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1954-10-27 第19回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十七日(水曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            伊能 芳雄君            川村 松助君            館  哲二君    委員            伊能繁次郎君            左藤 義詮君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            寺本 広作君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    通商産業省重工    業局車両課長  柳井 孟士君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (昭和二十年度財政計画に関する  件)  (地方財政赤字対策に関する件)  (災害に対する地方財政措置に関  する件)  (競輪の納入金等に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは、地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査昭和三十年度地方財政計画に関する件、地方財政赤字対策に関する件、災害に対する地方財政措置に関する件、町村合併促進に関する件を一括いたしまして議題に供します。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 二十九年度災害についてお尋ねしたいと思います。  先ず二十九年度災害の状況について、政府のほうでどういうふうに把握しておられるか、その点について伺いたい。
  4. 後藤博

    説明員後藤博君) 本年度災害は概括的に申しますと、昨年の災害公共災害が非常に大きくて、雨を伴いましたので、公共災害、つまり施設災害が非常に多かつたのでありますが、本年の災害は風が強かつたために公共災害になるものが少くて、別な消費的な経費の支出が公共災害に比して多額である、これが本年の災害の特徴でございます。それで今まで集まつております各省公共事業関係被害総額は、これは八百七三億という数字が出ております。この八百七十三億の数字を私ども基礎にいたしまして本年の災害公共事業関係地方負担及び単独事業考えておるわけであります。  それから災害救助関係につきませんのは、税の減収がどの程度あるかということが的確な資料がございません。急いで出してもらうように言つておりますけれども、これはなかなか集まりがないのであります。実情といたしましては、税の減収は一応すぐ減収に立たないで、徴収猶予恰好をとりまして、国税の減額の決定を待つて地方税のほうをきめたほうがよろしい、こういう思料をいたしておりますので、このほうはおそくなるのであります。公共事業関係は一定の率で出て参りまするので、それに見合うところの地方負担を、これは全額起債という従来の方針でもつて処理して行きたい。それから単独事業というのは公共査定額の、従来で申しますと一七・五%を単独事業のほうに充てる、こういうことに軽減率がございますので、その軽減率を使つてはじいて行きたい、かように考えております。  それから災害救助関係は、これも大体厚生省で一応の査定がございますので、それをとつて行きたい、かような考え方ではじいておりまして、現在のところでは既定予算に比べまして、既定計画がございまするので、六十八億ばかり足りないという計算が出ております。併しこれは査定と、それから本年度施行量というものがはつきりきまりませんとわかりません。で災害の全体の今年度所要額総額は二百七十三億という数字基礎になつております。そのうちで財政計画に載つておりますのが百五十八億でございます。これは国、地方合せてであります。いわゆる国と地方とで財政計画上我々が考えておりますのが百五十八億、所要額は二百七十三億、その差額百十五億が足りないわけであります。その百十五億のうちで地方負担関係が六十八億、こういうことになります。一応この資料基礎にいたしておりますが、被害額及び査定額、本年度施行率というものがきまりませんので、そのきまつた上で更に数字を直して行きたい、かように考えております。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の各省から出ているところの八百七十三億というふうなものは、これは一応の査定額ですか。
  6. 後藤博

    説明員後藤博君) いや、被害額です。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは北海道だけでも、一切合さい入れて被害額が八百二十何億かにつておる。それでそういう点から十二号、十四号、十五号の台風を内地のほうで考えてみますというと、余りに少いように思うのですが、それはどういうのですか。
  8. 後藤博

    説明員後藤博君) 今若木先生のおつしやいましたのは、個人災害まで含めての被害総額だと思います。特に北海道農産物災害が非常に大きいのでありまして、これは個人災害という観念で、従来の災害復旧の場合には個人災害は別建にいたしております。公共災害、いわゆ土木、河川、道路、それから農業用施設、治山、それから林道、漁港、文教関係、港湾、そういつたものを我々公共災害と言つておりまして、この公共災害の額を一応基礎にして査定しておるのであります。そこに入らないもので単独でやらなければならない公共的な施設がございます。それの災害単独災害、こういうふうに呼んでおります。そのほかに個人災害がございます。今年はその個人災害が非常に多い。従つて公共団体としては消費的な経費に非常にたくさんかかる、こういうことになつておるわけであります。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、地方負担額の六十八億というものも、公共土木事業のほうのみに限られるわけですか。そこで先ず百十五億の不足というふうなものについて、これはどういうふうに処置されるのか、伺いたいと思います。
  10. 後藤博

    説明員後藤博君) この百十五億の中には、先ほどちよつと申しましたが、災害救助関係が少し入つておりますが、それ以外のものは大体従来は地方負担分起債でやる、全額政府資金による起債で処置する、こういうことになつております。従つて起債でもつて賄うということに相なると思います。  それから消費的経費のほうの問題は、これは私どもとしては昨年と同じような方式でもつて、できれば起債の特例法的なものを作つてもらつたらどうか、こういう考え方を持つております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体それでその点はわかりましたが、今年度災害全体について、予算関係とか、そういう方面から補正予算を組まなければならんとか、いろいろあるだろうと思うのです。その点はどういうふうになつておりますか。
  12. 後藤博

    説明員後藤博君) 先ほどちよつと申しましたように、査定率を私どもは例えば七割五分と従来の経験からして割出しております。査定被害額の七割くらいのものになるか、それ以下になるかという問題がございます。それから本年度施行を従来の方式通り三割と見ております。この三割が二割になるかどうかわかりません。それによつて国予算も変つて来るわけであります。我々のほうの起債計画も変つて来るわけであります。そこら辺がまだはつきりいたしておりません。国のほうでは、これは私ども公式には聞いておりませんが、大体現在の災害予備費が七十億になつておると思いますが、それでもつて大体公共事業の国の補助金のほうは賄い得るというお話でありますので、その通りになれば、我々のほうとしても現在の既定財政計画の中で見ておりますところのもので大体賄い得るのじやないか、こういうふうに考えております。現年度災害起債というものは大体取つておりますが、まだ使つておりませんが、それでもつて大体賄い得るのじやないかと考えております。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 長官に伺いたいのですが、これは閣議のほうでいろいろお話があつたろうと思うのです。現在十三号からの台風並びに北海道における冷害、そういうものにつきましては早急に、金が必要な地方が多いだろうと思う。それらに対して政府として閣議あたり当座緊急措置としてどういう方法をとられたか、この点伺いたい。
  14. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 閣議での話合いはむしろそういう問題よりも、何かそういうものをまとめて扱う一つ窓口機関を作るほうがいいということで、そういう措置をされましたので、当然当面のいろんな金が必要になるということは想像できますからして、それは大蔵省と私のほうで、資金の許す範囲内において、事情をよく聞いて最大限の面倒を見るようにということで、私のほうも例えば北海道のようなものは個々に申出があつたものを検討しまして、そうしてできるだけ御面倒を見て差上げております。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで、北海道の問題になりますが、これはつなぎ融資として十月分まで、その数字は大体二十何億かにつておるだろうと思います。これは是非必要なものですね。で、それを更に絞つてつて約十八億ですか、こういうことはもう何としても、これは今冬を控えて着物がないとか食糧がないとか、或いは家がないとかいうものに対して考えてゆかなければならない。我々は連日知事をはじめ道の議会あたりといろいろ協議をいたした結果、とにかくそこまで行つた。で政府としても面倒を見て下さつて、約三億何千万円かのものは当座の金を出して下さつた。併しあとの十四億ばかりはこれはまだけりが付いておらない。この点を何とかしてもらわなければ知事もやる方法がない。とにかく一時のこれはつなぎ資金ということよりも経理資金として貸してもらいたい。あとは何とか責任を持つ、こういうことで折衝を重ねたわけですが、この点について何か閣議あたりではお話があつたのですか。
  16. 後藤博

    説明員後藤博君) 北海道事情はたびたび私どもも承わつておりましていわゆる災害つなぎ資金に当らないもので、財政資金的なものでありまして、そこで問題がむずかしくなつていくのであります。で従来の災害つなぎ資金という観念公共災害基礎にしております。従つて公共災害基礎にしますと、大した公共災害でございませんので、三億何千万しか一応出されなかつたわけです。これも一応追加がありますけれども、大した額は期待できません。従つて北海道のような消費的な経費に非常にたくさん要つて個人災害の多いところに対しては、どうしても一般の財政資金的なものを出してもらいたいということを我々は大蔵省に申しております。併しその場合にやはり見返りをどうしても考えなければならん。何でもつて払うかという問題でございます。それで一応三億のものがきまりましたけれども、早く追つかけて、例えば起債前借りをするような恰好にするとか、交付金前借もありますけれども、そういう前借のできるようなものを、種を与えなければならないということで、起債を急いでおります。起債も今週中に大体市町村府県も、公共補助関係起債は全国で五百億ぐらいありますが、これは学校関係、それから過年度災害関係を含めまして、その起債の割当を早くいたしまして、そうしてそれを使つて前借をするという恰好、それからほかのほうの補助金も早く出してもらうとか、そういう恰好で一応財政資金としてつないで行つて、そのうちに政府のいろいろな補助金とか何かがきまつて来て、それをひつくり返して行くという恰好にしなければ、どうしてもやつていけないのじやないかということで、そちらのほうを急いでおります。こちらのほうは、北海道は相当多額のものがありますので、それを使つて前借がまだできるのじやないか。ですから財政資金を更にあと何回も追加してもらうような種を早く与えようという気持で作業をやつているわけでございます。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで、最後に長官一つお願いしたいのは、北海道は先ほども申上げた通り、今十三億五千万円の金をどうしても政府で貸してくれなければどうにもならんということで、今日もたしか緒方さんにも会つておると思います。この点自治庁としても十分一つ面倒をみてやつて頂きたい、こういうことをお願いします。
  18. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 先ほど申上げましたように、当面の世話を申上げる組織が別にできしまして担当の大臣ができておりますので、詳細のことは余り承知しておらないので誠に恐縮しておるわけでありますが、よくわかりましたから、私といたしましては最大限の協力をして、御面倒をみて差上げたいと思います。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 塚田国務大臣午後からおいでにならないそうですから、主として塚田君にお伺いしたいと思いますが、地方制度調査会は現在再出発して、数回会合を開いておるようでありますが、今回の地方制度調査会で主として解決しなければならない問題というものは、どういう問題ですか。大体お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  20. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今度の第二年目の地方制度調査会は、昨年のときの調査会自体のお話合い運営委員会におけるお話合い従つて地方制度自体根本検討する、こういうお話合いでありましたようであります。私ども是非そのようにお願いをしたいということであり、又今度の再発足の機会に、先般第一回のときに会長から委員の方々にお諮りになつて、この前の調査会できめたこの問題を、新らしい調査会において取上げるということでよろしいかどうかということのお諮りがあつたときに、それがやはり再確認をされておるわけであります。従つて今度の調査会におきましては、地方制度基本問題点について御検討願えれば結構であると考えておるわけであります。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 自主的に地方制度調査会が問題をきめておやりになることとは思いますけれども、差当つて解決しなければならない問題はいろいろあると思うのですが、その中心はやはり府県制の問題ですか、或いは道州制の問題、或いはそういうことが成る程度固まつて来れば、大都市制度というようなものも出て来るかと思うのですが、当面の基本的な問題、解決しなければならない問題というものをもう少し詳しくお話願いたいと思います。
  22. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 地方制度の結局検討ということで、広く申上げればそういうことでありますけれども、やはり御指摘のように当面の問題は、制度調査会においてもやはり地方制度の問題を考えるとすれば、先ず府県の問題から考えるべきだろうという御意見のようであります。従つてその線に沿うて私ども資料を提出するようにという御要求を受けて、着々準備をいたしておるわけでありまして、今のところそういう構想で進んでおると考えておるわけであります。そこで、仮にそういう問題が取上げられるといたしまするならば、私どもとして考えられる問題点は、府県、そういうものの規模と申しますか、区域と申しますか、こういうものをどういう工合にするか、現在の府県を二つ三つ統合した程度のものを考えるのか、八乃至九のブロツク単位のものを考えることにするか、そんなことが一つ問題点になることと思うわけであります。それからして更に今度は、新らしい府県というものの性格をどうするかという問題が起きて来ると思います。それから更に府県団体の権能がどういうものになるかというような問題、それから派生して首長をどういう工合なものにするかというような問題も、おのずから出て参ると思います。更に新らしい府県団体議会というものがどんなものになるのがいいのかというようなことも問題点となると思います。更に首長議会との関係というようなこと、それから更に性格に関連して、新らしい団体が今の国及び市町村との間に挾まつてどういう働きをするものになるかというような、いろいろな問題点があろうと思われますので、そういう問題点を頭に置きながら、御要求従つて資料を出して御審議願う、こういう考えであります。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 今の地方制度調査会答申ですが、去年の地方制度調査会答申は、大体二十九年度予算編成なり或いは法律案準備なりというような考慮から、十月に答申が出ておる。今度の地方制度調査会は何かそういう時期的な目途を以てやつておるか、その辺はどうですか。
  24. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは私どもとしては結論を早く頂ければ、それに越したことはないと思つておりますのでありますが、何にしましても問題が根本に関する問題であり、非常に重大でありますので、期限を付けてお願いするというようなことはできにくいだろうというので、今度は別にいつまでに御答申を頂きたいという期限は附しておりません。ただ併し御承知のように、地方制度調査会委員任期は一年ずつになつておりますから、任期中に何らかの御結論を頂けるのじやないかという考え方をしておるわけであります。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 ところで任期中ということになると、今年一ぱいですか。
  26. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 来年七月まででございます。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 政府のほうとしては、現在進行しておる地方制度調査会の審議というものは、別に来年度予算編成なり、或いは次の通常国会に提出されるであろうところのいろいろな法律案というようなものとは一応切り離して進めておられるということですか。
  28. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 今のところはさようでございます。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうすると、差当つて通常国会などに、地方制度に関する基本的な改革というものはない、こういうふうに了解してもよろしいですか。
  30. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあどのように運営して頂きますかはわかりませんが、若し運営して頂いた結果、部分的にでも問に合うものが出て来れば、そのときに考えるということでありまして、今のところ別に考えておりませんし、今又そうしたいからして是非早く結論を出して頂きたいというふうにも申上げておらないのでございます。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 その地方制度調査会答申と関連なく、自治庁自体として、地方制度に関する根本的なものは別としましても、改正を要するとお考えになつておる点がございますか。
  32. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 基本問題点につきましては、自治庁といたしましては制度調査会考え以外に別に考えを独自にいたすという考えは持つておりません。ただ先般の答申で、まだ頂いた答申部分で実施しておらん部分是非本年度において実現したいと、こういうふうに考えております。ただ私どもとは別に党の側に何がしかのお考えがあるということは私承知いたしております。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 この点は行政部長にもお伺いしたいと思うのですが、差当つて通常国会地方制度に関する改革というようなものを今お考えになつていらつしやるものがございますか。
  34. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今大臣からお話がありましたように、我々といたしましては、今事務的に準備を進めておる段階でございますが、これは今の地方制度調査会答申で去年実現しなかつたものを中心にして考えて行く。特に明年度財政再建整備という問題が自治庁としてどうしても大きく考えなければなりませんので、それに関連した問題、地方自治団体におきまして財政上の調整というか、コントロールというか、その財政再建のために必要な措置をとり得るような手段で、自治法上或いは公務員法考えなくちやならないような問題を中心にして全部取上げまして、あと地方制度調査会答申に残つておるものをやりたい、こういう考えで今準備を進めております。
  35. 秋山長造

    秋山長造君 今のお話で、前の去年の答申の中で残つておるものをやるということなんですが、そうすると、答申というものはやはり昨年与えられたいろいろな条件の下で、ひとまとめにまとまつたものとして出されておるわけですね。それを政府のほうは切売りみたいにこきざみにやつて行く。而もその間にいろいろな経済情勢なんかにしても変つて来るわけですが、そういうものとは一切関係なしに、とにかく昨年出されたものを一応こきざみにしてでも全部やつてしまつて、次に新らしい地方制度調査会から又何か出たら、今度はそれと矛盾しておろうとも何であろうとも、又それに乗り換えてそれを忠実にこきざみにやつて行く、こういうことになるのですか。
  36. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今お話でございますが、これは今地方制度調査会でやつておるのは根本的な改革でございますから、そういう根本的な改革に触れるものは現在取上げる必要がないと思つております。それでなしに去年の地方制度調査会答申で大体財政関係は一応解決し、それから御案内の通り警察制度が一応解決しておる。解決の仕方についてはいろいろ御議論がありましようが、あとつておるのは教育関係と、それから地方自治法関係の問題が一応残つておると思います。併し教育関係の問題はこれはいろいろ基本的な問題がありましようが、地方自治法に関連した問題は、昨年度におきましては各省意見調整とか、或いは時間的な余裕もなくできなかつた問題でありますので、これを中心に取上げたい。この問題はその後の事情の変化で勿論変えるべきものがあれば変えなければならんと思つておりますけれども、我々の考えといたしましては、大体あの問題は差当り措置として解決して然るべき問題が多いのじやないか、こう考え準備を進めております。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 具体的なものをもう少し説明して頂けませんか。何を法律改正に織り込むつもりか。
  38. 小林与三次

    説明員小林与三次君) まだこれは準備段階でございまして、専ら事務的に我々が判断しておるという意味で一つお聞きとりを願いたいのでございますが、地方自治法の中で、一つはこの前の答申では府県性格を明らかにするという問題が一つあつたわけであります。府県事務をどういうふうに明らかにし、これについて必要な国の指揮監督が必要なものはどうするかという問題が一つ答申中心点になつております。この問題をどうするかという、これはなお事務的に研究し、上司とも相談しなければなりませんが、これは府県制度根本に触れる問題でもあるし、その問題が一方で根本的に進むのであるから、この問題は場合によつて根本の問題の解決と一緒に譲つたほうがいいのじやないか、こういう考えで、今我々として事務的な考えを持つております。  それからその次に議会運営を改善する問題がございまして、これは国会法の問題とも関係があるわけでございますが、この問題は府県制度根本の如何と関係のない問題であつて差当り地方議会運営を合理化する、能率化するという問題でありますから、これは是非考えたい。併し一面におきまして、国会法運営とも睨み合せながらやらなくちやならん問題でございますから、必要なものにつきましては、地方立場で独自な改正ができるものなら私は変えるべきがいいのじやないかと存じております。それはまあ主として常任委員会制度運営を合理化するということで答申が出ておりますので、そういうものを中心考える必要がありはせんか。それ以外の、例えば継続審査の問題とか、そういう問題も併せて考える必要があろうと思つております。  それからもう一つ監査制度を強化するという答申があつたのでございますが、これは自治団体財政問題につきまして、財政の適正且つ合理性を期するためには或る程度実効の上る監査方法について、改善の措置があるものならこれは是非考えて行きたい。自主的な監査を一面においてできるだけやると共に、更に国の立場からいたしましても財政必要最小限度調整権と申しますか、監督権と申しますか、そういうものも考える必要がこれはあろうかと思つております。そういう問題につきまして今検討を進めておるのであります。  それからもう一つは、我々といたしましては、自治団体財政のいろいろな委員会制度、その他の機構の関係もありまして財政最終責任者であるべき長におきまして、財政上のとことんまでの何と申しますか、調整機能責任が全般的にとれない体制に自治法上なつているものがあるのであります。例えば教育委員会財政運用等につきまして、やはりそういう問題がありまして、これではやはりこの財政上の責任が負えませんで、市長を中心にして財政経理上必要な権限だけは確保してやる必要がある。これは何におきましても大蔵省で、国会でも裁判所でも予算の経理執行につきましては、その執行の適正を確保するために必要な権限を持つておりまして、その程度のものは当然知事市長村長が持つて然るべきである、こういう考え方でその問題の検討をいたしております。  それからなおこれに関連いたしまして、教育委員会制度というものが根本的に、自治団体運営上特にまあ差当つての問題としては、財政運営上大きなこれは問題になつておりまして、これは政治的に大きく御検討を願わなければならない問題だと存じておりますが、根本的に御検討を願うと共に、少くとも現在の教育委員会制度でどうしても不合理だと思われるものをこの機会にどうしても調整をしてもらいたい。例えば経費負担の責任府県、それから実際の発令任命権は市町村教育委員会が発動しておる、その間の調整を一体どうするか。それから教育委員会を今度府県当局とを考えましても、いわゆる二重予算の問題とか、原案送付の問題とか、ほかの委員会制度では考えられない、特に普通の行政部門として考えようのないような、我々としては矛盾のある制度が現存いたしておりまして、この制度の調整だけはどうしてもしなかつたならば、到底自治団体財政上の総合的な調整というものはできないと思うのでありまして、最小限度、そうした調整はどうしても確保する必要があると、そういう意味で我々のほうといたしましては、今事務的に然らば具体的にどうしたらいいかということを考えておるのであります。現在は御案内の通り予算が県できまりましても、その発令は市町村教育委員会が自由にできますから、予算の拘束を一つも受けない。定員の決定でも、地方教育委員会がうんと言わなかつたらきまらぬのでありまして、これでは予算の執行というものと、予算の決定というものとが全くちぐはぐになる虞れがありまして、そういうものだけは筋を立てるような制度を最小限度とる必要があろうと、こういうことを考えておるのでございます。  それからなおそういう問題に関連いたしまして、これは調査会答申にもありましたが、定員制の問題というのが一つ議論になつておりまして、これはやつぱり或る程度人事というものは逐次更新をする、新らしい新進を入れて、そして長く勤めた人に代つて頂く。これは職員の機能を円滑に、人事を刷新させるために必要であるだけでなしに、新らしく出て来る者をやはり迎え入れなかつたら、その面から申しましても、この面は相当考える必要があろうと思うのでありまして、そういう制度につきましても、その採否を今検討いたしておるのでございます。  大体自治法に関連しておるような問題はそういうことでありますが、なお来年の四月いわゆる地方選挙が全般的に行われることになつておりますが、これは選挙の執行を適正にやるためにも、経費を或いは合理化するためにも、四つの選挙を四つばらばらにやるのはどうかということで、これを各団体ごとにまとめてやつたほうがどうだろうか、府県段階の選挙は府県で一本、市町村段階の選挙は市町村で一本、そういう問題も我々といたしましては今研究をいたしておるのであります。  それともう一つ、若しできまするならば、公務員関係で、地方の職員と中央の職員との人事の円滑を期するために現に或る程度交流が行われておりますが、それの基礎になるような恩給制度の通算というものも考えられるであろうか、できたらそれを是非考えたいというので、これはまあ現在公務員制度調査会が一方で内閣に設けられて審議を進めておられますが、できたらそういう途を実現したいというふうに考えております。大体行政関係考えております問題点は以上申上げたようなものでございます。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 関連して……。今の教育関係方面について、これは長官に伺いたいと思います。我々視察に行つた場合も、町村側としてはこういう財源の伴わない委員会は廃止してもらいたい。町村の赤字とか何とかに非常に関係の多いものの一つである、こういうふうなことで、非常にこれを廃止したいという意向が強い、これはまあ御承知の通りであります。ところが一方文部大臣のほうでは、どうしても教育委員会というものはこれは育成して行かなければならない。この頃は何か財政上のことであれば何とか一つ調整してもよいという折合いがついたような発表もあつたようでありますが、併し根本はどこまでも育成して行きたい、こういうふうな考え方であります。どちらかというと、財政運営上の問題ではなくして、本質的にこれを育成して行きたいというのが強いようであります。これらに関しまして、町村では財政上これは成立たない、こういうふうな主張をしておるのであります。自治庁長官としてこれに対してどういう見解を持つておられるか。
  40. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは私も昨年来私自身の考え方としては、只今行政部長の申しましたように成るべくこれは廃止したほうがいいのじやないかという考え方を強く持つておつたわけでありますが、昨年いろいろ文部大臣話合いをした結果、育成強化をしてみたいということでありまして、それが一応政府の方針としてきまりましたので、私もその線に賛意を表しておるわけであります。ただ私が廃止できるものなら廃止したほうがいいという感じを持ちますのは、そういう財政上の面も勿論その通りでありますけれども、それよりも私は何と申しますか、行政のいろいろの形が、行政の運用と申しますか、作用が幾つもの線から統合できないように出て来る形が余り好ましくないのじやないだろうかという感じをいつも持つておるのでありまして、私は行政権を成るべく一本のところから、而も責任を持たされているところから、ただ一つの運用の方針というものが出て来るということが望ましい。従つて私はただに教育委員会だけでなしに、行政委員会の形のものはよくよくどうしてもそうしなければいかんもの以外には許されない、許さないほうがいいのじやないか。殊にどうしてもそういうものを置かなきやあならないと考えられるものの中には、審判的な性格を持つたものはこれは止むを得ないけれども、そうでないものは成るべくこれは廃止したほうがいいのじやないかと、こういう感じを持つております。私の教育委員会の改組に対する基本考え方はむしろこの線から出て参るのでありまして、かたがた今のようになつておる制度が非常にいろいろな意味において市町村財政を圧迫しておるということもありますので、そういう感じを持つておるのであります。まあ最近文部大臣と新らしくお話合いをいたしたことがございませんけれども、今年の予算の編成に際しましては、過去一年のいろいろな情勢に鑑みて、もう一度この点について文部大臣ととくと御相談を申上げて、政府の方針を再検討してみたい、こういう考え方を持つておるわけであります。
  41. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の長官の答弁ですね。まあ行政上からこういうふうな教育委員会というものは繁雑を来すから、余り必要を認めないほうがいいというようなお考え方は、これは市町村いわゆる地方教育委員会に限られておりますか。或いは府県教育委員会も含めてのお考え方ですか。その点お伺いします。
  42. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは市町村だけでなしに、府県、更に教育委員会だけでなしにすべての行政委員会に通じて、殊に私が行政管理庁長官として機構の問題を考えます場合の一つ考え方でございます。
  43. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは今の御答弁を聞きまして、一応行政管理庁長官としてそういうお考えになるかも知れませんけれども、これは他の行政委員会と違つて教育委員会というのは教育という重大な問題の一つの本質的なものであるから、この点について他と同様に行政の繁雑であるとか、或いは一本化であるとかというところからこれは簡単に解決し得ないものである、こういうような私は考えを持つておるのです。この点は如何ですか。
  44. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も簡単にはそう結論は出ないであろうと思つております。十分検討して結論を附さなければならん問題だと思つております。
  45. 小林武治

    小林武治君 今の関連ですが、私は先ほど自治庁長官地方制度改革にはむしろ消極的なようなお話を聞いたのでありますが、行政部長のほうではむしろもつと積極的な今一応の腹案のお話があつて、細かいところはとにかくとして、私は原則的にはああいう考え方是非つて欲しい、こういうふうに思つておるのでありまするが、むしろ私はこの通常国会等においては政府は積極的に地方制度改革ということを、或いは昨日もお話したように根本的なものでなくても、とにかくできるものからやると、こういう考え方是非お進み願いたいというふうに思つております。なおそれについても、先ほどは副知事、出納長等について触れない。日本はアメリカ製のものはなくてもやれるし、あつても不便を来たしておるから、これらも廃止をする考えがないかどうかというのを一つお聞きしたい。
  46. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今副知事、出納長の御議論が出まして、これも副知事制度の運用についてはいろいろ御議論があるし問題があるので、これについていろいろ研究をしてみたいと思つております。今のところこれについてどうこうという結論も出ておりませんが、御意見もありますから、なお部内で研究をいたします。  それから先ほど申上げましたのでもう一つちよつと落しましたので、附加えておきますが、今行政委員会全般の問題につきまして自治庁長官からお話がありましたが、差当り少くとも行政委員会の事務局並びにまあ地方の部課の簡素合理化というものをもう少しやり得るような形を是非考えたいと考えております。現に御案内の通り地方では知事が自主的にいろいろな部課の統廃合をやろうといたしましても、いろいろな支障がありまして、その支障が特に、まあこういうところで申上げてもどうかと思いますが、中央各省あたりからいろいろな筋で横やりが入つてなかなかできない、こういうのも一つの原因になつておる点もありまして、これは何か地方が自主的にやり得るものにつきましては、その支えになつて、支障なくやり得るものについてだけは考える必要がまあありはせんかと思つております。  それから各委員会の問題、事務局の問題は、委員会そのものはそれぞれ大きな問題がありますから、それはまあ差当りの問題として何しまして又事務局だけは考えてみれば、もう少し簡素な形で、一般の支分部局の部門ともつと彼此融合した形で運営できる面が相当ありはせんだろうか、そういう問題は是非研究いたしたいと思つております。
  47. 小林武治

    小林武治君 ちよつと自治庁長官にお伺いしたいのですが、今申したように、先ほどはむしろ多少消極的に私は感じておつたのでありますが、私は地方制度改革も悪いところはできるだけ早く直す、要するにこれらの占領政策の妙なかすが残つておる、従つて私は早い機会にこれを捉える必要があると思うので、長官としてはもつと積極的に出られたいと、こういうことを切望するのでありますが、それについては如何でございましようか。
  48. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 昨日いろいろお答え申上げましたときには、問題は余り大きく、基本の分ばかりについて頭に置いてお話を申上げておりましたので、ああいうようなお答えをいたしたわけでありますけれども、只今行政部長からお答え申上げました程度のことは、今までずつともうその方針で進めて参つておつたので、あの程度のことは当然やるということを前提に置いて、それ以上の基本部分について申上げておりましたので、なおそういう意味のものは今後とも一層推進をして、できるだけ早く改革すべきものは改革する所存でございます。
  49. 小林武治

    小林武治君 もう一つ、先ほど教育委員会についての長官お話がありましたが、私ども全く同感で、これが上下を通じて一つ廃止すべきものであるということを我々が深く考えていることを一つここで表明しておきたいのであります。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 教育委員会の問題でありますが、都道府県教育委員会の問題は別といたしましても、地方教育委員会に対しましては、地方制度調査会でもたびたび問題になつております。すでに結論が出ておるはずであります。又この制定当時からいたしましても、世論も挙げて地方教育委員会というものに意義のないことが強く言われておつたわけであります。世論もそうでありますし、又制度調査会答申地方教育委員会は要らないであろうというにもかかわらず、一つの固まつた世論というものにもかかわらず、政府だけがあえて地方教育委員会制度というものを固執するのはどういう理由によるものであるのか、私ども了解に苦しむのでありますが、長官から政府のその間のお立場を御説明頂きたいと思います。
  51. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはむしろ私より文部大臣からお答え申上げるのが筋じやないかと思うのでありますけれども、私がまあ昨年中文部大臣といろいろ折衝いたしました経緯から申しまするならば、今いろいろ御議論はあるのですが、とにかくこうしてできておるものであり、長所もあるものであるからして、自分としてはこれから育つものであるかどうかもう少し育成してみたい、その結果において又考えなければならんならば考えてみたいという御意見でありましたので、私も一応止むを得ないのじやないかという感じで賛成を申上げた状態であります。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 できたからという御説明でございますが、これは欲して生れて来たものではありませんで、生れないような措置を講じつつあつたのに、偶然突発的な解散がありまして、自然発生的に生れてしまつたという経過からいたしましても、早くこの問題の処理というものには政府が熱意をもつて当るというのが当然のように思われるのであります。政府が初めからの方針でこれを作つて、だから育てて行くというならわかるのでありますが、その当時の政府の御見解といたしましても、それは地方教育委員会というものに対しては非常に疑義を持つておつた、ところが偶然に生れてしまつた。生れたのだから育てなければならないということでは、前後の直理が一貫しないように思われるのであります。大達さんが文部大臣になられてから急に政府の態度が変つたように私どもには了解されるのでありますが、前後を通じての政府のお立場というものから考えれば、どうももつとはつきりと、長官がさつき御説明のようにいろいろな行政上の矛盾というものを感じておられるわけでありますから、そこに結論を打出すべきであるように、そういうように思うのであります。この点今一度御説明を頂きたいと思うのであります。
  53. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 昨年いろいろ御折衝申上げましたときの記憶は今十分にはつきりいたしておりませんが、そのほかいろいろ文部大臣のお立場で育成をしてみたいという理由をお述べになつたように記憶いたしているのでありますが、今はつきり頭にありますのは、先ほど申上げました事柄一点であります。まあ生れましたときのいきさつも私も承知はいたしているのでありますけれども、世の中に出て来たのだから、一応育つか育たないかを見るという考えもあるようでありますので、一応そういう物の考え方に私としては昨年は賛成をいたしたわけであります。併しそういう性質のものでありますので、まあ過去一年の実績に照してみて、もう一度今年は再検討してみるのがこの問題としては妥当じやないかと、こういうふうに考えております。
  54. 秋山長造

    秋山長造君 今の市町村教委の問題を再検討されるという長官考え方は、もう前から我々よく承知しているのでありますが、ただその考え方長官としては、少くとも長官としては今度の予算編成なり、或いは通常国会を大体切れ目にして、できれば三十年度からそういう方針で実施したいという具体的な強い方針を持つておられるのか、それともただ個人的な考え方としてはそういうように考えるという程度なのか、その点はどうなんですか。
  55. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 三十年度の一応の予算には、現在のままで予算の組立てはいたしておりますけれども、私といたしては現在政府の方針がそういう工合になつておりますので、一応三十年度の今出します予算の構想についてはそういうことで踏襲をいたしておりますが、これを再検討して、できるならば自分の考えるような違つた結論を得たいという感じは非常にまあ強く持つているわけであります。
  56. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 再建整備の問題を是非やらなければならんという非常に強い御説明で、私どももそれを希望し、又再建整備のいい法案の出されることを希望しているのでありますが、今年度予算の審議の際にも長官のこの委員会における発言では、二十八年までのものはいずれかの機会に再建整備の法案を出して解決して二十九年度は赤字を出さないように措置するというような御意見だつたのであります。事実はこれに反して今のような情勢では赤字が出る、このままでは赤字が出るというような見通しになつておられるようであります。これはまあいろいろな予期せざる事情が生れて来たので、この問題について私は別に責任を問うという考えは毛頭ありませんが、こういうことが三十年度予算を編成するにあたつてもそういう心配がされるのでありまして、そこに今当局は六百億ぐらい財政措置をしなければならないというようなお考えがあるようでありますが、昨日も小林委員或いは左藤委員から強くこの点についてももつと殖やすべきものは殖やさなくちやならんが、圧縮できるものを圧縮する方法考えたらどうだというふうな発言がありましたが、この点について勿論只今進行中の地方制度調査会結論を待たなければ、大きな根本的なものはできないにしても、すでに三十年度予算を編成するという場合になつて来ておるのに六百億も殖やさなければならん、それには地方税を増税するか、或いは交付税に待たなければならないというようなことを言つても、実際一兆予算というものが政府の強い意思であり、又これを世論も支持しておるということになれば、実際これはもう六百億殖やすというようなことは、なかなか言うべくして行われないだろうと思う。この点についての見通しについて御見解を伺いたいと思います。
  57. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまさに御指摘の通りだと私も思うのであります。併し若し圧縮するとすれば、結局財政計画の上で圧縮を考えられるのは国からして地方に負担の出て来る原因を起さない、起しておるものを縮めるということになると思うのでありまして私どもも増税は好ましいとは思いませんし、従つて財政措置ができないならば、例えば公共事業費を国の分を減らして、従つてそれに伴う地方負担を減額する、又いろいろな補助金、負担金というようなものもそれと同じ考え方で整理をして行くというような方向に、原因を十分検討しながら財政計画を縮めて行くという以外には方法がないと思つておりますし、又どうしても財政措置ができないというのであれば、国の予算に対してもそのような強い要求を自分としては持ち出さなければならないと考えておるわけであります。
  58. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで只今の公共事業その他補助事業についての圧縮ということについても、強く私どもも支持して圧縮の問題を強く考えなければならないことと、一面には先ほどもちよつとお言葉に触れましたが、根本的な行政機構の改革というようなことを言われましたが、これは昨年でしたか、行政管理庁長官として塚田長官は大分御苦心になつたけれども、結局警察の問題を解決されて、これが半分くらいこれで組んだわけですが、中央では僅か六万人の整理、数年間に六万人の整理ということになつたのですが、これを根本的に取上げるということになると、これはなかなか容易な問題じやないと思うのですが、先ほど小林委員も触れましたように、地方庁というものは割合に中央の機構よりも小さいだけに、むだが発覚しやすいと思うのであります。先ほど行政部長も触れましたように、部局の整理というようなことも言つておりますが、そういうような問題を発展さして、もつと大きく地方の行政整理を勧告する、従つて財政計画の上にそれをはつきり出して行くと、こういうようなお考えはありませんですか。
  59. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 一応の地方の行政整理と申しますか、人員を減らす、若しくは給与を下げるという線は財政計画財政措置をいたさないという今までの式になつておりますものでありますから、昨日もちよつと申上げましたように、地方にはそういう空気が非常によく最近出て参つてどもも喜んでおるわけでありますが、更にもう一歩進めて機構を縮小する、そうしてその面から又人員を減らし、経費を減らすという行き方は私も是非そうしたいと思つておりますし、又そのように当面考えられるいろいろな措置をして、今も行政部長が御説明申上げた通りいたしておるわけでありますが、更にそれからもう一歩進んだ根本的な問題になりますと、やはり私は地方にだけそういうものを要求するという考え方ではなかなか地方の納得が得にくいのじやないか、やはり国もやる、地方もやる、こういう構想でないと本当の私は目的が達成できないという考え方を持つておりますので、それを強く地方要求いたしますためには、国のほうのめども付けてということにまあ考えておるわけであります。
  60. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 ただ私の考えは、先ほど申上げた六百億を増加するというようなことが非常に困難ではないか、その交渉の段階においてそういうこともあえてしておるということでないと、この六百億をだんだんできるだけ多く獲得する上において納得されないじやないか。そういう計画が三年計画或いは五年計画においてあるんだ、地方も将来はこういうふうになるんだということで、初めて成るほどそれでは赤字の再建整備をやる、一方は年々に絶対に赤字を出さないようにして行くというのに、六百億を出すのに、そういうものを持つて行かないとなかなか納得されないのじやないかという感じを持つておりますが、そこに大きく根本的にと言われると、なかなか一編には出しにくいから、一応この六百億というのを出すのにそういうものが必要じやないかと、こういうふうに考えるのですが、とうですか。
  61. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 御意見は全く御尤もであり、私もさように考え、又さように地方にいつでも指導し、皆さんがたが本当に少くとも自治庁考え財政計画の線までは切り詰めて頂くという考え方でない以上は、とても自治庁大蔵省を向うに廻して強い要求をすることができない。だから皆さんがたも少くとも私ども考え財政計画の線までは、是非それ以上に上廻つておるものは締めて頂くということにお願いをしてまあだんだんとそれに御協力願える傾向が出て参つておりますが、そういう強い地方に現れておる傾向を背景にして三十年度予算是非大蔵省と折衝したいと、こういうふうに考えておるわけであります。従つて折衝の経過においてなおこういう点をこういうふうにしたいという点があつて、成るほど尤もだと思われる点があれば、一方地方に対して節約、緊縮をお願いすると同時に、その代り御協力願つた線まで、そして又筋の合う線までは財政措置を確保するという、こういう考え方で折衝いたしておるわけであります。
  62. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで一つ赤字財政の整理の法案の内容について一言私注文があるのですが、それは少し小さい問題になりますが、赤字に対する起債を認める、政府が融資をして起債するという項目なんですが、その中に無利子にしたいという希望が出ておるのです。ところが、こういう赤字というものはしばしば言われる例を以てすれば、道楽息子が使つた金、これを赤字の補填をするのに無利子でやつてはいかんということが、必ずまじめにやつた地方団体から出るに違いないですよ。その問題の解決としては、私は赤字の原因というものは大ざつぱにこれを分析したら、財源の措置が不適当によつて出た赤字と、それからいわゆる放漫財政によつて出た赤字というものが分けられないものか、分けられるものであれば、財政措置が不適当によつて起つたものについては無利子にする、併し放漫財政によつて起つたものは適当な利子を付すると、こういうことにするのが極めて合理的であり、まじめにやつて黒字にしている団体に対しても立派に説明がつくと思う。若しこういうことができんものか、又分析によつてそういうふうにすることができるならば、そういうふうにする意思があるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  63. 後藤博

    説明員後藤博君) 地方団体の赤字の原因を分析できるものかどうかというお尋ねでございますが、私どももそういう分析ができればいたしたいと思つておりますが、なかなかこれはむずかしくてできません。大きな原因として挙げられるものは三つ四つわかつておりますけれども、各地方団体のそれぞれの赤字の原因について概括的にはわかりますけれども、国と地方団体とどちらの責任にどの程度かかつておるかということになりますと、判定が非常にむずかしいのであります。概括的に申しましては、財政規模に対して赤字額の多いところにおきましては、やはり多分に地方団体責任に帰すべきものがあるように思います。併し赤字額の少いところにおいては国の責任に帰すべきものが非常にウエイトが大きいと、こういうふうに概括的には言えるかも知れませんが、個々の団体でその額が幾らということになりますと、やはり分析をいたしましても、原因の所在というものははつきりしないというように私ども考えております。
  64. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、結局今まで出た赤字がどつちの理由によるかはつきりしないが、どこどこの県にはこれだけある、どこどこの市はこれだけ出ているが、これを一遍に見てやるよりほかないということでございますか。
  65. 後藤博

    説明員後藤博君) そういうことになりますが、私ども現在自主的に再建整備をやらしておるわけでありますが、各地方団体が締めるところまで締めてみて、どうしても出る赤字というものは、これは国の責任に帰すべきじやないか、締めるところまで締めてみなければそれはわからないのじやないかと、こういうことを地方団体のほうに申しております。併し、地方団体のほうでもそういう気持になつて、一応自分たちもやつてみようという気持から数字が出ております。最後に残つたところの、どういうことになりますか、持出額が最後に残つた問題になつて来るわけでありますが、その持出額を解消するということがやはり国としてもやつてもらわなければならない問題で、来年度予算に対しましても一つ持出額をなくするようにやつてもらいたいと、こういう要求を国としてもいたしております。
  66. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 若しそういうふうにはつきりしないものであるとすると、これを無利子にするということになると、まじめにやつて黒字を出した団体から必ず不服が出るということをお考えの上に、法案を作るときにお考え願いたいということを申上げておきます。  それからもう一つ最後にお尋ねしたいのは、先ほど教育委員会の問題が出ておりますが、私どもの見解といたしては、府県単位の教育委員会も、市町村単位の地教委も、地方に対する関係議会に対する関係、これらにおいては全く同じ関係にあると、こういうふうに考えますので、廃止を考えれば当然同時に考えなければならない問題であるというふうに私どもは固く信じておりますが、この点について長官の御見解を伺いたいと思います。
  67. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私も同じ考え方でございます。
  68. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほど塚田長官がおつしやつたことですね。何か塚田国務大臣のお考えであるのか、或いは自治庁のお考えであるのか、地方に対して行政整理、それから給与の引下げと、それからその次には機構の改革、これを勧奨しているとか、或いは又そういう方針で進めてもらつておるとかいうお話がありましたが、給与の引下げを勧告したということがあるのかどうか。或いは国の給与よりも高い分については国の給与に均らすというお考えであるのか、給与の引下げを勧奨するというようなことは、これはちよつと聞き捨てならない言葉なんですが、それはどういう意味なんですか。
  69. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) いろいろと地方財政の再建について、例えば当面のつなぎ融資が欲しいとか、いろいろ御相談があるときに、又私どもとしましては、そういう機会に、若しくはそうでない場合に、非常に赤字の出ておるところを逐次調査をいたしております機会に、いろいろ気付きました点を御注意申上げるというようにいたしておるわけであります。幾つかの県に、給与なんかの点について少し御検討願つたらということを勧告の中で申上げたところがあつたわけであります。給与なんかの引下げについては、そういう意味の話であります。それから、私どものほうから特に申し上げませんでも、地方財政の再建をしなければならないということで、幾つかの自治団体で人員の整理若しくは縮減、給与の昇給を少くとも少し延ばしておくというような措置をとつて頂いておるところも幾つかあるように承知をいたしております。私といたしましては、先ほど申上げましたように、地方団体側自体にそれだけ赤字を解消するという特別に努力が出て来たということに対しては、私どもも非常に喜び、且つそれだけ地方がやつて頂くならば、あとは国の責任において解消しなければならない原因があるところには、自分としては極力努力をしてやりたいと、こういう考え方で三十年度予算に当つておるわけであります。
  70. 松澤兼人

    松澤兼人君 今のお話は大体わかりますけれども、何か併し給与の引下げを勧奨するとか、或いは自主的にそういうことをやらせることは、これはやはり問題であるので、自発的に昇給停止をするというようなことは、これは職員と理事者との間の関係でありまして、職員が納得すれば或いはそういう方法がとれるかも知れない。又国よりも著しく高いものは国のほうに均らすというようなことは、当然それも理事者なり或いは職員がよいということであるならば、そういう方法もよいかと思いますけれども、併しただいわゆる給与水準を低めろというだけのことであるならば、これはやはり地方公務員は国家公務員と給与は準じて取扱うということになつておりますから、国のほうで何か引下げるというような方法をとらなければ、勧奨するということはこれは不穏当ではないかと、こういう意味で私はお尋ねしたのですが、そういう意味に了解してよろしゆうございますか。
  71. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その通り考え方であります。
  72. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから、先ほど伊能さんのほうからお話がありましたが、地方団体で国の責任のものとそれからいわゆる放漫財政のものと分けることができないかどうかという話がありました。それに対して後藤財政部長は、まあ財政規模からいつて著しく大きなものであるとかいううものについては、これは検討する必要があるというお話でありました。併し私は一つ或いは二つくらい、自治庁がいろいろその公共団体財政経理の実情を調査した勧告と申しますか、そういうものを見たことがある。その場合には、よくあなたがたはそういう言葉を使われる。人口が同じくらいの他都市に比較すると、例えば著しく人件費がかかるとか、或いはこれこれの経費が高くついておるというようなことをお出しになる。それは併し、単に人口十万なら十万、三十万なら三十万の他都市と比べて著しく高いということは言えないと思うのです。これは大都市の周辺であるとか、或いはそれが田舎と言つては悪いですが、比較的地方の同じ人口のものと、人口一人当り高くつき過ぎるということは、これはちよつとすぐそういうことを即断することは非常に危険だと思うのです。こういう点も見ていらつしやるのですか。
  73. 後藤博

    説明員後藤博君) 調査課でやつております調査の際には、大体まあ類似の市町村、例えば市でありますれば、同じくらいな人口団体で、大体我々が見て同じくらいの財政規模であるべき市町村を比較してものを言つておるわけであります。それを比較してものを言わないで、抽象的にはじく方法もありますけれども、そういう一つの物差を、同じくらいの財政規模の団体を捉えて、そうして高いとか安いとか、少々の差は勿論あることも我々は認めておりますが、非常にその間に差があれば、やはり著しく給与が低いとか高いとか、こういうことが言えるのではないかと、こういうことでありまして、他にやはり基準がないものでありますから、一応そういう基準を使つておりますが、併しその際には、やはり都市近郊の市町村とそうでない場合との差は勿論ありますから、選択する場合にそれに類似した市町村をやはり選択してやつておるつもりではあります。
  74. 松澤兼人

    松澤兼人君 この点は注文がありますけれども、単純に同じ人口のものだけとつて、そうして計算されますと、例えば地域給が二級のところと、或いは三級なり四級のところというのが、大都市の周辺のところでありますね。そういうものが全然同じでよいということはないと思うのです。そこには何かウエイトがありそうな気がするので、都市の性格から言つて類似しているということであるならばいいけれども、ただ人口というそういう一つの規模の点から言つてだけ比較して、大都市の近郊にある市が著しく人件費が高くついておるとか、或いは又消費的な経費が高くついておるとかいう判断はちよつと私は、若しあなたがたがそういうことをなされば、こつちも言いたいことはたくさんあるというような気がするのですが、その点を注意して頂きたいと思います。  それから先ほどの行政部長お話になりました、差当つて当面改革を要する点、若しくは今議論をしている点ということをいろいろ列挙されましたが、そこで問題は、何か自治庁のおやりになることが、弱いところには非常にきつく当つて、きついところには弱く当るような気がするのです。ということは、この中で一つの問題は、教育委員会の問題、それから地方制度調査会で残つておる問題とすれば、この地方財政再建促進特別措置法ですか、これは今度の国会にお出しになる、これはよろしいとして、以前からいわゆる地方制度調査会などで言われておりますのに、地方団体中央金庫といつたようなもの、これなどもやはりその問題を解決しなければ、前回の地方制度調査会答申というものはうまく活きないと思うのです。そういう点に対する交渉は、大蔵省に対してどの程度まで進んでおるのか。
  75. 後藤博

    説明員後藤博君) 地方団体中央金庫というものを昨年も作つたのでありますが、大蔵省との話が合いませんし、いろいろこれにつきまして検討を要すべき点がありましたので、一応途中で立案を中止したのであります。本年は来年の計画の中に、地方債を共同で発行する公庫を作つたらどうか、そういう案を現在研究いたしております。地方債証券公庫という仮称で以て今案を作つておりますが、その構想は、従来の地方団体中央金庫は預金業務をやるというところで従來の金融機関との間の問題があるわけであります。で金庫の狙いといたしまするところも、やはり一番の大きな狙いは公募債発行をして、その消化を容易ならしめるというのが中心であつたのでありますが、公募債の発行消化を容易ならしむるための方策だけを中心考えて行くような組織を一つ考えたらどうかというので、今年は地方債証券公庫という法律案を現在研究しておるのでありますが、ただ併しこの場合に、公募債がどの限度まで来年出るかということがきまつておりません。要するに公募債でなくて、政府資金が多くあればいいのであります。政府資金がたくさん出れば、何もそういう機関を作る必要はないのであります。従つて公募債が現在以上に殖えるようであれば、どうしてもこういう機関を作る必要がある。こういうので、今までの公募債は御承知の通り昨年は二百三十五億でありましたが、そのうち市場公募分は五十二、三億になつたと思います。あとけ縁故でやつております。縁故も証書貸付がありますし、登録債がありますし、いろいろな恰好で行われておりまして、縁故の分が日銀の適格担保になつておりませんために、なかなかうまく貸してくれないという問題がございます。それから個々の地方団体と、そこに所在いたしますところの地方銀行との間の関係がうまく行かない。銀行は非常に預金が少いために、貸付が多く行われないというふうなことがありまして、なかなか消化が思わしくないところがございましたので、これを共同で発行して、そして例えば自治振興債券のような恰好で以て発行をいたしますれば、適格担保にもなるし、同時にそれが政府保証にいたしてもらいたい、大した大きな規模でなくやれるのじやないか、こういうことで現在研究いたしておりますが、いろいろやはりこれにつきましても問題がございます。我々も金融関係の仕事には余り通じておりませんので、いろいろ専門家の御意見を聞きながら、現在細かい法律案の作業を急いでおるわけでありますが、私どもはそういう恰好でやりたいのでありますが、基本はやはり公募債が多くなるという前提であります。公募債が多くならなければこういう機関も必要でない、公募債に対する手当が十分に行われれば、尤もそうする必要もないのでありますが、その辺が目途でありまして、徒らにそういう公庫を作るということだけが目的ではなくて、他に大きな目的がありまするので、その間との調整がつけば、やはり何もそこまでやらなくてもいいのじやないかという気持もございまするので、いろいろ検討いたしておる次第であります。
  76. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、地方債証券公庫と申しますか、その点はまだ大蔵省との間の話合いも始まつていない。自治庁自身で果して地方債、公募債というものがどの程度までになるか、検討中であるという段階で、まだ大蔵省のほうと話合いができていないというふうに了解してよろしゆうございますか。
  77. 後藤博

    説明員後藤博君) 大蔵省には参りまして、説明を銀行局、理財局、主計局にそれぞれ説明いたしまして、向うの意見を待つておるわけであります。それから金融機関筋にもそれぞれ話をいたしまして、向うの御意見を待つている。これは地方銀行協会あたりの意見は一応固まつて来ておるようでありますから、それぞれの関係方面に現在連絡をいたしております。案は一応表には出しておりませんけれども、持つて参りまして、いろいろ説明をいたす段階になつております。
  78. 若木勝藏

    若木勝藏君 長官ちよつと伺いたいのですが、最近車中談であるとか、いろいろなことで道州制とか、知事の官選の問題が放送されておるのですが、道州制云々の問題は地方制度調査会においても今諮問中である、こういうふうな店で、基本的な問題であるから今後十分検討する、その点はわかりましたか、そこて道州制の問題の諮問のうちに、この頃盛んに大野大臣とか、或いは今度の開発庁長官の緒方さんらが北海道へ来まして、北海道特別行政区の問題を総合開発に絡んで相当放送しておる。そこでこの問題は、道州制の中に含まれた一つの諮問として出ておるのかどうか、この点を伺いたい。
  79. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは全然関連はないのであります。道州制は、道州制と申しますか、府県性格検討して頂く、府県制度自体を検討して頂くという考え方から出て道州制という言葉が出ておるのでありまして、それとは別個に北海道を別の行政区画にでもしたらという考え方が、先般の閣議ちよつと問題になりまして、それは行政管理庁及び自治庁のほうで検討いたします、こういうことで問題になつておるのでありまして、地方制度調査会には特に北海道のそういう機構について諮問をしておるということは、たしかないはずであります。ただ一般的に道州制、府県制度の御検討を願う機会に、そういうことが問題になつておりますからして、今後或いは御検討段階において問題になりますことはあるかも知れませんが、特にこれを考えてくれ、特にこういう構想で考えてくれというようなことは、はつきりして諮問はいたしておりません。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういたしますと、今政府としては地方制度調査会と別個に、これは閣議でいろいろ話が出ておるというふうに私は考えるのでありますが、そこで今いろいろ検討中であるというようなお話もありましたけれども、その程度は一体どういうようなことですか。
  81. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは一方行政管理庁の事務当局に何か案を考えてくれるようにということを申付けておりますし、恐らく行政管理庁で何らかの草案ができた段階において自治庁話合いをするということになると思います。まだ原局の行政管理庁におきましても、何らの成案が得られておるという段階ではありません。検討しておるという段階であります。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、この問題は或いは一つの今度の通常国会においてこれを何とか結論を出す、こういうふうな御方針であるか、この点……。
  83. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはなおこの担当の緒方大臣などとも折衝、御交渉申上げてみなければならないと思いますが、強く早くそういうものを希望されるという状態であるならば、これは一般の府県制度の問題とは切離して結論を得たいと考えております。
  84. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、この結論を得るためには憲法との関係をどういうふうにお考えになつておりますか。
  85. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) どういう工合な構想になりますか、憲法との関連があると、殊に憲法の上に支障のあるという構想は憲法改正ができなければ当然考えられませんからして早急に何らかの結論を得るということであれば、どんな構想になりますか、そういう面の支障のない何らかの構想を考えなければならないと思いますが、ただ具体的な構想は今も申上げますようにかなり面倒な問題でありますので、まだにわかに案は得られておりません。
  86. 秋山長造

    秋山長造君 私は地方財政自治庁が相当努力をして再建して行こうとされておるにもかかわらず、なかなかそれができない。ややもすれば膨脹するという、いろいろ原因はあるのですが、一番大きな原因の一つとして各省が、自治庁のやろうとする地方財政計画というものにはおかまいなしに、それぞれいろいろな補助金政策をやつて、そうして地方に紐をつける、而もその補助事業の単価等の見積りにおいて今の実情に甚だしくかけ離れたことをやるために、それだけ地方財政負担が殖えて来ておるというようなことが非常にあるのではないかと思うのです。昨日も左藤さんからそういうお話もあつたのですが、全くそうだと思うのです。この点については何ですか、昨年のこの地方制度調査会答申にも補助金政策をもう少し何か再検討し、すつきりしたものにすべきであるという御答申が出ておつたと思うのですが、やはりよくよく必要なものは止むを得ないとして、その他のものはできるだけ補助金をこれは整理して例えば交付税というようなものに全部を盛り込んでしまうというような方法が望ましいのではないかと思うのです。自治庁のほうで今度の財政計画に当られる場合にやはりその前提としてただ地方制度を或る程度いじくつてみるとか、或いは道路税を新設したり、その他税制をいじくつてみるということではなくて、やはり国のほうの予算の組み方というような点についても特に補助金政策というような問題はもう少し徹底して再検討さるべきではないか、そういうお考えはないのですか。
  87. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは昨年の地方制度調査会の御答申にもありましたので、私も考え方としては是非そうすべきものであると思いました。幸い大蔵省から相当大幅に整理案が出ましたので、私も閣議その他においても極力支持をいたしましたのでありますが、その後の各省との折衝その他によりまして、十分なものができなかつたように承知をしておるのであります。併し先ほどもちよつと申上げましたように、考えとしては当然そうあるべきものであつて、国の側の原因を除去しないで地方だけを責めるというわけに行かないものでありまして、本年度も引続いて大蔵省側が同じような考えを持ちますならば、極力これに協力をすると、更に大蔵省地方財政について十分の理解を示さない場合には、先ほども申上げましたように、公共事業費、補助金、そういうようなものをこちらから積極的になくするように要望するという考え方を持つておるのであります。
  88. 秋山長造

    秋山長造君 まあ長官のおつしやることは御尤もですけれども、実際あの地方制度調査会答申がありましてから一カ年努力して来られたようですけれども、その努力が一部分でも具体的に効果を上げた例があるのかどうか、先ずその一点お聞きしておきたい。  それから第二点は、どうも繰返しになりますが、地方財政計画に、自治庁のほうでできるだけこういう方向に地方財政を持つて行くという強い意図を盛り込んで計画を立てられても、そのほかの役所は皆自治庁が何をやろうとそんなことにおかまいなしにどんどんやつて行く。それから地方財政計画なんというものを知らぬ役人がおるくらいで、たまに大蔵省のほうの財政計画のほうに関心を持つてくれる者は、一方的に何もかも無視して、引締めることはかり考える。これもいささか迷惑である。どうしてもやはり地方財政の問題はただ自治庁或いは大蔵省だけの問題ではなしに、もう少し全体の問題として徹底してやられぬと、これはなかなか知事を官選にしてみたところで、今の中央と地方との関係でこういうようなてんでばらばらにやるやり方は改めなければ同じことだと思うのです。その点について長官、今度の三十年度地方財政計画を立てられるに当つて是非この点を盛り込んで頂きたい、この一点と二点、長官の意気込みを聞かして頂きたいと思います。
  89. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は従来とも気付いて、私若干の努力はしておつたのでありますが、努力が足りなかつたということになりますか、なかなか協力が十分得られなかつたのでありますが、本年度は私も先般から申上げておりますように、少くとも地方にこれだけの赤字解消の熱意が出て来た以上は、来年度を期して自治庁としても是非赤字の出ないという財政計画を組まなければならないという強い決意を持つておりますので、いろいろな国の側に原因のある面は特に強く各省にお願いをして、実現をして行くよう努力して行きたいと思つております。
  90. 秋山長造

    秋山長造君 この点は返す返すも是非つてもらいたいと思います。  それから行政部長にお尋ねしますが、さつきの地方制度改正の中で、監査制度を整備するというお言葉があつたのですが、この点は具体的にどういうことを考えられておるのかということを伺いたい。と申しますのは、従来実施されておる府県監査委員制度を見ておつて、一番痛感することは、第一知事が任命権を持つておるということがすでに監査委員というものの弱点で、それから更に監査委員の手足になつて動く補助職員というのが大体自治部局の職員なのです。ですから余り監査を徹底してやられると、今度はほかの課へ変るときに敵を討たれる、こういう弱味がある。そういう点を改めることがこの監査制度の精神に含まれているかどうか、それらの点を……。
  91. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 監査制度の問題はまだ具体的に案を持つておりませんけれども、今仰せられましたようなことまでは必ずしも正面に言つて考えておりません。つまり監査委員というものをどういうふうに考えるか、むしろこれは市町村の執行部局における内部的な監査の、つまり目にし、手にし、足にする、こういう自治的な監査の機能として強化するということを中心考えておりまして、執行機関と対立した独自の、横から見て執行全体を監査するというようなことまで考えるのはどうかと我々としては考えておるのであります。それは議会なり、そういう別の組織がその権限を行使すればいいのじやないだろうかというふうに考えておるわけであります。ただ監査委員につきましては、やはり相当技術的な、専門的な知識、技能がなければ、この複雑な会計、経理一切を監査できませんので、専門的な人がもつと監査委員になり得るようなことも考えなければなりませんし、それと共に監査につきましては、更に我々としては中央各省監査というものと非常に重複すると申しますか、それで地方がえらいむしろ迷惑をしておるという問題もだんだんにありまして、それで各省等で監査の必要があれば、むしろこの府県の自主的な監査機構を活用して監査をやる、特定の監査を頼んだり、或いはやる場合には連絡をしてやる。そういう意味の調整考えたいと……。飽くまでも知事市町村長が自分の行財政を全般的に運営して行くための最も強い、或いは実効の上がる仕方で監査を強化して行くのが適当じやないだろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。それと共に、中央におきまして財政上の見地からもう少し強い検査権は持つ必要がありはせんだろうかというようなことも、一般的に考えておるわけであります。まだ具体的に実はどうこうというところまで行つておりませんが、一般的な考え方はそういう程度考えております。
  92. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  93. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  94. 秋山長造

    秋山長造君 今の自主監査とおつしやるのはどういう意味なんですか。部長のおつしやつた自主監査というのは、現在の監査委員制度をも自主監査のうちに含めて言つておられるのですか。
  95. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 私申上げたのはそういうことです。自治体がむしろ自主的にやる監査で、今の監査委員制度を基礎にしてその機能がもう少しできるようにと、こういう考え方考えておるわけです。
  96. 秋山長造

    秋山長造君 今の監査制度がもう少し機能を発揮するというためには、やはり私先ほど言いましたように、今のような監査委員の任命方法なり、或いは監査部局の職員の身分関係では、これは幾ら号令を掛けてもできないと思うのですよ。監査制度を本当に強化して行くためには、どうしてもこういう身分上の問題に触れて考えない限り、これはもう人情として不可能なことを強いることだと思う。その点はもう少しはつきりしたことを考えられたらどうですか。
  97. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これは実は非常にむずかしいのでありまして、だから監査委員を任命方法根本から問題だとすれば、今知事議会の議決を得て、或いは議会側できめた者をも引つくるめて監査委員にしておるわけでありますが、それから離れた公選にするなり、議会だけの選挙にするなり、何か縁を切る体制を考えなくちやならないわけでございます。併しながらその執行関係と全然無縁のいわば対立的な関係になつて、そうした機構を作つたほうが本当に監査が円滑にうまくできるのかどうか、これも一つの問題でありまして、そうなればそうでの又いろんな弊害というか欠点も考えられるわけであります。相並んで選挙でもして、そして徹底的にやるんだという体制も考えられんではありませんが、併し私はまあそこまで行くんじやなしに、県政を運営する首長が全般の行財政を合理的に運営して行くための強力な手足として考えて行く。これは知事市町村長の責任なんですから、併しながらただ一般の執行部局ではなかなかできませんから、半独立的な地位を持つてそして仕事をやつて行く。こういうまあ体制がほどほどじやないだろうかというようなことで今日の制度ができておるわけでございます。  それからその職員の問題も、これは又むずかしいのでありまして、監査は国の監査でも実効を挙げるということが非常にむずかしいので、結局監査委員自体の人の手腕、能力の問題が基礎になりまして、なかなかいい人間を集めるためには、本当に独立して、監査委員に任せ切りにしたほうがいい人物が集まるのか。やはり各部、各局の仕事にも通じておるエキスパートを持つて行く必要がありまして、で、そこらの点のやり繰りがいろいろ研究を要する問題があろうかと思うのであります。完全に独立してしまいますと、却つて人材も集まらんというふうな問題もありまして、なおこれは御意見もいろいろおありでしようから、十分考えていい制度を作りたい。いずれにしろ意義のある制度を作らなければいけませんから、そういうことで研究いたしてみたいと思います。
  98. 秋山長造

    秋山長造君 もう一遍聞きますが、ではこういうことはお考えにならんのですか。今の監査委員制度では監査委員監査をやれば監査報告を出しますね、知事に対して。ところが大多数の県では監査委員から出た監査報告なんというものは知事は恐らく読んでいないと思うのです。もう監査のしつ放しでそのままで、報告は出せば出しつ放し、梨のつぶてみたいなもので、これじややはりいかんので、監査委員から監査報告が知事に出たときに、知事から必ず何日以内かにその監査報告に対して具体的にどういう行政措置をとつたか、或いはとる必要がなければ、こういう理由でとる必要がない、こういうことを逆に今度は知事のほうから監査委員にその弁明書を出す、或いは報告書を出すとか、何かそういう程度の義務を知事に負わせるようなことはお考えにならんのですか。
  99. 小林与三次

    説明員小林与三次君) いま秋山委員のおつしやつたようなことは考えたいと思つております。何らかの形で監査の結末をはつきりさせる、これだけは確保して行く必要がありやせんかと思つております。それとなおまあ考えておりますのは、監査委員監査の範囲をもう少し広くして、いやしくも自治団体経費が出ておる仕事ならば、如何なる仕事であろうとも見得るようにする必要がありはせんか、そういうことも実は考えております。なお、これはいろいろ御意見是非承わりまして、いい制度を考えたいと思つております。
  100. 秋山長造

    秋山長造君 それからもう一つ、先ほどちよつと話がありました中央の各官庁で、それぞれの補助金等の行方について地方団体監査をやつておりますが、こういうものを全面的に府県監査委員に委任するというようなことも、一つ具体的に法文の中に盛られる御意思がないのですか。
  101. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今の問題は、実は我々としてはそこまで正直申して行きたいのでありますが、それがためには自治体の監査機構が国がみんな安心できるだけの実力を持つようにならなくちやならんと思いますが、それでそこまですぐに行くことは、現在の段階では私は困難でありまして、まあ各省としてもそれぞれ仕事をやる以上は、仕事の執行について責任をこれは持つておるわけでありますから、少くともただ無統制にばらばらに行くことは困る。だから地方監査機構も使つて監査をやり得るようにする。更に仕事をやる場合には地方監査機構とも連絡してやるようにする。まあその程度この際考えたらどうだろうかと思つておるわけであります。
  102. 左藤義詮

    左藤義詮君 私飛入りでありますので、遠慮しておつたのですが、昨日平常考えておりますことを申上げたのですが、甚だ今の制度上自治庁がやろうと思つてもできないのか、或いは熱意がないのか、もつと地方財政を引締めて、負担を軽くすることに力を入れて頂きたいということをお願いしたのですが、一向これに対して具体的なお答えがないのでございますが、まあ敗戦以来非常に責任観念というか、道義が落ちてしまつて、とにかく税金をとつて使うのが役得だというようなことが非常に強くなつておる。今緊縮財政で一番引締めなければならん会計検査院等も甚だ不十分ではありましたが、最近少し馬力をかけて、一昨年の決算委員会の報告等を見ましても、非常な国の財政に穴があいておる。まあああいうほんの抜き打ちで僅かではありますけれど、会計検査院が眼を光らせているために、大分私は国の財政の問題については引締つて来つつある。これは地方の問題についても、只今秋山委員の御質問に対するお答えを聞いておりましても、監査制度というものが甚だ宙ぶらりんの、ほんの形だけで、実効のある本当のぴりつと引締つた監査ができていない。これに対して今のお答えを聞きましても一向抜本的な方策を講じようという御意図がない。いろいろ意見を聞いてああしようこうしようという、甚だ中途半端な私は態度だと思うのですが、自治権その他の問題もございましようけれども、相当メスを入れて終戦以来の弛んだ地方財政を徹底的に一つ検討するということを私は長官として、これはやつぱり政治問題としてお考えにならなくちやならんと思うのです。若し自治権との衝突等の問題がありますれば、そういう根本問題から解決考えて徹底的にこれはやらなくちやならん。例えば特別市制の問題、或いは自治警察廃止の問題等についていろいろな運動が地方にもあり、中央にまで来ている。その費用は一体どこから出ておるのか。この問題だけでも一つ調べて御覧になれば、実に私は会計検査院的な、今の程度の生ぬるい会計検査院のあの程度監査をなすつても、十分私は大きな問題があると思うのです。こういうことに対して昨日私お尋ねしても一向徹底しなかつたので、まあ私は誠に残念だと思いながらも黙つてしまつたのですが、今秋山委員お話に対する答弁を聞いても、事務的に困難はありましようが、これは一つ私は長官としてこの際積極的に多年の終戦以来の昔からの、特に終戦以来のあの道義の乱れた、使うだけ使つてそうして結局赤字が積り、地方の負担ばかり重くなつているということに対して、私は一番急所はここだと思うのであります。この監査制度というものをもつと筋金を入れることについて、長官として何らかの決意をお持ちになつているかどうか、それをお伺いしたい。
  103. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは地方の濫費を抑え、又財政を緊縮させなければならないということは、これはもう御指摘の通りでありますけれども、そしてそれを監査の形でやるか、殊にその監査を国の手でやるかということになりますと、問題はおのずから別になつて参りますので、これは昨日も申上げましたように、監査は絶対にやらなければならないけれども、国の手で地方自治団体監査までやるという考え方は、これは自治というものの基本の構想とまるで背反することで、それは私はやれないし、やつてはならないことだ。自治団体監査しなければならんならば、おのずから自治団体監査をすべき機関によつて自治団体性格と相容れた方法監査するという方向で持つて行かなければ、これは自治というものを破壊することになつてしまう、こういうふうに考えております。勿論自治団体の使用する費用でありましても、国から出ているいろいろの費用は現在すでに監査はいたしているのでありまして、自治団体のそれぞれの監査機関がやると同時に国からも、例えば私がおあずかりしております行政管理庁の監査部が相当大きな仕事の部分を、地方団体監査のそういう仕事に年々当つておりまして、相当の成績を上げております。ただ昨日から幾たびも繰返してお尋ねを受けておりますが、私は左藤委員のお尋ねの国が自治団体監査をすべきであるという考え方は、これは基本考え方として自分としてはとるべきでないし、とる意思はない、こういうふうに申上げる程度であります。
  104. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に進みたいと思いますが、御異議ございませんか……。  塚田長官はおたちになりますから、実は私三点だけちよつとお伺いしたいと思うのであります。これは次の議題にも入る前でありますから……。実は最近世論機関でも相当取上げており、特に又現在地方自治上重要な選挙が、府県知事の選挙がある。この三選の可否につきましては問題は当委員会にも法案として緑風会から出て審議中です。これに対しては自治庁では相当新聞にも強く批判をしておられ、特に現に自治庁の次長である鈴木次長は自治研究雑誌に九月号でしたか、これに対する御意見を発表しておられる。でこの点に対しまして長官としては、これはまあ委員会としては当然その法案に従つて委員の方々の御意見の御決定があると思つておりますけれども自治庁長官としてはこういう世論の問題に対しまして、又現実のこの選挙の問題に対してどうお考えになつておるかということが一点です。  それからその次に任期の点です。任期前に選挙に出る。而もその任期の前に出る何と申しますか、理由としては、来年の三月までに来年度の県予算を組み、これを議会で議決しなければならないが、その直後に知事がやめては予算執行に責任を負えなくなる、こういうような理由が出ておるわけです。それで先ほどからいろいろ地方財政については自治庁も次の国会に法案の準備もやつていらつしやる。各委員の方々もそれぞれの問題点を出していらつしやる。そこでこういうような重要なときに、それが表面の理由として正しい知事のあり方であるかどうか。又地方自治に対する財政責任があるところの知事のあり方かどうか、というような問題点と絡みまして、任期前の選挙の執行方法というものはこれは正しいあり方であるかどうかという点に対する御所見が一つと、それから第三点は、県庁の職長の方が或いは選挙運動をしておりはしないかというような疑いがあるように執務の場所を離れている、たくさん離れている。現に岐阜あたりに行つてみますると、各課とも課長もおらないというような状況で、殆んどその執務の場所は空つぽになつている。これでは県民に対しての県庁職員の奉仕の状態というものは不完全であるというような点もありますが、自治庁としては選挙時における県庁職員に対するまああり方と申しますか、これは自治庁長官は選挙管理委員会のほうも職務管掌の中に入つておりますが、いやしくもそのために県庁職員が違反を犯したというようなことがあれば、これは取返しのつかない問題ですから、そういう点は予防の見地からも、次々に行われようとしているこういう首長選挙あたりに、県庁職員のあり方としての以上のようなものについて、自治庁長官が或いはまあ通達を出されるとかというようなお考えはあるかないか、こういう点に対しての御所見を伺いたいと思います。
  105. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 第一のお尋ねの三選の問題は、私も当委員会にそういう御意向があるということを、又法案もすでに出されているということは承知しておりますし、それから考え方としては十分うなずかれる点が多々あると思つております。ただいつも自分といたしましては、憲法的にこの問題は若干まだ検討を要する点があるのではないかというように考えておりますので、すぐにこれを実施するというようなわけには参らんのであろうと、折角検討をすると、こういう考え方でおります。それから最近しばしば出ておりますこの知事が次回の選挙に出るために、任期前に辞任をされるということは、しばしばの機会に自分としては好ましくない、当然辞任をされるということは、自治法の中にもどういう場合に辞任をするということがきめられておつて、辞任というものはそれらの場合に行われるということが当り前のことなんで、その他の場合に行われるということはむしろ例外なんだ、併しそうかと申しまして、本人がやめたいと言われるのをとめるという、自由を束縛する形は恐らく法律には規定できませんからして、規定はしていないけれども、少くとも法律はそういうことはないとのと大体の場合においては予期をしておる。そういうような法の趣旨からいたしましても、選挙の時期を自分に好都合にするというような考え方で、そういう現象が殊に全国的に出て来るということは、自分としては好ましくないと、こういうような意見をいろいろな機会に表明をしておるわけであります。ただまあ個々の場合について問題をこれは検討いたしてみませんと、果して正当な事由があつて行われておるのか、そうでなくて、行われておるのか、これは個々の場合について検討いたさないとわかりませんから、一般的には自分はそういう考え方であると、ただ個々に若し問題があるならば、個々の事案について考え方を明らかにしたいと、こういうように申上げているわけであります。  それから第三の県庁職員の選挙運動、これはもう当然地方公務員法の建前として禁止せられておるのでありまして私どもも万そのようなことはあるまいと、こういうように思つておるのでありますが、御指摘のように問題があり、且つそういう傾向が極めて一般的なものであるといたしますならば、何らか御意見のように予防の見地から通帳なり何なりを出して注意したほうがいいかと、こういうように考えております。   —————————————
  106. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に入ります。競輪の納入金等に関する件、柳井車両課長が通商産業省から見えております。
  107. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 十九国会に自転車競技法等の臨時特例に関する法律案が出まして、この問題は地方財政の見地から当然本委員会は相当の関心を持つており、通産委員会に合同審査を申入れてはおつたのですが、併し終局がああいうような終局であつたために実現に至らず、通産委員だけの委員会ですんだわけです。そこでその際に少し質問申上げたいようなことがあつたのでありますが、ここに御質問申上げることにいたします。  競輪の問題についてここで批判するのは適切ではありませんが、これが始まつたときの理由は、戦災復興或いは災害復旧というようなことを主体に置いて始まつておるのですが、現在でも戦災復興或いは災害復旧というような題目、目的を以てやつておるのか、その後多少そういう目標が変つておるのか、その点について先ず聞きたいと思います。
  108. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 競輪の目的についてのお尋ねでございますが、当初法律ができました頃は戦災復旧、それから自転車産業の振興、この二つが主な柱だつたと存じます。その後も自転車産業振興という柱は続いておるわけでございますが、戦災復旧という趣旨は今日では時日が経過いたしまして、内容もズレて参つておる、こういうふうに存じております。併し地方財政に寄与するという当初からありました大きい目的の枠の中にあるわけでございますが、戦災復旧ということは若干時代がズレて来たというふうに考えております。
  109. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、現在は戦災復興は政府は余り目標としていないで、一般地方財政に寄与する、こういうことが現在では目標になつておるわけですね。
  110. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) そうでございます。
  111. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 自転車競技法等の臨時特例に関する法律によつてどんなふうな配分をしたか、その配分の仕方の表が出ておりますか。どんなところにどんなふうに配分したか。
  112. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) お手許に資料が差上げてございませんでしようか。
  113. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 資料について説明して下さい。
  114. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 九月の初め頃に協議会を開きまして、その協議会で配分を決定いたしたその資料をお配りしてあると思います。お配りしてありますもののずつとおしまいのほうのざら紙のほうでございますが、自転車競技等の臨時特例に関する法律による機械工業振興費収支予算、その次を開いて頂きますと、自転車競技法等の臨時特例に関する法律による納入金の使途について、というその表が協議会で決定いたしました配分でございまして、金が入つて参りますのは商工中金が納付を受けまして、それをこの枠によりまして、通産大臣の指示によつて支出をしておるという状況でございます。
  115. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 総額七億八千万、自転車だけのものが六億五千三百万、これですね。
  116. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) さようでございます。
  117. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この使途を見ますと、輸出用バスの車体の試作とか、こういうものが載つておりますが、これは自転車工業振興という目的の部面に入れているわけでございますな。
  118. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) この表は、競輪だけでございませんで、この特例法が御承知の競輪と、それからモーターボートの競争と、それからオートレースと、この三つをまとめて特例を規定しておりまして、この輸出用バス車体の試作というのは、これはオートレースのほうからの上り金によるものでございます。競輪のほうでございません。
  119. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今後も地方財政に寄与するというような意味から、通産省の方針としては適切なものがあれば許可するというようなお考えであるかどうか、通産省の考え方一つ伺いたい。
  120. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 新設のものの許可についての御質問と存じますが、これは問題が相当重大でございまして、且つ複雑しておりまして、通産省の方針といたしましては、御承知のように、昭和二十五年の鳴尾の騒擾事件がございまして以来、新設は成るべく抑制するという方針で参つております。でむしろそれよりも現にあるもの、昭和二十五年当時にすでに現在数程度のものがあつたのでございますが、現にあるものの弊害を努めて除いて行くと、その方面に努力を傾けて、その上で新設の希望の向きについては慎重に検討しようと、こういう方針で参つておつた次第でございます。ところが最近になりまして、新らしく開きたいという申請が十七ぐらいたまりまして、早く決着をつけろという要望が非常に強うございますので、実は本日午後競輪運営議会、この新設の問題について御審議頂くために、法律上設けられております審議会でございますが、この審議会を開催いたしまして、本日午後基本方針から御審議を頂きたい、こういう予定にいたしております。で、一般的には、私どもがいろいろ当つてみました御意見は、今新設のものが出て来るということは好ましくないという御意見が一般に強いようでありますが、一方におきまして、法律の建前と申しますか、公平とか機会均等とかいうふうな御主張もかなりございますので、その辺を噛み合せまして、審議会で諸先生方に御審議頂く、その結論によりまして、通産省としては方針をきめて、そうして具体的な処理に入つて行きたいと、こういう予定でございます。
  121. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この許可の標準の中に、税率の問題が一つ許可の条件になつておる。つまり標準税率以上であるということが条件になつておりますが、これは今まで厳格に守つておつたのか、又将来仮にこれを許可するようなことがあれば、これを厳重に守るかどうか、伺つておきたい。
  122. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 地方財政の苦しいもの、豊かなものによつて、許可する場合に区別をつけるかどうかという意味でございましようか。
  123. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうじやなくて、税収入の状況を見て、地方税はどういうものは何%というような標準がある。その標準以上に上げてもいいわけです、制限税率まで……。その標準より余計とつておるということを条件にしておるようなんですが、それが強い条件じやないかと思いますが、若し何でしたら財政部長のほうからお答え下さい。
  124. 後藤博

    説明員後藤博君) 私のほうからお答えを申上げます。自転車競技法の指定をいたしまする町村の条件の中に、税収入の状況というのがございます。それを調べることにしております。その場合に、普通税の税率が標準税率以上をとつていなければならないという条件を附しております。ということは、本来こういう仕事は地方団体がやるべきことではなく、臨時的にやることでありますから、本来ならば税の標準税率をとつてやるべきであると、若しも標準税率以下の町村でありますれば、税でやるのが本来の趣旨ではないか。それで税でやれない、増税で以てやり得ないということであれば、こういうことをやつてもよろしいという条件にしております。これはいろいろな場合に標準税率というものを一つの標準にしておるわけでありまして、標準税率以下のところは、先ず標準税率までとつて施設をやるべきではないかと、こういう考えであります。
  125. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それはよく今まで守らして来たのですか。
  126. 後藤博

    説明員後藤博君) 大体標準税率はとつておると思います。標準税率以下のところというのはそうたくさんございませんが、大体外れておると思つております。
  127. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 以上というのは、厳格な意味で以上なんで、標準税率を超すわけではなくて、そのままでいいわけですね、そういうことですね。
  128. 後藤博

    説明員後藤博君) そうです。
  129. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この配付をされた中で、大体配付先は公共的な団体にやつておると思うのです、性格上……。ところが、この中に株式会社科学研究所というのがあるのですね。これは成るほど株式会社ではあるけれども、相当公共的な研究をしておる団体であると思うが、少くとも株式会社なんです。一つの企業体なんです。企業体にこういう一種の補助金というものをやることについては、相当批判があると思うのです。これについてこの審議会できめられるときの事情をわかつておるだけ一つ御説明願いたいと思う。
  130. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 御指摘の科研に対しまする支出は、協議会でも議論がございました。株式会社の形態のものに公けの仕事をやらせるのはどんなものであろうかという御議論もございました。結局結論といたしましては、科研は株式会社の形態をとつておるが、併し仕事は公共的なことを現にやつておる。そうして、少くともこの仕事については、研究テーマをきめまして、そうしてかかる経費を積算いたしまして、流用などは絶対ないように監督をして、国の定めた研究をやらせるということで行くならば差支えなかろう、ほかに科研以外に適当なところもないしということで、決定を見た次第でございます。
  131. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私どもは、この二十九年度予算を扱うに当つて、恐らく三十億くらいに予想される国庫納付金を配付されるということを、非常に地方財政立場から歓迎したわけです。ところが、あとからこの特別法律案を出されて実は唖然としたわけです、正直なことを言えば……。併し事情いろいろあるようで、私どもその責任あとから追及しても始まらない話で、今更申上げませんけれども、これは一年限りということを初めから厳格に言つておりましたが、厳格に一年限りということは、これは課長に約束させるというのはお困りでしようが、事務当局としては厳格に守つておるつもりですか。
  132. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) この法律は、御指摘のように一年限りの法律になつております。この法律は、そのままにしておきますと、実は法律的には元の法律が生き返つて来るという関係に相成つております。元の法律と申しますのは、自転車競技法でございますが、その自転車競技法の納付金その他の関係条項のところが一応殺してあるわけでございます。そうして特例を定めておる。その特例が一年で消えまして、三月末で消えまして、そうして当然元の法律か生きて来るという形になつてわります。
  133. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そういうことは、今までの売上げだと三十億くらいになると思いましたが、それが国庫納付金として納めるというものが生きて来る、こういうことですか。
  134. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 放つておきますと、約二十億でございますが、数字を簡単に申上げますと、競輪だけで申しますと、売上が年間約六百億でございまして、そのうち施行者、市なり県なりやつておるところの純益と目されるものが約一割、六十億という概算でございますが、基本的な自転車競技法、元の法律によりますると、六十億の三分の一で約二十億のベースのものでございますが、これが国庫納付金ということになつております。放つておけばそれが生きかえつて来るという法律的な関係になつております。
  135. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 最近自転車振興会の連合会ですか、改組されて立派な役員ができましたが、地方の振興会は大体そのままやつておりますか。これはどこの県に開いてもこの自転車振興会の組織というものは非常なボスの集まりであるということは、どこでも異口同音に言うのです。そこで自転車競技をやつて行く限りにおいては、ああいう世話をする団体は必要でありましようけれども、これらについて改組する問題とか、或いは最も公用族を生んでおる温床になつておるのです。それは一つは恐らくあすこにどういう名前でしたか、一定の率によつてあの会に納まる金があるわけです。あれが高過ぎるのか、そういう点について御研究になつたことありますか。
  136. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 振興会につきましては、御指摘のようにいろいろな評判がございまして、私とものところにも随分入つて来るという状況でございます。これは施行者から振興会へ売上の三%の、お尋ねのどれだけの金が入るかということは売上の三%でございますが、三%以内の金額を振興会のほうへ払込むというふうになつておりますが、問題はその金額の高低の問題ではないというふうに私ども考えております。それで振興会につきまして、もう少し改善の余地はないかということは、この前特例法が成立いたしますときに、附帯決議として参議院のほうでも御決議なさつておることでもありますし、かたがた私どもも競輪が将来どうなつて行くかということは、振興会の内容にかかわるところが非常に大きいというふうにも考えておりましたし、現在振興会の刷新の対策を進めておる最中でございます。中央におきましても役員の更迭などを行いましたし、地方につきましては、現在ブロツク会議を開きまして刷新案を実行に移させるべく推進中という状況でございます。その刷新案と申しますのは、概略申しますと、役員の数が多過ぎることが御指摘のように一つの問題でございまして、それで役員の数を大幅に減らせ、実務上必要のない役員を大勢抱えておるというところからいろいろな問題が起きて来る。或いは評判が起きて来るということで、役員の数を大幅に減らさせるということ。それから大幅に減らしたその役員のうちで、成るべく学識経験者を多量に入れる。少くなつた枠の中で学識経験者を役員に入れるということによつて、振興会の人的構成の血を改善するというのがその刷新案の第一でございまして、刷新案の第二は、競輪その他の日常業務の運営をもつと合理的に持つて行くというのが刷新案の第二の骨子でございます。これによりまして目下推進中でございます。
  137. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今競輪を実行しているところは県も相当ありますが、市が非常に多い。県のほうでも多少そういう点はありますが、市のほうになりますと、特にやつている市だけは非常にこれで相当利益を上げる。併しながらこの附近、或いはそこへ出かけて行く人を多く持つているような府県市町村というのは、これによつて、まあ場外売というような制度もあるようですが、概して言えば迷惑を受けて、そうして利益が均霑されない、こういう問題は多分に競輪の性格上あるのです。そこで今自転車振興としてこういう納付金を取つて、国としての促進をすることも一つ考え方ですが、私の考えを以てすれば、市なら市が中心になつてつて利益を上げたら、それで利益の一部を市町村の共同の、或いは地方団体共同の基金に幾分繰入れて、そうして地方団体全体に幾分でも均霑さして、御迷惑をかけたお詫びというような気持を考えてもいいのじやないだろうか、こういうふうに考えるのですが、一つ主管課長としてはどんなお考でしよう。
  138. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 御指摘のように、競輪をやりますと、やるところは儲かる、はたは迷惑だという事情は事実ございます。それで現状を簡単に申上げますと、現在競輪場の数が六十三ございます。そのうち二つ休んでおりますから、正確には六十一でございますが、で、競輪の施行者、競輪を開催する主体でございますが、これは大体百二十くらいあろうかと思います。この百二十のうちには組合として何しておるものがございますから、関係しておる市町村の数で申しますと、二百を越えることになるかと思います。これは地方自治庁のほうで所管しております競輪場が六十ありまして、その市町村の数まで数え上げますと、三倍程度のものが競輪の施行者になつておるという状況でございまして、と申しますのは、必ずしも競輪場のある、競輪場を持つている市なり町なりだけが潤わないようにしておるわけでございます。そうして私どもは方針といたしましては、成るべく近所でやりたい、自治庁のほうで認定された競輪を行う資格のある者ですが、これに成るべく会場を譲つて、競輪場を持つている市が成るべく独り占めをしないというように指導はいたしておりますが、併し性質上万遍なく行渡るというわけには行かないものでございますから、御指摘のような点はなお残ろうかと存じますので、こういう点につきましては研究いたしたいと存じております。まだ従来別にこれらしい妙案を考えたことはございませんが、慎重に研究してみたいと存じます。
  139. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 迷惑を受けた度合に応じて払い戻しをする、利益配分をするというようなことは、実際上は迷惑するのは精神的なものであつて、又無形なものであつて、なかなか割出すわけには行かないと思うのです。そこで一つのプール的な基金制度のようなものにして、一定のパーセンテージのものを積立てる。そうして自治全体の共同の事業をやるなり、或いは特定な仕事をして行くというような考え方は、もつと積極的にやつてもらえないものでしようか。そういう研究を……。
  140. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 実際問題としては相当むずかしいと思いますが、研究いたします。
  141. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私ども地方財政立場からいつて、そういうことを言うからといつて、私どもは決して競輪が非常にいいからどんどん奨励して、そうしてその上前をはねて地方団体、施行団体は勿論、その幾分でも一定の率を積立てたもので一般に均霑させろと、こういう意味では決してないので、できれば競輪は廃すべきものである。併しながら、これが廃止することができないものとしたならば、迷惑を受けるほうには何らかの形で報いてやらなければならんのではないか。これは私は一つの社会正義だと思う。それを考えないで、これを人の迷惑は構わずどんどんやつて、いいところはいい、悪いところはできるだけ均霑させるといつても小さい市町村は均霑しつこない。ですからこういう点はもつと積極的に考えて行かないと、恐らくほかから恨まれて、そして競輪が妙な存在になつて来るということを一つ考え願いたいので、ただ社会的事実としてこれだけできて来たものを一遍に我々が反対したからといつて、つぶせるものではない。としたら幾分でも弊害を少くしたい。そして迷惑を受けたほうには一種の慰藉料的なもので、個々には上げられないから一定のブール計算で報いて行く。世の中では損害を受ければ損害賠償で、すぐ附近から損害賠償の問題が起つて、交渉して一々きめている。併し、この秘書は無形な損害だから附近の町村の人が口ではみんな不平を言うけれども、さあそれではどういう形で交渉していいのかわからない。そこで問題が表面に出て来ないだけで、均霑しない附近の町村というものはみんな不平を言つている。これだけはもう明らかな事実なんです。この点は一つ主管当局として十分お考えつて自治庁のほうとも相談されて、何らかのいい方法があればそういう方法考えて行くということに積極的にやつてもらいたいと思う。そうでないと、これはどうも団体が、これは会社ならすぐやかましく言うのだけれども、やはりやる施行者が自治体だもんだから、まあ近所の附合いとして仕方がないから泣き寝入りしているというのが現状だと思う。そういう点も十分考えて、施行者はその売上げの一定の率をこういうふうにしてこれが全体のものになつて行くのだと、こういうことがなければいけないと思う。だんだん秩序も立つて来た場合ですからして、その点を積極的に一つ御研究願いたいと思う。これはただ今日の問題だけでなく、是非積極的に推進して頂いて、競輪が一方に恨まれながらもそういうことがある、そういうことをやつているのだという一つの抜け道を作つて行くことも競輪のためにも必要だと思う。是非この点を私どもお願いしておきます。
  142. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 関連質問なんですが、実は最前お話の十幾つか現在申請があつて、今日から御審議になるわけですということ、今伊能委員からお話されたように、若しお説のように伊能委員も言われましたが、現在の状況において増設されること、増加されることは好ましくないということで、仮に殖やさないということになると、一層今伊能委員の言われたような問題が起つて来るのじやないかと思うのでございます。ということは、持つておるところだけが利益をして、初めに始めたところはうまいことをしておるが、あとからやろうとしてももうやれないということになろと、非常に不公平が生ずるという問題が今度の恐らく十六、七十た、私たちいろんなことも言われておるのですが、十六、七十たものについても、ああいうような恰好であれば我々もやりたいというのであんなにたくさん出ちやつて、非常に御迷惑をかけ、審議会でこれはどうかなされることと思うのですが、只今お話を伺つておりますと、今後非常に困難ではあつても、できるだけ公平な方法について研究してみたいというお話ですが、そうなると、仮に審議会の結果がどうなるか、仮に若干でも許すというようなことになつた場合には、その点についても、先ずそういう今後若し許すとする場合について極めて公平な、一ヵ所だけが利益を得ないような方法で許すとか、そうして他の既存のものについてもそういつた考えに順次ならして行くというようなことでないと、いずれにしてもここまで既成事実ができ上つていると、許してくれ許してくれというほうが、相当私どもも非常に頼まれたり、いろいろやつて実は困つているのですが、運動が強いと思います。今までのものはしようがないが、今後のものはいけないんだということになると、それについてはよほど今後のものはいけないということに対して納得の行く施策が同時に既存のものについてもなされないと、ここのところは非常に問題じやないかという感じを私どもは持つておりまして、今度の競輪審議会結論についても非常に注目をいたしておるのですが、或る程度いろいろな事情から許さなければならん、又お考えになる結論が出るかどうか、そういつた際にもそういうことで今後は逐次競輪の今の利益が一カ所だけの利益にならず、均霑しないような方行へも逐次進んで行くというような許可の仕方、そうして同時に全体が若干ずつでも公平な方向に行くと同時に、金がこういうような使われ方と同時に、本来のああいう金の吸上げ方が地方民の何といいますか、射倖的な精神から吸上げた金ですから、勿論こういう産業振興の面も必要かと思いますが、現在のような地方自治の各府県市町村財政が非常な赤字状態の際には、若干でもその赤字補償に寄与するような方法に全体として使われることが、我々地方行政の仕事にこうして参画している者としては望ましいのではないかという意味において我々も公平な方法でやれるものなら、今後のものも若干ずつでも許可されることはやむを得ないんじやないかという感じは持つております。その辺は如何でございますか。
  143. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) お説のように新設の要望というものは主として公平論から出て来ておるという実情でございます。これも非常に大切なことでございまして、一方において競輪場が総数としてこれ以上殖えて行くということは好ましくない面もある。弊害もあるんだからということで実は二つの柱のどの辺に妥当な線を見付けるかということが、恐らく本日の審議会でも最も問題になるだろうと思う次第でございます。それでこれが大局と申しますか、全体的に殖えて行くことは好ましくないというほうに審議会のほうのウエイトがかかりました場合には、お説のように公平問題というものが残ることになることになるわけでございまして、その場合におきましては、御指摘のような方向で検討いたしたい、かように存じます。
  144. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか。
  145. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 一言財政部長に伺つておきたいのですが、この競輪の利益金というものは地方財政計画の中で雑収入の中に見積つておるのですか。それで見積つておるとすればどのくらい見積つておりますか、利益を。
  146. 後藤博

    説明員後藤博君) 今ちよつとはつきりした数字を覚えておりませんが見積つております。雑入の中に、一般会計の中に入つて来た分だけを見ております。
  147. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その計画と、あとから実績を見たときに、計画よりいつも多いか、或いは少いか、大体傾向はどうです。
  148. 後藤博

    説明員後藤博君) だんだん競輪の収入が殖えて一般会計に入つて来るものが殖えております。併し私ども現在の計画では二十五年の決算をとつておりますので、その決算のときの実情が入つておるわけであります。それよりも現実の収入が二十六、二十七年は多かつたと思いますので、我々が見ておりますものよりも、実際の雑入の中に入つておるものは多くなつておると思います。
  149. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、具体的に各県市町村交付金をきめる場合に、当然競輪をやつている団体に対しては、推定される雑入としてそれを見て交付税が交付されると、こうなつておるわけですね。
  150. 後藤博

    説明員後藤博君) 交付金及び交付税は御存じのように税収入だけを見ております。基準財政収入は従つて雑収入は入つておりません。併し、余りにこういう雑入というものが多い場合にはそれは特別交付金のときに差引くと、こういう恰好になつております。
  151. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、一般交付税、まあ昔の古い制度では平衡交付金、これは競輪の収益というものは考えないで、僅かに特利交付金或いは交付税のときにこれが斟酌されると、こういうふうに考えていいわけですか。
  152. 後藤博

    説明員後藤博君) お説の通りであります。
  153. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方財政立場から言うと、柳井課長に聞いてもらいたいのですが、そういうふうに大体本来の本筋の歳入にしていないくらいになつておるので、それだけいわばあぶく銭なんです。地方団体から誓えば、そういうものを使つておるということを御承知になるならば、さつきの公平の関係はともかくとして、地方財政に寄与するのだというようなことは、事実は多少あり得る。多少ではない相当あり得るのですが、いわゆるあぶく銭だから、赤字財政があるからというので許可するという方向に行くと、とんでもないことになるということをよく御承知願いたい。近頃非常に団体が赤字を出しておりますから、赤字財政をこれで何とかして行きたいというのだつたら、これは丁度事業に失敗したから株でも買え、富くじを買えというのと同じことなんです。非常に不健全な財政なんだということを御承知になつて、少くとも赤字財政を幾らかでも助けようという考えは、考えられないか。一つ許可の標準にしてもらいたい。この点は是非一つお願いしておきます。
  154. 後藤博

    説明員後藤博君) ちよつと補足いたしたいのですが、交付金の計算、交付税の計算には入つておりませんが、起債をつけます場合には、臨時事業につきましては、こういうものがたくさん入つておりますところは、一般会計の起債をやはり押えております。従つて地方財政全体とすれば、交付税のほうで普通交付税には関係がないが、つまり交付税全体としてはマイナス条件に立つておる。やはり同時に起債のほうもマイナス条件に立つておるということで、これで起債をセーブしておるわけです。その方面が大きな要素だと思います。ここにありますように、学校とか住宅とか、いろいろなところに二〇%以上使つております。これは大体市町村起債をつけますときは、やはりその状況を、売上げの収益金の状況を見て起債をつけておりますので、そちらのほうが非常に大きくなる。これがなくなると、そちらの事業に要する起債をやはり振向けてやらなければならないというふうな問題が出て来ます。
  155. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の関連質問でありますけれども、通産省に伺うのですが、結局起債の問題とそれから特別交付金で加減されるということになると、若し競輪をやつて予期した目的を達せられないということになるならば、赤字の更に上塗りをするということにもなりかねない状態になると思うのであります。そこで確実に一体どのくらいの確率を以て儲かるか儲からないかという点は、許可の一つの条件として強く考えられているのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  156. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 輪競場新設許可の問題は、基本的にはほかの仕事とやや趣きが違いますので、審議会意見基本方針をきめて行く、そうして基準も審議会に諮つた上で決定をして行きたい。こういう予定にいたしておりますが、私ども考えを申上げますと、お説の通りでございます。始めてみたが、赤字になるかも知れないというようなものは、当然これは許可の対象からははずれるものだと、かように考えております。
  157. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは、市長村の財政状態を一番明確にわかつておりますのは自治庁でございますから、許可については、通産省はそういう点自治庁に何か特別連絡するような関係が現在持たれているのですか。
  158. 柳井孟士

    説明員(柳井孟士君) 新設の許可に関しましては、法律上は通産大臣の専決になつておりますが、事実上は自治庁と十分御相談申上げて、若し幾つか許可するということに方針がなりました場合には、具体的の問題につきましては、自治庁と十分に協議の上で処理して行きたいと、かように存じております。
  159. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは大体午前、午後の議題は済みましたが、これで散会してよろしゆうございますか。
  160. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 財政部長にちよつと伺いたいのですが、各団体が非常に現在いろいろな負担金を出しておりますが、何々協会とか何々審議会とか、こういうものを自治庁調査しているという話を開きましたが、調査しているものがあつたら、この次の機会に見せてもらいたい。調査していなければそういうものを自分で調査するか、或いは知事会なり市長会なり町村長会、そういうものに対して、恐らく資料は持つていると思いますから、取り寄せてこの次の機会に資料として出して頂きたいと思います。
  161. 後藤博

    説明員後藤博君) ちよつと速記を……。
  162. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  163. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会