○
政府委員(戸田正直君) お答えいたします。
警察の調べました人権侵害事件と、私の調査いたしました人権侵害事件との件数の相違があるというお尋ねでございますが、この前に私のほうで取扱いました特別公務員による侵犯事件、私のほうとしましては、公務員の事件を、特に人権侵犯事件としては、最も重視いたしております。それは権力のある者が権力のない一般
国民に対する人権の侵害というものは、救済する、なかなかみずから守るということは容易でないというので、人権擁護局としては、公務員の人権侵害を非常に重視しておる。そこでその公務員の中で、特別公務員を一般公務員に分けておりまして、特に
警察官だけを取上げて統計をと
つておらないのでありまして、特別公務員といたしておりますこの特別公務員の中で、最も大部分を占めておりますのは、先ほど
お話のありましたように、
警察官の事件が最も数が多いのであります。そこで私のほうでは特別公務員の事件を受理しましたのを年度別に申上げますと、初めて人権擁護局ができました昭和二十三年におきましては十二件でありました。それが二十四年には四十六件、二十五年には三百二十二件、二十六年には六百五十五件、二十七年は五百九十七件、昨年庭が六百八十九件、これだけ受理いたしております。そこで数字上の間違いがあ
つたと御指摘なされておりますのは、多分今
国警長官の
お話にありましたこの特別公務員の事件を分けました中で、尤も侵害事実があるとして強く私のほうで
承知しておりますのは告発、
勧告にな
つております。そこで今の
勧告の点について事件の数が、
勧告処分をしました統計が違いがあるようにお指摘にな
つているのではなかろうかと思います。これは
警察、
国警等で調査いたしました資料によりますと、
勧告が四十件でございます。私のほうで処理しましたのが二十七年で、私のほうでは五十五件ということにな
つております。十五件の開きが出て来ております。これに対して私のほうでは確認をしておりませんが、恐らくここらに間違いがあるのじやないかと思いますが、
国警では四十件ということであります。私のほうの統計によりますと五十五件ということにな
つております。そこでこれは確認いたしませんので、はつきり申上げられませんが、恐らくここらに間違いがあるのじやなかろうかと思
つておりますが、新受と旧受とありまして、前年度のものを今年度において処分処理いたしておるものもありますし、それから
国警等で調べました中に
勧告でなくして不問と中止と、それから指示が含まれておるということにな
つておりますが、この機会に不問、指示、中止についてちよつと意味を申上げないと
説明がつかないと思うのですが、不問と申しますのは、私のほうで事件を調査いたしまして、侵犯事件はあ
つたが、すでに
警察官において相当反省されておるし、又事件の性質上又その事件後の
状況等から、あえてそれ以上追及する必要がないというのがいわゆる不問処理と申しまして、検察庁が言う起訴猶予処分に大体当るものであります。それから中止をいたします場合は、すでに捜査当局において捜査を開始しておるというので、そのほうに捜査をお任せするというようなことで中止する。又指示等は、告訴をしなさい、裁判所へ申出なさいというようなことを指示するというようなことで、或いは
勧告等につきましても、少し時期がずれたような
関係から、口頭
勧告をして、そして不問処理をしたというようなことで私のほうでは口頭
勧告といたしておりますが、或いはそれを不問と捉えたというようなことが、恐らく
警察の調べと私のほうとで事実の相違が出て来ているのじやなかろうか、かように
考えておる次第でございます。
それから
警察大学等で忍び込みとか、封書を開けるというようなことを
教育しているがどうかというお説でありますが、
警察でこれはどういう
目的でや
つておりまするか、私のほうでつまびらかにいたしておりませんので具体的事実については申上げられませんが、例えば忍び込むということを一般にやらせるとか、封書を開けるということを一般にやらせるというようなことは、これはどうも人権擁護上よろしくないのじやないか。ただ
教育を受けたということは、これはどういうことになるのかわかりませんが、これを若し行うということになりますと、これはどうも人権擁護上よろしくないのじやないか、かように
考えておるのでありますが、そこで
憲法で通信の秘密とかいうようなものを
保障されておりまするので、封書を勝手に開ける方法ということは令状による場合とか、破産法の規定による等
法律に許された場合以外はちよつと心当りは私
ども考えられないことでありますが、ともかく
教育をするということはどういう
目的でや
つておりますか、
目的によ
つてこれがいい、悪いの判断がつくと思うのでありますが、ただ教えただけでは直ちに人権侵害にはならないと
考えております。