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1954-03-16 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君    委員            青柳 秀夫君            白井  勇君            土田國太郎君            成瀬 幡治君            東   隆君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   参考人    日本鉱業協会調    査部長     田村 茂利君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○酒税法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○骨牌税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○揮発油税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○酒税の保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○入場税法案内閣送付) ○しやし繊維品課税に関する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 只今より第十八回の大蔵委員会を開会いたします。所得税法の一部を改正する法律案その他の税制改正関係十四法案を議題といたしまして質疑を行います。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 予定納税及び予定申告、これについて念のために条を逐つて説明して下さい。
  4. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それでは御説明申上げます。新旧対照表で御覧願いましたほうがわかるのじやないかと思いますが、予定納税及び予定申告という章を新しく作りまして、二十一条以降におきまして一応の改正をいたしております。  二十一条におきまして先ず以て予定納税額というものは、どういうふうな金額であるか、そこに書いてございますような「前年分の総所得金額に対する所得税について第二十六条第一項の規定により確定申告書を提出する義務があつたもの」は先ず第一にどういう人が予定納税をしなければならないか。それは前年におきまして確定申告を提出する義務があつたものというところで先ず抑えまして、同時にその予定納税をします金額は、予定納税基準額の三分の一を現在と同じように七月一日から三十一日までの第一期、十一月一日から三十日までの第二期、こういうような時期に先ず予定納税をして頂く。ただ特別農業所得者関係につきましては、これは現行法におきましても十一月と三月の二期に分つておりますので、こういう方々につきましては現在と変えない意味におきまして二分の一を第二期で納めて頂く。なお三項におきましては計算に端数があつた場合にはどうするか、これを書いてございます。  問題として残りました予定納税基準額とは何かということがその次に考えられるわけでありますが、それを第二十一条の二に規定してございます。それは結局前年分の総所得金額に対する所得税税額というものを一応抑えると同時に、それから源泉徴収をしました金額を差引いた額、従いまして税法が全然変更がございませんと、去年確定申告で納めた金額の三分の一ずつを通常の場合には一期、二期で納めて頂く、こういうことを考えております。ただ括弧の中にありますように、譲渡所得、一時所得雑所得、こういうようなものは必ずしも毎年同じような金額で出て来るという性格のものでございませんので、この分は除いたところのもので基準税額を出そう。それから災害等による減免関係でございますが、これは災害のあつた年におきまして免除することになつておりまして、翌年度におきまして災害が繰返されるということは先ず考えないでよかろうということで、この分は通常の年としてやはり計算する。若し不幸にしてその年に災害がありますれば、それは災害減免法で新しく措置がとられますので、この分は減免することとしまして、前年の税額の三分の一ずつを一、二期で納めて頂く、こういう考え方なつております。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 医療費控除なんかはどうかね。
  6. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 医療費控除関係はいろいろ検討してみたのでございますが、これはどうもやはりそういうことを考えていいか疑問がございますが、これは或いは長期の病気で引続く人もございましようし、そうでない人もございますわけでありますから、その際におきましては、医療費控除確定申告で一応最後の結末をつけて、予定納税の場合におきましては、医療費控除前の分で一応税金は納めて頂くということになつております。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 だから前年度に医療控除を受けている、医療費控除を受けていれば、その控除をした分で納めた税金通りでやるということになりますか。元に戻すのですか。
  8. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 逆でございます。ここに書いてございますのは、所得金額を前年にとりまして、尤も一時所得譲渡所得雑所得のものは除いて、そうして継続的に繰返されると思われます所得中心にして所得金額をとりまして、そうして税額計算しまして、その中から源泉徴収を去年された分につきまして、同等額所得額から差引く、こういう計算なつております。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 そんなふうに読めるかね。そんなことはない。
  10. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちよつと言い間違えまして恐縮でございます。医療控除の場合におきましては、医療費控除をしたのちで以て税額をとりまして、その税額の三分の一ということ、になつております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 それならよろしい。
  12. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 続いて申上げます。それで二十一条の二におきましては、一応これは現在もございますので、一応置いた規定でございますが、現行法におきましては、二十一条の二の13にございます「物価変動状況等を勘案して必要があると認める場合においては、前年分の総所得金額に乗ずべき調整比率を定めることができる」、これは法律で定めなければならない事項でございまして、この規定を残すべきかどうか、いろいろ検討してみたのですが、現行法にもございますので、一応残してもよかろうというので、残した次第でございます。  以上申上げましたのがその全体のアウトラインでございますが、それじや予定納税基準額というものにおいて、いつの時期においてどう判定して行くか。例えば特別農業所得者という判定のもの如何ということが当然問題にたりますので、そこに二十一条の三という規定を作りまして、五月一日現在で以て、一応「二十六条第一項の規定により確定申告書を提出する義務があつたかどうかの判定」、特別農業所得者であつたことは五月一日で以てきめる。それからこれはまあ税額争いがあつた場合に、実は起きる問題でございますが、御本人納税義務なしとして確定申告をお出しにならなかつた、税務署のほうでこれは納税義務ありとして決定をした、それに対して再調査或いは審査の請求があつた、まあこういつたような場合におきましては、前年におきまして確定申告を出す義務があつたかなかつたかという点がまだ争いなつておりますが、一応やはりそれにつきましては、或る程度の線を引いておかなければならん。で、現在できるだけ六月一日前に事務を処理するということは考えておりますが、問題が残る場合も考えられますので、これは六月一日現在で一応その間のことはきめるといつたような問題があるわけでありまして、そこに「予定納税基準額等判定の時期」という問題をおいたわけでございます。  そういうようにいたしまして、一応納税基準額がきまりますと、これをやはり納税者のかたに御通知申上げよう、これはまあ考え方といたしましては、法律規定によつてこういう条件が備わりますれば、当然納税義務が発生するという考え方で法制を組立つておりますが、併し、といつて現在のように予定申告制度でも違いますから、納税者としては一体自分の税金がどうなつているかという点が法律上きまつているとは言いましても、直ぐにわかりにくいだろう。そこで税務署としましては、一応仕事として全部税率等計算いたしまして、納税義務者のかたにお知らせ申上げる、これが二十一条の四の規定でございます。  それから二十一条の五は、特別農業所得者申請なつておりますが、これは先ほど言いましたように、五月一日の現況において新らしく特別農業所得者になられる方もございますので、一応こういうかたは納期関係が大分変つて来るわけでございますから、今度新らしく特別農業所得者であると言われるかたには一応申請をして頂きたい。税務署のほうではちよつとそこまでわかりかねますから、一応申請をして頂きまして、そうしてこの六月一日の現況による納税基準額通知に、これは通知すべきものや否やといつたような意味のことを、間に合うように一応申請をして頂きたい。これが二十一条の五の規定であります。  で、原則としましては、大体今申しましたような関係で以て前年の税額基準にして三分の一ずつ一期、二期にお納め願うということで済むと思いますが、そこに幾つかのやはり例外的なものを考えざるを得ない。現在におきましても予定申告所得金額は前年の所得金額を下らないということを原則にしておりまして、併し特別な事情がありましてそれを下る場合においては減額申請ができるということになつておりますので、それと同じような意味におきまして、予定納税額をそのままで以て納付して頂くのは、これはどこまでも原則でありますが、併し特殊な事情のある場合におきましては、そこに減額申請余地を当然考えるべきじやないか、それが二十二条でございます。この場合におきましては、申請を待ちまして、政府のほうで以て一応の承認をいたしますれば、その承認を受けた金額の三分の一相当額を納めればいい、こういうことになるわけであります。  二十二条の二はこの減額申請の手続を一応規定しております。減額申請原則としましては六月三十日までに出して頂くことになるわけでありますが、尤も特別農業所得者の場合はこれは十月の三十一日まで、ただ今度は六月一日の現況で六月末に出して頂くのですが、今度は六月二日から七月一日までの間に、災害とか或いは事業廃止とかいろいろなことがございますと、これはもう前の申請では間に合いませんので、こういう場合は七月一日の現況によりまして七月の十五日までに出して頂く。それから政府のほうといたしましては、なお、政府のほうで以てその税額通知によつて納税者のほうが減額申請とかそうした動き方をして頂く、それまではまあ一応納税者としてもおわかりにならんでしようから、動き出すことを強いて要請しないという意味におきまして、六月三十日までに税額通知が行かなかつた場合におきましては、減額修正期限も一応延期されるというような規定を四項においているわけであります。  それで二十二条の三におきましては、減額申請がございましたらば、これを認める、或いはその一部承認意味におきまして申告納税見積額を、一部御本人はまあ百のものが五十になつたとおつしやいましても、税務署のほうで、いや、それは八十だと認める場合がありますし、いや、これは理由がないとして却下することがあるというのが二十二条の三であります。その二項におきましては、一応承認を与えなければならない条件をそこに幾つか列挙してございます。例えば事業の全部又は一部の廃止、休止、転換とか、或いは災害とかその他の理由によりまして、申告納税見積額予定納税基準額の七割以下になる場合、これば現在は所得で八割になつておりますが、今度は税額でとつておりますので、税額の場合には累進のようなことになつておりますので、大体これが所得の八割と一応見合つておるという考え方でおります。この場合には、先ほど申しましたように一応通知することによりまして、承認を受けられれば、減額された金額によりまして納めることができる。まあそれが一応の普通の場合でございますが、ただ前年度におきまして納税義務確定申告申告義務がなかつたという人は、それでは全然この予定納税のほうには入りませんが、放つておいていいかという点になりますと、いろいろ問題もございますので、前年度におきましては事業を余りやつていなかつた、従つて確定申告義務もなかつたが、今度新らしお一応仕事を始めたということによりまして、今年においては相当のやはり所得もあり、税金を納める必要もあろう、こういうかたが考えられるわけであります。こういう方を確定申告のときだけに全部時期を譲つてしまうのも如何かと思われますので、それで予定申告という制度を極めて例外的ではありますが、一応残してございます。それが二十三条の規定でございます。それから予定申告の場合におきましては、大体現行と同じように予定申告による納税をして頂く、二十三条の二でございます。それから予定申告につきましての更正決定ということも、一応現行通り大体考えておる。同時にこの予定申告にかかる更正又は決定による納税というものも現行と同じように考えております。それで予定申告は大体新規開業とか、新らしく当然所得が生れるのであろうという場合にだけ一応義務付けております。まあ納税者の立場からいたしましても、確定申告のときだけに急に大きな税額を払うよりも、むしろ予定申告のときから大体所得の増加が見込まれ、従つてそれによる税金をあらかじめ払つておきたいという気持のかたもやはりないこともないと思いますので、従いましてこういう方々におきましては、特に義務として予定申告をして頂かなければならんという規定は置いておりませんが、併しそういう方々予定申告をすることができる余地を残しておくべきではないか。それが二十三条の三項、四項、それがその規定なつております。大体その場合における納税義務としての場合と同じであります。で、この分につきましては更正決定といつたようなことは別に考えておりません。義務付けられた人に対する分にだけ更生決定制度を置いております。義務付けられないで自発的にお出し願う余地があり、従つてそれによつて出されて来たかたの分は今更更正決定とか何とかやかましいことは考えない。これは専ら納税者の意思を尊重したところで以てやつて行こう。それで全部の関係確定申告機会におきまして全部清算がされますから、任意の場合におきましては更正決定とかそういうことは考えない。義務付けられた場合におきましては、やはり更正決定ということを考えなければなるまいと、こういう考え方から出ております。  それから一応七月の第一期におきましては、大体前年度と同じ程度所得がある、従つてその三分の一1を納める、これにまあ異論がなかつた。ところがその後の状況変化によりまして、どうも今年の所得全体は相当減るという見通しが考えられる場合がある。例えば八月、九月の時期におきまして、営業をやめられるといつたようなことが考えられる。その場合に七月に減額申請をしなかつたので、同時にその機会がなくなつてしまつたから、そういう特殊の事情がありましても、七月で一応もう勝負がついてしまつた。二期はそれに応じてやはり前通り申告しなければならん、納税しなければならんというふうに放つておきますのも如何かと、結局確定申告によれば、その他の条件が満たされれば、税金還付という問題が出るわけでありますから、それでその後の状況変化が起きた場合におきましては、第二期の納期の場合におきまして、改めて予定納税額更正が請求できる。それで一応の条件は付けてございますが、一定の条件の下に予定納税額が減るのが至当であるというときには、二期で以て一応相当減額をする、更正決定をするというのが第二十五条の規定でございます。  二十五条の二は、これは丁度予定納税の場合におきまして、今年の税金相当殖えなければならない、殖えるだろうという場合に、予定申告制度を置いておいた、あれと同じ意味におきまして、七月のときにはそれほどに思つていなかつたが、その後の情勢の変化によりまして、どうも相当のやはり所得が殖えるだろう、従つて税額も殖えるだろう、この場合におきましては、現行法におきましても修正申告ができる。この途を開いております。これが第二十五条の二でございます。先ほど申した任意申告ということになつておりますから、この分につきましては更生というようなことは別に考えておりません。  それから第四節で一応「予定納税に関する通則」といたしまして「予定納税額納期限等の延期」、これは現在もございますが、通信、交通その他の状況によりやむを得ない事由があるときは所定の期限を延期することができるこれは命令の定めるところにより、延期することができる。これは一般的に適用する規定でございまして、一つの地方に災害があつて交通相当遮断されたといつたような場合におきまして、従来も幾くたびかこういう適用をしておりますが、やはりこの余地を残しておきたい。  それから二十五条の四でございますが、雑損控除医療費控除、それから扶養控除、こうしたものはいずれも従来から申告書に記載することになつておりましたが、これは予定申告義務がある人が予定申告書にこういうことの記載をしなかつたというときは、これはやはり確定申告の場合は又改めてそのときの問題になりますが、予定申告納税額からの控除はしない。これは税務署のほうでもとても調査がしきれませんし、これは適用しない。  それから二十五条の五は、これは国税徴収法とまあ連絡の橋掛け規定でございますが、納税期限までに完納しないときは九条の規定によつて督促をし、それから督促でなお納まらなければ差押えとか、そういう手段が出て来るというわけでございます。それからなお差押えはいたしますが、予定納税或いは予定申告による納税の分につきましては、公売処分といつたようなことは、これは差控えよう、これは現行法でもそうなつておりますが、今度の場合におきましても事柄は同じでございます。何分予定でございますので、差押えなら一応租税財源の確保という程度でございます。公売処分になりますと相当財産にも大きく響きますので、確定申告後ならば、これもやむを得ない手段だと思いますが、予定納税額の場合は、公売のようなときは、これはちよつと差控えたほうがよかろう、これは現行法考え方と同じでございます。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 その点国税徴収法の第三十一条ノ六第二項、第五項但書と関連するんですか。
  14. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今のこの二項との関係でございますが、現行国税徴収法におきましては、その三十一条ノ六の第五項でございますが、そこに但書を置きまして、「所得税法第三十条、第三十一条若ハ第三十三条第二項」括弧書がございまして、「若ハ第四項二依リ納付シタル所得税額ハ法人税法」云々といつたような規定を置きまして、予定納税分過誤納になるときは、いつ頃から過誤納になるか、これは考え方幾つもあるのでありまして、幾つもといいますか、少くとも二つあるわけです。この確定申告で以て、一応そのかたの納税義務がはつきりきまる。従つて確定申告書までの間は予定納税の額が一応法律通り納められている場合におきましては、確定申告書で以て、その人の額が予定納税額以下であるということが確定したとき、そのときから過誤納になる、こういう考え方も実は一つございますし、それは少し無理じやないか、やつぱり遡つて納めたときから過誤納になる、こう考えるべきじやないか。これは主として還付加算金の問題と結び付くのですが、現行法におきましては、それが納めたときから還付加算金を付けることになつておりますが、それで中でもいろいろ議論したのでございますが、大体納税者の利益を中心にしまして、納めたときから従来還付加算金をつけておる。それはこの機会に、いろいろ考え方もあり、随分実は中では議論したのですが、確定申告のときに切るのも少しどうだろうか。やはり前と同じように納めたときから還付加算金を付ける、こういう考え方で行つたほうがいいのじやないだろうか。それでそのように法文を整理したのでございますが、この国税徴収法の但し書の規定は、所得税法とか法人税法とか、それぞれに分れておるものを国税徴収法に集めて書いたのであります。国税徴収法の体裁からいいまして、これらのことはむしろそれぞれの税法に書くほうがはつきりするのじやないだろうか。その意味におきまして、国税徴収法からはこの但し書の規定を抜かしまして、それを所得税法のほうに入れる。そして所得税のほうでその関係がわかるようにと、こういう意味只今改正は一応できているわけであります。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 前に遡りますが、二十一条の二ですね、予定納税基準額で、この差引き源泉徴収されたものはやはり同じ年の源泉徴収された税額ですね。
  16. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この予定納税額を算出しまする基礎になりました所得額、それと対応する源泉徴収額、こういうつもりであります。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと物品税に絡んでお尋ねしておきますが、今度この物品税改正されて、而も法律の附則のほうの九項乃至十項に絡んで、これでどのぐらい増徴される予定をされておりますか。
  18. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ストツク課税の分だけ特に計算してございませんが、大体ストツク課税の分を加えて、それぞれの品目につきまして、大体これくらいの増税が期待できるのじやないかというふうに計算をしておりますので、ストツク課税金額だけを特に抜き出した計算ちよつとしてございませんが、総額といたしましては、ストツク課税の分、それから本年の分とを加えまして、総額で十億程度の増徴を予定しております。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 こういう税のとり方は、税率を上げれば又とつて行く、下げれば返して行くと、こういうのが原則であろうということは私もよくわかるのです。そこで今まであなたのほうが、シヤウプ勧告以来やつておいでなつたこと、例えば織物消費税がなくなつたときに、返さずにおいでなつている。それから酒税の場合には、これは返しておいでになる。今度の場合にはどうだろうか。併し前の物品税改正をされた場合には全然返しておいでにならない。どうも首尾一貫がしておらないように思うのですがね、何かそういう点で、非常に首尾一貫しておるのだと、そういうふうにお考えになつておられますか。
  20. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうもまあずつと理詰めに御質問願いますと、私のほうも必ずしも首尾一貫していないというふうには考えざるを得ないと思いますが、考え方といたしましては、これは上げたときはストツク得課税をし、下げたときは返すというようなことは当然出て来ると思うのです。課税物品によりまして、必ずしも下げたときの関係でございますが、課税関係が、そういうふうになりますと、どうそこに残つていたかというような点がなかなか調査もわからない。非常にわかりにくい場合がかなりございますものですから、従つてその意味の場合におきまして、下げた場合におきまして、一々これを返すということも困難であろうかというので、一応返すという筋を特にとらなかつた。物品税などにおきましてその事例が多うございますが、理論的に言いますと、ちよつと問題があろうと思いますが、ただまあ実行の上から見まして、なかなかその場合に返しにくいような事実がございますから、殆んど返さずに、そのままあつた。これは商品の値段の上におきまして、公定価格のような制度が片方にございますと、どうしても理詰めに詰めて行かなきや理窟は合わないわけでございますが、必ずしもそうでない場合もございますが、原則としてそうでない、酒のような場合になりますと、公定価格制度がございまして、そうしてやはり税金が下がれば、その酒の値段も下げなきやならん、こういうことになりますと、若し税金を返さない酒があり、又片方に安い税金の酒がある、こういうことになりますと、なかなか公定価格制度というものがうまく行かんものですから、その点もやはり整理する意味におきまして、酒のような場合におきましては、どうしても辻棲をはつきりさせなきやならんのでございますが、そうでない場合におきましては、かなり実行上困難もあるものでございますから、過去におきまして、そういうことはやらずに済まして来たということは事実あると思います。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 酒の場合は公定相場があつたから、返すあとは返さない。どうもあなたは、何というか、理詰めじやないか、理窟で押されたら困る、だからそこらへんで、ということはわかりますけれども、併し実際返しておられるのだから、あなたのようなふうな理窟でいえば、物品税の公定相場がないのだから、そこでそうした物品税は上るわけですが、増徴するのだといつても、私はそういう理窟は増徴する場合にはやつぱり同じような理窟で成り立つと思うのですから、今後、過去のことは別として、今後ですよ、やつぱりこういう物品税なんかは、税率改正は私は行われると思うのです。原則としてあなたのほうはどういうつもりでおいでになるのですか。公定価格だけそういうことをやるのか、あとはいつでも増徴の場合だけとつて、下げた場合にはそのままにするのだ、そういう原則ですか。
  22. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 考え方としましては、酒の場合におきましても、一応製造場、醸造場等に戻して頂きまして、一遍出た酒を……。そして新らしい下つた税率で以てもう一遍出す。こういう手続を踏むことによりまして、一応実質的に税率の下つただけ税金が帰つて行く、こういう制度なつているわけでございますが、これと同じような制度が使える場合におきましては考えてもいいと思つておりますが、こういうストツク課税の問題は、どちらかと申しますと、或る程度こういうことを考えませんと、まあ増税の時期におきまして買溜とか買進みが非常に多く、大分投機の対象になる、こういうことも考えられまして、市場が相当撹乱することも考えられるのじやないか。こういつたような考え方から、従来原則としてはずつとやつて来たのですが、ただ課税の対象に物品税のようなものが入つて参りまして、その物品税課税関係におきましては、必ずしも酒とかそういうものほど課税関係が一から十まで厳重に行つていなかつたというような点も実はあるのではないかと思いますが、課税税率を下げます場合におきまして、それをもう一遍製造場へ戻し、それが納まつていたかいなかつたかということが、相当やはり確認されないと、納めなかつた税を逆に返すということになつて、これもよほど問題がおかしくなりますので、どうしても一応納まつた税であるということを確認しなければならない。その場合は製造場へ返して頂かなければならんということになるのでございまして、そういうふうに税を納めたことが相当確認できる場合におきましては、これは税率を下げた場合に、税金を返すというような問題も考えるべきじやないか。ただこれはなかなか一から十までそういうこともむずかしいのではなかろうかというので、これは相当私どものほうとしましても考えてみなければならん問題だろうと思います。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今度の、簡単にいつて、例えば時計なら時計に例をとつた場合に、非常にあの業者の人たちが何といいますか、やり繰りが非常にうまく行つているというときには、私は案外スムーズに行くかも知れんと思うのですよ。それは例えば織物消費税のような場合に例をとると、あの人たちが不景気になつたときには、又議員立法であれこれせいという場合があると思いますからして、あなたのほうは、原則としてこういうものだ、私は原則はやはり返すべきものは返す、とるべきものはとるのだ、あなたがおつしやるように、これが前に税金がとつてあるか、本当にとつてないかということはわからんというが、やはりとつてあるというのが原則だと私は思うのですよ。税率があつて実際物品率をとつておるのですから、どういう原則だかということを私はあなたのほうとしてきめておいて頂かんと、運動したところだけやつて、どうも大蔵省に対して働きかけの弱かつたところだけ据置だというようなふうに受取れるから、そこで私はやつぱし原則はどうかということだけはつきりしてもらいたいと思います。
  24. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 原則はどうかという点になりますと、これもちよつと、例えば公定価格制度のようなものがあるときは、これはもう当然返さなければならんという問題が私は出て来るのじやないか。そういう公定価格制度のようなものがないとき、税率を下げるという場合に、税金をどこまで返さなければならんか。これにつきましては私は必ずしも原則はこうだと切らなければならんかどうか、実は疑問を持つております。結構、前の税金のかかつたところで売切れて行くことになるのか、或いは要するに税金が下つたから当然値段が下るのか、そのときの商況で大分違うと思いますけれども、はつきり返さなければならん場合は、これは先ほど言つたように、公定価格のような場合には当然考えなければならんだろうと思いますが、その他の場合に是非返さなければならんかどうかという点は、具体的にその税自体を考えて、最後の結論をつけて行かなければならんのではないか。かように考えております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは意見に若干なると思いますが、あなたがそういうふうにぼやかして来ると、何か大蔵省と絶えず接触のあるようなところは、或いは実情を訴えられておるようなところは考慮してやる。そうでないようなところは頬被りでとるだけとつて、返す場合には知らん顔して、弱い者いじめをするというように受取れるような気がしてしようがないわけです。これはあなたがおつしやるように、何だかわけのわからない御都合主義としか……。原則はないものだとおつしやるなら、私もそれ以上追及してもしようがないと思いますからやめますが、とにかく或る程度税をとることであり、それは税の一割とか二割とかということによつて業者の生きたり死んだりがあると思うのですよ。資力の弱いところもありますからね。ですから君はよく検討されて筋の通るようなふうにして頂きたい。こういうことを希望しておきます。
  26. 土田國太郎

    土田國太郎君 只今税金の問題についてお伺いしたいと思いますが、例の交際費の三割のうち一割五分ですか課税する、前年に比較して……。あれはどれくらいの税収があるわけですか。
  27. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 二十九年度におきましてそれによる税収は約十五億円と見積つております。但し二十九年度は初年度でございますから、従いまして平年度におきましては、それが約倍額くらいの数字が考えられるということが申上げられると思います。
  28. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと意見にわたるようですが、我々実務家、実際に商売しているものから考えると、私この間もちよつと申上げたのだが、三割の問題に対する一割五分だけ免除をして、一割五分だけに課税するということなら、むしろどうなんですか、こういうものを政府は何とか是正したいという御希望であるなら、こういうものは三割、何も免除しないで全部おとりになつて、逆に政府の施策に協力しようという業者に対しては、一割五分なら一割五分減免してくれるというようなほうが実効があるのじやないでしようか。業者としましては、そういう感じがするのですが、如何ですか。
  29. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どういう意味かよくわからないのですが、三割……。
  30. 土田國太郎

    土田國太郎君 のうちの一割五分に半額課税でしよう。半額だけに課税するという今度の提案ですね。その三割を半額などと言わないで皆課税してしまつて、そうして逆に本当に百%政府の施策に協力する業者に対しては、そこで今度一割五分なら一割五分の減免税にしてやるほうが効果的じやないか。実際減免税になると無茶苦茶な使い方をせんだろうというふうに考えるのですが。
  31. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ減免税の関係におきましては、政府としましては、ほかに相当多くの手を考えているわけでありまして、交際費の関係におきましては、むしろそういう片方で資本蓄積のために随分いろいろ、まあこれは特定の会社が減免を受ければ、その他の会社或いはその他の個人のかたがそれだけまあ負担しているわけなんですから、他のかたの負担において或る特定の会社が減免を受ける、それは結局その会社のためにやるわけではなくて、まあ国民経済全体の順調な発達のために考えて行こう。こういう性格のものなんですから、そういうものが一方にあるときに、片方でそういう会社が交際費を濫費している。これは面白くない。やはりそれは資本蓄積の全体の線に沿つて考えて頂くべきものではないか。まあこういうふうな考えの下に、交際費の制限という案を出したわけでございます。そこで三割なら三割節減を税法上要請するなら、もう全額、直ぐにそれを三割を超えたらその二分の一と言わないで、その全部を経費にしたらどうだ、これは私どもも一つの御意見だと思いますが、ただ交際費の問題、これは前々国会でも相当議論のあつたところでございまして、どの範囲を求め、どの程度に限度をおくかという点相当疑問があるわけでございまして、一応その三割の線を超えました全額が損金だということになりますと、税負担のその間における開きが相当顕著に大きく出て参りますので、いろいろ実行上争いも起ろう、そこで全額というのも如何かと、こういう考え方で、二分の一という線を出したわけでございます。で、片方で以てそういう三割以下に削つたら、それはむしろ税を減免したらいいじやないかというお話でございますが、まあ我我の考えているところでは、むしろそれ以下のところの線でやつて頂くのが、会社の正常なる姿となるように考えて行くべきじやないか、まあそういうふうに考えておりますので、そういう会社について特に又更に減免するということは、これは考えるべきではない、こういう意味考え方を持つております。
  32. 土田國太郎

    土田國太郎君 今まで政府において、法人の課税についてはいろいろの施策、特別の措置があるんですが、大体今までの実際を拝見いたしまするというと、大きな会社のみ非常に実効税率が安くなつて、このはね返りは中小企業が殆んどしよつておるような現実です。で、私の今申上げましたような交際費の問題も、これは大きな会社ほど先ず使うというような慣例になつておるんですが、それを使わせないようにする、又そういうことのために百パーセント政府に協力して税金を納めるというような誠意ある法人会社に対しましては、今申上げるその減免税の措置をとることは、これは特殊会社でなく、あらゆる大中小論ぜず減免税の恩典に浴し得るんであるが、今までのやり方は特殊会社のみに特別措置が大体において行われておる。この間も中村重喜さんですか、ここへ来ての御説明によりまするというと、実効税率としては大きな特殊会社は二〇%台という説明があつた。これは実際らしいんですが、甚だそういう面から行きましても、政府の特別措置につきましては、あまりに中小企業のほうへは何らの、絶対にないとは申上げないが、銀行であるとか電力、石炭、貿易、こういうものに比較いたしまして、非常に少い。これなみに行けとは言わないが、もう少し私は中小企業を助ける方法の御措置が必要ではないかというように考えられるんですが、まあ大きな会社だけ助けるほうがいいという政府の気持であれば、これは止むを得ないんですが、我々国民といたしますれば、只今多くの数を持つておる中小企業に大会社の実効税率の安いもののはね返りが来て、同じ四十二納める中小企業に対して、特殊会社は二十台しか納めておらないというような不合理が生まれて来ておるわけなんです。そういうようなものを是正するような気持はありませんか。
  33. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私は中村重喜氏がここで証言なすつた場合の、大きな会社の実効税率が二十だというのがどういう根拠に出ているか、私は非常に疑つております。私のほうで今調べた数字を簡単に申上げたいと思いますが、特別措置法でいろいろな措置を講じておりますが、その各種積立金、これは二十八年度中に積立ててある額が千二百三十六億、これは小林委員の御要求がございましたので、資料として提出するつもりでございますが、千二百三十六億ございます。この中で大きな額のものを拾つて参りますと、貸倒準備金は二百六十四億、それから退職給与引当金が五百二十八億、価格変動準備金が二百九十三億、これが一番大口の分でございます。これは或る意味において税法理論からも、こういうものを積立金に認めていいじやないかということが相当いえる問題だと我々は思つております。で、必ずしも産業保護政策だけという見地から出て来る問題じやなく、貸倒準備金を或る程度積んでおくことは、これは貸倒れが出たときには当然損金に入れるべきものでございますが、それを或る程度準備金としおいておく。いろいろな議論がありますが、それは単なる経済政策から出ている問題じやないと同時に、一番大口の分は、これは現在の制度からいいましても、何も大きな会社だけに許されている制度ではございませんで、中小企業にも当然これは利用できるところでございますし、現在相当利用なさつていらつしやる。退職給与引当金等につきましては、最初の法令の規定でございますと、十人未満の会社の場合においてはちよつと積立てできないようになつておりましたが、これは昨年直しまして、小さな会社でも積立て得るようになつているわけですから……。あと千二百三十六億の中でありますのが——今申しましたのは一番大きなもので、そのほかにありますのが、渇水準備金、これは電力会社の関係でございますが、電力会社が年によりまして豊水であることもあれば渇水であることもある、豊水のときは黒字になり、渇水のときは赤字になる。これは電気事業法の関係で強制的に積立てさしております。渇水期に備えまして、豊水期の場合に、利益が出たから全部税金を払えといつて、これの四割二分なり或いは地方税を入れれば半分なり課税してしまいますと、渇水のときの問題がそこに出て来るわけでございまして、従つてこういうふうに強制的に積立てさして行くものを一応税の外へ置く、免税して行こうというものでございます。それから違約損失準備金四億、これは取引所の関係で、取引所の取扱い手数料の中で、その一部を違約損失の準備金に充てて行こう、これは四億。それから異常災害準備金という制度、これは三十七億。これは保険会社の制度でございまして、火災保険のほうで以て、火災保険は御承知のように料率に従つて一応の保険料率が出ているわけなんですが、その場合一部異常災害予定いたしまして、或る程度保険料率にプラス・アルフアを付けて行く。こういうものはやはりそう毎年度大災害が出て来るものではありませんで、まあ特異な年に出て来る。これも毎年その年に異常損失がなかつたからといつて、直ぐ利益に計上するのもどうであろうというので、これが課税の外においてある。それから特別修繕引当金十二億、これは熔鉱炉とか、そういつたような関係が主でございますが、五年経ちますと、当然一回耐火煉瓦の全部の修繕もしなければならない。五年目にここでごつそり大きな金が出て来るわけでございますが、それが毎年一度使つておりますので、最後の五年に取替期が来る。これはいわば各種の減価償却と同じような考え方で、これの積立を認めて行く。それから輸出のキヤンセル準備金の関係が三億、それから輸出のための特別控除、これはこの前御審議願いましたが、これが四十何億、輸出促進のために商社が百分の一、メーカーが百分の三、こういうふうに見て参りますと、千二百三十三億と相当大きな額になつておりますが、その中で千億以上は貸倒準備金と退職給与引当金と価格変動準備金、こういうものが占めておるわけでございまして、必ずしも私は経済政策的な観点でだけ、こういう制度が説明されるもので、それ以外には説明されないというものとも思つておりませんし、又同時にこういうことによつて受けるフエーヴアーが、専ら大会社だけに集中しておるものであつて、中小企業はこれは受けられないものだということも、その性格から見て、そうだとは考えられない。まあそういう意味におきまして、我々経済政策の上から見まして、税金を或る程度免除するようなことはできるだけ限定したものに限りたい。それも同時に効果が国民全体にフエーヴアーを与えるように限定したい、こう考えておるわけで、従つてたまたまそれの利益を受けるのが大会社だけとしましても、狙いは国民経済全体のためになるものでなければならん、こう考えて、まあ確かにそういつた意味のものが幾つかありますが、併しそれが非常に大会社の負担を大きく軽減しているというふうに考えるのは、ちよつと如何かと、かように考えております。
  34. 小林政夫

    小林政夫君 関連して。今の提出された資料についてはちよつと見せてもらつたのですが、租税特別措置法による法定償却の五割増、償却及び企業合理化促進法による特別償却による減収分が、今の何か落ちているということで、これを至急に追加計算をしてもらいたいと思います。まあそういつた資料が揃つて私も意見を申したいと思いますが、ただその前に、この中小企業庁で試算をしたところによると、銀行が標本会社が五つです。それに対してまだこの試算には、私の今言つたような特別償却も入れてありますが、まあいろいろな今読み上げられた減免措置に併せて、私が先ほど追加した二つの特別償却による減を入れて、銀行五社、標本会社五社の実効税率が二二・五%、それから電力八社で二四・七%、石炭五社で二七・三%、鉄鋼九社で二九・七%、ガラス二社で二九・八%、製紙三社で三四・六%、化学肥料六社で三五%、海運二社で四〇・二%、造船十五社で三六・八%、こういう具体的にその会社をつかまえて、恐らく考課状で積算したと思うのですが、実効税率がそういうふうになつておる。恐らく我々もそう思つておつたのですけれども、銀行の実効税率が一番低いのです。二二・五%、こういう一つの事例が出ている。だから、実効税率が殆んど二〇%に近いということは、この前の公述のあながち間違いじやない。いろいろこれはかねてからあなたとは議論をしておることは、一応あとで十分にやりますが、最近とみにそういう声が深くなつているし、一般的な税理論からしてやつても当然だと言いながら、実際においては、中小企業においてはそういうものをやる経理能力等から考えて、なかなかあつても、減免措置を受けられるという状態になつておつても、それが利用できない。こういう実際問題と考え併せて、かなり税法が複雑になつて、税法簡素化の点からいつても、特別減免措置を拡充するよりも、一般税率を逓減して行くほうがベターではないか。まあ、前は局長もおおむね私の意見には賛成であつたはずなんですけれども、今日はえらい迫力が強いようですが、(笑声)どうです。
  35. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私の税の立場からしますれば、そうした経済政策の意味から来る特別減免というものは、余ほど厳格に考えて行かないとおかしいじやないか。税金を免除することは、これは若し税金を免除しなければ結局入つて来るのですし、丁度補助金を片方でやると似たり寄つたりですから、歳出を出すときに非常に厳格に考えるのと同じような意味におきまして、減免の場合も相当厳格に考えるべきじやないかと考えておりますが、ただ今お話になりました二十幾つかといつたような数字は、これは先ほどもちよつと触れましたが、貸倒準備金とかいつたようなものが、或いは退職給与引当金、或いは価格変動準備金、こういうようなものが、一応制度がなかつたものとして、これを恐らく所得に積立てていれば、これを全部所得なりとして片方で考えて、そうして現実に納めた税金を分子に考えて、そうして実効税率云々というふうに御議論になつているのじやないかと思いますが、貸倒準備金とか退職積立金とか、或いは価格変動準備金、これはまあ一応いろいろ議論はございます。価格変動準備金について申しますれば、現に認めておる制度よりも、今度多少むしろ緩くしようというふうな改正案を御提出してございますが、これは実はシヤウプ改正前におきましては、価格変動準備金という特殊な名前は使つておりませんでしたけれども、一応そこまで会社が評価減することをずつと日本の税法では認めて来ていたのです。それで結局まあこれは会社の財産というものを、どの程度に評価すべきかという棚卸資産の評価問題でございます。これがむしろシヤウプの勧告によりまして、実はどちらかと言いますと、厳格になりまして、それ以前におきましては、時価か取得価格か、いずれか低いほうの九掛けまで会社は評価してよろしい、評価を降してもよろしい。まあ、いろいろ物価の変動もありますからというので、認めて来ていた。それが価格変動準備金ができる機会におきまして、時価の九掛けまで、従つて取得価格が時価の九掛けより低い場合におきましては、もうこれ以上は価格変動準備金は積立てちやいかん、こういうような制度でございます。価格変動準備金というものは、むしろそれ以前の、価格変動準備金がなかつた時代よりも実は相当スイヴイアーな制度なつておる。これに対する民間の御批判が、やはり価格変動準備金は、ものが上つて行くときに積立てて、下るときに補いにして欲しいというので、今回の制度ですと、むしろこれは昔の制度へ帰るのですが、今の制度よりは甘くなる。これがやはり先ほど申しましたように二百九十三億、それから貸倒準備金の制度は、これは以前は認めておりませんけれども、現実に貸倒ができたときにしか認めておりませんでしたが、やはり平常におきまして、或る程度これを認めて行くことが適当であろうというので、できた制度であり、それから退職積立金の問題にしましても、これは従来は現実に払つたとき、初めてそういうふうにしていた。併し現在のように相当就労関係もやかましくなりまして、退職資金の制度がかなり法令化してがつちりして来たものになりますと、やはり会社としてこれを積立てておくことを促進し、認めなければなるまい。こう言われて来ておりまして、そういつたものを全部いわば経済政策的な観点による大企業のための制度だというふうに考えるのは私は如何か。やはり多分にそこに租税の上だけから考えましても、或いは会社の経営と言いますか、経営学と言いますか、会計学から考えましただけでも、相当そこに一つの論拠があり得るものじやないか。こういうふうに考えて参りますと、こういうものがなかりし場合と一応比較しまして、そこで実効税率が二十幾つ従つて大きな会社の負担は非常に安いという結論を果して出していいものかどうか、多分に疑問を持つております。と同時にこれは先ほども申しましたように、大きな会社だけがこれができるというものじやなくて、現在におきましても、中小企業も相当これはやはりやつております。で、まあとかくの御意見は、中小企業はもうこれはもう全然いかないから、大きな会社については一応個別にそういうケースを重ねて実効税率幾ら、これは私はちよつと結論をお出しになるのが少しお早いのじやないかというふうな感じがするわけでございます。
  36. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ちよつと私関連して、お尋ねか、或いは自分の意見のようなことを申上げますが、従来租税特別措置法改正案のようなものが提出された場合に、先ほど問題になつた減価償却、特別減価償却ですね、大幅に特例を開くような場合に、これによつての減税が幾らというので金額も示していろいろ資料を出しておられる。そこが非常にミスリードするのじやないか。結局減価償却のときは耐用年数が二十年なら二十年のうちには結局損分はきまつておる。それを早く見るかどうかという問題ですね、税率を例えば百分の四十二を三十五に下げたというのと全然趣を異にしておる。それをごつちやにしまして、そうしてこの特別措置による軽減幾ら、こう出していたのが今日のような議論を誘発するもとになつておるのじやなかろうか、こう思いますので、その点について……。
  37. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうも委員長からお叱りをこうむりまして私も恐縮しますが、確かにそれは一つのミスリードするもとになつておるのではないかというふうに思います。そこで従来出しておりますのは、結局初年度計算だけしか実はやつておりませんので、平年度計算を余り従来資料にお出ししてなかつたのでございますから、初年度におきましては、例えば五割増償却でございますとか、合理化の半額初年度償却でございますとか、初年度のほうに或る程度償却が多くなりまして、初年度の税収は減る。実はその裏には、例えば耐用年数七年でありますれば、残りの若し半額全部初年度で以て償却されれば、残りの六年間におきましては初年度に減つただけではむしろ逆にそれだけ殖えていわば取り返しておるわけでございます。五割増償却におきましても同じような性格があるわけでございまして、結局まあ時期的な問題に過ぎないと言えば時期的な問題だけでございます。それにしても時期的にフエイヴアーが置いているのじやないかということは勿論言えましようが、併しいわば負け切りになつておるわけのものじやなく、これもはつきりまあ委員長のおつしやつた通りでございます。
  38. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 私は特別措置法においていろいろな特例を設けて、むしろ今日はその煩瑣に堪えない、而も実情に適しない。これを或る程度整理する必要があるのじやなかろうかというのが、まあ小林委員土田委員なんかの御意見のようで、私はその点は大体同感に思つております。が、ただ今まで論議されたようなケースを挙げて、そうして大都市ではこういうふうに軽減になつておるという、これはまあもう少し検討を要する、而もそういう意見を誘発するものとは大蔵当局が作つているから、今後十分資料を出す場合にも反省して頂きたいということを。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 大矢氏は税法エキスパートだけれども、我々も事柄の意味は知つている。これがただ税金を負けたのじやない。一時時期的に負担を軽くしているということだけであるということは、資料がそのままの数字を出されても、その資料の意味はよく知つているけれども、併し国の税収とを総体的に考えれば、要するにそれだけ減つたものが法人税収として考えられるのですし、そういうような場合に、国の資産上二十七年度でしたか、法人税収で行くと、大体表面税率四二%が実効税率三五%ですよ、当時出されたのがね。だから何回も毎年度こういう資料を要求している。そこで今のような特別軽減措置もずつとやはり、相手は違つているかも知れないけれども、大体において同じような税収減ということが国においてあるとするならば、ここで財政収入の面から考えて、どこへ負担を持つて行くかということになるので、税の徴収の仕方という点から考えて、成るべく普遍的に負担を軽くするという意味において、時期的にも経過的にもと言うか、まあ時期的にも、その負担を成るべく均等化するという意味において、その税率自体、法人税率自体について検討しているのである。併しいろいろなことで意味のあるものもあるわけですから、そういうものについては、一応財政事情等とも睨合して、補助金を出す代りに一時なにする、或いは経済の安定の一つの時期というこの際にうんと資本蓄積をさしておく、こういうような点は、一応今ぐらいに法人税収というものが表面税率と実効税率と全体の法人についての差が出て来ると、少し考えてみたらいいじやないか、こういう意味なんです。だから大矢委員長が注意された資料の提出の仕方が悪いから、我々がこういう論を立てるのだということはないので、数字の意味は十分に理解した上での我々の立論であるということを御理解願つておけばよろしいのであります。
  40. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 一つ注意しておきます。この次にこの関係の資料を出される場合は、はつきり数字的に挙げられる、これだけの減税になつているというのと、今の価格変動準備金或いは退職手当積立金のような税法上からへつてもむしろ損金に見るのが本当じやなかろうかというように思われるもの、及び特別減価償却によるものと、案を区分して出して頂きたいと思います。そうするというと、今のいろいろ問題になつているような点が、なお一層はつきりわかつて来るかと思いますからして、それを要求しておきます。
  41. 土田國太郎

    土田國太郎君 私は何も人が特別措置を受けたから、それを羨ましいという意味で申上げたのじやない。今局長の御説明は誠に御尤もと私も拝聴しているのですが、その結果が大企業に一番うまく行くのですよ。局長自身はそういうお考えでないということは私もよくわかつているのですが、結果が大企業のほうに行つてしまうというので、中小企業は資本もなし又家庭的にやつているものもたくさんある関係上、退職資金も、これは積立てることもできないとか、中小企業のことですからそう利益もありませんから、価格変動準備金も退職資金の積立もできないという実情になつて、今局長の御説明によれば、何人もできるのじやないかということ、御尤もですけれども、実情ができない境遇にあるということを私は御同情を願つて、そうしてもう少し中小企業の生きる途を講じないと、実際今の中小企業はひどいですよ。税金の高いことと金融の圧迫でにつちもさつちも行かん。私が説明するまでもなく、最近のあの手形の不渡りの状況を御覧になつてもよく御了承のはずだと私思いまするので、何とか中小企業のほうを援けてやつて頂きたい。地方税におきましても、事業税というようなもの以外の特別な何までしておるような、非常に苦しい環境におるんですから、そこを一つ御同情下さつてもいいのではないかというようなことで伺いしたわけですが、別に私は特別措置がどうだこうだという意味で申上げたのではないのですから、その点は誤解なく、ただ普遍的に何とか税率を全般的に引き下げ得る方法を講じて頂きたい、これが私の要望なので、又国民もそれを希望しておるわけです。これは意見に亘りますから、その程度にとどめておきまして、ちよつとお聞きしたいのです。
  42. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この際お諮りいたします。租税特別措置法の一部を改正する法律案について、日本鉱業協会調査部長田村茂利君を参考人としてその意見を聴取することにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
  44. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) 只今お呼び出しを受けました日本鉱業協会の調査部長の田村でございます、  租税特別措置法第七条の八及び第七条の九で鉱山の新らしい鉱床の探鉱及び取得に関しまして、大蔵省から新鉱床の探鉱用の機械設備の取得価格と、それから探鉱費及び新鉱床の買収費の、実際これらを支払いした場合に、その二分の一に相当する金額を必要な経費又は損金に入れることを認めるという御提案が出ているわけでございますが、この問題に関しまして、業者の立場から、実際の新鉱床の探鉱というものはどのように行われているかということを御参考に申上げます。  先ず先ほどお手許にお配り願いました資料につきまして極く大ざつぱな鉱業界の現状から要点だけを簡単に申上げたいと思います。  昭和二十八年の一月から十二月までに日本の主な鉱山におきましては、全体といたしまして銅鉱石の四百四十万トンを第一といたしまして、総額八百六十万トンの鉱石を掘つておるのであります。これらの鉱石が掘られておりますが、一方国内における需給の工合を見ますと、銅におきましては七三%、鉛などは六四%、その他大部分のものは十分な需給状態に達していないということになつております。それでお手許にお配りしました資料の二頁を御覧になつて頂きますと、二十八年度のこの鉱物関係の輸入の外貨の資金額の表がございますが、これによりますと、銅の五千万ドルを主といたしまして、総額非鉄金属関係で九千二百万ドル、その他を入れまして一億七千万ドルの外貨が使われているわけであります。それで鉱山業者といたしましては、毎年八百六十万トンの鉱石を掘つて、なお且つこういう貴重な外貨が使われているという事態に処しまして、極力新らしい鉱床を開発しまして、従来掘られておる鉱量の補填をすると同時に、進んで新資源の開発によつて生産量の増大を図りたいということで日夜苦心しておるわけでありますが、この新鉱床の開発の現状でございますが、それがお手許に資料の第一号という表がございますが、これは主な鉱山我が国における主な鉱山の実績をとつた表でございます。横が昭和二十一年から二十八年までの年度別でございまして、縦が所得の数字を列べてあるわけであります。ゼロというところは損益がゼロの線でございますが、先ず昭和二十一年から二十四年までは、総所得の欄を御覧頂きますとゼロ以下のところをどんどん下降いたしておりまして、昭和二十五年から朝鮮事変の勃発と共に急激に景気がよくなりまして、所得が殖え、二十六年度においては総額七十億の総所得を記録したわけであります。これが現在下降線を辿つておるわけでありますが、ここでこの鉱物価格の特殊性と申しますか、そういう点を資料第三号について御説明申上げたいと思います。これには過去五十年間に亙るアメリカにおけるメタルの相場を調べたものをグラフにしてございます。この一番上のところの銅の価格を御覧になつて頂きますと、御覧のように非常に値段の高い時期というものは一年間或いはせいぜい二年くらいしかないのであります。それで一番高いピークだけを印しをいたしまして見ますと、一九〇七年がピークになつております。それから一九一八年が二カ年間ピークを続けております。それから一九二九年に一カ年間。ピークを続けております。それから一九三七年に同じく一年間値段が高くなつております。それから一九五一年に高い値段を示しておりますが、大体こうして御覧になつて頂きますと、十年間の周期を以て鉱山の景気というものは動いております。而も非常に景気のいい時期は一年か二年しかなく、あとの時期は値段がぐつと下つておるということがはつきり言えるのではないかと思います。いわば鉱山の景気変動は波状ではなくて丁度吊橋のような恰好をしておるのではないかということが言えるんではないかと思います。  そこで再び資料の第一号の表を御覧頂きたいと思いますが、昭和二十六年から下降線を辿つておるわけでございまして、大体今後十年間くらいはこういう景気変動を辿りまして、十年ぐらい後に再びこういうピークが現われるのではなかろうかということが考えられるわけであります。それで約八百万トンの鉱石が掘られておるということは先ほど申上げましたが、この八百万トンの鉱石を採取をするためにはいくばくの探鉱費が要るかというのが、この所要探鉱費として点線を以て示してございますが、これによりますと、大体最近のところで三十億見当の数字が必要である。これは各社の実際の数字について調べて見たわけでございますが、三十億見当の数字が必要であるということがわかるわけであります。これに対して実際に行なつた探鉱はどうであるかといいますと、この一番下にやや太い点線で実績探鉱費として書いてございますので、これを御覧になつて頂きますと、実際の所要探鉱費に対して遥かに僅かしか探鉱が行われていないということがわかるだろうと思います。それで皆さん先ず御不審にお考えだろうと思いますが、このうんと儲かつたときにうんと探鉱をやつたらいいじやないかということが考えられるだろうと思います。併しながらこの探鉱には探鉱設備にも相当の投資を必要といたしますし、それから特に必要な熟練鉱夫その他を雇い入れなければならないというようなわけで、非常に景気のいいときだけ殖やしておくということになりますと、景気が悪くなりますと、真先にこの探鉱というのは生産に影響がないために切られるわけでありますが、探鉱が縮小になるわけであります。それで不況になり始めてそういうアイドルの設備を抱えたり、或いは又人を整理しなければならないという問題が起きるわけでありまして、山の実際の経営の方法としては、よいときだけに探鉱を殖やすということはとれないわけであります。それで或る程度先を見通した上で、探鉱に一定の能力の設備を設けてやつて行くということが、最も望ましいわけでありまして、むしろ不況の時代こそ探鉱の費用も安くあがるし、それから過剰の人員を使つたり或いは過剰の設備を使つて、探鉱をより十分にやるということが要請されるわけであります。これに対しまして現在の大蔵省からの御提案のこの実績の二分の一を損金に見るという行き方では、現状のこういう寡小炭鉱は到底救われがたいわけでありまして、是非ともこの際、この案を変えるということは困難だろうと思いますが、炭鉱の特殊性を御認識下さいまして、できる限り早い機会にこういう制度をお作りになつて頂きたいと思うわけであります。  こういう積立制を外国においてフランスが昨年から実施しておるわけでありまして、御参考までにこれを資料の第六号として出しておきましたが、フランスにおきましては鉱床補填準備金制度というものを作つておりまして、鉱産物の販売価額に対し石油の場合には二七・五%、それからメタンの場合にでありますが、十五%の利益からの積立控除を認めまして、この積立てた金額というものは、探鉱用の機械設備、それから探鉱作業、それから大蔵大臣又は商工大臣の命令によつて指定した特殊の企業体に対する経営参加権の取得という用途に限りましてこれを使わせる。而もこの積立は石油の場合には五年間以上は長く認めない。五年以内に使わないと、それ以上置いたものに対しては課税する。それからメタンの場合には三年間までは積立を認める、三年以上は認めないという。アメリカの減耗控除については非常にいろいろの問題点があるわけでありまして、そういう問題点を全部是正した上で、新れに行われておるという事実がございますから、我が国におきましても問題となる点はよく御検討の上説明して頂きまして、こういう制度を考えて頂くようにお願いしたいと思うのであります。以上であります。
  45. 小林政夫

    小林政夫君 政府の人に聞きますが、今度探鉱費等の特別償却制度、これによつて先ほどお述べになつたところの法人税の税収減をどのくらいに見ておりますか。
  46. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これも先ほど委員長から御注意がありまして、当初二分の一償却いたしますと、結局あとのほうで償却がそれだけ減りますから、全体としての減という意味にはなりまするが、初年度におけるこれによる減収というのは一応二億見てございます。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 田村さんのほうで考えられておる特別積立金の分ですね。一応この資料によつて、通産省案ですが、売上の一五%というふうにした場合に、どのくらいの減収と見て計算してありますか。
  48. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) これは通産省の計算でございますが、五億円くらいになると存じます。六%であります。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 只今の田村さんの発言に対する主税局長の所見をお話願います。
  50. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 最初に我我の案に対して、これでは探鉱ができないという批判があつたようでありますが、これは多少誤解がありはしないかということを一言申上げておきます。と申しますのは、我々のほうの考え方は、一応鉱山における特殊な性格はこれは認めて行きたい。併しそれのまだ将来使わない金というのを順次積み立てて行つて、それを適当なときに使うという考え方はこれは面白くない。従つて現実に使つたのを中心にしまして、そうしてこれはいろいろ批判はありますが、合理化機械の問題とかいろいろありますので、このほうなら一応従来も考えて来た線に沿えますから考えていいのじやないかというので御提案申上げておるのでございますが、この場合におきまして一応その年にその二分の一なら二分の一すぐに償却できませんで、これは他の償却の場合と全部同じでありますが、五年間の繰越を一応認められております。従いましてその新鉱床取得のために相当の金が出た場合或いは探鉱費に出た場合、その二分の一をその期に減価償却し、そうして一応始末をつけてしまわなければならんといつたことになつておりませんので、従いまして相当利益の状況を加味して、そうして利益が出たときにはその償却をし、利益が出なかつた場合には償却が繰越されるということは一つ考えられることと思つております。従つて一応限度をそこにきめてございますが、実際に会社において、それを積み立てる積み立てないと言いますか、償却をするしないということは、おのずから会社の利益と見合いながらなされて行くのじやないかというふうに考えております。  同時にもう一つ、それは償却という形をとつておりますが、これは会計学のほうの考え方で行けば、丁度減価償却をするということは、片方で採鉱費をそのまま載せておいて、償却引当金を積み立てるということになります。経理の見方に二色ありますが、引当金を積み立てたという考え方で、これをお考え願うほうが或いは御理解が楽じやないかと思いますが、一応採鉱費なり新鉱床の取得の半額までは償却引当金が積み立てられるわけであります。積み立てられるその積立額というのは、今言いましたように半額五カ年間積み立てる。それはおのずからその会社のその年々の状況によつて積み立てるか積み立てないかがきまるわけでありまして、同時にその積み立てた金は又新らしい鉱床の買収なり、探鉱に使えるわけでございますから、そういう意味からいたしますと、我々のほうで考えておるその案が、新らしい鉱床を取得し或いは探鉱を重ねて行くことに引合になる片方の金が十分賄い得るのじやないか、こういうふうに考える、この点を先ず申上げておきたいと思います。  それから第二の点でありますが、今これについてどう考えるかという点でございますが、先ほど来随分いろいろ御批判を受けたように、税の関係におきましていわゆる租税の原則から、多少そこで離れましても、経済政策の必要からして是非何か考えて行くべきか、こういつた問題、今ここで御論議になつておる問題は、先ほどの貸倒準備金の問題だとか、退職積立金の問題だとか、或いは価格変動準備金の問題だとか、会計学なり経営学の上から見ましても、これは或る程度自体として、そこまで課税するのはおかしい、或いは会社の利益を計算する上においては、これだけのリザーブを残した上で、なお且つ計上すべきものだといつたような、税自体の上から議論のある問題と、今ここでお話が出ております問題とは、よほど性格が変つて来るのじやないか、結局鉱業なら鉱業というものの将来の維持発展、これは日本経済の上から行きまして是非必要だと思いますが、併しその場合におきまして、課税上特殊な扱いをするということについては、やはりよほどそれがこの方法で行くべきか、或いは他の方法で行くべきか、例えば、補助金などの場合はむしろ考えられんが、税金をまけるならそれは当然考えてもいいといつたような考え方、これはよほど問題でございまして、従つてこういつたような考え方を税の中にどこまで入れて来るか、結局一定の額を積立てさして、それを使えばよし云々ということになりますが、まあ今までのところ、将来使うことを予想してというのは、よほどそれが例えば熔鉱炉の場合などの特別修繕費などのように五年たてば当然来る、毎年々々熔鉱炉の寿命はなくなつておる、こういつたようなもののほかは、今まで考えて来ておりませんので、こういつたような問題については我々のほうとしては、よほど慎重に考えてみないと工合が悪いのではないか、そこで通商産業省から話がありましたのは、アメリカの減耗控除制度について大分強い話がありましたが、それは随分弊害もあるし、いかんといつて、我々のほうとしてはとても同意できない。そこで今考えている案が一応通産省と我々のほうの話合いの結論として出た、まあ減耗控除制度に比べますと、多少このほうの制度は変つて来ていると思いますが、現在としましては、我々のほうとしては、今御提案申上げておるところで、従来考えられておる線をそうはずれないで、十分目的は達し得るのじやないか、それ以上のことは税の上から言いましても、ちよつと如何かというふうな考え方を持つております。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 業界のほうで要望される準備金の、一応今五億の減収になると予定される売上げの六分ですか、或いは一五%という数字の探鉱費と睨み合せて、このくらいのものが必要だ、先ほどの御説明にはその点はありませんでしたが、こういう積算の目安というものはどういうことになるのですか。
  52. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) 先ほどの資料第一号の表をいま一応御覧願いたいと存じますが、昭和二十八年の現状について申上げますと、八百六十万トンの鉱石の採掘によりまして、それを補填するに必要な探鉱費は約三十二億円見当になつております。そこでこれだけのものを丁度フランスがやつておりますような積立金によつて積立てる、売上高に対する一定率で積立てるということにいたしますと、この八百万トンが約三百億円になつておりますから、一一%乃至二%くらいの数字になるかと存じます。併しながら今一挙にそこまで積立控除をするということも、会社のほうの実際に探鉱をやり得る能力の点から申しましても、困難ではなかろうかというわけで、大体この十二%の二分の一に相当します六%、即ち所要探鉱費として十七、八億見当のものをこの際年間やつて行きたい、それで十七、八億といたしますと、三百億に対しまして六%ということになるわけであります。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 今の点ですが、実績というのが新鉱床の探鉱の範囲というような点もあるのでしようが、実績で押して間違いないのですかね。
  54. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) この新鉱床の探鉱費を実績で見るということ自身についても、我々は若干の疑問を持つておるわけであります。と申上げますのは、新鉱床に限らず、鉱床の開発は、当初発見しやすい露頭であるとか或いはいろいろの徴候を見まして、それによつて発見されるわけでありますが、だんだんそういう露頭であるとか或いは交通の便利な所の徴候というようなところから発見する余地がなくなつて来まして、今後開発する新鉱床というものは、地下百数十メートルの下のほうであるとか、或いは相当交通不便な人跡未踏の地を探鉱しなければならないというわけで、結局過去に投下しただけの費用を以て新しい鉱床を発見するということは不可能であります。いわゆるこれは鉱床発見費の逓増性と申上げますか、そういう点でだんだん上昇するわけでございますから、いわゆる過去の実績だけで以てやるということは困難になつて来るわけでございます。併しながら取りあえずこの資料といたしましては、最近一カ年間の主なる会社が投下した探鉱費と、それによつて開発した鉱量との比率によりまして、一トン当り幾らの費用をかけて発見されたかというデーターをとりまして、それに対しおのおのの会社が実際に採掘した量をかけまして、所要探鉱費という数字を出したわけであります。
  55. 小林政夫

    小林政夫君 だからその計算で行くと、最低探鉱費プラス・アルフアーだということになるわけですね、一トン当り。だんだんこれから探鉱がむずかしくなるのだから、今まで比較的楽な所を探鉱しておつたが、今後はだんだん……。偶然にうんと大きな鉱脈に当るかも知らんけれども、相当むずかしくなるということですね。
  56. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) そうです。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、探鉱費の今までの徴税上の扱いは、こういう臨時措置を主税局においてもとろうとするわけですから、一応探鉱費というものは無形資産的に扱つておるわけですね、観念としては……。
  58. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点ちよつと御説明いたしますと、先ほどのお話で、現在の探鉱権と言いますか、鉱業権と言いますか、探鉱費が資産化しているというのが非常に小さくなつております。これはいろいろ理由もありますが、現在までに税務当局で行つて来た措置は、こういうふうに考えてやつて来たわけです。探鉱費として使います中には、特にこれはメタル・マイニングのほうに特色があり、コール・マイニングの場合には多少事情は違いますが、メタル・マイニングの場合におきましては、私聞いた話ですが、営業に入つて行きながら又同時に探鉱して行く。と言いますのは、石炭の場合ですと、大体鉱床の賦存の状況とか、そういう厚さとか、これが大体揃つておりますが、成る程度断層がありましても、一応一つの姿が想像され、同時にそれが余り変らないのですが、メタルの場合におきましては、金属の発生の原因が石炭と大分違うゆえんもあろうかと思いますが、その賦存の状況が、かなり切れてみたり、或いは続いてみたり、といつたような事情があるようでございます。従いまして一応ここに鉱区が設定されたとし、それが稼動に入つたとしましても、同時に仕事をしてもらう、同時に探鉱して行く。こういうまあ営業中の探鉱の経費があるわけですから、これは従来経費として全部これを落しております。それから探鉱費には勿論もう一つございまして、それは新らしい鉱床を探し出そうという意味で使う探鉱費、これはまあ石炭などの場合には同じにあるわけでございまするが、このほうにおきましては、例えば五つ探鉱費をかけて掘繁してみても、そのうちで一つ当るか当らないかというような、いろんな危険があるわけでございますが、その場合におきましては、従来の扱いは一応仮払金的にしておきますが、そこの何本か堀つたやつが結局これは無駄だつたというやつは、その無駄だつたといつてはつきりしたときに、全部経費で落しております。それで着実に当つたというものだけが資産に残つているわけでございます。それで或いは考え方によれば、五本堀つたらその一本が当つた、従つて五本の探鉱費も、その当つた一本に或いは全部集中されて、そこに鉱業権という財産権が出て来るという考え方もないではないのであります。併しそれはまあはつきり五本堀つて一本当つたということもあれば、全然違つた場所で五カ所やつて、そうして一カ所だけ当つたという場合もありまするものですから、その会社で使いました探鉱費はたまたま当つた山に全部鉱業権として持つて行くというのも如何かというような関係からしまして、従来無駄になつたと思われる探鉱費というものは全部経費で落している。従いまして現在財産に残つている分はたまたま鉱床にぶつかつた探鉱の費用だけが残つているのでありまして、これがまあ現在減価償却の対象となつている。従つて現在の減価償却というものだけではなかなか将来の探鉱はできない、これは考え方によつて、過去において経費に落していますから現在の分だけじやできない。ただ現在我々のほうで扱つていますものは、将来の扱いとしましても、一応そうした無駄に費やされたものは経費で落すというような扱いをこの際特に変えようとは思つていない。その辺のところにちよつと鉱山の方々の言われる話が、少しまあ過去においての経緯が、いろいろそういう事情のゆえに、現在の鉱業権が古いという問題と結びつきまして、現在の鉱業権というものが再評価いたしましても、それは新らしくすでにでき上つたものを買おうとしては無理だ、これはあると思いますが、併しそれはもう少し因つて来る理由を考えて見ますと、過去においてずつと経費で落して来たというところに、一つの原因があるのじやないかと、かように考えています。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 田村さんのほうに聞きますが、今主税局長のお話だと、経費で落された探鉱費ですね。先ほどおつしやつたトン当りの探鉱費がいくらという場合には、その経費て落された探鉱費も含めての探鉱費なのかどうか、資産にふり替えられたものを出鉱量によつて、鉱石の出た量によつて、メタルの出た量によつていくらだけ割つたか、その点はどうなんですか。
  60. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) 只今の探鉱費は、主税局長からお話になりました現在この鉱内の、いわゆる我々の言葉で言いますと、営業探鉱と言いますか、この営業探鉱は除いた、いわゆる新探床の探鉱費だけを対象としております。従いまして新鉱床の探鉱費の支出額としてここに御説明申上げました数字は、成功したやつも、失敗したやつも全部入つております。
  61. 小林政夫

    小林政夫君 今の主税局長の話を聞いていると、その成功しなかつたものは経費に落す、経費の損と見て。まあ併しその穴の堀り方にもよるでしようけれども、そういうことだと営業鉱費と、その今おつしやつたものと、新鉱床ですか、この点をどう見るかということで、税務当局との間にトラブルは起きた例はありませんか。
  62. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私からお答えするのもどうかと思いますが、今までお話したように、営業関係の炭鉱費というものはこれはまあ一面探鉱であると同時に、一面では掘鑿のための経費でありまして、従つてこれは大体もう動いていますからはつきりしております。それからあとの問題としまして、新鉱床のための探鉱費、これは稼動に入る場合は資産になり、稼動に入らない場合に経費に落す、まあそういう意味におきまして、一応稼動に入るか、入らないかということは会社のほうで意思がはつきりしますので、或いは税務所の調査が十分終いまで届いていない場合もないとは限りませんが、その見解におきまして、そういうトラブルが起きた、結局まあ稼動するか、しないかという問題が一応これは表面的に、表へ出ますから、従つてこの稼動した分についての探鉱費、これは資産に上るで、この何本か堀つたやつは結局会社としては、これはもうあきらめざるを得ないと言つて、そこにある探鉱をやめる、従つてこれは一応仮払い金にしておきますが、損失に落す、その辺で余りトラブルが起きたという話は聞いておりません。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 併し景気のいいときにじやんじやん堀つて、可能だけれども、そこまで手をつける必要はない、こういうことで、あとから何年かのちに稼動するということはあり得るわけですね。そういうことはないだろうと思うが、やられるということはないだろうけれども、今の資産トン当り幾らと見られるというふうな田村さんの言われたのは、そういう結局営業探鉱と同時に掘鑿、こういうもの以外の方法の稼動に至るか、至らないかわからないけれども、別の穴を掘つて行くと、こういうものは全部トン当りの探鉱費に入れてあるわけで、その辺税法上では一応経費に落すものもあるというわけですね。田村さんのほうで、今理論的に局長のほうはああいう議論も立つて反駁しているのですが、あなたのほうでこれだけの主張をされるのに、ただもう探鉱費が生み出せないからというのでなしに、会計原則から言つても認めていいのじやないかという強い根拠はないですか。
  64. 田村茂利

    参考人(田村茂利君) 我々の理論に対しては、必ずしも大蔵省の主税局長は非常に御賛同して頂いていない状況でございますが、これは実際に鉱山をやつているものの立場から見ました場合に、事業の継続ということが、何と言つてもこれは最も重視すべき問題であり、又これは国民経済全体に繋がる一つの大きな線ではないかと思います。税法も従いまして事業の本まで課税して、本を涸してはいかんということは、一つの、これは主税局長が新聞などにもお書きになつているところじやないかと思います。それから翻えりまして、鉱業について埋蔵鉱量というものを考えて見ますと、鉱業にはほかからの買入原料は全然ないのでございまして、埋蔵鉱量だけが直接仕事の対象になる、原料に相当するものになると思うのです。それで普通の産業の場合に、原料代というものが当然売上から控除されまして、次の原料の再取得というものが保障されておる。ところが鉱業に限つて原料代にも相当すべき埋蔵鉱量の再取得が保障されていないということは、一面考えようによつて事業に対する税法上のアンバランスではないかということを考えるわけであります。簡単ですが……。
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に参考人に対する質疑がなければ参考人から聴取することはこれで終ります。
  66. 土田國太郎

    土田國太郎君 引続いて所得税のことでお伺いするのですが、今度の所得税改正に生命保険の保険料の控除が、八千円から一万二千円になつたということは大いに結構なことなんだが、これは何か基準があつてこういうようなものをお作りになつたのでございましようか、お伺いしたいと思います。
  67. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 生命保険料の控除を引上げるにつきましては、これは税制調査会でもいろいろ御議論になりまして、曽つて昭和十二年ですか、支那事変前までは、一応二百円まで生命保険料控除を実は認めていたわけでございます。所得税におきましてあの当時の免除点が八百円或いは千二百円だから三百倍にすれば三十六万か、そのくらいまで課税最低限を引上げるべきじやないかという御議論もございますが、まあなかなか財政の事情等から申しますと、そこまで許されない。そこに基礎控除も一応の限度にとめざるを得ないわけでありまして、三百倍といつた議論をしますと六万円といつた数字も出るわけでございますが、なかなかそこまで他の控除関係から行きまして引上げるのはとても無理だ、そこで現在八千円になつておりますが、一つのいわば腰だめかも知れませんが、これで参りますと五割上げれば一万二千円、大体これくらいの保険料で参りまして、この辺の、一万二千円ということになると、三十年満期の養老保険で、保険金額にしまして三十五、六万円くらいのものになるのではないか、かように考えております。大体中産階級以下の人に、全額的に恩典が行くのではないか、かように考えております。
  68. 土田國太郎

    土田國太郎君 尤も控除額を引上げるということは結構なんですが、一方今の御説明を伺いますと、約三十年で保険金額で三十四、五万円ということですが、所得税死亡控除額は五十万円ですね、そこから見合うと、死ぬときは五十万円、普段は三十万円か三十五万円か存じませんが、或る程度の、十五万乃至二十万円という低いものに掲げておつて、死んだときには、葬式代もとれないという、法律では五十万円まで控除を認めておるというような、少し趣旨が一貫しないように見られるのですが、その点は如何ですか。
  69. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その前に、その点につきましては、昨年でございましたか、やはり参議院の公聴会の場合に、同じような一応御意見があつたことがあります。むしろ所得税控除のほうと見合いながら、むしろどちらを上げるとすれば、所得税のほうを上げるべきではないかというお話があつたのですが、これは税収の問題とも結び付きまして、所得税控除を上げますことは、税収にかなり大きく響きます。その意味からしまして、どうしても税収のほうからしまして、所得税控除につきましては、一応の率は、限度が実はきまつてしまうわけでありまして、所得税控除の限度をば、どうしても所得税を合わさなけそばならんかということになると、所得税のほうは限度を下げざるを得なくなつて来るわけでありますが、必ずしも所得税の場合は、これは死亡のときでございまして、所得税のほうは生命保険料の控除金額と必ずしも一致する必要はないのではなかろうか、現在の相続税の制度でございますと、被相続人が亡くなりまして、相続が開始した、相続人が保険金を受取られるというときに、現在の制度でございますと、その相続人の受取られる金額を本にして実は考えておるのでございます。従いまして、甲というお父さんが亡くなられて、そして保険かとれる、その場合に乙という保険金受取人の長男のかたと、それから丙という保険金受取人の二男のかたとがあつた、その場合には、その亡くなられたのが甲というお父さんだからといつて、それで五十万円と切つているのではなくて、相続人ごとに実は五十万円控除する、こういう制度に数年前からなつております。従いましてどちらにいたしましても、実は、例えばそこをやかましく言いますと、結局被相続人一人について、そこに保険金を全部集めて、控除額もそこできめて、それから所得税と権衡をとるかとらないかという議論になりますと、現在の所得税制度におきまして、子供二人おれば二人なりの、五人おれば五人なりの、それぞれ子供さんの受取られる、或いは奥さんの受取られる保険金額について三十万円、今度の改正をなされば五十万円控除して行こうという、こういう制度になりますから、そこが元の所得税とは少し性格が違つたものになつている。死亡されたときの相続税の課税でございますから、所得税課税とはちよつと違つた目で以て見ていいのではないか、例えば所得税でありますと、かなり低い俸給生活者から課税なつておりますが、まあ相続税の場合は控除相当高くなつております。基礎控除も高くなつております。そういうような点も合せ考えまして行きますと、所得税のほうも一万二千円、従つて三十五、六万だから相続税も云々という考え方で行くのもどうだろうかという考え方で、実はむしろ相続税のほうをそういう考え方からしまして、所得税の数字から離して、控除額は大きくしておるわけでございまして、相続税がこれだけになつているのだから、所得税ももつとというようなことになりますと、実は所得税のほうにおきましては、他の控除とのバランスから言いまして、ちよつととても上げられない。どうしてもやらなければならないということになれば、むしろ相続税のほうの控除を下げるかどうかという問題になりますが、それもどうも必ずしもそこまで考える必要はないのじやないか。それから一つは、こういう制度がありますのは、生命保険自身が一つのいわば貯蓄的なものになりますし、従いまして、生命保険契約が伸びて行くということは、貯蓄或いは延いては資本蓄積が伸びて行く。その場合におきまして、この相続税の非課税限度が或る程度あり、同時に相当高いということが、やはりかなり保険契約を促進する上には相当の刺激的な役割をするようでございます。そのような意味からしまして、税収には余り大きな影響がないなら、まあ今度の所得税が一万二千円なら相続税のやつを三十万円、或いはそれを三十五万円とか、四十万円とか、その辺の数字も出ないことはありませんが、まあそれを離れて考えていいのじやないかという考えがあるものでございますから、これは五十万円に上げようと、税制調査会でもいろいろな論議をしてみたのですが、強いてそう所得税と相続税とのバランスを無理につける必要もないのじやないだろうか、税の性格が違うのだからと、こういう意味におきまして、所得税におきましては一万二千円でありますが、相続税については五十万円と、こういうふうに御提案申上げておる次第であります。
  70. 土田國太郎

    土田國太郎君 それで八千円と一万二千円の税金の差はどのくらいになつておりますか。  その間に局長に一つ別なことをお聞きしたいのですが、よろしうございますか……。ちよつと問題の方面が違うのですが、法人税の問題なんですが、非課税団体を指定して提案されましたね。その組合とか団体とかのどういうものを指定せられたか。例えば公共的な仕事であるとか、仕事はどんなことであるとか目的はどうであるとか、大体の標準があるのでしようが、若しありましたなら御説明を願いたい。
  71. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 最初の御質問がありました生命保険料控除の引上げによる減収でありますが、本年におきましては一万二千円を四月から減税するという方向で、一万一千円になつております。従いまして、一万二千円の減収がそのまま本年は出ておりません。その一万一千円による減収額は、一応五億三千九百万円見込んでございます。  それから次の御質問でございます非課税団体の関係でございますが、これはまあ国と性格を同じくしますような地方公共団体、これは勿論一応非課税団体にしておりますが、その他の法人につきましては、いわゆる公益法人と言いますか、公益的な仕事をしておる法人、或いは政府の機関である、政府機関的な法人、そういつたものにつきまして一応税法にそれぞれ列挙いたしまして非課税法人をきめております。考え方としましては、公益性が非常に強い法人だけについて税金を免除して行こうと、ただ最近民法三十四条などの法人を見て参りますと、相当の収益事業をやつております法人もございますので、その場合におきましては、その収益事業分については一応課税の対象にすると、こういうふうな考え方で一応の分類をしておるのであります。
  72. 土田國太郎

    土田國太郎君 これは最後の質問でありまするが、申告所得税関係でございますが、青色申告状況がどうも我々民間で見ておると、そうはかばかしくないように考えておるのですが、一体納税義務者の何%が青色申告によつておるか。実際に地方において税務署が業者のところに臨みまして、これは法人、個人を問わず調査されまして、青色申告の尊重程度というものが法律で示されておるような工合にうまく運営されておらないのですね。どうも同じ業体であれば、甲は幾らであつたのだから乙もこのくらいでなければ困るというような調査方法が実は多いので、それで不満が非常にあるのですが、如何でしようか。この青色申告をもつと奨励するには、もう少し普遍的に減免税をやるとか、或いは優待方法を講ずるとかいう必要が出て来るのですが、この青色申告を助長することは、政府も手数がかからんでよいし、我々も税務署にああだこうだと言われずに済むことなんだが、何とか税務署をして、青色申告に対して、他の標準がこうだからというような間違つた観念を以て調査を大分されておる、地方あたりの実情を承わりますと……。そういうことではこの青色申告が伸び得られないのですが、何とか一つこの青色申告の助長政策というものについてのお考えがあるならば、一つお伺いしたいと思う。
  73. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 青色申告につきましては、現在法人のほうはかなり大きな率になつております、大体小さな法人までこめまして……。大法人は絶対青色申告をやつて頂いておりますが、小さな法人のかたには必ずしも青色申告でないかたもありますが、そんなようなわけで、法人が数から言いますと五割程度なつておりますが、併しまあ法人のほうはかなり青色申告が普及しておる。これはまあ性格からいつて考えられることでありますか、問題は個人のほうですが、現在手計にございますのは二十七年度の数字しかございませんですが、二十七年度の数字でございますと……。
  74. 土田國太郎

    土田國太郎君 法人の五割というのも二十七年度ですか。
  75. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 法人はまあ事業年度でやつておりますので、ちよつと年分と違いますが、昨年の数字でございます。それから個人のものにつきましては、結局現在としましては二十八年分の数字が一応出ておりますが、昨年の末で青色申告として承認されております数字が約二十万でございます。
  76. 土田國太郎

    土田國太郎君 パーセンテージを言つて下さい。
  77. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それに対する数字は大体二十七年の実績しかございませんが、二十八年の人員も、人員としてはそう変らないと思つております。むしろ多少出るのではないかと思つておりますが、営業だけについて言いますれば百三十三万、農業が百十三万、それで全体でそのほかの事業者も入れまして約二百九十万、まあ二百九十万をとれば一割にもなりませんか、併し農業関係は割合に青色申告が少くて、同時に一番青色申告をお願いしたいのは営業関係ですから、営業関係ということになりますれば、百三十万程度の数字になりまするから、一割五、六分というような数字になつております。青色申告をできるだけ普及したいというのは我々の念願でございまして、同時にただその場合におきまして我々として念願しておりますのは、正しい青色申告を普及して行く、形式だけの青色申告というのでは困る、青色申告によつてむしろ逆に帳簿をごまかすといつたようなことになつては困ると、まあそこにいろいろむずかしい点があるわけでございます。で、とにかくやかましく帳簿組織とか、そういつた点を言つておりますれば、善心の青色申告をしようとなさつておるかたもできなくなつてしまうであろう。そこで昨年におきまして国税庁でいろいろ考えまして、青色申告の帳簿式等につきまして、かなり簡素化いたしまして、そうしてまじめにやつてけるなら、この簡素化した帳簿なら、そうひどく面倒な手数をかけなくても、或いは簿記等について専門的な知識がなくても、或る程度書けてゆくのではないか、これで実は青色申告の数がかなり大きく殖えたわけでございますが、問題はまじめに青色申告をやつていらつしやるかたと、逆に青色申告に藉口して税金を軽くしたいとおつしやるかたと、それが後者が全然ないと言い切れませんものですから、なかなかそこに税務署にむずかしいところがあるわけでございまして、そこでどちらかといいますと、昨年まで特に地方の税務署におきましては、どうも折角まじめな人があるのに、不まじめな人がたまたま何人はあつたが故に全部そのまじめな人も同じように考えるといつたようなことになるのじやないかと思いますが、青色申告であれば、帳簿で正確に出た数字が先ず出発点になつて、いろいろ間違いがあれば直さるべきでありますが、そうした帳簿にもよらないで、いわば世間一般の平均利益率から、ここは低いとか、或いは高いとか、帳簿の内容に入らないでもつてそうしたことがあるのじやないか、これは今の御質問の点でもあり、我々もそういう傾向が全然なかつたと言い切れないのじやないかと思つております。そこで国税庁としましても、昨年いろいろ考えまして、これは東京国税局で実はやり始めた制度でございますが、青色申告の専担者というものを最近全国の税務署に何人かずつ設けまして、そうして青色申告方々について、その専担者が——これは人は余り長く一つところへ係にしておくのは面白くない結果もありますので、毎年替えるとか、いろいろのことは考えておりますが、専担者を設けまして、そうして指導的な立場で、年に何回か帳簿の記帳なりいろいろなことで指導的にお世話申上げる。そうして何回か伺つていれば、このかたは非常にまじめでないとか、いろいろわかりますし、従いましてできるだけまじめな方向に向いて頂くように御指導申上げている。そういうことをやつて来ておりまして、大体普通の白色の場合と青色の場合とは、相当区別した扱いをしておりますから、今年におきましては、恐らく今お叱りをこうむつたような、折角青色申告をしておりながらも、白色のものと同じような扱いをされるといつたような御非難はお受けしなくてもすむのではないか、こう考えております。ただ青色申告を普及させるにつきまして、もつと何か考えて行くべきじやないか、いろいろな御意見がございまして、我々も検討してみたのでございますが、やはり例えば青色申告の場合には、もう所得額から頭から何割控除するとか何とかいう制度は、現在の給与所得に対する源泉課税の点なども考えまして、要するに白色の人はあらかじめ何割かごまかすのが当り前だというふうな観念に出発するのもおかしいじやないか、併し一応青色申告というものもできるだけ普及するという方向には進んで行きたい。そこで一応我々のほうとして出ました結論は、いわゆる専従者控除の中に配偶者を入れようじやないか、これは二つの考え方があるわけでございまして、我々はここでもいろいろ配偶者を除いたほうがいいのだという御説明を申上げていたわけでございますが、その根拠付けとしましては、配偶者のかたは一応家事もなさつていらつしやる、そのかたが専心専従されることもない、これを入れるのはおかしいじやないかといつて除いて参つたのでありますが、その後更に検討して参りますと、やはり配偶者を入れる、家事に従事していれば従事しているなりに、一応七万円といいますか、六万円といいますか、これは一つの最高限度でございますから、家事に従事していれば従事しているなりに別途考えながら専従者控除の中に入れる、これはやはり専従者のほうへ入りますと、従来一人目で現行税法でいえば三万五千になつておつた人が、今度は奥さんからその次の人に移るわけでございますから、家族の多いかたですと、現行法でいえば一万五千円、それが七万円に上るわけですから、そういう意味からしますと、これは税の理窟からいいましても、十分裏付けできますし、同時に青色申告をなさつていらつしやるかたにつきましては、相当のフエイヴアーと考え得るのじやないだろうか、余り税の理窟を壊さない範囲におきまして、同時に青色申告をできるだけ普及する意味での恩典を与えてゆきたい、こう考えまして、専従者控除という制度の中に配偶者を入れることで、相当のフエイヴアーが拡大したということはいい得るのじやないかと思つております。
  78. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 所得税法についてお尋ねしたいと思いますが、農業所得計算の際、一体昭和二十八年産の米価が幾らと算定せられる予定であるか、これは別な言葉でいえば、減収加算額は収入のうちに入れるか入れないかということです。
  79. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在の税法では超過供出奨励金とか完遂奨励金からは、所得税課税する場合におきまして、その奨励金を課税所得額から除く、こういう規定がございますが、結局基本米価だけが中心なつておる所得計算されるわけです。で、凶作加算金は我々のほうの考え方では基本米価を凶作加算金によつて補正する、こういうことになるわけだと我々は思つておりますので、従いまして七千五百円であつた基本米価が或いは八千円になるとか八千何百円になるとか、その意味において、そうした基本米価が凶作加算金によつて補正された、補正された基本米価によつて所得計算する、こういうふうに解すべきものだと考えております。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それで供出された場合においては、減収加算額はそれに加えられるから、或いはお話の通りであつてもいいかわかりませんが、自家消費の保有米を持つている場合において、この減収加算額を入れるか入れないか、これは自家消費だから、入れるべきものじやないとこう考えておるのでありますが、どうでありますか。
  81. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在自家消費の分はずつと我々のほうとしましては、生産者米価といいますか、生産者が売渡す値段でもつて計算しているわけでございます。従いましてそれは基本米価が結局自家保有米につきましてもその所得計算の基礎になる、こういう考え方をとつておりますので、例えば起過供出奨励金とか何とかというようにその起過供出があつたから与えられた、これは今のところでは別の法律がありまして、免税になつていますから、勿論問題はありませんが、免税規定がない場合には、これは起過供出があつたから、起過供出奨励金が出た。従つてこういうものは勿論保有米とは関連がございませんから、起過供出奨励金はああいう非課税規定がない場合におきましては、保有米の分の起過供出奨励金なんてこれは考えられないわけでございます。これは供出の分だけに限定すべきものと考えられますが、今の凶作加算金は基本米価が値上りした、こういうふうに考えらるべきもので、同時に自家用米は基本米価で計算する、こういう解釈でずつと参つております。従いまして供出されたものだけがその凶作加算金額が入るという考え方ちよつと如何かと、我々はそういう考え方をとつておらんということを申上げたいと思います。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今の御説明で、実際からいえば供出したものに対しては減収加算額が来るのだが、自家消費には減収加算額は来ないのだ。来ないところのものに対してはそれが収入であるということでやるべきものじやない、こう考えるのですが、やはりそうしなくちやいけないのですか。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 凶作加算金の性格をやはり一応検討してみる必要があると思いますが、凶作加算金といいますのは、繰返して申すようで恐縮でございますが、基本米価がそれだけ上つた。基本米価というものの積算が通常の場合には、いわゆる農業パリテイで計算されるわけでございますが、凶作の場合におきましては、農業パリテイによつて算出された金額だけでは無理があるから、従つてそれに或る程度の補正を施したところを基本米価と考える。で、凶作加算金というのはまさにその農業パリテイで算出された七千五百円の計数をそのまま使うのでなくて、それに凶作を加味して補正した数字で八千何百円ですかの数字が出る。同じことを繰返して恐縮ですが、要するに基本米価が変つたので、供出があつた、なかつたという問題とはちよつと違うのじやないか、かように考えております。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 納税者に対しては税務署納税額の内示というものをやつておられますか。
  85. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 内示といいますか、いろいろ現在国税庁におきましての指導方針としましては、できるだけ納税申告の本来の姿である納税者から申告を出して頂いて、そうしてそれが勿論正しければ正しいなりに、税務署の見るところと違つていれば、見るところなりの処置をする、こういう方法で実は進んでいるわけですが、従いまして過去におきまして、かなり内示的といわれる、簡単に内示といつていいと思いますが、一応税務署の調べたところを、お宅のは私のほうの調査ではこうなりますが、併しこれは税務署のほうの調べたところと納税者のお考えと違えば、何も税務署の調べたところでもつて申告して頂かなければならんという意味のものでは全然ないのですが、そういうことをやつて来ておりますが、これはできるだけやめてゆこうという方向で現在進んで来ております。本年の具体的な指導方針でやめてゆく方向に漸次進んでいるということは、これは国税庁から報告を受けております。現実に全部やめてしまつたとまでは聞いておりません。
  86. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 昨年大蔵委員会から土田さんと二人北陸地方に行つたわけですが、その状況を見てみますと、国税局も税務署も非常にうまい工合に連絡をとつていて、私など感心して、そういうふうに連絡をよくとつてくれといつてほめる一方、又いろいろと話も出たのですが、ただ例えば農産物、米なら米の生産を調査する場合に、その選定の場所が大体において中以上のところを選定して、それを基準として算出されるから、幾分税務署調査されたのは収量が多いような気がするのでございますが、そういうふうなことはございませんでしようか。
  87. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) いろいろな御批判があろうと思いますが、国税庁でやつておりますところは、できるだけ状況の似通つたところは一団にしまして、従いまして例えば山の特殊な地帯でありますとか或いは川縁だとか、こういうところは別な扱いにしまして、大体この区域は平均的だ、まあ一つに考えてもいいと思われる区域をとりまして、それこそくじを引くように、いわばアツト・ランダムに実は選んでいるわけでございまして、特に平均よりも多少高目のところを選ぶというような意図は実は全然ないのでございますが、本当にアツト・ランダムにやつているのでございますが、或いは結果的に見まして、場所によつては平均よりも多少高目のものが選ばれたり、或いは多少低目のものが選ばれたりというようなことは、これは絶対にあり得ないとは申されないと思いますが、それを選びます過程におきまして、特に平均よりも高目のところを選ぶ、こういう気持のものは全然ないと思います。
  88. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 法人税ですが、これは法律改正じやないのでございますけれども、法人税法の施行規則第十四条の第一項の農協の貸倒準備金の損金算入の限度、これによつて見ますると、括弧内で農林中金であるとか商工中金とかについては、所得割合の五〇%になつている、それが農協のようなものは三五%になつている、こういうふうに区別された理由はどこにあるかお尋ねしたいと思います。
  89. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ここにございます所得額の制限でございますが、原則としては全部二〇になつておりまして、括弧の中の部分は原則としては三五、農林中金と商工中金だけが五〇、それでこの原則と分れまして特にその括弧の中が一応三五になつているというのは、これはそこにもあります金融及び保険業、これらに一応適用されるわけでありまして、これはその貸倒の千分の十という割合と、同時にこういう金融、保険の事業所得関係或いはこれらの事業の性格といつたようなものを睨み合いまして、一応三五という率を実は出したわけでございます。そこで昨年でございましたか、当委員会ではなかつたかと思いますが、この農林中金とか商工中金におきましては、どちらかと申しますと、収益率が非常に低い、これは組合金利の故だと思いますが、従いまして他の金融機関が三五のときに、どうも利益率の割合に低い農林中金、商工中金とか、他の金融機関であればどつちかといえば千分の十が働きまして、この三五の制限は余り働かない場合が相当あるのでありますが、農林中金、商工中金でございますと、まあどちらかといえば所得率の制限のほうが強く働いてしまいまして、そして千分の十という率がありましても、余りこちらのほうが恩典にならん、貸倒れの準備金の性格からいえば、それはどうもおかしいじやないかというので、その分だけについて五〇に引上げた、こういうわけであります。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農林中金と商工中金とを、今度は単位協同組合とすれば、単位協同組合のほう、或いは協同組合連合会のほうのようなものがより多く貸倒れ準備金は積んで置いたほうが経営の合理化にもなるし、又将来において再建整備というようなものをせなくてもいいようになるから、できるならばその積立の割合を多くすべきものと思つているのでありますが、これは法律改正じやなくて、大蔵省でやりたいと思つたらば、いつでもやられるようなものでありますが、三五%を五〇%に引上げるようにしようというお考えはございませんか。
  91. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 三五%というのが、どちらかといえば金融機関の特殊性から出ております。従いまして組合金融という線において、実は商工中金なり農林中金が一応話題になつたわけでありまして、従いまして商工中金、農林中金だけが組合金融じやあるまい、例えば県信連の問題だとか、そういう問題をどう考えるかといつた問題が実はあるのじやないかと思つております。この点につきましては、実はもう少し関係の各部局とも相談しまして、実は結論は出すつもりで、出してみたいと思つておりますが、ただまあそれを更に拡げまして協同組合、例えば信用組合事業以外の組合の分まで、更にこの限度を上げるかどうかということにつきましては、現在のところそこまで行く必要はないのじやないかというふうに考えております、
  92. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私さつき協同組合と言つたのは、県であれば県の信連、それから単位農協だつたら全部信用事業を営んでいるから、信用事業を営んでおるところの農業協同組合、それから県信連、こういうふうなものはやはり三五%を五〇%に引上げる必要があるのじやないか。
  93. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在金融業に入つているのは県の信連ですね。これはまあ金融業に入つております。従つてこれは三五がいいか、五〇がいいか、それから単位農協の問題は、これは必ずしも金融業は営んでいますが、併し金融業だけでもございません。結局その場合は主たる事業が果してその金融事業であるかどうかというので従来区別しておりますので、従つて将来の例からみましても、当然三五に入つていいものだというふうには考えておりません。で、商工中金、農林中金の問題としましても、結局まあ貸倒れの率の関係、利益の関係、こういう点を見合つて実はこの割合なり、所得の率も出ているわけでございまして、先ほどもいろいろ御意見もございましたが、貸倒準備金というものを我々は一概に税法原則以外の観点から出たフエーバーだとも思つておりませんし、同時にこれがまあ或る程度現実の姿からやはり出発しておりますので、一応各事業、特にお話がございましたから協同組合のそうした事業の貸倒れの状況なり何なりというもの、或いはそれと所得との関係、そういつたようなものをもう一遍検討した上で、最後の結論を出したい、かように考えております。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 この税額控除の、これは前からあることで今改めて質問するというのもおかしいのですけれども、不具者控除、老年控除、寡婦控除、勤労学生控除、こういうようなものがおおむね同額ですね。これは同額でいいんですか。
  95. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現在、一応お話になりました幾つかの控除、一応取上げられますものとしましては不具者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、この四つが大体同じような扱いになつておるわけでございますが、これはまあ正直申しまして、何を標準にしてどれくらいの控除をするか余り本当に数字的に割切つてこれをジヤステイフアイするようなものは、ちよつとなかなか見付けにくいのじやないかと思います。現在は税額控除にしてございますが、これは曽つて所得額控除でございまして、税法が複雑になつた点もございますし、税額控除にしておきましたほうが割合に所得額控除にしておきました場合に比べますと、所得額が低い人にフエイヴアーが余計行く。そういう点も考慮いたしまして、税額控除にしまして、現在は原則といたしまして、四千円と、まあ我々もいろいろ税法を変えます場合におきましては検討してみるのでございますが、特にこれを区別するというのもなかなか理窟が一長一短ありまして、はつきり是非これがこうであるのが正しいというほどの理由もつきませんものですから、一応従来から一緒になつておるから、特にこれを区別する理由もないから一応このまま、まあイージーな考えだとお叱りを受ければやむを得ませんが、一応は種々話題にしてみるのでございますが、特にどれかを抜き出して一応上げ或いは下げるというのも余りはつきりした根拠もないのだ、こういうふうな考え方から四千円で一応一律になつておるというわけでございます。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 寡婦控除について少し比重をつけてみると歩が悪いんじやないか、こういう見解があるわけですがね、そういう意見がかなり最近出つつあるということをお含みおき下さい。  それから先ほど最初に説明してもらつた予定納税制度ですね、これに変つたことによつて、徴税当局、あなたのほうの徴税当局のほうの手数はどうですか、あなた方の見解では簡易化されたと思われるか、或いは殖えたと思われるか、いろいろ考えられると思いますが……。
  97. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 予定納税制度にすることによりまして、結論から先に申しますと、大体十五日くらいの手数が節減できるのじやないか、十五日という、要するに税務署の収税官吏がずつとまあ月二十五日といいますか、平均的に働いている、それを平均しての話でございますが、その手数が、まあ一月に二十五日、十二カ月とすれば三百日働いているというような考え方で、日数で以て大体手数を計算して参りますと、所得のほうの関係、これはまあ大体特に地方の税務署では一番申告所得税に大勢の人数を使つておりますが、その人々の手数でありますから、税務署の全員とはちよと違いますが、所得税の係りの者の手数が大体十五日くらい、これで浮くんじやないだろうか。と申しますのは、今度の仕事によりまして新らしく出て参ります仕事は、前年の確定申告を基にしまして税額を御通知申上げる、こういうことになります。それから別途これは税法では謳つてございませんが、国税庁としましては七月になりましてから納付書でございますね、税の納付書をお送りしたほうがいいじやないか、これは第二期の場合も金額を入れてお送りしたほうがいいんじやないか、そうすればこれは税法上の納税告知書とは違いますが、納税者としてはそこで注意が喚起されますし、同時に自分で一一書くことについて或る程度の手数も省かれる、まあこういう仕事を今度の制度ではとるべきじやないかと考えております。その代り省かれます仕事が、従来の予定申告を出して頂く仕事がなくなるわけであります。まあ予定申告を全然今年の新らしい立場で申告をして頂く、これもなかなかむずかしいから今のような制度なつたわけではございますが、これですと相当意味があるのでございますが、前年の実績を下つてはいかんと言いますと大体前年の実績のままで実は出る申告が大部分、併し実はそのために相当の手数を要するわけでございます。同時にその申告が出ませんと現在の制度でございますれば、扶養控除はできないとか、やれ何控除はできない、まあ控除をするために税務署申告を出してもらうのに相当苦労をしなければならんというようなことにまで、実はなつてしまうわけでございまして、予定納税制度のためこれがまあ何のために今のような制度でございますと出さなければならんかという感じが片方にありながら、併し税務署としましては、控除関係もございますので、相当このために宣伝の意味の講演会もやりましたり、或いは又具体的に相当の指導をやる、税務署おいでつては、まあ代書役のような仕事までしている、こういう仕事が一応省かれるわけでございまして、あとはまあ減額申請の問題とか、そういう点は従来もございましたし、今後もありますから、その辺の仕事は変りませんが、予定申告を慫慂するという仕事はこれは一応省かれますので、税額計算とか別な仕事は殖えますが、そのような意味からしまして、大体所得税係りでもつて十五日くらいの手があくんじやないだろうか、これは調査の充実のほうに廻して行きたいと、かように考えております。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 これは人間のやることだから間違いがないとは言えないのですけれども、二十二条でしたか、あれで前年度の所得税税額計算しますね、その計算が一時所得だとかいうようなものを控除する。前年度通りなら問題はない。が、多少引下をやつたり加えたりするというようなことをやつて納税者側の計算税務署の側の計算と違う。併しこれはつき合わせればすぐわかる。そういう修正は快くスムースに応ずるということでしようね。
  99. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その点はもう私は当り前のことだというふうに考えております。いろいろ御心配がございますれば、税務署がそれだけ至らないのですから、我々のほうとしましても、あらかじめそういうことのないように国税庁を通じまして注意して行きたいと思つております。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 それから先だつての議論で私がちよつと納得できないのは、研究不足かもしれませんが、租税特別措置法の第三条の五の例の証券投資信託の収益に対する課税の問題ですが、これが収益の三分の二を配当所得として課税する、こういうことになるので、私はこれは実質的に証券投資信託者の税負担の軽減だろうと思うのだけれども、その点があなたの説明だと必ずしもそうじやないというふうにとれたのですがね。
  101. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 現行制度でございますと、一応全部配当に見まして、そうして課税をして行く。それで信託が終了しましたときに精算を実はしております。ただ精算をした場合に、あとのほうでもつて納める税金が比較的多くて、差引く場合はこれはもういいのですが、前のほうでもつていささかとり過ぎになつていたといいますか、最後の機会には、むしろ精算してみますと、税務署のほうで若し本当の意味の精算であれば還付しなきやならなかつたかもしれんというときに、実はそういう場合に返すという規定が現在ないのです。従いまして現在はその意味からしますと、精算の観念からいえば、とり過ぎになつているわけですが、それを今度は一応三分の二ということで前のほうでもつてとり方を減らしますから、とり過ぎになるのはまあ殆んど考えられない。前はとり過ぎになつていた、今度はとり過ぎにならなくなるということで、比較いたしますと、それは軽減になるという見方もあり得るかと思いますが、実はそのとり過ぎになること自体がいささかどうかということが考えられますので、まあとり過ぎにならんということを目途にしまして、三分の二という線を出して見たわけでございまして、従来との比較におきましても、とり過ぎにならないで、従つて返すものがないといつた場合であれば、今度の場合と負担は実は変らないわけであります。従来まあとり過ぎになつていたという事例があり、それが一応前提とされますれば、今度はとり過ぎになるような事例がないということのゆえに、まあ負担が軽くなつたといえば言うべきものと思いますが、併しとり過ぎをなくしようという方向に進んでいるのでございますから、別に特にそこにフエイヴアーを与えたというわけのものとは言えないんじやないかと、かように考えております。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 そういう意味のあれもあるでしようし、それからこういうことの場合にはどうなるのか。株の上昇期はまあこれでいいとして、下降期においてはまあ極端に言えば全部の証券投資信託の収益というものが配当所得ということがあり得ると思う。それにもかかわらず、三分の一、これはどうですか。
  103. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 確かに上昇期と下降期と或る程度違います。従いまして下降期におきまして、殆んどむしろ譲渡所得のほうは零或いはマイナス、まあこういうことがあり得るわけですが、結局投資信託は大体二年が普通の姿でございまして、まあ二年の間に、ですから初年度におきましては、そういうことになりましても、次年度において精算ができますから、次年度において、その利益の全部が配当であるということになれば、初年度にとり足りなかつた分を全部そこで以てとり戻すわけでありまして、まあ期間も二年でございますので、景気の変動で或いは無理な場合もできましようし、逆な場合もできましようが、まあその程度のことは考えていいんじやないだろうか、とり過ぎになるというのもいささか感じが我々も工合悪うございますので、二年というのがまあ現在の投資信託の普通の姿でございますから、結局翌年度に精算されるという程度であれば、特にそうした景気の下降期というようなことを考えましても、まあ許され得る制度ではなかろうかと、かように考えております。
  104. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会