運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-22 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十二日(土曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            小林 武治君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            館  哲二君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   委員外議員            荒木正三郎君            岡  三郎君            高田なほ子君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁選挙部長 金丸 三郎君    大蔵政務次官  植木庚子郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○小委員選任の件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) これより地方行政委員会を開会いたします  議題に入る前に、皆様にお諮りすることがございます。  先ず理事辞任の件でございます。堀末治君は一時地方行政委員会委員辞任せられましたので、理事も自然退職せられたことになります。又館理事辞任旨届出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) では、館哲二君の理事辞任を許可することに決定いたします。堀委員の一時辞任に伴う理事補欠館理事辞任に伴う理事補欠互選を行いたいと存じますが、如何いたしましようか。
  4. 石村幸作

    石村幸作君 慣例もありますので、成規手続を省略して委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今石村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) では、私より理事を指名することにいたします。理事堀末治君の補欠に再び地方行政委員になられた堀末治君を、理事館哲二君の補欠小林武治君を指名いたします。   ―――――――――――――
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、公職選挙法改定に関する小委員が一名欠けておりますので、互選を行いたいと思います。
  8. 石村幸作

    石村幸作君 小委員互選成規手続を省略いたしまして、委員長の指名に一任することの動議を提出いたします。
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今石村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) では、私より堀末治君を公職選挙法改正に関する小委員に指事いたします。   ―――――――――――――
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) それからお諮りいたします。公職選挙法改正案につきまして、文部委員会から委員外発言通告者荒木正三郎君、岡三郎君、須藤五郎君、相馬助治君、高田なほ子君が通告をされておりますが、この委員外発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのようにいたします。  それからちよつと委員のかたに申上げます。又委員外のかたに申上げますが、本日は文部大臣宮中参内予定がございまして、大体十一時十五分頃までに是非委員会を退席したいという希望通告されてございますが、そのようなことで、できますならば文部大臣の質疑から先にして頂きまするようにお願いいたします。
  13. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 只今委員長の御発言は私十分に理解いたしますし、又重要法案のかかつておりまする地方行政委員会委員の各位のかたがたに御迷惑をおかけするということについても非常に申訳ない次第だと実は思つておるわけです。併し今回の教育委員会選挙の問題は、実はこの教育行政の非常に重要な問題がここに含まれておるので、この第十九国会が始まつた当初に文部委員会に提出される予定法案の中に実はこの教育委員選挙を延ばすというこの法律が当初載つてつたようでありますが、それが途中からいろいろ都合地方行政のほうに廻つて来た、こういつたよう経過があるように思うのです。それで今日は大臣はこれから約四十五分きりこの席におられないようでございますが、大変私どもとしてはこの短い時間でこういう重要な日本の教育の根幹に触れるような問題が、僅か残された時間、四十五分で片付けなければならないということは誠にどうも心残り、又残念千万この上もない次第知で、そこでまあ午前中の議事は了といたしますが、午後のそのあとの私ども希望はどのようにかなえて頂けますやら、当委員会としての御都合もおありと思いますが、一応それもお含みの上において一つ発言を許さして頂きたいと思います。
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員長といたしましても、実はその点も勘案いたしまして、成るたけ一つ委員外のおかたがたは順序よく、まあ関連は別といたしまして、順序よく一つ発言をやつて頂きまして、そうして若しも文部大臣が出席されておる午前中の時間に残る場合には、本委員会といたしましてもやはりこの法案につきましては、一回も審査いたしておりませんからして、午後は是非とも宮中参内から退席されたならば、必ず本委員会に出て頂くということは文部大臣約束されておりますからして、まあ議事を成るたけ一つ進行をいたしまして、その進行状態によりまして、委員外かたがたの御発言の程度も勘案して行きたい。かように考えておる次第でございます。
  15. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) では、只今委員長のお言葉並びに文部大臣の所用ということを十分了承いたしまして、自治庁その他大蔵省関係がまだ出席されておりませんけれども文部大臣に御質問したい点を行いたいと思います。その前に、地方行政委員会において発言さして頂くことについて感謝いたします。  文部大臣にお尋ねする第一点に、いろいろとここに提案理由について書いてありますが、教育委員選挙を延ばす理由として、私が当初承わつてつたのは、一兆の緊縮予算を編成する建前上何とか予算措置をいうものを減らしたい。そういうふうな建前からこの二年延期というものを実施するに至つたというふうに承わつてつたのですが、ここにまあいろいろとその他の理由が書いてありますが、その点文部当局の真意を一つお伺いしたいとこう思うのです。
  16. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お話もありました通り、この予算関係で今年の選挙費用についていろいろ大蔵省と折衝しておつたことは事実であります。併しこの二年一斉改選にすることによつて今年の選挙を先に延すということは、これは提案理由等において自治庁からも御説明がありましたような理由によるのでありまして、ただ予算の節約のためにという意味であります。その点はさよう御承知願います。
  17. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そうすると、文部当局は本年度の予算編成について大蔵省のほうに確かにこの教育委員会選挙費用というものを請求されたと思うのです。その当時の御心境というものは一体どうであつたか。文部当局の御見解はどうであつたか。これをちよつと承わつておきたいと思います。
  18. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省といたしましては、現行の規定に基いて予算請求をしたのでありますが、これは内明けて申しますと、大蔵省査定におきましては、選挙費用は無論のことでありますが、教育委員会費用そのものも実は削減されたようなわけで、それは教育委員会地方制度調査会ですか、の決議があつて廃止するという意味であつたと思うのであります。併しそれにつきましては、教育委員会を存置するという線をはつきりさせたのでありまして、従つてその間自治庁大蔵省、それから文部省との間に教育委員会のあり方についての検討が行われたんです。その結果といたしまして、半数改選制度をむしろ一斉改選に改めたほうがよろしい、こういう結論になつたのであります。
  19. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 今の理由を聞くというと、当初予算請求をされた後において、いろいろと検討の結果ですね、その他の理由というものが強く浮んで来て、このような二年の延期をしたというふうに言われておりますが、私が一番疑問に思う、重要に思つておるのは、大達文相自体教育委員会というものを従来重視されている御発言が多かつた。この教育委員会制度については種々巷間においても論議せられておつて、この委員会の問題についても選出方法なり或いは任命制の問題なり、それぞれ臆測もまじつたかと思いますが、論議されておつたと思う。それで私はやはりいろいろと輿論の中において文部当局教育委員会というものを育成強化する、こういうふうな建前を堅持されていることを承知しておつたのですから、その建前から行くというと、その四年制度がよろしい、つまり一斉改選がよろしいという理由で本年の改選延期するということについて、これを一般の人が受ける印象というものは、誠に教育委員会というものは吹けば飛ぶような仕事ではないか、こういう印象があると思うのです。つまり私の言うことは、この教育委員会の第一章総則の第一条にあるように、教育委員会というものは、公正な民意により、地方実情に即した教育行政を行なうために設けられたということになると、今回延期されるかたは、この法案が通過すれば六カ年という長期に亘るわけです。それで参議院についても六カ年というふうなものは長いというふうな、この参議院議員の在職についても言われているくらいです。六年というものは非常に大幅な、特に教育委員会というものがこの四年の任期を更に二年延期して六年というふうになるわけですね、そういうことになれば結局私は地方実情に即した教育行政ということについて幾分工合が悪いのではないか、幾分どころではなくて非常に工合が悪いのではないか。そういうふうな点で教育委員会という問題と、委員会法に則る精神と、一斉改選ということとの連関において、文部省は一体どういう見解を持つておるのか、この点をはつきりお伺いしたいと思います。
  20. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この市町村教育委員会につきましては、これは今の問題は起らないと思うのでありますが、府県の教育委員会につきましては、一部の半数委員が、現在おられる教育委員のかたが任期が六年になるという結果になります。併しこれは半数改選から一斉改選切替える過渡期に当然伴つて起る現象でありまして、無論六年という任期を今後継続するわけではありませんので、ただ半数改選よりは一斉改選に改めたほうが実情に即しているという立場から、極くその経過の間に六年の場合が生ずるというわけでありまして、これは切替上止むを得ない結果と思つております。
  21. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 今御答弁があつたのでありますが、地方の住民によつて選挙された教育委員は、現在の改選期に当面しておる教育委員にしても、或いは投票した選挙人にしても四年の約束で確かにやつたと思う。今回特例によつてそれを自動的に延長する場合、民意というものは一体どういうふうに考えておるか。他にもそういう例があるといつても、やはり教育行政の重要なポイントにあるところの教育委員を、国会において単に法案で自動的に延長をする場合、一斉に改選をするための理由ということで、一般投票人選挙人にした約束というものを反古にするということは、これ自体教育に対する関心を薄める、薄弱にするというふうに私は思つておるわけでありますが、その点どうでしようか。
  22. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今申上げましたように、これは過渡的にそういう結果が生ずるのでありまして、あらかじめ四年という任期があつて選挙せられたものを、六年に延ばすという結果が出て来るこれがいわゆる民意に反するものであるというふうには私は考えなくてもいいのではないかと思うのであります。逆に四年というものを二年縮めるという場合にはもつと強くそういう気持がするかも知れませんけれども、六年に延ばしたからといつて、それが民意に反する、これは考えようでありますが、そういうふうにはならないのであります。
  23. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 併し投票する者は告示に則つて四年のいわゆる教育委員選挙するという約束投票したと思う。立候補した者もその約束則つてつたと思う。教育委員会の性質というものはやはりでき得る限りその都度その都度地方実情に即した教育行政を行わせるということにあると思う。四年経た人が更に今後二年継続されるということについてはこれはいろいろ問題があると思う。その中に不適格なものがあれば、選挙によつてふるい落して行かなければならない。そういう投票立場にある者に対してそういうふうなやり方というものは一方的ではないのか、こういうふうに思うのですが、もう一点はそういうふうに自動的に一斉改選という理由によつて教育委員選挙を延ばすことによつて教育委員会自体というものに対してやはり関心を薄めるというふうに私はとるわけです。その点はどうですか。
  24. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 一斉改選にしたほうがよいのか、半数改選制度を持続したのがよいのか、これはそれぞれの考えによることでありまして、客観的にどうしてもそれでなければならんという理窟があるわけでもないと思います。これは結局どつちがいいかということに対する意見の分れるところである、こういうふうに思います。その場合において、半数改選を一斉改選にする場合には四年の任期の人が一部六年の実際延長された任期につくというやり方と、それぞれ四年ということで選挙せられて出た人を一部二年に切り縮めてしまつて、今年一斉改選をする、今年一斉改選をすれば、今年の秋で四年の任期の来ておる人とまだ二年しか経過していない人を併せて改選してしまう、こういうことになりましよう。それから二年先に持つて行くということになると、四年の任期そのまま満了した人と、四年の任期と加えてもう二年加わつた六年任務につかれた人を一斉改選する、その場合に一斉改選をするためにはいずれかの方法によらざるを得ない、私としては四年の任期約束せられて選挙せられて出た人が、この法律改正によつて一部二年に短縮せられるというよりは、四年の人が六年に延長されるというほうが少くとも穏当な方法である、こういうふうに考えます。
  25. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 話が進んだからその点について一応更にお尋ねいたしますが、二つ方法以外に方法は私はあると思うんです。つまり文部省考えているように、財政的な問題は附随的な問題というならば、私は教育委員会制度並びに選挙人立場に立つて考えるならば、今回今年の秋ですか、この選挙をされる人、これは時間が来たんだから当初の約束からいつて当然やめる、今回一斉改選をやるならば、改めて公示をして、その場合に特例を設けて、今回の教育委員だけは二年にする、つまり改選されるものを二年にすれば、次の選挙には一斉に四人全部切替つて行くわけなんです。そうするならば従来の選挙人に対する約束も守られるし、教育委員自体改選の時期に来たから改選される、選挙が行われる、そうして今回に限つて特例を設けて、改選される教育委員任期を二年とする、そうして自動的に四年にする。だから文相が今まで言つた二つ立場ではなくて、別個の方法というものが私はあると思うんです。だから文部省が言つている財政的な立場でなければ、私はその切替のほうがより穏当であるし、より民意に副うところの教育行政立場がとれると思うんですが、その点如何でしよう。
  26. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 成るほどお話を承わつてみると、そういう方法考えられると思います。この提出いたしました案といたしましては、それらの方法のうちで、この原案の方法によることが一番穏当である、こういうふうに考えます。
  27. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) どうも一方的に自分で自己納得をされて穏当であると言つているけれども、私はやはり選挙というものは約束によつてなされて行くのですから、法律によつて公示されて、そうして教育委員会の規則にもちやんと「選挙による委員任期は、四年とする。」と書いてあるわけなんです。だから特例を設ける場合ということはこれは特別の場合ですね。だから常態からいえば四年の任期は四年として、次の手段を講ずることのほうがより妥当ではないか、私はそう思うんです。つまり四年の約束によつて立候補して当選した者は四年経つたらやはりやめるんだ。そうして次の方式が仮に若しも一斉改選がいいとするならば、その一斉改選に即応した形の改正を私はして行くのが妥当ではないか。それがやはり教育委員会法の第一条に則つたところの、公正な民意により、地方実情に即した教育行政を行うための教育委員選挙になると思います。私の言つているところはより公正であるということは、やはりこの教育委員会法に則り、それから第八条の「委員任期は、四年とする。」と明確に法文にあるので、これを遵守して、而も仮に一斉改選がいいとするならば、それに則る方式を次に立てて行く、これが一番より妥当である、無理のない方式であると私は思うわけであります。文部省のほうは費用のほうは附随的な問題である、こういうのであれば、大臣のほうのやはり論の立て方はちよつと私は無理があると思いますが、その点如何でしようか。
  28. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは先ほど申上げたように、理論上必ずこうしなければならんと、こういう客観的な理窟があるわけじやない。実際の問題として半数改選を一斉改選切替える場合にどういう方法によつたほうが妥当であろうか、こういう問題でありますから、従つてこれはそれぞれ人によつて意見が違うことは当然私はあり得ると思うのであります。政府といたしましては、この提案した方法によることが適当である、こういうふうに考えたのでありますから、その点別理窟上こうしなければならんというものでもないかと私は思うのであります。何かこれは他にもこういう場合に、あらかじめ定められた任期を延長したという実例もあるように承知しております。これはまあ法律でどういうふうにきめるかということの問題でありまして、まあ岡君の御意見は御意見として拝承いたしますが、政府としてはこの方法によつたほうが適当である、こういうふうに考えたのであります。その点御了承を願います。
  29. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) その点、こうしなければならんという、私は私のほうの言つていることが正しい理由だと思う。というのは、やはり教育委員会法というものは私は基礎になると思います。教育委員会法というものは、その第一条に、「公正な民意により、地方実情に即した教育行政を行う」。そうして「選挙による委員任期は、四年とする。」こう書いてある。だから建前から行けば当然四年ごとに改選して行くということが私は正しいと思います。これからやる場合においては別にしても、従来そういう約束によつてなされて来たことは、やはり法律をよりよく守るという建前から行けば、やはりこの私の言つている方法のほうが正しいと思う。それで私は文部当局が当初考えていたことは、財政的な問題が重要点だと思う。財政的な理由によつてやはり改選するんだというようなことを伺つているんです。私の受けた印象間違つているかどうかわかりませんけれども、そういうことでないとするならば、私は教育委員会法則つて四年の任期任期として、そうしてそこで一斉改選なら一斉改選ということが仮にいいとするならば、今回改選されるものを二年という約束によつてこれから選挙するんだから、選挙する人も候補者も今度はこれは特例で二年だということでやつて、そうして次に一斉に揃つたときに四人の改選をするということが、私は教育委員会法建前からいつてそれのほうが妥当である、このほうが理窟に合つていると、私はそういうふうに考えておるわけであります。その点がどうもいずれによつて理由は立て方だ、こう言われるけれども、私はそうではないと思いますが、その点どうですか。
  30. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 結局その意見相違ということになる。
  31. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 意見相違じやない。
  32. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 意見相違になるようなものですが、選挙制度による委員について、選挙によらざる方法によつてその埋め合せをするということになると、これは非常に変なことになりますけれども選挙せられた人の任期を延ばすということがそれほど民意を反映しないとか、民意に副わざるものだというふうには私ども考えておらない。農業委員について、従来二年の任期を三年に法律で延ばされたというような、これは近い前例もあることでありまして、任期を延ばしたからといつて、その延ばされた余分の任期だけは、これは全く民意によらざるものであるというふうにお考えになるのは私はどうかと思います。
  33. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そこを今農業委員の問題を出して来たんですが、私は横道へ外れようとは思わないんですが、四年という約束投票選挙された者が出て来たわけです。教育委員会法の第一条においても、やはりその趣旨が明確に書いてある。そうすると私の言うのは財政的問題は脇道だというならば、今回四年というものが終るんだから、そこで一応四年で打切つて、その後は改選して、それから今度は出されるとすれば特例で一斉改選という建前をとるならば、二年にするというほうが筋が立つているのじやないですか、これは……。つまり一斉改選をするという趣旨が私はそれによつても十分生かされるし、教育委員会法を尊重する、法律を尊重するという建前も十分生かされると思う。それを文部大臣が言うふうに、農業委員も二年を三年にしたのだから、教育委員も四年を六年にすることは差支えないと言うけれども、それのほうが大幅にやはり特例になり過ぎておると私は思うわけです。だから四年の任期を満了したらそれで今回のものは一応切つて、そうして一斉改選に持つて行くために次の選挙は二年間、教育委員任期を二年間にするというふうに公示して、そうして選挙民にそれを問うて、そうしてやられるというシステムをとつて、段取りをとつて次に一斉改選がいいというなら一斉改選にするというふうに行かなければならんと思うんです。そういうほうが無理がないと思うが、そういう点、見解相違で私はやられるということは遺憾と思うが、この点どうですか。
  34. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これはどうも見解相違というほかないと思うのです。それは岡君の言われる理窟も立ちましようし、けれどもそれでなくちやならん、それでなければ教育委員会法一条の規定趣旨に反するのだ……。
  35. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 第八条。
  36. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 八条ですか……。
  37. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 一条と八条。
  38. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) というふうには私は考えない。
  39. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私は大達さんの精神状態を私は遺憾とする。法律に対する見解の持ち方ですね。明確に四年とするということが法律謳つてつて、そうして当然そういうふうにやられるべきものだというふうにずつと通つて来て、今ここで一斉改選がいいということで四年を六年にして、先へ行つて合せるのだというならば、教育委員会法趣旨則つて四年であるから四年で一応任期切つて、次に一斉改選するために次の教育委員選挙任期を二年にするというふうに公示して行くほうが私は順当だと思うのです。それを、それはどちらでもいいのだというなら、私はどうもそこのところが測り知れない。併しこれは財政的な理由がここにあるのだというなら又別だと思う。財政的な理由があつて、そういうふうなことはちよつと今のところできないというならば、私はそうかというように納得できるけれども、財政的な理由でないのだというならば、これは附随的なものだというならば、私はどうしても大達さんの言つていることは趣旨が通らんと思う。四年という任期でやつておるんでしよう。それが今になつて一斉改選にするほうが工合がいいのだから自動的に六年にするという根拠は薄弱だと思うのです。だから四年で一応任期を改めて、次に一斉に揃えるために教育委員任期特例として二年にするということで揃えて行くことができると私は思うが、その点どうですか。しつこいようだけれども、どうも見解相違ではぐらかされるのは私は遺憾と思う。
  40. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) どうも何度申上げても見解相違というほかはない。第一条の趣旨に反するというふうには私は思つておらんのでありますから、直接選挙によつて出て来た人が法律特例によつて任期が延長されたからといつて、その延長された部分についてはこれは民意を代表するものではないのだという理窟は私は立たんのじやないか、八条に違反すると言われるけれども、それは勿論違反すると言いますか、八条は四年と書いてありますから、その経過的に半数の人に関する限りは、四年とあるのを六年に特例を以て改める、こういうことでありますから、その四年に関する限りは八条の、まあ一時的の改正と言いますか、例外を設けるという、これは法律によつて例外を設ける、それを二年という又別のものをこしらえて合せて行くという方法も、これは一つ方法でありましようが、併しそれでなければ教育委員会法に反する、こういうものではないので、結局やり方の問題であつて何度おつしやつて見解相違と言うのほかはない。
  41. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) まあ私はそれ以上強引に、見解相違と言われるから……。併し先ほど私が言つたことについては文部当局考えていたのかいないのか、ちよつと答弁がはつきりしないから……。つまり大達さんは二つ方法があるという、二つ方法の中に私の言つたことは入つていなかつた、だからそういうところまで思いも行かなかつたいうならば、これは又違つた観点から私もああそうですかというふうに釈然とするんだけれども、初めにそういう点については触れないで、私が一応教育委員会法を私としてはよりよく解釈して、そうしてこういう方法が無理がないのじやないかというふうに言つて来たわけです。それをまあ所見を異にするというので大分突つぱねておるけれども、私は教育委員会というものを一応尊重するという建前からいつて文部当局が当初予算にこれを計上して大蔵省に出したというふうな精神に鑑みて、それが途中において予算編成上削られたということが重点ではないのかという点は、今でもそういうふうに思つておるわけです。だから文部当局としては金があるならば、予算措置ができるならば、私の言つたようなことのほうがより穏当ではないかというふうに思つておられるんじやないかというふうに思つてお尋ねをしておつたんだけれども、どうもそういうふうに強引に突つぱねる。私としてはもうこれは意見になりますが、予算措置ができるならば、今言つたよう方式が私は妥当だと思う。見解相違で突つぱねるなら私はこれは一応ここでおいておきます。  次にこの一斉改選の問題については、これはいろいろと論がある。これは二年ごとに半数改選がいいか、一斉改選がいいか、これは見解相違でこれも同じようになるので、時間を無理につぶすことを私は避ける意味で、ここであえて聞きませんが、併し事教育というものについては、私はやはり半数改選というものが非常に意味があるというふうに考えておるわけです。なぜ意味があるかという点については、文部当局も私十分知つておると思うのですが、つまり教育委員会の仕事自体というものはやはり四年ごとに代つて、一斉に四名全部代つてしまつた、仮に四名全部交代してしまうということになれば、行政の本質からいつてそれは工合が悪い、こういうふうな根本的な問題が私は、あつたと思う。そういう点で私は二年ごとにこれを選挙するというのは、あとの理由に書いてあるように、選挙に対する関心が乏しいということと私は関係がそうないと思う。私自体はそういうふうに考えておる。そういうわけで、教育委員選挙投票の熱意をそぐものがあるというのは、これは従来文部省も非常に教育委員選挙のときには、ビラその他を出して一生懸命に宣伝啓発されて来たということを知つておるんですが、私は教育委員会自体予算権がない、人事権だけであるというところに、この教育委員会制度の根本的な問題が私はあつたと思う。で、もう一つは、投票する者も、いわゆる投票される候補者も、結局選挙というものは日本の悪い習慣によつて非常に金がかかる、教育委員選挙もその例外にはないわけです。そういうわけでこの予算権も何もないところの教育委員に対して、金を使つて出るのは馬鹿らしいという素朴な一つの気持が候補者にもある。それから教育委員会自体が自体予算を執行して行けないというふうなことについて投票人の気持も非常に薄らいで来るという点も私はあると思うんです。教育委員会の現在の任務或いは権限、こういつたところに熱意を殺ぐ一つの源動力が私はあると思うのですがね。この点について一斉改選をしたほうがより教育委員会制度に対して認識を強めるというふうに言われているのですが、その点如何ですか。
  42. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会がその機能を十分に発揮するためにその任務、権限等についてどうでなければならん、これは今後ともこの教育委員会の実際に働いて行く、これは新らしい制度でありますから、その実情において十分検討を加えなければならん。同時に又地方公共団体の行政機関の一つとして地方公共団体全体との何と言いますか、調整等に遺憾のないように考えて行くということも必要でありましよう。これらの意味において現在の教育委員会のあり方について今後とも実際の推移に注目しながら検討して、必要の改正をすべきものがあれば改正をするということは、今後において努力すべき問題であろうと思います。ただこの一斉改選半数改選ということが直ちにこれと直接には……、別の問題であろうかと思います。ただ、今までの実情からみて半数改選のまあ恐らく意図するところは、行政委員会たる性質に鑑みて、何と言いますか、行政の一貫性と言いますか、安定性と言いますか、それを確保、この方法によるほうがよりこれを保障し得ると考えたのであろうけれども、実際の実情の推移から見るというと、そうまでしなくとも、一斉改選にしたからといつて教育委員会の方針が根本から変つて、丸つきり反対のやり方をするというような懸念は先ずなかろう。これは自治庁のほうのお調べによりましても、殆んど改選に当つては従来の教育委員の人が再び当選するという例が非常に多いということであります。又一面補欠選挙のような感じを与えるものは、教育委員会制度そのものが新らしい制度でありますから、まだ一般の民衆としてもこれに十分に理解或いは熱意というものに欠ける点もあるかと思いますが、さようなる点で一斉改選にしたほうが一般の理解、熱意を高めることになりはしないか、又これをしたからといつてこの複雑な選挙制度をとらなくても、行政の一貫性ということが壊されるということは、従来の実際からみて心配はないじやないか、こういう見地から一斉改選ということになつたわけであります。無論選挙は大事なことでありますけれども、これはまあ全国的な選挙ということになると費用もかかるし、又いろいろ選挙運動等によつてほかの政治上の生活に及ぼす影響もあります。でありますからして、勿論必要の選挙を避けるということは、費用関係その他の関係において必要な選挙をやらないで済ますということは面白くないと思います。併しやらなくても目的の達せられる、制度趣旨が貫かれるということでありますれば、やはりこういう総動員をしたような選挙は、多くの国としても地方としても経費がかかりますし、それから選挙の運動に従事される人々もこれは大変であります。大切なことでありますから、そのためにこれをやめるという法はないけれども、併しやらなくて済む、やらないほうがむしろ実際効果を挙げ得るのだということであれば、一斉改選にしてもいいのではないか、こういうふうに考えてこの一斉改選というふうにした。この行政委員会としての教育委員会が今後その任務権限、それから他の行政機関との調整等については、それぞれ推移に応じて内容的に検討を加えて、改正すべきものがあれば今後改正して行かなければならんと思います。
  43. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私は文相があとで言つた、必要に応じて法案改正して行くということについては異論を唱えるものではないのですが、根本問題として一斉改選になるから選挙民の理解が強くなつて投票の熱意が増加する、こういうふうな点は、これは一斉改選のほうが二人よりも四人、或いは三人よりも六人、こういうふうになつて多くなればいいと思うのですが、併し問題は私は教育委員会制度教育委員会の権限、私はそれに根本的な問題があるのではないのかというふうにお尋ねしたわけなんです。つまりこのあとの理由は、あとから付けたした私としては理由であつて、根本的な問題は教育委員会の権能ですね、こういつたものにある。そうして今回とられたこの一斉改選の措置というものは、一つの措置として今後教育委員会制度そのものをどういうふうに考えて行つたらいいのか、文部当局として教育行政教育委員会制度というものを再検討する段階に来たのかというふうに考えれば、選挙というものをすれば又任期が明確になつてしまうということから、時間的に暫らく余裕をここに持たして、教育制度全般を検討してみようというような気持もあるのではないかというふうにも忖度されておるのですが、私が言うのは半数改選制度をとつているからこうだとか、選挙民の意思を十分に反映することができないとかということで私はないと思うのですが、その点私の質問おわかりでしようか。
  44. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは一面そういうふうに見ておられる、見られる点が実はあるように私も伺つております。つまりこの際選挙を延ばし、これは一斉改選にするのでありまして、今臨時に延すというわけではありませんけれども、とにかく延すということは、追つて教育委員会制度そのものの検討といいますか、存廃というようなものと関連をしておるのではないかというふうな、だから一時二年ほど延しておく、こういうふうなことではないかというふうな観測をしておられる向きがあるということは私も承知しております。私どもとしましては、むしろこの一斉改選にするということによつて御承知の通り或いは廃止したほうがいい、或いは任用制度にしたほうがいい、こういう議論がありますから、一斉改選にすることによつてその点をはつきり任用制度によるとか、廃止するのではないということを実ははつきりさしたいという逆な気持であつたわけであります。但しこの教育委員会制度そのものは発足して僅かなものであり、今日これが十分な機能を発揮しておるというふうにまだ認められないということも、これも厳然たる事実であります。そうして他の行政機関との間にまあ多少の摩擦等も起つておるということも事実であります。従つてこれらの関係の調整をどういうふうにして、その権能等につきましても検討して、改正すべきものがあれば改正する。そうしてこの委員会というものを私の只今の気持としましては、戦後のこれは極めて重要な意味を持つ制度でありますから、これを育成強化といいますか、法の趣旨に副うようなものに育て上げたいというふうに思つておりますけれども、併し現在のままでこれが非常に満足すべきものだとは実は思つておりません。ですからこれらの点については十分検討して、改むべきところがあれば改めるということは先ほど申上げた通りでありますが、併しこの一斉改選にするという形において二年間先に選挙を見送つたということは、その間にこれをやめるとか、任用制度にするとかという魂胆だろうというような観測があるのでありますが、それは私どもから言うとむしろ逆で、そういうふうな観測があるからこそはつきり一斉改選ということにして、まあ教育関係の人も落着いて頂きたい、こういうふうな気持であります。
  45. 内村清次

    委員長内村清次君) 岡君にちよつと申上げますが、先ほど委員長から申しましたように、文部大臣の退席時間が来ておりますから退席して頂きまして、文部大臣に対する質問は保留して頂いて、自治庁長官に対する質問をお願いいたします。
  46. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) それでは一応今の委員長のお言葉で、大臣都合もあると思いますので、一応これで保留しておきます。
  47. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 自治庁のかたがお見えになつたようでございますから、一応お伺いいたします。昨年の暮の十二月末の閣議で、大蔵省から出されました教育委員会改選のための費用三十億、これが削減されて閣議で検討されたことは我々も承知いたしております。その検討の中で、自治庁の示された動きというものは極めて今次の出されました法律と重要の関連を持つものと考える。つまり、自治庁とされましては、地方制度調査会の答申に基いて地方教育委員の存続問題については相当の見解をお持ちになつたと私は伺つております。従いまして、この答申に基くところの自治庁の率直なる見解をこの際表明して頂きたいと思います。
  48. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) まあこの教育委員会をどういうように今後持つて行くかということは、只今文部大臣からも御発言がありましたように、相当研究すべき面が多々あると私どもも思つております。又御指摘のように地方制度調査会、それからしてその前の行政委員会議あたりの御意見を聞きましても、今の政府に対してかなり異つた見解をお持ちのような御意見も出ておりますので、私どもも十分検討すべき性格の問題である、こういうように実は考えておるわけであります。併し今次のこの改正につきましては、その問題はその問題として別途に検討をする、そうしてこの問題はこの問題で今文部大臣からいろいろ答えられたように、又提案理由政府が申上げましたような理由委員任期の延長ということは考えておるわけであります。
  49. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 地教委の存続問題は、塚田長官のお説の通り極めて重要な問題であります。自治庁としては検討の余地のあるという含みのある御答弁、併し今度の改選の問題は、地教委存続問題とは別個にこれを取扱う性格のものである、こういう御答弁でありますが、それは技術上においてはそういう論も成り立つかも知れません。けれども地方教育委員会制度地方教育委員会の持つているところの公選制度とは、これは盾の表裏をなすものであつて、別個にこれを取扱つて考えろということは、これはいささか私は筋道が違うのではないか。つまり地方教育委員会制度というものと不可分なこの改選方法というものをここで分けて切離してとられているということは、これは不合理があるということは先般来岡委員が指摘された通りなんですが、今までの文部大臣の答弁は私は静かに聞いておりますと、誠にもう筋が通らない、あきれはてたる答弁である。ただその場を糊塗すればよい、大事な日本の教育行政の根幹をなす教育委員会制度というものの把握が十分にされておらない。大臣の答弁というものは、これは後日我々が機会を改めてこれは追及しなければならないところなんです。そういう重大な問題に対して、塚田長官はこの存続の問題と今度の選挙は別個に考えろということを言つておられますが、非常にこれは遺憾であります。なぜかと申しますと、御承知のように教育委員会制度の問題になつておるところは、教育委員会のいわゆる設置範囲の問題、それから教育委員会制度の生きた運営をするところの財政措置であろうと思う、財政措置です。この財政措置と教育委員会制度の活用と自治庁の基本的な考えというものは一貫していなければならない、私はそう思う。そういう観点に立つたときに、自治庁としては検討の余地あるという答弁をされたのでありますが、もう一度この選挙とこれは別個に切離して筋が通るという理窟を私が納得できるように示してもらいたい。
  50. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 全体としては、これは機構改革の際もそういう考え方でありますが、行政委員会というものの存在というものにかなり疑念を持つておることは事実であります。併しこの教育委員会の問題につきましては、今申上げました地方制度調査会若しくは地方行政委員会議というようなものの意見のどれを見ましても、まあそういうようなものがあるということ自体には余り大きな反対の意見はなくて、ただこれを現在のような一般選挙民の直接選挙によるかどうかということに問題があるように承知をしておるのであります。そこで検討するというと問題はそこにあると思うのでありますが、今度お願い申上げておるこの法案趣旨は、問題点には何も触れておらんのであります。依然として今までのように選挙して行くのである、こういう考え方に立つておるのでありますから、私はこの改正法案と今の教育委員会を今後どうするかという問題とは関係がない、そういうようにまあ申上げておるわけであります。ついでに今度の公職選挙法の一部改正という形においてお願い申上げております教育委員選挙を一斉にやるという考え方は、私どもの了解するところでは、こういう制度は先ほどこれも文部大臣からもお話があつたと思うのでありますけれども、単に地方のいろいろな選挙をやつておりますものの中には、公共団体の選挙には半数改選という制度が現実にありませんのであります。そうして御承知のように非常に選挙というものは、これは選挙をなさる個人が金がかかるというばかりでなしに、国の側においても非常に金がかかるわけであります。こういう金がかかる、他に例のない制度というものは、私はよほど何かそうしなければならないという強い積極的な理由がないのであるならば、存在の理由がない、そういうように私はこの問題を考えておるのでありまして、そうしてこの提案理由にも申上げておりますように、私ども半数改選までしてこの教育委員会という選挙方法を残しておくという強い理由というものはどこにも見当らないじやないか、そこで選挙制度のままで残しておくにしても、これは一斉改選という形にして置いておくべき問題である、こういう考え方でこの問題を見ておるわけであります。
  51. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 全くお説御尤もだと思う。さんざん金をかけて、而もその金をかけただけの効きめですか、効果、そういうものの十分見当らないような制度なんというものは、これは地方財源の逼迫している折から、そういう制度というものはこれは勿論考えなければならない。そういう意味から考えて来ると、今日のこの市町村における地方教育委員のこの制度というものは非常に金がかかる。金はかかるけれども、実際問題として設置範囲の問題を考えてみたり、それから現在の末端の教育行政に及ぼしている功罪両面から検討しても、これは全く再検討以上の再検討をしなければならない余地があることはこれは十分認める。そこでそういう観点から立つたときに、終始一貫して金がかかるから、まあ半数改選というようなことは勿体ない。勿体ないから理窟はどうあろうとも、一斉改選に早いとこ持つてつてしまおう、こういうのが本当の肚だろうと思う。これはさつきも大臣予算措置の要らないような存続方法をとりたい、地教委を存置するために予算を使わない方法としてこういうことをやるのだ、こういうような答弁があつたのですが、それはどうも余りにも教育というものを軽視した考え方だと私は考えるのです。つまり教育行政の実態を基礎にして予算化されて行くというのが当り前ですが、予算を元にして、そうして教育行政考えて行くということは、これは私は逆な考え方だと思う。反対だと思う。まあそういうことですが、今塚田長官のお話通りに、金をかけないためにこの半数改選をやめて行く、こういうのですけれども、ここで改めて私はお伺いしたいことは、教育委員の公選というものと地方公共団体の議員の選挙というものとは、これは全く私はその本質を異にしていると思う。半数改選というものが教育委員きりないと言われますけれども、それは当り前のことです。他の地方公共団体の議員と違つた性格を持つが故に、半数改選というものが出て来ていると思うのです。そこで自治庁としては、この半数改選というものと他の地方公共団体の議員の選挙とを比べて、特別にこれが違つたもののように今おつしやつておられますが、違うのは当り前なのでありまして、私は半数改選地方教育委員だけだというそういう表面的な御説明に納得しかねるものがある。どうぞこの半数改選というものはどういう一体意味を示しているものかという点について、私は一応自治庁の長官としてのお考えをここで伺わせてもらいたいものだと思います。
  52. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は先ほど私もここで伺つてつたのでありますが、文部大臣から繰返して御説明になつていたようであります。私どももその通りだと思うのでありますが、この委員会制度というものの発足当時の考え方は、選挙ごとに委員が一斉に代つてしまうということは、これはこういう行政委員会的な性格を持つているものとしては非常に困ることになるだろう、こういうことであつたと思うのであります。私もそういう考え方からならば、半数改選という考え方が出て来るだろうと私も思います。そこでその後の運営の実際を見ておりますと、先ほど文部大臣も仰せになつてつたように、又私もそう感じるわけでありますが、そうまでせんでもその心配はないという現実の事態があり、そうしてそれに加うるのに選挙のたびに相当大きな金がかかるのだ、そうして又更に加うるのにほかのまあ例もないしするから、仮に選挙による教育委員制度というものを残しておくにしても、今のような半数改選というような形にまでして残しておくというようなことでなくても、教育委員会制度というものの目的は達せられるだろう、こういうように私ども考えておるわけであります。
  53. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 金がかかるということは、実際もう私は情ないお言葉だと思うのです。大体この教育委員会制度が出発してから日も浅いのでありますから、これは金がかかるのは当り前です。保安隊が出発してから何年かわかりませんですけれども、まあ僅かばかりの二、三年の間にこの金のかかるというのは実に夥しい。幾らでも金がかかつておる。それでも何とも言わない。誰も文句を言わない。文句を言うのは我々社会党ぐらいでしよう。自由党あたりは喜んでおりますから……。それはそれでいいでしよう。金がかかるということは理由にならない。そういうことは理由にならない。問題は教育行政をどう見るかという問題なんです。だから自治庁は、余り大臣と一緒になつて金がかかる金がかかるということは言わないほうが私はいいと思う。むしろ地方教育委員会制度というものの選挙というものはどうなければならないか、ここに私は自治庁としては目を置かなければならん。つまりここで自治庁長官に再確認して頂かなければならないことは、若し半数改選ということが金がかかるというなら、地方教育委員会制度を存続するための基本的な公選の姿も変えて行つたらよろしい。若し金をかけないというならば、選挙区というものを改めて、小々選挙区にでもして、うんと金のかからないようにすればいいと思うのです。教育委員会選挙は御承知のように選挙区の制度というものはないでしよう。而も国民の忠実な民意を正確に把握するためには、衆議院やそれから地方議員の選挙のようにとは違つて高点順からとつて行くのですね。選挙の高点順位からとつて行くのです。法定得票数なんというものはない。高点順からとつて行けばそれでいい、そういうふうにそのほかまだまだ違う点は五、六点あると思いますけれども半数改選、或いは選挙区がないとか、それから高点順にとつて行くとか、供託金も要らないとか、そういうふうに他の地方公共団体の選挙とは趣きを異にして、中正な国民の民意を反映させるためのいろいろな便宜な方法選挙やり方についても講ぜられておるのであります。こういう点から考えてみましても、金がかかるからこの二年間選挙延期をするということは、これは理窟に合わないことです。  もう一つは、この地方教育委員というものの存在を非常に軽く見ているということです。御承知のように地方公共団体の教育事務に関するただ一つの執行機関でありますが故に、一般の行政密である知事或いは市町村長、そういうものとこれは全く同じ地位を持つている教育知事、教育知事の改選について、誠にどうも肩身の狭い思いをしながら地方行政委員会に我々がこうしてお邪魔を願つて、僅か十分か二十分、時計を見ながら質問をしているということは情けない。知事の選挙についてこういう二年延長なんということになつたらどうしますか。これは国会挙げての大問題、大騒動になるじやありませんか。然るに教育知事であるところの教育委員選挙が今ここに正確な意味もつかめることなくして、二年も延長されることが軽々にここに結論を出されるということについて、私は教育を守るものとして涙なきを得ないのですよ。而もその論拠の主なるものは金がかかるからだ、金がかかるということきりこれは論拠になつておらない。大臣もこういう重大な改選に対して金がかかるなんという情ない申しようがあろうか。私は教育を守る立場のものとしてどうも甚だ遺憾に思うわけでございます。  そこでその次にお尋ねをいたしたいことは、地方自治庁としましては、今日までのこの教育委員会制度が出発してからの経過措置、なかんずく十四国会でありましたでしようか、我々参議院側としては地方教育委員会制度を置くということに時期尚早である、検討の余地十分である、こういう観点の下に全会一致一年間の設置延期を決定したにもかかわらず、衆議院においては政治的な理由を含みとして遂にこれを審議未了として、まるで私生児のようにこれを発足せしめ、私生児のように発足せしめられた地方教育委員会制度でありまするが故に、財政措置においても、その運営の面においても今日極めて遺憾な点が多々ございます。で、この遺憾な点について自治庁としてはどういう点を把握しておられるか。市町村における、教育委員会の運営が地方行政に甚だしくマイナスを与えているという運営面についてどのくらいの把握をしていらつしやいますものか、ここで改めて私はその認識の程度を知りたいと思いますので、お答えを願いたいと思います。
  54. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) いろいろ御意見を伺つたのでありますが、私どもも、殊に私が地方財政を預かる者といたしましては、多分に問題をまあ財政的に見るきらいがあるかも知れませんが、併しただ教育というものは金がかかるから金を絶対に惜しむという考え方で問題を見ておるわけではないのでありまして、併し国政をあずかる場合には個々の問題の重要性というものを考えると同時に、それが国民負担にかかるということからして、財政面の考慮も同じような重要性を持つて見るということのほうが私は正しいと思つております。従つてどもが金もかかるし、かたがたこういう場合に直したらいいだろうと思う今度の改正案が毫も間違つておるとは思わないのであります。又現地の教育委員会制度の発足いたしましたいきさつ、あの法律ができるまでになつたいきさつ、それからそれが施行されるようになつたいきさつ、いろいろありますけれども、とにかく法律として現在これが行われておる、国に有効の法律として存在をしておるという限りにおきましては、私は自治庁長官としてそれに伴う地方財政の必要というものは財源措置を絶えず努力いたしてとつておりますし、その点においては別にお叱りを受けるようなことはないのじやないかと、こういうようにまあ考えております。ただまあ全体として金がかかる、金がかかると言われるならば、やめちやつたらいいじやないかというような御意見もあつたように思いますけれども、私も個人の意見といたしましては、日本の教育の重要性ということはわからないではありませんけれども、私の感じます考え方では、こういう形のものにしなければ日本の教育というものが十分に育てられて行かない、発展して行かない、そういうようには私としては考えるわけに行かないわけございます。
  55. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) あなたは今現行法律がある以上はどうあろうともその法律を守つて行くのだと、私もまあ法治国の自治庁長官としてはそれはもう当然の御主張だと思う。若しそうだとするならば、現行法律を守つて行こうとするならば、教育委員会制度発足の目的から出発して、ここに第八条に選挙による委員任期法律にちやんときまつているわけですね、第八条では「選挙による委員任期は、四年とする。」「議会において選挙する委員任期は、議員の任期中とする。」と現行法規では四年ということが明確に書いてあるのですから、現行法規を主張されるということになれば、これは当然四年ということが原則になつて来なければならないし、この四年というのはただでたらめにこう四年としたのではなくて、この目的を達するために四年が妥当である、而も今日未発達の教育委員会制度を真実に国民のものとするためには半数改選によりながら、その間金はかかるだろうけれども、実際にそれに国民の血を通わせ、真に教育の効果を挙げて行くために選ばれた半数改選なのでありますから、これを金がかかるという理由を以てこの現行法律精神を曲げるということこそ私は非常な誤謬を犯かしているのではないかと思うのです。今私がどういう認識をされるのかということを伺つたのですが、まあ自治庁長官に末端の実情をどう把握されているかということを伺つても、それはあなたは文部大臣でないからお答えになれないだろうと思うのです。それでまあ二、三私が例を挙げますと、これは或る村ですが、その村の村長に立候補した人が不幸にして落選した、ところがその村長の選挙の時に、まあ不幸にしてその村長さんは余り頑迷固陋にしてどうも教育に理解がないというような点から、教員或いは教育に味方するような人が応援をしなかつたわけです。それで口惜しくて今度こそは教育委員に立候補して教員をいじめてやろうということで立候補して教育委員に当選した、こういうのはもう実にたくさんあるのです。もう意趣ばらしに教育委員に立候補して教育委員になつて、そうして今度はもう大手を振つて大威張りです。そうして教員の前に君臨している。つまり教育基本法がこの間の教育の中立維持で以て大変問題になりましたけれども、これは第八条だけが問題になつたけれども、本当はこの第十条の教育行政というところですね、教育行政というところで教育の民主化のために教育委員会制度の円熟を期待するということが十条の精神であり、国を挙げてのこれは精神でなければならないはずなんです。ところが今申上げましたように、教育委員会制度というものが十分にわからないものですから、その意趣ばらしに立つ者もあれば、まあ肩書の一つもあればいいから立とうなんというのもあつて教育委員会制度というものが、この法律の目的とするだけの充実したものになつていないということは、これは誰も認めるところです。どなたも認めるところだと思う、そういうような過程にあるのですから、任期を延してですね、そうしてそういう悪弊のあるものを温存することではなくて、正しい現行法規に基いてそうして選挙のたびにこれが民意を向上させながら、その向上された民意の上に選び出される教育委員そのものが教育行政の任に当ることが本当の教育委員制度を私は活かすものだと思う。これは決して私が一方的に申上げているのではなくて、今度の三月の末の人事異動についても、そういう教育の民主化の使命観を持たない幾多の教育委員諸君によつて教育行政が非常に歪曲された事実というものが枚挙に遑のないほどです。これはこの前の委員会でも指摘されたところです。そういう点から考えてみても、この教育委員会を存置するというのならば、若干の金はかかりましようとも、この制度を最も純粋に、教育行政の能力を十二分に発揮させるためには半数改選制度というものを持続させて、そうして正しい使命の運行に当らせしめるという、こういう国としての心構えが私は必要ではないかと思うのです。こういう末端の教育行政を十二分に把握なさらないで、法律提案の理由として「六年を経過いたしており、その運用の経験に鑑みますときは」云々、それからこの選挙民の理解が薄くて投票の熱意がないとか、選挙民の意思を十分に反映することができないからどうこうということが書いてありますけれども、これこそは実態を把握しないところの提案理由であつて、これはもう少し実態の上に立つたところのこの法案提案理由が我々に示されない限りにはどうしても納得することはできない。で、今あなたに実態をどう把握されているかということを伺つたわけでございます。
  56. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 関連してちよつと自治庁長官の見解について心配の点があるので私は聞いておきたいと思う。この教育委員会制度に対して自治庁長官としての塚田さんは一体どういうふうに考えておるのか。これは文部大臣考えている点と共に重要な点だと思うのであります。あなたはやはり地方財政の締めくくりをするという観点からものを考えているけれども教育行政を掌るこの教育委員会、これは現在は県に教育委員会があり、それぞれの市町村に教育委員会がある。これに対して個人の御意見でもいいですけれども地方財政の観点のみならず、教育的、総合的に考えて、一体これはどういうふうに考えて行つたらいいか。この見解ちよつと聞いておきたいと思う。これは重要な問題だと思う。
  57. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) まあ個人の意見をしばしば機会に申上げて……
  58. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) もうさつき個人の意見じやなく、重要な発言がありましたから……。
  59. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 大分誤解を起したので、果してそういうことが適切であるかどうかは面倒な問題なんであります。政府意見文部大臣から繰返して申上げられたように、又私も今日の段階において文部大臣教育を担当される大臣としてそのようにお考えになるならば、それは政府考え方として同意して行くのが正しいという考え方にいたしておるのでありますが、先ほど申上げましたように、教育委員会制度そのものにつきましては、地方制度調査会意見もあり、又地方行政委員会議などの意見もありまして、相当検討すべき問題点があるということを私も考えておるのでありまして、ただ具体的にそれでは市町村の教育委員会はどうするか、又府県の教育委員会はどうするかとか、そういうようなところまでは自分としても今日の段階では、又個人の意見としても申上げるほど具体的な意見を持つておりません。
  60. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 塚田さんね、もうさつきあなたこういうことを言つた。これは確かにこう言つたと思のだけれども、あなたのほうからいうと、ちよつと任命制の言葉が先ほど出た。これは速記を見ればわかるが、これがあなたの本旨だと思うのです。それで地方教育委員会は、我々はそれはいらんというふうに思つているわけなんです。県の教育委員会はこれは必要である。これはなぜかというと教育基本法の第十条に「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」つまり地方の首長がいわゆる教育というものに対してですよ、干渉する、つまり任命にして、自分の意図するものを教育委員に任命してやるということに対して、教育基本法の第十条は強く反対しているわけなんです。そういうふうな観点で、然らは地方教育委員会は一体どうかといえば、現状においては悪い点が目につくだけで、いい点が目につかん。これは教員組合がどうするとか、どうこうとかいう問題ではなくして、広い視野に立てば地方の小さな自治体で教員の異動というものを拘束するというふうな悪い点が非常に目について来ているわけなんです。そういう点でこういう地方教育委員会あたりに相当の金を、まあ少いけれども出していて、そうして基本的に県の教育委員会のこういうふうな定期的な選挙に対して一斉改選ということを名目にして選挙を延ばすというところに、どうしても私は政治的な臭みが感じられると思う。先ほど文部大臣は、教育委員会制度検討ということによつて任命制とか或いは廃止とかいうことを考えるのでなくして、そういう心配があるから一斉に四年ごとに改選するのだと言つておりまするけれども自治庁長官の塚田さんはどうも大体まあ教育委員会制度なんというものは、これは金ばかり食つて役に立たんというふうにお考えになつているようにまあこれは忖度するわけなんです。いいですか、そういうふうな観点に立つてこの教育委員会選挙を延ばすということは、単に公職選挙法の一部を改正するにとどまらず、実に重要なる問題を持つておるわけなんだが、そういう観点から教育基本法について塚田さんにお聞きするのはちよつと変ですけれども教育基本法第十条の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」この観点から言つて、私は教育委員会制度というものは任命制にしてはならんというふうに思うのですが、その点どうですか。
  61. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあ繰返して申上げます。専門の問題でありませんので、何にも私から申上げることはありませんし、又申上げる資格もないわけであります。それから又誤解を起しておるようでありますから重ねて申上げたいのでありますが、……
  62. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 誤解じやないです。正解だ。
  63. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私は教育委員会制度任命制にしたらいいということを申上げたのではなくて、教育委員会制度というものについて検討をしなければならないという意見がたくさん出ておる。そうしてそこで問題になつておる問題の起り方の形というものは、選挙制度でなしに任命制にしたらどうかというような問題になつておる。そういう形において問題になつておると、こういうふうに申上げたわけで、まあ今岡委員から伺いました教育の観点からの意見、それから又地方行政制度調査会などの意見をいろいろ総合いたしまして、最終的にこれを制度を改革するとすれば私もいろいろ考えなければなりませんけれども、まだ今そこまで考えをつめておりませんけれども、又政府考えとしましては、文部大臣が言われるように教育委員会制度は育成をして行きたいという考え方であるということにきまつておるわけでありますからして、それはもう政府の今日の立場は、私もそのように考えておるわけであります。そこでそういう考え方で今の教育委員会制度を是認するといたしましても、この程度に考えても然るべきものじやないかと、こういう感じでおるわけであります。
  64. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 関連質問ですからこれでとめますが、今の論から行くというと、いずれも言わんとしていることを言つていないと思う。ただ文部大臣に追随した発言だけなんです。それでは地方の行政を掌つている自治庁長官としての見識を私は疑われると思うのです。あなただつて教育に対する行政面上におけるところの見解というものはあるだろうと思う。地方制度審議会自体が答申案を出しているわけです。それを今頃まだ十分に検討しておらないとは私は言われないと思う。そういう点で政府はやはり総合的にこういつたような問題について一体どうするのだ。その都度その都度そのときにごまかして、適当にこれは置いておくのだというふうな考え方ではなくして、私はやはり自治庁として一体教育委員会制度というものに対してどう考えているかという見解をこれは自治庁として私は持つておられるのが至当であるし、当然そうなければならん。文部省として、それは教育委員会制度については教育的な立場についてこうだというように御見解を持つておられると同様に、自治庁としては地方自治というものは責任を背負つておられるところの立場上、やはり教育委員会制度に対して見解を私は持つておられるのが至当であるし、そういう答申案も出ているので、それに対する検討もなされたと思うのですが、その点如何ですか。
  65. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それは全然頭の中に何にもないのかというお尋ねであれば、全く新しい問題であつても……
  66. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 今までのじや何にもないじやないか。
  67. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 何か問題を提起されて参りますときには、それに対する何がしかの意見というものはあるべき性質のものなんで、私もそういう意味においては考え方を持つております。併し現在この問題につきましては、さつきも申上げますように、政府といたしましては、今日の立場においてはすでにもうこういう考え方ときまつておるのでありまして、意見がどういうなんだということであれば、これはこの制度を保持して行くという意見であると申上げざるを得ないのでありまして、それ以外の意見があると申上げることがおかしいのであります。
  68. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) それは心の偽りを言つているのでね、あなたはそういうふうな状態だから迷うのです、いろいろとね。それは今はそう言わざるを得ない立場にある。その点は了承しますよ。併しそんなことで、いつまでたつてもこういう問題をいい加減に放置しておくということは私はいかんと思うのです。そういうあいまいさの中からこういうあいまいな法案が出て来ておるわけです。その都度その都度の政治というものが行われて来ていると私は思う。それで私が聞かんとしていることは、やはり教育委員会制度というものは再検討の段階に来た。率直に言われている点はその通りだと私は思う。併しそれをどういうふうに運営し、どういうふうにこれを活かして行くかということについて、根本的に食い違つた論が政府の部内に横行していては迷わざるを得ないと私は思う。そういう点で先ほど金がかかる金がかかるつて、率直にいつて塚田さんはどう思つておられるか。塚田さんと私と同じように思つている。併し教育委員会というものは無用の長物で、金ばかりかかつて、こんなものだつたら私は要らんというふうに思つているんじやないかと思うわけなんです。併しまあそれは文部大臣との関連上、そういうことを言うと閣内不統一で政治的な問題になるから、これは今言えんということを言つておられると思うのですが、私はそういうふうないろいろな考え方がこの公職選挙法の一部を改正する法律案の裏に内在して、それが表面をつくろつて、まあとにかく金もかかるし、それから一斉改選のほうがいいとか、まあいろいろ表面づらの理由を挙げて、そうしてここで二年間延長するんだ、こういうふうに私はこの法律が出されているけれども、ただ表面的に、はあ、これはこういう理由だから二年延長するんだとはとれないわけであります。だからとれなければそれは仕方がございませんとあなたが返事するかもわからんけれども、そんなような返事では済まされん問題が私は教育委員会制度そのものにあると思います。だからこの点については従来半額国庫負担の問題についても、財政需要額の算定の問題についても、この費用自治庁が権限を握る、或いは文部省が権限を握るかでこれは大騒ぎをしたことがある。だから最近におけるところの情勢は、文部省自治庁というものは宿命的な一つの葛藤状態というものが内面に私はあつたと思います。そういうふうな現実もあつたと思います。だからそういう点で、それはそれとして、本当に塚田さんは私は次に四年一斉に交代するんだ、改選するんだ、途中であなたは、いやそれは任命制にしたほうがいい、廃止にしたほうがいいという意見を、これを認める限り言つちやこれからいけませんよ。この点どうですか。只今のところはという返事ですか。
  69. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それはそのように仰せられたのでは物事の進歩発展というものは全然なくなつてしまうのでありまして、やはり或る法律ができるときには、そのように考えられる客観的情勢があつて、その判断に基いてできる。それが又変つて来れば新らしい判断に基いて変つて行く、これが法律改正が行われる場合のいきさつでありますし、そうあつて然るべきだと思う。勿論教育委員会制度に対しましては、政府意見が最終的にきまりますまでは、自治庁長官としましては、私は文部大臣とかなり異なつた意見を持つてつたことは事実であります。併し政府意見がきまりますときには、大体の問題は関係大臣なかなか皆本当に意見が一致するということはないのでありまして、それをお互いに話合い、総合的な観点で政府考え方はこうだときまるのが当り前なんであります。又この問題についてもそういうようないきさつでこういう考え方がきまつて教育委員会制度は育成して行こう、こういう考え方に政府考え方が今なつているわけであります。ですからしてまあそのうちに変れば又変るだろうとおつしやつたが、そうせざるを得ない。今の考え方はどこまでもこの通り考え方なんであります。こう申上げざるを得ないと思います。
  70. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そうすると自治庁としての見解は、いわゆる任期期間を二年延長する。この問題は選挙を今回行わないというのは、財政上の見地からであるというふうにお考えですか。その点重点的に……。
  71. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは提案理由にありますように、又繰返して申上げましたように、財政上の理由は必ずしも考えておりません、併し私はこういう金のかかる余り他に例のない方法というものは、先ほど申上げるように、どうしてもそういうしなければならないという強い理由があるときだけ是認さるべきものであつて、そうでなければ別の形にしてもいいんじやないか、こういう考え方をしております。
  72. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そう言うならば、私はやはり教育委員会制度そのもの、在来戦争中の日本の教育行政制度、戦後における日本の教育行政制度に亘つてこれを言わなければならんと思います。先ほど教育基本法の十条を申しげましたが、やはり教育というものは政治というものから離れて、そうしてそこに一つの憲法と教育基本法を貫く一貫した改正というもので前進しなくちやならん。而もそれが地方実情に即して行われるということになれば、教育というものは特にその性質上根本的な方針の変更というものは、基本的法律が変らざる以上変らないといつても、人が変れば基本的にこの取扱というものは随分変更されて来るわけであります。そういう点で他の行政機関と別個に二年制の交代というものは私ははつきり設けて来たと思うのであります。あなたが言うように、四年ごとに切替えたつて今になつて見れば大差ないじやないかと言われれば、それはもう初めにおいても私はその理論ならばそう持つて来るべきものだと思う。六年経過したから、今になつて見ればもう二年ごとの交代は要らんという論はちよつと私はおかしいと思う。その論ならば初めから一斉改選で私はいいと思う。だからそういう点で二年ごとに半数改選をして来たというのは、教育行政の本質からそういうふうにとつて来たと私は思つておるわけであります。そういう点を一斉改選にしたほうがいい、半数改選にする特別の理由はない、こう言われるけれども、その理由ならば私は当初から半数改選にする必要はなかつたと思いますが、その点はどうですか。
  73. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私もこういうような状態で運営されるならば、これだけの目的を達するためには、当初から必ずしも半数改選でなくてもよかつたんじやなかろうかということが、その後の運営の実績のほうで言えると思います。
  74. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そうするというと、いよいよ自治庁の本当の見解がそこへ出て来たわけであります。ここの理由にあるように、当初選挙ごとに委員が一斉に交代することに伴つてもたらされる施策の急激な変化を回避することを主眼としたものと考えられる、この点に対する見解はどうですか。
  75. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) ここに書いてある通りに了解いたしております。
  76. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) そうするというと、この政治に対する、或いは教育制度に対するところの見通しがどうも甘かつた、今になつて見れば半数交代なんか必要なかつた、こういうふうないわゆる制度を作つたということは見通しが甘かつた、こういう御見解ですか。
  77. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) まあ甘かたということになりますかどうか、何にいたしましても新らしい制度でありますので、全く今までに例のなかつた制度を新しく作る、殊に問題の判断をいたしますのに、いろいろと別の国の人の判断も入つたりいたしておりまして、正確に判断できなかつたということもあるかも知れません。私はとにかくやつてみて、ここまでせんでもよかつたんじやないかという感じがせないでもないわけであります。
  78. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 最後に一点だけ伺いますが、任命制について、自治庁としては現状においては任命制考えておらんし、そういう点は閣内でも任命制ということも考えておらん、こういうことですが、今後のことは十分検討してと、こう言われておりますが、もう一遍この教育基本法の第十条との関連で、私は教育委員会制度というものが存置される限り、教育委員任命制というものは不都合である、これは教育委員会法の第一条に則つてみてもそういうふうに明確に言われると思いますが、その点如何ですか。
  79. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは専門の問題でありませんので、まあ極く軽くお聞き願いたいと思うのですが、私は教育基本法の第十条でありますか第八条でありますかが規定しております、教育を民主的にという考え方を現実に現わす上に、必ずしも教育委員会制度というものがただ一つ方法であるというほどには私としてはまあ考えられないわけであります。
  80. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  81. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  82. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 自治庁長官は、物のはずみだと思いますが、大変重要な御発言をされました。教育委員会制度がただ一つ方法じやないというような重大な御発言は、これは了承しかねます。私ども少くとも今日の地方教育委員会制度というものは、日本の学制の改革と共に教育行政の改革の二大支柱として、今日これをただ一つ方法として見ている。あなたはどういう観点からそういうことをおつしやつておるか知りませんが、教育刷新委員会が敗戦後一年有余の長きに亘つて教育委員会制度の実施について検討をして来た。その一年有半の血の滲むような教刷の検討の結果、ここに生れて来たこの制度というものは、これは日本が民主化を促進するという前提に立つ以上は、これを守つて行かなければならない建前だと思うんです。然るに自治庁長官が、まあ事のはずみとはいいながら、この方法は必ずしもこれはどうこうというようなことを言つておられますが、それは革にあなたは自治庁長官としての御発言であつて、財政上の措置とか何とかいうことが絡むからそういうような御発言になつたのじやないかと思いますけれども、どうぞこの教育委員会制度を否定なさるような御発言は、この際閣僚の一人として慎んでもらいたい、私の把握が違つておれば、そういう意味じやなかつたんだということをここでおつしやつて頂きたいと思うんです。それでなければ審議する理由はない。
  83. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) なかなか個人の意見を申上げるとこういう工合になるし、申上げなければ個人の意見を言えというお尋ねでありますし、ですからして誤解の起きませんように、専門の問題でありませんから軽く一つお聞き逃し願いたいということを特に私はお断わり申上げて申上げたのでありますから、その点はどうぞそのように御了解願いたいと思います。
  84. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは暫次休憩をいたしたいと思います。    午後零時士一分体感    ―――――・―――――    午後二時十六分開会
  85. 内村清次

    委員長内村清次君) では、地方行政委員会を休憩前に引続いて再開いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)を議題に供します。質疑を続行いたします。
  86. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 市町村教育委員会のこの財政措置について長官に若干お尋ねをしておきたいと思います。  第一番にお尋ねいたしますところは、前回の発言でも申上げましたように、今日の市町村教育委員会設置については、我が参議院文部委員会は与党野党を挙げてこの設置について時期尚早であることを論じたわけであります。その根拠となつたものは設置範囲であり財政上の措置でございました。そこで今ここであなたにお尋ねいたさなければならないところは、発足以来市町村の教育委員会における財政措置というものは必ずしも今日まで妥当ではなかつたと思います。出発当時にも文部省が要求いたしました額の多分三分の一ぐらいに削られてその運行が極めて困難であつたように私は記憶をいたしておりますが、現在地方自治庁として地方財政需要額の算定の基準の中に含まれておる市町村に要する財源措置というものはどういうふうになつておりますか、ちよつと私もわかりかねますので、この際御説明を頂きたいと思うのでございます。
  87. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 教育委員会関係の経費でございますが、これは約二十五億程度だつたように記憶いたしております。
  88. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) この二十五億というのは選挙に要する費用ではなかつたのでしようか。
  89. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 選挙に要しまする費用としましては大体十六億が予定されるわけでございますが、今年は政府といたしましては、この選挙を行わないということで予算を組んでおりますので、その部分はないわけでございます。先ほど申上げました数字は選挙費用を除いた経費であります。
  90. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 丁度文部大もお見えになつておりますので、文部省が本年度地方教育委員会の運行について若干の予算を組まれたように私記憶いたしておりますが、これは専任教育長、或いは委員会の運営費といつたようなものに充てられるように記憶いたしておりますが、大臣に、こういつたよう費用が果して大臣が目途とされる額に達しておるものかおらないものか、その点併せてお尋ねをしたいと思います。
  91. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省としましては、しばしば申上げるように、教育委員会に必要な経費というものは現在では十分でないと考えております。従つてできるだけこの経費を自治庁のほうでみて頂き、又大蔵省もそういうことに御承知を願うようにお願いをして参つております。それから教育長については、この二十九年度予算の編成に当りましては、これをいわゆる平衡交付金の中から別枠にいたしまして、という希望を持つてつたのでありますが、これは結局のところ計上するに至りませんでした。さようなわけで、この大体二十五億というものが自治庁の経費の中に見てあるわけであります。今後財政の許す限り大蔵省自治庁のほうにお願いをして充実を図つて参りたい、こう考えております。
  92. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 自治庁のほうにもお願いをするということでありますが、現実問題としてはこの地方制度調査会における答申案によれば、今日の地教委の存続問題については政府と違つた答申案を出しておる。つまり自治庁としては地方制度調査会の答申案というものを尊重するという立場を私はとらなければならないと思う。当然であると思う。そういう答申案を尊重しないところに今回の、余計なようですけれども、学生の選挙権についても、選挙制度調査会の答申等を無視して変な通牒を出したから平地に渡航を起したいようなことになるのですから、当然自治庁は答申案に基いて地教委の存続についてはやはり政府と違つた考え方を持つておる、こういう観点に立たれましたときに、大達文相の仰せのごとくに自治庁に面倒をみてもらうとおつしやつても、なかなか現実問題としてはそう行かないのではないだろうか、私はそう思う。現実問題として自治庁長官にお尋ねをいたしますが、本年度の専任教育長の費用です。手当、そういうものは必要である。専任教育長のものはどのくらい一体予算に組まれておるものか、兼任が非常に多いわけですね。その兼任を専任にするためにはそれに該当するだけの予算措置がされておらなければならない。ところがそうじやないと思うのですが、この数字を一つここに明らかに出して頂けないもの、でしようか。
  93. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 本年度の地方財政計画におきまして、二十八年度の地方財政計画を踏襲いたしておりまして、今の教育長の問題につきましては、二十八年度におきましては町村の教育委員会半数を兼任という建前ではじき出しておりまするので、本年度もさようなことになつておるわけであります。
  94. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) ちよつと数字を言つて下さい。
  95. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この専任の教育長を更に半数余計おきますための経費といたしましては、九億余り要ることになつております。
  96. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 昨日であつたように記憶しておりますが、文部大臣教育長の専任という問題はなかなか重要な問題であるから、逐次兼任を解いて専任教育長を置く、こういうようなお話であつたと思う。ところが二十八年度の半数兼任の費用は、当然大臣の主張をそのまま予算措置の上に移して行くならば、二十九年度は市町村教育委員会の兼任教育長を解くというためには、昨年度の実績に鑑みて若干殖えて来なければならないものを、二十八年度と同じく半数だけの予算措置きりされなかつたというところに私は問題があると思うのですが、これでは毎年心々向上されて行くべき市町村教育委員会の運営というものが予算上から向上して行かない。つまり教育行政としての十分な使命を果し得ない、こういうような結果を招来するのではないかと思います。そこで自治庁長官にお尋ねをいたしますが、なぜ二十八年度と同じ実績の予算きり組み得なかつたか、この教育長兼任問題を解除するということは、教育基本法の第十条の第一項、即ち不当な権力の下に教育を行うのではなくして、真に教育の自主性を発揮させるための文教行政を実際に行うために可及的速かなる措置でなければならないんですから、この点についてお尋ねしたい。去年と同じでしよう。
  97. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) なぜ教育長の経費を本年度に増さなかつたかというお尋ねでございますが、この点は教育委員会を育成強化して行こうというそういう方針から申しますならば、或いはこれをすべて専任の教育長を置くというふうにいたすべきであろうかと考えまするけれども、一方なかなか実際問題として町村の教育委員会に適当なる教育長が得られない。資格者の講習とかその値いろいろな御配慮もあつたようでございまするが、そういうような事実もございまするのと、まあ私どものほうといたしましては、一兆の緊縮予算を今回は組み、従つて地方財政におきましても節約をいろんな面において行わなければならないというようなことがございまして、文部省からは相当強い御要望があつたのでございまするけれども、止むを得ず昨年の教育長の専任は半数という原則を本年も踏襲するほかなかつたわけでございます。
  98. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) これは今の御答弁にありましたが、これを育成強化の方針ならばとおつしやいますけれども、育成強化の方針なんです。これは明らかに文部大臣地方教育委員会を育成強化する、こういう方針をとつている。ですからそこで育成強化の方針ならばというようなものではなくて、育成強化の方針なんです。方針にもかかわらずこの二十八年度と同じ過ちを、あえて言わしてもらうならば、過ちを踏襲して行かなければならないというこの理由は何も立たないんで、一兆予算というものをよくお出しになりますけれども、一兆予算の中で賄うということは、これは当り前なんですから、若しそうだとすれば、この軍備費なんかも一兆予算に適当な予算を組みたかつたらお組みになればいいが、軍備のほうだけは一兆予算というものとは治外法権である。教育の面だけでは一兆予算というものを持出して来る。誠に支離滅裂な政府やり方に私は甚だしい不満を持つている。  そこでお尋ねをいたしますが、そうしますと二十九年度はもうやつぱり半数だけは兼任で行くと、こういうことになりますが、大体その助役が教育長を兼任するということについて文部大臣はどういうふうにお考えになつておられますか。
  99. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 助役が兼任するということ自体が教育委員会制度としてこれでいいのだと、こういうふうには思つておりません。先日も申上げた通り、これは専任の教育長、これは必ずしも兼任の場合でも助役とは限りませんが、地方によつて助役にお願いしたほうが実情に合うというところがありますから、これは便宜経過的にそういう方法をとるようにいたしたいと、こう考えております。
  100. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 便宜経過的にこういう方法をとると、二十八年も便宜経過的であり、二十九年も便宜経過的である。三十年も又便宜経過的になつて来そうな気がいたします。助役が兼任するということはこれはよくないことです。絶対によくないことです。なぜならば助役というのは村長の代行をする役目を持つているので、大体村長というのは申上げにくいですが、非常に保守的な政党に所属しておられるかたがたが多い。その助役さんも又そういう系統でありまして、そういうような系統に属しておられる助役が教育長という重要な役目をお持ちになつているということは、明らかに政党支配の中に教育を放置することであつて、これは可及的速かにこの兼任を解く費用は、若し木田に教育ということを国が考えるならば、瑣末な、用事費から見れば瑣末な費用です。こういう費用がこの兼任を解除する費用に組まれるということは当然だと思う。大臣はどこお考えになつておられるか知りませんが、私は助役ならまだ質がいいほうだと思う。一役場の事務官が教育長代理になつて何をあなたしているか御存じですか。教員の上に君臨をしてね、一役場の事務官が教員の上に君臨をして、事あらば転勤や退職でおどかしている。震え上つていますよ、地方の弱い教員は。これは名前がない手紙です。これは私のところに新屋で来た手紙、名前を書くとあとで又いじめられるから名前は書けないというので、切々としてこの教育長の下に虐げられている女教員が、齢四十にしてやめろめろと毎日々々いじめられて、どうにもこうにもならない、私の名前を明かせば又これ以上の圧迫が来るだろう。これは涙の訴えです。名前がないんです。こういうような教育長の身許をずつと確めて見ると、役場の事務官が教育長代理、助役が兼任をして権力をかさにきて教員をいじめておる。これが地方の実態なんです。こういうことの解決に当らないでどうしてこの教育基本法の第十条というものはこの精神が守られて行くかというのです。私は大臣に重ねて承わりたいのですが、多分二十八年度あたりには専任の教育長を確保する費用と、文教行政を徹底させるための若干の費用が私は要求されたんじやないかと思いますが、如何でございますか。
  101. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 要求したというのは初めの予算要求ですか。
  102. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) ええ、そうです。
  103. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 予算要求としては教育長に関する経費の充実というものを私どもとしてはお願いをしたわけです。これは先ほど自治庁次長お話がありましたが、やはり財政の関係で実現することができなかつた。これは決して不必要であると言う人は誰もおらんのですから、今後ともこれを実現するように一つ努力したい、こう思います。
  104. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) こういうふうに出発が、まるで私生児のように闇から生れて来た市町村教育委員会も育てるために、少くとも大津さんの良心の一かけらが、文教行政徹底のために要する費用文部省予算をして要求されたにもかかわらず、それが切られている。ちつとも文教行政というものは徹底してない。でありますから、教育基本法の十条にこの教育が不当な支配に服することなく云々ということがあつても、ちつともこんなことは徹底しない。いつまでも兼任は解かれない。これでは一体その法律を作つても魂入れずでね、こういう状態の中にあればこそ半数教育委員選挙ということは絶対に必要なんです。こういうふうだから必要なんです。文教行政を徹底するだけの予算措置を講じられているならそれはほかに考える途もあるでしよう。何もかにも取上げていて、あまつさえ半数交代の選挙までも民主化の方向に行こうとするその途さえも、阻んで行くなんということは余りにもむちや過ぎます。ひど過ぎます。こういうようなことで私は大津さんは黙つているべきではないと思うのです。もう少しあなたがいきり立つてその予算をお取りになるような私は方途を講じられるべきだと思う。  そこで自治庁長官にお尋ねいたしますが、三十年度には一体この兼任というものが解消されて全部専任にでもなさろうというような一つの計画を心の底にお持ちになつていらつしやいますか、如何でございますか。
  105. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは将来の方針は文部大臣からお答えになつた通りでありますし、だんだんとそういうものをなくして行こうというお考えのようであります。それをなくして行くということのためには、一つは適任者があるということ、一つは財政措置がそれに伴うということ、両面が必要であると思います。文部省意見が最終的に大蔵省と話合いがついて政府考え方としてきまりまするならば、財源措置もできますでしようし、私どももそれに対して協力をして、一日も早く全部が専任になるという考え方には異存はございません。
  106. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) そうおつしやるなら、なぜ二十九年度にその専任の予算をお組みにならないのですか、どうして二十九年度に一歩前進という方途をなぜおとりになれなかつたのですか、私はそのわけ伺いたいと思います。
  107. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点は今次長からお答え申上げたように、財政的にも非常に緊縮の予算の際でもありましたので、いろいろ文部省側でも御折衝になり、私ども文部省と同じ立場で折衝いたしましたのですが、最終的にはこういう予算になつたわけでございます。
  108. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 塚田さんには私は誠にお気の毒な質問をしていると自分でも思つています。これは文部大臣が本腰を入れて要求していないから、私はひが目ではないけれども、そういうふうにとらざるを得ない。  文部大臣にお尋ねをいたしますが、昨年の暮の文教懇談会に地教委の育成強化の問題についていろいろとお話があつたようでございますが、文相の言うところの育成強化の方針というのは具体的にどういう方針をお指しになつているのか、この際伺つておきたいと思います。
  109. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文教懇談会と言いますか、懇話会でこの問題が問題になつたような記憶は私にありません。どこでお聞きになりましたか、その記憶はありませんが、併しこれは別といたしまして、教育委員会を育成強化するということは文字通りの育成強化であつて教育委員会法に定めてあるその精神に則り、そうしてその法の期待する機能を十分発揮できるようなことにいたしたい。それは予算的にもその裏付けが必要でありましよう。又午前申上げましたように、その職能についても検討を加えて、実情に合うように必要なことがあれば改正をして行く、こういうことであります。
  110. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 育成強化の方途としては成るほど大臣のおつしやる通りです。併し現在最も必要なものは育成強化の方途の中に教育長そのものの政党色を拭うということが先ず私は教育委員会育成強化の私は最も重要な問題ではないかと思うので、この地公法にもありますように、人事委員会の構成は政党人が何人か入つてはならないというような細かい規定までもあつて教育の政党的な支配というものを極めて注意した立法でございます一のにかかわらず、現実には地方教育長といつたようなものが非常に政党色が濃い。今回の京都の旭丘中学の問題も、最も極端に言えば、これは自由党に所属しておる教育長が自分の選挙地盤を守るために、誠に邪魔になる者をどうにかしてこれを除けたいという意図が十分ににあつたということは、これは認めなければならん。私は教組側の行過ぎがこれがいいとは考えておらない。けれども、波は何か抵抗のあるところに大波が立つので、抵抗のないところに決して波は立たない。こういう面から言つて、特に今日の教育委の育成強化の問題の中には、当然この政党の支配というものをこれを排除すだけの方針が含まれていなければならない。ところが大達文相は地教委の育成強化という中にはつきりとこれは日教組の排除という対策を入れて、日教組の政治活動を禁止するという方途としてこの育成強化という面が考えられておるような節が多々ある。でありますから、教育長のこの専任問題を解消することについても甚だしく熱意が欠けている。非常に遺憾だと思います。こういう点について、この政党支配をどういうふうにして排除して行くかということについて大臣のお心持をこの際伺つておきたいと思います。
  111. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) すべて、これは教育長には限りませんが、国家の事務でありましても、或いは又公共団体の仕事でありましても、政党的な考え方でその公務が左右されていいという理屈はありません。従つてこれに当るところの公務頂は教育長であろうと誰であろうと、できるだけ政治的な中立の立場をとるということが望ましいことであることは、これは国家公務員法並びに地方公務員法によつてその趣旨は明瞭であります。ただ教育に限つて非常に政党的であるというようなお話でありますが、私はそういうふうには思つておりません。併しそれはたくさんおるところではそういうふうな場合もあるかも知れません。この辺は私もよくわかりませんが、併しそうかと言つて教育長に当る者は全然政党に所属することはできないということまでに行くということは、これは又なかなかむずかしいことである。これは現在でも国家公務員、地方公務員が政党に所属することはできないというようなひどい制限はなされておりません。学校の先生についても同様であります。教育長に限つてそういう制限をしなければならんというような実情であるかどうかは、これはよく実際を調べてみなければわかりません。ただ、ひとり教育長だけではありませんが、公務に従事する者が政党的な感覚でその公務を左右するということは好ましからざることであるということは、これは申上げるまでもないことであります。
  112. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 私は個人のこの政党所属について非難をする考え方はいささかも持つておりません。けれども、その政党色を丸出しにして、お前は日教組だ、お前は社会党支持なんだからお前は敵だという、こういう考え方が地方に多いのです。大臣地方々々にお出ましになつてどういうところを御視察になつておるか知れませんが、幸いにして私は全国選出だもんですから、呼ばれる先々へ行つていろいろ接する機会があります。教育長並びに教育委員会かたがたが非常に良識があつて、所属している政党色をお持ちになつていない教員と手を繋いでやつているという所は実に教育効果が挙つています。けれどもそれと反対に敵のごとくに睨み据えて一挙手一投足を監視するというような状態の下にある所の教育というものは効果が挙つておりません。挙つておるように見えて挙つておらない。こういうものを排除するために文部大臣は私は力を尽されることが極めて肝要じやないか、こういうふうに思うわけです。  次に大臣並びに自治庁にお伺いしたい最後の質問は、二年間教育委員選挙を先に延ばすということは、裏を返して考えますと、被選挙権或いは爆撃権、これの法的な行使を抑圧するという結果になるのではないだろうか。つまり教育委員会法規定するところによつて四年間の任期であるということを考えたときに、どうも現在の教育委員会制度はうまくない、今度は一つ私が立つてこの沈滞した教育委員会に自分が進んで参加して、この土地の教育を興そうと考えておつた人は、明らかにこれは被選挙権者としての当然のこれは権利を持つておるわけです。併しこれが二年先に延ばされたときは、その被選挙権者の当然の権利をこれは抑圧して行く結果になる。又教育委員会に甚だしく今日不満を持つておるところの人たちが、今度新しく選挙の機会があつたならば大いに教育を愛する者が手をとり合つて、よい教育委員会を作ろうという国民の教育に直接責任を持つところの権利、そして義務、これの法によるところの行使を抑圧する結果になると思う。一片の公職選挙法というこれによつて、全国民の選挙権と被選挙権を抑圧するということは、これは誠に以て重大なことだと私は思います。文部大臣はこういう点について何か御意見お待ちになつておられませんでしようか。こういうことは結構なことだと考えておられますか。
  113. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 今年の秋に選挙が行われようとしている、その場合には自分が教育委員として立候補しよう、こう今から思つておられる人にとつて、当てがはずれることじやないか、この法律ができれば、ということだと思いますが、併し私はそれは法律上被選挙権を抑圧したとか侵害したとか、そういうことには私はならんと思う。それが法律的にそういう議論が成り立つとすれば、選挙に関する規定というものは殆んどいじれないということになつてしまう。私はそういう理屈にはならんと思います。ただ当てがはずれるという結果にはなりましよう。
  114. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) 大臣はその当てがはずれるという非常に常識的なおつしやり方をするのです。誰がその名誉職だとか何とか考えてここに立つというようなことを私は前提にして考えているのじやないのですよ。実際教育委員会として非常にまずいという声があるところがあるのです。今度こそは我々の教育委員会にするのだ、今まで間違つたから今度はよくしたい、こういうふうに考えているものは、この法律をこんなふうに不当に……これは不当ですよ。教育委員会法精神をあなた歪曲するような改正は私は改悪だと思うのです。そういう改悪で個人の基本的な権利を抑えて行くというようなことは、これは私はよくないことだと思うのです。大臣は当てがはずれだからそれはうまくないでしようと言うけれども、当てじやありませんよ。あなたはそういう感覚を持つていらつしやる私は大臣の感覚を本当に疑うのです。本当に当てがはずれたというふうにお考えになつていらつしやるのですか。私はこんな質問を言うのはいやですけれども、余りひどいですからね。
  115. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 当でがはずれたということが悪ければ、つまり期待をしておつたその期待に副い得ない場合が起る、こういうことです。ただそれが法律上被選挙権者の権利を抑圧したとか、権利を侵害したことにはならん、こう思うのです。(「なるよ」と呼ぶ者あり)
  116. 高田なほ子

    委員外議員高田なほ子君) この教育委員会法の第一条ですね。私は本当に大臣に心をこめて私は理解してもらいたいと思う。自分のはく靴でさえも本当に足に合ういい靴はきたいというのは誰しもの願いですよ。いい靴屋に行つて、自分の足に合う靴をはきたいというのは願いです。まして自分の子供の将来を託する教育委員会です。よい教育委員を選びたいというのはこれは国民の願いじやありませんか。こういう願いを果すために教育委員会法ができ、その教育委員会法則つて任期四カ年というものをここにきめているのに、なぜ国民のその切なる願いを一片の予算がないということで以てこれを改悪しようなんということは許されないことじやありませんか。そういうことにこそ大臣は裸になつて突つかかつてもこの教育委員会法をあなたは守るべきですよ。にもかかわらず当てがはずれた、(笑声)何というあなたは浅ましい大臣ですか。私はもうあなたのような、そんな浅ましいことをおつしやる大臣に質問を続ける勇気ございませんですよ。情けないことです。終ります。
  117. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私一番聞きたいことは、この法案の提出された問題については一応午前中に大臣と聞いたのですが、教育委員会制度というものについて政府が一体どう考えているのかということが私の基本的な問題なんです。それで私から言わせると、この公職選挙法に一部を改正する法律案、これは端的に教育委員会を軽視しているのではないか、私の率直なる受取り方はそうなんです。教育委員会を軽視しているから、四年の任期のところを六年に延ばしたつてそんなものは少し経費が少くなるので、助かるだろうというふうに考えているのではないか。だからそういう点で大津さんに言わせるというと、教育委員会は育成強化する、こう言つておられるのです。事実上は私の忖度するところ、教育委員会というものは大して用がない、やや言葉を強めれば盲腸的な存在だとでも考えているのかも知れない。それでこの公職選挙法の一部を改正する今回の法律案提出の基本的なものは、教育委員会を育成強化すみのか、或いは教育委員会制度というものを将来検討するという名においてこれを何らか変更して行くのか、こういうふうな疑問にぶつかる。いずれかの疑問、政府の答弁を聞いていれば、どつちかこれはきめてもらいたいと私は思うのですが、この点についてこの法律案自体は教育委員会を私は軽視していると思うのですが、その点どうですか。
  118. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは従来の半数改選を一斉改選にする、こういう点についてだけの改正でありまして、これは教育委員会の本質に触れるものでもなければ、いわんや一斉改選にすることが教育委員会を軽視するとか何とかいうことは考えてもおりませんし、又論理上そういう結論が出ることはないと思います。午前中もこの点に触れての御質問でありましたから、その点はもう御了解を頂いたと思つてつたのでありますが、これは教育委員会制度の将来をどうするか、こうするかという問題とはこれは別個の問題であります。半数改選を一斉改選にする、その理由自治庁から御説明のありました通りに、どうしても半数改選にしておかなければならんという理由に乏しい、むしろ一斉改選にしたほうが、現在この教育委員会委員選挙に関して比較的関心が薄いと考えられておるものを、もつと一般の人たちの関心を高める、それは即ち民意を代表する、民意に副うた運営が将来において期待されるという点から一斉改選にしたほうがよろしい、こういうふうな見地に出ておるものでありまして、これと教育委員会制度そのものとが論理上当然に何か変更を加えられる、若し変更を加えられるとしても、これは別個の問題であります。一斉改選にするためには当然そういう結論が生ずるはずはないと思います。これは午前中も申上げましたし、その点は一つ、何か裏に隠れているものでもあるようなふうにお考えになつているんじやないかと思いますが、これは御覧になる通りただ選挙方法を変える、ただこれだけの問題であります。
  119. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 自治庁長官に開きたい、その点。
  120. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは私も午前にそのようにお答え申上げたつもりでおりますし、今も同じように考えております。
  121. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私は当初言つたように、地方財政上の負担を軽減するためというのが眼目ではないかというふうに解釈したけれども、併しここに幾つかの理由があるからその点についてお尋ねして来たわけですが、結局私が言わんとするところは、教育委員会自体というものを育成強化して行くならば、育成強化して行くための方式というものは私は別途にあると思うのです。つまりここに書いておるように、半数改選に対する選挙民の理解が薄く、投票の熱意を殺ぐこととなつて選挙民の意思を十分に反映することができない憾みもあるように見受けられる。このような根拠では私はないと思う。半数改選であろうと全員改選であろうと、参議院の場合においては半数改選だから熱意が殺がれるから全体改選にしなければならん、こんなことはないと思う。結局日が浅いから教育委員というものに対する理解が乏しいから、そういうふうな点についてはまだまだこれから啓蒙して行かなければならんというなら私はわかると思う。当初教育委員というものは教育知事と思つてと言つて大々的に文部省自体としても宣伝啓蒙して来た。そういう点で私に言わせるならば、教育委員会制度を育成強化するというならば、先ほど高田議員が言つたように個々の教育委員会の単なる教育長を専任にするということだけではなしに、この教育行政制度の根幹であるところの教育委員会に財政権をなぜ付与しないのか。中途半端な人事権だけ持たして、財政権そのものを地方議会の動くままに動きがとれないというふうな形になつているからこそ、教育委員会というもの自体の権能が薄弱、薄く見られるわけです。軽視されて来ておると私はそう思つておるわけです。半数改選にするからこれがどうだ、全員改選にするからどうだ、私はそういうふうなことではないと思うわけです。この点についてもう一遍自治庁長官なり大臣に御見解を承わりたいと思うのです。
  122. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省教育委員会は育成強化すべきものであるというふうに考え、又その方向において努力するつもりでおることは、これはしばしば申上げてあります。併しながらそうであるからといつて教育委員会に関する法規の改正というものが一から十まで直接いわゆる育成強化に繋がる、こういうものではありません。育成強化は育成強化の問題であります。予算措置もありましようし、それから又権能その他についての検討の上の改正もありましよう。併し育成強化すべきものであると私どもが言うたからといつて何でもかんでも育成強化のためのものとお考えになつてもこれは困る。これは選挙半数改選を一斉改選にする、こういう問題であります。そういう問題であります。それが育成強化の邪魔になるということであればこれは困ります。これは邪魔にはならんので、その点から見てもむしろこのほうがいいのじやないかと思います。併しこれは事務的に見ましても、又政治的に考えても理論上当然育成強化の一つ方法だというわけではありません。でありますから、岡君は育成強化の方法としてこれを提出したと、こういうお考えの前提の下に議論しておいでになりますようですが、その点はそういう次第でありますから、これはこれとして御覧を頂きたい。育成強化についてはしばしば申上げるように、いろいろな点でこれを将来とも育成強化して行かなければなりません。これは別の問題であろうと思います。
  123. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 自治庁長官のお答えはあとで……。ここに提案理由に、こう驚いてあるのですよ。「現在の地方公共団体の選挙におきましては、他に半数改選制度を採つているものがありませんので、これに対する選挙民の理解薄く、投票の熱意を殺ぐこととなつて選挙民の意思を十分に反映することができない憾もあるように見受けられる」、だから全員改選にする、こう書いてある。いいですか。全員について選挙するという理由として、「選挙民の理解が薄く、投票の熱意を殺ぐこととなつて選挙民の意思を十分に反映することができない」、こう書いてあるわけです。結局教育委員会制度そのものが半数改選ならば十分に選挙民関心を持てない。だから私は選挙民教育委員会に対して十分なる関心が持てないというのは他に理由があるので、こういうふうなことがその全員改選の私は理由としては薄弱だと言うのですよ、問題は、それだから全員改選理由としてここに挙げられておるものが薄弱であるならばですよ、少くとも現行の教育委員会法というものを尊重して、今まで公選されたものは四年の任期だから、明年の任期になつたならば、やはり改選して行くべきだというふうに考えるわけなんです。  もう一つ理由は、「教育委員会制度発足以来すでに六年を経過いたしており、その運用の経験にかんがみますときは、」云々と書いてある。併しその云云と書いてあることがですね、出初教育委員が設置されたときの半数改選の真意というものですね、真意というものが六年の経過に鑑みて、この真意というものを今反古に戻すということの理由に私はこれも理由薄弱だと言うわけです。そういう理由灘弱ならばですね、当然現行制度というものを実行して行くべきなのに、なぜ政府が殊更こういう法律を出してやるのか、こういう私は理由を聞いているわけです。私の聞いているのはそこですよ。だからその点についてはつきり
  124. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは午前中も申上げました通り、この改正というものは理論的にこうでなきやならん、こういうものではありません。政策的にこのほうがいいじやないか、これで一向差支えないじやないか、こういうつまり見込みの問題であります。だから岡君はこれは改悪だと御覧になる、私はこのほうがいいと考えておるのでありまして、それは要するに午前中に申上げたように、これは意見相違であります。見解相違であつて、理論上こうでなきやならんというものは私はないと思う。
  125. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私の言つているのはですね。いずれその見解相違ならばですよ、むやみに法律というものを特例を設けて行くということが妥当であるかどうかという問題なんです。いいですか。つまり見解が五十歩百歩でいろいろと見方がある。そういうふうな点で決定的にこつちがいいのだというふうな理由が薄弱なときは、少くとも法律というものが施行されているのだから、それを濫りに特例を設けて改変するということは国の政治の運営上工合が悪いと私は思うから、建前として、はつきりした理由がなくし、むやみに特例というものを設けて、法律規定されているところを如何国会とはいえどもむやみに自分が作つた、みずから作つた法律について特例々々ということを敢行するということは私は工合が悪いと思う、こういうように言つているのです。だからお互いにそれぞれ見解がまちまちであつて、自分のほうはこうだというふうにはつきり論旨は通らなければ、法律においては濫りに特例というものを作つてこういうものを改変して行くことは好ましくない、こういうふうな見解に立つているわけです。その点如何ですか。
  126. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは特例という点は、経過的に半数改選から一斉改選に引渡すためにこれは避けることのできない特例でありましてこの法律案というものは半数改選を一斉改選に改める、こういうのが本旨でありまして、特例はそれに附随して一時的に、経過的にそういう現象が起る。こういうことでありまして、特例を作るためにこの法律案を出しているわけじやない。でありますから、これは結局まあ水掛論で見解相違でありますから、幾ら申上げても同じだと私は思いますが、政府当局としてはこのほうが実情に合つてよろしいと、こういうふうに考えて提案をしておるのでありますから、その点は御審議を頂く以外にはないと思います。
  127. 岡三郎

    ○公務員外議員(岡三郎君) 私は先ほど言つたように、大して理由がない、私から言わせれば根拠薄弱だ、こういうふうな点で特例を作つて、現行法規で四年の任期であるものをむやみに自動的に二年延期して六年になるというような、そういうような法規の運営というものは私は工合が悪いと言つているのです。そして更に私が言わんとするところは、教育委員会というものについて、前に言つたよう農業委員会と比べてそういう例がある、こういうことをよく文部大臣は言うわけなんです。教育の二法案のときにおいても教唆扇動を独立犯にする、いやそういうふうな例はほかにもあるのだ、それの理由を聞いて見るというと、つまらないことの例ばかり挙げて本質的には例にはならんようなことを言つている。この場合においては教育委員任期が二年が三年になつても一向差向えない、こういうふうな法に対する安易な、一々こういうような例があるからこれも差支えないだ、こういうふうな法律の運用というものに対して私は疑念を持つておるわけです、実際問題として。それで私に言わせるならば五十歩百歩ならば、結局現行四年制度になつておるから現行四年の任期が来たならば、仮に一歩譲つて全員改選がいいとするならば、任期を四年に一遍区切りを打つて、次は一斉にするために二年間の教育委員選挙するという段階を踏んで私は鉾先を揃えるべきだということを言つておるわけです。併し他の面からいつて、これは自治庁なんかの意見はそうだと思うのですけれども、大体五十歩百歩だけれども地方自治体の財政上の負担軽減がこれによつてなされるならばというふうに来るならば、又それはおのずから解釈の筋が通つて一つ立場だと思うのです。併し財政上の問題は別問題だ、そういうのでは大した理由がない、こういう理由だからこういうふうにする、そういう立案の趣旨からいつて筋が立たん。私は財政上の問題についても反対意見を持つておるけれども、併し一応の筋の建て方とすれば、半数改選を全員改選にすれば、現在の地方自治体の財政が赤字でそれでなくても困つておるのだから、そういつたよう費用の軽減ということがやはり何としても現行においては考えなければならんと、こういうふうな建前がここにあるならば、私は一つの筋が通つた理由になると思います。そういうものを一方において否定しておいて、そうして全員改選のほうがいいんだいいんだ、これでは筋が通らん。改正する主なる理由にならんと思う、こんなものは。それならば現行通りに行け、こういうことを言つておるんだ。それを大臣大達さんのほうが五十歩百歩の見解だ、見解相違だと言うならば、私は大臣がそこにいて何でも答弁すれば役目が終るとお考えになつておるかどうか知りませんが、それでは国会の審議を尊重されておると私は思つていない。まあそういう点について頭をひねつておられると思うから、これ以上開いても同じようなことを繰返すにとどまるので、時間が勿体ないと思いますから、最後に私は自治庁長官によく聞いておきたいと思うのですが、文部大臣教育委員会を育成強化するということとこの法案とは別だ。私はこの法案教育委員会制度を軽視する精神がその裏に流れているということの見解をとつておる。これは見解相違しても何でもそういう見解をとつておるんですが、自治庁長官にお尋ねしたいのは、教育委員会制度というものはどういう観点から発足したのか、半数交代というものをどうしてとつたのか、こういつたことについてやはり十分な御検討を私はして頂きたかつたと思うのであります。つまり日本の国の教育行政制度というものは、終戦後戦前の教育制度に重大なる反省と転機に立つて教育行政制度というものが今のように作られて来たと私は思うわけであります。その基本になる点は教育を民主化し、そうして本当に国民の教育というふうに国民の教育を樹立して行くという建前、こういうふうな観点に立つておると思うのであります。これは大達文部大臣は国民に責任を負うということを運用して教育法案のようなものをすぐ作つて来るが、本当の教育行政制度というものを尊重し、その真骨張を見極めるならば、真にその戦前の教育から反省して、現在の教育というものが本当に直接国民の教育というものを担う重責というものを真にこの教育委員会制度で活かして行こうというところに、ここにあろうと思う。それを私見であろうが何であろうが、塚田長官は何でもかんでも金のことから考えて、こういうものは昔に直せればいいのだと、こういうふうな私は見解を持つておるということを憂えるわけなんです。そうでないということをここで言つて頂くならば私は質問を終りますけれども、どうも片言隻語を我々は分析してみると、何かしら財政上の理由によつてこういう教育制度という重大な問題を変革する意図ありと私は忖度しておるのだが、その点どうですか一体。
  128. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これも繰返しお答えすることになると思うのでありますが、教育委員会が発足いたしましたときの考え方は御意見通りつたと思いますし、今政府がこれを育成強化して行こうという考え方も大臣がお答えになつておる通りであります。ただそうは言いますものの、世間には広く他の面からもう少し考え直してみたらどうだろうという意見もあるのだから、まあ考えて十分検討してより正しい、もつと適切な教育の民主化の方法その他があるならば、考えていい智慧が出たらそれに直すほうがいいと、これが私の考え方であります。
  129. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) どうも、ひようたんなまずのような答弁ではつきりしないのですが、結局まあそれ以上、所管の異なつておる大臣がそこにお坐わりになつておるので、それぞれ本当のことを言うとぶつかるという心配があるので言えないとも忖度されるのですが、教育委員会制度について我々は日本の国情に即する、アメリカの教育委員会制度を鵜呑みにするやり方ではなくして、一つの時間を経て反省期に立つて、日本の教育制度というものを日本の国情に即するようにするという考え方は私は必要であるし大切であると思うわけなんであります。併し根本問題から考え大達文相地方教育委員会を育成強化するということをしばしは言つておるけれども、これは偏見、無法でして、地方教育委員会というものを教員の監視機関にする、もつと俗の言葉で言うと、目明し的存在において日本の教育者というものを監視しようという魂胆と我々はとつておる。これは卑見でも何でもなくて、率直に世間は、世論はそういうことを認めておると思う。だからそういうふうな一つの偏見に捉われて教育行政制度というものを時の政府が濫用し利用しようとする角度の中から育成強化というふうな言葉が出て来るのは、これは何とかため直して行かなければならん、そういう意味で私は地方教育委員会というものは要らん、併し少くとも教育基本法第十条並びに憲法に即して民主的な教育を振興し、戦前の教育行政制度の轍を踏まない、本当に団長の信頼に応えるところの教育を推進して行くという建前ならば、行政機関から独立してやはり一つ教育行政というものを司どる教育期間というものを確固不動に今後育成強化して行かなければならん。そういう意味で県教育委員会というものはこれは大いに発展させ、助長し、そうして真に今のようなあいまいな性格ではなくして、もつと本当に教育に対して責任を負つて国民の負託に応えるような内容形式共に相備わつたものにさして行かなければならんというふうに考えておるわけです。この点について自治庁長倉の見解を私は一つ聞いておきたいと思う。
  130. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 育成強化しようとするものの考え方は、これがうまく育つてつて本来の目的に合致するように育つならば、それはそれで結構なことだと、こういう考え方なんでありまして、ただ、いま同委員もお考えになつておるように、どうも今の委員会というものはこんな丁合に行くならば必ずしもなくてもいいというような御意見もあるんでありまして、これは現実に理想はまあそういう考え方で出たものでも、現実にそういうふうに本来の目的にそぐわない、又若しくはほかの形のほうが一層そぐうと、総合判断をして日本という国においては教育基本法の考え方は勿論否定すべきものでありません。あれ尊重しなければなりませんが、あの考え方の目的を達するために別にいい方法があるということであれば、それはそういう工合に移つて行くということもちつともこれは私たちは差支えない考え方だと、こういうように考えておるわけであります。
  131. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) ちよつと失礼だけれども、塚田長官は教育基本法の十条を御存じですか。御存じかどうか、誠に失礼でございますけれども教育基本法の第十条は一体どういうことが書いてあるか御存じでしようか。誠に失礼ですが。
  132. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは読んでみればすぐわかります。私は読んで見ませんで、皆さんがたが教育基本法第十条、教育基本法第十条と皆さんがおつしやる。それがすぐ教育を民主化して行くという基本の考え方だと言つておりますから、そのように了承し、その考え方に立つて私は議論しております。
  133. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 私はやはり教育のことだから、しろうとだからまあ無理もないと思うけれども、失礼たけれども基本法には「教育は、不当な支配に服することなく、」これは政党であろうと誰であろうと、ということは「国民全体に対し、面接に責任を負つて行われるべきものである。」この考え方に立つているわけです。だから私は一つの杞憂として、誠に失礼ですがね、任命制とか何とかということは絶対にお考えにならんように、若しもお考えになるならば、このような基本法から改訂して行かなければ実情に即して行かないし、法が濫用されてしまう。これだけ一つ苦言を呈して、荒木さんのほうから関連質問があるそうですから……。
  134. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 私は昨日質問したんですが、塚田長官がお見えになつておりませんでした。いま岡委員の質問に関連して一点だけ長官にお尋ねしておきたい。  それは教育委員選挙をですね、半数ずつ選挙するか、或いは全員一挙に選挙するかという問題性ですね、それはそれぞれ利害得失があると思うのです。ただですね、従来は半数選挙で来ておつたと、ところが今日その半数選挙をやめて全員選挙にするというのには、私は従来のやり方が相当な弊害があつた、そうしてこれはどうしても改めなければならないという十分な理由があるのですね、なければそう濫りに変えるべきでないと思うのです。そこで、全員選挙にする理由はこの提案理由の中に三つばかり挙げられております。その一つは他にこういう類例がないということが挙げられております。併しこれはですね、私は十分な理由にはならないと思うのです。これは教育委員会というものの性質というものを考えると、この法律が作られたときにこの問題はいろいろ検討されておると思うのです。そういう意味教育委員会選挙半数改選のほうがいいと、こういう結論になつてですね、私はこういう法律になつたんだと思うのです。他に類例があるとかないとかということは、この法律を作るときにすでに明日なんです。(「その通り」と呼ぶ者あり)ですからこういうことで他に例がないからいけないのだということは今ここに持つて行く理由とはならないというふうに私は考えております。  それから第二番目に、投票率が非常に悪い、これでは十分な民意を反映する教育委員を選び出すことができない、こういうことです。これは教育委員投票率が非常に悪いということは私も認めておりまして、然らばこれを全員選挙にすれば投票率は非常によくなるのだという理由があるかどうか。私は遺憾ながらそういう我々納得するような理由はないのじやないか、若しあればこれは私は説明して頂きたいと思います。このことは昨日次長に尋ねました。併し私の納得するような理由はなかつた。むしろ二年ごとに半数改選するほうが教育委員会の発足日が浅いのですから、国民にいろいろ教育委員会趣旨などを徹底さす機会が多いのですから、むしろこのほうがいいんじやないかというくらいに考えております。半数選挙であるから投票率が悪いということにはならないのじやないかというふうに考えておるわけであります。そういうふうに考えますと、どうもこの提案理由というのは薄弱である。  そこで私は自治庁長官にお伺いしたい点は次の点にあるわけなんです。この市町村の教育委員会についてはとかくの議論がある、従つてこの存廃については検討を要すべき点があるのじやないか、そういう点を考慮されて、そうしてこういうふうにして置くことがそういう検討をするのに障害が少くなる、そういうことが若干考慮の中に入つておるのじやないかというふうに考えるのです。若しそうであれば私は納得します。それは半数選挙にしておいて、市町村の教育委員会を廃止するということは法的にもかなり困難な私は手続上の問題があると思うのです。そういう点を考慮してこういう提案に、結論になつて来ているのかどうか、そういう点を私は伺いたい。これはまあ非常に結論的な伺い方をしましたが、それと同時に御説明を頂きたいと思うのですが、自治庁長官として地方行政全般の運営という立場に立つて考えてみた場合、教育委員会の存在というものが非常に有益な効果を上げているのかどうか。地方行政全般から考えた場合に、この市町村の教育委員会制度については相当検討を要すべき点があるのじやないかというふうなお考えがあるのかどうか、こういう点を一つ御説明を願いたいと思います。
  135. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 終りの問題からお答え申上げますが、私は現在の市町村の教育委員会制度については、なお相当検討を要すべき問題がたくさんあると思つております。この教育委員会制度を育成して行つて、そうして悪い点は直して行つてそれを目的に適うように育てて行くという方法でやるか、或いはやつて見てそれではなかなかうまく行かないということで、又別の形になるという考え方にまで発展するかは、これは次の段階の問題で、今の段階では文部大臣から繰返しお答え申上げておるように、育てて行つてみるという方向であることは政府の方針であります。  それからしてこの提案の裏に別の何か狙いがあるのじやないかということ、これは午前中にもいろいろ各委員からも御質問がありまして、文部大臣からもお答えがあり、私からも一度お答えしたと思うのですが、別の意味はございません。こういうふうにお答え申上げたわけです。  ついでに提案の理由についてでありますが、まあ積極的な理由に乏しいということでありますけれども、私はこれも午前中にお答えをいたしたのでありますが、私どもは実は考え方のスタートを別にいたしておりますのでありまして、こういう選挙によるといたしましても、半数ずつ改選して行くという制度は、これは私は異例な形だと思うのであります。普通には余りない。殊にそれが非常に金がかかるということになるものでありますからして、こういう制度が維持されるためには相当維持することに強い理由が必要である。そんなに強い理由がない、別の形でもできるというならば、成るべくこれは金のかからない方向にしておくということのほうが私どもはむしろ国民負担の今日の状態から考えて然るべきじやないか、そこから私どもがスタートして参りまして、いろいろ今のここの提案理由に書いてあります問題についてこういう判断をいたしておると、こういうように問題を考えておるわけであります。
  136. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) そこで議論に亘るようなことは私は差控えておきますが、教育委員会制度の問題、大体塚田長官のお考えといいますか、現在の心境といいますか、そういうものについては只今の御説明でほぼわかりました。ただ市町村の教育委員会制度についてはかなり世論においても議論がされている問題であります。特に地方行政の衝に当つている市町村当局はかなり意見を持つておると思うのですが、私は新聞紙上などを通じて拝見しているに過ぎないのですが、市町村当局の大体意見というのはどういうふうになつているか、御説明を頂きたいと思います。
  137. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 市町村当局の意見は、大体先般の地方制度調査会の答申の線と同じように私は承知いたしておるのでありまして、地方制度調査会意見によりますると、市町村には教育委員会というものは要らないのじやないか教育委員会というものは府県にだけあつて然るべきだ、府県のものも今のような公選の形でなくていいのじやないかと、こういう意見であるようであります。
  138. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) この市町村当局のそういう意見はどういう理由を以てそういうふうになつているのでしようか。
  139. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは詳しく議論をして最終的に意見を確かめているわけではございませんが、私が承知をいたしている範囲では、やはり市町村当局の考え方も、一つは財政的な判断から来るものであると思います。一つは行政的な判断、行政的な機構の上からの判断ということであると思うのであります。財政的な判断というのは御説明申上げんでもおわかりと思いますが、行政的な判断というのは、教育行政一つの行政であるからして、これは行政は単一化して、一つの責任者のところで行われるということのほうが正しい。殊に今の教育委員会制度は、先ほど来これも問題になつておりますように、人事行政などと財政の問題とが別々になつてつて非常な混乱が起きておる、こういうことも結局行政の責任者が二つ出て来るということから起きるのであるから、そうかといつてこれは財政面までも教育委員会に任せられるからということになると、これはなかなか又大問題でありますので、恐らくそういう点も考慮されて今のような制度があると思うのでありますが、今のような制度がそういう点にも矛盾があるというような判断から、ああいう意見が出ておると私は大体想像いたしておるわけです。
  140. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 市町村自治体にそういう見解が明らかにされておるということでありますが、そうであれば地方自治庁長官としてこれらの意見をこういう機会にこそ十分検討をして、そうして地方行政のあり方全般から教育委員会制度というものについて検討をして結論を出して、そういう上に立つてこういう問題を私は処理すべきではないかというふうに考えるわけであります。そういう点如何でしようか。
  141. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) そういう考え方で内閣におきまして、最終的な結論を出します前にいろいろと議論をいたしたわけであります。そうして今の段階におきましてはこのような考え方、つまり教育委員会制度はなお育成して行く、そういう考え方に落着いたわけであります。
  142. 荒木正三郎

    委員外議員荒木正三郎君) 私は関連ですから……。
  143. 内村清次

    委員長内村清次君) 実は自治庁長官のほうから申出がありまして、やがて衆議院の本会議が始りますと、学生選挙権の公職選挙法の一部改正、これが議題になるそうでございます。それから出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、これが投票があるらしいので、是非出席したいという申出があつておりますから、中座されますから、その点御了解をお願いしておきます。  それから委員外の質問の点は、実はあと須藤五郎君は帰省されまして御出席ではありません。それから相馬助治君は午前中から連絡しておりますけれども御出席ではないようでございまして、もうほかの委員発言はこれでできますならば一つ……。
  144. 岡三郎

    委員外議員岡三郎君) 大体午前中大臣の所用で時間が延びたのですが、地方行政委員会自体としても時間が足りないと思うのです。私もまだ問題がありますが、一応約束従つて質疑を打切ることも止むを得ないかと思います。ただ問題は、こういうふうな法案自体というものは、やはり国全体の行政面から一つ十分に検討した結果としてやつてもらいたい。部分的に法律を運営する場合において特例を作つたり、法を十分に解釈しないで、そのときどきの都合によつてこういうふうな法案が出されて来ることに私は根本的な問題があるのではないか、こういうふうに考えておるわけです。そういうわけですから、この問題は本来から言えば、文部委員会自体が教育委員会制度教育行政機関全般を検討する分野としてこういう問題も処理して行かなければならんのじやないかというふうにも考えて、一応お邪魔したわけです。それですから本委員会の御迷惑を考えてここで打切りたいと思います。
  145. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは委員外発言はこれで終つたことになるわけでございます。  つきましては、この法案につきまして、まだ逐条の説明がなされておりませんので、この問題を引続いて聞くことにいたします。それでは提案理由だけ済んでおりますから、補足説明を金丸選挙部長から開くことにいたします。
  146. 金丸三郎

    政府委員(金丸三郎君) それでは逐条の御説明を申上げます。  一番最初のほうの目次に関します部分は、規定等の改正に伴いまする整理でございます。  第三十三条の四項及び五項の改正は、教育委員会委員任期満了によります定例選挙は、現行法では任期が終る日の翌日に行う例になつておりますけれども、一斉改選にいたします関係上、地方公共団体の長及び議会の議員等の選挙と同じように、任期が終る日の前三十日以内に行うことにいたしまして、委員の一斉改選によります委員の曠欠が生じないように、即ち全部の委員が欠けるような事態がないように措置するためのものでございます。  第五項は、その選挙に関しまして地方公共団体の議会の議員の任期満了による選挙に関する規定を準用するためのものでございます。  第三十三条の第六項に関します部分は、規定の整理でございます。  第三十四条も主として規定の整理でございますが、これは教育委員会委員選挙半数改選から全員一斉に改選をいたしますのに伴いまして、再選挙補欠選挙等に関します規定一般の議員等の選挙と同じようにいたしますためのものでございます。  第六十八条の第三項の規定は、これも一斉改選にいたしますというと、半数改選の場合のように在任の期間の長い委員の職にあります候補者、人の氏名を投票に記載するというような事態が少くなつて参りますので、削除いたします。やはり整理の規定でございます。  第九十三条、第九十五条、第九十七条等もやはり同様でございます。  それから第百九十条の見出しその他の改正もやはり半数改選を一斉改選にいたしますために、不要な規定を削除するものでございます。  第百十条は半数改選から一斉改選に伴いまして、再選挙及び補欠選挙をいたします要件が変つて参ります、そのための規定でございます。即ち府県の教育委員会の場合におきましては、選挙によります委員の数が六名でございます。従いまして選挙の結果やはり一人、二人というような当選人の不足では再選挙を行いませんで、三人以上あります場合に再選挙を行う。市町村の教育委員選挙につきましては二人以上当選人が不足しておる場合に行う。ただ任期の途中に欠員がございましたりいたしまして再選挙を執行する場合があり得るわけでございます。そういう場合に再選挙の要件といたしまして、一般の議員の選挙と同じように欠員の数と合せまして二人以上又は二人以上に達した場合に再選挙を行う。こういう場合には、実質上再選挙補欠選挙を合同して行うことになるのでございますが、これは一般の議員と同じように再選挙を行う方法をとろうとするものでございます。  第百十条の第二項は、このような一斉改選に伴います規定の整理でございます。第百十条の第三項に関しますものもさようでございます。  第百十二条の改正規定も全く半数改選を一斉改選にいたしますのに伴います規定の整理でございます。  第百十三条は、やはり補欠選挙を行います場合に、その要件といたしまして、府県の場合には三人、市町村の場合は二人に達した場合行う。この場合、当選人の不足が生じておりますれば、それを通じて計算をして三人又は二人あれば補欠選挙を行う。他の都道府県の議会の議員、或いは市町村の議会の議員の補欠選挙と同じ方式をとろうとするものでございます。  第百十四条は、繰上補充の規定でございます。これは半数改選の下におきましては、法定得票数がございますれば、いつでも繰上補充ができる。但し二年おきに改選をいたしますので、次の定例選挙まで教育委員として在任をして、定例選挙の時期に至りますると失職をする。定例選挙の際、次の三人乃至二人の人と併せて補欠選挙を行うという現在の制度になつておるわけでございます。これでは一斉改選にいたしますので、そのような繰上補充の方法をとるのは適当でございませんので、一般の府県、市町村の議会の議員と同じように、原則として三カ月期日で、当選人に決定されませんでした場合にだけ任期間繰上補充されるというためのものでございます。  第百十五条は、同時選挙に関します規定の整理でございます。  第百十六条は、現在議員や当選人が一人もなくなりました場合に選挙を行う規定でございます。教育委員選挙は原則として半数改選でございますから、このような事態が一般に生じないわけでございますけれども、一斉改選にいたしますというと、そういう事態が生じ得ますので、一般の議員と同じように、そういう際には定例選挙、例えば教育委員が四人なら四人とも全部辞職してしまつたと、或いは当選人が一人もなかつたとかいうような場合には、改めて定例選挙を行うというための規定でございます。  第百二十条は、やはり規定の整理でございます。  第二百五十八条の改正規定は、教育委員会委員任期は、現在定例選挙の日から起算すると、こうなつておりますけれども、定例選挙を行う期間を、現在のように定例選挙の翌日ということでなく、任期満了の期日前に行うことにいたしますので、原則として現任の教育委員任期満了の翌日から起算をすると、そういうような原則に、一般の議員と同じような原則に改めるためのものでございます。  二百六十条は補欠委員、そういうものの任期に、在任に関します規定、それから教育委員会の現在ございますような補充委員制度がなくなりますので、そういう規定を削除するものでございます。  附則の第一項は、この法律の施行に関します規定で、原則として「公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める目から施行する。」ということにいたすわけでございます。但し四項及び五項の規定だけは公布の日から即日に施行します。  第二項は現任の教育委員任期が満了すべき日の翌日から起算して二年間延長いたします。そういたしますと、現任の教育委員任期が全部二年間揃うことになつて、二年延期されて揃つて参りますので、一斉に改選ができることになるわけでございます。  第三項は、現行法の下におきます補充委員改正法によります補欠委員と同様にいたしましてずつと地の委員任期満了まで教育委員として在任することができるようにいたすための規定でございます。  第四項は、経過的にこの法律の施行の言から起算をいたしまして二年以内に任期が満了するようになりますように、教育委員におきましては定例選挙をやはり延期して、一斉改選ができるようにいたしますために、選挙の告示は行わないでよろしいようにしようというものでございます。  第五項も市町村の教育委員会委員選挙で、選挙のすでに期日の告示を、この法律を公布いたしました日からこの法律を施行する前までに行うべきものにつきましては、改正後の公職選挙法を適用いたしまして、できるだけ一斉改選方法に合せるというためのものでございます。  第六項は、すでにこの法律が施行の際に、再選挙又は補欠選挙の期日が告示してあります場合には、改正法を施行しないで、従来の選挙規定を適用いたしまして当選のその日から任期がきまつて参るということになるわけでございます。而してその任期が第二項の関係上、やはり延長されて参りますので、今後は任期は一斉に満了するということになつて来るわけでございます。  第七項も同じような趣旨規定でございます。  第八項は、教育委員会法に補充委員という規定が第八条にございます。今回の一斉改選制度をとりますので伴いまして、補充委員制度がなくなつて参ります関係上、この規定を整理しようとするものでございます。  九項と十項は漁業法、農業委員会法の規定の一部改正でございます。これはここに掲げてございますような条文が半数改選を一斉改選に改めまするために、条文を整理いたしますのに伴いまして、引用されている公職選挙法の法文が変つて参りますので、このような規定の整理を行おうとするものでございます。    〔委員長退席、理事石村幸作君着席〕
  147. 石村幸作

    理事石村幸作君) 逐条説明を終りましたから、逐次質疑を行います。
  148. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 文部大臣ちよつとお尋ねしたいと思うのであります。昨日来私いろいろ連合委員会或いは今日の委員外のかたの質疑応答を伺いまして、いろいろな疑問を持つたのであります。そこで先ず第一に伺いたい点は、この法案政府のほうでどちらのほうから発議されたのであるか、いわゆる文部大臣のほうからこれが発議されたものか、或いは自治庁の長官のほうから発議されたのか、この法案が決定するに当りましてどこからそれが発議されたか、この点をわかりましたら……。
  149. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは実際的には自治庁文部省と協議をしてできたものでありますが、形式的には自治庁から発案されたのであります。
  150. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の言葉では私ははつきり受けとれない。実際は両方で協議した、形式的には自治庁の方面でこれをまあ提案することになつた、そこでどちらから先に協議を申込まれたか、そこを私は伺いたい。
  151. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは率直に申上げますと、教育委員会関係しては先ほどからもお話がありましたが、地方制度調査会の答申等の関係もあるし、かたがた当初大蔵省から内示せられた予算には教育委員会の経費がすでに抹殺されてありました。そこでこれは私どもから申しますというと、現在の現行法というものがあるのですから、これはまあただ予算で落されても非常に困るということで実は大蔵省、それから自治庁、私のほうと協議をしました結果こういうことにしました。同時に教育委員会制度についての意見の交換をし、協議をいたしましてこういう結論に、一斉改選にするというこの点についてはそういう結論が出たわけであります。それで所轄から申しますと、自治庁の所轄であります公職選挙法改正の問題でありますから、自治庁において発案の形式をとられた、こういうどちらが先というのではないので、これは予算をめぐりまして自治庁大蔵省文部省、いろいろ協議をした結果の結論であります。
  152. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちよつと関連して……。今の問題はこの法案を審議する上において一番これは重大なポイントだと思つて私も聞こうと思つたのですが、協議をしたと言うけれども、これはやはり誰かが言い出したことだろうと思う。そこで端的に一体この問題は誰が言い出したのかということを若木委員は尋ねているので、私もその点を率直なところをお尋ねしたい、誰が一体言い出したか。
  153. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは別に誰が言い出したということはないので(笑声、「そんなことはないでしよう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)こういう結論になつたので……。
  154. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは困るのですよ。結論になつたことはわかつているのです。こういう結論になつたからここへ出て来ているのですから、それは聞くだけ野暮なんですけれども、誰が最初言い出したのかということ、或いは文部省から言い出したものか、大蔵省から言い出したものか、或いは自治庁から言い出したものか、或いはそういう役所のどなたが言い出したものか、その点をはつきりさせたいと思う。
  155. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは本当のことを申上げておるわけですが、実は詳細に申上げますと、現行法規できめてある制度、而も教育に関する限りは基本的の制度でありますから、それをただ予算の上で皆なくされるということは非常に困るということで、当時新聞にも出ておりましたけれども、これは今やめるとか言つてもらつては困る、是非とも教育委員会制度を存置して参りたい、これは当然文部省としては主張したのであります。その主張は認められたのでありますが、御承知の通り今年の秋が丁度半数改選の時期に当つております。これに必要な選挙費用がやはり二十億足らず、十八億くらいでありますか、十六億ですかというものが要るので、実はこれを存置するにしてもこの点で困つた、これは予算のほうで一兆億で以て御承知のように一兆億の枠の中で収めようとするのでありますから、二十数億の金額に加うるに又十六億ですか、十八億ですか合せるというと四十数億に達する、まあ大蔵省の側から言うと復活になるわけでありますが、実は非常に大蔵省においても苦慮されたのであります。そこでいろいろ研究をしまして、それならば、それは新聞にも出まして、世間では何か廃止されるとか、或いは置くにしてもなお存廃については検討するということで、政府部内で議論があるように外部で頻りに取沙汰をされまして私どもとしてはそういうことであることは非常に遺憾であります。この際選挙しないというようなことになると、ますますそれに輪をかける、そういう臆測が行われるということでは、これは教育委員会関係しておられる人々も不安になるし、殊に本会議でも話がありましたように、教育長になり手がないというような意味もありますので、そこはむしろはつきりとこれは存続するのだ、これを廃止するとか何とかいうことを留保して、一応予算を盛るということではなしに存続するのだということをはつきりさせるためには、そうしていわゆる紛議を一掃するためには半数改選を一斉改選に改めたほうがよろしい、こういう考え方で自治庁も同意せられ、それから大蔵省はとにかくそれによつて十六億とか十八億の復活を一応しなくてもいいことになる関係もありまして、各省同意いたしした、こういうのが真相であります。
  156. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁で大体私ははつきりしたような点があるのでありますが、そういたしますと、これはこの法案を提案した元兇とも言うべきものは、これはまさに大蔵省である、こう考えても差支えないかどうか。
  157. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いや大蔵省ではないのです。大蔵省は存置ということが決定すれば、どうしても現行法通りに行けば、今年の秋の選挙に備えて二十数億の復活にプラス選挙費用十数億というものを出さなければならないわけで、非常に大蔵省が困つてつた。これは理論上当然それは計上しなければならないということで、私どものほうでもそれを研究をいたしまして、当時先ほど申上げるように、これについてはいろいろ世間で取沙汰があつたのでありますから、かたがたこれは大蔵省はその点については全然そういう意見を出しておりません。ただ大蔵省予算の上で非常に困つていて、まあ難色がありますから、私のほうで考えて、とのほうがむしろいい、むしろ現在の半数改選よりも一斉改選にしたほうがいいし、同町に世間のいろいろな取沙汰をこれによつて一掃して、その方面の不安を除くにも都合がよろしい、こう考えたのであります。従つて大蔵省においては、我々のほうでこういう結論を出せば、大蔵省に異存のあるはずはございません。これは予算のそれだけ復活に非常に困つてつたやつが、それで心配がなくなるわけでありますから、大蔵省もこれに同意するわけであります。
  158. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、まあ実は元兇は大蔵省ではない。それじや大蔵省は非常に予算の上で以て心配しておつたあなたがたのほうの態度がきまれば、それに越したことはない、こういうふうなだんだん順序になつたと思うのでありまするが、そこでそういう点から考えますというと、私は文部省としては初めこういうふうな法案を提出する意図がなかつた、これは当然教育行政から考えても私はそうなると思うのです。ところが大蔵省のほうにおいて予算のいわゆる一兆円の枠内というふうなことを強く言つて来たものだから、それでまあその点を検討をして、それでは一兆円の枠ということに協力しようか、そういうことで文部省としては本旨を曲げて、それでこういうふうなところの自治庁と相談して法案考え出した、こういうふうに解釈して差支えありませんか。
  159. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大体はそういう……、順序はそうなつております。(笑声)ただその初めからこういうふうに一斉改選にするということを、予算を要求した時分には考えを実は持つていなかつたわけであります。その点は若木さんのおつしやる通りであります。併し大蔵省で非常に困つておられるし、これでつつかえていると、いつまでたつて予算がきまらないということで、私どもも改めて研究いたした結果、一斉改選にするほうがむしろよろしいという結論に達したのであります。だから、決して本旨に反したというのではなしに、成るほどこのほうがいいということでこの法律案に到達したわけであります。でありますから、初めからこうしようという実は考えでないので、そういう一種の暗礁にぶつかつて、私のほうでいろいろ研究した結果、それならばむしろこの一斉改選にしたほうが時期的にもよろしい、こういう意味でそういう経過をとつたのでありまして、決して本旨に反したとか、大蔵省の要求を入れるためにわざわざ曲げたという意味はちつともありません。
  160. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 文部大臣は非常に弁解されましたけれども、今のこの法案が出て来た順序から考えると、又先ほど来のこの御説明を通してみますと、結局は大蔵の一兆円の予算に押れて、    〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕  いわゆる経費の上からこの問題をこういう法案考え出した。これは何としても私は動かないところの一つの事実であると思う。そこでこの提案の理由に三つ掲げておる。この六年間の経過を見て、そうしてもはやこの半数改選なんという必要がなくなつて来た、積極的の理由がなくなつて来た、それからいわゆる選挙民の理解が薄くて投票の率が悪い、こういうふうな事実、更に、最後に地方財政上の負担の軽減の一助となる、こういう理由を挙げているのでありまするけれども、結局前の二つのこの理由はあとから頭をひねつてくつつけたところの理屈であつて、結局は経費の関係の問題の最後のところに私はこの法案の提案の理由があつたのであろうと、こういうふうに考えられるのであります。それでこの昨日以来、一体金がかかるからこういう半数改選制度をやめて一斉改選にするということは、これは教育行政、又教育の尊重の立場から許容できることでないというところの質問が殆んどを私は占めておつたと思う。而も昨日来のこの質問は、まあ文部委員という立場もあるでありましようけれども、殆んど教育の行政、或いは教育の尊重、或いは内容、そういう方面に亘つての質問であつたわけでありまして、それだけにこの法案の重点というものは、これは選挙改正によつてやるべきところのものでなくして、全く教育そのものについて、その点から考えてどこまでも改正するようであるならば、立派な理由を立てて、そうして教育委員会法改正というような方面でこれは取扱うべきところのものであろうと私は考える。それをこの選挙法の一部改正に委ねて、そうして地方自治庁の方面から提案するということは、私は文部大臣として教育というふうなものに対してどう考えておられるのか。全くこれは経費とか、或いは負担とかというような立場から教育というふうなものを押えてしまつて、それでなくてもこの教育方面の予算というものは、常にまあいつの場合でも教育施設の予算をとるにしても、どうしても大蔵が言うことを聞かない、そのためにこういうふうな教育施設をやろうとしてもなかなかできない、こういう御答弁ばかり文部当局がされているようでありまするが、全くそういう立場からこの法案ができているように考えられる。  そこで私はそれに関連して更に伺いたいと思うのは、これは六年間たつてつて見たところが、半数改選制度というふうなことはこれは維持して行くということに積極的な理由がない、こういうふうなことを言われておりますが、この積極的な理由ということはどういうふうにお考えになつているのであるか、その点を先ず伺いたいのであります。
  161. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この改正を一斉改選にするということは、若し教育行政そのものに悪い影響を及ぼすということであれば、これは文部省としては容易に承認のできない、同意のできない問題であります。私どもがこの案について考えました場合に、一斉改選にしたために教育行政の上に悪い影響を与えるということは一応考えられないと思うのであります。ただ半数改選にされたという当時の主張、まあこれは私一個の意見であるかも知れませんが、考えてみるというと、要するに教育行政というものの一貫性と申しますか、安定性と申しますか、白が黒に変るような急激な変化が起ることは好ましくない、その点を制度の発足した当時において慎重に考慮せられた結果、それを保障する方法として半数改選制度をとられたのだ、こう考えるのであります。併し発足後における実情に徴してみますると、そこまで考えなくともその点において懸念はないのみならず、逆にこれが僅かな委員の数でありますから、同じ半数と言いましても、十五人とか二十人とかいう数字ならばともかく、二人とか三人とかいうことでありますから、而も三人といつてもこれは県下全体に亘る広い区域の選挙であります。こういうわけで、半数改選というものはとかく補欠選挙と同じようなふうにとられておる点がありはせんか、従つて非常に選挙において最もその基本になるべき選挙に対する一般関心というものが、どうも投票率その他において非常に低い。その低いのは、この制度が新らしくて十分まだ関心が喚起せられないという点も考えます。併し半数改選ということがやはりその一因をなしておるのじやないか。特に東京のような所では殆んど二〇%或いは三〇%を超えることのないような、極めて低い投票率を示しておる。でありますから、この際一斉改選にすることによつて、当初十分慎重に考えられた教育行政の一貫性というものが別に脅かされるという危険は、今日までの実績に徴して先ず心配はない。で逆に一斉改選をすることが一般関心を高めて、投票率等においてもこれは向上を期待し得るのではないか。でそうであるとするならば、これは教育行政の上に何も悪い影響を与えるという理由はないのであつて、むしろこれが民主的な公選制によるところの民主的運営という立場から見ても、そのほうがむしろ望ましいのではないか、こういうふうに考えられる。そうしてそれが選挙の準備なぞが二年目に一遍ずつやるのですから、これが四年目になるのですから、選挙の手数が省け、従つて経費も、この公費においても、或いは一般の民間の経費においても、それが節減せられるということであれば、これも結構なことであつて、必ずしも経費を節減するために教育行政の上に悪い影響を及ぼす制度を採用するということは、これはできますまい。私どもとしては大蔵省は経費には関心を持つでありましようが、私どもとしては、経費のために実質を曲げるということはできません。併し実質的にも悪い影響を与えるということはなくて、むしろ現状よりもいいほうに向きはしないかというふうに考えられる。いわんや経費の上におきましても手数の上におきましても、それが節約をせられるということであれば、実は私どもはいろいろ検討した結果、これは名案であると実は考えたわけであります。
  162. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は今この半数改選制度を維持するということは積極的理由に乏しい、その点について伺つたのでありまするが、今のあなたの御答弁からみますというと、いや、まさにその通りだ、こういうふうな御答弁のようであつたのでありまするが、これはそういうふうに考えることこそ私は消極的な考え方だと思うのであります。それは私はあの教育委員会法を初めて制定された場合にも審議に当つた者の一人であります。その際に、丁度先ほどもお話がありましたが、この基本法の第十条ですか、いわゆる教育は不当の支配に属してはならない、国民に直接の責任を持たなければならない、そういうところから出発をしまして、そして教育委員は公選制でなければならない。そうでなければ今の基本法の精神が十分にこれは発揮できない。而してその公選制と言つても、半数のこの改選制度でなければならんというような点が、この繋がりが非常にこれは重要な事項として考えられる点なんであります。いわゆる教育は一日も、或いは教育行政というものは一日もゆるがせにならない。そういうところから半数のこの改選制度というものが考えられて来た。それを六年間やつてみたところが、大したこの積極的な理由も見出されない、こういうふうに考えられることは、結局教育委員会制度というものに対する積極的な考え方が薄いということになる。根本問題を逸してしまつて、何かその事務的な方面ばかりを考えておるというふうに私は思うのであります。この教育制度というふうなものを根本的に考えて行つたならば、この半数改選制度ということを廃止するなんていうことはどこからも出て来ないはずだ。これはこの審議に当つた者がよくわかつている。大臣は恐らくこの審議のときにはおいでにならなかつただろうと思います。そういう点から考えまして、この点は今の御答弁では私は全く了承できない。今の私のいわゆる基本的な、本質的ないわゆる選挙制というものに対して大臣はどういうふうにお答えになられるか、もう一度御答弁を願います。
  163. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これはお話通り、その当時は教育行政選挙のたびごとにまるつきり右から左に変つてつた。こういうことは困るし、又そういうことがあるかも知れない。その点慎重を期して、それが半数改選という制度の生まれたことであろうと思います。この点は特に教育については慎重に考慮すべきである。これはほかの一般の行政についても、そう極端から極端に変つて行くということはこれは望ましくないことは共通であります。併し教育委員会における教育の問題について特にその点を考慮されたと思う。併しその後の施行をしてみた実際の実情から考えるというと、それを考えたということは非常に慎重な親切な考え方であつたけれども、その後の実情から見るというと、そこまで考えなくても安定性或いは一貫性が壊されるということは先ずないと思う。又ないというのは、この改選の場合の教育委員が再選せられることが非常に多い。まるつきり変つた人が出て来るということは非常に少いというような点からみても、必ずしもこういう他に余り例ないような煩雑な制度にしておく必要はない。一斉改選にして実際は何ら差支えはないだろう、こういうのがこの積極的な……、今日になつてみれば、これはどうしても維持しなければならんほどの強い積極的な理由がない、こういうふうに考えられるわけです。
  164. 秋山長造

    ○秋山長造君 この提案説明にも書いてありますし、先ほど来文部大臣も再三再四このやつてみた実績に立つてということを言われるのですけれども、これはその実績とおつしやるけれども、まだ教育委員会は府県の教育委員会において半数改選は二回しかやつていなのですね。二回ぐらいの半数改選、而も市町村の場合は全然まだ半数改選ということはやつていない。そういう程度のこの実績を云々されて、そうしてこの教育委員会制度という日本の教育行政をあずかるこの重大な制度を、簡単に技術的な問題だと称していじられることは、私は甚だ承服できない。で文部大臣のお考えは、いろいろ尤もらしい理由をおつしやるけれども、これはさつきも若木委員から話が出ましたように、あとからつけたへぼ理窟だと思う。やつぱり大蔵省との予算の折衝の過程においてこういう案が編み出されたということが事実であつて、而もこれは非常にいい制度だとおつしやるけれども、併し大体あなたが予算の交渉をなさつた相手の大蔵省というのは、教育委員会制度なんていうのは初めから認めていないのです。これはもう予算の折衝のときに文部大臣自身よく承知されたと思うので、これは全部廃止するという予算案を立てたのですから、全然否定しているのですよ。その大蔵省との交渉において、僅か半数改選費用十八億くらいなものを譲る、更にこの間おつしやつてつた専任の教育長を設置するための予算の六億というものを譲り、更に教科書の無償配給三億何がし程度のものも譲つてしまわれたのですね。だからあなたはまあ我々への説明に対しては尤ものような強気な答弁をなさるけれども、その実際はこれはもう全然文部省大蔵省にお面を一本取られている。まあ面でなくても小手ぐらいは取られている。外濠を埋められたことにも私はなると思うのです。教育委員会制度そのものを維持して行くか、それとも廃止するかということについて、文部省大蔵省考え方が全然逆になつているのですからね。そういう条件の中でこういう方法をとるということは、非常にまああなた自身はそういうことはないとおつしやるけれども、これは教育委員会制度をやはりこの二年間選挙を延ばして、二年間の余裕をおいておるうちに、うやむやにこの教育委員会制度そのものをなくしてしまうというような方向に、少くとも一歩も二歩も踏み出したことになるのではないか、私はそういうふうに思つて、非常にこの点不安を持つのですが、あなた如何ですか。
  165. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 前に申上げましたように、当時の情勢から申しますというと、地方制度調査会ですか、これにおいても少くとも必置制としては存置する必要はないというような意見が出ておりました。又先ほどお話のありましたように市町村長側におきましても、これと大体同じような考え、或いは任命制にしたほうがよろしいというような当時いろいろ世間に考え方があるのであります。私はこの一斉改選制度にする、だからその当時の一般の空気から言うと、一応予算は認めてもこれはおつつけ政府、民間にそういう声のある限り、これは廃止なり若しくはそういう線において考慮され、検討されるんじやないかという懸念が関係方面に非常に強かつたのであつて、私は実はこれは心配をしておりまして、そうして一斉改選にするということをはつきり法律できめて頂くということがこういう空気を一掃するゆえんである、こういうふうに実は私は考えたのであります。ですからこれを御覧になつて、この法律案が出たために一属そういう空気が強くなるというふうに御覧になれば、これは見方でありましようが、私ども考え方若しくは希望としては、この一斉改選にすることによつて教育委員会というものはもうやめるなんという考えは一閲したのだという気持をここにはつきり打出そうという考え方をとつてつたのであります。そして同時に又そうすれば、少くとも一兆予算という非常に緊縮予算の限りにおいては経費も節約せられるわけでありますから、いわゆるこれは一石二鳥である、まあ名案だとこう実は思つてつたわけであります。
  166. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点について大蔵政務次官が見えましたから、大蔵省の御意見を伺いたいと思うのですが、大蔵省のほうは地方教育委員会というものに対してどういうお考えを持つておられるか、それを先ずお伺いしておきたいと思います。
  167. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 大蔵当局といたしましては、現行の法制の上に定められておりますその法制の趣旨、並びに現在の文部御当局のお考えになつておるところを成るべく尊重いたしまして、そうして而も経費が成るべく安上りで行くようにして行きたいと、かような根本的な考え方でおります。
  168. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはその方針はいつからそういうことになつたのですか。(笑声)
  169. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 前から、と申しますよりは常に大蔵省当局の考え方といたしまして、各省所管の政策につきましては、当該所管の当局の御意見をでき得る限り尊重いたしまして、而も大蔵省は財政総括の役所でございますから、その意味におきまして、財政的見地からでき得る限り経費は安上りでやつて行こう、こういう方針でおりますことはいつでも変りないものと考えます。
  170. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうおつしやるのですけれども、先ほども文部大臣お話を我々縷々特に本年度の予算折衝の経過等を聞きまして、大蔵省のほうは教育委員会というものは二十八年度限りで廃止するという方針でついこの間までおられまして、予算も何もそのために二十九年度は組むことを拒否されておる、そういうことを承つたのですが、只今の御答弁と非常に食い違つておると思うのです。その点如何ですか。
  171. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 私の申上げていますのは、今最初あなたの御質問が抽象的な御質問だと存じましたので、一般的なことを申上げたのでありますが、今回のこの市町村における教育委員会の問題についてでございますならば、それは只今文部大臣のお答えになりました通り、大蔵当局でもいわゆる昨年でございましたか、地方制度の調査会で答申がございまして、その調査会の答申では市町村の教育委員会はこれを廃止して、府県、五大都市の分は残して行くほうがよろしいと、こういう答申がありましたので、そういう答申に成るべくおよりになつた如何ですかという程度に大蔵省は出ておつたのであります。併しながら文部御当局のお考え只今大臣のお答えになりました通り、やはり市町村教育委員会はこのまま残しておいて、そうして半数改選で行くよりも四年ごとに一斉改選でやつたほうがよろしいというお考えでございますから、その点に賛成を申上げておる次第でございます。なおこの点私率直に申上げますが、私個人的な意見としましては、私は地方制度調査会の答申のような考え方を私個人としては持つております。従つて私は文部大臣に個人としてそうしたことを申上げたこともございましたが、文部大臣はそれはよろしくない、そんな考え間違つている、やはりこれは存置しておいたほうがいいんだということを言われたことを御参考までに、これは余計なことですが申上げます。(笑声)
  172. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、大蔵省の方針というものも常にこう動いているように思われるのですが、最初私が聞きましたら、まあ一般論としてということをあなたはおつしやるけれども、併し一般論もくそもないので、一般論として教育委員会と常に尊重するという以上は、大蔵省一般論として教育委員会を常に尊重しておるという以上は、それが具体的に予算の面に現われて来なければ一般論としても尊重しておることにならんと思うのです、そうでしよう。ところが具体的な問題になると、今度はやはり金の面からだけお考えになる。そうして予算は全部削除してしまう、そうしてそれが又文部省との予算折衝でいやいやながら復活をした。で、大蔵省教育委員会を尊重しておるじやないか、こうおつしやる。ところが又あなた個人の見解としてはやはり教育委員会というものは要らんものだとこうおつしやる。先ほども私は塚田自治庁長官の見解を岡君が質したときに、やはり塚田長官もそういうことをおつしやる。今は制度として法律があるのだから止むを得ない、併し個人的には、教育委員会というものは要らんものだと思う、こういうような答弁。併しあなたがたがやはり大蔵政務次官なり或いは自治庁長官という重要なポストを占めておられるだけに、個人的な見解といつたところでやはりこれは大蔵政務次官としての植木個人の見解だ。そうなると今後の扱いというものに対して我々はますます不安を持たざるを得ない。私どもこの秋半数改選になるというものを更に二年、この一年が平素の十年にも二十年にも当るくらいすべての情勢が動いておるときに、二年といつたら大分これは先の話、その間に恐らく教育委員会というものは結局消えてなくなつてしまうのではないか、なくしてしまうためのいわば橋頭堡をここで大蔵省文部省に対してぶち込まれたのじやないかというように我々心配するのもこれは当然な話なんです。そこでいろいろきれいごとを言われますけれども、やはり私は大蔵省なり自治庁なりの本心は教育委員会というものは要らんものだ、一日も早くこれはやめにしたほうがいいということが私は本心だと思うのです。ところが文部大臣は、依然として強硬に教育委員会というものは飽くまで必要なもので、これがなければ日本の教育はできんのだというようにおつしやつておる。そこで文部大臣に対してお尋ねしたいのですが、文部大臣地方制度調査会の答申、而も自治庁長官にしても大蔵政務次官にしても非常に共鳴しておられるこの地方制度調査会の答申に対して、どういうお考えを持つておるか。
  173. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 地方制度調査会の答申といいますか、その御意見に対してはこれは直接関係自治庁においてこれを尊重せられることは当然と思います。又私どもとしましても、その答申については十分尊重して参りたいとこう思つておりますけれども、併し尊重すると申しましても、そこはおのずから意見の違うところが出ることはこれは止むを得ません。できるだけ尊重して行きたいという気持は持つておりますけれども、さればといつて地方制度調査会がきめたら責任者としての意見を曲げてもそれについて行くということも私はどうかと思うのであります。尊重する気持において人後に落ちるものではありませんけれども、併し尊重は尊重としても、やはりどうしてもこれは承服ができないという点は、まあ教育の責任者としてそこまで全部追随しなければならんとも思つていません。
  174. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 只今植木大蔵政務次官が、地方制度調査会の答申の中に地方教育委員会は廃止するのがいいという答申があつたから、大蔵省としてはその地方制度調査会の答申を尊重して廃止したらどうかという意向を文部省のほうに申入れたというお話がありましたが、これは実際でございますか。
  175. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 大蔵当局といたしましては、予算の折衝に際しまして、係員同士の間でそうした趣旨において文部当局に申上げておつた次第でございます。
  176. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 文部大臣としてはそういうことをお聞きになつておりますか。地方制度調査会の答申を尊重する意味において地方教育委員会は廃止せよ、廃止したほうがいいということを大蔵省からお聞きになりましたか。
  177. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは大蔵省において、私ども予算の要求に対する大蔵省査定の案の内示がありました。その内示案には教育委員会に関する経費は一応全部削除してある。それは大蔵省としては、教育委員会が廃止せられる、或いは廃止せられたほうがいいという気持から予算の査定ができておると了解しております。
  178. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大蔵当局は予算を総括的に按配するという、そういうことがあることはよくわかります。併しながら、地方制度調査会のその答申について全面的に採否決定しない前に、単に予算都合ということだけで大蔵当局が文部省に向つて地方制度調査会の答申がこうなつているのだから予算を削除するということを言うことは、少くとも地方制度調査会の答申がこうだからということを理由にして予算を削除する、若しくは文部当局に向つて地方教育委員会は廃止するほうがいいということは少しく越権じやないか、いわゆる大蔵官僚が行政全般に亘つてそういう注文をする、文部行政の詳細の点についてそういう発言をなさるということは、これは少し筋違いじやないかと思いますが……。
  179. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 大蔵当局からこの委員会の廃止等についての意見を、仮に事務的の折衝の段階といえども申し出ることは言い過ぎではないかという御質問でございますが、私はさようには考えません。と申しますのは、大蔵省予算を査定、査定という言葉はまずいかも知れませんが、予算のいろいろな総括、編成に際しまして各省と御協議を申上げるに際しましては、いろいろ調査会の結論等を採用する場合もございましようし、或いは世上における輿論の趨向を理由にすることもございましようし、或いは大蔵省が財政上新らしく一つの方針を建てれば、その方針によつて現在の法律とは違つたことである場合でも提案する場合はたくさんあると思います。そうした場合に、それを大蔵省が無理にいわゆる権限を以て押付けるというようなことをするならば、これは仰せの通り非常に越権であり、行過ぎであると考えますけれども、それは常に相手方のお立場を尊重して、そうして御相談の上で共鳴を仰いで話の折合つたところで話をつけて行くということにするならば、これは行き過ぎでも何でもない、財務当局としてはそうすることが役目であろう、私はさようにまで考えるのであります。
  180. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大達文部大臣にお伺いしまするけれども、そういうふうな財務の都合ということはよくわかります。併し一々地方制度調査会の答申々採用するかどうかということは、一応は地方自治庁としてその採否を決定して、これを例えば地方自治法の改正であるとか何とかいうような手続をとるということであるならばわかる。併し自治庁がまだその採用するかどうかということを決定しないのに、自分の都合のいい理由だけをたくさんのものから拾い上げて、これを押付けがましく文部当局に要請されるということは私は確かに行き過ぎだと思う。こういうことが常に行われておるとするならば、各省におけるそれぞれの設置法の権限というものを逸脱する、こういうふうに考える。そこで大連文部大臣にお伺いするのでありますが、ほかにもやはりこういつたような干渉と申しますか、或いは要請というようなことを大蔵当局から受けた事例がございますか。
  181. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは只今植木政務次官から御答弁があつたのでありますが、大蔵省としてはやはりこの財政当局として予算の総括ということに当られるのでありますから、その見地からそれぞれ各省に向つてその見地からの意見を立てられるということはこれは当然であろうと私は思います。ただ大蔵省がきめればそれでもう文句は一切言えないのだという強制的な拘束力を持つということになればこれは非常に問題であろうと思いますけれども大蔵省が財務当局としての意見を述べられる、そうして関係省との間に折衝されるということは、これは常に予算の折衝の場合には大なり小なり起る問題でありまして、これは私ども大蔵省から特に圧迫されたとか干渉せられたとかいうような感じは持つておらんのであります。大蔵省としてはそういう態度をとられることはこれはしばしばといいますか、大なり小なり常にあることであります。各省から各省大臣是非こういうことにしたいとその所管の行政事務について要求したものに対して、大蔵省が経費の関係でそれはやめてくれとか、それはこうして欲しい、こういうふうに意見を述べられることは、これは通常に存在することであります。
  182. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 併しこれは地方教育委員会、或いは町村教育委員会を続ける、或いはそれを育成するということは大達文政の最も大きな一つの基本的な政策だと思う。それに対して文部当局大蔵省当局の圧迫によつて思うような予算を計上してもらえない、或いは計上できないということについては、これは大連文部大臣も重大な責任を感じなければならないと思う。結局所属大運文部大臣の御発意とその熱意によつて町村教育委員会というものは末端まで置かれた。併しだんだんと例えば教育長は助役を以て兼任させるとか、或いは先日の話を聞いていると、学校長を以て教育長を兼任させるとかいうようなふうに、実際の教育委員会の運営というものが曲つた方向に漸次行きつつある。最初大達文部大臣がお考えになつたことよりは数歩私は後退していると思うのです。これは大連文政の致命的な問題であろうと思うのです。これだけ重要な問題について、いろいろ大蔵省から何か言われて、仕方がないからと言つて後退し、而も教育委員会本来の目的からだんだんとそれて行つてしまうのを黙つて見ておられるところの手はないと思うのです。この点は如何でありますか。
  183. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私としてはしばしば申上げるように、教育委員会制度というものの重要性から考えて、是非ともこれを育成強化して制度趣旨を全うするようにしたい、こういうことを念願をしております。これは併し教育委員会制度には限らんのでありまして、程度の差、或いは重要度において違いがありましても、各省大臣それぞれ所管の事項については抱負を持ち、考え方をしておられることと思います。併しこれは少くとも予算措置を伴う限りにおいては、各省大臣がそれを考えたからと言つて、その通りにできる、こういうものではないと思います。結局内閣としてその結論を出す、財政の面から、その他の面から結論を出す、こういう筋合いのものであろうと思います。  そこでこの教育委員会について申上げますというと、私は現状よりもだんだん後退しておる、そういうふうには考えておりません。経費の面におきましても、二十八年度に比べて、自治庁が見ておられる地方に交付すべき交付税でありますか、平衡交付金でありますか、その金額も相当増しております。これは尤もべース・アツプだとか、いろいろな関係で増しておるのでありまして、実質的に非常に新しく拡張されたということは申上げません。併し少くとも後退したものではない。教育長につきましても新しい要求として、つまり前年度に一歩を踏み出した要求をしたのでありますが、これはやはり財政の面からそこまでは貫徹することはできなかつた。この点は甚だ遺憾でありますけれども、少くともだんだんあとずさりをしておるということはないと私は考えておるのでありまして、その点はしばしば申上げるように、今後ともこの教育委員会の育成強化ということに努力を続けて参りたい、こう思つております。
  184. 秋山長造

    ○秋山長造君 文部大臣はそうおつしやるけれども、今の地方実情を見ました場合に、教育委員会というものはそれぞれの市町村においてこれはもう全く孤軍奮闘なんです。まあ奮闘のほうはどうか知りませんけれども、少くとも孤立しているのです、これは。で、もう財政的にも何的にもこれはもう非常に孤独して哀れな存在にだんだんなつて行きつつある。先ほど自治庁のほうから報告のありました全国の町村長会、或いは市長会、知事会、ああいういわゆる地方六団体がすべて地方教育委員会は即時全廃しろという強い要求をしばしば国会にも、又政府のほうへも持ち込んでおることは御承知の通りなんです。そういう非常に孤立した状態なんです。地方実情はそうなんです。又肝腎の中央においても、恐らく大臣の中でもこの教育委員会是非必要だと言つて突つ張つておられるのは大運さんだけだと思うのです。早い話が大蔵省にしても、或いは自治庁にしても、恐らくこれは地方制度調査会の答申通り地方教育委員会は全廃という線がやはり大勢だと思うのです。中央においても又国会なんかでも、私らが常日頃聞いておるところは保守党の人たると革新党の人たるとを問わず、殆んどの議員十人が十人地方教育委員会なんか要らんものだということを皆言つておる。だから非常にこの教育委員会というものは、中央においても地方においてもこれは弱い存在なんです。而もその弱い存在である上に予算も出してもらえぬ。而もその上に半数改選という制度すら廃止されるということになつたならば、ますますこれは教育委員会というものの影が薄れて行か、ざるを得ない。これはもう天下の常識だと思うのです。でありますからして、文部大臣としては少くとも僅か十八億くらいな経理の問題でひつかかつて、この一線を譲られるということは、これは今の教育委員会の実態から考えて、これは非常な敗北だと思う。それを残念がられもしないのみならず、却つてそのほうがいいのだというようなことをここでおつしやるということは誠に以て我々は心外極まる。教育法案なんかに示された熱意を、こういう点にもう少し私は示されなければ、これはとても教育委員会というものは、あなたが幾ら一人でやかましく言つても突張られても、これはじりじりつぶされてしまうことはわかり切つていますよ。これはもう一本橋頭堡をぶち込まれたことになると思う。僅か十八億ですよ。僅か十八億ぐらいなことでそういう重要な一線を譲つて、而もしやあとして、そうしてそのほうが却つていいのだというようなことは、これはどう考えても文部大臣のお言葉とは受取れない。残念とは思わないかどうか、お伺いしたい。
  185. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これはお話通り国会議員のかたがたの間にも、町村長の間にも、或いは知事さんの意見にも、教育委員会はやめちまへという意見のあることは私も承知しております。殊に自治庁のような地方行政一般を見ておられる立場としては、こういう声に十分慎重に耳を傾けて検討されるということも私は十分よくわかる。私は、又大蔵省は財政の見地がありましよう。私としては教育的な見地でこの問題に対処しているつもりでありますので、そこで只今お話を聞くと、これは四面楚歌であつて地方においても孤影悄然としておる。成るほど余り景気のいいようなふうにはなつておらんと思います。(笑声)だから育成強化をすることは、これはどうも新らしい制度であるから、どうしても既存の制度との間に、或る程度少くとも皆がそれを理解し習熟するまでの間は摩擦があるということは止むを得んことであると思う。だから、摩擦があるからこれはやめてしまえという結論は、少くとも教育関係する私どもとしては、そう簡単な結論は出せません。飽くまでもこれを育てて行くものだ、こういうふうに思つております。殊に昨年の暮でありますか今年の初めでありましたか、昨年の秋頃であつたと思いますが、内閣における御承知の世論調査によると、市町村教育委員会は存置すべしという意見が、わからないという意見を加えての一〇〇のうちでも六三に達しておる。(「わからないは加えてあるのかどうか」と呼ぶ者あり)いやいや、わからないというのは別として、積極的に存置しておいてもらいたいという意見が六三%に達しておる。だから私は今日表に現われているように、これは内閣でやつた世議調査というものだけを盾にとる必要はありません。又これですべてを律するということは軽卒であります。併し先ず見たところ、景気のいいところで反対があつたといつても、私はこれが輿論であるとは思いません。仮にそうであつても、これは飽くまでも日本の民主的教育の運営ということから拾い上げられた制度でありますから、これに代るべき立派な民主教育、実質的な民主教育をするという制度が自信を持つて結論が生まれない限りは、ただあんなものは詰らんということでやめてしまうということは、私どもとしてはできない。そこでその点はまあ御了承頂きたいと思うのです。  それで、この一斉改選というものは何も私は後退したとは思つておらんのです。私はむしろ前進したと思う。私は若し私の忌憚なき希望を言えば、これによつて大蔵省は十八億だか十六億だか経費が節約されたのだから、少くともそのうちの半分くらいは教育委員会の新しい強化のための予算をもらえれば私は一番いいのですけれども、これは不幸にしてできませんでした。これは新規要求ということで葬られてしまつたのでありますが、併し私は一斉改選にしたからといつて、これが弱化であるというふうには考えていないことは先ほどから申上げる通りであります。決してみすみすこれが弱体化して行くということを見ておるという気持はちつともありません。
  186. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、文部大臣のこの教育委員会を飽くまで育成しようという総意には敬意を表します。それは敬意を表する。それはそれでいいんです。いいんですけれども、今おつしやつたように十八億大蔵省にこみあげられた代りに何か新しいものをもらえると思つたら、それももらえなかつた。もらえなかつたばつかりじやない。今まで僅かに食い止めておつた僅か三億ばかりの教科書の無償配給ですらとめられてしまつたんでしよう。教育長の専任を設置する六億もいかれてしまつておる。みないかれているんですよ、文部省は。何にも残つておりはせん。あの教育法案みないな銭のかからんものだけ一生懸命やつている。これは金のかかる金目のものは全部とられてしまつている。それで、ただ教育委員会を育成強化々々々々といつたつて、抽象的なことばつかり言つてつても、そんなものはちつとも末端まで徹底していやしませんよ。末端では、中央で文部省予算がこみあげられてしまうと同じように、町村や市からどんどんこうはみ出してしまつて、離れ島へ追いやられてしまつておる。そういう実態は少くともあなたはお認めになると思うのです。そういう時だからなお更半数改選にしたら一般関心が薄いから駄目だというような消極的な受身の気持を起さずに、そういう情勢の中だからなお更育成強化して行くために積極的に教育委員会はこうあるべきものだ、こういうものだ、育成強化すべきじやないかということを一般地方住民に積極的に吹き込んで行かなければいかん。そのためには絶好の機会なんですよ、この選挙なんというのは。これは何と言つても事もない平穏無事な時に教育委員会はどうでござれ、ああでござれと言つて幾ら文部省主催で講演会をやられたところで、教育委員会のあり方についてというような標題を掲げた講演会だつたら、あなたが行つてもそう人は集まらんと思う。ところが選挙ならばこれは否応なしに関心を持たざるを得ないのですから、選挙はこれはもう最大の教育委員会を認識させる絶好の機会だと思う。その面からだけ考えても……。然るにそういうような教育委員会の存在を地方住民に大いに印象付け得るこの僅かな与えられた機会をすらあつさり棄ててしまつて、而も棄てたほうが却つて教育委員会の育成強化になるんだというような議論は、これは本末顛倒も甚だしい。そういう文部大臣考え方は私どもの常識ではわからん、少くとも健全な常識ではわからんことです。そうお考えにはならんですか。
  187. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) しばしば申上げるように、私はこの一斉改選になると教育委員会が弱化するという理屈のほうがわからない。
  188. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 教育委員会の育成の方面に入つて来たようでありまするが、これにつきまして、私まあいろいろ重要な問題があると思うのであります。そこで今も秋山君からもお話がありましたが、あれだけ一体文部大臣は世論のほうで六三%とか支持したとか言つておりますけれどもね、我々とは全然考え方が違う、我々はそう考えておらん。それから又国会なり又あなたのほうの自由党でもまあ大方これは廃止すべきである、昨日の連合委員会においてもそういうふうな話が出た、それでまあ結局緊急集会のためにあの当時は期間が短いので、まとまりかけてああいうふうになつたのであるが、その時におけるところの自由党も各会派も皆廃止すべきであると、こういうふうに言つたことはこれは事実です。それから地方制度調査会でも廃止すべきであると、そういうふうな状況にあつて而も存置の方向に持つてつたという腕前はこれは大したものだと私は思う。又それに対して同調したという自由党諸君の気持も私はわからない。あれだけの世論、皆の考えが殆んど一致的なところになつてつたものを、それを存置のほうに持つてつた。併し存置する看板はとつたけれども、中味はさつぱりない、こういうことが私は言えると思う。今も秋山君からも一、二その点が指摘されたようでありまするが、まあとにかくそれにしても看板はとつた。大した腕前だと私は考えるのです。どういうふうなことであなたは納得させたか、その点を私は伺いたい。
  189. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これはまあ納得させたやり方ということは別にありませんが、ただ御指摘の通り教育委員会制度というものは一応理想的な制度として政府としては作られた。但し市町村に直ちに教育委員会を置くということは、現在の実情から見てまだ熟しておらんから、その点は暫く時期を見ると、こういうことになつてつたように承知しております。そこで、その意味において県の教育委員会のほうは先ず出発した。市町村教育委員会はいずれ出発すべき制度として定められてはあるけれども、まだいろんな事情がそこにそぐわない点があるから暫く実施を待つと、こういうことで来ておる。それが緊急集会等の関係でいわゆる十分準備の受入の関係の見通しがはつきりしないところで出発をした、こういう過去の経緯は私も承知しております。そこでそういうわけであるからこれに対する予算措置等もまあいわば非常に不十分だ。いわば地方教育委員会というものは非常に不仕合せな出発をした。これは決して不必要であるという議論があつたとは私は思いません。これは基本制度としてきめられた制度であるけれども、ただすぐ実施するということはまだもう少し受入れの関係を事態に合う時期を見る必要があると、こういうふうに考えられた。それがまあそのときの事情によつて十分検討をされないうちにこのまま出発してしまつた、二年前に。従つてその当時予算措置その他の点においても非常に不十分な点があつた。非常に損な出発をしておるから、その後一挙にこれがいいところまで行くということが実はなかなか困難であつて、而も一般に馴れない点、それから予算の足りない点、こういうことから来る欠陥というものがやはり実際の上に現われて来ておつて、そこでこの結果に対してこれは不満足に考えられることは当然でありますが、それらの人々によつて、更に進んで根本的にこんな制度はやめちまへという議論が出て来ておつたのが私は実情であろうと思います。でありますからして、私はその点から見ても真に民主的教育制度というものが、これに代るべき何人も納得する制度考えられればこれはともかく、そうでなければ、ただそうだからといつて、本から、根から葉から皆やめちまえという議論は私は承服できない。今日中央集権とか何とかいうことは一番いけないことだと、かように言われております。教育法案についてもこれは何ら中央集権を企図するものでないことは明瞭だけれども、やはりそういうことを心配される。地方教育委員会というものは一番地方分権的な、民主的な制度であります、それ自体は本質的に。これをやめちまえということは、何らかの意味における中央集権的な方に移行せざるを得ないと思つておる。でありますから、私はとにかくこれをただ、今予算が少いとか、まあいわば月足らずの関係であつたということだけで、もうこんなものやめちまえというのは、どうも私としては納得できないのであります。私はこの制度は現行制度として存置されておるのであります。これをやめるという廃案をするということは、少なくとも自治庁側に関係がありますけれども、併し肝腎の教育行政の本元である文部省が、これをやめるという考え方に到達しない限りは、これは実現することはできないというふうに私は考えておる。従つてただ私は存置すべきものであるということを言うただけで、別に特に人を納得させるような特別なる方法を講じたわけではありません。
  190. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 なかなか文部大臣は本質的ないい考えを持つておるところがあると思うのでありますが、併しですね、それのためには、それを育てて行く十分手配もしなければならない。責任も持たなければならない。ところが一向その点がとられておらない。今まで秋山君から指摘されたように、そうするとあなたの考えておる本質的な考え方は逆効果を現わして来るということを我々は考える。そこで今のあなたのとられておるところの手配の点で私は非常に不満な点がたくさんありますが、それらのうちで、そうした本質的な考えから教育委員会というものを育てて行こうとすれば、先ず本質に立つておるのですから、そうなりますと当然今朝高田さんにあなたが答えられたように、幾つかの方法としては、教育委員会精神に基いて行く、予算の上から、或いは職能の上から、それを育てて行かなければならない、こういうようなお話があつたのです。そういう立場から考えて言うならば、先ず第一に、半数改選制度をやめるということが第一の矛盾ではないか。その点が考えられる。それから便々として一体教育長を助役に兼任させておるというようなごときは、これ又一つの矛盾ではないか。こういうふうに考えられるのでありますが、それらの点について、先ずこの半数改選をどうしてもやることがむしろこれはいい考えた、先ほどから何遍も繰返して言われるのでありますが、今あなたの本質的な考えから言えば、これは明らかに矛盾である。どうも私は納得がいかない。その点を納得の行くように説明をしてもらいたい。お伺いします。
  191. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私はずつと申上げておりますように、一斉改選にしたために教育委員会は弱化する、こういうことはどうしても考えられない。申上げますように、むしろこれによつて教育委員会というものに対する廃止論、或いは任意設置にしたほうがいいとか、任命制度にしたほうがいいとか、そういう議論がありますけれども、この一斉改選ということによつて、今後といえども教育委員会というものは選挙制度による、公選制による教育委員会というものはがつちり行くんだという気持はむしろこれから出て来て、その面においては、これは理屈ではありませんが、気持の上から言えば強化こそすれ弱化することはない、こういうふうに思つております。半数改選にしたから強化するとか、一斉改選にしたから弱化するとか、そういうことは普通には考えられません。これは公選制度についての一つ方法であり、技術である。それがこの関係は少くともこの教育委員会の場合については弱化であるということには私は考えておりません。
  192. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこなんです、私のさつきから申上げているのは……。教育委員会制度ができたときに、さつきも話した通り半数改選というのが公選に伴つて非常に重要なんだ、教育行政というものは或る空白を残してはいけない。そういうふうな考え方からこれが考えられた半数改選なんです。それはあなたは教育委員会精神則つて行くという立場から考えれば、当然これは半数改選というようなものを推して行かなければならない。それを省いて一斉改選しても何ら変らないということを、あなたの言つておるそのことが私は矛盾があると思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  193. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) どうも先ほど秋山委員の質問に対しても言つたのでありますが、半数改選を一斉改選にすれば弱化するのだという理屈が私には納得できないのです。これは決してブランクになる、空白になるということがあつてはこれは私は困ると思いますが、これはこの法律案でも一時的にもなくなることはないと思う。今度の改正案によつてはないと思います。それから要するに半数改選として制度的に考えられる唯一の根拠は私は行政の安定性と言いますか、一貫性ということだけだと思います。それ以外には半数改選理由はないと思う。その点が一斉改選によつて破壊されるということであれば、これはおもしろくない。弱化とか強化とかいう問題ではなくておもしろくない。その点は私は心配は要らないと思う。こういう認識に立つているのであります。これは決して弱化になるということは私はどうしても考えられない。
  194. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこで今大臣の御答弁で、今度のこの法の改正によつて空白ができない、成るほどこれは現任のまま三十日間やれるのであるから、一応はそういうふうに見える。併しもはやこれは選挙に入りますから、選挙運動もしなければならない。そうすると実質的には空白が起つて来る。そういうような欠陥が必ず暴露して来て、あなたの考えておるところの教育委員会精神に則るということは事実できなくなつて来る。私はそう考えるが、あなたはどう考えておりますか。
  195. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 行政委員会である限り空白があつてはならない。これは教育委員会でなくても、とにかく行政機関であれば、その行政機関が一定の権限を行使すべき、又事務を行うべき行政機関が一時なくなつてしまうということは、私は幾ら短期間でもこれは到底お話にならない。従つて教育委員会の場合でも、行政委員会でありますから、一時的にもなくなつてしまう期間があつてはおもしろくない、これは当然であります。従つてこれは選挙にかかればもうそのようなことにかまつておられないから、事実上は空白になるということをおつしやるが、その他の選挙による行政機関、選挙によつて出て来た人によつて構成される行政機関はみな同じことが言えるのであります。最も顕著なものは知事でありましよう。知事は選挙になれば知事の仕事をほつたらかす、こういうことはすでに私は独断だと思います。
  196. 秋山長造

    ○秋山長造君 知事の場合は地方自治法によつてちやんときまつているのですよ。知事が欠けた場合は副知事が知事の職務をとる。教育委員会の場合はそういうことは何もない。そこで少くとも文部大臣教育行政の継続性と言いますか、安定性と言いますが、そういう面だけから考えた場合には一斉改選よりも半数改選で、半数だけはそのままずつと静かに事務をとつているという制度にするほうがより合目的だということはお認めになりますか。
  197. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 若し半数改選制度によらざれば一貫性と言いますか、継続性と言いますか、保守性と言いますか、そういうものが維持ができないという実情であれば、それはすべての行政委員会について通じていることであると思います。
  198. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は簡単に二点伺います。一点は今一番問題になつておりました一斉改選のほうが半数改選よりも更に一歩前進した優秀な方法である、こういう観点に立つて御説明がなされたわけでありますが、私の調査によりますと、半数改選制を教育委員会がとつたということについては、これが執行機関であるということと共に、次のような事情があるように了解いたしておるわけであります。と申しますのは、例えば知事であるならばこれが民意に副わない場合は不信任案を出すことができる、或いは地方議会の議員であるならば、議員並びに議会が甚しく民意に副わないことをするということになれば、不信任なり解散権というものを発動することができる。この教育委員会というものは教育委員会を解散するという権能を持つておるものはない。又これを解散するという機関もない。そこで一体教育委員会という執行機関に対してれそれならば民意の支持というものが果して四年間という年限を切つて変らざる民意の支持というものを期待することができるか、これは余り長過ぎるであろう。そこでこれを半数ということにしてやることのほうがむしろ民意の変化というものを次の委員選挙に反映させることができるということになるのじやないか、こういう議論が立法的な背景として交されたというふうに承知をいたしておるわけであります。これらのことは、さつきの大臣のお言葉によれば、現実にやつてみて、いろいろ問題もあつたけれども、今こういう任期を四年にしまして一斉改選にしても、何らそういう問題は支障を来たすようなことは今においてはないと言われればそれまででありますが、それらの立法的背景として議論されました事柄が、どういうふうに今度の場合に研究されましたかという点が一つであります。  それからもう一つは、只今若木委員或いは秋山委員から出ました一斉に改選するということになりますると、確かにそれは選挙の前三十日に任期のあるまま立候補するわけでありますから、理論的には空白が生じないわけであります。併しながら立候補いたしまして選挙運動をするわけでありますから、実質的には、これは教育委員会の事務を執行するということは甚だ困難になつて来ると思うのであります。そういう点から言えば、これは現実におきましては、教育委員会の機能というものは一応停止されるというふうな見方をするのが正しいのじやないか。で知事のような場合でありますれば、これは代理機関というものを置くこともできます。又教育委員会におきましても、教育委員会法の六十四条でありますか、教育長が代理執行をすることのできる条文がありますけれども、この教育委員会法全体を通じてみますると、この教育委員会の代理執行する教育長の場合というものは極く特殊な場合というふうにしか解釈することができないのであります。例えば教育長の職務の中には、これは書いてありませんで、特別に一項とつてある。その他の前の条文をいろいろ探して参りましても、これはもう委員会制でありまするから、成るべく委員会そのものの成立というものを妨げないような背景によつてできておるわけであります。他の委員会を見ましても、例えば委員会そのものの成立を妨げないために人事委員会などはやはり三年、二年、一年といつたような年限がありまして、これが一斉改選にならないで執行機関としての機能を停止しないような措置が講じられておるのであります。そういうのと考え合せましても、どうもこの教育委員の全員の機能が停止されると考えられるような一斉改選方法をとるということは、教育委員会そのものの制度というものから行つて、甚だこれはそぐわないことになるのじやないという疑義があるのでありますが、この点前の点と二点合せて御説明を頂きたいと思います。
  199. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は若しお尋ねの点聞き違いをしておる点があるかも知れませんが、若しあればおつしやつて頂きたいと思います。  先ずこの半数改選制度趣旨というものは、私はやはりこの行政委員会である点からして、その保守性と言いますか、継続性と言いますか、それを保障するためのものである、こう思います。四年というものは長過ぎて二年以上は選挙民の支持を期待することは無理だ、こういう趣旨から出たものではないと思います。若しそういう趣旨であれば、初めから任期を二年にすべきであつて、つまり二年以上の選挙民の支持というものは期待できないのではないか、こういう推定に立つものであるとすれば、やはりこれを四年制度にすることがおかしい、これは半数改選の問題ではないと思うのであります。これは二年に任期をする、こういうことになりはしないかと思います。半数改選はそういう趣旨ではなくして、やはり行政委員会としての行政の一貫性を保持する、こういう見地に立つものである、こういうふうに私は考えます。  それから事実上選挙になるというと仕事ができなくなる、こういうことを言われるのでありますが、それはその教育委員の人の、御承知のように普通教育委員会というものは月に一回か二回か委員が皆会合して大綱について相談をする、そして教育長が実際の事務を行うというのが実際のやり方でありますから、その間毎日出て行つて会議をしている、こういう実際の執務のとり方ではないと私は思つております。でありますからして、そういう場合には教育長をしてあらかじめ方針をきめて、これに代行さして行つて実際上それほど非常に強い支障が起るとは思わない。むしろ知事とか市町村長というものこそ日々仕事をとり、直接部下を指揮して仕事をしているのでありますから、つまり委員会という会議体ではなくして、その人自身が行政の掌に当つている、責任をとつている地位にあるものでありますから、そういう場合にこそむしろ選挙に事寄せて自分の本務が疎かになるという心配が起るかも知れませんけれども教育委員会の場合、仮にそういう点があるとしても、これはやりようによつてそう支障が起るものとは私は思つておらんのであります。知事、市町村長については副知事、助役が故障ある場合は代理いたしましよう。併し選挙というものは故障があるということにはならないと思います。それならば無論任期一ぱい知事にやらして、任期を離れて、任期が切れたあとで選挙する、その間は副知事が代行するということにすべきであると思います。やはり知事が任期中はその仕事をしているということを前提にすればこそ任期の切れる前に選挙をして、その間そこが断絶することがないように法律は配慮している。こういうふうに私は思つている。教育委員会についても、これを解散することができないとか言われますけれども、これは無論リコールとか、その他実際民衆の支持がこれを離れた場合には、そういう制度は他の公職と同じようにその制度が定められるわけである。これは言うまでもないことであります。
  200. 加瀬完

    ○加瀬完君 御説明ではありますが、私にはまだ大臣教育委員会法というものを善意においてよく御理解なさつていらつしやるのかという甚だ失礼な言葉でありますが、疑問を持たざるを得ない、率直に申上げますと。と言いますのは、それでは二年交代に……、民意の反映が四年では変動があるであろう、それならば無論二年交代というふうにすればいいじやないかという御議論でありますが、一番初めに御説明がありましたように、これは執行機関でもありますから、執行機関としての機能を停止させないということを一つ考えて、而も民意の反映を、余りに民意の反映の変動というものを無考えに長期に捨ておくことはまずい。この三つを合わせ考えました場合に、二年ごとに選挙するという方法考え出された、こういうふうにその当時の議論の中に出ているように、私の調査によれば承知をされるわけであります。私が申上げるのは、この民意の反映が四年は長過ぎるということだけを申上げるのではありませんで、一つは執行機関でございます。一つには確かにリコールということがあるといたしましても、普通の地方議会の人々に比べればこれは解散されるという虞れもないわけであります。知事なんかと比べれば不信任案を出される虞れもないわけであります。そういたしまして、これは特別に議員や知事から見れば、より保護されている場面が多いのであります。そういう点になつて参りますると、民意というものの出し方というものは非常に制約を受けるわけでありまするから、その年限を二年、一番初めに二年にしてあとは二年交代に選挙をするということが合理的ではないかということが、執行機関であるということと併せて半数交代の選挙ということになつたというふうに承知をされたと思うのです。そういうことはやつぱり合理的なことだと思うのです。これは党派とか、或いは感情とかというものを抜きにいたしましても、一応理論的には合理的じやないか。そういう点を文部省としては何か御研究はなされたかということをお伺いをいたしておるわけでございます。  それから第二の問題の、知事は現職のまま立候補されるというかたは稀でございまして、恐らく立候補されるときは退職をいたしまして、副知事なり総務部長なりが職務代理という形において、もう知事という官を退いたあとで選挙をされるのが通例でございまして、市町村長にしてもさようでございます。併し教育委員会でありますると、教育委員会というのは委員の一人、二人が集まりましても教育委員会が成立いたしませんので、選挙ということになりますれば、これは何人かの人が選挙に立たないで残つてくれればいいけれども、殆んどの者が立つという場合も想定されますので、そうなつて来ると、一カ月の間でありまするから、大して支障がなければいいけれども、今度は特別に教育委員会を招集しなければならないような場合にも招集しかねる事実が具体的にも勢い出て来る虞れがある。そういうふうなことが考えられれば、一体一斉改選というものを教育委員会制度そのものから言つて、甚だしくこれはプラスになることになりかねるのじやないか。こういうふうな議論も私は一応成り立つと思うのです。そういう点、知事や市町村長と同じように考えることもできないのじやないか。教育長を代らせる、代理させるということがあるのでございますが、教育長を代理させるということは、これはよくよく天変地異か、或いは特別な災難や何か非常な場合で、教育委員が全滅したというふうなこと以外には考えられない。短かい期間で成るべく交代させるということは、例えば委員長及び副委員長選任にかかわる三十三条におきましても、その委員長及び副委員長任期は一年とす。但し再選されることは妨げないとありまするけれども、一年になお切つても、ほかの制度と比べますと、年限を非常に短かくして民意の反映ということを直接的に映そうという考慮が教育委員会というものの中には非常に出ているように思われるのであります。そういう点も考え合せますと、どうも一斉改選というものは、選挙ということから考えれば、又大臣が説明の中に触れられたのでありますが、理論的のものではない。政策の便宜の上からこのたびこういう方法をとつたのだということでありますれば、一応肯けるわけでありますが、さりと言つても、教育委員会制度そのものを余りにこれではゆがめてしまう虞れがあるのじやないかということを私は心配するのであります。その点重ねて御説明頂きます。
  201. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会法ができました当時に、半数改選制度を採用した、そのときのいきさつを実は私はよく存じません。従つてその当時においてどういうことが論議が行われたか知りませんが、只今の点は同じことを申上げるようで恐縮でありますが、私はどうも半数改選というものはやつぱり任期は四年なんですから、若し今おつしやるようなことであれば任期自体を二年として、そうして一斉改選にするというのが本筋じやないか。任期は四年ですから、余り長い期間民意がこれを支持しているということを期待することは無理だと、こういうならば、やはり二年ごとに改選するという制度がとられたのではなかつたろうか。こういうふうなことから半数改選制度というのは、そういう見地からではなくて、別な見地からそういう制度がとられたと思います。こう思うのであります。無論半数改選に絶対しなければならんとか、或いは絶対に一斉改選でなければならんとかいうことの理論というものは私はなかなかないと思います。要するにこれは理論ではなくて政策でありますから、どつちのほうが実際の実情に適し、実際仕事をやつて行く上によろしいかというだけの問題、又いろんな意味でどつちがプラスであり、どつちがマイナスかという見込みの問題でありますから、これはいわば一種の政策の問題であります。従つてこうしなければならんという理屈は、これはどちらにとつても私はないのじやないか。ただ政府としては、このほうがむしろ先ほど申上げたように、委員会自身についていろいろ論議が行われるような場合には、むしろこれがその点から見てもはつきり世間の疑問を一層すると言いますか、疑念を一掃して地方教育委員会の諸君の不安を除くという点から言つても、このほうが私はプラスにこそなれ弱化するということにはならん。こういうふうに思つたわけであります。その点御了承を頂きたい。  その次の、欠ける場合のことでありますが、これは教育長が代行するということは、これはすべて欠けた場合でありますから、これは普通の場合ではないと思います。他の場合と同じように、一般教育委員選挙に立つ場合には、一旦法律規定は別として、フエアーにするために辞職をして選挙に立つというふうな一般的な慣行が成立すれば、これは当然六十四条の規定によつて教育長がその間委員会の仕事を代行するでありましようし、又そうでない場合は、これで特段の支障が起つて教育委員会の仕事が全くその間空白になつて仕事ができなくなるということは、それは極端に考えればそういうことも考えられるかも知れませんが、私は、一応それは心配し過ぎることになるのじやないか、こういうふうに考えます。
  202. 加瀬完

    ○加瀬完君 前のかたがたから出ました問題は、成るだけむし返さないようにいたしたいと思いますから、その点について申上げたいこともありますが、除きまして、ただ理窟つて恐縮でございますが、この教育委員会の性格というものを見まするときに、只今大臣も仰せになりましたように、半数改選制をとつたというのは、執行機関でありまするから、成るべく執行機関に空隙を生じさせないように、少くもその内容としては、教育長が往々に教育委員会の職務代理をするというふうなことは万ないようにという考慮も併せて払われているというふうにも考えなければならないと思うのであります。と言いますのは、教育長の職務として規定されておりまする中に、教育長は、教育委員会の指揮監督を受けということを一番強調しているんであります。従いまして、成るべく教育長が独自で教育委員会の事務代理をするというようなことを避けようという一つの方針というものが強く現われているわけであります。従いまして六十四条でございますか、これをこういう当然教育委員会がなくなつてしまつた場合、当然教育長がそれた行うのだというような建前でこの六十四条が作られたわけではない、少くも六十四条によるような作用というものは、成るべく防ごうという考え教育委員会の根本の精神じやないかと思います。そういうふうなことを一応お認め頂くとするならば、教育委員会の一斉改選というものは、この危険性というものを増すことになりまして、これは前の話に触れて恐縮ですが、将来抜本的に教育委員会制度というものを変えようという前提で、便宜的な処置としてこういうことをとるとするならば別でございますが、今大臣のおつしやるように、飽くまでも教育委員会というものを強化育成して行くということであるならば、このとつた方法は、大臣考えとは少し食い違いを生ずるのじやないかというふうに思われるのであります。その点重ねて伺います。
  203. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育長が、教育委員の指揮監督を離れて教育委員会のなすべき事務を代行するということは、これは勿論極めて異例の場合であると思います。これは当然にしばしば起るべき筋合のものではないと思います。ただ事実上、先ほど引例をされましたが、天災地変というようなこともありましようし、又何らかの事故によつてそういうことが絶無であるということは言えないのでありますから、その場合に教育委員会の仕事が杜絶してしまうということは、これは避けなければならんから、極めて異例な場合であるけれども六十四条の規定がある、こういうふうに私は解釈いたします。従いまして六十四条の規定があるから、そういうことがあつても一向差支えないという論拠には私もならんと思います。でありますから、このたびの一斉改選に当りましては、選挙の期日を任期満了前三十日以内に選挙する、こういうふうに改めたのでありまして、六十四条の規定があるからということであれば任期満了後に選挙してもいいわけであります。六十四条の規定というものは、そういう場合にむやみに使うべきものではないという前提の下に、而もこの教育委員会というものの機能がブランクになるというようなことのないために任期満了前の三十日以内に選挙する、こういうふうな提案になつておるわけであります。その点はそういう意味でありますから、御了承願います。
  204. 加瀬完

    ○加瀬完君 だんだんはつきりいたして参つたのでありますが、只今大臣の仰せられるように、六十四条というものは初めから使おうという前提に立つてこの一斉改選をもくろんだわけではない。一斉改選というものは一カ月前に行うわけであるから、辞任しておらないから、教育委員会は空席にならないとおつしやるんですが、事実としまして、恐らく選挙に立ちますときにはやめて立つということにもなりましようし、やめて立たないにいたしましても、これは教育委員会の事務を遂行するには非常な支障を来たすような場面が生ずるのではないかと思います。これは先ほど大臣がおつしやられるように、これが平穏に続いて行くならば何の問題も起らないわけであります。例に出すことは当を得ないかも知れませんけれども、例えばこの間の京都の某校のような問題というようなものも、この空白な期間に生じましたときに、これは飽くまでも教育委員会の責任で処理をしなければならない問題で、一教育長というものは、仮に事務代理をいたしましたとしても、それで問題が解決するということは困難になる。解決するとしても、教育委員会が実際的にその衝に当らないために解決が更に遷延するとか、或いは問題を困難にするということも考えられるわけであります。で、何でもないときはいいけれども、何でもあるかないかということは、それは御説のように、教育委員の出勤日は月に一回か二回、或いは三、四回かも知れませんが、教育委員会の責任というものは、これは一月のうちの三十日なり三十一日なり完全に責任があるわけでありますから、その間何か事情が起つた場合に、出勤日でないから責任がないということには参りかねる。そういうことの心配が予想されるときに空白が生ずる。少くも空白が生じなくても、事務能率を甚だ妨げるような事実が生ずるということの予想される一斉改選という問題は、そういう点から考えました場合、それらの処置というものをどういうふうに文部省としてはお考えになられて一斉改選という方法をおとりになられたか、この点伺います。
  205. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 極端な場合を見るというといろいろ困る場合が起ると思います。併しそれは半数改選の場合でもやはり同様な問題が起り得るのであつて半数改選にしておけばそういう問題は全然起らないんだということには私はならんのじやないか。それは極端なことをいえばどつちにもそういうことは起りましよう。起りましようが、実際我々通常考えられる場合として半数改選にすれば絶対にそういう場合は起らん、それから一斉改選ならば常にそういうことが起る可能性があるというふうには私は考えておらんのであります。先ほどと同じことを申上げるようで恐縮でありますが、そもそも半数改選制度がとられたということは、その点の考慮が当時あつたかも知れませんが、私ども制度として考えれば、どうしてもこれは行政の一貫性、教育委員が一遍に皆変るために非常に極端から極端に走るようなことであつては、行政委員会である限りこれは安定性が保てないという点が、どうしてもこれは半数改選、これは参議院半数改選ということも恐らく同様な趣旨であろうと思います。参議院の持つ或る程度の保守性というものを維持しなければならんという考え方であろうと思います。半数改選の手段、いろいろそれに附随しての効果は期待せられるにしても、半数改選の主たる制度上の理由というものはどうしてもその点に戻らなければならん。これは尤もなことでありますけれども、先ほどから申しますように、今日の実情から見ればそこまでしなくてもその点は差支えない、こういう認識に立つておるわけであります。
  206. 加瀬完

    ○加瀬完君 その認識にお立ちになつているということになりますと、先ほど繰返されたように、見解相違ということになつてしまうと思いますが、見解相違ということではなくて、問題点を同じにしてもう少しこの問題を究明してみたいと思います。くどく申上げて恐縮でありますが、質問を重ねます。といいますのは、只今大臣のおつしやいましたように、行政の一貫性ということは、これは行政委員会でありますから、どうしても強く打出さなければならないと思います。行政の一貫性ということを強く打出すためには、一斉改選の場合にこの一貫性が途切れる虞れがないかということが一つの疑問として生ずるわけであります。只今のような一斉改選の場合に、何か不時の大問題が起つたときに困るだろうと申上げましたら、それは半数改選でも同じだと言いますが、半数改選の場合には、この行政の一貫性の当然裏付として過半数委員が残つておりましたら委員会が開けるわけでありますから、そういう支障はないわけであります。ほかの行政委員会と比べ合せましても、例えばよく比べ合されます選挙管理委員会の例になりますが、選挙管理の事務が生ずるときには、当然これは選挙管理委員会というものを置かなければならないわけでありますから、これをこれと同じように考えることはちよつと当らないと思います。一番考え合せていいものは人事委員会じやないか、人事委員会というものは、やはり任期が階段制になつておりまするので、それによりまして行政の一貫性というものを期しておるわけであります。一面人事委員会には一貫性というものをそのまま認めておいて、より行政の一貫性を必要とするところの教育委員会だけに一斉改選方法をとるというのは、政府としても何か一致しない点があるんじやないかというふうに新らしい疑問を第二に持つわけであります。この点如何でしよう。
  207. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この教育委員会というものは、勿論この数人の委員の人で会議体を保持しておることは当然であります。併し欠員があつたり、或いはそのときのいろいろ避け得ない差支えというような場合には、いわゆる会議体を離れて、教育委員が一人であつてもその仕事ができる、こういうことになつておると私は思います。でありますから一人でもある限りは、教育長はその教育委員の指図に従つて事務をとらなければならん。全部が欠員になつた場合に教育長が初めて教育委員の仕事を代行する、こういう制度になつておると思います。でありますから、具体的に言いますと、これは御承知の通り府県についていえば、県議会の議員が教育委員として加わつております。市町村の場合においても同様であります。でありますからして、通常全然ほかの関係で、天災地変等で全部欠員になることは、これはあり得ることであります。従つてこういう規定もあるわけでありますが、選挙関係で全然なくなつて教育長が事務をとらざるを得ないということは、私はそう心配しなくてもいいんじやないかと、こう思つております。
  208. 加瀬完

    ○加瀬完君 今大臣の御説明はお間違いじやないかと思うんです。といいますのは、教育委員会法の第三十六条に「教育委員会の会議は、在任委員半数以上が出席しなければ、これを開くことができない。但し、」云々という条項がありますが、少くとも過半数でなければ開くことができないわけであります。一人の委員教育委員会を代表するということはあり得ないという私どもは解釈を今までしておつたわけであります。で問題は、従いまして過半数委員を集め得るかどうかということなんで、一斉改選ということになりますと、この過半数委員を集めて教育委員会を成立させるということの条件が非常にむずかしくなるのじやないか、それで例えば不時の場合などには非常に困ることになるのじやないか、それを一斉改選方法をとりましたについては、これらに対する措置の方法というものを当然文部省としてはお考えになつてつたはずだが、私どもは支障を来すと思うが、これに対する御処置をどういうふうに文部省としてはお考えになつておられたか、この点を先ほどから伺つておるわけであります。
  209. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 極めて異例な場合ではあります。異例な場合ではありますけれども、私は六十四条の規定で欠員の場合にのみ教育長が仕事をする。そうすると全部欠員でない限りは教育長が独断でやらなくても委員会というものは運営できる、教育委員の仕事は運営できるという前提に立つておると思うのです。で成るほど三十六条の規定は一応これは会議体でありますから、先ほど申上げたように、その会議体であるということを前提とした規定であることは間違いありません。従つて一人しかいないという場合は極めて異例な場合でありましようけれども、併し仮に一人になつた場合にはその一人できめて行く、こういう私は制度であると思つております。これは言葉尻り、字句にとらわれるようでありますけれども、在任委員の過半数、こういうことでありまして、定員の過半数ということではないのであります。現にその任に就いておる委員の過半数ということでありますから、仮に一人しかいないということになればやはりその人が教育委員の仕事をするということにならざるを得ない。併しそれは極めて異例の場合であつて、それは通常の場合ではないということは勿論であります。
  210. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは余りにこじつけだと思うのです。それらの前後の条文を見れば出席委員の三分の二でありまするとか、或いは同一事件について再度招集したら半数に達しなくてもいいという条項と照し合せるときに、一人で教育委員会が成立するということはあり得ない。一人になつたときには教育委員会は成立しないのでありますから、補欠選挙を行なつて新らしく教育委員会が成立するというような方法をとつておる。私はそういうことを問題にしているのじやない。又教育長が当然これは教育委員会を職務代理するであろうということを言つているのじやない。大臣の御承知のように教育長にはそういうことをさせたくない、結構なお考えです。それならば実質的に全部一斉改選して立候補してしまつて辞表を出してしまつたとき、或いは何かの不時の場合招集しても支障を来たしはしないか、一斉改選という方法は、ということをお伺いをいたしておるわけであります。その点についてお答えを頂きたい。
  211. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 同じことを申上げて恐縮でありますが、それであればこそ今度規定を改めて任期の満了する前三十日の間に選挙を済ます、これはその間選挙になれば皆辞表を出してやめてしまう、こういう考え方ではないのであります。任期があればその間はそこに職に就いておられるという、つまりブランクにせんための今回の提案、何条か知りませんが、そういう提案がしてあるのはその意味であります。一人の場合はそういうこれは極めて通常起らん場合でありますから、無論会議体であることを前提としていろんな規定が書いてあることは勿論であります。併し事実上の問題として一人になる場合もあり得ないことではありません。一人になれば、やはり教育委員会というものは一人になつたら機能は麻痺してしまう、こういうものではあり得ないのでありますから、それは無論補欠選挙をしなければなりません。補欠選挙をする期間というものはやはりブランクであるはずはない、一人であつてもその教育委員が職務を行う、全然なくなつた場合には初めて教育長が行う。全部なくなる場合を予定しておるのでありますから、一応予測しておるのでありますから、若し一人の場合は二進も三進も動かんということになれば一人の場合についても何か規定がなければならない。私はやはり会議体を原則とする規定であるけれども、やはり教育委員という地位を持つ人がおる限りは、やはり教育委員会の仕事というものは動いて行くのだ、こういう前提にこの法律はなつておるとこう思つております。
  212. 加瀬完

    ○加瀬完君 この問題は教育委員会法改正が出たわけではありませんから、問題を引戻して考えたいと思います。私が今申上げておりますことは、この教育委員会法というのは全般を通ずればこれはもう委員会制をとつているということは明らかであります。委員会制をとつているということは一人よりは二人、二人よりは三人、全部出てもらうということのほうが望ましい状態であります。今在任のまま選挙をすると言いましても、先例によりますれば、恐らく教育委員の席を、任を解いて立候補するということが多いでありましよう。或いは在任のまま選挙に入りましたかたがたは、選挙というもののために今度は教育委員会の執行事務というものは今までと同じ程度に熱心にやるということは非常に困難な条件になるのじやないか。そういうことになりますと、これは執行機関である教育委員会というものの機能を一斉改選ということによりまして阻むことになるのじやないか、そういう点を何か文部省としては対策をお考えになつておられるのかということを先ほどから伺つているのであります。やればできるとおつしやればそれまでのことであります。併しながらよりよくやらせる条件としてこの一斉選挙というものは好ましい方法かということになりますと、教育委員会の執行とか運営とかいう面だけから考えますれば、一斉改選選挙に皆入つてしまうわけであります。或いはやめてしまうとか、やめなくても、執行に非常に支障を来たすとかいう状態に投げ込んでしまうことは好ましい方法とは私ども考えられない。これに対する対策はお考えかということでございますので、どうぞその点をお答え頂きたいと思います。
  213. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 同じことを申上げるようで恐縮でありますが、そういうことを避けるため、この選挙の時期について任期満了前に選挙を行う、その事態を避けるためにそういう改正案を提出しているわけであります。
  214. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の言葉が整わないせいか、御理解頂けないようでございますが、これはやめて選挙をやるにしても、やめないで一カ月前に在任のまま選挙をやらせるにしても、それほど大した具体的な姿としては変り方は生じないと思うのです。変化はないと思う。一カ月前に在任のままやつたところで実際教育委員会としての、教育委員としての職務を執行するということは事実上できなくなる虞れがある。虞れがあることを当然理解されるはずであるのに、このことを考えないで一斉選挙という方法をとるということは、少し言葉がひどいのでありますが、むちやなやり方ではないか、これは行政機関としての執行事務というものに支障を来たすことも何も一つも無考慮でこういう一斉選挙方法をとつたのではないかということすらも思われる。この点を伺つているのであります。
  215. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) その点が、当然これによつて、一斉改選にしたためにそういうことが予想されるということであれば、これは一斉改選にすることは、その点について十分研究しなければならんと思います。けれども私は当然そういうことになるというふうに考えておらんので、そういう場合に、そういうことがあつてはならんから選挙の時期を変更することにしたわけであります、これは教育委員会に限らず、同じことを繰返して申すようで恐縮ですが、重要な立場をとつている行政機関が欠けるということはこれは非常に困る、仮に代理の規定があつてもなくても……。その一番大きいものは知事であり、市町村長であろうと私は思う。これは半数改選も何も一人でやることであるからできないわけでありまして、私は行政委員会半数改選趣旨というものは、他の行政委員会が全部半数改選になつているかどうか私はその辺よく知りませんが、半数改選趣旨というものはそういう見地から考えられた制度とは、私は実はとにかく申上げるように思われない。その事務をとる何と言いますか、方針とかやり方とか、その内容が一斉改選にするというと急激な変化をする虞れがある、で、それは面白くない、こういう内容の問題から来て半数改選ということが考えられておるのであつて、今のように途中にブランクができる、或いはブランクができないまでも甚だ好ましからざる状態が起る、こういう配慮から半数改選という制度考えられておるとは思わないのであります。若しそうであるとすれば、これは知事とか何とかそういう重要な行政上の職務を行う人は、やはり二人とか三人とかにして半数改選にしなければどうにもならん、こういうことになりはしないですか。
  216. 加瀬完

    ○加瀬完君 知事とこの教育委員会その他の行政委員会とよく御比較なさるようでございますが、これは性格が根本的に違うと思う。それはこの教育基本法の、先ほども出ました第十条の二項のほうに、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」という一項があるのでございます。こういうものから教育委員会法というもの、或いは教育委員選挙といつたようなものが編み出されておるというふうに考えられると思う。で、知事といい、或いは市町村長といい、この執行機関とは形を変えた行政委員会という姿で教育委員会が誕生したときに、この行政委員会としての機能を今までの知事や市町村の執行機関よりも更に効果的にさせるためにするという見地から、行政の一貫性ということ、或いは教育の、大臣がよくおつしやられる中立性ということ、或いは政治の圏外に立つということ、そういう諸条件を勘案してこの半数改選という制度がとられたと思われるのであります。私がいろいろたびたびお伺いをいたしておりまするのは、大臣がいろいろ挙げられる一斉改選としてのほかの御理由は一応よくわかるんです。又一部においては認めるにやぶさかじやない。併しながら、これによりまして行政委員会の一番の問題であるところの執行事務というものの能率に事欠くような事態というものが生じないかということを慣れる。例えばたびたび言うように一斉改選によつて事務が放置される、選挙に没頭するという事態が当然生ずる。こういうことでは一斉改選によりまして却つて大臣の意図する意図と逆になるのじやないか、こういう点について何らの御配慮もなさらなかつたということを、くどいようでございますが、先ほどから伺つておるのであります。併し私の質問が悪いのか、私の質問に対する的確な御答弁はどうも頂けないので、同じようなことを繰返すのでございますが、その点はどうも私は大臣の御答弁にはまだ満足が行かないのでございます。
  217. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私のお答えが納得できないと言われる。これは私は今のあなたのお考えから言えば尤もだと思う。というのは、一斉改選半数改選というものの制度のよつて起る点についての考え方が、あなたと私とどうも違うようでございます。
  218. 加瀬完

    ○加瀬完君 同じだ。
  219. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 違う。そこで私は、半数改選制度というものは、つまり行政そのものの一貫性ということを保障するためにあるのだ、こういう考え方で申上げておる。あなたは半数改選は行政機構そのものが一時中絶をしてブランクにならんためにあるのだ、こういう考え方でお話になつておりますから、これはいつまでも私の考えを申上げても……。
  220. 加瀬完

    ○加瀬完君 同じことでしよう、結論は……。
  221. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) それは非常に私は違うと思いますが、そこが御満足が行かないことでありますから、これは何遍申上げても同じことを申上げるだけであつて、甚だ相すまないのでありますが、ただ行政委員会であれば一斉改選というものは、行政委員会たる本質上一斉改選というものがおかしいのだ、行政をする限りはですね、全部半数改選とか或いは三分の一改選とかいうふうな方法を、常に誰かが残るという方法をとらなければいけないのだということであるとすれば、現在の行政委員会というものについて見れは必ずしもそうなつておらない、一斉改選になつておるものも他にたくさんある。私は一斉改選というものはそういう考え方から来ておるものじやない、こう思いますから、そこの前提が違うから、あなたはあなたの考え方で言われるし、私は私の考え方で言うからいつまでたつても違うとこう思うのであります。
  222. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は殊更に大臣の御説明に異議を立てようと思つて述べているんではない。大臣のその行政委員会に対するお考えというもの十分承知の上で、その点では行政委員会の機能なり機構なり或いは運営なりというものがどうあるべきかということは、大体根底において同じだという前提に立つてお伺いをしておるわけであります。それで大臣がたびたび例にお引きになりますが、知事とか市町村長とかいう行政機関と、この教育委員会なり人事委員会なりという行政機関というものは、同じ行政機関であつても性格が違うと思うんですよ。その性格の違いというのを何と申しますか、独任制と申しましようか、こういう形でなくて、こういう委員会制をとつたというところに、独任制では半数交代などは考えられないけれども委員会制においては半数交代という制度もとられるんだから、それによつて独任制ではかち得られなかつたところの行政の一貫性というものも打出そうじやないかということが当然考えられておると思う。で、これは大臣も同じ考えだろうと思つて私は今まで議論して来たんです。そういう点から考えますときに、一斉改選ということは、今までの行政の一貫性というものを一部分ですよ、大臣の御意見を尊重いたしまして一部分と申します、一部分でも齟齬させると申しましようか、圧迫すると申しましようか、とにかくセーヴすることになるんじやないか、こういう点について何かこの御討議の間にいろいろの問題は起らなかつたのか、或いは御解決の方法は打立てられなかつたのかということを伺つているんです。僕は逃げておるように思うんだが、私の言うことはわかるんだけれども、その線には触れないように思うんだけれども……。
  223. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) そうではないんです。ブランクになるという点については、私先ほど申上げたような見地で、特にその点について考えたということはないのであります。それはその前提が、半数改選というものはそういうものだと思つておらん。一貫性という言葉が、どうもだんだん考えてみると、一貫性という言葉を使つたのがよくなかつたのかと思うが、一貫性という意味は、その行政の考え方の、或いは教育行政の方針が急激に変化をしないような、その内容の上においての一貫性、だから一貫性という言葉が、若し途中で切れんようにという意味の一貫性というふうにお考えとすれば、むしろ保守性と名前を変えたほうがいい、教育行政の保守性と、それは保守性ということは急激な変化をしないという意味においての保守性です。だから、参議院は行政機関でありません。ではないけれども併し半数改選だ、これはやはり参議院の性格から来る保守性を保つためであると、私はそう解釈しております。  そこで私は、この農業委員会とか、それから海区漁業調整委員会とか……。
  224. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなものと一緒にしては困りますよ。
  225. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いやいや、行政委員会です。労働委員会であるとか、そういうものはやはり行政委員会です。そうしてその行政機能というものは、それは内容はそれぞれ違いましよう、教育行政とは違うほかの行政であります。併し内容は違いましようけれども、その行政そのものが一時空白になつて、麻痺して差支えないという筋会のものではない。こういうものは皆行政委員会つて委員会制度です。そうして一斉改選になつておるんで、それは半数改選のものも、現に教育委員会のようなものもあります。それから人事委員会のように一人ずつ替えて行くとか、公安委員会のようなものもあります。公安委員会のごときものはこの治安に関する考え方が一遍に変るどころではない。かなり急激に変つて行くことすらもこれは非常に困る。或いは人事委員会についてもそうです。人事を扱うようなことは非常に大きな方針の上に変化が起るということは、これはいろんな点で問題が起つて好ましいことでないからして、これは一人ずつ替えて行くというようなことがしてある。それから教育委員会のごときは半数ずつ改選、これは内容のこの行政の方針とかやり方とか、そういうものにおける保守性を維持するためである。私はさように考えておるわけであります。でありますからして、そこのところはどうもその一貫性という言葉にお互いの思い違いがあつたんじやないかと、こう思います。
  226. 加瀬完

    ○加瀬完君 ほかにいろいろ行政委員会がございますが、ほかの行政委員会教育委員会とを比べてみまするときに、教育委員会教育基本法の示すところによつて教育委員会法が制定されて、それで特にこの民意の尊重という点から国民の直接選挙というものによつて非常にこれを重要視した委員会として法律ができておるわけであります。そういう点から考え合せますときに、これは労働委員会が一斉で選挙すをからこれは一斉でもいいと、農業委員会が一斉に選挙するからこれも一斉でもいいということには、この教育委員会法という法律が存在する限りは、そういう物の考え方というのは出て来ないと、こういうふうに思う。そういう点から一斉改選ということでは、大臣の御説明の海容をそのまま私受取りまして、大臣の御説明の通り考え方からしても、一斉改選ということは非常に大垣のお考えのような運営を阻むことになるんじやないかということを惧れる。それについての御対策というものは今までさつぱりお述べになつておられない。一体この問題は研究されたろうかということを疑わざるを得ない。これで終りますから答えて下さい。
  227. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) どうも同じことばつかり言うようで気がさすのですが……。
  228. 加瀬完

    ○加瀬完君 私も誠に済みませんがね。
  229. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは私は半数改選という制度のとられた趣旨というものについて見解が違うと思うのでありますから、今のあなたがおつしやつたようなブランクが起る、そういう意味においての検討はいたしておりません。
  230. 笹森順造

    ○笹森順造君 この法案をお出しになつた内閣、幸い百両大臣がおいでになりますから、政治的責任とでも申しましようか、政策に関する確信とでも申しましようか、そのことを実は非常に気にしておるのでお尋ねしておきたいと思う。というのは、これはこういう教育委員会法というものができて、都道府県の委員会ができて、更にそれに市町村の委員会ができるまでは御承知の通り年限を置いて二十七年の十一月までにこれはやらなければならん、併し暫くの間、希望しない市隣村の委員会は置かなくてもいいんだということであつたので、この市町村末端まで置くか置かんかということで随分この国会内でも論議のあつたことは御承知の通り、あの天野さんが文教の責任におられた時に一年延期のことを実は出したのです。我々はこれに賛成しておつた。ところが急に変つて今度は自由党のほうからこれをもうやれという機運になつたあの岡野さんの時代のことをよく承知しておる。ところで今度四年で一斉に改選しようということを又お出しになられた。ところで先ほどもお話を伺うと、文部大臣はやはりこの教育委員会制度というものをお認めになつておる。育成強化しようと言つておる。ところが今までのいきさつをいろいろ考えると、果して今おつしやるような育成強化して、四年後でもなおこれを育成強化して行つてやろうというお考えがあるのか。いわゆる政治的責任ですね。この両大臣が与党をおのおの代表しておられる内閣におられる人として、果して四年後までずつと育成強化して行くということを責任を持つて言えるかどうか、どうも途中でいろいろ変えるのですから、果してこれは二人変りないかどうか、一人ずつお聞きしますが、これは四年一斉改選制度に賛成するか反対するかという鍵になると思いますので、はつきりここで言明しておいて頂きたいと思います。
  231. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私から先にお答えいたしますが、今お話になりましたように、当時の文部省としてまだその時機が熟しておらんという恐らくその見地からこれを暫らく延期するという考え方をしておつたと思います。これは私は尤もだと思います。先ほど申上げましたように、委員会制度そのものは、これは戦後の教育行政の基本的制度でありますから、これを否定するということでなしに、ただ実際の実情と併せて見て、これを今すぐ施行することが少し早過ぎる、必置制にすることが早過ぎるという見地に立つておるものと思います。併しとにかくそれについての議論は政府においてもそういうことを考えておられるでありましようし、私もその考え方が間違つてつたとは思いません。ただとにかく如何ような経緯であつたにしたところで、これが滑り出してしまつた。そうしてもともとこういう制度はいかないのだという考え方というものはないので、まだ実情から見ていま暫らく必置制にするということは早過ぎる、先ず任意制にして、それをやろうとした所でやつて、機の熟するを待つて必置制にするのだ、こういう考え方であつたと思う。そこでまあそのときに緊急集会か何かの関係か何か知りませんけれども、そこでとにかく滑り出して必置制ということになつてしまつて、それを一旦なつた以上は、これはやはり基本的の制度でありますから、これはあと戻りをさせるということはない。一旦施行した以上はこれを飽くまでも育成強化して本来の教育委員会法が企図しておるようなほうにこれを持つて行くように育てて行く、こういう立場をとらざるを得ないと私は考えておるのであります。そこで、だから現在におきましては、勿論この法律は一斉改選をするというのでありますから、四年……今から勘定して行つて二年後には選挙するという趣旨法律でありますから、それまでにはやめてしまうという考え方であり得ないことは当然であります。併し制度というものは、これはやはり国情にも合わして見なければならんだろうし、実際の推移も見なければならんわけでありますから、一旦こうなつた以上は、これはどんな法律でも将来絶対に動かさん、これは不磨の大典である、こういうものではないと私は思う。少くとも現在どう思うかということをおつしやられれば、又二年後においてお前は恐らくはどう思うかということをおつしやられれば、私は飽くまでこれを育成強化して行きます、こういう考えに違いありません。恐らく二年後になつてもそういう考えに変りはありません。いわんや今日、この法律を出す今日においては、その気持においては絶対に違いはないので、それならば二年後に一斉改選だと言つて、それまでにやめてしまうんだという魂胆だとすれば、今そういう欺くような考えの下に出しておるのであるとすれば、これは甚だ政治道徳の上においても余り面白くない行き方であると思います。でありますから、やはり私は二年後には選挙するんだ、そうして飽くまで育成強化というその気持には変りはありません。ただ今後いつまでたつてもそれで通し抜くかといえば、制度というものは、これは時によつてつて行くということはこれは政治の進歩であり、社会の進歩でありますから、そこまで絶対ということはこれは申上げられません。これは不磨の大典だとは思いませんけれども、併し今どう思うかとおつしやられれば、勿論今これを育成強化して二年後には無論選挙する。そうして二年後になつて、これは近い将来でありますから、お前は多分どう思うかとおつしやられれば、やはり恐らくはその線で育成強化という方向に行くであろうということは、こういうことは申上げられると思います。
  232. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私の考え方は、これについては先ほどしばしば申上げた通り、大体今の文部大臣考え方と少しも違わないのでありますが、(「少し違う」と呼ぶ者あり)ただ結論が、今は一致しておりますけれども、ここまでに至る段階におきましては、先ほど申上げましたように、多少地方自治をあずかる者の立場と、文教の行政をあずかる者の立場と違いますので、意見の違いがあるということは事実であります。なお私の立場といたしましては、やはり自治団体の側には相当異論がありますので、まあそういう意見も十分に検討してみつつ、これが本当に本来の目的に副うように育つかどうかということと睨み合せて考えて行きたい、こういう立場であります。
  233. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今大臣お話で、現状における御見解がわかつたわけでありますが、もとより憲法にしてもほかの法律にしても、いわんやこの法律は万古不磨の大典だとは私ども考えていないのでありますけれども、ただ私の懸念しますことは、社会の情勢なり国のいろいろな教育の情勢が変つて行くということに即応するならばこれは何ら異論がない。ところが同じ情勢でありながらも、党情が変ることによつてそこにいろいろ変つて来るので、責任をどうとるかということを聞いておるのです。それはこの前に不統一の考えがありましたから、そのことを実はお尋ねしたのです。併しそういうことを言うと余り議論がましくなりますから、それは今のお言葉で一応受取つておきますが、それで文部大臣に特にお尋ねしたいと思いますが、まあ関係の点は自治庁長官にもお尋ねしたいのですが、育成強化しなければならん、これは決してこの満足な今の教育委員会制度ではない、いろいろな問題点があると私は見ておる。而してそれに触れ得ないものがあるために、議論をしても空廻りになつていると私は考える。そこで文部大臣が今折角これを育成強化して、少くとも二年の間にこれを育成強化しようとするならば、育成強化するという抽象的な言葉でなくして、問題点が一体何々か、どの点をどういうふうに育成強化して行くのか、これは予算の範囲ということもありましよう。併しその問題点のその構想が何であるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  234. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ず主としては、私は現実問題としては或る程度の予算措置が講ぜられて、とにかく行政委員会として一応動けるということになるのが先決問題であると思います。従つて当面行政予算措置といいますか、予算の獲得ということに努力しなければならん、こう思つております。  それからもう一つはこれが新しい制度であり、従来の一般の行政機関の中から教育だけを分離してまあ独立の行政機構にする。而も地方に行くというと、教育予算というものは市町村財政等におきましては非常に大きなウエイトを持つておりますから、従つてその間に摩擦が起る。これは現実の問題としては止むを得ない。摩擦が起つたりいろいろの点が起る。そこであんなものはやめてしまえという議論も起る。これはまあ私は無理はないと思う。そういり点について一般の行政団体との間の実質的な権限、その地における調整、それからまあ何よりも理解をしてもらうことについての努力というもの、それからこれはもうやめになるんだということがしきりと言われるものですから、これはこの前申上げたと思いますが、教育長に適任者があつてもじきやめになるそうだから、そういうものは御免だということで人が得られない。それから教育委員会委員かたがたが、どうも風向きが悪くてやめられるかも知れんというふうに意気沮喪しておる面がありまして、そういう点から見ても非常に元気がないというか、萎靡沈滞している、これは率直に申上げまして。というような点は、これははつきりやめるんじやないんだ、一つ安んじて大事な仕事に挺身して頂きたい、こういうことを実は声を大にして言つておるのも、育成強化にも何にも、肝腎のその委員かたがたが意気沮喪してしまつておるんじや、これは困りますから、実は私はそういうことを言うこと自身も一つの育成強化の一端である、こういうふうに実は思つておるわけであります。とにかくまあ当面は予算の問題、それから関係団体、関係行政機関との間のいろいろこれは権限その他についての調整の問題、それからその間の気持の只今の調整の問題、そうして更に一番望ましいことは学校の教職員との間の関係が円滑に、お互いにその立場考えて円滑に行く、これはまあ何よりも一番仕事に必要なことでありましよう。これが摩擦が起れば、これはどつちかに……。
  235. 秋山長造

    ○秋山長造君 ますます摩擦が起りますよ。今度はこんな法律を作つてけんかの種を播くようなことをやつて……。
  236. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) そういうことがないようにということを、私としては望んでおります。
  237. 笹森順造

    ○笹森順造君 この委員会制度というものは、戦後にやはり占領政策下においていろいろと外国から密があつて日本で採用したが、ところが発生学的にこれを検討してみると、やはりもつと民主的に住民が地域社会において自分の子弟の教育のためにやつたという、あの国のやはり学区制とでも申しましようか、スクール・デストレクトというものから出た委員会制度であつて従つて当然国の予算面においては教育予算というものがあつて、目的税というものがあつてつている。而もそれが予算権を持ち又執行権を持つてつた。ところが今日本の現状は実に反対になつてつて教育税というものもなければ目的税的のものもなしに、それが平衡交付金のような恰好で、譲与金というような恰好できめている。而も県においても市町村におきましても予算の決定権がない。決定されたものを執行する僅かのことしか持たないということに非常に私はちぐはぐなものがありやしないか。従つて今の折角財政的にこれを強化しようということになると、根本的に一体そういうことを考え直すのでなければ目的は達せられないのじやないか。育成強化ということを言われてもいつでも予算でうまく行いかない、大蔵省との何がいかんということであれば、何か一つの法制化して、そういうようなことができれば今でも目的税というものはある、或いは目的的なことに使われるものもあるので、そういうような法律を現内閣がお考えになつたことがあるのか、或いは又検討されるお考えがあるのか、それは不適当だとお考えなされるか、私は両大臣にお伺いいたしたい。根本問題について。
  238. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お答えいたします。私はさような点についてしばしばそういう話も聞きますし、又非常に詳しく研究したということは申上げられませんけれども、まあ大体においては消極的なことは考えておりますが、これで特別な目的税というものを作る、それで予算財政権というものを持つてそうして行くんだということは、これは今までの既存の地方団体、地方行政機構というものからみれば非常な変革であります。これは今日教育委員会ができて、そうして地方との間にできただけでもいろいろな摩擦が起つて来る。それが、それすらもなかなか解決ができないという現状において、余りこれが仮に理想的な方法としても、それに急に進むということは結局ぶちこわしになる虞れがある。私はこれはまあ余り長いこと申上げまして恐縮でありますし、且つ私自身がアメリカの制度を研究したわけでも何でもありません。ありませんけれども、私の想像するところによると、アメリカのような成立ちの国では、そこの土地に資源があるということで自然に部落ができた、それで集団生活が自然発生的にできた、子供が生れれば自然学校もなければなりません。治安の維持もしなければならない。そこで先ずその中のみんなであなたにお願いしたい、こういう委員のようなものができて、それで管理して教育が行われる、或いは治安の公安の関係が行われる、こういう沿革があると私は思う。これを実は非常にまあ地方分権的と言いますか、自治的な方法には違いないけれども、それはそういう環境から止まれた制度でありまして、日本のように昔から完全な統一国家に持つて来て、それを地方分権といつてすぐやるところに事実上なかなか困難があるかと私は思う。でありますから、国情の違つた、成立ちも違い、伝統も違う所にいきなり持つて来るところに、これはひとり教育委員会だけとは思いませんけれども、そこにまあいいとか悪いということは別として、過渡的にもいろいろな摩擦が起り、いろいろな又混乱がそこに生ずる。私はこれは免れないことだと思う。そこでアメリカのようなやり方をですね、徹底して仮にやり方がいいとしてもやはり現状に余りひどく混乱を起したり摩擦を顧みずやつてのけるということは、よほど慎重に考えなければならん。今のような教育委員会が独特の財政権を持つて、独特の税というものに依存して教育が行われるというようなことが仮に教育上望ましいことであるとしても、これはまあ全般的に考えてみないというと、どうも私としては簡単にとつけない。まあどつちかと言うと消極的な考えを持つておるわけです。
  239. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も大体同じ考えでありますが、ただ私は地方行政をあずかつておる立場でありますので、やはり文部大臣がおつしやる消極的なという感じが私の場合には更に一層強いように思つております。
  240. 笹森順造

    ○笹森順造君 今のお話通り、今まで日本の教育委員会制度というものは非常なはんぱなやりにくい状況に置かれて来ていたのであります。ところがそれが何も私はここで外国の例を説明するわけでもないのですが、例えばニューヨーク州のごときは固定資産税というものはこの教育税のほうへそのままそつくり廻わしていたのですね。そういうようなことを考えれば、第二義的に或る一つの財源というものを考えてそれは地方の住民の、つまり父兄なり或いは又子供を学校へやつておらない人でも地方における一つ教育の問題として考えて、一つの枠を抑えて、それだけは教育のほうへ廻わすのだというような方法をこの間やつているのを、私はいろいろ資料など見て来たのですが、何かしらんけれども文部省なり或いは又自治庁のほうで、この教育委員会の人がたが折角教育のために使うところの金がどうもやりにくくて、県のほうできめたもの、或いは市町村のほうできめたものしかやれないということだが、そうではなくして、必要額というものを大体考え教育施設なり、或いは又人件費なりというようなことに当てがうようにする一つの税金というものを特に考えて行くという親切味がなければ、この教育委員会の育成強化というものは大したことはないのだが、委員会を通してやはり文教の目的というものに対する根本的な施策ができんのじやないかということを考えて、その程度のことでも一つ強くお考えになつて頂くことができるか、或いは又考えたことがあるか。その程度ならば自治庁長官もどこかに財源ができればそれは不賛成でもないのじやないかというように考えるが、その点についての御研究なり、或いは今後どういうお気持であるか、お尋ねしてみたいと思います。
  241. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私はまあこの点今後は大きな課題として研究はいたしたいと思いますけれども、まあ日本のような今までの経過をとつていた国で、国の場合でもそうでありますし、地方団体の場合でもそうでありますが、財政権が分裂するということはこれは非常な大きな問題だと私は思います。でありますから、私は自治庁長官の立場ではありませんけれども、併しこの点はよほどの大きな問題であるというふうに考えておりますので、教育だけの見地からそれをやるということには、まあこれは今後十分研究はしたいと思います。思いますけれども、財政権が統一されるということでなければまあ全体として統一意識といものがなくなつてしまうと、でありますから、殊に日本のような完全な統一国家ということで今まで来ておる場合には、その点が気持の上からいつても非常にそぐわんし、やつてみても慣れておらん関係で、アメリカでやつてうまく行つても日本でやつてはうまく行かない、人の気持もそれに附いて来ない。現に教育委員会制度そのものについてもいろいろ批判があるのもそういう点があると思います。まあ十分研究はしたいと思いますけれども、どつちかというとやはり消極的な考え教育関係者ではありますが、まあ消極的になる。これはやりそこなつたらえらいことになると思うので、実は教育のためにほかの国政全体に及ぼす非常な大きな影響を与える、又混乱を起すという危険は相当考えなければならんと思います。
  242. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も教育の重要性というものもよくわかります。そして又教育がうまく行くために成るべく予算がたくさん欲しいということもよくわかるんでありますが、併しやはり教育に相当できるだけたくさんの金を注ぎ込みたいという考え方も、財政全般から見てその判断の上で総合的に考えているのでないと、今文部大臣がおつしやるように、財政の教育総合性というものが崩れて来るという意味においてやはりこの財政権を加味して行くというその考え方には賛成しかねる。
  243. 笹森順造

    ○笹森順造君 私は第二義的なことを聞いたんで、財政の問題のその分離を図るのではなくて、特別に目的税的なものを考えて行つて、例えば今の或る州のごときは固定資産税であるとか、或いは又固定資産の取得税であるとかというものは、必ず教育のほうに持つて行くのだと、それを算定してみると大体必要な額に見てあるんで、而もそれが教育委員会が自動的に、県の議会なり市町村の議会で審議しなくても、或る極のものは権利として与えられている。そういうような制度をお考えになつたらどうかと、こういう意味であつたんです、私の尋ねたのは。如何です、御見解は。
  244. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 成るほど。私は意味を取り違えておつたかも知れませんが、私はそれは望ましいことだと思います。それができればと思いますけれども、併しこれは全体の財政状態というものが或る程度余裕も持つており、戦前において日本の国政が順調に行つてつた当時に、いわゆる独立会計とか何とかというものがその必要において存した。独立の駐源というのはこれは今日の日本のような財政面におきましても特に租税は重課に苦しんでおる。余裕の極めて少い殊に地方団体に至つては、これは私はまあ自治庁のかたを前においてこういうことを言うのは潜越でありますが、殆んどその財政というものは自立していない。まあ平衡交付金というような制度になつて、国で尻拭いするような制度になつている。これはいい悪いは別としましてそういう際に教育関係費用だけを独立した特殊の税金でそこへ特別にやつて、事実上の一種の独立会計でありますが、財政権を持つた独立会計というものを作るということは、これは望ましいにしても、現状ではなかなか贅沢というか、むずかしいのではないかと思います。
  245. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) まあそういうお考えに近いものが今この道路の問題……。
  246. 笹森順造

    ○笹森順造君 ガソリン税なんか。
  247. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) にあると思います。それは考え方として考えられないことはないと私は思うわけでありますけれども、私もまあこの考え方自体にはやはり百パーセント賛成しかねる面があつて、この制度自体に非常な異論があるわけですが、併しまあ考え方としては全然考えられないことではないのでありますから、なお今後又研究してみます。
  248. 笹森順造

    ○笹森順造君 今のお答えで、一つこれは希望になりますが、何か知らんが、もつと健全というか、背景を置く持ち得るものの御検討を願うということは、これは希望にして申上げておきます。  その次に、この育成強化のために非常に文部大臣が心配なされておつたことは、地の行政機関との関係を一体どうするかという問題です。そこで先般から財政問題と絡んでいろいろ心配しておりますのは、この教育委員会というものに対して中央集権的なことはしないというようなことで、教育の民主化からこの委員会を育成強化するとは一番先におつしやつていながら、同時に又日本というものは明治四年からの学制以来、中央集権的なもので来たからなかなか行けないというお話と、どうも文部大臣は口で理想的に言われることとお考え自身のものとはちよつとそぐわないものがあるような感じを受けるのです。そういうようなことで心配しておりますのは、或る方面で、委員会というものに対して相当文部省が人事的な面に強い連絡なり感化力なりを与えて、県知事から遊離された別のもの、或いは又文部省から息のかからないような現存のものを今度は任命制度に変えて行こうというようなことが言われておるのです。そうすると一番先にお話になつた育成教化、民主化ということの、口でおつしやるのと、二度目に仰せになつた日本の学制ができて教育制度ができた長い間の中央集権的なものでなかなかよく行かんのが実情というのと、ちよつとクロスした線が又逆戻りするような感じがするけれども、それはそうでなくてどこまでも民主的な選挙制というものによつてやるんだというのが今の文部大臣の御方針なのか。これは今の他の行政機関との関係でいろいろ問題があると思うのです。私どもはつきりとどつちがいいのか、方同をどつちにお進めなさるお考えであるか、それをお輝きしたいと思います。
  249. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私はこの教育委員会法考え方、遡つて教育基本法の考え方で日本の教育は進んで行くものである、こういうふうに思つております。併し教育の民主化というようなことは、これはなかなかそう簡単なものではないと思います。制度の上に形を作ることはできましても、本当にその制度の所期する教育の民主化というものは、これはひとり教育だけには限りませんが、それを実現するということは、ただ規定を作つただけでそれでいいと、こういうものではないと私は思う。そこで私が先ほど申上げましたのは、従来日本の、これはひとり教育だけではありません。あらゆる行政が非常に今日の言葉で言うと、中央集権と申しますか、統一国家という形が強く出ておつたということは、これは争うべからざることだと思います。そういうふうに、口ではいろいろ民主的民主的ということを今日言つておりますけれども、併しこれは長い間のやり馴れたことでありますから、依然としてこういう考え方は容易に抜け去るものではない。従つてこれを実際教育の民主化ということを、基本法な教育委員会法趣旨に副うてやるということにしましても、なかなか簡単に行かないということを申上げておるのであります。決してその漂うがいいと、だから中央集権に戻すんだという考え方は実は私は持つておらんのであります。
  250. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで第三に、教育委員会を育成強化するのに文部大臣はやはり熱意を示さなければいかん。これはどうしても彼らは熱意を持たないというのは、永続性というものに対する疑惑を持つておる。そこではつきり政府がこれをどこまでも永続させるのだという線が出て来れば、それを一つの出発点としていろいろなものが是正されて、そうしてそこでまあ本当に育成強化ができて行くんじやないかということを考えるわけです。今私の一番気にしております問題の一つは何であるかというと、この教育長の問題なんです。そこで私は、この委員会委員は皆立派な人でありましようけれども、実際仕事をやつておるのは教育長なんです。そこでこの制度が初めて起つたときに、文部省においては特別に講習会をお開きになつて適格者を養成されたのです。それで私は、その経験を少しお聞きしたいと思うのです。あの最初に文部省教育長になるべき適格者を養成したときに、どういう方法をとつてどういう結果を挙げて、一体日本全国で必要とするこの教育長の幾パーセントがどれだけの期間においてでき上つたか、そしてそれが費用をどれだけ要したか。私どもこれはどうしても僅かの費用でできるものならば、今の助役というような制度に対して反対なんです。教育行政にはこれはどうしてもやらなければならん仕事なんです。そこで六億か八億か落したということで、私の不満の最上の点はそこにあるのです。で、これはどうしても教育長というものを養成して行くということでなければ、私はこの委員会制度というものはいい成績は挙げられんと思う。従つて曾て文部省においておやりになつたあの経験を、大体どれだけ金がかかつたか、どれだけの日数で何をやつて、どれだけの人を使つて、而もそれが現在教育長として中央なり或いは又都道府県なり、或いは又市町村なりで現に勤めている人がどれだけあるか、その実態を一つ知らせてもらつて、それによつて来たるべき方策を是非立てて頂かなければならんと思うので、そのことを一つお答え願いたいと思います。
  251. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この点は、詳しいことは政府委員のほうから申上げたほうがいいと思うのですが、何しろ教育長というものは全国一万といたしましても相当の数になるということで、これは泥棒を見て縄をなうようなことかも知れませんが、結局急に応ずるというような形で参つたのであります。極めて現想的な、根本的なことではなかつたのであります。ただこれで相当の人のいわゆる資格者というものはできたと思いますが、それにもかかわらず必ずしもそれが教育長にすぐ任用されておらんというふうに、私はこれは間違つておれば事務当局から直させますけれども、私はそういうふうに思つております。というのは第一予算がない、町村に予算がない。それからこれは教育長の資格というものは教育長独自の資格というのでなしに、或る学校の先生の資格を持つていると同じ以上、こういうことなんでありますから、何も養成された急ごしらえの講習なり養成を受けた以外の人でも、その資格を持つていればこのほうがいいわけです。こういう人も今じきやめになるだろうということで、そこにおつてもなかなか就任はしてくれない。それから今のように予算がないからみすみすそこに人がいてもなかなか常任の人を置くことができない、こういうような状況にあるのであります。そこで助役……これは教育長というものは成るほど教育についての相当の造詣を持つことが必要であることは言うまでもないのでありますけれども、極く庶務的な面も相当あります。事務局長のようなものでございますが、そこで従来教育事務を市町村役場で取扱つておる、そういう場合に、いわゆる学事係とか学務係とかいうようないわゆる教育行政の庶務的な、事務的なことに当つてつた人がある。そういう人は必ずしも要求されておるような教育長の資格を持つている人ではありませんけれども、極く俗に言つて、一応ちよつと間に合うという人がおるわけです。そういう人はただそこの下の事務員よりも、そこで助役なんかしている人には随分そういう経歴を経た人が相当おるので、これが差向きそういうことをやつてもらうのに非常に便利であるし、助役とあればそうつまらん人というわけでもないということで、助役で一時兼業するということになつたのはそこから起つて来た、まあ私はそういうふうに思つているのです。
  252. 笹森順造

    ○笹森順造君 その費用と人数と、実際今勤めておる、それがわかりましたら……。
  253. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 今資料がないそうですから、それでは又後に……。
  254. 笹森順造

    ○笹森順造君 それを是非一つ……。そこで私の考えでは、その辺に教育委員会というものの運営が非常にまずく行つている例を実際見ているのです。例えば私は青森県ですけれども、百六十人教育長が必要なのに、有資格者が出発するのに八人しかない。そういう状況になつている。そうして止むを得ずこの制度を存続しようというなら、あのとき天野さんが、やはりそれらのことは準備をした上でやれというので、一年延ばせと、こう言つた。ところが自由党はやれやれと言つてつてしまつたということなんです。その点に非常に無責任なことがあつたと私は見ている。従つて、この制度をそこまで置いていながら、この教育長の有資格者を養成しなかつたということが、私は文教の責なりと責められても私は仕方がないと思うのです。この辺をもう少し熱心に考えてもらわなければ、これを育成強化しますと口でおつしやつても実際はそうは行かんじやないか。それは而もそうたくさんな金は必要としないと考える。地方教育大学等を通して、この講習免許資格を与えるような工合でもいい。今の助役でもかまわない。誰でもかまわない。そういう経験のある者を養成するということを政府が具体的にやるというのであれば、我々はそれに対して理解できる。それをうつちやつておいて、何もしないで育成強化しますでは、私は話にならない。これは政府としても是非一つ考えなければならないことだと思う。今も助役のお話も出ましたけれどもお話のごとく事務的な両もある。併しながら、どんな教育委員会でも、村の教育委員会でも、やはり指導教官という者がおつて、そのほかに事務員が三人ぐらいおらなければならない。その上に立つものが教育長である。従つて教育長というものが指導教師の上に、教官の上に立つて、而もその指導教師というものが校長そのほかのものの教育行政を指導して行かなければならない。その上に立つものですから、お話のごとく助役は事務的なものでいいということであるならば、私は賛成しかねる。そういう意味で、やはりもつと教育自体の本質をお考えになつてこのことをやつて頂くことができないものか。この予算はどれくらいかかるか知らんけれども、少くとも二年の間に、できれば今年の間に、教育長の有資格者の養成ということでもするのでなければ、私はあなたのお話をなさる育成強化のお約束が浮ばれんと思うのです。この点十河か今考えてもらわないと……、そういうことをし得る何かの方法がないか、大した予算でもないのだから、そういうことは一体どうなんですか。
  255. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 今はそれはやつておりません。併しこれは講習その他の養成はやつてつたのですけれども、今申上げたような事情で、相当な人数は一応数字上から言うと、これは私は実は実際去年の国会の資料で見たうろ覚えですから、間違つておりましようが、人数としては相当な人数になつているのですけれども、実際は何しろその予算がないので、金がないから専任が置けない。そこで今校長、そのまあ人事の異動でこれらにもいろいろ問題がありますけれども、年々若い先生方が出て来るから、まあ少し年をとつてやめる人ができます。従てそういう方面から予算のほうの措置が講ぜられれば、そうこの人を得ることに非常に困難だという事実はもうなくなつていると思います。問題はその予算がないのです。予算がないのですから、これは一番の急所であるから、先ほどいろいろお叱りも受けましたけれども是非とも教育長の経費というものを特にみて欲しい。で、これも自治庁のほうからも、その意味大蔵省に要求されているようでありますが、これは自治庁のほうとしてはいわゆる平衡交付金としてやつているのでありますが、田舎の貧乏な村へ行くと、又はかのほうへ使つてしまうという虞れもありますから、文部省希望としては教育長に関する分だけは別枠の、文部省予算として別枠にして、これはほかに流用のできないようにするという形で予算を組まれたい、こういうことで実は予算を編成して大蔵省にお願いしている。これが先ほどからお話になる通りに駄目になつた。そこで何としても教育長に対して或る程度の数字的な基礎のある予算を獲得するというのが先決問題だという実情であります。で、教育長の資格については今度の免許法の改正で、これは又教育者側の、これは日教組も含めてですが、教育者側のいろいろ意見もありまして、そのほうがよかろうということで、教育長の資格について何か今度衆議院のほうで今御審議を願つている免許法の改正手続をしているわけなんです。一番の要点は予算、何とか予算を組むということです。
  256. 笹森順造

    ○笹森順造君 どうも話は予算を十分取らなければいけないということであり、予算がないのだということであり、どうも三点の育成強化をするということを言つておられるが、これは苦心のほどはわかりますけれども、やはりできる範囲において、これを一つ強化して欲しい。今の三点の特に育成強化の具体案をお示し下さることを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  257. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  258. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午後六時四十七分休憩    ―――――・―――――    午後七時五十六分開会
  259. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。  文部大臣が八時半頃是非よんどころない用事があるから退席したいということで、文部大臣のほうから一つお願いいたします。
  260. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これまでの質疑で、大達文部大臣が市長村教育委員会を育成するという熱意についてはよくわかつたのですが、先ほどもちよつと触れましたように、この熱意にもかかわらず、実際町村教育委員会実情というものを考えてみますと、必ずしも文部大臣がお考えになつているようには行つていないと思う。私はこれを数歩後退しているのじやないか、こういうふうに申上げましたところ、大臣はちつとも後退していないということをはつきり言明されました。併し教育委員会本来の姿から言えば、現在町村の末端において行われている教育委員会の運営というものは、これは全く大達文部大臣教育の民主化というものとはおよそかけ離れておる、こういうように考えるのでありまするが、これは大体その出発点に少し無理があつたので、最初のうちは先ず先ず市程度において漸次慣れてから町村まで下して行つたほうがよかつたのに、これはまあ大達文部大臣の非常に固い信念で町村まで下して行つて、その実情は必ずしも文部大臣がお考えになるようにはなつていないということが実情じやないか、こう思うのです。時期尚早であつたというふうに私ども考える。これに対して文部大臣如何ようにお考えになります。
  261. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 松澤さんのお言葉の通りに、私ども当時の事情は私詳しくは存じませんが、時期が早過ぎたということは考えられるのじやないかと思います。その事情の整つたところから任意設置にしてそうして市或いは大きい町村というふうな順序を踏んだほうがよかつたのではないか。一応私もさように考えているのであります。ただ当時一斉に、殊に予算の面におきましても余り十分な準備なしに、一斉にこれが実施をせられた。せられて見ますというと、これはあと戻りをさせてやめるとか、或いは一時実施を停止するとか、そういうことはまあできないのであります。まあ実施せられた以上は、これは将来に望みを託して定められた制度でありますから、実施された以上はこれはやめるわけに行かないので、どうしてもこれを育てて行くという方向に行かざるを得ないと、かように今日まで考えており、又その方向に将来とも努力したい、かように考えております。
  262. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 一旦やつたものであるからこれをやめるわけに行かないというのですが、現在の実情のまま教育委員会というものをやめるわけに行かない。これはどうしても続けて行かなければいかんというふうにお考えになつても、教育委員会がとんでもない方向に行きはしないか、結局これは教育を不当な支配から解放するのではなくて、実際不当な支配に服させるような方向に行きはしないか、こういうことを心配するのですが、現実町村の末端において行政と教育というものが殆んど一体になつて行われている。こういうことは果して教育基本法なり或いは又教育委員会法から見て適当であるとお考えでございますか。
  263. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 無論今日の教育委員会の実際につきましては、不満足とすべき点が多々あろうと思います。これがまあ一面これを廃止するほうがいいというような意見も出るゆえんでもあろうと思います。無論私は今日これが満足すべき状態であると思つておりません。ただこの制度を今後とも育てて強化して参りたい、かように考えております。
  264. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ市町村教育委員会を育成するという御熱意に対しては敬意を払いますけれども、実際はそれに即しなければ、具体的な財政的な裏付ということをしなければ、結局何にもならん。お題目だけであつて少しも功徳がないというわけであります。その実際の問題として、助役の教育長の兼任であるとか、或いは又最近文部大臣が言われておりますように、学校長は資格を持つておるから学校長をして教育長を兼任させたらどうかというようなお話も出て来ておるのです。こういうことが教育委員会法の第一条に言つておる、教育が不当な支配に服するようなことがないようにするという大目的から逸脱しているんじやないか。つまり間違つた方向に行つているんじやないかということを心配するのですが、そういう心配は全然ございませんか。
  265. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 間違つておるというふうにも考えられませんけれども教育委員会自体が強化せられない、兼任で十分な教育長として仕事ができないというようなことであれば、教育委員会そのものが勢い弱体でありますから、従つて他の制度等の支配に乗ぜられ易いということは、これは一応考えられることであろうと思います。でありますからこれを早く強化をしなければならん、そういうふうに考えております。
  266. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあ市町村行政とそれから教育というものを分離させるというところに教育委員会の狙いがある。ところが教育長が助役を兼任するという形になれば、行政と教育というものとが完全に分離できない、結局教育委員会の狙つておる不当な支配から教育を守るということができない。こういうように考えるのですが、その点まあ止むを得ないといえば止むを得ないわけですが、教育委員会本来の精神から言うならば、こういう教育長を助役が兼任するということは、これはもう精神から逸脱している。結局行政と教育というものとが一体をなしているというふうに考えられるのですが、そういう懸念はございませんか。
  267. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 助役が教育長を兼任するという点につきましては、理論上今お話になりましたような懸念なしとはいたさんと思うのであります。ただ実際の問題といたしましては、助役を通じてこの一般行政団体の長の支配が教育委員会に及んで来るというような、実際問題としては、そういう虞れは余りないのじやないか。又一面におきましては、今日先ほどからお話がありますように市町村長、つまり市町村団体と教育委員会との間に多少の摩擦が大なり小なりある地方があるようでありますが、これらにつきましては、助役が兼任することによつて双方の意思が疏通して、円滑に行つておるというような事例があるように聞いております。でありますから、勿論助役が教育長を兼任するということは、理想的な形でないことは言うまでもないところであります。これはしばしば申上げますように専任教育長を、適正者を置くまでの予算等もありませんので、暫定的ないわば便宜的な措置としてそういう方法を講じて、実情に辻褄を合せるという誠に工合の悪いことでありますが、そういう考え方であります。一日も早くさような事態を解消する。それには何といつて予算の裏付が必要だ、こういう考えで折角そのほうに努力をいたしたいと思つておる次第です。今日教育長を兼任を置いております町村が、この前申上げたかと思いますが、三千八百ございます。そのうち助役を以て兼任されておるところが千六百ということでありまして、兼任しておるものがことごとく助役ということにはなつておりません。これは一利一害もありますけれども、理百論的に申しますと、助役の兼任ということは建前上面白くないことであると私どもは思つております。成るべく早くこれを解消したいと思つております。
  268. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 最後にこれは面白くないことであるとおつしやつたから、それ以上追及する必要もないように思いますが、併しその前に、予算関係どもつて助役と教育長を兼務しておるほうが便利なところもあるというようなことをおつしやつたのですが、成るほど便利ということは或いは便利かも知れないのですが、それだつた教育委員会というものを作る必要は全然ない。例えば大阪市の助役は教育長を兼ねればいい、或いは県の副知事が教育長を兼ねればいいということになるわけであります。それは言葉がたまたまそういうことに触れて言われたことであつて、結論から言えば助役の兼任ということは面白くない、こういうふうに聞いてよろしゆうございますか。
  269. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) その通りであります。
  270. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つこの兼任の問題で、先日助役は大体資格はない、この資格のないものはちよつと困るから、学校長なら資格を持つておるというふうに、学校長の兼任ということを言われたように思いますが、私が聞きました通りでよろしゆうございますか。
  271. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 助役のうちでも資格を持つておる人は相当あるように聞いております。昨年の特別国会に提案をいたしましたものは、資格を持つておる助役に限つて兼任を認める。こういうふうなあれであつたのでありまして、その点助役にも資格のある人はあるのでありますが、一面この学校の校長さんなんかしておる人で無論資格がある人で適任の人がほかにもあるのでありますから、できることならばこういう人に……、これは専任でないとなかなかむずかしいと思います。兼任ということになれば、やはり教育長のある場所と学校との位置の関係もありましようし、又実際仕事が掛持ちで忙しくなるでしようから、できるだけ専任の資格のある適任者を置きたい、こういう考え方でありますが、併し兼任で何とか間に合うということであれば当面それも止むを得ない、かように考えておりまして、現在兼任しております者も、助役をして兼任せしめておる者は半分以下になつておるという実情であります。
  272. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 成るほど助役の中には資格を持つておられるかたもある。そういう人たちが兼任するということは、教育の技術の点から言えば、或いは教育の運営という点から言えば非常に結構だと思いますが、併し、たとえそれが資格を持つているにしましても、やはり市町村行政というものと、いわゆる権力的なものと、それから教育というものとの分離ということにはやつぱり支障がある。この点は先ほど文部大臣が言われたことによつて面白くないということで、面白くないと私は承わつておきますが、学校長の兼任の問題は、単に勤務場所であるとか或いは時間ということだけでなくてやはり本来学校長としての職務と、それから教育委員会の下にある教育長としての仕事というものが、そういう兼任が行われると混淆される恐れがあるのじやないかということを非常に心配するのですが、そういう懸念はございませんか。
  273. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) そういう場合もあるかも知れませんが、併し混淆されるというよりも、事案仕事の上で両方満足に十分にやつて行くという点に私は遺憾の点がありやしないかと思いますが、できるだけ専任の教育長というものを早く充実させたい、こういうふうに考えております。
  274. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 学校長が教育長を兼任しているという事例はどのくらいございますか。
  275. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 昨年の十月現在の調べでありますが、学校長が兼任しておりますものが千七百一人という数字になつております。助役の兼任と殆んど同様であります。助役が千六百九十人、学校長で兼任しているものが千七百一人、こうなつております。
  276. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 学校長の兼任の問題については、これは資格の点から申しまして、その点では適当と考えられるのでありますが、併し一方では教育委員会法によりまして、教育委員が学校長の人事等を決定するという委員会法の四十九条の五でありますか、それによつて教育委員会の職務権限というものがある。言つてみまするならば、その教育委員会の運営の対象になる学校長が教育長になつて、そこの教育委員の運営の下に来るということは、やはりこれも助役の兼任と同じように面白くない。こう言わなければならないと思います。やはり文部大臣も面白くないとお考えでございますか。
  277. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 助役の兼任のほうは、これはこの法律建前からいつて、観念的に見ても面白くないのじやないかと、こういうふうな意味で申上げたのであります。いわゆる一般の行政団体の力が教育委員会に及ぶ、いわゆる不当の支配という点から見て建前上そういうものは避けたほうがいい。実際から言うと果してすぐ心配する事態が起るかどうか、これは別問題でありますが、先ほど申上げたように却つて両者の誤解とか妙な意味の摩擦が解けて来るという点もあるかと思うのでありますが、とにかく建前として面白くない。それから学校の校長さんのほうの兼任ということになりまするというと、これは建前の上からこれが面白くないということは、助役の場合とは違つて来るんじやないかと思うんです。ただ実際の仕事をする上に、少し両方兼ねてやるというのでは無理じやないか、こう思つております。
  278. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 実際まあ時間的に、或いは体力的に、或いは地理的にむずかしいということだけであつて教育委員会の権限と学校長の仕事、その関係で面白くないという点はございませんか。
  279. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育長が人事等に関与する、これは非常にその点重大な関係を持つておると思います。その場合に教育長が学校長を兼ねている場合には、自分の人事も併せてまあ考える範囲に入るわけでございますから、そういうことに弊害を生ずるとかいうようなことは考え考え得ないことではないと思います。併し普通の場合には教育長が兼務として、或いは事務としてやつておる学校の校長たる地位についての人事、これは教育委員のほうで考えておられることであると思います。これは普通の役所でも同じことでありまして、役所の役人のうちで人事に主として関係しておる職員があります。そういうものにつきましても、やはりその人自身についての人事というものは、それぞれその上の人が考える、課長については局長、局長については次官、次官については大臣、こういうふうにやはり考えるのでありますから、全然教育長が学校長と兼ねている点から、その意味において非常に不都合が起るというふうには考えておりませんが、これもできるだけ専任の人がいいという点では問題はないと思います。
  280. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 おつしやる通り、まあ役所の場合においても、自分の人事のことについて人事課長である者が関係するということは、これは考えられませんけれども、併し教育委員会の場合はそれと異なつて教育委員会というものが教育全般に対して責任を負うということになつておる。ところがその運営の対象になるものに、例えば四十九条の二ですか、学校その他の教育機関の用に供し、財産を取得するという場合、それから六に「教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。」ということが教育委員会の運営の対象になつておるわけです。その身分の問題についても、或いは任免の問題についても、その教育委員会の決定の対象になつている。学校長が教育長としてその教育委員会の下にあつて、そういう点をまあ実務を実行するということは教育委員会精神から言つて面白くないことである。やはり学校長は学校長として、教育委員会教育委員会として、そしてその下に教育長があるという本来の姿のほうが望ましいという点から言えば、やはりこれも教育委員会法精神から言えば面白くないという結論が出て来るんじやないかと、こう思いますが、如何ですか。
  281. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 専任の教育長がおることが一番当然のことでもあるし、それが望ましいという点は問題はないと思います。ただ校長が教育長を兼ねるという場合、無論専任の人がおるに越したことはないのでありますが、助役が教育長を兼ねるという場合の、観念的に見て建前上面白くないというのとは大分意味が違つて来ると思います。専任の人が望ましいという点においては、これは問題はないと思います。
  282. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私はどうしても学校長が教育長を兼ねるということは、建前上面白くないということになるんじやないかと思うんですが、つまり教育委員会の実務を教育長がやる、その教育長がやることはやはり学校長の任免についてもやるわけなんです。ところがその任免の点について決定を受けるその校長が教育長になつておるということは、やはり法律精神からいうと適当でない、建前上適当でないという結論が出て来るのじやないかと思うのですが、単にその時間の関係であるとか、或いは体力の関係であるとかいうことだけが面白くないのでなくて建前上やはり面白くないのではないか、こう思いますが、如何でしよう、重ねて……。
  283. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 建前上という言葉は、それはそういう意味で使つても差支えないと思います。ただ人事は教育委員会自身の、委員会と言いますか、教育委員の仕事でありまして、その事務を教育長がとるのでありますから、そう何と言いますか、その点が人事の対象になるはずの校長が教育長として人事に関する事務をとるということが致命的にどうしてもいけないというふうには私は考えなくていいのじやないか、無論専任の教育長があることが望ましいことは当然であります。
  284. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私もそれはもう百パーセントいけないというふうには考えておりませんが、例えば五十二条の三の四号でありますか、「教育長は、自己の身分取扱についての議事が行われる場合を除く外、教育委員会のすべての会議に出席しなければならない。この場合、教育長は、議事について発言することができるが、選挙及び議決に加わることができない。」これは教育長ができないということでありまするが、同時に学校長を兼ねている場合におきましては、学校長の身分取扱に関する議事についても同じようにその束縛を受けるのじやないかというふうに考えますが、そういう場合の教育長は教育長としての制限と、それからその決定を受ける人事の任免とか或いは給与というような問題についてもやはり制限を受けるのじやないか、二重の制限を受けるのじやないか、こう思いますが、その点は如何ですか。
  285. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この五十二条の三「教育長は、自己の身分取扱についての議事が行われる場合を除く外、」云々、この点の解釈は、今私どういうふうにこの「自己の身分取扱」……、これは教育長としての身分取扱ということを指していることは明瞭でありますが、更に進んでその教育長をやつておる人自身の身分の取扱、つまりそれが兼任である場合に、自分の校長としての身分の取扱についての場合もこれに包含されるものであるかどうか、これはなお研究しなければ、今ここではつきりは私の解釈を申上げることはできませんけれども、併しこの趣旨から申しまして、少くとも校長が教育長を兼ねておる場合に、自分自身についての人事が議せられる場合には、この規定建前上、仮に法律がその点まで包含していないとしても、当然教育長はその席から遠慮する、こういうものじやないかと思います。
  286. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますと、やはり教育長として会議に出席しなければならない、併しそれには制限があるという場合と、それから学校長の身分なり、或いはその給与なりの決定についてはやはり制限があつて、出席することはできるけれども、併し選挙及び議決に加わることはできないという、そういう点について二重のやはり制限を受けるということを考える。そうするとやはり先ほど私が申しますように、建前上面白くないということが出て来るんじやないか、こう思います。そこで私は助役の兼任も建前上面白くないし、学校長の兼任も建前上面白くない、二つとも建前上面白くないということが言えるのじやないかと思いますが、重ねてお聞きいたします。
  287. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この教育長というものは別に兼任を、教育長を他の職におる者が兼任をしてはいけない、必ず専任でなければならないという規定はないように思つております。むしろ助役のほうに、助役というものは他の職と兼任してはいけない、こういう関係があつて、この兼任を助役について認める規定は助役の職務上の制限に対する特例、こういう関係であろうと思います。でありますからしてまあ建前の上で兼任はいけない、こういうことは、まあ建前という意味でありますが、少くともその助役が兼任する場合とはよほど違う、こういうふうに思います。で、一般の校長についての人事或いは一般の学校長の給与に関する議事、そういう場合にこれが退席する理由はない。ただ本人の身分、本人の任免或いは本人の給与の問題、そういう場合には退席する、こういうことになるのでありまして、その点そう非常に困つた問題が起るというふうには考えなくてもいいのじやないか。教育長としましては、勿論教育長自身についての人事というものもやはり一応教育長が事務的には取扱う立場にあります。併しそういう場合には退席してそこへ入つてはいけない、こういうことになつておるのでありまして、校長が兼ねておる場合にもやはりこういうようなことになるのでありますから、そう法律建前上いけない、ここまで強いことはないと思いますが、それはまあ考えようでありますから、そういうふうにお考え下すつてもいいと思います。いずれにしても専任の人がおるのが一番よろしいということは言えるだろうと思います。併し法律において専任のものでなければいけない、兼任は許さんということは別に書いてないのでありますから、兼任ですることが直ちに法の建前をこわすというふうにまで考えなくともいいのじやないか、こう考えます。
  288. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういうことが、やはり助役の兼任と同じように学校長の兼任ということは建前上面白くないというふうに考える。この点は勿論それは専任が一番よい。併し専任で得られないから、そういう助役なり或いは又は学校長なりの兼任を認めているということで、その認めるという点については学校長でも助役でも結局同じことである。それで助役の場合は市町村の行政に関与しているから、教育長として建前上面白くない。そうだとするならば、やはり学校長としても学校長と教育長とは分離して別個のものであるということが望ましい。結局それは建前の問題であるということに私はなると、こう思うのであります。併しこれ以上言いましても仕方がありませんから、一つその点はこれで終ります。  なお、先ほど大蔵政務次官との話で、非常に強い大蔵省の一意向があつて、結局教育委員会を育成するという文部大臣の熱意というものが実現せられなかつた、こういうわけでありますが、果して大蔵省の中にそれほど強い教育委員会に対する財源的な裏付けをすることに反対する空気が現在でもございますか。
  289. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 私現在事務当局が何を考えておるかまだよく存じませんが、少くとも我々大蔵省の首脳部といたしましては、この問題につきましては、先刻来文部大臣も仰せられましたように、非常なこの問題について熱心な又考え方を持つておられることを承知しておりますので、財源が許すならば、機会があればできる限りその希望に副いたいと、こういうふうに考えておるのであります。
  290. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 文部大臣は、大蔵省からはそういう強い要望が現在でもあるのでございますか。
  291. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 現在そう強く廃止をするというようなお考え大蔵省にあるということは私は承知しておりません。大蔵省におきましては結論的には存置ということには御賛成になつておるのでありまするからして又折を見てこれをやめてやろうというふうな考えをしておられるとは思つておりません。
  292. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちよつとその点に関連して。併しそれならば大蔵省教育委員会の存置を尊重するという以上は、大蔵省がそう言う場合は必ず金の裏付けがなければ意味はないと思う。ただ抽象的に尊重すると言つたところで、予算の面になつたら蹴つてしまつて一文も出さんでは尊重するなんということにならん。そこで大蔵省は直ちに予算に立てましても、先ほど来松澤委員との間にそれは熱心に質疑応答されておる教育長を専任にする予算の六億にしても、これを削つてしまつておる。又折角議員立法でできて小学校に上る子供が非常に喜んでおつた一年生の教科書の無償配付制、僅か三億少々のものさえも一兆円予算という口実の下に吹き飛ばしてしまつておる。そういうことで本当に今おつしやるように教育委員会を飽くまで尊重し育成するという文部大臣の方針に大蔵省が協力しておると認めることは断じてできない。その点についてどういうような方法によつて、その次富の尊重するというお言葉を裏付けて行かれるつもりか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  293. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 各省それぞれ重要な施策を持つておられるのであります。そうしてそれにはいずれも予算の裏付けを必要とする場合がたくさんございます。そうした場合に大蔵省といたしましては、やはり財源全般と見合せまして、そうして最も急を要するもの、真に止むを得ざるもののみに限つて予算を計上して、そうして財政基本方針であるところの緊縮一兆円予算というものを編成したのであります。従いまして、本問題について不幸にして予算を計上することができませんでしたが、併しさればといつてそれは尊重しておらないという意味じやない。私は少くとも大蔵省として考えまする場合に、予算を認めてあるからそれを尊重しておるんだ、認めないからそれは尊重してないんだというふうに御判断願うことは非常に残念に思います。我々といたしましては、予算のあるなしにかかわらず、当該省所管の行政事務に対しては十二分に尊重の意思を持つて、而もその省にいろいろ御相談を申上げておる。これが我々の真意でございます。
  294. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちよつと今の……これは大変お言葉を返すようで甚だ失礼ですけれども、今のお言葉は少くとも大蔵省として財布を預つておられる責任者のお言葉としては私は受取ることができん。大蔵省が少くとも尊重すると今おつしやるが、本当に尊重し、この保護育成強化に熱意を持たれると言う以上は、それは文部省が要求するだけ全部出すということはこれはできんでしよう。これはできんでしようけれども、少くとも或る程度のものは最小限度出さなければ大蔵省がこの制度を尊重したということにならん。ところが一文も出しておらん。それで半数改選とかいつて僅か十八億のこの半数改選費用を一文も出さん。又専任教育長の六億というものも出さん。それから教科書の無償配付の三億も出さん。これは三億を二億に削つたということならまだこれは誠意のかけらぐらいは認められる。一文も出さん。一文も出さずに全然ゼロにしておいて、それに金を出す出さんにかかわらず十二分に尊重しておるというようなことは、これは大蔵省が言うのはおかしいと思う。そんなことは誰も承知せんと思う。
  295. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点甚だ遺憾でございますが、皆様のほうのそれは御判断にお任せするよりほかないのでありまして、私としましては、やはり当該文部省の所管の行政事務についてできる限りの尊重の念を持つて、而もこれに善処してやる。我々も又財政の立場から止む得ずこの際御希望を暫らく思いとどまつて頂いたらと、こういうことであります。
  296. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 委員長文部大臣がお帰りになると、お帰りを急いでいらつしやるということをお開きになつていらつしやるのですか。
  297. 内村清次

    委員長内村清次君) さようでございます。
  298. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 じや、質問が済めばお帰りになるわけですね。
  299. 内村清次

    委員長内村清次君) さようでございます。
  300. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 じや、私は最後に念を押しておきたいと思うのです。大蔵政務次官はまあ文部省予算と申しますか、具体的に言えば教育委員会の経費、この問題についてもいろいろいきさつがあつて思うに任せなかつたと、こういうことをおつしやつておられる。結局教育委員会は存置するという方針には同意しておるのだけれども、その財源的な裏付けをしておられない。今文部大臣が言われるところによりますと、大蔵当局においては今はそれほど教育委員会予算の問題についても強い反対もないようである。これは大変結構なことだと思うのですが、それでは今秋山君が言われましたような教育長の経費として六億、或いは又教科書の三億といつたようなもの、こういうものを来年度に大蔵省から予算に計上してもらう自信がおありでございますか。
  301. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 来年度の予算に当りましてはやはり私としてはできるだけ大蔵省にお願いをして、そして何とか予算を計上して頂きたい、こういうふうに思つております。ただこれは大蔵省が来年の財政の関係に立つて全般的に予算を査定されることでありますから、私のほうで如何希望いたしましてもです、必ず大蔵省にそれをお願いすることを、貫徹するという自信を持つと言いますか、そういうことはどうも何としても私から必ずそうしてもらうつもりであるということは申上げられませんけれども、私としてはできるだけの努力をいたしたいと、こう思つております。(「委員長」「関連して」と呼ぶ者あり)
  302. 内村清次

    委員長内村清次君) 関連ですから、小林君。
  303. 小林武治

    小林武治君 今の、実はこの委員会の議論がまるで教育委員会が絶対必要だというような議論になつておるんでありますが、私の聞くところによれば党の中には反対のかたもおられる。従つてどうも議論が変な恰好に考えられておる。私としては市町村の教育委員会には絶対反対するものであると、即ちこの委員会必ずしも委員会の存続を全部が賛成しておるものではないということは、私は政府当局も心得ておいて頂きたい。従つて大蔵省におきましてもこの委員会が皆教育委員会の存続を希望しておるというような考え方ではなくて、私はやはり大蔵省大蔵省立場として、世間の声も聞いて、この問題については文部省と相談される必要がある。こういうふうに私は考えておりますから、その点について大蔵省は今申されるように、教育委員会がどうしてもなければならんものと肚の底から思つておられるかどうかということを改めて私は質問いたします。
  304. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 大蔵当局と申しますよりは、先ほども申しましたように私個人の見解といたしましては、私は市町村、殊に小さい町村における教育委員会の問題につきましては地方制度調査会の答申の趣旨に私は個人的に賛成の意見を持つております。併しこれは単なる私の個人的の見解でありまして、大蔵省が来年度予算の御要求が文部省からありました場合に如何なる態度をとるかということにつきましては、文部省の御意向も十分承わり、更に政党は勿論のこと、世上の論議等にも十分注意をいたしまして、一方財政事情の状況を睨み合せて善処いたしたいと、かように考えるものでございます。
  305. 秋山長造

    ○秋山長造君 只今小林委員の御発言は私どもの言つていることをいささかはき違えておられると思う。我々がこの教育委員会の問題についてしつこく聞いておりますのは、小林委員のおつしやつたようなことではなくして、  大達文部大臣が町村教育委員会は要らんという強い輿論に対して耳をあえて塞いで、飽くまでこれは強化育成すべきものだと言つて強硬に突つぱねておられるから、強化育成すべきものという方針で行くならば、それを強化育成するだけの裏付けというものが政府自身としてなければいかんのじやないか。ところが大蔵省のほうに聞けば、尊重はするけれども裏付けはせんと、こう言う。そんなことなら意味はないじやないかという立場から私は質問している。政府自身のやつていることは、言つておることと、やつておることと全然矛盾しておる。そんな無意味な生殺しみたいなことをいつまでも続けるのだつたら、それこそ自治庁としては一番大きな迷惑である。そういう立場で質問しておる。  そこで私は大達さんに結論的に一、二お尋ねして見たいのですが、文部大臣はやはり日本の教育を発展さして行くためには、と言いますか、或いは更に専門用語を使えば、教育基本法の精神を具現して行くためには、どうでもこうでも町村教育委員会というものが絶対不可欠なものであるという確信を持つておられるかどうか、伺いたい。
  306. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 現在の制度におきまして教育基本法に則つて日本の教育の運営というものを民主的にやつて行く、こういうために教育委員会というものが現行法制においてそれのふさわしい機構として採用されておると思うのであります。でありますからして、勿論要点は教育の民主的運営ということが要点でありましよう。でありますから、別に教育の民主的な運営をするために別途に非常によい、又日本の国情に副うた制度というものが結論として考えられておれば、これを私ども、これは非常にいい制度であるということに結論が何かについて出て来れば、これは現在の教育委員会についての改訂、或いはその改廃の問題が起つて来ると思います。併し私どもは現状においては日本の教育の民主的運営というものは、これはなかなか実際において実質を伴つてこれを実現するということは、そう楽な仕事ではないのであります。そうして現在の法制が、とにかく観念的には私はこれを民主的に運営して行くという、つまり公選による人々によつて運営して行くということは、これは辻褄の合つた考え方としては立派な考え方であると思います。従つて現在の法制がこの基本法の趣旨に副うた機構としてこれを採用しておる限り、これを強化育成して行くということは当然に教育当局としては、文教の当局としてはとるべき態度であり、これが別の方法で十分実現せられて、国情にも謳うたものであるということになれば、これは又別論であります。私どもそれらについて別に研究、検討は続けておるのでありますが、やはり現在の公選で行くのが今のところ一番正しい行き方だ、今の制度が正しい行き方である、こういうふうに考えております。従つてこれをどうしても育成して行くということが、現行法制下における我々に課しておる、私どもの任務である、こういうように考えます。
  307. 秋山長造

    ○秋山長造君 で、この廻りくどい御説明でなしに、端的に教育委員会を続けて行くこと、いやそうでありません、教育委員会をどうしても存続して行かなければ、教育基本法の精神を日本の教育の上に具現して行くことができない、こう考えておられる。まあもつと簡単に言えば、どうでもこうでも町村教育委員会というものは絶対不可欠のものであると確信しておられるかどうか、イエスかノーか、端的に答えて頂きたい。
  308. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私、今申しましたように、別ないい方法というのを私、今結論として到達しておりません。従つて、これは基本法に謳つておるところの精神を具現するためには不可欠な制度である。こう思います。
  309. 秋山長造

    ○秋山長造君 而も、その不可欠の制度であると言われる教育委員会なるものは、飽くまで公選制を前提としての教育委員会であるかどうか、その点。
  310. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 公選制がこの問題の中心であろうと思います。これが選任制度であるということにすれば、これは選任者によつて教育が影響を受ける、支配を受けるということになりましよう。でありますから、いわゆる不当の支配を排除し、教育が運営せられるというその気持の一番端的に現われておるものが、公選制度による教育委員会制度、こういうように考えます。
  311. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、地方制度調査会の答申にあるような町村教育委員会を廃止し、更に府県の教育委員会は存続はするが任命制にすると、この答申は絶対反対ということで了承してよろしうございますか。
  312. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは今私が申し上げましたことで、御了承頂きたいと思います。反対であります。
  313. 秋山長造

    ○秋山長造君 そこで町村教育委員会地方教育委員会、特に市町村教育委員会に対する文部大臣の信念は、もう確固不抜のものであるということははつきりしたわけなんです。更にお尋ねしますが、その方針は、文部大臣の方針であると同時に、吉田内閣全体の方針であるかどうか。
  314. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 吉田内閣の方針であるというよりは、私は、国が法律によつて定めたる制度でありますから、国の方針であると思つております。無論先ほども申上げましたように、この法律が万古不易のものであるとは考えておりません。国情によつて、他の方法によることがいいということがあり得ることは、これは絶対にあり得ないとは私は思つておりません。そういう場合にはおのずから考え方が違つて来るでありましよう。現在においては、これは吉田内閣の方針であるとか何とかいうことでなしに、私は現行法制が認めている、国家が採用している制度である、かように考えております。
  315. 秋山長造

    ○秋山長造君 じや、それはこの法律を国民が守るという立場からのこれは一般論であります。そんなことはもうわかり切つたことですけれども、特に現在その中でも法律を動かすところの最高責任を持つておられるのは、やはり政府なんです。そこで文部大臣のそういう強い信念は、政府全体によつて確認されているところの方針であるかどうかということをお伺いしている。忽ちこれが予算なり何なりというような問題と関連して来るわけですから……。その点をお尋ねしている。
  316. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 将来この制度を変更することなく、育成強化をして行くのである、こういうことは別に吉田内閣として閣議決定か何かでそういうことをきめたものではありません。ありませんけれども、御承知の通り先ほどからお話に出たようにこの制度を廃止する、或いは任意設置制にするということは、政府部内においても、又地方制度調査会においても一応出た議論であります。で、この場合大蔵省においてもさような考えは一応あつたのでありますが、この場合存置するということに政府は決定をいたしたのであります。それによつて御承知願いたい。
  317. 秋山長造

    ○秋山長造君 そこで、それほど文部大臣が重大視し、又これなくしては日本の民主的な教育行政が保障されないというところまで思い詰めておられるその市町村教育委員会の実態というものは、先ほど笹森委員文部大臣との質疑応答にもありましたように、殆んどあらゆる点においてその裏付けが極めて不十分、そのために市町村教育委員会というものは月足らずでああいう事情で生れた上に、更にその後の保護育成という具体的な点が非常に欠けている。財政面は勿論でありますが、更に文部大臣のおつしやつた他のいろいろな行政機関との権限の調整の問題であるとか、或いは教員と教育委員との円満なる関係であるとかいうような点、特に教員との関係というようなことは今更言うまでもなく、今度の或いは教育法案というような問題によつて、却つて教員と教育委員会というものが敵対関係のような関係にこれははめ込まれてしまつて来るわけなんです。求めて教員を教育委員会の敵に廻す、或いは教育委員会を教員のかたきに廻すというようなことを、国のほうがやつているといつても私は言い過ぎじやないと思う。更に又一般の人たちの教育委員会に対する関心と言いますか、認識というものも極めて不十分であるということも、又文部大臣のおつしやる通りなんです。そこでせめてまあ予算の問題なり、或いはその他の問題は別問題といたしましても、せめて一般の人たちが教育委員会に対してもう少し理解を持つてくれるように、又その必要性をもう少し理解してくれるように、又教育委員自身がそれによつて教育委員会の将来に対する安心感と言いますか、張合いというものを感じてくれるようにということだけでも、文部大臣としては極力御努力になるのが私は当然だろうと思う。そこで文部省としてはそういうこの一般人の教育委員会に対する認識を深める、理解を深める、啓蒙するというようなことについて現在どういう方法をとつておられるか、又今後どういう方法をおとりになるか、その点ちよつとお伺いしたい。
  318. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会一般の人に認識を高めるということは、これは教育委員会自身が一般の人の思考するような、一般の人の信頼を博するような、一口に言うと、制度が所期しているような機能を発揮することによつて、初めて勝ち得られるものであると私は思います。これはそれぞれの地域々々において、地域に密接してそれぞれある委員会でありますからして、その委員会の働きというものが、地域を構成する人々の信頼に値いするということであれば、これは啓蒙的なことを言わなくても、これに対する認識、理解は深まり、又いろいろ講釈をして見たところで、現実目の前にある教育委員会というもののあり方について一般の地域社会の人々が不満足であればこれは宣伝をして見たところでその効果というものはおぼつかないものであろうと思う。私どもできるだけ教育委員会というものについての一般の理解が深まるように心がけておりますが、併し教育委員会とはこういうものであつて教育委員会の動きはこうだというようなことを、一般に何か冊子を作つて配るとか、そういう具体的なことは余りいたしておりません。ただ教育委員会というもの自身を、何とかこれは指導上、何か知らんが、一般的にもう少し高いレベルに行つて頂くように、これは本年度、二十九年度予算におきましても、教育委員会に対する文部省の広報費と言いますか、そういうのが、僅かな金でありますが各市町村教育委員会まで文部省から直接そういう印刷物を配付することができるような予算を頂きました。私どもはできるだけ教育委員会自身の健全なる発達、その育成強化ということによつて、この教育委員会一般の信頼を博するように、又認識と理解が深まるようにして行きたいと、かように考えます。
  319. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 最後に……文部大臣市町村教育委員会を育成するという熱意に対しては誠にこれは敬意を表するものでありますが、要は、私はそれだけの熱意があるなら、財源的な措置を講ずるような実際的な行動をとつてもらいたい。併し三十九年度も駄目である、或いは三十年度にしましても予算の規模から言つてそれもむずかしいだろうと私は思う。併し最初の頃は非常にあつた大蔵当局の反対の意見も今はないようだし、まあだんだんと話をして見るという話で、最後にはどうも余り自信がないようなことを承わつて、甚だ残念に思います。先ほど小林委員が言われたように、私たちもこの教育委員会を町村の末端まで作ることは時期尚早であると思う。併し法律によつて、或いは国の施策としておやりになるというならばその財源的措置を講じなければならん。これを放任しておけば、だんだんと私が心配するように、教育委員会というものがもう町村の行政と何ら変りのないものになつて、不当の支配から脱却することができない結果になる。こういう間違つた、或いは不十分なる教育委員会であるならば、或いはないほうがよいかも知れないということを懸念します。職を賭してということはどうかわかりませんが、来年度の予算においては是非とも一つその裏付けとなるものを確保したいという決意だけは示して頂きたいと思います。
  320. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) その点についてできるだけの努力をいたすつもりであります。ということは、先ほども申上げたのでありまして、ただ必ずその予算を獲得するという自信があるかどうかということであれば、これは何しろ相手のあることでありますから、あると言つて見たところで仕方がない。ただ私としては全力を挙げてそういうことの実現を期したい、かように考えております。
  321. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私も文部大臣にまだ質問あつたのだけれども、帰られるというから……。  自治庁長官に二、三伺いたいと思うのでありますが、この法案を見ますというと、どうも私はさつき疑問が起つた。これが自治庁から出されたということにつきましてね。結局この法案の中心になつている問題は、まあ教育委員会制度というふうなものの根本に触れて来るわけなんです。それが若し二カ年間半数改選をやめるならば、これは教育委員会法改正によつて処置されるべきものではないか、余りにそういうような方面の本質に触れている点が多いのであります。ところがこれが公職選挙法の一部改正で出されたということに対して、いろいろ疑問を持ちまして、先ほど文部大臣にもその点を伺つたのでありまするが、結局のところ、私の察知したところによりますると、初めはこういう考えはなかつたのだ。それはないはずなんだ。あのごとく熱意を以て、この教育委員会というこの制度を育成強化して行くということになつたら、こういう半数改選なんという、重要な、いわゆるこの教育委員会制度のうちでも非常に重要な部面を、簡単にこういうふうなものによつて改正するなんという考えは出て来ないはずなんです。いろいろ理屈を言つて見ましたが、文部大臣はですね、(笑声)一斉改選にしたほうが甚だよいようなことを後に考えたというようなことを言つているのですが、これはあとからつけた理屈であつて、この教育委員会制度の発足した当時の審議過程から見て、これは重大な部面になつている。教育行政というものは一日も空白を許すことはできない。そういうところに立つたこの根本の問題なんです。それを今更一斉改選にしたほうが都合がいいのだというようなことを、この文部大臣は臆面もなく言つているというようなことになりますというとですね、教育行政の責任者であるところの文部大臣として、どういうものかと私は今考えているのです。  そこで結局のところ話が廻りくどくなりましたが、これは大蔵省のほうから十八億でも節減すれば、一兆予算の枠がきちんとできて来る。こういうところで誘いをかけられたらしい。そこで自治庁も一役ここで買つたというふうな恰好になるのじやないかと思うのでありますが、そこで大臣の話を聞きますというと、大蔵、自治庁、それから文部で以て協議した結果、こういうふうな立案になつたのだというふうなことでありました。そこでこういう重要問題を自治庁長官がどうして一体引受けたか。(笑声)私は当然文部大臣にやらすべきものだろうと思います。ここを聞きたい。その点をもう一つ御答弁願います。
  322. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は先ほど来この委員会で非常に御質疑になつてつた、問題になつた点なんだと思うのですが、それを別な面からお尋ねになつておると思うのでありますが、皆さんがたのお尋ねは、これは教育委員会の本質に関する変更の考え方だというようにお考えになつて、いろいろお尋ねになつてつたのでありまするが、私は、又文部大臣もそのようにお答えだつたと思いますが、そうではない。教育委員会というもののあり方については、随分議論はいたしましたけれども、とにかくこの段階においては政府としては育成強化をして行くという建前で、最終的に結論が出て、それはそれで別に、さて、そうしても、今までのような行き方でいいだろうか、又ああしなければならないだろうかということで問題を検討したのが、この提案になつたのでありまして、これは従つて選挙やり方というようなことに関する問題でありますからして、私のほうがお引受をする、こういうことになつたわけであります。
  323. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 従つてこの選挙の問題であるからと言つて、あなたのほうで引受けられたということに対しては今の政府全体が教育というものに対する一つ考え方というものが、まるつきり素人であると私はそう考える。そのようにこの二年を延ばすのだというふうな簡単な一つ考え方に立つということは、これはあり得ないと私は思うのです。もつと教育というふうなものを深刻に考えて行つたならばこういうことは出て来ない。これはまあ自治庁長官としてもやすやすと引受けたところにあなたのほうの教育に対する考え方というものは私は不十分な点があるのじやないか、こういうふうに思うのであります。そこでそれを責めておつたところでどうもしようがありませんので、結局このことは教育委員会制度というものに対するあなたの一つ考えを私は聞かなければならんと思う。先ほど来これはまあ文部委員のかたの質問にもお答えがあつたようでありまするが、あなたの考え方としてはこの教育委員会ばかりでなしに府県の性格であるとか、或いは知事の公選であるとかいうことに対しても、何かこれでいいのか、何か別な考え方があるのではないかという非常に懐疑的な考えを私は持つておられると思う。その懐疑的な考えを持つておられるということは、結局教育委員会制度というふうなものは今のようなこの制度である必要がないのだ。むしろ教育委員会制度というふうなものは必要がないんだというようなことか、それよりももつと手つ取早く昔のような学務部長といつたような形でやつたほうがいいんではないかというような考えがおありであるんじやないかと、私はそう考えるのですが、そこの本当のところはどうなんですか、それを伺いたい。
  324. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今の制度のままでなければならない、若しくはこれが絶対に必要であるというように考えていないのではないかという点は確かにその通りであります。私ももう少し別の考え方があるのではないかと、こういうように考えているのは事実でありますが、併しそうだからと言つてそれをどういう工合にするということは私ははつきりとここで、而も公の委員会自治庁長官としての立場で申上げるほどの意見を持つておりませんし、先ほどもちよつと又断片的に申上げていろいろお叱りを頂いたようなこともあり、いろいろ議論を混乱に導くようなことでありますので、この機会にはこの問題に関する限りにおいては考え方は先ほど来申上げた通りきまつておりますのつで、何とぞ御了承頂きたいと存じます。
  325. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大体それで以てあなたの肚の中が私はわかつたような気がするのです。そういうふうな肚を持つておられるのでこういう改正選挙法で以て片付けてしまおうとこういう結論に達したんじやないかと思いますが、これはあなたはそういう考え間違いであるというふうなことはどうですか、お考えになりませんか。
  326. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その考え方は間違いでございまして、私が先ほど申上げたような考え方でこれを引受けただけであります。
  327. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 間違いであるというふうなことはちよつときついかも知れませんが、むしろそれは軽卒であつたというようにお考えになりませんか。
  328. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 軽卒であるとは私の考えでは感じておりません。
  329. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうも、私はそれでは更に私の考えを申上げますというと、間違いでもない、軽挙でもないということになれば、これは少くとも十分考えが練れなかつた、不十分であると、こういうふうにも私は考えられるのでありまするが、まあそれ以上言いません。  次にもう一つ伺いたい点、教育長の助役の兼任の問題でありまするが、これは兼任がいいか悪いかということはもう私はお伺いいたしません。先ほど来もいろいろ松澤さんからの御質問もありましたし午前中にもいろいろお話がありましたから、そういう方面に触れませんが、これはまあ明らかに文部大臣のいわゆるこの教育委員会育成というふうな点から考えて行けば、そんなあり方というものはあり得ない、速かにこれは専任の教育長を置かなければならないように思うのであります。ところが育成強化を非常に主張しておるところの大臣として、さつぱりそういう方面の予算の獲得も何もできない、先ほども随分その点を突かれておられたようでありますが、まさにその通りと私も思うのであります。そこで私は今あなたにそれを聞く考えはないのでありますが、一点あなたにお聞きしたい点は、これはたしか法律的には二十九年の三月三十一日限りで切れたはずであります。それが今日どういうふうな状態になつておるか、その経過について伺いたい。
  330. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点は、実は若干時期が遅れまして非常に恐縮に存じておるのでございますが、先般衆議院のほうに提案をし、御審議を頂きまして、衆議院のほうが通過いたし、只今当院のほうに送付された段階の地方自治法の一部改正法律案の中に関係の条項を挿入いたしておる次第でございます。
  331. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、地方自治法の一部改正というのはまだ向うは通過しておりませんですね。今のお話ちよつと私聞き漏らしたのでございますが、やがてこつちへ来ますか。
  332. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) こちらへすでに送付になつております。
  333. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうですが。その内容についてちよつと伺いたい。どういうふうに取扱つておられるか。
  334. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは当分の間助役と教育長の兼任をさせることができるということを、地方自治法の中では助役は他の職務を兼ねることができないということになつておりますので、その規定を排除する意味でそういうものを入れておる次第でございます。
  335. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、当分の間という条件が付いておりましたか、今後永久にそういうふうにやつて行くというようなあれになつていますか、その点を伺いたい。
  336. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 当分の間でございます。
  337. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、この法律参議院で以て自治法はまだ審議にも入つておらない。そうすると四月一日から今までどういうふうな根拠に基いてやつておられたか、或いは教育長を兼任しておらなかつたのか、それらの点について伺いたい。
  338. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは甚だその点は制度工合の悪い恰好に相成つているわけでございますが、恐らく先ほど来文部省当局からお話のございました学校長或いは助役、校長は関係ございません。助役の兼任の実際の措置としては事務取扱というような形のものとしてやつておられるのではないかと考えておりますが、この点は実は昨年の改正の際にもやはり同様に三月三十一日まで一応兼任の期間が法律上許されておりましたのが、やはりこれも時期が遅れまして、兼任を認める法律が成立したように考えておりますので、昨年と同じような状態になつておるわけでございます。遺憾と申せば遺憾でございますけれども、そういうような気持を持つております。
  339. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その取扱が私は非常に重要だと思うのです。この前も母子手帳の場合にちよつと伺つたのでありますが、法律がまだできない間に若しこの助役が教育長を兼任して、在来の通り継続しているということになれば、明瞭にこれは法律違反になると思うのです。そこで今のお話では極めてあいまいなお話であつたように思う。或いは事務取扱としてやつておるのじやないかとも思う。こういうふうにあれされましたが、その辺的確にこうなつているのだということをはつきりしてもらいたい。
  340. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この点は先ほど申上げましたように、昨年と同じような事態が現出しておるわけでございまして、昨年はやはり只今申上げましたように事務取扱というような形でやつてつたと思うのであります。今年も恐らくそのような状態に実際なつておると考えております。
  341. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その事務取扱としてやるというふうなことの根拠はどこにあるのですか。
  342. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは制度上すべて完備いたしておりますれば、その制度従つて措置ができるわけでございまするけれども、或る職が欠けました場合は、次の者を埋めることができないという場合におきまして併しその職に伴う仕事が当然にあるわけでありまするが、そこで止むを得ない措置としてこれは一種の条理と申しますか、法律上の一つの理論的な考え方からそういう場合に事務取扱というようなことで、上の者がその措置をやる、或いは下の者が心得というような形でこれを処理するというような行政措置上の例があるわけでありますが、そういうような考え方でやつておるものと考えております。
  343. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、行政措置上の例に倣つたということになるわけですね。そうするとその例というふうなものが出て来る又その因があるだろうと思う。どういう規定によつてそういうことができるのか。
  344. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは只今申上げましたように、条理と申しますか、そういうような一つ考え方からさようなものができる。こういうふうに考えておるのであります。
  345. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点は市町村であれば市長とか或いは村長とか、そういうふうな人の考え方によつてできるわけになりますか。そういう権限があるのですか。
  346. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは考えと申しますのは、具体的に或る人の考えということではなくて、そういう一つの条理、条理に基いて一種の慣例が、慣例法と申しますか、慣習法と申しますか、そういうようなものができ上つておると考えるのであります。そういう考え方から、この場合においても事務取扱ということは許されるというふうに考えるのであります。
  347. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういうふうなことは、条理ということはよくわかりませんけれども、そういうことによつてびしびしと処理できるということになれば、これは法律が要らなくなつてしまう。問題は非常に悪用される部面が私は出て来ると思う。どうですか、その点。
  348. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今申上げましたように、これは将来長期の制度ということでございまするならば、そういうことは条理上も許されませんし、そういう慣習法も勿論あり得ないわけでございますが、或る短かい時期におきまして、専任の教育長ができないというような場合に、併し現におりまする者を今までは専任で許されておつた、併し直ちに専任の教育長が得られないというような場合に、その兼任において教育長を事務取扱というような形で処理するということは、これはまあ慣例上許されるものだと考えるのでありまして、それを長期的な制度としてやることは無論できないと考えているのであります。
  349. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は、そういう方面の法律のあれはよくわからないのですが、それは一体如何なる法にもそういうふうなものがひつついて廻るものですか。(笑声)
  350. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) それが、そういうことが許されるものというふうに、私ども法律の運用の上において考えている次第であります。
  351. 笹森順造

    ○笹森順造君 私は、これは非常に困ることが今後起りやせんかと思うので、折衝、大臣がいるからお尋ねしたいと思うのですが、予算が三月三十一日までできまつても、予算を伴う法律が四月、五月になつて……、随分この補助金に関する法律ども長引いて、いろいろ困つている実情がある。これを私は今の国会の運営の仕方で十二月から始まつて四月までで終るということが、毎年々々必ずこういうことになりやせんかと思う。この点は、今の問題が解決されないと、将来まで残る大きな国会の運営の重大問題になるかと思うのです。従つて百五十日という会期を通常国会として設けるならば、十二月から始まつて、そしてこの三月三十一日まで終るということにならなければ、この予算の年度というものが三月三十一日であり、而も法律というものがそこまで来ないということになれば、これは非常な大きな問題じやないか。こういうようなことで閣議などでこういう困難な問題にぶつかつて、そうして今でもいろいろな、ちよつとの間の法律ができるまでのこれの適用ができなくなつてつているというようなことで、閣議でそういうようなことで論議になり、根本の問題で考え直すというようなことはなかつたのでございますか。
  352. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は、私が国会に出ましてから約八年ばかりの経験から、やはり過去にもたしかあつた。ただ何ということなしに関連して予算が早く上つて法律があとになつてつているということはよくあつたように記憶いたしております。それが最近のこの国会の運営の状態を見ておりますると、予算が通る、そうしてそのあとで法律案が出て、よく予算と違う考え方の法律案の御審議のときには意見が出て参るということがあつて、これはやはり一緒に出さないと審議が予算と並行して行かないということについては、政府側に若干考え直さなければならん点がある、こういうように考えておりますので、そういう点は国会法の改正その他で考えなければならない問題は確かにあると思います。併し政府の今までの行き方といたしましては、成るべく予算法案を歩調を合せて出してそうして審議の上においてそういう矛盾の出ないようにするという方向でやつてつたわけであります。ただそういう現実の事態といたしましては、やはり相当議論のある問題が多いものでありまするからして一面法案が遅れて、そうして大変御審議に御面倒をかけている、こういう状態になつております。
  353. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで会期を変えて行つて、年度と合わせるということがなければ、前の憲法の時代のあれであれば一瀉千里に年度末に一切のものをきめてしまう。ですから四月に入つてからちぐはぐになることはない、否決なら否決、継続審議なら継続審議、やらないならやらない、こういうことがなければ永久にこういう問題が残るんじやないかということで、そういうことでただ予算法律とちぐはぐになるという問題でなくて、四月を越えて後ということの問題がどうしても将来残ると思うんだが、この点はどうぞ御研究おき願いたい。
  354. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、今の鈴木次長さんの御答弁によると、長期間に亘つてはこれは条理も効果を現わさないように思うんですが、そういう重要な関係がある自治法の一部改正がこつちへ廻つて来るということは、これは不都合千万だと思います。若し一体我々の審議において審議未了になつたらこの問題はどうなりますか、この点伺いたい。
  355. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 私どもといたしましては、今回この地方自治法の改正案を、先ほど来お話のございました地方制度調査会の答申の線に沿つて立案をいたし、提案をいたしたいといろいろ考えておつたわけでございますが、なかなか各方面の折衝がうまく参りませんで、結局どうしても止むを得ないものだけに限定をいたして衆議院のほうに過般提案をいたしたわけであります。而もさように絞つた案の中にこの問題は入つておるわけでございまして、私どもといたしましては是非この地方自治法の改正法律案を通過さして頂きたい。万一それが通らないという場合には非常に支障を生ずる、予算的にも非常に困難になりますので、是非これは通して頂きたいと考えるわけであります。
  356. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 是非通してもらいたいというのはあなたの希望で、今会期が一週間かそこらのときに、而も法案がたくさん来ているときに通してくれというふうな考え方は少し甘くありませんか。
  357. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の表現は甚だ不適切であつたと存じますが、その点は御了承願いたいと思います。ただ率直に希望を申上げた次第でございまして、若し御質問のようなことがございましたら、非常に困難な事態に逢着するわけでございます。
  358. 秋山長造

    ○秋山長造君 この選挙法の改正理由の第二点になつているだろうと思うんですが、現在の半数改選では補欠選挙と同じような考え方を持たれやすいし、従つて投票率も非常に低いので一斉改選にするという理由が挙げられているんです。この理由は極めて抽象的なんで、この際一斉改選にしたならば投票率がどれだけよくなるかという見通しなのか、又今行われている半数改選投票率がどの程度なのか、それからそういうパーセンテージがありましたら、ちよつと参考のためにお知らせ願いたい。
  359. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 教育委員会委員選挙の最初は、御承知のごとく昭和二十三年でございますが、昭和二十三年の選挙におきまする投票率は五六%であります。
  360. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは全国ですね。
  361. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) ええ、であります。二十五年が五三%、二十七年がこれは六〇%でございます。それで東京都で申しますと、二十三年が二九%、二十五年が二五%、二十七年が三四%ということになつております。
  362. 秋山長造

    ○秋山長造君 この今御説明になつた数字から見ますと、必ずしも半数改選投票率が低いということが言えないので、むしろ逆に二十三年はこれは最初ですから一斉選挙ですね。二十三年の一斉選挙のときには五六%なのが、二十五年の半数改選では五三%、まあ僅か三%ばかり減つていますけれども、ところが二十七年の半数改選には、逆に六〇%に殖えておるのですね。だからやはり全般的な傾向としては、半数改選のほうがパーセンテージがずつと上つて来ている。それから事京都だけの数字にとつて見ましても、二十三年の最初の一斉選挙のときは二九%なのが、二十七年の半数改選には三四%に上つて来ている。この数字から考えますと、必ずしもこの半数改選投票率が低くていかんという理屈は立たないのではないかというように思うのですが、その点如何ですか。
  363. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 投票率は只今御指摘の通りでございますが、この二十三年と二十七年、この両年は、二十三年には都道府県の教育委員の二者選挙があつたわけでございます。それから二十七年のほうは市町村の教育委員の一斉選挙があつたわけであります。二十五年は、これは都道府県の教育委員の、いわゆる半数改選と申しますか、半分の選挙であつたわけでございます。この三つの選挙を比較いたしますると、三十五年の選挙が都の場合には二五%、全国でも五三%で一番低くなつておるわけでございます。で、やはりこういう点から申しまして一斉選挙ということになりまずると、余計に何と言いますか、選挙熱も高まつてつて従つて投票率も上つて来るのではないか。半数改選ということになると、どうも一種の補欠選挙的なものがあるのではないかと考えられるのであります。なおそのほかに、先般もちよつと申上げましたように、この半数改選の際におきましては相当無効投票が多いということが言えるのであります。現職の教育委員の人に対して、今度改選になるものと思つて投票するというようなものがございまするので無効投票も相当多い、そういうような点もやはり若干考慮する必要があるのではないかと考えております。
  364. 秋山長造

    ○秋山長造君 さつきの、最初おつしやつた数字の二十七年の全国六〇%、東京三四%というのは、都道府県の教育委員会のほかに市町村教育委員会投票率をも含めた数次ですか。で、そうすると二十三年、二十五年のは、そういうものが含まれていない数字ですからちよつと比べるのがおかしいのですが、二十七年もやはり、二十三年、二十五年と同じように、二十七年も都道府県だけの教育委員会のパーセンテージというものはないのですか。
  365. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは同時投票でございまするから、従つて投票率としては同じでございます。
  366. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 折角大蔵政務次賞が見えておられますの、で、二、三御質問申上げたいと思うのですが、いろいろと質疑応答を承わつておりますと、まあ十八億を節約するために半数改選任期延長したというふうにもとれるのでありますが、大蔵当局としましては十八億節約のために任期を延長するという御方針になつたという、純粋に財政的な理由からこの法律が出されたもの、こういうふうに了解してよろしうございますか。
  367. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点はそうではないのでございまして、大蔵当局としては財政上の見地から地方制度調査会意見等の次第もありましたしするから、それだけを唯一の理由にしたわけではございませんが、輿論にも顧み、かたがた大蔵省予算当局の意見として文部当局に廃止の御意見を申上げても見たり、或いは更に変つた何らかの方法がないだろうか、節約する方法がないだろうかということを御相談申上げておつた次第であります。それに対しまして文部当局では廃止する意思はない、大いになお助長育成して行きたいのだが、それではいろいろ選挙実情等の結果からも考えて見て、そうして半数改選よりも一斉改選のほうがいいということも十分考えられる点があるから、これに対して善処して行こう、こういう御相談になりまして今回の制度改正になつたわけであります。
  368. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 余り私語が多くてどうもよく聞きとれなかつたが、(「済み七記せん」と呼ぶ者あり)政務次官は地方制度調査会の答申ということを非常に重点を置いておられるようであります。若しそうだとすれば、我々としてはそう言われるとつい言いたくなることは、それでは遊興飲食税はどうしたかということを申上げたくなるのであります。それほどやはり地方制度調査会の答申にこだわつておられるのですか。
  369. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 或いは私の声が小さいからお聞き取り願えなかつたかも知れませんが、私は再三申上げておりますように、地方制度調査会の御意見の次第もこれあり、ほかにもいわゆる輿論にも鑑みまして、いろいろ御意見文部当局に申上げました。その結果、文部当局でもいろいろ御研究の結果、今回の制度改正を思い立たれ、これに御同意申上げておる、かように申上げておる次第であります。
  370. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうしますと、今回の法律改正は純粋に文部当局の自主的な発意によつたものというふうにおつしやるのですか。
  371. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 勿論主たる発意は文部御当局にあります。併し文部当局がそうした御決意をなさるにつきしましては、我々大蔵当局の意見を参酌せられたものと私は考えます。
  372. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局そうしますと文部当局と大蔵当局の意見が期せずして合つたというふうな結果になるのでありますか。先ほどちよつと大蔵政務次官は、個人の意見としては市町村教育委員会はないほうがいい、廃止したほうがいいという意見を申されたのでありますが、これは我々としまして非常に審議に重大な問題を提示すると思うのです。この点は深く追及する意思もございませんが、政務次官がそういうお考えであれば、それはよしんば個人の意見であつたとしても、いわゆる文部省教育委員会の育成のために要求せられる予算というものが、そういう個人的な意向によつて削減せられるということが必然的結果として現われて来ると思いますが、そういう個人的な意見というものが大蔵当局の意思決定にどれほど大きな影響を持つかということ。
  373. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点は、お答え申上げますが、私個人的意見と申上げましたのは、先ほど秋山委員でございましたが、君は大蔵政務次官としての意見だろう、個人の植木か、大蔵政務次官としての植木かわからんというような御趣旨のお言葉がございましたが、私の個人としてと申上げましたのは、一衆議院議員の植木としての意見でございます。大蔵政務次官としての立場としてはおのずからこれは考えることが別でなければなりません。と申しますのは、私が如何に個人的にさような考えを持つておりましても、政府の一政務次官となつて職を食んでおります以上は、その際やはり文部省意見政府意見というものを十二分に尊重して参らなければならないのであります。従つて一政務次官が個人としてどんな考えを持つておりましても、その考えは勿論省議その他の場合にいろいろ述べることはございましよう。併しながらその個人的意見を最後までつぱつて、そうして政務次官としてそういういろいろな問題についてそれを主張し続けるか、或いは適当なる時期に自分の考えを反省して相手方なり或いは政府意見のおのずから存するところに従つて行動するかということは別問題であります。私はやはり政務次官たる以上は公の立場に立ちまして単なる個人的意見のみに固執すべきではない。併しときあつてか、或いは自分の主義主張の上からどうしてもそれに自分の意見を貫かなければならんというような重大な問題が起るときは当然職を辞して然る後かかる意見を主張し続けるのが至当だろう、かように私は考えております。
  374. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大分個人的な問題に立入つて恐縮でございますが、この教育委員を町村の末端まで設置するということは自由党の政策であり、恐らく法律案として提案されたときには大蔵政務次官はこれに当然賛成なさつただろうと思うのです。そうすると最近はそうでなくて、町村教育委員会は廃止すべきであるという個人的の意見を持つていらつしやる。それは衆議院議員植木さんであると同時に自由党の党員植木さんであると見た場合、やはりそういう立場において党議で決定しておるときは、やはり個人としても従わなければならん、個人としてそういう発言をなさることはどうかと思うのです。その点はどうですか。
  375. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点に対する御批判はお任せ申上げたいと存じます。
  376. 石村幸作

    石村幸作君 議事進行……大分質疑も進んだようで、どうも同じことを繰返されておるが、ここらで質疑を打切つて頂きたいと思います。動議を出します。    〔「賛成」「反対」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕
  377. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと待つて下さい。  速記をとめて。    午後九時十六分懇談会に移る    ―――――・―――――    午後十時四分懇談会を終る
  378. 内村清次

    委員長内村清次君) 懇談会を閉じます。
  379. 石村幸作

    石村幸作君 懇談中の皆さんの御発言に鑑みて、先ほどの動議を撤回いたします。
  380. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほどの大蔵政務次官の個人的見解といたしましての問題については、私はもう少しお尋ねしたいのでありますが、時間の制限もございますので、その点は別といたしまして、そこでお伺いをいたしたいことは、先ほども文部大臣にお伺いをしたのでありますが、来年度の予算について、相当来年度の予算も苦しい予算である、こういうふうに考えられるのでありますが、果して文部大臣が言われているような教育委員会の振興育成というような経費が計上されるお見通しがありますかどうですか。
  381. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点につきましては、来年度の財政全般の問題にも関係がございまするし、又文部省所管の御要求の事項、金額等についてもいろいろ問題があろうと思います。従つて彼比緩急を図つて十分に研究をして参りたいと、かようにお答えするよりほかないと思います。必ずこれを計上するとか、或いは計上困難だというようなところは、只今のところ私といたしましてはお答え困難に感じます。
  382. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 具体的に申しまして、教育長の経費がどうである、或いは又教育委員会に対する各般の補助と申しますか、或いは交付税の交付金にどれだけ見込むかということは、非常にもう今日の段階として御言明なさることは困難であろうかと存じますが、極く大ざつぱに申しましても、来年の予算の規模というものは、どの程度のものになるとお見通しでございますか。
  383. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 私はまだその点につきまして十二分の研究を積んでおりませんが、過日大蔵大臣が他の席で申上げておる言葉を引用いたしますと、来年も成るべく一兆円以内に予算を抑えて行きたい、かように感じておるというふうのお言葉がありましたから、私もさように存じます。
  384. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 来年の予算が一兆円である、そういうふうにしたいということであれば、やはりまあ我々が申します、再軍備的な予算、或いは又自衛隊の予算、その他防衛的な予算というものが相当大幅に増加するであろう。従つて教育費の面につきましては相当の圧追が加わるということは、常識的に想像されるのじやないかと思いますが、教育費に対する圧力と申しますか、そういうお見通しは如何でございますか。
  385. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) でき得る限り、我々といたしましては文部関係予算につきましても計上に努めたいと考えます。
  386. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私はこの予算全般についていろいろとお尋ねしたいのでありますが、これも時間もございませんので、これ以上御質問申上げるわけに参らないのでありますが、二十九年度予算は、いろいろ国会における三派の修正であるとか、或いは相当程度あちらこちら出入りがひどくなつて来ているようでありますが、この予算に対しましては何かこう補正の方法を講じなければならないと思うのでありますが、議決されました予算に対して大きなものとしてどの程度の出入りがございますか、生じて参りますか、この点を承わりたい。そういう点はまあ教育費であるとか、或いは又はこの教育委員会の育成の問題と関連して将来の見通しを立てる上から必要でありますので、国会で成立いたしました予算に対しプラス、マイナスというものが相当大きく動いていると思うのですが、大きなものを拾い上げてどういうような状態になつておりますか。
  387. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点につきましては極めて簡単になるかも知れませんがお答えいたしますと、御承知の予算の衆議院におきましての三派修正に基きまして、五十億円を予備費から廻しましてこれを財源として歳出を計上いたしました。ところがその五十億円につきましては予算の成立後に実行に際して適当なる費目、即ち物件費その他庁費等において節約をして、そうして予備費に当るところの、この五十億円に当るところの金額を捻出するということになつておりますから、この点が先ず大きな問題がございます。更に御承知の奢侈繊維税の問題がございますが、これは目下衆議院におきましてその審議を至急やつて頂くように我々大蔵当局といたしましてはお願いをしております。併しこれが、会期延長にはなりましたけれども、若しもこれが不幸にして成立に至らんということに相成りますると、この金額が八十五億円に計上いたしておりましたから、この点が大きな穴が生じます。又入場税の問題におきまして、これが税率の修正が御承知のように衆議院でございました。これが政府の一応考えておりまするところの歳入見込額は百四、五十億ということに見込んでおります。ところが当初予算に計上しておりましたのは、百九十二億ということに相成つておりますから、この点の差額の問題が約四、五十億ございます。これらの点が只今考えられる大きな移動の点でございます。
  388. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういたしますると、この補正の問題も重要でありますが、結局来年度予算に対しましてもこの予算成立後におけるまあ穴埋めと申しますか、この問題を今年中に何か補正しなければならんというふうに考えられますが、補正の必要があるかどうか、或いはその時期について伺いたい。
  389. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今移動の数字はいずれも財源を必要とする問題でございます。従つてこれは実行予算の上におきまして、歳出予算の面でどういうところでどういう節約をするか、そうして成るべく金額を浮かして行かなければならん問題に相成るのであります。歳出のほうに今回の国会におきましての諸般の論議の結果、補正をしなければならん部分が極めて少額なものが若干ございますけれども、余り大きな金額で補正をしなければならんものはないように存じております。従つて補正予算をいつ組むかというような問題につきましては、政府におきましてはかねて大蔵大臣が申上げておりました通り、一兆円予算というものをできる限り尊重してそうしてこれで本年度は善処して参りたい。かように思つておりますので、大きな補正予算を組むことは恐らくあるまいと、かように考えるのであります。併しながら年度途中におきましてどうしても当該歳出にして計上を要するものについては、適当なる時期におきまして善処して参ろうと、かように考えておる次第であります。
  390. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは約束に従いまして……。
  391. 秋山長造

    ○秋山長造君 自治庁ちよつとお尋ねしますが、先般の衆議院から廻つて来ました常時啓発の選挙改正の問題ですが、あの論議のときに自治庁のほうの御説明で本年度常時啓発費として、一億円程度のものが計上されているということがあつた。でこの一億円が今後常時啓発の効果をどれだけ挙げるかということは、我々非常に注目をしておるところでありますが、あの常時啓発の中には当然この教育委員会選挙に対する常時啓発も含まれておると思うのでありますが、その点はそう了解してよろしうございますか。
  392. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この常時啓発の経費は御指摘のように一億円でございますが、これは特別の選挙ということではございませんで、選挙全体についての経費でございます。従つて教育委員会の選挙に対する常時啓発も勿論含んでおります。
  393. 秋山長造

    ○秋山長造君 この一億円の問題がありますし、更にその当時植木政務次官にも御出席を願つて、そうしてこの点についての大蔵省の今後の肚がまえを我々は十分にお開きしたのです。そのときの大蔵当局のお話も本年度は一兆円の予算に縛られて僅か一億円しか出せなかつたけれども、今後においては更にこれを増額して行くような方向において常時啓発というものに協力したいという御発言があつた。であれこれ勘案して見ますというと、まあ今日までは教育委員会選挙というものに対していろいろな事情からして、一般選挙民関心が確かに十分でなかつたということは言えるでありましようけれども、併し今後におきましては漸次この常時啓発その他の努力によりまして、教育委員会選挙に対する関心というものも当然これは向上して行くだろうと思う。又行かなければうそだと思うのです。そういうような点から考えますと、ただ今日までの僅か二回か三回の選挙だけを見て、そして直ちにこれを以て動かざる過去の実績なりとして、そうしてこの教育委員会一つのポイントとも言うべき半数改選制度を放棄してしまうということは、私は少し早過ぎるのじやないかというように思うのです。特にこの府県の教育委員会は今日までにすでに二回半数改選をやつておりますけれども、町村のほうはまだ一回も半数改選ということはやつたことはないのです。だからまあ府県の点については或いは提案説明に書かれているようなことが言えるかも知れませんけれども、併し市町村に関する限りは過去の実績に徴して半数改選云々ということはちよつと言えないのじやないか。でいわんや先ほど鈴木次長の御答弁の中にありましたパーセンテージを見ますというと、必ずしもおつしやるほど別に半数改選が一戸改選に比べて非常に成績が低下しておる、比率が下つておるということは必ずしも言えない。でそれが市町村という狭いところで行われる選挙になりますというと、必ずしもその広い府県単位で行われる選挙の場合に、半数改選が成績が振わないからといつて直ちに狭い町村でも同じような傾向が出て来るかどうかということは少くとも二回や三回はやつて見なければわからないじやないかと思うのです。それを十把一からげに直ちにこうだから投票率が低いから、或いは熱意が薄いから半数改選は放棄するということはちよつと早計じやないかというように思うのですけれども、その点如何ですか。
  394. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 半数改選という制度投票率の上にどの程度の影響を与えておるかということは、これはまあいろいろ御指摘のように決定的な、これだけ半数改選のために悪い影響を与えている、投票率が低くなつているということははつきりと申上げることはできないのでございまするが、先ほど申上げましたように、半数改選の都市においては相当率が低い。その低いことは御指摘のように常時啓発というものに十分金を注ぎ込まないから低いということは、或いは御承知の通りかも知れません。又教育委員会制度それ自体に対する認識が十分できないということもあろうかと思いますけれども、併し少くとも一斉改選のときと半数改選のときとでかように違いますのは、やはり若干そこに原因があると私ども考えておるのであります。市町村長とか市町会議員の選挙投票率は八〇%から九〇%というようなことでございますが、そういうようなものとの比較から考えましても、やはり教育委員会選挙それ自体に対する関心が薄いということもあるのでありますけれども半数改選にいたしますると、それがなお熱意を稀薄ならしめるのではないかというふうに考えるのであります。
  395. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点は、私まあ府県の場合は或いはそういうことが言える節もあるかも知れませんけれども、市町村の場合は、必ずしもそう簡単に結論はできないと思う。なぜならば、まだやつたことがないのですから、やらんうちにどうのこうのということは言えないので、今後やはり或る程度選挙ですから、いろんな常時啓発というようなことによつて選挙に対する認識と関心を深め高めて行くということも一つ方法ですけれども、やつぱり本筋の、而も一番有効な方法選挙をやることだと思うのです。選挙をできるだけしばしばやることによつて、やはり選挙に対する関心と理解が深まり、更に又延いては教育委員会制度そのものに対するやつぱり認識と関心が深まつて来ると思うのです。そこでまあ自治庁大蔵省のほうは余り教育委員会制度をどうでもこうでも維持して行かなければいかんというほど肚の底からの強い熱意を持つておられんのですから、どうもこれは止むを得ないけれども文部大臣がおつしやるように、どうでもこうでもこれを突つ張つて行くのだという前提に立つ限りは、やつぱり特に町村なんかの場合は、まだ発足早々の場合で、そうしてあの一昨年の秋の特殊な政治情勢の中で、いわばどさくさの中に、何が何やらわからないで、教育委員選挙をやつたような町村が多いのです。それだけにやはり言葉が悪いけれども、どうかと思われるような教育委員が随分出ているんですね。で、そういう人たちをできるだけ早い機会に清算して、少しでも町村の教育委員会に立派なよりいい人を出す機会を作るということにも、今年の秋の半数改選の機会というものが先ず生かされて役立てられるわけでもあります。又、常時啓発という趣旨から言いましても、やはりもつと有効な啓発の機会はやはり、選挙をやるということであると思うので、どうしてもこの半数改選を簡単に放棄されるということには私は納得ができないのですが、その点について自治庁のほうは文部大臣がおつしやつたように、一斉改選でなければどうしてもいかないというほど一斉改選ということに強い何か理由を持つておられるのか、それともどうせ教育委員会なんかというものはそのうちに消えてなくなるべきものであるから、まあ一斉改選でもいいんじやないかというようにお考えになつておるのか、その点もう一度お伺いしたい。
  396. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は先ほど来繰返して私からお答え申上げていることだと思うのでありますが、私はこの問題は、半分ずつこう交互に選挙して行くというようなことは手続の上においても非常に面倒であり、そうして従つて又金も余計かかるというような制度は、それをどうしても存続しなければならないというような強い理由があるという場合に肯定されるべき性質のものであると、こういう考え方をしておりますので、それほどの私どもは強い存続をしなければならないという理由も見出しがたいんじやないか、そういう考え方から教育委員制度というものを育成強化して行くという政府の態度をきめた上において、それではどういう工合に直したらいいだろうかということでこの考え方に到達をいたしましたのでありまして、これは秋山委員のお考えのスタートの点と違う立場でおるわけであります。
  397. 秋山長造

    ○秋山長造君 スタートが違うとは私は思わないんですけれども、どうも違うとおつしやれば、やはりさつき話が出ておりましたように平行線になるんですから、その点はこれで打切りますが、その次にお尋ねしたいのは、第三の理由として挙げられております地方財政の負担軽減という問題ですが、一応地方財政の問題について半数改選をやつた場合にどれだけ経費がかかつて行くか、又その地方負担のうち、どれだけを国のほうで手当をしてやらなければいかんかということ、それからこの半数改選をやめて一斉改選にした場合には、選挙の全体の経費がどれだけかかつて、そうしてそのうち国がどれだけ負担しなければいけないかということを、若し数字がありましたら参考のためにちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  398. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 教育委員選挙半数改選、一斉改選と申しましても、結局はこれは選挙人をすべて動員してやることになりまするので、選挙の経費としては同じでございます。従つて半数改選をいたす、こういうことになりますると十六億要るわけでございますが、その部分が要らなくなるわけでございまして、任期四年間に三十二億要つたのが、十六億で済む、こういうことになるわけでございます。これはいずれも交付金と申しますか、そういう地方の所要財源として計算をされるわけであります。
  399. 秋山長造

    ○秋山長造君 じや半数改選の場合にも十六億、それから一斉改選も十六億ということでありますか。
  400. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。
  401. 内村清次

    委員長内村清次君) 別に御発言もございませんですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  402. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
  403. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして本法案に反対の意見を申述べます。  本法案の重点とするところは、教育委員半数改選制度を廃止して四年ごとに一斉に改選することに改める、従つてこの法律の施行の日から二年以内に任期が満了すべきところの教育委員会委員任期は、その任期の満了すべき日の翌日から更に二年間延期するところにあるのであります。  その理由といたしまして、教育委員会発足以来六年後の今日では半数改選制度を維持するところの積極的な理由がないこと、これを挙げております。更に選挙民の理解が薄くて投票に熱意がないこと、地方財政上の負担軽減の一助となること、こういうふうな理由を挙げておるのでありますが、元来政府教育委員会の育成強化をするということを強調しておる。殊にこの地方教育委員会の廃止に反対いたしまして、これにつきましては国会においても、或いは一般輿論におきましても、或いは又政府の一部におきましても、与党の方面におきましても、従来これを置くというふうなことは実情に合わない、こういうふうなことを強調されておつたのであります。ところが大連大臣になりましてから、これを存置するということを強調いたしまして、遂に存置の線まで持つて来た。そうなりますというと、これは従つて育成強化するというところの手配と責任が伴つて行かなければならないように思うのであります。然るに実際におきましては、先ほど来質疑で明らかでもある通り、専任の教育長を置くべきところの予算の六億さえ、これを取り得ない。そうして今日なお助役をして教育長を兼任せしめるというふうな、誠にこれは教育行政の中立というふうな方面から見て望ましくないところの方法をとつておる。それで大達大臣は特に御承知の通り教育の中立性というふうなものの維持、このためには教育法案というような、あの悪法を強行しようとしておるところの大臣である。ところが育成強化ということを考えながら、こちらの方面の責任と手配、十分なる手配に対しては殆んどやつておらない、こう言つてもいいぐらいなのであります。そこでこういう点から考えて、又審議の経過からも考えて明らかであるところのものは、教育行政の本質よりも一兆円の緊縮予算に迎合するために無理な理由を作つていることが考えられるのであります。従いまして本法案教育委員会制度教育基本法に示されているところの「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」、又「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」という根本原理に立つたところの、而も公選制を基幹としておるところの教育委員会制度に大きな制限を加えているのであります。殊に教育の重大性から教育行政に一日の空白をも許さないという慎重な考慮から設けられたところの委員半数改選制度を単なる経費節減からこれを廃止してしまうものでありまして、これは絶対に我々の承服のできないところであります。全くこれは教育委員会精神を没却したものであるというふうな考えを持たざるを得ない。  以上の理由から私は本法案に反対するものであります。反対討論を終ります。
  404. 小林武治

    小林武治君 私は緑風会の委員を代表しまして本案に双手を挙げて賛成するものであります。  即ち由来戦後の日本には選挙が多過ぎるという傾きがあるのでありまして、かような名案をもつと早くなぜやらなかつたかとむしろ文部省の怠慢を責めたいというくらいに考えておるのでありまして、私はこれによつて経費の節約のできることは誠に結構であり、又選挙は一回にすることのほうが遥かに各般の情勢から見ていい、かように考えておるのであります。なおこの際申上げておきたいことは、市町村の末端における教育委員会の存否に関しては、今後政府において更に検討されることを特に要望して本日の賛成討論といたします。
  405. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今回の公職選挙法の一部を改正する法律案、即ち教育委員会委員半数改選制度を廃止して四年ごとに一斉に改選するものとする、従つてこの法律施行の日から二年以内に任期が満了すべき教育委員会委員任期はこの任期が満了する日の翌日から更に二年間延長するという内容を含んでおりまするこの法律案に対しまして、私は社会党第二控室を代表して反対の意思を表明いたしたいのであります。  元来私ども市町村教育委員会を町村の末端に至るまで設置するということには反対の意向を持つているのであります。併し政府与党の大多数の人たちがこれを無理に設置いたしまして、現在特に町村教育委員会実情というものは、準備のない設置を始めたために、その内容において著しく教育委員会法精神から逸脱した結果を来たしているのであります。従つてその実例といたしまして審議の過程において問題となりました教育長の兼任の問題でありますとか、或いは又は経費の十分なる裏付けがないとかいうことで、現在におきましては町村当局においてはこの教育委員会は一日も早く廃止してもらいたいと、こういうことを非常に強く要望しているのであります。併し文部当局はなお今日もこれを廃止するという意向がないのであります。意向がなく、これを育成するということであるならば、その予算的裏付けをしてやらなければ教育が不当な力に屈するという結果を来たすことは当然でありまして、教育委員会設置の本来の趣旨を没却する結果となるのであります。根本的に言えば、こういう点から私どもはこの教育委員会の町村の末端まで設置することに反対でありますが、併し現状として法律がこれを設置することを要求している以上は国の政策としてこれを育成するということでなければならないのであります。今回の半数改選ということは審議の過程においても明らかになりましたように、今回の経費を節減するということが非常に大きな狙いであるように考えられます。で私どもはこの半数改選という制度は、提案理由の中にもありましたように、二年ごとに半数ずつ改選するということは急激な変化を回避するということを主眼としておつたものでありまして、たとえ六年を経過したといたしましても、私どもはその選挙が頻繁に行われ、その選挙ごとに住民が教育委員そのものについて認識を深め、教育の民主化であるとか、或いは不当なる勢力からの解放ということを住民の責務として考えることのほうが、遥かに教育を守るという意味から言つて適切なのでありまして、従つてどもは一時の財政上の都合から、半数改選をやめて一斉改選にするということは、教育委員会制度一般住民に徹底させ、その協力を得るという点から見て甚だ遺憾なことであると考えざるを得ないのであります。こういう見地から財政上の便宜的な立場から公職選挙法の一部を改正するというこの法律案に対しましては反対の意見を表明しなければならないのであります。而も私どもはこの公職選挙法改正という方向によらずに、教育委員会法そのものの改正という形であれば、非常に明瞭であるのでありますが、この厖大な公職選挙法の中におきまして一部改正して教育委員会任期延期して、そうして一斉改選をするという方向も誠にこれはその都度的なやり方でありまして、その法律改正手続につきましても私たちは疑義を持つているのであります。こういう点から只今議題になつております公職選挙法の一部を改正する法律案に反対の意思を表明する次第であります。
  406. 笹森順造

    ○笹森順造君 只今議題となつております公職選挙法の一部を改正する法律案に対しまして改進党を代表して賛成をいたします。  教育委員会委員半数改選制度を改めて四年一斉改選とする提案の理由として掲げられてありまする点は、地方公共団体の選挙において他に半数改選制度がない、これに対して選挙民の理解と投票の実をそぐこととなつておる、選挙民の意思反映が十分でない、且つこうすることによつて地方財政上の負担軽減の一助となるというような理由が掲げられてあるのでありますが、然るに私どもの見るところでは、これらの理由のほかに積極的にこれに賛成する別の理由があるわけであります。  即ち二年ごとに半数改選することといたしますると、教育委員会委員として当選いたしまするものは地域的に偏在し、又思想的にも多数意見者に偏在する結果となりまして、教育委員会委員としての職能を全地域に発揮して円滑を期するということができない憾みがある事実を発見しているのであります。特にこれが府県教育委員会においてこれを多く見ておるような次第であります。然るにこれを全数一斉選挙といたしまする場合におきましては、地域的にも思想的にも、全地域から多数意見者のほかに比較的少数の意見者の代表をも出すことができまして、比較的全地域に共通しておりまする人を委員として当選せしめ得る結果と相成ります。こういう意味で私どもが積極的にこれを支持したいと思うのでありますが、ただこの経費の節減ということばかりではなくてこれによつて経費の節減が得られまするならばこの委員会の育成強化の実を挙ぐるために、特に教育長の資格、実力養成等のために何らかの方法を講ぜられることを希望しながら、本案に賛成をいたすものであります。
  407. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は無所属クラブを代表いたしまして、公職選挙法の一部を改正する法律案に反対をいたします。長い間いろいろ御説明を承わつた点を総合いたしますと、一斉改選に改めました利点といたしまして、第一に一斉改選によるほうが遥かに一般教育委員会に対する熱意を高めることもできる。第二といたしまして、教育委員会制度に対していろいろ疑問が持たれておるけれども、一斉改選という線を強力に押出すことによつて任用制でありますとか任命制でありますとか、或いは又廃止するのではないかといつた、こういつたような問題が一切払拭されまして、教育委員会が永続するということを明確にすることができる。第三点といたしまして教育委員会の性格として、他の委員会とも比べ併せたとき、一斉改選にしてもさして支障がない。第四点といたしまして選挙に非常に金がかかるけれども、これを節約することもできる。  大体政府は以上の四点を挙げまして、一斉改選のほうが遥かに現状よりもいいという結論を出しておるのでございますが、これに対しまして私は五つの点から反対をいたします。  第一点はそもそも半数改選という仕組によつて教育委員選挙が行われておりましたのは行政の一貫性というものを飽くまでも貫こうということと、もう一つ民意の反映をより可能にするにはどういう方法をとつたらいいであろうかということが問題になつたわけであります。即ち解散権を持つ相手もなく、不信任を出される相手方もないとなつて参りますると、結局民意というものをより可能に反映させるためには、半数改選によつて民意を成るべく短期間の間により可能に反映させようと、こういう方法をとろうというのがこの立法の背景として考えられておつたわけでありまするが、今度の方法によりますと、こういう立法背景として考えられました利点というものは一切没却されておるわけであります。  反対の第二は、若しもこういう方法を行なつて参りますると、教育委員の全員の改選ということになるわけでありまするから、一応或る場合におきましては教育委員会の機能が停止される虞れがあるのであります。これは知事や市町村長の独任制であるならば代理者を設けることが完全にできるのでございますが、教育委員会におきましては完全なる代理著を法的に得られることはかたいと思うのであります、それの理由といたしましては、教育委員会法の三十三条の2、三十六条、四十一条、五千二条の主、六十四条、こういう条文をつぶさに吟味をいたして参りまするときに、検討をして参りまするときに、如何ように考えましても完全なる教育委員会の法的代理者というものは得られないのであります。従いまして行政機能は停止させざるを得ない。こういうふうな法的な危惧の生ずる教育委員会の一斉改選というものが果して法的に可能であろうかという疑問を持ちますのが反対の只今申しまた第二であります。  反対の第三は教育委員会法を改むべきものを選挙法だけで教育委員会法の内容変更をしようとしておるのでありますが、これは法運用の上で果して本末顛倒をいたしておるのではないだろうかという点であります。例えば非常に金がかかるという点、或いは議論の中にも、いろいろ質疑の中にも、討論の場合にも打出された地方教育委員会の問題、こういうものは選挙の問題ではなくて教育委員会法そのものの問題でありまするが、こういうふうな問題の根本を改めることをしないで、選挙法というものだけで或る程度これの欠点をカバーしようということは筋道が立たないと思うのであります。  反対の第四は、第三に続く問題でありますが、教育委員会法の根本改正を忘れました姑息な手段というものであるように思われるのであります。  反対の第五は、本法案教育基本法第十条の定めております教育行政の原理を破るものであります。この説明につきましては若木委員のほうから詳しくお述べになられましたので略したいと思います。ただ一言附加えるならば、文部大臣は、理論的な問題ではなくて政策的にこのほうが都合がいいというので、これらの方法をとられたというお説明があつたのでございますが、一体教育行政の基本原理というものが教育基本法の第十条で定まつておるわけでありますから、この教育基本法の第十条がきめております教育行政の原理というものが、教育行政のどこまでも基盤になつて動いて行かなければならない。こういう大きな基盤というものを外して理論的ではないけれども政策的にこのほうがいいという方法をとつて参りますならば、これは民主教育の原理というものを政府みずからが破るわけであります。そういう方法を今後の教育行政の上にとつて行くということは非常に危険なことであります。その一つの証左をこの公職選挙法の一部を改正する法律案に我々は発見するわけであります。  以上の点からいたしまして賛成することができません。反対をいたします。
  408. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言ございませんか……他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  409. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)について採決いたします。公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)を衆議院送付案、原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  410. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数でございます。公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第七五号)は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経ななければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  411. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりまするから、本法案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     小林 武治  伊能 芳雄     伊能繁次郎  高橋進太郎     館  哲二  笹森 順造
  412. 内村清次

    委員長内村清次君) 署名漏れはございませんか……署名漏れはないと認めます。  それでは本日の地方行政委員会はこれにて散会いたします。    午後十時五十七分散会