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1954-09-14 第19回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十四日(火曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————   委員の異動 九月十三日委員石村幸作君辞任につ き、その補欠として岩沢忠恭君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            小林 武治君            伊能 芳雄君    委員            伊能繁次郎君            川村 松助君            木村 守江君            長谷山行毅君            館  哲二君            松澤 兼人君            寺本 広作君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治政務次官  石村 幸作君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁選挙部長 兼子 秀夫君    農林省農地局農    地課長     小林 誠一君    林野庁林政部長 奥原日出男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (市川房枝君外一名発議) ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (館哲二君外二名発議) ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (町村合併に関する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から地方行政委員会開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(参第一二号)、(参第十号)を議題に供します。  それから今後の審議方法ですが、昨日は衆議院関係の五党会談における公職選挙法の一部を改正する法律案についての大体のまとまり及びまとまらない点、こういう点を法制局から聞いた若けでございますが、この法制局説明しました資料は、お手許に配付されてあります公職選挙法及び政治資金規制法改正案要綱、これでございますが、これとそれから又お手許に配付してありまする緑風会から出されました公職選挙法の一部を改正する法律案(参第二一号)、この要綱ですね、この要綱にきまして照合しつつ審議をして行くというような審議方法をやつて行きたいと思いますが、それでよろしゆうございますか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそういうふうにいたします。
  4. 福永与一郎

    専門員福永与一郎君) お手許にタイプで打ちまして、謄写版刷にいたしました公職選挙法の一部を改正する法律案要綱というのを差上げてあるはずでございます。これは記入を落しましたけれども、実はいわゆる緑風会案要綱の形にいたしたものでございます。法案は御承知のように形が非常にややこしくなつておりますので、要綱のほうが御審議に御便利かと思います。只今からその要綱を朗読いたします。   (一)衆議院議院選挙について小選挙区(一人一区又は二人一区)制を採用することとし、次の総選挙から施行するものとすること。」
  5. 小林武治

    小林武治君 これはまあ一つ一つおやり頂くがいいと思いますが、私はこの第一の小選挙区の問題について一応申上げておきたいのでありますが、このいわゆる選挙区制の問題は、各党態度として決定すべき重要な事項でありますので、今回におきまして、この内合を多少修正すれば採用できる、こういうことであるならば、内君についてつぶさに審議するのも意味があろうと存じまするが、恐らく現在の段階におきましては、多少の手直しをして然るのちにこれを採用するとかいうふうな段階に私はないであろうと、こういうふうに考えておるのでありますが、それでも委員各位がとにかく委員会態度を先がけてきめられる、こういう御趣旨であればこの審議をすることも非常に意義があろうと思いまするが、今私の申したような事情でありますので、その辺のことを一つ委員各位から伺つてから内容に入つたらどうかと思います。即ち内容を多少でも直せばそれでいいことになるのか、内容がどうあろうと小選挙区制には反対だ、こういうふうな考え方もあろうというふうに思うのでありまするが、その辺のところをどういうふうにお考えになるか、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) この点につきましては、まあ、昨日の衆議院法制局からの説明で別途の資料にもありまするように、衆議院空気が出ておるわけでございますが、こういう点を先ず勘案して行くべきふどうか、まあこれは只今提案者小林委員から言われましたように、参議院は独自の考え方でただ小選挙区という問題についての意見、この意見だけをここで集約して、そうして細部の内容に亙つて検討するか、こういうような一つの問題になりはしないかと思いますが、先ず衆議院のほうはただ一応の参考として考慮しておくのだ、両点はやはり当委員会としては只今小林委員から言われましたように、現に提出されておるこの法案のうちの小選挙区問題を一体どうするかというような点についての各委員からの御意見一つ承わつてみたいと思います。
  7. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは手続の問題ですけれども、こういうふうな書類を出されるときに、出所を明らかにして頂かないと、どういう性質のものかわからないのです。先ほど要綱をお読みになりましたときに、これは緑風会の案を要綱の形にまとめたのだということでありますから、これはわかるのです。ここに又小選挙区制についてというのが出ておりますが、これは緑風会のお考えなのか、或いはどこかほかの所で考えられたのか、どこどこの試案だとか、或いはどこどこの案だとかということを書いて頂かないと困るわけです。これはどういう性質のものですか。
  8. 小林武治

    小林武治君 今の松澤さんのお話は、緑風会がこの案を立案した趣旨を述べたものであります。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 小林さんからお話がありましたけれども、私小林さんに実はお伺いしようと思つていたことは、小選挙区ということがこの今配つて頂いたものについて見ますと、一人区は二百二十区、それから二人区が百二十一区、で選挙された議員の数が一人区では二百二十人、それから二人区では二百四十六人、こういうふうになつておるようであります。原則が一人区であつて、二人区も採用する、或る経度まで相当大巾に二人区も採用するということであるようであります。この前も私申上げたのですけれども、私のほうの党では二人、三人区ということもこの際考えてみる必要があるのじやないかということで一応の案を作つておるわけです。そして緑風会の案は原則を一人区として、二人区も相当大巾に採用しておる。私の所では二人、三人区という、いわば現在の選挙区と、それから緑風会考えておられる小選挙区とのまあ妥協と申しますか、そういう形のもので、一挙に一人区ということに切替えることはいろいろの事情でむずかしいかも知れないから、二人、三人区ということで、現在の三人区四人区五人区というものを切替えて行くということができるかどうかという問題を現在話合つておるわけでありまして、個人意見を言えば、私個人は一人区を原則として或いは二人区というものも考えるということで結構だと思います。けれどもこれは地方行政委員会に出ておりましても、個人意見を申上げるというわけにも行きません。従つて党考え方はどうかということになりますと、やはり党内にはいろいろありまして現行制度がいい、こういう考え方、或いは一人区制がいいという考え方、そうして先ほど申しました二人、三人区という考え方もありまして、現在のところまだどういう制度を採用するかということについては結論を出しておりません。併し小林君のおつしやたことに対する答弁としましては、或る程度まで二人区というものを幅を広く考えて頂けるようならば、そこに何らかの話合いがつくのじやないか、こういう気がいたします。併し今小林君が各党意見ということを聞かれまして、ただそれに対する社会党右態度はこうであるという具体的な確定したお答えをすることはできないのです。これはどこの党でもやはりそうじじやいかと思うのです。そういうわけでありまして、緑風会の一案に立ちに賛成するとも、しないとも申上げられないわけで、内容についても多少承わり、いずれ党のほうと相談して、そのうちにと言つちや失礼かも知れませんが、そのうちにだんだん党の態度もきまるならばそれではつきりしたお答えができますし、又昨日お伺いしたように、選挙区画委員会を作るという話であれば、それに社会党右も勿論参加して行くわけでありますから、そこで何かの結論が出れば、それに対して党として賛否をどうするかという決定がなされることと思うのであります。今すぐに態度はどうであるかということを聞かれるほうもちよつと無理だと思うのですが、答えるほうもちよつと無理の立場一つ御了解して頂きたいと思います。
  10. 寺本廣作

    寺本広作君 小林委員から提案者として小選挙区制をとる場合に、区制内容を成る程度鋳直しすれば、案は各委員の賛成が得られるかという意味お話つたと思うのです。昨日衆議院三浦法制部長の話によりますと、衆議院の五派会議では一致して選挙区のこの区制の問題は選挙法改正から外して別個法律で作ろう、そうしてその方法としては区画決定する委員会、バウンダリー・コンミッション、そういうものを作ろうということで皆意見一致しているという説明でしたから、衆議院のほうで折角五派の意見一致しているならば、それには一応敬意を表していいのじやなかろうかと私は考えます。と申しますのは、そのほうが選挙法国会における成立が非常に容易になりはせんかということが一つと、それからもう一つ衆議院一致した意見によりましても、このバウンタリー・コンミッションに参議院から三人入れるという、ことで、参議院相当敬意を表しております。併し参議院利害関係が比較的区制決定については低いという意味適格性はあると思いますが、利害関係が非常に薄くなるということは、又一つはその適格条件を欠く原因にもなろうかと思うのです。そういうわけで衆議院区制内容別個委員会に譲りたいと、こう言つているのに、参議院でこの区制内容を細かく具体的にきめて衆議院に送るということは法案成立という点からだけでなく、やはり区画決定についての利害関係者としてこの際は控えたほうがよくはなかろうかと、こういうふうに考えます。
  11. 木村守江

    木村守江君 選挙区制の問題ですが、これは御承知のように、私のほうの党でもまだ結論が出ないことは先ほどの御説明通りであります。併しこれは選挙法改正ということにからんで選挙区制改正ということもこれは必然的に考えなければならない重要な問題だろうと思うのです。そういう点から考えまして、今寺本委員から言われたような事情もありましようが、これはやはりそういうふうな選挙区だけを決定する別個のいろいろな機関を設けるにいたしましても、やはり折角ここまでいろいろ資料を集められて立案されたものですから、この説明を聞いておくということも将来これは選挙法改正選挙区制改正ということに非常にこれは役立つことになるんじやないか。これを必ずしも参議院でやらなければならんかどうかということはこれからの研究の結果だろうと思うのです。現段階においては折角長い間お骨折を頂いて恰好をつけたものだから、聞いておくほうがいいんじやないだろうかと思います。一言申上げておきます。
  12. 小林武治

    小林武治君 今の寺本さんの御意見ですが、衆議院の昨日の案、小選挙区にするかどうかということをあの区画委員会できめるのでなくて、小選挙区にしようじやないかというその決定があつて、然る後にあの委員会じやないかと、こういうふうに思うのですが、それで実はこの選挙区制の問題を取上げれば、別表がなければ法律としては意味がない。従つてただ政策として小選挙区制をとるということを参議院がきめるというのは、これは法律問題ではなくて、お互いにそういう政策を出す、声明するということだけですむ、こういうふうに思うのでありますが、而して衆議院そのものが小選挙区制をとるかとらんかということはまだ全然きめていない。それを小選挙区制にするということをきめて、初めて私は今の区画委員会というものができる段階に入るんだと、こういうふうに理解しておりますが、従つて私はそれが若し衆議院にできるといたしましても、とにかく国会においてこういう案があるということは衆議院においても論議の基礎になるということで、私はこの問題の解決にやはり一歩を進めることになるというふうに思つております。而して我々がこれをも今棚上げしてしまうということは、決して私は、衆議院審議敬意を表することにはなるかも知れませんが、審議却つて又停滞さしてしまうという心配を持つております。従いまして、できるならばやはり一つ参議院としての態度をきめて行くということが、私は国全体としてこの問題の解決に非常に役立つのではないかというふうに考えております。又改進党でも、この前の国会におきましては無論未定稿でありますが、二人区或いは三人区の三人を最高とする小選挙区制をとりたいという案も御発表になつております。これが無論党として正式におきめになつたものではないかも知れませんが、外には発表されております。従つて改進党の中にも小選挙区がよろしいのだというこういうふうな空気と申しまするか、考え方があるというふうに思つておりますが、そのほうは十九国会だけの問題にして、今度は改進党の参議院としては意見を言わないことにする、こういうことになるのかどうか、承わつておきたい。
  13. 寺本廣作

    寺本広作君 昨日の衆議院法制部長の御説明では、とにかく小選挙区制をとるかどうかということについては意見一致はなかつたが、選挙区画をきめるのには区画委員会を別に作りたい、別個法律にしたいということには意見一致を見たという説明であつたと私は思うのです。衆議院がそういう体制であればこの選挙法改正はやる、区画問題は別個法律にしたほうが法案成立が楽になるのじやなかろうかというような私の考え方です。それから私のほうで、衆議院側で小選挙区制をとつた場合のこの選挙区域の問題について試案が出ております。併しこれは党として正式に決定したものではありませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  14. 小林武治

    小林武治君 もう一つ伺つておきたいのですが、今選挙部長ちよつと伺いたいのですが、昨日の考え方は小選挙区制をとるということをきめて、而してあの区画委員会ができる、こういうふうに思いまするが、これは私は何だかその事態を糊塗している考えではないか。即ち組織は何とかやろうじやないかということな伺つただけで、一番大事な小選挙区制をとるかとらんかということは全然未決定である。だからしていわば先のほうのことをきめて元のほうのこと全然決まつておらん、こういうふうに了承したのですが、そうじやなかつたのですか。
  15. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) 私衆議院選挙法委員会にずつと列席いたしておりましたのですが、衆議院のほうの五党の間では昨月三浦法制第一部長から御説明がありましたように、小選挙区制をとるということには決定は至つておりません。相当小選挙区制をやろうという強い意見はありましてそれが全党一致でありませんので決定はいたすことはできなかつたのでありますが、仮に今後選挙法特別委員会のほうでそれが仮にきまりました場合には、そのあとの段取りを考えておかなければいかん。そうするとイギリスに非常にいい制度があるからそれをモデルにして考えたらどうかということで、区画委員会考えられたようであります。でありますので、小選挙区制度を採用ということが前提になつてあの組織考えられておりますので、小選挙区制をとるということがきまらなければ、従つてあの組織は要らなくなる、そういうふうに私どもは理解をいたしております。
  16. 内村清次

    委員長内村清次君) この点につきましては、選挙部長のほうでは昨日の説明と少し重さのかけ方が、委員かたがたの把握された重さのかけ方がちよつと違つたような感じがしたわけですね。それで私も重要と思いまして、現に委員会のほうには緑風会から出て小選挙区制というものが論議されておるというような経緯もありますから、衆議院関係の問題ではあるし、直接の問題ではあるし、そこで委員長で質問したわけですけれども、とにかくこの中に小選挙制を採用するか、二人区を原則とし、一人区及び三人区を認めることとするか、大選挙区制を採用するか、この(ハ)の項が一つある、こういうようなことで、まだ選挙区制の問題については割り切つたことでなくして、勿論重点はそういう小選挙区制というものを或る程度重点にしておくが、まだはつきりした選挙区制ということはやはりその中でも一つ検討しようじやないか。こういうふうなことに皆理解したわけですが、そうするとこれはちよつと臨時国会法律として出す、それからこの区画委員会というものができて検討する、そうして小選挙区というものが重点になるけれども、これが決定になるというようなことは又相当先の問題になりやせんかというようなわけで、僕たちはそのとき理解したわけです。だから先ず小選挙区を決定する、そうしてその後にこの法制委員会作つてこれに従つたところの区画考えるというようなことだつたなら、これは道筋はわかつております。そうしますると、参議院としてはすでにそういう時期が到来しておるから、むしろ参議院としてはこれを可決をして、或いはまあ反対もあるかも知れんが、とにかく一応これを議題に供して賛否を決して、若しも通つた場合のときには、それが一つの大きな参考となつて衆議院のほうに責任を一つ明確にしてもらおうということが出るわけです。その点で寺本先生も先ほどのような意見も出されたのです。問題は刺激することは、確かにやはりここで法案内容木村君言われましたようなことで審議をして行きますれば、これは当然刺激はしますが、問題はそれだから委員長として最初言いましたように、どうするか、そういう衆議院のほうの五党会談内容は大体一応腹に納めても、こちらは提案されたところの法案審議をずつと進めて行くかどうかということを先ず皆さんがた参考として発言したわけです。それだからあなたのように言われると、結局はやはり第二のこちらはどんどん進めて行くというようなことになつて行くわけだ。
  17. 兼子秀夫

    説明員兼子秀夫君) どうも私の只今説明が誤解を招いておるようでございますが、衆議院のほうの五党小委員会の動きでは、勿論参議院のほうの継続の法案も考慮に入れて御検討になつたのでありますが、各党のそれぞれの立場が勿論である。でありますから、きめられないということはあつたのでございますが、又各党から出ておられます代表の委員のかたの意見も全部一致はいたしておりません。従つてここにその問題を処理いたしました事項の(イ)(ロ)(ハ)全然違つた考え方が並列されておる次第でございます。でありますが、小選挙区制を採用することに仮にいたしますれば、それを実施するものがなければならん。当然それはあと区画の改訂という問題が起つて来ますから、そういう組織考えておく必要があるのじじやいか。それで党に帰つてその党の態度お互いがよく話をしてきめて持ち出そう、それは五党の小委員会でなく、選挙法特別委員会態度をきめることになるだろう。このような結論に達したと思うわけであります。私はまあそのように理解しておりますので、先ほどそのつもりで申上げた次第であります。
  18. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    午前十一時五十分速記中止    ——————————    午後零時二分玉記開始
  19. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記始めて。  暫く休憩にいたしまして、陳情を聞くことにいたします。    午後零時三分休憩    ——————————    午後二時三十一分開会
  20. 内村清次

    委員長内村清次君) 午前に引続いて地方行政委員会開会いたします。  委員のおかたがたにお諮りすることがございます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  21. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をつけて下さい。  それでは委員会を一日延会をするということ及び日程の件につきましては、明日の午前にに理事会、午後からは地方行財政、災害問題を、含めた日程を組むことというようなことで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あわ〕
  22. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように決定をいたします。
  23. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは議題に入りまして、町村合併促進に関する件を議題に供します。  それから審議の点につきましては、先ず問題点伊藤専門員のほうから提起こさせますから……。
  24. 伊藤清

    専門員伊藤清君) 町村合併促進法施行状況につきまして、従来議員派遣等の機会におきしまして問題となりりました農林省関係農地法特例、これは町村合併促進法第二十条の規定でありますが、不在地主が一代限りということの解釈農林省はとつておられるようであります。この点につきまして、自治庁との解釈も食い違つておるように存じますので、そういうような点につきまして、先ず農地法特例について政府委員の方針を本日お尋ねするということにいたしたらと存じます。  それから第二に、従来から国有林野払下げを非常に熱望しておるのでありますけれども、それが思うように払下げをしてもらえないというような声もございます。これは法第十七条による国有林野整備臨時措置法特例でございますが、その施行状況等につきまして、この際収上げて頂いたらば如何であろうかと、まあかように存じております。なおその後の町村合併促進法一般状況につきましては、自治庁のほうから説明を求めるというようにされたらは如何かと、かように存じております。
  25. 内村清次

    委員長内村清次君) 大体以上の点を委員長のほうでは準備いたしたわけでございますが、この順序で進めてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 内村清次

    委員長内村清次君) それではさようにいたします。
  27. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今お話のありました町村合併促進法第十七条の現在におきまする施行状況を先ず御説明を申上げたいと存じます。お手許にお配りいたしておりまする資料について御覧を願いたいのでございまするが、林野庁及び営林同署に対しまして、町村合併に伴いまして、国有林払下げ陳情が出て参つておりまするのは、一表にいたしてお手許にお届けいたしております。件数にいたしまして全体で二十四件、面積にいたしまして七千四百三町歩でございます。なおこれに対しまして現在までに町村合併に伴いまする国有林野の売払い及び交換を実施いたして参りましたものは更にその裏の表としてお手許に差上げてございまするが、すでに処分をいたしましたものは秋田の一件でございまして、その他の分につきましては、これを希望通り売払うということに決定いたしておる次第であります。  なおこのお手許にお配りいたしました表のほかに、各委員御案内の通り林野庁におきましては、昭和二十六年以来国有林野整備臨時措置法に基きまする国有林の売払い交換を進めて参つておるのでありますが、この規定によりまする売払い交換は明年三月を以て一応終止符を打つことに相成つている次第であります。然るところ町村合併促進法の制定に伴いまして、従来あの法律に基く売払い交換として話を進めて参つておりましたものが、新しい町村に対して売払い交換をしてもらいたいというふうにお話の乗り替つてつておるものもこれ以外にございまするのでございましてそれらにつきましても、我々のほうとしましては検討を加えて、それぞれ処理を進めて参りたい、かように考えております。
  28. 小林武治

    小林武治君 数字ちよつと違つておりませんか。
  29. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 今のを修正いたします。違つた数字を申上げて甚だ恐縮でございます。少し古い数字手許に持つておりましたものですから、件数にいたしまして三十四件、面積にいたしまして一万七十七町歩というのが現在におきまする払下げ陳情のありましたものでございましてなお現在処分し或いは決定をいたしておりますものについても、その裏にあります表について御覧を願いたいと思います。
  30. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 町村国有林の経営能力というものはおのずからあるだろうと思うのですが、普通の場合どのくらいまでを、整備法によつて最高どのくらいまでを大体考えておられるか。又町村合併をした場合においては、その普通の町村に対して整備法でやつておる枠よりも大きいものをやるというような考えでやつておられるかどうか、この点を伺いたい。
  31. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今の御質問に対しましてお答え申上げます。国有林野整備臨時措置法に基きまする処分につきましては画一的な率をきめておりません。これはその地方におきまする森林所有の集約度の問題、或いはその山林自身の用材林或いは薪炭林としての施業上の問題、そのほかいろいろのことによつて相違をいたす点がございまするので、画一的な基準を定めて、この程度のものを市町村にお渡しするということは却つて運用の弾力性を欠くと存じまして、画一的なものをとりきめないで、それぞれ実行をいたしておる次第であります。併し大勢的に申上げますれば、北海道、東北等のごとく国有林の分布が集約的であり、且つ土地所有が非常に零細化しておらないという地帯におきましては、或る程度の大きさのより大きいものをあの法律により処分し、又九州、四国のごとく、或いは中国のごとく、それと全く違つた状況下にありますものにつきましては、あの法律によりまして処分いたしまするものの大きさが非常に小さいということは、それぞれの地方の実情に応ずる当然の結果であると、かように考えておる次第であります。  なお町村合併の場合において国有林野整備臨時措置法の規模に関しまする考え方に弾力性がないかどうか、こういうお尋ねにつきましては、私たちは項目といたしましては、国有林野整備臨時措置法のあの項目によつて実行いたして参りますことが十七条の制定されました趣旨に副うものであると、かように実は考えておる次第でありますが、規模等に関しまする考え方については一般的に林野整備をいたします場合と異りまして、弾力性のある考え方をとり得るのではないか、かように我々は考えておる次第であります。
  32. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 つまり別に標準というようなはつきりした、ものはないから、個々具体的な問題によつて出願している町村がそれだけの能力がありや否やという判定を下してやつておる、こういうことなんですか。
  33. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) そうでございます。
  34. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、町村合併ができれば合併のできただけ能力がだんだん大きくなつて来る、今まで甲村というのが自分の地内で何町歩かの申請をしておつた、それが甲乙丙丁というような四つなり五つなりの町村が一緒になつてへ、まで甲の地内にあつた国有林払下げを又改めて申請をしておるというような場合には、経営能力というか、そういうものが大きくなつて来たのであるから、今まではそんなに能力がないと見られておつても、合併によつて能力ありと見られる場合も相当あり得ると、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  35. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今お尋ねのありました点は、単に町村の区域が大きくなつたから経営能力が増大するというふうなことでなしに、要するに基本財産としてその林地を末長く経営して行こうというその町村の意欲と、更にその意欲が具体的に施業計画の上に載せられておりまするその姿、そういうふうなものによつて考えて参りたいと、かように考えておるのであります。ただ先ほども申上げましたように、町村合併自身の場合におきましては、弾力性の問題については通常の林野整備の場合よりも巾をもつて考えるのが、これが町村合併という趣旨にも即応するゆえんであろうと、こういうふうに考えておる次第であります。
  36. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 先ほどの数字は、今までの整備法でやつたのはたくさんあるが、町村合併促進法に基いての申請は全部で三十四しかないというのですか。
  37. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 我々の出先及び本庁において把握いたしました情報に関する範囲においてはこれだけでございます。
  38. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 情報によつてと言うけれども、時間的なズレはあるにしても、あなたのほうへ報告が皆来ることになつているのですか。それとも営林局限りでこういう問題は片付けて行くように扱つているのですか。
  39. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 営林局署に対しまして町村合併促進法に基く要請が出て参りました場合には、必ず林野庁に報告をいたさせると、こういうことに取計らつております。
  40. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、多少時間的なズレ以外には大体正確な数字と見ていいわけですね。
  41. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) さようでございます。
  42. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 促進法でやつて頂くしとは私ども心から希望するのですが、今の秋田の一件などを見ますと、千三百何町歩というような数字なんですが、こういう厖大なものを町村が果して経営できるのかどうか、管理して行けるのかどうかというかなり疑問を持つのですが、小さい所では県有林だつて何千町歩しかさせないのですから、どんな村か知りませんが、こういうこうな問題はどういうふうにお考えですか。
  43. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今お話のありましたこの具体的な案件についての我々の見解は、まだこの席で御披露申上げるだけの結論が熟してございません。併しながら只今お話のありましたようなことと関連いたしまして、実は我々がこの問題を処理するに当つて痛切に感じておりまする悩みと申しますか そういうものをお汲み取り願いたいと、かように存ずるのであります。即ち合併いたしまする町村の側におきましては割合に楽な気持で、申請さえすればそれが許されるのだというふうな判断から、経営能力の如何を問わず、非常に厖大なものを持つて来られる次第であるのであります。併しながら我々の林業技術者連中の判断によりましても、やはり山の経営というものは決してしろうとが簡単にできるものではないのであります。専門のスタッフを相当整備してそうしてそこでちやんとした施業計画を組んで、而も燃えるような林業意欲というふうなものの上に立つのでなければ、これはもう到底できない仕事であると、かように考えるのであります。現在町村がいろいろ公有林を持ちまして、その大部分のものの経営は決してうまく行つておりません。民有林の全体の一町歩当りの平均蓄積を比べてみますれば、民有林に比べまして、町村有林がそこに余りにも顕著な低さを実は持つておりまするような次第であるのであります。それは町村有林の経営についてはよほど傑出した衆を率いる力と熱を持つた指導者が長い期間に亙つてその町村を指導して行つた村にして、初めて立派な基本財産としての町村有林を持つているという事実上の結果を示しておる次第であるのであります。規模の問題は、これよりも遥かに小さい仮に百町歩足らずの申請をしておる場合におきましても、その傍ら新らしくできましたその市が別に二千町歩の市有林をもとの町村から受継いでおる。而もその市有林自身の経営は、しかくうまくやろうという御努力を余りなさらないで、たまたまそこにある百町歩足らずの国有林の林太が実に立派に育成しておつて、市の庁舎、或いは学校を建てるのに丁度伐り頃であるというふうなことをおつしやつて私たちの所へ御陳情に見えるおかたも実はある次第であるのであります。そういう場合に果してこれが町村の基本財産の育成ということにお役に立つことになるのかどうかということについて、我々も悩みを感ぜざるを得ないような次第であるのであります。丁度お話が出ましたので、我々の平常の悩みを吐露いたしまして、御参考に供したいと思います。
  44. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 表のことで、細かいことで恐縮ですが、裏の表に営林局の名前がずつと挙つて、空欄になつているところがある。といつて営林局が全部挙げてあるようでもないし、これはどういう表の作り方なんですか。
  45. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) この空欄になつております営林局は、これは陳情は出ておりまするが、まだこれに対する処置を全然決定をいたしておりませんので、空欄にいたしておいた次第であります。
  46. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私表を見まして不思議に思う点をお聞きしたいと思うのですが、それは鳥取県なのですが、これは合併の促進は非常によく進んでおつて、殆んど半数まで行つておるように思うのです。ところが国有林払下げ陳情のほうは六件でもつて千六百六町歩、然るにその裏の表においては一件の決定も見ておらないし、これから決定しようという形も見えない。これは何か今のお話と関連があるのか、どういうふうな実情なんですか。
  47. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 表が不備で甚だ恐縮に存じますが、裏の、すでに決定をいたしております大阪営林局管内の分といたしまして売払の二件は、これはいずれも鳥取県でございます。
  48. 小林武治

    小林武治君 町村合併に伴う林野の払下げ、この特例措置が非常に進捗が遅れておる。又農林省林野庁が常にまあいわば物惜しみをしておるような、こういうような非難が相当あるのでありますが、それにつきまして慎重にお調べになることは、林野経営全体から見て全く必要なことだと私は考えますけれども、今ここに三十四件あつて六件だと、こういうことでありますが、これはまあその役所の仕事で引きずるのが一番悪いと、こういうように思うのでありますが、三十四件の中で、一応全部或る程度結論に達しておるものか、投げやりになつておるのか、その辺のところを一つ伺つておきたい。
  49. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) お手許に差上げましたこの三十四件につきましては、これは比較的新らしい陳情でございます。従いまして、すでに決定をいたしましたもの以外の分につきましても、実は単に引延ししておるということでは毛頭ないのでありましてなお中央及び営林局との両方におきまして研究を加えておりまする次第であります。只今御指摘のありましたように、私たちといたしましても、できることはできるとしてまつしぐらにやるが、で「きないことは当初からはつきりとそう申上げるように、早く結論を出すということが必要であると、かように考えておりますのでございまして、只今のお示しのことは実は私たちの考えていることと全く合致いたしますので、なおその旨を休しまして、研究の進捗をいたしたいと思います。
  50. 小林武治

    小林武治君 今のお話のように私はお断りになつても、やはり処分済みだと、こういうように思いますので、そういう処分は相当いたされておりますか。
  51. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 林野庁本庁といたしまして、はつきりと御申請の点はだめだということを申上げた件はございません次第でございます。
  52. 小林武治

    小林武治君 まあその民間で一番困るのは、どつちになるかわからないという期間の長いことが一番お困りになる。殊に合併等は或る程度期日がある問題でありますし、従つていいものとも悪いものともわからないままに放置されるということは非常に迷惑で、それで私としては、かようなことは善悪いずれにしろ処分が早くされるというのが町村のためでもある、こういうように考えます。なお我々としましては、折角できたものであるしするから、できるだけ一つ町村のことも考えて、好意的に一つ処分をして頂きたい、こういうことを特に注文申上げておきたいと思うのでございます。  なお、私どもは実はこの三十四件というのは、むしろ少いというような感じを持つておるのでありまするが、営林署或いは局等で初めからそれはとつてもだめだと、こういうことで以てお断りするものがありやせんかと思いまますが、その点は如何ですか。
  53. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 実は私、個人的なことを申上げて恐縮でございますが、私、この七月まで高知の営林局長をいたしておりまして、高知の関係のことについてはよく事情承知いたしております。で、四国の管内におきまして、町村合併に基きまする要請は、実はこの二件以外には一件もございません。林野庁といたしましても、それ以外の各営林局に対しまして、決して中途で握りつぶしたりしないで、必ず中央へ報告するようにということを強く要請をいたしている次第でございます。御了承頂きます。
  54. 松澤兼人

    松澤兼人君 さつき伊能君のほうから質問もありましたが、この申請の件数当りの面積というものが非常に違うのです。例えば長野は二件で二十二町歩というようなものは非常に小さいのですね。伊能君もそこのところをお聞きになつたのだろうと思うのですが、まあ個々の合併町村でどのくらいの規模が適当であるかということは、それは一概に言えないと思うのです。併し山林の経営の上から言つて、この程度のものはやはり最低限度必要であると、或いはこれ以上は非常に大き過ぎるのじやないかということは、おのずからわかると思うのですが、基準はもう全然お示しにならないわけですね。
  55. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 画一的な基準を示すことは差控えている次第でございます。
  56. 松澤兼人

    松澤兼人君 まあ個人的といいますか、非公式にこういう国有林野払下げをしてもらいたいという話合いだけでも、営林署或いは営林局あたりの狂うでお話になつたということは、これ以外にまだあるわけでございますか。
  57. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 四国の例ばかり申上げて甚だ恐縮でございまするが、この中の高知の一件のごときは、これはもう全然非公式に、営林署に或る市の市会議員から話があつた程度のものでございます。併しそういうものでも、とにかく話として出た以上は、我々としては把握をいたしたいと、こういうつもりで情報を集めている次第でございます。
  58. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、やはり非公式にでも話があつたものは、このほかにあるかと思いましたら、もう三十四件というものはこれはもう全部なんですか。
  59. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 我々の局との間の従来の種々の経過から申上げまして、大体ここで申上げますのが全部であると、かようにお考え頂いていいのじやないかと、かように存ずるのであります。
  60. 松澤兼人

    松澤兼人君 町村合併促進法におきまして、いろいろまあ特例を設けた。これを作りますときにも、一番問題は国有林払下げはなかなか林野庁のほうがうんとおつしやらないし、又山林のなかにおきましても、それぞれいろいろの関係から、この法律を作る場合に国有林野払下げの点だけは一つ見逃してもらいたいという非常に強い御希望もあつたし、又その運動もあつたことは御承知通りだろうと思うのです。この問題が他の法律のなかにおける特例に比べて、一番やはり遅れているし弱いというのは、逆に言えば林野庁のほうとして成るべく国有林野払下げしたくない、これはまあ一定の計画によつて従来ともこれを保存して来たのだから、払下げしたくないということで、積極的にやらない憾みがあるのじやないかということを考えるわけですが、そういうことは全くの杞憂であつて、希望があれば幾らでも便宜を図つてやるというような御親切なところがあるのですか、その点を伺つておきたい。
  61. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 実は国有林の経営の現況、及び国有林がその地方の地方行政及び地方住民の福祉ということに対して果しておりまする貢献については、改めてくどく申上げる必要もないかと、かように存ずるのでございまするが、町村が合併いたしました際に、町村の御希望通り国有林を切つて差上げるということは国有林自身の本来の目的に照しまして、その経営の根幹に触れまするようなむずかしい問題に相成つて参るのであります。そこで我々といたしましては、国有林町整備臨時措置法に基きまして、昭和二十六年以来国有林の売払い、交換をとり進めて参つてつたのであります。これも第一順位は地元の町村であつた次第であるのでありまするが、今年六月末までに売払いだけについて申上げますると、約九万九千町歩の処分をいたしたような次第であるのであります。そこで、併しながら町村合併に伴いましてすでに国有林野整備臨時措置法が来年の三月で売払いをとめるから、それまでに全部片付けてしまうのだということを申上げる意思は毛頭ないのでございまして、従つてあの法律の掲げておりまする基準に該当いたしまする範囲のものにつきましては、我々といたしましても町村の合併に対しましてできる限り好意的な努力をいたして参りたいと、かように考えるのであります。併しながら実は頂いておりまするいろいろなお話は、必ずしもあの基準に該当しないものもあるのでありまして、又先ほども申上げましたように、積極的に長い将来に亙つての基本財産を育成するということよりも、今忽ちその木を伐つて何かの公共施設に振替えようというようなお気持も中には見えるようなお話もあるのでありまして従つて必ずしも御希望通りに我々としてどんどん受入れて要望に副うというわけには参らない点をどうぞ御了承頂きたい、かように存じます。
  62. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは一つ自治庁のほうからお話を承わりたいんですけれども、円滑に行つているものかどうか、この点をお尋ねしたい。
  63. 内村清次

    委員長内村清次君) 併せて委員長のほうからも自治庁のほうにちよつと御質問いたしますが、自治庁を通じて例えば合併した市町村の建設計画の中にどれくらいの払下げの要請が大体なされているか。或いは又その合併する町村のほうでは建設計画の中に入れて、直接林野庁関係或いは営林局その他に行つても、その払下げの途というものに対しての不案内の点、及び又は地方の営林局の態度の問題から、直接自治庁関係のほうに建設計画を県を通じて出して行くというような事情もあるだろうと存じますが、こういう点も併せて一つ答弁して頂きたいと思います。
  64. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今お尋ねの点でございますが、林野庁の方面とはこの問題につきましては、一に林野庁の御配慮に待たなければ円滑な実施ができないわけでございますので、私どもといたしましては、しばしば林野庁のほうに伺いまして、いろいろ自治庁のほうといたしましての要望もお願い申上げて来ているのであります。ただ先ほど来伺つておりまするように、林野庁とされましては、やはりその本来のお立場国有林野の健全なる経営という点におありになるように考えられるわけでございまして、まあ町村合併促進法趣旨からいたしまして、国土の保安上及び国有林野の経営上必要であるかどうかということを判定をして、そうでないものについては売払い又は交換をする、こういうことが原則になつておるわけでございますので、まあこの原則を具体的にどういうふうに運営するかということにつきましては、私どものほうの立場から申しまするならば、合併後の新町村育成、将来の永久の基本財産になりますような趣旨のものは、一つできるだけむしろ積極的に懲悪をしてでも売払いなり交換をして頂きたいというのが私どもの切なる希望であるわけでございます。その点が御方針とされては、国土保安上及び国有林野経営上必要でないものについては売払い又は交換をするということを基本方針としてとつておられるようでございますが、ただ実際の運営において何らかいま少し、いま一歩踏み出して頂けないものであろうかという感じを実は持つておるのでございます。これは地方の府県庁等の希望の声といたしまして、私どもの耳の中にそういうようなことが時々伝つて参るのでございます。  それから只今委員長からもお尋ねのございました点でございますが、先般私どものほうで新町村建設計画等の事情を集計をいたしました際に、この林野の払下げ交換等の要望につきましても一応調査をいたした資料があるのでございますが、それによりますというと、ここに御提出になりました資料よりも若干上廻つておる。件数並びにこの面積等につきまして約三倍くらい程度の要望が出ておるように見受けるのであります。一万町歩というのが三万町歩をたしか若干上廻つておるように考えるのであります。これは恐らく先ほどのお話を承わつておりますと、正式に営林局署のほうに提出され言したものについての御発表かと存ずるのでございまするが、私どもの調査の基礎になつておりまするものは、新町村建設計画等、府県庁を中心として調さいたしましたものでございまするので、調査のルートが違う関係で或いは少し違つた結果になつたのかと思いまするが、私どものほうにはとにかく相当多くの要望があるように報告がいたされておるのであります。  それから営林局、或いは営林署の態度がどうかというようなお尋ねでございますが、これも私どものほうに伝つておりまする話といたしましては、非常に親切にやつて下さる所もあるけれども、併し中には合併によるものに対しては比較的何といいますか、卒直に申上げまして、やや扱いが冷淡であると申しますか、そういうようなことを申す向きもあるのであります。極く卒直に申上げまして大体そういうような事情でございます。
  65. 内村清次

    委員長内村清次君) それで松澤さんよろしゆうございますか……。  先ほど奥原林政部長のお言葉の中にありましたように、例えば合併をしました町村から正式な書類を以て要請が来たときにはその地方でとどめんで、そうして林野庁のほうに送れというような示達もやつたのだと、こうおつしやるわけですけれども、実際私たち議員派遣で現地に参つて見ますと、相当年数もかかつた交渉がそのまま行き悩みになつて、恐らく本庁のほうには耳に達しておらないというような事件がだんだんあるように聞いておるのです。だからこれはあなたのほうでは達しておる、示達しておるとおつしやるのですけれども、やはり現地の営林局その他が或る程度冷淡じやないかというような感じが私たち地方に出ましてよく耳にすることであつて国会陳情その他にもそういうような合併の機運が高まれば高まるほどそういう声を聞くわけです。この点がやはり決してよそ事とせずに、一応これはあなたのほうでも再検討をやつて頂きたいというようなことを要望いたしておきます。
  66. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今委員長の御趣旨のありました通り、私のほうではまあそういうつもりでおりますけれども、併しなお重ねてその御趣旨を地方にも滲透するように具体的に措置をいたしたいと存じます。
  67. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の委員長の要望並びにそれに対する回答があつたから、私質問しなくてもいいようなものでありますけれども、今の問題は私かなり重要な問題だと思うのです。この十七条の解釈をどこに重点をしくかという問題になつて来る。それで、これは十七条というのは、結局林野庁としての治山治水の計画からこれは一応林野庁としての気持もわかりますけれども、私はこの条文の解釈はそれよりも町村の合併を促進するというような方面に相当重点を置いておると、それをどういうふうなところに林野庁考えるかというようなことが重要なことになつて来る。併し林野庁の国土を守るということ一点張りで行けば、片方のほうは当然これは取扱いが何されて来る。こういうことになると思う。それで今の陳情の形、案件から見まして決定ずみになつたところの数が少いように思うというのは、そういう点にあるかと思うのです。こういう点は、これはまあ法文で見ますというと、一、町村合併してから五カ年を限るというふうにありますけれども、私は町村の合併の計画にはこれを見、通したものがあると思う。そういう点から実際上それが要望が容れられないために町村の合併がどうももつれてしまつた、不成功に終つた、そういうふうな事例もあるのじやないかと思うのですが、その点は林野庁のほうにお伺いいたしまするが、どういうふうになつておりますか。
  68. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 林野庁といたしましては、十七条の規定が国土の保安及び国有林野の経営上必要なものを除くほか、町村の合併に対しまして基本財産として国有林をお渡しすると、こういうふうな御趣旨の条文のように承知をいたしておるのでありまして、然らばそのよりどころをどこに求めるかと、そういたしますれば、やはり国有林野整備臨時措置法、あの法行の条項によりどころを求めるということが、同時に又ここに書いてあります国有林野臨時措置法の例によると、こういう表現の仕方をいたしておりまして、十六条の書き方と十七条の書き方と非常に違つておるというふうなところにも即応をするのではないかと、こういうふうな実は考えを持つておる次第であります。併しながら我々といたしましては、決して町村合併に対して国有林の経営理論をふりかざして非協力的な態度をとる意思は毛頭ないのでありまして、与えられた制限の範囲内においてできる限りの努力をいたして参りたいと、かように存ずるのであります。ただよくありますのは、国有林がもらえるから町村を合併することにしたから、国有林をもらいたい、こういうようなお話がままある次第でございますが、これは我々の立場から申上げますれば全く逆のように存ずるのであります。実は四国の管内におきましてもそういうことで町村から非常に熱心に国有林の要請を求められたことがあつたのでありますが、何分にもその土地が、附近には砂防指定地域も非常に広汎に分布しており、土砂の崩壊防止のいろんな施設も国有林としてして行かなければならないような実情にもありまするので、我々としては態度をきめかねております間に、その町村合併は滞りなく実現を得ましたような具体的な事例もある次第であります。我々のそういう基本的な態度によつて、しかく町村の合併をそのためにできないというふうな結果を招いておるようには実は考えておらない次第であるのでございます。
  69. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁において、国有林をもらえるから町村の合併をすると、これは言葉の上で事えると、どう、もあなたの言われる考えのように聞こえるけれども、併しそういうふうな見通しを計画の中に盛つて行けば、この町村の合併ができると、こういう場合も私はあり得ると思う。それをもう一つの単純な解釈で、これらは国有林をもらえるということをめどにして、そうして町村合併をやるんだと、そういうふうに一概には私は解釈できないと思う。十分そういうふうな条件も含んで初めてこの計画が成立つという場合もあると思う。それからそれに対しては国土の保安上から考えて差支えないということになれば、あなたのほうで許すということになるのですね。
  70. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 只今少し私の言葉が足りなかつた点をお詫びしなければならないのでありますが、我々といたしましても、そういうことで町村から要請がありました場合に、そういうことだけを理由にして拒否する意思は毛頭ございません。その立地を検討いたしまして、この十七条の要件に該当するかどうかということによつて結論を出す次第でございますので、ただ一つ事情として申し上げましただけの次第でございます。
  71. 石村幸作

    説明員石村幸作君) 詳しくは次長からお話がありますが、今の問答のやりとりの中で、この国有林売渡し等に関する通達、これを拝見いたしまして、少し物足りない感がする。それは町村合併促進法特例では、この臨時措置法のそのまま持つて来たのではない。その範囲が相当広い意味解釈される。これは皆さんが立法されたのでよくおわかりのことでありまして、この一番しまいの三十頁下段、第二、売払いについて、ここでありますが、これは殆んど国有林野整備臨時措置法そのままの範囲でありまして、今部長から話された臨時措置法の例によるというのは、手続上において臨時措置法の例によるという精神であつたように解釈しております。従つてその処分する売払等の内容については、臨時措置法の範囲を遥かに上廻つた、拡大されておるものと、こう私どもは解釈いたしておるのであります。そうして、従つてそこに大きな食い違いが出て来るのじやないかと、こう考えております。なお私どもこの町村合併の促進を推進して行く上においても、さつきあつたもらえるから合併すると、こんなことはあり得ないことで、合併したからもらえると、こういうわけで、而もその目的が林野の払下げを願つてそうしてこれを処分し、すぐに使おうと、こういうふうなことは固く差とめる、そういう考えを起さないように当初からあらゆる機会に町村のほうには指導しております。従つて町村のほうでも合併したからそれを記念というか、基本財産として永久にこれを育てて行こう、そうしてこれを合併した町村の大きな基本財産にしようと、こういうまじめな気持でいつていると、又そうでなければならんと、私どもはそういうつもりで指導いたしておるわけであります。さつき申上げたように、どうも林野庁との食い違いも、私はプリントしてありますこの臨時措置法そのものと、この特例との間の隔りが相当ある、これが実施の面において地方の不満を買うような結果になるのじやないかと、こんなふうに概略的な御答弁をいたして驚きます。
  72. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか。  それでは次に進みまして、不在地主の件について農林省の農地局の小林地課長に御説明を願います。
  73. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 御説明いたします。町村合併促進法二十条の農地在の特例法に関しまして、農地局といたしましての解釈を御説明申上げます。  お手許に差上げてございます資料でざいますが、これは昨年の十一月の二十日に農地局長から知事あてに出しましたいろいろの農地法に関連いたします法律解釈の中の諸項目をごの二十条関係の分を抜萃いたしまして、ここにプリントいたしておいたわけでございます。この二項、三項、四項というものにつきましては、この法律規定を敷衍しておる程度でございますが、問題はこの一項にあろうかと存じますので、一項を中心に御説明申上げたいと思います。ここにもありますように、この二十条の規定によりますいわゆる小作地の所有制限の例外が認められるのは、これは町村合併促進法による合併当時の小作地又は小作採草放牧地の所有者につきまして、その当時所有しておりました小作地又は小作採草放牧地に限りこの規定が適用されるのだというふうに解釈いたしておるわけでございます。従いまして法によります町村合併当時の小作地又は小作採草放牧地の所有者が個人にありましては死亡し、又は法人にありましては吸収合併されたような場合には、その一般承継人には本条の適用がない。又法による合併当時の小作地又は小作採草放牧地の所有者がその住所のある市町村の区域外において所有いたします自作地又は自作採草放牧地を貸付けました場合にも、その土地につきましては本条の適用がないというふうに解釈しておるわけでございます。その根拠といたしまして次に二十条の特例町村合併当時の所有者の一般承継人を含まないと解する理由といたしまして二点挙げておいたのでございます。その町村合併促進法の二十条は農地法特例規定しておるというふうな解釈をいたしておりまして、そういう観点に立ちますと、これは農地法規定趣旨に則りまして解釈することが適当であろうと、かように考えるわけでございます。ところが農地法では承継人を含ましめます場合には、それぞれその旨の規定を設けておりまして、例えば農地法第十七条、第六十条の場合には本人及びその承継人を含むというような書き方をしておりますけれども、農地法第七十二条、農地法施行法第十四条では一般承継人を含ませるように特に規定を設けておる次第でございます。従いまして農地法解釈から申しますと、一般承継人を含むという特別の規定がない限り、その承継者は本人に限るというような解釈をとつておるのでございます。従いまして、この場合一般承継人は含まないと解するのが妥当ではないか、かように存じておる次第でございます。  次に第二点といたしまして、この町村合併促進法第二十条の規定は、町村合併に伴う町村の区域の変動によりまして小作地又は小作採草放牧地がこれを所有する者の住所のある町村の区域の外にあることとなりますときは、農地法の不在村地主の規定を適用せずに、依然として小作地の保有を認めるという趣旨であると考えられる。かように解釈されると存じます。ところがその一般承継人となりますと、これはそういうような町村合併によつて不在村地主となつたのでなくて、相続等によりまして小作地等の所有者となるものでありましてやはり一般の原則に従いまして農地法の一般の規定の適用を受けると解釈するのが相当であろう、かように考えておるわけでありまして一般承継人をも救済すべきかどうかということについては疑問を持つておるのであります。  以上のような二点によりまして、農地局といたしましては、これは一般承継人は含まない、その本人一代限りのものである、かように解釈いたしておる次第であります。
  74. 内村清次

    委員長内村清次君) 鈴木次長あなたのほうはどうですか。
  75. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今農林省からこの点につきましての御解釈があつたわけでございますが、一応のお話として私どももそういうふうに読めるかとも思うのでありますが、私どもの考えておりますことを率直に申上げますと、この町村合併促進法の第二十条の農地法特例と申しますのは、なるほど、農地法特例ではございますけれども、町村合併促進法の中に特に書かれた趣旨は、町村合併ということによつて農地法の制限に触れるような事態が発生する、その結果非常に不利益なことになるので、およそ町村の合併によつて農地の所有関係には不利益な事態を生ぜしめない、こういうふうにしようというのがこの第二十条の立法の御趣旨であろうと思うのであります。そういうことになりますというと、例えば相続人が相続をいたしまして、若しその人の住所はそのまま変らずにそこにおつたわけでございますが、相続の前に町村の合併ということがありましたために、本来ならばそのまま所有し得るべきはずのものが、間に合併ということが介在したために所有し得ないという事態が生ずる場合があるのであります。そういうことはやはり要するに合併ということによつて不利益を生ぜしめないということでございますから、その承継がありました場合にも、合併がなかつた場合には持てたであろうのに、合併があつたために持てなくなつた、こういうようなことがないようにしなければならない、そういうふうに解釈することができるのではないかと思うのでございます。ここに掲げておられますこの(1)と(2)の立論の根拠についてちよつと所見を申上げますと、この第一点のほうは農地法特例であるから、農地法規定趣旨に則つて行うことが相当であるという理由のようでございますが、やはり農地法の中に書かれてある農地法それ自体の特例でございますならば、まさにこの通りのことであろうと思うのでありますけれども、町村合併促進法の中に規定をしてある農地法特例でもあるのでありますから、やはり農地法の他の条文の言葉に捉われずして、やはり町村合併促進法趣旨従つて解釈すべきものではないだろうか、こういうふうに第一点については思うのであります。そこで今申上げましたように、およそ一般承継が、ございました場合にも、相続の場合におきましては合併という事実がその間に介在したために不利益な結果になることがないように運用すべきではないかと思うのでございます。  それから第二点でありますが、これは一般承継人は相続などによつて小作地等の所有者となるものであつて町村合併によつて不在村地主となるものでないから、一般承継人をも救済すべきか否かは疑問であるということでございますが、なるほど相続という事実によつて不在村地主になる場合もあるのでございますけれども、相続という事実だけから申せば在村地主にならなければならない、ところが合併があつたために不在村地主として相続しなければならない、こういうものがあるわけでありまして、そういうものはやはり救つてやらなければ、合併の結果不利益な措置を生じたことになるだろうと思うのであります。そういうことが若し解釈上どうしてもできないということであるなら、それは何らかやはり救うような立法的な御措置を願うほうが、合併の結果によつて農地法の適用に変動を生ぜしめることがないようにするという点から申しまして必要かと思うのであります。
  76. 内村清次

    委員長内村清次君) 小林地課長、その点はどうですか。
  77. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 御説明申上げます。先ほど自治庁のほうからのこの農地課の意見に対しましての御批判は、そういう解釈もあり得ることだと存ずるわけでございます。ところがこの第一項におきまして、普通の原則通り一般承継人を含むというふうな解釈を広くとりますと、この一般承継人が例えば東京にいるという場合にも一般承継人が救済されるということになると、本当に農地法で抑えておりますいわゆる不在村地主を廃止するというような思想にも合わなくなつて参ると思うのであります。それからもう一つの場合といたしまして、旧町村の区域内、旧町村では同じように一般承継人が被相続人と同じ場所であつた、ところが分割によりまして被相続人と一般承継人というものが別々になつてしすつてという場合に、又この適用が非常に農地法の運用上むずかしくなつて来るというような場合もあり得るわけでございまして、そういうようなことでございますので、やはり法律に一般承継人を含む、勿論そういう広い意味ではなくて、承継人を含む規定がなければそこが救えないのじやないか、殊に一番農地法で禁止或いは阻止しようといたしております不在村地主まで派生させるというような結果にもなりますので、一概にこれを一般承継人を含むというふうに解釈するのは不適当ではないかと考えているわけでございます。  それからもう一つ第二点につきましては、やはり第二点はそういう市町村合併が起つた事実は、これは被相続人の一身専属みたいな恰好で、その者だけは救済しておこうというようなふうに我々はこの条文を読んでおるのでございますが、今おつしやるような自治庁の御見解のような解釈も成り立つと思いますが、永久にこういう不在村……、一応不在村でございますが、不在村の効果をこの附則でもありますように、この法律は限時でありますけれども、その効果は永久にあるのだというふうになりますと、永久不在村地主というものができて来るというような恰好にもなりますので、この点はやはり農地法を運営いたします上から或いは農地改革の成果を維持しますという観点から見ましても、慎重に取扱う必要があろう、かように存ずる次第でございます。
  78. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今伺つておりまして私どももそういうふうに思う点がありますが、率直に申上げますと、例えば埼玉県の甲の村と乙の村の一部の合併があつた、或いは甲の村に乙の村の一部が編入された、乙の村の残つたほうに編入された地域にある土地の所有者がおつた、こういう場合を想像いたしますと、その土地の所有者がなくなつた。そこでその人に子供が二人おつて、一人は依然として被相続人と同じ所に住んでおる、一人は東京に出ておつた、土地の相続ということで均分の相続ということになつた、東京におる子供も親父と同じ所におる子供も共に半分ずつ相続をする、こういうことになるわけでございますが、東京におる子供が不在村地主になるのは、これは合併によつてそうなるのではなくて、そもそもそういう所におりますから相続の結果もそうなつた、こういうことが言えると思いますが、乙につきましては、もともと合併がなければその土地は所有できたわけでございますから、不在村地主になるはずがないのであります。ところが今の農林省のような御解釈によりますと、乙は不在村地主である、こういうことになつて参るわけであります。私どもの申しますのは、そういう乙に対してもやはりこれは在村地主であるというふうにするほうが、合併の結果によつて農地所有の制限に変動を生ぜしめない、そういう原則から言つていいのではないか、こういうふうに申すのであります。ところがそういうふうに解釈することに対して、今一身に専属する権利であるからというようなお話もありました。成るほどその土地の所有権は一身に専属する権利ということもあるかも知れません、或いはこういう特例が一身に専属する権利、こういうふうに考えられないこともないかも知れませんが、とにかく相続としてその地位を承継いだすわけであつて合併という事実さえなければそのまま半分が在村地主として持てたであろうということがあるのでございますから、一身に専属する権利だということの理由を以てそれを否定することは如何であろうか、少し行き過ぎではないだろうか、果して又一身専属の権利であるかどうかについても疑問があると思うのであります。  第三点に、こういうようなことをそれじや繰返して、又乙の子供も相続の問題、又その次の子供も相続の問題、成るほどこういうふうに問題をずつと掘下げて考えて参りますというと、問題があろうかと思います。ですからそういう点については、或いは何らか法的な措置が必要かと存じますが、とにかく合併ということによつて、本来なら庄村地主の状態として相続せられたであろうものに対しては、やはり少くともその第一代の相続の間はそのままの状態で相続できる、こういうふうにあの特例が読めないだろうかと思うのであります。そういうふうに読むことについて、殊にその効果を無期限にするということについて疑問があるという点は私どもわかるのであります。そういうことであるならば、或いは何らか立法的な措置を願つて、今申しましたような趣旨のことができないであろうかと思うのであります。
  79. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その問題は現実に何か起つておるのでございますか。
  80. 内村清次

    委員長内村清次君) この問題は視察調査の際に県のほうで一番悩んでおるというような報告がなされておりました。現に千葉県でもそういう例を出しており、これは全体的には集約して、そうして委員会といたしましても、そういう問題になつておるものをいつか集約をする機会を得ようということで心組みをしておつたわけですが、たまたまこの間千葉県に行きましたときに、県の問題として、これは自治庁関係のほうにも確かに県としても出しておるわけですが、そのときに自治庁とそれから農林省との間にどうも意見の食い違いがあるから、現実にその所有者は困つておるというような問題で、町村合併の促進法案の中で一つこれをはつきりさせてもらいたい、解釈をはつきりさせてもらいたいという要請があつたのであります。
  81. 木村守江

    木村守江君 只今の質疑応答の問題とはぴつたり合つている問題じやないのですが、これと関係のあるような問題が私の県にもありまして、それは丁度町村合併促進法が行われます二日前です、去年の九月二十八日にやつぱり町村合併という問題、それから不在地主になつたというので土地を取り上げられるというような状態が起つて、非常に大きな問題を起したのであります。これは自治庁、それから県の農地課等と相談いたしまして、大体まあ妥結点に至りましたが、只今農林省自治庁の議論のように、これは町村合併によりまして不在地主となるというようなことが起つて参りますと、これは町村合併に非常な障害を来たすと思うのです。そういう点から考えまして、これは町村合併による農地問題の特例があるからして、やはり只今鈴木次長が説明されたような方向にこの二十条を解釈する、解釈でき得ないと農林省で申される場合は、そういうふうに解釈されるように、これは町村合併によつていわゆる地主並びに相続、それから不在地主というような問題、そういうような騒ぎの起らないようなしつかりした条文を作つておくべきじやないか、今後政府におきましても、なお強力に町村の合併を促進して行くという矢先にこういう問題が起つて参りますと、それ見たことかということになりまして、町村合併の大きな反対の宣伝の材料になり、非常に支障を来たすと考えますので、若しも農林省只今鈴木次長の説明されたように解釈できないという場合には、次長の説明したように解釈できるようにやはり改正しておくべきじやないかと思います。
  82. 内村清次

    委員長内村清次君) この点は只今自治庁より、又農林省のほうの御意見伺つたわけですが、農林省のほうでは一応委員かたがた手許資料として出してありますが、自治庁関係は今の鈴木次長のこれに対する御説明が代表意見だというようにも解釈をしてよいと存じますが、問題は速記録の中にあるわけです。だから自治庁のほうからもこの点をもう一回文書で一つ出して頂きまして、委員会ではこれを元にいたしまして、或いは法的に不備な点があれば法律改正に持つて行くというようなことも考えなければなりません。農林省のほうも農地法だけの解釈ばかり盾にとらないで、この法律特例のときには責任者も来て、この各条文に対します農林省関係については的確な責任ある答弁もなされておりますから、やはり問題は促進をするというような見地に立つてのあなたがたの協力が必要だと思うのですから、この点は一つもう少しくだけて法の解釈に熱意を持つてやるということにして頂かんと、どうしてもこれは農地法にひつかかるから、この点は一つもう一遍法律的にも解釈してもらいたい、その優位性も本当に納得した了解の下に優位性を促進法の中に入れてもらいたい、こういうような態度で出て来てもらいたいと思う、その点どうですか。
  83. 小林誠一

    説明員小林誠一君) この三十条の特例は確かに町村合併をするに当つて一つ規定でございまして、そういう意味から農林省といたしましては、これは立法的に協力するというのは当然でございます。今の解釈の議論はここにありますような法文上から言いまして、純粋に解釈しました場合にそういうふうになるということを申しげたような事情なので、なおこの解釈通牒はそういう意味解釈通牒を出しておるわけでありまして、あとでこの面につきましては上司ともよく相談をいたしまして、結論を出したいと思いますが、何分先ほど申しましたように、農地法の関係が余りに乱れないように一つよろしく本委員会でも御取計らいを願いたい、かように存ずる次第でございます。
  84. 小林武治

    小林武治君 今のお話木村委員なり委員長が申される通り、私はそうやかましいことを言わないで、この町村合併が促進で一きるように是非一つしてもらいたい。そうしてどうしても農林省が杓子定規でやつてそういうようになるというなら、我々は直す以外にない、こういうふうに思いますから、そういうふうな相談に一つ持ちかけてもらいたい。
  85. 木村守江

    木村守江君 只今農林省お話によりますと、法を正しく純粋に解釈すると、先ほど来の議論になる。併しこれは町村合併促進法の精神を生かすために二十条が織込まれておるんだから我々は考慮する、されないというようなところに私はいろいろな問題が起つて来ると思う。私のほうでもその問題なんです。この理窟から、町村合併促進法から言いますと、その通りだと言いながら、本当に我々が忠実に農地法というものを解釈しこの法律解釈すれげ、又あなたの言うような調子になつてどうも土地解放をしなくちやならないというような問題になつて来る。それでそこのところが本当に法律解釈すればこうなんだがというようなところに私は問題があると思うのです。やはり本当に解釈するにしてでも、それから妥協的に解釈してでも、これははつきりそういうふうな解釈のできないようにしておかないと、問題をかもす原因を起すのじやないかと思いますので、御考慮願いたいと思うのですがね。実際問題として私のほうでそれがあつた、まだ解決しないのですが問題はあるのです。そうしてこれはちよつと悪いことは悪いんですが、丁度十月一日からこの促進法が発足する二日前に、二日前ここれは促進法が十月一日から出るんだからこの促進法の精神に則つてやるように、そうすれば決して不在地主にならないだろう、こういうような自治庁にも責任があると思うが、県の地方課でも総務部でもそういう精神でやらしたのです。やらして暫らく過ぎましたら、今度は農地課のほうでこれはやはり農地法からの解釈によれば、これはもう立派に促進法の精神にまあ則るだろうが、農地法の何からこの促進法の精神というものがそういうものじやないところから問題が起つたようです。まだ大分問題が解消しない、解決しないでおります。そういう点はやはり本当に法律解釈すればこうなんだが、まあ妥協的に促進法の精神に則つてこうしようというのが、これはまあちよつとの間はいいでしようが、だんだん過ぎますと問題を起す種を残して行くんじやないかと思われますので、これは法律の専門家でありませんから、自治庁農林省とでよく御相談なすつて、将来万遺憾ないようにしてもらいたいと思います。
  86. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 いまのだんだん話を聞いていますと、法が不備であるのか、私の聞き知つたところでは法は不備なところはない、解釈の相違だということになるのです。両方面で十分相談協議して研究して結末を付けたらいいんじやないかと思う。若し法が不備であるということになつたら法の改正をやつたらいい。それは私は法律家でないからわからないですから、そういうときには法改正というものをやる。ただ単に解釈上の相違であるということになれば、私は解決点があるのじやないか、こう思う。
  87. 内村清次

    委員長内村清次君) これはもう促進法からしますと、特例の関係は、これはもうどこまでも特例であつて、優位性があるのだ。これをやはり農地法関係の点に対しても促進法に協力態勢をとつてもらいたいというのが大体法の精神であつたのです。それを最近になつて農林省のほうではやはりその農地法を盾にとつてそういう解釈をやはり押し通しておられる。だから現地が混乱しておるという事態ですが、やはり農林省のほうで一つ考えてやつてもらいたいというのが、この委員会として法律を作りました責任としても熱望するところです。で若しも法律改正をどうしてもやつて行かなければならんとすれば、時限法といえどもやはり大きな国の計画でもあるし、委員会の共同提案の法律でもありますから、あなたのにうで農地法改正でもこれは責任を以てやるというようなところまでやはり発展されるなら発展して欲しい。併し解釈で妥協が付けば、その解釈はやはり自治庁解釈のように、やはり現地が混乱しないように県への示達を頼む、こういうことです。わかりましたか。
  88. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 只今委員長が申されました点につきましては、上司によく委員長の意のあるところをお伝えいたしまして、解釈については縦対してみたいとかように考えます。私まだここで意見を申上げるあれではありませんので、そういうふうに一つ御了承願います。
  89. 内村清次

    委員長内村清次君) それで、実はいつもそういうお言葉があるんですよ、最後には。これはこの前の法律を作るときからそういうお言葉があつたのです。これは例えばあなたの関係じやないかも知れません。人事院関係のほうでもそういうことで、もう出て来られるときには必ず責任者であると言いながら、そういうような答弁をするような人が出て来る。それで非常にこちらは困つてしまうのですよ。だからまあ今日は現にあなただけしかおいででないから、そういうお言葉は委員会として聞いておきますけれども、必ず返答してもらいたい。それは責任者の返事を一つつてもらいたい。この点はあなたが責任を持つてだな、決して遅延せずに委員会のほうに返事を一つつてもらいたい。そのためには十分と、私たちが一見してわかりやすいような意見を付けて出して頂きたい。よろしゆうございますね。
  90. 小林誠一

    説明員小林誠一君) 農地局長が丁度出張しておりまして、それで参れなかつたのでございます。その意味で私としては局長の了解を得なければ、私としての一存では……。責任を逃げるというわけではありませんが、私そういう意味で申しておいたのであります。どうかよろしくお願いいたします。
  91. 内村清次

    委員長内村清次君) 返事はよろしゆうございますかね。
  92. 小林誠一

    説明員小林誠一君) わかりました。帰りましたらよくお伝えいたします。あと法制局とも打合せをいたさなければならんと思いますので、その点を、打合せまして、御返事いたします。
  93. 松澤兼人

    松澤兼人君 今の問題に関連すると言えば関連するのですが、もう一つ財産区の問題に関連してですが、どこだつたか、新潟だつたか山梨だつたか、部落の入会権ですか、入会権というか入会権、そういうものを新らしい町村合併ができたときに認めてもらうような措置を講じてもらわなければいかん、こういうのです。財産権なり或いは財産区というものとは又違うのですね。一定の山に入つて下草を刈つたりするようなことの権利なんです。新らしい町ができてその部落の先祖伝来持つてつた入会権というものがほかの部落なり或いは町の人々にどんどん入つて来られて荒されても困る、何とかそれを確保するような措置というものはできないものか、こういう話があつたのです。その点は如何ですか。
  94. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 入会の問題は、地方自治法の上でも、いわゆる旧慣による問題といたしまして、自治法に「市町村は、第二百九条の規定による財産又は営造物の使用に関し、使用料若しくは一時の加入金を徴収し又はこれを併せて徴収することができる。」それから、二百九条に、「旧来の慣行により市町村の住民中特に財産又は常造物を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。その旧慣を変更し又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。前項の財産又は常造物をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村は、議会の議決を経て、これを許可することができる。」という規定がありまして、この二つの規定が旧慣による財産の使用権の法律上の根拠規定になつているわけであります。この林野のいわゆる入会は、結局この旧慣による入会として、自治法上も何といいますか、保障されておるわけでございますが、新らしく何といいますか、入会の形を認めるということは、現在の地方自治法の建前においては、これを考えていないのであります。町村合併に際して何らかそのような特別の入会の権利を合併されて消滅する旧町村の区域の人たちに認めるということは、まあ財産区の設置を認めるというような趣旨から言うと、或いはそういうことも考えて然るべきじやないかという御議論も出るかも知れませんけれども、私はやはりそういうような問題は、この財産区の設置というようなことで現在の法制の建前としては処置をいたすべきで、入会を新らしく認めることは法的にもいささか問題があると思いまするし、今後更に研究をしなければならんと考える次第でございます。
  95. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうしますと、まあ従来あつたその部落或いは部落の何人というようなものが、従来の慣行によつて入会の権利を持つているという場合は、まあそのままというわけですね。その新しく入会の権利を得たいということを、言つているのじやないのですが、今まである権利というものを確保してもらいたいということを言つているので、そうすると、まあ町村合併促進法に別段の規定がなくともこの規定で確保される、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  96. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) それはその通りでございます。二百九条のこの本文で、旧来の慣行によつて住民中特に財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。この原則は合併したあとでも変りませんから。それから更に町村合併促進法第二十三条の第二項には、「旧来の慣行により合併関係町村の住民中特に財産又は営造物を使用する権利を有する者がある場合においては、町村合併により当該財産又は営造物を収得する合併町村は、その旧慣を尊重しなければならない。」ということでこれを受けた、照応した規定があるわけであります。
  97. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 町村合併の問題はこれだけで終るなら、ちよつとこの間の問題を申上げておきたいと思います。町村合併が、市になるものは非常に急いで市ができたけれども、市にならないものはなかなか市にできない、その一つの原因は、どつちについてよいか非常に輿論が二つに分れておるというような場合が多いのです。今残つておるのはかなりそういう問題があると思うのです。住民投票はやつたが、住民投票ではすれすれでわからない、住民投票では決定したけれども、どうしても或る部落は賛成しないというような問題が随分あるのですが、市町村の現在のあり方というものが非常に合理的なものではないので、明治二十二年かにその時分やつたのと、そのときできてなかつた町村が一緒に行こうというのだから、そこに無理がある、やはり市町村の再編成をするという気持から、そういう無理なものは一緒に行かないで分村して、一部はこつちの村へ、一部はこつちの村に分れて、行くという方法を勧奨するほうが或いは促進するのではないか、ところが大部分のものが或る村へ、残りの少数のものがう村へ行くときは、木村のほうか村会議員の数も多いし力があるから、分村して行くものを極力邪魔してしまう、それでこちらほうはどこまでも頑張るというような場合が相当ある思うのです。この点一つ個々のいろんな問題について御研究になつて、そういうも勧奨してまらつたらどうか。大体府県の合併案を見ますと、分村して行くのは一つもない。これは初めからりそういう頭で私は分村して分れ分れに行つて町村合併をするのは適当でないという頭があつたのではないか。これはそういう趣旨ではないので、非常に合理的な新らしい再編成をするという考え方で進めば、自然分村して行くのが当然あつてもいいのです。大体そういう面から分村して行くときは、できるだけ部落住民の意思に十分副えるような方法でやつてもらいたいと思うのです。若し法的措置による必要があれば、我々その面において研究したいと思います。大体具体的の例で私知つているのは数個の例に過ぎないけれども、自治庁としては全国的にそういう問題があろうと思います。是非そういう方向でお進め願いたいと思います。委員長そういうことですね。私はほかにも例は相当持つておるのですが……。
  98. 内村清次

    委員長内村清次君) そうです。  ではこれで本日の委員会を閉じます。    午後四時十八分散会