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1954-03-28 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十八日(日曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 三月二十七日委員西川甚五郎君辞任に つき、その補欠として中川幸平君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            白井  勇君            木内 四郎君            中川 幸平君            安井  謙君            山本 米治君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            東   隆君            堀木 鎌三君            平林 太一君   衆議院議員    宇都宮徳馬君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君   政府委員    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵大臣官房長 石田  正君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    国税庁長官   平田敬一郎君    通商産業省企業    局長      記内 角一君   説明員    日本専売公社総    務部長     小川 潤一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○製造たばこの定価の決定又は改定に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○財政法第四十二条の特例に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○米国対日援助物資等処理特別会計法  等を廃止する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○資金運用部特別会計法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○国税収納金整理資金に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○酒税の保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○酒税法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。  従来衆議院においては、予算関係ある重要法案審議手間取つて、その送付が非常に遅れまして、当委員会審議に支障を来すことがたびたびでありましたので、その都度、参議院議長から衆議院議長に対して厳重な申入れをなして参つたのは、御承知通りでありますが、このたびもこの弊風は除去されずに、漸く本日に至つて予算関係重要法案多数の送付を見ましたことは、私ども遺憾とするところであります。昨日の理事会において種々打合せました結果、特に本日の日曜日に委員会を開会いたしまして、極力法案審議採決をいたそうということに相成りました。大蔵大臣は午後一時から出席いたす予定でありますし、その他、法案関係のある各政府委員こぞつて出席いたすはずでありますからして、委員皆様方におかれましても、これを了とせられまして御協力下さいまするよう、特にお願い申上げます。   —————————————
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 関税定率法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  4. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 税関部長にお伺いしますが、第四条の第一項ですか、「(航空機で運送された貨物政令で定めるものについては、航空機以外の通常運送方法による運賃及び保険料)を加えた価格」というのがありますが、これは航空機輸送すれば当然運賃保険料は高くつくと、併し特別に政令で定めるものについては、船で輸送したと同じように……「航空機以外の通常運送方法」というのは船で輸送したか或いは汽車ということになるのだが、汽車日本ではないから、船で輸送した輸送賃にかけるということになるのだろうと思いますが、こういうのはどういう場合を予定しておるか。今後航空機がだんだんと発達して、航空機輸送ということは殖えて来ると思うのですが、一体どういうものをこれに加えられる予定なつておるのですか。
  5. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 現行法におきましては、単に「通常運賃及び保険料」となつておりましたので、船で参りまするものについては船の通常運賃及び保険料、それから航空機で運ばれるものにつきましては航空機による通常運賃及び保険料によつて課税することになつておるわけでありますが、ただ具体的にいろいろの場合を考えてみますと、例えば贈与品で専ら個人的使用に供するために送られるようなものとか、或いは比較的少額商品見本等につきまして、航空機で送られたものについて、航空機によるところの運賃及び保険料を基として課税いたしますことは酷な場合がございますので、現在でも、実は取扱いといたしましては、多少法律的には疑義があるのでありますが、こういつたものについては、航空機によらない他の運賃及び保険料によつて課税しておるわけであります。今回、法律で明らかにいたしまして、政令におきましては、只今申上げましたように、例えば贈与品で専ら個人的使用に供されるものとか、或いは又比較的少額商品見本等政令規定するつもりでおります。  それからなお「航空機以外の通常運送方法による運賃及び保険料」といたしましたのは、例えばサンフランシスコから羽田まで航空機で送つたといたしますれば、その場合に、航空機に代るところの通常運賃及び保険料といいますか、海上運賃及び保険料になるわけでありますが、仮にニユーヨークから羽田航空機によつて貨物輸送したという場合には、太平洋岸まではこれは陸路による運賃及び保険料、それから太平洋岸から日本に着くまでの間はこれは海上運賃及び保険料によると、こういう意味で、「航空機以外の通常運送方法による運賃及び保険料」と、こういうふうに書いてあるわけであります。
  6. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最近、羽田の飛行場で例の時計類の密輸入を大分発見したということが載つておりましたが、今後ああいつた、価格が高くて割合にかさばらない、それから重量もとらないというようなものは、相当航空機で、例えば宝石類であるとか、高級の香料であるとか、それから医薬品、特にこの間ビキニの被爆者に対してアメリカから薬を送つて来た、あれはまあ寄贈品だから問題にはならないと思いますが、ああいう急を要する新薬というようなものを輸送されるというような場合があると思うのですが、そういうのを特定考えられておるのかしらんと思つたのですが、そうではないのですか。
  7. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) そういう意味ではございません。但し、この間、参りましたような医薬品で救恤の用に供するもの、こういうものは原則として定率法の他の免税規定によつて免税されますので、問題はないのでありますが、そういつたものが仮に少量、商品見本で送られて来たと、こういつた場合においては、それが直ちに市販に供されるものではございませんので、そういう場合に陸路及びプラス海路運賃保険料によると、こういう意味であります。
  8. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点お尋ねしておきたいのは、学術研究用というものはこれに入るのかどうか。
  9. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 単に学術研究用というだけでは、この政令規定する必要はないかと思われます。学術研究用のもので特に免税いたしておるものがございます。そういうものはそれによつて別途免税されますので、この第四条の問題には一応なつて来ないわけでございます。学術研究用免税にはならんといたしますれば、第四条の問題になりますが、その場合において直ちにこれを政令規定をいたしまして「航空機以外の通常運送方法による運賃及び保険料」によるかどうかについては、政令を制定するまでに十分研究いたしたいと思います。
  10. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その次に、第四条の第六項、この第四条は全部課税価格決定方法をきめられてあるのですが、そのうちの第六項ですが、この第六項の中で、本邦通貨換算の場合に、特に共産圏内通貨の場合には外国為替相場によるというのですが、大蔵大臣の定めておる外国為替相場というのは、これは一々共産圏内のやつも定めてあるのですか、どうですか。例えば中国であるとか、ソヴイエト、その他東欧各国から来るものが全然ないというわけではないのでしようね。そういうものについては、大蔵大臣により定めておる外国為替相場によると書いてありますがね。そういうものはどういうふうに扱つておられるか、これを扱われようとしておられるのか、伺いたい。
  11. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 只今お話のありましたような貨幣につきましては、現在大蔵大臣裁定為替相場はございませんし、そういう通貨によるところの取引日本においては行われておらないわけでございまして、ドル又はポンドによつて行われておるのは御承知通りです。ドル又はポンドについての換算のレートは、現在実際上三百六十円或いは千何円というのでやつておりますのを、これを法律に根拠を明らかにしたということだけであります。
  12. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、中国との貿易につきましても、一旦ドル換算して、又こつちでドル換算すると、こういうふうな取引を全部やらせるのですか。
  13. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 現在中共との間にも多少の貿易は行われておりますが、ポンドによつて取引されておりますので、そのポンド換算はそのまま千何円でいたしておるわけであります。
  14. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第五条の便益関税についてお尋ねしたいのですが、これは「政令で定めるところにより、国及び貨物を指定し、当該規定による便益の限度をこえない範囲で、関税についての便益を与えることができる。」ということになつておりますが、この便益関税の国及び貨物を指定するという、その特に国といるのはどういうのを指定されるのですか。
  15. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは現在予想してはおらないのでありますけれども、従来この規定を実際に使いまして、勅令によりまして実行した例が五件ございまして、ちよつと沿革を申しますと、明治三十九年に「関東州の生産に係る物品輸入税率に関する件」というのを制定いたしました。それから同じ明治三十九年に「支那国の生産に係る銑鉄等輸入税協定税率によるの件」、それから大正十三年に「トルコの生産に係る物品輸入税率に関する件」、それから昭和十一年に「シリヤ及びレバノン生産に係る物品輸入税に関する件」、昭和十五年に「アメリカ合衆国の生産に係る物品輸入税に関する件」、こういう例はあつたのでありますが、目下のところ今後適用すべき国については、そのときどきの状況に応じてこの発動をするや否や決定するのでありまして、今のところ予想したものはないのであります。その場合におきまして、例えば或る国の特定地域をつかまえて挙げることもできるわけであります。
  16. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 例えば沖繩のような場合に、今の関東州対当時の日本国との関係、それから今の沖繩との関係は、これは適用になるのではないですか。
  17. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 沖繩との関係につきましては、現行法におきましても、一応政令によりまして、本邦地域の中で外国とみなす地域の中に沖繩を入れております。但し沖繩からの土産品に対しましては、附則におきまして当分の間免税するということを規定しておりますので、この便益関税規定によつておるのではないわけであります。
  18. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その沖繩土産品免税ということは、これは国民感情から言つて、誰も反対する者はないと思うのですけれども、ところが向うアメリカ軍政下にあるというところで、税金はアメリカ軍政下政府に納めることになるのですが、それはこちらで、免税することと相対的に、向うに出す場合にどういう待遇を受けておりますか。
  19. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 沖繩におきましては、現在関税というものがないのでありまして、消費税の恰好で、特定のものについては実際上輸入税に相当するものを徴収いたしております。例えば酒類砂糖類たばこ類等、若干の品目につきまして消費税をかけております。まあ関税でないという恰好になつております。その場合におきましては、日本内地から沖繩へ参るものについても課税されることになつております。
  20. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、その他の品物につきましては、丁度昔の沖繩に行くような工合に、向う輸入はできることになつておるのですか。
  21. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 沖繩におきましては、物品税日本内地における品物税と比較的近寄つたものがあるのでありますが、その場合にこちらから出ますものにつきましては輸出免税で参つておりますが、向うへ入りますときに、保税地域から来ておるものということになりまして、物品税がかけられておるものと私は承知いたしております。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この沖繩、それからその他の西南諸島との間に、別の関税関係協定というものを結ぶ交渉をしておられるのか。それともそれはできておらないのですか。
  23. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これはまあ私個人考え方で申訳ないのでありますが、実は沖繩あたりには本当は日本関税定率法と同じものを作つて頂いて、そうして同じ関税領域として、いわば他の国におきまする関税同盟みたいな関係に持ち込んだほうが相互に便宜ではなかろうかと、こう考えておりまして、沖繩政府首脳者にもその旨申し伝えたことはあるのでありますが、まだそういう状態には至つておりません。  それからガツト関係につきましては、沖繩との特別な関係については、昨年の仮加入の際に、一応現状には変更を加えないでそのまま認めるというような建前になつております。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは沖繩については、国民感情もありますし、特別に関税については、向うから入つて来るのを関税をかけない、その代りこつちから行くのも関税を取らないというような話合いと言いますか、交渉を、アメリカ大使館を通じてやらなければならんと思いますが、そういう努力をされたことがありますか。それともそれはできないのですか。そういうふうに努力をされるべきではなかろうかと思うのですが、これには誰も反対しないだろう。又、向うでもそれだけ受入れる用意はあるのではないか。だから、アメリカ大使館にその交渉くらいはすべきではないか。当分の間でも、はつきりどういうふうになるかということがきまつてしまうまでは、暫定処置として、そのくらいな処置は、これはこれとは直接関係はありませんけれども、これらの便益関係やいろいろ見ましてもそういうものはないと思うので、一つ希望として述べておきたいと思います。  次に第六条の複関税と、それから第七条をお尋ねして、終りたいと思うのですが、「本邦生産物について関税に関する最恵国待遇便益を与えない国の生産物輸入されるものには、政令で定めるところにより、」えらい高い関税をかけることになつておりますが、これは現にそういうものが実際問題としてあるのかどうか。それからこの規定はどこでもこういうことをやつておるのかどうか。これを一つお尋ねしておきたいと思います。現実にあるようだつたら、どんなものを……。
  25. 北島武雄

    府政委員北島武雄君) 現在このいわめる複関税日本では実施いたしておりません。
  26. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 過去にあるのですか。
  27. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 従来ございません。そこで昨年実はガツトの仮加入の際に、各国との一つ交渉材料と言いますか、バーゲインニング・パワーと言いますか、その一つとして複関税日本でもやつたほうがよいのではなかろうか。即ち、日本に対して最恵国待遇を与えておる国と与えていない国と……現在日本においては単一の関税率において課税しておるわけでありますから、何らその間に差別はしておらないわけであります。従つて日本に対して最恵国待遇を与えていない国に対して、それに報いた結果になつておらないわけでありますから、複関税を作つたらどうかという話があつたわけでございます。その際いろいろ国内的に検討いたしましたことがあつたわけでありますが、若し実行するとすれば、これは現在ある報復関税現行法では第四条の規定でありますが、この第四条の規定でどうも読めそうだということに、国内的な法律解釈としては一致したのでありますが、ただこれらについては多少の解釈上の疑問もなきにしもあらずでありまして、仮に将来複関税を実行する場合におきまして、現在の報復関税規定でやるということについては、対外的に誤解を起す虞れもある。そこで、今回、関税法全面改正に絡みまして、定率法の本則についても全面的に再検討を加える際に、この解釈はつきりさせを意味におきまして別条文としたというのが、第六条新設の動機でございます。  そこで、現在までにこういう制度日本では実行したことはないのでありますが、各国ではどうかという点でありますが、ほかの国では複関税をやつておるかどうかという次の第二番の御質問に対しましては、世界各国におきましても複関税制度を採用しておる国は相当ございます。例えば、現在複関税制度を採用しておる国といたしましては、フランスドイツ、ベネルツクス、スペイン、ポルトガル、ギリシヤ、シリア、レバノン南亜連邦南ローデシア、カナダ、キユーバ、ハイチ、コロンビア、ブラジル、濠洲などの諸国があります。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、六条と七条は、これは最悪の場合には適用するために法律として制定はしておく、併しめつたにこれは適用されるものじやないというふうに、今の北島さんの御説明では受取れるのですが、併し世界各国で、ドイツレバノンも、いろいろ各国が採用しているというのは御覧の通りですし、それはどういうものについて、具体的にどんな場合にこれを採用するのですか、よその国が採用しているというのは……。ところがこれは、然らば採用したこともない、今までやつたこともない、これは一つ交渉を有利に展開する、俺のほうにもこういう規定があるじやないかというように見せかけておくのだ……。
  29. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ちよつと私が先ほど申上げたことで、言葉が足りなかつたかも知れませんが、単に見せかけだけの規定というつもりではないのでありますが、いろいろ国際情勢関係からいたしまして、日本に対して最恵国待遇を与えてくれない国に対しては、同じようにやはり高いほうの関税をかけることにしたほうがいいのではないか、こういう空気も相当あるのでありまして、その場合においては、この条文が発動される可能性は相当あるわけであります。但し只今のところこの法律が出たからすぐにやるか、こういうことになりますと、私どものほうではまだそこまでの時期に行つていないのではなかろうか、こう考えたのであります。  それから世界各国複関税を実行しております国の形態におきましては、いろいろあるのでありまして、或る国においては報復関税条文に多少ニユアンスを与えまして、条文に多少変化を与えまして、報復関税と同じような、同じ条文の下において複関税をやつている国もあります。併し大抵の国は複関税報復関税とは別に切離してやつております。その多くの恰好といたしましては、各品目ごと最高税率、高いほうの税率と、最低税率、低いほうの税率とをきめまして、低いほうの税率最恵国待遇を与える国に対して適用する、高いほうの税率最恵国待遇を与えてくれない国に対して適用するというふうな恰好になつておるのが通例であります。但し国によりましては、例えばフランスあたりでは、高いほうの税率、即ち最恵国待遇を与えてくれない国の生産物に対する税率は、低いほうの税率、即ち最恵国待遇を与えてくれる国に対して適用する税率の三倍というように、一定の倍率でやつている国がございます。
  30. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで大体わかりましたが、この規定があるということは、それは場合によりましては、普通の関税をとつて、その上にまだ一〇〇%まではとれるということになつているわけです。而もその課税の率をきめるのは政令で簡単に、簡単にと言つては語弊があるかも知れないけれども、一〇〇%とる場合もある。九〇%の場合もあるし、三〇%の場合もある。この複関税のとり方は、これを政令できめるということになつて、現実にまだそんなことをやつたこともなければ、余りこれをやろうという意図もないにもかかわらず、今度新たにこの複関税というような、これは報復関税とよく似たようなことだと思うのですが、ちよつとニユアンスが違うと思うのです。それを設けるということは、将来これを適用して対抗しなければならんという想定があるかどうかということ、だからそういう場合にはひよつとしたら適用しなければならんという考えがあつて、これを設けられるものかどうかということを伺つておきたいのですがね。
  31. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) それは個人的考えと、一般的な考えと混同して申上げたから悪いのかも知れませんが、私の感じを先ほど申上げたのです。感じといたしましては、今直ちにこれを適用するようなことにはならないであろうと、こう申上げたのでありますが、なお外務省筋その他におきましては、一刻も早くやつたほうがいいという空気も実はあるのであります。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今度の関税の総収入が八億六千四百万円ばかり少くなつておるわけです。それはどういうわけなんですか。税率が引下げられるわけじやなくて、何か奢侈品的なものとか高級品的なものを抑えて行こう、一つドルの割当とかそういうような問題に関連しての収入減ですか。
  33. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 関税収入といたしましては、この一年ぐんぐん増加いたしたのでありますが、御承知通り不要不急品が相当入る、それで不要不急品というのは、元来税率が高いものでありますので、相当の収入なつておつたのでありますが、来年度におきましては相当外貨の点から見ましても、そういつた面は相当制限されるという見込の下に、関税収入は若干ではありますが予算的には減る、こう考えたのであります。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 MSAで入つて来る小麦は、普通の輸入小麦のものと同じような扱いをされるわけですか、関税においては……。
  35. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 同じような扱いというのは、どういう意味ですか。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 無税ですね……。
  37. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) MSA協定によりまして我が国に入る物資につきましては、日米相互防衛援助協定におきまして、一定の条件の下において免税することになつております。只今お話がございましたように、小麦につきましても免税措置が講ぜられることと相成ります。ただ小麦につきましては、現在定率法におきましても、すでに小麦を指定いたしまして免税なつております、その法律では……。定率法の第十二条、これは現行法では第六条になつておりますが、これに基きまして小麦政令で現在指定いたされております。免税なつておるわけであります。
  38. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 当然二十九年の三月三十一日までになつておるわけですか。これは十二条に基いて、今度又これを一カ年とかいうふうに政令で定められるわけですね。
  39. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 主要食糧の減税又は免税でございますが、これについては政令で六カ月ごとに切つております。この期限が今年の三月末日で切れますので、この定率法法律案通りますれば、差当り六カ月間、その政令の期限を延長するつもりで、只今審議中でございます。
  40. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後に聞いておきたいのは、私はいつも申上げるのだが、関税率審議会についてでございますが、この前も大蔵省がきめられる審議会については、いつも大臣が指名してしまつて、大臣のお好みだけを寄せるというので、何でも大蔵省にはいろいろの審議会を設けて、金融、財政だ、何だと言つて作るのだが、それは大臣の任命にしてしまつて、大蔵省の関係のお気に入りの連中ばかり寄せる。財政、産業、貿易に関して学識経験あると言つても、誰でもそういう理窟は付けようと思えば大抵の人は付くだろうと思うのですが、あの人は財政の経験者だ、学識経験者だと言つて来れば、ずぶの素人だとは誰も言わないと思うのですが、ややもしますると、大蔵省の息がかりの人ばかりを入れておく。これは酒の審議会、何の審議会といろいろあるのですが、ここで大体、関税の率を、別表改正の原案というのですか、そこで大体意見をまとめ合つて、個々の審議会でこういうふうにきまりますと、法律にこういう審議会というものはあるのだから、こういうふうにきめますと、こういうふうに出て来る危険性はあると思うのだが、この前にも当委員会でカーボン・ブラツクの、あなたもお聞きになつておりましたように、あれだけ税率についても、同じ業者であり、而も財界人でありながら、鋭く意見が対立するわけです。たつたその税率を一〇%にするか、二〇%にするかという問題についても、それだけ深刻に対立するのです。そういう実態が、日本の今の産業の後進性を、私は遺憾なく現わしているのじやないかというふうに、この間の参考人の意見を聞きまして受取つたのですが、そういう際に、この関税率審議会というものに、政府はというか、大蔵省のお好み人事をやるような嫌いがあるような匂いがするのですが、これらについて、大体今の委員任命については少し……、ちよつとした委員の任命の場合には両院の同意を求めるという規定が大抵あるのですが、いろいろの委員について、皆、両院の同意、議決を求めるという行為が今とられているのが常識になつて、これは戦後新らしい行き方だと思うのですが、大蔵省の出して来るこれらの審議委員やその他については、とんと両院の同意という条項はない。まあこの間も証券取引の場合にはそういう委員会も拵えないで、これは酒の問題でも大蔵大臣の任命、大蔵省は盛んにこの審議会を拵えて、一つのこういう既成事実を作ろうとされておる。而もその委員任命の際には、どうも大蔵省の先輩であるとか、或いはその他大蔵省の息がかりの人を寄せて、この審議会を拵える嫌いがなきにしもあらず。なぜそういうことを申上げるかというと、今の委員会委員任命の際には、常に国会の同意を求めるという方針になつている。これはいいか悪いかは別にしまして、そういう方針をとつているのに、大蔵省のほうはどうも大臣任命というわけで片付けられようとする嫌いがあるのですが、これには何か特別な、大蔵省伝統の考えがあるのですか。それを一つ承わつておきたいと思います。今日は関係大臣はじめ大分お集りですから、一つ率直に申上げておきたい。
  41. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 委員会委員につきまして、国会の承認を要するというふうな委員会は、私、実はよく知らないのでありますが、大体におきまして、それは行政的な委員会委員ではなかろうか。単なる諮問機関の委員については、私は国会の承認を要しなければならないということは、なかつたのではないかと私は思うのであります。この関税率審議会は昔からある制度であります。名前は変つておりますが、昔は関税調査委員会とか申しまして、最近では関税率審議会と言つているわけでありますが、昔から大蔵大臣の諮問機関といたしまして、関税率改正その他重要な事項について、大蔵大臣の諮問に応じて意見を答申する機関でありますので、戦後にできました各種の行政委員会的なものとは趣きが違うのであります。そこで国会に承認を求めるということにはなつておらないわけでありますが、更に関税率審議会につきまして、大蔵省が独自のお手盛り的な任命をやつているのじやなかろうか、こういう御質問でありますが、現在関税率審議会の委員といたしましては、役人に関係各省の次官級、それから主要な商工会議所の会頭、それから或いは日本貿易会とか、農業関係の中央の会の首脳者のかた、それから学者のかた等でありまして、大蔵省関係の出身者は一、二おりますけれども、全体の四十人のうち一、二の人員であります。特に大蔵省がお手盛りでいたしているというふうには、私ども考えておらないのでありますが、なお御質問の御趣旨もございますので、今後につきましては、いやしくもそういうような御疑問を起されることのないように、十分注意いたしたいと考えます。
  42. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ私も一、二こういう委員会委員に任命されて行つたこともあるし、又、現にやつているのですが、学識経験だ何だと言つて、表面がそういうことになつているんだが、何々会社社長、どこどこの商工会議所の会頭とか言つたつて、今まで殆んど委員会へよつぽどのときでなければ来ない。たまたま来ても意見を殆んど吐かない。細かいことまで調べない。ただ説明を聞いて、よかろうというだけできめて行くわけです。そこできまつたやつを、審議会できまつたというわけで出て来るのですから、例えばカーボン・ブラツクのことでも、この間、具体的に一〇%にするか二〇%にするかという問題についても、まあその辺にしておいたらよかろうときめているのです。審議会の決定はこうでございましたとやられて……。法律的にこういう条項を設ける必要はどこにあるか。何も大蔵大臣が自分で任命して、一々やつてもらつて……、これは必要に応じてやればいいので、わざわざ一条文を設けて、審議会という条項を設けなければならん理由を伺いたいのです。逆に言えば、別に大したことではないという北島氏の諮問機関というのは、必要に応じて寄せればいいじやないか。常置的に置いておかなければならん理由はわからんのです。
  43. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 昔はたしか関税調査会とか、単に勅令か何かで規定されておつたようです。ところが戦後、昭和二十六年に関税定率法輸入税表を全面改正する際に、本則につきましても相当改正を行なつたのですが、その際におきまして関税率審議会の条項については、やはり法律規定すべきであるということになりまして、法律はつまりその権限を規定いたしたわけです。
  44. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 むしろ私をして言わしむるならば、本当にこれを活用して行こうとするならば、各省の次官だとか何だと言つても、これは又忙しい連中ばかりで、とてもめつたに出て来やせん。余ほど自分のところの省の主張しなければならんような問題、例えばカーボン・ブラツクの意見を通そうとするときは通産省は出て来るけれども、それよりむしろ各省の若干の事務官連中をして、常に勤務の暇を見て、研究して問題を投げかけてやらせるというふうにせんと、藤山愛一郎氏、杉道助氏、そんなものを揃えて関税率審議会だ、こういうことになるのは火を見るよりはつきりしていると思うのですがね、そんなことではわざわざ条文規定しても権限はない。二年任期になつておるが、ただ悪用される危険性があるのです。今、新聞用紙等の率については、新聞協会と、これに対して又、反対的に製紙業者との間に対立している。これも同じケースだと思うのですが、又、揮発油税につきましては、これは大きなバツクがあると思うのですが、揮発油税はなるべく下げさせようという……、それから砂糖消費税のようなものは、少し上げても大衆課税になる、皆の頭にかかるけれども、揮発油税というと、特定業者ということにどうしてもなる。そういう連中で、商工会議所会頭だとか何とかいうのは、コネクシヨンが業者より強いことはわかつているのです。御承知通り砂糖消費税、そういうことについては、代表をこの中へお選びにならなければならん、例えば主婦連合会の会長だとかいうような、そういう恰好の人は恐らく任命されない。商工会議所の会頭、前大蔵大臣が出て来てやるから、どうしてもそこできめたものが、そんなものが国会に出たときに、事実によつてあなたのほうは審議すればいいというが、一旦個々の諮問に応じて出されたという関税率は、一つの既成事実になるんだし、どうしてもあなたのほうは法文化してしまう。予算のほうもそういうふうに組んで来ているし、こういう会期が迫つて、この率でどうだ、これはいろいろ諮問機関で議論しましたがというふうに出されてしまうと、どうも一つの事実ができてしまうと思うのです。そういう意味から、これをもつと広く民主化するか、さもなければやめてしまつて、必要に応じて……、あなた方は責任を持つてつておいて、これだけは独断で行きかねるときは、一つお集まり願いたいと、関係者を集めて意見を聞いてやるようにしたほうが、むしろいいのではないかと思う。何も権限もない諮問機関であるにもかかわらず、法律にきめておかなければならん理由はよくわからないのですが、前からあつたからと、併しそれは悪い習慣だと思うのですが、いつも大蔵省関係の調査会だ何会だというやつを出して来られるときに、割合に今までよく憎まれ口を言つたのですが、又たまたま出て来て、やつばりそれを見てみると、同じような性格の委員会を出して、これを一つの錦の御旗にして、あなたからそういうふうにきまつたとされる危険性があると思うのです。而もこれは悪用されると言えるようなもの、これについて政務次官が今日見えておられるから、意見を聞いておきたいと思うのです。
  45. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 先ず私からお答えいたします。関税率審議会の委員であるところの各省次官あたりは、忙しくて殆んど出て来られないだろうというお話ですが、そういう点につきましては、先ほど菊川さんもおつしやいましたように、実は関税率審議会の下に幹事会があるのでございまして、これこそ本当に各省の実務担当者が集つておる会議でありまして、必要に応じては民間の方々も中に入つてつて頂いております。極めて活溌に幹事会のほうは動いておりまして、その幹事会の構成メンバーがそれぞれ所属する団体に帰りまして、十二分に普段から委員に意思の連絡を図つておるわけであります。単に関税率審議会でぽかんときめて、それを錦の御旗にするということではないわけでありますが、そういうような御疑問に対しては、私ども運営につきまして、今後十二分に注意いたして参りたいと存じておるわけであります。
  46. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の便益関税とか、複関税とか、報復関税をやるときに、審議会には諮問しますか。
  47. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは関税につきまして重要な事項でありますから、関税率審議会に諮問いたすべきものと考えております。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一遍繰返して言つておきますが、関税率につきましては、我々も一、二年大蔵委員会でやつた経験から、各方面から反対的な、相対立した陳情、請願というものが押し寄せて来るわけです。従つてこれをさばくというのは非常にむずかしい問題だと思うのです。両方とも理窟はあるわけです。聞いてみるとそれぞれの主張は異なつておる、それをさばくというのは非常にむずかしいので、それもいろいろ意見を聞かなければならないということはわかるのだが、固定したそういう委員を任命しておくということは、その委員がどうしても力を持つということになつて来ると思うのですね、その人の発言というのは、かなり今度のあなたのほうの立案のときには、毎年保護関税率というのは、率だけは改正案が出て来ますが、毎国会出ないときはないくらい出て来る。そのたびたび出す場合に、委員に業者なり或いは業界が運動して、一つこういうふうに一年間延長させるとか、或いは打切らせるとか、今まで免税なつておるものを打切らせるという、或いはそういう方法をとらせるということになると、今、特に言われておる、何と言うか、汚職まで、と言つては語弊がありますが、そういう関係の生ずる危険があるのではないかと虞れるわけで、この際、時節柄、申上げておくわけですが、これは国会の任命に対して、もつと権威を持たせるようにするか……、諮問機関でも、国会で任命するやつについてはよくありませんよ。諮問機関というと、国会に承認同意を求めるやつは、よくありませんよ。大蔵省で出して来るのは、どれもこれも新らしい法律の同意を求める、いろいろな委員の任命があるのですよ。而もこれをきめたやつは、結局は権威を持つことになつてしまうのでね。だからこの前に酒の問題だつたか、何かのときに、酒税法の問題だつたかのときに、酒税審議会でも、あのときも申上げましたら、今後は一つ御意見もあるので、検討をしますという大蔵省の答弁だつたのですが、ところが同じようなものが出て来ているので、この際、政務次官からお答え願いたいと思うのです。
  49. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 関税率審議会の運営の問題、或いはこれに類似するその他の諮問機関全体についての御意見と拝聴いたしましたが、御意見の存するところは十分了解することができます。我々当局といたしましては、そうした御意見の存するところも一つの資料として十二分に参酌いたしまして、今後とも運営の上に誤まりなきを期したいと存じております。別表の改正その他関税率に関する重要な事項を調査審議して頂くというような趣旨のためにこの諮問機関を置くことになつておりますが、そうした場合に、只今の御意見等に鑑みまして委員の選定或いは委員会に附議する場合における諸般の資料の準備その他についても、意を用いて進捗するようにして参りますれば、それだけに御意見の存するところを反映することができると思うのであります。併し基本問題として、今のお話のような点も十分我々今後参考にさして項きたいと存じます。
  50. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一点だけ、それじや四項の「委員は、財政、産業、貿易等に関し学識経験がある者」、こういうふうになつておりますが、大体、北島さんが委嘱しようとする構想は今お話になつたが、どんな人を頼もうとしておるのですか。具体的に名前までは言わなくてもいいけれども……。
  51. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 現在の関税率審議会の委員の顔ぶれでございますが、先ほどちよつと申しましたように、主要な商工会議所の会頭さん、日本貿易会の専務理事さん、日本関税協会の副会長さん、それから学者さんでは、東大の教授二、三名、一橋大学の教授一人、早稲田大学の教授一人と、こういうふうな顔ぶれだつたかと存じます。その他、特に関税について学識経験ある者として任命した人が一人ございますが、あとは只今申上げたような顔ぶれになつております。
  52. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからこういう委員の方々に対する報酬というのは、無報酬ですか。
  53. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 無報酬でございます。
  54. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ただ実際に会議を開く場合に、東京へ寄つてもらうというときは、地方在住の人については実費の旅費だけ出す。宿泊料とかそういうものを出す、こういうことになつておりますか。
  55. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) さようでございます。旅費、日当、宿泊料だけを出すことになつております。
  56. 小林政夫

    ○小林政夫君 植木政務次官に伺いたい。これは関税定率法の問題のみならず、税法諸法案について、本日の委員会の開会に当つて委員長から発言がありましたが、特に我々緑風会は衆議院に足を持つておらない。こういうような予算と裏腹の法案は、何回も今まで衆議院審議を促進するようにというようなことを言つて予算案を参議院へ送付すると、日ならずして、或いは同日、或いは遅れてもせいぜい二、三日くらいの後に上つて来るようにすべきものだと思うのです。特に政務次官は衆議院議員であるが、衆議院審議促進についてどのような努力をされたのか。何回もこういうようなことを繰返すのでは、我々は実質的に予備審査において法案の内容等を知悉することはできるけれども、これを審議した結果に基いて参議院の意思を表示することは事実問題として時間に制約されるのです。まあまあそのくらいのことならばもう一度衆議院に返すほどのことはないじやないか、我慢してくれと、こういうようなことで、非常に我々は参議院の意思表示をすることを時間的な制約の下に制肘を受ける。これは参議院の審議を軽視するものである。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  57. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 座つたままで失礼いたします。全く仰せのごときお叱言を頂戴しますのは当然の状態だと考えます。御質問の、我々がどういう努力をしておるかという問題につきましては、我々衆議院の当該委員会委員長その他に対しましても、或いは委員の各位に対しましても、でき得る限り個人的にも、或いは公の資格におきましても、議事の促進をお願いしておるのであります。殊に当委員会委員長からも再三の御催促もございまして、ますます私どもといたしましは当該関係の機関に対しまして議事の促進をお願いしておつたのであります。何しろいろいろな情勢から非常に審議が遅れまして、そうして今日に及んでおりますことを、誠に申訳なく存じております。今後ともなお一層気をつけたいと考える次第であります。
  58. 小林政夫

    ○小林政夫君 毎回そういうことを言うたびに、今後は絶対にそういうことをしないように努力するということでありますけれども、もう今までに何回も遅れて、実際において我々は審議を拘束されておる。而もそれでは、参議院に来て、もう実際に衆議院が遅れたのだから少々期限については、まあ衆議院審議したくらいの間、遅れてもよろしいということならともかくも、参議院に来たら来たで、もう四月一日施行なんだから是非一つ、三十一日までには結論を出してくれと、こういうような要望を附される、我々はそういうようなことで、それほど参議院を督促されるならば、衆議院のほうを、万一やらなければ、あなたの職を賭してでも、何日までに上げて欲しいと、こういうような腹を持つてつてもらわなければ、実際においてはずるずるになりますよ。今後どうしても衆議院予算と殆んど同時ぐらいに税法を上げて来なければ政務次官を辞めるのだというような腹を持つてつてもらわなければ、今後絶対に保証はできない。そういう点については御覚悟はどうですか。
  59. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 現在のこうしたいろいろな法案審議に際しまして、衆議院で比較的たくさんに時間をとつてしまいまして、参議院に御迷惑をかけるような状態になるということにつきましては、現在非常にこれは我々といたしまして感謝しておるのでありますが、予備審査等の方法で以ていろいろの内容の御検討を願つております。これは非常に感謝しておる点であります。併し私、個人的な考え方を申上げますと、これは一政務次官や一大臣が辞職するとか何とか言つたところで、それで審議が促進されるわけではないので、むしろこれは国会法の建前の上でもつと根本的に考えることが必要なのじやないか。あたかも予算審議期間が設けてあるがごとく、法案等についてもそれぞれ両院において適当な時間をとつて、そうして、その中で十分な審査ができるようにするような、何か国会法の基本的な運営の上でもつと考える必要があるのじやないか、かように私は個人的な考え方としては持つております。併し現状の法制の下で考えて参ります場合には、やはり関係の部局に対して、極力お願いをして歩く。そして又それによつて促進を図るというよりほかに途がないのじやないかと、かように存ずる次第であります。
  60. 小林政夫

    ○小林政夫君 もう一遍、それは国会法の改正をしなければならんということは、国会法その他で審議のやり方を考えなければならんということは、我々も痛感しております。あなたの御私見と同じですけれども、併しそういうような事態を発生させるというか、そういう気運を我々は痛感しておるのです。けれども、一般的にはまだそこまで行つていないのじやないかということを考える。そこで、あなたは就任なお日が浅いのですけれども、政務次官というものは特に国会との関係において全力を注がるべき職責なんです。その大蔵政務次官が、参議院の審議を拘束すると、こういうことになるから是非上げて欲しいと衆議院に申入れる。それが期限通り行われない、或いは多少の遅延ということは、情勢によつて止むを得ないけれども、そこで辞表でも出た、こういうことになれば、あなたに対する同情の意を以て、相当全体の機構が促進することにはなると思う。今直ちにあなたに辞めなさいということを言つているわけじやないのですが、併しすべては「けじめ」というものがつかないのですよ。何でもずるずる行つて、今の特に吉田内閣最近の事例は、断わりさえすればもう済みだと、甚だ遺憾であると言いさえすれば何でも許してもらえるといつたような事態で、甚だ事柄がルーズになつておるので、強く申上げるのであります。
  61. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この点に関しましては、本日私が冒頭に皆様に御挨拶申上げておきましたが、これはひとり今度の国会ばかりでなく、前々国会におきましても非常に困つた事態が起つて、皆さんの御決議を頂いて、参議院議長から衆議院議長に宛てて強硬な申入れをした。然るに一向改まらないからして、前国会において又同様なことをいたしました。殊に参議院議長親しく衆議院議長に会われて強硬に申入れをしたにもかかわらず、今度更に又改善せられないで、むしろ事態は悪化しておると、こういう状態である。これはひとり大蔵政務次官のみの問題じやなくて、衆議院対参議院の関係で、非常に大きな問題だと思つております。今後こういうことを繰返して行くことは、私ども参議院として到底忍びがたいから、何らかの方法でこれが打開の途を講じなければならんかと思つております。皆さんからも十分お智慧を拝借して、参議院の調査の完璧を期したいと考えておる次第であります。  他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  63. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は本案に賛成をいたしますが、ただ一点、カーボン・ブラツクの関税定率を来年の三月三十一日まで、本表においては二〇%であるにもかかわらず、一割に軽減をすると、こういうことでありますが、先般来いろいろ参考人等を招致して聞きまして、今の生産の現状から言えば、或る程度一割に軽減しておくことは止むを得ないと思うけれども、ここに附則別表乙号に並べられた他の品種と同様に、一律に来年の三月三十一日まで軽減措置をするということについては、多少そこに違いをつけるべきである。できれば十二月三十一日ぐらいまででこの軽減措置を打切るべきものだと考えますけれども、期限の関係その他諸般の事情のために、一応この際は原案通りで通すことに賛成いたしますが、併し他の別表乙号に掲げておる品種と同様な措置で、次年度においても一年延期とかいうようなことにならないように、今度この問題については政府当局においても慎重に配慮の上、他のものとはそこに軽減措置延期についての異なる取扱いをすべきものであるということを附言して賛成いたします。
  64. 平林太一

    ○平林太一君 関税定率法の一部を改正する法律案、本案に対して私は反対をいたします。  反対の理由といたしましては、法案の内容に対しましては、只今緑風会の小林君が指摘いたしております。同君は取りあえずこれを賛成するとおつしやられるのでありまするが、いやしくも賛否の問題に対しましては、イエスかノーかであるべき問題でありまして、取りあえず賛成するというようなことは、事実におきましては反対である、こういう意味に私はこれを承知いたしまして、同君に賛意を表して、その意味におきましては当然反対であります。  それから第二に、それよりも遥かに重大なことは、先刻も委員長からの所見の開陳がありましたが、由来参議院の本旨としますところは、衆議院のこの審議が、いわゆる与党野党の対決によりまして、審議が極めて粗雑である。時間的に非常にひたすら議決することを急ぐ、そういう結果、法案の内容というものが、いわゆる院外、国民大衆に向つて周知徹底することに対しまして、極めてその趣旨が徹底いたさないのであります。二院制度を設けておりますることは、参議院におきましては、これを時間を十分にかけて、この法案、この予算が如何なるものであるかということを国民に知らしめるために、十分なる時間をかけ、審議を慎重にするということが、私は参議院に課せられた二院制度の特質であり、本質であり、従つて又これが我が参議院の重大なる使命であると考えられるのであります。いわゆるこの参議院がそのようにいたしまして慎重審議する間に、法案の内容、予算の内容というものが全国民に周知徹底する。そこで国民は、腑に落ちないこと、又これではならないということが、いわゆる一つの請願運動となり、或いは陳情となり、或いは国民運動となつて、これを国会に要請し、反映すると、これがいわゆる民主政治形体下の国会の性格であるのであります。そういう参議院の本質というものを静かに忠実に私は考えますときにおきまして、本法案審議に当りましては、甚だこの審議に対しまして忠実を欠くもの極めて大である。時間的に、そのかけました時間の量から行きましても、又、法案の内容に対しまする検討からいたしましても、これは趣旨を徹底して首尾一貫した詳細なる審議というものが行われていないのであります。かような未完成な審議の径路、形態に対しまして、これを賛成いたしますることは、私自身といたしましては、いわゆる我々の責務において、甚だ国民に対しまして忠実のゆえんでない。誠実のゆえんでない。同時に、職務上かくのごときことであることは、如何にも忸怩たる感に堪えないのであります。従いまして、本法案に対しましては、未だ審議の過程を十分に尽し得ざるものがありまするが故に、この未完成なる法案審議の径路でありまする本法案に対しましては、これに賛成をいたすことをいたしかねる。従いまして、本案に反対いたす次第であります。
  65. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は只今議題になつておりまする関税定率法の一部を改正する法律案について賛意を表します。  本案はおおむね妥当なものだと考えるのでありますが、審議の過程において、私ども、第六条の複関税制度というものを新らしく設けられましたが、これは新らしい日本の最近の情勢、即ちガツトに仮加入をいたしまして、最恵国待遇の国とそうでない国とが分れておる現在、必要な規定であり、これに対して大蔵当局としてはもう少し熱意を持つてよいのではなかろうかということを考えます。無論、賛否を明らかにするときに条件を付することはどうかと思いまするが、議員として強い希望を申述べることは当然だと私は考えるのであります。  それからカーボン・ブラツクにつきましては、小林委員から理由が挙げられておりますが、これについては乙号表の他の品目と異なり、相当過去の経緯から見ましても考慮すべきものがありと考えますので、その点については大蔵当局としては十分御考慮相成つて然るべきだと、かかる希望を強く要請いたしまして、本案に賛成いたします。
  66. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  関税定率法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  68. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     小林 政夫  木内 四郎     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     安井  謙  堀木 鎌三     三木與吉郎  東   隆     成瀬 幡治  菊川 孝夫     山本 米治   —————————————
  69. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  70. 小林政夫

    ○小林政夫君 前から申上げている製造価格といわゆる税金に相当するもの、益金に相当する、益金即ち税金、これと分離するという案は、その後の研究においてはどういうふうになつているか。
  71. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 小林先生からは前国会以来その問題につきまして御意見がありまして、私どものほうといたしましても、企業利益と税金部分と分離して、そして税金部分だけはもう毎月なり或いは三カ月なり納めて、あとの企業利益の問題について配分の方法を又別個に考えるという方法を採用してはどうかという御意見もありまして、一年ほど前からこの問題については、公社並びに大蔵省といたしましても検討を続けておるわけでございます。御尤もの節もありまするし、又併しなかなかこれの税金部分を分離する際に、一本当り幾らというその決定の仕方等につきまして、原価計算等の問題もございますが、原価計算は勿論やつておりますが、なかなか妥当な数字を出すことが非常にむずかしいという問題がある。それからあと国庫に納める益金の高という問題につきましても問題がございまして、十分今まで検討はいたしておりまするが、未だそれを分離したほうが妥当だという結論に至つておりません。今度内閣に公共企業体合理化審議会というのができまして、先般来もう二回ほどこういう問題等につきましても審議し、或いは答申が出るように相成ろうかと思つております。これも長い期間でございませんで、あと半年のうちに結論を出して内閣に答申するということで、学識経験者等も十分この問題等につきましても審議することに相成つておりまするので、その辺あたりの御意見も十分拝聴した上で、御意見のようになるか、或いは今までの通りになりまするか、結論はまだわかりませんけれども、十分そういつた学識経験者の御意見等も拝聴いたした上で、政府の最後的な態度をきめたい、こう考えておる次第であります。
  72. 小林政夫

    ○小林政夫君 その問題は前から何回も申上げており、緑風会としては一人残らず私の申上げた趣旨なんです。それで、これは何回も今泉監理官とはそういうことを質疑応答を繰返し、もう常に答弁は今おつしやつた通りです。今度は審議会ができるということがちよつと違うようだが、同じ答弁を繰返されておる。午後一時から大臣が見えるというなら、そのときまで私は大臣に質問を留保いたします。
  73. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 この問題について植木政務次官がいられるからお聞きしたいのですが、私も小林委員と大体同じ意見を持つているのです。専売公社では一つ生産報奨的な制度も労銀で考えなくちやならん。今度地方に配賦する税金の場合としてこの五円だけを税金らしくしなければならない。こういうふうになつて来たわけです。大体率直に私の経験で言うと大蔵省の企業会計のほうが、よその企業会計よりこういう点が、成るほど相当原価計算の研究はしておられるのです。一応納得できるような原価計算もできて来ている。併し資産と経費とその他についてともかくも大蔵省の所管であるために、かたがた一般会計に非常に歳入の面で貢献するために、割合にその点をはつきり区分するということができていない。私どもの経験で、鉄道特別会計を扱つていたときよりも、内容的に計算すると、お膝元のほうが呑気なような気がしておられるのです。それをいろいろ言うと限りがありませんから、これは植木君の専門家に譲るのでありますが、そういう点で、やはりこういう実際の生産面に要する経費及び税金相当額と見られるものについては非常にむずかしいが、一応はつきりほかの人を納得させるだけの計算の基礎はややできているときに、もう分けるか分けないかの私は決心一つだと思うのです。そういう点についてどういうお考えなつているのか。新政務次官の御意見を伺いたい。
  74. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) たばこの定価の中でどういう部分を税金が占めておると考えるべきかという問題になるのでありますが、この点につきましては今泉政府委員からも申上げましたように、近年公社にもなりましたし、これを機会に原価計算の問題につきましては非常に意を用いて特別な職員もおき、これによつて鋭意今研究をいたしております。その研究の結果が未だ申上げる程度に至つてないことは甚だ遺憾でございますが、今後の方針としては、従来の皆さまの御意見の通り、でき得る限りその御意見に従つて参りたいという方針ではおるのでございます。  只今堀木委員の仰せになりました大蔵省所管の、曾ては特別会計であり、現在は又特殊の大蔵大臣の指揮監督下の公社でありますから、その意味で、いろいろのの点で、必ずし他の公社或いは特別会計との間において、何と申しますか、権衡その他において欠くる憾みがないかという御質問、御意見と拝聴いたしますが、この点については従来ともそうしたことのないようにできる限りの配意はいたして参つておるはずであります。併しながら今後こうした問題につきましては、一層の意を用いまして、そうして他の現業、他の公社等との間における不均衡が起らないように、言い換えれば税金相当部分がどういう部分を占め、どういう部分が企業の利潤と考えて行くべきものか。それによつて職員等に如何なる待遇そその他を講じて行くべきか等々の問題については、慎重に、而も成るべく早く今後その態度を決定する必要がある。かように存ずる次第であります。
  75. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 もう一点、小林さんが大蔵大臣が来られたら御質問になるということですから、そのときにしてもいいのでありますが、一つ指摘いたしますと、ともかくもこの専売公社の会計で固定資産と、流動資産と、それから貯蔵勘定と、それから損益計算と、そういうものが本来はつきり分るべきものだと思うのですよ。大蔵省関係の所管の企業会計でも、造幣の会計だとかその他でも、そういうふうに相成るべき性質のものだ。ところが私、実は驚いているのは、大蔵省所管の会計ほどそういう点が従来ともはつきりされていない。無論、内部的な整理は私はされているのだと思うのです。又整理して行かなければ、会計の意味をなさないと思う。表向きにもそういう計算をなさるべきである、それと原価計算というものができて行けば、大体やればやり得るのですね。又、あとこれは専売でなくなつたら当然しなければならないので、吉田総理みたいに「たばこ」を野放しにしようというなら、当然しなければならない。而もこれは今おつしやつたように公社になり、それから現業従事員に対しては生産報奨制度を設ける。今度は地方譲与税で、ピースの五円には過ぎないけれども、ともかくこれは税金なんだ、こうなさると、やつて行かないことがおかしいですよ。それで、なぜそれを、企業自身が責任を負つているものであつて、その点が明らかにならなければ、企業の成績がいいか悪いか判定のしようがない。そういう点について私は、植木君が政務次官になられたのだから、特にその点、会計のエキスパートだから、大いにやつてもらいたいと思つて、特にあなたに御注文して質問しているゆえんですから、いい加減な、ここでは、いい加減にしか答弁できないのかも知らんけれども、良心的には私はもつとはつきりなさるように、私はいいチヤンスだと、こう思うから、特に再び申上げる次第であります。
  76. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 御意見の点は十二分に拝聴いたしました。今後折角研究することにいたしたいと存じます。
  77. 平林太一

    ○平林太一君 財源確保のため、こういうのでありますが、これは一応形式上お尋ねしておきますが、この確保を予想される、二十九年度四月一日から実施せられるということでありますから、その見込額は総額でどのくらい予定しておりますか。
  78. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) ピースの五円値上げで、若干ピースから光に需要が移行することも見込みまして、年間二十九年度におきましては四十五億円の増収を見込んでおる次第でございます。
  79. 平林太一

    ○平林太一君 四十五億円と申しますと、ピース一個四十円が四十五円に相成つて四十五億円、これは概算でよろしいのでありますが、併し専門家ですから正確な数字が直ちに御答弁ができるわけだと承知いたしますが、本数にしてどのくらいになりますか。
  80. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 値上げする前と値上げする後の比較で申上げますと、値上げ前でございますれば、年間ピースが本数にいたしまして百三十六億本、金額で五百億四千八百万円という予定をいたしております。それが値上げ後五円上りまするから、その五円も見込みまして数量はそれから七億本減の百二十九億本、金額で五百三十四億六百万円、結局増減で申し上げますと金額で増が三十三億五千八百万円ということになります。それから今のピースで減額になつた分が光に移行するという大体の見込みでございまするので、光のほうで申しますと、値上げ前は光の売行きが年間二百五十二億本、金額で六百九十五億五千二百万円、それが値上げ後、今の七億本ピースの減つた分だけ光のほうに廻りますので、七億本を加えまして、本数で値上げ後は二百五十九億本、金額で七百十四億八千四百万円、差引いたしまして金額の増が十九億三千二百万円、合計いたしまして五十二億九千万円、これだけ増収見込みが立つのでございまするが、やはりこの増収に見合うたばこ消費税は地方に分けてやりまする増加分を差引かなくちやなりませんので、五十二億九千万円から七億五千万円、これは地方税として地方にやる分でございます。これを差引きますと、差引において国庫に納める分が四十五億円。こういう計算になるわけでございます。
  81. 平林太一

    ○平林太一君 了承いたしました。  それでは次にお尋ねいたしますことは、大体十本入によるピース、つまり一箱四十五円、その十本入の一箱の個数が何個に相成るか、明年のこの四十五億を見込んだ予算額に対して個数が何個になるか。
  82. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 今申上げましたのは本数で申上げましたが、来年のあれが百二十九億本売れるという想定でございますから、これを十分の一いたしますと箱数で十二億九千万個、こういうことに相成ろうかと思います。
  83. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、これは十二億九千万個になつて参りますから、大体常識としてピースというものは一個買うということが大体の常識なんです。そうすると、これは十二億九千万人にいわゆるこの五円ずつの厖大なる大衆課税をいたすという、政治的な重大な結果を招来するわけです。こういうことによつて財源の確保を期するということになりますれば、恐らく際限のないことなんです。こういうことに対してどういう見解をお持ちになるか。昔のいわゆる封建時代はおいて、財源を必要としてその捻出を求めるに、いわゆる零細な大衆にかける、所要経費をかける、こういうことが、昔の時代の、封建専制時代における、いわゆる今日で申せば税制の基本になつたわけです。今日の民主政治下におきましてなお且つかようなことを無制限にいたして行く。財源が足りないということで十二億九千万人にこれを一個一個ずつ五円ずつかけて行くということになるが、これは冒頭におきまして、税制改正において、こういうことをあなたはここでおつしやつておられるが、それに対する基本的なあなたの良心的なお考えというものを、この際、明らかにして、そうして十二億九千万人の今後のたばこ消費者が納得の行くような御説明をこの際求めておきます。
  84. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 仰せのごとく仮に一年間に一人が一個ずつピースを求めるとすれば、十二億九千万人の人に及ぶことに相成るわけでございまするが、値上げ前と値上げ後ということを比較いたしますると、値上げ前のほうはピースの売上げ数量がもつと多かるべきはずが、三億本ほど減つておる、こういう現況でございます。このピースの値上げにつきましては、大蔵省といたしましても専売公社といたしましても十分検討したことでございまするが、成るべく一つは高級品から財源四十五億円ほどどうしても生み出さなくちやならないという問題で、それじや四十五億を生み出すためにはどういうふうな「たばこ」の値上げをするかということについて検討いたしました際に、成るべく下級品は避けて高級品にいたそう、御承知通り高級品としてはピースの上に富士が出ているわけでございますが、富士を値上げしたらどうかという問題も起きたわけでございまするが、何せまだ国民になじみもできておりませんし、製造本数が極めて微々たる程度でございます。当初予定したるよりも若干富士の売行きは悪い状況でございまして、富士で増収を確保するということは到底できないということで、遺憾ながら、富士よりは若干劣りまするが最高級であるところのピースによつてこれを生み出そう、まあ高級品は一つ、そういうような人からは年間四十五億円程度は差引において納めてもらつて、そうして光、バツト、新生といつたもので大衆のほうは我慢して項こうじやないかということで、増収は勿論見込んでおりまするが、増収と併せて高級品に対する消費規制も、こういう狙いも持ちまして、ピースの五円の値上げということを決定した次第でございます。
  85. 平林太一

    ○平林太一君 高級品というお話であつたが、高級品ということの概念ですね、こういうものは、例えば光、それから、その下の「みのり」とか、そういうような、まあ高級品じやないとおつしやるが、ピースを高級品ということで今これを取扱をされておるという場合は、品質において、いわゆる「みのり」も、光も、ピースも同一の場合においてのみ、そういうことが言われるわけである。ピースの品質というものも、光、それから更に「みのり」、それ以下、それぞれの今お話になつた大衆が使用するであろうところの「たばこ」というもの、それは非常に品質が劣つておるのですから、だから品質の劣つていない、若し今あなたのほうで高級品にかけるということになりますれば、速かに品質というものは同一にしなくちやいけない。いわゆる安い「たばこ」、「みのり」にいたしましても光にいたしましても、そういう点はどういうふうな規格になつておるか。ピースは非常に高級品というのでありますから、品質自体は非常に優秀なものである。それから「みのり」以下のものは非常にまずい。粗雑な「たばこ」である。品質と規格はどういうふうに御説明ができますか。
  86. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 専売公社側からお答えさして頂きます。  現在ピースは全体で、今度の予算で百二十九億本でございますが、それは全体の千三十二億の約一割二分程度でございまして、品質の点は勿論ピース、光、新生、ゴールデンバツトとそれぞれ違つておりますが、大まかに申しまして大体日本の「たばこ」は殆んど国内の原料、国内産葉でやつております。九割五分までは……。その中に比較的品種のいい黄色種と、それからまあ日本の在来の種類を混ぜ合してやつておりますが、ピースにおきましてはその黄色種の混ぜ合せの比率が多いということでございます。勿論、光とゴールデンバツト或いは新生に比べましてよい品物を余計に混ぜているという傾向はございますが、その比率が多いということと、それからピースに関しては、特に米国葉のよいところ、例えば日本の黄色種は、非常に雨が多いものですから、味とか香りというものが若干劣りますので、雨の少い米国の東部の産葉を約一割五分ピースには入れております。光には入れておりません。特筆すべき特色としては、その点が品資的に違うと申したらいいと思います。  なお細かい配合比率など必要ならば後ほど申上げたいと思います。
  87. 平林太一

    ○平林太一君 今そういう御説明であるが、この製造に対してこの頃は値上げが行われるということは、私自身といたしましては非常にかようなことをしては相成らんことと思つております。我が国の税制改正におきまして、財源確保というものは、他にもつといわゆる大衆でなくして特定なるいわゆる高額な人の、担税能力を持つた対象から求めるものが十分に今日あるのです。それをこういうものから十二億五千万個、これは一日に十本使うか二十本使うか知らんが、数は厖大な数です。こういうものに向けます。そこで考えられますことは、この際できるかできないかということを確かめたいことは、ゴールデンバツトでありますとか或いは「みのり」でありますとか、こういう安い「たばこ」の品質をもつと引上げて、ピースに接近するところの措置を講ずる用意があるかどうか。この点、伺つておきたいと思います。
  88. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 只今の御質問に対しましては、勿論我々公社といたしましては一歩一歩よい品物を作つて行かなければならないということで心がけておりますが、何せ外国の葉を余計入れますればドル資金にぶつかりますし、国内の産葉を改良して行くということが一番いいのじやないかということで、相当の金を予算で認めて頂きまして、葉つぱの研究に注ぎ込んでおります。従いましてだんだん改良されて参りました。御承知のように戦前の光はうまいうまいとおつしやいますが、殆んど六、七割は米国の産葉を使つております。それが今日本の産葉だけで比較的よそに負けない味を出せるということは、この進歩のあとを物語ることと思いますが、かかる方向に毎月毎月、毎年々々努力はしておりますが、具体的に言つて来年どういうことになるかと申しますと、やはり今、平林委員の御指摘になりました通りに、若干、例えば光にも私がさつき申上げました黄色種のよいほうの歩合を高めるということをいたしますし、なおゴールデンバツト、新生についても、いわゆるよいほうの割合も、まあ僅かでございますが五%くらい上げて行くということにいたしまして、ピースが高くなつたけれどもその他の味はうまいという方向には、僅かではありますが、具体的に四月一日或いは六月一日から品質の向上が現われて来ることと思います。又そういう計画にいたしております。
  89. 平林太一

    ○平林太一君 今非常に重大な御答弁がありまして、私といたしましては非常に了承いたしました。同時に、これはあなたは単に本日は答弁のための答弁でなく、実際に今お話の通り、いわゆる大衆の、ピース以外の値上げをしない。他のいわゆるゴールデンバツトを中心とする地方の人々などが使用しておりまする大衆たばこ、こういうものの品質を上げるのだと、四月一日乃至六月一日から只今のお話では五%を引上げる、こういうことでありますが、これはいやしくも当委員会において言明をなさつたことでありますから、いわゆる厳乎としてこれを御実行になることをあなたは御誓約に相成つた、こういうふうに私は了承いたします。同時に、この点は政務次官が御臨席になつておりますから、いわゆる四月一日以降あなたは一度専売公社に行きまして、製造の実情をよく御覧になられて、この通り大衆たばこの品質をよくしたということをお認めになられることを要望しております。  それからこの際、第二にお尋ねいたしたいことは、専売益金ですね、今度のような四十五億という財源は専売益金納付金である。これに対しまして専売公社といたしましてはどういう算定によつて、いわゆる「たばこ」の全体の利益金の中から納付をする、それから納付金以外の諸経費、例えば先日、専売公社が只今の虎の門に立派な建築をなされたようですが、そういうものに対しまする内訳の基準ですね、専売益金というものはあなたのほうでお使いになりたいものをお使いになつて、その残りを専売益金にするのか、或いは又専売益金というものを事前にこれこれ本年度においては納入しなければならんということで、それを専売益金に回してその残りを、あなたのほうの家を建てるとか、所要の経費になされるとか、こういうことはどういうような形式でおやりになつておるのか。この点を伺いたいと思います。
  90. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 只今の点は、専売益金の計算に関しましては、やはり大ざつぱに申しますれば「たばこ」の売上げ或いは塩の売上げから、それに必要な経費を差引いた差額ということになるのでありまするが、その必要な経費というものは勝手に公社側できめることはできませんので、非常に細目な内訳をつけまして、国会の御審議をお願いして御承認を得るという形になつておりまして、葉つぱを買う原料品に幾ら、建物関係に幾ら、給与関係に幾らという工合に、それぞれ内訳がついておりまして、内容の科目の流用その他に関しましても国会界びに国庫側の厳重なる制限を受けております。従いまして相当予定より売上げが伸びたから少し工場を造ろうとか、或いは原料を余計に買おうということは、みだりにできる形にはなつておりません。例えば来年は二千億以上の売上げになりますが、そのうちの経費は、原料部門が大部分でございますが、それぞれを合せますと約八百億近くになつております。なお建築の点を御指摘になりましたが、ああいうものは国会でお認めになりました建設関係の範囲内におきまして実行いたしております。若干或いは入札その他によりまして予定価格よりも安かつた差額が出ますので、そういうものをいろいろ集めまして、国庫側の承認を得まして、工場ならざる事務所或いは宿舎などに向けさして頂くこともありますが、大蔵省側の厳重なる監督を受けて日々やつておりますことは間違いございません。
  91. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、今そういうお話でありますが、専売公社のこの間建てました建物はどのくらい所要経費がかかつておりますか。所要経費を一つお尋ねいたしたいと思います。
  92. 小川潤一

    説明員(小川潤一君) 約四億八千万円かかつております。
  93. 平林太一

    ○平林太一君 これはどえらいことなんです。四億八千万円というのは……。これは今日の財政緊縮を政府が身を以て実行せんとしておりますとき、同時に国民に対しましては重大なる耐乏生活を要望しておる。これは政務次官に御注意を申上げますが、会計検査院を一度御視察になつて……文部省の屋根裏の中に、終戦当時の荒れはてた残骸と同様のところに三権分立の最高機関たる会計検査院が、あそこにやつておるのです。これは恐らく予算がなくて、向うが要求したのかしないのか、それは別個として、ああいう所でああいう仕事をしておる。その際、今申上げておる十二億九千万個というような大衆課税がどしどし必要あれば値上げをしておる。そうして四億五千万というような、ああいうような豪壮、豪華を極めた建物をお建てになつておる。これは工場の拡張であるとか或いは葉たばこを作りますところのその場所における施設でありますとか、こういうことなら影響して来るのです。併し建物に五億円近い所要経費を費やして、そうして専売益金だ、これは先刻小林君が御質問になりましたが、同感なんです。税ということが出ていない。専売益金だ、というような、自由放縦な今日の専売益金制度というものに対しましては、この際、非常にお考えを頂かなければならないことと思いまし、私は証拠がありまするから申上げておきまするが、これは一つ専売公社の専売益金に対する処置というもの、それから専売公社が専売益金以外の、「たばこ」から上りました利益金に対する処分というものに対しましては、この際、従来の習慣を反省いたしまして、何らかのこれは新らしい措置をしなければならないということを私は強く申上げますが、植木君からこれに対しまする政治的な政務次官としての御見解を承わつておきたいと思います。
  94. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今御意見のほど十二分に拝承いたしました。私自身といたしましても、最近の官庁の建物或いは公社の建物等を深く勘案いたしまする場合に、十二分に今後留意をしなければならん点があるのではないかというふうに思われる節もございますから、御意見の点、十分今後気をつけて参りたいと存じます。
  95. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほど来の問題ですが、主計局長の意見を聞いても「たばこ」の専売益金は税金なんです。これをはつきり税と販売価格と分けておくほうがいい、こういう観点で聞いているのですが、あなたの見解はどうですか。
  96. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今御指摘のございました問題は非常に大きな問題でございまして、政府部内におきましても、数年前、公社を今のままでおいたほうがいいのか、或いは民営に移して税金でやつたほうがいいのかということを検討いたしたことがございます。その当時は、結論といたしましては、葉たばこの耕作等の問題もございまして、暫く専売制を継続したほうがいいのではあるまいかというくらいの結論でございまして、はつきりした結論が出ていないのでございますが、御指摘のございました点は確かに重要な問題の一つでございます。併し沿革的に考えますと、当初は税金で処理して来ておりましたのを、更に一層、国庫収入金の完璧を期する意味から専売制度なつたというような沿革もあるわけでございまして、五、六十年来それが続いておるわけでございますから、この現行の制度にも又いろいろ特色があることは事実でございます。税金に相当する分以外に資本収益、配当的な部分もある。それはすべて専売益金という形で政府に収納しているわけでございまして、この制度にも又非常な特色があるわけでございます。その場合、経理の査定が非常に重要な問題になつて参りまして、先ほど来御指摘がございましたように、その経理の査定如何、或いは専売公社における経費の使用について十分自粛が行われるかどうかと、そういう問題に非常に大きな責任がかかつて来るわけでございまして、私どもも今の制度を持続する限りにおきましては、経理の査定の面におきまして非常に重大なる責任を感じておる次第でございます。現行の制度の下におきましても、今後一層そういう面に配慮いたしまして、かりそめにも国民の指弾を受けることがないように今後一層努力いたしたいと存じますが、なお御指摘がございましたように、これを思い切つて税金制度にしたほうがいいかどうかという問題につきましても、十分今後検討を重ねてみたいと思います。
  97. 小林政夫

    ○小林政夫君 あなたの今の御答弁を聞いていると、あなた自身としては一つもこの問題について最近は相談にあずかつておらない。この参議院大蔵委員会において、あなたは主計局長になられたのは最近ですけれども、とにかく二年ほど前から、民営にするとかしないとかということは別ですけれども、公社として置いておいても、他の公社等の振合いから考えても、この「たばこ」の売上げの中には明らかに税金の部分があるのだから、他の公社と均衡を得るという意味においても「たばこ」消費税的なもので、税と販売価格とを分離したらいいと思う。そうして政府出資に対する配当分、つまり利益と認められるもの、それを又、納付金で取ればいい、こういうことで考えるべきだと、こういう意見を言つて、今泉監理官を初めとして、とにかくもう少し研究さして下さい、研究さして下さいということでありましたが、あなたの今の答弁じやちつとも研究にあずかつていない、それで今泉さん、研究していると言えるのか、政府部内で……。
  98. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今の問題につきましては、今般公社制度の運営に関する審議会も内閣にできたことでございますし、この審議会における学識経験者等の御意向も十分参酌いたしまして、鋭意検討を遂げ、至急結論を出したいと考えます。
  99. 小林政夫

    ○小林政夫君 主計局長に対して申上げますが、我々が問題にしている点、なぜこういうことを問題にしたかということを呑み込んでもらうために、もう一言付加えると、こういうようないわゆる純然たる税金に相当するものを益金というようなことでやつておれば、今の平林委員の御指摘のあつた公社会計の放漫化というような点も問題ですけれども、なお且つ例えば葉たばこの売上げ代金等についても、これは農民のために有利に買上げてやるということはいいでしようけれども、必要以上に有利な金で買上げるということも問題なんです。この売上げ代金の値上げ交渉の場合においても、とかく公社側においては金があるということにおいてルーズになるのではないか。併しこれはまあいろいろ問題がある。そういう問題が一つ。  それから従業員に対するベース・アツプ等の問題においても、或いは予算上資金上不可能だということがあつても、公社のほうとして資金上不可能ということはあり得ない、今までは……。  それから更に年度末の報奨金の問題においても、他の公社と問題にならんじやないか。これがあるから、ほかのほうだつていろいろ問題が起り、而も又こういうものがあるから、その仲裁裁定についての政府が呑むとか呑まんとかいう原則が崩れて来る。こういうような点、どうしろという意味で私も言つておるのではありません。葉たばこを安く買上げるという意味言つておるのでもなし、要するに葉たばこの価格決定の問題、従業員のベースの問題、或いは報奨金の分配の問題、或いは公社自体の経理の放漫化の問題、これは明らかに放漫化と言います。今のビルデイングの問題なんか明らかにそうです。そういうことで、昔は大蔵省のほんの隅つこのほうで専売関係の事務はやつておつたものが、今では堂堂たるビルデイングでやるというような現在の時勢においては、甚だ無定見である、こういうような問題を起すから深く検討しなさいと言つておるのです。
  100. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 御指摘のような問題の所在は私どもよく了承いたしております。それであるだけに、只今御指摘がありましたようないろいろな問題の処理に当りましては、私どもは、専売益金はこれは実質的には専売税であるということを強調いたしまして、公社当局に対しましても臨んでおるわけであります。その部分に対しまして、我々非常に重大な責任を感じておるということを先ほど申上げたわけでございますが、更にこれを税金とすることによつて一層完璧を期せられるかどうかという点につきましては、いま少しく検討の時日を拝借いたしたいと存じておるわけでございまして、折角公社制度運営審議会も発足いたしましたのでございますから、民間の方々の御意向も十分承わりまして、慎重に検討をいたしたいと存じておる次第でございます。
  101. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫次休憩いたします。午後は一時から続行いたします。なお大蔵大臣は午後一時に出席することになつておりますので時間の御励行を願います。    午後零時二十二分休憩    —————・—————    午後一時六分開会
  102. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開きます。  大蔵大臣が出席いたしましたので、本日の日程に載つておりまする全部の法案を議題といたしまして、大蔵大臣に対する質疑をお願いいたします。
  103. 小林政夫

    ○小林政夫君 製造たばこの定価の決定の問題について、当委員会においては、約二年半くらいになると思いますが、前から、「たばこ」の定価と、それから税金に相当する分、まあいわゆる專売益金として、財政収入に上つておる分に相当するものを、たばこ消費税の形で別に分けたわけでありますということを言つておるわけでありますが、その都度、政府の側においては、慎重検討の上何分の結論を出したい、こういうことで、ずるずると今日まで来この国会の最初においても、この法案が提案されたときに政務次官にも申しまして、検討の上答弁するということでありましたが、今以て今日の段階においても研究中である、こういうなんです。而も先ほど主計局長に聞いてみると、政府部内において研究しておるならば、主計局長が相談に与からないはずはないと思うのだけれども、全然相談に与かつておらないごとき様子に見受けられるわけです。個人の見解は主計局長としてあつたようだけれども、実際に我々の意を体してこれを研究しておるという風は見受けられない、で、大蔵大臣としては、その問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  104. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 小林さんがそういうような御意見をお持ちになつておるのみならず、ほかにもそういう御意見があることを実は聞いておりましたので、とにかく改善を早くしようというような考え方から、先般、公共企業体合理化審議会というものを作りまして、会長に原安三郎さんをお願いいたしました。それで、ここで一応の成案を得たらそれに基いてやりたい、こういうことで、各公共企業体について、特に三公社の問題についてもいろいろ研究してもらうことにいたしておりますが、専売局の問題を取上げて頂きまして、その結論に基いて大蔵省としてはやりたい、こういうような考え方をいたしておるわけであります。部内でもよりより研究をしておると思いますが、それは実はどういうふうに研究しておるか、実は私は部内での研究の組織があることは別に承知しておりません。
  105. 小林政夫

    ○小林政夫君 これは私は前も今泉監理官には言つたのです。それから先ほど小林がこういう意見を持つておるということでありましたが、これは私個人の意見も意見ですが、緑風会としては会を挙げての意見です。緑風会には御案内のごとく、専売については相当、曾ての長官をされた方もおられるし、いろいろエキスパートが揃つておるけれども、この問題については是非、税と価格とを分ける、本来の価格を分ける、こういう強い意向なんであります。そういうことですから、御案内のごとき緑風会の性格ではありますが、この問題については殆んど全会一致の要望意見であります。それと、今のお話の慎重に検討する検討すると言われますが、前国会であつたか、専売局の本日出席の総務部長が来て、専売公社としてはこれほど厳密に原価計算をいろいろやつておるのだから、その税金相当分についてあいまいなことはない、はつきり税金に相当するものは、これだけの原価計算をやつておるのだから、公正に出せる、こういうようなことでありました。それだけ原価計算ができておるならば、税金と本来の価格を分けることは、たやすいことである。併し又、意見を言う人においては、形式的にはそういうような原価計算をやつておるようだけれども、なかなか実はうまく行つていないのだというようなことも言われておりますが、併しその原価計算の正確であるないは別として、少くとも予算書には、「たばこ」の専売益金というものは二十九年度はこれこれだ、こういう専売益金収入というものが上つておる。それに対して製造本数は幾らだ、製造数量は幾らと、こういうことになつておるのですから、その中で腰だめ的にも税額と価格というものは分けられるはずです。予算書に基いて。予算書だけに基いても分けられる。そうすると、どう踏み切るかというだけの問題だと思うのです。一応定価をきめて、その定価に基いた結果が甚だしく利益が上る、こういうことであれば、これは公社なんだから納付金で国がとればいい、併しそれがアブノーマルに利益が多い、あり過ぎるということであれば、定価を下げればいい、又、儲からんということであれば少し定価を考えればいい、そういうことで、最初の間は、一年なり二年の間は少し価格変動が激しいかも知れない、きめ方によつては……。それも是非至急に直さなければならんということではないと思う。このいわゆる物価等を考えて「たばこ」の値段というものは、物の値段としての観念からは少し低物価政策だといつても外れる、我々の受取り方というものがこれは税金があるのだからというようなことで、一般国民大衆だつて、一体ピース一個に対しても何ぼ何ぼ税金を納めておるということはわかりはしない。そういうような点もあるし、それから、先ほども主計局長にも指摘をしておいたのですけれども、葉たばこの収納代金の決定の問題は、従業員のベース或いは年度末の報奨金の決定の問題等においても、安易な、勿論、国会は承認するのだからということでありますけれども、提案の公社当事者は割合に安易な気持に流れ易いのじやないか。そうして企業体としての経営をやるといいながら、実際今の企業体にはもう類例のない恵まれた企業体である。金の心配は要らないし、恐らく理事者というものは世の常の経営者的な苦労は一つもしていない。せんでもいいのだ。そういうような安易な経営ということが行われ易いのじやないか。先ほども御指摘がありましたけれども、いろいろな支出等についての問題、或いは曾ては大蔵省の一隅におつたものが今は堂々たるビルデイングでやつているというようなことも起つて来るのです。そういう点についてこれは何も慎重審議と言つたつて踏み切るだけの問題なんです。今の公共企業体のいろいろな経理の問題について、原安三郎氏を会長に煩わして研究されると言われるけれども、これは一応二十九年度なら二十九年度の予算できめた分だけで今のような区別をして、更にそれから後の経理方法について研究するということは、一般的に必要かも知れません。けれども、これは大蔵省当局の踏み切りの問題としてできるはずだと思う。その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  106. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は少し面倒のように聞いておるのですが、私自身がその問題についてまだ十分の研究を遂げておりませんから、私見を申述べるところまで行つておりませんが、ただ、この予算書を作りますときでも、例えば何を何本にするかということについては相当いろいろなことがあり、又、それに要する輸入した葉をどう使うかというようなこともあつて、相当議論をしておるわけでございまして、或いはもう少し研究してみたら、小林さんが今言われたような割切れる問題になるかも知れませんが、私自身としても、十分、頭に理解が行つておらない。これは正直に申上げておきます。従いまして、只今のところ、この審議会の結果を待つて処理したいと思つておるのでございますが、その前にも一つ何かいい案が結論されれば、これはその審議会に速急に諮つて、そういうことについて御相談してもいいとは思つておりますが、これは私の慣れないせいか、私ちよつとそこまで割切つてはおりません。割切るだけだと言われるけれども割切りかねるのです。
  107. 小林政夫

    ○小林政夫君 大蔵大臣は常に率直で、その点においては非常に好感が持てるのだけれども、大蔵大臣にそういう今のような答弁をせしめるということについては、特に今泉監理官には責任がある。大体あなたは、研究します研究しますと言いながら、ちつとも、主計局長もおおむね大蔵大臣と同じような答弁と私は了承しておる。よく関係すべき所と、ちよつとも関係していないじやないですか。相談していないじやないですか。そういうことで、あなたは、ただ、その法案が出たときだけ何とかここへ来て研究しますと頭を下げていればいいというわけのものではないのですよ。誠実にここで言明したことを実行しておるとは言えないのじやないですか。
  108. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今泉監理官から大蔵委員会でそういう御意見があることは伺つておりました。
  109. 小林政夫

    ○小林政夫君 午前中の答弁ではそうではない。
  110. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) それでいろいろ考えて見まするに、今、税金の部分と専売公社に対する出資の配当金なり剰余金の納付の問題なり、その部分をどう分けるか、この分け方の如何によりましては、現行法と余り変つたというようなことのないようなことにもなるかと思いますが、或いは又これを一ぱい一ぱいにしますと赤字が出たときにどうするかというような問題がございますし、結局、公社の形で、税金納付金を分けるという形にとどめるのか、或いはもう一歩進んで民営企業にする……葉たばこの関係でいろいろ問題がございますが、製造関係の部分は民営的な形態にする。そうして配当も法人税もすべて払つて民間企業と同じような立場に立つ企業にして、それに「たばこ」の消費税を納めさせるか。そこまで踏み切るかどうか。そういつたような問題はいろいろ問題がございまして、只今大臣からお話がございましたように、にわかに踏み切れないということが率直なる現状でございます。公社制度の合理化審議会で専売公社について問題になりますのは、恐らくは只今御指摘がありましたような問題ということにもなると想像せられるわけでございまして、そこで民間の学識経験者の方々の御意向も十分拝聴いたしました上で合理的な結論を出したい、さように考えておるわけでございます。
  111. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは、あなたは今あなたの見解として言われるというのですけれども、前から相談を受けていたなんということは、朝の答弁からいうとおかしいので、その点はそうしておきますが、とにかく今泉監督官の怠慢性となうものは明らかだ。それから益金益金というけれども、我々の見解からいうと、果して益金なのかどうかわからんですよ。税金を食つておるかも知れない。むしろ損をしておつて、税金が本来あるべきなのに、税金のところまで食つているのかも知れない。国民大衆から考えても、我々がそういう疑問を持つのだから、益金々々と言つておるけれども、実際に電電公社とかその他の公社のような経理をやつて見れば、同様に専売公社も赤字で国から何がしかの一般会計等から資金を補給しなければ赤字の償いができないというような事態があるかも知れない。アブノーマルな価格をきめて儲かるようにしているから儲かるのであつて、いわゆる税金を付けてあたかも儲けたような恰好にしておるから益金という名前を付けておるだけで、その実は、経営方針とやり方を実際に検討すれば、損をしておるかも知れない。税金を食つておるかも知れない。こういう点を明らかにしなければいけない。一応併し今まではもうやつて来ておるのだから、二十九年度なら二十九年度の予算予定された益金をこれは安易に現状と妥協して……敢えて私は現状と妥協だというのは、もつと企業合理化等の努力をやれば利益は上るかも知れないのです。上るかも知れないのだけれども、財政収入予定しておるだけのものを税金として吸い上げるという意味で、二十九年度なら二十九年度予算予定しておる益金収入に見合うたばこ消費税を創設して、そうしてやつて見れば、果して公社のほうが儲かるか儲からないか。それよりうんと儲かれば、たしかに企業努力があつたということが言える。そういうことは問題点ですけれども、一体どうしても公共企業体の合理化審議会の議を経なければ態度をきめないと言われるのか。今、大蔵大臣は多少余裕のあることを言われましたが、大体いついつ頃までにやる、而も私はもう今の段階においては我々の言うような意見で以てそうするのにはどうしたらいいか、こういうことで諮問されるならば了承できるのです。如何でございましようかという、ただ大蔵省の見解はどつちでもようございます、結論を出して下さいというようなことでなしに、是非、税金と本来の価格とを分ける、分けるのにはどうしたらいいかということで諮問をされるならしてもらうことが必要だと思う。
  112. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の審議会のほうは半年以内に結論を出して頂くということになつておりまするから、今の御意見よく了承いたしますので、急いで一つ出して頂くことにいたします。
  113. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと議事進行について。何でもやるわけですけれども、関連があれば、例えば今の問題なら今の問題に関連のある質問なら先にやつて下さい。集中的に大臣には質問をするのだけれども……。
  114. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 大臣に対する質問を願います。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 製造たばこの値上げにつきまして、まあ五円でも値上げになるわけですが、緊縮予算で物価を一割下げるという、今年の年末になつて来たら一割くらい下つて来るだろう、こういう見通しで、予算説明、財政計画の説明に当つてはこれを強調しておられまするが、実際に政府事業で先ず「たばこ」は上る。それから今度は酒も上りますな。酒も高級品かも知れないが、これも上ります。それから鉄道運賃も高級品だか、高級品で上級客の旅客運賃が上る、こういうのは、やはりほかにもこうだんだんと影響しまして、一般にこれは上つて来るのじやないか。一割下げるとおつしやるけれども、なかなかそのように行かんのじやないかと思うのですが、こういうものは特別だというお考えであるかどうかという点が一つ。  もう一点は、今度はもうこれ以上は上げないというお約束はできるのか。それとも又、必要に応じては、こういう高級品と称するものについては上つて来ることになるのかどうか、この二点お伺いしたいのです。今年もやり、来年度早々富士に行く、或いは光にも及ぶ、こういうことがあるかどうか。こういうことをお伺いしたい。
  116. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実はなぜ緊縮予算を編成したかということは、これはもう菊川さん御承知のごとくに、とにかく物価を今仰せになつた五分か一割下げて、そして国際競争力を持たして国際収支の均衡を図るということになつておるので、従つて政府におきましてはできるだけ物価は下げる方向はとりたいが、上げることはとりたくないのです。これは当然仰せの通りなんでありますが、併し今、ものによりますと、やはり消費の節約をやつてもらつて、それで物価を下げるという方向に持つて参りたいものもございます。それから今、国有鉄道の運賃の問題でございますると、これはまあ一、二等だけの分でございまして、三等の旅客運賃とか、或いは一般の輸送に要する運賃には、これは何ら影響がないことになつておりますので、これは影響がないものと見ております。それから「たばこ」につきましては、これは丁度御覧下さつておるように、これが光以下を上げるというと相当問題になるのでありますが、一番本数が多いのが光とバツト、新生という部分でございまして、本数から申しますると、ピースは、ほんのそれらを三つ合せたものの六分の一にも満たぬという程度でございまするが、私どもとしましては、ピースは比較的たばこの中では高級なものと思う。日本で今売つているものでは。高級なものか、自分たちは絶えずのんでいるといわれるかも知れませんが、併しながらピースは五円だけはまあ忍んで頂こう。これは上げるのではなくで、大衆的な所得税を減らしたものですから、そのためにこういう措置をとらざるを得なくなつたわけです。酒のほうも一級酒だけをやむを得ず上げると、こういう措置をとつたわけでありまして、一口にいいますと、奢侈という言葉は少し過ぎるかも知れませんが、まあ極く高級なものに課税を殖やすと、こういうだけのことでございまして、只今のところ、勿論、光以下に及ぼすという考えは持つておりません。それから又、酒も二級酒等に及ぼすと、こういう考えは持つておりません。ただよく一部には、御承知のように、もつと今の低額所得者の所得税を減じて、例えば基礎控除なり扶養家族の控除なり、ああいうものをもう少し殖やして、菊川さんのよく言われます二十四万円まで無税にしてしまえと、こうなれば、どこかへ仮りに持つて行かなければならないとすれば、そういうときにこの問題を取上げるかどうかということは別に考えなければなりませんが、今のところはさような考えは全然持つておりません。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 政府からお出しになりました租税及び印紙収入予算説明を見ましても、やはり国民所得の負担率からすると僅かではございますが、今年は去年に比べましてちよつと上つているのです。一方におきましては倹約せえ、耐乏だというて、政府のものは上つて行くということは、成るほどピースは五円で大したことはないとおつしやるかも知れんが、やはり心理的影響というのはあると思うのです。ピースも下げて行くのだ、だから一般の私企業においても物価を下げるように努力せえと、こういうふうに呼び掛けて行くのならわかりますが、ピースは我慢するのだ、併しお前のほうは下げて行くんだぞというのでは、ちよつと筋が通りにくいのじやないかと私は思うのですがね。それは心理的影響というのは大きいと思う。仮りにピース五円下げるというふうに訴えて行つた場合には、これはいよいよ物は下がる傾向になつたわいと国民はとる。併しピースは上る。ピースだけといいますけれども、大体都会では若い青年でもピースをすつている。ピースが光をすつていると思う。それに五円かけたというのは心理的影響が大きいと思うのです。こういう点も考慮されてこの五円値上げを計画されたのですかね。
  118. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもも今のバツトとか光以下のものに及ぼすと、本数はピースの六倍にも上つておるので、そういうことが言えるかと思いますが、ピースは現在でも四十円で、大体それを一日に二つ吸う人からみると月二千四百円を煙にする人だから、その人は五円くらい負担してもよいのじやないかという考え方が、それはむしろ物価にそう及ぶものじやないので、奢侈の抑制の意味に役に立つのじやないか。どこのやり方を見てもそういう高級品を上げる、政策をこうして行けば……私は耐乏生活は生活の合理化ということを言つておるのですが、生活の合理化を要求するときには、どこでもそういう措置をとつており、これが普通にとるべき措置であろうと考えております。
  119. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の菊川君が指摘された点は前の私の質疑によつてわかると思うのですが、そういう場合にも税金と価格というのが分れておりますので、税金を上げればまだ我慢しよう、だけれども、これがはつきり分れていないで、今の五円上げる場合にはどつちが上るのかわからん、一体、コストが高くなつて五円上げるのやら、税金で五円増徴するのやらわからない。もしはつきり分れておつて定価を上げるということになつたら我々は断じて承知しない。今の政府の低物価政策からいつて絶対承知しない。今の放送料金の値上げの問題だつて、いろいろ問題になつておるときに、そういう点が実はあいまいになるから我々は分けろと言うのです。
  120. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今、小林さんのお話ですが、これは実は出したのは、製造費には関係なくこれを出したので、この点は実はあなたの仰せのごとく税ということがはつきりしている。これだけが純益と見て、これを国の増収と見て実は立てておるわけでございますから、お言葉の通りにいえば、これは税だということは今度のほうがはつきりしているのです。
  121. 小林政夫

    ○小林政夫君 今度の分は私はそうだと了解して、それはそうだと思つておるのだけれども、併しそれも一応は積み重ねた上に出しているだけで、厳密な企業採算して御覧なさい。わかりませんよ。
  122. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、大臣が今朝お見えになる前に、ちよつと遅れられましたので、関税定率法については採決はもう済んだのでありますけれども、この際、一点だけ伺つておきたいのは、関税の定率につきましてはそれぞれ業者の中でもその立場々々上で意見が対立するのであります。例えば新聞用紙については、新聞社側は、これは下げろと言うし、それから製紙メーカーのほうでは上げろと、こう言う。又、過般、当委員会でも、カーボン・ブラツクにつきましては、製造メーカーのほうは、カーボン・ブラツクは自動車のタイヤの原料に入れるそうです。ゴムに混ぜる黒いもんだそうですが、これを拵えるほうは定率を上げろと、こう言う、使うほうは下げよと言う。これはとても日本側の製品では外国製品には追つ付けんぞ、品質も価格も追つ付かん、だから暫らくの間はこれは下げるべきだ、そうせんと、タイヤのほうの競争力が対抗できんと、こう言う。大臣は、国際競争に打ち勝つために今度の財政政策は俺は堅持しているのだと、こうおつしやるのだが、そうすると関税率に響いて来ると思うのですが、併し日本の今の各産業構造を考えましたときに、どうしてもそれは外国の製品に対しては見劣りすることは、何によらず価格は高く品物は悪いということだけは、一部の品物を除きまして大体言えることだと思うのです。こういうときに対しまして、関税政策によつて保護関税政策をとろうとする方針か。それともこれは自由競争に打ち勝てるように、暫らくの間は困難な状態でも余り保護関税というような政策はとらぬ方針か。この基本方針だけを伺いたい。一体どちらをとつて行くという方針か。今の一兆円予算と関連いたしまして一体どつちをとつたほうがよいというふうにお考えなつておるのか。或る程度は保護して行くという基本方針か、それとも、この国際競争に自然淘汰されるような方向で、余り関税で以てこれを保護育成するというような政策はとらない、こういうお考えかどうか。この点を伺つておきたい。
  123. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 菊川さん御承知のように、日本でもこの間、仮加入ではありますが、ガツトヘの加入をいたしておりまして、従つていわゆる保護関税という色を余り強く出すことはできません。従いまして、私どもが、ものによつて或る程度の育成措置がとられるというような程度で各国が呑込んでくれるものは別ですけれども、さもないものについては、これはやはり自由にして置き、特別な保護を加えないというのが根本の立場でなければならんと思います。併しこれによつて各国の了解が得られるものがあれば、そのものについて多少の保護的なものが現われても、これはいいんじやないかと思いますが、これは各国とも了解してくれませんとやれません。了解なしにやることはすぐ報復的にやられますので、やれません。又それをやるについても、ガツト加入も仮加入なつているのに、日本がこういうことをやつた云々ということをいわれておるのが、仮加入の際に問題になつたこともお聞き及びの通りでありまして、方針としてはあくまでも自由競争の下に行くべきてあろうと考えております。
  124. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、今度はアメリカのほうで「まぐろ」の税金を上げるとかミシンの税金を上げるというような、向うも上げているんじやないのですか、日本から行くものは。そうするとアメリカから持つて来るものに対してはこれに対する対抗策というものは考えずに、向うは大ものだから仕方がないという態度で臨むんですか。この点はどうです。
  125. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それはこちらのほうにおきましても、これこれこういう品物についてはガツトのときも……
  126. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 了解しているんですか。
  127. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 百十二品目についてはどこどこと書いてございまして、多少これは他の立場もございまするから、了解されておる分もございます。
  128. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはまあその辺で、採決が済んじやつたから、次に移りまして、財政法第四十二条の特例に関する法律について一点伺つておきたいと思うのですが、大蔵大臣が財政演説の際にも常に強調されまして、一兆で抑えるんだ、一兆で抑えるんだと、やかましく言われるのですが、この一兆以内に抑えるということと、今年又繰越すのが、この財政法の特例によりまして百六十八億六千五百万円と言われるが、これが一兆のほかに繰越すことになるのですが、一兆というのはただ一つの目標であつて、そう固定したものじやないというふうに了解してよろしうございますか。
  129. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はこの前にも予算委員会で御説明申上げましたが、別に一兆という数字に捉われておるわけではございませんが、これが一番わかりよくて、特にこういう緊縮財政等を国民の御協力のもとにやらなければならんときには、国民にお訴えする、アツピールするのが、これが一番よいと考えるので、そこで一兆という線を堅持いたしたい、かように考えておるわけですけれども、別に一兆という数字にこだわつておるというわけではございません。
  130. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、一兆、九千九百九十五億で五億だけ落した。表面はそうなつておるんだが、今度の四十二条の特例によりまして、安全保障諸費の中で百六十八億六千五百万円という金は、これは今年の支出になるわけです。現実予算外の、この一兆の中には含まれない支出があるわけですが、百六十八億というと大分金額も大きいのですが、まだほかにもあるのですが、そういうことは、いろいろ一兆という形式だけは整えておいてこういう方式をとろう、こういう考えですか。それは国民に与える影響は大きいのである。五億だけでも切つておいて、あとはこういつた繰越しその他の財政的な操作によつてつて行こう、こういうのがあなたのほうの考えですか。今の大蔵大臣のお言葉から聞くと……
  131. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体いつの年も繰越金があることは御承知通りでありまして、その年度の予算規模を考えるときには繰越しというものについては余り考えない。これは議論の上でもいつも考えておらんでやつておるのです。例えば二十八年度からも成るほど繰越しがありますが、二十九年度予算も同様に繰越しがあり、過去ずつとそういうふうになつて来ておりますので、その年その年についての予算規模の問題について今まで御説明を申上げ、御議論を願つておる次第であります。  それから今百十二品目と申しましたが、そのうち事故繰越しとなるものがございまして、実際の再繰越の対象となるものは、五十六億円だけが今度特例としてお出ししておる分でございます。五十六億円でございます。
  132. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 安全保障諸費でこれを計画されておるのは、あとは事故繰越しで、実際の繰越しは五十六億くらいだとおつしやるんだが、もうこの五十六億が今年限りで、又来年へ例えば三十億でも二十億でも繰越しになるというようなことがないのかどうかという点が第一点と、どうも大蔵省からお出し願いました所要見込額を拝見しておりますと、最初にこの点、何回も事務当局にはお伺いしたのですが、五百六十億という金額は、アメリカのほうはどうしても使え、よろしい、使いましよう、こちらも使いましようと、こういつて約束したものか。それとも施設だけは、これだけの施設だけはいたしましよう。じやあそれだけやれというところで、この五百六十億で予算を大体これだけはアメリカの要求に応じられるだろうというところで、安全保障諸費というのは予算に計上されたものか。どちらが本当かということを伺つておきたいと思います。
  133. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは当時の大蔵大臣衆議院予算委員会で五百六十億につきましての内容を説明いたしておりますが、これは菊川さん御承知と思いますが、念のためちよつと申上げますと、移動に伴う営舎及び附属施設等の建設費が三百四十二億円、それから道路及び通信施設費が百五十億円、港湾及び荷役施設費が三十六億円、治安に関する機構の整備、教育訓練機関の設置及び巡視船等の監視船の充実に必要な経費、これが十三億円、その他として十九億円というふうに説明されておるのでありまして、これがだんだんと使われまして、五百四億円は使用の内容が全部確定しておつて、再繰越しの対象となるものがさつき申上げました五十六億円と、こういう次第でございます。四十四億円だけまだこれは計画について検討いたしておりまするので、今後折衝することで内容が確定する、こういう次第のものでございます。  それから最初にお話がありました三十年度には繰越しはないかというお話でございますが、三十年度にはこういうことはないと私ども信じております。もう話はついておりまするから、三十年度に重ねてこういうことをすることはない、こう存じております。
  134. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、この計画、向うの要求通りの計画が全部二十九年度にでき上らないようなときには、繰越しはしないけれども、新たに安全保障諸費というような、名前はどういうふうに費目につけられるか知らんけれども、これは今も大臣が言われるように、設備をすることが一つの目的だ、金を使うことじやないんだ、だからしてこれができないというような事態が、いろいろの理由はあると思います。やつておつたけれども工事の途中で災害に会うというような、火災に会うというようなことで、金が足らなくなるというような場合には、やはりそうすると、新たに予算を計上して、予定の施設、道路の建設等はやつて行かなければならんものであるかどうか。その点を伺つておきたいと思うのですが……
  135. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) もう安全保障諸費というようなものは、これは終戦後のいろいろな事態に処してこういうふうにやつて向うの施設を移すためのものでございますから、今後非常に先に行つて又そういう問題が起れば、別途のことで何か考えられるか、それはわかりませんが、安全保障諸費として重ねて御協力を願うような問題ではないと私は思います。  それから今お話の中に、途中で事故があつたらどうかというと、まあ工事が必ずしも二十九年度中に完成しないものがあるかも知れません。七分行つた或いは六分行つておるというものがあるかも知れません。それは事故繰越しになることは、財政法上そうなつておりますから事故繰越しになります。それでは、それの契約もできない、余つたらどうするか、——これは不用額となり、歳入のほうになる。こういうことでございます。
  136. 東隆

    ○東隆君 財政法の特例についてお伺いしますが、この経費の最初のときの考え方は、当時の速記録を見ますと、この経費は治安の確保を期するため、警察予備隊及び海上保安庁に計上した経費のほか、更に特段の措置を講ずるため計上したものである、こういうふうに実は説明をされて、そして概略の中身を、予算委員会大蔵大臣がなかなか中身を示さないのを強引に中身を示さしたのが、これが当時の状況だろうと思うのです。それで、その当時示された中身のものと、それからその後に使つたものとを比較して見ますと、大分違つて来ておるわけです。それで特に違つておるのは、営舎の移転その他の問題なんだけれども、こういう方面に使う金は、これは考えられるのですが、便乗的なものが大分出て来ておるわけです。特に道路を中心にしたものなんかには相当便乗的なものがあるのじやないかと、こういうようなことも考えられますし、それから保安大学の設置、或いはヘリコプターの購入、こういうような問題が中に出て参つております。それで私は、この金は、先ほどお話がありましたように、終戦処理費の変形物だろうと思うのですが、而も独立をした日本としては、これは丁度盲腸のようなもので、私は講和条約が締結した後における日本においては、講和条約を機会にこの盲腸は切開をして取つてしまつたほうがよかつたんじやないか。而も非常に便乗した面がたくさん出て来ておる。それで、そういう面は、私は却つて一般の予算の中に繰入れて、そして堂々とやるべきではないか。道路なんかにしても、これは占領軍の力によつてできた道路だと、こういうような道路が大分あるわけで、而も国道その他のものが舗装されて行つたり、いろんな形で以て独立国としての実は体面を非常に汚すような部面がたくさん出て来て、将来非常に残念な問題だろうと思う。そういうようなものは、これは当然、国道にしても重要な産業道路にしても、これは一般の経費で当然やるべきもんだ。それをこれに便乗してやつておる、そういうような内容が非常にたくさんありますので、私は却つてこれを大部分のものは本予算に繰込むべきものである、こういうような考え方を持つておつたわけでありますが、この点について大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
  137. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は二十七年度予算説明を、ちよつと古いのを見ておつたところでございますが、今仰せになりました分で、その道路の分は、ちよつと、菊川さんの御説明だと、百五十億か百四十億にしかなつておりませんので、考どももどうも余計使つておるとも見えないように思えまするし、それからして、道路の見方にはいろいろなお話のような点もあるかと思いますが、まあいずれにしましても、両方の委員会で相当厳格に相談し合つた上で実行しておることでございまするので、私はそう便乗的なものはないと存じております。  それから今の保安大学の件でございますが、これはちよつと見るとそう見えまするけれども、やはりあの節、予算委員会にお配りしたもののうちに、教育訓練機関の設置ということがございまして、それらの治安に関する機構の整備、教育訓練機関の設置を十三億見てございまして、そのうち九億数千万だけが使われておる次第でございまして、特に違つた用途にも便乗的に持つて行つたとは私はいえないのじやないか、こう思う次第でございます。
  138. 東隆

    ○東隆君 ヘリコプター、それから保安大学の問題は、実は聞いておるのですけれども、これは予算の中味としてここから出すのは非常に不適当なものだ、こういうことを考えているわけなんです。この中から出すべき筋合のものではないと、こういう考え方なんです。で、当然保安隊或いは前の警察警備隊に関連をして、治安の関係でそちらのほうに予算が十分にあり、而もそれは必ずしも全額を使つておるわけでもないのです。そういう中味のものがここに計上されており、そうして今残つておる分についても、予備費が十二億ほどあるわけなんです。そういうような関係のものが、将来こういうふうに混同されると又使われて行く虞れがありますから、それでお伺いをしておるわけなんです。
  139. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 只今ちよつとお話のございました分の保安大学三億円、ヘリコプター六億三千万、九億三千万、これは当時移替額として御承認を願つておる次第でありまして、今お話になる趣旨はよくわかりますが、これは将来断じてそういうことには使いません。これは固くお約束を申上げておきます。
  140. 東隆

    ○東隆君 それからもう一つ、今道路の問題がありましたが、道路は最初の計画はこれは八十億程度なんです。それでこれは大分実は増額をされておるわけです。私はそのことが却つて非常にいい結果を示しておるところがあると思います。北海道の、例えば札幌から千歳を繋ぐ線なんか、実はこれでやつたのだろうと思いますが、併しこれはまだほかに、ずつとこれ以外に便乗してここから出ておるものがあると思うのです。橋梁なんかの形で大分出ておるものがあると思うのです。そこで私はそういうふうに考えて来たときに、却つてこういうような経費は非常に駐留軍に関係をした局所的な部分について、できるだけ節約をして使い、そうして大部分のものはこれは一般会計のほうに移して、そうして堂々と日本予算日本の独立の考え方で使つて行くべき筋合のもので、そういうふうに考うべきであつて、この盲腸的な予算の残額、これはきれいに本予算に繰込んだほうがいいのじやないかと、こういう考え方を持つものですから、それで先ほどからお聞きをしておつたわけです。
  141. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今お話の点はよくわかりました。なお、道路について残つておるのは全然ございません。残つておりますのは営繕関係の分だけが残つておる次第でございます。それで従来安全保障諸費の費用にはアメリカ軍のほうからいろいろ要求して、この要求が相当厖大なものを実は要求して参つたことはお聞き及びであろうと思うのですが、それを関係各省で実は微細に亘つて検討いたしまして、そうして日米合同委員会とかその分料会で更に細かく検討しまして、こういうふうになつて参つた次第でございます。それが双方合意の上で、漸く着手するということになつておりますので、相当減つておりますし、今後ともこの方法を飽くまで厳正にやる所存でございます。今御指示の点はよくわかりましたから……。
  142. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと関連して一つだけ伺います。三十年以後は絶対に繰越しはやらないということは確認をいたしましたわけですが、すると残つておる予備費が十二億あります。これは大体私は不用のものだと思うのです。併し一挙に移し替えるわけにはいかんから、今度の三十年度にそういうものが十二億が不用のものと大体なるのだ、こういうふうに了承していいわけですか。
  143. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) ただ今後大体一応使えるものが四十四億ございまして、営繕費なんというものは今後物価が下つて行くとちよつと違つて参りましようが、大体若干の予備費をみるということのほうが穏当なんです、実際仕事をしてみますというと……。そうすると十二億くらいは、一応四十四億まだ残つておる仕事がございますので、それから又今後前からの引続きの仕事も残つておりますので、これは予備費にみておくほうがいいのじやないか、若し余りますれば、これは勿論今の不用に充てますが、一応予備費にみておくほうが、これは従来もそれくらいのものは大体予備費としてここで見ざるを得んような状況になつております。
  144. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 四十四億に対して十二億の予備費というのは私は非常に多過ぎると思うのです。併し今言つたように不用のものとしてぶち切るわけにはゆかないと思う。又前からの計画であるから、それにも若干のものが要るということはわかります。併し政府の低物価政策によつて一割下つて行けば、計画が殖えるというようなことはないのだから、私は上るようなことはないと思う。それで大体十二億は不用のものだ、大体節約されるものだ、こういうふうに了承していいかどうかということを伺つておきたいのです。
  145. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私が今ちよつと申したのは、これから再繰越しの対象となる五十六億のうち四十四億これこれと申したのですが、その全体としての計画はやはり五百六十億は来るわけですから、予備費としては五百六十億に対する十二億、こういうふうに見て頂いたほうがいいと思います。それから今まで残つておるものが百六十八億に対する十二億、こういうようにお考えを願つたほうがいいと、こういうことでございます。
  146. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の言うのは、そういう予備費をみることは私は異議がないわけです。併し十二億は大体不用のものじやないか、こう言つておるのです。物価なども下つて来るし、計画も殖やされるということはないのだから、大体十二億は不用になるのじやないか、こういう見通しでいいかと言つておるのです。
  147. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 幾らか設計変更なんかが行われる場合もありまして、はつきりいたしませんが、できるだけ私どもも不用にしたいと思いますから、これは不用になりますれば、国のほうに受入れることにいたします。
  148. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 なぜ私がこういうことを言うかというと、折角五百六十億取つてしまつた、だから一ついろいろなことがあるから使つてやれというような恰好でやられては大変だから、それで念を押しているわけなんです。
  149. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に米国援助物資等の特別会計を廃止する法律案についてお尋ねいたしますが、これは廃止するに当りまして、現在四億三千万円くらいの未回収金があるわけです。而もこれは皆それぞれ個人の、個人といつても法人或いは個人なつているわけですが、それらの連中は多いのは数百万円、少いのでも何十万円というやつを買うというので、入札その他の方法で買つただろうと思うのですが、それが取込み詐欺みたいなもので、中には解散或いは住所不明、それから清算中というのもたくさんあるわけで、これをちよつと表を出して頂きましたところが、どれもそう言つては失礼ですけれども、先ずもらつたようなつもりでおる連中が多いのだろうと思うのです。これは大体そんなものは殆んど払おうと思つているような者はない。今になつてこれを払えんようなものを、何百万円というような金を、これから景気が悪くなつて、あなたのいわゆる財政施策で大分そろそろあつぷあつぷしているときなんです。ましてやそんな金はとても払えんだろうと思うのです。恐らくこれは回収不能とみなさなければならんわけですが、従いましてこれを扱つたものとするならば、これは個人の商売でやつておつたということになれば、大変なことだろうと思うのですが、随分僕は杜撰なやり方をやつておるのではないかと思うのです。そこでこれを廃止するに当りまして、やがてこれはアメリカから、あれは債権であるというので一つ返せというようなことになつて来ると、これは国民の負担に四億三千万円というものはなるわけです。従いまして結局国民の血税を食つた、杜撰にやられたということになるのですが、すべてこういう政府の特別会計だ何だというものは、これなんか割合に金額が少いほうですが、木炭で何百億消えたというような特別会計と比べましたときには、割合少いほうだと思うのですが、併しその蔭では、これはえらいインチキが行われているのではないかと、この表をちよつと見たときに思つたのですが、これについて大臣から、この四億三十万円、一体確信を持つて最後まで、法律は廃止してしまうけれども、債権については飽くまでも取立てる、こういう方針で臨むのか、又来年一年たつて決算報告としてどれだけ取立てができたかということをお聞きすることにいたしたいと思います。そこでお伺いしておくのだが、そういう方針か、それともまあまあこれは時期がたつて、そのうちに帳消しにするというくらいなつもりでいるのですか、これは取立てるとすれば、相当な事業だと思うので、相手方が大体もらつたようなつもりでおるような、これは顔振れを見たつて大体わかる、だからそういう連中を相手にこの金を取立てて行こうということになれば、相当努力と精力を消耗しなければ、なかなか簡単にはこれは取れそうもないと思います。どうして取立てて行くか、こういう点について伺つておきたい。
  150. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 誠に御尤もでありまして、この債権の取立てには、これは今後とも最善を尽したいと思います。但し菊川さん、この所管がこれは通商産業省で実はやつておるのでございまして、今ここへ丁度見えておりますから、この点は私のほうから通商産業省へも注文しますから……。
  151. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは通商産業省のほうはあとで聞きますが、併し取立てる金はあなたのほうへ入つて来るのでしよう。通産省のほうへ一つ督促して、政府としてこれを取立てさせるような方針で行くのか、法律廃止となつたらそのまま忘れさしてしまう方針か。
  152. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 厳重に取立てる方針でございます。
  153. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 来年になつて、四億三千万円というものをどれだけ取立てましたかということを……、今あなたは厳重にと言つておりましたが、そのときは大臣は変つておるかも知れないが、(笑声)これはお約束になつておるのだから、御承知願いたいと思います。
  154. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 政府は一体ですから、仮に私はそこにおらんでも、その約束は必ず取立てるように私は引継いでおきます。
  155. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に税法について細かい点は主税局長或いは国税庁長官も見えていますので、あとでお聞きするとして、大蔵大臣にお聞きしたい点を一、二点伺つておきたいと思います。  第一点は法人税は形式は四二%ということになつておるのだが、いろいろの特別措置によりまして相当軽減されていることになるのです。それだけいろいろの特別措置を講ぜられたが、その特別措置の恩典に諮するのは大法人であつて、中小法人がこれは余り恩典に浴されない。そういうことになると、中小法人のほうは何じやないですか。四二%をまるまる納める大法人が、いろいろの特別措置によりまして、これは五つ、六つくらいあるのですが、特別措置を講ぜられておるものはその恩典に浴しまして、実質は三 ○数%くらいになつてしまつている。こういう結果になつているように思うのですが、この点について大蔵大臣から一つ。それはなぜかと申しますと、私たちはざつと考えたときに、これは大臣もお認めになるだろうと思うのですが、個人の所得、特に勤労所得に対しましては一〇〇%近いところの捕捉が行われまして税金が取られている。ところが申告所得、特に大規模な経営状態でありましたら、税務署のほうでもなかなか捕捉は困難だ。最近はそういう評を聞きませんけれども、この間まで聞いたのでありますが、大企業の脱税といいますか、徴税について徹底的に若い税務官吏あたりは追及しようと思うと、大体準備ができたという頃になりますると、すつとよそへ転勤を命ぜられるというような風評さえも伝わつたのでありますが、最近は余りそんなことはないと思いますが、現に一例を申上げますると、兜町の株式取引所の最初にあれは株式の移転税でしたか、税金を取る機関、あれなど殆んど取れず仕舞で、あんな徴税率というのは私はないと思うのです。ところが法律ではあれはもつと取れることになつているはずなんだけれども、実際に取つた額は少い。ところが所得税というやつは、源泉徴収をやられるものにつきましては、殆んど一〇〇%に近い税金を取られています。そうすると、同じ法律で縛られておりながら、徴税技術のために一方は完全に捕捉されないし、一方は完全に捕捉される、ここにアンバランスが私はあると思うのです。従いましてこれらにつきましては、やはり公平を期さなければならん、税はやはり公平でなければならんと思う。ましてや法人税と個人の源泉徴収の所得とについては、どう素人目に考えましても、これは捕捉率においては問題にならんと思う。ところがましてや法人税に対しまして更に特別措置が講ぜられて、形式四二%は実質は三〇数%にもなつているように思うのでありますが、これらにつきまして、一つ大蔵大臣からこの際伺つておきたいのだが、財政法改正の際にこの不公平を何らかの措置によつて是正をしてゆかなければならんのじやないか、それがためには控除額の引上等を行うべきであると思うのですが、それでは今度は所得税の改正でこれだけ引上を行なつたじやないかとおつしやるのだけれども、それだけでは私は足らんと思うのです。あなたが先ほど漏らされましたように、二十四万円云々のことはしばらくおくといたしましても、もう少し私は基礎控除の引上等を行なつても差支えないのじやないか、こう思うがこの点について伺つておきたい。
  156. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 各種の価格変動準備金とか或いは貸倒準備金とか退職準備金とか、そういつたようなもの等についていろいろやつておるのは、これは別に大中小と区別しておるのではないので、一様にどの法人でも扱つておるわけですが、或いは現実の問題としてさようになるかどうか、これはよく一つ研究さしてみます。それで税法の上では何らそういう区別をいたしておりません。ただ日本の今の情勢から各種の立場で、そういつたものを減じておるものがございますが、そのほかのものは一様に扱つておるので、而もその分といえども、決して大中小と区別しておるわけではございません。ただ仰せになりましたように、一体法人税四二というのは少し高いと、これは正直にいつて私は思つております。できればこれを減らしたいと思つておりましたが、併し御承知のように、税制調査会等の意見が四二を四 ○にしろというようなことでございましたけれども、あれは自然増収というものを見込んであつたのですが、今度の予算は自然増収を一切見込まずに作りました関係上、そういうことができませんでしたことはこれは事情止むを得なかつた次第でございます。  それから今の低額所得者に対する税ですが、これは私どもも税制調査会でも大体二十四万円までの少額所得者に対しては精々はからうようにという控除額その他の引上を勧告しておりまして、私どももそれは望ましいと思つたのでありますが、これは又同様あれが財源としては自然増収が引当になつておつたものですから、私どものほうで自然増収を見込まない関係上、又今日の日本の状況で自然増収を見込むような予算を編成するということは非常に感心のできないことでございますところからやらなかつた、その結果として、そういうふうになつておるし、今度では夫婦と子供三人だと二十一万八千円までは免税なつております。これはもう少しお話のごとくに私は今度機会があれば、そういうふうにいたすべく、その方針は引続き持つて参りたいと思つております。更に源泉は、菊川さん仰せのごとく一〇〇%取られるし、ほかのほうはそうでないんじやないかというお話については、実際少し源泉のほうが割合から言うと重過ぎるんですが、最近におきましては青色申告等がいろいろ普及して参りまして、申告所得のほうは割合よくはなつて参りました。よくはなつて参りましたが、公平に見て少し重い、こう感ぜられるのは、私はどうも源泉は漏れなく取られるので、これらの点についてどういうふうに処置して行つたらいいか、やはりどうしても基礎控除なり、その他の点をやつて行く以外には方法はないんじやないか、まあこれを増額して行く以外に方法はないんじやないかと思つておりますが、なお一つ研究をいたします。
  157. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはなぜかと言うと、法人税や何かはいろいろな特別措置や何かで複雑である。ちよつとこれは素人が読んでも、わかる人は余程の——今日御出席の主税局関係の専門家ならよくわかるかもしれないが、我我でもちよつとわからん。それがために何が繁昌しているかと言うと、最近では税理士が非常に繁昌している。これは一方におきましては税理士をうまく使つて成るべく適正課税と主張するだろうけれども、見方によりましては、合法的脱税とも悪く言えば言えると思います。余りざつくばらんに言つて恐縮ですけれども、ちよつと税務署あたりで腕が上つた人は、存外各会社、法人の税務担当社員に引つこ抜かれているという例はたくさんある。これが一つと、もう一つはそうしてそういう連中を抱えこむということについては、何かそこにうまいことがあるのじやないかということと、それから税理士があれだけ繁昌するということは、これは一つの税法上の欠陥じやないかと思いますが、そういう点は、これはやはりわかり易くすることが一番大事と思うが、この租税特別措置法を読んでみてわかる人は日本に何人いるかわからない。こんなものをこしらえておいても、本当の専門家でもわからんと思う。これをもう少しわかり易くする、これを何とかしなければならない。而も毎年国会があるたびに改正の出ないときはないんです。こういう状態で税務行政というものが続けられたのでは、素人では何が何だかわからんようになつてしまうと思いますが、これらについてそろそろ落ちついて来たし、ましてや今年はあなたは一兆予算でえらい張切つて、この難局を打開されようとするときですから、税法の根本改正という面から飛込まなければならんと思うが、依然として今までの改正より進歩の跡が私は見えんように思うのですが、これらについて一つ検討する考えが、おありになるかどうか、この点について伺つておきたいと思います。
  158. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは是非検討したいと思います。実はあの税制調査会で相当多忙な方々に二十数回に亘つて集まつて頂きまして、税制調査会の答申というものは今日相当貴重な資料になつております。あれを実行することを私どもできるだけ早くやりたいと、こう思つておるのでございますが、実際菊川さんお話のように、税のことは私もなかなかわからんですよ。この間自分が確定申告を書くのでも二枚も三枚も書き損なつちやつて、紙をもらいに行かななければならんというようなことで、実は自分もこのくらいだから、さだめしほかの人も大変だろうなと思つたのです。こういうことではいけないので、これは是非一つもつとわかり易い税に改めて行くことは必要だと思います。いずれにしましても、税制の根本改革については是非一つやりたいと、かように私どもは考えております。
  159. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点いつもどの大臣もこの委員会に出られたときはそう言われるし、主税局長も言われるのだが、ちつともそれが実現できない。これは二年ぐらい前から何とかしなければならんのじやないかと言つておるのだが、だんだんと複雑になつてむずかしくなるばかりでありますがね。
  160. 小林政夫

    ○小林政夫君 今、菊川委員の質問の二点はいずれも私も同様に思うのですが、特に最初の一点については、これはもう主税局等は何回も議論をやつておるんですが、税制調査会等において、果して私はこの特別減免措置について、十分税収の点から言つてどうなつておるかという認識があつたかどうかということが疑問なんです。先だつてここに公述人として見えた方々に聞いてみても、そう全般的な税制調査会の委員の人に認識があつたとは思えないんです。最近資料を要求してやつと、今日で完備したわけですが、この特別償却ですね、租税特別措置法の第五条の六ですか、法定償却の五割増の償却、それから企業合理化促進法による特別償却、貸倒準備金退職給与引当金、価格変動準備金、渇水準備金、違約損失補償準備金、異常危険準備金、それから特別修繕引当金、輸出損失準備金、輸出所得特別控除額、こういうもの、これは全部集計して税収の減を考えると五百六十九億になります。法人税収減が五百六十九億。本年度の法人税収、前年度改正後の法人税収はたしか千八百七十六億、これで計算をすると、法人税の実効税率は三一・九%でございます。この中には勿論税会計理論から言つて、当然経費に考えてもよろしいというものも、性質から言つてあるでしよう。あるでしようけれども、こういつた特別軽減措置による国の税収という面から考えて、表面税率は四二%ですが、実際は三二%弱だ、こういう事態になると、一度これはこういう特別減免措置というものについて再検討を加え、これだけの実効税率三二%弱ならば、法人税率自体についてもう少し軽減の方法があるんじやないか。どうしてもいろいろな経理理論から言つて残しておかなければならんというものは、これは残してもよろしいが、個々のいろいろな特別産業政策上、減免措置をやつて行くと、これもあれもということでだんだん範囲が拡がる一方です。租税特別措置法だつて年々こういう特別減免措置が税法改正の都度殖えて行く。同じやるなら私もやつてもらいたいということで、残して置く以上は自分も提案しなければならんということになる。だからここは補助金を打切るについて思いきつてやらなければならんと同じように、別の意味の補助金に相当するものもたくさんあるのですから、これについては裏腹の関係で御検討なさる必要があると思うが、その点についてはどうですか。
  161. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は今小林さんが話をされた通りに、どれもこれもいつも税をやるときには、特別減免措置をとれというお申出が非常に多いので、今の小林さんのお話を有益に伺つたわけです。というのは、これがために随分たくさん来て、減免措置が多すぎるほど来ておると思うのです。やはりこの点についても根本的に再検討するべきである。実はそういう議論をしても、あれも減免してくれ、これも減免してくれと言つて来られたら、しまいには少くなつてしまうと言つて、そんな冗談を言うくらいにいろいろなお申出がたくさんあります。従つて小林さんのおつしやつた特別減免措置に対する根本的検討ということは是非いたしたいと思います。
  162. 小林政夫

    ○小林政夫君 今、僕の説を聞いて甚だ有益に思うと言うのは、大臣がこの委員会に出席する機会が少ないからということになる。我々は二年前から言つておる。従つてお忙しいでしようが、一遍拝聴に来て下さい。あなたを大いに元気ずける諸説はたくさん出ております。次に菊川委員の税法の難解という点についても全く同感です。私は今度確定申告をやつてみて、これで税は書けるのじやないかと思う。あの程度のもので書ける。従つて今までの法文体系にこだわらずに、図式とか或いは数式等を用いたものを税法体系に取入れて、細かいぎりぎりの確実を期するというものは又施行細則等に譲つてやるという、施行細則というか、別の次の条章に入れるとか分けて、一応基本的なものについては大体納税者の六割或いは七割程度はこの程度のことですむというようなものを表面に持つて来てやるという、もう少し税法自体について簡易化の工夫をされて然るべきじやないか。これはまあ我々も何だつたら智慧を出してもいいんですけれども、そういう意味のもつと……、ただ言葉を書並べるということでなしに、数式とか或いは図式等を用いた税法というものは考えられないのか、その点についてどうなんですか。
  163. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは今のお話のごとくこの難解なものをもう少し簡素化することはこれは極めて必要だと思います。ただむしろ小林さんのおつしやる最近の傾向は、あれも法律できめる、これも法律できめるというので、実はそれにむしろ逆行しているような傾向がすべてについてないでもないと私は正直に申上げていいと思いますが、従つてよく一つこれらの点についても、私のほうも考えますが、まあ国会のほうでも余りこれも法律あれも法律と言わずに、昔のほうが却つて簡素化されておつたのです。この新憲法下になつて何でもかんでも法律法律ということになつてしまつて、少しむずかしくなつておるというのが実情なんです。余りこういうことを言つては叱られるかと思いますが率直に言つてそう思います。
  164. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは全く同感ですが、税法の下において法律もいいのですが、今の納税者の大部分のものは、この程度のことですむというようなものと、それから今の数式等のものを用いたものは前に出して来て、あとの細かい厳密を期するようなものは一般の人は読む必要がないというようなことはあとへ繰延べるというような、法律体系自体について工夫をすれば、もつと同じことを言うのでもわかりよくやれるのじやないか、こういうことです。
  165. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) よくわかりましたが、数式等は大蔵省等で少し骨を折ればやれそうですから、これはやることにいたしましよう。
  166. 平林太一

    ○平林太一君 本日の審査の日程に上つております全体に関連して大蔵大臣に質したいと思います。その前に一言ちよつと申上げたいと思いますことは、小笠原君の本日御出席になられた御様子を見ますと、さすがに連日の御精励で非常に御疲労になつておられるように拝察する。声も相当にかれておられるし、御容色も余り優れておられないようでありますが、どうか御健康に御留意になりまして(笑声)御自重御自愛せられることを祈るということを申上げておきます。  最近の全国銀行預金の調査でありますが、預金が二兆六千四百十億円、貸出が二兆六千七百六十億円、差引三百五十億円貸出超過になつております。いわゆるオーバー・ローンと称するものでありましようが、この結果から見まして、銀行の本質であります貸出ということが、今日要するに停頓して身動きのできない事態に立入つておるのじやないかということを非常に憂慮するわけであります。従いまして銀行に対するいわゆる国民的な期待というものが、銀行は貸出はしないだろう、新規貸出はしないということになりますれば、これは零細な貸出もありましようし、大きな貸出もありますが、銀行に対して非常な失望を感ぜざるを得ない。従つてこれが国民生活の上に及ぼしまするところの影響というものから、非常に重大にこのことを取扱わなければ相成らないと思いますが、これに対しまして大蔵大臣はどういうふうな御対策をお持ちになつておりますか、大臣に伺いたいと思います。
  167. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと申上げますが、本日は非常に法案が多くてなかなか審議が容易ではありません。いろいろ皆さんのご協力を求めて頂かなければならんのでありまするが、今平林委員の御質疑は直接この法案関係がないように思いますから他日に譲つて……。
  168. 平林太一

    ○平林太一君 これに関連していわゆるこれは金融の問題だからどうでしよう、大臣が来たから、全体を……、
  169. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 国民金融公庫法案は本日は日程に上しておりませんから……。
  170. 平林太一

    ○平林太一君 併しそうしますと、ここは政治の場所だから、大蔵大臣が来られた以上は、やはりいやしくもこれに関係する問題については、一応やはり全体に関連して、これは国民生活に皆関連する問題ですから、そういう意味で私の質疑をいたしたい……。
  171. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日の議事日程はこういうふうにして差上げておるのです。それで理事の打合会でそのようにしておりますので、御了承願いたいと存じます。
  172. 平林太一

    ○平林太一君 全体の問題としてどうでしようか今のお話は……。
  173. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それでは折角なんですから、この点について大蔵大臣から特に御答弁願います。
  174. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今平林さんのお尋ねの点でございますが、実は私どもといたしましては、丁度財政の緊縮と相待ちまして、金融の引締強化をいたしておりますが、その金融引締強化と言いまする狙いは、どこにあるかと申しますれば、申すまでもなく、金融の健全、健全金融ということが狙いでございまして、従つて正常の金融には何ら阻害を来たさない。これは平林さんも御承知のごとく、今ちよつと預金と貸出の数字で御指摘になりましたが、最近におきます、去年の十二月以降の各銀行がいわゆるオーバー・ローンをしておりまするが、これはよく普通に三千五百億とか何とか言われておりましたが、いつの間にか二月に四千億を超し、更にこの三月になりますと四千三百億以上に上つておる、こういうことは、いわゆる金融面から見ると、これはまだどうも健全な情勢とは言えませんので、従つてこれが起つて来まする原因にはいろいろございます。従つてこれに対する原因を除去するに努めなければなりませんけれども、一方金融のほうもこういういわゆるオーバー・ローンが続々殖えて行くようなことは、これはどなたがお考えなつても健全金融ではないというので、従つてこういう点から、そのオーバー・ローンを余計申出ている銀行に、その銀行がもう少し自分の貸出を健全化するように日本銀行が協力を求めておるのは、私は当然のことであり、又そうなければならんと思うのでありますが、併し事業あつての国の財政でございまして、従つて健全な事業が成り立つて行かないような金融引締が行われて行かれるとすれば、これは日本の産業は成り立ちませんから、そういうことについては勿論政府のほうにおいても意を用いますが、日本銀行とも、よく相談して参りたいと考えております。
  175. 平林太一

    ○平林太一君 そこで今小笠原大臣から御答弁がありまして、私も了承をいたしたのですが、どうです、この資金運用部資金ですね、こういうものをこの際、今お話のような、これは至極重大なことですよ、これでこのまま行きますれば、恐らく私は銀行ですね、いわゆる市中銀行、地方銀行の一部に恐慌が来るのではないかということを非常に憂慮しなければならない。それが政治ですから、起きてからでは間に合わんですから……。そういう事態が、これはまあお調べになれば今日わかりますが、相当地方銀行等におきましては、もう七転八倒の苦境に陥つている事態がある。これはいわゆる業者というものがこれを察知しておる。それですから新規の預金というものはいたさない。そうして専ら緩慢なる引出しが今日低下して来た。こういう事態は殊に庶民金融企業というものを壊滅さしてしまいます。それでありますから、今日はどうしても銀行以外にないのです。であるから今のお話でまあ一つ止むを得ないというようなことでは、これは困るのだが、資金運用部資金に対しまして、この二十九年度におきましては、こういうものに対しまして何らかのその応急措置をなされるお考えがあるかどうか、例えば国民金融公庫ですね、中小企業金融公庫へは若干お出しになつておりますが、これは極めて百億とか二百億のもので役に足たん。これは根本の問題ですから、一つお尋ねしたいと思います。
  176. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 資金運用資金は委員会へかけまして、その結果に基いて実は出しておる次第で、普通の銀行への貸出なり預託は運用部資金の金はいたしておりません。あれは政府の手持ちの金を、昨年は多いときは六百数十億円預託をいたしました。特に災害地方で一時その要求が多かつたので預託をいたしましたのを、まあ昨年は御承知のように政府予算面そのまま行きますれば、撒布資金超過千三百億に上るのだと言われたときでありましたので、漸次金融で調整するという意味で引揚を行いまして、最近なお百億ぐらい残つております。この分は大体中小の分に相当する分ですから、この預託は引揚げる考えは今持つておりませんが、一頃の六百億に比べれば、政府の手持の金を預託しておるわけですが、それがそれだけ減つていることは事実でございまして、多少お困りのところもあるかとは考えます。だからこれは最初から三カ月とか六カ月とか期限を切りまして預託をしておるものでございまして、特に年末等はこれは余ほど加減をして参りましたから、平林さんの言われる苦情は、恐らく一月になつてから特にそういう苦情が出て参つたのじやないか、こう思いますが、まあ只今のところはそれは銀行の預金者が若干の不安のことがあるようなことは、これは是非とも如何なる措置でもとる考えでおりますが、金融をここでまあ緩めるというような感じを与えると、折角緊縮予算をやつて頂いたのが無意味になるようになりますので、この方針を堅持して参りたい、こう考えておる次第であります。
  177. 平林太一

    ○平林太一君 まあそれ以上のことは、大蔵大臣の御答弁を私のほうで一応伺つておくという程度にこれはいたしておきますが、先刻申上げる通り政府の預託金、そういうような問題に対する措置はそれぞれありますが、今日の、例えばこの間問題を起しております日平産業、あれは千葉銀行の古荘頭取が健全なる預金をああいうような貸付をしておる。そうして貸付けたところの日平産業の社長というものは、意外にもこれはあれが発表されて、唖然としたわけです。市井のつまり何と言いますか、いわゆるよた者ですね。あれは新聞で発表しておるものを見ますと、政府にも大分迷惑がかかつておるらしいが、それを古荘何がしが発表せられる前日、いわゆる獅子を落すのだ、それからそのあとをうんと今度は援助するのだ、そうして石川一郎という札付きが、これは又援助するのだというような発表を、これはいたしておるのです。如何に日本の金融資本というものが、今日もう最悪の事態に陥つておるか、そういうことをこの際十分御考慮になつて、銀行経理に対する重大な監査、それぞれの方法を講じまして百年の悔いを残されないような措置を私は大蔵大臣に特にお願いしておきたい。  それで資金運用部資金ですが、国民金融公庫に対しましては本年七十億円、それから中小企業公庫に対しましては百五億円ですね、これだけ。全く僅かしか出しておりません。百五億円、それで中小企業金融公庫は一般会計が二十五億円、自己資金が六十億円、資金運用部から百五億円、合計百九十億円、それから国民金融公庫は一般会計から二十億円、資金運用部資金から七十億円、自己資金が二百三十三億円、合計三百二十三億円、今日の庶民金融、中小企業、殊に庶民金融というものに対しましては、今日ではこの二公庫以外に利用の道がないのです。庶民というものが、銀行に対する関係というものは全然ありません。それから銀行も相手にしない。ところがこれが又一番根本なんです。今度の金融に対する何と言いますか、動揺、金融に対する動揺の危険が起きるか起きないかということは、この庶民の零細な金融というものが基本になる。それでありますから、この資金運用部資金というものが、この動揺に対しまして、これでは非常に少い。それでありますから、これを追加して殊にこの国民金融公庫のごときは、極めて何と言いますか、理想的な、最も我々が非常に称讃するような貸付をしております、五万、十万、二十万……。それから中小企業金融公庫のほうは銀行を通ずるようになつております、銀行に保証されるというので、而も窓口がないのです。それで殆んど中小企業金融公庫の資金運用部資金の運営というものは銀行にこれを預託したと同じことなんです。実際問題は。それでありますから中小企業金融公庫は百十億を年度末において貸付けた。貸付件数は四千七百数十件だ、僅かに。而もそれはどういうわけだが、銀行が経営して行くのでありますから、実際の庶民金融、中小企業金融公庫というものに全然該当していない。それですから中小企業金融公庫は早期に窓口を。経費の問題ではない、国民金融公庫と同様に、これは資金運用部資金に対する運用に対することを申上げておくわけです。そこで窓口を持たせるか、国民金融公庫と同様に、銀行の経理から外しまして、若しそれができなければ、中小企業金融公庫というものは潰しまして、国民金融公庫に合致すべきものだ。そうして窓口を持つておる国民金融公庫は、庶民が直接そこに行つてそれぞれの中小企業者、或いは庶民の金融というものはそこで健全に行われるようにしなければならん。そこで大蔵大臣に質したいことは二つある。このいわゆる資金運用部資金の財政投資なんというものを見ますと厖大なものを出している、開発銀行その他を通じまして。こういう零細な、大きな多数の貸付対象になりますものに対して、なぜかような僅少なものにとどめておくか、だからこれは早急に殖やすべきである。殖やすには追加その他の処置は当然できるのであるから、これをおやりになるかどうか。第二には中小企業金融公庫というものは今日有名無実のものである。それでありますから、速かにこの国民金融公庫と同じようなものを立てて、何ら役に立ちませんから、国民金融公庫と合併して、そうしてその資金を国民金融公庫の窓口でやらせれば、中小企業金融公庫の実態というものが生きて来る。それでなければ窓口を早急に四月一日から全国各都道府県に一カ所ずつ作りましても、さようなことは五人か六人でできることなんです、国民金融公庫の実例を見ましても。それで以て直接この金庫へ庶民が参りまして貸付の手続をし、貸付を受ける。今日では銀行を経由するから、銀行では相当額を、今度は三割になるのでございますが、それにいたしましても、銀行自体が自己資金と同様な取扱を以てこの中小企業金融公庫の金を処置しておるということですから、この点をどういうふうに御処理なさるか、これをお尋ねするのは、あなたのほうでこういうふうにしなければならんという具体的なその処置を伺いたいわけなんです。理論ではこれはありませんから。
  178. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 資金運用部資金は、これは平林さん御承知のように、電源開発だとか或いは石炭とか鉄鋼の合理化とか、外航船舶に対する貸出とか、いろいろ国策に基く分をここから出しますのと、それから今の各種の庶民的な金融機関等へもここから出しておることは御承知通りであります。これはいずれもその審議会で厳密な検討を経て、これに基いてやつておる次第でございます。国民金融公庫は、これも今度は更に今御審議を願つておるような恩給に対する貸出もできることになりますと、一層機能を発揮することかと考えております。なお、資金につきましては漸次充実を図つて行くという方針でおります。  それから中小企業金融公庫についてお話ございましたが、これはちよつと中小企業金融公庫の成立ちが違うのでございまして、御承知のように大体庶民金融に対する一つ考え方としては、一方中小企業等に対する考え方もそうでありますけれども、商工組合中央金庫で組合金融をやつて行く。組合を通した金融をやつておる。それには政府のほうでいつもいわゆる金融債その他の引受けをして出資をする場合もございます。それから更に極めて零細なところには国民金融公庫でやつておる。ところが中小の企業者のうちで事業合理化をしよう、或いは近代化しようとしても、長期の資金を得るところがない。そういうところから長期資金の供給というのが目的で中小企業金融公庫ができたのでありまして、従つてできるだけ早く働らいてもらいたいという関係上、支店を作るということになると、なかなか容易でございませんので、取りあえず全国商工中央金庫等各種の銀行等を自分の代理店としまして、たしか窓口は三千ぐらいあつたと思いますが、窓口を作つて貸出した。そのうちに今お話になつたように、銀行があつて、銀行が歩積みをしなければ取扱つてくれんという弊害が起つたようで、この点について中小企業金融公庫の当局によく話を通じておきましたが、中小企業金融公庫は今申上げまする通り、長期に亘る、五カ年に亘り金額一千万円まで貸出し得ることになつておりまして、これで中小企業の合理化をやらせる、近代化を促進する、こういうのが実は狙いになつておるのであります。少し建前が今の国民金融公庫とは中小企業金融公庫は違うことになつております。今のところは、これはやはり中小企業でもそういうものが非常に要望されておりますので、育成して行く考えを持つておりますが、ただ店を持たんということが仰せのように不自由の点がいろいろあると思います。従つてできるだけ店を各地に作らせるということには持つて行くことが必要だろうと思つております。
  179. 平林太一

    ○平林太一君 委員長、これで終るから御安心下さい。それで今のお話でありますが、中小企業金融公庫と、今の大蔵大臣の中小企業金融公庫の性格に対する御説明を伺つておりますと、中小企業じやないのです。これはそういうお話なら大企業なんです。それであるから大企業金融公庫と、こうお直しになればよろしい。中小企業金融公庫だということであるから、中小企業にこれは役立たせなければならん。それだから私は先刻お話を申上げたわけです。いやしくも一千万円……今度実際の具体的な貸付を見ましても、百十億円で四千七百件ですから、平均いたしますと二百万円以上になる。これは中小企業じやないのです。中小企業というのは二百万円のことはさておいて、五十万、百万というような程度、或いは五十万ぐらいの金でそれで起死回生ができるわけなんです。それがないために、どしどし中小企業というものが今日苦境に陥つて崩壊して行くというわけです。而も全国のいわゆる企業の数から見ますれば、中小企業が最も多い。税の対象からいたしましても、お調べになれば主税局長おわかりになると思いますが、これから出す金がたばこと同じなんです、零細でありますから。最も厖大ないわゆる所得を処置いたしておるわけです。それだから、これはそういうお話なら、一つ中小企業金融公庫ということの中小というものは、これは改めてもらいたい。改めなければいけません。大企業金融公庫と看板を塗り変えなさい。
  180. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと申上げさして頂きますが、それはそうではなくて、実は資本金一千万円以下従業員三百人以下というものを対象としております。日本ではこれは資本金一千万円以下及び従業員三百人以下は中小といううちに入れておるので、これを大といつていないのです。
  181. 平林太一

    ○平林太一君 それだからそういう見解の相違で困る。それから委員長もう一つ大蔵大臣、それじや資金運用部資金と国民金融公庫と、これに対しましてこれより殖やす、これは困りますよ。これは言明をしてもらいたい。追加で数字を一つ。今日私どものほうでもエチケツトを出してあなたにお任せしますから、これだけは困る、どうか言明してもらいたい、政党政治を超越した問題……。
  182. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは三党協定のなんで、十億でしたか、二十一億でしたか増加いたしましたが、実はこれは資金運用部の資金の中には地方債等も非常にたくさん持たなければならんものもございまして、只今のところ資金の按配から言いますと、すぐにそういう措置がとり得ないほど窮屈になつております。併しこの方面に今後とも金を増加して行くかというお話でありますれば、これは増加する方針でありますことは、これはつきりと御明言ができますが、本年度内に増加するかどうするかということになりますと、只今のところ余裕がそうございません。このことははつきり申すほかない。遺憾ながらこの点は止むを得ません。
  183. 小林政夫

    ○小林政夫君 税法の問題に返りますが、これは法律の問題でなくて、前回主税局長には言つておきましたが、大蔵省関係に踏切れる問題ですから、大臣に特に検討してもらいたいのですけれども、最近頻々として不渡手形が発生する。そうすると、例の貸倒準備金の計算の基礎になる数字が、手形を受取つて、受取手形ということになり、手形を受け取つて、銀行で割つて割引手形ということになれば、相手勘定は銀行預金になり、こつちのほうは割引手形勘定になる。そうすると、売掛金勘定は落ちるのです。そうなると、計算の基礎としては売掛金というものは減つた、そこで貸倒準備金の積立額も減つて来る。実際には銀行では成るほど割つてもらつたけれども、実情を言うと、融手等もあるので、実際にはこつちで金を出して買いとらなければならん。或いは実際持つてつて不渡りになつて買いとらなければならんというケースが続出しておる。そうすると、まあ比較的資金繰りのいいものは、手形を受け取つても、銀行で割らなくてじつと持つておる。そのほうは売掛金は売掛金として残つておる。ところが金繰りが忙しくつて、手形を受取つたら、よかろうと、悪かろうと、とにかく銀行へ持つてつて割らなければならんものは売掛残が減つて来る。企業の積立金等で企業経営の健全化というものは損なわれる。損われるというか、十分にみられないということになるわけです。だから割引手形であろうと、要するに落ちるまでは同様の扱いにすべきじやないか、こういう話をしたわけだが、まあその点についてどういうふうにお考えになりますか。
  184. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 以前には今お話の通り事でした。最近はそういう小林さんが仰せのように落ちたもの以外は、そういう取扱をすることになつておると思つております。今国税庁長官からはつきりしたことを申上げます。
  185. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 割引手形の問題につきましては、只今小林委員がお話のように、会社の経理上一応決済したようなことに整理する建前になつておりました関係もございまして、従来は一応貸倒金にみないということにいたしたこともありましたが、その後いろいろ民間資金の要望、企業の実情等を私どものほうで調査いたしますと、法律的にはまだ最終的には決済がなつていないという解釈も成立ち得る。それと同時に、今御指摘のような不渡が殖えて来まして、実情においても、どうも今までの扱いが無理じやなかつたかということを考えまして、最近解釈を変更いたしまして、割引手形につきましても、貸倒準備金の貸付金の対象になり得るということに最近いたした次第でございます。
  186. 小林政夫

    ○小林政夫君 いつからですか。
  187. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先般私決裁をしました。今後処理するものから適用する、こういうことにいたしております。御了承願いたいと思います。
  188. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは非常にいいことですが、主税局長に僕は言うが、そういうふうにきめたのなら、あなた研究すると言つてつて、こういうふうにいたしますと、どうして早く言わないのか。
  189. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今決裁の廻つている途中でございまして……小林委員にも前回十分研究いたしますと、何とかその方向で考えて行きたいと実はお答えしておいたつもりでございまして、決裁が廻つておりまして、その決裁がすんで、通牒が廻るようになりましたら、それをお知らせするつもりでしたが、決裁の廻つている途中にあるものですから、それでまだ最終決定というわけではございませんが、もう大体大蔵省としましては、そういうことになるものと御了承願いましても、さしてお間違いはないと思いますが、いずれきまりまして関係方面、これは主として管下の国税局、税務署でありますが、通知する時期になりましたら、はつきり御報告申上げます。
  190. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私も大蔵大臣にいろいろお聞きしたいことがあるのですが、時間もないようですから、ただ一点だけお答えを願いたいと思います。今たばこ消費税の問題が起つているのですが、実は最近の衆議院審議の模様を見ますと、入場税、奢侈繊維消費税等につきまして、大蔵当局の意向と相反した結果が出そうになつて、たばこ消費税そのもので、何とか地方財源の調整をしようかというふうな話が出ておるように思われるのです。この際、税制の改正に関して、これらの具体的な問題に対して、大蔵大臣の御決心を伺つておくことは、審議上非常に必要でないか、こう思いますから、この点だけ承わりたいと思います。
  191. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 入場税の国税移管及びいわゆる奢侈繊維品についても、そういうようなかれこれの意見があることについては私ども聞いておりますが、併し私どもとしては、この入場税の国税移管は是非ともこれをやつて、地方中央の財源調整を行う、こういうことが必要でありますので、目下あらゆる努力を傾けております。この点について近くこれは解決をみるものと私は思つております。と申しまするのは、これは先に御承知かと思いまするが、改進党のほうと今いわゆる了解事項のうちにも、はつきりとこの予算に伴う税制については、これを通過することを約束する打合せというようなことがあつて、了解するということになつておりますが、これももう一つ、堀木さんよく御記憶になつておると思うのでありますが、義務教育費半額国庫負担に対する特例法案を引続き出さないということが、これの代りになつておるような事情にもございまするので、或いはそれらのことを忘れてしまわれたかたがいろいろ議論されておるのじやないかと、こう思つております。従つてこれらのことを皆さんが思い起して頂く、まあ思い起して頂けば、これは私は入場税の問題は必ず通るものと確信いたしております。但し率等につきまして、いろいろ御意見もあるようでございますから、これらの点が多少の修正をみることはあるかとも考えますが、政府は飽くまで原案の通過を期待いたしておる次第でございます。それから奢侈的な繊維品の問題については、本税が起つて来ましたいろいろのいきさつ等から、きまつた税として御提案を申上げたのは一つでありますが、それまでにいろいろなことが新聞に漏れたりして、原糸課税から小売課税なつたというようなことが言われてみたり、政府は何もそんなことを言わなかつた、最後の決定一つでありましたが、そういうふうないろいろのいきさつがありまして、最後にはそういうことで話がまとまるということで、その話を受入れたのが、一つ政府がそれがまあよかろうということで、これは言葉が率直にすぎて、まとまるものと言うたら怪しからんということがあるかと思いますが、そういうことから一つの見通しを得た上で、私どもがあれをやつた次第でございますので、今後とも、例えばこれが少し審議が遅れるようなことがありますれば、それに対しては施行期日等に対する加減はありましようが、政府としては引続き努力をしてこの税案の通過を図りたい、かように考えておる次第でございます。
  192. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今おつしやつたことは、私どもよく了承しておるところなんですが、率直に言うと、このなかなか、何と申しますか、大蔵大臣の所属しておられる政党そのものの中にも、いろいろな動きがあるので、これはよほど大蔵大臣として御決心でないと、法案そのものが非常に予期しない運命に会いはしないかという心配をいたしますので、特に念のために御質問申上げておる次第であります。
  193. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほど小林委員の質問に対して、税制一般について検討するというようなことをやらなきやならない時が来たというお話でございましたが、地方税法の改正、例えば大都市制といつたようなこと、或いは警察法の改正ともからみ合うと思いますが、そういうようなことを睨み合わせて、あなたは時期を予定されておるのか、単に税制調査会のほうの答申案が出て来た。これは非常に二十八回もお忙しい人がやられたから云々だということを言われたのですが、そういうような、すべてのことを勘案してのお答えだと思いますが、大臣の任期はいつかということはわからないわけでありますが、少くとも今年度中くらいには検討して、一つ地方と中央と或いは直接税、間接税、そういうものを全般を通して一つの大きな抜本的な改正をしよう、こんなふうにお考えなつておるかどうか。
  194. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今成瀬さんの言われたように、私どもは根本的にはそう考えておりますが、実は税制調査会でも、地方税制についてのまだ結論的な答申は出ていなかつた。幾らか調整的な分については、例えば遊興飲食税とか、入場税というものは、これは中央に移管してどうすべきであるというようなことは出ておりましたが、あとは細かいことについてまだ十分なことは出ておりません。  地方税も相当まだ私どもは根本的に検討すべき点がたくさんあると思います。殊に大体から言いまして、今の地方に財源を与えて、成るべく中央からの補助金というものを或る程度整理することが、実際は非常な国費を全体から見ると節約する根本にもなり、又多少の、中央とも関係がなくなれば、そんなに運動にお出でになるかたがのべつに来られんでもいいことになつて、大変違うのじやないかというふうに考えられますので、従つてこの点については、十分今後とも一つ考えて行きたいと思つております。又私どもが自分の任にある間は十分最善を尽す、これは一つそれでやりますから、根本的に検討すると、こういうことで一つ御了承願いたいと存じます。
  195. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その時期は、検討する、検討する、研究々々で、四年も五年も過ぎてしまうというようなこともありますから、文字通り、研究検討をされて、早急に出されるように、答申案があるのですから、ですから警察法の結論も大体出て来るのじやないかと思います。大都市制の問題については、これは結論が出るとは言いませんが、それとは違いますが、およその方向が出て来ると思いますから、一つあなたの任期が一年あるとすれば、一つ結論を出してもらいたい、こう思つておりますが、あなたの寿命が若し続くとすれば、大体結論が出ると、こうお考えになるかどうか。内閣の運命の話ですよ。
  196. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私ども或いはせつかちのほうかも知れないが、大体この頃は期限をきつて頼んでおる、さつき申上げた、例えば公共企業体の審議会につきましても、これは六カ月間に一つつてもらいたいというふうにやつておりまするし、先に税制調査会を作りましたときも、大体十一月一ぱいには一つ答申してもらいたいということを申上げておる。又金融懇談会等でも大体この月末には答申してもらいたいというふうにいつも御注文申上げて、実は私がせつかちなせいかも知れませんが、申上げておる。今申上げました意味も検討々々で四、五年暮す、そういう意味では毛頭ございません。できるだけ早く検討したい、こういう精神でございますから、一つ……。
  197. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 只今大臣の答弁でその点は了解しました。  次にちよつと平林委員のことでございます。金融問題であつたわけですが、造船利子補給で云々と言つちやあいけませんかも知れませんが、少くとも合理化審議会が、あの期間が来ておつたところには、もう船を造らせないという一つの大きな条項を申合せて、私は一つのそういう基準になつておつたと思うのですよ。ところが実際を見ると、貸付けをしておるわけなんです。まああなたの関係している会社にはないにしろ、こういうところには金を貸しておるのに、今言つたように中小企業金融公庫へ行つて金を借りるような人は企業が健全であり……。
  198. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 金融の関係、そういうのを四月一日以降にゆつくり御審議願える機会があると思いますから、今日は一つ議案に直接関係のある部分について大蔵大臣に御質疑願います。
  199. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は了承しました。大臣も忙しいだろうし、私ども忙しいからそれじややめます。  次に税制全体の問題についてお尋ねするわけですが、予算説明書を見まして、どうもこんなふうに思えてならないわけですが、減つたのを見ますと、まあ確かに所得税の基礎控除とか、或いは扶養控除の引上げがありますよ。そういうことがあつて所得税も減つたということはありますけれども、配当所得等の源泉税率の引下げとか或いは法人税に対する処置とか、或いは相続税の引下げ、こういうようなものをやつて、引下げをやつておるわけですが、そうして片一方の間接税、大衆課税的なものを引上げて、そうして四十五億の今減税になつておるわけです。どうも内容を当つて見ると、まあ仮に相続税と配当所得税だけの引下げ率を、それだけ寄せただけでも大体四十一億の減税になつておるわけですよ。これは法人税のほうの四十九億の減税を入れれば九十億ばかりの減税になつておる。そうすると、こういう人たちの減税が差引きして四十五億に減つて来るわけなんです。ということは大衆は税金、勤労所得は成るほど引下げられたかも知れんけれども、すべての間接税をうんと取られたため、やはり私は大衆が税を負担しておるのじやないか、こういうふうに考えられるわけですが、大臣はどういうふうにお考えなつておるか。
  200. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは実は私ども最初申上げてもおりましたが、一番課税を減じたのは大衆であると考える。というのは、少額所得者の所得税を減じたというのが一番大きいのでありまして、一番、大衆から、これは特に少額所得者ですから、大衆から特に税を減じたのであります。併し今一部、四十数億を除いた部分について、これはいろいろなものから取つておりますが、酒の税についても、大衆という言葉の意味が私どもよくわからないのですが、多数の人というならば、やはり特級酒、一級酒は上の者が飲む。たばこにしても、さつき繰返し申す通り、ピースというものは、ほかの大衆のものに比べて僅か六分の一に満たない。そういうものを大衆のうちに入れない。砂糖というものは一種別の見地から、これは殆んど輸入しておるものだから、これはできるだけ減らしてもらいたい。消費を節約してもらいたい。こういう意味から課税をしておるとか、或いは揮発油税についても、同様な考え方がありまするし、物品税でも今度上げますものについては、高級品に限つて、贅沢品に限つて今度は上げておる、こういうような意味でありまして、よく大衆ということを言われるが、実は成瀬さんはそういう意味でおつしやるのではないと思いますけれども、大衆に対する課税は何も殖やしてない。大衆でない上層部に対する課税を殖やしておるので、これは御覧下されば大体おわかりになるのであります。従いまして私どもは大衆には減税をしておるということをはつきりと申上げ得るのじやないかと思うのでございます。
  201. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじやあなたは、実際仮に資本金どのぐらいといつて、お金持がどのぐらいといつて例をとつてはいけないから、そういうことはやめますが、実際それじや大きなお金を持つておる人が、どこでどのぐらいこの税制改正で負担が殖えると、こうおつしやるのですか。具体的にあなたが例をとつて説明してもらいたいと思う。
  202. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それはそういう消費税関係で殖えること以外には、例えばまあ揮発油税などは殖えましよう。又高級品を買うものは殖えますから、そういつた消費税関係では殖えます。
  203. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 揮発油税だつて、これは自動車を乗り廻しておるから、外国自動車を持つているからといつたつて、これはバスとかトラツクでも、そういうものでも殖えて行くわけですから、特別なものじやないと思うのですよ。例えば今言う配当ということは株を持つておる人なんですよ。こういう人がまあ国民の全部だと言えば、多数とすれば私も多数に入るかも知れないけれども、うんと持つている人は非常に少いと思うのですよ。それから法人の問題でも、少数の人を対象にしておる。相続税でも、うんとある人は少数の人なんです。ですから少数の人の減税を考えておつて、だからそういうふうにどうもあなたの議論は少し違うのじやないかと、こう思うわけですよ。
  204. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) わかりました。その意味は配当所得等のことですと、これは配当所得は成瀬さん知つておられる通りに源泉課税なんですから、源泉を減したので、個人に関する所得に対する課税を何ら減したものでありません。源泉に対する部分……。一番この点で大きく響いておるのは、この所得が二〇が一五になつて行くのは、投資信託というのですか、この間おつしやられた、七百億、八百億持つておられる有価証券、これが一番多く響いているのじやないかと思います。だからこれも大衆とか大衆でないというような、金持ちがどうこうということにはなりませんですね。
  205. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじや序でに所得税のことについてちよつとお伺いしますが、これはちよつと局長にお尋ねするわけですが、この税制調査会の答申通りに若し税を改正したとすると、今度ここに提案されておる改正案と収入がどのぐらい違うわけですか。
  206. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 税制調査会の答申通りにやつた場合というのと今度の場合と、今度の基礎数字を使いましての計算は実はまだやつておりませんので、ちよつとここでにわかに申上げかねますが、すでに御承知だと思いますが、税制調査会のほうでは、間接税についての増徴も、今度の我々が提案しているやつよりは、もつと幅が大きいわけです。例えばたばこの値上げにしましても、ピースを十円上げる、それから光を五円上げる、これによる増収を百四十億でしたか、今度の分は先ほど御説しましたように、ずつとそれよりも幅が狭くなつておりますが、それから繊維における課税につきましても、今度見込みました税収よりも遥かに大きい税収が見込んである。即ち間接税の増徴の幅が大体五百億程度の幅が見込んである。それに対しまして、今度のやつは三百億ちよつと、同時にそのほかに自然増収による分を減税に充てよう、こういう恰好で以て、その分が約七百億見込んでございます。従つてそれによつて直接税のほうの軽減を、地方税をも合せましてでございますが、千二百億やろう、従いまして今度のような場合においてどうなるか。先ず第一に、間接税の増税を税制調査会のほうの幅程度にやるかやらないかという問題が一つあろうと思つております。それが片方できたとしまして、なお直接税をあの通りに減ずる。基礎数字が来年の緊縮予算のせいもありまして、多少縮まつておりますから、七百億の減収ということには或いはならないかも知れませんが、大体その程度の減収を覚悟し予定しなければ、恐らく同時に、五百億程度といいますか、現在御提案申上げておりますよりも相当大幅の間接税の増税をやり、同時に七百律程度の減収を見込んで、初めてあの程度の減税が直接税についてできるのじやないか、かように考えております。
  207. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は先の税制改正において大衆の負担が殖えたんじやないかということに対して、あなたはそうじやないとおつしやるから、それで所得税が若し計算されてあるならば、比較して見られれば私は一番よくわかると思うのですよ。まあ大臣というところに絞つて行かないと、委員長も機嫌が悪いのだろうと思いますけれども、その裏付の資料として私は要求しているのですが、まあこれは計算してみなければわからないですが、まだ国会もありますから計算をして一つ出して頂きたいと思う。実際問題として、私は大ざつぱに言いまして、ピースを十円になるやつを五円にした、光を五円上げるやつをやめた、だから大衆の負担はこれによつて軽減されたというような論法は成り立たん。それよりも税制調査会の答申案通りに源泉徴収なら源泉徴収をやめてもらつたほうが私は大衆は助かると思うのですよ。そういうような観点でおりますから、一つ資料を是非出して頂きたい。それから大蔵大臣のほうにもお願いしたいことは、私はもう少し、今勤労者の人たちが源泉徴収で取られるのは待つたなしに取られるのですから、このぐらいえらいものはないですよ。片方は、砂糖消費税に例をとつても、儲かつているやつを三カ月も猶予するとか或いはガソリン税でもそうだし、そういうようなことになつているのですから、今後こういうような点も十分私は研究し、もう少し大衆のために努力して頂きたいということを希望するわけですが、それに対して大臣はどういうようなお考えですか。
  208. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもも、この今の所得税については基礎控除なり扶養家族の控除なり勤労控除なりもう少し殖やしたいと思つております。私どもは、税制調査会が、丁度夫婦に子供三人ですか、それで二十四万円までというようなのを出しておりましたが、あの程度には是非持つて参りたいとかように考えておるのですが、あれは成瀬さんも御承知通り、税制調査会のほうでは自然増収というものを見込んで、それでこれだけ減税しろという建前になつておるのです。ところが今のは緊縮財政の建前で自然増収を一つも見込んでおらない。見込まないほうが安全ですから見込まないわけで、従つてこの減税するだけどこかへ税を殖やして行く以外にないのです。その関係上、止むを得ず今のような比較的大衆の負担にならんようなところで、贅沢品その他を使う人だけに負担してもらう、こういう範囲にとどめましたものですから、十分と言えなかつたことは、これは私どもも同様に考えております。私は、今あなたが言われた通り待つたなしに取られるいわゆる源泉所得、特に勤労所得については、これはもつと減ずべきであるということは考えております。それから又これは必ず機会あるごとに減じて行かなければならんと思います。同時に私の考えとしては、法人税についてもさつき言われておりましたが、やはり日本の法人税がいつもシヤウプの勧告三五であつたのが四二になつておる点に、社用族その他がいろいろ跋扈しておる原因があるのじやないかとこういうふうにも思いますし、又資本蓄積がまだ足らん点もそこから起つて来ているのだと思いますから、これもやはりあの税制調査会の勧告四二を四〇に下げるぐらいのことは、是非やりたいと思つておりますが、先ほども申した通り、これはみんな向うの案は主として自然増収に依頼しておつたものですから、どうもそういうふうに運びかねたわけでございます。
  209. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 勤労所得の帳尻をずつと見て参りますと、政府予定しておつたものよりもいつでも上廻つておるわけですよ。ですから今度もあなたが思い切つてそういう気持があるならやられたら、私はそう心配……取損うというようなことは絶対にないとこう思うわけですが、そこらあたりは何かあるのですか。
  210. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは今まではまああなたも御承知のように、年々争議があつて、ベース・アツプ或いは仲裁裁定というようなことでずつと上つて参りました。ところが今年からはもう大分世の中が緊縮予算に変つて参りますから、もう今までのようにベース、アツプも行われないでしようし、いわゆる裁定も行われないだろうと思うのです。従つて私どもはまあそういうところが増収の一つはもとになつておるのだから、そいつをみないほうがよい。むしろ或いは昇給になつておる分が、定期昇給で一部上つて来る分、これは源泉で定期昇給ですから当然殖えて来ますが、そこらで人員の整理を行うことも考えなければなりませんし、本年は増をみないほうが私は国の収入をみるときには安全であると考えております。
  211. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたはまるで賃金ストツプ令でも出されたような……、それはけしからん話だと思う。
  212. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はストツプ令を下す権限を何ら持つておりません。ただそうなるであろうと、財政をみるときには賃金も上らないであろう、ベース・アツプ等の問題は先ず余り実行されないであろう、物価は下つてつて実質賃金は但し殖えるであろうと、こう私は考えておりますが、(笑声)併しそうであろうの上に国の税収をみるときには、確実を期するということが必要だと、こう考えておる次第であります。
  213. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは物価は下ると言うのですけれども、実際これだけ間接税が上れば物価は上るのですよ。現にたばこも上つている。酒も上つて来るわけなんですよ。みんな上つておる。鉄道運賃も上つた。或いは電気料金も上ろうとしておるわけです。電気料金が上れば、家庭で言えば水道、ガス、当然上つて来ます。すべてが上つて来ております。そこであなたは下る下ると言うが、私は実際上るだろうと思つておる。それからもう一つ、組合が団体交渉をやつて賃金闘争をやつて上げて行くわけです。それを如何にもあなたは資本家側は恐らく賃金を上げんだろうという予想の下に立つておられるが、これはわからないはずです。そういう何か政府の圧力によつて資本家を鞭撻し、あなたのその一兆億だというので鞭撻して、絶対に負けるな、もう争議をやつても何をやつても上げるな、こういう恰好ですが、実際はもう炭労も上つて来たわけです。ですから私もその自然増収を今までも見込んではおられなかつたと思う。それを今までは如何にも何か見込んで来たかのようなことで、今度は見込まんよというような、どうも私は終始一貫せないような予算の組み方だと思うのです。
  214. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 緊縮予算の理論を貫く上においては、これは終始一貫したことで実はありまして、それを若し自然増収をだらだらと見込むというようなことであれば、それこそお叱りを受けてもいたし方がなかろうと思うのであります。それで何か私が資本家の代弁でもするようにおつしやつたが、私自身も資本家でもなければ、資本家を代弁するというような考えも毛頭持つておりません。ただこの財界の事情では、そういうベース・アツプの問題等が起らんだろうと、これは一つの観測を申上げておるわけ合いであります。なお、物価についてあなたは下らん下らんとおつしやつているが、今日あたりの新聞を御覧になつても、物価は軒並みに下つてつておるというようなことも、悲鳴を至るところで上げているということも出ておるのでありまして、これはああいうところも新聞をたまには御覧下されば物価が下つておることはよくわかります。
  215. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ物価が下るか下らないかということは、あなたは一〇%下るとおつしやつていられるが、それは一時的なものはありますよ。今は金融引締めで投げ売りがあるから、そういうので中小企業をいじめているから、しわ寄せが来て投げ売りの物が出ている。それで物価が下つておる。これは私は一時的な現象だと見ているわけです。まあ何とかてこ入れしなければいかんだろう。若しこれを飽くまでも貫くとすれば、相当あなたのほうも覚悟しなければならない。それでこの前もあなたと一遍やつたのですが、若し耐乏生活だとおつしやるなら、そういうものに対して青写真的なものも示されなければ、国民は協力しないと思うのですよ。それから又輿論が湧いて来れば、どうせ輿論政治ですから、あなたのほうも若干引締めたやつをまた財布の紐をゆるめて行くというような恰好になつて、何にもならんじやないかと思つておる。あなたは労働組合は賃金要求はやらないのだとおつしやるけれども、もうすでに賃金要求は出しておるのですよ。ですから私は何らかの形において解決するのだと思いますけれども、それはゼロの形において解決するものは絶対にない。賃金は上るのですよ。ですから今度は自然増収を見込んでない、そういうのは危険だとおつしやるのですから、今あなたとここで押し問答をしてもしようがないのですが、私は今までの例で言えば、予算のときよりも二十七年度の収入が殖えておる、二十八年度も同じだというなら、二十九年も必ず殖えるのですから、私は引下げたつて何ら差支えないじやないか。今度ここで二十九年度の終結が、あなたの最後の所得税が果して政府予定したよりも殖えるか減るかという、賭をやると言つちやおかしいのですが、これはあなたはもう絶対に殖えないのだと言うが、私は絶対に殖えると思う。あなたは、若し殖えたとするならば、首を賭けてそういう答弁ができるのですか。
  216. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私は神様でありませんから、絶対にという言葉は使つたことはございません。まあそういうことは避けたいと思います。それから又こういう国会で政論をする場合に、首を賭けての話などはやめたいと思います。
  217. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が首というのは、あなたが職を賭してという話で、あなたは職を賭してもこういう自然増は絶対にないのだとこういうふうにおつしやるのですか。
  218. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) そういう激しい言葉は避けたいと思います。
  219. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 激しいとか激しくないとか何とかというのじやなくて、財源措置としてできるかできないかと言えば、私は可能じやないかと思うのですが、あなたは不可能だと言うのです。私は今までの実績から見て可能だとこう言うのですよ。
  220. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは御判断に任せます。それ以上は言いません。
  221. 白井勇

    ○白井勇君 時間がないので恐縮ですが、私大臣にちよつと一言伺つておきたいと思います。農業所得の課税の問題で、二十八年産米には御承知通り超過供出奨励金とか各種の奨励金につきまして減免措置がとられたのですね。ところが税制調査会の答申を見ましても、ああいうものは税の負担の均衡を失するから、米価その他管理のほうと睨み合せましてできるだけ早い機会にこれは解消すべきものであるというような答申になつておるとされておりますが、今の食糧対策委員会もできまして、あそこでも根本的に又検討されると思いますが、今の情勢では、どういうふうにそれは検討されましても、やはり供出制度というようなものが出て来るでしようし、二十八年産米にとられました各種の奨励金の措置は、やはり同じ二十九年産米につきましても継続されるものと私は解しておるのですが、それはどういう……。
  222. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は二十九年産米については、きまつておりますることは、税のことはちよつとあとで申します。早場米奨励金のことは外に出しまして、あとの豊凶係数に基く……今年ですと凶作の場合ですが、あれを差引いたものを一本の米価にしたということだけはきめてございます。それで予算措置はとつてありますが、まだ来年の、今の税の問題は実は何もきめてございませんが、私の考えだけ率直に申せば、日本の食糧事情に急激な変化がない限り、そうして供出が同じように必要とされる限りは、大体急激な変化を与えることは、供出その他にも大影響をいたしますので、そういうことはあるまい。けれどもこれは私一個の考えで、これから相談をしてみなければ、今米の問題で相談しましたのはその点だけでございます。
  223. 白井勇

    ○白井勇君 今のお話でわかりましたが、結局そうしますと、八十一億の早場米奨励金が出ておりましたですね、そうすると、今又九月一ぱいで四十万石くらいのものを消費者に渡さなければ、この端境期は乗り越せないというような段階にあるわけですが、そうしますと、やはり九月中にその四、五倍くらいのお米を集めなければ四十万石の配給はできないと私は思うのです、今種をおろす場合ですから……。そうしますと、やはりほかのことはどうといたしましても、少くも早場米奨励金については、今お話のようなことで大体二十九年産も同様のことと考えて差支えないわけですね。ほかのことはどうでも、別に問題があるとしましても、免税措置というものは、早場米奨励金につきましては大体二十八年産米同様と考えていいわけですね。
  224. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まだ実は先ほども申す通り、それは別途予算に計上するという以外のこには何も結論は出ておりません。結論は出ておりませんが、今の供出を必要とする事情等から見て、特に本年は一層早場米の供出を必要といたします。そういう状況におかれておること等から見て、前年以上の課税措置をとることは実情に即せぬ嫌いがあるのじやないかと思われまするので、なおよく相談はいたします。
  225. 東隆

    ○東隆君 一応今回の税制改正のいろいろの御方針その他は承知をしておるのですが、この機会に大蔵大臣にお聞きをしたいのは、直接税と間接税の関係になりますが、直接税でもつて約三百二十一億ほど減らしておるわけです。そうして間接税のほうで、仮にたばこを消費税考えてみると、それに相当額殖やしておる、そうしてバランスをとつておるわけですね、今回の問題は……。  そこで私はこの直接税というのは、或る意味において所得の均衡を図るのが目的じやないかと思います。ところが政府の方針はそうではなくて、資本蓄積をやる方面に非常に熱心になられておるわけです。資本蓄積をこれが一番急務だ、こういうようなお考えでやつておるわけですね。そのために例えば直接税の場合においても、もう少し累進税的な方面を考えて、そうして一般大衆の面において減ずる部分を、大きな所得のある面にかけてゆく、それでもつてふさいでゆく、そうしてできるだけ大衆課税になるところの消費税はこれを減らずべきである、こういう考え方が私は今の時代においては、これが本当の考え方じやないか、こう考えておりますが、そこで将来間接税をこれ以上殖やしてゆくお考えかどうか、その点、前の私の申上げたことに対する考え方と、それから間接税を将来殖やしてゆくつもりか、それから累進税はどういうふうに考えておるか、そういう点をお答え願います。
  226. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体からいいまして、私どもは税というものが所得を中心として行かなければならんことはよくわかりますが、併しながらその理論一本でも行かないのは、例えば今日本の所得税というものはどなたがお考えなつても重過ぎるのです。これはひとり少額所得者に限らず、上のほうのものでも相当軍過ぎておることはこれは実情なんです。というのは、日本の金の値打が低いものですから、例えば今の国会議員、私どもが受取つておる歳費も、数字の上では相当大きなものですけれども、併しこれを実際生活の面から見ると、相当窮屈なことはこれは御承知通りです。従つて私どもも所得税というものは税の中心になるものであるが、それのみにゆきにくいということを実は思つておるのです。そこでそれではどの程度で間接税でゆくか。間接税も極く大衆の生活に関するものについては、これは勿論増加すべきものでない。先ほどからピースの例がよく言われるのですが、どういうものかあなた方ピースを召し上つておるかたは感じが出るのじやないか思うとのですが、光を召し上る場合ちつとも上らない、ほかのものを見ますとちつとも上つていない。何も生活の問題に触れて来ない。止むを得ないけれども、光をのんでくれと言のたいのですが、これは余分な話ですが、そういう工合に低いほうの本当に生活に関するところの間接税を殖やすことは、これはできるだけ避けたいと思いまするけれども、一方高級なものについて、例えばデパートなんかで高い物を売つている、それが羽が生えて飛ぶがごとく売れてゆく、そういうものにはもつと高い税を課してもいいのじやないか。私は間接税を課することのほうがむしろ国民生活を健全にするゆえんではないかと考えておるのでありまして、一概に消費税だからといつて消費税は殖やすべきものにあらずと私は考えておりません。消費税も殖やしていいものもあり、又とりやすければ、そういうものにいつの間にか知らず知らずの間に出して、それが国の大きな収入になるなら、これはそういう措置をとるのもいいのじやないか。現に各国の例でも直接税よりも間接税の率の高い国がたくさんあります。そういう点等から見まして、私は余り理論にのみこだわらずにやつて行つたらどうか、これはどうせ皆様方の御協賛を得なければやれないのですから、そういうことを篤と議論いたしました上で、そうして実情に即するようにやつて行つたらどうだろうか、こう考えます。  それから累進率の問題でありますが、今お話になりましたのは貯蓄の点についての累進率のお話でございましたか……。
  227. 東隆

    ○東隆君 五五で切れていますね。
  228. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今は六五ということになつておるのでありまして、御承知のごとく六五は相当高い。シヤウプ税制のときを考えてみると、どうも六五のみにとどまればいいのですけれども、それにいろいろ地方税とか各種のものがついて来まするので、これは相当高いのです。従いましてこれをこれ以上高めるということは、今の日本の税制の実情ではむずかしいのじやないか。シヤウプが来て、日本に資本の蓄積が非常に必要だということから、これは資本蓄積をし得るものはどちらかというと、割合に所得の大きいものが蓄積し得るので、あれを上を五五に切つてしまつたのはそういう点からであると思うのです。あれは一大英断だつたと思います。それで今も日本の資本の足らんことは、これは資本がもつと十分にさえなければ、よく世間に問題になつてあるオーバー・ローンの問題も出て来ないし、先ほどから平林さんが言われたように銀行その他の問題も出て来ない。出て来るのは主として資本蓄積が足らんところでありますので、さつきのお話の資本蓄積についてもいろいろの措置をとつておるわけですが、これは当然御賛成下さつていることと思う。こういうことはどうも実は止むを得んと考えておるのでありまして、のみならず税制としては、資本蓄積に資するようなことはこれはときによります、もつと日本の国が十分資本ができて来て、いわゆる各企業体がオーバー・ボローイングというような実態がなくなり、それから又銀行もオーバー・ローンを日本銀行からするというようなことがなくなれば、勿論そのときは考え直していいと思います。現在のように各企業体は何倍というオーバー・ボローイングを銀行からしている。そうして更に市中銀行はオーバー・ローンをしているという、こういう状況でありましては、何としても資本蓄積には重点をおかざるを得ないと思います。従つて如何なる税制を考える場合にも、資本蓄積に資するという税制措置をとることが今の日本の経済の実情にも合つている、又経済再建にも役立つものである、かように考えております。
  229. 東隆

    ○東隆君 私は実は酒を飲みませんし、たばこものみませんので、そつちのほうはぴんと来ないのですが、甘党ですから砂糖のことは大分響くのですが、砂糖は私はこれは完全な大衆課税になると思うのです。昨年二割上げております。それから今度は又二割近く上げるのです。そうして而もこの上げておるのは、これは事実は上げない分はありますが、これはもう殆んど精糖業者その他のいろいろなやり方によつて、そうしてもう上つたものを余儀なく大衆がなめさせられる、こういう形になつておりますが、私は米の作況が悪くて、そうして粉食をどんどん進めてゆかなければならん、こういう情勢のときに砂糖を上げるのは、これはいろいろ御説明をされて、間接税として上つた分の中で、首肯をする部分もありますが、砂糖に関する限りは私は奢侈品でもないと思いますし、どうも首肯はできません。それでこれは大蔵大臣はやはり奢侈品と考えるか、又これは税金が非常に取りやすいからこの際上げたのだ、こういうお考えなつておるのかどつちか、一つお漏らしを願いたいのです。
  230. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは東さんの言われるところに、私も一部首肯せざるを得ない点がございますが、実は私どもとしては、主たることは、砂糖はその九割を外国から輸入いたしております。これは全部今日の貴重なる外貨払になつておるのでありまして、従つてその外貨をでき得るだけ節約したい、これはどこの国でも、例えばイギリスが輸入する卵を一週間に一つしか食わせなかつたほど厳格な食糧統制をいたしておつたことは、お聞及びの通りこれはつい一昨年までやつてつたのです。そういう工合でございますから、私どもは砂糖をそういうところまで持つてつては困るけれども、先ず或る程度こういう輸入品であるから忍んで頂きたいという心持がございます。それでも本年見ておりまする分でも、昭和二十七年に入れた砂糖の数量よりは少くすることはございませんが、その程度にいたしておる。それから砂糖の使われる面から見ると、大体私どもの考えておるのに違いがなければ、家庭で使われるのが四割、そのほかに工業化されて使われるものが六割じやないかと思います。主としてお菓子その他になるものは、これは別に菓子を私は賛沢だというのではありませんが、相当賛沢な菓子があることも間違いありません。それからこれは私の言葉がどうも適切を欠くかも知れませんが、砂糖は余り健康の上にもよくないということをいわれておるから、(笑声)先ずは節約を願うことのほうが、健康増進の上にもよくないかというような考え方等もありまして、ほかに恰好なものもございませんので、先ずこの点で一つ甘いほうのかたも御辛抱を願おうか、こう思つた次第でございます。
  231. 東隆

    ○東隆君 仰せに従つて砂糖は少しなめ方を減らそうと思いますが、私は消費税をかけるよりも、実は輸入をする粗糖とそれから精製糖との間の差をもつとつけて、そうしてその差額でもつて十分に精製のコストが得られるのだ、こういう範囲でもつて出すことが、これが結局もとで砂糖の統制ができ、そうして最高の利潤が決定するのですから、価格もおのずからきまつて参りますから、それで国民は非常に助かると思うのです。そういう考え方をやるべきであつて消費税をかけることによつて、ますます輸入はむずかしいという、そういうことを前提において価格を釣上げてゆく、こういう形が出て参りますれば、これはもう大衆は砂糖一つでもつて今度の税制改革に対して非常に大きな反感を持つだろうと思うのです。で、それはとるべきやり方でないと思うのですが、そんな点でどうですか、関税の方面において考え、そうして国内で少しばかり生産を上げています。今度奄美大島のほうも入つて参つたし、それから北海道も生産をしていますが、そういうようなものには消費税をかけない。併しよそから入つて来るものには関税をかける。そういうことによつて国内で少しばかり生産されているものにやはり生産意欲も大きく起させて、そうして輸入を減退させる。これが私はどちらかというと非常に賢明なやり方だと考えます。で、関税の方面において収入を上げる、消費税の方面はこれを減らす、こういう考え方のほうが私はいいと思うのですが、その点はどうですか。
  232. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) よそから入つて来るものには実は関税をかけておりまして、関税をそれ以上かけますることがいろいろな問題を引き起すこともございまして、実は消費税としておるわけでございますが、これもちよつと悪口を言われるかも知れませんが、黒砂糖とかああいう極く下のものは今度も消費税をかけておりません、据え置いております。
  233. 東隆

    ○東隆君 いやそ点も承知しておるのです。
  234. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあ砂糖も東さん御承知のようにこの二、三日大分下つて来ました。だから税金が上つても、そう非常に砂糖は上らないですむのじやないかと思います。それから今申上げたように、大体もう少し消費を節約して頂くということによつて国民各位も……、この間実は次官会議できめまして各省へ廻したのです。こういうときに飲むものには成るべく砂糖を入れないで何を入れて飲めというようなものも(笑声)廻つたのですが、それをだんだん実行するということになると、私は砂糖は相当調節されるだろうと思いますが、尤もこの間廻つたばかりですから、どの程度実行されるかわかりもせんが、従来代用品でやつた時代もあるのですから、何分できるだけ消費を節約してもらいたいと考えております。
  235. 東隆

    ○東隆君 私は国民の甘味料の生産ということは、これは輸入の調節によつて相当進められて行くと思うのです。澱粉から葡萄糖をこしらえる、或いは飴をこしらえて行く、そういうやり方によつて、砂糖の調節は相当できると思います。それから又国内における生産も上るわけです。含水炭素を輸入するなんという、これは農業をやつているものから考えれば、これほど馬鹿らしいことはないので、この点は私は関税とそれから税制を中心にして、相当お考えを願わねばならんとこう考えております。
  236. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと、今度ですね、昭和二十七年度を大体目標だとこうおつしやるわけですが、何トンくらいの輸入計画ですか。
  237. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まだ実は外貨予算決定いたしておりません。昭和二十七年度ですと、約八十万トンと思つております。但し今年は幾らにするかどうかということは、まだ発表しますると、あそこの砂糖が幾らここの砂糖が幾らということがすぐわかつてしまうので、ああいう内容は発表せんほうがいいんじやないかということになつておりますので、まだ最後の決定を見ておりません。但し二十八年は百十五万トンばかり入れております。
  238. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 精糖会社はまあ非常に利益を上げておることは、私は大臣も十分御承知だと思います。およそ一斤について幾らぐらいかということも精糖工業会が大体利益率を出しておると思うのです。そこでまああとで局長に、細かいことは大臣がお帰りになつてからやればいいのですが、ここに消費税収入として大体三百八十一億挙げられておるわけです。これを月に仮に計算しますと、大ざつぱに言つて三十一億ぐらいになるわけですね、月に直して。これを三月徴税を猶予されると大体九十三億ぐらいになつて来ると思うのですよ。非常に儲けておるものに対して三月も延納せなくて、もう少し例えばこれを二ヶ月にするとか何とかというような、そういうことは考えられないものか、又私はそうするほうが妥当じやないかと思う。
  239. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 延納の問題がございましたが、現在の実情は確かに売手市場といいますか売手が強くなつておりますので、大体サイトの関係も調べて見ましたが、十五日から一月くらいのサイトでやつているようでございます。従いましてこれは要するに、サイトというのは手形でございますね、精糖会社から卸市場に引渡しますと、手形を受取つておりますが、その手形の期間が今申しましたように十五日乃至一月で、従いまして今お話のように三月税金が延納されますと、十五日で言えば一月半とか一月で言えば二カ月というものが、いわば無利子で以て使えるわけでございまして、これは現在のような非常に利益の上つているときに不当にまあ砂糖会社に利益を与えているんじやないかという、こういう御批判が出るのは、我々もその通りだと思つております。ただ我々のほうで今までこの点につきまして一応余り積極的に出ておりませんでしたのは、過去におきまして、相当景気が悪くてサイトが相当長かつた時代にも、やはり三月で以て実は納めさしていたわけではございまして、従いまして税制の制度を、これをまあ砂糖が景気がいいときは景気がいいなり、悪ければ悪いなりに、余り動かすのは如何かというので、実は積極的に触れなかつたのでございますが、最近のような外貨事情になりまして、相当砂糖の売手市場が続くという見通しが順々に出て参つたとすれば、この問題は検討してみるべき問題じやないかと、実は大蔵省で内部のほうでも相当の意見がございまして、この問題を検討しておりますので、何とか考えられるべきじやないかというふうにして、今成瀬委員の御指摘になろうとする点につきましては、我々のほうでも税法には三カ月以内猶予することができるということになつておりまして、三カ月が、そのほうが納期になつているわけではございません。三カ月以内猶予することができると、従つてあとは行政措置で以て実はできるわけでございます。従いましてこの問題については我々のほうで現在検討しておりますので御了承願いたいと思います。
  240. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はこれは三カ月以内の問題で検討をしているということは、例えばこれを二カ月にするとか、まあ幾ら行つても二カ月だと思うのですね。一カ月にするというのは非常に酷だと思うようなことがございますから、そういうことを大体やるという検討をしておるということは、およそその方向にあるというふうに大体了承していいのですか。
  241. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その方向に持つて行く意味において実行案を検討しているので、要するにまあ一応金繰りなどの都合もありましようから、確かに無利子で使つているにしても、今月からすぐやるということになりますと、砂糖会社にすれば二カ月分を一遍に払わなければならんということになるわけでございますね。その最初の月だけはまあそういう点もございますので、一応実行案をどう考えて行くべきかというのを検討しているのです。
  242. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 委員長、私はこの問題について大臣が帰つてからもう少しやりたいと思います。
  243. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今、主税局長は十五日乃至一月と言つているけれども、いや、とてもそんな、精糖会社がそんなぐらいで卸商には卸してないらしいのですよ。まだ保証金を納めて、そうしてもう現金でなければ全然出てないんですよ。そういう主税局長考えではちよつと違うんですよ。小売商なんかでも絶対前金を持つてつて頼み奉つて品物が出ているぐらいな実情で、最近ここ一年くらい、そんな十五日、一月ぐらいの手形で砂糖会社は卸売商に卸しているというようなことは、それはちよつと認識不足じやないかと思うのですが、実情を調査されての話ですか、その答弁が一つ
  244. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々のほうが、この問題が出て参りまして検討すべきだというので、最近の資料によりまして調べたところの報告を受けましたのが、今申した通りなんですが、今菊川民のお話のようなことがあれば、私も調査した報告を聞いたんですけれども、更に或いはその調査についてもう一遍念を押してよく調べてみるということは、やつてみたいと思います。
  245. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは私のほうでは卸売商や小売商に向つて調査をしたのですが、その実地調査によりますると、むしろ前金を持つてつて、そして現に業者を調べたんですが、大体そうだ。それは特定の長い間の老舗であるとか或いは大会社の消費組合とかいうところは、或る程度そういうのは効くらしい、併し殆んどもうそれは効かんと言つていますが、これがまあ一つ。それからもう一つは主税局長は三カ月以内だから簡単に行政措置でやれると言いまするけれどもこれはもう公然たる話ですが、なお、一般にちよつとこの問題を知つている人の話では、なかなか砂糖工業会の力というものは強いらしいですよ、今の政界に対しての。それはそう簡単に主税局がこれを縮めるとここで検討してみると言われても、果してこれを調べてみてやろうと思つても、それは非常な圧力が加わることは覚悟しなければならんと思うんですよ。この際に、はつきり申上げておきますが、そう簡単に行くものじやないというのは、率直に言つて、自由党の政調会に対してのこの砂糖工業会、精糖工業会の力というものはまあ相当なものだというのは、これは公然の我々の間の国会の誰でも知らん者はない事実なんです。あなたはここで事務的に答弁として検討してみますということは、そう簡単にできると思つておつたら、とんでもない間違いです。それだけは一つ申上げておきます。それでも押し切つて、これは事実十五日や一月という決済は大体特殊なものであることが確認されるとするならば、おやりになりますか。
  246. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私ができると申しましたのは、まあ法律の上で一応できる、だからあとは結局行政の問題だということで、できると先ず申上げたわけです。それから基本的な考え方としては、私は率直に言つて、こういう考え方を持つていますが、これは納期をきめる場合において、場合によつて長過ぎることもできるだろうし、短か過ぎることもできます、市場の状況によつて、或いは税金を立替払いしなければならん場合も出て来ますし、それから逆に今言つたように無利子の金を使うという場合も出て来るわけでして、従つて仮に納期を一応動かすということは、なかなかこれは困難だと思つております。従いましてやはり或る程度の見通しを持つたとき、初めて問題が出て来るんじやないか、一時的な現象であるときに、すぐにそれを追つかけて納期を直すべきものだというふうに私は思つておりません。で、今の我々のほうで議論しておりますのは、砂糖については、かなり外貨事情から言えば、相当売手市場が続くんじやないだろうか、こういう話があるものですから、従つてこの際どうか考えられないかということで検討をしているわけでありまして、まあ政治的な勢力とか何とかという問題は、一応これは我々行政官としては別に考えるべき問題とも思つておりません。併しまあ大臣が御決済になるでしようから、我々行政官としましては、その行政措置として、かくあるべきものだという結論を出して、大臣に進言すべきものだと思つております。
  247. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 砂糖の問題について今局長がそういう答弁をされておるが、大臣はどういうお考えか、この際伺つておきたいと思います。
  248. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の問題はよく検討してみまして、正しいことであれば、これは実行いたします。私は。但し長い間のそういうふうに来ているものでありますので、これらの点もよく調査してみなければならん。
  249. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体大臣はまあ百十五万トン入れておつたのが、今年はおよそ八十万トンぐらいだと、こういうふうに来れば、売手市場になることはきまつておるのです。ですから私は先がどうこうとか、精糖工業会は何万トンの設備をして、どうこうしているということは抜きにして、方向はもうあなたが言うように、こういうものは外貨が大事なものであるから、制限して行くと言えば、大よその方向は私は決定をしておると思うのです。ですから、検討してみるとおつしやるのですが、大体まあ検討済みではないでしようか。
  250. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは私とあなたとは少し見るところが違うのです。というのは、私は決して今八十万トン入れてどうこうということを申しませんが、ただ過去の二十七年はこうだつた、二十八年はこうだつたという数字を申上げて、日本の国際収支の関係について一貫して行きたいということで以て御想像願つたわけです。これはまだ決定しておりせんから、何とも私どもは申上げにくいというのですが、併し私の考えは、私はこれは砂糖は下ると見ているわけです。あなたのように決して売手市場になると考えておりません。砂糖というものはなお下つて行く、といいますのは、それは私は思惑的な輸入金融についての措置をとりましたら、これはあなたもよくああいうところの方向を御覧下さればわかります。ただ輸入のほうは非常に縮小して参りました。これは一月に比べれば二月は非常に縮小し、三月は更に非常に縮小しております。そういう傾向になつて来ておりますね。これは輸入に対する為替金融、外貨貸付等の処置をとりましただけで、それだけの効果が出て来ております。いわんや私どもは思惑的な金融措置については一切してはならんことを固く銀行に言つているのです。いわゆる思惑的な金融、及び滞貨金融といいますか、彼らがそういうことについての措置をとつてもらわんように、今金融業者にいわゆる健全な金融化、金融の健全化を求めている次等でございますので、私はあなたがお考えのように方向ははつきりしておる、ただ上るばかりだと考えておりません。むしろ私は逆に下ると考えております。従つて今のお話の点に方向がはつきりしておるじやないかというお言葉にはちよつと承服しかねます。私どもの、むしろ私どものほうがはつきりしているのじやないかと申上げたいくらいです。従つてこの問題につきましてもよく検討してみます。ただすべて長い間ずつと行われて来ているものを、これを変えます時分には、やはり変えるだけの十分な理由がなければいけない。一時的の、一月或いは三月、半年間だけの理由でいいかどうか。併しそれも今後ともその必要がないということであれば、これは勿論そういう恩恵を与えるべきではないが、ただ利益に対しては課税その他の措置もありまして、これは十分そういう方面からも、これを国としてそれは必要なものは吸い上げる途がついておりますから、従つて私どもがいろいろな点から考えてみなければならんと思います。併し一応省議その他に諮りまして、これがこういうふうにすべきであると、行政措置をとるべきである、こういうことに結論が出ておりますれば、私自身としてはこれを行うに決してやぶさかではありません。
  251. 東隆

    ○東隆君 私は法人税の関係で、第四条に見出しとして非課税法人、それから第五条の公益法人等の非収益事業の所得の非課税、これに関連をして伺いたいのですが、私は当然協同組合は、各種協同組合は非課税法人でなければならん、こういう考え方を持つているわけです。すでに協同組合の前身である昔の産業組合法による産業組合、これは設立の当初から非課税の原則が確立をして、ずつと続いて来ておつたわけです。すでに昭和十七年に、支那事変が進展するに従つて統制経済が進むと、結局どういうことになつたかというと、協同組合を中心にして国策に即応するために産業組合に課税をする方針をとつて、それがずつと続いて参りました。そうして農業会にそれが改組されて、その後、終戦になつてから、新しく協同組合ができるときに非課税の原則が中に入らなかつたわけです。そういう形で以て現在に至つているわけです。ところがその後、終戦後に非常にたくさん協同組合ができたのですが、私は協同組合はもつと強くなつて、そうして発達をしなければならんと思うのですが、各種の協同組合は、いろいろな協同組合ができて、農村も漁村も山村も、それから生活協同組合のような勤労大衆を対象にした法律は、農業のほうは比較的整つているようですけれども、それ以外のものは、実は中小企業者等の協同組合等も極めて弱い。国がこれは相当力を注いで育成強化をしなければならんので、当然非課税でなければならんと、こういう考え方を持つわけです。これは国が育成強化をしなければならんという建前から、そういうことを考えなければならんし、それから又協同組合と私は普通の営業目的にした株式会社とは、これはもう全然趣きを異にしておりますから、私は協同組合は営利法人ではなくて、公益法人に近い特殊法人だと思つております。そういうような意味で当然いろいろな点から考えてみなければならんと思うのですが、大蔵大臣がもと株式会社の社長をされておりますし、私は協同組合に実は関係しておつたので、協同組合のほうは少し知つているのですが、すでに協同組合に対しては税をかけるべきでない、ところが先ほど申したように、いろいろな関係で以て協同組合に課税をしている。そうして発達をチエツクしているような形が今現われている。こういうまあ見方をしているわけです。それでそいつの中心的な考え方がどういうところにあるかというと、実は協同組合の事業に対して、非常にそれが発達をすることによつて、昔、反産運動という形で以て協同組合に対する反対運動が起きました、そういうようなことが今後においても起きるのではないかいう、こういうことを非常に虞れているのじやないかと思うのです。併しその当時協同組合であつた産業組合に対して反対をやつた、運動をやつておつたところの中小企業者等は、終戦後には協同組合を作つているわけです。同じ陣営の中に入つて。そうして協同組合を作らなければ、中小企業者等のいろいろの金融措置が講じられても、中小企業者には金が来ないというのが私は実情だと思う。そういうような関係で、私は協同組合というものに対して非課税の原則を確立をして、そうしてやつて行くことが、本当の大衆的な意味を持つた助長なのだ、そうして充実させて行くことになると、こういう考え方を持つのですが、私はその点で今回のこの改正、或いは関連をして、特別措置法なんかを見ましても、非常に残念に思つているわけです。大蔵大臣は協同組合とそれから株式会社と同じように考えられているのではないかと、こういうことを懸念をいたすものですが、どういうふうにお考えなつておるか一つお聞きをしたいわけです。
  252. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これについては前から東さん御承知のように、いろいろな議論が者まして、私どももたしか昭和十五年であつたか、戦前免税措置がとられておつたのが、当時三分の一でしたか、二分の一でしたか、忘れましたが、課税することになつたので、そのときに協同組合に対するかれこれの議論がございましたが、まあ当時ほかのほうからの反対も相当ありましたので、結局三分の一でしたか、それが二分の一でしたか忘れましたが、課税することになつたことは御承知通りであります。昭和二十五年のいわゆるシヤウプ税制の勧告でございますと、シヤウプ税制の勧告では、一般法人と同様にしようという考え方でございまして、一般法人同様に三五%の税率が課せられたことは、これも御承知通りであります。ところが二十七年度法人税の改正の際に、一般のほうは今の四二改にめましたが、併し組合のほうは三五%に残つて、多少の差をつけておるわけなんです。それで私どもも今の公益法人の収益事業に対しても同様この三五%で行くことになつておりますが、併しこのほうにはこのほかに、税のほかに事業分量による配当につきましては課税をしておりませんので、それだけ又別にこれは恩恵と言つちやうとどうか知りませんが、恩恵を受けておる、こういうことにもなるわけであります。税制上の特別措置を受けておるということにもなるわけでございまして、私も全然同一のものだとは考えておりませんが、併しそういう収益事業を共同してやるときに、又全然これが公益的のもののみだというふうにも考えにくいので、多少のそこに差をつけて、こういうものが行われるのが当然ではあるまいかと、私どもは考えております。
  253. 東隆

    ○東隆君 実は第四条に私は入れるのが当然だと、こういう考え方と実は思つておるのですが、もう一歩譲りまして、第五条のほうに入れるということになりますと、この中には実は協同組合ともう殆んど同一と考えていいようなものがあるわけです。例えば五番目の、五号の住宅組合ですね。それから海外移住組合及び同連合会並びに負債整理組合、これはもう協同組合の中にある。これは協同組合はこういうことをやるのです。それからもう一つその前の四号の中の漁船保険組合、漁業保険中央会、こういうような一連のものは、これも実は協同組合が本来ならば当然やつてつて差支えのない仕事です。併し日本法律が制限を加えてやれないようにしておるだけの話なんで、協同組合の本質を考えて行けば、私は当然この第五条の中に入るべきものだと、こう考えるわけです。第五条では収益を上げるものについてはそれを除くと明らかに規定してあるわけです。そういうような面から考えて、この第五条には当然入れるべきものだ、第四条は仮に除外されても、第五条には入れるべきものだと、こういう考え方を持ちますが、その点はどうですか。
  254. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 漁船保険組合とかございますが、これはまあ協同組合と我々は多少性格が違うものだと思つております。これはまあいわば一種の総合的な関係で保険になつている協同組合も、総合的と言われますが、必ずしも組合員だけの問題ではなくして、そこに売り買いといつた問題が外部に働きかけているわけでございまして、従いましてその保険組合のように、組合の中だけで一応金の動きがあるというだけのものでなくて、信用組合、講買組合にしましても、そこに売つた買りつたりといつた、外に対する働きかけがあるわけでありまして、ただ併し一応そうした協同組合の特殊的な性格を考えまして、我々のほうとしては事業分量による配当につきましては、これを一応損金に認めている、こういうことになつておりまして、その措置によりまして、通常の場合に起り得べきその協同組合における課税というのは、これはもう大体事業分量による配当の関係で、非課税なつているということによりまして、協同組合の持つ特殊な性格は、そうした措置によりまして大部分が課税上としての特例としては認められている性格のものじやないか、かように考えております。
  255. 東隆

    ○東隆君 私は今主税局長からお話になつた点は、これは別に日本で以て協同組合というものを非常に狭く法律で以て規定をしておるわけです。従つて協同組合の考え方から行けば、今言つたような保険関係の仕事であるとか、共済関係の仕事であるとか、或いは組合員にサービスをする仕事というものは、これは協同組合の当然の仕事なんです。だからそういうような考え方から行けば、営利を目的としていないところの事業団体なんだから、この第五条では明らかに、「左に掲げる法人の所得で収益事業から生じた所得以外の所得に対しては、各事業年度の所得に対する法人税は、これを課さない」と、こういうようにはつきり書いてあるのだから、私はこの中に規定をされてよろしうございましよう。それが私はせめてもの協同組合に対する非課税の原則に近いものを確立しておるのじやないか、こういうところを言つておるわけなんです。だからこれに入れないとすれば、協同組合はこれは営利を目的にしたほうが大きいのだ、こういうお考えを非常に強くお持ちになつているということなんです。私はそういう考え方であつてはならないのです。協同組合はそういうようなことでないので、却つて公共団体の自治体に近いのです。決して仕事は営利を目的にしておるわけじやないのです。組合員のためにやつておるので、組合員のためにやつておるという仕事は、自治体の構成しておる市町村民に対して仕事をしていると同じことです。だからそういう意味で、私はここで申上げるのは、協同組合は第四条に入れるべきものだけれども、一歩譲つて第五条に入れておいたほうがいいのじやないか、こういうことを言つておるわけです。
  256. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 組合員のためにやつている協同組合なるが故にということでは、課税としての特殊な性格は私は出て来ないのじやないかと思つております。例えば営利会社におきましては、これは株主のためにというわけでして、結局その意味から言つて、組合員のために、私は株式会社と協同組合との性格は違うと思つておりますが、ただ今東委員のおつしやつた、組合員のためにやつておるのだからと言えば、株式会社は株主のためにやつておるのだからと、そこに二つの性格の違いはないのであつて、むしろ協同組合の特殊な性格は、結局、例えば今の消費生活協同組合のようなものについて言えば、結局組合員が、まあ一人々々買いに行く、その代りに一緒になつて買つて来ただけじやないか、こういつたところにむしろ消費協同組合の特殊な性格があるのじやないか。ただその場合におきましても、消費生活協同組合において、組合員だけに売るという姿であれば、その今の論理がはつきりいたしますが、組合員以外の、いわゆる員外取引を相当、法律は禁じておりましても、割合に現実にどんどん自由にやつておる、こういうことになりますと、組合員に対しては結局事業分量の配当で以て、まあいわば儲けに当る分、これはまあ組合員に対しては儲けという言葉はどうかと思いますが、その分が隠されているとしましても、非常に組合員に対する分については、これはやはり一応の儲けもあるわけでございまして、その辺に現在の協同組合の性格というものは、まだちよつと東委員のおつしやるような姿において割切れていないのじやないかというような点におきまして、我々も一応協同組合の特殊な性格は認める、従いましてそこに事業分量による配当については、これはもう損金にする、こういつたような点は、そこで協同組合における特殊な性格を認めている意味でありまして、まあ協同組合における収益事業というと、それじや何だということで、これ又なかなか議論のあるところでございまして、従いまして我々といたしましては、むしろ逆の面から一応ものを考えているのかも知れませんが、事業分量における配当損金にするということで、協同組合の持つ特殊な性格は十分一応考慮に入つている、こう申上げ得るのじやないかと思つております。
  257. 東隆

    ○東隆君 果てしがないのですが、組合員のためということと、それから株主のためにというのは、それは非常に違つておるのです。それは株式会社の場合の、株式会社の目的は、利潤を上げることが目的なんです。それから協同組合の目的というのは、利潤を上げることが目的じやないのです。これは組合員のためにやるのです。そこにもう法人としての性格は全然違う。その違つておるものを同じようにお考えなつているところに大きな間違いがあるのです。株式会社の場合は、これは資本の組織と言うとおかしいけれども、資本の固まりです。その資本に対して利潤を上げることを目的としておりまして、ところが協同組合はこれは人の集まりなんです。人の構成なんです。そこに非常に違つておるところがある。だからその違つておるところの姿というのは丁度自治体と同じなんです。自治体がやつておる仕事に税金をかけないのです。それを株式会社のように自治体が仮にやつたとすれば、これは税金をかける対象になりましよう。全然違うのですから、そこで考え方が全然違うわけです。だから私あはなたが、その協同組合と、それから株式会社が違うのだということは、よくわかつておる、こういうことをお言いになつて、そしてなお主張される半面には、これは反産運動だの何だの、そういう方面のほかの者がやかましく言うから、そういううるさいことを言われないように、一つ協同組合にも或る程度の税をかけておこう、こういう考え方になるのだと思う。併し私はそのことが、これから発達して行かなければならんものに対して非常に邪魔になる、協同組合に対する国家のいろいろな育成助長のやり方というものは、非常に少いです。殊に生活協同組合なんかは、金融の方面なんか閉ざされてしまつているし、それからその他の方面で、非常に迷惑しております。本当に伸びて行こうとするのが抑えられているわけです。だから私は正しい発達をさせるためにも国家は非課税の原則を確立して、そしてこれを助長して行くのだ、こういう考え方に立つことが私は本当の民主主義を作り上げる根本だと思つているのです。だから私はこれは余り言いませんけれども、併し大蔵大臣は、第四条、第五条のどちらかの中にこれを入れることが当然だという、協同組合員について考えておるものが、そういうことを主張しておる、こういうことは、よく頭の中に入れておいて頂きたい。こういことを申上げて私質問を終ります。
  258. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 時間もたつておりますので、一点だけ大臣にお伺いします。所得税関係でございますけれども、この中で実は私は余り勉強しておらないので間違つたら御訂正願いますが、配当控除というのが出ております。この点は全然今度の改正でも触れておられませんし、しますが、何かシヤウプ勧告のときに、これもやはり含まれていたようなことを聞いておりますけれども、この配当から控除するという率が二五%これは今配当がどのくらい一年にあるか知りませんが、非常な額だと思う。そうすると税でいろいろ御苦心になつて、所得税、法人税或いは間接税方面で或いは減税し、或いは増税と言いますか、いろいろ御苦心になつておりますけれども、結局税というものは国の歳入を確保するわけでありまして、その根幹である税のやはり本筋というものは所得税というのが基本でございます。ですから所得税につきましても、細かい免税なり或いは累進課税なり、いろいろ御苦心になつておりますけれども、この配当を二五%控除しておるということは、税収入を上げる点から言いましても、非常に不利である上に、個々の税の理論になりますけれども、個人々々の負担の原則からいつても、勤労所得のほうと、いわゆる財産所得と言いますか、そういう所得と比べて見ると、じつとして何も勤労しないで年に五十万円の配当を受けておるという人のほうが恐らく税は軽くなつておる。勤労でやつておる人のほうが重いのじやないか、こういうふうに思いますけれども、そういう点もどうなつておるか。まあ要点は要するに私は配当所得をそのままで置くというところが、収入についての控除ではなくして、税額から二五%控除するというような点は、かなり行過ぎじやないかというふうに思つております。初めに申上げましたように、租税の今までの経緯をよく私存じませんので、或いはいろいろな事情で、これはこうなつておるのだというようなお答えがあるかも知れませんけれども、私は思切つて改正するほうが国の税制のためにいいのじやないか、細かいことを少しずつ、つつついて見ても面倒になるだけで、大した効果が上らない、かように思いますので、これを大臣にお伺いするわけでございます。
  259. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 青柳さんも御承知かと思いますが、シヤウプ勧告で一体源泉で一遍課税されたものを又個人課税をするのがいわゆる二重課税にもなるといつたような考え方で、このことが残されたのであり、こういうふうにきまつたのでありまして、この間の税制調査会でも、この点については殆んど議論が出ずに、この点がこれはそのまま残すということに決定したわけです。尤も全然議論がないわけではございません。この点はこれは残しておこうということになつたわけですけれども、あなたのおつしやる意味もよくわかりますが、ただ株主が、如何にも源泉のときの実態は株式会社としての課税を受け、又その利益の配当を受けておるものについても課税を受けるというようないろいろな点も考慮して見ると、これは残すほうが私は実は本当じやないかという感じがいたします。
  260. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 いま一つ、大臣のお言葉はよくわかりましたが、私はそれでは納得ができません。というのは、租税というものは、要するに初めて法人の会社が儲かつたから、それから納めたところで、その株主になつておる人は、二重に課税するというよりも、その国民が個々にどれだけ負担するかというのが、むしろ租税の、どういう収入があろうが、たくさんある人はたくさん納めるというのが原則でございまして、初めに一度とられておるから納めんでもいいということを言つたら、租税というものはすつかり体系が狂つて来るのじやないかと思う。だからむしろそれならば今貯蓄の奨励が必要だというようなときに、銀行の利子の収入にも二割五分なら二割五分の税額の控除をするとか、いろいろの方策があると思うのでございまして、今大臣がおつしやつたシヤウプさんが言われたというだけで、私は日本の税制をこのままで行くなんということは、大蔵省としても少しそれでは、何といいますか、金持をただ擁護して、国民の勤労しておる人を非常に虐待して行くような気がするのだと思う。それから租税のときに、課税のこれは負担の公平という点から言つても、これは議論になりますけれども、どうもそれは割切れないという気がするのです。これは私の意見になりますけれども、一つ御検討を願いたいということをお願いしておきます。
  261. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 多少私の答弁だけでは不十分かとも思います。ただイギリス等でも、むしろ徹底してイギリスはこれをやつておるくらいでございまして、或いは両方の説がこれはあろうと思います。青柳さんの言われるのもこれは傾聴すべき意見ですが、併しイギリスその他でやつておるのも、又これはそういう一つの意見に基いてやつておる次第でございまして、何か主税局長は、この間この問題について大分議論をしていたようでありますので、意見を持つておるかと思います。御参考になると思いますので一つ主税局長から率直に……。
  262. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 簡単に申上げて或いはあとで又とつくり御説明申上げたほうがいいかと思いますが、法人税に対する考え方が実は二色、各国の例を見て行くとあるわけでございまして、一つはイギリス流の考え方でございまして、法人に対する課税個人に対する課税のいはば前取である、税負担というのは結局各人、個人であるものが負担すべきものだ、従つて法人は勿論これに課税しておりますが、イギリスでも課税しておりますが、これは個人に対する税金の前取である。従いましてイギリスの例で言いますと、丁度とりました所得税は、配当の源泉課税の場合の、あの改正と実は殆んど同じように考えているわけでございまして、決して株主が特殊な扱いを受けておるというような考え方ではございませんで、配当の場合に日本では更に源泉課税をしておりますが、この源泉課税個人の所得に総合し、税金を算出したとき、配当の場合に今度で言えば一割五分、現行制度で言えば二割納めておるから、これを差引くと、これは恐らく青柳委員の御議論でももう当然差引くべきものだと、それを差引かなかつたら、二重課税じやないかという御議論になるかと思いますが、丁度その配当の場合に現在二割差引いておるあの税と同じ性格のものを、イギリスではこれを徹底しておりまして、配当の源泉課税はやらないで法人税で課税しております。法人に対する課税で所得課税をいたしておりまして、その税金を込めたものを配当としまして、手取りは、例えば一ポンドだけれども、税金があるから一ポンド半というふうになりまして、一ポンド半にして、総合してサー・タツクスですか、附加所得税と訳しておりますが、それを計算して、それで一ポンド五シリングは払うというようなことをやつておるわけでございます。  もう一つ考え方は、これは法人は法人で以て確立した担税能力があるが、個人個人で担税能力がある。大陸の考え方がそうでございまして、アメリカではそういう考え方をとつておりますし、日本でも曾つてそういうことをやつておりました。ただアメリカではこれはいろいろ議論があるわけですが、イギリス流の考え方のほうが税の理論としては正しいのだ。要するに法人に対する税は課税はやはり差引くべきだ、こういう議論が主として実業家中心でございますが、相当強い議論があります。それから多少そういう人たちを離れた、日本で言えば、租税研究協議会のようなところのエキスパートの人が、これは個人的な意見でございますが、そういう意見を持つて言つている人にも私は会つております。現在財政が非常に苦しいから、なかなかそういう考えには行かないのでありますが、あるべき姿としては、イギリス流の考え方のほうが正しいのだ、それがおのずからドクター・シヤウプにも反映しているのだろうと思いますが、シヤウプ博士のこちらに来ての考え方は、そのイギリス流の考え方のほうが正しい。従いまして日本の法人税もそういう姿であるべきだ。それでただイギリス流でございますと、現実に納めた税金をそのまま差引きますから、所得の大きさに従いまして、大分いろいろ違うわけでございますが、それを非常に簡略化した姿になつているのが現在の二割五分控除の制度でございます、二割五分控除の制度と、それからもう一つは、法人が他の法人からもらつた配当を損金にする制度、で、結局改正前は、他の会社からもらつた配当はやはり一応利益に計算しまして、そうして又法人税を課税している。これで親会社、子会社の連繋でつながつておりますと、何回か課税を受けるような建前になつていたわけですが、この点はやはりこれが二重課税で、一遍課税したらおしまいで、配当金は損金に算入すべきではないということと、今ここで議論になつております二割五分控除、この二つの制度をやつたわけでございます。  それではこれが税収にどの程度必要であるかどうかという問題でございますが、現在配当はかなりの額に上つておりますが、二割五分の控除の分と、源泉で一割、今ですと二割、四割五分、そうしたところが先に払われるわけですが、そんな税もあるかと思いますが、個人に総合課税をしております配当所得というのは、現在大体百五十億、従いまして二割五分といいますと、三十八億程度のものは控除の額になつております。  税制調査会のときも実はいろいろ議論をしたわけでございますが、まあその大陸流の考え方、いわゆる法人の実本税と一応予算で申しますが、その考え方がいいか、たとえば法人犠牲税と考えておりますが、この考え方がいいか、いろいろ議論したのでありますが、結局現在の資本の蓄積の重要性とかいろいろなことを考えまして、同時に理論的にもこれが相当一応の根拠を持つものでございますから、この際どちらかといえば、シヤウプの残した税制の中で一番いい制度だと、こういう御意見も相当あつたわけでございまして、この答申もその線で出ておりますので、今回はこれを直すことはいたしませんでしたが、将来の問題としては、相変らずこの問題は相当議論になつて行くのじやないかと思つております。
  263. 小林政夫

    ○小林政夫君 物品税ですが、とかくの議論があることは大臣も御承知通りですが、これについて再検討を加えるということは随時言われておりますが、私がかねて要求しておつた資料が今日出て来たのだけれども、この物品税的なものと、物品税収と、それから今問題の奢侈繊維税、合せて約三百億ほど、それくらいそのものに匹敵するものが消費財に対する売上税、こういうものをやつてみると、約一%で済む。大体あなたのほうで出された資料で、税率一%で済む、併しこの物品税等を撤廃するということは、今の情勢上面白くないということであれば、本会議で大臣に申上げたように、奢侈品ということで、厳重に奢侈品で絞る、奢侈品消費税というものを一方で立てる、そうしてその税収の不足をこういうもので、一回限りの取引高税的なもので考えるとすれば税率は千分の五ぐらいで済むのじやないか、こういうことについてはどういうふうにお考えでございますか。
  264. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) ちよつと私まだどうも自分の肚ができておりませんし、少し研究さして頂きます。私どもの考え方といたしましては、物品税については大体あなたと同じような考え方を持つておりますが、併しどの程度がいいかということについては、まだちよつと私実は十分に肚構えができておりませんし、又もう一度これはよく省内でも諮つて見なければなりませんので、或いは研究問題として……。
  265. 平林太一

    ○平林太一君 先刻の小笠原君のお話しでは、現在いわゆる法人税、所得税ですね、直接税。この課税の対象が限界に達している。従つてこれは消費税、いわゆる間接税によつて、これを大衆の課税なつても、これはいたし方がない、そのほうから求めるのだとおつしやるのですが、そこで具体的に伺いたいのですが、先刻申上げましたが、銀行は当然いわゆる企業、株式会社としての法人企業でありますから、これは利益を対象とした一つの企業であることは極めて明白であります。そこで二兆六千四百億円というものを預つて、貸出が二兆六千七百六十億円であります。この二兆六千七百六十億円に対しては、いわゆる金利、これは、この間のいわゆる計画造船に対しまして銀行の貸付金利は一割一分だという。それは五分五厘か、利子補給でこれは補なつたというのでありますから、一割一分という算定は、これはいたして差支えないでしようが、最も高額な貸付にしてもなお且つその通りであります。一割一分と言いますと、二兆六千七百六十億円の一割一分でありますと二千六百七十六億円、二千六百億円、こういう厖大な金利を銀行は、他のいわゆる製造工業でありますとか、中小企業にいたしましても、施設は持たない、ただいながらにして、デスク一つで、そこでこれだけの利益を、二千六百億円という利益をあげるのであります。但しそれに対しましては預金に対する利息、預金の利息というものは、いわゆる私の算定といたしましては、年五分ですね、年五分といたしましてその半分、そうすると二兆六千億円のうちの一千三百億円はこの利息として支払う、といたしましても、一千三百億円という利益を、この利息を支払つた以外に、これはできるわけです。これは日本中において、全国において、恐らくこのくらい厖大な、もう極めて明瞭な算盤だけで利益を得るところの企業というものは絶対にないのであります。その千三百億円に対していわゆる銀行の所要経費、併しながらこれは八十六行なんです。八十六銀行でこれだけの千三百億円の利益を得るというわけだ。そうすると、具体的にこの千三百億円に対して、現在法人税として国がつまり課税し、国が徴税をいたしておりますところの総額というものは、二十八年度の、本年度分でよろしいのですが、先のことは、二十九年度は別といたしまして、どのくらいおかけになりましたか。
  266. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は平林さんの数字の中に、私のほうから見ると、少し違うところがあるのでございます。と申しまするのは、今仰せになりました預金の金利ですが、預金の金利は五分に満たないでしよう。恐らく四分何厘か思います。これは曾つてあなたから叱られたことがあると思いますが、そこらで大きな建物を作つているじやないか。ああいうような費用、各種のそういうものの費用、特に最近は人件費のほうが膨脹いたしておりまして、人件費だけで二分一、二厘かかつていると思います。そのほか税金とかそのほかの金を計算いたしますと、資金のコストは七分三厘見当になります。貸出をいたしておりますのが一割一分というのは、ああいう造船の長期の分でありますから、長い期間の分でありますから、一割一分についておりますが、それは普通の貸出のようなものは、御承知の輸出手形の分は一銭四、五厘の分も相当あります。決してそういういい利廻りになつておりません。それとも御承知のように銀行のお話がちよつと出ましたが、この頃でございますと、幾らか滞り貸しに対する各種の措置が要ると思います。そういうことを考えますと、そう銀行業者が余りうまいことをしているというほどのことでもないのじやないかというふうに、実は私は思つておりますが、勿論課税上は少しも手加減をいたしておりません。併し幾ら取つておりますか、ちよつと数字は記憶いたしておりませんから、これはあとからお調べもいたしまして、各銀行に対する課税額は何分であるかということを、これはあとから申上げることにいたします。
  267. 平林太一

    ○平林太一君 ちよつとこれだけでいいですから……。
  268. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林君簡単に願います。
  269. 平林太一

    ○平林太一君 今小笠原君おつしやつたが、それは何と言いますか、我々の世上の常識から申しますと、非常にお目こぼしが多い。それはとにかく今数字から見てもわかるわけなんです。今のお話から申しますと、これは八十六行の二十八年度のいわゆる法人税として課税した総額というものが、ここに現われて来ると、それはびつくりするような少額なものだ。それだから、ああいう今あなたがおつしやる通り、銀行はまるで王城のような建物を次から次へと建てているのだ。そうしていわゆるいろいろとからくりで銀行というものは利益を分散して、如何にして国家の税を免れんかということで、銀行の中には一つの課を設けている、そういうものを逃避しようとして。これは資本でやるのですから、そういうことはできるのです。個人のいわゆる中小企業者でありますと、そんなどころではない。そんな余裕はなく、帳簿の二重ずけくらいしかできないのだから、それは引いても最高限度に取られている。それだから個々の何は四十五億だと言うが、そういうものは銀行のほうの企業というものにメスを加えれば、とにかく千三百億円、これは常識ですよ。(笑声)これはお笑いになるが、実際にやつて御覧なさい。それで闇金利を取つている、銀行というものは、場合によると二千億円ぐらい取つている。だからそういうことを、そういう抜本塞源的な、いわゆる法人税に対しまする根本的なものをそこで改めれば、唯々諾々として消費税なんというものは、これは取らなてもよろしいわけなんです。今、これは主税局長がおられるが、二十八年度に、あなたは専門家だからこのくらいわかるでしよう、どのくらいとつておりますか、八十六行で。これは極めて重大なことなんだ。税制の根本問題だ。(笑声)
  270. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 二十八年度とおつしやいましても、二十八年度と言いますと、まだこの三月の決算がきまつておりません。
  271. 平林太一

    ○平林太一君 二十七年度でよろしい。
  272. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在手許にございます数字も二十七年度でございます。二十七年度ではこれは金融及び保険業になつておりますが、保険の利益というものは割合少のうございます。
  273. 平林太一

    ○平林太一君 それは別に分けて銀行だけを。
  274. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一緒になつておりますが、大体金融業だと考えてもいいと思いますが。
  275. 平林太一

    ○平林太一君 その金融業のほうは……。
  276. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 三百七十六億。
  277. 平林太一

    ○平林太一君 それは唖然たるものなんだ。(笑声)千三百億円のうちで三百億円しか取つていない。いろいろ経費もありましようが、これらは一つ小笠原君あなたの大臣在任中にですよ。これは一つあなたが大臣をおやめになつても、これは永遠に残るものだ、こういうものを一つ解決して置けば。そうして庶民のいわゆる貧しい担税力というものを、今年の税額で行きますと、農村は四十億ぐらいは増税になつております、農村課税というものが。如何にもこの頃のあなたがたがおやりになつておりまするのは、これは主税局長も左甚五郎のような非常に名人だと思うが、あなたは政治力に左右されていけない。左甚五郎というのは一体どんな大名から彫物を頼まれても、自分の気に食わなければやらない。あなたがたそういうことでやるのは……。
  278. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 平林君簡単に願います。
  279. 平林太一

    ○平林太一君 承知いたしました。一つ私はそれに対する大臣の見解を承つて質問を終りますから、重大問題でありますから。一個人の政党政派を超越した大問題だ。
  280. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 銀行に対する課税については、一切の手加減をいたしておりません。これははつきり申上げておきます。一切の手加減をいたしておりません。
  281. 平林太一

    ○平林太一君 それでは少な過ぎる、三百六十億円。(笑声)それではよろしい。よく研究して置きます。
  282. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあ大臣もお身体が悪いようですから、いろいろお伺いしたいのですが、最後に一点だけお伺いして終りたいと思いますが、本当はまあ保全経済会の問題だ、開銀融資の問題だ、本委員会で随分いろいろ論議をしておつたのですが、いつも予算委員会との関係上御出席がないので、今日お聞きしたいと思いますが、まあ又次回に譲りまして、今日最後に一つ、これは本日の議題になつておらない税法ですけれども、これらの税法と直接まあ関係がありますので、入場税と奢侈繊維税ですけれども、これに対して聞くところによりますると、自由党は一旦出しておいて——あんたは政府、これは政党内閣制の建前からお聞きするのですけれども——出しておいて、参議院で予算が通つてから態度を決定するというような申合せをして、奇怪な申合せをしておる。本来ならば衆議院予算を通すときに、これらの法律に対するイエスかノーかの態度を決定して、こちらに廻して来るのが当然なんです。にもかかわらず、参議院の予算が通つてから、これらの法律案について態度を決定すると言つて、未だに放つておいてある。まあ賛成、反対は、或いは否決するなり何するなら、これは別でありますけれども、そうして自由党自体としても、今の政府の与党自体としても、これらについてはまあ握り潰そう、こういう不見識な態度である。むしろ自由党が積極的に、これらの法律——我々反対しましたが、それは何らかの態度を決定して、早いとこ、こつちに廻して来るのが当り前だ。政党の責任内閣制の建前から行きまして、あなたは政党員であると同時に大蔵大臣だ。で、あれだけまあ反撃を受けて、国民が反対したのを無理に出して、これらの法律を出しておきながら、今になつて来て、そういう態度に出るということになれば、これらの法律も、あえて我々日曜日にも今日出て、何とか予算との関係もあるし、期限もあるからというので、盛んにまあ十分審議をして態度を決定しようとしているのですけれども、肝心の政府の与党である衆議院の自由党がそういう態度で出ているということは、私はどうしても解せんと思うのでありますが、これについて小笠原大臣、これらの両法案は本当に信念を持つてお出しになつて、そうして押し切ると、こういう決意の下にお出しになつて、この国会に臨んでおられるのか、それともこれはまあ一つの大きな国民のいろいろの輿論の対象になつておれば、与党と野党との意見の対立にもなつておりますにもかかわらず、それらのことを承知の上で、一応党議をまとめられて、そうして政調会も通り、そうして政府も立案して、政府はお出しになつたのか。以上は、あなたはこれに対する責任が勿論おありになると思う。これに対してあなたは一体どういう態度で臨まれようとしているか。この点だけをお伺いしておかんと、これらの法律との関係があるので……。
  283. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この問題につきましては、先ほど堀木委員のお尋ねも丁度ございまして、或いはあなたはおいでにならなかつたかも知れませんが、御答弁申上げました。それから昨日予算委員会で緑風会の森委員から話が出まして、それで青木予算委員長が了承しまして、参議院の議長から衆議院の議長のほうへこれの取扱いをどうするか、どういうふうな情勢になつておるかということを、正式に聞き合すということに相成つております。従いまして、それらの答弁があることとも考えますが、これが入場税の問題について申しますると、この入場税というものは、御承知の昨年から二回に亘つて義務教育費半額国庫負担の特例に関するという法律をお出しいたしました。併しこれが二回とも不成立に終つたので、今回止むを得ず二十八年の補正第三号をお願いすることになつた次第でありますが、こういう問題を重ねてもう出さないということのために、それで中央と地方との税制の調整を図る意味で、財源に対する措置をとるということの必要から、平衡交付金制度を変えて、交付税及び譲与税の制度に変えたわけです。従いまして、そのときにはつきりとこの入場税等を国税に移管すると、こういうことにやることが一つの今度の予算編成の方針にも相成つております。従つて、私どもがこれは必ず通さなければならず、又通るものと思つておるというのは、御承知のように、これも発表したことですから申上げておきますると、予算委員会で自由党と改進党及び日本自由党の間に何か協定があつたが、それはどういうことがあつたかというお話がありまして、その了解事項の一つに、この予算案を認める、こういう三派で改訂する、修正すると、修正するにつけては、この予算案の裏付となる税制諸法案は必ず通すということの了解ができておるのだ、従いまして、その了解の手前から言つても、私はこれは通るものであろうと確信いたしておりまするし、又さつき申上げましたこのことを、税制を出す前に、今のもう義務教育半額国庫負担の特例等は二十九年度以降は出さないということで、それで措置がとつておりまする関係もございまするから、出さしておいてあと知らん顔をするという三党のお立場ではなかろう、こう考えており、政府は飽くまでこの所信に基いて、これはやつてもらわなければならず、又やるために最大の努力をしておるというのが実情でございます。  それから繊維税の問題につきましては、奢侈品についてなら異存はないということを私どもたびたび聞きまして、それで最後に奢侈的の繊維製品に対する課税だけを取上げた次第で、これは私はこの間もここにおられる成瀬君が、三河ですから三河の代議士がたくさん来ましたが、来られたときに話した状況からいつても、三河には六市か七市、市がありますが、一つもそんな高級品を売つているところはないそうです。だから何にも影響はありませんと言つておりましたが、それほど奢侈的な繊維品だけに課税するということになつておるので、これはどなたも今日本で奢侈的なものを抑制しなければならないという心持にお変りがないと思いますから、私はこれも通ることと思つております。併し、いろいろ議論があることは耳にいたしておりますが、併し、税のときにはいろいろな流言飛語もありますので、私どもは飽くまで最善の所信に向つて最善の努力をしておる、これが私の目下の偽わらざる率直な言葉でございます。
  284. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この前の造船融資の利子補給の際にも、まあこれにちよつと臭いぞとは思いましたが、よもやああいう今検察庁が疑惑を向けているような事実というものは、まさかそんなひどいことはなかつたのだろう、まあ巷間噂されている程度でありますから、我々も正確な真相というものは十分にキヤツチできておりませんけれども、まあそんなことはよもやなかろうということで……。参議院のほうでもそんなことだつたら、あれはもう相当我々決意を固めて、参議院であの法案の阻止に努めるべきだつたのだ。ちよつとうつかりしておるうちに、まあそこまでも、どうも臭いというので反対はしたが、そういう重大な法案というふうな考えなんで、手落だつたと思いますので、今度はこの両法案につきまして、いずれまあ態度を決定する際に、大蔵大臣出てもらえれば、出られるか出られんかわかりませんが、向う予算委員会との関係で、この際重ねてお伺いしておくのだが、これらの二つの法案、特に繊維税につきましては、まあよく言われる、これは本会議でも質問にもなつたと思いますが、原糸課税から奢侈繊維税というふうに名が変つたですね。こういうふうに又課税対象が変つて来た、課税段階が変つて来た裏には、紡績業者或いはその他から働きかけがあつて、そうしてそのために、そうかそれだけよこすならということで、又こちらに変つたということが仮にあつたとすれば、これは大変なことで、それを知らずに通したということでは大変なことだ。これは何としても、委員長席に殺到してでも、そういう事実があつたとするならば、これは食いとめなければいかん。こういうふうに腹を据えるわけです。  それからもう一つ、入場税のほうについては、これと同じような性格のものに遊興飲食税があると思うのです。ところが、これらについては中川や長谷川の女将あたりの圧力が加わつておるというような、率直にわかりやすく言つてそうですが、いわゆる料理業者というものとの密着関係から、そういうことはせずに、割合いに何と言いますか、これはやりよい、そういう反対のない入場税だけにポイントを向けた、こういう噂も飛んでおるわけです。で、ここであんたははつきりと責任を以てそういう心配はないから、本当の純粋な法律論として一つつてもらいたいという態度か、その点についてはつきりここで答弁して下さい。そうしたら、これに我々のほうも責任がないので、これは良心的にあなたにここでお答え願つておきたい。最後の質問として、これだけ伺つておきたいと思います。
  285. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 今の問題でありますが、私は繊維税等について一切そういうことはないと確信いたしております。私どもが最後の案を、今の原案をお出しする前に、いろいろ相談を党といたしたことは事実であります。併し、そのときにいろいろ考え考え一つを申しますると、最初に原糸課税としようとしたときは輸出振興というのを大きな旗じるしとして見ると、これは原糸課税が容易ではないかというふうに考えたのでありましたが、国内でいわゆる合理化生活、耐乏生活をやつてもらうのには奢侈を抑制することが必要だ、奢侈の抑制ということですと、御承知の原糸からものができ上つて行くのにいろいろな段階がありまして、同じ原料でも製品ができ上るまでには何倍になるものもあるし、何割しか殖えないものもありますし、物によつては何十倍にもなるものがありましよう。従いましてこれは製品で行くほうが奢侈の抑制というならそのほうがよいということで、又その一つ考え方についても検討いたしてみたのであります。ところがそれをやつて見ますると、当時におきましてはもう少し今よりも、今お出ししておる、御審議を題つておる案よりも低いところに標準をおいておりましたので、そういう製品を取扱う小売業者になりますると約十六万ぐらい納税対象になるものがあるということがわかつたのであります。それは容易ならん問題であつて課税の適正を期することも非常に困難であろうということ等から、更にそれでは製造業者へ持つて来たらどうなるか、或いは卸業者へ持つて来たらどうなるかというような点もいろいろ研究したのであります。製造業者にしますと人間が四万五千くらいあるかと思います。それから卸業者でありますと約二万何千ということになつて来たのであります。そのうちに今のようにしぼつて見ますると、ああいう高級のものを扱うものは一万そこそこ、こういうことになりましたので、それでは課税対象としてこれが一番やりよいであろう、こういうような考え方の下にお出ししたのでありまして、政府といたしましては何らこれについてはほかの政党かに動かされたものでないということをはつきりとここで私は申上げておきます。  それから今の遊興飲食税の問題につきましてと入場税の二つは、これは地方税制調査会或いは税制調査会でもそういう考え方もありまして、私のほうもこの二つを最初に考えたのでありますが、両方とも一遍に国税に移管することは相当強い反対等もございましたので、然らば先ず入場税というものが偏在しておる、入場者が集るところに偏在しておるという点がございましたので、一番偏在しておる入場税をそれでは国税に先ず移管する、このようなことにして、併し地方税の何を活かすために九割は地方へ戻すが、併しこれは人口別で割戻す、こういうことにして、元のところへ全部そのままそれを戻すのじやなく人口別に分ける、こういうことにしたのが今度入場税譲与金の特別会計を作つた趣意でありまして、実は遊興飲食税についてはいわば漸進論的な考え方からこれをやめたというのが実情でございます。
  286. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それではこれらについて巷間風聞として伝えられているような、繊維疑獄というようなものが起る心配は絶対にないということを大蔵大臣はこの委員会において明言された、こういうふうに承わつてよろしいのでございますか。
  287. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 繊維税についての疑獄、汚職、問題等絶対にない、そういう心配は更にございません。このことは確言いたします。
  288. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 大蔵大臣に対する質疑はこれで終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
  290. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に只今議題になつている各種法案のうち、国税収納金整理資金に関する法律案骨牌税法の一部を改正する法律案及び物品税法の一部を改正する法律案は、衆議院において修正の上送付になりました。よつてこの際、衆議院における修正の発議者の説明を聴取いたしたいと思います。
  291. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) 只今議題となつております骨牌税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案並びに国税収納金整理資金に関する法律案の三案に対する衆議院の修正案についてその趣旨を説明いたします。  各修正案の案文につきましてはお手許に配布いたしてありますので、朗読を省略させて頂きます。  先ず骨牌税法の一部を改正する法律案に対する修正案ですが、同法第四条に掲げる麻雀のうち、「牛骨ヲ用ヒタルモノ」の税額を一組四千円の原案を二千五百円に、「其ノ他ノモノ」を一組二千円の原案を千八百円にそれぞれ引下げ、弱体メーカーに対する経営上の衝撃を緩和すると共に脱税品の横行を抑制しようとするものであります。  物品税関係の修正案は、一見非常に複雑な法文の体裁になつておりますが、その内容は高級時計、オルゴール、テレビジヨン及びジュースに対する課税を軽減し、又P・X関係輸入品の横流れを抑制しようとするものであります。即ち原案によると高級時計について新たに三割の高率課税をもくろんでおりましたが、この課税対象はおおむね輸入品であつて、外貨事情もありまして、今後事実上課税対象が乏しくなる上に、税率引上げに伴う手持品の課税の実効を適正に確保することがむづかしい事情もありまするので、この際その税率引上げを取りやめることにいたしました。オルゴールについてはすでにたばこケースや玩具等も含めて課税されているものでありまして、オルゴール自体を突如取り出してこの際高率課税の対象といたすことは多少無理なところもあり、且つ実効に乏しいとも考え課税を取りやめることにいたしました。テレビジヨンは現在では未だ局部的に愛用されているにとどまるものでありまするが、時代の要請もありまして、急速に普及をいたす必要もあり、且つ国産品の製造も一層奨励しなければならない段階にありまするので、衆議院の電気通信委員会からの強い要請も考慮いたしまして、家庭用にかかる分については原案の税率百分の十五を百分の十二に改めようとするものであります。ジュースにつきましては、従来最終消費価格がほぼ同一であるにもかかわらず、税率がまちまちであつたため、課税の不公平と取引の混乱を招いておりまするので、この際原則としてこれを百分の十の均一税率にしようとするものであります。更にPX関係物品の横流れ多く、輿論もやかましいので、これを規制するために必要な規定の整備を行わんとするものであります。  最後に、国税収納金整理資金に関する法律案に対する修正案でありますが、これは関税の過誤納金を還付する場合の加算金の期間計算につきまして、原案では関税が納付された日の翌日から還付のため「支払う日」までの期間とされているのでおりますが、関税徴収法の改正の例に準じまして、これを「支払決定をする日」までの期間に改めようとするものであります。  右三案はいずれも各党各派一致の修正案でありますので、何とぞ満場一致の御賛成をお願い申上げます。
  292. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今の修正案の説明に対して質疑を願います。
  293. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 第一の骨牌税についてでありますが、修正の理由として中小メーカーの保護育成だ、こういうふうにおつしやつているのでありますが、この骨牌税というのは、大体は賭博行為に使われると申しますか、賭博というと誤弊があるけれども、よく賭博に類似した遊戯に使われるものであるから、できるだけこういうものを抑制するため骨牌税ができているのじやないか、昔から花札あたりにあのくらいたくさん税金をかけるのはそうだと思うので、中小メーカーの抑制というよりも、こういつた遊戯、どちらかと言いますると、言葉は過ぎるかも知れないが、不健全な娯楽であつてこういうものは高税をかけ成べるく抑制して行く、こういう目的で骨牌税という特別の税金ができているのじやないかと思いますが、従いましてこの税金というものは購買者が負担する、購入する者が負担するということになつて、中小メーカーの保護育成ということを図るということになりますと、こういうものは中小メーカーに、中小企業は危機に瀕しているのでこういうものを一つどんどんこしらえさせよう、そういうことでもさして暫らくの間つながせよう、こういう趣旨も含んでおるものかどうか。これは花札なんかもこれは余り大メーカーじやないと思いますがね、こんな花札をこしらえたり何かするのは、それらにも将来及んで行くものかどうか。衆議院の各派一致の修正だというのですが、我々は党内でも聞いたのだが、ちよつと納得行かん点がございますので、衆議院の態度を御説明願いたいのですが。
  294. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) これは大体メーカーの庫出し千円くらいのものに四千円かけるというような非常に高過ぎる税率だもんですから、脱税の虞れも非常になるわけです。それからメーカー自身は非常に零細企業者で、こういうものに急激に衝撃を与えることを多少緩和したわけです。
  295. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると急激な衝撃を与えるから緩和したというのでございましたら、徐々にこれを上げて行く、こういうあれはあるものでございますか。
  296. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) そこまでは考えておりません。とにかく千円程度のものに四千円ということは如何にも急激に高過ぎるのでありますから、それでこういうふうに修正したわけであります。
  297. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから中小メーカーとおつしやいますけれども、この象牙にいたしましても牛骨でもですけれども、どの程度の組織……、麻雀牌なんかこしらえるのはどういうところがこしらえのか、我々もよくわからんのですが、どの程度だということを御調査になつた上での修正でございますか。
  298. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) これは十分調査いたしまして、それから脱税の可能性も非常に多い、こう認めましたわけであります。
  299. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの四千円を二千五百円くらいにするにまあ脱税も防げる、こういうお見込でございますか。
  300. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) そういうわけであります。
  301. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 中小メーカーについて御調査になつたのだから、我々よくわからんけれども、麻雀牌はどういうところで一体できるのかという点を御説明願いたいのですが。
  302. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) これは本当に微弱な、三人、五人と使つているような小さい製造業者で、大きなものはないようであります。
  303. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、やつぱり象牙なんかも同じそういうメーカーが作つているのじやないのでございますか。
  304. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) 勿さようでございます。
  305. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 象牙について引下げられないという理由はどういうわけですか。
  306. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) これは製造原価そのものが非常に高いものですから、率にしますとそう高い率にならぬものですから、これは原案通りにしたわけであります。
  307. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体象牙と牛骨で、その他というものは余りないと思うのですが、象牙と牛骨との麻雀の製造の比率というものも、これは大蔵省あたりでは調査されておると思うのですが、どういう比率になつておりますか。
  308. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 数字はすぐあとで調べて申上げますが、大体象牙が一番高級品であることは御承知通りです。これは従来の課税方法が、象牙、それから牛骨、その他、その他というのは練牌と我々承知しておりますが、それの組数ですが、大体麻雀の課税見込数量を一〇〇%と押えておりますが、その中で象牙製のものが〇・五%くらいじやないか、それから牛骨製のものが七・五%で、その他というのが九二%、これは合成樹脂などで作つているのが大部分でございまして、これが普通小売価格で七、八千円くらいで売られておりまして、通常使われているのは大体このその他の合成樹脂だと思いますが、あれが実は大部分でございまして、原案で二千円、修正案で一千八百円というのかそれに当る分でございます。
  309. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 先ほど宇都宮さんにもお尋ねしたのですが、骨牌税というものは、これは我々少年時代からよく聞いておつたのだが、ああいうものは博打の道具だから税金が高いのだということを聞いておつたわけです。今しやし繊維税をかけるとか、まあ奢侈的なもの、これもあつてもなくてもいいものだと思います。率直に言つて余りどうしても必要なものじやない、こういうものに対しては、奢侈品だとか、そういつた余り大して国民生活に必要ではないというようなものについてはむしろないほうが、少くなつたほうがいいのだといつたようなものについては成るべく税金をかけて、そういう方面で負担させて行く。大体骨牌税というのはそういう趣旨のものだということをよく我々聞いておつたのですが、主税局長、一体そういう趣旨でこの税金を設けられたものじやないかということが一つと、それから果してこれに税金をかけることは中小メーカーに圧迫を加えるものであるかどうかということと、そうであるならば中小業者は非常に困つているのでありますから、ついでに花札等についても考慮をされなければならんのじやないか、こういうふうに考えるのですが、これらの点についてお伺いしたいと思います。
  310. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 骨牌税の性格は大体今菊川委員のお話になつたようなものであろうとは、我々も同じような考え方をしております。こういう消費税については種々批判になる問題なんですが、結局原価の問題、要するにそれだけ骨牌の値段が高くなりまして消費者に負担が行くか、或いは納税者はとにかく製造業者でございますから、結局製造業者が力が弱いと、本来なら消費者に転家さるべきものであるのに、それだけ値段が高く売れないために結局製造業者に負担が行つてしまう、こういうところが実は議論のあるところでありまして、完全に消費者に転嫁されるということになれば、これは骨牌のようなものにつきまして相当の高い税を課税していいのじやないかという議論はそのまま通用するのじやないかと思いますが、結局消費者に転嫁するつもりのものがその通り転嫁できなくて、結局税は生産者の負担になつてしまう虞れがないか、こういう点が恐らく衆議院で一番御心配された点じやないかと思います。それで我々のほうとしましては多少違つた考え方を持つておりましたので、その原案をより高い二千円、四千円で御提案申上げたのでございますが、我々が考えているよりもその転嫁の可能性について衆議院のほうではよほど御心配になつたのだろうと思いますが、そこをお考えになりまして、今宇都宮議員のおつしやつたような御修正をなさつたのじやないか、我々はそう思つております。
  311. 小林政夫

    ○小林政夫君 このメーカーが中小企業者であつて、消費者に転嫁がむずかしいだろう、こういう見解でやつたということですが、そういうことであれば、そこまでの配慮があるとすれば、小売課税にするということはお考えにならなかつたのですか。
  312. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) 小売課税の問題はやはり繊維なんかの場合でも非常に抵抗が強く、この問題はこの際考えませんでした。
  313. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は今の傾向からいつて、ああいう政府が出したものを国会がこういうものについて税率を引下げるというのは非常にセンス的におかしいと思います。税を取るとすればこういうものから取らなければ取るものがないのじやないかという気がするのです。メーカーが中小業者だから、圧迫するということであれば、おおむね私はこういうものを販売しておるところはデパートであるとか或いは文房具屋とか、一番、御承知のように配給機関としてはかなりの規模を持つたところが扱つているのが多い。従つて物品税の第一種と同じように、中小メーカーを圧迫しないという趣旨ならば、小売課税にしてそれをかけるというのが……、如何にもおかしいと思うのですね、そういう観点、どういうわけで小売課税に……、これはメーカーの段階よりも販売機構のほうがよりむずかしいというお考えですか。
  314. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) これは販売課税のほうがむずかしいようでございます。
  315. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ちよつと私事実の点だけを御説明申上げますと、小売課税は、これは相当私は困難があるのじやないかと思つております。衆議院におきまして議論になりました一つの点は、これは我々のほうがよほどお叱りをこうむつたわけでございますが、先ほどもちよつとお話に出ましたが、脱税品が多い、これはデパート等で売られる物につきましては問題はないのです。これは御承知のように現在は印紙納付の形で以て一応課税しておるのでございまして、従いまして店頭に列んで課税されている分については問題はないのでございますが、主としては安い品物について起きる事例のようでございますが、古物でありますと、これは課税されんのは当り前でありますが、ところが作りました品物を直ぐ古物屋へ流すような恰好をとりまして、そうして出たときは新品でありながら古物という名前において取引されている事例が相当あるのじやないか、これはもつと我々もいろいろ注意されて、至急調べてみよう、相当厳重な取締をすべきじやないかというふうに思つておりますが、必ずしもデパートといつたようなところだけで売られているものじやないということの故に相当の困難があるのじやないか。曾つてはこの骨牌につきましては非常にやかましい制限が作られておりまして、骨牌の販売は免許制度なつておりまして、そして同時にそれと対応して印紙納付の制度が実はできていたわけでございます。新らしい憲法になりましてこういう意味の免許制度はできるだけ廃止すべきじやないかというふうな意見が強く出まして、現在におきましては印紙納付の制度はそのままになつておりますが、免許の制度はない。勿論併し販売につきまして販売申告の制度がある。それに対する検査取締の制度はございますので、免許の制度はございませんが、相当の検査取締はなし得るわけでございますので、いろいろな噂も我々聞いておりますので、この点につきましては相当の取締はすべきじやないかと考えております。
  316. 前田久吉

    ○前田久吉君 ちよつとお伺いいたします。蒋介石ですら日本の敗戦の直後、本国の中国においてすら麻雀とか或いはドツグ・レースとか、全部禁止しておるのですね、現在においても中国で麻雀をやつているというところはないと思うのですね、まして敗戦の日本が、麻雀は法律で禁止されておらないが、せめて税金ぐらい高くかかるやつを衆議院がそれを訂正するというのはちよつとおかしいのじやないかと思うのでして、どう衆議院はお考えなつておりますか。
  317. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) 非常に御尤もな御意見と存じます。やはり業者その者が税によつてつぶれてしまうというようなことは、これは問題でございますし、それからやはり脱税が非常に多くなり、急激に税率を上げますとこれも非常に問題でございますので、衆議院はこういうふうに決定したわけです。
  318. 前田久吉

    ○前田久吉君 業者が税金で倒れるということは、私はちよつと納得が行かないのですが、大体私は麻雀は肺病製造所だと思つておるのです。私はそう言つておるのです、いろいろ麻雀のことで……、これはもう肺病製造所です。こういうものを衛生上から見ても、又国が緊縮予算を実行しようというときに、この税を衆議院で引下げるという考えちよつとおかしいのじやないか、そういう点私どもは納得できないのですがね。
  319. 平林太一

    ○平林太一君 ちよつと宇都宮君にお尋ねしたい。脱税ですね、脱税の憂えありと言われるのですが、それをもう少し根拠を挙げて一つ説明願いたいと思います。
  320. 宇都宮徳馬

    衆議院議員宇都宮徳馬君) 私も正直に申上げますと、なかなか税の細かいことはわからないわけですけれども、余り製造原価に対して比率の高い税になりますると、やはり潜つたほうが儲かりますから脱税が非常に多くなるのじやないか、こう考えた次第でございます。
  321. 平林太一

    ○平林太一君 これはちよつとおかしいですよ、抽象概念的なことで、それならこの原案の四千円を二千五百円としても、脱税をするということは、いわゆるその業者であるメーカーがいたします段になればそれはあえて大同小異の問題で、そういうことは理由にはならんです。これは安く二千五百円にしたから脱税はしないというようなことは、そういうことはいわゆる不法のことをやるのですから、これはそういうことにはならんと思います。ですからそういう理由は何らこの問題に対して、これを修正をするという理由は全然ないと思います。  それから第二には、今のこの四千円の原案、いわゆる品物物品税、これは先刻来各委員からお話になりました通り、これはメーカーといいましてもいわゆる中小企業というものを対象にしたような多数のものではないと思うのであります。主税局長ちよつとお尋ねいたしますが、この対象になるメーカーというのはどのくらいの数でありますか。
  322. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今調べましてすぐお答えいたします。
  323. 平林太一

    ○平林太一君 承知しました。   —————————————
  324. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより各法案個々の御審議を願います。  先ず製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います……。  別に御発言もないようでございますが、御質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  325. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に移ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  326. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたします。  その理由は質疑応答の際にも申上げましたように、とにかく政府も物を下げようと言つているときでありますが、而もこれはまあ税金に相当するものだと言いながら、結局定価が変るのであります。専売局から発売されるたばこの定価が改定されるということは、販売価格が改定されるということになりますので、この際は少々無理をしてでも価格改定になるようなことはやめて、先ず政府の行なつている事業からそれをやめて、そうして一割なり五分の物価の下つて来ることを期待する、又国民に対してもそれを要請すべきではなかろうか、かように考えるのであります。この一点から考えましても、若しもピースの五円値上げというのは、それは小笠原さんの今日の説明ではまあ大したことはない。勿論そう言えばそういうことも言えますけれども、これは仮に下げるという心理的影響と、今五円でも上げるということは、非常に大きな違いがあると思います。従いましてこの際我々はこの製造たばこの定価の改定に対しましては納得することはできない。従つて本案に対しましては反対いたします。
  327. 平林太一

    ○平林太一君 私は本日の審査日程によります第二号、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案、これに対しまして賛成をいたします。  その理由は、本日のたばこの規格から申しますと、ピースはやはり高級品ということになつておりますことにつきましては、これは何人といえども異論のないことと私は確信いたします。従つてこれに対しましても従来の四十円に対しまして一割強に該当する五円の値上げをいたすことに対しましては、その意味において賛成をいたすのであります。同時にそれより遥かに私はこれに賛成する理由と申しますものは、先刻の私の質疑に対しまして専売局当局が、いわゆる国家の製造品であります、国営品であります、いわゆる嗜好品或いは嗜好食料というもの、これに該当いたすのでありますが、かような品物に対しましては、価格によつて高下を付けるということは、いわゆる今日の民主政治の形態下におきまして非常に戒めなければならないことであります。税の担税能力のある者が四十五円で買うということは、それでよろしい。併しその品質に至りましては、他のいわゆるこれを買うことのできない庶民大衆が、値段が安いということで殊更にこの悪質なものを嗜好しなければならないということは、今日の政治上の我々の良心的な態度から行きまして、かようなことはいたしては相成らない。そういう意味におきまして、いわゆる光の三十円、新生の四十円、ゴールデンバツトの三十円、ききようの六十円、これは刻みでありますが、みのりの四十五円、この際ピースの四十五円の値上げに対しましてはこれらは値段を引下げることを妥当といたすのであります。そういう意味におきまして四十五円に賛成をするのである。併しながら値段を現状維持にこれをいたすことに対しましては、当然この品質をピースと同様な品質にこれをおきまして、そうしてこの嗜好品に対します政治上の平等性を確立するということが極めて大切だと思います。それにつきまして先刻専売当局の当事者は、以上列記いたしました大衆たばこであります光、新生、ゴールデンバツト、ききよう、みのりに対しまして相当程度の、この品質をピースに接近した良質なものにする、こういう回答を得たのでありますが、これに対しましては何か数字的に〇・五というようなお話がありましたが、私はこの場合さようなことではいけない、一割乃至二割くらいの良質なものにこれらのたばこをこの際するということが、私が本案に対して賛成をいたします理由であるのであります。以上の見地に立ちまして、本案に賛成の意を表するものであります。
  328. 小林政夫

    ○小林政夫君 私も今度の財政収入等の点から考えて賛成をいたしますが、質疑応答の際に言つておるように、本来の定価と税相当分とをはつきり分けるように、いわゆる益金という名前の下に税収に相当するものを計上するということのやり方についてはこれは速かに改めてもらいたい。大臣も出席をして、合理化審議会ですかの答申を持つて、それも大体六カ月以内に結論が出るだろうということでありますから、従来何回もそういうことを言つておるにかかわらず、先般の質疑応答の際においても見受けられるごとく、ひとしく監理官等においても本委員会における審議を前提に……、誠実誠意を以て検討が行われておらない、そういう点については甚だ不満でありますが、大臣も出席してそういう言明があつたことであり、今後は速かに我々の意思を体して誠実に、再検討をして要望に副うような取計らいができるものと信じて一応賛成いたします。
  329. 東隆

    ○東隆君 私はこの法案に反対をいたします。理由は先ほど菊川君が言われた通りであります。  更にこの今回のピースの値上げによつてどういうことを想定しているかと申しますと、却つてピースよりも安い光のほうをたくさん使用させることによつてバランスを、増額を見込む、こんなような節も見えますし、甚だこれはそういう点で不明朗だ、こういうふうに考えますので、あえてそういう点を付加えておきます。
  330. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は本案に賛成いたします。こういう奢侈的なものの高級品に対して、殊に外国から葉たばこの原料を輸入しているようなものに対して私は値段が上るのは、消費税を課するのは国家の状況から当然である、そういうふうに考えているのであります。ただ小林委員の希望された点は私もひとしく希望することを申添えておきます。
  331. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  332. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) それではこれより採決に入ります。製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  333. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  中川 幸平     藤野 繁雄  白井  勇     平林 太一  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     堀木 鎌三  三木與吉郎     前田 久吉  小林 政夫   —————————————
  334. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に財政法第四十二条の特例に関する法律案を議題といたしまして質疑を願います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  335. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  336. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は本案に賛成いたします。こういう財政法の原則を崩すようなことを繰返されては困る。大臣の言明もあつて、次には絶対にやらないということでありますが、一応その言明は了といたしますけれども、本員としてもそういうことは絶対にやつてもらいたくない、こういう意味において、次に述べるごとき附帯決議を付けて賛成をいたします。   本法案は、昭和二十七年度一般会計予算における安全保障諸費及び連合国財産補償費で昭和二十八年度に繰り越されたもののうち、当該年度内に支出を終らないものについて更にこれを翌年度に繰越し使用することの特例を設けようとするものであるが、この措置は財政法の建前からみて好ましからぬものと考える。   政府説明によつて、今回の措置は万止むを得ない諸事情によるものと認められるのでこれを容認するものであるが、昭和三十年以降はこの種特例を設けることは厳に慎まれたい。   以上であります。
  337. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は財政法第四十二条の特例に関する法律案に対しまして反対をいたします。  反対の理由は、安全保障諸費が二十七年度予算に計上された際も、私どもは真向からこれに反対をいたしたのでありますが、而もこれは一年限りに終るものというふうに考えておつたにかかわらず、この五百六十億はどうしてもアメリカから使わされる、こういうような印象を深くするのであります。特に今年は一兆の予算だ一兆の予算だと言つておりながら、やはり五百六十億だけはまあ現実にはみ出したことになるわけであります。なおこの安全保障諸費については、これが使われるために、或いは今まで開墾者が開墾しておつた土地が演習場として取上げられる、又はそう大きな軍用道路が必要でないところへ道路を無理に拡張して付けるために耕作地が取上げられる、住宅地が立ち退きをさせられるというような事実も生じて来るわけであります。現在の国際情勢考えましたときに、アメリカの最初に安全保障条約を締結いたしました当時の世界政策と今日のアメリカ世界政策にはこれはもう誰が考えても多少変更がなされている。即ち、先ず在外部隊はでき得る限り引揚げて、そして外地における陸上警備は外人部隊に担当させる。アメリカの本国は主として空軍並びに海軍で似て防衛をするのだ。これらの現地外人部隊の援助をするというのが、大体今のアメリカの方針のように思われます。そういう際に、何ももういつ引揚げるかわからんようなアメリカの要請によつて、兵舎をこしらえたり或いは道をこしらえたりする必要はないじやないか。従つてもうこの際はこれをもう打ち切つていいんじやないか。相当アメリカの政策の変更、又国際情勢の変化も考えなければならん。朝鮮動乱勃発当時の緊迫した国際情勢と今日の国際情勢は、少くとも私は話合いによつて解決しなければならんということを米ソ両陣営の指導者といえども認めざるを得ない段階へだんだん来ているんじやないか。この間のビキニの水爆の実験によつて日本の漁船がこうむつた被害というのは世界中に大きなセンセーシヨンを与えたのであります。なおだんだんと水爆の大きな実験がシベリヤの原野或いは太平洋のど真中で行われることによつて、場合によりましては、これは季節風で以て日本へずつと吹いて来て、その灰が降るようなことも起り得るかも知れないというような段階になつているのでありまするからして、これではというので、両陣営ともこれはもう戦争手段によつて解決するというよりも、徐々にではあるけれども、やはり話合いによつて解決する、国際の緊張が緩和される方向に向いつつあるのだ、そういう矢先に、アメリカの軍事基地をこしらえるための費用を、而も去年使えなかつたやつを又二十九年度へ繰越してそして使つて行こうというようなことは無駄なことである。もうそんなものを作るのは時代遅れだ。それよりもむしろ積極的にこれは話合いによつて解決をして、これは戦争させないようにする、こういう行き方が今の情勢に合つた行き方じやなかろうかと私は思う。  その意味におきましてもこの際政府は、アメリカの言うことは何でも言うことを聞くのじやなしに、情勢変化ということ、むしろ今年のこの残つたやつを水害対策のほうへ廻してもらう、このくらいな外交折衝に乗り出すべきであるにもかかわらず、まあ五百六十億組んであるのだから、何でも向うの言う通りにやるのだ、これは現地の大佐や中佐級はそんなことを考えているかも知れないけれども、世界の情勢は大きな転換をしている際に、これを繰越しするということは大きな目から見ても、これは情勢に適合しないものである、かように考えるのであります。又これらのアメリカとの関係によつて国内に特例法を設けてまでも支持しなきやならんということは、如何にもアメリカのまだ力がうんと日本に加わつているような嫌いがあり、どうもそういう気がして、この際独立だ独立だと言つておりながら、隷属国にだんだんなるような我々は嫌いがするのであります。従つてこういう際でありまするから、ひと思いにこの際これを断ち切るような一つ方向に出るべきではないかと思うのでありますが、大体この安全保障諸費を予算として出されるときにも問題があつたので、使い途をはつきりせよということをやかましく言つたにかかわらず、あの当時まあ漠然たる答弁を、小笠原大蔵大臣が本委員会においてちよつと読まれましたような程度の答弁で以て押し切つてしまつたのが安全保障諸費であります。従いまして安全保障諸費というのは、向うの連中からするなら、五百億の金があるのだからこの際は使わしておけというような態度で出ているというふうに思えてならないのでありますが、まあ大蔵省主計局の当局から良心的な答弁を何回も繰返してなされました。できるだけそういうことのないように努力をした結果、今日この段階になつているのだという、その事務当局の御努力につきましては、我々も認めるにやぶさかではないのでありますが、併しながらこの出発点そのものが、大体がこれはもう占領の落し子でありますので、この際はこれを断ち切るべきであると、そういうふうに考えます。  もう一つ最後に申上げておきたいのは、今各方面で汚職という汚職、疑獄事件というのがやかましく国民の批判の的になつております。なかんずくこれらの安全保障諸費を使いまして行なかつた工事に対しましてとかくの風評があるわけでありまして、これはまあ検察当局の追及或いは取調によつて明らかになることと思いまするけれども、今ここで具体的な例までも挙げて申上げることははばかりたいと思うのでありますけれども、避けたいと思いますが、アメリカ関係官とそれから日本の業者とが話合いをいたしまして、そして成るほど財政法上の指名競争入札であるとか、或いは一般の入札制度によつて請負わすような方法は形式的にはとられておるけれども、事前にすでにアメリカ関係官を招待するとか或いは饗応するとか、物品の贈与をしてこれを買収してしまう。で、アメリカも、なかなかマツカーサー元帥のステートメントを読んでおりますると、実に立派なものでありまして、何らそこに非の打ちどころはないのでありますけれども、なかなか現地の人たちの行いそのものがマツカーサー元帥のあの当時のステートメント通りには行つていないのであります。極端な例を申上げますと、数寄屋橋で日本人を川へ投げ込むというような乱暴をするやつもおるのでありますから、現地の将校連中の中でも、芸者を抱かせれば業者に対しまして請負をさせるように日本政府当局に対して圧力を加える、そしてその道路請負をやらせる、そのときには当然今流行語のリベートというやつで、請負つた業者のほうからその現地の関係官に対しまして、現地の関係官というのはアメリカの兵隊さんに対しまして、饗応費としてリベートされているというのは現実に起つておるじやないか。そうして値段がどうも高過ぎる、こういうことも言われておるわけであります。  以上のような関係から、これらはもうこの際一つ断ち切るべきである。こういつたような、いろいろどの観点から考えましても本案には絶対に賛成するわけには行かない。従いまして真向からこれに対しましては反対をいたします。
  338. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は自由党を代表いたしまして本案に賛成いたします。  本案は財政法の建前から言えば全く例外的のものでありまするけれども、諸般の事情から止むを得ないものといたしましてこれを容認するものであります。同時に全く例外的のものでありまするし、又政府当局からの御説明、御答弁等もありまして、次年度にはこういうことを繰返さないようにするということでありまするので、小林委員の述べられました附帯決議につきましても同時に賛成するものであります。
  339. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は本案に賛成いたします。  国と国との約束、平和条約に基きますところの約束について、独立国としてその責務を果すのは私は当然であると考えるのであります。ただ財政法上は事故繰越の場合と違つて、異例な処置でありますので、本法案はその異例の処置をしないで、法的根拠を与えようとするものでありまするから、これはどうも賛成すべきものである、こう考えるのであります。ただ併し、如何にも異例の処置でありますことは、これ又他の委員から言われました通りでありまして、小林委員の提案になります附帯決議に対しましては私としては賛成いたします。
  340. 平林太一

    ○平林太一君 財政法第四十二条の特例に関する法律案、本案に私は反対の意を表明いたします。  その理由といたしましては、すでに特例でありますることは法律の名称自体がこれを明らかにいたしております。日米安全保障条約に基きまして、我が国の安全保障に対しましてこれを措置すべき予算として計上せられておりますことは申すまでもないことでありますから、異例の問題とは別個の私は問題であろうと存じます。このことは特にこれを異例として取上げて措置するというべきものでない、こういうことが第一点であります。  第二点におきましては、この安全保障諸費五百六十億円に対しまして、これを担当いたしておりまする我がほうの政府当事者でありまする第一に大蔵省の主計関係当事者であります。先日来主計関係の当事者の説明を聞き、又当事者本人の様子も見ておりまするというと、誠に驚くべきことには、かくのごとき重大なる処置を取扱うところのその当事者が、いわゆる主計官とこれは称しておることと承知いたしますが、いずれも白面年少の青年である。誠に慄然として私は驚かざるを得ない。而もこの白面年少の主計官がみずから研修を怠らず、この重大なる責務に当つて営々たる勉学、研修をいたしておるという風が見えますれば、或る程度これに対しまして信を置くことができるのでありまするが、ここにて答弁をいたしておりまする実情を見ても、誠に思い上つた、いわゆる各省の予算に対しまして何か査定でもいたしておるような態度がいわゆる面に現われておる、そういうような更にみずからの責務を重大と思わず、極めてかような問題を軽く考えて取扱つておる。本問題に対しまするこの予算折衝内容というものは、事前にこれを公表されておらない。だからこういうものは自然先方とこれが折衝に当りましては常に退嬰萎縮である。そうして自主的な何らのものがないのだということで、極めてこれは私は容易ならない問題であると思うので、ここに政務次官もおいでになつておりまするが、この点はよほどこの主計官に対しまする訓練研修というものをお考えにならなければどえらいことになる、こういう意味におきまして第二には反対せざるを得ない。  第三には、この措置に対しまする外務当局であります。今日かような安全保障というのでありますから当然安全保障としてこれらのことが立証せられなければならないにもかかわらず、先般ビキニの水爆というようなものが発生して、而も発生後におきましてアメリカ当局は、今後はこれの六倍の広さにいわゆる警戒水域というものを拡大するのだ、平然として豪語しておる、而もこれに対しまして外相岡崎君は、公海に対してそういう措置はあり得るのだと言つてこれを容認いたしておるのであります。現に英国におけるそれぞれの新聞の論調というものが日本の新聞にこれが掲載されておるのでありますが、米国はいわゆる太平洋を自己の湖水であると考えておる、けしからんことである。第三国に立ちまする英国自体ですらかくのごとき義憤を以てこれに当つておる。然るにもかかわらず、我がほうの外務大臣は、さような六倍にするということはあり得るのだということで、これに対しまする我が国の安全保障に対し、安全保障費五百六十億をここに繰越して、そうしてこの特例まで作ろうというときに、これとはおよそ相反するところの言動、従つてこの安全保障費の費目というものが我が国の安全保障にならざる、我が国の安全保障を安全保障たらしめざるような予算の行使が行われておるのであるということをも私は忖度せざるを得ないのであります。従いまして本案に対しましては、事理極めて明白でない。同時にこれは筋が通つておらないのであります。特にこれを特例を設けてこの処置をいたしますというようなことは、これは冒頭に申上げて置きました通り、日米安全保障条約によりまして所要したところの予算というものは、それぞれその予算に対する使用期間というものがある。その使用期間にこれを使えなかつたということは、必要がなかつたということであります。この明白なる事実を除外いたしまして、殊更にこれをいたそうというようなことは、取りも直さず大蔵省主計関係当事者の無能無力、又我が外務当局のいわゆる何ら自主性のない退嬰萎縮したところの態度がかくあらしめておるという意味におきまして、私は本案に対しまして反対をいたすものであります。
  341. 東隆

    ○東隆君 財政法第四十二条の特例に関する法律案に反対をいたします。  この法案は、財政法第四十二条の特例に関する法律と思いますけれども、中身は財政法の特例の又特例開いておるのでありまして、相手が駐留軍であるからと、こういうような関係で、独立後の日本においてこういう便宜的な措置をとるべきでない、こういうことを考えるのであります。従つてこの盲腸的な存在になつておるものは切つてしまつて、どうしても必要だと、こういうものならば、これは一般の予算の中に繰入れることが適当である。そうしてはつきりと独立した日本を強く押出す必要があると、こう考えるのであります。  更に連合国財産補償費の関係は、これは二十九年度の予算の中にこの款項目があるわけであります。従つてその中に当然入れて処理すべきであつて、この法案によつて特例を開いて何も駐留軍に迎合する必要はない、こういう考え方を持ちますので、この法案に反対をいたします。
  342. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  343. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。財政法第四十二条の特例に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  344. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中において述べられました小林委員の附帯決議案を問題に供します。小林委員の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  345. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて小林委員の決議案を本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     三木與吉郎  堀木 鎌三     山本 米治  前田 久吉   —————————————
  346. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  347. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この特別会計法等を廃止するということについては、これはまあそれを廃止するという法律そのものについてはいいのです、事実は。併し我々が問題にしなければならんのは、残りが、先ほど大蔵大臣にもちよつとお尋ねいたしましたように、四億三千万円という末回収分があるわけであります。その未回収分のうちには、資料としてお出しになりましたように、もうすでに品物を買つて取り込んでおきながら、解散したものもあれば、主所不明のものもあれば、或いは廃業、倒れたものもあるだろうと思うのでありますけれども、これらにつきまして、廃業したものとか或いは解散したというような際に、特に解散についてお尋ねしておきたいと思うのだが、解散する際に、これは法人の解散の場合には、そういう債務がありながら解散した場合には一体どういうふうに処置をされておるか。一つ一つについてお尋ねしたいので、先ず第一に、資料のうちの旭商事というものが携帯燃料を百十一万七百三十五円というものを買つてつていない。そのまま解散してしまつているのだが、これらを解散するときに、具体的に一体どういう処置をとつてあるか、お尋ねいたしたいと思うのです。
  348. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 解散いたしますと、わかつておる債権者には通告して参ります。その際に異議の申立てをする、或いはその債権の取立てについて参加するという手続をいたしております。
  349. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 旭商事は解散して、その際に通告は来た、これに対して異議の申立てをして、それから告訴をする、これは裁判所にしてあると思うのですが、通産省の第何号でやつてどういうふうにしているということを知せて下さい、旭商事だけ。
  350. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 個々についての記録を持つておりませんので、正確なことはお答え申上げかねるのでございますが、小さい会社によりましてはそういうことをやらんで、いつとはなしに解散してしまつておるというふうなものも間々ありまして、誠実に我々に連絡して参るものはわかりますが、そうでないものはわからないものも間々あるわけであります。御指摘の旭商事については今手許に資料がありませんので……。
  351. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは角度を変えて、これを渡すときに一体どういうふうな恰好で渡してあるのか。現品はさつと渡して、あとで金を払えと言つて渡してしまうのか、それともこれは分けるよきにはそもそも指名競争入札等をやつて渡したものであるか、或いはその組合に対して一括して渡して配給をさしておるのか、そうすればその組合が一応責任を持たなければならんと思うのです。渡した……これは個人の商売だと考えて御覧なさい。百万円も渡すのに保証金を取つてあるのか、どういうふうな処置なつているのか、これを明らかにしてもらいたい。あなた自分で商売をして御覧なさい。百万円だというのだが、今の金にすれば僅かなものだけれども、さようなものをもらつて、もらうものはもらい得で、そのまま解散してしまうということになつて、あと取れないということになれば、これからそういうものについてはこれは汚職も起り、それからなんですわいな。通産省にわんさと押しかけて来ることになりますわいな。
  352. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 我々の扱つておりますものは、原則といたしまして、一般の会計法によりまして、いわゆる現金を持つて来てから品物を渡すという手続をとつております。従いまして、この特別会計ができましてからでも数十億の資金を取扱つておりますが、売掛金として残つておりますものはそのうちの五億足らず、四億円なにがしということになつておりまして、大部分は今申上げたようなキヤツシユ・オン・デリバリー、向うから現金を納入してからでなければ引渡さない、こういうのが建前であります。ただ携帯燃料につきましては、これはいわゆる委託販売をいたしまして、これの連中に売らしたわけでありますが、ところがその連中が売つた金をふところに入れた、払えなくなつたという例であります。あと例えば非常に件数の多いのは麻或いは皮というものでございます。麻につきましては、これはいわゆるマニラ麻でございまして当時の食糧増産という意味で、水産漁網用のマニラ麻を非常に大量に而も迅速に作らせなければならんということで、保証金だけを納めさせまして現物を引渡した。それで支払はあとからやつた。これは司令部から非常にやかましい督促、零細な業者にまで一々干渉して参つた関係上、非常に小さいものに数多く分けなければならなかつたというような事情がありまして、多分にこういう事態が発生いたしましたが、その後自由駅売になりましてからこういうものの信用がなくなりまして、従つて代金も払えないというふうな事態が多分に出ているのであります。  それから皮につきましては、これ又同様に、当時群小の皮革業者が非常に終戦後続出いたしましたが、その連中に切符制度によつて渡さなければならなかつた。ところが御承知通り皮はいわゆる生ま物でありまして、これを塩漬に一応いたしておりますが、こちらに来るまでに相当腐れかかつておるというふうなものもありまして、迅速にこれを処置しなければ間に合わない、キヤツシユ・オン・デリバリーが原則でありますが、向うが金を払わないからと言つてつてつても腐つてしまうというようなものであります。それで置いて帰つたというものであります。ところが腐つている。置いて帰りましたが、切符制度がなくなりまして、自由販売になるといつたような戦後の頃におきましては、いわゆる皮が非常に過剰になつて来た。皮を扱つておる業者が非常な損失をこうむつたというふうな事態になりまして、従来切符制度をやつておつたときには非常に回収が順調に参つておつたにもかかわらず、この時代におきまして回収が滞つて来た。又中にはいわゆるクレームの問題がありまして、今申上げたように、生まで入つておりまする関係上、一等品として入つておつたものが半分腐りかけて、二等品でなければならないというふうなことで話合のつかないものというふうなものもございまして、それこれして大部分の麻と皮革についてこういう事態が発生したような実情に相成つております。  併しいずれにいたしましても、それ以外の分につきましては大体現金を納めさしてから後に現品を引渡す。又こういう事態につきましても、二割の保証金は全部納めさしておるというふうに相成つております。
  353. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 中には名前を見ておりますると、これは払えそうなものもあるのです。これだけの金はすぐ納めそうなものもあるのですが、特に兵庫県の五十五万四千円とか、福岡県の三十万、こういうのはどういうわけで未だに納まつておらないか。
  354. 記内角一

    政府委員(記内角一君) これは県庁に対して渡したときでございますが、これは相手が県でございますから、キヤツシユ・オン・デリバリーの原則はとらなかつたわけでありますが、その後県自身でも手許不如意で、成るべく延ばせるやつは延ばしておくというふうな態度をとつたのかとも思いますが、まだ払つておらないのも、四、五県でございます。これもこの年度内に二県は回収できするし、あとの三県につきましても来年度早々に入ることの申合せに相成つておりまして、これはすぐ解決いたすものと考えております。
  355. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとあとの回収不能の分につきまして、どうしても回収できないというものは一体どういうふうにして処分をせられるのか、処置はどういうふうにするのか。
  356. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 個々の業者に当りまして、向うの資産状態、経営の状態というものと睨み合せまして、一種の公正証書を取り交わして、それを分割払いで五カ年とか十カ年とか、或いは場合によりましては、どうしても回収がむずかしいというものは十五年くらいの年賦で償還させるという方法をとつてつております。それで逐次返つております。
  357. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これを見ておりますると解散、休業だというものがあるのですが、まあこのときには、これは業者のほうは奪い合いでその割当をもらいに来たものか、それともあなたのほうで強制的に押付けたような恰好になつておるのか、一体どちらになつておるか。
  358. 記内角一

    政府委員(記内角一君) その当時は大部分がいわゆる切符制度によつて割当をいたしておつた当時でございます。従つて我々のほうから押付けたものではないわけであります。すべて業者のほうから割当申請が出て参りまして、それを各物資の配給を担当しておつた原局で割当をいたします。その割当に応じてこちらが販売をいたすという態度をとつておつたわけでございます。
  359. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この皮類のごとき、業者の名前を大体見ましても、そう切符制度で保証金だけで、あとはなかなかやすやすと金は回収できんぐらいのことは、常識的に通産省としては考えられなかつたのですか。そのくらいな常識が働かないとすれば、まさにお役所の「お」の字に二つくらい付けなければならんようないい商売だと思うのです。
  360. 記内角一

    政府委員(記内角一君) これにつきましては、先ほど申上げましたように初めは相当順調に入つておつたわけであります。又品質が少々悪うございましても、大体それ以上に儲つておりましたので、余りクレイムも付かないで金をきちんと払いまして引取つておりました。ところが丁度切符制度が続いております間は、不払のときは切符の割当をいたしませんし、従つて現物も引渡しをいたしませんのですが、丁度切換えの時期になりましてから、あとから切符をもらいに行く必要もないというようなことで、こういう事態が発生したものというのが大部分でございます。
  361. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この皮のは、切符制度が廃止になつてからの配給ですが、ひどいになりますと七百万円、一番大きいのは五千万円というのが、五二皮革というのがあるのですが、これは逃げてしまつたらえらい儲け物になるが、大してこれは強制執行とかそういうことはせずに、十五カ年年賦、こういうような程度でやつておられるのですか。これは我々のほうは税金のほうの関係と睨合せて考えるときに、やはりこれは国の、国民のものですね、税金を取られる場合に零細な、而も税金を納めるのに気の毒だなというような人でも、これは執達吏を向けられたり、一時は進駐軍の連中がジープを持つて来て威して、そうして家財道具までひつさらつて行つた、そうすると思うと五千万円もの金を未だに払わずにおつて、そうして而もこれは余り強制取立ても受けない、それから五カ年年賦を更に十五年年賦というふうな恩典を付けるということになりますと、同じ役所でやることでありながら、これらは大体質が悪いやつだと思うのです、俗に申しまして……。もう少し良心的に考えなければならんものだと思うのですが、小さいのは別といたしまして、五千万円もの借金をしておいて、そのままのほほんとかまえているというようなひどいのもあるということについては、あなたのほうとの間に、こういうところに割当をするに当つては何らかのこれはくされ縁でもあるのじやないか、つい時局柄すぐそう思わざるを得ないのですよ。
  362. 記内角一

    政府委員(記内角一君) このでき上りましたのは切符制度以降ではないのであります。大体切符制度の当時のものが残つているのであります。それが丁度切換えになる直前のものがこういうふうな事態になつているのが大部分であります。只今御指摘の五千万円滞つております五二皮革につきましては、これは相当大きないわば業界としては一流の会社でありまして、従つて取引高も従来から非常に大きかつた。ところが丁度この事件が発生した当時、例のゴム、皮革、油の大暴落がして、非常に各方面でメーカー、商社の破産の続出した当時に遂に手を挙げた会社なんであります。債権債務の振合いを見ますと、債務が六千万円ばかりで、そのうち政府関係が大部分ということにはなつております。ところがこのほかに資産勘定を合せますと一種の破産状況になつておりますが、若し破産の申請をいたしますと税金の滞納が相当多額にあるわけでございます。二千万円ばかりの税金があるわけでございます。従つて若しこれを破産いたしますと六千万円ではございません、全体で一億三千万の負債に対して六千万円の資産しかない、そこで破産状態なんでありますが、破産いたしますと、二千万円は持つて行かれる、そうなりますともともと二、三割しか配当がもらえない、売掛金の五千万円に対して一千万円程度しか取れないということになつているわけであります。従つてここに一種の第二会社的な新らしい会社の更生策を考えまして、そして税金は何年間かで払う、又我々の債権も払つてもらうということで、一面におきましては持つております財産について抵当権を設定させますと同時に、公正証書によつて何年間に年賦で払う、幾らずつ年賦で払うということの誓約をいたせまして、目下着々更正策を講じているという状況でございます。
  363. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは業界で大きいというのは、顧問或いは重役等に自由党の代議士さんがいるのじやないですか。
  364. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 私が承知しております限りではいないと思います。(笑声)いないようでございます。
  365. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 なぜ私こういうことを申上げるかというと、今造船疑獄だ何疑獄だというので、嫌になるほど毎日新聞に出て来ている。それと関連してこれだけの貸倒れができようとしている。そうすると割当を受けるときに又政治家連中が暗躍をして、あなたのところに行つて、強引に割当をさせたのか、それともこれは組合に一括をして、組合で自主的に配給させているのか、その点はどういうふうに配給さしているか。
  366. 記内角一

    政府委員(記内角一君) これは割当の制度の問題でございますが、当時は司令部等の厳重な意見がありまして、昔のいわゆる業界の自主統制は独禁法で禁じられております。従いましてこういう割当自体は業界の意見ではなくて、専ら政府が直接割当てておりました。併しこれも任意に割当てるのではございませんで、或る算定方式によりまして、その方式に当てはめて、機械的に数字を出して来るというやり方でやつておつたわけであります。ただこれは設備能力その他からいいまして、相当に実力を持つている、過去においてもずつと立派な成績を収めておつたというので、自然これに対する売掛金の形が非常に多くなつていたという状態でございます。
  367. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二割の保証金をお取りになつていたというのですが、二割というのは根拠があつて二割にせられたのですか、保証金につきまして……。
  368. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 大体国有財産の払下げ等につきましては一種の保証金を取ることになつております。そういう意味で公団以来一般取引の保証金よりも若干多いかと思いますが、そういうことをやつたわけでございます。
  369. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それではこれらの割当を行うに当りましては、この当時の、どちらかというと皮類が不足しておつた当時、そのときに皮がアメリカから来たというのでわいわいやつた、ところがたまたま皮が下つて来た、こういうふうになつたと思うのですけれども、結局結論といたしましては、どう考えても政府相手に、未だにあなたのほうも余り大した強制的な取り立て方法もとつておられたようでありますから、この債務のある連中から考えた場合には、政府というのは、まあ通産省というのは有難いところだ、これだけもらつておいても二割納めておけば借金がないようであつて、最悪の場合には十五カ年くらいで何とかしてくれそうだということになつて来ると、政府相手の商売というやつは業者としましてはやはり何としても一番有難いものだ、向うから見ると……。ところが国民の側から見えるとこのくらい迷惑な話はないのです。結局は廻り廻つてどこかから国民の血税が食われている、こういうことになるだろうと思うのです。従いましたこれらに対しまするあなた方の今後の一つ方針、これはどういうふうにして一体処置しようかということを、国会において質問になつたときにだけは形式的な答弁をするにとどめておく程度で、あとはそう大して取立てに対して熱意を持たんというような……この法律を廃止してしまうに当りまして熱意を持たさいのか、それとも徹底的にできるだけの努力をするつもりか、この点を聞きたい点と、それから今後一年間に亘りまして御努力なつて、一体どのくらいがこの中で回収見込があるのか、率直に一つお答え願いたいと思う。まあ殆どは、私の見るところでは九〇%以上は駄目だというふうに私は見るのですが、あなたのお考えではどのくらいの回収ができると見ておられるのですか。
  370. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 第一点の取立ての態度でございますが、これは飽くまでも政府の債権でございますので、厳重に取立てなければならんというふうに考えております。従いまして、現在におきましても公正証書の取れるものは全部公正証書を取りまして、先ほど申上げたように担保のあるものについては全部抵当権を設定して取つております。それからなお裁判所の和解を申請して来たものにつきましては、これは実態に応じまして適宜措置をいたして和解の手続も場合によつては、講じております。なお即座に国税の徴収と同じように差押えまでやるかどうかということになりますと、これは債権に対しまして財産が非常に少いという場合も非常に多いのでございまして、こういうものに対しましては差押えてもその費用に足りない、又は非常に借金が多いために、こちらのほうで取れるつもりで押えましても、ほかの債権者がここに介入して参りますので、取れる分が非常に少いという場合も相当ございますので、そういつたものにつきましては、でき得る限りその事業を継続さして、長年掛つて回収して行くという態度をとつて、先ほど申上げたように分割払いということも認めているわけでございます。そういうことによつて今後ともこの回収については全力を挙げてやつて参りたいというふうに考えております。  第二の回収の見込でございますが、年をかして頂きますれば大体八割見当までは回収できるのではないかというふうに考えております。ただこれにつきましては今申上げたように、長いものにつきましては十年ぐらいかかるやつも出て来るのじやないかというふうに考えております。こういうものの整理の実態といたしまして、同じ年賦償還にいたしましても、初めは比較的少く、順次回収率を高めて行くというふうな措置も講じておりますので、当初におきましては回収金額は比較的少いかと思いますが、だんだん年を重ねるに従いまして、勿論景気の変動その他に影響されることも多いとは思いますけれども、八割見当までは回収できるのじやないかというふうに考えている次第であります。
  371. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこで政府の全般の問題としてお尋ねしておきたいのですが、大体今後もいろいろの、これはこれのみじやないと思う。国有財産の払下げとかいろいろ政府から業者に、或いは国民に物を売る場合もあると思います。これ一回で終らんと思うのですが、大体今あなたの言われたようなこういう処置で以て売つてもらえる、業者の側からするならば、焦げ付きができても、そのくらいな程度で一つ取引願えんか……こういうのが大体通産省の態度ですか。今後もこういうやり方ですか。それじや通産省に対して、新聞の表現が少し誇張しているかも知れんが、通産省へ行きさへすれば間違いないというわけでどんどん押掛けて行くというような風評さへも伝わつている。風評じやない、大新聞が責任を持つて書いているのです。この間の通産省の解剖という某新聞社が書いておつたのが実に極端な、我々もどうもひどいなと思つたのですが、こういうふうな資料に出て来るに従いまして、成るほど甘いところには蟻が集まるわいというふうな印象を持つのですが、国民が知らんからいいけれども、全部知ることになつて御覧なさい、成るほどあの記事が決して間違いではないわい、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、今後通産省としてはこういうふうな類似のはこれはもう対日援助物資なんというものはないでしようけれども、販売等につきましても、このような態度で以てお臨みになる方針だかどうか。
  372. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 最初に申上げましたように、非常に申訳ないのでありますが、数千億円の取引高のうちで五億円だけ残つているという状況でございます。その意味合におきましては、普通の取引であればこれは雑損ということで出る程度の金高じやないかとも考えられるわけでございます。いずれにしましても、こういう債権を取立て得ないで残つているということについては我々としても非常に遺憾に存じているわけでございます。ただ今後若しこういう扱いをするにいたしましても、昔の時代と違いまして、いわゆる業者であれば万遍なく申請に応じて分けなければならんという事態も差当つてのところは予想できませんし、従いまして現在はこういう制度政府で取扱うという制度はございませんけれども、若し今後扱うといたしましても、その場合におきましては、最初に申上げた通りすべて現金納入後において払下げをする、現品の引渡しをするというような措置を講ずべきであろうし、又当然そういうふうにやつて参らなければならんというふうに考えておる次第でございます。
  373. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたは数千億の中のわずか五億ぐらいなことはまあというふうな入船の……いわゆる通産省が全部そういう頭を持つているからいかんのですよ。数千億と申しましても食糧が多かつたのです。一般国民に配給代金として我々のふところから召し上げて、配給という形で配つたのですよ、僕らに皆配給その他で配つて、召し上げたものが多いのであつて、こういう特定の業者に配つたというものは、私は数千億全部こういうふうなやり方をしておるのではないと思う。通産省では何か出ると、女中のつまみ食いか、すぐそれを頭にする、だからこういうものが出て来るのですよ。この特別会計を廃止するということは起らんから前には知らなかつたけれども、そういう考えで常に望んでおられるからして問題が出て来るのだと私は思う。これは考えてもらわなければいかんと思う。これは取り得ということになるわけです。一旦そういうくせをつけておけば、通産省へ行きさえすれば何か甘いものがあるということで朦朧業者は殺倒することになるのです。こういう意味において、この際に一つの大きな反省をしてあなた方はかかつて行かなければならん。特に幸い、幸いというのか、不在にしていろいろの問題が、戦後こういつた物品の払下げであるとか或いは融資の問題をめぐつて、大きい事件だけは検察庁は手を入れておりますけれども、小さい問題に一つ一つ手を入れるわけに行かんものですから、そんな余裕はないから入らんと思うのですけれども、あれを一つの国民的な反省として、私はこういう問題と取組まなければならんと思うのです。その意味において通産省の決意を伺つておきたいと思います。
  374. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 先ほども申上げましたように、例えばという例で申上げたのです。勿論こういう事態が発生したということは我々としても非常に遺憾に存じているわけでございまして、今後ともこの種の売掛金の回収についてはできるだけの努力をして参らなければならんと思つておりますし、又部下を督励してやつて行きたいというふうに考えております。又今後この種の事態が万々起きました際におきましても、従来申上げておりますように、必ず現金納入後に現物を引渡すという措置によつて、こういう事態の起ることのないように未然の措置を講じて参りたいというふうに考えている次第でございます。
  375. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これに対しまして責任というものは別にないのでございますか。こういうのは誰の責任ということでなしに、仕方がない、できてしもうたものだ、こういうことになるのですか、大体公団或いはいろいろなものをこしらえて、通産行政の一面でいろいろのことをやられたのだが、どれもこれも足を出しているのですね、はつきり言つて……殆んどは足を出して、これは少いほうですけれども、これらについては一体責任というか、どういうふうになるのですか。五億円というのは今の一兆円の予算からすれば僅かでございますけれども、これは利益を受けたものの立場になつて来ると大きいと思うのです。これらの責任というものは通産省はどういうふうに……誰の責任かわからんということになるのですか。
  376. 記内角一

    政府委員(記内角一君) いろいろ責任の所在も追及する場合もございますが、ここに挙つております問題につきましてはいろいろ調べて見ますと、殆んど大部分が、先ほど申上げましたように当時の事情から推察すれば止むを得なかつたのじやないだろうかというふうに思われるのが大部分でございます。勿論そういう事態を発生させるような不注意な扱いは当然やるべきじやないと思いますけれども、いろいろ事情を聞いて見ますというと、いわば占領下におきまして、半ばおれのほうでやるのだからおれの言う通りにやれというふうな恰好で抑えられたような点もあるようにも思われます。
  377. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは最後にこの法律を、特別会計等を廃止しなければならん、今廃止するという理由は一体どこにあるのですか、その点を伺つて……。
  378. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。特別会計の設置は御承知のようにそれぞれ理由がありまして設置をいたしておるのでございますが、すでに本特別会計は設置の理由であるところの必要性がなくなりまして、本来財政は会計主義と申しますか、原則は一般会計でやるべきものであると心得ておるのであります。そういう意味で特別会計の法律等につきましては国会の議決を得ているのでございます。今回この法律は、その設置の目的であるところの必要性が消滅したものと認めまして、その廃止法案を提出しているわけであります。
  379. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで特別会計を廃止されまして、今度はこれらの債権は一体どういう会計で処理されるのですか。
  380. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 特別会計が廃止になりますと、この法律案説明でも申しました通りに、一般会計がすべてこれを引継ぐことに相成るわけでございますが、一般会計の債権としてなお今後とも通産省の当該部局におきまして、債権の保全につきまして先ほど来企業局長から申上げました通り、最善の努力をいたすことに相成るのでございます。
  381. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大蔵省としてはそうするとこれに対しては通産省の処置を待つだけであつて、これに対して督促をしたり或いは監督するとか、監督と言つては語弊があるけれども、そういう責任はないのですか。
  382. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御承知通り大蔵大臣は財務の総括責任を持つております。特にこの債権等の管理に関しましては、私どものほうでは予算の実行並びに決算の取まとめをいたしておることは御承知通りであります。予算の実行につきましては監査の方法もございます。私どもとしましては、従来特別会計において通産省がやつておられましたときと同様に、今後も大蔵省の立場におきましてそれぞれ申上ぐべきところは申上げ、又御協議を受けるべきところは受けて参りたい、かように考えていることは申上げるまでもございません。
  383. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの特別会計今日まで残してあるわけですから、どうしてもこの法律を廃止してしまわなければならんというわけでもないのですね、どうしても廃止しなければ邪魔になつて、二十九年度へ持ち越して行つたり邪魔になつて困る、こういう性質のものではないということだけは言えると思うのですが、どうですか。
  384. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、御承知通り二十九年度の一般会計、特別会計の予算がそれぞれ只今当院において御審議中であります。その予算が本会計の廃止を前提にして組まれておるのでございます。予算の通過と同時にこの法律が発効することが必要でございまするので、是非とも年度内に御審議を得まして、成立ができますことを我々としては絶対必要と考えておる次第であります。
  385. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  386. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  387. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案に対して反対いたします。  反対するその理由は、この債権をもつときれいにして、そうしてその上で廃止をすべきである。今年何も予算に組んだからと言つたつて予算は修正すればいいと思う。従つてもつときれいにやつて……、そうぜんと、これはもう特別会計も廃止になつたのだ、そのうち、自然のうちに忘れてしまう。局長連中はそれぞれかわつてしまう、担当者はかわつてしまうということになつて、これはもう自然消滅という恰好になることになつて、将来、今のところ国会においては答弁は成るほどうまく答弁をされておりまするけれども、結局取り得だつたという結果に陥る危険が極めて多い。だからこれは廃止にするならするでいいけれども、するならばもつときれいにしてから、その上で出して来るべきである。明年一年ぐらいはこの整理に努力して、その上で廃止すべきである。こういう観点から本法案に反対いたします。
  388. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  389. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  390. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  中川 幸平     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  三木與吉郎     前田 久吉  山本 米治     小林 政夫   —————————————
  391. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。  別に御意見もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  393. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  394. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべさものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  中川 幸平     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  三木與吉郎     前田 久吉  東   隆     成瀬 幡治  菊川 孝夫     山本 米治  小林 政夫   —————————————
  395. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、国税収納金整理資金に関する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  396. 小林政夫

    ○小林政夫君 この附則のほうに、全部にまあ関係することですが、この加算金等を支出するというのを「支払決定ヲ為シ」と改めることの実質的な意義はどこにあるのですか。
  397. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。これは実は当委員会におきまして小林委員から過般御質問、或いは御注意と申上げたほうが適切かと思うのでありますが、すでに当委員会で御審議を経て参議院を通過いたしました関税法改正法律案の中に「支払う日」という表現になつておつたのであります。これはまあ審議が併行的に進められておつたのでございまするが、その趣旨は、従来国税徴収法では支出したる日とございましたのが、先ほど衆議院からの御説明にもございましたように、今回は資金になりましたので、まあ支払うという表現になるわけでありますが、実際に支出したる日ということの実質的な意義でございますが、これは今回の資金におきましては支払を決定したる日ということに現実に当るのでございます。支払う日ということになりますと少し意味が違つて参りまして、法律上の意義を統一いたしますためには、やはり支払を決定したる日ということにいたさなければならないのであります。そういう意味におきまして、つずめて申上げますと、従来の扱い通りにいたすために正確に私どもの国税徴収法改正の場合に用いましたところの決定したる日ということに改むべきものと認められたのであります。そういうふうに衆議院においてお認めになりました。又私どもといたしましても、いよいよ法律が施行になりました場合には、それが正しいものというふうに認めておる次第でございます。
  398. 小林政夫

    ○小林政夫君 答弁を長々しくやらないで、簡単にやつていいので、あなたの説明は何も説明なつていないじやないですか。支出したる日と支払決定したる日と同じだということだけ言つている。なぜ同じかということを聞いているのです。
  399. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 支出したる日というのが現実には……。
  400. 小林政夫

    ○小林政夫君 実際の事務取扱の内容を言うて御覧なさい、そうすればわかる。
  401. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 実際には支出の決定をした日ということになつておるのであります、従来の扱いの実際は。それに合わすためには支払を決定したる日、こういうことになるわけであります。
  402. 小林政夫

    ○小林政夫君 了承。
  403. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  404. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  405. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。国税収納金整理資金に関する法律案衆議院修正案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  406. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  三木與吉郎     前田 久吉  東   隆     成瀬 幡治  山本 米治     菊川 孝夫   —————————————
  407. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に相続税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います……。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  408. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが。討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  409. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。相続税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  410. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  前田 久吉     三木與吉郎  成瀬 幡治     東   隆  山本 米治     菊川 孝夫   —————————————
  411. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に国税徴収法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  412. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  413. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それでは、これより採決に入ります。国税徴収法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  414. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     藤野 繁雄  中川 幸平     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     三木與吉郎  前田 久吉     東   隆  成瀬 幡治     山本 米治  菊川 孝夫   —————————————
  415. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  416. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この法律はこの前の国会で成立してまだ一年にもなるかならんのですけれどもね、まあこれの改正案を出される一番大事な点はどういう点でございますか、この点聞いておきたいのですがね。余り大蔵省は何でも……、これは去年こしらえたばかりですね。税金なんかだつたら経済情勢の変化等もございますけれどもね、あれだけ審議して、いろいろ逐条審議までやつたのに又すぐ一年もたたないうちに改正しなければならないというのはどういう関係ですか、これは。
  417. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) お叱りをこうむりまして非常に恐縮でございますが、今度のこの法律改正いたしましたのは、焼酎等の例えば生産統制の場合に、現在の法律の建前でございますと、組合が一応まあ生産統制の協定をする、それから組合の連合会のようなものであります、まあ全国の中央会が同じことを実はやるわけなんでございまして、その両方につきまして大蔵大臣の承認を必要とする。大蔵大臣は公正取引委員会に協議してその上で承認する。こういう仕事が、実は我々税金の問題ですと非常に馴れておる仕事なんですが、余り馴れておらない仕事だつたものですから、現在の法律の建前でありますと、中央会は中央会で同じ手続をとり、組合は組合で同じ手続をとると、こう重複した手続をまあとるような規定に実はなつているわけでございまして、動かしてみますと、中央会で決議し、その決議した内容と全然同じものである場合におきましてはもう組合のほうの協定の承認は改めて得る必要がないんじやないだろうか。中央会で以て承認を得たものに比べまして違つた協定を組合でいたします場合におきましては、これは勿論当然大蔵大臣の承認を得るわけでございますが、中央会で一応全国的に統一を図りました意味協定を作り、大蔵大臣も公正取引委員会に協議をして、承認した場合において、その中央会の協定は実は組合を拘束するだけで、組合員は拘束できないわけでございます。従いまして組合員を拘束するためにはどうしても各組合でもう一遍協定を作らなければならんわけでございますが、それを一々大蔵大臣に承認を得るというのは少し手数が煩瑣でございますので、中央会で承認を得た内容と同じものを組合が協定する場合においては、その承認を省略することができるといつたような趣旨のことが実は今度の改正の趣意でございまして、我々も余りたびたび御審議を願い、改正することは適当でないと思つておりますが、実行に移してみますと、やはりそういつた馴れない点がございますので、改善すべき点が出て参りますので、御承認を得まして、そういう点はやはり実際の実態に合うように直して行つたほうがいいんじやないかと、こういう意味で御提案申上げた次第であります。
  418. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その御答弁と関連して考えられるのは、私たちいろいろ本法律案審議する際に、組合が非常な力を持つて来て、業者であつて、例えば酒類業者は戦時中の統制にひつかかりまして、皆営業をやめなければならん人が余計できたわけです。その際には多少の補償金くらいはもらつただろうと思うのだが、ところが戦後情勢が変りまして、又昔の商売をやりたい、而も施設その他器具等も相当まだ保存されておる。だからこの際新らたに商売を始めたい、まあ酒造業等を始めたい、こういう人も相当あるわけですがね。これらの人がこの組合に加入するということは、あの法律条文だけで見ると極めて簡単に加入できるようになつているけれども、実際は現在の業界の連中が頑張つておりまして、殆んど加盟はできないというのが実情らしいのですが、これらについて一つ酒税行政……、今のやつでも大蔵大臣の中央会云々で盛んに統制をされるような、監督されるような方向にあるんだが、大蔵省はこれに対してどうされるか。
  419. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 多少お話の点が誤解があるんじやないかと実は思つております。酒造税業を営みますには政府の免許が要るわけでございます。それでその免許について特に菊川委員の今お話のものでございますと、清酒の業者などが多いわけで、清酒の業者であると思いますが、清酒の業者におきましては、何分原料、酒造米に制限があるものでございますから、それでこれを新らたに免許する、そうしますと一軒当りの酒造量がいよいよ少くなつて参りますし、そうするとまあコストもおのずから高まつて来る、酒の値段も上らざるを得なくなつて来るか、それでなかつたら競争が烈しくなつて、下手をしますと、酒税の保全が危くなつて来る。こういつたような事情がからまつておりますものですから、現在新らしい免許につきましては、戦争前にやめた人におきましても相当まあ厳重に、なかなか免許できにくい状態になつておる。こういうことが実情でございまして、恐らく菊川委員のおつしやいましたその点は、政府の酒造免許自身が相当厳しい線に縛られておるということにあるのじやないかと思つております。それで一応免許を受けました人が酒造組合に入るという問題につきましては、これはむしろ自由になつておりまして、組合のほうとしましては、まあ我々が見ておりまと、余りアウト・サイダーができることは望ましくないものでございますから、むしろ入つて頂くほうを希望しているようでございます。
  420. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこでその点なのですがね、今の政府の行き方は自由経済主義だ自由経済主義だと言つているのですが、方針は。これはもう何回も小笠原さんも言つておられるのですが、ところが戦前の酒造業者等で免許を申請しておりましても、大抵この酒類業の組合が、私これは組合からするならば、そんな免許をされないほうがこれはいいことはわかつているのです、今の業者からするならば。従つてこの免許権をめぐりまして、酒類業組合と免許を与えるほうの大蔵省との間にどうも余り固くこれを抑えて行く、それでこつちのほうの組合に免許をさせぬようにしている、こういうふうな動きに現在はなつているのじやないのですか。あなたの言われる、酒税の保全に関係があると言つておられるが、今酒類業者のほうでは、実際は成るほど割当の制限もやつているけれども、それだけではなかなかうまく行かんので、相当量はやはりみずからの手で集めて来るということはあるのですかないのですか、そんなものはもう全然ありませんか。
  421. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) あとのほうからお答えしますと、これは国税庁長官来ていますから、直接の責任者からお答えしたほうがいいかも知れませんが、お答えしますと、酒の製造につきましては、何石米が入つて、それをどれくらいいわゆる搗き減りをして、そして元を何ぼ取つて、そしてどれくらいのもろみを作つて、そして搾つて、何石のお酒ができるといつたような点までずつとその製造の過程につきまして、これはまあ相当四十日くらい作るまでにかかるのですが、仕込みから税務署が何回か行つてつておりますから、従つて入つた米以上に闇米を使つてそうした酒を作るということは私は全然考えられないのじやないかというふうに思つております。従いまして闇米を使つて酒を作るということは全然これはあり得ないのじやないか。それから又事実現在の酒の値段は配給米を使つて引合わん程度の値段で公定価格ができておりますから、闇米を使つたらなかなかこれは、まあ税金を脱税すればこれは別でございますが、そうでもしない限りとても引合わない値段でございます。その辺につきましては、私は正規の免許を受けておる業者が闇米を使つて酒を作るということは殆んど考えられないと申していいのじやないかというふうに思つております。  それから業者が酒の新規免許についていろいろ妨害をするといつたような意味のことはないかというような御意見だと思いますが、それはまあ妨害というほどの積極的なことは全然ございません。ただまあ業者にしますれば、戦争前に四百万石近くの米をつぶしていたやつが現在八十二万石でございますか、それだけの米になつてしまつたのでございますから、更にそれを業者が殖えまして、そして一軒当りの割当が少くなるということは、これは希望しないということは、これはもう当然わかる議論だと思いますが、併し積極的に免許してもらつちや困るとか何とかいつたような意味の問題は実は我々のほうにはなくて、むしろ政府の立場といたしまして、現在すでに製造を営んでおる業者の一軒当りの石数自身が非常に小さくなつておりますし、そのためにコストの面とかいろいろの面で値上りも出ているわけでございますので、将来食糧事情が相当変つて来る時代は別として、現在のように僅かな米で酒を作つている際におきましては、製造業者の数を殖やすことはこれはいろいろな意味において面白くないんじやないかという意味で、相当厳重な制限をしているのが現状でございまして、業者の動きによつて云々ということはないわけでございます。
  422. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この酒税の保全というような見出しから考えましても、この際お尋ねしておきたいのだが、清酒類については殆んど酒税は今のところは滞納というものはございませんだろうと思うのですがな。ところが焼酎につきましては相当滞納があるということを聞いておつたが、その後滞納処理については極力努力をしてやるつもりだという御答弁をこの前の国会で承わつたのですが、その後の処理状況はどういう状態になつておるか、依然としてやはり乱売しておるか、値段を下げてやつてそうして酒税までも食つてしまつておる、こういう状態にあるのかどうか、この点お伺いしておきたいのです。
  423. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 滞納の問題でございますが、御指摘の通り清酒につきましては殊んど滞納はないと言つていいくらいでございまして、若干場合によつて出て来る場合もございますが、殆んどないと言つてもいいと思います。ただ焼酎とか合成酒につきましては、一時生産過剰に陥りまして、非常に乱売をやりました関係がありまして、遺憾ながら相当滞納がございます。酒税が今全体では年間千四百億くらいですが、それに対しまして十億弱でございます。前年たしか御説明申上げましたときに十億くらいじやなかつたかと思いますが、最近はそれが八億くらいに少し減つております。なおこの数字が若干或いは正確を欠くかも知れません。私の記憶では大体方向は間違いないと思つておりますが、残つておりますのは大きな、大きいと申しましても、中間くらいの醸造業者でございますが、その業者の中にやはり相当大口の滞納がございまして、これをどうしてうまく処理するかいろいろ工夫いたしております。現在のところは一方におきまして法案ができましたので、統制を行いまして、著しい不公正な競争にならんような程度に需給調整をやる、そうでいたしまして業界が再び乱売等いたしまして滞納するようなことがないようにしようということでやつております。その結果少しずつ今までの滞納も減つております。今後におきましてはこの調整をうまくやつて行きますれば、先ず新規の滞納は余り出て来ないのじやないか。ただ今後経済情勢の変化に対応いたしまして調整をうまくやるということが必要だと思いますが、そういうことに関連いたしまして、この過去の滞納につきましても、ここ一年乃至二年、或いは例外的にもう少し長くなるのがあるかと思いますが、そういうように片付けて行くように持つて参りたいというふうに進めておる次第であります。個別的に各会社ごとに相当厳重に……或いは組合を作らせましてそれに対しまして漸減の方針でやつておりますし、今までのところは私どものきめた計画通り大体進めておるわけでございます。
  424. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 中小の普通の業者に対しまする滞納に対しましてはかなり峻厳なる追及はあるわけですが、酒屋さんと税務署は明治以来の関係で、これらに対しては若干の手心を加える。而も焼酎屋は大体が普通の清酒業者と違つて、焼酎屋のほうがメーカーとしては大きい。そういう連中が乱売の結果とはいいながら、実際はやはり酒税は、これは焼酎を飲むほうから取つておることになるわけです、結論は。にもかかわらず焼酎屋は自分で抱え込んだ、自己の保存のために抱え込んだ……、而もこれは免許業者ですから、普通の商売でそこらで始めた人とは違う、にもかかわらず、そういう人たちに対する滞納整理については或る程度温情主義で臨む、それから一般に対しては峻厳だ、比べてより峻厳なように思う。どうも私そこに開きがあるように感ぜられて、明治以来の税務署と酒屋さんとの関係がどうもちよつと開き過ぎるところがあるようですが、この点について国税庁長官から一つ……。
  425. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点は私どもむしろ逆に考えておりまして、事酒税につきましては非常に峻厳な態度で臨んでおります。それで又業者のことは長い目で見るといいというふうに考えておるわけでありまして、従いまして全体から見れば、その税額につきましてはほかのものと比べると非常に少い二十八年度は先ほども申しましたように七、八億ただ焼酎業者の中に滞納がある。これも併し戦前からあります一流の会社にはございません。一時あつたことがございましたが、これは全部督促いたしまして全部片付けております。戦後にできました新らしい会社に遺憾ながら滞納がある。その戦後にできました際におきましては、やはり或る程度お話のように自由企業の趣旨によりまして実は一時大分許可を認めたわけでございます。その結果が先ほど申しましたようにどうも不当な競争までいたしまして値引をしております。税金まで割りまして値引競争をやつて、その結果自分が困つておる、税金も納まらん、こういうようなのが大部分の会社の実情でございます。  従いまして今後は先ほども申しましたように需給調整をやりまして、かようなあわてた商売をやる必要がないように全般的にいたしますと同時に、会社もそのようなことをしないように、すでにあります滞納は成るべく減らす、今後新らしく滞納が出ないようにしようということで、現在国税庁は相当峻厳な態度で臨んでおりまして、一年くらいたしますともつとちやんとしたお答えができるかと存じますが、その趣旨で進んでおりますので御了承願いたいと思います。
  426. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう趣旨でやられたとするならば、この際酒税の保全及び……この法律案改正の際に、法律改正の必要がなかつたかどうか検討されましたか。今のそういう趣旨の改正でございましたならば、私は成るほどいいと思うのだが、又一方におきましては酒類業者の酒造業者で、戦前の人でもう一遍、設備も残つておるし、これでやりたいといううやつは駄目だ駄目だというわけでおく、それから一方においては焼酎屋さんのほうは滞納まであるというのだが、それらの点を解決するような改正というような必要はなかつたのですか。
  427. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今度の改正は非常に技術的な小改正でございまして、先ほど申しました焼酎、合成酒の合理的な需給調整は大体手続でできる。ただその手続が先ほど主税局長お話しましたように、今の手続は非常に必要以上の手続をふまなければならんことになつておりますので、それを簡素化する意味におきまして今度の法律案が提案になつておる。これは国税庁にいたしましてもそういうふうにしてもらいたいと実は考えておるわけであります。内容は先ほど主税局長からお話がございましたように、中央会できめたと同じことを地方組合でもきめなければならないということはその必要がないのじやないか、違つた点だけをきめさせるというその簡素化が中心になつておりまして、この法案はその趣旨からいたしまして是非とも御賛成願いたいと思います。
  428. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  429. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  430. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  431. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  三木與吉郎     前田 久吉  安井  謙     東   隆  成瀬 幡治     山本 米治  菊川 孝夫   —————————————
  432. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に所得税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  433. 小林政夫

    ○小林政夫君 この農業所得ですが、先ほどどなたか大臣に対して質問しておつたようですが、今年の二十九年度の税収見積りでこの農業所得の点をちよつと詳しく説明してみてくれませんか、はつきり問題点を、私の疑問にしておる点を言うと、物価の指数が二十八年度と比較するならば農業のほうは九四%ということになる、これはどういうことでこういうことになるですか。
  434. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 括弧の中が二十八年度との比較でございますが、二十八年度は御承知のように非常に凶作でございまして、そうして同時に凶作加算金が付いた、こういうのが二十八年度の特色だろうと思います。二十九年度におきましては、恐らくこういう凶作は考えられないのじやないだろうか、又あつて欲しくないと思つておりますが、従いましてその括弧の中でもおわかりだと思いますが、生産のほうは、例えば営業等におきましては余り増加を多く見ておりませんが、農業だけは一一七、一割七分の実は生産の増加を見ております。その代りというと語弊があるかも知れませんが、その価格のほう、これは主として米が中心でございますので、米の値段がここで大きく物価を左右する、この農業関係価格を左右するわけでございますが、いわゆる凶作加算金というものを考えるべきではあるまいか、従いまして七千五百円というものを一応ベースとして計算してございます。その意味におきまして、価格のほうは九四と、二十八年よりも安くなる。併し生産のほうが一一七と平年作に返ると、こういう両方の兼合せにおきまして農業所得の見積りをしていると、こういうわけでございます。
  435. 小林政夫

    ○小林政夫君 七千五百円ということになると、先ほど問題になつた非課税所得であるところの各種奨励金というようなものは、この予算説明書によるというと、こういうものは成るべく排除して基本米価に織込みたいということを言つておる。その基本米価にその奨励金を織込んだ後の米価というものを考えておるのでなしに、ただ凶作加算金だけを除いた米価ですか。
  436. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 七千五百円と先ほど申上げたのは、七千七百円の誤りでございましたので、先ず最初に訂正させて頂きます。今お話の早場米の問題或いは超過供出の問題、これは一応いろいろな考え方はございますが、まだはつきり実は方向がきまつておりませんので、予算の歳入見積の場合におきましては、これは多少大事を取り過ぎたというようなお叱りがあるかも知れませんが、一応大事を取りまして、基本米価だけを元にして計算がしてございます。ただまあ先の問題はこれはどうこうと実はきめているわけではございませんが、まあ予算関係でそこまで先走つて決定するにつきましては、まだ現在政府の中のきまり方がそこまでコンクリートに話ができておりませんものですから、一応この場合におきましては歳入の見積りにつきましては従来と同じような考え方で見積つている次第でございます。
  437. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他の御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  438. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  439. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 本法案に反対です。その理由は、折角権威者が集つて研究されたところの税制調査審議会の答申案も立派なものができておる。それをわざわざ下廻るようなものをやつて、源泉所得税を勤労者から取つて行く、片一方には、私もよくわかりませんですが、聞いた話によりますと、配当所得などを五十万ぐらいを取る人があれこれして結局税が無税になるとか、或いはそういう人と比較すれば税が少いということは、結局勤労所得者を圧迫する私は法案である。いま少しというよりも、税制審議会答申案通りに所得税の軽減をすべきである。そういうものが不十分であるという点で反対です。
  440. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  441. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。所得税の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  442. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の署名をお願いいたします。  多数意見者署名     木内 四郎  中川 幸平     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  三木與吉郎     前田 久吉  山本 米治     小林 政夫   —————————————
  443. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に法人税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  444. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが……。
  445. 小林政夫

    ○小林政夫君 賛成いたしますが、毎回この賛成のときに話しておるのですけれども、質疑応答の際にも明らかになつておるように、実際の国の法人税収と法人税率によつてかけた、標準税率の四二%による税収との間には非常な開きがある。個々の減免措置、主としてこれは租税特別措置法の問題でありますけれども、法人税率の軽減ということについて個々の減免措置を成るべく少くして、法人税率の一律的引下げに努力されることを強く要望して賛成いたします。
  446. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  447. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。法人税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  448. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     三木與吉郎  前田 久吉     山本 米治   —————————————
  449. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に酒税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  450. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 酒税法はやつぱりこれも結局は酒の値上りに帰するので、而も四月から見込んで酒とビールの値上りになるということですが、成るほど主税局長から言われれば、特級酒と一級酒とビール、これだけを上げるのだと、こういう御主張だろうと思いますが、特級酒は別といたしましても、これでは二級酒を飲んでいればいいということになるかも知れませんけれども、値上りということは、少くとも物は下げようというときですから、少しは減税して下げて行く、幸いにしてこの前は少し下つたので結構だと思つておると、もうすぐ値上りになるわけですが、下げるということだつたら、先ほどのたばこの際にも申上げたように印象はいいと思うのだが、上げるということはこの際慎んで、それでは贅沢品とその他の物との開きをどうするかということになると、やつぱり私は一般品を下げるようにしたらそれで均衡がとれて来るのじやないか。それではそのところは税収はという問題になつて来る、収入全体はという問題になつて来ると、歳入論までここで振廻すようなところまでは言いませんけれども、いろいろ国の財政の節約面においてやるとか、或いは常に申上げているような捕捉の面におきまして、下げて行くと却つて割合に納めよくなるのじやないか。滞納というようなものもなくなるし、余り税金を逃れるという問題もなくなるのじやないかと思うのですが、高くして無理に取るか、それとも安くして納めよくして皆に納めさせるようにするか、そういうことでありますから、これは現窟の上からいつてみんなが金を出すということは理窟通りに簡単に行くものじやないと思いますけれども、そういう方向に持つて行くのがいいのじやないかと思うのですが、これとちよつと反対の動きになつておりますので、この点についてもう一遍主税局長から聞いておきたいと思うのですが、贅沢品については、今後贅沢品と認めるものについては今後どんどんとこういう増税方向をとるかどうか。
  451. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 贅沢品についてはどんどん増税方向をとるかといつても、おのずから私はやはり贅沢品についても一応の限度があるのじやないかというふうに考えております。従いまして今後も相変らず、今度上げたものから又更に上げて行くといつた方向がいいかどうかという点についてはむしろ私は消極的に、そうどんどん上げるべきじやない。おのずから贅沢品についても一応の限度があるべきじやないかというふうに考えております。  ただ今回の税制改正におきましては、かねて特に菊川委員などからのお話もございまして、何とかして少額所得者の負担を軽減したいという、その意味におきまして基礎控除を上げたい、扶養控除を上げたいということになつた場合におきまして、先ほども大臣も申しましたが、税収にゆとりがあり、それを去年のように自然増収を減税財源に充て得るということでございますと違つた姿が現われて来たのでございますけれども、今年は何か他に増税しなければちよつと減税ができないという状況に追込まれたものでございますから、税制調査会の意見、これは勿論尊重した姿になつておりませんでしたけれども、税制調査会におきましては御承知のように間接税を下げるよりも直接税を下げるようにするのが急務だというお話もございましたので、税制調査会の意見に従つたと言うと税制調査会に叱られるかと思いますが、一応思想を受け入れまして、直接税を何とかして下げたい。そのためにはどつかに財源がないかというふうに探して参る場合の非常に苦しい窮余の策と申上げるよりありませんが、こういう一級酒、特級酒でございますれば、多少そこに負担が多くなつてもまあ我慢して頂けるのじやないだろうか、同時にこれがどうもすぐ物価に云々といつたほどの一般的な問題でもあるまい、こういう結論を得ましたものですから、今回のような提案になつた次第でございます。
  452. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に酒税全般に……酒税というものの本質についてちよつと方針を伺つておきたいと思うのですが、食糧問題とこの酒税というのはこれはもうどうしても裏腹になるわけです。一方あなたのほうはできるだけ国の財源確保のために飲め飲めということになるわけですが、ところが一方食糧を確保するという面からは成るべく酒米に廻すよりも食糧のほうへ……、そうすると外貨の食糧輸入はそれだけ減つて来る。これとはどうしても裏腹になると思うのですが、この調整を、まあ今後の方針もあると思うのでありますが、酒というのは私は自分で飲まんから言うわけじやないけれども、先ず先ず節約すれば……、たばこはやめれんけれども酒はやめれるということを俗に言われるのですが、まあやめろということを言うわけじやないけれども、全然酒なしになつてしまうと戦時中みたいになるから、そういう方針を言うわけじやないが、あなたのほうは、頼るところは千四百億もあるわけでありますから、どうしてもこれは頼らざるを得ない。即ち酒税そのものは将来もこれによつていつまでも重要財源として期待して行く、明治以来から先ほども申上げましたような関係でございまするが、酒税というものについて大きな期待を持つて行く方針か、それとも少しずつは減らして行くか、どういう方針をとつて行くか。この点について、これは酒米との関係もございますので、酒米でも今年はこういうような凶作だ凶作だというので供出なんかも非常に少なかつたわけでありますが、明年若しも豊作というような場合も予想されるとしましたら、そういう場合には多少は酒を余計作つてそうして飲ませる。こういう飲め飲めという方針で行くのかどちらか一遍伺つておきたいのですが……。
  453. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 飲め飲めの方針というつもりは我々はございません。ただ併しすでに御承知のように現在におきましては遺憾ながら密造の酒もまだ相当あるわけでございまして、正規の酒が量が余り少くなつて参りますと恐らく密造のほうの酒が逆に殖えて来る。まあ酒は確かに或る意味において、必需品とは思つておりませんが、併しどうしても酒を飲むことによつてその日の労を、若労を忘れようといつた人が相当あるのじやないかと思つておりますし、従いまして現在におきまして酒が或る程度まあ生産され消費されるというのが現実の姿だ。従いましてこれを余り生産、正規な酒を減らして行くと、今度は逆に密造の酒が出て来るといつたようなことも現実の事実としては無視できないのじやないか。そういうことも考えられますので、勿論片方では米を一応酒のほうでつぶす、こういう問題もございますので、そこはよほどやはり酒というものについては、その原料が米であるということを考えながら全体の行政をやつて行かなければならん、こういうふうにやはり思つておりますが、将来豊作にでもなつて、供出も殖えた、こういつた場合一体どうなる。この場合におきましても外貨の事情もいろいろございますから、そう簡単に殖やし得るものかどうかも疑問ですが、まあ事情が許せば、或いは今年減つたからせめて去年くらいまではといつたようなことも考えないでもないじやないかと思つておりますが、いずれにしましても密造といつたような問題もございますので、そう簡単な問題じやない。併し貴重な食糧をつぶして酒にするわけでありますから、十分その辺を頭におきながら酒税というものの行方を将来見て行きたい、かように考えております。
  454. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つはビールと清酒の関係です。それからビール並びに合成酒或いは焼酎等と清酒との関係ですが、ビールはこれは大企業でございます。それから長官が先ほど言われましたように、焼酎にしましても合成酒にいたしましても、どちらかというと中以上の企業だ。清酒はどちらかというと少し中から、中小企業だと、こう思うのです。だからビールは米を使いませんし、ビールがどんどんどんどん酒のようなきつい原料の統制はこれはないと思うのですな。これが調整をどのようにおやりになるか。一方ビールはまあ酒が足らんのだからビールをどんどんやれということになると、ビール会社と酒会社と……、従つて酒税の保全の問題とも、酒税確保の問題とも関連して来ると思うのですが、あなたの方針は成るべくならばビールをたくさん作らして行つて酒のほうは減らすという方針なのか、これの割合、調整はどういうふうにお考えなつておるか、この際伺つておきたいと思うのですが。
  455. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 酒は何といいましても、現在としては普通の状態から見ますと供給のほうが少いと思つております。
  456. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうじやないですよ。
  457. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 酒というか清酒でございます。清酒はこれは米が規正されるというか、窮屈な枠にあるものですから、むしろ当然の話だというわけでございますが、とにかく一般に自由経済的な立場から見た場合、需要に比べますと清酒は生産が少い。これは併し米の関係もございますので、或る程度少くても止むを得ないのじやないか。まあ併しそれが事情が許せば或いは或る程度まだ殖やすことも考えられましようが、といつてそう大きくこれは殖やすわけにも行くまい。清酒は大体そういつた姿のものであります。それで残つた致酔飲料といいますか、アルコール飲料をどう考えて行くかという問題でございますが、今のような時代になりますと、やはり嗜好が割合に上つて参りまして、そしてビールに対して大分嗜好が移つて来ておる。現在我々のほうは特にビールを奨励するという立場をとつておりませんが、ビールのほうに嗜好が向つており、それが、出荷が殖えておるという事態はその事態のままでは実は見ておるわけでございますが、焼酎のほうは実は少し各社が苦しくなつたものですから無理な競争をし始めた。これは先ほどもお話のありました酒税の保全等の法律によつて裏付けられました生産協定によりまして、大分落着きを戻して参りまして、現在では公定価格或いはそれよりちよつと安いくらいのところで生産者の取引がなされておりますので、もう少し全体の様子を見て行きたい。で余り米を使うということもどうかと思いますので、酒全体を余り減らしても密造のほうへ追込みますし、もう少し全体の様子を見て行くべきではないか。かように考えております。
  458. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお尋ねしたいのは、今の経済情勢の下において最も安定した業種の一つとしてビール三社、俗にいわれますビール三社、これは兜町の、夕刻を見てもおわかりの通りビール三社は安定しておるのですね。従つて今度のビールの酒税改正によりまして、一応これは一つ利用者のほうへ転嫁をせずに、この安定した業者持ちという工合に行かんものですか、どうですか。この点販売価格にどう影響して来るか。それを一つ主税局長からそれができるかできぬか、それから販売価格にどう影響さすのか、この点を一つ……。
  459. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 昨年酒税の全体の引下げをした機会に生産者コストで以て二円四十銭ほど実は切つたわけなんです、ビールびん一本当り……。従いまして昨年は酒税の値下りよりも、それに更にプラスして業者にも勉強して頂きまして、そして現在の値段がきまつているわけでございます。びん抜きで百七円、びん付で百二十二円、今度まあそうきめた一つの理由は、値段が相当安くなるのですから、その代り出荷の量が相当殖えるのじやないだろうか。従つてそれだけ固定費などの割掛けが減るのじやないだろうか。二十七年度におきまして百五十万石くらいのやつが相当、最近二百万石、二百十万石ほどと考えられていますが、そういうふうに割掛けが減るといつたようなことを中心にしまして実は相当切りこめたわけでございます。本年の状況を見て参りますと、ほかのほうの一切の諸掛りの値上りなどは余り考慮に入れないで、麦の値上りだけを考えてみまして、一本当り五十銭、もう少し検討してみませんとわかりませんが、五十銭ぐらいは原料の値上りがあるのでございます。それでできるだけ生産者にも勉強して頂くということは我々のほうでも相当やかましく言おうと考えておりますが、ただ率直に打明けて参りますと、配給マージンが非常に安いものでございまして、小売業者の人たちから配給マージンを何とか考えてもらえないか、これは昔ビール三社が公定価格のないときに相当小売屋に安くやらした遺風がそのまま公定価格に出ておりまして、それが大分いろいろな我々のほうに対する苦情の種になつて来ておりまして、そういうような点もございまして、どういうふうに考えて行くべきか、今実は検討しておりますが、ただこの機会におきまして、従来の価格と少し変つた制限というか、いわゆるびん付価格制度に変えようか、ただびん付価格制度に変えるだけではどうも工合が悪そうでございますから……、というのは消費者のほうが現在小売屋へ持つて行けば十五円で引取つてくれる、びんを屑屋へ売ればもう五円かそこらにしか買わない。そうするとその負担がすぐ消費者に行くわけですから、やはり或る程度の値段で小売業者を通じて一応びんの値段を確保するようにという点はやはり考えなければなるまいという点、ただびん付の値段は百二十五円ぐらいで抑えたらどうだろうか、こういうような点で案はもう少したちませんと結論が出ませんが、検討しております。
  460. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 菊川君に申上げます。今の問題はあなたが欠席中に相当詳しく説明のあつた点でもありますので、御了承を願います。
  461. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 了承しました。ではもう一点にしておきますが、このビール値段は、僕は考えるのに、できるかぎり業者にこの際は、今繁栄しているのですから、今の産業において繁栄しているものはよほど少いと思いますが、そのうちビール三社と俗に言われるのですから、この際は、繁栄というのは語弊があるかも知れないが、先ず堅調を維持している。だからできるだけビール会社に持つてもらうような方法で一つ御処理を願いたいと思うんですが、それが一つ。  それからもう一つ尋ねたい点は、委員長から注意もありましたのでなんですが、今の公定価格について、俗にいわれる、ほかのちよつと高級の店へ行きますと、これは余り行つたことがないのでわかりませんが、高い値段でビールを売つている。ああいうのは取締の対象にならんのですかどうですか。又あなたは販売価格についてびん付きとかびん抜きということを盛んに言われるが、あそこはまあ中身だけ飲むんですが、これは公然と朝日ビールのレツテルを貼つてあるのが売られているんですが、これは取締の対象になるものか、ならんものか。
  462. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ビールの値段につきましては不当な利益を会社に与えるような値段は我々としては絶対に考えるべきじやないと思つています。で現在確かに利益率は決して悪くございませんが、ビール会社の株価がよく安定しているのは、これは私の見るところでは、現在がべらぼうな儲けであるというよりも、むしろ割合に落着いた、先行がとにかく危げがないというところにむしろ強みがあるんじやないかというふうに思つております。そこにそれだけ会社の強みがあるんですから、我々としましても会社のほうに不当な利益を与えるということは考えたくないと思つております。税金を背負えといつても、原料が値上りしているような状態でございますので、そう簡単に無理なことも言えまい。去年実は、大分先ほど言いましたようないろいろな理窟がある点はどんどん衝きまして、理窟のある限りにおきましては実は相当値段を切り込んでいるわけでございまして、この問題については更に慎重に考えてみたいと思つております。  それから第二の御質問でございますが、料理屋とかカフエーとかのビールの値段でございますが、これは一応は公定価格がありますが、それはサービス料などが一応入るものでございますから、普通の小売店の売る値段よりは特別な公定価格が実はぎめてございます。ただその公定価格が果してどの程度厳守されているかということになりますと、これはサービス料と酒代とは一緒になつている面もあるものでございますから、従いまして我々としても余りよくわかりませんですが、一応はきめてございますが、それは百七円といつたような、普通の現在の小売店においてびんを持つて行つた場合に売つてくれる百七円の公定価格ですな、あれよりは五割ぐらい高いところの値段で一応きめております。
  463. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いやいや五割じやない。これはなぜかというと、酒はそういうふうに大蔵で相当、まあ統制というと語弊があるけれども、調整をして行なつているやつでありますけれども、一部の業者のところではばかに高いものを飲ませるというようなことが許されるものか、許されんものか。この酒税法関係して、これは普通の品物でないから、税金をうんと飲ませてやる、更にそれが高くなるということは幾ら高く売つてもそれは腕次第だという方針をおとりになるのかどうかということを伺いたいと思うんですが、これは酒とも関連して来ると思うんです。
  464. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ああいうところで販売している値段につきましても一応公定価格がきまつておりますから、それを上廻つて売れば公定価格違反だということになると思います。
  465. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとそれらについての取締ということにつきましては、ここへはおろさぬとか何とかいう措置はあるんですか、そんな措置は全然考えられんですか。
  466. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局多少無責任だとお叱りをこうむるかも知れませんが、その取締は一応警察のほうにお願いしている次第でございます。
  467. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 じやそういうような場合に警察へ行つた場合には法律違反になるというわけですな。
  468. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それはなります。
  469. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  470. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  471. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 酒税法の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたします。それはものを下げよ下げよと、一割のものが下ることを期待している政府の方針で、政府の税金増加によつてやはり現実に現われて来るのが酒の値段が高くなり、ビールの値段が高くなるわけです。従いまして、この際は高くなるというだけのものは、政府の手によつて処置せられるものは私はできる限り現状のままに据え置いて、そうして一割の値下りを期待する。これはピースの際に申上げたと同じような理由から本案に反対いたします。
  472. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  473. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。酒税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  474. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定しました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと思います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名    木内 四郎  山本 米治    三木與吉郎  安井  謙    青柳 秀夫  岡崎 真一    白井  勇  藤野 繁雄    中川 幸平  小林 政夫   —————————————
  475. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、印紙税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  476. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この際印紙税法の一部を改正する法律案についてお聞きしておきたいのは、過般印紙の偽造が法務省関係の或いは登記所であるとか裁判所あたりで公然と行われて、それが盛んに摘発したけれどもどれだけあるかわからない。再使用であるとか或いは偽造印紙が使われているということが問題になつたのですが、その後調査もされていると思うのですが、一体ああいうことを起させないような方策がこの印紙税法改正に当つて必要だと思いますが、これについて、あれの経験に鑑みまして、それらの防禦措置というものは今後の改正の際お考えにならないかどうかという点と、今度のあれの摘発によつて調査されてどのくらい被害をこうむつているか、それを一つお聞きしたい。
  477. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) あの問題でどれだけ要するに不正使用があつたか、これは警察等で捜査をされた事件として取上げられたもの以外に相当あるのじやないだろうかというようなお話は伺つておりますが、まあ結局どれだけあつたかということについてはちよつと今のところ我々のほうにも資料がございません。  それからあれに鑑みまして何か手段を講じたか或いは講ずるかという点につきましては、実は昨年の印紙税法改正でございますが……、あれは登録税法です。ちよつと思い違いいたしまして……。印紙の不正使用というものは、印紙税の問題よりもむしろ登録税の問題であります。登録税は印紙納付になつておりまして、あの印紙納付についての印紙の不正使用、それが今私申上げるのですが、昨年の登録税法の改正の際に不正使用の印紙を以て税金を納付した場合におきましては、それがわかりますと改めて納税者から税金を取る、こういつたような規定、これが曾つてございませんのですから、その辺がはつきりいたしませんでしたけれども、それをまあはつきりと規定してあります。大体見て参りますと、まあ登記をなさる方が比較的安易な気持で以て司法書士の人に金をあずけて、そうしてその司法書士の人と登記所の人が結託したりして不正事実になつたというふうなのがあのもとだと思います。従いまして司法書士が悪いことをしたのに納税者のところから税金を取るのだといつたような規定ちよつと如何かと思つたのでございますが、結局税金を納める方に納税に協力をして頂くという意味で、自分でやはり買つてはつきりと貼らなければ自分のところへ来るかも知れん、こういう意味の注意もできるといつたようなことで、実は昨年登録税法の改正を願つた次第でございまして、まあそれと、最近これは政令で実は一つ変更いたしましたのは、現金納付の制度を少し拡げてくれないかということがございまして、これは現在でも法律上は許されておりますが、政令を一応直しまして、それで取りあえずでございますが、たしか日本橋の登記所だと思いましたが、原則としては現金で納付して頂く、そういうような措置を現在講じております。勿論印紙を買つて来ていらつしやる方だつたらこれは印紙で納付していいのですが、現金で納付する。これは前から現金納付の途は開いていたのですが、原則として現金で納付して頂くようにということを建前として、取りあえずやつてみようということもやつておりまして、いろいろ我々のほうとしましてもこの問題については研究しております。
  478. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  479. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  480. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。印紙税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  481. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと究います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     三木與吉郎  山本 米治   —————————————
  482. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  483. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 砂糖はですね、戦後台湾とか朝鮮とかいうところを切り離されたわけですが、大体内地でどのくらい毎年なめておつたのですか。
  484. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 百万トン程度消費されていると思います。
  485. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それからまあ主税局長も調査されていると思いますけれども、製糖工業会のあの十九社ですね、あの会社が終戦後非常に利益を挙げておつた。で、設備など内容の充実というものはこれは製糖関係が一番いいのじやないかと思いますが、さような点を調査されていると思いますが、或いは増資するような場合でも、実際の増資ではなくて無料、無料と言つちや何ですが、只でやつたような恰好の増資になつているのじやないか、そういうふうな調査された点について一つお聞かせ願いたいと思います。
  486. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今の点は消費税の問題というよりも砂糖会社に対する法人税課税とか、そういつた問題に対する御質問でございましようか。
  487. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、私は、非常に儲けているのじやないか、それを三カ月も延納さすのはなお儲けさせるのじやないかという意味でお聞きするわけです。
  488. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 砂糖会社におきましてもやはり市況にもいろいろございまして、最近非常に特に値上りが強くなつたものですから目に立つておりますが、昨年におきましては必ずしもそうでもなかつた。一昨年はかなり強かつた、そういうふうな動きはしているようでございます。併し砂糖は最近ここ数日は又ちよつと下つているようでございまして、先ほど御質問のございました延納の問題をどう考えるか、徴収料をどう考えるかという点につきましては先ほどもお答えしましたが、我々のほうとしても十分検討してみたい、かように考えております、
  489. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はまあちよつと計算してみたわけですが、仮にトン百十五ドルとして、一斤について大体六十八円、ですから利益はこれは八十五円に売ればまあ十七円ぐらいですか……平均して大体十五円ぐらい利益を挙げているのじやないか。そうすると仮にまあ五トンぐらい、五トンというのは私は平均よりも少いと思います。平均すればもつと多いわけですが、そういう会社が大体十億ぐらいの利益を挙げたことになる、数字で弾いてみるとですよ。それなのに先ほど聞いてみると、これは前からずつとやつて来たから、三カ月のやつを二カ月にするということはできないということは私にもわかることはわかるのですが、なぜこういうものは利益をうんと挙げているのですから、そこへ持つて来て又九十億、まあ百億に近いような金を無利子で貸しておくのと同じことになると思うのです。先ほど菊川君が言つたようにあなたは十五日とか一カ月ぐらいの手形だと言つておりますが、大体問屋で、皆先払いして、保証金を積立てて買つて来ておるわけですから、私はこれを優遇する必要は更々ないじやないか。何か製糖工業会と……、まあ前の大蔵大臣と若干関係ある会社もあるように聞いておるわけですけれども、そういうような圧力に屈してよう大蔵省はやらんのか、どういうふうにしておるのか、私はその辺のところを一つ説明願いたいと思います。
  490. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) あとの何か他の圧力で大蔵省やらんのかという意味のことは全然ございません。今までまあ一応従来のままでおきましたのは、先ほども申しましたように税の制度というのは割合に恒久的なものでございますから、余りそのときどきに伸ばしてみたり或いは縮めてみたりというようなのも如何だろうかと、こういう考え方が中心でずつと現在のままになつていたわけでございます。
  491. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 成瀬君に申上げますが、今の点は先ほど大蔵大臣が来られる場合に随分質疑応答せられましたけれども、大体その政府側の考えがよくわかつて……。
  492. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや違うんだよ。大蔵大臣の言うのと主税局長考えとは、私は受取り方として、大蔵大臣は大体やらんというふうな趣旨の表現に聞えたので、あなたのほうは検討してやろうというように受取れた……。
  493. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) そこであなたの御意見を用いたのは別に討論の機会にでもやつて頂きたい。
  494. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは酒税を調べてみると大体二カ月になつておりますね。それから砂糖消費税は三カ月、骨牌税は猶予なし、それから物品税は大体二カ月ぐらいになつているわけですが、まあガソリン税が三カ月以内ということになつているのです。これはまあガソリン税と砂糖消費税、今度出て来るところの繊維消費税がやはり三カ月以内になつております。こういう何か大きなまあ儲つておるようなと言つては語弊があるかも知れませんが、そういうようなところは、こう政治的な圧力によつて税金を取ることを遠慮しておつて、それからそうじやないものはどしどしとそういうところから取つて行くというようなふうに受取れるのですが、どうですか。
  495. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 物品税は如何にも短いようにお話になりましたが、現在におきましては二カ月で以て、担保提供で一カ月認めております。それからしては三カ月です。砂糖は物品税とむしろ違いまして、引取りの都度一応納税義務が発生しまして、それから三カ月、物品税のほうはその月中のものを要するに二カ月あとで払う。従いまして月初と月末と平均しますれば、三カ月のほかにもう十五日あるわけなんです、物品税はですね。砂糖は出荷してから、そのときから三カ月。  それからまあ私と大蔵大臣の話が食い違つておるというようなお話がございましたが、一応まだ我々の省内でも結論が出ておりませんので、多少ニユアンスの違いはあるかと思いますが、ただ我々につきましても大蔵大臣の言われるような意見があるわけでございますから、全体としてよく検討した上でさような結論は出したい、こう申上げておるわけです。
  496. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは三カ月以内とこうおつしやつて、それを何か政令でどうこうするというようなことができるのですか。これは私の聞き間違いかも知れませんが、そんなようなことを話されたのですが、これはどういうことなんですか。
  497. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 法律にきめてあるのは三カ月以内の徴収猶予をすることができると書いてありますから、三カ月あとがその納期というわけのものじやないのです。従いまして納税義務はまあ出荷すればすぐ発生するわけなんです。従いましてあとその三カ月以内のどのくらいを徴収猶予するしないというのは、結局行政官庁の責任に委ねられておるわけでございます。従いましてその現在の法律規定においても三カ月猶予することが長過ぎるということなら、二カ月とか一カ月とかいう徴収猶予にすることができる、こういう意味でございます。
  498. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それはこの法律改正をしなくても、あなたのほうがそういう方針をきめさえすればそれは可能だ、こういう意味ですね。
  499. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在の法律の範囲内においてまあ政府が一方的にきめるべきものか或いは業者の事情を十分聞いた上できめるべきものかといつたようないろいろな意味はございますが、とにかく例えば出荷したあとですね、その三カ月目が納期だというふうに規定してあるのでなくて、三カ月以内の徴収猶予はできると、こう規定してある、こういう意味です。
  500. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それに関連して……。その三カ月以内でいいということになつておつて、実際には三カ月の猶予期間を持つておられるのだが、これはいつからの三カ月というのが大体慣例になつていますか。
  501. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 先ほどお話したように……。
  502. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、時代です。いつの時代から……。
  503. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) かなり昔らしく、いつ頃から始まつた制度か……。
  504. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それならわかつたのですが、台湾を持つておつたときの砂糖と、台湾が分離されて失つてしまつてからの日本の砂糖の需給状況というのは変つたと思うのです。あなたがいつも砂糖の際に言われる買手市場、売手市場の問題ですが、台湾を持つておるときは、これはもう輸入品じやないですね。今度は砂糖と言えば殆んど輸入品になるわけです。だから外貨の割当の問題と絡み合つて来る。従つて台湾を持つておつた当時に三カ月であつたやつを今も三カ月ということは、これは大分やはり業者のほうに有利じやないかと思いますが、この点でどうですか。
  505. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 戦後におきましても、こういうような三カ月以内の猶予がやはり必要であつた時代はあつたと思つております。これはまあ私どもも具体的によく、いつの時代はどうだつた、いつの時代はこうだという御答弁を申上げるだけの資料を持つておりませんから、何とも申上げかねますが、例えばこういうその三カ月の徴収猶予が非常に砂糖会社に有利で、大いに考え検討すべきじやないかという御議論が出始めましたのも、実は最近のことでございまして、今までは私も余りこういう御議論は伺つていることはなかつたわけでございまして、それは皆さんがお気付きにならなかつたというだけじや私はなかつたと思います。
  506. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、質問申上げましたよ、この前のとき。そうしたらあなたは売手市場、買手市場の問題だと言つて答弁されたのを私は覚えておりますが、それはともかくとして、もう一点だけ。  こういうふうに今の砂糖は、先ほど成瀬君も言いまして、私も大蔵大臣に質問いたしましたように、保証金を先ず納めておいて、そうして更に現金で行つて製糖会社からもらつて来るというのが大体の卸売業者の行き方だそうですが、そうすると今度は消費税も勿論これは大衆の負担になるわけですが、大衆が負担する消費税も問屋が立替えて払つておる。そうしてその金利も結局は今度小売の場合にこれは転稼されて来るように思うのですがね。そうして砂糖の消費税の値上げによつて負担する、又今度売手市場によつて、大衆が負担するというので、大衆負担、これは一番悪税のように思いますが、この点どうでか。
  507. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) これはまあいろいろな私は議論があるのじやないかと思つております。昨年消費税を上げるその前に出た御議論の一つは、とにかく需要が多くて輸入で少いのだから、どつちにしたつて値段は上つてしまう。砂糖会社を儲けさすのだ。従つてむしろ消費税の形で取るというのが砂糖の儲けをモデレートするゆえんじやないか、こういうふうな御意見も実はあつたように伺つております。  それで一応砂糖にしましても、例えば飴のような代用品もあり、そこに競争もあるのでございますから、これはまあ税金は取つていない。そうするとそう税金が上るからといつてべらぼうに値上りするわけにも行くまい、こういうふうな状態のものじやないか。従いまして現在のままで放つて置いた場合に上る値上り、それに消費税が更に又加つてつても、砂糖会社がそれだけの利益がある限りにおきまして、更にそれが加わつて値段が上つて行くというわけのものでもあるまい、かように私は考えております。
  508. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは意見の相違だね。
  509. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  510. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  511. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 砂糖消費税の一部を改正する法律案に反対いたします。  その理由は、一斤について又今度約四円上るわけですが、そうしますとそれは七円五十億というのが、これが一斤に付く税金だと思います。砂糖は、これを或る特別な人がなめるとかなめないというのじやなくて、家庭、一軒の家で私は必需品だと思います。そういうものに税をかけて行つて召し上げて行くということは、結局大衆課税であつて、こういうものをやるという点については反対をいたします。それが一つの理由でございます。  もう一つは、内容としまして、延納を担保を出せば三カ月間認めるということなんですが、こういうふうに優遇を私はする必要は毛頭ない。製糖会社というのは今一番儲けている私は会社の部類の中に入るものだ。それに対して三カ月間百億というふうな金を無利子で、例えば担保を出しているといつても、貸しておくということはいけないことであつて、こういうものは遠慮なく私は早く政府が取上げるべきものである。まあそれについて主税局長のほうも或いは大臣のほうも十分考慮するということでございますから、その点は私はここでお答えになつたことが、我々の意見を容れて或いはあなた方のほうも検討されておるということですから、そういうふうなことも必ずやられるものと私は期待しております。以上でございます。
  512. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないよいでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  513. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。砂糖消費税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  514. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     木内 四郎  小林 政夫     中川 幸平  藤野 繁雄     白井  勇  岡崎 真一     青柳 秀夫  安井  謙     三木與吉郎  山本 米治   —————————————
  515. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に揮発油税法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
  516. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは例えば入場税とか遊興飲食税とか、酒税もありましたけれども、こういうものを一度、簡単に言えば、入場税のごときは館を持つている人が一遍もらうのですね。だからそういうものを納めずにいるということは、税金を何か取つて費消しているような形になるわけですが、公金費消というような恰好にもなると私は思いませんけれども、それに近いような気がするわけですが、こういうものに対してただ延滞金を、延納金に対して罰金、利子を課して行くというような恰好なんですが、これは各国とも大体こんなふうなことをしているものか、一応お答え願いたいと思います。
  517. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 各国とも同じような考え方をとつているものと了承しております。
  518. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 政務次官にちよつとお尋ねしたいのですが、ガソリン税相当額を例の道路にまわすという目的税的な法律案、我々これについては反対したのですが、これは本年の予算に、このガソリン税は、改正による収入見込額二百三十七億六千七百万円、まだこれに業者から言わせますと、ガソリン税はこれだけの税収を期待するのであつたら、もつと率を下げても実収入は下らないだろうということをやかましく言つて、陳情が当委員会にあるわけです。それとあなたのほうの今度きめました予算、あの法律に基く道路費の関係を政務次官どう考えておられますか、この点を一つつておきたいと思います。
  519. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答えいたしますが、ガソリン税の今度の道路財源に使用する分の問題につきましては、国税として収納いたしました分のうちの三分の二をいわゆる国の予算に計上し、三分の二相当額を道路財源として国のほうに計上いたしまして、三分の一相当額を地方へ譲与税として譲与するという恰好に相成つております。  今のお話の一体本年度の税収入額を幾らぐらい見るか、いわゆる輸入の量も多いからもつともつと税率を低くして置いてもたくさん取れるじやないかというような御議論も勿論拝聴しておりますが、政府の見ております本年度の輸入数量の点につきましては、おおむね従来の実績に徴しまして、而も将来の問題といたしましては、成るべく消費規正、輸入規正の見地から数量を算定して、そうしてああした率を適用して収入額を算定しておる次第でございます。
  520. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは植木次官の専門の分野だと思うのですが、予算とあの法律とは……それではあなたの言われるのとちよつと違うのじやないですか。法律の精神からいつて、あれを立案した精神からいつて、三分の二で、三分の一は譲与税にするということは法律の精神からいつて、これは一つは、譲与税にするというのは平衡交付金を減らしてその代りに譲与税、だからちよつと精神が違うのじやないですかね。あれはあの法律のときに私らも反対して、大分当委員会で……。
  521. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今の御質問は大体においてその通りでありまして、従いまして政府としては別途法律案改正をお願いして、同時に御審議をお願いしておる次第でございます。
  522. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは改正案は出ていると言えば……。
  523. 小林政夫

    ○小林政夫君 その法律案を今の建設委員会へかけるような法案になさるから通らないのですよ。なかなか難航するので。例えば義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案でも、あれを文部委員会にかけるから通らないのです。大蔵委員会へかけさえすれば通る。(笑声)だから、(「そうじやないよ」と呼ぶ者あり)法案の出し方ですよ。出し方があらかじめ大蔵委員会にかけるような出し方を政府においても工夫すべきなんです。そうすると大分問題が違つて来るので、その点を注意申上げます。
  524. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  525. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  526. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。揮発油税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  527. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 多数であります。よつて本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     山本 米治  木内 四郎     小林 政夫  中川 幸平     藤野 繁雄  白井  勇     岡崎 真一  青柳 秀夫     安井  謙  三木與吉郎   —————————————
  528. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  529. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十分散会