○
参考人(
鍋島直紹君) 私
佐賀県知事の
鍋島でございます。
佐賀県及び
地方財政の
窮乏につきまして、その
実態を申上げる機会を与えられましたことにつきましては、厚く御礼を申上げたいと思います。なお、
佐賀県におきまして
全国でトップを切つたような行動になりまして、
俸給の
分割払をいたしました点につきましては、
責任者といたしまして深くこの
責任を痛感いたし、申訳なく考えておるのでございます。
そこで、
一般的な
地方財政の
赤字の問題に入ります前に、世間の注目に
なつておりますこともありますので、
俸給の
分割払につきまして、直接
関係のございますところの
県歳計現金の
資金繰りの
状況につきまして、直接
原因、結局これは
地方財政の
窮乏になるのでございますけれども、なお直接となりました
原因につきまして、第一番目に申上げ、次に
地方財政の問題につきまして、
佐賀県の
実情につきまして具体的に且つ簡略に申上げたいと思うのでございます。何とぞ御
批判を頂きたいと思います。
第一番目に、
佐賀県におきまして給料の
分割払を止むなくいたしました
資金繰りの
状況につきまして申上げます。本
年度昭和二十九
年度につきましては、二十八
年度の
赤字を受けまして、約三億数千万あるのでございますが、その
赤字を受けまして、初めから窮迫した
実情にあり、一時
借入金一億五千万円を借入れまして
資金の操作を行
なつて来たのであります。六月、
地方交付税三億一千万円を頂いたのであります。そして御
承知の
通り給料は、
佐賀県におきましては一月分約一億であります。なお
期末手当、これは
法律及び条例によつてきまつております〇・七五分、約一億三千五百万でございます。これを両方
支払いますれば、更に
資金に乏しくなりまして、一面におきまして
土木災害その他の
支払の面に非常に支障を来たす虞れがございましたので、
期末手当を一カ月遅らし、六月十五日
支給のものを七月十五日
支給といたしたのであります。この点は各組合に
了解を求めまして、そして一応この点は済んだのでございますが、七月に入りまして、御
承知の
通り一月遅らせました
期末手当一億三千五百万、それから三億に上ります一時
借入金の
返済及び
梅雨期の
災害復旧、その他
支払に上要しますもの、更に
特殊事情といたしまして、御
承知の遡り
お盆が八月でございまして、七月が非常に
資金が動くときでありますが、旧盆を控えた七月というような四つの
原因によりまして
資金操作に全く行き詰りを見せまして、遂に
分割払の
非常手段をとらざるのやむを得ない事態に立ち至つたということにつきしましては、誠に申訳ないと考えておるのでございます。
なお、
資金難の
原因につきましては、先ほど申上げましたように、全般的な
赤字財政という点にもあるのでございますが、先ずその
原因の第一点におきましては、御
承知の
通り赤字約三億の
実質上の
支出を、二十八
年度に残つております
支出を二十九
年度へ繰越して来ておる実際上の
支出約三億でございます。
数字上の
赤字はそれから上るのでございますが、
赤字の中には
直轄事業分担金等の
支払繰延もございますので、
実質上
支払わなければならないという
赤字は三億二十八
年度から繰越して来たのであります。なおその
実情につきましては後ほど申上げます。
原因の第二番目につきましては、いわゆる
災害復旧の仕越し
工事であります。御
承知の
通り、昨年六月大
水害を更けまして約二百億にあまる損害を受けましたが、
うち土木災害のみの例をとりましても二十億のこの
建設省査定を受けておるのであります。そのうちに実は簡単に申上げまして十二億五千万円の
工事をやむを得ず実行をいたしまして、
雨季前及び台風前に
最小限度のこの堤防なり、或いはその他それに付随します
復旧を行な
つたのであります。併しながら
政府の御
措置によりますところの
国庫補助金その他の
収入が、いわゆる認証せられましたものは六億五千万円でございまして、いわゆる約六億の仕越し
工事をいたしておるのでございます。そのうちに
特別融資等も受けたのでございますが、そういうふうに
災害によるところのやむを得ず仕越し
工事を
雨季前、時期的な
関係もございましてそれを私の
責任において断行いたしておる、いわゆる
認証外工事をいたしておるということでございます。この点私から申上げる点は甚、たおこがましいと考えますけれども、本
年度もやはり
大雨が二度三度に亘りまして去年に近いところの豪雨がございまして、併しながら
本年度被害額は一億
弱程度で平
年度前後に
終つたのでありますが、新らしい堤防を強化いたしておりましたために、新らしい橋を何とかかけておりましたために大
惨害からこれは救われたのじやないかというふうに考えるのでございます。併し十二億五千万円のこの
工事をやり、六億五千万円いわゆる六億の仕越し
工事を私の
責任においてやつたということ、これは御
批判の
余地があろうかと思います。私としましては、
水害前にあの大
惨害から救うためには、現場におりまして何とかいたし方ない
最低限度の
工事をやつたと考えているのでございます。何とぞこの点は
一つ御
批判を頂きたいと思うのでございます。なお
建設省の三十億の
復旧丁半の中で十六億が
緊急査定として
建設省には認められております。そのうちの十二億五千万円をや
つたのでございます。以上が
原因の第二であります。
原因の第三につきましては、御
承知の
通り中小企業の非常な不振、特に七十からございますところの
中小炭鉱、これらの
金融逼迫状況と、それからそれに伴ないます特に
炭鉱方面におきますこの
金融逼迫は実に恐るべきものがあるのでございます。現在三千五百人以上の
失業状態というようなことに
なつておりますし、七十二か三かちよつと記憶ありませんが、七十二、三ありました
炭鉱も現在動いておりますのバ四十九というような
状態に立ち金つております。で、なおそれに付随いたしまして、
炭鉱これらに対しまする
米代金――いわゆる最も大切な
米代企の売掛金と申しますか、未
支払金がすでに二十万円近い
状態にまで立ち至つております。そういう
状態におきまして、社会保障的な意味におきまして、どうしてもこの県の金を預託いたしまして、
労務者各位なり何なりに
飯米資金程度はやはり貸して一行かなければならない、これは
炭鉱の
経営者を通じて貸すのでございますが、なお担保もとつて貸すのでございますが、
零細委金融或いは
飯米資金といつたような
中小炭鉱に対しまする最低の食うか食われるかといつたような
資金をもやはり県の
財政の中で貸して行くことも
一つの
県政策の一面だと考えましたの、でございます。そういつた
金融関係に対しまする
歳計現金の
預託関係、或いはその他
法令等によりまして、
更生資金とかその他たくさんの
預託金があるのでございますが、そしれが大体一億
固定をいたしておるのでございます。
歳計現金の
固定をいたしておるのございます。これを使えなかつたということも第三番目の
原因になるかと存じます。
第四番目の
原因につきましては、これはもう御
承知の
通り一般金融の引締でございます。県の
財政のやり繰りにつきましては、或いは
交付税、従来におきましては
交付金が多小遅れてみたり或いは
国庫補助、
災害復旧費用、
国庫支出金等が離れて来ることが間々あるのでございます。でそういう際におきまして、やはり
俸給支払とか或いは
期末手当の
支払という期限がきまつております
支払におきましては、どうしても我々の県で
資金繰りがつかない場合、やはり
市中金融或いは
一般金融機関から二億、三億借りまして、十日なの五日なりというものを利用いたしまして
資金繰りをつけて来たのでございます。併しながら非常なこの
デフレ政策の浸透によりまして、そういつた
金融市場からの貸金繰りが殆んど杜絶せざるを得なかつたという
状態にな
つたのでございます。
なお今それを強行いたしますと、
中小企業のほうに非常に
影響がある、或いは
お盆を控えて七月の
決算に非常に
影響があるというようないろいろな点かここに出て参りますと共に、
現実に
金融機関から借出すという、従来の二、三億借りておりましたものを借出すということが全くできなく
なつた、なお一方
政府資金のほうは相当強くいわゆる引揚をなさるというようなことによりまして、ここに
金融資金繰りが、
歳計現金の
資金繰りが問題と
なつて遂に行詰
つた形にな
つたのでございます。
で、この
見通しにつきましては、率頂に申上げまして私はやはり
現実振返つて見ますと、私の見方が多少甘かつたということにつきましては誠に申訳なく
責任を感じておる次第でございまして、これも御
批判の
余地があろうかと存ずるのであります。で、その後におきまして、
大蔵省或いは
自治庁方面に
実情を申上げまして、
政府の
短期財政調整資金一億八千万円を七月下旬にお貸し頂きまして、何とか七月分は
支払及びこの
俸給を
支払いまして、そうして
一般に
支払及び
俸給を
支払いまして八月に入
つたのでございます。
で、ここで希望を申上げることは失礼かと思いますが、八月分もやはり苦しいのでございまして、第一点には
国庫補助の
早期な
支出を
一つお願いを申上げたい。いわゆる
災害とか或いは
農林関係補助金、その他
一般の
補助金等の
早期の
支出を特に
お願い申上げたい。それからすでに
大蔵省方面及び
自治庁方面の御
了解を得ておるのでございますが、
災害によりまして一億
特別融資をして頂いております。これの
返済を暫く御猶予
お願いしたい。それから三番目につきましては、九月に
交付せられますところの予定の
地方交付税を
一つ八月中旬以前に
お願いを申上げたい。この
三つでございます。これでも困難を予想せられます場合におきましては、
政府の毎期
融資或いは
財政調整資金を
お願い申上げたいつもりでおるのでございます。
地方財政の面におきまして八月が非常に
資金繰りのつらい時でございますので、この点
一つよろしく御援助を
お願い申上げたいと思つておるのでございます。
なお勿論私としまして苦しい
デフレ下ではございますが、別途
金融機関に対しましてもそれぞれ交渉を続けております。或いは所定の
収入、いわゆる税とか手数料、雑
収入というようなものの
早期収入、
現実に
県民生活に無理のない
程度まで、まあ無理して行けば非常に混乱を起しますので、その
限度を考えながらもできるだけ
早期収入を図りたいということにいたしますと共に、経費の
節減につきましては後ほど申上げますが、できるだけの
節減を今度は無理を
承知で断行いたさなければならないというふうに考えておるのでございます。
目下八月分の
見通しにつきましては、九月分の
地方交付税の
早期御
交付を八月中旬以前に
お願い申し上げました場合におきましては、何とか付くのではないか。で、これは
佐賀県のみならず
全国の八月分の
窮乏状態の府県におきまして、そのことが相当救われる面が出て来るのではないかということを考えておるのでございます。併しそうでなかつた場合におきましては、なお八月におきましても
資金繰りに相当苦しい面が出て来るであろうというふうに考えておるのでございます。これは大体本県のみならず
全国の傾向であろうと考えます。以上で
資金繰りの点におきまする概括御説明を申上げたのでございます。
次に、
佐賀県の
赤字の
実態につきまして、多少具体的に申上げたいと思うのであります。その前提といたしまして、第二番目に
財政規模の
推移と申しますか、
佐賀県
財政規模の
推移を申上げてみたいと思います。御
承知の
通り佐賀県は半分以上が
農村県であり、且つ又日本におきまするところのいわゆる小さい県の
一つであるのでございますが、
昭和十二
年度の
予算総額、まあ
決算で見ておりますが、七百万円、二十
年度六十百万円前後であり、その後の
占領政策或いは
社会保障制度の拡允とか、
災害、いろいろな面のために
昭和二十五年三十五億前後に伸びておりまして、
昭和二十八
年度におきましては七十四億円を示しておるのであります。こういつた
予算規模の増加、いわゆる
伸び方と申しますか、
推移を
全国的な
伸び方、或いは
国家予算その他に比較いたしましても、実は
伸び方は私は少いのではないか、いわゆる
全国的規模、
全国平均、或いは
国家予算というものに比べました場合におきましては、
佐賀県の
伸び方は少いのではないかと考えておるのであります。併しいずれにいたしましても、
昭和十二年七百万円の
予算が
昭和二十八年七十四億を示しておるのであります。そういたしまして、
シヤウプ勧告のございました、それか実施せられました
昭和二十六
年度前後まではいわゆる
健全政策であ
つたのでございますが、
シヤウプ勧告の税制が行われた前後から極度に、又且つ角度に
財政は
窮乏を告げまして、
昭和二十七年遂に四千二百万円、二十八年二億七千七百万円の
赤字に
なつた次第でございます。この点率直に以上の
数字を申上げておく次第でございます。
第三番目におきましてこの
決算面、いわゆる
歳出面から見ましたところの
経費内容につきまして簡単に申上げたいと思います。
昭和二十八
年度の
決算がほぼ見当がついておりますので、
昭和二十八
年度及びその近
年度と比較いたしまして大体のところを申上げてみたいと思います。
この
支出を
目的別に見ました場合お手許に差上げました資料の第三表でございますが、御
承知の
通り土木、産業、
経済費或いは
教育費などがその大部分を占めておるのでございますが、なおそれを
性質別に第四表に示しておるのでございまして、二十八
年度の項を御覧頂ければわかるのでございますが、
人件費におきまして約三四%
公共補助事業、いわゆる県の
単独補助ではなくして
国家の
補助等をいたします
公共の
補助事業二一%、それが殆んど両者を併せまして、
人件費と
国庫補助で半ばを占めております、五〇%以上を占めまして、その次の
災害復旧が一九%でございますか、その前後になりまして始んど七〇%を占める、こういうようなこの
性質別の
予算内容に
なつておるのでございます。
人件費と
国家政策としての
公共補助事業及び
災害復旧であります。なおこの
支出の点につきまして問題となります点を全般的なことから二、三申上げておきたいと思うのであります。
第一点は
災害復旧費であります。
佐賀原は御
承知の
通り台風、或いは
大雨に両年非常に見舞われておりまして、二十四
年度以降
災害復旧費、
政府調査定の
災害復旧費の
総額が実に八十七億円に達しておるのであります。ところが二十八
年度までの
復旧そのもののいわゆる金額のほうから、
予算を頂いたほうから言いますれば三十三億でありしまして、
現実に五十何億と申しますか、五十億前後というものはまだお金を頂いてない、併しながら
現実はやはり
町村はこの農協から借りるとか、或いは県も
資金繰りをいろいろやつて、まあ何とかかんとかやらざるを得ないところは、多少なりともやろうという気構えを以て今日まで来ておりますか、
現実の数学的な面から見ますると、
昭和二十四
年度以降八十七億円の
復旧費のうち、二十八
年度までに三十二億の御
予算の
措置を願つておるという
実態にあるのであります。
次に
公債費は、いわゆる県の
借金でございます。
災害がこのように増加いたしますと、必然的にこの公債、
県債を増加して参つて来ております。ますます芳しいところの
借金をするというような
状況に立至つて来るのでございます。現在におきまして、その
起債の
県債の
総額は実に三十一億、そのうちにおきまして
昭和二十八
年度十三億でありますから、二十八
年度の
水害の際に頂きました
起債というものも随分大きいわけでございます。併しながらこれは
借金であつて、
利子をつけて
国家に御
返済を申上げなければならない。そういうことになりますと、もう数年にならずして
佐賀県
税収の約十億前後、新しい
改正税制で約十億の
税収でございますが、これはのちほど申上げますが、数年ならずしていわゆる
県税収入の半ばを占める
利子と
償還……いわゆる
償還をしなければならない。現在約三億近いところの
償還というものか大きく
県財政の上に響いて来ておるという実感でございます。
次にこの多少機構的な面に亘るのでございますが、御
承知の
通り法令或いは
国庫補助或いはその他によりまして、
国家から頂きます
補助金は、いろいろな面の
事業をやつて行きます場合、どうしてもそれに伴いますところの
地元負担、いわゆる
県費負担を必要として承るのでございます。で、これの節約につきましては、
補助金を返還し、或いはその
国家政策を行なわない限り、県独自の
立場におきまして
一つの
政策をやめる、或いは
補助金をまるまる返還して、うちは要らないというようなことをやるというような点につきまして、非常に困難な面がありまして、やはり
予算編成或いはその執行の向におきましては、どうしてもここに
県費を
支出して、
国庫補助を受けるという形に置き、執行すれば、やはり
県費を持つて行くという形に持つて行かなければならないのであります。なお県独自の
立場においてこれを執行しようという場合におきましても、どうしても困難が出て来るのであります。
第四番目におきましては、
只今と同様な
内容ではございますが、
国庫補助或いは負
拠金等を通しまして、或いは
法律、或いは
政令規則、要綱といろいろな種類はございましようけれども、国の
政策の中におきまするところのいろいろな事務があるのでございます。その一例といたしまして、その機構の一例といたしまして申しますと、例えば各種
委員会或いは各種諮問
委員会、審議会というようなものが法令或いは条例或いは政令、規則等によつて設置せられて来るのであります。その
内容を調べてみますと、教育
委員会、公安
委員会、人事
委員会、労働
委員会、農業
委員会は今度農業会議になりますが、或いは海区調整
委員会、監査
委員会というようないろいろな
委員会、執行機関的性質を持ち、且つ又事務局を設置して職員を置いておりまするところの
委員会が、これは
法律によつて行う
委員会が九つございます。最も大きいのが教育
委員会でございます。なおそのほかに諮問機関的
委員会、審議会が実に八十九あるのであります。で、これらの機構は又これらの仕事を行いまするためには、どうしても人を必要といたします。そこでこの職員数であるとか、
一般行政費という面は、これはやはり県の負担に、一部は国庫において賄つて頂くのでありますけれども、県のいろいろ雑用なり或いは負担として
支出せざるを得ないような
状態に
なつて来ておるいわゆる
経費内容の歳出の面につきまして、
赤字の基本的ないろいろな
問題点となるべきことにつきましては、以上のような
状態に
なつてなかなか歳出の面におきまして、これを思い切つて
知事独自において絞るという点に困難があるということも申上げておきたいと思うのでございます。決して私は
節減することに勇気を失つてはおりませんけれども、やはりそれを行おうとするとこういつたことに、困難に
現実の面としてぶつかつて来るということを
一つ御了承又御
了解頂きたいと思うのでございます。
次に歳入の問題につきまして申上げます。今は歳出
関係経費の
内容について申上げましたが、第三番目に歳入の面につきまして申上げます。成人の構成につきましては第八表及び第九表等を御参照頂けば幸いだと思うのでございますが、およそ県税が一三%、全
決算面の中の、いわゆる全
予算の中の一三%が
県税収入であります。なお平衡
交付税、或いは従来は平衡
交付金と言つておりました、そのものが一九%、国庫
支出金四一%、
県債、いわゆる県の
借金が一八%となるのでありまして、実に国庫依存度、いわゆるお国におすがりをしておる、この依存度がすでに
災害等のためではございますが、七八%、いわゆる八割近い
状態にまで今日来ておるという
実態でございます。
昭和二十六、七
年度くらいまでは大体七〇%、七割の国庫依存度という
状態でございましたが、現状におきましては、実に
災害等の
影響を受けまして、八割近いところの国庫依存度というところを止むなくいたしておるという
実態であるのでございます。而も御
承知の
通り農業を主体とし、石炭が別にあるのでございますけれども、その税種目の場合は、或いは
事業税とか遊興飲食税とかいうものを主体とし、入湯税は分与税となり、或いは都道府県民税と申しましても、これは各都市県も
農村県も大体同等であり、特に農村におきます都道府県民税の各個人世帯に割当てる額は非常に乏しいのでございまして、ますます
窮乏を告げて行く、いわゆる
農村県ほど不利になるという
状態を
一つお考え頂ければ誠に幸いだと思うのでございます。
第二番目に税の
収入について申上げます。これは第十二表でございます。
税収、いわゆる一二%に
なつております税の
収入率は御覧の
通りだと思うのでございますけれども、毎
年度調定額に対しまして大体九〇%を越えておるのでございます。この点につきましては甚だ失礼ではございますけれども、恐らく
全国におきまして最上位近くにあると考えております。決して
税収を怠つておるというようなことは私はあり得ない、むしろ県民により多くの負担をかけ過ぎておる、
全国平均から見ますならば、そのようにすら考えるのであります。従つて
全国的な
税収率を御覧頂きまして、最上位近くにあるということも
一つお考えを頂きたいと思います。なお御
承知の基準
財政収入額の十分の八と言われますものを常に上廻つておるのでありまして、この点はそれたけのことを私の県の
立場としては徴税率におきましては最善の努力を
数字的にいたしておるということを申上げたいと思うのでございます。併しながら一面におきまして、この
地方財政計画におきまするところの
税収の伸び、
地方財政計画、
国家全体をお考えになりました場合におきまする
税収の伸びは
農村県であり、今日の経済情勢下であり、又非常に貧弱な工業しか持たない
佐賀県におきましては、決して
全国平均にまで
税収は伸びないということであります。大体
地方財政計画は
全国平均にお立てになるのが当然かと思います。併しながら県自体の
伸び方というものは九〇%以上とつて、そうしてでもやはり
全国平均にまで伸び得ない経一済力しか私の県は持つてない。そこに又
全国平均と私の県との伸びの差額がやはり
地方財政計画の中で私の県に無理を来して来るというようなことをも考えられるのであります。
平衡
交付金につきまして申上げますが、
佐賀県における平衡
交付金の
交付額は大体十二、三億
程度でございます。
交付金におきましては、実はいろいろな御算定の方法があり、その下積みから上つた不足分を頂く形に実は大つてお
つたのでありますが、御
承知の
通りいろいろな
国家財政の
実情から、どうしてもその
総額が不足する、これは
全国知事会議においてもう数年来の問題に
なつて、その不足額の交渉を百回となくいろいろ
全国知事会対
政府との間に行われている問題でございますが、いわゆるその不足額の交渉というものが結局弱小府県といいましようか、こういう
状態にあります
佐賀県等にも及ぼして来るというようなことをも考えられるのであります。その算定の方法等につきましてもいろいろの問題が、やはり小さな県であり、人口百万ぐらいの県であり、その構成が農業県であるという点から、面積、人口、いろいろな面から、どうしても
実態に即さない点が、これはいたしかたないかと思いますけれども、あるのでございます。
なお四番目の
県債について申上げたいと思うのでございますが、先ほど申上げました
通りでございまして、いわゆる三十一億の
県債に
なつておりまして、その
償還費のみにおきましてもすでに
県税収入の半ばを起すというようなことがここに数年後において起る、恐らく何年かのちにおいて起るというような
状態にまで立至つておるのでございます。
繰返して申上げますが、以上
収入関係、いわゆる歳入
関係について
問題点を申上げますと、平衡
交付金の不足額というものが私の県に非常に大きく響いておること、第二点におきましては、
事業にいたしましても、或いは県庁内部のの機構の問題にいたしましても、国庫
支出金、或いは
国庫補助、或いは政令、
法令等によりまするいろな点におきまして、
財政的にも機構的にも独自の
立場から縮小できないところの多くのものがあり、これには
地元負担がございまするので、どうしてもやはり
県財政に響いて来るということであります。第一点が
県債の増大ということ、次に税
収入、自己財源というものが非常に乏しい、且つ伸びも非常に少い。
全国平均から見ましても少いということでございます。従つてそれの
県税収入に加えましたところの平衡
交付金又は
地方交付税、これを
一般財洲と言つておるのでございますが、
一般財源の伸びが
全国平均より常に下廻つでおるのであります。これが
国家の
地方財政計画との間にギヤツプを生じまして、その負担をやはり我々が受けなければならんのではないかというふうに考えられることであります。以上が大体この歳入、歳出の面から見ましたところの恒常的な、或いは機構その他のあり方から見た
赤字の
一つの基本的な
原因だというふうに私は考えるのでございますが、なおその
赤字の
原因につきまして、
現実に義務教育、いわゆる生活保障費であるとか、児童保護費であるとかいうふうに、国庫が御
支出になりますが、なおこれに
県費を必要といたします。或いは
教育費でございましても半額国庫負担であり、その半額はやはり
一般財源から出して行くというような義務的
支出、
国家政策の根幹でありますところの義務的
支出の面から見ましても、この
赤字の
状態を多少申上げてみたいと思うのであります。これは決して県独自の施策を申しておるのではございません。
国家施策にすべて繋る義務的な県の
支出の面であります。
昭和二十六
年度から二十九
年度までにおきまして、そういう
支出のどうして、増加いたさなければならない
実態に
なつた数が十九表にあるかと思いますが、それを御覧頂けばわかるのでございますが、第一点が給与改訂費、いわゆるベース・アツプその他を勘案いたしまして、ベース・アツプ等が行われまして、それに伴つて地方公務員もやはりベース・アツプをして行くというような給与改訂費の増加八億、二十六
年度から二十九
年度の間におきまする増加分のみであります。増加分のみが八億、それから生活保護或いは保険衛生、伝染病の予防費とか、その他そういう社会保障
関係、これはどうしても
法律によつて行くべきその
伸び方が約四千万、それから公債の
償還費の増であります、増加分が一億八千万、二十六
年度から二十九
年度までにおきまして合計約十億の義務的費用の伸びが実はあつておるのでございます。なおこの間におきまして給与改訂費の面におきましては多少問題があるかと思いますが、
政府のベース・アツプに順応いたしましてスライドをいたしまして、そうして伸びて来たものでございます。決して
政府以上には上つておりません。
政府にスライドして来ているものでありまして、これに対しまして、一面におきましてどうしても
県税収入なり、
交付金なりというものを項かなければならない、いわゆるこの
収入の
一般財源の増加分を勘案してみますと、実に
県税収入におきましては三千万しきや伸びていないのであります。九〇%以上調定額に対してとりましても三千万しか伸びていない。なお平衡
交付金におきまして、最近二十九
年度から入場譲与税を入れましたものでございますが、大体平衡
交付金、それを合せまして五億四千万、従つて五億七千万の
一般財源の
伸び方であります。二十六
年度から二十九年に十億前後、十億二千と出ておりますが、約十億伸びたものに対しまして、
収入の面におきましては五億七千万しか伸びない。差引きのように義務的な費用のみにおきましても、どうしても
国家政策として行わなければならないというこの面におきましてのみでもすでに四億以上を超しますところの負担と
なつて来ておるのでございます。これは何としても行わなげれはならないものであると考えておるのでございまして、決してこれは
知事の
責任におきまして、或いは
知事独自の見解、県のみの
立場においてどうこうしたものではございません。
国家政策の伸びによりましての負担であるのでございます。併し一面におきまして、でき得る限り
一般行政費の
節減であるとか、その他ありとあらゆる
節減をして参りまして、そうしてついに二十七
年度四千二百万、二十八
年度約三億の
赤字を出しておるのでございます。
なお附随して申上げたいと思うのでございますが、このほかに実は県の単純
事業というものがあるのでございます。これは義務的費用において約四億の実際上の辻褄の合わない点、いろいろと
赤字となる
原因を申上げたのでございますけれども、これは
国家政策に基くものであり、このほかに
国家政策が行われますれば、どうしてもそれに付随して行う県の単独
事業があるのであります。私は県の単独
事業は二つの考え方をいたしておるのであります。その
一つは
国家政策の行われるものに付随するところの県の単独
事業、例えば大きな土地改良
事業というものが行われて行きます場合に、どうしても県といたしましてはそれに付随するところの小用排水、小農道、或いはいろいろなそれに伴つて起きることを調整するための仕事を県の単独において行わなければならないのであります。国道ができればやはり国道に通ずる県道の路線変更であるとか、橋をかけるとかというふうに、いわゆる
国家政策のものに附随するところの県の単独専業、それを行うことによつて
国家政策が真に多くの利益と真価を発揮するという県単独
事業があるのであります。
第二番目には、県単独
事業といたしましては、県独自の
立場におきまする単独業がおるかと思います。これはその県その県によりましてやはり独自のものがあると思います。たとえば申しますれば、私の県には日本住血吸虫と言われるような特殊の風土病がある。これに対する対策というものがやはり成る
程度最小限度行われなければならない。或いは
佐賀県は御
承知の
通り干拓か多くて軟弱地盤でございまして、
一般の道路補修費では十分賄えない。従つてその場合にどうしても
県費を出して常に
最低限度通れるだけの補修をしなければならない。或いは最近のように李承晩ラインであるとか、中共船に拿捕されますとか、非常に玄海方面の漁業が緊迫をいたしておりますと共に、漁民の神経が非常に昂ぶつて来ております。併しながら隣の福岡原においては立派な取締船を持ち、長崎県においても立派な取締船を持つております。レーダーを付け、無電を付けて漁民を誘導しておいでになる。
佐賀県のほうは徴発をされて、これが爆撃を受けて撃沈されたので取締船を持つておりません。従つて今日の事態に即しまする場合、県単独
事業としてやはりこの取締船
一つは作つてやらなければならんというような窮境に私としては追い込まれるのであります。こういつた県独自の取締船といつたような単独
事業ということもやはり考えます。それで県単独
事業というものも一切ストツプさしたほうかよろしいというお説もあるのでありますが、県の
責任者の
立場に立ちます場合、今のようなことを考えながらいたしますときに、県単独
事業も最低限行わなければならんのじやないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
以上のようなことでありまして、結局はこれは
全国平均で算定して頂くので、それを私は云々するのではありませんけれども、
国家の
地方財政計画の面から
現実の
佐賀県の
実態というものを考えて行つた場合、やはり第一点が給与費におきまして、或いは新規
財政需要の算定の議におきまして、或いは
県税収入の
伸び方の面において、或いは
教育費の面において、実は約二億近い金を持ち出しておるのでありますが、
教育費の面におきましてやはり文部省から頂くものと
財政難との間に二億ぐらいの開きがありますが、これはやはり止むを得ずここに持ち出しておるよう大
状態に
なつて、そしてそういうものが
原因となりまして
赤字にな
つたのであります。でこれは一面におきまして節約なり何なりは私としてはできるだけやつて来たつもりでおります。併しながら遂に
赤字が出たその
原因を突き詰めていくならば、以上のようなことがあ
つたのじやなかろうかというように考える次第でございます。
次に警察制度の改革の問題について簡単に申上げます。これは
政府におかれました
財政計画に基きまして、又示達をせられました切替えの要綱に基きまして国警のほうと種々交渉をいたしまして、殆んどと言いますか、一切そうした形において切替えたのでございますが、
政府の内示せられました額から約七十万円を県でつぎ足さざるを得ないという
状態にな
つたのでございます。その
内容につきましては表に詳しく書いてございますか、これは罪を他に転嫁するようで甚だおかしいのでございますけれども、他県でも同様でございまして、根本的には
全国三百五十億という府県警察の
財政計画にやはり御無理があ
つたのじやなかろうかということを痛感せざるを得ないのでございます。御命令のまま、又大体そのいろいろなお聞きいたしましたことによつて切替え得る
措置があつたにしても、それにしても
人件費を賄うに足りんような
状態にまで至つたという
実態につきましては、これは各県ともお調べ頂けばさようであろうと思います。
佐賀県のみがそのような
状態にあるということではございませんので、何とぞ
一つ御了承を願いたいと思うのであります。
なお
佐賀県におきましては、
佐賀と唐津と有田と申します非常に小さな都市、
三つの自治体警察があ
つたのみでございまして、それが恐らく二、三百人くらいで、あとの千人近いところの警官はすべて
国家公務員でございます。従つて自治体警察のために非常によかつたといういわゆる給料……金が余計要つたというようなことは他県に比してあり得ません。千三百人くらいの警官の中で千人近くが従来
国家警察で、あとの二、三百人が自治体警察であ
つたのであります。従つて
国家公務員のベースを切替えまして、七十万円の
赤字がつぎ足しを必要とするということにな
つたのであります。併しこの
赤字見込は、これは何とか
政府の御
措置を願わなければならん次第でありますか、
只今まで参りました
県財政の
赤字というものの
原因にはまだ
なつてはおりませんが、これは七月から切替えたのであります。で、
赤字見込みということになりますので、その点は御了承願いたいと思います。
それから六番目に、今回
昭和二十九
年度から地方税制が改正をせられたのであります。そのことにつきまして簡単に申上げておきたいと思います。地方税制の改正は御
承知のことだと思いますが、
地方財政の安定を目的といたされまして改正され、たばこ消費税或いは民税、その他ができあが
つたのでございます。そこで
佐賀県におきまして、従来八億くらいの
県税収入というものが十億ちよつと超す前後に
なつていくのであります、ただこの際、揮発油譲与税は入れておりません。これは目的税であり、道路に使うという厳としたあれがございますし、我々のほうから言えば、性質上
国庫補助というような性質を持ちますので、
一般財源として或いは
教育費、域いは衛生費、或いは民生費ということに使いません。仕つて
国庫補助というふうに考えまして、揮発油譲与税の分は入れていないのであります。併しこれだけ約二億前後自主財源とし伸びたのでございますか、
只今のように警察
関係のつぎ足し分七千万円、或いは一億近いものを考え、その他をして行きますので、これによつて全面的に、折角の御改正にけちをつけるわけじやございませんが、これによつて
赤字が全面的に解消されるとは考えられませんが、やはり
窮乏というものに続いて行くんじやないかというふうに考えるのでございます。勿論多少はよく
なつたかと思います。と共に警察
関係につきまして、
政府の御
措置が持出しがないようにして頂くということができれば、やはりそれだけのプラスになりますけれども、これによつて全面的にこの
赤字解消という段階には至らないというふうに見ておる次第でございます。
次に第七番目に、
赤字の再建対策につきしまして申上げてみたいと思います。現在までの
赤字につきましては、すでに表にございますように、二十八
年度までに二億七千七百万円、これは実際の
支出をいたしました
赤字でございます。なお
事業繰越しであるとか、
支払繰延、いわゆる直轄
事業の負担金を御猶予願つたりしておるが、
事業繰越を八千八百万円、
支払繰延を一億六千万円、本
年度は今後節約をいたしますから、七億という
赤字はもつと解消せられると思いますが、従来のままで行けば七億くらいの
赤字か警察を入れますと、警察約一億とみて入れますと、このくらいになるのじやないかというふうに見積つておる次第でございます。従つて十億ちよつとというものが二十九
年度の
赤字になるのではないか。併しこのままにして安閑としてはおられませんので、差当り
昭和二十九
年度におきましては、現在
人件費一億、
一般行政から一億、
事業費から一億、計三億前後というものを何とかして縮減をいたしたいというその立案中であります。実は五月の県議会に
人件費一億の
節減計画を提出をすでに五月末にいたしたいのでございますが、御
承知の
通りのいろいろな
関係上遂にそれが流れまして、再度八月中旬以降におきまして、実は更に
一般行政費、
事業費まで合せましたところの、三億の
節減案を県議会に提出いたしまして、最善の努力をして御承認を得たいというふうに考えておるのでございます。従つて
昭和二十九
年度のこの
節減計画、これは相当無理がいくと思いますけれども、断行をいたしたいと思います。又いたすつもりでおります。それを基礎に、いわゆる今国会継続御審議中でありますところの
財政再建整備法案、こういうものを中心にいたしまして、或いは五カ年乃至七カ年、十カ年というふうな再建計画を現在作成中であります。実はそれは計画案はそれぞれ
大蔵省なり自治庁なりにすでに係員等が参りまして、お話を申上げ、それを行うつもりでおります。併し御
承知の
通り警察
関係の費用がどうなるか、或いは今後の改正せられました
税収の伸びがどう
なつて行くかといういろいろな点において、まだ初
年度でございますので、もつと更に実行力ある具体的の案を立てて、そして
再建整備をやつて参りたいと思う。勿論その案はございますけれども、以上のような点に十分ならざる点もございますので、今後自治庁或いは
大蔵省と御協力を得まして、立ててそれを実行をいたしたいというふうに考えております。なお一面
県税収入なり或いは雑
収入、手数料、或いは県の所有物件の不要、特に不用物というのはおかしいのですが、売払というような形におきます
収入の両も研究いたしております。そこで
再建整備法の御審議中でございますので、これは議員の各位に申上げたいということの我がままもお許し頂ければ、この
程度の節滅案を作つて参ります場合におきまして、どうしても
只今申上げましたような
実態の中からこれを進めて参りますと、いわゆる自主財源の問題、いわゆる県税の増徴の問題、それから
人件費の削減ということを大巾に行わない限り、ここに本格的の
節減というものは、なかなかでき得ない
財政状況に
なつております。でその二点に集約される虞れが相当あるのでございますが、この点先ず
県税収入の面から申しますと、全体の
予算におきまして、特に私ども
窮乏県におきましては、県税の分が一割三分、一三%の比率しか占めていないということ、非常に伸びが少いということ、特に経済情勢によつて徴税を強化するといつても、経済
状況なり何なりによりまして、非常に困難性が
現実の問題としてあるのではないかということを申上げるわけであります。
次に
人件費削減の問題におきましても、私の県では警官が千三百、教職員が八千、県庁職員が三千二百おりまして、実は相当欠員を持つております。欠員の分は別といたしましても、特にこの教育
関係の場合におきましては、
知事におきましては人事権が教育
関係にないわけでございます。県教育
委員会にもない。地教育
委員会にある。従つて
知事の
責任におきましてこういつた教育
人件費の
節減をめぐりまして、
現実の問題に行つた場合におきまして、非常にここに壁にぶつかつて行くというわけでございます。この点、なお又
教育費そのものがいろいろな面で
事業費的な性格と言つては失礼かも知れませんが、
教育費はやはり
人件費が
事業費的な性格を持つており、一面生徒数の問題がある。或いは均等な教育をするという他県との均衡の面もございますが、そういう点から行きまして、この
人件費の
節減の場合におきまして、知出自身の権限におきまして、或いは教育というものの本質から見ても非常に多くの問題があり、且つ困難な問題があるということを申上げまして、今後の
再建整備法の御審議の際において御考慮頂けれは私は幸いであるというふうに考えるのでございます。なお私といたしましては、勿論改むべきは改め、できるだけの
節減ははかるつもりでおるのでございます。
最後に結論及び
お願いを申上げたいのでございますか、結局この
佐賀県の場合におきましては、
只今御覧になりましたように、
国家政策、いわゆる
公共事業或いは義務的な社会保障、こういう義務的な費用、義務的な性格につながりますところの
佐賀県自体としての地元
資金の裏付、
佐賀県の
資金の裏付というような義務的な面におきましてすら、実は
赤字を見込まれるといつたような乏しい情勢に立至つているのであります。そこでこれを切下げて行きます場合におきましては、いわゆる
国庫補助金を返上する、
公共事業も大巾に返上するというような段階に私はならざるを得ないということを実は虞れるのであります。併しながら、少くとも国政に基きますところのこの
政策というものは同じ日本国民である限り、この放縦の恩恵というものはやはり均等に受けさすべきであろう、又受けさせるのが本当であろう、又私の県民にいたしましても、病虫害防除金に
国庫補助があつた場合、県の
財政かたいといつてそれを半分に切つて、他の県におきましてはまるまる頂く、又
災害復旧の面におきましても、県が
窮乏をいたしておりますから、ほかの県では正割の
復旧ができるのに、
佐賀県だけは一割でいい、いわゆる国の基本
政策にまで触れていいものであろうかどうかということを実は
責任者といたしまして非常に苦しむのであります。私は何とかして、そういつた
国家政策の根幹につなかりますところの恩恵だけは少くとも貧乏県であろうと富裕県でありましようと、都市県であろうと
農村県であろうと均等に分けさしてやらなければならんし、やるべきじやないかということを痛感いたしておりますと共に、
責任者としては、そこの
立場に
なつて行きますときに、県の
財政窮乏によつて、いわゆる均等なる
政策の恩恵を県民が浴するか浴さないかという面に至りますときに、両方から責められまして、非常に苦しい
立場に立つのであります。私は当然日本国民である限り、均等に受けるべきが当然であろうというふうに考えております。これは農業
関係の
補助金にいたしましても、
災害復旧の
補助金にいたしましても、併しおのずから
限度がありまして、やはりその間におきましてどうしても貧乏県であるからと言つて贅沢はしちやならないし、やはりその間におきましても何といいますか、節約と無理はしなきやなりますまい。でございますから、何もかにも平均という点におきましてもおのずから
限度があつて、節約をしながら少くとも基本的な
政策たけでもやはり均等に
政策が行われるように、或いは病虫害の防除金にいたしましても、
災害補助金にいたしましても、或いは
教育費のいろいろな面にいたしましても、都市府県のみ教育施設がよくでき、或いは教員給与が非常に高い、貧乏県であるからしておのずから
限度がございましよう、併しながら余りに極端に著るしい差が給与の而にも施設の面にもできるということにつきましては、何とか
県財政の建直しといいましようか、この考えから均等にそれが行われるだけの御
予算の
措置を私は
お願いを申上げたいというふうに思うのでございます。この点は何とぞ
一つ十分必要の最低限、この点の面におきまして特に
佐賀県の
実態につきまして御考慮頂けれは、私は幸いであるというふうに考えるのであります。
併し、こういつた現在、その主たる
原因につきましては、結局或る意味においては地方の税財制度の問題へ来るかと存じております。貧乏県と都市県の
窮乏の
実態の不均衡という問題になりますれば、やはり税町制度へ来る。税財制度から考えれは、或いは県の規模の問題、或いは地方
公共団体の性格の問題というふうにまで発展する問題があろうと思いますが、本日におきましては、何とぞ今のような
国家政策の恩恵を均等に浴するというだけの
一つ予算措置を
お願い申上げますと共に、それに繁がるところの、
国家政策に繋がるところの県の単独
事業を
最低限度やる、或いは県の
特殊事情、特に選りすぐつたところの検討に検討を重ねました
特殊事情の単独
工事だけはやらして頂くというだけの
財政状況にまで、勿論節約はいたしますが、
政府におかれましても
一つ御
予算の
措置を切に私は
お願いを申上げたい。贅沢とか何とかは申上げません。それを
一つ第一段階として
お願いを申上げたいと思うのであります。この点が
責任者としての私の一番苦しいところであり、悩みであります。節約をしなきやならない面においては、いわゆる県民の
国家政策の浸透、恩恵に浴する県の単独
事業を簡単に切れという御理論もございますけれども、県民の、実際同じ日本国民であつてそこまで行くべきであろうかどうか、これは御
批判の
余地があろうかと思いますが、私はそのように考えております。
以上最低のことをいろいろ申上げたのでございますが、私は謙虚に多くの皆様がたのお話を伺いまして、直すべきは直し、改めむべきは改めたいと思います。どうか
一つ十分反省もいたしたいと考えております。併しながら又一面
政府なり国会におかれましても、
一つこの
窮乏状態に対しまして御
調査の上御同情を頂きまして、今申上げました最低の私の気持に副うだけの御援助、御
予算の
措置でもできれば、誠に幸いである。
以上を以て公述を終ります。