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1954-05-29 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    ————————————— 昭和二十九年五月二十九日(土曜日)    午前十一時三十八分開会   —————————————   委員の異動 五月二十八日委員長谷山行毅君辞任に つき、その補欠として田中啓一君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            小林 武治君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            木村 守江君            田中 啓一君            館  哲二君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君    国 務 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部警備部長   山口 喜雄君    国家地方警察本    部警務部長   石井 栄三君    法務省刑事局長 井本 台吉君    法務省人権擁護    局長      戸田 正直君    公安調査庁次長 高橋 一郎君    建設政務次官  南  好雄君    郵政省監察局長 斎藤信一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    国家地方警察本    部警備部警備第    一課長     三輪 良雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○警察法案内閣提出衆議院送付) ○警察法施行に伴う関係法令整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今より地方行政委員会開会いたします。  本会議のため暫時休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩    ——————————    午後一時三十九分開会
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続き、地方行政委員会開会いたします。  警察法案及び警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案を議題といたします。  質疑お願いいたします。
  4. 秋山長造

    秋山長造君 私は先日来の総括質問を続けてお願いしたいのですが、その前に昨日の参考人の陳述に関連をいたしまして、先般来新聞紙上でも警察大学のいわゆる特高教育講習内容につきまして、いろいろな意外な事実が明らかにされておりますので、先日我々の手許に配付されましたこの警察大学教科課程教育内容という資料につきまして先ず国警当局の御説明を頂き、更にその上でいろいろこの内容について御質問を続けたい、こう考えます。先ず資料の御説明ちよつとお願いいたします。
  5. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 資料の御説明政府委員警務部長からお答えをいたしますが、その前に只今お述べになりました特殊の教育警察大学講習としてやつておるようにおとりになつておられるようでありますが、これは非常に誤り伝えられておりまして、遺憾でございまするから、この点だけを明瞭にいたします。これは警察大学とは全然関係がないのでございまして、警備課の特別な講習として特定人にだけ行なつた講習でありますので、大学一般警察官に教えているかのような印象は誤解であるということを申上げます。
  6. 石井栄三

    政府委員石井栄三君) それでは秋山委員の御質問警察大学教科課程及び教育内容につきまして若干御説明申上げます。お手許に差上げました資料で御覧頂きますとおわかりなりますと思いますが、資料第五でございます。お手許にございましたらお聞きの上お聞き取りを願いたいと思います。  警察大学教養をいたしておりまするコースは、ここにも書いてございますように、本科初任幹部科現任科専科及び研究科、これだけあるのでございます。本科と申しますのは、現在警部補警部昇任試験に合格いたしました者を今後警部以上の上級幹部なつた場合に、その階級に昭らして十分に活動して頂くために必要な教養を加える、こういう意味警部昇任試験に合格いたしました警部補対象にいたしましてやつておるのが本科の一コースなのでございます、これは従来は六カ月の期間を以て教育訓練をいたしておつたのでありますが、二十九年度よりここに書いてありますように期間を延長いたしまして、従来の二倍の一カ年を教育期間ということにいたして教育内容を充実し、将来上級幹部としまして十分な教育訓練を受けるようにいたしておるのであります。その教育内容資料にお示しております通り訓育法学警察実務一般教養各種科目、更に術科、こういつたものが盛り込まれておるのであります。訓育は申上げるまでもなく将来の上級幹部としての心構えと申しますか、これは結局端的に申しますならば、民主主義の理念に徹しまして基本的人権を尊重してこれを基調としての警察執行務に当り、多くの部下を指導教養する幹部であらねばならんということを基本といたしまして、これは大学校長みずからが担当いたしまして、もつぱら行うことにいたしておるのであります。次に法学はここに挙げてあります通り警察執行務に直接関係の深い各種法律について上級幹部としての必要な知識を身につけてもらう、こういうことをいたしておるのであります。次の警察実務はここに挙げてあります通り各種警察仕事につきまして必要な面を実務に直結した観点において十分教育訓練を受ける、こういうことにいたしておるのであります。一般教養科目につきましては、警察官上級幹部として広く常識的各種知識を一通り深く身につけるようにするということで、ここに挙げてありますような特殊の科目について教課いたしておるのであります。更に術科は申すまでもなく警察仕事の性格からいたしましてここに挙げてありますような各種術科を身につけておくことが幹部としても、当然必要であるということからいたしましてかように掲げておるのであります。  次に初任幹部科でございますが、これは将来の上級幹部候補者といたしまして、一般大学を卒業いたしました方を対象としまして、選抜試験を行いました結果、合格いたした者を若干名採用いたしまして、これは六カ月の教養期間を以て基礎的訓練を施しまして、それぞれ第一線の配置につける、こういうふうにいたしておるのであります。その教育内容はここにあります通り、おおむね本科学生に対して行うものとほぼ同様になつておるのであります。  次の第三の現任科でございます。これは現に刑事警部として勤務いたしております者を更に上級幹部といたしまして必要な常識を涵養し、又最近の警察事務に関する新しき知識を注入いたしまして、仕事の実践の上に役立たしめよう、こういう狙いから次に掲げてありますような教育内容を盛り込んで、これは期間といたしましてはおおむね二週間乃至三週間といつた期間でやつておるのであります。従いまして、年に数回反覆繰返すということになつておるのであります。  第四の専科はこれは警部警部補対象といたしまして、特定専門分野について専門的な知識技能教育訓練を行うというのが狙いでありまして、期間内容の如何によりまして違いますが、おおよそ一カ月程度、短い場合には三週間ぐらいという場合もあるのであります。二十九年度に予定いたしております科目は次に掲げてあります通り、(一)から(四)こういうものがあるのであります。  第五の研究科と申しますのは、警部或いは刑事等幹部を選びまして、警察に関する学術及びその運用につきまして題目を指定いたしまして、みつちり調査研究をさせるというコースでございまして、これは期間はおおよそ三カ月ぐらいにいたして、実施いたしております。極めて人数は少く、みつちり調査研究をさせるということが狙いということになつておるのであります。  以上簡単でございますが、概略申上げまして御参考に供します。
  7. 秋山長造

    秋山長造君 警察大学講師ですね、講師は大体専任なつているのですか。それともどこかと兼任になつているのですか。そういう講師の陣容についてちよつとお尋ねいたします。
  8. 石井栄三

    政府委員石井栄三君) 講師にはいろいろのかたがお願いしてあるのであります。普通の大学の教授のかたを講師としてお招きすることもあります。民間の学識経験のあるかたを講師としてお願いすることもあるのでありますが、専任でなくして、その都度必要に応じましてお願いをいたしておるのであります。
  9. 秋山長造

    秋山長造君 只今のこの御説明の中で、大体の建前はわかりましたが、この書類の中の至るところに警備警察という言葉が出ておりますが、世上伝えられておる警察大学における特別警備訓練というのは、ここに書いてある警備警察についての訓練と別に関係なく、さつきの長官お話のように行われておるのか。それとも警察大学に収容されておる学生の中から何人か選んでそういう特別な訓練をやつておるのかその点ちよつとお伺いしたい。
  10. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ほど申しました特定のものに対して行なつております警備関係講習は、これとは全然別でありまして、この学生のうちから特に選んでとるというわけではございません。現に現在警備の実際の仕事を担当しておりまする警部補或いは巡査部長というものにつきまして、時々必要なる講習を必要に応じていたしておるのであります。
  11. 秋山長造

    秋山長造君 ではその訓練はたまたま警察大学のこの施設を利用して行なつておるという以上には、警察大学と別に関係はない、こういうことですか。
  12. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。大学校長とは全然無関係でございます。
  13. 秋山長造

    秋山長造君 その特別な訓練を受けるものは一体何カ月間くらいな期間を以て、そしてその教わる内容はどういうことを教わるのか。又教える人はどういう人がどういう責任において教えておられるのか、その点お伺いしたい。
  14. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 三輪警備第一課長から御説明いたします。
  15. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 只今のお尋ねでございますが、期間はほぼ五十日でございまして、三十日一般座学と申しますか、講義といたします。あとの二十日につきましては実習を加えた訓練をいたしております。座学内容といたしましては、国際情勢国内情勢或いは革命勢力の戦略、戦術、労働農民運動に対しまするそういうものの働きかけというようなことについて講義をいたします。講義をいたします者は国警本部警視警部専門的に分担をいたしております者がこの講義をいたします。実習につきましては、特に専門にそういうことをやつております者が国警本部警視警部について、そういうものが実習の指導をいたすわけであります。
  16. 秋山長造

    秋山長造君 このまあ今の三十日講義、二十日実習訓練というお話ですが、まあそのうち当面問題になりますのは、二十日間の実習訓練の点だと思います。その点に問題をしぼつて質問いたしますが、その前にこういう今問題にされておるような警備特別講習というものは、一体いつ頃から国警本部において始められたのか、又今日までその五十日間という期間限つて講習でありますが、何回くらいおやりになつたか、その点。
  17. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 始めましたのは二十六年の春からでございまして、只今までに済みましたものが十期、これは終りまして期間を置いてその次を入れますから、のべつにこれを開設しておるわけではございませんので十期であります。只今十一期が入つております。
  18. 秋山長造

    秋山長造君 一回について大体何人くらいおやりですか。
  19. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 時によつて多少違いますが、三十五名内外でございます。
  20. 秋山長造

    秋山長造君 これはやはり国警長官のほうから全国の各府県の警察なり或いは自治警警察なりに適当な人間推薦して欲しいと、こういう形でお集めになるのか、それとも何か特定受講生を指名して、派遣して欲しいということでお集めになるのか、その点。
  21. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 地方推薦に待つものであります。
  22. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 只今失礼いたしました。十期と申しましたが十一期今まで出ておりまして、只今十二期であります。訂正いたします。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 そこで、更に具体的にお伺いいたしますが、先般何日でしたか、毎日新聞に衆議院地方行政委員会における猪俣委員斎藤長官との質疑応答、それからその後又参議院におきまして、郵政委員会永岡委員国警本部長官との質疑応答、それからその後更に衆議院法務委員会における山口警備部長猪俣委員との質疑応答の概要が出ておる。それらを総合いたしますと、この警察大学只今特別講習においては手紙をひそかに開封する方法住居に忍び込む方法金庫を開ける方法、相手に気ずかれないように写真をとる方法、その他の技術訓練が行われておる。まあ大体そういうことが書いてあるのでありますが、それが事実であるかどうか。又それ以外にその他どういう方法が教えられているのか、一つお伺いしたい。
  24. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) ちよつと誤解を招かないようにお願いいたしたいと思います。どこまでも大学講習というお言葉は避けて頂きたいと思います。大学と無関係でありますから、これが非常に誤解を持つ一つの原因だと思います。それから猪俣委員にも十分お答えをいたしたのでありますが、手紙を開けるとか、或いは住居侵入をするとか、或いは人の金庫を無断で開けるとか、そういうようなことは決して教えておりませんということをはつきり申しておいたのでありますから、これも誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。その他の方法というのは、或いは張込みであるとか尾行であるとか、そういつた点でございまして、詳細は説明員の品から必要に応じてお説明いたします。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、猪俣委員質問に、今私が挙げましたような質問に対して斎藤長官は、大学科目の中にはないが、共産党の情報をとるためにそのような講習を行なつておる、こう肯定しておられるのですけれども、これは間違いですか。
  26. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) それを全部をお読み頂きたいと思いますが、大学でどういう講義をすべきか、警備関係講義をしておるか、大学ではいたしております。で、特別の今おつしやいましたような、猪俣委員が或る人から聞かれたと思えるその事柄は、これは大学と無関係なものであります。私が只今申上げた通りであります。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 警察大学校は国警本部に附設してある、或いは附置してあるということになつております。それで警察大学校の教科はお出しになりました資料によつて明らかであります。今回問題になつておりますものは、これは警察大学校の教科でも訓練でも何でもない。その点はよくわかる。それで、只今秋山君が質問した人の信書を開けるとか、或いは鍵を開けるとかというようなことはやつておらないということを国警長官としてはつきりそういう点は言明できるのですか。
  28. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私ははつきり言明をいたします。若しそれに間違つておるようなことがありますれば、恐らく私の知らない間にそういうことをやつておるということは考えられません。私はつきり責任を持つて言明いたします。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、そういう特別の警備訓練というものは、一々警察大学校長、或いは斎藤国警長官手許までその計画を報告と言いますか、或いは決裁を求める、その限りにおいて職務の関係においてその詳細に亙つて斎藤国警長官は御存じだというふうに了解してよろしいのでございますか。
  30. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私はこういつた特別の講習をする必要があるということは認めて、その講習は非常に必要であると、大いに勉強し、講師諸君も十分そういつた何と言いますか、知識を十分研究してやつてもらいたい、同時にこれについては人の権利の侵害になつたり、或いは自由を侵したりということのないように、先ずその心構えを十分正して、又生徒にもその点を徹底さして参りたいという方針は十分伝えてあります。一々教科内容詳細立合つておりませんから知りませんが、併しどういうような事柄をどういう方針でやつておるということは、私の責任監督をいたしておるつもりでございます。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 只今お話では、全般的なことについては国警長官も必要であるというふうにお考えなつております。ただ併し、人権蹂躪や或いは法律違反にならないように御注意を与えておられる。併し下僚から決裁を求めて来るという形において全部については詳細を御承知でないように聞こえるわけであります。そこで秋山君が列挙したようなことが絶対に行われておらないということは、いわゆる決裁である、或いはただ指揮監督であるのかという、そういう点においては断言ができないのじやないかと、こういう疑いを持つのでありますが、その点如何でありますか。
  32. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私はさような信書秘密を侵したり或いは住居侵入をさしたり、そういつた非合法の事柄をやれというような指示を常識的にやつておるはずがないということは、もう幹部諸君を信頼しておつたのでありますが、本年の一月十八日に名古屋の警察局長宮崎君が朝私の家へ訪れまして、警察法の改正について政府から発表せられたあの要綱は変更できないのかどうか、五大都市を認める、認めないというのは長官の胸三寸にあると自分は思う、若し五大都市を認めてくれるならいいが、五大都市を認めなければ、警備でやつておる共産党工作内容を社会党の左派の人から国会にばらすかも知れない。長官責任問題になるであろう。若し五大都市を認めてくれるならば、そういうことがなくて済むであろう。どうだろうというお話があつて、私はそういうふうな憲法違反法律を蹂躪するような、そんな内容事柄をさせておるというようなことは絶対ないと確信をしておる。たとえあるというようなことがあるならば、いつ如何なる場合においても私はその責任者として責任を問われる覚悟は持つております。それと警察法とは別問題であるということを申して、宮崎君とそういう脅迫的なような話はやめようじやないかというので別れたのでありますが、役所に出て果してそういつたような講習内容があるかどうかということを更に具体的に私は関係者に十分取調べたのでありますが、さような手紙を開ける、不法侵入をやつてよろしい、そういつたような講習は絶対いたしておりませんし、私がかねがね申しておりまするように、絶対に法律を侵さない。そうして如何に共産党のいわゆる地下極秘に秘匿されたいわゆる軍事組織軍事活動というものを我々がそれぞれの責任、治安の責任上、これを知るのにどういつたような事柄が必要か、写真を撮るにいたしましても、協力者からどこどこに最高幹部集つて極秘の打合せをするらしいという報告を、知らせを受けた場合に、そこに集るであろう人たち写真を知られずに撮つて、その中に潜行幹部が入つていないかどうかといつたような事柄を知る必要もあります。そういつた意味から写真技術でありますとか、いろいろ問題にされておりまするような技術講習をいたしておりますることは事実でありますが、どこまでもそれらの中には人の信書を開けたり、或いは不法に人の住居侵入をしたり、そういつたような事柄は絶対に含まれておらないということを私は確認をいたしたのでございます。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 問題の点は、人のまあ信書不法方法で開けたり、或いは中を見たり、あとで糊付けして又元に戻しておくということまで言いますと、絶対にそういう意味不法信書秘密を侵したということはない、或いはそういうことを教えたことはない、一つ一つのことを不法なことはやらないというふうに片付けてしまえば、秋山君の言われたような不法なまあ法律違反であるとか、憲法違反であるとかというそういうことはやつておらない。併し問題は不法かどうかということは丁度紙一重のところであつて、昨日もいろいろ話を聞いたのでありますが、協力者という人が手紙を持つて来る、そうして持つて来たものを開けるということは、或いは信書秘密を侵害したものじやないかも知れない。併し持つて来させるように仕向けてある警察の行動というものがあれば、やはりそこに不法でありますとか、或いは憲法違反であるとかという疑義が生じて来る。ですから秋山君の尋ねているのは、封書を開けて中を読んで気付かれないように封をして又元に戻す、それが不法であるかないかということは別問題として、そういつた種類技術訓練というものをやつている、その点やつているのかどうかということを私たちも知りたいと思う。不法方法ではやつていないかも知れない。併し見方によればそれは不法方法であるかも知れない。併し信書を開ける方法であるとか何とかというようなことは、そこまで来るやはり経路において非常に疑わしい問題があると思いますので、不法であるかないかということは別として、やはりそういつた種類のことはやつている、やつていないということをはつきりと言明されたほうがいいのじやないか、こう思います。
  34. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その方法不法に用いれば不法になるわけであります。例えば拳銃訓練もさようでございまして、警察官がその職責上必要な技術として拳銃訓練をいたしますが、これで人を故なく射てはそれは不法であります。それと同様に糊付けされたものをわからないように開ける、この方法で人の手紙や、たとえ協力者でありましても、人の信書であるということがわかつてやれば、それは不法に相成ります。併しながら御承知のように最近は共産党そういつた極秘資料は或いは地下に隠匿して置こうじやないかという指令が出ていることは御承知通りであります。それを発見いたしました場合に、糊で封をされているというものがあつたというような場合とか、或いは間諜その他の極秘組織において調査をされた資料、そういうようなものが封をされていたとか、或いは党員の名簿とか、極秘の文書とかというようなものが封をされている、或いは途中で武器その他と思えるものを厳封をして手渡されて、それがこちらの手に入つた場合にそれを開けて見るというような技術は、どうしても我々としては、少くともそういつた事柄に従事する特定の或る限られた者にだけはそういうことを教えておかないと我々は職責が果せない、こういうふうに考えておるのであります。さようでありまするからこそ、この講習に来させる者に対しては、特に推薦者に対しましてそういつた事柄について間違つて用いられる虞れのない、十分に民主的警察官としての心構えのできたしつかりした人間責任を以て推薦をしてもらつているのであります。これを如何なる場合に用いるかという監督その他は、それぞれの第一線警察責任者責任を持つて監督しているのでありまするし、又そういつた虞れのない立派な警察官だけに限られた者にいたしておるのであります。この講習を無限に拡げるという考えは毛頭持つておりません。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 まあ不法であるか、合法であるかということについては、国警長官一つのお考えがあるようでありますから、そのことよりも、更に具体的に私お伺いいたしますが、先般の猪俣議員質問に対する御答弁の中に、それは手紙は開けるということはあるけれども、併しそれは警察への協力者封書をこつそり持つて来た場合に開いて中を見て、そうして又元通りに返すんだ、こういうお話があつた。で、只今協力者というお言葉が出たのでありますが、この警察への協力者というような者は、具体的にはどういう者を指しているのか、伺いたい。
  36. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 具体的にと申しまするとどういうふうにお答えいたしましたらよろしいか、共産党員の中にも警察に協力してくれる者もありますし、一般の人にもありますが、そういつたような者でありまして、これ以上具体的にちよつと申上げかねます。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、やはり警察のほうでこういう極めて危険な方法をおとりになる以上は、相手にいたしましても、ただいわゆる情報の売込屋というような者にひつかかつて一ぱい喰わされるというような危険性もこれは大いにある。そこで当然相手がいよいよ本当に協力者であるかどうかということは、しつかりと前以て確めておいた上でなければうつかり乗れない、これはもう当然だろうと思う。そうなりますと、やはり警察において常時ふだんから警察に対する協力者という者は大体あれとあれとあれだというような何か目星がついていなければこれは事にならないわけです。で、そういうことになりますから、警察のほうにおきましては当然何かそういう大体の目星、或いは具体的な人物というような者のリストと言いますか、何かそういうものを一応手許に持つておられた上でなければこの方法は行いがたいと思うのですが、その点は如何ですか。
  38. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは御承知のように何と言いますか、警察を故意に間違わせるように、或いはそうでなくつても、いわゆる情報屋というか、そういつた者も中にはないとも限りません。間違いのない協力者と思つてつて、そうでなかつたというような場合もあるでありましよう。従いまして我々といたしましては、その内容というものを十分に検討いたしませんと、嘘のものであるという場合がやはりあるのでありまして、我々はむしろそういつたことを常習にするような人、こういう人は間違いの情報を持つて来る人であるから乗つてはいけないというようなことを互いに連絡し合つておるのであります。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 そういう危険がありますから、当然この手紙を開くということを講習なさるためには、糊を剥がすとか、閉じるとかいう純技術的な講習と同時に、そういう手紙を持つて来る人間の選び方なり、或いはそういう協力者をまあ利用するといいますか、悪い言葉で言えばまあ利用するというような方法についても当然お考えなつておるはずだと思う。そういう方法について講習をなさつておられないかどうか。
  40. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 手紙を持つて来るとおつしやいますが、手紙のようなものは協力者が持つて来て、そういうことはいけないと言つておりますから、手紙でなくてむしろ文献とか、或いは資料とかいうような言葉を我々は使いたいと思つておるのでありますが、勿論その協力者が真の協力者であるかどうかということの鑑別の方法は十分教えております。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 昨日参考人から聞いたところによりますと、大体山口警備部長も昨日聞いておられましたからよく御承知だと思いますが、ただ糊を剥がしたり又元通りに閉じたりすることだけでなしに、その技術も大事だけれども、それよりも更に大事なのは協力者をつかむということが大事である、そこで協力者をまあこしらえて行く一種の方法であるとか、或いは協力者を利用する方法、まあ戦略戦術というか、そういう一つ技術、テクニックというようなものも現在行われておるというお話があつた、その点如何ですか。
  42. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 協力者に接触します場合には、これはやはり相当綿密な注意を以てしなければならないわけであります。その際におけるいろいろな心構え、いろいろ注意等につきましては、これは必要な事項といたしまして講習をいたしておるのでございます。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 結局警察のためになる一種のスパイをふだんから目星をつけて、繋りをつけておくなり、或いは養成しておくなり、こういう結論になると思うんですが、如何ですか。
  44. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) さようなことをいたしませんでも、どういう事情でございますが、警察に対して進んで協力を申出て来る場合が相当多いのであります。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 では現にその方法国警当局は全国各地においておやりになつておると解釈してよろしうございますか。
  46. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) どういう方法でございましようか。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 今の協力者を選定するなり、或いは繋りをつけておくなり、何らかの連絡をつけておく、要するに紐をつけておくという必要があるわけでしよう。だからそういうことを現にここで講習をするばかりでなしに、現にそういう必要から講習が生れたのでしようから、当然それを実行なさつておるはずでありますが、その通りでありますかどうですか。
  48. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 現在警察に協力をして頂いておる人はございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 更にお尋ねしますが、その協力者は別に年令だとか、性別だとか、或いは職業だとか、そういうことにかかわりなく、あらゆる人の中からお選びになつているんですか。
  50. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 私のほうから選ぶということでなしに、いろいろな関係で党の活動に関係しておる、そして何かの事情で警察に協力をしたいという心境になられた方があるわけです。そういう方の協力を得ておるのでございます。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 その協力者の中には、例えば郵便配達というような人たちも含まれ得ると思う。その郵便協力者が含まれるならば、そういう人たちについても警察側はその人の協力を受入れて御利用になつておるかどうか。
  52. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 私どもが協力者と申上げますのは、そういう広い何と申しますか、漠然とした意味協力者というのではなしに、党の活動についてやはり相当のことを知つておる人ということを前提にいたしておるのでございます。只今おつしやいました郵便配達夫というようなものは、もう全然我々は考えてもおらない、対象の範囲外でございます。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 更にお伺いいたしますが、斎藤長官は、協力者が自発的な意思に基いて持つて来た封書を開けるんだから、別に信書の秘書を侵すとか、或いは通信の秘密を侵すとかいうことにはならない、こういう御説明をなさつておる。昨日も参考人に対して我々その点を矛盾を感じないかということをいろいろと御質問をしたんですけれども、どうもそういうことは不得手とみえまして、余り御答弁にならなかつた。その点は長官如何ですか。
  54. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは私は参議院の郵政委員会でもお答えをいたしたのでありますが、郵便物は勿論のこと、郵便物でありませんでも、四囲の情勢、客観的の状況から見てそれが信書である、手紙であるということが認識される場合には、これは犯罪になる虞れが多分にあるから、そういうことはいたさないように十分注意をいたしております、かように申しておるのであります。従つてそうでない暗号表であるとか、そういつた文献、そういうものを対象といたしたいと考えております。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 客観的にとおつしやいますけれども、封をしてある、そうしてこれは協力者自身のものであるならば、或いは協力者自身から誰かへ出す、或いは誰かから協力者自身に送られて来たものを協力者自身が自発的に提供をするものならば、これは只今長官のおつしやる通りだと思う。ところがここで問題になるのはそういうことではなくして、第三者から第三者へ封をして、そうしてこれはもう完全に意思の伝達です。封をしてある以上はこれは秘密を侵されては困るということで封をしておるに違いない。そういうものを別な人が途中で取つて来る。これは要するに盗んで来るわけなんです。盗んで来るということ自体がすでに犯罪を構成する、不法だと私はそう考える。だから盗んで来た人が自発的に警察に提供したといいましても、そもそも盗んで来たものを警察が受取り、又警察がそれを初めから知つてそれを利用するということになれば、利用するものも当然これは封書秘密を侵すということになつて、これははつきり違法であり、そうして犯罪行為だ、私はそういうように考えるのですが、あなたはどうお考えになりますか。
  56. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今のような事例のものは犯罪行為でございます。従いまして、他人から他人に渡されるもの、そしてこれが意思の伝達だということのわかるものは又通常そう解釈するのが通例だと思います。開けて見て、中に意思の伝達でなくて、それは機密の単なる機関紙であつたということであれば犯罪になりませんが、そういう場合には意思の伝達が多いのでありますから、さようなものではなくて、協力者が自分で保管をしておるもの、管理権のあるもの、それを密かに我々に提供してくれる場合が相当あるのです。又先ほども申しましたように、地下に隠匿してあるもの、捜査令状で捜査された場合に押収されては困るというものはむしろ屋内よりも外部の地下に隠匿をするという例もある、そういうようなことを発見した場合という場合に用いるのでありまして、いわゆる信書を侵し、或いは郵便法違反になるという慮れのあるような事柄は固く用いないように、特にその点留意を加えているのでございます。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 只今の開けて見て単なる機関紙であつた場合はどうとか、開けて見て手紙であつた場合はどうとか、そういうような区別をつけること自体が私は間違つていると思うのです。更に又それを開けるということが第一法によつて禁止されておることじやないかと思うのです。信書秘密を侵すということは、対審ならば当然開けるという行為が伴わなければ侵すということになりがたい、にもかかわらず開けるということは構わない。開けて見て単なる印刷物だつたらいいとか悪いとか、そういうことはこれは第二の問題です。その点が一つと、それからもう一つは第三者から第三者へのものを誰かが盗んで来てというのでなくして、その協力者自身が管理権を持つて自分で保管しておるものを持つて来る、これもおかしな話だと思うのです。まあ管理権というのがどういう意味でおつしやつているのかを更にお尋ねしたいのですが、この協力者が自分の権限内のもの、自分のものを持つて来てこれを御覧なさいと言つて来るのを警察がただ開いて見せてもらうに過ぎない程度のことならば、何も初めからこんなに特に極秘講習をやつたり、訓練をやつたり、そんなことをされる必要はちつともないんじやないかと思う。如何ですか。
  58. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は開けて見てどう、開けて見た場合に違反になるとかならんとか、これは法律論としてそういうことになりますけれども、いやしくもそういつたものだという虞れがある場合にはもう開けない、開けて見て信書でない場合もあるけれども、開けて見なければ信書でないということがはつきりできないようなものは開けない、開けてはいけない、こう言つているのでありまして、その点は誤解のないように願います。で、自分で保管をしておりましても、これはいつ何日までは開けてはいけないというものも中にはあるのであります。例えば暗号表のごときは、高度の暗号表に相成りますと、何月何日から何日まで使う無線の暗号表というようなものに相成りますと、その使う間際までこれは開けてはいけないことになつておつて、若し誰かに開けられたということがわかれば、その暗号表はもう無価値なものになつて、ほかのものに変えるというふうにもなつておるのでありまして、自分で保管をしておるものでありましても、それは開けたということがわかつては保管をしておる人が困る場合が相当あるのであります。
  59. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の秋山君の質問に対しての長官の御答弁を聞いておるというと、私非常にもうこの問題はわからなくなつて来る。昨日の参考人の話とも併せて考えてみても、どうもわからん。参考人の話では、先ずこの点が私は明らかであつたと思うのであります。協力者が提出して来たものについてこれは開けることは差支えないと思うから、それについての訓練をやるんだ、こういうふうに私は聞き取つた。ところが今の長官お話では、いやそういうものではない、こういうふうなお話なんだ。協力者が持つて来たものを開けるのではない、若しそういうふうなことになれば、信書秘密が侵されるというふうな場合に該当するかも知れない、先ずこの点はどうなんですか。これをはつきりして頂きたい。
  60. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 協力者の持つて来たものの中に信書信書でないものがあるというわけであります。信書ということが書いてなくても、例えば伝書使をやつておるものが持つて来ればこれは信書でしよう。そういう伝書使の持つて来るものはこれは開けません。そこではつきりこれは信書でないというものについてのみ開けるのであります。その心構えは十分体得をさせるように命じておるのでございます。
  61. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、協力者の持つて来たものについて信書でないとして判定して、これを開封したり、或いは糊で以て又元に返すというようなことの訓練は差支えない、こういうふうなことははつきりするわけですか。
  62. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。
  63. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、開いて見なければこれが信書であるか信書でないかということははつきりいたしませんですね。
  64. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) それですから、客観的な状況をよく判断をして、協力者がこれは信書とか、他人に伝える文書でないというようなことをはつきり言明しているとか、四囲の情勢から、これは暗号表でございます、これは秘密党員の名簿でございます、そういう場合に開けるのであつて、これはどこからどこへ行く通信文だというようなことが推定される場合には開けてはならないということを強く言つております。
  65. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこでそうなつて来ると私は又反問したくなつて来るのです。一体暗号だろうがほかのものだろうが、一体Aというところの人間がBというところの人間に封をしてこれを届ける、こういう意思が入つておる場合には明らかにこれは信書であります。どうしてあなたそれが信書でないという判断をされておるのか、そこなんです、私らの疑問に思うのは。
  66. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは誰から誰に宛てるというのでなくて、私の保管しておるこういうもの、誰から誰に行くものだということになれは信書の虞れが多分にありますから、その点はよく判断をするように申しております。
  67. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ますますその点になるとわからなくなる。自分の保管しておるものを自分で封をして、そうしてこれは私の管理しておるものですから開いてくれ、こういうふうなことは私はあり得ないと思うのです。何もそんな手続をする必要はない。初めから自分で開いてそして見せればいい。それを何のためにそういうことの訓練をやる必要があるか。この点。
  68. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ほども申しますように保管をしておつても、これはいつまでは開いてはいけないとか、これは保管はされているが開けちやいけないということになつておるものがあるという場合もあり得るだろうと思いますから、保管をしている者から、開けてもらつて構わないから開けてくれという場合はこれは開けて見る必要がある場合が相当あると思います。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 その保管とか、管理権というものがよくわからんわけです。これはどういうことなんですか。その所有権若しくは財産権ということから言えば、その財産権とか所有権とかいうことを言えば、まあ甲なら甲という人に所属する所有権或いは財産権と言えると思うのです。それがどういう場合に乙という協力者の管理の中に入つて行くのですか。
  70. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 例えば甲という人がですね、自分が持つておると危いと思うような場合、これは自分の仲間であるとか、或いは全然仲間でない者というものに保管をしてもらう。これはもう例えば身辺にそういう重要なるものは残さないというのがこれはもう定石だと思うのです。
  71. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、その財産ですね。或る人の甲の人の財産でしよう。その財産をまあこれは危いということで乙という協力者に預けてある。その財産を処分するという権限まで乙という協力者に委任してあるかどうかというところに問題が出て来るのじやないですか。明らかにそれは一つの財産でしよう、甲の人の甲という人がたまたま乙という、そのあなたのほうから言う協力者がまさかこれを警察に持つて行きはしまいというので、その人に預けているのでしよう。ところが甲という所有者はこれは警察へ持つて行かれちや困るということははつきりわかつているのです。それはその人に属する財産でしよう。財産の処分まで乙という協力者に委任をしているわけでも何でもないんです。それをたとえ協力者が持つて来たとしても警察でそれを開けるという権限はありません。
  72. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) その文書が預けた人の財産であるとは限らないと思います。これは党の機関のものである場合が大部分であろうと思います。預けた人の財産であるとは限らないと思います。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の問題で関連の質問をいたしたいのでありますが、大体御説明によりますと、共産党の対策のようでありますが、共産党に対してそのような措置をなし得るところの法的根拠はどこにありますか。これが一点。  それから現在におきましては刑事訴訟法第二百二十二条によりまして、或る程度犯罪捜査に対しては今のような問題の処理もできることになつている。それを更に枠を拡大して、昨日の参考人が述べられたような、或いは今国警当局が述べられたような方法までも講じなければならないという理由は何であるか。この二点。
  74. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 共産党が武力革命でなければ自分らの主義主張が通せないということははつきりしていることは御承知通りであります。そして又軍事組織軍事活動、或いは武器活動というものを極めて秘匿された組織、方法において準備されているということも御承知通りだと思うのです。我々はそういつた事柄が全然ないということがはつきりいたしますならば、その秘匿された地下活動の内容というものを知る必要がございません。併しながらそうでない以上は、目前にそれが現実の犯罪の姿になつて或いは騒擾、或いは内乱となるまでその状態がわからないという状況にはおれないのであります。放置しておくことがでまない、参らんのであります。如何にその準備が地下において進められているかということ、これを調査いたしますることは警察職責一つだと思うのでありますが、その職責を果す上におきまして、法律を侵すわけにはこれは絶対に参り幸せん。法律の範囲内、憲法の範囲内で我々は工夫を凝らしておるのであります。それによつてこれを御了承傾きたいと思うのであります。従つて特にそういつた事柄については法律でこれこれのことをしてもよろしいという法律があるならば、勿論それによつてやり得るのでありますが、そういうために普通ならはやれない事柄をやつてもよろしいという法律もないわけでございます。従いまして普通に法律で禁止されていない、法律違反にならない範囲で良識的に許されるであろうという事実行為によつて我我はこれを調査をいたしておるのでございます。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一点。
  76. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは両方とも併せてお答えいたしたと存じます。
  77. 加瀬完

    ○加瀬完君 共産党地下行動が将来日非常に不安であるからそういう対策をしなければならないことは、お前たちも知つておるだろう、こういうお話でありますが、我々は共産党は合法政党であると認められている以外に、あなたのおつしやられるようなことは、全然資料も与えられておらなければ、話も聞いたことはない。この点については委員長にお諮り願いたいと思うのでありますが、資料なり、具体的なこのような方法を以て共産党対策をしなければならないということを(「白々しいことを言うな」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)
  78. 内村清次

    委員長内村清次君) 静粛に願います。
  79. 加瀬完

    ○加瀬完君 国警当局責任において当委員会において明らかにされたい。  それからもう一点は、私の言うのは、現状におきましても刑事訴訟法二百二十二条において或る程度犯罪捜査に必要なるところの処置というものは許されている。それ以上ですね、それ以上このような方法をとるというのはどういうわけであるかということを聞きましたが、それには答えがない。  更に質問一つ附加えるならば、あなたがたのおつしやる協力者というのはこれは不定期に協力を申出たものではなくして、定期にというか、もう平常警察に対する協力関係を結ばれておるものというふうに解釈できる。そうすると我々が最も恐れるのは、この協力者警察の情報収集その他の点において一つの又別な、大げさに言うならば秘密警察のような形態をとつておる、こういうものを前提にして捜査を進めなきやならないということは、一体現行法において許されていることか。この点。
  80. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 共産党が秘匿された方法によつて地下活動をしている、そして軍事方針を打ち出している、これは党の文献にもあり、又殆んど私は今まで公然にされている事実であると思うのであります。私は共産党のかた、例えば川上貫一さんに対しましても、先般私の所に見えたときに、君たちは余り神経質になり過ぎると、こういうお話がありましたから、神経質にならないように早くしてもらいたい。共産党はそういう非合法をやらないのだということをはつきり声明をして、頂いて、そして軍事組織を作つているとか、或いは地下軍事活動をやつている、ああいうことはみな共産党を傷付けるためにやつておるデマの放送である、だから党員はそういうことをしてはいけないのだということをはつきり公にして頂ければ、我々は非常に肩の荷が下りて、こういう苦心をする必要がないのだから、そうでない、共産党は平和革命なんだとおつしやるならば、それを天下に声明して、そうしてそうでないというような事柄党員のかたにも十分理解させるような方法を一日も早くとつて下されば、お話のようにいわゆる神経質になるようなそんなことはもう一切いたす必要がないのですから、ということを先日も申上げたのであります。私はもう三、四年前からお目にかかるたんびに言つておる言葉なんです。それによつてそういうことが行われないということからも、只今申しておりますることを十分立証できるとお考え頂きたいと思うのであります。勿論犯罪捜査につきましては、刑事訴訟法によりまして、権力を以て人の物を押収したり、或いは逮捕したりする道があります。併しながら、今日のそういつた準備行動はまた犯罪にはされておりません。破壊活動防止法にも触れません。従いまして、我々はそういうものを押収をしたり逮捕したりはいたさないのであります。又いたせないのであります。
  81. 加瀬完

    ○加瀬完君 一部の者が特殊な資料で、現在合法政党と認められているものを非合法だと認定してかかることは、あなたが共産党の危険を感ずる以上に我々はやはり一種の危険を感ずるのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで小坂大臣に伺いたいのでありますが、それほど政府の政策として共産党は破壊暴力革命を歴然としているから、かくのごとく警察法を改正して対処しなければならないと言われるならば、なぜ一体政府はこの共産党に対して合法性というものを取上げること、非合法にすることに態度をはつきりしないのか、この点が一点。それから先ほど質問した第二点については答えがありませんから、これはあと長官に又伺います。
  82. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 大臣から後ほどお答えを頂けると思いますが、なぜ刑事訴訟法に基く手続でやらないかというお尋ねだと存じますが、これは申上げましたように、犯罪行為であるという場合には刑事訴訟法の手続によりまして、或いは家宅捜索もし、或いは物件を押収し、或いは令状によつて逮捕いたすことは勿論であります。併し今の秘匿された地下の準備活動というものは犯罪対象になりません。従いまして、犯罪対象ではありませんが、非常に危険な活動であつて、これがいつ犯罪となつて現われるかわからない。だから犯罪になる前に我々はその状況を知つておく必要がある。かような意味から、法律に禁止されていない方法でその内容を知り得るように努力をいたしております。こう申上げておるのであります。合法政党であるからそこにいわゆる秘匿された地下活動というものはあり得ないというお考えには私は承服がでないのであります。勿論合法政党であつて、合法的な、合法と申しますか、誰からも見得られる公然活動というものは共産党にあることは十分知つております。その意味におきましては、これは立派な合法政党だと思います。同時に、併し人に知られない非常に秘匿された極秘方法で秘匿をされた、その秘匿の技術とその秘匿の組織を以て、その中において準備されておるいわゆる終局の目的である最後の武装革命の準備というものについては、これは我々は合法政党の名を冠しておるからと言つて、茫然として手を束ねておるということは、国警治安機関としても怠慢の謗りを免れないと思います。
  83. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 日本共産党が合法政党としてその主義主張を法の許す範囲内で公然と宣伝或いは扇動されることについては我々として干渉するものではないのであります。併しながら、終戦後日共内の指導的理論とされて参りましたいわゆる野坂理論、平和革命の可能性という理論が昭和二十五年の一月コミンフオルムの批判を受けまして、爾来平和革命の可能性はあり得ないという考え方によつて党活動が行われていることは極めて明らかであります。例えば昭和二十六年十月に開かれた日英の第五回全国協議会において決定されたと言い、又党の公然機関誌、前衛その他に発表せられた「日本共産党当面の要求」の中には、はつきりと「革命の力」という項に、「日本の解放と民主的変革を平和な手段によつて達成し得ると考えるのは間違いである」と規定しているのであります。又日共党員が長野県岡谷市警を爆破する計画でダイナマイトを貯蔵していたと言われるいわゆる岡谷事件の公判、それは昭和二十八年四月十日長野地方裁判所諏訪支部の法廷でございますが、山辺健太郎氏、これは当時中央指導部統制委員でありますが、この人が証言いたしまして、「民主革命の手段は平和裡に行われる可能性はあり得ない。これは勿論全国民の武装闘争、占領軍に対する武装闘争です。」とはつきり陳述しているのであります。一方昭和二十七年八月七日、埼玉県比企郡大河村における横川元代議士の襲撃事件は、これは強盗殺人未遂罪になつておりまするが、これは日本共産党員によつて組織された武蔵野独立遊撃隊及び西武独立遊撃隊の犯行であることは被疑者の供述及び収集された各種の証拠から明白であり、判決理由もこのことを認めているのであります。又昭和二十七年八月一日静岡県両河内村における「球根栽培法」、同年九月十日、京都市における「武装行動綱領」を登載した「京都のハタ」、同年九月二十日三重県上野市における「武装行動綱領」、同年十月二十五日岐阜県益田郡下呂町における「山旅案内」等という暴力革命、武装闘争の必要性や正当性を述べている違反文書を頒布している事実がありまして、それぞれ事件として起訴されておるものであります。この種の暴力主義的破壊活動が合法政党である日本共産党自体の行為であるかどうかについては今日裁判上確定したものではないのでありまするが、少くともこのような活動を団体として行なつておる団体があることは確実でありまして、それが日本共産党の下部機関と密接な関連があることは予想されるところであります。これらのほか、二十六年十二月二十八日練馬印藤巡査殺人事件、二十七年一月二十一日白鳥警部補射殺事件、二十七年五月一日のメーデー騒擾事件、二十七年六月二十五日吹田騒擾事件など一連の計画的暴力騒擾事犯が日共党員を混えた人々によつて行われたということは、今日まで捜査の結果乃至は判決に徴しても明らかなところであります。そういうような団体の活動については、治安維持の責に任じます警察といたしましては、厳重に視察しているということが必要であるということは言うまでもないことと思います。
  84. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうことが事実であるとするなら、それは破防法の対象であるし、私がさつき質問して、あなたがそれほど共産党の武装革命の準備が危険だというならば、一体なぜ共産党の合法性ということを取去らないかということを質問している。又今述べられたこと、或いはさつき国警長官が述べられたことは、破防法の対象である。これは公安調査庁の対象になるべきことだと思う。一体公安調査庁のやるべきことと国警のやるべきことと、その区別をどこでつけているかというのが一点、ここで我々が問題にしているのは、よく開いて下さい、あなたがたが合法政党として認められている共産党を、これは武装革命の準備が完了した甚だ危険なる団体として、その見方はどうでもよろしい、(「それが大事なんだ」と呼ぶ者あり)これが共産党ということよりも、抑えているが、これが一般の民衆にだんだんその幅が拡がつて来ないと誰が言うか。曾つて我々はそういうふうにして自由というもの、或いは人権というもの、或いは個人的な基本的権利というものを剥奪された。そういう経験を持つているから、あなたがたはこれは共産党対象だと言う。共産党は合法政党じやないか。合法政党じやないかと言うと、そういう危険があると言う。同じようなことが今度は共産党でない第三者にもだんだん及ぼされて来る危険がある。そういう危険があることを我々は感じておりますから、こうこう方法というものは個人の人権侵害ということにならないかということを心配しているわけであります。そこで刑事局長もおいでになつておられると思いますから、今の問題、共産党を我々は合法政党であると認めているけれども、非合法政党という認識の下にこういうふうな処置をとることは、現在の憲法の枠の中において正しい見方と言い得るか、それから今いろいろ前の者から述べられたように、犯罪行為でもないものを調査するということ、犯罪行為でもない、犯罪対象にもならないものを犯罪行為ではないかと思われるような方法を以て、例えば封書を開けるとか鍵を開けるとか、こういう方法を以て個人の権利を侵害して行くことは、これは一体合法的な捜査と言えるか、この点について刑事局長にも御見解を承わりたいと思う。
  85. 内村清次

    委員長内村清次君) 加瀬君に申上げます。高橋公安調査庁次長が見えております。それから戸田人権擁護局長も来ておりますからそのつもりで……。
  86. 加瀬完

    ○加瀬完君 御関係のかた全部に御見解を承わりたい。
  87. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) のちほど関係の者からいろいろお話があると思いまするが、なぜ合法政党を目して非合法政党と考えるか……。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 なぜ非合法にしないかということ。
  89. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) それはあなたはよく私の言うことを聞いておられないのですが、御承知のごとく主義主張というものは自由なんであります。各人が自分の考えを自由に述べるということが今日の体制なんであります。そこでその主義主張は自由であるが、その行動において法の規範に触れるものがあればこれを規律しなければならない、こう言うのであります。今武装革命の準備が共産党は完了しているというようなお話がありましたが、そうではないのであつて、武装革命、武力革命によらざれば日本の民主革命が達成できないという方針を決定しているので、その方針に基いて諸種の行動をやるということも予想せられるので、そういう行動がすべて準備を完了してしまつてからであつては、これは治安の責任を果すということにはならないのである。そこでそういう行動が如何に行われているかということを捜査する、こういうことが必要であると私どもは考えているのであります。こういうことを言つているのであります。破防法に関係することは公安調査庁ではないかということでありまするが、犯罪捜査ということはこれは警察の職務であります。私はそういうことを申しているのでありまして、治安の責に任ずるものとして、法を侵す慮れのあるものについては、これを如何なる行動に出るかということを十分に知つておる必要がある、これは当然なことだと思うのであります。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 必要があるというような常識論でなしに、法律的根拠を言つて下さい。
  91. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 私は共産党を非合法化するということは現在考えておらないのであります。非合法化するということになりますと、この非合法団体に対するところの又非合法的な捜査ということに断然なつて来るのでありまして、私はかようなことをせんほうがよろしかろうと、こう思つております。ただ合法政党にして非合法なる活動をするということの虞れがあれば、その活動の範囲内で規制することがよろしかろうというのであります。
  92. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 公安調査関係についてお答えいたします。私どもは破壊活動防止法によつて職務を執行しておるわけでありまするけれども、破防法は全部公安調査庁がやつているという関係ではございません。つまり破壊活動防止法違反という個人的犯罪につきましては、検察、警察の手を経て刑事処分で処理しております。これは直接私どものほうでは関与しておりません。団体として破壊活動をやつた疑いのあるものにつきまして、これを団体規制をするかどうかということで調査をいたしまして、若しその必要がありということになりますというと、公安審査委員会に申立てて、その処分をして頂くわけであります。そういう関係で、同じ破壊活動防止法につきましても、警察のほうでも御調査になる場合もあろうかと存ずるのであります。それから破壊活動防止法の私どもの所管しておりまする団体規制の関係で、日本で過去において団体的破壊活動が行われたということは、先ほど小坂大臣からに申上げた通りを、私どもも引用したいと思うのであります。それで結局私どもは、当然団体規制の必要に基きましてそれを調査いたしております。それで合法政党であるのに調査するのはどういうわけかというお尋ねのように承知するのでありますが、つまり刑事訴訟法の場合におきましても、裁判が下りるまでは一応被告人の場合には無罪という建前でやつておるわけであります。犯罪が確定して、初めてこれが犯人ということになるわけでありますが、団体規制の場合にも、何かはかのものがありまして、団体というもを非合法化して、それから私どもが調査をするとか、或いは警察が捜査をするとかという関係はこれはないのでありまして、やはりすべて現在あるものは合法的団体、或いは合法的政党でございますから、その中で只今申上げたような破壊活動をやつているものは、これは規制するかどうかということで調査をしなければなりません。即ち公安審査委員会で団体規制の処分をいたしますまでは、すべてこれは合法団体であるわけであります。従つてどうも合法政党であるから、これは調査対象たり得ないというふうなことは、絶対ないというふうに考えているわけであります。  それから最後に、若しそういう破壊的活動が行われたということがはつきりしているならば、なぜそれをこの際非合法化してしまわないのかというお尋ねのように承わつたのでありますけれども、私は破壊活動防止法の団体規制の処分というものは、これは非常に影響の大きな、重大なる処分でございます。従いまして、何かそういうふうな原因があれは必ずこれを発動すべきもの、或いは時期的に直ちにこれを発動すべきものというように、いわゆる必要的な処分を請求しなければならないものというようには理解しておりません。これはいろいろな条件を全部慎重に考慮いたしまして、そうして実行すべき重要な問題であるというふうに考えておる次第であります。
  93. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) お答えいたします。警察官は犯罪捜査のためには取調をすることができるということは、これは刑事訴訟法に明記してあるところでございます。勿論強制の処分はこれは判事の令状を得なければできないのでございます。信書内容を調べるというようなことは、これは勿論判事の令状を得なければできない処分でございます。従つて信書の所持者の承諾なしに、強制力を以てこれを調べるということは、判事の令状がなければこれは合法ではございません。但し先ほど申上げましたように判事の令状があつてやるという場合は、さような取調ができるということでございます。
  94. 加瀬完

    ○加瀬完君 小坂大臣にもう一度確めたいのでありますが、主義は自由である、行動に問題があるのだ、そこで共産党を非合法化する考えはない、こういうふうに大臣は御説明になられたのであります。これは間違いございませんね。主義は自由である、行動が問題であると、そこで今問題になつておる共産党というものを政府としてはこの際非合法化する考えはない、こういうお答えでございました。そうすると共産党が現在合法政党であるということはお認めになつておる。而も主義は自由であるということをお認めになつておる。ところが今までの話合いに出されたものは合法政党である共産党の主義は自由である、その自由であるはずのその主義に関するものまでも、犯罪対象にならないのに、特殊の協力者を得て特殊な方法によつて調査するということが一体問題にならないかと、私はそれを聞いている。それからあなたがたのお話を聞いておりますると、対象にしておるのは破壊活動をする慮れのある団体を対象にしておるように思われるのであります。(「そうさ」と呼ぶ者あり)ところが国警長官説明共産党々々々という言葉を言つてつて、破壊活動の虞れのある団体について調査をするのだということを一言も言つてない。(「同じだ」と呼ぶ者あり)同じじやないです、これは。そこをはつきりしてもらいたい。
  95. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 主義は自由でありまするし、日本は民主義国でありまするから、民主主義を建前とする行動については、法律にそれぞれ規範があるのありまして、それを越えざる限りは合法であるのであります。共産党は目下のところ非合法とする考えはないのであります。あなたの言つた通りであります。合法政党として認められておるのであります。そこでその合法政党である共産党がその主義綱領の中に、武力革命によらざれは革命は達成されないということを規定しておるのでありまするから、その考えに基いて実際に武力を以て革命をするということになれば、これは非合法行為による革命であります。非合法の行動がなされないようにこれを規制するということが、これが法を維持し、治安を維持する建前から当然にその対策としてとられなければならんことであると考えております。私は今共産党のいたしましたる行動の事実について言つたのでありまして、そういう行動が現実において行われるというのは、一体如何なる組織を通じて行われるか、行動というものはひとりでやる場合もあるし、組織的に行動される場合もある。その組織的な行動ということがなされまするにつきまして、これが暴力事犯として出て参りまするような際については、その組織そのものを究明しなければなりません。そういうことにつきまして、常に我々といたしましては不断の関心を以て治安の任に当らねばならん、こういうことなんであります。
  96. 加瀬完

    ○加瀬完君 成るほどわかりました。そこだけは私も同感なんです。私の問題にしておるのは、その共産党の主義、綱領或いはその他いろいろの文書、それを全部対象に御調査をなさるという御説明なんです、今までの御説明では。そうするとあなたの危険を感ずるような文書も生じて来るかも知れないけれども、全然そうでないものもこれは調査対象になる。全然そうでないようなものが調査対象なつてよろしいかということが一旦。それから共産党にのみ止らないで、シンパ或いは何か関係のあるものにまでこう捜査は当然拡大される。そうすると第三者のいろいろの文書とか或いは信書とか、そういうものにまでこれは波及して来る慮れがないか。そうなつて参つては、犯罪対象としての捜査ならいい、犯罪対象の捜査ではないということになつておるので、ここに問題が生じないか。こういう点でございます。
  97. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私がしばしば申上げておりますので、御理解を願つて頂いておると思つてつたのでありますが、さようでないようでありますので、もう一遍申上げますが、私の申上げておりますのは、共産党地下の非常に秘匿された軍事組織とか式場器活動とか、そういうものを調査をする必要があるからやつておるのですと、かように申上げておるのでありまして、表面において公然とやつておられます共産党活動というものは我々関心を持つ必要がございません。従いまして、そういう意味においては御安心を頂きたいと思うのでございます。共産党員であろうとなかろうと、共産党の秘匿されたその地下の指令によつて或いは軍事組織に加入としているとか、現に武器活動に従事しているというような疑いのある場合には、我々はいろいろと調査をしなければならん、その範囲に止まつておるのでございます。
  98. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはですね、あなたはそこに止めようというお考えもよくわかりました。併しながらこれは情報というのは広く収集しなければなりませんから、それは共産党地下軍事組織調査という対象の枠は、これは拡がつて行く虞れは当然考えられる。そうすると先言つたようにこれが新聞なり第三者なりというところに行きまして、我々は自分の信書も見られたか見られないかということがわからないようないい方法でやるということを教えているんだから、そうなつて参つて来ると、一体我々国民の権利というものはどこで警察は守つてくれるという線を引くんですか。やつてもやらないやらないと言われればそれきりで、やつたかやらないかわからないようにやるんだから、絶対にそういうことがないということを、この警備教育においてやつてないということを明言してもらわなければ、我々の疑問或いは不安というものは解消できない。この点について。
  99. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その点はさようでありますから、特に選定をいたしました立派な民主警察官、而もそういつた事柄について間違いを起さないというものを特に選んでいたしておるのでございます。それが以前の治安維持法のような法律が出れば、そうすればこれは調査範囲は拡がります。そういうものが出ない限りは、私は又出る虞れはないと思いますが、今の法律の下ではさような御心配は全然ございません。又御心配のないように十分教育をいたしておるのでありまして、又そういう法律がないのにさようなことをやりますことは無用であつて、これは力の浪費であります。何の役にも立たない。我々は思想そのものは犯罪と思つておりませんし、どんな人がどんな思想を持つていようが、それは我々の職務外でありますから、そういう点は御心配ないようにいたしております。
  100. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの信書の話へ帰りますが、先ほど長官は若木委員の御質問に対して、協力者封書を持つて来た場合に、宛名の書いてないもの、或いは差出人の書いてないものは信書ではない、こういう御答弁があつた。私は宛名が書いてなくても、又差出人が書いてなくてもこれは信書であり、断じてその秘密は侵すべきものでない、こう信じておる。その点長官はなぜ誰から誰へということが書いてないものは破つて開いてもいいという御判断をなさるのか、その根拠を一つ教えて頂きたい。
  101. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は全く逆にお答え申上げました。宛名がない、誰から誰へということがわからなくても、これがレポの文書であつて、人から人に渡される意思の伝達であるということが推知できる場合はこれは信書であつて開けるべからず、これを強く指示しておる。むしろ逆に信書でないということがはつきり確めなければ開けてはいけない、かように申上げておるのでありまして、(「明瞭、明瞭」と呼ぶ者あり)封筒が真白であればそれはもう信書でないのだ、さようには申しておりません。
  102. 秋山長造

    秋山長造君 その点は長官の言明が最終的にはつきりいたしましたから、その次に、じや客観的に信書であるかないかを判断して、そして開けるべきものでないとみたものは絶対に開けてはならないというように教えているとおつしやる。併しその客観的に判断をするということ自体が各自の主観によつてどうにでも解釈が付くのでありますが、結局客観的に信書でないと思われるものは開けてはならんぞという訓辞は、結局主観的に開けていいと思えばどんどん開けなさいという訓辞と結局同じ結論になるのじやないかと思うのです。そこに非常に危険な要素が潜在しておるのではないかと私は考えるのですが、そういう危険をお感じにならないか。
  103. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 客観的にそうでないということがはつきりした場合でなければ、これは客観的なんですから、主観的にそうであればよろしいというのじやございません。客観的にそういう条件が備わつていなければいけないということを申上げておるのであります。
  104. 秋山長造

    秋山長造君 客観的というのはどういうことを標準にして言うのですか。
  105. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 例えばこれは秘密党員の名簿でございますとか、これはこの中には党の秘密機関紙が入つているとか、大体こういうことがはつきりしておればいたしますし、或いは糊付されたものでありましても、その様子によつて、触つて見てどうも拳銃らしい、これは爆弾が入つているらしいというようなことがよくわかれば、これは信書でないということは判定できると思います。
  106. 秋山長造

    秋山長造君 結局今の点はこれは実際問題として長官のおつしやるごとくには行われがたいと思う。さつき加瀬君が言いましたように、過去の経験からしてやはり一度あつたことは二度、三度繰返し勝ちなものでありまして、特にそれをやる人が警察力という一つの強い力を背景として力を頼んでやつているわけですからして、どうしてもそれがだんだんだんだんと拡がつて行くということは、これは誰が考えても当然そうならざるを得ないと思います。で、現に斎藤長官自身がそのようにおつしやるけれども、じやあなた自身が実際にこういうこの事態に直面をされた場合に、そういうようにはつきりここで割切られるような客観的な行動ができますか。その御自信があなた自身にありますか。その点お伺いしたい。
  107. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私はこういうことを体得するものは、少なくともそういう人たちにはその判断は十分できると思つております。何も我々は慫慂してそういうものを特にやれと言つているわけじやございません。是非そういう技術を使わなければならないという場合はあるわけでございますから、先ほどのようにですよ。そういつた場合に技術を心得ているということが必要な場合が生じますので講習をすることがある、かように申上げたのであります。
  108. 秋山長造

    秋山長造君 只今の答弁でも、結局こういう講習を受けてやるようなものは、当然そういう点について公正妥当な間違いのない判断に基いて常に行動するものと思うという、ただそういう漠然たる期待をかけておられるだけでありまして、何らそういう間違つたことができない、やろうと思つてもできない、又あり得ないという法律的な保障は何もない。まあそこに我々は非常な違法性又非常な危険性の存在を感ぜざるを得ないのです。で、いろいろと承わつて参りまして、とにかく我々としては、こういう方法までやらなければ一体この十五万になんなんとする警察力を擁しながら治安の維持ということができないのかどうか、そういうことも一つ長官にお尋ねして見たい。又先ほど武力蜂起直前の状態にあるというようなお話もございましたが、併し必ずしもそれはそのまま事実として私どもは受取りがたい。現に全国の治安状況等に関するいろいろな資料がございます。国警当局から出された資料もございますが、同時に又自治警のほうから出された資料もございますが、特に今問題になつている共産党地下活動というような面につきましては、信州の山奥に或いはあるかも知れんけれども、併し少くともその中心的な組織というものはやはり大都会にあると伝えられているのであります。而もその大都会はいわゆる大都市警察、自治体警察がそこを管轄しているわけであります。そういう方面の情報はむしろ自治体警察のほうに詳しく入つていることも想像にかたくない。ところがその自治体警察の全国協議会等から出されているところの最近の治安状況についての資料、又我々が直接間接にそういう方面のかたがたから承るところのお話によりますと、必ずしも国警長官が国会等において今にも革命が起るぞ、今にも武装蜂起するぞというようにおつしやつておることが、事実をそのままお伝えになつておるとは思えないんです。そういう点についても私どもはもう少し冷静に一つ正しい判断をして頂きたいと念願せざるを得ないのであります。で、その両点について御見解をお伺いしたい。
  109. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ずあとのほうから申上げます。私は一度も武装蜂起の前夜であると申上げたことはございません。むしろ逆にまだまだ私の見るところではそんな事態にはならないと思う、いろんな文書その他から一般に心配をされておるそれほどの心配はまだ私はなかろうと思つています、さように申上げておるのであります。ただ併し裏面でそういつた軍事組織軍事活動、この極秘地下活動というものは、これは絶えず一歩々々準備はされている、併しその状況はまだまだ日本で内乱が起し得るような力にはなつておりません、そのように申上げておる。その申上げられまするのも、或いは見当が狂つているかも知れませんが、我々の知り得た向うの秘密機関紙、秘密資料というものを入手検討することによつてまださように心配する必要はない、かように申上げておるのであります。十五万の警察官がありましても、今言つたこれらの秘密機関紙なり秘密の活動の内容ということがわからなければ、或いはもつともつとただ漠然と空恐ろしいぞと思つておらなければならんかもわからんのであります。さような意味合いから、事柄が目の前に勃発してしまうまでその状況が全然わからないということであつては相成りませんので、従つて非常に苦労をいたしてその秘匿された内部において軍事組織軍事活動がどの程度行われているかということを調査をする必要がありまするが故に、ここに只今のような事柄をいたしておるとお答え申上げておるのであります。
  110. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先ほど来の話をずつと私聞いていまして、結局今のところはお話のあるような方法によつて選んだところの警官に対してそういう講習を進めておる。講習であるとか教育であるとかいうことは、その講習なり教育をしつ放しにして、その効果がどういうふうに上つて来るかということが常に検討されて更に進んで行くものであるように私は考えられる。そういう点から見まして、これは単なるそういうものの講習には終つておらない。実際にこれは実施されておるんじやないか、こういうことが私は考えられる。と同時に先ほどの長官お話にもあつたように、常時のいわゆる協力者、こういうふうなものを目当てにしてこの講習を進めておる。こういう点から考えますと、いよいよこれはいわゆる昔行われたところの特高警察と言いましようか、或いは秘密警察と言いましようか、そういうふうなものが講習という形の名において事実これは行われておるんじやないか。私はそれを非常に懸念するのでありまするが、その点はどういうふうにお考えですか。それを先ず伺いたいと思うのであります。
  111. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 昔のような特高とおつしやいますが、私は昔の特高が非常に非難をされました殆んど大部分の責任は、私は治安維持法とか、或いは治安警察法とか、或いは行政執行法とか、そういうものにあると私は思うのでございます。思想自身を犯罪の対象にいたし、その法律の執行の責任を負えと警察に言われれば、そうしてその捜査の方法といたしましては、旧刑事訴訟法、或いは旧治安維持法、或いは行政警察法、あらゆる警察官に与えられた権限、捜査手段方法を満足に活用してやるのが私は当然だと思います。そこで特高の活動が非常に非難をされた、私はさように思うのであります。今思想を対象として犯罪といたしておるのは、そういう法律一つもございません。普通の刑法、破壊活動防止法という以外には何ものもないのであります。又治安警察法もありません。従つて言論、集会、結社、これを抑制をしたり禁止したりする方法、手段は何にもございません。又軽易に人を拘束する行執政行法もないのであります。従いまして、我々といたしましては現在の与えられた法律の範囲内で、そして他の法律をも侵さない、そして治安の目的を十分達し、むしろそれによつてこの民主主義を防衛して行こう、民主主義を暴力によつて破壊しようというものを我々はどこまでも民主主義法律民主主義の理念を以て防衛して行こうというので、我々むしろ民主主義の防波堤になる、民主主義を推進させる、そういつた強い信念でやつておるのでありまするから、これを前のいろんな法律のときの特高警察と同じように律せられますることは我々としては極めて遺憾に存じます。
  112. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私はあなたの今おつしやるとこの、旧来あつたところの特高警察をそのままやつておるというようなことは聞いておらない。こういう講習というようなことに名を借りてそれと似たようなことが実際に行われておりはせんか、これを聞いておるのであります。最近公務員の思想を調査したとか、或いは教員の思想を調査したとか或いは青年団の思想を調査したというようなことがしばしば新聞に出ておる。ところが図らずもこういうところの講習がそのときにおいて行われておつた。こういうことから考えまして、単なるこれは一つ訓練ではなしに、教育ではなしに、実際においてこの形を借りたところのいわゆる特高的な秘密警察的なものが行われておるのではないか、実施されておるのではないかということを私は聞いておるのであります。その点はどうですか。
  113. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 御心配になるような点は全然ございません。先般来いろいろ問題になりました教員の思想調査をやつておるとか、或いは通信の秘密を侵しておるのではないかという事柄は、この国会におきましても、或いは新聞紙上その他においてもいろいろ現われましたが、これにつきましてはいろいろそれに応じて御説明を申上げておるのでございますが、ああいう事柄はこういつた講習とは全然関係がございません。ただ普通の日常の警邏活動なり、或いは駐在巡査が周囲の治安の状況を絶えず念頭に置いておりますから、何か変つたことがあれば、それについてあれはどんなことでしよう、あれはどうでしようということを日頃懇意の者からいろいろ聞き出すというような事柄が不用意に行われる結果、ああいうふうになりましたので、これらは十分戒めておりますが、こういつた共産党の本当に秘匿された地下活動を調査をしようというものは全然無関係事柄でございますから、御安心を願いたいと思います。
  114. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今度の改正案は長官も耳にたこがよるように聞いておると思うのでありますが、輿論においても一般におきましても、極めて戦前のようないわゆる中央集権化されたところの警察法である、こういうようになつて参りまれすば、従来の旧制度のいわゆる警察法秘密警察、特高警察というものがくつついたと同じように、いよいよどういう形になるかは知りませんけれども、今度の警察法が若し通つたとすれば、こういうふうなことが盛んになつて来るのじやないか、私はそう考える。そこで長官としては、今後もやはりこういうところの講習を続けて行かれるところのお考えを持つておるのかどうか、この点を伺いたい。
  115. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は警備活動に関する若干の幹部といいますか、には府県なり或いは自治体警察から御希望があればこういうことを続けなければならないかと思つておりますが、もう大体この程度くらいでいいのじやないか、そう範囲を拡げる必要はございません。従いまして、こういつた講習をそうたび重ねて範囲を殖やして行くというふうには考えておりません。又今度の警察法におきましては、申述べましたように、第一線活動は都道府県警察がやるわけでありまして、これには公安委員会が管理、監督をしておられるのであります。その間に、中央と地方との間に秘密の組織が設けられるということは私は考えられないと思います。
  116. 秋山長造

    秋山長造君 只今長官の言明によりますれば、ここうで、もうこういう特殊な訓練はやめたい、その言葉通り我我も是非打切つて頂きたいと思う。それから同時に、すでに今日まで講習を受けた者が何百人かいるわけですが、それらの人たち地方に帰つて講習を受けたことを実地にどの程度やつているのか、又やつた結果がどうなのか、又そういう危険なことをやることについて、いろいろな法律上の議論なり摩擦なり紛争なり、そういうものがどの程度誘発されておるのか、そういうことについて御調査なつたことがありますか。
  117. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これらの教育を受けた人たちがときどきそうして集まつて、いろいろ更に協議をせられる、或いは研究をせられる場合があるわけでありまして、かような際にいろいろと検討をしておられるのでございますが、只今秋山委員の御意見を伺つて、私はもう少しこれを何といいますか、こういつた点等に力を入れてやつてみたほうがよくはないか、只今御意見を伺いまして更によく検討をいたしまして、実際上誤つておらんかどうかということを更に十分検討いたしたいと思います。
  118. 秋山長造

    秋山長造君 この次に更にお伺いしたいのですが、先ほどもお話が出ておりましたように、昨年の秋頃から新聞紙上でも警察官が郵便局員なり、或いは集配手なりをつかまえて、アカハタの送り先を聞いたり、或いは特別な郵便物の送り元なり、或いは宛先なりを調査したり、又その数を調査したりというような事件が大々的に報道をされました。それらの一つ一つはもうすでに御承知のところでありますから繰返し申しませんが、警官が郵便局の職員に差出人や宛名を聞くというような行為は、これは郵便法違反にはつきりなると私は考えるのでありますが、長官はどうお考えなつておられますか。
  119. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 御所見の郵便物の差出人、宛名人、これを郵政職員に聞きますることはやはり犯罪でございます。御所見の通りでございます。
  120. 秋山長造

    秋山長造君 国警におかれましては、全国あちこちに頻発をしているこういう問題で、私が想像するのは、新聞紙上に出た問題というのは、警察官によるいわゆる人権侵害等の事例と同じように、よほどこれは特定な場合又勇気のある当事者が何かの機会に持ち出したところから、世間に出て来る場合が争いのであつて、大多数の場合はやはり不用意のうちに、或いは闇から闇に泣き寝入りで、世間に知られないままで済んでいるといつたことが多いのじやないか、こういうように想像するのであります。その点について、長官は先般来いろいろ機会を通じまして、現に調査し、又今後を戒めてある。又とるべき措置をとつているというお話であつた。で、先般新聞で伝えるところによりますと、全逓の従業員組合のほうからも、国警長官に対してこの問題について重大な抗議が申込まれたということも承知している。で、こういう問題がどの程度に実際にあつたのであるか。又そういう点についてどの程度の調査を徹底しておやりになつたのか。又今後そういうことを、いやしくもそういう慮れのあることを再発させないために、どういう具体的な措置をおとりになるおつもりなのか、それらの点についてお伺いしたい。
  121. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) お話のように、先日全逓のかたが文書を持つてお見えになりました。私といたしましてはこれは抗議とは思いませんで、むしろ非常な御好意の御忠告だと思つて、非常に有難く伺い、又そのことを申上げたのであります。と申しまするのは、警察官第一線におきまして、まあ心にもなくこの頃アカ八タはどのくらい来ておりますかと、この頃は局で郵便物として配送されているのか、或いはそうじやない別の方法で配達されているのですかというようなことを、茶飲み話とかいろいろなときに聞く場合は、これは私は絶無じやないと思うのです。それは何もこれで共産党なんかを調べてやろうというのじやなしに、そういうことは、まあ、あり勝ちなことなんですが、併しこれはうつかりいたしますると、進めば誰に配送されているかというようなことまでなつて行けば、これは郵便法違反を配達人に犯させることでもあり、みずからも犯すことになるわけであります。そこで私どもといたしましては、先ず郵便法というものの精神、それからどういうことがその精神を実際に郵便法に表わしているのか、それについて警察はどれが犯罪であるか、みずから犯罪を犯すようなことがあつては相成らんということを、先ずそこからよく叩き込んで、末端の警察官にまでもよく知らしておかなければならん。実際この努力は私は今までされておらなかつたと思うのです。昔のままの考えで、郵便法の改正があつたこともさして意にとめていなかつたのじやないか。以前は殊に被疑者の捜査の場合に、郵便局でその被疑者を調べる場合に、必要な事柄を聞きに行くという例もあつたと思うのです。今度のその例に挙げられております神奈川の秦野の郵便局で、共産党のリンチ事件の被疑者として、指名手配されている者が確かに投函した、非常に酷似した人間が投函した。それで果してそうであるかどうか、その葉書の宛先、或いは差出人の名前を知らしてくれんかということを聞きに行つたという例はありますが、これはこういうことは前からあつて、余り意にとめずにやつていたのじやないかと私は思うのであります。そこでそういうことがあつてはいけないというので、宛先を聞くこと、発信人に聞くことは街頭であつてもそれはいけないということをはつきり下の者まで徹底をさせて、そしてそれについて、今後そういうことをやつた場合には、本人がそういうことを知りながらやれば、これはもう勿論適当な処分をしなければなりません。その教育の徹底の仕方が府県の幹部で足りない場合にはその幹部も適当な処置をしなければならないかような考え方から、警備刑事両方の捜査に当るものに対しましても、又これを監督する警備人事関係の監察に当るもののほうにもそれぞれに通牒を厳重に出しまして、たとえ路上において何心なく集配人に話をしておつても、制服のものが話をしておる、これを第三者から見られた場合に、あの郵便配達人が警察に何か教えておるぞということを言われても困るという、これは全逓のかたが言つておられました、成るほどそういうこともあつたかと、これは実際そういうことを言われなければ気が付かないのです。警察官としてはただ立会つた、或いは何かボクシングの話をしておつたかも知れんが、第三者がそれを見て、あれは何か警察に情報を送つておるのじやないかというようなことも言われる慮れがあるから、そういう慮れのあるような行動も慎むような、懇切な、そうして厳重な通牒を更に出しておきました。今後そういうことが殆んどなくなるだろうと思つております。
  122. 秋山長造

    秋山長造君 具体的に通牒を出されたということであります。それは結構なことでありますが、只今長官のお言葉にもありましたように、今日まで我々は少くとも今度提案されておる警察法の精神よりは現存の警察法の建前のほうが個人の尊重なり或いは人権の保障というようなことを強調した建前になつておるように思う。そういう制度の下でえさ、而も今、斉藤長官の御言明のようなお考えのかたが二十二年以来国警の最高責任者におられて、そうしてそういう末端に至るまでいろいろと指摘をされて来ておるにもかかわらず、こういう事件が戦後すでに十年、相当民主主義的な訓練がされておると政府自身がいろいろな機会に説明しておられるその今日の段階においてこれだけ起つておるということは、これは誠に恐ろしいことだと思う。さつき若木委員がおつしやつたように、戦前の特高への逆戻りだ、特高という名前はないかも知れんけれども、特高がやつてつたようなことと同じことが不用意の間にだんだんと広く行われる危険性を感ぜざるを得ない。そこでただ一片の通牒だけでなしに、今後更に長官責任を持たれて、そうしてこういう事柄は成るほど泥棒、人を斬つたとか殺したとかいうような事件のように大きくはございません。併しその内容に至つては、本質に至つては、ただ単なる殺人事件等よりも警察官により郵便物の検閲だとか或いは信状の秘密の侵犯だとかいう事件のほうが表面的には小さくても実際その影響するところ、又それから起きるところの弊害というものは問題にならないくらい大きいということは、もう今更私が申上げる必要もないと思います。その点について更に責任を持つて善処をされるように強く要望しておきたいと思う。次に井本刑事局長が見えておられまするので、この問題について一、二点お伺いしたいと思います。この間五月二十一日の衆議院法務委員会で今の問題、つまり警察官が郵政従業員に差出人を聞いたり或いは宛名を聞いたりすることは郵便法違反ではないかという猪俣委員質問に対して、井本刑事局長が、けしからん行為たが直ちに郵便法に違反するかどうかは簡単にはきめられない、こういう答弁が載つておる、その通りであつたのかどうか。
  123. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) その通りでございます。
  124. 秋山長造

    秋山長造君 この点について只今斎藤長官は私が当然これは違法だという質問に対してその通りだという御答弁があつた。ところがあなたのほうは必ずしも簡単にきめられんというような答弁なんですが、その間の事情を教えて頂きたいと思います。
  125. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 郵政省の取扱中に係る郵便物でも信書の場合もありますし、信書でない場合もあると思います。信書の場合におきましてはこれは郵便法の八十条の問題が直ちに起きるわけでございます。秘密の保持者に対して外部の人が秘密を洩らせと言つて洩らさした場合には郵便法はかりにとどまらず、弁護士であるとかその他お医者さんであるとか産婆であるとかいうような場合にも常に同じような問題が起きるわけであります、その場合に洩らしたほうは直ちに犯罪になりますが、漏洩を受けたほうの人間が洩らしたほうの者と共犯であるという場合には、これは犯罪はなると私はたびたび申上げるのであります。本件の場合におきましても警察官と集配人とが共謀して洩らしたと認定し縛る場合にはこれは犯罪になるのでありますが、そうでない場合にはこれは非常にけしからん行為であるが、直ちに郵便法第八十条一項の犯罪が警察官に適用されるということは結論的に断定できない、いろいろな場合がある、私はかような意味において申上げたのであります。
  126. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、あなたの論法で行けば郵便物を警察官がいろいろと調べた、調べるといいますか、集配人を通じていろいろと調べたという場合に集配人がそれに答えれば集配人は郵便法違反ということは、はつきりしておる、併し警察官のほうは必ずしも別に法律にはかからない、こういうことになるのですか。
  127. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 警察官、集配人が共謀であれば八十条の一項に当ります。
  128. 秋山長造

    秋山長造君 さつき来私が尋ねておりますような意味において警察官が郵便集配人にいろいろなことを聞いた、こういう場合はどうなるのですか。
  129. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 聞いた内容にもよりますが、先ほど来申上げましたように秘密の保持者に対して秘密を洩らせということを要求したり、或いは聞いたという場合には、それが直ちに犯罪になるとは限らないのです。これは例えば新聞記者がそういうような場合であれば、国家公務員に聞きに行つて秘密のことを聞いて来たという場合には、新聞記者につきましては直ちに国家公務員法違反が成立します。勿論そういう場合に国家公務員法違反が常に成立するとは限らない、国家公務員と共謀でそういうような秘密の漏洩を受けたという場合には、これは国家公務員法違反が成立する場合もあります。本件の場合におきましても、その態様々々によつていろいろな場合があるので、先ほど来申上げたわけであります。
  130. 秋山長造

    秋山長造君 その点が私はよく納得が行かないのですが、例えば警察官が聞く場合、それから警察官でも何でもないものが、そこら辺の市井の人が聞く場合、おのずから立場なり何なり違うので、例えば新聞記者が聞く場合と警察官が聞く場合とは私は立場が違うのではないか。警察官は飽くまでこれは警察官なんです。警察の職業を持つた人が、而も基本的人権の尊重だとか、日本国憲法の尊重だとかいうような内容の宣誓を厳正に行なつて、そうして服務に従つておるところの警察官、だから当然信書秘密、郵便法であれ、何であれ、信書秘密というものを侵すことはいかない。違法だということがはつきりしている以上、それを預つておるところの郵便局員にそういうことを根掘り葉掘り尋ねるということは、やはり違法になるのではないかというように私は思うのですが、如何ですか。
  131. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 私は簡単に結論を出すことは、少し危険だと思うのです。警察官が、自分が警察力という強力な権力を以て郵便集配人を或る程度威嚇した、集配人が意思の拘束を受けて、やむを得ずしやべつたという場合には、直ちに八十条一項が成立するかも知れません。ただ穏やかに集配人と談合づくで宛名を教えて貰えんかということを聞いた場合に、すぐにそれが八十条一項の未遂罪に触れるかということは、そう私は簡単に行かないと思います。信書秘密と申しましても、刑法の場合の信書秘密と、郵政省の取扱中に係る信書秘密と、秘密の概念がおのずから違います。簡単に一概に信書秘密といつても結論を出すことは、非常いろいろの場合があつて、具体的の場合一々検討いたしませんと結論が必ずしも妥当でないと思いますので、さような点御了承願いたいと思います。
  132. 秋山長造

    秋山長造君 どうも刑卒局長のそういう御見解になりますと、結局警察は幾らでも調査をしてよろしいということになるわけですか。
  133. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 私は法務委員会でも申上げましたのですが、片や集配人に犯罪になるようなことを教えてくれというようにせがむのは、仮に非常に納得づく、懇談づくで話しましても、けしからん行為である。不都合な行為である。そういうことで先ほどお述べになつたようなことを申上げたのでありまして、決してこれが是認せられるべき行為であるということを申上げておるのではありません。
  134. 田中啓一

    田中啓一君 関連して……。私は大分今よりも前のところで、昨日の宮崎参考人のことについて、斎藤国警長官がこの席でお話になりましたあの問題でありますが、実はどういうわけで秘密会にしてくれということをしきりに宮崎参考人が言つておられるのか、甚だ了解に苦しんだのでありますけれども、まあたつて秘密会にしろという御意見のかたもありましたので、我々はそれに応じたのでありまして、そこでさてその秘密会で聞いてみますれば、前から新聞に出て論議が繰返されて、昨日も繰返されて、それだけの話をして行かれた。そうして言われることだけは、これは解釈論をやつて憲法違反だ、法律違反だという大変な大がかりな話、この法律に重大関係がある、妙なことを言う人だ、一体これはどういう育ちのかただろうと思つてつたのですが、先ほど国警長官から伺いまして、皆さんもお開きでありましたからよく御承知だろうと思うのでありますが、一体自分が、国警が警察講習においてやつたということを、若しこれを天下に発表すれば一たまりもなく潰れてしまうような問題が、若しこの警察法の改正案を引つ込めれはよし、引込めなければやるぞ、こういうことを国警長官に面接をして言われた。一体これは丁度ここへ刑事局長もおいでございまして、こういうのが一体刑法における脅迫罪にはならんのでしようか。又地方公務員法になりますのか、国家公務員法になりますのか、或いは特別の警察の服務規律になるのか、一体公務員法から見ましたならば、どういうことにこれはなるのでありますか。私は余りこれはとつぴなことでございますので、今まで考えておつたのでありますが、法務省の刑事局長おいででありますから、その辺を私は御意見を拝聴いたしたいと思う。昨日小林議員から、一体それほど重大に思うなら、どういうことを一体あなたは当然公務員としてやらなければならないこととしてやられたかというて随分追究されましたが、一向にどうもただ私が国家警察の部長に会つて、あれはえらいことだ、こういうことだけで、私どもならば長官にも会い、大臣にも会い、私はやるつもりだ。併し自治警を潰すことを控えねばやらねばならん。私はどうしてもこれは脅迫罪だと思う。(「訴えたらどうだ」と呼ぶ者あり、笑声)私は何も訴える必要はない。そこでお伺いするのです。而も国警長官に会つたことはあれだけ昨日小林議員から追究されても一言も言わない、証人でないのでありますから、偽証罪にもならんと思いますが、甚だ私は特異などうも事件じやないか。どうか率直な一つ御意見を私は実は笑いごととは思えませんので、余り私は理窟ばつて詰寄ることは誠に下手でありまして、そういうことはいたしませんのでありますが、井本刑事局長から御見解をお伺いいたしたいと思います。
  135. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) 只今のような事案が若し犯罪に当るとすれば、刑法の二百三十三条の「生命、身体、自由、名誉若クハ財産ニ対シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ脅迫シ又ハ暴行ヲ用ヒ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ又ハ行フ可キ権利ヲ妨害シタル者ハ」云々と、こう書いてあります。そのうちの自由とか或いは名誉に対する脅迫ということになりますればこの末号にいろいろ例があります。なお私どういう内容であつたか、当事者の間の応対をよく聞いておりませんし、これ又刑法上の問題でございますから、細かくデーターを検討いたしませんと、とても結論的なことを申上げかねますので、御了承願います。
  136. 笹森順造

    ○笹森順造君 私どもはこの法案全体を審議いたしますについて、今までは大体警備の面であるとか、犯罪捜査の面であるとか、予防の面であるとかいう、いわばこの法案に対して多少陰惨な気持を与える方面のことが多く論議せられて、私の頭もそういう工合になつておるようであります。併しこの法律の目的は申上げますまでもなく、これは国民のために奉仕しなければならない自治警察としての本義を持つておるし、警察の責務といたしましてはどうしてもこの個人の生命、身体、財産の保護、こういう面が非常に大きいのでありまして、特にこの第二条の規定には交通の取締り、この面が大きく取上げられておりますので、私先ほど来関係のありまする建設大臣、或いは道路局長等においで願うことを要求しておきましたが、おいでになつておりますか、おいでになつておりませんか、お尋ねいたします。
  137. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今建設政務次官、それから富樫建設省道路局長、この二人でございまして、あと笹森君の要求に対しましてはもう先ほどから政府のほうに連絡をとつておりますが、まだ見えておりませんけれども、至急に連絡をとつております。
  138. 笹森順造

    ○笹森順造君 建設省のかたはおいでになつておりますか。
  139. 内村清次

    委員長内村清次君) 建設省のかただけ来ております。
  140. 笹森順造

    ○笹森順造君 それではその建設省のかたにこの際要点だけをお尋ねいたしたいと思います。そこでこれは警察の責務として大きく取上げられておる問題でありまして、特に私どもが最近の交通事情を考え、而も道路の状況を思い、その上に自動車その他の車輌の非常に増加して参ります際に日々私どもの心を痛めますものの一つはその自動車その他の車馬その他によつて傷害を受け或いは死亡するという事件をよく見るのであります。いたいけない子供が即死するというような悲惨な事件を常に見る警察といたしまして、これを保健して頂かなければならん、或いは又大人にいたしましても、私ども自身にいたしましても、この交叉点におきましてゴーストップのシグナルを見て、そしてこれに従つて行かなければならんという現状であります。恐らくますますこの面に向つてこの道路というものが交通が頻繁になつて行き、又雑沓を極めて来るだろうと考えますので、この点において、単に道路取締りという面だけでは到底警察法の其の目的、つまり国民の安全を保証するという面には不十分であろうかと考えられます。従いましてこれは担当大臣であります小坂大臣のほかに、できれば建設大臣或いはその他の政府当局にお答え願わなければならん、こういう意味で真に交通の安全を期し得るためには、単に取締法はかりでなくて、その取締りが十分に行われ、或いは取締法がなくても安全にして、而も又それが自由なる交通ができるような方法を実は考えたいと思つておる次第でございます。つきまして私はこの建設省の関係のかたがた、或いは又この道路交通取締りに関する方面のかたがた、どちらでもよろしうございますから、先ず最近における交通事故の概要について御説明を願います。これはどちらが担当大臣であるか私はわかりませんが、そのことをお尋ねいたします。
  141. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 道路の交通のなんと申しますか、交通秩序を維持いたしますためには、ただに交通を取締るだけではなくて、交通施設、いわゆる幅員でありますとか、或いは交通のいわゆる標示でありますとか、いろいろそういつた施設と関係を持つことは勿論であります。殊に交通の場合には自動車交通が一番大事でありますから、従つて自動車の車体の検査でありますとか、そういつた事柄とも密接な関係を持ちまして、ただ取締りだけではうまく参りませんことはお説の通りだと思います。
  142. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで私はお尋ねいたしますが、例えば東京都における最近一年間の車両の数と、この死亡或いは負傷しましたものの、その表がありまするならばここで御明示をお願いいたします。
  143. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 全国の車両の増加それから事故の増加状況、おわかりになるような資料をできるだけ速かにお手許に差上げたいと思います。
  144. 笹森順造

    ○笹森順造君 それはいつまで御提出を願えますか、少なくとも最近三年間の車両の増加の状況、それぐらいならはできているはずだと思いますので……。
  145. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 一時間ばかりお待ちを願います。
  146. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこでこれはやはり交通取締りという面はかりでなくて、今後国家の道路行政としては最も大事なことであり、而も又警察の責務に関して重夫なる関係があると思いますので、その資料を拝見した上で又いろいろお伺いしたいと思います。そこで只今お話のありましたこれは道路の建設というものに対して深く考えを及ぼさなければならん、もとよりこれは一級国道もありましよう、或いは二級もありましよう。或いは又都道府県の責務を負うもの、地方の自治体のものもございましようけれども、大体この道路の行政に関しまして只今斎藤長官から幅員の問題がありました、併しこれは単に幅員だけではいけない、つまり自動車が頻繁に往来しまする関係、私どもも自分の家庭から国会へ参りまするまでも非常に近頃自動車の台数が殖えていることが目につくのであります。従いまして現在のような東京都のごとき状況でよろしいのか、一方道というものもこれは東京都内に多少きまつたようでありますけれども、やはりこれは諸外国の例において見るがごとく、この左側或いは右側をきめて、そうして或いは自動車路を作つて、更に自転車道路を作りその上にこれが人道も作らなければならない、大体諸外国の大都市はここまでしなければならんということになつておりますが、こういうことは関してこれは戦後なかなか日本の道路建設の手業はうまく行つておりませんけれども、これは早速この方面に向つて手をかけなければ、いよいよ交通事故というものは頻繁になつて来るのではないか、こういうことを考えますので、それに対するところの基本的な考え方について、建設大臣或いは次官から御意見をお述べを願います。
  147. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上けます。お尋ねの最近の交通輻湊につきましての道路との、関係につきましてこのお尋ねの通り最近自動車の車両の数も非常に増加して参りますのみならず、自動車そのものも大型になりつつあるような状況で、以前のように幅員とか或いは鋪装の程度ではますます交通危険防止という点からも遺憾の点が出て参るのでありますから、道路につきましてのいわゆる新設、改築、それから維持、管理というような問題につきましては建設大臣がこれを所管しておりまするが、建設省におきましても最近の交通状態から勘案いたしまして、全国における道路につきまして、一、二級国道、重要地方道その他車要産業道路というように種類を分けまして、これがいわゆる新設、改築等につきまして五カ年計画を作つております。本年二十九年度からこれに着手しておりまするが、道路そのものにつきましてのいわゆる幅員とか鋪装の厚さとか或いは踏切の立体交叉とかいうような問題につきましては、道路構造令というものによつてそれぞれきめて行かなければならんと思つております。今道路構造令につきまして所要の改正を加うるべく準備をしておるような次第でございます。何と申しましても、全国の交通綱の整備ということにつきましては、国家財政と大きな関係がございまするので、これらを勘案いたしまして、できるだけ速かに五カ年計画を達成いたしたい、こういうふうに考えておるような次第であります。
  148. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今お話で、道路整備五カ年計画をお立てである。これは果してその五カ年計画のうちにその計画の通りに行つても日本のこの車両の増加率と一体並行し、或いは必要性に間に合うかということなども私どもは多少懸念しておる。今まででもすでにこの進んで参りまする時間的なテンポと申しましようか、速度と申しましようか、このほうが政府の施設よりも或いは又企画よりもずんずん先に進んで行つておるというような状況でありますので、これは一つ、できますならばこの特に交通事故防止の意味における関係を明らかにするために、せめても今お話のことがただ五カ年計画があるということだけでなくてどういう計画においてこうなるというような、先ほどから私お尋ねしておりましたのは、車両の増加率というものを私は知りたかつた。そして又車両の増加率によつてつて参りまする事故の増加率というものを聞きたかつた。そういうことを勘案いたしまして、それが極めて科学的に合法的に、この道路というものの幅員にこの車の通ります何条列を通るかというようなことなど或いは又自動車道のほかに自転車道であるとか或いは歩道であるとかいうようなことも考えなければならん。そこで、例えば都市計画などにおいても、今の五カ年計画において根本的にそこに施策がなければこの時勢の要求に間に合わんということを考えますと、今のお話だけでも、ただ五カ年計画があるということたけであつたのでは、それはどういうことかよくわかかりませんので、そのせめてもの基幹的なるところの具体的なる案をこの私どもが法案を審議するに当つて伺えるかどうかを、もう一度お尋ねいたします。
  149. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。道路整備五カ年計画は道路整備費の財源等に関する臨時措置法という法律に基きましてこれは昨年の七月両院を通過して法律なつ法律でございますが、その法律に基いてできた計画でございます。大体昭和二十九年度から五カ年の間約二千六百億の金を以てそして一、二級国道と重要地方道、それに若干の産業道路と申しますものを対象にいたしまして、今日の交通に対処するように道路の改築、修築をやつて行こうという計画でございます。詳細につきましてはいずれ若し御要求ございますならば資料として出しても差支えないと考えておりまするが、要は併し飽くまで建設省所管の道路の問題は道路の維持、管理、修築、改築という点が中心になつております。笹森さんのお言葉のように交通機関が非常に発達して道路の進歩がこれに遅れるということが従来はあつたというお言葉も拝承いたしたのでありますが、私自身も又そういうような点も考えております。一歩進みまして、現在の道路に応じたいわゆる交通制限をすべきかどうかという問題になつて参りますると、これは非常に大きな問題であります。交通が大事か道路が大事かというような問題になつて参りまするので、いろいろ議論は非常に多かろうと存じますが、進んで行く交通に対処すべく道路のいわゆる改良又修築ということにつきましても、政府は決して等閑に附しておらない。国家財政の許す範囲内においてとにもかくにも二千六百億というような金額で五年の商に少くとも主要道路幹線網については自動車交通に差支えのないような整備をやつて行きたいというので、もうすでに始まつておるような状態でございまして、その点につきましては今までよりも多少交通緩和の役に立つて行くことと考えております。道路につきましての取締につきましては道路交通取締法というのがございまして、それに基いて、これは尤も運輸省所管でございますが、自動車の車体等につきましては検査をやつております。取締自身は国家警察が当つておりますように、三つの省に関係しておりますことも多少そこに何と申しまするか遺憾な点も出て参るのでありますが、今までのところでは、お互いに相互連絡を適当にやつておりまして、そう不都合を生ずるような点はなかつたように考えております。
  150. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今の答弁でこの法律を審議するのに役立つような資料は出してもよろしいということでありますので、その五カ年計画の全部を私はここで要求申上げる考えはございません。ただ私どもはこの法案を審議するについてこの法案を審議するのに交通取締上の便宜になり安全を期し得るためにこれはこういう計画をしておるのだという資料がありまするならば是非とも御提示をお願いしたいと思います。そこで重ねてお尋ねを申上げたいのでありまするが、この道路取締規則というもの、これは自動車等についてはお言葉のごとく運輸省の所管であり、或いは又その交通事故その他についてはこれは又警察法の下になり、而も道路自体の建設について維持、管理等においては建設省、いろいろ複雑しておることは今承わる通りと思いまするので、私どもはいろいろ関係してお尋ねしなければならん点があると思うわけであります。特に私どもは東京に住んでおりまして、東京都内における、特に旧都内における幹線路、この計画が実は数年前から企画されて、これは建設省の仕事というよりも、首都建設の仕事であるとか、或いは東京都としての仕事であるとか、いろいろありましようけれども、ここに特に建設省の政府委員のかたにお尋ねしておきたいことは、東京都における大体環状線であるとか、放射線であるとかということのこの計画の大要を先ず承わつておきたいと思います。そうしてこれが恐らくは東京都以外の日本の各五大都市なり六大都市に及んで都市計画と共にこの問題が発展して参りまして、そうしてこの道路の取締等についても非常な変化を与える元になりはしないか。私の聞いておりまするところ、この計画は戦前、戦争中に大規模の計画をして、土地の買収であるとか或いはその他をやりながらも遅々として進んでいない。これはどこが責任者か私はよくわかりませんが、事務分掌が東京都であるか、建設省であるかわかりませんが、少くとも建設省において持つておる計画の根幹とその後の成り行きと、現在と将来に対するお見通しについて基本的なることを一応この辺で承わつておきたいと思います。
  151. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。先ほどお話申上げましたように、一、二級とか重要地方道につきましては五年計画を作つております。殊に東京都におきましては首都建設委員会がございまして、主要幹線網につきましては概要を制定しているように拝承しております。なおそれ以外の重要路線につきましては都市計画委員会で策定いたしました計画道路というものができておりまして、それに基いて道路の整備をやつておるというのが現実の状態であります。この計画がなかなか遅々として進まないと申しますことは、御承知通りに、何と申しましても市街地における都市計画でありますために、これは強権を以てやるというようなことは最後の場合にいたしておりまして、できるだけ協調によつて計画を実現するという建前をとつておりまする関係上、なかなか計画が進捗せんというのが事実でなかろうかと考えております。
  152. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今の御答弁のごとくこれは一朝一夕に実現するということは期待するほうも無理でございましようが、併しながらやはり計画として、企画としてはやはりそこに一つの立案があつて、私どもがこの法案を審議するについていろいろ考えなければならん、これはただ旧市街においてばかりでなく、東京都の郡部においても高速路を作つて、そうしてこの旧都市と他の東京都の市との間の連絡等も、これが是非かからなければならないので、又その計画があるやに聞いておるのであります。従いまして今の話のごとく土地の収用であるとか、建物の移転、或いは又その建物を崩壊して道路を作るとか、これは容易ならざる仕事であることは勿論でありまするが、早ければ早いほどよろしいので、例えば東京都内における住宅の建設等の土地もありますので、計画に載つておるその路線の計画の上に家が建ち、いろいろとそこに施設が出て参りますると、ますます困難を感じて来る、従いましてこの計画が早ければ早いほどよろしくて、そうしてこれを公にすることが一日早ければ一日早いほど将来への計画がうまく行く。諸外国の例では先ず都市計画をしてから、道路を作つてから、水道を引いてから、下水道も作つてから住宅を建てる。ところが日本はこういう歴史的な、因習的な関係で、一切のものをあとからこの新らしい時代の進展と共に交通の頻繁なことに合わせて行かなきやならんというところに非常なる苦心があることは、私ども重々承知しております。従いまして今のお話が一日も速かに総合的な計画がせめて東京都を中心としてここに策定せられることによつて、国民の負担も軽減せられ、将来のわずらいもこれがなくなるのではないか、こういう意味で今の五カ年計画のことは是非とも一つ速かにこれを策定して頂いて、せめても私どもの法案の審議中にでも、成るほどと思うようなものを御提示を願うことを重ねてお願いをいたす次第であります。  そこでもう少し細部に亘つてお尋ねをしたいと思うのでありますが、この事故の点であります。これは建設省のほうではないかも知れませんが、道路取締規則のほうの警察法のほうの関係になるかも知れませんが、この幅員が狭いということが第一の問題であります。そのほかに自動車の運転いたしまする時間に対するマイル数の関係もあるかと思います。この点について現在の一体自動車のああいう速度の規定でよろしいのかどうか。これは運転技術ともやはり関係をいたして参るのでありまするが、この点に関しまして皆さんがたが事故防止という点と、現在の幅員の問題はよろしいのですが、速度の点について、現在都市において、非常なる繁華都市において、或いは又郊外において、どういう見解を以て現在この時速の決定をしておるか、関係政府委員がおつたらこの点をお答えを願います。
  153. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) お尋ねの交通事故とスピードの関係でございますが、一部には郊外公道等におきましてスピードを今よりも多少早くしてもらいたいというような意見を持つておられる向も相当あるわけであります。私どもといたしましては、只今の速度制限を以てやはり暫くの間やつて行きたい。殊にお話のように道路が十分でないところに車輌がどんどん殖えて参る、こういうような関係から、実は事故が大変に最近殖えて参つておるわけであります。そういうため私どもといたしましては、交通事故を防ぐそのためには何と申しましてもスピードが余り出ていないというほうがいいわけであります。そういう意味でスピードを殖やすというよりも現状におきましては現在の最高スピードを先ず押えて、そうして事故のないようにいたして参りたい。場合によりましてはこのスピード制限を更に強化するというほうに向かざるを得ないような状況でございます。
  154. 笹森順造

    ○笹森順造君 現状がそうであるとすればそうであるほど結局相関関係で建設省のほうにやはり考慮を願わなければならない。我々といたしましては飽くまでもこの交通事故を防止して行かなければならないと共に交通の便益を図つて行かなければならないというこの二つの要求がここに丁度よいように並行して進むようでなければこの道路取締という問題もうまく行かない。折角速度のある自動車を使つてもスピードをだんだん僅かにしなければ事故がどうも頻発するということであつてはいけない。速度を出しながら事故がないというほうに進めて行くことが必要だと考える。従いまして今警備部長のお話のありましたように、郊外の公道等においてはスピードを殖やすという要求は私は当然のことだと思う。そこで先ほど来この費用の問題が出て来ておるわけであります。ところが何もこれは外国の例ばかり言うわけではないですが、諸外国における有料道路と申しましようか、つまり料金をとつて、そうしてそれが専用道路になつているというようなことが考えられておるので、現にこれがヨーロツパにおいてもアメリカにおいても盛んにやられておつてそうして大きなニユーヨーク市のようなところでもロンドンのようなところでも、やはり有料道路があつて、そこを通るものは金を出すことによつて、その人たちが非常な便益を受けてやつてつて、あえて中央政府なり或いは又地方自治体なりが負担せずにやつて行けるという状態があるのでありますが、こういうことについて道路五カ年整備計画の中に何か考えておることがあるかないかということをお尋ねいたします。
  155. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私失念しておりまして申訳なかつたのでありますが、建設省におきましても笹森さんの御趣旨も一昨年すでに特定道路整備事業法という法律ができておりまして、いわゆる賃取道路の名において大都市間の自動車専用道路、そういうふうなものを着々やつております。現在すでに二十四本着手しておりまして、すでに竣工したものもございますし、当分ここまだ三十三年か四年までその法律は続いて参るはずでございますから、こういうような特定道路の名で呼ばれておりますような道路が完成いたしますならば、市内におきまする各種交通が混雑しておりますような道路につきましての緩和にも相当役に立つものに違いない、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  156. 笹森順造

    ○笹森順造君 問題を絞つて具体的なことを、もう一つこの点に関することについてお尋ねしておきたいのでありますが、東京都の問題でありますが、これは或いは建設省直接の問題でないかも知れん、併し単に道路を整備するということばかりで交通の安全は図れない。特に自動車の数が多くなりますと、自動車を置く場所がないというので非常に困つておる。従つてこのことについて東京都における水面の利用、水面の利用を許可するということについて或いは屋上を使うとか、或いは又更にこの水面を埋め立てをして使うとかいうことの話が出ておるようでありますが、この点に関しまして建設省が関与することがあつたとするならば、或いは又その関係において何か意見でも求められたということがあるならば、そのことについて一応伺つておきたいと思います。
  157. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。確かに日本の建築物は現在のような交通を想定いたしましてできておらんことは御指摘の通りでございます。殊に東京都におきまして丸の内界隈或いは日比谷附近というようなものの建物の建て方を考えますると、自動車を置くということは余り考えてできていないようなことは御指摘の通りと思います。で、この自動車の置き場所に使いまするのはこれはいろいろな場所がございまするが、都市計画といたしまして或る程度考えられて計画ができておるように考えておりますが、都市計画は主として東京都が中心になつてやり、これを監督しておるという立場に立つておりますので、詳細につきましては相談を受けるという程度で御満足の行くお答えはできんかもしれませんが、丸の内などは日比谷公園の下に地下道を掘つて自動車を置く場所を拵えるというような計画も考えられて、いろいろ工夫をされておるようなことは、正式に相談を受けておることなどもございます。まだそれ以外にいろいろ自動車の置き場だけにつきまして特殊の考え方をやつたというような例は聞いておらんのでありますが、日比谷公園の地下に自動車の置き場を置くというようなことは考えられておるように聞いております。ただこういうような事業は地上物との関係におきましてよほど計画を吟味いたさなければ思わん支障も起きて参りますので、この点につきましては目下研究中というような状態でございます。
  158. 笹森順造

    ○笹森順造君 問題の方向を変えまして、私どもの日常の交通に関することでお尋ねしたいのでありますが、人間の左側通行がいいのか、或いは対面交通がいいのかということで随分戦後に私どもはいろいろと変えられて、慣れるまでにいろいろ困つたのであります。そこで道路取締令によつて現在のこの交通の左側、そうして人間は右側、対面というようなことが、これがしつくり行つておる、これでいいと思うかどうか、この道路取締規則に関係を持つ担当官のその後のお考えを伺います。これは事故防止の上で非常に大事なもので、よく車にぶつかつたり何かいたしますので、その点についての変化に対する実際の運営についての御見解を伺います。
  159. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 御承知のように数年前に道路交通取締法を改正いたしまして車は従前の通り左、人は右というように対面交通にいたしたのでございます。このときに果して今まで人が左を歩いておつたのを右を歩かせる、この習慣を変えることがどうであろうかという論議が非常にございましたが、各国の、車両の多い国の状況を調べてみますると、殆んど多くは対面交通になつております。確かに対面交通は交通事故を防止するに必要な方法であるということがそれらの諸外国の実験に徴しましてはつきりいたしましたので、さような法の改正を行なつたのでありますが、施行後まだ十分その習慣が切替えられておるとは考えられませんけれども、併し逐次これに慣れて参りまして、調査もいたしました結果によりましても、小学校の児童或いは学生あたりになりますると、むしろもう殆んど無意識的に右側を歩くというようになつて参つておりまするので、この方針を以て将来もずつと進んで参りたい。そして対面交通によつて危害を少しでも少なくしたい、かように考えております。
  160. 笹森順造

    ○笹森順造君 現在のこの警察で、例えば警視庁でありまするか国警でありまするか地方警でありまするかしりませんが、交通の取締りのために警官が道路においていろいろ仕事をしている。私どももそれについていろいろ指導されて車の運転なり歩行に便益を受けているのでありますが、このことのために大体警察のほうで要しまする人の労力と申しましようか、或いは又事務分掌の割合と申しましようか、これをほかの警察仕事と比べて大体大まかにしてこの方面の人の勤務の時間の総合したものの割合、それからこれに対しまするところのいろいろな費用の割合と、そういうものを概略的なものを基本的にただ私どもに参考になるものの御呈示を願います。
  161. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 交通取締りに当つておりまする警察官の割合でございまするが、これは御承知のように都市の警察と……全警察官の一割五、六分、二割近くおると思います。東京のように交通量の多いところにおきましては、これはところによりまして差違があるわけでございますが、最近警察におきましてはこの交通取締りといいますか、事故防止に非常にまあ力を注いで参つておるのでございます。従いまして人員或いは予算というような面におきまして、できるだけそういう方面に差向けまして、事故を防止して参りたいと思つて努めておるような次第であります。
  162. 内村清次

    委員長内村清次君) 笹森委員ちよつと申上げます。只今厚生大臣が出席されましたから、厚生大臣、あなたの御要求の。
  163. 笹森順造

    ○笹森順造君 それでは折角厚生大臣がおいでになつておれば、その方面の関係のことをお尋ねしたいと思います。  この法律ではどうしてもこの警察法の目的を達するためには、やはりこの条文の中にも協力の義務ということが出ているわけであります。この協力の義務はやはり日本の警察業務としてはいろいろな面において他の省との協力を得なければならない。このことで特に厚生大臣がおいでになつておるとお尋ねをいたしたい点がございます。それは御承知のように厚生省の下に属しまするところの麻薬取締法による取締官というものがある。毒物及び劇物取締法によるこの取締官もある。覚醒剤の取締法による取締りのこともあるわけであります。これらのことは先ほど来私どもも挙げておりまするように、この法律が単に取締りをし、犯罪人を容疑者を掴えるというようなことはかりでなくて、国民のやはり身体を保護し、又その生活の面においてもこれを明るい方面に指導して行かなければならない。こういう意味でこれがなされなければならないことと思います。従いましてこの国会におきましても覚醒剤の取締りのことなどは大きな問題として私どもはこれを審議しておる。こういうことの関係におきましてこの警察仕事とこれは単に取締りをし、弾圧をし、そうしてこれを刑法の罰則の対象とするのではなくてこの時代においてこの法律が本当に国民の保護に当り得るような関係まで今の方面からとつて頂かなければならない。こういう意味で今の各方面の取締官とこの警察との関係について厚生大臣はどういう御方針を持つておいでなさるか、基本的なことを先ずお尋ねいたしたいと思います。
  164. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) お尋ねの件につきまして薬事関係は薬事監視員がいたしております。覚醒剤及び毒物劇物の関係はこれは普通一般警察官が取締るということであります。ただ御指摘の麻薬取締と一般警察官との関係でございますが、麻薬犯罪は御案内のようにその性質から鑑みまして極く量が少くて、殊に隠匿するというような、分りにくいというような状態でありまするから、その取締りを行うに当りましても、これらの薬物の専門知識が必要であるという立場に立ちまして、一般警察のほかに麻薬取締法或いは大麻取締法に違反する罪なり或いはあへん喫煙に関しまする罪なり、又麻薬中毒によりましておかされました罪等につきまして、麻薬取締警察を設けておるのでありまして、この警察権執行のためには麻薬取締法の第五十四条におきまして厚生省に百五十名以内の麻薬取締官を設けております。又都道府県を通じまして百名以内の麻薬取締員を置くことといたしておるのでありまするが、もとより只今御指摘のように麻薬取締警察はこれだけではできないので不十分でありまするし、これを十分処理し得べき性質のものではございませんから、従つて一般地方警察官も又これに当るべきものとなつておるのでありまして、これらの両者がその職務を行うに当りましては、互いに協力してお互いに協力し合一つてなすということが麻薬取締法の五十四条の六項で規定しておる次第でございます。従いまして両者の協力は実際上も現在まで円滑に行われておるのでございますが、協力の実情から申しますると専らその目的のために長らくの間内偵をしながら、そしてその麻薬の特殊性に鑑みまして、これに当つて来るという状態に相成つて参りまするので、それらの点は麻薬取締官がこれに当り、一般の司法警察官の協力を見ながらこれが摘発に当つて行くという状態でいたしておる次第でございます。
  165. 笹森順造

    ○笹森順造君 大体それで各取締官のこの警察協力の説明お話なつたわけでありますが、特にこの警察法との関連においてこれを今ありまする警察官に委託しておるようなことに関して、この法律の条文において特にそれを明記しなくても差支えないかどうか、私らがこの法律を審議するに当つて他の警察活動を求めると明記してないが、それでよろしいものか、今お話のあつたこの新らしい警察法に何かこれを明記しなければならないという必要がありはせんかということが私のお尋ねの趣旨なのであります。その点について答えを願います。
  166. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) 麻薬取締法においていたしておりまするから、特にこの法律において明記する必要はないと思います。
  167. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで特に今一番の苦になつておりまするのは国会で審議になつておりまする覚醒剤の問題で、これは担当大臣の多分心を傷めておられる問題だろうと思うわけであります。戦争中、或いは戦後において年少者の十代の青少年に対しまして、この覚醒剤が使われたという過去の事実は多分御承知のことと思うわけであります。大体この頃、この日本の十代の青少年の思想なり或いは又行動なり、或いは又社会秩序なり、私どもは警察のいろいろな御厄介になる者を見ますると、この覚醒剤において煩わすものが非常に多い、これを何とかして取締り或いはこれを保護しなければ日本の民族の一つの悪い風俗習慣ができて来やしないか、アジアにおける或る一民族が麻薬のために非常に苦しい状態に置かれておることは私どもは実に悲惨な事実として見ておつて、日本は今にしてこの覚醒剤の問題をはつきりとしなければ、これは大変なことだと思う。そのことを憂えるわけであります。私どもは少さな警察事犯のこの十代の者の多くは、これによつて精神が錯乱し或いは窃盗をし、いろいろなことをしてこれに陥つておる者が非常に多い。ですから、警察の御厄介にならないようにするためには、このことだけは少くとも担当大臣は熱心に考えてもらわなければならん。ところがこの劇烈な麻薬のようなものは僅かな量で隠匿するというものもあつて、これはなかなか日本にはいろいろま規定なり法律がございますが、覚醒剤はこれは製法が頗る安易であり殆んど素人でも造れる。或いは原料においても他に必要があつて入手するためにこれを保管するということは、必ずしも犯罪でない。ただその製造の工程において安易であるために、これがいわゆる予防的なことで十分警察でも研究されておつてもこの問題が起きるのでありますが、これを根本的に対策をとつておかなければ由々しき問題が日本民族の上に起りはしないか、特に都市においてこれが甚だしい。こういうことについて何か根本的に対策をこの際して行かなければならんと考えますので、この点について厚生大臣の御方針を明確に承わつておきたいと思います。
  168. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) お説のような状態に相成つておりまするので、覚醒剤の根絶という点につきまして、覚醒剤による中毒というものの根絶ということにつきまして、従来から意を用いながら何とか早くこれをいたして参りたいと考えております。従つてこれに対しまする処置といたしましては、現在速かに医薬として用いておりまするものは、年間僅かに三百六、七十グラムであります。そのほか巷間に中毒症状を呈しております原料となつております麻薬は全部密輸が多い密造のものであります。従つてこれが根絶を図るという点、現在罹つておる人を治療するという点、このことを一般によく認識してもらうという点、この三点に集中すべきものである、こういう考えの下に幸い参議院の、本院におきましてもこの覚醒剤取締法等を修正して頂きまして、これが取締りを強化するという立法上の処置を一方はとつて頂きますと同時に、現在罹つております者に対する治療という方向と、並び一般の認識を深める、この三者に全力を尽して参る予定で只今進めておる次第であります。
  169. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今の御方針は是非強化をして頂きたいと思うのであります。特に警察関係においてはすでに患者になつておつたものに対するこれを治療する方法、これは御承知通りに短い期間ならば一週間、或いは又一カ月くらいこれを監禁して、そうしてこれを用いさせんから非常に苦悶いたしましても、遂にそれがまあ成る程度そこから抜切ることができると、こういうような問題とか、併し性格の破綻者でありまするならば、或いは再び同じところに陥るかも知れませんけれども、そこに或る程度の機会を与えるということは、これは普通の家庭ではなかなかそれができにくい、或いは病院でもなかなかこれを収容しがたい。そこで警察権を発動するということは、これはこの点においてこれは公正なものであろうと考える、必ずしもこれは残酷な方法ではない、従つて警察権の発動について、この点について今警察警察権を発動してこの覚醒剤患者に対する監禁をして、或る期間これを治すためには力が足らんのじやないか、この点について一体担当大臣の根本的なるお考え方がどうであるか、又現在やつておることがどうであるかを厚生大臣並びに警察関係の大臣から、両方からお尋ねをしておきたいと思います。
  170. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) 従いまして、お尋ねの点誠に重大な点でございますので、今回のこの覚醒剤取締法の改正に当りましても、密造並びに密売する者を厳罰に処する。今回は七年以下の懲役ということに改正して参議院の御議決を頂いた次第であります。又これを結局は治療するということが必要になつて参ります。本年度で精神病院及び病床を相半増設いたし、一種の精神病の症状を呈しておる場合が多いのでありますから、その範疇の人たちは、治療に当つてこれを治して行くという方法で参りたいと考えております。
  171. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 厚生大臣の答えられました通りでございますが、これをやはり監禁するという必要はあるんじやないかという、御尤もだと思います。併しこれには、やはりそういう場合、保護をいたすべきこの権能を与えられる法律が必要であると思いますが、この法律に伴いまして、やはりこれを収容する機関が要る、収客能力と、又それと相携えて参りませんことには、その法律の趣旨が活かされないことだろうと思いますので、よく厚生大臣のほうとも連絡いたしまして研究をいたしたいと思います。
  172. 笹森順造

    ○笹森順造君 厚生大臣に対するお尋ねの要点は、時間を倹約する意味で、それだけにしておきます。  先ほど私が通告を受けまして、大蔵大臣が来ておられるということでありますが、如何でございましようか。短かい時間だと来られるという通告を受けたのでありますが、如何でございますか。
  173. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今の大蔵大臣のほうの政府委員室で連絡中でございますけれども、大臣にはまだ連絡がとれておらないと言つております。
  174. 笹森順造

    ○笹森順造君 それでは御連絡を願いまして、それまで私は保留いたします。
  175. 秋山長造

    秋山長造君 郵政監察局長見えておりますか。
  176. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと待つて下さい。今来ておりましたが……、郵政省の監察局長斎藤君が来ております。
  177. 秋山長造

    秋山長造君 監察局長へお尋ねいたしたいと思います。先般来、新聞紙上でも警察官なり或いは公安調査官なりによるところの郵便物の不法不当な調査という問題が世間で大きく取上げられておる。で、この委員会におきましても、今回の警察法の問題と関連いたしまして、国警長官なり、或いは法務省なり、公安調査庁なりの係官に来て頂きまして、いろいろと我々究明をいたしたのであります。併し何と言いましても郵便の問題になりますれば、あなたがたが当事者、まあそういう立場から、あなたに数点に亘つて質問をいたしたいと思います。私ども、ああいう新聞記事を見まして、多少奇異に感じますことは、これらの事件、少くとも郵便法を守つて行かれるあなたがたとしては、これは生死にかかわる重大な問題でございますが、それらがどの一つとして郵政当局なり、或いは地方の郵政局なり、或いは又、地方の郵便局長なり、そういうようないわば監督的な立場におられるかたがたからではなくして、多くが集配人自身或いは文金逓信従業員組合というような方面から持ち出されている。で、この間も全逓の委員長その他が国警長官のところへ参りまして、これらの問題について、いろいろと話合いができたそうであります。先ほども長官から、その内容についての御説明があつたようで、一体郵政省のまあ幹部といいますか、この責任を持つておられるかたがたは、これらの問題についてはどういうようにお考えになり、又どういうようにこういう問題を扱つて来ておられるか、で、新聞が騒いだり世間が騒ぎ出して初めてそれぞれの事件について調査をしたり、引き合わせたりするというようなことは我々非常に不満を感ぜざるを得ない、その点について先ず……。
  178. 斎藤信一郎

    政府委員斎藤信一郎君) 只今の郵便物に関する調査の事件についての管理者側としての取扱をどうしているかという点についてのお尋ねと存じますが、先般長野県の上田市におきまして、或る公安調査官がこの種の事件を起したということが起きました。それを機会にもともとこういうような郵便物に関して知り得た秘密を漏らしてはならないということは、郵便の取扱をする上において、最も守られなければならん点であることは、郵政省としても機会あるごとに下部にその徹底を図つてつているのでありまするが、その事件の起きたのに鑑みまして、将来再びこういうことが起きて、それにうつかり応じたりして、間違つた取扱をしてはならんということの注意をいたしますために、念のための通牒を出しました際、最近においてこれに類した事件があつたらば即刻郵政局から本省へ、又郵便局といたしましては、部下管下の郵便局から報告して参れということに、手配をいたした次第であります。    〔堀末治君、秋山長造君発言の許可を求む〕
  179. 内村清次

    委員長内村清次君) 発言中です、秋山君。
  180. 斎藤信一郎

    政府委員斎藤信一郎君) それでその通牒に従いまして、下部の例えばそういう事案に遭遇した係員が、郵便局長に申出で、郵便局長が郵政局へ申入れ、更に郵政局から本省へ参つているといつたようなことで、多少その報告の時期がずれましております間に、現地の全逓等におきまして、いち早くこの問題を取上げたということのために、そちらのほうの発表が先になつてしまつたということが或いはあつたかと存ずるのでありますが、当方といたしましてはできるだけ早くそういう報告を即刻いたすようにということを下部に注意通達を流しておつた次第でございます。さよう御了承願います。    〔堀末治君「議事進行について」と述ぶ〕
  181. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  182. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後五時九分休憩    ——————————    午後八時五十八分開会
  183. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続き、地方行政委員会開会いたします。  笹森君要求の指名大臣の出席もなく、審議に支障あるため、本日はこれにて散会いたします。    午後八時五十九分散会