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1954-03-30 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   委員外議員            植竹 春彦君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   参考人    石川県知事   柴野和喜夫君    大阪高槻市長 阪上安太郎君    埼玉草加町長 牛山 信吉君    関西経済連合会    常任理事    工藤 友恵君    日本トラツク協    会常任理事   小野 盛次君    日本興行組合連    合会事務局長  加藤 巌雄君    日本倉庫協会理    事       矢崎 邦次君    全国未亡人団体   協議会事務局長  山高しげり君    全国古書籍商組    合連合会    河野貞三郎君    全国旅館組合連    合会副会長  佐々木徳太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○入場譲与税法案内閣送付) ○昭和二十九年度揮発油譲与税に関  する法律案内閣送付) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方自治財政実情に関する  件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。  先ず本日の委員会において、地方自治団体財政実情について、並びに地方税法の一部を改正する法律案ほか三件について、それぞれ参考人をお呼びしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) では参考人を呼ぶことを決定いたしまして、その人選等につきましては、委員長に御一任願うことといたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) では、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) これより議題に入ることといたします。地方自治団体財政実情に関する件を議題にいたします。本件につきましては石川県知事柴野和喜夫君、大阪高槻市長阪上安太郎君、埼玉草加町長牛山信吉君を参考人として、その意見を聴取することにいたします。  参考人かたがたに一言御挨拶を申上げますが、本委員会におきましては、地方財政確立のためにはどうしたらよいかという観点から、本国会におきましても数回に亘つて調査を進めて参つたのでございまするが、このほど地方財政状況を具体的に県、市、町村からその実情をお聞きすることといたしたような次第でございまして、わざわざおいでを願いましたことにつきまして、委員長から厚く御礼を申上げます。  それでは発言時間は十五分乃至二十分程度として、質疑は三人のかたがたがすべて発言を終りましてから質問をすることにいたしますから、どうかこの点もお含みおきをお願いしたいのでございます。  では先ず高槻市長阪上安太郎君から。
  6. 阪上安太郎

    参考人阪上安太郎君) 只今御指名を頂きました高槻市長阪上でございます。今回参議院の地方行政委員会におかれましては、地方自治財政確立観点から、我々をお呼び頂きまして、その意見を聴取して頂きまして参考にして頂くという機会を与えて頂きまして、大変有難く存じておる次第でございます。つきましては、只今から高槻市の財政状態陳述申上げたいと存じますが、市長会の事務的な粗漏によりまして、私が市長会から通知を受けましたのは昨日の午後二時以降でございまして、従つて速急に陳述要旨等もまとめたいと存じたのでございますけれども、昨晩直ちに汽車に乗りました関係上、そういつた手配をすることができませんで、ただデータだけを御配付申上げたような次第でございます。誠に失礼でございますが、この点悪しからず御了承願いたいと存じます。従いまして、陳述が非常に統一のないことになるかも知れませんので、この点も御了承願つておきたいと存じますが、いずれ陳述申上げました要旨につきましては、後刻とりまとめまして御送付申上げたい、かように存じております。  只今から簡単に高槻市の財政状況を申上げたいと存じます。お手許にお配り申上げておりますデータの第一ページを御参照願いたいと存じますが、昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年、この四カ年間に亘りますところの歳入決算状況を簡単に申上げたいと存じます。二十五年よりとりましたのは、大体において本市が赤字を発生し始めました年度でございますので、これから取上げたわけでございます。御案内のように市税におきましては、総合計が出ておりませんが、合計いたしますると、四億五千六百八十六万六千円歳入いたしておるわけなんでございます。それから公営企業及び財産収入におきまして各年度合計をいたしますると、これは僅かでございますが、八十九万八千円、使用料及び手数料、これが合計いたしますると一千二百九十四万六千円、雑収入寄附金、繰越金、これらを合計いたしまして、いわゆる市の自己財源と申上げますか、一般財源といたしまして五億七千二百六十七万二千円、これだけが歳入いたしたわけでございます。そのほかに国の財源起債或いは一部府の財源等に依存いたしておりますいわゆる依存財源といたしましては、平衡交付金でこの四年間に五千七百五万円、地方債で以て一億六百七十三万円、国庫支出金を一億三千百二十四万九千円、これに府の支出金三千九百三十一万七千円を加えまして、その総計が三億二千四百三十四万六千円、かように相成つておるわけなんでございます。これに基きますと、市の一般財源はその収入歩合といたしましては六三・八%、これが市の一般財源でございます。そこで自己財源といたしましては六三・八%、それから平衡交付金起債国庫支出金、そういつたものによりまするものが三六・一%という歩合になつております。地方債等も含めました他のいわゆる依存財源でございますが、これが三六・二%でございます。そのうち地方債の占めております割合は一一・九%でございまして、これを市の自己財源と見なします場合におきます国庫に依存いたしておりますところの、それから府から受けておりますものの歩合が四・三%に先ほど申上げました数字がなつております。これらを除きますと、おおむね三〇%程度国庫に依存している財源でございます。で、この依存財源は我々の考えといたしましては、決して多くはないという考え方を持つております。  次に、一番問題になりますところの税の収入状態でございますが、それはその次のページをお開き頂きたいと存じます。二ページでございます。これによりますると、昭和二十五年度におきましては、その調定額に対します収入済額が大体七九%ということになつております。それから二十六年度におきましては、七八%であります。それから二十七年度におきましては七〇%に減つております。それから二十八年度、これは推定でございますが、確実な見通を以ちましてこれが八六%に上昇いたしますことになつております。そのうちで二十七年度におきますところの七〇%、これは原因商工関係一般の業界の不振に伴いますところのものでございまして、これだけの変動がここに生じて来たものと我々は考えておる次第でございます。いずれにいたしましても七九%乃至八六%というふうに上昇の過程を辿つておりますが、この八六%は、全国的に眺めて見まするならば、必ずしもよい成績であるとは言えないと存じます。併しながら我が大阪府下、或いは五大都市を取り巻きますところの各県における衛星都市状況等から眺めて見まするならば、極めて高い徴税歩合になつております。この点につきましては大変これを分析いたしますと、むずかしい問題だと存じますけれども、併しながら大体におきまして大都市周辺におきます衛星都市の税の徴収ということにつきましては、いろいろな条件がこれに随伴いたしまして、大変むずかしいのでございまして、田舎の町村等で取ります税金が九五%近くまで上つておるのと同様の成績を上げておるものと見なして差支えないのではないかという考え方を持つておる次第でございます。これが大体市税決算状況でございます。  それから次に三ページでございますが、これは昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年度歳出決算比較表でございますが、これ又前年の比較パーセンテージが出ておりまして、甚だ恐縮でございますがこれの横の合計をいたしましたパーセンテージを必要なものだけ申上げたいと存じますが、議会費におきましては二・四九%というような状態になつております。市役所費におきましては一二・〇四%という比率に相成つております。警察消防費におきましては九・七%、非常に高いパーセンテージを示しております。それから高いものを拾つて参りますると、教育費等におきましては一六・九七%、それから次に社会及び労働施設、本市はこういつたものに非常に力を入れておるのでございますが、これが一三・二七%、こういつた比率を示しております。それからじつと下に参りまして諸支出金でございますが、これがいわゆる府県等事業に伴いまして割付けて参りますところの地元負担金等を多く含んでおる額でございますが、これが九・二三%という歩合になつております。それから災害応急対策費、これが八・二二%、それから災害復旧事業費が一一・九〇%というふうに、災害関係が又非常に大きな幅を占めておるわけでございます。一般冗費節約というようなことを言われておる部面があるのでございまするが、こういつた議会費関係とか、それから只今申上げましたような事業費関係というもの、いわゆる役資的経費消費的経費というようなものを眺めて参りますと、この表で御覧頂きましてもおわかりとも存じますが、極めてそういつた面よりも事業費に相当多くぶち込んでおるような恰好になつておるわけでございます。従つてこれ以上の冗費節約という面はおよそ考えられないのではないかということを我々は言い切れると思うのでございます。  次に、ずつとこれの最後説明でございますが、時間の関係上省略させて頂きまして、十ページを御覧頂きたいと思いますが、昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年度経費別一覧表でございますが、この中でこれは人件費物件費等に分けてございますが、この人件費が一億七百五十六万九千円ということに二十八年度に相成つております。それから同じく二十八年度物件費が五千三百七十八万一千円ということに相成つております。この合計がおよそ一億六千万円に垂々といたすのであります。即ち人件費物件費だけで一億六千万円程度に相成るわけでございます。で先ほども申上げました税の収入のうち昭和二十八年度の税収を御覧頂きますると、これがおよそ一億五千万円程度でございます。従いまして非常に切りつめてはおりますが、こういつた人件費物件費等だけをやつと税で賄い切れるという額になつております。で我が高槻市におきましては、人件費等におきましても賃金ベースというものについても単位の引下げなどは毛頭考えておりませんが、相当行政整理を断行いたしまして、他市に見ないところの僅かな人員によつて現在賄いつつあります。そういつた面努力を以ていたしておるにかかわりませず、なお人件費だけで税収入の七〇%近くになつております。或る市とよりますと、御案内のように人件費税収入がパーになつておるという市もあるのでございますが、本市はここまで節約いたしておりますが、なお且つそういつた状態でございまして、これに物件費を加えますると、基本的な経費といたしましては、およそ税だけでやつと賄い切れるというような状態でございます。かように見て参りまして、昭和二十五年以降の累積いたしました赤字の総額、それが一億二千七百三十万八千円という見込に相成るわけでございます。  この際御参考までにもう少し申上げておきたいと存じますのは、高槻市の職員給与調べというのが十三ページにございますが、昭和二十九年の一月の一日の給与改訂時におきますところのベースが一万五千百七十五円、上のほうの一般職員でございます。かように相成つておるのでございまして、国家公務員ベースに比べましていささか低いのでございます。国家公務員では一万五千四百八十円ということに相成つております。往々自治庁関係その他でも言われておりますように、又例年の平衡交付金分配時、或いは特別平衡交付金配分の場合等に常に言われておるのでありますが、地方自治体の給与ース国家公務員よりも遥かに上廻わつておる、従つて上廻わつておる額だけ差引いた残りの額に対して平衡交付金分配するのだという例の様式は私の市には当篏らないのであります。但し警察職員につきましては、ここに正直に表を出しておりますごとく一万九千三百十八円ということになつておりまして、こういつた特殊な立場にある者、殊に勤続年数の非常に長い者等を含んでおります警察職員給与ベースがこの程度に上つておることはやむを得ないと考えるわけでございます。  なお資料が非常に慌てましたので不足いたしておりますが、一番最後の十四ページなんでございまするが、ここに警察費消防費関係基準財政需要額という関係から出した表が出ておりますが、これだけでは参考資料にならんと存じますが、全体的に申上げますると、基準財政需要額で以て昭和二十八年度決算におきまして、見込におきましては九千四百十二万四千円という基準財政需要額でございます。これに対しまして、実際どのくらい使つておるかと申しますと、二億四百十一万九千円使うことになるのでございます。その差が一億九百九十九万五千円、これだけが不足することに相成るわけなのでございます。なお災害関係等は今申上げました数字には含まれておらないのでございます。  大変陳述が前後いたしますが、一応昨年十三号台風を受けまして、大変市は困つたのでございますが、その間の災害関係国庫補助金等について御参考までに申上げたいと思いますが、総事業費が八千五十八万二千円、それからそのうちの内訳はいろいろございますが、これに対しまして国庫補助が五百四十九万一千円、それから府から受けております補助が四百七十一万二千円、で起債は四百二十六万円、かように考えて差引きいたしますると、三千八百三十四万九千円、これだけを一般財源で昨年の十三号台風に追加しなければならんということに相成るわけでございます。  以上非常に細かい数字を申上げまして恐縮に存じますが、大体高槻市の財政状態、過去四カ年間を拾つて参りますと、只今申上げましたような結果になるわけなんでございますが、私ども考えといたしましては、巷間よく市町村財政が放漫であるということを言われるのでありまするが、私どもはどの点を押して頂きましても、放漫だという考え方は持たないのでございます。起債等にいたしましても、御案内のように今日赤字起債というものは許されておらないのでございまして、従つて起債の全部はすべて事業に充当いたしております事業債でございます。従つてこういつた面から考えてみましても、それは決して無駄なものに使つたのではなくして、それはすべて正当な事業に全都ぶち込んでおるのであります。従つて赤字起債を認めておらない。従つて我々は赤字起債を許可されたことはないのでございますが、さような段階におきまして、そういうような現状におきまして、何かこう市町村無駄使いをしておる、或いは事業の分量が多すぎるといつた考えは私は当らないだろうという考えを持つわけでございます。  それから地方財政赤字であるということは、中央財政が、中央財政黒字であることが赤字原因になるのではないかということを考えられるのでございます。その一例を申上げますると、先ほど申上げましたように人件費物件費だけですらもう税財源で以てすら賄えないという状態でございますので、これは大巾に地方に委譲される必要があるのではないかと思われるのでございまして、そういう意味合におきまして、政府財政黒字であるということが、むしろ地方財政赤字になつておるのではないかということが考えられるのであります。それから若し地方財政において放漫であると言うならば、それはむしろ市長村の側にあるのじやなくして、府県の側にあるのじやないかという考え方が強いのであります。これはどういうことかと申上げますと、最近雨後の筍のごとく新市が続々とでき上つております。町村合併促進法に基きまして、これらの状態をつぶさに調査し、私も関係いたしておりますが、眺めておりますると、あの人たちは町でもいいのでございますけれども、どうしても市になりたいその原因は何かと考えて見ますると、これは変な話でございますが、市長なつたら自動車に乗れるとか、或いは議員の格が町議員よりも市会議員のほうが上がるという、巷間に言われているような理由じやないと私は思うのでございます。それよりむしろ府県の中におつて地方事務所等を通じて二重乃至三重行政を受けているところのこの面を打破して行こうという熱意から新らしい市ができ上つているのだと思うのでございます。  こういつた点につきまして、むしろ市町村財政赤字であるという理由が放漫であるということよりも、むしろそれは財政的なものじやなくして地方制度そのもの欠陥があるからこそこういつたものが出て来るのじやないだろうかというような考え方を強く持つのでございます。若し地方事務所を全部廃止するような規模町村合併が行われて行くとするならば、私は府県並びに市町村を通じて全体的な地方団体に大きな金が浮き上つて来て、それを以て市町村財政に投与することができるのじやないか、そういつた観点から考えましても、ほかにもいろいろな点がございまするが、もう少し地方制度というものに対して徹底的なメスを加えて制度改正しなければ、この赤字原因を除去することはできないのではないかという感じが強くいたします。思い切つた措置がとられたならば、当然これは地方財政黒字でやつて行くことができるのじやないかと、かように考えるのでございます。それで政府財政投与の下足ということがつくづく感ぜられるのでございます。平衡交付金にいたしましても、今回の警察法改正に伴いまして府県警察が委譲した場合を顧慮して、自治庁が算出しております地方財政規模を挑めて見ましても、我々には今まで十九万五千円の額で以て押つけて来ておつたのであります。それが今回の財政計画を挑めて見ますると、三十万以上になつております。単位費用、これは国警が入ろうと入るまいと、一警察職員に対する単位費用曾つて十九万五千円であり、今回は三十万なにがしである。こういうことは我々としては考えられない問題でございますが、どういつた按配かそういうふうになつておりますが、そういつた十九万五千円という額で押しつけられました当時におきまして、私ども警察費では警察職員一人当りに二十五万を使つております。ところが基準財政需要額単位費用は十九万五千円で抑えられて平衡交付金配分を受けておつたのであります。それが今度府県行つて国家財源を使う必要がなくて、府県財政、いわゆる税の改正等によります税財源等に委譲して行くことになると、とたんに三十万円程度が必要だと、こういう結論が出ているのでありますが、こういつた点を考えて見ましても、その他のいろいろな条件がございますが、平衡交付金分配等についても、実際の額よりも遙かに少いものを見積つて我々に渡しておつたということが言えると思うのであります。そういつた点から政府市町村に対する財政投与が非常に不足しておつたということが言えると思うのであります。  又起債面等におきましても、我々は未だに新制中学講堂を建てることができないのであります。にもかかわりませず、今回の予算の内容を見ましても、又財政計画等に見ましても、起債はやはり削減されているのでありまして、インフレ防止の建前から当然のことと思いますが、それならばなぜああいつたビルデイングだとか何とかがどんどんどんどん建つて行く、あれに対する財政投与をなぜやめないかという矛盾を我々感ずるのであります。一つのビルデイングが建つ、それだけの金が二百以上の中学校の講堂が建つのであります。でありまするから、殊にそういつた再建整備で戦後の非常に町を整えなければならぬ段階でありますので、もつともつと起債の額を殖して頂く必要が今までにあつたのではないだろうか。それがどういつた加減かほかの方面に使われておりまして、我々のほうには来ない。そのために特に急激に町を整備しなきやならん再建復興の途上において資金が不足しておつた。それがやはり赤字原因になつておるのじやないだろうかというようにも考えられるのであります。もう一点は、先ほど申上げましたように飽くまでもこれは地方制度欠陥が多くの禍いを来たしておるということが言えると存ずるのでございます。  以上甚だ簡単でございますが、これを以て終らして頂きます。
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 有難うございました。   —————————————
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次に、石川県知事柴野和喜夫君にお願いします。
  9. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 御説明申上げますが、一応陳述書の形で書面を提出してありますから、これについて申上げてみたいのでございます。  それでこの前段のところは全国的な赤字状況を二十七年度について書いてございますので、時間の関係でこれを御説明申上げるのも如何かと存じますので、お読み頂きますれば、国庫補助金が過少であつたとか、いろいろな点が書いてございます。これらの点をこの別表一、二等に具体的な数字を差上げてございますので、それよりも更に進んで、こういう基礎的条件の下に石川県における財政状況を御説明申上げて、御納得を頂いたほうがよいのじやないかと思いますので、その点に重点を置いて御説明申上げたいと存じます。  それで石川県の財政事情というのはその二のところにございますが、この全体から申しまして、私の所はシヤウプ勧告によつて税制改正以後において非常に悪くなつて来ておる。それでその悪くなつて来ておる全体の傾向を眺めて見ますと、収入が増加する割合に比して給与ースのアツプなりが急激であり過ぎるということが一番大きな原因であるように思うのであります。その点を具体的に数字によつて説明申げたいと思うのであります。  それでこの真中辺のページ別表の第一というのを御覧願いたいと思います。その府県資料の二枚を抜いた、全国的なやつを抜いたその次の小さいやつ、これを御覧下さいますとわかりますように、これは各年度における収支決算を出したのでありますが、大体二十六年度から赤字になつてつておるのであります。これは収支をずつと書いてありますが、このようにして二十六年度においては繰越しをいたしましたために、この赤字がその現年度としては表に出ないで、二十七年度のほうへその赤字がしわ寄せられ、そうして二十七年度において三億一千万ほどの繰上げ充用をしなければならんようになつたのであります。それで更に二十八年度においてこれを建直そうと思いましていろいろ努力をいたしましたが、二十七年度と同じようなテンポでそのまま参りますと、ざつと赤字が十億近くなる見込みが立つてつたのであります。そこでこれではいけないというので、二十七年度財政赤字原因をいろいろ探求いたしまして、その原因についていろいろやつてつたのであります。それでおおむね二十八年度は、今年度でございますが、今年度においては恐らくはこの五月の決算では表向きの赤字を解消して或る程度の繰越をいたしますが、繰越だけが純粋な赤字になつて年度行つて、これは追われ追われに参りますので、大体に見て二十八年度がプラスマイナスない程度行つて、二十七年度赤字だけがおおむね二十九年度に越して行くという、こういう現況になつたのであります。その中で赤字昭和二十七年度収支においては三億一千万余の繰上げ充用になつたが、直轄事業の分担金の支払い繰延べ等を入れますと、約五億四千万ほどの赤字が二十七年度に出ている。今申上げました十億とか何とか申しますのは、政府へ納めなければならん金とか何とかいつたものは全部頭の外へ置いて話しておるのでありまして、これは納めないという頭で初めから全部考えておるのでございます。これは各県共同じような頭を持つております。私どもの所はまだ少いのでありまして、なお御参考までに申上げますが、私の県は恐らくお調べ下さいますとわかりますように、全国の各府県の中で部なり課なりの最も少い所、人員の最も少い模範的な所だろうと私は考えておるのであります。而も二十七年度にはこの表には現われておりませんが、実人員で二百人ほど行政整理をした、これは容易ならんことなんです。実人員で二百人から行政整理……、これは表の上には出ておりませんが、それはいろいろな数字のやりくりで御説明申上げます。それから地方事務所の廃止、これは高槻市のほうからもお話になりましたが、地方事務所の廃止をやりました。これは御参考までに申上げますが、結論としては成功ではありませんでした。これによつて人件費を節約しようと思つて、百数十人ほどの人件費を浮かすために思切つて地方事務所の廃止をやつてみましたが、結論から言つて必ずしも成功でなかつた。成功でないのは、やはり政府がお考え下さらないとできない点がある。例えば福祉事務所のようなものを独立して設けろとか、或いは病虫害の防除のためいろいろな施設を法律によつて政府が設置を求めるとか、こういうふうな出先の設置を法律その他によつて強要しておられる現状においては、どうしても或る程度の人間を置かざるを得んことになるために行政整理ができない。又あとで触れますが、政府のほうから二十九年度の緊縮予算に伴つて人員の整理をしながら、補助金を落しながら、職権命令によりまする書面と申しますか、勧告と申しますか、そういう書面で、おれのところは補助金はやらないが、一つ人間は落さないようにしろという命令といいますか、勧告といいますか、政府から我々にたくさん参つておるのであります。そういうようなやり方ではなかなか思うように整理ができないという事情を申上げて先へ参りたいと思います。  二十七年度赤字はここに書いてございますように、二十六年の赤字繰越しが一億七百万ほどありましたこと、昭和二十七年度に四億三千万ほどの赤字が出た。それの原因として考えられますものは、国庫補助金の伴う事業執行について、その国庫補助金の基本額が寡少なために、県において超過負担をしなければならない、こういう実例があります。これは別表の二を御覧下さいますと、その費目別に全部並べ出してございます。これにずつと過不足が出るのでございますが、このように政府が法律その他によつて補助職員をよこしながら法律その他に明記してある通りには金をよこさない。これは費目別に全部ついておりますから御覧頂きたいと思うのであります。それが一つの点。  第二には地方財政府県の交付額と実際の人件費との差が一億八千八百万ほど二十七年度であつたのであります。これは地方財政平衡交付金と実支払額との差であります。従つて例えばこの基礎となつておるものは給与が高いのである、給与の高い人が多いのであるということを言えば、これはまあ我々の勝手だということも言えるわけなんですが、更にこの点について掘下げてみますと、大蔵省のほうにおいて当時の御記憶もございますように、一般職員について三百四十八円、教職員三百四十九円ちよつと高いのだ、地方のやつが高いのだということで、それだけのものは算定の外においてやつたところが、その際にその当時べース・アツプいたしたものは、実際は一般職員については五百九十四円、教職員には五百七十八円の財源不足にベース・アツプの結果なつたのであります。そのベースについては一般職員は私の想像では全国で尻から何番目といつたほど給与が少いのじやないかと思うのであります。これは一番最後の表を御覧下さるとこれに洗いざらい一応出してございます。これを御覧下さいますと、二十九年のこの一般職員の点、一番最初のところの一番下の欄、一万三千九百六十三円というのが一般職員ベースになつております。これは今高槻市からも御説明になりましたように、政府が認めているのは一万五千幾らという平均のベースになつておりますが、それから見ると著るしくこのように低いのであります。なおこの二十七年度以降において昇給停止もやつております。まああらゆることをやつてみているのであります。それから教職員についてはこれは全国平均から見まして幾らか高くなつております。この数字は基本的な数字の突き合わすものを持つておりませんが、私のほうの実際の数字がありますから、あとで御覧下さつて比較下さいますと……。ただここで御注意頂きたいのでありますが、この一番下の二十九年を一つ見ますと、小学校職員について下から二欄目に括弧して〇・〇七七%という数字があります。これは代用教員のパーセントであります。その次の中学校のやつの〇・〇一四%という点、これも代用教員を現わしております、要するに私の県の教員は算術平均で高いのであつて、必ずしもこれは高いとか安いかということの議論にならない。なぜならば、この師範学校、専門学校以上の教育を受けた正規の教員が殆んど全部だという数字を現わしております。これは一例を申せば、これは聞くところによれば新潟県あたりの代用教員というのは四〇%からの資格のない者を使うのですから、何といつても平均からすれば下る。私のほうは代用教員はおらない。従つて算術平均すればどうしても高くなる。従つて教育水準は全国の水準から見れば上層部に属すると思います。併しながら一つ一つに当てはめて国次公務員と比べてみると、これはちよつと私のほうで資料が不足しておりますのでできかねますが、恐らく文部省の調査においては決して国家公務員或いは人事院の線から上に出ているとは私は思つておりません。これはほかと比較して見なければいけないと思います。従つて元に戻りますが、私たちの考えでは、私の県においては少くとも平衡交付金の算定というものはここに平均が出ておりますが、二億からの赤になつておりますが、この点はもう少し政府で御考慮願わなければならん点が私はあると思う。決して高い給与を払つて赤字が出ているとは我々はどうも思えない。そういう点を一つ御覧頂きたいと思つて出したのであります。  それから法令による義務的経費のやむを得ない経費、その他財源措置未了額、これはいろいろ議論のある点でありますが、石川県については別表の四というのが後から六枚目にございますが、イというのは法令による経費で国捕を伴わず且つ財源措置の未了のもの、これを御覧下さいますとおわかり下さいますように、費目別に全部上げておりますが、この括孤してあるのは平衡交付金で来ているものであります。これだけ平衡交付金が来ているわけです。真中の欄の括孤してあるのは。その差額というものは全部財源未措置か又は平衡交付金が足らんというものです。これは政府の御命令でやつたものなんです。その次のものはいろいろ議論がありますが、まあ政府の方面の関係で例えば警察関係の或いは公安委員経費であるとか、いろいろなものがこれに掲げてあるのであります。その次にございますものが、小計がずつと裏のページまで参りまして、その最後のものがこの財源その他やむを得ざるものというものであり、これは議論もございますと思いますが、一応これに挙げてございます。そういつたようなものによるものが約一億三千万ほどで、全体でこの程度赤字が出る。で更にこれについて二十七年度において我々二億四千万ほど切下げをやつたのであります。その主なるものは旅費、物件費、県単事業の切下げ、その他合せまして二億四千万ほどの切下げをいたしましたのでございますが、その表はございませんが、大体そういうふうにいたしましたけれども、三億一千万ほどの、実質的には約五億ほどの赤字が出ざるを得なかつたということで、二十八年度の春自治庁からの調査をして頂きまして、全部洗いざらい調査をして頂きましてやりましたが、この私のほうの事業は県の単独事業が多いかどうかということが議論になると思いますが、今度私がこちらに参ります際に一応御覧に入れようと思つていろいろ調べてみましたが、殆んど要らない悪い県単事業というものはございません。但しこれについては自治庁の判定では、他府県から見てむしろ少い目だという御判定を頂いたのでありますが、併し今こう赤字になりますと、そうも言うておられないものですから、去年の秋頃から思い切り落したのです。そうしてうんとこさ落しまして、今申上げましたように又この実情をお訴えして、或いは起債について、或いは平衡交付金について、その他政府としても見られる限りのものを見て頂くようにお願いし、いろいろいたしまして、繰延も一億数千万いたしまして、大体二十八年度収支の赤を消すと、こういう建前に一応いたしたのであります。  それからなおこの際ちよつとお断りしておきたいのですが、尻から二番目の表でございますが、これを御覧下さいますとおわかり下さいますように、税収入なり平衡交付金なりのパーセントをずつと書いてございますが、これをずつと御覧下さいますと、だんだんれこの税収入のパーセントが減つて、県債その他のパーセントが殖えて来ておるわけです。例を申しますと、二十四年度決算では税収入が二六%四あつて県債が八・四%であつたものが、二十八年度決算では税収入一六・六%で県債一三・六というふうに殖えている。この傾向は要するに政府が本来ならば平衡交付金その他でくれなければならないものを、起債その他の借金の形で一応政治的に片付けているという点がある。従つてこれは後年度において必ず問題になつて来る大きな私は問題だと思うのです。どうしても確実な財源というものを正当な理由のあるものに与えなければいけないように思うのでありますが、今の政府のやり繰りで常にそういうふうにして、まあ平衡交付金でいかんものは起債で片付けろと、その場しのぎにやつておりますので、この再建整備に関連してこの県債をどうして償還するかということが、累年どんどん却つて増加して参つておりますので、大きな一つの私は府県財政の政治問題になるのではないかというふうに考えておりますので、特に御注意を一つ煩わしてみたいと思うのであります。このように我々のほうの税というものの自給度というものはだんだん下つて行つている。この点は是非一つお考え下さつて税制改正の際に是非お考え頂きたい。  なお、二十七年度について特に御注意をお願いいたしたいと思うのは、我我のほうで政府が見たものよりも入場税で四千四百三十六万、法人事業税で五千二百三十一万、平衡交付金の算定より実際の収入が減つておる。ここで一つ私は特に申上げたいのは入場税でありますが、入場税については、我々のほうの県では全国で模範的に徴税成績がいいのでございます。それで田舎のほうへ参りますと、御承知のようにうんと田舎へ参りますと、幾らか不成績でありますが、金沢市でありますと、殆んど脱税というものは考えられない。脱税するといたしますれば、幾らかの切符の盥廻し以外……、全部切符は県で発行いたしておりますから、幾らにもならんわけです。絶無とは私申しませんが、それにかかわらず四千四百万から政府の基準財政収入から見て赤が出ている。幾ら頑張つてもこの赤が防げない。ですからここにすでに一つの大きな問題があるのであります。従つて我々のほうの弱小県は入場税を国に移管することは非常に待ち望んでおる。そうしてもらわないと、この赤字は絶対に駄目なんです。これを若し消さす時には甚だ失礼なことですが、数字をちよつとごまかさないことには絶対にこの政府の言われただけの財政収入を上げることは困難です。これは事実についてもつと打明けた話を申上げてよろしいのですが、お考えを願わないといかないような制度になつております。従つてすべての統計からごまかして行かなければこの赤字というものは防げないような状態になつております。これは是非お考え頂かなければならん。脱税とか取り方が少いからの赤じやないのです。今のやり方ではどうしたつて赤字なんです。こういうふうな点を一つ是非お気にお留め頂いて、これは大府県と非常に違うのです。これは殊に遊興飲食税についても同様の点がある。これは実例をもつと申上げればよくおわかり願えると思いますが、議論が横に行くと思いますので、この程度にとどめますが、特に入場税については問題が起きておりますので、御注意を一つ御喚起を願つて、我々は従つて今年は国に移管するのでこの赤字はなくなつてしまうのだと思つていたが、これでは又府県に置けばこの赤字が残つて行く。これはどうしても政府見込みが合わない。これは事実について御調査を願えばわかると思います。  それからもう一つ同じページの表でございますが、よく前の池田大蔵大臣などは、地方が何か接待費か何かいろいろ余計使つていると、いつも言われますので、洗いざらいして一つ出して参りました。御覧下さるとわかると思いますが、決してそう全体の経費について、例えば食糧費のごときは一%にしか二十五年になつておりません。二十九年には〇・五%しか計上しておりません。それから旅費等は殆んど現業ですから政府職員よりは非常に多く要る筋合のものでありますが、四・八%のものが二十九年度には二・六%しか出ていない。このような限度に節約しているわけなんです。御参考に一番下の欄はこれはちよつとこんなところに附けるのは変なんですが、一番下の数字は一人の人間、普通のまあ属官級の人間が二日間東京へ出て来た時に普通幾ら要つたかという実数をちよつと出してみると、運賃の値上りその他でこれだけ違うことになつているということを御参考までにちよつと書き加えておきましたが、これらを御覧下さいましても、決して乱暴に金を消費したり何かするというお考えを一つ……それは県によつて一律とは私申上げませんが、それを論拠にされるのは甚だ迷惑だという意味で、ここに実数にして御覧に入れたわけでございますから、御参考にして頂きたいと思うのでございます。  二十八年度の欄を一応終りまして、二十九年度に参りますが、二十九年はやむを得ませんから、今度は全部殆んど九〇%ぐらいまで県の補助事業というものを一応打切つてみました。当初予算から全部打切つて、整理できるものは極度に一つ整理しようという態度で、一つ骨格予算だけを組んでみましたが、この骨格予算だけにいたしましても、従来の観念から行く県債は、今高槻市長さんからお話のように全部事業に伴なつておりまして、赤字県債というものはありませんから、これはまあ別論といたしましても、平衡交付金、それから従来の考え方による税というものは全部骨格予算で消費いたしてしまうのです。で骨格予算にいたしますから無論比較にはなりませんが、人件費が五五%を超えております。こういう課の予算にいたしますとそれくらいひどい。私の所で五十四億ほどの予算を組みましたが、その中で二十五、六億、六億近くになつております、人件費が……。ですからひどいことになつておりますので、これ以上ベース・アツプされたら何ともやつていけんというような状況です。  なおそれから二十九年度に然らば新たな税制改正でどのくらいの収入見込があるかということを我々がおぼろに今のままの政府の原案で算定いたしてみますと、約四億ほどの増収があるのではないかと私の県で見込んでおります。それに対して警察費だけが、現在のままで引受けますと四億八千万円ほど警察費がかかるように思われるのであります。このうち約八千万ほどは政府の負担になると思いますが、約四億というものは大体地方経費で、今度増税したものは一つも残らず行く、警察費でパーパーになつてしまうというような大体現状になつておるのじやないかと思う。従つてこの政府警察費の算定と実際の事実との間に非常な相違があるのじやないかということを我々は考えておりますので、これは併し自治庁に対しても我々は実数を出してこれから交渉しなければならんと思つております。これは事実についてお話する以外に手はない。而もこの二十九年度の予算においては昇給財源はただの一文もみておりません。併しながら全然昇給をせんというわけには参らない。  それからもう一つ行政整理の問題が出るかと思いますが、大体一番問題は先生の給料なんです。先生の上のほうのものを百人ほど切りますと、約退職金で政府の基準でやりますと二億ほどの金が要る。一人二百万ほどどうしても払わなければならん。それから恩給が三千万ほど殖えます。従つて差当りの金が多いばかりでなく、一体全体行政整理をして得なのか損なのかはつきり見当がつかんような状態になつておる。従つていわゆる勧告による行政整理とか何とかいうことをやれば金が余計要りますから、どうしても自然減粍に待つて行く。むしろ今年の考え方としては行政整理する代りに上のほうの人の昇給を停止して一つ暫く辛抱してくれといつたような形にでもしなければ到底人件費の節約はできない。それから又御承知のようにこの教員の給料については文部省と自治庁の間に必ずしも物の考え方が一致いたしておりません。従つて文部省のほうは半額連鎖的に負担して行きますが、自治庁のほうはくれません。従つて人数を殖やせば殖やしただけ赤字になるわけですが、従来の考え方でやれば、議会の今度の予算で三万名節約するということになつておりますが、これは実際はあれは一つの仮定の数字で三万名をやつたということだけで、もともと実人員は三万名減つたというわけでも何でもない。従来のテンポで行けば五十何万を五十一万何がしにしたという話なんですが、府県のほうに対しましてその方針が徹底していないのであります。それから教育委員会は知事の権限下にありませんので、行政整理一つするにも私の力は及ばない。従つてこの点は是非お考え願わなければならないのですが、遺憾ながら、我々はいろいろ県教組と争うということも好みませんが、一面において我々は全然権限がない、権限がないものに対して行政整理を強いられてもいたし方ない。県教とは今問題になつておりますが、二十九年度では千五百万円ほどのベース・アツプの平均から見ると下つておる。それくらいひどく抑えておりまして、これ以上の節約の余地がないように我々は勘考いたしておるのであります。勿論併しながら行政整理というものを全然やらないわけじやありません。或いは部課の統合等も今六部三十数課ありますが、更に四部くらいにでも縮めて思い切つたことを一つやつてみようかと思つております。おりますのでありますが、なかなかこれは今の人事の状況では行かんのであります。昔は御承知のように内務省があつて、ひとり内務省が責任を持つてつたが、今はどちらかといえば知事がやつているような形になるわけです。そこで人のつながりなんかもありますから、なかなか困難でありますが、その困難を、たとえやるにしても相当な努力というものが要るということを一つ御参考までに申上げておきたいと思うのであります。   このようにいたしまして、併しながら今度二十九年度の予算に関しましても、我々の希望といたしましては、又地方の現在の財政状況、例えば府県の道路についても、府県道に対しても補助金をやらなければならん、それから従来の町村関係もございますので、必ずしもこの今の予算の全く着たきり雀では通せるものではない。御承知のように非常に問題があつて、今後どうなるかについて全く今のところ見通しが付いておらないというような現況であります。併しながら私が皆様方にここで申上げられることは、恐らく全国中でこれだけの節約をした県はない、私は第一番だというふうに自負してるくらいに詰めてある、これだけは一つ御研究下されば御了解行くと思うのであります。従つて選ばれたのだろうと思いますが、そういうわけでございますので、こういうことを御参考にして頂きたい。  従つて、この点について繰返して申しますと、政府財政投入が少いこと、或いは自律性が少いこと、又一面においては自治庁そのものの分配の不公平もある。不公平というのは意識的なものでなくして、或る程度一つの基準から出して行くと自然に出て来る一つの不公平というものがあるわけなんです。そういう点については特別平衡交付金その他で自治庁と御相談いたしておりますが、どうしても収拾のできないような点があるのでございます。こういう点を一、二御参考に申上げたのでありますが、なお御質問によりまして、長くなりますので、お答えいたすことにして、一応公述を終りたいと思います。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) 有離うございました。   —————————————
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは埼玉草加町長牛山信吉君。
  12. 牛山信吉

    参考人牛山信吉君) 本日、本当に図らずも私ども町村長の声を聞いて頂く機会を得まして、我々喜んでおります。  非常に地方財政の窮乏した状況につきましては、只今高槻市長さん、石川県の知事さんから詳しく申上げた通りでございますが、特に町村規模が小さく弱体でございまして、市や府県よりも更にその窮乏の程度が極めて大きいものがあると思います。私どもの町におきましてもあとで申上げたいと存じますが、細かい数字を記載した資料を持つて来なかつたのは残念に思いますが、二十七年度において若干の赤字を計上いたしました。私の町は勿論でございますが、全体的の数字から見ましても、昭和二十七年度ではいわゆる繰上充用した町村が八百八十九カ町村ございますから、恐らく全国の約一側に相当するのではないか、こう推計されるのでありまして、金額にいたしましてこれが大体二十二億円に達していると思います。その他形式上の繰上をしないで、決算期を繰延ばしたり、いろいろな支払いを延期したり、そういつたようなものを含めますと、約千五百町村に及ぶのではないか、こういうふうに推計されるのでありまして、昭和二十六年度における赤字に比べますと、二十七年度は約その倍に相当するいわゆる赤字を出しているというのが実情でございます。実際の状況は更にこの数字を上廻るのではないかと思いますが、町村では何としても只今赤字を出さないように努力いたしておりまして、これも私の町で例にとつて申上げたいと思いますが、町村保管の財産を処分したり、或いは経費を繰延べたり、いろいろな方法を以てやつていることはここで申上げるまでもないことだと思います。この原因は勿論いろいろな場合がありましようけれども、総体的に放漫な経営をしてこういうふうな赤字を出しているという町村は恐らく少いのではないか、こういうふうに私は考えているのでありまして、私のほうの町などではあらゆる経費を繰延べて、そうして緊縮に緊縮を重ねて、以上のような繰上充用でやつと賄つているというのが現状でございます。そうして大体が国若しくは県、そのほか法令によつてどうしてもやらなければならないものの仕事がその大部分でありまして、町村の意思で行う仕事などは、まあ恐らく二割とか三割の程度で、誠に心細いような次第でございまして、何とかこれを改めて行かなければならないというように考えておりまして、これも私ども町村長の仲間で非常に研究しておるような次第でございます。  その第一の例は、義務教育施設整備に関する経費でございますが、六・三制の実施をめぐりまして、財政難から六・三制は町村長の命取りとされておりまして、主食の供出と六・三制の整備では、これが町村長の命取りなんだと、私の同僚の中でも六・三制の整備のために辞職した人もたくさんおりまするし、脇の府県では自殺したのもあるようなわけでございまして、これでどれくらい苦しんでいるかというようなことが察せられると思います。そうして児童一人について〇・七坪というような枠で今までありました。今度は一・〇八と殖えたようでありまするけれども、そうして而も単価が著しく安うございまして、大体今までは坪当り二万四千円の単価と思いましたけれども、これで中学校の建築に対して半分の補助をするのだ、この単価は計らないで、中学校の建築に対しては半額の補助をするのだと、如何にも御尤もな体裁のいい話でございますが、実際は二万四千円という単価ではバラツクもできませんでしよう。中学の生徒を養う学校としては少くとも三万円以上、三万五、六千円、私のほうではこれから小学校を建築しようと思いますが、四万円かかる見込みです。これは話が外れますけれども、一昨年完成いたしました小学校ですが、これは立派な校舎ができまして、地方としては……。木造建築では恐らく日本一の学校であろうという、前にやめた広瀬文部次官ですか、が私の町に参りまして、そうして大変褒めて頂きました。そのときには朝日ニユースですか、何かカメラに収まりまして、教育方面の明るい面というので東宝系のニユース映画に入つております。町としては身分不相応な学校を建てて貧乏をしておりまして、これも赤字を出した一つの原因じやないかと思いますが、とにかく参議院から出られた広瀬さんに褒められたことは事実でございます。そんな工合でございまして、なかなか町村は殆んど学校に食われるのです。学校に食われまして、私のほうではまあ選挙のときに、借金をしたくないという公約もいたしましたし、それから成るべく国若しくは県が負担する事業を優先的に行おうというような公約をいたしましたので、成るべく借金を控えまして、昭和二十三年から毎年自分の財政で自前で建築をいたしまして、大体中学校も整備いたしましたが、今年非常に生徒が増加いたしましたので、又それも計画しているようなわけでございます。そんな工合でございまして、できるだけ私のほうでは経費を節約して、そうして教育に重点を置いておりますので、教育方面では県でも余り劣つているほうではないと思いますが、どうしてそれなら草加の町に赤字ができたかと申しますと、私のほうは人口僅か一万五千の町でございます。総予算が四千万円内外でございまして、そうして自前で二十三年以来校舎を順々に建てて参りまして、一年も休まずに建てております。それがために少し無理があつたのではないかと思いますが、その先ほどの補助に戻りますけれども、建築費の坪当りが恐らく時代離れのした金額でございます。如何にも半額くれるからあと半額で足りそうに思いますけれども、二万四千円では、実際の建築費と比べて見ると三分の一にも、もつとそれよりも少くなる場合が多いのです。それは例外なくそうなります。半分もらえると思つてそういう計画を立てますと、これはもう三分の一、若しくは三割になります。そういう工合で、学校の建築でどのくらい苦しんで来たかということはそれでおわかりになると思いますけれども起債をしないで自前でやつて来たことだけは、私は誇りとしているところでございます。そうして私の町は昔から教育に非常に関心を持つ所でございまして、何をおいても学校を建てなければならないという伝統を持つておりますので、学校には整備をして来たつもりでございます。そんな工合で、国の補助は実に心細いものでございますので、そこに大きな狂いが参ります。それともう一つは、国若しくは県が行う事業町村の負担の伴わないものはありません。これが町村財政をどのくらい苦しめているか知れません。ここに知事さんもおられますが、私はほかの県はわかりませんけれども、例えば県道の修理をする場合でも、こつちがいろいろ陳情をし、請願をして、やつとこつちの目的が達せられたと思うと、それでは地元で半分持つてくれ、三分の一持つてくれ、それでないとそういうような熱意のある町村がほかにあるから、遺憾ながら予算はそつちへ持つて行くんだというようなのが先ず普通でございます、そういう熱意を示さない場合ですね。どうも仕方がないから県税も負担しておるのだから、半分こちらが出しても持つて来て、そうして多少でも住民に便宜を与えてやろうというので、各町村が熱意の示しつくらになりますから、そういうような工合で恐らくどこの県でもそうだと思います。それと一番……まあこれは毎年ではありませんけれども警察に対する協力費、これが大きなものです。私のほうは御承知のように四号国道に沿うておりまして、東京と埼玉と一衣滞水の場所にあります。埼玉県の関門でございます。四号国道の関門でございますので、是非警察が欲しいということで、勿論明治何年かには大警察があつて、百二十何カ村を統卒した警察があつたそうでございますけれども、明治三十五、六年からだんだん警部補派出所になり、部長派出所になつてそこまで低落いたしましたので、何とかして治安維持のために警察が欲しいということを何十年来叫んでおりましたところが、昭和二十六年から警察法の一部改正によりまして自治警察が廃止になりまして、そうして地区警察を漸く置かれるようになつて、今三十何年かの希望が達せられて、地区警察が置かれるようになつたのです。それではその警察署の建築費をどうするかという問題であります。大体五十人程度警察署員を必要といたしますので、八百万円ほどの金がかかるのです。土地買収が百六十万円です。その他の建設費用で八百万円ほどかかるのに、国の予算は二百五十万旧しかないのです。これで何とかしてくれというのです。これではなかなか一年に三千五百万円や四千万の予算で賄つておる町村としては負担しきれない。それで関係町村が六カ町村ありましたけれども、私のほうが警察の所在地でございますし、あとは谷塚という隣の町が適正規模にも当らない七千幾人かの人口で、廻りの村は人口三千か三千五百の所で、とてもそういうような負担には耐えられませんので、私のほうの町で持つことになりました。八百万円のうち国が三百五十万、本館一棟も建ちません。それで町が百六十万の地所を買つて無償で提供して、そうして草加が三百万円、谷塚が百万円、あとの村が三十五万円ずつ出して八百万円の警察の設備をいたしたようなわけで、国が二百五十万でございます。そうしなければそういつた施設が持つて行かれないのが現状でございます。そういうふうに、国若しくは県の施設に対して負担する費用は莫大なものでございます。それでまあ草加の町もよほど貧乏したのではないかと思いますけれども、これもやむを得ないことでしよう。現在の時代ではやむを得ないでございましようが、これも一つ警察費も国のほうでもう少し何とか配慮願つて町村に余りその負担をかけないように御心配願えれば大変私は嬉しいと思います。  そのほかに、警察の経常費でございますが、それにいたしましても、警察の捜査費その他の費用が少いために、みすみす犯人が他府県へ逃げても、それを追いかける費用がない、そういうのが実際でございまして、他の府県はわかりませんが、私のほうでは大体警察職員一人について一万五千円から二万円の協力をいたしております。それはまあ治安協力会という名目で、警察職員一人について大体多いところで二万円、年額でございますけれども、少いところで一万五千円ですから、一つの警察で百万乃至百五十万の経費を負担いたしております。それでないと自転車のパンク直しもできないというのが実情だそうでございますから、やむを得ないからそういうような負担をいたしております。ついこの間も警察の本部のほうから、草加の警察には演武場がないから一つ建ててもらいたい、大体百万円ほどかかるのだという話でございました。もう警察を建築するときにそれだけの費用を負担していますので、演武場まではなかなか手が届かないので、役場の屋根も雨漏りしていても満足に直せないような状態なので、そいつを一つ国の費用で以て持つて来てもらいたいということを言つておきました。それじや柔道や剣道をやれないのだと言うのですが、お気の毒ですけれども、天気のときに一つ外でやつてもらいたいと私は断わつておきました。若し雨が降つてもやりたければ、講堂の一部でも何でも使つてつてもらいたいということを言つておきました。結局はそうは申しましても、これも多少の負担はやむを得ないのではないかと思つて覚悟しております。そういうふうに国若しくは県の負担が町村としては大きいのでございます。  県道が壊れまして、今年これから手をつけるのでございますが、ここを玄海灘と私の町では称しております。道が悪いからでございましよう。県のほうに僅かな費用しかないから、草加の町で熱意を示してくれれば、それじや舖装をしようじやないか、それで側溝を地元で負担して舗装を県でやる。大体舗装が二百万円程度でございましよう。それから側溝がやはりそれくらいかかりますが、町村道は荒れ果てておりましても、やはりその県費をとりたいというこつちのまあ何と言いますか、慾ですな、それがために町村費を負担してこれはやりたいと思います。尤も主要道路でございますから、たとえ知事の管理に属していても、これは放つておくわけに行きません。  そういう工合でございまして、そのほかあらゆる面で固苦しくは県の出先機関に対する協力費ですな、何々研究会、何々協力会とかいう名目で、まあその県若しくは国に、はつきり言えば吸上げられる費用が莫大なものです。恐らくこれは平衡交付金に相当するのではないかというようなことを言つておる人もありますが、まあそれほどでもないと思いますけれども、そんな事情もございまして、何とかこのほうを御心配願つて、まあ警察の場合は警察職員が職務を遂行するのに十分でなくて、町村に寄りかからなくてもできるようなふうにお考えが願えれば幸いだと思つております。  なおそれならばどうして草加の町が赤字を出したか。繰上充用をしなければならないかというようなことでございますが、私の町は先ほど申上げましたように、借金をしないで成るべくこれはやつて行きたいというような考え方でございまして、或いは財源を、税収入を少し一ばいに見過ぎた嫌いはあるかと思いますけれども、実は税収入が芳ばしくございませんで、大体年度内の収入が七五%程度でございまして、そこに二五%の収入不足が起つて来るわけでございます。これは一体に戦争後税の負担が多くなりまして、なかなか納めるほうも容易じやないようでございます。そうして国若しくは県は、その徴税の機構が整備いたしておりますから、何としても町村の徴税措置の方法よりも迅速に優先して行われまして、町村収入がどうしてもあと廻しになりますから、なかなか思うような収入も見られませんし、国税のように、税務署の職員のようになかなかてきぱきと参りませんので、この小さい地方団体でも、市ともなりますればこれは別ですが、一万や一万五千の所ではみんな顔見知りの人でもありまするし、国税徴収法を適用して差押えをして競売をして行くというようなわけには参りませんから、そこで翌年にその収入が延びて行きますので、ここに赤字ができて来るような形になつて参ります。草加の町がどうしてこんなに赤字になつているのか、放漫なやり方をしているのではないかというようなお疑いも起ると思いますけれども、私のほうでは特に役場費は節約に節約をいたしまして、大体役場費は、これは北足立の平均でございますが、北足立は四十三カ町村ありまして、この平均が役場費は総予算の二四・四一%でございます。これは二十八年度の例でございます。私のほうでは二十九年度には何とかしてこれを切詰めて、そうして役場費は少くしたいと思いまして、今年作りました予算は骨格予算でありまして、事業その他臨時的のものは税制改正が見越されておりますので、その財源の見通しがついてからやるといたしまして、骨格予算でございますが、役場費は年度予算に比較いたしまして二一%六六でございます。郡の平均が二九%四一に対しまして、草加町は二一%六六でございますから、如何にこれが役場費を切詰めてやつておるかがわかるだろうと思います。  なお、教育費につきましては、教育費は郡の平均が総予算の二四%七三でございますが、今年は私のほうでは中学校の増築を計画いたしております関係もございますが、三七%一三でございます。これは起債等の手続もまだこれからでございますが、三七%一三、これだけ事業費のほうへ多く振り向けて、そうして役場の費用というものを切詰めてやつておりますので、赤字財政というのは余り聞えのいい話ではありませんが、実質はこういうわけでございます。そういうわけで国若しくは県で負担する金が相当にそちらに流れて行きますので、そのほうの何とか御配慮を願えれば、町村財政が如何に豊かになるかというようなことがお察しできると思います。  そうしてもう一言、この税収入がどうしてそれでは七〇%、七五%で悪いのかというようなことを参考に申上げますと、私のほうは東京都にはもうすぐ一キロかそこらでございますが、そういうわけで東京へ通勤する者がたくさんおりまして、東京で働いて、東京で飯を食つて、東京で映画を見て、東京でお茶を飲んでいるというようなので、ただ寝ているだけの人間がたくさんおります。そこで住民感情が極めて薄いのですな。従つて納税観念も薄いのではないか、こう思います。そうして近所の村では昔の隣組とか、それから部落会とかいうものがそのまま残つておりまして、そうして税の徴収から何から何までやつております。あれはいい組織だと思います。私のほうはやかましい人間が一人おりまして、政令の十五号か何かをどこで覚えて来たか、それを一つ覚えに覚えて、片端から風つぶしに町内会、部落会、それから隣組がこれがどうも如何にも犯罪者ででもあるように掘り立てられて、そうして全部解散してその制度を利用しておりませんけれども、あれは何らかの名目で復活することが私は一番いいと思います。あれを利用しているところは九〇%若しくは九五%の成績を挙げております。  それからもう一つ税収入の悪いことは、まあ一体に納税観念がありませんので、私が申上げなくてもおわかりでございますが、税は納めるものです。私のほうでは、農村のほうでは税金のことを納めと申しております。ただ納めと言えばこれは税金にきまつているのですが、税は納めるものだつたのですが、それが払うものになつて、税金を払つたかいというようなことになつて、まるで八百屋か角屋の勘定と同じような言葉に変つております。税は払うものになつて、それから近頃では取られるということになつております。税金は幾ら取られる、取られるという言葉は、少くとも出す意思のない人の言葉なんです。これはもう全部納めるから払うようになつて、取られるようになりました。如何にだから税金を納める意思がないかということがわかるのです。それはどうしてそうだかと、こう申しますと、これはここで申上げては当り障りがあるかも知れませんけれども地方の県税事務所の職員、税務署の職員から中央のお偉がたに至るまで、あらゆる不正その他が行われておりまして、官公吏に対する信頼というものは殆んどございませんのです。二、三日前の新聞、読売新聞だつたか何だつたかで、そういうような数字が出ておりましたが、世論調査か何か、六八%信頼しない人があるようでございます。私たちのほうの町でも恐らく六、七〇%は信頼しないだろうと思います。ですから、税金はなかなか困難です。まして近頃のように造船の疑獄だとか、或いは陸運の汚職だとかいうものが上から新聞の第一面にでかでかと出るのです。皆が泥棒でもしているように考えて、私どももその仲間のように考えられまして、町長はどうしているというので、私生活から公生活まで監視を受けております。私どものほうでも不幸にいたしまして、税を徴収して歩く人間がちつとばかり使い込みをいたしまし、問題になりまして、私の首も少し落ちかかつて参りましたが、何、この男が使い込みしたつて大した金ではなかろう、だからそれでたとえ私の使つている徴税の事務員が使い込みをしても町の経済に損をかけなければよかろう、俺が出そうじやないかというようなことを言つて、まあ幾らか器量にかなうかどうか、わからなかつたけれども、大見栄を切つてみた、まあ大したことでもございませんが、その男はそれを弁償する能力も何もございませんので、結局調べ上げてみましたところが、三十万かそこらでございますから、三十万でもこの田舎の町長の身分としてはなかなか大金でございます。二年もかからなければ、食わず飲まずで二年もかからなければそれだけの収入がないのですが、町の経済に損をかけないのだという大見栄を切つた手前、私と収入役で弁償して、町の経済にちつとも迷惑をかけないで無事に済むことができましたけれども、まあこれは余計なことを申上げましたけれども、そういう工合で、納税意欲というものがございませんのです。だからそれを取られたという、そういう言葉を使う人から税金を取上げるということはなかなか困離でございます。こんな工合いで、只今のところでは七五%程度しかしりませんが、翌年になると大体それが上つて参ります。でも私のほうは小さい工場等がありまして、税収入は悪うございますが、財源は決してよその村よりも甚だしく少いというわけではございませんが、現地の小さい村に行きますと、個定資産税よりほか収入がございませんから、住民税も今の標準課税は一八%でございますけれども、例の二項の但書を使つておりまして、税に換算すると大体三〇%くらいになるのじやないかと思います。村ですね。村はどれくらいだから税で苦んでいるかということがおわかりになろうかと思います。そうして小学校、中学校の経営以外には何もできないというのが実情でございます。住民の福祉に関する施策などは恐らく夢のようなものでございます。文化国家の建設なんということをよく言つておりますが、それは恐らく私ども夢にも思わない。地方ではそういうような実情でございますので、何とか国で町村も一つ救つて頂けるような、経済的にですね、救つて頂けるような方策を考えて頂ければ幸いだと存じます。  まとまらないことを申しましたが、質問にこれからお答えいたします。
  13. 内村清次

    委員長内村清次君) 以上で参考人の公述は終りました。質疑のあるかたは御質疑を……。
  14. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちよつと石川県知事へお願いしたいと思うのですが、この頂きました資料別表第一の二十一年度以降の収支額調べというところを……。そこの三十五年度までは赤字が出てなくて、二十六年に急に一億一千一百三十四万七千円、こういう赤字が出ているのですが、二十七年度の五億四千万円という赤字については、先ほどいろいろその原因について承つたのですけれども、二十六年度の一億一千万円の赤字ということは、その原因はどういうことなんでしようか。
  15. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 二十五年度からたしか税制改正があつたかと思つておりますが、それはやはり物価の値上りと、両方から急激に悪くなつてつたのだ、概念的に申せばそういうことになると思うのであります。
  16. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、このシヤウプの税制改革による収入というものが物価の上昇に伴わなかつたということですか。
  17. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) そういうわけでございます。
  18. 秋山長造

    ○秋山長造君 その物価の上昇という原因ですが、その内容は、やはりさつきおつしやつたように人件費だとか……、人件費原因になつておりますが……。
  19. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) やはり一番大きなものはベース・アツプの支出の増というものが一番大きくて、他府県のように私のほうの災害は、ございまかが、勿論災害も一部入つておりますが、一番大きなエレメントはやはり人件費の増、それからすべての紙でも何でも物価の上昇ということになつていると思います。大体大見といたしまして、四分の一くらいがまあ災害による赤だというふうに二十七年度などについては見られますが、そのパーセントは人件費の増などに比べると非常に少いのでございます。
  20. 秋山長造

    ○秋山長造君 それからその次の附表三というところに昭和二十四年度以降の一般財源増加状況というのがあるのですが。
  21. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 人件費のやつですか。
  22. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや附表三の昭和二十四年度以降一般財源増加状況、終りから二枚目です。そこのところの税収を、ちよつと年度を逐つて税収状況を見ますと、二十六年度から二十七年度にかけて相当税収の比率が減つて来ておりますね、その減つた原因というのはどういうことなんですか。
  23. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) これは要するに自然増というものが他府県に比して非常に少い。要するに物価は上つておる、支出は増加しなきやならんが、それに比して私の所は中小企業が多いものですから、大きな工場の、例えば紡績工場とかその他大きなところは非常に収入が多いのですが、そういうものの非常に少い所はどうしても収入の自然増がないのであります。それがこういうふうな結果に出て来ておるのだと思つております。
  24. 秋山長造

    ○秋山長造君 その自然増の伸びがだんだん小さくなつたということはわかるのですが、更に二十七年から二十八年に行きますと、今度は逆に金額そのものが一億円程度減少しておるわけですね、その点は……。
  25. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 二十七年度には特別税を創設……、二十六年度一年だけやつたわけなんです。これは道路税というのをやりましたので、それが二十七年度にいろいろ議論がありまして二十八年度に落したものですから、その全体のテンデンシーと両方から……。
  26. 秋山長造

    ○秋山長造君 その特別税というのはどういう税金ですか。
  27. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 特別税というものは法定外の特別税で、これは道路の修繕の目的税じやありませんですが、ちよつと目的税のような印象のある、道路を修繕するために特別に今の府県民税のようなものを取つたわけなんです。世帯当りに幾らというふうに取ることを政府の許可を受けて取つた。それを一年限り認めてもらつて道路の特別修繕に充てた、その税がここへ入つておるわけです。
  28. 秋山長造

    ○秋山長造君 その特別税は最初からもう一カ年というおつもりで創設されたのですか。それともやつてみてどうも余り思わしくないから一年限りでおやめになつたのですか。
  29. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) それはいろいろ経緯がありまして、当初は一年限りでやめる考え方であつたのですが、政府の部内にもいろいろ意見がありまして、一年限りの年限を付けた許可をくれて、更にこちらが申請すれば延長ができたかとも思いますけれども、これは非常ないろいろな議論の対象になりましたものですから、思い切つて政府の部内の関係もあり、地方関係もありやめたわけです。
  30. 秋山長造

    ○秋山長造君 この特別税は、このように年々かなり赤字が出ておるのですが、その赤字の解消というようなことへは全然廻されないで、はつきり目的税的に道路の修繕にお使いになつたのですか。
  31. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 目的税は御承知のように許可がないわけですが、目的税のような気持のある税で道路のほうへ使つたわけです。赤字のほうはまだ問題がそう起きてなかつたものですから。そうしてその後べース・アツプが一年に二回も三回もあつたたびに赤字が殖えて行つたので、当時はまだそういうふうにまで見通しがつかなかつたわけですから、赤字の解消という意味で取りましたわけじやございません。
  32. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから先ほどの御説明の中に、相当石川県では思い切つた行政整理、或いは人員整理、その他いろいろな経費の節約という手を打つておられるのですが、にもかかわらず政府のほうで補助金は一兆予算の関係から打切るけれども、その当該係員はそのまま切らないで残しておけというような通牒と言いますか、何かいろいろなものが来て困るというお話があつたが、それは具体的にはどういうことなんですか。いろいろな役所がそれぞれ自分の筋を追つてそういうことを非公式に言つて来るのですか、それとも何か文書を以てそういうことを言つて来るわけですか。
  33. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) いろいろあると存じますが、私の記憶にあるのでも公文書を以て言つて来ておるのもあります。局長名ぐらいの公文書までまあ勧告して来ておるのもあります。
  34. 秋山長造

    ○秋山長造君 今のその点は私どももかねていろいろなことを聞いておるのです。例えば政府行政整理をやるということで、地方に対して何%の行政整理をやれ、裏付はそれをもう何%整理されたものという前提の下に財政的な裏付をよこすという形になるにもかかわらず、その方針が各省に徹底しなくて、それぞれ農林省は農林省、厚生省は厚生省、それぞれてんでんばらばらに自分の縄張りだけは侵されないようにじつと温存しておこうというようなことで、勝手にいろいろな通牒とか口頭での申渡しだとか、いろいろなことをやるために、なかなかその中間に狭まつて県の財政当局として非常に困るということが非常に多いのだろうと思う。今の通牒なんかのようなはつきりした書類のような形で来ているものは、是非一つお帰りになつてその写しを我々のほうに頂きたいと思うのです。これは別にそのために石川県知事に御迷惑をかけるとか何とかいうようなことでは全然ないので、ただ我々実態をつかんだ上でなければ本当の地方財政というものがよくつかめないわけなんです。それをお願いしたい。
  35. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 実はこれは是非御興味あることと思つてわざわざ私も申したのですが、実はこの四、五年前も政府行政整理をやりましたときは、地方補助職員は増加しているのです、それにもかかわらず。それは政府資料を御覧になるとおわかりになると思いますが、予算をちよつと御覧になりましても、普通は補助職員はこの予算の中に行政整理になつているものがどのくらいいるかわからない。主計局長でも知らないのですよ、知らない。よくわからない、本当にお調べにならないと。主計局長でもそうかねといつたぐらいに、予算査定をしておる者がわからんぐらいになつておりますので、それは是非一つ我々としてもこれは政府へも勧告しているのですが、なかなか実行されないので、是非補助職員の整理ということについても、もう少し実際に基いて予算面の表から、主計局長ただ聞いただけではわからないので、一つ一つお調べを是非……。自治庁のほうではお調べがついていると思います。  なお資料提供は実は甚だ勝手なんですが、差障りが非常に多いのでございまして、これは政府で一つお調べを願つて頂かんと、これは自治庁が多く承知しているので、これは私の立場上非常に困るのでございますから、ただそういうことが事実あるということだけを私ここで重ねて申上げまして御参考に供しますから、どうぞ……。
  36. 秋山長造

    ○秋山長造君 その事実があるということでよくわかりましたから、それ以上余り御迷惑をかけてもいけない。  それから石川県では人員整理を非常に思い切つてつている。今度も実人員二百名の整理というようなことまでおやりになるそうですが、その場合にやはり県庁を通じてやられる場合は、やつぱり成る程度の人員というものは、最小限人員というものはどうしても要るのですね。だからそうむやみに整理して行くということはできない一つの限界がはつきりあると思う。そういう場合に実人員二百名という石川県ぐらいの規模の県でやられるということは、よほどこれは思い切つた整理だと思うのですが、そうするといろいろな事業なんかに差支えが起つて来て、やむを得ない措置として臨時職員の形に振替えるというようなことが行われる虞れがあると思う。虞れと言いますか、必要からそういうことになると思うのですが、その臨時職員の問題は石川県ではどういうようになつておりますか。
  37. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 非常に有難い御質問でございますが、実は私のほうで行政整理をやりましたのは二十七年度にやつた。この赤字の出た年にやつているのです。実人員二百名、この附表を御覧下さいますと、落したにもかかわらず現われておりません。それはどういうわけかと申しますと、今の人事院の規則では、要するに定数外であるということであれば、これにコンブレインすることはできないわけです。要するに定数内の人間の整理をやろうというときには公平委員会とか何かにかかつて非常に困難な措置が講ぜられるわけです。それでやはり行政整理をするためには、例えば、三千人いるうちの二千八百人落せば、これはもう要らないんだという操作ができるわけなんです。従つて一旦どすんとそこで落して、そうして又私の県では上げておりますので、この表を御覧下さいますと、その点が要するに一人も整理していないように御覧になると見える。問題は要するに下げまして、そうして今お話の定数外の者を整理したわけです。定数内の者も整理したが、定数外の者も当然私どもの以前から長い間続いている慣習ですから、定数外によつた者もどうしても定数内に入れなければならん若い人たちは定数内に入れたわけです。整理がなさそうに見えますが、実際の人員は減つているわけです。そこで問題は全体として見ますと、どの程度のものが適正な人間であるかということは非常に問題だと思いますが、大体私のほうくらいの人口で、そうして税収入は私の所よりも少いような県と比べて、これは正確には調べておりませんが、県によりますとお調べ下さるとわかりますが、私の県が千人も少いように聞いております。それでさえやりましたが、全体としては技術職員が非常に足りません。技術職員はもう非常に足りません。それから従つて事務職員は二十四、五年頃から殆んど整理に整理を続けて来ております。それで道路その他の状況から技術職員はどうしても殖やさなければならん状況になつておりますので、全体として技術職員の整理ということは、これは行われない問題だと思う。それから本来私のほうの方針で定数外はしている者もございます。例えば林産物の検査員、これは林産物の検査をし、平常は農耕をやつておるというような連中もありますから、これは全部定数外にしております。それから例えば一つのプレンテイスの、一つの見習期間というようなものを置くというときには一つの定数外にするというようなことを行なつております。その定数外を今どんどん私のほうで整理しております。大体今これが実際の人員が定数内は二千八百八十名、定数外は三百八十名に上つております。これを今半減以下の整理をしつつあります。  それから先ほど私が申上げました教職員の代用教員の少いのも、まあ定数外のいわゆる代用職員といつたような者を、主として、これは代用職員は整理するときには退職金が要らないのです。それから代用職員でない者がやめるときには、これはすぐ退職金をばたばた取られる。そこで定数外のそういつたような者を先ず整理して行くというようなことで先生を整理したために、全国で稀なほど本物の職員ばかりで、定数外の者が少いような状況が出ておりますが、そういうふうなやり方をいたしております。但し、その定数外というものも非常に判断の困難な点があるのは、或る一つの河川なら河川の改修に伴つて非常な臨時職員が要るわけです。これは事業費で、私のほうでこの事業で何人というふうに一括して許可する。そのほかに県会議員に頼まれたとか、何々に頼まれたとかというようなことで、私のほうとしては自分でやることは殆んどありません。私の目に入らないうちに入つて来る職員が定数外になるので、ときどき整理しなければならん状況になるんですが、それは極めて少くなつて来まして、整理しておりますが、その間のさし退きが常に潮のようにあるわけなんで、今の御質問のような御議論が出るんだろうと思つておりますが、全体としては事務職員を整理して、技術職員としては全体として足りません。こういう傾向にあることを御了解を願いたいと思います。
  38. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう一つお伺いいたしますが、今のお話で大体人員整理は相当思い切つてつておられる。特に助教の場合は相当助教を整理しておられるようですが、そうすると二十九年度は大体全国的に百万人ほど生徒が殖えるということになるのですが、石川県でも恐らく何万人か殖えるのだろうと思う。そうなつた場合に、従来の助教も含めての教員でも、現状のままでかなり足りなくなつて来ると思う。常にその場合にその助教を逆に整理して行くということになりますと、相当学校の運営等についてむずかしい問題が出て来るのじやないのでしようか、その点ちよつとお伺いしたい。
  39. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) それは御尤もなお話で、結論から申上げますと、私の所では約七千人ほどに対して百十人だけ殖やしました。それで従来の文部省の基準で参りますと、三百十人くらい殖やさなけれならんところを百十人で折合つて殖やしてあるという結論になつております。それでどういうことになるかと申しますと、要するにいろいろな問題は、一つは指導主事の整理の問題があります。それから第二は、一学級を幾らで編成するかという問題がある。今年の予算をそのまま割つて見ますと、逆算すると七十五人で一クラスくらいになるのです。そういうことはできませんので、全体でやつても私の所では最高六十二人を一クラスにして、一年、二年は五十八人にする、その一年と二年の五十八人をちよつといじつただけで何十人という先生が浮いて来る。それで例えば七学級までのところは先生がクラスの数と校長一人、七学級以上になるとそのほかに予備の一人の先生をとる、こういうふうになるわけです。それで八学級にするというようなことでできるとか、或いは校長が今日の新聞にどこかで教員一人に一人という所がありますが、私の所では人口に対して面積が広いものですから、雪が降る関係で、一人の先生に対して一人の子供という学校があるのです。それはどうにも合併整理のできない所がある。そういう所においては校長もそういう所にはおりませんけれども、小さい二学級以上の所では校長に授業をさせる。それから学校の職員がありますが、いわゆる教職員職員、この職員の資格のある者に授業をさせるとか、こういつたような所の環境の度合で、或いは百人殖やすのも、或いは五十人殖やすのもどうであろう、これは如何ようにも粘土細工のように幾らでもできる。従つてそれは私どものほうでは百十人に教育委員会と折合つたというようなことになつておるわけであります。
  40. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、石川県では県庁の一般職員も相当切詰めておられるようですが、教員の場合も相当切詰めたやはり運営をやつておられるように思うのです、無理をやつておられるように思うのです。その問題はそれといたしまして、先ほどお話のありました二十九年度職員の昇給昇格等は一切予算には見ておらないというようなお話があつたのです。併しこの問題もこれは窮余の策としてそういうことをお考えにならざるを得なかつたんだろうと思いますが、実際問題としては私は二十九年度これを全然やらないということはできないだろうと思う。それでどうしてもこれは今後或いは補正予算を組むなり何なりしてその点も考えられざるを得ないと思う。そうなりますと、この二十七年度の五億四千万円の赤字というのは、更に何らかの形で殖えて来るのじやないだろうかということも考えられるのです。いずれにしても五億四千万円の赤字をそのまま持越されておられるわけで、この五億四千万円という赤字は相当大きな赤字だと思いますが、それについては先ほど御意見がありましたように、中央政府として手当をすべき問題が多々ある。これはまあ私どももよく承知しておる。併しながら実際目先にこれだけ五億四千万円の赤字があるという事実は、これはもう動かない厳然たるものです。それでこの五億四千万円の赤字を、今後県政の責任者として如何にしてこれを解消して行かれる計画なり見通しを持つておられるかどうか、その点について一つ率直にお尋ねしたい。
  41. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 御尤もなお話でございまして、実は私どもも正確にその見通しがつかないわけであります。従つて四月になりまして、自治庁からも実は調査課長にも来て頂いて、もう一遍洗いざらい、去年も四月にやつたのですけれども、何もかも洗いざらい出して行つて、どこがいかんのか一つやつてみよう。そうしてこれはモデル・ケースとしてやつてみようじやないか。それから平衡交付金などについても、これはきまり巾着のようなものですから、今申したようなふうにいろいろやり方があるが、こういう席では申上げかねるところもありますが、こういう点についても我々早く言えば正直過ぎたんじやないか。真正直に取り組んでおつたんじやないかという感じがせんでもない。こういう点が法規の許す範囲内の考慮の余地があるんじやないか。こういうことは無論違法なことはできませんが、もう一遍洗いざらいやつてみよう、その上で一つ方策を立てようというようなことにしまして、今言つたように計上すべき昇給財源は無論計上しなければならん、計上しなければならんものはわかつてつて全部やるんだから、町村に対する補助金、その他団体に対する補助金全部根こそぎ落してみたのです。併しそういうものは全部落すわけに行きません。やはりここから五千万円、一億円、昇給財源だけで従来通りやりますと、二十九年度は八千万円要ります。そのうち二千万円ほどは政府補助金であります。そうしますと、約六千万円ほどのものがどうしても純県費で昇給財源を出して行かなければならん。とても出せる見込みはないからどの程度の昇給をするかという問題も残つております。それから補助事業等も県の職員とも御相談してどの程度にするか、例えは例を申上げますと、私どものほうは簡易水道の普及が激しい。これは御承知のように農村の主婦の労力を節約するために非常に有難い施設で、女たちが非常に生活改善でやかましい。そういう形でこれに対して僅かですけれども、その額の五分の一くらいの経費を県費補助をしておつた。これも今年全部棚上げにして、何か資金でも融通をしてやるような方法でもあつて、利子の補給でもして行くような方法はなかろうか、こういつたような例はこれは一例でありますが、或いは県会議員その他政治的な関係もありますが、そういう点も或る程度我慢して頂いて、この程度に落ち着けるいろいろな検討もいたさなければならん。  もう一つは、それはデータとして警察費の問題、警察費が先ほども陳述いたしました程度であれば、今度の税制改正による増というものは全部警察費に持つて行く、こういうことであれば私どもはちよつと堪らんですから、幾らかでもそこに浮かせる余地はなかろうか。これについては実際政府が認めておる。恐らくは御覧になつてもまだ正確にはなつておりませんが、三億一、二千万円くらいしか見ていらつしやらない。而も予算は人件費が四億から要るようなことになりますと、これは又非常に早い話が難儀な話になるわけですから、この辺の点について政府として、いわゆる政府のリスクで出て来た結果においてはやはり政府に負つてもらうより私どものほうはやりようがない、こういう点は実情を訴えてやつてみよう、その代りほかのものは尻の毛まで御覧に入れる程度にして、政府の御納得の行くようにして行こう。二十八年度も大体そういうふうにして、あなたのほうでこれだけ見てくれなければこれだけの赤字が残るんですよというふうにして、政府のほうとも御納得の行く、成るほど俺のほうで吝ちするとこれだけの赤字になるなというようなことを駈引なしに二十八年度についても折衝したわけであります。そういうふうにして洗いざらいやつて、根本的な考え方として、できるなら再建整備の法律が通つても、再建整備によらなくて何とか片付けたいと思つて努力をしておるわけでありますが、極端に申せば、例えば県債の償還が去年から見て一億以上殖えております。こういつたものは年々だんだん殖えて来ます。これはなかなか償還しきれない。これは十五年なり何年か前にやつたわけです。従つて再建整備等についてもその点を考慮に入れてやる、或いは行政整理したときの財源等についても再建整備で出してやるとか、いろいろ再建整備法にも是非我々はして頂かなければならんが、根本の考えとしてはできるなら再建整備にかからないで片付けたいというふうに思つております。今のところ私どもで目を通して今後こうします、二二が四で割り切つたお答えはしかねる。もつと掘下げてみよう。それから税制機構の改正その他で浮くものならもつとやつてみよう。あらゆる点を一つやつてみて、残つたのは面倒を見てもらうより仕方がないんじやないかというようなふうにして、一つ誠意を披瀝してやつてみようというふうに考えて今おりますので、今のところ明確なるお答えはいたしかねる状況になつております。
  42. 秋山長造

    ○秋山長造君 知事の御苦労は非常に敬意を表するのですが、ただ心配することは、二十九年度あたりも、骨格予算で殆んど事業費らしい事業費は見ておられないというようなことなんですが、そういたしますと、二十六年度なんかにさつきのお話で、折角法定外の独立税というものをとつて道路なんかの改修をやられたわけですね。ところがそれがもうあと事業費が続かないために、折角一年間がちやちや一生懸命に道路なんかの整備をやられて、あとは放つたらかすというようなことに事実上なると思うのです。そうなりますと、又元の木阿弥で、道路なんかの状況が非常に悪くなつて行くんじやないか、再び荒廃に委ねられるんじやないかというようなこともまあ気遣われるわけなんですが、そういう点はどうなんでしようか。
  43. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 御尤もなお話で、実は今度の骨格予算でありますが、骨格予算の中で成るべくしつかり道をつけたいと思いますから、一年間見通しがつく経費、要するに人件費等のようなものは現員現給ですけれども、ともかく一年間はつきりわかつたものは全部載せたわけです。今の道路の修繕のほうは、大体私の県では小さな県ですが、県道の長さが新潟県と同じくらいあります。面積だけがその半分ほどなんです。そういう県でございまするが、雪の関係もございまして非常に壊れやすい。年間を通して砂利の代だけが一億ほど要ります。それをどうにもいたし方がないから今度八千万計上してあります。そういたしますと、要するに改良費その他を詰めて行つているわけです。改良費等は今年の半分くらいを明年度いたそうかと思つております。それから全体として今のガソリン税の地方還元で、裏付であの通り参りますれば、かなり国道なり主だつた道はよくなるかと思いますが、一面それだけのものは又平衡交付金で減らしたような形になつておりますので、当初の計画通りでしたらかなりよく行こうかと思つておりますが、大体の物の考え方としては、肚の中では主な道路を重点的にして、小さな道路は捨てて行く、捨てて行くというと言葉は悪いのですが、本当に捨てるわけではありませんが、そういうふうな考え方で経理をして行かないと、県道だからといつて一律にやつてつたらとても維持ができないのじやないかというふうに考えております。なお、県道等については、私の県では今純粋に全額県費で以て県単道路の改良について地元負担は二割、公共事業については一割の負担で、それ以上のものは一文もとつておりません。そういう状況行つておりますが、今申したような関係の心持で、なかなか困難なことですが、して行かなければいかんのじやないかというふうな感じを持つております。
  44. 秋山長造

    ○秋山長造君 それから最後にもう一つお尋ねしたいのですが、一方において五億円を突破する赤字がある、而も他面においてはいろいろな方面になすべき事業が多いということは、まあジレンマに陥るわけですね、その場合に問題は県会だと思うのです。石川県はどうか知りませんが、一般的には県会あたりの行き方としては、赤字の解消というような問題に対しては余り実質的な熱意は示さないで、而も県単事業が減ることは非常にいやがるということになると思うのです。そこでどうしても事業費を全部削つてしまうというようなことは、県会なんかの関係から言つても極めてむずかしい問題だと思うのです。石川県の場合はこの赤字の解消という問題について県会の態度はどういうことになつておりますか。
  45. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 実は赤字そのものについてはまあ年々経費を計上しながら、いわゆる三角をつけて更正予算を組んでは整理をしておつたのですが、去年の暮は思い切つてやらなければならんと思いましたので、県会の協力を求めてやりましたが、そのために、我々のところは保守党系統の者が殆んど占めておりますが、自由党、改進党いろいろありますが、その連中全部一つ合同して、一つのクラブ組織に作つてもらつて赤字解消を助けてくれということで、全員三十数名、殆んど八割くらいまでの県会の人を結束させて、それで大げさな二億、三億の鉈を、県単を落すよりしようがない、政府からお金をもらう以上は県単を先ず落して範を示さなければいかんわけですからやつてもらつたのです。ところが今度の議会の経過を顧みますと、今委員から質問がありましたように、非常にその点について辛いのですね。明年度は又選挙を控えておりますから、非常に辛いから悲痛な声を上げてやかましく言うのですが、私のほうの考えとしては延ばすのはすぐ延ばせるのですが、節約することは非常に困難だから、ともかく一遍節約しよう、節約した上でまあ次に補正予算を組むからということで、ともかくも一応形としては切り抜けておりますので、今お話のように着た切り雀で済ませるというわけには到底いかんような実情にあるわけなんで、その点がどの程度にやれるかという見通し、それから又五億四千万の赤字で実質に繰上充用したのは三億一千万円であります。三億一千万の繰上充用というものをどういうふうに埋めるかという問題が起つて来るわけです。これは今申したような議会の空気等でうんと詰めて行けば二年くらいで行けると思いますが、それが余り熾烈であれば二年のものは三年もかかる、こういう形にして行かざるを得ないように思つておりますので、これは非常な困難な問題に出食わしておりますが、是非この辺で頑張らんといかんということで、そういう形で切り抜けて今日まで来ておるわけでございます。
  46. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 石川県知事さんに入場税の問題について一点だけお伺いいたしたいと思いますが、先ほどのお話によりますれば、入場税の国税移管は石川県としては熱望しておられるというお話でしたが、その税額はどのくらいであるか、又その額が全体の税収入に占める割合はどのくらいか、御参考までに一つ……。
  47. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 政府のほうの基準財政収入として見ているものは一億五千万円ほどですよ。それに対して一億一千万円くらいしか入らんわけです。そういうことであるので、全体としてせいぜい十一億ほどですから、九%ほどの税額だというふうに見ております。
  48. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 御参考までに伺つておきたいのですが、遊興飲食税の数字が若しありましたら、それも……。
  49. 柴野和喜夫

    参考人柴野和喜夫君) 遊興飲食税が大体一億八千五百万円ほど今計上してあるかと存じます。
  50. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは長時間の間有難うございました。十分皆様がたの御公述を活かして審議いたします。  それでは午後は一時半から開始をいたしまして、午前中はこれを以て休憩をいたします。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後一時四十七分開会
  51. 内村清次

    委員長内村清次君) これより午前に引続き、地方行政委員会を再会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案入場譲与税法案昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は工藤友恵君、小野盛次君、加藤巌雄君、矢崎邦次君、山高しげり君、河野真三郎君を参考人といたしましてその意見を聴取することにいたします。  参考人かたがたに一言御挨拶を申上げます。地方行政委員会委員におきましては、去る今月の二十七日に本件に関しまして公聴会を開き、広く各方面からの意見を聴取したのでございますが、まだその意見をお聞きしておらない方面もございましたので、更に本日参考人としておいでをお願いしたわけでございます。皆様には御多忙中のところおいでを下さいましたことに対しましては、委員長から委員一同に代りまして厚くお礼を申上げる次第でございます。  さて、発言時間でございますが、実は参考人かたがた多数でございます関係で、時間の関係のためにお一人十五分間程度として公述をして頂きたいのでございます。又皆様から意見を聞きました際に、適当の時期に委員の質疑をいたしまして、更に又最後に、全部お聞きしましてから、委員の質疑を聞かせて頂きたいのでございます。どうかその節には率直に御答弁を頂きまして、御意見を十分お述べを願いますことを特にお願いを申上げておきます。  それでは企業と地方税の関係につきまして、関西経済連合会常任理事工藤友恵君。
  52. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 私関西経済連合会の工藤でございます。今委員長から十五分間でというお話でございましたが、申上げなければならんことはお手許に書類で差上げてございますから、一つ御覧願いたいと思います。なお、私風邪を引きまして、声の工合が一層悪いのでお聞きとりにくいことを御勘弁願いたいと思います。  今回の地方税法改正案は、その根本方針といたしましては、地方団体の自立態勢の強化に資するため、独立財源の充実を図るということを第一に掲げてございまするけれども、私どもから見ますれば、それもその前提に国民経済の現状、そして国民の担税能力の限界ということが最初に考慮されなければならないと思うのであります。これは申すまでもなく、二十九年度地方税及び譲与税収入見込額によりますれば、地方税収総計は三千七百二十六億円、昭和二十八年度補正後収入見込額三千百二億円に比べますというと、二〇・一%の増収を予期しております。又二十九年度地方財政計画は九千六百七十七億円でございまして、二十八年度収入見込額に比しますると、五・八%増になつております。私どもとしまして、これは企業のみならず、あらゆる面がございまするが、国税、地方税を通じまして、租税負担の過重であるということを痛感しておるにもかかわらず、更に二十九年度においては二〇%以上の増徴を地方税の面において企図しておるということは、私どもは遺憾に堪えないのであります。昨年でございましたか、税制調査会答申中、地方税部町に関しましては、私どもは非常に不満な点でございます。これから申上げてみようと思うのでありますが、少くも今回の地方税法改正案は、税制調査会答申よりも徴税者の立場、つまり税金を取るほうの立場から多く考えているのが遺憾に思うのであります。全体としまして、納税者の立場というものが余りにも薄く扱われているということを感ずるのであります。私どもとしましては、二十九年度地方税法改正については、先ず減税ということを第一に行いまして、国民負担を軽減する、そうして地方財政規模を縮小する、その方針を第一に立てて欲しかつたと思うのであります。  各項目について一応申上げます。先ず、道府県民税について申上げます。第一に、道府県民税でありますが、これは形の上だけの問題のようでありまするが、新しい税金ができるということは、又次にこれが増税されて行く。今はとにかく、税金が新しくできることは常に悪税の因、或いは租税負担を増す因になると思うのであります。まあ勿論法人税に対する問題は、事実上今度の数字においては小さいのでありますが、少くも均等割年六百円ということは、殖えないというのは嘘で、明らかに殖えておるのでありますが、それよりも第一こういうことによりまして、税務行政の簡素化、即ち行政を簡素化するという第一の問題であるところの税務行政簡素化ということと逆行しておるのではないか。こういうことによつて地方の余分に抱えている人間を少しでも維持しようとするような潜在意識があるのじやないか、こういうことが思われますし、これは結局府県の徴税費を増加せしめることになるのであります。法人の均等割六百円増加を除きましては、納税者の負担は増加しないと言われておりまするが、所得割に制限税率の定めがあり、自治庁長官に届出れば税率引上が直ちに可能となるような組織になつておりまするから、簡単に税率引上が行われる危険性がございます。更に問題でございますのは、一般に新税の創設は将来増税の母であるということを心配するのであります。私どもは同じならば、この立場からこれは税制調査会の答申の当時にも申したのでございますが、道府県民税の創設には賛成しがたい。私どものやはり考え方を申しますれば、今の市町村民税を住民税という名にしまして、そのうちから適当な配分をするという方法をとればいいと思うのでありまして、これは道府県に直結するために道府県民税をとるということは、余りに小さいことのために大きい問題を忘れているのではないか。この意味において道府県民税は賛成しがたいのであります。  次に、事業税について申上げますというと、事業税及び特別所得税は、附加価値税の延期に伴い、毎年繰返し繰返し存続しておつたのでありますが、このたび附加価値税を廃止しまして、事業税及び特別所得税を統合して名称を事業税として存置するというこの方針は非常に結構であると思うのであります。ところが事業税の課税標準である事業の所得は、法人税又は所得税において決定したものによることとしなくてはならないと思うのであります。現在大体において両者は一致しておりまするが、若干の差異はあるし、又一応道府県に更正、決定、質問検査等の権限が附与されております。これは徒らに納税者に煩瑣な手続を要求することになるのみならず、徴税費の増嵩を招来するのでありまするから、法人税又は所得税で決定されたその所得、それを利用することにすべきだと思うのであります。従いまして、現在電気供給業、ガス供給業、運送業に対して行われておる収入金額を課税標準とするいわゆる外形標準課税は、これら特定の業種に対して法人税又は所得税と異なつた課税標準を適用することになつておりまして、二重の手数を課することになるなど、非常に不当な取扱をしておることになりまするから、この際外形標準課税は一切廃しまして、他の一般業種と同様所得課税方式を用いるべきだと思うのであります。  更に次の問題は、二つ以上の道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人が事業税を申告納付する場合におきましては、現行法によれば、所得金額総額を関係府県に分割し、その分割した額を課税標準として関係府県ごとに事業税額を算定し、これを申告納付することになつております。修正申告書を提出する場合も又同様な手続を必要としまして、企業はその手続の煩瑣なのに耐えない状態でございます。又同時に道府県側も各企業から受ける厖大な書類を詳細に調べることは煩雑であり、且つ困難であろうと思われる。従つて納税手続簡素化、税務行政簡素化のために、この場合の申告納付方法は主たる事務所、即ち申しますれば本店所在地の道府県に対してのみ行うことにしまして、納付を受けた道府県が当該法人の会社でございますとか、その他の会社のその他の事務所、支店、工場等の事務所又は事業所所在地の道府県に対しまして、その事業税を分割配賦するということをしたらよろしいと思うのであります。併し、各道府県に対する分割の基準は納税者が主たる事務所、即ち本店所在地の道府県に提出する申告書にこれを記載することにしたらいいと思うのであります。  又、事業税には現在多くの非課税規定がありますが、これを大いに整理する必要があると思うのであります。現在の地方税制、殊に道府県税制は自主財源が不足しているとか、弾力性、普遍性、安定性を欠いおるなどいろいろ論議されておりますが、事業税の非課税規定を整理しますならば、この問題は当然解決されるのではないかと思うのであります。改正案におきましては、個人の行う農業、林業、その他新聞業、放送業など非課税としておりまするが、これらの事業にも一応考慮さるべきでありまするが、日本国有鉄道、日本専売公社などに対しても事業税を課するのが適当であると思いまして、これは今後御研究を願わなくちやならないと思います。  第三に、不動産取得税であります。土地又は家屋の取得に対して不動産取得税なるものが創設されようとしております。この場合、住宅の建築、住宅の建設のための土地の取得に対しましては一定の控除が行われるようでありますが、工場、事業場等生産施設に対しては何らの考慮も払われていないようであります。企業の近代化、合理化が日本経済自立のために切実に要請されている今日、工場、事業場等の生産施設用の土地家屋の取得に対して課税されることは、製品のコスト高を来たし、対外競争力を弱めるものと信ずるのであります。元来不動産取得税はシヤウプ勧告によりまして廃止されたのでありまして、これを復活する理由は何ら見当らないのであります。標準税率百分の三は軽度な流通税であると当局により説明されておりますが、決して軽いものではありません。又新税創設は増税に向う第一歩であることは先ほど申上げました通りでありまして、税率の如何にかかわらず新税たる不動産取得税の創設は賛成しがたいのであります。  次に、市町村税について申上げます。市町村民税でありますが、税制調査会答申によりますれば、「法人については法人所得に対する市町村民税と都道府県民税との合計額が現行法人税割の負担額に比して二割程度減額されることとなるように、法人税割の税率を引下げること」と述べておりますが、改正案では道府県民税に移る法へ税額の五%だけは当然に現行税率一二・五%から減少しておりまするが、両者併せての減税は考慮されておらないようでございます。元来、法人に所得割を課しましたのは、個人たる株主が負担すべき二五%の配当控除額に対する市町村民税を法人が便宜上一括納付するものであると、そういう説明を聞いております。若しそうだとすれば、法人税割の課税標準は法人税額ではなく、配当額でなければならないし、税率は配当控除率二五%に市町村民税率一八%を乗じた四・五%でなければならないと思うのであります。この趣旨からしますれば、その法人の株主の居住する市町村の税収となるべきでございます。又法人の住民税とするならば、法人の住所たる本店所在地の市町村に支払うべきであつて、現行のように法人の事業所の所在する市町村に支払うということは意味をなさないものと思います。  このように、現行の法人税割はその性格があいまいでございまするから、これを国税に移し、交付金の財源とすることが適当ではないかと考えられます。その結果現在における法人の真の租税負担を明瞭に示すことにもなり、又租税体系の簡素化にも役立つことになると思います。現在の法人税割は所得税額の一二・五%、従つて所得に対し五・二五%であるが、国税に吸収すれば税務行政の簡素化の結果、かなりの税率引下げが可能になるのではないかと考えられます。  個人の所得割につきましても、法人の場合と同様であり、国税と合せて真の租税負担が明らかになるよう所得税と市町村民税を統合すれば、税務行政の簡素化に役立ちまして、而も租税負担は軽減し得るわけであります。法人税割を現行通り存置する場合においても、二つ以上の市町村に事務所又は事業所を有する法人の申告納付につきましては、事業税の場合に申上げた通り主たる事務所又は事業所所在地の市町村に対してのみこれを行うべきであると思うのであります。これは税務行政の簡素化のために絶対に必要だと思います。  第二に、固定資産税について申上げます。シヤウプ税制の結果、市町村に固定資産税が与えられましたが、その課税対象に土地、家屋のほかに償却資産、機械、器具等でありますが、償却資産を含められましたことは、その初めから非常に反対があつたのでありまして、土地、家屋は全国的にあまねく存在しているから、応益的な意味からこれに課税することは一応妥当だと考えられます。又償却資産を固定資産税の対象に加えることは理論的には妥当であるかも知れません。併し我が国といたしましては初めての経験でございまするし、その課税標準たる適正な時価の測定が甚だ困難でございます。そのために不公平な課税となりやすく、市町村側にとつても大きい税収を挙げるか否かはその土地に多数の有力工場等が存在しているか否かによつて決定されるのであつて、甚だ偶然的な要件に左右されているものと言わなければならないと思います。更に企業設備の近代化という点から言いますと、近代化のために設備の改善を行えば行うだけ固定資産税が増加するという事情がございまして、輸出振興の必要な折柄、コストの引下げに役立たすべき企業の合理化がこの面から阻害され、又資本食いつぶしを防止するための資産再評価を阻害している一重要原因が固定資産税の重課にあることは、従来一般に指摘されていたのであります。更にそのほかに、このために償却資産評価のために多数の人数を要するということは、先はど申上げました通り非常に残念なことだと思うのであります。なおこの点におきまして、償却資産課税は廃止すべきでありますが、その一歩を譲る場合にも、これを順次に減じて行つて早くなくしてしまうようにすべきだと思うのであります。  それから償却資産につきましては、なお詳しいところは書き物のほうでお酌み取り願いまして、大規模償却資産に対する市町村の課税権を制限して、一部を道府県税に移そうというようなことは、税源の奪い合いと課税標準の引上げを結果する虞れがありますから、これもおやめになつたほうが適当ではないかと思うのであります。私ども考えからしますれば、更に償却費産について、今のような全免措置がとられるならば、改正案のような特定の産業に対し特例を設けて、負担の軽減を図ることが必要だと思います。改正案にある以外には、ガス供給業、航空機製造業或いは修理業等も考慮すべきではないかと思うのであります。  それからなお償却資産その他につきまして、固定資産税の評価を一定期間、一定限度に止めて、一定の動かないものにするということが必要だと思います。  それから倉庫業、ビルデイング業等、全資産中に土地、家屋の占める割合の大きい、固定資産税の転嫁が困難な業種につきましては、償却資産に対する課税廃止問題と関連しまして、固定資産税の軽減を図るべきだと、こう思うのであります。  それから税率の問題がございますが、これは長くなりまするから、今私の差上げました七ページのところを読んで頂きたいと思うのであります。  なお固定資産税に対する最後の問題としましては、資産再評価との関係でございます。企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案によつて、一定規模以上の株式会社は再評価を強制されることになります。併し資産再評価が固定資産税増徴の原因となるという規定が地方税法に存する限り、資産再評価の実施は阻害されまするから、この点につきましては十分な措置を講ずべきだと主張しておつたのでありますが、今回の強制再評価に際して、償却資産に関しては昭和三十年度から三年間は固定資産税の課税標準価格は二十九年度の課税標準価格を超えないことになつておりますが、この中で家屋が軽減措置から除外されております。この家屋も強制再評価の対象となつておりながらこれだけが除外されるという理由は、誰の説明を聞いても私ども納得することができないのでありまして、この点については本院におきましては特に御考慮願いたいと思います。  それから入場税、遊興飲食税については、遊興飲食税は政府原案がすでに行詰つておりますが、これは国税一本で取つて、それから地方に交付する、そういう形式をとる税制調査会案が最も妥当と存じます。  それから電気ガス税でございますが、これは言うまでもなく重要な財源になつておりますが、これは昭和十七年にできました当時には余り問題にならなかつた。併し今日料金が上るたびに……、取りやすい、取りやすいものですからそのままになつておりますが、これは当然電気料金の問題、ガス料金の値上もいろいろ言われるような折柄、特に御留意になつて、これは直ちに御撤廃になることを希望します。  甚だ粗雑になりましたが、詳しいことは一つ書き物の上で御判断願います。   —————————————
  53. 内村清次

  54. 小野盛次

    参考人(小野盛次君) 私は、日本トラツク協会常任理事の小野盛次でございます。参議院の地方行政委員会におかれましては、自動車税関係につきましては、去る三月の二十六日、日本乗合自動車協会からバスに関しての御意見を聴取され、又本日私をお呼出しになりまして、トラツクの立場から意見を述べろという極めて御熱心に御審議されることに対しましては、厚く感謝を申上げます。時間の関係がありますから、結論的に私の意見を述べさせて頂きますが、私たちトラツクの関係につきましては、三月の十二日全国のトラツク業者大会におきまして、一応自動車税に対する決議をいたしました。その決議に基きまして次のようなことについて意見を述べさせて頂きたいと思います。  先ず第一に、揮発油を燃料とするトラツクに対して現行の一万四千円の課税はこれは極めて妥当だと考えられます。第二に、軽油を燃料とするいわゆるヂーゼル自動車に対して二五三千円の課税は二万一千円が妥当だと考えられます。小型三輪につきましては、今回の改正案におきましては四千二百円でありますが、これは三千五百円が妥当だと考えられます。以下その理由について、若干御説明申上げます。  自動車税の現在までの経過について一応蛇足ではありますが、御説明申上げますというと、現在の高率課税となつた経緯につきましては、昭和二十四年以前の自動車税は各都道府県の条例によつて定められて、各地方団体財政状態によりそれぞれ異なつてつたんでありますが、例を音通トラツクにとりますると、全然非課税となつてつた山形県、或いは三千円程度の課税であつた広島県等もございますし、その他税率は全くまちまちであつたのは皆様御承知の通りであります。昭和二十三年度における全国の平均税率は、普通トラツクが営業車が五千三百円、自家用車が六千三百円、ここに千円の差があつたのであります。昭和二十四年度においては営業車が七千八百円、自家用車が九千円、千二百円のここに差があつたのであります。ところが昭和二十五年の税制改革に当りまして、自動車税は固定資産税の客体から除外されて独立税として存続することになりまして、私たちは固定資産税並みに普通車の税率を年額三千円程度にすることをしばしば要望したのでありますが、当時政府当局の御立案過程の税率は営業車が八千円、自家用車が八千五百円でありましたが、GHQの指示によつて営業用、自家用共に一万円に修正の上国会へ上程され、更に国会においてこれは衆議院の地方行政委員会、当時委員長が中島守利さんでございますが、八千円に修正可決されましたが、GHQの承認が得られずに政府原案通り国会で決定された経緯があるのであります。その後政府は物価指数の変動を理由昭和二十八年の八月第十六国会において、標準税率一万円を更に五〇%増の一万五千円案を上程したのでありますが、私たちは政府当局に対し自動車税は固定資産税並みの課税が尤も妥当であることを主張し、例えばニツサンの車両価格百十五万円により算定した税額が六千円程度、これは参考資料の第五に詳しく書いてございます。これは車両価格が百万円のものも十万円のものもトラツク一両として扱つて、その課税対象には同率にされておる、かようなことは我々非常に不合理ではないか、かように考えるのであります。又物価の変動が引上理由であるならば、当初政府考えられた八千円を基準とすべきであつて、一万円を基準として計算されている不合理を訴えたのでありますが、政府案一万五千円は国会において一万四千円に修正可決されたのであります。かように自動車税は税制改革以来高率な課税となり、而も前回の四割引上実施後僅か七ヵ月も経過しないうちに更に大幅値上案を今国会に上程されたことは、担税能力の点においても納得ができないのであります。  トラツク運送事業はすでに担税能力が限界をもう凌駕している。トラツク運送事業における昭和二十六年度全国平均一社当り年間収益状況収入が六千五百四十三万円、利益百二十二万円、対収入利益率が一・九%、昭和二十七年度においても全国平均一社当り年間収益状況収入が四千四百六十五万円、利益が七十二万円、対収益率一・六%が示すがごとく、年間収入で新車一両の購入費にも満たないような状況で、資本の蓄積はおろか企業の保持すら危ぶまれている状態であります。何故このような状態なつたかということを考えてみまするというと、トラツクの歴史と申しますか、私たちが常に考えられるのは、戦争中にはその筋の命令によりまして、個人会社が数社或いは数十社が命令的の統合をされて、そうして戦時輸送に従事しておつた。いわゆる徴発的の仕事に入つてつたために、トラツクが民需を賄う余裕がなくて、その隙に自家用自動車が営業行為を行うというようなことになつて、而も戦時中には徴発された車は終戦後我々の手には一台も帰らずに、軍用車と共に何の縁りもない自家用車に放出されたために、自家用車が急激に殖えまして、附表の参考表の第一表を御覧願いますとはつきりいたしますように、昭和二十年には二万三千台、営業が三万六千何がしに対して自家用車が二万三千が三十一年にはその約倍の四万二千、それから五万、六万、七万、七万、八万、十四万というふうに非常に増加を示しまして、昭和十年の指数で見るならば、営業用百十七に対して自家用、官庁用含めて二千百四十三という指数になつて今日に至つているのであります。この点につきましては、三月十二日に参議院の大蔵委員会で、私が揮発油税に対する公述をいたしましたときに、藤野繁雄先生から自家用の殖えた理由説明しろということで細かく説明しておりますので、参議院記録の第十七号にそれが出ておりますので、それを御覧願いますると、御了解できることと思うのであります。  自家用の問題につきまして、又附言いたしますならば、自家用車が営業行為をやるということは、所得税も営業税も納めない、そういうようなことで営業車よりも遥かに下廻つた運賃で闇取引をする。かようなことで、この件につきましても、先般、三月の四日でございますか、参議院の大蔵委員会で、高木正夫先生が運輸省に向つて自家用の営業行為の取締に対してきつい御質問もありまして、運輸省といたしましては、貨物自動車の輸送秩序確立方策というものがあつて、それで取締ると申しておりますが、なかなかこの取締というものは困難な状態で、依然として自家用の営業行為が続いておるのであります。従つて、営業トラツクの経営ということは実に悲惨な状態になつておるので、税の負担能力というものはもうすでに限度を超しておる。かような点もお含みおきを願いたいと思うのであります。  まあそれはさておいて、現在の税率に対して一応私たちが考えておりますのは、ガソリン車はこれは据置きということに大体政府の御方針にもなつておりますが、軽油車について私たちは特に意見を述べさして頂きたいのであります。ガソリン車につきましては、すでに税率もおきめになり、我々もそれを納得しておりますが、ヂーゼル自動車は我が国の自動車産業、或いは輸出貿易として最も重要な役割をしておるのであります。日本のヂーゼル自動車は外国、欧米の自動車よりも性能もよく、価格も安く、又国情に適した車だと私は存じております。従つてこれが普及をすることは、外貨を獲得する、或いはこの産業が発達すれば、経営の面におきましても非常に役立つ点が多多あるのであります。ガソリン車は、欧米の車よりも日本の車のほうが高いから輸出は殆んど絶望の形になつておりますが、ヂーゼル自動車は相当に輸出をしております。これはお手許に配付した資料に明記してありますように、二十七年度におきましては、台湾、沖縄、タイ、パキスタン、ゴア、アルゼンチン等において三百六万四千五百三十一ドル、日本金に換算して納本億ほどの輸出をしております。二十八年においては三百七十一万七千四百六十七ドル、約十三億、これは二十九年に入りまして相当引き合いがあり、日本自動車工業として非常に有望であります。然るに、政府はヂーゼル車に対してガソリンに課税はしておるが、軽油に課税はできないということで、大幅に自動車税として計上しておるのでありますが、これも私たちは税制調査会の答申の範囲内の五割程度にとどめて頂きたい。従つて、現在のトラツク、ハスの二万三千円は二万一千円、観光バスは三万七千五百円、これが最大の限度だと私たちは考えるのであります。後ほど御質問でもありましたら詳細に申上げますが、こういう見地から、ヂーゼル自動車に極度の課税をされることは一応十分に御検討を願いたい、かようにお願いする次第であります。  次に三輪車についてでありますが、三輪自動車は四千三百円という税でありますが、従来の二千八百円が四千二百円と極めて高率である。一応三輪車について考えますというと、五百キロ、七百五十キロ、千キロ、二千キロと四区分になつておりましてその平均が一トン未満である。そこで仮に一トンといたしますと、普通四トン車が一万四千円でありますからトン当り三千五百円でありますから、三千五百円を限度にして税率を是非その程度まで引下げて頂きたい、かように考えるのであります。その次に今度の自動車税の附則四十一号、税金を納めないと車両検査を拒否するという一項が入つておるのですが、これは自動車にのみかような規定を設けることは我々としては納得できない。何のために自動車にかような特別扱いをするか、この点についても是非御検討を願いたい、かように考えるのであります。  それから納税期日は大体四月、十月というふうに定められておるのでありますが、これは年四回にして、四月、七月、十二月、二月と四回に区分されて納税をさせられるように特段の御配慮を願いたい。  最後に積雪、降雪地帯の問題でありますが、これは北海道のような所で、殆んど十一月から翌年の五月まで車の運行がとまるというような県に対しては、特別減税措置を講じて頂きたい。これも文書で一応申述べてありますので、この点特段の御心配を願いたいと思います。  なお、参考資料としてここに差上げておきました表について一応申上げてみたいと思いますが、実はこの資料は行政管理庁の統計基準部長の美濃部さんが御調査になられた資料でありまして、世界の大型自動車一台当りの税額と国民一人当りの所得に対する比率、これを見ますというと、日本が世界で第二番目だというような文献もあるのであります。そのほか、国民一人当りの年間所得に対する問題、或いはアメリカのトラツク会社の事業内容と日本のトラツク会社の事業内容、これも極めて杜撰なものではありますが外国資料から一応とりまとめて参考資料の四に明記してあります。なお細かいことは私専門家ではありませんが最近手に入りました欧米の自動車税につきまして、細かく書いた資料を私持合しておりますので、これを後刻こちらの委員会の専門員のかたに提出して御参考に供したいと思います。  以上時間がございませんので、甚だ要領を得ない意見でございましたが、これを以て私の公述を終らして頂きます。   —————————————
  55. 内村清次

  56. 加藤巌雄

    参考人(加藤巌雄君) 本日参議院地方行政委員会入場譲与税法案に関しまする業者の意見をお聴き取り下さいますために、本委員会に出席、陳述する機会をお与え下さいましたことに対しまして、心から感謝いたしますと共に、これから申述べます意見は、業者の立場からのものだけでございますので、多少手前勝手な意見と御考えになる点があるかも知れませんが、全国四千館の映画館、特に弱小館の真剣な叫びである点にお心をおとめ頂きまして、何とぞ暫くの間お聴き取りを頂きますようお願い申上げます。  我々全国の業者は、今回提案されました入場譲与税法案に対しましては、全面的に反対でございます。入場税はそのまま地方に存置して頂きたいのであります。その第一の理由は、我々業者は入場税に対しましては、地方税として沿革的にも、又性格的にも、親近感を持つておるからでございます。我々は現在地方税法によりまして特別徴収義務者となつております。この特別徴収義務者は他の税法の中にも言葉は変つておりますけれども、存在いたしております。併し入場税に関する特別徴収義務者ほど厳重な制約の下に置かれておるものはないのでございます。御承知のごとく、入場の際に入場者に渡しまする入場券はすべて公給でございまして、一連番号を付され、それに使用枚数、残存枚数につきましては、常時報告し、厳重なる監督を受けておるのでございます。若し少しでも滞納がございますならば、直ちに翌日からの票券の公給を停止せられまして、従つて営業することが不可能となります。即ち、事実上の営業停止の処分を受けることになるのであります。私は税法を仔細に研究はいたしておりませんけれども、このような厳重な制限を受けておりまする徴収義務者は他の法律にはないのではなかろうかと考えておるのであります。このような取扱を受けながらも、業者は納税に協力いたしまして納税成績を挙げ、昨年度におきましては、九二%にも達する納税成績を挙げておるのでございます。それは、その税金が地方の各種の施設、例えば道路でありまするとか、或いは橋梁でありまするとか、警察、消防等のいろいろな施設に充てられまして、それによりまして、興行場の営業成績が向上いたしますし、営業成績が向上することによつて税収入が増加して参ります。税収入が増加すれば、又これらの各種の施設が改善されるのであります。このような相関関係がこの税に対する我々の親近感を深めて来ておるのでありまして、納税にかくも協力して参りました一つのゆえんでもあるのであります。今回国税に移管されまして、その九〇%は人口割で地方に還元されるということになりますと、成るほど結果的には地方経費に充当されるのでありましようが、東京や大阪の税金が青森や鹿児島で使われるようなことでは、その結び付は間接的でありまして、郷土との繋がりが薄くなるのでございます。かくては、今まで長い間涵養されて参りました納税意欲にも面白からぬ影響がないとは言えません。その点、誠に寒心に堪えないところであります。九〇%も地方に還元するのでございますならば、むしろそのまま地方税として存置できないものでございましようか。  第二に、我々は入場税は性格的にも又沿革的にも地方税であるべきだと考えておりまするし、従つて、この税金は地方自治運営上極めて妙味のある税金でございます。これが国税に移管されましては、たとい九〇%は還元されるといたしましても、地方自治、民主政治の正しき発展を期待することは困難ではないでしようか。税源の偏在を是正するとの美名の下にかかる措置をとりますることは、角を矯めて牛を殺すがごとき暴挙と言わざるを得ないのであります。都府県民としての立場から、我々はかかる措置に対して反対せざるを得ないのでございます。  第三に、入場税の国税移管の理由といたしまして、地方税源の偏在是正ということが挙げられております。成るほど入場税は大府県に偏在をいたしております。併し大部分の税金が大府県に偏在いたしておるのでありまして、入場税だけが偏在是正につきましてほかの方法は考え得られなかつたでございましようか。我々は大府県に対しまする義務教育費の国庫負担を打切り得なかつたことに対する政府の対抗的な処置といたしまして、この最も弱い而も徴収し易い入場税の国税移管ということがなされたのではなかろうかと邪推いたしておる次第であります。而も地方制度、税制両調査会が、共に入場税と遊興飲食税の国税移管を答申いたしまして、政府も又、当初はその方針で進まれて参りましたのに、何故中途におきまして遊興飲食税のみ地方税として存置され、入場税のみを国税に移管されたのでございましようか。若し巷間伝うるがごとく、運動の強弱によつてその態度を変えられたものとするならば矛盾も甚だしく又甚だ遺憾に堪えないところでございます。成るほど我我業者は、遊飲業者に比しますれば、その数も少く、政治的な力も弱いかも知れません。併し我々も遊飲業者と同じく、地方税として残ることを希望し、運動し、本年に入つてからは、全国業者は常時交替で東京に常駐し、各方面にお願いに参つておるのでございます。数は少く、声は低いかも知れませんが、その叫びは深刻でございます。昔から声なきに聞くとさえ言われておりまするが、この我々の真剣な叫びに耳をかされまして、遊飲税と同様に地方に残して頂きたいのでございます。我々業者は、どちらかと言えば穏健で保守的なものでございまするが、政治的な力が弱きが故に、この不合理な差別待遇を受けるということになりますならば、将来その政治的態度も考えなければならないとも限らないのでございます。何とぞよろしく公平なお取扱をお願い申上げたいのでございます。  最後に我々の現在の経営の実情を申し述べまして、入場税を是非地方に残して頂けるような御配慮を願いたいのであります。現在、入場税は五割でございます。これは世界におきましても、最も高い税金でございます。又、他の税金に比べまして極めて高率でございます。現在御審議中の奢侈繊維税法案においてすら、洋服の生地が一着分三ヤールといたしまして一万三千五百円、着物は一反七千五百円といたしまして、それに一割五分の税金がかかることになつております。これに対しまして大衆が一日の勤労後の慰安として見る映画に対しましては、一回百円の入場料金に対しまして、五割という高率な税金がかかるのでございます。現在の入場料を見てますと、税込の全国の映画館の平均の入場料金は、昨年十月の日銀の小売物価指数に比較いたしますると、一一三%でございまして、他の物価に比して相当高くなつております。本年の正月のごときは、すでに入場人員は頭打ちという状況でございます。成るほど歌舞伎座の切符が闇で売られておりましたり、一流封切館の前には、日曜、祭日には行列が見られたりいたします。そのために興行は甚だ景気がよいように思われがちであります。併しこれは大都市歩合興行を行なつておりまする一流館の状況でございまして、大多数の興行場は経営に困離な状況であります。東京、大阪の一流館も地方の都会の場末の映画館も、同じように五割の税金を取られるのでありまして、人件費とか、電力費等の諸経費等を考えてみますと、これは大した差もないのであります。従つて経済的の地位の低い都市や、農村にある映画館や、或いは場末の生活程度の低い観客層を相手にいたしております映画館の経営の困離を訴えるのは、当然のことであります。而も従来は十五割、十割の税率のときもございまして、これらの時代の滞納金を、五割に税率が下りました昨年の一月に、殆んど完済いたしたのでございまして、その負担から未だ抜け切れないような状況にあるのでございます。このような地域的な特殊の事情によりまする各館の経営内容というものを、地方税務当局は十分知悉しておられまして、よほどの悪質者でない限り、徴税に当りましては極めて同情的な態度で臨んでおられるのでございます。地方の税源を枯渇することのないように、実際の収入に応じた徴税が行われておるのであります。若しこれが国税になりまして、転々として異動し、中央の指令を唯一無二のものとしている税務官吏が、かかる親心を持つて徴税に当り得るでございましようか。ただ法律を楯にとつて、少しでも滞納があれば直ちに入場券の公給を停止したり、或いは差押え滞納処分を行いまして、自己の責任を果したとして得々とするのではないでしようか。かくては地方の農村や中小都市において、大衆の文化的娯楽の窓が大部分塞がれまして、大衆はいわゆる巡業屋と称する者の映画を悪い環境で見るのほか、すべなき状況になるのでございます。又、大蔵省は今度の法案におきまして、税率の段階を設けまして、地方の弱小映画館の税率を低くし、実状に即した取扱いをしておると言つておるのでありますが、これも単なるごまかしに過ぎないのでございます。先ず税率について申上げますならば、二十円以下を免税としておるのでございますが、二十円というこの料金は、都会の僅かなニユース館のほかは、殆んど常設興行場においてはない料金でございます。従つてこれはただ今まで税金を納めたこともないようなもぐり巡業屋を保護するに過ぎないのであります。これは一方まじめな常設興行主を経済的に圧迫する結果となるのでございます。又今回の法案で二割の税率になりまする四十円未満の映画館は、全体の一二%にも過ぎない状況でございます。大部分の映画館は殆んど減税の恩恵に浴さないのでございます。又、政府の予算面からこの点を見て参りますると、来年度の入場税の歳入見積りは百九十二億円でございまするが、これは三月分の入場税が取れませんから、平年度に直して考えますならば、二十八年度の二百二億円に対しまして、約九%の増でございます。而も二十八年度の二百二億円の中にはいわゆる第三種として徴収されておりましたパチンコでありますとか、麻雀、ダンスホール、ゴルフ場等の入場税額約二十五億円が含まれてないのでございますから、その増収見込率は更に大となるのでございます。これは今回の国税におきましては削除しながら而も九〇%の増を見込んでおるということは、名目的に税法上の減税を行なつて、実質的には徴税を強化し、増収を図らんとする意図は極めて明瞭なところがあるのでございます。十分この点に関しまして御考慮をお願いいたしたいと思うのであります。  以上各点に関しまして、我々のお願いを申上げたのであります。何とぞ御理解ある御処置におきまして、入場税を地方税として存置されんことを最後に重ねてお願いいたす次第でございます。
  57. 内村清次

    委員長内村清次君) 以上の公述に対しまして、各委員かたがたから御質疑がありましたならば、ここで一応委員の御質疑を伺います。
  58. 堀末治

    ○堀末治君 先ず第一に、工藤さんにお尋ねいたしますが、この事業税を本店所在地か何かに一まとめにしてくれという御意見ですね。これは元はそういうような形になつておりましたね。その当時は私も関係した会社で経験があるのですが、工場が数府県に分布されている関係上、その府県間の調整がとれないで、もう三年ばかり投げておるところがある。それがために取られない間は結構ですけれども、今度は調整がついたら三年分も一まとめにして取られて、非常に迷惑をしたことがあるのですね。こういう点に対して、あなたはこういう御主張をなさるについて、どういうふうにお考えですか。
  59. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 只今のお尋ねは、実は、私どもとしましてはここに書いてございまするが、納税者が主たる事務所の所在地の都道府県に申告書を出すという方法で一挙に解決したい、こういう意味でございます。前のほうに少し書いてございますが、都道府県が一つ押えたら、それでもう解決してもらいたいということなんでございます。総額がきまつていますから……。我々はこの点は納めるものは納めるから、この与えられた基準に従つています。結局は納税者のほうに迷惑をかけんようにして欲しい、こういう意味でございます。
  60. 堀末治

    ○堀末治君 成るほど。それからもう一つお尋ねいたしますが、不動産取得税に対して、要するに近代化のために新たに設備をするというものに対して、あなたは不動産取得税は絶対に反対だ、その御意見はよくわかりますけれども、若しもこれがあなたがたの希望が容れられないで、不動産取得税が法令として出るということになりましたら、いわゆるこの近代設備に変えて行つたりする関係、或いはこれに対しては一体どのくらいの処置をすればいいかというような御希望がありませんか。
  61. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 私どもとしては具体的にどのくらいという案を持つておりませんが、例えば一つ、事業税の、今おつしやつた線のほかに列を挙げましても、今住宅建設のために非常に役に立つているのは恐らく工場、会社等の社宅設備だと思うのです。この点に対しては、今百万円とか五十万円とかいうものではいいものはできんということが一つと、それから今おつしやつたような問題に関しては具体的にどこがどうなるということは、特にデフレ的な状況から申上げられませんが、相当に工場が腐朽しておるとかこれは何とかしてもらわなければならんじやないか。これは機械のあれでございますから、そう思うのでございます。
  62. 堀末治

    ○堀末治君 これは私なんか事業家ですからよくわかるのですが、設備を変えて、折角新しい設備を入れるというと、すぐそれに向つて固定資産税をたくさんとられるというのは、私自身よく経験して困つておる。それですから折角こういうことをおつしやつて頂くのでしたら、何かあなたがたのほうで御意見をまとめて、少くともこの税をどうしても政府がやらなくちやならないんだというのならば、こういう措置をとれというような意見を一つまとめてお出し願えませんですか。
  63. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) 私どもとしては実はこれを全廃してもらうことだけを考えておつたので、まあ逆らうわけではないのですが、今おつしやつて頂いた点も更に研究したいと思います。
  64. 堀末治

    ○堀末治君 できるならば、本当に税法審議の途中ですからね、全廃が可能であれば結構ですけれども、或いはいろいろな情勢でこのままこれが通るということになれば、是非ともそれに対して或る措置を講ずるということはなさらなければならないと私は思つておる。殊に資産再評価を強制しようというときですから、これについてはまだ法案が出ませんけれども、私どもは強くこれらに対する処置は要求してはあるのです。どんなことになつてそれが政府案として出されるかまだわかりませんけれども、でき得ることならば、それらと共に併せて一つそれらのほうの御意見をまとめて至急にお出し願うことを一つお願いいたします。
  65. 工藤友恵

    参考人(工藤友恵君) では折角でありまするから……。できれば全廃案のほうに御検討願いたいと思います。
  66. 堀末治

    ○堀末治君 加藤さん、あなたにお尋ねしますが、実は入場税の国税移管に今あなたも非常に御熱心に御反対でしたが、実はこれは私は与党ですが、入場税と遊興飲食税は地方制度調査会の答申によつてああいうことが考えられた。その当時先ほどあなたも触れておられましたけれども、遊興飲食税はあの答申がなされると同時に猛烈な反対があつた。税法が政府原案として固まらない先すでに猛烈に反対したので、我々もその反対の声を聞いて、これはとても国会を通過する見込みはないからやめたらどうかということをいろいろと言うて遂にその原案を出さなかつた。当時失礼ですけれども、あなたのほうからは何もお申出がなかつた。それで要するに原案作成のほうからどういうことを聞いたかというと、この入場税のほうは非常に喜んでる、そうして多少税率を引下げて格差を設けるということで入場税の諸君は賛成しているのだ、こういつた答弁を聞いたのです。成るほどあなたがたのほうからは一つもそれに対して反対だという御意見は何も聞かない。それで私どもはそうすると、成るほど立案当局がそこまで調べてあなたがたの声を聞いて、そうしておやりになつたということなら結構だと言つて実は我々はその原案に賛成した。ところが原案が固まつてから急にあなたがたは反対した。この点私ども非常に先ほど痛烈におつしやつておりましたれども、私自身あなたのむ言葉が本当かどうかということを甚だ失礼ですけれども、疑問を持つのですよ。如何ですか。
  67. 加藤巌雄

    参考人(加藤巌雄君) 我々は当初税制調査会できまりました時分から、実はそれぞれの関係方面には運動はしておつたのでございますが、昨年の九月、十月、十一月には全国の業者大会を東京に開きまして、反対の決議をいたしまして、実はその反対の意見は衆議院のほうには、相当強い全国の業者の連合会の反対意見として申述べたのでありますが、ここに一つ申上げておきたいのは、実は当初大会社が一応税率が下ればいいという意見を非公式ではありまするが、大蔵省方面に言つた事実があるのでございます。それが非常に強く関係方面に宣伝をされまして、あたかも興業者が全員賛成しておるがごときようなふうに、まあ御都合がよかつたのでそういうふうに御解釈になつたのかも知れませんけれども、まあそういうふうにおとりになつた。その大会社の態度につきましても最近我々からよくその実情を話しまして、今は一本になつて大会社といえどもこの問題に反対をしておるのであります。ただ我々は御承知のように僅かに全国四千館でございますので、政治遅効も下手でございますから、その点につきまして議員各位へのお耳入りが遅くて、非常に御迷惑であつたかも知れませんが、実情は最初起りましたときから反対はいたしておつたのであります。ただ運動が下手なのと数が少いので手が足らんということでありますから、全部に廻り切れませんが、これは衆議院のほうには相当強く総務会にも、或いは政調会にもお願いはいたしておつたのであります。参議院もここでちよつと名前は申上げかねますけれども、二、三のこの方面に利害のあるかたには十分お願いをしておつたのであります。
  68. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにありませんか。
  69. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の入場税のことですがね。あなたの陳述を聞いて非常に筋が通つておるというふうに私は考えるのでありますけれども、そのことはよくわかりましたが、この入場税の税率につきまして、今の現在の実情から見て一律に五割というようなことでなしに、段階をつける必要が認められないかどうか、こういうことについて……。
  70. 加藤巌雄

    参考人(加藤巌雄君) 地方税として残して頂きました暁におきましては、税率の問題はやはり段階制をつけて頂いても業者としては差支えなかろうかと思つております。ただこれは飽くまでも地方税として残して頂きました上での問題でございまして、現在我々は一丸となつて国税移管に反対しております。地方税として残して頂きますれば、段階制は差支えなかろうかと思つております。
  71. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私は段階制が差支えあるかないかというのではなしに、その方面の御希望があるかないかということを聞いているわけです。一律でよいのか、段階制を設けたほうが地方実情によく合うのかどうか……。
  72. 加藤巌雄

    参考人(加藤巌雄君) 段階制のほうが地方実情に合うと思います。
  73. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 わかりました。
  74. 内村清次

    委員長内村清次君) もうありませんか。
  75. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次に移ります。日本倉庫協会理事矢崎邦次君。
  76. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) 倉庫業者として申上げたいことは二つであります第一に固定資産税に関する要望第二に不動産取得税の免除に関する要望であります。  第一の固定資産税に関する要望の要点は四つであります。第一に、倉庫業法の適用を受けます倉庫に対する固定資産税の課税標準は、当該倉庫用土地建物の土地、建物の価格の二分の一にして頂きたい。第二に、右倉庫の評価が軽減され得るよう特別の措置を講ぜられたい。第三に、前三項の特例を基本として営業用倉庫税を創設されたい。第四に、固定資産税額の一部又は全部を事業税額より控除するようにして頂きたい。この四つでありますが、その理由を申上げます。  第一に、倉庫業の固定資産税負担が過重であることでありますが、倉庫業の税負担の状況を例をとりまして主要五十三社につきまして調査したところによりますと、昭和二十七年の固定資産税額が昭和二十四年の四・二五倍になつております。なお三十八年の固定資産税額は四・五倍になつているのであります。次にこの昭和二十四年度の税込利益に対する固定資産税の比率が六%であつたのに対しまして、昭和二十七年度は二一%に上つております。一般業種における事業税に対する固定資産税の比率が八〇%でありますに対して、倉庫業は二三五%の高率となつておりまして、担税力の低い倉庫業が極めて過当の本税負担をしているということを如実に示している次第と存じます。  第二に、倉庫業の資産構成が非常に高度であります。つまり総資産中における固定資産の割合が非常に大きいのであります。日銀の調査によりますと、昭和二十七年上期主要企業決算において、総資産に対する固定資産の比率は、全産業平均四二%に対して倉庫業は六〇%になつております。更に正常時と考えられます昭和七年当時におきまして、三菱経研の調査によりますれば、一般産業の六三%に対しまして、倉庫業は八七%となつております。又昭和二十七年度の固定資産評価額と流動資産額との割合は八三対一七であります。このように、非常に倉庫の資産の構成が固定資産による部分が非常に多いのでありまして、倉庫業にとりましては、固定資産税の特例を適用して頂かない限り、なかなか一般的な税率引下を以てしましては、つまり担税の不均衡を救済することができないと存ずる次第であります。  第三に、倉庫経営の主体が土地建物であります。これは、倉庫業は特定な土地に特定な建物を建てて設備をして商売をして行くものでありまして、もういわば固定資産も流動資産もすべて土地建物で、いろいろなほかの業種はほかの種類の資産を持つておりますが、倉庫というものは殆んど全部が固定資産であつて、そうして他の事業には償却資産とか、或いは棚卸資産というようなものがありますが、倉庫には極めて少し。あらゆるものが固定資産に行つておる。そうして償却資産が評価について収益率による減価を施されておりますが、倉庫はそういうものがないために、そういう特典がなく、棚卸資産については全然課税の対象外とされておりますが、倉庫はそういうことを受けることができないもののようでありまして、ただ倉庫が持つておるものは一応土地建物というカテゴリーの中に入つておるが故を以て、ほかの商社、銀行会館等のビルデイングなどと同様に扱われるということはどうしても納得できないことでありまして、この点は特に御了承願いたいと思うのであります。なお、近来土地や建物の評価が上つておりまする際に、一層倉庫としては税金の重圧を感ずる次第であります。  第四に、倉庫業の税の負担が転嫁できないことであります。これは、倉庫は一定な土地に極めて消極的な立場にありまして、自分の勢力範囲は極めて小さいのであります。例えば、船のごとく自分で自由にどこへでも行くというわけに行きませんので、主に荷物は誰が持つて来てくれるかと言えば、極めていい立場にある、近距離の所だけしか持つて来ないというような関係で、極めて消極的な立場でありまして、あらゆる場合におきましてなかなか頭が上らない。いわばもういつも叩かれ通しという立場にありまして、決して税金が高いからといつて他に転嫁することはできないのであります。これが軌道とか、或いはビル業と大変違うところでございます。  第五に、倉庫業の収益率が非常に低いことでございます。これは倉庫業の発展から言いましても、恐らく自分で初めから倉庫業を専門にやつているところはないと思います。或る企業、或いは商売をやつているかたが必要に応じて自分の資産の一部、余剰の一部を以て事業をやつている。それを以て自分の事業の展開をよくするというようなことから発達しておりますわけで、これのみを以てしては営業がなかなか成り立たなかつたからであります。戦後一時戦災等によつて焼失されたものが多かつた、例えば六大都市においては半分ぐらいやられておる。そして又接収もされておるというようなことで、一時倉庫はいいと言われたことがいつまでも残つておりまして、それでこの税金が殖えるというようなふうにいつもされる。又その当時におきましては、再評価がなかなか行われておりませんから、自己資本を食べたような工合で、収益率が高いように見られたわけであります。これは決してそうじやありませんので、本来が歴史の示すがごとく、日本ばかりではないと思う。非常に収益性が低いものでありますので、更にこれが固定資産の再評価が強制されるとしますというと、殆んど利益がないところがたくさんできる。殊に奥地における倉庫、これは非常にみじめなものになると存ずるのであります。  第六に、農業倉庫というものが非課税であります。農業倉庫も二十八年の二月には百二万坪を持つております。営業倉庫は主要なもので二百五十社ぐらいありますが、それで百五十万坪でありまして、農業倉庫はそれに殆んど近い百万坪になつておる。その上にそれが非課税であります。それが今すでに全国的に奥地から都市に進出して来ておる。或いは最近では一流の港湾へ進出せんとする動きがあるようなわけでありまして、これはなかなか容易ならんことでありまして、ただでさえ非常に収益が低いところへ持つて行つて、非課税である農業倉庫と争わなくちやならんということは、これは大変なことでありまして、この点からしましても、何とか特例を設けて、倉庫の税金を安くしてもらいたい、こう思うのであります。  第七には、倉庫の近代化を必要とします。倉庫は海陸の接点とも言うべきところでありまして、これは日本の貿易上どうしてもなくてはならん、やはり必要な設備であります。それでありますから、時代の変遷と共に、或いは港の変遷と共に、或いは東京港にしたつて、だんだん前進すればそれについて行かなければならんというようなことで、近代化して行かなければいわゆる要望されておることもできないのでありまして、これは当然近代化して行かなければならないのでありますが、それが税金が高いためになかなかできない。固定資産税が課税されることによつて産業合理化に障害を来たすということになるのであります。又地方税は公共団体から受ける利益に応じて負担するというのでありますが、倉庫としましては、自分の生命とも言うべき火事、盗難、或いは震災、或いは鼠の害などに対しましては、構造をよくして、そういう被害のないようにしておるわけであります。そういう意味からしますれば、地方経費としての或いは消防警察の費用を一銭でも軽くしておると言つても差支えない。そういうように考えておりますので、我々としてはその負担を軽減して頂きたい、こう思うのであります。  第八に、固定資産税の負担は事業税において調整して頂きたい。これは倉庫はその事業として法人税とか事業税等で所得に基く課税を受けておりますが、その元はやはり先ほど申しましたように、固定資産が働いておるによつて儲けたものでありますが、更に固定資産税で地方税を負担するということは如何にも二重に負担させられておるように思うのでありまして、事業全体としては過重と思うのでありますので、この際におきましては、事業税の税率を引下げるとか、その他によりまして固定資産税との調節をして頂きたい、こういうふうに思います。これを以ちまして固定資産税のことについては終ります。  第二に、動産の取得税に関する要望でありますが、これは最初に申しましたように、もう倉庫の生命であり、これを近代化し、そうしてそれによつて本来の生命を全うしなくちやなりませんことが、不動産取得税を課されることによりまして皆駄目になる。容易に手を着けることができない。そういうわけでありますから、先ほど来申上げました固定資産税に対するいろいろな要望の理由はすべてここに不動産取得税をかけられては困るということになりますので、どうかこれは是非不動産坂御税は倉庫には課さないようにお願いしたい、こういうことであります。  何とぞ倉庫の実態につきまして、十分深き御認識を頂きまして、我々の要望の達せられるよう切にお願い申上げます。   —————————————
  77. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次に、全国未亡人団体協議会事務局長山高しげり君。
  78. 山高しげり

    参考人(山高しげり君) 寡婦世帯を代表いたしまして、この地方税法中住民税における寡婦控除について要望を申上げたいと思います。  寡婦控除と申しますのは、昭和二十五年に母子家庭の実情に鑑みて設定をされたものでございまして、現行は所得額十万円以下免除ということに相成つております。ところが母子家庭の実情は、母子家庭と申しますのは、子供の年令十八才未満の者を抱えて母親自身が生計を立てているという定義で一応考えられておりますが、二十七年度におきます厚生省の調査では、母子家庭に該当いたします世帯が六十九万四千六百四十世帯でございますけれども、その中で余裕のある者というのは四・一%でございまして生活保護法を受けております世帯が二六・八%、生活保護法は受けておりませんけれども、生活が困難な者が一九・六%、残りの四九・五%というものがどうにか暮している者、こういうふうな内訳になつておるのでございますが、二十五年度、それから二十七年度を経過いたしまして二十九年の今日でも、母子家庭の実情というものはやはりこの数字と余り違いませんで、大半が依然として困つておるという実情でございます。それにつきまして、公務員ベースというようなものは二十五年度に六千三百円ベースでございましたものが、現在は一万五千四百円に引上げられておる。これは諸物価等の値上りなどを考えられて引上げられたものと思いますけれども、農業とか、或いは自由業、その他一般の公務員でないような世帯においてはそれほど収入というものは上つておりません。而も物価の値上りは同じように影響しておりますので、依然として母子世帯が困つておるという現状であります。それにつきまして、二十五年度に十万円以下は免除と、折角寡婦世帯の困窮状態に即応してこの寡婦控除の道を開いておるのでございますから、その後の社会情勢に伴いまして、物価の値上り等に伴つたこの控除額の引上げというものをお願いしたい。で、一応私どもは十万円の現行の額を二十万円に引上げて頂きたいという要望を持つております。衆議院のほうでは、十三万円とか十五万円とかというようなお話も出たそうでございますけれども、私どもが二十万円を要求いたします理由は、十二万円にして頂きましても、十万円の控除から余り大して新しく軽減されるという割合がそう大幅にはみられないという見通しを持つております。それで十五万円から二十万円くらいの間に引上げて頂くと、初めて大変潤つて助かるというような結果を収めることができるようになると思つております。昨年母子家庭に対しまして、母子福祉資金の貸付等に関する法律を御制定頂きまして、年間約十五億の資金貸付をみておるのでございますが、その十五億のお命を活かして更生して行こうと努力をしておるような母子家庭は大体十五万円から二十万円くらいな間の年収の人に一番多いようでございまして、それらから考えましても、苦しいこの人たちのために、物価も上つておる今日、公務員ベースも引上げられておる今日、それに並行して寡婦控除の限度額というものをお引上げを願いたいというのが、私の要望でございます。   —————————————
  79. 内村清次

  80. 河野貞三郎

    参考人河野貞三郎君) 古書籍連合会の河野でございます。私は古書籍を初め自分では新刊の書籍、雑誌並びに教科書等、書籍全般について扱つておる業者でございますので、そういう立場から書籍販売業者に対する非課税の問題について最初に御意見を申上げたいと思うわけでございます。  皆さんすでに御承知の通り、国税地方税を問わず、この税負担の公平ということは、これは課税上の原則であると思うわけでございますが、今日の現行法の事業税並びに現在改正法案に提示されておるところの事業税の内容を見まするならば、そこには幾多の矛盾があると思うのであります。先ず第一に、事業税は商工業者だけが二重に払うところの税金でありますし、又その内容におきましても、業種によつて税率が違うとか、或いは非課税が適用されておるとか、或いは個人と法人との相違があるとか、税額の相違があるとか、税負担の相違があるとか、こういう点はすでに言い古されておるほどこれは明瞭な問題でありまして、皆さんがたすでに十分にこの点につきましてはお考を願つておるところもあるわけでございます。又私ども業者の側といたしましては、一昨年頃よりこの問題が大きく取上げられまして、全国の中小企業の各団体は昨年度におきましては、数回に亘つて東京に大会を持ちまして、初めに撤廃を要求し、漸次現在におきましては、撤廃又は大幅な改正というようなことを要望しておるところの現状でございます。こういう中で、殊に今回の改正税法におきましても、第八十条でございますか、そういうところに示されておるところを見ますと、やはりここに非常にこの業種内におけるところの露骨な差別が存在しておると思うわけでございます。と申しますのは、いわゆる出版業に対する非課税の問題でございますが、これはたしか一昨年だつたと記憶するのでございますが、国会におきまして、出版業者の従来の営業税の時代のことと関連いたしまして、非課税になつた。そうして昨年には教科書の販売業者が非課税になつたのでございますが、今日では教科書の販売業者に対しまして又課税を復活するというようなことが言われておつたわけでございます。先日も衆議院の地方行政委員会におきまして、或る先生から、何故この出版業に対してだけ非課税にして、教科書の販売業者や或いは新刊の販売業者、古本業者等に対して非課税にしないかという質問があつたのでございますが、それに対して奥野税務部長は、出版は従来から古い伝統を持つていて、そうしてこの日本の文化の普及に貢献しておると、こういうことが理由として挙げられておるのでございますが、そういう点が若し理由として非課税措置か講じられるといたしましたならば、私ども古本業者は長い間の伝統を以て、そうして日本の文化の推進にいささか貢献して参つた考えておりますので、その点からもどうしても今議会におきまして、そういう出版を非課税にしたと同じ理由を以ちまして非課税に取扱つて頂きたいと考える次第でございます。そうして又それと関連いたしまして、新刊の販売業者、殊に教科書販売業者が、今回課税を復活するということに対しましては、これはどうしても私どもは反対し、従来のごとく非課税を継続して頂きたいことを改めてお願い申上げたい次第でございます。この点につきましては、お手許に配付いたしてございます参考資料に詳しい点が、統計資料等もつけてありますので、是非よくごらん頂きまして、御研究を願いたいと思うわけでございます。又、私どもは書籍商でありますがやはり何といたしましても、私どもも中小企業の、殊に弱小企業の一人でありまして、組合といたしましましても、そういう立場からつとにこの自分たちの非課税問題ばかりでなく、全中小企業、殊に零細企業に対する事業税の問題につきまして、絶えず関心を持つてつておるわけでございます。そういう点から考えまして、私どもはこの自分の業種に対する非課税は当然といたしまして、更に全業者に対する事業税の問題についての御意見を申上げたいと思うわけでございます。  府県税の大体総額の三分の二は、事業税収入によつて賄われていると思うわけでございますが、この府県財政の大半は私ども零細商工業者だけが負担せしめられておるという結果になつておると思います。殊に現在のような不況な状況下におきましては、すでにこの税負担は、限界に達しておるのではないかというふうに考えられます。それがために先ほども申しましたように、全国の中小企業、殊に零細な商人、工業者が昨年以来真剣にこの事業税撤廃並びに軽減を叫んでいるということは、こういう点から来ていると思うのであります。そして従来事業税は応益的な物税だと言われております。そして、併しながら実態は所得課税、つまり従来収益課税が行われております。このために所得税と合せて、厖大な二重課税になつておることは先ほども申上げた通りでありますが、これに対しまして、新設の予定されておりますところの道府県民税或いは市町村民税を加えますならば、我々商工業者は将来更に二重の、つまり四重の税の負担に苦しまなければならないということが考えられるわけでございます。ところがこういう点で是非ともお考え願いたいと思いますことは、先ほども申上げましたところの法人組織の場合におきましては、この事業税を一銭も払わなくても済んでおる事実がたくさんございますし、又今後もあり得ることだと思うのでございます。勿論中小法人におきまして、税が安いというふうには考えておりませんけれども、私ども個人営業者と比較しました場合におきましては、一方におきましては、荷車等を引いて八百屋をやつておるような極めて気の毒な人々にも、或いは靴の修繕だけをやつておる、一人でこつこつと一日何ほどの収入もないような靴屋さんに対しましても、相当多額の事業税がかかつておるのに、法人の相当立派な店舗を設けて、或いは事業をやつておる人に一銭も税金がかかつて来ないという実情があるのでございますが、これは要するに法人に対しましては、赤字決算の場合には一銭も払わなくてもいいことになつております関係がこういうふうな事実となつて現われておるのでございます。併しながら私ども零細な業者に対しましては、これは私どもが、幾ら税務当局に対しまして突込んでも、明白な答えは聞けないのでございますが、個人業者に対しては、物税だからという意味合いにおきまして、扶養控除も勤労控除も無視されたような、非常に多額の、勿論生活費に食い込むところの課税が、事業税の課税がなされておるわけでございます。従いまして、以上のようなふうに見て参りますならば、この事業税法というものは、私ども業者でございますので、税法の理論というものは詳しくはございませんが、理論的にも又実際的にも非常な矛盾があり、悪税の標本になつておるのではないかというふうに考えられるわけでございます。従つて現行事業税法につきましては、これは直ちに撤廃いたして頂きまして、新たな見地に立つて府県税のようなものを考えて頂く必要があるのではないか、これは私個人的な考え方でなく、今全国的な事業税の対策の運動をやつておりますところの全国事業税対策協議会、その他の全国的な団体がございますが、大体同じような考えを持つておるわけでございます。ところが私どもが最近聞いたところによりますと、市町村関係におきましても、或いは道府県の知事さんがた等の団体におきましても、こういうような業者にだけ不当に課税されるような事業税というようなものをやめて、そして別に所得税の附加税というような形で以て一本にして税をかけたらどうかというような御意見があるそうでございますが、これは尤もなことだと私どもも思うわけでございます。併しながらその際注意して頂きたいと思いますことは、若しさようなふうになるならば結構と考えるのですが、その際にもつと注意して頂かなければならないことは、やはり何と言つても、そういう税金の場合は明らかに大勢の人々、つまり大衆課税的なものでございますので、この税率は極めて低額でなければならないと思いますし、なお又基礎控除等は相当大巾のものでなければならないというふうに考えられるわけであります。この点殊に新税法の創設に当りましては御注意を頂きたいと思うわけでございます。又仮にこういうふうなことができませんで、現行の事業税法或いは改正事業税がそのまま大体において通過するというふうに考えられます場合におきましても、殊に考えて頂きたいことは、やはり何と言つても零細な業者を救済する意味におきまして、基礎控除を少くとも三十万くらいまでは上げて頂かなければ、我々商工業者は生きて行けないということを一つ御承知おきを願いたいと思うのでございます。  それから零細業者で、最も大きな問題は、自家労賃を認めて頂きたいということでございます。つまりお勤めのかたならば、月給に匹敵するところの部分の収入を、これは当然食つてしまう生活費の基礎になるものでございますから、こういうものには課税しないで頂きたい、こういう点でございます。それから今度の改正案におきましても、基礎控除が七万円、本年度におきましては六万円でございますが、こういうふうに発表されてございますけれども、本年度におきましても、六万円ぐらいの基礎控除で、私ども商工業者はこれではやつていけません。どんなことをしましても、本年度からにおきましても、十万円くらいの基礎控除を実施して頂かなければ、これはちよつと問題にならんと思うのでございます。こういうところを是非皆様がたにお考えおきを願いたいと思うのでございます。こういうような修正案が出ているそうでございますが、是非少くとも三十万にできなければ、十万円くらいの基礎控除というものは是非とも認めて頂きたいと思うわけでございます。  時間がないようでございますから、十分いろいろ申上げたいのでございますが、簡単に申しますと、もう一つお願いしたい点は、二十九年度の場合、この十万円くらいのせいぜい基礎控除しかできないといたしますならば、今年の場合、事業税を決定いたしますところの標準額の決定に当りましては、やはり今度の改正税法で示されましたように、所得税の決定額を基準にするというようなことは、これは一つやはりやめて頂きたいと思うのでございます。この点につきましては、改正税法の九十三条及び百十条の十七に明記されておると思うのでございますが、こういう点を削除して頂きまして、やはりこの地方独立税の建前によりまして、地方当局が独自に調査して課税したという建前をとつて頂かなければ、これ又商工業者は税率が安くなつても、現在の所得税の決定の状況から見まするならば、却つて大増税になるということをお考え願えたいわけでございます。  以上、申上げることが十分意を尽しませんけれども、こういう問題については、すでに全国事業税対策協議会から先生がたのお手許に地方税法改正の三つの試案というものを差上げてあるはずでございますから、もう一遍一つこれをお目通しを願いまして、今度の税法改正の審議に当りましては、我々商工業者の是非とも通して頂かなければならない最低のお願いを聞いて頂き、御考慮をお願いしたいと思う次第でございます。どうも有難うございました。
  81. 内村清次

    委員長内村清次君) 委員かたがたにちよつとお諮りいたしますが、去る二十七日に公聴会をやりました際に、全国旅館組合連合会の代表のかたがたの公述意見の中に、重要な点の公述が間違つた公述がなされておる、これを是非訂正させて頂きたいということの申出が来ております。で、この点に対しまして、今日参考人として、佐々木徳太郎君からその訂正の意見を申述べさせるということが一つ。  それから運輸委員の植竹委員から、委員発言の申出がなされておりますが、これをどういたしましようか、両方ともよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取扱います。  それでは委員かたがたから御質疑がございましたら。
  83. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 山高さんに伺いたいのですが、先ほどの陳述では控除額を少くとも十五万以上二十万程度にして頂きたい、こういうお話がありましたが、そうしますというと、ここに東京都某区の区民税事例というものがありますが、私それに関連してお伺いしたいのですが、大体扶養家族というのは一人、二人の場合を例にとつてありますが、どのくらい扶養家族があるのか、伺います。
  84. 山高しげり

    参考人(山高しげり君) お答えいたします。母子家庭の子供の数が二人と、二人半とまでは行かないのですが、二人三分くらいありますから、結局扶養家族は二人以上が一番多いのでございます。
  85. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、これは控除額を仮に二十万ということにいたしますと、この表から推定いたしまして、殆んどが非課税になるという形になるのですか。
  86. 山高しげり

    参考人(山高しげり君) この殆んどが非課税になるとは、実はその母子家庭の生活実態調査というものがございませんものですから、基礎になる資料がございませんので、殆んど非課税になるかどうかということは、私としては今はつきりお答えはできないのでございますけれども、非常にまあ二十万に引上げて頂くと、助かる家庭が非常に多くなるということは、私どもも大体わかつております。  それからもう一つ先ほど申し落したのでございますが、厚生省の児童局におきましても、この二十万円まで引上げてもらいたいという要望を税制調査会にしておられるようでございます。
  87. 堀末治

    ○堀末治君 あなたにお尋ねしますがね。倉庫業の苦しいのは大変よくわかるのですがね、それでこの倉庫業というものは他の事業に比べて要するに土地、建物が主体だから、普通と同じ率ではなかなか税負担が過重になる。これはまあよくわかるのですがね、然らば一体どのくらいの程度にして欲しいというのがあなたがたの御希望ですか。例えば減税を行うならば、何%ぐらい引いてやつて欲しいという御希望がありますか。
  88. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) 最初に倉庫税というものを創設して頂きたいということですね。最初申上げましたように、どんどん土地、建物の評価が上つて行つてしまうと、そんなようでございますから、固定資産税の課税標準は土地、建物価格の二分の一にして、そうしてそれによつて軽減して頂けるようにして頂きたい。この一・六%とか、そういう何は、これを下げて頂ければ、これも一つの方法ですけれども、我々としましてはそういうふうな倉庫の特色をよく取入れて頂くには独立税にして頂いて、そうしてそういうふうにして頂いたならば、ここに下つて来ることのめどがつくのじやないか、こう思つております。
  89. 堀末治

    ○堀末治君 もう一つお尋ねしますがね。これは倉庫業というものは何ですか、余り資産再評価をやつておりませんか。
  90. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) この間東洋経済に最近の何が出ておりますが、これは或る二、三社の何でございましたけれども、やはりこの本来が収益が少いだけに、大きい所でも余りやつておりませんですね。この間のは何か再評価できる範囲……五〇%か六〇%という程度でございましたね、一審いいところで。ですから収益が少いから、税金が払えないから、余りやつてないのです。
  91. 堀末治

    ○堀末治君 それは事業経営の上から言つたら甚だ矛盾でないですかね。収益が少いからやれないというと、一層今言つた資本の食いつぶしになるという形になりますね。資産再評価をすれば、それに応じて当然償却は認められるわけですね。償却もしないで配当しておつたら、結局今言つたような墓穴を掘るという形になるのじやないですか。
  92. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) それは先ほど申上げましたように、税金を払うだけの収益がなければ税金を払えないでしよう。税金は今まで、今度の何は別ですが、今までの第二次、第三次においての、再評価やりますれば税金を払わなくちやならない。税金を払うだけ余分に儲けなくちや再評価やることはできませんのですね。それから更にそれに対して償却をやらなければならない、償却はやはり損益勘定から出すわけですから、それだけの見込がなければ、やつた赤字々々ですね。それほどにその収益が大きくないのです。一、二ありますけれども、全体に言つたら少い。
  93. 堀末治

    ○堀末治君 全体的に言つたら、全体的に配当はいたしておりますか。
  94. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) 配当は、再評価やるような所は相当一応は三割ぐらいやつております。今は一割五分なりずつと減つているでしようが、それですから再評価は勿論……全部から言いますと千ぐらいあるのですから、倉庫業はあるわけですから、いろいろな立場で、これは実に統計的にやるには、なかなかそういうふうに一律にこれを出さなければ真実を捉えられないかも知れませんが、それですからいろいろ区々でありますが、およそのところを申上げますと、今申上げましたように古いところでは楽にやるんだけれども、新しいところ、或いはこういうふうに戦後のいろいろな打撃を受けて業績が上らないというところは償却をやらない。場合によると、株式市場のいろいろななにによつてつり込まれて、今お話のように一部資金を食つたということになりますですね。そして又幾らかなりとも一時倉庫はいい、いいというものですから、いろいろな関係でそれにつり込まれたというようなところがありますね。それの結果は一部資本を食つているというわけです。
  95. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 ちよつと山崎さんにお伺いしたいのでございます。先ほど農業倉庫との関係で触れられたように思いましたが、沿岸倉庫のほうへ農業倉庫の進出が逐次出て来て、一般沿岸倉庫を圧迫しておるという、非課税その他の特別な恩恵のために圧迫をしておるという現実の例がございましようかね。
  96. 矢崎邦次

    参考人(矢崎邦次君) 港湾倉庫、一流の港湾倉庫と先ほど申上げました、それに出られたんじや到底やつて行けないのですから、併しそれは農業倉庫のあれには村とか本当の農村にあるのと、それから連合会とかああいうのがありますね。そういうところへ出ようというのは恐らく高い組織の連合会、そういうところのように思います。これは非常に問題になつております。我我としても死活の問題になつております。そうでない現実に困つておるのは、只今相当大きい大口の都市ですね。港湾に接していない都市、そこは市に農業倉庫がないわけですけれども、その近くへそういうふうに進出して営業倉庫と競合しておる。そしてこれは非常に困つておる。現実にそういうことについては我々今まで非常に陳情しております。例えば岐阜県あたりそれの適例でございますね。
  97. 秋山長造

    ○秋山長造君 河野さんにちよつとお尋ねしたいのですが、全国二千七百四十八人という業者ですね。このうち東京がどのくらいありますですか。
  98. 河野貞三郎

    参考人河野貞三郎君) 東京が現在八百七十何名でございます。
  99. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは純然たる古本だけですか。よく古本とそれから新本と両方扱つているような店が神田あたりにあるように見受けるのですが。
  100. 河野貞三郎

    参考人河野貞三郎君) この数字は全体の業者でございます。新本を兼業しておるものも……。
  101. 秋山長造

    ○秋山長造君 それも入つておる……。
  102. 河野貞三郎

    参考人河野貞三郎君) ええ、大多数新本を兼業しておるものも入つております。一見新本屋のような形で古本屋を営業しておるようなものも含まれております。
  103. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか……それでは有難うございました。   —————————————
  104. 内村清次

  105. 佐々木徳太郎

    参考人佐々木徳太郎君) 佐々木でございます。過日我々業界の代表の公述をいたしまして、重ねて貴重な時間をお与え下さいまして、発言の機会をお与え下さいましたことにつきまして厚く感謝を申上げます。又遊興飲食税につきましては、参議院を初めといたしまして、衆議院の先生方の御理解を頂きまして、地方税に何されることになりました。これ又我々業者は深く感謝申上げておる次第であります。  本日、過日公述いたしました要旨を拝見さして頂きまして、いささか旅館の点におきまして、御理解得なかつた点があるのではなかろうかとこう考えまして、甚だ失礼でありましたがこの機会をお願い申上げた次第でございます。旅館はいうまでもなく戦時中におきまして、一種の悪税とも言われたのでありますが、当時の国情に基きまして、私ども国家に協力いたしまして、この税金を納めることに甘んじて参りました。その後たびたび相当の地位にある立場のかたから、本税は悪税である、廃止すべきであるということを常々申し聞かされて参りましたのでありますが、さて実際問題になりますと、予算の関係等によりまして、いつもこの税が貴重なる財源のためか、我我の主張は通ることができない。誠に残念に考えておつたのであります。時間もないので簡単に申上げますと、特に私どもが過般の公述の席におきまして、一泊七、八百円程度ならば非課税として頂きたいということを希望条件としてお願いしておるのでありますが、この七、八百円と申上げますのは、宿泊料が少くも千五、六百円でありまして、その泊り料の、宿料という意味であります。いうまでもなくこの遊興飲食税は遊興という面と飲食という面と及び寝泊りする面において三つに区別して課税さるべきが当然であろうと私は考えておるわけであります。そういたしますと、少くとも衆参両院の先生方が地方に出られまして、そうしてお泊りになる料金というものは、決して贅沢な料金では私はないと思うのであります。その程度の宿泊料を対象とせられまして、私どもが少くとも八百円程度の宿料というものを外して頂きたいと、かように考えておるのであります。なぜそれでは今までこうした問題が皆さんに御理解を得なかつたのかと申しますと、私どもはこの税金が地方の事情によりまして請負課税であつた。責任納付制であつた。さような意味から支払いになるお客さんの面からは、税金を払つておるのやら払つてないのやらということがはつきりいたしません。むしろ私どもが申上げるよりも泊られるお客様からこの線を強く主張されるのが当然じやなかろうか。今回この問題につきまして、各先生方を歴訪いたしまして説明申上げますと、どうも旅館に対する税金はむしろ全廃すべきだというお声をたびたび頂戴するのであります。私どもは現在の国家財政の面からいたしまして、我々も国民の一人といたしまして、例えば遊興、例えば飲食、その他の面も考慮いたしますときには、むしろそういう線、ここによつて私らは国民の義務を果すべきである、こう考えまして、取りあえず寝泊りする分までも税金を納めなければならないような苦衷にあるのでありますが、何とかこの線をこの機会に外して頂けないか。そうして我我をして明朗な家庭の延長であるところの旅館の使命を果さして頂きたい。かように考えまして、実は本日お願いに来た次第でございます。時間もありませんので、大体要点だけ申上げまして、本日のお願いに代えたいと思います。
  106. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質問ございませんか……。それでは植竹委員
  107. 植竹春彦

    委員外議員(植竹春彦君) 今回は運輸委員会から自動車税の問題につきまして、委員各位の御審議の御参考にお願いかたがたつた次第でございますが、発言を御許可頂きましたことを厚くお礼申上げます。  さて、一両日前に当委員会におかれまして公聴会をお開きになり、その際にこの自動車税の問題に関しまして、伊勢田参考人より陳述いたしました詳細を私は傍聴いたしましたので、その重複を避けまして、重複せざる部分につきまして、皆さまのお耳に達したいと存じます。先ず、乗合自動車の自動車税に関しまする件につきまして、政府地方税に関する参考計数資料、当委員会に提出されましたその資料のうちに誤つている点があると存じますので、参考のために運輸委員会のときに地方自治庁の政府説明員、或いは政府委員でありましたかに質問いたしましたところが、その誤れる点をお認めになりました。従いまして、その点につきまして、再度当委員会において私から発言いたしまして、皆さまの審議の御参考に供し、この誤れる点を是正して御審議を進められれば誠に幸いと存じます。さようなわけで、その数字を申上げますると、観光の車両数として五百二十七台と資料に載つておりますが、これは二千台漏れております。二千五百三十七台が運輸省に登録せられました正式の車両数になつております。従いまして、この税収額が一応五千百六十二万円となつておりますけれども、これは一億二千六百三十五万円の誤りであります。従いまして、バスの税収額総計は五億一千四百二十三万八千円となつておりますので、大分数字が違つております。今回バス業界のほうから修正を希望し、又我々が委員の立場で検討いたしております結果、私たちの考えではこれは四億六千七十三万三千円というふうに税金が安くなりますれば、誠に仕合せだと存じます。その減額の基礎であります税額の単価につきましては、後ほど申上げることにいたしまして、合計額をさように修正御可決になりますと仮定いたしますれば、そこに五千三百五十万円の税収額が減少を来たす結果になるのであります。私たちといたしましては、これは減収のままでは予算の関係上非常に困るわけだと思いますので、その穴埋めを考えて行かなければならない。幸いにこの穴埋めはまだほかに政府原案のほうに数字の違つた点がありますので、その税額を五千三百万円からの減額をして頂いたとしても、この穴埋めは容易に行われるものと、こういうふうに考えておりますので、どういうふうに穴埋めが行われて行くかということを御説明申上げたいと思います。  即ち、政府は二十九年度見込数を、昨年十一月末の運輸省の登録車両よりもそれぞれハイヤーは一三%、トラツクは一〇%、バスは九%、小型車は四〇%増と見ておるのにかかわりませず、ひとり軽自動車、ヂーゼルその他の軽油を使います自動車についてのみ現在の登録数より二四%の減少を見ておることは、その理由が了解しにくいのであります。これを昨年十一月末の登録車数に税率の千七百円をかけますと、四億八千八百三十万三千円となりますから、政府見積りよりも明らかに一億一千五百十五万六千円余計に収入があることになります。だからバス部門で先ほど五千三百五十万円税額が少くなると申上げましたけれども、右のような事情で、このまま参りましてもなお六千百六十五万六千円余計に税金が徴収できることになるわけでありますから、この際私たちの皆さまに希望をお願いいたしておりますこの税率の減額をやつて頂いても、十分政府原案以上に税収額が取れるわけであります。  それからもう一点指摘いたしたい点は、現在民間に特殊用途の車といたしまして、これは特殊用途と申しますと、例えば救急車とか、宣伝車、霊柩車、或いはトレーラーでありますが、この特殊用途の車といたしまして、自家用、営業用も合せて四千八百九十三台ある。これに対しては何ら税収をこの政府原案には見込んでおらないのであります。その理由地方自治庁のほうのかたに伺えれば結構だと思います。これは直ちに私の委員外の発言に対しまして、答弁は必ずしも必要と考えないのでありまするが、委員各位におきまする御審議の途上、これは是非とも皆さまを通じて地方自治庁のほうから納得行く御答弁を得れば幸いと存じます。我いは又政府は霊柩車などはトラツクの中に入つているといつたような御答弁があるかも知れませんけれども、これは普通トラツクと申しますと、税率がこの普通のトラツクと霊柩重とは違つているように思います。そういたしますと、この宣伝車などは一体どの部分に入れてあるのであろうかというふうな疑問が起るのみならず、それらの税率をも合せてこの地方自治庁のほうの御弁明を伺いたい。さように考えるのであります。この点は十分委員各位におかれまして御検討を願いたいと思います。  結論から申しますと以上のような錯誤が原案中にございますので、この錯誤という点を考えますと、税率を下げて頂いても、所期の税収額の目的を達する、かように考えますので、この自動車税に対しまする減額御審議方を皆さんにお願いいたすような次第でございます。それならばどういうふうに減額して頂きたいかと申しますと、それはすでに一覧表の上に、或いは又業者のほうから適切なる陳情書がお手許に届いておりますので、結論だけを申上げますと、僅か一年前昨年の三月にはこのガソリン車、軽油車井に一万円ぐらいの税金であつたものが、今回の政府原案によりますと、一般のガソリンによりますバスは一万四千円、ところが軽油車に至りましては三倍から五倍まで税額が急に上つております。去年の三月に一万円であつたものを急に五倍からの税金を取る。尤も急と申しましても、昨年の八月に一万円が二万五千円になり、更に今回五万円になりますのでありますから、二段階ではありますけれども、たつた一年間の間に五倍も税金がかかつてしまうということは、余りにも急激な課税の方法であるというふうに考えまして、こういつたような激しい課税というものは今日までまだその殆んど前例がございません。この点業者としては非常に困るわけで、業者が困れば従いましてそのバスの料金を上げなければならない。バスの料金を上げればこれが一般大衆に非常に御迷惑になるということになります。若しこの監督官庁がバスの料金を上げることを認可いたしませんような場合には、やがてはバス業者は苦しいからそれがサービスの上に不良なサービスとなつて現われます。かくては部品の取替も十分に行われず、事故の因ともなりますし、又逆の一般の不便という点から考えましても、どうしてもこの点はバス業者のサービス低下ということは防止して行かなければならない。こういつたようなジレンマに陥りますので、どうしてもこのバスの料金につきましては御再考を願いたいと存ずる次第であります。殊に観光貸切用のバスにつきまして非常な値上がある。観光貸切バスのうちのヂーゼルを使います、軽油を使います車につきましては非常な値上りがあるということは、この点もうすでに参考人から公述いたした通りでありますが、これは一体どうしたわけであるかということをこの公述人と重複いたしません立場から一言申上げますと、この観光バスというのは非常に見たところがあの通り赤、青、白、色とりどりの非常に派手な色彩を持つて、而も全国の中心地、政治の中心地であるこの国会の周りを数十台が囲繞いたしております。このような派手な車が囲繞いたしておるために、どうしてもあの観光バスに課税することは非常に儲かつておるんであろうといつたような観点から非常に課税の対象となりやすい。こういう点はそうでなく、是非ともこの観光事業の本質に立返つて御検討願いまして、例えば観光バスというものは物見遊山というものは極く一部であつて、その八割というものは学生、生徒の見学のためである、知識見聞を広めるために使用されておるという点にも鑑みて頂きたいし、又今まではガソリンといつたような高級燃料を使つて走る場合には税金がかかりましたので、そこで自動車を造る者におきましても、自動車を利用する客の側の要望にもよりまして、何とかしてそれじや税金のかからない低級と申しましようか、ガソリンよりは低級な燃料、即ち軽油で以て何とか間に合せてやつてみたいということで、折角軽油自動車が発明せられ、又それに対しまして政府の奨励もあり、そうして漸く軽油自動車というものが発明されて、そうして業界に乗出してこれが観光バスや何かに利用されることになると、そこに五倍というものの急激な税金をかけて行くというふうなことになつて、これは決して高級な燃料の代りに低級な燃料を使つて努力工夫するということは抜け道、この燃料の抜け穴を狙つたのではなくして、日本の国情から高級なものではなく低級なもので我慢して、そうして而も発明工夫して、そうしてそういつたような努力によりまして漸く軽油自動車が発明された、それでその軽油自動車に重税が課せられるということは到底これは公平な税でない、かように考えますので、ここに皆様の御審議を煩わすような次第でございます。  又外形標準課税につきましても、これはすでに参考人のかたから申上げました通りで、私の陳述も同じ内枠でございますので省略いたしたいと存じますが、この外形標準課税というものも、これも車があるからそれに税金を課するということは業者から見れば非常に困るわけでありまして、この自動車はしよつちゆう動いておるものでありますけれども、客のほうはしよつちゆう満員で乗つてくれるとは限りません。表面花やかなるがごとく見える乗合自動車というものも遊びの多いものでありますので、それらの点もシーズンオフとか、或いはシーズン中でも保つて休んでおります状態が相当ございます。そういつたような点を勘案されまして、自動車税に対しまして特段の御配慮を煩わしたい、かような意味を以ちまして、運輸委員会からこちらに御参考に、又お願いに伺つた次第でございまするので、何とぞ慎重御審議のほどをお願い申上げる次第でございます。なお、若し御笠間等ございますれば、私でできます範囲のことならお答え申上げまして、御審議の御参考に供したいと存じます。私の発言に対し皆様の御静聴厚くお礼申上げます。
  108. 堀末治

    ○堀末治君 植竹先生、今バスの話が縷々ございましたが、バスは少し多過ぎるのじやないですか。もう多過ぎるために……。
  109. 植竹春彦

    委員外議員(植竹春彦君) 車両の数ですか。
  110. 堀末治

    ○堀末治君 車両の数というか、経営の会社というか。
  111. 植竹春彦

    委員外議員(植竹春彦君) 交通需要から見ますると、バスの会社はもつと余計にあつてもいいと考えます。尤もこれはバスによりまして一概には申されませんが、今或るバスにおきましては、堀委員考えられます通り過剰な部分もある。極くたまにはございますが、全国的に申しますと過剰にはなつておりません。且つ又バス事業は極めて辺鄙な所にございますので、それで営業状態は非常に因つておるようなわけでございます。バスに乗ります時間、バスに乗りますときには多勢乗りまして、それで混雑をいたします。その点から申しますると、バスの車両はまだ不足いたしております。ところが或るラツシユ・アワーを過ぎますと、今度はおつしやる通りバスが過剰な時間もあるわけでございます。誠にどうも一概にお答えできません苦しい苦衷がございまして、その点どうぞお察し願いたいのであります。
  112. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会