響を来たしたか、お手許に差出している数字で見ましたならば、昨年の三四半期十一月—十二月その合計の預金増加額は二百二十三億、これに対して貸出の増加題は二百八十九億となつておるのであります。預金の増加に対して貸出は超えておるのでありまして、如何に昨年末において金融が忙しかつたかということが想像されるのであります。資金対貸出の割合は九四%、こういう数字に上つておるのでありまして、二四半期におきましてはその割合は九一%、これが九四%にまで上つておるのであります。ただ相互銀行といたしましては日本銀行からの借入はありません。この点は或いは見方によりまして一つの強味であります。事実自力によつてつて行きたいという気持には燃えております。日本銀行の借入金はありませんが、ただこれの代りに政府の指定預金があるわけであります。政府政策の相互銀行への現実の影響は指定瀬金の引揚げということになつて現われておるのであります。これは先ほど委員長からもお話がありました点でありまして、この点は政府においてもお考え願いたいと思います。二十七年末におきまして相互銀行の受けておりました指定預金は百三十二億円、これが次第に引揚げられまして、九月から政府方針も変りまして急ピツチになりました。ですから二十七年末においては百三十二億の指定預金を受けておつたものが、年末においては七十五億円に減つております。一月になりまして更に月末は六十億になつております。これは少し政府といたしましては激しいやり方ではないかと思います。丁度銀行局長もおいでになつておりますのでこの点は一つ御考慮を願いたいと思います。四四半期はこれは政府においては揚超の時節であります。新聞で私は見たのでありますが、日銀の貸出も五百五十六億増加しております。この点は私は政府の引締政策、これは只今国際収支の情勢から行つておとりになつ政策は確かに我々同調しなければならんのでありますが、併し余りに政府として直線的なお考えを持つということについては御考慮を願いたい。指定預金に関しましては、これが呼び水となりまして更に新資金が集まるのであります。私どもとしましては指定預金を受けて貸出をやつて掛金によつて指定預金以上の金額を吸い上げるだけの自信があるのでありまして、この点は財政投資資金とよほど性質は変つているのではないか、出し放しに長く放つて置く資金ではない。この指定預金の呼び水によつて新らしい資金をかなり多く吸収し得る点を特に御考慮願いたいのであります。特に日本銀行との取引のない中小金融の専門機関に対しては、この指定頭金の制度について御考慮願いたいと思いますそれから二十九年度予算影響、先ず私どもは、今の情勢からいたしまして、このたびの一兆内予算に対して、政府に対しては大いに敬意を表したいのでありまして、この点から申しますれば、財政支出の全体から見まして、実際上二十八年度のものと比べまして、果してどれくらい強い減少になるか、今後政府の実質の予算の実行の全体を見てみなければ私どもはこの影響考えられないのでありますが、むしろ私どもはそれ以上に日本銀行の金融引締めはどういう程度に行われるか、こういうことによつてよほど経済上に影響を及ぼすのではないか、こういうふうに考えるのであります。すでにお手許に出している資料によりましても資金増の伸び方が多少鈍化しております。本年におきましては、更にその伸び方が鈍化して来ると思うのであります。ただ私ども中小金融の機関を扱つている者といたしましては大衆預金を相手にしているのでありますから、我々の努力次第によりましては、相当の伸びは期待できるのではないか。これは大銀行の資金と違いまして、大衆に入るところの資金はそう極端に減少を来たすのではないと私はまあこう考えておるのでありまして、この年度におきましては、相互銀行として一段資金の吸収について努力したいと思うのであります。なお二十九年度予算におきまして、国民金融公庫及び中小金融公庫に対して乏しきうちから中小金融公庫に対しては前年通り資金を出して頂いたことについては感謝をいたすのでありますが、勿論その金額については、私ども満足している点ではありません。ただ配分につきましては、やはり中小企業庁の長官もお見えになつておりますが、中小金融の専門機関に対してたくさん廻るようにお手やわらげ願いたいと思います。  政府におかれましては、政府機関に対してとかく主力を置いてお考えになる傾向があるのじやないかとこう考えますが、民間の金融機関に対してもこの際大いに働かす、こういうことについてお考えを願いたいと思います。つきましては、先ほどの委員長からのお話もありましたので、我々の希望といたしましては指定預金の問題以外に長期資金をこの民間の金融機関に与えて頂きたい。この点につきましては資金運用部の資金を我々に廻し得る制度をお考え頂きたいと思うのであります。緊縮予算のしわは中小企業に及ぼすことは現在もう心理的の上から、又日銀の金融の引締めの上から、又事実上手形交換の不渡りとなりまして、小口の不渡りの手形が月々増加しておる現状について明らかでありまして、これは私から申上げるまでもないと思うのであります。ただ政府は中小金融について常に同情的の見方においてやつて頂いておるのでありますが、先に申述べました指定預金等については、これは反対の傾向ではないか、こういうふうに考える次第でありまして、先ほど委員長からのお言葉に甘えまして、その点を申上げる次第であります。
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは次に全国信用金庫協会の安武常務理事にお願いいたします。
  69. 安武善蔵

    参考人(安武善蔵君) 私信用金庫のほうの面から、一応中小企業金融の問題につきまして申上げさして頂きたいと思います。  お手許に十二月末の信用金陣の主要勘定とそれから十二月の各信用金庫の預金、貸出という一覧表、更に九月末の概況を差上げております。そのほかに過去三カ年間の信用金庫の預金、貸出の推移を一覧表にしたのを差上げておりますが、その最後の表によりまして説明をいたしたいと思います。現在十二月末におきまして、信用金庫の預金総額は二千億の台を上りまして、二千九億ということに相成つております。貸出が手形割引を含めまして千五百八十五億、こういう数字でございます。昨年のこの預金の増勢は先ほど申しました推移表の中にわかりますように、五百五十二億を二十八年の一カ年に伸ばしておりますが、一昨年の二十七年度には六百五十三億、こういう数字でございます。ただこの五百五十二億の中には六月に丁度信用組合から金庫へ改組期間でございますので、六月の数字を御覧になると、減つておりますのは、信用組合の数字をここで落しましたので、八億六千万程度の預金の減ということに相成つておりますから、二十八年の預金の実質の増加は六百億を上廻つておるということは言えるのじやないかと思います。併しながら、二十七年度に比べまして実額において少なかつたということは、はつきりいたしておるのでございます。それから貸出のほうは、二十八年度が五百三億で、二十七年は五百五億ということで、ほぼ同額の貸出になつておりますが、これも信用組合の数字の調整をいたしまして、大体五百六十億ぐらい昨年は貸出が進んでおるはずでございます。そういうことで、信用金庫の貸出と預金の率を見ますと、大体昨年の三月頃は七五%、一昨年の三月には七〇%程度の比率でございましたが、昨年の十月に至りまして八〇%を上廻る、十一月が一番高くて八一・六%というような率に相成つたのでございます。十二月は貸出の回収と預金の増加がありましたので、一時落ちまして、七八・九、八〇%そこそこに相成つておるわけでございます。従つて二十七年度の貸出率の増加は、三月或いは一月から見まして途中の増減はありますが、十二月で一応七〇%程度に収まつたのでございますが、二十八年は今申しますように、五%ほど上廻つたということは、この昨年下期におきまして金融引締めの強化から、銀行その他の金融機関から漏れましたものが金庫の窓口に殺到をいたしまして、それによりまして自然貸出が増加せざるを得なかつたということを端的に物語つておると言えるのでございます。特に信用金庫の場合は、御案内のように会員制度でございますので、会員が窓口に来て非常に資金の窮屈を訴えられますと、やはりこの面についても、曽つて信用金庫の発展に、或いは事業に協力して頂いたかたがたでございますので、無下にこれを断わり得ないような悩みもありまして、そういう点から今申します貸出の非常な増勢ということに相成つておると思うのでございます。而もこれにはほかの金融機関さんと違いまして、日銀その他からの借入ということが望めませんので、実質的には自分の支払準備にそれだけ食い込んで、貸出に向けておるというようなことが言えるのではないかと思います。従つて今後八〇%以上に貸出の率が上るということは、金庫として経営上からも困りますので、どうしても今後は一層貸出をセーヴせざるを得ない、こういう実情でございます。なぜならば預金のほうは昨年下期から相当鈍化いたしておることは、他の金融機関と同様でございます。而も指定預金等の引揚げによりまして、やはり資金がありませんので、どうしても貸出のほうを締めて行かざるを得ない、こういう点でございます。  そこで来年度の大体の見通しにつきましては、今申しますように、預金のほうは余り多くは期待できないと思いますが、先ほど相互銀行のほうから話されましたように、私どものほうもやり方によりますれば、少くとも昨年の実績程度努力如何では収め得るのではないかと考えます。併しながらこの貸出のほうは漸次増加をいたしておりますし、引締めの強化が進みますれば、やはり我々の窓口にはどうしても数が殖えて参ります。従つて貸出は、やはりそれを上廻つて貸さなければならんというような事態になります。大まかな見通しでございますが、預金の増加は今年で大体五百億程度は見込まれるが、貸出は更に上廻つて五百五十億も、六百億近くになるのではないかというふうに予想いたしております。従つて五百億の増加に対しましては、少くとも二割程度の支払準備を留保しなければなりませんので、その支払準備に留保するものと、貸出を上廻るものは、他の資金でこれは充てがつて頂かなければならないというふうに考えるのでありまして、この点は何といたしましても、政府のほうの資金を入れて頂くことに私どもも切に期待する次第でございます。特に御案内のように、私どものほうの傘下に来ますのは、中小企業でも、中といいますか、小以下の部類が多いのでありまして、これは担保にいたしましても、いわゆる優良な適格社債であるとか、或いは又割引をして参ります場合の優良な手形というのは、比較的少いのでありまして、どうしても自己の店舗であるとか、不動産というようなものを担保にして、資金の融資を頼む場合が多いのでございますが、従つてそれらによります融資は、予定通りの日数よりも長引くということが言えるわけでありまして、短期の金融を実質的にはやつておるのでありますが、それも自然長引かざるを得ないという点から、或る程度長期的な資金を導入して頂く、勿論我々自身も定期積金その他定期性の預金には一段と努力を払うつもりではございますが、そうした長期性資金の導入ということを特にお願いをしたいと思うのでございます。それには、これは相互銀行のほうからお話がございましたように、資金運用部資金の、我々のほうに対する預託なり、或いは貸出なりという途を是非とも開いて頂きたい、若しその法的な措置ができにくいのでありますれば、私どものほうも幸い連合会があるものでございますので、連合会が、債券発行の途を開いて頂いて、その債券を資金運用部資金で引受けて頂くというようなことも考えられるのではないかというふうに期待をいたしておる次第でございます。  以上信用金庫の実情について申上げました。
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは最後に国民金融公庫の櫛田総裁にお願いいたします。
  71. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 国民金融公庫の最近の状況並びに二十九年度予算案に基きまして、二十九年度における大体の貸出の見当を、お手許にお配りしてございます普通貸付貸付回収計画比較表というのを御覧願いたいと存じますが、それを基といたしまして御説明申上げたいと存じます。昨年の年末におきましては、補正予算によりまして十六億円新たに資金運用部から御拝借ができましたので、それをフルに運用いたしまして、十二月には五十四億円という貸付ができました次第でございまして、この表にあります第三四半期、十、十一、十二、三カ月におきましては百十八億円の貸付がともかくもできまして、或る程度何と申しますかお役に立つことができたのではないかと存じておる次第でございますが、その新らしい十六億円全部十二月貸出をいたしました結果、この第四四半期におきましては、新規資金というものが全然ございません。貸付回収金のみを以て賄わねばなりませぬ関係上、一月、三月、三月の三カ月間大体五十億の貸出しかできない状況にございます。これを申込に対する比率の点から考えて見ますと、下のほうに書いてございますが、昨年の四月から十二月の累計におきまして、金額におきましてはお蔭様で三五%見当の貸出ができたのでございましたが、大体第四四半期におきましては約二百五十億円見当の申込があろうかと存じます。それに対して五十億でありますので、大体二割見当の貸出しかできないというふうな状況にございます。  次に二十九年度について申上げますが、二十九年度には、運用し得る資金の源泉として、ここに書いてあります通り政府出資が二十億、資金運用部からの借入金が七十億、回収金等が二百五十億、合計三百四十億円を見込れことができるのでありまするが、その資金を以ちまして、二十九年度のうちに資金運用部に対しまして二十一億円の借入金の返済をいたさねばなりません。それを差引きますと、大体三百十九億円の貸付ができることに相成ります。一応四半期別に、ここに書いてあります通り、第一四半期七十五億、第二四半期六十九億、第三四半期百三億、第四四半期七十二億という目標を一応立てて見たのでありますが、これは(注)にも書いておきました通り、一応の予定でございまして、公庫法によりまして、四半期ごとに国民金融審議会に事前にその御審議をお願いいたしまして、大蔵大臣の認可を頂くことに相成つております。これは一応の予定として御了承願いたいと思います。ともかくも全年度を通じまして三百十九億円貸付ができようかと存じます。これを二十八年度と比較いたしますと、二十八年度は、十一億円の借入金の返済をいたします関係上、全年度を通じまして三百十四億円という貸付に相成るわけでありまして、大体二十九年度は二十八年度と大差のない、まあ五億円見当貸付が殖えるということになろうかと存じます。ただこれを申込のほうの状況から勘案して見ますというと、実は昨年の秋、殊に年末とかかりまして以来申込がかなり急増いたして参りまして、大体二十八年度中全年を通じまして九百億ぐらいの申込が見込まれるのでございますが、二十九年度には大体それが千四百億の申込になるのではないかと、従来の趨勢その他から勘案いたしまして一応かように推定をいたしておるのでございますが、それに比べますというと、結局今まではともかくも申込に対しまして大体三割から三割三分ぐらいの貸付ができたのでございますが、来年度におきましては二割から二割二、三分というところが大体の線ではなかろうか、かような状況に相成るのではないかと存じております。なおこのほかに、三百十九億円の中には、新たに恩給担保貸付の問題がございます。一応二十二、三億円というものをその中に予定せられておるということを附加えたいと思います。  かような状況でありますが、ただここで余談になると恐縮でありますが、少しその状況に対しましての私どもの心がまえといいますか、それを少しばかり申上げて御批判願いたいと思うのでありますが、それはこういうことであります。従来からもそうでありましたが、殊に来年度におきましては申込が非常に殖えて参ります。資金のほうはそれほど流出いたしません関係上、貸出率が減つて参ります。そういつた関係から、お客さんに対しては、殊にお金を大事にして頂きたい、生かして頂きたい。結局今まで例えば三十万円お貸出ができたようなおかたに対しましては、或いは三十万円とか、二十五万円というようなところで御辛抱願わなければならんじやないかと思うのでございます。ただその場合にも、できるならばその二十万円なり三十五万円なりで以て従来の三十万円なり三十五万円なりというような仕事をして頂きたい。又そういうふうな心がまえ、そういうふうな努力をなされるかたと特にがつちりと手を組んで、何と申しますか、このインフレ抑圧と申しますか、そういつた部面におきまして、お客さんと一緒に手をつないで一役買つて見たい、そういつたつもりでやつて参りたいと、これは従来からもそういう態度でございましたが、殊に今後におきましては、この貸出の考え方と申しますか、態度といたしまして、そういう行き方を特に強調して、お客さんとよく相談してやつて行きたいと、かように考えておりますので、この点を一つ附加えさして頂きます。
  72. 中川以良

    委員長中川以良君) 今までのお話を承わりますると、各金融機関とも相当資金源が枯渇をし、あまつさえそこに政府の預託金の引揚げがあるので、非常な苦難に直面をしておられるように思うのであります。先般の総理大臣の施政方針演説においても、又大蔵大臣の財政演説においても、更に又愛知通産大臣の本委員会における答弁中においても、中小企業金融問題は、これを取上げて十分に考慮をすることを言明しておられるのでありまするが、大蔵省当局としてどういうふうに今後中小企業金融対策をなさるか、この点について一応銀行局長より御説明を願いたいと思います。
  73. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 中小金融につきまして、今後の二十九年度予算案を中心とする政府財政金融政策を貫きます場合におきまして、俗に言われる、これらの政策のしわが中小金融に寄つて来るということがよく言われておるのであります。この点は、表現の問題は別として、或る程度真実の問題であろうかと思うのでありまして、私どもといたしましても、できるだけそういつた部面から中小企業に対する金融が梗塞するというようなことのないように、それがために健全なる、堅実なる中小企業というものの育成ということが非常なる障害支障にぶつかることのないように今後とも極力努めて参りたいと考えておるのであります。中少企業金融につきましては、大きく分けますならば、先ほど来各参考人のかたがたのお話を聞いておりましてもその通りでありますが、二つに資金源が考えられると思うのであります。一つは広い意味の政府資金と申しますか、財政及び資金運用部等を合せたいわゆる政府資金、それを源とするルートであります。もう一つはこれは民間から預金その他の形で吸収される民間からの蓄積資金、この二つが資金源として大きな、何と申しますか分別になるかと思うのでありますが、政府金融機関、国民金融公庫でありますとか、中小企業金融公庫等につきましては、その資金源の金額が広い意味の政府資金に繋がつておることは御承知通りであります。この両者につきましては、先般来予算案の編成の過程におきまして、この資金源の充実と申しますか、確保につきましては部内におきましてできるだけ今申上げましたような基礎事情の下における中小金融の専門の金融機関としてのこれらの二機関に対しては、十分なる資金源を確保いたしますために努めて参つたのでありますが、何分にも財政全体の縮減という一つの大きな事情の制約の上におきまして、皆様がたから十分なる御満足の意を表して頂けるような資金源の充実ができなかつたということは私として甚だ遺憾だと存じます。併しながらこの乏しい財政の枠の中からできるだけのことを中小企業の専門金融機関に対して資金面を調達することに努めて参つたつもりであります。その他の民間の金融機関、中小金融機関における資金源の問題につきましては、私は何といいましてもやはり民間資金の吸収、いわゆる預貯金の蓄積を増加するということに今後も一層努力を傾け、政府といたしましても、これらのために必要なる裏付けとしての政策を或いは税法上その他につきまして講ずることによりまして、できるだけ民間からの預貯金の形による資金の蓄積を促進するということが飽くまで本筋であろうと思うのであります。これらの方面における努力等につきましては、私どもも及ばずながら努力を傾けたいと思いますが、金融機関の当路者におきましてもこの点に先ず第一の努力を傾注して頂かねばならんと思うのであります。政府資金の民間金融機関との繋がりが只今もたびたびお話がありましたように、広い意味で申しますと、現在まで行われておりまするのは、一つは指定預金という形であります。それからこれは政府資金とは申しかねますが、純民間資金でないという意味におきまして、特殊の中小金融機関に対しましては日銀等から或る程度の融資が行われておることは御承知通りでございます。この指定預金につきましては、先ほど来参考人のかたがたからいろいろお話がありましたように、昨年の初め以来これを計画的に引揚げて行く方針をとつてつておるのであります。尤も昨年の途中におきまして、水害を初めとする災害等がありましたので、これらの緊急の需要に応じますために特に指定預金を増額放出いたしましたことはございますが、全体の考え方といたしましてはそういう特殊の問題をおきますならば、計画的に引揚げをするという方針を今日まで続けて参つたのであります。尤も当初の計画通りに必ずしも引揚げて参つておりません。そのときそのときの実情に応じましてその計画を若干延ばすとか、或いは引揚額を減少するとかいつたような措置は時宜に応じてとつてつてはおりますが、全体としての考え方は、今申上げましたように引揚げの方向に進んでおるのであります。  然らば今後どういうふうにこの指定預金の問題を政府としては考えているかという問題になりますが、少くとも今二十九年度予算案につきまして申上げましたような一連の施策をとつて参りますことを前提といたしますならば、今後新らしく指定預金をするということは現在のところでは私ども考えておらないのであります。然らば現在残つておる指定預金、これの引揚げをどういうふうにして行くか、引揚げることは引揚げるにいたしましても、その時期をどのくらいのテンポで引揚げて行くかという問題であります。現在のところでは大体三月末までに一応期限が到来することに相成つておるのでありますが、これらの指定預金につきましては、今後の事情を十分に見ながら、必要に応じて善処はいたして参りたいと考えておりますが、現在のところそのうちのどの部分をどの程度延期をするとか、そういつたことはまだはつきり私どもといたしまして方針はきめておらないのであります。各関係のかたがたから強い御要望は最初から承わつておりまするし、又本日も十分にその点を熾烈なる御要望としてお聞かせを願つたのでありますが、今後の推移に睨み合せまして善処をいたしたい、かように考えておるのであります。  それから政府資金の一部として、只今上山会長及び安武さんのほうから資金運用部の資金をこれらの中小専門の民間金融機関に流すという方途についての御構想の御発表があつたのであります。この点につきましては私どもは二つの点から御回答を申上げなければならんかと思うのであります。  第一は御承知のようにこの二十九年度予算案の中にその一部として盛られておりますように、資金運用部の資金というものは、現在すでに決して余裕のある収支ではないのでありまして、これらのうちから幾ばくなりといえども民間の金融機関にこれを放出するということは、事のよし悪しは別として、実際問題として甚だ困難であると言わざるを得ないかと思うのであります。これは少し話が余談になりますけれども資金運用部の資金運用計画は、当初私ども考えておりましたところよりも遥かにそういつた金融機関の資金に廻す金額というものは少くなつてつております。事情は違いますが、当初私ども金融債に対して資金運用部の資金を約三百億程度を期待いたしておつたのでありますが、これが御承知のように二百億に削減された、こういつたふうなことで、これは勿論中小金融専門の機関の問題とは必ずしも裏腹になる問題ではございませんけれども、そういつた非常に窮屈な状態の下におきまして、実際問題として資金運用部からこれらの機関に資金を廻すということは非常に困難であろうと考えられるのであります。  もう一点は資金運用部の資金が若し仮に余裕があるならば、私どもはやはり金融債の問題は別といたしますならば、それらの資金政府機関に先ずこれを何と申しますか、政府機関の資金源としてこれを向けるべきではないか、政府機関といいましても、特に中小企業を専門にいたします政府機関、そういつたほうにこれを向けるのがむしろ政府の態度としては適当な行き方ではないかというふうに考えております。それは結局代理貸その他の方法を通じて民間の中小金融の専門機関の資金源を間接に潤おすことにも相成るわけでありますし、私どもといたしましては若し仮に資金運用部に中小金融のために資金を割くことができる状態が参りましたならば、それでなくてもこれらの政府機関の資金源というものは決して十分ではないのでありますから、これらのほうへ先ず向けて行くということが考えられるべき第一ではないかと考えております。この点は先ほど来上山さん、安武さんのお話に実は御希望に副う御回答を申上げることに結局結果としてならないのでありますけれども、私どもとしてはさように考えておる次第であります。  甚だ雑然と申上げてお聞きとりにくかつたと思いますが、今私ども考えておりますことをあらまし申上げさせて頂きました。
  74. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の銀行局長お話を承わりましてもこの緊縮政策によつていよいよ中小企業に大きなしわが寄つて参りますことを私どもは一層懸念をいたし、案じております次第でありまするが、中小企業庁の長官とされましてどういう方途を以て対処されるか、御説明願いたいと思います。
  75. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 先ほど銀行局長から大蔵省の立場で来年度予算を中心といたしまする政府側の財政金融方策の概略の御説明があつたのであります。この方針に対しましては私どもといたしましても従来からいろいろ御相談にあずかつておるのであります。基本方針といたしましては大体同調して参るように考えておるのでございまして、結局まあ予算の面におきましても緊縮予算を組む、金融も引締めまして日本の物価を行く行く国際物価まで鞘寄せさせて日本経済をまともな姿に建直して輸出貿易を促進して行こう、こういうやり方に対しましては私どもとしても根本方針としてこれに賛成を表せざるを得ないと思うのでございます。ただまあ私どもの大臣も申しまするように、さような究極の目的を達成する過程におきまして、角を矯めて牛が死んでしまうということになつてはいけない。その過程において中小企業者が非常な困窮を来たし参つてしまうということになりますれば、目的が如何によくても結局日本経済の破壊に終るのではないか、そういう意味合いにおきまして中小企業対策、なかんずく金融の問題につきましても一般の基本方針をも認めながらも、中小企業金融に対しては或る程度対策を講じませんといけないというふうな意味合いから、予算の折衝におきましても特に我々も強く主張いたしまして、幸い大蔵省側もその我々の主張に対しましては相当の敬意を払つてくれましたのでございまするけれども、結論といたしましては、例えば中小企業金融公庫予算にいたしましても、昨年のこの委員会等におきまして大体月二十億程度の貸出ができるようなふうに予算をとつて行きたいということを申しましたのに対しまして、現実の予算といたしましては十五億見当の予算しかつけなかつたというふうな現実であることは、これは御承知通りでございます。さような意味合いでございますから、結局苦しい予算の中からそれでも中小企業のほうに対しましては他と比較しますればかなりの勉強をしてもらつたようにも思うのでございまして、この苦しい中から割いてもらいました金を極力効率的に運用する、先ほど国民金融公庫の総裁からもお話がございましたし、中小企業の総裁からもお話があつたのでありますが、この金を生かして使つて頂くような方向へ努力を持つて行くということと同町に、私どもといたしましては特に小口の金融というふうな方向に対しましても特別の関心を払つて参りたいと考えまして、国民金融公庫におかれましても小口金融について一つの新らしい工夫をされようという状況になつておりまするし、これに対応すると申しまするか、信用保険のほうにおきましても、一口十万円を限度といたしまして信用保証協会が保証をしたその再保険的な保証保険につきまして十万円までの小口保険について従来よりこれを優遇するような措置を実現いたしたいと存じまして、目下法案の整備中であるようなことでもございます。又先ほど来参考人の皆様からいろいろと指定預金の問題がございましたが、これにつきましても私どもとしましては絶えず大蔵省当局と連絡をとりまして、私どものほうとしては中小企業者の代表者というふうな意味合いにおきまして、いろいろと大蔵省に要望をいたしておるのであります。これらの点につきましても結局金融機関が中小企業者に対する機能を果して行く上において非常に障害となりませんようなふうに操作をして頂くということが必要ではなかろうかと思うのであります。これを具体的にどういうふうにやるかということにつきましてはまだ結論は出ておりませんけれども、要するに先ほど中金のかたから特に指定預金が中金に占める割合が高いというようなお話もあつたのであります。さようなそれぞれの金融機関の特質を睨み合せながらそれらが機能を失うようなことのないようにやはり運営されることが必要であろうと思うのであります。いろいろと不十分な点は多々ございまするけれども、それを我我の努力によつて補いながらともかくも来年度一年の苦しい経済状況を乗切つて頂くように努力して参りたいと考えておるのであります。具体的に御質問によりまして又お答えもさして頂きたいと思うのでございまするが、概略はさようなことでございます。
  76. 中川以良

    委員長中川以良君) それではこれより質疑を行います。主といたしまして参考人のかたがたの公述を中心といたしまして、殊に参考人に対する御質問を主としてお願いを申上げます。
  77. 海野三朗

    ○海野三朗君 この中小金融にいたしましても、極く零細な金、僅かのお金、十万、二十万という金を借りてそうして急場を凌いで又仕事を続けて行こうというところの極く小さいものが非常に多いのであります。それに対しましてすぐということに間に合いませんので、やはりお金を借りるにしましても相当の手続が要り、非常に面倒なんでありますから、少し利が高いと思つても闇金融から金を借りなければならんような状況に置かれてあるところが非常に多いのでありますが、そういうことにつきましてはもう少し十万、十五万、二十万というお金を簡単に貸出してもらうようなそういうことをやつて頂くことが必要だと考えられますが、現在の公庫といたしましてはどういうお考えを持つていらつしやるでございましようか、まとまつた金でありますれば、三百万とか百万とかそういうものであると大抵大丈夫……、銀行でも金を貸す、担保をたんまり持つておるというところが多いので、そうでないところの非常に零細な商工業があるのでありまして、そういう面に対しましてはどういうふうなお考えでいらつしやるか、金融公庫のかたがた、どなたでも一つ御所見を承わりたいと思います。
  78. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 御尤なことでございまして、私どものほうが主として小口のものを取扱わさして頂いておるわけでございますが、先ほど御覧に入れました表でもおわかりの通り昨年の四月から十二月までの貸付状況を見ましても、一口当りが大体十六万円見当になつております。申込のほうは二十五、六万円平均に相成つておりましよう。総額で十四万四千件、二百三十六億円というものを貸出いたしております。大体十六万円見当であります。私どものほうでは従来から手続と申しますか、非常に時間がかかるということをいろいろ御批判を受けておるわけであります。ただこれだけは御了解願いたいのでございますが、と申しますのは預金は私どもは扱つておりませんので、お客様がたはすべて初めてお目にかかるおかたばかりでございます。従来からお取引関係が全然ないのでございますので、そこでどうしても或る程度は信用或いは事業の内容或いはそのお金をどういうふうにお使いになるのかといつたことを或る程度は調べさして頂きませんと、何しろ大事なお金を国からお預りしております関係で、そういう人手の関係もあり、お客様が三倍四倍ということになりますものでございますから、大体最近圧縮いたしましても大体一月はかかる、申込を頂きましてから右左にきまりましてお貸しできますのには大体一月、その点は何とか能率を上げまして短縮いたしたいと思つておるのでございますが、と同時にお客様がたの中には私どもの貸出は大体二十回払、二十五回払というものが中心でございまして、かなり長期ではございません中期とでも申しますか、月賦払ということを原則といたしておりますが、お客様の中には、五万円ぐらいのもので、極く二、三カ月ぐらいのものがあれば季節的な仕入とかそういうことに非常に間に合うというおかたも非常にいらつしやるように拝見いたしますので、非常に今研究中なのでございますので、先ほど中小企業長官からもおつしやいましたことでありますが、大蔵省のほうともいろいろ今折衝をいたしておりますが、四月から短期で三カ月乃至六カ月ぐらいの期間で、五万円から多くて十万円ぐらいのところを短期で貸出すという特別小口という制度を一つ設けて見ようか、その場合には保証人を頂くわけでありますが、従来のように二週間ぐらいかけて丹念に調査するということをむしろ簡略いたしまして、保証人主義とでも申しますか、資金の利用が季節的なものであるとか、そういうもので或る程度はつきりいたすものが多いかと思いますので、短期運転資金を五万円から十万円ぐらいのところを中心といたしまして、何とか即決というまでは行きませんでしようが、二週間ぐらいの間に右左がきまる仕組のものを一つつて見ようかということを今研究しておる次第でございます。それが整いましたなら又御披露いたすときがあろうと思いますが、そういう考えを持つておりますことを御披露いたしておきたいと思います。
  79. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前の国会のときにこの金利の問題を伺つたのでありますが、その当時はつきりした御答弁を頂いていないと思うのであります。丁度今日は銀行局長がお見えになつておりますからお伺いいたしますが、金利というものは、一体どういう方面から割出して来ておるのか、需要供給関係だというようなお話も聞くのでありますが、需要供給関係では政府が金儲をしておるのか、そういうことで金利の方面がやはりインフレの一つ原因になると思うのであります。金利の問題、それからどこからこういう金利をきめておいでになるのか、在来ありふれたから大体この辺でいいのじやないかというお考えであるか、その点を一つ局長にお伺いいたします。
  80. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答えいたします。金利と一概に申しましても、いろいろあるわけでございます。言葉は非常に悪いのですが、何と申しますか、いわゆる貸金業者といつたようなものの金利は高金利、高いといつたようなところから、一般の金融機関、正規の金融機関の金利までいろいろあると思いますが、私はここで金利の問題といたしましては、正規の金融機関の金利を中心にして申したらいいかと思います。その中でも民間の金融機関の金利と政府金融機関の金利と又これは違つた考えであります。民間の金融機関の中でも預金の金利と貸出の金利とが又別に考えなければなりません。  先ず民間の金融機関の中の預金と貸出の金利をどういうふうに考えるかということでありますが、日本のように非常に資本の蓄積が遅れているという国におきましては、何よりも資金を蓄積するということが非常に必要なことになつて参ります。そういたしますと、いろいろ税制上その他の改正等の問題もありますが、預金利子というものは相当程度高いところに置かなければならん、それによつて資本の蓄積、つまり預金をする人の意欲を促進するということでございます。現に我が国では銀行の一年の定期は年六分の利子をつけております。ところがアメリカ、イギリス等は定期預金の一年というのはありませんが、長期の定期預金の利息は一分五厘から二分程度のものです。そういつたように先ず資本の蓄積を促進するためには、或る程度今の預金の利子を吸収させる方面の利子を或る程度上げなければならない、こういう問題が起つて参ります。  それから貨出の利子というものはどういうところからきまるかというと、預金の利子プラスいろいろな経費及び若干の利潤というものを織込んで、引合うかどうかといつたようなところで貸出というものの利子をきめる。これはペースとして申上げております。目下どういうふうな金利の決定の仕組になつておるかと申しますと、政府はこれらの金融機関の貸出、預金の金利につきましては、その最高限度を日本銀行にあります政策委員会に決定させる、命令して決定させるということをいたしております。そういう形で政策委員会の決定いたしまする場合における金利の決定の基準というものは、今申上げましたようなところで、要素をいろいろに噛み合せて検討いたすわけであります。而も貸出の中でもいろいろあります。御承知のように貿易手形、輸出等の貿易の手形は、特に輸出を促進しなければならんということから、金利を安くしてあります。輸出を促進するには、海外の金利というものの競争が非常になまで現われて来るというので、これは特に安い金利をきめております。現在一銭九厘であります。ところが一年以上の長い貸出の金利というものは、そういう形では抑える必要がないということで、現在では三銭くらいになつております。こういつたことで、その貸出の中でも、個々にその用途なり、或いは期間なりというもののような点でおのおの金利のべースというものが違つて参ります。  更に民間の金融機関の金利というものの中には、銀行その他の金融機関が相手方に、つまり企業に対して貸す場合の金利と、中央銀行たる日本銀行が民間の金融機関、殊に銀行でありますが、銀行に貸出す中央銀行の金利と二つあるわけであります。  中央銀行の金利はどういうふうにきまるかということはなかなかむずかしい問題でありますが、中央銀行が全体の金融調節の立場から今インフレーシヨンを抑えて、大いに金融を引締めなければならんと思います場合には、民間金融機関に対しまする金利をうんと上げます。それからこの際としてはむしろデフレ現象が起つておる。金融を或る程度緩やかにしなければならんという配慮をいたします場合には中央銀行は金利を下げます。そして市中の銀行に対して安い金利で資金供給する、こういうことをいたすわけであります。これは中央銀行の金利はそのときどきの金融の情勢に応じて金融調節の立場から金利をきめて参る。こういうことに相成るわけであります。  現在は日本の場合におきましては、何と申しますか、俗に言われております、いわゆるオーバー・ローンという一つの状況がありますために、各国における中央銀行の立場というものと若干日本銀行の立場は変つておりますが、或る一定限度までは安い、最低公定歩合というもので出しておる。これは市中銀行の貸出金利よりも安いわけであります。ところが或る一定の限度になると、高率適用という制度をとつている。高率適用になりますと第一次、第二次とありますが、第二次になりますと、市中金融機関の貸出金利と大体原則において同じであります。ということは、市中銀行は日本銀行から金を借りて貸出をいたしますならば鞘がない。手数料、或いはコストも賄えない、こういうような状態にすることによつて、日銀からの借入を抑えて、更にその上に参りますと赤残ということをいつておりまして、これはもつと懲罰的に高い金利を日本銀行は取つている。こういつた複雑な制度をとつております。これは、今民間金融機間の系統の金利のきめ方と申しますか、あれでありまして、非常に複雑な問題を簡単に申上げましたので、或いはわかりにくかつたかと思いますけれども、次に申上げたいのは、政府金融機関の金利、今問題になつておりますのは、国民金融公庫でありますとか中小企業金融公庫等の金利をどういうふうにきめるかという問題、この政府金融機関にもいろいろございますが、例えば開発銀行、輸出入銀行等の、まあいわば主として国の基幹産業、或いは大きな企業を対象としておるような金融機関から今こちらで御審議願つております国民金融公庫、或いは中小企業金融公庫のような機関までいろいろございますが、関発銀行及び輸出入銀行等につきましては、その法律の中にはつきり市中金融を補完する、従つて市中金融と市中の金利を勘案した金利をきめるということになつております。従いまして、現在は市中の金利と同種の金利を、大体それをよく睨み合せてきめる。これと無関係にはきめないというのが原則になつております。併しながら政府機関でありますから、特殊の例外の場合においては、例えば開発銀行について申上げますならば、例えば電源開発をいたしますとか、或いは造船といつたような、その国の産業開発のためにどうしても必要な基幹的な産業、こういうものに対しましては現在では六分五厘という金利にいたしております。全体の長期金融の市中金利は三銭くらいでありますから、大体年一割前後というのが普通であります。これを電気等の非常に長い、十五年、二十年になります場合におきましても、これは六分五厘で現在出すことにいたしております。そういうことは国の政策から見て重点的に考えて参らなければならん特殊の産業に対する金利は、政策的に或る程度下げるという措置をいたしております。これは輸出入銀行におきましても同様でございます。  それから中小専門の金融機関であります国民金融公庫、それから中小企業金融公庫におきましても、大体今申上げましたような政府金融機関としての金利の考え方を踏襲いたしておるのでありまして、市中における同種の金融の金利を大体において睨み合せて行く、こういうふうになつておるわけであります。これは国民の租税その他から集まつて来た資金であるからもつと安く貸してもいいじやないかという議論もあります。国民金融公庫、或いは中小企業金融公庫等は何もこれによつて営利を目的といたしておるのではないのでありまして、儲ける必要はないじやないかという議論もあるかと思いますが、そこらの点につきましては、やはり国民金融公庫に対して政府資金を出す場合に、それをどういう資金コストで出すかという問題にも関連いたします。それらの点も十分睨み合せながら、今申上げたような市中の同種の金融とそう著しく開いた金利ベースということでないようにして行きたいというような観点から現在きめられておるような大体一割前後、年一割前後というのがこの両金融機関の金利でありますが、そのあたりを中心にして考えて参つておる次第であります。  非常に説明が、複雑な問題を概略申上げたのでお聞きにくかつたかと思いますが、なお御質問によつてお答え申上げます。
  81. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今の預金利子が六分というのは、これは一体高いんじやないのでしようか。大体そういうところから下げて行かなければ、全体の日本の金利というものは下らないのじやありませんですか。その預金利子の六分、六分というのは一体どこから割出して来たのでありましようか。五分でも四分でもいいわけじやありませんか。六分というのは、なぜ六分の利子になつておるのでありましようか、それをお伺いしたい。
  82. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。
  84. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 預金利子は絶対的に高いということはないと思います。各国の例及び我が国における経験的な数字から出て参るものでありますから、実は四分でも五分でもいいじやないかということになりますと、一分でも二分でもいいじやないかということになる。そこでやはり我が国の資本の蓄積が非常に不足しておるときに、資金を吸収するための預金金利というものは或る程度に維持しなければならないという考え方に立つております。併しこれはそのときどきの考え方でありまして、現在若し仮に金融機関の経理が余裕があつたといたしました場合に、貸出金利の引下げに充てるか預金金利の引上げに充てるか、これらどちらでも目的はおのおの違いますけれども、どちらも意味があるわけでありますから、今どうだということになればこれは預金金利の引上げに充てるべきではない、現在は貸出金利の引下げに、その余裕がありさえすれば充てるべきである、こういうことは私はつきり言えると思います。併しながら資金を吸収して資本蓄積を促進しなければならんということが、今後更にますます金融が引締められて参りまして財政がだんだん緊縮して参りますと、ますますそういうことが必要になつて参りますので、私どもといたしましてはまだここ当分預金金利というものを引下げるという積極的な措置を講ずるのにはまだ時期が早いのではないかというふうに考えております。むしろこの際としては預金利子に対する課税上の軽減ということこそ更に考えて預金者に対する利子の実質的収入を更によくするというふうな措置さえも講ずべきではないかというふうに現在考えておりまして、これらにつきましては現在具体的な税法の改正を今研究をいたしておるのであります。むしろそういうふうな措置こそいたせ、この際として直ちに大幅に預金金利の引下げを行うということはまだ日本の今現在置かれておる経済状況から見ますると適当でないのではないかというふうに考えております。併しこれは年六分の、一年定期六分が絶対的に正しい基準があるという数字的根拠は実はないわけでございまして、経験的にそういうことにきめて参つた次第であります。
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
  86. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 参考人からのお話はよくわかりましたが、むしろ政府のほうへいろいろ御質問したいと思うのであります。
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) それではどうぞ政府側に対する御質問……。
  88. 藤田進

    ○藤田進君 非常にいい機会でありますので、いわば中小金融の扱いの元締めとして皆さんにお尋ねいたしたいと思いますのは、本年度のいわゆる二十九年度予算内容を御検討額えればわかりますように、非常に国民生活殊にいわゆる中小企業の皆さん方に非常な影響、悪い状態を露出するのではなかろうか、こういう心配が出ておりますし、私も今度の予算規模と而して非生産的な部面の増大というような面から見まして非常に容易ならぬ状態が出て来る、で今日までいわゆる施政方針演説や通産大臣方針演説、更に質疑を通じまして伺いまするのにどうも今度の予算執行に当つてその施策の目標とされているその過程に自信を持つていない、全然自信を持たないでやつておいでになるという感じを強く実は受けているのであります。従いまして例えば物価の値下げというか、デフレの傾向になるかどうか、現実の物価は例えば電気にいたしましてもその他上りつつあるし、又上げんとする状態にあります。こういう状態にありますときに、非常にまあラフな質問でお答えにくいと思いますが、これが本当に日常金融の面を預かつておられるいわば動脈の操作をしておられる皆さんとして非常に影響が私どもが予想する以上にあるのではないか、こう実は心配いたしているのであります。従いましてこの予算とその施策がどの程度実効を挙げるかということは一つの仮定に基きますけれども、現状においてこれを類推するならば一体どんなものだろうか、御心配のほどはいろいろわかりますが、具体的に若し端的に皆さんのお仕事を通じて私どもにお教え願える点がありましたならばお教えを願いたいと思います。この点につきましては全国非常に網のごとく張つておられまする全国相互銀行協会の会長さんの上山さんにお伺いいたしたいと思います。  それから第二の点でございますが、これは安武さんにお尋ねしたいと思うのですが、いわゆる保全経済会という問題が今衆議院におきましても提起されて行政監察でも今調査を進めております。これに関連してまあ結果はどうなりますか、政府投融資というか、こういつた立法の問題すら出まして、某政党なぞにおいては一部幹部にそのことが具体的に進められ或いは約束もされていたわけです。これは漸次明らかになつて来ると思いますが、併しこれは勢いこういつた問題が非常に世間に出て被害者も出て来るという関係で若干立法の問題については当初の予定されていたであろうコースよりは変つて来るとは思うのですが、併し多くの犠牲者といいますか、預金者の立場からいいますと、今日非常に強い私どもに対して陳情、請願が寄せられております。成るほどこれらの人々の零細な被害者の立場を考えますときに、このまま放つて置くということは非常に問題があらうというふうにも実は考えるわけですが、果して、保全経済会は一例ですけれども、この種匿名金融といいますか、いわゆる法の盲点を潜つているとか言われておりますけれども、これに対するいわば我々の立場からいいますと立法的な見地からどうあるべきかということが非常に具体的に問題が出ておりますだけに、問題が非常に処理しにくい状態にあります。従いましてこれにつきまして実際に当つておられまする全国信用金庫の安武さんからその御意見を若し差支えなければお伺いいたしたいと思うのであります。  更に一点あるのでございますが、これは中小企業金融公庫の坂口さんのほうになりますから、おいでになりましたときに。
  89. 上山英三

    参考人(上山英三君) 只今の御質問につきましては、先ほど私多少この問題に触れたのでありまして、今度の一兆内予算に対する影響というのは、私心理的の影響とそれから実際の影響、この方面からまあ考え得られると思うのです。実は我々は国際収支の問題について昨年もう上期の頃からいろいろ議論されて、若しこのままで行つたなれば我が国はどうなるか、こういう点が非常に憂慮されておつたのでありまして、この点に対する施策は昨年度は概念ながら殆んどなかつたのじやないか。漸くこの点にこいて真剣に考え出したのは八月、九月の頃。これに対処するためには金融の引締めでやつて行こう、こういう点で金融の引締めをやり出した。その直接の影響は先ほど申上げましたように我々の金融機関については指定預金の引揚げ、その結果どうなつたかといいますと、お手許へ出しておつた数字のように期末になつて資金需要というのが非常に著しく殖えて来た。これは銀行のほうで締められたものはどこへ行くか。銀行が選別融資をやる結果として或る程度つて行く。自分の好むところ以外はできるだけお断りする。そういうものがどこへ行くかというと、結局私のほうへ来るか、或いは信用金庫に来るか。併しながら殊念ながら資金需要との関係需要のほうが多い。従つて実際の実情といたしましてはどうしたつてお断りするよりほかはしようがない。新らしい資金需要に賄い切れなければ、且つお話のあつたように相当各金融機関のやり方としては自分に余裕をおいてなければいけないですから、普通なれば切替えして延ばして行く金でも自分のほうへ手許にそれを準備をとつて行く、こういう傾向にだんだんなつて行くのじやないか。心理的の影響としてだんだん世の中が悪くなるとすればそういう処置をとらなければならん。そうするとお断りするところが非常に多くなる。この点でよほどおつしつたように影響が強いと思うのです。ただ私ども予算の内容についてつまびらかにいたしませんから、どういうふうな傾向になるか、この点は知りたいのでありますが、大体二十八年度と二十九年度予算を比べますと、そうひどく総体としては減つていない。だから繰延の予算の使い方、そういうようなものによりまして実際に財政資金として世の中へ出る金が或いは場合によつては二十八年度と二十九年度とは総額においてはそう違わない数字になるのじやないかとも想像されます。ただ一番私どもの心配するのは、日本銀行のオーバー・ローンの金、日銀から普通銀行へ貸付ける金を急激に締めて付く、こういうことになれば、従つてそのしわ寄せというのは当然大企業の下請工業、それから中小企業ということが一連の関連を持つていますから、十企業にうんと締めるとすれば、当然下のほうへも及んで来る。だからむしろ私はこの二十九年度予算それ自体について考えるよりは、先ほども申しましたように金融の引締めが急激に来る、このほうがこわいんじやないか、こう私は考えておる次第であります。
  90. 安武善蔵

    参考人(安武善蔵君) 保全経済会等の類似機関立法化の問題についての御質問でございますが、私見を申しますと、まあこの保全経済会式のものと、それからもう一つありますのが株主相互金融の問題であると思います。こうした類似金融機関が社会的に、或いは経済的に成立つというようなものでありますれば、そしてそれが社会にプラスになるということであれば或いは立法化の必要もそこから生れて来るのではないかと思うのでありまするが、現在、或いは今までこれらの両機関の実情を見ましても、経営的に成立つかどうかというような問題が、今こそわかつたのでありますが、まあ私どもは二年前頃からこうしたものは早く手を入れて措置をすべきだということを叫び続けて来た者の一人でございます。そういう意味からいたしまして、保全経済会式のものの立法というようなものについては私はその必要はないんではないかというふうに考えております。  それから株主相互金融の問題も、先だつてから千葉試案というふうなものも新聞で報じられまして、かなりこの立法化の運動が進められておるように聞いておるのでありまするが、これに対しましても、実質的に見ますれば自転車操業でありまして、経営的には私は成立たないというようなものでありますればこれを保護或いは育成をするというようなものではないんではないか、こういうふうに考えます。今先生がたのほうにいろいろな要望なり陳情が来ておるということのお話でございますが、これはそういう当事者からの強い要望の場合と、或いはそれによりまして被害を受けたと言いますか、取引のあつた零細な一般大衆からの要望というようなものも非常に多いだろうと想像するのでございますが、仮にここで立法化がされましたといたしましても、現在要望されて来る、何といいますか、要望を満たしてやるということはこれは不可能ではないか。むしろ今後こういう機関に引つかからないような措置といいますか、そういう施策こそ私どもはとつて頂きたい。そしてやはり正規の金融機関を通じて金融を受けるというようなほうをより一層育成強化して頂きたい、こういうように考えておる次第でございます。
  91. 藤田進

    ○藤田進君 有難うございました。  今度の予算については一応見解なりこれ以上は取りやめまして、中小企業金融公庫の坂口総裁にお伺いしたいと思います。この前資料を頂きまして、非常にわかりやすい資料で感謝しているのですが、今回のも非常に見やすい資料ですが、ただ私ども心配いたしております点について若干まだ私自身として不足をいたしておりますのは、一体この中小企業金融公庫の設立の効果としてどう現われるだろうかということです。確かに今ざつとやつて見ても大体二百万円平均、平均いたしますと貸出ができているように思われるわけですが、先ず窓口で文書だけで受付けられたものが一万二千あつて、恐らくこれは相当整理されて、本当に申請を受理したというか、こういうものになりますとすでに三千四百ばかりになつて、まあ四分の一くらいに一応ふるい落されているわけで、その間にはかなり綿密な御検討をなさつているでしようが、そういう数字、そしてそれが設備資金と運転資金などの撒布別もわかりますしするのですが、大体設備資金が、私の先生にお尋ねいたします点はそのウエイトが多いようでありますから、いわゆる合理化の面、手工業的な面がかなり高度に機械化されて能事が上つて行く、立法の過程においてもそういつた説明が縷々なされていたのでありまして、恐らく設備資金と言えばそうであろうと思うのです。ところがこの設備資金なり運転資金にいたしましても、殊に設備資金に非常に投資される形に借りたほうではなると思いますが、これが今後の緊縮予算とその生産分野のあり方などあらましを見て貸付けられる場合の査定、それが産業別にいろいろあつたようですけれども、併し製造工業などにおいてはかなり今度の急激な政府緊縮政策というか、施策のために挫折頓挫するのではないだろうか、製造工業のこの融資ですね、平均すれば二百万円ですが、恐らく一千万円近いものもあるのではないだろうかと私は予想いたします。これは事業の資本との比率から言つてもかなりやはりその事業計画というものはその当該製造工業にとつては大きな計画であつたろうと思うわけですが、それがやはり相当今度の政府施策によつてその製造工業全体が非常に問題になるのではないだろうかとこういう心配をいたします。それが大企業との系列の中にあつたり、こういつた特殊の事情にあれば別ですけれども、こういう点が、実は言わんとするのは、この資料だけではどういう影響があるだろうか、そして査定はどういう方向でなされているであろうかというような点が全然窺えないのであります。でありますから非常に多くの中から二二%、或いは申請を正式に受理された中でもこれは七八%というふうに件数がなつているわけですが、こういつたことが非常にあらましですけれども、どういう産業へどういう影響があるということは一言では言いにくいでしようが、若し言いやすければお願いいたしたいし、言いにくければ私どものほうで研究したいと思いますので、こうした研究する私のポイントが一応おわかりになつたと思いますから、この中小企業の融資に与える影響とか、産業と予算との関係を早急に調べて見たいと思いますので、こういつた問題ですから即答できないと思いますから、若しできなければ資料を頂ければ頂きたい。このことをお願いし、又お尋ねするわけです。
  92. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 今日こちらにお呼び出しを受けましたにつきまして、委員長ちよつとお断りしたのであります。実は私ども公庫を開設いたしまして丁度十二月末が切りだつたものですから、その間の業績を分析いたしましていろいろ計数を整理いたしまして、自分たちの公庫の将来の運営の参考に資するようなことを今進めております。計数的に進めておりますので、もう暫らくお待ち願えればそういう数字も御一緒にお話できるのじやないかということを一応申上げたのでございますが、とにかく今日出て来いというので出て来たのでありますので、十分資料を差上げることができませんで、この点私ども非常に遺憾に思つておりますが、できましたら、早速資料をお届けしたいと思いますが、只今お尋ねがありましたので大体を申上げますと、私ども開設の当初設備資金を先ず打出しました関係上、この表にもございますように設備資金の貸付が非常に多い、そのうちでも製造業が一番多いのでございまして、全体の約七〇%見当が製造業でございます。で、この製造業のうちいろいろなものが出ておりまして、大きいもので申しますと食料品、繊維品などが割合に大きいほうでございます。そういうようなものを整理いたしまして、大体そういうような製造業が大部分でございまして、それも設備資金なんでございます。今後の見通しといたしまして、こういう緊縮予算、又先行きの物価が下るというような見通しの下に、将来設備資金がこう出て来るかどうかは非常に疑問があるんじやないかと思います。設備については、……。本当に緊急止むを得ないものの設備ばかりに限られて来るのじやないかと思いますが、そういう関係で今後私どもの公庫としては、長期の運転資金が相当出て来るのではないかと思います。他の金融機関の金融引締めその他の関係もあり、むしろ運転資金のほうにその部分が相当殖えて行くのじやないかという見通しを持つております。昨年の終りにも年末の金融の際にも、設備資金よりもむしろ運転資金のほうを先に、設備資金は調査が非常に長くかかりますので、長期運転資金のほうが先に出されるのであれば、運転資金からやられたらどうかということも第一点に申上げておるのでありますが、只今のところは運転資金はこの表にもございまするように余り多くないのでありまして、今後はそういう意味で長期運転資金が相当殖えて来るのではないかという見通しでございます。なお資料が整いましたらお届けいたしたいと思います。
  93. 藤田進

    ○藤田進君 最後にお願いいたしておきたいのでありますが、皆さん先刻御承知のように、今度の予算があのまま仮に通りますと、無論経験するまでもなく予想せられるところでありまして、私が端的に、少し悪口になるかも知れませんが申上げると、非常に今度の予算というのは急激に、政府施策とは言われるけれども、いわゆる各省の意見を持ち寄つて、そうしてかなり緻密な検討の結果、我が国の将来というような立場から出されたというよりも、まあいわば池田さんあたりも向うに行かれまして、今日依然としてそういつた筋からの非常に強い要請に基く結果ということが言えるのではないだろうか。終戦直後通貨等に対してあれはミスター・チエーンでしたか、こんなのが来て大鉈を振い、或いはミスター・ドツジが来てやる。今度は誰も来ていないように見えるけれどもやつぱり出掛けて行つて、それを聞いたりして、まあ急激にそういつたところからやはり問題点はある。これは否定できないと思うのです、MSAの交渉と相並んで……。従つて私はこの際特に中小企業をむしろ代表されると言つていい最も問題になつている中小企業金融面、これは中小企業におきましては、特質としては労働問題という大きな問題もさほど大きな問題となつていないと思います。やはり今日この政府施策と金融の面という点が殆んどその悩みであろうと思いますし、これが興亡のやはり大きな要素になつていると思いますので、まあこういう点から見まして予算が組まれる過程におきましては、皆さん大変な御努力をされたように私は伺つておりますけれども、一旦その査定が済んで国会にこれが上程されますと、もう諦めてしまつて、もう駄目なんだということで、却つてどうも一安心されたような私は気がいたすのであります。今度こそやはり与野党を通じて、自由党の皆さんの中にも多くは心配されている人もあろうと思いまするし、やはりかなり長い今度は通常国会でございますので、予算審議の過程に諦めないでやはり悪いところは皆さんの御意見を盛込んで頂くように、私どもも十分協力いたしたいと思いまするので、どうか諦め切らないで一つお力添えを願いたいということをここにお願い申上げます。
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御質疑ございませんか。政府側に対する御質疑もどうぞお願いいたします。
  95. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 参考人側からいろいろ御意見が出ましたのを受けて私は政府側のほうへ御質問をしたいと思うのであります。今日も午前中愛知通産大臣基本方針についていろいろ聞いたのでありますが、緊縮政策をとれば当然中小企業に一番しわ寄せが来るということは誰しも言うことでありますけれども、今日の質問の結果明らかになつたところによると、物価引下げを強行する具体的の方策はどうかということにつきましてはつきりした答弁は得られなかつたのでありまして、結論から言うと、むしろ供給を多くする、それから有効需要のほうは大いにこれを減退せしめる。結局需給のアンバランスから物価引下げは出て来るというようなことなんでありまして、こういう行き方を前提としますと、いよいよ以て中小企業に対するしわ寄せが非常に来るだろうということを考えざるを得ないのであります。従つて中小企業対策がこの際うまく行くか行かないかということが、今度の緊縮政府なりデフレ対策というのか、デイス・インフレ対策というのか、それがうまく行くか行かないかの分れ道になると思うのでありまして、それがためにまあ本日も中小企業専門金融機関のかたがたにわざわざおいで願つていろいろお話を伺つたのでありますが、中小企業の専門金融機関は預金が十分に吸収できないという宿命的な運命的な制度をそれ自体が持つておるのでありまして、どうしても財政資金でカバーして行く以外に手はないのであります。そこにおいて各金融機関から財政資金なり、或いは指定預金の引揚延期、或いは新規の預託というものを強く要望せられたのでありますが、銀行局長はそのお立場しかも知れませんが、相当予想以上に強い答弁をせられたようでありまして、この調子で行つたら、一体どういうことになるのか、私は非常に憂慮に堪えん。又一面政府首脳部は首相以下口を揃えて、角を矯めて牛を殺すようなことをしないと言つておりますけれども、銀行局長が言われたような点を端的にやつたら、私は当然角を矯めて牛を殺すようなことになると思うのでありまして、これにつきましては通産大臣等を中心にして更によくお話しなければいかんと思うのでありますが、差当り自由党の政策綱領を見ますと、指定預金の増額を図るということをはつきり書いておるのでありますが、これを政府との間においてどういうふうに我々は見て行つたらいいか、この点を先ず一つ伺いたいと思うのであります。  それから指定預金は先ほど銀行局長お話だと新規の預託は考えておらん、又三月末までに引揚予定になつておるものは必要に応じて善処をする、こういうお話でありましたが、必要に応じてぎりぎりになつてから善処するということでは、金融機関というものは竦んでしまつて私は緊縮政策を事なく推移させるような融資方針は立て得ないだろうと思う。やるんならば相当幅を見て、こういう方向で行くのだということを少くとも内示しなかつたら、金融機関はやりようがない、そういう結果只今申すような中小企業に対する不当なしわ寄せ、不必要なしわ寄せが私は出て来ると思う。中小企業といつても不健全なものはしようがないかも知れませんが、中小企業なるが故に健全なるものでも潰れて行かなければならんということは、国家的にいつて私は由々しい問題だと思うのであります。そういう点において、必要に応じ善処するということでありますが、それについて至急にはつきりしたことをこの際お立てになる必要があると思うのであります。若しそれをおやりにならんと、もうあとから死んだ子の年を数えるようになるだろうということを私は強く考えるのでありまして、その点を質問かたがた要望をいたすのであります。  それから資金運用部資金の余裕がないということを言われたのでありますが、資金運用部資金というものは、言うまでもないのでありますけれども、郵便貯金の零細なる金を郵便局から引揚げたものであつて、これをさなきだに金の足りん中小企業界に、零細企業界に余り廻らんでほかのほうにばかり廻しておるから足らん。資金運用部資金の運用計画自体の根本的再検討が私は必要だと思う。その運用計画自身がよくなくて、他の方面にずるずる零細なる金を集めたものまで出しておいて、そうして金が足らん。これで一体零細企業中小企業関係は黙つて見ておられるのかという根本問題があると思うのであります。  もう一点は、資金運用部資金に仮に余裕があつたならば政府機関に投入する、こう言われるのでありますが、私の理解するところでは、今の政府機関というもの、政府金融機関というものは全部長期資金であります。資金運用部資金から政府関係金融機関に廻したということになりましたならば、それは当然長期資金になると思うのであります。本日ここでいろいろ議論が出ておりまする問題は、長期資金も問題にはなつておりましようけれども、特に短期資金の問題が主になつておるのでありまして、それが故に指定預金の引揚延期なり、或いは新規の預託というものを強く期待せられておると思うのであります。ここに私は政府関係金融機関に資金運用部資金を投入することだけでは足らん問題がある。これについてはどういうふうにするかということを承わりたいのであります。これは中小企業庁長官のほうから言われたのでありますが、小口の信用保険などもこの際考えようとしておるということでありまして、まあ結構でありますけれども、これも資金源に余裕がないことには絵に描いた餅になることははつきりしておるのであります。こういう点についてもどういう具体的な資金源についての見通しを持つておられるのかということを伺いたいのであります。
  96. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。御質問の点、私に対する御質問は三つあつたと思いますが、第一の自由党の政策として指定預金を更に増額するということが決定になつたということ、私は実は寡聞にしてまだよく承知いたしておりせん。従いまして、この点は後刻調べましてその点についての私の見解を申上げたいと存じます。  それから、指定預金の問題について例えばこれを或る程度延期するとかといつたような措置は成るべく前びろにこれをきめることによつて関係金融機関の資金繰り、或いは融資方針についてあらかじめ準備ができるようにすべきである。この点のお話は全く同感に考えております。従来からこの点につきましては関係金融機関から強いそういう御要望もあることでありますし、私どももそのつもりで配意いたしております。現実の問題として御趣旨の点にはできるだけ副うようにしたいと考えております。  それから第三の預金部の問題につきましては、これは資金に余裕があるかないかという点は、これはいろいろな見方の問題はあると思います。突詰めて言えば、今豊田委員からのお話のように、この資金運用部資金の配分の問題、中小企業関係にもつとウエイトを置くべきではないかという御議論の問題としては、これは私は確かに考え方の問題としてそういう御議論はあると思うのでありますが、少くとも現在政府といたしましては、ああいう配分の方法で行くことが資金運用部の運用方法としては一番適当であるという立場に立つてあの原案を作成いたしたのであります。その限りにおきましては何と申しますか、余裕金というものはもうすでに殆んどない。当初の繰廻資金程度の、いわゆる、言葉は非常に悪いのでありますが、預金部の運転資金程度のものしか実はないのでありますが、その限りにおきましては更にこれを追加ということは困難であるということを申上げたのでありますが、併しながら、重ねて申上げますが、この資金運用部の資金の運用方法の配分の仕方について御意見の点は十分に承わつておきたいと思います。  それからもう一つは、資金運用部の問題に関連いたしまして中小企業金融機関というものは短期の資金を利用すると、従つて運用部等の長い資金ではなくして、むしろ指定預金であるとか、そういつた短期の資金を要するのであるから、そういつた意味の政府資金の注入の方途こそ望ましいのであつて資金運用部のような長い資金は必ずしも必要でないという御意見であります。私はこの点は若干豊田委員お話と見解を異にいたしているのであります。中小企業専門金融機関の資金源というものは、今のお話のようになかなか民間からの蓄積資本を吸収するということによつてその資金源を確保することが事実問題としてなかなか困難である。これは無論努力はしなければならんと思うが、なかなか困難であろうという意味におきまして、個々の貸出は短期でありましようとも、何といいますか、根になる一種の資金というものは常に廻転しながらそれだけの資金というものは要するわけだと私ども考えております。そういう限りにおきましてはやはり望まれるところは長い安定した資金というものにあつて、それがその範囲においてリゾルブして行くという形において、個々の融資は短期の貸出であるけれども、その資金源そのものは安定したものが望まれるわけでありますが、これは恐らく中小企業専門金融機関の御要望じやないかと私は想像いたしております。そういう意味におきましては、やはり指定預金のように三カ月とか、或いは二カ月とかという期間で直ちにそれを引揚げられてしまうということでなしに、貸出自体の期間は三カ月であり、二カ月であるかも知れませんが、それをリゾルブして安定した資金として流通できるようにして行くために、やはり今どちらかと言えば私は一応の長期の資金資金源として、長期のものが安定して、固定してこれらの機関に注入されることがより望ましいのじやないかというふうに実は考えております。この点は私の考えにつきまして必ずしもひとりよがりで突張るつもりもございませんが、私としてはそういうふうに考えております。
  97. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私の言つた意味を少し或いは横にそれてお考えなつたのかと思うのでありますが、私の言つた意味は長期資金は要らんという意味じや毛頭ないのでありまして、長期資金は勿論要るのだが、最近政府のほうで手を打たれた中小企業金融対策というものは長期資金に非常に重点を置いて、現在の政府関係金融機関というものは殆んど長期資金本位で、極端に言うと設備資金に重点を置いている。最近は大分情勢を判断せられ長期運動資産にまでは向いて来ましたが、とにかく長期資金ばかりと言つてもいいわけなのでありますが、ところが中小企業の専門金融機関は長期資金だけを流すだけでは事が足らん。短期資金も合せて流さざるを得ないのでありますが、その場合に短期資金について今まで制度として手を打たれたものがない。便宜的に国庫に余裕がある場合に指定預金をやつてつたのでありますが、こういうふうなものは便宜的な手段で、私はやはり一つの筋の通つた制度を作るべきであると思う。もつと端的に言いまするというと、資金運用部資金の運用計画というものは零細なる資金を掻集めたものだから、只今申したように零細なる業界対象を主にした運営をやると同時に、余裕金というものはこれは昔の低利資金の運用制度のごとくやはり適当なる金融機関に直接貸付け得る途を復活させるべきじやないか。そういう点において資金運用部資金法の改正がこの際必要じやないかということを言つているのでありまして、決して長期資金は要らんと言つているわけではないのでありまして、長期資金も必要だが、更に短期資金向きの適当なる政府資金運用制度というものを制度的に確立してもらいたい。こういう意味なのであります。その点について今のその意味がわかつておれば至急に御研究願いたいと思うのであります。  それと、これは大した問題じやありませんでしたが、長官から小口信用保険制度を今度創設せられるようでありますが、これに伴う新たなる資金源を何か考慮せられておるかどうか、今までの足らない資金の中から削られたのでは余り有難くないことになるかも知らんのでありますから、そこのところを一つ
  98. 岡田秀男

    政府委員(岡田秀男君) 保険のほうは特に新らしい資金源というものを考えてやつてはおりませんので、従来とも各金融機関のところへ零細な業者が十万円以下というふうな小口の金を借りに行きます場合に、非常に借りにくい実情にあるということを聞いておりまするので、それらの借りやすいような一つの方途として、新たに小口保険制度を作りまして、そして信用保証協会が保証しましたその保証債務の保険につきまして補填率を八割まで引上げる、普通は六割でございまするが八割まで引上げまして、保険料は従来通り年二分に据置くという程度のものではございまするが、これによつてそういうかたがたが金融機関に行つて金を借りる場合に借りやすいようにしたいという仕組なのでございまして、資金源としてはそれぞれの金融機関のほうでやりくつてもらうという以外に特別に資金源を考慮するわけではないのであります。
  99. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 一応の御答弁はそうなのかも知らんですけれども金融の実態を見ますと、金が借りやすい制度を作ればどうしても金が余計出て行くことになるのでありますから、どうしても資金源をこの際併せて考えておく必要があると思うのでありまして、従来からあり余つておる資金ならいいわけでありまするけれども、先ほどあれほど関係金融機関から詰つて来ていることを言われておるのでありまして、それだけにこの際折角いい小口信用保険制度ができるのでありますから、それに伴う資金源の獲得ということに一つ長官折角奮い立たれるようにこの際希望するわけであります。
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御質疑ございませんか。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  101. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは本日は一応この程度にいたしまして、なお本問題は引続き審議いたすことにいたしたいと思います。御異議ございませんか……。  それから参考人のかたがたには長時間に亘りまして極めて有益なる御所見を承わりまして誠に有難うございました。只今お話なつ通り中小企業の問題は金融面を通じまして極めて憂慮すべき状態にございます。私どもも本日承わつた趣旨の点十分徹底するように今後検討いたしたいと存じます。どうぞ金融機関の皆様がたも折角この中小企業育成発展のために御努力賜わらんことを特にお願いを申上げます。本日は誠にどうも有難うございました。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会