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政府委員(
渡辺喜久造君) 続いて申上げます。それで二十一条の二におきましては、一応これは現在もございますので、一応置いた
規定でございますが、
現行法におきましては、二十一条の二の13にございます「
物価変動の
状況等を勘案して必要があると認める場合においては、前年分の総
所得金額に乗ずべき
調整比率を定めることができる」、これは
法律で定めなければならない事項でございまして、この
規定を残すべきかどうか、いろいろ検討してみたのですが、
現行法にもございますので、一応残してもよかろうというので、残した次第でございます。
以上申上げましたのがその全体のアウトラインでございますが、それじや
予定納税基準額というものにおいて、いつの時期においてどう
判定して行くか。例えば
特別農業所得者という
判定のもの如何ということが当然問題にたりますので、そこに二十一条の三という
規定を作りまして、五月一日現在で以て、一応「二十六条第一項の
規定により
確定申告書を提出する
義務があつたかどうかの
判定」、
特別農業所得者であつたことは五月一日で以てきめる。それからこれはまあ
税額に
争いがあつた場合に、実は起きる問題でございますが、御
本人は
納税義務なしとして
確定申告をお出しにならなかつた、
税務署のほうでこれは
納税義務ありとして
決定をした、それに対して再
調査或いは審査の請求があつた、まあこういつたような場合におきましては、前年におきまして
確定申告を出す
義務があつたかなかつたかという点がまだ
争いに
なつておりますが、一応やはりそれにつきましては、或る
程度の線を引いておかなければならん。で、現在できるだけ六月一日前に
事務を処理するということは考えておりますが、問題が残る場合も考えられますので、これは六月一日現在で一応その間のことはきめるといつたような問題があるわけでありまして、そこに「
予定納税基準額等の
判定の時期」という問題をおいたわけでございます。
そういうようにいたしまして、一応
納税基準額がきまりますと、これをやはり
納税者のかたに御
通知申上げよう、これはまあ
考え方といたしましては、
法律の
規定によ
つてこういう
条件が備わりますれば、当然
納税義務が発生するという
考え方で法制を組立
つておりますが、併し、とい
つて現在のように
予定申告の
制度でも違いますから、
納税者としては一体自分の
税金がどう
なつているかという点が
法律上きま
つているとは言いましても、直ぐにわかりにくいだろう。そこで
税務署としましては、一応
仕事として全部
税率等を
計算いたしまして、
納税義務者のかたにお知らせ申上げる、これが二十一条の四の
規定でございます。
それから二十一条の五は、
特別農業所得者の
申請と
なつておりますが、これは先ほど言いましたように、五月一日の
現況において新らしく
特別農業所得者になられる方もございますので、一応こういう
かたは納期の
関係が大分変
つて来るわけでございますから、今度新らしく
特別農業所得者であると言われるかたには一応
申請をして頂きたい。
税務署のほうでは
ちよつとそこまでわかりかねますから、一応
申請をして頂きまして、そうしてこの六月一日の
現況による
納税基準額の
通知に、これは
通知すべきものや否やといつたような
意味のことを、間に合うように一応
申請をして頂きたい。これが二十一条の五の
規定であります。
で、
原則としましては、大体今申しましたような
関係で以て前年の
税額を
基準にして三分の一ずつ一期、二期にお納め願うということで済むと思いますが、そこに
幾つかのやはり例外的なものを考えざるを得ない。現在におきましても
予定申告の
所得金額は前年の
所得金額を下らないということを
原則にしておりまして、併し特別な
事情がありましてそれを下る場合においては
減額の
申請ができるということに
なつておりますので、それと同じような
意味におきまして、
予定納税額をそのままで以て納付して頂くのは、これはどこまでも
原則でありますが、併し特殊な
事情のある場合におきましては、そこに
減額の
申請の
余地を当然考えるべきじやないか、それが二十二条でございます。この場合におきましては、
申請を待ちまして、
政府のほうで以て一応の
承認をいたしますれば、その
承認を受けた
金額の三分の一
相当額を納めればいい、こういうことになるわけであります。
二十二条の二はこの
減額申請の手続を一応
規定しております。
減額申請は
原則としましては六月三十日までに出して頂くことになるわけでありますが、尤も
特別農業所得者の場合はこれは十月の三十一日まで、ただ今度は六月一日の
現況で六月末に出して頂くのですが、今度は六月二日から七月一日までの間に、
災害とか或いは
事業の
廃止とかいろいろなことがございますと、これはもう前の
申請では間に合いませんので、こういう場合は七月一日の
現況によりまして七月の十五日までに出して頂く。それから
政府のほうといたしましては、なお、
政府のほうで以てその
税額通知によ
つて、
納税者のほうが
減額申請とかそうした
動き方をして頂く、それまではまあ一応
納税者としてもおわかりにならんでしようから、動き出すことを強いて要請しないという
意味におきまして、六月三十日までに
税額通知が行かなかつた場合におきましては、
減額修正の
期限も一応延期されるというような
規定を四項においているわけであります。
それで二十二条の三におきましては、
減額申請がございましたらば、これを認める、或いはその一部
承認の
意味におきまして
申告納税見積額を、一部御
本人はまあ百のものが五十に
なつたとおつしやいましても、
税務署のほうで、いや、それは八十だと認める場合がありますし、いや、これは
理由がないとして却下することがあるというのが二十二条の三であります。その二項におきましては、一応
承認を与えなければならない
条件をそこに
幾つか列挙してございます。例えば
事業の全部又は一部の
廃止、休止、転換とか、或いは
災害とかその他の
理由によりまして、
申告納税見積額が
予定納税基準額の七割以下になる場合、これば現在は
所得で八割に
なつておりますが、今度は
税額でと
つておりますので、
税額の場合には累進のようなことに
なつておりますので、大体これが
所得の八割と一応見合
つておるという
考え方でおります。この場合には、先ほど申しましたように一応
通知することによりまして、
承認を受けられれば、
減額された
金額によりまして納めることができる。まあそれが一応の普通の場合でございますが、ただ前年度におきまして
納税義務、
確定申告の
申告義務がなかつたという人は、それでは全然この
予定納税のほうには入りませんが、放
つておいていいかという点になりますと、いろいろ問題もございますので、前年度におきましては
事業を余りや
つていなかつた、
従つて確定申告義務もなかつたが、今度新らしお一応
仕事を始めたということによりまして、今年においては
相当のやはり
所得もあり、
税金を納める必要もあろう、こういうかたが考えられるわけであります。こういう方を
確定申告のときだけに全部時期を譲
つてしまうのも如何かと思われますので、それで
予定申告という
制度を極めて例外的ではありますが、一応残してございます。それが二十三条の
規定でございます。それから
予定申告の場合におきましては、大体
現行と同じように
予定申告による
納税をして頂く、二十三条の二でございます。それから
予定申告につきましての
更正決定ということも、一応
現行通り大体考えておる。同時にこの
予定申告にかかる
更正又は
決定による
納税というものも
現行と同じように考えております。それで
予定申告は大体
新規開業とか、新らしく当然
所得が生れるのであろうという場合にだけ一応
義務付けております。まあ
納税者の立場からいたしましても、
確定申告のときだけに急に大きな
税額を払うよりも、むしろ
予定申告のときから大体
所得の増加が見込まれ、
従つてそれによる
税金をあらかじめ払
つておきたいという気持のかたもやはりないこともないと思いますので、従いましてこういう
方々におきましては、特に
義務として
予定申告をして頂かなければならんという
規定は置いておりませんが、併しそういう
方々が
予定申告をすることができる
余地を残しておくべきではないか。それが二十三条の三項、四項、それがその
規定に
なつております。大体その場合における
納税は
義務としての場合と同じであります。で、この分につきましては
更正決定といつたようなことは別に考えておりません。
義務付けられた人に対する分にだけ
更生決定の
制度を置いております。
義務付けられないで自発的にお出し願う
余地があり、
従つてそれによ
つて出されて来たかたの分は今更
更正決定とか何とかやかましいことは考えない。これは専ら
納税者の意思を尊重したところで以てや
つて行こう。それで全部の
関係は
確定申告の
機会におきまして全部清算がされますから、
任意の場合におきましては
更正決定とかそういうことは考えない。
義務付けられた場合におきましては、やはり
更正決定ということを考えなければなるまいと、こういう
考え方から出ております。
それから一応七月の第一期におきましては、大体前年度と同じ
程度の
所得がある、
従つてその三分の一1を納める、これにまあ異論がなかつた。ところがその後の
状況の
変化によりまして、どうも今年の
所得全体は
相当減るという見通しが考えられる場合がある。例えば八月、九月の時期におきまして、営業をやめられるといつたようなことが考えられる。その場合に七月に
減額申請をしなかつたので、同時にその
機会がなく
なつてし
まつたから、そういう特殊の
事情がありましても、七月で一応もう勝負がついてし
まつた。二期はそれに応じてやはり前
通り申告しなければならん、
納税しなければならんというふうに放
つておきますのも如何かと、結局
確定申告によれば、その他の
条件が満たされれば、
税金の
還付という問題が出るわけでありますから、それでその後の
状況の
変化が起きた場合におきましては、第二期の
納期の場合におきまして、改めて
予定納税額の
更正が請求できる。それで一応の
条件は付けてございますが、一定の
条件の下に
予定納税額が減るのが至当であるというときには、二期で以て一応
相当の
減額をする、
更正決定をするというのが第二十五条の
規定でございます。
二十五条の二は、これは丁度
予定納税の場合におきまして、今年の
税金が
相当殖えなければならない、殖えるだろうという場合に、
予定申告の
制度を置いておいた、あれと同じ
意味におきまして、七月のときにはそれほどに思
つていなかつたが、その後の情勢の
変化によりまして、どうも
相当のやはり
所得が殖えるだろう、
従つて税額も殖えるだろう、この場合におきましては、
現行法におきましても
修正申告ができる。この途を開いております。これが第二十五条の二でございます。先ほど申した
任意の
申告ということに
なつておりますから、この分につきましては
更生というようなことは別に考えておりません。
それから第四節で一応「
予定納税に関する通則」といたしまして「
予定納税額の
納期限等の延期」、これは現在もございますが、通信、
交通その他の
状況によりやむを得ない事由があるときは所定の
期限を延期することができるこれは命令の定めるところにより、延期することができる。これは一般的に適用する
規定でございまして、一つの地方に
災害があ
つて交通が
相当遮断されたといつたような場合におきまして、従来も幾くたびかこういう適用をしておりますが、やはりこの
余地を残しておきたい。
それから二十五条の四でございますが、
雑損控除、
医療費控除、それから
扶養控除、こうしたものはいずれも従来から
申告書に記載することに
なつておりましたが、これは
予定申告の
義務がある人が
予定申告書にこういうことの記載をしなかつたというときは、これはやはり
確定申告の場合は又改めてそのときの問題になりますが、
予定申告納税額からの
控除はしない。これは
税務署のほうでもとても
調査がしきれませんし、これは適用しない。
それから二十五条の五は、これは
国税徴収法とまあ連絡の
橋掛けの
規定でございますが、
納税期限までに完納しないときは九条の
規定によ
つて督促をし、それから
督促でなお納まらなければ
差押えとか、そういう
手段が出て来るというわけでございます。それからなお
差押えはいたしますが、
予定納税或いは
予定申告による
納税の分につきましては、
公売処分といつたようなことは、これは差控えよう、これは
現行法でもそう
なつておりますが、今度の場合におきましても事柄は同じでございます。
何分予定でございますので、
差押えなら一応
租税財源の確保という
程度でございます。
公売処分になりますと
相当財産にも大きく響きますので、
確定申告後ならば、これもやむを得ない
手段だと思いますが、
予定納税額の場合は、
公売のようなときは、これは
ちよつと差控えたほうがよかろう、これは
現行法の
考え方と同じでございます。