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1954-05-08 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月八日(土曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員の異動 五月四日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として堂森芳夫君を議長にお いて指名した。 五月六日委員堂森芳夫辞任につき、 その補欠として松澤兼人君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            高橋進太郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    食糧庁総務部企    画課長     斎藤  誠君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○入場譲与税法案内閣提出衆議院  送付) ○地方行政改革に関する調査の件  (地方税率改正とめん類の値上げ  に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から地方行政委員会を開会いたします。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題に供します。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。
  3. 小林武治

    小林武治君 只今議題地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきましては、従来の平衡交付金制度を変えて一定金額地方に交付する交付税制度に改変することが骨子であるのでありますが、この制度そのものにつきましては、私どもこれに賛成するものであります。従いまして衆議院送付案はおおむねこれに賛意を表するものでありますが、その一部につきましては、この際我々として修正案を提出いたしたいと存じます。  その故は、衆議院におきまして、政府交付税内容といたしまして所得税法人税及び酒税の百分の二十をその内容とするというのが政府原案であつたのでありまするが、この原案につきまして衆議院におきましては百分の二十五と修正されたのであります。私どもはかかる修正昭和三十年度にかかることでありまして、必ずしも妥当と考えることはできないのでありまして、できるならばこれらは昭和三十年度の問題として更に政府において十分な検討を尽されるよう希望しておるものでありまするし、而もこの修正が一挙に五%の増率でありまして、その根拠をなす財政計画等におきましても必ずしもまとまつた具体的な根拠によるものとは認めがたい事情もあるのであります。併しながら衆議院等におきまする地方税法税率引下げ等によりまして、来年度地方財政収入に相当の欠陥の生ずることはこれを我々も認めなければならんのでありまして、従いましてこれらの財政欠陥を埋める何らかの措置もこれ又必要と考えるのであります。その意味におきまして我々はこの際衆議院修正の百分の二十五を百分の二十二に修正いたしたいのであります。これによりまする増額分は約百二十三億と相成るのでありまするが、この程度の額を保証することによりましてこの際の措置といたしておきたいと、かように存ずるのでございます。  次に修正の第二といたしましては、本参議院におきましてこの際従来の入場税のうちの第三種に該当するものを取上げまして、娯楽施設利用税創設いたしたことは御案内の通りでありますので、この創設に伴いまして、この税を基準財政収入額中に算入することが事務的に必要と相成つて来ますので、それを挿入いたしたい、こういうことであります。  第三点は、本年度入場税国税移管に相成つたのでありまするが、入場税の施行の遅延によりまして、恐らく本年五月十五日までは従前通り地方団体におきまして入場税を徴収しつつあるのでありまして、従いましてその限りにおきまして入場税地方税として存在する、こういうことに相成りまするので、昭和二十九年分に限り、同年度中の地方税収入なつ入場税をも基準財政収入額中に算入するものとする必要があるのでありまして、この三点の修正案を提出いたしたいのでございます。  而して修正の法文につきましては、お手許に御配付申上げましたように「地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対する修正案」と相成つておりまするが、これの朗読は省略をさせて頂きまして、速記録に記載を願うことで御了解を願いたいと存じます。  以上討論として申上げた次第であります。
  4. 秋山長造

    秋山長造君 私は只今議題となつておりまする地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案並びに緑風会の出されました修正案に対して反対をいたすものでございます。  先ず第一に、地方財政平衡交付金制度地方交付税制度に切替える理由が明らかでない点であります。地方財政平衡交付金制度調整作用を通じまして、地方財政計画的運営の保障に果して来た役割は、政府自身も認めておられるにもかかわらず、而も交付金制度では総額決定について地方団体と国との間に種々紛争が絶えない、又地方財源としての性格が薄くて中央依存の弊を助長するという二つの理由を以て、交付税に切替える理由とされておるのでありまするけれども、併しながらそれらの理由は、実は交付金制度そのものの罪というよりも、むしろその制度の運用よろしきを得ざる罪であると思うのであります。即ち地方財政平衡交付金法第三条に「財政需要額財政収入額をこえる場合における当該超過額を補てんするために必要且つ充分な額を、地方財政平衡交付金として、国の予算に計上しなければならない。」、こうはつきり規定せられておるにもかかわらず、その実際は「必要且つ充分な額」ではなくして、国家財政の一方的な都合でその額が常に不当に低く見積られ、ために本来極めて合理的なるべき交付金制度というものが不当に歪められて来たことは明らかであります。この点を改善しないで、ただ表面的にあてがい扶持の交付税に切替えてみても、地方財政自体の孕んでおる問題は何ら根本的に解決されないと思うのであります。  第二に、地方財政窮乏は非常に深刻であり、政府の提出されました地方財政白書によりましても、地方赤字はすでに二十八年度三百六十億を突破しておるのであります。又財政規模の是正についても、少くとも三百億円程度は必要であるということを言つておるのであります。政府自身がこのような事態を認めておるのでありますから、何よりも先ずこのような制度の切替えの際にその手当てを考えられなければならないのであります。然るに今回の改正は、財源不足額にリンクさせようとする従来の交付金をやめて、そうして国税収入一定率にのみリンクさせるところの交付税に切替えようというのでありますが、その率も国家財政都合次第で勝手に動かされる虞れのあることは曾つて配付税の苦い経験で明らかであります。又国税の減税とか或いは不況時の減収で地方財政との間に思わない大きな食い違いを生ずる慮れもあるわけであります。政府保証責任は成るほどこれによつて軽くはなりましようけれども地方財政の不安は案外逆に大きくなるのではないかということすらも心配されるのであります。  第三に、二十九年度交付税額千二百十六億円は地方財政計画から割出されたもののようでありますが、その金額自体が一兆予算から不当に低く見積られ、問題が多いことは、本委員会審議過程を通じまして明らかにされたところであります。にもかかわらずその極めて不十分な数字をそのまま基本にして二〇%という比率をはじき出すことは、そもそも制度発足の初めから相当な無理と不合理を孕むものでありまして、到底この数字安定性が期待できないことは、すでに衆議院において二五%に引上げられ、又参議院におきましても先ほどの二二%の修正案が飛び出すようなことを見ましても明らかであります。  第四に、交付税総額が、財源不足額等二%以内の過不足のある場合は特別交付税で調整し穴埋めをすることになつておるのでありますが、二%を超えるときは、却つて基準財政需要額を調整して辻褄を合わせることにしておりますから、実際上は二%以上の交付税総額は認めないことになり、交付税を按分によつて財源不足額より減額するということになるわけであります。これでは地方財政実情に即した調整措置ということは到底期待できないのであります。  第五に、本案では継続して著しい過不足の生ずる場合には、交付率の変更や地方財政制度改正を行うと規定しておりますけれども、継続して著しい過不足なるものの内容が具体的にどの程度なのか甚だ不明でございまして、この点からも我々は不安を持たざるを得ない。  第六に、とは申しましても、衆議院送付案原案の二〇%を二五%に修正をしておるわけでありますが、まあこの程度ならばこの根拠も一応明らかになつており、又我々としてもその点のみとれば我慢もできるわけでございますけれども、それが只今緑風会の提出されました修正案では、うやむやのうちに二二%に引戻されている、而もその根拠も具体的には不明確であります。いわば筋の通らない修正であると考えます。そうして又何ら地方財政を納得させるものでもないと思いますので、我々は反対せざるを得ないわけです。  それから最後に、本法案地方の最も有力な固有財源たる入場税国税移管であるとか、又種々の矛盾と不合理を含んでおる地方税改正一体不可分関係でございまして、我々はこれらにそれぞれ反対立場を持つておりますからして、この点からも本法案賛成をし得ないわけであります。  大体以上の理由によりまして、社会党はこの法案反対をいたすものであります。
  5. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私は今回の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の大要については賛成いたすものであります。  地方財政平衡交付金制度と今回の地方交付税制度とを比較をして見ますると、いずれも一失一得は免れないところでありますが、交付税のほうはすでに地方制度調査会並びに税制調査会におきましても慎重審議の結果、これを支持しており、私どもも又地方自治確立の上に、地方財政確立の上に一歩を進めるものであるという見地から交付税制度をとるものであります。この交付税制度は、国の重要な税に対して一定割合をリンクする考え方でありまして、国と地方とが共歓同苦して行こうという考え方でありますので、この見地からこの制度を支持する次第であります。  先に衆議院におきましては、多年地方財政貧困振りを見て一躍二五%に修正して参つたのでありますが、この点につきましては、最近特に問題になつております国会における予算を伴う法案については相当自粛しなければならないという世論を容れて、同時に又入場税及び地方税法におきまして、衆議院のほうでは相当税収の削減をするような修正をいたし、又先に本院におきましても、地方税法におきまして更に多少の修正をいたしましたので、最小限度のこの税収不足になつた分は、どうしても補充しておかなければならんという考え方、これらを勘案されました緑風会修正案につきましては、多少私どもまだ不足のような感じもいたしますが、折角緑風会におきまして非常に熱心に御検討の結果出されたこの修正案に敬意を表して、賛意を表する次第であります。  これを以ちまして私の賛成討論といたします。
  6. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は衆議院から送付になりましたこの法案及び只今小林君から提案のありました修正案に対して反対するものであります。  地方財政窮乏は、政府自身の発表によりましても、相当深刻なものであります。国の財政においては、実質決算剰余金が八百五十九億あるにかかわらず、地方財政におきましては実費不足が百八十五億というふうに報告されておるのであります。而も最低不足団体は一千六十九団体、前年に比較するならば一倍半、その歳計不足額が百五十四億でありまして、これも前年に比べますならば二倍四ということになつております。更に国の税収入割合は七八%であるのに、地方税収入は僅かに三六%を占めておるに過ぎない、こういう地方財政実情を考えて見ますと、ここに抜本的な地方財政基礎を固める方策をとるべきであるということは誰しも考え得るので、地方制度調査会等におきましての答申案の中でも、交付税制度をとるべき必要があるということを答申したことは当然のことと考えるのであります。  私どもはこの従来の地方財政平衡交付金を今回の地方交付税制度というような形をとつたことに対しては、勿論異議はないのであります。併し今回の提案は、実質的に言うならば、単に名前を変えたというに過ぎないのでありまして、形式の上では交付税制度を採用しておりますが、実質的には地方財政平衡交付金制度というものを踏襲しておるということに非常な不満足を感ぜざるを得ないのであります。我々は従来自治庁大蔵省に圧迫されまして、地方財政の基準財政需要なり、或いは又は基準財政収入なりの計算においても、又その不足のものに対する算定の点におきましても、絶えず内輪に計算され、本来ならば地方財政をバツク・アツプし、又地方自治の大きな支えとならなければならないにかかわらず、実質的には自治庁が無力であつて大蔵省に圧迫され、その計算においても或いは又自治行政保護育成の点においても不十分であるという点を認めなければならないのであります。従つて自治庁の発表いたしました報告というものが真実であるならば、この際根本的な対策を樹立する必要がある。にもかかわらず今回の制度改革によつて何ら根本的な改革がなされていないということは誠に遺憾であると思うのであります。而も今回の計算基礎となりましたものを考えてみましても、地方財政における財源不足額が千二百十六億である。これに対して酒税の二〇%、その残額を所得税及び法人税に求めることによりまして、一九・六六という数字を出し、その財源交付税によつて交付しよう、こういうことになつているのであります。我々は地方財政窮乏実情は、この千二百十六億の算定そのものに対しても信用するわけに行かないのでありまして、政府は逆に節約を強制しているという面もあるのでありまして、実質財源不足は更に上廻るものと計算しなければならないものと思う次第であります。この計算のそもそもの数字が我々に信用を置けない数字であるということを前提といたしますならば、今回の交付税制度というものが、果して地方財政を十分に強化することができるかどうかということに疑いを持たざるを得ないのであります。  更に私ども地方財政にとつて最も必要なことは、地方財政需要に対して、十分且つ自主的な財源を与えるということと、その不足分に対しましては、恩恵的でない、確定的な配付税的な方法によつてその需要を満たしてやるという方向がとられなければならなかつたにかかわらず、今回の交付税制度がこういう点の考慮が非常に薄かつたという点を考えて、これ又不満の意を表せざるを得ない次第であります。従来片山内閣の当時に、配付税として所得税法人税の三三・一四というものを地方に配付しなければならないという制度をとつていたのでありますが、昭和二十五年、自由党内閣になりましてから、この率を一六・二九に切り下げたのでありまして、あたかも地方財政窮乏はその時期から漸次深刻になつて来たのでありまして、むしろ私ども自由党内閣国家財政都合ということだけを考えて、地方自治確立という点に思いをいたさなかつたという点に非常に強い不満を感じているのであります。私どもは今回の法案審議に対する立場としてこの三税に対する三〇%を交付税として地方に交付しなければならないという立場をとつているのであります。そのために衆議院におきましては二五%でも不十分であるという結論に達したのであります。今回小林提案になります三税の二二%というものは、そういう意味でも極めて不十分であり、又法案自身の中に織込まれておりますところの地方財政平衡交付金と、それから本来の交付税制度との鵺的な性格によつて著しく交付税制度というものが、従来の平衡交付金制度内容を踏襲している鵺的な性格を持つているという点で我々は非常な不満を感じているのであります。  かかる意味から衆議院送付案及び小林提案修正案に対しまして、私は社会党第二控室を代表いたしまして、反対の意を表明するものであります。
  7. 笹森順造

    笹森順造君 私は改進党を代表して、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につき、衆議院において修正議決上本院送付され、只今ここに議題となつておりますが、これに対しては賛成いたし、只今緑風会から提案されました第六条の改正規定中「百分の二十五」を「百分の二十二」に改める案には反対いたします。  その理由を極めて簡単に申述べます。我が国の地方団体相互間に財源が偏在し、地方財政が不平等に運営されていることを調整するために地方財政平衡交付金制度が従来重要な役割を果して参りましたことは事実であります。又この制度地方財政自主自律性を弱めて不安定なものとし、且つ中央に対する依存度を高めその上にその総額決定に当つて、国と地方団体との間に紛争が絶えなかつた弊害を政府が認識して、このたび地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を提出したというのでありますが、その冒頭に題目を変えて地方交付税法と改めるというのでありますから、名詮自性、その実が一変したのでありますから、一部改正などという安易な手続によるがごときは、立案者が立法上の態度において誠実を欠く措置との非難を免れがたいと思うのであります。それはともあれ、交付金交付税に改め、その総額国税たる所得税法人税及び酒税一定割合、即ち収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の合算額に前年度以前のものをプラス又はマイナスしたものとして一定の準尺を与えたことは、地方財政の上に一先ず自主自律性を与え、又安定感を増すこととなり、予算の編成について紛糾を避け得る期待において、これは理論として一応成り立つものと思います。併しながらこの百分の二十という比率が問題であります。地方財政需給の状態を仔細に見まするならば、二〇%では本年は過少でありますから、これでは多くの地方団体は極度に歳出の節約を強いられるか、又は止むを得ざる起債の増額を必要とするか、一時借入金を要せられ、なお赤字を増すものも出て来ることと懸念せられるのであります。  而して昭和三十年度地方財政におきましては、衆議院修正案理由説明によりますと、諸種の要素の増減を見込むと、地方団体がその年度財源として地方交付税に求める額は千五百三十八億円と算定されております。この必要額をこのたびの地方交付税となるべき所得税法人税及び酒税収入見込額の率に当ててみますると、平年度の二五%という比率が出て来るというので、衆議院ではこれは自由党をも含めて修正が成立したことは御承知の通りであります。ここにこのたび緑風会から示されました比率を更に百分の三減少することになりますると、地方団体の必要とする不足額を満たし得ないことは事実であります。従つて理論的にも実際的にも同意しかねるということになるわけであります。従つてこの衆議院修正されました算定によつて交付税が充てられることによつて、一応昭和三十年度からの安定が期せられ、これを跳躍台として過去の赤字が解消せられ、窮迫せる地方財政再建整備計画がその効を上ぐるに至ることを期待して、本地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案衆議院において修正された通り賛成の意を表するものであります。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 私は衆議院より送付されました修正案賛成をいたし、緑風会修正案反対をいたします。原則的にはこのたびの地方税改正地方財源確立或いは地方独立財源の補充という名目で行われましたけれども、それらについては幾多の欠陥を露呈しておるわけでありまするから、それの一環として新らしく作られました交付税そのものにも反対をすべきではありますが、当面の地方行政を円滑に進行して参る上におきましては、他の地方税法が多くの歳入欠陥を持つたまま通過をいたしましております関係上、このままで地方行政を推進して参るためには、どうしても交付税そのものによつて歳入欠陥を補つて行かなければならないという必要に地方団体は迫られておると思うのであります。で、地方団体の当面の運営を推進するために、原則的には反対ではありますが、今日の便宜の上におきましてこの交付税の率の割合にいい衆議院修正案に対し賛成をし、その率を落しました緑風会案に対しましては反対をせざるを得ないと思うのであります。  以下これらについて理由を申上げたいと思います。  先ほども申上げたのでありますが、このたびの地方税全般を通じまして、或いはこの交付税だけをとつてみましても、地方財政安定性或いは自主性を一歩前進させるという意味創設目的であります。又従来の平衡交付金制度独立財源という性格が非常に稀薄でありましたから、独立財源性格というものを強く打出しておるというのが今度の交付税性格であります。併しそれは一方におきまして平衡交付金財政調整機能という役割をも併せて負担しておるというふうに了解しなければならないと思います。一方又地方財政事情或いは財源関係というものを見まするときに、地方財政は相当過度の圧縮になりまして、このままでは行政機能を抑えられるという傾向にすらある。戦いは又地方団体の殆んどがその財政的な赤字に苦しみまして、今にしてこの解決をしなければ崩壊せざるを得ないという危機に追込まれておる。或いは国と地方財源配分というものを見まするときに、必ずしも財源配分が公平であるとは言われない。もつと財源関係地方に重点を置くような方向に移しても差支えないじやないかというふうに思われる点もある。こういうふうに考えますとふきに、どうしても私は交付税というものが、このいろいろの関係というものに対する一つ解決点を持つような内容を持たなければならないと思うのであります。そういう意味合におきまして、この交付税のパーセントを二〇%にするか二五%にするかという問題について、特に大蔵省意見伺つてつたわけでありますが、大蔵省意見に対しましては、私は次のような点でどうも賛成しかねるのであります。  その一つは、入場税法案或いは地方税法案修正によりまして地方財政に生ずる欠陥に対する措置については余り考えておらないようであります。併しながら交付税の率の引上げによりまして国家財政欠陥を生ずるという点だけは強調しておりますけれども国家財政だけを考えまして地方財政のほうはそれほどには考えないという考え方では、地方国家を通じての行政そのものというものには必ずしも行政目的を達するということにならないじやないかという心配があるのであります。  二といたしましては、平年度財政事情はもとより今日予測し得るものではありませんけれども収入におきまして自然増減があれば支出におきましても又当然自然増減があることは明らかであります。こういう明白な事実というものを大蔵省は無視をいたしまして、ひとり減税による減収額だけを税の自然増収によつて相殺するというような御主張をなさつておるようでありますが、こういう点又私はどうも理解ができないのであります。  三といたしましては、大蔵省地方税の減税は地方税収入総額を減少せしめない範囲で所得等の伸びに応じて調整的に行うべきである、税法上の減税額を直ちに地方交付税に持込むことは筋が通らないと言つておるようでありますけれども、歳出の自然増加を考えませんで歳入だけで常に税収入の自然増を見込むことになりますることは、地方財政規模というものを非常にゆがめることになるのではないかと思われるのであります。  第四といたしましては、入場譲与税の減収につきましては、国税移管後の徴税実績が判明した上で決定すべきであるとしておりますけれども、減税措置によつて明らかに減収が見込まれるものを計上しなければおかしいじやないかと思うのであります。  五といたしましては、地方交付税基礎となつております国税の見積りにつきまして、自然増収があるから明年度以降の地方財政は実際上は相当充実されると言われるのでありまするけれども、これは地方歳出にも当然の自然増があることを忘れた議論ではないか、こういうふうな点を大蔵大臣或いは大蔵省政府委員の御説明を承わりまして強く感じたのであります。  結局結論的に申上げるならば、大蔵省の考えというものは、平衡交付金というものの代りに交付税を作りましたけれども交付税というものの率を抑えることによりまして地方財政の膨脹というものを抑えられるんじやないかというふうに、国の一つの方針で、或いは国の緊縮政策というものを地方にしわ寄せをする、或いは国の一つ財政方針というものを飽くまでも地方に同方針を押付ける、こういうふうな感じが非常に強く支配をいたしまして、初め地方税改正のときに、いろいろ調査会或いは自治庁当局或いは政府当局が説明された地方自治体の発展のためにその裏付けになるところの地方財源を与えるんだという根本の性格というものを非常にゆがめて来ておると思われるのであります。そういう点を考えますときに、衆議院修正説明にあります「近年における地方財政窮乏化の根本的な原因は、国の策定する地方財政計画がその規模を不当に圧縮しているところにあると断定せざるを得ない」、又地方財政再建整備計画を早急に実施に移すことが目下必要である、こういう観点から地方税の十二分に歳入を期待し得ないところの欠陥交付税によつてつて行くという便法をとるということは当然ではないか。そうして見ると、この便法というものは少くも新地方税歳入欠陥を補つて余りあるという率を持たないものであるならば意味がない。こういう点を考えまして、特に初頭に申しました交付金よりも交付税のほうが独立財源としての性格が強いんだ、而も又交付金制度が最も効果的に表現をいたしておりましたところの財政調整機能というものも又交付税が補うんだという性格を持たなければ、その交付税というものは意味をなさないことになりますので、そういう点ではどうしても配付率は或る程度十二分でなければ交付税性格を失う。そういう意味合いから緑風会案には反対をいたしまして、衆議院修正案には不満足ではありますが、当面の行政を推進して行く上の便法として賛成をいたしたい。  以上の理由によりまして、緑風会案反対し、衆議院修正案には賛成討論を終ります。
  9. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言はございませんか。他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  先ず討論中にありました小林君の修正案を問題に供します。小林君提出の修正案賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数でございます。よつて小林君提出の修正案は可決せられました。  次に、只今採決せられました小林君の修正にかかる部分を除いて、衆議院送付にかかる地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数と認めます。よつて地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案は多数を以て修正議決せられました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられるかたには順次御署名を願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     館  哲二  伊能 芳雄     伊能繁次郎  高橋進太郎     長谷山行毅  小林 武治     島村 軍次
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) 御署名漏れございませんか。署名漏れはないと認めます。  それでは暫時休憩いたします。午後一時に再開いたします。    午前十一時三十九分休憩    —————・—————    午後二時十八分開会
  15. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から休憩前に引続きまして、地方行政委員会を開会いたします。  入場譲与税法案議題に供します。  同法案につきましては、提案理由とこれに対する補足説明だけはやつてありますので、逐条的な説明を一つ……。
  16. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場譲与税法の第一条は、入場税国税に移りましてから、国税として徴収されまする額の十分の九に相当する額であり、これを従来の沿革からいたしまして、都道府県に譲与するということを定めておるわけでございます。  第二条が譲与の基準でありまして、入場譲与税は、都道府県の人口に按分して譲与いたします。人口が最も端的に、各団体財政需要額を表明している、こういう趣旨でございます。第二、項に、その人口は「最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口による」のだということにいたしておるわけであります。但書をいたしておりますのは、奄美大島のような地域がございまして、最近の国勢調査の人口の中に含まれておりませんので、総理府令の定めるところによりまして、その人口を鹿児島県の人口に加算いたしたいと、かように考えておるわけでございます。  第三条は、入場譲与税の譲与時期と譲与額でありまして、三カ月間に徴収いたしました入場税収入の十分の九をその翌月に譲与して行くと、こういう趣旨で規定いたしているわけでございます。徴収いたしましたことに三カ月分をまとめまして翌月に都道府県に譲与して行くわけでございます。第二項は、譲与の金額をその通りに譲与できません場合には、その次の譲与の機会におきましてこれを精算するという趣旨で入れておるわけでございます。  第四条におきまして「国は、入場譲与税の譲与に当つては、その使途について条件をつけ、又は制限をしてはならない。」と書いております。地方財政平衡交付金の場合と同じ趣旨で、一般財源であるということを明らかにしているわけでございます。揮発油譲与税の場合には、道路に使わなければならないというふうに規定しておりまするのと異なつておるわけでございます。  附則の第二項で、昭和二十九年度に限りまして読み替えの規定を置いております。この趣旨は、三月に譲与をいたしまする場合に、普通であれば二月までに徴収いたしました額を三月に譲与するのでありますが、二十九年度収入を充足いたしまする意味合いにおきまして、三月において収納する予定の額の十分の九の額も合せて譲与したいと、こういう趣旨でございます。従つて昭和三十年度におきましては、本来なら三月から五月までに収納した額を六月に譲与をするわけでありますけれども、三月分はすでに譲与してしまつておりまするので、三月分について譲与の過不足額を精算する、それ以外は四月と五月において収納した額を六月に譲与するのだと、こういう趣旨を明らかにしているわけでございます。
  17. 内村清次

    委員長内村清次君) 政府委員のほうでは、大蔵省から植木政務次官、渡辺主税局長、正示主計局次長が見えておりまして、自治庁からは青木政務次官、奥野税務部長が見えております。
  18. 秋山長造

    秋山長造君 大蔵政務次官にお尋ねいたしますが、入場税法が衆議院で相当大幅な修正を受けた、その結果、入場税税収が果してどの程度になるのか、最初の百九十二億という数字とは相当これは隔りのある数字が出て来ると思う。それともう一つは、この税法の成立が非常に遅れておるわけでありますが、この遅れておるためにどれだけ減収になるのか、この両点についてお伺いいたしたい。
  19. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 便宜数字のことでございますから私からお答えさして頂きたいと思います。政府原案の場合、これはまあ四月一日から施行という予定になつておりまして、百九十二億で予算が組んでありますことは、おつしやいました通りでございます。税率を相当引下げました場合におきまして、この百九十二億の数字がどうなるか、修正参案の提案者の御意見は、まあこれでも余り減らないじやないかといつたような御意見もございます。見積りでございますと同時に、従来地方税でやつておりまして、又我々のほうで基礎をとりましたときも、地方税収入の見積りによらないで、別個の資料によつたという関係によりまして、いろいろ議論のあるところでございますが、とにかく我々のほうで百九十二億を見積りましたと同じような計算方法で計算をして参りますと、四月一日から施行する場合におきまして百四十五億という数字が出ます。それから施行につきましては、地方税法関係もございまして、税法の規定によりますと、公布の日から五日を経過した日ということになつておりますが、地方税法と見合つて公布の時期をきめるべきではないかと思つておりますが、一応五月の十六日から施行すると、要するに約一カ月半遅らすと、こういうことで一応の考え方が出ておりますが、その場合におきます収入につきましては、今ちよつと計算しておりますので、後ほど申上げたいと思います。
  20. 内村清次

    委員長内村清次君) 秋山君、質疑継続中でありますが、実は衆議院からの修正案、これも政府のほうから説明をしておりませんから、これも併せて説明を聞いた後にお願いしたいと思います。
  21. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場税法に減税の修正が加えられました結果、当初予定しただけの入場税収入が得られないかも知れない。そういたしまする場合には、その九割が入場譲与税として地方剛体に与えられることになつておりましただけに、その額も減少すると、こういう問題が起きて来るわけでございます。この減少をどう補填するかというような問題から、入場譲与税法に修正が加えられまして、昭和二十九年度分の入場譲与税に関しましては、当初予定いたしました百七十二億八千万円に入場譲与税の額が欠けました場合には、その額を一般会計で補填すると、こういう趣旨において修正が加えられたわけでございます。要するに、入場税収入の見込額が減りましても、当初予定した入場譲与税の額だけは必ず確保すると、こういうことになつておるわけであります。それが入場譲与税法案に加えられました修正の趣旨でございます。
  22. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの百四十五億というふうに今年度減収なんですが、平年度はどのくらいになりますか。
  23. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 百四十五億が丁度十一カ月分で計算してございます。従いまして、一カ月分が十三億二千万円になります。従いまして、十一カ月分の百四十五億に足す一カ月分の十三億で百五十八億と、こういう計算になります。  それから先ほどちよつと答弁を留保させて頂きました一カ月半の施行遅延による減収、これは約二十億ということになります。従いまして、五月の十六日から施行しますことによりまして百四十五億が百二十五億になる。これは正確に言つて参りますると、季節的なフラクチユエートもございますが、一応月平均幾らということで、多少ラフな計算かも知れませんが、そういう計算になつております。
  24. 小林武治

    小林武治君 この入場税法の施行が一月半遅れると、従つて税収入としてはそれだけの減収があると、それに関連しまして、衆議院において、本年度百七十二億八千万円に満たない場合は、それまでの金額を一般会計で負担するということになつておりますが、この規定を修正する必要があると認めておるかどうか、これを伺つておきたいと思います。
  25. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今の御質問誠に御尤でございまして、政府当局の考えております案といたしましては、百七十二億八千万円というその金額を百五十五億五千万円に修正すべきものではないかと考えておる次第でございます。百五十五億五千万円と申しますのは、最初百七十二億八千万円と申しますのは十一カ月分として算定した数字でございまして、法律の施行が一カ月半ほど遅れることによりまして、その十一カ月分を九・五カ月分として算定替えをいたしますと百四十九億二千万円という金額に相成ります。併しながらこれに対して五月中旬の法律施行までの分として、交付団体に対して補填をして上げなければならない金が五億三千万円、これに伴いまして本来ならば交付しなくともよろしい非交付団体に対して、やはり譲与しなければならん金額が約一億円くらいに相成ります。両方合せますと六億三千万円、こういう数字を補填しなければなりませんので、百四十九億二千万円に六億三千万円を加えました百五十五億五千万円という金額に修正すべきものと、かように考えておる次第でございます。
  26. 小林武治

    小林武治君 今の問題について自治庁はどういうふうにお考えですか。
  27. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場税国税移管が五月十六日からということになりますれば、入場税に関します限りは、そういう計算になると考えております。
  28. 秋山長造

    秋山長造君 先ほどの、平年度百五十八億という入場税税収になるわけですが、そういたしますと、この平年度百五十八億という数字はこれは自治庁のほうもそのままお認めになりますか。
  29. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場税法の修正によりまする減収分につきましては、平年度計算におきましては大蔵省数字はたしか五十三、四億ではないかと思います。自治庁のほうでは六十九億円と見込んでおりまして、十五、六億の差があるわけでございます。これは入場税収入をどう見て行くかということにつきまして、自治庁のほうでは、従来の都道府県の実績を基礎にいたしまして考えておるわけでございます。大蔵省のほうでは興行収入から逆算して考えておるわけでございますが、この見方につきまして若干相違があるわけでありまして、その程度の食い違いが現在生じております。
  30. 秋山長造

    秋山長造君 もう一度お尋ねしますが、自治庁のほうでは平年度入場税収入はどのくらいあるものと見積つておられますか。
  31. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現行法で行きました場合には平年度二百十八億円であります。減税による結果は、それから六十九億円引きました百四十九億円程度収入にとどまるというふうに考えております。
  32. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと自治庁大蔵省との間にかなりの見積りについて食い違いがあるわけなんですが、大蔵省のほうはかなり減収を小さく見積つておられる結果になつておるわけなんです。その面については自治庁のほうの見積りが、現在府県が徴収をしておつたその徴収率をもとにしてこういう百四十九億という数字をはじき出しておられる。ところが大蔵省のほうでは又独自な計算によつて、それより遥かに上廻る数字をはじき出しておられるわけでありますから、やはりそれだけ入場税の徴税が強化されるという結果になると思うのですが、その点如何でしよう。
  33. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在の入場税の徴収状況などにつきまして、我々もいろいろ調べて見ましたが、地方によりまして相当の違いがあるようですが、東京の中央地区などにおきましては、相当都の支給しております入場券を使つておりまして、かなり厳格なる徴税が行われておるようでございますが、併し田舎のほうに参りますと、必ずしもそういうふうな状況になつてはいない。これはいろいろなお話を我々も伺つておりますし、又我々の調査した結果でもそう出ておりますが、まあ料金が安い、従つて税法に規定されているような数字ではなかなか納めきれないというような事実があるようでございまして、従いまして国税として徴収する機会におきまして、一方では税率は御承知のように下るわけでございますが、同時にその下つた税率につきましては正確に税金を納めて頂く、こういうことを我々は期待すべきではないだろうか、そういう考え方で参りましたところで出しました数字が一応百五十八億、従いまして強化という意味もどういうふうに今解すべきかと思いますが、税金の下つた機会におきまして、定められた税率につきましては正確に納めて頂くというふうに仕事をして行く意味におきましては、我々はそういうふうに運んで参りたい、かように考えております。
  34. 秋山長造

    秋山長造君 その点が、この前大蔵委員会との連合委員会をやつたときにも渡辺さんに質問をしたのですが、やはり同じような御答弁を今又繰返されるわけなのですが、どうも我々の感覚とかなり開きがある。我々が地方実情として把握しておるところによると、入場税が必ずしも大蔵省のおつしやるように、その徴収が非常にルーズになつているとか、きちつと取ればまだ大いに取れるというような余裕を持つておるというようなことは、これは実情に反するのじやないか。御承知のようにやはり地方財政は非常に逼迫している。特に従来のシヤウプ税制による府県税というものは非常にこれは貧弱です。それだけに府県税における入場税の比重というものは非常に大きい。だから又府県の税というものが入場税にどうしてもしわ寄せられる。遊興飲食税も同じですが、特に性格入場税のほうが手取り早く取れるものですから、入場税にどうしても重点がかかり過ぎるきらいがある。そのために田舎の青年団なんかがちよつとやるような簡単な、本当にこれはもう農村としての最小限度の娯楽というような性質のものにまで高い入場税がかけられる。そのために、これは地方の、どこの地方議会でも繰返されている論争点なのです。その点について、我々はもう少し入場税のかけ方をいろいろな社会政策的な面、或いは教育的な面、その他厚生対策というような面も考慮して、もう少し手加減をしてもらいたいというくらいに思つて来ているのです。ところが大蔵省の御意見を聞くと、衆議院修正でこれだけ税率が下つても、やつぱり収入は大して変らないというようなどうも見方をしておられるようですが、そういう点非常に我我としては不満なんです。その点について自治庁のほうでやはり大蔵省と同じように、従来の入場税の取り方が非常にルーズで、まだまだ取れるというお考えであるかどうか、自治庁のほうの御見解をお尋ねしたい。
  35. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 私は入場税収入見込額が仮に過大でありました場合でも、それだけのものが無理押しに徴収されるというふうには考えていないのでございまして、それだけ歳入欠陥が生ずるという結果に私は終るだろうと思つております。私はやはり大蔵省が言うておられる数字は少し多過ぎる、こういうふうに強く考えております。併しその見込が多過ぎるから無理にそれだけのものを徴収されるという結果になるとは考えないのでございます。歳入欠陥が生ずるかどうかと、こういう結果に終るだろうというふうに思つております。
  36. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私も今秋山委員のおつしやつたように、例えば青年団の会合だとか、或いは労働組合の文化サークルの会合とか、そういう場合にかなり厳格に徴税がなされていると、こういう話は我々も聞いております。それでそういうことも事実だと思つております。同時に他面本当に商売をやつている映画館の人たちとか、そういう人の証を聞きますと、又違つた事情にあるように実は思つております。まあ余り具体的に申上げることはちよつと差控えさせて頂きたいと思いますが、今日も興行の人にちよつとお目にかかつて話を聞きましたのですが、或る県におきましては、どちらかといいますと、税率とか何かというよりも、そこの収入とかそういうものをちやんと調べることによりまして、大体これくらいの額ということで納めてもらつている。国税になるとそういう融通がきかなくなるので、よし税率が下りましても、負担としては相当重くなるのじやないかということを実は心配しているといつたような話も聞いております。勿論先ほども申上げましたように、地方によつて相当違いがあるようでございまして、全部が全部そうだとは我々も決して思つておりませんが、同時にそういう部分もあるということも私は事実だと思つております。
  37. 秋山長造

    秋山長造君 その点が局長のおつしやるような面もこれは全国的には全然ないということは否定できない。併し恐らくそういう点で今度大蔵省が直接徴税をやるために浮いて来る増収分というものは、金額にしたら微々たるものだろうと思う。やはりどうしても私はこの前もしつこくお尋ねしたわけなんですが、大蔵省のお考えのように、これだけ税率を下げながら依然として予定しただけの収入を上げようということになれば、かなり強い徴税攻勢をわけることは、これはもう理窟でなしに実際問題としてそうなつて来ると思う。恐らく上で指揮をされるあなたがたにしても、もうすでに気分的に今年はよほど徹底的に入場税を取らなければ、とても大きな歳入欠陥が出るぞというお気持を持つておられると思う。だからそのお気持があれば、おのずからあなたがたの指令を受けて実際徴税事務に当る一千の税務署というものは、やはりかなりこれは強い態度で徴税に当ることになることは、これはもう火を見るよりも明らかだと思う。そうなりました場合に、政府の最初原案を出されたときの提案説明によりましても、別に国が取上げたからといつて、今まで以上に徴税を強化するとか何とかいうようなことはないので、全然今まで通り穏当なやり方で徴税をして行くのだというような説明は、根本から実際問題として崩れて来ざるを得ないというように考える。この前も税務署の割当課税の話をしたのですが、これはまあ渡辺さんは割当課税なんというようなことは絶対にないとおつしやるけれども、これはどうしても割当課税をすることになると思う。又割当課税でもしなければ、とてもこれだけ税率を下げて、それで予定通り税収を上げることができないまでも、この歳入欠陥ができれば一般会計で補填するというような衆議院のほうは但書をつけているけれども、これは一兆予算を堅持される大蔵省立場で、そんなことはただうわべの飾りであつて、そんなことをやろうというお考えは恐らくない。そこでどうしてもできるだけ税金を余計取つて、そしてそれでこの穴埋めをやつて行こうということに私は必然なると思う。その点割当課税は絶対やらんという言明ができるかどうか、責任を以て……。
  38. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) はつきり当初の百九十二億の予定が衆議院の相当の修正によりまして百四十五億、これは遅れたことに対することはちよつと別として、百四十五億程度になるんじやないかということは、我々も一応の予測として持つております。百九十二億どうしても徴収すべきだというふうな気持には全然なつておりません。同時にこの百四十五億の数字にいたしましてからが、一応の見積りでございます。従いまして税法の施行によりまして、これより或いは殖えるかも知れませんが、減ずることもあろう。割当課税の点につきましては、いろいろほかの税などにつきましてもそういうことがあるんじやないか、まあ我々としまして決してやつておらんつもりでございますが、併しよく、ひとり秋山委員だけではなくて、いろいろなかたにもそういうふうな御批判を受けておりますので、この点につきましては、国税庁或いは我々としましても十分反省すべきだと思つておりますが、特にこの点についてお話がございましたので、はつきりお答えを申上げていいと思いますが、この税に関して割当課税、こういうようなことをやるつもりは毛頭ございません。
  39. 秋山長造

    秋山長造君 この税に関してということでなしに、それ以外の、例えば所得税なんかについても割当課税はおやりになつておるのでしようか、なつておらないのでしようか。
  40. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点については先般来何回もお答えしておるように、我々としては割当課税をしておりません。今この税に関してと申しましたのは、御質問がこの税に関してとおつしやいましたから、私もついこの税に関してと申上げただけでございまして、税全体について、我々としてこれをしておるものは全然ございません。
  41. 秋山長造

    秋山長造君 これは今話が出たからこの機会にもう一度申上げておきますが、これは所得税なんというものは割当課税をしてない税務署はないのですよ。これは私は断言して憚らない。これは割当課税してございますよ。それが証拠には、税務署におつて同じものについても皆所得の見積り方というものが皆違つています。それがやはりその事業の、その税務署管内における総体の税収の上に占める、どういいますか、比重というものが大きいか小さいかというようなことによつて非常に変つて来ておる。まあこれは又別の機会にもう少し具体的な資料を持ち込んでもいい、そういうことがあるから一層入場税の問題では心配をするのです。特にこの前も連合委員会のときに渡辺さんがおつしやつたのですが、税率はこれだけ下げても、税率が下つたほど案外税収は減らないものだという一番大きな理由は、入場料金が安くなるだろうから、安くなれば今まで一回しか映画を見なかつた人が二回見るとか、三回しか見なかつた人が五回見るというようなことになるから、税率は下つても回数が殖えるから大丈夫だというふうな説明ちよつとありましたね。あれが私は恐らくそういうことも多少はあるかも知れんけれども、そんなことでこの穴埋めを期待するということはこれは大間違いだと思う。これは微々たるものだと思う。そういうことからして大体税務署のほうからそういうような持つて行き方でお前の所は税金が安くなつたんだから人が余計入つておるだろう、だからこれだけ出せと、こう割当て押付けて行く結果にどうしてもなると思う。で、特にこれだけの税金を取るのに税務署のほうでも人の数なんか余り殖やされるようでもないし、又事務機構もそれほどこのために特に強化されるというわけでもない。そうすればなお更税務署の権柄づくで割当的に押付けて行くという虞れは多分にあると思う。その点について実際割当課税が行われた場合に、あなたは上司としてそれについて責任をとられるかどうか、伺いたいと思います。
  42. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 割当課税の問題は、我々のほうはそういうようなことはまあしておらないと思つておりますし、私も先日まで東京の国税局長をやつてずつと第一線でやつていたのですが、割当課税といつたような気持で指導して来たことは全然なかつたのですが、今度の入場税の場合におきまして、見積りの場合にまあ一応映画に消費される金は大体そう違わないであろうという考え方基礎にいたしているということは、この間申上げ、同時に今おつしやつた通りでございます。この考え方につきましてはまあいろいろな御批判もあろうと思いますが、昨年酒の税率を下げまして酒の値段を下げましたときに、酒の値段は下がるけれども酒の消費される資金は大体変らないだろうという点を基にしまして見積りをしまして、大体当らずといえども遠からざる実は結果を得たこともあります。入場税の場合におきましては、酒と多少事情が違いますので、それだからそれでいいということはすぐには勿論出て参りませんが、まあそういつたこともございまして、まあ大体映画に使われる資金はコンスタントと見て見積つていいじやないかというので、この見積りの基礎になつております。なお割当課税の点、これは執行官庁が国税庁になりますので、私が幾ら偉らそうな口をききましても、多少責任がちよつと違いますから大きなこと言えませんが、国税庁長官としても、割当課税は絶対にやる気持なしということを申上げていいと思つております。むしろそれよりも切符を官給することによりまして、それが的実に執行されるその方法で税が適正に課税されて行くということに全体を動かして行きたいと、かように考えております。
  43. 秋山長造

    秋山長造君 国税庁ということになると渡辺さんの管下でないということなら、一応大蔵大臣の言明をお願いしたい。割当課税を若し万一どこかの税務署でやつた場合に、大蔵大臣責任をとられるかどうか。
  44. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。よく世間で噂にも上り、又話題にもなつておりますところでありまして、税務署では、所得税にしましても或いは他の税金にしましても、割当を税務署ごとに持つてつて、それを管内の納税者に又割当をしているということを言われるのでありますが、それはやはり一つの不平と申しますか、単なる邪推と申さなければならんと私は考えております。と申しますのは、私も若い時分に税務署長をやつた当時の経験がございますが、当時でもやつぱりそういうことを言われておりました。併し私ども税務署長をやつておりまして、一体来年の所得税が幾ら取れるか、或いは当時は常業収益税、地租というような税を取つておりましたが、それに幾ら取れるかというようなことにつきまして、その翌年度の見通しについて、税務署長としては経済界の状況その他を勘案いたしましてそうして局へ報告いたします。局ではその数字に対して、やはりたくさんの税務署長がおることでございますから、その税務署長のいわゆるその翌年度における経済界の見通しに対しての強気弱気、いろいろな調査の十分不十分等からまちまちな点が起つて参ります。そうしますというと、当該上司の局では、君の所はどうも少し足りないのじやないか、もう少し取れるんじやないかというような場合も起きます。或いはどうも君の所はそんなに取れんと思うのに少し見積りが多過ぎるぞというわけで、そういう場合にはそれを減らして見積りを立てるというようなことも局でやるわけであります。ところがそういうふうにして集まりました各局における税収見積り額を今度は本省へ持つて来まして、今ならば国税庁へ持つてつて国税庁で又同様に全国的にいろいろな調査も監察もしておりますから、それに基いてやはりいろいろな補正と申しますか、是正をいたす。そうしてその結果によつておおむねそれが的実な公平な課税になるようにというのが第一線における税務署長の税務執行の最も大事なことであるというふうに考えられるのであります。そのときに当該税務署長が、大体君の署ではこれくらいの税金が取れるはずだというふうに見込を局のほうでつけておりましたその数字に捉われて、飽くまでもその税務署でその実績を上げようというようなことをする場合に、ややもすると今おつしやつたような間違いと申しますか、まずい結果が時に起ることがあるのでありますが、これにつきましては常に税は的実でなければならんということ、公平でなければならんということから、いつも第一線に対して中央地方へ、地方は又更にその第一線の税務署へと訓令或いはその他の会議の際において指示をしおるのであります。従つて私は税務署においての割当というものは実際はないんだ、ないんだけれども、時に割当があるんじやないかと思われるようなまずい税務行政をしておるものがあるかも知れない、こういう心配は持ちますけれども、こういうことについてはいつも注意しておりますから、恐らくさようなことはあるまいというふうに考えておるのであります。今後割当課税が起つたから責任をとるかという今お話でございますが、これについては、仮定のお話でございますし、十分実情を調べまして上司としてとるべき責任がある場合には責任はとらんなりません。併しながらそれは大勢の人たちを使用して仕事をして参ることでありますから、一々皆大臣の責任だ、国税庁の全部責任だ、責任をとれと言われても、何か因る事態が起ろうかと考えます。要するに国税局としては、或いは大蔵大臣としては、割当課税なんということは全然考えておりません。又さような結果が起らないように常に指導訓育を施しておるつもりでございます。今後ともさような注意をして参りたいと、かようにお答え申上げます。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 その点については、私は依然としてどうもその程度の次官の御答弁じや非常に危ぶないと思う。仮定の問題には責任はとれんとおつしやるなら、じや大蔵省として絶対に入場税に限らずすべての税は割当課税をしちやならん、又そういう誤解を受けるようなことも厳に慎しむべしという具体的な措置をおとりになる御意思はないか、その点。
  46. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。只今のお話のような点につきましては、常に町長会議のあるたびごとにそういう問題は話題に出ますし、常にそういうことがないようにということは指図をいたしておる次第でございます。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 いや、それはわかるのですけれども、この入場税国税に取上げた機会に特にこの問題に関連して改めてそういう具体的な措置をおとりになる御意思はないかということを……。
  48. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 入場税の問題につきましては、いろいろとこうして当初の提案に対して相当大幅な修正もありましたし、而もそれの収入見込額につきまして確定的な数字を申上げておりません。そうしたこともありますので、ややもすれば税率を下げたのに苛酷な徴税にならないかという御心配もありますから、この点につきましては、文書を以てしますか或いは当該責任者を中央に集めて指示をいたしますか、いずれかの方法によりまして、お話のような御心配が起らないように十分注意をして参りたいと、かようにお答え申上げます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 その点について私はもう少し念を押したいと思うのですが、その前に自治庁のほうへお尋ねしますが、今度の政府原案の場合ですね、百九十二億ということですから、十二カ月に引延ばせば二百十億足らずぐらいになる。その二百十億足らずというのは、政府原案で或る程度まあ減税されておるからそういうことになるのだろうと思いますが、現行法のままで二十九年度徴収をしたと仮定した場合、どれだけ税収が上るか、その数字をちよつと……。
  50. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現行法で行つた場合に年間二百十八億円の収入が得られるとこういうふうに考えておるわけでございます。これは第三種の施設の利用に対しまする課税も含んで計算をいたしております。その分が二十億余りございます。この二百十八億円の十一カ月分が今おつしやいました百九十二億になるわけでありまして、ただ滞納繰越の関係等の分は除外いたしまするので、そういう計算になつて参るわけでございます。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと疑問が更に出て来るのですが、結局現行法のままで第三種をも含めたこのものが二百十八億でしよう。まあその中に多少この滞納繰越などもあるから、結局百九十二億という数字はこの二百十八億の九割だということになるのですね。ところが百九十二億というものの中には第三種を含んでないわけなんですから、三十億余り……。そういたしますと少くともこの政府原案にしてからが、もうすでに現行法と比べて二十億ものこれは増徴ということになつて来るわけでしよう、一種、二種については。その点は大蔵省お認めになられますか。
  52. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在三種も込めて取る程度税収ですね、今のお話の……。それを上げることを目途にしてそして一種、二種だけで政府原案程度税率でやつて行けば大体それが取れるだろうと、まあこういうふうな見積りになつておりまするので、従いまして一種、二種だけについて見れば、政府原案通りで行けば二十億そこに増収といいますか、増徴といいますか、そういうものがあるという計算になつて行くことはおつしやつた通りだと思います。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 それがあるから、衆議院修正で或る程度税率は低くなつて政府の百九十二億という見積りも大分低くはなるけれども、やはり第三種分をも一種、二種に含まれて取るという大蔵省の基本的なものの考え方、行き方というものは依然として私は残つておると思うのです。だからさつきの減税した分はできるだけ徴税強化によつて増収を図つて穴埋めしようという気持ちと、それから今の第三種の点と両方が合致して参りますから、余計徴税強化になり、そして割当課税になつて来るということにもどうしても私はなると思うのです。思うのだけれども、これはまあここで押問答してみてもしようがないから、その割当課税の問題はこれぐらいにしておきますが、願くは今お二方がおつしやるように、本当にただ上のほうの人たちだけが取るつもりはないと言つても、税務署がやはりそういうことで実際やればやはり取られるのですから、割当課税を絶対に、或いは割当課税の疑いを受けるようなことは絶対にやらさないというだけの強い指導方針でやつて行かれたい。
  54. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御趣旨の点は十分わかるんでございまして、割当課税はやらないことは勿論、それの疑いを受けるようなことも厳に慎しむように十分措置したいと思つております。
  55. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 割当課税の問題が大分なんですが、一体取り方を、今までやり方を地方事務所、或いは税務事務所が切符に検印をして業者に渡している、その売つただけのものがちやんと数が出て来るというやり方でやつて来ておりますが、大体こういうことを踏襲してやられるとすれば、売れない切符をどうしても売るんだということで押付けることはできないと思うのですが、入場税についてはそういうことは絶対にあり得ないと思うのですがどうですか。そういう売り方をやるならば、割当課税というものは入場税についてはできないと思うのですがね。
  56. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私の説明がどうも余りよくないので、おつしやるような御注意有難うございますが、我々のほうで考えておりますことも、今お話がありましたように、官検の切符を支給いたしまして、そしてその切符の使用枚数とか、そういうものによつて税金を徴収して行く、こういうようなやり方で考えておりますので、割当課税或いはそれの疑いを受けるようなことは絶対にやつて行くつもりもございませんし、その方向におきまして、まあ要するに問題は官検の切符を本当にちやんと使つてくれれば問題ないのですが、使わないでくるくる廻ししましたりしたようなところにいろいろな問題が出て来るわけでございます。そういうような点については、相当注意をしてやつて頂くようによくお話も申上げたりして……。それから先ほど秋山委員からもお話がございましたが、人数は四百七十人で、決して多い人数ではございませんが、幸いにいたしましてか、これは国税のほうの機構に相当ほかのほうの人がおりますので、仕事をできるだけやりくりといいますと語弊がありますが、人間をできるだけ有効に使うことによりまして、このたびの入場税国税としての徴収による増加人員は最小限度にとどめましたが、その点などにつきましては、十分遺憾なきを期して参りたいと、かように考えております。
  57. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 従来、納税義務者に又大変手数をかけるわけですが、手数料の割戻しをやつておると思うのです。それについて今度の国税とした場合に何かお考えがありますか。
  58. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 地方税の場合におきましては、入場税につきましての手数料の割戻しをやつていた話を私も聞かされております。なお地方税におきましては、入場税に限らないで、ほかのほうの税につきましても、そういうような事例もあるようでありますが、国税につきましては、そういう事例が実は今まで全然やつておりませんものですから、今度入場税だけに限りましてそういう処置を講ずるということには考えておりませんです。    〔委員長退席、理事堀末治君着席〕
  59. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この前の大蔵委員会との連合審査のときにも申上げましたが、入場税税率の引下げ、或いは免税にしたようなものは、どこまでも観覧者大衆のためにやつたので、その趣旨を十分お考えになりまして、今まで税率を下げて来ても、税率を下げた分くらいをいつもフイルム代で映画会社などに取られてしまつて、税込みの入場料というものは減つて来ない。これについては非常な非難をされて来ておるのです。そういうことが又繰返されることになりましては、折角政府或いは国会が更に税率を下げたということは一般大衆には何も恩恵がないということになります。映画の製作代に、いい映画を作るためにそれを使うのだという考え方は映画会社としてお考えになるのは無理もないけれども、そうかといつて税率を引下げた分だけ当然取つてしまつていいという考え方は、我々が努力して税率を下げた意味がなくなる。この点は一つ是非大蔵省において、又主税局において、特にこの映画会社に対しては強力な指導を加えられて、是非この際フイルム代を上げないように、上げるならば合理化でその部分をカバーしろというぐらいに強力な御指導を願いたいと思います。この前の連合委員会のときにも、どうもその点主税局長余り熱意のないような御答弁であつたので、もうちつと一つしつかりやつて頂きたいと思います。
  60. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この前の答弁がどうも不行届きで恐縮でございますが、実はお話のような点もございましたので、取りあえず興行関係のかたには、実は今日も事務局のかたが見えましたので、十一日の午後に一遍お目にかかりまして、まあその点も私のほうとしましては、その点を中心に国会の今のような御意思をお伝えしたい、と同時に興行関係のかたとしては、まあいろいろ我々に対して希望もあるようでございますから、私の室で一遍よく話合つてみたいと実は今日段取りしてございます。それからいろいろ伺つて参りますと、結局まあ興行関係のかただけとお話合いをしても問題は片付かないので、今のお話のような配給会社といいますか、そういうかたがたのほうにもお話合いを或る程度しないと、結局フイルム代が上ることだけに終つてしまうというような事態のようでございますので、興行の関係のかたともお話合いをしたその後においては一遍配給関係のかたとも懇談したい、かように考えております。御了承願いたいと思います。
  61. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それは一つ是非その点は熱意を持つて映画製作会社には当つて頂きたいということを特に希望して、私の質問を打切ります。
  62. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大蔵省のほうに私ちよつと二、三伺いたいのです。これは入場税のいわゆる国税移管の問題なんです。これはこの前も連合委員会のときに大蔵大臣に私は質問したのでありますが、どうも私の納得の行かない点がある。それでこれは国税移管については、自治庁立場は私は余り喜ばない、又喜ぶはずがない。本当に地方制度というふうなものを、地方自治というものを育てて行くというような立場であるならば、真の意味独立財源であつたものを、何だか恰好の変つた形式だけの譲与税というような恰好に、独立財源のような恰好にするということは、これは双手を挙げて賛成するはずがない、基本態度から言えば。そこでこの問題については大蔵省がとにかく国税移管ということを非常に主張してこういうふうなことができたように思うのですが、本当のその意味は、国税に移管しなければならないというところの真の意味はどこにあるのか、この点をちよつとお伺いしたいと思います。
  63. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点は恐らく大蔵大臣からもお答え申上げておると思いますが、専ら財源の偏在を是正して行きたい。而も先ほど渡辺主税局長からも申上げましたように、従来の入場税の実際の徴税実績というものが果して実情に、実情と申しますのは的実な課税になつておるかどうかにもやや不行届な点があるのではないかというような疑いもございました。これらを勘案いたしまして、そうして国税として一旦徴収をして、そうして的実な公平な課税を行なつて、而もこれを偏在是正の意味で、ややともすれば大都市に偏しておりますこの財源をでき得る限り広く人口によつて配分をして参りたい、かようなところに本来の眼目があつた次第でございます。勿論この点につきましては、入場税だけが財源が特に偏在しておるというわけには参りません。しばしば御指摘受けておりますように、遊興飲食税のごときも、入場税以上に財源が偏在しておる一つの税でございます。従つてできるならば大蔵省といたしましては遊興飲食税も入場税も共にこれを国税に移管して、そうしてこれを最も適正に配分して参りたい、かように当初考えておつたのでありますが、併しながらいろいろな情勢上遊興飲食税については、この際は思いとどまらざるを得ない状況に立至りましたのでそれでは入場税だけでもやはり当初の考えで参りたいというので、今日こうした税の御審議をお願いしておるような次第でございます。
  64. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、これは大蔵大臣の提案理由にもあるのですが、財源の偏在是正だというところを中心にしておる。こうなりますと、これは簡単に今もお話ありましたが、入場税ということのみにこだわることができない。全般についての相当の研究の結果でなければならん。そして大蔵省としてはそれに対していわゆる財源の偏在がどういうふうな様相を示しておるかということについては、何か資料について十分検討した結果入場税ということになつたのですか。
  65. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) おつしやるように入場税だけの問題でございませんで、各税につきまして一応偏在の程度とか、更にそれをまあどういうふうに処置したらいいとかそういつた点を検討した結論として、今政務次官の申上げたようなことに我々としては考えて結論を出したわけでございます。
  66. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますとそれはただあなたの抽象的な一片の答弁ではなしに、相当なこれは資料を集めて、その上で検討した結果、入場税の場合を取上げるという工合に出て来なければならん。具体的にこの税収のどういうふうなものを挙げて、そうしてどういう比較検討の結果入場税なつたかということを詳しく御説明願いたい。
  67. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それではもう少し詳しく申上げさして頂きます。入場税の場合でございますが、人口一人当りの税額というものを比較して見ますと、東京がまあ一番一人当りの収入が多いわけですが、入場税におきましては、東京は二十七年度数字としまして九百十九円、それに対しまして鹿児島、これが一番少いほうになつております。人口一人当り九十八円、こういう数字になつております。法人事業税、これも相当いろいろな開きがある税でございますが、これは東京におきましては千九百七円、鹿児島が百三十三円、それから個人の事業税、これは東京が五百五十五円、鹿児島が二百九円、遊興飲食税におきまして東京が三百六十七円、鹿児島が七十四円、この数字を見て参りますと、法人事業税が一番そういう開きが多いのでございますが、併し法人事業税というのは、その性格からいいましてどうも国税に云々という性格のものではあるまい、結局話題になりますのが入場税と遊興飲食税でございますが、先ほど政務次官の言われたような事情によりまして、入場税だけをこの際としては国税として徴収する、これを人口割で配る、こういう結論を出したわけでございます。
  68. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういたしますと、この従来通りにしておいた場合と、それから今度これを譲与税にした場合とにおいては、どういうふうな一体偏在が是正されるか、そういう点についての御説明を願いたい。
  69. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 多少数字がずれておりまして恐縮ですが、二十九年度のまあ比較の表がございますので、これで御説明さして頂きたいと思います。東京の例をとつて申しますと、二十九年度東京で一応収入されると見込まれております数字が五十億でございます。それから、鹿児島で以て収入されると見込まれます数字が一億六千三百万、で、これを人口一人当りで分けて参りますと、東京は十三億になりますし、鹿児島は三億七千七百万になる。こういうふうな一応の是正関係ができるわけでございまして、これによりましてまあ一面では基準財政収入が基準財政需要を著しく上廻つているところから、逆に需要のほうの著しく多いとなつているほうへまあ財源を移動できるのじやないかと、かように考えているわけでございます。
  70. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の数字で私はつきりしない点は、さつきのはまあ人口一人当りの入場税については九百十九円ですか、これが鹿児島は九十八円ですか、これは円単位ですな。ところが、今のはですね、二十九年度の場合にこの人口一人当り十三億というのは、これはどういうふうな計算ですか。
  71. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それは、人口一人当りではございませんで、結局先ほどもちよつとお断わりいたしましたように、この数字は二十九年度でございまして、幾らか年度がずれていて恐縮でございますが、東京都において現在収入しております、このまあ収入すると見込まれる入場税税収全体が五十億でございます。で、その先ほどのまあ百九十二億という数字が元になつてこれできておりますので、この辺が先ほど来のお話で多少数字が変つて参りますが、まあ是正という点で考えれば或る程度わかりますと思いますのでお許し願いたいと思いますが、これを人口一人当りで幾らということにして、そうして分けて参りますと、東京は総額で十三億になる。一人当りではございません。総額で十三億になる。鹿児島は同じような意味におきまして、税収の見込額としましては一億六千三百万であるが、人口一人当り幾らときめまして、東京の一人当りと鹿児島の一人当りを同額にして行きますと、三億七千七百万になる、こういうわけでございます。
  72. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、いずれにしても率がありますね、パーセンテージが、その点で以て比較したらどういうふうになりますか。二十九年度の場合において、現行法で行つた場合と、いわゆる譲与税にした場合とですね。
  73. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 恐らく今の御質問に対しましては、人口一人当りで分けたら一人当り幾らになるかと、この一人当りの額を申上げれば大体……。
  74. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 出ます。
  75. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御質問のお言葉通りになると思いますが、今ちよつと人口比率でやつておりまして、人口のそのものの生の数字を持つておりませんので、ちよつと或いは計算に時間がかかりますので、あとで申上げさして頂きます。
  76. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の聞いているのはどの程度是正されるかということがはつきりわからない。この点です。これは自治庁のほうはどうですか、それについて。
  77. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お考えの問題は、入場譲与税にした場合に元来財源が足りない、それで国のほうから地方財政平衡交付金で補填しなければならないその額がどの程度軽減されるか、こういう問題に帰着するのだろうと思います。東京と大阪はこれは地方財政平衡交付金を交付されない団体でありますが、この点は入場譲与税制度とつた結果収入の減つて参りますのが当初の政府案によりまして五十一億ぐらいと、かように考えております。この五十一億程度平衡交付金の交付を要する他の地方団体にばらまかれるわけでございます。その結果それだけは地方財政平衡交付金の同額交付がなくなる。要するに切方財政平衡交付金が入場譲与税に肩替りして行く。こういうことになつて行くわけであります。
  78. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうも、私はそういうことを聞いているのじやないのですよ。あなたがたは非常に総合的なことを言われておりますが、実際において、今大蔵省に伺つたように、人口一人当りについてどんなふうに一体是正されて行くかということは、大蔵省よりも私は自治庁のほうが重要な問題になつて来るのじやないかと思うのだが、その点についての調べがあるか……。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) これは入場税収入見込額といたしまして、独立税とした場合と譲与税にした場合とどう変るかということを資料でお配りしてあります。それを御覧頂けばわかつて頂けると思います。それは鹿児島が、しばしば主計局長のほうから述べられておりますのでそれについて申上げますと、現行法によつた場合の入場税収入見込額は一億八千三百万円でございます。これが入場譲与税で行きました場合には三億九千九百万円になつて、二億一千六百万円増加するわけであります。丁度二倍余りの金額になつて参るわけであります。こういうふうな変化を来たすわけでございまして、大体富裕だと言われておりますような団体におきましては入場税収入が人口割にして多いわけでございますが、これが譲与税の形に変つて参りますと、入場税を直接徴収いたしましたよりも減つて参るわけでございます。その辺の差引関係をこの資料に記載いたしているわけであります。
  80. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今資料をもらつたからこれについて検討して見ます。今来たのです、この資料は。あとで検討して見ます。
  81. 秋山長造

    秋山長造君 今の税務部長の御答弁にあつた、五十一億円交付金が浮いて来るという話ですが、その御答弁は結局この入場譲与税制度をとることによつて期待される地方財源の偏在是正の幅と言いますかな、それが五十一億程度だ。こう解釈してよろしいのですか。
  82. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りに考えております。
  83. 秋山長造

    秋山長造君 これは勿論政府原案でやつた場合の数字だろうと思います。これを今度の衆議院修正ではじき出した場合に、この五十一億というのがどの程度減るか、その点について。
  84. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場税の減収を生ずるようになりましたので、その減収額を別途補填しなければならなくなつて来ております。従いまして当初政府が考えました趣旨というものは入場税の大幅な減収によつて全く変つて来た。これは自治庁長官もたびたびお話になつておりますように、趣旨が全く変つて来たというふうに考えております。ただ政府が当初考えました計数は只今申上げましたようなことであります。
  85. 秋山長造

    秋山長造君 その五十一億というのが具体的な数字でどのくらいになるかということをちよつとお伺いしたい。
  86. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 私が今申上げましたのは入場譲与税で地方財政平衡交付金の代りの役割を果させる、これが五十一億程度予定しておつた。かように申上げたわけであります。減税になりましてもそれに近い金額がやはり東京、大阪から吸上げられまして他の団体に交付されるわけであります。併しながら入場譲与税の総額が減つてつて来ておりますから、他の団体が入場譲与税として受ける金額が減つて参りますので、東京、大阪から吸上げられますものはそれほど減りませんでも、他の団体が入場譲与税として受ける金額は総額が滅つて来た結果当然減つて参ります。これだけのものはやはり地方財政平衡交付金で補填しなければならなくなつて来ております。従いまして入場譲与税で地方財政平衡交付金の肩替りをすることができると考えておつた金額が、入場譲与税として配分される金額が少いものでありますからそういうふうにならなくなつてつた。そういうふうに言えるわけであります。ただ私が五十一億と申上げました数字は、東京、大阪から吸上げるという金額はやはり総額において減りましたので、東京、大阪に入場税として配られる金額も減つて参りますので、その差額というものはそれほど大きな変化は生じない、その数字は今手許に持つておりませんので別に計算したいと思いますが、そういう姿になつております。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 いずれにしても最初期待されておつた調整作用と言いますか、この譲与税による幅というものはうんと狭められて来るわけですね。ですからさつき税務部長のおつしやるように、そもそも、わざわざ入場税国税に移管して譲与税の形で地方に還元するという本来の趣旨はこれはうんと骨抜きになる、こう解釈してよろしうございますか。
  88. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 一つの問題は、財源調整的な働きを持たせるように予定しておりました入場譲与税の総額が数十億円も減つて来たということであります。  第二の問題は、東京や大阪から吸上げようと考えておつたのでありますが、税率が大幅に軽減された、先ほど来入場税の徴収成績が悪いところがあると言われておりましたが、これは主として田舎の地方だと思います。従いまして東京や大阪におきましては税率引下げの影響はまともに受けております。従つて東京や大阪の入場税収入の人口一人当り幾らという金額がまともに減つて来るだろう。そんなに減つて来るならこれを吸上げる必要がないじやないか、こういう議論が出て来る。こういう趣旨で塚田大臣がたびたび模様が変つて来たと言うておられるのは私はこういう趣旨だろうと解釈しておりますし、私も大体同様な感じを持つているわけであります。
  89. 秋山長造

    秋山長造君 だから結局我々の見解では、最初の政府原案通りでも、恐らくこれによつて期待される財源の偏在調整なんというものは大したそう政府が自画自讃されるほどのものではないと思う。それが更に衆議院修正によつてこういうことになると、結局本来のこの財源調整というような何かこの万能薬みたいなこの機能はこれは殆んど零に近いものになつてしまつたと思う。そうなつてもなお且つこれを飽くまで政府はこの財源調整のためにどうしてもこうしてもやらなければならんこの改正だと、こう現在もお考えになつておるかどうか、大蔵省へお尋ねしたい。
  90. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 御指摘の通り、最初に考えておりました程度よりは非常に程度が少くなつたことは甚だ遺憾でございますけれども、やはり政府といたしましては税全体の、中央地方を通ずる税制全体の今回の改正の一環として、是非とも御審議御可決を仰ぎたいと、かように考えておる次第でございます。
  91. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今秋山君の質問で大分はつきりして参つたのでありますが、結局まあ私考えて見ましても、これだけでは十分なこの偏在の是正にはならんじやないか、こういうことをそういう名目の下に何か国税に移管するというところの一つ考え方大蔵省としてはあるんじやないか。地方自治庁の喜ばないものをそういう形に持つて行くということについては他の一つ考え方があるんじやないか、こういうふうなことが私としては考えられる。というのは御承知の通り入場税はもとは地方税であつた、それが支那事変が始まつて以来国税に収上げていわゆる戦時税として国税にした。その事情が済んだ後に再び平和の回復ができた場合において又地方税に帰した。こうなつて参りますと、この入場税というふうなものの性格はどう考えて見たつて、私は財源の偏在の是正なんということによつて地方税から国税に移管するというふうな、本質を異にしていると思う。それをあえてやるということについては、どうも私は地方財政計画というふうなものを、或いは財政規模というふうなものを国の財政規模で以て束縛してしまう、そういうふうな一つ考え方大蔵省あたりにあるんじやないか。殊に一兆円の枠に抑え付けるということからこういうふうなことが考えられて来ておるので、やがてそれを進めて行けば、財政上からいわゆる地方自治というふうなものを中央集権化の方面に持つて行くその一つの現われでないか、考え方でないか、こういうふうに思うんですが、この点如何ですか。
  92. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今のお話のような、地方から税源を中央即ち国のほうに取上げてそうしていわゆる中央集権化を図る、地方自治の根本であるところの財政基礎を危うくするような別の魂胆があるのではないかというお話でございますが、大蔵省といたしましては決してさようなことは考えておりません。地方財政確立という問題については大蔵省も常に自治庁当局と協力し合つて、そうして充実を図つて参わたいと考えておるのでございます。成るほど御指摘のごとく、入場税につきましては一転再転と今日までの経過を辿つておりますけれども、今回の税制改正に当りましては税制調査会意見も顧み、又政府としても十分検討もし、自治庁当局とも御相談いたし、そうしてこの結果に相成つております。勿論自治庁当局に御不満がおありだつたかも知れませんけれども政府としましては、自治庁大蔵省も一体となつてこの原案を作成いたしておるのでありますから、    〔理事堀末治君退席、委員長着席〕 その点両者間に食い違いのないことを御了解頂きたいと思います。
  93. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 一応あなたのほうではそういう御答弁をなさるだろうと思う。だけれども、これだけの一体歴史のある而も重要なる地方財源としての地方税をただ単なる大した効果も挙げ得ないような、いわゆる財源の偏在是正のためにこれを国税に移管するということについてはどうしても私は納得行かない。これは重要な問題だと思う。この入場税というようなものを移管するということは、それをあえてするというところにどうしても私はさつきも申上げたような一つの考えが浮んで来るのであります。これはあなたのほうでそうでないと言えばまあそれ以上私は申上げませんけれども、どう考えても、この重大な問題をただ単なるこの偏在是正のような名目の下に変えるということに対しては、これは税制の体系から考えても私は大蔵省としてはもつと考えてもらわなければならないし、自治庁としても両者で以て協議したのだからというような御答弁であるけれども自治庁としては重大な問題として今後考えなければならないものである、こういうことを申上げておきたい。
  94. 秋山長造

    秋山長造君 大蔵省にお伺いしますが、次官は先般来この入場税地方でやらしておくと適切な調整ができないということを頻りに言つておられる。最初大蔵省のほうは遊興飲食税を第一にし、そうしてこれと一体不可分だということで入場税を二次的に最上げられたという経過を辿つておることはこれは実情ははつきりしておる。地方で現行通りやらした場合に、入場税の徴税とそれから遊興飲食税の徴税とどちらが的実であつて、どちらが的実でないかという点についてどういう御見解を持つておられますか。
  95. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) その点につきましては遊興飲食税と入場税と比べますと、入場税よりも遊興飲食税のほうが実際の実情にかなつた課税が行われてないように承知いたしております。
  96. 秋山長造

    秋山長造君 我々も次官と同じような考え方を持つわけなんです。そうなりますと、この実際徴税の実情も遊興飲食税のほうがどうも的実でないということを大蔵省自身よくお認めになつて、だからこそなお更第一次的に遊興飲食税というものを最初お考えになつたのだろうと思うのですけれども、にもかかわらずいろいろな、この御承知のような事情によつてそれが取りやめになつて入場税だけ、まあこれは業者の抵抗も比較的弱かつた関係があるのだろうと思うけれども入場税だけが取上げられた。而もその入場税自体について見ても、この中でも一種、二種に比べて第三種のほうは、大蔵省の説明によれば多少性質が違うというようなこともおつしやるのですけれども、そういう理由よりも何よりも、やはり遊興飲食税の場合と同じように、第三種の事業税の関係の業者の反対運動といいますかね、抵抗というものが一種、二種に比べて非常に強かつた。そういうこともあつて、第三種がそのまま放置されたというように我々は承知しておる。そういうことになりますと、まあ大蔵省といいますか、政府といいますかね、実際どういう確固たる方針を持つてこの問題と取組まれたのか、甚だ我々は疑問を持たざるを得ない。特に第三種のパチンコ組合なんかというのは、何でも組合長か幹部かが大野国務大臣とか、廣川弘禪とかいうような大幹部がやつておられるというような話も開いておるのですが、そういうことは甚だ私は不明朗な感じを受けざるを得ないのです。悪く言えば大蔵省は一種、二種の切符でびしつとやれる分は簡単だからそれだけ取上げて、あとの三種は地方でやらしておけというような、極めて地方財政に対する誠意のない考え方をしておられるのじやないか。そうであるとするならば一事が万事で、やはり地方財政を尊重するとは口ではおつしやるけれども、先ず国の財政都合を第一に考えて、そうして地方のほうへはその尻ぬぐいを持つて行くというような解釈をしてもこれは止むを得ないと思うのです。その点如何ですか。
  97. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 御解釈ですから、御意見の相違とあれば止むを得ませんけれども、我々当局といたしましては先ほども申上げますように、国の財政地方財政と共に大事にして考えて行かなければならんということは、常に考えておるところでありまして、決して地方財政中央財政のためにしわ寄せは幾らやつてもかまわんと、止むを得んというようないい加減な態度でおる次第ではないのでございます。又只今お話のいろいろの陳情によつて、その陳情の力によつてとおつしやいましたが、勿論陳情等も参考にいたします。そうして又今日の輿論政治の時代でございますから、輿論の趨向もできるだけ考えて行かなければならん。又内閣としては、各大臣が十分ことの状態を勘案しまして、そうして態度を決定することは勿論であります。又政党政治の今日でございますから、自由党がたまたま現在政府与党でございますから、そうした自由党内における多数の人たちの意見希望というようなものも尊重して、かけて行かなければならんと、かように思つておりますが、そうした結果が今日御審議を仰いでいる状態になつておりますが、それに対しての御批評が今のように、或いはおつしやる点が当るとお考えになるかたもあるかも知れませんし、私どもといたしましては、さような考えは毛頭持つておりませんと、こう申上げるよりほかにお答えのしようがないのであります。
  98. 秋山長造

    秋山長造君 その点は見解の相違という以上に天下の常識ですよ。これは次官でも恐らく腹では、そういう点について疑問なり矛盾なり私は持つておられると思う。併しながらそれはこれ以上言いませんが、まあとにかくこの結果的に見て、こういうもう満身創痍、殆んど大蔵省が考えておられた、或いは説明しておられたような機能というものは、殆んど骨抜きになつて期待できない、こういうものをなお且つ譲与税という名前をつけてそうして地方に配つてやろうといつて恩に着せられても、私は地方としてはそう喜ばんと思う。自治庁はどうですか。こういう形でもやはり大蔵省のおつしやるような、飽くまで地方財源の偏在是正のために非常に有難い改正であるという信念を今持つておられますか。
  99. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) これは塚田大臣からたびたびお話になつておりまするように、政府原案としてはこういう行き方がよろしいと考えております。国会修正でこういうことになるというならば、当初の考え方がよほど変つて来るであろうと、こういうふうにお答えになつておるのでありまして、その点は我々も同じような考え方をいたしております。
  100. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今のに関連して。自治庁のほうにお伺いしたいのですが、入場税が府県税であつた場合にはいろいろうま味があつたのじやないかと僕は思うのですが、というのは社会事情とか教育とかいう方面のものについては、府県で似ていろいろこの便宜を図つてやれというようなことが行われておつたのではないか。或いは自治庁、市町村主権のものに対しては税収の相当額を補助金というような工合に還元してやるというようなことが行われておつたのではないか。そういうことが今度は国税に移管された場合に同様に在来通りになるものかどうか。若しならないとするならば、これは今の秋山君からお話のあつたように、有難く頂戴しますというものとは相当私は隔りがあると思うのですが、その点はどうでございますか。
  101. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 大蔵省のほうで約束して頂きたいと思うのでありますが、今おつしやつた問題につきまして二つあると思うのであります。  一つは社会教育団体でありますとか、学校でありますとかいうふうなものが基金募集といいますか、何かそういうふうな意味において映画、演劇の催しをいたします。そういう場合には、現行法の中におきまして入場税を徴収しないことができるという規定が入つております。これが地方実情に即応したような運営をされて参つて来た点はあろうと思います。この点につきましては、国税に移りました入場税法の中にもそのような趣旨の規定が設けられております。  もう一つの問題は、例えば市町村が博覧会などをいたします。そうすると、相当な入場税収入がございます。その入場税収入相当額は全額府県のほうから当該市町村に対しまして補助金として交付する、こういうふうなやり方をしながら、更に別途に補助金も交付したりしてそのような催しを府県がむしろ助けるというふうなやり方をして来ておるのが非常に多いわけでございまして、こういう問題につきましてもどのような運営が行われるかということになろうかと思います。補助金ということになつて参りますると、多少国の場合にはやりにくいという問題が起きるかも知れないということは心配いたします。
  102. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の点は私は非常に府県の行政から見て、或いは教育文化の振興というような方面から重要な問題だと思うのでありますが、大蔵省はこれに対して今自治庁の希望もあつたようでございますが、如何様にお考えになりますか。
  103. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今の御質問の免税関係でございますね。それにつきましては、一応現在地方税法で規定されております免税関係は大体そのまま国税の場合においても承け継ぐようなつもりで法案ができております。従いまして例えば学校でありますとか、教育団体が催物をしまして、そうしてその利益を教育事業、社会事業に寄附する、こういつたような場合におきましては免税しておりますが、これをそのまま承け継いでおります。ただまあもう一つ立入つて地方的な事情によつて地方の場合でございますと、広い意味の規定、公益上必要なりといつたよな意味の規定が地方税のほうにたしかあると思いますが、あの規定を適当に活用されることによつて措置といつたようなことは、国税として徴収する場合におきましてはこれは行きません。その而の適当な措置といつたようなところは今後は甚だむずかしいのじやないかと、かように考えております。
  104. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 再びそれでは自治庁とほうに伺いますが、今の市町村の主催したような場合に対して、入場税収入と見合うような額はこれは補助金として還元するというふうなことが、まあ国税になればなかなか面倒だと、そういうふうになつた場合に自治庁としてはこれに代るところの一つの方法を個か考えているか、その点を伺いたい。
  105. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 我々はやはり国税になりましても同じような措置を講ぜられることが望ましいと考えております。ただその場合には恐らく国の歳出を通じて補助金を交付するというような形をとることになるのだろうと思います。具体的の問題が起りましてから、又移管後も国税につきまして話合が行われることになるだろうというふうに思つております。
  106. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうなるとなかなか今まで入場税を預つてつたようなふうないわゆるうま味というものが私は出ないと思うのですが、単に別途に国のほうから補助をもらうということになればこれ又いろいろな規定に引つかかつてそうスムースに行かんだろうと思う。この点から見て非常に私はこの地方団体運営上今までと変つた形が出て来ていろいろな支障が出て来る、こういうふうに思うのであります。これについてはまあ今具体的にどうこうということも私も考え得ないので十分一つ自治庁でこの点を検討してもらいたい、こう考えます。
  107. 秋山長造

    秋山長造君 本年度衆議院修正案によりますと、政府の予定しておつた百七十二億八千万円に満たないところは一般会計で補うということになつているようでありますから本年度はこの金額だけから言えば一応当初政府の考えておられた偏在調整ということは形式的には一応かなえられるのです。ところがこれはまあ本年度だけのことでありまして、平年度はそうは行かなくなるのですが、その点平年度の手当を大蔵省としてどうされるおつもりなのか、その点ちよつと伺いたい。
  108. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。この入場税収入見込につきましては先ほど来お話もごさいましたように自治庁当局と大蔵省当局との間で見解が必ずしも一致いたしておりません。私どもはやはりこの施行の実績を見まして対策を的確に立てるべきであるというふうな見解を持つておるわけであります。従いまして国会の御修正衆議院の御修正によりまして二十九年度の問題につきましてはお示しの通り対策が講じられたのでございますが、三十年度以降の問題につきましては一応政府としてはその施行の実績を見た上でという態度で来ておつたように承知をいたしておるのであります。ただ別途に交付税の問題があつたことは秋山委員も御承知の通りでございますが、私ども只今のところはやはり最終的には実績をよく見ました上で対策を講ずべきものと考えておりますが、一方交付税交付率修正の問題もございまするので、それらを併せ考えまして三十年度の対策を決定すべきものである、こういうふうに考えておる次第であります。
  109. 秋山長造

    秋山長造君 実績を見た上でとおつしやるけれども、どうせ三十年度国家予算をお組みになるのはもう今年の十月か十一月頃には作業が始まるわけなんですが、従つて実績と言つても恐らくこの実績は二カ月か三カ月或いは四、五カ月の実績ということになりますが、そういう短期間の実績で今後の方針がどれだけはつきりきまるものか我々は疑問を持たざるを得ない。それから大体実績を見る見ないというよりも今大蔵省のほうの見通しではこの衆議院修正によつて年度百五十八億ということをおつしやつておる。それで自治庁とは大分食い違いがありますが、仮に大蔵省の見通しをそのまま認めるといたしましても最初考えられておつた年度二百十何億という数字と、それからこの修正案に基いて立てられた平年度百五十八億という数字との間には相当のこれは開きが出て来るわけです。そこで幾ら実績を稼いで見たところでこの隔りというものはそれはさつき言いましたように何か割当課税というような、そういうようなむちやくちやなことを一方的に押付けるというようなことをしない限りはそう隔りというものは埋まれんと思う。そこでどうしても地方財政としては今年はとにかく我慢できても、来年からの見通しというものは全然立たない。そこで国のほうにも年々財政計画というものがあると同じように、而もこの財政計画は一年きりのものではなしに少くとも二年、三年ぐらいのかなり長期間の見通しの下に財政計画は立てられて然るべきものだ。まして赤字に悩む地方財政の再建整備というようなことからして考えて行かなければならん。地方財政としてはかなり数年間というような長期に亘る見通し、或いは財政計画というものを当然これは立てて行かなければこの赤字の問題を一つつてもどうにもならない状態だと思う。そういう地方財政実情であるのにこの譲与税の点については来年以降の見通しというものは全然立たない、そうしてこれを何とか最小限度政府の最初の原案通りぐらいにしてもらおうと思えばこれ又非常にあの手この手で大蔵省に対して、或いは知事会、或いは市町村長会が入れ替り立ち替り運動しておるというのです。そして今度の交付税のいきさつと同じようにとにかく大蔵省へ頭を下げて下げ抜いて行かなければ大蔵省もなかなか満足な手当をしてくれないのじやないか、非常にこれは不安を持つておる、このことは事実です。こういう点について大蔵省として飽くまでもこういう片輪にされた入場譲与税という制度を突張つて行かれるつもりか、それとも翻然改めてこれを地方にお返しになつて、そしてこの程度の僅か三十億や五十億は調整作用をするなり、或いはたばこ消費税或いは交付税を殖やすといつたような形をお考えになつたほうがむしろ私は地方財政にもプラスになるし、又建前としても私は非常に簡単明瞭なすつきりしたものになると考えるのですが、その点の御見解は如何ですか。
  110. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今の御質問でございますが、大体私どもは建前といたしましては入場譲与税にいたしましてもその他の地方税にいたしましても、これは国会の御修正でございますのでやはりその御修正に伴う減収は地方税の徴税によりまして補填するのが建前である。それによつて初めて本当の地方財政の店主性が保たれるものと考えております。併しこれは建前論でございまして、現実の状況を見ますると、これは手前中の当委員会におきまして交付税税率につきまして緑風会から修正の案が出されまして当委員会で議決を見ておるわけであります。私どもはその議決によつてどの程度の増収がなされるか、この地方交付税増額分に見合いまして三十年度以降の地方財政計画を立つべきものであるということになつて来ようかと思います。従いましてこういう場合におきましては只今御指摘の入場譲与税の減収はやはり最も優先的な項目といたしましてその増額分によつてカバーさるべき対象になつて来ると、かように一応考えておる次第でございます。
  111. 秋山長造

    秋山長造君 この点は今朝交付税修正案が出たときに御質問を申上げる機会がなかつたので、そのままになつたのですが、この点ちよつと参考のために小林さんにお尋ねしたいのですが、やはり小林さんの修正案でもこの点を優先的に考えておられたわけですか。
  112. 小林武治

    小林武治君 無論これの補填も併せ考えたわけであります。
  113. 秋山長造

    秋山長造君 併しこれは恐らくこの補填という点も考えておられたであろうけれども、同時にいろいろな面の補填を考えておられたのだろうと思う。そこで恐らく今の主計局次長のおつしやるように、あの二%引上げという内容は、税率引下げによる減収だけについては、それを全部全額優先的にあの中にこめておるというものじやない。恐らくそういう面も一部入つておるという程度のものではないかと思うのであります。いずれにしてもこれは恐らく相当地方にとりましては期待外れだという結果に三十年度以降もなるのじやないかというように考えるのでありますが、その点は不幸にして送付原案参議院を通れば結局あとの手当は大蔵省自身に更に十分考えてやつて頂くよりしようがない、こう思うのです。そこで今後の参考のためにもう一つお尋ねしたいことは、入場税はこのようにしてとにかく相当政府の当初の原案から見れば、いろいろな面で骨抜きになつたわけなんです。更に遊興飲食税の問題については、今後政府としてどういう扱いをなさる御方針であるか、その点をお伺いしたい。
  114. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。遊興飲食税の問題につきましては、今後昭和三十年度以降如何なる取扱をするかということにつきましては、今回実現できなかつた経過等にも鑑みまして、なお今後の成行き等も十分考えて善処して参りたい、かように思つておるのでありまして、只今のところ来年度是非もう一遍国税移管に努力して見ようとか、或いは今のままにして置こうとか、いずれとも今のところまだ確たる考えを持つておらないのであります。さように御承知願いたいと思います。
  115. 秋山長造

    秋山長造君 その点について私はこの前も大蔵委員会との連合委員会で大臣にお尋ねしたのですが、やはり大蔵大臣のお考えは今後できるだけ早く遊興飲食税をも国税に移管したいという意味の御答弁があつたのです。ところがこの自治庁長官のお考えは、これは入場税国税移管にも反対だとはつきりおつしやらないけれども、言外にこれは余り有難くないというお気持のようでして、遊興飲食税についてはなお更二度と国税に移管しようなどということは全然考えておらない。移管しない、現状通りで行くというような強い御発言があつた。その間に、どうも大蔵省自治庁との間に依然としてこの問題についてすつきりしたやはり意見の一致、意思の一致というものができていないように思うのです。それが又地方財政についても一つの不安、今後いつ取上げられるかも知れないという不安を与えておるのじやないかというように考えるのですが、その点はもう少し遊興飲食税は二度手をつけないならつけないというようにはつきり政府の部内でされたほうがいいのじやないかと思うのです。と申しますのは、これはやはり気持の問題で、どうせ近い将来に国に取上げられるなら、そうでなくても非常に徴税もむずかしくて不確実な遊興飲食税ですから、これをむきになつて徹底的に徴税をやるというようなことをしても馬鹿らしいじやないかというようなことが多少とも心理的に働く結果になると私は思うのです。そうなればなお更大蔵省が考えておられるように、こういう税金を的実に課税して行くという趣旨からも非常に外れて来る。又かたがた赤字に悩んでおる地方財政の一層立直りが遅くなるような結果にもなると思うのです。その点大蔵省自治庁と両方の御見解を、御方針をこの際お伺いしておきたい。
  116. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 同じようなお答えになるかも知れませんが、我我大蔵当局といたしましては、すでに法案の御審議の初め以来申上げておりますように、できるならば遊興飲食税も入場税国税移管ということを本年度中央地方を通じて財政調整の際実行したいと、こう考えておつたのでありますが、遺憾ながら今回は入場税のみの国税移管にとどまりました。来年度の方針といたしまして、勿論我々今日まで考えておりましたことが間違いであるとは思つておりませんので、できるならば適当なる機会をつかまえて、そしてその際にやはり財源の偏在を是正するという意味においてやつて参りたいという考えを大蔵当局としては持つておるのであります。持つておるのでありますが、併し先ほど私が婉曲に申上げております意味只今秋山委員の御心配にもなりますように、今日それじや来年度はこうするのだということになりますと、現在における徴税上にいろいろ心理的影響を及ぼしてもまずい、こうも考えます。従いまして今回の決定に至るまでの諸般の情勢その他も十分考え併せて更に考究をいたしたい、こう申上げておるのであります。自治庁当局は恐らくどういうお考えを持つておるか知りませんが、この点、自治庁大蔵省とよく協調いたしまして今後協議の結果どういうふうな結論になりますか暫らくかすに時日を以てして頂きませんと、直ちに今この席でどちらかの方針に一定した結論を言えとおつしやられても只今のところ残念でございますが、御回答は困難かと存ずる次第であります。
  117. 青木正

    政府委員(青木正君) 遊興飲食税につきまして来年度どうするかというお話でありますが、政府といたしましては御承知のように地方制度調査会の答申には遊興飲食税、入場税共に国に移管したほうがいいという答申が出ておりますが、その線に沿うて政府部内におきましても十分検討もいたしたのでありますが、一方におきましてはやはり地方独立財源を残して置くべきだという議論もありますので、税の偏在是正の問題と地方独立財源の問題と、この両方の主張を十分勘案いたしまして自治庁大蔵省とも両者完全に意見が一致いたしまして、今回は入場税は国に移す。併し遊興飲食税は従来通り地方に残して置く、こういうことで政府部内の一致した意見として今回の提案を見たわけであります。将来の問題につきましては只今大蔵政務次官からお話がありましたように、これは共に国に移管すべきである、こういう議論も地方制度調査会の答申にもある通りでございますので、この点については今後も十分検討しなければならんと思うのであります。併しながら先ほど申上げましたように地方財源の確保という問題も考えなければなりませんので、来年度以降政府の確定議としてきめます場合には大蔵省自治庁と十分に協議いたしまして、両者の完全な意見の一致を図つて善処して参りたい。併しながらいずれにいたしましても現段階におきましては政府の一致した見解によりまして、一方は残し、一方は移す。今後の場合におきましても十分政府部内の完全に意見の一致したところによつて最終的な決定をいたして参りたい、かように存じておるわけであります。
  118. 松澤兼人

    松澤兼人君 只今秋山君から質問がありましたように遊興飲食税との関係がこの入場譲与税を審議する場合に非常に関係があると思うのです。只今両政務次官のお話を聞いておりますと、地方制度調査会では入場税国税に移すという答申があつたから答申の趣旨は尊重したい。併し諸般の事情から入場税の譲与税だけを決定して、あとは今後検討してきめるというお話であつたのであります。やはりこういう不安定な状態におきましては入場税のほうはともかくとしても、遊興飲食税のほうは非常に徴税が困難であるし、又末端におきましては徴税をする地方団体と納税をする側との間には絶えず摩擦があり、或いは十分な実績を調査しないで上からおつかぶせるというような徴税の仕方をしているわけでありますから、そういう不安定な状態でありますと、遊興飲食税を地方税に残しておきましても徴税成績というものが挙らなくなる虞れがあるということを非常に我々も心配するわけであります。いつ頃になれば、来年の問題でありますけれども、遊興飲食税を国税に移すか或いは移さないかということが決定されるか。勿論これは来年度予算の編成の時期だろうと思いますか、併し地方財政の現状から考えて見て、早急にこの問題を決定する必要に迫られていると思うのです。その時期等について何か近いうちにとか或いは予算編成の時期とかいうことについての見通しがありましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  119. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今御質問の中で仰せになりましたように、自問自答になるかも知れんがとおつしやるように我々といたしましてはお答え申上げる筋といたしましては、来年度予算編成時期までには何らかの態度が決定できますけれども、それ以前にいつ頃になればどんな時期に決定できるかということは只今のところどうもお答えすることができないのを甚だ遺憾に存じます。
  120. 松澤兼人

    松澤兼人君 入場税はその性格から申しまして我々としては地方税に残しておくということが非常に筋に合つたことであるというふうに考えているわけであります。と申しますことは、やはり映画館なり或いはその他娯楽施設なりというものが地方にあつて地方住民に利益の面もありましようが、又同時に各種の犯罪であるとか、何とかいうようなことで地方自治団体に相当の迷惑をかける、或いは又取締りなりで厄介をかける面も非常に多いと思います。そこで我々としては入場税というものの性質が自治団体に対して世話になつたり、或いは迷惑をかけたりというようなことで、やはり地方税としてそれ相当の入場税税収をその地方公共団体に納付するということが非常に正しい、こう思うものでありまして、税は結局納めるものの気持と、それからこれを徴収し若しくはこれを支出する両者において納得の行くものでなければならないということは申上げるまでもありませんが、そういう性格のある入場税というものを国税に取上げてしまつて、成るほど徴税の面ではこれを地方団体に任せておくよりは強化されて一〇〇%まで行かなくても、九〇何%は徴税できるという、そういう結果になると思いますが、併し入場してこういう映画なり、音楽なり或いはその他のものを享楽するもの、そうしてその施設がある市町村と、その施設を行なつている経営者との三者が一体となるところに税というものの理想的な形があると思うのでありまして、そういう面でそういう性格の税というものを特にこれを国税に取上げてしまつて、何らの関係のない遠隔の地方公共団体に対してこれを譲与するという性格は、税の性質として果して妥当であるかどうかということを非常に我々疑問に思うわけでありますが、この点大蔵省として税の本質と申しますか、或いは理想的な形として入場税国税に移管することが果してそういう考え方から見て妥当であるとお考えになつたのか、或いは便宜主義的に取りやすい秘であるからということで取つたのか、その点一応御説明を願いたいと思います。
  121. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私から御説明申上げたいと思いますが、入場税性格には確かに今松澤委員の御指摘になつたような性格はあると思いますが、各国の事例を見て参りましても、国税でこういうような税を徴収している事例も随分ございまして、只今アメリカ、イギリス、イタリア等におきましては、いずれも国税として徴収しております。従いまして確かにおつしやるような意味からしまして、地方税として適当な税であるという性格もありますが、同時に国で徴収するのは絶対にいけない税であるというふうにも考えられないのじやないかと思います。かように考えております。そういたしまして、地方財政における財源偏在の是正ということが相当必要性を痛感されます現在におきましてやはりこういうふうな、財源としては地方に置きますが、一応国税として徴収しまして人口割で配付する、こういう考え方も許されるものじやないか、かように考えております。
  122. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も入場税国税として絶対にいけないということは考えませんが、それは税としてやはり取りやすい税、或いは把握しやすい税ということも一つの税の性格であれば、そういうものを国税に移すということもいいと思います。又いわゆる調整的な役割を持つ税としてほかに現在の地方税からこれを国税に移して調整的な役割を務めさせるという税がほかにあるかと言えば、その点も我々としてはそれではこの税が適当であろうというそれに代るべき税があるということをはつきり言えない立場にあるということも、これはわかります。けれども税の性格から言えばどちらかと言えば、先ほど申しまたようにいろいろ地方団体との関係や、或いはこれを利用するものの立場から言えば、そういうところから上つて来た税というものはその地方公共団体の各種の仕事に使用するなり、或いは又警察的な制度を維持するために使われるとか、いろいろな点から考えると、国税に移すよりはむしろ入場税地方税として置いておくほうがいいんじやないかということを考えるので、私は絶対に国税としてはいけないということを考えているわけではありません。併しそういう面を考えている私としましては、やはりこれは地方税として残しておいて、地方公共団体財政需要財源とすることが適当であろう、こういうふうに考えるのですが、その点をもう一度……。絶対にということは言いませんが、相対的に言つて大蔵省立場から離れて税の性格から言つて地方税であることと国税に移管することと、どちらがいいかということについてお答えを願いたいと思います。
  123. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 財源調整とか、そういうような片方に必要が特にございませんで、まあ白紙に絵を描くような恰好で考えて参りますならば、我々勿論それは国税としていい理由というのも、強いて理窟を付ければ私は理窟も付くと思います。例えば一番入場税の上る場所でありまする東京とか大阪とか、そういう所になりますと、入場税を払う人が必ずしも東京の住民とも思えませんし、いろいろな理窟は、反対の理窟も付け得ると思いますが、そういうようなことを抜きにして卒然考えれば地方税であるほうが或いは適当じやないかというふうな気持はございます。併し、といつて国税であることが非常におかしいというほどでもないと思います。同時に財源調整とかそういう一つの必要が出て参りまして、それではどういうふうなことを考えて行くべきかということになつて参りますと、やはり話題に上つて参りますのは、入場税、或いは先ほど来お話のありました遊興飲食税、こういうような税ではないだろうか、そういうような考え方から参りまして今度のような提案なつた次第でございます。
  124. 松澤兼人

    松澤兼人君 いろいろ考えて見ますと、大都市なり或いは都会的な地方公共団体、そういう所のものが持つている財源がだんだんと取上げられてしまつて、調整的な役割を演ずるということになるようでありますが、併し大都市なり、或いは大都市を持つている府県なりというものは、単純に農村的と申しますか、或いはそうでない公共団体に比べればやはり公共団体の持つている保育的な役割というものが相当に強いのではないか、こう考えるのでありまするが、だんだんとこういう税が取られて行つてしまつた後の大都市或いは大郡市を含む府県というものが今後非常に財政的に行詰りはしないかということを心配いたします。ならすということも必要でありますが、併しそういう大都市或いは大都市を持つている府県の自治体の財政ということは果してどうなるか、成るほど東京都のようなものは相当大きな予算でやつておりますけれども、併し中に入つて見れば決してこれは安定した財政であるとも考えられませんし、そのほか京都でありますとか、或いは大阪、或いは兵庫といつたような所をとつて見ましても、それぞれやはり赤字があるのでありまして、有力な財源を国に取上げられてしまつて、これが地方に調整的な役割を以て廻されるということになると、今後そういう大都市或いは大都市を含む地方公共団体の仕事というものが制約されるのではないかというふうに考えるのであります。この点今後大都府県の財政の面についてどういう見通しを持つておられるか、或いはこういう状態がいつまでも続くと考えられておりますか、或いは又大都府県における赤字の状態等について御説明が願えればいいと思います。
  125. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今御指摘の点は大都市或いは大府県で、いわゆる俗に富裕団体、或いは財源の超過団体と言われておりますものについて、決して財政は安定していないではないかというような点から御質問のように拝承いたしましたが、この点は私ども東京都でございますとか、或いは大阪府、大阪市、名古屋市というような大府県、大都市を或る程度財政見地から調査をいたしておりますが、御指摘のように、例えば東京をとつて見ましても、成るほど歳出の面においてはこれを調整しなければならない、調整したほうがよろしいという面が人件費その他で確かにあるのでありますけれども、併し首都建設計画というような計画で定められたものを実行するための財源に事欠いておることは事実でございますし、仮にさような厖大な計画でございませんでも、例えば公営住宅を国の予算で割当てられたものを消化するだけの財源的な余力が現在の割当てられておる起債その他ではないというようなことも都の当局からしばしば訴えて来ておるわけでありまして、そういう意味の確かにいわゆる超過団体でも、相対的には超過団体という名に値いすると思うのでありますが、全体的に見ますというと、必ずしも財源が余つているということはないと私は考えております。ただその財源の用途、使い方につきましては、確かにこれは是正をしなければならぬ点があると思いますが、併し総体的に観察いたしますと、富裕団体でも起債等の面においてやはり相当なお考慮しなければならぬ点があるように私どもも考えておるのであります。
  126. 松澤兼人

    松澤兼人君 一つの例をとつて考えて見ましても、そういう赤字発生の理由というものは的確に我々もつかめないのでありますが、私の近所のいわゆる兵庫県という一例をとつて見ましても、相当これは都会的な公共団体及び農村的な公共団体を含んでいる県でありますけれども、昨年において二十五億ほどの赤字が出てしまつたというようなことを言われているわけであります。外から見た眼には富裕府県のように考えますけれども、実際決算をして見れば、二十数億の赤字が出ているというような状態であつて、そういうところから入場税なり或いは又遊興飲食税なりというものを将来取られることになれば、財政上非常にやはり苦しくなるのじやないか、こう考えるので、そこでならすことの必要は勿論わかります。併し実際そういう都会を持ち、或いは都会的な地方公共団体性格から見て、一般に他の府県と比較してより多くの仕事をしなければならない性格を持つている府県としましては、やはり入場税であるとか、或いは遊興飲食税であるとかというものを地方の税として持つていたいというふうに考えることは、これは当然であろうと、こう思うのです。そこでそういうものを取上げられてしまつた後でも是正をやる、偏在是正という点から言えば勿論結構なことでありますけれども、又同時に地方財政欠陥が生じて来るということを心配するのでありますが、二十九年度において入場税国税に移管してこれを譲与するという場合に果してそういうまあ富裕府県と申しますか、というものの税収の一部分を国に取られてしまつて果して譲与税として十分国から譲与されるかどうか、或いは苦しい赤字財政というものに対して自治庁としてどういうふうな対策で善処して行かれるか、その方針について伺いたいと思います。
  127. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 入場税国税に移管します問題につきましては入場譲与税法案提案理由に述べられてありまするように、別途二十八年度から義務教育費国庫負担金がこれは地方財政平衡交付金を受けないような団体にも交付されておりました。これはまあ一つ問題がございます。それでもう一つは全地方団体に対しまして独立税収入を殖やしたい、そういう意味においては従来地方財政平衡交付金を受けなかつたような地方団体に対しましてもたばこ消費税を与える。こういうふうな形になつておりまするので、今回の措置によつて特に従来よりも著しく地方財政平衡交付金を受けないような団体に対しまして打撃を与えたというふうには考えていないわけでございます。
  128. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 先ほど答弁を留保さして頂きました点につきましてお答えを申上げておきます。若木委員の御質問に対する答弁でございますが、東京の人口を六百七万七千人と計算しまして先ほど申しました収入見込額を割つて参りますと、人口一人当りに対する収入見込額は八百二円になります。鹿児島の人口は百八十万四千人でございまして、これをやはり同じような計算をして参りますと人口一人当り九十円になります。全国の人口が八千三百十三万八千人、これを百九十二億のべースで一応計算さして頂いておりますが、人口一人当りにしますと二百七円、従いまして現在のままでございますと東京は人口一人当り八百二円が今度は国税徴収で人口一人当り全国平均で分けますならばこれが二百七円となります。逆に鹿児島は現在のままでございますと人口一人当り九十円という収入になつておりますが、全国平均で分けられますから九十円から二百七円に殖える、こういうふうな計数になることをお答え申上げます。
  129. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この自治庁の出された資料ですね、一番下の合計の左から三番目の十九億二千万円というのはこれは増でなくて減になるんじやないですか。
  130. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りでございます。金が落ちているようでございます。
  131. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それからこの表で見ますと二十九年度収入見込額で以て減額になる所がまあ四個所あるのですが、今度は平年度の場合においてこれが相当殖えておるのです。これはどういうふうな関係になりましようか。
  132. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現行法によつた場合におきましては入場税税率もやはり修正前の税率を予定しております。半面平年度の入場譲与税の収入見込額は減税後の入場税収入から得られる譲与税額でございます。従いまして入場税収入が牧十億減つて参りますので自然現行制度による入場税収入額よりも入場譲与税によつて受けまする額のほうが少い団体がずつと殖えるわけであります。
  133. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、在来に比べましてこれは自主財源という面から考えますと北海道を初めとして相当の地方団体が減額になつておるのでありますが、こういう点は何によつて調節されるのですか。
  134. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) これは国会修正によつて起きます問題でございまして、当初考えておりました政府案の場合と趣きが異つて来て、そういうことを御説明申上げている一つ理由でございます。
  135. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 いや、減つた場合今後どういうふうにこれが処置されるか、この点を伺いたい。
  136. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 減つて参りまする団体に対しましては地方交付税がそれだけ増額交付されて来るということになつて参ります。その地方交付税財源を今回の国会の修正の減る割合の工合によつて補填されて行くというふうに考えております。
  137. 内村清次

    委員長内村清次君) 別に御発言もございませんようですから質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  139. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願います。
  140. 小林武治

    小林武治君 私は緑風会を代表しまして入場譲与税法案につきましては必ずしも満足するものでないのでございまして、この故は私ども入場税、遊興飲食税等はいずれも類似の税でありまするので、いずれにしろ私は同じように取扱うべきものであると、かように考えておるのでありまするが、この際私どもといたしましてはこれに賛意を表するものでございます。而して入場税につきましてはこれの税法の施行が延期になりまして恐らくこの施行は五月十五日過ぎになる、かように考えますので、事務的に当然いわゆる衆議院修正にある百七十二億八千万円が数字上当然減額になる部分があると存ずるのでありまして、いわゆる四十五日分につきましては地方において従前通り入場税を収得いたしておると、かように考えまするので、その差額の計算をいたしました結果、この附則第二項中の百七十二億八千万円を百五十五億五千万円に修正いたす動議を提出いたすものでございます。この修正案を、修正を除く原案についても賛成するものであります。
  141. 秋山長造

    秋山長造君 私は社会党を代表しまして衆議院送付案並びに只今提出されました修正案反対をいたすものであります。  反対理由の第一は、入場税は元来歴史的にも性格上からも最も地方税らしい地方税でありまして、その徴税の容易、確実な点又徴収率の非常に高い点等、地方税として最もふさわしいものであることは、これは疑いを入れません。でこのような有力な地方独立財源を国に最上げるということは、理由がどうでありましようとも、地方財政に対する大きい打撃であることは明らかであります。  第二に、入場税国税移管のいきさつが甚だ不明朗であります。本委員会でもしばしば各委員から追求をされました通り、当初遊興飲食税の国税移管が先ず取上げられ、入場税もこれと一体のものとして二次的に取上げられたのでありますが、料飲業者のあの手この手の猛反対によりまして、急に当初の方針を変更して、遊興飲食税は地方に存置、業者の抵抗の弱かつた入場税のみを、いわば火事泥的に国税に取上げたのであります。而も遊興飲食税の今後の処置について、自治庁のほうでは、国税移管の意思がないと言い、大蔵省のほうではできるだけ早い機会にやはり国税に移管したいという方針のようでございまして、この問題についての政府部内の不統一を暴露しておるのであります。そもそもこういう政府郷内にすらなかなか見解が一致しないという禍根は、もともと無理な国移移管を強行しようとしたところにあるわけであります。  第三に、更に入場税そのものについて見ましても、政府は徴税の容易確実な第一種第二種のみを選り食いをして国に取上げ、業者の反対が特に強く、徴税の比較的面倒なパチンコ、玉突き、ダンスポール等の第三種は、そのまま放置して顧みようとしないのであります。而も大蔵当局は、第一種第二種と第三種とは同じ入場税でも性質が異なる。一様に国税に移管することは適当でないというような、至極尤もらしい説明をなさいますけれども、これほど地方財政に対する大蔵当局の無誠意な態度を物語るものはないと考えるのであります。  第四に、大体政府地方財源の偏在調整のために入場税を国に最上げ、譲与税の形で地方に還元するとおつしやるが、これによつて期待される調整作用の幅は、せいぜい五十億内外でございます。而もこれが衆議院修正で更に半減をいたしまして、ただ国税移管を強硬に主張した大蔵当局の面子を立てただけに終つておるのであります。本年度はそれでも減収分を一般会計で穴埋めすることになつておりますから、地方財政としてはまだ我慢はできるでありましようが、併し三十年度以降をどうするかについては、何らの確固たる見通しが与えられておらないのでありまして、これが地方財政に与える不安は誠に大きいと思うのであります。むしろこれだけ無理が伴つて、而も実効の伴わない国税移管は、この際きれいさつぱりと断念されて、地方税として存置し、政府の意図される偏在調整は、むしろ地方交付税なり或いはたばこ消費税なりの増額によつて行うことのほうが、遥かに明朗且つ合理的でありまして、かたがた又地方の自主財源を培養するという大目的にもかなうと思うのであります。以上の理由によりまして、衆議院送付案並びに只今提出されました修正案反対をいたすものであります。
  142. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は自由党を代表いたしまして、衆議院送付にかかる、只今議題になつておる本案並びに緑風会の動議による修正案賛成の意を表するものであります。その理由といたしましては、従来からしばしば地方財政が、その税源の均分化が唱えられ、何とかしてその財源の偏在から救い、相互間の調整を行い、ややもすれば現在の地方財政中央集権的な、或いは都会中心的な財源になる、その弊を救おうと、こういうようなことが叫ばれて参つたのでありますが、そういう観点から申しますれば、今回の只今議題になつておりまする本案は、極めてその一助として有効適切なるものと考えられるのであります。併しながらその半面において、地方財政がその自主財源を失うということにつきましては、これ又十分考えて見なければならん問題を含んでおると思うのであります。従つて本案は一方においては、従来の弊害を是正すると同時に、これはやはり地方財政自体を抜本的に政府検討いたしまして、そうして地方財政自主性ということの観点において、やはり根本的に地方財源及び地方財政を考えなければならんと思うのであります。従つて我々は今回本法案の成立に賛成するものでありますけれども、一方におきましては、大蔵省といたしまして、ややもすれば従来税制なり或いは財政運営等において、中央集権的な、或いは国税本位な点を改めまして、そしてむしろ地方財政を基本とした民主的な財政運営というものが、国の財政運営の基本となつて運営されることが至当であると思うのでありまして、我々といたしましては、本案の成立に賛成すると同時に、その点を十分に政府当局において自粛せられまして、今後の本法案の充実につきましては、十分その考えを踏襲して頂きたいと考えるのであります。以上を以ちまして私の賛成討論とする次第であります。
  143. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は社会党第二控室の立場から、衆議院送付案及び只今小林君から提案のありました修正案について、共に反対の意思を表明いたしたいと思います。反対の第一点は、入場譲与税が、地方制度調査会の答申を尊重して、立案されたものであるということでありますけれども、併し我々としては、地方制度調査会の答申というものが、政府都合の悪いところは尊重しない、政府都合のいいところだけを尊重しているという、そういう態度でこの譲与税の問題につきましても、遊興飲食税はこれを採用しない、入場税だけを採用するという、極めてその立場が政策的でありまして、必ずしも良心的に答申案が採用されていないという点を、第一に不満に考えるのであります。  第二には、入場税地方税として、最もその性質上適当である。これは映画その他いわゆる入場税を課税される対象となるものが地方文化に貢献しているということと同時に、地方公共団体はこれらの施設に対して相当に経費を注ぎ込まなければならないし、又その利用者の親近感から考えて見ましても、入場税地方税である、そうして地方住民の意思を的確に反映させることができるような制度として存置するのが適当である、こう考える。従つて、自分のものとして住民がこれらの施設を利用し、共々に、業者であるとか、或いは地方公共団体及び利用者というものが、地方文化に貢献するということを考えるならば、やはり入場税というものは地方税として適格を持つておるということを考えて、地方税として存置すべきであるという点であります。  次に、この入場税は今日まで、或いは市町村或いは府県、地方公共団体が、その徴税のために随分努力して来たのでありまして、業者の協力なり或いは又地方公共団体の努力ということによつて今日九二%まで的確に徴税されているという、この事実を考えて見ましても、国が取りやすい税であるということで国税に移管するということは、地方公共団体及びこれらの施設を経営している者及び住民の立場を無視するという点で反対をしなければならないと存ずるのであります。  更に、是正の問題は別途考慮すべきであつて、以上述べましたような地方税として最も適切な性格を持つている入場税を国に取上げるということによつて財源の偏在是正なり或いは地方財政需要の調整をなすべきではない、こういう点から反対をするものであります。  それから次に、この法案提出のいきさつを考えて見ましても、私は、同じ政府でありますけれども自治庁の側と大蔵省の側の態度なり或いは又考え方の相違というものを見逃すわけに行かないのでありまして、交付税の場合におきましても、自治庁の考える線が百分の二十という線に崩れて来たし、或いはたばこ消費税につきましては、最初百分の二十という線から百分の十になり、次には最終的に百十五分の十というような形になつて、最初考えられたたばこ消費税というものが非常に率が少くなつているということも考える。こういつたふうに、地方財政確立ということが、大蔵省なり或いは主計当局の考えによつて、国の予算が均衡健全財政であるということのために、そのしわが地方に寄つているという点は、これは地方財政確立の点から考えて誠に重大な問題であつて地方財源不足、或いは地方自治制度の崩壊ということが、確固たる財源もなく、そして足らない部分は中央からの交付税なり或いは譲与税なりというような形で以て助成されているという形は、いつまでたつて地方自治確立するというゆえんではないのでありまして、明らかに今回の提案の入場譲与税を一つ考えて見ましても、政府部内における意見の不統一及び大蔵省側の圧力によつてこういう結果になつたということを考え、そして将来地方自治確立及びその裏付けとなるべき地方財源確立という点を考えて、入場税を国に取上げるということに反対立場から、入場譲与税につきましても反対せざるを得ないのであります。  只今小林君から提案になりました修正案につきましては、まあ本来の法律案というものに反対する立場から、当然賛成するわけには参らないので、この点も反対いたします。
  144. 笹森順造

    笹森順造君 私は改進党を代表して、只今議題に供せられております入場譲与税法の衆議院送付案緑風会から修正を加えたものに対しまして賛成をいたします。本案は、地方団体間に偏在している財源の調整のために、財源の比較的豊かな団体において比較的収入の多い入場税を一旦国税に移し、別に人口に按分して各都道府県に平等に還元せんとする原則は、これを認むるものであります。なお、一般大衆の娯楽施設利用、観覧者の利益のために、その税率衆議院で下げて修正したことには、同意であります。依つて生ずるその減額分を如何に補填するか、これを補うために昭和二十九年度において同税収入額の十分の九に相当する額が百七十二億八千万円に満たないときはその差額は一般会計の負担とすると、衆議院修正はその必要に応えたものと思います。併し今日となりましては、緑風会から提出されました、本法施行期日の遅れました理由による四十五日分の差額を計算して、附則第二項中百七十二億八千万円を百五十五億五千万円に改めることに同意をいたしまして、本法案賛成の意を表するものであります。
  145. 内村清次

    委員長内村清次君) 他に御発言はございませんか……他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。入場譲与税法案について採決いたします。先ず討論中にありました小林君の修正案を問題に供します。小林君提出の修正案賛成のおかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数でございます。よつて小林君提出の修正案は可決されました。  次に、只今採決されました小林君の修正にかかる部分を除いた衆議院送付にかかる入場譲与税法案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案賛成のおかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 内村清次

    委員長内村清次君) 多数と認めます。よつて入場譲与税法案は多数を以て修正議決せられました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 内村清次

    委員長内村清次君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられるかたには順次御署名願います。   多数意見者署名     石村 幸作  堀  末治     館  哲二  伊能 芳雄     伊能繁次郎  高橋進太郎     長谷山行毅  小林 武治     島村 軍次  笹森 順造
  150. 内村清次

    委員長内村清次君) 御署名漏れはございませんか……署名漏れはないと認めます。   —————————————
  151. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に地方財政改革調査議題に供しますが、実は緊急に小林委員から質疑の通告がなされております。この点を取上げまして……。
  152. 小林武治

    小林武治君 私はこの際政府関係者に伺つておきたいのでありますが、私どもは過般の地方税法審議に当りまして、大衆の飲食する主食の価格を能う限り低廉にとどめたいと、かような趣旨もありまして、いわゆる大衆飲食店における主食の免税点を、従来一品五十円、一回百円であつたものを、百二十円までこれを引上げるという修正衆議院で出され、我々もこれに同意したのでありまするが、これに関しまして、最近開くところによりますれば、東京都におきまする麺類食堂におきまして、五月一日からでありましようか、これらの麺類食の価格が二割近くも値上げがされておるのであります。これは私どもは、御案内の通り、昨年の国今におきまして、いわゆる日本の主食の状況からいたしまして、麺類をできるだけ低廉にとどめるという趣旨を以ちまして、麺類関係を特別所得税として、その税の軽減をいたしたことは、御承知の通りでありまするが、今回の修正につきましても、これらの意向が無論加味あれておるのであります。然るに、これらの税の軽減は、取りも直さず、これは業者のために我々いたしたのではなくて、大衆のために税の軽減をいたしたものと考えておるのでありまするが、而も税の軽減が行われるその瞬間において値上げをされたというようなことは、私どもは日本の食糧政策の上から行きましても、税を軽減した趣旨から言いましても、極めて不可解なことと考えておるのでありまして、これにつきまして政府当局は如何お考えになつておるかということを先ずお伺いしておきたいのであります。
  153. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 只今小林委員から、飲食税の免税点引上げに相関連して麺類の価格改訂がされておるということ、それに対して食糧庁或いは政府の見解はどうであるかと、こういう御質問のようでございます。我々食糧庁といたしましては、一つには米麦というような主食に次ぐ食糧として、これらの価格の動きについては非常な関心を持つてつたのであります。ただ我我といたしまして、現在かような価格調整の手段といたしましては、第一次的には玄麦による価格の調整を行い、第二次的には政府が直接小麦粉を払下げるというような方法によりまして小麦粉の価格調整を行なつておるのであります。更にこれから第二次、第三次の加工品までの価格調整を行うということにつきましては、なかなか困難な状況に実際はなつておろうかと考えるのであります。併し玄麦なり或いは小麦粉なりの価格調整についてかような手段をとつておるゆえんのものは、末端の最終商品について価格安定を図ろうということが狙いであるわけであります。甚だうかつなことでありますが、前々からかような麺類についての一般物価の変動、特に調味料、その他の価格の値上り、或いは一般の人件費の値上り等に伴つてこれらの改訂の要望というものがあつたことを開いておるのでありますが、これが税法の改正に伴つて改訂が行われたということにつきましては、初めて実は承知するようなわけでございます。ただ第二次加工品についての価格調整については、先ほども申しましたような、主食に次ぐ重要な食糧として、政府としても、食糧庁としても、関心を持つておりますので、特に主要な都市におきましては、行政的な指導、勧奨を行うように、地方庁等とも連絡をいたして指導して参つたのでありまして、例えば東京都でありますると、標準店というような制度を設けまして、そこでは特定の価格で売るように指導する、こういうようなことをやつてつてつたのでありますが、これも法的にどうこうするというわけに参りませんので、希望者が実質上それに副わないというようなことになりますると、十分それも行き得ないと、かようなことになつておるというふうに承知しておるわけであります。ただいずれにしましても、只今の税法改正に伴つてさような措置がとられたということにつきましては、我々としても更に実際の実情調査して、どういう理由でそういうふうになつたのか調べて見たいと、かように考えます。
  154. 小林武治

    小林武治君 只今関係で、小麦の払下げ価格からすれば値上げの理由がないというふうに御認定になりますかどうか、伺つておきたいと思います。
  155. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 大体最近の傾向から見ますると、小麦粉についてはさしたる大きな価格変動はないと我々のほうでは見ておるわけであります。ただ昨年の秋頃から急速に米の闇価格が上つたことに伴いまして、麺類の消費が伸びております。そういうようなわけで、末端の価格については若干上り気味な傾向を生じておりますが、製粉段階、殊に工場から出る場合における価格というものは極めて安定した状態を示しているという状態であります。
  156. 小林武治

    小林武治君 これについて、恐らく末端の小売店の関係は、或いは東京都等において関与されておると思うのでありますが、自治庁におきましてはこれらをどういうふうにお考えになるか、伺つておきたいと思います。
  157. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 自治庁といたしましては、直接只今の問題について施すべき行政上の立場にはないわけでございますが、特に国会において、麺類提供業が税負担の上で非常に苦しい、そのためにはやはり税を軽減をいたし、その結果として大衆に対して低い価格で麺類食の提供をしようと、こういう御趣旨であつたわけでございますから、そういう御趣旨がそのまま現われることが最も望ましいわけでございまして、然るにもかかわらず更にこの販売価格を引上げるということは、地方といたしましては、貴重なる財源を割いて大衆に対する麺類食の提供を、低価格でやるということにした趣旨と全く違う結果になつて地方財源が本来の趣旨に違つた意味で割愛されたというようなことになるわけでございまして、私どもといたしましてもこれは非常に遺憾なことであるというふうに思うのであります。
  158. 小林武治

    小林武治君 この問題は食糧庁はまだよく御存じないということでありまするので、この際これらの実情一つ調査の上で、そうしてその必要があつたかどうかということと同時に、若し必要がさして認められないということであれば、恐らく政府の食糧政策の上から行きましても、できるだけ麺類食に転換せしめようというのが政府の政策の一つであろう、かような際にこれが故なく若し値上げされるというようなことがあるとすれば、非常にこれは政府としても遺憾とするところであろうと存ずるのでありまするから、私どもとしましてはその実情を次の機会に一つここへ御報告を頂くと共に、若し政府において何らかの措置がとり得るか、又少くとも政府がこれを是とするものでないというふうなお考えがあるならば、これを声明するなり何なりの方途についても一つ御相談を願いたい、こういうことを今日お願い申上げておきたいと存じます。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  159. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) 今の小林委員の御意見につきましては、帰りまして上司とも十分相談の上早速措置いたしたいと思いますが、この問題は東京都なり或いは地方庁が第一線においてやつておるわけでございまして、我々の先ほど申しましたように、第一次的な手段としては玄麦なり或いは小麦粉なりにおける価格調整という措置以外に、なかなか実行上中央官庁としては、つまり困難な状況にありますので、地方庁における実行、又その勧奨、指導の方法等につきまして一応我々のほうとしても調べては見たいと思いますけれども、すぐこれに伴う措置をどうするかということにつきましては、物価統制令とか或いはそれ以外の何らかの法的措置がとり得ないような状況にありまする場合においては、なかなか困難だということも一つ御了承願いたいと思います。
  160. 小林武治

    小林武治君 今の点は法律上手段がないということもあるかも知れませんが、これについて政府の見解を示されるだけでも相当な効果があると思うのでありまして、この点は自治守長官は国務大臣でもあられますので、その点一つ御相談を願つて、適宜な措置がとつて頂けたら仕合せだと、かように考えております。
  161. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) よく主管の農林大臣と相談をいたしまして、とるべき措置があればそのように善処したいと考えます。
  162. 内村清次

    委員長内村清次君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会