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参考人(
宮崎四郎君) 非常に我が儘を申上げまして申訳ないと思うのでありますが、私この問題は
警察法審議にも非常に重要な
関係がある。又現行
警察法の下でも非常に重要な問題だとかように考えますので、是非お聞取を願いたいとは思うのであります。そうでありますが、先ほどのように
質問をかけられましても、余り外部に聞かれると
警察のために私よくないことだと思うのであります。そういう意味で、是非非に
一つ秘密会にというようにお願いをしたのであります。そんなにしなければならんことならば言わんで帰
つたらいいじやないかというようなお考えもあるかと思いますが、私はこれはいつまでた
つても、何というか、黙
つておることはできない問題である。而もこれは誰から聞かれても言えるという問題でもありませんので、今日まで私はこの問題を極く限られた
かたがたにだけ申上げたのであります。国家
公安委員会に申上げたり、これは決して事和かに申上げたわけではないので、戦前の
特高も三舎を避くるようなことをや
つておられるので、
法案の取扱いを御慎重にお願いをしたいということを申上げたのであります。又閣僚の一、二にも会
つてお願いをいたしまして、こういうことがあると、非常に大変なことだとまあ私としては考えるから、
一つ是非御善処を願いたいということをお願いしたのであります。
野党のほうにはどうかと思いますので、私は自由党の最党
幹部にお会いをいたしまして、実はかような現行法下で許されないような事態が起
つておる、そういうことを企画した
かたがたがこの今度の
法案を立案されておるようだが、まあこれは大変なことだと思うので、
一つ法案の取扱いなり今後の考え方については十分御慎重にお願いをしたいということを申上げて、まあ
警察がよくなるためにということでお願いをして見たのであります。今日までその成果が現われるものであろうと実は期待をしてお
つたのでありますが、不幸にして国警当局においても余り本気にな
つて考えておられませんようであります。又
与党の自由党においても、恐らく私の
お話を聞かれたかたは相当お考えを
願つたかと思うのでありますが、何様余り口外のできないことであるため、この大勢を制するに至らなか
つたのではないか、かように考えるのであります。政府の閣僚におかれましても、私は同様な地位にあられて、やはり非常に苦慮はせられながら、実際はそれを如何ともしがたか
つたというような事情ではないかと思うのであります。この点を
一つあらかじめ
お話を申上げたいと思うのであります。
それから、まあこういう事情でありますので、実はどこかに訴えて早く現状を面したいというように考えるわけでありますが、事が余りに重大であり、私は決して国警の悪口を言うつもりはありません。泥試合をしようとも思
つておりません。併し、これを私がどこかで口外いたしますならば、それは必ず国警を毒するだけでなく、その揆ね返りは必ず市警にも来る。そうすると、結果的に考えてみますと、これは日本
警察全体の不信を買う元になると、こう私判断するのであります。大きくは日本の
警察が日本の国民から不信を買うというようなことが起りますならば、これは私は大変なことだと思うのであります。それが実は治安維持に一番癌になることであります。
警察と民衆の間に隔離される幕があるというようなことにな
つては大変だと思うのであります。私特に秘密会をお願いする次第であります。さような
状況で、若し口外をいたしますれば、そういう民心を
警察から離すという
一つのもう何とも
警察にと
つては言うことのできないような大きな影響を与える一面、又国警と自治警の間に今度の
法案か若し成立しまして、そうして統一されても、これ又おかしな空気ができるというようにも考えますので、心配はしながらも実はそれを触れ廻るということはできないと、かように考えてお
つたのであります。幸いに私、その問題がどこからああいうところに出たのか私には想像がつかんのでありますが、とにかく問題にな
つて、本日ここに呼び出されましたので、参議院の良識に訴えまして、
一つこの問題をよくお考え願いまして、
法案の是非も一さることながら、
警察をよくするという意味で
一つ十分お聞取りを願いたいと思うのであります。先ほど国警からおいでにな
つております
村松さんが
お話になりましたように、特別の警備係の講習を
警察大学でや
つておられるようであります。期間は一回につき五十日のようであります。のようでありますというのを附加えるのは聞いておるからであります。訓育、法学、警備
情報概論、
情報活動の要領、実科、実地
訓練、総合実習、検討会、こういうような科目に分れてや
つておられるようであります。訓育、法学は問題はありません。又警備
情報概論につきましても、大体そのときの警備情勢を
お話になるのだろうと思うのであります。そういう点は私問題でないと思うのでありますが、
情報活動の要領と申しますところで、警備活動の目的或いは心構え、手段、方法というような点にやや心配になる点があるのであります。警備
情報官の立場を捨てて警備
情報マンの立場にな
つて仕事をやるのだというように報告を受けております。このことはどうも私服
警察官が私服
警察官として
情報をとるという立場とは大分違うような気がするのであります。ここらが心配になる
一つの点であります。権力をバツクにするな、原則は身分、目的偽装である、結局まあ秘密
警察になるということであります。
警察目的のための手段であることを忘れるな、日共の非合法テクニツクはこういうふうにな
つているから、それに対応して
警察もあらゆる手段というわけにも行きますまいか、できるだけ有効な手段をとらなければいかんという
お話にな
つて来るかと思うのであります。そういう心構えで以てどういう手段方法をとるかと申しますと、新聞に出まして、先ほど
村松さんが御返答にな
つたような点も確かにあるのでありますが、私が先ほど憲法
違反の疑いかありはしないかということを申上げましたのは住居侵入であります。犯罪の捜査又は
情報收集のために人の家に入り込む、こういうことであります。習
つた生徒の報告によりますと、相手の留守を見届けて見張り二人以上を以て見張らしておいて、家屋内或いは
事務所等に入り込んで文書を盗み取る、それは文書と書いてありますが、証拠品の場合も或いはあるかも知れませんが、私直接そういう点は聞いておりません。ただ文書を盗み取る問題があります。まだほかにたくさんいろいろな方法がありますが、私
法律上疑義があるという点を申上げたいのであります。施錠のしてある家屋に侵入する場合日、或いは鞄の錠を開けるときの方法、こういうことも教えられるそうであります。それから先ほど
村松さんのお申しになりました封のしてある書類の中身を抜き取るために糊を溶かして開き、又元に戻すというようなこと、これらか私一番心配になるのであります。その他の盗み聞きをするとかいうような点もありますが、もう
一つ相手の所持する鞄の中から文書を盗み取る、或いは家屋に侵入して支署を盗み取るというようなことが教えてあるようであります。どの先生がこういうことを教えたかと言うて聞きますと、講師として出ておられる先生が、殆んど漏れなくこのことを指導をされたそうであります。時間は先ほど申しましたようなことで、五十日の中に警備訓育、法学、警備
情報概論、
情報活動の要領、実科、実科というのは写真の写し方や鍵の開け方、開封の仕方、こういうようなことの実習があ
つたようでありますが、そういうようなことを三十日間やりました。五十日のうち三十日間や
つた、
あとの十日間は実地
訓練をやられて、
あとかどうか知りませんが、とにかく十日間実地
訓練があ
つた、十日間総合実習があ
つた、こういうようなことにな
つております。その間、三回検討会があ
つたそうであります。検討会というのは、今まで講習をや
つた成果についてお互いに検討する、或いは地方の実情を話す、そういうようなことであるそうでありますが、ここで私が聞いて非常に遺憾に思
つた点がありますので申上げて
おきたい。検討会に出まして、私のほうの人が出たのは昨年の二月の六日から始まりました講習であ
つたのでありますが、そこの検討会に出ていろいろまあ極端な
お話がある、私のほうでは創設以来非合法は一切や
つてはならんという建前で進んでおるのであります。その警部補は
行つてみて講習を受けた結果、結果と申しますか、講習を受けておるうちに非常に疑問を持
つて、中途において検討会がありましたと芝、いろいろ激しい気負い立
つた御報告なり或いは
意見の開陳があるのを聞いてお
つてびつくりしてしまいまして、そこでこういうことを申上げたそうであります。どうも私の所では如何なる場合吉にも非合法はや
つてはいかんということを固く言われて大体そのつもりでや
つておる、ところが今回ここに来てみたところが非合法手段をやれと言われた、今まで私は信念を持
つて警察に御奉公できるというように考えてお
つたところがどうも私の
警察信念は今度の講習に来て何だか工合が悪くな
つて来たというような述懐をして、まあ批判を仰いだのであろうと思いますが、そういうことを言
つたところが、急に座が白けてしま
つたというようなことがあ
つたそうであります。その後は私のほうから出ておる者は何だか場違いの者が出て、何と申しますか、桃色か或いは桃色と赤の中間かぐらいに思われて変な玉が出ておるという眼で見られたそうであります。そういうことがあ
つているうちに、この大阪管区で警備課長の
会議がありました。大阪の管轄の府県の警備課長と、六大市の、まあ大阪の地区と申しますと四大市でありますが、四大市の警備課長が集
つて会議があ
つて、そこで警備の担当官から、どうも君のほうから東京に来ているのはおかしいじやないか、あれは身許は確つかりしておるかというようなことをいろいろ聞かれてどういうことがあ
つたかというので聞いてみると、
只今のような
状況であ
つたということであります。私のほうで私らが考えまして、警備係として、まあ理想的とは申しかねても立派なものだということで、確信を持
つて送
つている人が、そういうところに入ると、まるで赤か何かのように見られるという事態が起るということは、これは非常に大きな問題だと私考えておるのであります。私が役人になりました頃、
昭和八年頃でありますが、館さんがここにおいでになるようでございますが、よく当時の事情を御存知だと思いますが、当時新官僚とか、新々官僚とか言われる人があ
つたようであります。この人かたは大体非常に何と申しますか、革新的な気持を持
つておられた
人たちのようでありますが、そういう
かたがたが自分
たちだけがこの治安を守
つておるとか、又国の発展に寄与しておるとかいうような、非常に気負い立
つた気持を持
つておられたかたであ
つたのでありますが、併し現在の国警の警備係の中に同じような空気が流れかけているのではないか、それが実は戰前のような
状況を起したので、又ここで同じようなことが起
つて来ると大変なことになるのではないか、というように実は心配をしておるのであります。帰
つて参りましたこの講習生が非常にびつくりして課長に申上げた。課長が私のところに報告に来てこういう報告をしましたので、私はびつくりしてしま
つたのであります。特別講習をするから出してくれないかと言われるので出したのでありますが、よもやこういうことが行われていたろうとは夢思わなか
つたのであります。
従つて私はこれは大変なことだというように気がついたのであります。
従つてこれはどういうことを習
つて来ても、
名古屋では一切非合法はやらんのだから、そういうことは開き流してしまえ、で従来
通りの方針で
名古屋ではやるようにということでや
つて来たのであります。恐らくほかの
大都市についても、六
大都市以外はこの講習に人づておらないようでありますが、恐らく六
大都市のほかの
都市でも大体同様ではないかと考えております。ところが中小
自治体についてはこれは人物か余りいないだろうということであろうと思いますが、そのことは又
警察出にと
つては仕合せであ
つたと思うのでありますが、講習に入れさせてもら
つておりません。
従つて大体の
自治体警察はこういうことをや
つておらなか
つたと思うのであります。現に恐らくや
つていないだろうと思います。併し
一つ私遺憾なことがあると思うのでありますか、私の警備課に、昨年の夏実は自分の所の県の警備でこういうことをや
つておるから
一つお前の所もやれと言われたが、どうしたものだろうというように相談に来たのかあるのであります。それを聞いて私のほうでは、
名古屋では非合法は一切やらんことにしておる、あなたのほうもそういう非合法はよそがおやりにな
つてもやらないほうかおためであろうと言
つて帰したそうであります。その
警察が現在非合法をや
つておるかや
つておらないか、そういうことは我々調べておりません。併しそういうことが起
つたということを考えますと、実際に
おきましては、国警において教えられただけではなく、行われておるということが想像がつくのであります。現に検討会においては非常に激しい非合法を自慢するかのごとく英雄的な考え方で話しておられた人かあるようであります。私はそれを聞いて慄然とするのであります。そういう考え方で共産党に対しておりましたならば、私は共産党に
警察は負けやせんか、こういうふうに思うのであります。非公開の前に申上げました
通り、私は
警察は法の執行者として飽くまで法にようなければならんと、かように考えておるのであります。法によ
つてサービス的な気持で本当の公僕になり切
つて初めて私は立派な
警察になり得るのではないか、かように考えておるわけであります。
従つてこういうことが行われるととんでもないところに来はしないか。殊に共産党に対してたけのように言われておりますが、共産党そのものが実は非合法化されておりません。何とかして非合法化してその方法をどうするかというような、これは国のもう
一つの政治の問題として大きく共産党と対決する態度をきめ、方法をきめて頂くことのほうが先であ
つて、そういうことかきまらない先に或る権力のある人がその人の考えでこのくらいは輿論が支持するのではないかというようなことで、違法を指導されるならば、これはとんでもないことだと思うのであります。口先で共産党にだけ限定するようにどんなに言
つておりましても、それがやがて普通の人に及んで来ますことは、吉田総理大臣が戦争の末期には何らかの罪名に問われて拘引をせられるというような
状況が起
つたのであります。共産党に向うがごとくして言われておりりますが、実際はいつどの人のところに来るかわからないということを考えなければならんと思うのであります。
それから新聞を見ておりまして感じましたことでありますが、信書を侵すということについて、協力者が出した信書を見るように言
つておられるのであります。協力者が出したものでなくて、協力者が出さないでも信書を入手することまで教えておられるようであります。非常な問題をはらむと考えております。又信書についても郵便類には一切触れないような御
説明がついておるようでありますか、実際は出た者に開いてみますと、必ずしもそうではないように思うのであります。これは若しお確かめをしなければならんということでありますならば、私のほうの講習を受けておる者がありますから、その者について
一つお取調べなり、御調査をお願いしたいと思うのであります。
それから申し落しましたが、一回の講習に大体四十人
程度で、昨年中までに十三回ばかり講習が終
つておるそうであります。私のほうが出るようになりましたのは、昨年の春からで、講習が済んだ者が四人おるはずであります。