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1954-08-02 第19回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二日(月曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 六月十一五日委員堀末治君及び島村軍 次君辞任につき、その補欠として川村 松町君及び片柳眞吉君を議長において 指名した。 七月六日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として片岡文重君を議長にお いて、指名した。 七月八日委員片岡文重辞任につき、 その補欠として松浦兼人君を成長にお いて指名した。 七月二十日委員石村幸作辞任につ き、その補欠として平井太郎君を議長 において指名た。 七月二十一日委員松澤兼人辞任につ き、その補欠として東隆君を議長にお いて指名した。 七月二十一日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として石村幸作君を議長 において指名した。 七月二十四日委員東隆辞任につき、 その補欠として松澤兼人君を議長にお いて指名した。 七月三十一日委員長谷山行毅辞任に つき、その補欠として松岡平市君を議 長において指名した。 本日委員秋山長造辞任につき、その 補欠として大和与一君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            伊能 芳雄君            小林 武治君    委員            伊能繁次郎君            川村 松助君            木村 守江君            松岡 平市君            片柳 眞吉君            館  哲二君            大和 与一君            松澤 兼人君            寺本 広作君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵政務次官  植木庚子郎君   参考人    佐 賀 知 事 鍋島 直紹君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○参考人の出頭に関する件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)  (町村合併促進状況に関する件)   ―――――――――――――
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今より地方行政委員会を開会いたします。  先ず、七月二十日の理事会で打合せいたしました事項を簡単に御報告申上げます。実は七月の二十品に理事会を開きまして、地方行財政調査一項に関しまするうちに、地方財政窮乏状態が点々として新聞その他に現われて参りましたからして、この面の調査をしたならばどうかという点。それから町村合併状況全国的に促進されて来ておりまするが、その合併途上におきまするいろいろな問題点、こういう点、調査したならはどうか。それからこれは継続審査なつております公職選挙法の一部を改正する法律案、その他の政治資金規正の法案、こういう問題につきまして一応継続審査をしてはどうか。こういうような三つの条項を主体といたしまして、委員会を開催しようではないかということが中心な理事会協議事項でございましたが、いろいろ休会中でもございまからして、委員の方々の御出席その他を勘案いたしまして、本日八月二日及び三日の日に二日間開催をしようということに決定をいたしまして、地方財政窮乏調査に対しましては、佐賀原知事参考人としてお呼びしてお聞きしよう、それから明日三日の日には千葉県において千葉県財政調査をしよう、これは現地の調査をしようということに相成つたのでございます。この理事会決定に基きまして、本日及び明日の委員会を開催したわけでございます。
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、理事補欠互選の件をお諮りいたします。去る六月十五日堀末治君は文部委員長となられ、又石村幸作君は一時地方行政委員辞任いたされましたので、本委員会理事は二名欠員となつております。つきましては、理事補欠互選を行いたいと思います。理事補欠互選の方法は如何いたしましようか。
  4. 館哲二

    館哲二君 理事補欠互選につきましては、成規の手続を省略して、委員長一任することの動議を提出いたします。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今館君から委員長一任動議が出ておりまするが、そのように取計らつてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 異議なしの声がございまして、その通り決定をいたします。  只今館君より委員長指名一任動議が提出されましたから、委員長におきましては、石村幸作君の補欠石村幸作君を、堀末治君の補欠伊能芳雄君を理事指名いたします。
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、地方財政に関する件を議題といたします。本件につきましては、地方財政実情を明らかにするため参考人として佐賀県知事鍋島直紹君をお呼びしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) それではさように決定をいたします。  この際、委員長から参考人の力に御挨拶を申上げます。本委員会におきましては、地方財政の確立のためにはどうしたらいいかという観点から、国会閉会後におきましても継続調査を行うことといたしているのでございます。最近地方財政窮乏は甚だしく、昭和二十八年度におきましては、地方団体全体の赤字は優に四百億を突破すると言われているのであります。佐賀県におきましては昭和二十七年度において二億二千五百万円、二十八年度において一億九十二百万円を超える赤字を出しているのでありまして、殊に昨年の六月下旬の水害復旧期の重圧もあり、県財政は極めて困難な状態にあることと存ずるのでございます。更に最近におきましては、極度の金詰りから期末手当支給も約一カ月遅延し、七月分の給与も半カ月遅延し、月末に漸く支払われたと伺つているのであります。知事といたしましては御苦心のほどは深く拝察申上げるのでございますが、本日はこのような実情にあり、いわば窮乏県の知事としてのお立場から地方財政窮乏実態とその原因資金繰りの困難の実態とその原因等につきまして、具体的に率直な御意見を聞かして頂きたいのでございます。地方財政再建整備に関する参考に資したいと存じているものでございます。御多忙中おいでを頂きましたことにつきまして、厚くお礼を申上げます。なお御発言を終りましてから委員各位から質問をすることにしておりますからして、どうかこの点もお含みおきお願いしたいのでございます。  では、どうか只今から御発言お願いいたします。
  9. 松岡平市

    松岡平市君 地方自治庁若しくは大蔵省等出席はしないのでございますか。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは鍋島君から一つ……。
  12. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 私佐賀県知事鍋島でございます。佐賀県及び地方財政窮乏につきまして、その実態を申上げる機会を与えられましたことにつきましては、厚く御礼を申上げたいと思います。なお、佐賀県におきまして全国でトップを切つたような行動になりまして、俸給分割払をいたしました点につきましては、責任者といたしまして深くこの責任を痛感いたし、申訳なく考えておるのでございます。  そこで、一般的な地方財政赤字の問題に入ります前に、世間の注目になつておりますこともありますので、俸給分割払につきまして、直接関係のございますところの県歳計現金資金繰り状況につきまして、直接原因、結局これは地方財政窮乏になるのでございますけれども、なお直接となりました原因につきまして、第一番目に申上げ、次に地方財政の問題につきまして、佐賀県の実情につきまして具体的に且つ簡略に申上げたいと思うのでございます。何とぞ御批判を頂きたいと思います。  第一番目に、佐賀県におきまして給料の分割払を止むなくいたしました資金繰り状況につきまして申上げます。本年度昭和二十九年度につきましては、二十八年度赤字を受けまして、約三億数千万あるのでございますが、その赤字を受けまして、初めから窮迫した実情にあり、一時借入金一億五千万円を借入れまして資金の操作を行なつて来たのであります。六月、地方交付税三億一千万円を頂いたのであります。そして御承知通り給料は、佐賀県におきましては一月分約一億であります。なお期末手当、これは法律及び条例によつてきまつております〇・七五分、約一億三千五百万でございます。これを両方支払いますれば、更に資金に乏しくなりまして、一面におきまして土木災害その他の支払の面に非常に支障を来たす虞れがございましたので、期末手当を一カ月遅らし、六月十五日支給のものを七月十五日支給といたしたのであります。この点は各組合に了解を求めまして、そして一応この点は済んだのでございますが、七月に入りまして、御承知通り一月遅らせました期末手当一億三千五百万、それから三億に上ります一時借入金返済及び梅雨期災害復旧、その他支払に上要しますもの、更に特殊事情といたしまして、御承知の遡りお盆が八月でございまして、七月が非常に資金が動くときでありますが、旧盆を控えた七月というような四つの原因によりまして資金操作に全く行き詰りを見せまして、遂に分割払非常手段をとらざるのやむを得ない事態に立ち至つたということにつきしましては、誠に申訳ないと考えておるのでございます。  なお、資金難原因につきましては、先ほど申上げましたように、全般的な赤字財政という点にもあるのでございますが、先ずその原因の第一点におきましては、御承知通り赤字約三億の実質上の支出を、二十八年度に残つております支出を二十九年度へ繰越して来ておる実際上の支出約三億でございます。数字上の赤字はそれから上るのでございますが、赤字の中には直轄事業分担金等支払繰延もございますので、実質支払わなければならないという赤字は三億二十八年度から繰越して来たのであります。なおその実情につきましては後ほど申上げます。  原因の第二番目につきましては、いわゆる災害復旧の仕越し工事であります。御承知通り、昨年六月大水害を更けまして約二百億にあまる損害を受けましたが、うち土木災害のみの例をとりましても二十億のこの建設省査定を受けておるのであります。そのうちに実は簡単に申上げまして十二億五千万円の工事をやむを得ず実行をいたしまして、雨季前及び台風前に最小限度のこの堤防なり、或いはその他それに付随します復旧を行なつたのであります。併しながら政府の御措置によりますところの国庫補助金その他の収入が、いわゆる認証せられましたものは六億五千万円でございまして、いわゆる約六億の仕越し工事をいたしておるのでございます。そのうちに特別融資等も受けたのでございますが、そういうふうに災害によるところのやむを得ず仕越し工事雨季前、時期的な関係もございましてそれを私の責任において断行いたしておる、いわゆる認証外工事をいたしておるということでございます。この点私から申上げる点は甚、たおこがましいと考えますけれども、本年度もやはり大雨が二度三度に亘りまして去年に近いところの豪雨がございまして、併しながら本年度被害額は一億弱程度で平年度前後に終つたのでありますが、新らしい堤防を強化いたしておりましたために、新らしい橋を何とかかけておりましたために大惨害からこれは救われたのじやないかというふうに考えるのでございます。併し十二億五千万円のこの工事をやり、六億五千万円いわゆる六億の仕越し工事を私の責任においてやつたということ、これは御批判余地があろうかと思います。私としましては、水害前にあの大惨害から救うためには、現場におりまして何とかいたし方ない最低限度工事をやつたと考えているのでございます。何とぞこの点は一つ批判を頂きたいと思うのでございます。なお建設省の三十億の復旧丁半の中で十六億が緊急査定として建設省には認められております。そのうちの十二億五千万円をやつたのでございます。以上が原因の第二であります。  原因の第三につきましては、御承知通り中小企業の非常な不振、特に七十からございますところの中小炭鉱、これらの金融逼迫状況と、それからそれに伴ないます特に炭鉱方面におきますこの金融逼迫は実に恐るべきものがあるのでございます。現在三千五百人以上の失業状態というようなことになつておりますし、七十二か三かちよつと記憶ありませんが、七十二、三ありました炭鉱も現在動いておりますのバ四十九というような状態に立ち金つております。で、なおそれに付随いたしまして、炭鉱これらに対しまする米代金――いわゆる最も大切な米代企の売掛金と申しますか、未支払金がすでに二十万円近い状態にまで立ち至つております。そういう状態におきまして、社会保障的な意味におきまして、どうしてもこの県の金を預託いたしまして、労務者各位なり何なりに飯米資金程度はやはり貸して一行かなければならない、これは炭鉱経営者を通じて貸すのでございますが、なお担保もとつて貸すのでございますが、零細委金融或いは飯米資金といつたような中小炭鉱に対しまする最低の食うか食われるかといつたような資金をもやはり県の財政の中で貸して行くことも一つ県政策の一面だと考えましたの、でございます。そういつた金融関係に対しまする歳計現金預託関係、或いはその他法令等によりまして、更生資金とかその他たくさんの預託金があるのでございますが、そしれが大体一億固定をいたしておるのでございます。歳計現金固定をいたしておるのございます。これを使えなかつたということも第三番目の原因になるかと存じます。  第四番目の原因につきましては、これはもう御承知通り一般金融の引締でございます。県の財政のやり繰りにつきましては、或いは交付税、従来におきましては交付金が多小遅れてみたり或いは国庫補助災害復旧費用国庫支出金等が離れて来ることが間々あるのでございます。でそういう際におきまして、やはり俸給支払とか或いは期末手当支払という期限がきまつております支払におきましては、どうしても我々の県で資金繰りがつかない場合、やはり市中金融或いは一般金融機関から二億、三億借りまして、十日なの五日なりというものを利用いたしまして資金繰りをつけて来たのでございます。併しながら非常なこのデフレ政策の浸透によりまして、そういつた金融市場からの貸金繰りが殆んど杜絶せざるを得なかつたという状態になつたのでございます。  なお今それを強行いたしますと、中小企業のほうに非常に影響がある、或いはお盆を控えて七月の決算に非常に影響があるというようないろいろな点かここに出て参りますと共に、現実金融機関から借出すという、従来の二、三億借りておりましたものを借出すということが全くできなくなつた、なお一方政府資金のほうは相当強くいわゆる引揚をなさるというようなことによりまして、ここに金融資金繰りが、歳計現金資金繰りが問題となつて遂に行詰つた形になつたのでございます。  で、この見通しにつきましては、率頂に申上げまして私はやはり現実振返つて見ますと、私の見方が多少甘かつたということにつきましては誠に申訳なく責任を感じておる次第でございまして、これも御批判余地があろうかと存ずるのであります。で、その後におきまして、大蔵省或いは自治庁方面実情を申上げまして、政府短期財政調整資金一億八千万円を七月下旬にお貸し頂きまして、何とか七月分は支払及びこの俸給支払いまして、そうして一般支払及び俸給支払いまして八月に入つたのでございます。  で、ここで希望を申上げることは失礼かと思いますが、八月分もやはり苦しいのでございまして、第一点には国庫補助早期支出一つお願いを申上げたい。いわゆる災害とか或いは農林関係補助金、その他一般補助金等早期支出を特にお願い申上げたい。それからすでに大蔵省方面及び自治庁方面の御了解を得ておるのでございますが、災害によりまして一億特別融資をして頂いております。これの返済を暫く御猶予お願いしたい。それから三番目につきましては、九月に交付せられますところの予定の地方交付税一つ八月中旬以前にお願いを申上げたい。この三つでございます。これでも困難を予想せられます場合におきましては、政府の毎期融資或いは財政調整資金お願い申上げたいつもりでおるのでございます。地方財政の面におきまして八月が非常に資金繰りのつらい時でございますので、この点一つよろしく御援助をお願い申上げたいと思つておるのでございます。  なお勿論私としまして苦しいデフレ下ではございますが、別途金融機関に対しましてもそれぞれ交渉を続けております。或いは所定の収入、いわゆる税とか手数料、雑収入というようなものの早期収入現実県民生活に無理のない程度まで、まあ無理して行けば非常に混乱を起しますので、その限度を考えながらもできるだけ早期収入を図りたいということにいたしますと共に、経費の節減につきましては後ほど申上げますが、できるだけの節減を今度は無理を承知で断行いたさなければならないというふうに考えておるのでございます。  目下八月分の見通しにつきましては、九月分の地方交付税早期交付を八月中旬以前にお願い申し上げました場合におきましては、何とか付くのではないか。で、これは佐賀県のみならず全国の八月分の窮乏状態の府県におきまして、そのことが相当救われる面が出て来るのではないかということを考えておるのでございます。併しそうでなかつた場合におきましては、なお八月におきましても資金繰りに相当苦しい面が出て来るであろうというふうに考えておるのでございます。これは大体本県のみならず全国の傾向であろうと考えます。以上で資金繰りの点におきまする概括御説明を申上げたのでございます。  次に、佐賀県の赤字実態につきまして、多少具体的に申上げたいと思うのであります。その前提といたしまして、第二番目に財政規模推移と申しますか、佐賀財政規模推移を申上げてみたいと思います。御承知通り佐賀県は半分以上が農村県であり、且つ又日本におきまするところのいわゆる小さい県の一つであるのでございますが、昭和十二年度予算総額、まあ決算で見ておりますが、七百万円、二十年度六十百万円前後であり、その後の占領政策或いは社会保障制度の拡允とか、災害、いろいろな面のために昭和二十五年三十五億前後に伸びておりまして、昭和二十八年度におきましては七十四億円を示しておるのであります。こういつた予算規模の増加、いわゆる伸び方と申しますか、推移全国的な伸び方、或いは国家予算その他に比較いたしましても、実は伸び方は私は少いのではないか、いわゆる全国的規模全国平均、或いは国家予算というものに比べました場合におきましては、佐賀県の伸び方は少いのではないかと考えておるのであります。併しいずれにいたしましても、昭和十二年七百万円の予算昭和二十八年七十四億を示しておるのであります。そういたしまして、シヤウプ勧告のございました、それか実施せられました昭和二十六年度前後まではいわゆる健全政策であつたのでございますが、シヤウプ勧告の税制が行われた前後から極度に、又且つ角度に財政窮乏を告げまして、昭和二十七年遂に四千二百万円、二十八年二億七千七百万円の赤字なつた次第でございます。この点率直に以上の数字を申上げておく次第でございます。  第三番目におきましてこの決算面、いわゆる歳出面から見ましたところの経費内容につきまして簡単に申上げたいと思います。昭和二十八年度決算がほぼ見当がついておりますので、昭和二十八年度及びその近年度と比較いたしまして大体のところを申上げてみたいと思います。  この支出目的別に見ました場合お手許に差上げました資料の第三表でございますが、御承知通り土木、産業、経済費或いは教育費などがその大部分を占めておるのでございますが、なおそれを性質別に第四表に示しておるのでございまして、二十八年度の項を御覧頂ければわかるのでございますが、人件費におきまして約三四%公共補助事業、いわゆる県の単独補助ではなくして国家補助等をいたします公共補助事業二一%、それが殆んど両者を併せまして、人件費国庫補助で半ばを占めております、五〇%以上を占めまして、その次の災害復旧が一九%でございますか、その前後になりまして始んど七〇%を占める、こういうようなこの性質別予算内容なつておるのでございます。人件費国家政策としての公共補助事業及び災害復旧であります。なおこの支出の点につきまして問題となります点を全般的なことから二、三申上げておきたいと思うのであります。  第一点は災害復旧費であります。佐賀原は御承知通り台風、或いは大雨に両年非常に見舞われておりまして、二十四年度以降災害復旧費政府調査定災害復旧費総額が実に八十七億円に達しておるのであります。ところが二十八年度までの復旧そのもののいわゆる金額のほうから、予算を頂いたほうから言いますれば三十三億でありしまして、現実に五十何億と申しますか、五十億前後というものはまだお金を頂いてない、併しながら現実はやはり町村はこの農協から借りるとか、或いは県も資金繰りをいろいろやつて、まあ何とかかんとかやらざるを得ないところは、多少なりともやろうという気構えを以て今日まで来ておりますか、現実の数学的な面から見ますると、昭和二十四年度以降八十七億円の復旧費のうち、二十八年度までに三十二億の御予算措置を願つておるという実態にあるのであります。  次に公債費は、いわゆる県の借金でございます。災害がこのように増加いたしますと、必然的にこの公債、県債を増加して参つて来ております。ますます芳しいところの借金をするというような状況に立至つて来るのでございます。現在におきまして、その起債県債総額は実に三十一億、そのうちにおきまして昭和二十八年度十三億でありますから、二十八年度水害の際に頂きました起債というものも随分大きいわけでございます。併しながらこれは借金であつて、利子をつけて国家に御返済を申上げなければならない。そういうことになりますと、もう数年にならずして佐賀税収の約十億前後、新しい改正税制で約十億の税収でございますが、これはのちほど申上げますが、数年ならずしていわゆる県税収入の半ばを占める利子償還……いわゆる償還をしなければならない。現在約三億近いところの償還というものか大きく県財政の上に響いて来ておるという実感でございます。  次にこの多少機構的な面に亘るのでございますが、御承知通り法令或いは国庫補助或いはその他によりまして、国家から頂きます補助金は、いろいろな面の事業をやつて行きます場合、どうしてもそれに伴いますところの地元負担、いわゆる県費負担を必要として承るのでございます。で、これの節約につきましては、補助金を返還し、或いはその国家政策を行なわない限り、県独自の立場におきまして一つ政策をやめる、或いは補助金をまるまる返還して、うちは要らないというようなことをやるというような点につきまして、非常に困難な面がありまして、やはり予算編成或いはその執行の向におきましては、どうしてもここに県費支出して、国庫補助を受けるという形に置き、執行すれば、やはり県費を持つて行くという形に持つて行かなければならないのであります。なお県独自の立場においてこれを執行しようという場合におきましても、どうしても困難が出て来るのであります。  第四番目におきましては、只今と同様な内容ではございますが、国庫補助或いは負拠金等を通しまして、或いは法律、或いは政令規則、要綱といろいろな種類はございましようけれども、国の政策の中におきまするところのいろいろな事務があるのでございます。その一例といたしまして、その機構の一例といたしまして申しますと、例えば各種委員会或いは各種諮問委員会、審議会というようなものが法令或いは条例或いは政令、規則等によつて設置せられて来るのであります。その内容を調べてみますと、教育委員会、公安委員会、人事委員会、労働委員会、農業委員会は今度農業会議になりますが、或いは海区調整委員会、監査委員会というようないろいろな委員会、執行機関的性質を持ち、且つ又事務局を設置して職員を置いておりまするところの委員会が、これは法律によつて行う委員会が九つございます。最も大きいのが教育委員会でございます。なおそのほかに諮問機関的委員会、審議会が実に八十九あるのであります。で、これらの機構は又これらの仕事を行いまするためには、どうしても人を必要といたします。そこでこの職員数であるとか、一般行政費という面は、これはやはり県の負担に、一部は国庫において賄つて頂くのでありますけれども、県のいろいろ雑用なり或いは負担として支出せざるを得ないような状態なつて来ておるいわゆる経費内容の歳出の面につきまして、赤字の基本的ないろいろな問題点となるべきことにつきましては、以上のような状態なつてなかなか歳出の面におきまして、これを思い切つて知事独自において絞るという点に困難があるということも申上げておきたいと思うのでございます。決して私は節減することに勇気を失つてはおりませんけれども、やはりそれを行おうとするとこういつたことに、困難に現実の面としてぶつかつて来るということを一つ御了承又御了解頂きたいと思うのでございます。  次に歳入の問題につきまして申上げます。今は歳出関係経費の内容について申上げましたが、第三番目に歳入の面につきまして申上げます。成人の構成につきましては第八表及び第九表等を御参照頂けば幸いだと思うのでございますが、およそ県税が一三%、全決算面の中の、いわゆる全予算の中の一三%が県税収入であります。なお平衡交付税、或いは従来は平衡交付金と言つておりました、そのものが一九%、国庫支出金四一%、県債、いわゆる県の借金が一八%となるのでありまして、実に国庫依存度、いわゆるお国におすがりをしておる、この依存度がすでに災害等のためではございますが、七八%、いわゆる八割近い状態にまで今日来ておるという実態でございます。昭和二十六、七年度くらいまでは大体七〇%、七割の国庫依存度という状態でございましたが、現状におきましては、実に災害等の影響を受けまして、八割近いところの国庫依存度というところを止むなくいたしておるという実態であるのでございます。而も御承知通り農業を主体とし、石炭が別にあるのでございますけれども、その税種目の場合は、或いは事業税とか遊興飲食税とかいうものを主体とし、入湯税は分与税となり、或いは都道府県民税と申しましても、これは各都市県も農村県も大体同等であり、特に農村におきます都道府県民税の各個人世帯に割当てる額は非常に乏しいのでございまして、ますます窮乏を告げて行く、いわゆる農村県ほど不利になるという状態一つお考え頂ければ誠に幸いだと思うのでございます。  第二番目に税の収入について申上げます。これは第十二表でございます。税収、いわゆる一二%になつております税の収入率は御覧の通りだと思うのでございますけれども、毎年度調定額に対しまして大体九〇%を越えておるのでございます。この点につきましては甚だ失礼ではございますけれども、恐らく全国におきまして最上位近くにあると考えております。決して税収を怠つておるというようなことは私はあり得ない、むしろ県民により多くの負担をかけ過ぎておる、全国平均から見ますならば、そのようにすら考えるのであります。従つて全国的な税収率を御覧頂きまして、最上位近くにあるということも一つお考えを頂きたいと思います。なお御承知の基準財政収入額の十分の八と言われますものを常に上廻つておるのでありまして、この点はそれたけのことを私の県の立場としては徴税率におきましては最善の努力を数字的にいたしておるということを申上げたいと思うのでございます。併しながら一面におきまして、この地方財政計画におきまするところの税収の伸び、地方財政計画、国家全体をお考えになりました場合におきまする税収の伸びは農村県であり、今日の経済情勢下であり、又非常に貧弱な工業しか持たない佐賀県におきましては、決して全国平均にまで税収は伸びないということであります。大体地方財政計画は全国平均にお立てになるのが当然かと思います。併しながら県自体の伸び方というものは九〇%以上とつて、そうしてでもやはり全国平均にまで伸び得ない経一済力しか私の県は持つてない。そこに又全国平均と私の県との伸びの差額がやはり地方財政計画の中で私の県に無理を来して来るというようなことをも考えられるのであります。  平衡交付金につきまして申上げますが、佐賀県における平衡交付金交付額は大体十二、三億程度でございます。交付金におきましては、実はいろいろな御算定の方法があり、その下積みから上つた不足分を頂く形に実は大つておつたのでありますが、御承知通りいろいろな国家財政実情から、どうしてもその総額が不足する、これは全国知事会議においてもう数年来の問題になつて、その不足額の交渉を百回となくいろいろ全国知事会対政府との間に行われている問題でございますが、いわゆるその不足額の交渉というものが結局弱小府県といいましようか、こういう状態にあります佐賀県等にも及ぼして来るというようなことをも考えられるのであります。その算定の方法等につきましてもいろいろの問題が、やはり小さな県であり、人口百万ぐらいの県であり、その構成が農業県であるという点から、面積、人口、いろいろな面から、どうしても実態に即さない点が、これはいたしかたないかと思いますけれども、あるのでございます。  なお四番目の県債について申上げたいと思うのでございますが、先ほど申上げました通りでございまして、いわゆる三十一億の県債なつておりまして、その償還費のみにおきましてもすでに県税収入の半ばを起すというようなことがここに数年後において起る、恐らく何年かのちにおいて起るというような状態にまで立至つておるのでございます。  繰返して申上げますが、以上収入関係、いわゆる歳入関係について問題点を申上げますと、平衡交付金の不足額というものが私の県に非常に大きく響いておること、第二点におきましては、事業にいたしましても、或いは県庁内部のの機構の問題にいたしましても、国庫支出金、或いは国庫補助、或いは政令、法令等によりまするいろな点におきまして、財政的にも機構的にも独自の立場から縮小できないところの多くのものがあり、これには地元負担がございまするので、どうしてもやはり県財政に響いて来るということであります。第一点が県債の増大ということ、次に税収入、自己財源というものが非常に乏しい、且つ伸びも非常に少い。全国平均から見ましても少いということでございます。従つてそれの県税収入に加えましたところの平衡交付金又は地方交付税、これを一般財洲と言つておるのでございますが、一般財源の伸びが全国平均より常に下廻つでおるのであります。これが国家地方財政計画との間にギヤツプを生じまして、その負担をやはり我々が受けなければならんのではないかというふうに考えられることであります。以上が大体この歳入、歳出の面から見ましたところの恒常的な、或いは機構その他のあり方から見た赤字一つの基本的な原因だというふうに私は考えるのでございますが、なおその赤字原因につきまして、現実に義務教育、いわゆる生活保障費であるとか、児童保護費であるとかいうふうに、国庫が御支出になりますが、なおこれに県費を必要といたします。或いは教育費でございましても半額国庫負担であり、その半額はやはり一般財源から出して行くというような義務的支出国家政策の根幹でありますところの義務的支出の面から見ましても、この赤字状態を多少申上げてみたいと思うのであります。これは決して県独自の施策を申しておるのではございません。国家施策にすべて繋る義務的な県の支出の面であります。昭和二十六年度から二十九年度までにおきまして、そういう支出のどうして、増加いたさなければならない実態なつた数が十九表にあるかと思いますが、それを御覧頂けばわかるのでございますが、第一点が給与改訂費、いわゆるベース・アツプその他を勘案いたしまして、ベース・アツプ等が行われまして、それに伴つて地方公務員もやはりベース・アツプをして行くというような給与改訂費の増加八億、二十六年度から二十九年度の間におきまする増加分のみであります。増加分のみが八億、それから生活保護或いは保険衛生、伝染病の予防費とか、その他そういう社会保障関係、これはどうしても法律によつて行くべきその伸び方が約四千万、それから公債の償還費の増であります、増加分が一億八千万、二十六年度から二十九年度までにおきまして合計約十億の義務的費用の伸びが実はあつておるのでございます。なおこの間におきまして給与改訂費の面におきましては多少問題があるかと思いますが、政府のベース・アツプに順応いたしましてスライドをいたしまして、そうして伸びて来たものでございます。決して政府以上には上つておりません。政府にスライドして来ているものでありまして、これに対しまして、一面におきましてどうしても県税収入なり、交付金なりというものを項かなければならない、いわゆるこの収入一般財源の増加分を勘案してみますと、実に県税収入におきましては三千万しきや伸びていないのであります。九〇%以上調定額に対してとりましても三千万しか伸びていない。なお平衡交付金におきまして、最近二十九年度から入場譲与税を入れましたものでございますが、大体平衡交付金、それを合せまして五億四千万、従つて五億七千万の一般財源の伸び方であります。二十六年度から二十九年に十億前後、十億二千と出ておりますが、約十億伸びたものに対しまして、収入の面におきましては五億七千万しか伸びない。差引きのように義務的な費用のみにおきましても、どうしても国家政策として行わなければならないというこの面におきましてのみでもすでに四億以上を超しますところの負担となつて来ておるのでございます。これは何としても行わなげれはならないものであると考えておるのでございまして、決してこれは知事責任におきまして、或いは知事独自の見解、県のみの立場においてどうこうしたものではございません。国家政策の伸びによりましての負担であるのでございます。併し一面におきまして、でき得る限り一般行政費の節減であるとか、その他ありとあらゆる節減をして参りまして、そうしてついに二十七年度四千二百万、二十八年度約三億の赤字を出しておるのでございます。  なお附随して申上げたいと思うのでございますが、このほかに実は県の単純事業というものがあるのでございます。これは義務的費用において約四億の実際上の辻褄の合わない点、いろいろと赤字となる原因を申上げたのでございますけれども、これは国家政策に基くものであり、このほかに国家政策が行われますれば、どうしてもそれに付随して行う県の単独事業があるのであります。私は県の単独事業は二つの考え方をいたしておるのであります。その一つ国家政策の行われるものに付随するところの県の単独事業、例えば大きな土地改良事業というものが行われて行きます場合に、どうしても県といたしましてはそれに付随するところの小用排水、小農道、或いはいろいろなそれに伴つて起きることを調整するための仕事を県の単独において行わなければならないのであります。国道ができればやはり国道に通ずる県道の路線変更であるとか、橋をかけるとかというふうに、いわゆる国家政策のものに附随するところの県の単独専業、それを行うことによつて国家政策が真に多くの利益と真価を発揮するという県単独事業があるのであります。  第二番目には、県単独事業といたしましては、県独自の立場におきまする単独業がおるかと思います。これはその県その県によりましてやはり独自のものがあると思います。たとえば申しますれば、私の県には日本住血吸虫と言われるような特殊の風土病がある。これに対する対策というものがやはり成る程度最小限度行われなければならない。或いは佐賀県は御承知通り干拓か多くて軟弱地盤でございまして、一般の道路補修費では十分賄えない。従つてその場合にどうしても県費を出して常に最低限度通れるだけの補修をしなければならない。或いは最近のように李承晩ラインであるとか、中共船に拿捕されますとか、非常に玄海方面の漁業が緊迫をいたしておりますと共に、漁民の神経が非常に昂ぶつて来ております。併しながら隣の福岡原においては立派な取締船を持ち、長崎県においても立派な取締船を持つております。レーダーを付け、無電を付けて漁民を誘導しておいでになる。佐賀県のほうは徴発をされて、これが爆撃を受けて撃沈されたので取締船を持つておりません。従つて今日の事態に即しまする場合、県単独事業としてやはりこの取締船一つは作つてやらなければならんというような窮境に私としては追い込まれるのであります。こういつた県独自の取締船といつたような単独事業ということもやはり考えます。それで県単独事業というものも一切ストツプさしたほうかよろしいというお説もあるのでありますが、県の責任者立場に立ちます場合、今のようなことを考えながらいたしますときに、県単独事業も最低限行わなければならんのじやないか、こういうふうに私は考えておるのであります。  以上のようなことでありまして、結局はこれは全国平均で算定して頂くので、それを私は云々するのではありませんけれども、国家地方財政計画の面から現実佐賀県の実態というものを考えて行つた場合、やはり第一点が給与費におきまして、或いは新規財政需要の算定の議におきまして、或いは県税収入伸び方の面において、或いは教育費の面において、実は約二億近い金を持ち出しておるのでありますが、教育費の面におきましてやはり文部省から頂くものと財政難との間に二億ぐらいの開きがありますが、これはやはり止むを得ずここに持ち出しておるよう大状態なつて、そしてそういうものが原因となりまして赤字になつたのであります。でこれは一面におきまして節約なり何なりは私としてはできるだけやつて来たつもりでおります。併しながら遂に赤字が出たその原因を突き詰めていくならば、以上のようなことがあつたのじやなかろうかというように考える次第でございます。  次に警察制度の改革の問題について簡単に申上げます。これは政府におかれました財政計画に基きまして、又示達をせられました切替えの要綱に基きまして国警のほうと種々交渉をいたしまして、殆んどと言いますか、一切そうした形において切替えたのでございますが、政府の内示せられました額から約七十万円を県でつぎ足さざるを得ないという状態になつたのでございます。その内容につきましては表に詳しく書いてございますか、これは罪を他に転嫁するようで甚だおかしいのでございますけれども、他県でも同様でございまして、根本的には全国三百五十億という府県警察の財政計画にやはり御無理があつたのじやなかろうかということを痛感せざるを得ないのでございます。御命令のまま、又大体そのいろいろなお聞きいたしましたことによつて切替え得る措置があつたにしても、それにしても人件費を賄うに足りんような状態にまで至つたという実態につきましては、これは各県ともお調べ頂けばさようであろうと思います。佐賀県のみがそのような状態にあるということではございませんので、何とぞ一つ御了承を願いたいと思うのであります。  なお佐賀県におきましては、佐賀と唐津と有田と申します非常に小さな都市、三つの自治体警察があつたのみでございまして、それが恐らく二、三百人くらいで、あとの千人近いところの警官はすべて国家公務員でございます。従つて自治体警察のために非常によかつたといういわゆる給料……金が余計要つたというようなことは他県に比してあり得ません。千三百人くらいの警官の中で千人近くが従来国家警察で、あとの二、三百人が自治体警察であつたのであります。従つて国家公務員のベースを切替えまして、七十万円の赤字がつぎ足しを必要とするということになつたのであります。併しこの赤字見込は、これは何とか政府の御措置を願わなければならん次第でありますか、只今まで参りました県財政赤字というものの原因にはまだなつてはおりませんが、これは七月から切替えたのであります。で、赤字見込みということになりますので、その点は御了承願いたいと思います。  それから六番目に、今回昭和二十九年度から地方税制が改正をせられたのであります。そのことにつきまして簡単に申上げておきたいと思います。地方税制の改正は御承知のことだと思いますが、地方財政の安定を目的といたされまして改正され、たばこ消費税或いは民税、その他ができあがつたのでございます。そこで佐賀県におきまして、従来八億くらいの県税収入というものが十億ちよつと超す前後になつていくのであります、ただこの際、揮発油譲与税は入れておりません。これは目的税であり、道路に使うという厳としたあれがございますし、我々のほうから言えば、性質上国庫補助というような性質を持ちますので、一般財源として或いは教育費、域いは衛生費、或いは民生費ということに使いません。仕つて国庫補助というふうに考えまして、揮発油譲与税の分は入れていないのであります。併しこれだけ約二億前後自主財源とし伸びたのでございますか、只今のように警察関係のつぎ足し分七千万円、或いは一億近いものを考え、その他をして行きますので、これによつて全面的に、折角の御改正にけちをつけるわけじやございませんが、これによつて赤字が全面的に解消されるとは考えられませんが、やはり窮乏というものに続いて行くんじやないかというふうに考えるのでございます。勿論多少はよくなつたかと思います。と共に警察関係につきまして、政府の御措置が持出しがないようにして頂くということができれば、やはりそれだけのプラスになりますけれども、これによつて全面的にこの赤字解消という段階には至らないというふうに見ておる次第でございます。  次に第七番目に、赤字の再建対策につきしまして申上げてみたいと思います。現在までの赤字につきましては、すでに表にございますように、二十八年度までに二億七千七百万円、これは実際の支出をいたしました赤字でございます。なお事業繰越しであるとか、支払繰延、いわゆる直轄事業の負担金を御猶予願つたりしておるが、事業繰越を八千八百万円、支払繰延を一億六千万円、本年度は今後節約をいたしますから、七億という赤字はもつと解消せられると思いますが、従来のままで行けば七億くらいの赤字か警察を入れますと、警察約一億とみて入れますと、このくらいになるのじやないかというふうに見積つておる次第でございます。従つて十億ちよつとというものが二十九年度赤字になるのではないか。併しこのままにして安閑としてはおられませんので、差当り昭和二十九年度におきましては、現在人件費一億、一般行政から一億、事業費から一億、計三億前後というものを何とかして縮減をいたしたいというその立案中であります。実は五月の県議会に人件費一億の節減計画を提出をすでに五月末にいたしたいのでございますが、御承知通りのいろいろな関係上遂にそれが流れまして、再度八月中旬以降におきまして、実は更に一般行政費、事業費まで合せましたところの、三億の節減案を県議会に提出いたしまして、最善の努力をして御承認を得たいというふうに考えておるのでございます。従つて昭和二十九年度のこの節減計画、これは相当無理がいくと思いますけれども、断行をいたしたいと思います。又いたすつもりでおります。それを基礎に、いわゆる今国会継続御審議中でありますところの財政再建整備法案、こういうものを中心にいたしまして、或いは五カ年乃至七カ年、十カ年というふうな再建計画を現在作成中であります。実はそれは計画案はそれぞれ大蔵省なり自治庁なりにすでに係員等が参りまして、お話を申上げ、それを行うつもりでおります。併し御承知通り警察関係の費用がどうなるか、或いは今後の改正せられました税収の伸びがどうなつて行くかといういろいろな点において、まだ初年度でございますので、もつと更に実行力ある具体的の案を立てて、そして再建整備をやつて参りたいと思う。勿論その案はございますけれども、以上のような点に十分ならざる点もございますので、今後自治庁或いは大蔵省と御協力を得まして、立ててそれを実行をいたしたいというふうに考えております。なお一面県税収入なり或いは雑収入、手数料、或いは県の所有物件の不要、特に不用物というのはおかしいのですが、売払というような形におきます収入の両も研究いたしております。そこで再建整備法の御審議中でございますので、これは議員の各位に申上げたいということの我がままもお許し頂ければ、この程度の節滅案を作つて参ります場合におきまして、どうしても只今申上げましたような実態の中からこれを進めて参りますと、いわゆる自主財源の問題、いわゆる県税の増徴の問題、それから人件費の削減ということを大巾に行わない限り、ここに本格的の節減というものは、なかなかでき得ない財政状況なつております。でその二点に集約される虞れが相当あるのでございますが、この点先ず県税収入の面から申しますと、全体の予算におきまして、特に私ども窮乏県におきましては、県税の分が一割三分、一三%の比率しか占めていないということ、非常に伸びが少いということ、特に経済情勢によつて徴税を強化するといつても、経済状況なり何なりによりまして、非常に困難性が現実の問題としてあるのではないかということを申上げるわけであります。  次に人件費削減の問題におきましても、私の県では警官が千三百、教職員が八千、県庁職員が三千二百おりまして、実は相当欠員を持つております。欠員の分は別といたしましても、特にこの教育関係の場合におきましては、知事におきましては人事権が教育関係にないわけでございます。県教育委員会にもない。地教育委員会にある。従つて知事責任におきましてこういつた教育人件費節減をめぐりまして、現実の問題に行つた場合におきまして、非常にここに壁にぶつかつて行くというわけでございます。この点、なお又教育費そのものがいろいろな面で事業費的な性格と言つては失礼かも知れませんが、教育費はやはり人件費事業費的な性格を持つており、一面生徒数の問題がある。或いは均等な教育をするという他県との均衡の面もございますが、そういう点から行きまして、この人件費節減の場合におきまして、知出自身の権限におきまして、或いは教育というものの本質から見ても非常に多くの問題があり、且つ困難な問題があるということを申上げまして、今後の再建整備法の御審議の際において御考慮頂けれは私は幸いであるというふうに考えるのでございます。なお私といたしましては、勿論改むべきは改め、できるだけの節減ははかるつもりでおるのでございます。  最後に結論及びお願いを申上げたいのでございますか、結局この佐賀県の場合におきましては、只今御覧になりましたように、国家政策、いわゆる公共事業或いは義務的な社会保障、こういう義務的な費用、義務的な性格につながりますところの佐賀県自体としての地元資金の裏付、佐賀県の資金の裏付というような義務的な面におきましてすら、実は赤字を見込まれるといつたような乏しい情勢に立至つているのであります。そこでこれを切下げて行きます場合におきましては、いわゆる国庫補助金を返上する、公共事業も大巾に返上するというような段階に私はならざるを得ないということを実は虞れるのであります。併しながら、少くとも国政に基きますところのこの政策というものは同じ日本国民である限り、この放縦の恩恵というものはやはり均等に受けさすべきであろう、又受けさせるのが本当であろう、又私の県民にいたしましても、病虫害防除金に国庫補助があつた場合、県の財政かたいといつてそれを半分に切つて、他の県におきましてはまるまる頂く、又災害復旧の面におきましても、県が窮乏をいたしておりますから、ほかの県では正割の復旧ができるのに、佐賀県だけは一割でいい、いわゆる国の基本政策にまで触れていいものであろうかどうかということを実は責任者といたしまして非常に苦しむのであります。私は何とかして、そういつた国家政策の根幹につなかりますところの恩恵だけは少くとも貧乏県であろうと富裕県でありましようと、都市県であろうと農村県であろうと均等に分けさしてやらなければならんし、やるべきじやないかということを痛感いたしておりますと共に、責任者としては、そこの立場なつて行きますときに、県の財政窮乏によつて、いわゆる均等なる政策の恩恵を県民が浴するか浴さないかという面に至りますときに、両方から責められまして、非常に苦しい立場に立つのであります。私は当然日本国民である限り、均等に受けるべきが当然であろうというふうに考えております。これは農業関係補助金にいたしましても、災害復旧補助金にいたしましても、併しおのずから限度がありまして、やはりその間におきましてどうしても貧乏県であるからと言つて贅沢はしちやならないし、やはりその間におきましても何といいますか、節約と無理はしなきやなりますまい。でございますから、何もかにも平均という点におきましてもおのずから限度があつて、節約をしながら少くとも基本的な政策たけでもやはり均等に政策が行われるように、或いは病虫害の防除金にいたしましても、災害補助金にいたしましても、或いは教育費のいろいろな面にいたしましても、都市府県のみ教育施設がよくでき、或いは教員給与が非常に高い、貧乏県であるからしておのずから限度がございましよう、併しながら余りに極端に著るしい差が給与の而にも施設の面にもできるということにつきましては、何とか県財政の建直しといいましようか、この考えから均等にそれが行われるだけの御予算措置を私はお願いを申上げたいというふうに思うのでございます。この点は何とぞ一つ十分必要の最低限、この点の面におきまして特に佐賀県の実態につきまして御考慮頂けれは、私は幸いであるというふうに考えるのであります。  併し、こういつた現在、その主たる原因につきましては、結局或る意味においては地方の税財制度の問題へ来るかと存じております。貧乏県と都市県の窮乏実態の不均衡という問題になりますれば、やはり税町制度へ来る。税財制度から考えれは、或いは県の規模の問題、或いは地方公共団体の性格の問題というふうにまで発展する問題があろうと思いますが、本日におきましては、何とぞ今のような国家政策の恩恵を均等に浴するというだけの一つ予算措置お願い申上げますと共に、それに繁がるところの、国家政策に繋がるところの県の単独事業最低限度やる、或いは県の特殊事情、特に選りすぐつたところの検討に検討を重ねました特殊事情の単独工事だけはやらして頂くというだけの財政状況にまで、勿論節約はいたしますが、政府におかれましても一つ予算措置を切に私はお願いを申上げたい。贅沢とか何とかは申上げません。それを一つ第一段階としてお願いを申上げたいと思うのであります。この点が責任者としての私の一番苦しいところであり、悩みであります。節約をしなきやならない面においては、いわゆる県民の国家政策の浸透、恩恵に浴する県の単独事業を簡単に切れという御理論もございますけれども、県民の、実際同じ日本国民であつてそこまで行くべきであろうかどうか、これは御批判余地があろうかと思いますが、私はそのように考えております。  以上最低のことをいろいろ申上げたのでございますが、私は謙虚に多くの皆様がたのお話を伺いまして、直すべきは直し、改めむべきは改めたいと思います。どうか一つ十分反省もいたしたいと考えております。併しながら又一面政府なり国会におかれましても、一つこの窮乏状態に対しまして御調査の上御同情を頂きまして、今申上げました最低の私の気持に副うだけの御援助、御予算措置でもできれば、誠に幸いである。  以上を以て公述を終ります。
  13. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今お聞きの通り佐賀県知事からの公述は終つたわけでございます。これから知事に対します委員の方々からの質疑をお願いしたいと思います。
  14. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 知事さんに伺いますが、職員の給与の実情ですね、これなんかも一つどこかの表にあるのであろうと思いますが、いわゆる理論給与とどのくらい違いますか。
  15. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) お答え申上げます。理論給与より、殆んど佐賀県におきましては変つていないと言います。か、多少は高くなつているかと考えております。二、三百円、そのぐらい高くなつていると思います。これはそれだけ十分切らなければならんということでございますが、結局国家公務員に準ずるという地方自治法の形におきましてベース・アツプせられた場合スライドをしなければならない形に、条例と青いますか、それに準ずる形てスライドしております。それでその間多少高くなつている分が或いはあるかも知れませんが、殆んど佐賀県としては抑えておりますので、変らないかと思います。
  16. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 県庁の定員三千三百人ですか、それから教員が八千ですか、これはいつ頃からこのくらいの数になつておりますか。
  17. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) ここに表にございますが、昭和二十六年度から殆んど三千三百人前後、変つておりません。そういたしまして二十九年度三千三百八十二人になつておりますが、この間は御承知通り民生関係の社会福祉司とか何とかいつたような法律によつてきめられた増員を半分とか三分の一とか絞つていたしてこの程度でございます。併し現在の実員はこれからぐつと絞つて実は欠員を残しております。その数が約百三十人ぐらいになつております。
  18. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 中小学校の教員の一学級に対する率ですね、今どのくらいになつておりますか。
  19. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 大体中学におきまして一・三ちよつとであり、小学校におきまして実員配置が一・一八ぐらいかと思います。非常に絞られております。
  20. 伊能芳雄

    伊能芳雄君  一・一八……。
  21. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) ちよつと私も記憶いたしません。あとで資料を……。
  22. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私がここにこういうことを申しますのは、あんまり人件費の率が高いように思うのです。非常に高いように思うので、ベースが高いか或いは県の力に不相応な数字を持つておるのじやないか、こう思つたので申上げたのですが、文部省は中学を一・八、小学校を一・五にしたいという前から目標を立てております。こんな我がままなことを恐らくやつている県はないので、それよりずつと低いところにあるのです。教育は成るほど大切であつても、財政も大切なことですから、県の力に負えないようなことはやれない。今人事の問題で人事権は成るほど知事にはないのですが、人事権がないということは人をあつちにやつたりこつちにすることはできないでも、財政面からは或る程度までそういうふうな学級が殖えただけに財政上がこういう半信だからということで、教員数の動きは或る程度まではそういう何と言いますか、抑制もできるわけです。それを文部省側の言うような率にいたして行つたら、これはどの県の財政も持ち得ないと思う。たから人件費の率が非常に私高いように思うので申上げたわけです。  それからさつき災害復旧を八十何億というのがありましたが、立替工事をするようなことを言つておりましたが、八十何億の査定、これは町村分を含む額ですか。
  23. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今第二審目のお答えにおきましては県工事のみでございます。だから私としては教組が立替えておるように、県としてもいろいろな面で止むを得ざるところをやつておるというような意味において申上げたのであります。  それから人事費の問題につきましては、私の県でも勿論文部省の基準はとても最初から問題になりません。そこで具体的な数字はのちほどお示しいたしますが、大体実際の定員配置というものにつきましては、小学校で一・二に近い一台であつたかと思いますし、それから中学校におきましてもすでにもう一・五を割つて一・三台か四台であつたと考えております。  なお終戦後御承知通り非常に佐賀県が農村原であり、物資、食糧があつたために非常に人が他県より余計入りまして、本年度から……生徒増というものは相当になつておりますが、その点につきましては、殆んど増加はいたしておりませんが、そういう面で今年は特に窮屈になつているのであります。
  24. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 もう一つ税収のことで伺いたいのですが、さつき調定額に対する徴税のほうは非常にいいように承わつたのでありまして、まあ九〇%になつたとか、非常にその点は御苦心の跡が現われていると思うのでありますが、基準財政収入の上における税との比較はどんなものですか。これはどこかに表が出ていると思いますが……。
  25. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 表は出ておりますが、いわゆる基準財政需要額の十分の八をいつも上廻つております。その点につきましては、いわゆる地方財政計画の面から見まして、それ以上とつている形になつております。第五表でございます。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 只今知事さんの御誠意のある話を伺つておりまして、そういうお立場でこのような傑作をしなければならなかつた御心情というものを十二分にお察し申上げられるのでありますか、二、三の点について史に若干突込んで伺いたいと思いますので、お答えを頂きたいと思います。  一つは自治庁の本年度地方財政計画によりますと、一応安定を見越しているという前提で、単独事業などを相当削つておるのでありますが、そういうのが御説明によりますと相当赤字原因を作つているのじやないかというふうに思われるのでありますが、自治庁の方針のようにはどうしてもやり得ないという事情をもう少し御説明頂きたいと思います。
  27. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 先ほど総括的な問題でございますが、この表な御此頃きまして、それから並後に申上げました問題でございますが、総括的な問題としまして、現実の県負担分、いわゆる給与の問題も多少問題であろうかと思いまするが、給与或いは義務的な何と言いますか、生活保護というか、社会保障関係の負担分、そういうような点を一緒にいたしまして、或いは国庫補助の裏付分ということに行きますと、準義務的或いは義務的な費用のみで実は赤になるわけでございます。先ほど申上げましたように……。そこで県の単独工事というものについては、実際言うと全くできないということに県の財政状況がたるわけでございます。併しながら、先ほど申上げました理由によりまして、一二県の単独工事を多少は前からの引続きがある、或いは後在米のつけたいものがあるというのでやつております。併しながら、県の単独補助につきましては、一銭も計上いたしておりません、現状におきまして……。それは相当大きな重大な影響があろうかと思いますが、最後に最低級だけは何とかしなければならんかと思いますが、県の単独補助につきましては一銭も計上いたさず、単独補助のものの中で今申上げました最低級のみを計上している。それはやるやらんという県の単独小業の明輝ではなくして、義務的な裏付け、興用の面で実は行き詰つているというような事情になつております。かような考えを持つております。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 次に、御説明の小に平衡交付金実態に即さない点があるということを御指摘されたのでありますが、殊に不足額が弱小県にしわ寄せされる只今の御説明とも関連することと思いますが、それをもう少し具体的に、平衡交付金なり或いは今度の交付税交付金なりについての予想される今までの佐賀県としての不合理な点と申しますか……。
  29. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 平衡交付金交付税が基本的な問題としましては、御算定を頂いて、下から積み上げられて、その額が一応私たちの県に配分されるわけでありますが、国家予算で切られますから不足分があるわけであります。この不足分につきましてそれぞれ自治庁なり何なり御配慮には預つております。併しながら、結局今のような義務費用にまで足りない状況なつて来ますと、このしわ寄せの限度と言いますか、この予算規模が小さいこと、及び事業の面につきまする額が何と言いますか、非常にその規模によつて小さくなつて参りますから、或る県では一つ事業を中止すればいい場合があるが、私の県におきましては、二つ三つ事業まで中止しなければならない、同じ一億の或いは五十万の金でも、大きな県におきましては、一つ事業なり一つ補助金の範囲で済む、私の県では三つも四つもという極端な大巾な人削減と申しますか、項目に拡がります。そういう点、いろんな面からやはり平衡交付金の不足額と申しますものが大きな問題を残すということと、実質上その額そのものが予算面における率と申しましようか、重さでございますね、それが強く響いて参るということを申上げたいと思います。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 初めの質問に又返りますけれども、二十九年度地方財政計画では、県単事業なんかの放漫というものが指摘されまして、これに対して相当赤字財政原因がここにあるということでこれを引締めるということになつたわけであります。そこでこの佐賀県におきましては、今の観点から県単事業というものをどういう方針でお進めになつていらつしやいますか。
  31. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 県単の事業につきましては、先ほど申上げましたように、国家政策に繋がる県単独事業。第二点は県の実情から見て、或いは今までの経緯から見まして、今年締めくくりをつけますとか、やむを得ず支出しなければならんとかいつたもの、それ以外のものは一切計上しないという態度を堅持しております、現在におきまして……。その点項目別に一つお調べを頂きたいと思うわけでございます。そういう態度でございます。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは結局結論を申上げますと、どうしても避けられないものである。こういう御見解でございますね。
  33. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 赤字の問題でございますか。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうじやありません。県単事業を、これはどういう赤字が出ようとも県政の上には避けられないところの、欠くべからざるところの事業である。こういう御見解でございますね。
  35. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 大体結論的にはそのように考えております。ただ第一点は、どうして、も国家政策が行われる以上、いわゆる大きな土地改良なりダムが造られれば、それに伴う小用排水というものを県が行わなければならないとかいうようなものとか、そういうやむを得ざる国家政策に繁がるもの、及び県自身がそれを見ませんければどうにもならないというやむを得ざるものでございます。そのように考えております。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから先ほど御説明の中に一般財源、例えば税収入でありますとか交付金でありますとか、こういうものが年々伸びが全国平均から佐賀県は下廻つているという御説明があつたわけでございます。で、全国平均より下廻つているということになりますと、これは行政上非常にいろいろの支障があるわけでございますが、これらの点についてもう少し詳しく御説明頂きたいのです。
  37. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 第十一表を御覧頂ければございますが、二十四年度を一〇〇にいたしまして、二十五年度、二十六年度、二十七年度というふうに、二十八年度は多少推定が人づております。この問やはりその額が率から申しましてもあれから申しましても、相当額出ております。これが結局いわゆるしわ寄せられて来たその原因につきましては、佐賀県の一つのあり方であろうと思います。それは全国平均で考えられました場合非常に単純な農村県であるということ、それから工業経済力と申しますか、そういうものが非常に貧弱であるといつたような一般県民の経済構成の問題になつて来るのじやないか、及び経済構成を土台といたしました今日の税財政制度が結局都市偏重になつております。そういう基本的な問題を含んでおるというふうに考えております。更にそれが進めば或いは規模の問題から六県の性格の問題に行くのではないかと思いますけれども、一応そのように考えております。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 先ほど伊能委員のほうからも出たのでありますが、人件費が非常に嵩む、その人件費の中でも教職員の人数が非常に幅をとつておりますから、この給与なり定員なりというものに問題があるのじやないかということが出たわけでありますが、この教職員の給与単価は幾らになつておりましようか。それから定員の基準は先ほども御説明がありましたが、全国平均、或いは他の府県に比べまして給与単価が非常に高いとか、或いは定員の率が非常に多いとか、そういうことがございますが。具体的の数字を……。
  39. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 具体的な数字はあとで差上げたいと思いますが、総括いたしまして全国と申しますより、九州全体におきまして、給与単価において佐賀県は殆んど最低に近くあると考えております。併し佐賀県の置かれた場所自体は隣りに福岡県あり、隣りに長崎県あり、その線を維持するという点非常に苦しい立場にある。又定員配置におきましても同様であります。丁度北九州地帯という中の真中の農村県という特殊事情も御勘案願いたいと思います。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから今度の、警察費の問題でございますが、七千万円の一般財源の持出しがあつたという御説明でありますが、地方税の改正によりまして殖えた分と、それから警察費で持出した分と比べ合せましてどういう結果になつておりましようか。
  41. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 先ほど御説明申上げましたように、今度の税制の改正で殖えた分は約二億二千万と見ております。それで持出した分は七十万、今後持出さざるを得ないという、特殊事情というのが政府の御関係によつて多少あるかと思いますが、現在持出しているのは七千万円でございます。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、結局ほかの県に様子を聞きますと、持出分のほうが入つて来たよりも余計だということをよく伺うのでありますが、佐賀県におきましてはそういうわけではない、入つて来た分のほうがまだ差引き幾らか残るということでございましようか。
  43. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 実は政府におかれて予算措置せられました二億四千万円は警察費でございます。それで大体警察費が一応二億四千万円、多少二千万か三千万の雑費は別といたしまして、それで税収の分は今までの窮乏を救うものという形において考えておつたわけであります。ところが現存におきましては、その半額近いところを警察費のほうに取られたということになつております。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 いろいろ伺いまして、結局そうすると、これは知事さんの御説明にもありましたように、人件費というものを節減して行くということも佐賀原の場合にはなかなか困難である、といつて税の臨時増徴というものは税そのものの占める割合が一二%というようなことであつては、これで解決するということは困難だ、なおそれならば自治庁なんかがよく指摘いたしますような単独事業といつたようなものの節減ということが考えられますけれども、これも佐賀県としては昨年の大災害を受けたあとでもあるし、そういうこともなし得ない。そういうことを総合して参りますと、結局それでは現実赤字というものがどういう問題で解決されるのかということになるのでありますが、地方財政再建事画というものを佐賀県の場合佐賀県独自な立場でお考えになりまして、どういうような方法をとれば少くも佐賀県においてはこの解決がつくか、こういつた点について、御説明がありましたけれども重ねて伺います。
  45. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 結局今申上げましたように、勿論我々として人件費節減にいたしましても、行政費の節減事業も抑制するという基本的な節減は行わなければならんと考えております。なお、併しながら先ほど最後に私結論的に申上げましたように、本当の国家政策の均衡というものが佐賀県のみに均分を欠いては私は大変なことになる、そのことから考えて、現実知事の権限その他から考えて実際上において多くの困難も予想されるが、できるだけのことはしなければならん、そこで私どもといたしましては、この実態を御覧頂いて、或いは県の単独事業につきましても項目別に御覧頂いて結構であります。そうして御批判を頂いた上で、端的な場合におきましては、政府地方交付税なり、或いは場合によりましては短期融資なりという形で地方財政の危急をお救いを頂く、そうしてその間におきまして再建計画を立てて進みますが、基本的にはやはり都市府県農村府県、或いは富裕府県貧乏県と言われますところの不均衡を除去するところの一つ地方税財制度というものを御検討頂いて、そうしてお進め頂きたいというのか私の希望でございます。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうお立場からお考えになりまして、今度の二十九年度からは税法の改正があつたわけでございますし、或いは又交付税制度というものができたわけでございますが、こういう新税法によりまして佐賀県の立場からお考えになりまして、或る程度解決がこういうふうな方向を進めればお付きになると思いますか。こういうものでは全然佐賀県のようなお立場の府県財政というものは解決が付かないということになるのでございましようか。
  47. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) これはまあやつて見なければわからん点も多数ございますが、私は一歩前進であるとは考えております。併しながら御承知通り或る県はまるまるこの地方交付税も要らないということもあるし、私の県のように、或いはその他多くの府県のように、二割三割しか自主財力を持ち得ないという現状におきましては、これは到底基本的な改革、根本的な改革が行われたとは、私は失礼でございますが、考えられません。少くとも半分以上の自主財源というものを持ち得て運営するのがやはり地方公共団体のあり方であろうというふうに考えております。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 只今説明の結局、不均衡の除去の方策というものを立ててもらなければ困る、そういう立場から不均衡の除去をする何か知事さんとしてのこういつたような方策はやつてもらわなければならんということでもございましようか。
  49. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) これはまあ個人的な気持を申上げてもおかしいのでございますが、全国知事会議におきまして、その点について再三、再四の考慮を、まあ研究をいたしまして、一応この不均衛除去の面ではやはり地方交付税或いは地方平均交付金制度というものはでこぼこがあるから或る程度の調整か必要である、併し自主財源におきましては、たばこ消費税ができたのでありますが、ほかに酒の消費税であるとか、その他の成る場合におきましては法人税を除いた個人所得税を全部県に取るというようなこともあつたかと思います。そういういろいろな具体的な案を作つて、そうしてまあ五割以上大体八割、中には十割の県も東京都なんかございましようけれども、そういう形で自主財源を強化するというのを一応全国知事会議で案を以て御陳情を申上げておいたと思います。簡単に申上げれば以上であります。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 人件費ということが一番問題にさつきからなつているわけでありますが、人件費節減ということになつて参りますと、ここに拳げられております警察職員、教職員、県庁職員という大きく分けて三つの部面があると思いますが、警察職員というのは、これは県議会関係その他から警察職員の警察費そのものを節減しようということは議会の上ではなかなか出て来ない。県庁の職員というのは数も少いしいたしますので、結局人件費のしわよせというのが全部教職員にどうしても廻つて来るという傾向になると思うのです。只今伺いますと、九州の各県を見ましても、給与半価にいたしましても定員の点にいたしましても、佐賀県がそれらに勝つているというわけではないという数字も頂いたわけでありますが、こういう実情におきまして、併しながらやはりどうしてもこの現在の税制というのが根本的に又早急に変るというふうなこともあり得ませんので、人件費というものの節減でこの赤字解消、切抜けようというようなこれは雰囲気というのはどうしても強く打出されて来ると思うのです。そうなつて参りますときに、教職員というものの給与或いは定員というものに対して知事さんはどういうふうなお立場でお臨みなさるお考えでございましようか。
  51. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今一番私の苦しいところを御質問になつたような次第で、先ほど申上げましたように人件費を締めて行きます場合、どうしても教職員の問題が重点になるのであります。併し先ほど申上げましたように、教職員自体の問題として考えてて行きます場合に、佐賀、長崎、福岡と、隣りの県を引合いに出してはいけないのでありますが、これは義務教育は基本的な国家の教育である。而も教育というものの内容事業人件費というふうに分れるものじやなくして、教育費即ち教育事業費と言いましようか、それはやはり人間が教えるんでありましようから、事業費的な、言葉の語弊があるかもわかりませんが、特質を持つておる、特にその点はやはり考えなきやならないということになつて行きまして、これだけ足りないからこれだけ人件費を縮減しなきやならんのだという形で単純に言えないのであります。そこに基本的な国家政策或いは義務教育の均等化という場合におきまして、極端な教育低下というような状態なつて来ますと、何か佐賀県のみが教育の低下をしてよろしいかという問題になつて参ります。この限度をよく教育委員会なり何なりと勘案いたしまして、そうしてこれたけの節減は私はしなきやなりませんけれども、その基本線に触れて来た場合におきましては、私はやはりそれはできないという立場をとりたいと私は考えております。
  52. 小林武治

    小林武治君 ちよつと伺いたいのですが、今の佐賀県知事の陳述に対する自治庁の御所見というようなものが承われるかどうか。今おつしやつておることについて戒にその通りであるとかいうふうなことは伺えるかどうか。
  53. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 甚だ抽象的な申し分になりますが、自治庁といたしましては、佐賀県知事只今お述べになりましたことは、最近の府県或いは市町村地方財政の或る程度共通的な事象に触れて御陳述になつたと思つておるのであります。赤字原因がどこにあるかということについてはいろいろ見方があり、それぞれの立場によりまして、これは政府地方財政計画の中に原因がすべてはあるんだ、或いは国の制度、施策の中にそういう原因があるんだという一方的な見方をするものもありますし、又半面地方団体財政運営自体が悪いのであると、こういうような状態の下においてもなお且つ黒字でやつておる地方団体もあるのではないか、こういうふうな見方をするものと両方あるのであります。自治庁といたしましては、これはいずれも両方の言い分がそれぞれの理由を持つておるというふうに考えておるわけでございまして、制度の上におきましても、私どもは相当これを検討する点があり得るのではないか、又各地方団体における財政運営の点におきましても、更に御奮発を願う必要があるのではないかというふうに考えておるのであります。併しそれは将来の根本的な問題でございまして、やはり基本の問題としては、只今衆議院のほうで継続御審議中の再建整備法案というようなものを速かに制定をして頂き、又それに関連をいたしまして、地方の財政建直しをするために必要なる制度上の改正点がございまするならば、でき得ますればそういうものの中に更に織込んで頂いて、調整をして頂くというようなことを一方でやつて頂く必要があると思うのであります。と同時に、例えば今回の警察関係経費の見積り等につきましては、なお調査を速かに了しまして、必要なる財政措置を講じなきやならないというふうに考えておるのであります。
  54. 小林武治

    小林武治君 私は今地方団体給料の遅配というような問題があることを非常にお気の毒に思うのでありまするが、これはもう実は民間の企業等におきましては、もうしばしばこれを見ておるのでありまして、かような事態も或いは或る程度避くべからざる事態であつたと思うのでありますが、併しまだ私は府県の財政の運営等におきましては相当な無駄がありはせんかということを具体的にも私どもは見ておるのであります。無論金額の点においてはそう大きなものではないかも知れませんが、私は知事さんに伺つておきたいのは、果してあなたとしてできる最善の措置を一体されて来ておるかと、こういうことであるのであります。而して国家が或る程度この後始末をつけるということにつきましては、私は先ず何よりも今みずから助けると申しまするか、県自体がすべきことがなお相当あると、こういうふうに思つておるのであります。この際あらゆる無駄を排除する、本当に細かい隅々まで無駄を排除して行くというふうな心構えが私は理事者としてはどうしても必要であると思うのでありますが、これらの問題はもう昨年或いは一昨年あたりから相当程度私は理事者としても御注意があつて然るべき問題であると思うのでありますが、本年度におきましても、例えば佐賀県におきましてはいわば政府の言う実行予算、こういうふうなものもお考えになつておられる、或いはこれらを県でお出しになつたかも知れませんが、そういうふうな、要するにみずからなすべきことにつきましてはどういうふうな一つ処置をとられ、又とるおつもりであるか伺つておきたい。
  55. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 実は去年の赤字のときからすでに二十七年度に四千万円の赤字を出しましたので、二十八年度におきましては実は五億万至六億くらいの赤字になるのではないかということで、実は予算支出を極端に抑えまして、私としてはできるだけの最善の策をとつて来たつもりております。ただ先ほど基本線で申上げましたように、国家政策なり何なりの根幹をやはりどうしても県民自体には或る程度は恩恵に浴さしてやりたい。いわゆるその具体的な案といたしましては、国庫補助が折角出るのにそれが全然もらえない。特に重要なものでございますか、公共事業がここにあるのに、それも三割とか半分とかいうふうに切つて捨てるということは、結局国家政策自体の滲透ということを国民が平均的に享受できないというようなことにまで行く。その限度を考えながら私としてはでき得る限りの予算削減をいたしましたが、遂に三億近い、二億七千万円の実際支出せざるを得ない赤字になつたのでございます。これは災害を極端に去年の六月に受けたということもございましようけれど、最善の気持を持つて、これは御批判余地もありましよう、が、そうしてやつて参りました。三月の県議会に二十九年度予算を提案申上げたのであります。この予算提案の際においては、私は多少見通しが甘い点もあつたろうという点は重々現在反省をいたしておりますが、併し国家自体が五月、六月に殆んど改正法なりいろいろな重要な問題が持越されまして、県自体として予算を編成して……もうすでに一月に知事査定をして、そうして二月に編成をして三月に二十九年度予算決定しなければならん。特に佐賀県におきましては七十何パーセントを国家支出に依存しておるというようなことになりますと、その見通し国家予算との関連が強いのでなかなか見通し立ちにくい。そうして二十九年度におきましても、今日から考えればやはり多少の見そこないもあつたことを糸面に申上げたいと以います。そこで五月の場合におきましては、やはり節減案を出したのでございますが、いろいろな事情でこれが県議会の御審議が延びまして、そうして現在八月になつて、これからすぐでございますが、約人件費で一億、それから一般行政費で一億、事業費で一億、或いはそれ以上になるかもわかりませんか、それだけの節減を県議会へ提出してこれを断行したい。現状におきましても原の単独事業は一銭も、一銭もと、育つてはおかしいのですが、全然ゼ口、計上していないというような、多少変則的な立場にあるのであります。私としましては、以上のような私の気持からできるだけの節約を現在におきましても予算実行の面におきまして行なつて来ておるというふうに考えておるのでございますが、何とぞこの点は実情調査なり付なりで御批判を頂ければ幸いであると、かように思つております。
  56. 小林武治

    小林武治君 私どもは地方財政が非常に窮乏しておるということは人局的にはよくわかります。併し府県によりましては相当まだ無駄のある県もあつて全国的には非常に区々に且つておると思います。而して我々は政府当局等と会議して地方財政を立て直したいとこういう気持でおりますが、それについても、要するに知事さんたちが殆んど最善を尽しておるんだという、こういう認識を我々が十分持たん限りは本気になつてお手伝いをするという気持になれん、こういうふうに思うのであります。私は自治庁当局に対してもこういうような心証を我々が得られるように注意しておるのであります。かような状態において、ひどいことを申せばこれは一つの独立採算である。昔公けの経済は、余裕のあつた時分は出づるを量つて入るを制するなどという賛沢なことを言つておつたのでありますが、現状ではやはり私経済と同じように或る程度入るを量つて出づるを制する、こういうような財政運営をしなければなるまいと、こういうふうに考えておるのでありますが、とにかく府県等が国に依存する精神的な依存性と言いますか、事実よりも精神上の依存性が非常に強い。従つて私どもが地方の予算を見ますと、いわゆる出もしないような多額な公債や或いは交付金その他を見込んで、そうして空予算を組んで、組んだが最後、一応支出をするというふうなことのために、ますます赤字が増嵩する、こういうふうになつておるのでありまして、従つて私はこれほど政府を頼らなければならんとするならば、地方団体はむしろもう少し政府財政指導と申しますか監督と申しますか、こういうことを一つ強化してもらつたほうがいいといつたような考えをお持ちにならんかどうか、こういうことを一応伺つておきたいのであります。
  57. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今の問題は大きな軍人な問題であると考えます。財政指導の強化という点になつて来ますと、地方自治体として認めるか認めないかという問題にもなろうかとも思いますが、強化して行く。実際を調査して頂いて強化するという……現実に率直に一つ特に私の県などは御調査を徹底的にして頂きたいということを御希望申上げるのであります。そうしてその間において今申上げましたような私の気持の基本線の立場に立つて運営をして頂ければ、私は誠に幸いであると思うのでございますが、ただこれが現実の問題として、その強化が度が過ぎますと、やはりいわゆる地方自治体よりか官選のほうがいいのじやないかというようなところに参るかと思います。併しそれを官選にいたしましてもいたしませんでも、現実の問題としてはこの赤字が出るその上原因というものが、官選であるから赤字が出なくなる、官選じやないから赤字が出るというほどまでに私は極端に……官選であろうとも私は今日のような私の基本線の立場に立つて行つた場合におきましては当然出るのじやないか。これは知事の官選非官選の問題じやなくして、現実地方財政の税財政制度、そうして、特に佐賀県のように二割何分しか自主財源を持たない県の実態ということだと思います。そうしてそれを今度はそのまま進んで行きました場合におきましては、いわゆる国家政策におきましても、すべての面におきましても、非常に富裕な県が施設がうんとできる。例えば保育所等の問題にいたしましても、富裕な県は三カ村に一、貧乏県におきましては十カ村に一つもでき得ないというような国家政策のでこぼこが相当生じて来やしないか。片一方から行けば、これは非常に警戒すべき問題じやなかろうかとも考えております。これは率直に私の気持を申上げました、
  58. 小林武治

    小林武治君 私まだ詳しく調べたわけではありませんが、例えばあなたのほうの県庁員の数が多少平均に比べて多いのではないか、或いは今度の警察制度の七千万円のあれなども少し多いのじやないか、こんなふうなことも多少考えられますが、いろいろまだ検討願うことがあると我々も考えておりますが、要するに私どもはこの際はもう地方財政というものは膿を出してもらいたい。そうして徹底的にこの際再検討したほうがいいと思うのであります。むしろ糊塗的な弥縫的なことをやめて、そうして或る程度地方財政も手を上げるものは挙げてやるくらいにしたければ私は再建できないというふうに思うのでありまして、この点は一つ自治庁もそういうふうにお考えを頂くということと同時に、我々も本気で一つ地方財政と取組むことができるようにできるには、要するに地方のほうの理事者も本気で財政と取組んでいる、こういう心証を得たい。従つてそれらの向きについて自治庁において是非我々に見せてもらいたい、こういうふうに考えております。一応私それだけ御希望申上げます。
  59. 石村幸作

    石村幸作君 ちよつとお尋ねしますが、さつきの公述の中に、知事さんの節約をしようという御意向によつて、人件費の節約とか、これを議会に出したところがこれが通過しないで流れちやつたとか、そんなふうにちよつと聞きましたが、その通りですか。
  60. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 五月下旬に実は出しまして、新聞等に出ておりますので御承知かと思いますが、結局時間切れ、流会になりまして、それで再度八月に……、それは人件費大体一億という予算内容を持ちました機構改正も多少含めました案であつたのですが、併しいろいろ御存知の通りの事情で流れまして時間切れになりまして、再度これを練り直しまして、八月中旬以降におきまして更に行政費一億と事業費一億見当、まだこれは具体的に今後きめますが、加えて出したいと思つております。
  61. 石村幸作

    石村幸作君 知事さんの赤字財政の建直しをしようという熱意、これは敬意を表するのだが、今度八月に又三億の節約の案を出そう、こういう構想で知事さんがお一人幾ら焦つてもやつぱり県の議会が協力しなければならない。特に佐賀県の場合非常に赤字だ。金融面についても給料の不払い、こういうふうなことまで全国的に、失礼な話だけれども有名になつておる。にもかかわらず議会がこれに協力しているかしていないか非常に疑問のように思われる。これじやとてもあなたの御意図が通らないように思うが、どんなものですか。
  62. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 五月県会の場合に、多少私のほうでも只今から考えてみますと、御了解を得べきところ、或いはその他いろいろな納得を得べきところの点におきまして、遺憾の点があつたと私も考えております。併し今回はそれぞれ私も十分県の実態等を申して御協力願えるものと私は考えております。従つて何とかして私はこれを実現いたしたいと、いろいろ方法をとりましても、やはり前回の委員会自体の問題もよく考えまして、実質上の予算節減を本当にやつて行くのだという形において私は提案をして行けば、御了解を得るものであろうというふうに考えております。
  63. 石村幸作

    石村幸作君 この佐賀県の議会の勢力分野とか、こういうことはよく知りませんが、知事のこういうふうな建直しをしようという意に対して是非とも議会が全面的に協力しなければならん。これはさつき小林委員が一端を言われたが、この無理な予算を組んで、どうしてもその予算収入面と睨合せずに支出だけのことを強行しようと、こういう点が議会と知事さんとの協力、知事さんに対する協力、それが常に欠けている、そういうふうな結果こういうふうなことになつたというようなことはありませんか。
  64. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) そういうような、今のようなことはなかつたと思います。大体今日まで殆んど御協力願つておつたのでございますが、御承知通りあのときのまあ状態におきまして、非常に会期が短かかつたという点が一つあるかと思います。それで時間切れになつたような点がございましたので、今回は十分事前から了解を得て論ずべきところは論じながら進めば、私はこの点は十分議会側も従前通り協力頂けるものと考えております。
  65. 石村幸作

    石村幸作君 私が申上げたのは、議会が知事さんに協力するしない、これは余計なことを申上げたように思いますが、ただ私が申上げたい気持は、議会が何でもあれもやれ、これもやれで収入に睨合せをしないで何でもかんでも仕事を多くやればいい、こういうところの行き力のためにこんなふうな赤字になつたのじやないかというようなことも考えられたのでお伺いしたわけですが、まあその附は適当に然るべくあなたの政治力で一つおやり下さい。
  66. 松澤兼人

    松澤兼人君 どうしますか。
  67. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつとまあ時間は少し過ぎましたけれども、午前中にこの公述に対する質疑だけは終りたいと思います。
  68. 松澤兼人

    松澤兼人君 じやちよつと……。この先ほどの公述及び公述の要旨を読んでみまして、いろいろなまあ赤字があること、よくわかるわけなんですが、併しまあ全国あたりの点から言いますと、二十億も赤字を持つておるところもありますしれ或いは十億程度赤字を持つておるところは殆んどざらじやないかと思うのであります。今度の分割払いということをせざるを得なかつた面接の最も重要な原因というのは、結局今年度の最初において前年の繰越しのために一時借入金をしたと、その返済がうまく行つていないうち収入が思うように行かないで資金繰りが困難になつたという一点に尽きるように思うのですけれども、ここに原因の一から四までずつと並べてあります。これらのことは、第一の災害の点は別としまして、結局二十八年から二十九年に延びて来た支払、のために資金繰りが非常に困難になつたという一点に尽きるのじやないかと思うのですけれども、そのほかにやはり何か重要な点はございますでしようか。
  69. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今御指摘の点、その原因としてまあ恒常的赤字、或いは特に大きな原因としての災害の持越し等がございます。それからもう一つ、やはり今のような要素を以て再度具体的に申しますと、従来とも非常に我々が多少安易であつたと思いますが、政府資金の貸付なり何なりというものが非常に窮屈になつた、見通しを多少誤つておつたと、それから特に佐賀におきまする金融機関が従来割合にこういう点、まあ今日でも協力はして頂いておりますが、実際金融機関そのもの、いわゆる銀行などが一億二億といつたような非常な短期の、ちよつと十日なり十五日というものはそれを以て回転をしておつたのであります。併しこれがまあ殆んどそれをやることが現実にできなくなつたということ、及び強行してそれをやれば、それはできるけれども、或いは万一できるかもわかりませんけれども、今度は中小企業に対する融資等が非常に又影響を及ぼすというようなことで、銀行のほうからも断られると申しますが、そういうことが直接の原因なつて来ております。
  70. 松澤兼人

    松澤兼人君 知事さんのおつしやつた富裕府県とそれから貧弱府県、或いは工業府県と農村府県というもののいろいろ税の伸び方等の問題は、これは基本的な問題だと思います。で、この問題は今後もいろいろ国会としても或いは府県、市町村としても、十分に検討をして行かなければならない問題だと思う。でこの問題を別として、分割払いをしなければならなかつたということは、今知事さんが率直にお話になつたところが最も重要であろうと思うんですが、大体まあ今まで普通府県なり或いは市町村なりが一時市中銀行から借入れて、極めて短期でこれを返済するということは、普通まあとられていたことでありますし、そういうことがあつたためにまあ分割払いなり或いは給料の延期というようなことはしないで済んだんだと思うのですが、今もお話がありましたように、こういうように金融が窮屈になつて参りますると、市中銀行としては府県なり或いはいわゆる地方公共団体というものに令を貸すということを制限したい、中小企業にも金を出さなければならんからということで、非常にまあ金融統制がきつくなつて来ている。そのために借りられると思つていたものが借りられなかつたということがまあ失態じやないかと思うのですが、一方から考えてみると、余り今までやつて来ましたように、半月払い一市中銀行からまあ短期借入金をするというようなことが安易であつたということも言われるわけですね。こういうふうに金融が窮屈になつて来ると、中小企業に廻すべき金をたとえまあそれはいろいろの関係があるにしましても、府県なり或いは市町村なりにその金を取つてしまうということに対するいろいろ問題もあると思うのでありまして、で、我々も二の点についてはまあ市中銀行は当然中小企業に枠を与えるべきであり、地方公共団体はそういう窮屈な市中銀行に資金を仰ぐということよりは、むしろ国家資金なり或いは他の方面で資金を仰ぐということでしなければならんと思うわけでありますが、併し別途やはり借入金の問題については知事さんが今後も大いに善処してみると、懇請中であるというお話でありますが、その見通しは如何でありますか。
  71. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) これは一応今まではいわゆる九州、地場の銀行であつたのでありますが、今度は中央的な大きな銀行との折合いを進めたいと思つております。これは一億円程度か或いは五千万ということになるかもしれませんが、その程度ならば或いはできる見通しがあるのではないか。まあ切羽請つた末での交渉でございますが、そういつた交渉を現にやつているわけでございます。
  72. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから給与の問題につきまして、先ほどからいろいろお話がございましたが、知事さんのお話によれば多少国家公務員よりも高いところがあるかもしれないが、九州では低いと思うというお話であつたのですが、国家公務員よりも高いという点はどういうところですか。
  73. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 国家公務員と申上げましたのを訂正いたしたいと思いますが、地方財政計画に基きまするものでございます。ここの表を御覧頂けばわかりますが、それから見ますと、実際上はちよつと高くなつております。その差額が出て来ておるのであります。
  74. 松澤兼人

    松澤兼人君 今のところ定期昇給などを別に抑えているということはないわけですか。
  75. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 四月分だけやりまして、それ以降昇給いたしておりません。その前の場合におきましても、実は随分定期昇給を遅らし遅らし今日まで来ておりますので、天際上条例にきまつた通りの定期昇給はしてないかと考えております。併し今年度に入りましては、四月分を一カ月遅れでございますか、大分遅れてから最小限度つただけでございます。
  76. 松澤兼人

    松澤兼人君 全体から言いますと、昇給などは或る程度連れているわけでございますね。
  77. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 大体遅れ遅れで来ておると考えております。
  78. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから先ほど県単事業などは全然とは言わないけれども、殆んど二十九年度予算には計上してないというお話でございましたが、こういう事業はどちらかというと、年度の中途で計上するということがならわしじやないかと思うのです。昨年あたりで県単事業というものが、年度当初の分とそれから追加予算の分とどういう割合になつておりますか。
  79. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 県の単独事業、いわゆる事業の面につきましては、国家政策と関連があるもの、及び止むを得ず前からのいきさつなり、それから先ほど申上げた数種の例等によりますものは当初予算に計上しております。ただ県の単独補助というのがございます。これは事業があり、或いは各団体とか協会に対する産業教育施設費補助とか、私立学校に対しまする補助とかいつたような補助がございます。或いは小用排水に対します県の補助といつたような単独補助につきましては、事業と、協会とか団体に対する補助も入れました補助につきましては、昨年度当初予算で約八千万、最後におきましてそれから千万円くらい上つたかと思いますが、それは一切計上しておりません。事業の続いたものにつきましては、県の単独事業として多少は計上しております。
  80. 松澤兼人

    松澤兼人君 県の単独補助費というのは、やはり昨年計上した以上は本年もつけなければならないというならわしになると思うのです。これはやはり追加予算として適当なときにお組みにならなければならいのじやありませんか。
  81. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) その点につきましては、昨年七、八千万でありますから、止むを得ざるものについては当然やらなければなりませんか、私としては一応節約の基礎が固まつてからやりたいと考えております。若しやるにいたしましても……。その内容等につきまして止むを得ざるものと申上げるのは、今言いましたように、教育関係で言いますれば、私立学校に対しまするものとか何とかいうつながりがあるのであります。そのつながりがあるものすら相当極端に節約をいたしまして、或いは現在は計上しておりませんが、今後の見通しによつて、どの程度計上すべきときに計上すべきか、或いは本年度思い切つて切るかというような岐路に立つておる次第でございます。
  82. 松澤兼人

    松澤兼人君 年度中の節約約三億という、これは具体的に言いまして、例えば人件費をどういうような、首切りでやるとか、或いは一般行政費一億天引きということをパーセンテージで押付けて、やるということになりますのか、その節約の具体的な内容というようなものは……。
  83. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) この点につきましては、県庁職員関係の場合、及び教職員関係と多少行き方が分れます。それは興職員関係につきましては、教育委員会にいわば人事権があるわけでございまして、教育委員会との行き方が妥結をしなければなりません。そこで県庁職員関係につきましても、一面において希望退職制度と申しますか、それをこの前にも実は条例を出したのでございますが、それによる希望退職制度、或いは欠員の補充、或いは一面出先機関の整理統合というような形において、私は大体一〇五・五%が第一段階になりますから、百何十名になりますか、忘れましたか、そういう形で整理して行きたいというふうに考えております。まだ固まつたものではございませんが、そういう行き方によつてやつて行きまして、とにかく実質上の予算を本年度から、一面におきましては節約をして来るということの行き方を実際上それが浮かなければなりませんので、その点について現在立案研究中でございます。  それから教育委員会に対しましては、教育委員会総額において話合いをつけまして、教育委員会自体がいろいろこの点について、又具体的な内容について話合いがあり、実はこちらに出て参りましたので、そこまで行つておりません、具体的な話合いまでは……。ただここで申上げましたように、県の教育委員会と話がつきましても、再度その下に地方教育委員会がありまして、地方教育委員会が人事権を握つておる。だから県の教育委員会は地方教育委員会に相談をしなければならない。極端なことを申上げますと、地方教育委員会は人事権かありますから、先生がたを任命いたされまして、そうして給与請求という形において知事に持つて来られた場合、予算がないということで支出せんでよろしいかどうかという、非常に困難な問題になります。そこで地方教育委員会との具体的な話を本当につけなければならんということがございますが、御承知通り地方教育委員会は私の県におきましても百以上あるというような形で、知事が実際において教育関係のいろいろな問題に予算の面からタッチいたしましても、結局それが具体的な問題になるのでございまして、現状においていろいろな壁に実行の面においてぶつかるのでございます。これは制度から来たもので、人事権のない知事でありますから、いたし方ないのでございますか、非常に困難が伴うということを一つ御了承頂きたいと思います。
  84. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 もう一、二点伺いますが、災害復旧予算に計上していた、二十八年度の七十四億、二十九年度が八十億というこの予算に対してどういうふうに例えば災害復旧は改正府は三・五・一という割合でやつて行こうということで、しばしば国会でも問題になつている、そういうような基準によつて計上しているのか、或いは県独自に建設省がこれだけの査定をとつた以上は一遍に計上するという方法をとつているか、どんなふうに計上していますか。
  85. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 大体当初におきまして、六月に水害がございまして、去年の七月初句に県議会を開きました際は大体三割を計上したのでございます。大体三割を見越しまして、それによつて仕事を強行いたしたわけであります。ところか今年の二月ぐらいになつて参りますと、二十九年度というものの計上が雨季前に仕事が終らなければならない。現実の問題として八月や七月に完成しては困るので、五月末か六月上旬には一応二十九年度事業も終つてないと、梅雨時になりますと困るのでございますが、その工事はすでに二月三月から始めなければならんという年度を越しての工事、この点は非常に窮屈になつたのでございますが、いろいろなことを考えてしたのでございますが、どうしてもこの程度やつておかんというと、雨季台風だけは済まされない。又それが掛らないと、その農地復旧なり、或いは水路の復旧なりという非常に影響のあるところがあるわけでございます。そういう点は二十八年度に一億ばかりであつたと思いますが、二十八年度中に実は空予算で計上して、仕事だけは先やらしたということもあるわけでございます。
  86. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 さつき抽象的には自治庁の財政調査も是非この機会にやつてもらいたいというような発言がありましたので、今まで自治庁と交渉して、自分のところはこういうふうに現在困つて来ているんだ、こういう事情になつておる、これが一つ打開について自治庁みずから調査してくれというので積極的に調査を依頼したことがありますか。
  87. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 自治庁のほうにもたびたび事情を申上げておりますし、二度、三度全体或いは部分で御調査を頂いております。今度の分括払いにつきましても、七月下旬に特に佐賀県だけに一億八千万出してもらいましたことも、そういう意味で自治庁の協力と大蔵省の特別なあれがあつたからだと私は感謝しておる次第でございます。
  88. 小林武治

    小林武治君 今給与の話はありましたが、対民間支払いはどんな状況なつておりますか。請負その他の代金支払いは。
  89. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 給与を遅らせましたのもそれを考えたのでございまして、現実の面としてはできるだけ払つております。併しながら多少滞つたりした点もございますが、民間自体が今日では私の県なども、全国そうだろうと思いますが、一つ事業を請負いましても、資材にしてもセメントにしても、現金を持つて行かんともう必要分の手当はできないというところまで落ちておりますので、この給与の面と支払いの面においてかね合せまして、非常に困つた一般民間支払いをできるだけやつております。そういう点も資金につまつて来たり、或いは特に六月分の夏期手当を七月に延ばした一つ原因なつておるわけでございます。
  90. 小林武治

    小林武治君 今対民間支払いを給与等のためにひどく圧迫しておるというようなことはないと、こういうことでございますか。それからもう一つ伺つておきたいのは、長い例えば遅延期間というものがあるかどうか、民間支払いに。
  91. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) やはり多少それはこういう状態でございますから影響はあるかと思いますが、大体もう五月ぐらいから現実に仕事を執行する場合、そういう資金繰り見通して民間支払いの業者の方と話をつけて財政関係は処理しておりますから、極端な影響と言いましようかはないと思います。併しお互いに苦しいときでございますから、やはり多少はあることもあるのじやないかというふうに考えております。
  92. 小林武治

    小林武治君 今のこの若し資料があれば、例えば具体的に特に遅延の顕著なようなものがあれば一つ出して下さい。
  93. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) あとですぐ出します。
  94. 内村清次

    委員長内村清次君) それではこれにて暫時休憩いたしますが、只今佐賀県知事から県財政の問題につきまして、非常な御苦心の点をお伺いいたしましたことにつきましては、委員会を代表いたしまして御礼を申上げます。この公述に対しましては、先ほどからも申しておりますように、午後の委員会におきましても、直接政府に対しまして各委員のお方々の質疑が展開されるであろうと存じておりますが、とうか一つ知事におきましても、県民のためになお一層御努力をして頂きますように委員長からお願いをいたしておきます。御遠路のところ誠に有難うございました。  それでは暫時休憩をいたします。午後は一時五十分から    午後一時八分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十九分開会
  95. 内村清次

    委員長内村清次君) 午前に引続きまして、地方行政委員会を開会いたします。  午前中には、佐賀県知事県財政に対する状態につきましての公述がございましたが、引続きまして、午後からは政府当局に対しましての地方行財政調査に関する件を議題に供しまして、その中で佐賀県知事参考意見に対しまするところの委員各位の質疑も含ませまして、審議を継続いたしたいと思いますが、そのような取扱でよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそういうふうにいたします。  それでは質疑を継続いたします。
  97. 松岡平市

    松岡平市君 先ず佐賀県知事に私お尋ねしたいのですが、先ほど縷々説明を聞いておりまして、別段放漫財政でもないはずだ、赤字で特に給与不払等をせざるを行たかつた理由はこういうものだと縷々お述べになりました。その最後に、併し本年度において三億更に節減をするという予算を三月は県会の都合で通過しなかつたけれども、この八月にやるつもりだ、人件費一億を初めとして約三億節減する、こういうお話でありますが、節減余地というものは従来もあつたのか、三億この年度節減できるのを二十八年度にはなぜしなかつたか、二十七年度にはなぜしておかなかつたか。先ほど来聞いておりますというと、教育人件費その地殆んど放漫政策ではない、単独事業等ももう精一ぱいこれだけはやらなければならんものだけを今までやつておるのだという御説明であつて、そうして、にもかかわらず三億は節減する、こういうお話であるというと、前後いささか矛盾するという感じを持たざるを得ないわけであります。この辺のところはどういうお考えであるか、御説明お願いしたいと思います。
  98. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 只今の問題でございますが、人件費で大体一億、一般行政費の節減を一億ぐらい、事業費を一億ぐらい、こういう節減計画を二十九年度予算から立てたいと思います。その前提といたしまして、二十九年度予算そのものの面におきまして、やはり多少の問題があるのであります。その他一つの大きな問題は先ほどちよつと触れましたが、我々が予算査定をいたしましたのは年度当初の一月でありまして、年度といいますか、本年の一月でありまして、これが予算が成立しますのが大体、二月の十日前後であります。そういたしました場合、国家予算が実は五月末、或いは六月に入るというような成立状況になりますので、具体的なものよりもやはりそこに見込みとか、或いは旧税法で見込むとか、或いはこういうことになるだろうというような初当ここに見込みが入るのであります。更に経済状況の面におきましても見込みが入る、これをどうしても是正しなければたらない。これもできるだけ節約をして是正するということを考えておりますことか第一点であります。  次にば根本的に先ほど申上げましたよりに、私としましては少くとも国家政策公共事業にいたしましても、国庫補助金が出る政府はできるだけ県の裏付けを行なつて、国家政策をこれは国民に均等に享受すべき政策としてこれを行わにやならん。これを切るということはよほどの決心を要するというふうに考えておるものでございます。そういう面から見まして、どうしても節減をして行く場面、勿論県の単独事業を、現在におきましても県の単独補助事業は一切まだ計上しませんが、その他の面におきましてもそういつた基本線に触れて節約をせざるを得ない立場にございますので、いわゆる私としましては無理に無理を重ねた問題なのでございます。で、人件費の場合、一般県庁職員の場合におきましては、国家が定員増強をせられましても、定員を法律によつて増員をせられる場合も、増員しなくて県庁職員を配置転換する、或いは欠員があれば補充をする、或いは今回地方事務所等も私の案としましては全面的に廃止をしようと考えております。従つて県には現場事務所のみ、土木出張所とか、農地事務所のみを残したいと考えておるのでありますが、そういう面からの人件費のやりくりをいたしまして、そうして一般指導を全部県庁に集中して、何とか人員を浮かすという方法をとるというような形におきまして人件費の節約をいたしますと共に、一面希望退職を募つて、できるだけ老朽から若くして行くというような形においての問題か人件費の節約であります。  教育関係におきましては、先ほども申上げましたように非常に問題が複雑であります。知事の人事権の内部にありません。児の教育委員会が了承されても地方教育委員会の問題は次に残る。この点はできるだけこれらのかたがたに事情をお話をしまして、そうして人件費の中から結局行政の面はお任せしなければならんという形になりましよう。総額の打合せということになりましようけれども、節減をして頂くという形で相当そこには教育の低下という基本線に触れて来る問題があると考えております。一般行政費の問題の一億節減の問題につきましては、これはもうすでに同じ公務員としての仕事を、或る程度考え方によりましてはより以上に無理を重ねなければなりません。要するにいろいろな一般行政費の中で一等旅費は二等に切下げるとか、或いは旅費の中から二割天引するとかいつたようなこまごまとした問題から更に進めまして、いろいろな会議の出席等も制限をするというような小さい問題から、消耗品費、いわゆる交際費等も三割節減を強行する。いわゆる財政支出の面におきまして抑えて出さないという態度をとつて、一般行政費の面から節減をしたいと考えております。これも相当無理が行くことも承知であります。  それから事業費の面におきましては、やはり取捨選択しまして、たとえ国庫補助がつこうとも、本県の実態から見てやはり返上すべきものが多少あるかも知れません。公共事業の福から見ましても、どうしてもやらなければならんと思いながら、やはり起債のつき方そのほかのことについて、これを御返上申上げるということも場合によつては止むを得ないというところに来ると思います。そういつた無理を重ねますところの節減をいたさなければならんような状況なつている。併しながら私としましては、ここまで無理をしてやるのでございまして、本当の本心は、少くともごういつた国家政策の面だけはこれは全国民が、如何なる貧乏県であろうとも富裕県であろうとも、本当に平均に享受さるべき問題だと考えております。これは基本的な国家政策の滲透という重大問題にもなりまして、単に公共事業を半分にすればいいじやないかとか、補助事業費を折角農林省か出してくれるのを、お前やめたらいいじやないかというべき問題じやないのでありますが、一応そういう考え方の一番軽い程度でも、或いは重い程度になるかも知れないけれども、手をつけざるを得ない、その節減を考えて行きたいということを申上げております。そこに私としましては非常に苦しい点があるのでございますが、以上のような考え方であります。
  99. 松岡平市

    松岡平市君 只今の御説明うち例えば県単の事業にしても、極く僅かな部分、それからいろいろな補助金のつけ方にでも、県費を減らすためにそういうものも切りつめるとおつしやつた。現に例えば簡易水道というようなものでも極く僅かな申請をしておられ、そうして厚生省は大体それらのものは全部認めてもいい、こう言つておるか、そのうち僅か百万か百五十万の金さえも、厚生省がくれるという金さえも断つている。そうして佐賀県においては必要に迫られている簡易水道さえも建設しないというようなことを私は、佐賀県知事として財政上止むを得んからといつて今日今最後に述べられた、誠に残念であるというようなお言葉でありますけれども、誠に私は知事として節約しなければならん部分、例えば普通の県であれば二等の旅費をやるものを三等の旅費しかやらんというようなこと、これは職員諸君に我慢して頂ければ止むを得ないけれども、現に隣りには福岡県がある。或いは長崎県がある、こういうような県に挾まつておつて、佐賀県の県庁職員或いは教職員というものだけがそういうことで福岡県や長崎県とまるで違つた待遇を受けて我慢できるものでないと思う。そして又簡易水道等についても、如何に原が貧乏していると言いながら、厚生省で府県の割当からみて十分に余裕のあるのさえも辞退するというような状況を現出されたんでは、私は佐賀県の原政というものは円滑に運営できない。むしろ私はそういう点については、もつと節約すべきものは十分節約すべきものだけれども、そういう点については中央官庁特に自治庁等に事情を縷々説明せられて、そういうようにならないで済むような方策をおとりになるべきものだと私は考えるのであります。教職員についても先ほど御説明があつたように、別段学級或いは児童数、生徒数に比べて余計な教職員がおるわけでもない。或いはここに先ほど配られた中で地方財政計画の数字とはいささか違つておるけれども、恐らくこの地方財政計画よりも下廻つた給与をやつておる府県というものは殆んどなかろうと思う。現に福岡県或いは熊本県等と比較されれば、佐賀県の一般職員或いは教職員等がどのくらい給与が低いか、特に又福岡県等と比べて、この表でも明らかのように地域給というようなものにおいてはどの部分においても非常な低位である、こういうような事情を我慢してやつておるものをその上からなお減らすというようなことは私は言うべくして容易でない。現に前県会の場合において、この知事の提出せられた整理案をめぐつて、遂に県会は丁度この前の国会のようなことを佐賀県会はあれに似た類似の事態を惹起して審議未了になつた。これらのことも先ほど石村委員からちよつと触れられましたけれども、私は必ずしもどちらがいいとか悪いとか申上げませんけれども、多少佐賀県の実情において、この際教職員その他の者の整理というようなことをもくろまれることはこれは佐賀県だけでない、福岡県或いは長崎県との比較において相当の無理があるのじやないか、こういうふうに私は切実に考えます。その点について知事さんはどういうふうにお考えになるか。もう一遍おやりになる御決心は御決心として、それが如何に困難であり無理であるかということについて納得の行く御説明お願いしたい。
  100. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今の考え方、私も少くとも県の単独事業は先ほど申上げました二つの範疇に分れるかと思いますが、少くとも国家政策の面だけは均霑して行きたいということで今日までやつて来たのであります。併し先どこれも申上げましたように、そういう義務付けられた、或いは準義務付けられた県費負担の分すら、例えば例にとられました簡易水道、或いはいろいろな補助金の二割とか五割とか、いろいろな裏付、それを全部付けましただけで実は赤字になるであります。従つて県の単独事業とは考えられんところで、もう赤字なつて行くのであります。基本線としてはどうしてもここまで来る異常は、私の気持は国庫補助が出る、或いは公共事業の認証がある、それだけはやりたいのであります。やらして頂きたいのであります。併しどうしても赤字を出さんようにし、我々も誠意を示した節約をして行きます場合におきましては、やはりそういつたものすら取捨選択して、できるだけ先ほどの例のように簡易水道等の場合は、又何とかしてこれは重大な問題でございますし、伝染病との関係もございます。併しどれが重い、どれが軽いということは言えないのでありますけれども、やはり一部はせざるを得ないところまで来て誠意を示したい。併し現実の問題としては国家政策のそ、いう問題だけでも私としてはやりたい、やらねばならんと考えておる次第でございまして、その両方から責められると実際上の苦しさと言いましようか、そういう点について矢は責任者として非常に悩んでおるわけであります。率直に申上げまして御批判頂きたいと思います。
  101. 松岡平市

    松岡平市君 自治庁長官に私はお伺いしたいと思うのでありますが、午前中佐賀原知事から当然やらなければならん義務付けられた国家がやる施策、義務付けられたものをやるだげでも赤字になる、こういうようなお話で、そして今併しながら何とかこれを切抜けるためにはこういうものも眼をつむつて節約をやつて行くのだ、こういうようなお話でありますが、併しよしんばそういう節約をされても、この数字の上で明らかになつておる。そういう僅か三億の節約をして見ても現にここでなされている先ほどの説明の中で二十六年度以降義務経費の増加分は十億一千方である、これに対応する一般財源の増加というものは平衡交付金や新らしい税制による税収入を加えても僅か五億七千万、四億五千万はみすみす赤字なつて、三億節約されてもこの数字から見ても一億五千万は足りない、こういうことになつて来るわけでございます。知事の熱意は今ここで説明されたように、無理ないろいろな県政諸方面に非常に問題を起す節約までもやると言つておられるのでありますが、こういうものはそういうことをやるべきものであろうか。それとも何とかそれをそこまでやらんでも、どうしてもやらなければならんことぐらいはやれるような方策を国で立ててやれないものかどうか、その辺の見解についての長官の御意見を私は承わりたいと思います。
  102. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは先般私も個人的に佐賀鍋島知事といろいろ御懇談をいたしまして、非常にこの財政を健全にしようという御努力、熱意に対して非常に敬意を払つているものであります。私はそうして、この場合にはそのように御決意になつたということ自体に非常に意味があるのであつて、私は一体地方財政赤字というものはいつも申上げておりますように、国の側でもう少し考えなければならん面も多々ある。併しそれだけでは絶対に今の唱えられている地方財政赤字というものはこれはなくならない。それはやはり地方の側に是が非でもこれは赤字を出してはならないんだという強い決意を持つて財政運営に当つて頂くのでなければなくならない。そこで地方の側がそのような決意に立つて問題の処理に当つて頂くと、私のほうといたしましてもそれに対応して、おのずから必要な費用を大蔵省に要請して、結果においては私の気持ではやらなければならないことはこれはやらなければならないし、是非やつて項かなければならない、それに必要なものだけは不足しないようにする、これは自治庁の責任である、こういうふうに考えているのであります。そこでまあここに取上げて見ますと、決してここの県がそんな無駄な費用をたくさん使つておられるとは私も思わないのでありますが、併しそれでは現在出している費用のどこにも削る余地はないかというと、私はそうはやはり思わないのであつて、やはり給与の面においてももう少し人間も減らして然るべきではないかという努力をやつて然るべきであるし、又給与の単価においてももう少し引下げて然るべきではないかということを御検討願う余地があるのじやないか。そういうふうにお願いいたしますのは、私どもが現在の制度なり平衡交付税の制度を頭において地方財政を運営しておりますときには、自治守のおのずから各地方団体に想定しております財政の規模というものがあるわけであります。其準財政需要という額で以て想定している財政の規模がある。その我々の考えている規模、この規模が確保される面まではこれは自治庁としてはどうしても資金的に考慮その他はしなくちやならん。併し現実に各自治団体の財政運営も我々の想定している規模と別な形において行われている。その面から不足が出て来ているということならば、それはその辺をもう一度検討して頂いて、或いは緊縮して頂くか、緊縮して頂かないとするならば、それは当該自治団体の住民の負担においてやつて項くのでないと、そこまでは自治庁としては御面倒は見られない。今の制度はそこまで面倒を見るという制度にたつておらんのでありますから、そこの点は一つ十分頃に置いて問題を検討して頂きたい。こういうふうに是非運営をお願いしたいと考えているわけでございます。従つて、最後にもう一度繰返して申上げますならば、なお今後の財政運営におきましても、国の側で当然面倒を見なければならんもので、なお十分でないものがありますならば、私どもも努力し、その実情を検討し、又国会の皆さんがたのお力も得て是非大蔵省了解を得て、不足の分は必ず補つて行きたい、こういうふうな考え方であります。
  103. 松岡平市

    松岡平市君 具体的に佐賀県で今の自治庁で考えておられる財政規模というものを超えてやつているという分野はどういう点であるか、これは長官は組かな数字は御存じないと言うけれども、事務の今か見えておるわけでありますから、佐賀県で自治庁の考えておられる財政規模を超えている点はどういうところかということを、一つ簡単で結構ですから御説明を願いたいと思います。
  104. 後藤博

    説明員(後藤博君) 細かくまだ検討していないのでありますが、先ほど午前中にお話のありました点で、私ちよつと意見の異つている点があるのであります。それは給与費の問題であります。一般職員は私どもは人数は少し多いのじやないかという気がしておるのでありますが、これはまあこの計算は別といたしまして、教員の数が少し多いのじやないか、平均よりも学級当りが少し大きくなつています。特に小学校において大きくなつています。その給与費の問題が一つございます。それからもう一つ、昨年の災害によるところの単独言葉が非常に多くなつておる。これは災害の際止むを得ないと思いますが、それとそれから持越し工事が、認証事業以上の工事が非常にふくれて、それが赤字の大原因でございます。昨年少し私ども途中からいろいろ御注意も申上げたのでありますが、昨年の災害の結果大きな赤字になつたのでありますが、災害さえなくて、もう少し締めて行かれれば、そういう大きな赤字は出なかつたというように私ども考えております。まあ最小十億ぐらいの赤字であるというお話を聞いておりましたが、いろいろ私のほうで内容を大まかに、こういうところはどうだ、こういうところはどうだというので落してもらいまして、大体五億ぐらいに落ちている。まあ単独事業そのものにつきましても、知事さんのおつしやるようなこともあると思いますけれども、併し我々としてこのくらいの財政規模であれば単独事業が少し多過ぎるのではないか、こういう感じを持つております。個々の細かい事業につきましては、いろいろ県内の事情もございますので、私どもは細かい事業の執行については、干渉めきますので申上げておりません。総括的に給与費が少し多くなり過ぎる、もう一つ事業か少し多過ぎるのじやないか、こういう感じを私どもは持つて、そういう意味の御勧告も申上げておるのであります。
  105. 松岡平市

    松岡平市君 只今政府当局から佐賀県のいわゆる財政規模というものについての御注意があつたわけでありまするが、これについて知事知事なりに、今ここでお聞きになつたわけでありまして、特に後段に述べられた去年の災害についての県単独工事が多過ぎる、或いは仕越し工事が多過ぎる、こういうような御批判であります。先ほど知事は本年も昨年にあの大洪水と殆んど変らない大豪雨に佐賀県は見舞われたけれども、仕越し工事をやつておつたために漸くにして災害を本年は例年並みに食いとめることができたのだ、若し万一これをしておらなかつたならば、どういう結果になつたか測り知れないというような御説明があつたわけであります。で、知事として自治庁の勧告せられるようなふうな仕越し工事をせんと……、或いは国がやつてくれるといつてやつてくれなかつた単独工事を止むを得んから、県行政に直面しておられる関係上これはどうしてもやらざるを得ないといつてやられた、それが赤字の大きな原因批判なつている。これは特に私はあとで自治庁長官にお尋ねしたい。これについて知事さんのほうではいろいろとその点についての御見解があろうと思います。改めて一つお話を願いたい。
  106. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 只今の自治庁御当局の佐賀県の財政につきます御批判につきましては、有難く頂きたいと思います。ただ私の立場から考えて参ります場合、特に給与費の問題は従来これはもう本県のみならず、全国知事会議といわゆる政府との間におきまして、その差或いは定員等の問題におきまして基本的ないろいろな問題があるのでございまして、佐賀県もやはりその範疇に人つて来るのじやないかと考えております。なお特に教職員の関係につきましては、私としましてはやはり国家の義務教育であります関係上、少くとも地方公共団体が、一佐賀県というだけで極端に教育程度が下るということ、そのことを勘案いたして行きます場合、上級学校への入学率もそれぞれ他県のかたがたは人つておいでになる。併し佐賀県は、教育程度の問題になつて来まして、非常に教育程度が悪い場合、殆んど上級学校のいわゆる入学試験を受けて入れないというようなことが現実に起つて来る。併し義務教育は均等でなければならないというような点から考えて行きますときに、やはり第二点の場合としてはできるだけの、他県並みの義務教育の人員配置なり、或いはそれに伴うところの、佐賀、長崎、福岡という北九州地帯一連の平均給に近いだけは教職員のかたがたにも差上げたいという気持で一ぱいでございますが、現実はなかなかそこまで行きませんが、そういう気持に立つておるのであります。従いまして、再検討いたして、その失態を更に研究はいたしますけれども、今日まで考えて参りました教員数或いはその給与費の問題につきましては、最善の策と言いましようか、できるだけの無理を承知しながら、一面教育程度の低下ということも考えながら、而も他県並みい近いものをという気持でやつて参つた次第でございまして、決して故意にどうこうした点はございません。併し給与費が御当局の場合におきまして多少多いのではないが、高いのではないかという御批判を率直に受取りまして、やはり一面におきましては再検討し、節減すべきはしなければならんというふうに考えております。  次に災害関係の問題でございます。それに伴いますところの単独事業、これは、或いは他の府県等から御覧になりました場合やはり多かつたのではないか、ということを御批判頂くのも或いは当然かと思います。で、この点もよく反省をしたいと思つております。ただ問題は認証外工事の仕越し工事をやつたわけでありまして、相当多額の仕越し工事をやつておるのであります。これは過去のことを申上げてもどうにもならないかもわかりませんが、あの災害を受けた直後臨時国会も開かれ、特別立法もでき、而も三割、五割、それから二割の割合で復旧をさせるというあの意気込みと、それから惨憺たる現実の面と、それから次の雨をどうするか、次に百ミリ、二百ミリ降つた雨、或いは一年後の梅雨、或いは台風の際最低限度のものはしておかないと更にに大きくなるんじやないかということと、特に土木災害という面におきましては、土木災害をやらなければ次の下流にあります、或いはそれに基きますところの農地災害、小用排水、或いは農地の土砂かぶり防止なりということができないのであります。堤防が崩れたまま、出水すれば氾濫するという現実のままで下の農地災害というものはできないのでありまして、道路の問題も然りであります。ここに一連の密接な有機的な、切つても切れない関係があらゆる災害の面に出て来るのであります。その下に小学校があれば、災害を受けておればやはり小学校を直さなければならん。併し根本はその川なりその堤防の堤防したもの、決壊したものを修理することであります。そういう最低の線をやつて行きます場合、やはりここに三十億近いところの総体の土木災害に対しまして三割を超えました約十億、更に二十九年度予算から食つたのでございますが、二十九年度予算を想定したのでございますが、工事をどうしても雨期前にやらなければならない。雨期を厳然と前に見ておりながら、八月、七月に着工することはできないのであります。雨期前にどうしても、一月なり二月に着工して、そうして六月の雨期前に一応の堤防を完成しなければならないというようなことのために、一応予算措置をいたしました後に又二億程度、いわゆる三割からちよつと超えました程度の、合せて十二億五千万円の工事を実はいたしましたが、うち六億近いものが認証外工事として残る、その仕越し工事が来たのであります。で、この点は御批判余地は十分あると思います。併し私といたしましては、県全体の問題から考え、災害復旧の本旨から考え、而も再度あの惨害をどうしても起してはならないという最後の線を考えて行きました場合、やはりその実態から見て、こうやつておくことが最善である、そういうことに行つたのでございまして、いろいろ御批判はあろうかと思いますが、私の現在の心境は以上の通りであります。そのために今回の水害が、豪雨が免かれたとも言われてもおります。現に新らしい堤防から手が洗われる程度まで、しやがんで手を洗えば洗われる程度まで、実はその各堤防に私は現場におつたのでありますが、出水をいたしまして、実は新堤防を作つたために本当に助かつたんじやないかという感じを受けております。この点は御批判はあろうかと思いますが、私は以上のことは止むを得なかつたものとして一つその事情だけでも御了承を預ければ幸いと思います。
  107. 松岡平市

    松岡平市君 私は特に長官にお尋ねしたいと思う。今の仕越し工事の問題ですが、長官は去年北九州のあの前古未曾有だと言われた人災害直後に佐賀県の実情を御視察頂いて、そしてその当時のこの災害に対する特別委員会にもしばしば御出席なつて、佐賀県があの場合どうしなければならなかつたかという実情はよく御存知だと思うのです。そして又累次の特別委員会における委員と大蔵当局なり特に自治庁長官、農林大臣、建設大臣等との質疑応答の際、これは速記録にも載つておりますけれども、金はともかく、今はこうたけれども、ちやんとやつてやるというようなことは相当私は各大臣も確言せられた。特にあの際には大野国務大臣が九州の現地に行かれて、そうして各災害府県の責任者等を集めて、どんどんこれの復旧について当つていられた。いろいろやつたけれども、国家財政上なかなか困難で現地の希望通り復旧できないという実情に際会いたしました。その際に佐賀県知事があの災害当時におきましても、いろいろ連絡等がつかない場合に非常に勇猛書果敢に災害に対処せられたということについては、委員会において大野国務大臣初め皆さんで委員会で激賞された。そしてとどのつまりはあの当時三五どころの話じやない。いろいろ委員会ではもつと極端な要望もしたわけでありますが、まあそれらは希望通り行かなかつた。併しあの災害を受けた現地としては何としても次の雨期には再び繰り返さないように努力をするということで、まあ今お聞きの通り約六億からの仕返し工事をした。こういうことである。併しこの間御承知通りあの再び北九州を裏つた豪雨の際に佐賀県は被害を蒙むることを免れた、こういうことでありますが、事務当局は仕越し工事が多過ぎた、こういうことが佐賀県の今日の給料不払等の原因であつて、これは悪いという御批判でございます。自治庁長官も又佐賀県知事があの災害に対して、それだけの仕越し工事を止むを得ずこうしなければどうしても雨期は免がれない、被害を免かることはできないというので、そして今の説明通り漸くにして、しておつたから免かれたという現実を御覧になつても、佐賀県知事はしてならんことをしたと、こういうふうにお考えになるのかどうか。一つ御見解をお聞かせ願いたい。
  108. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは私はそういうふうには考えません。まあ給与の場合はこれはそれ辞退が恒久性を持つておるものでありますからして、これが我々の考えてお石よりも数においても又単価においても余計に支払われておるということであれば、これは是非緊縮をして頂くということでなければ県財政の健全化ということはできない。工事の場合に問題になりますのは、私はむしろそれはどんな仕事でもやつて無駄な仕事もありませんし、やらなければならない仕事だからおやりになつておると思うのでありますが、併し多少緩やかな気持でこれもやらなければならない、あれもやらなければならないというような気持で単独事業を余計にお取上げになると、それがやはり毎年同じように出て来て、恒久的に県財政を膨脹するという結果になるから細めて頂きたい、そうして財政の規模と併せてやつて頂きたいというのも、そういう面を考えておるのでありまして、災害のあとの始末というような突発事件に対する私は佐賀県知事がおやりになつ措置はむしろ妥当であつたと私は個人の考え方からすれば申上げられると思う。従つてそれが妥当な措置であつた限りにおいては、昨年度においては仕越し工事であつても、今年は恐らく当核の所管の省なり建設省なりが、恐らく災害復旧事業として取上げてくれると思われますし、それかただ時期的にずれておつたのだということにはなると思うのです。そこで時期的にずれた場合の時期的な資金繰り措置、これが今問題になつておるところの一つは、私どもは本質的に地方財政を健全化するという問題と、時期的に、殊に今年の政府の金融の緊縮の面から出て来る金詰り、金絞りがつかなかつた面と私は別に考えているのでありまして、そうしてその金請りの面は金請りだけで考えていいのじやないか。そうして今金請りが佐賀の特殊な事情によつて出ましたものならば、これはこれだけで別に考えられるのでありまして、私はまだ今でもそういう事情から生じた佐賀の金請りについては私どもに協力できる余地があるならば、又ご希望があるならば、幾らでも御協力を申上げるということで事実上片付いておると承知しておるのでありまして、その点については今申上げたように私はむしろ判断をしておるわけであります。
  109. 松岡平市

    松岡平市君 自治庁長官の御答弁は、私誠に当を得て、そうなつて欲しいと思つております。要は佐賀県がこういう給料不払いというような非常な不名誉な措置をとらざるを得ない事前に、私は佐賀県知事もしばしば自治庁なり或いは大蔵当局に財政逼迫の状態を訴えて頂いた事実は私は承知しておる。若し、先月末一億八千万円の短期融資をして頂いて、これは大変みんなも喜んでおられますが、あの融資知事の要請に従つてもう半月早くして頂ければ、私はこういうふうに特に佐賀県が給料遅配のモデル原としてここに出て来てとやかく、まあこれは有難いことではありまするけれども、こういうふうにしなくても済んだとこう私は考えます。七月末に一億八千万円ともかく毎期融資をして下さらなければならんということは、これはお認めになつたからして下さつたと思うのです。こういう事能を起さない前に、もう半月前或いは一カ月前の事態とちつとも違つておらない、なぜこれがちやんと予見できた事態にもかかわらず、自治庁なり大蔵省なりは現地知事のそうした要請に対して御協力を願えなかつたか、これを一つ事務当局から、私はお聞きしたい。
  110. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 先ほど財政部長から答弁申上げましたのも、要するに金繰りの問題でございまして、事務当局として何か仕越し工事をやつたことが不適当である、そういう意味で申上げたつもりではございませんで、その点を最初に申上げておきます。  それから今言われました点でございますが、これは佐賀県のほうからお話が出ましたのが相当押しつまつた時期のように私は記憶いたしております。その後更になお急いでやれば若干繰上げて大蔵省のほうの融資をして頂くことができたと思いますけれども、まあ私どもといたしましても大蔵省とも十分御相談をして、可能な限りの処置をしたつもりでございますが、なお将来とも同様な事例に陥つておる県がございますので、そういう問題についてはできるだけ早く措置をしたしたいと考えております。
  111. 松岡平市

    松岡平市君 事情がだんだん明らかになつて大変有難うございます。佐賀県知事がこういうふうな事態になるのをもろと早く言わなかつたということは、私は私の知つておる限りは少し事実と違うようでありますが、これは又自治庁の御見解で十分そういう御活動を願うだけの時日をあらかじめおかなかつたとしうことであれば、佐賀知事は将来そういう点について十分自治庁なり或いは大蔵省なりでそういうことについて手落ちなくやつて頂けるだけの時日をあらかじめ一つお手配を願うように私は特に希望いたします。結論といたしまして、佐賀県の財政は午前中いろいろと説明がありましたが、この七月の給料は一先ず一億八十万円の短期融資の御融通その他によつて払うことができた、併しながら先ほど小林委員からもお話がありまして、例えば仕越し工事の分の支払いという点について知事は大して支払いは滞つておらん、大きなものはない。その実情小林委員の要求に上つて後刻まあ数字等明らかにお出しになることになつておるわけでありまするが、併し私の承知しておるところでは、例えばあの土建業者のあれは何ですか、保証協会ですか、これに対してはあらかじめ保証協会に、工事の三割程度は契約と同時に保証協会に金を出してやる、こういうことになつておるはずであります。私の承知しておるところでは佐賀県では金がないためにそういう三割の着手と同時に保証協会にやる県からの金というものは殆んど行つてないように承知しておる。そして土建業者は工事のできた分だけを、これも相当遅れて支払いを受けておる。そして土建業者は今日の一般金融逼迫と併せて県工事の遂行上大変苦労をしておると、こういう実情であります。そしてすでに六億だけは仕越し丁半が一応着手せられたり、或いは完成されつつある。で二十九年度のこの間のあの大きな災害災害予算に対しての予算の裏付けというものも、これも初め考えられたように三五二の五に該当するもの、或いは去年三幾らやつておつたからそれをカバーするというのは、予算の裏付けはできておらんように私は承知しておる。そして今漸く一億八千万この間の短期融資で繰越しをしたのだが、去年の災害のときに借りに二億円の災害融資というようなものも早くから大蔵省から督促を受けておつて、これを返せばどうにもならないという実情にあるようである。併しもうこれは期限が切れておるもので早晩返さなけばはならん。こういう事態になつておれば、七月、辛うじてまああとの半月分の給料は払うたけれども、八月は、九月は、更に十二月は、来年の三月は、年度末はというときに一つもこれを安心する数字の基礎はない。先ほど知事の御説明を聞いておつても今月はこうであつたけれども来月からは楽になる、更来月からは大丈夫ですという基礎は全然ない。ただ今月やつたやつは今月は済ましたが、来月は又同様の危険にさらされる、よしんばそれを危険にさらさなくても二三カ月後に同様の危険にさらすことは私は火を見るよりも明らかであると思う。この実情を私は鍋島知事はよく述べられた。そして一番終いにはそういう県財政実情についでは監督官庁において十分精細な御調査を願いたい、こういうお話でありま  私は自治庁にお伺いいたしまするが、自治庁は速かに、これは二十六年度かに全体の財政の御調査を願つた切り、その後佐賀県につきましてはおやりにならんようであります。この際直ちに御調査なつて、そういう事実について事務当局から御覧になつ財政規模を越えているもの等については十分なる勧告をして頂き、そしてそういうものは知事責任においてやるべきものは知事責任において十分縮小するものは縮小すると、その代りにどうしても足りないものは直ちに監督官庁、国のほうでびしつとそういう県の職責等に対する給料不払いというようなことのせんでいいように財務的に然るべく平衡交付金その他において裏付けをしてやる、やれるという御自信がおありになるかどうか、一つこの点を聞かして頂きたい。
  112. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 調査は今全面的に実施をいたしておりますが、特に事情の窮迫しておるところを優先的に取上げて、これは佐賀県が御希望であるならば、佐賀県も早速調査をすることにいたしたいと思います。それから今お尋ねの点の中で今非常に困難であるが、ここはまあ切抜けたが、将来というお話でありましたが、これは全体として見ましても、一―二四半期がなかなか資金繰りがどの府県も皆困難な状態になるのが地方財政実情なんです。私ともが全体の統計をとつてみましても、一―二四半期、即ち八月の終りまでは全体として百数十億の不出というものが出て来ておる。これは例年あつたことでありますが、財政に裕りのある間、又市中銀行からの援助を得て繋げる間は、それが表面化したかつたようであります。それが今年になりましてから赤字が累積して来たのと、一方市中銀行が締められて協力が少くなつたということで、非常に表面化して来たと思うのでありますが、私どもは調査をして承知しておるのでありますが、佐賀県は今年は形式上の赤字は二十八年度は一億七千六百万円、実質上の収支の差額、不足、五億三千五百万円、七十三億のうち五億程度の不足が二十八年度の尻として来ておると大体想像されるのであります。ですからしてまあこれが今年の二十九年度の収支においてこの赤字が幾らかでもこなせない限りは、少くとも県財政においてはこれだけの金額が絶えず不足になつて行くと思います。併しその代りそれだけの額に面倒を見られれば、九月から先の期においては、これは全体としては、足はないはずなんで、時期的にまあ若干の不足はあるかもしれないということになると思う。ですからその程度の面倒は今後よく御相談をして、対策さえ立つておりますならば、これは面倒を見て差上げられるのではないか。従つて又二度と給料を払えないというような困難な状態が出ることは、万なかろうと考えておるのであります。  なお又今全体といたしましては、大体各自治団体の資金繰りを一応申上げた通り、この八月末が一番困難な時期になるのでありますから、九月に支給すべき第三四半期の交付税を八月の中頃までに繰上げ支給をするように大蔵省側等に鋭意折衝いたしておりまして、大体我々はできると思いますから、そういたしますと、非常に困難な八月の資金繰りというものがよほど大体どの府県もよくなつて来ると、こういうような見通しをしております。
  113. 松岡平市

    松岡平市君 佐賀県知事に要望いたします。只今自治庁長官からお話のあつたように、全体的な調査をするが、急ぐならば特殊な県は特に県が希望するならば、先に調査をするというようなお話であります。佐賀県が全国で一番財政窮乏しておる。或いは最も財政の建直し困難であるということに誌当するかどうかは私必ずしもそうだとはいません。すでにこういうような状況を昨年度において現出した府県もあるように私は了承しております。併しながら、ともかくも本年度においてここで異例の財政状態について新聞等に書かれた結果、ここにおいでになつて、参考人として陳述しなければならないという事情におありになり、そして又御説明を午前中から縷々お聞きしまして、県の財政は容易ならざる実情にあるわけであります。是非私は自治庁に向つて速かに財政全体の御調査を御依頼になつて、そしてこれの再建のために只今自治庁長官のお話もありますので、十分自治庁の援助、御協力を請われて、一日も速かに県の財政を建直すように御努力をして頂きたいという希望を附しまして、ほかの委員のかたがたもいろいろな御質問もありましようから、一先ず私の質問をこれで終ります。
  114. 小林武治

    小林武治君 今までの話は資金繰りの話が多いのですが、一体今年は資金繰りをうまく行けは切抜けられる程度地方財政状態であるかどうかということ、こういうことについて自治庁側のお考えを一つ
  115. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは結局今まで町題になつております今までの赤字状態は、現実の事態はどういうふうにして消化されておりますか、結局まあ今までは切抜けられて来ておつたと思いますが、それが先ほどから申上げますように、今年の特殊事情でぼつぼつあちらこちらで表面化して参つておるということになるわけであります。従つてこういう状態なつて来ておりますし、幸い又地方の側においてもかなり当面の問題にぶつかられて真剣に考え直そうという機運が出て来ておられるので、是非この機会に徹底的な赤字の過去の調査、及び将来の見通し調査、そして、れに対する対策というものを考えて辻非全体的な計画を立てたいと思つております。私どもが非常に心配しておりますのは、二十九年に更にプラスの赤字というものが悟性で以て出て来るということを非常に懸念しておるのでありまして、その点さえしつかりと締めるというようになれば、私どもは今までの赤字というものは或る程度金融措置で暫く繋いで行く、そうして又国会側の御意見がまとまりまして、例の再建整備法ができますならば、それと睨み合せて資金繰り状態を見てこれを本格的な起債の形におき替えてしまう。そうして県財政、自治体の財政というものを健全な基盤の上に置くことができるのじやないか、こういうふうに考えております。
  116. 小林武治

    小林武治君 私は最近警察法が施行された結果を見たのでありまするが、これは、要するに警察法制度を変えると全国で八十何億の節約ができる、こういうふうなお話があつたのでありまするが、これは政府の自治庁或いは警察庁の財政計画に基いた紙の上の計画がさようなことになつておるに過ぎない、というのは、現実にやつてみるといわゆる自治庁が指示した金額と、各府県がこの際県会において議決した金額とは相当の差額があることは顕著な事実です。この事実に対してどういうふうに自治庁はお考えになつておるかということに関して一つお伺いいたしたいと思います。
  117. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは先般知事会議のときにおいても非常に問題になりましたのでありまして、基本の考え方といたしましては、私どもは、我々が財政計画で考えるような警察制度の運営というものをやつてもらいたい。そういうように強く主張し、又考えとしては、そのように行くということによつて、知事会議でもこれは了承されたのであります。併し現実の個々の都道府県がそれに対して、そういう了承した上においてどういう警察運営というものをされるかということは、これは今までも我々は一般の教職員その他の給与についても、我々はこの程度でやつて頂きたいと言つても、現実的にはそれより上廻つていたという事例もあるように、警察職員の場合にも、我々が考えるより上に出されるということは、個々の府県においてにどうもあるようでありますし、非常に私どもも好ましくない事態であるとは考えるのでありますけれども、そこまで自治庁が干渉して行くということは立場上なかなかできにくいものでありますから、併しそういう場合には財政計画の上では勿論資金は面倒見ませんということで、間接的な強制の形によつてそういうことの起らないようにということを強く要請はいたしておるわけであります。
  118. 小林武治

    小林武治君 今の自治庁の指示額と県の議決額との差額は、佐賀県を見ましても七千万円すでにある。或いは私が聞いたのに三重県にも一億二、三千万円ある。和歌山県でも六千万円ある。こういうふうなことで、これを全国的に累計すれば四十億にも達する。こういう話でありますが、これはもう現実に七月一日に移管されて、そうして明らかに自治庁と地方県会が違つておるということは、これほどはつきりしている問題はない。従つてこの問題については、いずれに誤りがあるかということを私は質すべきものだと思う。大体地方財政の窮迫につきましては、私は国の責任に帰すべき問題がある。即ち、財源措置が不十分だ。又府県の責任に帰すべき放漫、或いは経費の浪費というふうな面に帰すべき問題がある。この二つであるのでありまして、国の財政措置が不十分だということも私どもは成る程度これは想定できるのであります。殊に今回の警察問題については現在までに四十億も食い違いがあると、これは私は全体の財源措置をするについて非常に参考になることであると思うから、この際警察費の問題は最近の問題でありますから、一番わかりやすい問題じやないかと思いますので、これは大蔵省、或いは自治庁、警察庁、地方と、十分打合せの上でできるだけ早い機会にこの四十億がどれだけ本当の数字であるかということをお調べ頂きたいのでありまするが、これは私どもの今の想定では、相当程度の不足があるに違いないというふうに思つておりまするが、現在自治庁その他においてはこれについてはどういう検討をされておるかということを付いたいと思います。
  119. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 只今の御指摘の点は、四十億の程度までにつきましては、私どももこの前知事会議の当時から問題になつておりましたので、何がしか二十八年、二十九年度財政計画で、警察制度が七月からして今のようになるということを頭に置いて組みました財政計画で、不足を生ずるということがどうも理由があるように思われますので、その後逐次検討をいたして参つております。まあ私どもの推算では、大体四十億程度はやはり面倒を見なければならない不足があるのではないかということを考えておるわけであります。ただ問題がなかなか重大な問題でありますので、なお慎重を期すべく、調査を重ねて続けて参つておる状態であります。
  120. 松澤兼人

    松澤兼人君 四十億程度というものは、これは何とか面倒なければなら大いというお話でありますが、たとえて言つて佐賀県の場合は、七千万どうしても食い違う。その佐賀県の七千万というものは四十億の中に入るべき、つまり政府が面倒を見なければならない金額の七千万であるかどうか。その点一つ
  121. 後藤博

    説明員(後藤博君) お答えいたします。七千万円が総額全部入るかどうかは、これは調査の結果を見なければわかりませんが、大体まあ入るのではないかと、あそこは自治体警察が余り多くはないのでありますから、大体は入るべきものではないかと思つております。
  122. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは先ほどから知事からも話がありまして、自治体警察と言つても殆んど二、三都市だけしかない。その給与もそう高くはなかつた。結局それらのものを府県警察に合せて特別に高いということもない。ぎりぎりのところを切替えてやつてみたところが、やつぱり七千万程度のものはどうしても持出ししなければならんということになれば、これはまあ計算違いと申しますか、政府責任で何とかしなければならない問題であろうと思うのです。若しそれがそうであるとすれげ何とかして見て頂けると、その何とかということはどういう形になるのですか。補正か何かでお組みになるのか、或いは融資か何かなさるようなお考えですか。
  123. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私ども現在総額的なものでは七千万足りないとか、八千万足りないとか、総額的な数字しか持つておりません。従つて細かいデータを今集めておりますが、そのデータに基いて国で立てました二百三十八億の府県、国と、それから国警が移つたた場合に、国警が府県警察に移る場合の警察の経費を二百三十八億と想定しております。その二百三十八億のうちで八十九億分だけが府県に移ると、こういうことになつております。他の、ほかから百五十億だけの市町村から上つて来る財政需要がある、合せたものが府県警察である、こういう計算を大まかにしておるのでありますが、どこに穴があるか、どこに間違つたことがあるかということは、細かい調べをして見なければわかりません。従つてその出たところの穴を、全体の問題でありますれば国の問題でありますし、それから八十九億の不足でありますれば、それは国警に留保している分が多過ぎるということになります。そういうことで、それから補助金等につきましても多少あるかと思いますが、例えば通信間等につきましても多少私どもの計算と違つているところもある。そういうところを細かく資料に基いて検討した上でやはり措置をきめるべきものではないか、かように考えまして、大蔵省、警察庁と一緒になりまして調査をいたした上で財源措置お願いいたしたい、さように考えております。
  124. 松澤兼人

    松澤兼人君 どういう方法で措置するかということは今はきまつていない。或いはいつ頃措置されるかということもきまつていないわけですか。
  125. 後藤博

    説明員(後藤博君) できれは八月中に調査を開始いたしまして、そのデータを集めた結果によつて措置いたしたいと考えております。
  126. 小林武治

    小林武治君 今の調査は、来年度財政計画を作る上においても当然したければならん調査である。できるだけ早くやつてもらう必要がありますが、見込みはどうでございますか。いつ頃までにそれができますか。わかつて来るわけでございますか。
  127. 後藤博

    説明員(後藤博君) 現在私どもの集めておりますデータによりましても、大まかな点はわかるのであります。併しこまかい給与の切替え等につきましては、やはり現地の調査を要するものもありますので、そういうものを現地調査をいたしました結果になりますと、どうしても九月に入つてから全部のデータが出てからというように相成ると思います。
  128. 小林武治

    小林武治君 今度の警察制度の切替えで、自治体の警察の給料が非常に高かつたということは結果がはつきり出ております。例えば一番高いのは一万二千円も月額で違つている。こういうことで静岡県で聞けば、調整金額だけでも六カ月に約二十五、六百万円出さなければならん。これは全国見ても相当大きな金額に上ると思うのでありますが、これらの調整金額の最高限について制限したかどうかということについて……。
  129. 後藤博

    説明員(後藤博君) 財政計画の上では七千五百円以上の差額は切つてしまう。それ以上は調整しないということになつています。財政計画上はそういうことになつておるという説明をいたしましたが、調整額をどの程度切るかということは、私ども指示はいたしておりません。
  130. 小林武治

    小林武治君 この調整金の問題は非常に大きな問題でありますが、これをいつまでもとにかく続けるのか、適当の時期にこれを打切るのか、こういうことについては何かお考えがあるかどうか、伺つておきたいと思います。
  131. 後藤博

    説明員(後藤博君) 調整額は昇給ごとに段々少くなつて参ります。従つて昇給とかベース・アップの見通しの問題に絡んで来るわけであります。現状のままで参りますと、普通の定期昇給以外の場合には縮小して参らんということになりますが、ベース・アツプでもありますると、一ぺんに解消して行くようなことになります。私どもとしては見通しはつきかれるのであります。
  132. 小林武治

    小林武治君 そうすると、今の問題については特に指示をすることはない、こういうふうに承知してよろしゆうございますか。
  133. 後藤博

    説明員(後藤博君) 何年でやらなくちやならんという指示はいたさないつもりであります。
  134. 小林武治

    小林武治君 この警察官の給与で以てはつきりしたように、今非常に財政窮乏を来しておると、自治体の給与が非常に高いということは一見してわかる。殊に聞くところによると、とにかく国家公務員よりか県庁員が高い。更に市役所へ行くともつと高い。市役所の職員は国家公務員に比べればひどいのは三割ぐらい高い。こういうようなことが言われておるのでありますが、今のように要するに地方財政国家に依存する度合がますます強くなる。こういう場合になると、かような給与の状態をそのままにしておいて足りないからあと補給する。こういう考え方が成立つものかどうかということを聞いておきたいと思います。
  135. 後藤博

    説明員(後藤博君) 単にベースそのものが非常に高いという問題だけでなくて、やはり人数が多いか少いかということがやはり問題だろうと思います。それとの関係において、例えば教員でありましても、非常に人数を少くいたしまして、単価を非常に高くしておる県があります。それから単価が非常に低いが、数は非常に多いという県がありまして、一概には言えないのであります。我々の財政計画で見ておりますものからはみ出ておるものが一体どつちに基いておるかという問題が問題ではないか。例えば佐賀県の場合は、やはり数が少し多いんではないか。一般職員にいたしましても多いんじやないか。かような単価そのものにつきましては、そう多くはないという考え方をしております。そういう場合には数の低うが多過ぎる、私どもこういう考え方をいたしております。
  136. 小林武治

    小林武治君 私は例えば数が少くても単価が多いということも支障になる、こういうふうに思うのでありますか、財政計画に合いさえすれば人数を減らして単価を上げてもいい、こういう考え方ですか。
  137. 後藤博

    説明員(後藤博君) そこで私ども強く言い切れない。数を少くすれば、単価を上げて行くのはやむを得んではないか、現状においてはさように考えております。
  138. 小林武治

    小林武治君 私はその点について午前中も申上げたのでありまするが、要するにこの現在地方自治体というのは自治体じやない、実質的に申せば。そうして結局私は多少理事者の責任もこれらの窮迫についてはある。例えば知事官選論が出ておるのも、財政が放漫になる、或いは財政の膨脹を来す一つ原因であると言われておるのでありまするが、これらにつきましても、国家が面倒を見るならは見るなりに一つ相当程度、多少の干渉と言つちやどうかと思いますが、監督権がなければ、これは私はマッチしない、やり方が。こういうふうに思うのでありまして、前回も地方自治体等の改正についてもこれらのことを私は申しておるのでありまするが、この点を今のような状態で推して行くならば、やはり私は自治庁というものは成る程度考えて、そうして自分たちは、ただ一人よがりの財政計画を作つて、ただ地方に見せておる、これでは私は財政にならんとこういうふうに思うのでありますが、この点については次のチャンスもあるわけでありますから、自治庁長官は何かそれについて少し前と変つた考え方をお持ちになるかどうか、お聞きしたい。
  139. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは先般も予算委員会小林委員からお尋ねを頂きまして、私も非常な問題点だと思うのでありますが、ただ率直な感じを申上げますならば、私はこの問題の解決はどうもうまく行かないからして、そうして殊に今のように中央が或る程度尻を見てやらなくてはならないからしてやり方に干渉して行く、而もそれを法的な根拠を持つて干渉して行くというよりも、制度自体は面倒をもう見ないという考え方に変えて、そうしてあとは一応独自の判断でやつて頂くという方向に問題を解決するのが私は自治というものを本当に尊重し、育成をして行くという立場から正しい解決方向ではないか、こういうふうに考えておるので、若干小林委員のお尋ねの気持とは私は違うのであります。果してそういうことができるかどうか、じやどういう制度にしたらばいいかというようなことになると、これはなかなかむずかしい問題点なんでありますけれども、併しまあ最近、まあ只今も本日午前から午後にかけての佐賀県知事のいろいろな御発言からうかがわれますように、やはり大分自治体というものかはつきりして来て、自治団体側にもとにかくこれは赤字を出しちやいかんのだ、従つて赤字を出さない方向に努力して行こうという空気が出て参りましたし、私はその空気はかなり全国的に出ておるように承知をしておるのであつて、そういうことが非常に望ましい状態である。そういうように考えて、むしろその方向をだんだんと強めて行つて、自治体の判断と努力によりまして財政が健全化されて行く、従つて中央の干渉はなくてすむというように是非私はありたいと考えておる次第であります。
  140. 小林武治

    小林武治君 今の要するに府県の状態その他から行けば、私は殆んど解決できない問題である。即ち真実の自治体というものは私はできて行かない。従つて自治庁か或いは長官が考えられるように、府県の統合とかそういうことをおやりになるならば、私は又これは立派な一つの方向で、或る程度解決がつくと思いまするが、いずれにしろ地方制度をそのままにしておいて、そうしてこの財政状態を片付けるということは私は不可能だというふうに断定せざるを得ない。併しまあ過渡的な現在としてはできるだけ地方も自粛してやつてもらう、そうして国も手伝うということが当然でありまするが、さような今長官がおつしやるような意味で全国において自粛のためにすでに実行予算を組む、或いは具体的な節減計画を立てておる、こういうふうなものが今あるかどうか、その状態を伺つておきたい。
  141. 後藤博

    説明員(後藤博君) 昨年の秋頃から各地方団体とも赤字がどうも累増いたして参りましたので、非常に自粛をいたしまして、二十八年度は黒字を出したいという努力をされた県が数県ありまして、大体そういう県は黒字に先年度といたしましては、八年度黒字を出しております。本年度に参りまして、赤字が府県で九十億前後殖えたのじやないかと現在思つております。今年度になりまして、私ども最近いろいろ各地方団体に本当に赤字を解消する気持があれば実行予算を組むべきではないか、こういう意見も申上げております。従つて各府県でも資金繰りとの関連もありますし、実行予算を非常に本年は多く組みたいと言つておりました。この間財政課長会議がありました際に聞きましたところでは、殆んど大部分の府県が実行予算を組みたいという希望に持つておりまして、ただ一県だけ実行予算を組まない、非常に当初予算を堅く組んでおつて、絶対に赤字を出さないから組まないという県が一県だけありました。それ以外は十件ばかりはどうもはつきりしない県がありましたけれども、大部分の県は実行予算を組んで本年度は単年度として赤字を出したくない、こういうふうな考えを持つておると、そういうことを申しておりました。
  142. 小林武治

    小林武治君 私は例えば今年度の、二十九年度の地方の予算を見ても、要するに非常に大きな空予算を組んでおる。こういう県を貼るのでありますが、こういうことにつきましては自治庁は多少の注意をされておるかどうか。要するに実行不可能の予算承知の上で組んでおると認められるものが或る程度あると思うのでありますが、そういうものがあると思われるかどうか、伺つておきたいと思います。
  143. 後藤博

    説明員(後藤博君) まあ当初予算でありますと、そう不可能な予算は私は組んでいないと思つております。九月、十月の追加更正予算におきまして、非常に財源を顧みないような膨脹予算なつて参るわけであります。従つて私どものわかりますのは年末ぐらいからわかつて参ります。従つてまあ早くわかりましたものは勿論空財源の点を指摘いたしまして、本年度赤字を縮小するようなことをお願いするわけであります。現在までのところでは、私ども警察予算を組むまでのところでは、そんなに空予算を組まないで本年度は大体骨格予算を組んでおるのではないか、かように考えております。
  144. 小林武治

    小林武治君 その点は非常に甘いと思います。要するに相当の収入の過大見積りをしておる予算を私どもは見ておるので、自治庁は、健全な予算を組まれておると言うなら私は少し甘いと、こういうふうに思うのでありまするか、これは各府県のものを十分検討されて言われておるかどうか、お聞きしたいのですが。
  145. 後藤博

    説明員(後藤博君) 総括的に多くはまあ骨格予算を組んでおるので、そう過大になつていないということを申上げたのでありますが、個々の数府県につきましては実態調査をいたしました結果、予算編成等につきましていろいろ勧告を申上げております。
  146. 小林武治

    小林武治君 まあいずれにしろ不幸な事態でありまするが、全国の自治庁体に給料が払えないというふうなことが出て来ておるのは、私は一面から言えば必ずしも不幸とは言えない。どうせ地方財政に欠陥があるんだから、この際むしろこれを根本的に検討する時期が来たと、こういうふうに思うのでありまして、中央も地方も恐らくこれは一つ見直さにやならんという気分が満ちて来たと思うのでありまするから、この機会を外さないで一つ自治庁も十分一つ実態を把握されて、国家財政の上においても一つこの際根本的な考え方をして頂きたい。こういうふうに思いますが、その点についての一つの自治庁長官の考え方を伺つておきます。
  147. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 全く同感でありまして、そのように先般私も考えまして、漸時であるからして、この機会に徹底的に一つ問題を検討して対策を講じて行くということで、今年は自治庁の調査課は赤字の対策というものに主眼を置くということにして今作業を進めております。
  148. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと植木政務次官にお尋ねしますがね、先ほど塚田長官からもお話がありまして、差し当つての地方交付税交付金の問題ですね。これを繰上げて支給するというような手当も窮乏原に対してまあやろうというような発言もありましたが、これはまあ全般的に地方交付税交付金の繰上支給というような点は、同様に県財政面から考えておりはせんかと思うのですか、大蔵省といたしましては、この問題に対しましてどうお考えになつておりますか。
  149. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) お答え申上げます。その点につきましては自治庁当局といろいろ御相談をいたしております、又県当局からもいろいろな御陳情もありますので、この点につきまして十二分に検討を遂げまして、そうして特定の財政窮乏の特に著しい県のみにするか、或いはおおむねの府県になるか、その辺も十分検討して参りたいと思つております。当務当局の今相談をいろいろいたしておりますところでは、なお検討を要する県がありますので、結論に達しておりません。八月におおむねの区分について繰上支給をいたしますか、或いは八月、九月、月を変えて適当に善処するか、その辺につきましては、今後の調査の結果に待ちたいと存じておる次第であります。
  150. 内村清次

    委員長内村清次君) その点はまだ検討中だというわけですね。時期もまだ明確にめどをきめての検討ではないのでございますか。
  151. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) 財政窮乏の著しい府県につきましては、成るべく早い機会に、即ち八月中成るべく早い機会に結論を得て善処いたしたい、かように存じます。
  152. 松澤兼人

    松澤兼人君 その財政窮乏の著しい付票というと、府県数にしてどのくらい、そうして金額にしてどのくらいという大体の見当でもついておりますか。
  153. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) お答え申上げます。その点まだはつきり県の数、金額等につきましては結論に至つておりません。事務当局で鋭意交渉その他研究を遂げておる最中でございます。
  154. 松澤兼人

    松澤兼人君 自治庁のほうに伺いたいのですけれども、先ほどは非常にいい話で、できるだけまあ九月に交付する交付金の繰上支給をすると、したいと考えておるというようなお話でしたが、事務的な折衝にどういう段階まで打つておるんですか。
  155. 後藤博

    説明員(後藤博君) 九月に支給すべき交付税総額は二百八十億ばかりでありますが、このうち警察制度の改正によりまして、市に交付すべき交付税が昨年より減つて参ります。従つて普通に概算交付いたしますると、市のほうに行き過ぎになる点がございます。従つてあとから返してもらわなければならん問題か出て参りますので、市をどうするか、どの程度やるかという問題がございます。県は我々はできるだけ差別をつけないで出して頂きたい、かような要求をいたしております。従つて二百八十億の総額が無理であるとすれば、多少落ちたところで出して頂きたい、こういう要求をいたしておるのであります。
  156. 松澤兼人

    松澤兼人君 財政部長に付いたいのですが、この金額はまるまる二百八十億でなくても八月中頃までには繰上支給交付ということは実現できる見通しはございますか。
  157. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私が答えるのはどうかと思いますが、今までの話合いでは大体大蔵省のほうでも繰上げ支給をすること自体については御承認になつておられます。従つて額の問題が今残つております。額をどの程度にするかということは国の資金計画とも恐らく関係がございますでしようし、国の又財政そのものにも関係がございますので、その点で大蔵省の御意見があるのであります。その点を早くきめまして、できれば十二、三日頃までにつくようにやりたい、かように考えております。
  158. 松澤兼人

    松澤兼人君 大変結構な話で、そういうふうにして頂けば結構だと思います。  ついでにお伺いするのですが、地方財政を節約するとか或いは緊縮するとかとい点とになると、勢い人件費の点にしわが出つて来るという感じがするのですが、この場合私は何でもかんでも何割天引きするとか、或いは何割整理とかいう考え方には反対であつて、まあいろいろ自治体の機構改革をやつたり、或いは再配置をやつたりした上で、どうしても仕方がないという場合には止むを行ませんけれども、ただ天引整理ということには反対ではありますけれども、併しどうしたつて政府なり或いは府県の理事者のかたがたから考えれば、人員整理ということにしわが寄つて来ると思うのです。それは自治庁としても都道府県に対しまして整理基準というものを示達しておりまして、やはり人員の整理ということか問題になつているようです。で、そうすれば必然的に退職金等の措置をしなければならない。これはさつきの佐賀県知事のお話でも整理はする、整理するのだけれども実際には節減にならない、この退職金などの関係によつて節減にならないということを言われております。整理をしたけれども、それが結局何の足しにも節減にもならないということであつてはならないと思うのですが、まあ来年からどうかわかりません。本年度においては付の足しにもならない。そこで若し自治庁が強く地方に対して人員の整理とか、或いは人件費の節約とかということを指示されるということであれば、その退職金については或る程度面倒を見てやらなければいけないのじやないか、こう思うのですが、これも全く都道府県に任せてしまうということでは実益がないということになる。まあ成る程度整理をしなさい、退職金については多少面倒を見てやるというようなことでなければ、なかなかこれは実行ができないのじやないか、こう思うのですが、何か自治庁としても退職手当の問題についてはその財源的な措置を検討しているというお話ですが、その実情はどういうことになつておりますか。
  159. 後藤博

    説明員(後藤博君) 私ども個々の県の赤字を見ておりますと、その赤字原因が給与負担が非常に多くて赤字を出しておる場合と、そうでなくて事業が非常に多くて赤字を出しておる場合、それがちやんぼんになつている場合、いろいろケースがございます。従つて個々の県について申上げます場合には、この県では人件費と言いますか、給与費を少くする方向に行くべきではないか、この県では事業をもう少し落すべきではないか、こういう意見を申上げております。従つて人県費を落さなければならないというような県でありますれば、やはり当然におつしやいますように退職金の問題も絡んで参ります。退職金の問題が絡んで参りますので、本年度から始めまして、五カ年計画なら五カ年計画でやられるのでありますれば、我々のほうへそういうはつきりした計画を持つて来られるのであれば、我々としても、資金の点につきましても大蔵省お願いをしよう、又そのほかの交付金の計算についても、特別交付金の際にやはり考えてもよろしい、こういう態度で現在県の指導をいたしておるのであります。
  160. 松澤兼人

    松澤兼人君 佐賀県知事にお伺いしたいのですが、先ほどもちよつとお伺いいたしました経費の節約で、三億という数字が出ております。そのうち人件費一割ということになつておりますが、出血的な整理をなさるお考えであるのか、或いは雇止めというような形、或いは希望退職というような形でなさるお考えであるのか、或いは退職金の問題について十分な見通しがあるのかどうか、その辺ちよつと承りたい。
  161. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 只今の点の中で、人員整理の問題は今まで申上げましたように、教育委員会の問題と知事部局の問題とございます。教育委員会の問題につきましては、教育委員会とその具体的内容につきましてよく御相談をしなければならない思いますので、多少この点責任あるお答えはできないかと思いますが、私の気持は、先ず一番目に欠員補充、希望退職、或いは老朽者を若いほうと切替える、そういうような実際上の出血のない手段をとりながらその状況見通しまして、そうして実情におきましては進めて参りたい。その関係で目的は、大体計画を自治庁或いは大蔵省と御折衝するわけでございますが、それによつて達せられればよいわけでございます。現在の希望退職制度が先般国会を通過いたしましたあの制度もございますし、それを以てすれば或る程度行けるのではないか。なお又もう一つの要素とし申して、最近市町村合併、特に新らしい市ができたというような状態なつております。それらの主務担当者、或いは次長とかいうかたに非常に技術者とか何とかいうことを要求してきております。私の県でも、恐らく十名或いはそれ以上に県庁職員の就職斡旋をすることができるのではないか、それらのことを併せてできるだけ実際上の出血ということは私は避けながら目的を達するように持つて行くのを第一段階として、又本旨として考えたいと、さように考えております。
  162. 松澤兼人

    松澤兼人君 今町村合併の話が出ましたが、実情をちよつとお聞かせ願いたい。それはあとで御質問申上げたいと思うのですが、地方事務所との関係をお尋ねしたいと思うので、参考一つ……。
  163. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 佐賀県は従来二市八郡ございまして、百二十五くらいの町村があつたのでございますが、二市が現在七市になつております。そうして大体一つは五ヵ町村、もう一つはやはり五カ町村、大体五カ町村単位に合併してできました市が二つできております、それから一つは大体八ヵ町村、もう一つは伊万里でございますが十一カ町村というような形で合併をし、五つの中ができております。そのほかに村と村とを合併したもの及び町と町とを合併したもの、これは有田でございますか、そのものが二つございます。そのほかに佐賀市自体が周囲の五カ町村を合併して広くなつたというものがございます。大体その程度でございますが、大体の見当として現在百二十五町村、二市八郡、いわゆる百二十五カ町村が現在では七市、ちよつと忘れましたが、八十二、三カ町村なつておると考えております。その後大体の予定では四十カ町村前後になるような見当でおります。その中には大きな市にくつつくのが二、三カ町村あるものと思つております。
  164. 松澤兼人

    松澤兼人君 地方事務所の関係はいろいろ廃止すべしという議論もありますし、或いはやはり存忙しなければならないという見方もあるのですが、これは機構改革の面から言えば、常に話題に上つていることだろうと思う。これに対して知事はどういうお考えを持つておられますか。
  165. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 地方事務所の問題につきましては、現在あります地方事務所自体に、私はこれは個人的な見方でありますが、検討を要するものがあると考えております。それは地方事務所と申しましても、県政のあらゆる全般のものを統合した地方事務所であるかどうか。いわゆる地方事務所と独立して土木出張所があり、県の保健所がある。従つて地方事務所というものは、そういうものを除いた地方事務所の事務取扱いをしている。なお又単に権限そのものもいろいろな問題があるかと思います。でありますので、地方事務所と言つても、その群なら都会部の統轄ではなくて、やはり土木は土木出張所が別にあり、保健衛生の面では保健所が別にある。或いは家畜関係にいたしますと家畜衛生保健所とかというものが、別の出先機関としてあるというような地方事務所の実態に少くとも私の県ではなつております。この点は、現在の地方事務所そのものを再検討する必要があると考えております。  なお新らしい市の発足によりまして、実は或る郡におきましては、十四ヵ町村かありましたものが十一カ町村合併して一つの市をなし、あと三、四カ町村残つておりました二カ町村が合併して一つの町を作り、郡が実は一村、一市、一町というような極端な事態になつたのもございます。或いは半分が市になつたというようなものもございます。そういうような状態から考えまして、一面人員の整理、縮減というものを一応勘案して参りますと、地方事務所そのものも二つの問題があるわけであります。総合しました方面事務所と申しますか、そうして土木も衛生も一切のものを兼ねた地方事務所と、今まで八つあつたものを四つか六つかにして、新しく立てることが必要であるとか、或いはいわゆる指導行政と申しますぁ。いろいろな指導行政の面を県庁のほうに引揚げまして、現実に農地復旧は農地事務所、本当の土木をやるものは土木事務所、保健衛生の面でいろいろ保健所の働きというものは保健所という現場出先の本当の事務のみをとつて、あとの指導行政というものを県庁内部に引揚げるかという二つの方面事務所主義と現場事務所主義に分けられるのじやないか思います。併し方面事務所主義の面をとりますと、人員も多少要るようでありますし、私の場合における県の型から考えますと、現場事務所のほうがいいのじやないかと思います。それを県庁内部に諮つて見た場合に、一部に指導行政はどうしても行かなければならん。現場主義という地方事務所が必要だという意見もございます。大局的に考えて見ますと、市町村かでき、大きな健全な市町村ができて来た場合、いろいろな指導行政という面はやはり県庁のほうから大局的に御指導申上げ、或いは交付金のいろいろなお世話なり、或いは供出米割当のお世話なりというふうにして、そうして現場事務所主義をとりたい、私は一応そういつたような、現在まだ決定はいたしておりませんが、そういうことによつて幾分かでも県庁職員も本庁に引揚げて、人員も少くなることができますから、私の県の特殊事情かもわかりませんが、そういう方法をとつたほうがいいのじやないかという、ふうに考えております。
  166. 松澤兼人

    松澤兼人君 機構の改革とか或いは又部課の統合とかというようなことについては、何かすでにおやりになりましたか。
  167. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) この前の県議会の際に、現在の七部制を四部にいたしまして、それから県庁の部課を幾つでございましたか、四十くらいのものを二十二、三かと以いますが、減す案を実は議会に提出したことかございますが、その点につきましていろいろな問題があつたのでございますが、この点は中央政府の関連とか、その他地元のいろいろな問題がございます。但しこの機構改革の面におきましては、午前中に申上げましたように、このほかに各種委員会というものかあるのでございます。それが行政執行委員会が今朝申上げましたように九つ、これは殆んど事務局を持たなければなりません。公安、教育、労働、農業、海区調整委員会、監督委員会というような事務当局を持つている。又法律において行うものであります。そのほかに政令とか規則とか或いは国家からの通牒とかいろいろな点において持つておりますところの大体審議会、委員会というものが実は八十九あるのであります。そのうち法律によつておりますものが三十幾つ、これを何とか縮小しようといたしましても、知事自体においてはでき得ない面が多いのでございまして、これは一つ国家におかれても何とかこういつた簡素化の面を一つお願い申上げます。それと部制と兼ね合せなにして参りましてもなかなかできません。四部制とそれから四十課を三十にするということで実際人員の節減を計算いたして見ましたら十数人出るか出ないかであります。で、そのような意味におきまして現在更に検討している次第でございまして、又八月下旬には何とかしなければなりませんが、それぞれ検討中でございます。
  168. 内村清次

    委員長内村清次君) 大蔵省のほうの政務次官にもう一点聞きたいことは、一兆円の予算計画で、いわゆるデフレの進行が相当現われて来た。そこで地方財政面に現われます政府資金のいわゆる融資の問題、この問題が各金融引締めで地方銀行その他における状態が非常に窮屈になつておりはしないか。で、これは大蔵大臣のほうもやはり依然としてこれは堅持して行くのだというような声明があつておりまして、そこでこの見地から緊急融資というものが非常に制限されて行きやしないか。そのためにこういう事態というものが、それは各府県に現われて来ないかという心配も一つつたわけでございます。こういうような見地に立ちまして、大蔵省のほうではやはり依然として実情を把握した、窮乏の問題に対しては、やはりこれは金融の措置をとつてやるというようなことは、やはり弾力的に考えておられるかどうか。この方針の点を一つ明確にして頂きたいと思います。
  169. 植木庚子郎

    説明員植木庚子郎君) お答え申上げます。先般来自治庁当局ともいろいろ御相談をいたしまして、当該地方自治体におきまして十分なる調査研究を遂げて、将来に対する計画等も備えて、そして御相談下さる向きに対しましてはでき得る限り預金部資金等を以て善処いたしたい、かように考えている次第であります。一般の地方銀行からの融資等の問題につきましては、これは特に大蔵省からかれこれ言うべき筋合でもありません。ただ当該自治体の財政状態の如何によつて当該地方銀行が十分にそれについて確信を得、近い将来において返済を受けることも可能であるという見通しがついたものについては、当該地方銀行の自由なる裁量の見地に立つて決定して参る、かようになつている次第であります。併し大蔵省もでき得る限り地方銀行に対して、必要以上に地方公共団体に対しての融資を引締めるというようなことはないようにそれぞれ緩急よろしきを得るようにという態度で臨んでいる次第でございます。
  170. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  171. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をつけて。  それでは、町村合併の促進状態を議題に供します。
  172. 小林与三次

    説明員小林与三次君) それでは私よりその後の合併の概況を御説明申上げます。  それでは只今お配りいたしました資料の中の一表に、現在までの合併進捗状況という一覧表がございます。これを御覧願いますれば、大体全国のその後の大勢がおわかりだと思います。一番左のほうの覧に昭和二十九年四月一日現在、丁度二十八年度の最終の数字を出してございます。これは全体の数字が一番下に合計が出ておりますが、合併基本計画による減少町村の九百四十三に対して千六十、一五%の予定が一七%の成績を挙げて二十八年度終つたのでございます。その後の二十九年度に入りまして、今日に至ります八月一日現在、一番新らしい数字只今できたのでございますが、その後の数字を真中の欄に出してございます。これは本年度の全体の計画四千百四について実際の減少町村が五百でございます。比率は六五%の計画のうち一二%、こういう数字なつております。それでございますから仮に六五%、本年度の計画を月割りにいたせば、これは計画から見れば八月までは大分月がたつておりますから計画は少し足らない計算になつております。それを全部集計いしたまして五千四十七、つまり二十八年度と二十九年度を総集計する計画が五千四十七に対して、全体として減少した町村か千五百六十、総パーセンテージが八〇%に対して三一%、これが現在の数字でございます。芥県のその後の状況はそれぞれの欄に書いてございます。これで御覧願えばおわかり願います通り、全体のパーセンテージを月割りにいたせば、実は新年度に入りましてからは多少調子が落ちておるのでございます。大体これは合併はそれぞれ時期がございまして、四月二日が非常に大きな山でその後多少の停滞を示すというのはこれは止むを得ない状況じやないかと存じております。これも県によりまして非常にアンバランスがございまして、非常に進んでおる富山県などというのは、現在では殆んど最初二百幾つあつた町村が三分の一になつてしまつて現におるのでございますが、なおいま少し減らす計画で作業が進んでおります。あとのところはむしろ合併計画が現在作られつつある段階でございまして、合併計画に基きまして、一般の具体的の計画が頻りに論議されておつて、逐次毎月相当ありますが、その数をちよつと概数申上げますが、四月中に九十一町村の減、五月中は八十六、六日中は百八十一、七月中は百四十五、大体百以上前後の数が出ておりまして六月、七月に百八十一、百四十五、こういうのが実数でございます。  それであとは合併計画の状況を御報告申上げますが、これは合併計画に関する調べを別の表にして配つております。これによりますというと合併計画も、我々といたしましては速やかに合併計画を作つてこの総合的な計画に基いて具体的に町村の合併か進むことを強く要望をして、慫慂をして参つておるのでありますが、今日の段階で合併計画のまとまつておりますのがこの表にお示ししたところであります。二十八ございます。まだほかの県は正式にこの案を発表できていないという状況のところが少くないのでございますが、これは御案内の通り市の条件が五万人になりますので、九月二十日ということになつておりまして、それまでには市の計画を、仮に将来に持込ますということになれば、計画を作ることになりますし、かたがた計画を合理的に進めるために是非八月中に計画を作るようにということをその他の県に対し、今要望しつつある状況でございます。大体この計画を御覧願いますというと、府県の考えております合併の概況がわかるのでございまして、全体のこの計画数が我々が当初考えておりました三分の一の計画よりも大抵上廻つておりまして、この表全部集計いたしますというと、人体七三%の減少率になつております。三分の一ならば六六%余りでございますが、それより大きい、まあやや大き目の合併が計画をされつつあるのでございます。これは計画そのものが大き目であるというだけでなしに、実際に合併の状況を見ますというと、この計画よりも更に上廻つた結び付きが行われておるという実例がどちらかと言えば多いように見受けられるのでございます。  それからこの合併計画の内容を第二表に分析しておきましたが、人口、面積等が合併前と合併後はどうなつておるか、これを見ますというと大体合併後の人口の平均が一万五千、これも多少県によつて大小がありますが、大体二万を越す計画を前提にして案を立てておるようでございます。これも県によつて大きい小さい多少ございますが、これはそれぞれの県の実情によりまして、地勢なりその他の交通状況その他状況を具体的に勘案した結果確定されたものでございまして、それぞれの実情に応じてそれぞれ適当に考えられておるものと存じておるのであります。面積も真ん中の段に書いておきましたが、面積は一町村の平均が八十四平方キロ、これは現在の面積の三・四八倍になつております。特に面積も山地その他のところは、山形県のごときは二百平方キロ越すような面積になつておりまして、極めて厖大なように見受けられるのでありますが、これもまあ御案内の通り山形原は山地が非常に多いのでありまして、我々といたしまては山間地の面積は一応形式上算定されておりますが、実際人の活動し得る範囲の面積から言えば、それほどにもならないのでありまして、大体一万四、五千という前提をとれば、こういた形になるのも止むを得ない、こう六うふうに考えておるのであります。これが今までの合併計画の状況でございます。  それからいま一つ参考までに町村合併実態調査、実際今まで行われた合併がどういう形で行われたかという資料をちよつと作つておきましたが、これは多少まだ正確を欠く点もあるのでありますが、大よその概況を窺い知ることができると存ずるのであります。これは七月一日現在までにおける合併件数五百五十八件のうちの、全部報告が集つておりませんので、そのうちの三百九件について調査したものであります。大体五分の三に近い数字でありますから、大よその大勢は察知し得ると存ずるのであります。それを見ますというと一段が人日に関する調べでありまして、八千未満のものの合併町村が二十六ございます。併しそのうち一番多いのか一万から一万五千で五十、それからずつと多くなつて三万以上百四十三という数字が出ておりますが、これは市町村一緒に表を作つたのでありまして、三万以上というのは大体市だとお考え願つてお差支えないのでございまして、そうしますというと大体一万から一万五千を中心にしておる。それから地形その他で止むを行ないところは八千未満でもまとまらざるを得ないと、こういうのが実情でございます。それで実際のやつたものの総平均は大体一万五千で、八十四平方キロというのが今までにとつたものの数字のようでございます。面積は下に第二段にございしまして、面積の一番多いのが、二十平方キロから五十平方キロ九十二と、五十から百平方キロ百八と、これがまあ大体多いので、平均が八十四平方キロこういう数字なつております。  それから第三は、議員の任期と定数に関する調べでございまして、御承知通り議員の任期の特例を設けましたので、その実情がどうなつておるか、これを調べてございますが、全然特例によつておらんものも百、それから三分の一は実は今までの資料では特例によつておらないものでございまして、如何にも議員数が多過ぎて困るといういろいろ批評がございますが、全部が全部そういうわけでもないのでございまして、三分の二初めから原則によつて事を進めておる。それから特例によつておるものにつきましても、いろいる任期の延長も必ずしも一年を以てやつておりませんで、六カ月未満のものもある。六カ月から一年のものもある。特に最近のものは大抵来年四月が選挙であますから、三月一ぱいこういう形で特例を設けているもののほうが多いように見受けられるのでございます。それからその横に議員定数を書いてございますが、議員定数は、この特例と現実における議員数が一体どうなつておるか、こういうのでございまして、まあ百人以上の市町村が三十五あります。これは尤も大半が。大半といつて全部が市でございますけれども、そのうちでも一番大きい市を調べてみますなら旗本の五名市でございます。これが百八十四でございます。これがレコードでございます。そういうふうに市には随分議員数が多いのがございまして、我々も運営はいろいろ心配しておるのでございますが、これも千差万様で、極めて円滑に行つておるところもこれはあるのでございますが、多少はやはりそれだけおるというと又旧町村意識が現われ過ぎて、全体としてまとまりが十分に行つておらない、こういうところもあり得るのであります。でありますからどうしても会議員が一度出直さなければ、これは本物にならないと存じておりますが、併しこれも暫らくの過渡的な措置でございますから、或る程度大目に見て勘弁をせざるを得ない問題もあろうかと存じております。それで現在特例によらんものだけを計算いたしましても、我々の目算では、議員数が現に減つた数を見ますというと三千八百くらいにこれはなるのであります。こういう計算をいたしております。仮に一年後と申しますか、全部か本則に人つたとすれば、この三百九件だけを調べましても、一万一千人を越す議員数が減少になるこういう数字が出て入るのでございます。  それから支所その他の状況は第四段に書いておきましたが、これもすべて支所を設けておるのではないのであります。所によつては初めから支所を設けないで発足している、これは三十一件でございます。それから支所を設けておるものも、大体まあ数人程度に縮減をいたしまして、本当に戸籍とか届出といつたようなものを基礎にいたし、大抵は本役場にいたしております。特例は設けましても、従来の例を見ましても一、二年たちますというと、合併のときは如何にも役場がないと困るというように言つておりますが、いざ作つて見るというとそれほど必要ではないというのでぼつぼつ廃止しているというのが大勢でございまして、現在二百七十七という数字から直ちに今後この数字が釘付けになる、こういうことを考える必要はないと存じておりまして、これらは逐次、特に途方なものは別として、整理されて行くことが期待できるのでございます。  それから財産区は、財産区に関する特例を認められましたので大分活用されておりますが、これもここにあります通り、財産区を設けたものが八十一件、全然裸合併が二百二十八、大半が裸合併で一部の山の、特別の不均衡な山を持つておるものだけが財産区を持つている、こういう状況でございます。  それから選挙区の状況を申上げますというと、選挙区を設けていないものが百九十七、三分の二は但し新町村一選挙区、こういう態勢で、その他のものか選挙区を取敢えず設けるという道を開いておるようでございます。それも人口に按分するものもあるし、市町村実情によつては按分しないものもある、そういうふうかいろいろな状況を示しておりました。  それからあとはその他の法律の特例関係を調べたのであります。不均一の課税の状況、健康保険の特例の状況、その他は御覧願えれば大体わかると思います。これは必ずしも十分な資料ではありませんが、大体の態勢をこれで御覧願えればわかると思つておるのでございます。  で、全体といたしましては、この合併をめぐりまして本当にいろいろな問題が、問題のあるところは現在表面に出ておるわけでございますが、特に来年の選挙を前提にして、つまりその前に本当に片が付くか或いはこいつが目立つて来て後半期でぐずつくか、こういうようなところは今後の形勢を見なければわからないと思うのでございますが、おおむねの県におきましては、私はまあ或る程度のところまで行くのじやないかというふうな気を持つておるのでありますが、併し何分にもこれから秋の形勢を十分に見なければはつきりとしたことは言えないと存じておるのであります。特に従来立遅れて遅かつたといつておるのは東北地方などでありますが、東北地方なども最近は調子が随分出つつありまして、動き出せば割と事が早く進むのじやないか、存外却つて近畿地方あたりか一番これは遅れるのじやないだろうかというような実際の気もいたしておるのでございます。大体合併の概況は以上の通りでございます。
  173. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質疑ございませんか。
  174. 小林武治

    小林武治君 合併のお活はわかりましたが、これは今お話の通り県によつて非常に差等がある、或る県は進んでおり或る県はちつとも進んでおらん。これらの進んでおらん県に対しては何らかの勧奨がされておるかどうか。
  175. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これは御尤もでございまして、正直申しまして、その県自身が本気になつておるところが一番進んでおるし、県が消極的なところは必ずしも従来進んでおらん、こういうのが実情でございます。それで我々といたしましても、その点が一番重要でございますので、例えば推進本部のほうにおきましても特にいろいろ御苦労願いまして、進んでおらんところを特に名指しで尻を叩く恰好で、本部の皆さんも川向いて叩いて県その他地元の啓蒙に力をいたしてもらつております。自治庁といたしましても、機会あるたびにそこらの首脳部に対しましてはこの点を督励しつつあるのでございます。それで多少従来どうかと思つておるところも次第に立直りつつある府県も少くないのであります。まだ全部が全部もう調子がついて張切つておるという段階でないのは事実でございますが、我々といたしましては、その点は特に注意してできるだけ督励をするようにいたしておりますので、これは又国会の皆さんがたにおかれましても一つ十分御協力願いたいと存じておるのでございます。
  176. 小林武治

    小林武治君 これは町村合併は次の段階に自治庁長官なんかが考えていろいろおられるが、それではどうしてもこれを或る程度早期に完成しなければできない。で、先ほどお話のようにこれは近畿方面が遅れておる、一番あとになるのじやないかと思う。この近畿方面に、私はどの県と申上げませんが、併しおわかりになると思いますが、一つ力を入れられるように希望しておきます。  それからなお私はこの際是非伺つておきたいのは、県の飛び地の問題が恐らく方々にあると思う。私は最近和歌山県に参りましたら、和歌山県の飛び地が奈良県と三重県の間に挟まれて村が二つある。そしてこの村に行くには必ずよその県を通らなければ行けない非常に顕著な例があるのでありますが、これらは何か特別な措置を講じなければ合併、或いはその県境の変更というようなことはできないと思うのですが、この非常な行政的にも、それから交通上も極めてもう不合理である飛び地をそのまま置くということは町村合併などから見ればむしろ滑稽に思われる。特にこういうものを解消して府県聞に話を付けさせるというようなことについて自治庁は何らかの措置をとられる御意向があるか。
  177. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これはもう御尤もでございまして、これはまあ我我も県の見解などというものは勿論踏み越えて各町村実情に応じて再調整したいということは、これは常に機会あるごとに申しておるのであります。正直中しまして児界の間川はこれからの問題であると思います。我々のところへぼつぼつその話も入つておるのでありまして、誰か見てももう理屈が立つておるものにつきましては、自治庁といたしましてもこれははつきりした態度で事を解決するのか筋じやないかと、こういう考え方で行つておるのであります。ただまあどつちつかずというようなやつ、どつちにも理屈があるというようなやつは、これはなかなか自治庁としても扱いにくいのでありますが、今小林委員のおつしやつたような問題につきましては、誰か考えてもというようなことにつきましては、これは現地の意見さえ、少くとも関係町村の意見さえまとまつておれば、積極的に出る考えでおります。ただ関係町村の意見も出ておらんのに、我々としてすぐ出向いて行くのもどうかと思つておりますが、これからの段階がまさしくそういう問題を調整すべきことで、これは総理大臣がきめることになつておりますので、自治庁といたしましても肚をきめて問題の処理を積極的に合理的に進めるように考えて行きたい、こういうふうに考えております。
  178. 小林武治

    小林武治君 今の和歌山県の事例は、県界を変更するというような問題ではなくて、よその県の中にすつかり抱かれてしまつておる。こういう種類のものであつて、これらはまあ向うの出方を待つのも一つの手でありますが、何らかの法制的な措置がとれないものかどうかというふうな気もしますが、その点はどうですか。
  179. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これは自治庁のほうでも県界の問題の御改正をお願いいたしたんでありますが、いずれも実はおきめになつておるわけであります。関係府県はどうせ反対するにきまつておるという前提でありますが、少くとも関係町村だけの意見がまとまる、こういうことが現行法では前提になつておりまして、そういう場合においては仮に関係府県が反対してでも、総理大臣が最後の決をとるという指勢に実はなつておるのであります。今のお話では更に一歩進めて、むしろ全国的な、つまりこの合併計画の調整と、こういう問題になつて来ると思うのでありますが、もう少し各府県の合併意地も出揃いまして、そうした地方の実情ももつと或る程度機運が出て来た場合におきましては、必要に応じて更に考える必要があるかと存じておるのでありますけれども、ともかくも個個の合併の問題ですから、飽くまでも地元の意見を前提にして考えなければ、実情も十分わからずにそれだけを直接どうこうということもこれはどうかしらんと存じております。なおこの点は十分研究いたしたいと思つております。
  180. 小林武治

    小林武治君 今の問毎も合併などという問題ではなくて、こういつた問題ですか、和歌山県の事例はよく御存じですか。
  181. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 和歌山県にはそういうことがあるということも知つております。だが和歌山県だけではなくて、県境がこんがらかつておるのは京都、大阪、三重、あそこら辺にはざらで、非常にこんがらがつておる実例があるのを聞いております。それで、それだけでなしに、正直に申して町村だけでも飛び地などというのも未だに随分これはございまして、県境だけでなしに、町村内部にもそれがある。そしてそれを一挙に解決したいという我我の考えも持つておるのであります。それだけでもなかなかできる場合にできない場合とあるという現状でございます。  併しこの問題は、今よりも全県的な県境を再編成するというような改正になつて来ますと、町村合併の考えを一歩踏み出て来るわけでございまして、これは一方そうした立場からも考えて行くべき問題ではないかと思つております。今お話の通り町村合併よりも一歩進んだものとして考えて行きたい。合併が片がつかん場合にはその後の問題として解決すべき問題ではないかと思つております。
  182. 小林武治

    小林武治君 まあこの際は一つ飛び地の処置について大に政府の注意を喚起すると、この程度にとどめて、大いに善処してもらいたいとかように考えます。
  183. 松澤兼人

    松澤兼人君 これからだんだんむずかしいやつが出て来るのではないかと思うのですが、少しテンポが予想以上に、予想通り行つていない。だんだんむずかしくなつて来たんじやないかと思うのですが、まあ東北のほうでテンポが遅れて、まあまあそろそろついて行けばいいといつたようなところもあるかと思いますが、大分近畿なんかでそれほど伸びていないということは、結局その後に残るやつがむずかしくなつているんですね。そういうことについてどうなんですか。積極的にどういう措置をおとりになるのですか。
  184. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今お話の通り、まあ大体それは全国的にそうむずかしいやつばかり残つておるわけでもないのでございまして、相当進んでおるやつで残つておりますのは、主に問題のあるやつ、例えば富山など相当残つておるのはいろいろ問題があるから残つておる。ほかの府県は一般的にまだスピードが出足らんというだけでありまして、全部が全部問題があるというわけでは私は勿論ないと思つております。それは近畿地方あたりに進んでおる県では、残つておる例えば奈良あたりに今いろいろな問題があつて実に困つておる。一番熱心であるけれども、困つておるということは我々も聞いておるのであります。それでまあ現在の段階におきましては、私はやはり現在の態勢をできるだけ強力にあの手この手で進めて行くというのが今日の段階だろうと思つております。それでなお且つどうしても動きが付くか付かんか、これを今すぐに今までの態勢をあきらめる必要は一つもなし、とても役に立たんと考える必要もないのではないかと存じておりますが、この態勢で我々といたしましても県のほうと相談して行き、それから一般の協力も願つてできるだけのことをやつて行きまして、あとはどうしてもという問題は恐らくは又考えざるを得ない段階が来るかと思うのであります。そのときは更にもつと積極的な促進方策を考えるなり、何らかの措置を講ぜざるを得ないのじやないかと思つておるのでございます。大体町題を見ますというと、今はもう合併のそのものについての意見じやなしに、結局方法論の問題が起きて、どつちへ食つ付くか、こういう議論が勃発いたしておるのでありまして、右へ食つ付くか左へ食つ付くか、その議論の争いが現地の争いの大半であるのでございます。それと今の分村をめぐる争いと分けて行くか、一緒で行くか、これが又非常に深刻な争いになつておるのであります。その上にまあいろいろな選挙区なり何なりの問題がからみ付いておる。これは財産区の問題とか、役場の問題とか、名称の問題とか、いろいろの問題がありますけれども、私はこういう問題は次第に範囲が小さくなつておりまして、むしろどう食つ付くかという争いのほうと、分けるか一緒に行くかという争いのほうが大きな問題じやないかと存じておるのであります。併しこういう問題もだんだん議論して行けばおのずから次第に落着くところへ落着いて行つておるのが大勢じやないかと思うのであります。ただ全体として調子が出ておらんものだからお互いに模様を見ておるというのが実は相当あるのでありまして、動き出せば、先ず七八割くらいのものはそう問題があるのじやなしに動きまして、あとの何割かが問題を残しておるのじやないか、そういうものにつきましては、問題の実態を明らかにして、更にこれを促進する方法について積極的な方法を場合によつちや考える必要があるかも知れん、こういうふうに存じておるのであります。
  185. 松澤兼人

    松澤兼人君 県全体として予定が進行しないというような県に対しては、何か現地に行つて奨励するなり、促進するなりということをやつていらつしやいますか。
  186. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これはもうやつております。特に町村合併推進本部の委員一つ御出張を願いまして、我々だけ行つてもどうかと思いますので、それで実はこれは殆んどこつちの名指しで県をきめまして、指名して行つてもらつて、相当効果を挙げております。それを繰返し巻き返し場合によつちややろうと考えております。
  187. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つお伺いしたいのですけれども、折角町村合併をやつてまだ数カ月にならないのに、すでに又分村したり、元の町村なつたりというような事例もあるように聞いておるのですけれども、そういうのは全国的にいつてどのくらいあるのですか。
  188. 小林与三次

    説明員小林与三次君) いわゆるこれは又食つ付いてすぐ離れてしまうというのは、こういうのは我々としても初めに我々は紛糾しておるというのは例に聞いておりますが、そこまで行つているのは実は聞いておりません。ただ合併しまして、区域の調整を、やつた、これは相当あります。区域の調整は、もともと先ずまとまつてあと分村しようというのは、私はこれは合理化された問題でありますけれども、初めから合併してやつておるのではありません。ただいよいよ集まつたけれども、すぐに本当に分村騒ぎが起つておる、こういう例は例えば福岡あたりでもそういう話があります。併し又右か左かそこまで行つておるのじやありません。愛知あたりの例も、あの争いの一つだろうと思うのでありますが、併しながらまとまつてから分れてしまつたというのは我々は承知いたしておりません。ただそこらに多少合併の際にまあ無理があつたというか、十分に理解と納得が百パーセント付いていなかつたものだから、あとでごてついておるという、そういうふうな例も、今申しましたように極端な例になつて現われておるのは、これはあるのは事実でありまして、そういう点につきましても、まあともかく一緒になつたのだから成るべく円満に行くことを我々といたしましては期待いたしておるのであります。
  189. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうすると、今までのところでは町村合併をやつて又分村して、又元通りなつたという事例はありませんか。
  190. 小林与三次

    説明員小林与三次君) ありませ
  191. 松澤兼人

    松澤兼人君 全国的に言つて二、三町村ぐらいのものですか、問題にたるのは。
  192. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 現に分村騒ぎが起つておるというのが今極端なのが私の耳に人づておるのか二つございます。一審極端なのは分けるとか分けんとか議決をせんとかするとか言つておる、てれ以外に聞いておりません。分れてしまつたものは全然ありません。
  193. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういう折角合併してそれから又分村するというような場合には、自治庁に相談に来ますか。その場合に何か意見でも言つてやつたらその通りになりますか。
  194. 小林与三次

    説明員小林与三次君) これは今の例は間接に聞いておるやつもありまして、正式に相談に来ておるということでなしに、それぞれ別に私の耳に入つておるのであります。それでこれらは何とかともかくも一応はみな考えて、考えに多少足らんところがあつたか知れんが、そうやみぐもに事を進めたわけではないわけでありましようから、我々といたしましては成るべく合理的に解決するように期待はいたしております。併しはつきりと分けの意見を聞いて分けに意見を示したという今日段階に至つたのはどれもありません。
  195. 松澤兼人

    松澤兼人君 もう一つだけ。これは聞いたのですけれども、何か千架市か習志野の近所に学校がどうとかでもめておるということを聞いておる。県のほうで中に人づて学校は組合立にしようという調停案も出たのです。ところが逆に千葉のほうですか、学校を取つてしまつたといつて、折角合併ができ上つておるのに壊れた話があるということを聞いておりますが、お聞きになりましたか。
  196. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 習志野ですか。
  197. 松澤兼人

    松澤兼人君 羽志野です。
  198. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 今の学校の問題は詳しく知りませんが、千葉市と習志野の問題はこれはあることを聞いております。併しこれは県のほうでもいろいろ考えておるようでありまして、大体それぞれ現地の要望をみな満たす形で何らかの解決を調整したいというのが恥のほうで考えておるようでありまして、大体そういう方向に私は何とか行くのじやないのですか。この問題は片がつくものと私は考えております。
  199. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 自治庁のむしろ長官に伺いたいと思うのですが、県会議員の選挙はこれに関連して、折角促進法では新しい区域でやらなくもいいというような促進の趣旨として、合併を阻むような工合になつちやいかんという親心からああした規定を定めたところが、実際府県の様子を見ますと迷つてしまつておる。迷つておるというより原会議員自体が個々にみな考えが違うのです。だからなかなかきまつた線が出ない。そこで苦しまぎれに県会議員の任期延長という問題を起しておる。これは私ども個々にはそういう働きかけを受けておりますが、そんなことは問題にならんと言つておりますが、自治庁に対しては全国県会議長食あたりからどんなふうな働きかけをし、自治庁としてはどういう態度でこれに対処して頂きますか、伺つておきたい。
  200. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この問題は、正式のものは先般決議書を持つて来ました切りでありまして、余りその決議書の前にも後にも陳情というような形のもので、根強い意見というものは私のところには全然言つて来ない。初めこの問題を耳にしましたのは、むしろ新聞関係の連中からでありまして、そういうときに、私は初めから極めて否定的にそんなことは考えられないというように、強く意思を表明しておつたものですから、見込みがたいと思つて余り来なかつたのじやないかと思います。先般の決議書では別に任期を延長してくれということではなかつたのでありまして、いろいろ困難な事情かあるから、自治庁でも何か考えてくれと、こういうようなことでありました。考えるとすれば、今御指摘になりましたようなところに結局原因があるのでありますから、これを何か片付けてあげるほうがいいか、と申しますことは、今の三つの方法のどれかの選択で選挙区をきめろということになつておりますのは、私の出身の新潟県や何かもみんな利害関係が違つてきめられないで困つているようであります。むしろ政府若しくは国会が一方的にこれで行けというふうにきめて頂け。は、結局収まつてしまうということの意見のようでありますので、考えてみるということであれば、その面はもう一度私どもも考え、又立法して頂いた皆さんがたにも十分お考え順うということで何とか考えてみたらどうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  201. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 来年のむしろ市町村会議員のほうですが、順調に行つて市町村は来年四月で任期がみんな切れますか、これが大体の目標で初めから合併をその線で進めて来たと思うのですが、この機会を逸すとあとが、町村会議員が出たはかりの町村をやれということは非常に困難になる。この機会よでに大体できるものは完成してしまうという目標が是非必要だと思うのであります。これを逃がすというと、選挙で出て来た人はすぐもう合併で駄目になるというのじや、非常に合併を阻止しますから、これを目標に大いに頑張つてやつて頂きたいということを特に希望いたします。  なおこの機会にもう一つ申上げたいことは、合併促進はどこまでも民主的な立場でやるということに進んでおるわけでありますが、この間私北海道へ行つてあそこの事情を少し聞いてみましたところが、北海道の町村というのは、あんな大きな所に二百六十くらいしか町村がないので、面積から言えば問題にならないくらい大きな面積を持つておる。これは将来の発展ということから考えて、人口八千ということに余りこだわると非常に困る町村ができやしないかというふうに考えて来たのですが、殊に大きな村が相当発展したために分村した、その分村した村を元に又返さなければならないというようなことも言つておりますが、北海道はああいうような特別な事情にあることをよく一つ承知なつて、机上で減少率がどうというようなことで、形の上でおやりにならんように、特にこれは一つ希望しておきたいと思います。
  202. 松岡平市

    松岡平市君 細かなことですが、五月の二十九日に人事院が国家公務員の勤務地手当の勧告をした、その際に町村合併で例えば三級地の市、或いは二級地の町村に合併したところは一律に、従来の無給地も全部一緒に一級だけつけるということを原則的に総花的にきめられた。これは五月二十九日の勧告前に行われたものだけで、それから後、現在進行しつつあるものについてはそういうことは別途考えていないと、こういうことであります。そうして而も人事院の勧告は、あれをやられるのかやられないのか、とにかく勧告だけはしておつて、予算措置は、政府はこの次の国会でやられるのかも知れんが、やられるにしても、ともかく地域給がつくつかんということは、一級違つても公務員の家族手当まで五分違うわけです。これは各町村にとつて非常に大きな関心事であるわけであります。自治庁は人事院とあの勧告後に合併したものについてどうするというふうなことについて何らかの打合せをしておられるかどうか。
  203. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 合併をしました町村の勤務地手当の関係は、たしか法律の中に一応同月何日現在の区域によると、ごう書いてありますものですから、そのままとしましては、合併したからと言つて、例えば無給地と一級地が一純になつたからと言つて、直ちに全部一級地しなるということにはならんわけでございますが、そのために恐らく人事院としては給与の合理化と言いますか、そういうような見地から、又できるだけ無給地をなくして行くというような考え方からいたしまして、あのような勧告をされたと思うのであります。合併をされました新らしい市町村の運営から申しますれば、そのような区分がありますことは必ずしも円滑にか行かないとう面もあろうかと思いますけれども、併し何分にもあの人事院の勧告通りのことをいたすといたしますと、たしか七十億でしたか九十億でしたか、相当多くの金を要すると思うのであります。殊にこれは国家公務員に対しまする場合よりも、地方公務員のほうが無給地とか一級地におりまする者が多く、そういう者が新市なり、或いは中心の町に合併され、編入されるという場合が多いのでございますから、影響するところはどうしても地方関係の公務員の給与費であります。非常に多くの財政上の負担と相成りますので、給与の合理化というような、職務と責任に応ずる給与というような形に持つて行きますためには成るべくあのような地域給の制度を廃止して行くことが望ましいわけでありますから、そういう意味から申せば、あの勧告は確かに一歩進めるものと思うのでありますが、何と印しても地方財政全体の問題としては、よほど財源の面においてはつきりとした措置が行い得る見通しが立ちませんというと、あれをすぐ呑むことは困難であるというふうに思うのであります。そのような考え方で、一応更に将来の研究に待つという態度にいたしている次第でございます。
  204. 松岡平市

    松岡平市君 私は人事院の勧告した地域給がすぐつくかつかんかということではないのです。三月末日までですかに合併したものは全部一級つけている、勧告した中に。ところがそれから後のものは、例えば四級地に合併しようが三級地に合併しようが、それから後のものは、今現在進行されているものは全然つかないのです。それが予算化されるかへれないかは別だけれども、ともかく人事院は勧告して、やがてこれだげのものはつけてやるという予約だけはつけたわけです。今日進行しているものについては何らそういう予約がない。これを四月一日でそういう差別をつけることは、私は必ずしも適当でないと思うのだが、それしついて自治庁としてはどういうふうに考えておられるかということを聞くのです。これは予算化されるされないということは全然別個の問題ですが、併しその差別待遇はそこで切つてしまう、本年の三月三十一日までにやつたものは全部つけてやるけれども、それからあとのものは構わんという、その法律措置でいいかどうか、それはどういうふうに考えておられるかということです。
  205. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 只今御指摘のような問題につきましては、若しもあのような勧告を現実化いたすという場合におきましては、お話のように三月三十一日までに合併したものと四月一日後に合併したものとの間において差別を設けるということは適当でないと思います。これはやる以上は、その間に区別がないということにいたしませんと、これは町村合併の促進全体の上から申しましても適当でないと思いますので、私どもが若しやるということになりますれば、全面的に考慮するというふうになろうかと思います。
  206. 松岡平市

    松岡平市君 併し、これはやるやらんかということは、人事院の勧告のみならず国会がいじるわけですけれども、それが少くとも法律措置として将来いつまでもというわけにはいかんですけれども、少くとも合併したものについては、いつ何日まですれば、これはちやんと今そういうようにしてやつたように取扱うということは現在進行中ですから、あの勧告は五月二十九日に行われたその後のものについても、現在進行しておるものは、例えば伊能君が言われるように、来年の三月が非常に大事なときだから、それまでに是非完成しようじやないかということならば、そこまでにやればこれは付けてやると、人事院が改めて勧告するとか、勧告しなくとも当然そういうように法律的には取扱うとかいうようなことを、何か私はその人事院とも話をされて、あれが実現するしないは別だけれども、その取扱いだけはきめておいてもらわないと……。人事院に聞くと、別にそういうことは考えておらん、こういう話で大変工合が悪いじやないかと思うのですが、一応その辺のところを改めて御検討を願いたい。  それからもう一つ。それと関連して、今のように合併するところの中心になる市や町が二級地なり或いは、三級地であれは一級付く、ところが、そうでない小さな今まで無給地のところか合併すれば何にもならないわけですか、私はその町村合併の奨励の意味からも、大体あなたのほうで考えられておるような規模で合併が実現すれば非付に大きな町村になるわけですから、そういうものはやつぱり付けてやるというようなくらいのことは進んで人事院と交渉されて、私は考えられたほうがよくはないかと、こう思つております。一つその辺のところをなおよく御研究になつて、どこで日にちを切るか、或いは法律化、立法化するという責任政府が負うわけには行きませんけれどもその期限の切り方はちよつと変えて頂かないと工合が悪い、こう思いますから申上げておきます。
  207. 石村幸作

    石村幸作君 それに関連して。今鈴木さんの御答弁尤もだと存じますが、御承知通りこの促進法を立法するときに、この問題も非常に研究してみた。併し人事院の勧告というのは法律でないから、特例を作るのはどうかと考えまして、そこで人事院のほうからも出席を求めて、こういう場合、この合併された地域に地域給の差があつた場合にはどうするかということを再三質問したわけですが、満足の答弁を得られたいので、何遍も言つたり来たりして、最後に入江人事官が来て、責任を以てお答えするということで、その答弁に我々満足した。その答弁というのは、そういう場合にはできるだけ合併された地域のうちの地域給の高いところに倣うようにこれを修正するように努めますと、これは今そういうことを法的にきめるわけにはいかんが、そういう場合にはそういうような措置を必ず講じますように努力いたしますという御答弁があつたわけです。そこで我々も希望を附して、満足の行くようにしたのです。だから今人事院に対しては、その人事院の答弁を、これは速記にも載つているのですから、自治庁ではよく抑えて一つ進んで頂きたい。これはまあ小林部長十分御承知だと思いますから、その人事院が、入江人事官が言つたことを押えて、一つよく押えして頂きたいと思います。
  208. 松岡平市

    松岡平市君 関連して……。そういうふうに例えば入江人事宜が高い級に倣うようにしますと答弁してあるということならば、現在とつておられる人事院の勧告は違うのです。一つの市が三級地である、それに従来の無級地或いは従来の一級地、二級地等が合併された場合でも、殆んど全部二級地であつたものは三級地のまま残る、まあ一級だけしかついておらん。で、まあ一つの市が、従来の市は三級地、接続したところは全部ずつと一級地、或いは町は従来一級地であつたけれども二級地に上げて、接続したところは全部一級地というふうになつておつて、決してそういうふうにはなつておらん。極端な例は、一つの市の中で四級地、三級地、二級地、一級地、ゼロ級地というところはありませんが、こういう状態なつて、従来の国からみた地域給の不合理が今度は合併した市町村に持ち越されて行く。一つの市の中でそういう給与が五分ずつ刻んだ場所があるというのかたくさん出ておりますので、それらの点については、若し入江人事官がその市と同じ並みにするということを育つておられれば、現在人事院がやつている勧告は、それとはおよそ違うものであるということだけは申上げておきます。
  209. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと変な質問を申上げますが、政府は今後町村合併町村合併促進法によつて推進されて行くのだと思われます、それに違いないのですね。これはちよつとこういう質問をするのは、この現在町村合併をした所ですね、それからできない所というのは、やはりどういう関係かで非常に簡単に町村合併ができ、或いは市を作つて行つたのでありまして、そのできない所はどういう関係かで非常に支障かある。又独立町村として、経済的に非常にいいというような条件か何か変つた条件がある所が残されているのだと私は思うのです。やはり町村合併促進法というものができたというのは、大体の町村理事者というものはこれは承知していると思うのです。そういう点からできた所とできない所にはおのずから異なつたところがあるのです。ところが実際町村合併をしたところが、そうして又市制等を布いたところが、町村合併をしない前ろりも、市制を布かない前よりも財政的に非常に川筋した状態ができておる。特に新らしくたくさんの町村が集まつて市制を布いた所では経済的に非常に窮迫をしている。その原因には勿論町村合併をするために誇大な口約束なんかして、或いはうまいことを言つて、そうして町村合併をしたというようなものは、みずから間違つた方法をとつて指導したというような欠陥もあるでしようが、これは実際問題として、町村合併をして市制を布いた所のほうが、その前よりも非常に財政的に困つている。特に合併をしない前等においては、町村合併をして市制を布いた場合には住民税等は決して増徴はしない、而も町村合併して市制を布いた暁には、これこれの有利な点があるというような約束をしているために、私のほうの或る所らしい市では、これは未だに住民税の負担もできないというような状態に陥つている所があるのです。こういう実例を目のあたり見ておりますと、これはあとのほうの連中も、これは早晩町村合併をしなくちやいけないのかと、政府の方針に従つてやらなくちやいけないのかと、又、やればいろいろな有利な点が出て来るのだということを考えておりましても、実際そういうような事情にさらされますと、これは非常に大きな支障になると思うのです。そういう点から現在町村合併等によつて、特に新らしい市制を布いたような所に対しましては、そんな特別交付金等によつて町村今合併促進法による援助はあるのでしようが、ああいうような極めて雀の涙のような少額な援助では、交付金では到底賄い切れないような状態にあるわけです。これらに対して政府がもつと積極的に本当に困らないような状態にして行かなければ、ほかのはうをどんなに促進法によつて町村合併の促進をしようというような意図がありましても、これはできなくなるのじやないか。特に現在は理事者等が非常に困つておる。実際町村合併をした住民等にはそういうような困つた状態はまだ滲透していないのです。若しもこういうような自治体の状態が滲透して参りましたら、どんなに政府が、町村がどんなに頑張つても、自治体がどんなに頑張つても町村合併というものは暗礁に乗上げてあとはできなくなるというような結果を招来するんじやないかと思うのですが、これに対してどういうようなお考えを持つておられますか。又どういうような処置をされようと考えておりますか。
  210. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私も御指摘のような話をときどき耳にして非常に憂慮している者ですが、勿論合併促進法の法の精神からいたしましても、合併の結果必要になつて来るものは、起債の面その他で成るべく優先的に面倒をみようということになつておりますから、それは合併をする場合に関係町村の間で、殊に市などに合併する場合に、市側からいろいろそういう意味の誘いかけをするということ自体は誤まつておるとは思いませんが、やはり合併するに急なる余り多少見込みの十分でないことも言つて釣出したというようなきらいのあるところもないではないと思うのであります。そういうことの結果当該理事者が合併のあとに非常にお困りになつておるという事例も幾つかあると思うのであります。私も気持の上においてはできるだけ面倒を見てあげたい、そうして又そうすることが合併を促進するゆえんでもあり、それが十分でないことは御指摘のように合併の促進、推進に何がしかの障害になるということをよく考えておるのでありますけれども、何にいたしましても、起債の枠にいたしましても、又予算ならなお更総枠に限りがあるのでありますが、できるだけ限られた枠の中から優先的にそういうものをみて、そうして合併を推進して行きたい、こういう感じを持つておるわけでございます。運営の上に十分気をつけなければならないという考えを持つておるのであります。併し当面そういう問題がいろいろあると思いますし、何ですけれども、私は大きく見て、又更に長くみて、合併ができるということで決してそのために財政が膨脹するということは到底考えられないことであります。やつぱり合併ができるならば、過去に合併をして成功しました数多くの例でもわかるように、いろいろな費用が節約できて、従つて住民負担が減らされるか、住民負担が減らされなければそれだけ全計当該自治団体のためになる仕事ができる、こういうことに必ずなるのでありますから、そういう事態のあるときにはよく説明もし、説得もして、そういう誤解のために折角できたものが又元へ還るとか、若しくは周辺のところの町村にマイナスの刺激になるということのないように極力努めて参りたいと考えておるわけであります。
  211. 木村守江

    ○木村守江君 今長官の御答弁のように、これは合併した町村が末長く考えるときには、私も長官の答弁と同じような考えを持つております。これは長い将来には必ず人件費の面から、或いはその他の面から非常な節約ができ、経済を保つて行くことができると思います。実際問題として町村が合併して市制を布くというような場合には、先ほど熊本県のどこかでありましたように、市会議員が百八十人たというような例で、私のほうにも百四十八人になる所もあります。それはみんな今まで村会議員が市会議員なみの歳費、それから旅費、待遇、そういうようなことから厖大な経費になります。それから消防庁の独立とか、社会福祉事務所の独立、そういうようなことだけ考えてもこれは相当の経費になると思うのです。従つて問題はこれは末長く見たときを考えるんじやないのです。今合併して弧々の声を上げて、本当にその母の乳きり飲まない状態なんで、その間に乳を飲ませないでおくというと、折角生れた子供が間引されてしまう恰好になつてしまうんじやないか。それを考えてお願いするのですが、それに対してあのいわゆる促進法による特別交付金というのですか、ああいうもので間に合うものとお考えになつておるのかどうか。
  212. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは間に合うと思うかというお尋ねでありますならば、恐らく足らないと思うのであります。こういう場合の需要というものはあればあるほど恐らくいいものだろうと思うのでありまして、私どももそのつもりで予算の編成のときには極力努力いたしましたのでありますが、たまたまこういう緊縮財政のときにぶつかつて、現在の二十九年度予算に盛られている程度が努力の最大限で誠に残念に思つておるのでありまして、もう予算のできた今日といたしましても、先ほどもお答え申上げましたように、この乏しい予算を最大限に活用して乳が欲しいでしようけれども、一気に乳をしやぶつてしまわずに、一つ先長くしやぶつて頂くようにというように説明を申上げて御協力を願いたいと思うわけであります。
  213. 木村守江

    ○木村守江君 今のの答弁よくわかりましたが、まあ十分御考慮を願うと共に、これは本当に町村理事者が非常に困つております。困つておりますから、これは町村理事者等に自治庁並びにその県を通じてそういうような将来必ずいいのだ、それから困つている地方民に対してもそういうような納得できるようなやつぱり説明を加えてやつて、折角政府説明に乗つて町村合併をした理事者を困らせないように指導して行つてもらいたいと思います。
  214. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 ごく簡単な問題でありますが、町村合併関係がある事項でありますが、例の国有林野の整備措置法でありますが、これは町村合併以上の一般町村財政の点から最近問題になつているのであります。と言いますのは、昨年あたりまでは木材の価格がよかつた、又金融関係も或る程度都合がついたと思いますが、最近のデフレ政策、それから木材価格が非常に下つて参りまして、従つて林野庁から払下げを受けたいのですが、大体評価の価格が去年度あたりの高い木材価格を市価として払下価格が算定されておる。加えてデフレで全然金融の便もつかない。こういうことで恐らく町村合併の上からも、或いは合併とは無関係であつても基本財産として国有林の払下げを受けたい、こういう希望が相当あるようでありますが、今言つたような高い時価で算定するということ、それから一切金融の便がつかない、而も現在のところでは大体延納で払つておるそうでありますが、払下価格の一律に二割の保証金をとつておる、まあ相当金額が大きいわけでありますから、二割という保証金、これも相当巨額な金になるので、従つてその払下げを受けたいのですが、実際上何ともならない。而も単なる金融ではないのであつて、国有林という現物財産をこれを払下げを受けて、その現物はあるわけでありまするから、普通の金融のように単に融資を受けるわけではないのであつて、現物の引当があるにもかかわらず二割の保証金をとつて、それから延納はたしか六分何厘の金利をとられるとかいうことで、非常に欲しいけれども今言つた点で実際上何ともならない。これは恐らく自治庁なり塚田長官のところにもお耳にも入つておることと思いますが、どうも折角の法律というものが今言つたような状況で非常に何と言いまするか、実施困難になつておるような状況でありますから、これは農林省、結局は大蔵省の問題であると思うのでありますが、この町村合併促進件でもこの特例にこれを認めておりますが、これについてそういうようなお話を聞いたことがありまするか。更に知りますれば、具体的にどういうような方法で折衝等をされておりまするか、それを一つ聞かせて頂きたい。
  215. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 実はこの町村合併に伴いまして、今の一つの大きな問題は、今お話の国有林野の払下げの問題でございまして、これはまあ促進法をお作りになつたときからいろいろ論議があつたのでありますが、正直に申しまして法律には入りましたけれども、まだ実施がそれほど円滑に行つているかというと、それほど円滑には必ずしも行つていない。実はこれからの大問題の一つだと存じておりますが、自治庁といたしましてはあの法律ができた以上、これにまあ御協力を願うように林野庁のほうにも再々お願いをいたしておるのでありますが、林野庁といたしましてもできるだけ協力するという態勢にはなつているのでありますが、何分にも正直申しまして、注文するほうと注文されるほうとの間の意見の食い違いが実は少々ございまして、今お話の払下げの条件の問題よりも先ず先に、払下げるか払下げんかというところさえも必ずしも我々の気持とは一致していない。ましてや関係地元の町村の意向とはこれはまあ大きな隔りが実はございます。これにつきましては、我々といたしましてもこれから最大の力をもつてやりますが、更に委員会当りの又格別の御協力によりまして、百パーセント要望に副うことはこれは勿論できんとは思いますけれども、法律の趣旨だけは或る程度達成されて、関係住民の要望に副い得るような態勢にだけは是非持つて行きたい、こういうふうに存じておるのであります。林野庁長官もできるだけやるということで、大分新町村から御要望があるのでありますが、長官のほうの意向が現地に行つているかというと必ずしも行つてはいない。現地の営林署や営林局ではいろいろ又食い違いがたくさんあつたりいたしまして、我々といたしましても、具体的の計画を持つて中央で斡旋でもしなければ必ずしも進まんというのか実情でございます。できるだけやりまするから、又何分の御後援をお願いしたいと存じます。
  216. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 今言つた延納条件の緩和ですね、農林省それ自身は大体は賛成のようです。結局まあ大蔵省方面に難点があるようでありますので、希望としては自治庁と農林省むしろ相提携されまして、実際町村で払下げができますように御努力願いたい。現物はあるわけでありまするから、そうえらいきつい条件をつける必要もないと思うのであります。特に塚田長官にお願いをいたしておきます。  それからもう一つ、私はこの委員会は初めてでありますが、先ほど来の町村合併のお話を聞いておりますると、早くこれを進めることについては根本的には異論はないわけでありまするが、ただ私の受けた心証は、町村合併というまあ一つの相当緊密な地域団体を新らしく結成するという観点から見て行きますると、やや非常に粘土細工でいろいろくつつけるという感じを私は多少受けているわけであります。この法案ができる際にも私は、農林委員でありまして、いろいろその方面からも検討いたしたわけでありますが、特にその後の実施状況を見て行きますると、農業関係の先のことの多少比重が軽いのではないかという実は感じがどうも私ども地方を見ていたすわけであります。例えば農業水利等の関係も隣接町村に相当トラブルのあるところもある、そういう問題を解決せず、相反する問題を一緒に吸収したというような、要するに問題を将来に含んでいるというところもこれはないこともないようであります。特に私ども今丁度この委員なつているのですが、農業共済制度の点から見て参りましても、農業共済の危険率というものが隣り部落でも相当違うところがあるようであります。危険率の低いところ、高いところを一緒にするということも、これも相当問題があると思いまするし、特に現行制度で行きますると、農業共済組合というものが各町村単位でできるわけであります。これは強制加入になつておつて、昨年度あたりは三百億以上の共済金を農村に出しておるわけであります。大きな末端機構でありますが、この農業共済組合等が現在のところ事務員二人だけ国が補助しております。ところがこれが災害が起ると一筆単位に調べて、非常な精細な事務を、これはやつておるわけであります。ところて今までの狭い町村区域でも二名の補助員では、実際のそういう組かい保険的な事務には煩瑣に堪えないという実は事情があるわけであります。それが数カ町村なり、さつきお話を聞けば十数カ町村が一緒になつて組合ができることになりますと、結局二名の事務員ではこれは絶対やれない。従来でも農業共産金の支払については災害を過大評価して便乗的に共済金を取るという批判が我々のところに大分通じているのでありますが、従つてそういうような町村合併という大きな方向は結構でありまするが、そういう大きな農業関係の点が、やや何かあつちにくつづけたり、こつちにくつつけたり、粘土細工で便宜的にやるということになりますと、特に市街地にたりますれば比較的そういう問題はないと思うのですが、これはもう御承知のように一つの農村ということになれば、本当の共同体という意識が強くなつて来ているわけですから、それを無理矢理に一緒にしても、又将来分立するという危険性があるかと思います。その辺は勿論御注意になつておると思うのですが、どうもさつきのお話聞いておつても、簡単に一気呵成に余りやり過ぎると、そういう農業問題というものは、そう機械的にそのときよくても、あとがそのままいいというわけには行かんと思いますから、これは或いは杞憂であれば幸いと思うのですが、何かそういう感じも受けて……。別段答弁は要りませんですが……。
  217. 加瀬完

    ○加瀬完君 町町合併促進の自治庁の指導といいましようか、指導方法、或いは指導態度といつたような点について二、三伺いたいのですが、先ほど木村委員からも出ましたけれども、十カ町村或いは十数カ町村というものが合併して市になる。こういう点は必ずしも町村合併促進法による適正規模ということにはなりかねる問題があると思います。その適正規模というような一つの標準を、例えば産業上とか、或いは生活上とか、或いは行政の便宜の上と、あらゆる角度から総合して適正規模というものを指導の面にどのように押出して行くか、その点を一つ。  第二点は、そういつたような適正規模というのを評定するために、県にも関係町村にも審議会なり協議会なりというものが作られることになつておるわけであります。ところが私の聞いた範囲においては県会あたり、或いは知事あたりは合併促進審議会というものをむしろ無用の長物とするきらいがあつて、これは県会独自でできるのではないか、何も審議会に一々諮らなくてもいいのではないか、審議会軽視の傾向があるのでありますが、こういう点、何か自治庁してお気付になつている点はないかどうか。  三点は、促進法というものをすつかり軌道に乗せてしまつてからの問題はないのでありますが、それまでに例えば輿論調査をするとか、住民に十分合併の趣旨を徹底させる、こういつた啓蒙宣伝、斡旋といつた点の手続というものが殆んど手ぬかりになつているために、議決と住民の意思というのが非常に背馳したりするような問題でトラブルが起つていることがないか、この促進させる前の手続というものについて何か自治庁としては、むしろ県なり或いは地方事務所なりというものに指導の標準というものを与える必要がないかどうか。  第四点は、先ほど片柳委員からも出たのでありますが、一番問題になりますのは、町村町村とが合併するときは問題はないのでありますが、吸収合併、その他の一部合併のような場合には、不在地主の所有権というものが一番癌を成しているわけです。その取扱というものについていろいろ問題が起つていると思いますが、これらについてどういう解決の方法をおとりになつているか。以上四点伺いたいと思います。
  218. 小林与三次

    説明員小林与三次君) 第一のこの適正規模をどう考えるか、こういう問題は先ほど片柳委員からお話になつた問題ともこれは関連して来る問題でございまして、実はこれを作るときから、その最低限度八千ということが書いてありますが、上のほうのことは書いてない。上のほうの面積なり人口なりというものを如何に考えるかということは書いてない。これはまあ最大の問題であります。我々といたしましてもその点は一番考慮した問題でありますが、結局まあ内地の町村実情を見ますというと、気候なり風土なり地勢なりというものは全く千差万別でございまして、これを画一的に面積幾ら、人口幾らということでやることのほうかむしろ無理がある。そこで最低を抑えまして、あとはそうした地勢なり風土なり、経済的、社会的、文化的、その他のいろいろな事情を考慮して、現地の実情に即して最も合理的に考える以外に手がない、こういうような考え方でございまして、そういう意味の考え方の基本的な考えがあつて、基本計画として町村合併の推進本部の御審議を経て、閣議を経てきめたような次第でございます。それに基いてそれぞれの府県を一つ府県の段階で合理的な計画を作つてもらいたい、これが県の合併計画のほうの問題でございます。ただ恐らくこの問題は主として出て来るのは、市の設置をめぐる問題と、市域への編入をめぐつてこの点が議論になるのでありまして、市の設置について少し行過ぎがありやせんか、或いは今の農村か市へ入り過ぎて、農村の経営というものか多少なおざりになる恐れがありはせんかというようなところが、実際現地における問題点だと思うのでございます。我々といたしましては、飽くまでも市を作ることは別に奨励はしていないのでございます。先ず町村として適当な規模でまとまる、一つの設置団体としてのまとまりを持つということだけは、これはどうしても絶対的な要件で、単に意味のないものが寄り集つて人口だけ作るということでは意味がないのでありまして、市の場合には必ず一つの中核体というものがあつて、中核体を中心にして一体を成し得る範囲内でまとまる、こういうことを前提で指導もいたしておりますし、又市の協議の場合にもそれに応ずることを配慮いたしておるのであります。  それから市と町村の問題も、町村同士で、特にまあ農村におきましては農業経営、これはもう最大の問題点でありますし、合併する場合におきましても、考慮の中心は大半はそういう問題を基礎にして考えられておるのでありますが、そういうものでそれぞれ適当な形でまとまるものはまとまる。そうでなしに市街地たり或いは町を中心にして経済的に、文化的に一体の社会圏を形成しているものはそういう形でまとまる、こういうようなことでそれぞれ実情に即して考えてもらいたいというので指導しておるのでありますが、大体でき上つた合併計画は、先ほど配りました資料のような合併計画は、そういうような意味をいろいろ考慮してでき上つておる。こういうふうに見ていいのじやないかと考えておるのであります。まあこの点につきまましては、なおできておらんところもありまして、我々といたしましては、一層その点注意して、実態に即して事柄の個正を期するようにいたしたいと存じておるのであります。  それで第二番目のこの審議会の問題になりますが、そういう意味もありまして、我々といたしましては先ず適正な計画を作る、それと同時に、計画にはあらゆる各層各界の意見を適正に代表させる、更に住民の思向も適正に代表せしめる、そういう意味で審議会を府県の段階において、市町村の段階に設けたのでありまして、特に府県の段階における審議会の計画を前提にして合併というものを県体的に進めよう。これはもう基本方針でありまして、これはやり直しなどされちや大変なことでありまして、むしろそこで慎重審議された計画が合併の基本の目標になつて、この目標に従つて具体的に事が運ふように実は最大の考慮を払つておるのであります。こちらといたしましても、この合併の手続が進む場合には必ずこの審議会の計画との関連を前提にして審議いたしておりまして、仮にもまあ県やその他でこれにつきまして、そういうふうな意見があるようなことかあれば、これは全く誤りでございまして、これは十分に注意いたしたいと思います。県会は、勿論これは最終の合併の決定権者としての地位か与えられておりますけれども、全体の合併の進め方は、この民主的な組織で以て合併を進めるということを飽くまでも基本にいたして参りたいと存ずるのでございます。  それからこれは第三書目に仰せになりました住民に対する啓発、宣伝、斡旋というようなものとも関連して来るのでありまして、これは特に町村の段階において設けられます協議会が、そのために我々といたしましては、この立法の際にも御考慮願つたわけでございまして、それだけじや勿論足らんのでありまして、この合併は飽くまでも住民全体の総意の向うところに即して関係議会が最後の肚をきめる、こういう態勢で是非行きたいのでございまして、ただもう従来いろいろトラブルを越している例を見まするというと、今仰せのごとく、関係町村の議会の議決が先走ると申しますか、必ずしも住民全体の意向に乗つかからずに事が進んだ、こういう場合がありまして、町村議会の議決のあつたのちに住民が騒ぐという事例が正直申しまして、いわゆる合併をめぐる紛争になつてこれが現われているのでございます。これはまあ孜々といたしましても非常に遺憾でありまして、この点は特に法律には特別な規定はありませんけれども、これはまあ当り前な話でありまして、合併の基本計画だけでなしに、啓発、宣伝についての協議要領のようなものも合併推進本部で審議してきめまして、これを府県に流して、そしてそれに基いて十分住民に対するその懇談会なり、演説会なり、その他いろいろな今の文書、図面のような方法なり、あらゆる方法で以て十分趣旨を徹底させて、そうして大体の方向を見定めて、最後に町村会と町村長が最後の頃合いを見て決をとるという態勢に持つて行くように、これはもう特に注意いたしているのであります。で、まあ多少あとから問題がありましても、どうせまあ百パーセントの同点を得られる場合と、そうでない場合とありますので、多少議論になるからといつて、それが全部が全部みんなでたらめをやつたということには私はならんだろうと思いますが、正直に申しまして、なおもう少し手を尽すべきところを手を抜いたと思われる事例も、正直に申しまして必ずしも私はないわけじやないと思います。この点につきましては、なお一層問題がないように十分慎重意を用いるように我々のほうからも注意いたしたいと存じているのであります。  それからこの最後の不祥地主の問題でございまして、これはまあ促進法の改正の問題で大抵の問題はまあ一応立法的に解決ついている筈でございまして、それぞれこの町村の境界の変更によつて、従来の農地の保有関係影響かあつちやこれは非常におかしい。本人の意思に基かずに行政区画の変更があつちやおかしいのでありまして、これは立法的には大体片がついているのでありますが、併しこのついた立法が、正直申しますと、その解釈をめぐつて多少農林省と自治庁と意見の食い違いか、これはあるのであります。特に不在地主の問題で、隣村における土地の保有を従来通り持ち得ると考えるのを、一代限りと考えるか、末長く考えるか、これは意見の食い違いでありまして、我々は一代限りということはないじやないかと言つているのでありますが、農林省のほうは一代限りである。それだから子供のときになればひつくり返つちまうという見解を持つておられるのでありまして、これは私は事柄の違いでありまして、我々のような、これは私は合併促進というような見地から言つても、是非我々のような考えの方向に農林省でも考え直してもらいたい。今考え直して頂かなかつたならば、又すぐに相続なんという問題も起るかも知れませんけれども、そういう場合には、場合によつたら立法的な解決も是非考えて頂くのか筋じやなかろうかと存じているのでごいます。この問題は狩におつしやいました千葉県でも、そういう事件があつたということを我々も耳にいたしているのでありまして、委員会のほうでも是非この問題は御検討願つて、なお今の法律で解釈つかんわけじやないかと思いますが、つかんようなものならば、更に御検討をお願いいたしたい。我々是非その方向で事を考えたいと存じておるのであります。
  219. 加瀬完

    ○加瀬完君 御説明よくわかるのですがね、町村合併を促進するという線が非常に強く打出されているのです。併し合併を促進するということが住民の意思のままにABCという町村が申合せをすれば、ABCがその申合せの通り合併を促進させて、それが適正規模かどうかということになると、問題がまだ残ると思うのです。今は大体何でもいい、申出があつたものをくつつけちやうというような線が強い、極端に言うならば。どうすればその地域で一番適正規模の町村ができるかという線が非常に弱いと思うのです。そうすると今度又適正規模でないわけでありますから、不平が生じて、第二、第三の紛争問題、或いは可合併問題というものが起らないとは限らない。そこでもつと指導にはABの町村のほかにCDというようなものも考えて、この地域における適正規模というものはどういうものであるかということを考えた指導というものが、もつと強力に合併の促進と共に打出されなければならないのじやないかと、こういうふうな感じを持つておるわけなんです。それからもう一つの確かにスムースに行つているところは問題ないのです。ところが問題のあるところを逆に考えて見ると、ただもう県なんかの指導が殆んど町村長とか町村会議員とかいうものの一部に対して執拗に行われて、そのものと県との指導方向で町村合併がもう殆んどでき上る、それで蓋をあけられて町村民がそれは賛成とか反対だとかいうような本当の意味の町村合併の問題を取上げるといつたようなケースがどうもありがちなんです。そこで法律にはないのでありますけれども、自治庁あたりで町村合併を結ぶまでの以前の指導、手続といつたようなものをもう少し明確に示してもらわないと、問題がどうしてもいろいろ残るのじやないか、逆に言うならば、それを示してもらえるならば、今のトラブルももう殆んど三分の二ぐらいは解消するのじやないかというふうに考えられますので、それを希望いたします。
  220. 内村清次

    委員長内村清次君) それから塚田長官にちよつと要望しておきますが、実は当委員会でもこの休会中に実は三班によつて地方行政の改革の問題につきましても、町村合併の問題につきましても、調査に派遣いたしておるわけであります。そこで只今二班完了いたしまして、その報告書も恐らく明日の委員会で報告になることと思いますが、特にこの町村合併の推進状態につきまするいわば第二期的な本年度の推進、同時に又第三期的な第三年度の推進状態、これとまあ重大な影響がございますが、只今委員の言われましたことそつくりです。そういうような状況が発生をいたしておりまして、そこで是非一つ注意して頂きますことは、報告書を提出いたしました際の時においては、よく一つこれを読んで頂いて考えて頂く、特に先ほど木村君も言われましたように、建設計画に対する国の手当あたりにつきましても、行先の見通しが非常に何と申しますか、暗闇の中を突き進むような考え方の痛烈な訴えもあつたわけです。こういうような点に対しましては予算編成期でもございますからして、まあ本年度のこの予算ですね、自治庁の希望するところの約十分の一にも満たなかつたというような実情でもございますから、来年度予算に対しては一つうんと努力をして頂く。それから又残つたところのやはりケースは、只今言われたようた状態で、住民にまだ十分と反映しておらないところの問題、いわゆる紛争問題派生の地帯もありましようし、或いは又特に町村合併せずとも独立して行かれるような裕福な町村の問題もありましようし、それから山林の払下の問題も起つて来ておりますし、更に又特例的な問題ですね、例えば地域の問題にいたしましても、それからそのほかの特例条項の点、どうも最初の考え方で実際当つてみると、それが非常に困難だと、各省に当つた経験から見て困難だというような点が出て参つておりますからして、こういう点に対しましても一つ是非御検討をして、恐らく機運としては波の最上に来ておると思つておるのです。これから下り坂に機運はなつて来はしないか、その機運がもう波の底になつてしまつて、あとの合併が促進されて行かれないということになつて来ますと、折角発案をいたしました当委員会責任といたしましても非常に意に反する点でございますからして、この点は十分一つ気をつけて、今後の推移を検討して頂きたいということを特に要望いたしておきます。  それでは本日はこれで委員会を閉じます。    午後六時六分散会