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政府委員(
植木庚子郎君) お答え申上げます。よく世間で噂にも上り、又話題にもな
つておりますところでありまして、税務署では、
所得税にしましても或いは他の税金にしましても、割当を税務署ごとに持
つてお
つて、それを管内の納税者に又割当をしているということを言われるのでありますが、それはやはり
一つの不平と申しますか、単なる邪推と申さなければならんと私は考えております。と申しますのは、私も若い時分に税務署長をや
つた当時の経験がございますが、当時でもやつぱりそういうことを言われておりました。併し私
ども税務署長をや
つておりまして、一体来年の
所得税が幾ら取れるか、或いは当時は常業収益税、地租というような税を取
つておりましたが、それに幾ら取れるかというようなことにつきまして、その翌
年度の見通しについて、税務署長としては経済界の状況その他を勘案いたしましてそうして局へ報告いたします。局ではその
数字に対して、やはりたくさんの税務署長がおることでございますから、その税務署長のいわゆるその翌
年度における経済界の見通しに対しての強気弱気、いろいろな
調査の十分不十分等からまちまちな点が起
つて参ります。そうしますというと、当該上司の局では、君の所はどうも少し足りないのじやないか、もう少し取れるんじやないかというような場合も起きます。或いはどうも君の所はそんなに取れんと思うのに少し見積りが多過ぎるぞというわけで、そういう場合にはそれを減らして見積りを立てるというようなことも局でやるわけであります。ところがそういうふうにして集まりました各局における
税収見積り額を今度は本省へ持
つて来まして、今ならば
国税庁へ持
つて参
つて、
国税庁で又同様に全国的にいろいろな
調査も監察もしておりますから、それに基いてやはりいろいろな補正と申しますか、是正をいたす。そうしてその結果によ
つておおむねそれが的実な公平な課税になるようにというのが第一線における税務署長の税務執行の最も大事なことであるというふうに考えられるのであります。そのときに当該税務署長が、大体君の署ではこれくらいの税金が取れるはずだというふうに見込を局のほうでつけておりましたその
数字に捉われて、飽くまでもその税務署でその実績を上げようというようなことをする場合に、ややもすると今おつしや
つたような間違いと申しますか、まずい結果が時に起ることがあるのでありますが、これにつきましては常に税は的実でなければならんということ、公平でなければならんということから、いつも第一線に対して
中央は
地方へ、
地方は又更にその第一線の税務署へと訓令或いはその他の会議の際において指示をしおるのであります。
従つて私は税務署においての割当というものは実際はないんだ、ないんだけれ
ども、時に割当があるんじやないかと思われるようなまずい税務
行政をしておるものがあるかも知れない、こういう心配は持ちますけれ
ども、こういうことについてはいつも注意しておりますから、恐らくさようなことはあるまいというふうに考えておるのであります。今後割当課税が起
つたから責任をとるかという今お話でございますが、これについては、仮定のお話でございますし、十分
実情を調べまして上司としてとるべき責任がある場合には責任はとらんなりません。併しながらそれは大勢の人たちを使用して仕事をして参ることでありますから、一々皆大臣の責任だ、
国税庁の全部責任だ、責任をとれと言われても、何か因る事態が起ろうかと考えます。要するに
国税局としては、或いは大蔵大臣としては、割当課税なんということは全然考えておりません。又さような結果が起らないように常に指導訓育を施しておるつもりでございます。今後ともさような注意をして参りたいと、かようにお答え申上げます。