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1954-05-06 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月六日(木曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   委員の異動 五月四日委員白井勇辞任につき、そ の補欠として松本昇君を議長において 指名した。 本日委員松本昇辞任につき、その補 欠として白井勇君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   衆議院議員    春日 一幸君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    国税庁長官   平田敬一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件当せん金附証票法の一部を改正する  法律案衆議院提出) ○物品無償貸付及び譲与等に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○日本国アメリカ合衆国との間の二  重課税回避及び脱税防止のため  の条約実施に伴う所得税法特例  等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○大蔵省関係法令の整理に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○企業再建整備法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○入場税法案内閣提出衆議院送  付) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今より大蔵委員会を開会します。  当せん金附証票法の一部を改正する法律案議題といたしまして発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 只今議題となりました当せん金附証票法の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由を御説明申上げます。  現行当せん金附証票法によりますと、当せん金品支払又は交付は、当該当せん金附証票購入者又はその相続人その他の一般承継人に限られているのであります。従いまして、例えば最近岸和田市に起つた事例に見られま するように、当せんした当せん金附証票を拾い、これを警察署に届け出た場合におきまして、若し遂に落し主が判明しないときは、右当せん金品債権は一年間の時効によつて消滅してしまい、たとえ後日民法規定により拾つた人当該当せん金附証票所有権を収得することとなつたといたしましても、それはただ一片の無価値の紙切の収得に過ぎない結果となつてしまうのであります。又この間、警察署長債権保全のため民法規定に従い忠実に管理義務を遂行しようとしても、現行法の下ではこれに当せん金品支払又は交付ができることとなつておりません。  このことは、法律の甚だしき不備欠陥ともいうべきでありまして、正しい者の味方たるべき法律却つて善行者を抑圧し、結局正直者だけが馬鹿を見る結果となり、為めに遵法精神は地を払い、社会道徳廃の因を作るものといわねばなりません。もともと当、せん金附証票のごときは極めて紛失しやすい性質のものでありますから、岸和田市におけるこういつた事例は、今後も必ずしも絶無とは思われないのであります。従いましてかかる遵法精神に富んだ善行者に対して、法律上の保護を与えることは、極めて適切至当なる措置と確信するものであり、かくしてこそ法律の権威と尊厳が保持されるものと考えるのであります。以上の趣旨に基きまして、本改正案提出いたした次第でありますが、なおこの法律案衆議院におきましては各党共同提案でありまして、同時に又満場一致を以て賛成いたしました法律案でもございますので、何とぞ速かに御審議を賜わりまして、満場一致の御賛成を賜わらんことを切にお願いいたしまして、提案理由説明を終ります。
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を行います。
  5. 平林太一

    平林太一君 ちよつと春日君にお尋ねしたいが、今のあなたがおつしやつた通り、これは説明通りなんです。ですから、これは政府案として手配をすべきもので、それが極めて常識的と思うが、議員提出としてこういうことをなさるということについては、この点どういうふうなお取扱いですか。
  6. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) 衆議院におきましても御同様の要望を政府にいたしたことでありましたが、当時衆議院大蔵委員会でこの問題が議題となりまする以前に、河野銀行局長新聞記者団に対しまして、現在の法律範囲内においては拾得者にこれを払うことができないというような意見の発表がありましたり、更にはその後衆議院側におきまするいろいろな意見がまとまらない前に、こういう人々に対してはやはり五%乃至二〇%謝礼金を出すようなことを考えておるというような、大蔵当局の方針が新聞社に発表されたりなどいたしまして、そういうような行き掛りから、これをむしろ政府から提案するよりも、やはり議員立法の形で御提案願つたほうが、そういう二、三の政府当局意見が非公式ではあるけれども発表されておる経緯に鑑みまして、そのほうがむしろ好ましいというような御意見等もございました。衆議院では各派がいろいろ協議をいたしまして、そういう行き掛りならば、各党共同一つ提案をして行こうということで、これは別に対立相剋というような形でなく、こういう趣意に相成つておる次第でございます。
  7. 平林太一

    平林太一君 只今非常に懇切と思われる御答弁を頂きましたので、よく私どもそれで了承いたしました。肯かれることなんです。併し私が今お尋ねしておるところの真意というものは、かような改正法律につきましては、政府によつて当然こういう処置は講ずべきものが道義的の問題なんです。それを何か議員立法として提出せしめたほうがいい、それがよろしいぞというようなことは、今度の岸和田事件というものに対しまして考えられるときに、非常に何かいわゆる法の尊厳或いは誠実、正直な者はどこまでも推奨、礼讃して行く、これはもう常識的に世の中の当然なことなんです。  ですから、政府政府立法とせず、国会のほうにしてもらいたいということは、政府自体支払者としてこれは非常に何と言いますか、不誠意、不誠実である、そういうことをあなたに私どもとしては責めなければならない。むしろ、議員立法としてこれは出すと言つても、政府は、いや、それは困ります、私のほうにさして下さい、こういうべきなんです。従つて国会といたしましては、当然これは政府がやるべきものである、法律改正すればそれでいいわけです。いわゆるかような問題は、改正の中にも改悪に匹敵するものがしばしばありますが、併し、法律改正はすべて改正でなくてはならない。いやしくも改悪というようなことは、これはあり得ないことなんです。又改悪するような法律に対しましては、国会としてはこれをどしどし処理して行くことは当然ですから、その点、政府がもう少し、どういうわけで政府提案改正法律案として、当せん金附証票関係する法律として、政府みずからが進んで、むしろ今日までの手落ち道義的に謝すという態度になぜ出なかつたか。この点は政府当局者から一つ明確に答弁を頂きたいと思います。
  8. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。  本問題につきましては先ほど春日議員からお答え申上げましたように、当初衆議院大蔵委員側からこの問題をお取上げになりまして、種々御質問等があつたのでございます。当時大蔵省当局といたしましては、現行法の解釈一を主として考えておりましたので、ユのためにやや荏苒日を送つてつた感がございます。併しながら政府といたしましても何とか温情のある計いをすべきであるというふうに考えて、法務当局ともいろいろ法案研究も一緒になつていたしまして、その結果先ほど春日議員のお答えになりましたように、二度目の結論も又五分乃至二割の謝礼を差上げるようにしたらどうだろうかという一応の事務当局の案が出たのであります。併し私は、それではどうも少し常識上から考えて政府としてもまずくはないか、何とかこれを考えたがよろしいというので、更に議を練ることにいたしました。その結果、事務当局といたしましても、それでは一つ現行法改正案を練りましようということになりまして、折角改正案研究を始めたのであります。どうも併し改正案研究に少し手間を取り過ぎておりまして、一方、議員の側からは一日も早くこうしたことは処理すべきじやないかという強つての御催促がございました。私といたしましては、その点誠に御尤に感じましたので、大臣、その他とも御相談の上で、それではこの問題を一つ委員の側で、もうすでに改正の案までもお作りになつて、そうして急いでおられるから、そのまま議員の側から出してもいいじやありませんかというようなことで、今回は政府提案とせずに、そのまま議員の側でお作りになつた改正案が至極適当と考えましたから、そのままお出し願つても結構でございますというので、御同意申上げ、それが本日のこの審議となつたというようなことになつております。  この点につきましては政府研究にやや時間を取り過ぎておつたということで甚だ申訳がないと思いますのと、もう一点、まあ折角お取り上げになつた非常によい案だと思いましたから、そのまま議員側からお出しになることについて御賛成を申上げたというようなことに相成つております。この点、何とぞ御了承を仰ぎたいと思います。
  9. 平林太一

    平林太一君 只今政務次官植木君から、道義的な、又植木君御自身のことから申しますと非常に立派な人柄から出たそれはお話だと私は了承いたすわけであります。大変それは結構なことでありますが、ただ今お話通り、荏苒日を送つてつたというようなことは、こういう事態が今日現われて来たから、そこでそういう答弁ができるのですが、荏苒日を送るということが国政の上にあつては困るのです。いいと信じたことは一日のを許さずしてそれを断行してくれるのでなければ、その行政というものは国民の上に容易ならざる事態が起つて来る。殊にこの案の内容に盛られてありますことは、只今春日君からお話のありましたような問題ではない。いわゆる国家の道義、風教、道徳というものを確立するという根本の問題であります。そういうことに対して何か成るべくならばよけてそれを通る。そうしてそれが許されるならば、そういうことは避けて、そういう結果が政府のいわゆる発行者の得になる、こういうようなことは非常に考えなくちやならんことだと思う。現にこれは、先般も郵政省関係だが、年賀郵便に対する当せん福引券に対する賞品ですね、ああいうもの自体を調べてみますというと、殆んど当せん請求者という者がない。ところがそういうことを予想して、あれは私の何であると、七、八千万円に達するいわゆる賞品なんで、その賞品をどうするか。郵政省内で何かみんなでいろいろな会などを作つて、そこで、その郵政省のいわゆるその関係者の中でみんなでそれを分けて、そうして何かいい気になつておる、こういうことなんです。そういうような事態が、何かそれは協議会をやるヒかいろいろな形式はいたしましようが、そうすると、そういうことを予想してこういうことをするということに、政府自体がそういう不道義なことをあえて公然と行う、そういうことが役所のいわゆる公務員というものの心理の上に何か非常に汚職とか疑獄とかいうものの芽をつまりそのときに発生せしめることになるだろうと思う。だから今度のことなどは、私といたしましては、今申上げていることはこれは当然のことで、衆議院においてこれはよくやつてくれたと私は春日君に対して非常に賞讃の意を表したいのです。併しながら政府自体がこういうようなことを議員立法でやつてもらつたということを平然としてお考えになつているというようなことでは、以て知るべしだと思うということを、深くこの際これは糾弾して反省を求めることが私の意図なんです。併しまあ只今政務次官としての植木君の御答弁は、今私が申した通り、今日の政府の官僚全体の気風の中からあなたは超越した全く人柄的な心からの何を表示になられたので、その点、私は了承いたすのでありますが、その点、非常に不満である。それで今日においてもこれを議員立法とされたということは、政府としては非常に何と言いますか、職務上においては非常な怠慢である。それから又この精神的な行為からいたしますれば、こういうことになしたということは非常に政府の私は恥辱ではないかということを非常に考える。当然議府提案としてどしどし必要なものは本当に次から次と法律改正というものを提出しておるのですから、そういうようなことに対しまして、今後十分の一つ御留意をやつて頂かないと、これはさらでだにこういうような関連するものが他にたくさんあるわけですから、十分この際御注意を申上げておきます。併しこれに対して政務次官から今一応一つ政府の今後のこういうような他に類似するものも多数私はあるものと承知いたしますから、そういう点についてこの際こういうこの法案契機として一つ御調査になつて、そうしてそういうようなことの手落ちのないようになさるかどうか、そういうことを最後に一つ質しておきたい。
  10. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今の御親切なる政府に対しての御忠告を謹んで拝聴いたしまして、今後とも十二分に注意をして参りたいと存じます。  なおこの際、大蔵事務当局のために、一言弁解になるかも知れませんが、付加えさして頂きたいと存じます。それはこの問題につきましても大蔵事務当局が徒らに時間をかけておつたのではないのでございまして、折角この遺失物拾得という場合における改正をするならば、この機会に現実の問題を考えますと、どうも宝くじというものが、買つた人が甲から乙へ譲渡と言いますか、贈与と言いますか、そういう場合もあり得る。そういう場合も一つ何とか救うことにしたらどうだろうかというような問題を実は考え及んでおつたのであります。実情としては確かにそういうことがございました。ところが当初の法案にそういう場合を規定しなかつたというのは、この問題が、宝くじというものがややもすれば投機的な気持を助長する風があつてはまずいというようなことがあつて譲渡贈与の場合を規定してなかつたという実情にあるのでありまして、従いまして、その踏切りがつきかねておる際に、まあ議員の側から非常にお急ぎになつた。それでは拾得の場合だけを先ず直して行こうじやないか、こういうようなことで、いわゆる日を送つたわけでございますので、事務当局もただこの問題だけで非常に日を送つたのではなくて、更にできれば実情にもつと即するようにできないか、こういうような研究をいたしておりましたので、そのためにやや時間が取り過ぎたことが実情でございます。この点も併せて御了承を仰ぎたいと存じます。
  11. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終局と認めて御異議ありませんか。
  12. 岡崎真一

    岡崎真一君 私は決してこの法案に反対するものじやありませんが、この間の永井荷風の問題でも拾得者に金を払つておりますね。あの場合は銀行に、落したから支払を停止する届けを出したそうだから、法律的には拾得報償金を出す必要はないわけです。にもかかわらず普通の拾得報償金が五%から二〇%だから、あの額では出し方が少いとの議論があつたのだから、若し債券を落したと届出たのであれば、手形の場合と同じことになるのだから、輿論が高いからと言つて今度のような改正を行なつたとすれば、従来の拾得報償金の割合を全般的にパーセントを増せということが、この法律改正契機となつて起りはしないかと考えられるわけですが、この点についての見解を伺いたいと思います。
  13. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) それによつて派生する事柄がいろいろあろうと思いますが、私どもとして当初考えましたことは、特にこの宝くじなるものは落しやすいものだから、恐らくは不特定多数の人を対象とし得るであろうという事柄もありますが、同時に、岸和田におきまするこの事例は甚だ同情に値する事柄でありまして、戦争で夫を失つた未亡人が月収六千円内外でこの宝くじを売りながら渡世をいたしておりましたが、たまたまその拾つた宝くじが当つておるということを知りながら、きつとその人が喜ぶであろうということでわざわざ警察まで届けたということで、その後それが一銭ももらえないというようなことが発表されましてから、世間の同情を買つたりなんかいたしまして、何となく正直な人が馬鹿をみるというようなことでなくて、正直ないわゆる善行者に対しては報いる措置法律的に講ずべきではないか、こういうような世論が、世評がだんだんと高じて参りまして、そこでこの事柄に感動いたしました人々が何とか法律欠陥を取りあえず直していこうということで、一般的な問題をいろいろ考えないわけではありませんけれども、今回起つた事例に感動したということがこの法律案提出するに至つた主たる動機でございます。従いまして、この法律案を出すことによつて弊害はそんなにないであろうということをいろいろ検討いたしました結果、取りあえずこの範囲内の一つ立法を行おうじやないか、これが提案至つた真相であります。専門的な波及する事柄につきましては、法制局その他においていろいろと検討願つてはおりますけれども、悪い弊害は恐らくないだろう、こういう確信の下に提案をいたした次第であります。よろしく御了承を願います。
  14. 岡崎真一

    岡崎真一君 今の春日君の御意見を聞いていると、事情はよくわかりますが、拾つた人立場が非常に同情すべき立場にあるからというような御説明があつて、それが動機になつて提案したということになつておりますが、法律として考えた場合に、非常に不公平の問題が起りはせんかというような感じを持つのです、これはむしろ。そういうことによつて、まあそれは輿論であるかも知れませんけれども、そうすると、この動機というものは非常に何だか不純な感じを、これは私の意見になるのですが、持つような気がするのですが、そうすると、今後同じようなケースが、私が先ほど申上げたような場合にですね、非常に拾つた人立場か気の毒だとかどうとかいうことになつて議論が起れば、いろいろな問題が次から次と派生するということを考えて来ると、やはりこれは、大蔵省当局をとやかく言うわけじやありませんが、慎重におやりになつたことだと、こう思うのですが、併し輿論に対する必要上こういうふうになつたということは了承いたします。
  15. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) この説明の中にもちよつと一言加えております通り、こういう宝くじは極めて紛失しやすい性質のものであるから、従いましてこのような事例が今後も必ずしも絶無とは考えられないので、こういう善行者にはやはり報いるということを考えて行くということにほかならないわけでございまして、一つこの点いろいろ検討を加えておりますが、善行者にはやはりそれだけの報酬が社会的に報いられて行くということに他意ないわけであります、よろしく御理解を願いたいと思います。
  16. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。—別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。当せん金附証票法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  19. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案原案道り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     木内 四郎  東   隆     平林 太一  成瀬 幡治     藤野 繁雄  三木與吉郎     白井  勇  土田國太郎     岡崎 真一  小林 政夫     青柳 秀夫  山本 米治     菊川 孝夫   —————————————
  20. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、物品無償貸付及び譲与策に関する法律の一部を改正する法律案日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案大蔵省関係法令整備に関する法律案企業再建整備法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題として、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  21. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今議題になりました物品無償貸付及び譲与等に関する法律の一部を改正する法律案ほか三法律案につきまして、その提案理由説明申上げます。  今回改正しようといたしますのは、最近における風水害等の発生時における救助状況等に鑑み、災害による被害者その他の者で応急救助を要するものの用に供するため寝具その他の生活必需品を貸し付けるとき、又は災害応急復旧を行う者にその応急復旧のために必要な機械器具を貸し付けるときは、無償又は低額ですることができる途を開くこととすると共に、国有林野の所在する地方地方公共団体又は住民が震災、風水害、火災その他の災害により著しい被害を受けた場合において、当該地方公共団体に対し、当該林野産物等災害救助の用に供し、又は当該地方公共団体の管理する事務所、道路、橋その他の公用若しくは公共用施設応急復旧の用に供するため譲渡するときは、低額ですることができることとしようとする等、所要改正をしようとするものであります。  次に、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案につきまして説明いたします。  政府は、今回、アメリカ合衆国との間に所得税及び法人税並びに相続税及び贈与税に関して二重課税回避及び脱税防止のための租税条約を締結することとし、その批准について承認を求めるため、別途にその御審議願つているのでありますが、この条約規定されている事項のうち、特に法律規定を要すると認められるものについて所要立法措置を講ずるため、ここに本法律案提出した次第であります。  以下本法律案の大要について申上げます。  先ず第一に、利子所得等に対する所得税率特例を定めることとしております。  即ち、日米両国国内法における非居住者に対する利子又は工業所有権等使用料に対する税率は、わが国所得税法では二〇%、米国では三〇%になつておりますが、今回の日米所得税条約によりますと、その税率は相互に一五%を超えてはならないこととなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国居住者又は法人が我が国の源泉から取得する利子又は工業所有権等使用料に対する税率は、その者がわが国恒久的施設を有しない場合には、これを一五%と定めることとしているのであります。而して、これらの所得に対する現行国内法による税率は租税特別措置法により、特定の場合には一〇%又は五%に軽減することとしておりますので、その軽減税率は引き続きそのまま適用があることとしております。  第二に、相続税に関して未成年者控除の特例を定めることとしております。  即ち、日米両国国内法における非居住者に対する相続税課税につきましては、わが国ではいわゆる未成年者控除を適用せず、米国では基礎控除が居住者の場合の十万ドル又は六万ドルに対して二千ドルの控除にとどめられる等、居住者の場合に認められる諸控除の一部が適用されるに過ぎないこととされているのでありますが、今回の日米相続税条約によりますと、相互に自国の居住者の場合と同様な控除を一定の割合により認めることとなつておりますので、これに基き、わが国におきましては、本法律案において、アメリカ合衆国の国籍を有し、又は同国に住所を有していだ被相続人から相続により財産を取得した相続人に対する相続税については、その相続人わが国に住所を有しない場合においても、これに未成年者控除を適用することとし、その控除の金額は、条約規定の趣旨に従い、わが国に住所を有する場合に認められる控除額に、我が国における課税財産のその者が相続により取得した総財産に対する割合を乗じて計算した金額によることとしているのであります。  第三には、アメリカ合衆国の租税の徴収につき必要な事項を定めることとしております。  今回の日米租税条約によりますと、租税条約によつて認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によつて享有されることがないようにするために、日米両国は相互に相手国の所得税又は相続税を徴収することかできることとなつておりますので、これに基き、本法律案におきまして、我が国における米国税額の徴収は、アメリカ合衆国政府からの嘱託に基き、国税徴収の例によつてこれを行うこととする等、所要規定を設けることとしているのであります。  最後に、今回の日米租税条約実施に関して必要な手続その他の事項は、条約規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。  次に大蔵省関係法令の整理に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  本法律案は、このたびの法令整理の方針に即応し、明治時代以来制定された大蔵省関係法令のうち、実効性がなくなつたもの等を整理のため廃止し、併せて事務手続を簡素化するため、たばこ専売法等を改正しようとするものであります。以下、その大要について説明申上げます。  先ず第一に、明治四年に制定されました大政官布告新紙幣を発行する件から昭和二十六年に制定されました学校及び保育所の給食の用に供するミルク等の譲与並びにこれに伴う財政措置に関する法律に至る二百六十件の法令を廃止することと致しておりますが、これらの法令は、おおむね特定の時期を対象とし、その時期における特定の措置規定したものであり、現在においては、すでにその実効性を喪失しているものであります。  第二に、事務簡素化の見地から、巻紙の輸出につきまして、従来の日本専売公社の一手買取制を廃止し、日本専売公社の輸出と並んで、製造業者等の自己輸出をも認めることとし、又、にがり専売は、昭和十九年四月金属マグネシウムの増産確保の要請により実施されたのでありますが、現在においては、実施当時の目的の大部分は失われておりますので、この際これを廃止することとし、たばこ専売法、塩専売法等の一部を改正することといたしました。  第三に、終戦後日本銀行が国内居住者から保管した外国通貨等のうちで今なお保管しているものにつき、これを各所有者に返還するためこの際、右保管を取り止めることとし、又終戦後、財閥系会社に対し、同一資本系統の会社の株式の保有を禁止いたしました際、特に金融機関に対しては、それが担保権行使等により取得した株式等に限り、例外的に保有を認めておりましたところ、最近に至りこの保有株式の処分も完結いたしましたので、この際この特例を廃止することとし、「ポツダム宣言の受託に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係諸命令の措置に関する法律」の一部を改正することといたしました。  右のほか、以上に述べました法令の改廃に伴つて経過措置を必要とするものにつきまして、所要規定を設けることといたしております。  最後に企業再建整備法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  企業再建整備法は、特別経理会社の終戦に伴う損失を株主、債権者に負担させることにより企業の再建を図つたのでありますが、その最終的処理につきましては相々困難な問題がありまして、現在のままでは、到底期待し得ない状態にあるのであります。即ち認可を受けた整備計画の実行の過程に生じた損益は、仮勘定として整理し、整理を完了して仮勘定の損益が確定した際に利益があつた場合には、損失を負担させた債権者、株主に分配することとなつているのでありますが、資産処分等が予想外に遅延し、又、国内の資産処分等が終了しても、在外資産、負債を有する会社は確定できないこととなつており、更に、金融機関の調整勘定及び他の特別経理会社の仮勘定の割戻しが確定しないということから、これが相互に関連して、現行法では、傾勘定の確定ということは、極めて困難な実情にあります。このように仮勘定が未確定であるということから、解散した特別経理会社にとつては清算を終了し得ないこととなる等、種々の面で支障を来している次第であります。  今回改正しようといたします趣旨は、完全な意味で仮勘定を確定することは困難でありますので、実質的に完結と同様の効果をもたらし得るように、特別経理会社の資産処分を速かに完了せしめると共に、便宜の措置を講じて仮勘定を閉鎖し得る方途を設け、再建整備の最終的処理を促進しようとするものであります。  次に、本法案につき、改正の大要を申上げます。  先ず第一に、仮勘定を有する特別経理会社の仮勘定監理人の選任についてでありますが、債権者に損失を負担させた特別経理会社であつて、現在特別管理人がいない会社については、新たに債権者の代表として仮勘定監理人を選任させ、現に特別管理人のある会社にあつては、債権者を代表する特別監理人を、仮勘定監理人とし、会社が行う資産処分等を監督させることといたしております。  第二に、資産処分等を促進するため、昭和三十年九月三十日までにその処分等を完了するように努めさせることとし、やむを得ない事情がある場合に限り、主務大臣の承認を得て期限の延長をすることができることといたしております。更に、期限の延長について承認のあつた資産は別といたしまして、期限内に処分等を終らなかつた資産につきましては、仮勘定監理人が一定の手続を経て資産処分等を催告し、これに応じない場合には、当該会社に代り資産の処分等を行うことができる途を開いております。又、資産処分の簡易迅速を図るため、処分に当つての手続上の制約を排除すると共に、報告の義務を課する等所要規定を設けた次第であります。  第三に、仮勘定利益の中間配分についてでありますが、特別経理会社は、昭和三十一年三月三十一日現在において仮勘定の計算を行い、仮勘定に利益のある場合には、その利益額から主務大臣の指定する金額を控除した残額を主務大臣の認可を受けて損失を負担した債権者及び株主に一斉に中間分配させることとしたのであります。この場合、債権者又は株主のうちに調整勘定を有する金融機関又は仮勘定を有する特別経理会社があるときは、分配すべき金額を相互に通知しあつて帰属すべき額の修正を行つた後において、分配しなければならないことといたしております。なお、昭和三十一年三月三十一日以前においても、仮勘定の利益がある場合には、債権者に対してのみは、その負担せしめた債権額の限度までは、随時利益分配を認めることといたしております。  第四に、仮勘定推定の特例に関する規定でありますが、仮勘定の残額が債権者及び株主の損失負担額以上になつたときは、仮勘定が確定しない場合においても随時仮勘定を閉鎖することができることとし、閉鎖したときにおいて、当該会社の仮勘定は確定したものとみなして、利益の分配ができることといたしたのであります。  第五に、解散会社に関する特別措置といたしまして、解散した特別経理会社の場合に、資産処分等を完了したにもかかわらず、金融機関からの調整勘定又は他の特別経理会社からの仮勘定の利益の分配を受ける権利があるために仮勘定が確定しないときは、その受益権を譲渡することができることとし、又、在外資産及び在外負債を有する場合には、主務大臣が指定する在外負債の引当金額に相当する金銭及び在外資産の管理を主務大臣の指定する特殊管財人に委托して、仮勘定を閉鎖することができることとし、これらの方法によりまして、仮勘定を確定し得る途を開いております。最後に、解散会社が在外資産及び在外負債に係るものを除いて清算事務が終了した場合においては、その清算を停止することとしたのであります。即ち清算人は株主総会の承認により、退任するものとして、特殊管財への行う事務を除きすべての清算事務は一時停止し、後日主務大臣の指定する日において再び清算人が復活して清算事務を再開することといたしております。  以上四つの法律案の大要を申上げた次第でありますが、何とぞ御審議の上速かに賛成せられるようお願いいたす次第であります。
  22. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 以上四案に対する質疑は都合によりあとまわしにいたします。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 今の企業再建整備法ですがね、非常にこみ入つた法案がこういう会期末に出て来たということについては、政府のほうの意図は、会期が延長になるということを前提としての提案なのか。この本来の会期中にこういうものについて国会の結論を期待しておられるのか。その点はどうなんですか。
  24. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は衆議院のほうで少し手間取つた関係上、大変提案が遅れたことを申訳なく存じておるのでありますが、まあ会期延長の予想はいたしておりまするけれども、併し会期延長をまだ御決定を願つたわけでもございませんので、甚だ込み入つた法案で御迷惑と思いまするが、幸いに御審議が願えればこれに増すことはございません。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 この会期中に結論が出れば望ましいということであつて、是非何でもこの八日までに結論を付けなきやならんという事情があるのですか、ないのですか。
  26. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) どうも是非お願いを申上げたいということを繰返す以外に、どうもこれが審議ができないじやないかとおつしやつても、これは誠に小林委員言わるる通りやはり非常に込み入つた、実はちよつと読んだくらいではわかりかねるぐらいの法案でございますので、御無理がないとも存じますが、併しお願いができればいわみる会期内に是非御審議をお願いしたい、こうお願いをいたします。   —————————————
  27. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に入場税 法案議題といたしまして質疑を行います。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 今度の国税移管に伴つて納税義務者が変つたわけですね、従来は入場者が納税義務者であり、そうして経営主が特別徴収義務者であり、今度は経営者が納税義務者ということになつている。そこで従来は特別徴収義務者に対して或る仕度の、各都道府県によつて違うようですけれども、御苦労であつたという意味の歩戻しが行われておつたようなんです。その点の関係はどういうふうに今度はなるのか。
  29. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 納税義務者を誰にすべきか、これはまあ今度法案を作ります機会におきまして相当検討してみたわけでございます。現在の地方税法におきましては今小林委員の御指摘になりましたように、入場者を納税義務者にして、興行をする興行主は徴収義務者にしております。ただこれは地方税法を御覧願いますとよくわかる点でございますが、そういうふうな恰好でいわゆる直接消費税の形態はとつておりますが、同時に国税犯則者処分法ですか、これを適用をすることにしておりまして、従いまして一応の恰好は直接消費税でありますが、興行者に対しましては間接国税と同じような通告処分もできるといつたような恰好が出ておるわけでございまして、まあ地方税には地方税のいろいろなしきたりがございますので、そういうことも一応いいのかも知れませんが、国税になりまして直接消費税の恰好をとりまして、なお且つそうした間接国税と同じような犯則者処分法の適用をするのもどうだろうか。曾つて国税でありましたときにおきましては、一応今度御提案申上げましたような恰好にしてあつたものでございますから、やはりまあ通告処分の伴うものは間接国税だけに限るというほうが一応国税の体系としてはすつきりしていいじやないだううか。投術的にはそれほど大きな差があるとも思いませんが、そういうふうなことを考えまして、一応間接国税の形態をとることにして御提案申上げしおるわけでございます。  それから第二の御質問でございます現在徴収義務者に対して或る程度の徴収の手数料を払うという問題、これはまあ地方税におきましては、他の税の場合におきましても間々地方団体はこういうことをやつております。徴収義務者である場合におきまして、或る程度の手数料を払う場合があります。或いは納税義務者に対しましても或る程度のそうしたことをしている場合もありますが、これはまあ地方税の性格からそうすることも止むを得ないということに出るのではないかと思つておりますが、国税のほうにおきましては従来そういう事例はございません。まあ考えられますのは、納税組合などの場合における一定の補助程度以上には出ておりません。国税につきまして、入場税だけについてそういうことをするのも如何かという点もございますので、今度の機会におきましてはその点につきまして特に現在やつておりますようなことを、国税の場合におきましても引続きやるということはまあ考えないことにせざるを得ないのじやないか、こういうような趣旨で法案ができております。
  30. 小林政夫

    小林政夫君 で、経営者が納税組合を結成した場合における組合補助というものは、一般の納税組合に対する補助と変らんわけでしようね。
  31. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 経営者の納税組合というものがどういう恰好になりますか、実はまだ私よく検討してみておりません。と申しますのは、納税組合である限りにおきましては、やはり相当の人数が固まつてつて初めて納税組合の意味があるわけでございまして、或いは大きな都市などにおきましてはその制度をうまく使うのが或いはいいかとも思いますが、小さな一軒二軒の場合におきまして果して意味があるかどうかという点も考えられます。従いまして、この点につきましてはもう少し国税庁のほうで業者のかたとよく話合いをした上で、どういうことを考えて行くべきか検討してみて行きたいと思います。納税組合ができるとなりますれば、現在法律で認められる予算で認められておりまする程度の補助、非常にいささかでございまして余り大きな顔ができない程度の額でございますが、これは納税組合ができれば当然考えて行くべき問題じやないかと考えております。
  32. 小林政夫

    小林政夫君 業界のほうから、そういう歩戻しがもらえない、その代り納税組合等を作つた場合考慮してもらえるか、こういう質問があつたので、特に取次いで御質問をしたわけでありますが、まあ一つ考えてみてもらいたいと思います。  それから、それに関連して気がつくことは、百七十二億八千万円、今度予算を削つて百五十五億五千万円ということになるのですが、その歩戻しを考慮に入れるとそこまで保証する必要があるのかないのかという問題これはどうですか。
  33. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 歩戻しの問題はいろいろ議論あるのでございますが、今度の歳入見積りそのものが御承知のように従来の地方税の実績というものと多少離れたところで計算ができております。そんなようなこともございまして、これは歩戻しの点はどちらかと言いますと、地方財政の需要のほうから出て来る問題、従つて財政需要を計算しますときに、入場税関係の徴税費も要らなくなる。この徴税費の中に或いは歩戻しというものも徴税費の一種として考えて行くという意味におきまして、細かいと言いますか、相当計算して行く場合におきましてはそれが当然考慮に入るべきものだと思つておりますが、細かい内容をよく存じませんので、或いは他の政府委員から御説明申上げたほうがいいと思いますが、一応両建になつております関係からしまして、今お話になりました徴税費が要らない、歩戻しが要らない、これは財政需要のほうの減のほうに一応計算してあるものと私は思つております。従いまして、歳入の関係からしますと、やはり一応予定されておる額は保証するというのがとるべき建前ではあるまいか、かように考えております。
  34. 小林政夫

    小林政夫君 主税当局の考えを以てすれば地方団体のほうはいいのでしよう。  次の質問に移ります。税の徴収猶予について、従来は大分、業者と話合いで半月或いは一カ月程度の猶予をやつてつたわけです。今度国税に移管して徴収が相当厳格にやられる、法規通り……。こういうことについて、少くも国税移管が軌道に乗るまで、国税庁等において少し従来の習慣を尊重して或る程度幅のある運用をしてもらいたいという要望もあるのですがその点は如何ですか。
  35. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 徴収の時期の問題につきましては、これは物品税などの場合におきましては、庫出しのときに納税義務が発生して、そうして翌月の末に税金を払込む。勿論、担保があればもう一月延びますが、なかなかその期間に代金の回収ができないというので、どうもこの徴収の期日の問題についているく批判があるわけでございますが、入場税の場合におきましては御承知のように大体現金取引で済むわけでございまして、まあそういうような意味からいたしますと、現在法案に盛つてありますように、例えば五月中の入場税を六月の末に納めるということ自体がそう無理な徴収期限であるというふうには我々考えておりませんですが、地方税の時代におきまして今お話になつたような事例もあるようでございますし、少くとも過渡的な時期におきましてそう急に一遍にどうするかというような点につきましては、やはりよく実体を見究めて考えて行くべき問題があるのではないか。本来の性格から行きますれば、この徴収の期限は無理だというふうには私は思いません。殊に今度は、政府原案においてもそうでありますが、衆議院の修正などが、ありまして税率も下つて参りますし、従来いろいろ無理があつたのは、税率が相当高かつたということにも一つの原因があるのではないか、かように考えて参りますと、事柄の性格から言えば、現在御提案申しておりまする徴収期限で無理の出る期限だとは思いませんが、過渡的な問題につきましては国税庁のほうでよく実体を見てもらいまして、余り妙な姿にならんようには配慮すべきだと思います。
  36. 小林政夫

    小林政夫君 その点まあ大体資金繰り等とも関係して来るが、国税移管についてかなり業界の反対というような点も、そういう点についての危惧があつたのだろうと思います。まあこれは主として国税庁のほうでの実際の法の運営の問題でもあるし、国税庁長官も見えておりますから、一応主税局長の答弁で満足するけれども、念のために国税庁長官の御答弁を要求いたします。
  37. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 入場税につきましては、私どもの聞いたところによりましても、地方によつて大分融通が利いて運用されているところがあるようであります。そのうち課税標準に関する融通というのを、これを利かせますと、これは法律があつてもなきがごとしの結果になりまして、この点が所によりますと非常にどうも行き過ぎなところがあるようでありまして、そういう点につきましては、今回国税に変りまして税率も相当大幅に下つておるようでございまするので、この機会によく相手方に納得せしめるような措置を講じまして、税法通りきつちり行くようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。徴収の面になりますと先ほど主税局長が言つた通りだと思いますが、本来の建前から言いますと、ほかの取引と違いまして、現金取引、日銭が入つて来るという性格のものでございますので、原則はやはりこれは法定の期限までに納めてもらうべき筋合いのものであります。又それを要望いたしてもそう無理な原則ではなかろうというのが私どもの考えでございますが、まあ併し今までのいろんないきさつもございますし、従来の金繰りの計画等もございましようから、そういう点につきましては、過渡的にはできる限り、実際も考慮し、且つ法の精神に従つた運用を図つて参りたい。これは事柄性質上あまりこういう税が滞納がたくさん出て来るのはそもそもどうも自然な話ではないと思いますので、その辺のところは実際をよく見極めましてできる限り理想通り行くように努めたいと思いますが、一方、実際面を考えまして、できるだけ適正な結果を来たすように努めたいと考えております。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 次は優待券の問題ですが、この税法によると、そういうものは入場者が入場料金を払つたものとみなして税金をとる、こういうことになつているのですが、これも従来の慣行によつて、或る程度、特別な人に優待券を出している、こういう事例がある。そういうものに対して法を厳格に適用して全部細大漏らさずとるということであると思うのであります。その搾り方は問題でしようが、或る程度、この程度のものには優待券を出すのは常識的に認めざるを得ないというようなことで、その点の取捨はお考えになるおつもりであるかどうか。
  39. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 優待券の問題につきましても調べてみましたところが、同じ法律の下におきまして県によつて大分差があるようでございます。法律にも業務上必要な場合には入場券を税なしに発効できるという規定がございますので、その規定による公正な運用ということになると思います。国税になりますれば、地方によつて差別をつけるということは原則としてやるべきことではないので、将来の考え方といたしましては、やはり常識上妥当な線を求めましてなるべく統一を図つて行きたい、ただ過渡的に一定期間は、一遍に従来の地方税のやり方を御破算にしますと摩擦が起きるので、若干の期間を置きまして、それからあとは統一を図る。その結果今まできついところは若干甘くなる、反対に非常にルーズなところはむしろ少しきつくなるという結果になると思いますが、そういう点につきまして経過的な措置も併せて考えまして、妥当な結果を得るように努めたいと考えております。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 少し本来の入場税とはかけ離れますが、大臣に特にお尋ねしておきたい。大分、日にちがたつて今日は少し鋭鋒がゆるんでおりますので、そのつもりで聞いてもらいたい。地方交付税の附則で衆議院が百分の二十を二十五に変える。これは主として我々緑風会のほうでは、三十年度のことを今からやつて行くということは筋が面白くないということで、政府原案で行くつもりで、これは今日の地方行政委員会で出ると思いますが、ただその代りたばこ消費税で或る程度の三十年度において予見される地方財源の不足というものを埋め合せをする措置を講じようという措置がとられるだろうと思うのですが、そういう点についての大蔵大臣の御見解、御所見は如何ですか。
  41. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は主として入場税のこの間の税率の改訂の結果等で、三十年度に至りましても相当減収されることは小林さんのお話通りであります。一応の私どもの見通しといたしましては、あの事業税の基礎控除が変つて行きますので、これは全部が全部であるとも言えない点もございまして、私ども大蔵省式に見ますると、大体三十五、六億円、これが減収になるかと思つております。それと入場税が三十九億ぐらいの減収、大体七十四、五億というものを一応減収と見ておりまするが、実は交付公債が十三億ばかり見てなかつたものもありますので、かれこれ合計しますと八十八億円ばかりに一応推定されます。併し多少余力を見る意味で百億円くらいを追加財源として三十年度に計上することをあらかじめ考えておいたらどうかということで、先般来お話を申上げて、いる次第でございます。それで大体言いますと、まあ「たばこ」の売上税をこのほうで大体百億見当出して、それで地方財源のほうに振向けたい。三十年度はかような考えを持つておる次第でございます。それによりまして百億ぐらいのものはこの地方財源として差引き得ると、かように考えておるのであります。尤も、これは小林さんお説のように、入場税はどれくらい減収になるか、これはよほど見込みが立ちにくいのであります。事業税のほうは立ち得るのでありますが、入場税のほうは立ちにくいのでありますが、一応そういうふうに見て計算して百億に相当する分ぐらいは三十年度はたばこの消費税で見て行きたい、さように考えている次第でございます。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 まあいろいろ衆議院との折衝とか、地方行政関係の交渉のいきさつもあつて、そう純理も貫けないのですけれども、事、三十年度の予算に関係する問題を、たばこ消費税にしても、それであらかじめ百億乃至百五十億というようなものが縛られる、あらかじめ縛られるというようなことは、財政の運営からいつて望ましいことじやなかろうと思うのですね。それを一応今から計算して大体百億程度の不足が予定される。従つてこの地方交付法案等を通過させる際に、はつきりと法で縛つておかなければ地方自治体側としては安心ができないと、こういうような空気は甚だ面白くないと思う。而もそういうことになると、我々会内においても大蔵委員というものも非常に白眼視されまして、非常な反撃を食うわけなんですが、純理を言いますとね。そういう点について大蔵大臣としてはどういうふうにお考えになつておるのか。どうも大蔵省が地方自治庁と約束したことが履行されないというような気持もあるのではないか。そういう国の財政を預かるものとして大いに締めて行かなければならんということはわかるのですけれども、それにしてもあまりにも反撃が大き過ぎるのです。この点について、まあ筋の通らない反撃は又押返せばいいわけですけれども、そういう点について大臣としてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  43. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私どもとしては、大蔵省は約束を実行しないことはないと私は思う。これは約束は従来実行申上げておると思います。ただ御承知のごとくに、この二十九年度予算が一体に緊縮予算等でございましたので、多少配分等に御不満の点があることは、これは各省とも又同様でございまして、その点については従つて御納得の行くように御説明をした最終案が、過月御審議を願つた予算案であつたのであります。従つてその予算案に盛られたもののうち、只今申上げたように、私どもの見込みでは三十年度には八十八億ほど減るのではないか、減収その他で必要とされるものがあるのではないか。従つて百億ぐらいの財源を見ておく必要があると考えたのでございますが、併しこれは小林さん御承知のごとくに、実は日本の今の予算で百億というものはなかなか大きな金額であることは私が申上げるまでもございません。ただ地方行政委員会のほうで、衆議院のほうで、一挙にいわゆる交付税の二十を二十五にお変えになつた結果として、五%変るだけじやないかと言われるが、実は三百億以上に達する金額であることは御承知の通りであります。日本の予算で三百億以上の予算増加を来たすというようなことを決定されたことは、修正には末だ曾つてないことだと私は思います。よく本年は皆さん方言われるが、今年は国防予算々々々々と、防衛予算防衛予算と言つて御不満があるが、百七十億しか殖えておりません。又、私どもは非常に憎まれつつも、補助金のことを、今年は一応何がありまして、とにかく嘩か三十二億しか立てておらない。然るに一挙三百億以上の増加、こういうことをやられたのでは、実は中央、地方を通じての本当の財政計画は立つものではないと私は思う。この財政計画が立つてからこれを初めていいろいろなことを御相談申上げるということはいいのだけれども、財政計画に二百億以上の拘束を受けるということは、来年度の予算が非常な困難です。併しすでに一応衆議院でも御修正もあつた次第でもあるので、これは私どもりほうでも多少その御趣意を酌んで、数字的にもはつきりしたならば、御納得が行けるのではないか、こういうとろから今の百億ということを出した次第で、これも小林さんに率直に申上げれば、こういう拘束を受けずに、どうか大蔵省を御信用願いたい、来年度の分については三十年度のときに御相談申上げます、こういうことでやつて沢ければ一番いいのですけれども、いろいろ話をお取りまとめするのに、御理解を得るのに、或る数字をお出ししたほうがよろしいようでございますので、仮にたばこ消費税、これはどうい、うことになるかわかりませんが、いろいろ数字を出して、百分の二十を出すと丁度八十八億になる、或る人は百分の二十一を出すと丁度百三億か百四億になる、こういうことを言われるが、それではそういう数字で御納得行くならというふうに実はお話申上げておる次第でございます。私ども予算編成の当局者としては、まあ三十年度のことは三十年度のときによく相談をするようにということに願えれば一番よろしいのですが、こうやつて御理解を得た上で話のお取りまとめを願いたい、こう思つた次第でございます。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 今百分の二十一ということでは落ち着きそうにない、もつと百分の二十王という意見も出ているそれとの中間くらいで、百分の二十三くらいに落ち着けば上乗ではないかと思う。そういうような縛られ方をせざるを得ないというようなところに追込まれる大蔵大臣が、一体もう大臣が委員会あたりで十分言明されて、今の言明だけで信用が置けるような態勢でないと、悉くもうそういう前例で、まあ例えば揮発油税について昨年度は一条を抜かれ、或いは大蔵大臣のときではなかつたけれども、だんだんそういうふうな非常な予算の弾力性を失墜せしめるような、法律によつて縛られるという事例が殖えて来るということは、甚だ遺憾だと私は思います。決意を新たにしてやつて頂かないと困るのですが。
  45. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 小林さんの御鞭撻の点は誠に有難くお受けいたしておきます。如何にも私どももこの政治力が足らんという点について深き憾みを持つております。まあいろいろな動きがあるようですが、一日も早くこれらの力が結集されて、一言申上げればそれでよろしいということに御納得の行くような政治力の結集を一日も早く見たいものだ、かように考えております。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今、小林委員の質問に対する納期の問題ですけれども、たしか各地方によつて相当の弾力的なものがあつたが、今度の法律は翌月納めなくちやならない。併しお聞きしていると弾力性のあるような取扱いも、若干、過渡的の間にやつてみたいようなふうにも聞き取れるものがあるのですが、それと関連して、この方法の十九条で、入場券の交付と申しますか、渡すようなときに、大体一カ月ずつに区切つてやれば、そのときに納税がしてなければ入場券を交付しないといつたような点があるのですが、それと絡み合せて、もう一度どういうふうに取つて来るかということを、弾力性があるのかないのか、或いは過渡的な弾力的な取扱いをするのか、それから入場券を渡すような場合は年に一年分をぽんと渡すのか、毎月渡すのか、その辺のところをしつかり御答弁願いたいと思います。
  47. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今までのを地方で実際少し聞いてみますと、所によつても違いますが、課税標準と申しますか、いくら入場料が入るだろうということにつきまして、あらかじめ予想して、それで概括的に承認と申しますか、というようなやり方をやつておるところがあるやに聞いております。全部ではございません。こういうやり方は、私はやはり国税になりました場合におきましては、これはもうきれいさつぱりとやめて、実際の入場者、実際の入場料に応じまして課税する。切符もそれに応じまして渡すということにすべきだと思つております。この点は国税に切替えになりました機会によく業者のほうにも周知徹底を図りまして、きつちり行くようにいたしたい。  その次に、実際に入場税を納める場合、納期でございます。今のお尋ねはそれに関連することでございますが、これも原則としましては、先ほど申上げましたように、大体日銭があるのでありますから、大体原則としましては、納まらぬということはあり得ないのが原則じやないか思います。併し税には御承知の通りいろんな場合におきまして、実際上納まらなくて、滞納になる場合があります。そういう際におきまして、如何なる場合におきましても、この法律を厳重に実行いたしまして、全部いやしくも滞納になつた場合におきましては、完全に的確にやつてしまうというふうに行けるかということになりますと、その点は今までの点もありますので、そう文字通りきちんと行けない場合もあるようでございます。それは具体ケースを見て、その上で妥当な措置をとるべきじやないか。これは表面上そういう慣行なりやり方を一般的に認めて行くという趣旨ではございません。個別的にそういう事情にあるものにつきましては、前日通の滞納の際に処理しております点をよく考慮しまして、個別的に調べた上で妥当な措置をとつて行こう、経過的には若干そういうものが或る程度あるということを予定しておかなくちやならんのではないか。こういう意味におきまして申上げておりますことを御了承願いたいと思います。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その次に、先ほど優待券の問題が出て来たわけですが、この問題は、例えば学生などが、一つの館と約束して、そうして映画サークルを作つておるところがある。割引等で実際入つておるわけです。今度は改正になると、これはどういうことになるわけですか。
  49. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これは現在の地方税法でも同じような規定があるのでございますが、今度の入場税法案でございますと、七条の規定がございまして、これはまあ現在の地方税法でも実は同じ建前になつておりますけれども、ただで入場させても税金だけは納めてもらう。それから特殊な割引をしても、税金は通常の税金を納めてもらう。これが税法の建前でございます。料金を見て参りますと、一般に普通の大人の入場者の場合におきましては百二十円、併し学生証を出せば学割ということでこの場合は百円というふうに、ちやんと館の前に料金を明示してある場合があまりす。これはその百円がそのまま一般の入場料金だ、こういうふうに見て行くべきであります。問題になりますのは、今の学生割引なら、普通の場合は百円である。ところが特殊な、今の演劇サークル、映画サークル、こういうような場合に、そういう映画サークルの人であるが故にといつた証明書を持つて来ますと、普通の学割百円が更に八十円なら八十円になる、このときの問題が今の御質問のところだと思いますが、現在の地方税法でもそういう場合においては実は百円を基準にして課税することになつているわけなんでございます。ただ現実問題として見て参りますと、必ずしも地方税法或いは地方の条例がそのまま施行されてないで、そういう割引について或る程度認めている事例もあるようでございまして、この点につきましてはもう少し実行上よく研究して見ないといけないと思います。或る程度の割引までは認めて行くほうがいいのではないか。要するに今の割引料金は原則として本来の料金に帰る、これが現在の地方税法の建前でもございますし、今度の法律の建前でもあるわけです。ただその割引料金というふうに見るべきか、見るべからざるかというところに、実はこの点に問題があるわけでございまして、例えばいわゆる学生割引と称するものは、これは割引料金ではない、こういうふうに我々は考えるべきだと思つておるのです。と言いますのは、学生証を出せば誰でも百円で入れるのですから、丁度大人の料金と小人の料金とがきまつているというふうに、同じように考えて行くべきではないか。ただ或る特殊な人だけに、特殊に契約して割引いている場合につきましては、これは法文の上から言いますと、今の割引の中に入れるべきかどうか、非常に疑問でありまして、むしろ入らないと解すべきではないかと思つておるのですが、現状におきましては、或る程度それを認めているのが相当あるようでございまして、どういう解釈でそういうことをやつているのか、その点をもう少し検討し、その上で仔細な結論を出して行きたいと考えております。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 映画サークルですね、ああいうのが、私は映画というようなこと対して、或いはそういう演劇などに対して非常に貢献しておると見るか見ないかというのが非常に問題だと思います。私などは、熱心にやり、そうして貢献しているのではないかと思う、文化の点に対してですね。ですからこういうものを一律に見て行くというようなことは、少し映画全体、映画などに対する料金の、文化税みたいなものはこんなものはなしでいいじやないかというような論もあるくらいなときですから、これは一つ徴収のときに、やはり地方では非常に幅のあるものをやつてつたわけですから、やはり承る程度弾力的な扱いをして頂きたいということを希望として申上げるわけですが、これであなたのほうからそうだといつたような結論を出しておいて頂いても、地方によつて徴収がその税務署の考え方によつて又違つて来るかと思いますけれども、一応総体的なあなたのほうから流れて行く税徴収の指示というようなものは、確かに地方地方によつて実情に副つたような形のとり方をしておるのですから、それを急にやらないというのが基本的な考え方であるなら私はそれで了承するわけですが、その辺はどうでしようか。
  51. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 具体的な問題につきましては、よく問題ごとに検討しまして結論を下さなければならんと思いますが、一般的に申上げますと、非常に実施上の、運用上の弾力性のあるやり方でやつている場合におきましては、事柄が非常に法の精神に従つて、どうも行き過ぎであるとか、或いは必ずしも妥当でないというような、根本に触れるようなところまで実は融通をきかしておるところもあるようでございます。こういう問題はやはり国税に移りました機会におきまして、原則としては直して行くということにすべきだと思いますが、お話のようにいろいろな細目に亘りまして、若干実情に応じて、地方によりまして常識を働かして法を運用してうまくやつている、こういうような面につきましては、或る程度よいところはやはり取入れて解釈を下すようにして行つたらどうであろうか。ただ最初申上げましたように、私どもとしてもこの際直したいのは、課税標準のきめ方につきまして事前に協定してきめるようなやり方をやつているのか、率直に言つて相当ある。殊に地方においては特にあるようです。こういう点は基本的に直したい。その他の細目の点、今申しましたような割引の扱いとか、無料入場の扱いとか、そういうような点につきましては、これはやはり全国統一を図らなければなりませんが、かかる際におきましても、現在地方でやつておりますよいところはできるだけ取入れ、如何にも非常識なところは排除いたしまして妥当な線を求める。そこまで行くにいたしましても、過渡的には、問題によりましては若干従来の慣行を相当認めたような行き方も取入れてやつて行くというふうに、若干問題を分けまして、運用上遺憾なきを期して行くようにして行きたいと思います。今お話になりました割引の問題につきましても、私は先般少し問題にしたことがあるのでございますが、割引の料金が、学生に限つて、或る時間安く一般的にも入場せしめていると、これは主税局長がさつきも言いましたように、そのこと自体が一種の特定料金でありまして、ここに税法で書いておりまする割引と見ないのが一般的にいいのじやないかと思つておりますが、具体的によく個々のケースを検討いたしまして、税法の趣旨に従つて常識にも合うような運用をできるだけやるように努めたいと考えております。
  52. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 譲与税にちよつと関連するのですが、これは何か昭和二十五年度の人口調査ですかを見ておられるのですか。国勢調査が何か十年に延びて来たのですが、今後こういうものをやられるときには、人口がどのくらい殖えたかということは正確には出ない。大雑把にはわかるかも知れませんけれども、各府県、或いは市町村に分けられるときに、どういうようなかけ方をするか。今後二十五年度のものがずつと昭和三十五年まで引続いてやるのか。まあ大体殖えて来たというのを、マスの数字を掛けて、それを基準人口として行かれるのか、その辺のところはどうされるのですか、伺いたい。
  53. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちよつと今関係の者を呼びに参りますので、それで詳しく御説明申上げたいと思いますが、私の聞いておりますところは、二十五年の数字がそのまま使われるというのじやなくて、その後における出入りがございますから、その出入りを取捨したところで人口は計算する。ただ国勢調査のようにびしつとした正確な数字であるというわけにはこれは或いは行かんかも知れん。死亡があり、出生があり、或いは転入があり転出がある。それを国勢調査の数字を先ず土台に置きまして、その後のそうした出生、死亡、転入、転出を増減したところで一応現在の人口を調べ、人口総数を推定する。従いまして国勢調査の場合のように正確な数字とは言いませんけれども、併し二十五年の数字がそのまま十年間なら十年間残つて行くという意味ではございませんで、その間における人口の増減というものは当然加味されるものだと考えておりますが、今、係りの者が参りますので、更に詳細に御説明を申上げたいと思います。
  54. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣にちよつとお尋ねしますが、これは例の遊興飲食税との関係なんですが、まあ、ああいう税制調査会は二本建に出して来て、で、まあいろんなことになつて、こんなことをあなたと何遍か押問答したくないのですが、今後税制調査会などが又この遊興飲食税を国税にせよというような答申を出して来るのじやないかと思うのです。それに対してあなたのほうはどういうお考えなんですか。絶対にそれにせないと、こういうふうに考えておられるのか。又来年は来年だと、こうおつしやるのか。
  55. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは まあ税の問題はやはりそのときの国の財政上から勘案しまして出して行くということになりまするので、私どもとしては、これは私は率直に申上げた通り、当初においてはその税制調査会の意見を取入れたいというふうに考えておつたのでありますが、その後いろいろ調べました結果、どうも遊興飲食税については、これも率直な言葉で言えば通過する見込みもないといつたようなところから、又現実に入場税のほうが片寄つている、これは次善を期してというよう考え方でいろいろやつたのでございまして、それで今のところは遊興飲食税を国税に移管するという考え方は持つておりませんけれども、併し又今後ともそういう税制調査会等の御意向が引続き又出て来るということでございますれば、そのときの情勢によつて考えて見たいと、かように存じております。只今のところはさような考え方は持つておりません。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はその言葉尻を抑えて……、通過しようとかどうとかいうことについてはあなたと議論を闘わしたいのですが、そういうことはやめて、なぜ私はそういうことを聞いておるかというと、税が、今度はこれに一つ税をかけるぞというようなアドバルーンをあなたのほうから上げられる。それに対して反対の陳情があつて、簡単に言えば、政治献金というようなものがありやしないか。そして、それが消えて行く。又これをやるぞというようなアドバルーンを上げられる。そういうふうに、どうも陳情政治と申しますか、おかしな、空気が濁つて仕様がないと思うから、やはりこれは歳入との関係があるから、或いは歳出との関係があるから、私はそれはずつと一遍きめたことはしまいまでやれというような無理なことは言えないと思うけれども、併しまあ片つ方ではそういうふうな匂いがなきにしもあらずだと思うのです。ですから、私は或る程度基本的なものを、まあ国民からも不信の声も起きて来ると思いますから、十分注意してもらいたい。そういう意味でお尋ねをしておるわけです。あなたから又出たとこ勝負だというような返事ですから、どうもおかしな気がしてならないのですが、もう少し私ならば私に納得行くような御答弁が頂けないものでしようか。
  57. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は出たとこ勝負というのじやない。本年はああいう工合で出しませんでしたけれども、今後それじや今のところ三十年度で出すかと言われても、これは出す考えは今のところ持つておりませんが、併し更に調査をした結果、或いは三十一年度になるか、いつになるかわかりませんけれども、先に行つて、これはやはり国税に移管すべきものである、こういう輿論も強く、又私どものほうでもそういうふうに考えれば、これはそのときは改訂する。だから今何とも申上げにくいと実は申しておるので、むしろ私は出たとこ勝負でなくて、はつきりした考えは、そのほうが私どものはつきりした考えだと思うのです。ただ御承知のように、私はこの問題でいろいろ運動があつたとかいうことを耳にしましたけれども、私はさようなことで国会議員各位が動かされることはないと実は私は信じたい。又信じております。信じておりますが、併しこれはよく言われることですけれども、私どもも二回も出しても全然御審議がない案がありましたので、もう三回出す勇気……、理論としては誠にいいと思うのだけれども、どうも通る一見込みがないものを幾ら理論がよくてもお出ししにくいので、例の義務教育費半額国庫負担特例は、二回出したけれども一回も御審議がなくて済んでしまつたという問題もあつたので、やはり国会に出すときには、国会通過という見込みが立ちませんものをお出しすることもどうか、こう思うので、これらの点もこれはあなたが私の立場になつてお考え願えれば、通らもぬもので一つ理論が正しいから出すというよりも、出します以上は、歳入も見込むものですから、予算なんかが付いておるものですから、そういう点も一つ了承願いたいと思つております。これはどうも事情止むを得ず、どうぞ御了承願いたいと思うのです。
  58. 平林太一

    平林太一君 入場税に関連して遊興飲食税の問題は、私は独自の立場で大臣に質して置きたいと思いますが、入場税を今回の改正法律の処置をいたしたということは、政治的に極めて大きい問題であります。いわゆる緊迫しておる地方財政に対して特定なる地域のみに偏在しておるところのこの入場税というものをいわゆる特に甚だしい困窮地にまでこれが措置されておる、そうしてこの地方財政のいわゆる平等均と言うか、均等化を図ろうというところに、これはこの税を妥当とする基本的な方針というものが常識的に納得されるわけです。従つて当然この法案を、この入場税を処置するに当つては、入場税といわゆる前輪、後輪の関係にあると言つても差支えない、或いは東西左右の関係にあると申しても差支えないのだ、その遊興飲食税、これをなぜ並行してこの処置をいたさなかつたかどうかということを、改めて私からこの推移をお尋ねしたいと思います。
  59. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今もお答え申上げた通り、これは地方制度調査会でも、特に税制調査会におきましては、この二つの、今、車の両輪とかおつしやつた、いわゆる地方税のうち入場税と遊興飲食税とを国税に移管する、そうしてそれを人口別でやるとかいろいろな意見がでておりまして、私ども一応御尤もと存じて、これに対しているく検討を加えたのでございましたが、併しどうしても遊興飲食税は国会通過の見込も立ちませず、又今日の段階では一番そのうち片寄つておる入場税、このほうを先ずやるべきである、こういうことに考えが一決いたしまして、それで入場税のみを取上げた次第でございます。大体から申しまして、今お話のごとくに、丁度入場税のあがる繁華な地域にある部分を、人口別にそこからあがつて来る税収を皆お分けするというのでありますから、その点、大変私は地方財政には、俗に言う富裕県と然らざるものとの間の按配をするのに大変役立ついい制量であると考えておるのであります。同じことは遊興飲食税についても言えるのでございますが、これは今申上げた通り、一応私どもとしましてはどうも国会通過の見込が全然立ちません。それを出しましても立ちません。それと又、理論としては…一応地方税のうち入場税を、一番片寄つておる入場税を移管するということにとどめる、こういうことにきめて入場税をお願いしておる次第でございます。
  60. 平林太一

    平林太一君 今の大蔵大臣の御答弁は、いわゆる政治的なように御答弁回避されておりました。私から申すことは、あえて税制審議会が答申して来た云々とかいうようなことは、それは一応参考としては取入れてもいいが、国会としては、この税制審議会の審議、答申というものは必ずしも妥当であるかないかということは、それよりもより遥かに見識、権威を持つた、いわゆる国会というものがその答申に対する採択というものを考えて行くべきものだ。必ずしも税制審議会の言つて来たことが妥当だということには私は考えられない。税制審議会というものは税制審議会として、国会との比較からいたしますれば、遥かに範囲が狭い。或いは又限られた人員によつてそれは審議せられておるものであるから、そういう税制審議会というものに対して国会が尻込みしてはいけない。形式の上において又実際においてそうなんである。そういうことを私は考えておりません。税制審議会のことなどは、国会として、妥当であるか、妥当でないか、このことは取上ぐべき問題であるかないかということで、これは進むべぎことだと思います。従つてそういう意味において、このことに対する大蔵大臣の正しい考えをこの際打ち出しておかなければならんと思いますので、これは申上げるのでありますが、かようなことは先刻も申上げました通り、入場税の問題につきまして、これは国会が、通すか通さないかというような、さような何と言いますか、税の取扱に対して一つの方針を持たない法律改正に対する取扱い方というものは甚だ遺憾である。大蔵大臣としての小笠原君が、多年政界に馳駆された人でありますから、そういうふうに官僚的な雰囲気になつてもらつては甚だ困るわけであります。やはり我れ一人といえどもこれは往かん、——正しいことでありますれば、それを貫徹しなければならん。そのために数によつてそれが敗退するということは、これは止むを得ない。併しながら国会提出することについても是非はおのずからあるわけであります。今のお話では通らないとおつしやるが、通らんということはどういうところを対象にして通らんとおつしやるのか。遊興飲食税は、過般の疑獄事件の中心をなした……これは非常に細かいことで、さようなことは甚だ言いにくいことだが、赤坂辺における一料亭において一カ月に数千万円の利益を挙げておる。こういうふうな事態が現われておる。事実かどうか、その点のことは私も知らないが、併し新聞報道その他によつては、そういうことが出ておる。だから、そういうものがどこから出て来たか。今日の常識から言つて数千万円というような利益が一カ月に出るということは我々常識で判断できないことである。ところがそれは相当の理由がある。個人のいわゆる遊興によつてそういうものが生じたものではない。いずれにしても、税に関係のある国家のそれぞれの予算を通じて、国家資金を通じて生じたところの遊興税である。そういう莫大なものが個人で……今日の日本において赤坂の一軒の料亭が一カ月に数十万円の利益を挙げるなんということ、これは個人の遊興ではあり得ないことである。だから、そういうことは、せめてもこれを還元する。その還元するということは税の上において凱切に考えなければならんことだ。それをいわゆる国税として引揚げる、そうしてその国税を全国の地方財政に均霑さして行くという措置は、当然私は、特に大蔵大臣としてのあなたであるから、こういうお考えは起して然るべきだと思う。  入場税に対してはそういう意味におきまして、私は、なぜ今度遊興飲食税を取上げてやらなかつたか。それから取上げておけば、当然事態というものは、国会を通過しないとおつしやるが、やはり世の中の情勢というものは刻々に変つて行くから、今日のような状態になれば、まさに遊興飲食税を出しておれば、若しこれを通さぬなんというような事態……又、国会において入場税と同様にこれを通すということは当然であり、この遊興飲食税を否決するという議員はこれは発言ができないものです。入場税に対しては恐らくこれは満場一致でしよう。こういうものに対して誰が反対するか。反対するなんということは今日はあり得ない。殊にいわんや遊興飲食税とは、極めて何と言いますか、遊興的な、名の通り遊興税、遊興から生ずるところの税を出しておけば、これは通つたのです。若しこれに国会が反対するというような者があれば、それは何らかの一部の陰謀であるとか、或いはそういうような悪い措置によつてこういうことをやるというのでありますから、極めて少数であるべきなんです。世の中のことは決して、正しいということは、それが実際の殊に社会的な情勢から正しいということの方向に向つて来れば、これに反対するということはできないはずです。それを今お話を聞きますと、通らないということで出さなかつたということは、非常に私は大蔵当局の重大な失態だと思う。併し又、私はいつも申上げる通り、善良なる大蔵大臣に対して責を追及するということはいたしませんが、この際やはり大蔵大臣としては、果して次の国会に大蔵大臣としてそういう取扱いができるかどうかわからんが、併しこの問題だけは、この際、当然出すべきなんだ。そうしてこれを後任者においておやり下さるように引継いだら、これは結構なんです。但しそういうことも慮られて、次の国会には当然遊興飲食税は入場税と同様の処置をすべきだということは、私は言明があつて然るべきだと思う。そういう点を第一にお尋ねいたします。委員長お急ぎのようでありますから、私もあとの再質問はいたしません。それから三百億円内外の、衆議院で修正をされるということで、成立するというと、非常に財政計画が立たん。これは無理もないことなんです。立たんから、今日まで昔の歴代内閣というものが、事いやしくも政府の財政上のいわゆる提案に対しましては、修正ということをされた場合にはこれは譲れなかつたわけです。それが通らなければ当然職を辞したわけです。そこに私はいわゆる国の財政に対するところの動かない方針というものが一貫し、確立されるべきではないかと思う。それを幾ら修正されても修正された範囲において、それで通らなければ、それを政府が承認して修正に応ずる、こういうようなことは、これはまあ非常に重大なことなんです。今後のこの点に対しては、この際、大蔵大臣は一体どの程度の修正が政府提案の財政に対する、予算が修正されるということに対してどの程度までその修正に応ずるのか。それからその際に通らなければいわゆる職を辞めるということを当然これは考えなければならないことなんです。これは、かようなことが便々として行われておるということになりますれば、いわゆる政府提出であるか、一部ののいわゆる策謀、陰謀によるところのそれならば、多数党が衆議院におきまして……、参議院にそういうことはありませんが、そういうことによつて、何かそれが例えば政府の倒閣の材料になつたというようなことになつたら、どういうことになるのか、そういうことを非常に心配するわけです。心配と言いますか、全体の問題として非常に憂慮するわけなんですが、その点を、私は言葉の足らない点がありまするが、十分にそれをお含みになられて、一つ政治家としての大蔵大臣小笠原君としての御答弁を承わつて置きたいと思います。
  61. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の遊興飲食税関係についてでありますが、これは現在地方税でとつておりますることは御承知の通りでありまして、従つてそれを国税に移管する場合には、やはり中央地方通じての予算その他の措置をとらなければならんことも御承知の通りであります。従いまして、予算の問題が伴いまするので、やはり国会等の一応の見通しを立てませんと、器純に理窟の上のみで多少行きにくい点もあるということで御了承願わなければならんと思うのであります。なお私どもも、国会の御意見をこそ尊重するのでありまして、ただ今の税制調査会の御意見は勿論非常にいろいろなかたが多数熱心に御討議下すつたのでございまして、尊重いたしまするけれども、それは今仰せのごとくに、これは参考とするにとどまることは、これは申すまでもございません。それからあとの私の所信についてのお尋ねでございまするが、これは、私は実は自分としては今日の政治力というものを以てしても……、併し予算の成立は是非とも望ましいことであるので、或る程度の、過日の三党協定のごときところであるならば、これは予算の成立には代えがたいから、それを承服すべきであると私個人は考えております。即ち、その際に私申した言葉は、私どもは主義として立つておる、主義に関する問題であるならば、これは飽くまで自分の所信を貫くために闘うべきであり、或いは又それがために自分の進退についても考うべきでございまするが、主義の問題でなくして、程度の問題であるならば、やはり政治というものは或る程度自分のみの考えではやつていけませんので、いろいろな考えを織込んで行くということも必要なのであります。私は程度の問題の際は自分の意見のみを固執すべきではない、やはりそのことをよく織込んで行く場合にはそれが一つの政治であるのではないか、かように私は実は考えておる次第でございます。これは平林さんのお尋ねですから、自分の思うままを申上げた次第です。
  62. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時五十六分休憩    —————・—————    午後三時十二分開会
  63. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前中に引続いて会議を開きます。  先ず請願及び陳情に関する小委員補欠選挙の件についてお諮りいたします。去る三月三日、松永委員の本委員辞任に伴い、請願及び陳情に関する小委員に欠員を生じましたので、この際その補欠を選定いたしたいと存じますが、前例により委員長より指名することに御一任願つて異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それでは請願及び陳情に関する小委員に東委員を指名いたします。   —————————————
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に入場税法案議題といたしまして質疑を行います。
  66. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 午前中に、成瀬委員の御質問に対しまして、非常に相済まなかつたのですが、私、間違つたことを申しましたので、訂正さして頂きたいと思います。それは、入場税法案に関連しまして、人口をどういうふうに調べるか。国勢調査は十年に一回、それがそのまま固定されるのじやないかという御質問に対しまして、毎年、その出生、死亡等を見て異動するように実はなつておるようなふうに考えておりましたものですから、そんなふうにお答えしましたが、それは間違いでございまして、全部取消さして頂きまして、改めて御答弁さして頂きたいと思います。お話のように、譲与税法案によりますと、国勢調査によつてきめた人口をそのまま使つて参ります。ただ国勢調査は、お話のように十年に一回やつておりますが、中間に五年に一回人口だけの調査がございますので、五年ごとにその人口の数は見直して行くということになつております。ただ地域の異動等が、これはまあ府県の場合でございますから余り考えられない。市町村などの場合に比べて、その例は殆んどないとも考えられますが、万一そういう異動がございますれば、その分の地域の異動等による増減は、これは加味して行くことになつておりますが、それ以外では五年に一回づつ人口を変えて行こう。五年間据置くことにつきしては、いろいろ御議論があろうと思いますが、結局一つの割合を出して行く基礎になる数字でございまして、それでもまあいろいろプラス、マイナスはあるわけでございますが、他に適当な資料となるべき数字もございませんものでございますから、止むを得ざる手段としてこういうことになつているものと御了承願いたいと思います。先ほど聞違つたことをお答えしたことを重ねてお詫びいたします。
  67. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 入場税法の逐条的にちよつとお尋ねしておきたい点だけをお尋ねいたしたいと思いますが、先ず第一に、第一条の第一種と第二種とに分けられました理由一つお伺いしたい。それは何故かと申しますと、スポーツという点ですが、これはスポーツは、あの野球にいたしましても、プロ野球と学生野球というような関係もあるだろうし、ノンプロと、プロ野球、こういうのがあるのですが、それらの関係からスポーツは第一種に入つているのですが、その点に関連して、第一種と第二種とをどうしてこういうふうにお分けになつたか、この点をお尋ねしたい。
  68. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 第一種と第二種の区別は、大体現在地方税法でとつております分け方、これはもう一つ第三種が入つておりますが、それをそのまま踏襲したわけでございまして、多少、展覧会場、或いは博覧会場、遊園地というようなものと、映画演劇というようなものには、性格的な違いがあるのではないか、そこで、この二つに区別したことによります扱いの違いとしましては、第一種のほうは免税点がない。第二種については免税点がある。これは両方とも免税点を置いたのでございますが、衆議院の修正の場合におきまして、第一種のほうは免税点二十円ぐらいでは大して意味がないのではないかという意味で、この分を、免税点の制度は第二種だけに限定されましたので、そこに一つの違いがあります。それからもう一つの違いは税率の違いでございます。税率は第二種の場合には百分の十になつておりますが、第一種の場合におきましては条文によつて税率が違つている。但し今お話になりましたようなスポーツ、これもそれだけではございませんので、交響楽とかいろいろな純音楽というようなものにつきましては特別な税率がきめられている、こういうことになつておりまして、特に第一種、第二種と区別しなくても或いはいいのかも知れませんが、多少この間に性格の違いもございますし、又、免税点、税率等で区別してよい分もあるのではないか、こういうふうに考えられましたので、現在地方税法でとつております建前を一応そのまま踏襲することにしたわけでございます。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、免税興行に関する第八条と関連してでございますけれども、スポーツのうちで、今やつております六大学のリーグ戦であるとか、或いは毎日、朝日の春と夏行われる高等学校の野球、こういうものは、免税対象には、私が読んでみたところではならんように思うのですけれども、これはやはり第一種としてこの税率が課せられるということになるのですか。具体的にお伺いしたい。それからこの間、行われた柔道の選手権大会……。
  70. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今お挙げになりました六大学のリーグ戦、それから夏の高等学校の、甲子園などでやつております大会、そういうようなものは、結論から先に申上げますと、大体免税になるのではないかと考えております。それがどういう法律の結び付きでそういうことになるかといいますと、第八条に免税興行という規定がございまして、「当該催物が演劇、音楽、スポーツ、」これで該当する。これは今挙げられたものはここに該当があるわけでございます。更にこの中で、第八条の前段にありますように、「別表の上欄に掲げるものが主催する催物であつて、第三項の規定による承認を受けた……」、別表上欄というのを見て参りますと、これはこの印刷でございますと三十二ページでございますが、「児童、生徒学生又は卒業生の団体」或いは「学校の後援団体」、社会教育法文は同法第二十一条の公民館、こういうふうに並べてございまして、六大学の場合におきましては六大学の野球連盟というものが、主催者だと思いますが、その場合におきましては、その別表の四号にあります「社会教育法第十条の社会教育関係団体」、これに当るものじやないか、こういうふうに考えております。それから又その得た剰余金は「支出先又は支出の目的」と書いてございますが、これに一応該当するような使い方をしているようでございまして、この両方を見まして大体課税にならないで済むのじやないだろうか。それは一例でございますが、大体現在でも課税しておりませと、今後こおきましてもそれは課税しないつもりで一応の法案作つてございます。
  71. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこで第八条の四号に「当該催物に参加し、又は関係する者が何らの報酬を受けないこと。」と、こうあるのですよ。これに引つかけられる虞れがこういう場合に相当生じて来るだろうと思うのです。例えば審判に頼んだ人に審判費用を出すというか、これは出すだろうと思う、謝礼とか何とか……。「何らの報酬を受けない、」これも条件になるのでしよう、あなたのほうで厳重にいえば……。これを全部つつき出すと、何らの報酬を受けないということになつて来ると、相当面到臭くなつて来るのではないかと思うので、今のあなたの答弁がはつきりしておればそれでよろしうございますが、これに関連するようなことはございませんか。
  72. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この報酬を、政府としましては、いわゆる実費弁償に当るような程度のものは、これはここでいう報酬とは考えておりません。そこで六大学の野球のアンパイヤに対する報酬は大体その範囲を出ないというふうな話も聞いております。出してはいますけれども、一応何といいますか、車馬賃といいますか、その程度の範囲を出ていない。従つてここにおける報酬の範囲といいますか、そううい実費弁償以上の報酬は払われていない。従つてこの四号には該当しないで済むのじやないか。かように考えます。
  73. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました。第八条の四号の「何らの報酬」という意味は、私が規定を読んで解釈するような固いものではなくて、実費弁償的なものは「何らの報酬」の中には含まれないものである。こういうふうに了解してよろしうございますね。
  74. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さよう御了解願いまして結構でございます。
  75. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました。その次の第一条の競馬場、競輪場、それから競艇というか、モーターボートが今ございますが、これは入場料というものは殆んど当てにしていない所だと思うのですよ。こんなものは入場料を目的としているのじやなくて、実は車券や馬券を売ることを目的としていると思うのですが、これらに対する入場料なるものは、恐らくただでやるというようなことも、面倒臭ければただでやつてしまつて、そんなものは当てにしていないと思うのだが、若しもそういうふうなことをやり出したら一体取締規定はあるのかどうか。それをお尋ねしておきたい。入場料をとらずにどんどん入れてしまう。競輪場や競馬場というのは別に入場料をとらなくても、地方競馬場は、今度国営から民営に移管するというような問題も起きています。そうすると、こんなものをやかましくいつて入場税が要るなら……、第一種については免税をしていないと、こうおつしやつた。今度修正して、それは面倒臭い、そんなものはただで入れてしまうということになると見倣すなら、入場税を徴収しないというのなり、あれでしようが、こういうものの取締りを考えられておられるかどうか。
  76. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在国営競馬におきましては大体五十円から百円くらいまでの入場料を徴収しているようでございます。それから地方競馬の場合には、安いのは五円くらいから五十円くらいまでの入場料を徴収しております。お話のように競馬場におきましては主として馬券の売上げというものを中心に考えてなされておりまして、まあ入場料というものを特に収入の対象としてどの程度重きをおいているか。それほど大きくあるまいじやないか。我々もそういう程度だと思いますが、今申したような程度の入場料をとつておりますので、現在の地方税法におきましても一応それは入場税を課税しておりますから、今度も課税してよかろう。勿論、馬券その他につきましては、これは別途の制度、そういうものがございますので、それは入場税の範囲ではない。  そこで、その次の御質問でございます全然入場料をとらなかつたらどうなるか。法律の上で現在一応入場料は何ほどかとるという規定になつているということでございまして、従いまして、それを無理をしてゼロにすれば、まあそのどうした理由でゼロにされたかという点を詮議はして見て、場合によりましては無理に無料入場にしたということで、或いは或る程度この規定が働きまして入場税の問題が出て来るかと思いますが、その場合におきましては、具体的な事例についてよく検討してみるべきじやないか。ただ現在の法律では一応相当の入場料は徴収するというのが建前になつているということでございます。
  77. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、これは法律によつて入場料をとらなければならんということになつているから、とるということになつているのか、とらなければならんというふうになつているのか、どうもよくわかりませんけれども、競馬法や競輪法で調べてみなければわからんと思いますが、取るということになつてつても、主催者側は、もうそれは入場税で国税ということになつて大分やかましくなるから、取らなくてもいいといつて、取らないということになつたら、その法律には違反になるけれども、この入場税法によつては取締るということはないのですか。というのは、ほかのやつはもう入場料が唯一の収入になつてやる催しです。ところがこれは今申上げましたように、入場料なんてものはこれは問題じやない。だからもうこんなものは取らんぞということに意識して向うから対抗して来ると、これに対する措置があるのかないのかということだけ伺つておきたい。
  78. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 結局、具体的な場合について見ませんと、或いは、はつきりしかねるかも知れませんが、一応考えられますところをお答え申上げますと、七条の一項二号に、全然入場料金を取らないで入れた場合におきましては、ここにまあいろいろな要件は書いてございますが、経費をその収容人員で割つたものを料金とみなしまして、そうして入場税を課税するというような規定がついているわけでありまして、これにまあ今の具体的なお話がどういうふうに適用されますか、多少今のようなことを特別に想定してこの規定はできておりませんで、むしろこれは別の催物関係を頭に入れて書いてございますので、それがすぐそのままぴつたりと当る規定だとはちよつと言いかねるかも知れませんが、この規定がそういう事態のときにどういうふうに働くべきかというふうにして考えて行くべき問題じやないかと思つております。仮定の問題でございまして、現在の競馬法とか、そういう建前では、一応入場料金をとらなければならないことになつておりますので、或いはお話のような事態が含まれないとも限りませんが、その場合におきましては、この七条の二号の規定がどういうふうに働くかというところで問題を処理して行きたいと思つております。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 念のためにお尋ねしておきたいのですが、それはまあ適用はされないとおもいますが、講演会、或いは演説会等について、よく今まで入場料金をとると入場税法にひつかかるとか何とかいうので、講演と映画の会だというようなことで我々もよく主催しまして、その入場料をとつてやられたのですが、これは入場料をとつたら入場税がとられるから面倒くさいということに結局なつたのですが、そういうような講演会だけだつたら、これは第一種にも第二種にもならないで行ける。これは、はつきりしている。どういう入場料をとつてもこれは高い入場料をとつてもいいだろうと思います。はつきりしてね。だけれども、講演と映画の会というので、人寄せのために映画を一本入れるのは、これは常識上、あなた方も接しられると思うのですが、それは講演をする目的でやるのだ。ところが入りがいいというので映画を一本入れる。こういうような場合を如何に取扱われるか、ちよつとお尋ねしておきたいと思いますが、適用の問題で将来必ずこれはある。
  80. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今のお話のように、講演会だけだつたら、これはもうあえて御答弁申上げる必要もないほどおわかりだと思いますが、課税問題は起きない。それで、映画を入れた。まあ我々のほうで考えておりましたのは、それがまあいわば映画は人を集める一つの手段ぐらいのためにやる以で、講演が大体主たる目的だというなら、これはまあ単純な講演会と同じに考えて行くべきじやないか。逆に、これは下手に運用されると我々のほうでこわいのですが、むしろ映画を見せるのが主で、ただ要するに税のことの故に何か講演会をくつつける、碌な講演会はくつつかんと思いますがまあそういうようなことになつた場合に、それがこういう会であるが故に云々となりますと、これはちよつと弊害が出ようと思いますが、普通に考えられる場合におきましては、映画が多少入りましても、それは講演会が主催であるもので、同時に講演会として見て行くべきものだと考えております。
  81. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これだけはつきりしておくと、僕らの今までこれは税務署との間で起した問題でございますので、講演と映画の会というのをやつて、単なる会場整理費程度のものを取つたところで、これは講演が主体であるような場合には適用されないものである、こういうふうに了解してよろしうございますね。徹底してもらえますな。今の主税局長の答弁からいうと、大体そのように取扱われそうだからね。これは平田さんも責任を以て答弁してもらわんと、これは地方へ行つて十円か十五円ぐらいの今の値段で……二十円以上か……はつきりしておかんと、こういうのは問題が起きるんだし、今までよくそれで引つかかつて税務署との間でいざこざをやつたことがあるんで、経験に基いていよいよ実施される前に確認しておきたい。
  82. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 映画にもいろいろありまして、そこでよつと私のほうも、我々のほうは正直に言いまして、単に本当に映画がお添えものであるような場合、講演会が主体であれば、それを課税の対象にしないということは考えていいと思いますが、ただここで、そういう御答弁を申上げたために、非常にいろいろな、御承知のように、非常にニュアンスのある問題で、というのは、程度が随分あるんじやないかと思うんです。映画そのものがどつちかといえば相当の中心になつておるような場合、おのずからそこに料金なら料金の額におきましても、いろいろ会場整理費というような名前ではありましても、額に高低が……高いのもあろうし、安いのもあろうというので、そういうのでありますので、講演がくつつけばすぐ全部講演が中心だということまで、ちよつと私から言うだけの元気がございませんが、大体その会合の主体が講演にあるという場合におきましてはそれは入らない、これは申上げていいと思います。
  83. 東隆

    ○東隆君 今のような場合、非常に僻地の場合、輸送料だとかいろいろ関係で、フイルムを持つて行くのに相当かかるんです。そういうようなところでは、講演を中心にして考えてみても、相当額がかさむんじやないか。だから、そういうような場合も、実費支弁だとか、いろいろな形で出て来ると、思いますが、そういうような場合に、どうです、こういうことをおつしやつたほうがいいんじやないかと思うんですが、講演と映画の会、こういうような場合にはこれは税を坂らない、(笑声)映画と講演の会というようなときには税を取るんだ、こういうようなことをはつきりさしておいたほうがいいんじやないかと思いますが……。
  84. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 講演と映画の会なら税を取らん、映画と講演の会なら税を取る、これは私が先ほど申上げたのと多少それと通ずるものがあるんでございますが、それはビラに、講演が上に書いてあるか、或いは映画が上に書いてあるかということで区別すべきものじやないというふうに思います。それで恐らくこういう点で考えて行くべきじやないかと思いますが、まあ整理のために或る程度の料金をとりましても、それが特に主催者の剰余とか何とかいうことでなしに、いわば実費弁償になつて行くんだといつた程度のものであれば、映画がそこへ入りましても特に課税しなくてもいいという考え方が許されるんじやないかと思います。講演と結び付いておる場合につきましては、そういうような考え方で、もう少し具体的に研究さして頂きたいと思います。
  85. 東隆

    ○東隆君 今の場合、一番問題になるのは、私は文化映画が問題になると思います。これを中心にして……やはりトラブルの起きないように一つきめておいて頂きたい、こう思います。
  86. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点につきましては国税庁と十分連絡を取りまして、あとでトラブルが起きないように十分気を付けたいと思つております。
  87. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは現に今でもときどきあるんです、その問題について起きる場合が。だからこの点については一つはつきりと起きないように解釈をしつかりとしておいてもらいたいと思うんです、全国統一して。あそこの税務署管内ではよろしい、ここの税務署管内ではいかんというようなことのないように、統一しておいて頂きたいと私は経験から申上げるんです。  次にもう一点これと関連して、同じような問題をお尋ねしたいんですが、映画、演劇、演芸というのですが、この中には、教育関係、学校関係のやつがよくあるんですが最近、職場サークルとかいうようなサークルや演劇とかいうのが盛んに行われておることもあなたお認めになるだろうと思う。ところが会場を借入れる場合には、電気の使用、その他の会場費等のこれもやはり入るのです。僅かな整理費だけを取らなければ会場の借入費が出て来ないので、それは営業を目的としないんだが、そういうような社会福祉事業法とか児畜福祉法、これらにもあまり当てはまらないんですが、十二の「その他前各号に掲げるものに類するもので、政令で定めるもの」、この中で一つお定めになる御予定はあるかどうか、これも一つつておきたいんですが、サークルだとかいうのはよくこれも問題を起こすのですが、特にこいつを一番盛んにやるのは共産党等がよくやるのですがね。奈く連中は研究してはいろいろ問題を起すだろうと思うのです。とすると、別に共産党のやつを援助せいという意味で申上げるのじやないが……まあこれは余分なことかも知れませんけれども、とにかく職場サークルとか何とかいうのが多いのです、実際問題として。こういうのはどうなりますか。ほかのものは全部あるのだが十一までにないのだ、それが。十二でお定めになる、政令で定めるものの中におきめになる用意はあるのかないのか、特別な取扱いを考えて、これはやつぱり二十円ぐらいとることになるだろうと思うのですよ。二十円か三十円職場で券を買わしてやるというようなこともあり得ると思う。そうすると、この入場税によつて税金をとるかということになると、これも問題が起るだろうと思うので、この際お尋ねいたしておきたい。
  88. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 免税興行の規定は多少お話になりましたようなものとは実は違つた感覚の規定でできていると思うのでございます。むしろ入場料金をとることが普通の常識の場合であるような場合、或る映画会なら映画会を催した入場料をとるのはこれは普通の考え方だ、その場合に、主催者が或る特定の人である、同時に剰余金は或る特定の目的に使われる、こういうような場合におきましてはこれは税金を免除して行こう、こういう考え方でできているものだと思つております。従いまして、職場サークルで演劇会を催した、その場合におきまして、いわゆる実費的な料金があるといつたような場合に、この八条の規定を使うべきかどうかという点は、ちよつと私、この八条の規定とは別の……余りそういうものじやないものを実は予定しておりまして、それでちよつと性格が違うのじやないかというふうに思つております。で、料金を全然徴収しなければ、これも実は会社などで渋谷の公会堂を借りて、或いはお得意の人を集める、同時に相当まあ歌い手、踊り手などを呼んで来る、ただで以てそれを見せる、この場合は現在の地方税法にもありますが、七条の二項に実はあるわけでございまして、或る一定の入場税を納めてもらう。で、今の職場サークルの実費、これがどういうことになりますか、一応入場料金を全然徴収しなければ問題はないわけですが、入場料金を徴収した場合は……まあ職場サークルでやつた場合、それが今度は見るお客がどういうことになりますか、非常に限られた人だけを対象にするか。例えば同じ職場の人たちを相手にするのか、或いは切符を出して広く一般の観衆を求めるか、こういつたような点もやはりちよつと違つて来た意味があるのじやないか。演劇なら演劇をやる人は職場サークルの人かも知れないけれども、併し見物人はこれを広く一般に切符を売つているか、或いは本当の同じ職場の人だけが集つて見物するか。原則としましては、一応ここでは入場料金があれば税金ありということになつているわけですが、広く一般の人を集めればこれはやはり入場料金ありと言わざるを得ないわけですから、そこにまあ職場の人だけが集まつて、同時に同じ職場の人だけが見物に来て、そこに何ほどかの料金の授受があるといつた場合をどう考えて行くか。これが問題だろうと思いますが、一応の税法としてはこれはやはり料金あるところ税金ありということに現在としては規定ができているのじやないかと思いますが、もう少し実態についてよく検討してみたいと思います。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これもプログラムを主催者それから支出先又は支出の目的というのになると、よく似た学生や生徒や、こういう団体でやるやつはいい。だからまあ労働組合の……我々今までよくぶつかつて来た問題だから、これはこの際はつきりしておかんと……、又、地方の場合には割合地方団体との間に交渉してやりよいのだ。この問題は。ところが税務署となるとなかなかちよつとこの問題……恐らくこれは問題を起すと思うのだ、はつきり言つて。それから税務署管内によつて、今、渡辺さんの言われたように、全然とるのだ、びしつと行くのだというふうにも言い切られない。それだからといつて、じや緩和をするでもない。せんようでもない。よく実態についてというようなことを言つておられるから、地方へ行つたら必ず問題が起きるので、そんなものくらいは、まさかこの入場税の対象にせられなくてもいいと思うので、この際、別表の中へ政令できめられる際に僕は一つやられたほうがいいと思うのですが、どうですか。
  90. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) お話のように、私も具体的な問題として、確かにすぐ出て来る問題ですから、これははつきりしておくべきだと思います。同時に、御趣旨のように、そう、そういうところに何も重点をおいて入場税をとらなければならんというものとも思つておりません。ただいろいろな姿があり得ると思いますから、つい我々のほうとしましても、やはり実態を極めた上でありませんと余りはつきりしたことを言つて、あとで収拾できなくなるのも辛いものですから、いささか明確を欠くような答弁で恐縮しておりますが、菊川委員のおつしやつたような点につきましては、大体御趣旨の点はよくわかりますので、我々のほうとしてもその意味においてよく検討して見まして、結論を出して、全国の税務署が同じ歩調で仕事をして行くように措置して行きたい、かように考えます。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは、私が今お尋ねしているような問題は、決してない問題をわざと持出して、あなた方に答弁を強要しているのではなくて、現実に我々経験して、今まで何回かぶつかつた問題であるということが一つと、それから、それらの今私が申上げましたような催し物というのは、別に入場料をとつてそれで儲けようというような趣旨では決してないのであつて、それならなぜ入場税を、僅か百分の十や二十のものを、なぜそんなにやかましく言うかというと、先ず手続が相当面倒くさい、面倒くさいといつてはえらい何ですが、常時営業をしているのでしたら割合簡単ですが、手続上等の問題もありまして、今申上げたようなわけですから、それらの点を勘案せられまして、相当幅のある運用をせられ、この入場税法設置の目的に合うような運用をされるように一つお願いしたい。例えば歌舞伎座で見るとか或いは日劇で興行をやるのとはおよそ性格は違うということはお認めになるだろう。それを一律に律して行くということは、而も極く僅かの会場整備費、会場借入金等に充当する程度のものをとつておいて、それまで税金をかけるのだというようなことをやられないように……。ということは、田舎の青年団の主催であるとか或いは労働組合の主催であるとか、娯楽機関の割合整つていないところで、最近こういう催しをやつて行こうという動きが相当多いものですから、そういう点も一つ御勘考を十分願いたい。
  92. 東隆

    ○東隆君 私は今の菊川君の質問に関連して伺いますが、具体的な例を申しますと、学校或いは社会福祉団体等が多少の資金を得る目的で、ダンス・パーテイのようなものをやつた。そして入場料をとつてつた場合に、実はこれは前に学校でやつたものに対して地方税の関係のほうで少し睨まれたことがあるわけです。と言つて国税の場合になつたとき、そういう問題がどういうふうになるか。
  93. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今のお話は、ダンス・パーテイというお話でございましたが、現在の地方税法でございますと、舞踏場が入つておりますので、課税の対象に、ダンス・パーテイが問題になると思いますが、今度の入場税法におきましては、舞踏場はこれは地方税のほうに残して参りまして、それで、伺いますところでは、地方税法の原案には載つていなかつたのですが、参議院のほうで設備利用関係の税を設けられた、こういうことに設けられるような修正がなされた。従いまして、今のお話のダンス・パーテイの関係でございますと、これは入場税の問題でなくて設備利用税の問題になるだろうと思います。恐らく大体現行と同じような意味で規定が残つているのじやないかと思つております。
  94. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじや「その他前各号に掲げる者に類するもので、政令で定めるもの」というのは、こういうものを政令で定めようとしているのじやないですか。
  95. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ここに政令で定めようとしますものにつきましては、曾つて政令案の要綱を御提出申上げたと思いますが、現在考えておりますのは、小型自動車の競走場、モーターボートの競走場、その二つでございます。従いまして、競馬場、競輪場に類するといつたものでして、今お話のような舞踏場までを考えているわけではございません。
  96. 東隆

    ○東隆君 今のダンス・パーテイの場合には、施設についてそれはわかりましたが、併し事実上はそういうような場所でなくて、ダンス場でないところを使つてやる場合ですね。そういうような場合には、別に問題が起きませんか。
  97. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 入場税に関する限りにおきましては、例えばこういう例がいいかどうか知りませんが、例えば東京会館とか、工業クラブを使つてやるような場合、ダンス・パーテイの場合に、入場税を課税するということは、これはこの法案からは考えられないと思つております。
  98. 東隆

    ○東隆君 その場合に、映画その他が問題になつた場合には対象になるわけですね。
  99. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 日比谷公会堂とか何とか、そういうところで映画会をやる。こういうような場合におきましては、先ほどもちよつと触れましたが、八条に規定がございまして、それで別表に掲げておりますような団体がその催しをする。それから同時に、その下のほうに書いてございますように、そういう目的に剰余金を使う。この場合におきましては、一定の手続きは経てもらいますが、免税興行として認めて行く。それ以外の場合でございますと、普通の課税興行になる。こういうふうに御了解になつて戴きたいものと思います。
  100. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、第六条税額算定の特例という条項ですが、この点についてちよつとお伺いしておきたいのですが、これはどうも読んでもよく納得がしにくい条項ですが、第六条の設置の趣旨というのはどういう場合に適用しようとしておられるのですか。よくわからんので説明しておいてもらいたいと思います。
  101. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 入場料金というのが、結局、税金が入つての入場料金になるわけでございます。従いまして、ここで税率区分があるわけでして、ここに言う、一回について四十円以下とか、四十円を超えて七十円以下というものは、税金を抜いた金額であるわけでございます。従いまして、例えば衆議院の修正後の率で一応御説明申上げますと、五十円以下であるときは、税率は一割であるわけでございます。従つて五十円のときは五十三円の税込みの料金になるわけでございますね。ところが若し五十一円とか、五十円をちよつとでも超えますと、税率は二割になつてしまうわけでございます。従いまして、極端な場合は、五十円一銭の場合は、税金は十円で六十円一銭になるわけです。そうすると、五十五円から六十円一銭までの料金というのは現実にはないはずなんです、税法の上から言いますと。ところが実際問題としては、そういうような料金が、これはまあ普通の場合には考えられないものですが、何かの関係で出て来ないとも限らないわけです。例えば五十七円とか五十八円とかいつた料金が出ないとも限らないわけでございます。ところが五十七円、五十八円といつた場合に、これが税込みであるが、二割の税率だとしますと、それは税金を抜いたところでは五十円以下になつてしまうし、と言つて、一割では五十円以上になつてしまうのです。まあそういうふうな、こういう累進税率で、超過累進でありませんで、段階累進になつておりますために、その中間の段階がないはずなんでございますが、ところが、たまにそういうものが出て来たらどうだろう、まあ或いは要らん心配かも知れませんが、まあ犯則の問題などのときに、たまにこういう問題が出て参りますわけですから、そういう場合におきましては、例えば五十七円なら五十七円という税率があつたら、もう、もとの料金が五十円で、七円だげが税金だこういうようにみなしてしまおう、こういう考え方でございます。丁度中間の一割、二割、三割と飛びますものですから、或るクラスからクラスまでの料率はないはずでございまするし、又、現実問題としても、興行者としてもそれをおきめになることはないと思うのでございますが、まあ犯則の場合などにそういうことが実は出て来ないとも限りませんので、従つてこういうような規定をおいた。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  102. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 よくわかりました。その次に、第七条の第二号の一番しまいにあるのですが、「当該場所に通常入場させることができる人員の数で除して得た額」、要した経費をこれによつて除した額と、こういうふうになつているんですが、これは例えば、慰安会であるとか、その他、招待会というような場合に、この条項は適用になるのですか。みなす課税ということになると……。
  103. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 大体、慰安会とか招待会とかいつたような場合、この条項が適用になると思うのでございますが、ただもう少し、或いは、ついででございますから、敷衍的に申上げておくほうがいいと思いますが、例えば工場の講堂などを使つたような場合には、これは通常入場料金を領収して催し物を行う第一種の場所という場所に該当しませんから、従つてこの二号には当りません。で、まあ極端なはつきりしたことを申しますと、歌舞伎座を使うとか、国際劇場を使うとかいう場合にこれが入つて来る。それも素人がやる場合にはこれは入らない。それは括弧の中にありますが、玄人を呼んで来て、そうて一番典型的な例は、まあ歌舞伎座のようなものを借りて、そして玄人の歌手或いは踊り手を呼んで来て、そこで慰安会、招待会をやる。こういつたような場合も、この二号の規定におきましては予定いたしております。
  104. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、今までよく我々国鉄におる頃、慰安会というものを実によく年々やつてつたのですが、これは全部これに該当して入場税をとられる。而も「催物の開催その他当該場所に入場させるために要した経費」というのですが、実費をその定員で割つただけの、それで入場料金だとみなして税金がかかる、こういうわけですね。
  105. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今申しましたように、劇場のようなところで、仮に玄人の踊り手とか、俳優を雇つて来てやる、そういつたような場合におきましては、お話のように経費を定員とかそういつたもので割つたものを入場料金と見まして入場税を課税しよう、現在地方税法でやつておりますのは実はこれよりもう少し幅が広いのですが、それを或る程度、思想は一応受け継ぎましたが、範囲を、例えば通常入場料金を徴収して催物を行う第一種の場所といつたようなものに限定する。現在の規定を読んで行きますと、例えばどこかの工場などでやつてもこれは入ることになつておりますが、これは除くとか、それから現在の規定でございますと、まあ素人だけでやつても入るような規定になつておりますが、それでは少し範囲が広過ぎるというので、主として玄人が参加してやる、こういつたような場合に限定する、こういつたような考え方で、現在の規定を多少しぼりました形で一応二号の規定に載せております。
  106. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうなつて参りますと、六条に帰つて、先ほどあなたが説明されたような、五十円とか、又、五十円一銭とかいうことが出て来るのは、こういう場合に出て来るのですね。そうなると実は常非にひどくなるのだが、そういう場合に、この六条というのは適用されるのですか。
  107. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 二号の場合には六条の規定が適用される場合も出て来ると思つております。ただその場合におきまして、要するに税率が上の税率に行くということはないと思つております。ただ例えば、要するに半端な数字になりますね。下のほうの税率で行けば一割、上のほうの税率で行けば二割ということになるわけですが、六条の規定が適用になる場合には、その二割と一割の中間、どちらのほうの中間に行くかは別としまして、どちらのほうに近くになるかは別としまして、二割のほうを超えて行くということにならないと思つております。
  108. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第八条の入場税の保全上不適当であると認むる場合があるというのですが、これは税務署長が認めるということになるので、これはなかなかむずかしい条項だと思うんですが、その税務署次第によつては、ニュアンスによつて随分違つて来るだろうと思いますよ。これはやはり一定の標準をあなたのほうで指示されるのですか。この催物を開催する「催物の回数、期間、入場料金、場所その他の計画が入場税の保全上不適当であると認められる場合においては、前項の承認をしないことができる。」と、こうありますね。これについては或る程度の基準等を設けられるつもりであるか。そうぜんと、これは税務署の取計らい如何によつては、しつかりした税務署長とそうでない人とは随分これは開きができて来る。運動の余地が出て来るというので、弊害を生ずる。こういうものをやるような人は、大体そういう点が、警察とかその方面の運動が非常にうまいのですから、税務署との間にいろいろ問題が起る危険があると思いますが、これについて……。
  109. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これは私も或る程度基準はきめなければならんと思つております。なお確かにおつしやるようないろいろな心配もございますが、余り窮屈な基準をきめるのもどうだろうか。ただ少くとも或る程度の基準はきめなければならん。で、これは現在でも地方税でやつておりますところなんでございますが、こういう免税興行を例えば月に数回開くといつたようなふうで、まあ一体、免税興行のほうが主だろうか、或いはそうでないのが主なのかというふうに、わからなくなつてしまうような事態になつては、よし、その主催者が別表に掲げますような団体であり、その金の使い方が相当有意義な使い方であるとしても、行き過ぎじやないだろうか。こういうのが実はこの規定のあるゆえんでございまして、地方税の場合におきましては、条例で、例えば年何回、一つの団体がこういう慈善のための映画会を催すのは一年に二回とか三回とか、それに限りまして、それ以上に催したい、免税興行をやつて行きたいと思いましても、それはお断わりしている。で、国税の場合におきましても、やはり同じような考え方をとつて行くべきじやないか。で、確かに余り扱いで以てそこが伸縮自在であるということは、これは避けるべきものだと考えております。
  110. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に行きまして、五項ですけれども、五項の「第一項第三号に規定する純益の計算について必要な事項は、政令で定める。」こうなつておりますが、これは先ほど御説明になつたように、使い途とかそういうようなことで、これは申請書を一々出さなければならん。純益の計算なんというものは、あなたのほうは政令できめて、それに合致するような純益計算をやらなければならないということになつておりますが、なぜ、こんなうるさい規定を設けられるのですか。
  111. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 計算について必要な事項を政令で定めるということになつております。これは政令を現在用意しております案文としましては、こういうような規定を考えております。「第八条第一項第三号に規定する純益は領収した入場料金の総額(受け取つた入場料金以外の金額を含む)から主催者が当該催物を開催し、及びその開催場所に入場させるために直接要した経費を控除して計算した金額とする。」、ここに政令に定めるというのは、計算について必要な事項を定める。で、計算の仕方をこの政令で定める。その内容は、今申しましたように、入場料金から主催者が催物を開催し及びその開催場所に入場させるために直接要した経費を控除したもの、これを以て純益にしよう、こういうことになるわけでございます。
  112. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その次に第十二条の二項で、一番末尾に「直ちにその入場税を徴収する。」と、こう書いてあるんですが、これは実際問題としてできますか。
  113. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 「直ちに」という意味は、五日でいいとか、十日でいいというような意味ではなしに、臨時興行が行われましたその後において、まあ「直ちに」と告いであるんですが……。
  114. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 計算したりなんかする……。
  115. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) そういうお話のように、或る程度計算とか、そういうような場合の必要な日数は、これを当然考えた後の「直ちに」というふうに考えております。もう一遍御説明いたしますと、但書の場合におきましては、廃止とか或いは臨時興行の終えた日から五日以内に、当該申告書を提出しなければならんわけでございます。従つて五日以内に整理をして頂く。それで申告書が提出される。その申告書の提出された後に直ちにという意味ですから、興行が終りましてから、少くともそこは五日という日はあるわけでございまして、申告書提出後直ちにというふうに考えております。
  116. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その次に第十四条、「国税庁長官、国税局長又は税務署長」は「保全のため必要があると認めるときは、」ですが、これは相当信用があるような人で必要を認めないようなときには担保を免除することはできるのですか。この必要があるときは、認めたときと書いてあるから、国税庁長官が認めた場合も、国税局長が認めた場合も、税務署長が認めた場合も担保を出さなければならんということになるがね。これは実際必要がないというふうにして、これも業者のほうとの折衝関係で、これは信用する度合でちよつと手心を加えて、お前のほうは必要あるので担保を出せという、こういうような場合がよくあると思うのですが、これはただその感覚で必要と認めて署長に任されるということになると思うのだが、そこらに相当問題が起きる余地はありませんか。今までの取扱いもあるだろうと思うので伺つておきたい。
  117. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 問題は幾つかありますから、国税庁長官、国税局長、税務署長と、こういうふうに三つに書き分けてございます。これは普通の、例えば一カ所でやつております場合、これは当然税務署長だろうと思います。ただ幾つかの税務署の管轄の中に亘つて幾つかの興行場を持つている。例えば東京の都内ですが、浅草にも持つておれば、丸ノ内のほうにも持つており、新宿にも持つておるといつたような場合でございますね。これは税務署を幾つか跨がつておりますので、そこで国税局長が顔を出さざるを得ない。或いは東京に持つておると同時に大阪にも持つておる、こういう場合には、国税庁長官が顔を出さざるを得ないと、こういうように、先ずこの三つの書き分けは読んで行くべきものだと思つております。従いまして、普通の場合におきましては、税務署長が先ず相手になるというわけでございます。  それからその次の担保の提供を命ずる要件でございますが、二つあるわけでありまして、一つは臨時興行の場合、それから一つは資力薄弱の場合で、これは臨時興行などにおきましては、よく一番問題になりますのは、旅興行なんという姿で順々に興行して歩いて行くような人の場合に、まあなかなか入場税も払わないで次の興行地へ行つてしまう、こういつたようなこともありまして、なかなかこれに対する徴収につきましては、地方においても相当苦心しているようでございます。まあそんなようなこともございますので、やはり何かこういう方法が必要じやないか。資力薄弱な場合におきましても、まあ問題があるわけです。現在の地方税法におきましては、実はこの保全の意味の担保の規定と、もう一つ、入場税の予納制度の規定と、実は二つあるわけでございます。で、こういうような条項に該当しておりますと、入場税を予納させることができる、こういう規定と、実は二つあつて、それと使い分けているような規定になつているのでありますが、我々検討してみまして、どうも予納制度というのは、少しちよつと理窟から行つてなかなかむずかしい。使いにくい。まあ保全担保の制度があればそれでよいじやないかと考えまして、一応こういうような規定にしたわけでございますが、問題は、保全のために必要があるとどういう場合に認めるかということが、御質問の一つになるわけでございますが、これは臨時興行の場合におきましても、興行主が相当はつきりしていて、相当の資力があり、心配がないという場合において、強いて保全担保を出させる必要はないと思つておりますが、まあどうも転々と旅をして歩かれるというような場合におきましては、やはりこの規定も必要じやないか。まあどの程度のものを以て認めるか、これは主観的な要素が入らないとも限りませんが、できるだけ国税庁におきまして統一しまして、余り、主観的なフアクターだけで仕事をしないように気を付けて参りたいと思つております。
  118. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 第十四条の規定は、私考えますに、規定としては成るほどこの通りだが、運用の難かしい規定だと思う。というのは、芝居でも或いは映画でも、臨時に興行して行くのは、地方に行つて役者の給料も払えないようになつて、興行主が逃げてしまつて、あと残つているのはそこに行つた役者連中だけで、侠客のところになんか泣き込んで救われたというようなことは、浪曲節や芝居でもあるが、現実的にあるだろうと思う。又多いだろうと思う。これはよくありますよ。さようなものには、こいつは薄弱だというので前から担保を出せといつたつて担保を出す力はございません。実際問題として、あなたの言われる旅を転々としてやつて行かれるものには、税務署としては担保をとらなければやらさせないというようなことで一体処理ができますか。税務署としては非常に難かしいものだと思う。  もう一つ、ついでに尋ねておきたいのは、私はあなたの言つたような旅興行をしておるやつは危いと言われたが、この際、平田さんに伺つておきたいが、一時、新聞でもやかましく言われた日劇ですな。東宝はえらい何をして、何千万円かで差押えを受けたというような問題が起きましたが、あれは国税関係じやないかと思いますけれども、非常な問題を起しておつたことは我々新聞で承知しておるのですが、一時問題を起した例もございましたが、だから何も旅興行を軽視して、こいつを適用させ、二項の「経営者の資力がその納付すべき云々」というやつで、びんびんやつて行く。大きいものは滞納しているのだということになるが、これらの取計らいはどうですか。あなたのほうは税務関係として調査しておられたと思うのだが、ああいうものは薄弱なものだ。今まで前歴者ですからな。東実というのは、たとえ小林一三が社長であるけれども、あれは前科者なんだよ、実際。これは片がついているか。片がついていないとすれば十四条適用はやつて行かなければならんが、やつて行けるかどうか。これをはつきり伺いたい。
  119. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 担保は条文から御覧願いますとお分りになると思います。金銭で提供するという手段もございますからして従いましてまあ場合によりますと、あらかじめ金で出して行くようになる、こういうことになるというふうに思つております。それからあとのお尋ねの、そうした日劇がどうこうということは別といたしまして、そういう大きな興行場所でありましても、滞納するとか何とかいつたような関係になれば、この二号による資力薄弱、これに当然入つて来るものと思つております。
  120. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、ああいう所で今後滞納、大きい所でも滞納されるようなことがあつたら、今度こいつを適用しない限りは入場券をやらんぞと、こういう強行手段もできますか。あなた方に。
  121. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ入場券をやらんぞという手段はできるだけあとで使うべき手段であつて、そう濫りにやるべきものだとは思つておりませんが、併しそういうところでありましても、滞納が極端になつてくれば、止むを得ずそういう手段に訴えざるを得ないかも知れんと思つております。併しこれはまあ全体としまして入場券を交付しないぞという手段はございますが、これはまあそれを濫りに使うべき手段ではないというふうに思つております。
  122. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私はもう少し申上げると、あんな大きなところで、大きな資本のところが、うんと滞納があつたということを一時新聞で読みまして、局長はその当時、東京局長をやつておられて、多少知つておられると思う。そういうようなことでは、余り大きいところにようかけず旅興行の小さいものに担保を出さなければ資本薄弱であるということになると、問題が起きると思うのだが、そこにはちやんと、旅興行をやる人たちは地方のボスなんかと、ちやんとついておりまして、なかなかうるさい問題ですよ、十四条に決めてありますけれども
  123. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 旅興行の場合には、先ほど言いましたように、金銭の担保、それから保証人の担保という制度もございますから、まあこの辺が或る程度使い得る問題じやないかと思つております。  それから大きな劇場が相当入場税を滞納した、東京都がまあ当時入場税で相当強行手段をとつたという話は、私もまあ自分の直接の仕事でありませんから、新聞で見た程度以上には詳しく知りませんが、新聞では丁度あなたと同じように見ました。併し最近では大体一応その問題は片附いたのではないかと思つておりますが、将来の問題としましては、やはり相手が大きいから、小さいからということで、とかくの区別はすべきではないと思つております。
  124. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ大体私は、十四条を適用されるような場合には、これは慎重にやつてもらわんと、大きいところにはなかなか手が行かずに、小さいものだけが細かくいじめられる、いじめられるといつちやなんだけれども、資力薄弱だということになれば、どうしても、ちよつと外観見ただけで、そういうことで担保を入れるか或いは保証人を出すというようなことをすぐ言われる。そうして臨時興行で他に廻つて行かなければならんというようなものがいじめられる結果になる虞れが十分あると思う。それで、そこの適用は十分慎重にやつてもらわなければならん、こういうふうに思うのでございます。いろいろお尋ねもたい点もございますが、私ばかり尋ねてもなんですから、もう逐条審議どもつていると思いますので、要点だけお尋ねいたしまして、一応これで終ります。
  125. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は一、二お伺いするのでございますが、今菊川委員の質問を聞いておりますると、納得のできない数々の点がある。当局の答弁は、どこに本意があるのか私には呑み込めないのであります。一体この法案は、渡辺さんが安本の金融局次長でおられたときに、あなたは十分経験をされておりまして、御承知の通り私があのときの国務大臣、地方財政担当でありました。そのときに土地使用税の問題につきましてあなたに御心配をかけました。お蔭様でこれは廃止になりましたが、なおこの入場税の問題につきましては地方の財源があまりにも少いので、地方財政委員会会長として、私がその代表的意見といたしまして、地方の財政を拡充するという意味で所得税の附加税を移譲されたい、こういうことを大蔵当局へ折衝したところ、ときの大蔵大臣北村徳太郎君は、大蔵当局の反対意見を代表いたしまして猛烈に私と対立しました。そこで地方財政の財源がないというので、第二案として酒、たばこの財源をもらいたい、こう申したところが、これも駄目だということになり、丁慶今日平田国税庁長官もおられますので、これはよい機会でございますので申上げますが、そこで今度は第三案として有力財源として、入場税を地方の税として移譲してもらいたいと、主張し、全力を挙げて、大蔵当局と折衝したところが、これ又ラチがあかず、やむなく時の米司令部のマーカツト経済局長が猛烈に反対だから相成らんと大蔵当局発言されたので、現状では地方の財政はやつて行けないという理由をマーカツトに数回に亘つて交渉し、職を賭して闘つて来た。それと並行して大蔵大臣の北村君とも鋭い論争をしたことは、すでに御承知のことと思う。この問題にも、あなたに非常な御心配をかけて、漸くマーケット氏にも、徴税成績を上げてみせるということで最後の諒解が成り立ち署名の上、入場税を地方税に移譲してもらつたわけであります。その時の立役者であつたあなたが、(笑声)何が故に又、地方から取上げる立役者になるのですか。私はそれが一体わからない。それから先ずお伺いいたします。
  126. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 野溝委員のおつしやるように、私もいろいろな仕事をして参りまして、確かにおつしやるようなことがあつたわけでございます。ただ併し、これは改めて申上げるまでもありませんが、あの時からあと、シヤウプの勧告によりまして、中央地方を通ずる相当大規模の税制改正か行われまして、地方財源のあり方とか、そういうものにつきましても随分大きな変革があつたわけでございまして、当時におきましては、いわゆる現在やかましく言われております富裕府県のロスといつたようなことも余り問題にならないで議論されていた。まあそれで済んだ時期でありますが、現在におきましては、なかなか財政の現状からみますと、地方も立つように、同特に中央も立つようにということにいたしますためには、そうした意味の財源調整ということをよく考えなければならん、こういうことになつて参りますので、これが地方税に移りました時期と現在との間に、他の税制全体におきまして相当大幅な改革があつたということが、今回の機会におきまして野溝委員のおつしやるように、当時私は野溝さんの驥尾に付しまして、あなたの、お役所は違いましたが、これを地方税に移すことについて相当動いたわけでございますが、現状におきましては、大分他の税制の関係が相当大きく違つておりますので、やはりこれは一応国税として徴収して、その人口割で地方に還元するというのが、財政調整のため是非必要ではないかと、かように考えておるわけでございまして、その時と大分事情が変つておりますので、この辺は御了承願いたいと思います。
  127. 野溝勝

    ○野溝勝君 今、主税局長からお話があつたわけですが、情勢が変るといつて、どういう点が変つているのだか。それは変るといえば、安全保障の条約を強化して来た。防衛分担金の天引二四%、それの穴埋めをするために各庁予算の天引削減の事情に追い込まれ、あれやこれや、ちよつと目先を変えたという偽装政策、偽装政治といいますか、俗に言う予算技術で、そういうところが、工夫されたと思うのですが、如何ですか。事務当局といたしましては、むしろこういうようなことに対しましては、政治件の操作によるものであるという点を強く主張されて、政府及び大臣あたり十分反省を促すくらいにしてもらわなければならんと思うのです。今、局長渡辺さんの言われるように、変化して来たというがどこが変化して来たのか。具体的にお示し願いたい。
  128. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 御承知のように、シヤウプの勧告による二十五年の税制改正は、中央地方を通じての相当大きな変革であつたというふうに思つております。現在におきましては、府県の財源としてはどういう税どういう税、市町村の財源としてはどういう税どういう税、いわば税金そのものを、それぞれの分野に分けるということをやつておりますが、それから以前の時代におきましては、いわゆる附加税的な制度で、私よく横割りと呼んでいますが、そういうところで税源の配分を行なつて来た。従いまして、当時におざましては、そう顕著でなかつた事例か、最近において非常に顕著になつて参りまして、そこにおのずから地方財源の偏在という問題が出て来ているのでございまして、そういつたような意味からしまして、税制としましても考え直してみる必要が大いにあるのじやないか。かように考えて今度のような結論が出た次第でございます。
  129. 野溝勝

    ○野溝勝君 地方財源の偏在といいますが、政府のいわれることは中央集権政治です。平衡交付金という名を、地方交付金制度から平衡交付金という名に改めて、それを又地方交付金に改めた。どういうことで名前を変えるのかわからん。そこで今度の地方交付金の予算内容を見ると、前年度より百億余削減は窮迫して来るのでございます。そんなに地方にいい財源があるのでしようか。主税局長は大蔵当局でありまして、中央財政が専任でございますから、地方財政に同情してしまうと、問題になるので、余り言えないかも知れませんが、私は公平に見て中央でさえなかなか財源に困つておるのに、御承知のように地方に独立財源なんというものは殆んどないと思うのですよ。こういう点から見て今度は人口割によつてつて行くのだとか、或いは地方の財源の偏在を調整するのだとか、こんな理窟が出ておりますが、併し入場税をとつて今度は地方の財源がない場合に、地方の自治体の自主性というものは一体どういうふうになるのでしようか。こういう点に対して深く研究したことがありますか。何かあなたには考えておられるのですか。
  130. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今度の交付税の率を算定する機会におきましては、御承知のように一面では新らしくたばこ消費税の制度を作りまして、それを府県、市町村に差上げるといつたようなことの配慮もございますので、表面的にはお話のように減つたようなことになつていると思いますが、全体としましてはむしろ相当殖えているということにも計算がなつているように聞いております。確かに現在の地方財政、なかなか特に貧弱町村におきましては、やりくりがしにくい点があると思うのでございますが、今まではそれを平衡交付金で処理して来た。今度は地方交付税に行くわけでございますが、交付税に移行することによつてのいろいろ窮屈な点もあろうと思いますが、同時に又、交付税へ行くということによりまして、例えば中央に必然に増収でもあればそれがそのまま地方のほうへ行く。とかく平衡交付金をどれくらいの額にすべきかということが常に政府の内部でも議論の対象になり、地方団体としてもいろいろその点できまるまでなかなか計画が立てにくいということがあつたのでございますが、かような点を考えて参りますと、今度の改正によりましてなかなか十分とは言い切れないと思いますが、相当の改善がなされているのじやないか、かように考えております。
  131. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは先ほどの菊川委員の質問と少し関連を持つのですが、課税範囲を調整し、税率の引下げを行うということが理由になつておりますが、これは中央税に移管すればこういうことが必要になつて来るのですか。地方税の当時はこういうことも十分強調されておらなかつたのでございます。決して自治庁がこれを否定しておつたわけじやないのだ。こういうことを考えていた。特に渡辺局長御承知のごとく、地方税法当時は、二十三年八月一日一五〇%、昭和二十五年にはこれを一〇〇%、昭和二十八年には百分の五十というふうに、随分この趣旨においてやつて来たわけだ。あにひとり大蔵当局にあつてかようなことを言うているばかりじやないのです。してみると、こと改めてここにこういうものを打出したのは何か尤もらしいようなあれがあるのでございますか。
  132. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 入場税を国税として徴収しまして、これを人口割で府県に配付するということを行うその機会におきまして、現在地方税で徴収している額を大体目安にする。現在御承知のように五割を課税しておりますが、その五割の課税が全部が全部五割の課税がなされているというふうでもないのでございます。ただ併し、といつて、それをそのままどうしても徴収する際に、税率をそのままで全部五割に課税して行くということにつきましては、まあいろいろ無理があるようでございます。そのような意味からしまして、一応現在地方税で徴収しております金額を目安にしまして、同時に地方税で徴収する場合に比べまして、まあ国税で徴収するこの機会に一応課税の適正を期して行くということにしますれば、税率を或る程度下げるということも可能じやないだろうかという意味におきまして、税収としては現在地方税で徴収していると、金額を目安にする。同時に課税範囲税率を一応調整し、課税の適正なやり方によりましてその金額を確保しよう、こういうので実は原案ができたのであります。ただその後、衆議院の修正で、政府案に比べまして更に税率の引下げがなされましたので、衆議院の修正案で若し法案が成立をしたとすれば、これは税収そのものにつきましても、地方税で徴収する場合に比べまして或る程度減が出ることはあり得ると思いますが、今理由書で書いてあるその点は、これはまあ政府原案としての御質問だと思いますからお答えしますが、税収としましては地方税で予定していた額を確保する。ただ現在五割なら五割全部が全部徴収されているわけでもあるまいということが考えられますので、一面では課税しても、或いは税率等を下げることによりまして、併しなお現在地方税で徴収されている額だけは確保しようという意味で法案ができたわけでございます。
  133. 野溝勝

    ○野溝勝君 今、局長のお話によると、税率を引下げるというのですが、一体、税率を引下げると言つてみたつて、予定税収というものがあるのですから、そうすると結局それは何かの形においてこの予定額まで徴収しなければならんということで、結局又入場料金でも上げてそれが要するに自然増収というような形で、バランスを合わせようというような考えじやないかと私は思うのですね。そんな考えがあるかどうか。それを一つ。  それから最初の政府案の税収予定は一体どのくらいの予定ですか。
  134. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 別に特に、この率にし、従つてその予定した税収を上げるために料金の値上げを期待するとか何とかいうことは別に考えておりません。算定の基礎としまして、映画の配給収入その他を基礎にして参りますと、この程度の税率で大体現在地方税で徴収した程度の額は確保できるのじやないかということを見込みまして、この税率を作つたわけであります。なお政府の原案におきましては、二十九年度の歳入見込み額は四月一日から施行されるという前提に立ちまして百九十二億でございます。
  135. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは水掛論なんで、あなたの御答弁を求めようとは思いませんが、一体、税率を引下げたつて、そんなことは大衆はそれが願望じやないのです。大衆は何としてもその減税即入場料の安いことを望んでいるのです。まあ直接興行家といいますか、劇場主といいますか、そういう方々は税率のことを強く叫ぶが、実際の大衆は、税率は下つたつて入場料は下らん。例えば、この前百分の五十にした。ところが入場料は下つたか。同じことなんだ。日活だかが少し下げただけで、あとは値下げしたことをききません。だからこんなことはごまかしなんです。実際こうした点について、主税局長は税率の引下げを高く評価しておるらしいのでございますけれども、実際問題といたしまして、税率の引下げが、特に大衆、観覧者には、税率の引下げの影響がないのも同じです。この税率の引下げということだけでは了承することができません。  そこで、こういうことは考えておらないでしようか。税率の引下げをやる、その場合においては入場料についても的確に引下げをさせる。若しそれが不履行なものに対しましてはどうする。行政処分かなんかの処置をするというようなことは、あなたは考えておられないのですか。その点一つはつきりお聞きします。
  136. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 税率を下げるその効果が、大衆の、少くとも観覧客の負担に影響しなければ意味をなさないじやないかというお話でありますが、我々も今度の衆議院の修正案のように、実質的にも税率の引下げが行われるとすれば、当然そうあるべきではないかというふうに考えております。で、この点につきましては、過般の委員会でも御意見がございまして、法案が成立いたしましたならば、一遍、関係の業者のかたとよくお話合いをして、この委員会における空気はお伝えします、よく御懇談してみたいと思つておりますということは、そのときにも申上げておいたのでありますが、ただまあ行政処分とか何とかいうことは、これは現在法律的に許されておりませんので、これは別でございますが、一応こういう法案税率が相当引下げられた。特に国会の修正で引下げられたということになれば、それの引下げをなさつた方々の御趣旨はよく興行のかたにもお伝えして、そうして一応お話合いをしてみたい。料金を下げて頂けるか、或いは料金がどうしても下らない場合においても、例えばサービスをどの程度改善されるかという点については、よく御懇談申上げてみたいと思つております。
  137. 東隆

    ○東隆君 私はこの機会に、入場税はこれは地方財源の是正を目的にしておやりになつておると思うのですが、その場合に、先ほどからもお話がありましたように、遊興飲食税と、この入場税と、どつちが地方財源の是正に役に立つか。私は遊興飲食税のほうが、却つて国に移管するとすればいい、こういうように考えているのですが、その辺どの程度にお考えになつているか。一つ率直に言つて欲しいのですが………。
  138. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 偏在の程度だけを申しますと、予算の上で出ている計数から言いますと、遊興飲食税のほうが偏在の度は多いようであります。ただ併し遊効飲食税なかなか予算通り取れていないようでございまして、決算的に見て参りますと、入場税のほうが逆に偏在の度が多いようでございます。まあ何で遊興飲食税を除いて入場税だけ移管するかとか、或いは遊興飲食税についてどういうふうに処置を考えて行くとかいう点などにつきましては、午前中に東委員御承知のように、大蔵大臣もいろいろ所感を述べていられますので、事務当局としましては、まあ大蔵大臣もおつしやつていることに余り付け加えることもないように思つております。
  139. 東隆

    ○東隆君 遊興飲食税も、私はやはり大衆的なものと、それから本当の遊興的なものと、これを分ければ、私は徴収その他も相当簡易化されて行くし、十分に徴税の目的を達することができるし、それから政府が二十九年度の予算の編成に当つて税制改正の眼目の中の奢侈の抑制なんというような項目は、これは緊縮財政と絡んで非常に重要な問題だろうと思います。そういうような目的もこれは達せられると思います。それで私は、二つのうちどつちをとるか、こういうような場合には、やはり遊興飲食税をとるべきであると思います。こういう考え方を持つわけ一です。この点だけ一つ私は非常に残念に思つております。  それはその程度にして、私は入場税を国に移管をして、その後これを配分するわけですが、この法律によるわけですが、その場合に、人口割で配分する、返す、こういうことになつておりますが、人口だけで財源の是正ができますか。
  140. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 地方財政の財源としまして現在考えておりますのは、三つの段階があると思つております。第一の段階はいわゆる独立財源、これはもう本当の意味の独立財源、府県で言えば事業税でありますとか、市町村で言えば市町村民税、或いは固定資産税、こう言つた本当の意味の独立財源と、それから第二段のものが今度譲与税という名前で呼ばれております、まあ入場税で言えば人口割で割る、それから第三段のものとしまして従来は平衡交付金でやつておりましたが、今度は交付税でこれに代えて行こう。交付税の場合におきましては、現在考えられておる案におきましては、一応基準財政収入と基準財政需要を考える。その場合に、基準財政収入としましては、今申しました独立税的なもの、独立税と、それにプラスしましてこの人口割で配付します譲与税を考え、これを財政収入に考える。同時に片方に基準財政需要を考えて、そうして財政需要が基準財政収入よりも多い場合におきましては交付税の中からこれを補填する、こういう考え方になつておりますので、一応この譲与税と言いますのは、独立税とその交付税との中間に当てはまるわけでございますので、これだけで問題を片付けるわけでもございませんから、余り複雑な制度をとるのもどうか。それよりも人口判といつたような比較的単純な基準で分けて、その余の点は交付税に待つたほうがいいのじやないか、こういうふうに考えたのが人口割による配付の制度であろうと思つております。
  141. 東隆

    ○東隆君 私は地方財源の是正をやる場合に、人口割ですと、やはり入場税の入つた割合のような形で以て殆んど出て行く。それで割合に是正はできないのじやないかと思う。そこで、もう一つ大きなものがあると思いますが、私は、面積ですね、このフアクターをやはり当然入れるべきものである。このフアクターを入れなければ、私は地方財源の是正はむずかしいだろうと思います。だから、この問題は、これは大きな問題だろうと思うのですけれども、十分にお考えにならなければこれは問題にならん。例えば北海道の例をとつて見ますと、北海道の人口と福岡なんかの人口を比べて見ると、そんなに違わないのじやないか、一県と一道を考えて見ると。そういうような問題で仮にブロックを考えて見ると、北海道ブロック、九州ブロック、こんなふうになつて、私は人口という点からばかり地方財源の是正をやるべきではなく、当然面積も入れて考えなければならん。こういう考え方を持ちますので、これは将来の研究問題として考えて頂かなければ、地方財源の是正なんという、なかなかいい書ですけれども、私は意味をなさないと思う。そんな意味で、そういう考えを持つているが、どうですか。
  142. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 面積を入れるとか、そのたいろいろなフアクタを入れるということは一つの考え方であろうと思つておりますが、先ほども申上げましたように、現在地方財源の配分につきましては、第一段に独立税があり、第二段が譲与税であり、第一三段が交付税である。交付税におきましては、御承知のように、面積その他相当いろいろなるフアクター細かく入つているわけでございます。で、金額的に見て参りましても、交付税のほうが今年の予算で千二百十六億、それから譲与税の額は、政府原案におきまして百七十二億、まあ修正になりましたので多少減るのではないかと思いますが、そういうふうなことになつておりますので、この譲与税が交付税の役割もするほど金額的にも大きい、又、役割も大きいということになれば、これは私は単なる人口割でなくて、もつと詳細なる基準がそこに入つてくるべきものではないかと思いますが、譲与税の性格が丁度その中間に当つております、のでまあこれは余りそうした複雑なる制度を入れないで、人口割程度がいいのじやなかろうか。同時に、お話になりました面積の問題その他は、これは交付税の配付の場合におきましては、これは現在一つの基準に入つておりますので、そのほうで補足きるべきものじやなかろうか、かように考えております。
  143. 東隆

    ○東隆君 私はいろいろ説明を聞いている間に、国に移管をしたほうが入場税はとりやすい。それで増徴することができるだろう、こういうお話がありましたが、私はこのことは、非常に地方税にあつた場合における徴税の弾力性、それが国税に移ることによつて弾力性が非常になくなつたことを意味するものではないか。こういうふうに考えますが、弾力性の問題ですね、徴税の弾力性の問題をどういうふうに考えられますか。
  144. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 徴税の弾力性というお言葉が実は私ちよつと理解に苦しむわけですが、臆測をまじえて御答弁申上げることを許して頂けれは、いわゆる手心的な意味の徴税のやり方というのは、これは国税の場合におきましては、地方税よりも、私は当然、地方税の場合と違いまして、国税の場合におきましては、これはそういりものは、まあ、なくなるべきものじやないか。一定の基準に従いまして、それはもう十分実情に合うように考慮しなければなりませんが、併しいわゆる手心的なるものは、これはなくなるべきじやないか。ただ、それと裏腹にばりますが、税率等におきまして、例えば料金の安い場合におきましては、現在の五割というものを相当引下げるこいうことによりまして、そうした無理がかなりなくなつて行くのじやないか。で、やはりまじめに納めている人は、これは税法通り納めている。これは現在でもそうなるのでございますから、そういう意味の税である限りにおきましては、まあ顔がきいたとか、いろんな意味においてのことの故に、税を納める額が少くて済むとかいつた意味の徴税の手心は、これはなくなるべきものじやないかと、かように考えております。
  145. 東隆

    ○東隆君 私は、汽車賃であるとか、或いは郵便料金、こういうようなものは、国がやつた場合には、非常に僻地なんかはこれて非常に助かる、ところが消費税のようなものになつて来て、殊に入場税のようなものになつて来ると、これは非常に僻地の場合は、非常な大きなしわ寄せになつて、負担が大きくなつて来ると思う。それで、企業はいろいろ独立採算制を非常に強調しているので、次第に、中央のほうはいいけれども地方のほうはどんどんどんどん割が悪くなつて来て、鉄道一つ敷いても、中央のほうは非常に新らしい設備でやつておりますけれど、地方のほうに行けばむちやくちやになるわけですね。古いものばかりでやつている。そういうような形で、独立採算制を強めれば強めるほどそういう形が出て来ます。ところがこの入場税の場合は、遂に今度は、それが逆な意味で今度また形が出て来る。それは、映画なんか、フイルムなんか仮に考えて見て、雨垂れの映画を、それを非常に経費をかけて、そして地方に持つて行くわけです。勿論、設備だの何だの、そういうようなものは極めて粗末なもので、金はかからんかも知れないけれども、併しフイルムそのものに実は費用もかかるわけです。そして、つまらないものを見せて、そしてやるのです。それに同じような税金の率でかけて行く。こういうことになると、どういうことになるかというと、私は、相当、僻地の場合における娯楽機関のないところ、そういうようなところで非常に国は苛酷な税金をとる。こういう形が出て来るのですが、それの救済の法文はどこかにありますか。
  146. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 東委員のおつしやるような点は、私はよくわかりますが、なかなか僻地の問題と言いましても、いろいろまあ複雑の点もございまして、同じ北海道をとりましても、まあ札幌と、それ以外の僻地等もいろいろございましようし、まあそういつた関係もございまして、地方税で譲与税でやる場合におきましては、なかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、特に国税になります場合におきまして、今のようなお話の点、私もよくわかりますが、どうもそれを特にそのために税法をそれに合せるように作るということは、ちよつと実行的にも不可能じやないかというふうにも思われます。従つて今回の税法におきましては、まあその意味から言うと遺憾でございますが、ちよつとそれに対処するような規定は入れかねた次第でございます。
  147. 東隆

    ○東隆君 私は十分にその事情がおわかりになるのだつたら、当然、率であるとか、或いはその他を一つ、積雪地帯であるとか、その他いろいろな例もありますから、当然考うべきでないかと、こう思うのですが、私はこれは人道用題だろうと思うのです。僻地の村の大きさが一県ぐらいもあるような村があつて、そして小学校が五十ぐらいあつて、そこの学校がどういうような教育をされておるかというようなことをお考え下さつたら、娯楽の問題なんか、てんで問題にならんわけですね。そして、そういうようなところで、仮に道庁だの何だの、そういうようなものが開拓関係で持つて行く。そうすると、集まつて来たのが非常にもう四里も五里も遠い所からやつて来て、同じ映画を夕暮から何回もかけて、そして朝になつてつて行く。こんなような光景が見られるわけです。而も、もう殆んどトーキーじやなくて無声映画みたいになつたやつ、そういうような所があるのですからね。そして、そういうような所で少し人口が集まつておるというような、市街地を形成しておる所に粗末な劇場がある。そこで上映されるところのものが物凄い率で以て坂上げられて行く、こういうことになると、私は娯楽機関のもう全然ないところになお一層少くするような結果になるわけですね、この税制の改正によつて。そういう問題が起きて来るので、これは私は当然大きく考えてもらつて、そういうような所における特例はこれは考えて頂かなければ問題になるこ思うのです。そういうような意味で、地方税であつた場合はこれは十分にそういう点で反映しますから、そんな面で弾力性があると思うのです。そこで当然これは救済規定を早急に考えるか。そういうようなことについてお考えを願いたいと思うのですが、その点はどうですか。
  148. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) お話の点にはいろいろな問題があると思つております。料金が安いということであれば、それだけで問題が片付くなら、これは御承知のように料金が安ければ税金も安いのですから、その点は一応解決するのですが、東委員のおつしやつているのは、料金がまあ安い場合もありましようし、結局、内容に伴わない割高な料金である。従つて税負担を何とか考えるべきじやないかというふうな御意見ではないかと思うのですが、そういう点、一応我々も想像に難くないのですが、なかなかそれではどういう場合にどういうふうにそれを持つて行くかという点、税法に盛る上におきましてはなかなか技術的にむずかしく、同時にそのけじめ悪かくつけにくい問題があるのじやないかというふうに思いまして、今御趣旨のように将来これを改正するというようなことについて、はつきりしたお話をするだけの自信を持つておりません。
  149. 東隆

    ○東隆君 フィルム一つつてみても、これはもう全然使い古しの始末にならんようなものが行つておるので、そのために安くなつておるだけの話で、相当文化の程度をできるだけ平均させるという考え方から行けば、これは問題にならんのです。今、僻地における劇場の仮に入場料が安いとしても、これは問題にならないんです。これはもうむちやくちやな、ただ運賃だとかいうようなものが加算されたような形でやつておる。だから使い物にならないようなものが堂々と上映をされて、そうしてそこで入場料は税金をとられるという形が出て来る。御覧下さればわかるんで、映画の種類なんというのは、これは却つて大分時代離れのものが使われている。これは御想像がつくだろうと思う。そういう点をやはり税の改正に当つては考えなければ、これは本当の意味の税制改正ではないと思う。私はその点を極力主張をいたしまするが、これについては早急に一つよく考えてもらいたいと思います。  それからもう一つ、先ほどの、これは失敬な話ですが、ピンはねの問題ですが、国によこす分と、それから国で使う費用、これの差はどれくらいあるのですか。
  150. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 国の徴税費として考えておりますのは二億三千八百万円であります。但し、ついででございますから一言説明させて頂きたいと思いますが、我々のほうで考えておりますのは、二億三千八百万円の徴祝費がかかるから、それでまあ今度税率も下りましたので、数字が少し変つて来ると思いますが、まあ原案で申上げたほうがわかりやすいと思いますので、十九億何がし、これをきめたといつた意味の考え方ではございません。先ほどもちよつと申上げましたが、結局やはり一つには、十が十、地方のものにありますと、どうも国のほうで一生懸命やつておりましても、地方のものだから国がまだ身の入れ方が足りないこいつたような意味の御批判を受けるのは余り望ましくない。それからまあ税務署のほうにしましても、国のほうの税収入に響くのだということで、まあ適正な課税をやらせるようにしたい。多少考え過ぎかも知れませんが、そういう配慮が必要じやないか。そこで、その十九億何がしというものが、若し十が十、実は地方団体に行くようでございますれば、先ほどもちよつと触れました交付税の千二百十六億ですか、これは十九億だけ実は減つていいわけであります。それが千二百十六億という数字を出した根拠といたしましては、十九億こちらのほうに残すから、従つてその差額が千二百十六億になる。千二百十六億を出しました計算の過程は、基準財政需要というものを先ず出しまして、そうして独立財源として幾ら入つて来るか、それからこの譲与税として原案でございますれば百七十二億八千万円、それだけ減つて来る。その差額が千二百十六億、これが百七十二億じやなくて百九十二億であれば、千二百十六億が十九億だけ実は減つて行くわけでございまして、ピンはねとか何とかいつた意味の実は考慮はないわけで、そういつたような意味からしまして、やはり或る程度国のほうの歳入に直接連繋を持たしておいたほうがいいのじやないかと、こういうふうな配慮の下に、九割だけを人口割することで配付した、それによつて地方の財源を削つたとか何とかいう配慮はないわけなんでございます。御了承願います。
  151. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 東君、今のような問題は従来もたびたび質疑がありましたが、成るべく努めて問題を簡潔に一つ……。
  152. 東隆

    ○東隆君 もう一つでやめますが、人の異動が当然行われる、地方関係から国税関係に行われるのですが、これはどんなふうになつておるのですか。
  153. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 入場税を国税として徴収することによりましての、税務署、国税庁管下の定員増加としましては四百七十人をお願いしております。で、当然まあ地方関係におきましては入場税の人間は要らなくなるわけでございますが、これは別途、都道府県民税だとかいろいろな点もございまして、まあどういうふうにその詳細がなつておりますかは、私、承知しておりませんが、減らすべきものは減らす、要るものは要るといつた姿で計数が出ておると思います。今お話しましたのは定員の問題でございますが、実際の人間の問題としましては、片方で行政整理もございますものですから、それほど新しく採る人間もございませんが、ただ地方としまして、どうしてもまあこれだけの入場税のために実員が減る、何か考えてくれないかという点については、具体的な問題としまして国税庁と府県とよく話合いしよう、こういうことを自治庁とも申合せております。
  154. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  156. 小林政夫

    小林政夫君 私は本案に賛成をいたします。私は本入場税法案が問題となつて、参議院においては新憲法下初めての予算自然成立というような事態を招いた、衆議院の態度或いは政府の態度という点、甚だ遺憾の念を禁じ得ないものであります。特に併し今から顧みて、やはりこのような修正が十分に行われるというようなことであれば、やはり我々は二十九年度予算について賛否の態度を決しなかつたということは賢明な措置であつたと思うのであります。特にこの地方財源の偏在是正ということについては、この入場税と並んで遊興飲食税というものが当初において問題になつた。これが甚だ不透明な理由の下に入場税だけが採上げられた。その入場税も、今度の衆議院の修正のような非常に軽減された税率では、本来の目的であるところの偏在是正という効果から考えると非常に薄いものになつて来ておる。のみならず一般会計から持ち出して、以てこの穴埋めをしなければならないというような事態に至つておることについては、どうも甚だ不満に堪えないわけでありますが、併し一応この入場税を国税に移管して偏在是正に一歩を進めるという理由を汲んで、まあやむを得ずやることにしたわけでありますが、併しそういうような過程において、政府当局も一応この衆議院の修正その他について同意をされておるが、今度に限らず今までも、どうもずるずるとこういうような修正に対して政府も同意をして来ているということについては、私は、成るほど国会が国政の最高機関ではあるけれども、併し執行面に当る者が、特に予算と関係したようなことについては、相当の責任を感じなければならない。自分のほうで責任を持つて、これならばやれると、こういうことがきまつたものが、他の意思によつて変更を加えられたときには、やはりそれ相当の態度を明らかにすべきである。で、こういうとがだらだらくとなるからことごとく原則が崩れて行く。近く他の委員会において問題になつておるところの地方交付税等にから玄つて、その交付税割合というようなものを大幅に衆議院においては修正をして行く。こういうようなことも一城を抜かれて更に数城というような状態であつて一つそういう意味において……従来だらだらとあなた任せというような態度がそこに至らしめておるのではないか。併し又、翻つて大蔵当局が、無用の摩擦を他の各省等について、或いは外部のものに対して与えておるのではないか。そういうような意味においては非常な大蔵官僚に対する不信の声も強いのでありまして、そういうような点も十分大蔵当局としては反省をなさる必要があろう。質疑の過程においても申上げたのでありますが、今度国税移管にこの入場税がなるに当つては、少くとも過渡的には、従来の地方税であつた場合と、運用の面において、勿論、課税客体等において手心を加えるという意味ではありませんが、徴収の時期等について、或いは優待券等の問題について、著しく従来の取扱いと変更を加えるというようなことのないように、適当な運用をなされることを望みます。なお入場税率は下つたのでありますけれども、入場料金は上つたというようなことにならないように、入場料の引下げ、施設の改善、サービスの改善というようなことが行われることを強く期待をして、私の討論を終ります。
  157. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は入場税法案に対しまして社会党の第四控室を代表して反対をいたします。  反対理由の第一は、地方自治体に独立の財源を確保するということは、地方自治体制をますます伸張させるために是非とも必要なことである。最近はまさに陳情政治になつておりまして、地方自治体がもうすべて国へやつて来て、そして大蔵当局に対して、或いは地方自治庁に対して陳情をやらなければ何もできない。こういうことでは、折角の地方自治体をますます育成強化して行くという趣旨から外れて来るだろうと思う。僅かな地方自治体の独立財源をここで国に取上げてしまうという入場税法案に対しましては、真向から我々は反対するものであります。反対の第一の理由はそれであります。  次に、偏在を是正するのだと言われます。偏在是正と言われると、一応理論上成り立つようにも聞えますが、それならば、この偏在是正ということを極論いたしましたならば、すべての地方税は全部やはり国税にして、そうして人口割に分けるということも、私は理窟としては成り立つて来るのではないか。これは少し極論にすぎるかもしれませんが、成り立つて来ると思う。なお偏在と言われますがこれらの機関が存在する地方自治体におきましては、それぞれ地方行政上の諸経費が直接的に又は間接的にかかるだろうと思うのであります。映画館があり或いは劇場があるといたしましたならば、火災の予防或いは警官の警備その他、こういう催し物が行われます場合には、どうしても地方自治体警察が動員されまして、これらの警備或いは大衆の保護に当らなければならない。これがやはり警備になるだろうと思います。従いまして、そういう小さい問題を取上げましても、いろいろの経費がかかる。だから、そこにやはりそれだけの潤いがあるのは、私は当り前じやないか、こういうふうにも言い得ると思うのであります。そういう点から、偏在の是正ということを極論いたしましたならば、やがては全部地方の独立財源を召し上げなければならないようなことになつてしまう、こういうふうに考えられますので、この点も、第一の、自治体に独立の財源を与えるという趣旨から考えまして、反対理由の第二に挙げたい。  次に一番不明朗な点は、遊興飲食税に手をつけなかつたことであります。それは最近特に汚職問題をめぐりまして、赤坂、新橋等の一流の料亭が、国民の批判の対象になつていることは、御承知の通りだと思います。そこでこれらの高級料亭におきましては、想像以上の、我々大衆が想像できないような脱税行為が平然と行われ、而もここに出入りする連中は、保守各党の有力幹部でありまするために、手のつけようがない。治外法権的な存在になつている。こういうことさえ言われているのでありますが、これらの疑惑を解くためにも、遊興飲食税をむしろ国税に移管をして、一つ国税庁当局が徹底的に国民の疑惑を解くように、先ず乗り出すべきではなかつたか。その反抗の強い遊興飲食税に手をつけずに、比較的やりやすいこの入場税について手をつけたということについても、行き当りばつたりではないか。こういう点から、我々といたしましてはこの点について、特に疑惑の念を以て、納得できない第三の理由といたす次第であります。  次に、納税者も極力国税移管に対して反対している。で、税率が安くなるにもかかわらず、この納税義務者となるべき主催者等の団体、或いはここの従事員等が、反対の陳情を国会に向つて行なつているということは、何も、同じ税金をどうしても納めなければならんのでありますから、反対する理由はないようであります。ないにもかかわらず反対しているということは、私はやはり国税庁当局とせられましても、一つこの際、いや、もう何でも反対してるんだというふうに軽くあしらわずに、一つ真剣に自己反省をされる必要があるのじやないか。まあ今までの税務行政につきまして、やはり強いものについては、先ほど申上げましたように、手のつかんところにつけずに、弱いものに対してはそこに峻厳に徴税に臨まれる、こういう点があつたのじやないかということを、やはり皆、税というものは、やはりできるだけ公平に、又、皆が納得して、国の財政が苦しいのであるから止むを得ぬ、皆納めようというので、国民が納得して喜んで納めるように持つて行かなければならないと思うのでありますが、それがややもいたしますると、弱いもの、小さいものに対しては割合に把握がしやすいものでありますから、厳しく臨んで行く。ところが大きいところに対しては、どうも手がつかんので、手心が加えられているのじやないかという疑惑が、数字の上にも現われて来ているのじやないかと思うのでありますが、こういう点から考えまして、この納税義務者となるべき諸団体が、挙つて反対しているということについて、国税当局におきましても、私は反省をされるべきじやないか、かように考えるのでありますが、こういう点からも、我々は今回の税法改正に当りまして、強く政府に対して警告しなければならん問題だ。従いまして、この入場税法案は、我が党といたしましては返上いたす、こういう結論であります。  以上、私の反対討論を終ります。
  158. 東隆

    ○東隆君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、この法案に反対をいたします。  理由は、菊川君もお話になりましたように、地方財源の偏在の是正には、私はこの入場税法はならないと、こういうことであります。  それから二番目には、文化的な施設その他に関連をして、中央と地方との隔たりが、この税法によつてますます拡げられて来る、こういう問題であります。詳しいことは申しませんが、その点は非常に重大な問題であろうと思います。税は私は収入のあるところにかけるべきであつて、生活費にかけるような形になる間接税、消費税のような形のものは、極力、国はやるべきものでないと、こういう考え方からも、今の問題を強く主張いたしたいわけであります。それから遊興飲食税との関係は、菊川君の申された通りであります。  そういうような点から、この入場税法案に対して反対の意思を表明いたします。
  159. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は入場税法案賛成をいたします。ただ審議の過程を通じて痛感されますことは、従来の平衡交付金を廃止して、交付税、譲与税を新設される、又地方税自身において独立財源の税種が起こされたというふうな点からみますと、非常に全般的に亘つているようでありますが、率直に申上げまして、何と申しますか、そういう新らしい制度を創設したときの、総合的な税についしの努力がまだ足りない、中央、地方を通じて、税財政を確立するという考え方からみますと、今回の法案は全体として不十分であると同時に、何と申しますか、予算の基礎になり、そうして国全体として考えられたことが、いろいろと修正されても止むを得ないという便宜主義で貫いて来るように思われる。税金の問題は、率直に言うと、そういう便宜主義で妥協して成り立つものだとは私は思わない。そういう点につきまして、大蔵大臣に私は頻りにその態度を明らかにされることを希望したのでありますが、こういうふうないろいろな攻撃を受けながら、方針の変更じやなくて程度の差だと言つて、括然としておられる態度は、税制改正に対する私は態度だとは思いません。従いまして、そういう点について、内閣としては私はよほど反省すべきものであるということと、将来に亘つて更に一層、中央、地方を通ずるところの税制の確立に努められたいという希望を強く持つものであります。と同時に、併し奈らいろいろ問題点を拾い上げ択れば非難さるべき問題もありますが、確かに今度は従来のやり方に一歩を改善し、そうしてその一環として入場税法が出たわけであつて、その財源の偏在を是正するという観点からは、私は確かに一歩進めていると思います。そういう便宜で賛成するのでありますが、殊に更に将来について希望いたしたいことは、衆議院税率が下げられたのが、率直に言えば常に過去の例では消費者の負担軽減にはなつておりません。又サービスの改善というものも果してそれに相当するものかということを、頗る疑わざるを得ませんので、今後できるだけ所期の目的を達成するように努力をされたいということを合せて希望いたしまして、本入場税法案賛成をいたします。
  160. 平林太一

    平林太一君 私はこの入場税法案に対して反対の意を表明するものであります。反対の理由は極めて明白でありまして、本案に対する内容に対する取扱いに対しましては、本案の審議過程におきまして、すでに大蔵大臣を初め当局に対しまして質疑を通じて私の考えを明確に述べております。併しながら本案は政府提出法律案である、而も渕原ずるとろ、その政府提出の最終的提出の当事者、責任者でありますのは取りも直さず吉田内閣総理大臣であるということ、極めて明白であります。吉田内閣総理大臣に対しましては、昨日の二十三日を以ちまして、参議院といたしましては、この院の性格をかけてその信任を問い、同時に吉田首相の進退に対する何分の処置をいたしておるのであります。これが議決されているのであります。然るにもかかわらず爾来今日まで二週間にもなろうという今日、何らこれが表示されておりません。かようなことは私は、本一法律案も極めて人切でありまするが、本院の性格を通して政府の処置を如何にするかということが当然よつて来たる原因があつてこそさようなことが生じたのでありまするから、そのことを第一義としなければならない問題であると信ずるが故であります。本案が不幸にいたしましてこれが否決されるというようなことになりましても、決して国家の根底に動揺を及ぼすような問題ではありません。併しながら時の総理大臣の非行というものがそのまま持続し、継続されているということは、この国家の根底を揺がす大きな問題であると考えます。事極めて切なるものがあるのであります。吉田首相は本日の午前中の本会議におきましても、議場の質疑に対しまして、答弁しません、或いは私の事柄に対しては答弁しません、或いは罵詈讒謗に対しては答弁しませんと称してこれを拒否をいたしているのであります。かくのごとき私は総理大臣の態度というものは、まさに参議院の議場におきましては、一種の暴力的な態度であると見なければならない。いわゆるこの罵詈讒謗であればあるほどに詳細を極めてその所信を明らかにしなければならない。又、個人に関する問題であればあるほど、それを詳細に国民の納得の行くように説明をしなければならないにもかかわらず、吉田首相のこの答弁というものは極めて寸秒の間に行なつて、むしろ怒号罵声を以て、これに答えている。総理大臣のこの経綸、所懐というものは毫末も開陳していない。もはや今日に至りますれば、こういう事態を我々として放置いたしておるということは、やがて恐らく吉田首相個人に対しましても、又国家全体の問題といたしましても、これは取返しのつかない事態に立ち至ると、かく見なければならない。幸いにいたしまして、参議院は、二院制度の本質として、いわゆる政府が解散を以て威嚇することのできない金城湯池に我々といたしてはあるわけでありますから、この金城湯池におきまして政府に速かにその進退を処決せしめるためには、この法案を、政府提出法案というものを一つ一つ不成立ならしめ、且つ否決し、或いは審議未了にするという以外に、我々がこの参議院におつて、これを事実にいたすべきこの行為をいたすということにいたさなくてはなりません。それ以外にこれはないことと深く決意すべきであり、且つさように私は信じておるものであります。  かような意味におきまして、この際、吉田内閣をして一日も早く良心的な態度をとらしむるために、又とるまでは、この法案というものに対しましては否決して行くということが、極めて私は大局的見地に立ちまして当然いたさなければ相成らんと信じまするが故に、本法案に対しましてはあえてこれに反対の意を表明し、以上の理由を以ちまして反対の理由とするものであります。
  161. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。入場税法案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  163. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     小林 政夫  木内 四郎     山本 米治  土田國太郎     三木與吉郎  前田 久吉     堀木 鎌三  青柳 秀夫     岡崎 真一  白井  勇     藤野 繁雄
  164. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  165. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会