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平林太一君 私は本
法律案に対しては反対の意を表明するものであります。原案及び修正共にそうであります。この
法律案が発生せざるを得なか
つた理由というものがどこにあるかということは、いわゆるすでに国の
法律によ
つて許されてお
つた庶民金融機関というものが、昨秋来今春にかけて一朝にして壊滅崩壊した。然るにその壊滅崩壊した
理由はどこにあるかという、この淵源するところを調べてみると、いわゆる庶民金融事業の企業体の中から
多額の政党献金というものが流れたということである。自由党、改進党共に同罪である。
従つてこれ以上私は……。細かいことはすでに新聞紙上がよくことを物語
つている。そうすると、この場合におきましては、なぜそういうことにな
つたのかというと、政党献金というものが如何に莫大な数字であ
つたかということは、今日私が具体的に申上げるの要をこれは避ける。これは皆天下周知の事実であります。
一つのささやかなるかくのごとき零細なる金融企業形態の中から厖大な政党献金というものがそこに出てしまえば、当然経理というものが混乱せざるを得ないんです、これは。孜々営々として事をや
つても、収支の決算というものがなかなか、いずれの企業にいたしましても、容易ならないものである。数億というようなものが政党献金として献金された。併し献金されたということは、献金というと、進んで企業体がいたしたということに相成
つておるが、事実は要請があ
つたわけです、これは。いわゆるこの企業体というものが要請がなければこういうものは成立しないわけなんです。
国家の大政党というものが、いやしくも弱小のこういう企業体の弱みにつけ込んでやる。その内容、いわゆるその企業体の
資金というものがどういう形のものであるかということはよくわか
つておるはずである。だから
向うから持
つて来てもこういうものは辞すべきものです。政党としては。それをむしろ甘んじて受けるどころではない、調べによると、自由党の幹事長佐藤榮作、或いは甚だふがいないことと我々は思うんだが、改進党の総裁である何がし、ちよつと名前を忘れました、これは有名な総裁ではない、愚劣な総裁であるから……こういうものが関連しておる。こういうわけなんです。そういたしますと、この元兇というものはどこにあるか、かくのごとき混乱を来たした……。だからこれは重光葵——今思い出した、これは
速記にも付けておく。こういうのが関連しておるというわけです。それだから、こういう事態に対して今更これを取締るなどと称して、
政府提案である……その政党献金の責任者というものは、いわゆる自由党の場合におきますれば、幹事長の佐藤榮作のいたしたことは、内閣総理大臣であるところの吉田茂である。その吉田茂が責任者としてこれは提出したところの
法律案である。これに賛成をいたすというようなことは多々ますますかくのごときことを奨励するということになる。ゆえに、これを提出した責任者が
大蔵省の事務当局によ
つて出されたというものであるならば別である。併しこのよ
つて来たる、かくのごとき
法律を出さざるを得ない淵源するところが
政府である。こういうことになりますれば、
政府の当事者である、代表者である吉田内閣総理大臣であるということになれば……これが次期
国会において改めて別な内閣によ
つて提出された場合におきましてはおのずから欣然賛成するのであろう。今日の場合は反対の意をここに明らかに表明する。これが第一の
理由である。
第二の
理由といたしましては、すでは昨月の指揮権発動に対して、我が参議院がいわゆる内閣に対する不信をと
つておるのにかかわらず、依然として今日これが何らの
措置をと
つていない。我が参議院のこれは
性格をかけた決議である。それが何らの効を奏しないということでありまするならば、行政と
立法の地位いずこにあるか。主客顛倒の結果にこれは相成るわけである。極めて由々しき問題である。これが行われざる以上、
国会としては、出て来る
法律案というものは、
議員立法の場合は別である、いわゆる総理大臣吉田茂の名において出して来るところの
法律案というものは、日に日に否決して行くことが、
立法府と行
政府のけぐめを付けるところのいわゆる最後的な大問題である。
政府の存在を許すことが大事か、
国会の存在が崩壊することを、微弱になることを黙認することが大事であるかということは極めて明らかであります。私は、
国会の審議機能、
国会の、殊に参議院における
性格、この指揮権発動に対するこれを議決したその責任において、本案に対して明らかに反対せざるを得ない。反対するということをここに表明して、以上の二点を以て反対の
理由とするものであります。